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1953-07-24 第16回国会 参議院 農林委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)    午後二時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   委員外議員            野溝  勝君   衆議院議員            足立 篤郎君   政府委員    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農産物価格安定法案衆議院提出)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは農林委員会を開きます。  先ず農産物価格安定法案を議題といたします。昨日河野委員から本法律中について懇談機会を設けるよう申出がありましたので、暫時質疑をいたしまして適当の機会懇談に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは適当な時期に懇談に入るといたしまして、引続き質疑を願います。なお食糧庁長官は出席されておりまするが、提案者足立篤郎君は間もなく見えるそうでありまするから、差当り政府当局に御質問をお願いいたします。
  4. 河野謙三

    河野謙三君 昨日提案者自体もこの法案は極めて不備である、従つて不備箇所は順次今後の修正に待ちたい、こういうことを提案者みずから非常に謙虚な気持で言つておられましたが、この案を専門家食糧庁御覧なつた場合に、食糧庁としてこの案に対してのいろいろな希望意見なり、修正したいというようなところがおありと思いますが、それを一つありましたら、この際御意見を御発表願いたいと思います。
  5. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 昨日の提案者の御説明で、今後この制度が初めて本年度においてスタートをいたしまするので、その運営の適用におきまして、やはり当初予定いたしましたような考え方において、その後の実施状況に応じまして、多々又問題が起つて来るだろうという趣旨のことをお話なつたかと存じまするが、我々としましては、この法案実施につきましては、まあ実は今後初めて経験することでございますので、実施後の状態までどういうふうな形でなるかという点については十分な確信を持つておるわけではございませんが、まあ何とかこれの措置によつてやれるだろうということで、差当りすぐにこういうところをこうしたらいいというふうな点はまだちよつと頭に浮かんでおらないわけであります。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 悪いところへ提案者が来たものですから、率直な意見が伺えないと思いますが、この前この席で伺うと……、提案者に改めて伺いますが、昨日足立君は提案者として極めて謙虚な気持で、この法案は極めて不備である、取りあえずやらないよりはいいんだから、とにかくこれを一つ御審議願いたい、こういうふうでありましたが、今提案者としてお気付きつておる不備箇所は一体どういうところであるか、若し来たるべき国会に引続いてどこを修正し、どこを附加したいという点、お気付きの点を一つお伺いしたいと、思います。
  7. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 私が昨日率直に申上げた通り、この法案につきましては、前国会以来論議をされておりましたので、当然政府提案として提案されるもの考えておりましたところが、参議院において農林大臣が今国会には提案をいたさないという言明をされましたので、実は衆議院における農林委員会で、各派ともそれではならないということで話合を進めて参りました。察知の通客派いろいろ違つた主張もございますし、殊にイデオロギーも異にしている政党まで今回は共同提案者になつておりますので、そこでいわゆる話合妥協線が出たわけでございます。従つて見る人によつては非常に不備欠陥があるというふうに御覧になると思います。つまりイデオロギーが一貫をしてないという点につきましては、何か食い足りないというような御印象を与えるだろうと存じます。さりとて今ここで当面の事態に対して根本的な不備欠陥があるとは私は思つておりません。さような立法をしたとは、提案をしたとは私ども思つておりませんので、この程度で緊急のこの事態に対処する法案としてはやつて行けるのではないかと、かように考えておるような次第でございます。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 今日は大分開き直られたようでございますが、私はいろいろまあ問題点があると思うけれども、特に一つ私は提案者に聞きたいのは、この法案の狙つておるところは、年間を通じて価格余りフラクチユエーシヨンを起さないようにしようと、そういうことによつて商業市場に鞘をさらわれないようにしようと、こういうことですね。ところがこの法案の狙いはそれでいいのだが、今言うように若し価格の低落というものを依然としてこの法案によつて抑えることができなかつた場合に、一体この法案というのは全く無意味なものになる。どうしてそういう懸念を持つかというと、昨日申上げましたように、買取るべき数量をきめてしまつて、而も買取るべき価格もきめてしまつてその年の澱粉なり、「なたね」の需要経済状況によつて変動する需要、又生産事情、こういうものと睨み合して買取数量なり、買取価格というものをそれに応じて或る程度のアローアンスを見ることができないというこの法案は、私はこの法案そのものには決してあなたが狙つておられるような、価格年間を通じて完全なる一本化でなくても、非常な安定した価格で、一月から十二月まで終始ざせようということは、私はこれは思いもよらないことだと思うのです。その結果は却つて政府手持数量がわかつておるだけに、業者にすれば非常にこれは相場がやりいいわけです。非常に業者はいい材料を以て投機をやれるのです。こういう逆な結果になつて、この法案農民保護ではなくて、業者保護法案になる危険が多分にあると思うので、私はそこを心配するのですが、その点については如何ですか。
  9. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 昨日も河野委員から只今の御質問と同じ趣旨の御質問がありまして、私は次のようにお答えした覚えがございますが、つまり政府には予算がある、従つてあらかじめ生産者団体と打合せをいたしまして、買入数量価格等決定するわけでありますが、それでなお且つ最低価格支持ができない場合には、この法案一つの骨子になつております生産者団体金融を斡旋することによつて政府の勧告する、農林大臣の勧告する価格で、つまり政府支持価格生産者団体が買つて出ることによりまして、そうしてそれをストツクすることによつて価格の安定に大きに役立つじやないか、かように考えておりますので、只今河野委員の御説が、いわゆる需給安定というところまでお考えになつているとすれば、この法案には欠陥があると思います。つまり現在の麦の間接統制のように、品不足なつた場合には、値を崩して行くために政府が売つて出るというようなところまでは積極的には考えておりません。結果としては、そういう作用をなすであろうと思つております。なぜかならば、政府は従らに手持が殖え、それが永久に保存ができるものではございませんので、やがて損失をこうむるということは成るべく防ぎたいという意図を持つておりますから、値が著しく上つて来て、政府の買入価格以上に、而も金利、倉敷料を加算した以上に売れるとなれば、政府は当然に売つて出ますから、そこで需給が安定して価格が下るということが予想されます。むしろ心配は、余りに増産をして政府が買つて出ても、なお且つ暴落するのではないかということを憂慮されるわけでありますが、その辺は生産者団体自主的調整に、政府金融の途を付けることによつて相当幅広く調整ができるのではないかという点に私どもは大きな期待を持つておる次第でございます。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 まあ同じ問答を繰返しても仕方がありませんけれども、ただ一点伺つておきたいのは、今需給安定までも狙つておるのではないと、こういうことでありましたが、需給の調節安定を図らないで価格の安定は私はあり得ないと思う。価格の安定をこれは期しておるのだから、価格の安定を期す手段としては、需給の調節なり、需給の安定というものをやらなければ、その結果として私は価格の安定というものは出て来ないと思う。あなたが正直におつしやつたように、需給の安定はこれはできないのだと、それならば価格の安定はできないと思う。その因果関係について、どうも足立さんのような非常に明敏な人が極めて今はおかしな答弁をされたと思う。
  11. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) まあ河野委員曾つて衆議院におかれてこの道の非常に先達であり、私もその驥尾に附してむしろ教えを請うた一人であります。河野委員衆議院にいらつしやれば、農林委員会で当然この提案者代表になられたと私は想像いたしておるのでありますが、御説明通りでありまして、需給調節が完全にできなければ完全な価格の安定はできません。併し私ども考えは先ほど来申上げている通り、少くとも最低価格支持したい。従つてその最低と最高の幅を一割に置く、二割に置く、そうしてその範囲内で安定帯を設けて操作をやろうというような、徹底をした対策までは考えていないけれども農家経済を脅やかすような暴落を来たさないように最低支持をどこまでもやつて行きたいという趣旨でございます。
  12. 戸叶武

    ○戸叶武君 政府金融的な処置で特に融資で以てコントロールできると思うような考え方は、私はものの性質によつて違うと思うのです。農業生産物を、これが日本の非常に資本主義化されたところの農業生産にすべてが入つているなら別ですが、勿論これは金になるというので農民農林省の無計画な奨励におだてられて、そうしてまあ増産で苦しんでいるような結果なので、その農林省のやつた尻拭いをこういうことでやろうとしておるのですけれども、事実上やつて行けばというような運営の妙だとか、政府が買つて出るとか、売りに出るとか、相場師の使うような言葉を以てそういう経済市場というもの操作ができると思つたら大間違いです。この法案が不完備なのは、昨日私が指摘したように、一つ農業生産物に対する本当に計画をやろうとするならば、もつと議員立法なんというごまかしでなくて、政府のはつきりとした責任態勢をとつて、総合的に計画態勢に入るべきなんです。政府役人が而もこれに結託して責任議員立法各党各派一緒だ、何だと言つておりますが、少くとも社会党なんかの立場としては、かくのごときに徒らに合流しないで、批判的立場を私は持たなければならんと思つておるのであります。やはり法案というものは、どこまでも一つ責任を持たなくちやならないので、特に政府は今やつているところの政策の方向というものは、自由主義経済への徐々に復帰というようなことで言つていながら、事実上において、その党に所属している人たち中心となつて、而も官僚機構と結び、独占資本と結び付いて、そうしてこういうような法案を作り上げでいるというような傾向が顕著なものがあるのでありまして、これはこれだけの問題でなくて、一連のものがこういうふうに総合されて出て来ているのでありますが、この法案を、昨日指摘したように、我々は幾多の不完備がある、完備していない点があると思うので、その点を提案者としても十分承知していながら何とかやつてくれというような態度で出ておるようですが、河野委員言つたように、この法案欠陥がこういうところにあつて、それだからこうこういうことをして、こうしてこうだというのを率直に出してならいいのですけれども、ほう被りして、まあまあ急ぐのだから、これやつてくれというようなことでは、これが布かれたときのあと尻拭いはどうなんです。アメリカ農作物価格安定のやり方ですら、これより周到なものでも大体失敗して、そうして農作物値下りというものに抗することができなくて、アメリカが非常に苦悩しているのです。而もそれは作付面積に対する統制をやつても、なお且つそういうふうな苦難の道を歩んでいるのに、この法案を出して、この法案運営よろしきを得ずして失敗したときに、再び農産物価格安定なんというまともな法案が私はでき上らなくなる、そういう不完全な形において、間に合せ仕事でやられることよりも、農民が真に欲するものは、もつと農作物に対する総合的な計画生産に入つて、その政府なり何なりの全責任においてそういう法案を出して来るようにしなければ不まじめだと思うのでありますが、提案者はそういうことに対してどういうふうなお考えを持つておりますか。
  13. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 政府に対する御批判は 私どもも実は与党の一見でございますが、今戸叶委員のおつしやつたように、この国会にこの種の法案を出さないという農林大臣言明は誠に怪しからんという考え方から、急遽各派に呼びかけまして、大体昨日申上げたように、各派とも同じような考えを持つていらつしやいましたので、ここに歩み寄りが成功いたし、各派共同提案の形になつたわけであります。従つて今戸叶委員政府に対する御批判は、私としては同感でございます。併し根本的な計画生産というお話に至りましては、私どもとしては同意しかねる点もございまして、現在の事態に備える対策として、昨日申上げたように、正直に申上げてこれは種蒔法案である。これはやがて議員各位の手によつて状況に応じて徐々に整備をされて、将来は戸叶委員のおつしやるようなことになるかも知れん。併しそいつは将来の事態に備えての問題でございますので、私どもとしては今緊急の事態、特に今年の「なたね」の暴落を予想されておりますので こういつた問題も含めて、なお又昨年度やりました澱粉買上行政措置によりましては、農家の庭先を出る生「いも」の価格保障することができないという実績に鑑みまして、生切干を買上げる、より直接的な生切干の買上げによつて今年はその効果を発揮して行こうという趣旨でこの法案を立案し、提案をいたしたような次第でございます。
  14. 戸叶武

    ○戸叶武君 種蒔きだと言いますけれども、こういう不完全な法案を出すと、権兵衛種蒔いて烏がほじくるようなもので、実際上これは私はあと却つて癌になると思うのです。農林省なら農林省責任ある地位たありながら、この問題を、なぜ責任を持つてこういう問題を提出できなかつたか、而も熱心な自由党のかたがこの推進力になつているが、何故にその党における責任において農林大臣をしてこれを提案せしめなかつたか、農林大臣がこれを提案しなかつた農林省として提案上なかつた理由は如何なる点にあるか、農林大臣からもお聞きしたいと思いますが、提案者農林大臣が如何なる理由でこれを提案しなかつたか、そのことを御了承でございますか。
  15. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) これは農林大臣からお答え願つたほうが適当でございますが、私が自由党内においてこの案を提案するのに、了解を得るまでにさんざん苦労をいたしましたが、その内容から推察できます点は、やはり財政当局反対が主なる理由であろうと考えます。と申しますのは、昨日来皆様から御指摘がありましたように、これは政府が一方的に買上げる、而も永久に保存できるものではございませんので、相当長期の保存には堪えますが、永久には保存ができない。従つて政府損失というものがやがて大きく生じやしないか、で、これに対して財政当局の、皆様御理解の通りいつも手固く財政当局もの考えております。これに対する反対が最も大きな原因ではなかつたか、かように想像いたしておりまする
  16. 戸叶武

    ○戸叶武君 今日の読売新聞の社説でも指摘しているように、我々も同見解でありますけれども予算処置裏付のない法案というものがどれだけの価値があるかということに対しては極めて疑問だと思いますが、この点に対してはどう考えておりますか。
  17. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) それは御指摘通りであります。私どもとしても当然に予算に組んで、予算を先ず通しておいて、それから法案を準備いたすというのが尤も完璧な方法でございますが、先ほど来御説明申上げております通り、これは政府提案をするのであれば、当然に政府予算編成権がございますので、これに織込んで出さなければならないということでございますが、政府が出さないというので、私どもとしては止むを得ず議員提案の形で出したのでありまして、幸いにして食管特別会計に百億の予備費がございますので、これを充当すれば先ずこの法案内容程度なれば相当な効果が発揮できる、先ず目的が達せられる、かように考えまして、この予備費当てにして法案提案したような次第でございまする
  18. 戸叶武

    ○戸叶武君 食管特別会計予備費はほかのほうでも随分当てにしているようで、そんな不安定なもの当てにして法案が成り立つと思うですか。そうだとするならば政府自身がその矛盾に苦しまなければならないのです。今二重米価の問題を中心にして大問題になつているときに、そういうふうに架空なもの当てにして政府はこういうふうに、議員立法ではこうだというように、人の懐ろだけを当てにしてこの法律案を作るというような無責任なことはありますか。政府ならばそれを自分たち責任において処置できるでありましようが、そういうような形で議員立法が出されたときに、果してその法案というものはどうやつて運営しますか。
  19. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 食管特別会計は、私も深いことは存じませんが、或る程度弾力性はあると思います。この予備費が、お説の通りに若しも予備費で不足した場合は、これは追加予算なり何なり、法律が通つた以上は国会権威にかけても予算を組ますべきである、かように考えております。
  20. 戸叶武

    ○戸叶武君 少くとも予算審議の上において 国会権威を保つのに政府食管特別会計理由として、いろいろな追加予算やら何かをしようということに対しては、相当厳重な批判と監視がなされなくてはならないときに、そういうことをルーズにやつて行く習慣を付けて、果してこの予算案に対する発案権提出権めぐつての、少くとも予算的な処置という、裏付というものを私たちが重要にするのは、議員立法限界というものが問題でありまして、予算案に関する限りにおいては、発案権提出権というもの内閣以外にないのです。そういうことを照し合せながら議員立法限界というものをよく噛みしめなければ、我々が国会において審議権なり、修正権なり、議決権というものは強く持つておりますけれども、そういうことを十分考慮した上でこの発案者はなされておるのでありましようか。
  21. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 私は戸叶委員と別にここに議論をしようとは思いませんが、余りこの点を戸叶委員のおつしやるように固く考えますと、財政を、予算を伴う議員立法というものは殆んど不可能になつて来ると思うのでありまして、結局政府与党内閣話合の上で予算を組ませて、その上でなければ立法ができないという理窟にも逆説的にはなると思うのでありまして、私どもやはり国会権威にかけても、このよいと信じた法案については議員立法をし、提案をし、そうしてその必要な予算政府をして計上せしめるというところまで行きたいという考え提案をいたした次第でございます。
  22. 戸叶武

    ○戸叶武君 これは重大な問題です。私らは議員立法範囲を狭めようとしているのではないのです。一体その責任を誰がとるのです。予算的処置がないところの法律案というものはそれほど価値があるものではないので、政府側と十分な折衝を行なつた上においてなすなり、何なりならば別でありますが、この問題は私はやはりお互いに国会内において十分の論議を尽して、そういう問題をしなければ、議会そのものがだらしないものになつて行くと思うから御質問したわけなのであります。私はこれだけで……。
  23. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつとお諮りしますが、野溝議員から委員外発言を特に求められておりますが、時間の御都合もあることでございますから、許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では野溝議員
  25. 野溝勝

    委員外議員野溝勝君) ちよつと体を傷めておりますので、座つて質問することをお許し願いたいと思います。実は本委員会に代つて来るつもりでございましたが、今日申入れたところ、議運が開かれませんので、万止むを得なく委員外質問を許して頂いた次第でございます。私はこの提案者に対して議論せんがために理論を吐くということでなくて、提案者の、聞いておりますと、先ほどの河野さん並びに戸叶さんに対する答弁ども、非常にまあ自信のない答弁のようでございます。大体悪い法案ではないから、悪い考え方ではないから、まあこれが一つの何と言いましようか、布石になれば幸いであるというような、要するに権兵衛種蒔きという御意らしいのでございます。私はそのお気持は結構でございますし、確かに農産物価格安定法案でございますから、その名前に反対する者は恐らくないと思います。又その性格にも反対する者はないと思います。ただ問題は心配をするのは、一体この法案で果して農産物価格の安定ができるかどうか、なおこの法案が、例えばこれが可決されましても財政的に裏付もないし、更に厖大なる農産物価格保障に対して、仮にもかような法案ができたにもかかわらず、「なたね」或いは馬鈴薯或いは甘藷等値下りに対する保障をやらん場合に一体どうなるか、提案者御承知のごとく、二重米価の問題ですら、供出完遂申合せすらなかなか容易に話の一致点が見出されないような状態である。いわんやこの厖大なる農産物価格安定法案内容を見ますると、そういう点に対する不安が非常に多いのです。こういう点から私は質問を発するのでございますので、一つそういう点において、私の聞かんとするその気持においてお答えを願いたいと思い質す。  先ず第一に、この法案で見るというと、目的の中に、「米麦に次いで重要な農産物価格が正常な水準から低落することを防止し、もつて農業生産及び農家経済の安定に資することを目的とする。」、一体これで見るというと、「米麦に次いで」ということになつておりますから、主食の農産物を指すと思うのでありますが、併し表題から見るというと農産物価格安定法でございますから、農産物というのは範囲が広いのでございます。で、その提案者気持は、後段におきまして、この種類が書いてありますから想像するのでございますが、特に私は最初の中の表題からちよつとこの法案が誤解を起すと思つております。それから、一体この法案を出すに当りまして、英国でありました一九四七年農産物安定法或いはアメリカニユー・デイール政策乃至は今日アメリカにおける食糧問題は、大統領の権限にその販売並びに価格決定を最近議会において決定なつたのでございますが、これらの関係を考慮に入れて、これを立案されるに当つて取入れたのでございますか、考慮したのですか、その点を一つお聞きしたい。
  26. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 農産物価格安定法案と言いながら、内容甘藷馬鈴薯と「なたね」というだけで、まだほかに主要なる農産物がたくさんにあるのに、羊頭狗肉の策ではないかという意味の第一の御質問に対しましては、昨日来御質問も、ございまして、特に松浦委員からも大豆についてなぜ考慮しないかというきつい御質問があつたのでございます。これは衆議院農林委員会におきましても、各派話合いましたときにいろいろ問題が出ました。大豆につきましては、現状においては価格について著るしく生産費を割るというような暴落の危険がないので、その危険が生じた場合にはこれの法案に盛り込もうという含みで話合が付いたような次第でございます。それ以外にもいろいろ買上についての御希望があるようでございますが、先ほど戸叶委員も御指摘なつたように予算措置が間に合わない、現状において緊急事態に備えるために立案をいたしましたので、余り幅を拡げまして、徒らに政府の負担を増大するということでも、却つて重点がぼやけて救うべきものが救われなくなるのではないかということを考え合せまして、最も必要なものだけに限つたような次第でございますので、その間の事情は何とぞ御了承頂きたいと存じます。なおイギリス、アメリカ等の例を倣つてつたかということでございますが、私イギリスの状況はよく存じませんが、アメリカの事情は一昨年行つて見て参りまして、大体の事情はわかつておりますが、勿論あの通りの真似をしようと思つてつたわけではございません。あそこまで行きますと、やはり昨日来特に戸叶委員からも、問題になつております生産作付統制という裏付がなくしてこういう計画はできませんので、先ほども申上げました通り、この当面する憂慮すべき事態に備えて、少くとも最低価格支持いたしたいという気持で、この法案の立案に当つたような次第でございます。
  27. 野溝勝

    委員外議員野溝勝君) 提案者に申上げるのですが、日本の農産物価格を安定せんとするならば、何としても私は英国における一九四七年後における五カ年計画、この農業安定法、農産物価格安定法、この法律を十分吟味して頂かないと、農産物価格安定法などの法案をうつかり出すものではないと思います。私は先ほど言つた通り、その名もよろしいし、その考え方もよろしいと思うのです。要はこれが実施に当りまして不覚をとりまするというと、それこそ農民の信頼を落すどころか、永久に農産物等の諸法案、諸制度に対しましては農民がもう信頼をしなくなる。こういう点を恐れる。あなたも御承知のごとく、農民がもう一回信頼を落ずというと、農民の信用回復というものは容易にできるものじやないのです。これは農民運動をやつておられるかたがたなら皆さんおわかりなんですが、農民気持というのはそのくらい素朴なんです。そこで先ほど提案者河野戸叶議員質問に対してのお答えの中に、昨年度に対する澱粉の買入れ失敗の例を挙げられてこの法案がますます必要になつて来たというごとき御意見を吐かれております。昨年度の澱粉の買付け失敗はどこに原因があるかというならば、私は提案者考えておるようなことだけではこの問題は解決しないと思います。昭和二十七年度の一体澱粉に対しまして、御承知のごとく生産者はこの買付を思うようにされなかつたために非常に迷惑をかけたことは事実でございます。特に澱粉工場の作業は一カ月も遅れたし、酒精の工場は二週間も遅れたために、一貫目二十円を割つたような澱粉の値でございます。こういう点は、これはもう実際まあ農民気持としては堪えがたい。そこで農林中金にいろいろと資金と斡旋などを申入れたのでございますが、農林中金などもまあそつぽを向いていい返事をしなかつた。こういう状態なんです。特に農民はこの二十円を割つたような澱粉の値では到底採算がとれない。その当時における支出の関係ですが、検査規定料といつて一俵二円、受検組合費といつて一俵一円、そういうふうにとられておりました。これは農民といたしましては、どうしてもとられる金なんです。二十円を割つたようなところから一儀についてニ円、それから検定組合一円、三円もとられる。十五、六円になつてしまう。これで一体農民がやつて行けるかやつて行けないかということは、まあわかるわけです。そこでこういうことを裏付けるために、この農産物価格安定法を設定しなければならないというのはわかるのですが、財政裏付がなくてかようなことが一体できるか、との点についてはもう同僚が質問したから省略します。更に一体この提案をするに当つて、ただいいという思い付きから出されたとするならば甚だ迷惑なんです。一体若しこの法案をどうしても我々に納得させ、又は通過させなければならんという御意思ならば、一体これに対する納得のできる資料というものは添付してもらわなければならない。提案者の不まじめという意味じやないですよ。私はこれに対して、例えば馬鈴薯なら馬鈴薯、或いは「いも」なら「いも」、「なたね」なら「なたね」、或いは大豆なら大豆、こういうものはどのくらい一体生産をされ、現在どのくらい作付をされ、どのくらいどういうふうな値で動いておるかということ、更にはこれは食糧問題でございますが、同時にやはり飼料と肥料と関係を持つておる点にもこれは論及されなければならない。そうして参ると、結局総合食糧政策としてどういうふうに考えておるか、更には、例えば飼料の問題をどういうふうに一体考えて行かなければならんか、こういうような点について総合的な一つの指針というものが示されておらないのです。こういう点では、ただ衆議院を一応附帯決議で可決されたからいいというような気持では、参議院は、これはまあその法案に対する、特に立法府といたしましても、真剣にこの法案、制度というものを慎重に審議しなければならん一院なんで、私どもといたしましては、そう簡単にこれを了承するというわけにも行かんのでございます。そういう点について提案者は資料その他十分納得のできるような総合的食糧政策、農政等に対する見解を一つ、私は詳しく言えということは言いませんから、骨子だけでも述べてもらいたい。
  28. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 非常にむずかしい御質問で、私は学者でもございませんので、すつきりと御納得行くような答弁はとても私の力ではできませんが、たまたまこの法案の取りまとめ役をやりました関係上、ここに説明に立たされておるわけでございます。ただ御指摘の思い付きではないかという点でございますが、これはかねて御承知の通り、前国会でも政府提案として提案をされる運びになつた、そうして流産をしている構命的な法案でございます。で、それに今度は更に生産者団体自主的調整というものを加えまして、むしろ弾力性と幅を持たせて、ここにまとめ上げたような次第でございまして、これは私ども自身としても、統制撤廃後における対策として、関連を持つた対策として、かねて実は数年前から考えておつた方策でございます。従いまして決して思い付きではございません。併し先ほど来弁明をいたしております通り政府が当然出すべきだと思つておりましたのに、参議院において農林大臣がこれを提案しないということを言明いたしましたので、私ども急遽各派でまとめまして、ここに大体同じような趣旨ものをまとめて提案をいたしたような次第でございます。従いまして政府当局においてはこれに対する相当な具体的な対策も当然用意しておることと考えるのであります。なお資料その他の不備な点につきましては、これは何分今申上げたような事情で急遽まとめ上げましたので、なお又議員提案でございますので、事務局もなく、従つて不用意の点は誠に申訳ないと存じております。ただ御要求のありました資料につきましては、農林委員各位に対して、食糧庁当局の御勉強によつて資料はお配りしたはずでございます。その点はお詑び申上げます。
  29. 野溝勝

    委員外議員野溝勝君) 甚だ済みません、あと二、三点で……。まあ提案者が総合食糧政策なり、或いは農政なりに対する見解をまあむずかしい御意見たと言つて、これをまあ拒否されておるようでございますから、それ以上私からも問い質すということは差控えます。いずれ農林委員のかたがたからさような問題については真剣に論議され、いずれ結論が出されることと思いますので、それは省略いたします。ただこの際提案者の君に特に私は申上げておくのでございますが、先ほどは政府価格裏付をしなかつたから提案を拒んだと思うという見解が表明されました。又今私の質問に対しましては、昨年政府は原案を出して、それに更に肉付けをして立派なものにして出したという又表現でございます。まあこれが政府当局なら二枚舌として大しに追及するのでございますが、まあ同僚の仲間でございますから、そういうようなことは差控えます。ここで考えなければならんのは、一体この例えば「なたね」なら「なたね」、馬鈴薯なら馬鈴薯でもいいですが、「いも」、甘藷でもいいですが、それを大体どの程度一体保障して行けば農産物の低落を防止することができるのですか。これで見るというとパリテイ計算というもの中心にしてというような見解がこの提案の中に出ておりますが、一体政府ではパリテイ計算を再検討しなければならないということを今叫ばれております。特に麦の値段のきめ方などにおきましても、提案者御承知のごとくパリテイ計算に依存しておりません。必ずしも全部依存しておらん。こういう再検討の段階にあるときにですよ、政府のほうと先ほど一緒にやつて行こうというような考え方が、政府はパリテイ計算を再検討しようというときに、この提案の中にはそれを害いてある。この間の一体提案者の構想はどういう御所見でこういうものを出されておるのですか。
  30. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 厳格なる統制配給をやつております米等の場合とは違いまして、この価格の算定につきましては、或る程度弾力性考えておるわけでございます。勿論しよつ中猫の目のように変る価格では、これは何のために安定になるかという議論になつて参ります。そうではなくて、きめる場合につきましても、このパリテイ指数、或いは生産費及び需給事情というものが、三者基礎になりましてここに生れて来るわけでございますが、特に重点を置いておりまして、衆議院農林委員会各派話合いまして、話のつきました点は生産者団体が現在でも売り買いをやつております。相当この生産者団体の売り買いが自主的調整に役立つておることは今まででも相当な効果を挙げておるわけでございます。これに更に拍車をかけて、政府が資金の斡旋をすることによつて、更に幅広く政府のただ一方的な買上というだけではなくて、この生産者団体自主的調整をも協力させよう、それで両々相待つて効果を発揮しようという考えでございますので、その売り買いをやります生産者団体意見を十分尊重してきめれば、先ず間違いのない価格が出るであろうという趣旨の下に立案をいたしたような次第でございます。
  31. 野溝勝

    委員外議員野溝勝君) そこで足立さん矛盾が起つて来るのです。一体その米の価格は、これはまあ米価議会というものがあつて、大体それに対する検討なり、相当有力な案を出しておられます、その米価議会決定案ですらもなかなかその通り行われておらないのです。然るにこのパリテイ計算というものをここに打出してありますると、結局生産者が一体このパリテイ計算の実際の案を出しても政府はそれを受入れることは必ずしもしないと思うのです。そうすると、政府は一体このパリテイ計算を、政府と言いますか、作つたもの中心にして価格を打出すということになるのじやないかと私は思うのです。そういう点については、足立さん、これはそんなにあなたの考えるように簡単なものでないと私は思いますから、これは御答弁は要りませんが、そういう点を検討されんことを望みます。それから一体この日本の農産物は、特にまあここでは食糧の農産物を指しておるのでございますが、一体総合食糧政策をどういうふうに考えるかということは、これは重大な問題だと思うのです。むしろ食生活の問題として私は考えなければならん問題だと思うのです。その場合麦の関係はどうなる、豆の関係はどうなる、更にそれが家畜との関係はどうなつておる、こういうものが一応資料として示されるのでなければ、ただこれはもう必要があるから、安定法だから価格を吊上げてやる、そのうち農民はこれが安定されて最低保障されるとか、或いは低落を政府保障するのだというなら、どんどん無政府的にそれを作つて行く、その場合は一体日本の食生活なり、飼料生活なりにどういうふうに影響して来るのか、そういう点については或る程度私は計画経済的なものでなくては、かような案が効果的にならんじやないかと思うのです。それだから計画経済の線に沿つて、この農産物価格安定法というものがこれに並行的に示されるならば、私は論理的にもよくわかるのでございますが、こういう点が非常に不明朗でございます。更にもう一点お聞きしておきたいのでございますが、現在「なたね」などの問題と一番競合して来る問題はやはり大豆だと思うのです。大豆などにつきまして国内産が今のところ四十万トンある、これは大体においてもう豆腐、納豆、自家用の味噌、醤油、こういう方面に多く使われておるわけなんです。あとは輸入によつて大体三十五万トンぐらい入れておるらしい。そういうことに対して今後この大豆の輸入が相当我々の食糧となり、更に家畜との関係等の問題等もいろいろ関係しておるのでございますから、こういう点を一つ安定法を実施する場合におきまして、今のような総合計画というものを十分考えて頂かんというと、家畜にも影響して来ることにもなりますので、そういう点に対して提案者はどういうふうに一体矛盾と摩擦を起さないようにして行くつもりであるか、その一点を聞いて私はこの委員外質問を打切りたいと思います。
  32. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 今の総合計、画の問題につきましては、理論的にはお説の通りだと思います。ただ現在の状況におきまして、私ども議員提案という立場でこれを考えました場合に、今お説のような用意を十分整えて、その上でこの法案を出せというお叱りはよくわかりますが、なかなか不可能でございまして、行届きません点につきましては、先ほどお詫びを申上げた通りでございます。先ほども申上げましたように、この価格安定のための対策で一番眼目になるのは買入価格でございます。これを生産者団体意見を尊重してきめるというところに、私は考えようによつては非常な旨味があるのではないかと思うわけでございます。旨味と申上げると語弊があるかも知れませんが、まあまあ穏やかなところに落着くのではないかと、かように考えております。で、今年きめた価格と来年の価格とは必ずしも一定いたしません。生産費だけであれば殆んど他の物資のパリテイが変らない限りは生産費は余り変るものではございませんが、やはり需給事情というものがそこに加味されて来ますので、価格のきめ方一つで今おつしやつたような、つまりどんどん増産をされて、あり余つてつてしまう。アメリカでやつたように海へ捨ててなければならんというような事態考えられるわけでございますが、そこは需要供給の関係でだんだんに調整をされて来る、かように考えておりますので、価格決定につきましても、やはり需給事情というものを或る程度考慮に入れなければ、これは大変なことになるわけでございます。そこでやはり農業協同組合、生産者団体は、この自由経済の下におきましては自主的な調整ということを図るのがやはり本来の使命じやないか、やはり農民に利益になるようなものを作付けさせるような指導までやるべきじやないか、これによつて計画的に行なつて行けば今おつしやつたような心配も相当解消するのではないかというふうに私ども考えておりますので、昨日も申上げましたけれども、この法案自主的調整、それは生産者団体にやらせるのだということを盛入れましたのは、その生産者団体の育成強化、本来の使命を全うさせるという点に非常に重点を置いておるわけでございますので、この点も併せて御了承願いたいと思います。
  33. 野溝勝

    委員外議員野溝勝君) 私はこれはもう答弁は要りません。ただ提案者は、それはもう短い時間で急速にこれを立案したから、そういう調査も資料も整えておらない、済まないと、こう言いますから、私はそれは言いませんが、実は私が先ほどそれを言うたのは、一回こういう法案を出して、それで農民が嬉しいといつて飛びついた場合に、その中身が何にもなかつたというようなことになり、失望させるようなことになりますると、それこそ飛んでもないことになるのですよ。この点はもう提案者もよく御存じだと思うのです。それから、この価格決定に当りましては、特に私はこれは生産者の意見を尊重することは当然でございますが、米価におきましても、とにかく審議委員会というものを作つて、あらゆる加工業者も入れて、そうしてこういう価格審議委員というものを作つておるのです。だから特にこの価格決定に当りましては、ただ単にパリテイ計算を中心にするというようなことだけでなくて、もう少しく視野を広めて、消費者からとにかく生産者、それらの意見はやはり知識階級と言いますか、学者と言いますか、そういうようなかたがたを入れて、ここに正しい価格なら価格を形成するならば、民主的な自主的な、これこそ方法なんですよ。今まで従来やつて来たアメリカの占領政策に基いたパリテイ計算なんという、わけのわからんことをまあ中心にして考えるよりは、そういうことも検討しないと、ただこの農産物価格安定法というものを行なつても、結局は飛んでもないことになりますので、私は以上申したわけでございます。  私はこれ以上まあ質問はいたしません。時間の関係もありますし、正規の委員のかたの御迷惑になりますから、いずれ又委員の変更に基いて発言を求めることにいたします。
  34. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 ちよつと一言伺つておきたいのですが、ほかの作物は別として、澱粉はすでに一昨年並びに昨年において価格支持しようという目的農林省で買つておる。ただ省令か、政令か知りませんが、すでに買つておるはずなんです。この問題が若しここで否定されるようなことがありますと、結局今まで政府がやつておるところの、買入れておる方法が今後制約されてできないようなことになりはせんか、若し引続き価格支持をすることができないようなことになりますと、実は農民のこうむる影響というものは非常に大きいもの考える。そこで一つ、果してこういうことが若しここで否定されるようなことがあつたときには、それでも今後相変らず今までやつたような価格支持ということができるかどうか、即ち直接に農家に非常な悪い影響が来やせんか、今年の澱粉の買入等について値段が下落しても救いようがないということになりはしないか、この点を一つつて見たいと思います。
  35. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、現在お説のように、澱粉につきまして臨時的にこの制度を施行いたしております。これは政府が一定の計画の下に実施をいたしておるわけでございまするが、これは一つの恒久的な制度として実施しておるわけではございませんで、行政上の何と申しまするか、便宜的手段としてやつておるわけでございます。従いまして我々といたしましては、こういう行政的な一時的、便宜的な方法で以て行うということよりも、一つのはつきりした制度の下においてこれを行うということが行政当局としても適当であり、妥当であると考えておるわけであります。
  36. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今伺うところによると、別に法律的根拠なしにやつておられる、こういうお話なんですが、そうすると、やはり法律的根拠を与えて現在より以上に農家が困らんようにしてやることは必要じやないか、こう思いますし、今までのこの政令か何かでおやりになつたのでは、実はでき上つた澱粉だけの問題であつて農家の生産した「いも」の価格にまで制度を及ぼす、制度と言いますか、利益を及ぼすということができなくなつて行くのであつて、やはり漸進的にこういうもの一つ是非なければならない。ただ「なたね」が果してこれに当てはまるかどうかは私は別ですが、昨日も申上げましたが、澱粉については国民の食糧の備荒的意味における貯蔵が是非必要なんです。日本の食糧事情から見ても是非それはやらなければならない。そういうような問題があるとするならしば、まあ法制的基礎を与えて、そうしてせめて澱粉だけでも、これは一つそういう恩典にあずからしむるようにして、直接農家がこれらのために迷惑をこうむらんようにしておくことがお互い我々として必要じやなかろうか、こういう工合に考えるのでありますが、もう一遍その点について食糧庁のほうからお伺いしたい。
  37. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お説のように、現在政府として行なつておりますにのは澱粉の買上でございます。従いまよして、政府が買上げる場合におきましても、澱粉の価格を幾らで買上げるということはできるかと思います。併しそれの基礎になる甘藷馬鈴薯価格がどうあろうかというふうなことは、現状の制度の下においてはできないわけでございます。又御承知のように現在の制度は米と麦とについての制度になつおります。すべての管理体制なり、或いは価格決定方式というもの米麦中心として法律がきまつておるわけでございます。従いまして、それに準じて澱粉を行政的に一時的に扱つておるわけでございます。全然統制形態なり、或いはそのもの需給事情なり、その他が非常に違つでおりますものについての制度というものは、これは当然別個の制度として確立さるべきではなかろうかと思います。
  38. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 昨日も私申上げたのですが、澱粉の備蓄性ということ、日本の食糧事情からして、どうしても備蓄用の食糧が必要だ、こういうような意味から作目申上げて提案者に伺つたのでありますが、農林省はこういう日本り食糧事情に対して、何か食糧の備蓄ということについて全然考えておらんというようなことでありましようか。それから是非これはやらなければならん、備蓄ということは是非やらなけれならんというようなお考えがあるのでありますか、昨日は提案者から承わつたが、農林省当局から承わることができなかつたのでありますが、この点取林省の意見一つ聞かしてもらいたい。
  39. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 食糧の備蓄ろきましては、お話のように、いざ食糧需給が非常に困つて参ると、或いは海外との交通なり、或いは外貨その他の事情で以て海外からの入手が十分でないという場合には、勿論食糧の備蓄制度としては必要であることは申すまでもないわけでございまするが、現在どういう想定の下において、どれだけを備蓄すればいいかというふうな計画的な備蓄としては現在計画を持つておりませんが、この制度によりまして澱粉を買いまする場合に、御承知のように澱粉はその貯蔵性は非常に高いものでございます。そういう不時の場合におきまする備蓄食糧として、その場合に政府が所有いたしておりまする場合においては、十分その役に立ち得るものであるというふうに考えております。
  40. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうしますと、この法律が通れば、いわゆる備蓄的性格の食糧問題にも農林省としては働き得る、こういうことになろうと思うのでありますが、御見解は如何ですか。
  41. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この制度によりまして備蓄を目的として買上げるわけではございませんが、買上の関係におきまして、政府にストツクが生ずるという場合も予想されるわけでございまして結果といたしまして、そういう用途に役立つということは言い得ると思います。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 同じような問題だと思いますが、昨日澱粉の買上と甘藷馬鈴薯価格関係というものはどうなるかということをお伺いしましたところ、第四条で以てその調節をとる、こういうあれでありますが、そこで問題になるのは、ここまでになれば別ですが、四条のようなものができ上つたとしても、澱粉工場は、大体北海道のようにたくさん農業協同組合の工場等のあるところは別としまして、そういう工場を持たない地方で、澱粉工業者が若し買わんとしましたなら、その地方は余つて来る、こういう問題が出るが、そこに強制的に買わしむるというものがどこにも見付からないのでありますが、ありましたらお聞かせ願いたい、そうでないと、或る地区はこの法律でとにかくに緩和はできるし、或る地区は緩和のできない地区が甘藷馬鈴薯の場合には出て来やせんかと思いますが、というのは、どう調節せられることになりますか。
  43. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知の通り澱粉工場は産地に大体散在をしておりますので、今御指摘のような著しい例は余り少いと思います。併しそういつた傾向が現われて来ることはよくわかりますので、それを補足するために、特に生切干を買上げることにこの法案ではなつております。先ほどいろいろ御質問がございまして政府がなぜこれを提案しなかつたという一番の眼目は生切干の問題にあつたのでありますが、生切干は御承知のように長期保管ができない。従つて政府が買い込んだけれども、それが腐つてしまつて背負い込みになりはしないかという心配財政当局で一番強かつたのであります。併し澱粉買上の例でおわかりの通り、澱粉のように余りに間接的なものでは、生「いも」の価格を安定するとうことが不可能であることが実証されておりますので、この長期貯蔵に堪え得る澱粉と合せて、今御指摘のように澱粉工場に恵まれない地帯における「いも」の価格安定のためには、やはり生切干を買上げる対策をやらなければ、甘藷価格の安定は期し得ないという考え方から、生切干を特に入れることにいたしたのでございます。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはどうも非常な危険のあることじやないかと思いますが、果して価格を安定せしめるほど農家が生切干を作り得るでしようか、これはよほど重要な問題だと思いますが、つきましては、これはお伺いしますが、大体今生切干等が、アルコール等の場合には、あれは生切干を作つてつたと思いますが、その辺は多少お伺いしますが、どうでしようか。
  45. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 生切干等はアルコールその他の蒸溜、酒造に使用されます。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 その当時たくさんできまして、とにかく価格の安定を付けるほど生切干はできましたでしようか。
  47. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、御承知のように、例えば例を甘藷にとりますると、甘藷の用途といたしましては、一般の食用、澱粉用、アルコール用、それから酒滓その他になるわけでございまして、昨年度の需要を申上げますと、大体生産が十六億かに対しまして、食用が約八億三、四千万貫になりまするし、澱粉用が三億三千万貫くらいに使用されております。又アルコール用につきましても、御承知のように出廻りの当初におきましては、生甘藷で以て使用される場合もございますし、生切干で使用される場合もございます。そこで清澤委員の御質問のように、澱粉のみで以て「いも」の用途が限られておるわけではございませんで、一般食用になるわけでございまして、一般食用にも消化し切れないという場合におきまして、そこにおのずから澱粉工場ができ、そうしてそれが工業用途に使用されるわけでございますので、一般食用になりまするほか、更に余つてとれを工業用途に使用しなければならないという場合に、当然これが澱粉工場なり、その他が起つておりますから、大体におきまして、そういう過剰地帯におきまするものは澱粉なり、アルコールで以て処理されると考えます。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のアルコールは、「いも」の処理では赤字になる生産はしないことになつたので、従つて今までのようにアルコールのほうでは、生「いも」はそう買わんと思うのですが、アルコールだけではそういう実情が出て来ておりますとき、アルコールのほうにも買うかというので、生「いも」に全部、果して高いものを切「いも」に全部切替えてまで安定する余地が農民にあるかないかということは、私は非常に問題だと思うのです。それまで作り得ないと思うのですが、どうでしよう。それは全部下るからというので、全部切干にするということは恐らくやり得ないと思うが。
  49. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、生「いも」の消化につきましては、先ほど申上げましたように、食用になる部分が相当多いわけでございまして、そのほかにアルコール工場等につきましては、生切干等を使用されて行くわけであります。この生切干の量はおのずからお説のように農家の労力の関係、或いは従来の慣習等によつておのずからなる制約はあろうかと思いますが、そのアルコールにおきまする用途の関係数量及び食用その他澱粉用という従来の用途関係からいたしまして、大体食用に充たない不足分がそういう工場の用途に廻るわけであります。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで澱粉工場が、これは先ほども言います通り、農協等の経営する澱粉工場がある場合はいいが、そうでない澱粉工場だけの地区が非常に多かつた場合には、これは買わんことになつたら、これは全然用をなさないが。
  51. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 澱粉につきまして価格を安定いたしまして、一定の需給を、需要に応じました価格の安定ができますれば、やはりその需要に応じて澱粉が作られるだろうと思います。
  52. 上林忠次

    ○上林忠次君 生「いも」の価格を安定する一つの方法として切干「いも」、これも買うということでありますが、これは数量生産者団体話合の上で、或いは予算関係の上できめられると思いますが、果してこれがたくさんできたときに政府がこれを買つて、それを処理する見込みがありますか、その点について……。
  53. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 本年度におきましても、生切干につきましては、生産者団体において調整をいたしております。本年度におきましては大体七百万貫程度生産者団体が販売調整をして行われたのではなかろうかと思います。今後の「いも」の生産状況にもよりますけれども、従来の経験からいたしまして、それに或る程度政府が支えをいたしますれば、大部分のもの生産者団体の自主調整によつて処理し得るのではなかろうかということを過去の経験から考えております。
  54. 上林忠次

    ○上林忠次君 生切干の用途は先ほども話が出ておりますように、焼酎原料或いはアルコール原料、そういうような方面に限定されておりますが、そう幾年も持てるものではないので、余つたときには相当これは食管会計に大きな損害を来たす、赤字を出すと思いますが、それを補填する一つの策として、これは附帯決議に出ておりますように、アルコール特別会計で買上げる措置を講ずる、又アルコールのほうで輸入糖蜜を入れないように、これに代えて行くという話がありますが、こういうような決議がなされておりますが、この予算措置、アルコールにおきましても、あれは企業独立採算制をとつておりまして、高い「いも」は買いたくないというのでありますが、予算措置はどうなつておりますか、食管会計から向うへ持つて行くというようなことができておりますか。
  55. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この法律決定いたしました場合に、勿論附帯決議の趣旨によりまして、通産当局、大蔵当局とも十分今後協議をいたさなければならないのでありますが、食管特別会計からアルコール特別会計に資金を繰入れるとか、或いは又それの損失を補償するというふうな措置考えておりませんが、現実にアルコール特別会計としては、一定数量切干を原料として使用いたしておるわけであります。そういう原料の問題、同時に焼酎等その蒸溜酒の方面り消化ということによつて、今後の価格支持が季節的な変動を調整し、目的を達し得る程度にやれるのではないか、かように考えております。
  56. 上林忠次

    ○上林忠次君 まあ現在日本のアルコールは、主原料は国内産の生「いも」に仰いでおるのであります。それがために「いも」の生産者の価格安定も一部はなされておる、ところが「いも」の原料ではアルコールが高くなるのであります。できるなら糖蜜或いはほかの輸入原料でやつたほうが安い、又アルコールそのままを買つたほうが安い、現在アメリカあたりのアルコールに比べますと、日本のアルコールは倍以上の値段と思います。生「いも」でやつても倍以上の大きな価格になつておる。これが日本のアルコール原料としての化学薬品の製造、又アルコールを使つての輸出品が相当あります。セルロイドとか、或いは火薬とか、ペィント、いろいろありますが、割高に値段がなりまして、輸出も困つておる、結局高い「いも」を原料としているから高いアルコールになるのだ、この高いコストを補喧するために、私ら前からアルコールをやりましたときから経験があるのですが、糖蜜をわざわざ外貨を使つてつておるのであります。そういうようなことをやつて、アルコールの単価を下げておる、又そういうことをしながら、高い日本の「いも」の消費も考えておるというような現状でありまして、これを今度切干に代える、切干を成るべく使うということになつて来ますと、切干は大体五倍以上になると思いますが、生「いも」の一貫目当りに比べまして五倍以上の単価になると思います。そうすると、ますますアルコールが高くなるじやないか、そういうような高いアルコールを生産さして、第二次製品がますます高くなる、輸出もきかなくなると、この第二次製品の産業を萎靡させるというようなことも一つ心配になるのですが、この附帯決議にはそういうふうなアルコール方面の消費を考えて、食管の赤字を埋めようとしておる、こういうふうな食管のほうから予算の補填がない限りは、アルコール専売のほうは困るのではないか、私そういうような気がいたすのでありますが、その辺の政府立案者と大蔵省の間の関係はどういうふうになつておるか、話合はどういう工合になつておりますか。
  57. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この問題につきましては、食糧特別会計で切干を買上げるか、或いは現に専売するアルコール特別会計で買上げる方法はないかというふうな点も一応検討の対象になつたわけでございます。で、御承知のように国内の「いも」の生産という面、或いは又外貨の面等からしましても、多少コストは高くなりますけれども、或る程度現在アルコール特別会計において切干を買つておるのであります。併しお説のように一般的に価格が、アルコールのコストが如何ようになつてもよいというお考えではないわけでございます。そういう点については、この実施の面におきまして十分通産、大蔵当局とは、今後検討をして協議して参らなければならないというふうに考えております。
  58. 上林忠次

    ○上林忠次君 アルコールの肩持ちをするわけではございませんが、これは日本の「いも」の市場価格を維持するために、アルコールの生産助長ということは必要であるというところから私考えるのでありますが、現在ですらこの糖蜜を使つて一部価格の引下をやつておるという現状ですら、外国産のアルコールに比べると倍以上だという状況から比べますと、何とかそこまで予算をとつておかんと、相当アルコールの二次生産品を生産する産業では困るのではないか。
  59. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 提案者としてこれにつきまして私の腹をざつくばらんに申上げて見たいと思います。これは実は各派で持寄りました場合に、具体的に糖蜜というような問題が出て参りまして、私もその間の事情を詳しくは存じませんが、調べ上げたかたの話によりますと、相当な糖蜜を入れておる、今上林委員は専門的におやりになつたのでお詳しいようでありますが、私どもからいたしますと、日本の農産物である甘藷及びその貯蔵に堪え得るという生切干、これを放つておいて政府が作つておるアルコール専売特別会計で、外国のものを安いからという理由だけでどんどん買入れるということでは、これはちよつとむずかしいのではないか、何とかこれを政策的に総合化できないかということを考えたのです。ところがアルコール特別会計という問題もございまして、ただそういう観念論で無理やりに全面的に買わせるということも実際問題として不可能だろうと思います。そこはやはり国のためですから、全部農民のためですから、双方が歩み寄つて一つうまく行くようにしてもらいたいという趣旨でここに書いたわけでございます。歩み寄つてという意味は、場合によれば食管で買上げたものを、多少は損をしてでもアルコール特別会計に売るということもあり得ると思つております。
  60. 上林忠次

    ○上林忠次君 勿論私先ほど申しますように、何とか日本のアルコール工場を温存したい、温存して「いも」の消費工場としていつまでもこれを使いたい、安いアルコールを外貨を使つて買うという意床ではないのです。それがためには今の国産のアルコールの値段を何とか引下げなければいかんじやないか、それを現在では苦しみながら、使いたくもない糖蜜をわざわざ入れておるのです、単価を下げるために……。そういうような現状でありますから、この高い切干、澱粉から見ますと高い単価になるのです。その生切干を、食管で買つたやつを持て余して長く貯蔵できないからアルコールに廻すということになりますと、アルコールのほうでは困るのではないか、アルコール工場は国営ですから困りませんけれども、二次製品の産業は困るのではないか、又これによる輸出産業も困るのではないか、これは真剣に考えて頂きたいと思います。この附帯決議に対しては提案者も十分お考え願いたいと思います。
  61. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 昨日この農産物価格安定法案につきまして、提案者に対しまして、正常なる価格の水準とは一体如何なる価格を言うか、又どうしてこれをきめるかという問題について御質問を申上げたわけでありますが、本法案の最も大きな狙いは、昨日も申上げた通り、何と申しましても農産物の、法に指摘してありますところの、列記してありますところの農産物価格を安定せしむるにあることは言うまでもないのでありまして、それを安定せしむるには、価格数量によつてこれを決定しなければならん、又操作しなければならんということになると思うのです。数量もぼけておりまするし、又価格の点は正常なる価格の水準だと言つておりますが、こういう問題に関連いんしまして、これを如何なる価格でやるべきかということは、その当時の状況もありましようし、経済事情もありましようが、これを決定するためには少くともこの法案から行きまして何かが決定しなければなりませんが、これには農産物価格安定審議会という審議会的なものを作らなければならんという御意見河野委員からありましたが、これはまさしくやらなければならん問題だと思うのです。又この審議会を作つて、そこにおいて価格或いは数量等に対しまして適当なる審議会の意向を汲みまして、政府がここに操作することによりまして安定をせしむることが先ずできると、勿論自主的団体、生産者団体たる農協方面がこれに対して調整を加えるということはここに調つてあります通りでありますけれども、何と申しましても、生「いも」は醸造会社が購入するものであります。澱粉にする前にその原料たる生「いも」に対して、澱粉の買入価格も、いわゆる支持価格という御答弁がありましたが、支持価格決定することによつて安い生「いも」が、農家の生産物が安定する、即ち生産物の価格が安定するということになると思うのです。この点は立案者が審議会を作ることに対しまして大分内容説明がありましたが、又附帯条件と申しましようか、附帯決議と申しましようか、廻つておりますが、あれに審議会のことは一切書いてないのです。併しながら私はこの際にそういう審議会を設けなければ、この運営の全きを期することはできないのではないかという考えを持つておりますが、これに対しまする衆議院のほうの立案者としての足立さんの、一つこれに対して、今現在ですよ、衆議院における審議中の問題は別としまして、細部に亙つていろいろと御意見がありまして、それを総合して今日の場合はこれをやつて行く上に審議会が必要だとお思いになられるかどうか、又お思いになられるとすれば、こちらで決定いたしまして附帯決議といたしまして、これを決議いたしました場合には、衆議院はこれを呑む意思があるか、又あなた一人で決定はできないでありましようが、呑める見込みがあるだろうか、ここでお漏らしを願つておきたいと思います。
  62. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 昨日もこの問題につきましては相当強い御意見もございまして、衆議院における立案過程においていきさつを御説明申上げたのであります。なおざつくばらんに申上げますと、米価議会に専門委員会を作つてつたらどうかという意見があつたのでございます。食糧庁ともその問題は打合せをして見ましたが、現在の米価議会米麦中心でございまして、この農産物価格安定法に盛られておるような広汎な幅を持つた専門のかたがたは出ていらつしやらない、若しこれを米価議会にかけて決定するということにいたしますれば、油の関係者も出てもらわなければならんし、それも生産者、消費者いろいろの関係者が加わつて来る、これは実に広汎になるわけです。なかなかその運営もいろいろとむずかしい面もあるだろうというような食糧庁の見解もございまして、なお昨日も申上げましたように、この法案一つの大きな狙いが、価格を安定するために、先ず第一義的に生産者団体自主的調整をやらせようという考えでございます。現在も生産者団体が売り買いをいたすことによつて大きな自主的調整価格支持の役割を果しているわけです。従つて生産者団体は買い手と売り手と両面を持つておるわけでありますから、いわばどれくらいで買えば売れるかという線もわかつておるわけであります。その見通しなしにむやみに買うということはあり得ないのです。又数量についても見通しを持つておる、併しそれだけでは足りない、それだけでは当然取引になりますので、そこに政府の力を入れてこれを支持して行こうという考え方でございます。従つて生産者団体は生産者の立場を先ず第一に考えておるということははつきりいたしております。その生産者の立場を先ず第一に、而も売り買いのことをよくわかつておる生産者団体意見を尊重してきめれば最も妥当な線が出ないかという考え方から、今申上げたような結論になつたわけであります。衆議院農林委員会におきましては、これは将来農産物価格安定審議会というような大がかりなものを作つたらどうかという意見もございまして、そういう情勢になつた場合には、そうしようという申合せになつております。これは私個人の気持は違います。私どこまでも個人としては生産者団体意見を尊重して将来ともきめて行き、生産者団体自主的調整を行い、農民のためにその商業的活動をやつて行くということでなければならないと信じております。衆議院農林委員会におきましては、将来その必要があつた場合には、農産物価格安定の審議をするための審議会を設けようという申合せにはなつております。
  63. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 私が審議会が必要であると言うことは、あらゆる業者がこれに入つて来るという審議会を作るということを強調しておるのではありません。これははつきり申上げますというと、支持価格決定する場合、買入数量決定する場合、或いは売渡数量決定する場合には、審議会を設けて置いてやつて頂くことが最も公正妥当な輿論によつてきめたということができると思うのであります。又官吏が独善的にきめたように言われないで済むということでありまして、この意味から行きますれば、この審議会というものは、その範囲をどういう業種別のかたがたにするかということは別問題といたしまして、審議会を作らなければならんということに対しては、これは今提案者お話がありましたが、生産者団体だと、ばかに限つちやつて、強くおつしやつて、誠に結構でありまするけれども、それまでそれを強くおつしやらなくても、審議会を作ることは、この法案運営する上において最も適正妥当ではないかという問題に対して如何でございましようか、衆議院のあなたの御意見ばかりではなく、衆議院全部の御意見は如何でございましようか。
  64. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 社会党両派にはそういう意見が多かつたのであります。自由党と改進党は生産者団体意見を聞けばいいじやないかという線で話合が大体付きました。米価議会に報告するということで一応各派の納得が行つたわけであります。併し米価議会はこういつた方面の専門家は余りいらつしやらないのです。まあ承認を得るということになりますと、これは専門家を入れなければならんということから、その煩を避けるということで報告するということにとどめたのであります。ただ私が申上げたいのは、審議会にかけて決定すると、官僚統制とか、或いは生産者団体でぐるになつてきめたとかいう非難は免れないのですが、私も米価議会委員をやつておりますが、まあ各界の代表が出まして作ればそうなると思います。これはどこも漏らすということはいけないと思います。これは政治的な議論が多くなつて、本当に純粋な立場でこの価格決定するというような議論に乏しくなる嫌いが多分にあるのです。これはそうしますと、その方面に日時を費やして議論倒れになりまして、結果は誠に政治的な価格決定される、その場合生産者団体が売り買いをやるのに、その政府がきめた価格が基準になりますから、その生産者団体が本当に責任を持てるかどうかということになつて来ると思うのです。これはやはり生産者団体意見を尊重してきめるのが穏当ではないかと私は信じております。
  65. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今提案者の御意見は誠に結構だと思います。但し最も適正な、妥当な考え方ではないと私は思つております。米価議会に報告するということは、これは余分なことでありましてこの法案を通す以上は、御自由に報告なさることは結構でございますが、報告をして了解を得たと思つていたら大間違いでありまして、こんなものは報告を必ずしもしなければならんということを決定されることもどうかと思います。まあ提案者米価審議委員をしておられるので、そういうようなことをおつしやるかも知れませんが、私はそういうことを何も報告する必要はない 報告どころじやない、そういういろんな人の入つているところでやつてはいかんという御趣旨から行きますならば、これはこの法案として、いやしくも農産物は農業者ものであることは、言うまでもなくこれを買取る場合が主でありまして、売渡しの場合も勿論あるわけでありますが、その際におきましては、殊にそういつた団体の方面から余計出せばいいわけでありまして、その内容は私申上げませんが、審議会はどうしても作つておかなければまずいということは、これは言い得ると思うのです。従いまして審議会を作れという御意見に対して、政党は別といたしまして、農業関係法案といたしましては、政党政派に関係なく、この問題については、かねてあの災害補償法のごときも、こういう趣旨によりまして参議院においては決定したわけで、これも幸いに御了解を願つたわけでありますが、今度の場合はこれがいいことであるということが御納得ができるならば、これに対しては一つ、殊に提案者はそういうつもりでお話を願いたいことを希望を申上げましてあと……。
  66. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 提案者にざつくばらんに御説明をお願いしておきますが、大豆を入れて「なたね」を入れなかつたという例を一つ説明願いたいと思うのです。或いは食糧計画に及ぼす影響を顧慮して入れなかつたのか、或いはその中にどういう事情があるのか、一つざつくばらんに御説明を願いたいと思います。
  67. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと申上げますが、昨日この問題について御質問が出ておりましたが、簡単に一つ……。
  68. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 大豆につきましては、別に含まれている策略があるわけでも何でもないわけでございまして、衆議院におきましても大豆を入れたらという御意見が相当ございまして、いろいろ話合いました結果、各派とも了承を得まして、現状においては大豆政府が買上げてまで積極的に価格安定をやらなくても、価格はおおむね生産費を償う以上の線で安定をする見込があるという判定の下に除外をいたしました。但し外国産の大豆がどんどん入つて参りまして、これを圧迫するようなときが来れば、これは対象に取入れなければならない、なお又「なたね」の価格を維持するために、大豆がどんどん入つて参りますと、「なたね」の価格はその理由によつて崩される虞れがありますので、大豆につきましては対象物資として輸入を抑制いたしたいという趣旨は附帯決議に盛込んだ次第でございます。
  69. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この法案の効力を十分発揮するためには、今までの議論でも予算の面において極めて不安定だ、従つて買上数量の点においても不安定になつて来るのであります。或いはその法案の効力を現わさずに、農民を非常に失望さす結果になるかわからんというような憂いもあるということになれば、一応私は「なたね」を除外して、この法律を最も効果的に農民に反映すべくしたほうがいいのではないか、一応「なたね」を除外してやつたほうがいいのではないか、こういうふうにも考えるわけであります。なお澱粉はすでに買上をやつておるし、するので、これに甘藷及び馬鈴薯、この法案の効力を最も農民に有効適切に効果あらしめるという意味で一応「なたね」を除外して施行したらいいでしよう、こういうようにも、考えるのです。
  70. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 「なたね」の問題につきましては、衆議院農林委員会におきましても、殆んど全員が強い御主張でございまして、絶対に入れろということで、実はこの共同提案者に私ども自由党がなりますために、私は世話役をやつたのでありますが、自由党が正式に共同提案者になるという場合に、「なたね」と生切干の問題も非常に苦慮いたしたのであります。自由党の幹部としては、大蔵省の意向を反映していると思いますが、「なたね」、生切干については、この際躊躇する向きがあつたのでありますが、各派の意向が絶対的といつていいくらい強いので、これはまあ特に了承してもらいまして、ここに提案をする、衆議院は通過をする運びになつたのであります。その点は何とぞ御了承願いたいと思います。
  71. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 「なたね」を入れたので非常に食糧問題にからみ、而も食糧計画に対するそういう考慮が払われておらないというので、非常に複雑になつて来ると私は思うのであります。一応予算の面においても自信がない、数量の面においても、或いは農民に失望を与える結果になるかもわからんという、こういう状態にあるのでありまして、なお食糧計画にも、影響を及ぼすということになるので、一先ず「なたね」を除外して、これを施行するというのが最も私は妥当ではないか、こういうふうに考えるのであります。
  72. 河野謙三

    河野謙三君 先ほど森田委員からも審議会の話が出ましたが、これは昨日私一番最初に審議会の必要を力説した一人でありますが、ただちよつと私の審議会の必要なるゆえんを申上げたことがまだ徹底してないですから、私は審議会のメンバーに、何も油屋さんを入れたり、澱粉屋さん、飴屋を入れて、そうして双方の意見を聞いて、その真ん中をとつて、値をきめたらよいだろう、そういうことで申上げたのではない、その点は誤解のないように……。私は審議会の必要は、そういうメンバーは必要ではないと思う、作つても審議会の必要なのは、今食糧庁は澱粉をお買いになつているでしよう。このお買いになつている今の措置に対して、食糧庁は何を苦しんでおられるか、ほうぼうから買つてくれ、買つてくれと言われて、あそこで買つた、ここで買わない、そういう問題だけでも非常にお困りになつているでしよう、これからあなたのほうで澱粉を処分される場合に、又処分で一悶着ですよ、そういうような問題を、何も食糧庁だけが苦しむ必要がない、審議会を置いて、買入処分については審議会の意向によつて数量価格、処分方法をきめたらいい。これは今食糧庁が苦い経験をなめておられる、それから第一に審議会の必要がある。第二点は昨日からたびたび申上げますように、買入数量が余りはつきりわかると、この法の本当の効果というものは発揮できないのです。買入数量なり、価格をぼかして行くところに真の効果というものが出て来る、そういう意味合において、審議会によつて買入数量並びに価格決定すると思う、一遍仮に千百万貫ときめても、審議会が又開かれてそうして三百万貫追加するか、五百万貫追加するかわからないぞという、そこに一つのぼかしたところに初めて真のこの法の精神というものは生きて来る、こういうような意味合で、その他にいろいろありますけれども、そういう意味合から審議会の必要を力説したのであつて、これは昨日から私審議会の必要なるゆえんを力説いたしましたが、誤解があるといけませんから……。今朝実は私業界からも陳情を受けました、この中にも審議会の必要性が書いてありますけれども、そういう業界の人が言う審議会内容と私の言う内容は違うと思うのです。そういう意味合におきまして私は、食糧庁長官ですね、現在あなたのほうで澱粉をお扱いになつて、長官としてあつたほうがいいか、なかつたほうがいいかということについては、私はあつたほうがいいというお答えが出ると思いますが、これは御遠慮要りません、率直に言つて下さい。 (笑声)
  73. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 勿論我々といたしましては、各方面のバツクを得まして、そうしてこの法律運営をやつて行きたいということは念願するところでございまして、そういう制度を我々としては否定するわけではないわけでございます。ただ御承知のように審議会の設置につきましては、予算等の面もございまするし、又具体的にはいろいろ議会の運用等につきましても河野委員のおつしやつたように、一部だけで済むかどうかというふうな点もいろいろあろう思います。我々としては、事実上そういう学識、経験者としての中正な立場のかたの御意見を聞いて行くという措置は具体的にはとりたい、事実的にはとりたい、ただこれを一つの制度としますと、やはり生産者、消費者という二つの利害関係の町立になるということを非常に恐れるわけでございます。
  74. 河野謙三

    河野謙三君 それは要するに審議会はあつたほうがいいと、併し審議会の構成メンバーについては、これはいろいろな意見もあるし、大いに慎重に考慮しなければならん、こういうことだろうと思うのですが、そういうふうにまあ甚だ問いつめるようでありますけれども、そういうふうに解釈していいですか。
  75. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) まあ制度的には委員会ということになりますと、やはり従来の委員会の例もございまして、いろいろその構成その他につきましては、非常にむずかしい問題がございまするので、事実的な形で、中正な学識経験者の意見を聞くことが、こういう制度の初期におきましては却つて適正に参るのではなかろうか、ただこの本法の運用後におきまして或る程度この制度が固まつて参りました場合に、一つのそういう制度を考えるということは勿論考えなければならんと思います。
  76. 河野謙三

    河野謙三君 委員長もう一点。それから私はこれは一つよく伺いたいのだが、先ほど上林さんからアルコール工業の問題で、高い生切干でやるとアルコールのコストが上る、だから安い糖蜜を使いたい、これに対して何か非常にまだ意見が統一されないというような、政府部内において……、話がありましたが、これは私はけしからんと思う、これは農林省は毅然たる態度でやつてもらいたい、百姓は七千五百円の米を売つて、外米は一万二千何百円で買う、硫安は九百五十円の硫安を買わされて、外国へは七百円で硫安を売つているのですよ、ドイツから硫安を買えば七百円で買えるのです。買うものはわざわざ国際価格を外して高い原料を買わされている、売る米はわざわざ国際価格を外されて一石について四千円も五千円も割安で政府に供出させられる、そういう百姓の立場に立つてものをお考えなつた場合に、僅か「いも」のですよ、生切干しの僅かくらいのものを割高のものを買つてアルコール工業にこれをやつてそれに対してアルコール工業の尻は政府が持つくらいのことは当り前ですよ。それじや百姓はどうするんです。買うものは国際価格を外して高いものを買う、売るものは国際価格を外して安いものを売る、そうして今度は僅か生切干の場合に、アルコール工業は困るから、そんなものは買つてやれないと大蔵省がやかましく言う、こういうことでは農政もくそもありませんよ、私はその点について、農林省なり、提案者ははつきりしておると思うのです。これは一つそういうことに、たとえ幾分でも躊躇ているということであつたら、私は農政なんてできないと思う、この点提案者もはつきり説明してもらいたいと思います。
  77. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 私ちよつと言葉が足りなかつたかと思いますが、法案が出まして附帯決議が出たようなわけで、ございましてまだ大蔵省なり、通産省と交渉してないという趣旨で申上げたのです。
  78. 鈴木強平

    鈴木強平君 只今河野、森田議員から出ております審議会の問題ですが、私は正常なる価格という字が調つてなければ構うことはないのです。いやしくも法律案の中に正常なる価格を謳つて生産者団体だけで価格を作るなんということはあり得ない、さようなことが衆議院各派の一致した意見であつてはなお更私は不備を衝かなければならん、勿論価格というもの需要と供給がマツチしなければならんのはおわかりだろうと思うのです。又日本のような農村の弱小国家においては、強大なる農村国家と違つて、世界価格を無視したりしているようであつてはうまくないと思うのです。そういうことであつては、いつもいつも百姓を弱くしなければならん、我々の作る法律は、やがては半年後にも、一年後にも、十年後にも伸びる法律でなければならん、消費者から離れた生産品が売れますか、消費者から忌避されて、ボイコツトされたものが売れますか、「なたね」の価値がどこにあるか、消費者が認めて初めて価値があるのじやないですか、審議会を作る作らないということは、我々農林委員会で以て、参議院できめればいいことなんで、皆さんにお願いしなくてもいいことなんです。併し意見を聞いておるのです、みんなは……。或いは場合によつてはこの不備法律案ですね、農産物価格安定は実は重大です。この問題については、或いは全面的に我々は返上して、新たに農林省に徹底的に速かに作れと言うかも知れません、さような見地に立つて私は質問したいのです。一体正常な価格と謳う以上、価格の構成はどういうようにして考えられるか、生産者団体意見を聞いてきめると、その作るところの手数も省く、審議会も作る意思はない、提案者において……。さようなことでやつて行けますか、先ず食糧長官に聞きましよう。
  79. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 価格決定につきましては、法案にもございまするように、我々といたしましては或る年次を連鎖的に考えましてパリテイ方式で考えるということはもう一つの事項でございますが、同時にその年におきまする需給条件ということが、過去の経験からいたしまして、審議会の設置によりまして或る程度の見通しが付くわけでございます。そこでその審議会の設置によりまして、需給条件の変化ということを十分考えたい、又生産費の事情及び経済事情といたしましては、消費の需要等も当然入つて来ると思いますが、ただ生産者団体意見を聞くということは、生産者団体は自主調整といたしまして、やはり販売ということを目的にいたしております。単に政府に対して売るということのみを目的といたすものではございませんから、生産者団体といえども、当然需給、販売の自主的調整をいたします場合に当つては、消費事情というもの考えなければ、その数量というものは……、売り買いでございますから、その点は生産者団体が販売を調整する場合においても十分考えられるだろうということを信頼いたしておる次第であります。
  80. 鈴木強平

    鈴木強平君 そういうことであれば、正常価格でなくて増産価格なんですか、増産価格なら生産者価格できめても構わん、正常価格という字句を訂正すればいいと思う、だから正常価格を訂正する意思がありますか。
  81. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 正常価格と申しますのは、本来なれば需給条件のみによつて価格がきまるわけでございますが、その他の日本の農業の特殊性或いは農産物の特殊性、又代替関係の製品その他の原因によりまして正常価格よりも、つまり需給条件以外の要素によつて価格が下落されるという場合は現実に多々あるわけです。そういうことのないようにこれを正常な水準において維持したい、こういうことがこの法律趣旨だろうと思います。
  82. 鈴木強平

    鈴木強平君 二、三日前に出て来た農機具促進法であつても、中には審議会のようなものを作つて協議することになる、農村の一番重大な農産物価の安定を期することにおいて、一方でできるようなお考えであつては、日本の農村は非常に危険だと私は思うのです。それから昨日も言われました「なたね」が増産なつたので、大豆年間八万トンの輸入が抑えられた、それは結構だと思うのです。従つて「なたね」が増産になれば、小麦が減つているのは、昨日の皆さんのお出しになつたように、七万町歩小麦の反別が減つているが、農業のほうの関係は、「なたね」の輸入が減つたら小麦のほうの輸入はどうなつておりますか、これを一つ提案者から御説明願いたいと思います。一方的なお話では困ると思います。
  83. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) その関連における数字的な説明は私今用意がございません。併しおつしやる点はよくわかるのでありまして、「なたね」が無制限に転換をして、麦が減るということでは食糧政策の矛盾になると思います。併し今まで「なたね」が増産されて油脂資源が豊富になり、貴重な外貨を使つて大豆を多量に輸入しておりましたのは、今年において農林省の策定でも八万トンの抑制ができる、私どもの腹勘定ではもつと抑制ができると思つております。これは一面においては非常な効果でございます。併し何と言いましても、一番重要な食糧にひびが入るということではこれは相成りません、私どもとしては、やはり改良局が今「なたね」の増産対策を立て、奨励をいたしておりますが、こういつた面に統一性がないのじやないか、もつと総合性を持つて考えてもらわなければならんということを日頃考えておるのであります。従つて昨日も申上げましたが、この価格決定が非常に微妙な点になるわけでございます。需給事情を考慮してというところにそういう意味が含まれておるわけでございますが、今年非常に「なたね」が増産だと、この調子で過去二、三年の調子でどんどん「なたね」が殖えて行きますれば、これはもう国内は油脂資源であり余つて来るという結果になります。一方米は、麦は足りなくなる、輸入を増大しなければならんという結果になりますので、そこは調節が必要になつて来る、かように考えておるような次第でございます。
  84. 鈴木強平

    鈴木強平君 さように最も重大な食糧の輸入における小麦が幾ら減つたということを提案者がおわかりになつていないということはおかしいと思うのです。大豆が八万トン輸入が制限できたら、小麦はどのくらい輸入を増加しておるか、これは至急に御返事願いたいと思います。お調べ願いたいと思います。
  85. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 関連してですが、要するに国の経済の大所高所から見て、小麦の輸入は殖えたけれども大豆の輸入は減つたと、それで差引きして幾ら得か損かということで問題は解決すると思う、そういう意味合で御説明願えればいいし、若しなければ、その続きを出してもらえばいいと思います。
  86. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 小麦の輸入につきましては、人口増もございますけれども、輸入量といたしましては昨年が百五十九万トンでございます。本年は百五十七万トン、従いまして人口増加を考慮に入れますと幾分減つたとも考えられます。只今指摘の小麦の生産の作付は仰せの通りに滅つておりますけれども、収量といたしましては、反当収量は上つておりますから、全体の生産高としては毎年増産を見ております。
  87. 鈴木強平

    鈴木強平君 そういう答えはおかしいと思うのだね、反当収量が上つたから、つまり平年作、豊年作で違うのであつて、そんな特定な年度をきめてのお答えはおかしいと思う。それから食糧の重大な危機というものは、日本が外貨を食つてなくなつたときですよ。従つて大豆は輸入しなくても済むが、小麦は輸入しないわけに行かない、だから小麦の増産なら結構、小麦を増産しながら「なたね」の増産ができるのなら結構だろうと思う、そこに心配があるのです。従つて価格を、我々が言うことは、価格如何によつては小麦がなくなつて「なたね」に全部なるということも、極言すればなるのです。ですから我々の議員仲間で、価格の構成について心配だからお伺いしているのです。それについて如何にも提案者なり、食糧庁長官の答えが不親切だ、そんな考えであれば我々はこの法律案を改めて作り直せと言わなくちやならんと思うのです。だからそういうことで以て腹をきめてお答えを願いたいと思います。そんな簡単な答えじや満足できないと思います。
  88. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今の麦の問題につきましては、御承知のように作付面積は減つておりますが、これはやはり御承知のように、麦の作付の適地というものがあるわけでありまして、その作付の適地において麦を作ることによりまして結局反収も上ります上、同時にそれは国際価格との対抗上のコストが下る、こういう筋合になるのではなかろうかということで、反当収量が上つておる、こういうことを申上げたわけでございます。それで価格の点につきましては、大体我々としては需給条件の正常な形できまるべきものが、他の要素によつて非常に低落するということを阻止するということがこの趣旨だと思いますので、需給条件というものを無視するという考え方はないわけでございます。
  89. 鈴木強平

    鈴木強平君 昨年あたりの小麦と「なたね」の一反歩当りの生産過程において、「なたね」を作ればどうなるか、小麦を作ればどのように損になるか、「なたね」の比較の上においてどうなつておりますか。
  90. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと関連して……。これは提案者ね、足立さん、この問題は要するに国家的に見た利害、それから農家から見た「なたね」と麦の経済効果の問題、そこで「なたね」の場合は単に「なたね」、小麦だけではなくて、「なたね」の場合は非常に跡作がいいことは御存じの通りです。そういう問題まで全部くるめて国家的に見た場合の麦と「なたね」の場合、農家経済から見た場合の麦と「なたね」の場合、これをやはり出してもらえば割切れる問題だと思うのです。これは私是非説明してもらいたい。
  91. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) どうですか、すぐさま御答弁が若しできませんければ、資料として出してもらつたらどうですか。
  92. 河野謙三

    河野謙三君 それで結構でございます。
  93. 鈴木強平

    鈴木強平君 さような意味において、提案者なり食糧庁のほうで、我々の考え一つも入れないような答弁ばかりなさつているのはおかしいと思うから、皆さんのほうがもつと大きな考えでやらないとうまくない、農林委員会衆議院だけじやない、参議院にも農林委員会があるんです。従つてさような考え方で御答弁願いたいと思います。
  94. 上林忠次

    ○上林忠次君 ちよつと附加えまして、関連して、今の河野さんの御意見の補足でありますが、反収で、麦を作るのと「なたね」を作るのとどういう工合な所得の差になつているかということ、それから一反歩の「なたね」に相当する油を輸入した場合と、又小麦を輸入した場合と、これはどうせ自給できないような油の状態又食糧の状態でありますから、どつちか輸入しなければならんが、どつちが得なのか、安いほうを輸入して、高いほうは成るべく自給自足をやつて行こうという方向に我々進まなくちやいかんのじやないか、食糧も勿論これは自給自足を目標とするのでありますけれども、この狭い地域で何でもして、有効にこの土地を使うという点から考えると、安いものを輸入する、そういうような観点から「なたね」を今の値段でやつて行くのがいいのか、又小麦を殖やしたのがいいのか、そういう点も先ほど河野さんの御質問に関連して承わりたいと思います。又お知らせ願いたいと思います。
  95. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 今の点も併せて資料として……。
  96. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今の点は、食糧の面においては澱粉質の食糧の場合と、蛋白質の食糧の場合と、脂肪質の食糧の場合と、食糧の用途と申しますか、成分が違いますので、単純に澱粉質と脂肪質、蛋白質を比較することは困難じやないかと思います。
  97. 上林忠次

    ○上林忠次君 困難ですけれども、両方とも足らんじやないかと、足らんならいずれも脂肪質として、澱粉質としてどつちも輸入しなければならん、安いほうを輸入して高いほうを自給して行く、一反歩をうまく使うにはどつちが金目になるかという点ですね、日本の土地を有効に使うのにどつちがいいかという点。
  98. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 只今鈴木委員からお叱りを頂いたわけでありますが、私の答弁がぶつきら棒で御不満があつたとすればお詫びをいたします。ただ私は提案者代表として二十四名のうちの一人としてここべ出て来ておるわけでございまして、昨日来くどく申上げております通り、労農党までいろいろ主議政策も違う政党が一致をいたしましてここまで調和点を見付けましたので、私自由党だけの提案であれば或る程度お引受けもできるわけです。各党派の意見調整することが如何に困難かということは御想像頂けると思います。さような立場にございますので、私の答弁が無責任であるとか、或いは独善的であるとかいう御印象を与えたとすれば御了解を頂きたいと存じます。
  99. 上林忠次

    ○上林忠次君 ちよつと一言申上げ上いのですが、先ほどの問題に帰りますが、今のアルコール特別会計に……、切干甘藷身をアルコール原料に使うという点につきまして、使うほうの意向をまだ聞いておらんというような点で、まだコンクリートになつておらんやつを附帯決議として提案者のほうで出されておりますが、もう少し決議されるからには、関連の各部局に対して連絡を願つたほうがいいのではないか、いやしくも衆議院の附帯決議でありますから、もう少し慎重にやつたほうがいいのではないかと考えます。
  100. 戸叶武

    ○戸叶武君 今予算委員会に行つて甚だ失礼いたしました。私は先ほどからお聞きしたいと思いましたのは、提案者説明の中に、この法律案の中には正常な価格ということが謳われているのですが、価格決定に対して最低価格をきめるためにというようなお話があつたので非常に驚いたのですが、それほど価格決定の問題というのは極めてむずかしい問題でありまして、農民が「なたね」が下つて被害をこうむることを食い止めたいという趣旨から出されたことはわかりますけれども、この価格決定に対して生産者だけの意見を聞いて価格決定をするということは困難であるということは、幾多の人から指摘されておるのでありまして、昨日以来生産者団体、消費者、加工業者、学識経験者、国会議員等によつて総合的な御批判を受けながらこれは決定しなければならんとまで言われておりましたが、この問題に対して正常価格だけではなくて、最低価格決定しようとしているのか、その点をもつと明瞭にしてもらいたい。もう一つは、政府はこの案に対しては具体的対策を用意しておるというお話があつたのです。政府はこの予算裏付がないので、この法案は出せないということで以て今度出さなかつた、併し今度は議員立法であるならば、政府はこれに呼応して、これに対して具体的対策を用意しておると言うなら、何か農林省の別働隊的な感じになりまして農林省のお役人の人が非常に熱心な点から見ても、これはやはり農林省のほうが非常に推進力となつて議員のほうに働きかけて作り上げたということになりますと、一体農林省自身というものが、農林大臣責任においてやるのか、農林大臣でやつてはまずいというときには、議員立法という形に呼びかけて、これを農林官僚はでつち上げようとするのか、これは今後の参考にもなるので、非常に微妙な点でありますからこれは立案者と農林当局からお聞きしたいと思います。この二点をお尋ねします。
  101. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 正常価格という問題につきましては、長官からもたびたび御答弁がありました通り、時期によつて農産物価格は非常に変動いたしますので、それを年間需給状態で割出せば或る正常なる価格が見出し得るものを、時期的に非常に数量が余計出廻るというような必然性を持つておりますので波動をいたす、この波動を防ごうという意味は、正常価格という意味の大きな内容をなしておるわけでございます。同時に又それは生産費を償い、需給事情からして消化もし得るという価格でなければならないというのは、観念的でございますが、私ども考えでございます。そこで生産者団体意見を聞くだけではけしからんじやないか、生産者団体と申しますが、農業協同組合が主体でございますが、農業協同組合は勿論農民が組合員であり、文字通り生産者団体でございますが、併し農業協同組合或いはその連合会が農民からものを買上げます場合は、やはり売れる見通し、消費の見通しなしには買いません、先ほど丁度戸叶委員はお留守だつたが、長官から詳しくその点の御説明がありまして、私も全くその点同感でございまして、両面を見ておる生産者の立場も考慮をいたし、消費の面も見ておる生産者団体意見を尊重してきめれば、先ず先ず間違いのない、無理のない線が出やしないかということで、こういう提案をいたした次第でございます。なお先ほど私の言葉の中に、具体的な用意が、準備が食糧庁にあるということを、そういうふうにはつきり申上げたかどうか記憶いたしておりませんが、私の申上げたのは、資料その他につきまして、私のほうでは残念ながら不十分で、ございまして、その点はお詫びを申上げたのでありますが、これは前国会にも流産になりました法案でありまして、この「なたね」、生切干の問題は問題になつておりましたけれども、一応構想としては、政府においてすでに考えられた構想でございますので、これに関する一応の資料その他についての用意は政府にあるだろうという意味で申上げたのでございまして、政府において全く準備ができておる、そうして私どもが手先に使われてこの法案を上程したというような意味では断じてございません。昨日来くどく申上げているように、農林大臣が参議院において提案しないと言うから、私どもは以てのほかだと思いまして、かくは寄り寄り協議いたしまして、この案を立案いたしたような次第でございます。
  102. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 食糧庁で具体的な対策を確保しているという御趣旨か、意味がちよつと私は了解できませんが、若しこういうことでしたら、予算の面でどういう措置が出ておるか、こういう御質問かと存じますので申上げますが、現在二十八年度予算におきましては、澱粉の買上数量が予定されまして千百万貫のうち七百四、五十万の買入を行なつております。なおこの法律が施行されました場合に、二十九年度の予算考えられまする分は別といたしまして、現在食糧特別会計におきましては、数量の変化等によりまして、食糧証券の発行によりまして買入費を増加し得るという余地があるわけでございまするので、現在の二十八年度における予算におきましても、或る程度予算措置、この執行ができ得るであろうということを申上げたわけであります。
  103. 松浦定義

    松浦定義君 今価格の問題なんか非常に重要な問題と思う。なお今後検討しなければならんと思うのですが、私はその価格決定する時期ですね。この第五条の第二項の三で見ますると、「毎年、政令で定める期日までに定めて公表しなければならない。」、こうなつておるのですが、その期日というものは大体いつ頃を予定されておるのですか。
  104. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、この期日につきましては、大体出廻り期前と考えております。従いまして、「なたね」につきましては、五月乃至六月ということになりまするが、本年度におきましては、これは遅れるだろうと思います。澱粉につきましては、甘藷馬鈴薯の出廻りの問題がございますが、その出廻り前ということになろうかと思いますので、原料基準価格につきましては、やはり九月頃の出廻り前に価格を公表しなければならんと考えております。
  105. 松浦定義

    松浦定義君 大体そのほうが政府としては価格決定するのには都合がいいと思うのですが、末端の生産者はこういうふうに短くしたものが買上げられるという基準の中におきましては、恐らく現状では例えば農業協同組合がやる場合にはこれはいろいろな面からこれは農手等の対象になつておりまして、できるだけそういうものが対象になつておるので、協同組合に出荷するということになりますが、そうでなくて例えば業者がこれらに対して進出しようという場合には、相当前に生産者に対して契約するのが現在常道になつておるわけでする従つてその場合に私は相当早くそれを決定する場合においては、生産者は決定される額と同額のようなものの比率によつてきめられないような事態が起る、その場合に私はでき得ればもつと早くそういう価格決定する、或いは又そういう場合があつても何らかの形においてあと調整ができるというならいいと思うのですけれども、恐らく生産者自身が、そうした業者に売つたものを、あとからこうしてくれ、どうしてくれというようなことは恐らくできないと思うのです。これは重大な問題なのですから、こういう問題については政府は相当考えてもらわなければならん。私は今ただ直感的に考えたことなんですから、今後十分研究させてもらいたいと思いますが、これは従来あるわけですから、この問題を一つ十分御検討願つて、今後そういうことがないような、若しあつても何とかそれが調整できるように、いろいろの面から本当に生産者のための価格を、澱粉はそういう考え方から考えますと、加工業者のあれであるということから、いろいろ御批判があるが、そういう結果にならないように一つ御善処願いたいと思います。
  106. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御指摘のように十分その点は注意いたしたいと思いますが、この制度が実施されまず初年度におきましては、そういう御懸念もあろうかと思いますが、この制度が毎年恒常的に徹底されて、行きますると、大体明年におきましては、本年度の価格というもの一つの目安にもなりますし、長期間になりますと、大体そういう心配はだんだんと解消して行くのではなかろうか、又施行の初年度におきましては、お説のような御心配はあろうかと思いますが、その点は十分慎重にやりたいと思います。
  107. 戸叶武

    ○戸叶武君 この「なたね」の問題に対しては、今年は間に合わないわけですか、五月、六月ということですから……。
  108. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 法案決定になり、施行になりますると、「なたね」の出廻り期は御承知の通りに大体七月頃からでございますから、本年度もまだ天候等の関係で出廻りが遅れておりましたので、本年度においても実施し得るたろうと考えます。
  109. 戸叶武

    ○戸叶武君 これは恐らく本年度においては、農民のためというけれども、「なたね」はすでに生産者から離れて商売人のほうに買われ、そして商人が結局この法案を利用してうまい汁を収めるというような結果に陥る危険性というものは私はこの法案に多分にあると思いますが、そういう危惧はありませんか。
  110. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、本案におきましては、生産者及び生産者団体から買入れることにいたしまして、中間の商業者から買入れるということは考えておりません。
  111. 戸叶武

    ○戸叶武君 その生産者団体というのは、先ほどから農協を指さしておるようですが、農協を価格決定の際に生産者団体というだけでなく、もつと幅の広いものに解釈しておるようでありますが、而も買入れてこれを持つておるものが農協であり、値段をきめるものも農協であるというような結果になつた場合に、これが正しい形において価格決定の当事者たり得るのですか、それをお聞きします。
  112. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この買入の制度は御承知のように農産物を対象といたしておりますから、生産者又は生産者が構成して生産者に委託する場合の団体から買上げるということは、これは当然ではなかろうかと思いますが、只今価格の点につきましては、勿論政府といたしましては十分に全体的な需給の事情、消費の事情ということも考えなければならないわけでございますが、生産者団体が自主調整を行います場合におきましては、その自主調整は当然販売を前提とした自主調整で、当然政府に対して取継ぎの売却をする、こういう趣旨ではないと存ぜられますので、生産者団体におきましても、十分に消費の事情も考えるということの面におきまして販売調整が行われるだろうと考えております。
  113. 戸叶武

    ○戸叶武君 もうくどく言う必要はないと思いますが、その価格決定の問題、それから販売組織の問題、そういう点を危惧して、私は読売新聞の肩を持つわけではありませんが、最近において一流新聞が社説に取上げて、農産物価格安定法案欠陥というようなことを指摘したような前例は非常に少いと思う。如何に議員立法とは言いながら、かくのごとく一流新聞から極めて未成熟な欠陥だらけの法案であるということを指摘せられ、而も我々がそれは欠陥がないというのを納得できないでこの法案を成立せしむるということは、なかなか困難ではないか思いますが、それでもなお且つあえてこの法案を成立せしめなければならんという根拠はどういうところにありますか。
  114. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 昨日来たびたび申上げております通り、この提案議員提案の形で出しました理由は申上げた通りでございまして、政府提案しないというので、このまま放置いたしますと、昨年の例にも見られます通り、たとえ澱粉を買上げるというような制度だけでは、これはとても緩衝地帯の農業経営を安定することはできない。なお又「なたね」につきましても、これは農林省の奨励方策もありまして非常に増産ができた。一方においては大豆を抑制するという効果はありますが、「なたね」を作つた農家自身が自分の手で自分の首を締めるようなことになりまして、非常に苦しい立場になつておるわけであります。この現状を一日も早く救つて農業経営を安定しなければならないという趣旨から、急遽立案をし、提案をいたしたような次第でございまして、御指摘通り不備な点はあらうかと思います。私も本日読売新聞を見ましたけれども、あまりに抽象的で、読売新聞の趣旨はわかりますけれども、私ども納得の行かない点もあるような次第でございます。勿論今後この法律が施行されました暁におきましては、更に完全なものにするように、是非とも皆さん方の御協力を頂きたいと存じますが、何分差迫つた時期にございますので、何とぞ御了承を頂いて通過成立をせしめて頂きますようお願いをいたす次第でございます。
  115. 白井勇

    ○白井勇君 この法案で取上げられております農産物は、これは保管をして年数が経ちますならば経ちますだけ、骨董品と同じような工合に時代がついて値が上つて行くものなのかどうかという点なんですが、と申しますことは、例えば生産地団体からお買上になります場合も、例えば金利、保管料というようなものを相当おかなければならん。私たちの今まで知つておる範囲では、「なたね」に例をとれば、今年の「なたね」よりも去年のものがいいということは考えられません。これは三年、四年と年を経れば経るほどいいという考えはないのであります。澱粉におきましても、ほかのものに比較しますれば貯蔵性があるということは考えられますけれども、五、六年も十年も二十年も経つたものがいいということは言えないのじやないかと思います。もう一つそれに関連して、例えば七条におきまして、売却します場合に買入基準価格を下げることはできないという制限を受けております。そうしますというと、年ごとに価格が上つて行きまずものならいいわけですが、そういうことで縛られますと、もう操作上は却つて損するような結果になりはしないか、しようがないから、結局七条の三ですか、「管理上の必要により売り払うとき。」というようなことで、特定の商人にそれを売つて行くというよう宏ことで操作せざるを得ないような格好になるのじやなかろうかというようなことを考えるのですが、むしろ非常にこれは、この法案そのものをとつて見ますと、第七条の三のようなことたけを考えて、特定のものだけに払下げて利益を与えて行くということも考えておるのか、こういう気もするのですが、その辺はどうなんですか。
  116. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) これは長官から具体的にお答え願つたほうがいいかも知れませんが、私ども考えました点だけを申上げたいと思いますが、さつき上林委員から御指摘がありましたアルコール専売特別会計に売渡す場合のごときが一つの例でございまして大体生切干が三カ月間しか保存がきかない。それ以上経ちますと、かびが生えたりなどいろいろいたしますが、かびが生えましてもアルコール醸造用としては使えますので、これは値引きをしてでも使つてもらうというような方法が考えられます。なお又お話が出ましたが、人造米の問題は私ども非常に大きな期待を持つておるのであります。何分工場施設があまりありませてんので、現在では日産十五トンぐらいしかできないという状態でございますが、これはだんだん奨励されて来る。それがために奨励策の一つとして或る程度値引きをして引合うような価格で払下げるということも考えられるのでございます。こういつた積極的な面にこの規定を適用して行きたいというような意思で立案をいたしたような次第でございます。
  117. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 価格の点につきまして、第七条の場合におきまして「買入基準価格及び時価」は、その年におきまする価格を意味しておりましてそのものを買入れたときの時価又は原料価格という意味ではございません。従いまして翌年度におきまする需給条件に政府のほうの手持数量も当然入ると思いますので、そう累増するということを考えておりませんが、場合によりますると、市況如何によりまして赤字が出る、或いは又逆に市価の騰貴によりまして政府が利益を得るという面面が考えられると思いますが、只今提案者からも御説明のように、澱粉等の場合におきましては、新規用途開拓ということが相当なウエートを占めて来るかと思います。従いまして第三号の場合は極く例外的の場合のように考えております。
  118. 河野謙三

    河野謙三君 質問あと一、二で終るなら我々は我慢しますけれども、まだ質問もたくさん残つておると思います。それから又懇談もいたさなければいけません。そういう関係で本日はこの程度にして頂いて、明日は我々に一週間に一度ぐらいは調査の日を与えて頂いて、月曜日に再開する、こういうことに一つ委員長においてお諮りを願いたいと思います。
  119. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  120. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。当初は本日懇談会を開くという予定でありましたが、大分質疑で時間も費しましたので、懇談会を本日やることも延期いたしたいと思います。なお従前にお諮りいたしました日程では明日も委員会を開くことになつておりましたが、各種の法案につきまして研究を願うという御意見が強いようでありますから、明日の予定は取止めにいたしまして、月曜日午後一時から開会いたします。時間の御励行を特に切望いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会