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1953-08-06 第16回国会 参議院 本会議 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)    午前十時三十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十四号   昭和二十八年八月六日    午前十時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案両院協議会成案衆議院送付)(協議委員議長報告)  第二 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 らい予防法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 地方自治法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第一一 町村合併促進法制定に関する請願(委員長報告)  第一二 地方財政法確立に関する請願(委員長報告)  第一三 地方財政平衡交付金法の一部改正に関する請願(委員長報告)  第一四 旧軍港市転換事業費等に関する請願(委員長報告)  第一五 平衡交付金増額等に関する請願(委員長報君)  第一六 地方債のわく拡大等に関する請願(委員長報告)  第一七 柔道整復師地方税軽減に関する請願(委員長報告)  第一八 柔道整復師特別所得税軽減に関する請願(委員長報告)  第一九 身体障害者特別所得税免除に関する請願(委員長報告)  第二〇 めん類業者に対する飲食税軽減の請願(委員長報告)  第二一 地方税法第七十八条改正に関する請願(委員長報告)  第二二 大工、左官等に対する地方税の課税方法改正等の請願(委員長報告)  第二三 地方税法の一部を改正する法律案中一部修正に関する請願(委員長報告)  第二四 警察責任転移の時期繰上げに関する請願(委員長報告)  第二五 古物営業法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第二六 消防諸施設に対する起債増額等の請願(委員長報告)  第二七 消防施設強化助成に関する法律制定の請願(委員長報告)  第二八 防火水槽施設費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第二九 地方財政危機打開に関する請願(委員長報告)  第三〇 国庫補助公営住宅建設費地方負担全額起債に関する請願(委員長報告)  第三一 国及び県の行う事業に対する町村の寄附金等軽減の請願(委員長報告)  第三二 積雪寒冷地帯固定資産平均評価額引下げに関する請願(委員長報告)  第三三 自転車税等の随時賦課に関する請願(委員長報告)  第三四 戦犯者の釈放に関する請願(二件)(委員長報告)  第三五 秋田県米内沢町に簡易裁判所等設置の請願(委員長報告)  第三六 宮城県築館簡易裁判所支部昇格等に関する請願(委員長報告)  第三七 石川県内灘砂丘地永久接収反対に関する請願(委員長報告)  第三八 石川県内灘米軍演習場返還に関する請願(三件)(委員長報告)  第三九 博多湾を米軍水上機発着場に使用反対の請願(委員長報告)  第四〇 中国人ふ虜遺骨送還に関する請願(委員長報告)  第四一 浅間山地域米軍演習地化反対に関する請願(二件)(委員長報告)  第四二 浅間山ろく米軍演習地化反対に関する請願(委員長報告)  第四三 山形県戸沢村米軍接収地の接収解除に関する請願(委員長報告)  第四四 福岡県福岡地方簡易保険局大濠庁舎接収解除に関する請願(委員長報告)  第四五 滋賀県饗庭野の米軍演習地化反対に関する請願(委員長報告)  第四六 インドネシア共和国における英霊供養等の請願(委員長報告)  第四七 青森市合浦公園米軍借用地返還促進に関する請願(委員長報告)  第四八 国連軍および駐留軍の施設等に関する請願(委員長報告)  第四九 駐留軍関係の犯罰に関する請願(委員長報告)  第五〇 ソ連地区残留胞引揚促進に関する請願(委員長報告)  第五一 ソ連、中共両地区残留同胞引揚促進に関する請願(三件)(委員長報告)  第五二 妙義山地域米軍演習地化反対に関する請願(十九件)(委員長報告)  第五三 浅間山、妙義山地域米軍演習地化反対に関する請願(委員長報告)  第五四 オットセイ保護条約締結等に関する請願(委員長報告)  第五五 北海道門別町の駐留軍演習地拡大接収反対に関する請願(委員長報告)  第五六 未帰還抑留同胞引揚促進に関する請願(委員長報告)  第五七 青森県関根米軍演習地拡張反対に関する請願(委員長報告)  第五八 第三海洋丸だ捕事件に関する請願(委員長報告)  第五九 協同組合に対する法人税免除の請願(委員長報告)  第六〇 石油関税の減免措置延期に関する請願(五十件)(委員長報告)  第六一 農業協同組合に対する法人税免除の請願(委員長報告)  第六二 彦根刺しゆう物品税免除に関する請願(委員長報告)  第六三 濁酒密造防止対策に関する請願(委員長報告)  第六四 子供自転車物品税撤廃に関する請願(委員長報告)  第六五 宮城県秋保村に国立たばこ試験場設置の請願(委員長報告)  第六六 登録税法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第六七 電源開発に伴う補償金の所得税免除の請願(委員長報告)  第六八 鹿児島県国立療養所里塚敬愛園病床増設等に関する請願(委員長報告)  第六九 群馬県国立療養所栗生楽泉園整備に関する請願(委員長報告)  第七〇 らい療養所改善に関する請願(委員長報告)  第七一 香川県国立療養所大島青松園病床増設整備費助成等に関する請願(委員長報告)  第七二 国立らい療養所職員の定員増加に関する請願(委員長報告)  第七三 国立らい療養所職員定員増加等に関する請願(委員長報告)  第七四 戦災者等に援護金支給の請願(委員長報告)  第七五 戦傷病者の福利厚生施策拡充強化に関する請願(委員長報告)  第七六 国立三豊療養所施設拡充に関する請願(委員長報告)  第七七 国立善通寺病院伏見分院国立結核療養所転換に関する請願(委員長報告)  第七八 同和問題に関する請願(委員長報告)  第七九 遺族弔慰金扶助料増額等に関する請願(委員長報告)  第八〇 国立田辺病院看護婦宿舎等設置に関する請願(委員長報告)  第八一 国立病院等賄費増額に関する請願(委員長報告)  第八二 覚せい剤患者の防犯対策に関する請願(委員長報告)  第八三 国立舞鶴病院賄費増額に関する請願(委員長報告)  第八四 生活保護法最低生活基準額引上げに関する請願(四件)(委員長報告)  第八五 群馬県国立渋川病院施設整備拡充に関する請願(二件)(委員長報告)  第八六 し尿処理施設費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第八七 都市清掃事業に対する財政措置に関する請願(委員長報告)  第八八 未復員者給与法適用患者に対する生活扶助料支給の請願(五件)(委員長報告)  第八九 国立療養所賄費増額に関する請願(委員長報告)  第九〇 地盤変動対策上下水道事業費国庫補助継続等に関する請願(委員長報告)  第九一 基幹病院新築に対する財政措置の請願(委員長報告)  第九二 愛媛県国立出目療養所拡充整備に関する請願(委員長報告)  第九三 母子福祉総合法制定等に関する請願(委員長報土う  第九四 未復員者給与法適用患者に対する生活扶助料支給等の請願(四件)(委員長報告)  第九五 生活保護法による入院患者の生活扶助料引上げの請願(委員長報告)  第九六 結核戦病者に対する医療保障の請願(委員長報告)  第九七 国立公園施設整備費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第九八 国民健康保険事業の強化に関する請願(委員長報告)  第九九 愛媛県日吉村上水道布設に関する請願(委員長報告)  第一〇〇 生活保護法最低生活基準額引上げ等に関する請願(委員長報告)  第一〇一 身売り児童保護のための単独法制定等に関する請願(委員長報告)  第一〇二 母子福祉資金の貸付等に関する法律中一部改正の請願(二件)(委員長報告)  第一〇三 簡易水道事業費国庫補助増額に関する請願(二件)(委員長報告)  第一〇四 清掃施設費国庫補助等に関する請願(二件)(委員長報告)  第一〇五 大阪府山田村に国民健康保険直営診療所設置の請願(委員長報告)  第一〇六 山梨県西山温泉を温泉法により指定するの請願(委員長報告)  第一〇七 結核患者に対する特別生活基準設定の請願(委員長報告)  第一〇八 瀬戸内海国立公園香川県琴平町象頭山整備に関する請願(委員長報告)  第一〇九 結核患者の健康保険適用期間延長等に関する請願(委員長報告)  第一一〇 国立療養所看護婦定員増加に関する請願(二件)(委員長報告)  第一一一 名古屋市上水道水源地擁護に関する請願(委員長報告)  第一一二 国民健康保険事業の拡充強化に関する請願(委員長報告)  第一一三 健康保険医療給付期間延長等に関する請願(二件)(委員長報告)  第一一四 長野県松本市にモデル国立病院設置の請願(委員長報告)  第一一五 国立松本病院存置等に関する請願(二件)(委員長報告)  第一一六 開拓道路鹿児島花岡線開設に関する請願(委員長報告)  第一一七 霜害対策に関する請願(委員長報告)  第一一八 宮城県秋保村、山形県山寺村間林道開設に関する請願(委員長報告)  第一一九 桑園等の凍霜害対策に関する請願(三件)(委員長報告)  第一二〇 肥料価格の適正化に関する請願(二件)(委員長報告)  第一二一 急傾斜地帯土地改良事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一二二 桑園の凍霜害対策に関する請願(委員長報告)  第一二三 集約酪農地区設定に関する請願(委員長報告)  第一二四 鹿児島県笠之原畑地かんがい施設設置に関する請願(委員長報告)  第一二五 畑地かんがい特殊法制定に関する請願(委員長報告)  第一二六 林道勝間線奥地路線編入認定等に関する請願(委員長報告)  第一二七 農作物の凍霜害対策に関する請願(三件)(委員長報告)  第一二八 国有林野整備臨時措置法実施に伴う財政措置の請願(委員長報告)  第一二九 木炭公営検査費の一部国庫負担に関する請願(委員長報告)  第一三〇 岡山県茶屋町地内の農業水利改良事業費国庫補助等に関する請願(委員長報告)  第一三一 晩霜による桑害対策の請願(委員長報告)  第一三二 台風第二号等による被害農家救済の請願(六件)(委員長報告)  第一三三 徳島県小松島市に農林省神戸植物防疫所支所設置等の請願(委員長報告)  第一三四 農業共済掛金農家負担率軽減に関する請願(委員長報告)  第一三五 農作物の水害救済対策に関する請願(六件)(委員長報告)  第一三六 特殊土壌地帯災害防除事業費等国庫負担増額等に関する請願(委員長報告)  第一三七 農産物価格安定法制定促進に関する請願(委員長報告)  第一三八 いも作農家安定に関する請願(委員長報告)  第一三九 国有牧野解放に関する請願(委員長報告)  第一四〇 山梨県増穂町の土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一四一 農産物価格安定制度確立に関する請願(委員長報告)  第一四二 秋田県鳥海山ろく農地開発事業に関する請願(委員長報告)  第一四三 昭和二十八年産早場米奨励金支出等に関する請願(委員長報告)  第一四四 農業災害復旧に関する請願(委員長報告)  第一四五 岩手県岩泉町、姫松間開拓道路新設促進に関する請願(委員長報告)  第一四六 野ねずみによる被害山林復元等の請願(委員長報告)  第一四七 区画整理事業予算増額等に関する請願(委員長報告)  第一四八 水源かん養林造成事業拡充強化等に関する請願(委員長報告)  第一四九 台風第二号等による災害救済対策等の請願(委員長報告)  第一五〇 老朽ため池補強費等国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一五一 農地の交換分合指定市町村に対する国庫補助の請願(委員長報告)  第一五二 震災害復旧耕地事業用排水機維持費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一五三 民有林の造林事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一五四 農業改良普及事業推進に関する請願(委員長報告)  第一五五 鹿児島県鹿屋市の旧軍えん体ごう等解体開墾に関する請願(委員長報告)  第一五六 国有林野所在地元市町村に対する交付金増額の請願(委員長報告)  第一五七 耕地災害復旧費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一五八 桑園等の虫害対策に関する請願(委員長報告)  第一五九 粉食普及等に関する請願(委員長報告)  第一六〇 国有林野払下げに関する請願(二件)(委員長報告)  第一六一 積雪寒冷単作地帯農業振興に関する請願(委員長報告)  第一六二 過年度分災害復旧農業土木事業費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一六三 凍霜害に対する恒久対策の請願(委員長報告)  第一六四 肥料等の価格引下げに関する請願(委員長報告)  第一六五 国鉄森本自動車営業所の金沢駅前移転に関する請願(委員長報告)  第一六六 岩手県夏井村内の国鉄バス運行延長に関する請願(委員長報告)  第一六七 高知県窪川町、東又村間国鉄バスの上ノ加江町まで運行延長に関する請願(委員長報告)  第一六八 隼人、古江両駅間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一六九 青函海底トンネル実現促進に関する請願(委員長報告)  第一七〇 朱鞠内、羽幌両駅間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一七一 鉄道百三号線開通促進に関する請願(委員長報告)  第一七二 二俣、佐久間両駅間鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)  第一七三 掛川駅、御前崎村間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一七四 岩内、黒松内両駅間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一七五 四国循環鉄道完成促進に関する請願(委員長報告)  第一七六 釧美線鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)  第一七七 石勝線鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)  第一七八 三明、能登三井両駅間鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)  第一七九 熱塩、米沢両駅間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一八〇 石川県佐々波燈台設置に関する請願(委員長報告)  第一八一 林産物の鉄道貨物運賃等級割引制度存続等に関する請願(委員長報告)  第一八二 志布志線鉄道敷設延長促進に関する請願(委員長報告)  第一八三 東北本線鉄道電化促進に関する請願(委員長報告)  第一八四 山田線鉄道復旧促進に関する請願(委員長報告)  第一八五 小本線鉄道敷設延長促進に関する請願(委員長報告)  第一八六 国鉄職員の特殊勤務手当に関する請願(三件)(委員長報告)  第一八七 明石、姫路両駅間電車運行に関する請願(委員長報告)  第一八八 山陽線鉄道電化促進に関する請願(委員長報告)  第一八九 若桜、播磨新宮両駅間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一九〇 岩手県雫石町、秋田県生保内村間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一九一 安芸駅、室戸間鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一九二 草津、京都両駅間鉄道電車化に関する請願(委員長報告)  第一九三 紀勢線鉄道新設路線中尾鷲駅、九鬼村間に停車場設置の請願(委員長報告)  第一九四 磐田、天竜川両駅間に停車場設置の請願(委員長報告)  第一九五 鶴岡駅、大鳥間鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)  第一九六 筑前宮田、博多両駅間等鉄道敷設に関する請願(委員長報告)  第一九七 会津川口、只見間鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)  第一九八 磐越東線等の客車改善に関する請願(委員長報告)  第一九九 水難救済に関する立法措置の請願(委員長報告)  第二〇〇 奈良県治道村の電話地区変更に関する請願(委員長報告)  第二〇一 鹿児島県下の電気通信施設整備改善に関する請願(委員長報告)  第二〇二 広島県江田島町内切串部落に電話架設の請願(委員長報告)  第二〇三 香川県富田村外三箇村を区域とする電報電話直轄局設置に関する請願(委員長報告)  第二〇四 奈良市の電話通信施設整備拡充に関する請願(委員長報告)  第二〇五 北海道準地方費道上美生中札内停車場線中中札内橋の永久橋架替に関する請願(委員長報告)  第二〇六 国道四十号線工事再開に関する請願(委員長報告)  第二〇七 県道白沢長町停車場線改修工事施行に関する請願(委員長報告)  第二〇八 阿佐ケ谷駅前北口広場建設促進に関する請願(委員長報告)  第二〇九 山口県間田川改修工事施行に関する請願(委員長報告)  第二一〇 帯広市大通鉄道踏切にこ線式立体交さ施設設置の請願(委員長報告)  第二一一 茨城県久慈川改修工事施行に関する請願(委員長報告)  第二一二 滋賀県家棟川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)  第二一三 鹿児島県亀割坂、大泊間県道改良工事施行に関する請願(委員長報告)  第二一四 豪雪地帯の道路補修費継続等に関する請願(委員長報告)  第二一五 国道維持修繕費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第二一六 建築士法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第二一七 静岡県筬川改修工事施行に関する請願(委員長報告)  第二一八 一級国道十号線改良工事促進に関する請願(委員長報告)  第二一九 江戸川築堤工事促進等に関する請願(委員長報告)  第二二〇 栗橋上流利根川引堤工事施行等に関する請願(委員長報告)  第二二一 利根川川筋一部堤防補強工事促進等に関する請願(委員長報告)  第二二二 利根川川筋一部護岸工事継続施行等に関する請願(委員長報告)  第二二三 利根川災害対策工事施行等に関する請願(委員長報告)  第二二四 利根川総合開発に関する請願(委員長報告)  第二二五 土木工作物豪雨災害復旧費国庫負担等に関する請願(委員長報告)  第二二六 中部山岳国立公園小倉口上高地間観光環状バス道路開設に関する請願(委員長報告)  第二二七 駐留軍事故による被害者援護の請願(委員長報告)  第二二八 県道野村近永停車場線改良工事促進に関する請願(委員長報告)  第二二九 愛媛県三間川改修工事施行に関する請願(委員長報告)  第二三〇 国道十号線中一部改良工事施行に関する請願(委員長報告)  第二三一 勤労者住宅建設に関する請願(委員長報告)  第二三二 国道三十四号線大村駅前線道路改修工事施行に関する請願(委員長報告)  第二三三 陰場連絡道路改修工事促進等に関する請願(委員長報告)  第二三四 高速自動車道路建設に関する請願(委員長報告)  第二三五 埼玉県大滝村、秩父間道路改良工事促進に関する請願(委員長報告)  第二三六 栃木県渡良瀬川水害総合対策に関する請願(委員長報告)  第二三七 埼玉県利根川、烏川合流地域護岸補強工事施行に関する請願(委員長報告)  第二三八 進駐軍軍人等の不法行為による被害補償の請願(委員長報告)  第二三九 静岡県佐久間、秋葉両ダム建設に伴う護岸、砂防工事施行の請願(委員長報告)  第二四〇 二級国道佐賀諌早線改良工事施行に関する請願(委員長報告)  第二四一 府県道新庄鶴岡線中角川、砂子沢両橋の永久橋架替に関する請願(委員長報告)  第二四二 長崎県大村駅、国道三十四号線間道路補装に関する請願(委員長報告)  第二四三 豪雨による水害救済対策の請願(委員長報告)  第二四四 県道湯郷音ケ原停車場線中一部改良工事施行に関する請願(委員長報告)  第二四五 豪雨による水害救済対策促進の請願(委員長報告)  第二四六 積雪地帯の道路整備に関する請願(委員長報告)  第二四七 災害復旧工事促進に関する請願(委員長報告)  第二四八 土木災害復旧工事促進に関する請願(委員長報告)  第二四九 三陸沿岸国道建設等に関する請願(委員長報告)  第二五〇 茨城県霞ヶ浦柏崎、玉造町間に湖上橋架設の請願(委員長報告)  第二五一 丹後半島一局道路中京都府本庄、下宇川両村間道路開発工事施行に関する請願(委員長報告)  第二五二 積雪寒冷地帯防寒住宅建設促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第二五三 北上川改修工事費予算増額等に関する請願(委員長報告)  第二五四 千葉県九十九里米軍演習地における教育施設損害補償等の請願(委員長報告)  第二五五 台風第二号等による災害土木施設復旧対策の請願(委員長報告)  第二五六 茨城県金江津村、千葉県滑河町間利根川架橋に関する請願(委員長報告)  第二五七 静岡県東富士米軍演習場地域住民生存権保障に関する請願(委員長報告)  第二五八 広島、長崎両特別都市建設事業完成促進等に関する請願(委員長報告)  第二五九 道路管理費国庫補助継続に関する請願(委員長報告)  第二六〇 道路整備費の財源等に関する臨時措置法制定の請願(二件)(委員長報告)  第二六一 工鉱業地帯整備促進法制定に関する請願(委員長報告)  第二六二 町村合併促進法制定に関する陳情(三件)(委員長報告)  第二六三 地方財政確立に関する陳情(委員長報告)  第二六四 町村財源確保に関する陳情(委員長報告)  第二六五 電気ガス税に関する陳情(委員長報告)  第二六六 電気税撤廃反対に関する陳情(委員長報告)  第二六七 消防財源の確立に関する陳情(委員長報告)  第二六八 消防機械ポンプ購入費国庫補助等に関する陳情(委員長報告)  第二六九 戦犯者の釈放に関する陳情(三件)(委員長報告)  第二七〇 戦犯者の釈放等に関する陳情(委員長報告)  第二七一 青森地方裁判所弘前支部庁舎建築に関する陳情(委員長報告)  第二七二 浅間山地域米軍演習地化反対に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二七三 島根県竹島の領土権確保に関する陳情(委員長報告)  第二七四 沖繩同胞の日本復帰に関する陳情(委員長報告)  第二七五 沖縄、奄美大島および小笠原諸島の日本復帰に関する陳情(委員長報告)  第二七六 北海道犬島米軍演習地化反対に関する陳情(委員長報告)  第二七七 妙義、浅間両山ろくの米軍演習地化反対に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二七八 奄美大島の日本復帰に関する陳情(委員長報告)  第二七九 北海道離島大島米軍演習地化反対に関する陳情(委員長報告)  第二八〇 旧鹿児島県大島郡の日本復帰に関する陳情(委員長報告)  第二八一 青森県岩木訓練場設置反対に関する陳情(委員長報告)  第二八二 妙義山地域米軍演習地化反対に関する陳情(委員長報告)  第二八三 第三海洋丸だ捕事件に関する陳情(委員長報告)  第二八四 ソ連、中共両地区残留同胞引揚促進に関する陳情(委員長報告)  第二八五 工場用土地に関する再評価税等減免の陳情(委員長報告)  第二八六 石油関税の減免措置延期に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二八七 濁酒密造防止対策に関する陳情(委員長報告)  第二八八 電源開発資金金利引下げに関する陳情(委員長報告)  第二八九 そ族昆虫駆除事業費国庫補助に関する陳情(委員長報告)  第二九〇 生活保護法による入院患者の生活扶助料引上げの陳情(委員長報告)  第二九一 未復員者給与法適用患者に対する生活扶助料支給等の陳情(三件)(委員長報告)  第二九二 健康保険療養給付期間等延長に関する陳情(委員長報告)  第二九三 岡山県にアフタ・ケア施設設置の陳情(委員長報告)  第二九四 霜害対策に関する陳情(委員長報告)  第二九五 長崎干拓事業促進に関する陳情(委員長報告)  第二九六 雲仙別所ダム建設に関する陳情(委員長報告)  第二九七 害鳥獣の狩猟期間延長に関する陳情(委員長報告)  第二九八 農作物の凍霜害対策に関する陳情(三件)(委員長報告)  第二九九 桑園等の凍霜害対策に関する陳情(四件)(委員長報告)  第三〇〇 繭生産費算定等に関する陳情(委員長報告)  第三〇一 製い工業振興に関する陳情(委員長報告)  第三〇二 茶の凍霜害対策に関する陳情(委員長報告)  第三〇三 蚕糸業振興に関する陳情(委員長報告)  第三〇四 食肉対策に関する陳情(委員長報告)  第三〇五 桑園の中害対策に関する陳情(委員長報告)  第三〇六 野ねずみ防除に関する陳情(委員長報告)  第三〇七 砂地地帯農業振興に関する陳情(委員長報告)  第三〇八 自作農創設維持資金拡充等に関する陳情(委員長報告)  第三〇九 滋賀県醒井村に開拓道路開設の陳情(委員長報告)  第三一〇 なたねの価格維持対策に関する陳情(委員長報告)  第三一一 積雪寒冷単作地帯等の土地改良事業施行範囲拡大等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第三一二 台風第二号による被害農家救済の陳情(委員長報告)  第三一三 昭和二十八年産米基本価格設定等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第三一四 食糧自給促進法等制定に関する陳情(委員長報告)  第三一五 水害による養蚕農家救済対策の陳情(委員長報告)  第三一六 台風等ひん襲地帯に対する農業災害防除措置の立法化の陳情(委員長報告)  第三一七 食糧自給促進法制定等に関する陳情(委員長報告)  第三一八 北海道戸井村、五稜郭間鉄道敷設等に関する陳情(委員長報告)  第三一九 福岡県若松港藤禾石炭積込鉄道桟橋しゆんせつに関する陳情(委員長報告)  第三二〇 東北本線鉄道復線化促進に関する陳情(委員長報告)  第三二一 北陸本線鉄道輸送力強化に関する陳情(委員長報告)  第三二二 姫路、岡山両駅間鉄道電化に関する陳情(委員長報告)  第三二三 山梨県富士吉田市にNHK電波中継所設置の陳情(委員長報告)  第三二四 住宅難解決促進に関する陳情(委員長報告)  第三二五 住宅難打開に関する陳情(委員長報告)  第三二六 戦災都市復興事業に関する陳情(委員長報告)  第三二七 府県道島田川崎線中谷口橋を永久橋に架替の陳情(委員長報告)  第三二八 公園緑地事業振興に関する陳情(委員長報告)  第三二九 国道十号線改良工事施行に関する陳情(委員長報告)  第三三〇 災害復旧事業の早期完成に関する陳情(委員長報告)  第三三一 静岡県佐久間、秋葉両ダム建設に伴う護岸、砂防工事施行の陳情(委員長報告)  第三三二 国道五号線補装工事等施行に関する陳情(委員長報告)  第三三三 進駐軍軍人の不法行為による被害補償の陳情(委員長報告)  第三三四 水害復興促進に関する陳情(委員長報告)  第三三五 西日本水害対策に関する陳情(委員長報告)  第三三六 災害復旧に関する陳情(委員長報告)  第三三七 鉱工業地帯整備促進法制定に関する陳情(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案両院協議会成案衆議院送付)を議題といたします。先ず協議委員議長の報告を求めます、協議委員議長堀末治君。    [堀末治君登壇、拍手〕
  4. 堀末治

    ○堀末治君 只今議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案の両院協議会成案につきまして、その協議会の経過並びに結果について御報告申上げます。  本協議会における本院側の議長には不肖私が、副議長には島村軍次君がそれぞれ互選せられ、衆議院側の議長には田嶋好文君、副議長には高瀬傳君に」決定せられたのであります。協議会は七月三十一日、八月一日、及び八月四日の三回に亘つて開かれ、その間、終始慎重且つ熱心に協議が行われました。  先ず衆議院側を代表いたしまして森三樹二君から、衆議院が両院協議会を求めた趣旨は、本法律案は公職の選挙の一部無効による再選挙に関する規定を整備したものであるが、今回の参議院の修正については若干疑問の点があるので、本協議会において十分に審議し、疑義を解明した上で、適切なる成案を得たいためであるとの説明がなされたのであります。これに対しまして、参議院側は館哲二君が本院を代表して、修正議決に至つた経過について、先般本院において本会議に報告せられました大要を説明せられたのであります。その詳細は重複の嫌いがありますから速記録によつて御覧を願いたいと思います。かくして協議に入り、隔意なき意見を交換し、種々論議を重ねたのであります。  先ず最も問題になりました点は、本院の修正部分中、その選挙に一部無効があつた場合、当選に異動を生ずる虞れのない者は、当選を失わない旨を決定し、裁決し、又は判決しなければならないとするのでありますが、その当選に異動を生ずる虞れのない者を如何にして区分するかの範囲を定める計算方法についてでありました。この計算において、選挙の一部無効にかかる区域において、その選挙の行われた当日、投票できる者を基礎として定める方式が、先に本院において議決せられた修正案であつたのであります。併しこれに対し多少難点と、せられる点は、再選挙と前の選挙との間に相当の時日を経過する場合が多く、その区域の人口に急激な変動があつて、投票できる者の数が増加した際には、この計算方法によつて当選を失わないことに確定した者の得票数よりも、再選挙の結果、より多くの得票を得た候補者でも、当選することができない場合が生ずることが起り得ることであります。この点に対しましては、特に各員の間に熱心なる意見の交換がなされ、その他各種の場合を想定して種々の意見が開陳され、頗る活発且つ慎重なる検討が行われました。  かくして最後に、選挙の一部無効によつて再選挙が行われる場合は、当選に異動を生ずる虞れがあるか否かを計算し、決定する基礎は、決定、裁決、又は判決の直前にその区域において行われた選挙の当日、投票できる者であつたものとするということに一応の意見が一致したのであります。この案によりますると、再選挙が執行せられる場合、前の選挙と、決定、裁決又は判決の時期との間に、他の選挙が行われたときは、その直前の他の選挙当日における投票できる者の数が基礎とせられることになりますので、再選挙が行われる際の有権者の実数に接近せしめ得ることになるわけであります。  よつて、この案を協議案として議事を進め、更に検討を加えました結果、全会一致を以て本案を成案とすることに決定いたしました。  次に成案を朗読いたします。   公職選挙法の一部を改正する法律案両院協議会成案   参議院議決案第二百五条の改正に関する部分のうち「次の二項を加える」を「次の三項を加える」に改め、第三項の改正規定中「当該選挙の当日一部無効に係る区域において投票できる者であつた者」を「選挙の一部無効に係る区域における選挙人」に改め、第三項の改正規定の次に次の一項を加える。  4 前項の選挙の一部無効に係る区域における選挙人とは、第二項の規定による決定、裁決又は判決の直前(判決の場合にあつては高等裁判所の判決の基本たる口頭弁論終結の直前)に当該選挙の一部無効に係る区域において行われた選挙の当日投票できる者であつた者とする。   参議院議決案第二百九条の改正規定中「第二項及び第三項」を「第二項から第四項まで」に改める。   参議院議決案附則第一項中「昭和二十八年八月一日」を「公布の日」に改め、「第二百五条第二項及び第三項並びに」を「第二百五条第二項から第四項まで及び」に改める。   その他は参議院議決の通りとする。  右御報告いたします。(拍手)
  5. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより成案の採決をいたします。成案全部を問題に供します。成案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立]
  6. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて成案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  7. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案、  日程第三、らい予防法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇、拍手〕
  9. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 只今上程されました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  御承知のごとく、去る第十三国会におきまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法が成立いたしまして、昨年四月一日から実施されているのでありますが、今回援護の措置を更に強化するために、この改正法律案が提出されたのであります。  今回改正の第一点は、援護の対象の範囲を拡張することであります。即ち、太平洋戦争中、旧国家総動員法に基いて設立されました船舶運営会の運航する船舶の乗組船員は、戦時中、軍人軍属と同様の戦争危険にさらされて、兵員、軍需物資等の輸送に当り、又、前線作戦に参加する等、全く軍人軍属と同様の任務に服していたものであります。ところが、現行法におきましては援護の対象外と相成つていたのであります。それで、今回これらの船員を新たに軍属の範囲に加えて援護をいたそうとするものであります。  第二点は、年金額を増額することであります。即ち障害年金につきましては、不具廃疾の程度に応じ、九万円から二万四千円でありましたのを、十八万一千円から二万四千円にすること。次に遺族年金につきましては、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順序によりまして、先順位者とその他の遺族とに区分し、一人につき二万五千二百円と五千円にすることにいたそうとするものであります。  第三点は、この援護法と恩給法との調整を図つたことであります。即ち、旧軍人恩給の復活に伴い、従前この法律によりまして援護して参りました旧軍人又はその遺族につきましては、原則として恩給法に転移することになりますが、これに伴いまして戦傷病者戦没者遺族援護法による援護と、恩給法による恩給と、この二つの間に支給対象の重複等が生じますので、所要の調整を行い、その間、齟齬間隙の生じないように措置いたしてあるのであります。  なおこの法律は、恩給法の一部を改正する法律の施行の日から施行するものでありますが、新たに軍属の範囲に加えましたところの船舶運営会の運航する船舶の乗組船員の遺族に支給する弔慰金の支給につきましては、昭和二十七年四月一日に遡つて適用すること、又これらの遺族等に対する年金の支給並びに年金額の引上げ等につきましては、本年四月一日に遡つて適用することにいたしてあります。  以上がこの改正法案の提案理由並びにその要点でありまするが、本案に対しましては、衆議院において次の四点について修正が行われたのであります。即ち、一、遺族年金額を昭和二十九年一月一日より二万七千六百円とすること。二、遺族のうち、父、母、祖父又は祖母が氏を改めないで婚姻したときは、遺族年金の失格及び失権の事由としないこと。三、先順位者としての遺族年金を受ける権利を二以上有する遺族には、当該遺族年金を併給すること。四、平和条約第十一条に掲げる裁判により拘禁された者が、当該拘禁中に死亡した場合は、右の者の遺族に遺族年金及び弔慰金を支給すること。  以上の四点であります。  厚生委員会では、政府当局より本案の提案理由並びに内容につきまして又、衆議院の修正事項につきましては、その発議者でございます青柳議員よりそれぞれ詳細なる説明を聴取いたしました後、慎重審議をいたし、委員諸君と政府委員並びに衆議院発議者との間に頗る熱心なる質疑応答が行われましたのでありますが、その詳細は速記録によりまして御了承願いたいと存じます。  なお、この法律案の審議過程におきまして一委員より、衆議院修正案によれば、恩給法の一部を改正する法律案に準じて父、母、祖父又は祖母が氏を改めないで婚姻したときは、遺族年金の失格及び失権の事由としないということになつておるが、氏を改めないことを条件とすることは、新憲法新民法に照らし疑義のあるところであるとの発言がありました。従つて、本委員会として今後更に本問題に対し慎重なる検討を加え、本法制定の趣旨を明瞭ならしめることを申合せ、全員異議なくこれを了承いたした次第であります。  かくて質疑を打ち切り、討論を省略し、採決いたしました結果、全会一致を以ちまして衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。  次に、らい予防法案に関する報告を申上げます。  「らい」は、慢性の伝染性疾患でありまして、一たびこれにかかりますると根治することが極めて困難なる疾患であります。これは公衆衛生の立場からも、又公共福祉の面からも、極めて重大な問題であるばかりではなく、患者は勿論、その家族がこうむります社会的不幸は測り知れない、ものがあるのであります。この「らい」の予防を図りますために明治四十年に癩予防法が制定され、爾来二の法律によつて、「らい」の予防施策が実施されて参つたのでありまするが、何分この法律は約五十年前の制定に係るものでありますため、その後、数次の改正を加えてはおりますものの、今日の実情にそぐわないと認められる点もありますので、これを全面的に改正したらい予防法を新たに制定しようとするものであります。この法案の主なる内容は、おおむね次の通りであります。第一は、「らい」を伝染させる虞れのある患者に対し、先ず勧奨により、本人の納得を得て療養所へ入所させることを原則とし、これによつて目的を達しがたい場合に入所を命じ或いは直接入所させる等の措置がとられることとなつております。第二は、療養所に入所しておる患者は、「らい」予防の見地から、法令により出頭を要する場合及び所長が許可した場合を除いては、当該療養所から外出してはならないこととしております。  第三は、入所患者が当該療養所内の秩序を乱しました場合、これについて一般の施設におけると同じ退所の処分を行うことができませんので、所長が、秩序維持の手段として戒告又は謹慎の処分を行い得ることとしてあります。  第四は、患者及び家族の福祉を図り、併せてこれによつて「らい」予防対策の円滑な推進を図りますために、患者及び家族の福祉措置についての規定を設けております。その他「らい」の予防に関しまして必要な規定が設けられております。  厚生委員会におきましては、直ちに「らい」に関する小委員会を設置し、法案を付託してその慎重審議を期しました。  小委員会は七月九日以来熱心なる審議を軍ねること十二回、この間、或いは多摩全生園に出張して親しく患者の意見を徴し、或いは本委員会に移して参考人の意見を聴取する等、これが討議に全力を傾倒したのであります。又、厚生委員会におきましては、本問題の基本的事項について熾烈なる追及が行われ、厚生大臣は、患者家族の生活援護については、生活保護法とは別建の国の負担による援護措置を定め、昭和二十九年度から実施することに努力する、国立の「らい」に関する研究所を設置することについても、同様、昭和二十九年度から着手したいとの一言明がありました。以上の詳細については速記録を御覧願います。  かくて質疑を打切り、討論に入りましたところ、藤原委員より社会党第四控室を代表し、本案に反対の意を表せられ、患者の人権尊重、福祉に対する考慮がなく、職員の特殊勤務にも措置がなく、法案全体を通じて何らの進歩的な面が見られないとの発言がありました。有馬委員よりは改進党を代表し賛意を表せられ、治療の万全を期し、予防の徹底を期するため、患者に対する入所の建前をとらなければならないが、その手段方法についての欠陥は改善に努力すべき旨が要望されたのであります。山下委員よりは社会党第二控室を代表して反対の意を表せられ、本案は取締り強化的のものがその正体であり、国家の「らい」対策の責任が不明で、人権擁護の点も稀薄であると述べられました。大谷委員よりは自由党を代表して賛意を表せられ、鬼手仏心の立場から患者の療養を考慮しなければならないが、その自由の制限と家族の生活援護については附帯決議の実現に期待するとのことでありました。常岡委員よりは緑風会を代表して本案に賛意を表せられ、不満ながら旧法より一歩前進しておることを認めるが、なお改善に努力すべきことを念願するとのヒとでありました。高野委員は本案に賛意を表し、本病の根絶について、医学、薬学の研究を更に助成すべき旨を強調されました。  討論を終結し、採決に入りましたが、多数を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、常岡委員より次の附帯決議を附すべき動議が提出され、採決の結果、全会一致を以てこれを採択することに決定いたしました。附帯決議を朗読いたします。     附帯決議   一、患者の家族の生活援護については、生活保護法とは別建の国の負担による援護制度を定め、昭和二十九年度から実施すること。  二、国立の「らい」に関する研究所を設置することについても同様昭和二十九年度から着手すること。  三、患者並びにその親族に関する秘密の確保に努めると共に、入所患者の自由権を保護し、文化生活のための福祉施設を整備すること。  四、外出の制限、秩序の維持に関する規定については、適正慎重を期すること。  五、強制診断、強制入所の措置については、人権尊重の建前に基き、その運用に万全の留意をなすこと。  六、入所患者に対する処遇については、慰安金、作業慰労金、教養娯楽費、賄費等につき、今後その増額を考慮すること。  七、退所者に対する更生福祉制度を確立し、更生資金支給の途を講ずること。  八、病名の変更については十分検討すること。  九、職員の充実及びその待遇改善につき一段の努力をすること。   以上の事項につき、近き将来、本法の改正を期すると共に、本法施行に当つては、その趣旨の徹底、啓蒙、宣伝につき十分努力することを要望する。  以上御報告いたします。(拍手)
  10. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) らい予防法案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。藤原道子君。    〔藤原道子君登壇、拍手〕
  11. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今提案されましたらい予防法案に対しまして反対の意を表せんとするものでございます。  本法案が上程されまするや、全国一万二千の患者は蹶然と立ち上りまして、この法案を何とぞ人間的涙ある法案に改めて欲しい。相変らず療養所よりもむしろ収容所的な空気の強いこの法案に対しまして絶対反対の運動を展開いたしたわけでございます。私たちは、この不幸なる病に侵されましたる人たちの人権を飽くまでも尊重し、温かく保護することによつて、社会全般も又その福祉を受け、社会全般も又保護される。こういう意味においてこの法案が制定されるべきものと思うのでございます。只今委員長から御報告のありましたように、法案の中に盛られましたものは、或いは人権の尊重であるとか、或いはその福祉であるとか、いろいろの温かい名前は盛られておるのでございます。けれども、この法案は、明治四十年に制定されました浮浪癩を対象といたしますところの強制収容的な面が随所に頭を拾げておりまして、「らい」対策の根本的なものはどこにも現われていないのでございます。従いまして、この法案が制定されることによつて福祉を受けることを喜ぶべき息者が、何のためにあのような反対を起したのでございましよう。只今委員長のお話のございましたように、私どもはこの法案が衆議院から参議院に送付されまして以来、直ちに「らい」小委員会を設けまして慎重審議をいたしました。或いは参考人を呼んでその意見を聴取いたしたのでございます。又、小委員揃つて多摩全生園へ出かけまして、患者のその悲痛な訴えをも聞いて参りました。患者も、或いは参考人も、この法案の骨子となつております。るところの強制収容には反対でございます。飽くまでも納得勧奨で行くべきである、こう申しております。或いは、所内秩序の維持、これに対しましても、これは所長に絶対の権限を与えるような、こうしたことに対しては反対である、飽くまでも所内の秩序を維持いたしまするには、お互いの相互信頼によつてのみなし得るものであつて、こうした強権は害あつて一利なし、参考人の意見はこのようであつたわけでございます。或いは又、大臣も私の質問に対しまして、飽くまでも納得で行くんだ、勧奨で行くんだ、或いはその患者の福祉も十分に考えているんだと、こういう御答弁であり、且つ藤原委員と根本的におきましては全く御同感でございますと、こういう御答弁がなされていたのでございます。ところが、飽くまでも勧奨と納得で行くと言いながら、予算面を見まするときに、「らい」思想普及費のごときは僅かに二十二万円より計上されておりません。これで一体どうして納得勧奨の運動ができるでございましよう。私は、何ら予算的措置を伴わないこの羅列的な法案によりましては、絶対に不幸なこの「らい」患者を救うことはできない、かように考えるものでございます。(拍手)而も私たちの法の審議に当りまして、私たちに、所内から、あの悲しい病に侵された人、自分の意思によらずして不幸な病に侵された人たちが、陳情を、請願を、初めは文書を以ていたしていたのでございますけれども、自分たちのこの悲願が達成されない、こういう絶望感に陥りまして、遂に議会に対しまして陳情を決行いたしまして、そうして坐り込みを何日か連続して繰返して訴えていたのでございます。いよいよ最後の法案の審議に当りましたときには、あの中から固く閉されました門扉の外から手を入れまして、入れてもらいたい、助けてもらいたい、悲痛な叫びは委員会になお聞えて来たわけでございます。この患者の福祉を守るために作ううとしておる法律に対して患者は柵の外からまるで動物か何かのように、自由なき人々が血の叫びを揚げておりまするときに、この患者の言うことを何一つ取上げてやることができなかつた。而も私たちの小委員会におきましては、全員一致で十四カ所の問題点を抽出いたしまして、どうしてもこの問題を改正してやりたい、この問題は必ず改正してやりたいというようなことが申合されました。これは全会一致でございましたにもかかわらず、遂に一条一項も改正することができなかつた。「どうぞ参議院の皆様、頼む」と手を合せて泣いて訴えておりました患者の要望に応えることができなかつた。患者のために作る法律なんです。社会の福祉のために作る法律なんです。それなのに、その対象である患者が血の叫びを以て反対しておりまするとき、なぜこれを強行しなければならなかつたか。而も政府は、この予算的裏付けのない点を私どもが追及いたしますと、それは来年度においていたします。誠に答えがあいまい模糊といたしておるのでございます。又委員の中にも、この法律は明治四十年に制定した法律よりも一歩進んでいる、だからこれは今回通してそうして次期に改正したらよろしい、こういうことを言われた。或いは、表に押しかけた患者は、この法案が握られているから騒ぐのである、この法律が通過いたしたならばこれは立派に平静に帰るのだ、こういうことを言われたのでございます。けれども、私は、若しも本当に親心ある温かい気持がございまするならば、なぜ今急ぐか、本当に法案の裏付けとなるべき予算を先ず第一にとることでございます。それと同時に、その間におきまして、患者に、こういう場合でなければ強制収容は絶対にしないのだ、所内においての処遇もこれこれこういうふうに改正するのだ、或いは又、定員増額を心から念願しておりまする患者或いは職員に対しましては、定員はこれこれの定員とし、その処遇はこうするのだということを納得させ周知せしめまして、その上に立つて法案が制定されましたならば、このような、社会に御迷惑をかけるような、そうして患者自身あのように苦しめることなく、スムースに行つたでございましよう。(拍手)ところが、法案さえできるならば、むりやりに押し通すことができるのだ、患者は法案が通つたならば泣き寝入りをするのだというような強制的なやり方が随所に破綻を来たすのではないでございましようか。(「誰がやらした」と呼ぶ者あり)私どもはこの点を追及いたしましたが、併し少数にして破れたのでございます。けれども、この法案の審議中に、患者が訴え、或いは坐り込んでおりまするときに、厚生当局はあの炎天下におきましても、なお、湯茶一ぱい患者にくれようとはしなかつた。或いは患者に対して食事を与えてくれと頼んでも、これをあえてしなかつた。そうして厚生次官は大臣の命令で食事は出さぬことに決定したのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)委員会において大臣に対してそのようなことを質しましたところが、大臣は、そのような命令を出したことはございませんと、今、法案審議の過程においてすでに大臣と次官の間に食い違いがあるのです。(「全くその通り」と呼ぶ者あり)従いまして、この法案ができたのちのその運用の面におきましても、私どもは不安なきを得ないのでございます。果せるかな、法案が通過いたしましても、患者は坐り込みの現場をきれいにお掃除をして引揚げましたので、私どもは安心をいたしていた。ところが、昨日聞くところによると、厚生省の大臣室の前に患者多数が坐り込んで、なお悲願達成のためにお願いをし続けておると聞いております。厚生省の外には百人に余る患者が天幕を張つてなお頑張つているということを聞いております。法案は立派にお通しになりました。けれども、なお、この処置を何となさるお考えでございましようか。私は申上げます。断じて強権で物事はうまく行くものではない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)殊に、患者がその生活を破壊され、人間的欲望を全部奪い取られまして、療養所へ入ることによつて利益いたしまするのは誰でございましよう。患者の犠牲において助かりまするのは、或いは利益いたしまするのは、お互い八千五百万国民ではございませんか。これを思いまするとき、一万未収容患者を加えましても僅かに一万五千名の患者、この患者の福祉を本当に十分にいたしましたとて、国家財政に破綻を来たすようなことはないと思うのでございます。(拍手)かかる意味におきまして私は絶対にこの法案に賛成するわけには参りません。  殊に私が強調いたしたいことは、療養所の定員が非常に不足でございます。そうして「らい」療養所は、同じ療養所でありながら、結核療養所に比べましてもその定員が一割にも満たない現状でございます。従いまして、患者はあらゆる作業に従事させられておる。或いは重傷患者の看病に、土工に、洗濯に、或いは炊事に、あらゆる仕事を担当させられておりますが、これらの一日の手当が僅かに十円から二十円、平均十二円五十銭でございます。これで患者に人間的な扱いをしているということが言えるでございましようか。このような涙なき当局のやり方に対して、私は飽くまでも反対し、只今私たちの本心といたしましては、どうしても法の改正をしたかつたのでございますけれども、不幸にして修正には成功しませんでした。従いまして、只今触れましたところの修正決議案の趣旨が、一日も早くこれが実現いたしまして、患者が安んじて療養のできるように、働き手を失つて絶望に陥つておりまする患者の家族が安んじて生活のできまするように、療養所に従事する職員たちが、社会の嫌悪と偏見から肩身の狭い思いをしながら、なお不幸な患者に対して奉仕しておりまする、この職員に対する処遇が一日も早く改善され増員が実現いたしまするよう、今後飽くまでも努力しなければならないと思うのでございます。  皆様、法案は衆議院から通過して来たから、参議院で修正しても、衆議院へ行つて両院協議会で若し敗れたら何にもならない。こういうことを申される方もございますけれども、両院制度の立場を考えまするとき、参議院が本当に人道的立場に立つて、そうして法の正しい修正をいたしますることは当然の権利であり、これが両院協議会で敗れるか敗れないか、やつてみなければわからないことでございます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それを、ただ、そういう手数を省き、ただ吉田政府の、弱い者は飽くまでも蹂躪して持てる階級にサービスすればいい、資本家のためには莫大な巨額な費用を惜しまない政府が、弱い者に対しては僅かな費用をも惜しみ、その生活が如何になりましようとも、てんとして顧りみない。こういうやり方に対しまして、我々参議院は良識を以て闘わなければならないと思うのでございます。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)この「らい」患者に対しまする今回の法案にいたしましても、これこそ反動吉田内閣の一つの現われであると言わざるを得ないのでございます。  かかる意味におきまして、私はこのらい予防法案に対しましては絶対に反対の意を表明し、なお且つ我々がこの法案に反対いたしますゆえんを申述べまして、私の討論を終りたいと思います。(拍手)     —————————————
  12. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 加藤シヅエ君。    〔加藤シヅエ君登壇、拍手〕
  13. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 私も又社会党の立場を代表いたしまして、只今議題となつておりますらい予防法案の政府原案に反対し、委員長報告によりますところの九つの附帯決議事項を支持いたし、その決議事項の内容が、政府当局が厚生委員会におきましてなされた答弁のごとく、忠実に実施されることを要望し、且つ、早い機会にこの項目を骨子に織り込んだらい予防法の改正案が問題にされることを望むものでございます。(拍手)  本法案は、もともと全国十カ所の療養所に所在いたしておりますところの一万二千の「らい」患者を対象とするものでございますから、その数から申しましたら誠に小さいものかも知れません。併し、不治の病と言われ、世間からは見捨てられ、醜悪な体躯をどうすることもできないで呻吟しておりますところのこれらの不幸な人々を対象とするものでございますだけに、この法案は計り知れない深い意義と特色を持つておるものでございます。申すまでもなく民主国家にありましては、一人の人間の生命も、一人の人間の人権も、決して粗末に取扱われてはならないのでございます。(拍手)若し今日の民主憲法の下に、新らしく「らい」予防法を制定しようといたしますならば、「らい」患者を犯罪人のように収容することを以て事足れりと考えられていたような従来の法律を改めまして、人間精神と科学的態度とを十分に加味した新らしい立法が考えられなければならないことは当然でございます。即ち、この問題の中心であるところの、如何にして「らい」の伝染を防止するか、如何にして「らい」の治療を完璧にするか、如何にして不幸な「らい」患者並びにその家族を保護するか、この三点が十分に具現された法律の制定がなされなければならないのでございます。厚生委員会は、堂森委員長の下に、暑熱をものともせず、委員会、小委員会等、回を重ねること実に十数回、熱心且つ慎重に論議されましたことに対しましては、委員各位に対しまして、その労を多とし、敬意を表するものでございますが、委員会の熱意にもかかわらず、結果は、人民を取締ることよりほかに能のない官僚式な政府案の成立を見たのでございます。このことは、本案に不満を抱く患者はもとより、民主主義日本とは名ばかりで、吉田内閣の下に、世を挙げて逆コースに押し流されんとしておる今日、公共の福祉の美名にお化粧した反動立法が、ここに又一つ積み重ねられることを見ることは、(拍手)返す返すも残念至極と申さなければならないのでございます。  殊に、この法案の大きな欠陥は、不幸なる「らい」患者に何一つ将来への希望というものを与えておらないのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)又、患者自身が病苦に責められて自分自身どうすることもできないのに、その患者の家族の生活保障に対しての思いやりをいたしておりません。又「らい」は忌わしい病気であるために、一人の患者が発生いたしますと、その親類縁者までが世間から白眼視される実情を考えて、当然患者と診断された本人及びその家族の幸福のための秘密性保持の工夫がなされなければならないのに、その配慮をこの法律は忘れているのでございます。又「らい」患者は、この病気の性質上、永久に家族から、社会から隔離されてしまう不幸な人生をかこつ人でございますのに、収容所におきましては、慰安の設備は余りにも貧弱で、あまつさえ思想言論の自由さえも制限を受けておるのでございます。又、収容所におきましては、軽症患者のなすところの各種の作業、今、藤原議員も申されましたように、土木の作業、お炊事の作業、看護の業務、これらの業務は療養所内の運営上欠くべからざるものであるにもかかわらず、この労働の報酬は、刑務所のそれにも及ばない一日十円とか二十円とかという支払いに過ぎないというような苛酷な待遇を与え、而も若し患者がこういうようなやり方に不満やる方なく、少しの不服従の意思表示をいたしますならば、忽ち峻厳な罰則を以て臨む、こういうような、人間愛を以て患者を遇する途が全く欠如しているところに、この法案の時代錯誤性が遺憾なく暴露されておるのでございます。  これらの欠陥に満ちた政府原案議決に際し、参議院の厚生委員会がなされましたところの九つの項目の附帯決議は、法案そのものの改正には成功しなかつたにせよ、私が今数え上げましたところの原案の欠陥に対しまして補足的な意義を持つておるものでございます。例えば二十九年度予算に計上して国立らい研究所を設立せよ、この一項目は、患者は、いつの日にかは医学が進歩して「らい」病も又全治し得るというような喜びが訪れるかという光明を見つめて、希望の中に治療を続けて行くことができるのでございましよう。又、患者の家族の生活保護につきましては、政府の推測でも現に三千五百世帯が保護を必要とするものとされておりますのに対しまして、現在四百世帯が辛うじて生活保護法にかかつているに過ぎない。こういうような現状に対しまして、この附帯決議は一般生活保護法とは別途の保護対策を設けて、これに又二十九年度からの予算に計上すべく措置をとるとの、こういう御答弁がございましたことは、生活保護の対象を拡大し得るばかりでなくて、保護を受ける方々が、地方自治体を通ずる必要がなくなりますから、こうすることによつて、患者及びその家族の秘密性保持の要望にも応えることができるであろうことは、当然且つ賢明な措置だと考えます。  このようにして今日の自由党内閣の政治の貧困そのものを余すところなく露呈したかのごときらい予防法案は、賢明なる参議院厚生委員会の皆様方の努力によりまして、附帯決議の九つの項目を以て辛うじて体裁を整えた感がございますが、私が最後に一言強く指摘いたしておきたいことは、政府がらい予防法案を通じて国民に暴露したところの強制力行使の思想でございます。(拍手)前国会における破壊活動防止法、そうして又、昨日この本会議におきまして結末を見ましたところのスト規制法のごとく、いずれも明らかに、思想言論の自由、労働者の生活権を守るところの自由に対して、公共の福祉に名をかりた強制権の発動が見られているのでございます。(拍手)思想的に貧困なることを以て特徴とするところの現政府が、納得ずくによる相互信頼感の育成に失敗いたしまして、ここに罪なき「らい」患者にまで強制権の強化を以て臨もうといたしておるのでございます。この法案は、即ち、政府原案の内容を貫く精神は、民主主義時代にあるまじき強権思想の高揚であり、官僚政治思想の復活でございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)「らい」患者は、こんな病気にかかつただけでも、もうたくさんでございます。それなのに、この悲運をかこつておる一群の人人を、強制収容の名の下に、強盗殺人の現行犯ででもあるかのごとく、或いは又汚物を処理するような考えで、莚にくるんで、家族の者たちに別離の言葉を告げる暇も与えず、引つ捕えて、トラックに乗せて収容所に放り込むなど、全く憲法下に許されない人権蹂躙の実例は、今日、なお、患者の五割までは、こうして強制力行使の経験者であるという実情がよく物語つておるのでございます。凶悪粗暴な犯罪者を取扱う場合のほかは、すべて日本の法律から「強制」の文字、「強制」の思想は抹殺すべきではないでございましようか。(拍手)強制力を使用する政治とは暴力政治の別名でございます。不幸な病人、「らい」陳情者に対しまして固く閉されましたところの国会の門、その棚につかまつて、「らい」患者の人間性を認めて下さい、「らい」息者の人権を尊重して下さい、こういう叫び声を聞きつつ、患者たちに対しては血も涙も忘れてしまつたような強制収容権強化法律が通過いたしましたことにつきまして、後世の歴史家は何と申すでございましようか、吉田内閣の悪政の代表的なものであるとして指摘するでございましよう。(拍手)若し現内閣の寿命がまだ継続いたすようならば、政府は、名誉回復のためにも、次の国会におきましては、必ず本法案の附帯決議事項を骨子といたしました、強制力行使の思想を放擲した、人間精神の香り高い改正らい予防法の誕生に努力して、らい治療所とは、らい患者の喜んで集まり来たり、希望を持ちつつ病を養う所たらしめんことを強く要望いたします。  なお、私はこの機会に、らい治療所に働かれる医師、看護婦、職員、社会事業家のこれらの方々の献身的な努力に対しまして深く敬意を表しつつ、この反動的法案に反対の討論を終るものでございます。(発言する者多し、拍手)
  14. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。  先ず戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  15. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  16. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 次に、らい予防法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  17. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  18. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第四、法人税法の一部を改正する法律案  日程第五、所得税法の一部を改正する法律案、  日程第六、租税特別措置法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇、拍手〕
  20. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず法人税法の一部を改正する法律案について申上げます。  租税政策を通じて法人の資本蓄積を促進するため、価格変動準備金制度の改善、貸倒準備金の限度引上げ等の諸措置は、別途審議いたしております租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに関係政令の改正によつて実施されることになつておりますので、その機会に御報告いたすこととし、本案の改正点を申上げますと、  第一は、個人の有価証券に対する譲渡所得税の廃止に伴い、法人の清算所得に対して新たに法人税を課税することとし、その税率は、普通法人の場合においては、積立金と法人税を課せられない所得からなる部分については百分の二十、その他の部分については百分の四十六、特別法人については、それぞれ百分の二十と百分の四十一の課税を行おうとするものであります。  第二は、個人の有価証券の譲渡所得に課税しないことに伴い、法人が内国法人から受ける利益の配当金の益金不算入の規定に一定の制限を設けて、法人が配当期真近に行う操作によつて不当な利益を受け得ることを防止いたそうとするものであります。  第三は、国際二重課税を防止するため、外国で生じた所得に法人税を課税する場合には、法人税額からその所得に課せられた外国の税額を控除することとしようとするものであります。  このほか、利子税の計算方法を簡素化し、重加算税の徴収について適正化を図り、又、同族会社の行為計算に関する規定を同族会社に準ずる法人についても適用することができることとする等、所要の改正を行おうとするものであります。  なお、本案は、衆議院におきまして施行期日を「公布の日」に改める修正を行なつております。  本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林委員より、「所得税の大衆負担の現状に比較して、法人税は不当に軽減されており、又著しく利潤を収めている金融資本に対しても同率に課税していることは極めて当を得ない」との反対意見が述べられ、次いで菊川委員より、「交際費の制限が抹殺されたことは不満であり、又、地に軽減すべき税があるにかかわらず、法人のみ有利な取扱を受けることは不合理である」との反対意見が述べられ、次いで森下委員より、「本案については、甲林委員、菊川委員と同様の意見であり、特に大資本家の擁護に過ぎないのは遺憾である」との反対意見が述べられ、更に小林委員、西川委員より、それぞれ賛成の意見が述べられました。  採決の結果、多数を似て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に所得税法の一部を改正する法律案について申上げます。  本法案は、先に臨時特例法によつて控除及び税率の軽減合理化が図られたのでありますが、今回この措置を平常化すると共に、更に国民生活の安定と資本蓄積の促進に資する等の見地から、有価証券の譲渡による所得を非課税とし、又、山林所得、譲渡所得及び一時所得について税負担の軽減と課税の簡素化を図る等の改正を行おうとするものであります。  主な改正点を申上げますと、第一点は、控除及び税率につきまして、基礎控除額を五万円から六万円に、扶養控除額を最初の一人について二万円から三万五千円に、給与所得についての控除の限度額を三万円から四万五千円にそれぞれ引上げると共に、社会保険料を所得から控除することとし、又、税率については最低税率二〇%を一五%に引下げると共に、今回、富裕税の廃止に伴い、三百万円を超える部分について六〇%、五百万円を超える部分について六五%の税率を設けることといたそうとするものであります。  第二点は、有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止し、生命保険料の控除限度額を四千円から八千円に引上げるほか、医療費控除については、所得金額の五%を超える場合に、その超える部分について十五万円を限度として控除し、又退職所得についての控除額も十五万円から二十万円に引上げようとするものであります。  第三点は、青色申告書について認められている専従者控除の限度額を五万円から六万円に引上げると共に、専従者となる者の範囲を十五歳以上の者とし、又勤労学生控除を受ける勤労学年の範囲についても拡張を図ろうとするものであります。  第四点は、山林所得については、十五万円を控除し、五分五乗の方式によつて他の所得と合算して課税することとし、又、不動産等の譲渡所得及び一時所得については、その合計額から十五万円を控除した後の半額を他の所得と合算して課税しようとするものであります。  第五点は、匿名組合契約等に基く利益の分配について百分の二十の税率により源泉徴収を行うこととするほか、企業組合その他これに準ずる法人に対して、実質的に収益を受けるものに対して課税するという規定を明文化いたそうとするものであります。  更に又、所得税の源泉徴収税額が過納となつたために、還付又は充当の請求があつたときは、従来は源泉徴収義務者が徴収して政府に納付していることを確認していないと還付されないこととなつておりますが、今回の改正では、徴収義務者が政府に納付すべき日に納付があつたものとして還付し或いは他の税金に充当し得ることとする等、所要の改正を行おうとするものであります。  なお、本案は衆議院において、本法第四十六条の三、即ち企業組合等に関する推定の規定中、営業所の数を十五以上に、事業を同一事業に限定し、この規定を適用する範囲を狭める等のほか、施行期日を「公布の日」に改め、給与所得者等が八月一日以後すでに徴収された過納分を還付し得る措置を講ずる修正をいたしております。  本案の審議に当りましては、他の租税関係法律案と共に、公聴会を開催いたします等、慎重に審議いたしたのでありますが、特に企業組合等の現状並びに取締方針、青色申告書の専従者控除問題、所得区分等について質疑応答が交わされましたが、その詳細は速記録によつて御承知願います。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林委員より、「今回の改正案は根本的に大衆課税の負担を軽減しようとする意欲が見られないのは遺憾である」との反対意見が述べられ、次いで菊川委員より、「妻及び子供一人について月二万円までは免税すべきである観点に立つて根本的修正を考慮したが、事務上準備できなかつたので、一応次のごとき修正案を提出するにとどめた。即ち、企業組合は中小企業等協同組合法によつて法人として認められているにもかかわらず、今回、税法上否認される虞れのある措置をとられたことは妥当を欠くものと思われるので、法第四十六条の三の規定を削除すべきである旨の修正案を提出する」との反対意見が述べられ、次いで森下委員より、「今回の改正によると、やはり富裕階級が優遇されており、これに反して大衆に対しては見らるべき減税措置がとられていないことは政府の怠慢であり、猛省を促す意味において反対する」との反対意見が述べられ、次いで小林委員より、「本案には賛成するが、菊川委員の修正案には反対する。而して、政府は財政圧縮により低額所得者を中心とした減税に格段の努力を払うべきであり、所得区分七万円超は八万円超に改めるべきである。又、企業組合等に関する課税規定は、中小企業法人の発展に重大な影響を及ぼすものであるから、その適用に当つては諮問機関を設けて十分その意見を聴取する等機宜の措置を講じ、遺憾なきを期せられたい」旨の附帯決議案が提出されました。次いで西川委員より、今回の減税措置は現下の経済情勢では妥当であるとの賛成意見が述べられました。  採決の結果、菊川委員提出の修正案は少数を以て否決され、衆議院送付の原案については多数を以て可決すべきものと決定し、更に小林委員提出の附帯決議案は多数を以て可決いたした次第であります。  次に租税特別措置法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、資本蓄積の促進、輸出貿易の振興、食糧の増産等のため所要の措置を講じようとするものであつて、その主なる改正点を申上げますと、  第一点は、資本蓄積の促進に資するため、預金利子等に対する所得税の源泉選択税率を引下げると共に、同族会社の積立金に対する法人税の非課税限度額を引下げることとし、又、価格変動準備金制度についても、新たに国債を加えると共に、関係命令の改正により、近代的な機械設備に対する特別償却について適用範囲の拡張を行おうとするものであります。  第二点は、貿易の振興に資するため、貿易業者について新たに輸出損失準備金の制度を設け、一定限度内の積立をした場合は、これを損金に算入することとするほか、貿易業者が海外に支店を設けた場合における設備費等について特別償却の制度を設けようとするものであります。  第三点は、食糧の増産に資するため、本年以降五年間に個人が開墾、埋立、又は干拓した場合には、その土地から生ずる米、麦等の農作物の所得については五年間所得税を免除することとしようとするものであります。  第四点は、財産税調査時期後、引続き有している山林について山林所得の計算を簡素化すると共に、国有林野整備臨時措置法に基く民有林野と国有林野との交換があつた場合における所得税等の課税について特例を設けて負担の軽減を図ろうとするものであります。  第五点は、新造される外航船舶について、今後五カ年間のうちに行われる所有権の保存登記簿に対する登録税を軽減するほか、旧船舶公団との共有にかかる船舶の共有持分のうち、国に引継がれたものを他の共有者に移転する場合の登記に対する登録税を軽減いたそうとするものであります。  第六点は、航空機用揮発油に対する課税の免除期間を昭和三十一年三月末日まで延長し、又、新築家屋に対する法定償却額の五割増の特別償却の期間の延長を行う等、所要の改正を行おうとするものであります。  なお、本案は衆議院において修正議決されたものでありまして、修正点の要旨を簡単に申上げますと、  第一点は、資本蓄積を促進するため、預貯金等の利子課税はすべて当分の間総合課税せず、昭和三十年三月末日までは一割の源泉徴収を行うこと。  第二点は、輸出振興のため、輸出業者、製造業者がなす輸出については、それぞれ百分の一、百分の三に相当する金額を、事業所得の五割を限度として必要経費とみなすこと。  第三点は、本年以降五年間に個人が開墾等によつて採塩した所得については、五年間所得税を免除すること。  第四点は、土地改良事業を行なつた土地で、水稲の後作として麦又は菜種の植付けをした場合、三年間は免税すること。  第五点は、農業組合等のうち非出資組合であるものには法人税を免除すると共に、出資組合でも、一定の制限を設けて、その積立金に法人税を課税しないこと。  第六点は、宗教法人の改組に伴つて行われる移転登記について登録税を免除すること。  第七点は、国有財産特別措置法の規定により、国の所有する機械器具を個人又は法人が所有する機械器具と交換する場合の課税上の特例を設けること。  第八点は、航空機の通行税を明年七月末日までその税率を一割に引下げることであります。  更に、本法施行の日を「公布の日」に改めると共に、これに伴う所要事項について期日の変更を行うほか、規定の整備を図る修正を行なつております。  本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、菊川委員より、「預貯金の利子所得と割増金附貯蓄に対する今回の修正は、政治史上に」大汚点を残したものともいうべき悪法で、近き将来改正をしなければならない」との反対意見が述べられ、次いで森下委員より、「大法人のみが恩恵を受けていることは遺憾である」との反対意見が述べられ、更に小林委員より、「本法については、負担の公平から見ても立法技術的にも妥当でない点があるから根本的に再検討を加えるべきである。又、委託者が輸出業者であるか否かによつて課税上の取扱が異なつていることは適当でないから、十分研究の上是正せられたい」との希望を附して賛成意見が述べられました。  採決の結果、多数を以て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手)
  21. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。      —————・—————
  23. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第七、刑法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。法務委員長郡祐一君。    〔郡祐一君登壇、拍手〕
  24. 郡祐一

    ○郡祐一君 只今上程の刑法等の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  この法律案は、刑の執行猶予につきまして、その要件を緩和して適用の範囲を拡張すると共に、保護観察の制度を刑法に導入いたし、執行猶予者に対してこの制度を適用するために、刑法、刑事訴訟法、犯罪者予防更生法及び更生緊急保護法の四つの法律に亘りまして、それぞれその一部を改正しようとするものであります。  先ず刑法につきましては、現行法では、現に執行猶予中の者が再び罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられるときには、再度の執行猶予は許されないことになつておるのでありますが、特別の場合を限つてこれを許すことに改め、この場合には、その猶予期間中保護観察に付することにしておるのであります。又、現行法では、自由刑の執行を受けたものは、刑の執行終了後、又はその免除後、七年以内に再犯によつて更に自由刑に処せられる場合にも、執行猶予を許されない建前になつておるのですが、この七年の期間を五年に短縮するよう改めることになつておるのであります。  刑事訴訟法ほか二つの法律につきましては、右の刑法の改正に伴う刑事手続、保護観察の実施などにつき所要の改正を行なつておるのであります。  委員会におきましては、慎重に審議を重ね、各委員より熱心に適切な質疑が行われたのでありますが、その詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、宮城委員より緑風会を代表し、「この法案に賛成するが、特に政府に対する委員会の要望として、政府は保護観察制度の拡充強化を図るよう努力いたしますと共に、初度目の執行猶予者に対してもこの制度を適用することのできるような法案を準備いたし、国会に提案されたいという趣旨の附帯決議を附したい」旨の提案がなされたのであります。更に赤松委員より、この法律案及び宮城委員の提出した附帯決議案に賛成する旨の意見が述べられたのであります。これにて討論を終了し、先ず本法律案について採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。次に、附帯決議案について採決の結果は、これ又全会一致で可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告いたします。(拍手)
  25. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  27. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第八、私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長早川愼一君。    〔早川愼一君登壇、拍手〕
  28. 早川愼一

    ○早川愼一君 只今議題となりました私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず本法律案につき、政府の提案理由によりますと、「昭和二十二年七月にいわゆる独占禁止法が施行せられてから、その経験に徴して一本法の諸規定を我が国の特質と実態によりよく即応するものとする必要が感ぜられたこと、もとより独占禁止法の根本精神は飽くまで尊重すべきものでありますが、この際、内外諸情勢の推移に鑑みまして、独占禁止法の内容を適当に緩和する必要があると考え、前国会にこれが改正を提案いたしましたが、成立を見るに至りませんでしたので、今回改めて本法律案を提出するに至つた次第である」というのであります。  以下その改正案の主なる点を申上げますと、第一点は、現行法によりますと、事業者間における特定の共同行為は画一的に禁止されているのでありますが、本改正法案におきましては、一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合に限つて禁止することといたしまして、又、現下要請されている事業の合理化のため、事業者が共同して規格の統一等のためにカルテルを結成することを認容し、更に、不況時に際しまして事業の全般的存立が危殆に瀕する場合には、生産制限、価格協定等のカルテル結成を認容せんとするものであります。  改正案の第二点は、現行法によりますと、競争関係にある会社相互の株式の保有、役員の兼任等は、画一的に禁止されておるのでありますが、これ又、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるか又は不公正な取引方法を用いる場合に限つて禁止することにしようとするのであります。  その第三点は、現行法によれば、競争手段として不当に低い対価を以て経済上の利益を供給する等の行為は、いわゆる不公正なる競争方法として禁止されているのでありますが、自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引する場合、不公正な取引方法という概念に改めまして、これらの行為が公正な競争を阻害する虞れがあるものに限つて指定して初めて禁止することとしようとするものであります。  改正の第四点は、現行の事業者団体法を廃止して、その必要な規定はこれを本法中に収容したことであります。我が国の事業者団体法は、御承知の通り昨年の八月の改正によりまして、本法の法益は独占禁止法の法益とほぼ同一になつておりまして、これを単行法として存続せしめる積極的な理由は存しなくなつたからであるというのであります。  又、第五点といたしましては、従来、不当廉売、おとり販売等の不当な競争が主として小売面で行われている実情に鑑みまして、一定の日用商品、書籍等に限り、再版売価格維持契約を独占禁止法上適法なものとしてこれを認めたのであります。  以上申述べましたことは、今次改正法律案の主な点でございますが、このほかに、私的統制団体の禁止に関する規定、事業能力の較差に関する規定を削除いたしておりますが。これは他の規定によりまして取締の実を挙げることができると認めたためであります。  その他、以上の改正点に伴いまして、手続規定、罰則規定に所要の改正を加えると共に、附則として、独禁法の改正又は事業者団体法の廃止に伴う経過措置、適用除外規定の整理をしているのであるというのであります。  以上が改正法案の概要であります。  本法案は、七月八日、本委員会に予備審査として付託せられました。通産委員会との四回に亘る連合委員会を開き、又去る十七日には公聴会を開き、経済団体連合会常任理事福島正雄君外九名の公述人の意見を徴したのであります。二十五日に衆議院において修正がなされ、カルテルについての主務大臣の認可とあるを、公正取引委員会の認可とし、認可権が公正取引委員会にあることに改め、主務大臣には協議のみで足ることにして、これらに関連して手続その他に所要の修正がなされました。  その後、委員会といたしましては、単独に開きまして、慎重なる審議がなされたのでありますが、その質疑応答の主なるものを申上げますと、  先ず、「各国の反トラスト法と比較して日本の独占禁止法の改正後の地位はどういうところにあるか。西ドイツ及び英国のそれとはどう違うかとの質問に対しましては、「今回の改正法は西ドイツの競争制限防止法と大体同じである。米国では条文は頗る簡単であつて、その実施の上におきましてケース・バイ・ケースに判例が積み重ねられており、これは実質上法律と同じ効果を持つておるのでありますから、厳格とかということについては比較になりがたい。英国はカルテルについては単なる届出制をとつて、行き過ぎはこれを是正することになつておるが、併し英国の基礎産業は国有又は公営下にあり、その意味ではこれ又彼此比較して本改正を以て厳格だとは言えないと思う」との答弁がありました。  次に、独禁法はカルテルを悪と見た立法と思われるがどうか。その運用は固定的でなく積極的に弾力的に行うべきものであると思うがどうか」との質疑に対しましては、「本改正はカルテルを悪と見る立場にあるというのは言い過ぎである。現行第四条は削除されており、第三条該当のカルテルのみを違反として取締るに過ぎないもので、不況カルテル、合理化カルテル、貿易カルテル等の点で、更にその上の緩和をしている」ということの答弁がありました。  次に、「本法改正によりまして輸出にどういう影響を及ぼすか。現内閣の経済政策の基本方針たる貿易の拡大を阻害することはないか」との質疑に対しまして、「成るほど不況カルテルにおいてはコストを吊上げる虞れが全然ないとは言えないが、厳格な条件の下に例外的に認めるのであつて、認可の際は十分慎重に審査を行い、そういうことが起らないようにして行く考えである」との答弁がありました。  次に、「輸出取引法が画期的に充実強化されさえすれば、独禁法を緩和する必要はないと思うがどうか。殊に不況カルテル等まで認めるというのはどうか。三歩を譲つても価格カルテルまでの必要はどうかと思う」との質疑に対しましては、「今回の輸出取引法の改正は対外関係を主としており、従つて国内関係におきましては輸出産業をも含めた全体の産業の安定のためにも本改正は是非とも必要であると考える。又不況カルテルの場合の価格協定については、極めて特殊の場合に限定してこれを認めることにしている」との答弁があつたのであります。  次に、「競争会社が競争力を失い自然消滅して他の会社が独占企業となる場合、再び過度経済力集中排除法のごとき法律が制定される虞れはないか」との質問に対しましては、「残つた企業が不当な独占をなす場合には第三条で十分取締れるから、再び過度経済力集中排除法のごとき法律はこれを制定する考えはない」との答弁がありました。  次に、「通産省の勧告で綿紡績等の操短が行われたが、これは独禁法違反でないか。外貨予算の割当にとつてやはり操短が行われているではないか。改正後も同様行政措置による操短が行われるのではないか」との質疑に対しまして、公正取引委員会より、「行政機関の措置の結果できた事態に対しましては独禁法違反を問うわけには行かない。独禁法上面白くないと考える場合は、公正取引委員会は行政官庁に意見を申入れ、又国会に意見を提出することもあり得る」、この問題に関しまして通産省からは、「本改正後は行政措置による勧告操短は行わない」との答弁がありました。  次に又、「本改正の結果、公正取引委員会の仕事は殖えることが予想されるが、公取を通産省に吸収したり定員を減少するようなことはないか」との質疑に対しましては、「そのようなことは考えていない。定員の増加については必要に応じ研究する」との答弁がありました。  以上のほかにも重要な質疑が相当あつたのでありますが、詳細は会議録に掲載されておりますから御覧を願いたいと思います。  かくて質疑が終つて討論に入つたのでありますが、八木委員よりは、「本改正案は独禁法緩和という意味で賛成はするが、なお幾多の不備欠陥を包蔵すると考える。即ち、根本においてカルテル等の共同行為の取締は広く国民経済の利益に反するかどうかの実質に着眼すべきでありて、従つてカルテルの認可に代えて届出制を採用すべきである。又、不況対策としての本案は生産業者に偏し、販売業者にもカルテルの結成を認容すべきである。これらの諸点は、会期切迫せる今日、他日を期することとして、本法運用上考慮せらるべきである」との賛成意見が述べられました。奥委員よりは、「本改正案は少数の大企業を利する結果となり、現存するカルテルの既定事実を合法化するに過ぎないのであつて、価格カルテル、再販売価格維持契約も価格の引下げには役立たないで、社会の消費者大衆の利益に反する結果となるから反対する」との意見が述べられたのであります。  かくして討論を終結いたしまして、採決の結果、多数を以て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  この段御報告を申上げます。(拍手、「議長、定足数がない」と呼ぶ者あり)
  29. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 定足数はあると認めます。  本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。岡田宗司君。    〔岡田宗司君登壇、拍手〕
  30. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は社会党第四控室を代表しまして、只今議題となつております私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に反対するものであります。  本改正法律案の要旨は、提案理由並びに委員長報告に述べられておりますように、第一に、不況に対処するために企業がカルテルを形成すること、又、企業の合理化を促進するためにカルテルを形成することを容認し、第二に不当な事業能力の較差の排除の規定を削除いたしまして、大資本がその他を圧倒するがごとき事業能力を以て業界を支配することを禁じ、その事業者に対して、常業施設その他の必要な措置を講じて、大企業が独占的支配力をふるうことを抑制しようとした点を、ここに削除いたしまして、大企業がその巨大な事業力を以て他を圧することの法的自由を認めることにしたのであります。又第三には、株式保有、役員兼任、合併等の制限を緩和いたしまして、事業者が他の企業に対して関係し、これを支配する力を強める途を開いたのであります。  従来この法律はカルテルを全面的に禁止するものでありまして、これは一面には、カルテル、トラスト、コンツエルン等が経済界を支配いたしまして、いわゆる独占資本主義体制が再び確立強化され、それが他の要因と合しまして再び日本の帝国主義の復活を阻止しようとするためと、又一面には、これによりまして、いわゆる私的独占が、消費者、中小企業、関連産業等を、その経済力をもつて圧迫し、その犠牲において莫大な独占利潤を確保することを抑制せんとする経済民主主義の一つの方式として制定されたものでありました。  公正取引委員会は、これらのカルテル等を調査し審判する権限を与えられておつたのでありますが、如何にせん、その組織も小さく、又実際の力もないというようなことからいたしまして、従来もカルテルの取締につきましての活動力が非常に鈍く、十分な効果を挙げて法の目的を達成することができなかつたのであります。昨年四月末、占領政策が解除されますまでは、事業者たちは、この法律の存在の前におつかなびつくりしておりまして、法の裏をくぐる方法を考えて実行しておつたのでありますが、占領が終りますというと、彼らは直ちに占領政策の行き過ぎの是正ということを口実にいたしまして、この法律の全面的廃止或いは骨抜きを主張し、政府も又戦前のごとき資本家が思う存分経済を支配することのできる資本主義体制に戻る方策を進めて参りまして、忽ちこの法律改正となつて現われて参つたのであります。  不況カルテルも合理化カルテルも、いずれもこれらの認可には、今次の改正案におきましても、法律上にはいろいろな厳格な条件が付せられておるのでありますが、今次の改正によりまして、今までの全面的禁止が、とにかく認可を受ければカルテル結成が可能となるということになつたのでありますから、これは重大な質的変化であると言わなければならんのであります。而も事業者たちの智能犯的な好智と実力とは、公正取引委員会のごとき無力な存在を嘗めきつておりまして、法の裏をかき、事実上、法を蹂躪して参つたのでありますが、今後もますますその傾向が強められると思われるのであります。彼らは、今次の改正をカルテル支配の全面的復活への突破口であるといたしまして、今後はこの突破口を更に拡大いたしまして、カルテル、トラスト、コンツエルンが大手を振つて歩けるような方法をとるであろうということが予想されるのであります。不況に処するためにカルテルを認容するということは、一応尤もに聞えるのでありますが、これは生産制限から価格協定に及ぶあらゆる手段を含むものであります。一旦これが認容されることになりますと、実際にその必要がなくなりましても、このカルテルが解散されるということはなかなかむずかしいことになりまして、又これが一般化され恒久化される虞れが十分あるのであります。カルテル全面的な波及は、結局、消費者、中小企業、関連産業をいじめるのみならず、この方法によりましてみずから経営を合理化する努力が怠られることになりますし、又、価格を人為的に吊上げまして、日本の国際物価に対する割高を是正する途を阻止することにもなりましようし、又それによりまして国際貿易の競争力を鈍らすことになるのであります。然らずんば国内におきまして独占価格で高いものを消費者等に売り付けまして、海外にはダンピングにひとしいような値段で以て安く売りまして、そうして彼らの独占利潤を確保するという政策の途も、これによつて開かれて参るのであります。又、再販売価格維持の契約等を認めることによりまして、これによつて、従来消費者がいわゆる有名なるメーカーの品物等を安く買うことができておりましたものを、これを認めることによりまして、この途をふさぐ、こういうような方法によりまして、忽ち消費者に不利益を与えるようなことも、これによつて許されることになるのであります。  更に、合理化カルテルというようなものが認容されることになるのでありますが、これも委員会において質問しておりますというと、この合理化カルテルの規定は一般的になつておりますが、結局、実際におきましては、鉄鋼産業におきまして、巨大なる鉄鋼会社が合理化カルテルに名をかりまして、そうして外国から買います屑鉄よりも遥かに安い価格を以て国内において屑鉄を買入れる、その価格を協定することのできることを許すことになるのであります。これは結局におきまして、屑鉄等を集めます極めて小さな業者或いは収集をやります人々をこの巨大な資本が圧迫することになる。そして、これは結局はその価格を引下げるということよりも、むしろここに独占利潤、彼らが自由に処分し得る利潤を隠しておくその方法になることが予想されるのであります。  こういうふうにカルテルがどんどんとできる途が開かれて参りますというと、まあいろいろ厳格な条件とか何とか申しましても、結局はこれらが無視されるということになつて参りまして、実際にはカルテルの支配が復活されることになる、こういうふうに言われるのであります。たとえこの法律の効果が余り十分でなく、今日でも実際に無力であるといたしましても、今この法律改正いたしまして、カルテル活動を緩和する余を開くということには、日本の独占資本の支配を復元させることに反対し、その飽くなき経済支配と搾取に対して闘うという我々社会主義者の立場からいたしましても、又、経済の民主化を進め、消費者、労働者、中小企業者の立場を擁護するという立場からいたしても、反対せざるを得ないのであります。(拍手)而もこの改正案は、昨晩本院を通過しましたスト規制法案と同時に立案され、同時にこの国会に提出されたのであります。これは決して偶然の一致ではないのであります。即ち、スト規制法は、これによりまして、電気産業労働者、炭鉱労働者の手足を縛しまして、両基幹産業における事業者の強力なる支配を打ち立てて、その搾取を容易ならしめるものであります。(拍手)又、独禁法の緩和は、カルテル、トラスト、コンツエルンの活動への突破口を開くものであります。共に、各産業の事業者、日経連等の強く主張して来たところであり、共に、自由党に莫大な政治献金をした諸会社、事業者団体の要望していたところであります。自由党内閣が今国会において遮二無二これら両法案を成立せしめようとしておることは、自由党並びにその政府が資本家階級の代弁者であるという性格をさらけ出していると共に、この事業者たちの圧力によつて動かされているということを暴露したものにほかならないのであります。(拍手)又この法律改正は、MSA援助によりまして日本の再軍備計画が促進されようというこの時期に提案されたのであります。今後、日本の産業構造は、いわゆる平和産業、輸出産業を主とするものから軍需工業中心に転換することに、資本家階級は大きな期待をかけておるのであります。軍需工業の発展は国家と結び付いた巨大企業の発達を促し、又、カルテル、トラスト、コンツエルンの形成を産み出したことは、経済史上明らかであります。恐らくこの独禁法改正によりまして独占体の形成への突破口を開いたことは、今後日本における軍需工業の育成とその急速な発達の促進とに密接な関係を持つものと考えざるを得ないのであります。  我々は、MSA援助を受け、アメリカの防衛のために日本の再軍備を行い、そうして日本の産業構造が軍需工業中心に切換えちれることに反対するものでありますが、かかる意味におきましても、これと密接な関係を持つところの本法律案改正に反対するものであります。  以上の理由を以ちまして、私は社会党第四控室を代表いたしまして本法案の改正に反対するものであります。(拍手)     —————————————
  31. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 高橋衛君。    〔高橋衛君登壇、拍手〕
  32. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は只今議題となりました私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  そもそも連合軍によるところの占領政策の一つの目的は、日本経済の民主化にあつたのでありまして、そのこと自体は新らしい日本の再建のために極めて有意義であつたのであります。併しながらこの占領政策は、一面においでは日本経済からあらゆる軍需生産力を抜き取るという目的のために、日本の経済を甚だしく弱体化する結果と相成つたのであります。又、他面におきましては、これら経済民主化のための法制は、資本主義の高度に発達したる欧米諸国においてすら、その例を見ない程度に、理想論に走つたのでありまして、もとより日本の現実には適用すべくもない行き過ぎが見られたのであります。この双方に亘る行き過ぎの弊害は、労働関係法規等にも存在していたのでありますが、資本又は企業の面からするところの経済民主化の法制におきましては特に顕著であつたのであります。独占禁止法にも又この双方の欠点を包含されておるのでありまして、このことは本法制定当時の経緯及び関係者の意見によつても明らかであります。即ち、昭和二十年十一月六日の私的独占禁止に関する司令部の覚書、この覚書の内容をそのまま独占禁止法の主なる条文に取入れられているのであります。又、本法制定に相当の影響力を持つた国務省カルテル顧問エドワーズ氏の論文の中にはどう書いてあるかと申しますと、「先進諸国の反トラスト法は、日本の独占禁止法を制定する指針とはなるが、これらの反トラスト法には日本財閥を破砕する力はない。日本財閥に直接的な攻撃を加えるためには、反トラスト法に新生面を開くことが必要である。」こう論じて、日本の独占禁止法が他の外国に例を見ざる苛酷なものであるということを反面において認めているのであります。而して又この行き過ぎの弁明といたしましてはどう言つているかと申しますと、「日本における大財閥の破砕が、国際カルテル又はトラストによるところの経済力のほしいままな行使に対するところの国際的攻撃の一部であるということを、日本人自身に銘記させなければならない。」こう言つておるのであります。長年に亘りまして国際経済社会から孤立しておりまするところの日本の経済を細分化することが、どうして国際カルテルに対するところの攻撃となり得るかは、私どもの最も了解に苦しむところでありますが、これらの論議に徴しましても明らかなように、独占禁止法を中心とするところの経済諸法令の制定の目的が奈辺にあり、その性格が如何にあるかということを理解し得るのであります。  独占禁止法における行き過ぎを例示いたしますならば、実質上は何ら競争の制限とならない場合におきましても形式的に一律に共同行為を禁止していること、又、国際カルテルヘの加入を禁止しておりましたこと、各事業間に不当なる事業能力の較差がある場合に、これが排除措置を命じ得るということにいたしておりましたこと、更に又、再販売価格維持契約を一律に違法としておりますること等に見られておるのであります。  日本現下の急務は、特需依存の経済を脱却いたしまして、一日も早く通常貿易によるところの自立経済を確立するにあるのであります。而して自立経済の確立のためには、産業能率の向上によりまして、商品のコストを切り下げ、国際的競争力を増大することが絶対の要件であります。いやしくも産業能率の向上を阻害するがごとき制限は、できる限りこれを排除すべきであります。もとより私的独占の禁止と公正取引確保は、経済民主化という観点からいたしまして必要ではありますが、併しながらこれらの制限は必要なる限度にとどめておくべきでありまして、これらの目的のために産業の組織化によるところの能率の増進をすべて犠牲にすべきではないのであります。独占禁止漢の根本目的が、大量生産と大量分配の能率を破砕するということであつてはなりません。我々が禁止し排除せんとするものは、企業の規模そのものではないはずでありまして、取引を不当に制限せんとするところの組織的権力の行使であるのであります。以上の見地からいたしまして、規格の統一、製品の標準化、生産品種の専門化、廃物、副産物の共同利用のように、むしろ生産費の引下げや技術の向上、能率の増進をもたらすような共同行為は、これを禁止すべき理由は毛頭ないのであります。むしろ大いに奨励すべきものであると存ずるのであります。  又朝鮮の休戦を契機といたしまして、今後の日本経済が相当の波乱に見舞われることなきを保しがたいのであります。御承知の通り日本の戦後の経済は幾多の脆弱点を持つておるのであります。不況又は恐慌に対しましてはその適応力が極めて不十分であります。このように、いわゆる底の浅い経済におきましては、一旦不況の際におきましては産業界に破滅的な競争を招来いたしまして、倒産相次ぎ、日本経済に回復することのできない損害を及ぼす危険性があるのであります。このような場合に対処するための共同行為、いわゆる不況カルテルも、又当然許さるべきでありまして、緊急にその途を開いておく必要があるのであります。その他、株式の保有、役員の兼任等の制限の緩和、不当廉売、おとり販売等の弊害を除去するための再販売価格維持契約を適法なものとすること等は、いずれも当妥な改正でありまして、私どもはむしろその遅きに失することを憾むものであります。私は、かくのごとき諸外国にも例を見ざる制限を今後も存置いたしまして産業能率の増進を阻まんとする反対論者の真意の奈辺にあるかを疑うものであります。  以上の理由によりまして、私は自由党を代表いたしまして本案に賛成するものであります。(拍手)
  33. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 永井純一郎君。    〔永井純一郎君登壇、拍手〕
  34. 永井純一郎

    ○永井純一郎君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今議題になりました私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたします。  先ず第一に私が反対をいたします理由としましては、基本的な考え方についてであります。我が国今日の民主憲法の下におきましては、国民大衆、勤労大衆の生活権の擁護こそが公共の福祉の実現であり、国民経済も又この公共の福祉に従つて運行すべきであるということが、この民主憲法の原理でありますることは、何人も知るところでございます。従つて、日本の法律体系の中では、労働者の基本的権利を圧迫したり侵害するがごとき法律や、或いは、経済民主化を阻み、独占価格を維持して、独占資本を育成せしむるがごとき法律が、直接その法体系の中に入り込むことは、現行憲法の存する限り私は許されないことであろうと考えます。(拍手)然るに、吉田内閣はこの編根本原理方針を無視いたしまして、或いは今次のスト規制法或いは独占禁法の改正に、国民勤労大衆の基本的権利を圧迫し、侵害することを平然と行なつて来ましたし、又ここに行おうといたしております。  独占禁止法の目的には、皆さんが御存じの通り、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する、」こういうことが明記されておるのでありまするが、今回の独禁法の改正は、何ら一般消費者の利益を考慮することはなく、一方において岡田君が触れられましたごとくスト規制法を制定をいたし、他方においてこの独禁法を改正することによつて、労使相協調して日本の産業発展に寄与すべき前提である労使対等の原則は、実質的にも形式的にも完全に破られ、勤労大衆の報本的権利と消費者大衆の生活を圧迫して、ますます不均衡を拡大し、独占資本の強化を図つている点であります。  次に、この独占禁止法は、昭和二十四年に改正が行われたのでありますが、占領下であつた特殊な事情と、インフレ下における独占資本のインフレ利潤の獲得が容易でありましたため、今回のごとき大幅な緩和は実現しなかつたのであります。然るに、昭和二十六年以来、朝鮮休戦機運の濃厚となるに連れて、いわゆる新三品と言われた輸入軍需物資を初めとする原料物資等の暴落によつて、経済恐慌は激化して、独占資本はこの状況に対処するため、一方においては、政府と結託をして、通産省の勧告或いは外貨割当の削減という行政措置によつて操短と価格の吊上げを実施して、独占禁止法を公公然と犯しますると共に、他方、独禁法そのものの骨抜きを策しまして、そうしていわゆる財界人と称せられる商売人の人たちの執拗且つ強力なる政府に対する強要によつて今回の独占禁止法の改正案が作られたということは、今更申上げるまでもない公然たる事実であります。而もこれが保守政党への厖大なる政治献金と選挙に関連し、延いては金権による選挙の支配が行われ、本院におきましても多数の耳障りの諸君があるかとも思うのでございまするが、(「選挙違反」と呼ぶ者あり)多数の悪質の違反当選者を出して、巷間言われているところのいわゆる選挙違反内閣が生れるに至りましたことは、我が国の民主化のために私は憂うべきことである、日本の民主化を阻むこれが根本をなすものであると言わなければなりません。(拍手)  独占禁止法はたとえ不十分であるとは言え、一応経済民主化の唯一の法律であり、経済憲法であつたはずでありまするが、今回の改正によつてその経済民主化の基盤は失われて、政府はまさに経済民主化のための政策をなそうとする何らの意思を有しないということを明らかにしたものと言わなければなりません。即ち、例えば中小企業安定法のようなものを制定されたといたしましても、原材料等の基幹産業部門の間で独占が行われておりまするならば、中小企業などの操短によつたところで、大企業の「しわ」を寄せられるだけであつて、依然として、いわゆる原料高、製品安に中小企業者が悩まざるを得ないということは明らかなところであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)  なお又、先般の本改正案に対する公聴会におきましても、中小企業者、農民、消費者代表等は、一斉に反対を唱えられまして、「本案の改正を希望しているのは、一部の財閥、大企業家だけであつて、国民はことごとく反対である。若し本案が国会を通過するがごとき事態に至れば、国民大衆は国会の性格を疑わざるを得ない。」こういうことが発言せられておつたことは、誠に注目すべきところであると考えます。即ち、中小企業者、農民、消費者大衆の立場から、私どもは強くこれに反対をいたすゆえんであります。  次に、現行独占禁止法下においては、本法の運用が極めて怠慢であつたということを指摘しなければなりません。これは勿論、公取だけを私は責めるわけにも行きませんし、又そうでないと思うのでありまするが、その機構の陣容が貧弱であつたというこの不備が勿論根本でございまするが、独占禁止法が施行されてから本年三月までの公取の扱つた事件は百二十五件に及んでおりまするが、その大部分は中小企業者関係のものであつて、大企業のそれは割合に少いのであります。然るに最近は、企業間の共同行為及びその類似行為による価格の人為的維持、吊り上げが行われておることが、一般に認められておりまするが、そのうち若干については公取が調査の結果に基いて取締を行うべく努力をしているとは言つておられるのでありまするが、証拠の把握が困難であるとか、行政措置による勧告操短、或いは原料輸入による外貨割当と結びついたものは、独占禁止法の埓外にあるとして、実際上容認した恰好になつているのでございます。かくのごときは巧妙な大資本の常套手段であり、又政府みずから独禁法の精神を無視して来た態度と言えるのでございます。而も今回の改正は、これらの共同行為、類似行為等の既成事実を、不況カルテル、合理化カルテルの名の下に合法化して行くものであるという点であります。  次に、今回の改正は国際競争に対して何らの対策にもならないということであります。ただ単に輸出入取引法を制定したり独占禁止法を緩和することによつて国際競争に対処しようとするのは、根本的解決策ではなく、むしろ逆に更に輸出を困難にするものであります。我が国産業の不況は、根本的に国際価格と国内価格の価格差による輸出不振に起因しているにもかかわりませず、不況カルテルを認め、カルテルによる価格の維持、吊り上げの結果、国際的割高の傾向がより顕著となり、その結果、国際競争力が更に弱化し、輸出の減退をもたらす虞れが極めて大であると考えられるのでございます。かくのごとき政策をとる結果は、政府の行きつくべき所がどのような所であるかはおのずから分明であります。即ち、今次政府が提案して参りました硫安需給安定法案や硫安輸出調整法案に見られるごとく、独禁法の適用除外の方法によつて事実上の二重価格制をとり、国内価格を高くして、それによつて得た利潤によつて余剰商品を輸出する虞れがあつて、国内需要者の犠牲において不況を切抜けようとする方策に過ぎないものとなるのであります。而も本改正案の修正において、カルテル認可権を公取一本に帰せしめたごとく見せかけておいて、実際はかくのごとき特例法によつて、重要企業について公取の手が及ばないごとくして行くことになるならば、同様なことが他産業においても行われることとなることが容易に予測されるのであります。要するに現内閣におきましては国際競争に対処する根本策を持たず、独禁法の適用除外によつてその場しのぎの対策を立てて行くに過ぎないと私は考えます。  第六点としては、不況カルテルと合理化カルテルの矛盾性についてであります。本改正案の不況カルテルは必然的に価格カルテルに結びついているものでありまして、価格の維持乃至吊り上げでありますが、一方、合理化カルテルにおける原価の引下げのための共同行為と相矛盾するものであると言わなければなりません。  以上簡単に述べましたように、今回の独占禁止法の改正は、独占禁止法の根本理念のみならず、民主憲法の原理すらも無視したものであつて、独占資本の利潤を、消費者、農民、中小企業者等、一般国民大衆の犠牲において保護すると共に、一方においてはスト規制法を以て、国民勤労大衆の反対を押切つて、非民主的に労働者の基本的権利を抑圧又は侵害して、実質的にも形式的にも労使対等の原則を打ち破つて、その不均衡をますます拡大する結果になつたと考えます。かくのごときことは民主憲法の根本原理を蹂躪するものであつて、私どもは全労働大衆と共に断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)  最後に私は公正取引委員会に特に望んでおきます。現在の諸種の事情の下におきましては、公正取引委員会の活動が思うに任せないことは私はよくわかるのでございまするが、公取といたしましては、金権と権力に断じて屈することなく、その独自の性格に基いて独禁法の精神を飽くまで強く堅持して、農民、中小企業者等、全勤労者、消費者大衆のために勇敢にお進みになることを強く要望いたしまして、私の反対討論を終りたいと思います。(拍手)
  35. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 加藤正人君。    〔加藤正人君登壇、拍手〕
  36. 加藤正人

    ○加藤正人君 只今上程せられました独占禁止法の改正は多年に亘る産業界の要望でありまして、遅まきながらも今日その実現を見るに至つたことは誠に喜びに堪えないところであります。ここに賛成の意を表する次第でありますが、具体的内容につきましては、日本経済の自立を達成する上から見てなお多くの不満が感ぜられるので、以下若干の要望を付しつつ賛成の理由を申述べたいと思うのであります。  現行法の持つ最も重大な欠点は、言うまでもなく次の二点にあつたと思うのであります。その一は、法律が余りにも予防的であり、法律の禁止する行為の類型に合致する行為は、その意思或いは目的の如何を問わず、これに合致するというだけですべてこれを違法とするという点である。このことは、例えば卑近な例をとつてみれば、松茸山に入る者は、その目的の如何を問わず、入つた以上は必ず松茸を盗むであろうという、そういうものの考え方に立つていることは明らかであります。(笑声)このために、例えばハイキングに出た人が急に腹痛を覚えて、近道をするために松茸山を横切ろうとしても、それを許さない結果となつておるのである。こういうことが、如何に我が国の経済の発展を阻害して来たか。我が国の紡績設備は、諸君も御承知のごとく、国際的に見ても著しく過剰となり、諸外国よりも相当の疑念の目を以て見られ、遂に通産大臣の勧告によつて操業の短縮を行わねばならんような状態にあつたにもかかわらず、紡績業者間の自主的の協定によつてその設備の制限を行うことが許されなかつたために、むざむざ厖大な過剰の設備を抱える結果となつたのであるが、これらは貴重なる資金と資材の浪費にほかならないのであり、現行法の持つ欠点の一例である。  いま一つの欠点は、いわる公益擁護に急なるの余り、産業の立場を余りにも無視して、その結果、産業の健全なる発達を阻害して、悪循環的に真の公益そのものをも阻害するという矛盾を内包していた点にあつたのである。公共の利益とは即消費者の利益であり、安ければ安いほどよいということである。このような公益というものを、現行法は余りに狭義に、余りに観念的に理解して、これを至上命令とし、従つて産業界が非常なる苦境に見舞われても、徒らに無益な競争を強要し、倒産一歩手前の投売り状態に陥つても、安ければ安いほどよいという、そういう理解の仕方を以て公益擁護に当り、その結果、特に底の浅い我が国経済の絶え間なき混乱がもたらす諸々の国民経済的な損失等は毫も意に介しなかつたのである。  現行独禁法は以上のような二つの致命な欠陥を持つていたのであるが、幸いに政府においても今回かかる欠点を認め、提案理由の説明によれば、現行法の基本理念をそこなわない範囲においてこれを修正し、日本経済の特質と実態とに即するよう、つまり公共の利益と産業の立場との調整を図る意味において、一方においては役員の兼任を認め、株式保有の制限を緩和し、余りに細分化された我が国の産業に或る程度の結合を認めると共に、又一方においてはカルテルの禁止を若干解除して、無力なる我が国の産業が国際的な景気の変動に耐え得るよう、特定の協定を容認せんとするに至つたわけであつて、この点は誠に御同慶の至りである。(笑声)我々としても、独占のもたらす弊害を排除し、取引の公正を確保して、公共の利益を擁護せんとする現行法の基本理念には、いささかも異存はない。又このことは、資本主義の健全なる繁栄を維持する上から言つても、一種の安全弁として必要なことは今更申すまでもないところであり、改正の方向についても大いに賛意を表するところであります。  併しながら、その具体的内容については、我が国経済の実態に照らして多くの不満が感ぜられるところである。日本経済の基盤が甚だ脆弱であることは今更喋々を要しないが、石炭、鉄鋼等の基礎産業は、関税或いは外貨割当の面において保護されなければ到底成り立たない状態であり、従つて又その上に立つあらゆる産業も国際競争力を殆ど持ち合わさない。従つて我が国の経済は、朝鮮ブームのような神風がなければ、(「何が神風だ」と呼ぶ者あり)到底成り立つて行かない状態である。(発言する者多し)更に又、経済の底の浅いということは万人の指摘している通りであるが、私をして言わしむれば、底が浅いどころか、今なおどんどんその底をみずから食い潰しているような状態であります。成るほど動乱ブームのお蔭で、一時的、表面的には相当の繁栄を謳歌し得たが、併し冷静に反省してみると、個人の場合でも、法人の場合でも、資産の再評価が不徹底のために、本来、減価償却に廻さるべき多くの部分が利益金として計上され、この擬装利益に対して国家は莫大なる税金を課し、企業は又これを社外に配当して、共に今なお依然として資本を食い潰しているのである。このような我が国の経済或いは産業の実態を正視するならば、今回の改正によつて公益と産業の立場を調整するに当つても、もつともつと産業のために多くの配慮を加える必要を痛感せざるを得ないのである。アメリカのごとく経済の高度に発達した状態ならばいざ知らず、我が国の現状においては、独禁法の使命とする公益の擁護にもおのずから限度があるはずであります。この意味において、今回の改正案の程度ではまだまだ不十分である、まだまだ不十分である(笑声、「何が不十分だ」と呼ぶ者あり)ということを断ぜざるを得ないのである。即ち、今回の改正の重点であつた不況カルテルに関する規定に、そのことが最もよく現われておると思う。過般の本会議における質疑においても引例した通り、いわゆるコスト割れとなり、且つ相当数の事業者が倒産の危機に瀕しなければカルテルを認めないのであるが、企業のかかる状態はいわば瀕死の重態であることを意味し、かかる状態に陥つてしまえば、もはや薬の効果もないわけであるが、そういう状態にならなければ薬を飲ませないということは、結果的には全然薬を飲ませないのと同様であり、(「何が同様だ」と呼ぶ者あり)これでどうして産業の立場を考慮したと言い得るか。殊に、日本の産業の実態はまさに栄養失調の状態にあることは、先に指摘した通りであつて、そんな状態に陥つてしまえば直ちに参つてしまう。産業が崩壊すれば、元も子もなくなつてしまう。産業の立場を考慮したと称しつつ、この程度の改正にとどまつたゆえんのものは、現行法の持つ二つの致命的な欠陥ともいうべき基本的な考え方が、今なお何ら反省せられていないということを示すものであり、又カルテルを認可制にしたことも、カルテルを罪悪視する現行法の理念が今なお尾を引いているためであるにほかならない。  一体、カルテルは善か悪か。その功罪については多くの意見があるけれども、我が国の経済の現状は、徒らにかかる論議を闘わしているような段階にはないのであることは先に指摘した通りである。要は、真に公益擁護のためには、日本経済の自立を達成することが前提であるということを十分に理解すべきであつて、これがためにはできるだけ産業活動の制約を少くし、ただ、若しそこに行き過ぎがあつた場合において初めてそれを是正する権限を政府に留保して置く程度のものであるべきであろうと思う。即ち、届出制度にすることが妥当であると考えられるのであるが、然るに衆議院においては、この認可権の所在を修正して、公正取引委員会の主管とされた。公正取引委員会の性格並びに使命は、言うまでもなくこの法律の番人としての検察的なものであるが、今回の法律改正を必要とした事情が主として産業の立場をも考慮せざるを得なかつた点にあることを考えるならば、およそ公正取引委員会は認可権者としては適格を欠くものであると言わざるを得ないのである。この点についても納得しがたいものがあるのである。  以上、これを要するに、今回の改正は、現行法に比べれば二歩三歩の前進であることは間違いなく、そのこと自体については勿論率直に賛意を表するものではあるけれども、本法を運用するに当つての基本的なものの考え方自身にはなお多くの疑問があるので、今後のためにあえてこれを指摘し、要望する次第である。  これを以て賛成演説を終ります。(拍手)
  37. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 鈴木一君。    〔鈴木一君登壇、拍手〕
  38. 鈴木一

    ○鈴木一君 私は本法案に対しまして絶対反対を表明するものであります。(拍手)  反対の根拠につきましては、大体両社会党のかたが述べられておりますので、私はあえて重複を避けまして繰返しません。ただ、私は特に次の二点を強調いたしたいと思うのであります。  第一に、本法案は一部改正となつておりますが、よくその内容を検討いたしますと、一部改正どころではなく、実は独禁法の本質を完全に骨抜きとする改正案であります。(「然り」と呼ぶ者あり)従つて政府は、一部改正などというかかる欺瞞的な法案を提出せず、独禁法の全廃を提案すべきものと私考えるものであります。私の推察するところでは、政府は恐らく独占資本家の要請に基き、独禁法の完全な廃止をいたしたいところであつたと思うのでありますが、仮に完全廃止を提案せんか、中小企業者、農民、労働者の根強い反撃を受け、目的達成ならざることを見通して、真正面から公明正大な民主的な方法によらず、一部改正という、如何にも独禁法の本質には触れず、政府提案理由の説明にあつたように、我が国経済の実情に副わない個所を一部訂正するという、欺瞞に満ちた方法を用いたものと考えられるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)かかるやり方は、正々堂々と憲法改正をやる勇気と自信を持たず、実質的には軍隊と何ら変らない保安隊を軍隊にあらずと強弁し、国民大衆を欺瞞し続ける、吉田内閣の誠に非民主的な暗黒政治のあり方を如実に示すものと言わねばなりません。独禁法そのものに対しまして、賛成する者と反対する者のあることは、その立場心々によつて当然であります。私は勿論、独禁法の存続には賛成であり、このたびの一部改正には反対でありますが、私と逆の立場に立つ主張を、民主政治を是認し、これを尊重する意味合いから、一応は、主張としては、即ち内容からではなく、単に主張として認めないわけには参りません。従つて政府としても、独禁法全面廃止が正しいと思うならば、正々堂々とその理由を、「我が国の実情に副わない」などという誠に抽象的な、あいまいな言葉を弄することなく、即ち、昨日のスト規制法案について小坂労相が終始用いた「社会通念」云々という甚だ茫漠とした言辞を弄することなく、国民の誰でも理解納得できるように、具体的に、飽くまでも具体的に明示して、その賛否を国民に問うべきものと考えるのでありますが、(拍手)あえてそれをなさず、実質的には全面廃止を一部改正と詐称し、而も知性なき多数の暴力で一気に押切ることは敗戦における唯一の収獲とも言うべき民主政治の芽生えと基礎を完全に葬り去るものであり、再び政治を暗くし、東条時代に逆行するやり方であるので、かかる点から強く反対するものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  第二に、私は、農村経済に与える悪影響からしても強く反対するものであります。御承知のように、肥料は我が国五百万農家の生産資材といたしまして甚だ重要なものでありますことは、今更申すまでもありません。この肥料の価格の動向については、農産物価格と同様に農民の最大関心事であります。而して今回の改正により、カルテルが公認せられ、現在でも実質的にはカルテルが黙認せられ、公取と裁判所は時の権力に迎合してか、何ら取締をしていなかつたことは、周知の事実であります。肥料価格がメーカーの好むように繰作されることになりますと、低米価政策と世界に類のないと言われている悪法たる供出制度により、収奪を強行されている農民の窮乏は一層激しくなり、農村の近代化はいよいよ困難となること必至であります。これに対する救済の措置といたしましてか、本国会に臨時硫安需給安定法が出ておりますが、これと関連して硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法により輸出会社案が出ておりますが、この両法案は何らカルテルの弊害を救済するものではないことは一見してよくわかるところであります。肥料メーカーは、肥料生産業が我が国経済に占める重要性のために、常に易きに慣れ、政府の保護にのみ依存し、科学技術の研究や真の意味の企業の合理化を忘れ、日本の企業家の大半は、企業の合理化は、低賃金、労働強化、首切りと心得ているようでありますが、真の企業の合理化を怠つたが故に、今日のごとき世界市場からのみじめな敗退を余儀なくされたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)今ここでカルテルの結成を公認し、更に輸出会社の設立を認めんか、国内の農民は従来より一層犠牲を強制せられるのみならず、メーカー側においても、近い将来、硫安の世界市場より完全締出しを食う契機を作るものであり、メーカーのためにも又農民のためにもならないものであるので、私は本改正に対して強く反対するものであります。  以上二点を特に強調して私の反対討論を終ります。(拍手)
  39. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 奥むめお君。    〔奥むめお君登壇、拍手〕
  40. 奥むめお

    ○奥むめお君 只今、皆さまからそれぞれの御意見が述べられましたし、私に与えられた時間は僅かに十分間ですから、意を尽せなくて残念ですが家庭の立場から、本修正案に反対の意を述べたいと思うわけでございます。(拍手)  一体、独占禁止法の修正は、昨年、輸出取引法が成立して以来骨抜きにする修正に成功しているのであり、紡績十社、鉄鋼六社等々、着々と独占資本体制を整えつつありますし、操短、価格協定、株式保有などが着々と進行しています。すでに現実に行われています既定の事実に対して、あわてて法律の裏打ちをするために追つかける恰好で修正案を出したという形でございます。問題はここにあるのでございます。今更修正案を出すからには、すでに厳粛なる事実として現われている大企業の共同行為の影響を受けて大きく出血している社会各方面の実態を見つめて、又、不況カルテル、価格カルテルの結果、企業合理化が行われたか、輸出が伸びたか、不況は立直りかけたかを検討して、政府として明らかにすべき大方針を示す内容のものでなければならぬと思いました。消費者の立場から、又一般国民、農民、中小企業者から見ると少数の、金を持つ大企業がさまざまな共同行為により利潤を上げておいでになる。公共取引委員会はその職責にもかかわらず、これを追つかけることができなかつた。その利潤が国民と共同のものであるならば、私どもはそれを国力の発展として喜びたいのでございます。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)併しその利潤が国民を潤おさない。そうして言うところの企業の合理化にも余り向けられていない。そうしてその上、最近国会に現われました審議を見ておりましても、例えば特定産業に対する補給金或いは金利の引下げ、又、減免税が行われておりまして、我々の国家の金がそこに投げ込まれる。これが又、私どもの生活、国民生活の確立のために、本当に直接に役立つ、或いは間接にでも役立つものであるならば、私どもはこれを共に喜びたいと思うのでありまするけれども、どうもその道には遠いのでございます。(拍手)独禁法の緩和と低金利、減免税などの一連の輸出補助策などが政府の手で進められて行く先には、統制への道を開く補給金の大幅なる復活にも進むのではないかと心配するのであります。貿易依存度の高い我が国としては、資本蓄積と企業合理化による輸出の振興が必要なことは私も認めます。併し、それが大多数国民を泣かせる方法で行われてはならないのであります。最近の実例を以て申上げましよう。昨年二月に綿紡績の操短勧告が繊維局長の名で行われました。これが関連産業、中小企業及びその下に働く人々にさまざまな出血を強要いたしましたが、今日なおその痛手に国民生活は喘いでいるのだと思うのです。(拍手)その結果、倒産、首切り、自殺、又女子の工員はその職場から追われまして、長い間帰郷いたしまして、その間にあちらこちらの村では娘或いは少年の人身売買が行われまして、又これはなかなか救いがたい深刻なものを持つているのでございます。(拍手)こういうことを考えますときには、公取は、折角独占禁止法の番人を以て任じながら、ただあの行政措置による操短の嵐の前に、なすところもなく四カ月以上を過ごしたのであります。もう大体その犠牲があまねく世の中に及びましてから、「操短の継続については弊害が顕在化したから深甚な考慮を払われたい」と申出ておりますけれども、それは七月であり、それでもなお顧みられないで、今日続いている犠牲が血を出し膿を出しています。私はこういうことを見るにつけましても、皆様方に訴えたいと思いますことは、大資本家といたしましても、又労働者といたしましても、今日のような貧しい日本で、底の浅い経済の中で貧しく揺れ盗れております国民同士が、お互いに一方的な利益だけを追求しておりますようなことでは、実際八千万の国民は一体どうなるだろう。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは何としてもお互いが一体になつて苦しみに耐えて行き、又分け前を公平にしまして、すべての人が欣然と働き、労働力としての最大の効率を挙げるという世の中の態勢を作つて行かなければならないと、非常に痛感しているのでございます。それでありますから、先ず金を持つている者、又は力を持つている者、どちらも、人よりも優れたものを持つています者が先になつて、その優れた力を、そういう国民が願つてやまないところの福祉社会を作りますために傾けて、一生懸命に尽すという心になりさえすれば、できない相談ではないと信じております。今は残念ながら、労働者の中には、その数を頼んで(「その通り」と呼ぶ者あり)強いて無理をする者がある。資本家も自分の利益追求に余りに急である。それでいて、数は多いけれども組織を持たない多くの弱い国民の生活は一番犠牲になつて追い詰められています。この社会を私は悲しみといたしまして、今日この機会に意見を申述べるわけでございますが、資本の蓄積と言われますことも、福祉社会実現への努力と並行して行われましてこそ初めて国力となるのだと信ずるのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)  なお私は、物価政策に深い関心を寄せているものでございます。併し審議の経過を通しまして、独占禁止法の緩和によつて、企業の合理化、共同行為が、日本の不況切抜け策にもなるし、又物価も安定して行くのだ、輸出も振興するのだ、こう言われておりますけれども、今まで現実に行われた非合法の、又は行政措置としてのカルテルの経過を見ただけでも、砂糖の問題、たくさん砂糖を輸入して価格が低落し、砂糖を扱つている人々は困つているのだと聞いている間に、業者間の競争は協定に代り、損失を食いとめて、消費者はその共同行為の結果高い砂糖を買わざるを得なくなつている。又操短によりましても、たくさんストツクが積まれて来たのだ、売れないのだ、工場が競つて機械を殖やしてどんどん作つたから持て余しているのだと言いながら、操業短縮に入つて、安く買われるはずの綿糸又は綿布類が高くなつて、利潤はそういう物価を上げ下げして手をかけた人たちによつて独占せられたということは、何としても我慢がならない。(拍手)又、出血輸出をしながら、その間の損失分を国内農民にしわ寄せられた肥料の問題を農民は追及いたしています。その他いろいろな問題を私の知つているだけでもたくさん挙げられるのでございますけれども、下がるべき物価も下げないで、利潤を大メーカー乃至取引業者だけでせしめたということでは、私どもはこれからこの独禁法を改めたら不況が切抜けられて物価が安くなると言われても納得が行かないのであります。(拍手)これは何としても根本的な対策を立てないことには、一時のその場凌ぎのやり方では私どもの生活の問題は解釈されないのだ、こういう目で今日まで審議の過程で法案を見て参つたものでございます。又、再販売価格制度、これが中に入つております。この再販売価格についても先ほどいろいろなかたから言われておりましたから略しますが、今までも現実に、醤油だとか、クリーム、化粧品類だとか、その他、定価販売が行われて来ました。これが法律の裏付けを受けてますます拡大されて行われるであろう。割引ができないとすれば、勢いますます多くの広告宣伝費をかけての人の目を引く競争が行われるでありましようが、それは、それに使われる広告料も定価に織込んで押付ければいいからでございます。この種の無駄と不合理にますます派手に行われているのですが、そのために高いものを押付けられる消費者こそ禍いです。それに、品質をよくするための努力、つまり合理化に金をかけず、定価の上にあぐらをかいて利益を独り占めされるのは、我慢のならないことです。消費者が無自覚だから、割引売りの商品で囮とし、却つて他の品々を高く売付けられるから損をするのを改めるのだという説明もありましたが、消費者の中にはそういうふうな人もあるかも知れません。併し我々は、物の値段を、それを作る業者が、これが定価だと言つて押付けたものが正しいという、この根拠を見出しがたいのでございます。物の値段は需要と供給の関係でおのずからできるものではありませんか。又価格カルテルにいたしましても、生産費を算定して、そうしてここで共同行為をしてもいいと認めるのだ、こういう説明でございますけれども、業界の人たちだけが出した生産原価から価格をきめる、勿論、公取委員会はそれに対してかねて調べて来たものを中心にして判定を下すそうでありますが、私どもは、従来の例から考えましても、又現実の面から考えましても、そういう業者が一方的に出して参ります材料を中心にして物の生産費或いは販売価格がきめられるということに非常に不安を感ずる。なお独禁法の緩和が対外的に必要だと頻りに主張されて来ているのでございますが、輸出取引法がもう改正されているのでございますから、もう大して問題にならないと、これは中小企業関係のかたも、そう申しておられます。中小企業がたくさんにあつて、連日濫売の傾向が強い方面については、これは又中小企業安定法が通過しているので、その方面においてもこの独禁法は緩和の必要はないと中小企業の代表も述べていられます。この問題は別としましても、ただこれが大企業の国内の立場だけから必要だと言われると考え得る範囲で考えてみましても、この修正案で、現在の力関係を以てしては、中小企業者、消費者は、極めて高い原料を売り付けられ、値段が高くなることは必至である。(拍手)高い原材料を押し付けられて、それが又我々消費者の手に渡ります。安かろうはずがないのでございます。ですから、こういう価格カルテル、定価販売の面、私どもはこれに対しても反対をせざるを得ませんと同時に、(拍手)又、公取委員会そのものが今度は大幅に権限を拡げて大きな責任をおとりになつた。認可権が公取だけに委ねられたということは、まあ、いい修正だと思いますけれども、何分にもその力の弱いことは、法律がありながらこれを犯してどんどんカルテル行為が行われておる。殊にこの複雑微妙な産業界で罰金がわずかに三十万円以上五十万円、禁錮にしましても五年以下、それも滅多にそんな重い刑は今までにかけていない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)何百億円、何十億円という商売をして儲けようとする大企業を相手に、又は幾ら金を使つても法を潜ることに巧妙な今日の業界のことを考えてみまするときに、こんな軽い罰則で果して所期の目的は遂げられるであろうか。まあ、公正取引委員会よ、しつかりなさい、こう言うよりほかはないのでございます。(「少しはわかつたか」と呼ぶ者あり、拍手)
  41. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      —————・—————
  43. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第九、農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。    〔片柳眞吉君登壇、拍手〕
  44. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 只今議題となりました農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案につきまして、農林委員会における審査の経過と結果を報告いたします。  現行農業災害補償法におきましては、家畜共済は死亡廃用共済、疾病傷害共済及び生産共済の三つに分れておりまして、疾病傷害共済に加入するには、死亡廃用共済に加入していなければならないのでありまするが、死亡廃用共済に加入するには必ずしも疾病傷害共済に加入することを必要としない建前になつているのであります。ところがこの二つの共済を一元化しますれば、疾病傷害共済の普及を促し、これに伴つて家畜診療が行き渡ることとなり、その結果死亡廃用の事故率が低下し、従つて農家の掛金負担が軽減されることとなり、更に又家畜共済に関する事務も簡素化せられ、家畜共済事業の拡充、合理化に寄与するところ大なるものがあるとの見解を以て農業災害補償法に特例を設け、現存農業共済組合の中の一部のものについてその同意を得てこれを指定し、この二つの共済を総合した死廃病傷共済を一定期間試験的に実施させ、一元化された場合の共済掛金率等各般の基礎資料を得ると同時に、家畜共済制度運営上の諸問題についても検討を加えんとの趣旨によつて本法律案が提出されたのでありまして、その内容の主なるものは大体次のごとくであります。  第一は、共済掛金についてでありまして、共済掛金標準率は、一応従来の死亡廃用共済の掛金率と疾病傷害共済の掛金率とによつて算定することとしてあるのでありまして、而して両者を一元化することによつて危険率が低下することが予想され、収支のバランスにおいて若干の余剰が出るものとなし、そのうち農業共済再保険特別会計の余剰分を見合いとして実験を奨励する意味を含めて、補助金の形で農家が負担する共済掛金の一部を割戻すことになつているのであります。第二は、支払共済金でありまして、従業疾病又は傷害の事故により一年間に農家に支払う共済金に支払限度が設けられてありますが、この法案では一事故に対する支払額には限度を設けますが、年間の総支払額には診療利用の便宜に資するため限度を設けないことになつております。なお実験は、二カ年行うこととし、従つて本法は、昭和三十年十月一日に失効することになつております。  委員会におきましては、先ず第一に、かねて衆議院は現行災害補償制度の根本的改正を企図し、而も過般の農業災害補償法の一部を改正する法律案両院協議会においてもこれが確認せられているにかかわらず、今日かかる法律案を送付して来たことは、甚だ撞着であるとして、かかる措置が問題となり、衆議院の代表の出席を求めて、その経緯が質され、続いて政府当局との間に、本法案による実験の実施方法及びその影響等について詳細な質疑が行われ、更に本法案の取扱について慎重を期するため、社団法人日本畜産会事務局長横地敬二、社団法人日本獣医師会常務理事小松純之助及び農業共済再保険審査会審査委員清沢光躬の三君を参考人としてその意見を聴取し、更に又過般農林委員会に設置せられました農業災害補償制度に関する小委員会において検討を重ねる等、極めて慎重な審議が遂げられたのでありまして、これが詳細につきましては、会議録によつて御了承を願いたいと存ずるのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、松浦委員から、農業災害補償制度に関する小委員会の小委員長として慎重審議を遂げ、その結果、本法案は、農業災害補償制度の根本的改正の一環として並行して施行すべきものであるが、その実施について次のような附帯決議が必要であると提案せられたのでありまして、即ち   本法の実施に当り政府は次の事項について遺憾なく措置すべきである。   一、農業災害補償制度の根本的改正に関して、この際改めて昭和二十八年七月二十四日農業災害補償法の一部を改正する法律案両院協議会における保利農林大臣の言明を確認すること。   一、ひとり本法案による実験にとどまらず、右の根本的改正に必要な基本的資料の整備について最善を尽すこと。   一、本法案に関する開業獣医師の異論を検討し、運用上の公正を期し、本実験の実施に当り衷心からその協力を受け得られるよう善処すること。   一、家畜保健衛生所と農業共済組合の家畜診療所との連絡協調を緊密ならしめる措置を講ずると共に、家畜診療所の指導監督に遺憾なからしめ、以て家畜の診療に万全を期すること。   一、本法案による実験は成るべく一年以内に所期の目的を達するよう努力すること。というのであります。  次に小林亦治委員から、本法案の成立によつて制度の根本的改正が遅延するがごときことのないよう附帯決議を誠意を以て実行すべきであるとの意見を述べて賛成があり、続いて採決の結果、全会一致を以て松浦委員の提議にかかる附帯決議を付して原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、政府委員農林省小倉農林経済局長から、「附帯決議の趣旨に副つて忠実に本法の実施に当り、現行制度の根本的改正については特に善処したい」旨の発言がありました。そのことを申添えまして報告を終ります。(拍手)
  45. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  46. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  47. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第十より第三十三までの請願及び日程第二百六十二より第二百六十八までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事堀末治君。    〔堀末治君登壇、拍手〕
  49. 堀末治

    ○堀末治君 只今議題となりました請願及び陳情について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  委員会におきましては、付託されました請願及び陳情を行政、財政、税制、選挙、警察及び消防の六部門に分類して、順次審査を行いました。  先ず行政関係から申上げます。請願第二百五十五号は、都市行政の現状に鑑み、現在任意機関となつている監査委員制度の確立を図るため、地方自治法中一部を改正せられたいというのであります。請願第二千四百四十七号及び陳情第四十九号、第二百十五号、第二百七十九号は、いずれも町村合併促進法案を早急に制定せられたいというのであります。  次に財政関係でありますが、請願第百八十二号、請願第二千七百五号、陳情第九十一号は、府県財政窮迫の現状に鑑み、その根本的確立を図られたいという趣旨であります。陳情第二百二十三号は、町村に対し独自の税源を大幅に確保せられたい。請願第二千四百四十九号は、町村財政の窮乏打開のため、起債の枠の拡大と平衡交付金の増額を実現せられたいというのであります。請願第七百三号は、弱小離島に対しては港湾行政費を増額し、その文化水準の向上を図るよう地方財政平衡交付金法改正せられたいというのであります。請願第千六百四十六号は、旧軍港四市は旧軍港市転換法によつて産業港湾都市の建設に努力しているが、なお多くの障害によつてその推進を阻まれているので、特別な財政的保護の方途を講ぜられたいというのであります。請願第千七百二十三号は、年次に亘つて災害をこうむる特殊土壤地帯に対しても積雪寒冷地同様平衡交付金の増額並びに起債の枠の拡大について考慮せられたいというのであります。請願第二千七百六号は、国庫補助による市町村公営住宅建設費地方負担分については全額起債を認められたい。請願第二千九百十八号は、地方財政法第四条の二の規定にかかわらず、当然国、県の経費に属すべきものを町村に負担せしめていることが多いので、地方財政法を強化すると共に町村財政の窮乏を救う方途を講ぜられたいというのであります。  税制関係におきましては、請願第二百六十二号及び第千二百六十号は、柔道整復師についても医師と同様健康保険取扱による所得について税の減免の恩典を認めるよら措置せられたい。請願第八百七十六号は、あんま、はり、音楽の教授等を営む身体障害者に対し特別所得税を免除せられたい。請願第千四百十号は、めん類業者に対する飲食税は、一品百円までを非課税とせられたい。請願第千四百六十七号は、社会福祉事業関係の免税興行については、映画も入場税免除の範囲に加えられたい。請願第千五百十八号は、大工、左官等に対しては営業所得としてではなく、勤労所得として課税するようにすると共に事業税を免除せられたい。請願第二千三百九十一号は、厚生農業協同組合の経営する病院並びに診療所に対しては固定資産税の課税を免除せられたい。請願第二千九百二十号は、積雪寒冷地帯の固定資産の平均評価額を引下げられたい。請願第三千二十二号は、自転車税等随時賦課をなし得るようにせられたい。陳情第百五十二号及び第二百二十一号は、電気ガス税の非課税範囲は極力抑制せられたらというのであります一。  次は警察関係でありまして、請願第二千一号は、町村の警察維持に関する責任転移の時期の繰上げの要望、請願第二千六百六十八号は、現行古物営業法を金属屑に対しても適用されるように改正されたい旨の要望であります。  次に消防関係でありまして、請願第百十六号、請願第百十七号、請願第百十八号、陳情第百十号、陳情第百七十八号は、それぞれ消防施設に対する起債の増額、消防施設強化助成に関する法律の制定、防火水槽施設費、消防ポンプ購入費等に対する国庫補助消防財源確立等を要望するものであります。  以上請願二十四件、陳情九件は、慎重審査の結果、いずれも願意おおむね妥当と認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定した次第であります。  以上御報告いたします。(拍手)
  50. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  51. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  52. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第三十四より第三十六までの請願及び日程第二百六十九より第二百七十一までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長郡祐一君。    〔郡祐一君登壇、拍手〕
  54. 郡祐一

    ○郡祐一君 只今議題になりました請願及び陳情に対する委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。  請願第四百八十四号、同第七百三十三号及び陳情第十二号、同第百七十七号、同第百九十八号、同第二百八十六号は、戦犯者釈放に関するものであります。請願第千三百六十三号は、秋田県米内沢町に簡易裁判所等設置に関するもの、請願第二千六百一号は、宮城築館簡易裁判所の地方裁判所支部昇格等に関するもの、陳情第三百号は、青森地方裁判所弘前支部、庁舎建築に関するものであります。  以上の諸件につきまして、政府の所見を聞き、慎重に審査いたしました結果、いずれもこれを採択し、院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手)
  55. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これにより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  56. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
  57. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第五十九より第六十七までの請願及び日程第二百八十五より第二百八十八までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事西川甚五郎君。    〔西川甚五郎君登壇、拍手〕
  59. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 只今上程せられました大蔵委員会付託の請願並びに陳情につきまして、本委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  大蔵委員会におきましては、特に小委員会を設け、各委員の意見及び政府の見解を十分に聴取いたしまして、その上質疑応答を重ね、慎重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。  日程第五十九の請願は、協同組合の社会的重要性と、資本蓄積が本質的に困難なる事情を考慮し、法人税を免除せられたいとの趣旨であり、日程第六十の請願は、石油関税昭和二十七年度実施された減免措置通り本年も措置せられたいとの趣旨であり、日程第六十一の請願は、日程第五十九の請願と同様、農業協同組合の法人税を免除せられたいとの趣旨であり、日程第六十二の請願は、昨年十月より三割の物品税が課せられたため、彦根刺しめう業界は危殆に瀕しているが、このような工芸技術を衰微せしめることは、国家の損失であるから物品税を免除せられたいとの趣旨であり、日程第六十三の請願は濁酒密造防止のため、酒税の極限的減税による酒価の低減、徹底的取締等により、集団密造の根絶を図られたいとの趣旨であり、日程第六十四の請願は、我が国自転車産業を振興し、輸出拡大のため、子供自転車の物品税を撤廃せられたいとの趣旨であり、日程第六十五の請願は、東北五県たばこ耕作者のため、宮城秋保村に国立たばこ試験場を設置せられたいとの趣旨であり、日程第六十六の請願は、固定資産の登録申請に当り、その評価額が登記所の一方的認定により登記せしめられているが、評価審査委員会の設置意義を失うから、登録税法改正せられたいとの趣旨であり、日程第六十七の請願は、電源開発により犠牲となる農民の唯一の生産資本たる土地の強制収用補償金に対する課税措置は、それ自体論理上矛盾があり、論理上不当であるから、課税を免除せられたいとの趣旨であり、妥当と考えられます。  よつて以上の請願五十八件は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  日程第二百八十六の陳情は、日程第六十の請願と同趣旨であり、日程第二百八十五の陳情は、我が国産業の高度化のために工場の新設、拡張が緊要事であるが、再評価税と譲渡所得税が課せられるために、工場用土地の獲得が困難となつているから、両税を免除又は軽減せられたいとの趣旨であり、日程第二百八十七の陳情は、日程第六十三の請願と同趣旨であり、日程第二百八十八の陳情は、我が国経済の安定期に達するまで、特に産業の基礎たる電源開発資金に対しては、年三分程度の低金利を以てその促進を図られたいとの趣旨であり、妥当と考えられます。  よつて、以上陳情五件は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手)
  60. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  61. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  62. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第六十八より第百十五までの請願及び日程第二百八十九より第二百九十三までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇、拍手〕
  64. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 只今上程せられました請願六十四件、陳情七件につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  これらの請願陳情は、国立らい療養所設備の整備改善、らい療養所職員の定員増加並びに待遇改善、国立病院、国立療養所施設整備拡充、清掃事業費に対する国庫補助増額、生活保護法の最低基準の引上、母子福祉総合法の制定等々に関するものでありまして、厚生委員会におきましては、毎国会これらの問題を調査研究を続けて参つたのでありますが、特に「らい」予防に関連いたしますものは、「らい」に関する小委員会に付託し、「らい」予防法案と並行して審議いたしたのであります。  委員会といたしましては、小委員長の報告を求め、他のものと併せ四回に亘り、慎重審議を重ねました結果、以上の請願陳情は、いずれも願意は妥当なものと認め、議院の会議に付して内閣に送付を要するものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。
  65. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  66. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  67. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第三十七より第五十八までの請願及び日程第二百七十二より二百八十四までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。外務委員会理事徳川頼貞君。    〔徳川頼貞君登壇、拍手〕
  69. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 只今議題となりました請願四十五件及び陳情十五件につきまして、外務委員会における審議の結果を簡単に御報告いたします。  先ず、妙義山、浅間山両地域の米軍演習地化反対に関するものは請願二十三件、陳情五件に上つておりまして、これら米軍演習地の設定は、関係住民の生命の源泉である農地、山林等に甚大なる損害を与え、家庭生活を脅かし、青少年の保護育成にも大きな支障を来たすことになりまして、特に浅間山地域にありましては、長年続けられて来た火山観測と重要な研究が、著しく阻害されるのみならず不可能となる虞れさえありますので、両地域の米軍演習地設定には反対であるとの趣旨であります。次に、石川内灘米軍演習場返還に関する請願は四件でありまして、これらはいずれも内灘米軍演習場の使用期限が、本年四月三十日を以て、すでに経過しておるにかかわらず、更に永久接収を意図されておるとのことであるが、こんなことになつては、内灘地域のみならず、隣接各町村住民の生活権まで脅かされることになるから、この米軍演習場を速やかに返還されたいとの趣旨であります。次に、北海道におきましては、門別町の駐留軍演習地拡大反対、離島大島米軍演習地化反対青森県におきましては、関根地区米軍演習地の拡張反対、青森市合浦公園米軍借用地の全面的返還促進、岩木訓練場設置反対山形県では、戸沢村米軍接収地接収解除滋賀県では、饗庭野の米軍演習地化反対福岡県におきましては、福岡地方簡易保険局の大濠庁舎の接収解除、博多湾の米軍の水上機発着場に使用反対等に関するもの、請願七件、陳情三件でありまして、これらは主として当該各地域の産業経済に甚大な影響を与え、住民の生活を脅かすので、米軍演習地の設置に反対し、接収地の解除、返還を要望するとの趣旨であります。  国連軍及び駐留軍施設並びに駐留関係の犯罪に関する請願二件は、旧軍港四市の国連軍並びに駐留軍施設は、最小限度にとどめ、余剰設備を速かに返還されたいこと、及び駐留軍関係の犯罪関係についには、英連邦軍との間に細目協定がないため、種々困難な事態を惹き起しているにより、英連邦軍との間に属地主義による北大西洋条約方式の協定を締結されたいとの要望であります。  次に領土関係につきまして、島根県竹島は、島根県隠岐島五箇村に属していることは明かであり、且つ最も有利な漁区であるから、同島の領土権確保に万全の措置を講ぜられたいとの陳情が一件、又沖縄、奄美大島及び小笠原諸島の住民は、今なお米国の管理下にあつて、生活に困窮し、労苦を重ねており、ひたすら日本への復帰を切望しているので、これら諸島が速やかに日本に復帰できるよう措置を講ぜられたいとの趣旨の陳情が四件ございます。  次に、ソ連中共地区の残留同胞引揚促進に関するものは、請願陳情合せて六件でありまして、これらは最近ソ連地区抑留者からの通信によれば、その多くは帰還の可能性を示唆しており、我がほうの働きかけ如何によつては、多くの成果が期待される現状にあり、又中共地区からの引揚は、その前途憂慮すべきものがあるので、ソ連中共両国に対し、直接及び間接の交渉開始、両国に対する国会代表の派遣、未帰還者中、状況不明者の調査究明の措置を講ぜられたいとの趣旨であります。  又第三海洋丸拿捕事件に関する請願陳情おのおの一件は、去る三月十日同船に対するフイリピン警備艇の不法拿捕と暴行事件に関し、同事件に対する保障を速かに決定され、同種事件が続発しないよう善処されんことを要望するとの趣旨であります。なお、インドネシア共和国における戦没者二十一万柱の供養並びに転埋については、速かに善処せられたいとの請願一件、中国人俘虜の遺骨を中国に丁重に送還することは、日本人の当然の責務であるから、これが実行につき善処せられたいとの趣旨の請願が一件、及びオツトセイ保護条約を速かに締結すると共に、日本近海に回海するオツトセイの海上猟獲を解禁せられたいとの趣旨の請願が一件ございます。  以上の各件は、七月三十日の委員会におきまして審査いたしましたが、駐留軍による接収地の問題につきましては、各委員より熱心且つ重要なる質疑と発言がありました。審査の結果は、いずれもその願意を理由あるものと認め、これらを議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと決定いたしました次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手)
  70. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  71. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  72. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第百六十五より第百九十九までの請願及び日程第三百十八より第三百二十二までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長前田穰君。    〔前田穰君登壇、拍手〕
  74. 前田穰

    ○前田穰君 只今上程になりました日程第百六十五から百九十九までの請願及び日程第三百十八から第三百二十二までの陳情、合せて四十二件につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  運輸委員会におきましては、各件につき慎重に審査いたしました結果、鉄道敷設、線路の復旧、復旧促進及び国営自動車路線の開設に関するものにつきましては、資源の開発、産業の振興、文化の向上、民生の安定及び交通網の完成の見地から、電化に関しましては、輸送力の増強、石炭の節約及び旅行の快適の見地から、北陸本線の輸送力増強につきましては、裏日本と京阪、中京地区との産業、経済上の関係及び民生安定の見地から、停車場の設置、客車の改善につきましては、利用者の利便を考慮し、林産物の貨物運賃割引制度の存続につきましては、国民生活を考慮し、国鉄職員特殊勤務手当につきましては、国鉄職員の勤労意欲の高揚の見地から、燈台設置につきましては、航行の安全保持の見地から、福岡県若松港藤ノ木石炭積込鉄道淺橋前の浚渫につきましては、輸送力増強の見地からいずれも願意を妥当と認め、その他もいずれも願意を妥当と認め、議院の会議に付するを要し内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  又、水難救済に関する立法措置に関するものにつきましては、水難救済に附帯する経済的負担の軽減を図るため願意を妥当と認め、議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要しないものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手)
  75. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、日程第百九十九の請願のほか、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  76. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、日程第百九十九の請願のほかは、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  77. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第二百より第二百四までの請願及び日程第三百二十三の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事島津忠彦君。    〔島津忠彦君登壇、拍手〕
  79. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 只今議題となりました請願及び陳情について、電気通信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  奈良治道村の電話地区変更に関する請願鹿児島県下の電気通信施設整備改善に関する請願広島県江田島町内切串部落電話架設請願香川県富田村外三箇村を区域とする電報電話直轄局設置に関する請願奈良市の電話通信施設整備拡充に関する請願及び山梨県富士吉田市にNHK電波中継所設置の陳情。  委員会は以上の請願及び陳情につきまして、慎重審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認めてこれを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。  以上御報告申上げます。
  80. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  81. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  82. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第百十六より第百六十四までの請願及び日程第二百九十四より第三百十七までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員会理事白井勇君。    〔白井勇君登壇、拍手〕
  84. 白井勇

    ○白井勇君 農林委員会に付託されました請願七十六件、陳情三十五件につきまして、このほど審査を完了しましたので、その経過及び結果の大要を御報告いたします。  右の請願及び陳情の趣旨は、甚だ多様でありますが、これを大別いたしますと、本年四月五月の凍霜害に関するものが最も多く二十件、第二号台風以後の水害に関するものが十七件、土地改良、干拓、区劃整理、災害復旧に関するもの十二件、農産物及び肥料の価格安定に関するもの十件、国有林の払下げ、木炭等山林関係のもの十件、灌漑、排水、溜池に関するもの六件、開拓、山林道路開設に関するもの五件、砂糖食肉等食品に関するもの五件、病虫害、鼠害等の防除に関するもの五件、畜産試験場、林業試験場、家畜保健衛生所、植物防疫所等の設置に関するもの五件、麦類、木炭の検査手数料に関するもの三件、改良普及員増員に関するもの二件、食糧自給促進に関するもの二件、灌漑排水機維持費、耕地交換分合等の補助に関するもの三件、その他農業団体再編成、農業共済制度、蚕糸業振興、積雪寒冷単作地帯の振興、集団的酪農地区の設定、米価等に関するものが、それぞれ一件ありました。  委員会におきましては、これらの諸件につき政府当局の意見をも徴して慎重審議をいたしました結果、未だ結論に達し得ないもの及び議院の会議に付することを要しないものを除きまして、只今議題となりました請願六十五件、陳情三十一件は、全会一致、議院の会議に付し、採択の上、内閣に送付し、政府を促して速かにこれが実現を期すべきものと決定をいたしました次第であります。  右御報告申上げます。(拍手)
  85. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  86. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  87. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 日程第二百五より第二百六十一までの請願及び日程第三百二十四より第三百三十七までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長石川清一君。    〔石川清一君登壇〕
  89. 石川清一

    石川清一君 只今議題となりました北海道地方費道上美生中札内停車場線中札内橋の永久橋架替に関する請願のほか五十八件及び住宅難解決促進に関する陳情のほか十三件について建設委員会の審議の結果を御報告いたします。  これらの請願陳情は、河川の改修、砂防工事の施行、道路の改良補修、橋梁の架設、西日本その他における災害の復旧、戦災復興その他都市建設、住宅難の緩和及び駐留軍事故による被害の救済補償、演習地関係の多くの問題の処理等に関するものでありまして、願意おおむね妥当なものとして議院の会議に付して、道路整備費財源等に関する臨時措置法制定請願ほか一件及び鉱工業地帯整備促進法制定に関する請願、鉱工業地帯整備促進法制定に関する陳情の四件を除き、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手)
  90. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、日程第二百六十、第二百六十一の請願及び日程第三百三十七の陳情のほかは、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  91. 河井彌八

    ○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、日程第二百六十、第二百六十一の請願及び日程第三百三十七の陳情のほかは内閣に送付することに決しました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時十八分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案両院協議会成案  一、日程第二 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案  一、日程第三 らい予防法案  一、日程第四 法人税法の一部を改正する法律案  一、日程第五 所得税法の一部を改正する法律案  一、日程第六 租税特別措置法の一部を改正する法律案  一、日程第七 刑法等の一部を改正する法律案  一、日程第八 私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第九 農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案  一、日程第十乃至第三十三の請願  一、日程第二百六十二乃至第二百六十八の陳情  一、日程第三十四乃至第三十六の請願  一、日程第二百六十九乃至二百七十一の陳情  一、日程第五十九乃至第六十七の請願  一、日程第二百八十五乃至第二百八十八の陳情  一、日程第六十八乃至第百十五の請願  一、日程第二百八十九乃至第二百九十三の陳情  一、日程第三十七乃至第五十八の請願  一、日程第二百七十二乃至第二百八十四の陳情  一、日程第百六十五乃至第百九十九の請願  一、日程第百三十八乃至第三百二十二の陳情  一、日程第二百乃至第二百四の請願  一、日程第三百二十三の陳情  一、日程第百十六乃至第百六十四の請願  一、日程第二百九十四乃至第三百十七の陳情  一、日程第二百五乃至第二百六十一の請願  一、日程第三百二十四乃至第三百三十七の陳情