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説明員(阪田泰二君)
只今森田
委員からいろいろ
農村関係殊に資金運用部資金のこの方面に対する運用等につきまして、広範囲に亙りまして詳細なるお尋ねを伺いましたのでありますが、資金運用部関係或いは農林中央金庫その他
農村金融関係につきましては、森田先生非常に精通しておられまして、私
どもからいろいろ申上げましてもくどくなる点もあるかと思いますが、一応お尋ねの趣旨によりましてお答え申上げたいと思います。
最初のお尋ねでありましたこの資金運用部資金のうち、どれぐらいが
農村のほうに流れておるか、こういう点でありますが、大体これにつきましては、やはり多数の口数の資金でありまして、なかなかこれを
はつきり分けて
農村方面或いは農林漁業関係、それ以外というふうに分けることも困難でありますので、実は申訳ありませんが、
はつきりした数字は作
つておらないわけであります。ただこの資金運用部資金の運用状況を御覧になりましても、おわかりになりますように、大体十月末現在で五千六百二十六億の資金がございますわけでありますが、まあこのうち一番大きいのが
地方債、
地方公共団体に対する融資、これが二千七百億であるわけでありまして、全体の四割八分ほどをためております。この中には先ほどお示しのような都市に対するガス事業であるとか、水道事業であるとか、そういつた式の資金も勿論入
つておりますが、
農村関係の資金がこの中に非常に大きな割合を含んでおるわけであります。そのほか金融債、これは全体で一千五億でございまして、全体に対しましては一八%にな
つておるわけであります。そのうちの一割程度を農林中央金庫の債券貸付、それから政府関係の機関で一千五十八億、大体一割九分ほどの全体に対して割合を占めておりますが、この中で農林漁業金融公庫に対する資金が大体百四十億ほど含まれております。大体こんなふうな関係にな
つておりまして、まあ大ざつぱに考えまして、全体の四割近い金が広い
意味で
農村方面に
行つているのじやないかというふうに私
どもとして一応の見当を付けておるというところでありまして、それ以上いろいろ明白なことを申上げられないのは恐縮でありますが、そんなふうに一応考えておるわけであります。それに対しまして、今度は資金運用部資金は全国の各市
町村、全国各
地方から集められた郵便貯金、簡易保険、そういうような資金の集積でありまして、いわば全国的な金であります。その中で農林漁業関係或いは農林関係のものがどれくらいを占めてお
つて、それがどういうふうに
農村に還元せられておるか、こういうことでございますが、これにつきましても非常に大きな口数のものでありますので、
はつきり分けまして、どの分が
農村関係、どの分が都市の関係というふうに区別しかねるわけでありますが、一番大きな郵便貯金、この郵便貯金の預託金について申上げますと、大体これが九月末現在では三千四十六億という金額がございまして、大体全体の資金額の五四%を占めておるのでありますが、この全体の五四%の郵便貯金のうちでどの程度が農林関係かということでありますが、これは非常に
はつきりしたことはわかりかねるわけでありまして、郵政省のほうでも最近は業種別の
調査ということをいたしておらないのでありますが、極く大ざつぱに見まして、毎月の郵便貯金の受払いの状況或いはそういつた式の状況、六大都市、市制施行地或いは町、村というふうに分けて考えますと、大体六大都市、それから市、それから町、村、それぞれが大体四分の一くらいずつ、これは季節によ
つて非常に違いがあるのであります。
農村におきましては、やはり
収穫期以後において郵便貯金が非常に増加いたしまするし、その他の季節においては都会のほうが多いわけであります。それで全体として見ますと、都市と
町村とでまあ半々くらい、年間を通じて見ますると半々くらいの貯金の増加を毎年示しておるようであります。市制施行地の中にも農業があるわけでありますし、町等におきましても農業というような面もあるわけでありますが、大体におきまして半分くらいは
農村関係というふうに極く大ざつぱな話でありますが、考えてよろしいのではないかと思います。簡易保険等についても同じような問題がございますが、そういうふうにして極く大ざつぱなことを考えて見ますると、大体これは
農村から集まりました資金を
農村に還元すると申しましても、これは機械的にその集まつたところへ元
通り戻すということじや金融上
意味をなさないわけであります。大数観察いたしまして
農村から集まつた金であり、
従つて資金の融通がつきにくい
農村方面にできるだけ融通すべきである、こういつたような観点から極く大ざつぱに見てみますると、大体現在の運用状況は、集まつた程度の金が
農村に戻
つておるというような運用状況にな
つておるのではないかというふうに推察されるわけであります。それで特に
地方債につきまして、
地方債のうちどの程度が
農村関係ということができるかという
お話でございましたが、これもなかなかむずかしいのでありまして、大体昨年の数字を資金運用部といたしましては、二十七
年度の実績についてちよつと申上げてみますると、
地方債全体といたしましては八百十億の
地方債の引受をいたしたわけであります。その中で
町村分、これは
農村に属するものが大体圧倒的に多いと思いますが、
町村分は百四十五億ございます。これの大体大部分は
農村というふうに考えていいと思いますが、そのほかに県債或いは五大都市そのほかの市等におきましても、農業土木関係ということで融資しております分、或いは農業関係の災害復旧費ということで金が出ておりますものと、いろいろそういうものがあるわけであります。そういうものをいろいろより出して参りますると、大体
只今の百四十五億のほかにどの程度になりますか、三百億ぐらいになるかと思いますが、その程度のものはやはり農業関係に出ておるというふうに私
どもは大体推定しておるわけであります。そういたしますと、大体
地方債のうちの六割ぐらいは農業関係と言いますか、
農村関係と言いますか、農林漁業関係というふうにみていいのじやないかと思います。これも非常に大ざつぱな推計で恐縮でありますが、そういつたような見方をいたしております。それでこれは最初にお尋ねがありましたように、資金運用部の資金というものは、全国の
町村、全国から集まりました金でありまして、而もその中には農林漁業関係の零細な蓄積された資金が非常に大きな部分を占めておるということから参りますと、できるだけこれはそういう方面に更に還元して、そういうほうに役立てるということは、当然資金運用部資金の運用方針としてもとるべき方針と私
どもは考えておるわけであります。それから金融債のほうの関係につきましてのお尋ねでありますが、金融債は先ほど申し上げましたように、資金運用部の資金の運用の中で、十月末現在におきましては一八%という比重を占めておるわけであります。金額にいたしまして一千五億、最近は毎年三百億ぐらいの引受を実行いたしておるわけであります。この金融債の引受けにつきましては、いろいろと金融債のほうに行き過ぎるのじやないか、
農村から集まつた金を金融債のほうに廻し過ぎるのじやないかというような全体としてそういう御
意見等も伺つたことがあるわけでありますが、金融債といたしましては、最近は大体三百億というような資金を出しておりまして、全体
地方等に出す資金は毎年累増いたしておりますので、毎年の資金運用部資金の運用の金額の中で金融債の占める割合といたしましては、毎年全体が増加しておりますので、やや減少しておるという程度の状態にな
つております。これにつきましても、いろいろ御議論があるところでありますが、基礎産業或いは重要産業の緊急な合理化資金等を供給するという
意味からいたしまして、金融債の引受ということも、やはりこれは
地方に対する資金の還元と相待ちまして、或る程度の割合は実施いたして参りたいというふうに考えておるわけでありますが、その中で農林漁業に関係のありまする農林中央金庫の関係の分が、昨年は三十億、今年は二十億という額を占めておるわけであります。これは全体の金融債に対して非常に少いのじやないかというようなお尋ねであつたわけであります。御尤もの点があるわけでありますが、これにつきましては、やはり当初三百億を、どの金融機関にどれだけを廻すかということをきめます前にいろいろと検討もし、協議もいたすわけでありますが、やはりそれぞれの金融機関の分野に属する資金の需要の状況とか、或いは既往におきまする貸出の状況、これは全体の貸出ではありませんので、やはり金融債引受の目的に適うような長期の設備資金でありまするとか、運転資金にいたしましても長期の運転資金、そういうものがどの程度需要があ
つて、どの程度そういうような金融機関から出ておるか、先の見通しはどうかというようなことが考慮に入れられまして、いろいろと検討されるわけでありますが、そういうような点いろいろ考えました結果、農林中央金庫、これは非常に金額が少いようでありますが、二十億というふうに計画をきめましたわけでありまして、最近いろいろ農林中央金庫のかたから農林中央金庫の貸出の様子或いは最近の需要の状況等も伺う機会もあるわけでありますが、いろいろと設備資金或いは長期に亙る運転資金というようなものの需要がかなり最近出て来まして、貸出も殖えて来ておる、金融債の発行高に見合うそういう貸出の額もかなり増加して来ておるという御説明は承わ
つておるわけでありますが、現状といたしましては、やはり他の金融債発行機関に比べますると、そういつたような金融債引受けの趣旨に適うような条件の貸出は比較的少ない、これは農林中央金庫の金融機関としての性質上或る程度やむを得ない点でありますが、そういつたような状況でありますので、これはやはり現状といたしましては、本
年度は計画も決定いたしましたし、いたし方ないと想うのでありますけれ
ども、今後の農林中央金庫の貸出の状況等も考えまして、これから又先の問題といたしまして十分に検討はいたして参りたいというふうに考えております。
それから最近の災害、殊に
冷害、凍霜害、水害等によりまして、いろいろと
農村方面に資金の需要と言いますか、緊急な資金の需要が起
つておりますることは、私
どもいろいろと伺
つておるわけでありますが、災害復旧土木事業等の関係におきましては、取りあえず補助が行われるまでの繋ぎ融資というような措置等も適時行な
つておるわけであります。その他の関係、殊に最近の
冷害等に基きまする資金の需要、殊にそれがどういうふうに事業として対策が取上げられまして、資金運用部としても、どういう方面をそれに対して分担して行くかというような点につきまして、まだ実は
はつきりした計画と言いますか、見通しがまとまるようにな
つておりませんので、その辺につきましては、目下御
承知のように補正予算の編成に伴いまして、政府の歳出予算面におきましてもその関係の数字を固めるベく努力をいたしております。資金運用部のほうの計画といたしましても、それと睨み合せて
一つ至急に対策を立てたい、かようなことで関係各省の説明等も聞きまして、いろいろ検討いたしておるという段階でございます。ただこれは今更申上げるまでもないことでございますが、資金運用部の本
年度の資金繰りの状況、これは非常に苦しい状況でありまして、本
年度の当初の運用計画におきましても、保有国債を百八十一億売却いたしまして資金を捻出して、
地方債でありまするとか、そういうほうに廻す、或いは前年末の繰越金も、それよりか翌年へ越す金額は減少するといつたことが、かなり無理と言いますか、精一ぱいの計画を立てておりますので、そこへ今回のような非常に大きな災害が起りましたので、なかなかこれに対する資金を捻出するといたしましても、十分なことは望めないというような実は状態にな
つております。その辺のところはできるだけ資金のほうも工夫いたしまするし、災害関係で
一般の災害復旧事業或いは市
町村の災害特例によりまする起債、いろいろそういつた方面の資金の要望もございますので、それらを見合せまして
一つ十分に検討いたしました上、まあ十分とは申せないだろうと思いますけれ
ども、適切な
一つ運用の計画を立てたいというふうに考えておる次第であります。若し足りないところがございましたら補足して申上げますが、一応説明を終ります。