運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-05-29 第16回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年五月二十九日(金曜日)    午前十時三十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七号   昭和二十八年五月二十九日    午前十時開議  第一 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞任の件  第二 恩給法の特例に関する件の措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 少年院法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りをいたします。図書館運営委員長石黒忠篤君から、常任委員長辞任いたしたいとの申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。      ─────・─────
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。
  7. 杉山昌作

    杉山昌作君 私は、只今常任委員長選挙は、成規手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 私は只今杉山君の動議賛成いたします。
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて議長図書館運営委員長高橋港男君を指名いたします。(拍手)      ―――――・―――――
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞任の作を議題といたします。小野義夫君、松永義雄君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、三橋八次郎君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。      ―――――・―――――
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。選挙する裁判員の数は、議員任期満了により欠員となつた者三名、只今辞任に伴い欠員となつた者二名、合せて五名でございます。又選挙する予備員の数は、議員任期満了により欠員となつた者二名、只今辞任に伴い欠員となつた者一名、合せて五名でございます。なお、予備員選挙に当りましては、その職務を行う順序を定めることになつております。
  15. 杉山昌作

    杉山昌作君 私は、只今裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員選挙は、成規手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名することとし、なお予備員職務を行う順序議長に一任することの動議を提出いたします。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 私は只今杉山君の動議賛成いたします。
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 杉山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員高橋進太郎君、中山福藏君、亀田得治君、小林亦治君、一松定吉君を、同予備員深川タマヱ君、加瀬完君、三好英之君を指名いたします。なお予備員職務を行う順序は、現予備員島津忠彦君を第一順位深川タマヱ君を第二順位加瀬完君を第三順位三好英之君を第四順位といたします。      ―――――・―――――
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、日本銀行政策委員委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る二十七日、内閣総理大臣から、日本銀行法第十三条の四の規定により、宮島清次郎君を日本銀行政策委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件は同意することに決しました。      ―――――・―――――    〔岡田宗司発言許可を求む〕
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 岡田宗司君。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はこの際、内灘及び浅間山麓等演習地に関する緊急質問動議を提出いたします。
  24. 田畑金光

    田畑金光君 私は只今岡田宗司君の動議賛成いたします。
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 岡田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。岡田宗司君。    〔岡田宗司登壇拍手
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はここに、内灘試射場そのほか浅間山麓妙義山麓等アメリカ軍演習地の問題につきまして、政府緊急質問をいたします。  昨年の秋、アメリカ軍当局要求によりまして石川県河北郡内灘村に試射場設置しようといたしました際に、地元村民を初め石川県民の間に、これに対しまして激しい反対運動が起つたのであります。政府反対運動の猛烈なのに慌てまして、同県出身国務大臣林屋亀次郎君を派遣いたしまして、反対者を慰撫し、地元村民設置を納得させようとしたのであります。その際、林屋氏は、閣議の決定に基きまして、見舞金として一戸当り五万円、異例でございます。一千百戸分として五千五百万円を支払い、更に道路建設費等といたしまして二千万円を支出すること、試射場使用期限を四カ月に限ること等を条件として交渉いたしまて、反対を押切りまして、内灘村に試射場設置したのでございます。地元のほうは四カ月というのでどうやら納まつたのであります。この四カ月間ということは、昨年の十二月二十三日の本院予算委員会におきまして、私の未問題に関する質問に対しまして、林屋氏はその旨をはつきり言明しておるのであります。これは林屋氏個人の意見としてではないのでありまして、政府の公式の答弁としてなざれたものであります。政府約束いたしました四カ月間の期間はこの四月三十日を以て満了したのであります。従つて政府約束通り試射場を廃止して、土地及び海面を直ちに元通り村民使用させるのが当然であるにもかかわりませず、政府は、アメリカ軍当局砲弾製造業者等要求によりまして、継続使用の腹きめたらしく、直ちに解除せず、一カ月間の猶予期間を置きまして、この間に村民等に交渉いたしまして、継続使用承諾を押し付けようとしておるのであります。この試射場設置によりまして直接甚大な損害をこうむつておる内灘村民並びに隣接町村民は言うに及ばず、石川県民は、政府約束を破りまして継続使用を押し付けようとする態度に憤り、又将来の不安におびえまして、全県挙げて猛烈な反対運動を展開しておるのであります。そのために、知事、県会議員地元代表婦人会代表労組代表が大挙上京いたしまして、連日政府反対陳情を行なつておることは御承知のことであります。而してこの反対運動は、補償金をもつと出せというような含みを持つた運動ではないのでありまして、政府公約通り四カ月で使用を打切り、再度使用せしめないことを求める運動なのであります。政府は何も躊躇することはないのであります。政府は、はつきり約束したのでありますから、アメリカ軍当局に向つて、今後内灘使用し得ない旨を通告すればよろしいのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)すでに使用前にこの設置のいきさつはアメリカ側にも知らせてあり、又アメリカ側においても四カ月間だけであるということはすでに知つておるはずなのであります。然るに岡崎外相は、去る二十五日上京いたしました代表君たちが陳情に参りました際に、日本アメリカ軍防衛してもらつておるのだから試射場を提供することは仕方がないと、暗に継続使用をほのめかし、極めて冷淡な態度をとつておるように聞いておるのであります。  そこで私は岡崎外相に対しまして、次の点について明確た答弁を承わりたいのであります。  第一に、政府は先に使用期限は四カ月と約束したが、この約束をみずから破つてアメリカ側要求従つて内灘試射場アメリカ軍に今後も引続き無期限使用させるつもりであるかどうか。なお聞くところによりますれば、今日の閣議においてこの問題をきめて、六月一日から淀川再開という話も聞いておりますが、果して使用再開を強行するかどうか。この点の明確なる御答弁を願いたいのであります。  第二に、県民反対運動は極めて猛烈でございます。六月一日まであと三日しかございません。この間にこの人人と話合つて継続使用承諾させることは、先ず不可能と言わなければならんのであります。読解が不成功の場合には一体政府は如何なる措置を講ずるつもりであるか。これは全く私どもには理不尽極まる方法だと思われるのでありますが、一体強制収容をやつて継続をするつもりであるかどうか。  第三にお伺いしたいのは、内灘試射場使用が四カ月の期限付であることは、アメリカ側もその使用開始当時すでに了承しておるところと思うのであります。それ故に、四月三十日以降は射撃を中止しておるのであります。今使用しておるものを突然断わるのではなくて、たとえアメリカ軍砲弾製造業者要求があつたにいたしましても、政府公約に基いてきつぱり断わつて然るべきであります。然るに岡崎外相は、国民との公約を無視してもよい、地元民補償金さえ出せば何とかなるだろう、併しアメリカ軍兵器製造業者要求には従わなければならんと考えておられるように見えるのであります。若しそうだとしたら、これは独立国外務大臣のとるべき態度とは言えないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)卑屈極まる属国根性まる出しと言われても仕方がない。(拍手一体岡崎外相は、政府公約国民生活アメリカ要求と、どちらを重く見られておるのであるか。この点、はつきり答弁を願いたいのであります。  第四に、独立後にいえども行政協定に基いて、アメリカ側日米安全保障条約に示されておるいわゆる施設及び区域を次から次へと要求して来ておるのであります。飛行場演習場試射場設置拡張要求され、だんだんにそういうものが殖えて行つております。今のままでずるずると要求を容れて認めて行くならば、それこそ日本アメリカ基地ならざるはなしということになつてしまうのでありますが、一体アメリカ側のこの軍事施設基地等拡張要求に対しまして、政府は如何なる態度で対処して行くのであるか、お伺いしたいのであります。占領時代より殖えて行くということは以てのほかでございます。占領時代より漸次減らして行く方針をとるならば、まだ話がわかつておるのでありますけれども政府アメリカ要求をどんどんと容れておるように見える。どうも一定の方針がないようでありますが、政府占領時代よりも軍事施設及び基地を減らす方針なのか。或いは向う要求があれば仕方がない、殖やして行くというお考えであるか。この際その点をはつきりして頂きたいのであります。  外務大臣に対する質問はこのくらいにいたしまして、次に農林大臣にお尋ねしたい。  今アメリカ軍当局から、軽井沢、浅間山麓或いは妙義山麓或いは青森県の岩木山麓と、非常に広い面積演習地その他に使用することを要求しておるのであります。このために各地でいろいろだ問題が起つておりますが、なお、このほかにももつともつとたくさんの要求があると私は思うのであります。昨年四月二十八日以降、新たに軍事施設及び区域新設拡張のために、どの地方とどの地方要求されておるのか。而もその面積はどのくらいになつておるか。又それによつて農漁民等がどのくらい影響を受けるか。又これに対して政府はどの程度すでに承諾を与えておるのか。この点について具体的の説明を願いたいのであります。又浅間山麓とか或いは妙義山麓岩木山麓、その他、今日問題になつております地域に対しまして承認をするつもりであるのかどうか。大体もう調査研究は済んでおるはずでありますから、調査研究中だなんぞといつてごまかしの答弁はして頂きたくない。はつきりした御答弁を願いたいのであります。  次に木村保安庁長官にお尋ねしたいのであります。従来保安隊設置の場所や或いは演習地設置等につきまして、アメリカ軍当局から指図が行われておると聞いておるのであります。洗ずアドバイス干渉か、どつちか知りませんが、とにかくこういうことでは日本独立を傷つけること甚だしいものであります。重大な問題と思うのでありますが、今後MSAの援助を受けるようになつて参りますと、かかるアドバイス干渉が一層激しくなるものと私どもは予想しておるのであります。一体保安隊演習地設置等についてアメリカ側指図を受けたことはないかどうか。若しあるとすればそれはどういうことであるのか。又独心後においてそういう指図を受けておるのかどうか、これに対して木村保安庁長官はどういう態度をおとりになつておるか、その点についてお伺いしたいのであります。  最後に緒方総理にお伺いしたい。これは昨年の閣議におきまして四カ月ときめたということを、今日政府は破つて継続しようとしておるのでありますが、政府閣議できめて国民との間に約束したことを直ちにお破りになつて、それで以て政治ができるかどうか。そういう民主主義政治があるかどうか。その根本的な点について緒方総理に御答弁をお願いしたいのであります。  以上を以て私の質問を終ります。なお時間が残つておりますので、再質問をいたすつもりであります。    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  28. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えを申上げます。(「ごまかすな」と呼ぶ者あり)ごまかしません。(笑声)  昨年内灘使用につきまして四カ月に限定いたしましたことは、只今御厨問通りでありまするが、本年四月後になりまして又新たな要請がありましたので、この新たな要請従つて研究中であるのであります。日米安全保障条約によりまして、米軍日本防衛のため駐留をいたしております。その駐留をして日本防衛に当つておりまする限り、その訓練等につきまして、事情の許す限り便宜を与えることは、これは当然であると考えます。の新たな要請に対しまして、政府といたしまして慎重に研究いたしますことは、これ又当然のことと考えてやつておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  29. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 只今緒方総理からお答えをいたした通りでありまするが、なお敷衍して申しますと、元来この試射場設置につきましては、その当時地元でも非常に反対もありましたし、又その実際やつてみてどうなるかということについて相当不安があつたのは事実であります。例えば風紀の問題を心配された向きもある。又米軍将兵地元民との衝突や摩擦というようなことを心配された向きもあり、又その他の点で心配された向きもあるのでありまして、従いまして、政府はとにかく四月一ぱいまでやつてみて、こういう点がどういうふうな実際上の結果となるか、これも見てみなければわかりませんので、一応四月までやつてみて結果を更によく調べてみよう、こういうことにいたしておつたのであります。ところが、実際上試射場に参つておりまする米人、米軍将兵は、大体約二十名でありまして、その間に風紀問題等は未だ一つも起つておりませんし、又住民との摩擦等も幸いにしてないのであります。問題は、弾着地点におけるその音が非常に大きいので、その内灘村と申すよりも、むしろその向う弾丸の落ちる附近の住民が非常に困難をいたしておるという実情のように聞いております。そこで一応四月末日までということになつておりましたので、五月からは試射を中止いたしまして、漁業の立入り等も認めておりましたけれども只今緒方総理の申されましたように、試射場はどこかにどうしても置く必要がありまするし、(「沖縄に置け」と呼ぶ者あり)又、今の弾着地点の困難なる問題が何とか調整できますものならば、内灘が一番全体として適当な土地でありますので、地元民の納得をできるだけ得てこれを引続き使用したいと考えて、只今いろいろ交渉いたしておるのであります。従いまして、政府としては、只今お話のような収用等措置は極力避けたいと思いまして、今一意地元民との間、或いは県当局と交渉をいたしております。  なお、行政協定に基きまする施設区域の提供につきましては、占領時代よりも決して多くはないのでありまして、解除されたものが非常にたくさんあることはすでに発表の通りであります。ただ最近におきましては、例えば飛行機の発達が非常に甚だしくて、従来の短かい滑走路では不足の部分がありまして、こういう点はなお更に拡張しなければならない部分がありまするけれども政府としましては、アメリカ駐留軍要求に対しましても、絶対に必要と認められるもの以外は承認しない方針で来ております。  なお、この内灘村寺の問題につきまして、兵器製造業者等の働きかけで政府が動いているのじやないか。――こういうことは断じてありませんから、さよう御承知を願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣内田信也登壇拍手
  30. 内田信也

    国務大臣内田信也君) お答え申上げますが、私は就任後まだ日が浅いもので、詳細に実情を精査する暇がございませんが、私の聞いておるところによりますれば、米軍陸上演習場として要求した所が五十一地区ありまして、すでに合意されたるものが二十二区で、そのうち農地が千八百八十三町歩であります。保留中のものが二十四区であります。これが農地が四千四百五十六町歩でございまして、除外したものが五地区だそうであります。それで、飛行場要求が二十八地区でございまして、そのち合意したものが二十六区で、うち農地が百七十町歩保留中のものが二地区だそうであります。  なお、内灘、浅間山はこれに包含しておりません。内灘については、又浅間山麓については、外務大臣より只今答弁申上げた通りでありますが、これらに対しては、農民に損害のないように、できるだけの工夫をしております次第でございます。(拍手、「どういうふうにするのですか、具体的に」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣木村篤太郎登壇拍手
  31. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 保安隊演習場その他の施設につきましては、保安庁が独自の見解に基いて自主的にこれを処置いたしております。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)決してアメリカ干渉指示は受けておりません。又将来とも我々は指示干渉を受けないつもりであります。(拍手)    〔岡田宗司発言許可を求む〕
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 岡田宗司君。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 再質問をいたします。
  34. 河井彌八

    議長河井彌八君) よろしゆうございます。岡田君に申上げますが、あなたの質問時間はまだ三分残つておりますからその範囲で願います。    〔岡田宗司登壇拍手
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今緒方総理の御答弁を伺つておりますというと、全く詭弁でございます。政府は四カ月で打切ると言つておる、それを新たに要求があつたのだから考慮中だ、こういうようなことをすれば、政府はもうあらゆる嘘をつくことができる。(「いつでも、ついている」と呼ぶ者あり)今日の日本政治の上におきまして、かくのごとき嘘を公然とこの本会議場におきまして表明された緒方総理は、一体民主主義根本原則を御承知なのかどうかを疑いたいのであります。なおこの点につきまして具体的にお伺いしたいのは、一体六月一日から再開されるつもりであるかどうか。又話が合わなければこれを強行するつもりかどうか。この点をお伺いいたしたいのであります。  次に岡崎外務大臣施設及び区域は減つておると言つておる。成るほど、ルフ場だのホテルだの、そういう所は返してくれましたけれども、今内田農林大臣の言われましたように、新たに要求されておるものは非常に多いのであります。このまだ未解決になつております所がたくさんございますが、これは政府としては早急にアメリカ側に対して使用許可するつもりであるからどうか。とにかく日米安全保障条約もある以上は、どんどんと提供しても仕方がないという考え方であるように由われるのでありますが、この残つております所に対して、どういう方針で臨まれるのか。はつきり答弁を願いいと思います。以上。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  36. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。  内灘試射場につきまして、現地又は石川県の県当局等と折衝いたしまして、仮に円滑に話が進みましても、六月一日から実施することは困難であろうと考えております。  それから、強硬な手段をとるかというお話でありましたが、これはできるだけ理解の下に強硬な手段をとりたくないと考えております。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  37. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 日本米軍駐留することが止むを得ぬとしますれば、(「止むを得ぬことはないよ」と呼ぶ者あり)これに対する訓練その他のための必要とするものは、これは提供しなければならない理窟になります。ただその場合におきましても、先ほど申した通り、我々が調べましても絶対に必要であると、こう考えるものだけを提供いたしまして、それ以外は許さぬつもりでおります。(拍手、「絶対なんということがあるか」と呼ぶ者あり)    〔岡田宗司発言許可を求む〕
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 岡田宗司君。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだ時間が残つておりますので、再々質問をいたします。
  40. 河井彌八

    議長河井彌八君) まだ残つておますから、御登壇願います。    〔岡田宗司登壇拍手
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の緒方総理お話ですというと、協定が調わないときには、これは強制的にやるということを裏に含んでおると思うのでありますが、(「そうだ」と呼ぶ者あり)そうであるかどうかということをお伺いしたい。  次に岡崎外務大臣の御答弁を伺つておるというと、どうしても提供する義務がある、こういうふうに言われておるのでありますけれども、その場合においては、国民生活に対してどれだけの影響を与えるかということについて、十分な注意が払われておらんように思う。例えば内灘試射場の問題につきましては、何か海上或いはどこか無人島等におきまして、人のいない所で以てやるようなことをお考えになつておらんのかどうかということをお伺いしたいのであります。    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  42. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 政府といたしましては、誠意を以て、事情を尽して話をすれば、必ず私は理解を得ると、了解を得ると考えております。(「そんなこと違う」「理解を得るという  ことじやない、できない場合はどうするかということを聞いておるのだよ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  43. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 只今海上でというお話でございますが、これは弾丸のよしあしを調べるのでございまして、それによつて納入をきめるのでありますから、海の中へ射つてしまつては目的を達しないのであります。今、無人島というお話もありましたが、これは日本中を実は殆んど、大げさに言えば隈なく歩いて探したのでありまして、その結果、適当な所が、無人島等には見付からなかつたのであります。      ―――――・―――――    〔戸叶武発言許可を求む〕
  44. 河井彌八

    議長河井彌八君) 戸叶武君。
  45. 戸叶武

    戸叶武君 私はこの際、凍霜害対策に対する緊急質問動議を提出いたします。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は只今戸叶武君の動議賛成いたします。
  47. 河井彌八

    議長河井彌八君) 戸叶君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて戸叶君の発言を許します。    〔戸叶武登壇拍手
  49. 戸叶武

    戸叶武君 私は日本社会党を代表して、凍霜害被害対策に対して、以下数点に亘り農林大臣並びに大蔵大臣に御答弁をお願いいたします。この問題は全国の農民に関係がある問題であり、全農民が全身を耳にして聞いている問題でありまするが故に、政府は誠意を以てお答えして頂きたい。  今回の凍霜害の被害は、その範囲の広大さと被害の甚大なる点で、最近の記録にない大災害であります。現在においては未だ不可抗力とされている自然界からの脅威としてこの大天災に対し、政府は食糧自給の重要性に鑑み、速やかに罹災農民の困窮を救済せねばなりません。それと同時に、この一大試練に直面して、日本経済自立の基盤をなす我が国農業生産の安定と向上のために、凍霜害被害に対して恒久的対策の樹立をなすべきであると信じます。各党では、先般凍霜害対策特別委員会の合同委員会を開き、政府に対し六億円の予備金を支出せしむることを申合せいたしました。政府も大体これを了承したと思いますが、政府の見解はどうか、それを承わりたい。  これに続いて、最近全国農業委員会協議会凍霜害対策緊急協議会で、応急対策の助成処置として十五億九千万円の要請を行、なつております。我が党は取りあえずの緊急措置として、先ず六億円の支出を政府要求いたします。併し調査の結果、被害高により十億乃至十五億の支出もこの際必要なりと思いますが、これに対し農林大臣は如何ように考えておられるか。聞くところによると、農林当局の要請がなかなか大蔵当局に容れられないとのことであるが、問題が緊急にして且つ重大であるから、如何なる点が大蔵当局の承認しがたい点か、又如何なる点に大蔵、農林両当局の主張に食い違いがあるか、大蔵、農林両大臣からその真相を承わりたい。特に支出を渋つていると伝えられている大蔵大臣は、日本経済再建の基礎をなす農業振興と、これと密接な関連性のある農業災害救護に対する予算的措置をどう考えているか。この際その所見の開陳を望みたい。  又内田農林大臣は、実業界の出身でありながら、農業政策の重要性を痛感して農林大臣を引受けられたものと想像するが、従つて、ややもすれば他の重要産業に比較して冷遇されがちな農業生産の擁護並びに高揚のため、この問題に関しては大蔵当局を説得し得るとの信念を抱かれておることと思うが、この際これに対する見通しを語つて欲しい。  第二点。我が党は議員立法として、損失補償、利子補給を内容とする凍霜害融資臨時措置法の制定を求めておる。この法律は、昨年十二月二十九日に制定せられたオホーツク海暴風浪及びカムチャッカ沖地震による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法と同様の性質を持つものである。この立法の進行と睨み合せ、更に各都道府県をして営農資金の貸出を行わしめんことを要望する。その方法は県信連預託の形をとるべきものであり、なお又財政的弱体府県及び被害額の過大な府県に対しては、当然に、特別平衡交付金、起債認可その他の方法で援助すると思われるが、この点は政府はどう考えておられるか。  第三点は、被害調査の正鵠を期するために委員を派遣して調査し、被害を最小限度に食いとめるための対策及び指導を強化し、農業技術員等に活動に必要な手当をなし、病虫害の防除費、更に速効性肥料の購入費助成、及び所得税その他において農民の生産意欲を阻害することのないよう考慮を払うべきであるが、これに対する対策如何。  我が党としてこの際特に強調したいのは、凍霜害の災害に対する応急処置のみにとどまることなく、禍を転じて福を招くの精神を以てこの際恒久対策樹立を要望するものである。即ち農業災害補償法の根本改正がその一つであります。現行の農業災害補償法は、その第一条に、「農業災害補償は、農業者が不慮の事故に因つて受けることのある損失を補填して農業経営の安定を図り、農業生産力の発展に資することを目的とする。」と謳つております。然るに第二条で、「農業災害補償は、農業共済組合の行う共済事業、農業共済組合連合会の行う保険事業及び政府の行う再保険事業とする。」と規定しております。これでは、名前だけは農業災害補償法であるが、その実体は単なる農業共済保険法に過ぎない。農業災害の補償は、今や農民や農業団体の責任というよりは、国家の責任においてなさるべきであります。農業災害は社会保障制度の一環として、国家がこれを補償する当然の義務があります。これなくして真の福祉国家の完成はあり糧ないのであります。英国の社会保障制度においても、災害補償が重要なる地位を占めておることは御承知通りであります。この根本問題に直面して、農林大臣はこれを断行する決意或いは準備又は意欲があるかどうか、この際、承わつておきたい。  もう一つは、農業気象観測制度の確立により未然に災害の防除を図ることであるが、政府さえ断行する意思があれば、これは直ちに実行できると思うがどうか。災害を天命としてのみ諦めることなくして、近代科学の力でこれを予防し食いとめる努力こそ、政治の力でなければなりません。災害の悲劇を乗り越えて、打ちひしがれている農民に生産意欲を巻き起させる政策の躍動こそ、目下の急務であります。世間一般から、自由党政府は金融財閥及び独占資本のみに奉仕し、農民に対して冷淡であるとの批評を受けている際に、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)実業界及び政界の苦労人である内田農林大臣から私の質問に答うることにより、未曾有ともいうべき農業災害に対し政府は如何なる対策を講ぜられんとしているか、この議場を通じて全国農民諸君に明瞭にお知らせを願いたい。  これを以て私の質問といたします。なお時間が余つておりまするから、再質問をいたします。(拍手)    〔国務大臣内田信也登壇拍手
  50. 内田信也

    国務大臣内田信也君) お答え申上げます。  霜害につきましては、非常の心配をもちまして、その実情の調査、即ちどのくらいの損害があつたか、又その面積がどうであつたかということを調査いたしましたけれども、なかなかこれが変化をして来ますので、その真相の把握に困難を加えましたが、漸くその数字が、これならばという数字が得られましたので、目下只今お話通り大蔵当局と日々折衝を重ねておる次第でありまして、一方では只今の御質問中にもありました災害補償法案の一部改正法律案も今提案されておることでありますから、これによつて春蚕だけの補償金支払もやることができることになりますから、併せてこの災害に対する措置を講じたいと思つておる次第でございまして、その災害の措置に対しましては、すでに各党で御協議相成りましたのであるから、私が一々項目をここに羅列して申上げれば、却つて限られたる御質問の時間を私が妨害することになりますから、その各項目の羅列は省略いたします。(「ノーノー」「詳細に」お願いいたします」と呼ぶ者あり)そこで、それを申せというならゆつくりと申上げますが、却つて時間を潰してはいかんという私の考えでございます。それで、その金額は、只今も各派の御意見は六億に近い数字と聞いておりますので、目下それについて大蔵当局と折衝しておりまして、近々に、本当に近々にこれが妥結ができると私は信じて、熱心に交渉を重ねておる次第でありますから、これが見通しということにつきましては、これが先々にきまるものならば見通しを申述べる必要もありますが、もう一両日できまるものをここで見通しを申上げるならば、却つて折角まとまりかかつておるものを壊しては農民諸君に相済まんと考えますから、これは申上げないのであります。(「おかしい」「その通り」と呼ぶ者あり)私はまとめるのが目的で、私が  それをただ先走つて申上げて話を壊すことが目的ではございません。(「了解」「その通り」と呼ぶ者あり)  それから災害補償の法律の問題、これは実にお言葉の通り重大な問題でありまして、これを自由加入にしろ或いは国家補償にしろという根本問題があることは耳にし、又私も承知しておりますが、今日補償法案が今改正法律案が出ておる際でございますから、この限られた時間でこれを論じ始めたならば、これだけで以て瞬間は三人分も四人分も坂られることに相成りますから、いずれこの法律案の委員会において御説を承わりたいと思います。  なお、天災を予知する設備等につきましては、私も誠に御同感で、その処置はしなければならんものだと考えております。(拍手)    〔政府委員愛知揆一君登壇拍手
  51. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 今回の凍霜害は、六十数年に一回というような誠に異例な現象でございましたので、大蔵当局といたしましても、災害の勃発当初から現地の調査その他に鋭意努力をいたして参りました。その結果、只今農林大臣からもお答えがございましたように、大体本日中に全部の結論をまとめまして政府措置を決定することにいたしております。その考え方は、私ども財政当局の考え方としては、六億とか五億とかいうような枠で縛るという考え方ではございませんで、具体的に検討いたしまして、これを積み上げて筋を通して参りたいということで、鋭意研究して参つたわけでございます。従つて、その成案を得る過程におきましたはいろいろの意見がございまして、農林省との問にもいろいろと意見の食い違いはございましたが、大体これはまとまりまして、結論をすでに得たと申上げてもいい段階でございます。金額的には、只今の現在集め得る限りの資料に基きましたものを基礎にいたしますと、大体五億八千九百万円、各党の霜害対策委員会の結論とおおむね同じ額の程度の総額に相成るわけでございます。内容につきましては、例えば速効肥料代の補助並びに融資、病虫害の防除費の補助と蚕種代の補助或いは融資、共同飼育施設費の補助、技術指導員特別手当の補助或いは融資、災害融資の利子補給、試験研究調査費等、こういうような内容の項目でございまして、只今申しました通り、大体五党共同の研究の結果を尊重いたし、且つこの線に沿うものと私は確信いたしております。(「農林大臣はどうしたのだ、はつきりわかつておるじやないか」「農林大臣の口から聞きたい」と呼ぶ者あり、拍手)    〔戸叶武発言許可を求む〕
  52. 河井彌八

    議長河井彌八君) 戸叶君。
  53. 戸叶武

    戸叶武君 再質問いたします。
  54. 河井彌八

    議長河井彌八君) どうぞ。    〔戸叶武登壇拍手
  55. 戸叶武

    戸叶武君 只今農林大臣並びに大蔵次官から説明を拝聴いたしましたが、大蔵当局の説明のほうがこの災害問題に対しては極めて具体的な御説明がなされておるのにもかかわらず、(「その通り」と呼ぶ者あり)農林大臣からは極めて抽象的にして(「落第」と呼ぶ者あり)あいまいな御答弁であつては、農民が極めて失望されると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)特に内田農林大臣は、時間を潰しては非常に困るからというような御遠慮を申しておりまするようでありまするが、国会における国会議員の質問に対して、農林大臣がこれに対して明らかな答弁をすることは何ら遠慮を要しないものであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)明確なる御答弁をお願いいたします。特に大蔵当局との折衝が極めて困難であるということは、新聞にも伝えられ、世間一般が憂慮しておるところであります。吉田外交は秘密外交を以て生命といたしておりまするが、せめて内政上においてでも秘密を排して、国会においては率直に国会議員にその真意のあるところを訴えて行くという態度がなければ私は困ると思います。(拍手)そういう意味合いから、又今回の農業災害に関連いたしまして、我々が農業災害補償法の今の低調な法制を、社会保障の一環としてまで発展さしたいという要望を持つておるのでありますから、その点に関しましても政府当局の意のあるところを承わりたい、こう思います。(「農林大臣答弁」「簡単々々」「時間あるぞ」「農林大臣答弁するのが義務だろう」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣内田信也登壇拍手
  56. 内田信也

    国務大臣内田信也君) 只今私の答弁が、数字を具体的に申上げないで、むしろ大蔵政府委員の御答弁が具体的に数字を申上げたから怪しからんというような御口吻を承おりましたけれども農林大臣といたしましては、少しでも多額に大蔵省に支出を承諾させより、こういう肚がありますので、これを譲歩したらばこうなるとか、これを出資金に振替えて利子の補給にしたらどうなるかということについて、只今までも、この廊下でまでも小笠原大蔵大臣と折衝を重ねておるのでありまして、最後的な案になつておらない。そこで大蔵大臣と別れたのでございますから、故に、私はもうすぐきまるものを、それを下手に私が農林大臣と大蔵大臣で折衝したものを、(「要求額だけ言え」と呼ぶ者あり)それを先へぶちまけてしまつて、又事務当局の衝突でも来たしては、とんだ迷惑を農民にかけると、こう考えますが故に、金を出すのは大蔵省のほうが出すのですから、大蔵省のほうが払うのはわかつておるのですから、私のほうでは填るほうですか、そういうわけで私は数字についてそう申上げたのであります。御見解は御自由でございます。(拍手)      ─────・─────    〔森崎隆君発言許可を求む〕
  57. 河井彌八

    議長河井彌八君) 森崎隆君。
  58. 森崎隆

    ○森崎隆君 私はこの際、第三海洋丸事件につきまして緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  59. 田畑金光

    田畑金光君 私は只今の森崎隆君の動議賛成いたします。
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 森崎隆君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。森崎隆君の発言を許します。森崎隆君。    〔森崎隆君登壇拍手
  62. 森崎隆

    ○森崎隆君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、去る三月フィリピンに拿捕されました第三海洋丸事件につきまして、政府当局、特に外務大臣にお尋ねを申上げたいと思います。こういう問題は、本来ならば政府御当局に全面的に信頼を申上げまして、こういう場所を借りましてわざわざ御質問を申上げる必要もないのでございまするが、遺憾ながら現段階における私たちといたしましては、過去の実績に徴しまして、現政府、特に岡崎外交に対する我々の信頼感は、どうしても正式の場においてこういう問題を取上げて、はつきりとした御答弁を頂いていかなければならない程度のものでありますることを、遺憾ながら申上げておきたいと思います。(拍手)  先ず、一応私が聞き知つておりまする範囲におきまして事件の概要を申上げたいと思います。第三海洋丸という船は約百五十トンの「かつを」漁船でございまして、鹿児島の北元水産工業株式会社に所属いたしております。去る三月の四日、本船は五十七名の乗組員を乗せまして鹿児島港を出帆、一路南下をいたしまして、同月十日午後二時、北緯二十度二十五分、東経百二十一度三十五分、即ちフイリピンの、バタン島の二百六十度、二十浬の海上にて操漁航行中でございました。その折、フイリピンの警備艇C二十七号が接近して参りまして、威嚇発砲を受けました。領海侵犯の理由を以ちまして、バタン島のバスコに連行されて取調べを受け、更に、マニラとの連絡不可能の故を以て、三月十五日ルソン島の北端にあるサンビセンテに回航を命ぜられました。そのとき岸壁碇船を命ぜられましたが、御承知通りに、「かつを」を釣るための餌が水が濁ると死にますので、その理由を申上げまして、漸く沖合を回航して参りたいという申入れに対しまして、衛兵が許可いたしましたので、回航いたしておりましたところ、フイリピンの大発から発砲を受けまして船体に損傷を受けましたが、幸いに人命に損害がなく、直ちに回航を中止いたしまして、その岸壁に着きますと、甲板に乗組員殆んど全員を一列に並べまして、ここでおのおの銃の床尾板を以て殴打をされました。更に若干の者は拳を以て周囲より打撲を受けまして、更に天測時計、釣具等を持つて行かれたのであります。引続きまして同船の無線機及びエンジンの部分品を陸上の倉庫に上げろという命令を受けまして、その通りいたしました。これによつて日本内地との通信が杜絶えました。翌十六日には、打撲のために腰、肋骨等に重傷害を受けました者、即ち働けない者だけを残しまして全員上陸を命ぜられまして、フイリピンの軍隊のドラム罐の運搬役に使われました。二十一日に至りまして、やつとマニラから通訳の方々が到着されまして、それより約二十五日間取調を受けまして、四月二十一日釈放、同月二十六日に鹿児島県の枕崎に帰港したのであります。この事件につきまして、以下二、三質問を申上げまするが、これに対してお答えを願いたいと思います。  第一は、拿捕の理由でございまするが、フイリピンのほうでは領海侵犯としております。その根拠といたしましては、一八九八年十二月十日パリにて調印されました米西条約、即ちスペインという国が、フイリピン諸島として知られている群島を、その上に住んでおる住民もろともアメリカ合衆国へ二千万ドルの価格で以て売却をいたしました。いわゆる米西平和条約、その第三条に、同諸島の包含されておる範囲を明示するために引きました緯度並びに経度を以てフイリピン国の領海と公海との境界線であると主張いたしておることに対しまして、国際法によつてフイリピン沿岸より三浬以外にいる場合はこれを公海水域であるとみなして操漁しておりました第三海洋丸とは、異なつた意見の対立を見ておるわけであります。これにつきましては、取調中にも、この領海に関する問答では、フィリピンの係官は実にあいまいな言辞を弄せられておるように報告を承わつておりします。又このサンビセンテにおりました他の警備船の方々のお話でも、我々ならば傘捕はしないというような言明もせられておるよ、りに聞いております。これは私たちの考えとしましては、明らかに不法幸浦であり、不法行為並びに暴行事犯であると私は信じます。  船舶の拿捕事件はほかにも少くはないのでございまするが、問題は、平和条約調印を終えまして、在外事務所もすでに設置をされておりまして、事実上国交が回復されたものとしているそういう国との間に、かかる事件が惹起されたところに問題があるのでありまして、特に沿岸並びに近海の資源が枯渇いたしまして、どうしても将来海洋漁業に唯一の希望を置かざるを得ない日本漁業の現在から考えまして、公海水域のこの問題は実に重大な利害を我々に与えるものでございます。  更に取調べの空気より考えまして、フィリピンでは、未だ平和条約に、例えば批准を与えていないといつたようなことから、日本とは戦争状態にあるということを、まあそういう空気があるようでございます。又賠償問題も未解決だ、だから、こういろ方面に悪い影響を与えないようにといつたような空気も何かあつたように聞いておりますが、そういうようなことは別にいたしましても、日本漁業の発展のために、今まで政府がとられました、いわゆる民間で申しております、私は言いたくございませんが、民間で申しておりますいわゆるその都度外交では、そういう外交でよい加減にこの問題を収められては堪らないのであります。外務御当局の御見解と、今後折衝されることではございましようが、その折衝上の基本的な態度を、はつきりと、この際お聞かせを頂きたいのであります。  第二は、抑留期間が約三十人日間でございましたが、この間、偶然に比島におります日本の商人が聞きつけて、見舞にわざわざ来られまして、写真撮影等をいたしまして、これを船主に送つて来られ、非常に親切なかたもおりましたが、ところがこの長期間中に、マニラの在外事務所より唯一人一回も訪問がありません。又何の連絡もこれには与えられていないのであります。フィリピンのほうからはマニラよりすでに四名の調査団がサンビセンテに出張して取調べをいたしております。その調査官が、実ば面白いことに、四月二十一日サンビセンテにおきまして調べが済んであと、この船の乗組員全体に対して、抑留中に与えた食糧費、その伝票に署名をさせながら、こう言つておる。これまで日本側は何の連絡もないので、我々は非常に困つておる、仕方がないから君たちに食わせた食糧費については飛行機で東京へその代金を取りに行くのだ、こういうことを係官が言つておる。一体、在外事務所は何のために設置されておるのか。こういうことでは私たちは非常に大きな疑問が出て来るわけであります。こういう事件に対しまして出先機関の持つておられる権限の範囲又責任の限界等につきまして、私は外務大臣よりもはつきりと明確にお話を承わりたいと思います。又マニラ事務所と本省との間におきまして、この事件に関するこれまでの連絡状況、打合せ等につきまして、詳細に御報告を頂きたい。こういう問題につきましては、水産庁の長官からもでき得るならば総括的なお話を伺いたいと思います。  お尋ねいたしたい第三は、損雲賠償の請求についてでございます。第一は、乗組員五十七名中に、銃床又は鉄拳を以て殴打されました者、そのために相当の負傷をした者が三十名おります。重傷者は六名、現在まだ病院で加療中が二名ございます。これは明らかに暴行事件でございます。盗難品は大したものではございませんが、さつき申しました天測時計とか釣具等若干のものに過ぎません。第三には、鹿児島市大黒町七十二番地北元水産工業株式会社取締役社長北元巌の名義を以ちまして、この拿捕事件について受けた損害、即ち出漁資金といたしまして、燃料その他餌代あらゆるものを入れまして百二十九万八千百二十三円、第二は不稼働による損害八百五十万円、拿捕抑留中による諸経費が通信その他につきまして五十万七千四百九十五円、船体損傷費二十万円、船員及び船主尉謝料が百六十四万円、合計いたしまして千二百十四万五千六百十八円という損害賠償の請求がなされております。これにつきましては政府当局は勿論十分の責任を以て善処されることでございましようが、この問題につきまして、比国と交渉上につきましてどういう御決意を以て現在なされておるか、又今後もこの問題の解決に努力されまするか、この点もお聞かせ頂きたいと思います。  最後に、時間がかかつて恐れ入りますが、日本国と国交の回復した諸国及び実際上国交回復したものと考えられている外国との間に、友好親善のうちにお互いの福祉の向上、文化の交流進めて行きますことは、平和憲法を信じ抜く我々としては当然の責務であると信じております。かかる不幸な事件が引き起されたことは誠に遺憾とするところでありまするが、国の責任者といたしましては、曾ての軍国時代のごとく武力による威嚇外交や銃剣に守られた侵略的行動というようなものではなくて、平和のうちに、良識と理解と正義に立脚して解決を図らなければならないものと思います。而してこの平和的な解決に当りましては、飽くまでも、不法は不法とし、正当は正当として主張してもらいたいのであります。これこそ道義日本を確立するものでありまするし、諸国の信頼をもかち得るゆえんでもあると私たちは考えております。若し事の真実に立脚せずして、徒らに両国将来の親善の美名にのみ隠れまして、又未解決の賠償問題の掛引の具に供せられまして、本件が闇のうちに取扱われるようなことになりましては、実に我々といたしましては遺憾千万だと存ずる次第でございます。これは日本漁業将来の発展のためにも非常に憂慮すべき問題であると私は考えます。本事件の機会を借りまして、政府が再び曾ての水兵事件のような失態を犯さないためにも、あらかじめ我々の善意をここに披瀝いたしまして、政府の責任ある御所見をお伺い申上げる次第でございます。  御親切な答弁を期待いたしまして降壇いたします。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  63. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お答えをいたします。  この事件は私ども承知しておりまして、只今いろいろ調査を焼けておる最中であります。で、御質問順序によりましてお答えをいたしますが、実はこの船の位置についても彼我の間に意見の相違があるのでありますが、更に領海の範囲という問題につきましては、これは世界中を探しまするといろいろの所でいろいろの主張が行われておりまして、日本は従来から三マイルという主張を焼けておりまするが、他の国におきましてこれと異なる主張をいたして、意見の合わない部分もかなりあるのであります。併し日本としましては、領海の範囲は三マイル、又それを出た公海におきましてはいわゆる公海自由の原則を固くとつておりまして、この趣旨によりまして今後も交渉を続けるつもりでおります。ただ、初めに申しました通り、事件はまだ調査中でありまして、極く最近に更に鹿児島県の水産部長の報告も受けることになつておるはずであります。  なお、現地の在外事務所の権限とか責任とか申しまするものは、これはこの規則できまつておりまするが、当然こういう場合には十分なる保護を与え、又十分これら国民の困つておる点を救わなければならん建前になつております。で、若し現地の在外事務所の連絡が不十分であつたとすれば甚だこれは残念でありまするが、決してこれは政府の本意ではないのでありまして、今後とも十分に注意をするつもりでおります。  更に、この事件に基きまするいろいろの損害につきましては、船主側の要求は出ておるようでありまするが、併しこれが全部が全部その通りと言い得るかどうかは、これは鹿児島県の水産部長その他の人々の資料も検討しなければならないと思つておりまするが、併し調査の結果こちらの考えがきまりますれば、こういう問題をあいまいにしておくことは、却つて長い目から見ての日本と比国との間の親善関係を増進するゆえんではないのでありまして、お話のように平和的に解決することは無論でありまするけれども、不法なことは不法とはつきり申して、その間に十分相手方の反省を求め、事件の解決を図りたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣内田信也登壇拍手
  64. 内田信也

    国務大臣内田信也君) 私も只今岡崎外務大臣よりお答え申した範囲内のほか存じておりませんで、特に米西条約で以てスペインとアメリカとの間に平和条約を結んで、二十度なら二十度からこつちの方はアメリカへ譲つたと、こういうふうに書いてありまするけれども、その領海、その海の中の土地を譲つたんであつて公海を譲つたんではないと考えておるのでありまするからして、私は、詳細に船の位置等を研究してみませんければわかりませんけれども、ただ二十度よりこつちにおつたというだけのフィリピン側の申出には承服しておらない一人でございますが、(「答弁になつていない」と呼ぶ者あり)先ほど水産局長の答弁を求めるというお話でございますから、水産局長を呼びにやつておりますから、(笑声)適当なときに水産局長から詳細お答え申上げます。      ─────・─────    〔佐多忠隆君発言許可を求む〕
  65. 河井彌八

    議長河井彌八君) 佐多忠隆君。
  66. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私はこの際、日米通商航海条約並びに対比賠償に関する緊急質問動議を提出いたします。
  67. 田畑金光

    田畑金光君 私は只今の佐多忠隆君の動議賛成いたします。
  68. 河井彌八

    議長河井彌八君) 佐多君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。佐多君の質問を許します。登壇を願います。    〔佐多忠隆者登壇拍手
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私は日本社会党を代表しまして、日米通商航海条約その他二、三の外交案件につきまして、吉田総理大臣、岡崎外務大臣並びに小笠原大蔵大臣に質問をいたします。  質問の第一は、去る四月二日にあわただしく調印されました日米通商航海条約についてであります。この条約は、私から申上げるまでもなく、我が国が戦後新らしく結ぶ通商条約としては最初のものであり、今後の条約交渉のモデルとなり、今後十年間に亘つて日米間の通商関係すべてを規制する極めて重要な条約であります。而も、たとえ今調印されましても、その発効の時期は、アメリカの議会の事情その他から見まして、本年末又は来年初めになるものと予測されます。だとすれば、一、ニカ月を争つてあわただしく調印をする必要もなく、その重要性に鑑みまして慎重に審議しなければならんはずのものであります。殊に、金融界や産業界を初め、民間の各方面は勿論、各省の間にすら多くの異論と意見の対立があります以上、国民各階層において、従つてこの国会において十分に審議をいたさねばなりません。然るに政府はこれらの事情を全く無視して、殆んど国会に諮ることなく、調印を急いだのは、どんな理由に基くのかを吉田総理大臣からお答えを願いたいのであります。吉田総理大臣の得意とされる秘密外交にほかならず、極めて非民主的なやり方だと私は詰問をせざるを得ません。吉田総理大臣はこれをどうお考えになつておるのか。殊に総選挙の最中で、どんな内閣ができるかわからないときに、その信任を国民に問いつつある内閣が、この重大な条約を調印したことは、誠に非立憲的であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)吉田総理大臣はこの責任をどうとられるのか、お尋ねをいたしたい。  この条約の内容につきましては、質さなければならない点が多々あります。併しその詳細については委員会に譲ることといたします。ただ、ここでは次の二点だけをお尋ねしておきたいと思うのであります。第一点は、この条約によつてアメリカ人は、日本国内で蓄積した円資金で旧株を取得する自由を得たために、アメリカ人が投機的に株価を操作をいたし、基礎産業などの有力株を買い占め、その企業を簡単に支配するようになり、日本経済がアメリカ資本に隸属をする途が開かれたと思うのでありますが、(「そうだ」と呼ぶ者あり)日本政府はなぜこんな広汎な自由をアメリカ資本に許されなければならなかつたのか、その理由を岡崎外務大臣に御説明を願いたい。小笠原大蔵大臣はこの点をどう考えておられるのか、それを防ぐ方策をどう立てられたのかをお尋ねをいたしたい。第二点は、この条約は、アメリカ人が占領中に一方的に取得した権益であるところの在日アメリカ銀行の預金信託業務をそのまま認めております。それだけでなく、貸付業務を無制限に許す点において全く不当であると思うのでありますが、日本政府はなぜかかる屈辱的な条約を結ばなければならなかつたのか。その理由、経緯を岡崎外務大臣から詳しく承わりたいのであります。この条項のために、豊富にして低利なドル資金が我が国の金融や産業を隷属せしめる危険性が多いと思うのでありますが、小笠原大蔵大臣はこの点をどう考えられますか、その防止策をどう立てられるのかをお答え願いたいのであります。  質問の第二は、去る四月十五日にアメリカ国務省のスポークスマン・マクダーモツト氏によつてなされました対日特需二カ年間保証に関する声明についてでございます。この国務省の声明によりますと、我が国におけるアメリカの支出総額は激減することはない、少くとも今後二カ年間は比較的高い水準を維持する、若し日本経済に重大な事態が生ずるならば、アメリカ政府当局は日本援助の方策を日本代表と協議することとなると言つております。この声明は、その内容もさることながら、先ず問題になるのは、これが総選挙の最中に発表されたことに重大な政治的な意義を認めざるを得ないのであります。これは、あの当時、朝鮮休戦の進展、両陣営の対立の緩和、平和風潮の急速な展開に伴いまして、いわゆる平和恐慌におののきながら、国民大衆が吉田政府に対する不信をいやが上にも高めつつあつたそのときに発せられたのであります。私は、あの声明の意図までを詮索しようとはいたしません。併し、少くともその結果においては総選挙を吉田政府に有利に導いたことは疑いを容れないところであります。だとすれば、あの声明は、アメリカ日本の内政に干渉したものであり、その限りにおいては誠に遺憾であります。外務省では、これはかねて予想された線であると当時うそぶいております。丁度その頃帰朝をいたしましたところの前駐米公使上村氏は、これはかねてからの話合いの結果が丁度あの時期に出ただけだと、問わず語りに話していることを思いますならば、ますますその政治的な意図或いは結果を、先ほど申したような内政の干渉と断ぜざるを得ないのであります。この経緯をどうお考えになつているのか、吉田総理大臣のお答えを願いたいのであります。  又あの声明は、当時は、アメリカが対日特需二カ年間継続を保証したものとして報ぜられました。上村前公使よその帰朝談において、アメリカの国務省が今後二カ年間の日本向け特需を保証する旨を声明したと述べておられます。又吉田総理は当時談話を発表さましたが、その談話の中で、あの声明はアメリカが特需を引続き相当高い水準に維持する方針を示したものだと、明確に断言をしておられます。然るに五月二十三日に来朝しましたアリソン・アメリカ大使は、その着任の談話において、対日特需は二カ年間ぐらいは続くだろうという意味で言つたもので、約束というものではないと述べられたのであります。一体あの声明は、単なる見通しなのか、又は方針であるのか、或いは保証であり約束であるのか、吉田総理はどう受取つておられるかを明確にお答えを願いたい。(拍手)あの声明が若し単なる見通しに過ぎないというのであるならば、あの重大な時期に日本国民を惑わす極めて不都合な声明と言わざるを得ません。(「その通り」「吉田出て来い」と呼ぶ者あり、拍手)若しアメリカ政府方針であり保証であるならば日本政府も又その相談にあずかつて、その内容を詳しく知悉しているはずであります。その大綱を岡崎外務大臣から詳しく御説明を願いたい。  質問の第三はMSAの援助についてであります。ダレス・アメリカ国務長官は、五月五日の上下両院の合同外交委員会で、一九五四年度の相互安全保障計画には、日本の国内治安維持と国土防衛のための武器を賄う資金が含まれていると証言をいたしております。又スタツセン相互安全保障本部長官も、その委員会の秘密会議の席上で、日本への軍事援助の必要を説き、その資金として一億五千万ドルの数字を挙げたと伝えられます。アメリカの責任ある当局によつてこのように明言をされておる以上、日本側もこの問題についてすでに一応の話合いはしたことと思うのでありますが、その話合いはどうなつているのかを、吉田総理大臣、岡崎外務大臣から詳しく御説明を願いたい。外交を民主的に運営しようとするならば、条約や協定が成立する以前に、少くともその大綱方針については、事前にこの国会において十分に審議をすべきものだと私たちは考えますが故に、先ず岡崎国務大臣の詳しい御報告要求をいたします。  ダレスやスタツセンの言う対日援助は、明らかにMSAに言う軍事援助にほかならんと思うのでありますが、吉田総理大臣は、この援助を必要と思つていられるのかどうか。すでに援助の要請をされたのかどうか。アメリカはこの予算を六月中には決定をしなければならない、それには少くとも日本からの要請が必要であると言われておりますが、吉田総理はどう考えておられるか。吉田総理は、まだ何も話は聞いていないとよく逃げられるのでありますが、(「それは聞いた」と呼ぶ者あり)前駐米公使上村氏はその帰国談で、七月頃までには相互安全保障法の修正が多分実現をするだろうが、そうなれば日本はMSA援助を受ける国として明記されるから、あとは日米相互援助協定を結ぶだけだと語つておられます。又奥村外務次官は、二十五日の記者会見で、大勢として日本政府がMSA援助を受けることになつているのは確実であると言明をいたしたと伝えられております。吉田総理大臣は、このアメリカの軍事援助を受ける決意をすでに固められたのかどうか。外務次官を初め外務官僚首脳者がそう明言をしていると言つていいと思うのでありますが、そうである以上、吉田総理岡崎外務大臣の意を受けてやつていると思うのでありますが、その点はどりなつているのか。すでに決意をされており、すでにアメリカと相談をしていながら、国会に若し報告をしないとするならば、外交における民主主義を破壊をし、民主憲法に背くものであります。若しアメリカの軍事援助を必至として、これを受ける決意をし準備をしつつあるとするならば、日本の非武装主義を破壊をし、平和憲法に背くものであります。そのいずれであるかを明確にされんことを吉田総理大臣と岡崎外務大臣に強く要求をいたしまして、私の緊急質問を終る次第であります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手〕    〔「嘘ついちや駄目だぞ」総理大臣どうした」と呼ぶ者あり〕
  71. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 総理大臣が衆議院の予算委員会か、或いは参議院の予備審査の方に参つていると思いますので、私から一応の御答弁を申上げます。  日米友好通商航海条約を非常に取急いで調印したのは怪しからんではないかという御質問のようでありまするが、実はこの交渉は一昨年以来やつてつてつたのでありまして、特に衆議院の解散後に取急いで交渉を進めた事実はございません。又秘密外交であるというお話でありましたが、この点につきましても従来の慣行通り、外務当局と駐日米国大使との間に話を進めて参つてつたのでありまして、これが効力を発生いたすかいたさないかは、一に国会の御承認を得なければならんのでありまして、この成案につきましては十分の御検討をお願いいたしたい、かように考えている次第でございます。  それからMSAの援助につきましては、日本から只今までのところ要請をしておることはないと考えます。先般、五月二十五日でありましたか、奥村外務次官のかなり具体的な話が或る新聞に出ておりましたが、これは取調べの結果、殆んど根拠のないものであつたということがわかりまして、外務大臣から注意を与えたということを、私は報告を受けております。  以上、不十分でありますが、総理大臣が出席しておりませんので、私からお答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  72. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お答えをいたします。  日米通商条約につきましては、私の外交演説におきましても二回に亘つてこれを述べて、調印も近きにありということを申上げております。又国会におきましても、委員会の質問においてはできるだけ問題点を説明しておつたのでありまして、これはずつと政府態度を明らかにしておつたと考えております。又この問題点につきましては、民間の関係団体の意見も聞いておるのでありまして、その重要点について全然秘密等にしておらなかつたことは十分御理解が行くと思います。そうして今副総理からも申されましたように、ずつと交渉を続けておつたのでありまして、調印がたまたま意見のまとまつたのが三月の中旬でありましたので、三月中旬頃に調印の予定であつたところが、解散になりましたから、更にその後の処置を研究した結果、従来の方針をそのまま持続して来ておるのであるから調印差支えなしという見解の下に調印いたしたのでありますが、効力の発生は勿論国会の承認に待つ“のでありますから、私としては一向調印は差支えない、こう考えております。  なお、このうちのアメリカ側の有する国内の蓄積円の使用についてのお話がありましたが、政府としては、外資をできるだけ導入しようという方針の下に、外資が入つて来ることが容易になるような方策を考えておるのでありまして、そのために外国人の日本における株式の取得も認めようという方針をとつております。ただ、只今のところはまだ十分に資産再評価等もできておりませんので、今の状況で自由に株の取得を認めますると、日本の経済に思わぬ影響が起ると考えまするので、条約発効後三年間は現状通りに旧株の取得を制限することにいたしておりざす。この三年の間に国内の資本蓄積を進め、又再評価も行なつて、株を取得されても困らないような状況に行くものと確信しております。  又銀行のお話がありましたが、外国銀行の活動は自然外資の導入や対外貿易の関係からも必要でありますから、この際、既得権を認めても実際上何ら支障がない、こう考えておりまするし、この点は国内の銀行家の意見も十分聴取した結果、かようにいたしたのであります。  又アメリカの対日特需が二カ年間大体現状を維持するであろうということにつきましては、これは丁度選挙の前後に朝鮮の休戦が進みまして、国内でもこの特需がどうなるかということについて非常な不安があつたと見られるのでありまするが、これらを考えて、アメリカ側において、その政府の見通しと言いますか、方針と言いますか、これを述べたものでありまして、別に日本政府に対してこれを保証したという性質のものではありません。たまたまそれが選挙中でありましたけれども、併しこの程度の声明で日本の国内の内政を動かされるというほどに国の政治は脆弱ではないと私は考えております。(「脆弱でなければ問題はない」と呼ぶ者あり)  又MSAの援助につきましては、これが軍事援助であるか軍事援助でないか、これはまだ実はアメリカ自体でも相互安全保障法が決定していないのでありまするから、(「提案されておるじやないか」と呼ぶ者あり)こちらで議論するのは早いと私は思つております。又そう急ぐ必要もないと考えております。そうして只今いろいろの点は研究中でありまするが、まだアメリカ側と話をいたしておる段階ではありません。併し政府のとるべき方針としては、憲法の規定の範囲内で行動することは勿論であります。(拍手
  73. 河井彌八

    議長河井彌八君) 内閣総理大臣答弁及び大蔵大臣の答弁は他日に留保されました。      ─────・─────    〔藤原道子君発言許可を求む〕
  74. 河井彌八

    議長河井彌八君) 藤原道子君。
  75. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はこの際、中共よりの引揚に関する緊急質問動議を提出いたします。
  76. 田畑金光

    田畑金光君 私は只今の藤原道子君の動議賛成いたします。
  77. 河井彌八

    議長河井彌八君) 藤原道子君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。藤原道子君の登壇を請います。    〔藤原道子君登壇拍手
  79. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はこの際、中共からの帰国に関しまして、その後の経過並びに引揚後における擁護の実情につきまして、政府に御質問申上げたいと存じます。  先ず第一に、中国及びソ連地区に未だ帰らざる同胞を多数残して終戦となりました。国内におきまして、その肉親はこれらの同胞の帰国を一日千秋の思いで待ち焦がれて参りました。あらゆる方法を以て政府にこれを要望し、或いは総理官邸に夜通しの提訴と相成つたこともあつたのでございます。けれども政府の無能は何らなすことを得ず、結局、昨年中国の紅十字社の好意によりまして、これが民間団体の手によりまして、幾多の困難を突破いたしまして、漸く中国からの帰国が実現されましたとき、国民全部の胸の中にはほのぼのとした喜びが湧き上つたのでございます。(拍手)かくいたしまして、第三次までは、政府と或いは引揚者の中に、或いは民間団体との中に、幾多のごたごたもございましたけれども、第三次まではどうやらこれは遂行することができたわけでございます。  ところが四月二十日と記憶いたしまするが、中国へ帰国を要望する中国人民をいつ帰してくれるか、如何なる方法で帰してくれるかということの質問に接しまして、その回答によつて第四次配船を用意するという質問が参つたのでございます。爾来この方針が確立いたしませんために、すでに帰国を要望する同胞は基地に集結し、羽根あらば飛んで帰りたい思いで、その日を待ちかまえておりまするのにもかかわらず、その方法がなされないで、今日まで延々日を送つて来ておるのでございます。これに対しまして政府は如何なるお考えを持ち、如何なる方法をとろうとしておいでになるか。私はこの点につきまして、中国の人々が今帰国を念願しておりまする人は六百三十一名と聞いておりまするが、併しこれが可能と相成りましたときには、急速に人員は激増して来るであろうと思うのでございます。    〔議長退席、副議長着席〕  これら中国の人々は帰国可能であるという望みを持ちまして、私財を売払つたり、或いは又退職をいたしまして、その帰国の準備をした。ところが政府態度はつきりいたしませんために、その帰国が今日まで遅れまして、今ではその生活に困窮し、生活保護法の適用を受けようといたしましても、外国人なるが故に、その手続が非常に遅れる等によりまして、今や人道問題さえ起つておるような実情でございます。ところが中国人の帰国はいつ如何なる方法で帰してくれるかという中国からの質問に対して、政府は、これが帰国に際しての安全保障を台湾政府要請したということを聞いております。ところが台湾政府はこれに対しまして、日本人以外の帰国船に対しては何ら関知するところではない、従つて事実上の安全保障はできないというような回答を得たと聞いておりまするが、たとえ、その安全保障ができないといたしましても、途中でこれら船舶に対しまして爆撃や砲撃を受けるとは私には考えられないのでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)併しながら、政府はこの危険がありとお考えになつてこのことを遷延されているのでございましようか。或いは、この台湾政府の答えの中には、黙認というようなこともあるやに考えられるのでございますが、それに対して押返し押返しその安全保障を求めている政府は、この帰国を好まないのではないか、或いは何らかの勢力にお気兼ねをしておいでになるのではないか、(「その通り」と呼ぶ者あり)このように私には考えられてならないのでございまするが、これに対してのお考えをお伺いいたします。  更に又、政府は昨日の衆議院外務委員会におきまして、その答弁の中におきまして、滞日華僑の帰国について、台湾出身者を大陸に帰すには問題があると答えておりまするが、昨年の四月二十八日、出入国管理令によりまして強制送還の場合には希望の地へ帰す、希望の地へ自由に帰すということを言明されているのでございまするが、この矛盾は一体どのように解釈したらよろしいのでございましよう。これは明らかに国際法上、差別をしていると考えられるのでございます。政府は台湾出身者と大陸出身者の国籍を差別しているようでございますが、国民政府は一九四五年十月二十五日に台湾出身者国籍回復弁法なるものを発しまして、国籍取得の自由を謳つているのでございます。又一九四九年十月一日に、人民政府成立と同時に台湾より大陸に約半数の者が帰つていると聞いております。政府は何の必要があつて、その本国におきまして、国民政府におきましてこのような国籍上の自由を規定しているにもかか、わらず、日本政府が殊更に国籍上の差別をしようといたしまする観点はどこに置かれているので、ございましよう。この点を是非聞きたい。中国人であるならば、台湾出身者でありましようとも大陸出身者でありましようとも、同じ中国の人々であると私は理解いたすのでございます。かくいたしまして、私どもが永い間待ちこがれておりました同胞が、今、好意によりまして、その集結地におきましては、その帰還に対しまして幾多の便法が与えられておる。帰つて来た人も、そのことは外務大臣にも十分御報告があつたと思うのでございます。ところが、帰りたい中国の人々を私たちがお帰ししないということになりましたならば、これは国際法上の問題でもございましよう。同時に私たちの道徳上の責任をも私たちは痛感しなければならない、かように考えるのでございます。殊に帰ろうとする人が日夜その日を待つて、離職をし、準備を整えている。而も生活に喘いでいる。生活保護法の保護も受けることはできない。こういうことになりまするならば、日本政府といたしまして、対外的なその影響を如何にお考えになつておいでになるので、ございましようか。私は速やかに決断をお持ち頂きまして、一日も早く中国の人々の速やかなる帰国の実現されることを要望いたすものでございます。  又この際、ソ連地区からの引揚でございますが、最近新聞紙上等におきまして、その引揚の見通しが明るくなつたやに散見いたすのでございますが、これらにつきまして政府はどのような報道に接しておられるか。又それの帰国に対しましてどのような手段方法等をおとりになつておいでになるかということも、私はお伺いいたしたいのでございます。更に又、厚生大臣にお伺いいたしたいことは、長い間あこがれておりました愛する祖国へ帰つた人々の、その援護の措置がどのようにとられておるか。住宅の問題、教育の問題或いは又医療の問題、職業の問題等々につきまして、詳しくこの際お伺いをいたしたいと存じます。  時間はまだございますが、答弁によりまして再質問をいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  80. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お答えをいたします。  この引揚に当りましては、これはいい悪いは別としまして、国民政府は中国本土の海岸を封鎖しておるという宣言をいたしておるのであります。(「悪いはずがないよ」と呼ぶ者あり)これは事実であります。従いまして、引揚船に対する妨害がないように、国民政府に対しあらかじめこの航行の安全を保障することを求めたのでありますが、そのときに国民政府側はノー・パツセンジヤー、ノー・カーゴーという条件を付けて来たのであります。従つて引揚船は、単に中共地区におる日本国民を引揚げるという人道的な目的にだけ使うという了解の下に、これに対して妨害をしないという保障をくれたのでありまして、従つて今度の、国内にある中国人を向うに帰すということについてこの引揚船を利用することには甚だしい異議があるのでございます。政府としては国内にある中国人が外へ出たいという場合に、これをとめる理由は一つもないのでありまして、むしろ国内の人口も非常に多い現状でありまするから、帰つてもらえることは、政府としては都合がいいくらいに思つておるのであります。従つてできるだけ帰国を促進したいと考えておりまするが、併し国民政府態度はなかなか強硬でありまして、危険がないと、こうおつしやいましたが、必ずしも危険がないと私は断言はできないと考えておるのであります。(「どうして、そこをはつきり言え」と呼ぶ者あり)そこで、更にその危険問題は別としましても、(「いや、そこが大事なんだ」と呼ぶ者あり)国民政府反対を強行して出すということは、将来の日本国民政府との間の親善関係にも影響を及ぼすことでありまするから、できるだげ国民政府側の納得を得て引揚を行い、その引揚船にこれを利用しよう、こういう考えでおるのであります。  なお、台湾出身者につきましても、政府としては別段これが出て行くことは異議はないのでありまするが、国民政府は如何なる理由か、甚だ強くこれに反対いたしております。(「アメリカがだ」と呼ぶ者あり)従いまして、台湾出身者をこれに入れるということになりますれば、更に国民政府反対が強くなつて、なかなかむずかしいのじやないかと考えております。併し、できるだけの了解を得て、場合によつたら、いわゆる黙認をしてくれるならばそれで結構だと思つて、できるだけ只今努力をしておるところでありまして、重ねて申しまするが、政府として決してこれは邪魔をする理由は一つもないのでありますから、(「熱意がない」と呼ぶ者あり)できるだけ出てもらつたほうが都合がいいのであります。その意味で我々は努力をしております。  それからソ連地区の引揚の問題につきましては、一般の噂以外に、手紙等でちよいちよいそういうことが匂つて来ておるのは事実でありまするが、まだ具体化はいたしておりません。そこで、これも間接の方法でありまするが、いろいろ今確かめる措置をとつております。勿論これが実現する場合には、従来通り船を出して引揚を促進することは当然のことであります。(拍手)    〔国務大臣山縣勝見君登壇拍手
  81. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。  中共地区から帰還された方々の擁護の問題でありまするが、この問題に対しては、かねて本議場におきましても大略申上げたことがございますので、重複を避けたいと考えますが、その後実施をいたしております実情について申上げたいと思うのであります。今回の引揚といいますか、帰還については、従来と相当違つた点がございますし、殊に目立ちますことは、子供が非常に多いということ、なお又女子が非常に多いといいますか、これは世帯持ちが多いということであります。従つて、これらの人に対する援護の途も、おのずから従来以上に手厚くいたしたという方針で参りましたことは御承知通りであります。でありますから、従来と異なつた点を申上げますと、例えば帰還手当を出しておりますが、これも御承知通り、殊に医療につきましては、従来は甚だ遺憾でございましたが、余り特別のことをいたし」参りませんでしたが、今回は例えば舞鶴に着きましてのち二十五日間は国庫負担で療養をいたしております。なお又汽車に乗つて郷里に帰りれたのちについても、できるだけのことをいたす。一応国庫負担は二十五日、今回初のてとつております。なお又病人の方かございますれば、今回特にとりましたのは、駐留軍に折衝いたしまして、病院車寝台車を特に設けたというようなこと、或いは又更生資金を二億円の下算の範囲で、低利で、従来考えられておりましたのは三万円くらいを考えておりましたが、その後いろいろお困りであろろと思つて、五万円まで引上げて出しております。なお又、今回何でもないようでありますけれども、大、事なことは、従来、持参金といいますか、持つて帰れるお金が、香港ドルはなかなか替えられませんでした、免換の途がございませんでしたが、今回は二万ドルくらいは即座に免換をいたす、それを超過して相当ドルを持つて来られた方もございますが、これに対しては香港政庁と連絡をとつて、今現に免換の手続をいしております。なお職業の問題につきましては、これは非常に大事でありますから、たびたび申しております通り、今回は特にこの点には重点を置いて、殊にこれは労働省で所管をいたしておりますが、現地に係官が行くなり、又職業安定所に特別の通牒を出して、地方においては少くとも所長或いは次長がその衝に当る。なお又従来優先ということはございませんでしたが、今回は優先的に斡旋をいたす。或いは又経済団体連合会その他の経済団体に、特に各商社等に対しては通知を出しております。そういうふうなことをいたして、現在申請がなされましたのは、これは五月の二十日現在でありますが、二千八百五十五人のうち大体三分の一が就職をいたしております。その他千七八百人を今斡旋中であります。なお又その他には、自分で復職いたしました者とか、縁故で就職をいたしました者とか、殊に国鉄等につきましては、できるだけ復職或いは就職を強力に今実施をいたしております。それにいたしましても、全体がなかなか困難でありまするが、殊に中央の帰還者に対してはそういう努力を払つております。なお又住宅の問題でありますが、これは本予算が御承知通り流れましたが、中央地区からの帰還者に対する擁護費に関する限りは、皆様の御了承を得て、いずれ予算の審議を願うことでありますが、四月、五月、六月の暫定予算で、大体一年間の分を暫定予算でお願いいたしております。従つて住宅の問題は、昭和二十七年度は四百三十七戸、これは現在みな建つております。六月までで三千戸の予算をお願いいたしております。大体そのうち三分の一、それと昭和二十七年度の予定のものは大体建ちつつあります。殆んど建つていると思います。それから各都道府県には、東京は九カ所、北海道は二カ所でありますが、その他の府県には一カ所の一時収容所を持つております。そのようにいたしまして、できるだけの努力をいたしておるような次第でありまして、今後もできるだけの善処をいたしたいと考えております。    〔藤原道子君発言許可を求む〕
  82. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 藤原君、何ですか。
  83. 藤原道子

    ○藤原道子君 再質問いたしたいと思います。
  84. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 再質問を許します。御登壇を願います。    〔藤原道子君登壇拍手
  85. 藤原道子

    ○藤原道子君 只今の御答弁の中に、どうしても聞き逃すことができないお言葉があつたりでございます。すでに国民政府自体が国籍を得る法律を制定している。台湾からすでに半数からの人々が大陸へ帰つている事実もあるのであります。それだのに台湾政府が中国人の帰国を好まない、だから危険だ、そうして台湾政府の感情を傷つけることは将来のいろいろな点でよろしくないと思うというお言葉でございましたが、それならば、中国四億七千万、この国民感情は無視してもいいとおつしやるのでございましようか。私は今の政府のやり方は余りに欧米一辺倒である。アメリカの言うことならばどんなことでも唯々諾々として、日本のことを、すでに外国におきましてはアメリカのための沈まざる航空母艦だということまで言われている。生活権を取上げるようなことも、それこそ思召次第になつておるにもかかわらず、この中国に対して、アジアに対して、政府のとつております政策に、どうしても納得ができません。国民の、世界の平和を我々が願いますならば、この際、政府のそのお考えは放棄してもらわなければ困るのであります。従いまして、台湾政府が好まないだろうというような感情的なことを付度いたしまして、そうして、の帰還を阻止するがごとき態度はやめて頂きまして、台湾政府が安全保障は守れない、約束はできないとは言つておりますけれども、すでに封鎖しているとは言つておりますけれども日本の帰還の船がすでに入つておるのであります。そうして中国から日本人は帰してもらつているのであります。その船で我々が中国の人々をお帰しするときに、これを爆撃するなんて馬鹿なことが私はある筈はないと思うのであります。従いまして、政府はこのことを、これでもか、これでもかと、台湾政府が、いやだと言うようなことに仕向けているような努力をされているように思われてなりません。どうか人道上の見地に立ちまして、と同時に、中国との貿易の再開なくしては、日本はどうしてもやつて行くことにあらゆる困難があるじやございませんか。これらに対して私たちは、この際、思い切つた、政府の、独立国日本政府としての私は態度をとつて頂きたいことを、強く要望いたす次第でございます。その点について外務大臣のお考えを聞き、そうしてなおこれを推進して行く熱意の程度を、私はお尋ねいたしたいと存じます。  なお厚生大臣には、中国から帰つて参りました技術者、即ち医者であるとか看護婦であるとか、その他の技術者に対しましては、どういう方針を以てお臨みになるお考えであるかという点についてお伺いをいたしたいと思います。    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  86. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お答えをいたします。  先ほど申した通り我々は、別にアメリカに全然関係はないのでありまして、これは台湾の国民政府との問題であります。そうして国民政府は現に中共地区を封鎖していると称して、日本の漁船を禽補したことも実例があるのでありまして、決して大丈夫だと安心をいたすほどにはなつておりません。従いまして、我々はできるだけ了解も得て、無事に送り届けたいという考えでやつておるのであります。なお引揚は、予定通りに行きますれば、第四次、第五次と焼くわけでありますから、私は中共側もこの困難なる事態を察して、まだ第五次も六次もあるのでありますから、この際は第四次の引揚船をできるだけ早く出せるように考えてもらいたいと思つておるのでありまするが、いずれにしましても政府としてはあらゆる努力をして、早くこの問題を解決するように強く考えております。    〔国務大臣山縣勝見君登壇拍手
  87. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答え申上げます。  只今お尋ねの技術者、殊に医師、看議婦等の就職の問題でありますが、実はこの問題には今お尋ねの点の基礎をなしまする問題がございまして、と言いますのは、大低こういう方々は、こちらで試験に受かつて資格を持つてあちらに行かれたかたもありまするけれども、大半は向うで試験と言いまするか、資格をとられた方々、これらの方々がこちらに帰られて、果して日本の今の医師或いは看護婦の試験に通るかどうか、或いはその資格に該当するかどうかということが問題でございまして、これらの問題がありまするので、就職上もそれらの問題が引つかかつておるものもございまするが、事情事情でございまするから、今後できるだけそういう点も円滑に参りまして、就職が一日も早からんことを期待して善処いたしております。(拍手)    〔藤原道子君発言許可を求む〕
  88. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 藤原君、何ですか。
  89. 藤原道子

    ○藤原道子君 自席から御質問いたします。
  90. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御登壇願います。残り時間が少々ございます。    〔藤原道子君登壇拍手
  91. 藤原道子

    ○藤原道子君 島津さんが最初三団体の代表でおいでになつたとき以来、引揚給の配船の都度に、中国側にいつこれらを返してくれるかということを聞かれて帰つておる。そうして外務省対しましてこのことをしばしば訴えまして、外務省ではすでに適当な時期に適当な方法で帰すということを言明しておいでになつたはずなんです。でございまするから、私たちは、この中国の人々がそれに応じて準備をしたはずだと思う。ところがこれらの人が帰れない。生活ができない。中国ではこれによつて日本の配船をあなたはするとおつしやつたけれども、これによつて配船を決定するということを言われておりまするのに、あなたは配給をすると言われましても、中国からの指示がなくても、外務大臣一個のお考えで第四次船を送り出すことができるかどうかという点について私はお伺いをしたい。どうぞ社会党でございましようと、是非ともまじめに熱心に真意をお聞かせ願いたいと思います。これは全国民が聞かんとしておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  92. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 重ねてお答えしますが、ほかの問題と違いまして、この点については藤原さんも私も同じ意見なんであります。国内の中国人を早く帰したいという意見でありますが、ただそのやり方が、私は慎重な態度をとつておるし、あなたは早く何でもいいからやつてしまえと、こうおつしやるのであります。併し根本において帰そうという気持は同じなんでありまするから、暫らくお待ちを願いたいと思います。  又第四次の配船をすると言うんじやないので、私の申したのは、中共側で第四次配船を早く認めてくれ、まだ第五次もあるので、その第五次で帰せるという見込もありまするので、早く第四次を認めてもらいたい、こういう趣旨を申したのであります。(「虫がよ過ぎるんですよ、こちらも虫がよ過ぎるんですよ」と呼ぶ者あり)      ―――――・―――――
  93. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第二、恩給法の特例に関する件の措置に関する法律の一部を改正する法律案、  日程第三、厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長小酒井義男君。    〔小酒井義男君登壇拍手
  95. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 只今議題となりました恩給法の特例に関する件の措置に関する法律の一部を改正する法律案の内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ずこの法律案の内容を御説明いたします。この法律案は、昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例に関する件、これはポツダム勅令でありますが、その有効期限昭和二十八年七月三十一日まで延長しようとするものであります。この恩給法の特例に関する件は、昭和二十年十一月二十四日、連合国最高司令官から日本政府に発せられ覚書に基きまして、旧軍人軍属及びぞの遺族等の恩給を廃止又は制限するため制定ざれたものであります。これらの廃止又は制限された旧軍人軍属及びその遺族等の恩給の平和条約の効力発生後における措置につきましては、去る第十三回国会において成立しました昭和二十七年法律第二百五号恩給法の特例に関する件の措置に関する法律によりまして、総理府の附属機関として設置された恩給法特例審議会の審議調査の結論を待つて措置されることになり、その措置の講ぜられるまでの間、即ち本年三月三十一日まで、恩給の特例に関する件は従来通り法律としての効力を有するものとして存続せしめられることとなつたのでございます。恩給法特例審議会は、昨年十一月二十二日、政府に対し、旧軍人軍属及びその遺族の恩給に関する重要な事項に関し政府に建議し、政府は右建議の趣旨に基きまして、旧軍人軍属及びその遺族の恩給の善後措置を講ずるため、これに関する法律案及び予算案を前国会に提出いたしたのでありまするが、衆議院が解散になりましたため、審議未了に終りましたので、先の参議院緊急集会において、恩給法の特例に関する件の措置に関する法律はその一部が改正されまして、恩給法の特例に関する件の有効期限は取りあえず本年五月三十一日まで延期され、その関係法律は一昨日衆議院の同意を得るに至つたのであります。然るに政府においては近くこれらの恩給の善後措置に関する法律案及びこれに要する予算案を今国会に提出する予定とのことでありますので、善後措置に関し何分の審議を経る間だけ、即ち本年七月三十一日まで恩給法の特例に関する件の効力を延長するため、恩給法の特例に関する件の措置に関する法律第二条を改正せんとするのが本法律案の内容であります。  内閣委員会は委員会を二回開きまして、本法律案の審議に当つたのでありますが、政府委員との質疑応答において明らかになつた重要な一点を次に御報告いたします。松原委員より、「旧軍人軍属及びその遺族の恩給の支給については、政府は今国会に恩給法の一部を改正する法律案を提出する予定とのことであるが、これらの恩給はいつから支給する見込であるか」との質問に対し、福永内閣官房長官より、「政府は成るべく本年四月に遡つて支給するよう取計らいたい」旨の答弁がありました。  次いで討論に入りましたところ、野本委員より、右に述べた旧軍人等に対する恩給は本年四月に遡つて支給する見込であるとの政府方針をここに再確認して、本法律案賛成する旨の発言があり、最後に、本法律案を採決に付しましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決せられました。  次に厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ずこの法律案の内容を御説明いたします。この法律案は、厚生省の外局である引揚援護庁の機構を明年三月三十一日まで現機構のまま存置いたそうとするものであります。引揚援護庁は、海外からの引揚同胞に対する援護、未帰還者の調査、未帰還者留守家族の援護、戦傷病者戦没者遺族の援護等を所掌いたしておるのでありますが、同庁は、昭和二十七年法律第二百七十三号、厚生省設置法の一部を改正する法律の規定によりますと、本年月一日から厚生省の内局に縮小改編れることになつていたのであります。然るに国民が多年に亘つて待望いたておりました中共地域からの引揚が開始されることとなりましたので、帰還者の受入援護の万全を期するためには従来の機構をそのまま存続する必要があると認め、取りあえず本年五月三十一日までの二カ月間の応急措置のため関係法律案が過般の参議院の緊急集会に政府から提案せられ、その議決を見、次いで、その関係法律は一昨日衆議院の同意を得ることとなつたのであります。併しながら中共地域からの引揚は現に進捗中であり、特に今次の引揚につきましては、帰還者の援護並びに未帰還者の消息調査等につきまして特段の配慮を払い、円滑的確に業務を取り進める必要がありますので、この法律案は、このような事情によりまして、引揚援護庁の現行の機構を本年度末まで存置し、重要な引揚問題の処理に万遺憾なきを期するため、厚生省設置法、国家行政組織法及び行政機関職員定員法の各一部を改正せんとするものであります。  内閣委員会は、委員会を二回開きまして本法律案の審議に当つたのでありますが、その審議に当り、野本委員より、本法律案に関連して、中共地区からの引揚の現状、帰還者に対する擁護の状況等について質疑がありました。中共地区からの引揚の問題は、全国の留守家族等関係者多数が関心を持つておる大きな問題でありますので、これに対する政府委員の答弁の要旨を次に御報告いたしておきます。  先ず、中共地区からの引揚は本年三月から開始され、中共政府は約三万人の中国在留邦人のうち帰還希望者は全部帰還せしめるとの意向であつて、そのうち現在約一万五千人がすでに帰還しておる。なお、これと関連して、我が国に在留する中国人の中共への集団的の帰還の問題が目下懸案中であつて、この問題は近く解決するものと考える。中共在留邦人の第四次帰還の配船、その配船の期日なども又近く解決すると思う。帰還者に対する政府の手による援護は、従来の帰還者に比し手厚く行う方針であつて、例えば帰還手当のごときは、帰還者に対し一律に一万五千円を支給し、又病者に対する治療のごときは、従来は十日間であつたた。帰還者の帰還後最も問題となる点は就職と住宅との二点であるが、就職希望者の現在の就職率は三割以上であつて、一般の就職希望者の就職率一割未満に比べると相当よい就職率を示しておる。政府は今後、帰還者のために住宅三千五百戸を建てたい方針である。  以上が中共地区からの引揚問題の現状に関する政府委員の説明でありました。  次いで、質疑応答を終り、討論を省略して、本法律案について採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決せられました。  これを以て委員長報告を終ります。(拍手
  96. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  97. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ―――――・―――――
  98. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第四、少年院法の一部を改正する法律案日程第五、外国人登録法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長郡祐一君。
  100. 郡祐一

    ○郡祐一君 只今上程の少年院法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ずこの法律案の内容につき簡単に御説明いたしますと、少年院法は、家庭裁判所によつて保護処分に付された少年を収容する少年院及び保護少年の資質を鑑別する少年鑑別所について規定する法律でありますが、この少年院のうち、特に犯罪的傾向の進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満の者を収容する特別少年院について、その収容能力が十分でないため、特に必要があるときは、昭和二十八年三月三十一日までの間に限り、少年刑務所の特に区別した場所をこれに充てることができることになつており、又少年鑑別所についても、その施設が不十分なため、特に必要があるときは、昭和二十八年三月三十一日までの間に限り、少年院又は拘置監の特に区別した場所をこれに充てることができるように臨時的な措置がとられて来た次第であります。このように本年三月三十一日を以てこの臨時措置期限が切れることになりますので、政府におきましては、これに対する恒久的な措置をとるために、少年法及び少年院法の一部、改正する法律案を第十五国会に提出いたしたのであります。然るに衆議院が解散になりまして、この両法律案は審議未了となりましたので、先に当院の緊急集会において可決された「期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律」の規定によりまして、取りあえず右の期限を五月三十一日まで延期いたしたのであります。従つて来たる五月三十一日を以てその期限が切れることになりますが、それまでに第十五回国会に提出されたような恒久的措置を講ずるための法律を制定することは審議期間の関係から不可能と認められますので、更に七月三十一円まで二カ月間その期限を延長し、その間に少年法及び少年院法を改正して本格的だ措置を講じようというのであります。以上のように、この法律案は暫定的措置を講ずるためのものであります。  委員会におきましては、一松、宮搬両委員より適切なる質疑が行われ、情重に審議いたしたのでありますが、その詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。  討論に入りまして別に発言もございませんでしたので、直ちにこれを終結の上、本法律案につき採決いたしましたところ、全会一致を以てこれを可決すべきものと決定した次第でございます。  次に、只今上程されました外国人登録法の一部を改正する法律案の法務委員会における審議の経過並びにその結果について御報告いたします。  外国人登録法によりまして、外国人が登録証明書の交付等を申請するときや、有効期間が満了いたしました証明書の切替を申請するときは、それぞれ必要書類に指紋を押捺しなければならないことになつております。これは外国人の日本における適法な居住を証する唯一且つ基本的な文書である登録証明書の真正を保持せんとするものであります。ただ、登録に当りまして一般外国人に強制的に指紋を押捺させるということは、我が国としては初めての制度であるため、その施行には相当のしてこの制度を周知徹底させる必要もありまして、一年という猶予期間が置かれているのであります。  本法案はこの一年の猶予期間を二年に延長せんとするものでありまして、形式的には先般の参議院の緊急集会において成立した「期限等の定のある法律につき、当該期限等を変更するため性法を以てての期間一を六月一日士外延期したものを改正するものであります。その趣旨は、指紋押捺制度に関する一部外国人の誤解が未だ払拭されない折柄、その施行を強行するときは、特に最近好転期待されている日韓関係にも支障を生ずる虞れがあるというのであります。  当委員会におきましては、慎重審議をなし、一松、亀田両議員より適切なる質疑がなされました後、討論に入りましたが、特に発言がありませんので、採決いたしましたところ、全会一致を以て可決ベきものと決定いたした次第であります。  以上を以て御報告を終ります。(拍手
  101. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言よなければ、これより両案の採決をいたします。  先ず少年院法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸一君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  102. 重宗雄三

    ○副議畳(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  103. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸の起立を求めます。    〔賛成者起立
  104. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長選挙  一、日程第一 裁判官弾効裁判所裁判員及び同予備員辞任の件  一、裁判官弾効裁判所裁判員及び同予備員選挙  一、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件  一、内難及び浅間山麓等演習地に関する緊急質問  一、凍霜害対策に対する緊急質問  一、第三海洋丸事件に関する緊急質問  一、日米通商航海条約並びに対比賠償に関する緊急質問  一、中共よりの引き揚に関する緊急質問  一、日程第二 恩給法の特例に関する件の措置に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第三 厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案  一、日程第四 少年院法の一部を改正する法律案  一、日程第五 外国人登録法の一部を改正する法律案