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衆議院議員(
金子與重郎君) 今御
質問の点につきましては、小
委員会において
一つの作文的にまで作業した
各党の
試案というものは正式には出されておらないのであります。ただ何回も
会議をし、又話合
つている間に、大体において
幾つかの
考え方をしておるということは
想像が付くんであります。まだ
文書にしてはつきりとその点を出すという点にまで入
つておりませんので、お互いの党で今真剣にこの問題に対して研究しておる最中でありますので、まと
まつた
文書として出し
合つたということはないのであります。なお御
質問の、それならば大体
会議を幾度かや
つて見たら、その
考え方の空気はどうかというのでありますが、これは非常にまちまちでありまして、大体自由党のほうではそう画期的なことというよりか、今の
制度そのものに弥縫的なというか、比較的消極的な、悪いところだけをだんだんに
改革して行つたらというような
考え方も持
つておるように承わ
つておりますし、社会党の右派はよくわかりませんが、左派のほうの
考えは、今のような形では到底その
共済は
農業共済というものは持
つて行けない。そこでもつと
国家補償というふうな線を強くして、そうして
共済の姿は置きたい、置いてもいいのじやないかというような
考え方に、
個人的には常に私どもは話を受けておるのであります。私の党としての
考え方は、まだ党議としてはき
まつたわけではありませんが、大体この
農業災害補償法として、
一つの
強制の面と、
任意の
災害の面と二つありまするけれども、これは私
個人の今日まで
考えて参つた点でありますが、
作物共済というものが地域的に非常に
状態が違う。そうして
農業災害というものが比較的
災害の大きい
地帯に常に多い。又少い
地帯は平均少い。これは県を比べましても、郡を比べましても、町村を比べましても、そういうふうな
農業災害というものが地域的に非常に偏頗に来るということが、この
共済というか、
相互保険というか、そういう観点から言うと非常に
欠陥があるのじやないか。そういうものを当てはめるにふさわしくないという
一つの要素を、これは認なく
ちやならんのじやないか。それから
農業災害というものが、その
金額が非常に
尨大に上るためにこれをまるまる
政府で
補償しようとしても、これは
理想案であ
つて予算的に困難が来る。それならば、
生命保険や、
火災保険のように
掛金でやり得るかというと、それだけの
農家の負担というものは到底やり得ない。そうしていつも中途半端な
見舞金の
程度に終
つてしまうのじやないか。そしてその
見舞金程度のものを支給するのにあれだけの煩瑣の
事務と、あれだけ煩瑣の
機構を置きますというと、その
機構そのものを動かす
事務的なものにかかる費用というものは非常に多くなる。先ず機械で言えば、自分の
体そのものを操作するために必要な
エネルギーをたくさんに消耗してしまう。
従つて作業面に働く
エネルギーというものは非常に効率が悪くなるというのが、ここに大きな
欠陥として見出すのじやないか、それならいつそのことそんな金を
見舞金にくれた
つていいじやないか、いわゆる
国家補償の形にしてもいいのじやないか。そういうふうな
性格のものが、一方
作物共済の
状態であり、又一方に今の
家畜にいたしましたり、或いは家屋の
共済というものになりまするというと、これは全く性質は違
つておりまして、これは死んだ
家畜を生きているというふうに政治的な
解決もできませんし、それから
火災も、
損害見積りというものは、
作物損書の
見積りから見ると、遥かに公正に行われて来る。それから特殊な例は別といたしまして、大体において或る
地方は常に
火災にやられる、或る
地方は非常に
火災が少いということは、
農村地帯だけを比較して見ますと、
作物共済のように偏頗なものじやないというふうにして、これらのものは、いわゆる
共済というふうな
相互保険の形を自主的な
相互保険に対して若干の
国家援助をすれば、これは
保険として
共済として成立つのじやないか。その成立つものと成立たない、全く
国家補償の形のものと混同して
言つているところにも
相当の問題があるのじやないか。
従つて今の
共済のうち、
任意保険にな
つているものの
共済は、それほど大きな抜本的な問題としましても、これは技術的な
改正その他によ
つて或る
程度目的の線まで行けるのじやないかと思うが、
作物共済のほうは、これは
共済なり、
相互保険というような自主的な
性格の上に
国家が援助するという形では到底や
つて行かれない。むしろ
国家の、この
国家が
農業災害に対して
補償する。その
補償する
一つの方法として、一方
農民自体にはどういうふうな条件を付けるかというような
程度のものでいいのじやないか。これが大体、私の党におきますところの、この問題に対して
関心を持ち、勉強している
人たちのお
考えのように承わ
つておるわけであります。長くなりましたけれども、今当座の
衆議院におけるところの、
各党と申しますか、これに
関心を持
つておられる
人たちの
意見の大体のあらましを話せという御
意見がありましたので、以上申上げたわけであります。