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1953-06-18 第16回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月十八日(木曜日)    午前十時十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十一号   昭和二十八年六月十八日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般報告は朗読を省略いたします。
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、議員派遣変更についてお諮りをいたします。中共地域からの帰還者援護に関する特別委員長から、去る五月三十日決定いたしました第四次帰還船帰還者に関する実地調査のための議員派遣中、六月中四日間を、第一班六月中四日間、第二班七月中四日間に変更されたい旨の要求書が提出されております。委員長要求通り議員派遣変更をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて変更することに決しました。      —————・—————
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、国務大臣演説に関する件。(第三日)  昨日に引続き、これより順次質疑を許します。佐多忠隆君。    〔佐多忠隆登壇拍手
  6. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私は日本社会党を代表して、経済財政金融文化の面から、第五次吉田内閣施政について質問をいたします。  先ず最初にお伺いしたいのは、経済総合的長期計画についてであります。吉田総理大臣は、日本の再建の基盤として経済自立の必要を唱え、経済審議庁長官も、大蔵大臣も、異口同音に日本経済自立達成すべきことを力をこめて主張されました。何よりも先ず完全な独立を念願する我々は、その限りにおいては吉田総理などの主張に全く同感であります。問題は、一体、吉田内閣は、その経済自立達成政策を明確な長期的見通しの下に策定しているかどうかであります。朝鮮休戦の成立が更に政治的会談を経てどう展開をし、世界情勢を如何に転換せしめるのか、それが日本に、特に日本経済に、長期亘つてどう影響して来るのか、それらを明確に予測しているのかどうか。今年の初めに世界銀行に提出したといわれる昭和三十二年度経済表を、最近の状況変化に照らしてどう改変したのか。三大臣演説や昨日の答弁では、この点が明らかになつておらないのみならず、殆んど説明すらされておりません。何らかの見通しを持ちながら、それを国会に、従つて国民に示さないとすれば、その秘密独善官僚主義を糺弾せざるを得ません。(拍手)示すべき見通しを未だ持たないとするならば、吉田政府の怠慢を強く非難せざるを得ません。(拍手)直ちに詳しくお示しを願いたい。  次に、吉田内閣経済自立達成構想はどんなものなのか。如何なる目標の下に各般の施策を調整し総合しているのか。総合的計画政府は持つておられるのかどうか。政府はいろいろな部署で、或いは昭和三十二年に至る五カ年の国際収支見通しを作り、又は食糧増産十カ年計画家畜増殖十カ年計画を立て、更には電源開発五カ年計画国鉄設備近代化五カ年計画電信電話拡充五カ年計画住宅建設計画国土総合開発計画等々を設けておられます。然るにこれら諸般計画を一定の目標の下に一つ総合計画にまとめ上げることをやつておられない。この総合計画がないことが、まさに日本経済施策を混迷に陥れている最大原因であります。(拍手)そうして、これこそは自由放任主義を奉ずる自由党内閣経済政策の本領であり、計画嫌い吉田総理の我がまま勝手の反映にほかなりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手経済基本政策として総合的長期計画の必要なことを、我々社会主義者は勿論、昨今は資本家たちさえ強調し始めました。資本家団体が先頃提出いたしました基本経済政策に関する意見書は、その冒頭に、正常貿易中心とする経済自立達成を目途として、長期見通しを持つた産業貿易財政金融労働税制等諸般政策を総合的に確立し、政策相互間に統一性一貫性を保たせ、経済運営目標方向を与えねばならぬと主張いたしております。今年の初め昭和二十八年度予算が衆議院で一応可決されましたときにも、自由党与党議員諸君すら総合的長期計画を策定すべしと附帯決議をいたしました。国民を挙げて総合的長期計画の必要を力説いたしておる真只中にあつて吉田総理はなお且つその計画が必要でないと主張されるのかどうか。そんな計画ができるものでないと言い張られるのかどうか。吉田総理の明確な御答弁要求いたします。(拍手)  更に、吉田内閣経済政策基本的構想内容についてお尋ねいたさねばなりません。  吉田内閣は明確な経済計画は持つておられないようでありますが、経済政策基本的構想だけは、あいまいな形ではありますけれども、一応持つておられるようであります。その内容をもう少し明確にお示しを願いたい。と申しますのは、我が党はこのたび社会主義経済建設五カ年計画を策定いたしましたが、その際の基本的構想は次の通りであります。即ち、完全雇傭実現社会保障の完成を目指しつつ庶民大衆生活水準引上げることを目的とし、平和経済を打立て、自立経済を確立する。その方式社会主義以外にはあり得ない、というのであります。これに対しまして資本家陣営構想は、資本蓄積拡大強化を目指しつつ、資本家の、特に独占資本家利潤を釣り上げることを目的とし、防衛生産中心とする軍事経済を打立て、アメリカとの経済協力を、もつと正確に言えば、アメリカ経済への依存関係隷属関係を確立することであります。吉田内閣構想はこの後者にほかならないと思うのでありますが、どうお考えになりますか。  岡野経済審議庁長官はその経済演説で次のように述べられました。即ち、「経済政策運営基本的目標は、輸出振興国内自給度向上施策軍点として、正常貿易中心とした国際収支均衡を確保することであります。この場合、国民生活水準は少くとも現在の水準を保持することを前提とすることは勿論であります」と、こう申されておる。これには、一見して明らかなように、自衛力の漸増、より正確に言えば、防衛生産中心とする軍事潜在力の増強、従つてアメリカとの経済協力なる第三の支柱が隠されていると思うのでありますが、どうですか。又この構想によりますれば、国民生活水準の問題が第一義的に考えられておりません。のみならず、現在の水準ストップをしようとする意図が恥ずかしげに示されております。国民過剰消費をたしなめ、耐乏生活を説き、生活水準引下げを正直に主張する資本家たち要求を、消極的に、従つてそれだけずるく表明したものとしか思えません。日本経済の現状から見ますならば、鉱工業生産戦前の一四〇%で、戦前相当に上廻り、資本利潤率蓄積率戦前を遥かに突破しております。それなのに国民消費水準はようやく九七%で、未だ戦前水準にすら達しておりません。而もその戦前国民生活水準が国際的に見て如何に低いもりであつたかは世界的に有名であります。その低い水準ストップしようと主張されるのかどうか。国民生活水準終戦後今日まで逐次上つて参つたことを思うならば、このままの推移に任せるならば、本年度も更に若干上るでありましよう。吉田内閣はその自然の推移にすら逆らつてストップをかけようとされるのかどうか。これでも岡野長官は、「経済政策窮極目的が、国民生活向上と安定とにあることは、言を待たないところであります」などと白ばつくれて、恥ずかしくないのかどうか。この点を明確にお答えを願いたい。(拍手)  第二に貿易振興についてお尋ねをいたします。  日本経済の立直しのため、先ず何よりも輸出振興が緊要なことは言うまでもありません。吉田内閣は昨年の輸出を当初十六億ドルと見積りながら、年度末には十二億足らずの実績しか得られませんでした。吉田内閣はこの不振の責任をどうされるのか。この不振の原因を真剣に探究されたのかどうか。その直接の且つ最大原因は、勿論ポンド地域などの輸入制限でありますが、その真の原因はもつと深いところにあると言わねばなりません。その第一は世界的な貿易構造の変動であります。即ち、資本主義社会主義との二つの世界の分裂がいよいよ激しくなり、アメリカが更に強く大きくなり、新興独立国が発達いたしたことであります。だとすれば、貿易打開の方策はこの真の原因を衝かなければなりません。最近、東西貿易打開が強く叫ばれるのもその故であります。去る四月ジュネーブで国連欧州経済委員会によつて東西貿易会談が行われ、貿易拡大の希望がいよいよ大きくなりつつあります。だとすれば、アジア日本では、貿易規模拡大市場の開拓を図るには、先ず何よりも中共貿易打開すべきでありましよう。殊に、朝鮮休戦契機として、イギリス産業代表二十名は、中共との貿易促進見通しを検討するため、すでに北京に乗り込んで活動中であります。ドイツ人やその他もこれに抗いて続々と到来をし、アメリカ実業家たちさえ香港に出向きつつあると言われております。このような情勢の中にあつて日本では、総理大臣中共貿易に多くを期待し得ないと言い、外務大臣は、国連決議がある限りどうにもならんとか、中共との貿易には経済問題以外に種々な危険が伏在すると言つて、自信のないためらいを示しております。経済審議庁長官のごときは、戦前と異なり、工業化の進んだ今日において、これに過大な期待を寄せることは困難であるなどと、たわけたことを言つておられる。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)中共大陸に一番近い日本こそは、イギリスアメリカに魁けて積極的に中共との貿易打開に乗り出すべきだと思うのですが、政府はどうお考えになるのか。(拍手岡野国務大臣は、当初は中共貿易の有望なことを認めて、大阪ではこの打開に努力することを公約された。それなのに昨今非常に消極的な主張をされるのは、(「アメリカ大使に叱られたんじやないか」と呼ぶ者あり)総理大臣外務大臣に抑制されたのか。はた又アメリカ大使に叱られたのか。(笑声、拍手)その事情を三大臣からおのおの明瞭にされることを要求をいたします。  輸出不振の第二の原因は、日本商品価格割高であります。それを取除くにはコスト引下げることが必要でしよう。それには海外に依存する原料を近隣の市場からより安く手に入れることが先ず第一になされねばなりません。ここでも中共を含むアジア貿易拡大が重要なことになります。然るに吉田内閣はこの点を重要に考えず、ことさらに問題をそらしているとしか思えないがどうか。なぜそんな態度をとられるのか。岡野通産大臣お尋ねをいたします。  コスト引下げには金利引下げが必要なことはすでに早くから各方面要望となつております。それにもかかわらず、絶対的勢力を持つ金融資本は、その要望を無視し続けて参つております。傲岸無比な元大蔵大臣池田勇人君すら、この金融資本の前には頭を垂れて、金利引下げを遂行できなかつたことは、余りもに有名な話であります。(拍手)今、小笠原大蔵大臣は、金利引下げ金融機関に要請された。今度こそは実現の確信がおありであろうと思うがどうか。どのような手段方法によつていつ頃それを実現されるのか、詳しく御説明を願いたい。  コスト引下げには、設備近代化し、能率を高め、経営を改善するど、合理化を徹底する必要のあることは言うまでもありません。石炭、鉄鋼、男、造船、硫安など、重工業、化学工業には、すでに多額国家資金が投入されて、設備近代化技術未準の引上げがなされたはずであります。それに連れて、労働者首切り賃下げだけは容赦なく行われておりすす。それにもかかわらず、これらの製品の価格は未だ引下げられず、むしろ引上げすら行われております。これは、政府がこれらの独占資本の多数に多額国家資金を投融資しながら、彼らを利潤追求の自由に放任しているからにほかなりません。(拍手価格引下げるには、政府社会公共の見地から彼ら独占資本を十分に規制する以外に途はないのであります。(拍手政府はこれまでの自由放任の無政策を一蹴して、この規制に乗り出される意思はないのかどうか。財界の鼻息を窺うことに汲々たる吉田内閣にはそんなことはできないと言われるのかどうか。(「独占資本扶養家族じやないか」と呼ぶ者あり)吉田総理岡野長官の御答弁を願います。  第三に、財政金融政策についての質問であります。  先ず昭和二十八年度予算インフレ的性格について。  小笠原大蔵大臣は、本予算では一般会計収支はこれを保持しつつ、財政資金全体の収支としては或る程度弾力的な考え方をいたしたと述べておられます。これは従来の総合的収支均衡方式或いは超均衡予算を改められたものと言うべきでありましよう。私たちの推進によると、本予算は、年度全体としては一千二百億円を超す撒超要因を持つと思われますが、政府はこれをどう測定しておられるのか。このように多額撒超要因を持つとすれば、まさにインフレ予算と言わなければならないが、政府はなぜこんな大転換をしなければならなかつたのか、十分な御説明を願いたい。その基本的な原因は、我が国が軍事国家へ移行をし、医大な防衛費を計上したことにあると我々は思うのでありますがどうか。このインフレ可能性を減殺する金融政策をどうしようとしておられるのか。ただ資本蓄積促進資金の効率的な運用をお題目のように述べただけでは、何らの政策にもなりません。今や資本蓄積運用に対して高度に計画的な而も民主的な規制をせざるを得ない段階であります。小笠原大蔵大臣にはその決意がおありになるのかどうか、御説明を願いたい。  次に、本予算の軍事的な性格について。  小笠原大蔵大臣は、本予算防衛関係費は昨年度に比して四百六十億円の減額となつておると誇りやかにお述べになりました。併し、ここに予算のからくりと数字の魔術があります。昨年度は、前年度よりの繰越を含めて防衛関係予算現額はほぼ二千億円に達しましたが、年度末までの支出済額は七百億円に過ぎません。金欠病に悩み続けておる日本財政も、防衛関係費に関する限り全く杜撰な予算編成がなされております。(拍手従つて、一千億円の繰越を加えると本年度は二千五百億円を越える防衛費となります。(「その通り」と呼ぶ者あり)昨年度の七百億円に比べると実に三倍半、日本予算はまさに軍事予算に転化したというような主張をすることは言い過ぎでありましようか。(「言い過ぎだよ」「言い過ぎではない」と呼ぶ者あり)官公庁の公務員諸君は、先の給与ベース引上げが不十分であつたのみならず、その後、標準生計費が高くなり、民間の賃金や給与上つたために、ひとしお生活苦に悩み、夏期手当の増額やペース・アツプを血の出るような思いで叫び続けております。それが金のないためにすげなく拒絶されておるのも、この軍事予算のためであります。民生安定の費用や地方財政経費がなかなか十分に廻らないのも、この軍事予算のためであります。教育文化費が雀の涙ほどの三百六十六億円に過ぎないのも又この軍事予算のためであります。厖大な防衛関係費を削除してこれらの経費に廻す決意小笠原大蔵大臣はできないのかどうか、お答えを願いたい。  第四に、科学技術振興についてお尋ねをいたします。  輸出振興基本策であるところのコスト切下げの更に根本は、国内科学技術を特段な措置を以て振興することであります。然るに大達文部大臣は新任の記者会見の際、文部省関係仕事は生産的でないから相当予算を取ることは無理だと言つて投げておられます。教育学問研究など、基礎的な科学振興仕事を所管しておる文部大臣として、果してこれでよいと思われるのかどうか(「落第だよ」と呼ぶ者あり)科学技術振興こそは、コスト切下げを通じて輸出を伸ばすと共に、国内の資源を増大させることによつて輸入必要量を減らすことに役立ち、日本経済自立立場から見て最も生産的だと言えましよう。終戦直後、科学振興によつて新日本を建設しようと誓つた国民の悲願は、政府の不見識と怠慢によつて惨めに踏みにじられております。(拍手吉田内閣は、この現実をどう反省し、どんな科学技術振興政策を推し進めようとされるのであるか、文部大臣に御説明を願いたい。科学技術振興のためには、先ず現在の日本学術会議科学技術行政協議会をその本来の趣旨に副つて活用すべきだと思いますが、どうですか。殊に科学技術行政協議会の会長は総理大臣がこれを引受けておるのであるが、総理大臣はこれをどう考えておられるのか。(「何も考えていないよ」と呼ぶ者あり)次に、政府各省の、特に文部省科学技術研究費予算を画期的に増額する意図と努力はないかどうか。文部省などは僅か十億円足らず経費でこれを見送つております。文部大臣の不見識と怠慢を強く糾弾せざるを得ません。(拍手)更に、科学者を特に優遇するもろもろの措置を講ずる用意を持つておられるのかどうか。戦争のための、軍備のための科学が又ぞろ頭をもたげようとしておる昨今であります。防衛関係費を削つて平和のための科学を確立することが特に必要であると思うのでありますが、(拍手文部大臣はどう考えるのか、御所見を伺いたい。  最後に、MSA援助について一言いたします。  政府施政演説においてこれに全く触れず、昨日もここに登壇をした議員すべてがこの問題を追及したのに、政府は知らぬ存ぜぬ、まだ交渉したことはないの一点張りで、頬被りで過ごそうとしておるのであります。併し相手のアメリカでは、日本と双務的な保障協定を結び、日本軍事援助を与えようとしておることを明言いたしております。日本でも、MSA自身の解釈、諸外国に適用された実情、それが日本に及博す影響などについて、一応の結論を持つておるはずであります。それならば、それらを詳しく国民に告げ、国民と共にこれを審議することこそ、真に国を憂えるものの態度ではないでしようか。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手吉田総理が本当に日本独立を求め、平和を願い、国民生活を思われるならば、ここに昨日までの態度を一樹して、この問題をここで、我々議員と共に、国民と共に審議すべきだと思うのでありますが、どうですか。(拍手)ごの問題を率直にここに報告されんことを特に強く要求をいたすものであります。  以上、私は、吉田内閣施政方面を、経済財政金融文化の三方面から追及をして参りました。終戦以来間もなく八年、講和条約の発効後すでに一年以上経過いたしました。日本独立をかちとり、繁栄に向うど約束されていたにかかわらず、逆に、日本隷属を深め、非常な危機に直面をいたしつつあります。吉田内閣はこのことの深刻さに気付かないのかどうか、或いは気付きながら頬被りをして国民をごまかそうとしているのかどうか、果してこれでいいのかどうか。私は断じて否と言わざるを得ません。幸いに朝鮮休戦契機として、世界は大きく平和への方向転換をいたしつつあります。このときに当つて、なお吉田内閣は、日本独立国民生活の安定を犠牲にして、MSA援助、再軍備首切り賃下げストライキ規制独占禁止法の改悪など、一連の反動政策を強行して、一握りの独占資本に奉仕し焼けようとされるのかどうか。ごまかすことなく、はつきりと、而も詳しく答弁されんことを強く要望いたす次第であります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  7. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  佐多君は頻りに総合長期計画の必要を數々お話になりましたが、これは社会党たる佐多君としては御尤もであると思いますが、併し直ちに私はこれに対して同意を表するわけには行きません。何となれば、よく計画々々と申し、例えば東条内閣時代企画院を作りて、何とか計画、何とか計画言つてつて、そうしてその計画は朝に夕にこれを改めている事実がある。これが果して国家のためになるか。私は、徒らに人を迷わすものであり、或いは人をごまかすものであると言わざるを得ない。(拍手)又ソヴィエトは五カ年計画若しくは三カ年計画言つて、そして国民に大々的に誇張して報告をして、三年五年経たないうちに、その計画の成らざることがわかれば、いわゆる計画に参与した委員長とかいうような者を首を切つたり、追放をしたり、そういう残虐なことまでしなきやならない羽目に現に陥れられているのであります。かぐのごときことを我々は学ぶべきか学ぶべからざるか、これはおのずから結論諸君の心のうちにあると思いますが、そこで然らば、全然我々は計画がないか。計画がなくして予算が立つわけはない。その他の政治ができるはずはないのであります。その計画が短期であるとか長期であるとか、総合的であるとかないとかいうことは、これは議論の末でありますが、とにかく長期総合計画を非常に重視せらるる佐多君と私とは意見を異にいたすのであります。私は、自由党としては、あくまでも自由経済、又個人のイニシアテイヴを尊重する。(「行き当りばつたり」と呼ぶ者あり)これはその国の産業を発達せしめ、経済を発達せしむるゆえんであると私は考えるのであります。その点は立場が違うから議論をいつまでしても切りがないことでありますから、この辺で御免をこうむりたい。その他は主務大臣から答えさせます。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪登壇拍手
  8. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えを申上げます。  総合計画につきましては、今総理申述ぺました通りでございます。  それから生活水準ストップさせてというようなお言葉がございましたが、佐多君は財政金融の非常な大家であらせられるのだから、今の日本経済が何によつて今日の生活水準が保たれているかということは十分御承知だろうと思います。と申しますことは、入、九億ドル以上に上るところの特需というものがあるから、日本実力以上に今日の生活水準が出ているのです。若しこれを本当の自立経済に徹底いたしまするならば、生活水準は私の考えでは四〇%ぐらい切下げなければ日本自立できないと思う。それをしないで、特需のある間に今日の生活水準を十分維持し、即ち実力以上になつているものを、これを実力に本当に直して行くというのが、私の経済政策でございます。これはよく御了承を願いたいと存じます。(拍手)  それから中共貿易の問題でございますが、これは佐多さんは新聞報道を基礎としてお話なすつて議論が出ていると思います。私はもともと国連協力の線にも沿い又世界情勢にも沿いまして、中共というものとの貿易が非常に大きく期待せられるとは思つておりません。併しながら、日本が先ほど申上げましたように、輸出貿易を第一とし、そうして正常貿易によつて経済自立をして行かなければならん、こういう立場に行きますならば、これはたとえて申しますれば、大きなところに魚がたくさんあつて、そこを投網でとればいいのですけれども、一匹二匹の魚でもこれを集めれば、やはり塵も積つて山となるという意味におきまして、どんなところでも、努力してできるだけのことをして行きたいというのが私の考えでございます。これは併し誤解のないように……。  それからもう一つアメリカ大使から叱られたとか何とかということは、こういう職場では独立国議員としては仰せにならないぼうがいいと思います。    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  9. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) MSAの問題についての御質問でありますが、これは一昨日も申しました通り、いろいろ重要な関係がありますので、内容は勿論でありますが、これに関連するいろいろの事項について只今検討中であります。アメリカのほうからの新聞報道をお引きになりましたが、私が見ましたところでは、アメリカ側としては協定を締結する準備があるとか或いは準備中であるとかということでありまして、まだ話合いはいたしておらないのであります。いずれもつと正確に御報告ができるようになりますれば、直ちにするつもりであります。(拍手)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 二十八年度予算につきましては、過日申上げました通り一般会計収支均衡を維持しつつ、財政資金全体としては或る程度弾力的な考えを持つようにいたしておりますが、予算案によりますると、大体一千億円程度の撒布超過と計算がなつておる次第でございます。併しながら今日におきましては、経済朝鮮動乱の直後のような海外需要もなく、むしろ世界経済は全般的には、過日申しました通り横ばい乃至下押しの傾向が見られるのでありますから、財政面において或る程度撒布超過を行いましても、私がよく申上げまする財政金融の一体化によりまして、その相当部分が日本銀行に環流することとなりまするので、インフレを誘発するような虞れはないものと確信しておる次第でございます。なお金融政策につきましては、通貨価値の安定を確保することを基本方針として運営いたすつもりでございまして、財政収支の状況等と睨み合せまして、資本蓄積方策の強化、或いは日本銀行を通ずる信用政策等、適切な運用によりまして、インフレを来たさざるよう万全の措置を講ずる所存でございます。  金利引下げの問題につきましては、輸出入銀行の金利につきましては本年三月すでに実行いたしたのでございますが、日本開発銀行の金利については目下いろいろ検討いたしております。それから一般銀行につきましては、御承知のごとく両建をやめさせまして、実質的金利の低下を図つておるのでございまするが、なお一般的にもう少し金利引下げたいと存じまするので、引続きその方面に努力いたしたいと考えております。(「具体的に」と呼ぶ者あり)  安全保障諸費その他におきましては、いずれ委員会等で数字のことは詳しく申述べさして頂きまするが、若干二十八年度繰越されたことのあるのは事実でございますが、このうちにも、その大部分は契約済み或いは使途の確定したものでございまして、不要となつたものではございません。従つて年度における経費として併せてこれを考えるべきものではないと存ずるのでございます。(拍手)二十八年度におきましては、安全保障諸費はすでに計上の必要がなくなりまして、防衛支出金も若干の減少となり、又保安庁の経費につきましては、その維持に必要な最小限の経費を計上するにとどめた次第でございまして、これらを通じて見ますると、過日申上げました通り関係諸費の総額はむしろ前年度に比して減少を示しておるような次第でございます。(拍手)    〔国務大臣大達茂雄君登壇拍手
  11. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 科学技術振興が、我が国当面の課題である自立経済達成の上から申しましても、その根本であるという点につきましては、佐多君と全く同感であります。政府におきましては、日本学術会議並びにいわゆるスタツク、これと緊密な連絡を保ちまして、科学技術振興の上に、施策の上に遺憾のないことを期しておるのであります。各省を通じまして科学技術振興に関する経費は七十一億に上つておりまして、(「雀の涙か」と呼ぶ者あり)前年度に比べますと相当な増加になつております。ただ文部省一の所管といたしましては約七億円であります。前年度に比べまして多少の増加にはなつておりますけれども、もとより非常に不十分であります。今後その増額に努めて参りますると同時に、この金額をできるだけ効率的に使用いたす、差当り学術研究の基礎である大学並びに各研究所の充実を図る或いは又近時、道の開けました諸外国との学術の交流を活発にする、かように成るべくこれを効率的に使用して参りたいと存じております。(拍手)     —————————————
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 八木幸吉君。    〔八木幸吉君登壇拍手
  13. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は改進党を代表いたしまして、吉田内閣総理大臣の一般施政方針演説について政府の所信を質さんとするものであります。  先ず第一に官紀粛正の観点から、国務大臣の民間営利会社の役員兼任の問題についてお尋ねをいたしたいのであります。第五次吉田内閣が成立ののち、その閣僚の顔触れを拝見いたしますと、小笠原大蔵大臣を初め、民間営利会社の会長、社長を兼ねておられるかたが六名ございます。(拍手)官吏の営利会社に関係することは、在来の官吏服務規律、現在の国家公務員法の禁ずるところでありまして、違反者は一年以下の懲役であります。(拍手)尤も現閣僚の各位は特別職であり、ぞれぞれ成規の手続によつて内閣総理大臣の特別の承認を得ておられるでありましようけれども、併しこれは些々たる法律規定の問題ではなくて、精神上の問題、政治道徳上の問題、名誉の問題であると思うのであります。上に立つ国務大臣の民間営利会社の役員たることの不可なるは一点疑いを容れないところであると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)現にアメリカにおきまして、ウィルソン氏が国防長官に就任するため上院の同意を求めましたとき、こうごうたる非難の声が起り、遂に同氏はその所有株を全部売放しましたことは、諸君御承知の通りであります。現在海運造始等に対する補助政策の叫ばれておる折柄、経済閣僚が海運会社の社長重役であるがごとさは最も慎しまなければならんと思うのであります。私は官紀粛正の観点より、御本人の適否を申すのではない、制度として国務大臣の民間会社役員兼務を非とするものでありまして、これに対する総理大臣の御意見を承わりたいのであります。更に又関係大臣が私の意見に若し反対であれば、この席でその趣旨を御弁明を求めたいと思うものであります。(拍手)  第二に私がお伺いいたしたいのは、行政改革の問題であります。  吉田総理は一昨日の御演説において、行政の簡素合理化に努め、真に国力、国情に適合した行政制度を確立すると仰せられました。私は、吉田総理か行政整理について平素極めて熱心である、そのことに関しては敬意を表するものでありますが、今回は如何なる構想の下にその実際的効果を挙げんとしておられるのであるか、先ずそれをお伺いいたしたいのであります。申すまでもなく、我が国民の租税負担は年年重くなる一方であります。大蔵省の発表によれば、満州事変直前の昭和六年の国民一人当りの租税負担額は二十三円、昭和二十七年度は実に一万二千九百四十四円でありまして、五百五十倍に増加いたしておるのであります。如何に物価の騰貴率が高いとは申せ、著しく権衡を失しておると申さなければなりません。昭和六年我が国中央行政官庁の官吏の数は三十六万、議会、裁判所、会計検査院、その他国費を以て支介する各県知事や国鉄、専売局を合せまして六十八万でありました。然るに本年の三月にはこれが百五十二万九千六百人に増加いたしております。更に又地方公務員におきましてはこの増加の趨勢が一層甚だしいのであります。昭和年度における都道府県市町村の一般職の吏員並びに警察、消防、学校等の職員の数は七十四万であつたが、昭和二十七年度には百三十五万でありまして、中央地方を通じてこの二十年間に官吏の致は百四十二万から二百八十八万に増加いたしておるのであります。なおこのほかに地方には、公選による議員、各種委員、顧問等が百敷万あるのであります。又中央各府省にはこのほかになお五十二万人に上るいわゆる非常勤職員があるのであります。これらの国家と地方の公務員諸君が厖大にして複雑極まる機構によつて行政の運営に当つておられるのであります。更に、機構の面から申しまするならば、昭和七年四百十二であつた局部課が一千百五十に増加し、中央より地方への出先機関は実に三万七千十一に上つております。附属機関の数は一千百八十七であります。如何に戦時中経済統制の事務が繁雑化し、又占領中連合軍司令部から命令指示があつたと申しましても、この複雑にして厖大なる機構は何としても一大改革をいたしまして、国民負担の軽減を期するの時期に到達したと申さなければならんと思うのであります。(拍手)  私はこの目的達成するために二つの方法があると思う。その一つは、先ず国会においてこの問題を討議する機関を持つことであります。我が改進党はこの特別国会の劈頭、本院に行政改革に関する特別委員会の設置を提案いたしました。吉田総理大臣はこの特別委員会の設置に関して如何なるお考えであるか承わりたいと存ずるのであります。第二の方法は、国会の勧告に従つて米国のフーバー委員会のごとき強力にして計画性に富む権威ある委員会を設置することであります。御承知の通り、フーバー委員会は、フーバーを委員長としアチソンを副委員長として、三百名の専門家を動員して、一年数カ月に亘り、百九十万ドルの経費を以て、年間三十億ドルの行政費節約案を立てたのであります。敗戦国たる我が国におきましても、歴代の内閣はいろいろの構想を持つた行政調査会を作つておられます。一昨年の政令諮問委員会のごときも、担当者にその人を得たがために相当綿密なる案を得ましたなれども、国会との連絡が緊密でなかつたがために遂に予期の成果を挙げ得なかつたのであります。従つて私は、国会の勧告によつて超党派的に有力なる一つの委員会芸組織し、委員長には民間実業家を以て十分なる費用と人を動員して、合理的にして簡素且つ能率的な成案を得たいと思うのでありますが、この構想に対する吉田総理のお考えを承わりたいと思うのであります。  第三に行政改革に関係なく直ちに実行し得る国費節約の方法として私の申上げたいのは、欠員補充の停止、新規採用の見合せ並びに非常勤職員の問題であります。本年三月一日現在の行政機関の一般職の欠員は約一万名であります。政府はこの五割まで補充を認めておられるとのことでありまするが、今後これを一切認めないことといたしたいのであります。又毎年の新規採用は恐らく各省を通じて五万人と推定されまするが、これも一時中止をいたしたいりであります。更に非常勤職員五十二万名の約一割くらいの節約は大して困難ではないと存じます。退職者には十分なる待遇をなすを条件として総理の一大勇断を希望するものであります。これに対する総理のお考えを聞きたいと思います。  第三点として私のお伺い申上げたいのは軍人恩給に関する問題であります。  御承知の通り、連合国軍最高司令官の命令によつて昭和二十一年勅令第六十八号により、軍人軍属及びその遺族の恩給は少数の例外を除き支給されないことになつたのでありまするが、我が国の独立と共に、政府は旧軍人等に対する恩給支給に必要なる経費予算に計上をされました。この金の意味は恩給権の復活として支給されるのであるか、又は戦争犠牲者に対する国家補償の見地より、社会保障費の一環として支給されるのであるか、その根本的理念について先ずお伺いを申したいのであります。  第二は軍人恩給と文官恩給との取扱上の差異について伺いたいのでありますが、軍人は申すまでもなく、その大多数は召集せられ国家の権力によつて戦争に従事いたした者であります。従つて文官よりはむしろ手厚く待遇すべきものであつて、軍閥が横暴なるが故に一般軍人を冷遇するの理由は認められないのであります。然るに昭和二十八年度予算を検討いたしてみますると、基礎恩給年額、在職年限算出の方法、一時恩給の所要最低在職年数等の取扱につきましては、文官と軍人の間に差等があるのであります。これは一体如何なる理由に基くのであるか、将来政府は文官軍人ともに同一の待遇を与うるの方針を以てお進みになるお考えであるかどうか、これを承わりたいのであります。  第四点として私の伺いたいのは大学教授の待遇改善の問題であります。  新聞紙の報ずると二ろによれば、日本学術会議が大学教授の生活状態を調宜したところ、その年収平均の最高は一十四万五千円、最低は十九万二千六日円であつて、実に生活苦にあえいでおるとのことであります。科学技術の基本的学問が我が国再建に必要なるは申すまでもございません。道義、思想り指導的立場にあるこれらの人々をして長く生活苦に置くことは、学生に及はす影響の上から考えてみましても、伏して等閑に付すべからざる問題であると思うのであります。せめて、給料り形で支給することが非常に困難であれば、補給する方法はたとえ研究費の各目においてもあるであろうと思うのでありますが、文部大臣の御所見を承わりたいのであります。  第五点として私の伺いたいのは住宅以策に関する問題であります。  政府は本年度予算において、百二十五億円の公営住宅の建設費、百八十億円の住宅金融公庫への融資並びに勤労者厚生住宅費として二十五億円を、文官庁営繕費として三十億円を計上されおるのであります。私は国家の今日の財政状態におきまして、これ以上の官庁り新築増築はこれを見合せたいと存ずるのであります。公共の建物が如何に美麗でありましても、国民生活が不安定であれば、決して健全なる国家とは申されません。今や住宅の不足が如何に都会の生活を陰惨なるものたらしめ、又社会悪の根源となつておるかは各位の御承知の通りであります。私は住宅建築費の増額を要求すると共に、一面、民間事業会社工場等において、事務所が立派にして、而も従業員の住宅は完備せられないものがたくさんございます。事業会社の一般勤労者住宅の建築資金の一部を国家が補助をして、これを奨励するがごときも、又一方法であろうと考えまするが故に、所管大臣に御所見を承わりたいと思うのであります。  最後に、私は自衛軍創設の問題に関してお伺いいたします。  従来吉田内閣は、表面、軍備に対しては、自衛軍といえども憲法によつて禁ぜられているとの見解を発表いたしました。相当の装備と訓練を有する保安隊、海上警備隊すらも、警察力の範囲を出でずと強弁して、いわゆる自衛力漸増の表現を以てその実体を糊塗して参つたのであります。最近に至つて擢大なる警備年次計画なるものを発表し、遂に軍備計画を暗々裡に進めていることをみずから暴露いたしたのであります。実に吉田内閣のやり方というものは、先ず内密のうちに既成の事実を作り上げて、然る後に国民をして止むを得ずこれを事後承認せしめるという、誠に独善にして且つ卑怯なるやり方であります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)何故に政府は、自衛戦力の保持は現憲法下差支えなしとの立場に立つて、この問題を飽くまで正々堂々と公明に処理をいたさないのであるか。現在の我が国の憲法は、戦争放棄の条章により、恒久平和の崇高なる理想を掲げたのではありまするが、併しながら国際情勢の現実は、無防備の状態を以てしては、到底我が民族の完全なる独立を全うすることの不可能なるを思わしめるに至つたのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この段階において、一日も速やかに国力相応の自衛軍を創設し、駐留米軍の漸進的撤退を求むることが、我が国民の自尊心の上からしても、又一面、各地に頻発する軍事基地に関する紛擾の根本的解決策といたしましても、最も緊要のことであると信ずるのであります。我が党は、現下の緊迫せる現状に鑑み、自衛戦力と憲法の関係長期防衛計画、軍事基地、MSA援助、防衛産業国民経済との調整等の致項の重大問題を、最も民主的にして且つ超党派的に審議するため、国会内に防衛に関する常任委員会の設置を提唱いたしておるのであります。(「だから改進党は選挙に負けたのじやないか、又負けるよ」と呼ぶ者あり)これに対する吉田総理の率直なる御意見を承わりたいのであります。而して我が党の主張する防衛常任委員会は、一部に伝えられるがごときセクシヨナリズムの保安庁に対する保安委員会とは、その性質を根本的に異にするものであることを附加えておきます。国家のため、切に御賛成を希望するものであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  14. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  官紀の粛正については、これは私がかねてから最も力を入れて強調いたしており、その政策は、その方針は今なお断じてゆるがぜにいたしておらないのであります。現閣僚のうちに、民間会社の役員を兼ねておるという事実について御指摘がありましたが、これに対しては、お示しのような法律の根拠に基いて所定の手続をとつておるのであります。又その実際において毫も不都合はない、官紀を弛緩せしめるような憂いはないということを認めて、これを許しておるのであります。(「そのほうが政治資金を集める上に便利だ」と呼ぶ者あり)  又行政機構改革に徹底的の対策の必要ありということは、私も甚だ賛成いたすところであります。今日の行政機構を最も簡素化し、又能率的にしたいと政府考えて、従来も重要施策一つにしておるのであります。(「軍隊を作れるからな」と呼ぶ者あわ)現在行政管理庁に行政審議会を設けて、ここで、これによつて最も理想的な行政機構を作り上げたいと考えておるのであります。  国会内に特別委員会を設けるか設けないかは、国会自身の運営方針に属するものでありますから、あえて私からとやかく、意見を申述べません。  自衛力に関しての漸増計画についてお話がありま、たが、これは、この漸増計画なるものは、私はつきり申しておるのであります。即ち、従来の方針を少しも変化せしめない。又従つて軍備ほいたさない。(「改進党、協力せんよ」と呼ぶ者あり)又憲法は改正しない。この点は最も明瞭に絶えず申しておるのでありますから、御了承を得られることと考えます。(「事実と明瞭に違つている、改進党いいかね、協力しないよ」と呼ぶ者あり)  次に、この機会に、五月二十九耳参議院本会議において、佐多君の質疑に対する答弁を保留いたしておきましたがこれに対してお答えいたします。  日米通商航海条約は、一刻も早く両国の間の通商航海事項を安定した正常の関係に置くことを目的として、日米間に継続されて来た交渉が妥結を見たので署名したものであつて、解散中に新らしく交渉したものではありません。もとより効力の発生は国会の承認に待つのであります。  次に、いわゆるアメリカの対日特需二カ年保証の声明は、米国政府側の考えを述べたものであつて、約束というようなものではないのであります。    〔「選挙に利用した」と呼ぶ者あり)その他は主管大臣からお答えを申します。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  15. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) いわゆる軍人恩給のことについて御質問になりましたので、その点に関しまして私からお答えを申上げます。  今回政府考えておりまするいわゆる旧軍人の恩給は、社会保障の意味ではございません。恩給として取扱うつもりでおります。で、先ほど御指摘のように、占領中に連合車の司令部の覚書によりまして軍人恩給は廃止又は制限されておつたのでありまして、その意味から、厳密な既得権であるということはできないかも知れませんが、まあ言葉が悪いかも知れませんが、潜在的な既得権といたしまして、今日、終戦後すでに八年にもなつて、なお戦争の責任が軍人にのみ負わされておるかの感があることは甚だ面白くありませんので、政府は、第三次吉田内閣におきまして恩給法特例審議会を作りまして、昨年十一月その審議会から建議があつたのでありますが、その建議に基きまして、旧軍人の恩給或いは遺家族の扶助料等につきまして、国家財政の許す範囲におきまして恩給法改正を企てたのでありまして、いずれ本国会に提案するつもりでおります。(拍手)    〔国務大臣大達茂雄君登壇拍手
  16. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 国立大学の教員の俸給上の地位を申上げますと、一般の公務員よりは高く、それから裁判官、検察官よりは低い、こういうふうになつております。(「生活実態を調べろ」と呼ぶ者あり)その待遇の改善につきましては、日本学術会議のほうからも要望がありまして、目下いろいろ検討しております。その一つとして職務俸のごときものも考慮に加えて折角研究しております。さよう御了承を願います。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇拍手
  17. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) 住宅の問題につきましてお答え申上げます。  住宅の不安は政府も常に心配をいたしておるところでありまして、二十八年度予算におきましては、公営住宅施設費として前年度の倍額、勿論これでいいというわけではございませんが、倍額以上に当る百十一億八千二百万円、五万余戸分の補助金を計上しております。なお、住宅金融公庫には、新施策として、産業労働者の住宅資金二十億を加えて二百二億余円、五万一千五百戸分の出資及び貸付金を計画いたしております。なお、ほかに引揚者住宅、公務員住宅のためにも、計十三億五千万円が計上されております。  お話の官庁営繕でありますが、これは営繕費全体は三十八億八千余万円でありまして、このうち建設省の予算が十七億二千八百余万円となつております。これらは併しいずれも必要最小限のものでありまして、或いは借用民間建物の返還要求があるとか、或いは又建物自体の腐朽のために使用に耐えないというようなものの新築、改築、その他、試験研究施設というようなものの整備によるものが大部分でございます。すべて急を要する止むを得ないものでございますので、この辺を御了解頂きたいと思います。(拍手)     —————————————
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 平林太一君。    〔平林太一君登壇拍手
  19. 平林太一

    ○平林太君 ここに私は無所属クラブとして、この際、内閣総理大臣吉田茂君以下関係大臣に対して、昨日来、今なお尽し得ざりしと思わるる、主として対外交渉諸案件、数点に対してお尋ねをいたします。首相吉田君においては、極めて神聖なるべき当議場において、しばく見受けられたる感情興奮に激することをなさらず、心静かに、総理大臣としての御職務に責任と誠実を期せられて御答弁相成るよう要求いたしておくのであります。(拍手)  現下政局不安定の原因は、首相吉田君が率いる自由党が、衆議院においてその過半数を制し得ざりしにもかかわらず、今なお恋々として政権を固執せるためなりと断ぜざるを得ません。(拍手)思うに、同君がこの明白なる事実を無視して、依然強引と強情とを以てその醜態を露呈し持続するのゆえんについては、世評極めて峻烈なるものあるを承知せざるを得ません。例えば、同君積年の独善秘密外交が、今や国民の面前にその真相を公表し得ざる、抜き差しならぬ段階に立ち至つたためであると評しております。或いは又、同君多年の権力政治の陰に包み隠されたる、堆積せる腐敗とスキャンダルの暴露を恐れたるゆえんなりとも評しているのであります。すでにして、吉田君がかかる冷厳なる世評の前に立たざるを得ざりしに至りしことは、むしろ偶然にあらずと言わざるを得ません。若しそれ吉田君にして、以上述べたるの世評、国民感情を当らずとなし、同君みずからしばしばの機会において、スキャンダルなしと、その潔白を壮語し大言し来つた御勇気と良心とを今なおお持ち合せになるならば、本日只今何を以て名利に恋々たるを要せんや。人は一代名は末代である。速やかにその職を辞して、現下未曾有の政界の不安定を現出せしめたるその元兇たるの汚名を返上すべきでありましよう。(「質問はどうした」と呼ぶ者あり)この際、全国民の納得の行くよう、その職を辞するか辞せざるか、いずれともその理由を明白にせらるべきことを求むるものであります。  これより外交問題の質疑に入ります。(笑声)関係担当大臣たる吉田茂岡崎勝男両君の御答弁を求むるものであります。  凡そ外交のことたるや、その成功たると失敗たるとにかかわらず、その真相を国民に明知せしめて、国民のこれに対する判断と用意とを誤またざらしめることを以て最大要諦といたします。然るに、吉田、岡崎の両君は、これを常に国民に明知せしめず、ややもすると講和条約の成立を誇大に評価し過信して、我が外交も又成功なりというがごとき自画自讃を以て欺瞞するのは、我が国民に対し、将来に対する対外的用意を怠らしむるゆえんであつて、国際問題に対する国民的智能を愚にする政治的罪悪であります。殷鑑遠からず、現に内灘問題は、本来外交問題として事前に処理すべき極めてなまくしき問題であつたにもかかわらず、今日現地において流血悲惨の最悪事態に立ち至りましたことは、これみな事前に現地民と担当大臣みずから膝を合せて折衝することを避け、むしろこれを隠蔽し、ひた隠しにうち隠し、又全国民にての真相を知らしめざりし結果なりと申すものであります。然るに、この我が国外交上空前の無力無能を露呈せるにもかかわらず、却つてその最後においては、無事の善良なるその現地民に、いわゆる秘密外交の常套手段たる権力を以てこれに臨みたるの態度は、正に吉田、岡崎外交の生態を如実に暴露せるものというべきであります。(「そうそう」と呼ぶ者あり)以上の事実を見るにつけても、この罪悪没すべからざるものあり。この際、本問題に対する政府当事者としての吉田、岡崎両君は、如何にしてその責任を事実の上に立証せらるるや。明白に御答弁を求むるものであります。或いは両君としては、かくのごとき事柄、問題に対して、一々その責任をとり得ずというやも計り難いのでありまするが、このここは、本事件と関連せる行政協定に基く各基——地行政協定内容というもりに一たび思いをいたせば、傑然として肌に粟を生ぜざるを得ざるがごときその条項、その条文は両君よもやこれをお忘れないことであろう。——この各基地に対する問題、(笑声)これらの将来に対する問題処理に対して、いわゆる極めて重大なる前例と相成りまするか故に、断じて許し難いことであります。行政協定を謳歌するかごとき無力なる議員ありとするならば、それはまさに国賊である。(「そうだ」と呼ぶ者あり)況んや本問題に対する現地民との平和的解決なくして、全国民の納得了承を求め難きこと明白であります。その責任を如何にするか。如何ように今後の処理をなさるるか。吉田、岡崎両君、特に岡崎君から詳細なる説明を求むる。  次に、今日、日米両国の関係については、日米両国共にその根本的に再認識を必要といたします。今日多くの米国人は、彼らの経済制度が未だに妥当なものであり、無限に富を蓄積することができると信じ、自分たちの雅量がしばしば不義理な報いを受けることに驚いたり、憤慨したりするのであります。併し米国は越すことのできぬ関税障壁を自分の周囲に張りめぐらして、米国自身の手で、自分の顧客を、得意先を破産させておるということを忘れておるのであるということを、本議場を通じて全米国民に警告しなけれぱならぬ。(「然り然り」と呼ぶ者あり)現に米国が世界平和を企図する自由諸国の間にまともなる姿を取戻すには、米国自体その処分する途を知らず、他の自由諸国においてはむしろ極度に欠乏せる金とドルを、その盟邦共同国家たる日本を初めとする自由諸国に、率直なる態度を以つてこれを無償で与えるという良識を持つことによつてのみ可能であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)静かに思えば、資本主義制度の悪しき運用の中にこそ、スターリン・ソ連首相が、ソ連を勝利に導くものとして、武力戦の成功以上に高き評価と期待を寄せた事実を見逃し得ないのであります。我が対米外交はまさにこの一点を改めて再検討して、両国親善の道にいやが上にも緊密を保つと同時に、誤りなき、いわゆる日米両国の国交を進むべきであると信じて疑おざるものであります。吉田、岡崎両君共におのおの意見を堅持せらるるでありましよう。両君より伺います。  この観点に立つとき、今日まで事前事後を通じて、先刻も日米通商航海条約のお話がありましたが、これらも同様でありますが、両国間で締結、取極めせらるべく、又いたして参りました今日までの条約、各協定に対して、今日までの事実に徴して、我が外交が他に対し錯覚をし、誤謬をいたしておりましたがために、常に追随、服従、屈辱の連続外交であつたということは、事実の上に蔽うべからざる事柄であります。誠に国家のため遺憾とするところであります。当面の責任者たる先の外務大臣吉田茂君、今日の外務大臣岡崎勝男君は、全国民に対してその罪万死に値するというべきであります。(「そうだ」「質問々々」と呼ぶ者あり、笑声、拍手)現に米国を中心母体とする戦犯釈放の全面的解除が今なお行われざることは、ただただ我が外交の無能無力に憤慨を禁ぜざる者あえて私一人のみならんやであります。全面的釈放、一部分ずつ釈放を云々するというような、けちなことではいけない。根底をきわめて、もはや今日の事態においてこれらの問題がかれこれ停頓いたしておるというがごときことはあり得ないことである。その全面的解決に対して如何なる方策を持たるるか、岡崎君の答弁を求むる。  次に、対日援助資金二十億ドルの処理解決について、今日水くさき態度を以て、今なお支払うべきか、支払わざるべきか、支払わさすべきかについて、両国相互間の解決が付き得ざるというがごときことは、前段日米関係を静かに思えばまさに笑止に堪えざることと言わざるを得ない。無能なる岡崎外交がここにも露呈されておる。右問題に対して岡崎君の答弁を求める。  同様の意味において、米国相互安全保障法即ちMSA問題が、若しそれ両国当事者間において、その真相、性格を今日に至るも岡崎君その詳細を説明し得ざるという、今日現在の段階においてこれを言うような事態、即ち、これをあいまいにして、或いは外交上の掛引の対象となすがごときことは、両国ともにこの問題に対する欺瞞と不信を以ていたずらに玉を弄ぶものなりと言わざるを得ません。  以上、戦犯の全面的釈放、対日援助資金の即時解決、MSAに関して、全国民に対し、特にこの問題に対しましては今日極めて率直にガラス張りを以て明示して、いわゆる秘密外交の弊害、誤解を後日に残すようなことがあつてはならない。この際、MSA問題の実体について重ねて政府の所信を求むるものである。今日なお且つこの質疑に対して知らぬ存ぜぬというがごとき、この不責任にして(笑声)不まじめなる外務大臣は、速かに選挙違反で追放せられることを望んでやまない。それがいやならば本日詳細に答弁せよ。(笑声、拍手)  次に、日米同様、日英両国間の親善友好の密接なる連繋については、単に両国間の関係のみにとどまらずして、米ソ両国間の対立に関し、日英両国が東西相呼応して両勢力の融和を図るための高き理想の上に立つて、即ち世界平和を意図するは両国間の必然的使命であるのであります。
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 平林君、時間が切れました。
  21. 平林太一

    ○平林太一君(続) と申して過言でありません。然るに昨今ややもすれば日英関係を阻害するかに見受けられる諸案件の続出する傾向は、誠に寒心に堪えざるものがあります。政府においては日英外交について如何なる方策を持たれるや、説明を求むるものであります。  最後に自由党議席の諸君に一言申したい。(拍手諸君吉田内閣のいわゆる手代番頭たることよりも、全国民の忠実なる公僕であるということを忘れてはならない。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 平林君、時間が切れました。
  23. 平林太一

    ○平林太一君(続) 英国人のいわゆる酔えるフィリップとなつてはいけない。(「いい加減にしろ」と呼ぶ者あり)まじめなるフィリップとなることを望み、切に御自重御自愛せられんことを切望して、この壇を下るものであります。(拍手、「黙れ」「何を言う」と呼ぶ者あり)うろたえるな。(「自由党声なし」「政府に対する質問か、自由党に対する質問か」「うろたえるな」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  24. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 内閣総理大臣の進退は国会がこれを掌握いたしておるところであつて、私が政権に噛りつきたいという野心を持つても、これは遂げられないことであることを御承知願いたい。  又、私の一身の進退或いは非難等については一々お答えいたしません。(拍手、「君の負けだよ、事実を立証したまでだ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  25. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 政府は決して秘密独善外交等をやつているわけではございません。内灘の問題につきましては、十分国民に伝えるように努力いたしたのでありまするが、不幸にして外部から非常にたくさんの人が入り込んで来まして、多少の混乱もありましたけれども、すでに冷静に落ちついております。住民に対しましては、いろいろの不便もありますので、でき得るだけの措置を講ずるつもりであります。  米国に対しましても、他の国々に対しましても、決して服従外交をいたしておるわけではございません。  戦犯の問題につきましては、平和条約の条項に基いて措置いたしておるのでありまするが、全面的な釈放につきましても今後できるだけ努力をいたします。  対日援助費につきましては、しばしぱ御説明いたした通り今慎重に検討中であります。  MSAの問題につきましても、又幾度も御説明いたしました通りでありまして、アメリカの法律やアメリカと他の国々との間に結びました協定等についてはよくおかつておりまするが、これを日本に適用される場合の各種の問題については慎重の検討を要するのでありまして、これを只今十分に研究いたしておりますが、決して秘密に取扱う考えはございません。(拍手)     —————————————
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 小林亦治君。    〔小林亦治君登壇拍手
  27. 小林亦治

    ○小林亦治君 吉田総理を初め四大臣施政演説を聞きましたが、何のことはない、あたかも御自慢の作文を以て演説の稽古をしているような相変らずの羅列主義で、その内容が当面の具体的諸問題を解決するに足るものが何らない、夢幻的な総花演説に終つておる。一般質問に対するところの答弁に至つては、今日は御機嫌でございまするが、徒らに興奮をしたり、痛い所をうまく回避して中心点をそらすといつた不まじめなもので、誠に遺憾に堪えません。  私は日本社会党を代表して、以下政府に対し御所見を質したいと存じます。  朝鮮戦乱の終結が特需の減少を来たし、更に世界の冷戦が緩和の傾向をとり、今後の世界の再軍備計画も又緩慢になることが予想せられるところから、勢い平和デフレの方向示しておるこの際に、政府はこれに対する具体的な政策の用意を何一つつておられない。思うにこれは特需減少の穴埋めにアメリカMSA援助を受け入れて当面を食い繋ごうとするものでありましようが、特需によつてドル不足を補うことができましても、軍需下請工場としての日本産業が、世界の緊張緩和、再軍備計画の引延しの場合には、なお一層の苦境に立つであろうことは疑いを容れないと存じます。却つて日本経済にとつて更に一層大なる危機の原因を造成するのみであります。故に、今にして計画を確立し、電力、石炭、鉄鋼、造船、肥料等、基幹産業の培養、合成繊維工業及び輸出産業の育成、後進国開発計画に対応する産業の再編成等と相待つて、食糧の自給政策等を一挙に断行することでなければなりません。戦争前に千二百万石前後の供給地であつた台湾、朝鮮を失つた今日の日本は、今や年間二千万石の米麦を海外に依存しておるが、これすらも長期的には全く絶望である。而も国内増産の余地があるというのにこれを見送つておる政府は、まさに根本政策の置き忘れであり、すべてが場当り政策以外の何ものでもない。かようなことでは完全独立などということは全くの空念仏であると申さなければなりません。而も輸入米は石当り一万二千円になつておるが、国内の生産者価格は僅かに七千五百円、その差は石当り四千五百円となつておるが、我々の主張しておると二ろの米価石当り一万円とするも、なお二千円安いので、かようなことでは農民の再生産意欲が高揚するはずはありません。これら一連の根本政策自由放任経済の到底なし得るところではない。確固たる計画経済のみの果し得るところであり、それには、産業合理化資本蓄積と相待つて国民の耐乏を要請するためには、少数の財閥的大企業よりも、国民の圧倒的多数を占めるところの労働者、農民、勤労階級の協力を得なければならないのであります。  従つてそれには、基幹産業の社会化、広汎なる社会保障の断行、労働者の権利の保全等が一環としてなされるべきことが当然であつて、これらは何も今新らしく求むるものではありません。今からすでに六年前に公布せられたところの日本国憲法が燦としてこれを保障しておるにもかかわらず、今なお憲法上の国民のもろもろの権利が空手形に終つておる。政府として政治上の債務不履行これより大なるはないのでありますが、それにしても憲法問題がやかましく論ぜられないということは諦らめのいいところの日本国民は、憲法というものは理想を絵に描いた希望的のものと諦らめきつておるからでありましよう。それを奇貨として、この間隙に乗じた政府は、今又スト禁止法によつて労働者の権利をこの上にも弾圧せんとしておるが、何たる反動でありましよう。昨年の電産、炭労のストの行き過ぎについて、労働組合が昨今漸く反省しつつあるときに、あえて弾圧法を以て臨み、頭から水を浴せるような政府の挑戦的態度は、そのおとなげのない愚かさはともかく、如何にも残酷極まる仕打でなくて何でありましよう。日本国憲法の第二十八条には、労働者には無条件にいわゆる労働三権を保障しており、而もこの権利は、第一十六条の教育権、第二十七条の労働条件或いは第二十八九の財産権の場合とは全く異なつて、法律を以てしても奪うことのできない権利である。このことは一度憲法の国民の権利章典を開いて見る者は素人でさえよくわかります。素人の多い吉田内閣の閣僚諸君は、日本国憲法をよく読んで、いやしくも憲法の大前提、大原則に触るることが明らかであるスト禁止法案のごときは、一刻も早く潔くこれを捨て去らんことを希望するものであります。以上に関し、総理並びに農林、労働大臣の御所見を質したい。  次に、経審長官、通産大臣に伺うが、日本経済自立は全世界との貿易なくしては達成できないのであるが、政府態度はひたすらにアメリカ依存に傾いており、その代償として共産並びに共産的世界との貿易の放棄を建前としておるやに見受けられるが、外貨導入という目前の事態を急ぐの余り、好まずとするも反アメリカ諸国よりの反撃に日本をさらさんとする危険を冒しておるが、今にしてこれを転換するに非ざれば、不幸にして第三次大戦というようなことに相成れば、いずれの世界が勝とうが、日本のみ、或いは少くとも日本が亡び去らなければならないことは火を見るよりも明らかであります。これについて、経審長官、通産大臣の御意見は如何でありましよう。  最後に、岡崎外務大臣に質したいが、接収地或いは射撃場の問題が全国十二カ所の具体的な政治問題として大きく浮び上つておる。殊に山形県大高根射撃場の問題は、その惨状、農民の困憊、製炭業者の苦境はまさに地獄であり、石川県内灘以上のものがある。即ち西郷、大高根、富本、戸沢、四カ村の農民は、敗戦の惨苦を今にしてなお泣きわめいておる現状であります。    〔議長退席、副議長着席〕  殊に戸沢村稲下、白鳥部落の七百戸の農家は、周辺に設けられた砲座の着弾地にあつて、部落のすぐ裏山に砲弾を浴び、或いは部落民の頭上に砲弾が飛んで参る。轟然たる音響に妊産婦、幼児が恐怖にふるえる。或いは授業中の学童が泣きおののいておる。これはまだしも、十五サンチ砲弾が空中に炸裂し、瓦のかけらのごとき破片が、部落の藁屋根、土蔵の壁に突きささつておる現状であります。ハズーカ砲の不発弾の爆発によつて村内すでに四名の死亡者を出しておる。だが、この四名の死亡者に対しては、十メートル境界線以内との理由で、この死亡者に対しては補償金が一銭も支払われておらない。内灘漁民の一戸に対するところの見舞金だけでも五万円というのに、大高根の場合は何らの見舞金はなく、補償金そのものが二戸当り僅かに四千三百円というに至つては、その比較において余りにも問題にならない。岡崎外務大臣は、第十五国会の予算委員会において、岩間正男君の質問に対して、部落に砲弾が落ちたことはないとあなたがおつしやつた。ところが行つて御覧なさるがよろしい。すでに四カ所にも落ちておる。私は極く最近に実地を見ましてこれを確認して参つておる。今日如何ようにお考えになつておるか、それをお聞きしたい。民間の企業会社ですら、故意過失の有無を問わず、第三者にこうむらしめた有形無形の損害を賠償する義務を負担しておるのに、国家が責任を持つところの行政協定に基く法律の施行によりこうむらしめた損害に対し、一銭の補償もなさないということは、これはすでに法律以前の問題である。道義上、道理上それでよいのかどうか。どういうふうにお考えになるか。どういうふうな方策、如何なる解決策をお持ちになつているかを、この際、明らかにしてもらわなければならない。射ち殺された農民は犬猫のそれ以下、虫けら同様に処理されたことになるが、それでもよいかどうか。断わつておくが、私は必ずしも反米でも何でもない。又今日速かに米軍の撤退を要求するなどということも暫らく申しません。(「言つたらいいじやないか」「言え言え」と呼ぶ者あり)速かに行政協定に基くところの土地の使用に関する法律の改正を叫び、接収地に対して農地法を適用するなどという牽強附会なるところの横道を避けること、並びに、すでに発生した損害に対する相応の賠償をなすと同時に、速かなる被害の救援に努力すること、並びに危険なる砲座の変更等について、外務大臣の責任のある御答弁を求めまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  28. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 経済自立貿易振興食糧増産等の具体案はことごとく予算案に盛り込んであります。又各省主管大臣からそれぞれ今日まで種々具体案について説明をいたしたことについて御承知を願いたいと思います。(拍手、「答弁になつておらない」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣内田信也君登壇拍手
  29. 内田信也

    国務大臣(内田信也君) 只今食糧増産のことについてお話でございましたが、食糧増産経済自立の基礎と存じまして、財政を考慮しながら、十年間を以て、おおむね只今の不足並びに今後生ずる人口の増加に伴う不足を補う計算で、土地改良、耕種改善、農業技術の改良、進歩、或いは湿田地帯或いは寒冷地帯の対策を講じて増産に邁進しておる次第でございます。  而してなお我が農民に対しては七千五百円で米を買上げて、外国より一万一千五百円で米を買つているのは甚だ不条理じやないかというお言葉で、私も誠に遺憾に存ずるのでありますけれども、この内地米は七千五百円という例指摘は、これは基本金額でございまして、農民諸君の手取りは、各種奨励金を合せますと、八千五百四十一円に相成つておるのであります。なお、外国米の一万一千五百円というのは、勿論御承知でもございましようが、これは先方の農民の手取りではございませんで、先方で政府がこれを統制して高く売つて来るのでございまして、日本が百万トン近くも買う、即ち世界輸出米の四分の一乃至五分の一を買付けるというわけでございますから、まあ足元を見られると申しますか、やはり高く売り付けられて、誠にこの点は遺憾に存じておる次第でございます。併し農民諸君のは一方、只今冒頭に申上げました通り、土地改良等の政府の増産施策によりまして、賃金の収入もそれによつて間接的に入りますし、又増産計画ができるに従つて、増産による利益も農民諸君に入るわけでございますから、それを見合つて農民諸君の増産意欲を高めたいと存じておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  30. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) お答え申上げます。  日本国憲法が国民の基本的人権を保障しておりますることにつきましては、改めて申すまでもありませんが、これは無制限に行使し得るものでなくて、公共の福祉に反しないようにという限界があるのであります。憲法第十二条及び第十三条はこの趣旨を述べているものと考えております。御質問の憲法第二十八条につきましても、争議権と公共の福祉の調和ということは、憲法の当然予想していることでありまして、争議行為の結果が公共の福祉を著しく侵害いたします場合には、争議行為の方法にりきまして必要な限界を劃して公共の福祉を擁護することは、何ら憲法第二十八条に違反するものではないと考えておるのであります。従いまして、スト規制法案につきましても、お話のごとき問題は何ら起らないと考えております。(拍手、「そんな頭の古いことでできるか」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡野清豪君登量、拍手
  31. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 我が国の国際収支がドルの受入れが圧倒的に多いということは、これは事実でございます。併しこれは世界的に、世界各国ともドルの獲得に血まなこになつておることも事実であります。これは私は悪い傾向じやないと思います。併し貿易につきまして、特に米国にばかり依存しておるという方針をとつておるわけではありません。いろいろな事情を考察しまして、できるだけ貿易を伸長するために各方面に努力を払つております。東南アジア方面についていろいろ力を尽しておるのもその現われでございまして、アメリカばかりに依存して我々は将来をやつて行こう、こういう考えではございません。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  32. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 施設等に対する住民の不利や不便につきましては、特別調達庁を主管庁としまして、関係各省もこれに協力して、できるだけの調査を行なつて、それに必要な措置を講じておるのであります。併しややもするとお話のように、更に不便や困難がある場合もありますので、お話の点は今後とも十分調査をいたすつもりでございます。(拍手)    〔小林亦治君発言の許可を求む〕
  33. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 小林君の質問時間はすでに過ぎておりますので、発言を許可することはできません。野本品吉君。     —————————————    〔野本品吉君登壇拍手
  34. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は純無所属を代表いたしまして、若干の点につきまして質問を申上げたいと思つております。  第一にお伺いいたしたいと思いますことは、経済団体連合会発表の防衛力整備に関する試案に対しまして、吉田総理はどのようにお考えになつておられるかということでございます。経済団体連合会は、防衛産業の生産能力は、生産を必要とする需品の種類及び数量が大体示され、且つその需要が一定の期間継続されることが前提とならなければ到底これを決定することができないという考え方から、日本の国の防衛規模を想定いたしまして、防衛力整備に関する一試案を発表いたしたのであります。この想定によりますと、陸上兵力十五個師団、海上兵力艦艇二十九万トン、航空機三千七百五十機、これを六カ年間内に整備するとして、毎年実に四千八百億円を必要とするという大がかりのものでありまして、これが経費日本負担分とアメリカ依存分とに分けまして、詳細を極めておるのであります。このことは、一民間団体の試案であるとは言いましても、それが我が国産業経済に支配的な力を持つておりまする経団連の発表であるだけに、産業経済その他一般の問題を考察する上におきまして、見落すことのできない重大発表であると考えるのであります。或いはMSAとの関連においてこれを見ることもできると思うのであります。と同時に、将来の産業計画に及ぼしまする影響は極めて重要な問題をはらんでおると思うのであります。私は吉田総理が院の内外を通じまして、再軍備はしないと確言されております信念に対しましては、これを諒としておるりでありますけれども、かかる信念に一貫されております総理大臣といたしましては、いわゆる防衛生産の問題に対しましても、そり信念に立つての御意見をお持ちになつておられることと思いますので、この点について総理の率直なお話をお伺いいたしたいと思つております。  第二の点は、我が国航空機工業の再建振興方策についての諮問に関する航空機生産審議会の答申に対しまして、通産大臣はどのようにこれを取扱おうとしているかということについての所見を伺いたいと思います。学識経験者、業界代表者、技術陣営、関係各省次官等数十名を以て構成されております航空機生産審議会は、本年の一月十二日に、会長小笠原九郎氏の名を以て、通産大臣宛に、ジエツト航空機研光及び航空工業に関する試験研究施設について、その技術部会の調査の結果を答申しております。次いで二月の十九日には、同じく会長小笠原九郎氏の名を以ちまして、保安庁長官、大蔵大臣、通産大臣宛に、我が国航空機工業再建のために国産機を発注されたいという望要を含みました建議を行なつております。更に本年の六月八日には、会長岡野清豪氏の名を以ちまして、通産大臣宛に、我が国航空機工業再建振興方策に関しましての委曲を尽した答申が出されております、私どもは、最近におきまする交通、通信、輸送等の面に占めます航空機の重要性に鑑みまして、又いわゆる自衛力漸増との関連におきましても、我が国の航空機工業が一日も早く世界水準に達する日の早からんことを望むものでありますけれども、航空工業の再建振興は、現状におきましてはなかなか容易なものでなく、政府の詳細緻密な計画と確固たる決意を前提とするものでなけれほならんと考えるのであります。即ち、一つには、革命的な進歩を見でおりますところの航空工業技術は、すでに我が国の温存する技術ではどうにもできない距離ができており、又空爆と占領政策によつて徹底的に破壊されております現有設備では、国際水準の航空工業を考えるがごときことは、これは夢に属します。又下請工場が荒廃してしまつておりますので、精密作業を実施することはできない。更に資材関係は、その質におきまして航空工業に適するだけの回復はできていない。戦時中命令融資で動いておりましたごときは、もはや望むべくもありません。莫大なる資金を要する航空工業を実施する資金はいずこに求めるか。更に需要と供給との両面に亘つて計画が確立できるか等々、航空工業の再建は、山積する悪条件の克服と闘わなければならないのであります。然るに、疲弊した我が国民経済のうちで何ら具体的な総合的な計画を持つことなくして、民間をしてこれを行わしめようとします意図があるやに聞くのでありますけれども、これは航空工業が華々しい採算工業であるかのごとき間違つた認識に基くものでありまして、その結果は莫大な資金の浪費と中途半端なものになつてしまう危険が多いのであります。私はここに、審議会から出されております各種の答申や建議を実現する上におきまして、政府はどのような決意と方針とを持つて臨もうとしているかについて、明確な答弁を求める次第であります。  第三の質問は、文部行政推進の基本的態度その他について、大達文部大臣の信念をお伺いいたしたいと思います。吉田総理はその施政演説におきまして、極めて抽象的ではありますけれども、文教刷新ということを申されております。私は、現内閣の重要な政策であればこそ、このことに言及されておるものとして、善意にこれを了解しているのでありますけれども、その重要政策を担当する文部大臣に対しまして、次の二点を質したいと思うのであります。  この点は先ほど同僚議員からも触れられた問題でありますが、私は言葉の尻を捉えようとするものではありません。つまり「生産的な仕事でないから思うようには行かない」というその言葉の底に流れております文教政策に対する基本的な観念の問題であります。私は、従来ややもいたしますというと、教育の問題ば消費であるかのごとく考えられておつた従つて文教問題は金に余裕があるならばというような副産物的な考え方が相当流れておつたと思うのでありますが、文部大臣の「生産的でないから」という言葉の底にそういろ思想が流れておるといたしますならば、かような考え方の上には絶対に文教の刷新向上という総理の言われる実が上らないということを指摘するのであります。(拍手)即ち、教育の問題、文教の問題は、直接それが生産であるという考え方に切換えて頂きたい。(拍手)私は、文部大臣がかような信念に、考え方に切換えられて、初めて文教一般に関する行政が尊重され、力強く推進されると思うりであります。私はこの際、文部大臣のはつきりしたお考えをお伺いいたたいと思つております。重ねて申します。教育は副産物ではありません。教育はそのまま生産であります。全閣僚をこの信念の上に文部大臣がリードして頂きますことによつて、初めて総理の説かかる文教の刷新ということが真実の声として文教各般に具現されることを確信するものでございます。あえて文部大臣の所信を承わりたいと思います。  質問の第二点は、先ほどこれも触れられましたが、科学技術の問題でありますけれども、私は、日本学術振興会及び科学行政に関するいわゆるスタック、この両方の機関が科学向上と発展を図り、行政、産業及び国民生活科学を反映湾透させること、及び科学技術を行政に反映させるための諸方策、及び各行政機関相互間の科学技術に関する連絡調整に必要な措置を審議するこの目的通りに、真剣に、活溌に、両方の機関が運営されて来たかどうかについての疑問を持つております。同時に、この二つの機関が今後その目的とするところに向つて遺憾なくその機能を発揮するように願いたい。かくすることによつて、資源の開発に、その効率的な利用に、又精力、経費の浪費排除を通しまして、窮乏日本経済り立直しに多大な役割を果すものとしての期待をかけるこどができるのであります。私は、試みにイギリスにおきますこの種の予算につきまして調査してみたのでありますが、科学技術研究庁があり、国立物理研究所があり、化学研究所があり、建築研究所があり、食糧調査研究所があり、林産研究所があり、石油研究所があり、もろもろり方面に対しましての機関の整備されておりますことを今更のごとく感じさせられました。先ほど大達大臣は七十億の経費をかけていると言われますけれども、問題は、その各省に分散配置されております七十億の経費を果してどのようにして効率的に運営をするかという具体的な方策を持つことにあると思うのであります。二の点に関しまして大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。  以上を以ちまして私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  35. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  防衛生産に関する日経連、経団連等の意見内容は私は存じませんが、いわゆる防衛生産に関する政府の方針は、我が国の経済力及び産業構造との調整に十分配意すると共に、兵器特需等については、それが差当り国際収支上に占める重要な地位に顧み、その受人体制の整備を図りたいと共に、保安隊自身の要する、我が国が要する兵器の生産に十分なる技術の導入、若しくは生産に関する設備を整えたいという考えで、政府政府自身の考えで研究はいたしております。その研究の結果は未だ承知いたしませんが、とにかく特来のために研究すべきものなりと考えて、その方針を以て政府は研究いたしておりますが、日経連の意見等については私は承知いたしておりません。知つてはおりません。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪登壇拍手
  36. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上けます。  お説のように、飛行機は近代におきましては、交通とか、報道とか、又いろいろ輸送、産業、非常に効用が多うございます。日本でも又非常に需要が多うございます。ぞれで只今のところ輸入も相当しているようでありますが、残念ながら御卓見の通りに、只今、日本で航空機工業を再建するということは非常に困難が伴うと思いますけれども、併しこれは輸出といたしましても非常な適格品でございますし、又精密工業を発達させるという意味におきましても、これはやはり技術振興上いいことと思いますので、通産省といたしましては諸般情勢をよく検討いたしまして、この航空機生産というものにつきましては、只今申上げましたように、貿易上の関係とか技術上の関係とか、又日本産業の発達のために、できるだけ航空機生産を再建いたしたいと、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣大達茂雄君登壇拍手
  37. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 先ほどの佐多君の御質問と大体同趣旨のお尋ねと伺つたのでありますが、特に申上げますることは、各省に亘る七十一億の予算、これは只今お話のありましたように、スタックには各省次官が参加しておられまして、又その下部として専門部会を設けております。今後各省連絡を密にし、又学術会議との連絡も緊密にいたしまして、活發な運営を期して参りたい、かように考えております。  それから教育はもとより御指摘になりましたように長い目で見て一国の産業経済の基本をなすものであると存じております。又ものによりましては教育が生産に直結するものもあると存じております。私が新聞記者と話しました内容が、極めて切り詰めた表現で極めて断片的に報道せられましたために、誤解のあつた向きもあるのではないかと存じますが、私の考えはさようでありますから、どうぞ御安心を頂きたいと思います。(拍手
  38. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。国務大臣演説に対する質疑は終了したものと認めます。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、議員派遣変更の件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)