運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-23 第16回国会 参議院 農林委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十三日(木曜日)    午後二時四分開会   委員の異動 七月二十二日委員小林亦治君辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口為之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木 強平君            鈴木  一君   衆議院議員            足立 篤郎君   政府委員    食糧庁長官   前谷 重夫君    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農産物価格安定法案衆議院提出
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。  先ず農産物価格安定法案を議題といたします。本法案については昨日提案者から提案理由を聞いたので直ちに質疑に入りたいと思います。なおこの法案は昨日衆議院を通過いたしまして当委員会に本付託となつておりますことを申上げておきます。なお発議者を代表して衆議院議員足立篤郎君が見えております。その他食糧庁からは今出席を督促いたしております。
  3. 白井勇

    白井勇君 昨日本案につきましては提案者から提案理由の御説明を願つたわけでありまするが、その御説明によりまするというと、申上げるまでもなしに、戦時中或いは終戦主要農産物につきまして、一切合切統制を強化して参つたわけであります。その後順次これは統制を撤廃すべきであるということで、農産物につきましても統制解除という方向に向い、先ず「いも類」から始まりまして、雑穀に及び、麦も一応直接統制というようなことが廃止になつて今日に至つたわけであります。ところが昨日の提案理由にありまする通りに、最近生産も増強せられまして、これらの農産物と申しまするものは完全な自由市場に入つて来た、ところがその実体を見まするというと、価格の不安定がありましたり、いろいろ農家生産意欲を減退するような結果になり、やほりこの農業生産物、特に食糧関係に密接な関係のありまするような、主要な農産物につきましては、やはり今後何らかの意味合におきまして、一つ統制を加えて行かなくちやならん。こういうような観点に立つてこの法案というものは提案されたように私は思うのでありまするが、私の聞き違いでありましようか。先ずその点を御質問申上げたいと思います。
  4. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 只今の御質問でございますが、方向としては只今質問のような方向であると思つておりますが、ただ若干私から、私どもこれを提案いたしました立場から私どもの気持を御了承願つておきたいと思いますことは、過剰生産になり、物が余つて価格が下つて来る。これを安定するため対策には違いありませんが、その場合に直ちに統制を復活をして作付統制までここでやるというようなことを考えて、その段階としてこの法案を作つたものではないのでありまして、自由経済下におけるこういつた農産物価格安定対策としてこの法案を立案いたし、その方法としてこの法案内容に盛られております通り、先ず第一次的には生産者団体である農業団体がみずから自主的な調整を行う。これに対して政府資金斡旋等の所要の援助を与えてこの自主的調整が円滑にできるように持つて行こう。又私どもの認識ではそういう共同販売とか、自主的な調整とかいうような仕事こそ、弱き農民商業資本から守るため農業協同組合等生産者団体がみずから任務としてやらなければならない仕事であると考えているわけでございます。併し自主的調整だけに放任をいたしておきますと、これは何か過剰生産になつて来た場合のことを考えますと、農業団体が大きな赤字を背負い、その組合員たる農民が延いて損失をこうむるというような事態が起つては困りますので、これを政府買上げる等の処置を講じまして、その事務の尻を拭うと言いますか、これを支えて行こうという政策がこの法案骨子をなしているわけでございまして、実は前国会から、この法案は随分論議されたのでありますが、当時はこの農業団体に自主的な調整をやらせるという構想は盛られておりません。ただ単純に政府が余つたものを買上げ価格を安定するという政策法案骨子になつておりましたが、今回いろいろと論議いたしました結果、今申上げたように生産者団体に第一次的に自主的調整をやらせようというところが、今度のこの法案の新らしい味噌とも申すべき内容になつております。さような考え方で今後の自由経済下における農産物過剰生産なり、価格が不安定になるというような場合に対する対策の基本的な施策としてこの法案を押し進めて行きたい、かように考えているような次第であります。
  5. 白井勇

    白井勇君 政府におきましては、一万におきまして食糧増産五カ年計画なり十ヵ年計画というものを立てているわけであります。この法案考えられておりまするような農産物につきましても、それらと関連をいたしまして、将来どの程度数量を確保しなければならんものであるか。或いは又それとかけ離れまして、現在の日本農業経営上はどうしてもこの程度のものは生産量としまして検討されなければならんだろうというような一応の目安があろうと思いますが、この法案に盛られましたような処置をとりまする上におきましては、財政的のいろいろ、な問題もからんで来る。昨日私提案者のほうにお願いいたしました資料三つを御要求いたしておきましたが、私はその資料の御提出を拝見をいたしまして、その後いろいろお尋ねを申上げたい、こう思います。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 提案者に先ず伺いたいのですが、この提案理由によりますと、農産物出廻期に一時に農産物市場に殺到して、そのために年間を通じての価格暴落がひどい、これは農産物特殊性であります。この時期的の価格暴落調整するためにこの法案は出したのだ、こういうことでありますが、若しそうであるならば、金融措置若しくは倉庫その他加工に対する私は政府の政治資金なり、これに対する保護、助成ということでこの目的は達成できるのではないかと思いますが、その点如何でしようか。
  7. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 河野君の言われるように、金融措置その他で或る程度これはカバーできるものと私どもは思つております。従いまして只今白井委員の御質問に答えて私申上げた通り農業団体に、生産者団体自主的調整をやらせる。これがため政府金融をつけて、その万全を期して行きたいというこの法案骨子であるということを申上げたのでありますが、ただ、只今河野君の申されました農産物特殊性として、時期的に、季節的に波動を来たすということはその通りでありますが、もう少し私どもは長い目で、例えば今年は「なたね」の価格は非常によかつたが、それがため農家がこれに殺到をして作付転換をしたために来年になつて暴落するというような事態考えられるわけであります。これは需給状態がさうなるのでありますから、当然に暴落すべきものではありますが、それでは農家経済は安定できない。下るにしても、少くとも生産費或いは再生産を妨げない程度にして置かないと、これは日本農業に大きな打撃を与えることになりますので、そこで政府が買つて出る。或いは農業団体に買わせて、資金斡旋をして保ち、耐えさせて、そうして同時に農業団体は来々年になれば或る程度の自主的な調整申合せ等もやつて、この過剰生産を防ぐとか、いろいろな方法によつて安定した価格に持つて行くというようなロング・ランの長期計画が立つと、かように考えているような次第であります。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 手許に頂きましたこの提案理由によりますと、あつさりと価格調整だけをやるように書いてあるのであります。私はそうであるならば、今申上げたような金融措置その他これに類する措置農業団体にやらせれば十分目的を達するのじやないか、こう思うのでありますが、それ以外にこの法案狙いの中に「いも」なり、「なたね」の生産農家生産費を補償してやる。こういうふうな趣旨考えておられないのですか。同時に「いも」なり、「なたね」の国の経済の高所から見て、例えば「さつまいも」の場合ならば、十三億とか、十五億万貫とかというものを生産を下らないようにしたいというようなことも、この法案趣旨の中には入つていないのですか、それを伺いたいのですが。
  9. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) まあ非常にその点は微妙な問題になつて来るわけでありますが、まあはつきり申上げると、この法案は現在政府が麦について行なつております間接統制需給調節、ここまでは考えておりません。先ほど来お話もありました通り一季節的に、或いは年によつて農産物暴落をするという場合に生産費を償えず、又再生産を行うことができないという事態になつては困りますので、これに対して少くとも最低価格を保障するような、安定するような対策をここで実現いたしたい。これが延いて需給調節に間接的になることは申上げるまでもありませんが、つまり価格について一定の幅を設けて、それ以上になつた場合は政府が売つて出て値を崩す、それ以下に下つた場合には政府買上げて調節するというような間接統制の点までは、実はこの法案では考えていないわけでありまして、少くとも最低価格を支持する価格支持制度であるというふうに考えて私どもはこの法案を立案いたしたような次第であります。なお説明の足らない点もあると思いますが、食糧庁のほうからも補足的に御説明願いたいと思います。
  10. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この考え方といたしまして、目的の第一条にもございまするように、これらの農産物につきまして、まあ正常な価格水準を維持したいと、こういう考え方でいるわけでございまするが、この正常な価格水準という問題でございますが、普通の場合におきますると、理論的には需要供給関係によりまして価格がきまるということが当然でございまするが、先ほども提案者の側から御説明ございましたように、日本農業におきまする特殊性、つまり零細性と申しますか、そういう点とか、或いは農産物の特性上の出廻期に集中するとかというふうな問題、或いは又需要の変化に応じまして生産がそれに即応して行くということが、日本農業関係におきましては非常にアメリカの場合と違いまして困難があるというふうな点、更に又こういう生産物につきましては、代替品関係による価格の影響を受けるというふうな、それ自体需給関係による価格の変動以外に、他の要素によつて相当変動する場合が予想されるわけであります。そういう場合におきまして、純粋に理論的な需給関係によりまする以外の要素によりまして価格が低落する。又現にこれらのものにつきましては、その虞れが非常に強いわけでございまするが、そういう場合におきまして、農業生産の、農家経済の安定、こういう面からいたしまして、これを維持したい、かように考えているわけでございます。ただこの結果といたしまして、現在の生産が安定して参るという効果がございまするし、又ここに掲げておりまする農産物は、只今河野委員お話のように、農家現金収入としても米麦に次ぐものでございまするし、又日本国民経済的に見ましても、現品食糧としましては「いも」は米麦に次ぐ重要なものでございまするし、又「なたね」は油脂資源としても重要なものである、そういうものであることは申上げるまでもないわけであります。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 私はまあ今足立君が言われた最低価格というやつね。これを実は私はあなたどういうふうな意味最低価格考えておられるか知らんけれども最低価格というものは農家生産費を補償するというのが最低価格、こういうふうに受取つていいのですか。
  12. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 勿論生産費が非常に大きな要素であります。同時にまあ需給事情パリテイ指数等も勘案してきめるということになつて行く。なお又買上価格を決定するのは米価審議会等に諮つたらどうかという意見が実は衆議院でも相当あつたわけであります。いろいろ論議をいたしましたが、先ほど私が申上げたように、この法案一つ骨子になつているやり方としては、生産者団体に自主的に調整をさせようというのが大きな狙いでありますから、生産者団体意見農林大臣が尊重してきめるというふうにいたしまして、まあ各派の了承を得て共同提案なつたわけであります。まあそういつた点を一つお汲み願つて、結局生産者団体が持出して来る価格というものを農林大臣が尊重するわけでありますから、生産費を償わない価格では、これはもう農業団体でそういう価格をきめて持つて来るはずがないのでありますから、まあ今河野君のおつしやつたように生産費を償うということは大前提であろうと考えております。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、その生産費であるとか、パリティ計算であるとか、経済事情を勘案するとかといつたことは、これはなかなかむずかしい話なんです。私は別な角度から伺いますが、いわゆるおなたの言う、提案者の言う最低価格というものは現在の「さつまいも」の作付を減らないようにする価格、こういうふうな意味にとつてもよろしうございますか。
  14. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 現在まあ「さつまいも」を作つている地帯というのは、半ば宿命的な地帯があるのです。それから戦争中から例えば茶の木とか、桑の木を無理矢理に転換させられて、現在では一応「さつまいも」を作る以外に方法がないという地帯があるわけであります。こういつた地帯農家経営を維持し、救済して行くということは政府の責任であるとさえ私ども考えている。かような観点から、この法案によつて直ちに大増産を図るようなことは期待できないと思いますが、少くとも現在の生産を維持して、安心して農家農業生産にいそしめるという程度のものにいたしたいという趣旨で、実はこの法案を立案いたしたのであります。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、要するに作付は少くとも現在よりは減らないように、この法案によつてつて行きたいということは、結局生産費が償えなければ作付はどうせ減らすのだから、結局この生産費を償うということがこの価格の基準になると、あなたの言う最低価格というふうに解釈していいわけですか。
  16. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) さように考えております。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 そこでももう一つ伺いたいのですが、今米価審議会の話が出ましたが、私はこの運用上、米価審議会とは言わず、この安定法運用ため生産者消費者、若しくは学識経験者、更に議会人を入れた審議会を置くべきだと思いますが、その理由は、現在例えば政府澱粉買上をやつております。予算上一千百万貫ときまつております。政府買上げるのが一千百万貫で、而も値段は百八十五万円と、こういうふうに公表をされている以上は、これによつて買われたところの政府倉庫に入つている澱粉というものは、市場からこれは分離して考えるわけに行かない。どうせこれがわかつている以上は常に市場を圧迫をしております。それで一応の買上措置をとるということがきまつてつても、その買上数量なり、価格というものは、その都度幅を持たせて審議会意見を聞きつつ数量価格はきめて行くと、こういうふうにしたい、私は市場からこれを切り離して行くというわけには行かないと、こう思うのですが、その点について何かお考えになつておりますか。
  18. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、法律が通りました場合の運用考え方についての御意見と思いますが御承知のように、この種の農産物につきましては、いろいろ生産事情もございまするし、又その製品価格の点がございまするし、又それとの競合関係製品価格の問題もございますが、その価格の決定に当つては慎重にいたさなければならんことは勿論でございますが、それで米麦の場合と違いまして、そういうふうないろいろな技術的な面におきましての困難性もあろうかと思いまするので、運用につきましては、只今河野委員お話のように専門家意見を十分聞くという機会を持つことは必要であろうということは考えるわけであります。ただ制度といたしまして、それをやるよりも、むしろ運用の面におきまして、事実上そういう形において技術的な問題を解決して参るということが望ましいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 私が今審議会を置いたらどうかというお尋ねをしたのは、現在の澱粉買上のように、初めから予算上千百万貫ということがきめられて、それ以上は処置ができないということであるならば市場価格の操作はできません。いわゆる圧力が加わつて参りません。そういうような意味合から、私はそういう審議会でも置いて、それによつて数量についての多少の幅は置いたほうがいいのじやないか、こういうようなことであつたのですが、これは十分篤と御研究頂きたいと思います。この機会に、「なたね」が最近非常に増産されましたが、国内の「なたね」の増産によつて海外油料資源輸入というものはどのくらい制限しておりますか、それを伺いたい。
  20. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、従来で考えておりました計画よりも、「なたね」の増産によりまして約八万トソ程度海外よりの輸入を滅し得るというふうに考えているわけでございますが、御承知のように九州地方における災害等事情もございまして、未だに正確な本年度におきまする最終的の「なたね」の生産については明確でございませんので、多少それによりまして変更はあろうかと思いまするけれども、大体今申上げたような考え方でいるわけでございます。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 油料原料と申しましても、たくさん数がございますから、一つ考えることは無理かも知れませんけれども国際貸借上、今後更に「なたね」を増産して、今お話のように現在輸入しております油料原料を減すという策をとつたことのほうが得でありますか。その「なたね」の増産についての国際貸借上からの限度というものはありますか、それを伺いたいと思います。
  22. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 「なたね」の増産国際貸借上の貿易の外貨の面との関係でございまするが、まあ御承知のように油脂資源としての問題と、これと同時に蛋白資源としての問題と、問題は二つに分れるかと存ぜられるのでありまして、御承知のように我が国油料事情としましては、水産におきましても漁業区域の問題がございまするし、又河野委員もよく御承知のように、我が国畜産業としては今後大いに進展をしなければならんわけでございまするけれども、まだこれには基礎条件が整わないという点もございまするので、蛋白資源としては我が国としてやはり不足するととはあり得ると、又現に不足していると考えているわけであります。油脂資源といたしましては、「なたね」の増産によりまして油脂輸入をだんだんに減少して参るということは国際貸借外貨の節約という意味におきまして、国際上、外貨上は有利になろうかと思われるのでございまするが、まあこの法案自体といたしましては、直接にそれによつて増産を刺激する、或いは増産のバツク・グラウンドになるということはあり得ると思いますが、法案自体として直接の目的といたすと、直接の狙いとするというわけではないわけでございます。勿論増産につきましては、いろいろの面で他の施策によりまして、特に国際的な関係考えますると、反当数量の増加、これによるコストの低下ということによつて増産が図られて行くということが望ましいわけでございます。
  23. 河野謙三

    河野謙三君 もう一点だけ伺いますが、この措置をとるに当つて澱粉価格と一番関連の深い砂糖輸入政策について何か基本的なものをお持合せになつておりますか。
  24. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 砂糖価格澱粉価格との問題でございまするが、終戦直後のような、砂糖が二十万トンとか、非常に少い場合におきましては砂糖価格澱粉価格、特に澱粉から製造されまする水飴との価格との関係が非常に密接であつたわけであります。併し現在の状態におきまして、国民嗜好相当程度砂糖に依存しているというふうな点からいたしまして、或る程度国民生活の、国民嗜好或いは消費実体からいたしまして、相当消費があるということはこれは認めなければならない事実でございまするので、その点等考えまして砂糖輸入計画を以て参る、ただ澱粉等事情もございまするので、単に消費者ためということで以て砂糖輸入量を多くすれば、勿論砂糖価格が下りますので、価格を下げるという意味において輸入量を多くしてダブつかすという考え方はないわけでございまして、現在の国民嗜好からいたしまして、必要最小限度を入れて参りたいというふうに考えているわけでございます。
  25. 河野謙三

    河野謙三君 今砂糖について、まあ量的には余計入れて砂糖を下げようというようなことは考えていない、これはわかりましたが、別な面で、砂糖消費税が三五%になつておりますね。まあこれを更に、ちよつと無茶かも知れませんが、澱粉との関連においてもう少しこの税率を上げて行かなくちやいかんじやないか、こういうふうなお考えはないですか。
  26. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 砂糖の問題につきましては、関税消費税と二通りあるわけでございまするが、関税につきましては、砂糖におきまして三五%の精製糖についてはかかつております。それから粗糖につきましては、たしか二〇%と承知いたしておりまするが、そのほかに国内につきまして約二十円程度消費税がかかつているわけでございます。更に今回におきましても、これを多少高めるというふうなことが、現在たしか本国会においても審議されているというふうに考えております。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと関連ですが、今の砂糖輸入の場合、よく新聞で見ますが、バーターでやるのですな。この前などは国内相当砂糖が余つているという声のある中に、住友が持つているやつで非常に大量のバーターが行われて、安いものが入つて来るというようなことが行われておりますが、ああいうときには農林省との関係においてどういうふうになつているのですか。ただ通産省だけの考えでああいうものを許したり、許さんだりして国内消費量の問題を注意しているのか。農林省との打合せによつて、こういうものとの関連においてああいうことが行われるのか。最近でもやはり新聞から見ますと、何か鉱産物等もほうぼうのバーターの中に砂糖というものが入つていると思いますが、ああいう場合に農林省とどういう関係を持ちますか。
  28. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、バーターの問題につきましては、我々も全体の輸入、現在の外貨予算におきましては、半年ごとに外貨の総枠をきめております。バーターを行いまする場合には、その総枠の範囲内で行うことになつているわけでございまして、勿論農林省としてもこれの相談に与つております。従いましてバーターを行いまする場合には、安く入るキューバ糖部分を落しまして、キューバ糖よりもバーターをやる部分が一〇%なり、或いは七、八%なり、第三国を通過することによつて価格は高くなるわけでございまするが、日本輸出との関係におきまして、そういうような措置をとつているようなわけでありまして、バーターのほうが安いということではなくして、むしろ安いものを落して日本輸出の面からいたしまして高いものを買つておると、こういう形になると思います。
  29. 森田豊壽

    森田豊壽君 この法案につきまして一通り読みまするというと、この問題は重要農産物のここに掲げてありまする澱粉或いは生切干或いは「なたね」の買入ということになるわけでありますが、こういう重要なる農産物我が国国民経済の上に及ぼす影響が非常に重大である。而してこれは最も国民経済自立の上の必要なる資源であるということを前提とし、国民ため農民に対してこういうものを作つてもらいたい、而して作つてもらつたけれども農業所得として、農民の所得が確立しなければならんということから行きまして、この法案提出ざれたのでなくてはならん。ただ農家の所得だけがうまく行けばいいのだという考え方でなく、国民全般の経済自立の上におきまして、いわゆる生活資源としてこれは必要だということでなくてはならんと私は思うのです。無論そういう意味もあつてこしらえたこととは思いまするけれども、その点が先ず第一番に、何となくこれを読んでおりまするというと、「いも」や「なたね」を作つている者だけの所得が安定するようにするため措置のように農産物価格安定法考えるのですが、そういう点を一つはつきりやはり謳う必要があるのではなかろうかと私は思うのですが、提案者はそういう点から考えてやつたのでありましようか、どうでありましようか、これを先ず第一番にお聞きしたい。
  30. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 森田委員の御質問のお気持はよくわかるのでございます。ただ御承知通り今アメリカでやつております価格支持制度の裏付になつておりますのは、作付統制がその裏付となつております。従つて政府作付を承認をした範囲のものはどこまでも政府が尻をぬぐつて農家に損害をかけないという政策がアメリカの価格支持制度の基本になつております。従つてこの法案を立案します場合に、政府内部におきましてもいろいろ反対論もあつたわけでございまして、特に財政を引受ける大蔵当局からは、そういつた議論も出ましたし、私ども自由党の政務調査会におきましても、やはりそういう意見が出たわけでございます。勿論作付まで計画化いたしまして、国家的な必要に基いて作付をした農家に損失を与えないように政府がこれを見て行くというところまで行けば、まあ計画経済に近くなつて行くわけでございまするが、私どもといたしましては、実はこの法案については考えておりません。そうして最初申上げたように、農業団体の、生産者団体の自主的な調整という点に最も重点を置きまして、若しも今年作付過剰で価格暴落するという場合には、この法案によつてこれが成立すれば或る程度防げるわけでありますが、やはり農家にしては相当な犠牲をこうむるという結果になります。そこで農業団体がだんだんと農業団体仕事が軌道に乗つて来れば、こういつた点が相当程度自主的な調整によつて計画化されて来るのではないか。それで政府作付統制にまで立入つてやるということは、現状においては私どもとしてはどうかという考え方からそこまで立入つておりませんので、今御指摘の通り誠に煮え切らないというようなお考えを持たれるかたもあろうかと存じますが、今ここに挙げております品目につきまして、現状の社会事情の下におきましては、私どもそこまで立入らなくても、一応の生産の維持或いは農家経済の安定ということが期待できるのではないか、かように考えて立案をいたしたような次第であります。
  31. 森田豊壽

    森田豊壽君 ここに掲げました価格安定法の品目に対しまして、まあこのものは今まで通り、乃至は今まで以上に生産を維持してもらいたいということが国家的に見れば一番主な問題であります。値段を安くすれば、自然に価格によりまして作物は増産もすれば、減産もするのであります。価格がものを作るのでありまして、ただ口で言つたところで作物はできるものではありません。価格によつて作物も増産される場合もあれば、減産されることもあることは今更申すまでもないのであります。ここで一番この問題の重点は、ここに書いてありまする正常なる価格水準というものは如何なるものでありましようか。先ほど河野委員から最低価格ということを言つたのですが、正常なる価格水準と言いますか、これが私にはどうしてもよくわからないのです。ここに謳つてあります正常なる価格水準というものは一体如何なるものを言うのか。一体こういう正常な価格というものを明示されることが一年に一度しかできないところのこの農産物に対しましては、ここが狙いであると私は思うのであります。ここのところがはつきりしなければ不安で作れないということにもなると思うのです。やむを得ず作らなければならんことになるからには、中には他のものに転作したほうがいいというものが出て来るのであります。従つてこの農産物に対しましては、煙草の問題もありまするし、いろいろの問題もありますからら、そういう方面も勘案いたしまして、ただこの価格は、これとしたらば引合うかということだけでは維持ができません。従いまして他の作物よりも安くないのが正常なる価格水準であるかどうか。ただ引合えばいいのだという考え方ではこの維持はできません。ここの点を一つはつきりと提案者説明を願いたいと思います。
  32. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 正常なる価格水準という言葉は誠に抽象的でございまして、森田委員御指摘の通りでございますが、ここに正常なる価格水準という言葉を使いました私ども立案者の気持を率直に申上げますと、先ほど河野委員からも御指摘がありました通り、例えば「なたね」にいたしましてを、特に「いも」類のごときは保管に堪えませんので、収穫された時期にはどつと出廻つて非常に下落する虞れがある。併しそれがやがて品不足になれば価格が戻つて参りまして、逆に端境期に来れば非常に暴騰をするというようなことを毎年繰返しているわけでございまして、その場合に今申上げたようにとれ秋に暴落するというようなことを阻止して、とれ秋におきましても正常なる価格水準におきたい、一年間を通じて成るべく価格の波動を防ぎたいという意味で、ここに正常なる価格水準という言葉を入れたのでございまして、なおこの法案が実施されましてから、運用の掌に当る食糧庁におかれてお考えがあれば、食糧庁のほうから補足的に御説明願いたいと思います。
  33. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今提案者からお話がございましたように考えているわけでございますが、御承知通り結局正常な水準というものは、現在におきましては、我々考えておりまするのは、まあ一定の需給条件の下におきまして、そうして短期的な価格変動の要因とか、或いは代替物の価格変動の要因とか、他の条件からする価格変動がございまするので、必ずしも価格というものが本来の需要供給の条件によつてきまるのではない、而も日本農業なり、農家特殊性からして、その点が極端に現われるわけでございますので、そういう意味におきまして、理論的に純粋の一定の需給条件の下においてきまるべき価格ということが一つの支持をする基準になるのではなかろうかと考えるわけでございますが、具体的にそれではどういうふうにして考えるかということを現在考えておりまする考え方に基きまして御説明を申上げますると、支持価格と申上げましても、一定の年次を固定いたしまして、そうしてその固定した価格水準におきましてこれを支持して参るという方法もあるわけでございまするが、日本農業形体或いは日本経済の現状におきましては、こういう固定した時期におきまして一定の一時期をつかまえまして、そこに価格水準を安定するということは、長期を考えますると、現実に需給条件によつて定まるべき価格との間に相当の開きが起り得るということも予想されますので、基準につきましては、連鎖方式によりましてその基準を漸次動かして参ることが妥当ではなかろうかというふうに考えております。それは同時に、最近年次におきまする需給条件に即応いたしましたそのときの時価というもりが反映されると、そういう利便もあるわけであります。そういう連鎖方式によりましてパリティ価格を算定いたしまして、更にその年におきまする需給条件の変化を織込みます。その場合には戦争前におきまする需要弾性値と申しまして、需要条件が変ればどれだけ価格が変動するかということを、戦前の状態に基きまして算出いたしました需要弾性値をとりまして、これを以ちましてパリティを修正いたしますという建前をとりまして、更に生産費状態なり、或いは製品価格状態なり、その他の事情を参酌して参りたいと、かように考えております。
  34. 森田豊壽

    森田豊壽君 今のお話が私には、甚だ失礼ながら提案者説明も、食糧庁長官説明でも私にははつきり呑み込めません。いやしくも重要農産物一つとして数えられるものである以上は、又国内の自給自足体制、即ち自立体制を整える以上は、少くともここに列挙してある農産物が最も必要なものであることは申上げるまでもありません。従いまして、これに対しましては正常なる価格水準というものは、これはやはり米価や麦価と同じように、米麦価と同じように、あらかじめこれを明示することが必要ではないか。なぜならば、第二の調整をする場合、自主的に調整するかという場合におきましても、何か標準がなければ自主的調整はできないはずであります。従いまして私は年に一度の生産物でありまするこの「いも」や「なたね」の問題につきましては、これは正常なる価格水準はあらかじめ確定はしなくても、最低と申しましようか、先ほどお話のありましたような、それ以上のものであるということによりまして、自主的販売調整もできることでもありまするし、又保管に対しても考え方農家としてもあるわけであります。従いまして、これはやはりただ漠とした今までのいろいろの関係を勘案して、まるで米価のパリテイのように考えましてやるのではなくて、無論お話のようにその近くの、生産をするあらかじめ前に、今年の「いも」は、今年の「いも」から出た澱粉はこれこれである、「なたね」はこれこれであるということにあらかじめ支持することがこの安定法狙いをはつきりするものであろうと思う。その点がここに何ら書いてないことは私としては非常に不徹底ではないかと考えるのでありまするが、この点に対する御回答を願いたいことと、その次に、この買入方法でありますが、生産者団体意見を聞き、需給事情、時価の状況を勘案して価格保持のため買上を必要とする数量を定めると、この数量を、一体この数量が誠に前の句は言葉としては適当な言葉のように思いまするけれども、こういう言葉は幾ら並べても、その数量の範囲というものは誠にはつきりしないのであります。而して生産者団体又は、生産者の申込に応じて国が買上げることにしているというようなことを書いてありまして、又その手前には生産者団体の自主的販売調整に大いに期待する。何が何だかしまいにわけがわからなくなつて数量もいい加減に買つておいて、しまいには大いに生産者団体の自主的販売調整に、而も大いに期待するということが書いてあります。これらは一体どういうところにあるのだか、読んでいるとしまいにはわからなくなつてしまうのですが、これらを一つはつきりしておいて下さい。
  35. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 森田委員の御指摘の二点でありますが、価格の問題につきましては、食糧庁長官から御説明願うことにいたします。今の後段の数量の問題について、立案者としてお答え申上げます。御指摘の通り買上数量は無制限であることが一番望ましいことは私ども考えているのであります。つまり無制限に政府買上げ限度はあらかじめ明示しておけば、これはもうそれ以下に価格が下るという心配は絶対ないと言つてもいいと思うのです。ところがそれが限りがあると、それ以上に出廻つて来た場合には価格暴落するという虞れがありますから、皆が日よりみになつてしまうということから、却つて余計政府が買わなければならない。無制限ということをはつきりしておけば、却つて買わずに済む限度があるために、却つて一ぱいまで買わなければならんというような現象がまま起るということは、こういう制度の下においては考えられるのであります。従いまして無制限になることが一番望ましいのでありますが、先ほども申上げましたように、この法案の根本の考え方というものが作付統制までやり、どこまでも政府需給調整をやつて統制に代る制度として、強い制度としてやつて行こう、こういう趣旨法案ではないのでありまして、価格安定対策というのがこの法案目的でございます。なお又政府には予算もあることでございます。これを直ちに理想的に無制限ということまで言いまして、なかなか困難な点があるということで、いろいろ考えました結果、この自主的調整に大きな役割を持つている生産者団体、つまり農業協同組合連合会といつたものに諮りまして、今年の生産状態需給状態であればどのくらいまで政府が買えば価格が安定するかという具体的な相談をするわけであります。その農業団体の意思を尊重して政府買上数量をきめ、価格もきめるということで行くのでありまして、たお又具体的な例を申上げると、例えば澱粉を一千万貫買う予算しかない。併しあと二百万貫買えば完全に価格が安定すると思われるけれども予算で縛られてあとが買えないため価格暴落するというようなことがあつてはなりません。そこでこの自主的調査の分でこれを補い得る。つまり予算で縛られた場合には政府資金斡旋をして、農業団体と話合の上で農業団体にあと二百万貫買つてもらう。そうして一年年を越せばこれが安定するというような方法もここにつくわけでありまして、非常に農業団体との協力と言いますか、弾力性が出て来る、かように考えているような次第であります。なお価格の問題につきましては、食糧庁長官から御説明願います。
  36. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今森田委員価格の問題でございまするが、御承知のように、アメリカにおきましても支持価格制度をとつておりまするが、この支持価格生産が確定いたしましてから発表いたしているような形でございまして、この制度におきましても、例えば政府買入価格を発表いたしまするのは、大体「なたね」につきましては五月を考えております。それから「いも」につきましては大体九月頃、八月か、九月の時期を考えまして、出廻る時期以前に政府買入価格を発表をいたしたい、かように考えているわけであります。なお只今数量の点につきましてお話がございましたので附加して申上げまするが、数量考え方といたしましては、只今提案者お話のような考え方であるわけでありますが、これを具体的にどういう数量をきめるかということでございまするが、これにつきましては、まあ理論的に申しますると、普通の個々の長期間におきまする実績からいたしまして、正常に定まるべき価格と、それから実際の時価との間には非常に差があるわけでございます。従いましてその時価と正常価格との偏差を考えまして、その偏差を時価まで引上げる、時価をその正常価格まで引上げる。その偏差によりまして、その偏差と、それから価格数量関係を示しまする俗に需給弾性値というものから一応は推定されるわけでありまするが、これは一応の理論数字でございまするので、只今お話がございましたように、昨年度におきまする生産者自主的調整の実績、或いは又今年度におきまする生産者団体の見込というふうなものを勘案いたしまして、この調整数量をきめたい、かように考えているわけであります。それで例を申上げますると、昨年度におきましては、只今お話がございましたように、予算といたしましては、澱粉につきましては千百万貫予算を組んでおりましたが、自主的な調整といたしましては約千六百万貫の自主調整が行われている、こういうような実情でございます。
  37. 森田豊壽

    森田豊壽君 私が言うまでもなく、澱粉買上げることは、生「いも買上げることである。生「いも」で買上げられないから澱粉にして貯蔵ができるようにして買うということであります。これは値段を或る程度まで支持価格でありますか、によりまして醸造原料として生「いも」がはける上におきまして、醸造原料が安く買われないということになるわけでありますから、その点を考えてやることが一番重点だと私は思うのです。そういう意味におきまして、まあ支持価格とおつしやつたけれども、そういうものをやはりやることによりまして、一度に先ほどのお話のように生産するものでありますから、腐らしてはならないので、支持価格によりまして、いわゆる正常なる価格水準をきめることによりまして、これが正常に行くと私は非常にうまく行くと思うのです。それで申上げているわけであります。それでこの点を一つ御考慮願いたいことを申上げまして質問を終ります。
  38. 松浦定義

    ○松浦定義君 議事進行について……。まあこの問題は非常に各委員のいろいろの意見を聞きたい。而も早く上げたいというのが又提案者の意向でもあると思いますので、できるだけ今日なら今日のうちに或る程度の発言を求めようとする人には時間の範囲内で発言されるように、発言されるかたも或る程度次の日に残すような面はお残しになつて一つ発言をされるようにお願いしたいと思います。
  39. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは細かく言いますれば、あらかじめ御質問の予定をとつて、時間を切つて質問をするのが望ましいと思いますが、従来の農林委員会においては、少くともそういうことをした例もございませんので、大体皆さん方の適当な判断で、一人で独占されんで逐次お回しされることを要望いたします。
  40. 戸叶武

    戸叶武君 参議院の農林委員会が自主的に審議しているのですから、自主的審議が済むまでは余り干渉がましい発言は慎んでもらいたいと思います。私たちはこの問題を慎重に審議しなければならんと思うのは、今すでに予算委員会において海運関係の利子補給金の問題が大きな発火点となつて、官僚統制に対する、金融を通じての官僚統制に対して大きな疑惑が投げ与えられているのです。我々はこの農林委員会を通じて、今まで通産省関係並びに農林省関係から出されているところの諸法案を今まで黙つて審議して参りましたけれども、これはあたかも自由経済に復帰するといつたところの吉田内閣における経済政策が根本的に変更せられて、曾つて戦時中に行われたあの官僚統制と同じものが、而も無計画統制によつて続々投込れようとしているのであります。それであの統制でうまい汁を占めたところの一部の業者並びに官僚、生産会社によつて不徹底な、無計画統制がなされたときに、これに対して我々がそれに対して慎重審議しなければ将来大きな禍根を残すと思うのであります。特に農産物価格決定のごときは極めて重要な問題でありまするが、今までの説明を聞いておりますれば、価格支持に過ぎない、価格安定対策に過ぎないというような極めて不完全な対策でありまして、アメリカにおける農作物の価格安定に対する対策を見てもわかりまするように、それは作付の裏付によつて初めて効果が上つているのであります。我々が資料として今まで作付面積の問題その他の提出を求めながら審議を進めようとしているのもここにあるのでありまするが、日本の今主食は米が足りない、麦が足りないと言われているときに、而も「なたね」の増産農林省の一部においてこれを無責任に煽つた結果というものは、その作付反別において、麦の作付反別を「なたね」を作つたほうが儲かるという形において非常な面積において侵しているではありませんか。こういうような混乱が米麦に次ぐところの重要農作物と言いながら、重要農作物としての麦の作付反別を侵すような混乱を引起し、今日において而も作付に対するところの計画性というものを用いずして、金融政策において、即ち官僚と金融機関と生産者の名によるところの団体によつて、少くとも価格というものは生産か円消費に亙つて、或いはそれを通じての加工団体において総合的にこの価格の決定というものを慎重審議に当たなければならないのに、こういう官僚的セクショナリズムと無計画的な統制というものが続々行われるということは、今の吉田内閣の基本的な私は政策の変更というものが検討されなければ軽率に受入れられなくなると思う。この問題に対しては、私ども予算委員会において問題を更に続々と提示して行こうと思うのでありまするが、特にこの問題なんかは恰好の問題なのであります。誰が見てもこの問題に対する反対をする筋合はないかも知れませんが、この中を検討して御覧なさい。この中におけるところの統制力というものは第九条において「農林大臣は、農産物等(甘しよ及び馬鈴しよを含む。以下本項において同じ。)の生産費需給事情その他農産物等の価格の安定に関して必要な事項を調査するため必要があるときは、農産物等の生産者又は生産者団体から必要な事項の報告を徴し、又はその職員にこれらの者の営業所、事業所、倉庫等に立ち入らせ、帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる。」、こういうふうな強力な統制が加わり、而もこの資金斡旋というようなものにおいてこれをコントロールしようとしておりまするが、私はこの金融措置、一番生産者なり、業者が困つているところの、これにつけ込んで完全な統制をするということについては、よほど慎重審議してからこれを作り上げないと、飛んだ問題が起きると思う。この問題に対して立案者並びに農林省当局から率直な御意見を承わりたい。
  41. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 私は自由党の一員でございますが、この法案提案者代表という立場では自由党とは関係がございませんから、その点は御了承願いたいと思います。なお又衆議院におけるこの法案の立案過程の経過につきましては、すでに御承知のかたもあるかと思いますが、私ども自由党もこれに類似したことを考えて参りましたし、又野党各派の諸君も前国会以来これと大同小異の案を考られておつたのでありまして、たまたまこれが一致をいたしまして、只今御指摘のような点につきましても、いろいろ論議が交わされましたけれども、各派議論が一致いたしまして、まあいわば妥協点に達しまして、従つてお手許にお配りしてあると思いますが、附帯決議は随分たくさん、六項目に亙つて附帯決議が付いておる。この附帯決議も併せて衆議院としては各派で歩み寄りが成功いたしまして、労農党まで提案者になつてくれました。一致して提案したものでございますから、今お話の自由党内閣の政策伝々の問題につきましては、この法律に関する限り、私はさような意味合を全然含んでないと申上げて差支えないと存じます。
  42. 戸叶武

    戸叶武君 政府側の御答弁如何ですか。
  43. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 政府側におきましても、この価格につきまして、正常な価格を支持することによりまして、農家経済上、生産の正常なバツク・グラウンドを作るということでありますので、これによりまして統制を行うというふうな考え方は全然ないわけでございます。只今御指摘の第九条の問題でございまするがこ、れはこういう仕事を行うためにいろいろな調査をする。これは勿論行政事務を行いまする場合におきまして、いろいろな点において調査をお願いするということは、これはまあ当然でございまして、普通のいろいろな法律におきましても、一定の制度を立てまする場合におきましては、当然調査は必要とするわけでございます。その調査のための規定でございまするので、これは何ら統制ためのものではないことを御了承願いたいと思います。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと細かい問題ですが、ここに、「、生産者団体」と書いてありますが、これには農協等の農民生産者団体澱粉油脂工場のような生産者団体もありまするが、この生産者団体は両者を兼ねておりますか、どうですか。
  45. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、この法律の第二条におきまして、「生産者又はその者が直接若しくは間接の構成員となつている法人で省令で定めるもの(以下「生産者団体」という。)」とございまするので、第二条におきまする生産者団体と、それ以下の生産者団体とは同意義でございます。第二条における生産者団体は、現在農業協同組合系統のものと、それから澱粉におきましては、澱粉生産者が組織しまする協同組合を考えておるわけです。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 考えてよろしうございますね。その次にちよつとお伺いしますが、問題になりますのは、その生産者団体たる農民の作りました農産物と、それからその澱粉等買上げまするこの生産者団体が、澱粉買上げまするところの、その「いも価格との調整がですな、どういうふうな工合でとつて行かれるのかということがはつきり出ておるのか。これを見ますると仮にこれこれの価格澱粉や何々は買上げるとなつておりますが、これは買上げることだけを書いてありますが、その買上げるには「いも」の価格を基準にして、これこれの澱粉価格買上げると、こうなつておるだけだが、その買上げることが直ちに農民生産者の「いも」を買う場合に、それにははつきりしておられないように見えるのですが、その関係はどうとられるのですか。
  47. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。第五条の第一項の一にございまするように、甘藷生切干、甘藷澱粉又は馬鈴薯澱粉につきましては、その原料でございまする甘藷又は馬鈴薯につきまして、やはり原料基準価格というものをきめるわけでございます。この原料基準価格政府におきまして公表をいたすわけでございます。従いまして甘藷、馬鈴薯の買うべき原料基準価格というものは、政府が公表いたしますると同時に、第四条におきまして、政府澱粉を買いまする場合におきましても、若しその原料価格に基く額によつてその「いも」を買つてないという事実が明白になりました場合においては、政府はその買上げを断わることができるという規定が四条宋にございまするので、五条、四条の規定、公表の規定によりまして、その点は目的を達し得るのではなかろうかと考えておりまするので、御了承を願います。
  48. 鈴木強李

    鈴木強平君 お尋ねしますが、この法案はどの政党、如何なる政党で提案されておりますか。自由党だけでなく、如何なる政党で提案されておりますか。
  49. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 衆議院の農林委員会におきまして、各派と相談をいたしまして、各派全部提案者になつてくれたのであります。ただ社会党左派の原君が一人だけあとから申出がありまして、提案者ははずしてくれということで、私以下二十四名の提案になつております。それから原君をはずしてくれと言われました理由は、大豆が対象から抜けておる。で、自分の地元の関係で大豆を入れてもらわないと困るということと、これに対してですね、委員会提案者になりますと、まあ質問がしにくいと、提案者ははずしてもらつて質問をしたいというので、原君一人から随分たくさんの質問があつたわけでありまして、さような経緯で原君が一人抜けただけで、政党としては全部各派共同提案になつております。
  50. 鈴木強李

    鈴木強平君 社会党の左派では原君一人が農林委員ですか、他にありますか。
  51. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) あります。足鹿君があります。
  52. 鈴木強李

    鈴木強平君 さように衆議院の農林委員会では各派がこぞつて提案になつておりながら、なぜに大項目に亙る修正意見をここに添付されたのですか、その経緯をお伺いしたい。
  53. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 法案を作り上げます最後の調整、理事会で各派からやはり本日も御質問にありましたような点がいろいろ指摘されまして、そこでまあ調整とつたわけであります。そして一種の妥協線が出たわけでありまして、本法案に盛込まない御意見については、これを附帯決議の形で決議することによつて政府運用を縛つて行こうということで、妥協が成立つたような次第でございます。
  54. 鈴木強李

    鈴木強平君 少くとも衆議院の議員の提出法律案として、その提出の過程において不備であつたことは、これは提案者もお認めになりますですね。これはですね、各党の農林委員がこぞつて提案者でありながら、その案の決定に当つては六項目の附帯条件を附けなければならないという点については、やはり法律を作る過程において不備であつたということを我々は指摘しなければならないと思うのですが、それについて提案者意見を聞きたいと思います。
  55. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 不備であつたという御解釈はどうかと思いますが、やはり各派が共同でまとめようとして話合をいたして参りましたので、おのおの自分の地元の関係を考慮される代議士もおられますし、又政党の主義主張の立場から意見のある面もございます。これをまとめて調整いたしましたので、無理がないとは申しません。併し法案が非常に不備である、法案自体にそれだから欠陥があるとは私は考えておりませんので、この法案運用の万全を期するために、中には老婆心ながら附けたような附帯決議もあるわけでございまして、御覧の通りでございます。併しこれを附けることによつて法案趣旨が滅却されるとか、曲つてしまうということはないと考えまして、各派ともこの法案と、それから附帯決議につきまして賛成をいたし、ここに話がまとまつたような次第でございます。
  56. 鈴木強李

    鈴木強平君 我々といたしましては、かように重大な法案が、衆議院においてみずから提案したがら、みずから六項目の附帯条件を附けることは大いに遺憾の意を表しなければならないと思います。先ほど各委員が論議されておりますが、その中で最も大事なことは、正常な価格を語つておる。正常な価格を、生産者だけが作つて正常な価格とは、如何なる理由に基くのであるか、正常な価格の字句ですね、いわゆる常識的に見て正常な価格を調つたのは、生産者団体に諮つて、その基準価格を作ることについては、これは問題が大いに残ると思うのですが、詳細にわかるように説明を願いたいと思うのです。
  57. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) これは食糧庁長官からも、運用に当る責任者としての御答弁が更にあると思いますが、私の立場から申上げますと、先ほど来申上げております通り価格の波動を防ぎ、農家経済を安定したいという念願にほかならんわけでございまして、このきめ方につきましては、先ほど河野委員からも御指摘があつたように、審議会を作つたらどうかというような御意見も党によつてはあつたのであります。私どももこれに対しましては、その必要性は認めるのでありますが、この法律案が、何と申しますか、恒久立法ではございますが、まだ全面的に農業経営の安定を図る法律案というような、幅の広い体制がとれておりません。まあいわば将来これはどんどん整備されて、完全なものになつて行くと思つております。従いまして、さような場面が参りました場合には、農産物価格審議会というようなものが正式に生れるであろうということを予想いたしております。いわば種蒔きの法案というような意味合で、先ずここに橋頭堡を築いて、この橋頭堡をだんだん踏みしめて日本農業を安定するような方向に向いたいという心構えで、各派とも話合が付いたような次第でございます。
  58. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。只今価格の決定につきましては、勿論これは生産者消費者全部に関係することでございまするので、その適正な水準というものを、正常な水準が如何にあるかということにつきましては、適正にきめなければならないのは申すまでもないことでございまして、先ほどの河野委員の御意見のございましたように、これの実際上の運営に当りましては、各関係方面におきまするその御意見を十分お聞きするという機会を持ちたいと考えておるわけでございまするが、ただ制度といたしまして、そういうことをするということは現在考えてないわけであります。ただここに生産者団体だけに諮るということを規定いたしましたのは、御承知のように、この法案全体といたしまして、第一次的に政府買入れるというよりも、生産者団体自主的調整措置と相待ちまして、価格安定を諮るわけでございまするので、その自主的調整は個々の生産者団体意見を聞くということは、この制度の建前上当然でございまするので、そういう趣旨におきまして第五条にその趣旨を書いたわけでございます。
  59. 鈴木強李

    鈴木強平君 私おかしく思うのはですね、価格の構成、今更我々は価格のことを言う必要はないのだけれども、一方的に生産者価格価格ができますか。特にこの問題について食糧庁関係企業に御答弁なさつておりますが、さような価格生産者だけで作ることは価格になりますか。先ずこの点をお尋ねしたいと思うのです。さような間違つたことはできますか。
  60. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。勿論価格は先ほども申上げましたように、一つの方式によつて価格を決定いたしたいということに考えておるわけでございまするが、価格は勿論需給条件によりますので、供給者のみによつて価格がきまるということは考えておらないわけでございまして、勿論需要者の側におきましても、その価格決定の影響があるわけでございまするので、勿論両者の意見を十分聞いて参りたいということには変りはないわけです。
  61. 鈴木強李

    鈴木強平君 それではこの際提案者お尋ねいたしますが、只今あなたからお許しを得て御答弁なさつておる食糧庁関係の御答弁では、生産者団体だけでなくですね、価格を作りたいということを言われておりますが、さよういたしますと、本法案のうちで以てですね、基準価格を作る点においては、これは修正しなければならなくなると思うのです。さような修正に対してやぶさかでありませんか。
  62. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 最初に私御質問にお答えして申上げた通り、この法案趣旨は、生産費を償い、需給事情その他を勘案して農家経済を安定するという、つまり最低価格の支持という目的がこの法案を貫く精神でございます。従いまして本来これが需給調節をやるということまでなりますと、消費者その他の意見も聞き、その幅を見て価格をきめなければならんと思うのでありますが、私ども考えは、少くとも相場の変動によつて農家の打撃を防ごうと、まあいわば消極的な意図がこの法案を貫いているわけでございまして、而もその消極的と申しましても、生産を維持し、農家経済を安定するという大きな目的を持つておるわけでございます。従いまして私どもとしては、この価格を決定するのに、その農産物消費されないようなべら棒に高い価格尋決定をされるものとは思つておりません。生産者団体意見農林大臣が尊重してきめて頂ければ、先ず社会的にも、又生産家の立場に立つても満足できる価格が決定されるのでないかと、かように考えておりますので、今殊更に大きな組織を作り、却つてその論議のために日時を重ねて、時期を失するような虞れもありますので、この際は一応自主的な調整の責任を持つておる農業団体生産者団体意見を尊重する程度農林大臣がきめてもらえれば、先ずこの法案趣旨は貫徹できるのではないかと、かように考えて作つたような次第でございます。
  63. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 食糧庁長官から更に答弁があるそうでございます。
  64. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、私が只今申上げましたことは、価格の決定に当りまして、ここにおいてもそうでございまするが、従来共に生産消費の面を考えて、価格をきめるということは当然でございまして、その際にそれをきめる政府といたしましては、いろいろ専門的な御意見を承わるという機会を持つたことを申上げたわけでございます。
  65. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  66. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  67. 鈴木強李

    鈴木強平君 これはもうこの法案骨子は正常な価格ということにあると思うのですが、正常な価格という点について、生産者だけがきめるという価格の掛成については、これはお答えを幾らなさつても、これはどうしても、問題にならないと思うのですが、なぜ私は正常な価格を作るかというと、このように、資料通りでしよう。二十六年、七年の間におきまする麦は六万町歩減つておる。「なたね」は七万町歩殖えておる。そこに「なたね」表作れば得だという、正常価格でないところの点が現われておるから、かような七万町歩もでこぼこができておる。先ほど森田委員が言つたように、大きな日本の国家経済から見て、正常価格をどこに置くかという問題があると思う。従つて「なたね」についてはどのような奨励政策をとつておるか。どのような変換政策をとつておるか。今後年次計画はどんな計画をとつておるのか。ただ単にこれだけ出されても我々は非常に迷惑だと思うのです。年次計画をどうとつておるのか。「なたね」の需要供給が出ないと価格は出てこない。例え日本政府買上をしたとしても、無理な買上をすれば、二年、三年後に大変なことが起る。よほど慎重にやらなければならんと思つておる。この点を私は聞きたかつたのであつて、話が余り長くなつて、他の委員の邪魔になつていけなければ、自分の質問を留保して後ほど又聞きますから……。ただ私、今の点についてお答え願いたいと思うのです。年次計画はどうなつておるのか。七万町歩は私はどうして出したのか。今後もかような方法をとつて行くのか、行かないのか。この点をお答え願つて、他の委員質問を譲ります。
  68. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私から申上げますが、質問時間を制限する意思は全然持つておりません。ただ一つの問題が終りましたら成るべく相互に……。
  69. 鈴木強李

    鈴木強平君 それじや、その点お答え下さい。
  70. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 只今鈴木委員の御指摘の「なたね」と麦との競作関係の問題は私どもも非常に憂慮いたしております。従いまして、これは価格の問題になるわけでございますが、この価格を決定する、この法案における根拠は、需給事情というものが、まあ加えられておるわけでございまして、この点が米麦等の価格の決定とは著しく違つておるわけです。従いまして先ほども森田委員の御質問のときに、この問題は間に入つて参りましたが、結局必要以上に作り過ぎた場合は作付統制をいたしませんが、結局価格の下落によつて翌年度は農民が自粛するなり、他に転作するなりしなければ価格の維持はできないということは、需要供給の原則によつて物価が動く以上は、これはやむを得ない点でございまして、私どもとしても麦を犠牲にしてまで「なたね」をどんどん作らせるような価格の決定をすることは好ましくないと思つております。併しながら「なたね」を殖えたことによつて大豆の輸入八万トンも今年抑制できる。これは更に検討して行けば、もつと大豆の輸入は抑制できるのではないかと考えられるわけでありまして、この面における外貨の節約という大きな役割はやはり果しておると思うのでありまして、併しながら今御指摘の通り、今後更に麦の作付が減り、「なたね」の作付が殖えて、「なたね」油だけはどんどん上つて来る。そして価格暴落して、政府は無制限に買上げなければならないというような事態の起きないように自主的な調整も図つてもらわなければならないと、かように考えておりますので、今御懸念のあります生産者だけが価格の決定にあずかつて価格が非常に高くなる。従つて生産がどんどん殖える。消費者が困るというようなことは、私どもとしては考えておらないわけでございます。
  71. 河野謙三

    河野謙三君 極めて重大なる発言だ。私はこの法案農民保護の法案だと思つておる。生産者意見を聞き、消費者意見を聞いて、高く売りたい、安く買いたい。両方の意見を聞いてきめるならば、これは何も農民保護の法案ではありませんよ。今の御答弁で間違いありませんか。私は農民保護の法案だと思つておる。生産者意見を聞くのは当り前なんだ。同時に消費者意見も聞くというのならば農民保護の法案でも何でもない。売り手と買い手の高く売りたい、安く買いたい、当り前なんだ。それを両方勘案してきめるなら自由経済だ。そういうような根本趣旨でこの法案を出されたのならば、私どもとしては迷惑千万だ。
  72. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 私は先ほど鈴木委員の御質問に対して、生産者団体意見だけを聞いて価格をきめるのは不当ではないかという御質問に対して、私たちの考え生産費を償い農家経済を安定するということがこの法案目的であるから、生産者意見を聞いただけで農林大臣が適当な判断のもとにきめられれば、この法案趣旨目的は達し得ると思いますという答弁をいたしております。ただ、今「なたね」の問題について具体的にお話がありましたから、この「なたね」が無暗に増産をされて、農民自身も自分で自分の首を締めるようなことになつてはならんので、価格の決定についてはその辺は相当慎重に考えてきめられなければならないと、私ども提案者として考えておりますという点をお答えいたしたのであります。
  73. 河野謙三

    河野謙三君 それではこれは私は非常に大事なことだと思いますから、改めてもう一度伺いますけれども、冒頭に伺いましたように、これは農家最低価格を保証するため法案だと、こういうことであつて、その点においては間違いございませんね。
  74. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) ございません。
  75. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は大体今提案者が先ほどお話しになつたように、本法案はもう昨年以来いろいろ審議をしておつた法案でありまして、私は法案の趣意に対してはこ、れはもう異論はないのです。併し先ほど鈴木委員お話から、共同提案の中に云々ということから、原君が提出者から脱落しておるという理由について、大豆云々というようなお話がありましたから、特にこの点について私はお伺いしたいのですが、一応大豆が入らなかつと。無論この問題は昨年、一昨年からこの問題が出ると同時に、大豆の重要性ということは政府も今日まで随分、戦前或いは戦後、特に戦後等におきましては、大豆生産者に対しては過重ないろいろな作付も要請をし、或いは価格の点についても他のものと同様以上に、むしろ迷惑をかけておつたということから、あらゆる面から今回政府考え、或いは考えたことに、どうしても納得が行かないというので、議員提出で出すということになつたと思うのですが、この場合原君が提案者になり得ない理由について、それを提案者或いは政府が認めたという理由一つお聞かせ頂きたいと思います。
  76. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 提案者にならないことを認めるというような、私どもにそういう権限が……。
  77. 松浦定義

    ○松浦定義君 つまり提案者にならないということを認めるということではなくて、大豆を入れられないという理由によつて提案者から脱落したと思うのですが、そうさせなければならないという、大豆を入れられないという理由なんです。
  78. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) まあ先ほども申上げたように、各派が持ち寄りまして、いろいろ調整を図りましたところ、私ども提案者一同といたしましては、原君を除いては、当面しては大豆を入れる必要がないという判断に立ちましたので、原君は提案者からまあ除いてくれというお申出があつたので、のいてもらつたのでありますが、それに対して委員会で、原君から大豆をなぜ入れないかという質問が改めてあつたわけでございます。それに対して私は提案者を代表して次のようにお答えいたしておきました。と申しますのは、現状においてはですね、大豆も国内価格生産費を割るような不当な価格になる危険がないように思う。若しそういう事態が将来起つて来れば、これは重要農産物であるから、当然にこの法律の中に入れられるべきものであるけれども、現状はいろいろな理由からですね、大豆の価格暴落して、大豆を作る農家を圧迫するというような状態ではない。その証拠はまあ数字もいろいろございますけれども、御承知だと思いますので省きますが、必要があれば申上げますが、今のところ大豆の価格暴落の危険がない。勿論中共貿易等が開かれまして、安い大豆がどんどん入つて来るという事態になれば、関税による障壁を設けるとか、或いはこの制度によつて政府買上げ国内価格の安定を図るとかというような対策が必要になつて来る。かように考えております。
  79. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ今のお話で聞きますと、農家はやはり生産というものは一年に一回しかできないのです。ほかの商品であれば今日でも明日でも、又一カ月に何回でも、一年に何回でもできるのですが、今日ここで大豆というものは或る程度市場価格を維持しておるといたしましても、秋になつてどうなるかわからないのです。或いは政府がそれほどはつきりした農業政策或いは食糧政策を持つておるならば、何も生産者というものは心配ないのですが、そうしたものを作らないものに、どれだけ価格の保障をしてやろうと言つても、それはできないと思うのです。それでやはり私は重要作物として特にこの附帯決議まで出しておる。そういうものであれば、なぜ本法に載せておいて、大豆に関してはこれこれであるというふうなことを考えて行かないのか。私は農家は決して今市場価格の、例えば三千円なら売れるものを、決して二千五百円の価格で決定してくれということは言わないのです。そういうことを私はやはり農家本位で考え法案であれば、やはり秋になつて作らなかつたと、今市場がこうだから作らなかつたが、併しこういう結果になつてしまつた、併し日本としては輸入大豆によつてこれを緩和したと。まあ結果によりますと、輸入大豆によつていろいろ業者的な考え方から、そういうことに対して携わる人が或いは利益を得るかも知れないけれども、全くの生産者は逆なものを作つてつて非常に困つてしまうということがあると思うので、私はそれほど大豆に対してお考えがあるならば、重要農産物として、特にもう参考資料等では、本法に定められた以外の大豆と特に語つてある。そのくらいまで重要視されておるものならば、本法に載せておいて、何も市場価格の高いものを別に最低価格を出したとて、農家は売りやしないのです。これはもう去年も一昨年も澱粉のあれによつて私ははつきりしておると思う。どうしても買わなければならないものではない。売らなければならないものではないということから行けば、私はそういうことをやつておく必要が大豆においてあるのではないか。特に大豆は味噌、醤油の原料として若しこれが国内産が半減したような場合には必らず食糧政策にも影響して来る。先ほどもいろいろ御意見がありましたが、「なたね」等が非常に有利なことになつて、麦が減つて来ると同時に、これはやはり大豆がこういうことであれば、馬鈴薯を作る。特に北海道あたりでは大豆と馬鈴薯は寒地作物であるから、一体的な考え方に立つておる。私は必ずこれは来年度の作付けにそういう現象ができて来ると思う。それじや澱粉を無制限に買うかというと、先ほどお話のように予算の範囲内でしか買えないと言う。そうなりますと、折角法案を作つても、農家は作物を作ることにすら非常に迷惑をして来る。  こういうことについて、例えば農林省あたりはどういうふうな指導をされるかということについても、私は十分掘り下げて聞かなければならないと思うのですが、私は飽くまでも原君が、例えば入らなかつたから、これは提案者が何ということは別として、今のようなお考え方であれば、大豆を本法に入れておいて、大豆に関しては云々ということを付けるほうが、これは私は本当に農民ため法案ではないかと、かように思うので、その点について一つ意見を承わりたいと思うのです。
  80. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 大豆につきましては、私は今お答え申上げた通り現状においては価格の支持の必要がないほど有利に売りさばかれておるわけでありまして、過去の数字を見ましても、二十五年、二十六年の平均大豆の価格は、一升五十一円八十八銭でございましたが、二十七年、僅か一、二年の間に七十一円三十九銭、指数で言うと、一三七・六%というふうに大豆の価格は上つております。なお又国内産の大豆は殆んど自家消費消費されまして、商品として市場に出廻るものは極く微量でございまして、現在大豆油で見ましても輸入が四万六千五百トンも二十七年度に輸入いたしておりますのに、国内生産された大豆油は僅か二千五百トンでございまして、先ほども申上げた通り、「なたね」の油の価格維持のために、大豆の輸入を抑制いたしますれば、なおこの国内産大豆の価格の維持になるわけでございまして、結果として申上げると、今のところこの法律に大豆というものをまああらかじめ用意のために入れておけという御意見は御尤もですけれども、今ここに入れるほどの緊迫した事情にない。かように判断いたしまして、各派ともその点で話が落着きましたので、一応大豆は法律の中に列挙することを除いたような次第でございます。なお又衆議院農林委員会におけるいろいろの話合の実情をぶちまけて申上げると、大豆だけではないのでありまして、「とうもろこし」もありますし、又「こんにやく」もありますし、薄荷もありますし、除虫菊もございます。どこで一体切るかということが問題でありまして、すべてを買えばこれはまあ結構でございますが、これはやがて時代の推移に伴い、だんだん庫の法律も整備されて来るであろうと、私さつき申上げた通りでありまして、又大豆につきましては、必要が起れば入れるという含みを以ちまして、特に附帯出講に入れたような次第でございます。ら、御了承を頂きたいと思います。
  81. 松浦定義

    ○松浦定義君 特に私は大豆は相当舌要視されておると思つていたら、「こんにやく」か、除虫菊と同じだというような考え方に立たれるということは非常に私は遺憾なんです。とにかく大豆は、私は数字ははつきり掴んでおりませんが、恐らく全国的には、北海道だけにおいても「なたね」以上の作付けをしておるはずなんです、実際問題として……。そういう観点からいつて、「こんにやく」や除虫菊と同じだと言つて、そして又大豆の立場をそういうふうにお考えになるということであればですね、それはまあそれとして、若し逆に私が先ほど申上げたように大豆の市場価格、例えば中共貿易等が非常に促進されまして、これが入つて来たと、そういう情勢にあるというときに、農家としてはこれはいろいろ考えなければならないので、例えばこれを澱粉に切替えてしまつたと、例えば馬鈴薯に切替えてしまつたというときに、相当馬鈴薯を政府予算以上に買わなければならないという立場になると思うのですが、そういうときにはこれはもう無制限に買取るというような御決意があるかどうか。
  82. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 大豆の問題について補足して申上げますが、御承知のように国産の大豆は丸のまま消費されまするので、その用途といたしましては、味噌とか、醤油とか、豆腐とかということは大きな用途であることは御承知通りでありますが、従来からこの味噌、醤油、豆腐に対する寸大豆としての需要は、御承知のように五十万トン程度のものがあるわけでございます。内地の生産は大体二十五、六万トンから三十万トン程度ということでございまして、大体丸大豆としての消費といたしましては、まだ現在におきましては供給不足の状態になつておるわけでございます。従いまして先ほど提案者からの御説明のように、現在の大豆価格というものが生産を圧迫するような価格を現出していないと考えておるわけでございまして、大豆が重要農産物ではないという観点からではないわけでございます。と申しまするのは、この法律の建前上品目を限定いたしまして、その限定した品目につきましては価格を発表し、そして買入を実行するわけでございまして、買うか、買わんかわからない、或いは価格を発表しないというふうなものは、この制度としてとつておらないわけでございます。
  83. 松浦定義

    ○松浦定義君 只今の私のお尋ねしたのは、若し大豆がそういう理由であるならばやむを得ないとしても、これが馬鈴薯に変つたという場合には無制限に買うかどうか。これはもう例えば「なたね」と麦と代ると同じことなんです。馬鈴薯と大豆の替り方は……。一毛作地帯におけるあり方なんですから、これは同じなんだから……。そういう場合にはやはり無制限に買つて、て与して生産者の意向を十分汲みとるようなことを考えておられるかどうかということをお聞きしたいと思います。
  84. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、政府といたしましては数量を限定いたしたいと思いまするが、御承知のようにこの制度といたしましては、そのときの生産事情消費の状況等を考えまして、そうして調整数量をきめるわけでございまするので、お話のように馬鈴薯が非常に増産されて、そうして而もそれに参りまする用途としての澱粉相当増産なつたというときには、おのずから数量というものは毎年一定ではございませんで、そのときの給供事情等も十分そこに参酌されて、数量はきまつて参るというふうに考えております。
  85. 松浦定義

    ○松浦定義君 もう一点だけ……。それからその点で作付に対してまあ規制するようなことはしないとかということを先ほどお話しになつたのですが、そういう場合にはやはり自主的に生産者が決定する、併しこれは私は今農業委員会法が問題になつているのですが、自主的に決定する場合、今までのあり方ですと、本当に農家が自主的にやるかどうかということになりますと、そういうものではないのです。やはり農業協同組合とか、そのほかのいろいろな形からそれを決定することになつておるのですが、今度若しそういうことがありまして、それで実績が麦が少くなつて「なたね」が殖える。或いは今言つたように大豆が減つて馬鈴薯になるというようなことによつて、折角のこの法案が十分な目的を果すことができないような結果になるというような憂いがあれば、これは作付に対するいろいろのことが考えられてくると思うのです。そうなつたときに今度改正されようとする農業委員会が、この自主的という形の中で入つて、そういうことを指導し、或いは督励をするというようなことがありはしないかどうか。まあこういうことについて一つお聞きしておきます。
  86. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 私どもはこの法案のみそとも申すべき、さつき申上げたように取入れましたのが自主的調整にあるということはよくおわかりになつたと思いますが、これは販売を行う生産者団体でございますから、直接には農業委員会関係いたして参りません。併し松浦委員の御指摘の通り農業委員会生産計画その他につきまして、指導的な役割を果すということについては、おつしやる通りでございます。従つてどもは、期待する農業協同組合、この生産者団体が自主的な調整を図る上におきまして、今度の農業委員会法の改正案を見ましても、農業協同組合長は当然にその職として農業委員会に参加するようになつております。若しあの法案が成立いたしましても、その間の調整は十分とれると思いますので、当然にやるべき仕事としては、農業協同組合が自主的調整をやり、これに協力して行く団体としては、農業委員会が協力してもらわなければならない。かように考えております。
  87. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 大体論議は尽きたように思うのでございますが、併しながらだんだんわからなくなつて来るのであります。私は食糧増産の方面から、日本の食糧計画という方面からこの問題を突いて見ますと、大体恐らくこの法案政府が出したならば、ここに作付の制限がなければ殆んど日本の食糧計画というものを無視した、全くのでたらめのものだと私は思うのであります。食糧問題を非常にやかましく言いつつ、日本として食糧のまだ本当の基本計画がきまつておらない。ただ農林省が試案を以て大蔵省にぶつかつて、又五カ年計画がすぐ崩れて、或いは今度は翌年は十カ年計画にしろとかいうような現状にあるのであります。而も「なたね」は年々麦作が転換して、麦作と競合するのであります。特にこの法案で「なたね」の問題なんです。食糧問題と競合するのは……。そういうような状況にあるのであります。これは面積を制限してないということになると、今議論になつた正常な価格に売るということは、最も作付面積に大きな影響を及ぼして来ることになる。而もその正常な価格生産者の意向を聞いて政府が決定する。これじや全くどこにも取りつく島もないのであります。制限面積を食糧計画の立場から付けるが至当だと思うのだが、まあ自主的にやらすというのであつたならば、私は正常な価格にはつきりしたもう少し或いは審議会、今の米麦価格みたような、米の価格の決定のような各界が参加して、そうしてはつきりしたものをここに現わしておかなければ、私は極めて不安なものを通して行くということになるのではないかと思うのでありまして、その点はいろいろ説明がありましたけれどもが、その説明では納得が行かないのです。私の意見はそうですが、提案者説明を聞いたところが、結局今まで説明されたようなことを繰返すのみになるだろうと思うのです。あえて答弁を求めませんが、私は強くそういうような考えを持つております。これだけ委員としても……。
  88. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 重政委員の御指摘の通り、この法案に私は提案者代表としても誠に申上げにくいことでございますが、不備欠陥が全然ないというような大見得を切る気持は全然ございません。勿論あらゆる角度から検討して見て不満足な点も多々ございます。今御指摘の通り……。生産統制の問題まで入らなければ、完全なる計画生産或いはそれに対する価格保障制度というものは確立し得ないと思います。ただ衆議院側といたしましては、いつでしたか参議院の農林委員会におきまして……、農林委員会ですか、本会議ですか、保利農林大臣が、農産物価格安定法政府は提案する腹はないというようなことを言明しまして新聞に出ました。私どもとしては現状からいたしますと、去年やりました澱粉買上も、農家の庭先を出る「さつまいも」の価格保障になつておらん。農家は依然として買い叩かれておる。又「なたね」については今年は憂慮すべき状態になつて来ておる。これはこのまま放つておけない。ともかく政府が出す腹がないのであるならば、衆議院で各派と話合つて、ともかくここに法律案を作り上げて、何とか当面する問題を解決いたしたいということで、一生懸命に各派とも話合をいたしまして、急いでまとめ上げた法律案でございます。なお又今までなかつた構想、つまり生産者団体自主的調整をやらせるという構想もここに盛込みました。御検討になりますいろいろな角度からいたしますれば、不備欠陥があろうかと思いますが、今申上げたような緊迫した事態に、ともかく備えようということで作りましたので、この点は一つざつくばらんに申上げたわけでございますが、御了承を賜わりたいと存じます。
  89. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私ども農家経済の安定は双手を挙げて賛成をするのでありますけれども、だけど日本の現状から見ると、ともかくこの食糧問題というものは、これは一番大きな問題であるのであります。これに少くともこの運営の如何によつたらば、多少でも食糧計画に、食糧増産に危虞の念を抱く。運用如何によつては食糧計画に影響を及ぼすというようなものは、これは我々として当然はつきりしておかなければならないと思うのであります。今提案者の御答弁によりましても、その点は非常に完全なものでもないというような御答弁であつたのでありまするけれども、私どもも慎重審議をいたしまして、それに憂いのないようにいたしたいと思います。
  90. 上林忠次

    ○上林忠次君 今回の安定法は、価格を決定するに当つてパリティとか、或いは生産費或いは経済事情を勘案して、農家の再生産に間に合うように値段をきめてやる。誠に結構ですが、これを「なたね」にとつて考えますと、「なたね」が油をしぼられて出て来る粕、この粕の値段というものはここでは関係のないことになつております。今年の生産から出て来る油粕の数量は恐らく十四万トン、或いはそれ以上になると思いますが、金額にして四十億円、大きな油粕が出て来るのであります。特に油粕は最近あらゆる作物に相当か効果を上げておるということで農家の大きな肥料になつております。「なたね」の価格はきめたが、油の価格は常に動揺しておるというような状態、又これが輸入関係によつて又大きな波動があるというような、油を、一切考えにおかずに「なたね」の生産者だけを考えておる。そうしてその値段をきめるだけがこの今回の法案になつておる。この出で来る粕の値段を考えますときに、平時の粕の値段と現在のパリティで出します粕の値段、或いは平時の硫安の値段に比べます現在の硫安のパリティの値段というような比較をいたしますときに、これにも限度があるのであります。大きな農家生産資材になつております油粕の値段まで徹底しないと、農家の本当のこういうような、いい施設にならないのではないか。その点政府はどういう工合に考えておりますか、御答弁願いたいと思います。
  91. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この法律を作つた場合の運営でございまするが、この制度におきましては、重要農産物についての支持価格考え方でございまして、従いまして麦その他と違いまして、ここに「なたね」その他の澱粉等につきましては、政府の管理体制もおのずから異なつておるわけです。で、粕の価格につきましては、勿論当然に「なたね」価格とも関連をいたすかと存ぜられまするが、同時に又それは製品価格といたしまして、油脂価格なり或いは又大豆粕の需給状況によつてきめられる部分相当多いと考えられまするので、現在の考え方といたしましては、粕につきまして価格をきめるということは考えておらないわけでございます。
  92. 上林忠次

    ○上林忠次君 粕について全然考慮しておらないというお話でありますが、粕を消費するのも農民であります。而も「なたね」の生産者が同じようにその粕を使うこともありますが、全然別個の農民がそれを使うということも考えますと、「なたね」だけ価格は安定したが、このために粕がべら棒に高くなるという心配もあるのであります。これでは粕の使用者にとつては、これは大きな悪法だと考えるのであります。これを是正するのにはどうしてもこの間に介在します油屋、油の値段まで考慮しなければならないのじやないか、政府買上考えなければならないのではないか。この点について如何に考えておられますか。
  93. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) お話の点につきましては、私どももこの立案中にいろいろ陳情も頂いておりまして、事情はよくわかるのでございます。うつかりしますと、原料高の製品安で油脂搾油業者が非常に困るというような陳情も頂いておるのであります。なお又只今お話通り「なたね」粕は重要な肥料でございますから、早くこれを農家に還元をして、再生産に役立たせるということのほうが、より国策に合うのじやないかというような御意見も伺つております。で、これは事情は誠によくわかるのでございますが、ただ先ほどもちよつと私申上げたように、去年政府が行政措置として澱粉買上げて、生「いも」の価格を安定しようという計画をやりました。つまり生「いも」の価格二十八円を維持するために、澱粉を千人百五十円で買上げた。ところが果してそれが効果があつたかというと、殆んど効果がなかつたのでありまして、時期を失した点もあつたが、結局中間に余り間隔が遠くなると、具体的に価格を支持することができないという結果に陥つておりますので、この轍を踏まないように、今度は「なたね」については先ず短刀直入に「なたね」そのものを買上げるということで、農家の庭先を出る「なたね」の価格を安定いたしたいということで、立案なさつたのでありまして、その場合に間接的に油を買上げれば、「なたね」が保障されるのではないかという御議論も伺つておりますが、今回はまあ欲をかかずに、先ず「なたね」を買上げることによつて短刀直入に価格を安定したいというような処置に出たわけでございまして、これがだんだんこの制度が大きくなつて参りますれば、将来は油についても買上げるというので考えられると思いますが、今のところ、今申上げたような事情で、まあ緊急対策としてこれを立案いたしましたので、そこまで考えなかつたのでございます。
  94. 上林忠次

    ○上林忠次君 この大きな有機肥料である「なたね」の値段を全然考えに入れないというようなことでございますが、私はこの「なたね」を主な肥料として作り上げる作物につきましては、価格の点において大きな問題を果たすのではないかと思うのであります。私そういうような「なたね」が手放しされたために、これに油の値段の動きが「なたね」の粕に重課されるというようなことがありましたならば、将来輸入をうんとやつてもらいたいということをお願いいたしたいのでありますが、輸入の点についてはどういう工合に考えておられますか。「なたね」粕の輸入については、どういう工合に考えておられますか。
  95. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、粕の問題は結局用途といたしましては肥料の問題になろうかと思います。御承知のように肥料の関係としましては、化学肥料の問題があり、それが肥料価格のまあ中心的な価格を形成いたしておりまして、それとの関連においてその他の有機質肥料も形成される。勿論他の部面から来ます有機質肥料の特性もございまするが、やはり肥料全体の需給状況によつて決定される部面、又中心でございまする化学肥料関係によつて決定される部分相当大きいのではないかと思うのであります。で、「なたね」粕の輸入につきましては、これは国内の粕の生産の状況及び需要状態関連して、今後検討いたしたいと考えるわけであります。
  96. 河野謙三

    河野謙三君 この際もちよつとお伺いいたしたいのですが、先に戻つて、今まで昨年から政府澱粉を幾ら買われて、そのうち幾ら払い出して、現在幾らストックになつておるか、これを一つ伺いたいと思います。
  97. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答えいたします。政府といたしましては、澱粉につきましては、先ほど申上げましたように、生産者団体の自主的な調整と相待ちまして、政府買上を実施いたしたわけでございまするが、昨二十七会計年度におきましては、三百三十万貫程度買上げております。それから本年までにおきましては、約四百万貫を買上げております。で、現在におきましては、市価の状況からいたしまして、まだ政府売却はいたしておらないわけでございまするが、今後の市況によつて売却することもございまするし、又本制度が直接に適用にはならないかと存ぜられまするが、今後新規用途等の関係におきまして、消化を考えられる場合が相当あるのではなかろうかと考えております。
  98. 河野謙三

    河野謙三君 昨年から本年にかけて買つたものは、まだ一つも売つておらない。全部政府手持になつておる、なお今私の承知しておる範囲では、現在の価格を維持するためには政府がここで売却するということは困難だと思うのです。そこで更にこれからこの安定法によつて、こういう措置を続けるという以上は、当然私はこの安定法に基いて、政府の将来財政負担というものは当然予算に織込まなければならないと思うのですが、この本措置に対する財政負担ということは一応お考えになつておりますか。
  99. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように二十九年度の政府買入予算といたしましては、澱粉につきまして一千万貫、約二十二億の買入費を予定いたしております。「なたね」につきましては、現在のところ政府買入予算としては具体的に計上いたしてございませんが、現在食糧特別会計といたしまして、買入予算に流用し得る予備費がございまするので、これによつて今後財政当局とも打合せの上で流用をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。なお財政負担の問題でございまするが、これにつきましては、今後の売却その他の状態もございまするので、目下これに対しまして現在の予算において繰入れするという措置はとつておりません。
  100. 河野謙三

    河野謙三君 私はね、私の見通しとしては、当然この安定法趣旨を貫くためには、政府が当然赤字というものを予想に入れなければ安定法趣旨は貫けないというように、農作物の価格の安定というものは期せられないと、こう私は思うのです。そこで買つたものに金利、倉敷を加えて事務費を加えて、ツーパイで売るのだと、そういう虫のいいことを考えていても、そういうふうに行かないですよ。又そんなことで行くなら、一方において価格の安定という目的は期せられませんよ。そこでそこらについては、政府提案者の間で何らかの了解事項はありますか。
  101. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 法律が施行されました場合におきましては、御承知のように、場合によりまするとこの法律にもございまするように、買入価格及び時価を下つては売らないということになりまするので、市況如何によりましては、結果として赤字が起る場合もあり得るということは考えておるわけでございます。ただこの赤字の結果をどういうふうに処置するかということは、全体的な食糧会計の問題でございまするし、今後更に検討いたしたいと、かように考えます。
  102. 河野謙三

    河野謙三君 私はもう一つ伺いたいのですが、この法案を終始見ますと、経済の原則に合わないのですよ。買う数量はきめておく、値段はきめると、こういうふうになつておると、きめた値段を維持するためには数量で調節する。数量を調節するためには価格で調節するという、どつちかに綱を切つておかないと調節できないでしよう。ところが値段はきめておく、数量はあらかじめきめておくのだと、こういうがつちりしたものにしておいて価格を維持して行こうということは経済の原則に合いませんよ。なお今伺えば、政府の財政負担のほうも、これも負担するような負担しないようなことになりますと、私はこの法案については反対ではございません。これはなさざるよりも増しという程度で私は賛成する。併し一応我々の前にこういうものを出された以上は、我々はこの法案に大いに期待をかけたい。我々が期待をかける上においては、この法案にどこに不備がある。どこを直したらいい。どういうところを追加したらいいかということを私は検討して見たいと思う。誤解のないように、私はこの法案に反対ではない。提案者の御苦労もよくわかります。一歩前進ということはわかります。そういう意味合でともかくさつき申上げたのですが、矛盾を感じませんか。数量はきめもやつておくのだと、価格はきめちやつておくのだと。そうしてそれについては審議会も何も設けないで、そうして動きのとれないようにするのだと。こういうことに矛盾をお感じにならんかどうか。これをもう少しよくお考えを願いたいと思うのです。
  103. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 今河野委員のおつしやる通り数量価格を決定して弾力性がないじやないかというお話、先ほど他の委員の御質問に私お答えしたのですが、この法案のみそと申上げたのは、農業団体の自主調整なんです。こいつは要するに農業団体として政府買上げる以上に政府のやつを売つて、でない限りにおいては、農業団体が買つて売ることもできるわけです。その辺の資金斡旋によつて価格安定に弾力性を持たせ得るということは言えると思うのでありまして、今までのただ買上げるという一本調子の法案を更に幅を拡めて来て、そういう補助的な機関によつて考えによつては第一次的に農業団体が自主調整をやる、そしてそれがふん詰まつた場合に政府買上げる、而もそれは金利、倉敷料を見て買上げるということでありますから、農業団体が損が行かないように買上げてやるという必要がございますから、思い切つた活躍ができるのじやないかというふうに考えております。
  104. 河野謙三

    河野謙三君 農業団体の自主的な調整と言われますけれどもね、それならもう少し農産物全体に対して価格調整政府考えなければいけませんよ。農家はやはり儲かるものを作りたいのですよ。今ここに上林さんがおられて、「なたね」粕の話があつたけれども、煙草は一体幾ら粗収入があります。純収幾らあります。七万円から多いところは八万円の粗収入があるんじやないですか。「なたね」粕その他の肥料、その他の雑費を払つても三万円か三万五千円であります。差引きして三万五千円なり四万円残るのです。一方において「なたね」が高いの安いの言つてみたところで、「なたね」は一体幾ら粗収入があります。七千円か八千円でしよう。そういうことを、いろいろ農産物価格の中に非常にアンバランスがある。そういう形においてですね、そうして農業団体に自主的に調整をするといつたところで、農産物は何も「いも」とか、「なたね」だけじやない。大豆だけじやない。いろいろなものがある。特に今の話題に上つた煙草のごとき問題もある。であるから、この自主的調整に余り私は期待をかけて、それで法の目的を達しよう、そして農民団体にその責任を転嫁しようというようなことは、これは私はよくないと思うのですが、それについてどうですか。
  105. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 私は農民団体に責任を転嫁しようというような気持は毛頭ないのでしてね、むしろ農業団体の本来の使命である、自由経済下にある本来の使命であるから、これをいやが上にも助長して、最後には政府の保障付で思い切つて活躍させることが、農業団体存立の意義にもなる。かように考え農業団体の助成策としても、これは考えておるわけでございます。
  106. 河野謙三

    河野謙三君 それならば私は足立さんの御意見に賛成ですからね、もう一歩前進して、これらを大幅に政府が全部農業団体に委譲したらどうですか、これを……。いわゆる欲しい金は融通してやる。倉庫が欲しければ倉庫は建ててやる。そういうことにして全部を農業団体仕事を任せて、お前たちに自主調整をやれというならわかるが、そこのところが僕はちよつと中途半端だと思うのですが、どうですか。
  107. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 今の問題はまあ衆議院で、各派でいろいろ論議いたしましてね、さんざん油汗をかいてやつたのですが、最後に附帯決議にもありますように、不可抗力によつて損害をこうむつたときは補償せよというような意見まで出て来ましてね、結局政府の最後の尻ぬぐいがなければ、今のところ農業団体の力だけでやれと言つても無理だと、だから最後は政府が責任を持つてくれということで、ここまで附帯決議を付けて了承したようなわけで、お気持はよくわかりますが、農業団体がそこまで力強くなつて来て、政府はうしろで見ておれ、おれがやつて見せるというところまで育つように私たちは期待いたしております。
  108. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 いろいろ有益な質問応答を拝聴したのですが、私はまあこれは実は法案の裏には別のものが潜んでおるのじやないかという考えを持つておるんです。それは日本の食糧事情から見まして、食糧備蓄ということは一番大事であります。そこでほかのほうはどうかしらんが、澱粉に関する限りはいわゆる食糧備蓄として何十年でも貯蔵できる。これが非常に取得であつて政府としては経済を超越して一つこの問題はやつてもらわなければならない。そうでなければ日本の食糧事情は実に不安なことだ。特に非常に作が悪いとか、海外から品物を持つて来ることができないというようなときに、こういうようなものの備蓄ということは、是非食糧問題としては必要だと、こう私は考えるのでありまして、農家としては、政府が或いは御迷惑だと平常考えられるかも知れないが、そういうような意味において、経済を超越してこの問題は政府はやつておくべきだと、こういう考えを持つておる。但しその「いも」切干しのほうについては、果してそれだけ長く貯蔵ができるかどうか知らんが、私どもの知り得ている範囲内における澱粉の性質というものは、何十年置いても少しも変らない。これは非常に大事な点であつて、是非政府日本の食糧事情から、経済を超越してやらなければならない。その経済問題まで余り我々は考えなくてもいいのじやないか。そういうところに政府が主力を置いて、食糧備蓄をやつてくれるんならば、これは今幾ら政府は差向き赤字が出るというようなことは別に国民として心配せんでもいいじやないか。政府の責任で、こんなものは備蓄のために、余つたときはどんどん貯蔵をしてもらいたい。こういう工合に私は考えるのでありまして、私のこの法案に賛成しておるゆえんはそこにあるのですが、政府或いは提案者において、そういう点も幾らか含みがあるのかどうか、その点を承わつておきたいと思う。
  109. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 北委員のおつしやる通り日本は食糧が足りなくて輸入しておる国でありますから、不時な場合に備えての食糧の備蓄というものは絶対に必要であると思つております。従つて先ほど河野委員からもお話がありましたが、赤字云々の問題は私は当然出ると思つております。これはまあ長官としてはそんなことはなかなか言い切れんと思いますが、私どもは気楽ですから、はつきり申上げますが、これは出ると思います。なお又澱粉を高度に利用しての人造米、強化米のごときもの、過日私衆議院の農林委員会では、試食会をやりましたけれども、二割、三割入れても殆んど苦になりませんので、あれは実際に安くなりまして広く使われるようになりますれば、食糧事情相当緩和できるのではないかという期待を持つております。こういつた方面にも新用途を開拓する意味で、この法案の中にも盛り込んでおりますが、そういう場合には農林大臣価格を安く払下げることができるというようにいたしております。こういつた新販路も開拓して行きたい、こういうふうに考えております。
  110. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) じや私から質問をお許し願いたいのですが、まあこの法律案で行きますと、食糧管理特別会計で買入をするわけでありますが、私は年来の主張として、食糧管理特別会計を百貨店にすることは反対だという意見を強く持つております。ところがまあ米は完全統制、これは買つたものは毎日売れて行くわけですが、これは予算的にも買入数量も売却数量計画が立つわけであります。ところが麦になると、これは間接統制で、幾ら売つて来るんだか、希望がなければ買わないということで、併しこり麦も買つておる。それから今度は飼糧需給安定法で餌も買つておる。それから甜菜糖も買つておる。今度はこの法案通りますると、今度は支持価格制度のものも買つて参る。あの主要食糧の需給調節、特に米の計画的な需給調節を本位とする特別会計が百貨店にすでになつておるのですが、更に百貨店の物資が加わることは、私はどうも趣旨としては適当でない、特に今、北さんのお話のように買つたものは相当手持をするという場合も起きて来て、食管会計の資金というものは、御承知のような短期の食糧証券を発行して、これで賄つておるんで、それが長期にものが寝るということになれば、これはまあ非常に食管会計の運営にですね、本来の運営に私は非常な支障さえ来たすということを心配するわけですが、まあ取りあえずは食管会計の間口を借りるということもやむを得んという感じもいたしますが、本来的には性格の違うものは別途の特別会計においてこれをやることがまあ正しいと、こう思いますが、これは提案者の御意見と特に食糧庁長官の明確なる答弁を要求したいと思います。
  111. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 委員長からのお尋ねでございますし、又かねてその道の専門家であられる委員長の御質問で、私ども提案者はたじたじでございますが、この法案の性格からすると、むしろ農業経済局あたりで扱うのが正しいように私どもも思つております。ただ当面ですね、ものを買上げる特別会計というのは、食糧管理特別会計以外にはございませんので、まあこれにやつてもらおうということで考えたのでございますが、併し食糧管理特別会計でですね、扱つて悪いという理屈はないように思いますので、ただ煩雑になり、本来の使命がうつかりするとおろそかになりはしないかという心配はございますが、この点は食糧庁長官がお引受け下さると思いますので、そういう心配はないように、万全を期してやつて頂けるものと確信をいたしております。
  112. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今委員長からの御質問は、大体問題といたしましては、買入費の関係におきまする食糧証券との問題が一つと、それからもう一つは、これを買入売却する場合の管理費の問題が一つと、もう一つは食糧特別会計におきまする損益の問題というふうな問題になるのではなかろうかと存ぜられるのでございます。で、買入費の問題につきましては、一応澱粉等におきましても、買入数量につきましては、買入費としまして糧券の発行の中に織込んでおるわけでございまして、「なたね」につきましては、予備費の支出によりましてこれを買入れるわけでございまするが、予備費も糧券の場合におき度して考慮されておるわけでございます。今後の買入数量或いは又売却の時期等の関係におきまして、糧券の発行限度或いは発行の点につきましては、勿論本体でございまする米麦の管理に差支えないようにやつて行きたいと考えておるわけでございます。管理費につきましては、農産物の管理費としまして、これは別個にいたしたいというふうに考えております。それから損益の問題につきましては、結局食糧等一般農産物につきまして、それから飼料、甜菜糖につきましては、損益内容を区分いたして、その関係を明確にいたしたいというふうに考えております。
  113. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ですからね、その細かい一応の説明はわかるのですが、食糧庁として本来の立場においてはですよ、こういうものをいろいろ抱き込むことは、積極的には余りどうも望ましくないというお考えかどうかの結論を一つ聞きたいと思うのです。
  114. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 管理の内容といたしまして、米麦と或いは飼料又は農産物と甜菜糖というものは管理の体形が違つております。従いまして管理の体形から申上げると、やはりこれは別個のものになるべきではなかろうかということが言い得るわけでございますが、各個の会計に区分いたしますると、その会計に要しまするそれぞれのコストと申しまするか、或いは組織というものが必要になつて参りまするので、国全体としての会計という点になりますると、その点は場合によりますると総合をするということが、却つてコストの面におきましては安く上るという点の利便もあろうかと思います。ただ農産物の問題なり、或いは飼料、甜菜糖の問題が、一つの恒久的な制度として確立いたしまする場合におきましては、当然管理体形の相違からいたしまして、分離すべきが筋合ではなかろうかと考えております。
  115. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それからもう一点、さつき河野委員からの御質問に若干関連するのですが、生産者団体自主的調整に応じまして、これは趣旨としては結構でありますが、そこでこの法律案にも政府資金斡旋等をいたすという規定がありますが、まあこの資金斡旋がどの程度のものであるか、もう少し伺いたいのですが、併し全販連等は現在相当の赤字を持つてつて、現在のあれで行きますれば、例えば中金の資金斡旋するぐらいで、大した効果が期待できないのではないかということも心配しておるのですが、そこでこれは提案者にお聞きをしたいのですが、できるだけ生産者団体自主的調整に期待する。それでもいかん場合に最後に農林省買入をする。こういう関連から見て参りまするとですね、これは法律改正を要すると思うのですが、食糧庁の食糧証券の発行等で調弁した資金生産者団体にこれを廻して、前渡しをして、それでできるだけ一つ生産者団体自主的調整をやらせる。そして若しこれが予定通り調整が成功しまなければ、これは食糧庁の融資の分は返済には支障がなくなるわけであります。仮にどうしてもいかん場合に、食糧庁に持つて来た場合においては、この買上代金と既往の融資とを相殺すれば、これは食糧庁には迷惑はかかつて来ないのであつて、まあそういうような構想を、にわかにはむずかしいという感じですが、そういうような構想を私はアメリカのシンシナティあたりでも若干それに類似した構想もあるやに聞いておるのですが、そういうお考えが全然ないが。或いは今後そういうようなこともお考えになりまするかどうかですね。特に提案者一つ意見を承わりたいと思うのですが。
  116. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 今のお話でございますが、私どももその点は考えまして、できるだけそういうふうな処置をとりたいと思いまして、実は大蔵省との折衝等におきましても、事前にいろいろ話合つて見たのです。特に食糧管理特別会計に基金を設けて、この基金を運用することによつて生産者団体の活動力を活撥にしたいということも、意見も私は出したのでありますが、今委員長からお話のありました通り、それでなくても間口が広くなつて、収拾が付かなくなつて来ておる食糧管理特別会計に、買つた売つただけではなくて、金も貸すというようなことになつて来ると、これはとてもしようがないという意見もありまして、まあ資金斡旋というような程度に今回はとどめたような次第でございます。
  117. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今提案者に補足いたしまして申上げますが、御承知のように現在米の供出の資金といたしまして、農林中金に前渡しをいたす場合があるわけでございます。これは時期的の関係がございまして、農林中金におきまする資金需要期と、資金が余る時期とそれぞれ違うわけでございますが、まあ「なたね」等につきましては、或る場合には資金の潤沢でない時期に遭遇する場合も予想されるわけでございますが、これにつきましては、農林中金に対する資金源の斡旋につきましては、従来も農手その他の関係におきましても、政府としては努力をいたしておるわけでございますが、この問題につきましても、その資金源の斡旋については、国庫予備金の預託その他いろいろな面で努力いたしたい。ただ、今委員長お話なつ方法につきましては、今後も十分一つ検討いたしたい。直ちにこれを何するということは、現在いろいろな面での、検討しなければならない問題があるやに考えられます。
  118. 河野謙三

    河野謙三君 これはもう今日は時間がありませんし、次回の農林委員会で懇談の機会一つ作りて頂いて、十分我々の疑義のあるところにつきまして打合せをして見たいと、こう思いますが、如何でございますか。
  119. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 承知いたしました。如何ですか、今の河野委員の、明日の委員会では懇談の機会を頂きまして、いろいろ御相談して、更に正式に移るということで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では、さよういたします。本日は他の問題がありまするが、次回以降に譲りまして、これで散会をいたします。    午後四時三十一分散会