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1953-06-24 第16回国会 参議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十四日(水曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            宮澤 喜一君            阿具根 登君            吉田 法晴君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   政府委員    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  實君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    外務省国際協力    局次長     関 守三郎君    外務省国際協力    局第三課課長補    佐       松井佐七郎君   参考人    株式会社日本製    鋼所赤羽作業所    次長      武光 正一君    株式会社日本製    鋼所勤労部長  三宅 敏道君    株式会社日本製    鋼所赤羽労働組   合副執行委員長  前田 信義君    富士自動車株式   会社追浜工場長  大野 竹二君    富士自動車株式    会社奥多摩工場    総務部長    八並 孝雄君    富士自動車株式    会社労働組合執    行委員長    三富  博君   —————————————   本日の会議に付した事件労働情勢一般に関する調査の件  (米軍施設内における労働三法の適  用状況に関する件) ○参考人の出頭に関する件 ○現地視察に関する件   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  本日の委員会会議に付する事件は公報を以て御通知申上げた通りでございます。そのうちの第一でありまする株式会社日本製鋼所赤羽作業所における労働争議事件について、昨日の委員会の決定に基き委員長に御一任に相成りました件について御報告を申上げ、且つ御了承を得たいと存じます。  株式会社日本製鋼所赤羽作業所における労働争議事件の際の米兵発砲事件につきましては、昨日の委員会で警視庁、外務省労働省及び組合側意見を聴取いたしましたが、その間に事実の相違する点もありまするので、米軍人米軍属の当事者両名を参考人として当委員会出席を求め、当時の事情を御説明願うことに決定いたしましたので、その手続を委員長に一任されましたから、早速事務当局をして外務省を通じ米軍当局にこれが斡旋方を依頼いたしました。外務省におかれましてもその斡旋協力を確約せられまして、努力中でございますが、只今のところまでその結果についてまだ御連絡を頂いておりません。従いまして、その後外務省の御努力の結果は逐次御報告を頂けることと信じまするので、その都度御報告を申上げることにいたしたいと存じます。右御了承お願い申上げます。   —————————————
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に第二の事件でございまするところの、米軍施設内における労働三法適用状況についてでございます。本日は本件を取扱いまするために、政府側といたしまして労働省労政局長中西實君、労働基準局長龜井光君、外務省国際協力局第三課の松井佐七郎事務官がお見えになつております。外務省国際協力局長伊関君につきましては、只今衆議院外務委員会に御出席中でございますので、従いまして参議院労働委員長の名前を以ちまして、衆議院外務委員長に対しまして、適当な時間に参議院労働委員会局長出席のできまするように配慮を願う旨の申入れをいたした次第でございます。この件につきましては又後ほど御報告を申上げます。又中央労働委員会責任者に御出席を願うように申入れてございましたが、御承知通りに会長は目下欧米に旅行中でございます。又委員のうちでこういう問題に最も明るい細川潤一郎君は、本日或る労働問題の調停に従事せられておりまして、その最終的な段階なつておるそうでございます。本日はどうしても参議院委員会には出席困難でございまするので、皆様方に是非ともさよう御了承を願うようにという旨の依頼があつたわけでございます。これも併せて御了承を頂きたいと考えます。  次に参考人としておいでを願いました分につきましては、日本製鋼所関係といたしまして、赤羽作業所次長武光正一君、同じく同工場勤労部長三宅敏道君、同赤羽労働組合の副執行委員長前田信義君の三君でございます。又富士自動車関係といたしまして、追浜工場長大野竹二君、同じく総務部長八並孝雄君、労働組合執行委員長三富博君の主君でございます。  これから先ず米軍施設内における労働三法適用状況につきまして参考人陳述を求めたいと存じます。日本製鋼所富士自動車の順を以ちまして陳述を求めます。参考人には前以て陳述を願う大体大筋のことはお願い申上げてあるはずでありますが、念のために再び申上げますが、日本製鋼所富士自動車の両社とも、会社の大体仕事内容でありますとか或いは従業員の員数でありますとか、直接従業員とT・〇・D等との工場内における関係でありますとか、或いは米軍との関係、労組との関係等につきましてそれぞれ支障のない程度に御説明を願いたいと存じます。  それでは赤羽作業所次長武光正一君にお願いを申上げます。
  4. 武光正一

    参考人武光正一君) それでは私のほうの赤羽作業所の大体の概況を先に申上げさして頂きます。  この作業所昭和三十四年の正月から、一月の二十六日であつたと思いますが、それ以前から赤羽におきまして軍の直接の管理下で、日本人労働者を雇いまして、米軍兵器修理作業をやつておつたのでありますが、それがだんだん拡張されまして、専門技術を以てしなければ、単なる労務の提供というだけでは処理できない、こういう段階に至りまして、その当時特別調達庁から話が……二、三の元そういつた専門仕事をやつておりました会社に相談がありました。皆自分の工場でその仕事をやることは希望するところでありますが、全く未知の土地へ行つて未知従業員使つて、而も日本兵器でない、アメリカの兵器修理するということには極めて各業者とも自信を持つていなかつたのであります。従つてどの業者も一応お断り申上げた次第であります。併しそれでは当時の日本としまして工合が悪い、何とかやつてくれないかというたつての話になりまして、いろいろ条件がございました、その条件を入れて頂いて我々のほうがお引受けすることにきまつたのであります。その当時は大体千五百人ぐらいの規模の工場でございました。その後朝鮮事変が起りまして、一時非常に増員いたしましたが、又朝鮮事変がやや平静に返ると共に作業量が減りまして、従つて人員も要らない……、その後設備を逐次拡張して参りまして、それに合わせて増員もして今日の状況なつた。現在は約六千五百名私のほうの従業員がおります。  で、赤羽作業所と申しますのは、米側の名称はトーキヨー・オーデイナンス・デポートと申しまして、ここには我々の作業所のほか、兵器を持ち込み、それを仕分けし、我々のほうの修理工場に運ぶまでの仕事及びその修理工場から出すその間の運搬一切、それから倉庫管理部品管理、そういつた仕事一切をこれは軍の直轄でやつておりました。そのほうに約四千名の従業員がおります。なお更に車輌類タイヤ修理作業もT・O・Dの中でやつております。これは日本タイヤなどでやつておられます。このほうに約三百名、米軍との関係横浜にありますJLCとの私契約によりまして、これが毎年七月から六月まで一年間の契約で年々に更新して行く、こういう状況であります。契約向うの方式でタイム・エンド・マテイリアルという形式をとつております。これについてはいろいろ議論がありまして、一時物品一台幾らというユニツト・プライス制度向うでは非常に好ましいということで、ユニツト・プライス制度を布こうとして非常に努力いたしましたが、何分にも種類が主な物で八千、細かい物を入れますと、二、三万というような大量の物について一々値段をきめなければならん。而も修理でありますからその程度が種々様々に分れているというようなことで、一時それを実施した時代もございますが、今日では今申上げたタイム・エンド・マテイリアルということで、作業時間一時間について幾らということで支払を受けております。私契約内容につきましては、大体私のほうは先方の持込みました兵器の、各種兵器修理作業だけを請負つておるわけであります。従いまして地域の警備でありますとか、先ほど申しました米軍が直接やつておりますような仕事は、私のほうの契約には入つておらないのであります。  対労働組合関係は、その仕事を始めましてじきに組合が結成されました。当時は占領下でありましたので、お互いに軍に協力をしてこの仕事の完遂を期そうじやないかということで今までずつと円満裡仕事を運んで参つた次第であります。このたび賃上げの問題が起りまして現在争議中でございます。これは飽くまで組合会社との自主的な交渉によつて解決をするということで、組合側もその熱意を以て了承しておられます。我々もその決心でおる次第でございます。  以上を以ちまして私の概況説明を終ります。
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 続きまして勤労部長三宅敏道君の御陳述を願います。
  6. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) ちよつとその前に赤羽作業所勤労部長でなくて、本店の勤労部長なつております。
  7. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) はいわかりました。
  8. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 大体先ほどの武光の話で概要は尽きておると、こう思つておるのであります。ずつとうちがやりまして、争議行為に入つたのは今回が初めてでございます。そういう状態であります。以上。
  9. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと三宅君にお話を申上げますが、今日の御意見を伺いたいのは、直接争議関係することではないのでありまして、こういう製鋼所作業所におきまして労働運動というものが労使の間でどういう工合運営をせられておるのか、その実態につきまして会社側態度というものを知りたい、こういうのが目的でございますから、さように御了承願います。
  10. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 大体武光ので尽きておると思うのでございますが、何かあとで御質問が具体的にありますればそのときにお答え申上げたいと思います。
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 同じく労働組合の副執行委員長前田信義君の発言を求めます。
  12. 前田信義

    参考人前田信義君) 今武光次長からも言われましたが、私たち組合員といたしましては六千人でございますが、これがこの赤羽基地に働いておるわけでございます。対会社との間におきまする就業規則でございますとか、現在は切れておりまするが、労働協約面におきましては比較的この労働法という面は取入れられております。併しながら例えば就業規則の第一条にもございますように、軍の特別の勧告、指示命令があつた場合にはこれが優先するとか、或いは又その内容におきまして、軍から解雇することを指示又は命令された者は、これは解雇しなければならないというふうなことが具体的に条文に載つております。これは結局どこから来るかと言いますと、クラーク声明であるとか、こういうふうな労働法適用せよという示達があるにもかかわらず、こういう形はどこから来るかと言いますと、結局先ほど武光次長が言いましたこのJLC会社における私契約の面の現われがこの就業規則にこういう形で現われるということになるわけでございます。  で、私たちは例えば基地内におきまして組合活動等は一切できない、まして基準法に謳われておるところの休憩時間中の利用においてさえも勝手にはできないというふうに言われております。でこの面につきましては、現在争議中でもございますので、昨日組合といたしましてはたまたま横浜の、この米国といたしまして日本労働関係をやつているのだというアンダーソンという人とそれからジヨンソンという、これは横浜におられる方でございます。この方に会つたわけでございます。ところがこの方たちが言うのは、基地内における組合活動というのはこれは一切許されないということは日米合同委員会において結論が出ているというふうにはつきり言つております。又このアンダーソンという人は、休憩時間中の利用についても組合活動という面はこれは除外される、これははつきり法務総裁が言つているではないかというふうに昨日言つております。  こういつたような状態におきまして私たち組合活動休憩時間中の利用集会等は一切禁止されております。たまたまこれを持つたということによりまして解雇或いは出勤停止十日間というふうな処分を受けているわけでございます。このことにつきましては、過去におきましても意見書要請書というふうな形で国会或いはマーフイー大使或いは日米合同委員会にも再三陳情、意見要請をしたわけでございます。現在におきましては全然それらの適用は受けられていない。併し最初にも申上げました通り、対会社との間に結ぶ面におきましてはその点は取入れられております。その軍の命令指示という形によつて左右されているということが大体の現状でございます。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 途中ですが、今日の調査、或いは参考人陳述を願いますのは、労働法関係施行状況と申しますか、そういう点が中心だと思うのです。それから赤羽工場会社側のほうには、直接問題になりました発砲事件その他についても伺いたい、こういうことでありましたので、その点を委員長から重ねて一つ参考人陳述を受けて頂きたいと思います。
  14. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今日の参考人にお尋ねをいたしたい細目について若干徹底を欠いておるように思いますから、従いまして一応各参考人の話を承わりましてから、各委員諸君において一つ自由に質すようにお願いいたしたいと思います。これから陳述を願います富士自動車の方におきましては、今の発言等も汲み入れられて御説明を願いたいと思います。  つきましては富士自動車追浜工場長大野竹二君のお考えを伺いたいと思います。
  15. 大野竹二

    参考人大野竹二君) それでは只今から追浜米軍兵器工場施設の現況の概要と、労働三法が如何なる程度適用されておるかという点の二点について簡単に申上げたいと思います。  先ず追浜現状から申上げますが、御承知でもございましようが、追浜米軍兵器工場は、その場所は元の海軍横須賀航空隊並びに第一海軍航空技術廠の跡でありまして、いずれも日本政府財産等であり、終戦直後以来その地域米軍海軍によつて占領されたわけであります。ところがその後米陸軍におきまして、第二次大戦時におきまする太平洋一円における軍用の、破壊された車輌再生生産という問題が起りまして、いわゆるロール・アツプ作戦の一部として車輌生産追浜で大々的にやるということにつきまして、昭和二十三年の八月以来今日まで続いて車輌再生修理並びにこれに対する附帯業務を実地されておるわけであります。平和発効後は日米安全保障条約の第三条に基く日米行政協定第二条によりまして、インデエフエニツトリーに使用の施設区域として指定されて、今日やはり兵器工場として存続されてございます。  この兵器工場に対して米軍との受注契約関係を申上げますと、その変遷は、二十六年の九月以前は特別調達庁との特務契約、即ち米軍との間接の契約をいたして来ておりますが、その後は米軍との直接のドル建単価請負契約出来高生産払契約実施して来ております。あそこの兵器工場の性格を御承知頂く御参考といたしまして、あそこの兵器工場の呼称においても、呼び方及びこの責任者におきましても変造がございまして、当初はあそこは八軍の兵器局一つ兵器工場でありました。従つて官衙一つに属する一つ事業所であつたのであります。従つて文官を以て、プラント・スーパーバイザー文官が任命されておりました。ところが朝鮮事変が始りましてから日本管理軍司令部、ジヤパン・ロラエステイツク・コマンドの自動車部といいますか、本部といいますか、そこの兵器廠になりまして、指揮官陸軍大佐が任命されておりました。昨年の十一月以降はこれは更に又極東軍の八千百八十七部隊と申しまして、事業所自体部隊名を以て呼称されておりまして、指揮官大佐が任命されております。そういうふうな状況でございまして、あそこの工場管理機構を申上げますと、富士側工場長以下の組織とほぼ影の同じような二重の組織ができておりまして、おのおの相対するフアンクシヨンに対しまして監督をいたしております。そのほかに米軍のほうは直接の運営部門がございまして、それぞれ武官若しくは文官を長といたしまして業務を遂行いたしております。例えて申しますると、保安部とか守衛関係、それから防火部、それからモーター・プール関係輸送部、それから検査の第一次検査並びに工程検査最終検査、それから資材部のうちの軍資産管理、或いは機械工作、その他工業のメンテナンス、営繕に関する事項、それから技術に関する事項減価償却に関する事項日本人監督者の訓練に関する管理室、こういうようないろいろなものがございまして、約三百名のG・Iを含む文官軍人と、日本人の職員二千五百名が別におります。  富士現状工場長以下大体七千を標準として前後しております。従つてあそこにおきまする富士自動車仕事に関しましては、絶えず強力な米軍監督実施されております。これは従業員は勿論のこと、経営自体におきましても非常な干渉といいますか制約を受けているのが実情でございます。あそこの施設は、前に申上げましたように、日本政府財産であつた関係上、米軍占領物件であり、講和発効後も依然として施設区域として純米軍資産として使用しております。そこに据えつけました機械類すべて、又いろいろ修理再生に要する施設機械類治具治工具等、それからいろいろの要する材料、又電気、ガス、水道とかユーテリテイーに関する供給、こういうものを全部向う側が供給いたしまして、富士はただに労力を提供してこれらの生産に従事しているような実情でございます。従つてこれらの実情に対する又管理権と申ますか、いろいろな管理が複雑に行われているような状況であります。生産に関しましても、生産計画は一切軍側の計画によつて立てられておりまして、それに従つて富士側実施をいたしております。修理作業につきましても、その工程工程検査がございまして、いろいろな原料、在庫品その他支給部品に関しましても諸検査があり、全部向う側がいたしておるような実情でございます。  そういうような状況でございまして、結論といたしましては、あそこの追浜兵器工場は要するに、講改発効後におきましても行政協定指定施設指定区域といたしまして特殊の地位に置かれているように考えられます。大体追浜兵器工場現状は以上申上げました通りでございまして、さてあの構内において如何に日本労働関係法実施されておるかという点でございますが、原則といたしましては労働三法適用されておると見ていいと思います。従つて組合活動というものは自由であると申上げていいと思います。併しながら行政協定関係条項におきましていろいろ我々といたしましても、又米側といたしましても不分明な点があると思います。従つてこれの解釈如何によりまして、米軍指揮官の又考えによりましていろいろ解釈が違うようでありまして、従つてあそこの米軍兵器工場内の秩序維持に関しましては、米軍責任があるというような観点からいたしまして、そういうような意味合いにおいて組合活動或いは政治活動というような問題について制約を受けるということはあるように思います。  それともう一つ契約面におきまして、これはどこの施設においても御同様と存じますが、向う陸軍契約のフオームがございまして、その中にいわゆるレイバー・クローズがございます。従つてこれを承諾しない限りは契約ができないというようなジレンマがありまして、止むを得ずその労働条項を含む契約をしております関係上、これに基くいわゆる解雇の問題というような問題があるわけである。併しこれは私どもといたしましては、できるだけこういうような条項はないことが望ましいのでありまして、日経連その他を通じまして御当局米側と折衝頂きまして、こういうような契約にこういうような条項を入れることを除去して頂きたいと考えております。これは一事業会社においてできることではありませんので、関係皆様方に御努力を頂きたいと考えております。若し万が一そのレイバー・クローズを取除くことができなくしても、はつきりとその理由を明示してもらうとか、或いは客観的に証明せらるるような事実を明示してもらうというようなことが具現せられれば、或いはそれでも結構じやないかと考えております。それから構内における組合活動の点につきましては、私のほうにおきましては原則的には昼休の間においては組合活動は許されております。併しながらこれはやはり届出制度であること、或いは秩序維持に著しい障害があるようなことについては制限を受けておりますが、昼休の四十分間におきましては原則としては許可制によつて組合活動は許されているのが実情であります。これもまあ指揮官のそのときどきによりましていろいろ緩厳があります。会社は常にその間に立ちまして、できるだけ組合活動を容易ならしむるように軍側に対して幹旋努力をしているのが現状でございます。  それからもう一つは、あそこの施設が先ほど申上げました通り富士時代の所有でございませんので、あそこの施設設備改善という問題は軍側責任契約面においてもなつております。従つて安全衛生規則に基きまする作業環境改善というような点につきましては、これは富士側としては強力に改善要望並びにこれが実現の促進は努力をしておりますが、その実施は一にかかつて米軍態度によつて実施せられるのであります。従来この点に対してもなかなか実施されなかつたのでありますが、最近は非常にその点においては態度改善されておりまして、最近私どもの提案いたしました作業衛生環境改善という点につきましての要望については非常に熱心に研究して、何がしか改善の実が挙ることを期待しておるような現状でございます。  大体以上のような状況でございます。
  16. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 続きまして総務部長八並孝雄君にお願いいたします。
  17. 八並孝雄

    参考人八並孝雄君) 只今大野工場長の御説明で大体尽きておりますので、私から申上げることはないのでありますが、今日問題になると思われました契約上の人事条項であるとか、或いは工場構内における政治活動或いは組合活動というようなことにつきまして、軍或いは組合との往復文書、その他軍からの命令であるとか或いは参考資料というようなものを準備して来ておりますが、若しも御覧頂けるならば差上げたいと思つております。如何でございますか。
  18. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 是非頂戴いたしたいと思います。  続いて労働組合執行委員長三富博君にお願いをいたします。
  19. 三富博

    参考人三富博君) それでは組合としまして、働く者の立場から一言申述べたいと思います。  施設環境その他につきましては只今大野工場長が言われた通りであります。この中で私たち占領後いわゆる実費生産という契約によつて働いて来ておつたわけであります。その後平和条約ができまして、占領下にありました我々がいろいろの抑圧を受けておつたそういう政治活動にいたしましても、又その他施設改善その他についても、いわゆる発効と同時に行政協定の第十二条で、我々施設内におけるところの労働者労働三法適用される、こういうような状態に置かれたわけであります。が、併しながら先ほどの施設環境のように、私たちのほうは第二条の適用を受けておるという実情からして、私たち日本会社従業員でありながら、その上になお且つ使用者であるというところのアメリカの監督、そういうような二重のいろいろの監督を受けて就業しなければならないというような状態であります。従いまして工場の中は日本というよりも、むしろ星条旗が立ちまして、沖には軍艦がある、そういうような中で、自国の中で以て異国の生活をしておるというのが先ず四囲の状況であります。その中で私たちは一番考えなければならない、こう思つておりますのは、只今会社工場長から言われましたように、労働三法に対するところの考え方は、会社も私たちが願うと同じようにこの自由な活動を念願はしております。又我々に対してもそのように接してくれておるわけであります。が、併しその中において只今申上げましたような軍の大きな監督と、いわゆる保安ということによりまして、その考えがより多く曲げられて来るという実態はこれは否めないと思います。その姿は就業規則なら就業規則がある、これで私たちは十分でなければならないと思います。又その罰則規定なら罰則規定でも、そういう環境によつて罰則規定ができている。その上になお且つアメリカの監督官から言われますところのいろいろの制裁規定が設けられております。先ほど言いましたように二重の我我が監督を受ける。そうして惨めな暗い生活をしている、又しなければならない、こういうような実態であります。勿論作業をしておりますのは我々日本人同士でありますが、中には監督している少数のアメリカの人もおるのでありますが、その日本人同士の中においてはそれがよくわかるのでありますが、その上を行くときには、やはりアメリカの施設内であるということによつて我々の主張すべきもの、そういうものが認められないというのが本当の姿のように自分は感じております。  一つの例を申上げますと、ここに私はバツジを持つておりますが、これが門鑑であります。門へ入りますところのバツジでありますが、これがなければ門へは入れません、その日の就業はできないわけであります。そうしてこのバツジを一回紛失いたしますると半日の出勤停止であります。二回無くしますると二日の出勤停止、三回になりますると三日若しくは懲戒解雇であります。こういうようなことが監督官から指示されるわけであります。勿論これは軍の保安という大きな建前があるかも知れません。先ほど申されましたように、軍律、いわゆる軍命解雇といいますか、一つの私契約によりまして、誰と誰はこれはこの中に入つてはいけない、こういうようなことによつて解雇されて行く、こういうような実態もあります。が、併しこれをどうやつて排除していいかということになりますと、これは我々の力でもできない、又会社の力でもできないのだ、こういう大きな悩みを持つております。ではどこが悪いのだ、どこがこれをやつてくれるのだ、そういう観点に立ちまして、これを労働省に、又外務省に行きましても、又その問題を提げて日米合同委員会に行つても、これを解明し又解決してくれるところのものは一つも今日までなかつたように記憶しております。幸い今日そういうような機会を得まして、この労働委員会出席し、又このように話すことができましたので、なお質問をたくさん頂きまして、その中から政府なりがそれのとり得るものはとつて頂いて、早くこの行政協定なら行政協定という一つの一項においても改善し、そうして労働者なり又経営者なりが明るく作業に従事するような機会をとつて頂きたい、こう考えております。なお意見のようになりまするが、実際この問題を経営者だけに、私たちいわば労働組合でありますから、経営者にどうしても問題の尻を持つて行くわけでありますが、実際経営者では処理のできないものが山積しております。そういうような状態でありますのですから、よくその点を御勘案下さいまして、何分の善処をお願いするわけであります。  以上を以ちまして簡単でありますが……。
  20. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 主としてこれは労働組合の両委員長にお尋ねをいたすわけでありますが、会社と締結をしておりまする労働協約、或いは会社が作つております就業規則、罰則規定等の運用から見まして、組合として納得がどうしてもできないというような幾多の実際の例というものがたくさんあろうかと思いますが、そういうものを過去一カ年間ぐらいのものでも結構でございますが、まとめて当委員会へお出し願うということができますかどうかということ。  それから第二点といたしまして、この席でもう一度敷衍して御説明を願いたいのは、日本製鋼、富士自動車とも昼休の組合活動或いは政治活動が表向きは行えることになつておりまして、又富士自動車におきましては許可制なつておるということでございますが、そういう形式的には可能な状態においてあつても、実際には行われているのかいないのか、この点を一つ具体的な事例等も挙げて御説明願えれば幸いと思います。  それから更に日本製鋼所におきましては今回の争議の途中において組合運動に対して米軍から何らかの制約があつたかどうかこれもできれば具体的な事例を挙げて御説明願うように補足をお願いいたしたいと思います。先ず富士自動車執行委員長三富博君。
  21. 三富博

    参考人三富博君) 只今、順序は前後するかも知れませんが、許可制の点であります。この点私のほうとそれから会社のほうとにおいて、掲示又は文書の配付ということについては、協約ではありませんが、一つの協定が設けられております。それには掲示板の使用と、それから内容、それから掲示手続、更に文書の配付、このようなそれぞれの項目に分れておるのでありますが、これについても実際活動しておりますところの者は、現在それをアメリカの監督官のほうに出してそうしてやらなければならない、又そのような協定はありまするが、それを具体的に誰が配付して、誰がこれを職場の組合員一人々々に渡すか、こういう問題になりますと大きな疑問があるわけであります。と申しまするのは、組合としまして現在専従が二名おります。その専従二名の者は、これに代りますところのパスを持つておりまするが、このパスを持つておりまする者は二カ所しか行けないのであります。二カ所に行くところのパスしか持つておりません。従いましてそれ以外の所へ行くには方法がないわけなんであります。そうしますと、どうしてこれを職場の者に配付していいかということになりますと、職場は三十幾つもありまして広範囲に亘つております。一つの所から隅々まで二、三十分もかかるという広大な所でありますから、配付するのに非常な困難が伴うわけであります。そういうような問題に対しまして、会社のほうでは我々に電話その他を便宜供与して頂いて、そして専従者が配付しないで、中の役員を呼んでこれを現場へ持つて行く、こういうようなことをしておるわけであります。従いましてそれによつて会社との了解が当然必要となつて来るということからして、末端に行く径路が成り立つているわけです。  更に十二時のお昼休の休憩時間の組合運動でありまするが、これに対しましても所属の課長とかそのような人に届けまして、このほうはスムーズに行つておるわけでありまするが、その使用するところの場所、これは通常まあ人が集まつているのは食堂でありまするが、この食堂を使用することにつきましてもアメリカの監督官の言われるところの見解は、非組合員を交えたところでやつてもらつては困る、組合員のみが一定の場所を占拠し、そしてそこで以て委員会報告その他の組合報告をするということは他の者に迷惑をする。要するに他の者は休んでいるのであるから、組合のことを聞くということは非常に迷惑である。従つて同じ食堂において組合員のみがそれをやつては困る。一定の場所に集まつて、一つの所に固まつてそこでやつて欲しい、こういうようなことが言われるわけであります。そうしてそういう実際できないことを指示されておるということでありますので、若しこれを真直ぐにとられますると、私たち組合活動がなかなかできない。お互い昼休の休憩のようなときにでも、少しでも休みたいというような、食事をしているときに大体やります。もう御飯をたべてやれば散つてしまうというような関係からどうしてもそういうような状態、そういう施設、食堂なら食堂という一つの場所が欲しいわけでありますが、この場所が今のように或る制限を受けるということによりまして本当の活動ができないということであります。  以上二点だけ気が付きましたものですから述べさして頂きました。
  22. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 資料を御提出願うようなことはございません。
  23. 三富博

    参考人三富博君) 只今でなければ、後ほどでしたらば準備いたしますが、私ども昨日聞きまして、何の準備もなく今日参りましたものですから……。
  24. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 後刻で結構でございますから、労働組合の立場から、現在会社側契約を交わしておるにもかかわらず、その契約が思う通りに実行せられなかつた具体的な事例等を当委員会一つまとめて成るべく早く御提出を願うようにお願いしておきます。  それでは赤羽労働組合前田信義君の説明を求めます。
  25. 前田信義

    参考人前田信義君) 最初に、只今申されました資料のことでございますが、当面のことにつきましては一応パンフレツトにしたものを持つて来ておりますが、過去一年間ぐらいというお言葉でございまするので、これも組合といたしまして早急に資料を作成いたしまして後日差出したい、こういうふうに考えております。  それから昼休の組合活動並びに政治活動ということでございますが、このことにつきましては赤羽労働組合におきましても過去においては休憩時間中に組合活動をやつておつたわけでございます。併しこれは飽くまでも米軍が許可して合法的にやつたというのではなくして、会社の黙認の下に、含みある了解の下において昼間及び休憩時間中において組合活動実施したわけでございます。併しこのことは飽くまでも非合法的に、会社の一応の含みある了解というような形においてやられたのでありまして、これは米軍にわかれば当然処分されるわけでございます。この点につきましては就業規則におきましてもはつきりと謳つてあるわけでございます。このことは組合活動というよりも政治活動でございまするが、政治活動及びこれに類するような行動を行なつた者はこれは解雇するぞ、懲戒解雇並びに諭旨解雇するということがはつきり就業規則に謳つてございまするので、この施設内におきましての政治活動は一切、とにかく米軍の如何にかかわらずできないわけでございます。それから只今申上げました集会、要するに組合活動という面になりますと、これは何となくできるようなふうに就業規則にはなつております。つまり会社の承認を得ないでやつてはいけないということになつておりまするので、会社の承認を得ればできるという形に一応就業規則なつております。併し具体的に言いまして、軍の示達におきましては、この集会等に関しては許可しない方針であるということがはつきり明示されておりますので、これは会社が実際に許可しようと思いましても軍が許可しないというふうになつております。で、実際にはできないというのが現状でございます。昨年五月、六月、八月頃までは比較的そういう含みある状態においてできましたが、昨年の末から本年にかけてはますますうるさくなりまして、その後において同じような示達も出まして、現在においては全然できない。僅か十人や十二、三人の者が集つてお昼休に御飯をたべながら話をしたといつたことが、これが不法集会であるという見解に基いてこれは解雇されております。許可を得ないところの集会であるということによりまして、これは現在解雇なつております。でございますから、私たちは結局合法的な堂々としたところの集会というものは、これは一切現在の段階においては持つていないわけであります。  それからその次に争議に対して米軍から何らかの制約があつたかというふうなことでございますが、このことにつきましては、例えば一昨日等におきましてたまたまうちの委員長部隊長に呼ばれまして、現在君たち協力を求めておるところのT・O・Dの直用従業員をもつと早く入れてくれないかというような要請があつたわけであります。このときに、先ほど申しました横浜から参りましたところのジヨーンソン、アンダーソンの両氏が居丈高になりまして、そして周囲にほぼ十何人ほどの人間が取り囲みまして、憤然として起ち上つたり坐つたりして威嚇的に、とにかく組合活動というものは絶対許さないのだ、君たちは何といつても軍として絶対許さんと威嚇的に出た。さすがの委員長もそこで卒直にさすがに言えなかつたというふうな、そういうふうな半ば脅迫された事実において、現在私たちがこの争議の一番目に掲げておりますところの組合活動の自由をかち取るということに対しまして、軍としてそういうふうなことをはつきり言つております。このことにつきましてはなお且つ、そういうことを君たちは言つておるけれども、軍も許さない、なお且つ日米合同委員会結論においても許さんということははつきりこれは出ておるのだ、法務総裁基地内における集会は認めないと言つておる、これはちやんと指示でも出ておるのではないかというふうに言つたということでございます。なお争議の、いろいろ私たちは現在ピケを張り、ストを打つておるわけでございますが、具体的の問題といたしましては発砲事件、或いは同じ一カ所のところを何台もの車で通つてピケ破りをするとか、或いは我々の大事な赤旗を持ち去るとか、或いはプラカードを持つて行つたとか、それから投石したという事実が出ております。併しこのことにつきまして部隊長に私たちが会見いたしまして、このことにつきまして申しますると、部隊長は君たち争議というものは正当なので、部隊としては何らこれに圧迫もしなければ干渉もしないというふうに、一応は部隊長としてはそういうふうに言つております。
  26. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからちよつと委員の質問に入ります前に、先ほど説明を頂きました点でもう二、三点だけ前以て伺つておきます。  その一つは、富士自動車大野君にお尋ねをいたしますが、あなたの陳述の中で、こういうような労働問題が不明朗な事態になつておることは、行政協定の中に不分明な点があるからそれが因をなしておるのであるというような御説明があつたと思います。実際に行政協定の中の不分明な点というのはどういう点をお考えなつておるかをお尋ねをいたしたいと思います。
  27. 大野竹二

    参考人大野竹二君) 行政協定の第三条第一項、第十二条第五項、それから第十六条あたりが問題の点じやないかと考えます。
  28. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それから日鋼の武光正一君にお尋ねをいたしますが、丁度富士自動車のほうからは軍管理工場構内における労働事情というこの調書を、まとまつたものを頂いたわけでありますが、これと同じようなものを日鋼のほうでお作り願つて当委員会に御提出を願いたい、こう思いますが、よろしうございますか。これは一応こちらからサンプルとしてあなたがたのほうへお届けいたしますからお願いいたします。よろしうございますか。
  29. 武光正一

    参考人武光正一君) かしこまりました。
  30. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど私お願いしたのですが、工場長それから本社の勤務部長来て頂いておりますが、陳述を願います中心の赤羽工場での労働関係或いは労働法適用状態等については殆んど今述べて頂けなかつた。なおこの委員会として発砲事件については昨日も聞いておりますが、一応会社側の事情等も説明を聞きたいという委員会のなにもありまして、個々の質問に入ります前に工場長なり勤労部長から補足説明を頂きたいと思います。
  31. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それじやもう一度お諮りいたしますが、今直接現地の方のお話を参考人としてお聞きしたわけでありますけれども、これにつきまして労働省並びに外務省、ずつとお聞き願つておるわけでありますが、労働省外務省の方のこの問題に対する見解というものを伺つてから、今吉田君の御発言のあつたような点に進んで参りますか、どういたしますか。
  32. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は委員会が開かんとしたものについて十分なというよりも、殆んどお触れ願わなかつたのですから、これは補足説明を頂くことのほうが先だと思います。
  33. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) わかりました。それではお聞き及びの通りでありますから、重ねて日本製鋼所武光正一君或いは三宅敏道君のどちらかでもよろしうございまするから、重ねて今の吉田君の御要求に応ずる補足説明お願い申上げたいと存じます。
  34. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 言葉がはつきり聞えなかつたのですが……。
  35. 吉田法晴

    吉田法晴君 重ねて申上げますが、今日の私どもがお聞きしたいと思いますのは、赤羽工場における労働関係、特に労働法適用状況と申しますか、労働法がどういう工合に生きておるのか、こういう点をお尋ねしたい。なおその直接の動機になりましたのは、御承知の今度の争議問題の中で、特に工場の中で発砲事件或いはピケが張られておつたことについて紛議が起つた、こういう問題が直接の動機であります。そこで労働関係或いは労働法適用状態をお話を願い、なお私どもは別に労働省なり或いは警視庁なり、或いは労働組合の方からその発砲事件についての一応説明を聞いておるわけですが、会社の方からの説明は聞いておりませんので、この機会に聞くことができればと、こういうことを委員会お願いをしておるわけであります。
  36. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 労働三法実施につきましては、抽象的に言いまして実施されております。そこでどこが実施されていないかを御質問願つたほうがいいじやないかと思うのですが、漠然として、何を話していいかちよつとわからないのです。実施されておるということは言えるのです。どこのところをどういうふうにと言われないとお答えできにくくなつておるのです。
  37. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それはこういうことだと思います。会社側としては、富士自動車も先ほどおつしやいましたが、労働組合との労働協約或いはその他各種の約束を通じまして実施する誠意を持つておいでになるということは、大体組合のほうも認めておるようなのです。ところがその上に特殊環境のために、米軍等のいわゆる発言が強く反映しまして、会社のほうでは実施するつもりでおられても、全体として赤羽作業所の中ではその契約通り行われていない、こういうようないろいろの事態があるのではないか、そういうことについて一つ説明願いたい。
  38. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) それはないと思つております。米軍からいろいろ話がありましても、労働法でいかんものはいかんということで、こちらで自主的にやりますから……。大体実施されておると思うのでございます。従つて何か具体的にここが実施されていないじやないかということでお聞き頂きたいと思います。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の前田君の陳述を聞いてそれに対してあなたの今のお答えでは、何かこうピントが合わんように聞えるのです。前田君の陳述では、以前は昼休等は集会も許されたが、最近は十人ぐらいの人が集つても解雇なつた、こういうことを言つておられるわけです。そういう点について会社は、今あなたの言葉では労働三法は完全に実施されておるのだ、こういうようなことをお聞きすると、全く違つたような感じを我々受けるのです。それについてどういうふうに会社はお考えなつておるか、こういうことをお聞きしておるわけです。
  40. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) この組合活動政治活動構内では原則として禁止してあるわけなのです。私は法律のことは余り知りませんので、常識的に言わせて頂きますが、これはやはりおのおの家風々々が違いまして、そういうふうにしたほうがいいということじやないかと思うのでございます。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると三宅さんの言うのは、何もその上の米軍からのどうこうでなくて、あなたのところの家風で自分のところはそういうことを許しておらない、こういうことなんですね。
  42. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) それからもう一つ、それによつて組合活動をああこうしようという意思は毛頭ありません。外に組合事務所を作るときなんか会社はいろいろ斡旋したり何かしてやるのでございますが、人を使つているのでございますから……。ただ構内ではちよつといかん、こういう家風、こういうふうに考えております。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 例えば昼休の時間に組合員が集つて組合の問題を協議しようというようなこともあなたのところの家風に合わない、こういうお考えなんですな。
  44. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) それが全体のためにうまく行くのじやないか、こういう考えです。
  45. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 大体わかりました。そこで丁度十二時ちよつと過ぎましたから、労働省外務省のほうから只今お聞き及びになつたような点について政府側の所信を一遍表明しておいて頂いて、それから委員会休憩いたしまして、食事を取つてから再開する、こういう工合にいたしたいと思いますので御了承願いたいと思います。
  46. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 外務省に対する御質問の要点をもう一度はつきり承わりたいと思います。
  47. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 先ほどあなたが聞いておられましたように、こういう軍施設の中におきまして、日本側の労使の間においては、労働組合運動は正常な形においてお互に許し合いたい、こういう気持が現われておりましたことは御承知通りです。ところがその上にある米軍監督側にある立場のいろいろな要請によりましてこれが思う通りに行つていないという原因は行政協定の内部に不分明な点がある、こういうことが指摘されたわけなんです。行政協定が国会において論議されましたときにおきましても、特に衆議院参議院を通じてこういう内部における特に、駐留軍労組の立場まで考えまして、労働三法の通用はこれは十二分に配慮しなければならんというふうな確認を相互にされておるわけです。にもかかわらずこういう事態になつているということは、一体外務省としてどういうふうに考えるか、こういうことなんです。
  48. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) それでは今の御質問に対しましてこういうふうに了解してよろしうございますか。行政協定に基きまして合衆国軍隊に使用を許しているいわゆる施設区域内において日本国の労働法規が適用されるのかされないのか、こういうふうな御質問と解釈してよろしうございますか。
  49. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうです。
  50. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 行政協定の第三条の第一項におきまして、合衆国は、施設及び、区域内において、それらの設定、使用、運営、防衛又は管理のため必要な又に適当な権限を有しております。この権限の正当な行使と衝突しない限度におきまして、日本国の労働法規が施設区域内にある労務者にも当然適用されるものと考えます。即ち行政協定の第十二条の第五項におきましては「雇用及び労働の条件労働者の保護のため条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。」という明文があります。更に行政協定の第十六条におきましては、同様日本国の法令を尊重すべき旨の規定があるので、この点は疑問がないと思います。
  51. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これに対して質問は又後ほどにいたしまして、次に労働省中西労政局長
  52. 中西實

    政府委員中西實君) 只今外務省からお答えになりました通り、我々も法律関係におきましては、施設内におきましても原則として日本労働三法適用になる。但し先ほどお話がありましたように、行政協定の三条の管理権との調整問題はあり得る。そこで問題は、各基地ごとの司令官なりによりまして、いろいろと取扱いも違う。それは個人的な考え方の違いもありましようし、又施設のいろいろの特殊事情による相違もあるかと思います。そこで原則は先ほど申しました通りでございますので、その間の調整はそれぞれその施設の、例えば今日おいでになつている日本製鋼なり或いは富士自動車管理者側において十分米軍と折衝されましておやり頂きたいと思うのであります。若しも非常な理不尽な或いは行過ぎた措置が米軍に強いられるというような事情がございますれば、或いはお申出によりましてその間を調整すべきだ、かように存じております。
  53. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは先ほど御約束申上げました通りにこれで一時休憩をいたしまして、正一時から確実に再開をいたしたいと思いますから御協力お願い申上げます。  暫時休憩をいたします。    午後零時十八分休憩    —————・—————    午後一時四十二分開会
  54. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 午前中に引続きまして委員会を再開いたします。
  55. 吉田法晴

    吉田法晴君 赤羽工場次長さんにちよつとお伺いをいたしますが、先ほど本社の勤労部長さんは、法律は知らないが、家風で私のほうはこういたしておりますと、こういうお話でございましたが、現場の工場長さんと申しますか、次長さんですか、これは次長として、労働法関係はどうであれ、家風でこうこうこういうふうにやつておる、こういうことでございましようか、その点次長さんから一つお答えを頂きたいと思います。
  56. 武光正一

    参考人武光正一君) 私のほうの会社としての建前は、先ほど三宅部長から申上げた通り、飽くまで三法を守つて行く、そういう立場に立つております。先ほどからいろいろお話がございました行政協定の三条の管理権というものは、依然として軍側にございますので、その間はこれは我々だけの手ではどうしても調整がとり得ない。一つ皆さんのほうで善処して頂きたい、この点は富士自動車さんと全く同じ状況だと思います。
  57. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと管理権との調整問題はあるけれども労働三法は自分の工場適用されておる、或いは生きておると、こういう工合にお答えになつたのだと思いますが、その通りですか……。そうしますと具体例になつて参りますけれども、先ほど副組合長の陳述等によりますと、工場の中で労働組合活動が全然できない状態にある。まあ禁止せられておるかどうかは別として、食堂でも会合はできないというようなお話がございましたが、その点もお認めになりますのかどうなのか、それを一つ。仮に工場の中で組合活動が全然できないというと、その点においては労働組合法の適用と申しますか、労働組合法が工場の中に生きておるというわけには参らんかと思うのであります。それを家風でやつておらんというなら別問題でありますけれども、今の次長さんのお言葉では生きておるというお言葉でございますが、この実情と、それからそれに対して労働法が生きておるというお言葉との矛盾はどういう工合解釈してよろしいでしようか、お答え願いたい。
  58. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 表と裏とがあるものですから、余りやられるとむずかしいのですが、表向で言いますれば条約の問題ですね。労働法の問題じやありませんです。三法が実施せられておるかということですから、そこら辺で御勘弁願いたいのですが。
  59. 吉田法晴

    吉田法晴君 御勘弁を願いたいといつて、あなたの工場の中における労働法関係実施状況をお聞きしておるのです。御勘弁を願いたいといつて、御勘弁を私どもまあするなら何もおいでを願つた趣旨はございません。労働協約の問題というお話、労働協約もあるのかないのか、それから労働協約が生きておるとすれば、それを文書で提示願うなり或いは御説明を願いたいと思うのですけれども、今の御答弁は御答弁ではなかつたと思います。中身は何もございません。
  60. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 私の申しましたのは、工場内で組合活動をさせるさせないということは協約にはよらない、当事者同士で話合いまして……、今日の問題は、三法が実施されておるかということなんです。協約もそこのところは一つ我々にお任せ願いたい、こういうことなんです。
  61. 吉田法晴

    吉田法晴君 労働組合が認められる、或いは組合活動の自由が認められておるということは、これは労働組合法の問題であります。それが工場の中でどういう工合に現われているか、実施されておるかという点についてお尋ねをしておるのであります。協約を以てしても労働組合活動を全部認めないという協約は私はなかろうと思います。認められております労働組合活動をどういう工合工場の中で適用するかということは労働協約の問題かも知れません。労働協約の中身について私どもはとやかく申立てておるわけではありませんけれども、事実工場の中において何らの組合活動が許されておらん、こういうお話ですから、それはどういうふうになつておるか、或いはこういうような組合活動は制限されておるけれども実現せられておる、こういうお話ならばそれを承わりたい。それからそれについて何ら許されておらんというのでありますが、これについてどういう工合にお考えなつておるかということをお尋ねしておるのであります。
  62. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) ちよつとはつきりわからなかつたのであります、あとのほうが。
  63. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど法関係は十分知らんけれども、常識的な家風でというようなお話でしたけれども、聞くところによりますと、労働法関係委員として労働省にも出ておられる勤労部長として、労働法を全然御存じないことはないと思う。組合活動の自由というものについてはこれは勿論です。ところが組合の言うところによると、工場の中では全然労働組合活動の余地がない、こういうお話ですから、その辺の実情とそれから所見を承わりたいと思います。こういう意味であります。
  64. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) お答えします。政治活動の自由はあつても、やはり工場の秩序その他のために制限しているわけなんです、やはりそういう意味合のものがあるとこういうふうに考えまして、一応ここは構内ではやらんほうがいいのじやないか、こういうようなことであります。
  65. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これは労政局長にお尋ねしたいと思いますが、今富士自動車と日鋼のほうで同じ労働問題の扱い方、考え方が基本的に違うのです。富士自動車のほうでは、原則的には労働法の三つの法律は適用されておる、併し行政協定の不分明な点があつて、直接工場管理者である米軍のほうの意向によつて歪められておる点があることは認める、併しそれを今はねのければ契約というものができない恰好になつておるので、これは一つの大きな国の政治問題として大局的に解決されるよりほかに途はない、こういう工合におつしやつたと思うのであります。その精神は、飽くまでも富士自動車については労働運動のやはり公正な自由というものは保持して行きたいという精神が流れておると思います。その例としては、昼休等においても許可制をとつておるけれども、とにかく許しておる、こういうことを言われる。これに対して日鋼のほうは、いろいろ言葉の表現の仕方はありましたが、その精神としては、工場の秩序を維持するために構内における組合活動というものはこれは好ましくない、やらせない、こういう表現があつたわけです。而も一方においては労働三法実施しておりますと、こういう話であります。これは労働問題の基本的なものの考え方としては相当私は食い違いがあると思うのですが、労政局長はどういう工合にお考えになるか、この点を先ずお伺いしておきたいと思います。
  66. 中西實

    政府委員中西實君) 労働関係の法律上は、構内で昼休に組合運動をさせなければならんとか或いはどの程度でなければならんというようなこともございませんし、又全然それをさせないということでやられましても、別に法律関係については抵触することはないと思います。それぞれの工場、事業場の実情、そこの労働組合会社側考え方、これによつてそこら辺のことはきまつて行くんじやないかというふうに考えております。
  67. 阿具根登

    ○阿具根登君 勤労部長さんの御説明を聞いておれば、何か裏と表があるというようなことをおつしやられておるかと思えば、今度は何も裏はないんだ、自分たちがこういうふうに考えるんだ、いわゆるこれは家風だというようなことをおつしやつておられます。非常にあいまい模糊としておるのですが、私たち聞きたいのは、いわゆる富士自動車のように労働三法を守つて労働運動も十分してもらいたいと思うのだけれども、できないところがあるのだということを言つておられる。そういうところがあなたのところにもあるかと思つておりました。ところが今委員長が言われましたように随分違うんですよ。そこで一つお尋ねしたいと思いますのは、就業規則組合と打合せの上にお作りになつたのですか。
  68. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) そうです。
  69. 阿具根登

    ○阿具根登君 組合就業規則に対して賛成されておりますか、組合委員長
  70. 前田信義

    参考人前田信義君) このことにつきましては、ちよつと遡りますが、私たちは昨年の十二月に実は現在の執行部に出たわけでございます。これは講和発効以前に結ばれましたので、その当時の者にいろいろと聞いて見ましたが、非常にあいまいな点があるわけでございます。で、私たちその点について何か書類等があるかというので、非常に組合いろいろ探しましたのですが、全然それが見当らないわけでございます。その当時の者に聞きましても、ちよつと打合せたことがないというような、非常にその点あいまいなので、実は私たちこの点調査しておりますのですが、現在はわかつておりません。
  71. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは基準局長のほうにお尋ねいたしますが、就業規則を出された場合には組合の同意が必要であつたと私は思いまするが、そういう同意書があつたか或いは意見書がついおつたか。いろいろ組合意見を聞いておりますと、就業規則に謳われている政治活動云々、政治活動をやつた者は解雇する。例えば今度は入門券を失なつた場合には二日の処分である、或いは五日の処分である。こういうようなものにつきましては非常に反対の意見が言われておるようでありますが、そういう点は就業規則を基準局に持つて来られた場合に、何か組合意見書がついておつたかどうでしようか、お尋ねしたい。
  72. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 就業規則につきましては、法律上労働者を代表する者の意見を聞くということで、同意を要件にしておりません。而も又届出でございます。従つて届出の形式的な同意の証拠を証明する書類でございます。それで有効にできるわけであります。恐らく具体的な日本製鋼の赤羽工場就業規則につきまして受理しておりまするところを見れば、恐らくそういう同意書というものはついておつたのじやないか、これは調べて見なければわかりません。私はそういうふうに考えます。
  73. 阿具根登

    ○阿具根登君 それではそのときの就業規則は、これは一年間と思うのですが、どのくらいですか。いつ頃この就業規則が結ばれたかということをお尋ねしたいと思います。
  74. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 意見書をつけて出してあるのです。組合意見書意見を徴したことは間違いないと思います。
  75. 阿具根登

    ○阿具根登君 その写しを一つこちらに頂きたいと思うのですが、あなたのほうにありますか。
  76. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) はい。
  77. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の意見書の写しを工場のほうから出すというお話ですが、これは監督署が持つておるのだろうと思うが、若し写しが工場のほうから出ますならば別ですが、そうでなければ労働省のほうからお願いいたします。  先ほどの労政局長の答弁に関連いたしましてちよつとお尋ねをいたしたいと思うのですが、労働協約その他で組合活動についての申合せがあれば別ですが、先ほどの御答弁の中にありました、工場の中での組合活動の一切を許さないということが労働組合法の建前から許されるのかどうか。これは私は労政局長の御意見といささか所見を異にしております。重ねてこの点をお尋ねしたい。
  78. 中西實

    政府委員中西實君) 労働組合活動は、これは勿論憲法にも保障されております自由権として自由でございますが、ただ例えば建物の内部の管理権等はやはり管理者側にあり、更にいわゆる始業から終業までの間、これあたりはやはり事業主としていろいろの関係から事業遂行ということについてやはり配慮しておると思うのでありまして、その点と今の労働組合活動というところにやはり調和点が見出されなければなりませんので、そこで例えば事務所を貸与する問題にしましても、或いは昼休の活動にいたしましても、又団体交渉の手続にいたしましても、それぞれやはりできれば協約で協定したり或いはその都度の話合いできめたりいたしてやるという関係が残るのじやないかというように考えております。
  79. 吉田法晴

    吉田法晴君 管理権或いは事業遂行上協約を結ぶということは、その点私は否定しないのであります。併し今問題になりましたのは、工場の中で組合活動を一切認めないということが労働関係法上認められるかどうかという点をお尋ねしておるのです。
  80. 中西實

    政府委員中西實君) この問題はどの程度まででなければならんかということは法律上も非常に言いにくいところでありまして、結局はそのときどきの一般社会、各会社工場においてどの程度やつておるかというのがまあ一応の基準になると、結局はそれが一応の社会的慣習ということになると思うのでありますが、それが一応の基準になるのじやなかろうかというふうに考えております。
  81. 吉田法晴

    吉田法晴君 社会慣習といいますか、実情に応じて許されるだろう、恐らくそれは協約によつて云々という点はわかります。併し私がお尋ねしておるのは、工場の中では組合活動を全く認めないと、こういうことが労働関係法上認められるかどうか、こういう点をお尋ねしておるのであります。
  82. 中西實

    政府委員中西實君) 先ほど申しましたように、現在社会慣習上施設内の組合活動の相当程度のものが認められておるのが実情でございます。従つてその慣習によりますれば工場内の活動もあり得るわけであります。ただ基地内ということになりますれば、そこにおのずから一般の工場、事業場とは違う制約が出て来るのではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  83. 吉田法晴

    吉田法晴君 基地内の制約云々という点が私どもがこれから明らかにしてもらいたいと考えておる点であります。その点については私も異議を差挟むものではありませんが前段の御答弁で、法律上工場の中において程度は違つても、或る程度組合活動を許されておるのが実情であろう、こういう御答弁御尤もでございます。そこで赤羽工場次長さんか或いは勤労部長さんか知りませんが、伺いたいと思うのでありますが、工場内での組合活動を一切許さないということは何によつておやりになつておるのか。一応労働関係法上は基地内において組合活動が或る程度許されておるというのは、これは社会通念と申しますか、法律上あろうし、或いはその相談による制約はとにかくとしまして、許されるのが、今のような制約はありましても、労働法が予定をいたしました関係だと思うのであります。何によつてその家風を実現しておられまするか、承わりたいと思います。
  84. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 特需関係会社なり、やはり一つの家風があるんですよ。その家風によつてやるより手はないのでございます。それは表向きの話で、裏では富士さんと同じだというふうに考えておるのでありますが、そこら辺もうまく行政協定でおやり願いたいと思うのです。こちらは詰らないのです。ですから表向きはこう言わなければらんのですがね、なかなかそこの調節を取つて行くのはむずかしいのですから、もつとこう国家でうまくやつて頂きたいのです。そういうことです。
  85. 吉田法晴

    吉田法晴君 家風々々と言つておられますが、労務担当者であるならもう少し合理的に或いは科学的に……問題は労働関係法なり法律関係を論じておるのですが、もう少し労働法的なものの考え方を願いたいのですが、私が先ほど御質問いたしましたのは、工場内において労働組合活動を全然認めておらんということだが、それは何によつてどういう根拠に基いておやりになつておるか、或いは労働協約に基いてやつておられるのか、或いは就業規則に基いてやつておられるのか、その辺の具体的な根拠を伺つておるわけです。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 ちよつと議事進行につきまして申上げますが、若しこれが参考人のお役に立つなら、場合によつて速記をやめて話を聞くことができ得るということを御注意頂いたらと思うのですが、それはお役に立つかどうか知りませんが、老婆心ながら……。
  87. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 先ほどの御質問にお答えいたします。就業規則にもないわけであります。労働協約にもないわけであります。ずつと前から引継いで来たから、初め直用であつた時代もあるし、引継いでやつておりましたものですからそういうふうに慣行として成立つていた、こういうふうに解釈するよりしようがないのです。それで組合の諸君もそういうふうに考えていいことだと思うのです。両方とも成文にはなつていないようです。
  88. 栗山良夫

    政府委員栗山良夫君) 三宅さんにちよつとお尋ねしますが、先ほどの、このすぐ前にお発言なつたことは、私伺つておりますと、とにかく形式的には労使の関係、それから日鋼と米軍との関係においてあなたのおつしやるような工合に言わざるを得ない。併し心情においては富士自動車の経営者側の方が述べられたことと意中において違いがないのだと、こういうふうな意味の表現をされたように私は受取つたのですが、それで間違いありませんか。
  89. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) それで間違いがありません。
  90. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうすると事態が大体明かになつたと思います。三宅さんにもう一遍お尋ねいたしたい。そういうことであれば、あなたのお立場がどういう工合であるか存じませんけれども、今宮澤委員からも特に注意がございまして、そういうお立場で強いて発言を求めるとすれば、只今速記をとつておりますが、速記を停止してでももう少し御説明つたほうがよくはないか、そういう宮澤委員から御発言がありましたので、ちよつとお諮り申上げるのですが、如何でございましようか、ちよつと速記をやめても結構でございますが、もう少しお述べを願えるわけに参りませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  91. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは速記が付いておつても御答弁が頂けると思うのでありますが、従来の管理工場、今の特需工場労働関係調査をいたしておるわけでありますが、工場側の今までの説明或いは立場等からいたしますならば、米軍側の要望にまあひたすら従つたと申しますか、それを全部受けて労務管理をやつておる、こういうまあ御事情のように思うのです。そこで私は就業規則を先ほどお出し頂くようにお願いをしたわけでありますが、若しさつきの私どもの希望を、就業規則に付けられた労働組合意見というように聞れましたならば、この際併せて就業規則全部についてもお述べを頂きたいと思います。先ほど勤労部長さんのお話もございまして、労働協約があるのかないのか、労働協約があればその労働協約の写しを頂きたい、かように考えるのですが、如何でございましようか。
  93. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 労働協約は只今無効になつております。現在ありません。さつきの前の労働協約の写しでよければ差上げます。
  94. 吉田法晴

    吉田法晴君 従来の慣例に従つてということでございますから、現在は労働協約がなくても、前の契約参考になると思いますので、それを頂きたいと思います。労働協約がないということは大変に残念に思いますが、私は工場次長さん或いは勤労部長さんにお願いをしたいのでありますが、管理権或いは特需工場としての特殊事情はございましようが、労働法が特需工場にも生きておる、或いは適用されておるという政府からの……これは労働省或いは外務省双方でありますが、そういう実情でございますならば、慣例というのはこれは占領時代或いは管理工場時代からの慣例と、こういうことだろうと思うのでありますが、占領が解けて講和発効後の日本工場、特需工場でございましようとも、そこに労働法が実際に生きておるには生きておるように御努力を頂きたい。それからそれは労働者のためのみではなくて、工場工場運営という面からいたしましてもその点は必要であろうかと思うのでありますが、使用者としてと申しますか、或いは工場の経営者としても日本労働法を生かして行く、その点についてはこれは皆さんにも或いは責任なり或いは権限もあるかと思います。そういう御努力を頂きたいと思うのでありますが、その点について若し感想を承わることができれば大変仕合せであります。
  95. 武光正一

    参考人武光正一君) その点に関しましては、私のほうも今申述べられた御意見に全く同意するものでございまして、努めてその実施について努力かいたして参りまして、今後も努力したいと思います。
  96. 吉田法晴

    吉田法晴君 多少具体例についてお尋ねしたいと思うのでありますが、ひと頃は、昨年の十一月頃でありましたか、十一月頃までであつたという御説明であつたと思います。食堂等においても多少の会合はできておつたところがその後更に厳重になつたという勤労部長さんの御発言があつたかと思いますが、工場において或いは工場の食堂の中で若干の組合報告がなされたが、文書を配る等のことも今では全然許されておらんというお話でございますが、そういう組合活動をやりますために工場の中で文書を配るということも従来解雇の事例になつた、こういうお話でございますが、そういう事実があつたのではないかと私ども考えますが、そういう場合に工場側としてそういうものも止むを得ないと申しますか、或いは妥当であると申しますか、或いは合法的であるというように考えておられましたのかどうか、それからそういう問題について今の御発言に対して大変感謝するのでありますが、今後の御意向、御努力についてお伺いしたいと思います。
  97. 武光正一

    参考人武光正一君) これはそのときどきの事情を判断いたしまして、差支えないものは今までやつております。いろいろな面で工合が悪いと思うものはやめて頂くように措置して参つております。今後の問題につきましては、まだ具体的にこういう意見がこういうふうに行われつつあるというところまで至つておりません。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 実はよく聞き取れなかつたのでありますが、その後の事例については個々の場合によつて違うので、一概に云々という、こういうお話であつたかのように聞きますが、よく聞き取れませんでした。私は過去の事例もそうだし、今後についても全く組合活動が許されないというようなことは、これは日本労働法があなたの工場で生きておらんということになるんじやなかろうか。それは家風ということがございましたけれども日本労働法工場適用されるということでありますれば、これはその辺は直らなければならんじやないか、過去において個々の事例について、私も個々の事例を挙げておるわけではありませんが、全く許されんということは、これは妥当ではないんじやないか、或いは労働法が生きておるということにはならんのじやないか、そこでそういう過去の事例を具体的に挙げませんから困難かと思いますけれども、全く工場の中で組合活動ができないという点については、それを理由にして若し首が切られたとするならば、それは妥当を欠くのじやなかろうか、或いはそれについて工場のほうとしても馘首という問題については、従業員の生活を守るという点について努力をして頂けるのじやなかつたろうか、或いは今後についてもただ組合活動を若干工場の中でやつたということだけで首を切られるということにはならんように御努力を願うべきではなかろうかということを申上げているわけであります。重ねてもう少しはつきり御答弁を頂けば結構であります。
  99. 武光正一

    参考人武光正一君) ちよつと御質問の趣旨が……。
  100. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと聞取りにくいものですから、もう少し大きな声で……。
  101. 武光正一

    参考人武光正一君) ちよつと御答弁申上げる前に御質問の要旨……今まで申上げたことのほかにどういう点を御質問頂いているのかちよつとわからないのですが。
  102. 吉田法晴

    吉田法晴君 御答弁がよく聞えなかつたというのも一つです。それから組合活動のどんなものでもやつたら、僅か何十人か寄つて話をする或いは文書を流す、そのことだけで解雇というのが行われたならば、それは過去においても妥当を欠いたのではなかろうか、それはそういう場合に工場としても命令がございましようとも、従業員の生活を守るために努力を願うべきではなかつたろうか、今後においてもその点については御努力を願うべきではないだろうか、こういうことをお尋ねしておる。
  103. 武光正一

    参考人武光正一君) これは先ほど副組合長からも全然認められていなかつたのではないというお話もあつたと思います。最近においてはそういう事例は少い、こういうことになつているのでありますから、これは非常に又微妙な問題になつて参りますけれども組合の純粋な活動ということについては、先ほどから御説明申上げた通りですが、それは具体的な事例に従つていろいろなケースが出て参ります。それも判断によつて現在は実施しているわけであります。
  104. 吉田法晴

    吉田法晴君 それではただ抽象的な論議になつてお答えもしにくいかと思いますから、最近の二、三の事例を挙げて頂いて御説明を願えれば結構だと思います。如何でしよう。
  105. 武光正一

    参考人武光正一君) 今ちよつとまとまつていないのですが……。
  106. 田畑金光

    ○田畑金光君 赤羽工場の方にお尋ねしたいのですが、先ほどの御説明で、会社運営については軍との私契約によつてやつておられる、こういうような御説明があつたわけであります。併しその私契約内容の中に労働関係事項契約条項として協議し挙げられておる、こういう御説明があつたわけでありますが、それは間違いありませんですね。
  107. 武光正一

    参考人武光正一君) 協議し……何ですか。
  108. 田畑金光

    ○田畑金光君 契約条項の中に人事条項というか、労働関係問題等も入つているわけですね。
  109. 武光正一

    参考人武光正一君) 雇用関係ですか。
  110. 田畑金光

    ○田畑金光君 雇用関係というよりも、先ほどのあなたの御説明の中には、会社運営については私契約によつてやつておられるわけでしよう、軍との……。
  111. 武光正一

    参考人武光正一君) 基本的な問題は私契約でやつております。
  112. 田畑金光

    ○田畑金光君 その私契約の中には労働条項等も含んでおるのですか。
  113. 武光正一

    参考人武光正一君) 先ほど富士自動車から御説明があつた人事条項というものがございましたが、これは日米行政協定、特別な委員会で問題になつております条項なんでございますが、これだけが雇用関係についての私契約条項なんです。そのほかの条項は殆んど関係あるものはないと思います。
  114. 田畑金光

    ○田畑金光君 人事条項が入つているというわけですね。
  115. 武光正一

    参考人武光正一君) はあ。
  116. 田畑金光

    ○田畑金光君 その人事条項において労働、雇用契約関係にも関連する事項も必然にあると思いますが、その人事条項のそのような問題について御説明ちよつと承わつておきたいと思います。
  117. 武光正一

    参考人武光正一君) これは富士モーターさんの資料を拝借して何ですが、先ほどの御説明がありましたABCDという頁の終りから五行が人事条項の翻訳になつております。これが一つだけであります。
  118. 田畑金光

    ○田畑金光君 これと同じだと言うのですか。
  119. 武光正一

    参考人武光正一君) そうであります。
  120. 田畑金光

    ○田畑金光君 それから先ほど来いろいろ質問に対しまして三宅さん或いは武光さんも、原則的には工場内において労働法適用されるように尊重したいような御意向を承わつたわけでありますが、先ほど来のお話を承わつて感じられますことは、軍の管理権、こういうような制約からしまして相当に会社の当事者としてもいろいろな面で困難を、支障を感じておられるだろうと思います。ただ併し軍の管理工場内においても日本労働法適用されるということは、これは一般的に原則なつておりますが、このことは先ほども十分に承知のことのように承わつたわけであります。いろいろ私契約内容等において、人事条項等において軍と会社との話合い等も相当あると思いまするが、そういうような場合に会社側としましては、軍当局に対して今申上げました労働法というものは適用されるのだという原則に立つて、できるだけ管理権から来る制約を排除するような努力を従来払つておられたかどうか、この点について会社側態度を承わつておきたいのであります。
  121. 武光正一

    参考人武光正一君) その点について申上げます。この人事条項は六月末日を以て終りますと契約には謳つてございますが、過去一年間においてこの条項実施されたことはございません。これは我らのほうで極力そのように努力して参つた結果だと思つております。
  122. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の条項適用されたことはないというお話ですが、先ほど副組合長の発言によると、例えば食堂で集会をしておつた、そのことのために解雇された等のことがあつた、こういうお話でございます。適用があつたように聞いたのでありますが、これは水掛論をしても仕方がございませんから、先ほどの私契約或いは労働契約、或いはその違反事件等について資料を頂きたいと思うのですが、組合のほうからとそれから会社側のほうからと解雇事例、それからその理由、それからこの条項との関連ありやなしやという点を資料で頂きたいと思いますが、如何でしよう。
  123. 武光正一

    参考人武光正一君) 解雇という問題は起つておるのでありますが、これは本日の議題であります労働三法が一般的にどういうふうに行われておるかという一般的な問題として富士自動車さん、私のほうをお呼び下すつて御討議頂いたと思いますが、そういう今後の派生的な特別なケースまでこの席上で論じなければならないものか、この点一つ委員長のお話を伺いたいと思います。
  124. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつと速記をとめて……。
  125. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  126. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  127. 前田信義

    参考人前田信義君) ちよつと誤解ではないかと思います。そういうのは確かに過去におきましては、そういうような保安防衛上基地に立入りを禁ずということであつたとこの前申上げたわけでございます。で今度の場合におきましては、これは集会を持つたわけでございます。でこのことは基準法の三十四条にも謳つてございます。それから又現在ありますところの就業規則の十九条にも休憩時間中は自由だ、なお且つ現在執行しておりますところのこの労働協約、これは講和条約発効以前に結んであるのでありますが、これにおきましても、構内においての休憩時間中は自由である。という一項が謳つてございます。で先ほど次長のほうから、明確な指示米軍のほうからはないというふうに言われておりまするが、私たちに来ております資料といたしましては、軍としては集会或いは組合活動というものは一切認めないという方針である。万一この指令に違反した場合においては軍としては排除する方針であるということを正式に労務課長の通達を以て組合に来ております。そういたしますと当然軍がやらせないというふうに私たち考えるわけであります。でこのことにつきましては再三労務協議会の席上等におきましても、会社側は軍のほうに要請してこのことは必ず努力するというふうに常に言つておるわけでございます。で例えば只今申されました人事条項というふうに言われましたが、このことにつきましても、これは軍の秘密である。ということで私たち知らないわけであります。で過去一年においてこれが適用されたことがないと言われまするが、内容的にどういう形で謳つてあるかということは私存じませんわけでございます。で実際には集会は持てない。例えばここに具体的に現われております鈴木満壽稻というのが集会を持つたわけでございますが、これは就業規則には、会社の承認を得なければ集会は持つてはいけないというふうに事実書いてございます。でこのときには集会を断わられたわけでございます。ところがこの集会の許可は果して会社がするのかということになりますと、会社の承認と明確には誰つてございますが、例えばこの地区に起つた当時は軍のほうに許可を仰いでおります。そういたしますとこれは会社の処置だけではできないという面があるというふうに我我考えておるわけであります。このときも明らかに軍のほうに許可してもらえるかどうか、いいのかどうかというようなことを指示を仰いでおります。米軍のほうから明確なものがないというふうに言つておりますが、そのことはお手許に差上げた資料にも、基地内における集会についてというところに、明確に会社側から労務課長の名で通達が来ましたが、このところにも謳つてございます。事実はそういう状態でございます。  只今お話になつておりますこの解雇問題は、確かに会社例ではこの集会はやつてはいけないということは言われております。併し集会はやつてはいけないというので、集会という形をとらずに、何人かのブロツクという形で実際には持つたわけでございます。これが不法集会であるという形において解雇せられたわけであります。
  128. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その解雇せられたことは事実なんですね、一年以内に……。
  129. 前田信義

    参考人前田信義君) これは事実でもあります。それからなお一年以内ということになりますと、本日は六月の二十四日でございますが、この好ましくないという人物、要するに保安防衛上この者は基地に立入ることを禁ずるという形におきまして、この一年以内に解雇された者が何名かおることは事実であります。これも人名その他も発表して差支えないと思います。
  130. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうするとちよつと日鋼の経験者のほうへお尋ねいたしますが、解雇者が出ておることは事実らしいのですが、それは人事条項関係がなく、会社のほうの意思でやられたのか、その辺のところをもう少し明確に願えませんか。
  131. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) もう明らかにこれは会社の自主性でやつておることでありまして、軍の要請といいますか、何かあつた場合は無条件に行くわけですね。それは軍の要請でしようから、こつちにはちやんと理由があるのです。その理由によつてやつておるので、軍の要請とは無関係だと思つております。これが妥当性があるか否か、これは裁判所でやつて頂かないとしようがない、こう考えております。
  132. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それはいいのですが、そうしますと昼の休に数人寄つて組合の運動をやつたの解雇なつたというような事例ですね。そういうような事例の場合には、先ほどのお話だと、就業規則には休憩時間中はやつていいということになつている。そうするとその間の理由は、米軍のほうの意思でないのだということになりますと、会社就業規則を履行していないような恰好になりますが、そこはどういうことになりますか。
  133. 寺本廣作

    ○寺本広作君 どうもお話を伺つておると、法律解釈に多少の当事者間に意見の食い違いがあるのじやないかと思います。組合のほうでは、休憩時間は自由に使わせろという労働法の規定がある、従つて休憩時間には労働組合活動も自由である、こういうように解釈しておられるようです。経営者のほうでは、施設管理権として食堂その他の管理をしておる、従つてこの問題と、労働法休憩時間は自由に使わせるという問題は別個の問題と解釈しておられるのじやないかと思います。経営者のほうでは、労働法の範囲内で労務管理権に基いて労務管理をやつておる、その労務管理権の中で、就業規則その他に1違反した人間を解雇事由に該当するものとして処理した、こういうように解釈しておられるようですね。そうすると経営者のほうでは、労働法に触れない、労働法の範囲内で、管理権の範囲内で解雇したのだ、それを労働組合側では法律に触れる問題だ、こういうふうに解釈しておられるようです。法律解釈に関する意見の食い違いがあつて、行つたり来たりしておるのではないか、この点について法律解釈を明らかにするほうが早道ではないかと思います。
  134. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) 委員長にお答えしますが、さつきの慣行というのは組合活動であります。就業規則に書いてあるのは無届け集会、組合活動ばかりじやない、無届で集会をやつちやいかん、こういうことであります。
  135. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ああそうですが、わかりました。
  136. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 私の理解が若し間違つておりましたら訂正を頂きたいのですが、同じ問題でたまたま資料が富士自動車から出ておりますので、富士自動車のお方、工場長さんでも総務部長さんでも結構ですがお尋ねします。最初の頁の英文がございますが、これは富士自動車米軍との間のレイバー・クローズに該当するものとここにお抜き書きになつたのでございますか。
  137. 八並孝雄

    参考人八並孝雄君) この最初の英文は、これはこの七月から新しい契約に入るのにこういう条項を入れるぞということを向うから提示して来ておるわけであります。これが富士自動車だけではなくて、一般の特需業者に対する契約の基本契約というふうになつておるわけでありまして、それで日経連が取上げてこういうことで配付をしたと、こういうことでございます。
  138. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 そういたしますと、これを拝見いたしますと、この八条のBというのがございますが、それによりますと米軍責任者というのでございますが、これはその理由の如何にかかわらず、気に食わないと思う者は文書で通知することによつて直ちに首を切ることが先ずできるということがBに書いてございまして、今度はその同じ頁の第十条によりますと、雇用関係というものは米軍従業員という関係ではなくて、会社従業員、飽くまでそういう直接な関係なんであつて、米軍のほうへ尻を持つて行くことはできないということが先ずこの十条に書いてある。そこで八条のBと十条とを両方一緒に読みますと、会社としては自分のところの従業員であつて、而もそれについて米軍が首を切れと言つたらば直ちにこれを切らなければならん、そういうことになる、そこで労政局長にお尋ね申上げますのですが、こういうようなつまり会社としては労働三法なりその精神を守りたくても、こういうコントラクトを結べば事実上それが非常にむずかしくなるのではないかということを、私素人でございますので考え方が違つておるかも知れませんが、そういうふうに感ぜられますが、仮にこういう条項実施された場合、想像いたしますのに、現在すでにこれに近いことが慣行になつておる、先ほどからの参考人の皆さんの御説明でも暗に考えられるのです。こういうコントラクトを結ばれた場合になお労働三法が実際基地なり施設なりに相当程度、仮に完全に全部でありませんでも、大綱は適用されるというふうにお考えになりますか、如何でございますか。
  139. 中西實

    政府委員中西實君) 大綱としては適用されるとやはり言えるのじやないかと思つております。で向うの申出の理由、これにやはり全然理由がなくして申出ることはなかろうと思うので、その際に向う考える理由とそれから会社が本来そういう事案に対して考える理由、その感じ方が違うところに問題が出て来るのじやないかと思います。そこで会社側はその真中に立たれまして、事実問題として板挾みになられる場合が非常に多かろうと思います。大綱としましてはやはり一応三法の適用がその場合でもあり得るというふうに考えております。
  140. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 法律の考え方としましては労働三法を遵守するという責任者は労使双方、この場合で、具体的な場合で言えば会社側であるわけでありますが、この会社側の手が完全にこの協約によつて縛られる、つまりそれは外国人が只今お話のように合理的に行動をするかしないかということは純然たる事実問題であつて、あの者を首切れと言えば会社側はこの協約によつて首を切らなければならん、そういうのが今局長のおつしやる労働三法の遵守すべき当事者の片一方である場合に、只今のような御説明、事実問題としてはそうあることが非常に望ましいし望みますけれども、法律的になおそうだとお考えになりますか。
  141. 中西實

    政府委員中西實君) 向うから言われれば必ずもう従わなければならないという、文面上はそういうことにもなるかと思います。やはりそこに一応それだけの理由がなければならない、勿論その理由を向うが示しますか示しませんか、これは大体において聞いておりまする多くの場合には理由は余り言わないようでありまするけれども、何かの理由があつてやるのだろうと思いますので、そこで業者としまして、その間にやはり全く理由のない場合にはこれは拒絶もせざるを得ませんでしようし、いたしますれば、やはり会社として一応労務管理責任を持つております。その持つておる責任者である会社は、やはり日本の各種の労働法によつて考えて行かなければならん、従つてその部面におきまして若干の事実問題として制約を受けましようけれども、大綱としてはやはり労働三法従つて処理されておる、取扱われておるということは言えるのじやないかというふうに考えます。
  142. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 これは私は誰を困らせるというつもりで質問しておるのじやないのですが、ここのところが結局この委員会が取上げようとしておるところの根幹になりますので、恐らく参考人の労使双方ともが先ほどからおつしやることは、ここで一つ立法府としてどうかしてもらいたいということを暗におつしやつておる。或いは行政府でもそういう或いはお気持があるかも知れません。その点を一つどもの注意を集中すべきじやないかと思いましたのでお聞きしたのであります。
  143. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 実は私もこの貴重な資料を頂いて拝見して宮澤君と全く同意見の感じを只今つたわけであります。而も意見委員長が申上げるのはどうかと思いますけれども行政協定もやがては改善されるというような空気にあるときに、こういう労働問題がますます逆に強化されるというようなことは、これは私どもとしては忍びないことだと考えます。特にこの七月から実施されようという今宮澤君が指摘された人事条項を見ますというと、今までの人事条項は使用人においてのみやられておりましたが、今度の場合は使用人若くは役員ということになつております。こういう工合に更に範囲も拡張せられて一方的にやられるということになりますと、こういう特需工場の中の使用人、役員の地位が非常に不安定なものになりまして、私は何のために労働法があるのか訳がわからなくなる。中西労政局長は盛んに先ほどから労働三法はこれは原則的に適用されるのだということをおつしやるけれども適用されていない。厳格な意味においてされていないところで、更に労働三法の保障のないところでこういう条項が出て来るということになれば、もう身分的に極めて不安定なものにならざるを得ない。従つてこの問題については、この労働三法適用調査の私は基本に触れる問題であるということは宮澤君と全く同意見でありますので、皆様方に更に御研究を願つて、どうぞこれを私は態度をきめて頂きたいと、こう考えるのであります。
  144. 吉田法晴

    吉田法晴君 宮澤委員のおつしやる通りだと思うのですし、そういう一般的な問題はあとでこれは労働省なり或いは外務省と質疑応答の形で論議いたしたいと実は考えておるのであります。  それに入ります前にもう一、二点伺いたいのですが、参考人に……。先ほど解雇の事例について労務条項適用されたことはないと、こういうまあ次長さんのお話でございましたが、そのあとで組合のほうでは、いや鈴木滿壽穂君の解雇等はその事例だと、こういう御発言がございました。なお頂きました書面によりますと、解雇通知事由の中に、米軍側の通知があつた云々ということが会社側からも述べられておるようでございます。そうしますと先ほどの御発言とこれは違うように思うのでありますが、重ねてお尋ねして置きます。
  145. 三宅敏道

    参考人三宅敏道君) その問題は、そういうことは書かれてありませんです。注意したにもかかわらず、無届集会をしたので解雇する、こういう事由で、何も書かれていないのでございます。それが本当の理由です。
  146. 吉田法晴

    吉田法晴君 速記をとめて御質問を願つたほうがよいかと存じますが。
  147. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  148. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  149. 武光正一

    参考人武光正一君) これは軍の持つております管理権と、私の実際の経験と申しますか、そういうものとの摩擦面を、結局具体的にもう少しはつきりどの点でどういうふうに苦労をしておるという点をもう少しはつきりしてくれ、こういうような御質問でありますが、例えば人事条項につきましても、現在までは先ほど私が申しました通りなんでありますが、今後についてそれじや今はつきりしたことを申上げて問題が起らないかというと、必ずしもそうも参りません。集会その他の自由ということについても、これは相当緩和されるように持つて参りたいというふうな考えなり、或いはその逆の事態が発生して来るかもわからない。ちよつとここで明確にその点を申上げるということはむずかしいということで一つその点は御了承願いたい、こう考えます。
  150. 吉田法晴

    吉田法晴君 それではもう一つ、朝来お願いをしましたけれども御答弁がございませんでしたが、発砲事件について、これは労働省或いは警察側、それから労働組合側から私ども陳述を願つて来ているわけです。工場側からも一応事情或いはこれについての感想等をお述べを頂きたいと思います。特に工場の中、それから門の直ぐ前、こういうことになりますので、これは問題は米軍或いは軍属と殆んど労働者ということになるかも知れんと思いますけれども、やはり労働関係というものに関係あるのでございます。その点を成るべく詳細に労働関係と関連しながら一つ説明を頂きたいと思います。
  151. 武光正一

    参考人武光正一君) 発砲事件はすでに新聞等で出まして、私どもとしても誠に困つた事件が起つたものであると考えております。調査もいたしましたのでありますが、元来この事件の起りました門は、最初に私が概況説明で申しました赤羽タイヤ工場日本タイヤのほうでやつていらつしやる工場の正門に該当する門なんでありまして、私のほうの従業員は平素はあすこを通過しておりません。そういう性質の門前で、而も同盟罷業中に起りまして、当時会社側のその事件の目撃者という者をいろいろ探しましたが全くおりませんで、いろいろ情報はあるのでございますけれども、的確なところがつかめません。会社側としては、この事件は真相はこうであるということは申上げられない実情にございます。
  152. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは全然別の問題ですが、工場の所有権がどちらにあるかということ、これはまあ工場側だけでないかも知れませんが、一応工場側から一つ伺つて置きたいと思います。
  153. 武光正一

    参考人武光正一君) 工場設備、機械、器具その他作業に必要なもの一切米軍が供与する、こういう契約内容であります。又警備に関しましては、セキユリテイに関する問題一切は米軍が持つ、こういうことに契約してございます。
  154. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは労働省か或いは外務省どちらでもかまいませんが、今供与するという言葉がございますけれども、私は所有権のことを尋ねておるのでありますが、所有権はどこにあるのか、それを一つ御返答頂きたいと思います。
  155. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 日本側から提供された施設区域の所有権は当然に日本側にあります。
  156. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると日本側というと日本の国ということですか、
  157. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 国の場合もあるし、民有の場合には民有の場合であり続けることもあると思います。
  158. 吉田法晴

    吉田法晴君 一般原則を聞いているのじやなくて、赤羽工場の場合について聞いているのです。富士のほうもおいでになつておりますから併せてちよつとお尋ねしたい。
  159. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 私絶対確実とは申上げかねますが、両方とも確かに国有であると存じております。はつきりした点はもう一度確認の上で御返答申上げたいと思いますが、大体においてそうであると思います。
  160. 吉田法晴

    吉田法晴君 恐れ入りますが、御存じでしたら次長、それから工場長からでも御説明頂きたい。
  161. 大野竹二

    参考人大野竹二君) 追浜のほうは先ほども説明申上げました通り、旧横須賀海軍航空隊の殆んど全部と、それから旧海軍航空第一技術廠の一部でございますので、国の財産考えております。
  162. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 日鋼のほうは……。
  163. 武光正一

    参考人武光正一君) これは私ちよつとはつきりしませんが、元の陸軍の被服廠、補給廠、それから王子の第一造幣廠の一部、これを使つておりまして、建物は又向うが新たに建てたものもございます。それから機械は相当部分は向うから持つて参つたものでございます。従つて所有権がどうなつておりますか、いろいろはつきりしたことはちよつと申上げかねます。
  164. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほどの宮澤委員発言に対しまして、私も全く賛成するものであります。非常に重要な問題であると思いますので、一つはつきりと記録しておいてもらいたい。こういうふうに考えるわけであります。  この頂きました資料の中に、六月三十日附の明細書の第八項には「契約担当官が契約業者に対し下記の如き者の雇傭を中止し若しくは拒否することを書面を以て通告した後はこの契約に基く事業若しくは作業の遂行の為に契約者に依つて任用せられた雇傭人、使用人、又は職員(労務者、事務員、役付労務者、監督者、支配人を含む)の何人をも当該契約業者に属する事業場の如何なる場所においても雇傭してはならないし、又既に雇傭した者と雖も解雇しなければならない」。こういうのが入つておりますが、今度新しくなるものにつきましてはこれが、A、Bに分れておるようであります。いわゆる請負業者従業員という第八条には、Aの(1)は、「スパイ行為、怠業もしくは破壊活動が現に行われているか又はそのおそれがある場合には、すみやかに右に関して入手している情報一切を完全な秘密報告書にしたためて契約担当官に提出すること。(2)文書による要求があつた場合、本契約による業務実施中の工場、製作所もしくは作業場に勤務する何れかの請負業者従業について入手している一切の情報を契約担当官に提出すること。及び(3)保安維持上契約担当官又は同官の正式代理者が、書類を持つて指名するものを、本契約による業務実施中の工場、製作所、作業場或いはこれらの一部から追放し、または右のものの追放にあたつて政府を援助すること。B請負業者が本契約による業務の遂行又は役務の提供の目的で配員する従業員、使用人もしくは役員(作業員、事務員、フオアマン、監督者、部署長を含む)について、契約担当官がその採用を拒否するよう又は解雇するよう書類をもつて請負業者に通告した後は、請負業者はその組織内の如何なる部分にも、これらのものを採用したり、或いは(既に採用済の場合)雇つておいたりすることは出来ない。」この問題については当然今後の大きな審議の議題となると思いますので、はつきりしておいてもらいたい、こういうことであります。
  165. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この問題について私から関協力局次長ちよつと。いずれ先ほど各議員からの熱心な御要求がありましたから、改めて調査をすることにはなろうかと存じますが、伺つておきたいと思います。今阿具根君が言われましたのは、現在の特需工場との人事条項については、最初に読上げられたような状態なつているのに、来る七月からの新らしい私契約の更改に当つては後段に読上げられたような内容にするべきであるという要請米軍側から日本経営者連盟を通じて業者に来ているということなんであります。今読上げられた後段の次には第九条、第十条が残つております。これも読上げておられませんけれども入つているわけであります。そこで私は関次長にお尋ねいたしたいことは、大体行政協定の改訂というものは、改訂される場合には占領が解除された当時に締結されたものより日本側にとつて漸次有利なように改善される建前を私はとるべきものだと考えるのであります。そういう工合にお考えなつておるかどうかをお伺いしたい。
  166. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 当然そうであるべきであろうと私も考えております。
  167. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこで今日の状態においてこういう特需工場内における労働関係のいろいろな諸問題が、行政協定の不分明の点がありまして、完全に特需工場でない工場のごとくに施行されていないということをお認めになるかどうか。その点お伺いしたい。
  168. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 施設区域の中にある工場ということでございますか、それとも……。特需工場と申しましてもいろいろな工場があるので、その点を一つはつきりとして……。
  169. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) もう一遍申上げます。日本製鋼赤羽とか或いは富士自動車のごとく軍の施設なつている工場の中において労働法適用がその他の国内工場よりは非常に厳しく実行されておる、こういう工合にお認めになるかどうか。
  170. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 私も全部をよく調査したわけでないのでありまして、はつきりしたことは申上げかねますけれども、或る工場においては何と申しますか、軍の保安上の要求から労働法の施行に関して或る種の制限があるということは聞いております。
  171. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) もつと突込んで申しますれば、労働法の労働基本人権の一番大切な採用、解雇の問題等について、要するに先ほど読上げられた前段の人事条項というものを請負業者が受けなければ契約はしなし、こういう強い態度が出ているということが今日言われたわけでありますが、そういうことが事実であるとすれば、これは労働法の完全な適用が一番重要なところで抜けているということになるわけであります。そういうことをお認めになるかどうか。
  172. 寺本廣作

    ○寺本広作君 関さんにお伺いしたいと思います。行政協定に基く施設区域管理権があれば、これを発動すれば、今の読上げられた契約の中に書いてある人事条項のようなものが契約として成立つていなくても解雇を要求することがアメリカ側としてはできるのかどうか、その点です。御質問としてはそういうことになつて来るだろうと思います。今申上げたことを伺いましたのは、そういう人事条項が締結されても、労働法に触れる場合には、やはり向う管理権が発動して来なければ日本労働法が優先するものだと思うのです。恐らくそういう人事条項管理権を円滑ならしめるために向うは要求して来るのだろうと思います。だから法律上は割切つて、今まではそういう人事条項がなくても、その管理権に基いて日本労働法に優先して人事条項が狙つておるようなことをアメリカ側としてやれるのかどうかということについての御見解を伺つておるわけであります。割切つておかないと問題の要点がわからない。
  173. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) この法的解釈におきましては、第三条第一項により、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、使用、運営、防衛又は」云々という権限を有しておるわけであります。この権限の正当な行使と衝突しない限度において労働法適用されているわけであります。この解雇というところまで行き得るか否かという点につきましては、出入を差止める権利があるということは、これは私ははつきりしていると思います。併しながらそれから進んで軍が直接解雇というところまで行くことができるかどうか、その点に関しましては私ははつきりしたことはこの席上申上げかねますから、ちよつと勉強さして頂きたいということをはつきり正直に申上げます。
  174. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 先ほどの質問をもう少し続けるわけでありますが、とにもかくにも労働三法の運用というものが、国内法として国内の諸工場適用されるよりは、程度はありますけれども、とにかく相当な枠がかかつておるということだけはお認めになつたわけであります。それでいいですね。
  175. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) よろしうございます。
  176. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういうことになると、現在でも労働法の完全な実施の上に労働者の諸権利が保護せられていない、裏から言えばそういうことになるわけであります。そういう不安定なところへ更に人事条項を強化するということは、誠に私はこういう施設工場に働く労働者の労働条件或いは身分等について非常に不安定な要素を増進するものである、そういう工合考えるのでありますが、これについてさようにお考えになるかどうか。
  177. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) この米軍は何と申しますか、普通一般の日本の私的企業において要求せられていないような要求が出て来る、これは考え得るわけでありますが、それが果して日本労働法規の違反にまでなるかどうか、違反になる点があるかどうかという点についてはまだはつきり承知いたしておりません。違反にならない限度で、日本の何と申しますか、一般の私企業より厳格なそういう例はあると思いますが、労働法規にはつきり違反した人事条項につきましても、仮に只今新らしく締結しようとして向うから申出しておるところの契約でございます。この契約内容は、私実はまだよく読んでおりませんけれども、これが果して明瞭に日本の現行の労働法規に違反するかどうかという点については私まだはつきりしたことを申上げかねるわけであります。
  178. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) いやいや、その労働法に違反するしないということは私申上げているわけではない。少くとも今日労働協約なり就業規則等を通じまして、こういう施設工場でも労使の間においてははつきりした一つの約束を以て労働条件の設定がなされておる。そういうときにこういう私契約による人事条項があるということは、これはやはり労働者の身分が労働三法を以て確実に保障せられていない限りにおいては不安定であるということは言えると思います。完全に実施されている場合よりは、比較論ですけれども、不安定である。例えば先ほど、そこに出ておりますが、この人事条項があれば、資本家のほうは馘首したくないと思つておつても馘首しなければならん、こういう事態が不安定な場合についてはあるわけでありますから、そういうときに今行われておる人事条項よりも更に高度の人事条項を私契約の上に入れるということは一層不安定にするのではないか、こういう工合に私は考えておるわけであります。あなたはそういう工合にお考えにならないかということを聞いておる、それのお考えを伺つておるわけであります。
  179. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 申上げます。この新らしいものを私どもは読んでおりませんのでお答えしにくいのでございますが、若しそれがより苛酷と申しますか、その場合にはそれだけ不安になることは、これはまあ当然そういうふうになるだろうと思うのでありますが、果してそうかどうかという点については私自身ももう少し読まして頂いた上で申上げたいと思います。
  180. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますとそれは御勉強願つてからで結構ですが、私どもはつきりそうだと思います。今業者の方も大体においてそう言つておられる。もう少し早く勉強しておかなければいかんわけだが、(笑声)そういうことになつておる。そこで問題は元へ戻りますが、行政協定改善する場合には日本側に有利になるように将来改正をしたい、そういうような情勢にあるときにこういう工合一つ一つの……、実際私契約であろうと何でありましようとも、将来行政協定改善に大いに役立つであろう一つ一つの事例が強化されているということは私は好ましくないと思うのですが、この点は如何ですか。これが苛酷なものであるという前提でよろしうございますから……。
  181. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) これは米軍としては若しこれが苛酷であつたとしましても、その場合においては米軍としてはそれ相当の理由があることだろうと思いますが、米軍米軍として、日本側は日本側として飽くまでもやはり労働者の地位が安定することが望ましい、こういうふうに考えます。
  182. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういたしますとこれはもう目睫に迫つているわけですね。七月一日からこれで行けというわけですね。この人事条項を呑まなければ新らしい私契約を結べない、こういう工合向うから言つて来られた場合に外務省はどういう態度をとられますか。
  183. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) これは根本的には米軍と私企業との間の契約の問題であると思います。併しながら米軍の新らしく要求して来ておるようなことがこれが労働法規の違反であれば、これは無論当然のことでありまするが、そうでないとしましても、日本にとつて好ましくないことであれば成るべくそういうことはやめてくれということを言うには外務省は決して躊躇するわけではないと確信いたします。
  184. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと私先ほど阿具根君、宮澤君の二人から御発言なつたことをときたま端折つて関協力局次長にお尋ねをしたわけでありますが、この委員会でも更にこの問題を恐らく深く追求するだろうと思いますから、更に御勉強願つて、今のような心強い態度で(笑声)一つ外務省は進んでもらいたいと思いますが、いずれ大臣にも又出席を願つてこれはお尋ねしなきやならんと思いますけれども、さように一つ御了解願いたいと思います。
  185. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点は、これはこれからの中心的な問題だと思うのですが、従来その点について問題になつたのは、三菱重工の下丸子工場での事件についての裁判、それからこれに関連する判決等もございまして、問題はこれとも関係すると思うのでありますが、そこで判決の中にも私契約と国内法とのどちらが優先するかという、議論が入つておるわけであります。その点については占領中そして占領軍による命令というものが或いは超憲法的に或いは国内法に優先する時代と、講和後の現在とは基本的に異なるものがあると思います。先ほど参考人意見を聞いておつても昔の考え方がそのまま引続がれておる点等を発見されるのであります。これは新らしくはつきりしなきやならん問題だと思うのであります。今従来の私契約条項の発動が国内法と関連してどちらが優先するかという問題もございますし、それから七月以降契約を求められておるという先ほど阿具根君の読上げた労務条項の新らしい内容、大変緊迫をいたしておりますが、その内容と国内法、これがどういう関係を持つか。なお、ついでに今問題になりましたから触れますが、例えば第八条のAの(1)のスパイ行為等についてはこれは別の法規もありますが、怠業の虞れがある場合にこれに関して情報一切を完全な秘密報告書にしたためて差出さなきやならん、こういう条項がありまして、これは日本の国内法と明らかに抵触をいたします。それから労働法との関係というものが具体的に問題になつて来ると思うのです。この私契約条項の効力と国内法との関係等は当面問題になつて来る問題だし、恐らく労働省は研究をなされておるだろうと思うし、又関次長は今初めて勉強するというお話ですが、それは委員長御指摘の通り怠慢だと思うのです。これらの問題については御勉強も願い、それから法制局長官等もお呼び願つて、成るべく近い機会にこの審議を願うことをお願いしたいと思います。
  186. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  187. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。もうそのほか御質問ございませんか。質問だけ一つ承わつておいて、それから最後に委員会態度をきめたいと思いますから……。
  188. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど工場側にはお尋ねをいたしましたけれども、そういうものはないというお話でしたが、組合のほうではあるということで、出されました資料の一点だけは御指摘になつたのですが、工場の中の労働関係について請負契約の労務条項の発動乃至管理権の発動としてなされたであろうと考えられます事例については、赤羽工場それから富士工場の方からなお具体例をお出しを願いたいと思います。それからもう一つ、これは工場工場長さんにお尋ねをしたいのでありますが、請負が製品或いは修理でもいいのでありますが、単価請負であるのか、或いは時間云々という点もありましたが、労務供給請負であるのか、その点がはつきりしないのでありますが、製品請負でありますのか、労務供給の請負でありますのか、その点をもう一度はつきり伺つておきたい。
  189. 武光正一

    参考人武光正一君) 契約内容について冒頭に申上げましたように……、ちよつと御質問の趣旨が単価なのか、タイム・アンド・マテイリヤルなのか、こういう御質問ですか、役務提供契約というのは間違いないですけれども、役務の内容を申上げればいいのですか、その点ちよつと伺いたい。
  190. 吉田法晴

    吉田法晴君 初めは製品について請負つておつた。ところが修理でそれぞれあれが違うので、製品単価で請負つていないで、時間について請負うという、こういうお話ですけれども、そうすると時間で請負つたということになると労務の供給請負というような感じもするのでありますが、製品について、一つ一つ修理品云々ということについて、これは全然関係はなしに請負つておるのか、幾らかかるかわからんけれども、時間についてこれは何時間で請負う、こういう形で請負つておられるのか、それとも製品についてこれは何時間のものだということで請負つておるのか、時間で計つて請負つておるのか、修理品について一つ一つ修理ということで請負つておられるのか。
  191. 武光正一

    参考人武光正一君) どうもまだはつきりしないのですが、単価で請負つてはいないのです。単価というのは、最初冒頭に申上げましたように、一つの車輛を直すのが幾らということなんですが、それから又この車輛は今お話のように何時間かかるという時間をきめてやつているわけでもない。総体の作業時間、一時間当り幾ら、こういうことであります、なお作業のほうを申上げますと、ただ役務といいますよりも、やはり修理をしたり……、これは向うでいろいろな言葉で表現しているのですが、日本ではまあ修理というと、ぴんからきりまで修理なんですが、極く簡単な修理から完全にばらばらにして再組立する、リビルドと言つておりますが、一番簡単なのはプロセス、そのプロセスからリビルドまで各種類の修理を、これは向うは今御質問のような一台幾らとか、一台何時間ということは非常に希望したのでありますが、実際種類が非常に多いのでそれができなく、止むを得ず一時間幾らというような制度にし、それをタイム・アンド・マテイリヤルという契約、そういう方式の契約なつております。これは向うの調弁方式の一つであります。
  192. 吉田法晴

    吉田法晴君 まだ少しはつきりしないのですが、そうすると時間だけで、何を修理しても時間で請負つて行くというのでもなさそうな気がするのですが、一つ一つ修理品について幾ら、こういう工合に請負つておられるのですか。それについて大体何時間、労働時間で何時間、こういう計算で製品、修理品ごとに請負つておられるのか、それともそういうものとは一切関係なしに何時間ということで請負つておられるのか。
  193. 武光正一

    参考人武光正一君) 逆に申したらおわかりになりやすいと思いますが、相当大きい契約なつております。米軍から常駐監査官が来ております。かかりました費用一切を毎日々々伝票に、かかつた時間、そういうものをチエツクいたしておりまして、それの総体を総時間で割つた、逆に言えばそういうことになつて、一時間幾らということがきまつている。
  194. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、今の常駐監査官がおつて云々ということになりますと、労務の中身について一時間幾らの労働について絶えず監査をしている。こういう恰好で、総体について何労働時間、こういうことで請負つておられるのですか。
  195. 武光正一

    参考人武光正一君) そうです。
  196. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると個々の修理品について幾らという請負の仕方ではないわけですね。
  197. 武光正一

    参考人武光正一君) 結論的に一つ、どういう点がおわかりにならんのか、どうも私ども御質問の趣旨を解しかねているわけですが。
  198. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじや結論的に言いますが、時間だけで請負つておられるか、こういうことです。
  199. 武光正一

    参考人武光正一君) そうであります。
  200. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじや恐れ入りますが、富士自動車のほうの請負の契約お願いいたします。
  201. 大野竹二

    参考人大野竹二君) 富士自動車のほうはタイム・アンド・マテイリヤルとエンド・アイテムがございまして、私どもはエンド・アイテムでございまして、これはいずれも役務の提供であります。サービスの提供であります。必要なる材料は全部向うから供給されました物をこちらから労務の提供をしまして車輛の再生をいたしておるわけであります。それで契約単価の問題は、要するに直接工を一時間何セントということを前年の実績によつてきめまして、そうしてそれは勿論間接工を含むわけでありますが、それに車の種類或いは部品のアイテムによりまして、その修理にどのくらいの時間がかかるか、マナーがかかるかということを過去の実績によつて推計いたしまして、一時間直接工を幾ら幾ら、何セントというものがそのアイテムの単価になるわけであります。そういうような計算をいたしております。
  202. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつと労働省に聞きますが、そうすると大体労務協約といいますか、労働関係だけで本質は請負つておる、こういうことに了解していいのですか。
  203. 中西實

    政府委員中西實君) 私も内容はよく知らんのですが。
  204. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 質問はもうございませんか。
  205. 武光正一

    参考人武光正一君) ちよつと……。今の労務だけではありませんで、部品を作ること、買うこと、そういうことも一応契約の中には入つております。
  206. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 質問もないようでございますから、一応参考人はお引取りを願いたいと思います。今日の会議参考人においでを願いまして、日鋼並びに富士自動車の労組側に対して私から資料の提出を求めました。更に会社側に対しましても、元の労働協約その他二、三の資料の要求が各委員からなされておりますから、その資料を誠に御多用中でありましようが、取急いで御提出を当委員会お願いを申上げます。本日は……。
  207. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほどその点はつきりしておるかと思いますが、富士のほうについておらなければ、富士のほうも折角参考人として来ておられるのですから、労働協約その他について頂きたい。
  208. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 富士自動車のほうも労働協約の要求がございましたからお願いいたします。
  209. 大野竹二

    参考人大野竹二君) まだ労働協約は締給いたしておりません。
  210. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 本日は非常に御多用中のところ、突然昨日おいでを願うように御連絡をとりましたところ、お差繰りを願いましておいで願い、且つ長時間に亘つて熱心に調査に御協力を頂きましたことを委員会を代表いたしまして厚く御礼を申上げます。いずれも非常に重要な問題でございますので、当委員会では更にいろいろと調査を続行することと思いますが、今後とも御協力お願い申上げる次第でございます。どうも有難うございました。
  211. 吉田法晴

    吉田法晴君 参考人が退席になりました後基本的な労務条項或いは労働条項の改訂案その他についての質疑等は次回に譲られたいと思うのですが、赤羽それから富士自動車工場の事例について伺いましたが、問題になりましたのは、従来の軍管工場、それから今の特需工場労働関係について問題にいたしましたので、恐らく労働省としてもその他の事例について関心を持ち、御調査なつておると思うのですが、それをできるだけ早めに労働省から一つ御提出をお願いしたいと思います。  それからもう一つ、問題は直接関係はございませんけれども、基本になります日米労務基本契約とその改訂について、それからこれとの関連がございますので労務基本契約とそれからそれについての改訂意見等を、これも至急御提出をお願いいたしたいと思います。
  212. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 労働省への資料、初めおつしやつたのはどういう内容でございますか。
  213. 吉田法晴

    吉田法晴君 昔の軍管理工場、今の軍需工場について問題になつておりますような労働関係の事例等、ほかにすでに御調査なつておると思いますので、至急提出して頂きたい。
  214. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからできれば今の富士自動車或いは日鋼のようなああいう性質の工場ですね、これの全国の一覧表、需要品がどういうふうになつておるのか、或いはそれぞれの会社の労働協約があるのかどうか、そういつたような一覧表を一つ提出して頂けませんか。
  215. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 大概わかると思いますが。
  216. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほど人事条項について私が読上げた問題について論議されたので、又これは尻切れとんぼになつて行くようですけれども、これは出されたものは軍からの指令にしろ、これを経営者の出されておるのは日本経営者団体連盟、日経連であります。その日経連とか業者或いは労働省、要すれば外務省、法務省もあると思うのですが、やはりその人たちに集つてもらつてこの点十分審議してもらうようにしてもらいたい。そうしなければただ労働省その他に資料を出してくれと、出しつ放しになつてもしようがないと思うのです。それでそのために長々と読上げたので、特に責任を持つておる日経連がこれに同意するというところまで言つておる以上、日経連の意見も十分聞かなければならんと思う。だからそういう関係者も集つて、そしてこれを審議するようにして頂きたい、かように思います。
  217. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今あなたの御発言は、これは当委員会参考人として来て頂いて意見を聞こうということですか。
  218. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうです。そうしなければこれはただ第三者の憶測ばかりをここで繰返すようになりはしませんか。これは委員長のほうでどちらがいいか、これが審議に一番都合のいいようにやつて頂けばいいのですがね。日経連は同意しておるのですから。
  219. 吉田法晴

    吉田法晴君 私それについて労働省に伺いたいのですが、外務省国際協力局はこういうものは初めて見たと、こういう甚だ不勉強な言葉を聞いたんですが、この特需工場等における労働関係については、問題は外務省責任を持つておるけれども余り関心がないと、労働省はどういう工合に御存じか知りませんけれども労働省はどれだけ関知して、そしてどういう態度をとつて来られたのか、ちよつと伺いたいと思います。
  220. 中西實

    政府委員中西實君) これは私契約の問題でありますので、そこで政府機関に直接は参つておりませんが、間接には勿論承知いたしておりまして、そして曾つてから労使共にその条項については賛成じやない意向を持つておられる、労は勿論、使も賛成じやないという意向を持つております。そこでこれをどうするかということについて外務省も参画して頂きまして交渉しておるのでありますが、先ほど言われました労務基本契約、あれとの関連で、これを同時に処理をしたいということで、今基本契約のほうがまだ決定に至つておりませんので、従つてこの問題についても最後的な決定がない、こういうような状況なつております。なおついでに委員長に申上げておきたいのですが、只今の基本契約の問題、外務省労働省は勿論関係ありますけれども、当の責任者は調達庁になつております。そのほうの関係もお呼び頂きたいと思います。
  221. 吉田法晴

    吉田法晴君 特調をも呼んで労務基本契約、それから労務条項について審議をすることについては異議ございません。むしろ私のほうからお願いします。ただ私契約でございますから云々というお言葉でございますが、その私契約労働法とがどうなるかということは、これは従前に三菱重工業の下丸子工場のときから問題になつておる、判例に出ておる法理を認められるのか。それからそうでなくて、もつと改善をしなければならん点があるのか、こういうことは従来考えて来られたと思うのです。単に私契約だからということではなかろうと思うのです。又私はそうあつてはならないと思います。問題はこの労務条項について七月一日以降という緊迫した情勢でもございます。労務基本契約と関連して恐らく労働省、或いは外務省、特調等、御努力をなされておると思うのでありますけれども委員会としても折角始めました調査でございますので、至急にその点を一つお進め頂きたい。  それからもう一つ、実際の労働事情について二つの工場について伺いましたが、問題のあつた赤羽工場についてはまだ明らかになつておらんところもございます。そこでもう少しできるならば赤羽工場なりその他について実情調査することができればなおもう少し明らかになるのじやないかと、こう考えられますので、その点は実情調査の方法についてはお諮りを願いたいと思います。
  222. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御質問或いは御意見等大体出尽しましたから、今日の委員会の結末を一応つけておきたいと思います。  先ず、先ほど吉田委員並びに私から労働省に資料の提出を要求いたしましたが、そのうちで施設工場の一覧表等は外務省等の御関係もあるようでございますから、これは一つ労働省外務省とお打合せになつて御提出を願いたいと、こう考えます。  それから本日の調査で一番問題になりましたのは、施設内における組合活動及び私契約人事条項と国内法或いは行政協定との関係調査ということが一つつたと思います。このことは今日の調査だけではまで十分わかつていないと私は考えるのでございまして、いずれ更に想を練りまして明らかになるようにいたしたいと考えるものであります。又第二は、現在の施設工場の中における労組法の運用について、更に改善をしなければなりませんが、この点についてはやはり行政協定との関係もありますので、併せて調査を続行するようにいたしたいと考えます。只今以上のようなことで本日の委員会の大体結果は出ておるのでありますが、動議が二つ出されておりますから、これについて当委員会で取上げ、これを実施するかしないかを御決定を願つておきたいと思います。  第一の問題は、吉田君から赤羽工場或いは富士自動車工場等の労使関係状況を実地調査をしたい、こういう御意見が出ておりますが、これについて一つ御決定を頂きたい。
  223. 寺本廣作

    ○寺本広作君 委員の定足数を言うわけではありませんが、出席者も非常に少いようですから、どうですか、動議の決定はお延ばしになつたら、私は先ほどからの話を聞いておつて、問題の焦点は或る程度私には呑み込めたように思います。と申しますのは、関さんが留保されましたけれども行政協定第三条に基く施設管理権で、日本労働法を排除して労使関係の実体に入り得るのかどうかということは留保されております。はつきりした点は、施設管理権では出入りを差しとめ得るというところまでだろうと言つております。若しそれで解雇を指令し得るような権限がないとすれば、これは明らかに日本労働法が完全に履行される、施行されるということだろうと思います。それでその場合に今の労務条項の入つた契約労働法関係はどうなるかということになれば、恐らくそういう労務条項の入つた契約を結んだ経営者が、アメリカ軍との関係で非常に窮地に立つということだけであつて、日本労働法がそのために制約を受けるはずはないだろう、こう思います。従つてそういう窮地に立つ経営者の立場をどう救済するか、恐らくそれが間接には労働者にも響くことでありますので、アメリカ軍との間に人事条項を結んだ経営者が非常に窮地に立つ、それを救済するためには合同委員会の補佐機関としての、人事条項に関する紛争をどう処理するかという、具体的にそういう処理機関を設けるというようなことで片付けるべき問題ではない。労働三法関係ではその行政協定の三条が、日本労働法に優先するというようなことさえなければ問題はないのじやないかと思います。従つて先ず外務省で留保されました点をはつきりして頂くということが先決問題ではないかと思います。それが決定すれば問題の大部分は片付くのじやないかと思いますので、今出席者も少のうございますので、その決定はお延ばしになつたら如何ですか。
  224. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その問題ともう一つは、新らしい人事条項と申しますか、労務条項が七月一日から強制されて来る。而もこれを呑まなければ、恐らく私契約は成り立たない、今までの慣行から言いましても成り立たないのじやないかと思います。これが非常に望ましくないというので、今日は富士自動車も、日鋼のほうからも、何とかしてもらいたいという発言があつたわけであります。そこで動議が二つ出ておつて、1つは、今の実地見学の問題、もう一つは、七月一日から実施される人事条項について各界の意見をここで聞いて、でき得るなれば参議院労働委員会として、そういう好ましくない人事条項が強制されることのないように努力をしたい、こういう意味だろうと思いますが、それが出ておりますので、この二つの動議がありますから、それをどうするかということです。
  225. 吉田法晴

    吉田法晴君 人数が少くなりましたが、この委員会を開く、次の委員会を開くことについては御賛成頂けませんか。それは、例えばもう一遍理事会を開いて、委員会を開いて、又委員会できめて、そうしてその次ということになりますので、その点は一つ緊急性もあるし、御賛成頂きたいと思います。それから実地調査の問題については、大体富士自動車のほうは、私どもはここで了解がついたと思います。赤羽工場の点については、私たちなお個人としてももう少し聞きたいという点かあるわけであります。ただ委員個人で行つて聞くというわけにも参りませんから、できれば委員会で一応その点について調査するというように願いたいということを要望したわけであります。
  226. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕、
  227. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。本日の委員会調査の結果に基きまして更に施設工場内における労働問題の調査、特に私契約における人事条項の強化に対する調査等を続行いたしまするために、次のようなことを御懇談を願いました結果に基いて決定をいたしたいと存じます。  第一は近日中に現地視察を行いまするために、富士自動車工場へ赴きたいと存じます。  それから第二は、日経連を経由して示されておりまする七月一日より実施予定の私契約における人事条項の件につきまして、日経連、業者の代表、労組の代表等を当委員会参考人として招致をいたしまして御意見を伺うことにいたしたいと存じます。  以上二件につきまして、実施の細目については委員長に御一任を願いま す。以上を決定いたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ではさよう決定をいたします。  今日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会