運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-08-04 第16回国会 参議院 農林委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月四日(火曜日)    午前十時四十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            小林 亦治君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            戸叶  武君            松浦 定義君    委員外議員            島村 軍次君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林省農林経済   局農業保険課長  久宗  高君   参考人    社団法人日本畜    産会事務局長  横地 敬二君    社団法人日本獣   医師会常務理事  小松純之助君    農業共済保険   審査会審査委員  清澤 光躬君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法に基く家畜共済の臨  時特例に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○農林政策に関する調査の件  (水害地緊急対策特別委員会におい  て審査中の農林関係法律案に関す  る件)   ―――――――――――――
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から農林委員会を開会いたします。  本日は農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案を先ず議題といたします。本日はこの法律案につきまして参考人意見を求めることになつております。参考人は昨日も申上げました通り次通りであります。社団法人日本畜産会事務局長横地敬二君、社団法人日本獣医師会常務理事小松純之助君、農業共済保険審査会審査委員清澤光躬君。以上の五名でありまするが、最初に横地敬二君の意見を求めます。
  3. 横地敬二

    参考人横地敬二君) 日本畜産会横地でございます。只今審議になつております農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案について意見を申述べたいと思います。  結論から申上げますと、本法案の趣旨は誠に結構なところでございまして、本制度の成立についてはこれを希望するものであります。但しこれが運用につきましては、従来種々意見があるようでございますが、日本畜産会といたしまして二、三御意見を申上げて見たいと思います。死亡及び廃用共済がここに傷害疾病を加えてその対象範囲を拡大いたすということにつきまして、これは従来任意加入制度では疾病及び傷害共済が実施されてはおりますが、今回の改正によりまして実験法であるとは言え、相当強制的な面を含んで実施されることになりますというと、家畜共済の性格がここに著るしく変つて来ると思うのであります。それは従来は死亡及び廃用という限度において考えられて参つたものが、ここにいわゆる予防衛生的の見地からすべてが賄われて参るということは非常に大きな変化でございます。従いまして、これが運用につきましても、従来の運用では十分ではないじやないか、例えば予防衛生に関しましては、畜産局保健衛生所というものを持つております。勿論伝染病関係もございますが、伝染病以外に保健衛生所多分にこれを受持つておる。又行政系統から申しますというと、県の畜産課というものがこれに従事しておるという関係がございます。又更に家畜の平常の健康を増進して参るという面から申しますならば、家畜の飼い方、いわゆる飼養管理というものから出発して病気を予防するという面に考えをいたさなければならない、かような見地から申しまするというと、改良局改良普及員というものがそのような技術的の普及事業を実施いたしておる。で、これらが渾然一体となりまして、そうして平常から家畜の健康を増進するところの努力を集中して参るべきではないか、これがたまたま従来は死亡及び廃用に重点がありますために、中央におきましても、又地方におきましても、特に末端保健衛生所共済組合の経営するところの診療所というような関係が、むしろはつきり割切り過ぎておつたのではないか、これが今後においては範囲が拡大せられると共に、その面に能率的な、而も相連繋されたところの活動が保証されないと、この拡大された対象に対しての十分の効果を発揮し得られないのではないか、かような考え方がなされる次第であります。従来の一、二の例を申上げまして、これらの施設が十分に連繋がとれていないという例を申上げたいと思うのでありますが、それはたまたま残る県で診療所保健衛生所との連繋方式を相談したことがあるそうでありますが、たまたま所管が違うためにその話が成立しなかつたということを聞いております。  それから又これは牛の流感の際に共済系統情報が非常に早く中央に入手されたのに、たまたま行政機構関係で県の畜産課がそれにタッチしておらないために、畜産局のほうでは情報の八手が遅れたという実例があるそうであります。それでこれらが今後いわゆる予防衛生的な見地からの積極的な活動を必要とする場合には改善せらるべきところの要点であろうかと考えるのであります。  次に衆議院農林委員会におきまして、本法運用に関する附帯決議がなされておりまして、これを拝見したのでありますが、おおむね本法運用上適切な意見考えております。但し二、三、それについて私ども参考意見を申上げて見たいと思いますが、診療機会を均等ならしめるために、第二項にございます開業獣医師の取扱いでございますが、この文章の中に「必要に応じ、」という文句が入つておりますことと、それから有給嘱託制度を広く採用せしめるという文句が入つておりますか、今回の方式試験的な考え方で見ますならば、相当議論のありまする獣医師との関連は、これを少くも成るべく農民自由選択機会を多く与えまして、そうしてその結果が如何になるかということを見る必要があるのではないか。そうしますと、ここに「必要に応じ、」とありますが、もう少しそういうように開業獣医師に行きたい場合には、開業獣医師にかからせるような方法を講じては如何か、そのためには有給嘱託というのは大変結構なようですが、予算関係から言つても余り多人数を期待できないとすると、却つてその開業獣医師にかかるところの範囲を縮小いたすのではないか、勿論もつと広くして、必ずしも有給でなくてもよろしいのではないかという考え方が持たれました。それから本法実験法としての実施範囲の問題でありますが、これは数学的に論議はできると思いますが、実験法である以上は、範囲はやはり或る程度第一年には縮小して考えて見るべきではないか、従つて先ず五十万頭程度ということが適当であろうかと考えるのであります。  以上のような点でございますが、なおこれに関連いたしまして一言申述べて見たいことは、実は有畜農家創設事業に伴う新らしい家畜の導入について、昨年掛金率を一割引上げて徴収しておるという事実がございます。で、これは無畜農家が有畜化される場合に、多くは生活程度の低い農家でありまして、負担力が乏しいという農家に対して従来高いと言われる共済掛金の上に更に一割増徴しておるということは、これは頗る適切を欠いておるのではないか。聞くところによりますと、最近事故が減少のために相当余裕が生じておるというように聞いておりますので、この点は今後において一つ農家負担という点から、又農家の中でも特に貧弱な農家に対して多くの負担を強いることのないようにお願いをしたいと思うのであります。  以上私の本法につきましての意見を申述べたのでありますが、家畜共済につきましては、将来今回の改正に伴つて予防衛生的な見地から常時の飼養管理の改善から始まりまして、そうして疾病をできるだけ少くして、又従つて死亡或いは廃用を減少しまして、農家負担軽減、又家畜を増加する必要に迫られております。畜産振興の要請に応じまして、国としてもできるだけ家畜の損耗を少くするという必要に迫られておるわけでありますので、ますます家畜共済の内容を充実せしめて行くことの努力を必要とするのではないか、その際現在の農業共済制度による家畜共済というものが、或る程度の実績を積み重ねて参つておるのでありまして、その資料に基きまして今後幾多改善すべき点があるように思いますので、これはできるだけ早い機会にいろいろな点から一つ更に研究をして改正すべきところは改正をお願いしたい、かように考えております。以上で終ります。
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御質問はあとで一括お願いすることといたしまして、続きまして日本獣医師会常務理事小松さんにお願いいたします。
  5. 小松純之助

    参考人小松純之助君) 私日本獣医師会小松でございます。本案につきましては、日本獣医師会といたしましては実は従来ともに反対をして参つたのでございます。で、根本の一つの理由といたしましては、人間の人為的に生ずる家畜疾病に対し、天災であるところの普通の農業災害と同様に一つ法律の中で運営されるところに根本的な一つの誤まりがあるという見解の下に立つておるのであります。その次には、今回の法案あり方を見まするというと、又仮に共済あり方というものを考えて見ますると、とかく我々が考えて期待しておるような農民に対する深い愛情が足りない。もつと公平な、もうと広い、もつと深い愛情農民に持つて頂きたいということでございます。これは立憲政治の今日の民主憲法の治下にありましては、すべての人権の問題から行きましても、或る一部の者が特に一つの特権を持つて、他の者がそのために犠牲になるというようなことが自然の状態のままである場合にはまだやむを得ない、これを修正して行くのが、政治あり方だと私ども考えておるわけであります。ところがここに一つの強力な力を持つて或る一部の者が非常に大きな転廃業をしなければならん、失業状態に追いやられるというような場合がありましたならば、これは当然政治あり方として十分深甚なる御考慮をお願いしなければならん。こう存ずるのであります。殊に今回の共済の問題を見まするというと、どうもそういうふうな行政官庁のいわゆる共済を管轄しておられるお役所なり、そのほうの指導監督あり方が少し強引なやり方ではないかというふうに実は考えられておるのであります。で、その一つの、又農民に対する愛情の足りないという例証といたしまして、この家畜共済ばかりではございませんが、農業災害に関するすべての法律なり、或いは命令、規則なり、或いは指令なりこういう文書関係のものを拝見いたしまするというと、到底我々のごとき不敏なるものは一遍や二遍法案を見ましても、手続指令を見ましても了解に苦しむような実に繁文縟礼的な廻りくどい手続になつておるのであります。これが本当に農民の自主的な団体であるという看板の建前からしますならば、もう少し農民が見てもわかるような手続なり法律なりというもののあり方を示して頂きたい、こう存ずるのであります。従つて今日の農民共済という問題に対しまして知らないままに引きずられておるという傾向が非常に強い。従つて他農業協同組合或いは畜産組合というような組合組織組合員となつておる場合、恐らく他の農業団体に対する農民の親しさ、まあ親和力とでも申しますか、親しさというものと、この家畜共済或いは農業災害に対する親しさ或いは理解の程度というものは格段の相違があることは、これは私があえて申上げるまでもないことでございます。で、こういう点から言いましても、若し本当に農林御当局がもつと農民に対する親切味があれば、ああいうむずかしい法律手続をしないで、もつと簡単明瞭に、どんな農家のかたでも一読してわかるというふうな手続なり、或いは方法をおとり願いたいということでございます。何かこれはちよつと疑いまして邪推するというと、大変こうからくりでもあつて、そのからくりがばれると都合が悪いというようなために、殊更にいろいろな文書がむずかしくできておるというふうな、これは少し思い過ごしでございますけれども、そういうふうな傾きが多分にあることは、これは何も私一人の言うことではございません。  それから第二の問題といたしましては、これは保険金の支払の問題でございます。これは或いは獣医師会から、このことを申出ることは少し言い過ぎかも知れませんけれども普通死亡の場合におきましても、まあ早くても三月、普通六カ月、少し事故でもありますれば、一年、二年、こういうつまり保険掛金農家が受ける場合の時期的のズレというものを、もつと農家の実態を深く把握し認識されるならば、農家では農繁期において馬が倒れると、すぐそのあとあと馬を入れて農耕に従事しなければ農業経営ができない。三月も半年も一年もたつてから漸く保険金をもらえたというようなことでは、農業政策として、並びに社会政策として、看板は誠に立派でありますけれども、実際農民の受ける利益というものは実にこれは困つたものであります。こういうような面につきましても、もう少し行政官庁におきましても、又保険組合におきましても、農民に対する親切味があれば、こういうだらしのない恰好をさせておく必要がないのじやないか。実に情けないことじやないかと私ども考えておるのであります。  それから次には第三の、今回の直接私どものほうの身に響いて参つたところの家畜診療についての問題でございます。御承知のように、人間におきましてもそれぞれ外科とか、内科とか、或いは産科というようにそれぞれ専門がございます。獣医におきましては、更にその上に馬であるとか、牛であるとか、牛でも乳牛であるとか、役牛であるとか、或いは更に豚とか、緬羊とかいうような家畜がいるのであります。これらのそれぞれ異なつたところの家畜対象にし、病気対象にいたしまして、一人の獣医が如何に有能であつても、すべての動物、すべての家畜を完全に見て治療をしてやるということは、これは到底不可能であります。従いまして、現在千六百カ所以上に上るところの家畜共済診療所がございますが、そのほかに現在同じような開業獣医師が、むしろ共済診療所に勝るとも劣らない技術なり人員を持つておるところの開業獣医師が四千二百余名おるのでございます。これが分布状態を見まするというと、大抵開業獣医師のおるところに家畜診療所あとから建てておる。このことは当初から私ども開業獣医師全面嘱託をやつてお互いに協力して、要するにこういう施設を完全にやるためには、問題は人の和である。人の和を欠く以上は、こういう本当に農民に対するサービスということは完全に行かないのだ。だからしてどうかそういう点をお互いに協力してやれるように、開業獣医師無給で結構だから、全面的な嘱託にして頂きたいということはかねがね私どものほうから農林経済局のほうに申入れしてある。曾つて現在の農林次官でありますところの東畑氏が農政局長でありました時分に、その時分の我々の要望を入れられまして、全面嘱託指令次官通牒でお出しなつた。ところがそれが末端においては何ら実行されておらない。そうして次に開業獣医師というものは高いのだということを吹き込んで、そうして開業獣医師の排撃を企てておられるのであります。こういう事態が、これはまだ自然の状態で、現在の制度のままであればまだ自由競争の余地が多分に残されておる。従つて現在の状態であるならば我々は多少の犠牲が出ても、圧迫をこうむつても我慢する。ところがこれが臨時特例というような体裁のいい名前を借りて、そうして四千二百人の開業獣医師が今日の日本診療界から追放されなければならん、追放状態に陥らなければならんというような、国としての組織制度を設けられるということにつきましては、私どもどうしても承知ができないのであります。  その次に大きな問題といたしまして私ども考えられますことは、本来ならばこの家畜共済問題は私ども日本獣医師会のほう、それから共済協会のほうと、これは農林省外郭団体でありますから十分に話合をして、そうしてお互いに提携をしてこの事業を円滑に進めて行くというような方向に出なければならんはずのものであります。ところが私どもがいつでも陳情したり、交渉したり、相手にするのは、いつもこれは農林経済局、まるでこれは卑近な例をとるならば子供の喧嘩に親が出て来たようなものであつて子供はいつも親の袖の下に隠れて世間からの風当りをよけておる。そうして最も弱い団体である獣医師会が一番強い農林経済局と矢面に立つて交渉しなければならん。これは実にみじめなことであります。これでは到底私ども実は勝目がないのであります、本当を言えば……。こういう厖大なる組織機構を持ち、政治力を持ち、金を持つておるそういう人たちと、単なるたかがインテリの技術の僅か一万人くらいしかいない団体が幾らしやつちよこ立ちしても到底太刀打できません。できませんけれども、こういう強引なことで押し切られたのでは、これは延いては日本畜産そのものの基本的な基礎の上に大きな影響があるというところから、私どもはこのままでは見過ごされないというので、実は先般来いろいろ国会に向つて陳情をいたして参つたのであります。  その次、この法案臨時特例法案試験法案だということでやつておるのでありますが、実はこの法案がまだ通過しておらない。おらないにかかわらず、経済局ではすでにもういろいろな御照会なり、御指令地方にはお出しになつておるようでございます。そうなると法案通つても通らなくても、すでに法案の可決される前にいろいろな実際行動をやつておられる。こういうことは大袈裟に言うと、立法府と行政府との間における双方の立場とかあり方の上から言うても、これは少し行き過ぎではないかというふうにも考らえれまするし、又ほかの法律であれば、出てから更に施行細則を作つたり、いろいろな通牒出したり、法案が施行される間に三月も半年も間がある。ところがこの法案に関する限りは、もうすでに法案の出ない前からそういうふうなことをやつておられるということは、非常に不思議な考えを我々としては持つのであります。更にこれがすでに養蚕のほうに関する農地法の一部改正つたと思いますが、先般やはり農地法法案が成立されたように承わつておりますが、その際には衆議院でいろいろ御審議の上、更に参議院との両院協議会をお開きになつて、いろいろな附帯決議をお付けになつておられる。そしてその中で最も大きな問題は、昭和二十九年度におきましてはこれを基本的に再検討をして、そうしてよりよき正しき農業災害あり方を研究しようというふうなお話合になつてつたというふうに実は承わつておるのであります。ところがそういうお話合があるにもかかわらず、この家畜共済だけは、而も四千二百名の多数の開業獣医師犠牲を伴つておる法案を遮二無二ここでお通しにならなければならんということ、そのことにつきましても、私ども非常な疑問を実は持つておる次第でございます。  それから第四番目には、この法案がすでに六月の末に衆議院に上程いたされましてから後、日本獣医師会といたしましては、結局煎じ詰めれば農民獣医師自由選択権を尊重してもらいたいということと、そのためにいろいろな家畜特約診療制度、いわゆる特別賦課金をとつて特約診療制度を設けるということにつきまして、それをやめて頂きたい。少くとも現在経済局でお考えになつているところのAとBのイ、ロと、三つの法案のうちでAは是非やめて頂きたい。そしてBのほうでやつて頂いて、そしてこれは農民が自由に獣医師を選択できるようにし、又診療所附近開業獣医師無給でいわゆる全面嘱託をやつて頂いて、両々相待つて農民家畜を守つてやるようにして頂きたいという意味合陳情をいたして参つたのであります。ところがこれに対して衆議院農林委員会におきましては、六項目附帯決議を付けられまして通過されたのであります。この附帯決議を表面から額面通りに見ますというと、如何にも御尤もで体裁のいいものであります。併し掘下げて見ますというと、やはりAとBの口というものは二本建になつております。殊に全面嘱託というような問題は否定されて、そして或る特定のものだけを限つてこれに有給嘱託をするというふうな形になつて、いろいろ前後の文章は非常に飾つてありますけれども、とにかく問題は全面嘱託ではなく少数の有給嘱託で行くのだという考えは少しも御変更になつておりません。従つて仮にここに一つの、五人なら五人の獣医がおる。そこの真ん中に診療所がある。その中の一人だけを診療所嘱託にされてあとの四人がはみ出すということになりますというと、これは我々獣医師会立場から言いましても、又獣医の同業のよしみから言いましても、そこに非常なやはり人間的な感情的なトラブルが起つて参ることは、もうこれはいろいろな事例から見てすでに明らかなことでございまして、而もその有給の給料の程度というものはどの程度のものであるか。又これが予算案において果して通るものかというような、予算がすでに可決された後において、こういうものについての予算措置がどうなつておるかというようなはつきりした見通しがない今日におきましては、こういう点につきましても、私ども非常に実は疑いの目を以て見ておる次第でございます。従つて、できればこういう点も十分諸先生の御審議によつて、ただ名目だけでなく、実際にこの法がうまく運営ができるような条文にその点をお改めを願いたいと考えておるのでございます。  それから第五に、従来私ども家畜保険始まつたときから日本獣医師会家畜保険組合、これはその当時はまだ畜産局所管があつたのでございますが、その時分からやれ無料診療であるとか、いろいろな問題からいたしまして、当時からいろいろ交渉、折衝をいたして参つたのであります。併しながらそのたびに、実は私ども無力でもあつた関係もありますけれども、常になだめられたり、騙されたり、すかされたりというようなことで、殆んど我我とのいろいろな約束というものは、これは実際において守られたためしがない。殊にこれが農業災害と一緒になつて、局の所管違つてからこの方というものは、一向に獣医師会のほうでいろいろな点をお願いいたしましても、そのときだけは時には調子のいい御返事を頂くことがあるけれども末端に参りますというと、一向に要領を得ていない。こういうような点からし、まして、この法が若しも成立しますとするならば、これは元来試験法でございますから、これはもう試験の場合には、試験の立会の試験官もいるわけでありますし、又それを採点する教官もいるわけでありますから、そういう意味合においてこの法が果して適正に、又公平に行われるかどうかということについての監察委員会というようなものを設置して頂きたい。それには立法府参衆両院議員の諸先生、それから又農林省経済局長、それから畜産局長、更に共済協会長日本獣医師会長、これらの六つのそれぞれのポストから代表者出して、そしてこの試験が果して末端まで文字通り適正に行われておるかどうか、それを十分に御審議願つて、そうして今後の農業災害補償法なり、或いは家畜共済なりの制度は十分に農民のためにもなり、又共済診療所災害当時に開業獣医師の存在を確立して行くことができるというような方向に、非常に困難なこととは存じますけれども、そういうような方向一つこれを御活用を願つてつて頂きたい、こう存ずるのであります。  それからもう一つお願いいたしたいことは、この衆議院附帯決議の二の項目の点でありますが、これは先ほど横地さんからもお話がありましたように、「必要に応じ、」というふうな文句は要らないものだ、そうして「自主的な判断に基いて両者を自由に選択しうるよう開業獣医師有給嘱託制度を広く採用せしめ、且つ専任獣医師偏重となるような特別な指導方針を執らしめざること。」というこのあとの二行は殆んど要らないものであります。でありますから「両者を自由に選択しうること」ということだけで私はいいと思います。この場合において診療所から発行するところの診療券、この診療券には、少くともその診療所を中心にして、直径で三里以内ぐらいの所に住んでおる獣医師の名前は、ことごとくこの診療券の中へ書込んで、どの獣医師のところへ行つても料金は同じだ、どこへ行つて見てもいいんだというふうな措置を講じて頂くことを、この機会に特にお願いを申上げたい、こう念願する次第でございます。いろいろございますけれども、大体率直な考えは以上申上げた通りで、甚だ失礼なことも、お耳ざわりのことも申上げたと思いますか、実はこの問題につきましては、この法案が上程されて以来、殆んど寧日なく苦労しておりまして、而も少し興奮しておるような点もありましたが、その点はどうぞ御了承願いたいと思います。有難うございました。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に農業共済保険審査会審査委員清澤さんお願いします。
  7. 清澤光躬

    参考人清澤光躬君) 私情澤でございます。  この問題につきましては、私は結論的に、是非ともこれを一つ今国会において通過して頂いて、速かに一つ農民の希望を満たしてもらいたい、かようにお願いするものでありまして、これまで我々補償制度を通しましての共済事業に対しては、できる限り事業の簡素化、更に又制度の基本的な考え方が我々農民の経営、農業経営の中心といたしますところの物的、人的の一つあらゆる総合的な保険制度を確立してもらいたいということで、これまであらゆる機会にお願いして来たようなわけでありますが、たまたま戦後の農業保険制度から、一変いたしましての補償制度に変りまして、格別にも家畜共済保険制度がこうした従前の死廃だけにとどまらず、疾病或いは生産共済というような三つの内容が掲げられまして、この拡充強化がされた。我々この三つの共済が確立された当時、すでに死廃と疾病というものは、これは一連の関係を持つた、いわゆる共済のものである。あたかも農作関係について見ますれば、いろいろな災害が起る、或いは自然的な一つの病虫害等の予防的措置を講じなければならないという内容もある通り、この家畜疾病並びに廃用につきましての関係というものは、あたかも両輪のごとき内容を持つていることは、あえて申上げるまでもないことでありまして、従つてこの疾病につきましては、できるだけこれに加入しまして、そうしてこの制度によりますところの恩恵をこうむらなければならないわけでありますが、たまたまこれが政府の不十分から、かような恩恵をこうむることのでき得ないような事情にこれまであつたわけであります。疾病に関しましては、第一に死廃に関しましては、直ちに死廃になつた場合においての保険の給付があるわけでありますが、やはり診療の上から考えて見ますというとなかなか診療施設或いは配置関係等がうまく行つておらないために、十分なこれに対しての診療を受けることのできない地帯が特に長野県には相当あるわけでありまして、又これらに要するところの経費等もやはり相当かかるので、農家といたしましては、でき得る限り我慢して参るし、或いは馬も見殺しにするというような事実もこれまで繰返して来ているような次第でありまして、なおこれら一元化によりましての疾病関係についての或る程度施設を拡充し、これが全面的に行われることによりまして、共済事業の運営等というものが極めて合理的に運営がなされることに相成るわけでありまして、現在農家負担の軽減の一つ立場から考えて見ましても、この家畜共済保険料率が高いというようなことは、畢竟疾病傷害に対するところの十分な施設ができておらん、又その恩恵に浴すことができないために結局死亡率が増大して来る、掛金も増大することになり、やがて農家負担の増加を来たすというような、現実から考えて見ましても、むしろこの疾病傷害を基盤といたしましてのやはり死廃共済でなければならん。極めて彌縫的な内容であるだけに、この一元化の問題は早急にこれを一つ実施して頂いて、その態勢を一つつてもらうことにお願いするわけであります。長野県の事情から申しましても、国におきましては、二十二年度から四カ年の計画で獣医のない地帯に対しての診療所の設置に対して御助成を頂いて来ているわけでありますが、長野県の事情から申しますというと、只今家畜が八万五千頭あるわけであります。これに対して開業獣医が百一名ありまして、従つて診療所の数は少いのでありまして、診療所の内容は町村がそれぞれ話し合つて自主的にできているのでありまして、診療所が十七カ所、更に又連合会の支部の事務所に併設いたしているのが九カ所、計二十六カ所設置してあるわけでありますが、これらの地帯は国のやはり方針に基いての極めて開業獣医のないところでありまして、従つてこれは設置の上に対しましても、或いは又これまでの一元化をめぐりましての問題等につきましても、余りこの開業獣医さんのほうから、これら問題に対してのいろいろ内容がわかつておらない状況にあるわけであります。この疾病傷害共済の状況につきましては、この疾病傷害共済を実施するには、一般家畜罹病率は死亡率の十倍くらいである、いわゆる疾病傷害というものは少いものであるというようなことに見られていたわけでありますが、我々この事業を開始してから、その状況をつぶさに検討して見ますれば、恐らく罹病率は死亡率に対して二、三十倍に上つておるというようなことで、これらが過去の原因となつて、やはり死廃関係に非常な不合理な内容をもたらしておる次第であります。なおこの疾病傷害家畜死廃の一元化を行うことによつて、死廃は御承知のようにいわゆるその土地に事故がなかつた場合において掛金の掛損になつてしまう、いわゆる掛金がかけつ放しになつてしまうというようなことに相成るわけでありますが、この両者を併用して行くことにおいて、そこにはやはり診療的ないわゆるサービスをしてもらえるというような一つ農家にとりましては有利な条件がなされることであり、従つてこれに対しましての、この事業を通して極めて合理的な一つの運営が、体制が確立されるのではないか、かように考えるわけであります。  なおこの一元化問題をめぐりまして、いろいろな見方或いは考え方がされておるようでありますが、これが一元化することによりまして、勿論これは農家多分に希望されておる。殊にこの長野県の状況から申しますというと、何と申しますか、新興の酪農地帯でありまして、非常に先生がたの御心配して頂きました有畜農家創設の線に沿いまして、目下この乳牛その他大家畜の盛んに導入をしており、特に只今申上げたような乳牛につきましては、農の新興地帯に属するというようなことで、この一元化の問題については非常な期待を持つておるような次第であります。従つてこれが一元化の一応実施がされることに相成りますれば、容易にこの死廃、疾病等につきましての加入も増加いたしまして、結局増加して参りますれば、我々団体等によつてはこれをよくするということはできない。先ほど来からもいろいろ御意見もあつたように、これはそれぞれ官庁の関係、或いは又他の農民団体関係、或いは又これに直接携わつておられまする獣医師さんの関係など、あらゆる関係機関とのやはりこれは協力を以て、いわゆる協力一体化しまして、この事業の運行についての協力を願わなければでき得ないのでありまして、従つて只今申上げましたような疾病傷害がこれに入ることによつて非常に増大される。従つて非常に仕事が殖えて来るわけでありまして、やはり開業の獣医さんの立場から考えて見ますれば、これにやはり協力して頂いて、この方面の極力一つ完成の上に一段の、これまで以上の一つ力を添えて頂かなければならないような事情に相成つて来やしないかと考えるわけであります。  以上が、いろいろ申上げましたが、総括的に申上げますれば、農家にとつて家畜飼養上の経済的な問題、これは不安が総合的に更に又合理的に共済されるのでありまして、事故防止の上に非常な大きなプラスになる。なおこの危険率が低くなりますので、必然共済掛金が低減するというような一つの内容が持たれて来る。なお開業獣医師をも含めての獣医診療事業が非常に活撥となりまして、而も収入が確保されることに相成る。なお診療医学から一歩前進しまして予防医学への体制が作られることになるわけでありまして、更に又共済団体立場から考えて見ますれば事務費が非常に、事務費と申しますか、事務が非常に簡素化されて面も能率化され、従つて共済制度がこれによつて相当普及充実するのではないか。事務的な問題につきましても、くどいようでありますが、こうした両者の関係が結ばれておるだけに非常に事務に煩瑣を来たすというような関係が実際問題として起つておるわけでありますが、これらの問題も一掃される、更に又国家的の見地から考えて見ますれば、先ほども申上げましたように、有畜農家創設の重大な国家施策の上に対しまして、これを何としても推進して行く上におきましては、これに対しまするところの裏付がなければならない。その裏付といたしましては、やはり家畜共済事業でありまして、而もこれが一元化されておらないために、疾病によつて、折角家畜を導入しましたものの、再導入でき得ないというような一つの面をなすことも現われて来るわけでありまして、全くこれは国の政策の上から考えて、この有畜農業を助長発展させて行く上においての大きな一元化の問題は鍵ではないか、かように考える次第であります。初めにも申上げたように、我々農民といたしましては、極めて一つこれを早急に御心配願つて、法制化してその実現を期してもらいたいという非常な熱望を持つておるわけでありまして、ただ運用面につきましてのこれまで御意見のあつたような問題につきましては、これは運用上の問題で解決でき得やしないか、いろいろこれらの運用上の問題に対しましては、いわゆる渾然一体となつて、それぞれ関係機関が協力してこの事業を育成して行くことに相成りますれば、いろいろ心配されておる問題も解決されて行くではないかということを考えておるような次第でありますが、以上申上げまして私の御意見といたす次第であります。
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これにて参考人のかたの陳述は終りましたが、何か御質問がありますれば御質疑を願います。
  9. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今日本畜産会横地さんからいろいろお話のうちに、衆議院の修正案、附帯決議案につきまして第二項ですが、いろいろお話がありました。又皆さんのお話も総合的に言えばそういつた関係にありますが、私は横地さんの御意見を拝聴いたしておりまして、この家畜共済の特例を設けてやつて行こうというこの考え方に対しましては、先ず第一番に農業共済といたしまして、これを取扱う以上は農家の利益になるような問題でなければならんことは申すまでもありませんが、先ず第一番に家畜を、先ほどは飼養管理というお話でありましたが、飼育管理する上におきまして、これを一番先にやらなければ診療所が、或いは獣医師会が、如何に医師会が活動される場合におきましても、農家自体が家畜病気にかからないようにするということが根本だと思うのです。人間でも同じ、又植物も同じ、動植物も同じく病気にかからないことが先決問題で、かかつたものを治すということは第二義的の問題でありまして、そういう場合におきましても補償をすることが災害補償法でなくてはならん、こう思うのであります。従いまして診療所よりも先ず第一番に保健所と申しましようか、衛生保健所と申しましようか、この問題を先ず第一番に取上げることが最も重要ではなかろうかと私は思うのです。そこが何だか先ほどのお話では両方とも必要ないような話を聞いたように私は承わつておりますが、あなたはとにかく総体の事柄の上から行きましても、今までの御体験と識見を持つておられるわけでありまするから、これに対しましてそのお考え方一つ伺いたい。それからもう一つ。或いはこれは農林省のほうへ聞かなければならんかも知れないが、ついでですから伺いますが、保健所が各村にありますかどうか、このたびの法案で行きますれば、無畜農家を解消するならば、有畜農家家畜の導入ということにつきましては強く法律も布かれたわけであります。通過したわけであります。これに対して飼わして見たらば病気で皆倒れてしまつたというようなことになりましては、損をしたということを一度でも起させましたならば、家畜導入の意味はなさんのでありまして、安心してそこに衛生的な指導を何かする機関がありますかどうか、その点を併せて分市町村に今どういうふうになつていますかということも、日本全国の畜産会の事務局長であらせられるので、おわかりになつておると思いますから、その点も一つお話を伺いたいと思います。
  10. 横地敬二

    参考人横地敬二君) 私からお答えたします。言葉が足りませんでしたので御了解が十分行かなかつたと思いますが、私が申しましたのは、只今御質疑のうちにございましたように、家畜飼養管理ということから出発して予防衛生を徹底する、従つてまあその後に診療が来るという考え方であります。で、これを充実する方法として、どういうことを考えておるかという御質問と思いますが、話はちよつと逆になるかも知れませんが、今回のこの法案施行について相当問題になつておる開業獣医師との関係、それから又附帯決議にございますが、賦課金の問題、これは私の解釈では従来共済団体診療所というものが約一千六百カ所あるわけであります。で、それの経営の面から、共済団体としては或る程度今回の方式の実施によつて犠牲を忍ぶと言いますか、農民に自由に裁量させるという場合に経費が確保できるかどうかという不安があると思うのであります。そのために逆に言いますと、必要ある場合にしか開業獣医師にかけないというような形の考え方がなされておのじやないか、そこでこれは時限法あるから、その点は別途に経営の問題は考えて、そうしてこの家畜診療所というものを一番ふさわしき姿に、置くような形をとれるように、例えば診療所の人件費等の補填を国が考えたらいじやないか、そこでもう一つ今御質問にありました問題と関連いたしまして、家畜共済診療所は一千六百カ所もできておるのでありますから、これが仮にさような意味で診療所としての機能が仮に半分あればよろしいというような場合に、これを今お話のありました飼養管理から始まるところの保険面に活用したらどうであろうか。それからたまたま畜産局でも保健衛生所というものを持つております。これは数は現在郡にしまして約六百郡に対して五百十七カ所ございます。従つて数はこれは少いのでございます。たまたま先ほど私が又不明瞭なお話を申上げましたが、或る県で連携が考慮されたというのは、この保健衛生所の下に診療所がそういうような仕事に当るという形はどうだろうかという議がなされたのだそうであります。数から申しまして、それから又仕事の関係から申しまして、それも一つ考え方と思うのでありまして、又場合によつては更にこの診療所なり、保健所なりを増設するという必要もあろうかと思いますが、ともかくも現在あるこの二つの施設が連携し、又相補充し合つて、そうしてそういうような目的に使われるならば、相当の効果を発揮できるのじやないか、そこで先ほど来申しておりますように、今度は範囲が拡大されたについて行政的にも連携を十分なさしめると共に、さような施設を十分に活用して、そうして飼養管理の段階から出発する保健衛生というものを徹底したらよろしかろう、こういうようなことでございます。なお改良普及員改良局に所属いたしまして、飼養管理技術的な面倒を見ておるわけでありますが、これは私らの考えからしますと、数が非常に不足しておる、畜産関係技術員が非常に不足しておる。この不足を充実することが今後におきますところの畜産振興という問題を解決する上に非常に重要ではないか。従つてこの面の人員の充実ということも当然必要ではなかろうか、かように考えております。
  11. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちよつと横地さんに伺いたいのですが、その前に甚だ失礼ですけれども日本畜産会というのはどういう団体ですか、あなたのほうの役員はどういう人がやつておりますか。
  12. 横地敬二

    参考人横地敬二君) 日本畜産会はこれは社団法人でございまして、法律による特殊の団体ではございません。その会員は各種の家畜別に作られました農協法によりますところの全国の連合会、それから又各種の登録協会、そのほかに例えば指導連でありますとか、購連、販連というような畜産の仕事をやつておられる農協も入つております。大部分がさような畜産の仕事に携わつておられる団体であります。それから多少全国的に仕事をしております会社が入つております。又個人もこれは加入の資格が一応ございます。役員は現在衆参両院の畜産に関心を持たれておる議員のおかた、それから先ほど申しました各種の団体、会社の代表者、かようなかたがたが理事になつております。
  13. 河野謙三

    ○河野謙三君 会長さんは誰ですか。
  14. 横地敬二

    参考人横地敬二君) 河野一郎先生でございます。(笑声)それから副会長は岸良一先生でございます。
  15. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこで横地さんに伺いたいのですが、先ほど診療所とそれから保健衛生所と幾らか牴触する面があるというお話がありましたが、私もそれは非常にあり得ることであるし、非常に重大な問題だと思うのですが、こういうことは可能でしようか。仮に今後非常にこの共済についての国庫負担が殖えて行きますと、どうしてもこれは国家の事業の性格を持つて来るのであつて、今のような共済というようなわけのわからん性格のものでやるべきではなくて、国家直接に私はやるべき段階にもう来ておると思う。そういう段階に今の保健衛生所を拡充強化することによつてこの仕事を十分やり得るかどうか、これを私は伺いたいと思います。御承知のように、畜産局のほうでこの前家畜や保健衛生の設備拡充についてその法案出したときは、単に伝染病だけではなく種付けもやるのだ、診療もやるのだ、そういう理想の下に立上つて予算の要求をして今のような施設の拡充になつた。でありますから、私はこれは農林省に改めて聞くことなんですが、今日は参考人のかたで余計なことなんですが、一応述べれば、同じ農林省の中で畜産局経済局と全く抵触した財政投資を両方でやりつこしている。これは一本にしなければならん。これは併し私だけの考えであつて、これはどこまでも性格が違うのであつて、むしろ今の保健衛生所がその診療のほうに入るのは行過ぎだ。これはどこまでも伝染病だけにとどめておくのだ、そうして今のような疾病傷害その他については、やはり別個の、今の共済のような考え方で別に管理して行くのだ、こういうことなんです。これらについて忌憚なく伺いたいと思う。それを参考にして私は農林省に又別な機会に質さなければならんと思うのです。
  16. 横地敬二

    参考人横地敬二君) これは当つておるかどうかわかりませんが、私の考えを述べますと、只今河野先生からお話がございましたように、保健衛生所伝染病のためにのみ作られたものではないのでありまして、いわゆる繁殖とか、人工受精、又例えば駆虫というような面等、広く家畜病気を予防或いは治療するということのために設けられておるわけであります。従いまして先ほど来申上げておりますように、共済事業が拡大されますと、当然ぶつかり合いが起るわけであります。そこでこれは同じ農林省の中で系統が二つになつて、そうして何と言いますか、その系統別の施設が、それなるが故に協力を欠くということは頗る穏当を欠くではないか。たまたま片方は保健衛生所のほうは県の施設になつて、国が補助をしておる県営であります。片方はいわゆる農林団体の持つておるものである。そこにこの両者をどういうふうに繋ぎ合せるか。勿論これは私ちよつと抽象的に申したのですが、将来いわゆる家畜共済家畜保険という問題については根本的に国がどのように負担して行くかという考え方によつてきめられるのじやないかと思いますが、従つてそういう面からどういう結論が出るか知りませんが、取りあえずのところは、さような仮に片方は県営であり、片方が団体営でありましても、仕事の筋はこれを相通ずるような保健衛生所の陣容乃至施設共済の保健衛生面に繋げるということが可能じやなかろうか、かように考えておるのであります。それ以上の段階については実は根本問題から再度考えなければなるまいと、かように考えております。
  17. 河野謙三

    ○河野謙三君 それからもう一つ私は今度は小松さんに伺いたいのだが、小松さんの私は率直な御意見を伺いたいと思うのだが、その前提として、あなたのおつしやるように、今度この制度が立つたらおれたちはどうしてくれるのか、こういう問題が起ると思うが、これは議論の根本がこれはあなたは少し間違つておると思う。要するに病人のために医者があるのであつて、医者のために病人があるわけではない。あなたの先ほどの御議論は医者のために病人があるような御議論だつたが、私はそれはいかんと思う。やはり新憲法下において生活権の保障はあるのだし、ただ新らしい制度ができて、これは如何に農民が喜ぶからといつて、あなたたちを犠牲にして農民だけが喜べばいいということはいかん。この制度にいろいろ批判があるけれども、この制度がいよいよ議会を通過して運用される場合に、あなたのほうの獣医師会としては率直な希望というのは何か。例えば先ほど具体的に取上げられましたが、無料でもいいから全部獣医師嘱託にしろ、こういうところの一点にかかつておるのですが、それ以外に何かこの制度運用される場合に、獣医師会として生活権から出発してどういうところに要求があり、どういうところを修正したらいいか、これを一つ私は伺いたいと思うのです。
  18. 小松純之助

    参考人小松純之助君) お答え申上げますが、根本は要するに制度そのものということよりも、同じ出発点で同じように農民に自由に選択させるような組織、体制に持つてつて頂きたいということなんです。そうしませんというと、これは受ける農民のほうは、それから又獣医のほうの側でも非常にそこが何か人為的な特殊な差別を設けられるということは非常に困る、こういう点が一つであります。それからもう一つ、仮にこういう試験を行われる場合には、これを十分立法府においても監察して頂くような組織、機関を設けて頂かないというと、ただ従来農林経済局獣医師会との話合だけでは、実は経済局の言うことは信用できないと、これは従来のいろいろな経験から、そういうふうに感じておるわけであります。
  19. 河野謙三

    ○河野謙三君 いろいろ、審議会を作つて十分に監視を怠つてくれるなということは、その監視というのは、獣医師が余り犠牲にならんように監視をしろ、こういうことですか、それともあなたのおつしやることは私も非常に共鳴するのだが、この共済というものは非常にむずかしくて、やつている人だつてわけがわからない。まして農民なんて何にもわかりませんよ。私はよく言うのだけれども、農協の総会に行つて、そのあと農業共済の総会があるが、農協の総会では随分議論が出るが、共済の総会ではものの五分とかかつたためしがない。組合員共済が何であるかわかつているのは一名もない。だからあなたの言うように、共済というものは組合員そのものがわかつていないから、そこに従つて農村のボスの温床が一番にある。これは否定できない。そういうボスの温床になつている農業共済が過ちのないように役人或いは事務員を監視せよというのか、それともあなたのほうの希望する審議会は、獣医師会を圧迫しないような公正な運用をする審議会を作れとこういうのですか。
  20. 小松純之助

    参考人小松純之助君) それは両方です。
  21. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 私も一つつておきたい。有給でなく無給で奉仕するという考え方ですが、畜産会の事務局長も言われたし、あなたも言われた。これはちよつと私は筋が通らないと思うのです。あなたがたのような、それだけの技術を持ち、又これを真に利用してもらおうというなら、これはやはり溶け込んで一緒になつてつてもらわないでは、二元化しておつて診療事業の伸展ということは地方では行われない。上のほうでは話が付くかも知れないが、地方に行くとなかなかそれは行われないと思うので、無給でいわゆるサービスで結構だというお話は、先ほどあなたのお話の中に生活権の問題がありますし、そういうことは、実際あなたがたのほうから無給でいいなんて言つて附帯決議はこれではこういうところがまずいというようなことをおつしやつておるのですが、私は全部有給にして、むしろ嘱託なんかにしないで、一緒になつてつてもらいたい。それからあとは自由に、お宅でも診療することもあるでしよう。それは自由にしてもらいたいというのなら話はわかるのですが、片一方のほうは有給で、片一方は無給ということは、あなたの話はどう考えてみても納得が行かないのですが、この点をくどいようですが、伺いたい。
  22. 小松純之助

    参考人小松純之助君) お答え申上げます。現在も実は無給嘱託をやつておるわけであります。ただその場合に診療費がかかつた場合には家畜共済のほうにそれぞれ点数の制度がございまして、つまりそれによつて料金を頂戴するということになつておるわけであります。別に給料として毎月固定給として千円もらうとか、二千円もらうというのでなくても、無給嘱託であるけれども、やはり共済診療所獣医師にかかつたと同じような、やはり共通の点数で以て開業医に見てもらつて、そうして点数によつて料金をもらう。それが現在のやり方であります。ですから無給というてもただでやつているわけではございません。
  23. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 それはそうすると、薬価料とか、何とかというのでとるのですか、注射料とか、そういうふうなことによつて、これはやつておるのですか。
  24. 小松純之助

    参考人小松純之助君) そういうことであります。それは大体共済のほうできまつております。
  25. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 私はこれは余計なことですが、続けて伺いますが、まあ国民に対しても国民健康保健というものが非常に発達しまして、いわゆる国民大衆に対しても、今までの開業医というものはよほど優秀な病院でない限りはだんだん将来衰えて行くというのが趨勢だと思う。個人の衛生知識も発達して来て、お医者を選ぶ、選択する力も発達して来たと思いますが、そういうふうな事態になつて来ておる。これも開業の獣医のかたがたがやはり事態を見て、相当そういう方面へ入り込むようにして頂くことが畜産の診療の一元化であり、その目的が非常に達成すると思われるわけであります。それをただ嘱託にして、いつまでも元の何を守つて行くという考え方は私は両方発達しない。片方の国の診療所の政策も、先ほどこの保健衛生のほうと診療所の問題があつたわけですが、それでさえもうまく行かないのに、開業医と片一方のほうと同じことをやるのですから、それははやりつこないと私は思う。それでも思い切つて要望することは要望して、国のほうでも個人の生活権を擁護し、いわゆる人の和によつてつて行くというあなたがたのお話から行きましても、和ができていなければうまく行かんから、和の上から申しまして、和合するような方法で行かないと、先ほど来お話を伺つているというと、何だかおれのほう、おれのほうというようにちよつと聞えたように私は伺つたわけですが、一つもう少し大きく溶け込んで頂いて、あなたがたは先覚者であるわけですから、相当獣医師の中でも立派なかたがたくさんおられるのですから、それが溶け込んで行つて、一緒になつて国の施策と共に家畜の振興、衛生から共済の方面まで共共に一つ知識を貸して頂くというような考え方でありますか、この点。
  26. 小松純之助

    参考人小松純之助君) それは勿論我々としましては、決して共済と喧嘩をしようとか、或いは開業獣医だけが栄えて行けばいいのだというような考えは毛頭持つておりません。ところによつては、それがやはり開業獣医共済診療所とが非常によく提携して、うまくその事態をやつておるところもあるのでございます。うまく行つているところがある半面に、一方においては年中喧嘩しておつて、その農協の事務所に診療所があるわけですが、その診療所共済の事務所が一緒になつてあるわけであります。そうすると、畜主が行つて別の獣医のところに電話をかけて頼みに行くときに、農協にいる宿借りしている共済の書記がそれを差しとめて、何だお前は共済組合員でありながら、診療所を使わないでどこそこの獣医のところへ頼みに行くのはおかしいじやないかというようなことで掣肘を加えるという事実を私ども見たり聞いたりしておるわけです。そういうことをいつでもやつている、だからこういう試験方法を国の法律でそういうことが行われるということになると、そういう末端のトラブルを余計拡大強化して行くような傾向があるので、そういうことでなくして頂きたいというのがまあ念願であります。これは共済組合診療所獣医師日本医師会の会員であります。ですからこれは両方会員でありますけれども、国の法律で一方を強引に押し切ろうとされることが私の立場として困るということから反対しているわけであります。
  27. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 一緒になつてやろうということは一向差支えないですね。一緒になつて、あなたがたが嘱託なんと言わないで、診療所獣医としてやることは差支えないわけですね。
  28. 小松純之助

    参考人小松純之助君) けれども、それは四千二百人を診療所獣医に全部採用するということは、とてもこれは言うべくして不可能ではないかと思います。
  29. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 それはただそういうことで、無理に入れるというわけじやないですから、自由で、入る入らないで摩擦をどこまででもやつて行くという場合は、これはいたし方がない場合もあるわけです。これは仕方がないから全部入れろというわけでないから、総体としては入ることは結構ですね。
  30. 小松純之助

    参考人小松純之助君) それは結構です。
  31. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私も小松さんにちよつと承わりたいのですが、獣医のかたが一年に診療される平均頭数というのは、どのくらいになりますか。
  32. 小松純之助

    参考人小松純之助君) さようでございますね、これは実はまだはつきり統計的にとつたことがございませんが、大体昔から言われておることで、現在でも行われておることは、その一人の獣医のいる管轄区域内ですね、大体五、六百頭から千頭と見ております。それは地方によつて多少違います。まあ純然たる大家畜だけで立つて行くのは千頭でございます。昔は千頭、最近は犬がおつたり、いろいろな家畜どもおります関係で多少数が減つているかも知れませんが、大体のところは、千頭いれば、その中でやはり二割程度家畜が出る、一日一頭平均まで行かないでも、前の家畜がやはり一週間から十日というようなことになつて参りますから、大体その見当じやなかろうか、これは正確な統計ではありません、昔から言われた私どもの勘でございます。
  33. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 現在はそうすると、今この表で拝見して行きますと、先ほど小松さんのお述べになつたように、獣医師のかたが四千人、こんなようなお話つたのですが、そうしますと、獣医師のかたは、どつちかというと共済加入の大家畜だけから見ても、獣医師のかたはまだ不足しているように私どもは見るのでございますが、現実はどうでございましようか。
  34. 小松純之助

    参考人小松純之助君) 現実の面は、やはり必ずしも不足している所も、むしろこれは地方的に見て不足しているところもあります。それから余つているところもあるのです。ですから、それを全部平均すれば、大体とんとんぐらいのところじやなかろうかという気がいたすのでございます。ただ地域的に非常に急激に家畜が殖えて獣医師の需要が多いというような所とか、それから最近政府の施策でどんどん無畜農家解消というようなことでいろんな家畜を導入しておりますから、そういう地帯で獣医師は開業していない、そんな所は、診療所を建ててもらわなければならんというような所もあるわけでございます。
  35. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 実はこの表を見て思つたのですが、小松さんにちよつと承わりたい。そうしますと、診療所獣医師が全部で五百何十人、そうして診療所で扱つた頭数が五十六万頭、丁度今お話のように、千頭程度なんですね。そういたしますと、全国の共済加入の大家畜が二十六年で大体四百八万頭、そうしますと、むしろ診療所獣医のかたの見ておられるのが千頭前後、それから全国の獣医師の一人当りを平均しますと、まだ獣医師のかたに比べて少し頭数が……、これは失礼な話を申上げているのですが、大家畜の頭数に比べて獣医師のかたのほうが約二割くらい、二割じやない、大体とんとんぐらいに行つているのですね。そうしますと、ただ制度が変るだけだから、大して獣医師のかたの職域を奪うということは私ないのじやないかという気がするのですが、むしろおありになるということならば、診療所獣医師のかたがたと開業獣医師のかたがたとの何といいますか、そう言つちや失礼だけれども、収入と言いますかね、それに手加減があるというようなことで違うわけなんですか、収入の面で……。そういう面で、先ほどお話なつた生活権の問題というような意味になつて来るのですか、そこのところがちよつとはつきりしないのですけれども……。
  36. 小松純之助

    参考人小松純之助君) 現在の制度であれば、これは共済に入つておる家畜も、大体開業獣医師が見ているわけなんです。それを一種の特別賦課金をかけて、そうして共済の総会できめて、そうしてこの家畜診療には診療所を使うのだ、それ以外の所にはかからないというふうな申合せで行かれると、将来、今のままなら先生のおつしやる通りで一向差支えないことなんです。これが新らしいこういう制度になつて、そういうふうに一種の特約関係を結んで行くことになると、やはり農業組合の申合せなり、何なりに従つて行かなければいかんわけです。それから開業獣医にかかつた場合は、いろんな注意なり警告なりを与えられるということになると、ついやはり懇意な獣医がそばにおつても、共済に無理に入らなければならんということが現実問題として起り得る可能性が多分にある。過去においてもすでにそういう経験をなめているところから、こういう事情を探ることが非常に困るのだというわけです。
  37. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私ちよつと保険課長に承わりたいのですが、今の小松さんのお話もあつたのだけれども、この新らしい制度を拡充して参りますと、当然今の診療所獣医師だけでなく、現在開業しておられる多くの獣医師のかたの治療の御協力がなかつたら、この法案が実施できないような気がするのですね。だからそういう点はどうですか。
  38. 久宗高

    説明員(久宗高君) 只今宮本先生からの御質問でございますが、現在でも診療所だけでは到底診療に応じきれないわけでございます。当然開業獣医師のかたの広範な御援助を得なければ共済は実施できないわけでございまして、この点は一元化されましたのちにおきましても、当然問題が残りますし、特に家畜診療共済につきましては一元化によつて更に疾病傷害が伸びるということになりますと、獣医師も治癒する程度まで伸ばしたいと考えているわけであります。理由は、勧告されまして一応気やすく農家が受けることになれば、到底現在の診療所だけでやるということは数的にもできませんし、又質的にも特殊の部面については開業獣医師の御援助を是非欲しいと考えているわけでございます。
  39. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 小松さんにお尋ねいたします。先ほど小松さんが述べられたところから感ずることは、究極においてこの法案に賛成するのか、反対なのかということを私はお尋ねしたい。併しそれは終始お話になつてるところから見ると、この法案には反対であるばかりでなく、共済事業そのものにも非常な反対を持つているということでありますが、私らが今一番大切なことは、この法案に今どういうふうな一般の反響があるか、それぞれの立場の人から参考に聞くということが大切なのでおいでを願つたわけでありますが、はつきり一つ反対であるか、賛成であるかをおつしやつて頂きたい。
  40. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 小松さん、お答えになりますか。
  41. 小松純之助

    参考人小松純之助君) これは共済そのものの今のあり方に対してはいろいろ考えは持つておりますが、現在すでに行われていることに対して……。
  42. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 この法案に対して私は言つてるのですよ。余計なことを言わなくても……。
  43. 小松純之助

    参考人小松純之助君) 法案にはむしろ私どもは反対であります。    〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕
  44. 宮本邦彦

    理事(宮本邦彦君) ほかに御質問ございませんか。
  45. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そうすると、私のところに陳情書をあなたはこの前も三人でお出でになつて、この法案には賛成だから、こういう要件を実現するようにお願いしたいと言つて来たのですか、只今の公述とこの間私のところにお出でになつたときとは違うのですが、これを一つ
  46. 小松純之助

    参考人小松純之助君) それは我々の、つまり要望していることが全部御採択願えれば賛成するし、これがこのままで通られたのでは反対だというわけです。
  47. 宮本邦彦

    理事(宮本邦彦君) 私から小松さんにもう一言お尋ねしたいのですが、小松さんあたりの御希望というのは、先ほどのお話の御希望はこういうことがあつたのではなかつたかと思つて承わつたのですが、診療所に行くなり或いは獣医師のところに行くなりは、農民がですね、自由というようなことにこの法案はなつていると思うのですが、そういう点は小松さんとしては御希望はどうなんでしよう。
  48. 小松純之助

    参考人小松純之助君) それは本当に自由選択ができるようにして頂ければ、いろいろな内部的の工作や、陰でこそこそやるというようなことで掣肘を加えることもなく、本当に一緒にやるのだという気持で自由選択ができるようにして頂けば、それは勿論この法案を通して頂いて、その精神でこれは運営して頂ければ賛成なんです。ただそれがいつも只今までの例によると、言うたこと、或いは話した相談事が末端において完全に実施がきれないで、いろいろなトラブルがあつちにもこつちにも多かつたということでは、非常に困るということで、念を入れて監察制度みたいなものを置いて頂きたい、こういう希望なんです。ですから私どもの希望を全部入れて頂いて、本当に共済獣医師会お互いに協力してやろうということを、実を以て示して頂けるならば、我々は決して協力するにやぶさかではないわけです。
  49. 宮本邦彦

    理事(宮本邦彦君) 私から保険課長に承わりたいのですが、この法案は今小松さんの言われたように、自由選択ができるということに建前がなつているのです。従来は今お話にありましたように、とかく自由にできなかつた。何らかの事情で以てそういうことがなかなか行われがたかつた。今回この法律が仮に施行された場合、農林省としてはこの法案通り自由選択の趣旨が農民に徹底し、且つ獣医師の、今小松さんのお話になられた獣医師のかたがたのそういう御不便が解消し得るような制度の施行ができるとお考えになりますか。又特にそういう点について小松さんの御意見がありましたのですが、農林省で責任を以てというとちよつときつ過ぎるのですが、十分に御配慮願えるかどうか。その点について一つ意見を承わりたい。
  50. 久宗高

    説明員(久宗高君) 只今自由選択の問題でございますが、これがこの制度をやつて参ります骨子になると思うのでございます。そういう点から今度の一元化の法案におきましては、組合の本質論から申しますと、若干団体方面には異論があつたわけでありますが、あえて組合の決議によつて縛るのでなくて、組合の個人が自由に選択し得るということを明らかにしたのでありまして、法案の実施に当りましても、勿論その点を徹底いたしたいと考えているわけでございます。なお御参考のために申上げますが、ここまで参りますにつきまして、昨年秋以来非常にたびたび回数を重ねてこの問題は検討したわけでございます。その際にもこの点がポイントになると思いましたので、畜産団体のかたにも参加して頂き、更に全国の指導連合会の方々、つまり農民を代表したかたに我々の討議に参加して頂きまして、非常に討議を重ねた結果、遂に自由選択という線を打出したわけであります。法案の実施に当りましても、その点は従来の経緯から見て獣医師会のかたに御不審を持たれるのも或る程度御理由があると私考えるのでありますので、特に実施につきましてはその点を徹底いたしたいと考えるわけであります。
  51. 宮本邦彦

    理事(宮本邦彦君) 参考人のかたに何か承わりたいことはございませんでしようか。    〔理事宮本邦彦君退席、委員長着席〕
  52. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質疑ありませんか……。私から一点横地君に御質問したいのですが、衆議院附帯決議で五十万頭にしたことは適当である、こういう御意見の開陳があつたのですが、これは二年間実験して或る程度危険率の算定を求めたい、信憑性を高めたいというところから、実験法というところから見ると、むしろ計数の多いほうが信用性のある危険率が出て来ると思うのですが、それが五十万頭であることが適当であるという先ほどの御意見と、今言つたこととの関連はどういうことですか。
  53. 横地敬二

    参考人横地敬二君) それは実験を必要とする理由が四項目ですか、三項目挙げられているのですが、先ほど申しましたように、数学的には多いほうがいいと思いますが、ただ先ほど来いろいろ議論の中心になつてる点でうまくやつて頂くならば結構なんですけれども、そういう問題がありますので、実験という意味からは少し数が少なくてもいいじやないか、これはまあ数字的の意味でなくて、そういう意味で申上げたわけであります。
  54. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質疑ございませんか……。御質疑もないようでありまするから、参考人の陳述に対しまする質疑は尽きたものとしまして、これで終ります。どうも有難うございました。  午後は硫安関係法案の連合委員会がありますので、その連合委員会の散会後まで当委員会は休憩いたします。    午後零時二十九分休憩    ―――――・―――――    午後四時四十三分開会
  55. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは農林委員会を再開いたします。  水害地緊急対策特別委員会農林水産小委員長の島村軍次君から、目下その委員会で審議中の農林水産関係の水害対策の暫定措置の法令につきまして中間報告がございまするから、お聞きとりを願います。
  56. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 先般の当委員会におきまして、目下特別委員会において審議中の法律案については大要の説明を申上げておつたのでありますが、衆議院におきまして、法案立案の上昨日予備審査に付せられまして対策委員会において審議をいたしておるのであります。恐らく本日の本会議において決定の上本付託になると思います。内容については先般申上げましたのと大要同じでありますが、森田委員からの御要求もあり、その概要について極めて簡単な資料でありますが、お手許に配付いたしておりまする印刷物について御覧の上逐次御説明を申上げ、御了解を得たいと存じます。  第一が、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部改正であります。補助の対象補助率、小額工事、先般御報告申上げました通りでありますが、工事費三万円以上十万円未満のものについては、まだ衆議院との間の折衝が残つておるということを申上げておいたのでありますが、その点が三万円に決定して水害対策特別委員会に付託になつておりますので、水害対策委員会といたしましては、今回の災害の実情に鑑みまして、やむを得ざるものとして三万円以上十万円未満ということに了承をいたしておるような次第であります。  次に資金の融通に関する特別措置法に関しましては先般御報告申上げたと同様でありまするが、ただ利率の点につきまして、今回政令で指定さるべき北九州、近畿等の地方におきましては、被害の実情に鑑みまして利率を三分五厘といたしたのでありますが、今回の災害は相当広汎に亙つておりますし、被害の程度によつておのずから、違つて参るわけでありまするので、政令指定以外の地方については開拓地については五分五厘、その他の地方については六分五厘、一般の凍霜害並びに第二台風の例に準じて広くこの法律が適用し得る措置を講じた点が異なつておりますので、附加えて御報告を申上げたいと思います。  次に米麦の売渡の特例に関する法律案でありますが、この問題につきましては、なお水害対策特別委員会において検討中であるということを申上げたのでありますが、衆議院から別途法律案として提案されまして本委員会に廻付されております。それは異なる点は一般会計からの繰入れ、即ちこの被害農家に対して売渡価格を政府の買入価格とほぼ同様な価格にするという問題に関しましてとる措置に関して、その財源を食管の特別会計から求めるということでなくして、その損失額は一般会計から繰入れるという法律案に対して、衆議院と参議院の意見の一致を見ておつたのでありますが、その後衆議院におきましては、この条文を削除して参議院へ廻付されております。そこで私は昨日この問題に関して衆議院の提案者である衆議院農林の小委員会の綱島小委員長に伺いましたところ、この問題については約二億程度の金を要すのであるが、一般会計から繰入れるということは食管特別会計の性質上適当でないということから、或いは又財源の捻出等の点から一致の意見を見ることなくして、将来或いは食管会計で賄うか、或いは一般会計から繰入れるかということは大蔵省との間に十分の折衝をされた上で、できるだけ一般会計から繰入れることの措置を講じたいという答弁でありまして、当水害対策特別委員会におきましては、本日まだ保留いたしておりまして最後の決定を見ておりませんが、この措置についてはいずれ十分審議を重ねまして、或いは法律の修正をいたしますか、若しくは希望決議等によつて、従来の食管会計に影響のないような措置を講ずることにいたしたいという希望を持つておるのでありますが、審議の途中でありますので、或いは個人的意見に亙るかも知れませんが、さような経過のあることを御了解を願いたいと思うのであります。  それから次が、災害地域内の堆積土砂の排除に関する特別措置法が提案されておりますが、この問題については先般御報告申上げたと大体同様でありますが、そこに印刷物の第二項にありますように、農地並びに農業施設、林業施設及び漁港施設、こういうことを加えまして、漁港等に対して或いは災害のために非常なる堆積土を見、或いは非常な樹木の流失による漁港施設の損害等に対して、この排除の仕事を政令で定める地域内において執行するということにいたした次第であります。  以上先般御報告申上げました点と変つた点及びその後の経過を御報告申上げまして御了解を得たいと思う次第であります。
  57. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御質問なり御意見なりありましたら……。
  58. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 いろいろ有難うございましたが、ちよつと島村さんにお伺いいたしますが、そこに出ただけでも、この水害地の緊急対策に対しまする法律案は四つ、五つあるわけですが、それからどのくらい出るのですか、この法律が……。
  59. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 現在衆議院から廻付されました法案が十六件、それから参議院から衆議院へ廻付いたしました案件が現在では二件、まだ或いは出るかも知れません。
  60. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 農林水産に関しまするこの問題を、こういうふうに書いて頂くと非常に我々としては好都合なわけですが、是非今後も一つこれをこういうふうに主なところだけ、関係のあるところだけ抜いて一つまあお知らせ願いたい。法文が整わなかつたら、これだけでもいいから頂くようにお願いしたいと思うのですが、それからこれはすべて国庫の補助でやつておるようですが、県が負担をしたり、県が持つてつたり、国が持つたりして、これで行くというと県の持つのがこのうちで九割、十分の九を補助する。一番初めの農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部改正というところに、県が十分の九を補助し、まあ三万円以上十万円未満のものは県が十分の九補助し、国は県にその全部を補助するというと、県が出しましたのでなくて国が出したことになるのでしよう、これは……。
  61. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) これはかねて御承知の小額工事は非常に個所数が多く、国が全部のものを査定をし、或いは工事の、検査をすることは困難である。又人手が足りないというので、或いは平衡交付金にするか、又は県に持たせるか、こういうことで研究をいたしました結果、大体三万円以上十万円の工事については県で責任を持つてやらせる。その県でやつた工事に対してその全額を補助する。従つて九割の補助を国が持つ。こういうことになるのであります。
  62. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 私がこういうことを申上げてどうかと思いますが、県がこの査定を甘くしまして行きますれば、例えば八万円のものを十万円のものと見なして十分の九を査定いたしまして県が補助した場合には、国はそれをそのまま鵜呑みにしまして八万円のものを九万円やるわけですから、そこで楽にでき上つてしまうというような恰好になるわけだと思うのですが、まあそういう県知事がないとおつしやるならばそれまでですが、民選の県知事だと言つたつて、とにかくそういうことはないと私は言えないと思うのです。そういうことについては国が十分の九というのは何か随分おかしいと思うのですが、全額なら全額にしたほうが却つていいと思うのですが、こういうのはどういうことで十分の九ということをやつたのですか。九割……。
  63. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 工事の執行の問題はお話通りで、小委員会においても、本委員会においても相当議論も出たところであります。併しその割合は金額から言えば極めて少数であつて、ただ法律改正によつていわゆる水増しのものが出たり、或いは県が不当に工事費を増して来るというようなものに対しては全部を県の責任に持たせる。勿論国が補助するものでありますから、検査の方法については執行上農林当局に遺憾なきを期せしめるということより方法がないと思います。
  64. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 まあ私は少いよりも多いほうが結構でありまするから、そういう気持で十分の九であれば、大抵は県知事が査定する場合に十分の九というものは全額以上、全額以上と言つてはおかしいかも知れないが、十分だという意味でやるものと私は思いますが、無論委員会でもそういうふうなお考えで、これは十分の九と表面ではしてあるけれども、まあ全額補助だ、こういうふうな気持でやつておられるのですか。もう一度一つ……。
  65. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 十分の九は国が全額県へ出すのですから、工事の執行そのものはやはり十分の九で、負担率はおのずから種別によつて負担方法違つて来るわけです。
  66. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 一つお尋ねいたしますが、この資金のほうの関係で経営資金は施設復旧資金のところに三分五厘と六分五厘二通り出ておる。政令で定めるという今お話があつたのですが、どういうふうな標準でどちらに属するということをきめることになるのですか。
  67. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 政令の問題は要するに地域の指定ということだと思います。そこで衆議院の提案者の説明を承わりますと、「西日本及び和歌山、奈良両県を中心とする南近畿地方における」と、こう書いてあります。そういう説明であります。更に長野県における部分的のものでありますが、これも説明のうちに加わつております。これは法案成立後において執行上政令に委ねたのでありますが、各執行官庁において十分調査の上で決定されるものと考えております。
  68. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 そうすると、ちよつと今おつしやつた、随分広範囲なのですが、その中で県ごとにきまつておるのですか。
  69. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 郡町村までに及ぶかどうかという問題も昨日水害の全体委員会において質問したのでありますが、局部的に非常に災害を受けたということが区別し得るものについては、これも十分考慮のうちに入れる、併し小さい区域に及ぼすかどうかということはなお検討を要することで、いずれ政府のほうで政令の際に立案者によく協議のあるものと認めるという答弁でありました。
  70. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 如何に小さくとつて参りましても、三分五厘と六分五厘では大分開きがあるので、まあ画然とした境はないと思う。そういう点について十分一つ委員会のほうでも御研究になつて頂けたら結構であります。
  71. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 島村先生非常に御苦労願いまして、まあ農林関係としてはこれだけの手当をして下されば申分ないと思うのですが、ただ私どもこの災害の従来の経過に見まして問題になるのは、いつも決算委員会あたりで、あと災害は問題が起つて来るのです。で、今回の災害みたいに、こうやつて建設省関係農林省関係、いろいろな関係で以て数百億の災害復旧費が使われるというようなことになりますと、どうも工事が乱雑になる。扱いが速急を要するために乱れ勝ちなんですね。そこでやはり大事なことは、設計や監督やそういつた十分な手当をすることなのでございますね。そういうような問題に対して委員会で御意見が出ましたでしようか。
  72. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) お話の点は委員会でも相当論議が出ました問題であります。そこでこの措置を厳格に会計検査院等で将来問題のないようにするにはどうすべきかということは、結局するところ工事の執行場及び設計監督上の問題で、できるだけ末端の手足を十分持たして遺憾なきを期すべきだという論議が相当交わされました。それ以上に掘下げての問題はその程度でありますので御了承願います。
  73. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 まあ島村先生は、十分その間の事情は御存じでございますから、今後適当な機会にそういつた意見を具体化するような一つ方向に御努力をお願いだけ申上げまして、簡単でありますが……。
  74. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私から二点ばかりお伺いしたいと思うのですが、資料の第一の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部改正法律の恰好でありますが、今度の措置は今回の水害の極めて臨時特例であつて、そうなると現行法も暫定措置に関する法律と同じことになつてしまつて、暫定措置に関する更に暫定措置ということになるので、法律体裁としては一部改正でなくして、やはり今回の水害の臨時特例に関する法律として現行法を本年度の水害対策として更に特例を開くという恰好のほうがベターではないかと思うのですが、この辺如何ですか。
  75. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 最初お話のような意見がありまして、暫定措置に関する法律の暫定措置と、こういうふうな意見が出たのでありますが、法律を御覧願えばわかりますが、第三項に「昭和二十八年六月下旬から七月までの間に政令で指定する地域内において生じた大水害による農地等の災害」云々と、こういうことを明記いたしておりますので、性質上はお話通りでありますが、内容を見れば暫定の暫定ということがはつきりするのじやなかと、かような考え方で、衆議院のほうで提案されたことだと考えておるのであります。
  76. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 当然そうだと思うのですが、恰好として単行法のほうがいいのではないかというまあ希望を持つておるのです。まあ然るべく一つできるだけそういう方向で御審議をお願いします。  それから第二点は、これは前回にも私申上げたのですが、この被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案、これは売渡の対象が県でもあり、相当対象もはつきりしておるので前回にも申上げました通り、食管の売買会計を救済会計の性格を持たせることはどうしてもいかんというように私は考えるわけです。これは皆さん方の御意見を聞いておりませんが、間違いないと思います。たくさんの農家対象としてすれば、これはまあ事実上困難ということになりましようが、売却の対象が県であれば、むしろ食管で安く売るよりも、その差額相当額を県に対して補助したほうが私は方法としてはいいというふうに考えておるのであります。特にこれは食管会計というものが、今回の予算においても例の八百円の完遂奨励金も、これはあすこへ全部ふくらませて、問題をあすこへしわ寄せを全部しておるわけです、これで行けば特に一般会計からの繰入という条項が落ちてしまうと、八百円の完遂奨励金で約二百億近いものがあすこへ無理やりに押込まれてしまう。それに加えて今度は二億円というお話で、金額は小さいかも知れませんけれども、何でもかでもあすこへ問題を送つちやつて、差当つては食糧証券の増発で糊塗して行こう、これは私は恰好としては頗るまずいというよりも、筋が悪いと思つております。これは一つ重ねて、これは皆さんの御意見もあると思いまするが、そういうふうに是非ともこれはして頂きたいことを強く私は希望しておきます。  それから非常に細かいことですが、この法律を見れば、はつきりするかも知れませんが、玄米一石につき七千五百円というのは、食糧庁が全部国内米で配給できればいいと思うのですが、外米等を若干入れるというような場合に、外米もやはりこれは石当り七千五百円ということですか。その二点ですが、御意見ありますれば……。
  77. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 先ほど申上げました通りに、食管特別会計にしわ寄せすることは我々としても反対でありますので、昨日提案者である衆議院委員長に確かめましたのでありますが、私も同様な希望を持つて、或いは参議院において修正いたしまするか、或いは予算措置の問題でありますから、大蔵当局或いは農林当局の説明を求めまして、この点を十分検討を加えて、且つ究明をいたしたいという意向を持つております。場合によれば希望決議いたしまして、お話のような措置を是非とも政府において講ずるように委員会としては措置いたしたいと存じておるような次第であります。  第二のお話の点は御尤もでありまして、法案の第四条にそういう問題がありますから「玄米(三等)一石につきおおむね」という言葉を使つておるのです。まあこれでごまかすと言えば失礼でありますが、配給用の、或いは精米の場合もそうでありますし、お話のような点がありますから、衆議院の提案者の説明は「おおむね」ということで執行上の措置については差支えないように取計らいたい、こういうふうに思つております。
  78. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) もう一つ、この県に売渡すということですが、もう一つ県の指定する団体に売渡すこと、県費で負担するのであれば、これは県に渡すこと以外道がないのですが、県で更に負担をするということはないと思うのでありまして、そうすれば、例えば県のこれは農村に行く米でありますから、その県の経済連等を指定して、そこに売却して行くというようなことも実際的ではないかと思うのですが、これは県によつては、実際は代行させるわけじやないかと思うのですが、県又は県の指定する団体ということにはできないのですか。
  79. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 御尤もでありますが、すべてこれは農林大臣の裁量に任しておる法律になつております。第三条は被害の実際については市町村を通じて、その数量を被害農家程度をきめて、それで払下げる場合の方法及び場所、団体等については県によつておのずからルートが多少ずつ違つておるようでもありますので、その点は明記してありませんが、さようなことに御了解を願いたいと思います。
  80. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) まあお任せしたことでありまするから、できるだけ一つお願いをいたします。他にございませんか。
  81. 小林亦治

    ○小林亦治君 この三つの法律なんですが、施行期限を区切つてありませんか。例えば第二の法律案、第三の法律案なんというのは、これは極く短期の法律のような気がするのですが、その点。
  82. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 法律の施行は公布の日から施行になつておりますが、只今のお尋ねの点は、恐らくこの期限と申しましても、区域の指定が期限の指定になろうと考えます。そこで昭和二十八年六月下旬から七月までの間に政令で指定する地域内において生じたる水害と、こういうことが書いてありますから、従つて期限の指定が今回の九州及び近畿地方等の水害が主体である、それに限定されると思います。
  83. 小林亦治

    ○小林亦治君 つまり二年間ならば二年間、或いは一年間ならば一年間期限を区切つた法律であるかどうかということですね。それでないとちよつと不都合なところがたくさん出るのじやないかと思うのです。
  84. 島村軍次

    委員外議長(島村軍次君) その点はお尋ねの点と、まあ違うかも知れませんが、恐らく一遍にはやれない。従つてこの三年にまあ従来の例から行きますと、三年に亙る、続いてあとから出たものをどうするかというようなことにも関係があると思うのでありますが、現在まで考えられておるこの法律は地域の指定をやりまするので、それでお話のような点ははつきり限界が付くのじやないかと考えておりますが、なおお尋ねの点に合いまぜねば研究を進めることにいたします。
  85. 小林亦治

    ○小林亦治君 昭和二十八年の六月及び七月ということになりますと、地域の指定が非常に遅れた場合とか、或いはそれに対する行政施策、手当が遅れたというような場合、何年経つてもこの法律が生きて政府或いは地方がこの法律による義務付けられた行政をしなければならんということになりますと、年々災害が重なる場合に、非常にやりにくい場合、それからいずれを優先させるかわからんというような困難な場合が非常にあるかと思うので、かような性格の法律の場合には一年なら一年、二年なら二年という厳格な区切がないと、非常にあとになつて措置に困るのがたくさん出て来やしないかと思う。その点をお聞きしたのです。
  86. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 従来の例から申しますると、御承知のように三年ということに大体区切つております。併し予算関係で必ずしも三年に行つていない。そこで特別委員会におきましても、その従来の率、たしか三、二、二ですか、その割合を最初五割というふうに成るべく早くやるように予算措置をやれと、こういうふうな希望で今度の予算を組む際の問題にかかつて来るのであります。
  87. 横川信夫

    ○横川信夫君 私遅れて欠席しておりましたので、ちよつと一つお尋ねしたいのですが、この特別措置法の第二項の農地並びに農業施設及び林業施設及び漁港施設と、こうありますが、この漁港と申しますと、港に限定されておるかと思いますが、漁港のほかにあります漁業権の区域内におけるいろいろの……、これは実際は私は「あわび」の問題でありますが、和歌山県からたくさん木材の大きな株が流れて来たりする。これを掃海をやらなければ漁業がやれない。そういう場合にもやはりこれは国の費用でその掃海ができるということになるのでありましようか。それをお伺いしたい。
  88. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 「あわび」等の問題は委員会においても論議になつたのでありますが、なかなか認定がむずかしい問題で、例えば和歌山の材木が播州、兵庫県及び岡山県の宇野、高松の連絡船路にまでも流されておるというような実例もあるようです。そこで成るべく国か指定してこれらの控除をやる場合には、絞つて特別な措置を要するものについてのみ考えるということになつておるのでありまして、すべてを政令に委ねております。その点は執行上の問題になつて来ますので、現在法律の立法措置としては、さような程度までしか考えていないということを御了解願いたいと思います。
  89. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では大体もうよろしうございますか……。ではどうも有難うございました。   ―――――――――――――
  90. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 最後にお諮りをいたしますが、本日午前中御審議を願いました農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案、この法律案を大体政府からも詳細な説明を受け、本日参考人意見の陳述も受けましたので、この程度で小委員会に移して更に詳細に御審議願つて、その上で更に当委員会で最終の審議をいたすということにして、小委員会に移しますことで御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めましてさように小委員会に付託して審議を願うことにいたします。ちよつと速記止めて下さい。    〔速記中止〕
  92. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それでは小委員会は明日午前中にお願いいたしまして、成るべく一つ早く御審議を了してもらいたいことを希望いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会