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1953-07-27 第16回国会 参議院 農林委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————   委員の異動 七月二十四日委員横川信夫君辞任につ き、その補欠として、山縣勝見君を議 長において指名した。 本日委員河合義一君及び赤松常子君辞 任につき、その補欠として野溝勝君及 び小林亦治君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            野溝  勝君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   衆議院議員            足立 篤郎君   政府委員    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      谷垣 專一君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局肥料課長   林田悠紀夫君    農林省農業改良    局普及部長   黒川  計君    食糧庁総務部企    画課長     斎藤  誠君    通商産業省軽工    業局化学肥料部    長       柿手 操六君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○農林政策に関する調査の件  (農業協同組合運営事業に関する  件)  (燐鉱石に関する件) ○農産物価格安定法案衆議院提出)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開きます。  議題に追加をいたしまして、今回政府から提案になりました硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案取扱方について御相談を願いたいと思います。この法案通産委員会に付託になつておりまして、当委員会には臨時硫安需給安定法案がかかつておりまするが、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案農林運輸両省関係する問題であり、且つ又臨時硫安需給安定法案と非常に密接な関係がありますので連合審査の要求をしてはどうかと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは連合審査の申入をいたします。   —————————————
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農業協同組合運送事業に関する件を議題といたします。本件に関しましては、かねて当委員会で問題となりまして運輸農林両省検討方を申入れておいたのでありまするが、両省間の話合がまとまつたようでありますので、本日その結果につきまして報告を受け、その報告によつて委員の御了解を得ますれば、一応本問題に関する審議は今国会中は一応それで打切りたいと思いまするが、取りあえず政府当局から報告を求めたいと思います。
  5. 谷垣專一

    政府委員谷垣專一君) この前中間報告を申上げたのでありますが、運輸省農林省の間におきまして交渉を続けまして、お手許に配付いたしておりまする「農業協同組合自動車運送事業について」と、こういうような文章に現わしておりまするような決定両省で確認をいたしておるわけでございます。それを一つ説明申上げたいと思います。  一に書いておりますものは、これは農協法に謳つておりまする購買、第三号の二は共同利用施設、第六号は運搬琳二十三号その他販売事業、第十二号の事業というのは附帯事業のことでございまするが、こういう農協法で認めておりまする範囲におきましての自動車運送事業を、これを運輸省のほうの道路法関係におきましても認めて行こうと、こういう点でございます。で、この点につきまして、この前に問題になりました点は、県の連合会がいたしておりまする事業施設について、その会員でありまする村の単協、その組合員である農民利用ができるかどうかという点でございまするが、これはそういう事栗はできるという了解に相成つております。これは六に書いておりまする必要な事項両省通達をいたしまして解釈はつきりいたしたい。かように書いておりまするが、そのうちに入ることと相成ります。  二の車輛集約はこれを完全なものとする、これは現在やつておりまする県の連合会のところに各単協車輛運用集約をいたしております。で、これは使用権のみの集約の県もございますし、更に強く所有権集約をいたしておるものもある状況でございまして、こういう現状においてこれが進んでおるのでございまするが、その間におきまして末端の車の動いておりまするその駐車場と申しまするか、その運営と、県連合会中心部におきまする指揮命令或いは経理上の統一等々の点につきまして、完全にそれが行われて行くように改善すべき点がありますので、そういうものは今後改善をいたしまして、車輛集約の当初の考え方を完全なものにして行きたい、かような趣旨でございます。  三に謳つておりまする趣旨もそれに相当するものでございまして、その車輛集約が若しも県連の単位におきまして、どうしても十分にやつて行けないというような事態が将来におきまして発生いたしました場合において、そういう場合におきましては村の単協に対しまして、車輛集約の枠外から外れまして、単協にそういう仕事を認めることもあるであろうと、こういうことでございます。  四の員外利用の問題でございまするか、これも農協法精神に則りまして、協同組合の持つておりまする経済的な、社会的な目的を達成するために必要であると認められる限度におきまして、実情に即応して員外利用の方途を認めてやる、こういうことでございます。この点は個々の場合におきまして、その都度免許をするというようなことではなく、概括的に事前におきまして許可をして行く方法をとろう、そのやり方等については両省で具体的に打合せをいたしたいと、かような含みを残してございます。  五は、これは二、三に語つておりまする裏腹の問題でございまするが、農林省といたしましては、現在運輸省免許をいたしておりまするその県連合会車輛集約のより完全な事項につきまして十分に今後指導をいたしたいというような点を謳つておるわけであります。以上方針が決定いたしたわけでございまするが、それらの多くが末端におきまして事故を生じないように、両省共同通達を出しましてその取扱いを明確にいたしたい、かような決定に相成つたわけであります。  ちよつと訂正いたしますが、六の「この場合において、必要な事項両省通達」でございまして、これは共同でやりまするか、意見を打合して両省各個に出しますか、そこは今後の打合せになつておりますが、とにかく両省解釈を統一いたしたい、そういうことでございます。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) なお運輸省自動車局業務部長も見えておりまするから、只今報告につきまして何か御質問がありますれば、御発言を願いたいと思います。
  7. 森田豊壽

    森田豊壽君 かねての会議におきまして、農業協同組合自動車運送事業につきまして、農協の本来の使命に鑑みまして運輸省農林省におきまして十分御協議を願いまして、我々の主張いたしまする農民のための利用設備としまして、無論組合精神、又使命に基きましてこれをやつて頂きたいということを要望しておきまして、ここに両省におきまして、かくのごとく我々の要望の大部分をかなえて頂きましたことを私といたしましては誠に有難く、厚く感謝申し上げる次第でありまするが、今末端の農家が、又末端組合が、それぞれこの問題につきましては非常に関心を持つておるのでありまするから、両省これまで御協議下さつたことでありまするから、又お互いに意見の一致を見たことでありまするから、これを末端に速かに知らしむるように、直ちにこれをやつて頂くように両省へお願いしたいと思うのであります。我々が伝えておるということでは遅いのでありまするからして、両省から、一つ両省の名義を以ちまして末端に伝えて頂きまして、皆さんの安心するようにさして頂きたいことを要望いたしまして、この妥協案賛成を申上げます。
  8. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私はこの運輸省農林省との申合せによりまして、この事項ができましたことは喜びに堪えないのでありますが、運輸省が今回出しておりまするいろいろな法案というものを眺めて見まする場合におきまして、とにかくすべて統制を捨て、業者を保護してやろうというような法案相当多量にあるわけであります。こういう見地から眺めまして見ました場合に、従来の運輸省丸通等との、いわゆる通運との関連性から見まして、丸通を保護してやろうというような意味合からして、農協事業というものに対して甚だ無理解であつたことを我々は遺憾に思つてつたところであります。漸く申合せができましても、これが運用に当つてはまだまだ相当に私は今後いろいろの問題が出て来やせんかと考えるのであります。この意味におきまして、農林省は十分なる腹構えを持つて、そうして農民要望に答えるような、私は実施に当つて遺憾のないようにして頂きたいという希望を以ちまして賛成するものであります。
  9. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他は御発言ありませんか。それでは今回の協定実施状況委員会においてはこれを十分注意して見ることにいたしまして、本国会中はこの審議ばこれで打切つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 今日河野君見えておりませんが、河野君がちよつと伺つたのだがね。丸通と米の集荷について特約を結んでいられる問題について詳細の説明を求めておられると思うのだが、それはまだ聞いておりませんが、それがまだ残つております。
  11. 森田豊壽

    森田豊壽君 それに関連いたしまして……。只今の問題は、これは私も実は今申上げたいと思つてつたのでありますが、この問題はあとにいたしまして、一応今のこの協定いたしました案は、まあ全部賛成だと、ついてはこれを実行するに当りまして、今までやつておることにつきまして、こういう点はこうしてもらいたいということは、いずれの機会かに譲つたほうがよくはないかと、こう私は思つてつたのでありますが。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこの案には皆賛成したのですよ、これは賛成したのです。それでともかく賛成するが、今国会中はもうこういう問題には、この運輸の問題には触れないと、こう言われるから、何かないかと言われるから、河野君が言うたその問題がまだ残つておるから、聞かされたら聞かしてくれと、こういうのです。これは一遍済んだのだ、そういう意味合ですから……。
  13. 森田豊壽

    森田豊壽君 私この委員会で打切るという話をよく聞かないで言つて申訳ないのですが、この国会打切つたというのじやない。私は又の機会ということで、この国会のうちでも結構であつて、御都合を聞いて、この前のかたがたにも来て頂きまして一つ相談を申上げるという意味でありまして、打切るという意味に聞かなかつたものですから私申上げなかつたのですが、それはどうぞ……。
  14. 清澤俊英

    清澤俊英君 大して御都合が悪くなければ聞かして頂きたいし、まあ……。
  15. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 清澤委員に申上げますが、私の審議を打切りたいと申上げたのは、この運輸農林両省農協自動車運送事業について、この協定について大体御了解が得られますれば、一応との問題に限定しては審議を一応打切つて……、でありまするから、別途に日通の問題等については、これは別の問題でありましようから、それは他の法案に関連してなり、或いはこれは別個に御質疑願つてよろしいと思うのであります。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 今日はこれで一つやめる、一応ものをはつきりするために、それはあとへ残しておくと、こういうのですか、委員長は……。
  17. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そういうことです。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 それなら賛成します。
  19. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは御異議ないと認めまして、この両省協定に関しましては一応質疑をこれで打切ります。ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  21. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。次に、農産物価格安定法案に入りたいと思います。なお御質疑の御希望が大分ございましたので、御質疑のあるかたは質疑を続行願いたいと思いまするが、なお前回においては、河野委員の御発言によつて適当の機会に懇談に入りたいということになつておりますので、その辺もお含みの上で適宜質疑を続行願いたいと思います。
  22. 白井勇

    白井勇君 この前私の質問が途中で切れておりましたので、一つもう一遍重ねてお尋ねして見たいと思うのですが、この前この七条の買却の場合の政府でやりまする場合に買入基準価格を下つてはならないと、この限定を付けることなんですが、この法案は結局値段がだんだん上つて参りまする場合は余り問題もないことでありまして、やはり下りまするような傾向にありまするときは、一番運行上必要になつて来るのじやなかろうかと私は思うのですが、この基準価格は、これは毎年変つて来るわけでありましようが、これがやはりこの次には下げざるを得ないというような情勢にありまする場合、而も政府でやりまする場合は、市場に悪影響を及ぼさないという一つ前提条件は立つておるわけでありまするし、時価ということだけをまあ考えますれば、その場合はむしろいいんであつて、特にこの買入基準価格というものを割つてはならないというふうに限定を設けますることは、むしろ国庫の財政というものを更に無駄にするような結果にならざるを得ないような、これは条文じやないかと思うのであります。この辺どういうふうにお考えになるのでしよう。
  23. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、この法律の解釈として、我々はこの買入基準価格はその年度におきまする買入基準価格だと解釈しております。従いまして翌年度になりました場合におきましては、前年度買入基準価格ではなくして、その年の買入基準価格と、かように解釈いたすわけでございます。従いまして、その年の買入基準価格及び時価を下らないということは、この価格安定の建前上これは当然ではなかろうかと、かように考えております。
  24. 白井勇

    白井勇君 その点はこの前からの御答弁で大体わかつたわけでありまするが、仮に二十八年度基準価格がきまりまして、これは上つて参りますれば問題ないわけですが、先ほど申しまするように、大体これは下るという場合のことを考えなければならない。そうしまするというと、どうも二十九年度基準価格というものを、何月きまるか聞いておりませんが、仮に七月なら七月くらいにきめる場合に、下らざるを得ないということが一月頃にわかつたと、ところで今下ることはわかつているし、そういたしまするというと、基準価格がそういうふうに下りますれば、国庫にはそれだけのマイナスを又余計にすると、だからここで市場に悪い影響を及ぼさないし、時価で処分することがむしろ国財政のことを考えるならば適当であるということが私はあるのじやなかろうかと思うのですけれども、なぜこういうところに限定をおかなければならんか、ちよつと私わからないのです。
  25. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、第六条におきましても、その年間におきまして、政府買入価格というものは物価その他の経済事情に著しい変動がある場合には、これを改訂することになつておりまするが、一年間を通じてそういう変動がない場合には、この買入基準価格は据えておきたいと、かように考えておるわけでございます。且つ又生産者団体自主的調整は一年間を通じて行われるものと了解いたしますので、又それによる市場変更価格変更、或いは又政府買入価格以下で売るという場合におきましては、市場に対しても相当の混乱が予想される点もございまするので、必要な場合には、又経済事情に著しい変動がございまする場合には価格を改訂して、そうしてそれによつて第七条が適用されるということはあり得るわけでございまするが、この変更なくして買入基準価格を下廻つて売るということは、制度建前上困難ではなかろうかと考えておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  26. 白井勇

    白井勇君 これはしつこいようでありまして、私の意見に亘るかも知れませんが、むしろこういういろいろの面におきまして、保管費ならば、法案運用する場合にせめて財政負担というものを少なくして行くということを考えるということが適当じやなかろうかと思いますが、今のお話のように、六条でこれは必要がありますれば改訂をするということは、これは非常時の場合でありまして、むしろやはり実際の運用におきましては、こういうような限定を設けることは、徒らに実際に運用いたしまする食糧庁長官なら長官とされまして、結果から見まして財政負担を余計にしなければならんというような状態に陥るのではなかろうかという私は心配をいたします。これはもうこれ以上は私意見になりますから申上げませんが、そういう感じを以てこの条項を読んでおりました。  次にちよつとお尋ねして見たいと思いますることは、これを運用いたしまする場合の経費は、この間もお話がありましたが、大体食糧証券を発行してやつて行くというようなお話でありまするが、事務費というものはどういうふうにお考えになつていらつしやいますのか。これから大蔵省予算交渉して組んで行かれるのでありますか、或いは又この次の補正予算等におきまして、どういう程度のものをお考えになつていらつしやいますか、この中には人件費等も含んでおるかどうかという点、それからもう一つは、この第五条に「生産者団体にはかり、その意見を尊重して農林大臣が定める。」、こういうふうにありまするが、生産者団体意見を尊重すること、これはこういう一つ法文の例というものが他にもあるものでありますかどうかという点、と申しますることは、政府におきましては、例えば重要な米価をきめます場合に、米価審議会意見というようなものを格別尊重してきめるというようなこともないわけであります。ところがこの法案だけに限りまして、その意見を尊重してきめるというような表現を使つておるのであります。これは一体どういうことを意味するものか、私ちよつと、そこいらのことがピンと来ないのでありますが、お話を願いたいと思います。
  27. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 管理費につきましては、現在はこの制度ができておらないわけでございまするから、現在審議願つておりまする予算におきましては管理費を予定いたしておりません。ただ現実に澱粉等を買上げておりまするので、その分については農産物管理費として特別会計の分に載つておるわけでございます。この法案が成立いたしますると、それに応じて今後そういう点について我々としても財政当局交渉をする考え方でおります。それからその意見を尊重してという例があるかどうかということでございますが、これは議会の法制局の御意見によりますると、そういう例があるそうでございますが、農林省関係法案には我々としては例は存じません。他の法案においてこういう例があるということを聞いております。
  28. 白井勇

    白井勇君 先ほどの、これから交渉されまする経費ですが、これはこの法案を運行いたしまするに、食糧庁長官とされましては、現在の定員なり、一般の事務費を以て足りるとされますか、或いはこの法案が通りまして運行されまする場合におきましては、人件費も、これに伴いまする業務費も、必要なるものはこれは大蔵省交渉されまして取るというお考えでありますかどうか、その点をはつきり答弁を願いたいと思います。それから従来食糧庁関係法文になかつたそういう法文の例を特にこの法案におきまして、只今お話のように意見を尊重して農林大臣が定めるというふうに入れざるを得ないという何か特別の事情がありますかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  29. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 管理費につきましては、御承知のようにこの法案は第一次には生産者団体自主調整によりましてその目的を果し、それと相待ちまして政府買入を行うわけでございまするから、主としてその管理費内容は金利でありまするとか、保管材その他の事務費になろうかと思いまするが、只今人件費の問題につきましては、更に具体的に実施いたす場合の内容を更に検討いたしまして、若しその必要があれば、やはり人件費財政当局には要求いたしたいと、かように考えております。
  30. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 「生産者団体にはかり、その意見を尊重して」という条文についてのお尋ねでございますが、この問題は経過を簡単に申上げると御了解頂けると思うのでありますが、私のほうで原案を作りまして各派に呼びかけましたる場合には、原案生産者団体意見を聞いて農林大臣が定めるという工合になつておりました。そこで私は、この参議院の農林委員会でも先日来御意見がありますように、価格決定審議会を設けたらどうかという意見もありまして、いろいろと実は三日間ばかりこの問題で揉んだのであります。公式或いは非公式の理事会を開きまして意見の交換をいたしまして、最後にまとめ上げます場合に伝制局からも来て頂きまして、法制局を交えて相談をいたしました。そこでまあ「意見を聞いて」と書く場合と、「意見を尊重して」と書く場合と、「意見に基き」とやる場合と、おのおの幾分なり重みが違うという法制局説明がありました。審議会を作る。作らないということと、この問題と非常に絡んでおるわけでありまして、先日来私が御答弁申上げておりまするように、生産者団体は一面生産者擁護団体であり、と同時に販売もやつておりますので、この生産者団体意見を尊重して農林大臣がきめることにしたならば、えてここに審議をわざわざ設けなくても目的を達するのではないかという、まあ最後的な話合になりまして然らば法制技術上「意見を尊重して」という言葉がいいか、悪いかということでまあ諮つたのでありますが、法制局見解は、単に意見を聞いてという場合と、意見に基きというと非常に強くなる、これはもう非常に拘束される、その中間的なものであるという見解で、その辺がいいじやないかという点に落着いたわけでございます。以上のような経過で、審議会の問題と絡んでこの条文内容を更に強めた、併し「基き」というところまで行くのは、農林大臣に権限がある以上行き過ぎじやないかということで、この「意見を尊重して」という条文にいたしたのでございます。
  31. 白井勇

    白井勇君 提案者からはこの間この「意見を尊重して」とかいうところが非常に味噌なんだというような提案の理由があつたと思うのでありますが、この法案を読んで見まするというと、まあ価格安定法案というような名称ではありまするが、まあ言葉を変えますれば農民自主的販売助成法案というような筋合のものである。これに特に米価審議会等におきましても、とかく政府はその答申すらも尊重しないじやないかというような矢先におきまして、この法案だけにつきまして特殊の表現が使われておるものですから、非常にこれは変な感じを与えるのじやないかというような私は気持を持つてお尋ねを申上げたわけであります。なお食糧庁長官に私先ほどの答弁で食い足らない点があるわけでありますが、今法案審議されておりまする過程におきまして、これが通りますれば、これらのものは当然長官とされまして、この法案を運行して行きまする責任があるわけでありまして、今更人件費がこれから計算を立てて見なければわからんというような内容では私はなかろうと思います。従いまして一方におきましては、体裁のいい行政整理、九十何名かも削られておるような状態のようでありまするが、今の人員なり、或いは最近のように事務費が削減を受けておるような段階におきまして、食糧庁長官はこの法案を運行して参りまする場合に、果して今の定員で、或いは又経費も増額を要求しないでやれる見通しでありまするかどうか、これをはつきりと御答弁願つておきたいと思います。少くともこの法案を運行するには今の人員を以て足りないというのかどうかということ、その点をはつきり答弁願いたいと思います。
  32. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今も申上げましたように、保管料、管理事務費等は、これに伴いまして当然生ずるわけでございますので、これにつきましては、今後財政当局交渉いたしたいと、かように考えておるわけでございます。人件費につきましては、御承知のようにこの品物につきましての検査はすでに員外検査として実行しておりますから、受入の場合でございますが、受入の場合におきましても、一般的に各農家から直接買上げまする場合、又はその数量、それから自主的調整を行いまする団体から買上げまする場合の数量、場所等によりまして、その内容相当異なつて来るのではないかと、こういうことを、私今後その数量等によりまして内容が異なつて来るということを申上げたわけでございまして、その計画がはつきりいたしましてから、その点については善処いたしたいと、かように考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  33. 白井勇

    白井勇君 この法案を拝見しますれば、これは自主的の統制に待つ、全販をしてやらせるということははつきりしておるのでありまして、そういうことをこれは論議する筋合のものではなかろうと私は思います。これはすでにぎまつておることでありまして、ですからそれを運行します場合におきまして、長官といたしましては今の人件費を以て足りるとお考えになるかならないか、私のお尋ねしたい点はその点であります。
  34. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) これは白井委員も御承知のように、自主的調整を行いまする場合におきまして、その団体から買上げる場合の度数の問題或いは又所在倉庫の問題等によりまして、その内容が事務の繁閑というものが非常に異なるものだと考えております。これは具体的に自主的調整の計画がきまりまして、それにバツク・アツプいたします政府買入の時期なり、度数なり等も考えなければ、詳しいことは正確なことは申上げられないということを申上げたわけでございまして、ただ自主的調整相当のウエートを置く場合においては非常に無理ではあろうかと思いまするが、何とか現状においてやり繰りできないものだろうかというように考えておるわけであります。
  35. 白井勇

    白井勇君 非常にくどいようで、余り申上げてもどうかと思いまするが、御承知の通り、去年澱粉を買上げましたときにおいてすらもああいう混乱を起しておる。これは要しまするに、今の食糧庁長官の幕下におります職員というものの人員、今の受入態勢或いは検査に対しまする器具の整備の状態、技術の点におきましては、全販が如何にやかましく言いましても、全販の言う通りになつておりますれば、これは問題はないわけでありますが、少くとも国家の公務員といたしまして、適正な受入態勢をとつて行くということはできかねる状態であることは十分御承知のことであると思います。更に今度こういうふうに積極的に法案をきめてやるということになりますれば、「なたね」も殖えまするし、更に又澱粉も殖えて来るというような恰好になるわけでありまして、これは我々考えますれば、去年の実態を見ましても、これは今の職員なり、事務費を以ては十分でないことは食糧庁長官は十分お認めになつていると私は思います。これはいろいろお差支えがあつて明言もできないと思いますが、これはよほどその点をお考えになつてこの法案の措置をお考えになりませんと、私は困るんじやなかろうかということを繰返して申上げておきます。
  36. 河野謙三

    河野謙三君 先日来数日に亘つてこの安定法の審議をしたのですが、どうもこれは総理大臣の施政方針演説を聞いておるようで、もつと突込まなければいかんと思うのです。そこで突込んで、政府は例えば今年の「いも」を幾らに考えているか、それから逆算して澱粉を一体幾らで買うんだ、数量はどのくらいに考えて買うんだ、「なたね」は一体幾らで買うんだという政府原案は私はあると思う。そういう点を突込んで行かなくてはこの法案審議はなかなか進まないと思う。そこで本日は甚だ恐縮ですけれども、この法案をめぐる利害関係者が大勢おられるようですが、この利害関係者の暫時退席を願つて、この突込んだ問題について暫らく懇談を願いたいと、こう思いますが、如何ですか。
  37. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今河野委員から非公開にして懇談に入つたらどうかという動議が出ておりますが。
  38. 野溝勝

    野溝勝君 まあそれも一つ意見ですが、どうせどんなことを話しても議会のことはわかるのですね。だからむしろそういう意味では委員外のものも発言するわけではないから、一つざつくばらんにどうです、ここで話したほうが却つていいんじやないですか。
  39. 河野謙三

    河野謙三君 繰返して私の今申上げたことを申上げるようになるのですが、例えば昨年たしか四月か五月か政府が澱粉の買上をやるときは、その当時は議会で十分論議して、昨年の今は二十八、九円を理想価格として、これに安定さすべく澱粉の買上をやるということで、大体政府の施策よろしきを得て、昨年はその通推移したわけです。本年はむしろこれからの「いも」の価格を幾らにするかということについて政府の方針が未だに明示がないことは遅いのですよ。少くとも私はこの法案をめぐつて、そのくらいのことは、政府の内意ぐらいは私にお漏らしを願わなければ法案審議ができないと思う。ところが例えばここで「いも」が二十八円だと、澱粉は少くとも百八十何円だということにきまることによつて、これは非常に商売上利害関係を持つのです。これ議員の人がどんどん廊下のほうへ筒抜けにやるわけですが、我々議員の権威においては、そういうことは秘密のことは秘密のことで私はやらなければならんと思う。そういう意味合において、私は野溝先生どうぞ暫時の聞そういうことで突込んだ意見をさして頂きたい。
  40. 野溝勝

    野溝勝君 その何と言いますか、それに対する見解あとにするといたしまして、私も昨年農民がこの澱粉について非常に悩んだことをよく承知しています。特に群馬県の農民組合から、昨日もお話申しましたが、実際百六十二円を台割れしたような状態で、農林中央金庫というものは何のためにある、一体農民の金庫であるかわからんというのです。それでこの金融の問題について何とか処置してくれというと相手にしないというのです。実際私はそういうことを言いたくないが、これは本当に農民のための金融機関なのか、一体本当の金融機関としての金融機関なのか、これはさつぱりわからない。こういうようなことについては私自身も昨日申上げました通り意見があるのです。ですから、そういう点についてもあえて私といたしましては誰が聞いていようと、ここでざつくばらんに話をしたほうがいいような気持もするのでございますが、しいて私はどうしてもそれでなければならんということは固執いたしません。一つ皆さんの大衆討議をやつて頂きたい。
  41. 森田豊壽

    森田豊壽君 河野委員から只今懇談をして見たいという御動議が出ましたが、この前からこういう問題につきましては、そういう予定で進行しておつたはずであります。従いまして、なお御意見がありましたらば、その懇談後に十分この問題につきましては一つ御討議を願うことにして頂きまして、この際やつばり関係者は暫時退場して頂きまして、そして懇談で進行を願つたらどうか、私はそれに賛成いたします。
  42. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではなお御質疑があると思いますが、今言つた河野委員の動議に御異議ございませんか、非公開で懇談をいたすと……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこれより懇談に入ります。  一般のかたは恐縮でありまするが、暫時御退席を願いたいと思います。    午後二時三十五分懇談会に移る    —————・—————    午後四時二分懇談会を終る
  44. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 懇談会を閉じまして、委員会を再開いたします。なお今後御質疑のあるかたは質疑を続行いたしますけれども、懇談の結果大体御意見も出尽したようでありますので、大体明日できるだけ討論採決に入ることを目途といたしまして、各党から代表者を出しまして、この締めくくりについて至急結論を出して頂きたいというふうに考えまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。その各党からの人選は如何いたしましようか。    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  46. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではのちほど私から指名をいたします。  なお提案者から、この法律案に正誤がございましたので、この機会に正誤につきまして説明を求めたいと思います。
  47. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 法律案の第五条第二項の正誤について申上げたいと存じます。第五条第二項の条文につきまして、印刷の都合上正誤がありますので御説明を申上げます。第五条第二項の規定中「政府生産者団体から買い入れる場合には、前項の政府買入価格に、農林大臣の定める金利及び保管料に相当する額を加算することができる。」とあります点は、「金利、保管料等に相当する額」というように訂正するわけでございます。この規定の趣旨はたびたび申上げておりまするように、先ず以て生産者団体の自主的販売調整に期待をいたし、政府買入は第二次的に行うという建前から、生産者団体農林大臣の承認又は勧告を受けて販売調整を行なつて後、政府に売渡す必要の生じた場合には、その保管期間中の生産者団体の負担と考えられるものを買入価格に加算することができることにしたのであります。従いまして、かような性質のものとしては金利、保管料がありますが、そのほかにもこれらに準ずる性質のもので、例えば善良な管理者の注意を以てしてもなお生じ得る減耗などが考えられるのでありますので、これらを買入価格に加算する趣旨で訂正いたした次第でございます。御了承を賜わりたいと存じます。
  48. 白井勇

    白井勇君 それに関連しますが、第五条の一の「加工に要する費用等」の「等」はどういう内容のものですか。
  49. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今も五条の二項について申上げましたように、「加工に要する費用等」の場合にも、御承知のようにロスの問題がございますので、この「等」はロスを考えておるわけでございます。
  50. 河野謙三

    河野謙三君 私はしばしば中金のことを聞くようですが、現在まで販連が需給調節の役割を果しておりますね。それに要する資金等は中金からはどのくらい出て、その利息は幾らになつておりますか。
  51. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 御説明いたします。昨年度は「なたね」及び澱粉等につきまして、それぞれ全販連とそれから全澱粉に対しまして融資の斡旋を行なつたのでありますが、そのうち全販連系統に対しましては中金から融資するごとにいたしまして、「なたね」について申上げますと、昨年度の計画といたしましては、約百五十万俵につきましてピーク時二十八億を融資するという計画をいたしたのであります。澱粉につきましても同様、昨年度の当初の計画といたしましては、千三百万貫につきまして約二十三億の融資をするということにいたしたのであります。そのお尋ねの金利でございますが、金利につきましては、資金のソースによつて若干違つておるかと思いますが、サイト六十日で中金から信連に対する融資は二銭五厘、信連から単協に貸付ける金利は二銭六厘になつております。又澱粉に対してはこれはいきなり全販に融資することになりますが、大体二銭六厘になつております。
  52. 河野謙三

    河野謙三君 その双方合せて五十億からになると思いますが、その中金の資金源は一体どうなつておりますか。
  53. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 資金源につきましては、昨年度はほぼ中金の自己資金によつて賄い得られた結果になつておりますし、丁度「なたね」につきましては政府の麦の買入時期とも一致する関係上、政府の麦資金等が交付されておりましたので、中金の自己資金で賄えるという結果になつております。
  54. 河野謙三

    河野謙三君 自己資金で賄つておるとすると、販連に対する二銭六厘とか、又二銭五厘とかいうものは高いと思われませんか。
  55. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 中金の自己資金として借入金利或いは預金金利等を考えて見ますと、大体中金は従来ともこういう金利でやつておりますので、我我としては通常の金利ではなかろうかと考えております。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 今までやつておるから、又通常これであるからということは私は理由にならんと思うのです。特に私は過去のことは捨てて、今度のこの安定法によつて、この措置に基く中金の融資というものはやはり従来と同様な金利をお考えになつておられますか。
  57. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 融資の計画につきましては、目下政府の全国団体の自主的販売調整計画を睨み合せて、どの程度に融資すべきかという計画を早急に調査中でございますが、それに関連いたしまして、目下のところ我々が金融関係の当局者と打合せしたところ、大体において、現在におきましては中金の自己資金で賄えるのではなかろうかと考えております。併しこれはまだ現実の結果ではございませんので、今後必要量につきましては、政府資金の融通の斡旋等についても必要があれば考えて参りたいと、かように考えております。その際は恐らく金利につきましては、昨年度の麦について特に政府資金を融資した金利と同様に政府資金から出す場合における自己資金の金利は安くなろうかと考えております。
  58. 河野謙三

    河野謙三君 私が今更申上げるまでもなく、今度は安定法に基いて、直接政府の犠牲も或る程度この中に織込んでこの法の運用をして行こうと、こういうことでありますから、政府の犠牲において行う仕事、ついては関連したところの中金が、従来のような考え方とは全く変つたところの中金は考え方で出発しなければならんと私は思う。そういう意味合において、この前の農協の整備促進の問題と同様に、このことによつて中金が又火事場泥棒のように儲けるということは私は断じて許しません。だから従つてこの法案審議に重大な関係がありますから、明日委員長が言うように、この法案を通すという目安でやるならば、明日までに中金なり政府部内において、この法案に基くところの金融措置、それに課せられる金利というものは、政府資金の場合は幾ら、自己資金の場合は幾ら、幾ら以上超えてはいけないというくらいの一つ目安を立てて私は提案者に臨んでもらいたいと、こう思います。
  59. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 この中金が農林水産行政に重大なる関連がありますことは今更申すまでもありませんが、あらゆる面から見て、農村振興の上に中金がいわゆる高利貸的な存在によつて、いつも農林或いは水産の行政の振興が図り得ないような役割をしておることを甚だ遺憾に思つておるものであります。この意味において私は恐らく農林関係の各種団体におきましても、或いは衆参両議院の農林委員会におきましても、中金の今日までのやり方については非常なる不満があると考えるものであります。どうか根本的なこの農林中央金庫の今後の運営についての改革を行なつてもらいたいと我々は考えるものでありますが、その組織や或いは現在運用されておる資金内容等につきましても私は知りたいと思いますので、只今河野委員からも出ましたように、併せてこの資料も提出をお願いしたいと思うのであります。それによりまして、更に根本的な改革についての考えを私は以ちまして御意見を述べたいと考えております。
  60. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 佐藤委員に申上げますが、農林中金、こういう問題は今までにもしばしば出ておりますので、又日程に一応挙げておりますように、農林中金全般の問題は別個に聞きたいつもりでありますので、或いはその機会に一般的な問題はお譲りを頂いても結構かと思いますが。
  61. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それは急を要しないのでありますから、私は或いは今回小委員会ができましたら、小委員のほうに内容検討を委託しても何でも結構であります。或いは又会期後において委員長が適当なる時期に招集せられて、ゆつくり十分に検討の時間を与えて頂くごとならば、あえて私は異議ありません。
  62. 上林忠次

    ○上林忠次君 先般も問題に出ましたし、又先ほども河野さんから話がありましたが、今回のこの法案に対して製油業者がなぜ反対しているかというお話がありましたが、私前にも質問しましたように、原料の値段、これは生産者意見を十分聞いて、そしてきめる。こういう原料関係まこれで喜んでおりまするけれども特に「なたね」粕の件であますが、これは原料値段はきめたと、ところがあとの油の値段というのは常にフラクテユエイトすると、而も最近は油が安いというようなことになりますと、出て来る粕は又高くなると思う。高くなると、これを消費する人がないということになれば製油業者が困る、買いたいにも原料が買えないと、売先がないということになるのであります。それで油業社がこの法案に対して危惧の念を持つておると私は思うのであります。油業者はしようがないじやないかというような御返答をこの間も聞いたような気がいたしますが、もう一度提案者並びに政府のほうから、油業者はどういう工合に考えるか、或いは油から出る粕の値段を生産者値段と関連してどういう工合に考えておられるかということをお聞きしたい。
  63. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) その技術的な操作の問題につきましては、食糧庁のほうからお答え願いたいと思いますが、只今の御質問は先ほどの懇談会で私お答え申上げましたように、いろいろな油業者の危惧の念はあると思います。この運用の結果によつては今後の処置として考えなければならない問題も起つて来るかと思つておりますが、実はこの問題を研究して参ります際も、今御岳のようないろいろな問題が提供されまして、あれこれ総合的に研究をしたのでありますが、一応の結論といたしましては、農家の庭先を出ます農産物の価格を安定することがこの法案の眼目でございますので、その最も効果的な方法としては直接原料を買上げるということが最も望ましいのでございます。それによつて起る原料高、製品安という危惧の念を持つております搾油の事業につきましては、今お話の通り、年間を通じて油についても価格変動を生ずるということは例年の例でございまするが、その原料の価格を、この法律によりましてできるだけ安定をするという処置をとりますれば、これは油の価格も従つてこれに連れて今までの様相とは違つて来るんじやないか、又違つて来なければならないと、かように考えております。最も虞れるのは外国からの原料輸入による影響でございますが、この面も附帯決議にもあります通り、極力操作をして、国内のこの価格の維持を図つて行きますれば、油の価格につきましても、原料を叩いて買つて儲けるといううま味はなくなるかも知れませんが、その反面油も却つて安定をしやしないか。又需給事情からいたしましても、「なたね」の自主調整をやるなり、政府のほうで買上げるなり、相当長期に亘つてストツクしますので、そこで市場に出廻る油の数量もおのずから制約されて来る。これによつて需給調節が間接的に行われて価格の維持もできはしないか。現在油の安いことは事実でありますが、こういつた油に対しても間接的に相当大きな影響を持ち、その影響はむしろいい方向に向つて行くようにという期待を持つておりますので、この法律によつて先ずやつてつて、暫らく状況を観察した上で御相談を願つたらどうかと、こういうふうに考えております。
  64. 上林忠次

    ○上林忠次君 それでは現在、先ほど聞きましたような、ああいうふうな材料によりまして「なたね」の値段をきめるならば、油が現在の値段で市場価格を維持するものと考えて、粕はどのくらいになるのか、その点を政府はどのくらいに見込んでおられますか。
  65. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 勿論油の価格は御承知のように原料価格と同時に他の油の価格との関係、消費者の関係からきまりますが、我々としては現状の油価格はそれほど変動するというふうには考えておらないわけでございます。従いまして粕の価格につきましても、勿論他の肥料の価格等との相関関係がございまするから、その方面からの問題はあろうかと思いまするが、これによつて特に粕の価格が大きな変動を見るということは予想いたしておりません。
  66. 森田豊壽

    森田豊壽君 明日、委員長がお諮りになつた通り、できる限りごの案を採決まで持つて行きたいという御意見もありましたが、誠に結構だと私は思う。その場合先ず第一番に今までの皆さんの御意見を聞いておりまするというと、予算の裏付がごの法案運用上確立されておらないということについては、それぞれの御指摘があつたわけなんです。従いまして食糧庁の長官がいろいろ特別会計でやるとかいうようなお話がありましたけれども、先ず提案者意見を聞きまするというと、農林大臣が参議院のこの委員会におきましてこの農産物の価格安定法は政府としては考えておらないということから始まつたということが、この説明の始まりでありまするから、これに対しまして農林大臣が、予算の裏付に対して、この法案を通す場合におきまして十分なるお考えを持つか持たないかということは、先ず我々委員としましては、その裏付をはつきりさしておくことが必要だと、こう思うのであります。従いまして明日は農林大臣一つ来て頂きまして、農林大臣にこの駄目を押しまして、そうしてやつて頂くことが一番いいのじやないかと私は考えるのでありますが、是非そういうことにお図りを頂きたいと思います。
  67. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 承知いたしました。  私は最後とは言わないのですが、若干今後に残されておる点を数点お伺いをいたしたいと思いますが、第一点は、第二条の買入数量でありまするが、毎年農林大臣の定める数量の範囲内において買入れる、これは予算の範囲内ということではないわけでありまするが、併し食管会計の実際からしますれば、数量はきめても予算面においてはやつばり予算の範囲内ということに実際上はなると思う。もう一つの例は、食糧管理法の麦の規定においては、農家の希望に応じて無制限に買入をする、こう書いてあつても、実は予算で縛られている実態でありますが、如何にもどうも予算には縛られるというような錯覚を与える気配がありまするが、結論としては、予算に縛られてしまうと思うのでありまするが、特にこういうような数量の範囲内として、麦のように無制限というような趣旨を書かなかつた理由を、これは念のために一つこのいきさつをお聞かせを願いたいと思います。
  68. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 勿論この数量を考えまする場合には、一定の価格が前提になるわけでございますが、先ほど申上げましたように、その価格を支持するに必要な数量を見出しますると、それによつて目的が達し得ると考えますので、特に無制限という関係を規定いたさなかつたわけでございます。これは支持制度建前といたしまして、一定の正常価格を維持するがためには、どの程度の数量でいいかということを見出しまして、それによつて数量を定めて参りたいと思うわけでありますが、お話のように一つの点は、その当初予定いたしました数量で目的を達し得ない場合にどうするかというふうな問題があろうかと存ぜられるのでありますが、その点につきましては、勿論我々としましても、予算の場合におきましてやはり一定の予備費というふうなものが必要であるということも考えられますし、同時に又生産団体の自主的調整を行いまするので、その年度において調整し得ない場合におきましても、次年度において調整するというふうな事情考えられますので、生産者団体自主的調整と相待つた制度として特に政府の無制限買入を規定いたさなかつたわけでございます。
  69. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そこで関連しまして、「農林大臣の定める数量」というのは大体一応きまつても、どうしてもそれでは価格支持ができ得ない、勿論自主的調整をやつても、どうしても今少し政府で買つてくれなければ価格支持ができないという場合においては、その年度内においても更にこれを増加するということが、これができるかどうか。これは一つの大きな問題と思いますが、この点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  70. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 勿論この法律の建前からいたしますと、正常な価格を支持するに必要な数量ということでありますから、法文上は勿論でき得ることになるわけでございます。ただ御質問のように、実際上それをどうするかというふうな問題でございまするが、その場合におきましては、勿論予備費等の総額の節約もございまするが、御承知のように食糧特別会計買入費は、全体として一本になつております。従いまして爾後において本年度中においても買入費を総体として食糧証券の発行限度内において調整するという方法もございますし、予備費の組み方如何にもよろうかと存じますが、そういう点及び先ほど申し上げました次年度との調整等が考えられるのじやないかと思います。
  71. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうしますると、法理的には買入数量を増加することは、或いは補正予算等の関連もあり可能であるというふうに理解をいたすのでありますが、そこで最後は、これはお願いのようなことになるのでありますが、先ほどの答弁中にもすでにあつたわけではありまするが、私はこういう制度運用するためには、食管会計に相当大幅の予備費を計上しないとききめがないのだ。ですからいざという場合には、予備費も相当あり、又情勢如何では数量の増加もでき得るということがあつて、初めて有終の効果を挙げると、こう思うのですが、ところが予備費があれだけいろいろなものをやつて来ても、大して予備費もそう殖えておらんという現状ではないかと思うのだが、この制度運用については、これは運用面でありまするが、できるだけ大幅の予備費を計上して行かんといかんと、こう思うのですが、これは一つ提案者に御説明を承わりたいと思います。
  72. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 全く同感に考えます。ただ今回は政府提案でございませんので、十分な準備ができた上でこの法律を作ろうということになつておりませんので、その間ズレがございまするが、幸いに参議院の御賛成を得てこれが法律化いたしますれば、今後のこういつた問題につきましては、この法律の効果を十全ならしめるために、各員の御協力を得まして、更に積極的な対策を講じて行かなければならない、かように信じているような次第でございますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと存じます。
  73. 鈴木一

    鈴木一君 若しこの法案が通るといたしまして、「なたね」その他も食管の管理の中に入るわけでありますけれども、従来食管が管理している農産物の放出と言いますか、払下と言いますか、そういうような点でいろいろ噂も聞くわけでありますが、そういう点で長官としては具体的なデーターを出して見ても、そういう非難に対しては絶対自信があるというようなお考えがあるかどうか。というのは、最近カクテルその他が実質上認められているような恰好になつておりまして、繊維とか、電気とか、船舶というふうなものが、相当大きな政治的ないろいろな取引の施策がなされておるわけであります。こういうものに食い付いて政治資金を出すとか何とかということは、特定の人間しかできなくなつていると思うわけでありますが、農産物その他農林省関係の木材とか、食糧というふうなものについては、悪くやればいろいろなやり方もあるのじやないかというふうに思うのであります。そういうような点について心配な点もありますので、絶対自信があるかどうかということを聞いて見たいのですが。
  74. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように買入価格は法律によつて一定の価格をきめるわけでございます。そこで御指摘の点は売払の場合の問題であるかと思いますが、売払の場合におきましては、現在若しこの法律が通る場合においては、我々は一般競争入札によつて売払をきめてもやりたい、かように考えております。勿論法律の建前上この法律の第七条の規定によりまして、その売払の場合の予定価格買入基準価格及び維持価格を下らないということになつておりますので、そこに制限があろうかと思います。その制限の範囲内におきまして一般競争入札によつて売却いたしたいというふうに考えております。
  75. 鈴木一

    鈴木一君 建前は確かにそうですけれども、実際の運用の面においていろいろ非難されているような点もなきにしもあらずと私は思うわけですが、ただ、今の放出とか、払下、そういうものについて自信があるかどうかということをお聞ぎしたいのです。
  76. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 我々も従来共に払下につきましては、厳正な態度で以てやつているつもりでございますが、御指摘のようにいろいろ疑念もございますので、その点は十分注意いたしたいと思いますが、そういう場合においての具体的な価格ということは、一つの制限もなく、而も随意契約で行われる場合に問題があろうと思います。一般競争入札で、而も予定価格が法律によつて最低の限度がきめられておるという場合には、そういうことは起らないと思つております。
  77. 鈴木一

    鈴木一君 この問題については、いずれ又別の機会にしたいと思います。
  78. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それからなお御質疑があろうかと思いますが、先ほどの取りまとめをして頂くかたを指名いたします。宮本邦彦君、白井勇君、河野謙三君、戸叶武君、鈴木一君、鈴木強平君、松浦定義君、以上であります。明日午前中に御相談をいたしまして、委員会は午後一時からに予定を変更したいと思いますので、午前中に御相談をお願いしたいと思います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  79. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。次に、燐鉱石の件を議題にいたします、本件について河野委員から発言を求められております、なお通産省からは化学肥料部長農林省からは改良局の普及部長と農林経済局の肥料課長が見えております。
  80. 河野謙三

    河野謙三君 先ず農林省の普及部長さんに伺いたいのですが、昨今漸く天候が回復したのですが、何と申しましても今年の稲作というのは非常に脆弱になつておると思います。そこで肥料面から見て農家の希望するところは、この際加里肥料と燐酸肥料を是非追肥にやることによつて、この脆弱になつた稲作の回復を求めたい、こういう希望が非常に強いのです。これは農家の単なる希望ですか、それともあなたが技術面で見た場合にその必要は感ぜられますか。
  81. 黒川計

    説明員(黒川計君) それは非常にむずかしい問題だと思うのですけれども、急に気温が上つて肥料の吸収が強くなつて、結局窒素肥料を相当一時的に余計に吸収されるようなことになると思うのですが、この際燐酸肥料と加里肥料を追肥したらいいかどうかという問題ですが、燐酸肥料の問題については、元肥に若しやつておれば追肥をする必要はそれほどないのじやないか、それから加里肥料についても、これは技術上非常にむずかしい問題でございますけれども、特に加里の欠乏地帯におきましては施用することが必要じやないか、こういうふうに考えておりまするが。
  82. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、技術面から見た場合非常に温度が低かつたため稲作が脆弱になつている、これを回復するために多少の燐酸を施すということは、技術面から見た場合にこれは何ら効果がない、こういうことですか。
  83. 黒川計

    説明員(黒川計君) 技術的に見た場合に、急に温度が回復しまして、土の中の有機物の分解が盛んになりますと、土の中にある燐酸自身が消えて来るような方向に向いて来ると思うのです。従つて燐酸の不足している場合は、これは勿論やる必要がありますが、一般的にはそういうことは少いのじやないか、こういうふうに考えられるのであります。
  84. 河野謙三

    河野謙三君 いや、勿論不足しておるから、燐酸をこの際至急に施したい、こういう要求なんですよ。それを又やることによつて脆弱な稲作を多少でも健全な稲に回復することが技術面から見て可能でありますか、それを伺つているのです。
  85. 黒川計

    説明員(黒川計君) 非常に不足している場合は、それはそういうことになると思います。
  86. 河野謙三

    河野謙三君 そこで私はお伺いしたいのですが、肥料課長に伺いたいのですが、肥料界のほうは最近非常に各地とも燐酸肥料と加里肥料が払底している、この事実は御承知でありますか。
  87. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 加里肥料につきましては、御承知のように本年度非常に内需が旺盛になつて参りまして、払底いたしておりまして、それでまあ急に輸入の枠も殖やしまして、三万トンくらい殖やしましたわけでありますが、輸入も八月十五日過ぎには入つて来るように予定して、現在の供給の確保に努力をしておる次第であります。なお燐酸肥料につきましては、これは局地的にそういう現象もございまするが、国全体として見ました場合には、そう払底しているというような状況ではないわけであります。
  88. 河野謙三

    河野謙三君 そごは肥料課長と私の関知している全国の燐酸の不足状況とは大分間隔があります。製造会社にあつても、又商人の手にはあつても、全購連の手にはあつても、農家の手に燐酸肥料が届かないというのが全国的の現象です。これは早速お調べになつたらわかる。これはいわゆる独禁法の網をくぐつて完全にメーカーの操作があります。中間業者の操作によつて先高の燐酸を多少の金利倉敷をかけても、この際売惜みをしたほうが得だということで、非常に燐酸というものが中間に引つかかつておる。こういう事実はこれは何としても否定できないと思う。併しこれはまあ局部的であつて全国的でないとおつしやいますけれども、これはお調べ願うことにして……。いずれにしても局部的にしてもそういう現象がある。これについてなぜもつと燐酸を今申上げるような、こういうような天候によつて非常に病虫害の多い頃に、なぜもつと積極的に政府は燐酸を農家に届くようにしないか、こういう私は不満を持つておる。局部的な問題にしろ、そういうふうなことについて何か今度手を打たれたことがあるかどうか、私はお伺いしたい。
  89. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) まだ特に現地のほうからそのような要求は来ていないわけであります。
  90. 河野謙三

    河野謙三君 これは例えばここにおいでの委員の各位にも、それぞれの御出身県でお調べになれば、すぐおわかりになると思う。商人系統は勿論のこと、全購連にしましても、全購連は県連に僅かな過燐酸を割当てして、七月ものは渡しませんよ、これは……。八月ものなら幾らかある、九月ものなら大分たくさんある。十円ずつ上つて行くから、十円の格差があるから、金利倉敷をかけても十円はかからん。九月から十月まで引つ張つて行けば儲かるというので売惜みをしている。そこへ持つて来て製造のほうも確かに手加減をする。これは由々しきことですよ。私は余計なことだけれども、今何か政府が肥料に対する根本法案なんかを出したと言つて得々となつているようですが、私はこの間農林大臣に言つたが、これからあなたのほうから出されるのは来年ですよ、今年の秋に間に合わない、今の夏に間に合わない、今のものをやつてもらいたい。この間も笑われたのですが、これからだ、これからだと言つて死んだ人がある。死なないうちにやつてもらわなければ政治になりません。そういう意味で私は燐酸の仮に売惜みがあるにしても、もつと根本的に燐酸の増産をやつてもらえば、この売惜み等を十分乗り越えて行けると思うが、燐酸の増産に対して何かお考えになつておりますか。
  91. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 燐酸の増産に対しましては、まあ大体現在燐酸の供給量が内需と見合つておりますので、特に増産をしようというふうな考えは持つていないわけであります。
  92. 河野謙三

    河野謙三君 今燐酸のストツクはどのくらいあります。
  93. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 六月末現在で過燐酸が九万三千トン、その他が二方二千トン、大体十二万トンぐらいでございます。
  94. 河野謙三

    河野謙三君 六月末でその程度では決して多くありませんね。それにしてもそれだけのものがあれば、私が先ほど申上げましたように、もつと農民の需要に答えていなければならんのに出ていない、こういうことなんです。そこで私はこういうことについては、十分農林省のほうでも私の言つていることが違うかどうか、あなだのほうで早速お調べになつて改めて御答弁を求めてもいいのです。これに対する対策を一つ説明願いたい。もう一つの問題は、過燐酸が非常に高いとお思いになりませんか。これは生産行政をおやりになつている通産省のほうに伺うのですが、過燐酸が高いとお思いになりませんか、相場が高いとはお思いになりませんか。
  95. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは先般全購連と過燐酸のメーカーの各社が七月以降の過燐酸の価格について、従来やつております安定帯価格に準拠しますような取引価格交渉をいたしたのであります。その報告によると、七月が一六・五%の過燐酸でメーカーの売値が四百七十円、八月が四百八十円……。
  96. 河野謙三

    河野謙三君 その総額の四百七十円とか、八十円を伺つているのじやなくて、生産行政を担当されている通産省として割高とお考えになりませんか。
  97. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それを今……、その報告があつたのであります。これにつきましては、農林省ともいろいろ相談いたしました結果、需給業者においてこの程度の価格はまだ適当だろうと考えておるところであります。
  98. 河野謙三

    河野謙三君 それは私は通産省の生産行政を扱つておられる肥料部長として私は少し無責任だと思う。通産省で生産行政をやつている以上は、豊富にして低廉なる肥料を供給するということがあなたの行政の眼目でなければなりませんよ。それに向つてすべての肥料政策を集中しなければなりません。ところが過燐酸工場が、聞くところによると、日本で百五十万トンの燐酸肥料が要るけれども、その製造能力たるや三百万トン近くある。倍近くのキヤパシテイを持つてつた。そうして百五十万トンの過燐酸を作るとすれば、稼動率が五〇%以下である。業者になぜ高いかと聞けば、工場を動かしてくれませんから高いのだ、五〇%まで工場が動かないのだから高いのだ、これは理窟ですよ。然らばそれをあなたのほうの生産行政を担当されている通産省が、せめて例えば二%でも五%でも燐酸工場の稼動率を上げるということは、これはやらなければならんと思う。その稼動率を上げることについてどういう御努力をなさつておられますか。
  99. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 河野さんの御指摘の通り現在過燐酸そのほか燐酸肥料の製造設備能力というものは、過燐酸に換算しまして三百四十一万トンであります。その内訳は過燐酸工場が二百九十一万トン、熔成燐肥工場が四十七万トン、それからアンモニアから製造するいわゆる高度化成肥料が一万五千トン、重過燐酸石灰が一万五千トンというふうになつておるのであります。これは現在の国内の燐酸の消費見込量百六、七十万トンに比べまして、まあ倍以上になるのでありますけれども、実は燐酸肥料工業の新設拡張等につきまして特に法令を以て拡張新設について制限する、強化するというような制度をとつておらないのでありまして、自由設立の制度でありまして、燐酸加里業界においても各工場が新設拡張をやつております。更に新らしいいわゆる熔成燐肥というような従来の過燐酸肥料に比べれば、特別の特徴を持つておるという意味から、燐酸肥料としては設備が非常にあるけれども、新らしい性質を持つた燐酸肥料を作るということから、熔成燐肥がさつき申上げましたように四十七万トンも増加するというような状況でありまして、これにつきましては成るほど現在の状況から見ると、非常に設備が過剰のようでありますけれども、一応自由企業という立場からいたしまして、私どもは各社がそれぞれ最もいい肥料を、而も安く供給して行くということに進むという建前からいたしまして、やむを得ないのじやないかというふうに考えております。
  100. 河野謙三

    河野謙三君 今私が承知したのじや、あなたの手許で燐鉱石の割当をやつておりますね。だからあなたのほうで燐鉱石の割当をやつておられる以上は、最も高能率の工場に優先的に燐鉱石を割当てるというふうなことは、当然生産行政を担当されておるあなたのほうとして如何にして安く作るかという立場からお考えになつておると思いますが、それに対して具体的にどういう方法をとつておられますか。
  101. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これはなかなかむずかしい問題でありまして、非常に強力な統制経済をやつておりますと、そういうことが非常に理論通りにうまくできると思うのでありますが、御承知のように二十五年八月に肥料も統制を撤廃をいたしました後におきましては、燐鉱の割当制度をやつておりますけれども、他の方面、価格なり、配給なり、その他の統制を廃しておりまする現在では、そういうような理論的な計画的なことは非常にやりかねるという状況で、主としてやつぱり能力を元にするという割当方針に行かざるを得ないという状況であります。
  102. 河野謙三

    河野謙三君 能力というのはあれですか、ただ製造能力ですか、それが如何に弱体な工場であろうが、工場製造能力によつて割当をしておる。一方においてはAの工場なら三百円でできるものを、甲の工場は能率が多いからということで、仕方がないからその能率に応じて四百円でできる工場に四百円で割当てる、こういう悪平等をやつているということですか。
  103. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) それはそういうふうにおつしやれば悪平等でありますけれども、先ほど申しましたように統制経済をやつておらない、而も会社のコストなり、経理内容なりを調べておらない現状におきましては、どこが能率が悪いから割当を少くする、どこがいいから割当をよくするというようなことは、実際問題としてなかなか困難な実情にあるのであります。
  104. 河野謙三

    河野謙三君 何が困難でしよう。通産省は燐鉱石の割当をやつているのでしよう。割当の権限というものを通産省に持たしておる、又割当の比率を未だに認めておるということは、結局その割当によつて、あなたの割当権限によつて燐酸肥料を如何にして安く作るかという割当の根拠があると思う。それをただ能率によつて弱体工場であろうが、優秀工場であろうが、総花式にほうぼうに割当てているのだ。これであるから、一体生産行政を受持つております通産省が、豊富にして低廉なる肥料が我々の双肩にかかつておる、そんな生意気なことを言えますか、私はそれを伺いたい。
  105. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは理詰めにされますと非常に弱るのですけれども、(笑声)本当に河野さん百も承知でいろいろおつしやつておると思うので、肥料通ですから……。お答え申上げますが、統制経済から自由経済に移行いたします場合の理論的矛盾と言いますか、これはひとり燐酸の場合の燐鉱石の割当という問題だけでなく、ほかに例をとつて見ますと、硫安の場合も、これは電気を非常に食うのでありますから、電気の割当というものが、これは全く生産を支配するという条件でありますけれども、なかなか優秀工場、そうでない工場という区別で電力の割当の加減をするということは、なかなか実はむずかしい問題なんです。これは漸次そういう電力の割当も、それから燐鉱石も割当てる。これは今までいろいろな統制をやつてつたのでありますが、もう残つておるものは、燐酸においては燐鉱石の割当、硫安については電力の割当というものが残つているだけでありまして、これも漸次なくするという過程にあるのでありまして、この面だけからそういうふうにおつしやると、まあ悪平等というふうにおつしやるかも知れんけれども、実際問題としてもう統制を漸次撤廃して行こう、これだけ残つているのだという状況でございまして、実際我々としては、あなたのおつしやるような面のみからごの問題を見ると、非常に矛盾のようではございますけれども、非常に悩む問題ではあるのですけれども、今統制経済から自由経済に移行する過渡的の現象というふうに私どもは考えておるのです。実は悩んでおる問題ではあるのです。
  106. 河野謙三

    河野謙三君 その悩みはわかりますけれども、如何にして安い、而もいい肥料を買うかという農林省の立場から行けば、あなたのむずかしいとおつしやることは農民には納得行きませんよ。結局肥料会社との従来の因果関係、従来の業者の申合せ、こういうものに対して、あなたたちが大いに譲歩しておるということなんですね。それ以外にむずかしいことはないのですよ。まあちよつと聞いて下さい。それは農民の立場から行けば、こんなものは簡単に割切つてもらわなければ困る。安くできる国内に工場なり設備があるにかかわらず、わざわざ製造会社との今までのいろいろないきさつ上、あつちにもこつちにも義理を立てなければいかん。そういうことで、それが結果において高い肥料になつて、それが農民に届くということで……、これは安くできる設備がなければ仕方がないですよ。安く作る方法がなければ仕方がないですよ。方法が、設備がちやんとあなたのほうにある。あなたはそれを認められるだろう。そういうものを目の前に置いておきながら、わざわざ前の……、あなたのおつしやるところのむずかしい関係というのは、従来の行がかり、因縁、情実ですよ、はつきり言えば……。こういうことを捨て切らないで今に今にと言つて、大抵今まで待ちましたよ、私のほうは……。これ以上待たされるのは困る。もつと安くできる方法があなたの前にころがつているのだから、なぜその方法をとらないか。それも燐鉱石の割当制度がなければ別です。あなたの手許において燐鉱石がどこの工場に幾ちという割当の権限がある。権限がなければ仕方がない。どうしてこれをおやりにならんか、これは農民は納得しませんよ。
  107. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それはもう少し肥料について統制を全面的に排除するという、撤廃するという方向に今まで来ておるのでありますが、その方向を統制の方向に向けないと……、今ここで我々が漫然とこの工場は能率がいいだろう、悪いだろうということで、工場別に能力に対して加減をしたり、極端に言えば、あすこは非常に悪いから燐鉱石の割当をしないということを簡単にやつた場合には、燐鉱石が行かなければ過燐酸が作れんのですから、その会社は潰れるという結果になるのでありまして、その結末はこれは統制をすれば、それ相当の措置があろうと思うのでありますけれども、現在みたような経済の運行の方式ではなかなかむずかしい問題なのであります。
  108. 河野謙三

    河野謙三君 むずかしいとおつしやるけれども、高能率の工場に重点的な燐鉱石の割当の権限を持つているあなたができないというのは、それはあなたがそういうことをやらせないという、法的にあなたを縛つている何かありますか。
  109. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 法的に縛るということはないのですけれども、今申上げましたように、この工場の能率が悪いということを先ず断定するためには相当の調査も必要であります。それから若しそれがわかつたとしても、その工場に燐鉱石をやらない、そのためにその会社が立つて行けなくなるということに対して政府が責任を負うやつぱり制度ができなければ、これは非常にむずかしいのじやないかと思います。燐鉱石の割当をやつておりまして、その会社が競争上立つて行けなくなつて潰れるというものがある。これは自由競争上やむを得ませんけれども、燐鉱石をやらないために、その操業ができなくなつて、会社が破産するという責任は現状ではなかなか負い切れないという状況であります。
  110. 河野謙三

    河野謙三君 私は今の肥料部長お話を今頃聞くのはおかしいと思う。肥料が統制撤廃になつて今年で四年目ですよ。肥料の統制が撤廃になつて、これから肥料は価格も配給も自由だ、自由販売だという制度の切替において、その年にすでに低能率の工場はどんどん落伍して、高能率の工場に生産が集中して、そうして自由経済のよさはそこにあるのだから、その方向へ向つて、自由党の内閣の通産省もその線に沿つて順次行くべきだと思う。この四年間何をしました。私は百歩を譲りますよ、今のあなたのむずかしさはわかるのですが、今までにおいて、例えば高能率の工場は重点的に生産さしてコストを下げるという努力を過去三年、四年の間に順次して来られたのなら私は何も言わない。ところがこの四年の間に何をしました。過燐酸の工場は年年殖えて行つて、而も燐鉱石の割当が減つて行くから、だんだん稼動率が下つて、工場自体に過燐酸を高く売る口実を与えて、高いじやないかと言うと、私のほうの工場は半月しか動かしておりません。四十何%を動いておりません。動かさないのは誰か、燐鉱石の割当をしているあなたのほうが動かさないのだ。今まで三年、四年、その方法をやつているなら私は何も言わない。逆にあなたのほうの過去三年、四年のあれを見て御覧なさい。過燐酸の工場の稼動率が下つて来ておりますよ。誰が下げたか、これは誰が下げたと言つても、あなたのほうが責任を持たなければいけない。だから今までそういう方向に来たなら私は何とも言いはしません。今まで通産省は生産行政はおれのほうだ、おれのほうに任しておれば安くできるのだ。今度も硫安も何カ年か経つて、その間に二百何億かの金をつぎ込めば、硫安ばドイツやフランス並にしてやる。ちやんちやらおかしい、そんなことは今までの例から言つて……。これに対して私は不満がある。併し過去のことは別にして、それじや明日から今私が指摘することに、もう少し高能率の工場の燐鉱石の割当を重点的にやつて、今後三年なり、二年なりにどういうふうに持つて行くかという何かお考えがありますか、今からでも私はスタートしてもらいたいと思う。
  111. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは将来の問題についてのことを言えとおつしやるのでありますが、私が先ほど申上げましたように、設備の新設拡張について事業法を作らないで、自由企業でやつて行こうという現状では、非常に不当なる二重投資になることはやめなさい、例えば化成肥料でも硫安と燐鉱とを混ぜて、それに硫酸をかけるような配合に似た化成肥料はやめなさいとか、或いは今まである過燐酸工場と同じような設備を作るのはやめなさいという勧告は従来でもやつておりますし、将来も勿論やろうと思つております。併し現在あるすべての燐鉱の工場について、能率のいい工場にウエートを重くして燐鉱の割当をやるということを、ここで私が将来はやるということを申上げることはちよつとできないのじやないかと思います。さつき申上げましたような理由から、一応設備が多くできたことは遺憾でありまするけれども、この設備で自由競争をやりたい、燐鉱につきましても、実は漸次今のメーカーに設備能力に応じて割当てて行くという方針を、自由競争するために自動輸入の承認制というようなものも漸次加味して行つて、自由にスムーズに燐鉱を多くして過燐酸を作るという方向に、これは外貨の事情等もありますから、私の一存では行きませんが、私どもといたしましては、飽くまでも自由競争で漸次能率のいい工場、燐酸肥料がいい精度で能率を増して行くという方向に持つて行きたいと考えております。
  112. 河野謙三

    河野謙三君 それではあなたは過燐酸をどうして安く作つて安く農民に渡そうと思つておられるか、その一番の急所を教えてもらいたい、私は今あなたが言うような手ぬるいことをしていたら、だんだん過燐酸工場の稼働率は下る一方であつて、通産省が生産行政を担当して、豊富低廉な肥料を供給するのはおれのほうでやるのだと言つていながら、毎年毎年年さえ明ければ逆にコストは上つて行くじやありませんか、私はそう思うのだが、あなたは、いや今まではそうであるけれども、今年の秋から過燐酸の生産コストはこういうふうに下げるという具体的なものを持つていたら教えて頂きたい。
  113. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 非常にむずかしい御質問ですけれども、今度の安定帯価格の延長みたいなものをやつておいて、大体前年の価格をきめるときに見込んでおつた燐鉱石と、今後一カ年の燐鉱石、予想別燐鉱石との差額が提案されますので、それは約四十五、六円というふうに提案しますが、それに相当するものを下げるというような方向に、今度の価格は燐鉱業者との間にきまつたと思うので、そういう点でそういうことが過燐酸工場の操業度が下つたから格差が非常に少いというようなことはないようにいたしたいと思つております。
  114. 河野謙三

    河野謙三君 まあわかつておられるのだけれども、いろいろまあああのこうのと言つておられると思うのだが、そこで今度別な立場から肥料の質の問題ですが、ただ安く作るだけでなく、質のいいものを作らなければならない、そのことについては、これは農林省の改良局のほうの技術面から、肥料はかような肥料を作つてもらいたいという技術面から出て来る意見でなければならないと思いますが、これにつきましては、従来とも生産行政を担当しておる通産省は如何なる肥料を作るか、如何なる質の改善をするかということについては、これは常に密接に農林省と連絡をとつておられますか。
  115. 柿手操六

    説明員柿手操六君) その点につきましては、私は特に農林省の出身者でもありますので、個人的にも非常な懇意にしております関係もありますし、それからそうでなくても、これは農業の専用物資でありますから、その種類、性質、品質等につきましては、常に農林省と緊密な連絡をとりまして、その御趣旨、御方針にでぎるだけ副うようにやつております。ただ私どもが熔成燐肥の生産を非常に強く、農林省としてはたびたび文重等を以て要望されておりますが、この点は非常に電力の消費が多いものですから、できるだけ努力はしておりますけれども、農林省の御希望の一〇〇%は達しかねると思いますけれども、これは河野さん御存じと思いますが、一番最初の年は三万トン、その次は六万トン、その次は十二万トン、今年は十五、六万トン程度まで、まあほかのいろいろの例に見ない程度の割合を以て増加をいたすようにしておる。御希望は二十万トン以上ということでありましたが、電力が急に殖える関係で、その辺で一応御勘弁を願つておる状況であります。それから過燐酸工場で主に作る先ほど申上げました化成肥料、珪土化成肥料と言いますか、アンモニアから作るのではなくて、燐鉱に硫安とか、硫酸加里とか混ぜまして、それに硫酸をかけてかき廻して作るような、いわゆる珪土の配合に準じた化成肥料がありますが、これらにつきましては、燐酸肥料の単肥としての農村に対する配給が非常に減つては困る、少くとも七割は単肥で配給するようにしてもらいたい、三割以上には化成肥料は殖やしてくれるなというようなお話もありました。この点も法令的には配給統制等もやつておりません関係で何でありますが、消費者のほうの希望もあるのであります。単肥として配給するものが配給肥料としての監督までは私どもの手が行き届きませんが、過燐酸工場において作ります化成肥料につきましては、単肥で配給するのが余り減らないように、大体今そういう御質問があるだろうと思うので調べて参りましたが、この二十七肥料年度の一カ年間の推定で申上げますと、過酸酸石灰に換算して燐酸肥料が全部で生産が百五十四万七千トンになるという推定でありますが、そのうち化成肥料になつておる分が過燐酸に換算して二十一万一千トン程度となりますので、二十一万一千トンは百五十四万七千トンに対しまして一四%程度、先ず一四、五%程度でありまして、まだ農林省の御要望の三割等にはまだまだ達しない程度に行つおるような次第であります。これは化成肥料の珪土化成肥料についてのものであります。
  116. 河野謙三

    河野謙三君 柿手さんは農林省の御出身で農林省とよく連絡はできておると思いますが、そういう個人的な連絡じやなくて、肥料が二元行政になつて、通産、農林で両方でやつている以上は、今言う質的な問題については、何といつて農林省の改良局を中心にしての技術面から出発した意見というものが、常に私は通産省の生産行政の中に織込まれておる、それについて組織的にこの質の問題について常に農林省意見を聞いて、あなたのほうの生産行政の実施に当る、こういうことについて組織的に何かありますか。
  117. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 別に今公式な組織はありませんけれども、我々仲間はいろいろな会合で、例え燐酸協会でいろいろ燐酸の肥効問題等をやつております。そういうようなことの研究会には我々なり、我々の技師の連中が常に出席しております。特に農林、通産両省で技術者の肥料の処理その他に関する打合会というような公式なものは作つておりませんけれども……。
  118. 河野謙三

    河野謙三君 それがそういうふうな組織がないとすると、今何か化成肥料は過燐酸にして三割の限度にとどめるというようなことは、単なる農林省が通産省への申入れに過ぎないということになりますか。それに何ら通産省は拘束を受けない、理窟の上からはそういうふうになりますか。  それからもう一つは、今の三割というのは化成肥料にして絶対量で三割ですか、それとも過燐酸にして三割ですか。それは農林省から通産省に申入をされた、農林省の誰がやつたんですか、改良局でやつたのですか、改良局は三割というのはどういう根拠に基いてやつたのですか。私は時間がありませんから何もかも言つてしまいます。農家が今肥料屋に騙されて三割も四割も高い化成肥料を押付けられて買つているこの現状を何と思います。これは丁度化成肥料は我々の家庭で言えば仕出屋の料理と同じですよ、台所の女房が作つた料理は単肥です。化成肥料は仕出屋の刺身か天ぷらです。女房が朝から晩まで仕出屋の天ぷら料理を食つてつて家が持ちますか。そういうような仕出屋の高いものを買わないで、手料理で女房に働かせる、又それを働かせるようにやるのが肥料行政じやないですか。これはよく私は改良局に考えてもらいたいと思う。技術人としてそういうことでいいのですか、私は真剣にこういうことを訴える、何で三割も四割も高い化成肥料を買う理由がありますか、技術的に三割、四割高いものを買う理由がありますか。肥料の中にどんぐりを入れたり、箪笥を景品に出したり、熱海で宴会をやつたり、箱根で宴会をやつたり、こういうものが三割なんですよ。そういうものを今農家に使わしているような農民経済に余裕がないはずですよ。そういうものに関して通産省と農林省と何故もつと連絡しないか、改良局は何をしておるか、これは改良局にはつきり聞きたい。改良局に折角肥料の技術人が多くいて、こうでなければならんという結論が出て、通産省に行けば単なる申出だ、ただ聞き置く程度だというなら、改良局なんかは要らない、肥料の係なんで要らない、これは私は特に改良局に聞きたいのだ、儲かるように、儲かるように肥料を売られてたまるか。
  119. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 昨年の十二月でございまするが、この三割の通産省に対する申込をいたしましたのは、過燐酸に換算して三割ということでございます。それで三割の根拠につきましては、改良局と多分打合せ済みじやないかと私は考えておるのでありますが、その点ちよつとあとで詳しく申上げます。それで三割の根拠と申しますと、大体まあ昭和十二、三年頃でございまするが、その時分に、過燐酸に対しまして化成肥料が大体三割以上ぐらいあつたわけでございます。それでそういうふうなときよりも化成肥料が殖えるというのでは困るというふうな見地から、大体三割に抑えるということで通産省のほうへ要請をしたということでございます。
  120. 河野謙三

    河野謙三君 伺つて私は驚いた。何にも根拠がない、お姑が嫁に、おれが嫁に来たときは、嫁に来たときはと言つて、嫁に、お姑が嫁に来たときと同じことをやらして繰返しておつたら世の中に進歩がありますか、世の中の進歩というものは、お姑さんが嫁に来たときより、嫁が嫁に来たときに又変るところに進歩がある。特に今聞いていれば改良局というものがあるにかかわらず、この技術人の意向というものは殆んど聞いていない、私はこの間黒川さんに聞いた、化成肥料はどうだと言つたところが、悪くはありませんけれども、三割も四割も高く農家に売りつけるほどの価値はありません、はつきりしているのですよ、低度も高度もありませんよ。低度、低い化成でも、高い化成でもそんなことはないのです。そういうふうな技術人、はつきりと日本の農民が一番技術人については信頼しておるところの農林省の改良局の技術人の意向というものが、通産省の肥料の生産行政に何にも反映されていない。ただ単なる昔からの惰性でやつておる。こういうことで一体これはいいと思うか、私は何にも他意がないのですよ。もう少し私はまじめにこの肥料の行政をやつてもらいたいと思う。特に柿手さんに聞いてもらいたい。このために過燐酸を作るにあらずして、化成肥料を初めから作る工場に燐鉱石を割当てするのはどういうわけです。化成肥料の工場から、私のところは単肥の販売料と同じ値で、一割から一割五分で売りますという一札をとつているのですか。幾らあなたが、化成肥料を作つて、これは高度の化成だと、いい化成だと言われても、それが三割も四割も高く売られて行く事実は否定できない。これは否定できないでしよう。それがあなたは高く売らないという一札をとつていれば別だ。そういうふうな、まだ良心的な、たとえ六割でも七割でも過燐酸を作ります、そうしてあとの残りを化成肥料を作ります、そうならばまだ良心的である。初めからおれのところは、もらつた燐鉱石は全部化成肥料を作るんだ、一〇〇%化成肥料を作るんだ、今頃儲からない肥料を作るのはばかだと考えておることろは、初めから燐鉱石は全部化成肥料にして三割、四割も儲けて売るんだ、こういう商売の企らみに引つかかつて、あなたのほうは初めから化成肥料を専門に作る工場に燐鉱石を割当てしておる根拠は如何、私は聞いて置きたい。
  121. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 化成肥料を専門に作る工場に割当てているのは今私記憶がないのですが、或いはこれは極く小さい工場で、過燐酸を作らないで化成肥料を作る工場が一社くらいあつたかと思いますが、そう全般的にそういう工場はないと思いますが。
  122. 河野謙三

    河野謙三君 それではこの際私ははつきり言明してもらいたい。そういううふな化成肥料を専門に作る工場には今後燐鉱石を配給しませんか。同時に、仮に全部でなくでも、そのもらつた燐鉱石のうちの六〇%も七〇%も化成肥料にして、僅か言訳的に二〇%か、三〇%しか過燐酸肥料を作らん工場には配給しないかということ、これをはつきり聞きたい。
  123. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それは各工場ごとにどういうふうになつておるか、今ここでそらんじておりませんけれども、今まで配給しておるところの工場に、この次から割当てないということをここで言明することは、ちよつとお許しを願いたいと思います。(「それはおかしいじやないか」と呼ぶ者あり)私先ほど申上げましたように、農林省から、何でも三割以上に化成肥料がならないように、七割は少くとも単肥で配給するようなふうに生産をしてもらいたいという要望には、私は全体としての総数量についての三割、七割でありまして、各工場ごとに三割、七割というふうには……これは一割と九割のところもある。三割以上のところ、四割と六割のところもあるだろうし、その点は全体としての数量が成るべく七割が単肥でできるようにというふうに解しておるわけです。
  124. 河野謙三

    河野謙三君 これは至急農林省改良局の意見を、今日でなくていいから、聞きたいのですが、今伊勢の大神宮様のお守り札をもらつたように、あなたのほうから三割だけは化成肥料を重点的に作つていいのだ、こういうふうな指導行政でやつておられるか。或いはそれはプールで三割やるから、或る工場は三割或る工場は全部、或る工場は二割である、それは平均して三割ならいいのだこういうことでおられるのか。今日そういうことを、通産省の生産指導の御意見がいいか悪いかという御返事ができなければ、改良局として純粋の技術人の立場で、これを今後のこともありますから、御回答を願いたい。私は絶対に納得しませんよ、そういうことは……。今私はこれほど理路整然と言つたつもりだ。ほかの委員のかたにお聞きなさればわかる。而もあなたが言を左右にして、全体的から言つて三割ある場合には化成肥料を全部作る工場があるかも知れない。又今までやつておるところで、化成肥料を六割七割作つておるところがあるかも知れない、それも一般に全部が化成肥料だとは言わない。私はあなたと長い間の附き合いだけれども、少しふてぶてしいぜ。これはどうお考えになる。(「おかしい」と呼ぶ者あり)私は真剣に申上げているんですよ。個人の附き合いとは別だ。
  125. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それは、今のその生産の設備なり施設なりというものが一応自由になつておるという現状でありますので、できるだけ不合理なものはやるなという勧告はいたすのでありますけれども、それを自分の力で設備を作つてしまつたものが、この設備に対する原料の割当を申請したときには、何か制度を作らん限りには、これに対する割当をやらんとか、引上げるとかいうことは実際問題として困難なのであります。今おつしやるようなことも、これは将来このままではいけない、少し理論的に整然とやる必要があるということであれば、やはり制度を作ることが必要なんじやないか、こういうふうに考えるのであります。
  126. 河野謙三

    河野謙三君 今あなたのおつしやるいい悪いとかいうことは、それはあなたのほうの御意見できまるのではなくて、農林省の改良局の意見によつてきまるでしよう。そうでしよう。その肥料がいいとか悪いとかいうことは、これは如何に通産省が何とおつしやられても、これは農林省の改良局の純粋なる技術人の立場で意見が出て来ると思う。その意見を尊重する以外に私は何ものもないと思う。そうじやありませんか。それとも、そういうものは単なる参考として、通産省は通産省の独自の立場で、聞くには聞くけれども、それはとるとらないはおれのほうの勝手だ、こういうお考えですか。
  127. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それは使うほうの側からの御希望によつて、これはできるだけそういうふうにやらなければならんと思いますけれども、それを調整するとか、何とかということになりますと、やはりいろいろな肥料のほうの立場のほうを許されたる範囲でないと、強制的にこうしなさいとか、何とかということは困難じやないかと思います。
  128. 河野謙三

    河野謙三君 たびたび申上げますように、あなたのほうが燐鉱石の割当をやつていなければ別ですよ。通産省が燐鉱石の割当の権限を持つておるのだから。それが燐鉱石は単に民間の業者によつて輸入されて、そうしてほしい者は買うんだという状態なつちや別ですよ。燐鉱石の割当は挙げてあなたの権限によつて、あなたのほうの割当によつて行われる。これはあなたの権限にある。であるから、この権限を持たしめておる理由のものは、ねえ、悪い肥料を作らないように、又如何にして肥料を安くするかという行政を、あなたのほうで本当に責任を持つてやるために必要であるから燐鉱石の割当業務というのは残つておるんだと思う。あなたの相手は技術面においては私は改良局だと、こう思うのですが、それがあなたのおつしやるのは、自由だから、自由だからとおつしやるけれども、何もあなたに権限以上の面をやつてくれとは申しませんが、燐鉱石の割当の権限の範囲内においてできることをなぜおやりにならんかと申上げておる。
  129. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それはそうでありますけれども、過燐酸とか、化成肥料が、これは国内の配給面で融通してはいけないという、それは禁止するという取締法でもあればとにかく、これは適法に認められておる肥料でありますから、できるだげこういう肥料を作つたほうがいいということであれば、それができるだけ生産がそれに伴うようにやることはやりますけれども、そのために非常に進歩した肥料ができまして、旧式な肥料はよくないというので、直ぐ原料の配給を止めて、その企業が立つて行かんようになるということは、現在の自由の立場では、これは実際に行政面ではむつかしいということを申上げておるのです。
  130. 河野謙三

    河野謙三君 くどいようですが、私は逆に裏から聞きます。燐鉱石の割当は、何のために割当業務というのは未だに残しておるか。
  131. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それは燐鉱というのは非常に乏しい外貨を以て国内の重要な肥料を作る原料でありまするので、いやしくもその燐鉱を以ちまして無駄のないように、余り偏在もしないように適正にそれが配分されることを希望するためにやつておるわけです。
  132. 河野謙三

    河野謙三君 そうでしよう。無駄のないようにやるのでしよう。無駄のないようにやるということは、無駄をすれば高くなるのだから、無駄をしないようにやるということは安くできることなんです。それを無駄がないようにということを具体化すれば私が言つたことになると思うのです。ところがあなたのほうで無駄になるように、無駄になるようにやつておられる。そうして肥料が高くなるように高くなるようにやつておられる。私はもうこれ以上に議論したつて駄目だと思う。十分農林省とよく御相談願いたい。特に私は改良局に申上げますが、責任ある技術人としての誰にも牽制されないところの純粋なる御意見を、今日伺えなければ次回に、私は極めて早い時期に御回答頂くことを、その点だけ留保いたしまして質問を終ります。
  133. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつとお諮りいたしますが、非常に問題が大きな問題のようでありまして、両省でよく話合をして頂きまして、今までの答弁で飽くまで行くか、或いはこれを変更してやられるかどうか。両省でよく相談して、もう一遍これは一つ委員会審議をしたらどうかと思います。なお農業改良局は本日は答弁を保留いたしまして、よく相談して答弁をいたすそうでありますから、御了解願いたいと思います。なおそれで本日の御質問がありますれば……。
  134. 森田豊壽

    森田豊壽君 今のあなたの最後の結論のところで一つ。通産省の答弁を今伺つておりました。併し又只今河野委員質問は実に徹底した、私どもが本局に日頃から考えていたことを最も有効適切に質問してくれたと、こう私は考えております。この答弁を聞きますると、私どもが日頃から考えておつたことと一致したような答弁をいたしました。我々が予想した通り、想像した通り、一体通産省という所は、通産省ができた当時からのいろいろの経過をだんだん考えて行かなけばならんと思うのでありまするが、現在結論を申上げるというと、通産省は統制省という言葉を使つたほうがいいのじやないかと思うのでありまして、どうも通産省がすべてを統制しておりまして、殊に農林省との間における農業政策に対しましては、いつでも問題になつて来るところは通産省の問題になつておると私は思うのであります。この通産省は農林行政という我が国におきます最も重要なる政策を今日立てなければならんときに当りまして、農業政策の問題、即ち肥料問題といい、すべてのその他の問題といい、現在ありますこの肥料問題のごときは、殊に通産省がこの食糧増産という、又農民に好かれるような状態に持つて行かなければならんということは私が言うまでもないと思うのでありまして、よく御承知のことと思うのであります。併しながら、ここに通産省が燐鉱石を持つておりまして、まるで燐鉱石によるところの餌によつて統制をしておる。いわゆるメーカーに対してその統制をしておるという事情は、即ち価格の点において、配給の点において非常に何となく農林行政にせりを入れたようなものでありまして、そこに円滑にそれが行かないということになつておることは、これは事実だと思うのであります。この点を通産省は通産省という一つの省にこだわらず、国策全体の問題から行きまして、現在何を最も必要とするかということにつきまして、思い切つて通産省は考え直して頂かなければならないのじやないかと思う。即ち農林省と協議する場合に、両省対等の立場というのでなく、農林行政の上においてこれは必要だというならば、通産省は場合によつてはメーカーにつきましても、おれのほうの省の管轄だということは打つちやりまして、国家的な見地に立ちまして、この問題を解決して頂くようにしなければ、その心構えができていなければ、今の河野さんの質問に対しても元々心構えが、通産省というが、私で言えば統制省、現在においてあれは統制省としか思えない。統制省ではないのですが、統制省としか事実は認められないという事情から、今の質問に対しても明瞭な答えができないということに私はなると思う。その点を根本的に一つ切替えて頂きまして、農林省とよくそこを協議して頂かなければならん。運輸省の問題と、農林省のあの輸送のトラツクの問題、まあいろいろ話をするようですが、やはり農林省の立場を十分お考え下さいまして、今日農林省のほうがこの立場は最も重要だというならば、通産省はこれに対して、そのほうで協力してもらうということにして頂きたい。どうしても協議するにも、そういう頭で一つつて頂きたいということを、この際そういう頭でやられるか、やらないかということを御答弁を願いたい。
  135. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 御尤もであります。私どももそのつもりでやつておるつもりではおります。併し先般来河野さんからいろいろ御指摘になりましたような点は、現在の制度の下においてそこまでやれるかどうかというところに私疑問があるのであります。今河野さんがおつしやつたように、とにかく需要家の欲するものが流通するということになることにつきましては、これは最もいい肥料はことごとく農業の生産資料でありますから、ただ現在のような制度において、そこまではつきりとそういうことができるかどうかということに我々としては疑問があるわけです。併し若しこの現状のような制度で、それが完全にできないとすれば、行政指導だけでできないとすれば、更に法令を作らなければならんというところまで行くかもしれないと思いますが、そういうことで、気持はそういうふうなつもりでやつておりますから……。(「答弁が矛盾だらけだ」と呼ぶ者あり)
  136. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は河野委員質問したことについて、大体筋が通つて了承できると思うのですが、根本的に考え方が違つておるようでありますから、以下私から一つ、きつい言葉であるかも知れませんが申上げたいと思うのです。それはどうしてかというと、食糧増産ということは、これはもう挙げて日本が将来当面する大問題です。毎年百数十万も人口が殖えて、昭和三十七年には大体一億になろうというふうな現状において、而もこの狭い三十八万平方キロに年々二万五千町歩ずつも耕地を潰されておる現状において、食糧増産ということはもう挙げてこれは党派を超えてどうしてもやらねばならん一というような実情である。然るにもかかわらず、通産省の今の考え方は割当さえすればいいのだ。そして肥料の価値なんか高くなつつて構わない。いずれにしましても、うまく統制をとつて行けばいいのだというようなことが十分窺われるのです。そしてまだこれができない。それはできないということは、いろいろの今までの肥料会計との顔繋ぎの問題もありましよう。箱根に行つた、どこに行つたというふうな関係もありましようけれども、なかなかできないことが想像できます。併しながら農民は米の供出においては農林省においてパリテイ計算で生産原価を割つても出しておるような現状であります。ただ肥料だけは、これは原価計算で儲かるようにこしらえて農民に割当てる。これは非常に農民としては残念に思つておるのです。どうしても下から……、従つて肥料を農政の一貫性から農林省においてもらいたいというような声もある。それからもつと肥料を安くしてくれ、こういうような念願がある、それにもかかわらず、今言つたような両省に跨がつて、而も何らの打合せも行われないで、そうして安くはできないというような状況であることは甚だ遺憾に思う。で私は特に今度はこの次に御返事頂きたいのは、化成肥料の燐酸の一畝分の値、それから過燐酸石灰の一畝分の値、どういうことになつておりますか。又化成肥料窒素の一畝分の値、硫酸アンモニアの一畝分の価格はどういうふうになつておりますか、この次に御提出願いたいと思います。それを御返事願いたいと思います。
  137. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) この次で結構でありますか……。
  138. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 仰せになりました今の価格の点でございまするが、私のほうで十分今取調べてありますが、何分にも全国に跨がつておりまするので、最も正確な価格を出したいと思つておりまするので、ちよつと暇どつておるわけでございまするが、提出いたしたいと思つております。
  139. 松浦定義

    ○松浦定義君 この問題は、今聞きますと非常に重大な問題だと思いますので、私は簡単に一、二の点をお聞きしたいのでありますが、先ほど通産省と農林省との間に、ただ個人的な繋がりによつて云々ということがあつて、非常に私どもとしては遺憾だと思うのです。従つて何ら機構を持たない。そこで私は農林省一つの肥料を農家に対してこれがいいというまでには、恐らく試験場を通じて相当長い間試験をさした結果だと思うのです。従つて試験場が長い間の経験によつて、折角できた肥料が何ら通産省との間にそういう機構を持たないでできておるということについては、私は非常にこれは疑惑の念を持たれる面ができて来るのじやないか、というのは、今非常に生産者としては増産を強要されておる。従つてこの肥料の面についても自由に製造ができるけれども、末端農業協同組合というような団体を以てしては、どうしてもこうしてもできないというような意味から、或いは又業者団体がそういうようなことをやつておるときに、例えば米の増産の秘訣という中に、これこれの化成肥料を使つたことよつて、これこれの米の増産ができたということが出て来るのであります。従つてその半面に農林省或いは通産省だとか、何とか、そういうものが出て来ますと、農家というものは理由の如何を問わず、それを買おうとしておる。従つてそういう面の責任というものは当然農林省が負うべきであるにもかかわらず、通産省との間の製品の過程において、何ら繋がりを持たないでそれをやつておるというこの半面に、今いろいろ聞きますと、或いは業者との間の繋がりというものが何らかそこに出て来るというような隙を与えておる事実は、これは否定できないと思うのであります。この際やはり今までそういうことがないとしても、やはり農林省としてもそういう機構を率直に作る必要があるかどうかというようなお考え、これはただ肥料問題ばかりでなく、今問題になつております農業機械化促進法の中にもありますように、こう機械の問題についてもそういうことが言われるわけなんです。そういう大事なときに、一々そういう欠陥ばかりあるものを使つておいて、表面に出たものばかりを農民に対して見せびらかすような、そういうような政策はいかんと思います。従つて先ほど河野委員から申されましたように、仕出し屋の親方のように、例えば今国鉄で問題になつているああいうようなことが……、肥料或いは農機具の中にそういう親方がいるのではないかということも考えられるのです。従つて資料の提出を求めたいのは、現在農林省が推奨しておるその肥料が、通産省が指定した工場或いはそうした面について、どういうような、どれどれの会社に対してどれどれの量つまり出しおるかというような面と、更に又この内容関係しておりますところの、例えば重役、その重役の前歴、こういつたようなものも一つできれば参考までに出してもらうことによつて、私どもはごの肥料の問題と絡めて、先ほど申上げましたような、この農業機械化の問題等の資料にもして見たい、こういうように考えますので、そういう資料が通産省或いは又農林省として出してもらえるかどうかというようなことを一つお聞きしたい。
  140. 柿手操六

    政府委員柿手操六君) 肥料の生産について農林省との特別な、公式なそういう組織というものはありませんけれども、」肥料の生産が、どういう肥料を作つておるということにつきましては、これは無論常に連絡はしておりますし、それから法令的に言いますと、肥料取締法によりまして、農林大臣の登録を、化学肥料についてはすべて農林大臣であると記憶しておりますが、農林大臣の登録を受けなければ製造販売をしてはならないという規定がありますから、今売られております化学肥料につきましては、すべて農林大臣が登録したものに限つてつておるという状況であります。それから今のいろいろなリストの問題でありますが、できるだけ調査いたしまして、御要望に副いたいと思います。
  141. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連ですが、先ほど河野さんとの質問のやりとりのうちに、どうしても今は機構が変つているから燐鉱石を現地では割当をするが、それ以上の操作はできない、こう言い切つておられるのです。ところが農林省との言合せにおいて、化成だけは三割というものは作る。それは個々の会社には幾ら作れという統制はできないが、総体の上において窮極的に見て三割だけは確保しているのに、総体は統制しているのだと、こういう御説明のように聞いている。私の聞き方が悪いか知らんが、そういうふうに聞いているのであります。個々の割当統制ができないものならば、三割確保という統制もこれは困難ではないかと考えられる。そして三割を農林省話合を付けて三割の化成を作るということにしたら……。それを三割以内に抑えるということは統制がある。統制なしに自主的に二割作るか、三割作るかということは野放しにしておいて、それはあり得ないことだ、こういうふうに私は思うのです。どうもおかしく思う。統制は駄目だ駄目だと言つている中に、こつちは三割以内を統制して確保してやつて行くことになりまして、こう河野さんに御答弁されておられることは、どうも私には部長の言われることが更にわからない。仮にそれができるとするならば、河野さんの言う通り、この会社は幾ら、この会社は幾らというものが割当てられて、このうちこれだけ作るということは当然できるはずなんです。それがなくしてそれができるということは、こんな矛盾した話というか、道理のわからん話は私はちよつと妙に考えておるのですが、それはどういうわけなんですか。
  142. 柿手操六

    政府委員柿手操六君) 御尤もな御質問であります。私の申上げる言葉が足りなかつたのでありますが、先ほども数字を挙げて御説明いたしましたように、農林省から化成肥料として配給されるものが過燐酸として三割以上にならんように指導してもらいたい。少くともそのあとの肥料としては七割以上は流用せられたいという申入を受けておるのであります。私どももできるだけその線に沿つて業者を指導せねはいかんと常日頃考えておるわけであります。それで今年度、二十七年度の推定を見ますと、一四%程度までになつておる。まだ限界までには遠いのでありますけれども、これが農林省の御希望の線を越すと、或いは越す虞れのあるというようなときには、私ども業界に対して相当内容について、すでにこの前業界に通牒を出しまして、その趣旨をお伝えしてありますけれども、将来だんだん殖えて来て、農林省の御希望に合わないようなふうに殖えて来る傾向がありますれば行政指導をやりたい、それでも聞かない場合にどうするかという問題がありますけれども、まだその段階には至つておらないというふうに考えております。
  143. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はまだ質問したいこともありますけれども、時間も大分過ざましたから、あと質問のときまで保留します。
  144. 河野謙三

    河野謙三君 これは私は後ほど、明日か明後日御答弁して頂くのでありますが、その場合に間違いないように……。この前三割ということにしてお出しになつたのは、私の承知している範囲では、改良局の意見を聞いていないで経済局のほうの独自の意見で出しておられる、そういうものは私は意味がないと思います。併しこれは又その点もよく御調査願いたい。それといろいろ言われるけれども、これは早速柿手さん考えてもらいたいのは、今私が冒頭に言つたように、農家は過燐酸を買いたいといつても、加里肥料を買いたくても売らないんです。ところが肥料屋の隅のほうには、農協の隅のほうには化成肥料は山と積んである、加里肥料はないという、化成肥料ならあるからというから、仕方がないから化成肥料を買つて行く。これは丁度八百屋へ行つても野菜がない、肉屋へ行つても肉がない、魚屋へ行つても魚を売つていない、仕方がないから仕出屋へ電話をかけて天ぷらをとるという形に追い込まれている。これはよく考えて下さい、そういうようなことを……。私のほうが八百屋も肉屋も一切そういうものを締め出してしまつて、そうして結果的にうまく料理屋を使うように指導されているのが、これはひがみでも何でもない、通産省の現実の姿はそれなんです。これは料理屋奨励法案です。法案でなければ料理屋奨励法というものをやつている、結果的にそうなるんです。これはあなたの意思でなくても、結果がそうなら責任を持たなければならん、よく考えてもらわなければならん、同時にこの現実を改良局も考えてもらわなければならん。くどく申しますけれども、加里肥料を買いに行つてもないというが、化成肥料は山と積んである、だから仕方がないから化成肥料を買うんです。そんなことをしても化成肥料を売りたいんですか、そんなことをしてまで化成肥料を使わせたいんですか、あえて私は答弁を求めません。私の言つていることが違うかどうか調べて下さい。あなたのほうの肥料行政について良識ある肥料行政というものはおのずから結果が出ると思います。
  145. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこの問題は肥料の関係法の際に当然これは出て来る問題でありますから、両省でよく相談しまして、責任ある答弁をお願いいたしまして、本日はこれで散会いたします。    午後六時三分散会