○小酒井義男君
只今議題となりました
総理府設置法の一部を
改正する
法律案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御
報告いたします。
政府が本
法律案の
提案の
理由として
説明するところは次の通りであります。今
国会に
政府から別途
提案した
恩給法の一部を
改正する
法律案が成立し、これが公布
施行せられ、旧軍人軍属及びその
遺族に恩給が給せられるようになれば、これら受給者の数は二百四十六万人の多数に達し、これらの人々に関する恩給
事務は
相当量の
事務であるばかりでなく、その裁定のための審査及び各種具申、訴願等の複雑な
事務を伴い、而もこれらの
事務は急速に処理しなければならない性質のものである。従
つて、このような多量にして複雑、而も急速に処理しなければならないような
事務を処理する等のため、本年度において総理府恩給局に、
職員八十名、臨時雇七百二名、計七百八十二名の新規増員をなす予定をしている次第であるが、かかる多数の
職員を統御し、複雑、大量の
事務を急速に処理するためには、局長の下に、新たに次長一人を置き、次長をして、局長を助け、局務を整理せしめ、局長をして局務全般を一層合理的に運営せしめることが必要である。次に、
現行の
総理府設置法では、大臣官房で管理する図書は、他の各省と異なり、単に大臣官房のみの所管に限られるように
規定せられておるので、これを各省なみに
改正して、大臣官房以外の図書についても管理し得るように改め、以て総理府における図書資料の
整備を図り、その管理の実を挙げる必要がある。
以上が本
法律案の
提案の
理由であります。
内閣委員会は、委員会を一二回開きまして、本
法律案の審査に当り、場昨日の委員会におきまして
質疑を終り、
討論を省略して、直ちに
採決に入りましたところ、多数を以て可決すべきものと
議決せられました。
次に、
恩給法の一部を
改正する
法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果について、でき得る限り詳しく御
報告いたします。(「簡単」と呼ぶ者あり)
恩給法の一部を
改正する
法律案は内閣より提出せられだものでありますが、過般、
衆議院において、その一部に
修正が加えられましたので、その
修正せられたものが本院において審査の
対象とな
つておる
原案であることを、先ず以て御承知おき願いたいのであります。
説明の順序といたしまして、先ず、
政府の
提案の
理由、次に、この
政府原案の内容、最後に、この
政府原案に対する
修正案の内容を順次御
説明いたします。
先ず
政府の
提案の
理由として
説明するところを御
報告いたします。
昭和二十年十一月二十四日、連合国最高司令官から、「恩給及び恵与」と題する覚書が発せられ、これを
実施するために
恩給法の特例に関する件が制定され、
昭和二十一年二月一日、勅令第六十八号を以て公布、即日
施行せられたのであるが、この勅令によ
つて、その第一条に
規定せられた旧軍人軍属及びその
遺族の傷病恩給以外の恩給は廃止せられ、その傷病恩給は
一定条件の下に制限
支給せられることにな
つて、今日に至
つたのである。これら旧軍人軍属及びその
遺族に対しては、今次大戦の終りに至るまでは、
一般公務員及びその
遺族と同じく、恩給が給されていたのであ
つて、これらの人々の入が恩給を給されなくな
つたのは、全く右覚書によるものである。
平和条約が発効し、我が国の独立をみるに至つた今日、なお、このような
状態に放任し、旧軍人軍属及びその
遺族の恩給の廃止及び制限を焼けることは好ましくないことと考えられるのであ
つて、先に、総理府に設けられた
恩給法特例
審議会においては、これら旧軍人軍属の恩給に関する重要事項に関し調査
審議の結果、国家財政の
現状及び
国民感情の動向等を勘案し、旧軍人軍属及びその
遺族に対し
相当の恩給を給すべきものと認め、特に、
遺族、重傷病者及び老齢者に重点を置いて、給すべき恩給の内容等を決定し、これを昨年十一月二十二日
政府に対し建議したのである。
政府は、この建議の
趣旨を尊重し、これら旧軍人軍属及びその
遺族に対し、曾
つて、これらの人々と同じく恩給を給せられていた公務員と恩給の取扱の点において差別しないことを目途としつつ、国家財政の
現状を考慮し、本年度予算の許す
範囲内において恩給を給することといたそうとするのが、この
法律案の
趣旨の主要な第一点である。
次に、
現行恩給
制度は、終戦以来、今日まで、たびたび
改正をされたのであるが、これらの
改正は、いずれも、旧軍人軍属及びその
遺族の人々の恩給が廃止又は制限されている現実の下に行われたのであ
つて、若しも、仮りに、旧軍人軍属及びその
遺族の恩給が今日のごとく廃止又は制限されていなかつたとしたならば、国家財政等から考えても、当然、
現行恩給
制度の実体は
相当改変されたのであつたろうと考えられる。従
つて、このたび旧軍人軍属及びその
遺族に対して恩給を給しようとするに伴い、国家財政の現況、
国民感情その他の諸種の事情を考慮に入れて、
現行恩給
制度に対し若干の
改正を加えることといたそうとするのが、この
法律案の主要な第二点である。
なお、右のほか、
制度の
改正等に伴い、
恩給法に若干の
改正を加えようとするのである。
以上が、この
法律案の
提案理由として
政府の
説明するところであります。
次に、右
政府提出の
原案につきまして、その
改正の主要な事項について
説明を申上げたいと存じます。
第一は、本
法律案の本則に関する部分でありましてこの本則は、
一般公務員にも旧軍人軍属にも適用される
規定であります。以下順を追
つてこの本則の
改正点を御
説明いたします。
改正の第一点は、今後在職年に対する加算は廃止し、恩給の基礎在職年は実在職年のみを以て計算することとし、ただ、すでに恩給を給されている者、及びこの
法律施行の際、現に在職している者の、この
法律施行後六カ月までの在職年につきましては、従来通りの取扱をいたしておるのであります。
その第二点は、
現行恩給法においては、公務員の外国勤務の実勤続在職年が十七年を超える場合並びに警察監獄
職員及び
教育職員の勤続在職年が普通恩給所要最短在職年限を超える場合においては、普通恩給年額を計算する場合に、その超える年数に応じ、通例の場合に比し若干の恩給加給の取扱をすることにな
つておるのでありますが、この際、この取扱を廃止し、ただ、すでに退職してこの加給を受けている者、及びこの
法律施行の際、現に在職している者の、この
法律施行後六カ月までの在職年につきましては、従来通り加給することといたしておるのであります。
その第三点は、
現行恩給法においては、普通恩給は、これを受ける者が四十才
未満の場合はその全額、四十才以上四十五才
未満の場合はその半額、四十五才以上五十才
未満の場合はその三割の額が停止されることにな
つているのでありますが、この
改正により、右年齢を五才ずつ引上げることとし、ただ、現に普通恩給を受けている者及びこの
法律施行後六カ月以内に退職する者につきましては、従来通りの停止にいたしておるのであります。
その第四点は、
現行恩給法におきましては、恩給年額が六万五千円以上で、恩給外の所得年額が三十三万円を超える場合には、恩給年額と恩給外の所得年額との合算額に応じて普通恩給年額の一部を停止することとな
つておるのでありますが、この
改正により、右
金額を若干引上げることとし、恩給年額八万円以上で、恩給外の所得年額が四十六万円を超えるものについて、従来の方法に準じて、恩給
金額の一部を停止することといたしておるのであります。
その第五点は、
現行恩給法では、いわゆる公務傷病恩給又は公務扶助料につきましては、従来、特殊公務による場合と普通公務による場合とに区別しているのでありますが、この
改正により、この区別を廃止いたしておるのであります。
その第六点は、
現行恩給法におきましては、
増加恩給年額は、退職当時の
俸給年額に傷病の程度により定めた一律の割合を乗じて計算することにな
つているのでありますが、この
改正により、軍人恩給廃止制限当時の
恩給法の例にならい、退職当時の
俸給年額により数個の区分を設け、この区分ごとに傷病の程度により定めた定額の
増加恩給を給することとし、その年額は、傷病の程度の高い者に割よく、又、同程度の傷病者については、
俸給年額の少い者ほど割よくなるようにいたしておるのであります。
その第七点は、
現行恩給法におきましては、公務扶助料年額は普通扶助料年額に一律の
割台を乗じて計算することとな
つているのでありますが、この
改正により、軍人恩給廃止制限当時の
恩給法の例にならい、公務員死亡当時の
俸給年額により数箇の区分を設け、その区分ごとに定めた割合を普通扶助料の年額に乗じて計算することとし、その割合は、
俸給年額の少い公務員の
遺族ほど割よくなるようにいたしておるのであります。
その第八点は、
現行恩給法におきましては、公務傷病者に対しては、特別項症及び第一項症から第七項症までの
増加恩給並びに第一款症から第四款症までの
傷病年金が、年金たる恩給として給されているのでありますが、この
改正により、第七項症以下の傷病者に対しましては、一時金たる
傷病賜金を給することといたしておるのであります。
第二は附則に関する部分でありまして、この附則は主として旧軍人軍属及びその
遺族の恩給に関する事項について
規定されているのであります。
以下順を追
つてこの附則の
改正点を御
説明いたします。
その第一点は、旧軍人軍属又はその
遺族に今後給する普通恩給及び扶助料につきましては、
改正後の
恩給法の
趣旨により、実在職年によ
つて計算した基礎在職年と退職当時の
俸給年額をいわゆるベース・アップした仮定
俸給年額とによ
つて恩給年額を計算することとし、ただ、すでに軍人恩給廃止制限前に恩給を給せられ、恩給を以てその生酒の資に供していた人々に対しましては、実在職年のみを以て計算し、恩給年限に達しない場合においても、恩給を給することといたし、その
金額は、最短在職年限の場合に給される恩給
金額から、その年限の不足する年数に応じ、
一定の割合を以て減額したるものとすることとし、又軍人恩給廃止制限当時恩給を給されていなか
つた者に対しましては、その恩給の基礎在職年に算入される旧軍人軍属としての在職年は、原則として旧軍人軍属としての引続く七年以上の実在職年に限ることといたしておるのであります。
その第二点は、旧軍人軍属又はその
遺族の一時恩給又は一時扶助料につきましては、引続く実在職年が七年以上、普通恩給所要最短在職年限
未満の者又はその
遺族にこれを給することとし、又、兵たる旧軍人又はその
遺族に対しては、従来一時恩給又は一時扶助料は給せられていなか
つたのでありますが、この
改正により、これらの者に対しましても一時恩給又は一時扶助料を給することといたしておるのであります。
その第三点は、公務傷病者たる旧軍人軍属は、
昭和二十一年勅令第六十八号
恩給法の特例に関する件によ
つて、現在
増加恩給第六項症以上の症状の者は
増加恩給のみを、又それ以下の症状の者は
傷病賜金を給されておるのでありますが、この
改正により、他の公務員と同じように、これらの者に対し、
改正後の
恩給法の
規定により
増加恩給又は
傷病賜金を給し、
増加恩給を給する場合には普通恩給を併給することとし、又、下士官目下の軽度傷病の旧軍人で
傷病賜金第一目症及び第二日症に該当する者には、その傷病程度に応ずる
傷病賜金を給することといたしておるのであります。
その第四点は、すでに退職し又は死亡した
一般公務員又はその
遺族のうちには、今述べました勅令第六十八号により、旧軍人軍属としての在職年を除算されて、少い額の恩給を受け、又は恩給を受ける
権利を失
つた者も少くないと思われますが、この
改正により、これらの者については、旧軍人軍属としての在職年を通算して新たに恩給を給し、又は現に受ける恩給を改訂することといたしておるのであります。
その第五点は、連合国最高司令官により抑留又は逮捕せられ有罪の刑に処せられた考及びその
遺族は、先の勅令第六十八号により、現在恩給を受ける
権利又は資格を失
つておるのでありますが、この
改正により、旧軍人軍属その他
一般公務員及びこれらの者の
遺族の例により、恩給を受ける
権利又は資格を与えることとし、ただ、現に拘禁中の者につきましては、この際、その
支給を停止することといたしております。
その第六点は、この
法律は本年八月一日から
施行されることとな
つていますが、旧軍人軍属及びその
遺族等に給される年金恩給につきましては、実質的に本年四月分から給されたと同じことになるような取扱をすることといたしております。
その第七点は、
ソ連その他の
外地に抑留されたまま未だ
帰還していない人々に対しましては、その
留守家族の
実情に顧み、この際、
一定の
条件の下に恩給を給し、当該
留守家族の請求に応じて
支給するようにいたしております。
以上が
政府提出
原案によ
つて改正せられる主な点であります。
次に、
政府原案に対する
衆議院の
修正案の内容を御
説明いたします。
衆議院における
修正の主なるものは、次の四点であります。
第一点は、兵長以下の階級差をなくし、これを兵一本にまとめ、その仮定
俸給年額は兵長と同額にすることとし、附則別表第一及び同第三を
修正しておる点であります。
第二点は、第七項症及び第一激症乃至第四款症を設け、第七項症には
増加恩給を給することとして附則別表第四を設け、第一款症乃至第四款症には
傷病年金を給することとして附則別表第五を設け、又
傷病年金と
傷病賜金とについて選択を認めることとし、これらの
規定は明年四月一日から
施行することといたしておる点であります。
第三点は、
増加恩給を受ける者の妻に対しましても、扶養家族加給を給することにいたしておる点であります。
第四点は、
遺族のうち、父母、祖父母が婚姻しましても同一戸籍内にある場合に限
つて、その扶助料を受ける資格又は
権利を認めることにいたしておる点であります。
内閣委員会は、本
法律案につきまして委員会を六回開き、この間、参考人八名の出席を求めまして、本
法律案に対する意見を聞く等、極めて慎重に審査を重ね来た
つたのでありますが、その審査において明らかに
なつた主なるものを次に御
報告いたしておきます。
その第一点は、恩給
関係の予算の点であります。本年度予算に旧軍人等の恩給費として計上されました
金額は四百五十億円であります。その内訳は、普通恩給二十九億二千六百五十万円、
増加恩給二十二億六千五百万円、公務扶助料即ち戦没者の
遺族等に給せられる扶助料三百六十九億一千五百万円、普通扶助料即ち普通恩給受給資格者が在職中死んだ場合その
遺族に給される扶助料十一億九千九百二十五万円であります。以上が年金恩給の
金額であり、年金恩給の総額は四百三十三億五百七十五万円であります。今
説明いたしました
増加恩給と公務扶助料につきましては、これらの恩給を給される者に扶養家族或いは扶養
遺族があります場合には、その恩給
金額に若干加給される金がありまして、
只今説明した年
金額はすべてこれらの加給
金額を含んだ
金額であります。本年度予算に計上されました年金恩給四百三十三億五百七十五万円は、四月分から十二月分までの九カ月間の恩給の
経費であります。従
つて、一年間即ち平年度
経費に引直しました場合におきましては、この
金額は更に増大し、即ち、普通恩給は三十九億二百万円、
増加恩給は三十億二千万円、公務扶助料は四百九十二億二千万円、普通扶助料は十五億九千九百万円となり、年金恩給の合計は五百七十七億四千百万円の多額になるものと推定されるのであります。
第二点は、旧軍人恩給の受給者の数の点であります。右に
説明いたしました年金恩給受給者の推定人員は、普通恩給受給者の推定人員二十万二千人、
増加恩給受給者の推定人員四万五千人、公務扶助料受給者の推定人員は百五十万四千人、普通扶助料の受給者推定人員は十七万三千人であり、総計百九十二万四千人であります。又、一時恩給と一時扶助料の受給者の推定人員は十七万八千人であります。普通恩給受給権者のうちで、若年者たるが故にその恩給の全額を停止される者は、右申上げました普通恩給受給者の推定人員のうちには含まれておりません。
その第三は、戦争による犠牲者は、軍人以外に、曾
つての国家総動員法に基いて動員された者をはじめ多数の者が存在いたしておるのに、
政府はこれらの者に対する社会保障等救済の途を十分講ぜずしてひとり旧軍人のみに対し恩給の面で救済する途を講じておるのは、国の政策として片手落ちではないかとの質問に対し、緒方
国務大臣は、これらの人々に対しても別途考慮しておる旨の答弁がありました。
その第四点は、本
法律案では加算
制度を全面的に廃止しておるが、その廃止は機械的である結果、
恩給法第三十八条四の不健康業務に従事する者の中で不合理の結果を招来するものがあるが、
政府はこれらの点につき将来適正なる
措置を講ずる意向があるかとの質問に対し、
政府委員より、甚だしく均衡を失するものについては更に検討する旨の答弁がありました。
この際、附加えて御
報告をいたしておきますが、本問題につきましては、運輸委員会及び人事委員会から内開
委員長に対して申入れが来ております。その一つを御紹介いたします。
申入書
恩給法の一部を
改正する
法律案に関する件
昭和二十八年七月二十九日、人事委員会において標記の件に関し左のように決定したので、その実現方について
努力せられたく、当委員会の申合せにより申入れる。
記
一、本
改正法律案においては、
恩給法の第三十一条乃至第四十条の
規定を削除することにな
つているが、その結果、第三十八条以下の不健康業務に従事する公務員、例えば蒸気機関車乗員、炭坑内羽に於ける現業勤務員、結核患者の看護員等に対する在職年数計算加算の
制度が全廃せらるることと
なつた。
政府の
理由とするところは、旧軍人等に対する加算を廃止したる
関係並びにこの種業務に従事する公務員に対し最近
一般よりも割のよい
俸給が給せられ、従
つて、恩給
金額計算の基礎
俸給額が増加する事実によるものとしてい
るが、
かくの如き
給与制度、退職金
制度全般に関連して検討すべき事項は、これを
法律が予定する綜合的恒久的退職
給与制度の制定の際に譲るべきものと認められ、且つ、現在、従事している公務員の待遇を低下すると認められるから、貴委員会におかれては当分の間なほこの
制度を存置せらるる様御取計らい願いたい。
昭和二十八年七月二十九日
人事
委員長 村尾 重雄
内閣
委員長小酒井義男殿
ほぼこれと同様の申入書が運輸委員会からも提出をされておりますが、省略をいたします。
その第五点は、本
法律案が成立し、旧軍人に恩給が
支給せられた場合、恩給金融の途が適当に講ぜられないならば、受給者は高利金融業者から高い金利を搾取されることになるから、
政府においてこの点を十分考慮されたい旨の熱心な
希望が多数の委員によ
つて述べられました。
内閣委員会は、昨日の委員会において
質疑終結後、
討論の段階に入りましたところ、松原委員より、
発議者一同を代表して次の
修正案が
発議せられました。
恩給法の一部を
改正する
法律案に対する
修正案
恩給法の一部を
改正する
法律案の一部を次のように
修正する。
附則第四条、第六粂第二項及び第七条中「六月」を「八月」に改める。
なお、この
修正の
理由として、今回
改正法律案によ
つて加算加給の
制度が全廃されることとなり、これにより旧軍人以外の
一般公務員の加算加給も影響を受けることになる。その結果、不合理な結果を招来するようなものについて、
給与の面か又は恩給の面で是正しなければならないと思うが、人事院より国家公務員法に基いて新恩給
制度につき
政府に勧告し、
政府はこれに基いた
法案を明年三月までには
提案することになると思うので、この時期に接続させるためと、加算加給を受ける人が退職の便宜のためにも、
修正案のようにすることが適当と思われる旨松原委員より
説明がなされました。
成瀬委員は、
修正案を含む
原案は、再軍備復活と繋がりを持つこと、
原案は、加算の打切りにより失格者を百四十万人も生じ、旧軍人の中にも不公平の存すること、
一般多数の戦争犠牲者に対する救済の途が講ぜられずして旧軍人のみを
対象にしたること等の
理由により、
修正案を含む
原案に反対する旨、長島委員よりは、旧軍人に対する
恩給法の
改正は遅きに失しておる、
政府は困難なる財政の下において多額の予算を旧軍人恩給に支出するに至
つた点に敬意を表し、
修正案を含む
原案に
賛成する旨、松永委員より、本
修正案の不健康業務に関する部分に言及し、不健康業務に従事する者に恩給を与うるならば、その者が恩給を受け得られるようにすることが必要であ
つて、
原案は、加算制を機械的に廃止した結果、恩給の精神にも副わない結果を招来することになるが、この点が
修正せられることになる故、
修正案を含む
原案に
賛成する旨、竹下委員より、
原案は随所に欠点があ
つて、完全な案とは言い得ないが、旧軍人恩給の復活は、多数の旧軍人、
遺族の方々の待ち焦がれておる問題であるが故に、不完全な点は将来の
改正に待つこととして、
修正案を含む
原案に
賛成する旨、松原委員は改進党を代表して旧軍人の恩給について加算通算を主張し来たつたが、これが実現しなかつたことは遺憾である、
衆議院で一部
修正がなされた点は満足する。忠誠な旧軍人に対し、この
法律案によ
つていささか報い得られたが、この
支給の
事務は親切且つ急速に運ばれんことを当局に要望して
原案に
賛成する旨、最後に野本委員は、旧軍人恩給を恒久法の性格の
恩給法で解決することは、再軍備復活を疑わしむる余地を与えるが故に遺憾である。
現行恩給法は、制定以来、
改正に
改正を重ね、つぎはぎだらけの
現状であ
つて恩給
制度、年金
制度は、今日再検討すべき段階に達しておると思う。
原案で加算
制度を機械的に廃止した結果、不健康業務に従事する者が不当な待遇を受けることになる点を
政府は十分考慮し、将来適当に善処されんことを望んで、
修正案を含む
原案に
賛成する旨のそれぞれの
発言がありました。
続いて先ず
修正案について、
採決をいたしましたところ、多数を以て可決すべきものと決定せられ、最後に
修正案を除いた
原案について
採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと
議決せられました。
次に、
昭和二十七年十月三十一日以前に
給与事由の生じた
恩給等の年額の改定に関する
法律案の内閣委員会における審査の経過並びに結果を御
報告いたします。
この
法律案は内閣より提出せられたものでありますが、過般、
衆議院においてその一部に
修正が加えられましたので、その
修正せられたものが本院において審査の
対象とな
つておる
原案であることを御承知おき願いたいのであります。先ず
政府が
提案の
理由として
説明いたすところを御
報告し、続いてこの
政府原案に対する
修正案の内容を
説明いたします。
恩給は、公務員の退職又は死亡当時の
条件に応じて給せられる
趣旨から、その
金額は退職又は死亡当時の
俸給年額を基礎として計算せられることとな
つておるので、昨秋、在職公務員の
俸給支給水準が引上げられたため、受給者の受ける恩給の中には、
支給水準の高い新
俸給を基礎として計算された年額の恩給と、
支給水準の低い旧
俸給を基礎として計算された年額の恩給とができ、同じような官職にあ
つた者の恩給の間においても、その退職の時期によ
つて差異を生じておるが、このようなことは恩給
制度の
趣旨に鑑み好ましくないことと考えられるので、旧
俸給を基礎として年額を計算された恩給について、国家財政等を考慮し、本年十月分の恩給から、従来の恩給年額改定の方法に準じて増額改定をせんとするものであ
つて、この
法律案の第一項から第三項までの
規定並びに別表第一から第三までの
規定がこれに関するものである。なお、本改定に伴い、
恩給法の一部を
改正する
法律案によるいわゆる普通恩給の若年停止に関する
規定の適用、その他、同
法律案中不要となる
規定の削除に関して
規定せんとするものであ
つて、この
法律案の第四項及び附則第二項の
規定がこれに関するものである。以上が
政府の
提案理由であります。
次に
政府原案に対する
衆議院の
修正案の内容を御
説明いたします。この
修正案は、
恩給法の一部を
改正する
法律案の
修正に伴う機械的
修正でありまして、即ち、
恩給法の一部を
改正する
法律案においては、第七項症の
増加恩給並びに
傷病年金は、今後、旧軍人軍属及び準軍人には年金として給せられず、従
つて女官の従来のこれらの年金は、ただ単に経過的に認める建前を以て立案され、従
つてこれらの年金恩給はベース・アツプされないことにな
つていたのであります。ところが、先の
修正案によ
つて、旧軍人軍属及び準軍人にもこれらの年金を給することになり、従来の文官のこれらの年金も認められることになりましたので、これらの年金については他の年金と同様ベース・アップの取扱をいたしておるのが
修正の第一点であります。次に、
恩給法の一部を
改正する
法律案の
修正に伴う引用条文の繰下げ等に伴う字句の
修正、及び同
法律案の
修正により追加された別表で、この
法案の
実施により不要となるものを削除する等の
措置をいたしておるのが
修正の第二点であります。
内閣委員会は、委員会を三回開きまして本
法律案の審査に当り、昨日の委員会におきまして
質疑を終了し、
討論を省略して直ちに
採決に入りましたところ、
全会一致を以て可決すべきものと
議決せられました。
次に、元
南西諸島官公署職員等の身分、
恩給等の
特別措置に関する
法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御
報告いたします。
この
法律案は、
政府の提出にかかるものでありますが、過般、
衆議院においてその一部に
修正が加えられましたので、その
修正を含んだものが
原案であることを先ず御承知おき願います。
先ずこの
法律案の
提案の
理由として
政府の
説明するとにろを御
報告し、次にこの
法律案の
要点を御
説明いたします。
北緯二十九度以南の南西諸島については、
昭和二十一年一月二十九日附連合軍総司令部の「若干の外
かく地域を政治上
行政上
日本から分離することに関する件」と題する覚書により、同日以降、我が国はこれらの
地域に政治上
行政上の権力を行うことを停止せられたため、同
地域にあつた官公署
職員の身分、恩給、退職手当、死亡賜金等については、その後
措置することができず、今日に至つたが、
平和条約が成立し、我が国の独立を見た現在とな
つても、なおこれら元官公署
職員の身分、
恩給等をこのような
状態に放置しておくこけは好ましくないことであるのみならず、現地該当者及びその
遺族の
生活困窮は見るに
忍びないものがあるので、速かにその身分を確定し、支払うべき退職手当、
恩給等を
支給して、本土の公務員並みの取扱をいたしたいというのが、本
法律案の
提案の
理由であります。次に本
法律案の内容を御
説明いたします。第一点は、いわゆる
行政分離の覚書の出された日の前日の
昭和二十一年一月二十八日に南西諸島にあつた官公署の
職員で、引続き琉球諸島民
政府職員とな
つた者及び未
帰還の
職員以外は、同日を以て退職したこととして取扱い、それらの者に対しましては、その目までの未払
俸給、恩給、その他の諸
給与を
支給することとしておるのであります。
第二点は、元南西諸島官公署の
職員で引続き琉球諸島民
政府職員とな
つた者については、恩給、退職手当及び死亡賜金に関する法令の適用上、勤続したものとみなし、恩給、退職手当及び死亡賜金を本土の公務員に準じて
支給する取扱としておるのであります。
第三点は、元南西諸島官公署
職員で引続き琉球諸島民
政府職員とな
つた者が、在職のまま恩給を受け得る途を開いておるのであります。
第四点は、元南西諸島官公署
職員が琉球諸島民
政府職員と
なつたあと、更に本邦の官公署の
職員と
なつた場合には、引続き本邦の官公署
職員として勤航するものであるとみなし、又、未
帰還職員については、本邦の未
帰還官公署
職員の例に準じ
措置することといたしておるのであります。
第五点は、元沖繩県の
職員について
支給すべき諸
給与及び恩給は国庫が負担することとし、元沖縄県以外の都道府県の
職員で琉球諸島民
政府職員とな
つた者について
支給すべき諸
給与はその都道府県が支弁し、その
経費は国又はその都道府県がそれぞれ分担することとし、又、これらの
職員について給すべき恩給は、その都道府県が負担し、その
経費は当分の間国庫が交付することとしておるのであります。
先ほど
恩給法の一部を
改正する
法律案の
報告の中で御
説明いたしましたように、
恩給法の一部を
改正する
法律案が
衆議院において一部
修正せられましたのに伴い、本
法律案におきましても一部条文の整理をする必要が生じましたので、
衆議院におきましては所要の
修正をいたすことと
なつた次第であります。
内閣委員会は委員会を四回開きまして、本
法律案の審査に当
つたのであります。昨日の委員会におききまして、
質疑を終り、
討論の段階に入りましたところ、野本委員は、過般の戦争において挺身して祖国防衛に当り死亡した南西諸島の小
学校教員、文官待遇
職員、中
学校教員、警察官、千百余名の人々の霊に対し衷心、哀悼感謝の意を表して、
原案に
賛成する旨の
発言がありました。
続いて
原案につき
採決をいたしましたところ、
全会一致を以て可決すべきものと
議決せられました。
以上御
報告申上げます。(
拍手)