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1953-07-31 第16回国会 参議院 農林委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十一日(金曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            小林 亦治君            松浦 定義君            鈴木  一君   政府委員    農林省農地局長 平川  守君    林野庁長官   柴田  栄君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (国有林野払下問題に関する件) ○請願及び陳情の取扱に関する件 ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会開会いたします。  日程に追加をいたしまして、国有林野払下問題について、かねてから小林委員から質疑の要求がありますので、この問題を議題といたします。小林君。
  3. 小林亦治

    小林亦治君 長官がお見えになつたようですから、この際簡単に伺つておきたいと思いますが、長官は御就任以来、この払下については非常に努力せられて成るべく安く、広範囲払下げてやろうという御方針だそうに伺つておるのですが、地方の実情を聞いたり、或いはそれぞれの団体に当つて聞いて見るというと、どうも高い。何とかもつと安いように計らい願えないものか。或いは規定改正によつて納付期間延長というようなことにできないかという陳情をしばしば受けておるのであります。そこで現在の価格はどういうふうであるか、もつと安くできないものかということと、払下代金納付についてもつと楽な方法が現段階で何かないかどうか、この点を簡単に長官に伺いたいと思います。
  4. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) お答え申上げます。林野整備関係いたします売払の評価基準の問題は、根本を時価ということに考えまして、而も基準を明確にいたしまして評価者の仮にも私意が入る、或いは評価の因子に不確定のものが入るということを極力避ける、こういうお考え方中央森林審議会において特に慎重に御審議を頂きまして評価基準を定めた次第でございまして内容を簡単に申上げますと、土地評価に関しましては、時価を現在客観的に裏付けする方法といたしまして、地方税法の第三百四十一条の第七号によりまする市町村に備えておりまする土地課税台帳に記載されておりまする価格をとるということにきめた次第でございますが、これは毎年その時価を、時価ということで毎年改訂をするということになつておりまするので、客観的な条件としては最も的確な時価という考え方なのでございますが、国有林につきましては、民有林場所関係等で必ずしもそのままを適用するということは不可能でございますので、近傍の類似の民有林基準といたしまして、その民有林国有林野の双方の土地の地味、或いは便、不便等の度合を一定の基準によつてグレイドを付けまして、その比例数値民有林地価に乗ずることによつて当該国有林野地価を決定する、こういう方法とつておりまするので、私どもといたしましては、現在地価評価基準としては一番妥当なものであるというふうに考えておる次第でございます。現在におきましては、農地法に基きまする未懇地買収基準の政令にも同一の方法がとられておりますることを申添えたいと存じます。更に林木価格評価につきましては、伐採利用できる林分につきましては、市場価格から逆算方式とつておりまするが、これは売買いたしまする林木に対しまする価格としては最も普通に使われておる方法でございます。ただこの際伐採利用の時期というものが相当問題になるのでございますが、現在森林法施行に基きまして適正伐期齢級、切つて売ることのできるという標準に適正伐期齢級というものを地方別に、樹種別に決定いたしておりますので、適正伐期齢級以上のものにつきましては市場価格逆算方式とつておるのでございますが、それ以下の林につきましては、市場価格逆算方式をとりますれば、伐期の不適正等関係上、必ずしも適正な評価が期待できないということで、この幼齢の林につきましての評価方法にいろいろあるわけでございまして、一つには費用化によりまする計算方式、或いは理論的に林分が適正な伐期に達しました場合にやられまする純収益の現在価の引き直し、即ち希望価計算方式があるのでありまして理論的に申上げますれば、希望価計算方式が正しいような気がいたしまするが、この際にやはり利率計算の因十として入つて参ります。この利率決定如何によりましては非常に大きな変動を生ずるのでございますので、大蔵省等においてもお使いなつておりまする希望価計算の同様の傾向を持ちまするところの実験数値からいたしまするグラーゼル方式を採用いたしまして、これを算定いたしておる次第でございまするので、算定基準につきましては、いずれも決して高過ぎるということにはならないと確信いたしております。従いまして若しさようなお話がめりました場合に、この算定内容について御不審でもございますれば、具体的に当該の営林署についてお調べを頂れということにいたしたいと存じまするが、なお御納得が行かない場合には営林局なり私どもなりへお申出を頂きますれば、いつでも御納得の行くように説明を申上げたい、かように存じております。なお若し万一算定に誤まりでもありますれば、いつでもこれを修正しなければならんかように考えておりますることを御了承願いたい、かように考えております。なおこの代金の支払に関しまして、いま少し簡便に、或いは容易に支払のできるように考えられないかというお話でございまするが、特にこの林野整備法におきましては、延期期間を普通の規定よりも特例として十ヵ年の延納を認められて法律規定せられておりまするので、これを或いは延納期間延長する、金利を下げるという問題になりますると、更に法律改正を要するということなりまするが、特例として特に延長を認められておりまするので、更にこれを延長することには相当異論があるのではないかというふうに考えられまするが、私どもといたしましては、延納担保を要する場合に、担保物を見出すことには相当困難であるというような事情もわかるのでございまするので、特に大蔵当局等とも御相談をいたしまして、売払対象物件そのものをそのまま担保物にお使い願つてもいいということまで御了解を得て措置をいたしておりまするので、その点も御了承願いたい、かよう考えておりまするが、私どもは総括いたしまして決して高い評価で売つているのではない、而も時価ということで売つておりまするので、最近のごとく木材、林産物の価格が相当上げ傾向にありまする場合には、却つて幾らか時間の経過を見ますると安く売り過ぎたのじやないかというような批判も受ける危険がありますので、その辺は十分に御相談をいたして進めておるつもりでございますか、余り不当に安くなるということになりますれば、直ちにこれを売払つて差額を出そうというような、これは大変言い過ぎかも存じませんが、さような原因を作りますると……、勿論これを売払います場合には、林野として合理的に経営をお願いするということで具体的に植伐の計画をお立てを願つて、それでやろうということで一応お約束をして売払うわけでございまするが、他の原因が強力に出て参りますると、そのお約束を乱して一時に伐採が促進されるというようなことを非常に恐れておりますので、飽くまでも適正な価格で処分をいたしまして、これを合理的に守つて経営をして頂くように特に注意をいたしておるということを申添えさせて頂きまして、お答えといたします。
  5. 小林亦治

    小林亦治君 そうしますと、現在の法律改正しなければ延納期間或いは金利の点の切替はできない、こういうことですが、担保物権として使うことを許されても金利が二重になり、非常に困難だと思うので、これは根本的にはやはりこの法律改正というほうに持つて行かなければならないと思うが、先ずその価格の点でやはり高かつた場合がなきにしもあらず、そういう場合にはこれは再調査か何かされて現在までに引下げた実例がおありになるかどうか、それを伺います。
  6. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 現在まで売払を完了いたしましたものに関しましては、不当であるというような御意見から再調査いたしたものは実はないのでございますが、勿論従いまして改訂を要するものは一件も起つておりません。
  7. 小林亦治

    小林亦治君 もう一点だけお伺いしたいですが、何か非常に当局としては慎重に払下げておるようなんですが、この払下げによつて何か町村の理事者が不正な行動をとるとか、或いはうまくない事態が起つたというような実例を聞いておるのですが、そういう場合にこれはどういうふうに処理されるのですか。
  8. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 具体的に起りかけた事例は二、三あるのでありますが、と申しますのは、払下をいたしまして、これを植伐の年次計画をお立て頂いてそれに従つて経営をする、こういうお約束願つているにもかかわらず、直ちに全林を売払つて金に換えようというような事例が出て参りまして、それは事前に実は私どもそれを発見いたしまして、直ちに当局のほう、関係庁当局のほうにその不当を申出まして、若しこういうようなことが行われるとすれば契約を解除するという通告をいたしまして、それは中止された事例があるのでございますが、その他にもさような情報も、一、二入つておりますので、直ちにこれを是正しなければならないというようなことで今調査をいたしておる事例も一、二ございまするが、そういう危険は全然ないとは言われないのでございますが、一応お買取り頂いたものでございまするから、どの程度までが不当であるということで我々は制限できるかということには非常な疑問を持つておりまするが、要は一時に折角樹林地なつておりまするのを固めて伐採されるということになりますれば、その後の治山治水の面におきまして必ず大きなマイナスを背負つて頂かなければならん、これを防止するために我々は十分に監視もし、且つ間違いなく実行して頂くことをお願いする、こういう考えでおりますることを申上げます。
  9. 小林亦治

    小林亦治君 有難うございます。   —————————————
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に請願及び陳情の件を議題といたします。当委員会に付託されましたものは、請願が七十六件、陳情が三十五件であります。一昨日御了解を得ました通り専門員の側におきまして予備調査を了しておりますので、予備調査の結果を報告をいたしまして採否をおきめ願いたいと存じます。速記を止めて下さい。    午前十一時二十一分速記中止    ——————————    午後零時二十九分速記開始
  11. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。それでは午前の委員会はこれで休憩いたします。   午後零壁二十分休憩   —————————————    午後二時四十九分開会
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これより委員会を再開いたします。  土地改良法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案は七月七日内閣より予備審査のため提出、一昨二十九日衆議院原案通り通過上、本院に付託せられておるのであります。この法律案提案理由は、去る七月十二日に説明を聞きましたが、大分時間もたつておりますので、一応政府当局から、この法案内容を簡単に御説明頂いて、引続いて質疑に入りたいと存します。なお本法案に関連して、農地改革の件について松浦委員から農林大臣出席を求めておりまするが、只今連絡中であります。出席されるかどうかまだ確答がありませんが、大臣が見えました場合には、関連質問松浦委員その他からされると思いますから、あらかじめ御了承願いたいと思います。
  13. 平川守

    政府委員平川守君) この土地改良法改正を行いまする理由は、主として土地改良に関する従来の法律手続は非常に煩瑣にできております。これは御承知のように、終戦後司令部監督の下にありました頃にできました法律でありまして、これらの手続の非常に複雑なること、或いは面倒なことを要求しておりますることにつきましては、これも一方から考えれば仕事を間違いなくやる、慎重にやるという意味におきまして、全然誤つたこととも言えないと思うのでありますけれども、併し実際問題として各地方で運用をいたしました結果、各地方において余り煩瑣に過ぎる、必要以上に煩瑣な手続を要求しておるという声が非常に強く上つて参りました、そういう意味におきまして、この手続の点を必要なる最小限度にできるだけ簡素にして行く。そして事業の円滑なる運営に資しよう、併し一方においてそのために非常に粗雑な事業になりましたり、或いは関係者の間の十分な納得を得る手続が欠けたりいたしましては困るのでありますから、そういう点には勿論注意をいたしておるのであります。要するに、実際運用いたしました結果、非常に複雑で手続に無用の時間とか、或いは労力を要する点を省くということが主たる狙いでございます。主たる点を二、三御説明申上げますと、法案の第五条、第六条等におきまして事業の適否の認定ということを規定しておりますが、これは従来土地改良区の設立に際しまして予備審査、本審査という二重の手続規定しておりまして、それぞれの審査に相当なる時間とやかましい手続とを要求されておつたのでありますが、実際問題としても、予備審査のほうは大体その改良事業というものが改良事業として適当であるかどうか、適切なる計画であるかどうかということを技術的に認定することが主眼でありまするから、いろいろな報告とかいうような手続を簡素にいたしまして、事業認定をするということにいたしたのであります。  それから第十八条におきまして、役員について土地改良区の運営上必要がある場合において、理事定数の五分の一以内、監事の定数の二分の一以内に限つて員外役員を置くことができることといたしました。これも実際の必要からいたしまして、従来これが非常に厳格になつておりましたのを、この程度までは置き得るということにいたしたのであります。  それから第二十三条でありますが、総代会規定でございます。現行法では組合員数が五百人を超える場合でないと総代会を置くことができない、これは実際問題として各種の決議の必要のために招集する手続関係が非常に不便でございまして、各地方の要望もこの点については強かつたのであります。これを三百人ということにいたし、又その総代の数も、従来の比率よりも総代数を少くする、ただ土地改良区のごときは、時によりますと、かなり大きなものがございまして、従来の比率でありますと何百人という総代を集めなければならん。そのため非常な費用も時間もかかるという場合もございましたので、これを簡略にいたしたのであります。もとよりほかのいろいろな団体の例なども見ましてそのために組合員の意思の反映に事を欠くようなふうにはならないように注意をいたして比率を定めたのであります。  それから第四十八条では、土地改良事業計画手続を簡素にいたしました。計画を変更いたします場合において、従来は総代会議決のほかに新らしい事業施行にかかる地域の組合員で組織する会議議決を要するということになつておつたのでありますが、これをその組合員の三分の二以上の同意ということにいたしました。これを以て実際上は事が足ると考えるものであります。次に第八十七条の二でございますが、これは国営或いは都道府県営の開田、開畑干拓事業を行います場合において、その関連地帯において併せて灌漑、排水の事業等を行うことが適当であるというような場合においては、これはその地方関係者同意を得まして一緒にその仕事を行うことができるということにいたしたのでございます。これは新たなる規定でございます。実際上の便宜からいたしまして、こういう場合が相当にありますので、これを規定いたしたのであります。それから第八十七条の三でございますが、これも国営都道府県営土地改良事業計画につきまして、現行法手続規定がないのでありまするが、この事業計画を変更する手続規定いたしまして、関係者の三分の二以上の同意によつて計画を変更するということを認めたのであります。  第九十六条の二というのは、市町村土地改良事業を認めることにいたしました。従来市町村はこの土地改良法において、事業主体として規定をせられておらなかつたのであります。実際問題といたしまして市町村主体になつて土地改良事業を行いたい、市町村としても相当なる費用を支出してもよろしいというようなこともあるわけであります。そういう場合にこれを拒否する必要もないと考えますので、土地改良区の同意を得、又都道府県知事の認可を受けましたような場合においては、市町村土地改良事業主体になり得るということにいたしたのであります。  それから第百二十二条の第三項におきましては、役員が法令に違反した等の場合における監督規定を設けました。  大体以上のような諸点でございますが、一番重要な改正趣旨としては、先ほども申上げましたように、予備審査を廃する、或いは総代会の設置を簡易にするとか、或いは事業計画の変更について必要十分な程度手続規定をおきまするとか、そういう手続簡素化を図るということが、主眼であります。
  14. 小林亦治

    小林亦治君 直接この法案関係のないことですが、大臣が見えるまでの間五、六分農地局長に伺いますが、かねてから局長にも御心配願つた開拓の件ですが、未墾地開拓のの場合に大概の地主反対をする、この反対理由の主なるものは土地を離したくない、何でもかんでもとにかく反対するというものと、それから治山治水といつたような方面からの要請によつて伐採をしたくないという場合もあり、更に幼齢林であるためにもつと残したいといつたような反対理由が主たるわけなんです。何んでもかんでも未墾地開墾反対であるというのは別としてまして、地元の要請によつて治山治水関係から伐らないでくれと言われている場合とか、或いはもう五、六年経てば伐期が適当になるのに、今切るに忍びないといつたような場合は、そのために開拓の運びが遅れておるといつたような場合には、開放を求むるほうの農民側と、開放させられるところの地主との間の妥協によつて未墾地開拓を速かに完遂させるといつたような方法をとらなければならん場合には実際においては往々にある、そこでこの前の農地法によつて開拓に適せざる部分を旧地主に返すという規定ができた、これを一〇〇%生かして不適地地主に返す、そのことによつて地主の気持をも緩和させて開拓を進めるということを今現にやつておるのであります。これは与えられた合法面での運び方で何らの異論はない、問題は実は適地であるのだが、その適地である部分地主側に譲歩してここは残してあげる、その代りそのほかの部分は速かにこれをやれといつたようなことをやらんと、実際は所期の目的を早く達するということができない場合にぶつかつておるのですが、かような場合に一旦国が買収をしたのであるから、適地なつている以上は返されない、返すわけには参らん、これは尤もに聞えるのですが、法的に返すわけには参らんとしても、毛上の管理伐採まで五年とか、八年とか、或いは十年とか待つてやるといつたような便法はこれは行政上できないのかどうかということを伺いたい、それができれば、かねてから局長に非常に御心配願つておる場所開拓の問題の未解決部分も急速にきめる状態なつておるのです。国が買つたのだから早急に伐らなければならない、返すわけにはいかんということを一点張に言われると、全体の開拓が進まんというような面にぶつかつて非常に弱つておるわけです。そこで本省の行政の実際の面から、それでは暫らく伐採を待つてやる、異存のない部分だけは早急に開放をして行くというような処理をするというわけに行かんかどうか、それをお伺いしておきたいと思います。
  15. 平川守

    政府委員平川守君) 農地法の八十条の不用地を返還するという規定は、これは飽くまでも自然条件から見まして開拓に不適である、或いは開拓に不用であるという土地を返すという趣旨でありまして、この趣旨を曲げるということは非常に弊害を生ずると思うのであります。一方においては相当開拓適地でありましても、これの返還を受けるということは非常な利監を一方に与えることにもなりますので、やはり厳格に自然条件等を技術的に検討しまして、開拓に不適当である、或いは開拓の用に供する必要がないというような線で返還するものは返還するという建前をとりたいと思うのであります。ただ実際問題としまして、お話のようないろいろな点において旧地主の側にも不当な損害を与える、或いは不必要な痛手を与える必要はないわけであります。法規の許す範囲においてそれらの土地を提供しました地主に対しても、できるだけの何と申しますか、温情のあると言いますか、そういう措置法律の許す範囲においてとつて行くということはやつたらいいと考えております。
  16. 小林亦治

    小林亦治君 よくわかりましたが、地主開拓民が協議をして、これだけは我々では要らないのだ、適地という認定の下に国の買収にはなつたが、実は要らない、我々の要求するほうだけを早く伐採してくれというふうに現状はなつておるのです。ところが要らないと言われた部分も、実は適地として買収済なつているので、問題がここに残つておるのですが、その場合に、まあ毛上の管理地主にあるものですから、その管理状態を当分認めておいてもらえば地主はそれで満足するのじやないか、その部分も全体に比較して極く小部分なんです。一割にもならないような極く小部分なわけです。そういう場合を認めて頂かないと、実際の場合は非常に困るのであります。四ヵ年がかりでやつておる、ところが未だにその一点のために結びを付けかねておるといつたような状態になります。ので、そういう場合には規定を楯にとらなで、実際上の円満に行くことを考慮してもらつて、毛上の管理を当分地主に残しておいてもらうという手をとつてもらいたいのであります。これは私どものイデオロギーからら言うと反対なのであります。不適地でも地主に返るのは面白くないということで、農地法審議の場合に意見を申上げたのでありますが、それにも増して、かような場合には意に満たない注文なんですが、実際地方において開拓を成るべく争いなくやりたいというためには、そういつた便法までも考えないとできない場合が往々に今までもあつたし、現在もあるので、その点をやかましく言つて買収したのだから、そうは行かん、直ちに収去せよなんということをびしびしやられますと、却つて困る、困るのは農民側が余計困るのですから、その点を一つ十分に御考慮願いたいと思うのです。
  17. 平川守

    政府委員平川守君) 開拓者地主の側と話合が付いたからというだけで、いわゆる買改した中の適地を又返還するということは、ちよつと行き過ぎになるかと思います。ということは、具体的にそういう方法によつて返還させるという運動も一方ではあるわけであります。又その開拓適地というものは必ずしも現在入つておる開拓者だけのためではないので、適地がありますれば、更に新らしい人を入植させるということもあり得るわけであります。現在の開拓者との話合だけであの八十条を適用するということは少し行き過ぎになるかと思いますが、併しお話の具体的の例につきましては、必ずしも返還せよという問題じやなくて、立木の管理の問題のようでありますし、これについては具体的な事情をよく調べまして、善処いたしたいと思います。
  18. 川口爲之助

    川口爲之助君 土地改良区を設定するに当りまして、一定の指定された地域内の個々の三分の二の同意を得ていろいろ法規上の手続を経まして、土地改良区が設定されるのでありますけれども、その三分の一ですが、残りの三一分の一というものは強制加入をされることになるのですか、その点を一つお伺いしたい。
  19. 平川守

    政府委員平川守君) 強制加入になります。
  20. 川口爲之助

    川口爲之助君 そこでこの法規の第七十七条によりますと、個々の改良区が連合体を組織することができるということを書いてございまするが、これはどういうことになりますか、つまり上から盛り上る力を結集して連合体を作るということでありますか、その辺を一つ
  21. 平川守

    政府委員平川守君) これは個々の土地改良区が或る事業の一部分についてお互いに共同でやつたほうが都合がよろしいという場合に自発的にそういことを行うわけでございます。
  22. 川口爲之助

    川口爲之助君 そうするというと、先に強制加入をされました三分の一の者ですね、それが若しこの改良区に加入することに反対の場合、その三分の一の者が連合体を組織してやるということはできますか。三分の二の同意を得て土地改良区ができた。残り三分の一は反対の意思を持つておる、それかこの七十七条によつて別に連合体を組織するということができるかどうか、この点を一つ
  23. 平川守

    政府委員平川守君) これは連合体のほうは土地改良区が単位になりまして、土地改良区同士の話合で連合体というものを作るわけであります。その土地改良区の中の一部の人が離れて連合体を作るということがないわけであります。つまり個々の土地改良区自体が、つまり三分の二の同意で改良区というものができた、そのできた土地改良区がその土地改良区の意思として、他の土地改良区と共同で仕事をするというために連合体を作る。
  24. 川口爲之助

    川口爲之助君 それでは土地改良区ができました三分の一の、反対の意思を持つておる人が脱退をしようとする場合には脱退できますか、その土地改良区から脱退しようとするなら……。
  25. 平川守

    政府委員平川守君) これは強制加入をしておるくらいでありますから、自由なる脱退は認められません。
  26. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この法律は従来非常に不便であつた国民の声に或る程度応じた極めて適切な改正と私は考えるものであります。ちよつとお伺いしたいことは、市町村が府県知事の認可を得て土地改良事業を行うことができることになつたのでありますが、これは極めて現状から見て適切な改正と思うのであります。ところが従来は府県営で行う土地改良事業に対する起債の問題でありますが、府県はその起債で非常に事業は行いたいが、起債の認可がなかなかむずかしいので、非常この事業に支障を来たした場合が非常に多い。ところが市町村も同じく自治庁の起債の認可を得、起債の枠をもらうことになるのであります。これは非常にむずかしい問題になつて来るので、折角市町村事業を行うことになつても、その点を農林省から自治庁に強く起債の枠も拡大し認可の点もできるだけ簡単に認可するよう何らかの方法とつておかねば、折角国民の声に答えた市町村事業を行うことができ得るようになつたその目的を遂行することができんと私は思うのであります。農林省は自治庁に対してどういう御交渉をなすつておられますか、ちよつとお伺いいたしたい。
  27. 平川守

    政府委員平川守君) 従来県の事業であります場合にも相当起債の問題が実際問題として問題になつておつたのであります。御承知の通りなかなか優先的にやつてくれないという状態であります。併しこれは非常に重要な問題でありまして、我々としましては、この土地改良事業に対する自治体の仕事というものは、他の少くとも一般の公共土木に比して何ら下の順位にあるべさじやないということをやかましく主張しておるわけであります。ただ実際問題としてなかなかその理解を得にくい状態にあることは御承知の通りであります。今後やはり増産の五ヵ年計画寺にもからみまして、我々のほうでも府県の資金として必要なる資金というものをはつきり出しておりますから、今後は計画的にもう事前に大体明年度はこのくらいの起債が要るということをはつきりと理解を得て、予算と同時にそれが見通しがはつきりするようなふうにしたい、かように考えております。現在市町村事業主体になることを入れまするにつきましても、自治庁のほうにはその点を強く申入をいたしておるわけであります。まだ具体的に然らばこういうものを盛り込もうというところまで参つておりませんが、こういうことを自治庁としても賛成をされたわけでありますから、当然お話のような起債の点についても、これは当然からまつた問題でありますから、当然理解をしてくれるものと考えております。この問題についてはなお今後とも自治庁の了解を得べく一つ私のほうの予算と並行した大きな問題として努力いたしたいと考えております。
  28. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは市町村の或いは学校の建築とか、いろいろな不生産的起債とは違つて、根本をなす生産的な起債になるので、私はこれは第一番に優先的に認可すべきであろうと思うのでありますが、従来の農林省、自治庁間の例を見ると極めて不満足な点が多いのでありまして、これはただ抽象的でなしに、何か法律改正したこの機会において強く協議して、文書ででも申合をして頂きたいと思うのであります。なおこれは私個人の意見でありますが、委員会としてもその点が従来の通りにずるずるになつて来た場合においては、折角国民の希望に答えたこの改正が全く意味をなさんことになるのでありまして、そういう意味から私個人の考えとすると、委員会としても自治庁にこの点を申入れたいというように考えておるのであります。
  29. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 私は一、二の点について農林当局の御意向を承わりたいのでありますが、第一点は総代の数でありますが、これは改正前と比べますと大体半数になつておりますが、農林省としてはこの半数ぐらいの数字になされた何か根拠があるのかどうか。なお私の希望といたしましては、もつと少いことを希望するわけであります。第二点は、市町村が工事をやることになるわけでありますが、市町村がやる場合と従来の土地改良区がやる場合と同じように奨励される御意思かどうか、この点を承わりたい。
  30. 平川守

    政府委員平川守君) 総代会総代の数につきましては、できるだけ員数を少くすることは実際の運用の上において便宜であるということがありまするが、同時に又余りに少くすることは組合員の意思を反映する上において誤まりを生ずる虞れもあるわけであります。例えば協同組合の場合等、いろいろ比較いたして見たわけてあります。農業協同組合におきましては、例えば千人以上の組合で総代数が二百人以上ということになつております。土地改良区の場合におきましては、これを百人以上というようなことにいたしておりますので、いずれかと申すと、協同組合の場合よりは少くしておる。まあこれ以上少くするということになりますと、その辺の逆の弊害の点も如何かと考えまして、一応この程度に考えたわけであります。それから市町村土地改良区の場合でございますが、もとよりこの土地改良区というものが、土地改良については本筋のまあ一番適切な杉であるということに考えておるわけでありまして、従つて原則としては土地改良区が土地改良事業を行うことが原則と考えております。ただ市町村の状況なり、或いは土地改良区のほう実情なりからいたしまして、市町村がとの仕事はやつたほうが適切であるという具体的な判定がありました場合に、市町村にもこれを行う途を開いておくということが適切な場合があろうかと思いまして、いずれかと申せば、市町村が行うことはやはり例外的なものでございますけれども、認めたわけであります。併し一旦市町村事業を行うということが認められました以上は、これに対する助成とか、その他についてに何ら差別はいたさないというつもりでおります。
  31. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 今のお話を承わると、市町村が行う場合は例外的に考えるというお話でありますが、市町村がやりたいということを申出た場合に、農林省としては土地改良区を作ることを勧められる場合もあるのですか。
  32. 平川守

    政府委員平川守君) 土地改良区がない場合に市町村がやりたいと、これはもう市町村にやらしてもいいのじやないかと思います。ただ土地改良区があります場合に、市町村が行うということもあり得るわけであります。これは土地改良区の同意を得て行うということに規定をいたしております。
  33. 河野謙三

    ○河野謙三君 本案につきましては、委員会中のエキスパートの雨森さんなり、重政さんから冒頭に賛意を表されておりますので、我々も異存はないのでありますが、ただこの機会に伺つておきたいのは、我々こうやつて暑い思いをしていろいろ予算の審議をしてですね。ところが、これは農林省に限りませんか、各省を通じまして予算の執行の段になると、非常に予算というものがいわゆる中間経費的なものにロスとなつて多いのです。これは農地局の関係にも私はその憾みないとは言えないと思う。いわゆる関係団体の諸経費、又最近最も目に余るものは、これは直接中間経費とは言えないでしようけれども、我々は中間経費と考えておりますが、いわゆる諸請負業者の談合、これは大体農地局長はどのくらいに見ておられるか知りませんが、我々が見ておるところでは三割程度の談合はこの頃は余り珍らしくありません。二割から三割というものを談合ではねております。その結果が工事が非常に疎漏になつて、今度の九州の災害等、おいでになつてもその感を私は深くしておられると思う。こういういわゆる予算が折角苦しい財政の中から盛られましても、これが完全に工事費となつて、その土地の堤防なり、橋なり、土地改良に使われないで、中間経費的なものに流れているということは私は認めておられると思うのですが、これらの年々膨脹して行く中間経費を如何にして削減して行くかこいうことについて何かお考えがありますか。
  34. 平川守

    政府委員平川守君) これは非常にむずかしい問題でありまして、実は建設省あたりともいろいろ相談をいたしておるわけであります。今日も実はそのための相談が夕方からあるようなわけでございまして、建設看も非常に悩んでおる問題であります。我々のほうとしましても、一部直営をやることによつてそういう談合のようなものを牽制するというようなこともやつておりますけれども、併しなかなかこれははつきりとは掴みにくいことでもありまするし、表面別に違法のことをやつておるわけでもないものでありますから、要するに我々のほうの技術者がよく勉強して、もつと安くやり得るという根拠が掴めれば、それで押して行くということであろうかと思います。特別に名案というものもございませんのですが、この点につきましては、なおもう少し我々だけの小さい視野でなしに、いろいろな方面の経験者の知識集めて改善の方法を講ずる必要があるのじやなかろうかと考えております。なお、中間経費ということとは直接に関係がないかも知れませんが、私どもの非常に痛感しますことは、工事の段取りと申しますか、全体の事業の遂行が予算等に縛られる関係上、必ずしも能率的に行つていないのじやないか、電源開発その他の仕事と比べて見まするというと、非常に長期間かかつて僅かの仕事をやつておる、これが単価としては非常に高いものに付くことになるのじやないかという点を心配いたしまして、これについては一つかなり思い切つた重点主義ど申しますか、一つ事業所について、この事業所の仕事は技術的に見て何年でやるのが最も経済的であるという判定を下しましたならば、それだけの費用というものは毎年間違いなく注ぎ込めるようにする、それによつて請負契約の金額そのものも今のようなたらくしたやり方よりは引下げ得るのじやなかろうか、こういうことも一つ、これはまあ実行できるわけでありますから、大蔵省に対してもその意味において大きなものに対しては継続費の要求をいたしておるわけであります。そういうことは是非やりたい。これはいわゆる中間経費というお話には直接に結び付かんかも知れませんが、関連して考えておりますことを申上げておきます。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 農林省では県段階で起るいろいろ中間経費的なものについては直接監督の責任はないでしようけれども、何かこれに対していろいろ調査をなすつておるのですか。例えば県営の場合又はこれから起る今度の町村営の場合、そういう場合に、地元が自治的にやつているとはいうものの、いろいろ農民は賦課金をとられておるわけですね、補助金のほかに……。この賦課金等が必ずしも真剣に使われていないのですよ。組合の飲み食い経費とか、そういうものに非常に大きく流れて、各省において問題さえも起しておる。これは農林省としても無関心ではおられない事実だと思う。こういうものについて何か余り目に余るようなものは調査をされ、それについて或る忠告を発するというようなことはされておるのですか。
  36. 平川守

    政府委員平川守君) 組合に対する監査はいたすことにはなつておりますけれども、実際問題として非常に手が足りません関係上十分な調査はできておりません。ただ事業費の国の出す助成金なりにつきましては、これはその使途については厳格な何がございますけれども、ただ組合で徴収しておる金の今のお話のような使途の問題、これについては勿論組合監査をいたすことに建前はなつておりますが、実際問題として十分な手と費用とを持つておりません関係上、よほど問題になるような目に余るようなことでもあれば特別の監査をいたすことになりますけれども、現在のところは全国的にそう詳しい調査ができておりませんです。
  37. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一つ伺いたいのですが、請負の場合ですね、工事金額に以か比例か何かを持たせて指名入札人の人数か何かの制限がありますか。これが百万円の工事であろうが、一千万円の工事であろうが、五千万円であろうが指名入札の場合にそれが十五人になつたり、二十人になつたり、三十人になつたりする、これは自由であると こういうことになつておるのですか。
  38. 平川守

    政府委員平川守君) 特別に人数の制限、そういう一定の比率で人数の制限というようなことはいたしておりません。ただ工事の種類によりまして例えばダムの建設であるとか、むずかしい工事についてはそれ相応の信用のある業者に限定するということは行われております。併し数で比例的に金額と比例してというようなことはございません。
  39. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは実際の問題ですがね、大体この頃見ておりますと、三百万円であろうが、三百万円であろうが、五百万円であろうが、今の金にすれば極く小さな工事ですね、こういう場合にも十五人も二十人もの指名入札をやつているのです。そうすると、この連中がよつてたかつて談合をやるから、先ほど申上げますように、工事費の三割も、多いのは五割も談合ではねてしまうと、こういうことになつておるのは実情です。調べようと思うけれども調べられないというのじやなくて、こんなものは我々でもたびたび行つて見ておる、そういう談合をしておるところへ飛び込んで行つてですね。これは平気でやつておるのですよ。でありますから、この実情に即応して何か請負についての一つ基準というものを農林省が示さんと、際限なく私はこの談合というものは拡がつて行くと、こう思うのですが、それに対して専門家として何かお考えがございますか。
  40. 平川守

    政府委員平川守君) それは一つなおよく研究さして頂きたいと思います。非常にむずかしい、又そういうことをチエツクする一つ考え方かとも存じますから、よく1つ研究させて頂きたいと思います。
  41. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後に私一つ意見ですが、今の談合その他を十分な監督をすることも必要ですが、もう一つ私ちよつと考えますのは、どこの工事場へ行きましても、何々組請負という大きく看板が出ておるのです。ところがこの何々組請負という看板を出す以上は、それに必ず義務的に、この請負工事は請負幾らでやる、そうしていつからいつまでに仕上げるのだ、それから材料は何と何だというくらいのものを必ずその請負人がそこへ立てなきやいかんと、こういうふうな私は義務付けたものをやれば、そうすれば最近のやかましい世の中ですから、そこを通る人が専門家もおりますし、これはこの金額にしちや工事は少し疎漏じやないかとか、これはなかなかまじめにやつておるとか、これは材料がどうであるとか、特に請負業者も非常に多い競争の激しいときですから、その官庁と結び付いた顔でやつておる請負業者あたりが、いいかげんなことをしていればまじめな請負業者が見ればそれに対して必ず急所を突くはずです。そういうふうな請負業者の一つの義務としてその現場に必らずその請負金額その他請負の明細ですね、そんな細かい何銭何厘までは要りませんが、少くとも大体半玄人が見ればわかるくらいのものをちやんとそこへ掲示させる。これは建設省の場合にも私は特にそうだと思う。これは直接あなたの関係じやありませんけれども、学校等の場合、この学校は何千万円の請負である、延坪幾らである、一坪当り幾らであるというようなことをしておけば、我々が見たつてこれは材料が少しひど過ぎるとか、これは少しインチキだということがわかります。そういうふうにすることによつて、逆に国民の批判からそういうふうに談合その他が余り極端なものが行えないようにする方法があると思うのですが、そういうことは私は一つ意見として持つておるのですが、何かお考えになつたことがありますか。
  42. 平川守

    政府委員平川守君) 実はそういうところまでは考えませんでしたが、ただ工事が非常にできがいいとか、悪いとかいうことについては、やはり工事者にも責任を背負わせるという意味で、ここはどこのどういう組が作つたものであるというようなことを明らかに記録にとどめておく、或いはそこに公示できるようなものを残しておくというようなことは非常にいいのじやなかろうかというようなことは考えたことがございますが、今のお話のような、請負工事中にその工事費なり、或いは工事の概要なりを公示させる、これは一つの非常に面白い考え方じやないかとも思います。一つよくこれも併せて研究いたしたいと思います。
  43. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後にもう一つ。それは、これは誰が請負つたということだけ知らしても、いわゆる請負業者というものは田舎に行くと大体土方という言葉で片付けられるほどで、これは渡り者が多いのです。その土地で生れてその土地で死ぬというようなそういう業者というのは少いのです。特に最近はその傾向がひどい。でありますから、自分がこれを請負つたのだ、末代までおれの所の会社の名誉のためにもこれはしつかりやるんだというような、そういう責任感を持つた業者というものは、これは一流の業者なら別だけれども、殆んどこれはないのですよ。又そういう連中だから談合もやるわけなんだ。から一つこの問題については十分監督を厳重にして談合の弊を防ぐ、その他関係団体の中間経費も私は成るべく少くしたらいいと思う。例えば余計なことだけれども、食糧庁あたりにいたしましても、今の鉄道の問題は私はこれはよそごとじやないと思う。食糧庁にしたつて輸入食糧協議会であるとか、食庫協会であるとか、やれ検定協会であるとか、食糧庁だけでも随分私はお手盛りのいわゆる中間経費になるものがあると思う。農地局においても私は絶無じやないと思う。併しこれは全部合せて見ても中間経費として大したことはありません。ありませんけれども、そういう問題から出発して一番大きな土建業者のいわゆる談合、これについては私は厳重に何か上からも縛り付ける、又世論からも大いに批判をさせる、こういうことでこの弊害を除去して行かんと、幾ら予算を盛つたつて、これはもう一遍雨が降ればすぐ切れるような土手ばかり作るのであつて、意味ないと思うので、どうだ予算について非常に御熱心な局長は、同時にその予算額が完全にその土地の土手になり、橋になり、土地改良の効果を挙げるように私は一つ特に御考慮願いたいと、これは甚だ素人でありますけれどれも、素人は素人なりに、そういうことについて関心を持つておりますので、特に局長に希望いたします。
  44. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 組合員の資格についてお伺いして見たいと思うのでありますが、今までは土地改良区の区域内に土地を持ち、或いは耕作をする耕作者、これらが組合員であつたと思うのでありますが今度は方針が変つておりますか、どうですか。
  45. 平川守

    政府委員平川守君) 組合員の資格については変つておりません。
  46. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうしますと、市町村土地改良事業を行うことを得るということに今度なるようでありますが市町村はやはり従来の通り土地を持つておるか、若しくは耕作者、その二つのいずれに入るためにその事業がやれるようになるのでありますか。
  47. 平川守

    政府委員平川守君) これは丁度府県の場合と同じように、その区域内にその改良事業をすべき農地等を含んでおるという意味において事業主体になれるわけでありますが、その事業をいたすにつきましては、それらの土地の所有者なり、耕作者なり、そういう者の同意を得て行うということになつておるわけであります。
  48. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうすると、結局組合員たる資格のない人が経営をして行くということになろうかと思うのでありますが、そう解釈してよろしうございますか。
  49. 平川守

    政府委員平川守君) つまり事業主体としましては、その組合員たる資格を持つておる人及びその農地を含んでおる自治体を入れておるわけであります。原則としては、それらの有資格者で組織する土地改良区という組合が行うのが原則でありますけれども、併し例外的には大体そういう人が組合員なつておる協同組合にも事業を認めております。それからそういう組合員が多数自治体のメンバーになつておりますところの自治体、市町村或いは府県というものにも事業主体としてその事業を行うことを認める、自分の村民なり、自分の県民のためにその事業を行うことを認めるというわけであります。
  50. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうしますると、その組合員たる資格のある人の意思によつて市町村仕事をするというだけであるのでありますか。
  51. 平川守

    政府委員平川守君) 市町村がその仕事をするのでありますが、その仕事をするのについては市町村がするのでありますから、市町村としてり意思決定も必要なわけでありますし、なおその仕事に一番利害関係のあるのはその仕事に関する農地を持つておる人、或いは農地の耕作者でありますから、そういう人々の特別な同意も必要とすると、こういう制度になつておるわけであります。
  52. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 その場合における表決権は市町村は幾ら持つのでありますか。総会における表決権は市町村もたつた一人の分として持つのでありますか、それから何十八分を市町村が表決権を持つというのでありますか、どうですか。
  53. 平川守

    政府委員平川守君) これは市町村は、つまり例えて言えば土地改良区と同じような立場になるわけでありまして、これは事業主体でありますから、表決権の問題はその市町村の意思をきめるときの表決権ということになるわけであります。そこで一般的にはもとより市町村の議会が意思をきめることになるわけであります。その市町村土地改良事業を行うかどうか、或いはどういう種類のことを行うか、どのくらいの費用をかけるかというようなことは、その市町村の議会が意思決定をするわけであります。併しその仕事の利害関係は直接その農地を持つておる農民が非常に利害関係がありますから、そこでその一般的な市町村議会の決定だけでなしに、特に利害関係のあるその農地の所有者とか、耕作者というようないわゆる有資格者の同意を得て行うと、従つて今の表決権という意味から申しますと、市町村議会の普通の表決権を議員が持つ以外に、利害関係のある農民はそれぞれ一人として同意を与えるか与えないかという問題が起るということになるわけであります。
  54. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そこで大変疑問が起つて来るわけでありますが、市町村会で事業をきめる、賦課金をきめるというようになつた場合に、若し耕作者である人たちの意思と相反したときには、どちらに強さがあるのですか。
  55. 平川守

    政府委員平川守君) その利害関係のある農民の意思に反しては事業は行えないわけであります。その人々の同意がなければ事業は行えない、従つて金の賦課もできない、こういうことになるわけであります。
  56. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうすると、市町村会は関係がないのじやないですか。そういう賦課をするとか、事業をするとかということに対して直接利害関係のない市町村は、そういう一つ議決権を行うところの資格がないということになる。例えば市町村に対してこれらの組合員が委任状ても出して、やつてくれというなら別問題でありますけれども、そうでなしに、組合員の意思とそれから市町村会の意思とは必ずしも一致するものじやない。この隘路の調整をどういう工合になさるかということを伺いたい。
  57. 平川守

    政府委員平川守君) これは、そういうわけでありますから、両方の意思が一致しないと実行できないわけであります。具体的に申しますと、例えば長野県の飯田市のごときは、市の費用を相当出しまして、そうして市の中に相当の農村を含んでおるわけであります。そこで市の行政の一環として市内にある農地の団体への改良事業をやろう、そのためには市の予算も相当出してよろしいというようなことで、つまり必ずしも農地を持つておらない市民もその改良事業に協力をしようと、こういうことであると思うのでありますが、そういう場合に市議会としましても、市の中に含まれておる土地改良事業については、市民全体が費用の一部をまあ税金としてでありますけれども、市の経費として負担をして、そうして土地改良事業をやろう、こういう決意をされた例があるわけであります。そういうものがつまり市の住民であるところの農民、或いは市の区域内にあるところの農地のために市民全体が協力をして土地改良事業をやろうという場合にこれが行われるわけでありまして、従つて市町村の議会で否決されれば勿論できませんし、それから利害関係のあるいわゆる有資格者の同意がなければこれもできない、市がやりたいと思つても関係農民の同意がなければできない、関係農民がやりたいと思つても市議会の議決がなければできない、つまり両方が賛成であるという場合だけに行われる、こういうわけであります。
  58. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 それに対して何か法的根拠がありますか。
  59. 平川守

    政府委員平川守君) それをこの改正法で規定いたしたわけでありまして、九十六条の二、この一条文がそれを謳つておるわけであります。
  60. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 どういう条項ですか、ちよつと済みませんが……。
  61. 平川守

    政府委員平川守君) これは市町村土地改良事業を行う場合において行うことができることを認めた条文でありまして、その場合には知事の認可を受けて行う、それからそれを行う場合には市町村議会の議決を経まして、土地改良事業計画の概要をきめて、そうして先ほどの有資格者の三分の二以上の同意を得るというような手続をいたしまして、一定の公告をして仕事が初めて行われる、こういうことを規定しておるわけであります。なおその他利害関係人の意見を聞きますとか、いろいろな公告でありますかというようなことを規定しておるわけであります。
  62. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 それはこの土地改良事業を始めるときの話でありますが、土地改良事業というのは、その年一年だけの始めたとき、創設のときだけの費用で済むものでなくて、年々経営費その他の費用がかかる、臨時費・経営費というものがかかるのでありますが、その負担について、あらかじめ市が最初半分持つたから、そこでその後における営繕費或いは維持費等についてもこれは半分持つ、或いはいろいろな人件費等についても半分持つというような、仮に半分持つ場合の例で申上げますが、そういうような何か法的根拠がありますか。
  63. 平川守

    政府委員平川守君) これはその次の九十六条の三におきまして、市町村がこの事業を行います場合に、丁度土地改良区の定款に当るような条例を定めるということになつておりまして、この条例の中にそういういろいろな規定を盛り込むということになつておるわけであります。
  64. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そういう場合において、名称はどうなるのでありますか。例えばそこに何々市の土地改良区というようなことになりますか、それから単なる何々市の事業だからして土地改良区という名前を使わんのであるかどうか。
  65. 平川守

    政府委員平川守君) これは土地改良区でありませんから、その名前は使いません。ですから何々市の土地改良事業といつたようなことになると思います。
  66. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そこで役員の問題でありますが、今まで役員組合員たる資格のある者から出しておつたと思うのです。極めて稀にはその技術者等をも役員にしたことはあると思うのでありますが、今度は役員のうち二分の一に限りですか、組合員外の者から役員とつてもいいというような条項ができるようでありますが、そういうことはどういう人たちをその役員の中に加えるという意味であるのでありますか。
  67. 平川守

    政府委員平川守君) これは例えばいろいろな技術者の場合もありましようし、それから、組合を運営して行く上におきまして、いろいろな経理関係をやつて行くような理事者も必要であるかも知れませんし、これはその具体的の組合々々で改良区において最も適切な者を選べばよろしい、主としては組合を運営して行くために最も適切な人ということで、それが必ずしも組合員の中から得られない場含があり得るわけでありますから、そういう意味でこれを理事者としては、五分の一以内であります、五分の一以内の………。
  68. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 五分の一ときまつておりますか。
  69. 平川守

    政府委員平川守君) 五分の一以内であります。以内において改良区で選任することができるということにいたしておるわけであります。
  70. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 総代の数と役員定数との間にはどういう関係がありますか。
  71. 平川守

    政府委員平川守君) これは直接には関係を持たしておりません。
  72. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今度の改正土地改良総代の数が非常に減つたのでありまして、これは我々今まで非常に多くて困つた。私どもは実は北海道土地改良区というのをやつておりますが、面積が二万二千町歩にも達し、七ヵ村に亘つておるものですから、そこで人数も随分多い。恐らく二千人くらいだと思いますが、それかために百人の総代定数が要る。そこで百人を七ヵ村に亘つて寄せるものですから、実に大きな費用がかかつて困り抜いておつたのでありますが、これが今度は今までの百人が六十人で済む、大変いいと思うのでありますが、もつと減じてもらう方法はないか。実はこの土地改良区は起つてから二十有余年になるのでありますが、最初の頃は実は一ヵ村に二名くらいの総代であつた。従つて七カ村で十四人か、十五人の総代の数で、そうして各町村からは理事者五名その他評議員が一名ずつというようなことで、十名ぐらいで何なら支障なしにやつておつたのでありますが、最近百石になつたために、実は総代を寄せるのがなかなか経費がかかつたり、場所がなかつたりして寄せられなかつた。事実総代会はあるけれども、何か定款の変更とか何とかというときだけに限つておつて、折角作つた総代というものは殆んど使わずに済むというようなことがあつた。従来土功組合という時代でありましたけれども、その時代においては、さつき言つたような二十名内外くらいの人で全部のことができたのに、今度やつばり六十人ということになると、相当まだ煩に堪えないというように考えるのでありますが、何か特別にそういうような所に対してはもつと数を減ずるような方法はないかということですね。
  73. 平川守

    政府委員平川守君) 先ほどもちよつと申上げましたように、やはり余り少くしますと、組合員の意思が正しく反映されないという虞れもあるわけでありまして、そういう意味においていろいろな組合の例を調べたのでありますが、協同組合等においては千人以上の場合には二百人だというようなことになつておりますので、余りに急激に減らすことも如何かと考えたのであります。併しこの問題につきましては、なお運営の模様も見まして、お話のごとき、或いは例外的な何か場合もあるかも知れませんから、その点については今後なお研究をいたしまして、若し必要があり、又適当でありますれば、何か例外的にでも減らせる場合も考えて行つたらどうかと思います。
  74. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 実は先ほども申しますように、七ヵ村に亘る非常に大きな用水なのでありますが、こたが夏三ヵ月だけしか水を使つておらん。誠に不経済なことだと思う。その附近は突は水の質の悪い所で、各町村皆大きな金をかけて水道事業等をやつておるし、工業等にこれを年中使いますれば、大分工業の発展ができると思うのでありますけれども、夏だけしか使わさんということでありますので、従つて組合員の負担も非常に大きくなる。もつと皆からとれる金がとれない。或いは炭鉱等において石炭の洗炭をやらしたいといつても、そつちもやらすことができないというようなことになつておるのであります。勿論洗炭は水田の灌漑中にやられちや困るのですか、水田の灌漑か済んだ後にはそういうことをやらすことができるのでありますけれども、年中水が通らん。この工事は非常に金をかけた工事でありながら、無駄に遊んでしまつておる。こういう工合な関係があるのでありますが、農林省として、もつと経済的に水を年中使わすようなことについて何か補助をするとか何とかというような方法で、この組合の経済をお考えになるようなことがありませんか。その点を伺つておきたい。
  75. 平川守

    政府委員平川守君) 水をできるだけ有効に使うという意味においていろいろなほかの事業とからみ合せて水利施設をやるということは、できるだけ心がけております。ただそのために特別の助成をするということになりますと、これ又問題がむずかしくなるかと思いますが、その水をただ単に農業用に使うだけでなしに、今のお話のような、冬の期間とかというようなものはほかの目的に使う、それに応じてそのほうでその施設の負担をするというようなことは、大きな話では近頃の多目的のダムなこというのはこの一種だと思いますが、そういういろいろな事業をからみ合せて、できるだけ農村側の負担を軽減するということは、この事業計画としてはできるだけ考えたいと思つております。ただそのために特別の助成をするということは今まだ考えておりません。
  76. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 実は特別の助成と申上げますのは、実は溝路の舗装をしなくちやならん、年中水を通すことになりますると、北海道のごときは相当寒気のために土地が凍りますので、そこで溝路の舗装をコンクリート等でやらせなきやならん。それさえやれば年中水を通しても何も差支ないのだが、そいつができない。それは補助助成等がなければ、農業者がただ人様に水を使わすからといつて自分の金を出してやるわけに行かん。そこに起り得る工業が起らない、或いは利用し得る水が利用できないでおるというようなことになつておるのでありまして、これは国家的に見て非常に損なことだと思う。そういう点に着眼をされまして、今言うような補助、そういう特殊のものに対しては補助助成をなさるというようなお考えを持つてもらえんか。これは陳情になりますが、この点お伺いいたしたい。
  77. 平川守

    政府委員平川守君) これはそれを舗装することによつて工業用、まあ仮に工業用なら工業用の水がそこへ使える、従つてそこに工業が起り得るということでありますれば、結局そういう工場なり或いは鉱山なりと話合を付けて、そうしてそのほうで相当の負担をしてもらつてその工事をする。もとより、農業の部門においてもその舗装が行われることによつて水が確実に来るとか何とかいう利益がありますといたしますれば、それに即応して農業部門の負担というものをいたそう。その場合においては、もとより又農業に対する助成として農林省から何割かの助成が行くということはあり得ると思うのであります。つまりその水利権というものが共同目的に利用される。それに対して農業部門はこれだけの負担をする。それに対して国としてはこれだけの補助をするということになる可能性はあると思うのです。
  78. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 それが実は工業の発達した地帯であれば、そういう分布の方法、負担の方法等もとることはできますが、これから利用をさせようという場合におきましては、実はそういう負担をさせる目標がはつきりして来ない。つまり小さいのが少々あつたどころで、二つや三つの工場でそんなものを引受けることはできんのであります。それで而もこれは国家的助成をする必要がある。こういう工合に考える。そうして工業の発達を促すということにならなければいかん。いわゆる消極的に人のやるのを待つのでなくて、国家は積極的に一つの目標を立てて置いて、そういう方樹に水を利用させるということに着眼をしなくちやならん、こういうふうに思われるのでありますが、一つ御考慮を願つて置きたいと思います。次にもう一つ伺つて質問を終ります。実は七ヵ村に跨がる幹線工事だけでも二十四里もあるのでありますが、そういうところであるだけに集団していないのです。そこで水を使つて、使う水がみんな下に石狩川のほうに流れて行つてしまう。その落ち水を又更に利用してポンプ・アツプをして土地改良に使つておる、こういうような関係があるのでありますが、ただ一番困るのは最近における電気料がむやみに高くなつた、実は二割ばかりは揚水機で行つて、そうして八割は自然流下で行つておるのでありますが、それを共同事業でやられたものですから、そこで八割の自然流下の地帯は二割のごのポンプ・アツプで行くところの地帯の電気料のために実は苦しみ抜いておる。最初にそういう条件を付けられたら、今更どうすることもできない、非常に困つておるのでありますが、そこで一つこれはそういう困つておるところだけじやありません、日本全国的に農業用の電力に対してはもつと割引をさせることを農林省がやるべきじやないですか。殊に水が余る時期に多く使わすのでありますが、そこで水の余る時期というのは要するに電気の豊富な時期に水田の水に揚げて使うということになるのでありまして、もつともつと安くさせることができる。それで米の生産費を低下させるということになるのだと思うのであります。これは私の組合だけの問題じやなくて全国的な問題として一つこの方面についてはもう一段の一つ御努力を願つて、そうしてポンプ・アツプをしてやつても引合うようにさしてもらうのが必要じやないか、こういう点について農林省のお考えがありますならば承わりたい。
  79. 平川守

    政府委員平川守君) これは電気料金の問題は非常に大きな負担と思いますので、現在におきましても先般改訂の際におきましても、非常に農業関係はまあ電気の側のほうで非常に勉強をしたということで、まあ一般より比べますれば相当有利になつております。併しただ農産物の価格なり、農家の経済から睨み合せれば不十分であるということであろうかと思うのであります。併しこれについてはいろいろ今後とも折衝をいたしまして、できる限り農業関係の負担を軽減するようなことを更に一方やつて参りたいと考えております。只今のところ具体的にそれではここまでというまでのお約束もできかねます。
  80. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 この土地改良区の設立に当つては三分の二の賛成があれば未加入者を強制して加入させることができるのは今の御説明通りでありますが、併し一たび土地改良区ができ上つてしまつた後に、その加入しておらん人たちに対して後に加入させるというようなことが、強制加入をさせるような途がありますか、どうかであります。これはなぜそう申上げるかと言いますと、今の北海道の組合は随分広い地域に亘つておるのでありますが、その真ん中ほどのところで今後開発事業で電力が桂沢ダムの電力で水を持つて来る、随分大きな水を持つて来るのだそうでありますが、それがどうしても北海道土地改良区へ水を一緒に持つて来なければ完全な仕事はできない。そうして今度新らしくそれじや水田の開発をする、少くとも三、四千町歩の開発ができるのでありますが、その人たちを自分らの同じ用水に水を通させて、そうして一緒に加入させるということができるのでありますが、強制加入ができればそういう方法はできますが、そうでなければ、そういう方法はでき得ないのでありまして、こういう点につきまして、すでにでき上つたものに対する強制加入の方法ありやという点なんであります。
  81. 平川守

    政府委員平川守君) これはやはりその新らしい地区が従来の土地改良区に地区として加わつて来るような形でありますので、この法案の六十六条に地区の変更に関する規定がございまして、やはりその地区内におる有資格者の三分の二の同意が要る、その同意を得れば、そのまとまつた地区として従来の土地改良区に入つて参る、その入る地区の三分の二の同意はやはり得ないといけないということになつております。
  82. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そこで、そうすれば三分の二の同意を得て用水を使わすようになりますが、この用水の使用権とでも言いますか、いわゆる水を年中平等に流してもらわなきやならんというような関係等からしまして、実は発電事業と農業の灌漑ということが非常に関係が深くなつて来るのでありまして、更にそういうような動力を農村に農業動力として使うというような上にも発電事業と非常に密接な関係がある、即ちその用水の溝路等を年中使わすというようなことになるのでありまして、随分関係が深くなると思うのでありますが、こういう発電事業等に対しても土地改良区は発言権を持てるようにする方法はないでしようか。
  83. 平川守

    政府委員平川守君) その発電事業を他の例えば電力会社が行う、或いは他の会社が行うというような場合におきましては、これはその電力の発電の許可の際におきまして、農業関係者のほうから意見を申すことができることになつております。これは別な法律でそういうことになつておりますので、その電力を開発する際のその許可手続の途中の段階において、利害関係のある土地改良区の農民のほうから、土地改良区が言つてもいいわけですが、その電源開発自体に対して意見を申立てまして、そうしてその水の利用の方法なりについて許可の条件としてこれを付けて行くということができるようになつておるわけであります。
  84. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 もう一つそういう場合に意見を申述べることができるということでは非常に力が弱い。そこで実は水の始末のほうはこちらの用水を使うのでありますから、そこで年中を通じて農村の電化等をすることについても、もつと強い発言ができるように何か法規の改正等をしてもらう用意がありますか、どうですか。
  85. 平川守

    政府委員平川守君) その電気をこちらへもらうというようなことにつきましては、これはまあ電気の一般の法律の問題になりますので、そこまでこの土地改良のほうで要求をすることは困難かと思います。現在におきましては、その水の利用関係につきましては、これは電気にどういうふうに使う、農業のほうにどういうふうに水を流すというかなり細かい点につきましても、農業関係者の発言ができるようになつておりまして、これについてはそういう農業関係者から異議の申立等がありますというと電源開発審議会にこれが かりまして、これには農林大臣出席をして、農林省としても、又農業の側に立つての意見を述べる。そ言いたしますと、余り無理な何を電気のほうで決定をいたすということはないように考えております。
  86. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 本法案改正につきましては、最も重要なるところは専門家がもう質問し尽したと思いますが、私が見たところでは、この事業をやるときに、土地改良をやるときに、先ず第一番に事業の経費の認証という問題がありますが、初めから事業計画をする際におきまして、将来行き詰らないようにその土地改良事業の組合を認定する場合におきまして最善の注意を払つて、これを認定すべきものであるということが要点だと私は思うのであります。而うして認定しまして認可すればもういいんだというような考えでなく、これを運用指導する上におきまして、指導監督という最も重要な問題があるはずでありまして、これが先ほど来各委員からのいろいろの御質問にありましたように、工事その他の問題につきまして、中途においてゆがめられないように、これを育成して行くという指導監督が必要だと思う。百二十二条でしたか、ここにちよつと新らしく監督条項が入つておりまするが、勿論ほかの事業体とは違いまして、会計監督も勿論必要でありましようが、それよりも事業そのものに対する監督を十分して頂かなきやならん。従いまして請負師その他の請負方につきまして的確に行つておるか行つておらないか、又組合員がその程度で実は設計等もよくわからない組合員というものは、まあごまかされておりやしないかという、即ち国土資源の総合的な開発をするわけでありまして、その目的から行きましても、これはただ組合の問題でなくしまして、我が国国土資源開発の上において重要だ、而してそれが食糧増産にも影響があるし、農民経済にも非常に影響があるだろうというこの建前から行きまして、これを一つはつきりやつて頂くことが本改正案の趣旨でなくてはならんと思うのであります。従いまして、これを運用する場合に、ただ文句の上では如何にも監督も或る程度まで指導監督をするようにも考えられますけれども、実際の運用の上におきまして、これを万遺漏なきを期して頂かないというと、本法案は魂が入らないということになると思う。従いまして、私は本改正案につきましては大いに賛成するものでありまして、むしろついでにこの質疑を打切つて頂きまして、討論採決に移つて頂きたいということを考えておるのでありまするが、最後に私といたしまして、その点を十分考えてやつて頂かれるかどうかということを明確に御回答を願いまして議事の進行を図つて行きたいと、こう考えておるわけでありますので、御回答願います。
  87. 平川守

    政府委員平川守君) この事業の適否の認定ということにいたしました趣旨は、従来の予備審査というものが徒ずらに手続的に複雑でありまして、それを簡素にした意味でありまして、この事業内容について、これが果して農民の負担に値するだけの仕事であるかどうか、その内容が適切であるかどうかということにつきましては、まあ私のほうといたしましては、特に農地局の中にも一部を独立に設けておるくらいでございまして、或いは農地事務局にも一つの部を設けておるくらいでありまして、この新らしい事業の適否の認定ということには非常な力を注いでおるつもりでございます。今後ともこれに対しては、これがまあ事業一つの要になるわけでありまして、大いに力を入れて参りたいと考えます。それからなお検査なり、監督の点につきましても、これは全く御意見通りと思いますので、ただ現在のところは人員なり予算なりの関係がやや不十分と存じますので、この点についてはいろいろ御指摘もありますような欠点もありますから、今後とも力を入れて明年度予算等においても、これについては特に力説をして相当なる費用を付けてもらうようにしたいと、かように考えておるわけであります。
  88. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 先ず最初にお聞きしたいことは、市営、町村営の場合に役員はどういうことになりましようか。
  89. 平川守

    政府委員平川守君) これは法律上の形式といたしましては、やはり市町村が普通の機構でやる、従つて市町村長が理事者なつて、その他の職員を使つてやつて参るということになるわけであります。ただ市町村の場合には相当特殊の仕事でありますから、これの運営に関する一種の補助機関と申しますか、諮問機関と申しますか、そういうものは必要だと思いますが。
  90. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 農水産の資金融通法ですな、あの融通法によつて特に都道府県から出た場合に、どのくらい賄い得るかどうか、全額融資ができるほどたくさん賄い得るかどうかということをお聞きしたい。
  91. 平川守

    政府委員平川守君) これはそのときの予算によるわけでございますが、まあ本年度で申しますと、総額約百億ほどを土地改良、災害復旧も含めましての広い意味土地改良、このために百億、尤もそのほかの広い意味で牧野等まで入れますと、百十五億ほどになりますが、そのくらいの資金を以て各県に割当をいたしております。実際問題といたしましては、希望が殺到いたしまして、十分に各府県の要求に応じかねておりますけれども、併しともかくも百億からの資金でございます。或る程度の目的は達しておるかと思つております。
  92. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 市町村営に対する補助率はどのくらいの補助率になつておりますか。
  93. 平川守

    政府委員平川守君) これはやはりいわゆる団体営に該当するものになると思います。従いまして灌漑、排水等でありますと四割の補助率区画整理その他でありますと三制の補助率ということになろうかと思います。
  94. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 本案は食糧増産の面からも、これは都道府県からも相当数要望されておる事項が改正されたわけでありますから、全面的に賛成するわけでありますが、この資金の枠が少いというようなところから、折角この法案が我々可決いたしましても実情に適しない、各都道府県からの申請に対しまして、ほんの僅かなものだけしか認可にならないというような現状では、本法案の目的、即ち年々増加する人口に対するどうしても食糧を増産せねばならん日本の重要政策の面から見て、大量に予算をとる責任が私はあると思います。この意味におきまして、是非一つ局長は全責任を負いまして来年度は御奮闘願いたいと思います。全面的に賛成いたします。
  95. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私からちよつと細かい点二点お聞きしたいのですが、第一点は、市町村の場合に、これは殆んどそのケースはないと思うのですが、東京都の二十三区ですがね。例えば葛飾区あたりに農村地帯があるのですが、区は全然入つていないですが、これはどうなつておりますか。
  96. 平川守

    政府委員平川守君) 市町村に準ずる区は市町村に準じて扱うと……。
  97. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) その規定はありますか。
  98. 平川守

    政府委員平川守君) あります。
  99. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それなら結構です。もう一点は、今佐藤さんが質問されてちよつと気がついたのですがね。市町村の場合に農林漁業資金融通法の現行規定では金融公庫から融資はできないですね、これは………。
  100. 平川守

    政府委員平川守君) これは金融公庫のほうの規定関係上、あの公庫の資金は市町村営の場合には出すわけに参らないということになるわけであります。
  101. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは或いは起債で行くということがも知れませんが、なかなか町村起債になるとむずかしいし、又利息も高いということにもなると思うので、今度やれんと思うのですが、それをさつき雨森さんも言われておりましたが、相当これが出て来ると、やつばり農林漁業資金融通の金が行かんと、やや比がどうも不利になるのじやないかと思いますが、将来改正するような御意思はありましようか。
  102. 平川守

    政府委員平川守君) これは地元の負担の分については、必ずしも市町村が借入人にならんでも、地元負担として公庫の金を農民がその負担する側において借りるということはできるわけです。それから市町村自体が資金として手に入れることについては、今のところはやはり起債で行かざるを得ない、直接に公庫から市町村自体が借りるということはできないわけであります。これについては公庫法の問題になるわけでありますが。
  103. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) いや、公庫法の問題であることはわかつておるのですが、細かいのですが、市町村でやつている場合に、その農民の人が一定の賦課金を出すような場合に、賦課金まで土地改良資金として金融公庫から金は出ましようかね。
  104. 平川守

    政府委員平川守君) それは補助事業に対する自己負担分として公庫から金を出せることになつております。
  105. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  106. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。大体御質疑も尽きたようでありますので、質疑はこれで打ち切りまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。土地改良法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定されました。  なお、本会議における委員長の口頭報告内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  110. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名      小林 亦治  川口爲之助      松浦 定義  北 勝太郎      河野 謙三  清澤 俊英      上林 忠次  佐藤清一郎      重政 庸徳  雨森 常夫      森田 豊壽  宮本 邦彦
  111. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  112. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。  休憩にいたしまして、会期の延長がきまりますれば、そのまま散会ということで休憩に一応しておきます。    午後四時三十一分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた。〕