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1953-07-24 第16回国会 参議院 文部委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員山縣勝見君辞任につき、その 補欠として横川信夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            木村 守江君            荒木正三郎君            八木 秀次君    委員            大谷 贇雄君           大野木秀次郎君            剱木 亨弘君            谷口弥三郎君            横川 信夫君            吉田 萬次君            高橋 道男君            安部キミ子君            相馬 助治君            深川タマヱ君            長谷部ひろ君   衆議院議員            町村 金五君            大西 正道君   政府委員    文部政務次官  福井  勇君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏男君    常任委員会専門    員       工樂 英司君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○学校図書館法案衆議院提出) ○教育職員免許法及び教育職員免許法  施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出・衆議院送付) ○市町村立学校職員給与負担法の一部  を改正する法律案内閣提出・衆議  院送付)   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。先ず最初に学校図書館法案議題に供します。発議者衆議院議員町村金五君から提案理由説明を求めます。
  3. 町村金五

    衆議院議員町村金五君) 只今議題となりました学校図書館法案につきまして御審議を願いまするに当り、その提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  戦後の我が国は、教育制度の改革を断行いたしまして、教育機会均等と、教育劃期的振興とを図りまして、漸次その成果を収めて参つたのでございますが、学校教育における内容充実とその発達を促進いたしますためには、学校図書館は、極めて必要なる設備であると存ぜられるのであります。  即ち、学校教育におきましては、学校図書館設置されますことにより、図書その他の教材教具が収集され、整理され、提供せられまして、その結果、児童生徒を指導いたします場合、著しく便宜が供せられ、学習指導の能率が高まり、自発的学習態度養成せられ、以て個性の伸展と教養の向上に資すること極めて顕著なるものがあります。  次に又学校図書館はそれ自体一つ指導機関としての機能を持つものであります。  即ち、学校図書館資料を活用いたしまして読書指導の徹底が達せられ、又図書館利用を通じて、社会的民主的な生活態度を経験させる等実に学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であるのでございます。  以上申し述べましたように、学校図書館は、学校教育において、極めて重要なる地位を占めておるにもかかわりませず、今日まで法的措置が講ぜられず、そのため、学校図書館設置については全国的に甚だ低調なる状態にあり、又、財政上の確立がございませんために、もつぱら父兄の犠牲的な負担に任されており、そのため経費不足により学校図書館の円滑なる運営に支障を来しており、更に又、学校図書館本質的機能を十分に発揮せしめ得るに足る優れたる専門的教職員をも求め得ない現状であります。  ここにおいて学校図書館設置運営、並びに財政制度確立し、学校図書館に必要なる教職員養成配置し、以て学校教育充実と更に発達とを図りまするための措置を講じますることは、まさに目下の急務であると存ずるのでございます。  以上の理由によりまして、ここに学校図書館法案を提出いたす次第であります。  次にこの法案の骨子について簡単に申し上げます。  第一に、この法律案は、学校教育において学校図書館目的を明確に規定をし、更にこれが設置及び運営に関しまして必要なる事項規定いたしておるのであります。  第二に、学校には、当然、学校図書館設置されなければならないということを、明確に規定いたしたのであります。  第三に、学校図書館教職員養成のために必要なる制度確立を図り、以て学校図書館機能を十分に発揮し得まするような措置を講じたような次第であります。  第四に、学校図書館に対しまする国庫負担であります。現在学校図書館に要しまする経費は、もつぱら父兄負担に任されておりますが、本法案におきましては国庫負担の途を開きましてその結果父兄負担を軽減いたすよう考慮いたしておるのであります。  以上、この法案趣旨及び大要について申し述べましたが、本法案が成立し、施行せられますならば、学校教育充実いたし、更に著しい発達を遂げ、以て我が国教育振興に貢献いたすところ、極めて大なることを確信いたす次第であります。本法案は去る二十二日衆議院におきまして全会一致可決されたものでございます。  何とぞ慎重に御審議の上、速かに御賛同下さいますよう、お願い申し上げます。
  4. 川村松助

  5. 大西正道

    衆議院議員大西正道君) 学校図書館法案提案理由につきまして、只今町村委員から御説明がありましたが、私から補足説明を申し上げます。  今日、学校教育におきましては、先ず第一に、教育指導理念が、児童生徒個性を重んじ、その自発的学習啓発育成にあることは申すまでもありません。この指導理念に従いますれば、又、指導方法におきましても、従来の画一的詰込式教授法によらずして、児童生徒自発的学習形態がとられなければならぬことは、当然なことであります。このような指導理念指導方法に応えて、児童生徒自発的学習に必要な図書及びその他の資料を収集し、整備し、提供する設備たる学校図書館設置は、当然必要不可欠なものと思料せられるのであります。換言すれば、学校図書館設備なくしては、新教育の十分なる劾果が期待し得ないとも、申されるのであります。さればこそ、最近、新教育理念が普及徹底いたしますに従い、各学校現場から、学校図書館設置必要性が強い要望となつて現われて来たのであります。  然るに、学校図書館設置現状を見ますと、昭和二十八年五月現在におきましては、小学校につきましては、学校総数二万一千五百二十八校に対して、学校図書館設置せられてある学校の数は、一万五百七十六校、全体に対する比率は約四九%に過ぎないのであり、その設置校の殆どが都市に偏重いたしておるのであります。  中学校におきましては、学校総数一万二千三百八十二校に対し、学校図書館設置校は、六千五百七十一校、設置率は約五三%であります。  更に、高等学校におきましては、学校総数三千百八十七校に対して、学校図書館設置せられている学校の数は二千七百六十四校、設置率は約八七%であります。而して、  中学校高等学校の場合も、小学校の場合と同様、その設置校は、都市偏重傾向にあるのであります。  新教育における基礎的な而も必要不可欠な設備たる学校図書館設置状況は、只今申し述べましたるごとく、極めて憂うべき現状にあり、大半の学校が未だに詰込式、画一的な教育を余儀なくさせられているのであります。  又一方、学校図書館運営に従事する職員現状について、少しく申述べてみたいと存じます。  すべての設備につきましても同様なことが言えると思いますが、その設備効果が十分に現われるか否かは、その運営者の資質努力如何にかかつていると申しましても過言ではないと存じます。学校図書館におきましても、この例外たることはできないのであります。即ち、学校図書館運営中心となる司書教諭の資質努力如何で、その学校図書館機能が左右せられるのであります。  然るに、この人の面におきましても、先に申し述べました設備の場合以上の憂うべき現状が見られるのであります。  昨年十二月、文部省の調査によれば、専任図書館係職員の数は、小、中、高等学校を通じて、教諭百四十六名、助教諭九十名、事務職員五百三十二名となつております。尤もこれには未報告の六県と二市教育委員会分が入つておりませんが、それにしても専任図書館係の数は千名にも足りない僅かな数であります。而して、これら専任職員も、教育委員会又は各学校が少からぬ無理をして人員の差繰りをして置かれている現状なのであります。  これら専任職員を持つ以外の学校は、すべて、学年を担任し、又は教科指導を担当する教師の、兼任の形で運営されて来たのであります。  司書教諭職務内容は、昨年六月十六日、初等中等教育局長社会教育局長の連名で各教育委員会へ出された通達によれば、非常に多岐に亘るもので、その労働量も相当なものと思料せられるのであります。このため、最近では労働過重のため病に倒れたり、又は図書館係を忌避しようとする傾向さえも現われて来たのであります。  先に述べた設置状況といい、この人的要素の面といい、共に憂うべき現状にあるわけでありますが、この底に流れる根本的な険路は財政的な問題であります。現在設置せられておる約二方の学校図書館では、年間約三十億の図書諭費を使つております。而してその九〇%がすべてP・T・Aの寄附又は児童生徒職員の労力によつて得た金で賄われており、僅かに一〇%が、地方公共団体の費用から賄われているのであります。こうしたわけで、既に設置せられておる学校も常に資金難に喘ぎ、経費人手不足等から、学校図書館の十分なる運営が期待し得ない現状にあるのであります。  以上、申し述べました学校図書館現状に鑑みまして、学校図書館法案制定の必要を痛憾せざるを得なかつたのであります。  次に、法案内容につきまして、各章別に簡単に御説明申し上げます。  第一章は、総則でありまして、「この法律目的」「定義」「設置義務」「学校図書館運営」「司書教諭」「設置者任務」「国の任務」等を規定しております。  本法案目的は、第一條規定してあります通り学校図書館が、学校教育の十分なる効果を期待するために、必要不可欠な基礎的な設備でありますので、その健全な発達を図り、それによつて学校教育充実に質そうとするところにあります。  学校図書館は、新教育遂行の上に必要欠くべからざる設備であるところから、学校には当然、学校図書館が設けられなければならないのであります。この旨を第三條に設置義務として明確に規定してあります。  又学校図書館運営し、その機能を十分に活用するためには、中心となる人が必要であり、これには教諭を以て当てるところの司書教諭を置くわけでありますが、専門的な技能を必要といたします関係上、一定の講習を修了した教諭でなければならないと規定してあります。なお講習に当つては種々の準備もあり、短い期間司書教諭充足を期することは、やや困難な点も考えられますので、附則第二項において、当分の間、第五條第一項の規定にかかわらず、司書教諭を置かないことができる旨を記し、この点を緩和いたしてありますが、司書教諭養成並びにその充足配置は、極めて重要なことでありますので、文部省当局の十分なる考慮と熱意とを要望するものであります。  第二章は、学校図書館審議会につきまして規定してあります。この審議会文部省設置いたしまして、文部大臣の任命する二十人の委員で組織し、第七條各号に掲げる事項第十三條に規定する学校図書館設備、又は図書基準、その他学校図書館に関する重要事項について、文部大臣の諮問に応じて調査審議し、及びこれらの事項に関して文部大臣に建議する機関であります。基準制定司書教諭養成計画樹立等、この審議会に期待するところ大なるものありと思料せられるのであります。  第三章は、国の負担に関する規定であります。即ち、地方公共団体が、その設置する学校学校図書館設備又は図書が、政令で定める基準に達していない場合において、これを当該基準にまで高めようとするときは、これに要する経費の二分の一を国が負担する旨を規定したのであります。  なお本法法における図書費は、最低、基本図書充実を旨とし、基本図書以外の各種の教授用参考図書は、これを義務教育費国庫負担法教材費によることとし、本法案においては、負担法の適用を妨げない旨を規定してあるのであります。  附則におきましては、第一項で、この法律昭和二十九年四月一日から施行するものであることを明らかにいたしております。第二項司書教諭養成配置に当分の間の猶予期間を設けましたことは、先に述べた通りであります。第三項、第四項は、本法律施行に伴う関係法規の一部改正であります。  以上を以ちまして、補足説明といたします。
  6. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案議題にいたします。前回に引続きまして本法律案質疑を続行いたします。政府委員が見えておりますから、御質疑のあるかたは御発言を願います。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 欠席をいたしておりまして、或いはすでに質問があつて重複するような点があるかも知れませんが、簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  その先ず第一は、免許法は非常に複雑で多岐に亘つておると思うのです。例えば小学校について考えてみてもなんですが、臨時免許状、それから仮免許状一級免許状、二級免許状、その上に指導主事免許状がありますし、校長免許状がある。或いは教育長免許状がある。これが小学校にもあり、中学校にもあり、高等学校にもある。案に免許状種類は、私はよく知りませんが、三十何種類になつておるのじやないかと思うのですよ。こういう複雑な免許制度が必要であるかどうか、私はこういう点から考えて、もつと免許制度を簡単にする必要があるのじやないかというふうな考えを持つておるのですが、文部省のほうとしてはこういう点については何らかの御意見があるか、この際承わつておきたいと思います。
  8. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 免許法が複雑でありますという点につきましては、先般も御質疑がございましたけれども、これは主として免許法施行法について従来多く論ぜられた点であろうと思います。  従来、明治以来非常に多岐多端に亘つております免許制度本法に集約いたしました制度に切替えるに当りまして非常に複雑な規定と手続を要したのでございますが、この切替えは昭和二十七年に了しておりますので、実際現場における複雑さというものは当時論議せられたような状況ではないと思います。それから只今主としてお話になりましたのは本法の点であろうと思います。これも私どもといたしましては教育の実際がこれほどの級別を必要としない状況に至りますれば、もとより簡素化を可とするのでございますが、御承知のような状況が二二%かあるというような状況でありますれば、これを引上げるというような点において、やはり一年養成仮免許状の段階も当分の間は必要なのじやないか、又教員養成の常道からみましても、これは四年制度を原則といたしますけれども、なお二年課程に当分依存しなければならないというような状況からみますれば、まあ二級も当分は存置しなければならんじやないか、こういうような状況で全体の教育情勢の改善の推移と見合いましてできるだけ速かに更に簡素化したい、ごう心得るわけでございます。御承知のように教員養成審議会において今免許制度及び養成制度全面に亘りまして御審議願つております。養成審議会においては簡素化したいという御意図は十分持つておられますが、それをまとめて実施する機会は一方において高等学校以下の教育について教育課程審議会を今運営しておられる、教育課程審議会一体教科の立て方がどうなるかということが基本の問題でございますので、その教育課程審議会の成り行きを見合つてできるだけ速かな機会に更に免許制度全般について検討をしたい、こういう御意向でおられますので、我々といたしましてもそれらの推移を見まして成るべく早い機会免許制度全体に亘つて検討を加えたいと思つております。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは、こういう複雑な免許法ができたのは、これは私はアメリカの直輸入だと思うのですよ。日本の教育実情からいつて、このように細分をして資格を分ける必要はない、又分けてみても実際の教育上に、教育効果を挙げる上において利益がないと思うのです。ちよつと免許種類だけを我々が見るだけでも、これは容易じやないわけですよ。あの免許法を読んでもなかなかわかりにくい、そういう点からもつと簡素化する必要がある、全面的に免許法改正をやる必要があるというふうに考えておるわけであります。これは政府のほうでも、文部省のほうでも、その点については今研究をしておられるようであるということでありますから、一応私はその結果を期待しておるわけなのです。ですから、ここに出されておる改正の点については了承できる点もあるわけなのですが、もつと根本的な改正をするように一つこの際要望しておきたい。  それからもう一つは、この免許法改正の狙つておるところの第一條の三ですね、これは高等学校対象にしているのか、主として中学校対象にしているのか、どちらに考えを置いているのか聞きたい。
  10. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 規定性質といたしましては、許可免許状を要します部分、即ち小学校以外の高等学校中学校両方に適用するのでございますけれども、特にこういう規定を設けておりますのは、やはり実際の必要としては中学校のほうに多いのじやないかと存じます。と申しますのは、高等学校につきましては相当優良教員充実しかかつておりますけれども中学校におきましてはなお事実上二教科乃至三教科を持たなければならんというような現場の要請も強く、まあそういう点につきましてはこの規定が設けられることによつて更に便益が増すだろうと考えております。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで中学校教育において一人の教員が数教科亘つて免許状をとつて、そうして数教科亘つて授業をする、こういうふうなやり方が中学校教育としてはいいのか、或いは一教員が一教科に深く入つて行つて、そうしてできるだけ専門的な知識を持つて教育に当つて行くのが中学校教育としてはいいのか、そういう点の考え方ですね、文部省としてはどういう考え方を持つておられるか。
  12. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) この免許法機構におきましては、いわゆるメージャー・マイナー、まあ二科目はとられるわけでございます。と申しますのは、中学校高等学校教科に細分されてはおりまするものの、やはり全体の教科総合関連という点も教育上非常に大事である。非常に狭い専門的な教養を受けた人が極く一部しか知らないで現場に臨むということより広いことを欲するというような趣旨もあろうかと思います。又本人がいろいろ職場において便宜に就職し得るという便宜も考慮されたことだと思います。ただこれは本人の側から申しますれば、まあ一つ、二つ、三つの教科の免状を持つことは、それは勿論結構だと思います。ただ教員機構の点から見れば、やはり教授力充実、又労働過重にならんというような点からいたしますれば、やはり一人が一教科中心として受持つのが理想であろうと考えております。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、一人の教員が多数の教科免許状をとるということは必ずしも望ましいことではない。ちよつと語弊があるかも知れませんが、一人の教員が多数の教科について授業をするというふうなことは、中学校教育については必ずしも望ましくないというふうな見解のように私聞いたのですがね。であれば殊更多数の教科免許状をとるようにする必要は免許法においてないのじやないか。むしろ一、二の教科があればそれを深く研究する、こういう方向でいいのじやないかと思われるのに、こういう改正を出して来ている理由はどこにあるのですか。
  14. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 本人の側から申しますれば、幾つも免許状を持つて別に差支えないのじやないか。ただ教育現場における定員が非常に少くて、一人が数教科を持つというような点は相当その本人苦痛を与える、こういう状況だと思います。ところで現在の状況を調べてみますと、中学校あたりにおきましては二教科以内の者が五二%、三教科の者が二四%、四教科以上の者が二三%もあるわけでございます。  こういうような現状からいたしまして、従来教育の実際の上からやはりこういう便宜免許法において開くようにという御要望も伺つておりますので、そういう途を開いたわけでございます。途を開いたからといつて、このために一人に数教科を持たせるというような態勢が更に促進されるということはもとより好ましいことだとは考えておりません。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今四教科以上を持つておる者が二三%に及んでいるというふうな説明があつたわけでありますが、実際中学校教育でそんなに多数の教科を受持つてつて行くということは……、そういう実情を改善する必要があるというふうにお考えになつて行くか、どうですか。
  16. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) もとより私どもといたしましては、先ほど来申上げておりますように、やはりそう多数教科を一人が受持つということは中学校高等学校のあの教科を細分しております教育といたしましては適当でないと考えております。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、そういうことを改善して行くということと、この免許法の第三項ですね、ということとは私は矛盾しているように一見考えるのですがね。
  18. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) その現状が明日、今日解消してしまえば、こういう方法をとる必要はないと思います。併し実際においてそういう事情であるといたしますれば、二教科を持ち三教科を持つ人が十分にその実力を備えなければならんじやないか、その意味にむいて、この第一條に三項を設けまして、新たに教科を殖やす場合に容易にその免許状を取得する途を開いたわけでございます。若しこの途を開いてないといたしますれば、本人といたしましては相当多くの単位をとらなければならんというような苦痛も現実の問題としてあるわけでございますから、飽くまでもこれは現状に即しました改正でございまして、将来先ほどお話申上げましたように、免許法全面改正の時期までにこうした実情が若し解消しておりますれば、ごとよりこういう点につきましては又再検討いたすべき性質のものだと考えております。
  19. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それからやはり第三項に関係をしておるのですが、この受験者人物、それから学力及び身体について検定をやつて行く、こういう趣旨でございまするが、これは不必要な部分が入つておるのじやないかと思うのですね。これは誰か質問されておるかも知れませんが、こういう点についてはすでにに一つ教科検定の際に十分検討されておる問題だと思います。それを改めてなお人物及び身体についても検査するのだという趣旨はどこにあるのですか。
  20. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 検定をいたします場合には、常に何度検定を受けましても、その際に人物学力身体及び勤務成績を聞くわけでございます。この場合におきましては勤務成績という部面を省略いたしました。と申しますのは、普通の検定上級免許状をとることが多いので、その意味において勤務成績というものを勘案したのでございますが、この場合には今まで教育の経験のない新らしい領域をとるので、それについて勤務成績は要らんということで省いたわけでございます。それから人物学力及び身体学力はこれはどうしても新らしい免許状をとるためにこれはやらなければならんと思います。それから人物身体、これは何と申しますか、やはりこういう検定という一つ行政行為教員資格を与えるわけでございますから、やはりその場その場で人物というものは考えなければならんと思います。身体によりましても、これはやはり教科においても、例えば体育あたりにおきましては特別に考慮する或いは図画あたりであれば眼の色感の問題、まあいろいろな問題があろうと思います。従いましてやはり身体というものも、健康状況が非常に変るものでございますから、検定の時期にはやはりこれは簡略できない要素だと考えております。
  21. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは厳重にやつて行くということは差支えないと思うのだが、併し現に一つ教科免許状を持つてそうして教育に携わつている。で、今度新らしい教科について免許状をとろうとした。体が少しく弱くなつておるから今度はやらないのだというふうなことは実際に矛盾しておるのじやないですか。
  22. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) この三項の場合は必ずしも現職についている人ばかりじやないのでございます。大学を出るときに二教科をとつた、或いは又その次に一教科をとるという場合もございます。  従つてその人物について教育委員会が非常に熟知しておるという場合のみに限らない。或いは他の県教育委員会免許状をとつて、又別の県教育委員会免許状をとるというような場合もございますから、とにかく授与権者でありますれば、とにかくそのときどきによつて身体状況はこれは常に変りやすいものでありますから、やはりその状況を知つてこの免許状を与えるということは必要であろうと思います。
  23. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これで中学校教職員免許の問題ですが、もう少し検定制度を復活したらどうですか。
  24. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) その点につきましては、小学校中学校高等学校を問わず今回改正いたしておりまして、これは後のほうにあるわけでございますが、新たに大学に依嘱いたしまして試験によつて単位を修得せしめる途を開いております。
  25. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それじやもう一つ私尋ねておきますが、この教育職員養成審議会ですね、これに諮問をして免許状授与の所要資格をさせるための課程としてのことが云々とあるのですが、教育職員養成審議会の構成ですね、それからこの審議会の性格、そういうものについて少し説明を願いたい。
  26. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 教育職員養成審議会文部大臣の諮問機関でございまして、文部省設置法の規定に基いて設けられております。教員養成或いは免許制度について御検討つて大臣に答申して頂く、こういう性格のものでございます。それで委員といたしましては、国立私立大学の教授、それから国公私立大学の高等学校中学校小学校の先生及び一般の教育者にあらざる学識経験者というかたがた二十数名を以て構成しております。
  27. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうするとこの審議会ですね、前に免許法審議会がありましたね、それがここへ発展をして来ておる、それで包含されておる、こういうものですか。
  28. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 大体さようでございます。これの前身が只今御指摘の委員会でございまして、更に養成制度も併せて御検討願いたいという意味で、かような委員会に改組いたしました。
  29. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この構成の問題ですけれどもね、免許法審議会の構成については、かなり各種いろいろな団体から人を集めて来ておつたと思うのです。教育職員養成審議会についてはそういう配慮はなされておるのかどうか。
  30. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) これは何と申しますか、専門の学識経験をここで期待いたします審議会でございますので、そういう意味において、先ほど申上げましたように国公私立を問わず又普通課程、職業課程を問わず、又小学校中学校高等学校を問わず各種各様の教育の実際家或いは学識経験者というものを網羅いたしております。ただそういう性質の諮問委員会でありまするので、別に或る団体の代表という意味において代表意見を引つさげてお入り頂くという期待はいたしてないのでございます。
  31. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これはいろいろ中央教育審議会の場会もそうなのですがね。どうも文部省考え方は狭いと思うのですよ。あの場合でも結局はいろいろ民主的な団体の代表者も参加させる、こういう答弁を政府はしておるわけなのですがね。ところが実際作ると、そういうことは全然考慮されない。どういうわけでそういうことをいやがるのですか、一つ率直に言つてもらいたい。
  32. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 別にいやがるという意味じやございませんけれども、やはり専門の委員会でございますから、専門の学識経験、その人の学識経験に頼る、而もその人を各種各様な方面から入つて頂くというわけであつて、その人が別に或る団体なり或いはグループの代表意見を提げてお入り頂かないでもいいのじやないか、こういう考え方でございます。
  33. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 併し中央教育審議会の場合は、はつきりそうするのだ、こういうようにおつしやつてつて全然してないわけですね。どうも僕は議会で言つておることと文部省でおやりになることと食い違つて来ておると思う。なんでそんなに食い違つて来るのでしよう、法案を通すときは通るように答弁をやつておいて、あとは我々の考え通りやるのだ、こういうふうなお考えですか。
  34. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) この教員養成審議会につきましては、別に文部省設置法の場合にも別にそういう御意見、お約束もなくて我々は最初からそういうつもりで運営して参つて来たつもりなんでございます。中央教育審議会につきましては、ちよつと私からお答えいたすのも如何かと思いますので、差控えます。
  35. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 誰から……。
  36. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 政務次官から……。
  37. 福井勇

    政府委員(福井勇君) 荒木委員さんに、今ちよつと委員長と話をしておる間になにしましたので、もう一度ちよつと教えて頂きたいと思います。
  38. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部省はいろいろの委員会があるわけですよ。ここには教育職員養成審議会というものがあるわけなのです。又前の国会できまつた中央教育審議会というのがあるわけですね。  我々としてはこういう法案審議する際に、できるだけこのメンバーには、この構成委員の中には、いわゆる端的に言えば日本教育職員組合とか、こういうふうな団体の中からも適当な人があれば一つつて、そうして会を運営するようにしたらどうか、こういうことをしばしば言つておるわけなのです。で、地方教育審議会の場合は、これは特に名前まで挙げて政府に質したところ、そういうふうにいたしますということが答弁されておるわけなのです。ところがさて発足してみるとそういうことが全然考慮されない、こういうことは僕は遺憾だと思うのですがね。そういうことについてなぜ法案のときにはそういうふうな答弁をなされ、実際はそれと食い違つた処置をされるというのは、どうも文部省考え方が私にはよくわからない。悪い言葉で言えば二枚舌を使つておられるような恰好になるのですがね。そういうことがないように議会で表明されたことは実際の処置に当つてもやつてもらいたい。できないなら議会でもおつしやらないようにしてもらいたいというのが私の質問の内容です。
  39. 福井勇

    政府委員(福井勇君) 荒木委員よりの御発言の中に、若し、まあどの国会のときに、どの大臣のときにそういう答弁があつたか存じませんが、若しこれがあつたとすれば、約束を果さなければいけないことは当然でございます。よく前後の事情を、その当時を調べまして、勿論その御意思に副うようにいたしたいと思いますが、当時の状態の速記録その他についても十分こちらで調査することにいたして御報告することにいたします。
  40. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは速記録にもきつと載つておりますから、私はいつでも出せると思います。そのほか私立学校の評議員会ですか、あの法案審議したときにも同様な問題があつて、これは考慮されていない。どうもおやりになつておることがよくわからないのですがね。そういう点で教育職員養成審議会のメーバーについてもできるだけ僕は偏らないように広汎に一つ考えて、今もお話を伺うとかなり恒常的な審議会ですね性格は。設置法に基いてこれはできているのだということであれば恒常的な問題です。而も教職員免許についてやるのですから、教職員の一身上の利害に非常に関係をしておると思うのです。そういう点から考えて、直接利害関係者から若干数は入れて、そうして意見が表明できる、こういう運営をして頂きたいということを希望しておきたいと思います。私はこれで質問を終ります。
  41. 木村守江

    ○木村守江君 ちよつと簡単に御質問申上げますが、この教育職員免許法並びにこの施行法の一部を改正する法律案によりますと、僻陬地における小規模の中学校高等学校教員が、実際免許状のない者がある者と同様な教科の教授ができるというようなことになりますが、この僻陬地における小規模の中学校高等学校とはどういうようなところですか。
  42. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) まあ大体とり方でございますけれども、現在までにおきましても北海道とか青森、山梨、岐阜、兵庫、長崎のように山間部があり、或いは離島のあります僻地におきましては、この僻陬地の教員について養成の特殊の施設を都道府県教育委員会でやつておられる、大よそそういうような点でございまして、抑え方といたしましては例えば助教授、助教諭及び講師のパーセンテージが全国平均の二二%を切る、もつと切ると言うか、それを越して多いというようなところあたりを抑えて考えたいと思つております。
  43. 木村守江

    ○木村守江君 これはそういうふうに考えて来ると、私は免許法の精神が根本的に崩れて来るのじやないかと考えるのですが、これは少くとも荒木君が今まで言われたように非常にむずかしい、ややこしい免許法とい、ものをきめたのに、やはり僻陬地のところが多い県、即ち教員職員が二二%というような恰好で切つて、そうして無免許の人がその免許のある教科の教授ができるということになつたら、これは本当に免許法の根本精神を覆してしまう、そんなことだつたらどうせ免許法というものはもつと大まかにするか、免許法をやめたつて同じような結果になるのじやないか。私の考えていることは、恐らくはこの法案においては僻陬地の、或いは極めて少数の児童生徒きりいない、それから教職員も非常に少いというよううな場所に限つて特定なところにこれを許可するというように考えたのですが、今局長の話によりますと、これは僻陬地の多い県にそういうことを許すということになりますと、これは免許法の根本の精神に悖るものがあるのじやないかと思います。
  44. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) ちよつと言葉が足りなかつたと思います。お話が、今私が考えております問題が二つございまして、一つは僻陬地の今申しましたような全国平均以上に助教の多いような地方に対しまして、できるだけ速かにその助教員を上の免許状仮免許状に引上げようという意図の下に今御審議願つております予算に初めて盛りましたが、この僻陬地の教員養成の特別施設の助成費を今年から考えております。これは只今木村委員がお話になりましたように、そういう僻陬地の教員を正しい教員に一刻も早く直す、実際これが前提になつております。それは法文には出て参りません新らへいものでございます。それから法文に出ております当分の間都道府県教育委員会の許可を受けて免許状のない科目を受持つことができるのだ、こう規定いたしましたのは、今の免許法から言いましてもこれは助教諭免許状というものがあるのでございます。ですから、そういう場合に今の免許法からいつて教諭免許状をとらせればそれでいいじやないか、こう言えば言えると思います。ただ助教諭免許状をとるのもやはり都道府県教育委員会に申請し検定料を払つてこれを手に入れる、ただ検定料を払うか払わないかというだけで同じ許可いたします都道府県教育委員会において助教諭免許状に代つて当分の間止むを得ないと認めるときにこの処置をやらせるわけでございます。従いまして都道府県教育委員会がその県の状況を見て止むを得ない場合にこれを許すのであつて本人とか或いは学校だけの意見でやるわけじやございませんので、御懸念のようにこの制度を開いたからといつて特に無資格者が殖えるということにはならんのじやないかと思います。
  45. 木村守江

    ○木村守江君 こういうような実際の問題は、これはこの法案改正法案が成立しない前にも実際問題としてあつたと思うのです。それはどういうふうな取扱いをしておりましたか。
  46. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) その場合は、やはり本人免許状授与の検定料を払つて、それから助教諭免許状を得るのが法律の要求だろうと思います。今度は検定料を払わないで同じ授与権者から許可を受けるということになります。この本人のせいじやありませんので、本人に経済負担をかけるのは気の毒でありますから、こういう便宜方法考えたわけでございます。
  47. 木村守江

    ○木村守江君 只今この前に図書館法で提案者から説明があつたように、図書館司書教諭を置く、その司書教諭は、これは正規の専門的な教育をしなければならないと、そういうようにはつきり法案図書館法の中にも謳つてあるのですよ。そういうような場合に、こちらのほうの本家本元の学校教職員免許法がぐらつくような、免許権のぐらつくようなことになりはしないかというような懸念があるのですがね。
  48. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 御尤もでございますが、それは免許法施行法附則七項でございますか、そちらの関係にございまして、現在の教諭に対しまして十年間に認定講習を、或いは現職教育を行なつて免許状の切替をやつておるわけでございます。本年すでに五カ年を経過いたしまして、集積としては六五%の成績を示しております。あと爾余の年数を以ちましてこうした無資格教員が勿論なくなりまするし、教員教授力充実する、こういう計画が進められておるのでございます。
  49. 木村守江

    ○木村守江君 これは実際問題として現在の助教諭で以て担当しておるというのと、この法案を作つてこれは免許のない教員を以て担当せしめるということでどういうふうな特典がありますか。
  50. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 許可をいたしますのはやはり同様に都道府県教育委員会であり、都道府県教育委員会がどういう場合に助教諭免許状を与え、或いは今回のこの法律の許可を与えるかといえば、これは同じくやはり正規の教員を得がたい事情だと判定するのであり、その点は全く同一なんでございます。どこが違うかと言えば、先ほど申上げましたように、本人のほうで免許状を申請して検定料を払う必要がない、それだけのことでございます。
  51. 木村守江

    ○木村守江君 じやもうよろしうございます。この辺でやめましよう。
  52. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の木村さんの質問に関連をしておるのですが、この僻地の教育ですね。確かに教員が得られにくいと思うのですね。そういうことについて文部省のほうで僻地教育振興を図るために、今年の予算を見ると教員住宅の補助としてなんか一千万円ほどの予算を組んでおられる。この趣旨は非常にいいと思うのですがね、あのくらいでは到底住宅建設にも及ばないと思うのですよ。何かどういうような考えを持つておられるかこの僻地の。もうちよつと附け加えてもらいたい。今のお話のように僻地は教員が得られないから資格のない者でもいいのだ、いいようにしてやろう、こういうことよりも、資格のある者でも行けるようにやはり考えなければならんと思うのですがね。そういう点についてどういう考え方をしておられるのかお聞きしたい。
  53. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) お答え申上げます。僻地教員養成につきましては、今御審議願つております新らしい予算におきまして、新たに予算を計上いたしまして、これは三百余万円でございますが、全国十一カ所に僻地教員養成、これは助教員を一年養成仮免許状を与えるという助成金を組んでおります。そのほかに特にあの北海道におきましては、これは特殊事情でございます。昨年度も本年度も二年課程養成の定員増をいたしております。これは決して両者とも十分でないのでございますが、一面におきましてはこういう方法を以てやつておりまするし、又半面例の認定講習、現職教育をやります場合にも、特別にこういう点に僻地あたりの助教諭解消という点に留意して頂きたいとも考えておりますし、又漸次例の通信教育のほうも充実して参りまして、それから更に今回ここで御審議願つております新らしく試験によつて単位をとる途ができますれば、僻地あたりで従来認定講習、現職教育を受けるのに非常に不便を感じておられた向きも更に容易に上級免許状を取得するという途も開けるだろうと思います。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私は経済的な問題を考慮する必要があると思うのです。それを抜きにして解決するということはできないのじやないかと思う。その一つの例として、僻地手当というものを出しておりますね。ところがこの僻地手当というものが非常にベースの低い、たしか二千六百円べースぐらいのときの手当を大体そのまま踏襲しておるわけですね。ベースは五倍以上に上つておるわけです。ところが僻地手当のほうは陥没して殆んど上つていない、こういうことは私ら了解できないのですが、よく似た性格のものとして、若干性格は違つていますが、地域給の問題についてもこれは本俸が上れば上るようになつておるのですよ。僻地手当は額がきまつてそのまを据置になつている。こういうことはこれは僻地に勤務している人たち、これは非常に気の毒なもんだと思うのですよ。こういうことは全然考慮されておらないのですか。
  55. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 僻地教員の優遇につきましては、お話のように差当りは本年度住宅建設に関します補助費、大体四分の一と見て一千万円やつと計上されておるわけなのです。なお手当の問題につきましては、お話のように確かに非常に低うございまして、文部省としてもその増額に努力はいたしておるのでございますが、思うようには参つておりません。ただ二十八年度におきましては、御承知のように従来百五十円から七百五十円という階段がございましたが、それを財政措置としては二割増の百八十円から九百円ということにいたしましたので、多少の改善は図つたつもりでございますけれども、併しお話のように全般の物価その他の点から申しますと非常に不十分でございまして、なおできるだけ将来努力は進めて行きたいと考えております。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いろいろ陥没地帯は多いと思うのですがね。これは僻地教育振興ということは僕は今の話からいつて相当多く取上げて行くべき問題だと思うのです。百五十円を百八十円に増すということは、今日の貨幣価値から言つて問題にならないと思うのですよ。倍数の倍数による増額をしなければならんと思うのですよ。特に百五十円をきめたのはまだ二千六百円ぐらいの給与水準のときにきめたのですからね。今一万三千になつておるのですからね。そのまま放つておくということは僕はむしろ残酷だと思うのですよ。これはむしろ文部省のほうでも骨を折つて頂いて、最近僻地教育振興会というのができて、私は余り知りませんけれども、地方視察に参りましても、僻地の教員諸君の叫びというものは非常に深刻なものがあると思います。やはりこれは経済問題だけでは解決できないと思います。併しこれも重要な一つの要素であるということを考えて、何とか私は僻地の教員をそのままにして免許状を与えるとか、或いは授業に当らせるというのじやなしに、優秀な教員も行けるように考えて行くべきであるということで、この際その点を特に要望しておきたいと思います。
  57. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御質疑ありませんか。本案に対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  59. 木村守江

    ○木村守江君 私は現在の日本の国内のいろいろな事情から勘案いたしまして、この教育職員免許法並びに同施行法の一部を改正する法律案に賛成いたすものであります。ただ希望條件といたしまして、先ほど来質疑いたしました通り僻陬地の教職員免許証を有しない者でも差支えないというような、飽くまでも僻地の教育が等閑されるようなことではなく、一歩前進いたしまして荒木君が言われたように僻地の教員に本当に公式な免許証を有する有資格者、立派な教員を送りまして、そして憲法に定められた教育本法に基いた教育機会均等の実を挙げられるように希望いたしまして、本案に自由党を代表して賛成するものであります。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も社会党第四控室を代表してこの法案には賛成をいたします。ただ現在施行されている教育職員免許法は余りにも複雑多岐に亘つておる点、これは決して教育実情に副うものでもないと考え、又教育効果を挙げる点からいつてもこういう複雑なものは必要としないというふうに考えておりますので、将来この免許法の広汎な改正要望いたしまして賛成をいたす次第であります。
  61. 相馬助治

    ○相馬助治君 現在まで行われて来た教職員免許法を施行してよりよきものたらしめようという理由を以て本法案を提案した文部当局に対して、一応その努力に対し敬意を表すると共に本法案に対しては賛成いたします。ただこの際申上げなければならないことは、この教職員免許法というのは施行の面においても複雑多岐で、案に多くの問題が存したことは荒木委員指摘の通りですが、より根本的な問題として、敗戦後の日本においてアメリカの教育使節団の勧告等を待つてなされたこの教職員免許法というものは、従来持つていた教職員免許というものを一応否定する形にし、新たなる認定講習等を経て単位をとつて初めて免許法が与えられるという仕組であつたために、その意図するところはよくわかるのでありまするのが、実際上の問題としてこの認定講習のために教職員が必要以上に疲れ、或いは必要以上にこの問題に時間を割かれ、ために学校経営を危殆に陥れたような事例が数限りなくあつたと思うのです。ただそういう問題を孕みながらも今日に至りまして、そういう問題は一応解消する時間的段階にまでなつたのでありまするが、これらの経緯を考えてみまするときに、何らかの機会においてこの教職員免許法というものをもつと簡素化して、抜本的に改正する必要があるのではないかと、かように存じます。ただ簡素化すると私の言うことは、教職員免許というものの制度をいい加減なものにせよというのではなくて、国情に照らして、且つ又将来教育のあるべき姿というものを照応して、抜本的な改正機会を一日も早く持つべきであると私は思うのであります。  次に申述べることは、それとやや食い違うような印象を与えるかも知れませんが、そうでなくて、私はこれ又必要な一つの筋であるとして申上げたいのでありまするが、今の教職員免許法は、大体大学にその責任を負つてもらう形によつて、大学における学習ということを基礎としてなされております。これは一応当然だと思いまするが、同時に私は曾つてあつたような検定制度を是非とも教員免許法の場合には附加えて頂きたいと思うのです。昔あつた検定制度というものが一応弊害という面もないではなかつたと思うのでございまするが、尋常科准教員検定に始つて、上は高等学校教員免許状に至るこの地方府県によつてなされる検定及び文部省によつてなされるいわゆる文検と言われるものが、学資なき向学心に燃える一般の人々は勿論のこと、教職にある者が勉学をし、希望を持つて教育に殉ずるという精神を深めるために果した功績というものは、没しがたいものがあろうと存ずるのでございます。これらの精神を是非とも次の機会においては当局は勘案せられまして、然るべき法的措置を積極的になされますことを私は希望、附言いたしまして、本法案に対し、社会党第二控室を代表して、賛成するものでございます。
  62. 川村松助

    委員長川村松助君) あと御発言ございませんか。別に御発言もなければ討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がないと認めます。  それではこれより採決に入ります。教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案議題にいたします。本案を可決することに御賛成のかたは起立を願います。    〔賛成者起立〕
  64. 川村松助

    委員長川村松助君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。  以下慣例によりまして行いたいと思いますが、事務的手続は御異議ありませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 川村松助

    委員長川村松助君) 御了承願つたことにして、慣例通り取計います。それでは順次御署名願います。   多数意見者署名     相馬 助治  高橋 道男     吉田 萬次  大谷 贇雄     剱木 亨弘  長谷部ひろ     横川 信夫  谷口弥三郎    大野木秀次郎  木村 守江     荒木正三郎
  66. 川村松助

    委員長川村松助君) なお、この際先刻荒木委員から申出のありました〇・二五の給与の件について、御質疑の希望がありましたが、この機会に荒木委員の発言を許して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 川村松助

    委員長川村松助君) 荒木君。
  68. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昨年の期末手当の問題に関係をしておるのですが、国会の要望等がございまして、昨年暮に国家公務員に支給される期末手当のうち、〇・二五カ月分増額することが政府のほうにおいて決定を見たのでありますそしてこの国家公務員の増額によつて、地方公務員である教職員に対しても、それに準じて行われるようになつたわけです。その際平衡交付金の増額が行われまして、私の聞いておるところでは、教職員及びその他の地方公務員の分を合せて四十億円の財政措置がなされた、これは議会においても言明になつたところであります。ところがこの期末手当の増額分が支給されておらない県がございます。私の確実に調査したところでは、奈良県がございます。私は奈良県まで参りまして、知事に面会をいたしまして、そうして支給されているのかどうかということを尋ねましたところ、実は支給はしておらない、こういうことでございました。これは私の了解に苦しむところでありますので、文部省のほうでも、この点は御承知であるのかどうか、御承知であれば、どういう措置をなされたかどうか、これを伺いたいと思うのですが。
  69. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 昨年の暮に〇・二五に当る給与の追加措置をいたしましたことは御承知通りでございまして、従つてそれに対する国として、たしか起債の増額を相当額いたしたと記憶いたしております。従つてそれに基きまして、文部省といたしましても国の基準に則つて処置せられるような通牒も出しましたのでございまして、大部分の府県におきましては、現在のところまでにそれぞれ処置されていると承知いたしておるのでございますが、確かに数府県においてまだそのことのないということも調査によつて承知をいたしております。ただそれらにつきましては、文部省として一応の通牒を出し、なお勧告はいたしておるのでございますけれども、これを強制する手だてがございませんので、監視をしつつ実は見ておる、その府県における善処を期待しておるというのが実情でございます。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、今の話を伺いますと、文部省としてもこの問題については善処するように知事に対して勧告をしておる、こういうことでございますが、その通りでございますか。
  71. 田中義男

    政府委員(田中義男君) さような期待をいたしておるのでございます。
  72. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、さような期待を、勧告をせられたことがございます、どうですか。
  73. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 個々の府県につきまして、そのための勧告はまだいたしてはおりません。ただ昨年の暮には御承知のようにさよう計らうように勧告を出したところなんでございます。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこれは議論ではなしに、実際に解決してもらいたいと思うのです。特に奈良県の場合はかなり周囲の県と待遇が違うわけです。従つて奈良から京都、大阪のほうへ出る教員が多いのです。こういうことになつている理由もそういうところに一部の理由はあると考えられる、特に国家が財源措置までしてある期末手当の増額分について、知事がこれについて何らやつておらないということはどうしても了解できないのです私は。そういう点で私は文部省はもう少し責任を持つてつて頂きたいと思うのですが、これについてどうでしようか、私は当委員会に諮りたいことがもう一つあるのですが、それはあとで……。
  75. 川村松助

    委員長川村松助君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  76. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をつけて。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私から要請しておきます。昨年末の地方公務員である教職員の期末手当の増額分については、まだ支給されていない県が若干あるようですが、これについては文部省として至急に調査をして頂いて、どういう理由で支給されていないのか、当委員会に一つ御報告を願いたいと思います。
  78. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今の荒木委員資料要求は私も賛成です。附加えてお願いしたいことは、ただ単なる事務的な数字の報告だけでなくて、できましたならばその地方の公共団体自身の支給しない何か特殊な理由等がありましたら、ありましたらです、これらについても概略御報告願えるような調査を要望いたします。
  79. 福井勇

    政府委員(福井勇君) 荒木委員並びに相馬委員よりのお話の通り、至急調査いたしまして、当委員会に至急御報告するように取計らいます。
  80. 川村松助

    委員長川村松助君) 午後一時まで休憩いたしまして、一時から再開いたしたいと思います。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後一時五十一分開会
  81. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは再開いたします。
  82. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 議事進行について申上げたいと思います。今日は市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、これを審議して今日は終つたらどうかと思いますが、議事進行について若干私は意見がありますから、理事会を開いてもらつて協議をして頂きたいと、こう思います。
  83. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今荒木委員の発言のように、今日は市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案で、議事の進行を理事会でいたしたいという御意見でありますが、どういたしましようか。
  84. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 荒木先生の動議に賛成いたします。
  85. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御意見ありませんか。荒木先生の御意見のように計らつて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がないようですから、さよう決定いたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  87. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案議題といたします。本法律案は、去る七月三日に提案理由を聴取いたしております。質疑は本日が初めてであります。政府委員が見えておりますから、御質疑のあるかたは御発言願います。
  88. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 勤勉手当というのは、どういう場合に支給するのですか。
  89. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 御承知のように、従来は年末手当一本でございましたが、国家公務員につきましても年末手当のほかに勤勉手当を支給することになりましたのと、それから更にその年末手当という名称をやめまして、前半期、後半期と分けまして、そうして期末手当として別に二回出すと、こういう改正が国家公務員についてもなされましたのでございます。従つて、それに伴つて市町村立学校職員給与負担法におきましてもさように改正しようと、こういうわけでございます。
  90. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 私のお尋ね申上げましたのは、勤勉手当、それはどういうときに支給なさるのですかと申上げたのでございます。
  91. 田中義男

    政府委員(田中義男君) これは年末に一度支給することにいたしております。
  92. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 そういたしますと、年末手当というものと勤勉手当というものはどういうふうに使い分けをなさるのですか。
  93. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 従来年末手当として一回限り支給いたしておりますものをやめまして、期末手当といたしまして、そうしてそのほかに年末に一度更に勤勉手当を出すと、こういう改正なんでございます。
  94. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それからもう一つ、二十八年度から支給されるようにすでに予算措置ができているらしいのでございますが、して見ますと、公立学校職員並みにこういう名目の下に支給されるといたしますと、予算総額は、これは幾らになつておるわけですか。
  95. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 大体○五、半月分を支給するようになつております。従つて、一カ月給与が国庫負担において約四十億ちよつと出ると思つております。従つて、その更に半月分になりますから二十二、三億になるのじやないかと考えております。
  96. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御質疑ありませんか。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の質問に関連しているのですが、勤勉手当ですね。これは本俸に基いてこういうふうにされたと思いますが、勤勉手当を支給する場合にはどういうことが考慮されて支給されるのですか。
  98. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 現在では、勤勉手当と申しましても、大体これは形式的に、本人の勤務目数等が主たるもの俗ございまして、従つて、それによつてこれを一律に客観標準で支給すると、こういうことに相成つております。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、病気等でかなり休んだというふうな場合は、勤勉手当は非常に減るわけですね。或いは或いは一年の半数くらい休んだというような場合には、勤勉手当は半分くらいに減ると、こういうことですか。
  100. 田中義男

    政府委員(田中義男君) さようなことに相成るわけであります。
  101. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで期末手当ですね。こういうものを夏或いは冬に出す趣旨を伺いたいと思うのです。というのは、私は今の公務員に対する給与は十分でないと思うのです。それで幾分でも生活を補助しようと、こういう趣旨から出ているのじやないかと思うのですが、そういたしますと、今の低い給与の現状ではその生活を保障するというような意味で、期末手当とか勤務手当とかいうふうに分けないで、一律は支給するようにするほうが適切ではないかと考えるのです。給与はかなり支給されておつて、それで十分生活が保障されているという場合には、やはりこういう勤勉手当という考え方も私必要かと思うのです。けれども、今のように非常に苦しい生活しかできないという給与状態では、そう差等をつける必要はないのじやないかというふうに考えるのですが、この勤勉手当も一律に支給するというふうには行かないものですか、どうなんですか。
  102. 田中義男

    政府委員(田中義男君) お話のよう知、現在の給与が決して十分ではございませんので、従つて生活を保障するという意味において、これに区別なしに支給するということも考え一つだと思います。ただ、だんだんと生活條件も戦後日がたつにつれまして落着いても参りつづございますし、従つて従来のいわゆる年末手当等よりも別個に更にここに勤勉手当という形で新たな手当を出すごとに相成りましたのでございまして、従つてその点から申しましても、さような措置をここにとられることになつたとするならば、一応この建前とすれば、勤勉、勤務地手当等において差別を付けるのも止むを得ないじやないか、かように考えております。
  103. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の説明を聞くと、期末手当と余分に勤勉手当を出すのだというふうに聞えるようにとれるのですが、そのじやなくてこの法案は年末手当というものを二つに分けただけですから、総額は全然殖えておらない、そういう性質のものじやないのでしようか。
  104. 田中義男

    政府委員(田中義男君) そうではございませんで、御承知のように期末手当は年末手当に相当するものを前後期に分けた額は又別にいしました、そうして年末に更に勤勉手当というものが別に出ましたそれをここに少し時期が遅れておるのでございますけれども法制化した、こういうわけなんです。
  105. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どうも僕の了解するところと少し違うのですがね、私もこれはもう一遍調べてみたいと思うのですが、この年末手当を期末手当と勤勉手当にただ分けたに過ぎないというふうに私は考えておる。これによつて特別に今までの率を増加しておるというふうには考えておらない。間違いないですか。
  106. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 昨年御承知のように年末手当のほかに勤勉手当が出たのです。そのうち年末手当を更に前後期に分けて期末手当として二回出す、こういうことにしたのでありまして、それに合うように、負担法に法制化した、こういうことなんでございます。
  107. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 僕も国家公務員法のこれに該当する法案を今持つておりませんが、調べないと……。では問題を変えまして、市町村立学校職員給与負担法、これは改正をするわけなんですが、この市町村立学校職員給与負担法の中には幼稚園が全然入つていないですね。併し現在の教育事情から見ると、幼稚園もこれに入れるようにしたほうが適切ではないかと私は考えておるのですが、何か文部省のほうでこの問題について御意見を持つておられるでしようか。或いは研究しておられるかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  108. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 幼稚園の教員の人たちが一番困つておりますのは、やはり給与の点でございまして、現在の市町村立幼稚園においては市町村負担となつております関係で、非常に給与の点で保証されておらない。場合によれば寄附もさせられるという実態をしばしば聞いておるのでございますが、従いまして、その安定を図り、なお向上するためには、是非府県費負担にしてもらいたい、かような声も私どももよく聞いております。確かに、かような状況の下におきましては県費が負担するのが望ましいと思いますけれども、これは、いろいろ財政負担関係もありまして、更にこの負担法に入れまいということは、同時にそれに対して国庫二分の一負担という、務義教育と同様の扱いをするという点等で、財政上の点から申しまして、これは直ちに実現するということには相場面倒な点もあると思うのでございますが、併し幼稚園教育の発展ということが非常に重要なことでございますから、従つてそういうような点についても将来考慮して検討して行きたい、かように考えておるのであります。
  109. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題でございますが、文部省としては、今日までにおいて何かこの問題について検討せられたことがあるかどうか、この際伺つておきたいと思います。
  110. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 幼稚園振興につきましては、全般的にも案は非常に強い要望もありましたし、当局においても幼稚園教育振興については随分検討を加えておるつもりでございます。それで、本年度、二十八年度におきましては、漸くこの設備費について、僅かではございますけれども一千万円ばかりの補助費を頂くことになりました。それによつて、少し手を入れれば相当充実できるような施設の幼稚園、或いは更に、新設しようとする場合に簡単に校舎を改造すればできるというような、特定のものについてのみ、一部これを補助するという道は開いたわけでございまして、従つて我々としても相当努力をいたしておるつもりではございます。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、文部省としては、将来においては幼稚園の教職員の給与についても都道府県の負担に持つて行きたいというふうに考えておる、こういうふうに了承して差支えございませんか。
  112. 田中義男

    政府委員(田中義男君) そういうふうにできれば望ましいと考えております。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の、できれば望ましいということは、文部省の御見解ですか。局長個人の意見ですか。
  114. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 私個人でなしに、我々としてそういうふうに話合つて行きたいと思います
  115. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題については一つ政務次官からお聞きしたいと思います。
  116. 福井勇

    政府委員(福井勇君) お答えいたします。幼稚園の件について荒木委員のお尋ねでありますが、特にこれが費用或いは教員の給与等に対しても国家から財政的の援助も得られるように各市町村が非常に強く要望して来ておる、それで、只今局長の申しました通り、そういう線に沿いたいと文部省としても期待しておるのが事実でございます。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この点は衆議院文部委員会でも質疑が行われたように聞いております。で、そのときには、かなり明白に文部省考えを述べられたように思うのです。今日聞くと、非常にあいまいのように私はとれるのです。そういうことが望ましいという程度か、政務次官のほうはもう少し強いようにもとれるのですが、衆議院文部委員会では、私どもの聞いておるところでは、二十九年の四月一日から負担法の中に入れるようにしたい、或いは入れるようにする、こういうふうな答弁があつたというふうに聞いておるわけです。今日はそれと比べろと大分違うのです。私としては非常に物足りない。だから政務次官、やはり率直におつしやつて頂きたい。
  118. 福井勇

    政府委員(福井勇君) 荒木委員のお尋ね御尤でございますが、普通幼稚園のほうの施設費及び教育の給与費について、すでに地方の財政平衡交付金においてその特別の交付金を配分する際に、幼稚園を設置する地方団体については特別の財政的考慮を払うことになつておりますが、それは無論十分ではございませんので、又現在の段階では明瞭でない点すございますから、それで今後更に有効な措置を講じようと今研究にも着手しております。従つて前申上げましたように強く期待し、まあ重複しますが研究をすでに進めておるで段階ございます。
  119. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これはやはり幼稚園教育振興という立場から、是非来年度から実施されるよう、強く要望をしておきます。  それからさつきの問題に帰りますが、私の質問の意味は十分でなかつたためかと思うのでございますが、この勤勉手当、これはやはりこの法案にもあるように、年末手当を期末手当、勤勉手当に改めるというふうになつて、年末手当を期末手当と勤勉手当に分けたに過ぎない、私はそういうように解釈するのですがね、さつきの説明では年末手当を期末手当とし、更に勤勉手当を特別に出すような説明でありましたが、そうなんですか。
  120. 田中義男

    政府委員(田中義男君) この文章を御覧になつて、そしてそういうふうにお感じになるもの御尤もと思いますけれども、この文章は、従来年末手当一つであつたと……。
  121. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ええそうなんです。
  122. 田中義男

    政府委員(田中義男君) それを更に期末手当、勤勉手当ということに、全文としてそれだけの文字をここに入れるということなんでございまして、年末手当を分けてそれが期末手当、勤勉手当になるという意味ではないのでございます。
  123. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 勤勉手当と申しますと毎月お出しになるのですか。それからもう一つはこの勤勉手当というのは、出席日数だけを標準にしておきめになるのであつて、そのほかのことは何も勘案をしないのでございますか。
  124. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 勤勉手当につきましては御承知のようにこれはいわゆる勤勉手当でございまして、従つてその者の勤務日数を基準にして、それを支給するということにいたしておるわけでございます。それで期末手当につきましては大体これはもう法律規定するところによつて一律にこれを支給する、こういうふうなことで支給いたしておりますので、さつさ申しましたが、勤勉手当について〇・五月分ですね、半月分、それから期末手当はまあ一カ月分、かように支給いたしておるのであります。
  125. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 その〇・五というのは、全部出席した方にはもう均一に〇・五をお渡しになるのであつて、欠席日数は差がございましよう。その差はどんなふうになさつて御計算なさるんですか。
  126. 田中義男

    政府委員(田中義男君) ここに細かいその一々の計算の基礎を持ちませんのでございますけれども、これについては客観的に綿密な案は逓減方式を作つておりまして、それによつて不公平のないように措置をいたしております。
  127. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それは毎月計算なさるんですか。
  128. 田中義男

    政府委員(田中義男君) これはやはりその期間を通じてなすように処置いたしますから、実施の事務当局でその基準に従つて計算をして支給すると思います。
  129. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 勤勉手当もそれじや期末に、その学期分を合計してお出しになるのですか、一カ月ごとじやなくて。
  130. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 各月ごとじやございませんで、これはまとめて支給するのでございます。
  131. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 わかりました。
  132. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御発言ございませんか。本案は対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  134. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの法案に反対をいたします。その理由は今の給与が最低生活を保障するに至つていない、この現状においては、期末手当と勤勉手当に分けて支給するという方法はよろしくないというふうに考えております。これはやはり勤勉手当の分も含めて期末手当として生活を幾分でも救済するという意味において同様に配分されねばならん、こういうふうに考えるわけであります。そういう意味において殊更に勤勉手当というふうに分類することにはちよつと承服しがたい、そういう意味で反対をいたします。
  135. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御発言ありませんか。
  136. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 欠勤いたしますにもいろいろやはり事情があると思いますので、ただ病気以外ものは一律にお考えになることは無理だと存じますので、欠勤なさつたときの事情を十分御考慮なりまして、やはり出席と認めなくちやならない場合が十分あると思いますので、その辺を十分手落ちなく御調査になることを希望いたしまして賛成いたします。
  137. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御発言ありませんか。
  138. 木村守江

    ○木村守江君 私は自由党を代表いたしまして、本法案に賛成いたします。理由といたしまして、国立学校教員、公務員等に倣いまして地方公務員がこれに準じた給与体系を受けるのが妥当と考えております。
  139. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御発言ありませんか。別に御意見もなければ討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案議題といたします。本案を可決することに賛成のかたは御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  141. 川村松助

    委員長川村松助君) 多数でございます。よつて市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案は、多数を以つて可決することに決定いたしました。以下慣例によりまして行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  142. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないと認めます。順次御署名を願います。   多数意見者氏名    大野木秀次郎  谷口弥三郎     深川タマヱ  長谷部ひろ     吉田 萬次  大谷 贇雄     剱木 亨弘  木村 守江
  143. 川村松助

    委員長川村松助君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後二時二十一分散会    —————・—————