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1953-07-14 第16回国会 参議院 農林委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            小林 亦治君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            戸叶  武君            鈴木  一君   衆議院議員    金子與重郎君   政府委員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○昭和二十八年四月及び五月における  凍霜害被害農家に対する資金の融  通に関する特別措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 只今から、本日の委員会を開きます。  先ず農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回の審議に鑑み、初めに衆議院修正趣旨について説明を聞くことにいたします。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 金子代議士の御都合を願いましたから、この機会に私からお伺いしたいのですが、衆議院から修正されたものが廻つて参りましたが、この修正というものは、ただこの修正だけ見ますと、私は非常に不合理だと思います。ただこの陰に何らか共済の抜本的な改正というようなものを意図してこの修正を出したということなら、そこに我々も意味があるように思いますが、その間の経緯が不明確でありましたので、特に御多忙中、御出席頂いたわけでありますが、修正に至るまでの経過並びに修正趣旨等について、この機会に率直に御説明頂きたいと思います。
  4. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今河野委員質問でございますが、共済団体監督適正化というような重要な問題を殊更修正いたしまして、これを除外したということは、お話通り非常な矛盾があるのでございますが、この点につきましては、この法案、この字句に書きました今度提出なつ法律案そのもの以外に、農災法、それに対する今までの経緯があり、又今後の行き方というものを勘案してやつたものでありますので、少しく長くなると思いますけれども、衆議院のこの法律に対する今までの経緯と、今後の行き方というものが、今度の修正考え方の基礎になつております関係上、その点を申上げたいと思うのであります。  御承知通り災害補償法五カ年の過去を振り返つて見まして、国費を、相当農業関係の支出としては纏まつ金額をこの法律のために支出しておりますし、又全農家相当賦課金を課せられておる。而もこの補償法考え方というか、農業災害というものを補償するということの重要性というものも、又誰もが認めておるところであります。こういうような状態におりながら、なぜ農民がこの法律の施行に当つて強制であるが故に辛うじて続いておるというように、実際上は末端の農家には全国的に非常な非難とか、不平が多いというのは、どこかに欠陥があるのじやないかということが問題になりまして、ここ二カ年ばかりの衆議院会議におきましては、いつもこれが問題になつて参つたわけであります。そこで前国会におきましても、災害補償法に対しては、もう一遍抜本的な考え方をする必要があるということで実は審議未了になりました。たまたま今国会に至りまして、凍霜害が春ありました関係上、その凍霜害のときの農業災害補償法改正というものは、現に本年度出しましたところの、政府から出したところの農業災害補償法の一部改正をすれば事足りるのでありますけれども、併しながら従前からそういうふうにして抜本的な検討をする必要があるということを申合せになつておりました関係上、凍霜害に関する分だけを抜きまして、臨時措置として御承知のように審議し、通過いたしたのでございます。ところがこの農業災害補償法も、当時今年の劈頭に政府から提案された法律でありますが、この法律の中で臨時措置として取上げた分は、これはもう解決済でありますのですが、残された米の掛金率改訂の問題は、もうすでに掛金の決定をしなければならん契約時期になつておりますしいたしますので、これを見送ることは、現実には農村に不利だという見解から、又この点だけを、残された中からこれだけを取上げまして、この際、法律改正して置こう。そこで先ほどお話に戻るのでありますが、監督適正化だとか、共済団体役員責任明朗化ということは、当然これは本質的な問題を掘り下げて行くときに出て来る問題だ。だからしてこの問題は一応抜いてかかろう。一方これと別にこの国会の初期におきまして、農林委員会といたしましては農業災害補償法に関する専門の小委員会を設けまして、そうして農業災害補償法のほうの改正に対しては毎年のように改正をやつておるのじやないか、そういうことをいつまで続けても、抜本的のものの考え方をせないと解決が付かない。そこで小委員会でせいぜい勉強いたしまして、できるだけ早い機会に、今までの欠陥がどこにあるかということを掘下げて、同時にそれをどうすれば改革できるかということによつて結論を得たいというので、只今懸命にやつております。従つて農業災害補償法に関するところの改正法律は、すべてその小委員会を濾過いたしまして行こうという申合せでやつておるわけであります。若し今国会中に小委員会結論が出ない場合は、継続審議になつてもこれを続けよう、そういうことで、今衆議院では農業災害補償法に対して真剣に勉強をいたしておるようなわけであります。そこで繰返して申上げることになりますが、今度の災害補償法改正は、春の凍霜害によつて解決した部分を一応除くということと、それを除いて原案を作りまして、それに対して基本的な問題であるところの共済団体監督その他のようなものは、これを抜いて、差当り必要な稲の、米の問題だけを取上げて、そうして一方においては小委員会を設けて、共済その他農業災害補償法全般に対して抜本的な掘下げをしよう。こういう段階になつておるわけであります。従つてこれの改正の点だけを見ますると、非常に不合理な修正のように見えますが、これに対して附帯決議を付けまして、農林委員会といたしましては、この農業災害補償法に対して抜本的な改革をしたい。従つて政府もそのつもりになつて、成るべく早い機会に、今までのいろいろな欠陥を指摘し、それを解決するように努めてほしいというような意味附帯決議も付けておるようなわけであります。どうぞ御了承を願います。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 よくわかりましたが、ただこの小委員会を設けて目下検討中であると、私はこれは少くとも小委員会を設けて具体案作つて、今国会中に何らかの抜本的な改正法案委員会に出すという見通しがなければ、私はおかしいと思うのです。これが今継続審議というような話がありましたが、継続審議にするとか、次の国会まで殊によるとかかるかも知らんということでは私はおかしいと思うのですよ。そこで今小委員会検討されて何とか早案でもいいのですが、具体的な案が幾らかできておるのですか、それとも構想だけでもございますか。実はこれは私言い過ぎかも知れませんけれども、本委員会におきましても、大方の委員のかたは、衆議院と同様に現在の災害補償法については非常に欠陥が多いと、抜本的に改革しなきやいかんという意向は、やはり衆議院と同様に私は皆さんお持ちになつておると思う。従つて衆議院の小委員会のほうで具体的に何か案があるならば、この機会個人の立場でも結構ですから、お話願うか、さもなければ、今後の衆議院の小委員会に我々のほうが合流して、一つこの農業共済の抜本的な改正についての検討機会を作るというようなことも私は考えられるのじやないかと思うのですが、これらの点について一つ意見を伺いたいと思います。
  6. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 最前申上げたような事情で三、四回の小委員会を開きまして、抜本的な検討をいたす計画で進めましたところ、そういうような事情がありますので、たまたま今国会に提案されておりますところの家畜保険家畜共済法律案等も出ておりますし、それからその他これは正式に提案されてはありませんけれども、相談として、建物の共済連合会の問題、それから協同組合共済の問題というふうなものが話題として出ております関係上、本問題に入る前に差当りのここにかかつておる法律を小委員会で取上げなくちやならん状態にありますので、皆気持の上には、そうした委員会において抜本的なものの検討をするつもりでかかつておりまするけれども、今の段階では、差当りのかかつておる法律を濾過するために、毎日その問題で根本問題まで入れないというのが、率直に言つて今の状態でございます。従つて只今河野委員お話のように、小委員会でこれをやりましても、恐らくこれは今国会結論が出にくいんじやないかという私の個人の予想をしております。で、これは今小委員会といたしましては、抜本的なものにつきましては、各党の、或いは各委員個人的に持つ構想というものを練つておいてくれ、そうしてそれを出し合うて相談するよりほかないだろうというようなことを、これは委員同士申合せをいたしておるようなわけであります。従つて抜本的なものをやるべき小委員会でありまするけれども、一切のこれに関連した法律は、そこを濾過するという申合せをいたしておるものでありますから、現在かかつておるような審議にひまどつてつて、まだそこまで入つておらないというふうな実情でございます。従つてあなたの先ほどお話のように、これは単なる小委員会というか、むしろもつと基本的な大きな力を持つ構想の組織でも持たないと、この問題は容易に解決できないのじやないかというのが私の個人的に感じておる点であります。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 小委員会各党なり、又各個人でも結構ですが、幾つかの何か改正案が出ておりますか。例えば金子試案であるとか、足鹿試案であるとか、平野試案であるとか、そういうものがありましたら、我々に一つ参考に見せて頂きたい。これは少くとも我々は、小委員会行つて農業共済の根本的な改正を企図されるということは賛成でありますが、その時期等は、少くとも今国会法律案として出すには間に合わない。本国会で少くとも何らかの代案をまとめてもらうというようなことで、一つ私は行つて頂きたいと、こう思いますが、それらについて、第一にお願いしました、何か金子試案、その他何かありましたら参考に見せてもらいたいと思う。それからそれらのものによつて、少くとも今国会中に、案だけでも一つしてもらいたいというふうに思いますが、それらの私の希望に対しては、どういうふうな解釈を持つておられますか。
  8. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 今御質問の点につきましては、小委員会において一つの作文的にまで作業した各党試案というものは正式には出されておらないのであります。ただ何回も会議をし、又話合つている間に、大体において幾つかの考え方をしておるということは想像が付くんであります。まだ文書にしてはつきりとその点を出すという点にまで入つておりませんので、お互いの党で今真剣にこの問題に対して研究しておる最中でありますので、まとまつ文書として出し合つたということはないのであります。なお御質問の、それならば大体会議を幾度かやつて見たら、その考え方の空気はどうかというのでありますが、これは非常にまちまちでありまして、大体自由党のほうではそう画期的なことというよりか、今の制度そのものに弥縫的なというか、比較的消極的な、悪いところだけをだんだんに改革して行つたらというような考え方も持つておるように承わつておりますし、社会党の右派はよくわかりませんが、左派のほうの考えは、今のような形では到底その共済農業共済というものは持つて行けない。そこでもつと国家補償というふうな線を強くして、そうして共済の姿は置きたい、置いてもいいのじやないかというような考え方に、個人的には常に私どもは話を受けておるのであります。私の党としての考え方は、まだ党議としてはきまつたわけではありませんが、大体この農業災害補償法として、一つ強制の面と、任意災害の面と二つありまするけれども、これは私個人の今日まで考えて参つた点でありますが、作物共済というものが地域的に非常に状態が違う。そうして農業災害というものが比較的災害の大きい地帯に常に多い。又少い地帯は平均少い。これは県を比べましても、郡を比べましても、町村を比べましても、そういうふうな農業災害というものが地域的に非常に偏頗に来るということが、この共済というか、相互保険というか、そういう観点から言うと非常に欠陥があるのじやないか。そういうものを当てはめるにふさわしくないという一つの要素を、これは認なくちやならんのじやないか。それから農業災害というものが、その金額が非常に尨大に上るためにこれをまるまる政府補償しようとしても、これは理想案であつて予算的に困難が来る。それならば、生命保険や、火災保険のように掛金でやり得るかというと、それだけの農家の負担というものは到底やり得ない。そうしていつも中途半端な見舞金程度に終つてしまうのじやないか。そしてその見舞金程度のものを支給するのにあれだけの煩瑣の事務と、あれだけ煩瑣の機構を置きますというと、その機構そのものを動かす事務的なものにかかる費用というものは非常に多くなる。先ず機械で言えば、自分の体そのものを操作するために必要なエネルギーをたくさんに消耗してしまう。従つて作業面に働くエネルギーというものは非常に効率が悪くなるというのが、ここに大きな欠陥として見出すのじやないか、それならいつそのことそんな金を見舞金にくれたつていいじやないか、いわゆる国家補償の形にしてもいいのじやないか。そういうふうな性格のものが、一方作物共済状態であり、又一方に今の家畜にいたしましたり、或いは家屋の共済というものになりまするというと、これは全く性質は違つておりまして、これは死んだ家畜を生きているというふうに政治的な解決もできませんし、それから火災も、損害見積りというものは、作物損書見積りから見ると、遥かに公正に行われて来る。それから特殊な例は別といたしまして、大体において或る地方は常に火災にやられる、或る地方は非常に火災が少いということは、農村地帯だけを比較して見ますと、作物共済のように偏頗なものじやないというふうにして、これらのものは、いわゆる共済というふうな相互保険の形を自主的な相互保険に対して若干の国家援助をすれば、これは保険として共済として成立つのじやないか。その成立つものと成立たない、全く国家補償の形のものと混同して言つているところにも相当の問題があるのじやないか。従つて今の共済のうち、任意保険になつているものの共済は、それほど大きな抜本的な問題としましても、これは技術的な改正その他によつて或る程度目的の線まで行けるのじやないかと思うが、作物共済のほうは、これは共済なり、相互保険というような自主的な性格の上に国家が援助するという形では到底やつて行かれない。むしろ国家の、この国家農業災害に対して補償する。その補償する一つの方法として、一方農民自体にはどういうふうな条件を付けるかというような程度のものでいいのじやないか。これが大体、私の党におきますところの、この問題に対して関心を持ち、勉強している人たちのお考えのように承わつておるわけであります。長くなりましたけれども、今当座の衆議院におけるところの、各党と申しますか、これに関心を持つておられる人たち意見の大体のあらましを話せという御意見がありましたので、以上申上げたわけであります。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなたがたのほうで衆議院附帯決議が付いて廻つて来ておりますが、それによりますと、よつて委員会政府が諸般の事情を率直に認識し、可及的速かに制度抜本的根本的改廃措置を講ずることの必要を認めるべきものであるとして、政府に何かやれというふうな考え方ですか。それと今のあなたの小委員会との問合せはどういうふうになつておりますか。
  10. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 小委員会といたしましては、先ほど申上げたように、この農業災害補償法はどこかに根本的な出直しをしなければならないような欠陥があるのではないか。そこで去年以来、この問題に対してそういうふうな考え方で参りましたことは先ほど申上げた程度でありますが、そこで政府自体がそういうことを考えずに非常に末梢的な個々欠陥があるから、こうも直したらいいというふうな末梢的なものだけに心を入れておりまして、基本的なものを考えないでは困る。衆議院もやるのだから政府もそのつもりになつて欲しいと、こういう意味がそこに附帯決議として出ておるわけであります。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで政府のほうに伺いますが、この附帯決議に対しましては、只今申しました共済組合の根本的の改正という問題のほかに、いろいろまだ附帯決議が附されておりますが、この附帯決議自身に対して、政府としてはこの附帯決議を実行する大体御意思がありますかどうか。
  12. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お尋ねでございますが、勿論附帯決議の御趣旨をできるだけ実行するという考え方をいたしております。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、具体化するためには何らかの準備行動が必要となりますが、それらに対する一応の考え方附帯決議に対してまとまつておりますか。
  14. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 附帯決議趣旨によりまして災害補償制度改正するということになりまするというと、先ほど金子委員から御説明がございましたように、問題が非常にむづかしく、又多岐に亘つておりまして、個々の問題につきまして、只今どうする、或いはどうしたらいいということは、個々の問題についての結論は出ておらないのであります。衆議院農林委員会の小委員会におかれまして、そうした問題につきましての方向を与えられますならば、そういう方向を篤と尊重いたしまして実現に努力いたしたい、なお内容でなくて、先ほど金子委員からも話がありましたように、小委員会が当面の問題にも忙殺されておられまして、根本問題は場合によつては本国会の会期中に結論を出すに至らないといつたようなことも想像ができるわけでございまするが、そうした場合には議会の御意思も尊重いたしまして、休会後でありましても、若し小委員会が開かれなければ、それに代るような事実上の措置等行政府としては考えまして、いろいろ御意見を承わりつつ、具体的の方策を立てて参りたいと、かように考えております。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 そこで私は政府に伺いたいのですが、衆議院農林委員会が意図しておるように、現行の農業共済についてはこの段階まで来れば抜本的に何かの改正をしなければならん。こういうふうな衆議院農林委員会のこの農業共済制度に対する批判と同様に、政府自体もこの段階においては抜本的に改正をしなければいかんということは、これは同様にお認めになつておりますか。
  16. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お言葉をその通り解釈しております。解釈と申しまするか、抜本的に改訂を加える必要があるということは、議会と同様に我々も認めておると申しまするか、考えておる次第であります。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと。立法府立法府として当然これは抜本的な方途を講じなければなりませんが、行政府におかれましても、そういうふうな認識の下に立つておられる以上は、すでに抜本的改正についての準備にかかつておられると言いますが、何かそれについて具体的に法案ができないまでも、抜本的改正方向、素案、こういうものにつきまして、政府みずからの責任において一切を賄うというように考えられる。又社会保障制度の一環としてこれは出直すのだというようなことであるか、そういう大きな一つ大掴みなお考えをお漏らし頂ければ大変結構だと思います。
  18. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 先ほどもちよつと申上げましたように、問題が複雑であり、且つ分けて考えて見まするというと、問題も多岐に亘りまするので、その問題につきまして、どういう方向解決するという、まだ方向は実は見出しておらないのであります。先ほど金子委員からお話がございましたように、個々議員のかた、或いは役所におきましても、個々の役人といたしましては、一応の考え方は持つておる向きもございまするが、それらの考え方を総合いたしまして、輿論と申しまするか、皆さん国会におかれまするこの御議論の大体の向うところをまだ実は握りかねておりますので、ここで申上げる段階に実は至つておりません。ただ若し漠然ということでお許しを願えますならば、さようなことが根本的な問題で、解決方向じやないかと存じておりまするのは、一つはこの個々作物でなくて、もう少し農家農業による所得というものを全体について補償をするという方向、こういうことが考えられるべきじやないかということが一つ方向であろうと思うのであります。もう一つは、今お話のような災害補償と申しましても、その対象である被害というものを如何に把握するかという問題から考えまして、個個の質、個々農家ということでいいのかどうか、もう少し団体引受といつだような考え方がとれないかどうか。そうしますと、損害評価も適正に行き、又団体の内部におきましては、自主的な運営もでき、中の段階におきましては国の補償も十分に入れる。こういつた狙い方が或いは可能ではないかということを考えておりますけれども、これもまだ確信を持つた方向ではございません。一、二思いつきまする方向を申上げまするというと、そういうことが考えられなければならんのではないかと、かように考えております。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 さすがに非常によく勉強されておる経済局長考え方方向というものは我々賛成するのでありますが、そこで今国会には、今のお話では政府として成案を得て臨むということにはならんと思いますが、少くとも政府議員提案がそれまでにない場合には、政府として来たるべき次の国会には出せるというふうに思うのですが、その点の見通しは如何でございますか。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 制度改革が根本的でありますればありまするほど(これは時日を要する問題ではないかというふうに一応考えられるのであります。そう申しましても、併し全面的な或いは根本的な改革でありましても、二十九年度から適用できる部分は恐らくあるだろうというふうに考えております。従いまして全面的に二十九年度からできるということは、根本的な解決がどういう方向で、どういう範囲に及ぶかということがわかりません限り申上げかねるのでありまするけれども、そういう方向がきまりますれば、少くとも二十九年度から適用できる部分もあるだろうというふうに考えております。
  21. 戸叶武

    戸叶武君 金子代議士に御質問申上げます。農業共済強制加入性格を持つている面において、これと監督は不可分の関係にあると思うのですが、今お聞きしたところによると、抜本的な改革案というものは今議会提出できないというにもかかわらず、監督条項を削除したというのはどういうところに理由があるのか、御説明を願いたいのでありまして、勿論我々が農業共済制度抜本的改革と言いましても、社会保障制度発展のプロセスといたしまして、一朝一夕に完成されたものは出て来ないと思うのですが、今の農業共済制度欠陥のみを追及するということは当事者に対して非常に制度上の欠陥があるので、お気の毒な点はあるのでありまするが、私の県の六、七カ村を中心として実態調査をした限りにおいては、農業共済制度の根本的危機だと思うのです。農民は憎悪しております。全くこの制度は政党やら、ボスの食い物になつて農民のためにという名前で農民のために一つもなつていない。而も不完全な農業共済制度の現象面から将来の社会保障制度の発展の上において僕は一大障害を来たすと思うのです。いま私は徒らに犯罪人を出せというのではないけれども、各所において農業共済の実態をあばいたならば犯罪事故ばかりです。共済会館の設立でも結局経費の捻出方式がないので、百万円くらいで建たる建物は大抵二百万円なり、三百万円の建物になつております。その他これは例を挙げれば際限がありません。そういう形において今の共済制度の如何なる点に欠陥があるかという、少くとも農林省なり何なりは今までに実態調査をやつておくべきが本当であつて、又農林省なり、何なりが十分監督をも行わず、而も一部修正抜本的改革と、やはり今の一部修正というものに対して暫定的措置とは言いながら、その監督条項を削るなどということは、農民はそれ見たことか、膿が出て来るので、メスが入れられたら大変だから、その条項を削つて頬かむりして何か新らしいものを作ろうとしているのじやないかという疑惑を私は十分に持つと思います。これは実際農林省がやらなければ、何ちかの機関においてでも、今のあるがままの農業共済制度の実態を私は率直に分析して、如何なる点に欠陥があるか、臨床的な処置を通じて初めて次の農業共済制度をかくのごとく作り上げなければならんという回答が出て来るのだと思うのでありまして、その監督条項を除くからには、これに代るべきところの監察なり或いは調査なり如何なる方法でやつて、この農民の疑惑に答えんとするか、そういう点に対する衆議院側の御意見を承わりたいと思います。
  22. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の御意見全く同感でありまして、この点は今の共済のあり方を見たときに、果して会計経理という現業事務の面からも非常に好ましくない問題が出ておるんじやないか。それなのに、たとえ端的な時期といえども監督規定をとるというようなことは非常に不合理だという点につきましては、全くそういうふうな見解をとられることも御尤もだと存じておるのであります。ただそこで、これは只今お話になりましたその点を実は衆議院ではもつと強く感じているわけであります。と言いますのは、これは率直に申上げますが、今まで農民国家の予算を多く支出している割合に一番喜ばないのが共済なんであります。国会をめぐる中央へ来て一番政治力の強い、何というか、でんと力のあるのが共済なんであります。そうすると、非常に問題が食い違いが多い。そうして共済というものが一つの政治力と言いましようか、何と言うか、わからんが、力の上に立つてほかの農業団体よりもむしろ強いような立場に立つて、そうして事務屋がこつこつとしててにおは的な改正を積み上げている。同時に予算も積上げて行く、併しながら依然として改革されていない、こういう実態でありますので、この監督規定そのものをとつたということにつきましては、今のお話のようなことがあるのでありますが、こうしてこれはこういう監督がしてあるから大丈夫でございます。これをこういうふうにしたから、先の法律よりもう一歩よくなつたのでありますと、こういうふうに積上げることを今日まで散々やつて来た。併し依然として解決できない、そんならばいつそのこともう小さなてにをは的な言い逃れができるような改革をむしろせぬほうがいいじやないか、あなたのお話がもつともつと強く衆議院農林委員会では反映しておるために、こういうふうな結果が生れたのでありまして、むしろそれは衆議院のほうがどうせもう少しぐらいのあれしても駄目だと、こういうつもりから出たのであります。
  23. 戸叶武

    戸叶武君 やつぱりこの立法府としての私は見識だと思うのです。少くとも監督に対してはおのずから責任があるのです。今まで青森県なり大分県なり、表面に警察問題を起して来た問題に対してだけ農林省当局から報告がありましたけれども、天下挙げて農業共済に対して非難ごうごうたるとき、而も監督の任にあるべきものがその監督を十分にしなかつたという責任を免れることはできません。なぜその責任に対する追及をゆるがせにしておるのです。私は共済組合当事者の犯罪者を作ろうとするのではない。かくのごとく責任の所在を明らかにしない怠慢な官僚機構というものに対して厳重な監督をするのが立法府としての役割じやないか、こういうものを法律の上に条項を幾ら書いてあつても、実質的にできないからこんな条項を排除しようというのであつては、立法に対する権威というものは全くないがしろに私はされてしまうと思うのでありまして、飽くまでもその条項は残しておいて、その緩急の度合はするにしても、少くとも農林省なり何なりを鞭撻し、農林省でできないならば、他の組織なり機構なりによつて、その監察なり、監督なり、調査なりをして行かなけりや、本当に如何なる法律作つてもその法律というものは反古に等しいものになるのではないかと思うのでありまして、その点は非常に専門家と御苦労人が揃つている衆議院のことでありますから、何かはかに良案を持つて臨まれていると思うのでありますが、その良案を示して頂きたい。
  24. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) その只今の御意見は正しい意見でありまして、そしてこれだけの厖大な金額を一部は農民の負担において、一部は国家の貴重な財源というものを使つておりますので、これが監督の適正であるとか、或いは団体のその責任者の責任の問題というようなことは最も重要なことであり、これは当然強化しなければならないということはお説の通りだと思います。ただこの衆議院のほうにおきまして、これを削ることになりましたのは、この前に実は申合せがありまして、災害補償法に関する法律については一切もう基本的な考え方が出るか、或いは政府からそういうふうな考え方が出るまで末梢的な法律改正は一応打止めて、そうして行かなければ、いつになつても、もう三年越しになつたけれども、この問題に対して少しも出て来ない。それを焦るためにこういうふうな、あなたのおつしやるような当然やらなくちやならんことまで抜いて置くということは、このまま放つてはおけないということも前提として行こうじやないか、要するにこういうふうな、当然やるべきこともやらないで置くということは、そこに抜け穴も承知であるけれども、もつと一日も早く基本的なものの考え方をするためには、弥縫的な一つのものは、只今のあなたの正しい正面からのお話で行けば御尤もでありますけれども、そういうものを一つ一つに合理化したということは、却つて政府から言い逃れと、それから本質的な掘下げというものを時間的に遅らしてしまうというようなことが、委員の中に非常に強く出まして、そうしてそれでは飽くまで今年度の米の問題という差しかかつた問題以外は一切小委員会考え方を濾過してからものにしようというような考え方で進んで来たわけであります。
  25. 戸叶武

    戸叶武君 このことを削除、前からなかつたなら別ですけれども、あるものを削除しているというところに私は疑惑を生じさせるし、それから今あつてもやらないのだからという形でなくそれさえ生かしておけば、やはりそこが発火点となつて、いつでも追及し得るこの突撃路がそこに開かれているわけです。それがなければ、このふやけたところの農業共済制度というものの引締め方は私はできないと思うのです。どうしてもその削除に対しては私たちは反対です。
  26. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今金子さんからのお話の中に、農業共済組合の政治力が上のほうが強いという御答弁がありましたが、それがどういう意味か私にはよくわかりませんが、その具体的な内容につきましても御説明願いたいと思います。
  27. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この政治力というのはボス的なことを言つたのでも何でもなく、例えばほかの諸団体なり、ほかの政策がいろいろの農業政策がありますが、それが誰もがどの団体なりどの政策もが、伸びようというのが一つの政治力でございますが、それに対して比較的順調に伸びているのが、この制度であります。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 若し参議院で、あなたがたの折角修正せられた監督権の問題ですが、もう必要と認めた場合には率直に衆議院のほうとしては、非常に軽くといつておられるようでありますが、そう感情的な対立や、或いは理論的の対立なくお受入れして頂けるかどうか。
  29. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) それは非常に至難な質問でございまして、私個人としてそれを受けるかどうかということにはわかりませんが、ただ、それはこういうことで御想像願えればいいと思います。衆議院監督規定が必要でないからとつたのではないということは、只今から長々しく御説明した点でおわかりだと思います。むしろ必要過ぎる、だけれども、なまじつかのものに監督規定で又言い逃れをするのじや、これはどうにもならんというのが率直な感情であります。従つてその考え方に対しては、只今いろいろ皆さんから御意見がありましたようなこと、それは御尤なことだと、私存じております。併しながら衆議院がどうしてそれを削つたというのは、その意味も又皆さんに御了解願えたと思います。そのことが必要でないというものは一人もないのでございます。そういうふうな経緯と、そういうふうな将来の小委員会作つて、こうしようというその過程においてこの法案が出ましたために、こういう結論なつたのでございます。その程度において一つ皆様方の御意見によつて適当におきめ願いたいと思います。
  30. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今金子さんの御説明を聞いておりまするというと、非常に監督規定を取除いたことについての裏の裏のお話があつたわけであります。この問題は、いやしくもこの法律を提案するに当りましての理由といたしまして、監督をすることに重きを置いておつたということは間違いないのであります。従いまして、この点はそれが悪いかいいかという問題につきましては、私はこの監督権を強化することは、現在の共済に対しまする農民考え方といたしまして、これを監督するということによりまして、農民の負担、又国家農民の負担を軽減せんとしてこの法律を作り、又たくさん補助や助成をしておるのだ、従いまして農民をすべてのものとして考えた場合におきましては、これは農民のためにその共済団体に対しまする監督を十分にするということは、少くとも農民のためにするこの共済法の趣旨に合致するものと考えるわけでありまするから、この点につきましては、恐らく衆議院のほうでもこの監督のこの法文よりもつと強化したる監督にしておくということについては御異存はないと私は固く信ずるものでありまするが、この点は若し参議院のほうでこの監督権を、監督の条項を或いは原案以上にした場合におきまして、衆議院のほうではこれを承認して頂けるかどうかという問題につきまして、先ほどから回答はちよつとできないようなお話がありまするけれども、これは目的は大いに監督すべきだという御趣旨から行きますれば、これはできないとは私は考えられない。又只今までの答弁において、そういうことはできないということは決して言えないと思うのであります。従いまして、それはそうなれば考えようという程度までは御回答ができると思いますが、この点は如何でございますか。
  31. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 今日は提案者の一人として参つておりますので、私がそれは考えよう、それは引受けようというような潜越なことを私は申上げるわけには参りませんのでありまするが、衆議院は端的なこの監督なり或いは役員の責任をもつと強化するということが必要でないというものは一人もありませんし、又むしろ去年の青森事件初め、或いは各地における問題が山積して問題になつておるわけであります。その山積して問題になつておるにもかかわらず、どうしてこういう監督規定を抜くかということは、もうこの程度じや仕方がないじやないか、早く小委員会作つて基本的なものの考え方をする一つの時期が来ているんじやないだろうか、それには末梢的なことをやりますと、却つて先ほど申上げたように、こういうことになつておりますから差支えありません、ああいうことになつておりますから差支えありませんというふうな問題が起るときに、却つて弥縫的というものが将来の改革の上に邪魔にこそなれ、大した役に立たんのじやないだろうかというような意見も一応出たために、ですからむしろこれはいきさつによつて法律をそうするということは別に感情的でも何でもなしに、一方においてすぐこれをやろう、それにはもう細かいことはどうでもいい、差当り米の問題だけ解決を付けておければいいじやないかというようなことが今日まで入つたのでありますので、只今皆さんから御質問がありましたが、繰返して申上げますが、衆議院共済のこのやり方に対して監督をする必要はないとか、或いはそれは緩めてもいいとかいうことは絶対に考えておりません。それだけは私は申上げられると思います。
  32. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 今のお話で大体わかつたようでありまするが、私にはまだわからないところがある。この法案に対しまして、衆議院は米の問題が差当り一番急の問題であるから、そのために、というお話であり、又小委員会を設けていろいろ研究されると、抜本的な問題を解決するために委員会を開いておるということでありまするが、これは考えようによりましては、小委員会作つておいてこの問題をはずしたとも考えられると思うのであります。小委員会がどこまでやるかということは、どの程度まで抜本的な案を作るかということは、決して御信頼申上げないわけではありませんけれども、どうも衆議院方面におきましては、この共済問題をめぐりまして政治的に相当強く働いておる点がないとは言えないと私は思う。これそはういつた方面のかたがたが農林委員の中に相当ありまして、この問題をいろいろと研究されて、而もその問題について今の監督条項を抹消した点におきましては相当政治的の問題があるのではなかろうかと私は考えるのです。従いまして、こういう問題に対しては却つてそうなさらないほうが、監督を十分するような規定にしておくことが、やはり政治方面の変な進出をさせないために必要ではなかろうかと私は公正に考えるのであります。その点は一つ我々のほうといたしましては、皆さん意見もありましようが、十分研究しまして、お互いに話合いまして、この法案を一時も早く成立きせることは我々議員としましてもその責任があるのでありますからして、この問題は速かにそれを可決したいと考えておるわけでありまするけれども、その点をお互いに話合いまして、はつきりして頂かないというと、今のような御答弁で行きますというと、いつまでたつてもこの問題は解決しないように考えるのです。その点は一つ意見を申上げましたが、十分御了承を願いまして、お互いに話合いまして、我々のほうの意見も大いに取入れて頂きまして、衆議院のほうでも考えて頂きたいと思います。
  33. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今お話よくわかりました。それで衆議院のほうは何か共済のほうの政治力の相当強いものが入つているじやないかというようなお話でありましたが、その点はちよつと逆なんでありまして、共済の現行制度を推進して行こうというような意向のかたがたはその罰則を置こうというほうなんでありまして、根本的に解決しようという人のほうがそういうような末梢的なことを今言つていると、それはもうどうにもならなくなる、だからこの際差当りの問題以外は暫らくおいて、そして恐らくこれを修正したかたがたの御意見、主張するかたがたの御意見というものは、この監督規定に対してはもつと強いものにするという御意見の人がこれを削るほうの大体意見であると考えます。
  34. 戸叶武

    戸叶武君 問題はこの機関がやはり問題だと思うのです。今金子さんが言われたので大体了解できますけれども、森田さんが突かれたように、結局理想論と現実論というものが変な形でここにおいて妥協が成立しておるのでありますが、一般農民はやはり納得しないと思うのであります。何が故にこれを削除したか、これは怪しい。今でも共済組合というものはふしだらなのに、又今やつている連中は監督という名前を伏せて付けて、頬かむりをして今まで通り行こうという考え方は確かに強いのも事実である。少くともその条項が入つておる限りにおいては農民の自覚は今日の水準に達して、共済組合の累積されたところの罪悪、欠陥というものは皆農民が握つておるのですから、私は問題の発火点は必らず出て来ると思う。やはりこれと並行してでなければ、この改革はできません。然るに一番大切なときにおいてそのことを消してしまうということは、全く農民共済組合に対する積極的な批判というものを阻止したことになつて、その法案を作成した人たちの意図は何であろうと反動的な役割をしたという糾弾を受けざるを得ないと思う。そういう点から行きまして、やはり森田さんの言われた程度の含みで以て問題を解決したほうが、やはり国民の疑惑を避けるためにはいいのじやないかと、こう思つております。
  35. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  36. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 速記を始めて。
  37. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は監督規定ということは是非ともなければならんと考えておる一人でありますが、町村の組合と連合会の組合というものは、それぞれの方針でありますから、連合会には監督指導するというような規定も何もありません。従いまして結局いろいろ問題を起し、且つ又これが監督をしなければならんという結果は各方面にあるわけであります。従いまして監督規定は当然でありまするが、この第三十二条の規定には法令に基いてする行政庁の処分、定款及び総会の議決を遵守しなければならん、これは当然でありますが、その次に役員がその組合に対し連帯して損害賠償の責任を負わなければならんというようなことになりますると、これは農村において、現在のような共済組合にしても、協同組合の役員にしましても、殆んど給与ベースというようなものは全然考えられないような実情にあつて、その重大なる賠償責任だけを負わせるというような監督規定というものは到底農村における農村指導者の責任においてなすことのできない問題だと私は考えております。その意味において、これは協同組合の監督規定にもかようなものがあるのか、先ず第一にそれを経済局長にお尋ねしたい。それからこれは協同組合の監督規定にそれがあるかどうか。それから承わると今回の衆議院におけるいろいろな問題は、いろいろ私も情報を聞いておりまするけれども、共済についての何か政治的な動きがかなり動いておるということも聞いておる。かようなことで本当に農村の指導は私はできないと思う。私は今日の農業共済組合の改善というものは何というても社会保障制度まで持上げ、そうして十分に農民の負担の軽減を図つて行く、そうして今回のような災害があつたときには十分なる農家に生活又は営農資金をやつて、再建できるような方策をしてやつてこそ初めて食糧事情の逼迫しておる日本の食糧生産に寄与することができると思う。こういう意味から見ましても、これを政争の具に、或いは官僚的な政治的な考え方から私は批判的にやつて頂かないように私は要望するものでありまするが、衆議院におきまするいろいろな動きというふうないわゆる政治的な動きがあつたかということ。勿論これはあつたというような御回答は得られまいと思いますけれども、少くとも虚心坦懐に日本農民のために一つ是正してもらいたい。なお農家負担の軽減ということを念願として共済事業というものを眺めて見た場合には、必ずそこには当然善処せねばならんところの枠ができると私は考えるのであります。どうか経済局長と、それから後の分につきましては金子委員に御意見を伺いたいと思います。
  38. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 役員の責任乃至役員に対する監督の問願につきましては、今国会に協同組合法の一部改正法案提出してございますが、それがこの共済の規定とほぼ同様の改正規定がございまして、それによつて審議を願うことに相成つておるのであります。
  39. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  40. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 速記を始めて。少し時間が経過いたしましたのですが、もう少し御辛抱願いたいと思います。  次に昭和二十八年四月及び五月における凍霜害被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案を議題といたします。本法案については去る六月三十日提案理由の説明を聞きました。その後衆議院において修正議決、七月四日本院に送付、本委員会に本付託になりました。先ず修正箇所及びその理由を聞きます。
  41. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今衆議院におきまする修正箇所とその理由でございまするが、一つは、この償還期限の点でございまして、第二条を御覧になつて頂きますると、第二項に償還期限を二年以内とする、こういうふうになつておるわけでありまするが、この償還期限二カ年の下に、政令で定める場合は三年というのが附加えられたのであります。この理由といたしましては、開拓者、それから果樹栽培者の営農資金につきましては、普通の営農資金と比べまして償還期限を若干延長する必要があろうという趣旨でございました。第二点は、営農資金の利子補給の率でございますが、これを第四条の第二項について御覧になつて頂きますと、利子補給の率が二分五厘に相成つておるのであります。これを政令で定める場合を三分というふうに利子補給の率を引上げたのであります。この趣旨は特に開拓者に対する営農資金の貸出の金利を一般の場合よりも農家の場合におきまして一分引下げる、こういう趣旨、であります。三番目は、損失補償率の引上でございまして、これは原案におきましては融資総額の三割というのが原案でありましたのですが、それを四割に引上げるということであります。で、そのために国の負担分もその二分の一、即ち二割に引上げますために、同じ四条の二項におきまして「百分の十五」とございますのを「百分の二十」に改められたのであります。  大体衆議院におきまする修正の点と趣旨は以上のようであります。
  42. 関根久藏

    ○関根久藏君 本問題につきましては、非常にもうあのときから見ると時期がズレておるのであります。下部のほうではもう非常に困つておる。衆議院のほうの修正点も一々結構なことでありますので、何とか一つ一刻も早く御審議を願つてこの法律案を成立せしめるように御配慮願いたいと思います。
  43. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今関根委員から、原案を早く審議して可決したいという御意見がありました。私もこの修正はいいほうへ修正されたのでありまして、農民のいわゆる災害等の場合に利益になるようにできておるのでありまするから、私はこの案に賛成をいたすものであります。
  44. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  45. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 速記を始めて下さい。併せて農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたしたいと思います。本法律案については、去る六月三十日提案理由の説明を聞きました。その後衆議院において議決七月四日本院に送付、本委員会に本付託いたされたものであります。
  46. 関根久藏

    ○関根久藏君 只今議題になりました法律案も、やはりこの融資法と内容においては同じなんであります。これ又一日も早く成立せしめて農家の救済に当らなければならんと思います。本案につきましても原案に賛成を表するものであります。
  47. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑はございませんか。
  48. 白井勇

    ○白井勇君 ちよつと私参考に聞いておきたいんですが、こういう資金の融通の場合には、農林中金というものと、新らしい農林漁業金融公庫ですか、二本建という建前からどういう関係になりますか。
  49. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 今回の凍霜害に対しまする営農資金のうち、大部分のものは中金の自己資金でやつて頂くということにいたしておりまするが、桑や果樹などの樹勢回復の肥料代といつたようなものにつきましては、国が三分の一を補助をする、三分の一は県が補助をする、三分の一につきましては公庫の資金を中金に出しまして、そこで以て三分の一の部分を賄つて行く、こういう建前になつておりまして、公庫法の改正でお願いいたしておりまする九千三百万円の分がそれに該当することになつております。遡つてこれを追及いたしまするというと、ちよつとそれはむずかしい問題と申しまするか、理論的には割切れない問題もございまするけれども、樹勢回復の肥料代というものを、特にそれを見まして、政府資金をそこに直接に注ぎ込むのだという趣旨を以ちまして、一部は公庫のほうに振分けてその増資をする、こういう建前になつたわけであります。
  50. 白井勇

    ○白井勇君 もう一点ちよつと伺つておきたいのですが、例えば今度衆議院修正になりました四割の国庫の補償ですね、これは変な話ですけれども、実際の運用上その四割というものは、借りた農家は実際二十億を返しましても、金融機関そのものがその四割ですから八億ですか、八億というものは金融機関が従来の旧債の償還に充ててしまうというような措置も取り得るのですか、これは運用として……。
  51. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 損失補償の限度はさような場合には損失補償ができないのでございまして、借りた農家が返さないということの結果、単協、信連等に損失が生ずる、こういう場合に限られるわけであります。
  52. 白井勇

    ○白井勇君 恰好はそういうわけでありましようけれども、実際の運行はわからんのじやないかと私は思うのですが、どういうふうなのですか。例えばそれは一応四割だけのものは返さない恰好に、どつちみち農家というものは農協なり、ほかから借りておるわけですから、そういう旧債のほうに先に充てる。ですから八億というものは簡単に申しますれば金融機関の旧債整理に充て得るということも言えるわけですか。
  53. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) この融資はもともと今回の凍霜害に関連のことでの融資でありまして、又融資をいたします場合にも、そういう損害を受けたという市町村等の証明書を添附して頂いて、そういうかたに貸すということにいたしております。そこでそういう農家に貸した以外の旧債をこの資金で以て当てはめて行くということはいたさないつもりなのです。ただお説の点をもう少し突き詰めて考えますと、たまたま凍霜害によつて当然資金の融資を受ける資格のある農家としまして、その農家が同時にほかの資金を単協から借りた、こういう場合・農家が金を返しに来たとき組合が営農資金の弁済に当てるか、他の資金の弁済に当てるか、どちらを先にするか、こういう場合にお説のような場合が起らんとも限らないと思います。
  54. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑も尽きたようでございますが、なお他に御質疑ございますか……。それでは御質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないものと認めます。  それではこれから討論に入りたいと思います。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  委員長は言い落しましたが、只今議題となりました一案についてであります。他に御意見ございますか……。別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないと認めます。  それではこれから採決に入ります。先ず第一番に、昭和二十八年四月及び五月における凍霜害被害曲屋家に対する資金の融通に関する特別措置法案を議題といたします。御賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  57. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 全会一致と認めます。   —————————————
  58. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 次いで農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の採決を行います。賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 全会一致と認めます。  両案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。賛成のかたは御署名を願います。    〔多数意見者署名〕      白井  勇  森田 豊壽      小林 亦治  佐藤清一郎      雨森 常夫  重政 庸徳      関根 久藏  横川 信夫      上林 忠次  北 勝太郎      河野 謙三  河合義一      清澤 俊英  戸叶  武      鈴木  一   —————————————
  60. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) それでは本会議における委員長の口頭報告の内容と爾後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  61. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないと認めます。よつてさよう取計らいたいと思います。  残余の議事は後日に譲り本日の委員会はこれで散会いたします。    午後零時二十八分散会