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1953-07-07 第16回国会 参議院 農林委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月七日(火曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            白井  勇君            小林 亦治君    委員            川口爲之助君            重政 庸徳君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河合 義一君            松浦 定義君            鈴木 強平君   委員外議員            江田 三郎君   衆議院議員            金子與重郎君   政府委員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農地局長 平川  守君    農林省農業改良    局長      鹽見友之助君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    食糧庁総務部長 新澤  寧君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (雨水害対策に関する件) ○農産物検査法の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開会いたします。  最初に、去る六月三十日付を以て当委員会から政府申入をいたしました昭和二十八年五月下旬から六月上旬に亘る西日本における雨水害対策に関しまして、農林当局からその経過報告をお聞きしたいと思います。
  3. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 只今議題になりました台風第二号による雨水害対策に関する申入に対しまして、農林省でとつておりまする対策経過を申上げます。便宜申入の順序に従つて説明申上げます。  先ず第一に、雨水害によつて品質が低下し、収穫のためのいろいろな生産費増嵩等に対してとつ対策、こういうことであります。被害麦品質の低下に対しましては、二十八年産の麦の買入に当りまして、従来の五等麦のほかに新らしい規格を設けまして、品質の低下したものを買う予定であります。その具体的な対策につきましては、只今御審議を願つておりまする検査法改正の施行を待ちまして実施に移すことになります。五等麦以下の特別の等級のものを買う内容につきましては、一部農林省考え方につきまして、先般食糧庁長官から御説明があつたと思いますが、検査法改正案通りますれば、農産物規格規定を改めまして、現行の五等麦の最低規格から一升の重量を二十匁乃至三十匁、それから整粒歩合を一〇%ばかり引下げた規格買上げる、こういうふうな考え方に来ております。  第二の格差の問題でありますが、格差の幅を縮めることにつきましても早急に実施したいと思つております。  それから第四に農業共済金概算払の問題であります。申入の三の点はあとで申上げますが、概算払の問題でありますが、これは私どものほうの農業共済基金から仮払の金を連合会を通じて貸出すという用意をしておつたのであります。その後だんだん事情が判明して来ますと、県の調査或いは統計事務所調査、それから共済組合調査、そのそれの調査の開きが相当似通つている県もありますし、非常に違う県もあるのであります。ひどい所は統計の四倍くらいの数字になつておるのがあります。それから又そういう県に限りまして、例の共済組合のやつております野帳整備等がうまくないというような事情がありまして、恐らくこちらで幾らでも金を貸すからと言つても、そういう整備ができないので上つて来なかつたのじやないかと、今にしてうなずける点があるのであります。それではいけませんので、一応私のほうでは統計調査部報告も大体揃いました。従いましてそれを中心にしまして、とにもかくにも共済基金のほうに金を積みまして、それ以後は共済連合会の良識に待つてひどい過払いにならないような程度の仮払をやつて行く、こういうふうにして準備を進めております。現在まで来ておるのが五、大県ありまするので、そういう県につきましては、来たと同時にこの程度はよかろうというので流しております。その金は共済基金に対しまして農林中金から融通せしむる予定であります。なお共済基金の金は基金フアンド額としては非常に小さいので、これを大きくするという問題につきましては、今後政府出資等を増額することにして頂きたいと思うのでありますが、それはあとの問題にいたしまして、農林中金から借りた金の利子の分につきましては、その利払いに相当する額もプラスして融通いたしまして、その利子負担につきましては、政府出資の増額のとき併せてその問題の負担政府負担するか、或いは一部共済組合負担させるか、或いは全部共済組合負担させるか、そういう点を解決いたしたいというふうに考えております。  開拓地災害につきましては、開拓地の麦作については農業共済対象にしておりませんので、被害を受けた地帯は非常な困難を感じておるのであります。これにつきまして、一般既耕地と同じような対策を講じて行つたんでは十分でないと考えられるのでありますが、共済に入つておれば国から助成を受けられる程度までは少くとも見るべきであると、こういうふうにも考えられますが、実際問題としてまして、開拓地収量算定等についてなかなか困難な問題が伴いますので、現在のところは営農資金償還融通に関しまして、一般既耕地に対する利子補給よりも一分多く補給する、償還期限も一年延長するというふうな程度の案が只今上程になつておりますので、凍霜害に対する基金融通法律案につきまして、衆議院でそういうふうに修正されております。ほかには農林省で今考えておりますのは、開拓者資金の、現在融通しておりまするその借入者が、二十八年に償還すべき金を償還を延期するということを考えておりますが、そのほかについてはまだ成案を得ておりません。  その次には農地及び農業用施設償却復旧のための助成及び金融措置であります。これにつきましては、従来やつております繋ぎ資金資金運用部資金繋ぎ或いは又団体等につきましては、中金その他の金融機関からの繋ぎ融資を考えております。資金運用部資金としましては、公共事業の分三億五千万円が先般繋ぎ資金として出ております。そのほか農作物災害に対する措置につきましては、苗代の病虫害の防除とか、或いは稲の再播の補助等については予算に組む予定にしております。「なたね」、「たまねぎ」等につきましては、種子代及び本田に移植するまでの苗の仕立のための肥料代薬代等補助する、こういう案を考えております。又苗の輸送費等も考えております。観葉につきましては、代作用種子代及び薬代補助を考えております。果物につきましては肥料代及び薬代を考えております。  それから先に返りまして、政府買入困難な麦について、これを収穫がなかつたものとして、特別の救済措置を考えられたいという第三の点でありますが、この点はいろいろ検討を加えて行つておりまするが、まだ結論が出ておりません。等外の麦を買うごとによりまして、相当程度まで政府買入れることになると思います。又共済支払につきましても、従来は鎌入時或いは圃場にある場合、こういうような点で相当厳格にやつておりましたけれども収納前までは被害状況が確認できると考えられますので、そこまで共済の取扱を拡げて行く、そうしますと、結局先般問題になりました等外をきめても、政府に持つて行つても買つてくれない麦をどう措置するかという問題は依然として残つておるのであります。この点につきましては、政府で、食管で買上げることはなかなかむずかしいのでありますので、少くとも政府に持ち出した数量だけは、共済に入れるなら入れる、或いは共済の建前からそれもできないとなれば、その分については少くとも別途の補助金なら補助金を考える、こういうような点でまだ検討中でありまして、結論は出ていないのであります。この点はいろいろ検討を加えている間に、今度の北九州の雨水害等の場合に、家財道具等が流れた場合の補償をどの程度まで考えるかという点等に議論が発展いたしまして、結論が出ておりませんので、今後更に検討を加えて行きたい、こういうふうに考えております。大体現在までの進行工合は以上の通りであります。  なお予算化した金は先般申上げましたが、只今一応の試案は出ているのであります。この前申上げましたのは十九億九千万円でありまして、そのうち農産物のやつが五億五千万円余りありましたが、大体統計調査部のその後の報告に基きまして、今試算して、ほぼ結論に近付いておりますが、大体その程度金額じやないか、若干減る金額であります。そのほか各党の共同案として出ているのが二十八億になつております。それから関係府県知事会議の案として出ているのは三十四億、それらの相異は、私どものほうの計算したのは凍霜害の例にならいまして、補助率等の三分の一に考えているのを全額にするとか、或いは被害面積が五派連合の案では、大体農林省面積と同じでありますが、知事会議の案ではこれが非常に大きい面積が出ております。こういうふうな点でありまして、項目として農林省の案になくてほかの案にあるというのは、知事会案等開拓地の麦の肥料及び薬剤の補助、或いは農作物災害対策指導費として、技術員特別指導費等が若干計上されております。それから水産養殖補助として、真珠の補助金とか、「あさり」の補助金等が害かれております。これは農林省の案には入つておりません。予算の細かい項目は一両日中に最後の案を作りたいと、こういうふうに思つております。
  4. 重政庸徳

    重政庸徳君 今の御説明の中の公共事業費繋ぎ資金三億五千万円ということでしたが、これは河川も併せた公共事業農地災害及び施設並びに河川も併せた繋ぎ資金ですか。
  5. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは全部であります。
  6. 重政庸徳

    重政庸徳君 これはもうすでに各県に行つておることであろうと思うのですが、各県の配分はどうなつておるか、一つ聞かして下さい。
  7. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) もうちよつとお待ちを願います。今資料を取寄せておりますから……。
  8. 川口爲之助

    川口爲之助君 この災害対策費五億八千七百万円、これはすでに支出済に相成つておるのでありますか。その後麦類被害に対して補償が追加支出されるというふうに承知いたしておつたのでありまするが、その点はどういうふうに相成つておりますか。
  9. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 凍霜害被害、麦に対する対策でありますが、これはその後被害の増加が判明しております。これにつきましては、この凍霜害の特異のあれとしまして、一応この穂はできたけれども、みのらなかつた、こういうようなことでありまして、共済金の額が殖えるということと、私どものほうでは主として営農資金を増加して融通する、こういうふうに考えております。それから繋ぎ資金の三億五千万円の内訳が来ましたから申上げます。北海道は五千万円、新潟が四千五百万円、長野が三千五百万円、富山が三千万円、広島が三千万円、山口が五千万円、愛媛が三千万円、福岡が五千万円、長崎が三千万円、合計三億五千万円であります。北海道が入りますのは融雪による施設災害を含めておるからであります。
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 江田さんから委員外発言がありますがよろしうございますか……。御異議ないと存じます。どうぞ。
  11. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 委員長のお許しを得て委員外発言をいたしたいと思います。今の説明に対して二、三お尋ねしたいのですが、先ず第一に、この開拓地災害の特別の措置を講ずるという点ですが、先ほどの官房長説明では、開拓地収量算定が困難なので、至難なので、こういうことですが、併しこの収量算定ということになると私は別に困難なことはないと思うので、これはどこの災害地にしましても、開拓地であろうと、なかろうと、調べる気になれば調べられると思います。なぜ一体開拓地だけは収量算定が困難なのか、理由を承わりたい。
  12. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 少し言葉が足りませんでしたが、共済制度でありますと、過去何年間の被害状況を考えまして、そうして平均収量というものを考えておりますが、開拓地だと、開拓後日なお浅いですから、収量が安定していないですから、この土地は一体通常なら何ぼとれるべきだということに対して、今年は何ぼしかとれなかつた、こういう算定をどうやろうか、こういうことであります。
  13. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) そういう点が一番官僚的な杓子定規ということなんで一体開拓地諸君はどういう状態におかれているかということは、私がくどく申上げなくてもよく御承知だと思うのであります。今まで借金ばかりやつて来て、そうしてこのまだ共済にかけようと思つても、共済にならないほど収量が悪い、そういうところで、こういうところにこの災害をこうむつて、一体何をして飯を食つたらいいか、それに困つているわけなんです。おおむねは今度の災害地なんというのは干拓地等が多いわけです。そういうところは干拓進行中にはその工事に出ても仕事ができる。併し作物を作るようになると、干拓仕事も殆んど終つてしまつておる、今までは日傭に出ても飯が食えたのに、それさえもできない状態になつておる、本当に政治温か味があれば、こういうところを真先に救つて行かなければならん、それが収量算定どうこうというのは余りに私は政治に涙がなさ過ぎると思うのです。なぜ一体これを、干拓地共済に入つていない麦について、ほかの一段の災害地蔬菜や何かと同じようにできんかということなんです。これらの諸君は何も故意に共済に入らんのじやない、入ろう思つても入れてくれんのでしよう。一般のところについて共済対象外のこの蔬菜であるとか、或いはその他のものについて補助金が出るなら、真先にこういうところへ出さなければならんはずなんです。なぜ今までその具体策ができないのか。農地局長から一遍説明して頂きたいと思います。
  14. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 例えば今度の第二台風対策として、麦の種子代移苗とか、野菜の対策、「なたね」の対策がありますが、それは勿論開拓地にも及ぶのでありますが、開拓地にプラスして余計に厚くという点についての問題になりますと、まあいろいろむずかしい問題が出て来る、こういう意味でございます。
  15. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) これは私初めて言つておるのではないのでして、内容は言わんでもわかつていると思うから言わなかつたのですが、一般のところに「たまねぎ」を作つておる、開拓地にも作つておるというところには補助率を厚くしてもらえるなら、それは結構です。併しそれよりも共済対象にならん麦のことをどうするかということをこの前から言つておるわけなんです。
  16. 平川守

    政府委員平川守君) 一般農地に対してとります手段は、それと同じようにとつておることは官房長が言われる通りなんです。営農資金の問題にいたしましても、開拓地収量というものはつかみにいのでありますけれども、或る程度推定をいたしまして、その推定に基いて生産費に該当するような資金貸付をする、それに対して利子補給もするというような考え方で、只今大蔵省と折衝いたしております。
  17. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 借金のことじやないのですよ。借金は何ぼ貸してやつたつて、これは払わなければならんのです。なかなか借金というものは今すぐに間に合やしないのです。そうでなしに、開拓地の麦の被害はどうするかということなんです。一般のところは農業共済でちやんと救済の途がある、全部でなくてもそれによつて救済の途がある、開拓地諸君は辛苦してやつと麦の作られる段階まで田圃を拵えて行つて、そうして今度農業共済入ろう思つても入れてくれんのでしよう。そういうところが被害を受けておるのです。そういうところについて、ほかの一般災害地については蔬菜だろうと、果樹だろうと、何だろうと農業共済に入つていないものに対しても救いの途があるわけです。開拓地共済に入れんが故に一番肝心の麦について救済の途がないということをどうするかということなんです。一体近頃農地局というものは、日米合同か何かで開拓地を取上げることばかり考えて、本当の開拓民のことをやつていないじやないですか。
  18. 平川守

    政府委員平川守君) 只今のこの共済に入つていない場合に、共済金に該当するようなものを何か助成する方法はないかと、こういう御質問のように考えるのですが、その趣旨でありますと、実は私どもも殊に昨年あたりからいろいろ開拓地災害というものは大きく現われて参つておりますので、これに対する方策を特別に考える必要があるということは考えておるのでありますが、ただ何分にもああいう一種制度でありますから、これはやはり制度的に考えないと、ただ共済金に当るような助成をすると申しましても、これはちよつと無理じやないかというふうに考えておりますので、差当りといたしましては、やむを得ませんから、応急の措置として、いわゆる営農資金の恰好で貸付をいたす、又種子代その他の一般助成に当るものは、そこの項目にあるものは出すということにいたしますが、なお今後の問題として、只今お話のような共済制度に入れない。併し災害は起るわけで、その場合にこの共済金に該当するようなものが制度的に出せるようなことを考える必要があるのじやないか。これは全く私案と申しますか、まだ公にきまつているわけじや勿論ありませんけれども、やはり共済的な金を与えられますためには、平素から自分も若干の積立をする、政府もこれに対して金を出すというような、今の共済制度に準ずるような形をふだんから考えておく必要があるのじやないか。そうでないと、災害が起りてから、その共済金に当るものを全然国庫から出すと言いましても無理じやないか、こういうふうに考えております。
  19. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 制度として無理だということになれば、「い」草であるとか、果樹であるとか、「なたね」であるとか、こういうふうな共済対象外作物肥料なり、その他の補助を今度するわけでしよう。それとこれは開拓地の麦というものとどれだけ違うかということなんです。開拓地の麦は、今局長が言われるように、掛金を出したくてもとつてくれるところがない。共済に入れてくれといつても入れてくれんじやないですか。一般の一人前になつた農家のものは「い」草でも何でも補助が出る。それに共済入ろうとしても入れてくれない。麦に対して制度どうこうということはその言葉がおかしいと思う。
  20. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ちよつと意味を取違えて誤解をしておりましたが、つまり共済に入つておらないものに対しての扱いを、開拓地の麦だけ特別に扱え、こういう御趣旨。つまり現在共済制度対象になつておらん一般作物に対して、肥料代とか何とかを考えているようなことを、開拓者の麦については共済に入つておらないのだから、特別に考えたらいいじやないか、こういう御趣旨。成るほどその点は私ども実は麦の問題についてはやはり一般的に一種制度を立てて考えざるを得ないのじやないか、こういうふうに考えておりましたけれども、そういう考え方も、開拓地の麦だけを特別扱いするということになるわけですが、考えられんこともないかと思いますので、これについてはなおよく研究しまして、成るべくそういう方向に努力をしたいと思います。
  21. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 全部出したとしても七、八千万円のことなんで、やはり私は政治というものは、一番困つている者に真先に手が届かなければ政治じやない。農林省として開拓地諸君がどうかということは私が言うまでもなくよく御承知と思いますから、今の局長の答弁に信頼しておきます。  それからもう一点お伺いしたいのは、農業共済の仮払及び概算払資金の問題なんですが、これについては必要なだけのものは全然心配がないのかどうかというような点……。
  22. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 心配ありません。ただその計算の過程に問題があるのであります。
  23. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 先ほどの御説明の中に、この調査はつきりわかつたところは金はすぐ出せる。ところが統計調査のほうの数字と県或いは共済連合会数字と非常に違いがあつて出せないところがあるということがありましたが、そういうところはどういう府県ですか。
  24. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 府県を上げることはどうかと思いますが、例えばこれは従来から食違いのある県はきまつておるのであります。成るべく近いのは、例えば兵庫なんか大分近いのであります。食違いの大きいのは大分なら大分ですが、そこで結局は仮払になりますと、あとで結局損害の評価と実際と非常に食違うということになりますので、そういうふうに統計に全面的に信頼する、これはお説のように統計調査は立毛の検査を主にしてやつておりますので、実際の収納のときの収量と食違うことは、これは従来から共済でもあるのですが、併しその食違いも幅があるわけです。そこで一応統計数字基礎にして、その幅が従来ずつと出ておりますから、それは余りに超えているやつはこれは相当の過払はある、そういうところにまあ各地方にこちらから出しました場合に、いろいろなことも念を入れて調べて来ているのであります。そういう県についてはもう少しよく念を入れてもらう、こういうつもりであります。
  25. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 統計調査のほうが政府としては間違いはないというふうに、そこへ基礎をおかれるのですが、統計調査というものに私は疑問があるのでして、大体この間からの説明を聞いていると、統計調査をする場合に、政府買上対象外はこれは収量に入れ込まないということなんです。ところが政府買上対象外というものはまだきまつてはいないのですよ。当該麦の中の食糧に当るものを買うということをきめているのであつて、どういう規格のものが買上対象になるのかどうかということはまだきまつていないのです。それにもかかわらず、一体そういう調査がすでにはつきりできるというのはどういうわけなんですか。
  26. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 統計調査をそのまま使つているという、こういうのではありません。大体の傾向はわかつております。それと一定の幅を合わして、従来の統計調査支払と、この幅が現に出ておりますから、それと睨み合わせながら検討しているのであります。まだ統計数字は一応出ましてけれども統計数字と、今度のような場合に、今お話がありました未決の、どこまで共済対象にするかという点がはつきりしていない分がある、そういう点ははつきりしないまま、それも具体的に申上げますれば、収納後に流すやつまでも共済に入れるか、入れないか、一般府県のほうもそういうのは恐らく損害に入れて来ているのではないか、そういう点を或る程度幅を持たせて行かないと、どういうふうにきまるかによつて払い過ぎがあるということになりまして、あとの始末がむずかしくなる、こういうわけです。
  27. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) それが統計の方ではいろいろ心得ておやりになつていると思うのですが、私は今度の場合には、等外の中の買上対象になるものとならんものとの区分けを付けるという点において、ちよつとやり方如何によつては非常な違いが出て来ると思う。特に災害地においては必ずその違いが出て来るのでして、早く麦の規格というものをきめて、そうしてやられんというと、これはいつまで経つたつて……、妙なことになつちまうと思うのです。これは希望ですが……。最後にもう一つだけ聞いておきたいのは、農林省としては要求額を一応きめておられる。併し要求額をきめておられるといつても今の開拓地などについては再考慮願いますが、そのほかに六党の要求知事要求というようなものがあるのですが、そういう六党の要求なり、知事要求というものについて耳をかそうという御意思があるのか、農林省はさようなものは一切放つておいてやろうとするのか、ちよつと農林大臣でなければ無理ですかな。
  28. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは知事さんのほうのは別としまして、六派の意思は、それで話をきめれば国会の意思でありますので、嫌応なしにそれに従わなけばならない。我々はこの前まで国会できめて頂いた凍霜害の基準というものの限度で働いておりますから、それ以上に今度のやつを、枠を拡げるということできめて頂けば、当然それに従わなければならない。そこで今六派のほうに、一応の農林省としては最後案に近い案が出かかつているから御相談申上げつつあるのであります。まだ出しておりませんです。
  29. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 先ほどの検査等外麦の問題ですが、大体一升重量或いは整粒歩合等の引下げの基準が言われたわけですが、これによつて被害地の麦がどの程度該当できるという見込みなのか、それによつてここのこの要望に書いてありますように、あとに残るものが非常に大きいとすれば、この要求の資料としての買上利用ということについて考慮して頂きたいという面が出ておるわけで、関連して来る問題なんですが。
  30. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) これは被害を受けました状況によりまして違つて参りますが、先ほど私どものほうの係官が現地に出まして査定会をやつて、その各地から出ました状況によりますと、被害の比較的大なところにおきましては、先日申上げましたよりも若干、何と申しますか、政府側の買上対象になるものがちよつと殖えて来たようでありまして、先ず従来における等外で落ちるものの六〇%程度が今度の措置によつて救われることになるのでないかと見ております。それから比較的被害の軽微だつたところでは、例えば四国のようなところでありますと、八〇%程度は救われるものというふうに私どもは見通しを立てております。
  31. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) 従つてそれはどこの答弁になるか知りませんが、六〇%残るものについて飼料としての買上利用という点はどうなるのですか。
  32. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 飼料としての買上につきましては、まだ結論を出しておりません。それは今の恐らく見込でありまして、まだ買入が済んでおりませんから、もう少し経つて、今の検査法に基く新らしい規格でどれだけ買えるかということを睨みながら検討を加えなければいかんではないか、そういうふうに考えております。
  33. 江田三郎

    委員外議員江田三郎君) これは前から要望しておることですけれども、一つ検査のほうを早くやつて頂きたいと思うのです。そうせんと、すつかり買叩かれてしまう。ですからその点くれぐれもお願いします。
  34. 河合義一

    ○河合義一君 本日の農林委員会は定例目でないようでありますけれども、開会されたのでありますが、その理由は、農産物検査法の一部を改正する法律案等は、これは只今問題になつておりますような事情で非常に急いでいるのです。そのために今日は特別に委員会が開かれたのであります。私も多くの質問を持つているのでありますが、先ず第一に、この法律を先に上げて頂きまして、それからあとで質疑応答をして頂きたいと思います。皆さんの御意見によりまして、そうできればやつて頂きたいと私は希望いたします。
  35. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) この問題は、そうしますと、本日はこの程度で打切つて、又後日審議をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議がないようでありますから、本日はこの問題はこれで一応終ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  37. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 続きまして、農産物検査法の一部を改正する法律案を議題としたします。  昨日に続きまして質疑に入ります。提案者の金子與重郎君は今連絡をしておりますが、食糧庁から総務部長、検査課長が見えております。
  38. 松浦定義

    ○松浦定義君 本案につきましては、昨日相当委員の数が少くなるまで慎重に実は質疑があつたわけですが、大体そのときの結論としては、できれば今日採決したいというような御意見もあつたようですが、お帰りになりました委員のかたも御意見があるかのように承わるので、まあ明日定例日でなくても開いて採決したらと、こういう御意見でございましたが、昨日おいでにならなかつた各位で御意見がありましたら聞いて頂きまして、若し御意見がなければ、直ちに討論採決をされるように一つ議事進行をお願いいたしたいのであります。
  39. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今松浦委員から御発言がありました通り、それで質疑を終結いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 小林亦治

    ○小林亦治君 一点だけ伺つておきたいのですが、提案者のかたお見えになつていないようですが。
  41. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 今連絡しております。
  42. 小林亦治

    ○小林亦治君 そのかたが見えてから、若干の点なんですが、質疑をしたいのですが。
  43. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 質疑ですか。
  44. 小林亦治

    ○小林亦治君 はあ。
  45. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 今すぐ見えるそうであります。
  46. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 提案者の来るまで、そつちの政府委員のほうへ質問してよろしうございますか……。この罰則の規定があるんですが、従来御存じのように米の経済取締りに対しては相当きつく、今日もしばしばやられておるんですが、麦の自由販売と言いますか、統制になる前の一ヵ年間というものは殆んど統制の取締りはやつていなかつたように私ども記憶しているのです。で、まあやつておられたかも知れないけれども、実際の取締りの状況は麦に対しては非常に緩慢であつたというか、むしろやらなかつたといつていいくらいに大目に見ておつた。この経済取締りに対しては、農林省のほうとして検察当局に何かお打合せになつておりますか、どうか、承わりたいんですが。
  47. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 検査法改正に伴いましての取締りの強化ということに対しては、特にまだ現在の段階におきましては司法当局に対しても話合をいたしておりません。
  48. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 昨日御説明を承わると、大体市場に出た麦が二千万俵、そのうちの推定約二割というものが未検査のものであつたというような御説明のように承わつたんですが、私非常に成績がいいと思つているんです。殆んど麦の場合、経済取締りというものがなされておらなかつたというような状態で、このぐらいな状態検査麦が市場に出ておつて、未検査のものが少いということは、非常に検査が徹底しておるというか、成績が非常によかつたという私は見方をしているんです。で、あとの今闇で流れた、或いは未検査のものが流れたという二〇%のものの流れた理由と言いますか、傾向と言いますか、それはどんなところにあつたか、皆さんのお考えを参考のために承わつておきたいと思うのですが。
  49. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) これは私ども推定も混つておりますので、全部が正確であるかどうか存じませんが、未検査麦が出ました理由には、検査を受けることが煩わしいという農民側の気持を悪用して、商人と申しますか、仲に立つて麦を買取る側の者が農民側を誤まらして、検査を受けないで、価値以下に買取つて行くというような傾向が非常に多いように私ども見ております。農民自身は検査を忌避した、忌避したというよりか、仲に立つ者の甘言に惑わされて、そういうような経路で流しておる。農家の経済的な逼迫を利用して現金で買う、すぐ未検査のものを買わせるというようなことで、未検査のままで流れておるものが多いように私どもは想像いたしております。
  50. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 この罰則を見るというと、売つた方も買つたほうも処罰されるというようなことになつているのですが、今後この法律改正をおやりになつて成績を上げるために、司法当局に取締りを強化するように農林省は御交渉になりますか。
  51. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) これは私ども先ほどなぜ未検査麦がたくさん出たかということをお答え申した中に、まだ言葉が足らなかつたのでありますが、必ずしも先ほど申上げたことだけが未検査麦を出した原因ではないので、ほかにも検査場の問題もございまするし、検査場所を或る程度限定した、検査をできるだけ公開して、万人の納得行く場所でやるという意味合から、検査場所を限定したというような意味があつたわけであります、今回は先ほど言いましたように、検査料も引下げになりましたし、それから検査場所を実情に応じて殖やして参りたい、こういうことによつて検査がなくなるようにという方向で、先ずそういう方面から始めよう、強権を以て未検査麦をなくなすということよりも先ずそういつた、できるだけ検査を受けるかたがたにとつて便利なような体制をとることによつて、自然に未検査麦をなくなすという方向に努力して行きたい。その結果で、どうしても仕方ないということあれば第二段の措置をとるということになりましようが、取りあえずは、そういうような措置で司法当局の手によつてやることは初めからいたさないつもりであります。
  52. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は一つだけその点についてはえらい賛成しないのですが、希望を申上げまして、司法当局ともこの取扱いについて御懇談願いたい。私の知つてるところでは、私二、三知つているんですが、農民が未検査麦を売る場合は商人に悪用されるということは勿論ありますけれども、むしろ農民の貧困さと言いますか、そういうことと無智なこと、例えば余り数量をはつきりされるというようなことを嫌いまして、いわゆる税金というものが非常に大きな重圧になつて来ているのでありまするから、成るべく隠れようとする考え方、それからもう一つは非常に貧困なために急に金が要るというようなときに、いつもこれを処分するのです。こういうものはむしろ何とか救済してやるというような温情味が必ず私は必要な問題じやないかと思うのです。半面では日本の農村の貧困さ、それを救う大きな政策が行われて農村の状態がよくなつたら、これは別だけれども、今日この二、三年来の傾向を見ますというと、貧農の農家経済というものはむしろ悪くなつている。はつきり言うと富農はよくなつている。これは皆さんのほうの統計調査のほうの結果も富農はよくなつておる、貧農は悪くなつておる。貧農がむしろこういう問題に引つかかるのじやないか。こういう点を思うというと、私は検査を徹底するというようなことで罰則規定を設けておやりになるということはいいことだと思うのだけれども、貧農をしてひどい目に合わせないようにという行政措置は常に考えておおきになるほうがいいのじやないか、この問題は私は希望として申上げまして私の質問は終ります。
  53. 小林亦治

    ○小林亦治君 この改正案ですが、従来の生産農家だけでなく、取次業者、仲介業者とも一般に包含したそういう点についてはこれは賛成でありますが、寒冷単作地帯の例えば北陸一般、殊に青森とか、秋田、山形、かような地域においては殆んどが水田でありまして、殆んど麦を専業にやつておる農家というものは極めて稀なんで、中には僅か一反歩乃至は二反歩くらいの麦だけを作つておる副業農家が非常に多い。こういうところにもかような画一的に、いわば強制検査といつたような制度が布かれるということになりますと、それら貧農農家というものは非常に却つて迷惑するのじやないか。国の検査を受なければならない、漏らした場合には刑罰を以て制裁せられるということになりますと、折角の法律でありながら、広い日本ということを考えて見ますというと、南から北に非常に長い地域でありますだけに、一般的に妥当性を欠く不公平な地域も出て参るという虞れもあるが、この点について衆議院農林委員会においても発言があつたように聞いておるのでありますが、どういうふうにお考えになられるか。願わくは寒冷単作地帯における麦作は命令の定むるところにより施行地域外とするといつたような規定を挿入せられることが、本改正案にとつてはより適切ではないかと考えられるのです。この点について提案者はどういうふうにお考えになつておりますか。
  54. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の質問の御趣旨は私も一応御尤もだと思う。例えば例を変えて申しますれば、私は群馬県でありますが、柑橘の強制検査をするということが仮にあつた場合には、静岡県地帯の柑橘の本場の生産者は利益になる。私のように屋敷の隅へ「みかん」を少し植えたというような場合に、強制検査でなければ売れんという場合には却つて「みかん」の木をこいでしまつたほうがいい。非常に矛盾が出て来ると思うのであります。こういう趣旨と同じ御意見だと思うのでありますが、その点は御尤もだと思いますので、ただここで地域として除外するという考え方も一つありましようが、もう一つは、その勿論程度でありまするが、これは自家用にするものに対してはお説の通り問題ないのでありますので、販売するということが、同じそういうふうな麦の極めて生産の少い地帯でも、それをより特別な省令の立場で親切に、例えば検査の期日が非常に数量が少いために間がとられる、乃至は遠いところまで集合検査に持つて行くというようなことになりますと、そこに非常に支障が出て参りますけれども、そうならないような特別な処置を講じて、農民の生産物に対する相当の価格というものを支持するというふうな親切な行き方をすることが一つの方法であることと、それが不可能ならば、お説の通り特定の地域は抜いてしまうという考え方と二つの考え方があると思うのであります。提案者といたしましては、そのことはよくわかつておりますが、別にそれにこだわつておるわけでも何でもないのでございます。ですから、これは法の建前といたしましては、一応これに対して農林省を初め各機関にそういうような努力と方法を講じさせまして、それで実際そういう地帯の農家から、これはどうしてもそうやつてもらつても困るというような実情であります場合には、お説の通り次の善後策を講じてもよいのではないかしら、こういうふうな弾力を持つた考え方を今しておるわけであります。
  55. 小林亦治

    ○小林亦治君 施行して見てまずい場合には改正を考えられるのは御尤なんですが、私どもはやはり寒冷地帯出身でありまして、これはもう御施行にならない前からわかつておるのであります。必らずそういつた改正の機運が参るに相違ないと思うのです。そういうことであつたら、どうせ改正のついでに、今からそういう枠を外しておいたほうがよくはないかと思うのです。申上げる通り自家用を充たして、なお一俵か二俵よそに売るという場合には非常に煩瑣な思いをしなければならない。殊に宮本委員もおつしやつておられたような、貧農の場合は急に一俵、二俵を処分して用に間に合わせなければならんという場合が往々出る。そういう場合に検査をしておらなかつたというだけで刑事制裁を受けなければならないということになりますと、これは大変なことになる、そういう実情が予測せられる今日、これは却つて今からそういことのないように、そういつた地帯は除外したほうが適切な立法になるのではないかと思われますので、将来まずかつたならば直してやるというような思召しがあるならば、今から一つ外されたほうがよくはないかと考えられますので、申上げたような次第であります。どういうものでしよう。
  56. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 御趣旨の点はよくわかりますが、この麦の産地でない地帯は、当然今までの経過か申しまして、これは私の想像の範囲になりますけれども、麦の検査に対して当局もそう積極的でなかつたのではないだろうか、親切さを欠いているのではないだろうから、俵数が少いとするならば、これは検査員というものが常時おるのでありますから、それだけの努力をし得る可能性がある。一応努力して見たらどうだ。それが一応望ましいから、そういう生産者の規格はつきりして、価格相当のものをいつも取得させることが理想でありますので、その理想に対する努力をさせるということをやつて見ないうちに、これはどうぜ駄目なんだからという考え方よりも、もう一段努力させて見たいというのが私の今の率直な気持であります。
  57. 小林亦治

    ○小林亦治君 提案者の御親切はよくわかつたのですが、農林当局が果してそういつた努力を試みる用意を持つておられるのか。検検員という制度がありましても、地方によつてはいずれもが熱心であり、全部の農家がその検査員をよく理解し、喜んで検査を受けるという実情でありませんので、これは行政当局にどういう用意があるのか、一応伺つておきたいと思う。
  58. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 今回の改正の狙いといたしておりますところは、結局今までは何と申しますか、未検査麦ができたゆえんのものは、先ほど宮本先生からお話がありましたように、農民側の経済的な貧困につけこんで、買叩く手段として検査を省略して持つて行く、こういうこともありましたので、それを防ぐという意味合で、生産側だけではなくして買入側についても生産加工に持つて行く、こういうのが改正の要点のように承知いたしておるのでありまして、私どもといたしましても、検査法の立法趣旨からいつて、農民にできるだけ検査を通じて利益になるように運用するという考え方につきましては異議のないところでありまして、お話のような点で、ただ地域として除外したほうがいいのか、残して置いたほうがいいのかという問題になりますと、やはり農民の立場を考えて見ましても、検査を受けないでいいということに籍口して、やはり規格もわからないことをいいことにして買い叩くというようなことも起るのではないかと考えますので、規定としてはやはりそういうような除外の規定のないほうがいいのではないかと思いますし、実際の運営に当りましては、先ほど提案者の金子先生からお答えがありましたようなことを私ども旨として、十分生産者の立場に重点を置いて運用して参りたい、かように考えております。
  59. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今小林さんからの御意見、提案者も十分これは考慮しておる問題であります。幸いというか、裏腹の問題として、米産地には検査員が実は相当いるはずなんであります。ですから裏作地帯の麦作のとき、上からその命令を特にやりさえすれば、特に人間がないとか何とかいうことはなくて、ただ倉前でなければ検査せんとか、或いは十日ごとでなければ検査せんということでなしに、努力さえすればできなければならんはずなんであります。その点は私からも農林省当局に、特に責任を負いまして、今年度やらせるように要請する考えであります。
  60. 小林亦治

    ○小林亦治君 この検査を受けて、自分の考えておるのよりも下でないかというときに、もう一回検査をしてもらいたいというような問題も出ると思いますが、再検査というようなことが規定にあるのですか。私不熱心でまだ十分見ていないのですけれども……。
  61. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 異議の申立という制度が規定上ございまして、自分もどうも納得が行かないという場合には検査の受け直しができるようになつております。現行法上そういう規定があるわけであります。
  62. 重政庸徳

    重政庸徳君 これは私も余り詳しくないのですけれども、どうも農民の違反者を非常に増すような傾向を生ずるんじやないかと思うのです。なお警察官等も、御承知のように農村においては全く摘発する摘発せんは自由で、これは我々が驚くほど農村においては極めて公平にそういうことが行われておらないので、或る数量を限定して、今私が言いましたように米作地でないところもあるし、極めて貧農もあるしというので、ここに一つ数量にリミツトを置いて、それより以下の売買においては従来通りつても犯罪にならんというように考えればどういうものかと思うのですが、御意見どうですか。
  63. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) そういうお考えは、どうも数量の少い場合はいいではないかという点が、殊に先ほどから各位の御意見にありましたように、主として未検査品の売買というものは富農の場合よりも貧農、それから生産量の多い農家よりも少い農家の場合に多い、だから一つ数量にリミツトを置いたらどうかという御意見は一応御尤もでありますけれども、ただそうなりますと、十俵ありますものを五回に運べば二俵ずつになる。それが検査したものですと、そこには標箋も附いて参りますと、誰々の生産ということははつきりわかるのでございますけれども、未検査品ということになりますと、誰が生産したものやら、どこから持つて来たものやら、丁度闇米と同じような形でわからなくなるのであります。そこでそういう判別が事実上できないということが一つ、もう一つには、先ほど各位からの御質問があつたように、お説の通りこういうような問題はむしろ農家の貧農の場合或いは小規模経営の場合に、未検査品の取引がややもすれば多いということは私も考えております。併しながら考えて見ますと、その貧農のかたがたが、例えば金がないというようなこと、或いは協同組合へこれを出荷するならば、農業手形の代償として差引かれてしまう、だからちよつと理窟はいいのだけれども、あれを協同組合へ出すと困る、こつちへ売つてやるということで、私のほうは未検査品も買取りますよということで以て、借金は引かないし、金はとれる、そのときだけは都合がいいというようなことが、これは余りにも侮辱したようなことであるけれども、私どものほうは末端で農村経営をやつておりますと、そういうことはたくさんございますが、併しながら、それは端的に貧農に対してはそういうふうな考え方は無理もないけれども、そうすることによつて結局は次の肥料というものを、肥料屋から何倍も高い肥料を、化成肥料を不確定なものを押付けられるというようなことで、貧農の上塗りをするということになつておるので、この問題は一つの販売事業を通して、正しいルートに持つて来るということが一つの考え方だと、農村の農民の生産したものを正しい価格で取引させ、加工させるというふうな趣旨からやつておりますので、技術上その問題については方法がないというふうに考えておりますし、又そういう含みを付けることによつて、却つてそういうような困つた農家のかたがたが、未検査品をどこへでも売つてしまうということになると、それではそういう農家に対して協同組合の肥料融通もしかねるという形になる。殊に今後の農村というものが、先ほどもおつしやつたように、富農階級のほうではいいけれども一般としてそんなによくなつていない。ますます協同組合その他を通じて、再生産資材の貸付というものはどうしても自由経済になつても、生産物というものを対象貸付けなければならないという情勢に入つたときに、一方には不利であり、一方には農村全体の立場をよくするために、もう一つは、今年あたりの小麦情勢から見ると、今の政府は自由放任のような形で麦の統制撤任を見たものの、こういうような災害があり、又これだけの食糧事情の中で、麦というものはできるだけ政府の手に持たなければいけないだろうということも、間接ではありますけれども、今度の立法の一連の考え方として出て来ておるわけでございます。その点罰則を付けると言いましても、これは生産者に強制検査をするということは、元々そうであつたのであります。ただそれが生産者だけに責任を負わせることはいけない。それは売買でありますから、両方が責任を負うべきだということが、今度の改正の要点なのであります。二、三蛇足を加えましたが、今度の法律改正の基本的な考え方がいろいろの面から出ておりますので、この際附加えて申上げたわけでございます。
  64. 重政庸徳

    重政庸徳君 この法律趣旨はよくわかりますけれども、徒らに罰則を付けて、特にそれを犯す者は、余りそういう方面の知識がない、その日その日に追われて、そうしてこの法を犯して罰則を受けるという傾向になるのであります。勿論この法律を農民が全部理解しているとは私言えないと思うのであります。検査を受ければ農民の得になるのだ、或いは非常に多く生産した生産者が個々の制限を設けたために、その制限範囲の少量たびたび販売して、そうしてこの法律に触れんようにするということは心配要らないように思いますが、私はただいろいろ法律ができて皆罰則を付けて、そういう無智というと何ですが、余り農民とすれば、こういう法律に殆んど拘泥せんで行動をする場合が非常に多いのであります。私はできることならば犯罪者を造成しないという意味で、これに制限を付けたほうがいいんではないかと思うのです。どうですかね、御意見は……。
  65. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 今御意見を多分に含んだ御質問を承わつたのでございますが、実は今回の改正で変りました点は、生産者だけじやなくて、むしろ生産者をそそのかしている側の人の今まで抜けていたのを罰そうというわけでありまして、農民のほうに対しては、今回の改正によつて現行法に比較して何ら制裁の規定が重くなつたというのではないわけでございます。それから非常に少い数量の除外問題でございますが、現行法上は一応一俵未満ということで切つておるわけであります。一俵とまとまりますと、先ほどお話も出ました通り、何回にも分けて一俵ずつ行けば相当の数量になるということも考えられるわけで、一つ脱法の途を作るということになりますので、現在は一俵、正当の市場で取引されている単位量以下のものに限つては、これは検査を受けなくてもいいということですし、更にこれに蛇足を加えますれば、一俵以上にまとまりますれば、これは農民個人々々が一俵で売まりすと、やはり数量がまとまつていなければ、どうしても叩かれますので、私どもとしては売る場合にはやはり少いものを協同組合等によつて荷をまとめて売つたほうが有利ではないか、その場合には農民個々が検査を受けなくても、農協というものが代理をして検査を受ければいいのじやないかということも考えているわけでありまして、そういう点から一応脱法の途を殊更に作るような意味合の規定はないほうがいいのではないか、農民に対して苛酷なことにならないようには、これは運用上私どもは十分気を付けて行きたい、こう考えております。
  66. 重政庸徳

    重政庸徳君 これは当然私は農民とすれば違反者がたくさん出るだろうと思う。従つて、従来の状況から言えば、農村における警察官が非常に、どう言つていいか、多くの取締りをすれば、警察官が非常に農民に対して威圧を及ぼすのでありまして、私はむしろ農民の生産者の罰則はとつたほうがいいように思う。
  67. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 実際どうかね、そんなのないでしよう。実際としてはね。
  68. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) ないです。
  69. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この法律は今年初めて施行するのではありませんので、昨年の麦に施行したわけであります。従つてこういうことは法律上出ておりますけれども、この問題で罰則を付けたことが不当だというような問題は起つたことをまだ聞いておらないのであります。でありまするからして、今度たまたまこれが法案改正のときに出ましたから、いろいろの御意見が出ておりまするけれども、実際上私はそれだけの弊害はない、過去の実績に比べてないということを考えておるわけであります。それからもう一つ蛇足を加えますと、今度の検査法改正は、昨日のこの委員会に問題が出ましたときに、最後結論として私が申上げておいたのでありますが、私ども衆議院でこれを議員立法いたしますときに、従来の検査というものが、県営検査の当時には穀物検査というものは、そのさしに出て参りますところのものを見て規格の等級付けをすると同時に、刈取りの時期がよかつたか悪かつたか、或いは品種が雑多になつたか、乃至はそうした肥培管理にまで検査を通して遡つて指導的な立場に出て来るところが一つと、もう一つには、規格を付けたものが正しい取引によつて農民が擁護されるような慮りをするというふうに、多分の指導的な検査に、県によつてはそうでもありませんけれども、県によつては非常にそれに重点をおいた県があるのであります。それが国営検査になり、供出制度になつて収買検査なつたときに、遺憾ながら単なる規格を付ける抜き的な検査なつた。それで今度統制が外れるにつきまして、昨年この検査法を施行するに当りまして、大蔵省との兼合がありますので、一応独立採算の上に立つという建前で行きましたけれども、それで一年やつた。今日はもはや、当時はただ政府同士の話合をさせるために一応そういう便法をとつたが、考え方としては農産物検査というものは、農民がただ結果において自分の製品を自分の費用を出し合つて検査するというようなわけには行かない。日本農業の貧困の特異性と、もう一つには農業食糧品の国家的な使命というものを国家が認識して、そうして国費を補つて、先ほども申上げたような指導的な立場に立つて規格の統一と品質の改善をして行く、こういうことに行くべきだ。従つて検査法というものをもつと有機的に弾力を持たせて行きたいという方向へ今度の検査法改正を、法文としては特に出ておりませんけれども、二、三そういう点がありますが、そういうふうな方向へ持つて行つているわけであります。どうぞ農民をただ罰則を付けて縛るというふうなことだけでなしに、一方においてはそういうふうな検査料を十円下げますというと、二億円以上の独立採算の立場から行くと赤字が出るが、これは政府は別な財政からこれを埋合せなければいけない、こういうことも主張しておるわけであります。そうしてこの法律只今お説のような、単なる警察官がものを取締つて罪人を作るというような法律でなしに、なぜそういうことをしなくちやならんかと申しますと、大体素朴な考え方から行きますと、私どもも農村の実態に入つておるが、検査をやめることが端的には農民は一番喜ぶと思うのであります。こういうややこしい検査なんかしないで自由に売れるのだということが一番端的に喜ぶと思います。それはよくわかつております。併しながら端的に素朴に農民が今日喜ぶことが農民を将来救うゆえんかというと必ずしもそうでない。今日不便であつても、やがて絶対的なその村なら村の農業生産なり、或いは農業収入というものを確保するには、端的に農民が喜ばんことはたくさんある。例えば協同組合の出資なら出資一つにしても、協同組合に対して喜んで出資しておるという農民が全国にどれだけあるか。極めて少い。だけれども、そういうふうにして自主的に村を作つて行くほうがやがては自分の得になるということと同じように、この検査法も、端的な素朴な考え方で、ただ農民が便利があるとか、不便があるからということだけで農業政策というものは解決つかないのじやないだろうか、こういうところに考えもありますので、どうぞその点を御了承願いたいと存じます。
  70. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質疑ありませんか。
  71. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 大体質疑はこれで終了したように思うのですが、一つお諮り願いたいと思います。
  72. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 大体質疑が尽きたようでありますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農産物検査法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  75. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告内容等、爾後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それでは本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     宮本 邦彦  白井  勇     小林 亦治  川口爲之助     重政 庸徳  横川 信夫     上林 忠次  北 勝太郎     河合 義一  松浦 定義     鈴木 強平   ━━━━━━━━━━━━━
  77. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法律案は去る五月二十六日内閣から予備審査のため提出、本委員会に付託せられ、当委員会においては去る五月二十九日提案理由の説明を聞きました。その後衆議院において修正可決せられ、去る七月二日本院に送付、当委員会に付託されたものであります。なお衆議院農林委員会において、別にお配りいたしましたような附帯決議が行われました。この修正箇所及び修正の趣旨につきましては後日説明を求めたいと思います。これより御質疑を願います。
  78. 小林亦治

    ○小林亦治君 蚕糸局長にお伺いしたいのですが、災害補償法の枠の中に入つていないのだそうでございますが、貝殻虫の件、長野県とか、或いは新潟県、これらの地方にも若干あるやに聞いておつたのでありますが、殊に今年度に入つてひどいのは山形県の場合です。霜害被害が県全体で五千万円、そのうち一千五百万円程度がこの貝殻虫の被害があるというので、県当局も随分騒いでおるのでありますが、これに関して蚕虫局から係の技師が被害地に参られて仔細に調査せられたようなんですが、その状況はどういうふうであつたか、それから貝殻虫自体が災害補償法の枠の中に入るべきものであるかどうか、この二点を局長からお伺いしたい。
  79. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 只今お話になりましたのは、恐らくは山形県の最上川沿岸の貝殻虫の異常発生のことであろうと思います。それは県からいろいろ陳情もございましたので、早速係を派遣して調べたのでございます。元来貝殻虫に対しては病虫害防除の薬剤の撒布をいたしまして、又これは御承知通り蚕糸局関係の一般予算の中にその経費が計上されておるのでございますが、これを毎年配付して防除に努めれば或る程度防除はできるのでありまして、山形県におきまして調べましたところ、昨年三回に亘つてこの防除の施設を実行いたしたそうであります。ところがその後どういう関係でございますか、天候が異常な温暖であつたとか、湿度が高かつたというような関係もございまして、或る一部残つておつた。又もう一つは貝殻虫に対する「てんとう殻虫のごとき天敵がありまして、貝殻虫を食つておるので平素でも大した災害はないのでありますが、昨年だけは特別に何か天敵が不足であつたために、異常に発生したような事実がございました。これは普通の貝殻虫の被害と違つて特別な異常災害であると認めましたので、先ほどお話いたしました防虫害防除の経費のまだ予備がございましたので、この中から八十五万八千円ばかりを特に山形県に配付して、これは六月の半ば頃でございます。もうすでに防除の施設をしておるのであります。なおこれは共済との関係でございますが、本来ならば薬剤の撒布その他によつて防げる災害でありますので、一般の場合には共済対象にはなつておらないのでありますが、只今申上げたような山形県の今回の災害は特殊の事情がございまして、これは先ほど申上げたような天敵が少かつたというような、いわば天災にも類するものでございますので、今回の山形県の異常な貝殻虫の被害については、特に農業経済局とも相談して災害対象にするということにいたしました。
  80. 小林亦治

    ○小林亦治君 災害対象にするには、これは立法を待たないで蚕糸当局のお計らいだけで対象にしておるのですか。
  81. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) これは貝殻虫による桑の被害そのものは対象になりませんけれども、桑の蚕糸関係の災害は蚕繭災害でございまして、掃立不能でございますとか、掃立てたものが途中で掃立飼育ができなくなつたというような繭の減産に対する補償でございます。その原因が貝殻虫であるならば普通はやらないのでありますが、これは施行規則の解釈によつてやられるごとになりますから、立法を要せずして運用によつてやることに農業経済局とは話合が付きました。
  82. 小林亦治

    ○小林亦治君 そのお話合の付いたのはいつ頃でございますか、極く最近でございますか。
  83. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 一週間前だと思います。
  84. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本件はなお質疑はあると思いますが、次回に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会