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1953-07-07 第16回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西郷吉之助君            高橋進太郎君            小林 武治君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            泉山 三六君            岩沢 忠恭君            大谷 贇雄君            鹿島守之助君            白波瀬米吉君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            吉田 萬次君            岸  良一君            新谷寅三郎君            亀田 得治君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            三橋八次郎君            湯山  勇君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            永井純一郎君            武藤 常介君            最上 英子君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    大蔵省主計局次    長       正示啓二郎君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    郵政大臣官房人    事部長     八藤 東禧君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    理事西郷吉之助君) それでは只今より予算委員会を開きます。  本日は、午前中は予定表によりまして、給与の問題について審議をいたします。先づ第一に人事院給与局長から説明を求めます。
  3. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 人事院只今いろいろ調査研究を進めておりまする状況につきまして、御報告申上げたいと存じます。  例年のことでございまするが、我々か民間職種別給与調査というものを行いまして、そして、それから現在の公務員給与というものが、民間状況に照らしてどのような違いがあるかどうかというようなことを確かめるわけでございます。又一方におきまして、標準生計費というものを研究いたしまして、そうして現実民間の一般的な消費事情と比べて、公務員俸給表基礎なつておりまする標準生計費というものが、低いかどうかということを確かめるわけでございます。こういうことを例年やつておるわけでありまするが、我々は公務員法情勢適応の原則というものによりまして、そういうことをやる義務を附せられておるわけでございます。即ち民間給与状況、或いは生計費状況に比べまして、現在の俸給表というものが五%以上げ下げする必要があるというふうに人事院が認めまするならば、それに基いて改訂勧告をいたすということに相成るのであります。  先ず人事院民間給与調査と、標準生計費というものについて、大々的な調査をいたすのでございまするが、それに先だちまして、政府から公表されておりまする経済のいろいろな指標というようなものにつきまして、一体どういうふうに最近給与状況、或いは生計費状況なつておるのであろうかということを絶えず注意して見ております。御存じのように労働省から発表されておりまする毎月勤労統計というものがございまするが、この経済指標によりまして、昨年の五月に比べまして、本年の四月乃至五月の状況は相当の上昇をいたしておるのであります。又総理府統計局から出されておりまする消費者実態調査、或いはそれに基いて作られておりまするCPIというようなものを見ましても、これ又或る程度上昇を示しておるというようなことで、どうしてもやはり現在の俸給表改訂する必要があるであろうという見当を付けまして、それに基きまして、先ほど申上げました民間職種別給与調査、それから標準生計費計算をいたしております。只今のところ民間職種別給与調査というものは実態調査を終つておりますることは勿論でございまするが、一部分につきましては集計も終つております。まだ全部集計が終つておらないのでございまするが、これはもう近く集計を終るという段階に相成つております。それから標準生計費検討ということも昨年度或いは一昨年度続けて行なつておるのでありまするが、更に精細な検討をいたしまして、この計算も近く終る段取りと相成つております。  今回は昨年に比べまして、昨年人事院勧告いたしましたときには電電公社、それから五現業というものが我々が勧告をいたしまする対象なつておつたのであります。ところが昨年いわゆる電電公社が設立されまして、これが人事院の所管から抜けて参り、又五現業が抜けて参つたというような、人事院対象といたしまする公務員構成に相当の変化を来たしておりまするので、そういう点につきましてもいろいろと研究を進める必要があるのであります。これは定期的に人事院が取つておる調査でございまするが、いわゆる一般職公務員級別号別人員分布というものがございます。特に必要がありましたので、本年は三月分につきましてそういう調査をいたしておるのであります。この調査が出て参りまするならば、この抜けて行つた電電公社、或いは五現業というものを抜きましたあと公務員構成がどうなつておるか、級別号別にどういう分布なつておるかということも把握いたすことができるのであります。このような資料の完備を待ちまして、我々はここに俸給表改訂案を作成いたし、近く勧告ができ得る段階になるのではなかろうかというふうに考えております。  只今申上げました公務員級別号別、いわゆる職務の級と、それからその職務の級の中における号俸でございまするが、その分布というようなものが近くこれ又集計を完了いたすという段取りなつております。以上のような状況でございまして人事院勧告というものは近く行われる予定でございます。今回はこのいわゆる給与ベース改訂というものを、従来の給与法そのままを用いましてやりませんで、いわゆる給与準則に基きまして、これを行いたいということを考えておるのであります。    〔理事西郷吉之助君退席、委員長着席〕 すでに職階法国会で制定をいたされまして、その職階法に基きまして我我職務調査並びに職務分類、又その格付等、着々準備いたしておつたのでありまするが、ここ最近におきましては、いつでもこれに切替え得る程度の準備ができているのであります。現行給与法におきましては、これが終戦直後にできまして、その後累次の改訂を加えているとは申しましても、なお且つ不十分なものが多分にあるのであります。給与制度といたしましても、相当統一、修正を要するものがございます。こういうことをすべて給与準則において制度化して参りたい。この給与準則におきまして、この俸給表の増額を勧告いたしたい、このように考えております。現在の給与法におきましては、通し号俸というものがございまして、これを基礎にいたしまして、一般俸給表特別俸給表というものを作つているのでございます。給与準則におきましても、この通し号俸をそのまま使つて行く考えでおります。従いまして、この給与準則についてベースアップ勧告をいたしましても、何ら混乱はないと、このように考えている次第でございます。  それからかねて問題になつておりまする勤務地手当の問題でございまするが、これは昨年の年末にこの国会勤務地手当支給区分に一部追加をいたされたのでございまするが、その後におきまして日本全国のあらゆる地域からいろいろとこのアンバランスの訴えが出ているのでございます。人事院といたしましては、この地域給の問題は絶えず研究することを法律義務付けられておりまするので、人事院は絶えずこの問題を研究いたしております。併しながら昨年の年末に成立いたしまして、今日まで研究をして参つたのでありまするが、現在、只今におきまして全国的にアンバランスがどのようにあるかということを、また全国的には十分把握ができている段階ではないのであります。勿論我々はこのことは絶えず努力いたさなければなりませんので絶えず努力はいたしております。併しながら現在まだ十分この全国的なアンバランス状況把握しているという段階ではございません。従いまして、この勤務地手当支給区分改正するというふうなことを給与準則、又いわゆるベースアップと併せて行い得るだけのまだ現在段階に達しておりません。勤務地手当の問題は、現在の制度そのものがすでにもう工合が悪いのではなかろうかということを各方面から御指摘を受けているのであります。人事院といたしましては、その点は十分考えているのでありまして、制度改正をいたすとするならば、どういう方向にいたすべきであろうかというようなことにつきましても、現在着々研究を進めております。従いまして、これは他日成案を得まして御検討願い得る機会があろうかというふうに考えているわけであります。現在のアンバランス状況把握ということも、一方において着々進めると共に、若し勤務地手当制度改正するならば、どういうふうにやるのがいいであろうかという研究只今進めている、こういう状態であります。  我々が現在いたしておりまする給与に関する問題は以上の通りでございまするが、そのほかかねて懸案になつておりまする恩給制度の問題、いわゆる退職年金の問題でございまするが、これも着々研究を進めまして、今最後法律案の固めをいたしている次第でございます。給与準則に引続きまして、これも又勧告をなし得る段階に相成つている次第であります。  簡単でございますが、人事院只今いたしておりまする作業状況を御報告申上げます。
  4. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 大蔵省のほうから給与に関する資料が二つばかり出ているのですが、ちよつと簡単に御説明願いたいと思います。
  5. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 衆議院予算委員会に提出いたしました資料と、参議院のほうの委員会に提出いたしましたのと二つございますが、参議院に提出いたしました分は、最近の国家公務員一般職平均給与額推移表でございます。これを作りました理由は、昭和二十八年度予算説明という簡単なパンフレットを配布申上げてあるのでありますが、それの一番最後にあります、労働省で調べております全産業の現金給与額、これに対する国家公務員給与、最近の給与を調べてほしいという御要求に応じて作成したものであります。過去の大体昭和二十四年以降の給与推移を示したものでございますが、最近におきましての実際の給与額は、三欄でございまして、中央の総給与額とありますが、これの一番下の欄、二十八年三月一万四千七百七円ということに相成つております。現在のベースは一万二千八百二十円ベースでありますが、その後昇給などもございまして、そのほか労働省調査と対比するためには超勤等の要素も加える必要がありますので、そういうものを含めて定期的な給与といたしますと、大体一万四千七百七円となる。これに対します民間給与は、この予算説明と申しますパンフレットの一番最後にあります一万四千七百四十八円、三月は一万四千八百五円でございますが、それに大体対比する数字でございます。  もう一つ衆議院予算委員会に提出いたしました資料は、これは衆議院予算委員会の御要求によりまして、現行の一万二千八百二十円ベースを一万六千円ベース改訂する場合に、大体総計がどのくらい殖えるだろうかという推定を作成して欲しいということで作成したわけですが、そこに単純に一万二千八百二十円ベースを一万六千円ベース引上げた場合の数字が示してございます。一番下の欄にございますが、一般会計におきまして三百億、それから特別会計におきまして百七十億、それから政府関係機関が三百八十億、合計八百五十五億となつております。このほかに地方職員がこれに応じて同じ程度ベースアップをしたならばどれだけ要るであろうか、この数字が必要なんでございますが、これは一応この調査からは省いてございます。簡単でございますが……。
  6. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 地方公務員はどのくらいになりますか、大体。
  7. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) これは同じ計算方式計算いたしますと、概ね六百五十億程度推定いたします。
  8. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 平均給与額推移ですが、これは三月の推計が一番新らしい推計ですか、もう少しあとまでわかつておりますか、わかつていたら一つ……。
  9. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 実は公務員給与実態調査は、大蔵省といたしましては昨年の暮、新ベース施行後にいたしただけでございまして、この三月の数字は、実はその後の昇給昇格推定が若干入つておる数字でございます。同じような筆法で推定して参りますれば、最近の数字まではできるわけでございますが、一応この労働省調査は三月で終つておる、これに対比するだけでよろしいということでございますので、三月で打切つてございます。
  10. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その一万四千七百七円は、超勤その他を含んでいるということですが、それらを引いて、ベースの一万二千八百二十円に該当する数字はどのくらいになるんでしようか。
  11. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) この一万四千七百七円のうちから、本年度におきます超過勤務手当特殊勤務手当予算月割平均額は約千十五円であります。それを落としますと一万三千六百九十二円、大体一万三千七百円と推定いたしております。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 ちよつと基本的な問題でお聞きしたいのですが、現在給与準則が実施されていない状態においては、給与に関する一切の責任は給与局でもないし、人事院でも勿論ないし、総理府に所属するということを聞いているのでありますが、果してそのような状態でありますか。
  13. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ちよつと御質問の趣旨を聞きもらしたかも知れませんが、現行給与法一般職につきまして、これが規定されているのでございます。その限りにおきましては、人事院実施官庁でございます。ただこの一般職の範囲というものが、例えば五現業というようなものが抜けております。そういうところは人事院実施官庁でないということになろうか考えます。一般職に関する限りは人事院実施官庁であります。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 先般人事院総裁が大体年間給与実態把握ができたが、約一三%の前回よりも上廻つた勧告をするということが新聞にも発表されておつたのでありますが、今お聞きすると、まだそこまで行つていないというふうにとれるような御説明でありましたが、これはどのようになつておりますか。
  15. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 総裁言つたという話が新聞に出ておつたのを私も見たのでありますが、直接言つたかどうかということを確かめておりません。ただ私が先ほど御説明申上げましたように、人事院勧告いたします場合に、副指標といたしまして毎月勤労統計とか、或いは消費者実態調査でございまするとか、いろいろ指標研究するわけでございます。従いまして、或いはそういうことからいろいろ想像して総裁言つたのかも知れません、或いは言わないのかも知れませんが、先ほどから申しておりますように、我々が直接ベースアップ計算いたしまするいろいろの調査は、只今集計を終つているものもございまするし、終つていないものもありまするし、併しこれは近日中に終る見込みである、このように申上げる次第であります。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 前の予算委員会におきまして、総裁は一〇%程度上廻つた勧告はしなければならないのだろうということを申されたわけです。そうしてそのあとで、これは私のほうの勝間田君が聞きに行つた場合に約一三%ぐらい上廻る勧告をしようということを言われたのです。そうするとその間には前の一〇%とその次の一三%という間にはかなりの作業進捗が見られるのじやないかと思うのでありますが、今の話はそういう数字を挙げて申せないという段階なつているのじやなくて、実際はかなり具体的になつているのじやないかと思うのでありますが、その辺もう少し詳しく御説明願えないでしようか。
  17. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) この前総裁が恐らくは衆議院予算委員会で申したと思いまするところは、一〇%ということは言わなかつたのじやないかと思うのです。一〇%以上になつているのだろうというふうに申上げたのだろうと思うのであります。それから或いは今お話のございました勝間田先生に話されたのかどうか、それも私よく知りませんが、或いは一三%というようなことを言われたのかも知れませんが、それも恐らくは見当だろうというふうに思います。従いまして、我々の作業というものがこれが全部的に終了いたさなければなかなか見当がつかないということも言えないと思うのであります。併しながら的確な数字というものはやはり今残つております集計が出て参りませんと、申上げかねるのではないか、このように考えております。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 大体この勧告はいつ頃になりそうか、現在の作業進捗状況と睨み合せて……、その辺お聞きしたいのです。
  19. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 作業状況と申しまするものが相当進捗しておるということは事実でございます。併しながらその集計等がまだ終つていないものもございまするし、その集計が終りましても、更にそれからいろいろ数字の調整をいたすというようなこともあるわけでございます。従いまして、まあそのあとは本年の予算審議状況等も異例なことでございまするので、そういうこともよく心得まして、できるだけ早い機会勧告し得るように作業も急いでおります。まあ今の見通しといたしましては、大体なかなかはつきりは申上げかねるのでありまするが、極力急ぎまして、中旬ぐらいまでには作業を遅くとも終りたいというように考えまして、急いでおる次第でございます。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 今ので勧告の時期がいつ頃になるか、作業の終るのが大体中旬と、勧告は大体いつ頃を目途に作業を進めておられるのですか。
  21. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 今の問題はなかなか私からお答え申上げにくいと考えるのでありますが、併しながら作業が終りますれば、徒らに勧告が延びるものでもないであろう、このように考えます。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 それから次に勤務地手当の問題ですが、これは今のお話では現行通りで行くか、或いは制度改正研究もしておる、制度改正についてもかなり具体的に話を進めておるという御説明だつたわけです。これについてはどういうような御研究をなさつておられるのか、更に又改めて勤務地手当勧告をなさるとすれば、それは一体いつ頃になる御予定なのか、その辺もう少し具体的に詳しく御説明頂きたいと思います。
  23. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 勤務地手当制度改正いたすといたしまするならば、どのように考えておるかということでございます。まだ我々は現在研究段階でございまして、一つ方法だけを考えておるというわけではございません。従いまして、まだ決定的に或る一つの線が推進されて、その線に従つて研究しておるということはなかなか申上げがたいのでありまするが、今考えております二、三のことを仮に申上げてみまするならば、例えば現在国家公務員につきましてはもう九三%、人員にいたしまして九三%ぐらいが勤務地手当支給を受けておるのであります。残るところはあと七彩ぐらいでございます。そういう状況でございまするしそれから一方におきまして交通事情等が非常によくなつて参り、経済圏というものが従前よりも非常に拡がつて来る、そういうような場合に、この地域を指定いたしまするのに町村単位でやるというようなことをいたしましても、これがなかなか実情に合わない点があるのぢやなかろうかというような問題もあります。又最近は町村合併等が非常に促進されておりまして或る町村は非常に広い地域なつており、又そうでない非常に細かい地域なつておる町村もあるというのが現実状況であります。まあいろいろのことを勘案いたしてみますると、もうすでに現在の五段階制度というものは時宜に適さないのではなかろうかというようなことを考えるのであります。我々はこの勤務地手当制度につきまして絶えず調査しなければならない義務を負つておるのでありまするけれども、予算上の制約を受けまして十二分の調査が今までにできなかつたという事情もあるのであります。ただ消費者実態調査、或いはCPS、統計局から出ておりまする資料が不完全ながらいろいろ調査分析をいたしてみますると、我々が従前地域差というものが二五%ぐらいはあるであろうということを考えておつたのでございまするが、それが最近におきましては物価差というものは相当縮まつておる。併しながら一方におきましては消費形態と申しまするか、そのようなものは或る場合には拡がつておるものもある。勿論総合して考えますると、大体二〇%程度にこれを現在は見るのが適当じやなかろうかというような推察もつくのであります。併しながら只今申上げておりますることは、非常に不十分な資料に基いて申上げることでございまするからこれを根拠にして制度の改廃を今後やつて行くということではまだ不十分な面があるのじやないか、従いまして、我々は若しそういうことをやるといたしまするならば、ここで相当大規模な確信の持てるような調査をいたしまして、その基礎の上に従つて方向をきめて行かなければならないのじやなかろうかというふうに考え、まあ併し推察といたしましても、少くも従来二五%の地域差をつければよろしいということであつたのに、現在のところは二〇%程度なつておるのではなかろうかというふうに想像がつくわけでありますから、先ず現在の二五%の地域差を二〇%にするというような方向が考え得るわけでございます。その際にいろいろ方法はあるでありましようが、まあ一つ方法といたしましては、現在のいわゆる一級地五%つけておりますものを零の基準にいたしまして、そうしてこの現在の零敵地を五%引上げて、そうしてそれを水準にいたし、現在二級、三級、四級、五級というものは一〇%から二五%つけておりますが、これを五%乃至二〇%にするというようなことを、比較的現在の制度と関連して考えまする際に考え得るのであります。併し現在のところ、現在の制度におきまする一級地というものは、相当広汎になつております。現在別のいろいろ調査分析してみますると、四級地、五級地と三級地辺までは比較的分明になつておるのでありまするけれども、従来の既得権もあつたのでありましようし、いろいろの状況から一級地、二級地の辺はどうも不分明である、仮に一段階地域級地域差を縮減いたしましても、なお且つ現在と同じような問題が残るのではなかろうか、又将来の方向としてはやはり地域差というものは漸減する方向にありまするならば、これを三段階くらいにしてしまつたほうがむしろいいのではなかろうかというようなことも考え得るわけでございます。  それから又別の考察をいたしまするならば、この地域差というものを地域についてきめるということでなくして公務員が異動いたすかどうかということに基いてきめるほうがより適切ではなかろうか、或る種の公務員が全国的に異動いたします際に、新らしい任地につきました際、その世帯がその土地に土着しておる人と同様の生活事情にあるかどうかということを考えてみますと、これはなかなかそうは参りません。或る場合にはそういう人は別の生活形態があるわけであります。そうするとそういう面からものを考えて行くということもこれは適切ではなかろうかというようなことも考えておるわけであります。  只今申上げましたように、いろいろの面から現在考察しておるのでありますが、まだ決定的な案というものがあるわけではございません。又仮に現行制度基礎にして地域級の改正区分をするとするならば、その時期はいつ頃であろうというお話であるのでありますが、現在の地域級の問題に関連いたしまして、陳情等が相当殖えておる実情、それから又国会への請願、陳情等も相当厖大な量に上つております現状から考えますれば、人事院といたしますれば、現状のまま推進をして行くということは好ましくないのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。併し新らしい制度に移ろうといたしましても、これ又いろいろな副次的な問題があるわけであります。或いは一挙にそういうふうな方向に行かないかも知れません。いずれにいたしましても、我々は現行勤務地手当支給区分アンバランス状況というものを把握しておらなければなりませんから、一生懸命やつております。それはこの七月三十一日といたしまするなら、それまでにはまだ全国的なアンバランス状況把握し得るという段階には達しないのではなかろうかと考えております。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 今の説明大変よくわかりました。アンバランス状態把握された場合には、そのアンバランスの是正をして、仮に今お話なつたいろいろなケースの中でどれかおとりになつ制度改正をやるというような方式をおとりになるのか、制度改正して、それからアンバランスを是正する、その制度に従つてアンバランスの是正をする、こういう二つの形式が考えられると思うのです。今のところはそのいずれをとるかというような方向も大体の見当も立てていない状態でございますか、その辺如何でございますか。
  25. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 只今のところは、私が承知いたしております限りでは、まだ十分方向がきまつておるというふうには考えておりません。ただ人事院総裁衆議院の人事委員会でも話され、或いは懇談会あたりであつたかと思いますが、話され、或いは参議院の人事委員会でもその問題についていろいろ話されておりまするところは、やはり両院の人事委員会の御意向も十分聞いた上でこの方向を決定したいというようなことを申しておるように承知いたします。
  26. 湯山勇

    湯山勇君 続いて。これは最初の御説明になかつたわけですが、勤務地手当とかなり似通つた性格を持つておりながら特殊勤務手当に入れられておる僻地手当でございますが、このことにつきましては、現在人事院としてはどのように御研究なつて、どのような作業が進められておるか。
  27. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 僻地手当の問題でございまするが、これは確かに地方公務員につきましては非常に大きな問題であろうというふうに考えます。ところが、この僻地手当は国家公務員の範囲だけを考えてみまするならば、これは比較的問題は小さいのではなかろうかというふうに考えます。併しながらなお且つ、例えば建設省のダム工事の現場でありまするとか、或いは運輸省関係の末端の現場的な事務でありますとか、やはり問題はあるのであります。従いまして、我々はこの問題を十分研究を従来も進め、今後も進めて参りたいと思つておるのでありますが、先ず今度勧告をいたしまする給与準則におきましては、従来特殊勤務手当として指定されておりました僻地、現在は隔遠地手当と申しておりますが、この隔遠地手当を特殊勤務手当の中から外しまして、一本の手当として起して行くということを考えております。その額もこれを適正に増額して参りたいということを考えております。併しその程度でこの問題が全部解決する問題とは思つておりません。非常に大きな問題でありますので、今後更にこの問題につきましては研究を重ねて行きたいと、かように考えております。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 只今の新らしく隔遠地手当という名前で御研究なつておるその手当の性格ですが、従来は精神的な慰労の意味の手当であつたと思うのです。ところが実際は生活給的な色彩が現在の段階ではかなり大きいと思うのですが、それらの点についての御検討はしておられるのか、どうなのか。それから新らしく考えられようとする隔遠地手当の何と言いますか、やはり性格ですが、これは率で行かれるようにお考えになつていらつしやいますか、現在はたしか二九ベースのままだつたと思うのですが、殆んどそれについても現行ベースに引直すような措置が考えられるかどうか、それらの点についてもう少し御説明頂きたいと思います。
  29. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 御指摘のように、隔遠地手当には精神的要素も非常に大きいと思うのでありますが、現実に隔遠地に勤務されておりまするかたが世帯を分けておられ、そのために生活費が非常にかかるというような実情もよく聞いておりまするし、又そういう人が子弟の教育ということで普通の場合よりも費用がかかるのではなかろうか、併しこれは全般の問題としてではございませんが、そういうことも場合によつてはあるというふうに考えております。従いまして、従前のような物の考え方でよいかどうか、やはり経済的要素も入れて考えなければならんのじやなかろうかというようなことも考えておるわけでございます。行くか、率で行くかということでございまするが、これは余ほど又今後研究を重ねてみませんと、容易にこれを変えるということはむずかしいのではなかろうかというふうに考えまして、現在のところはやはり額で行くということに一応いたしたらどんなものであろうかというように考えておるわけであります。又二九ベースの時から据置きではないかというお話でございまするが、これは現に昨年の年末におきましてもこれは増額をいたしたのであります。我々はその当時一番高いところを七百五十円から千五百円にしたいということであつたのでありまするが、これは政府側で提案され、国会でおきめになりましたものは、二割アップということになりまして、七百五十円が現在は九百円になつておる、こういうわけでございまして、二九ベースから据置きというわけではございません。併しこの額につきましても、更に検討を重ねまして、適正な額を勧告して参りたいと、このように考えております。
  30. 湯山勇

    湯山勇君 今の二九ベースできめられておつたものに昨年の二〇%の増額がついたことは確かですが、そういう状態で従来僻地手当というものは取残される可能性というものが非常に強かつたわけであります。今局長のおつしやつたような性質から考えましても、理論的に言つて、経済的な要素を見た場合には率で決定することが合理的であると思うし、精神給的な面だけを考えれば、これは定額でもよいということも考えられると思うのですが、どういうものが実施されるかは別として、理論的に考えた場合には、その両者を併用するということが私は合理的ではないかと思うのですが、そういう点についてはどのようにお考えでしようか。
  31. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) いろいろ御指摘のような点につきましても検討を重ねております。併しながらまだ本日ここでそれにつきまして、十分はつきりした我々の見解を申上げるまでには至つておりません。
  32. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 新聞の伝えるところによりますると、人事院では勤務地手当を三段階にしてこれを給与準則に入れるという報道があつたわけですが、私はその新聞を見て、そういうことは不可能であつて、実際上できることではないと、こう考えておつたわけでありますが、先ほど給与局長お話を聞きまして大体了承をいたしたのでありますが、一時は人事院にそういうお考えがあつたのかどうか、或いはそういうことが果して可能であるかどうかということについて御説明を願いたい。
  33. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 三段階縮減ということに人事院ではやるのだという新聞記事が出ておつたのは、誤報であるというように思うのであります併しながら、そういうことを人事院部内で研究しておつたということは、これはやはり事実であろうかというふうに思います。併し三段階にいたしますことにつきまして、そういうことがすぐやれるかどうかというようなお話でございまするが、この点につきましても、まだ先ほども申上げましたように、人事院ではいろいろ若しそういうことをやるならば、どういう副作用が起きて来るであろうかというようなことにつきましても只今研究中でございまして、なかなか利点或いは欠点というようなものは自然あるわけでございますが、結論に到達しておるわけではないのでございまするが、少くとも先ほどもちよつと触れたのでありまするが、三段階くらいになれば、これはよほど人事院としましても、敵地を決定いたしまする際に確固たる資料を事実上において持ち得るのではないかと、まあこういう点が一点あろうかと思うのでありまして、ただ現在の非常に不完全、まあ不完全と申しますか、現在我我が利用し得る資料というものが不完全でございまするが、そういう資料によつて見ますると、おおむね二〇%程度に縮減していいのではなかろうかということでありまして、一挙にそこまで行き得るかどうかということにつきましても、いろいろ問題があろうかと思います。従いまして、その三段階説についてもう少しはりきり言えということでございまするけれども、只今いろいろ研究いたしている段階でございまして、まだ十分なことが申上げられない現在の段階でございます。
  34. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私の質問の中には、もう一つ段階勧告をする場合に、直ちにこれを給与準則の中にそのいう点を含めて勧告できるかどうかという点があつたのでございますが、先ほど来給与局長の話を聞いておりますと、ベースアップ勧告給与準則の中に含めてやりたい。地域給改訂勧告についてはこれはそれよりは遅れて勧告を出したい。こういうふうに言われておりましたので、おのずから問題は明らかになつたと、こういうふうに考えるのでございまするが、私が更に結論的に御質問をして、確認いたしたいことは、今回の給与準則ベース・アツプの勧告を含めてこの国会中に出す。併し地域給勧告については、この勧告をこの国会中には出さないと、こういうふうに了承して差支えございませんか。
  35. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 準則とベースアップを合せまして、成るべく早い機会勧告することになるだろうと思います。ただ地域給のほうは、先ほども申上げましたように、恐らくは衆議院参議院の人事委員会のほうの御意見も十分拝聴するということになるだろうと思いまするが、見通しとしましては、七月三十一日までには事務的にも技術的にも勧告をいたすことが困難ではなかろうかと、このように考えております。
  36. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういたしますと、準則の中にはベースアップ勧告は含まれる。併し地域給改訂勧告はそれよりも遅れるということでありますと、今度出される地域給改訂勧告の中では、三段階ということが中心になつてやられるのであるか、或いは又は現在の地域給アンバランスを是正するという、いわゆる五段階の下におけるアンバランスの調整ということを改訂勧告の中にまあ現わされるのであるか、この点如何でございましようか。
  37. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 御質問の点につきましては、只今人事院といたしましては研究いたしている段階でございまして、いずれともまだ決定いたしておらない実情でございます。
  38. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 給与準則の中におきましては、まあ給与の総額というものが勧告され、そうしてその給与の内訳、つまり地域給については何鬼の幾ら幾らというものが出て来るはずだと思うのでありますかそれは恐らく現状のままの地域給計算してそういうことになる、現状のままをとり入れられる、こう考えるのでありますが、これに遅れて、仮にこの秋地域給改訂勧告がなされて、これを国会が承認するということになりますと、今回のベースアップ勧告の、給与の内容における地域給の関係と、それから将来例えば三段階勧告される改訂勧告との関係はどうなりますか。
  39. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 只今仮に三段階にしたならばどういうふうにするということは、まあ我々のほうで仮に案ができておるといたしますならば、それでどれだけ予算を要するという計算もできるのでございます。又現在のままで改訂いたすとするならば、どれだけの地域給引上げるのだという案でもできておりますれば、やはりそういうことに要する予算というものも見当がつくのでありますが、現在のところではまだそれができておらない実情でございまして、従いまして今度のベースアップ勧告には、それまで含めるということが事実できないのではなかろうかというふうに考えるのであります。従いまして今後地域給改訂方針がきまりますれば、それに従いまして、それに必要な予算は改めて申出る以外に方法はないのではなかろうか、このように考えております。
  40. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ベースアップ勧告こ、それから例えば人事院が考えております三段階に圧縮するというものが同時に提出されまして、政府はこの両者を取上げた場合には、非常に円滑に行くと思うのでありますが、仮にベースアップ勧告が一割であるとか或いは又一割二、三分であるとかいうような改訂であつて、人事院ベースアップ勧告はそれ以上である、そうしてそのあとに追つかけて地域給改訂が三段階で行われた、こういう場合には相当混乱を起すと思うのでありますが、そのベースアップ勧告が全面的に政府に呑まれ、そうしてそれと同時に提出された地域給の圧縮ということが、同時に考えられた場合には、非常にスムースに行くと考えますが、これが食い違つた場合には相当いわゆる既得権が侵害されるというような結果になるのじやないかと、こう思うのでございますが、ベースアップ政府によつて部分的に採用されて、それからあとから三段階に圧縮された地域給勧告が出た場合、混乱が起らないかどうかということについて承わりたいと思います。
  41. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) べース・アップ勧告をいたしまして、これが実現いたし、そのあとで仮に三段階地域給制度改正に関して勧告いたします。これが又実施されたという場合仮に想像いたして見ます。現在は五段階ですべて地域給が組んでございまするので、促つて俸給表というものは一応需給地で組んであるわけでございます。ところが仮に三段階というものをとりまする場合には、今後俸給表が、例えば最高給の地域給のところに比べまして一五%下のところで組まなければならないということになるのでございまするから、技術的に考えて見ましても、一ぺん成立しておりまする俸給面もあろうかと思います。従つて或る場合には従来の実績を保障するというような意味で何らか経過措置が必要だということが起つて来るかも知れません。いずれにしましても、地域給制度を変えまするということを仮にいたすといたしますれば、それは俸給表からすべて作り替えなければならんということでございまするから、これは相当大掛りなことであるという見当はつくと思います。
  42. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私も若しそういうふうに時期が食違つて実施せられるということになりますと、相当そこに混乱が起るであろうということを心配するの下ありますが、そこで私まあ希望と申しますか、私の見解を申しますと、ベースアップ勧告は準則の中で勧告すると、そこで次に来る地代給の勧告は現状のアンバランスを是正するという、まあ人事院でいろいろ理論的に地域給はこうなければならないという御研究は結構でございますが、併し私は今回の地域給改訂勧告は、現状のままアンバランスを是正するというところに重点を置いて、来年くらいにでもなつて更にベース・アツブの勧告なり、或いは地域給の根本的な改訂なりということを十分に政府とも打合せをして、適当な機会既得権を侵害することなく実施するということが望ましいことであると考えるのでございまするが、この点は如何でございましようか。
  43. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) いろいろ御意見を承わつたわけでございまするが、人事院といたしましても、今後この問題をどうやつて行こうかということは只今研究をいたしておる最中でございます。従いまして御意見等も十分に上司に伝えまして、更に研究をいたしたいと思います。
  44. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 扶養手当の問題でございますが、これは最近増額される御音思はございませんか。
  45. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 扶養手当につきましては、従来民間職種別給与調査の結果から得ました数字と対比いたしてみまして、変える必要があるというふうに考えますれば、これを変えるということをいたしておるのであります。先ほどから申しておりまするように、民間職種別給与調査は一部分集計は終つておりますけれども、まだ出ていないという部分もございます。この結果が出ましたら、これと見比べまして、この扶養手当の現在の額というものがあれでいいかどうかということを検討いたしたいと、このように考えております。
  46. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 現在の扶養手当は六三ベース以前のときからそのままに据置かれているように考えるのでございます。六三ベースのときにはもう少し高い扶養手当を出したらどうかというお話もあつたように聞いているのでございますが、民間給与の中におきまして扶賛手当はどの程度なつておりますか、大体民間では公務員の扶養手当の制度を引移しているものが多いと存じますけれども、併し又会社により、或いは又業態によつては妻千円というような扶養手当を出しているところもあるように思いますが、その実情についてお話を頂ければ結構だと思います。
  47. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 我々の現存集計いたしておりまする民間職種別の給与調査ができますれば、ここに相当的確なる御報告が申上げ得ると思うのでありますが、現在のところはその集計を終つておりませんので、まあ我々が持つております散発的な知識になろうかと思うのであります。ただ民間におきましては、最近扶養手当を、主として比較的規模の大きくないところでございまするが、扶養手当を漸次縮小して行く、乃至は廃止して行くというような方向が現れているところもございます。又大企業等におきましては、一人当りの額の相当高いものもあります。併しながらこれを人事院調査いたしまする範囲で大体平均いたしてみまするならば、出しているところもあり、出していないところもあるということで、これを平均してみまするならば、昨年の職種別民間給与調査等においては、先づ先づあの程度で妥当であろうという結論を得たわけでございます。本年もそういうようにしてこの扶養手当の問題は見て参りたい。ただ本俸に比例して、六三ベース以後本俸がどれだけ上つているから扶養手当もどれだけ上るという方式には行きたくない、このように考えているのであります。従いまして、この勧告をいたします時期までにはこの資料が的確に出るわけでございます、その上で十分な資料を提出いたしたい、このように考えます。
  48. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大蔵省給与課長にお伺いいたしますが、大蔵省側において地域給を圧縮したらどうだという御意見があるように聞いておるのでございますが、そういう御意見がまとまつてあるのでございますか。若しあるとすればどういう理由、予算的な理由であるか或いは理論的はそうなのか、その理由について承わりたいと思います。
  49. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) お答え申上げます。御承知の通り大蔵省一般職給与制度自体に関しましては、何ら権限がないのでございまして、これを圧縮しようとか、何段階にしようというようなことを正式に申上げる立場にはないわけであります。予算的にみまして、人事院勧告が消化できるかどうか、そういう面からの検討が行われるだけでございまして、正式にそういう意見を申上げたことはございません。
  50. 湯山勇

    湯山勇君 ほかに御質問のかたもたいようですから、私給与課長にちよつと伺いたいのですが、人事院が以前には、教員給与の三本建が、今問題になつておりますが、そういう考え方に対して反対であるという意向を示しておられたわけですが、最近これを人事院総裁お話では学歴、勤年が同じである場合には同一給与ということを尊重するけれども、三本建という方向をとりたいというような、これも新聞ですが、そういう談話が出ておつたわけです。どういう理論的な根拠でそういうようなお考えになつたか、その点を少し詳しく御説明頂きたいと思います。
  51. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 教員給与の問題も、給与準則に関連いたしまして人事院が当然研究しなければならない問題でございます。従いまして従前からいろいろ研究いたしておつたのでありまするが、人事院として確定的な意見を発表したことはないのでございます。研究段階におきまして、いろいろの意見があつたことはこれは当り前のことでございますが、まだその点につきまして人事院は正式に意見を申上げておらないのであります。従いまして、その準則におきまして意見を申上げまする際に、その理由等も御説明申上げたいと、このように考えます。
  52. 湯山勇

    湯山勇君 同一学歴、同一勤年の場合に給与は同一でなければならないという原則は今もなお変つていないのかどうか、その点を明確にして項、きたいと思います。
  53. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 現行給与法におきましては、口一学歴に対しまして同一の初任給をきめるという方式が現在あるわけでございまして、この方式は変える必要があるというふうには考えておりません。
  54. 青木一男

    委員長(青木一男君) それではこの程度で休憩いたします。午後は一時より再開いたします。    午前十一時四十一分休憩    —————・—————    午後一時四十一分開会
  55. 青木一男

    委員長(青木一男君) 休憩前に引続きまして、会議を開きます。地方財政について自治庁財政部長から説明を願いたいと思います。
  56. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) さきに提出いたしました資料に基きまして、昭和二十八年度の地方財政計画の概要を御説明申上げたいと存じます。  昭和二十八年度の地方財政計画によりますと、この年度における地方財政の運営の全体の規模は八千四百七十七億二千三百万円と相成る見込みでございます。この算定の基礎につきまして以下御説明申上げます。  先ず歳出でございますが、歳出につきましては、第一に百既定財政規模といたしまして七千四百三億二百万円と策定をいたしております。この既定財政規模は昭和二十七年度の最終地方財政計画における規模でございまして、即ち昭和二十五年度の決算額を基にいたしまして、これに対する昭和二十六年度及び昭和二十七年度の新規の財政需要額をそれぞれ加えまして推計をいたしたものでございます。この昭和二十七年度末における七千四百三億二百万という規模に対しまして、昭和二十八年度中に殖えて参りまする新規の財政需要額は千三十九億三千八百万円と相成る見込みでございます。その算定の基礎につきましては、資料を提出してございまするので、これによります内容を御説明申上げますが、先ず第一は給与改訂に伴つて殖えて参りまする給与関係の経費でございます。これは昨年の十一月に実施されましたいわゆる給与改訂の平年度化に伴いまして増加して来る経費でございまして、その算定の基礎は、資料の四ページにございますが、基本的給与におきまして二百五十八億百万円、そのほか期末手当、勤勉手当、或いは共済組合費、恩給費といつたような給与に伴いまする関係諸経費が約七十四億一千万円殖えて参るのでございます。この算定は昭和二十七年度の財政規模の策定に用いました給与単価に、昨年行われました給与改訂に伴いまする改訂率並びに昇給率及び勤務地手当改訂に伴いまして殖えて参りますところの率、これらを見込みまして、新たな給与単価を予定をいたしまして、その単価に人員をかけて、二十八年度の全体の給与見込額を算出いたしました。これから二十七年度中に見込んでおりまする既定のものを差引きまして、二十八年度の新規財政需要額を算定する、かような方法によつておるのでございます。なお同様な考え方によりまして、それぞれ各種の手当その他の諸給与費を算定いたしたのでございまして、その総額が二十八年度におきまして三日三十二億一千百万円増加して参るのでございます。  その次に行政整理に伴う不用額といたしまして十八億四千九百万円を控除いたしておりますが、これは昭和二十七年度の財政計画の算定に当りまして、一般職員について五%の行政整理を見込んだのでございますが、その際に行政整理が一時に行われがたい事情に鑑みまして、年度内四カ月分だけの経費を人件費並びに物件費について計上いたしておつたのでございますが、その分が不用になりまするので、二十八年度からはこれを削除いたすのでございます。これが十八億四千九百万円ございます。  その次は教育委員会の設置に要する経費増でございますが、これは資料の六ページにございますように、大体算定の考え方といたしましては昭和二十七年度の修正財政計画におきまして計上いたしましたのとほぼ同じ考えでございまして、ただ去年と異つておりまするのは、都市の教育委員会事務局に職員を更に一名追加いたしまして、指導主事一名、事務職員一名という配置を見込んでいるのであります。その他は大体前年度と同様でございまして、これに所定の給与改訂等を見込んで計上いたしました。これによりますると、昭和二十八年度の教育委員会設置に要します経費は総額で二十四億九千七百万円と相成るのでございますが、そのうち昭和二十七年度にすでに計上してございます十億八千四百万円を控除いたしまして、昭和二十八年度には十四億千三百万円が殖えて来る、かような算定をいたしているのでございます。  その次は自治体警察の廃止に伴いまして二億三千三百万円が不用となつて参るのでございます。これは昨年の六月一日以降自治体警察を廃止いたしましたのに伴います分は昭和二十七年度において二カ月分の財政需要額を見ておりましたので、この分を差引きますのと、更に今年の四月一日以降廃止になる分がございますので、その総額を既定の分から差引きいたしたのでございます。合せまして、二億三千三百万円と算定いたしております。  次は人口等の増加に伴う経費の増といたしまして四十二億九千四百万円見込んでおりますが、これは平衡交付金の算定の基礎に用います基準財政需要額の算定につきまして、各行政項目の測定単位ごとにその数値を基にして計算をいたしますが、その数値の中で人口でありますとか、或いは児童数、生徒数というものが自然に増加して参りますので、この分の増加を見込んでおるのでございまして、まあ普通行政費の自然増の額というわけであります。この計算昭和二十八年度までの推計人目を基にいたしましてそれが二十七年度から幾ら殖えるかという数値を出し、これに平衡交付金の算定に用いておりまする補正係数をかけまして、出て参りました数値に単位費用をかけて需要額を推計する、かような方法でございまして、その内容は資料の八ページに明細に書いてございます。  その次は恩給費の増でございますが、そのうち一つは昨年制定せられました恩給の特別措置に関する法律が本年度から施行に相成りまして、これに伴いまする新規の地方負担額が約十億七千四百万円出て参るのでございます。そのほか給与関係の経費といたしましては、給与改訂に伴いまして五億九千七百万円、合せまして恩給費としては十六億七千百万円本年度において新規に増加いたす見込でございます。  その次は公債費の増でございますが、資料の十ページにございますように、昭和二十二年度以来二十八年度までの借入済みの額並びに借入見込額を合計いたしまして、これに対する昭和二十八年度の償還元金並びに支払の利子見込額を計算をいたしておるのでございますが、これによりますと、昭和二十八年度の償還元金は百四億三千三百万円、支払利子が百四十六億六千百万円、合せまして二百五十億九千四百万円の元利償還金がある見込でございます。でこの関係につきましては、前年度すでに百七十一億千二百万円というものが既定財政規模の中に計上されておりますので、差引二十八年度の自然増といたしましては七十九億八千二百万円、これだけを見込んでおる次第でございます。  その次は国の行政施策に伴う増でございますが、そのうち全額を地方経費で負担いたしております分につきまして、法令の改廃等に伴いまして負担の増減するものを計算いたしております前年度よりもこの関係では十億八千三百万円減少いたすのでございます。これはその内容は資料の十一ページにございますように、各種の経済統制に関しまする業務の廃止に伴いまして経費か不用になつて参ります。それかから殊に大きなものといたしましては、前年度行われました教育委員会の選挙に関しまする経費約十三億円ほどが本年度は不用になつて参る。そのほか半面増加になつて来る経費もございますが、差引きいたしますと、大体十億八千三百万円が前年度よりも負担減になつて参るのでございます。それからその次は、国の補助負担金の増額に伴いまして地方の経費の増加して来る分でございますが、これは一つは児童保護費の関係でございます。児童保護費は御承知のように前年度までは全額地方負担で実施しておりましたが、本年度から八割の国庫負担制度が実施されることになりましてしこれに伴う増減を計算いたしますと、二十八年度は十七億三千六百万円、この関係で殖えて参るのでございます。その他の各種の普通補助金につきましては、地方経費の増が三十七億五千二百万円ございます。その算定の基礎資料の十二ページにございますように、国の補助金におきましては、二十八年度は前年度より若干減つて参るのでございますけれども、地方負担分が殖えております。これはまあ総体的に見まして補助率が若干引下つて参るという関係からであります。この関係で結局国の行政施策に伴いまして、地方負担の増減を計算いたしますると、全体で四十四億五百方円増加と、かような計算が出て参つておるのでございます。  その次は臨時事業費の増でございますが、そのうち一般公共事業費におきましては、地方経費の増が三百七十八億九千四百万円、災害事業費におきましては三十四億二千五百万円の減となつております。これは一般公共事業費におきましては国の補助金が増加して参つておりますので、それに伴つて殖えておりますが、災害復旧費につきましても国の補助金は殖えておるのでございますが、これは昨年御承知のように法律改正によりまして、土木災害復旧事業並びに農林災害復旧事業におきまして、それぞれ国の補助率が高められておりますので、総体の事業費といたしましては、地方の負担が減少して参るという計算に相成つておるのでございます。この関係で公共事業費といたしましては、差引三百四十四億六千九百万円の増となつておるのでございます。  その次は失業対策事業費でございますが、これも国の補助金の増、殊に本年度におきましては労務費、事務費及び資材費、いずれも補助金額が引上げられております。それに伴いまして、地方の経費も総体で十九億七千八百万円増加と相成る見込みでございます。  次は単独事業費でございますが、単独事業費の増加の見込みの計算は、大体国の公共事業が伸びる程度とほぼ同じ程度で地方の単独事業も伸びて来るというような計算方法を従来からとつて参つております。これによりますと、昭和二十八年度におきましては、国の公共事業費が前年度よりも二創四分八厘殖えておりますので、単独事業費におきましても二十七年度の既定財政規模の中に見込んでおりした単独事業費五百十三億に同率をかけまして推計をいたしまして、更にこのほか歳入のほうで申上げますが、雑収入の増加を二十八年度において若干見込んでおりますので、その分は財政計画上は地方の単独事業費がそれだけ殖えて来るものである、かような前提の下にこの分を更に差し加えたのでございます。  更にいま一つ義務教育の施設、いわゆる老朽、危険校舎を復旧いたしまする事業の極めて緊急であるのに鑑みまして、特にこの分といたしまして、国の政府資金の状況等とも睨み合せまして十五億を差し加えたのでございます。これによりまして昭和二十八年度には前年度よりも単独事業費が六百七十八億九千七百万円増加という計画を立てたのでございます。  以上が大体昭和二十八年度において新規に殖て参ります財政需要額でございまして、総計が先ほど申上げました千三十九億三千八万円と相成るわけでございます。  次に富裕団体における超過財源等の増加額、これは本年度三十四億八千三百万円前年より殖えて参りますが、これは御承知の通り本年度におきまして義務教育費の半額国庫負担制度が実施されますのと、又先ほどもちよつと申上げましたように、児童保護費につきましても同様国庫負担制度が実施されることになりましたので、さような関係からこのいわゆる超過財源というものが殖えて参るわけでございます、以上が大体歳出の増加の見込額でございまして、これを集計いたしますと昭和二十八年度の歳出の総見込額が八千四百七十七億二千三百万円、かように算出せられるのでございます。  次に歳入について申上げます。歳入のうち先ず第一に地方税でございますが、地方税は昭和二十八年度の見込額といたしましては三千四十七億四千七百万円を掲げてございます。これは前年度に比べますと、百十二億八千七百万円の増収の見込でございます。その各税目別の増減の見込額は資料の十五ページに明細を示してございますが、要点だけ申上げますと、前年度に比べまして地方税全体として殖えて参りますのは百二十億八千七百万円でございますが、そのうち道府県税の関係におきましては前年度よりも二十六億七千九百万円が減少になる見込であり、市町村税分におきましては百四十億五千七百万円の増収の見込でございます。道府県の普通税におきましては、道府県関係におきましては大体減つて参りますのが、事業税において十六億四百万円、入場税におきまして二十億八千五百万円、遊興飲食税におきまして約二億円というように、まあ主な税目についてそれぞれ減収が見込まれておるのでございます。それから市町村税のほうにおきましては、市町村民税におきまして六十一億七千九百万円、固定資産税におきまして八十三億八千六百万円、電気ガス税におきまして十一億千八百万円、いずれも増収の見込でございまして、最終的には先ほど申上げましたような増減の関係に相成る見込でございます。なお本国会に地方、税法の一部改正法律案を提出いたしまして別途御審議を願うことに相成つておるのでございます。それから次は地方財政平衡交付金でございますが、これは昭和二十八年度千二百五十億円が予算に計上いたされておるのでございまして、これを前年度の千四百五十億円に比べますと一応二百億円の減と相成りますが、これは御承知の通り前年度におきましては義務教育に要しますところの経費の全額地方が負担しておつたのでございますが一本年度からはこの関係の経費は半額国庫負担となりまして、別途国庫支出金のほうに計上いたされておりますので、平衡交付金だけの関係で申しますと二百億の減ということに相成りますが、これに義務教育の国庫負担金五百四十億円を加えてみますると前年度よりも三百四十億円ほど増加になつて来る、かような計算に相成るのでございます。  その次の国庫支出金、これはいずれも今回提案いたしておりまする予算に計上せられているものをそのまま計上しているのでございます。総額におきましては二千三百五十五億七千百万円でございまして、前年度分よりも七百八十三億九千五百万円の増になつております。次は地方債でございますが、昭和二十八年度の地方債の計画につきましては資料の三ページのほうを御覧頂きたいと思いますが、普通会計におきまして九百二十八億、企業会計におきまして二百三十五億、合わせまして千百六十三億の発行予定をいたしております。このうち政府資金引受けのものは普通会計におきまして七百二十億円、企業会計におきまして百六十五億円、合計八百八十五億でございまして、前年度よりも百六十五億殖える見込でございます。  次に公募公債市場の一般資金に求めまするものは二十八年度は一般会計が百十億円、企業会計が七十億円、合せて百八十億でございまして、前年度の計画に比べますと百億の増加発行を予定いたしているのでございます。そのほか本年度におきましては一般会計におきまして九十八億円の交付公債を予定いたしております。これは国の直轄事業に伴いまする地方団体の国に対する分担金の納付に関しまして、今日の地方財政の状態にも鑑みまして、今年度からはこれを公債という形で国庫に納付せしめたいということで、別途法案を提案いたして御審議をお願いいたしておるのでございますが、この分といたしまして本年度九十八億を予定いたしておるのでございます。以上が二十八年度の地方債計画の概要でございます。最後の雑収入でございますが、雑収入は昭和二十八年度は見込額八百九十六億五百万円でございまして、前年度よりも七十四億三千九百万円の増を見込んでおります。そのうち使用料手新料の関係は前年度よりも五十二億三千五百万円の増でございまして、これは例えば水利使用料でございますとか或いはその他の使用料、手数料につきまして、従来からの実績或いは本年度の財政計画等を勘案いたしまして、大体平均いたしまして二割前後の増収を予定いたしているのでございます。その内容は資料の十六ページにございますが、それによりまして本年度二百九十七億千八百万円の収入を期待いたしているのでございます。それから雑収入は、本年度五百九十八億八千七百万円で、前年度よりも二十二億四百万円。大体四%程度の増でございますが、これは二十六年度の実績をもとにいたしまして二十八年度の収入見込額を計上いたしたものでございます。以上によりまして歳入の見込額は総計八千四百七十七億二千三百万円、かようなことに相成る次第でございます。  以上概略でございますが、内容を御説明いたしました。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 只今説明で、行政整理に伴う不用額十八億四千九百万円計上になつておりますが、これは毎年どういうふうに、この数年間はどういうふうになつているか。
  58. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) この行政整理に伴う不用額十八億四千九百万円と申しますのは、先ほど申上げましたが、昭和二十七年度の財政計画を立てましたときに府県並びに市町村一般職員について五%の整理という前提で計算いたしたのでございます。ところがその五%の人員を四月一日に一斎に整理をするというわけにも参りませんので、事実上年度内にこれだけの整理を行うという前提の下に年間を通じまして四カ月分だけその人件費並びに物件費の所要額を見込でおつたのであります。その分が昭和二十八年度からは全部七年度に整理されたものということで組んでおりますので、その関係の経費が不用になるいう関係でこの部分だけを控除しているのでございます。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それ以前に、やはり同じような行政整理を一、二遍やりましたね。それによつて生じた不用額は各年度別にどれくらいになつておりますか。
  60. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 二十七年度の行政整理額といたしましては、先ほど申上げましたように五%、これも当初の計画におきましては、一切の職員を通じて五%という数字を立てておりまして、その後一般職員だけ、例えば警察職員であるとか或いは教育職員というものについては、整理は事実上不可能であろうということで、一般職員に直したのであります。さようなことで、多少当初計画と修正計画において数字が動いておりますが、只今手許に数字がございませんので、後ほど調べましてお答え申上げます。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それではその数字をお示し願うときに、終戦後そういう何か地方財政或いは地方行政に関して、整理のために減額になつたものが各年度ごとにどれくらいずつになつておるか、どういう推移を辿つておるか、それがわかるような数字一つ出してもらいたい。
  62. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 調査をいたしまして、資料にして提出いたします。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 災害復旧関係でどの程度の歳出を見込まれる予定ですか。今度の災害ですね、九州その他ですが。
  64. 正示啓二郎

    政府委員(正示啓二郎君) 只今災害につきましては、御承知のように現地にも本部を設け、又は中央にも本部を設けまして、鋭意実情の調査をいたしております。昨日、私のほうから参りました者が一人帰つて参りましたので、今朝、現地で見て来た実情につきましての説明を聞いたのでありますが、何といたしましても、まだ現地の応急救助の段階でございまして、もとより関係各省におきましては復旧の調査も進めておるわけでございますが、目下のところどの程度の復旧費が要るかということははつきりいたしません。いずれにいたしましても、御承知のように本予算には災害対策予備費を百億円計上いたしております。暫定予算では、そのうち三十億円を計上いたしまして、すでに凍霜害関係で五億、それから先般北九州の水害と申しますか、西日本全体でございますが、この関係で六億円出しまして、即ち三十億円のうちから五億と六億、十一億出しましたが、あと十九億暫定予算の予備費があるわけであります。これらを似ちまして、先ず応急対策としまして、いずれ本予算の成立を待つて災害対策予備費を支出する、こういう段取りであります。一方におきましては、至急に所要額の調査を進めておるような次第であります。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結局それはまあ応急対策になるのですね。あとで又被害総額がわかるにつれて又その費用が出て来るわけですが、そういうのはどういう形で賄われるのですかね。地方債で賄うのですか、或いは平衡交付金で賄うのですか、その賄い方ですね。
  66. 正示啓二郎

    政府委員(正示啓二郎君) 先ほど地方財政計画の中の説明にもございましたが、公共土木施設等の災害復旧につきましては、御承知のように法律がありまして負担割合がきまつております。それから応急の救助費にいたしましても、いわゆる災害救助法がございまして、被害の程度に応じまして地方の負担と国庫補助の割合が法律によつて明定されておるのでございます。その法律のあるものはその例によりまして、又法律の定めのないものにつきましては、前例等、並びに今回の災害の実情に照しまして地方の負担と国の負担を定めるわけであります。只今御質問の点につきましては、そういう負担の割合を定めました上で、国の出しますものは、先ほど申しましたような、先ず以て災害対策予備費というようなものから出すわけでございますが、なお地方の負担につきましては、この国の補助等を見合に、すでに預金部資金のつなぎ融資ということもいたしております。将来の問題といたしましては、そういうつなぎ融資に見合いまして国の補助金が出る場合もございますし、更に本格的な地方の起債ということで賄いまして、いわゆる地方負担の分を起債に振替えるものもあるわけ不あります。これらはまだ先ほど申上げましたように全体の所要額を調査いたしまして復旧計画を具体的に立てませんと、どの程度ということはわかりませんが、大体の考え方といたしましてはそういうふうに考えておるのでございます。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私今度初めて建設委員になつたのですが、それで道路計画費などを説明してもらつたが、これは道路関係ばかりではないのでございますが、中央においては今度御承知のように道路費が非常に著しく殖えた。そうする一地方財政の負担分が、それに連れて膨脹しておる。この関係で公共事業費が殖えると地方財政負担が殖えるのですが、それはやはり地方とよく連絡がとれてそういうことが行われておるのか。ただ道路建設費さえ殖やせばいいということにはならないで、地方との負担の割合をよく考えながらやりませんと非常に問題が起つて、今の災害復旧費でも、中央でこれだけ出すからといつて全部賄うわけではない、結局地方負担が出て来る、こういう点地方財政のほうでは相当いわゆる圧迫をこうむつて来るのではないかと思う。そのために中央の例えば道路費を地方が或る程度負担する、ほかの地方費が食われて来ると、ほかにやらなければならないものがそつちのほうに食われて太るというような関係も起きて来ると思う。殊に二十八年度はすごく殖えておる。この関係は地方では何ら問題になつていないのですか、地方財政のほうでは。
  68. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは御指摘の点は実際問題としては確かにあるのでございます。公共事業費を殖やしますときに十分そこまで考えずに、公共事業置きえ殖えればいいという考え方で国の公共事業費の計画だけ殖えて、地方の負担分を見ていないということは実際問題としてはあるのでありますが、今年の財政計画の中には、只今説明申上げましたこの公共事業費の増の中の計算としては組込んであるわけであります。ただ計算として組込んでありましても、実際にこの計算をしますときに、単価などの点で以て十分に見ていないと、実際額としては足りない場合がときどきあつて、それが地方財政を圧迫する一つの原因になつていることは確かに否定できないと思います。考え方としては、一応公共事業費が殖え、地方負担が殖える場合には、一応はそれは地方財政計画に見てはある、こういうことです。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこです。中央で公共事業費を見積るときに、前に、下のほうからずつとそれを地方と相談して、よく地方財政がその負担に耐えるかどうかということを、具体的に各道路について下から積み上げて、ああいうものを公共事業としてやつているのかどうか、私実情はよく知らないのですが、どうもそうではない。今のお話を伺つても一応織込んである。あとでこの財源はどう賄うのか、地方財政で賄うのか、いろいろあと片を付けるのでしようが、その点私は非常にやはり実際問題として大きい問題ではないかと思うのですが、下からずつと積み上つて来ているのじやない。そこでやはり特に公共事業費は御承知のように、いろいろ分取り関係もあつて、特に政党的にこれはいろいろな問題があることは塚田さんはすでによく御承知の通りだと思うのです。その点をもう少し僕は下から実際的に積み上げるということをして行かないといけないじやないかと思うのですが、この点いろいろ研究されているのじやないかと思うのですが、どういうふうにお考うになつていますか。
  70. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはそういうふうにしないと地方財政に困難がその面からますます拡充して行くばかりであることは申すまでもないのでありますが、私も今まで何年間か国会におりまして、様子を見ておりますと、そうでなしに一応中応で公共事業費というものを殖やして、それに合せるように地方財政計画のほうで、平衡交付金、起債その他で見ているわけでありますから、どうしてもその見方が、起債の場合には、他の財政資金全般との睨み合いで十分得られない。又平衡交付金の場合は、国の歳入全体の枠で十分見られないというような制約のために、公共事業費の伸びと、それに伴う地方負担の伸びというものは、実質的にきちつとマッチするように行つておらない、こういうように私は感じておるのであります。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私今年建設委員になりましたが、具体相にいろいろな事例で調べてみたいと思つているのです。この点は相当公共事業費の金額が大きいのですから、財政の節約とか何とか、財政資金の有効的使用とか何とか言つていますけれども、そういうことを本当にやらなければだめなんだと私は思う。ですからその点は又研究を大いにしたいと思うのですが、もう一つ伺いたいのは、今度は揮発油税を道路費に当てるというような法律案が出ているのですよ。あれが通るとやはり又地方負担分が殖えるはずなのです。それはこれに織込んでないわけなんですな。
  72. 正示啓二郎

    政府委員(正示啓二郎君) 法律案只今国会において御審議中でございます。一応私どもの予算といたしましては、その法律を織込むという建前でなく、従来の方式によりましてやつておるわけであります。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あれは二十九年度からですな。
  74. 正示啓二郎

    政府委員(正示啓二郎君) そうであります。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税制改革の問題ですね。今どの程度進んでおるのですか、やはり中央地方を通ずる根本的な税制改革を考えている、こういうことが前から言われておつたのです。二十八年度においてはどの程度それを行われるかどうか、或いは二十八年度でできなければ、二十九年度あたりから実行されるのかどうか、どの程度まで研究が進んでおるのか、この点ちよつと伺つておきたいと思います。
  76. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 二十八年度中にいたします分は、前国会に出ましたものをもう一度再提出をいたしております。地方税のほうは、それに前国会におきまして修正になりました分などを、今度は政府の案の中に修正として取込んで、多少違つておるものよあるのでありますが、大体においては変らないものである。従つて二十八年度までの改正は、今まで世間に伝えられている、御承知の通りの分だけであります。従つて中央、地方を通じての大きな改革というものは、二十九年度の予算の編成に間に合うようにという考え方でやつております。その場合に特に大きく考えておりますのは、むしろ地方税のほうなんでありまして、地方税をそういう工合に直す場合に、それから波及して来る面の国税を何とか考えなければならない面が出て来るであろうというので、従つて税制改革は中央、地方を通じてどういうことになるか、地方のほうは御承知のように地方制度調査会の第二部会で以て、それから中央のほうはつい最近になりまして大蔵大臣も言明されておりますように、もう一度税制調査会というものを国税のほうは設けて、両方で以て調査をして合わせて行く、こういう構想でやつているわけであります。従つてどちらも今、一方は地方制度調査会に、一方は税制調査会において調査をしてもらつているということでございますが、その調査の案を得まして、政府としましては二十九年度の予算に間に合うようにこれの成案を出したい、こういう段階で進んでおります。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府としては大体どういう点に重点をおいて改正されて行こうとしているのか。
  78. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあいろいろむずかしいものですから私も個人としては若干の考え方を持つているのでありますが、やはりそれに対して考え方に違う人もあり、なかなかまだここで申上げる程度の成案というものはまだないのでありますが、ただ考え方としましては、地方のほうは成るべくこの補助金や平衡交付金によつて余計頼るという、今の財源措置の考え方を抑制いたしまして、独自の財源で成るべく地方財政というものは賄うような方向に持つて行きたい。従つてどういう財源を得るかということに今工夫をいたしているのであります。ただいろいろ検討して見ますと、なかなか偏在するものでありますから、殊に近年の日本の経済の傾向は、都市中心のところと、農村のところと、一つの税種目で以て普遍相に税収入が得られるという税金がなかなか見つからない。又所得税や、そういうものの附加税というような形にするが、酒、煙草消費税というような形にするか、更に今度府県と市町村の間にも同じ問題があり、殊に入場税、遊興飲食税というようなものは大都市に非常に片寄り、而も東京都とか、大阪というようなところになりますと、殊に大阪のようなところになりますと、金の要る市の収入がなくて、府に皆余計集つてしまうというような関係から、こういう面も何とか調整なくちやならん。いろいろな面に非常に考え直さなければならない面がたくさんにある、こういうように思うんですが、まだ具体的にどういう工合にということは私もまだ結論を得ておりませんが、又制度調査会のほうもそこまで作業が進んでおらないようであります。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大体今のお話では、二十九年度から実行するつもりで今作業をやつておられるということなんで、もう少しまあ進んでから又政府の大体固まつた構想を伺いたいのですが、御承知のように、二十九年度の財政計画は非常に大変だと思うのですね。二十九年度ではいろいろな煽りを食つちやつたり何かして、二十八年度で一応成立した予算なんかを、例えば恩給なんかも更に殖えて行くという、二十九年度でそういう膨みも出て来るので、これは大変な大きな問題が出て来ると思うのです。そういう点については、私どもは地方財政も、これは二十九年度のこの一般会計予算が非常に重要であると同時に、地方財政のはうも、これは二十八年度はどうやら越せるとしても、二十九年度はやはり相当大きな問題があると思う。その点について、今度の二十八年度の財政計画を立てるときに二十九年度のことも考えられてお立てになつているかどうか、この点は今度の二十八年度予算審議する場合に重要な点でございまして、地方財政についても私は同じことが言えるのじやないかと思いますので、どの程度に三十九年度のことを考えられて、地方財政計画なんかも同じことなんで、相当やはり二十九年度は問題が起り得ると思う、この点伺つておきたいと思います。
  80. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは誠に大事な問題でありまして、私も長く予算というものをやつておりました感覚では、二十九年度は国の予算も大変だ、従つて地方の予算も大変だという心配はいたしております。二十九年度では国と地方を通じて予算、財政の総枠というものをどのくらいに国民負担の釣合上抑えるかということが一つ大問題になると思います。今度国と地方を通じての、総額を通じて、又国と地方をどういう工合に配分するかということを、仕事の配分と睨み合せて検討しなければならない。今の国と地方財政計画では、少し国に力が入り過ぎている。地方が仕事の割合に予算の枠を締められ過ぎているのじやないかと思う。ただ国と地方を通じて、今年の予算の中で、殊に地方財政計画を、私が地方自治庁長官として策定しています場合に、二十九年度のことを考えておるかというお尋ねでありますけれども、その点は私もこれは真剣に考えておるのでありまして、ただ具体的にどこをどういう工合に考えておるかというほどのあれはありませんが、併しこれは予算というものは一度規模を大きくするとなかなか締められないものでありますから、二十九年度の予算が大変だということを考えます場合には、従つて二十八年度の予算はできるだけこれは小さくして、費用なんかも締められるだけのものは締めておいて、そうして二十九年度の予算をその基礎の上に十分検討して行きたい、こういうように考える。従つて二十八年度の予算の総額というものはそういう面から成るべく小さくなつておるということは私は申上げられると思います。それがまあ地方財政が貧乏しておるという別の観点から非常に御非難を受けておるもう一つの一点なんでありますが、私が地方財政のこの窮乏状態に今度措置ができなかつた一つの気持の上の理由は、そういう点も確かにあずかつて原因がある。こういうように申上げられるわけであります。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何か非常に抽象的なあれでよくわからないのですが、それなら結局今度の不成立予算……、併し地方財政は膨脹しているのですよ。その点は矛盾していると思うのです。小さくしなければならんと青いながら逆に膨脹している。そういう点はどういうふうに考えられているのか。これはまあ塚田さんだけに質問しても当らないと思うのですが、一般にこの地方財政もそうですが、中央地方を通じて、この財政の立て方が甘いと思うのです。二十九年度のことを甘く見ていると思うのです。この点は今成るべくそれで締めておると言いますけれども、締めていないのですよ。今後又改進党とのいろいろなあれによつて、妥協によつて又膨らんで来ると思うのですよ。こういう点は率直に一体どういうふうに考えるか、これはまあ一応党派のこともあるでしようが、ただ本当に二十九年度のことを考えますと大変だと思うのですよ。締めていないと思います。又補正が相当出て来るでしよう、この点はどうなんですか。
  82. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは不成立予算から、今度の地方財政の規模は御承知のように平衡交付一金が三十億ばかり殖えましたのですが、この三十億殖えましたのは、税収を再検討いたしました結果、どうしても減収するということが今日の段階で明らかになりました分を大体体平衡交付金に見た、こういう考えでございます。起債のほうは十五億御承知のように殖えたのですが、これは当初不成立予算のときも危険校舎の改築などでもう少しああいう単独事業の面でしたい仕事がかなりありましたのを、起債の枠の関係やら資金運用部資金その他の関係で以て十分できなかつたのが、今度例の電信電話料金の値上りの関係で、あの面から少し裕りができたものですから、この機会に十五億だけ起債の枠を殖やした、こういう関係になつております。私としてはできるだけ締めたいという気持で当つたことは事実なんです。併し又国会には、衆参両院とか、別の面から地方財政が非常に窮乏しておるから少くとも地方財政はもう少し考えろという強い御要望があつたので、その要望を無にしたわけじやないのでありますが、まあいろいろな事情がありまして今度のような措置になつた、そこういうようにお考えを願いたいと思います。  それから修正の意見というものが国会にいろいろ出ておりますことは私も承知しておるのでありますが、政府としましては、勿論今度組んであります予算が、中央も地方もぎりぎりなんでありまして、これを増額するというような修正は成るべくまあ呑まないという考え方であることは申すまでもないのでありますが、これはまあ国会の皆さん方の御意向によつて或いはどういうことになりますか、今の段階では私から申上げることではないと思います。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あと一つだけ伺つておきたいのですが、七千四百三億の歳出既定財政規模に新規財政需要等を加えて八千四百十七億になつておりますが、これはどうですか。又補正でそこに少し殖えて来るのじやないかと思いますが、どの程度、二十七年度で、又あのときも補正で殖えたのですね。これ又補正ということを考えておかなければならんと思いますが、どの程度……、無理でしようが、今正確なことは……、どの程度又補正が見込まれるか、これは今の大体災害復旧関係その他を入れても殖えることは事実なんですが、どの程度見込まれておりますか。
  84. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ補正予算は大蔵当局も出さない、今の段階では出さないと繰返して言うておられるからなんですが、ただ二十七年度は、御承知のように補正予算が出ました場合のことを考えてみますと、やはり年度の中途で給与改訂がありますと、これが大巾に国も勿論殖えるでしようし、地方も殖える。今度の災害も今のところではまだ正確な数字が出て参りませんのでよくわからないのでありますが、何とかやつて行けるのじやないか知らんと実は漠然と考えておるのです。これはまだ大蔵当局と全然話合いをしておりませんが、極く大ざつぱに計算をいたしましたところで、今度の災害で府県の当面の税収の欠陥が二十億くらい出るのじやないかと考えられております。そういうのが果して現在の千二百五十億の中から八%の特別交付金というものを控除してそれに充てられるわけですが、それで賄い切れるかどうか、私は多少疑問に思つておりまして、事務当局に検討させております。そういうものが若し不足するとなると、これは平衡交付金の中というものを大蔵当局と折衝しなければならんということになります。その他大体今度の災害の分は今の補正予算の中で賄えるのじやないか、従つてその面で今後何か突発的なもの、起つて来なければ予算は賄えるのじやないかと考えております。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう制治的な配慮をめぐらされないので、事務的で結構です。私はそれを聞いておるわけではない。これでどうせ済まないと思いますが、どの程度見込んでおいたらよいものか。これは中央のほうも勿論一般会計のほうも考えなければならんですが、その点をちよつと参考のために聞いておきたい。先ほど国民所得に対して中央、地方の財政規模はどの程度が適当であるかということは、二十九年度においても重要な問題であると言われたのですが、その参考にするために一つ伺つておるわけです。ですからわかる範囲でよいのです。大体分ちよつと目の子勘定でそろばん弾いて、やはりこの程度はどうしても殖えるのじやないかという程度で結構です。
  86. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この数字はそのつもりで正直なところを申上げますが、大体近年の地方財政の規模をずつと御覧になつておつても同じような傾向になつておりますが、二十七年、二十八年においては約一千四十億の増加ということになるのであります。その中で何が一番多く殖えておるかといいますと、最初の三百三十二億の給与改訂に伴うものと、それから五百三十億の臨時事業費、それでその中の一番大きなものが単独事業費の増加とそれから公共事業費の増加と、こういうようになつております。この辺の数字を見て頂くと、大体今度は、このときの給与改訂は、約二割くらいの上り方でしたが、その割合で殖えて行く、御承知の通り単独事業の場合には国の公共事業費の伸び方で殖えて行くということを御説明申上げましたが、そういうような数字で御検討下さると、やはり七、八百億から千億くらいの増加というものが、普通の考え方で大体財政規模を考えて行けば伸びるのじやないかと、こういうように考えます。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 臨時事業費の中で、公共事業費三百四十四億余、これは中央の公共事業費が殖える、従つてその地方負担分ですね。そうすると、今お話を伺うと、公共事業費が殖えると地方単独事業もそれに連れて殖えるというと、そこに何か有機的な関係があるのですか。地方の単独事業の、その関係がよく素人でわからないのですが、どういう関係にあるのですか。
  88. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは恐らく単独事業をやりたいという傾向、それからそういう希望を全部出して来れば素晴らしい数字であると今想像されます。それは長い間、地方財政もやりたいこともやらずにおりました関係から見まして、従つて希望を集計して需要を出したらとんでもないものでありますから、まあ、一応今日の財政計画では、中央が地方を相当財政面で縛つておりますからして、この程度までならば地方財政需要も伸ばさしてもいいんじやないか、それは国のほうがこれだけ伸びるのだから、それに比例してだというような、こういう考え方であります。
  89. 青木一男

    委員長(青木一男君) 長官に私一つ簡単なことですが……。今地方財政の規模についてのお話があつたのですが、大体今日のような地方財政が窮迫した原因を考えて見ると、一つはこの占領下に馴致された行政機構の問題、学校も含めてです、そういう問題を今日ずつと引続いて承継しておるということと、それから今お話のような新規の事業があとからあとから出て来ると、そういうことでだんだん歳出が膨脹して来ておると思うのでありますが、今国民所得のお話もありましたが、地方において急激に国民所得の増加ということも考えられませんし、どうしてもやはり歳出面において考慮しなければ地方財政の均衡ということは期待しがたいじやないかと思うのですが、まあ地方制度調査会等においてもその点は研究されておると思いますけれども、思い切つてこの今までの行政機構というものについて、今まで占領下の行政機構は、日本の国情、殊に経済力ということに関係なく、理想案みたいのようなことで立てらた部分が非常に多いと私は思うのでありますが、そういうものを本当に日本の現状に合うように、これを考え直す時期に来ておるのじやないかと思います。又仕事をする場合にも、それは仕事は多く地方民としては希望いたしますけれども、結局財源、負担力というものと見合つてやらなければいけないということを、やはり国民としても地方民としても考えなくちやいけないのでありまして、そういう点について何か自治庁のほうで今の行政機構、その他の組織を現状に合うように根本的に考え直すという御計画がおありかどうか、それをお伺いしたいのであります。
  90. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) まあ御指摘の点は誠に御尤もなことでありまして、今度の従つて地方財政の規模をどうするかという場合には、それと一緒に地方制度をどうするかという問題が併せて考えられておるわけであります。従つて地方制度調査会にはその両面の御意見を出して頂くようにお願いしてあるのでありまして、制度調査会はそれを受けまして行政部会と財政部会と二つに分れて御検討願つておるのであります。ただこの制度改革の問題は地方だけというわけには行きませんので、地方制度調査、この機構のあり方というものを再検討願うと同時に、国の機構の改革も関連して考えなくちやならないというので、このほうは私が所管しております行政管理庁に附置されております行政審議会に諮問いたしまして、国の行政機構はどういう工合にしたらいいか、地方の行政機構はどういう工合にしたらいいか、それを併せて、その改革の裏に今度の財政計画というものを考えておるわけであります。だから考え方としてはそれで恐らく御納得頂けると思いますが、考えるだけは簡単なんでありますが、とにかくそれが実際にうまく行くかということになりますと、なかなかいろいろな沿革があつて、出て来たものをどれ一つ取ろうということになると、これは又大変な難事であろうと想像されますので、果してうまく行くかどうかということを非常に心配をいたしておりますのですが、考え方としては非常に強い考え方で、国民負担の現状というものを考えて、機構を再検討し、整備縮小して、そして健全な財政状態に持つて行きたい、こういうように考えておるわけであります。
  91. 湯山勇

    湯山勇君 私は細かい点でお聞きしたいのですが、さつき佐多さんからも御質問もありましたが、二十七年度に五%の行政整理ということを決定されたのでありますが、これは今どういう状態なつているか、各府県の実情を御覧になつて、この予算措置をお考えになつたのか、ただそういうふうにしてあつたのだから、今度はもう実情がどうあろうとやろうというのでおやりになつたのか、その点が一つの点と、それからこれはそういう噂さですが、今回中央官庁の冗費節約を一五%ということを言つておられるが、これは地方とは無関係におやりになる御予定なのか、地方もその線に沿つて何らかの措置をお考えになつていらつしやるのか、この二点についてちよつとお伺いいたしたい参と思います。
  92. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) お答え申上げます。行政整理につきましては、先ほど御説明申上げましたように、昭和二十七年度におきまして中央と地方を通じて相当に行政整理をする必要があるということで計画を立てたわけでございます。これは五%の行政整理と申しますのは、財政計画上このような行政整理をなすべきであるという建前で、財政計画を立てたという意味でございます。又事実二十七年度中における各地方団体のやつておる仕事を見ますと、団体によりましては、総体的に財政の運営が困難をいたしております関係から、相当思い切つた徹底した整理をしておられるところも勿論ございまするし、又団体によりましては必ずしもいろいろな事情によりましてその通りの整理が行われておらないというところも、或いはあろうかと存じます。その実績につきましては、只今まだ御説明申上げるような材料を持つておりません。  それから節約の問題についてお尋ねでございますが、節約はもとよりこれは中央におきましても又地方財政におきましてもやつて参らなければならん問題であると考えておるのでございます。地方財政におきましても、各地方団体とも努めて、冗費と称するものがあるといたしまするならば、冗費等の節約を図つて行きたい。又大体考え方といたしましては、殊に中央政府におきましても、さような節約を、見込んで予算を計上しておるわけでありますから、地方におきましてももとよりかような節約を我々は期待いたすのでございます。ただ総体的に見まして御承知のように地方団体には相当赤字を出しておる団体もございますし、全体的に見て地方財政が非常に窮乏しておる状態でございますので、それらの節約によりました財源の余裕額というものは、そういつた財政的窮迫を打開するために各団体で以てそういう財源に充ててもらいたい。財政計画上特にかような節約額を上げて、それだけのものの財源を与えないというような措置はこの際避けたい、かように考えている次第であります。
  93. 湯山勇

    湯山勇君 いま一つ地方教育委員会のことについてでありますが、これで見ますと、法的に地教委設置の基準と申しますか、それと比べて見ますと、相当計画というものとの間に、開きがあると思うのです。例えば市町村の教育長なら教育長にいたしましても、これで見ますと大体二分の一が見られておるわけでございますね、市町村数の……、そういう点がどういう根拠に立つてこういう御計算になられたのか、昨年二十七年度に準じてという御説明がありましたけれども、二十七年度というのは、これは発足当初でございまして、当然、完全と申しますか、間に合わせにしか過ぎない。併し二十八年度からは当然相当整つた教育委員会ができるのだということを御説明なつておつたわけなんですが、それらの点がお話の間には相当開きがあるのではないかと思うのです。二十七年度、つまり発足当初の不備な状態を今年度も踏襲されるという御説明のように受取つたのですが、その点はちよつと解しかねるのですが、もう一度その点詳しく御説明頂きたいと思います。
  94. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 昨年の十一月から市町村の教育委員会制度が発足をいたしたわけでありますが、その財政措置につきましてはこれはどのような程度のものを財政計画上、上げて行くべきかにつきましてはいろいろ御議論も伺つておつたのでございます。お尋ねの教育長の実施の問題につきましても、理想的に申しまするならば、もとより各市町村にそれぞれ専任の機関を配置いたしましてやつて行くべきでございましようが、今日の国民負担の現状等にも鑑みまして、国家財政並びに地方の財政の状況等を睨み合せまして、本年度におきましても全体の市町村、大体一万近くございますわけでございますが、そのうち町村分につきましては、やはりそういうところは経費の節約というような点も考えまして、半数というものに別にこだわつておるわけではございませんけれども、大体総じましてこの程度のものは兼務で間に合うところは間に合わせて行つてもらう、かような見解で組んでおるわけであります。なおそのほかのものといたしましては、市の教育委員会につきましては、昨年は指導主事一名だけを配置するという計算をいたしておりましたのに対しまして、本年度は特に事務職員、事実その仕事をなして行く上に必要な職員と考えまして、この分だけは特に増加を見たのでございますが、総体的に見ましてこの関係の経費が少な過ぎるのではないかという御意見はかねてからよく伺つておるのでございますが、今日の財政の状態から見まして、この程度のもので以て何とかこの制度を運営してもらいたい、かような考え方をいたしておるわけであります。
  95. 湯山勇

    湯山勇君 なお、御承知のことと思いますけれども、昨年度におきましては自治法の拡大解釈によつて、教育長がない場合には助役が教育長を兼ねることができるという解釈をなされたわけですね、これが本年の四月一日からはそういうことはできないことになつておるわけです。従つて昨年度中そのようにして専任の教育長がなかつたからというので、本年そのままの形でやつて行くということは非常に危険なことではないかということからお尋ねしたわけです。なおこの教育委員会の問題に関連しておるのですが、このような予算措置がなされておりましても、実際に教育長がたくさんできたという場合には、これの補正をなさる御予定かどうか、そのお見込は如何でしようか。つまり各教育機関が、教育長の養成機関を持ちまして、どんどん養成をして行く、そうして養成された教育長がそれぞれ就任した場合には、各町村に教育長が出て来ると考えられるわけですが、その場合には予算の補正がなされるのでしようか、どうですか、その点如何でしようか。
  96. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 総体的に各種の、これは教育問題ばかりに限りませんと思いますが、各種の行政についてそれぞれ行政の質の向上ということは互いにこれは図つて参らなければならんと思うのであります。それに伴います自然経費の増嵩ということも考えられるわけでございまして、仮に又昭和二十九年度、或いは今後の財政計画を立てます場合におきまして、従来考えておりました計画に対していろいろそういつた運営或いは量的な行政の進歩向上に伴いまして経費増嵩というものは、これはおのずから認められなければならんと思つております。ただ本年度のものにつきましては、只今申上げましたような考え方でこの地方財政計画を立てておりますので、本年度直ちにこれを今から又修正をするということは今の段階では考えておりません。
  97. 湯山勇

    湯山勇君 今度は少し大きい問題で長官にお尋ねしたいのですが、現在の地方教育委員会の実情は、すでにお聞き及びの通り不完全極まるものがあると思うのですが、勿論この責任は文部大臣にあると思うのですけれども、併しこのように地方財政計画と密接な関係があることから考えましても、自治庁長官といたされましても、この制度に関して再検討をする必要があるとお考えになられますか、或いはそういう必要はないというふうにお考えになつていらつしやるか、その点一つ
  98. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ私も責任を持つてお答えできるほどの考え方をまとめておりませんので、今までいろいろに聞きました範囲で以て現在考えております自分の私見としてお聞き願いたいと思うのですが、私ども地方財政の観点からは、この制度はもう一度何とか考え直して見る必要があるのではないかと、こういうふうに考えております。従つて地方制度調査会にも、その点そういう考え方を頭に置いて検討して行つて頂きたいというふうにお願いしているわけであります。
  99. 湯山勇

    湯山勇君 最後にお尋ねいたしたいのは、知事会議等におきましては相当各府県とも過去の赤字の累積ということを申しているわけであります。併しいろいろ本庁関係でお聞きしますと、知事会議が言うほどに赤字累積はないのだ、又こちらのほうで、例えば昨年の〇・二五の財源措置をなされました場合におきましても、知事会側のほうは、これは別に〇・二五の財源ではないというようなことを申しまして、自治庁のほうのお考えと府県知事の間の考えとは、かなり開きがあるように存ぜられます。でその赤字が果して累積しているものかどうか、そうしてそれらについては自治庁のお考えと府県知事側との間に開きがあるようですが、これはなぜかような開きができたものか、累積した赤字があるとすればその清算と申しますか、それらの処理はどのようにしてなされるか、これは随分大きい問題になると思いますけれども、それらについての構想をお話頂きたいと思うのです。なお知事側の意向と申しますか、私的の見解の中には、たとえ税制の改革がなされても、現存のように地方財政の大半を平衡交付金に頼つている実情においては、税制機構改革のみでは決してこの問題は解決しないというような意見も相当あるやに聞き及んでおりますので、それらの問題も含めまして意見をお聞かせ頂たきい思います。
  100. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは知も非常に悩んでいる問題なのでありますけれども、ただ普通にこの地方財政の赤字という問題を世間も考え、又関係者も言います場合には、現実の赤字という問題と、それからして地方財政が窮乏しているという広い意味の赤字と、やりたいことがたくさんあるのに金がないからやれずにいるという意味の、広い意味の赤字と、二種の考え方があるのですが、これがとかく混同して考えられて行く傾向があるのじやないかと思うのです。そこで非常に地方財政が窮乏しているという意味においては正に私は赤字があると思つているのでありますが、その点は先ほども申し上げましたように、国と地方の事務配分の歩合が、戦前戦後を通じて、ずつと或るときは中央に重点がかかり、或るときは地方に重点がかかるというふうにずれて来て、最近では又地方に重点がかかつて来て、地方の仕事が多くなつて来ておりますのに、それに附随した財源の伸びというものを国が十分に見ないというところに大きな原因があると思うのであります。これは全面的な改革のときでなければ直せないし、又そのとき以外には直すべきではないと思つております。具体的にそれでは出ている赤字という問題でありますが、これは正に統計を調べて見ましても、二十六年度までははつきりした数字が出ておりますのでありまして、二十六年度の数字でございますとこれが百億、繰上げ流用いたしました数字ですと六十三億でありますが、実際にそのほかになお実質的に赤字があると言うておりますのをあれしまして百一億くらいになつておる。で二十六年度のさんざ騒ぎました時分に四百億ある、五百億あるという声でありましたが、現実にはこういう結果になつて決算の上には出ておりますが、この調子からして二十七年度の状態はまだ正確な数字集計ができておりませんのですが、推定をしてみますと、今の私どもの計算では約二百億近い数字現実の実質上の赤字という意味においてあるのじやないか、累積と申しましても、予算の上にこういう工合に出て来ております場合には、二十七年度の二百億の中には、二十五年、二十六年の分まで皆計上されて来ておると思うのですが、二十七年度まではそういう集計だと考えます。二十七年度にこのように殖えましたのは、二十七年度に特殊な原因がありましたので、その最も大きな原因は、やはり年度の中途に給与改訂がありまして、予算を組んだあと給与引上げをいたしましたものですから、それがまあ非常に大きく原因をしておるかと考えます。  そこでこういうものに対する国の対策なんですが、実は今のこの税制計画、平衡交付金制度を含めた地方財政計画というものでは、その配分の方法を通して、地方団体のどこにも赤字を生じないように大体配分ができておるわけなんであります。だから私どもの考え方からすれば、赤字が出る団体があるわけはないのでありますが、現実にこうして生じておると、こういうことになつておるのであります。従つて二十八年度どういう結果になりますか、二十八年度は給与改訂が又あるといたしますと、若干同じような現象が出て来るかも知れませんが、二十七年度ほど大きな増加というものはないのじやないかと考えておるのであります。それから世間で非常に赤字がある赤字があると言つている声が非常に大きいのは、最初に申上げました財政が窮乏しているという意味の考え方である。そこで窮乏しているという意味の考え方は、これはどの程度まで地方財政計画で措置するかということでございますが、これは国民負担と国の財政と併せて相関的に考えらるべきでありまして、地方の仕事ができないで非常に困つておるから、地方だけを殖やすという考え方では解決しないと思う。現実に生じました赤字、そういうように一応赤字を生じないようにやつたんだが、赤字を生じておるという現実がありながら、これを放つて置くというわけにはやはり行かないのじやないか、殊に赤字を現実に生じておりますところは必ず短期債か何かで借りて急場を凌いでおられると思う。従つて相当高い利子負担をしておられると思います。それを二十九年度に我々が考えております当面の財政措置で以て一度に解決できる方法というものは、これは考えられませんし、又そんな方法を考えるべきではありませんので、一時長期債か何かに借り替えをしておいて、相当長い期間にこれは償却して頂くというような方法でもしなくちやならん、こういう考え方をいたしております。
  101. 湯山勇

    湯山勇君 今の理論的には赤字が出るというのは、確かに不思議な現象でございますけれども、ただ私どもの把握した範囲では、繊維産業その他の産業はかなり不安定であつた関係上、事業税の見積りが、中央と地方と、実際の徴収できるものとの間に開きがある。ああいう産業は非常に地方にとつて大きな財源になるものですから、そういうところから理論的に生ずるはずのない赤字が出るということも事実ではないかと思うのですが、なお今後の二十八年度の計画における事業税の見積りですが、これが府県の場合は若干減少しておるという先ほどの御説明があつたわけですが、その減少しておるというのは、これは税制の改革、税法の改正によつて減少を見ることになつたものか、或いは今の事業収入の減少ということによつて生じた減収なのか、これは如何でございましようか。
  102. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 二十八年度における事業税の見積りが前年度よりも減になつておる理由でございますが、これは只今御指摘の点、その両方ともあると思つております。事業自身が経済界の変動によりまして、相当事業収入が減るのではないかというなにがありますのと、いま一つは、今回提出いたしております税法の改正によりまして、基礎控除の引上げをいたします、そういう関係から減少の見込になつております。
  103. 湯山勇

    湯山勇君 有難うございました。
  104. 小林武治

    小林武治君 簡単なことを一つお聞きしたいのですが、都道府県の人事の問題でありますが、現在の制度では、自治庁におきましてはこれについて何らの権限がない、こういうことになつておりますが、御承知のようにこの自治法が布かれましてから、都道府県の高級職員が殆んど異動ができない、即ち停滞しておる。このことはいろいろの弊害も生ずるし、又行政の能率まで非常に阻害しておる、又士気にも非常に関係しておるのでありまするが、これらにつきまして自治庁が何かの方法でこれらを世話してやると申しますか、或いは逆コースというかも知れませんが、自治庁を強化してさような方法をとることはできないか、特に現在におきましては、地方の財源は御承知のように六割も七割も国に頼つておる。いわば国の平衡交付金その他で持つておるのが都道府県の現状である。而してどうしてもかように長くなれば諸種の弊害も生じて来る。都道府県相互間におきましては現在殆んど異動することができない。これらにつきまして何か自治庁で以て世話を願う、こういうようなことが考えられないものかと思いますが、それについて一つお伺いしたい。
  105. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 御指摘のような欠陥が確かにあつて、かなりもう心配をしなければならないような段階なつておるのじやないかと私も考えておるのであります。ただこれをどういう形で以て解決するかということでありますが、これが今の地方の、殊に府県の、この場合は府県でありますが、府県の今の自治制というものを逆行させるという形で解決するということになると、これは制度の基本の考え方の構想に大分背反するものですから、それはできにくいのじやないか。従つてそうすれば府県の連合体か何かに自治庁も意見を申上げるというような形にでもして、自由な若干の人事交流というものができれば非常にいいかと思つておりますが、なかなかそういうような形になりますとそれぞれ弊害がありますし、殊に動かしたい人という者は相当高級な人ばかりでありますから、なかなか現実の問題としてうまい工夫がないのじやないかと、多少どうも匙を投げたような恰好になつております。何か制度調査会でいい意見でもあればこれは併せて伺いたいと思つておるのでありますが、どうも誠に名案がありませんので、恐縮でございます。
  106. 小林武治

    小林武治君 先ほどの委員長の御発言に関連いたしまするが、とにかく地方は財政が逼迫しておる、こういうことでありますが、これはやはりその歳入面だけをいじつても解決できない問題じやないか。どうしても歳出を相当に吟味しなければならないと思うのでありますが、ともかく終戦までなくて済んだような行政機構、或いは公務員という者が非常に増加を来たしておる。私はこれが最大の地方経費の膨脹の原因であると思うのでありますが、これは政府として相当思い切つた、本当に思い切つた廃止或いは改廃をしなければ、要するにざるに水を入れるような恰好になるのじやないかということを心配するのでありますが、どうも今の政府の態度を見ましても私は心細い、本当に思い切つておやり下さらんか、こういうふうに思うのであります。又私どもが感じておりますることは、ともかくいろいろの公務員ができるということになりますると、すぐに横の連絡、会合或いはその懇親会、経費の殖えることばかりでありまするし、又特に私どもは、これはいろいろの問題を生ずるのでありますが、議員の数というものが、これはどこの国へ行つてもこれほど多い国はないということを聞いておりますのですが、これらもできるならば或る程度精鋭主義でおやりになるということができれば、地方の経費を節約するに非常に私は役に立つと思うのでありますが、先般も或いは府県会議員の定数をどうするかというような問題が起きたのでありますが、これも地方の陳情で取りやめになつておるということで、実行はむずかしい問題でありまするが、私はこれらのところにも経費節約の非常な大きな点があると思うのでありますが、この議員定数というようなものは、これはすべてに通じた問題であると思いますが、こういうことについて思い切つた改革をなすというふうな御意思がないかどうかということを一つお伺いいたします。
  107. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 政府の考え方といたしましては相当思い切つた改革をやりたい、その点は総理も非常に強くお考えになつており、私もしばしば総理から強い要請を受けております。従つて考え方としては勿論そうでありますし、それに応じた案を出すということもそんなにむつかしくないと私は考えております。ただそれが現実の案になります段階におきまして、行政官庁及び地方、それから国会がどういう反応を示しますかということは、過去におきまして幾つかの例がありまして、絶対多数で自由党がおりましたときさえもなかなか十分できなかつたような状態で、今日の非常に複雑な政治情勢を反映して、果してどの程度までできるかという見通しも勿論今のところ持つておりませんが、是非これは皆さん方の御支持、御協力を得て、相当思い切つた今度は改革をやりたいという考え方を持つて、その方向で現在着々と政府部内におきましても政府としての考え方をまとめ、審議会及び制度調査会にもお考えを願つておると、こういう段階でございます。
  108. 青木一男

    委員長(青木一男君) 別に他に御発言ございませんか。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会