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1953-07-28 第16回国会 参議院 農林委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十八日(火曜日)    午後二時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            小林 亦治君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君   衆議院議員            遠藤 三郎君            足立 篤郎君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      谷垣 專一君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁総務部企    画課長     斎藤  誠君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業機械化促進法案衆議院提出) ○農産物価格安定法案衆議院提出) ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開会いたします。  最初に農業機械化促進法案を議題といたします。本法律案は去る二十二日予備審査に着手いたしましたが、二十九日衆議院において一部修正議決上本院に送付、当委員会に付託せられたものであります。本案につきましては、昨日の委員会話合通り、本日質疑を終りまして討論採決に入りたいと思いまするが、なお御質疑のあるかたは御発言を願います。
  3. 白井勇

    白井勇君 ちよつと私は提案者に、この法案効果と申しまするか、非常にこれがこういう点で利益があるんだこいう三点を承わつたわけであります。それは、農家にこれは適当な機械であるということを間違いなく世話をするんだという点が一つの狙いであり、もう一つは、金のない者に金を貸して機械を買えるようにする、もう一つの点は、その機械を運行いたしまする技術を国におきまして指導、助長してやる、こういう三点のようでありました。私はこのうち、ただ金のない者に対しまして金融措置をつけてやることによつて効果のありますることはよくわかりまするが、提案者のおつしやるような他の二点につきましては、この法案の運用如何により、又現在のような予算裏付によりましては、到底こういう目的は達し得ないものである、こういう私は考えを持つておるのであります。そこでこの際、この法案通りました場合に、直接この法案の運営の責任の衝に当つておられる改良局長さんに私は御意向を質しておきたい、こう思うのであります。先ずその一点は、この前私が提案者に御質問し意見的にお話を申上げた点とダブる点がありますが、私の考えによりましては、農業機械化は差当つて必要でありますること、現在の日本農業の建前或いは又国の財政状態から見ましても、是非やらなければならん問題と申しますのは、今あります機械でも結構でありまするが、例えば動力耕転機でありまするなら、現在の段階におきまして、これならばまあ使えるというその動力耕転機というものを末端に普及徹底させまして、農作業を合理化して行くというこの普及過程に先ず重点を置くことが必要ではなかろうかと思うのであります。ここに取上げておりまするように、よいものを作らせるような措置というものは、多少そこに政府の手が十分行届かない点がありましても、これはやは事前にいろいろ機械を発明する人等がありまして、むしろそういう方面は或る程度事前に盛上つて来る点があろうかと思います。むしつ私はその方面に金を使う、例えて見よするならば、品評会をやつて政府の立を使うなんというものは、これは非常に経費を使いまする場合におきまして無駄な話でありまして、むしろ端的に申しまするならば、そういう場合におきましては、我と思わん者は出て来いという、政府呼び声一つでそういう会合というものができる筋合のものであります。そういうような金がありまするならば、むしろ私は先ほど申しましたように、現在ある機械でいいから、それをもつと普及徹底させまして農作業能率を上げて行く、こういう方向に持つて行つてやることが先決問題であろうかと思います。改良局長さんはその点につきまして、この法案の運行につきまして、どういうふうに将来お考えになつていらつしやいますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農機具機械化段階がここ数年間で非常に画期的な躍進を示しておりますので、数年前に考えました制度というものは逐次時がたつに従つて少し遅れて来る、こういう傾向があるわけでございます。全体としまして、数年前においてはなお農機具相当改良の余地が多かつたし、それから農民のほうもまだ十分になじんでいないというふうな関係からして、相当やはり農家に対する農業機械展示であるとか、使つて見て農業経営のマッチしたような形になつておるかどうかとか、いろいろな点を研究しながら進めて行くという点に重点が置かれておつたのであります。そういう点、まだ十分機械普及していないような地帯においては、なおそういう必要が残つているわけでございますが、一方そういうような点の効果もあつてかなり程度まで普及して来ておる、こういう地帯ではもう現実に具体的ないろいろな問題が起つ来て、第一に農機具の問題であるとか、以い修理の問題であるとか、或いは部品なんかは、できるだけ規格統一されておればいろいろな点で便利であるとか、或いは鉄の材料が少し悪いとか、いろいろな具体体的な問題が起つて来るわけで、そういうような点についての解決をやはり進めて行くべきである、こういうようなところにあるわけでありまして、これは地帯々々で、遅れた地帯は数年前にあつたような状態と同じような状態があるわけで、やはり現在の段階ではその進み方に応じまして、その地方に最も合つたところに力を入れながら進んで行くということが必要ではないか、こう思つておるわけであります。全体として見ますると、やはり大体において今ある農具を使つてやるよりも機械使つてやればいいというふうな点はもう明らかになつておる。そういうふうな点で、現実普及面において相当推進していいというふうな段階に来ておる面が相当あるわけであります。その点で一番大きいネックは、金融の枠を拡大するとか、或いは個人の農機具に対して利子補給であるとか、損失補償考えて、十分それが伸びて行くようにしてやるというほうに財政的な問題の一番重点があるのじやないかと考えております。来年度の予算等におきましては、私どものほうも僅かに現在四億の融資の枠しかないという状態は、これは数年前の状態の下ではまだまだその程度であつたかもわかりませんが、現在の段階になるとこれは非常に少い額でして、どうしてもこれを拡充する必要がある、こう考えておりますので、大体普及の進みつつある状況等も睨み合せまして、重点の置き所を逐次変えて行かなければならん、こう考えております。
  5. 白井勇

    白井勇君 大体私の心配しております要点を局長はよくお考えになり、御承知の上に運用していらつしやるようでありまするから、繰返して申上げませんが、私はやはりできるだけ今の段階におきまして、その地帯普及すれば最も農作業効果的にやれるというふうな方面に、只今お話のように買えないものに金融を、融資をするとかいうような措置重点的にやつて参りませんというと、これは徒らに農機具屋をふとらせまして、農家選択に迷わさしめるというような結果に陥りやすい点があろうかと思います。この点は更に御注意を願つて御運用願いたいと思います。なおもう一点お尋ねしておきたいと思いますことは、今回この法案の運用の裏付とされておりまするような予算的の措置なり、現在の農林省やり方等によりましては、私ども十分やつて行けないじやなかろうかというように危惧の念を持つておる点があるわけであります。例えて見ますると、一応検査を頼みますというと、そこで検査合格証を出す。そこへ持つて行つて機械がごの基準に合うか合わないかを審査されるだけでありまして、今度それと同じようなものを機械業者が作りまして、それを第八条の二によつて検査合格証票をもらつて提案者の御説明のように必ず間違いない機械を上げるのだという保証は、その農家が受取ります機械には何らこれは保証されていないというふうに考えるのであります。従いまして、私は幸いにいたしまして、自由党の遠藤先生がこの提案者のお一人のようでありますし、この次の段階におきまして予算的措置が十分に講じ得ますまでは、農林省におきまして審査をいたしました場合の合格証をよほど慎重を期して、農家がその機械自体が果して合格したものであるかどうかというようなまどいを生じないように、又八条の二の項もこれは実際農林省におきまして、十分の検査ができるまでは暫らく保留するというような扱いのほうがいいじやないかと私は思うのですが、その点はどうお考えでありますか。
  6. 遠藤三郎

    衆議院議員遠藤三郎君) 只今のお尋ねでございますが、お話通り、今回の予算は極めて少額でありまして、私どもこの機械化促進議員連盟の諸君の最初意図しておつたところの予算の五分の一もとれなかつたようなわけであります。今お話のその検査の問題につきましても、成るほどおつしやる通り徹底を極めて欠いておりましたことは私どもも認めております。けれども一応今の段階としましては、メーカーの作つたその機械合格である。こういうことで、それと同じ規格で作つたものは一応まあ農民のほうで使つても差支えがない、この程度合格証を出して行く、これで現状としてまあ満足せざるを得ないじやないか、こういうふうに考えてこの法案を作つたわけであります。但し願わくば二十九年度におきましては、こういう点につきましても、徹底した検査ができますよう予算を是非一つとりたいということで、幸い只今予算編成期にありますので、農林当局のほうへもこれを要望しておりますので、皆様の御協力を得まして、こういう点についても徹底した措置が講ぜられるようにして参りたい、現状としましては、この程度で以てこの第八条の二項の証票を渡すことはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  7. 白井勇

    白井勇君 私はこの措置というものは、非常に農民をまどわすのではないかというふうに非常に心配をいたしておりますのでありまするが、これにつきまして、改良局のほうではどういうふうにお考えになつておりますか。
  8. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 改良局のほうとしましては、今お話の八条の二項の証票というものがそれだけの効果を出すということが一つだと思います。いろいろそういうふうな点でやはり政府が奨励的な意味依頼検査をやり、こういう規格なり、こういうふうなあれに合つたというふうなものを証明してやる。そうしていいものは売れて行くというふうな形にすることが第一であります。それはいろいろ法律によつてはあるけれども、もうそんな証票はものを言わんというふうな場合もあると思いますが、先ず証票にものを言わせ、検査の結果いいものはそてだけの格付をされて売りやすくなるというところに持つて行くことが第一だと、こう思いますので、それを先ずやつて行きたいと思います。おつしやる通り、第十一条にございます事後検査、これによつてごまかしがあるかどうかということはきちんと抑えないと危ないのでございますけれども、その検査職員というものは十分に行つておらないわけであります。これは来年度予算として農林省としては大きく出すつもりで現在審議しておりますが、今日大体出す腹をきめております。これはやはり法律通つて、そういうふうなことになれば、どうしても証票を出すだけでなくて、あと事後検査によつてそれが励行されておるかどうかという点もやらなければならない、これが国会の御意思でもありますし、それも又当然とも考えるわけでありますから、証票を出すと同時に、強くそういう点を大蔵省に折衝して参りたい、こう考えておるわけであります。そういうふうな意味事後検査のあれが、職員なり制度の整備が整わないまでは待てというお話もわかるわけですけれども、一応先ずそういう証票というものが農民保護のために大きな効果があるということを、先ず第一段階でやつておくというふうなことも非常に機械化促進に役に立つわけですから、現在のところ予算的に十分ではございませんが、一応出発させて頂いて、あと我我もできるだけ検査員事後検査が十分できるように予算的な措置は努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  9. 白井勇

    白井勇君 只今お話がありましたように、これは農家のためを考えるならば、私はむしろ合格証というようなものは農家をまどわすだけであり、これは実際行われないわけであります。それを行わせる職員もいないわけです。どうにもならないことなのですから、やはり今お話通りに、これは予算的措置というものがはつきりするまでは、いわゆる合格証というか、如何にもその機械自体農林省検査を受けて合格したというように農民をまどわすような措置というものはできるだけ避けまして、何か一つの型に嵌つたものというような一つの証明をするというような程度の、何か便宜の措置を講ずるのが、本当に農家のことを考えるなら、そのほうがいいじやないかというふうに私は考えております。これ以上は意見になりますから申上げませんが、よく一つ考えおき願いたいと思います。
  10. 森田豊壽

    森田豊壽君 私は三つ四つ大きく一つ質問して見たいと思います。第一番に、本法案におきまする国営検査をするということは結構なわけなのですが、この検査施行方法は如何なる方法を以て、どういう方法でやるか、その施行方法一つ教えてもらいたい。第二番目には、何といたしましても農業用機械促進をするためにはいい機械を入れると同時に、その後においても農家の使用におきまするところの修理が完全にならなければ、これは促進にならんのであります。買わせれはいいのではないのであります。買つてから後はどうなるかということが重要な問題でございまして、修理施設に対する問題をどういうふうに考えておるかということを根本的に承わりたい。第三番目におきましては、普及方法でありまするが、どういう方法を以て普及するつもりであるか、農政局のありました当時におきます機械化促進というものは、メーカーの要するに販売上の促進であつたと言わなければならないと私は考えております。併し幸いにいたしまして、昨年の八月よりこれが改良局経営課におきましてやるようになりまして、その後におきましての考え方は、前からのいろいろお話を承わりまして、そういうことは違つておりまするが、実際機械能率農民に知らしめるためにどういうふうにして普及するか、この前も質問いたしましたが、この点を根本的に伺いたい。もう一つは、今まで農業用機械というものは部分品が不統一で、例えばゴムホース一つをとりましても三百五十種も種類がある。これを取替えるのに機械ごとに皆違うので農家は非常に困つておる。従いまして部分品規格統一するという考えに対しまして、改良局ではどういうふうに考えておられるか、どの程度まで今のところ考えておられるか、この点を承わりたい。なおもう一つは、市町村にこの機械を使うところの技能者と申しましようか、技術者と申しましようか、そういうものがなくては、普及いたしましても、農民ただいいからといつて買つて来ても使い方が十分でないために破損もいたしましようし、機械の寿命も短かくなるということになりましようし、又機械修理その他に対する考え方も十分徹底しないことになりまするから、技能者というものを、各市町村に対しましてどういうお考えを一体持つておるかということを向いたい。なお、通産省との関連問題でありまするが、農業用機械に対しまして、殊に農業用機械と申しながら国際的な輸出をする我が国の農業用機械もあるわけでありまするから、輸出向農業用機械通産省がやることは結構でありましようが、国内の問題につきましては農林省が全部やるという一つはつきりした線をここで立てて頂くことが必要じやないかと思いまするが、そういようになつておるかいないかという、これだけの問題を一つお伺いしたいと思う。なおついでですから申上げたいことは、二十人以上の職工を持つておりまする農機具工場が約三百五十ばかりあるようであります。又四人か、五人の工場から言いますれば、これは千二、三百もあろうというわけで、農機具中小企業者は相当多いのであります。これを総合的に申上げまするというと、機械を操作する場合或いは修理をして行く場合、或いは部分品規格統一する場合にぎまして、いろいろの問題に関連いたしまするが、こういう業者に対しまして何かこれを統一するような考え方は、改良局として一つのお考えがあるとすれば、直ちにやろうというわけじやなくても、将来はこれもやろうという御意見があるとしましたらば、これも一つお伺いしたいと思います。以上申上げました点についてお願いいたします。
  11. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 検査方法でございまするが、これは農林大臣諮問機関として農業機械化審議会検査部会というものを置きまして、そして機械器具別分科会を置きまして、その専門家を以て検査実施機種であるとか、或いは実施検査基準であるとか、その他基準によつて現実検査をやりまして、それでその合格、不合格を決定するとかいうふうなやり方で進めて参る考えでおるわけでございます。一番大事なのはその検査基準であろうかと思いまするが、これはかなり機種別に専門的な部分になりまするし、検査部会専門家によつてその点については十分検討された上で決定してもらうようなやり方で行きたい、こう考えておるようなわけでございます。それからその修理のほうでございまするが、只今のところは非常に無統制になつております。各県でやつておりますようなやり方等もいろいろ参考として研究して見ますると、やはり或る程度メーカーに勝手々々にやりしておるような形では、どうしても良民の要望に即応したような形で修理かできておりません。これはやはり部品の不統一というような問題とも絡み合いまして、修理そのものがなかなかやりにくいような状態でございまするが、まあ私たちといたしましては、やはり或る程度県その他で以て農機具修理施設として巡回的な修理を組織的にやつて行くような機構をやるなれば、それに対して補助をやつて行きたいというふうにも一方考えておりまするし、量的にはやはり県がすべてをやるということには参りませんので、それを刺戟といたしまして、そういうふうな経験、実施によるいろいろな考え方を基礎としまして、メーカーにやはり時期をきめまして、農村のほうをずつと廻つて修理をやるような仕事を組織化して参るというふうな、事務費を県のほうにできれば与えて、そういうふうなものを秩序立ててやつて行く、県も自分でやつて、或る程度メーカー任せにせずに、それを指導できるようにすると同時に、まあ売込んでいるのはメーカーですから、メーカーもそこへ協力さして、それで時期をきめて、そう金がひどくかからないような形で、あいた時期にずつと修理して、修理班というような形態、そういうふうな形態でやつて行くのが現在一番いいのじやないか、各県でのやり方を見ますと、そういうふうなやり方でやつておるところは評判がいいようでございますから、今度の西日本の風水害でも非常に傷められた機具が多かつたので、これを非常に奨励したのであります。これを各県相当大きくやりましたが、これは評判がいいようなんで、現在のところではそういうやり方考えている、そういうふうな面に政府として助成をしたらどうかというふうな考え方状態で、来年度予算等においては、そういうふうな形のものを実現して参りたい、こう考えておるのでございます。で、普及方法につきましては、技術者の養成であるとか、普及事勝所に対する展示施設とかございまするが、やはりこれを農民に十分徹底しますためには、どうしても共進会とか、展示会式なもので、現場でその機械使つて見せて、それで農民に十分に批判をさせ、十分農民に注文も付けさせるといつた形態がまあ一番いいのではないか、こう考えております。その予算は現在はございませんので、これはただ県とメーカーに任されておるわけで、殆んどの経費メーカー持ちになつておりまするが、この部分につきましても、来年度予算においては、或る程度会場作つて、そういう斡旋もするくらいの経費は県において持ち、機械を持込んで来て運転したり、人を派遣したりというふうな部分メーカーで持つてもらう、一部はやはり公共性の高いものでございますから、或る程度県で持てるような形に持つて行きたいというふうに考えております。それから部品の不統一の問題でございまするが、これは実際修理上の問題もありまして、非常に不便な点でございまするが、現在はこれは工業標準化法というのがございまして、それでまあ通産省のほうの大体所管になつておりまするが、それの中に機械部会がございまして、その中で農機具規格統一というふうなものを少しずつやつて参る、こういう状態になつております。ただこれもその標準化法によりましてきまつたものは、日本工業規格というふうなレッテルを貼られるというふうな形であつて、非常にまあ強制するような制度は整つていなくて、これは消費者選択日本工業規格に合つているようなものなら部品は買いやすいだろうと、こういうふうな判定で、それを売りやすくするという程度以上は今のところは出ていない。そういうふうな点から言うと、大きな消費者である場合には、そういう点がかなり関心の的になるかもわかりませんが、農民等を相手にする場合には、それだけでは規格統一は十分に強制できない。折角そういうふうなものがありまするが、メーカーは必ずしもそういうふうなものに乗つて、そういう申請をやり、その工業規格合つたようなものを作つて行くようなところに実質的に進んで行くという段階に入つて来ていないわけでありますけれども、これはやはり機械化が進み、審議会等でそういうふうなところが強くなつて来れば、現在ある制度をできるだけ活用しながら、農民要望に副うように進めて参りたい、こう考えておるわけでございます。それから農民のほうの技能者をできるだけ養成したいという問題でございまするが、これは今までは農民への直接講習というのは十分なことはやつておりませんが、これは国でもやりたいし、殊に府県のほうで非常に広くやりたいと、こう考えておるわけであります。これは水産等においても、大正の初めに機械化をやりましたときには、かなり予算をとりましてそれで講習を津々浦々に行つてつておりますが、そういう部分が今の予算では不足しておるように考えますが、それはできるだけ来年度の予算で実現して参りたい、こう思います。それから所管の問題として輸出向についても、通産省所管となつているのもいいだろうけれども国内向農林省所管にいたしたらどうかということでございまするが、現在の機構といたしましては、やはり農機具工業のほうは、これは通産省所管になつておる、こういう状態でございます。それから中小工業者が非常に多いというお話でございます。これらにできるだけこういうふうな政府の施策、或いは農民要望に合うように活動してもらうというような機構をどう考えておるかという点でございまするが、これらについてもやはりメーカーの組織になりますると、一応は通産省所管になつておりまするが、我々のほうとしましては、各種の協会なり、或いは工業組合的なものによつて、できるだけ農民要望政府の施策とに協力してもらうような機構考えて参りたいと思つておりまするが、これらの問題は、仕事が進むに従つて機械化審議会等において大きく取上げて頂いて、問題を決定して頂くように持つて行くのがいいのじやないか、こう考えておる次第でございます。
  12. 森田豊壽

    森田豊壽君 ちよつと一言だけ……。塩見局長なかなか徹底はしませんが、理窟のある答弁でありまして、これをやつておりますと長くなりまするから、横のほうからも注意がありますから、余り長くやることはやめますが、ここで一つ修理の、分解修理という問題、これは一つの着眼として非常にいいと思いまするが、私もそう考えておりまするが、何だか県にばかりやらせるようなこと言つて、国のほうは分解修理に余り参画しないような話をしているようですが、メーカーもこれに乗せてやつて農機具屋もそれに乗せてやつて修理をさせて行くという考え方、非常にこれは面白いと思いますし、それに対して強制的に持つて歩けということで、農林省農機具を売つたメーカーを連れて歩いて研究をさせ、農民のいろいろ言われることをよく聞いてもらいまして、機械の改良も行われるという意味で、農林省が先頭を切つて、各県もそれに乗つた、巡廻トラックならトラックに乗つて歩いて、そうして巡廻修理をするということで、いわゆるサービス・ステーシヨンというようなものにするかしないかは別として、やつて行くということなんですが、それは実際に一つ今年から促進法が通つた以上、これは今年からやつてもらわないと、すべての話を聞いて予算も来年度だ、何も明年度であるという話ですが、この巡廻修理を直ちにやらなければ、修理から先に立たなければ機械化をさせることはできんのでありまして、修理ができないで農民が懲りておるのが現状だろうと思いますが、これをしつかり一つ、巡廻修理というやつを一つ徹底的にメーカー使つてつて頂きますということを、今日ここで一つはつきりと言つて頂かないと、本法案では理想論ばかり言つてただお題目ばかりで、空念仏みたいな法案作つて行くことになる、これをしつかりやつてくれるか、やつてくれないかということを言つてもらいたい。
  13. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは今年からやれというお話でございまするが、私も是非やりたいとは思いまするが、予算がないのでございます。それで県のほうではやつておるところもありまするが、県にはできるだけそういうものをとにかくやつておいてくれ、それから西日本の風水害等のありましたところでは、これは予備費で僕らはとつてやるから、とにかく農民は今必要なんだから、県にとにかくやつてくれと、こういう形で各県とも相当金は使つてつております。これは私どものほうとしましては、予備費等においても要求してやりたいと思うのですけれども、全国的にやるのはちよつと予算が、もうすでにずつと一年前に政府案が作られておる関係からして、それを途中でこういうものを挿入するという適当の機会もなかつたものでございますから、今年はそういう程度で顔を出すというふうなところで、来年度からは是非これは強力に推進して参りたいと、こう考えますが、その程度で御了承願いたいと思います。
  14. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 皆さん御心配なさる通りに、共同経営、この農業機械の共同使用ということはなかなかむずかしいことなんでありますが、さりとてむずかしいからとてできんことではない。そこで一つ地帯において模範的な経営と言いますか、モデルのようなものを、どういう形態でやればできるとか、或いはどういう規約内容でやつて行けばうまく行くとかいうようなことを、実地に農林省で実行されて行くようなお考えがないかどうかという点なんです。で、実は農業機械に対する一般の考え方が、私はどうも構想が余りに小さ過ぎる、もつと大きな構想で行かなければならんのではないか、言換えますれば、動力をもつと大きくしなければいかんのではないか、その動力の大きいものを共同使用する場合においては、こういう形で行けば最もよく行ける、或いは国内では、どこそこではこういう方法でやつておる、例えば何人かの共同でやるが、あとは賃稼ぎをさせるというようなことも一つ方法であると思う。そういうモデル経営を農林省が各地方別におやらしになるようなお考えがないかどうか。非常にむずかしい共同経営を、これはさつきも申しましたように、むずかしいものではあるけれども、できないことじやない。どうやればむずかしい問題を解決できるかということを実際一つ現わしてもらうようにして頂くと、農業機械促進ができるのだと、こういう工合に思われるのでありますが、お考えがありましたら承わりたい。
  15. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今の点は本当にその能率がいい、大きい機械というふうなものを入れる場合には、特に問題が大きいだろうと、こう考えられます。そういう面についての調査は、まあ或る程度限られた予算の範囲内においてやつておるわけでありますけれども、そういう事例を全国的に非常に多く集めて、しつかり掴まえているという状態ではまだございません。で、モデル的なところを指導して行くというふうなことも考えられるわけでありますけれども、これはやはり現実に実行する農民が一番いい智慧を出すものでございまして、現実に行われておるところについて、どうしてそういう形態になつておるかということを十分調査することが一番大事で、うまく行つておるところを一つのモデルとして、ほかの地区にもそういうふうにやつて見たらうまく行かないかというふうなことを、普及員やその他に徹底させるような形に推進して行くのがいいのじやないかと、こう考えておるわけでありますが、これはいろいろ機械の組合せ、作業機の殊に組合せ等も今後十分に考えて行かなければならないし、いろいろな形のものを主体別に技術者のほうではいろいろ頭に描いておるわけでありますけれども、仮に農民のところへ持つてつた場合には、必ずしもうまく行かない場合も多いので、そういう点は今後も十分注意はしながら、殊にそういう経営の事例に対する調査は十分に行いながら、その他の地区で取入れられるようなものについては、十分普及徹底するようには努めて参りたい、こう考えておるわけであります。又今のところは調査等においても十分にできているとは言えない段階でございまするが、できるだけそういう形は整えて参るつもりであります。
  16. 松浦定義

    ○松浦定義君 私はこの第二条の農機具の定義の範囲ですが、実は北先生から前回ちよつとお尋ねがあつたように聞いておりますが、もう一回私は提案者にお聞きしたいと思いますが、大体この内容を見ますると、現在日本の農業経営使つておる全部の農機具に該当しておるというふうにまあ考えられないのですが、若しそうであれば非常に結構だと思いますが、無論小農具或いは中農具、大農具まで入りますと、現在の予算だけでは到底これは賄い切れないことはわかつておりますが、更に予算だんだんと追加して行くことによつて、一応本案を制定する上に、現在農機具として一応使つておるものを全体に対して考えておるかどうかということを先ずお伺いしたいと思います。
  17. 遠藤三郎

    衆議院議員遠藤三郎君) 只今の御質問でございますが、前にも北委員からもいろいろその点の御指摘がございましたが、おつしやる通りに、この法案では全農機具を包括しておるとは言いかねると思うわけでございますが、現在の段階としましては、この程度で一応スタートして参りまして、そうして予算裏付けを持つてからだんだん拡大して行きたい、全農機具に及ぼして行きたい、こういう意図の下にこの法案作つてあるわけでございます。その点も御了承頂きたいと思います。
  18. 松浦定義

    ○松浦定義君 提案者のお気持は私はわからんわけではないのですが、そうしますと、今日まで大農機具と称するものにおいても、やはり政府は相当の助成を出しておるという、既成の助成の範囲内において出しておると、こう思うのですが、そうしたものはこれで徹底しておるということではないので、更に又そうした大農具は部分的なものであるというような考え方から、全体に及ぼす意味でこういうような法案も必要になつて来たのだとは考えますが、少くとも現在政府が大農具に対して補助を出しておる、該当するものが非常にまあ第一条の目的に対して効果を出しておると、従つてこの際こうした法案が出る限りにおいては、当然こうしたものも取上げて、そうしてその内容においてできるだけ全体に及ぼすようなものを採用して行くというようなお考えはあるかないか、一つお伺いしたいと思うのであります。
  19. 遠藤三郎

    衆議院議員遠藤三郎君) 只今お話ですが、おつしやることよくわかりますので、私ども根本的には御意見に賛成でありますけれども、何にしましても裏付が余り貧弱なものですから、拡げるばかり拡げて行きまして効果が上らんようなことになつては、この法律の狙いが達成されないと思いましたので、限定的な考え方で一応スタートしておくと、こういう考え方を持つておりますから、一つ御了承頂きたいと思います。
  20. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、先だつて委員の質問の中に、現在非常に日本農業のあり方から言つても特に必要であるし、どうしてもこれらが発展しない限り、或る特定の地域においては、他のものを以てしては農業機械化というようなものには該当しないという意味から指摘された内容で、現在非常に北海道を中心といたしまして強く要請されておるものに、ジープ・トラクター等の導入が非常に希望されておるのであります。このジープ・トラクター等ほ、今のお話ですと、当然該当しないようなふうに考えられなければならんと思うのですが、先回の北委員お話では、ジープ・トラクター等を含むのだというふうなお考えであつたように聞いておりますが、この点はどうでありますか。
  21. 遠藤三郎

    衆議院議員遠藤三郎君) 今のジープ・トラクターの問題ですが、試験的に金融をしておるそうでございます。
  22. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、試験的にはこの法案の中でやつてもよろしいというお考えですか。
  23. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今のところでは大体日本の農業経営も小規模な経営に合うようなものを主体にしておりまして、輸入したようなものは大体今遠藤さんからお話のありましたように、その試験的な範囲に限つておるような状態でございます。
  24. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、やはりこの法案の中には含まれんと解釈して差支えないのですか。
  25. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) いや、この言葉の上では入ると思いますが、ただその金融等の裏打をやつた場合には、その場合に法案とは別にどういうふうなものに優先して、額が非常に多くなれば、どんどん拡て行つてもいいと思われるのですけれども、資金源の枠との睨み合せで、どつちのほうに優先して重点をおいて行くかというふうな点で、そういうふうなものは試験的な範囲で今は我慢しておいてもらう、こういうふうな状態に取扱われておるわけでございます。
  26. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、どうも先だつての北委員に対する御回答とは相当私は、お気持はわかりますけれども、変つて参ると思いますが、今そのお話の中で輸入という言葉をお使いになつたようですが、現在日本の機械の製品の進歩は非常に……、私は決して外国には劣らないと思います。従つてこの大農具でなくても、やはり地帯別によつて、どうしても如何に立派なものであつても、地帯別にこれに該当しないというものがある。従つて今このジープ・トラクター等におきましても、必ずしも輸入して来たものが日本の土地条件に該当するとは考えられないので、むしろ国内産のものが輸入したものよりいいという結果が着々と生れておりますので、国内産で以て試験的の域を脱して普及しかけておるわけであります。従つてそういう意味から参りますと、私はやはり予算措置が講じられないからということで、法案の範囲を余り狭めるということでありますならば、やはり別な問題も非常にありますが、例えば農産物の価格安定法等でも、予算の範囲内ということについていろいろ問題があるというようなことは非常に私はどうかと思うのです。やはり入れるものは入れておいて、そうして予算の範囲内というならいいのですが、予算が伴わないから入らないという考え方で、而も実質的には今どんどんと利用されておりますし、相当そうした希望の度合も強まつておる。而もこれは農林省改良局が中心になつて長い聞宣伝しておいて、その効果が今日見えておるにもかかわらず、そうしたことにおいて今日これを出さないということでは私はどうかと思うので、別に今ここで大農具を入れるということをここで謳わなくても、気持の上では、その予算さえつけばしたいという気持なら、私は了解はできないわけではないのですが、いろいろこの問題についてはやはり相当の要望が今日まであるということは、農林省においても十分御承知だと思いますので、こういう点について、やはり納得の行くような説明ができるようなことをはつきりしておいて頂いたほうがいいのじやないかと、こう思つて実は考えておるわけであります。
  27. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私の説明がまずかつたのかもわかりませんけれども、法文の上では当然入つているのだと思います。只今おつしやるような農業機械は、今説明しましたのはただ金融の場合にそれを入れるか入れないかというふうな問題で、この法文とは別に行政的な取扱いで、それで金が足りないから制限していると、こういう状態でございます。この間も北委員からお話のありましたような、十馬力以上のトラクター等のようなものは、これは需要も相当多いし、奨励して行くような段階に入つているのじやないか、こう考えられますので、拡げるという決定をしておるのでございまして、できるだけ需要が多いものについては、政府のほうでもそれに見合つて、その裏打は資金的にやつて行きたい、こう考えておるのでございます。別に制限するような趣旨ではないのであります。或いは答えがちよつとまずかつたのかも知れません。
  28. 松浦定義

    ○松浦定義君 それでは次の飼養管理、調製加工の枠内ですが、この調製加工の枠内には、澱粉加工とか、或いは生切干等に必要な機械等は含んでおるのでございますか。
  29. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 非常に高度な機械は別としまして、農村で第一次的に処理しなければならないというふうな程度のものは当然これには含まれると解釈しております。
  30. 松浦定義

    ○松浦定義君 それじやもう一点お伺いしたいのですが、今米の生産は日本のどうしてもやらなければならん重大な問題で、政府は寒冷地帯に保温折衷用資材として温床紙その他、特に最近ビニール加工品等が出て参りまして、或る特定の会社が相当これに対して研究しておる、聞くところによりますと、最近農林省からそれらに対して、極く最近ですが、推奨に足るようなパンフレットをお出しになつておるのを実は見たわけでありますが、こういう場合に、そういうような温床紙或いはビニール加工を、それに該当するような機械に対しても、助成をされるような対象になるかどうか。
  31. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現在のところはそういうふうなビニール用温床紙を作る製造加工設備というふうなものについては考えておりません。
  32. 松浦定義

    ○松浦定義君 私はちよつとおかしいと思うのですが、現在、今この温床紙関係のものに対しましても、政府は大体三億円の助成金を出しておるわけなんであります。従つてこういう大きな金を補助しなければならんようなものに対しては、それぞれの立場から十分研究をする余地のあるものだと私は考えていいと思うのです。そういうような村の耕転整地とか、肥培管理等についても、直接はこれは必要なものだと思いますが、そういうようなものをあえて十分準備をいたしましても、それよりももつと優先するところの、こういうような保温折衷用といつたような、今申上げましたように、三億円も年々政府が助成金を出しておるというふうなものに対して、全然この調製加工の中に考えていないというようなことは、私はおかしいと思うのです。先ほどのお話ですと、当然予算さえできればジープ・トラクター等でも考えるというような大幅なお考え、即ちこのジープ・トラクター等は、今私が申上げます点から行つたら非常に特定の地域に限つてしまうのであります。この特定の地域に限つて予算を必要とするようなものを考えているにかかわらず、むしろこの温床紙と申しますか、この資材等については、全国的に今急を要しておる問題であつて、そうした広範囲に及んで、而も又一々末端の農家の個々に対しても、資材等の劣悪等によつて、反当何ぼといつたようなものには、目の先経済的に及ぼすようなことを、農林省自体としても当然試験の結果、これは有効だと称して、今申したような特定なもの等についても推奨のいろいろな宣伝をされおるというようなことからいつても、こういうものを含まないと、私は例えばこれを含んでおつても、その規模によつては、又予算の範囲内でこれができないということならばいいのですが、私は逆でないかと思うのです。先ほど申上げましたジープ・トラクター等は、解釈上によつてはこれは準用できないということが正しいのであると思うにかかわらず、当然であるべきものを含まないというようなお考えで、非常にこの定義の点についての解釈は私は反対ではないかと、こういうふうに思うのですが、この点如何ですか。
  33. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 温床紙を作るような設備でございますれば、それが入るということになれば、農民が使うような肥料であるとか、農薬であるとか、そういうものを作る設備もすべて入るわけでございまして、ここで農機具と申しておりますのは、農民が使う機械器具でございます。勿論温床紙とか、或いは農薬であるとかいうふうなものも農機具に準じたような形で、やはり農民が困らないように、いいものが手に入るようにというふうな制度は必要かと思います。農薬についてもそういうふうな点についての制度は、これと類似したようなものを持つておりますが、只今温床紙についてはそういう制度は持つておりません。それは農機具という定義には入りませんわけでありますが、それは別途研究をして見たいと、こう考えます。考える必要性はあると思うのでございますが、農機具の中にはちよつと入れにくいのじやないかと、こう考えます。今のところ肥料、農薬、農機具等については、そういう点で農民を保護するためのいろいろな制度ができおるわけでございまして、温床紙についてはまだできておらんわけであります。その点は別途研究して見たいと思います。
  34. 松浦定義

    ○松浦定義君 大体今の局長の御回答で私は了承しますが、大体調製加工その他農作業というもの、大体今までに御回答があつたと思うのでありますが、今政府が直接必要と考えておられるようなものに対しては、どれとどれくらいをお考えになつておるか、簡単に御説明願いたいと思います。
  35. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体今まで中心的に考えておりまするのは、電動機といたしましては、電動機の単相、三相、石油発動機、ディーゼル・エンジンというふうなもの、それから耕転の用具としましては、動力耕転機・砕土機、それから病害虫の予防用具といたしましては、肩掛式の噴霧機と動力噴霧機、動力散粉機、脱穀調製用具としましては、人力及び動力用の脱穀機、それから「わら」加工の用具としましては、動力及び人力用の繩ない機、そのほか籾摺機、精米麦機、製粉機、苧麻の仕上機等、大体そういうふうな種類のものを考えておるのでございますが、これは必要に応じまして範囲は拡大して参るつもりでおります。
  36. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は簡単に根本問題について聞きたいのですが、この機械化促進法は何の目的を目指してやつておるのでありますか、目的をはつきり一つ私は御説明願いたいと思います。
  37. 遠藤三郎

    衆議院議員遠藤三郎君) この法律の第一条にも書いてあるわけでありますが、この根本目的は機械化促進しまして、農業の労働の生産性を高めて食糧増産に資しよう、或いは農業生産に根本的に資しようという考えの下にこの法律はできておるわけであります。
  38. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういう御説明であるから、私は今の松浦さんのこの法案に対しての対象になる機械にいろいろ疑義が出て来ると思うのです。これは一つの農政の一環としておやりになつておりますならば、私が今更言うまでもなく、農政の目標というのはただ経済面だけではないはずです。それによつて能率が上り、生産費が下る、それだけではないはずだと思うのです。そのほかにこの機械化によつて保健衛生の面にどういういい結果をもたらすかということが、私はより以上大きな目標でなければならんと思うのです。そういう点についての、これは提案者のほうで御研究がなければ、改良局のほうで、これは機械化の問題に限りません。例えば交換分合の問題にしても、土地改良の問題にしても、そういう農業施策と、この施策をやることによつてもたらすところの農民への保健衛生の面というものと、何か御研究がありますか、これを伺いたいと思います。そういうお尋ねをするのは、例えば機械化することによつて能率は上つても、その機械を使うことによつて若し保健衛生に害があつたという場合にはどうなります。これは決してその施策はいい施策とは言えないはずであります。最近オートバイがはやつておる。誰でも彼でもオートバイに乗る。オートバイ必ずしも人体にいい影響を及ぼさん。こういう問題からの研究もあるはずです。同様に農業施策すべてについて、それと農民へ及ぼす保健衛生の面、これが私はなければならんと思います。これについて一つ説明願いたいと思います。
  39. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今の御指摘の部分は、これは政府のほうでも、えて抜かり勝の部分で注意はしなければならないと思いまするが、只今のところは、それに関する耕転機等による十分な保健衛生上の影響というものについての調査はございませんが、私が今まで聞いております範囲では、やはり広く動力耕転機を入れるために女房が非常に楽になる、自分も楽になる、風呂も毎日早く入れる。それがやりたいから、一部経済的な効果もあるけれども、そつちに引かれているのだ、こういうことを現に言つておる農民は相当数あります。現実農民に訴える点では、そういう部分の比重は高いものだと考えておるわけでございますが、併しそれに対して具体的にいろいろな、お医者によつてとか、どうとかという研究のほうはまだ進んでおりません。水産等についてはそれを随分昔にやつたものですから、やつた部分もありますが、こつちの部分についてはまだやつておりませんが、私のほうでも……、今ちよつと間違いましたが、数年前に労働科学研究所に委託して、そういう効果というのは或る程度つたことがあるそうであります。
  40. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこの本案に双手を挙げて賛成しておるのは、大ざつぱではあるけれども、これをやることによつて能率が上る云々とか、機械化によつてコストでも下るとかいうことよりもいこれをやることによつて、今局長がおつしやるように、ちよつとした話が、風呂に早く入れるとか、夕方の仕事を早く切上げるとか、こういうことは当然農民の健康によき結果をもたらしておる、そういう農民の保健衛生の面と結び付いて非常にこれは私はいいことだと思つております。そういうところに目的を絞つて行けば、今のように温床苗代の紙をどうとか、農薬をどうとかという問題は、これはそういう疑義が起つて来ないと思うのですよ。だからこれはピントをはつきり私は合わさなければならんと思う。そこでこの際この法案と離れて、特に私は改良局に私は期待をするのだが、例えば現在交換分合をやつておりますね。交換分合をやつたところとやらないところと、その村の農民に及ぼす保健衛生の面はどうかというようなことは、これはお調べになつておるかどうか、私が承知しておる範囲では、その村に行つて、交換分合をやつた村とやらん村と国民健康保険の統計を見ればすぐ出ます。湿田地帯の土地改良をやつたところとやらんところとの国民健康保険の結果と、その数字とをぶつつけて見るとすぐわかりますが、こういうようなものを私はもう少し改良局であらゆる研究機関を動員して、又場合によつたら根本的な農政というものは農民の健康だと思う。今まで食うに追われたから、経済面ばかりが農政だとは飛んでもない間違いと思うのです。この機会に私はあえて改良局長に期待するのだが、改良局こそ私は農政の最終の目的を満たすところですよ。そういう意味合において私は期待すると同時に、何か今までそういうふうな、例えば養蚕地帯とそうでない地帯、酪農をやつたところとやらんところ、乾田地帯と湿田地帯、こういう農業形態別に、それと結び付いて保健衛生の面で何かお調べになつた点がありましたら、お知らせ願いたい。これは単にそれは厚生省の仕事であるとか、労働科学研究所の仕事であるとか、こういうことでは駄目です。農林省がこれをやらなくちや駄目だ。農林省改良局がやらなければ……。これを私は一つ調べて頂きたいと思います。
  41. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今までのところはそういう点は割合に重点が抜かれておりまして、十分な資料はございません。生活改善というふうな問題が農林省の仕事になつておりますし、改良局のほうの仕事になつておるわけでございまして、そういう点は厚生省の仕事だといつて手を抜くということは間違いであると思いますし、そういう点で生活改善のほうもまだ三、四年にしかなつておらないものでありますから、そういう点で農業経営のほうと広くマッチした形をとつておらないので、十分な資料や調査はまだまとまつておりませんが、是非そういう点には力を注いで、そういう農民のほうの福祉のほうを十分に拡げて行くというようなことは考えて参りたいと、こう考えております。
  42. 河野謙三

    ○河野謙三君 余計なことですが、私はこの機会にもう一言申上げるが、そういう農業施策と保健衛生の面と結びついて数字を出して行けば、大蔵省はこれの前にはもう酢のこんにやくのとは言わないのです。絶対に頭を下げて予算を出しますよ。そういうような保健衛生のところに結びついたところの結論というものを農林省では持たんから、大蔵省に行つていつでも予算を半分に削られ、三分の一に削られる。私は今まで農林省がやつたことは皆いいと思います。いいけれども、それをバツクとして要求するところに私は農林省の弱さがある。そこで私は繰返して申上げるけれども改良局はもう少し幅を拡げて、保健衛生の面と農業施策、農政の中に常に保健衛生の面を私は入れて行けば、農林省はもつともつと予算もとれる、従つて農政も躍進すると思います。そうでなければ、先ほどのジープ・トラックターの問題等もだ、やりたいと思うけれども予算がないからできん。若しそれを使うことによつて、これを機械化されるところの農民の、一年寿命が伸びたとか、病人が減つたとか、こういう数字を出して御覧なさい。必ず出るのです。その数字を出せば文句はないですよ。そういう面で行かないと……。私は審議のお邪魔をするようですから、この問題についてはあとで又ゆつくり私の蘊蓄を傾けたところを申上げることにして、(笑声)これはこの辺で一つ質疑を打切りたいと思います。
  43. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつとお諮りしますが、まだいろいろ御質疑があるようでありますから、この点……、実は農産物価格安定法案農林大臣の出席を求めておりますが、他に所用がありますので、今すぐであればよろしいというわけでありますが、若しこれで質疑を打切つて直ちに討論に入れば、これを打切りまして、すぐ大臣の出席を求めたいと思いますが、質疑はこれで打切りまして如何でございましようか。一般の農政問題もございましようから、一般農政問題であれば適当の機会に御質問の機会も作ります。この法案の通過に絶対必要であるという御質問でもあればやりますが……。それじやこの法案に直接関連する問題だけに御限定を願います。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 第三条の「共進会その他農業機械化の促進に有効な事項については、」という、この共進会ですが、この共進会というものを国又は都道府県が積極的に行わなければならないというか、その共進会は今までと同じことをやるのですか、又別なものを考えておられるのですか、新たに……。
  45. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 先ほど申上げましたように、今までは当業者の負担においてやつているだけで、個所数も十分ではないし、農民要望にも十分に即応してないわけでありますけれども、現在予算はございません。来年度予算でこういうふうな法案が通れば大蔵省に交渉したいと思つておるわけであります。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこを聞いておるのじやないのです。金を商人が出すとか、国が出すとかいうことでなく、今までは商人がし出たのだから機械を売るための共進会であつた。それを国が売るから、国の共進会ということになれば、その内容がおのずから変るだろうと思うから、その変る内容がどういうふうに変るかということをお聞きしたい。
  47. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは今までもやつておりまするが、国の技術者或いは県の技術者が参りまして、それで油の消費量とか、能率とか、それを運転する人の疲労の度とか、そういう点なんかも大体調べまして、それで農民の判断にいい材料を提供するところまでやりたいと思つております。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで第一条の農業機具の普及であるとか、その他の問題に対しては大体御議論が尽きたと思うのでありますけれども、改良の施策について、農林省自身が機械自身を改良するということは、大体メーカーに任しておかれるように、今まで質疑応答の面に現われたところでは、大体今までメーカーに頼つておられたようでありますが、農林省自身が積極性を持つて改良して行くという考え方ですな。これには相当技術陣も要りましようし、或いは何かの構想を持つた技術陣を農林省内に持たなければ、何かの構想を持つたもので改良を行われるというようなことも考えられるが、そこで共進会と結んで考えられますならば、これが都道府県の立場で行われる場合には、これを耕地において共進会自身が機械を動かして見せる。これは県も国もいわゆる農事試験場等の技術者も出まするが、その上に地方の大工場等に相当の技術者もおるから、そういうものを集めたり、或いは各学校、工科大学等の教授等からも集まつてもらつて、そこに総合的な研究的な一つ共進会を持つというようなことも考えられるので、ただ油がどうとか、こうとかいうような消極的な共進会を持たれるということに対しましては、私はいま一歩国が改良をせしむるといつた上において、技術陣をとらえて一応新らしい機械まで作り出すのだというほどの改良技術陣まで作つたら、研究機関までお持ちになるということはなかなが容易でないと思うのですが、その前提としても何かもつと工夫したものが考えられなければならないと思いますが、お考えにならなければならないと思いますが、そういうお考えがあるのかないのか。
  49. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは農業機械化審議会において、今までは検査が主体になつてつたわけでございますが、機械化部会というものを作りまして、そこで試験研究のやり方、その他具体的な部分についても十分審議をして進めて参るという考え方でおります。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 その審議会のことは聞きました。審議会というものはあるものをとにかく審議して行くのじやないですか。少くとも改良ということは審議じやなくて、新らしいものを試験研究して一歩進むることでなければならん。いろいろのメーカーが作つたものを、これがいいとか、悪いとかいう規格に嵌めて検査することじやなくて、新らしい構想の下に総合的なものを作らなければならんということが改良です。改良進歩を図ることなんです
  51. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それは検査部会でやつておることで、今度新設します機械化部会においては、お説のような部分をやりたい、具体的には或る段階になれば、その一番経験のあるメーカーにこれをやつてもらうこともありましようし、或いは大学或いは国の試験所等がそいつは引受けてやるという部分もありましようし、お説のように新らしい進んだ機械を作るほうへもカを入れて参る、こういう考え方でおります。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこの法案を、今時間のない中に修正しようとは思いませんが、その中にはそういう権威あるものに補助金を出して改良等をなさしめたものは一つもありませんのでお伺いしておるので、いずれこの問題が基本になつて、このものがもつと第一条の目的を達成するために、法案も改良せられるであろうし、又あなたがたの構想も進んで行くだろうと思いますので、私はそういう面において、機械の改良という面において、私は先般も質問しておりましたが、非常に遅れているということがある。機械自身の性能というものが技術者から見れば誠に遅れている、お粗末千万だと思います。これはすべての少し権威ある技術者農機具を見ました際に、機械学という学問の上から見ると甚だお粗末な附合せのものだけが一般市場から売出されておる、こういうことを言われておるから、その点に改良局として御努力願いたい。
  53. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 承知しました。
  54. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほどお話を聞くと、この出荷されるときも検査しないのだというふうになりますと、一回合格しますと、いつまでも合格の烙印が押されて出て行く、これが混乱させる元になるのじやないかというような気がいたしますので、日進月歩の時代に一年とか、半年とか合格の期間をきめるとか、又出る機械には合格印を検査して押すという工合のことをしないと、一回の合格がいつまでも通用するというふうになるのじやないかと考えますので……。
  55. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現在までのやり方では期限は付してないのでありますけれども機械お話通り日進月歩いたしまするし、農民要望も順次高まつて参るわけでありますから、できるだけ今後のやり方としては期間を付してやつて行くような運用で参りたいと思います。
  56. 上林忠次

    ○上林忠次君 それから優良農機具普及ということは勿論必要なことでありますが、値段の問題もすぐ普及には影響して来る。何とかいい農具をまとめて安く買わせるという手を打たなくちやならんと思います。政府ではどういうふうなお考えを持つておられますか、ただつたものを普及させる、おのおの勝手な販売網を作つているというようなことでやらせると生産費も高くなる。何とかこれをまとめて安く普及させるというようなことが必要になつて来る、そういうふうな点についてもどういうふうにお考えになりますか。
  57. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今としましては、政府で援助させるということはやはり金融の点じやないかと、今のところは、考えておるわけでありますけれども、なお十分いろいろな点で安くするいい方法があれば研究して見たいと思います。
  58. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 大体本法律案につきましては質疑はこれで打切りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それでは続きまして討論に入ります。農業機械化促進法案につきまして討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います……。別に御意見もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農業機械化促進法案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  61. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定されました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     清澤 俊英  河野 謙三     北 勝太郎  鈴木  一     雨森 常夫  白井  勇     小林 亦治  重政 庸徳     戸叶 武   森田 豊壽     上林 忠次  川口爲之助     松浦 定義  佐藤清一郎     宮本 邦彦   —————————————
  63. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農産物価格安定法案を議題といたします。  本法案につきましては、昨日の話合によりまして、本日質疑を終り、討論採決に入ることを目途として審議を進めたいと存じます。本法案につきまして昨日森田委員から農林大臣の出席を求められております。
  64. 森田豊壽

    森田豊壽君 農産物価格安定法案につきましては、相当質疑をいたしまして、その審議過程におきまして、この法案裏付となるべきもの、この安定法を完成するためには、何と申しましても、予算措置が最も重要であるという結論が委員会の大部分の意向であるのでありまするから、この農産物価格安定法案に対しまして、農林大臣からここに、今まで食糧庁長官予算裏付に対しましては、できるだけ努力するということのお話がありましたが、農林大臣からこれに対する、予算裏付に対する確答をお願いしたい、裏付をして下さるという御確答を願いたいということがおいでを願つた趣旨でありまするが、これに対して大臣から御確答を願いたい。
  65. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 農産物価格安定法が実施されるということになりますれば、当然所要の資金を要するわけでございまするが、これにつきましては、食管、農林省で十分実施に支障のない裏付と申しますか、さように努力いたすつもりでおります。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 久し振りで農林大臣にお目にかかりますから、一つつておきたいことがあります。安定法につきましては、かねて本委員会農林大臣に、本国会に安定法を提案する意思ありや否やということをお尋ねしましたときに、非常にその当時の、字句は忘れましたが、躊躇されておりましたが、それは一体どういうことであつたのですか。我々本来ならば、かような農政の一環としての重大な法案政府が進んで提案すべきである、かように今なお思つておるのでありますけれども、この躊躇されました理由はどういうことでありますか。
  67. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 躊躇したわけでも何でもございませんが、前回も恐らく申上げたかと思いますが、或いは他の機会にも申上げておると思いますが、私もこれは単純な考えでございますけれども、当然日本の自立経済を達成して参ります上から申しましても、食糧増産という立場の上においても一つの課題である。これについては政府と言わず、広く官民が一致して日本の自立経済を達成するという大きな目標の下に進まなければならない問題でございますから、同時に又増産せられました結果が、曾つて農村が経験したような増産をした結果、価格の暴落を来たした、延いて農家経済の破綻を招来するというようなことは、これは絶対に防いで行かなければならん、そういう意味で価格安定と申しますか、価格の支持と申しますか、そういう施策が相伴つて参らなければならない段階にあることを申上げておつたわけでありますし、従つて政府案として出すか、出さないかということの御質問がありました場合にお答え申上げておりますのは、なおざつくばらんに申上げますと、貯蔵性に相当難色のある切干甘藷を入れ得るかどうかと、これが大蔵当局と農林当局の間でかなり引つかかつておる。その引つかかつておる段階において、又従つてそれが解決すれば政府案として提出をいたしたいという心積りでおつたのでございます。その引つかかつておるそのままのところで議員提案を頂いた。拝見いたしますれば、私ども考えておると大体同じ線においてお考えを頂いておるわけであります。いずれにいたしましても、農政上今日とらなければならない法案であるという考えはこちらでも持つておるわけでございます。そういうわけで躊躇いたしたわけではございませんけれども、なお内部の話がまだ提案するに取りまとめが進まなかつたというように御了承願いたいと思います。
  68. 河野謙三

    ○河野謙三君 議会で保利農林大臣の答弁の上手なことは定評があるのです。今もなかなかうまく答弁されましたが、結局こういうことでしよう。切干甘藷を入れるか入れないかという問題で、政府部内において大蔵省と農林省の間に意見の一致を見なかつたと、こういう事実ですね。それは角度を変えて言えば、切干甘藷を入れることによつて、今お話の貯蔵性の問題が生じ、そこに当然本法案の趣旨を生かして行くためには、財政負担というものを当然織込まなければいかん。ところが大蔵省がこういう法案に財政負担は困るというところで問題があつたのじやないのですか。これは私ちよつと伺いたいのですが。
  69. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これは実際衝に当つておりました食糧庁長官にお聞き頂いたほうが明瞭だと思います。そういう点もあつたかと思いますが、これは私の想像でございますから、責任を以てお答えはできません。
  70. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは食糧庁長官と言わずに、実は提案者からも、この措置によつて当然将来財政負担は起るのだということをはつきり言つておられます。又将来財政負担を予定しないではこの法案に何にも意味がないのであります。そういう意味合から、森田委員から予算的な裏付云々という御質問があつたと思いますが、これに対して十分な予算的な裏付農林大臣がやるという御答弁であつたのでありますが、同時にこの運用上、この法の精神を完全に生かすという線から行けば、財政負担が当然私は付いて来ると思いますけれども、これについてはどういうふうな御見解でしようか。
  71. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) お答えいたしますが、これは成るべく財政負担がかからないように、而も価格が変動しないようにという両面から考えて行かなければならんと思いますけれども、併しどちらにしてもこの法案が成立をいたしまして実施します以上は、これは政府の責任になりますから、この法案の趣意が没却されないように予算措置を講ずべきものは予算措置を講ずる。これは政府の責任であると思いますから、そういう点については格別努力いたさなければならない。どの程度に一体財政負担がかかつて来るか、これは少しやつて見なければわからないのだと思います。
  72. 河野謙三

    ○河野謙三君 御承知のように議員というのはいい立場で、卵の生みつ放しみたいで、議員提案で法律を出しても責任は大臣にある。そこで具体的に、例えば昨年から澱粉を買つておりますね、ところがこれを売るほうはしませんが、たださえも値段が下りがちであるから、買う一方で売る時期がない。これが今後続くと思う。「なたね」の場合もそういう時期が続くと思う。売らなければ金利倉敷がかかつてだんだん政府手持の澱粉なり、「なたね」は原価が上つて来る。併しこれを売れば本案の目的と相反する。そこに当然私は財政負担が起つて来ると思う。この場合にも政府が支持するところの、今度は大臣あなたが今度は大体農民団体並びに有識者に聞いて値段をきめるわけです。この大体予定した支持価格というものを、政府の財政負担がどうかかろうと、この支持価格は絶対に割らないで行くのだということについては、大臣これは責任が持てますね、これを伺いたい。
  73. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはこの法案が農産物の価格安定を要請しておる法案でございますから、この法案の要請しておる趣意に著しく齟齬するような政府措置はとらないと思います。又とつてはならんと思います。そういう意味から実際の操作上どういうふうになりますか、とにかく画期的なものでございますから、暫らくそういうことをやつてもらわなければいかんのじやないかというように思いますけれども……。
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 暫らくやつてもらわなければいかんのです。やつてもらわなければいけないが、その暫らくの間、どうもその財政本位で、食管の特別会計本位で、そうしてどんどん売払いをされるということになつたならば、これは本案の目的というものは何にもならないわけなんだ。そこで私たちは今日か明日採決をしようということを言つておるのでありますが、農林大臣に今大事なところを伺つているわけです。これを重ねて申上げますが、本案の目的に反するような売払いは絶対にしない。それによつて起る財政負担というものは本案施行のための当然の結果である、こういうことに解釈して間違いございませんね。
  75. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 御趣意の通りだと思いますけれども、要するに政府で負担すべきものを負担しないで、そのために農産物の暴落を来たすというようなことは、この法案とは全然逆なことになりますから、そういうことはやつちやいかんものだと思う。又やるべきではないというふうに考えます。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 今は農林大臣は、政府提案じやありませんから、人ごとのように言つておりますけれども提案者は足立君なんだ、私はそういうように思いますとか、やつちやいけないと考えますというのじやなくて、これは通つたらすぐ明日から農林大臣のものになるのだから、私はそういうことは考えておりませんとか、やりませんということでなければ私はいかんと思うのです。それを一つ、私は何も農林大臣を責めるわけでも何でもない。この案を生かすとか何とか……、明日からもう赤の他人なんですよ、明日からもう保利農林大臣のものになるのだ。そこで私は農林大臣にバトンタッチに当つて農林大臣一つはつきりと伺つておきたい、こう思うのです。
  77. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) そこでこの案は、この国会で御提議になつておりますこの案は、私ども考えておりました価格安定法案の線とほぼ同一の線でございますし、従つてこの法案制定の趣旨については私ども全然異論がございませんし、私どもも又当然その責任を持たなければなりませんから、法案自身につきましては十分の責任をとつて参るようにいたしたいと考えておる次第であります。
  78. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 農林大臣の御決心のほどを承わりまして、私ども大いに安心するのでありますが、併しそうであれば、今後たくさんの農産物は是非一つそうあつてもらいたい。それがために議員提案で続々今度は大豆を入れろ、或いは粟を入れろ、或いは「とうもろこし」を入れろということになると思いますが、差支えないのですか、どうですか。
  79. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはもうやはり一面からは国の財政ということも考えて頂かなければなりませんし、同時に又今日の食糧増産で一体何を国民は、特に国民経済の上から何を強く要請しているかということにも関連して、そうして考えて行くべき問題だろうと思うのでありまして、何もかも農家でできるすべてのものをここへ入れてしまうということは、それは何も北先生そんなことをお考えになつていらつしやるわけでもなかろうと思いますけれども、そのかね合い今後十分国会でも考えてもらいたいと思うのです。
  80. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 実はこれは政府提案であれば私はそう心配しないのでありますけれども、議員提案であるが故に、嫌嫌ながらも飲込まなければならん、こういう工合になるのであるとすれば、議員提案なら嫌々ながら今後飲込んでもらえるという見通しが付くわけです。従つてまあ何もかもとは言わんが、近い将来において大豆もやつてもらいたい、粟もやつてもらいたいとなろうと考えますから、将来の心構えのために、議員の心構えのために一つ決心を承わつておきたいと思います。
  81. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) やはり一面においては国民の相当の負担を予想せらるることになりますから、従つてこの実施並びに対象品目については、これはよほど将来も、厳正と言うと言葉が悪うございますけれども、国会側におかれましてもその辺は十分お考えになつて頂いておきたいと思うのです。併しこの法律は議員提案だから、政府はよそごとのように思つているというふうに思われますけれども、私も政府の一員に連つて、大体食糧増産の裏打としての重要農産物の価格安定というものは必要だ、やらなければならん段階にあるということは、ほかの機会でも申上げて来て、国会で申上げて来ておりますから、決して議員提案だからぞんざいにもという考えは毛頭ありません。その点は……。
  82. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 実はこの問題の裏には、相当農家は農産物価格安定法に載せてもらいたいというものがたくさんある。従つてども地方に参りましてこの問題を説明しましたならば、恐らく、お前たちこれも入れろ、これも入れろということを必らず言つて来られると思うのでありまして、そこで今後のために、又そういう農民の質問に対しても親切な答弁をしなければならんから、その意味で今伺つたわけなんでありますが、まあこれ以上は別に質問いたしません。
  83. 戸叶武

    戸叶武君 今日は農林大臣が非常にこの法案に対しては責任を持たれるような誠意を持つての御答弁でありましたが、この問題は我々今まで審議した中においても、日本の農政の転換の中においてかなり重要な法案だと感ずるのであります。それは問題は切干とか、「なたね」とかに言われておりますけれども、日本の農産物の安定価格を作り上げようというのでありまして、或る意味における一つの、この法案そのものは非常に粗雑なものでありまして、批判はありますけれども農業保護政策の方向に向つたところの計画経済の一つの現われであると思うのであります。政府自身が自主経済への復帰を説き、併しながら現実において計画経済の取入れを行わなければならんという段階に、その政策から来る矛盾を議員立法という形によつて受入れようという形がこれには多分に現われていると思いますが、その関係を農林大臣はどういうふうに見ておりますか。
  84. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはこの案を以てそういうふうに御解釈になれば、これはもういたし方ないかも知れませんけれども、要は実際に食糧増産を要請する国民のその期待によりよく農家のほうで副つて頂くために、農産物の価格変動著しいような姿に置いておいていいのかという必要性から、国会においてもそういうことは困る。だからできるだけ農産物の価格安定を図る。一面図りつつ食糧増産を強く要請するという趣意の下で私はこれはできている。計画経済の頭でそんなものが出て来たものだとは思いません。
  85. 戸叶武

    戸叶武君 この法案なり何なりが成立するならば、これはなかなか逆戻りができないのでありまして、先ほど河野委員も指摘しておりましたけれども、結局政府で以て大なる負担を覚悟して行かなければならないと思うのであります。従つてそれがこれらの対象物に注がれるだけでなくして、他の農産物からも当然問題が起きて来るのであります。農産物全体に対しての総合的な計画経済の上に立つてなら別でありますけれども政府その他が殆んど無責任と思われるような形において奨励したところの「なたね」の生産が多過ぎたので、その尻拭いをやろうというのが大体この法案の趣旨と思われるところも多分にあるのでありまして、そういう形で以て無計画的な計画経済の端緒がここに始まるということはよほど慎重に考えなければならんと思いますが、それに対して農林大臣はどう考えておりますか。
  86. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 御提案者からどういう御説明があつてそういう誤解を抱かれておるか存じませんけれども、私は恐らくこの法案御提案の趣意というものは、農家の経済に著しき変動を起さしめないように、曾つて味わつたような経験をした農家がたくさんできて、惨めな状態に、姿に立至つた農村の姿を再び再現せしめてはならないというような考えから、この提案になつていると存ずるのであります。
  87. 戸叶武

    戸叶武君 前に戻りますが、それでは何故政府の責任においてこの法案を出すことを躊躇したのですか、前の説明が簡単過ぎて……。
  88. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) それだから先ほど河野さんにお答えいたしておりますように、内部的に私は率直に申上げたのですけれども、貯蔵性に非常に困難を感ずる切干甘藷の問題について、大蔵当局との話が付かないうちにこの案が出ている、こう申上げて、躊躇しているわけでも何でもない。
  89. 松浦定義

    ○松浦定義君 今農林大臣に伺いますと、議員提出の法案に対して全く同感である、従つてこれが本院を通過いたしますると、即日政府の責任であるという、募員からいろいろ政府の今後における実施の決意のほどをお伺いをしているのですが、衆議院のほうで、衆議院は無論各派の共同提案でありまするから、内容についてはそれほど細かい点まで御研究はなかつたかも知れん。本院におきましては、如何に衆参両院として党を同じういたしましても、参議院は参議院という立場からいろいろ詳細の点まで質問をして、提案者からそれぞれ御回答があつたわけですが、何といたしましても会期が非常に短い、これが本法案の審議の障害になつたということは、これはもう誰しも承知いたしておるのであります。併し特に本法案はそういう意味合から、内容については或る程度不満な点が多いということは提案者自体も勿論言つておられるので、その点は私としましても了解をしておるのですが、そのために衆議院のほうでは附帯決議、六項目に亘る附帯決議というものを出しておられるのですが、これは農林大臣は附帯決議に対して、その当時全体に対して御了承になつていたかどうか、これを一つお伺いしておきたいと思います。
  90. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 附帯決議が付いておるということは承知いたしておりますけれども、私まだ具体的に……、これはお叱りを受けるかも存じませんけれども、内容は実は承知しておりません。(「それはおかしいな」と呼ぶ者あり)
  91. 松浦定義

    ○松浦定義君 これは、まあその点は私は衆議院提案者が非常に手ぬかりであつたのではなかろうか、少くとも参考意見としてこちらに廻す限りにおきましては、この附帯決議というものが、提案者が最初提案になつていた内容から不備な点がある。併し期間的に間に合わんという意味合から、その了承を裏付けるための有力なる参考資料としてお持ちになつたと思うのです。従つて今お聞きいたしますと、それを農林大臣が承知していないということになりますれば、私どもが今日もうこの問題を如何にして取計らうかということにつきましては、それぞれ各委員からもつと研究したいという意見があつた。併し我々は各両院が超党派的に出しているという意味合から、党議としてこれに対して或る程度止むを得ない事態が起りましても、参議院におきましては、尤もこの農政に対して十分御研究になつている緑風会という会派があるわけです。而もそういう緑風会の意見すら聞き得ないような状態で採決に持つて行こうと、委員長もそういう点を苦しんで、すでに土曜日のやつを今日まで引延し、或いは今日もこれが採決にならんかも知れない、そういうお考えで、何とかこの点を政府に了解せしめるために、我々としては衆議院も附帯決議を作つて我々に参考意見として出して来る限りにおいては、我が参議院におきましても附帯決議を一つ盛込んで、これを提案者が了承した限りにおいては、そのまま政府にこの由をやはり伝えるであろうという意図の下に、そういうことも実は考えないわけでもないのです。従つて若しそういう考えの下に委員長がいろいろこの法案を通すために努力されておつて、我々委員会が今日なおこの問題について研究しておるときに、衆議院のほうでそういうような非常に有名無実な而も内容については何にも裏付けにならないようなものを持つて来て、そうしてこの法案を通せということになれば、我々は党を作つておりまして、衆議院と連絡をしておる立場からして止むを得んといたしましても、参議院の立場というもの、而も又委員長が今日まで、ほかの法案がたくさんあるにかかわらず、この問題を中心にして、而も農林大臣まで呼んで、最後にこの問題は解決しようじやないか、先ほど戸叶委員も申しておりましたが、この問題は非常に重大な問題である。輿論を聞くところによりますと、本法案と或いは農業委員会或いは農業協同組合の一部改正等は、今国会における農林省としての重要法案一つであるとさえ育つている。従つてそういう意味合から、今そういうようなお考えでありますと、我々が今日ここで採決をするということまでも、これは我々党派を作つているから止むを得なとたしましても、緑風会、即ち委員長の今日までの苦労に対して、私非常に提案者としてはどうかと思われますので、この点提案者の御意見を聞くと同時に、衆議院ではどうあろうとも、参議院の立場というものをお考えになつて農林大臣は若し本法案においてどうしても納得の行かない点は、附帯決議等で以て御要求があるならば、それらに対してどうこうであるということをやはり御発言があつて然るべきだと思うが、この点以上の意味から一つ御回答願いたいと思う。
  92. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 衆議院委員会において本案が議決せられる際に、私に代りまして食糧庁長官が出席いたしておりました。そうしてこの附帯決議の趣意につきましては、政府におきまして、できるだけ善処いたしますということをお約束申上げているのでございますが、それと否とにかかわりませず、本案実施に当りましては、これほもう当然国会の意思を尊重して参らなければならんことは申すまでもございませんから、附帯決議の趣意につきましては、十分実施上に尊重をいたして参る、これはもう当然のことでございます。従つて私が承知していないというのは、実際のところを申上げただけのことで、申せばこの決議ができております以上は決議を尊重して行かなければならんことは、食糧庁長官もすでに私に代つて言明しておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
  93. 松浦定義

    ○松浦定義君 今折角農林大臣から心らなる御意見がありましたので、提案者からの御意見は私は取消します。
  94. 小林亦治

    ○小林亦治君 提案者がどうおつしやろうと、大臣がどうおつしやろうと、法案の内容そのものは特殊物資に対するところの価格の保障、僅かにそれだけなんです。ところが看板は非常にでかく、農産物価格安定、かようなことになつて若しもこの法案を通すということになりますと、将来たくさんの農産物を本法の範囲内に取入れてくれという要求に対して責任を負わなければならんことになるのである。提案者がどうお考えになつておろうと、農林大臣がどうおつしやろうと、将来必らずそういうことになる。そうして見ると、名前があつてほんの一部分の内容しかないといつたものでは、簡単にかような看板の法律を作るということはこれは考えなければならないと思う。なお或いはその根本問題の御質問があつたかと思うのですが、その点どうお考えになつているか、私のお聞きしたいのは、政府提案者も無誠意だ、というのは、将来たくさんの農産物がこれに加わつて来る場合にはどうするかという質問に対して、それは考えておらん、それは予定しておらんということであるならば、これは無誠意も甚だしい。少くとも名前の濫用になるのじやないか、こう考えますので、その点に対する明確なお考えを一応聞かしてもらいたいと思います。これは財政措置で行くべきものなんだ。この内容そのものは一つの単行法を作るには及ばないということなんだ。
  95. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 只今の御質問につきましては、過去数日間この委員会で御審議の過程に相当同じようは御質問がございまして、特に大豆の問題等緊迫した事情についても、昨日委員のかたから御質問或いは御意見等もございまして、その際私は率直にお答えを申上げて来たつもりでございます。この法案が羊頭狗肉の法案ではないかというお叱りは多数委員からございました。併し毎々私お答え申上げました通り、昨年度における甘藷の或いは馬鈴薯の価格安定措置として政府がとりました、行政措置としてやりました澱粉の買上の措置も必ずしも成功をしていない。相当な費用を投じ、七百万貫という多数の澱粉を抱え込んでおりながら、農家の庭先を出る甘藷の価格の維持には十全なる効果を発揮することができない。これだけの犠牲を政付が払いながら、それほどの効果を発揮し得なかつたというのは、それはいりいろの事情がございますが、やはりこの際法的根拠を設け、然るべき手段乞講じて事前に十分留意をいたし、十全な準備をいたしまして、これを行いますれば、それ相応の財政負担に見合うだけの効果を発揮すべきものである、かように考えましたし、又当面緊急を要する「なたね」の問題につきましては、この際是非共これを加えて安定をいたしたい、かような観点から、この法案を提案をいたしたような次第でございますが、更に大豆その他いろいろ御希望もあつたと思います。これが衆議院におきましては、御承知の通り附帯決議にこのことを盛込みまして、将来その必要が生じた場合にはこれを追加するという申合せをいたしたような次第でございますので、その間の事情を御了承願いたいと存じます。
  96. 小林亦治

    ○小林亦治君 大臣に簡単に伺つておきたいと思います。そうすると、先ほど大臣がおつしやつた、将来考えておられないように聞えたのですが、今提案者説明によりますと、やはりこれは農産物価格安定という手形を出すのですから、将来はでき得る限りこの範囲に加えるという、そういう御用意がおありですか、もう一遍伺いたいと思います。それがなければ、こういう名前の空手形を単行法の名の下に濫発すべきじやないというのが私の言いたい趣旨なんです。
  97. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これが空手形の濫発だと言われますけれども、私が先ほど来話しましたように、この法案の目的に副うように実施して参りますためには、すでにここに盛上げてあります品目につきましても相当の国家負担が予想せられる。それについて政府は十分の措置考えろというくらい御心配を国会側においてもせられるくらいでございますから、従つて将来どんどんこれを殖やして行くということになれば、これは相当な財政上の影響が参りますから、その辺のところを国会側においても御承知の上でこれは御制定を頂いておるわけございましよう。私は先ほど提案者からも言われておりまするように、本法の目的とする、狙つているところに丁度引合つて来る必要な事態が起れば、最小限そういうものを追加して行くという必要はあるかも知れませんけれども、できるだけ併し財政状況も睨み合つて考えて行きたいものだ、こういうふうに考えております。
  98. 小林亦治

    ○小林亦治君 その御趣旨はよくわかる。だがこの農産物価格安定ということになると、いささかその御抱負ではこの法律そのものが空手形になるということを申上げたので、財政上のそれらの基礎はこれは当然なんだ。その用意と抱負なくしてかかる名前の単行法を出すべきではないと思うのです。繰返して申上げますが、そんなことならば、提案者並びに大臣の御説明の範囲のようなことであるならば、特殊農産物に対するところの財政的保証、その措置だけで十分なんだ、この矛盾をどうしても了解ができないので、まあ執拗に御質問するわけなんです。その点提案者どうですか。大げさな名前を出して、これこれは範囲に入れるが、あとは入れないぞといつたようなことは我々としても了解できない。
  99. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 先ほどお答え申上げました通り、羊頭狗肉の法案ではないかというお叱りは多数委員から受けたのでありますが、戦時中から農民が非常な迷惑をこうむつて来ました、食糧増産の犠牲になつたとさえ言えます甘藷、馬鈴薯等の問題につきましては捨て置けない問題でございまする又「なたね」につきましても、すでに相当な増産効果を挙げまして、それがために大豆の輸入も或る程度抑制できるというようなところまで参つております。かような観点からいたしますと、国家のためにこれだけの貢献をした農家に対して、その経済の安定するということは喫緊の要事である、かように考えまして、こういつたものを重点的に取上げたのでございまして、この施策が農産物価格安定、農家の経済安定に及ぼす影響は大きなものがあると思います。そうだからといつて、前日もお答えしましたように、「とうもろこし」だとか、或いは「はつか」だとか、除虫菊だとか、「こんにやく」というようなものは、希望があるからといつてどんどんこれに入れますというと、これは関係者は喜ぶでありましようが、やはり大臣のお話通り財政負担等の問題もございます。従いまして、やはり国政という立場に立ちますと、私どものやはり国会議員としての良識によつて、これはやはり最も重点的な最も効果的なものをこれに盛込んで行く以外に実際問題としては方法がないのじやないか、かように考えておりますが、今申上げたような主要なる関係を持つ農産物と同等程度の問題が起りました場合には、これは追加することにやぶさかではない。これはやはり慎重なる審議を要する、かように考えております。
  100. 小林亦治

    ○小林亦治君 これは附帯決議にも用意されてあるようですが、食管特別会計に、なぜそうしなければならんのか、将来とも独立会計になし得る見通しは果してあるのかどうか、この点を大臣からお聞きしたいと思います。
  101. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、現在におきまして食糧特別会計へ米麦の管理を行いますと同時に、てん菜生産振興臨時措置法に基きまして、甜菜糖の買上を行なつておりますと共に、又肥料需給安定法に基きまして肥料の買上を行なつておるわけでございまして、特別会計におきまして新たに独立会計を設けまする場合におきましては、又それに要する他のいろいろなコスト等の関係もございまするので、その他の法案におきましても、一時食糧特別会計において取扱つておる次第でございまして、各法案のその後の制度実施状況というふうな点から考えまして、そしてこれを食糧特別会計から分離してすることが適当であるかどうかというふうな点については、その事情が起つたときに十分検討しなければならないことと考えております。
  102. 小林亦治

    ○小林亦治君 今の見通しは何ですか、そのときになつて研究しなければならんことは、これは当然なことです。現在かような法律が大きな抱負を以て生れんとしているのだから、その先のちよつと先ぐらいのことは、これは考えているに過ぎない、それを将来に行かなければわからんということじや、これは信用できない。
  103. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 差当りの問題としては、当分の間は食糧特別会計によつてやり得ると考えております。
  104. 戸叶武

    戸叶武君 供出奨励金も食糧特別会計に依存するし、これも依存しますが、それの見通しは持てますか。大臣のいるうちに聞きたかつたのですが。
  105. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 食糧特別会計といたしましては、結局これに要する買入費の問題と存ぜられるのでございますが、只今お話の供出完遂奨励金につきましては、只今大蔵委員会におきまして、食糧証券の発行限度二百億の買上の関係法案の審議が行われております。従いまして、これが解決いたしますると、その点がやり得ると考えております。なおこの法案に関連いたしましては、現在食糧特別会計に百億の予備費がございます。法案が成立いたしますると、財政当局と御相談いたしまして、この予備費の流用によつて本法の今年度の実施がされて来ると、かように考えております。
  106. 戸叶武

    戸叶武君 この問題に対しては、農林大臣があつさり、農林省として議員提案であるが、国会できめたのだから農林省が責任を以て引受けると言われておりましたが、この修正予算案におけるところの供出完遂奨励金の問題に関しては、責任者の修正者のほうに転嫁しようとする政治的行為のみに終始しているのでありますが、その問題との関連性というものは極めて重要だと思うのですが、この修正予算案に対するところの政府の態度と、こうしたところの議員立法に対してと、政府案に対する責任の態度というもの、どういうけじめを持つておりますか。それは農林大臣にお聞きしたいと……、先ほど農林大臣から相当いろいろ出ましたが、農林大臣の今までの言動というものはみんなそれを裏切つておりますから、それをはつきりあなたが農林大臣に代つて言明して頂きたいと思います。
  107. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 農林大臣に代つてというお言葉でございますが……。
  108. 戸叶武

    戸叶武君 農林当局として……。
  109. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 農林事務当局としてお答え申上げますが、御承知のように法律案が成立いたしますれば、その法律の執行に事務当局として当ることは、これは当然でございまして、その意味におきまして、我々といたしましても、この法案が成立いたしますれば、十分に責任を持つてその法案の規定に従つて、これを執行して参るという考えであることは申すまでもないことでございます。
  110. 戸叶武

    戸叶武君 それは供出完遂奨励金をめぐる修正予算案に対しても同様ですね。
  111. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 修正予算案につきましては、たびたび予算委員会におきましても御議論があつたように伺つておりまするが、予算が成立いたしますれば、その趣旨に従つてやることは当然でございます。
  112. 河野謙三

    ○河野謙三君 昨日本案の審議の資料として私は食糖庁に要求したのですが、現在まで買上げた澱粉並びに「なたね」に対して、中金が自己資金を幾ら使つて政府資金を幾ら使つて、その金利は幾らである、この御説明を願うことになつておりますが、至急にその説明政府委員にしてもらいたいと思います。
  113. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 河野委員の昨日御要求になりました中金からの資金の融通状況について御説明申上げたいと思います。昨日私が申上げました資金の融通につきましては、中金の自己資金を中心として融資をするということを申上げまして、特に政府資金の融通につきましては考えていない。ただ今年におきまして、今後中金の自己資金の資金練り等もかね合いまして、若し必要がありますれば、今後そういう努力をして参りたい、こういう御説明を申上げたのであります。今年度におきましても、現在又買上げております澱粉につきましても、大体は農林中央金庫の自己資金と、それから商工中央金庫の自己資金と、この二本から出ている以外には特に政府資金として出ているものはないのでございます。そういう意味から昨日申上げた資金以外には現在のところないのでありますが、昨年度は全販連に対しまして千三百万貫の計画に対し、融資二十三億の計画と同時にこの計画通り融資が行われて参つたのであります。それから御質問には或いはなかつたかと思いますが、全澱連のほうに対しましては、商工中金から三百万貫の計画で五億三千万円の融資計画を立てて斡旋いたしたのでありますが、実績は二百六十万貫に対して四億四千万円も融資をするという実績になつております。これに対する金利でございますが、これも昨日申上げました全販連に対する中央金庫の金利が二銭六厘となつております。それに対して商工中金の金利は三銭になつております。附言して申上げますると、今年度における融資につきましても、大体は農林中央金庫として我々と協議いたしました結果、大体全販連に対する金利を工銭五厘程度にして融資するということに打合せているわけでございます。このほかにさつき申上げましたような、中金の自己資金ではなお足らないというような状況が参りました場合におきましては、国庫余裕金を預託するというような方法によりまして、政府資金の融通の斡旋をいたしたいと考えているわけでありますが、差当りは農林中央金庫の自己資金で賄えるのではなかろうかと考えておるわけであります。なお政府資金の融通に関連いたしまして、昨日丁度「なたね」の資金融通時期におきましては、政府が麦を買取る時期でありますので、それに必要な資金としては、政府資金と農林中央金庫に前払いする、交付するという制度になつておりますので、麦に対する資金がかような措置によつて政府資金食管特別会計から交付されるということになりますと、おのずから中金の自己資金については、他の農産物に融資し得る余裕が出て来るということを申上げたのであります。
  114. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、農林省というのはどうしてそんなに中金をかばわんければいけないのです。私はわからんのです。とにかく農林省から中金に、例えば麦の買入資金なら買入資金を融資するでしよう。その麦の買入資金というものは麦以外のものに絶対に使つてはいかんというあれがありますか。それほど使つていないという責任が持てますか、そうじやないでしよう。一応麦の買入資金、米の買入資金と言いましても、それが適当に余裕があるときには他に廻すということはやつているでしよう。何も麦の買入資金、中金の自己資金と言つたつて、札につばがついているわけじやないでしよう。あなたのほうのそういう融資は同じ金庫の中にみんな一緒に入る。そうでしよう。であるから私はあなたのほうから、政府から中金に対して買入資金として出したものについては、その量に応じて、買入資金の融通を与えた量に応じて、中金の金利はかくくであるべきだということがなくちやいかんと思う。政府の資金は一体幾らです。一銭五厘ですか、一銭五厘五毛ですか。幾らです。
  115. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 今河野委員の御質疑にありましたのは、政府資金が食管会計から麦の買入資金として交付するものの意味であろうと思いますが、これは金利としては現在のところ二銭五厘五毛の金利を付けております。併し今御質問になりました金に何の印しもないではないか、従つてその資金の融通については彼此融通されているのではなかろうか、こういうことでございます。勿論金についてはそういうことであろうかと思いますけれども、この資金交付の建前といたしましては、つまり政府が麦を買入れる前に、末端の買入れた場合に資金が農民の手許に届くようにという趣旨から交付している性質のものでありますから、これを多量に前渡と、それが他のほうに転転融通されるというふうな、そういう仕組の交付方法は建前としてとつておらないところでございます。
  116. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは甘い。そういう甘いことを言つているから駄目だ。建前だけじやない。建前で中金等で仕事をしていると思つたら大きな間違いなんだ。儲かるほうの仕事には金を出すけれども、儲からないほうの仕事には金を出さないというのは、中金は最もその模範的なものだ。麦の買入資金だつて、麦の買入資金を何とかかんとか言つて適当に断わつておいて、そうして他のほうに廻すのだ。私はあとで資料を要求するけれども、中金の員外貸付についての明細を、私はこれはこの法案に関係あるかないかはあとでいい。員外貸付の明細を下さい。それと同時に員外貸付の金利についての全部明細を下さい。同時に系統機関に対する貸付と金利の明細を下さい。これはそういうことを調べて見なければはつきりわからん。そこで一銭五厘五毛の政府資金を中金が使つて、それを二銭五厘ですか、二銭六厘ですか、これで貸しておる、それは一体正当なる中金の金融機関の金利とお認めになりますか、どうですか、それを私はお伺いしたい。
  117. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今の点でございますが、御承知のように政府資金といたしましては一銭五厘五毛で出しております。一般中金自己資金といたしまして如何ほどのコストが妥当であるかというふうな問題じやないかと存ぜられます。この点につきましては、中金の全体の資金コストの問題、預金金利の問題その他の資金運用の面からいたします資金コストの問題等もございますので、今これが我々のところで直接監督をいたしておりませんので、これがどういうコストの上に立つてこういう金利が出ておるかということは、ここでは申上げられませんが、監督官庁といたしまして、農林省といたしましても十分監督をいたしているわけでございまして、その部局におきましては、十分その点につきましてのコストの内訳はあろうかと存じます。
  118. 河野謙三

    ○河野謙三君 自己資金の問題が……、まあこれは別の議論にしますよ。自己資金じやなくて、資金源が政府にあつて、而もそれが一銭五厘五毛のものを中金が二銭六厘で貸しているということ。それに対して一体妥当なる中金の手数料とお考えになるかどうか。これは監督官庁は農林省の中の経済局だと思う。経済局長に私は聞かなければいかんと思うけれども、併しこれは資金源があなたがたのほうだから、これはあなたがたのほうも野放図にただ出し放しということはない、一体これはどうだというのです。
  119. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、我々といたしましては、先ほど企画課長から申上げましたように、米或いは麦の政府の買入の資金といたしまして前渡しをいたしているわけでございまして、勿論我々もそれが他に流れるということは考えておりませんし、又その点については十分監督いたさなければならんと思います。詳細につきましては、別の機会に農業経済局長一つお聞きを願いたいと思います。
  120. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうじやないのです。私の聞いているのはそうじやない。流れていないと思います。それはあなたそう思つていないから言えませんよ。そうじやなくて実際に流れている。実際に政府資金を使つているのです。その使つている使つていないは別の議論にしても、仮に使つた場合に一銭五厘五毛の政府資金を二銭六厘で貸した事実はそれは一体どうかというのです。これからこれは安定法がずつとかかつて来るのです。だから私は聞くのです。一体そういうことが過去になかつたとして、今後そういうことが起つた場合に、あなたがたはそれを妥当な金利としてお認めになりますか。
  121. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、我々が前渡いたしましする場合におきましては、米なり麦なりの買入資金として前渡しするわけでございますので、そういうことは建前上あり得ないと思いますが、例えば政府資金を斡旋いたしまして、そうして実地調整に資金を廻すという場合におきましては、一般の中金の資金コストとはこれは別だろうと思います。従いまして必要な資金コストとしては一般資金とは別個に計算すべきだと、かように考えます。
  122. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこでこれは具体的に、本法案審議に重要な関係がありますから、具体的に一銭五厘五毛の金を中金が使つた場合には幾らでなければならん、その場合には本法案運用のために政府資金を中金が使う場合には幾らで使わせるのだということの具体的な答弁がなければ、この法案は審議できませんよ。私がたびたび言うように、農林省の施策というものはすべてみんな中金の利益に繋がつている。何をやつても必らずそれはけつへ行つてさらつて行くのはみんな中金だ。そういうことで我々この法案を審議しているのじやない。農民のためにやつているのだ。中金のためにやつているのじやない。農民と中金とは違いますよ。これは具体的に一つ答弁して頂かなければならん。もう一つ私が伺いたいのは、政府はこれは経済局の仕事かも知れないけれども、中金に対して金利に対して何か通達がしてありますか。例えば員外貸付と系統機関への貸付については金利は同額でなければならんとか、員外貸付は金利についてそれを超えてはならんとか、何かそういう中金に対しての規制を加えてありますか。
  123. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。私直接の担当ではございませんが、員外貸付につきましては、農林省並びに大蔵省の許可を得るということになつているように承知いたしております。
  124. 河野謙三

    ○河野謙三君 許可を得ることは当然でありますが、事前に金利に対する、中金に対して農林省から一つの規制を加えてあるということは私承知しておりますが、何銭何厘以上になつてはいけないというあらかじめ規制を加えてあるそうでありますが、私の承知している範囲では、そういう農林省から規制を加えてあるにもかかわらず、それさえも押切つてそれ以上の金利のくさびになつている事実があるように聞いております。そういう意味合で私はこれは食糧庁のほうでも参考までに調べて頂きたい。
  125. 森田豊壽

    森田豊壽君 本法案に対しましては、昨日各派から一名ずつの委員が出まして、これ対してはいろいろ御審議を願いまして、この農産物価格安定法案に関する附帯決議を御研究願う、総合的に一つ御研究願うということになつておりましたが、その経過とその結果を一つ委員長のほうから御報告を願いまして議事の進行を願いたいと思います。
  126. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは後ほど懇談で申上げたいと当然思つておりますから……。併しその前に一応質疑を、懇談に入る前に質疑を大体完了したいということで今までやつてつたわけです。
  127. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は今の中金の貸付金利についての具体的な答弁があるまで、私は質疑を打切るわけに行きません。
  128. 足立篤郎

    衆議院議員(足立篤郎君) 只今河野委員が食糧庁当局に御質問になりました農林中金の金利の問題につきまして、私からお答えすべき筋合ではありませんが、参考になればと思つて一言申上げたいと思いますが、農業共済基金で、御承知のように政府出資十五億、各連合会出資一億で十六億の資金ですが、これではもうすでに足りませんので、十八億か農林中金から借りておりますが、これが農林中金の自己資金ということで二銭四厘で借りている。共済基金は一銭七厘で各県の連合会に貸出す規定になつている。従つて逆ざやは七厘でございまして、これはすでに総額五千万ばかりの赤字が累積しているわけで、こんな不合理な話はないというので、衆議院農林委員会で実は大分やりまして、大蔵省とも折衝いたしました結果、今回の凍霜害についての麦の仮払いにつきましては、これは連合会が立替えて農家に払うわけです。政府の特別会計から金が出る前に立替払いをする。その財源はやはり農業共済金庫に待つ以外にない。この財源はやはり農林中央金庫に頼る以外にないということで、これを大蔵省から紐付で出してもらうようにいたしまして、大蔵省が一銭六厘で出して共済基金のほうに一銭八厘で農林中央金庫が出すということに話がきまりました。私はこれを聞いて実は憤慨いたしました。二厘もとるということは何事か。全くトンネルだから一厘で結構だということでやり合つたのですが、一応これで今度は話が、農林中央金庫としては従来にない特別中の特別に勉強をしたのだから勘弁してくれということで納まつている実例がございます。ですから今の答弁、農産物価格安定のために紐付で、今長官が言われたような紐付で出すということであれば、これは私は国会としても捨ておけない、十分協議をすべき問題だと思います。こういう前例等も尊重してもらつて、安い金利の金を団体に出してもらうということは是非共必要だと思つておりますが、ただその問題と、今当面農林中央金庫のいわゆる自己資金と称するものとの関連をどう持つて行くかということは計画性がなければならないと思います。これは政府関係当局と食糧庁とが打合せをされて、万全の措置をとつてもらうのが望ましいと思います。ですから今申上げたように一部は二銭五厘で出る、途中から資金がなくなつてあとから借りたものは一銭八厘こいうことでは、これは納まりが付くまいと思う。そこでやはり大体の資金の所要量というものを睨んで、買上数量、実地調整の数量を生産者団体と食糧庁と打合せて、自己資金は何割、紐付の資金は何割、金利はプール計算して見るとそれが二銭になるか、一銭九厘になるか、二銭二、三厘になるか知りませんが、そこを押えてプールで持つて行くというように計画性を持つてつてもらいたい。提案者としてはかように考えておりますが、これは食糧庁にとつては相当御迷惑な私の発言かも知れませんが、私はやはりこの制度の万全を期するためには、そこまでやつてもらいたいと考えておりますので、食糧庁としては今のところ、私弁護するわけじやありませんが、河野委員の突込んだ質問に対しては、監督の権限もなし、やはり今責任ある答弁をせよと言われても無理かと思いますので、どうか私の申上げた気持を御了承願つて、今後委員各位にも御協力頂き、今申上げましたような線で進みますように持つて行くということで、河野委員の質問は一つ御了承賜わりたい、かようにお願いいたします。
  129. 河野謙三

    ○河野謙三君 足立さんのおつしやることはよくわかるけれども、相手次第ですよ。中金のような前科数犯というものには、そういうような具体的にここで何か示してもらわなければお任せするわけに行きません、私は……。それからあなたが提案された農産物価格安定法案というものは、運営の万全を期するためには莫大な政府資金に依存しなければ駄目なんです。そうでしよう。中金の自己資金あたりで、僅かなものでこの法案の運営はできやしないりです。当初から政府の莫大なる資金というものに依存しているのです。政府資金が一銭五厘五毛で出るならば、一体幾らで貸すということを、今ここに聞けば一銭六厘のものを一銭八厘で貸しても、私も高いといつてあなたに文句を言わないというのだ。一銭五厘五毛のものを二銭六厘で貸す。これでそれを全額を処分しなければ駄目です。これは放つておくわけに行きませが。これは少くとも過去に遡つて中金から全部吐き出させなければならん。それから先ず出発して行かなければ、この案を審議するわけに行かん、私は……。
  130. 森田豊壽

    森田豊壽君 河野委員が大分頑張つておられるようですが、この問題は言われることも御尤もであるわけですが、ここで食管との話合だけではいかんと思いますから、かねて本委員会におきましても、中金に来てもらいまして、いろいろ中金に出す、直接出して頂く必要もあり、又お願いもして見ようということになつているはずですから、農林中央金庫は、委員長、多分三十日に来るようなことをおつしやつていたと思いますが、それは整備促進法とすべて関連がありまするので、この際におきまして中金に一刻も早く、明日なり来て頂きまして、そうしてそこで一つ皆さんからの御意見も十分に容れまして、この法案と関係のある金融問題を解決して頂いたらどうかと私はこう考えるわけです。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそれまで採決を延ばすならば別に……。併し採決は今日しておいて、明日中金を呼んで来る、それは私はいけません。少くとも今日私はこういう問題を提案したのじやない。昨日なぜ食糧庁に中金のほうと打合せしてくれんというのだ。中金が若し良心があるなら、中金が若し農民的な立場に立つなら、この問題は食糧庁から……。提案されたらすぐに二つ返事で結果が出るわけなんだ。それを酢だ、こんにやくだと言つて、盗人たけだけしいというのはそのことだ。これは食糧庁と中金との話合もあつたでしようけれども、私が想像するに、酢だこんにやくだと言つて結論が出ないから食糧庁答弁できない。こういう明瞭な問題に答弁しないような、そういうものは完全に私は置いて来なければいかん。これはもう過去に遡つて私は制載しなければいかんと思うのであります。
  132. 森田豊壽

    森田豊壽君 この議事を進行する上におきまして、先ほど私が申上げたわけでありまして、今日決議しておいてあとから呼ぶという意味じやありません。両法案その他に関係ありますから、これだけ通ればいいのじやないのでありまして、そのほか中金との関係において通したいという意味におきまして、よく聞いておきたいという意味におきまして、明日から明後日ということにきめまして、おいでを願いまして、その上で皆さんから質問して頂いてやつて頂く、そういう順序にお願いしたいと思うが如何ですか。
  133. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後四時五十二分速記中止    —————・—————    午後五時三十四分速記開始
  134. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは速記を始めて下ざい。先ほどの河野委員の御質問に対して重ねて政府当局から答弁があるそうであります。
  135. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 農産物価格安定法が実施されました暁におきまして、全販等の協同組織がこれに協力する意味合におきまして、いろいろの農産物の買上等の措置があると思うのでありまするが、その際の金融措置についてのお尋ねがあつたのでございます。こういう特別の制度につきまして必要な資金につきましては、政府が言うまでもなく資金の幹旋につきまして特段の措置を講ずるということも当然であろうかと思います。その場合に中金が一般の金繰りの工合の悪い場合におきましては、国庫余裕金の指定預金ということも当然考えられることと存ずるのであります。その場合に一般的に申上げますると、指定預金につきましては二通り意味合を持つ場合があるのであります。一つ只今議題になつておりまするような特定の事業の目的のために金を付ける、こういう場合と、中金全般の金繰りを緩和する、こういう意味で以て特定の目的を持たずになる場合と両方ございます。後者の場合になりまするというと、これは中金の一般金利ということに関係して参りまするので、中金の全般的な金利体系を維持するという必要からいたしまして、特段の措置を講ずることはなかなか困難でございまするが、併しこれとても一般的の金利引下に努力すべきであることは申すまでもないと思います。前段の特定の事業のために指定預金をする、こういう場合におきましては、これは中金の一般の金利に必ずしも左右されずに、その制度の趣旨に鑑みまして、指定預金の率が一銭六厘でございまするが、一銭六厘の金を中金が預つてそれを全販等に融資することになりまするので、中金の一般の金利に左右されることなく、こういう制度につきまして十分協力できますように、融資についても特段の措置を当然講ずべきである、かように存じておるのでございます。恐らくお尋ねの趣旨は一般金利の問題もございましようが、前段の特に必要がありまする指定預金の場合でありましようからして、そういう場合には指定預金の名目通りに特別の必要に基いてやるのでございまするので、特別の低利の資金が行くように私ども十分努力をいたしたいと、かように考えております。
  136. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 先ほど農林中央金庫当局をこの法案に関連して呼んだらどうかという御意見もありましたが、只今政府当局の答弁がありましたが、なおその必要がありますかどうか。
  137. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは私伺いますけれども、経済局長、これから私が御質問申上げて御答弁を得ました場合、その御答弁に対しては絶対責任を持つてくれますか、あなたの答弁で中金の意見と解釈できますか。そうでなければ私は質問しても意味ない。それを伺いたい。
  138. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お尋ねの趣旨がちよつとわかりかねるのでございまするが、私どものほうで中金の金融等についてお話いたしておりますることは、農林省といたしまして中金の監督という立場で申上げておりますのでございまして、金融の金利を如何にするかということは、これは勿論中金自体の決定と申しまするか、中金自体のすることでございまして、私がそうするということが直ちに中金の意思決定にこれは勿論ならんのでございまするけれども、事柄によりましては、これでお答えいたしました点を責任を以て実行するということも私は勿論できると思いまするけれども、これはまあ御質問の内容によると、かように思います。
  139. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは暑いときに無駄な質疑応答をやつてもいけませんから、私がお尋ねして、そのうちであなたの意思が即中金の意思として責任の持てる部分だけ御答弁願います。そうでない部分はこれは意味がありませんから、御答弁は勝手にあなたのほうで答弁されなくても結構です。今御説明の前段の、特殊な金融に対しての中金の正当なる利鞘というものは一体幾らにお考えになつておりますか、これを伺いたい。例えば一銭五厘五毛の政府資金を今度は中金が貸す場合にはその利鞘は二厘が正当であるか、三厘が正当であるか、一厘五毛が正当であるか、前例もあることと思いますから、これらにつきましてのあなたの監督の立場においての指導の方針並びに具体的な御答弁を頂きたい。なお、今申上げますように、それがあなたの御意見であつて意味がありません。あなたの御意見が即中金の御意見である場合にのみ私は御答弁を伺いたい。
  140. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは河野委員の質問の仕分け方からいたしますというと、私から確実に御答弁することは如何かと存ずる部類に属するかと思いますが、参考として申上げておきますると、この間農業共済基金に三十億の指定預金がございました。それは勿論指定預金でございまするので、最近は一銭六厘でございます。それを中金は共済基金に対して一銭八厘で貸しております。そういうことが一つの御参考になるかと、かように思つております。
  141. 河野謙三

    ○河野謙三君 非常に私は参考になります。(笑声)そこで利鞘の二厘というものは、監督の立場におられる経済局長として、これはあなたの御方針の中に常に終始入つておるものと解釈していいですか。
  142. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは特別の目的を持つた指定預金でございまするので、成るべく国庫の一銭六厘というところに接近した金利でやるべきであるということは当然であろうと思います。但し貸す相手によりましての信用力と申しまするか、若干リスクがある場合もございまするので、具体的なケースによりまして、そこに多少の開きはあり得るかと思いまするけれども、今回の例が一つの極く最近といたしましてはいい例ではないかと、かように存じております。
  143. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは分けてお尋ねいたします。預金部資金を廻した場合の適正なる中金の取得する利潤というものは幾らが妥当であるか、又麦の買入資金等を、これは食糧庁の立場で是認するわけには行かんでしようけれども現実にあなたも御承知のように流用されております。麦の買入資金一銭五厘五毛を、仮に澱粉、「なたね」等の買入資金に流用した場合の中金の取得する正当なる利鞘というものは幾らであるか、これを一つあなたのお持ちの物差を一つお示し願いたい。
  144. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 御質問の趣旨を必ずしも十分了解しておるかどうかわかりませんが、中金の資金源によりまして、当然これはコストが違つて参りますことは勿論でございまするが、中金が貸す場合に一体どのフアンドを目当にやつたかということも一応あると思いまするけれども、そこはいろいろ資金源をプールいたしまして、中金全体としての金利ができて参りまするので、どれをどう使うかということをトレイスいたしまして、そこに妥当な金利を見出すことは甚だ困難かと思います。ただ先ほど申しました指定預金につきましては、政府が特定の目的を以ちましての預金でございまして、或る程度の条件といつたようなものも、理窟を求めて申しますれば、付けられる性質のものでございまするので、そこに一つの金利というものが生れるのであります。ほかにそういう性質の資金源がございますれば、同様に恐らく考えらるべきだと思いまするけれども只今のところ私どもが聞いておりまする点は、そういう指定預金の場合に恐らく限られはしないか、かように思つております。
  145. 河野謙三

    ○河野謙三君 まだ完全に私の聞かんとするところについて御答弁が得られませんから、この問題は私は留保いたします。併し他の委員の各位が全員こぞつて氷解された場合には、私は決して自説を固持いたしません。
  146. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後五時四十六分速記中止    —————・—————    午後六時二十九分速記開始
  147. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  明日は午後一時から農林委員会を開会いたしますが、農林中央金庫の理事長或いは理事のかたに参考人として出席を求めることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではさように取計らいます。なお明日は農林中金に対して大体三十分以内で質疑を完了して頂きたいことを希望いたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)その上で討論、採決に入る予定でありまするから、あらかじめ御了承を願いたいと思います。  本日はこれにて散会をいたします。    午後六時三十一分散会