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政府委員(
平川守君) この
土地改良法の
改正を行いまする
理由は、主として
土地改良に関する従来の
法律の
手続は非常に煩瑣にできております。これは御承知のように、終戦後
司令部の
監督の下にありました頃にできました
法律でありまして、これらの
手続の非常に複雑なること、或いは面倒なことを要求しておりますることにつきましては、これも一方から考えれば
仕事を間違いなくやる、慎重にやるという
意味におきまして、全然誤つたこととも言えないと思うのでありますけれ
ども、併し実際問題として各
地方で運用をいたしました結果、各
地方において余り煩瑣に過ぎる、必要以上に煩瑣な
手続を要求しておるという声が非常に強く上つて参りました、そういう
意味におきまして、この
手続の点を必要なる
最小限度にできるだけ簡素にして行く。そして
事業の円滑なる運営に資しよう、併し一方においてそのために非常に粗雑な
事業になりましたり、或いは
関係者の間の十分な
納得を得る
手続が欠けたりいたしましては困るのでありますから、そういう点には勿論
注意をいたしておるのであります。要するに、実際運用いたしました結果、非常に複雑で
手続に無用の時間とか、或いは労力を要する点を省くということが主たる狙いでございます。主たる点を二、三御
説明申上げますと、
法案の第五条、第六条等におきまして
事業の適否の
認定ということを
規定しておりますが、これは従来
土地改良区の設立に際しまして
予備審査、本
審査という二重の
手続を
規定しておりまして、それぞれの
審査に相当なる時間とやかましい
手続とを要求されてお
つたのでありますが、実際問題としても、
予備審査のほうは大体その
改良事業というものが
改良事業として適当であるかどうか、適切なる
計画であるかどうかということを技術的に
認定することが
主眼でありまするから、いろいろな
報告とかいうような
手続を簡素にいたしまして、
事業の
認定をするということにいたしたのであります。
それから第十八条におきまして、
役員について
土地改良区の運営上必要がある場合において、
理事定数の五分の一以内、監事の
定数の二分の一以内に
限つて員外役員を置くことができることといたしました。これも実際の必要からいたしまして、従来これが非常に厳格に
なつておりましたのを、この
程度までは置き得るということにいたしたのであります。
それから第二十三条でありますが、
総代会の
規定でございます。
現行法では
組合員数が五百人を超える場合でないと
総代会を置くことができない、これは実際問題として各種の決議の必要のために招集する
手続の
関係が非常に不便でございまして、各
地方の要望もこの点については強か
つたのであります。これを三百人ということにいたし、又その
総代の数も、従来の
比率よりも
総代数を少くする、ただ
土地改良区のごときは、時によりますと、かなり大きなものがございまして、従来の
比率でありますと何百人という
総代を集めなければならん。そのため非常な
費用も時間もかかるという場合もございましたので、これを簡略にいたしたのであります。もとよりほかのいろいろな
団体の例な
ども見ましてそのために
組合員の意思の反映に事を欠くようなふうにはならないように
注意をいたして
比率を定めたのであります。
それから第四十八条では、
土地改良事業の
計画の
手続を簡素にいたしました。
計画を変更いたします場合において、従来は
総代会の
議決のほかに新らしい
事業の
施行にかかる地域の
組合員で組織する
会議の
議決を要するということに
なつてお
つたのでありますが、これをその
組合員の三分の二以上の
同意ということにいたしました。これを以て実際上は事が足ると考えるものであります。次に第八十七条の二でございますが、これは
国営或いは
都道府県営の開田、
開畑、
干拓事業を行います場合において、その
関連地帯において併せて灌漑、排水の
事業等を行うことが適当であるというような場合においては、これはその
地方の
関係者の
同意を得まして一緒にその
仕事を行うことができるということにいたしたのでございます。これは新たなる
規定でございます。実際上の便宜からいたしまして、こういう場合が相当にありますので、これを
規定いたしたのであります。それから第八十七条の三でございますが、これも
国営都道府県営の
土地改良事業の
計画につきまして、
現行法に
手続規定がないのでありまするが、この
事業計画を変更する
手続を
規定いたしまして、
関係者の三分の二以上の
同意によ
つて計画を変更するということを認めたのであります。
第九十六条の二というのは、
市町村の
土地改良事業を認めることにいたしました。従来
市町村はこの
土地改良法において、
事業の
主体として
規定をせられておらなか
つたのであります。実際問題といたしまして
市町村が
主体にな
つて土地改良事業を行いたい、
市町村としても相当なる
費用を支出してもよろしいというようなこともあるわけであります。そういう場合にこれを拒否する必要もないと考えますので、
土地改良区の
同意を得、又
都道府県知事の認可を受けましたような場合においては、
市町村も
土地改良事業の
主体になり得るということにいたしたのであります。
それから第百二十二条の第三項におきましては、
役員が法令に違反した等の場合における
監督の
規定を設けました。
大体以上のような諸点でございますが、一番重要な
改正の
趣旨としては、先ほ
ども申上げましたように、
予備審査を廃する、或いは
総代会の設置を簡易にするとか、或いは
事業計画の変更について必要十分な
程度の
手続規定をおきまするとか、そういう
手続の
簡素化を図るということが、
主眼であります。