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1953-06-23 第16回国会 参議院 労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十三日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            宮澤 喜一君            吉野 信次君            阿具根 登君            吉田 法晴君            上條 愛一君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   政府委員    外務省国際協力    局長      伊関佑二郎君    労働省労政局長 中西  実君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    外務省国際協力    局次長     関 守三郎君    労働省労政局労    働組合課長   山崎 五郎君   参考人    警 視 総 監 田中 榮一君    警視庁公安第二    課長      並木 伊平君    日本製鋼株式会    社赤羽工場労働    組合執行委員    長       前田 信義君   —————————————   本日の会議に付した事件郵政職員給与体系是正に関する調  停案の件 ○連合委員会開会の件 ○今国会提出予定法律案に関する件 ○参考人の出頭に関する件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (日本製鋼株式会社赤羽工場におけ  る労働争議に関する件)  (米軍施設内における労働三法の適  用状況に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会開会いたします。  過ぐる十八日に労働委員会開会いたしたわけでございますが、その翌日、即ち六月十九日に委員長及び理事打合会を開きまして、当委員会の運営について相談を申上げ、満場一致決定をいたしておりますので、御報告を申上げます。  当日の委員長及び理事打合会におきまして先ず第一に問題になりましたのは、郵政職員給与体系是正に関する調停案取扱いについてでございます。この問題につきましては、直接関係者であられまする塚田郵政大臣並びに郵政従業員組合代表者及び労働省の御出席を得まして種々実情を伺い、又その所信表明願つたのでありますが、いずれも公共企業体等中央調停委員会決定をいたしました調停案通りに可及的に実施することが好ましいという意見でございました。そこでさような状態にあるにもかかわりませず、昭和二十八年度の予算案には計上されていないので、そこで当委員会といたしましては、委員会決定を以てそれぞれ関係各省並びに予算委員長にその旨を申入れることに委員会決定をいたしましたから、その案文につきましては委員長一任なつており序したが、それを御報告申上げまして御承認を得たわけでございます。そして昨日委員長から直接大蔵大臣郵政大臣労働大臣申入書を手交をいたしました。本日参議院予算委員長にお手渡しをいたしまするように連絡を付けておりますので、御了承を願いたいと思います。念のためにその申入の全文を読み上げることにいたします。   昭和二十八年六月十九日    参議院労働委員長 栗山良夫    大蔵大臣小笠原三九郎殿    郵政大臣塚田十一郎殿    参議院予算委員長青木一男殿    労働大臣小坂善太郎殿    郵政職員給与体系是正に関する申入   公共企業体等中央調停委員会昭和二十八年五月二十八日、郵政職員給与体系是正に関する調停案の受諾を関係者に勧告したが、郵政職員給与体系には種々不合理な点があると考えられるので、調停案趣旨に従いその是正化を図る必要がある。ついては給与体系是正のための所要経費昭和二十八年度予算案に計上されていないから至急これが実現するよう措置せられたい。右は昭和二十八年六月十九日の委員会申合に基き申入するものである。  以上でございます。  次に日産化学株式会社鏡工場における労働争議に関して警察官の介入した紛争事件につきまして、地方行政委員会連合委員会開会する件につきまして、委員会として申合一致をいたしました。地方行政委員会にその旨を申入をいたしたのであります。地方行政委員会は、昨二十二日の委員会におきまして、明後二十五日の地方行政委員会連合委員会として参加をすることに決定をせられまして、当委員会に通知がございました。尤も二十五日には熊本の現地から約十名の参考人が動員せられて、それぞれ陳述をせられることになつておりますが、地方行政委員会の意向によりまして、二十五日は先ず地方行政委員会委員諸君から発言を先といたしまして、その後に労働委員会委員諸君発言をせられたいということでございました。若し同日一日を以て完了いたさない場合には、更に二十六日に引続いて連合委員会を開いてよろしいという了解を得てございます。さようでございますからこの件御了承を得たいと存ずるのでございます。  次に、前十五国会において当参議院議員提出法案として可決決定を見まして衆議院へ送付をし、議会解散のために成立を見なかつた労働金庫法案取扱い、並びに十五国会において委員会として成案について決定をいたしておりました珪肺法法律案取扱いについて協議をいたしました。労働金庫法案はやはり十五国会に倣いまして、参議院において議員立法として国会に成るべく早く提出をするということの意見一致を見ました。又珪肺法につきましても、一応成案を得ましたところで当委員会に一応お諮りを申上げまして、その結果によつて、相成るべくは労働金庫法と同じような形を踏みまして、参議院議員立法といたしたいということに意見一致を見たわけであります。従いまして委員長といたしましては、成るべく早く両法案成案を得まして、当委員会議員皆様方に御説明を申上げて、御了解を得まして、参議院の各派の共同提案として提出のできるように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。この点も併せて御了承願いたいと存じます。  次に第四点といたしましては、日鋼赤羽工場におきまして労働争議紛争中たまたま米軍による威嚇発砲事件等がございまして問題になつておるのでございまして、この点につきましてはすでに十八日の委員会の直後に懇談会を持ちまして、当事者でありまする労働組合側の考え並びに監督官庁でありまする労働省見解を聞きました。その後理事会におきまして次のようなことが意見一致を見たわけであります。即ち日鋼赤羽工場におきまするところの発砲事件労働争議過程において行われたものでございまするが、それぞれ非常に重要な問題を含んでおりまするので、発砲者並び殴打者、それから被害者、これらの関係諸君を当委員会出席を求めまして、そしてその間の実情を明らかにすべきである。こういうことに意見一致を見たわけでございます。更に日鋼赤羽工場等の軍の施設の内部におきましての日本労働法適用状況につきましては、この際掘り下げて一応調査をする必要があるということも又意見一致を見まして、この点につきましては一般労働問題の調査としてこれを取扱うのが妥当であるという強い意見も附加されまして、日鋼赤羽工場関係、更に同様な性格を持つておりまする富士自動車工場関係二つの例を挙げて当委員会において調査をするということに意見一致を見たわけでございます。そして今申上げました二つの事柄につきましては明日、六月の二十四日に委員会を開きまして、それぞれ関係者に当委員会へ御出席を願いまして、そして説明並びに所信表明を伺うことになつたのであります。特に二十四日には行政府といたしまして外務省労働省等出席も要請することに意見一致を見たわけでございます。本日の委員会は、実は理事会において只今報告を申上げましたことの意見一致を見ましたので、これに対する御承認を頂きますると同時に、明日二十四日の委員会には参考人を招致するわけでございまするから、この参考人の招致につきまして併せて委員会として御承認決定を頂きたい、こういうわけでございます。  以上、委員長及び理事打合会の御報告を申上げます。そこで、只今報告申上げましたことにつきまして御異議ございませんでしようか。
  3. 井上清一

    井上清一君 只今委員長からお話がございました日鋼赤羽工場発砲事件に関しまして、明日発砲者並び殴打者を当委員会に招致されいろいろな事情を御聴取になるということでありますが、このことは先週金曜日の委員会におきましてお話が出たようであります。私丁度あいにく所用がございまして退席をいたしまして、決定参加をいたしておりませんで、こういう発言をするのは遺憾に存じますが、米国軍人軍属をこの委員会に招致することができるかどうかということ、又呼ぶことが諸般の事情から見て好ましいかどうかということについて委員長一つ意見を承わりたいと存じます。なお、外務省関係官意見もこの際承わつたら如何でございましようか。
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今井上君の御発言の中で事実とちよつと相違しておる点がありますので、その点は私から訂正をさして頂きたいと思います。それは、十八日の委員会におきまして発砲事件関係者を当委員会に招致するように決定をしたようなお話がございましたが、十八日の委員会においてはさようなことは決定をいたしておりません。十九日の委員長及び理事打合会においてさようなことをいたしたらよかろうという意見一致を見たわけでございまして、さように御了承を願いたいと思います。  それから米軍側関係者を呼べるかどうかということ、それから呼ぶことが好ましいか好ましくないかということについて私の見解をお聞きになつたわけであります。前段の呼べるかどうかという問題につきましては、主管庁であります外務省説明を得たいと思うのであります。私どもが今まで調査いたしましたところでは、強制的にさようなことをすることはこれは困難のようでございます。ただこういう事件が起りましたので、国会においてその真相を明らかにいたしたいから是非とも一つ委員会おいでを願いたい、こういう要請はできるように聞いておるのでございます。  それから第二のほうの問題でございますが、私は少くとも只今国民の間においていろいろと問題になつておる日本の国内問題とこういうような国際問題との接触点におきまして、いろいろと割切れないような問題を残すということは、日本の平和のためによろしくないと私は考えるわけでありまして、真相はやはり真相としてできるだけの努力をいたしまして、そうしてこれを明らかにしたほうが却つてよろしいのではないか、こういう工合に考えております。
  5. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 只今の点でございますが、外務省見解といたしましては、米軍構成員国会に喚問されるということは一般国際慣例国際礼譲の上から適当にあらず、従つて質問の事実を明らかにするために必要であるところの質問の要点を教えて頂きまして、それに対する回答を通常のチヤンネルと申しますか、筋道と申しますか、外務省から米軍乃至米国大使館を通じまして書面による返答を求めることが適当である、こういう解釈になつております。
  6. 吉野信次

    吉野信次君 それは国際慣例だというのですか、それとも国際法規でどういうことになつておるのか、私呑み込めないのですが……。
  7. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 国際慣例並びに国際礼譲上からです。
  8. 吉野信次

    吉野信次君 法律問題というのはどうなつておるのですか。つまり接収されておるのですが、接収ということは俗語で、その法律関係はいろいろあるだろうと思います。ただ単純に労務だけを提供するものとか、それらの関係で、つまり法律的にそういう場合にできるかできないかという問題は、国際慣例国際礼譲とかいう問題と少し違うと思うのですが、そこらはどういうふうに承知したらいいですか。
  9. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 法律上は国会法外国軍隊構成分子である者は直接の適用はないだろうということでありますが、それは別といたしましても、要求していけないということは国際慣例並びに国際礼譲に反するというだけでありまして、絶対にやつてはいけないということはないと思います。併しながらこれを強制することはできないわけであります。その点は先ほど委員長から御説明を頂いた通りでございます。
  10. 寺本廣作

    寺本広作君 委員長お話でも、ここに法律的に強制的にアメリカの兵隊を連れて来るということでなく、向うからそれに応じて来るという意思があるかも知れんから、こちらから申入れをして見るという話だつたのですね。
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうです。
  12. 寺本廣作

    寺本広作君 そういう建前で申入れすることも国際礼譲に反するのかどうか、その点の外務省の御所見を承わりたい。
  13. 関守三郎

    説明員関守三郎君) これは普通外国政府乃至軍隊構成員を直接国会に呼び出すということは、私どもの承知しておる限りにおきましては殆んど前例がないものですから、こちらから申入れすることも必ずしも適当ではないものと思われるのでありますが、たつての御希望であれば呼ぶことをお取次ぎするのは、これは外務省として一向差支えないと思います。それは国際礼譲並びに慣例に反しない限度においてお前のほうは応ずるかということを取次ぐわけであります。公式なものにしないで非公式にやるということは、これはやつても差支えないだろうと思います。
  14. 井上清一

    井上清一君 発砲者並び殴打者を当委員会に招致するという問題でございますが、これらの事件が起きたいろいろの事情又現場の細かいいろいろの問題についてもうちよつと詳細に検討を加えて、どうしても呼ばなけりや事態がはつきりしないかどうかという点をもう少し突詰めて検討を加えた上で召喚することを議題に供したらどうかと思いますが、如何でございますか。
  15. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと私、議事の取廻し上皆様にお許しを得たいのでありますが、委員長理事打合会意見一致をみました点を四点御報告申上げまして、御承認を得るようにいたしておるわけであります。その他只今議論なつておりまする問題のほかの点につきまして一応結末をつけておきたいと思いますので、さように御了承頂きたいと思います。  郵政職員給与体系是正に関する調停案についての申入れの件でございますが、これは御承認頂きましてよろしうございますか。(「了承」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  16. 田村文吉

    田村文吉君 この問題は、この前の国会の時分の話であつたのですが、今度も改めてお諮りになる、こういうのですか。
  17. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これはちよつと田村君があとからおいでになりましたので、御事情おわかり願えないかと思いますが、実は申入れをいたしますることは、十八日の労働委員会において決定をいたしたのであります。そうしてその申入れ案文申入れの時期等につきましては委員長一任になりましたので、当委員会におきまして、その後委員長として処理をいたしました。申入れの内容並びに申入れ相手先等について御報告を申上げまして、そして御了承を願いたい、こういうように申上げたのであります。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 第二の日産化学株式会社鏡工場における労働争議に関して、警察官の介入した紛争事件につき、地方行政委員会連合委員会開会するの件でございます。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) では決定をいたします。  次に第三は、珪肺法労働金庫法取扱についてでございます。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは以上三件は御承認を得たことにいたします。  それから最後に残りました日鋼関係の問題でございます。発砲事件に関する問題、そのあと米軍施設内における労働三法適用状況についてというのがございます。これも明日の委員会において行うことにいたします。この点はよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは決定をいたします。  日鋼赤羽工場における発砲事件だけが、只今ちよつと井上君の御発言のように取進めまするか、如何かということです。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 赤羽の問題は、この前の委員会におきまして、まあ座談の形ではありましたけれども十分片一方のほうからは聞いておるわけです。聞いた結論従つて相手方意見も十分聞かなければできないということに委員会でも結論が出ておる。今から又詳細にとおつしやるならば、又この前のやつを繰返さなければならん。この前の委員会で聞いたことを又聞かなければならないという結果になつて来ると思うのです。それで理事会決定されたよりには実施できるかできないかということを今ここで論議されておると、こう思うのです。この点で進めてもらいたいと思うのです。
  23. 井上清一

    井上清一君 只今、この前の委員会で詳細に御検討なすつたというお話でございますが、本日は警視総監もお見えなつておる。詳細に検討されたならば、何も本日警視総監がわざわざここへ来て発言される必要はない。今日は警視総監も来られて、いろいろな事情について話があるだろう、それらの事情について又今後いろいろ知らなければならん事情があると思いますので、もう一応よく本日も事情検討した上で最後的な決定をされたらいいと思います。
  24. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今井上君の御発言の中で、警視総監が来ておられる、発言を求めておるような意味におつしやつたのでありますが、これは本日の委員会において、井上君の只今のような御発言があるような場合を予想いたしまして、そうして手落のないように労働省並び警視庁警視総監にもおいでを願つておるに過ぎないのでございますから、その点は一つ了承願います。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 一昨日の委員長理事打合会で、自由党の宮澤委員も御出席なつお話合いをいたしましたことでございますから、やり方について今話に出ましたような礼譲を失わない範囲内で云々という点についての御注意は有難いと思います。その方向は、委員会発砲事件その他について事態を明らかにいたしますために、委員会関係者を呼んで事情を聞くという点には、これは井上さんも御賛成を頂けるのじやないかと思いますが、あとの細かい点は、委員長から関係者出席を求める点について遺漏のないようにやつてもらいたい、こういうことで如何でございましようか。
  26. 井上清一

    井上清一君 只今吉田委員からのお話がございましたが、非常に微妙な問題でもあり、且つ又、国際的な影響もある問題だと私は思いますので、慎重に検討を加えた上で一つ本件を実施願いたい、こういうことでございます。
  27. 田畑金光

    田畑金光君 今井上君からいろいろ出されておるこの問題については、理事会においても十分にこれは討議されたことと記憶いたしております。殊に我々といたしましては、発砲事件をめぐる実情調査というものは、少くとも現地において行わなければならん、こういうような主張を強くしたわけでありますけれども現地において調査する、こういうことになつて来ると、現在の争議が未解決の段階であるし、従つて現地において関係者から事実を聴取することであつても、争議影響を及ぼすであろう、従つて争議影響するようなあり方で労働委員会調査をするということはまずいのじやないか、こういうような御意見もありまして、殊にこの御意見は、宮澤君等から強く主張がありましたので、それでは現地において事実を調査するということは一応控えて、当委員会参考人を喚問することにしようじやないか、こういうことに経過はなつて、先ほどの委員長報告がなされたものと思うのであります。従いましてこの発砲事件に関しましては、発砲した者並びにその他の暴行事件もあると聞いておりますので、被害者でありました者を含めてこの委員会において真実を究明しよう、こういうことになつておるわけであります。先ほどの外務省当局の話によりましても、強制はできないけれども向うから要望に応じて出席するには一向差支えない、こういうような御趣旨でもありまするし、これが国際慣行に或いは国際礼譲に完全に違反したというようなことでもないので、今日駐留軍施設或いは区域に伴う労働問題、或いは又各地に起きておる現在の基地の問題等から考えまして、この問題は我々としては慎重に取扱わなければならない、併しながら慎重に取扱うべき性質のものだろうが、どこまでも我々は事実としてこれは究明して行かねばならん、こういう状況にあると思います。従いまして私はこの間の理事会の長い過程から今日委員長報告になりました結論を生み出したあのいきさつを考えましたときに、むしろ先ほどの井上君のような御意見があつたればこそこの委員会当事者を喚問する、こういうことになつたのであります。当日御出席なされなかつた井上君はおわかりになつていないのでありまするが、一つそういうような経過であつたということを御了承願つて、私は委員長報告通りにこの問題は処理願いたい、かように考えるわけであります。
  28. 田村文吉

    田村文吉君 私もその理事委員長懇談会に当日出なかつたので、実は新聞で記事を拝見した程度しか知らん、そこで何でしようか、この前に今の工場管理者とか或いはそれの事件の起つた当時における取締当局等の御意見というか、実情説明委員会としてお聞きになつたのでしようか。
  29. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) お答えいたします。委員会といたしましては、労働省中西労政局長から当委員会は、発砲事件の事実について伺つております。特に昨日の衆議院労働委員会におきましては、労働省は重ねて当時の実情を御報告なつておりまして、一般新聞にも報道せられておる通りでございます。
  30. 田村文吉

    田村文吉君 参議院のこの委員会としてお聞きになつておるのでしようかどうかということを私は伺つております。
  31. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それは先ほどお答えいたしました通りに、この前の委員会労働省中西労政局長から伺つております。中西労政局長ではございません、山崎労働組合課長から報告がございました。
  32. 田村文吉

    田村文吉君 それは委員会としてですか、何か懇談会とか……。
  33. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員会として聞いたのです。
  34. 田村文吉

    田村文吉君 それからその事件が起つた当時における取締当局等の何か問題をお聞きしたのでしようか。今日或いはお見えなつておるということですが、そういうお話を、私はこの問題は皆さんが御議論になるほど重大な問題でございますから、慎重に取扱つて頂きたいという意味において、できるだけ手を尽して、そうして国際慣行とか、或いは国際礼譲に万一でも反するようなことになるかも知れん虞れのあるような問題はできるだけ慎重に取扱つて頂きたい、こういう意味で、そういう問題を若し皆さんがお聞きになつたもので、私だけが欠席しておつたので知らんということであれば、これは私引込めますけれども、若しそうでない、十分にお聞きしないのであつたら、この機会に一つお話を願つたら結構ですが。
  35. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) もう一つ先ほどのお答えが足りなかつたからお答え申上げますが、先ほど来私が労働委員会を十八日に招集をし、十九日に委員長理事打合会招集をしたと申上げましたのは私の粗忽で、一日ずつ日にちを間違つておりましたから訂正をこの際申上げます。十九日に労働委員会を開きました。それから二十日の日に委員長理事打合会を開いたわけでありますから御訂正申上げます。  そこで十九日の労働委員会におきましては、先ほど申上げましたように、労働省山崎労働組合課長から発砲事件について一応の報告をこの委員会に頂いたわけであります。それからあとで当委員会といたしましては、たまたま赤羽労働組合前田委員長が傍聴に参つておりましたので、これを参考人といたして発言を求めたいという議が委員の間から出たのでありますが、いろいろご意見がございまして、委員会として聞くのは穏当でないという結論なつて、最後に委員会を閉じましてから、懇談会の形を以て聞いたわけであります。聞きましたところが、大体におきまして受けました印象は、山崎組合課長報告されましたことと組合の副委員長報告をされたことと大体余り大したかけ隔てがなかつたわけであります。それで而も当時は最初委員会において前田労働組合委員長の参考陳述を聞くことについて同意をせられなかつた委員諸君も、懇談会に移りましてから、労組の副委員長報告を受けられまして、そうしてこれは相当重要な問題である。従つてもう少し掘り下げて調べなければならんというような御意見がございまして、懇談会を閉じまする頃におきましては、殆んどまあ完全に満場一致でこの発砲問題は調査をすべきであるというような空気に包まれたわけでございます。従いまして二十日に委員長理事打合会を開きまして、今後の当委員会として進むべき方向についてお諮りを申上げた、こういうことになつておるわけでございます。
  36. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 先ほどの私の御説明ちよつと不足な点があつたように見受けられますので、もう一度説明さして頂きます。  事実を究明するということにつきましては、当然必要であると思うのでございまするが、そのやり方といたしましては、先ほども申上げましたことは、いきなり証人の喚問というようなところまで行かないでも、その前に十分事実をあらゆる方法でお確かめを頂いてどうしても証人を喚問する必要があるという点を呑み込まして頂きたい。これは第一の当然の前提でございます。そうしてその手段としては、先ほど申上げましたように、国際慣行並びに国際礼譲の上からできるだけと申しますか、通例は証人喚問をやらないのでございますけれども、書面によつて適当なる筋を通じまして、ということは外務省から米国大使館を通じまして、そこには若干問題がございますが、そうして書面による説明乃至回答を求めるのがこれが妥当であつて且つ望ましいということを申上げたのであります。いずれの場合におきましても事実の調査ということを十分にやつて、こういう必要があるならということを言えるようにして頂く必要は如何なる場合においても、書面で回答を要求する場合におきましても、それからして仮に国際礼譲乃至慣例に反しない限度においてやる、出て来る希望があるかどうか、意思があるかどうかということを尋ねる場合におきましても、十分に事実の調査というものをしなければならない、その必要性というものを呑み込まして頂かなければ困る、こういうわけになりまするが、これは私どもが今までに関係の方々にお聞きしましたところでは、さような事実に関して、又判断に関しましてもいろいろな点で、細かい点ではございますけれども、必ずしも一致しておらん点があるように思われるのであります。で、私どもとしましてはできるならばもう少し事実をはつきり……、証人の喚問と申しますか、乃至は口供書による回答を求めるというような手段をとる前に、もう少し事実を、日本側だけでももう少し事実を明らかにしておいて頂いて、その後にそういう手段をとることにして頂きたい。こういう希望を持つておるわけであります。
  37. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 関協力局次長に私申上げておきますが、当委員会只今発言、各委員発言、私の発言等を通じまして、米軍なり米軍の軍属を証人として、国会法或いは参議院規則に基く証人の喚問、証人として喚問しようということは一言も言つておりません。これはお取消しを願いたいと思います。ただ、参考人としておいでを願うようにして、そして事実の究明のために御協力を頂きたい、こういうことをしたいということを申上げておるだけでございます。これはお取消し願いたい。
  38. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつと今、関次長に伺いますが、今まで委員会で聞かれた事実判断が事実に相違しておる点があるというお話でございましたが、そうするとこれは十九日でしたか、十九日の委員会山崎労働組合課長説明員として朗読をいたしました際には、横におつて聞いておられたと思うのですが、あの報告においても事実判断が間違つておる、こういうふうに言われるのですか、その点を一つ念のために伺いたい。
  39. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 私の申上げますのは、私どものほうでも当然責任がございますから、関係の官庁並びに日本製鋼の方々、そういう方にいろいろお聞きしたわけでございます。その間において、例えば具体的な例を申しますと、一つの例でございまするが、その米軍の軍属の乗つた自動車がピケツト・ラインに非常な危険な速力で走つて来たというような話が一方においてあるわけです。又一方におきましては、一向どうも危険ではなくて、すつと来てとまつたというような、そういうような話もありますので、そういう点に関しましてはこれは一つの例でございまして、私ども関係の方々から聞きましたところによると、必ずしもそういうような相当重要な点において判断が一致しておらない点があるように思われます。そういう点は非常に大事な点でございますので、そういう点をもう少し日本側の関係している方だけでもはつきりお調べになつて、そしてそういう点がどうもはつきりせんから、こういうふうになれば、又話は別だろうと思います。そういう意味において申上げたのでございます。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 重ねて念を押しますが、非公式になされておる論議或いは事実判断が間違つておると言われるのですか。それとも委員会なら委員会での、ここでの論議或いは報告等が事実に相違すると言われる先ほどの発言であつたのかどうか。
  41. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 私は委員会における労働省説明がどうこうということを申上げるものではございません。私どもが調べたところにおいて相当の食い違いがある点がございますと、そういうことを申上げたのでございます。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ食い違いがあるということを言つておられますけれども、私は、この問題は突発的なような問題であつて、誰々がそれではその当事者であるかという問題から私は聞きたいと思うのです。私たちは、その当事者の一人からは聞いておるわけです。そういうことがないように、今度は相手の当事者からお聞きしようじやないかということを言つておるわけです。それは局長は外人に当つてお聞きになつたのか、その現場を見た人か誰かにお聞きになつたのか、その点をお聞きしたいと思うのです。食い違いがあるとすれば、どういう点からお聞きになつたのか、何か調査されておるのか、非常に少い範囲だと思うのですね。それから私たちとしては、誤解のないように、相手の方がおいで願えれば、当事者としての御意見をお聞きしたい、こういうことなんです。それだからほかのほうから調査なつたということならば、私は第三者が言つたのじやないかと思う。そうじやなかつたならば、その突発的な問題の中におる人は、私は殆んど組合員である、或いは車に乗つておる人である、それ以外の方は余り現場に見ておられた方はいないのじやないかと、こう考えるのです。その現場の一部から私たちは聞いておる。現場の被害を受けた人から私たちは聞いておる。だから今度は被害を与えた人から聞きたい。それとも礼を尽して、おいで願えればここでお聞きしたいということを今委員長も言つておるわけです。ところが、それを私たちが聞いたのは間違つておるというような御意見であるならば、どういうところからそういうことを御調査なつたか、お尋ねしたい。
  43. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 私どもは当然関係しておられるところの、私どもの政府の内部の関係されておられるところの警察の方とか、法務省の方とか、そういう方にお話を承わつております。それからして製鋼所の関係の方にも話を承わつております。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 目撃された方ですね、現場におられた方ですね。
  45. 関守三郎

    説明員関守三郎君) そこまでははつきり確かめておりません。併しながら聞いた範囲では、いろいろなそういうところから承わつた範囲においては、例えば先ほどお話したような点が一致しておらないように思います。労働省の話とは別でございます。
  46. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど事実及び判断が相違するというお話は、私は委員会のなした事実判断が事実に相違するところがあるというように聞いたのですが、今釈明を求めますと、委員会労働省からなされた事実及び判断において相違しておるとは言わないということで、外務省として、委員会外において聞かれた判断と、それからどこが間違つておると言われるのか知りませんけれども、はつきりいたしませんが、問題は委員会の進行、委員会の取り運び方、それから参考人の召喚について論議をしております際、はつきりしない委員会に出て来なかつた……事実これはどれが間違つておつたというのか、先ほど門の前の自動車のお話をなされましたけれども、そういうものを持つて来て、委員会の進行について公正ならざる材料を提供するということは甚だ心外だ、私はあなたの先ほどの発言は御訂正になるべきだと思う。
  47. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 私の申上げましたことは、もう一度繰返して申上げますというと、私どもの調べた範囲におきましては、いろいろここでお話しになつたことに食い違つておるとか、間違つておるとかいうことを申上げておつたのではございませんで、私どもで聞きましたところにおきましても、必ずしも事実に関する判断が一致しておらないように思います。それで普通の国際礼譲によつて、書面で回答を求めるにいたしましても、ましてや参考人……、先ほど証人と申しましたのは間違いでございまして、参考人として来てくれということを話すにいたしましても、もう少しその前に或る程度はつきりして頂かなければ、我々のほうとしてはちよつとそういう手段をとるのには工合が悪い、こういうことを申上げました。そういう趣旨でございます。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは外務省として調べたところがいろいろな意見があつて、事実判断が食い違つておる、これならばわかる。先ほどは、事実判断が事実に相違しておる、あたかも委員会一つの或る判断をした、それは間違つておる、こういうような説明をされましたのですが、それは間違いだ、いろいろ調べた事実判断がいろいろあると、こういうお話だと思うのですが、先ほどの失言は一つお取消しを願いたいと思う。事実判断がいろいろあるだろうから、だから関係者についていろいろ調べなければならん、聞かなければならん、そうしなければ本当の事実が明らかにならんだろうというのが委員会の態度です。そうするならば、これは私は事実判断が間違つている云々ということで慎重を期さなければならんという御発言は、これも根拠は私はないと思う。とにかく進行について委員会についての侮辱であり、まだ何も判断をしておらんのに、この委員会の進行についてはつきり根拠のないものでとやかく言われることは越権だと思います。
  49. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 私の申上げましたことは、重ねて申上げますけれども、そういう例えば書面による回答を求めるとか、国際慣例並びに国際礼譲に反しない限りにおいて参考人として出てくれるかどうかというような話をする前におきましては、十分慎重にお調べを頂いた上にして頂きたい、こういうことを申上げたわけでございます。
  50. 田畑金光

    田畑金光君 今、関協力局次長お話を承わつておると、そのお話自体がすでに私は結論なつておると思うのです。外務省のとられた資料に基く事実の判断もありましようし、労働省報告に基く資料による事実の判断、そこにいささか食い違いがあるように関協力局長次はお話なつておるわけであります。私はそこに問題があると、こう考えておるわけであります。外務省の受けた報告の資料或いは労働省のとつた資料等にもいささか事実の認定において食い違いがあるかも知れん。そういうような問題があるからこそ我々としましては当事者をこちらに来てもらつて参考人として事実を聴取するということによつてこの労働委員会が事実の認定、判断の適正を誤らんようにして行きたい、こういう考え方であるわけであります。そこで問題は、別に裁判権を行使するのでもない、又証人宣誓に基く法の手続による証人喚問でもないのであります。飽くまでも事実の認定を適正ならしめるために当事者に来てもらつて労働委員会が自主的に判断しようじやないか、こういうことで一応当事者をこちらに呼ぶことにしたわけであります。これは国際礼譲国際慣行等々いろいろ言われておりまするが、我々としましては、その礼儀を失せん手続と方法とを以てするならば、国会労働委員会でありまするし、それくらいのことは当然主権国家の議会としてやつて然るべき方法だろうと私は考えるわけであります。従つて、問題は、その手続と方法を慎重にし、外務省の心配されるような国際礼譲国際慣例に反せん方法をとるならば、決して我々としましては、先ほど委員長が当初に報告なされたことを見ましても、一向外務省当局に御心配かけることはないと思います。ただ、関次長のお話になる、参考人を呼ぶ前になお事実を確めるために手を尽す方法があるのじやなかろうか、そのような方法をとつたほうが望ましいのじやなかろうか、こういうようなお話でありますが、それも一例であります。従いまして我々は基本的な方法としては、当事者に来てもらつて事実を聴取するという方法をとることにして、たまたま今関次長の御心配になる、その前に更に事実を確める必要があるとおつしやられるその御意向もよくわかりますので、本日まあ警視総監も来ておられるといたしますならば、警察のほうから得られた情報、資料等を我々はこの際承わつておいて、そうして更にその労働省報告を受け、警視庁報告を受けた上に立つて明日ですか、関係当事者に来て頂いて更に事実を認定をする、こういう手続をとるのが妥当と思いますので、先ほどの委員長報告をそのような方向で一つ御処理願いたいと、かように考えるわけであります。
  51. 田村文吉

    田村文吉君 何ですか、参考人としてお呼びするということはもうきまつているのですか。
  52. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員会としては決定をまだいたしておりません。今日御決定を願いたい……。
  53. 田村文吉

    田村文吉君 そうであるとすれば、今日急いで、明日必らず参考人として来てもらうとかいうようなことを、そういう国際礼譲の問題もあるんでありますから、その前にできるだけ一つ真相を伺わして頂いた上で、どうしてもこれは来て頂かにやあいかんのであるということであるならばするし、又書面で以てお伺いをして、それでよろしいという程度のものであればそれで納めるということで、今早急にここで委員長理事委員長打合会でそういうふうに御決定なつたからといつて、それをすぐここで御決定願わなくてもよろしいんではないかと、こういうふうに私は考えるのです。
  54. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この際労働省の労政局長から発言を求められておりますので、お許しいたします。
  55. 中西実

    政府委員中西実君) この前の当委員会で私のほうの山崎課長から一応の報告をいたしました。それは一応取りあえず下部の我々の出先の機関から上つて参りました報告をまあ朗読のような恰好で申上げたのでありまして、なおその後昨日現地に人を直接やりましていろいろ調査いたしました。若干前回申しました点と違うこともわかりましたのであります。ただ私ども調査は、結局現場には組合員とそれから当事者米軍側しかおりませんので、主として組合側から種々現地において意向を聞いた。そこで米軍側に対しましても、これは結局外務省なり、或いはその行為が正当かどうかという判定権を持つております法務省のほうが直接の関係でございますので、而も目下外務省なり法務省のほうでその方面の調査を進めておられますので、で、同じ政府部内の調査でございますので、その権限のあるほうにお願いをするということでやつております。ただ我々のほうで取調べたところで、この前報告しましたのと違います点は、後ほど山崎課長から若干訂正させて頂きたいと思います。かように考えます。
  56. 井上清一

    井上清一君 先ほど田村委員から御発言がございましたような審議の方法は如何でございましようか。差当つて警視総監もお見えなつておりますから、一応警察当局側の本事件に対する調査をここでお話を聞いたら如何かと思いますが……。
  57. 吉田法晴

    吉田法晴君 その前に、私は関次長に委員会の運営について関次長の指図は受けたくない、こういうことを申上げておく。その点は委員長一つ適当にお取運びを願いたいと思います。  山崎説明員の補足報告を願いたい、或いは警視総監報告を願いたい云々ということですが、その前にちよつと中西労政局長に伺いたいのですが、今のお話によりますと、米軍人或いは軍属については自分のほうから聞くべき筋合いがないから、外務省とも、或いは法務関係についてだろうと思うのですが、法務省から云々と、こういうまあお話がございましたが、誰が当事者であるかということが第一に問題になるわけであります。そこがまあ問題のところなんですけれども労働法関係がどうなつておるのか、問題は労働争議、それに関連して起りましたピケなり或いはピケに対する突破しようとした行為、或いはこれに関連いたします発砲、こういうことになるのでありますが、そういう労働関係について、工場の門に立つております米軍のガード或いは軍属、こういう者については、これは全然労働省として或いは国として管轄権と申しますか、法律関係はないのでしようか。この前非公式に伺いましたところでは、労働大臣は、一応日本労働法が生きておる、こういうお話でございました。そうすると労働関係に関する限りは労働省は軍人、軍属にも全然タツチする関係がないのじやなくてあるように私どもは感ずるのでありますが、外務省を通じてでなければできないというお話でございましたから、承ねてその点中西労政局長に伺つておきたいと思います。
  58. 中西実

    政府委員中西実君) 労働法関係関係がないと申しておりません。基地内におきましても原則としては労働三法が実施されるということを考えておるわけであります。が今の問題は、結局行われました行為が適法かどうか、我々はその認定ができました上に立つて労働問題として判定をしなければならないという関係になります。で、米軍関係者の方たに話してうまく返答を得られればいいのでありますが、その努力はしたのでございますけれども、併しこれは筋として正当なルートでやるのがいいということで、調査が不可能だつたのであります。そこで正式にやはり外務省なり法務省という方面から調査をして頂く、それによつて正当かどうかという実体を明かにされましたあとで、我々のほうとしましては、労働運動として好ましいかどうか、或いは何か措置をとる必要があるかどうかというそこらあたりを調査して行きたい、こう思うわけであります。
  59. 吉田法晴

    吉田法晴君 一点伺いたいのですが、平生労働省工場の中に入つておられるのかどうか、基準法の施行等については、私は中に入つておられる事例もあるかと思うが、そういう労働法関係調査その他については労働省はどの程度にタツチしておられるか。  それから今の回答の中に正当なルートというお言葉がございましたが、これは工場の中で労働法が生きておるとするならば、或いは使用、或いは労働関係について米軍人或いは軍属という者が関与いたしましたならば、その限りにおいて労働省が聞かれますことは正当なルートでないとは言えないのじやないか、かように考えるのでありますが、全然工場内において労働法関係についても米軍人或いは軍属に労働省から問い質す、或いは質問をするということを正当なルートでないと考えておられるか、その点を伺いたいと思います。
  60. 中西実

    政府委員中西実君) 問題は基地内の問題でございまして、行政協定の三条によりまして、この基地内出入につきましてやはり一般工場、事業場に入るとはおのずから趣を異にするのでありまして、基準法の施行のために入るということにつきましては、大体は米側と了解を得ておりまして、一応必要に応じてその事情を話せば入れてもらえるというようなことになつております。ただこの問題につきましては、特に滅多にありません、一つの勃発の事案でありまして、これの真相を究明するということにつきましては、やはりそれが適法かどうかということについて調査の責任を持つております検察当局のほうで一応やられるのが適当じやなからうかというふうに考えております。
  61. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今田村井上委員から、大体もう少し前に事実確認をやつたらどうかと、こういう御発言があつたのですが、ちよつと私議事取廻しをお伺い申上げたいのですが、それは、実は日本側で事実認定の上においていろいろ食い違いが勿論見方によつてあると思うのですが、それが完全に一致をしなければ、今の関係者参考人としておいで願うところまで進められないと、こういう御意思なのか、その点を明らかにされたいと思う。特にそういう点、事実確認においていろいろ違いが出た場合、然らばどれを一番正しいものとして見るか、こういうところが私問題があると思うのです。この点をどういうふうにお考えになるのですか。
  62. 田村文吉

    田村文吉君 御尤ものお話でありますが、私は丁度十九、二十日の二日間を不在にしておつた、その間に起つた委員会であり、その間に起つた理事委員長会議でありますから、誠に今まではそんなサボツたことはないつもりでございましたが、丁度私の不在のときに起つた問題であるから、そこで実は内容はよくわからない。それでなお今お聞きしてみたいと思つたところが、丁度吉田さんから質問が出たんですが、一体基地となつていて、そういうところには直接労働省の一体質問とかそういうことはやれないようになつているのか、これはほかにも例がたくさんあると思う。そういう問題をもう少しはつきりさしてから参考人として来てもらうとかいう問題をなさるべきであつて、ただそういう根本問題さえ何とかはつきりしないのに、直ぐ参考人に来てもらうというような、事件のほんの末端に現れたことだけをお調べになることは私はどうかと思うので、少しそういう点を御検討なすつてみたらどうかと、こう私は考える。
  63. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今の点御尤もでございます。私も理事会ではそのことを十分論議をしたわけでございます。それで発砲事件というような一事件でなくて、米軍施設内における労働組合運動のあり方、これを法的に、又現に行われている実情等について根本的な調査をすべきである。こういう意見は勿論出たわけであります。出ましたけれども只今争議の非常に激しくなつておるときなので、国会が直接労働争議に介入するということはこれは避けたほうがよくはないかという意見が相当ございまして、そこでそういう問題は発砲事件と併行をいたしまして、米軍施設内における労働組合運動のあり方の一般的な問題として併せて調査をしよう、こういうふうに決定を、理事会といたしましては意見一致を見たわけであります。そしてこの件については先ほど御承認を得たわけでございます。最後に私が申上げました一つの議題としまして御承認を得たわけでございます。で、問題は発砲事件というのが……。
  64. 田村文吉

    田村文吉君 もう承認を得ておるのですか、委員会の……。
  65. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 先ほど得ました。
  66. 田村文吉

    田村文吉君 今の発砲事件参考人の問題……。
  67. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) いいえ、この問題でなくて、一般労働問題として、米軍施設内の実情調査をするということについては、今日先ほどの委員会で御承認を得たわけでございます。残つておるのは発砲問題だけでございましてこれだけを取上げるという意味ではないわけであります。でき得ますならば、明日の委員会においては、従いまして発砲問題も米軍施設内における労働法適用問題も併せて同時にやつて行こうと、こういうことになつ意見一致を見ておるわけであります。
  68. 井上清一

    井上清一君 只今委員長から調査がどの程度まで行つたらそういつた発砲者なり殴打者なりにここへ来てもらつて聞くかというような、こういうようなお話なつたと思いますから、調査は、やはりこうした微妙な問題はできるだけ周到にやつて置くことが私はいい、そういう意味で先ほど労働省調査もなおその後の調査によつて新らしい事実も出て来ておるようですし、これは労働省調査結果もお聞きしなければならない。又警察当局調査もお聞きしなければならんと思うのです。なお又、この間労働組合の幹部がたまたま来ておられたのを懇談会に来てもらつてお聞きしたということでございますが、労働組合、又労働組合長のみならず、或いは又労働組合のそこに居合わせた方に来てもらつて聞くということは、これは一つの方法だろうと思います。なお又法務省関係調査も聞かなければならんと思いますし、なお、そのほかに会社側のいろいろな調査もあるだろう、それらを総合いたしまして、最後に事件がどうしてもはつきりしないということがあれば、或いはその上で発砲者なり殴打者なりの米国軍人軍属に、どうしてもわからないから一つ来てもらつて話を聞きたいということのほうが私はいいんじやないか、かように思います。それで今日は取りあえず他のいろいろな関係の方々がお見えなつておりますから、警視庁なり或いは又労働省の労政局でお調べになつ調査について取りあえず一つお話を伺つたらどうでしようかと私は思います。
  69. 吉田法晴

    吉田法晴君 私ども発砲事件をこれを刑事事件としてここで取上げようというのではないかと思うのです。発砲事件が起りましたのが一つのきつかけにはなつておると思いますが、問題はそれを取り巻いております労働問題或いは労働関係、これが一番委員会のまあ調査審議の対策になると思います。で、その意味で私はまあ警視庁に来てもらう云々ということは実は筋が違うと思うのです。先ず労働省からこの前も聞いた、そこで労働省報告が違つておつた云々ということであれば、これは伺うべきだと思うのです。先ほど労働省のほうにも少し思い違いがあつたのじやないかとも思うのですが、井上さんの今お話の、或いは警視総監或いは法務省というお話は、これを私ども労働委員会が労働関係を中心にして調査をするというよりも少し範囲が拡がつておるというか、ピントが外れておるような気がいたすのですが、問題は労働関係、労働問題を中心にして聞いて行く、こういうことでなければならんと思います。
  70. 井上清一

    井上清一君 今吉田さんからお話がございましたが、これは労働争議中における不法行為について問題を究明しよう、こういう点なので、これはまあそうした観点から見て行かなければいかんじやないかと私は思います。
  71. 寺本廣作

    寺本広作君 大分議論が混線しているようにお見かけしますが、二十日の委員長理事の打合会の際は、当面労働争議が進行中であるから、それに影響を与えんようにこの発砲事件を取調べるのと同時に、こういう基地や施設労働三法がどういうふうに適用なつておるか、それをここだけの問題でなく、一般的に取上げよう、こういうことになつたと思います。で、発砲事件について事実を調べるについては、殴打をしたほう、殴打をされたほう、発砲した者、それで威嚇された者の両当事者を呼んで聞くほうが一番真相が明らかになるだろう、こういう気持で発砲事件について両当事者を呼ぶというこに意見一致したと思います。併し今外務省の話を聞いて見ますと、任意出頭してくれるかどうかということを、国際礼譲に反せざる限度で意向を聞かしてくれということで、聞くのにも或る程度事実が固まつてからでなければ工合が悪いというお話だと思います。私どもは両当事者を呼んでみなければ或る程度事実が固まらんと思つて、両当事者を呼ぶことにしたのですが、外務省のほうから、その程度に聞くにしても、或る程度この事実が固まつてからでないと工合が悪い、こういう話ですから、今労働省のほうからも先日話したのに多少訂正することがあると言つておられます。それから労働省だけでなく、治安当局から見られた見方もここで明らかにして頂く機会が今ありそうですから、それを取りあえず今事実を一つ一つ固めて行つたらどうですか。そうして或る程度事実が固まつて外務省の人もその程度まで意見が固まつておるなら任意出頭をしてくれるかどうか聞いて見ようかという気持になられるかも知れませんので、取りあえずここで議論して行くよりも、一つ一つ進めて行つて頂いたらどうですか。
  72. 阿具根登

    ○阿具根登君 もう余り議論をしても時間を取るばかりですから、まあそれでもいいと思いますが、先ず私が考えたいと思うのは、これが日本人同士の発砲であり殴打であつたらこういう論議にならないと思います。直ちに呼べると思う。外人なるが故に国際慣行或いは国際礼譲に反かないようにやりたいというのに、なぜこんな論議をしなければならんかと思います。日本人同士であつたらこんな論議にならないはずである。外人なるが故に、それだから国際慣行礼譲も考えて、そうして参考のために来て頂く、そうして間違いないようにしたい、こういうことがなぜできないかと思うわけなんです。いずれにしてもお話は私はお聞きしていいと思います。お話をお聞きしても、結局その当事者意見をお聞きしたいというのが皆の気持だつたと思います。そういうことについて私はお聞きいたしたい、こういうふうに考えます。
  73. 田畑金光

    田畑金光君 私はこれは今後の委員会運営の一つの慣行になろうと思いますので、この際申上げたいと思いますが、二十日の理事会は各党出身の理事の方が出られまして、この取扱方については長時間論議した結果意見一致を見たわけであります。それは只今寺本君のお話のような経過を経て二十四日に当事者を呼んで事実認定のために事情を聞こう、こういうことになつたわけであります。こういうような各党派の代表の理事が集まつた理事会において満場一致決定された、そうして本日の委員会においてその確認を求める、こういうことになつておるわけであります。勿論委員会において理事会決定に対していろいろ批判検討した結果覆される場合もありましようけれども、併し原則としては理事会によつて各党派の代表が長時間論議して決定されたことは、一応委員会としてもこれを確認する、こういうのが私は普通の運営じやなかろうか、こう考えておるわけであります。更に又先ほどの委員会におきましては、本議題になつておる件の二つの項目について審議をしよう、調査をしよう、こういうことになつておりまして、その第二の「米軍施設内における労働三法適用状況について」という本件については、当委員会においても当事者を呼んで、そうして事情を聴取し、実情検討することについては満場一致承認されておるわけであります。この第二項と、現在論議になつておる労働争議事件発砲事件とは、いろいろな面において陰に陽に絡まつておると思います。殊にこういう施設内における労働三法がどうなつておるか、こういうようなたまたま施設内における争議に絡まつて発砲事件が起きて来ておるわけでありまして、従つて我々といたしまして一貫した委員会の運営をやつて行こうとするためには、労働三法適用状況についての調査をすることが確認になつておる以上は、当然これと陰に陽に関係しておるような問題についても、本委員会においては理事会決定趣旨に基いて一応こういう形で調査を進めることを確認されることが正しい私は運営じやなかろうか、かように考えているわけであります。而も発砲事件の内容に関しましても、それは手続と順序を国際礼譲に反しないように踏むならば差支えないであろうということは、外務省の関国際協力局次長さんも先ほど来言つておられるところであります。我々といたしましては、いやしくも国会という国家主権のこの舞台におきまして、我々が一応こういう国内において深刻な問題を各地に投げかけておる、現在各地において起きているような問題を我々が自主的な判断に基いて処理するということは、国会の権威のためにも、我々といたしましては当然なことだと考えるわけであります。従つて私は理事会が満場一致承認されていることを本委員会においてはこれを確認されて、その上に立つて先ほどの警視総監お話を開くなり或いは労働省報告なりにこの前と一部変つているなら更に承わることは差支えなかろうが、一応本委員会といたしましては、先ほど申上げましたように、理事会決定を確認されたその上に立つて一つ更に事実を確かめる、事実を固めるという意味において、次善の方法としての警視総監その他の話を聞くような手続を踏んで頂きたい。私は最後にこれを要望として申上げておきます。
  74. 田村文吉

    田村文吉君 今お話のありました理事会の運営の問題ですね、私は理事会というものは大体委員会の運営を滑らかにするためにどういうふうな順序で行こうか、或いは又決議した事項をどういうふうにこれを実現する方法に行こうかというような問題を大体おきめになるのでありますから、今度のような場合に、今理事会にお任せになつた場合に、理事会がそういうことをそこまで行こうじやないかとおきめになつたことは私は越権じやないと思います。一向差支えない。けれども、それだから私は理事会の決議を尊重して、どうしてもそれまで行かなければならんという絶対的のものじや無論ない、こう思うのですが、甚だやかましいことを申上げるようですが、そういうことと、もう一つさつき阿具根さんのお話で、これは内地人同士の問題であれば議論はない、その通りなんで、これは問題ないのです。たまたま軍の場合、一体基地なのか、管理工場というのはどういう性質を持つているのか、僕はよくわからんのです。そういうような性質のものを今参考人として直ぐ呼ぶというようなことについては、いわゆる国際的の儀礼上どうであろうか、こういうような心配があるからもう一度慎重にそれをとつて頂いて、まあできるだけ一つ……。一体法的の根拠はどうなつているのか、或いは実際の今の発砲事件そのものに対する解釈に多少の違いがあるというなら、事実に違いがあるという御報告を確認になつたなら労働省で御説明願い、その上でおきめになつていいことじやないか、こう思いますので、一応は一つその労働省の御説明を聞き、なお一体この法的の根拠はどういうふうになるのかということも実は私は知らしておいて頂きたい。その上で一つこれは行つてもらいたい、こういうふうに考える。但し、先刻お話のありました関さんの、委員会委員でもあるかのごとき御発言に対しては私少し不満なので、これは先ほど吉田さんのおつしやる通りなんです。これはそういう筋のものじや私はなかろうと思う。これは委員会委員会でおのずから判断するので、参考にそういうことを希望するという御意見を承わつておくのも結構ですが、ちよつと何か断定的に意見をお述べになつておるようなことについては不満であります。
  75. 上條愛一

    ○上條愛一君 これは結局結論として申上げますれば、この問題の是非を決定するのは、当事者同士の意見を聞いてみるということが、これが第一だと思うのです。ただ外務省のおつしやるように、当事者同士の意見を聞く場合に、外国の基地や管理工場だから、その順序を踏むために外務省なり或いは法務省の手を通じて当事者意見を聞くということが、これが国際慣例であり礼譲であるというならば、我々はこれは異議がない。だけれども、いずれにしてもこの問題の判断を委員会がきめる場合においては、当事者同士に第一に意見を聞いてみるということが、これが根底であつて、その意見を聞いてみたが食い違いがあつた、その場合に、それを判断する資料として他の方面からいろいろな意見を聞くということであれば、これは我々の判断上の参考としてそういう順序を踏むというのはこれは当然だと思います。ですから結論として申上げますれば、私どもとしては、委員会としては、この問題の是非の判断を下すためには、先ず当事者意見を聞くということがこれは当然だと私は思う。ただ国際慣例当事者意見を聞く場合に、委員会が直接そういうふうにやる前に、何か外務省なり法務省を通じて意見を聞いてみてやるということが順序であるということであれば、それもあえて異議を申上げません。それを一つ……。私はだから理事会決定承認した上でその順序についてなお慎重を期して頂きたい。
  76. 田村文吉

    田村文吉君 今の理事会決定は、ここに参考人に来てもらうということをおきめになつたのじやないかと思います。そこで問題は、同じ聞くならば、多少外交的な慣例もあるのだから、或いは外務省を通ずるとか法務省を通ずるとか何とかいうことで一応行くというようなことも考えられる点があるのじやないかと思う。そこにちよつと食い違いがある。
  77. 上條愛一

    ○上條愛一君 外務省の関さんが食い違いがあるとか何とか言うけれども、これは食い違いがあるかどうかということは、外務省当事者意見を聞いた上でなければそういうことは言えない。第三者がいろいろ言うてみたところが、それは第三者の考えであつて、だから私は若し外務省や法務省を通じて先ず当事者意見を聞くということが順序であるというならば、それは私は反対しません。
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 先ほど吉田田村両君から特に強い御発言がございまして、外務省の関国際協力局次長が当委員会の議事の運営について或る方向ずけるような強い発言をせられたことは好ましくない、こういう御意見表明がありました。私も又これに同感するわけでありまして、この点は一つ関国際協力局次長から何らかの釈明を願つておきたいと思います。(「取消してもらおう」と呼ぶ者あり)
  79. 関守三郎

    説明員関守三郎君) 私の申上げましたことは、初めの私の御説明としては非常に舌足らずでございまして、今お聞きしましても、先ほど阿具根さんのおつしやるには、外国人だからと申されるのでありますが、外国人ということを申上げたのではなくて、外国軍隊構成員であるからそこに問題があるわけであります。それからして先ほど上條委員から申されましたように、施設区域の中であるから、そういうことも、参考人として来てもらうというようなことを申入れる際におきまして関係はないのである、専ら外国軍隊構成員であるからという点に重点があるのであります。そういうふうに私の説明というものが非常に不徹底でありましたように思われますが、私の申上げたことが議事を左右するというようなことは全然考えておりませんので、私が最初に御説明申上げましたときには、これは相当厄介な……厄介というか、慎重を要することであるから、もう少しよく慎重にお取調を願つた上で、私どももはつきりこういう点こういう点はどうしても証人に来てもらう必要があるというようなことを呑み込ませるようにして頂きたい、こういうことを申上げたのであります。議事の進行を左右するがごとき発言をする意思は毛頭なかつたのでありまして、若しそういう結果になつたといたしましたら、その点に関しましてははつきり取消しさして頂きます。(「了承」と呼ぶ者あり)
  80. 吉田法晴

    吉田法晴君 それで実は私は今日の委員会というのはこの前の理事会申合せを確認して五分ぐらいで済むのだと思つていた。そうしたところが進行に関して、委員会の取運びに関して蜿蜒一時間以上だと思うのですが、論議された。甚だ意外に思つておる。例えば参考人を呼ぶ手続、方法等については委員長関係各省で打合せになれば私はいいのだろうと思つておつた。たまたま席上労働省から、この前の報告が多少事実に違つておるから訂正したいということであつた。それはまあ明日聞けばいいことなんですが、今日聞こうということであれば聞いてもかまいません。なおこの治安当局云々ということでありますが、私は問題を労働関係或いは労働関係に関連する問題として聞こうというのであるならばかまいませんけれども警視庁がどういう恰好で来られたのか、それからどういう立場で説明されようとするのか、若し説明されようとするならばその前に委員長から一つ明らかにして頂きたい。
  81. 田畑金光

    田畑金光君 先ほど来いろいろ各委員から意見が述べられておりまするが、田村委員の話も、察するところは当事者を呼ぶについては差支えないのだ、ただその前に一応事実を固めるという意味において聞こうじやないかというような御趣旨に承わつたわけであります。従つてこの際議事の取運び方としては、一応当事者を呼ぶということを確認されて、その上に立つて吉田君からも申されましたが、警視総監も折角おいでつておりまするし、その事情等もよく聞いて話を承わるなら承わる、こういうことで一つ進めて頂きたいと思います。
  82. 田村文吉

    田村文吉君 今何か私はそれを呼ぶことについては異議はないのだというお話でしたが、私はそれを考える前に、一体これは法的に外務省を通じてお話しするとか、こういうことが一体慣例上すべきものであるのか、そういう点がはつきりしないうちにこれを呼ぶとか喚問するとかいうことはちよつとどうかと思うから、先ず一応話を聞きたい、こういう意味であつたところへ、たまたま労働省のほうで今までの報告が若干違つているということであつたから、それはまあお伺いしても結構です。それから又そういう点について外務省側の意見として、それは慣例上先ほどお話がございましたが、一体こういう問題が起つたときに、基地となつているのか、或いは一体労働省としてはこれの取締については今後一体どういう方針を持つておられるのか、そういう点がはつきりしていないというと、どうも万一そういうことをして委員会の権威を損するようなことがあつては困る、私はこう心配するのです。委員会がお呼びするときめて来られないというようなことでは困るのだが、その辺のところを一つ慎重に御審議の上で行きたい、こういう意味ですからどうぞさように御承知を頂きたいと思います。
  83. 田畑金光

    田畑金光君 今の田村委員お話を聞いてまあ感ずることは、そもそも先ほど来関協力局次長の話等がいろいろ釈明しなければならんような発言があつたこと自体に、私はこの問題が余りにも自主的に取扱われていないという傾向が強いと思う。我々といたしましては、先ほど来の関次長の話は、外務省のそれは考え方、一応の態度であつて、率直に言うと、少し卑屈過ぎるのじやないか、こういうような感じを持つわけであります。それは外務省の見方でありましようし、而もその外務省当事者の話でも、手続を踏んで要請することは国際儀礼上においても差支ないだろうというような話もありますし、労働委員会としては、自主的に私は労働政策全般という立場からこの問題を取運ばねばならんと考えているわけであります。従つてこういう施設の中における労働三法の問題がどう取扱われておるかというような問題、それと相関連したまたま争議中にこういう発砲事件が起きたというこの問題、この問題というのは私は非常に重要な影響を持つ事件だと、こう考えているわけであります。而も又労働政策の重要なポイントを握つている問題だと思うのでありますこの問題を一応我々の自主的な判断に基いて労働委員会を動かさなければならん、かように私は考えているわけであります。従いましてそういう点から申上げますならば、先ほど来いろいろ論議がありましたが、事実を認定し、正しい判断を得るためには、やはり当事者を呼んで当事者の言を聴取した上で我々労働委員会としての判断を下さなければならん、かように考えているわけであります。そういう点から申上げました場合に、一応私はこの委員会の態度といたしましては、自主的にこの問題をどう処理して行くのが正しい判断を得るかという観点から眺めた場合には、私はこだわるようでありますが、理事会決定一つ尊重されて、この方針に基いて委員会の運営を進めて頂きたい、かように申上げておるのであります。
  84. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御意見は大体出尽したようでありますから、この辺で一つ結論を付けたいと存じます。問題は皆様方が確認せられておりまするように、この発砲事件の事実を確認いたすためには、発砲者或いは欧打者、その対象になつた人を直接ここに来て意見を、状況を述べて頂くことが一番手取り早いということについては御異議ないようでございますから、それを一つ確認をお願いしたいと思います。そうして而もそれを進めて行きまするまでに、いろいろ国内的にもこの見方に若干違いがあるようであるからして、その点を更にもう一度慎重を期する意味において究明して行きたい。更にその外人を呼ぶ場合の手続等におきましても、国際礼譲或いは慣習を損なわない範囲において考えたい、こういう意見もあつたようでございますが、そういうことをひつくるめまして、今日これから続いてそれを進めて行く、こういうことにいたしたいと思うわけであります。ただ問題は、今日労働省のほうから若干前報告を修正したいという発言の要求もございました。又私が耳にいたしましたことからいたしまして、警視総監の御来席を願つておるわけであります。それに又直接の当事者でありますところの労組の側の私は代表発言も、この前は懇談会で一応陳情を受けるような恰好で伺つたわけでありますが、幸い先ほど約一時間ほど前に、傍聴したいという申入がありまして、前回懇談会発言をされた労組の副委員長前田君が入つておられると思います。従いましてこの方もここで参考人として一つ発言をお聞きするように……、そうしますと今回としては一応当事者、それから事件調査されたほうの側、いわゆる行政府側ともそろうわけでありますから、そこで事の真相をできるだけ詳しく究めたい、こういうことにいたしたいと思いますが、さように御了承頂けますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは決定いたします。それからもう十二時半になりましたので、ここで一時間休憩をいたしまして、午後一時半から再開いたしたいと思います。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後二時十七分開会
  86. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 午前中に引続きまして只今から委員会を再開いたします。  午前中の決定に従いまして、只今から労働省警視庁日鋼赤羽労組の代表者から順次日本製鋼の米軍発砲事件についてその経過を御説明願いたいと思います。只今出席者は、説明員外務省佐伯事務官でありまして、間もなく国際協力局長が来られることになつております。それから労働省中西労政局長山崎労働組合課長、田中警視総監、公安第二課長並木伊平君、日鋼赤羽労組副執行委員前田信義君、賃金対策部長遊馬勇君の諸君であります。それでは山崎労働組合課長発言を求めます。
  87. 山崎五郎

    説明員山崎五郎君) 先ほど労政局長から先日私が説明した日鋼赤羽事件争議状況についての相違点を申上げるようにということであつたのでありますが、先日の説明の明らかに相違しておる点及び補足しておかなければならん点を申上げます。  労使関係並びに労働争議の経過については前回説明いたしました通りでありまして、訂正及び追加するようなところはありません。ただ前回説明以後における交渉経過は大体次のようであります。参考までにこの際説明しておく要があると思いますので説明いたします。  六月十九日、ウエーバー大佐の斡旋によりまして午後三時から六時十五分まで団体交渉が行われたのでありますが、会社側は前回の回答二千四百円を、ストライキを実施したので、その故を以て二千百円に引戻すことを提示いたしました。組合側より二千四百円に還元する意思がないかどうかということを問うたのでありますが、会社側は二千百円を強硬に固執した結果、団交は決裂する状態になりました。同日午後八時、組合は二十二日午後八時までストライキを続行するよう指令を発しました。六月二十二日午前零時三十分より五時三十分まで団交を再開したが、何ら進展を見ずに終了したため、組合側は又四十八時間のストライキの指令を発するに至りました。なお、会社側は二十二日午前六時ロツク・アウトを全面的に解除しております。二十二日米軍から各地区一カ所の門を指定しまして、速かにT・O・Dを入門せしめるように組合に要請があり、本日はT・O・Dの従業員の入門については午前八時までに約一千名入門を終りまして、その後A一、A二、A三、A四の四カ所におのおの一カ所の開門がありまして、この指定された四つの門からT・O・Dの組合員であることを確認しつつ入門せしめまして、本日は午前八時三十分に全員入門を終つております。この赤羽工場でありますが、赤羽工場は五カ所に分れておりまして、現在その対象になつておるのは四カ所であります。門が十八カ所あります。その十八カ所に全部ピケラインが張られておつたのでありまして、先日説明いたしました事件の起きた所は、A司令地区のタイヤゲートの入口で事件が発生したというのを新たに附加えて頂きたいと思います。そのほかに組合側のピケが、私、七、八十名と申しましたが、大体百五十名が五列横隊に列んでいたというふうに御訂正願いたいと思います。それからこの前に米軍軍属の名前を私、キーストンと申上げましたのですが、この名前は本人に確めたのでありませんので、組合側ではサビーノと申しております。なお、今警視庁の資料を見ますとセベノ・ドミニツクとなつておりますが、恐らくサビーノとセベノ・ドミニツクという点からそういうふうに呼称しておるのではないかと思います。それから私申上げました中で、車に乗つていた日本人は女子二、三名と申し上げましたが、男子一名、女子二名と訂正いたします。それから門のところのいざこざのあつた所でありますが、車が門に差しかかつたとき、ピケ隊の一人は車に触れて負傷した。なお門は閉つていたということを私申上げませんでおりましたので、この点を追加します。それから米兵の発砲は、前回私二発と申したようにメモに書いておりますが、これは一発と訂正いたします。それから米兵の名前及び階級は軍曹でありますが、組合側はサビーノという名前を使つておるだけで詳細はわかりません。  以上先般私が申上げましたのに追加及び訂正を申上げておきますが、先日ここで説明したのは、先ほど労政局長が申上げましたように、事件のあつた翌日でありまして、私のほうの調査も手が廻りませんで、下部機構のほうからの報告を主としてまとめて申上げたのでありますが、その点は先日私重ねて申上げたのでありますが、その後この問題につきまして、労使関係の面につきましては、私のほうでこの日本製鋼のみならず、非常に常によく大体知られておるのでありますので、経過並びに団体交渉等の内容につきましても十分察知することができるのでありますが、この事件に関しましては、私のほうで先般申上げたものは、或いは今日補足追加いたした点或いは訂正いたしました点、共に労働組合側と使用者側よりこの問題につきまして調査することを得ませんでしたことを申上げておきます。使用者側と申しましても、当日この事件には使用者側の目撃者はなかつたのでありまして、単に労務課長からこの点を聴取したに過ぎませんので、極く一部入つておるだけであります。その他は大よそ組合の当日ピケにおつた者及び組合の責任者等から聞き、或いはT・O・Dの書記長等からこの問題を聞いたのでありまして、一方の当事者側の米軍の軍属或いはその車に乗用しておつた日本人等につきまして調査することができ得ませんでしたことを重ねて申上げておきます。以上私が先般申上げました説明の補足と訂正、追加をいたします。
  88. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 質疑はあと一括してお願いすることにいたしまして、続いて田中警視総監発言を求めます。
  89. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 只今御指名にあずかりまして去る六月十八日、赤羽四丁目番外地、米軍施設内ブリジストン・タイア会社工場正門内におきまして起りました事件につきまして御報告申上げたいと思います。  なお、事件の概要つきましては、十九日付の書面で皆さんのお手許に印刷して差上げたと存じまするが、これも今組合課長からお話があつたと同様に十九日付で調べておりまするので、若干これと違つた点が後ほど起るかも存じませんが、これは又いずれいま少し事件の顛末が明瞭になりましてから適当なる当局から御報告申上げるのが適当であろうと、こう思つております。従いまして私はこの印刷物につきまして、これに関連して若干敷衍して申上げたいと存じます。  この印刷物を御覧になるとわかるのでございますが、昭和二十八年の六月十六日午前八時からストに入つたのでありまするが、事件の起りましたのは六月十八日の午前一時四十八分頃でございます。当時この赤羽日鋼製作所は、今課長から御説明がありました通りに、十幾つかの門がございまして、この門を通じまして米軍施設内の日鋼製作所或いはブリジストン・タイア、或いは又米軍の兵器本廠と申しまするか、T・O・D、ここに通勤する工員がこの十幾つかの門を通じて現在出勤をいたしております。この門はいずれから入りましても差支えないのでありまして、ブリジストン・タイアの門から或いは日鋼の工員が入つてもこれは差支えないようになつておるようでございます。  そこで当日ブリジストン・タイアの正門前におきまして、図面を御覧になるとわかると思うのでありますが、この正門は大体両開きの扉になつております。幅が三間ぐらいあると思うのですが、その門外に大体三十人ぐらいが一列で五列になつてスクラムを組んで、体をゆすりながらインターを歌つてピケ・ラインを張つてつたのであります。丁度午前七時四十分過ぎにこの米軍のトーキヨー・オーヂナンス・デポート、T・O・Dの製品検査係長のセベノ・ドミニツク軍属がポンチヤツク四十一年型黒塗り自動車を操縦しながらここに入つて来たのであります。同乗しておりましたのが、今女子二人、男子一人というお話でございますが、私どもの調べでは、女子二人男子三人が同乗しておつたと聞いておるのであります。これは又いずれあとで調べた上で正確になると思うのですが、これは丁度軍属セベノ・ドミニツクが通勤の途上に、いずれもT・O・Dの従業員でありまして、徒歩で通勤をいたしておりますので、空車だから乗せてやろうというのでそれに同乗を許して、そうして正門前に来たらしいのであります。そのときに警笛を鳴らしてどいてもらいたいというと、若干口をあけまして、この印刷物にあります通り、図面にあります通り門前の約三フイートか四フイートのところへ車をとめたらしいのであります。そうしておるうちに外部の労組員が或いはガラスを叩き、或いはボデーを叩いて出ろと言つたか何と言つたか知りませんが、とにかく相当叩いたり何かした。操縦者の軍属が出て来たところを相当体をこずき廻したり暴行をしたというように聞いております。そうしてそれを門内におきまして見ておつたメンデローという米軍の軍曹が、このままにしておつてはどういう事態になるかわからないということを心配いたしまして、上空に向けて一発威嚇的な発砲をしたようであります。その際に労組側としましてはこれによつて漸く道を開けまして、更に門内の米軍の係官が来まして門を開きまして、そうしてその車を内に入れたそうであります。そのときに同乗しておりました従業員はいずれももうすでにどこかへか退散していなかつたそうであります。その軍属はその空車を運転してまあ無事中に入つたわけであります。その際に軍属の体に若干二、三カ所軽傷を負い、又車も若干損傷をこうむつたようであります。そこで労組側並びに両方の被害事実につきまして警察側といたしましても直ちに捜査いたしておるのであります。警察といたしましてはこの賃金値上げに伴う今回の赤羽日鋼製作所の労働争議につきましては相当重要視いたしまして、それから附近の約三百メートルほどに法善寺の駐在所がありまして、そこに私服等を配置しまして、何か異変でもあればというのでそこに待機はしておつたのであります。警察官は何か鈍い音がいたしましたので、何かこれは起つたのではないかというので現場に飛んで参りまして、双方にいろいろ会つて事情を聴取したのでありますが、米兵が発砲したという事実だけで、どういう方法で発砲したのか、その場においては十分わかりませんでした。ただ米兵が発砲したということ、一発発砲したのか二発発砲したのかわからないのであります。そこで更に米軍当局のほうに申入れをいたしまして、事実の調査、捜査を申入れいたしたのであります。そこでこの今回の事件につきまして警察当局といたしましては、飽くまで労働争議そのものには絶対に関係はいたしておりません。又労働争議の中に何か不穏な事件、違法事件が起つた場合には警察は関係いたしますが、すべてさような方針で、警察といたしましては労働争議そのものについては何ら干渉せず、又遠廻しに何か違法事件でも起ればというので一応注意はしておつたのであります。たまたまかような事件が起りましたので直ちに捜査を開始いたしたのであります。現在この事件は捜査中でございまして、又発砲した米兵につきましても現在駐留軍の協力の下に検察官が事情を取調べております。従つていずれ追つて真相が明らかになるであろうと考てております。ただ現在までの捜査を通じて見ますると、発砲した米兵について犯罪が成立するものと推測する根拠は乏しいと考えられます。なお、この自動車のボデー並びに軍属の体に若干傷も受けておりまするので、こうした暴行した者に対しての取調べにつきましても現在捜査を進めておるような状況でありまして、なお労組側に被害があつたかどうかということにつきましても、これも警察側としまして中立の立場において今捜査をいたしております。現在何分にも捜査過程中のものでございますので、その内容その他について本席において詳しく私から御報告申上げることのできないのは誠に残念でございますが、いずれ本事件の一切を厳重に十分調査いたしまして、又適当な機会に事件の一切の真相警視庁か或いは法務省か、いずれかの当局から具体的に一つお知らせ申上げる機会があろうかと考えておりますが、現在では只今捜査中でございますので、この点何とぞ一つ了解願います。  私からはこの程度でお許し願いたいと思います。
  90. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に、外務省の伊関協力局長がお見えになりましたから……。実は午前中関協力局の次長においでを願つたわけであります。この日鋼赤羽工場発砲事件について、実は参議院労働委員会委員長理事打合会において米軍の兵隊並びに軍属の方に参考人として当委員会おいで願いまして、実際の実情をお述べを願いたい、こういう決定理事会としてしまして委員会に諮つておつたわけであります。そこで関協力局次長が来られまして、礼譲並びに慣習によつて一つ慎重にせられたい、相成るべくならば文書で一つやられたい、やる前にやはり実情をよく一つ調査をせられたいというような相当強い所信表明がありました。そこで重要なことは、外務省只今入手しておるこの事件に対するいろいろな報告によるといろいろちぐはぐがある、従つてもう少し慎重に調べてもらいたいという意味発言があつたわけでありますが、国際協力局長はどの方面からどういう報告を受けられて、その報告がどういう工合に違つておるのか、この点が一つおわかりでありますならば述べて頂きたい。
  91. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 私のほうが持つております報告は警察から頂いた報告であります。そのどこが違うと次長が申しましたか、私今日連絡いたしておりませんので存じませんが、只今警視総監お話がございましたので、御説明されたと思いますが、私のほうは警察の報告だけに基いております。
  92. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうですか、それでは一応労組の代表の発言が終りましてから、一括して質疑があろうかと思いますが、そのときに一つ……。  それでは日鋼赤羽労組の代表者、副委員長前田信義君。
  93. 前田信義

    参考人前田信義君) 御説明いたします。  私たちは五月の三日の日に闘争に入りましてから丁度今月の十六日まで交渉して参りましたが、この間におきまして交渉はこれ以上進展しないという段階に到達いたしましたので、十六日の午後八時より七十二時間ストライキに突入したわけでございます。そうしましてこの事件が起きましたのは十八日の日の朝でございます。朝の七時五十分頃に起きたわけでございます。私たち日本製鋼は一地区、二地区、三地区、四地区というふうに四地域に分れて作業をしております。で、たまたま事件が起りました地域は第三地域でございまして、ここにはブリジストン・タイアの従業員並びにT・O・Dの従業員それから日本製鋼の従業員と三者が同一基地内において働いておるわけでございます。たまたまこの日の朝、約百名ちよつとの人員を以ちまして私たちがピケツトを張つておつたわけでございます。そうしますると、表から門に向いまして右側のほうから黒塗りの自動車が一台走つて参りました。そうして急カーブを切ると同時にこのピケの中に突込んで、そうとて門前五メートルくらいの所で一旦停車したわけでございます。このときにピケ隊員が余り急カーブで急に参りましたためにたまたま除けそこねて車にはねられ、そしてそのはずみに膝を捻挫して怪我をするという者が出たわけでございます。ピケ隊員はそのときに怒りまして、車に寄つて行きまして車をゆすつたり或いは又扉を多少叩きました。そうして中を見ましたところが、中にT・O・Dの従業員、つまり運転手は米軍の軍属でございましたが、日本人の従業員が乗つておつたわけであります。そうして尋ねましたところがT・O・Dの従業員である。私たちに協力してくれるために降りてほしい、下車を要求したわけでございます。そうしまして車をゆすつておりましたところが、その軍属が急にエンジンをとてつもなく動かしまして、さも車が動くぞといわんばかりにエンジンをかけたわけでございます。そうしてエンジンをかけてその車をぐつと前に出したために、門にどんと突き当つてしまつた。そうして門に突き当り、そういたしますと、今度中からその軍属が降りて参りまして、そうして車をゆすつたり蹴とばしたり叩いたりしましたので、ぐるつと後に来たきに、たまたま後におりましたところの柴田という者に対して暴行を働いたわけであります。殴つたわけであります。それから又そのまま右側のほうに廻つて参りまして、そこにおりました沖という、これも私たちと同じピケ隊員に対してここでも殴つたり暴行を働いた。で、その間に車の中に乗つておりましたところの従業員が降りたわけでございます。この従業員につきましては、そこにおりましたピケ隊員の中でも、多少混乱したときでありましたので報告がまちまちでございまするが、女の子が二人乗つていたということは、これは間違いのない事実でございますが、男の人が三人乗つていたという証言する者もございますが、一人くらいだつたのじやないかというふうに証言する者もございます。その点は女の子のほうは間違いございませんが、男子のほうにつきましては多少そこの点に食い違いがございます。そうしてそのときに軍属が沖という私たちのピケ隊員を殴つておりますときに、中から出て来たのか、それとも車の中に乗つていたのが降りたのか、二人の日本人がこれをとめたわけであります。一人は腕を押えて、一人は胸ぐらを取るようにしてやめろやめろというふうに押えたのであります。あとときたまたま門の中に見ておりましたところの軍曹の兵隊が、約四十五度くらいに向けまして一発放つたわけであります。そうしてそれと共に横にありますところの、門に向つて右側にございますところの通用門からその兵隊が出て参りまして、そうして銃口を擬しながら門を開いて車を中に入れたわけであります。そのとき門の前は丁度高い土手になつておりまして、この土手の上にたまたまうちの一従業員が乗つて見ておりまして、写真機を持つておりましたために、このときの現場の写真をとつておるわけです。これは只今現場の写真としてここに持つております、この写真をとりましたときの状況は、丁度鉄砲をピケ隊員に向けまして門の外に出て来て、そうしてピケ隊員に銃口を擬しているという状況のところをとつた写真であります。そうしてそのまま銃口を擬しながらおどかしながら中に入つたというのが大体事件状況でございます。
  94. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 以上で一応各政府側並びに労組側の発言が終りましたので、御質疑を願います。
  95. 吉田法晴

    吉田法晴君 三人からお話がありましたが、同じようなことを労働省それから警視総監に聞きたいのですが、山崎さんに伺いたいのですが、使用者の側からは労務課長だけしか来てなかつた、それも労務課長もその現場におつたのではない、目撃者じやない、こういうお話でしたが、そこでこの前の御発言と、それから今日の御訂正になつたのは誰によつて訂正になつたのか、その点を山崎さんにちよつと聞きたい。
  96. 山崎五郎

    説明員山崎五郎君) 前回の報告は東京都の労働局からとつた報告であります。恐らく東京都の所轄の労政事務所からの報告だと思います。今申上げました訂正及び補足の点につきましては、これは昨日私のほうの課員、労政局の事務官五名と東京都の労働局の職員、合せて四名が現地に行きまして、労働組合の幹部並びに当日ピケを張つておつた者並びにT・O・Dの書記長、それから会社幹部と実はよく事情を聴取するためにお会いしたかつたのでありますが、夜分になりましてなかなか連絡等が困難でありまして、労務課長一人だけから聴取したような関係上、余りそれが全部会社の意向とは申し切れない点もありますが、当面の労務担当の課長でもありますし、それから課長の言によれば、私のほうでは目撃者がおらなかつたという点で、これ以上調査することは困難ではなかろうか、現在のところでは困難ではなかろうかと思つて一応報告をまとめて見たのであります。
  97. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、第一点が労働局の職員、これは恐らく労政事務所からだろうと、こういうことですが、労政事務所の職員は、これは労働争議でございますから、平生から、近くで事情を聴取或いは調査しておられたと思います。職員の中では一番近くにおられたのではないかと思うのですが、それからまあ今までの事情等も一番よくわかつておつたと私どもは想像するのですが、或いはその現場におられたのかどうか、それからもう一つT・O・Dの書記長云々というお話でございますが、これも一番近い所におつたはずだと思うのですが、その辺の関係若しわかりましたら……。
  98. 山崎五郎

    説明員山崎五郎君) 労政事務所の職員から聞いております報告は、前回私申上げたのが殆んどでありますが、その報告と昨日私のほうで調査いたしました報告とは実は余り差異が先ほど申上げましたようにないので、恐らくこの報告は、労働組合或いは経営者側の労務課長、課員等、私のほうで実情を聴取した範囲と余り変らないのではないかと考えます。それからT・O・Dの書記長に主として私のほうでお尋ねしたのはT・O・Dの入門状況、こういうような点を聞いたのであります。これは十七日或いは十八日にピケのために入るのに困難であつた。十七日は特に組合側のストライキの命令が徹底しておらなかつた点もあるようでありまして、そういうような点から入門が困難であつた。ピケの問題等々から見まして特にT・O・Dの書記長からこの点を聞いたのであります。
  99. 吉田法晴

    吉田法晴君 警視総監に二、三聞きたいのですが、一つ警視庁報告はどういうところからお取りになつたのか、報告の中に、現場におつたわけではないので、鈍い音がしたから行つたところが発砲がなされたということ以外は十分わからなかつた、こういうお言葉もあつたわけですが、そこでどういう筋から調査されたのか、それが一つ。  それからもう一つは、発砲或いは暴行ということで、捜査中というお話でございましたが、調査の目標と申しますか、一犯罪事実があつたものとして調査されたのか、労働争議には関与しなかつた云々というお話でございますから、発砲なり或いは暴行というものを一応犯罪の対象になれるかどうかということで調査したのか、こういう点も考えられる。  それからもう一つ米軍側については直接ではないかも知れませんが、ボデーがどうしたとか或いは暴行をした云々ということについて調査をなされておるようでありますが、労働組合の被害については全然調査がなされておらん、或いは捜査はなされておらんように思うのですが、どういう観点から捜査をされたのか、その点を先ず伺いたいと思います。  それからもう一つ、これは文書にして国際協力局は警視総監報告を聴取しただけだというお話でありますが、そういう犯罪捜査面からの調査警視庁が各方面に調査の結果を報告されたのか、どういう観点から報告をされたのか、その点を一つ聞きたいと思います。
  100. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) お答え申上げます。冒頭に私からもお断り申上げましたごとくに、この文書の報告書は日付が十九日になつておると思います。これは十九日の午前中に作つた報告書でありまして、これは現場に参りました警察官が、労組側の言い分も聞き、それから現場におりました駐留軍の警備の人たちにも取りあえず状況を聞きました。その上で一応事件の概要と申しまするか、それを報告書として作り上げたのであります。従つて問題は駐留軍施設内に起つた問題でありまするので、事件の概要だけを取りあえず関係の法務省であるとか或いは外務省、そういう方面に一応速報的に報告をする必要もございまするので、さようなことから外務省にも一応概要だけを報告いたしたのであります。このことはひとりこの事件のみならず、従来駐留軍なり外国関係事件としていろいろのものが国内にも起つておりますが、それが将来国際の紛争問題等に発展する虞れもありますが、かような場合におきましては取りあえず法務省なり外務省に常に連絡をすることがこれが慣習になつておりますので、今回もその先例に従いまして一応概要だけの連絡をいたしたのであります。  それから第二の点ですが、犯罪事実を予定の下に捜査しておるかということでありますが、捜査当局といたしましては、大体二つの点を重点に置いておるのであります。一つはその門外に起りまして、労組員がどういうことをしたか、それから又その軍属が労組員に対してどういうことをしたかという門外に起つた事件、それから一つは、米兵が威嚇発砲をしたということであるが、その威嚇発砲をした状況はどうであるかというこの二つの問題に重点を置きまして捜査を進めたのであります。  それからこの労務者側の負傷者を調査したかどうかという御質問でありますが、この事件の概要を作りましたときは、十九日でありまして、その当時労務者側にも負傷者があるならばというので、そのピケ・ラインを張つておつた連中にも一々当つたのでありますが、その当日におきましては、ここに書いてございます通り見当らなかつたのであります。その後警察側といたしましても、若し負傷した者があれば直ちに申出ろということで、労組側にもそのことをお話いたしまして、現在もその点について捜査を進めておる次第でございます。  大体以上のお答えで足りるかと思うのでありますが、若し漏れましたら又お答えいたします。
  101. 寺本廣作

    寺本広作君 組合長さんにちよつとお聞きしたいと思いますが、よろしうございますか。或いは直接御関係のない部分が私のお尋ねのうちに入るかも知れませんが、その点は御関係のない分は、御承知なければお答え頂かなくて結構でございます。  先ほどの御証言を伺つておりますと、そのピケツト・ラインが張つてあつた門は、ブリジストン・タイアとT・O・Dと日本製鋼と、三つの経営者といいますか、に使われておる労働者が入つておるということを伺いましたが、ブリジストンとT・O・Dはこのストライキには参加していないのでございましようね。
  102. 前田信義

    参考人前田信義君) ブリジストン、T・O・Dではストライキには参加しておりません。
  103. 寺本廣作

    寺本広作君 いない、それからもう一つ伺いたいのは、このピケツト・ラインを張つておつた参加者にはブリジストン、T・O・Dの人は入つていないのですか。
  104. 前田信義

    参考人前田信義君) ピケツトの中にはT・O・D、ブリジストン・タイアの従業員は入つておりません。
  105. 寺本廣作

    寺本広作君 ピケツト・ラインを張つておられた目的はどういうことですか。
  106. 前田信義

    参考人前田信義君) ピケツト。ラインは、これは当然、法にも謳つてあります通りにこれは合法的にやつております。これは第一の目的は、先ずT・O・D並びにブリジストンの従業員との識別、私のところの組合員との識別が、これが第一であります。それからその次に確認いたしまして、そうして私たちのストを効果的ならしめるために協力を求めるというためにビケツトを張つております。
  107. 寺本廣作

    寺本広作君 それでは伺いますが、T・O・Dとブリジストンの職員は識別をして、日本製鋼の従業員でないということであれば通される予定のものだつたのでございましようね。
  108. 前田信義

    参考人前田信義君) 無論その通りでございます。で、当然私たちは協力を求めるだけでございますので、これは精神的に又肉体的に圧迫を加えて通さないという性質のものではございません。本人の意思に基いてどうしても通ると言えば、これは通すわけでございます。
  109. 寺本廣作

    寺本広作君 この場合には、その説得に訴える暇がないほど事件が切迫して起つたわけですか。車から降りて説得されたのか、そこいらのところを……。
  110. 前田信義

    参考人前田信義君) これは当然車から降りまして、そうして皆やつております。適しております。当然このときもこの乗つておりますT・O・Dの従業員にも降りてくれ、そうして私たちに協力してくれというように申入れたわけであります。ですから降りることを求めたわけであります。
  111. 寺本廣作

    寺本広作君 それではお尋ねしますが、威赫発砲がなくてもこれは通される人間だつたのですね。
  112. 前田信義

    参考人前田信義君) その通りでございます。
  113. 田畑金光

    田畑金光君 ちよつと外務省の国際協力局長にお尋ねしたいのですが、これに米軍施設と明確にこの報告書には謳われておりますが、これは何でありますか、日米行政協定に基くいわゆる合同委員会等で、相互に取極になつ施設、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  114. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) その通りでございます。取極めております。
  115. 田畑金光

    田畑金光君 それから外務省としましては、午前中関次長がおいでになりまして、外務省のほうで調査した資料に基けば云々というようなお話がございましたが、先ほど局長お話によりますると、外務省警視庁報告を受けて、それをそのままこちらに来て報告されたように聞いたのでありますが、独自の調査はしておらないのですか。
  116. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) しておりません。しておらないそうであります。
  117. 田畑金光

    田畑金光君 それでは一つ今度は警視総監にお尋ねしたいのですが、先ほど警視総監は、目下この事件については捜査進行中だ、こういうように御説明になつたのであります。ところがこちらに出されました報告は十九日の報告ですね。本日は二十三日です。こちらへ報告なされるのに、なぜ事件直後の十九日のものしか報告されなかつたのか、この十九日、二十日以降は捜査は中止されておるのか、或いはそれとも継続されておるか、それに基いて、新らしい資料に基く、この報告とは内容等において更に違つたものを当局としては捜査されておるのかどうか、この点について先ずお尋ねしたいと思います。
  118. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 十八日に事件が起りまして、取りあえず今お手許に差上げました事件の概要だけを作つたわけであります。その後労組側並びに米軍関係者につきまして、只今捜査中でございまして、検察当局も出まして捜査中でございます。従いまして今中間的にこれを御報告申上げるまでにまだまとまつておりませんので、いずれ捜査が完了いたしましたら又御報告申上げることができるだろうと考えております。
  119. 田畑金光

    田畑金光君 まあ仮に十九日の報告のみを見ましても、先ほど労働組合の責任者の報告と大分警視庁報告とは内容においても相違があるわけであります。これは警視庁としましては、報告は飽くまでも公正な事実の究明という立場に立つて、各関係者を公平に捜査を進められておるのかどうか、この点について承わりたいと思います。
  120. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 本件の捜査につきましては、只今東京地方検察庁の指揮の下に現在警視庁といたしましては捜査を進めております。従つて警察当局といたしましては飽くまでも厳正中立の立場に立ちまして、双方を十分捜査し調査を進めておる次第であります。
  121. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、そのような公正な立場に立つて現在捜査が進行中である、すでに第一回の報告から三日も経過しておりまするが、新らしい報告書というものはいつ頃呈示できるか、これについて警視総監としていろいろ毎日報告を受けておると思いますので、見通しについて承わりたいと思います。
  122. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) いつまでに御報告申上げるかということは、ここで確言を申上げることは非常に困難でございますが、私どもとしましては、成るべく早くこうした事件を解決いたしたいというので、実は本日も多数の人々につきまして現在捜査を進めておるような状況であります。できるだけ早く一つ事件を解決すべく努力いたしておる次第であります。
  123. 田畑金光

    田畑金光君 報告書によりますると、例えば身体に軽傷が加えられたと具体的に挙げられておりまするが、或いは自動車の車体に損傷等があつたと、これは何か物的な証拠等も警視庁としては取られておるかどうか、この点について。
  124. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 自動車の損傷とかそうしたものにつきましては現実に写真をとりまして、又実地検証もいたしまして、現在証拠物件を確保いたしております。
  125. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今のにちよつと関連して私お尋ねしますが、自動車の損害は十九日の報告によりますと、「右側ドアのガラス二枚、左側ドアのガラス一枚に割れきずが入つたほかフエンダー及びナンバー・プレートにへこみがついた。損害約三千六百六十円くらい、十ドル」、こうなつておりますが、これについて前田君のほうはどういう工合に考えておられるか伺いたい。
  126. 前田信義

    参考人前田信義君) 先ほど申上げましたように、車が入つて参りましたときた車をゆすぶつたり、ドアを叩いて、併し窓ガラスが割れるような措置はとらない、窓ガラスを割るほども叩いていない、又ナンバー・プレートにつきましては、私のほうとしまして、その当日もなおその翌日も種々調べましたが、ナンバー・プレートにつきましては手をかけた者は誰もいない、で曲つていたとかどうかと言われても何とも言えない、気が付かなかつたというふうに皆が言つております。でナンバー・プレートについては何とも申上げられません。
  127. 田畑金光

    田畑金光君 関連して……。そうしますと、私労働組合前田委員長にお尋ねしますが、自動車の車体に、ガラスにひびが入つたということは、先ほどの報告によりますると、急停車した、急カーブを切つた、こういうようなことが報告にありましたが、そのときの急カーブ、或いは急停車したというようなことによつてひびが入つたというようなことも想像されるのですが、そのような点についてどう考えますか。
  128. 前田信義

    参考人前田信義君) その当時の人にいろいろ聞いてみますが、左側には傷がたしか入つていたのではないか、併し右側は入つていなかつたのではないかと思う。でピケ隊員としては、これをそんな割れるような衝撃は全然与えていない、車をゆすつたことは事実であるというふうには言つております。
  129. 田畑金光

    田畑金光君 警視総監にお尋ねしますが、この「アロハシヤツの上から二及び三個目のボタン二個をもぎとられていた。」というこの報告も、何か写真等を実際にとつておられるのかどうか。  更にこれに関連して前田委員長にお尋ねしますが、こういうような事実についての、組合側としてこの辺の真相についてどう見るか、お尋ねしたいと思います。
  130. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 今のアロハシヤツのボタンが二つ取れておつたということは、これは進駐軍の人の話並びに現実にそのアロハシヤツのボタンの取れたものが、現在多分検察庁のほうにそのまま領置されておるものと私は考えております。さような点からそういう報告があつたと思うのであります。  それから今窓ガラスが割れておつたか、或いは割れていなかつたかということにつきましては、これはお互いが事実現場に私もおりませんし、ここにおられる前田さんもおつたかどうか存じませんが、これは結局お互いの見解の相違と申しまするか、恐らく現場におつた労組員といえども私はこうこういたしませんというのが、これが私は全部の意見だろうと思いますが、これを事実に果してそういう暴行があつたかどうかということは、これを今検察庁なり警視庁側で捜査をいたしておりますので、その捜査が終りましたならば、事実が全部判明するだろうと、かように考えておりますので、一つそれまでお待ちを願いたい、こう思つております。
  131. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと警視総監も二及び三個目のボタンがもぎ取られていたかどうかということは、ただ報告を受けただけで、まだ現物を見たとか写真を見たとか、こういうことは確めてないのだということなんですね。
  132. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 一々私がアロハシヤツを見たわけでもございませんから、その報告によつて私がお答えをしているだけでございますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  133. 阿具根登

    ○阿具根登君 委員長ちよつと最初にお尋ねします。今委員長は何か自動車の損害で金額が云々と言われましたが、そういう資料が委員長のところにあれば私らのところにも廻してもらいたいと私は思うのですが、全部私読んでしまつておらないが、あつたら一つ我々のほうにも廻してもらいたい、委員長のところだけに我々の知らん資料があるのはおかしい、そういうことを一つお願いします。  それから組合のほうにお尋ねしますが、組合警視庁の言われることと非常に違つておることは、今田畑君が言つた通りですが、組合のこのお二方のうちでその現場におられた方がおられるのですか。
  134. 前田信義

    参考人前田信義君) ここにはその起つたときにはおつた者はおりません。
  135. 阿具根登

    ○阿具根登君 警視総監のほうにちよつとお尋ねいたしますが、十八日のその直後に組合員に対しても被害の状況を語られたということを聞いておりますが、組合のほうからはその翌日に医師の診断書が出されておるようでありますので、恐らくこれを見てみますと、組合のほうからは自動車が急カーブを取つたために自動車にはねられてすでに負傷者が出ておる、こういうことが言われておるのですね。それで警視総監のこの報告では、自動車のことは書いてなくて、自動車がとまつたところが、車内に日本人がおつたために組合員が自動車を叩いた。全くどうしても私たちには判断のつかないような違つた報告なつておるわけでございますね。その当時それは警視総監はそこにおられないからそれは無理でしようけれども、何しろ余りにも食い違つた検察庁の報告のように考えますが、これは組合のどういうところに当つてお調べになつたのでしようか。
  136. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 今お手許に差上げました報告は、多分その正門におりました。ピケ・ラインを張つておつた労務者に対して、これは一応現場における実情調査意味で当つたものと考えております。で、今はそうでなくして、司法警察官としていわゆる当然捜査権に基いて現在捜査をいたしておりますので、従いまして今お話の労組側に負傷があつたということも、只今検察庁なり警視庁におきまして捜査権に基いて捜査いたしておりまするから、このことがやがて判明すると考えておりますので、従いまして今ここで、じや誰を調べておるかということは、捜査の過程でございますので、その点はちよつと申上げかねまするが、暫らく一つ猶予を願いたい、かようにお願いする次第でございます。
  137. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 ちよつと警視総監に伺いますが、この十九日の御報告は速報的な意味で出された。その後捜査を進めている。従つて正確なものはいずれ日ならずしてできるだろう、こういうお話ですが、これを何の考えなしに拝見しますと、如何にも日本の、日鋼労働組合が非常に乱暴を働いて、アメリカ側は単に鉄砲を空に向けて射つたというだけが少し不法ではないかというような印象を与えるような報告のし振りなんです。あなたは警察官としては厳正な立場において、不法のあつた場合にはこれに関与するのだ、こういうお話なんですが、どうもこの報告書はそういうふうな印象を読む人に与えないと存じますが、この点について警視総監としてはこの報告書が厳正な立場で一応速報的な意味で書かれたのだと、こういう工合にお考えですか、それをちよつと。
  138. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) その報告はいわゆる速報的なものでありまして、警察官として双方側から事実を聴取いたしまして、そのことをありのままにそのままそこに記載いたしたわけでありまして、労組側に不利であるとか或いは駐留軍側に有利にやつたとかそういつた意図もなくして、そのまま、事実をそのまま記載したものと私は考えております。
  139. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 それから先ほどのお話で、その発砲の事実に関連して犯罪の成立する事実はどうも乏しいのではないかというお話があつたように私は承わつたのでございますが。若しそうでなかつたら私は取消しますがね。どうです、この発砲の事実が犯罪の成立する見込が非常に乏しいという、こういうことについてもう一度その根拠を承わりたいと思います。
  140. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) この点は只今慎重に警視庁並びに検察庁におきまして一応事実その他につきまして詳細に具体的に調査もし、調査も進めておりますので、今ここで犯罪になるとかならんとかいうことは確言は申上げかねるのでありまするが、ただ客観的なあのときの状態をいろいろ考えますと、犯罪としてこれを成立させる根拠にやや乏しいのじやないかということを率直に申上げただけであります。或いはこれが犯罪になるかも知らんし或いはならんかも知れない、その点は私どもとしまして確言をここで申上げることはできないと思う。ただ一応見通しとしてそういうことになるのじやないかということを申上げたに過ぎないのであります。
  141. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと関連しまして、今の発砲の事件についての合法性の問題でありますが、中西労政局長ちよつとお尋ねいたしますが、昨日の衆議院労働委員会懇談会において山花秀雄君か熊本虎三君のどちらからか知りませんけれども質問についてあなたが見解表明されたというのが昨晩の読売の夕刊に「米兵発砲、行過ぎ」という見出しで出しおりまして、その局長説明は、「米兵発砲事件についてはこれまでの報告を見ると米兵の発砲は緊急避難的なものではないと思われる。積極的に威嚇したように感じられ行き過ぎがあつたように思う」、こういうような、あと現場の調査を更にやりたいというふうに書いてございますが、これはかような見解を持つておいでなつたかどうかということを伺いたいのであります。実は衆議院委員諸君に直接伺つておりませんので、よくわかりませんから一つお尋ねいたします。
  142. 中西実

    政府委員中西実君) あれは懇談会の席上でございまして、この前のこの委員会山崎課長から報告いたしました、あの報告から受けますると、よく調べなければわからないし、一体ピケもどの程度に張られておつたか、或いは又入つて来た米側がどういう用件で来たか、その場の事情がどうあつたかを十分詳しく調べなければわかりませんが、見ただけの印象では、いわゆるあの緊急避難、つまり生命身体が非常に脅かされてそれでそれを避けるためとかいうような感じは非常に薄いというようなことを申上げました。併しそれは一般の場合に、大体先ほど丁度警視総監が犯罪になる事実が乏しいのじやないかというふうにおつしやいました、それと同じような程度でそう今感じがした。併しこの点は更に十分その場の事実について調べなければよくわからない。こういう相当前後に修飾はついておつたのでございますけれども新聞といたしましては結論的なことが拡大されておつた、こういうことでございます。
  143. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 もう一度警視総監に伺いたいのですが、あなたのお話によりますと、検察庁や警察官がなおその後厳正に調べておられる。併し自分個人としては、犯罪の成立する事実は極めて薄いのじやないかということを断定されるのは非常に不謹慎じやないかと思う。厳正な立場をとつて、そうして事実を糾明した上で犯罪になるかならんかは、これは自分としてはわからんというお話なら別ですよ。ところが見通しとしては、犯罪の成立する見込が極めて薄いというお話は、警視総監としての立場にいてそれをおつしやつてかまわんのですか。ちよつとお伺いしたい。
  144. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 私は客観情勢、客観事実を見まして、そうしてあの場合の状況、そういう点を観察いたしまして、犯罪の成立ということが、基礎が乏しいというように私として申上げたのであります。
  145. 堀眞琴

    ○堀眞琴君  それは警視総監としてお話になるわけですね。
  146. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) そういうわけであります。従いましてあの事実の調査がその後進みまして、それがどうなりますか、今までのこの調査書の報告の内容につきまして見た範囲におきましては、又我々の部下から聴取したことだけを考えますと、直ちに犯罪になるかどうかということは疑問があるということを申上げたのであります。
  147. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私はそう申しては大変失礼かも知れませんが、甚だあなたのお言葉は不謹慎だと思うのです。検察庁では恐らく十分この問題について事実を究明されると思う。ところがあなたはまだ十分に事実を糾明されないのに、当時の客観的な情勢から見て、これは犯罪になる見込が薄いというようなことを断定されるのは、私は警視総監としての立場においてもどうかと思うのです。これは公けの席上ですから私は特にこれを言うのです。これが若し個人との間の話でそういうお考えを述べられるなら、私はそうかと思う、それはそれでいいと思いますけれども、併し公けの席上において、まだ十分に事実も究明されないのに、あのときの客観情勢から判断して犯罪になる見込が薄いということをあなたの口からおつしやるのは甚だ重大なことだと思う。
  148. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 私は犯罪になる基礎が乏しいように思われるというふうに申上げたのでございます。犯罪にならんとは申上げていないはずでありますから、その点一つ了承願いたいと思う。
  149. 吉田法晴

    吉田法晴君 協力局長、成るべく早目にというお話もあるようですからお伺いしたいと思いますが、その前に警視総監に伺いますが、十九日の現場での調査では、労働組合員に被害の事実が見当らないとそのとき聞いたと、まあこういうお話でありますが、併し一昨日でしたか、一昨々日でしたか、委員会で伺いましたときにも、組合の人たちからすぐに殴られた云々という話が出たのであります。その後調査中ではございますけれども、私は公平に双方の被害或いは事件によつて起つた問題をお調べになればすぐ出て来るのだと思います。それがこの報告書で、速報で出ました以上に何も出て来ないというのは、これは私どもには納得いたしがたいのでありますが、今までの調査で、十九日の現場のときには、或いはそこにおりました一、二の組合員に聞かれたかどうか知りませんが、その後組合員について調査されたかどうか承わりたいと思います。
  150. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) その報告書を作りました当時は、警察側も積極的に労組側に被害があつたかどうかについて一応調べたわけであります。その際何ら申出もございませんので、警察側としてはなお更に捜査を進めるというので、先ほど申しましたように労組側の被害事実等につきまして只今捜査をいたしておる次第でございます。ただどういう程度であるかということはまだ判明いたしておりません。これは事実調査が終りますれば判明すると思います。
  151. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今の、十九日の調査では被害がなかつたというふうにおつしやつておるのですが、十九日の警視庁のレポートについておる地図ですね。これにはここに被害者として二人、こう指摘しておりますね。これと私は本文と合わないものだから非常に不思議に思つておるんだが、どういうものですか、絵のほうが真実ですか、文章はあとで作つたんじやないですか。或いはその逆なのか。
  152. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) この被害者というのは、多分同乗しておつた者が外へ出まして、そこで何か吊し上に会つたということを聞いておるのですが、その意味じやないかと思うのです。
  153. 吉田法晴

    吉田法晴君 それは十九日以降警視庁においては組合員或いは日本人について自動車に乗つておつた者については大分御配慮になつておるようですが、その他の日本人については被害はなかつたという工合に聞いておるのですが、それとも今のところまだそういう被害を受けた事実は聞いておらんと、こういうことを言われるのか、何も聞いておらんというのですか。
  154. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 私の聞いた範囲におきましては、先ほど男子の従業員が一名、女子二名というふうに報告があつたと思うのですが、我々のほうの調べにおきましては、男子従業員が三名、それから女子従業員が二名というふうに聞いておるようなわけであります。そしてその五人の者が外へ出まして、そして残りの男子三人はいずれかへ姿を隠したわけでありますが、女子二人が現場に残されまして、そして相当吊し上げに会つて、ついに女子二名は泣き出したそうであります。そうして泣き出したために、じや入れろというので何でも入れたということを聞いておるのでありますが、これはまだ私も聞いただけのことでありますから、これはしかとした事実は申上げられないと思います。従つて女子二名が泣き出したために工場内に入ることができた、その被害者というのは或いはこの女子であるかも知れん、こういうふうに申上げたのであります。
  155. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その被害者はこの絵から見るとこれはピケ隊員ですよ。きれいに列べて書いてあるが、これはちよつと私非常におかしいと思います。
  156. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 私より並木課長から更に詳しく御説明させて頂きたいと思います。
  157. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと警視総監にお願いしておきますが、警視総監が作られた速報版は、一応私どもは拝見して直観した感じというものはこれでわかるわけです。ところが労組側のほうからやはり同じような報告書を今日配つておりますが、それを一つ御覧になつて、両方列べてあなたの所信一つ最後にお関かせ願つて置きたいと思います。労組側のほうの発砲事件に対する調書ですね、これについての……。
  158. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 後ほど又見まして意見を述べます。
  159. 並木伊平

    参考人(並木伊平君) お答えいたします。この図面のピケ隊の中に二名被害者が当時あつたと、こういうことでありましたが、調べて見ましたところが、これはたしか山尾というピケ隊員であつたかと思いますが、私は殴られなかつたということを言つております。従つてほかに殴られた者があるかということを調査をしましたのですが、誰も殴られた者は今のところ申出がなかつたわけであります。ただ当時殴られた者が二人あつたということがありましたので、これを図面にただ被害者が二人のところに、被害者の図面を書いたに過ぎないわけでありまして、この問題については今調査中でございまして、労組側のほうで確かに殴られたということが、申出があれば、更にこの点は糾明することになつております。そういうことであります。
  160. 吉田法晴

    吉田法晴君 私の質問だけ早く終りたいと思うのですが、今山尾何某という、殴られたという話があつて一応書いた、こういうお話ですが、警視総監の答弁は私の質問に答えてなかつたのです。車に乗つておつた者、或いは軍人、軍属の被害については調査されたけれども、そのほかの労働組合員なり日本人については被害を調査されなかつたか、こういう点をお尋ねをしたのであります。答弁は今課長から伺つたのですが、この報告書、それからその後の補足説明を聞いておりますと、或いは国際紛争になる虞れがあるからという点から調査をされ或いは速報を出されたりいたしておりますが、警察活動は私が申上げるまでもございませんけれども、国民の生命、身体或いは財産を保護し、そういう観点から警察活動がなされるのだと思うのですが、報告書なり或いはこの説明を聞いておりますと、米軍施設或いは米軍の軍人、軍属、或いはそれと同乗をしました者についての被害の調査その他はなされておりまするけれども、その他の点については殆んど調査をしなかつたのじやないか、或いは少くとも怠つたように考えられるのでありますが、警視庁はどういう観点からこの問題について調査を進められておるのか。施設或いは軍人、軍属を守るためにだけ調査をされておるのか、それとももつと日本国民の警察として自治体警察の本旨から国民の身体、生命或いは利害について保護するために調査しておられるのか、その点を一応伺いたいと思います。
  161. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 先ほど私がお答えする前に申上げたこの被害者の点は、今並木課長から説明がございましたので訂正さして頂きたいと思います。  それから今の労組側の負傷者について調査を怠つておるじやないか、軍人、軍属をかばうために警察がやつておるのじやないかというようなお言葉でございまするが、警察といたしましては、いやしくも犯罪が発生したならば、たとえそれが如何なる国籍であろうが、そうしたことは全然考慮いたしません。必らず犯罪捜査をいたしまして、そうしてその犯罪を敢行した者を適当なる手続によつてこれを阻止するというのが、警察の目的でございまして、ただ先ほども並木課長から説明いたしましたごとくに、この騒擾事件が起りました際に、警察側としましても、常に双方の被害調査というものはやつておるわけであります。そうして労組側に対しましても被害はなかつたかということを一応尋ねたわけでありますが、最初二人あつたという話で、それも又途中で何だかなくなつたというようなことで、併しながら一応警察側としましても捜査の過程におきまして、労組側の被害状況も当然これは調査しなければならんことになつておりますので、只今調査しているだろうと思います。幸いに今ここに労働組合側からの書類を頂きますると、ここにはつきりと渡辺正雄君と沖輝二君の二人の診断書がここに添付されておりますので、これにつきまして更に又一遍よく調査してみたいと思います。
  162. 吉田法晴

    吉田法晴君 犯罪を目懸けて捜査をするということですが、問題は、労働問題については介入するつもりはないと言われますけれども、別に警視庁の予備隊なり何なりも疑われた点もあるようですし、この点は多少従来の警視総監の行き方について異議はありますが、併しこの問題をめぐりましても、公正な活動がなされなければならんのに、見ておりますと、米軍側の被害なり或いはそれを中心にした犯罪捜査と、こういう動きが感ぜられますので、その点について御注意とそれから質問を申上げたいのですが、今の御答弁の中に騒擾云々ということがございましたが、これだけの事件を、これだけといいますか、たつたこれだけの事件を騒擾罪ということで御捜査になつているのですが、その点今の御答弁に追加して御答弁願いたいと思います。
  163. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 私の申上げましたのは、騒擾罪とか、そういう意味で言つたわけではないのでありまして、要するに紛争という意味で申上げておるのでありまして、今の言葉の言い廻しが悪ければそれを訂正さして頂きます。
  164. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点はもう少し公平に……。それから警察活動の本来の目的は、国民の生命、身体、財産、国民の権利義務、幸福の保護の点から活動なさるべきもあると思います。片寄つた活動をなさらないことを希望いたしまして、警視総監には質問を終ります。  一つ協力局長ちよつとお尋ねをしたいのですが、協力局長は、警視庁からの報告だけを聞いておる、こういうお話でございましたが、問題の本質から考えますと、問題は労働争議、それからそれに関連して起つた問題だと思う。どうしてもう少し事態を公正に、或いは労働者なり何なりから聞くという態度をとられないのか、いつもそういう警察だけからの調書で判断をされるのか、これをお尋ねしたい。先ほど関次長は、私どもの聞いておるところでは事実に相違する云々ということ、その事実が、委員会の判断が私どもの聞いておる事実に相違すると、こういう印象を与える答弁をされましたから、その点は訂正願つたのであります。併し今聞いて見ましても、警視庁からの報告で判断をしようとしておられる。それから個々の実際の報告なり調査というものを見ようという態度が見えません。その点は公正を期する意味から、もう少し協力局の態度の公正が望まれると思うのであります。どういう建前をとつておられるのか、それから事実と……。
  165. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 労働省のほうにも勿論連絡はいたしております。併し意見につきましては、私のほうは常に警察の調査を待つことにいたしております。と申しますのは、手も足りませんし、我々のほうが国内に手足を持つておりませんし、大体常にその事実につきましては警察の調べによるということにいたしております。
  166. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは十九日の日に、私どもがここで委員会を開いたときにも労働省からすぐ報告書が出たわけであります。問題の本質から考えると、労働争議に関連して起つた罪だと思うのでありますが、それまでに十九日の報告が出ました。いや十八日に報告が出たのか、私よく知りませんけれども、すでにその頃労働省としても報告ができておつたと思うのでありますが、今のお話では、全然それは聞いておらん、求める建前になつておるけれども聞いておらん、こういう御答弁であつたろうと思いますが、事実はどうです。
  167. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 労働省からは電話で事件の概要を聞いておるそうであります。それからこれが発生いたしまする前から、私はこの事件争議については知つておつたわけであります。と申しまするのは、軍側からピケツト・ラインを張られて争議に加わつておらないT・O・Dと申しますか、ほかの者は入れない、出てくれというような話がありましたそうですが、十六日ですか十七日ですか、そういうことについてこの争議については知つてつたのであります。
  168. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは別の機会になると思いますけれども、問題は、日鋼赤羽工場工場の中の労働関係その他に関連をしておるわけでありますが、明らかでないところがございますので問題が起つた、或いは私どもが問題を取上げるということになつたのでありますが、そうすると人間を入れてもらいたい等々の要望というものは、これは或いは軍側から出たかも知らんけれども、協力局として軍側の要望或いはアメリカ側の要望だけでなしに、もう少し日本人の要望なり或いは事情というものを調査するように努力一つ願いたいと思います。
  169. 伊関佑二郎

    政府委員伊関佑二郎君) 組合側からも随分要求があり、私のほうに見えまして、そうして組合側の要望に基いて、米軍に対して話をしておりますことも過去においてたびたびございます。ですからどちらからも、私のところでは両方の苦情を受取つておる。又両方に苦情を言うような立場でやつております。
  170. 寺本廣作

    寺本広作君 先ほど私は組合組合長さんから、T・O・Dの者ならば通すのであつたがということを伺つたのですが、今協力局長さんから、T・O・Dの者も通れんからというので協力を求めておつたというお話が、そこのところは少し食い違つておるように思いますが、T・O・Dの者を説得されて、あなた方が協力してくれと言うて、T・O・Dの者がピケ・ラインから帰つたという例がありますか。
  171. 前田信義

    参考人前田信義君) 私たちは十七日の軌から事実上やつておりますが、これにはスピーカー、並びにビラ等を以ちまし、て私たちの争議の内容を訴えて協力を求めております。十七日の朝におきましては、約三時間半ほど定時よりは遅れて入つております。これは飽くまでも私は協力を得たというように考えております。それから翌日は約一時間ぐらい遅れております。併し八時きつかりに入つた者もございます。それから十八日におきましては朝早く入つた者もございますし、その間切れたり入つたりというふうにして入つておりますが、全然阻止して入れなかつたということはございません。
  172. 寺本廣作

    寺本広作君 この協力を求めておるというお話でありますが、その点は同情ストを求めた、こういうことですか。
  173. 前田信義

    参考人前田信義君) その通りでございます。できればこれはブリジストン・タイアにもT・O・Dにも、共に同情ストを求めたわけであります。併しこれは組合の正式決定で、このたびは同情ストはできないということはブリジストン、T・O・Dから回答がございました。
  174. 田畑金光

    田畑金光君 これは、局長は先ほどいろいろ御答弁になつておりますが、本日の委員会がこのように長時間この問題に触れて議題になりましたのも、今朝ほどの関次長の発言というのが重要な要素になつておるわけであります。その発言の内容は、この委員会にこれまで報告された資料とは事実上の判断において若干相違するようなものが外務省としては受けておると、こういうような話があつたわけであります。それに基いて、それでは一応そのような資料があるならばお話を承ろうというわけで、本日午後から警視総監の話も承わつたわけでございまするが、外務省の今まで取つていた報告というものは、専ら警視庁の集めた資料に基いて事実の判断を下されていたことが明確になつておるわけであります。只今局長は、労働組合からも或いは労働省からも公平に資料を受けておると、こういうふうな、従来もそのようにやつて来たというような御答弁でありまするが、今朝ほどの関次長の話と先ほど局長からの報告を総合いたしますならば、専ら警視庁のほうからの報告に基いてこの問題に関する限り外務省は事実を認定され、判断されて来たということを我々は理解することができたわけであります。これは非常に私は重大な問題だと思います。いやしくも国際協力局というふうな重大な職能を担当されておる限りにおきましては、飽くまでも日本の外交を進めることであると思います。一方的な資料に基いて歪曲された判断を下されて、問題の公正な審議を渋滞させるということは、重大な私は外務省当局の責任であると、こう追及したい気持があります。今までの報告を聞きましたら、我々は更に一層午前中の我々の主張が正しいということがお互いの間に理解されたと、こう感ずるわけであります。今後まあ外務省としては偏するようなやり方でなくして、飽くまでもその場限りの答弁、言い逃れじやなくして、現実の行動として、一つ公正な判断と資料に基いてすべてのことを処理して頂きたい、このことを強く私は協力局長に要望として申上げて置きます。
  175. 吉田法晴

    吉田法晴君 それからまだ警視総監或いは労働省に御質問があるかも知れませんが、今朝ほど来の参考人として……問題の点が相談が済まないで立たれるのは甚だ残念だと思うのです。なお、課長がおられる間にその話を聞いて、委員会としてどうするかという、参考人として呼ぶ点についての手続について打合せをやつて頂きたいと思います。
  176. 上條愛一

    ○上條愛一君 警視総監にお伺いしたいのはその点でして、今お取調べになつておるうちで、地方検察当局の指揮によつてお調べになつておるという話ですが、その際に米軍側の発砲したというメンデロー軍曹、或いは真つ黒塗りの自動車でおいでなつたというドミニツク軍属、こういう方についても十分お調べになつておられるかということを承わりたい。
  177. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) この内容につきましてはちよつと申上げかねまするが、検察庁におきまして捜査事実につきまして当つて捜査しているものと思います。
  178. 上條愛一

    ○上條愛一君 その捜査の場合に、もう直接本人について御調査をしておられるかどうかということを承わりたい。
  179. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) この点につきましては、捜査の内容になりまするので申上げかねるのですが、とにかく米軍当局の非常な好意的な協力の下に米人側についても捜査をしておるので、この点だけ一つ申上げて置きたいと思います。
  180. 上條愛一

    ○上條愛一君 それは今吉田さんからもお話にあつた点がそれなのでして、午前中に我々労働委員会として米軍側当事者も御出席つて事実を承わりたいというまあ話になつておるわけなんです。で、その場合に外務省としては国際慣例もあり礼譲もありまして、その点が考慮を払われるというお話があつたのです。それで順序を踏んでそういうことにしようと、こういうことになつておるわけでありまして、それで地方検察当局がこの問題をお取調べになる際において、そういう当事者であります米軍側の本人についてお調べになるのかならんのか、又調べることができるのかできないのか、その点がはつきりして頂けるならばして頂きたい。
  181. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 勿論この被害が仮に双方にあるといたしまして、それから仮にないといたしましても、当事者間というものを一応当つて見ませんと事実が判明いたしませんので、この点につきましては進駐軍側も相当好意的に我々に協力をいたしてくれます。双方に亘つて捜査しておるということを一つ申上げます。
  182. 上條愛一

    ○上條愛一君 それでは今の警視総監お話では、当事者本人について取調べられるものと解釈してよろしうございますか。
  183. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) この点は検察当局について今捜査いたしておりますから、私から正確なことを申上げかねまするが、一応米軍の非常な好意的な協力によつて、相手方に対しても捜査をしておるということで一つ御勘弁願いたいと思います。
  184. 上條愛一

    ○上條愛一君 甚だどうも不明確でありまして、要領を得ないのですが、まあいずれこれは労働委員会としては当事者双方について確かめるということになつておりますので、いずれこれはまあ労働委員会自体の問題になると思いますが、参考としてこの点を承わりたいと思いますが、要領を得ませんがまあ止むを得ません。
  185. 田畑金光

    田畑金光君 どうですか。一つ警視総監からも説明を聞きましたし、報告の内容についても、どの程度の事実の調査において当を得ておるかどうか、公平であつたかどうかということはおのずから只今までの報告を聞いて委員相互の判断というものも出て来たと思います。従つて今朝ほど来の外務省お話や、期待していた警視総監報告等に対しましても、我々一応の見解を持つようになりましたので、この辺でこの話を開くことは一応打切つて、今まで聞いた話の判断の上に立つて、午前中の参考人を呼ぶかどうか、この問題について委員会としての結論を出して頂きたいと思います。
  186. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) よろしうございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  187. 寺本廣作

    寺本広作君 それじや懇談に移つて頂けませんか。
  188. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは速記をとめて。    〔速記中止〕
  189. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて……。
  190. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 労働組合からの報告書でございましたか、受取りましたので、これを私ざつと目を通しましたが、更に持帰りまして、私のほうの立場におきましてこの労働組合報告書をよく検討いたしまして、そうして事件処理の参考にいたしたいと、かように考えております。
  191. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 受取られた感じはどうですか。
  192. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 受けました感じと申しましても、今ここで申上げることはできませんが、労働組合側としましては、これは事実であると信じて報告されておるのでございましようし、私のほうから見まして、この点は少し事実と違うんじやないかと思うこともございます。併しこれは只今捜査をいたしておりますから、それの進行を待つて見ないと、果していずれが真実であるかということはちよつとここで申上げることはできないと考えております。
  193. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私は、日鋼事件に限りませんけれども、労使の紛争を扱われる警察の態度というものは、私もずつといろいろなものを見ておりまするから大体知つておるのでありますが、大体警察等でまとめられる書類というものは、警視庁で発行された報告書のような形式のものが多いわけであります。併し私は厳正に中立であるならば、この労組側と警視庁側とのこの報告書が、丁度寄せて二で割つた程度の内容を持つものが私は中正のものであると、こういうふうに指摘せざるを得ないと思います。従つて今日所信を伺うわけには参りませんけれども、とにかく今後のこの労使問題を中心にして警察が扱われるときには、より以上に一つ中正と申しますか、公正な立場で臨んで頂くように強く私は要望を申上げておきます。
  194. 吉田法晴

    吉田法晴君 警視総監労働省報告と申しますか、これは御存じないと思います。私ども十九日、それから今日の報告は聞いておりますが、私は相当公正だと思います。これは今委員長発言もございましたが、一つつて以て大きな参考にしてもらいたいと思います。それからなお、これはいわゆるあなたのほうの捜査についての参考……もう時間がございせんから申上げませんけれども赤羽日鋼争議の問題について、先ほど警視総監は厳正中立に云々というお言葉がございましたが、過去においてもたしか予備隊の出動等について命ぜられて、間もなく引揚げたようでありますけれども、多少軽卒な動きがあつたんじやないかとも考えられるのであります。その点は今後慎重に、一つお言葉のような公正さを厳守されることを望みたいと思います。
  195. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて。    午後四時五分速記中止    —————・—————    午後四時三十三分速記開始
  196. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。それでは本日の皆様方の御決定に従いまして、明日は軍施設内における労働法の運用状況につきまして参考人を招致いたしまして調査をいたしたいと存じます。又この発砲事件に対する調査につきましては、米軍の兵隊並びに軍属を参考人として当委員会出席を願う件につきましては、御懇談の御趣旨を体しまして、委員長においてでき得れば明日までその目的を達するように努力をいたしたいと存じます。又その経過につきましては明日の委員会で御報告を申上げます。  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時三十四分散会