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1953-10-22 第16回国会 参議院 農林委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十二日(木曜日)    午後二時七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    大蔵省理財局長 阪田 泰二君    大蔵省主税局税    制第一課長   白石 正雄君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (冷害対策に関する件)   —————————————
  2. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 只今から委員会を開きます。  昨日に引続いて冷害対策を議題といたします。本日は只今大蔵省主税局税制第一課長白石正雄さんがお見えになつております。
  3. 北勝太郎

    北勝太郎君 過般北海道の十勝に参りましたときに、あの地方町村長が、これは次長が話したのですが、国有林が各町村にたくさんある、ところがその国有林に対して交付金町村に来るそうですが、若しこれが私有林であつて固定資産税をとるとすると何百倍のものがとれるというのですね。それがほんの雀の涙ほどしか来ない、丁度今年は不作で歳入不足で非常に困つているのだが、この際何とか一つそれを増額してもらうような方法はないだろうかという陳情を受けたのでありますが、何か方法はありましようか。
  4. 白石正雄

    説明員白石正雄君) それは私は実は主税局のほうにおりますので、予算のほうのことは主計局のほうの所管に入るかと存じますので、御答弁は他日にさせて頂きたいと思います。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 今年非常に凶作で、農民収入減はわかつておりますと同時に、大体農家経済としては赤字が出ておることはおわかりだろうと思うのであります。そこでこれは法人税などの場合だと、その赤字を持越して来年度所得から引取つてもらう制度があるのじやないかと思いますが、それで農業課税の場合には青色申告をしておくと、その方法はとられるそうでありますが、実際今の農民全体に青色申告をせいというのは非常に無理な要求だと思いますので、これは衆議院のほうでもそういう問題が出ておりましたが、衆議院では被害農家農業所得については収支計算書を附して申告したものに対して、翌年度以降への損金の繰越控除を認めるような地方税減免をやつてもらいたい、こういうように言うておるのだが、私らもやはり実際に農民というものを考えてみると、到底青色申告を全部出せなんていうことは、これは不可能な話だと思います。それでこういう所得申告か何かをやることによつて、それに代えるような方法が考えられるかどうか、勿論場合によりますれば、議員立法なり、何なりして行く必要はあると思いますが、これに対する考え方と言いますか、妙法があるかどうか。
  6. 白石正雄

    説明員白石正雄君) お説の点は誠に御尤もでございまして、実際上非常に損が出て、その損が後年度繰越損失として持込まれるという場合におきまして、後年度益金からこれを損として控除するということは、その理論それ自体といたしましてはお説の通りであるかと思うわけであります。従いまして、これを青色申告をしたという場合におきましては、税法上これをそのような取扱をするということにしておるわけでございまするが、青色申告でない場合におきましては、こういつた収支計算というものが必ずしも明確でございませんので、従いまして、そういう意味におきまして、そういつたものを認めないという取扱をしているわけでございます。従いまして、お説のように収支計算はつきりするということでありますれば、そういう意味においてこれは青色申告をして頂けば、そういう取扱いになつておるわけでございまするので、そういつた方向からやはり解決する以外に途はないのじやなかろうかというように考えるわけでございます。
  7. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは勿論法規上から言いますれば、あなたの言われる通りであります。併しこういう大量に出て而も個人能力として青色申告をすることはできないので、個人所得申請をするにも役場や農協の人たちが非常に面倒をそのときにしなければならん、こういうような事態のときに、何かそこに便法を以て煩雑な手続きを省略してやるという考え方は、同じことなんですから……、青色申告というものをやればこれは何でもない、ただそれに代るべき手続を以て代えるという便法が考えられると思うのです。いずれを出してみましても、あなたのほうではこれを審査決定をして行かれるのですから、青色申告が来ても決定しておられるのだから、その所得申告手続きで以てやつて行つても同じことで、できやせんかと思うのです。何かそこは一つ考えてもらえるかどうか。
  8. 白石正雄

    説明員白石正雄君) お説の通りでございまして、繰越収支計算はつきりいたしまして、これだけの損失があるということがはつきりわかりますれば、これを後年度の利益から控除して行くということになるわけでございます。そこでそういつた場合にどういう手続で、どういうようにこれを解決して行くかという、その手続が残された問題だと思うわけでございますが、これが通常の場合におきましては、その収支計算はつきりしない、従つて繰越すべき損失が幾らであるかわからない、だから繰越された損失を後年の益金から控除するということがはつきりしない。従つて手続の進めようがないと、こういうことに相成るわけでございまするので、これを青色申告をして頂いてはつきりと収支計算が判明いたしますれば、これを控除して認めるという手続に相成つておるわけでございまする農村の場合におきましては、そういつた青色申告が非常に面倒であつて、実際上行われがたいのじやないかという点につきましては、事情誠に御尤もだと思うわけでありまして、これにつきましては、青色申告手続についてできる限り簡易化する、これは収支はつきりとわかる範囲内において、できるだけ手続を簡素化するということを考えるべきだろう、又我々といたしましては、その点につきましてはいろいろ検討を進めておるわけでございまするが、ただ飽くまでも建前といたしましては、繰越すべき損失収支計算はつきりなるということが前提でございますので、そういう意味におきましては、やはり建前青色申告というような制度かその収支計算はつきりする一つ制度として現在設けておりますので、そういつた制度に乗つて、その手続従つて問題を解決して行くというような方向以外にはうまい解決の方法もなかろうかというように考えておるわけであります。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 その点は一つあとへ残しまして、そこで第二にお伺いしたいのは、収支計算書を作りますときに、実際かかりましたものを中心にして収穫はどれだけという計算書作つて赤字を出して行くのか、今現在やつておられるように収量を中心にして大体所得をきめておられると思う。特に労働力というものを更に原額から引くというようなことは、労働力は問題になつておらない、そうしますると、赤字計算をして出すというとき、労力計算をしないでは本当のあれは出て来ない、そうすると、現在取扱つておられる所得計算と、この非常時期に対して提出しまする所得計算書というものは、そこに実際上の取扱い食違いが出やせんかと思いますが、その点はどうなんですか。
  10. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 税法上どういうものを必要経費として認めるかというようなことは、もう御承知通り一応税法できまつておるわけでございます。従いまして、これは如何なる場合におきましても、普通はそのきまつたところによつて計算をして頂くということに相成るだろうかと思うわけであります。御質問の点は自家労力経費として見るかどうかという問題のように承わつたのでありまするが、これは只今のところ自家労力というものは経費としては見ないという建前をとつておるわけであります。それはいわばその労働によりまして所得を生じておるわけでございまするので、そういう意味におきまして、自家労力というものは必要経費としては見ないというのが一応の建前ではなかろうかというように考えておるわけであります。それが雇い人を雇いまして、そうして給料払つたという場合におきましては、これは経費として落ちるわけでございますけれども自家労力というものは、これはいわば所得を生む源泉になつておるわけでございまして、現在の建前ではこれを必要経費としては落さないというような建前をとつておるわけであります。
  11. 北勝太郎

    北勝太郎君 今年の冷害で特に当てはまつて来るのでありますが、北海道並び東北のように冷害を受けた地帯、こういうような地帯は平常においても生活費が非常に高くつく、二十四年の調査によりますと、一般地方を一〇〇とすると、東北が一三二、北海道一六八であります。即ち衣住或いは石炭等費用がそういうような状況になつておりますが、今の所得税法では基礎控除の中にこれが入つておらん、それで今後大分借金残つて生活をして行く上にこういう点が非常にそれに影響して来るので、普通公務員に対しては寒冷地手当があり、石炭手当があるのだが、農民に対しては基礎控除でそういうものを地方的に認めてもらうべきじやないか、是非認めてもらいたいということを言つて来ておるのでありますが、これは何か方法がありませんか。
  12. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 寒冷地におきましては、石炭その他の生活費用が暖地に比較いたしまして多く要るから、基礎控除以外に特別の控除認むべきではないかという御意見でございまするが、これはまあ控除制度というものをそういう点にまで及ぼすべきものかどうか、又及ぼすとした場合に、技術的にどうそれが措置されるかというような問題に関連して来るだろうと思われるわけであります。で、まあお説のような点に類似したものとして考えますると、例えば地域によつて物価差があるじやないか、そうしたらその物価差に応じた何かの控除認むべきじやないかというような問題にも大体類似したようなことではなかろうかと思われます。ところが物価差を織込んで控除を認めるというような問題にまでなりますと、これはまあ理窟はとにかくといたしまして、実際問題といたしまして、到底これはできかねる問題じやなかろうかというように考えるわけであります。まあ御承知のように石炭手当とか、寒冷地手当というようなものが給与の問題といたしましては行われておるわけでございますが、これはまあ基本給を、そういつた地域勤務をするから基本給を上げるというような問題から、給与の面からは考えられておるかと思うのでありますが、税の面からはこういうものはやはり税の対象になつておるわけでありまして、お説のようなことを税の面に考慮するととは技術的にも甚だ困難であるし、理論としてもなかかなかほかの問題との関連におきましても適当ではないではなかろうかというように考えておるわけでございます。
  13. 北勝太郎

    北勝太郎君 どうもそこに非常に矛盾があるようでありまして、公務員に対してはすでに寒冷地手当或いは石炭手当等が出て標準がちやんとできておるわけです。そこで公務員にはそういう工合に控除に等しいもの、それだけのものを特別のものをやるが、一般のものにはそれが認められんということはどうも非常な私は矛盾で、不公平だと、こう考えるのであります。地方民一般がそういう感じを持つておると思うのですが、もつと法の精神から言つても公平な税の取扱いをするということは必要ではなかろうか、こう考える、これは十分私は余地のある問題であると思う。又理論上当然の問題だろうと考えられるが、どうも今の物価差の問題と違つて、衣食というように全体の六割八分も余分に要るということは、これはどうしても認めるべきものではなかろうかと思うのですが。
  14. 白石正雄

    説明員白石正雄君) まあ給与の問題はやはりいろいろな見地から考えられるわけでありまして、民間なり、或いは公務員なりにつきまして、特別手当だとか、或いは場合におきましては賞与とか、そのほかいろいろの衣料費に関する特別の手当とか、或いは現物給与とか、こういつたものがいろいろな条件に応じまして、きめられておるわけであります。従いまして勤務地手当というようなものも、或いは寒冷地手当というようなものも、そういうような一環としてきめられておるわけであります。併し税の面からは又給与の面で考えられておるようなものをすべての税の面にも取入れるべきであるかどうかという問題になりますと、私どもとしては必ずしもそうではないのじやないか、給与給与としての一つ見地からいろいろの給与がなされるわけでありますが、税は又税という見地から一つのやはり同じく公平論ではございますが、そういう面からやはり考えるべき問題でありまして、給与のほうで考えられておるから、その同じ要素を直ちに税に適用しようということは、直ちにそう言い切れない問題があるのじやないか、だから先ほど申しましたようなところから、私どもといたしましては、そういうものにまで控除を及ぼすということは税の面からは技術的にも困難であるし、理論的にも必ずしも適当ではなかろうというふうに考えておるわけであります。
  15. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 主税局第一課長大分お急ぎのようでありますが、ほかに御質問がなければお帰り頂いて……。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなたのお話の中で、何か考えると、こういうお話があつたと思うのですが、さつきの青色申告に代るものを考える余地があると、こう言うのですか、どうですか。どうしても青色申告以外方法がないと考えておられるのか、それとも収支計算を明確にする方法がなければ便法を考えてもいいと考えておられるのか、それを聞きたい。
  17. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 収支計算を明らかにする方法として青色申告という手続只今つておるわけでありますので、そういう意味におきましてお考え願いたい。ただ青色申告の現在の手続が非常に煩雑である、書き方が非常にむずかしい、こういう点につきましては、私どももできるだけ一つ検討いたしまして、成るべく簡単で皆様の御要望に合うようにいたしたいという点につきましては、なお検討いたしまして、いい考えが浮びますれば、そのようにして行きたいと考えております。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 丁度いいところへ来ましたが、(笑声)あなた方もそう考えて頂くし、わしらでも又いい便法一つ考えまして、そこで何とか妥協点を見つけて、そうむずかしくないような方法是非御努力をお願いしたいと思います。
  19. 松浦定義

    松浦定義君 今、青色申告の問題と寒冷地特別控除の問題を両委員から御質問があつたのですが、これは特に今年の凶作に関係があるので、わざわざ出て頂いて問題を議しておるわけですが、お忙がしいだろうけれども是非一つ忙がしいなら忙がしいで、この問題はいいとか、悪いとかはつきり言つてもらいたい。考えるとか、何とかいうことでなしにやつてもらわないと、我々今後審議するのに困ると思うのです。そこで今寒冷地特別控除の問題で、公務員に対して非常にそういうものがあるけれども、税の面では適当にとつておるというお話ですが、まあ農家の場合、特にまあ公務員がこの寒冷地手当に対して、その中からも税を課せられておるということは、これは私は当然だと思うのです。従つて農家の場合は生産をして売却した農産物、これがやはり国が一定の価格で以て抑えてしまつて、これは北海道の場合も或いは九州の場合も同じことなんです。北海道の場合は御承知通りに冬季間でも二万円、三万円、四万円の光熱費が要るということで、こういう問題が起きておるので、結局公務員石炭手当も同じことだと思う。九州では石炭手当というものを必要としない。併し給料北海道のほうはむしろそれ以上にやつぱり高くしなければいけないという特殊性を持つておる。従つて農業の場合もそれ以上のものがあるので、特に農家に対してはそういう意味特別控除してもらえないかというのであつて、それに対する税金が、或いは又必要とするならば、それは何がしかを必要としても、大体今のようなお話ですと、全然これに該当しないということになりますと、例えば北海道とつたものが高く売れれば、これは別に一向差支えないでしようが、やはり国が一定のもので抑えてしまつておる中でそういう生活をしなければならない、従つて農家あたりでやつておる光熱費等は全然生活費の中に入つてしまつて必要経費がないという点があるので、そういう点の矛盾一つ何とかこの際こういう年であるから、こういう問題が平素起つでおるけれども、特に強い意見が出ておるので、北委員からも御質問があつたと思うのですが、何らかの形でこういう点についても、この寒冷地に対しては特別控除というものを一つ認めてもらいたいと、こういうふうな考え方で、私はもう一回その点を御説明願いたいのです。
  20. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 税の只今建前は、いわば生活というようなものは、ちよつと言葉は悪いけれども必要経費というような面からの控除ということは、御承知のように生活というものは考えていないわけでございまして、そういう意味におきまして寒冷地のほうが事業の所得が少くなるということになりますれば、おのずからその所得が少くなりますから、それに応ずる税金は少くなるという面はあるわけでございまするが、生活費が多く要るから従つて特別の控除を考えるということは、これは只今の税の建前といたしましては一般的に考えていないわけでございます。    〔理事宮本邦彦君退席、委員長着席〕  そういう意味におきまして、その生活費に応ずるような一つ控除を考えるというところまで税の中に織り込むということは、只今のところは適当ではないのじやないかというように考えておるわけでございます。給与のほうは、先ほど申上げましたように、まあいろいろの見地から給与はそれだけ多く要るというような点から特別の支給がなされておるかと思うわけでありますが、そういつたものは税の建前からやはり一応所得を見まして、そうしてやはり課税をしておるわけでございまして、いわば税の建前からはそういつた点が一応考慮なしに行われておるという立場から申上げまして、特に税にその生活費を考慮したような特殊の控除制度を設けるということは、只今のところ適当でないのじやないかというように考えておるわけでございます。
  21. 松浦定義

    松浦定義君 まあ現行法がそういう点に副つていないというので、これはまあ問題があるわけなんで、現行法がそれに副つてつて当然要求するものがすぐ通るというわけなら、こういう問題はないわけで、従つて若しどうしてもそれが現行法ではできないが、併しこういう形にすればできるのだというようなことがあるならば、やはりこれは当然こういう事態が来たときには、法を改正してでも将来こうした凶作に対する農家が浮かばれるような形にしなければならないと、こういうふうに我々は考えて、こういう問題を強くまあ今後も十分検討いたしたいと、まあこういうふうに考えておりますから……。それからもう一つ青色申告の問題ですが、これはもう非常に矛盾がありまして、まあ清澤委員も御指摘になつたかと思うのです。そこでもう一点、青色申告をやつている者と白色申告をやる者との差によつて非常に農家自体が過重な税金対象になつておるという一つの問題で、家族専従者控除というものはやはりその青色申告以外のものには認められていないと、こういう点で非常にまあ矛盾があると思いますのでもこういう点も是非一つまあ白色申告者に対しても同様認めてもらいたい、こういう一点なんです。これはやはりまあ相続とか、贈与という点についての課税の問題になるのですが、まあ一応簡単に例を申上げますと、七十、八十という人が世帯主になつて経営をやつておる。ところが、事実その人は十五年も二十年も経営には当つていない。ただ世帯主ということによつて申告者というような形の立場になつておるのですが、事実はその家族がそれをやつておる。ところが収穫直前にそれが若し亡くなつたと仮定すると、そうしますと、申告者が八十何歳の老人であるために、一応それらに対しましては、やはりその肥料とか、農機具、その他一切の経費は父の負担だというので、長男がそれを相続する場合には、もう生産の総額に対してこれがやつぱり評価されて課税されてしまう。従つてそれでは父というものはその長男に対して何か労賃を支払つておるかということになりますと、全然そういうものは支払つていない。先ほどのお話の中にもちよつとありましたように、労働者として受入れたものではない、家族という立場にありますから、そういう形をとつているのですが、それでは非常に矛盾があるという立場から、そういう例が非常に最近起きておるということを私は聞いておりますので、やはりこういう点を解消する意味におきましても、煩雑な、青色申告というものでなければこれが適用されないというものでなくして、実際に起きておる問題を捉えて、この青色申告というものがまだ不徹底であるという今日においては、やはり何らかの形でこの白色申告者に対してもそういう便法を講ぜられたい、こういうような意見農村の各地に相当起つておるのです。こういう点については、そういう点を考慮される余地があるかどうか、それをお伺いしたい。
  22. 白石正雄

    説明員白石正雄君) お説のような問題につきましては、先ほどからもお話申上げておりまするように、収支計算はつきりするということが前提ではなかろうかと考えるわけであります。従いまして収支計算を明らかにする手続方法といたしまして、青色申告という制度を採用しておるわけでございますので、その制度に乗つて頂ければ勿論考慮するということに相成るわけでありまするけれども、その制度にお乗りにならないというかたがたに対しましては、やはりその収支計算がそこまで明らかでないという点につきまして、そういつた控除をやはり特別に考えるということは困難ではないかというように考えるわけでございます。従いまして成るべくまあ青色申告の普及のためにこれを簡易にして、そうして農村の多数のかたがたもその制度に乗つて行かれるような方向に我々は努力すべきだということは十分考えておるわけでございまするが、今直ちに青色申告とそのほかのものとを同じ扱いにするということまで踏切るということは、やはり適当じやないのじやないかというように考えておるわけであります。
  23. 松浦定義

    松浦定義君 併し私はその方法としてはいいとは思うのですが、現在の日本の農民における立場から言つて、極端にそういうことをやれと言つたつてなかなかそうは行かない。従つて若しこれをやるとするならば、やはりやむを得んから、農家は数人ぐらいがこれは共同経営の形にして、そこで何か計理士なんかというものを専門に置いてでもやる。これは一般の大会社や何かやつておるでしよう。別のことをそれ専門にやらせる、そういう、言葉はどうか知らんが、脱税の一つのあれぐらいやつておる。そういうことが全然できない農家なんですから、本当にその日に困るようなことまで行つてしまう。だからもう一番問題になつておるのは税金の問題なんです。さあ困つたというのは税金の問題なんです。で、税金の問題に対しては非常に農家が恐れをなしておるというのが本当に過去のやり方であります。それがために馬を売り、或いは娘を売るといつたようなことが出て来るという一つの事例になつておるので、そこへ持つて来て青色申告でなければ駄目だという制度を持つて来られるものですから、なお一層農民はそういう納税思想から離反して行つてしまう。従つて私はやはり現段階においては農民の置かれておるいろいろの立場を考えた、それにマツチするような制度でなければならんので、今お話のようにそういう線に乗つて来るならば、これは確かにいいと思いますけれども、現状をよく把握したものでないと、私はこれは適正な課税対象としての制度でない、こういうふうに考えますので、恐らくこの問題についてはもう再検討して頂かなければならんと思いますし、今のままで進められるにいたしましても、これで三年、五年やりましても、公平な立場における青色申告というものの成果は出て来ない。農家もいろいろ食うに困りますから何か便法を考えて、青色申告を、まあ青色申告としての一つ取扱いだけでしか考えないという形になつてしまうのでは、これは非常に矛盾が起きて来ると思いますので、こういう点は一つ十分現在の農村立場等をお考えになつて一つこの際冷害に喘ぐ農家の実情等も十分お考え願つて、二十九年度農村課税をどうするかというような立場から大いに一つ御検討を願いたい、こう思いまして、取りあえず今の場合におきましては、できるだけその実情をいろいろな形で御調査になつて青色申告に準ずるような形で、そうでない農家に対しましても何か特定な御便宜を図つて頂くというようなことに是非一つ御協力願いたいと思いますので、この点を附加えて一つ希望をいたしておきます。
  24. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 主税局関係はもう御質問ございませんでしようか……。それでは理財局関係について……。
  25. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 今日は非常にお忙しいところを理財局長においでを願いまして、私は現在の引続く災害によりまするこの不幸なる農民のために、ここで要望されておりまする資金の問題に対しまして、最もその方面に、庶民金融並びに農村金融に対しまして御経験の深い、而も現在国の財政の根幹をなします財政金融方面の担当局長でありまするから、このお方に一つここに方法を考えて頂きたいし、又お願いも申上げてみたい、又我々の腑に落ちない点は一つ質問申上げたい、こういう趣旨におきましておいでを願つたのであります。どうぞこの点につきましては十分お教えを願い、又我々の要望に対して答えて頂きたいと思うのであります。つきましては、前段申上げましたような被害農家の緊急に必要といたしまする資金として要望されておりまする額は、農林省の調査報告によりまするというと、凍霜害において二十億、二号台風において四十五億、六、七月の水害において百億、十三号台風において七十七億、冷害が百九十億、合計四百三十二億という額が出ておるのであります。この多額の資金需要に対しましては、私は何と申しましても、現在におきましては政府の資金の導入が絶対に必要であると考えておるのであります。故にここに御質問を二、三申上げるのでありまするが、政府資金といたしまして現在資金運用部資金の運用が問題になることと思うのであります。この運用部資金は八月末現在におきまして五千四百二十六億余円の原資を擁しておるのでありますが、そのうち農山漁村の資金がどれくらい流入しているかというその概略の見込額をお示しを願いたいと思うのであります。  第二番目には、資金運用部の原資の大半を占めまする郵便貯金、簡易生命保険及びこれに類似いたしますものを合算いたしますれば、その大部分を占めておりまするものは農山漁村の資金であることは誰しも異議がないことと考えるのであります。この運用部資金は、その本来の趣旨から言いまするならば、その原資の分野に応じまして還元さして頂きたいと私は考えておるのでありまするが、現在農林漁業方面にはどのくらい一体還元しておりましようか、その計数を概略で結構でありまするからお知らせを願いたい。  第三番目には運用部資金は地方債証券及び地方公共団体等の貸付金に、私がちよつと雑誌を調べてみまするというと、これが二千六百五十四億、即ち約五〇%、四九%が運用されておるということでありまするが、一体地方都市に対しましてこの資金が大部分行つておるように考えるのでありまするが、その地方都市におきましては、恐らく電気事業とか、或いはガス事業とか、或いは水道事業とかいうような方面に大部分が使われておるものと私は考えておるのでありまするが、この点は如何ようでありまするか。而うしてこれらのうち農林漁業に直接運用されしておりまする額は如何ほどでありましようか、この点をお伺いしたい。又これに関連いたしまして、金融債引受は八月末現在におきまするやはり或る報告を見まするというと九百七十六億に達しておるようであります。このうち農林中央金庫、いわゆる農林債券の引受はどのくらいの割合を占めておるでありましようか、この点と、もう一つ、御承知のように農林漁業金融公庫ができましたので、この貸付を通じてどのくらい農村に還元しておるでありましようか、その額は他の政府金融機関に対しましての貸付との割合は如何ほどでありましようか、これも併せてお伺いしてみたいと思うのであります。  第四番目には、以上を総合いたしまして、資金運用部資金はその構成面と運用面とでは著るしく食違つておるように思われるのでありまするが、これを是正することを考慮してよいのではなかろうかと私は思うのであります。殊に本年のような異常災害の打続きましたときにおきましては、災害対策として是非ともこの不均衡を是正すべきが、けだし当然であると考えるのであります。地方債等によりまする農林漁業への還元につきましては、又金融債のうち、農中債の引受が元来一割にも満たないような状態、これは八月末の金融債の引受九百七十八億中、農中債は八十九億余円に過ぎないという表ができておるのでありまするが、この隘路は一体どういうところにそういう隘路があるのか、又昭和二十八年度の資金運用部によりまする金融債の引受の予算は三百億と聞いておるのであります。又三百億と計上されておるのであります。その内訳を見ますというと、農中に対する、即ち農村金融の最高機関でありまする農林中央金庫の引受予定が相変らず一割にも満たない二十億に過ぎないという、即ち三十億に対してむしろ六・五%か、或いは七%くらいに過ぎないというような状態におりますることは、一体如何なる根拠に基きましてそういうふうな割当になつておるのでありましようか。この点は私が調べたところでは、二十八年度の資金運用部におきまする金融債引受の予算でありまするけれども、興業銀行が一番多い、即ち興業銀行が百三十億、日本長期金融銀行と申しましようか、長銀というのが百十億、商工中金が四十億、農林中金が二十億、即ち合計三百億という勘定になつておりまするが、こういうふうな状態でありましては、こういう災害の際におきまして農民の預けた機関、即ち農民が系統的に単位農協から、或いは県段階の連合会並びに中央金庫へ預入れて、現在におきましては農林中央金庫に資金の大部分が集まつておると考えなければならんのであります。この際に幸い農林中央金庫も、現在におきましては長期の貸付をしても差支えないような状態になつておるのでありまして、これは非常に喜ぶべき状態であるのでありまするが、今回のこの災害によりまして、この集まりました金を直ちにこれを貸せるということは、或る一面におきましては、災害によりまして引出しを行われる単位農協から連合会もあるのでありまして、今溜つておりまする中央金庫の金を直ちにこれを長期に貸せるということはまだまだ不安の点があるのであります。併しながらこの異常災害の際におきましては、中央金庫がもとよりこれに対して長期の資金を出しますることは、農林中央金庫の使命から行きましても、けだし当然であると思うのでありまして、この点から行きましても私は中央金庫をして自主的に資金を長期にこの災害の際に出させることをお願いすると同時に、この際におきまして政府が折角地盤が強固になりました中央金庫に対しまして、或る程度の枠を殖やして頂くというような考え方をして頂くことが必要ではなかろうか、而して先ほど申上げましたようなあの不公平なる配分方法、これを是正して頂かなければならん。例えば本年度予算における三百億の配分におきましても、それに対して一割にも満たざる二十億しかこれを引受けるということがなく、政府がこれを若しも三百億以内においてやらなければならんと言うならば、そのうちの他へ廻すべき、何と申しましても農村が先ほど来申上げましたような非常な災害をこうむり、悲惨なる状態に置かれ、自分の自作農になりました農耕地までも耕作権まで付けて売買しようとするような状態で、今現在は一反歩十万円で耕作権付きで売買しておるような話も地方で聞いておるのでありまして、又その家庭の経済が不如意になつて参りまして、いわゆる転落農家が続出しておりまするので、自分の娘までこれを他へ、悪い意味におきましては売飛ばすというような状態にまでなりましたる今日のこの災害をこうむりましたる現状から言いまして、私はこの際に他のほうへ廻すべきものをこのほうへ重点を置いて廻すのが、これは国家といたしまして食糧増産を初め治山治水の問題をやかましくいたしておりまするし、農林行政を国策として立てて行かなければならん今日におきましては、少くともそういうことを十分一つ考えて頂かなければならんのじやないか。これが国家財政の将来は生産力増強が国家の財源であるという見地からいたしまして、我が国民の生活の上におきまして、我が国の自立的経済の確立、いわゆる経済自立の上において最も必要だという考えであるならば、この際こそ大蔵省理財局あたりで、大蔵省御当局におきまして、この点を十分考えて頂きたいと思うのであります。この要求額は日を逐つて多くなつておるのであります。先ほど来四百三十億と申上げましたけれども、それが災害程度は日を逐うて大きくなつておるのでありまして、これは一千億ではなかろうか、一千億も使わなければならんじやないか、府県でも一千億の損害だという県まで出ておるのであります。その所要資金といたしましても、相当この際、ただ政府にだけ私が言うのでなくて、今までの機構を総動員して、そうして政府がこの裏付をいたしまして、これを動員してこそ……。私は今日におきまして風水害は天候不順によりまするむしろ日照りの少なかつたことによりまして起つた農作物に対する被害も甚大でありまするけれども、今後におきまして、今後早魃の虞れは、資金がうまく廻るか廻らんかによつて、今度は生活的、営農的資金の早魃によりまして農家は倒れる、しおれてしまうということになると私は確信しておるものであります。そういう点から行きまして、この点を十分御洞察を願いまして、私はお願いでありまするけれども、理財局長さんに他の質問に対してお答えを願うと同時に、私どもの考えておりまするこの気持を十分お考え下さいまして、この農林省からの要望に対し十分なる御検討を願い、むしろ好意的なる御配慮を願いたいことを要望いたしまして、一応の質問を打切りますから、前段の四項の質問に対しての御回答をお願いしたいと思うのであります。
  26. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今森田委員からいろいろ農村関係殊に資金運用部資金のこの方面に対する運用等につきまして、広範囲に亙りまして詳細なるお尋ねを伺いましたのでありますが、資金運用部関係或いは農林中央金庫その他農村金融関係につきましては、森田先生非常に精通しておられまして、私どもからいろいろ申上げましてもくどくなる点もあるかと思いますが、一応お尋ねの趣旨によりましてお答え申上げたいと思います。  最初のお尋ねでありましたこの資金運用部資金のうち、どれぐらいが農村のほうに流れておるか、こういう点でありますが、大体これにつきましては、やはり多数の口数の資金でありまして、なかなかこれをはつきり分けて農村方面或いは農林漁業関係、それ以外というふうに分けることも困難でありますので、実は申訳ありませんが、はつきりした数字は作つておらないわけであります。ただこの資金運用部資金の運用状況を御覧になりましても、おわかりになりますように、大体十月末現在で五千六百二十六億の資金がございますわけでありますが、まあこのうち一番大きいのが地方債、地方公共団体に対する融資、これが二千七百億であるわけでありまして、全体の四割八分ほどをためております。この中には先ほどお示しのような都市に対するガス事業であるとか、水道事業であるとか、そういつた式の資金も勿論入つておりますが、農村関係の資金がこの中に非常に大きな割合を含んでおるわけであります。そのほか金融債、これは全体で一千五億でございまして、全体に対しましては一八%になつておるわけであります。そのうちの一割程度を農林中央金庫の債券貸付、それから政府関係の機関で一千五十八億、大体一割九分ほどの全体に対して割合を占めておりますが、この中で農林漁業金融公庫に対する資金が大体百四十億ほど含まれております。大体こんなふうな関係になつておりまして、まあ大ざつぱに考えまして、全体の四割近い金が広い意味農村方面に行つているのじやないかというふうに私どもとして一応の見当を付けておるというところでありまして、それ以上いろいろ明白なことを申上げられないのは恐縮でありますが、そんなふうに一応考えておるわけであります。それに対しまして、今度は資金運用部資金は全国の各市町村、全国各地方から集められた郵便貯金、簡易保険、そういうような資金の集積でありまして、いわば全国的な金であります。その中で農林漁業関係或いは農林関係のものがどれくらいを占めておつて、それがどういうふうに農村に還元せられておるか、こういうことでございますが、これにつきましても非常に大きな口数のものでありますので、はつきり分けまして、どの分が農村関係、どの分が都市の関係というふうに区別しかねるわけでありますが、一番大きな郵便貯金、この郵便貯金の預託金について申上げますと、大体これが九月末現在では三千四十六億という金額がございまして、大体全体の資金額の五四%を占めておるのでありますが、この全体の五四%の郵便貯金のうちでどの程度が農林関係かということでありますが、これは非常にはつきりしたことはわかりかねるわけでありまして、郵政省のほうでも最近は業種別の調査ということをいたしておらないのでありますが、極く大ざつぱに見まして、毎月の郵便貯金の受払いの状況或いはそういつた式の状況、六大都市、市制施行地或いは町、村というふうに分けて考えますと、大体六大都市、それから市、それから町、村、それぞれが大体四分の一くらいずつ、これは季節によつて非常に違いがあるのであります。農村におきましては、やはり収穫期以後において郵便貯金が非常に増加いたしまするし、その他の季節においては都会のほうが多いわけであります。それで全体として見ますと、都市と町村とでまあ半々くらい、年間を通じて見ますると半々くらいの貯金の増加を毎年示しておるようであります。市制施行地の中にも農業があるわけでありますし、町等におきましても農業というような面もあるわけでありますが、大体におきまして半分くらいは農村関係というふうに極く大ざつぱな話でありますが、考えてよろしいのではないかと思います。簡易保険等についても同じような問題がございますが、そういうふうにして極く大ざつぱなことを考えて見ますると、大体これは農村から集まりました資金を農村に還元すると申しましても、これは機械的にその集まつたところへ元通り戻すということじや金融上意味をなさないわけであります。大数観察いたしまして農村から集まつた金であり、従つて資金の融通がつきにくい農村方面にできるだけ融通すべきである、こういつたような観点から極く大ざつぱに見てみますると、大体現在の運用状況は、集まつた程度の金が農村に戻つておるというような運用状況になつておるのではないかというふうに推察されるわけであります。それで特に地方債につきまして、地方債のうちどの程度が農村関係ということができるかというお話でございましたが、これもなかなかむずかしいのでありまして、大体昨年の数字を資金運用部といたしましては、二十七年度の実績についてちよつと申上げてみますると、地方債全体といたしましては八百十億の地方債の引受をいたしたわけであります。その中で町村分、これは農村に属するものが大体圧倒的に多いと思いますが、町村分は百四十五億ございます。これの大体大部分は農村というふうに考えていいと思いますが、そのほかに県債或いは五大都市そのほかの市等におきましても、農業土木関係ということで融資しております分、或いは農業関係の災害復旧費ということで金が出ておりますものと、いろいろそういうものがあるわけであります。そういうものをいろいろより出して参りますると、大体只今の百四十五億のほかにどの程度になりますか、三百億ぐらいになるかと思いますが、その程度のものはやはり農業関係に出ておるというふうに私どもは大体推定しておるわけであります。そういたしますと、大体地方債のうちの六割ぐらいは農業関係と言いますか、農村関係と言いますか、農林漁業関係というふうにみていいのじやないかと思います。これも非常に大ざつぱな推計で恐縮でありますが、そういつたような見方をいたしております。それでこれは最初にお尋ねがありましたように、資金運用部の資金というものは、全国の町村、全国から集まりました金でありまして、而もその中には農林漁業関係の零細な蓄積された資金が非常に大きな部分を占めておるということから参りますと、できるだけこれはそういう方面に更に還元して、そういうほうに役立てるということは、当然資金運用部資金の運用方針としてもとるべき方針と私どもは考えておるわけであります。それから金融債のほうの関係につきましてのお尋ねでありますが、金融債は先ほど申し上げましたように、資金運用部の資金の運用の中で、十月末現在におきましては一八%という比重を占めておるわけであります。金額にいたしまして一千五億、最近は毎年三百億ぐらいの引受を実行いたしておるわけであります。この金融債の引受けにつきましては、いろいろと金融債のほうに行き過ぎるのじやないか、農村から集まつた金を金融債のほうに廻し過ぎるのじやないかというような全体としてそういう御意見等も伺つたことがあるわけでありますが、金融債といたしましては、最近は大体三百億というような資金を出しておりまして、全体地方等に出す資金は毎年累増いたしておりますので、毎年の資金運用部資金の運用の金額の中で金融債の占める割合といたしましては、毎年全体が増加しておりますので、やや減少しておるという程度の状態になつております。これにつきましても、いろいろ御議論があるところでありますが、基礎産業或いは重要産業の緊急な合理化資金等を供給するという意味からいたしまして、金融債の引受ということも、やはりこれは地方に対する資金の還元と相待ちまして、或る程度の割合は実施いたして参りたいというふうに考えておるわけでありますが、その中で農林漁業に関係のありまする農林中央金庫の関係の分が、昨年は三十億、今年は二十億という額を占めておるわけであります。これは全体の金融債に対して非常に少いのじやないかというようなお尋ねであつたわけであります。御尤もの点があるわけでありますが、これにつきましては、やはり当初三百億を、どの金融機関にどれだけを廻すかということをきめます前にいろいろと検討もし、協議もいたすわけでありますが、やはりそれぞれの金融機関の分野に属する資金の需要の状況とか、或いは既往におきまする貸出の状況、これは全体の貸出ではありませんので、やはり金融債引受の目的に適うような長期の設備資金でありまするとか、運転資金にいたしましても長期の運転資金、そういうものがどの程度需要があつて、どの程度そういうような金融機関から出ておるか、先の見通しはどうかというようなことが考慮に入れられまして、いろいろと検討されるわけでありますが、そういうような点いろいろ考えました結果、農林中央金庫、これは非常に金額が少いようでありますが、二十億というふうに計画をきめましたわけでありまして、最近いろいろ農林中央金庫のかたから農林中央金庫の貸出の様子或いは最近の需要の状況等も伺う機会もあるわけでありますが、いろいろと設備資金或いは長期に亙る運転資金というようなものの需要がかなり最近出て来まして、貸出も殖えて来ておる、金融債の発行高に見合うそういう貸出の額もかなり増加して来ておるという御説明は承わつておるわけでありますが、現状といたしましては、やはり他の金融債発行機関に比べますると、そういつたような金融債引受けの趣旨に適うような条件の貸出は比較的少ない、これは農林中央金庫の金融機関としての性質上或る程度やむを得ない点でありますが、そういつたような状況でありますので、これはやはり現状といたしましては、本年度は計画も決定いたしましたし、いたし方ないと想うのでありますけれども、今後の農林中央金庫の貸出の状況等も考えまして、これから又先の問題といたしまして十分に検討はいたして参りたいというふうに考えております。  それから最近の災害、殊に冷害、凍霜害、水害等によりまして、いろいろと農村方面に資金の需要と言いますか、緊急な資金の需要が起つておりますることは、私どもいろいろと伺つておるわけでありますが、災害復旧土木事業等の関係におきましては、取りあえず補助が行われるまでの繋ぎ融資というような措置等も適時行なつておるわけであります。その他の関係、殊に最近の冷害等に基きまする資金の需要、殊にそれがどういうふうに事業として対策が取上げられまして、資金運用部としても、どういう方面をそれに対して分担して行くかというような点につきまして、まだ実ははつきりした計画と言いますか、見通しがまとまるようになつておりませんので、その辺につきましては、目下御承知のように補正予算の編成に伴いまして、政府の歳出予算面におきましてもその関係の数字を固めるベく努力をいたしております。資金運用部のほうの計画といたしましても、それと睨み合せて一つ至急に対策を立てたい、かようなことで関係各省の説明等も聞きまして、いろいろ検討いたしておるという段階でございます。ただこれは今更申上げるまでもないことでございますが、資金運用部の本年度の資金繰りの状況、これは非常に苦しい状況でありまして、本年度の当初の運用計画におきましても、保有国債を百八十一億売却いたしまして資金を捻出して、地方債でありまするとか、そういうほうに廻す、或いは前年末の繰越金も、それよりか翌年へ越す金額は減少するといつたことが、かなり無理と言いますか、精一ぱいの計画を立てておりますので、そこへ今回のような非常に大きな災害が起りましたので、なかなかこれに対する資金を捻出するといたしましても、十分なことは望めないというような実は状態になつております。その辺のところはできるだけ資金のほうも工夫いたしまするし、災害関係で一般の災害復旧事業或いは市町村の災害特例によりまする起債、いろいろそういつた方面の資金の要望もございますので、それらを見合せまして一つ十分に検討いたしました上、まあ十分とは申せないだろうと思いますけれども、適切な一つ運用の計画を立てたいというふうに考えておる次第であります。若し足りないところがございましたら補足して申上げますが、一応説明を終ります。
  27. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 なお一つ承わつてみたいと思います。只今地方債に対する説明或いは地方の公共団体に対する貸付金等、この問題につきましては私未だ曾つてどこへどういうふうに出してあるかという報告を実は見たことがないのであります。今の御説明で見ますると、農村から金の引揚超過になつておるにもかかわらず、これを還元してもらいたいという私の質問に対しましては、それは何らか半分くらいはやはり還元しているというようなお話であつたように見受けますが、それは私との見解の相違は地方債に対しまする考え方なんでありまして、これがその中には、成るほど農村の土木事業その他に相当使つておるというようなお話でありまするが、私はこれはけだし当然、大河川その他の問題に対して、国が治山治水の問題から言いまして、国土計画から行きまして、当然これは払うべきものであつて地方のほうでは地方長官は農民にも非常な影響があるのだということを楯にしまして、県民全部の問題といたしまして、農村を楯にしてこれは要求したことでありまして、恐らくこういう問題は本省におきましても理財局長は十分、その表をお持ちにならないかも知れませんが、内容たるや私はそうじやなくて、現在、今までの経過は農村からの零細なる貯金を、郵便貯金、簡易保険その他の問題につきまして、先ほどお話がありました通り七〇%に近いものが地方から上つておる、このうちの少くとも半分は農村のものでなくちやならん、そのものに対しまして、これをこういう非常災害の際におきまして、政府が預金部資金と言いますか、預金部資金というよりも預金部運用の資金といたしまして、この資金を或る程度まで融資するような、その系統を通して融資して頂くようにお願いしたい、更に先ほど来枠の問題も申上げたのでありまするが、この際に農村方面の枠を殖やして頂きたいということを要望しておるわけであります。これに対してはいろいろ御説明がありましたから再び質問を申上げませんが、最後にお願い申上げて御質問申上げたいことは、農村の金は、先ほど来政府のほうへ吸上げがあつた分もあるのであります。地方銀行のほうに吸上げがあつた分も勿論ありますが、地方銀行も勿論、こういう際は大蔵省は地方銀行に対しても、災害融資に対しましては銀行方面に対して然るべくお話を願いたいことが先ず第一点。第二点といたしましては、先ほど来私が申上げました通り、自分のことは自分でできるだけやるのだといういわゆる自主的な考えからいたしまして、自分の持つております農協陣営、従いまして金融の方面で言えば信連或いは中央金庫、こういう系統的にふだんは吸上げられて、現在の中央金庫のあの大をなしたのでありまして、中央金庫も先ほど来申上げました通り、理財局長も今お話がありましたが、長期の貸金を今日できるような状態でありまするが、御承知通り、米の代金の決済によりまする農協振替によりまして、中央金庫に蓄積されまする貯金は何百億という数字でありますることは、今年は少いといたしましても勿論何百億であることは間違いないのでありまして、この金を出しまするというと、来年の四月頃から以降になりまするというと、何と申しましても中央金庫が預り金が少くなつて行くのでありまして、引出しがあるのでありまして、その間これを繋ぎといたしますることを政府がやる意思があるならば、即ち私はこの際におきまして、政府の預託金は銀行等に預けて預託してあるのでありますが、これを中央金庫に預託することによりまして、即ち年度が変りまする場合におきまして、四月以降におきましては、この預託金を中央金庫へ出す計画をすることだけで、それで現在の中央金庫に集まつて来ました金を出して置いても、中央金庫は支払資金の不足を感ずるようなことはない、事欠くことはないということになるわけでありまするから、そういう点に対しまして政府の預託金を我々の系統機関であります中央金庫、我々は何といたしましても中央金庫から借りるのが、地方といたしましては、農村陣営としては借りやすいのであります。そこへ流すのが我がままがきくのであります。従いまして、この中央金庫に対しまして、政府が預託をして頂くことを一つ考えて頂いたらどうか、これは政府がその気であるならば農村の悲惨な状態を十分御認識なすつておられる以上は、これに対して預託を今更中央金庫が危いわけではないのでありますから、この預託はできるのではなかろうかと私は思うのであります。この点に対しまして、そういう操作をする御意思ありや否や、この点は農村金融上におきまして、下半期の夏枯れにおきます資金枯渇の状態が金融に対する支障を生ずるのでありまして、あつても出せないということになるのでありますから、この点を一つ是非つて頂きたい、これに対してどういうお考えであるか。私は先ほど来申上げました通り農村は風水害、天候不順によりまするこの災害によりまして農村は全く水攻めに会い、風攻めに会つたのであります。又冷害等の天候の関係によりましての被害も相当こうむつたのであります。併しこれは、今後これを生かすか、生かさないかは一にかかつて金融が枯渇して、いわゆる金融り日照りが続いたならば、農村はまさに早魃の状態に陥るということを私は申上げて御認識を願いたいと思うのであります。この点につきまして、今後その営農資金に枯渇を来たしたならば農村は倒れるのであります。我が瑞穂の国は倒れるのであります。この点におきまして、私は是非ともお願い申上げると同時に御質問申上げておるのでありますが、十分に大蔵省におきまして御認識をして頂きたいということを申上げて、又預託の問題につきましては、それができるかできないか、ここで言い切ることができないとするならば、或る程度そういうお考えがあるかどうか御回答を願いたい。どうぞお願いいたします。
  28. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今の農林中央金庫に対する預託金の問題ですが、まあ御承知のように政府の預託金はいろいろ国庫の関係で、民間から資金の受入或いは払出という関係から季節的にいろいろ差がありますし、又政府の予算或いは特別会計等の収支の状況によりまして、非常に政府に資金が一方的に蓄積される、こういうような状態にありますために、金融市場にいろいろ不測の影響を及ぼしますから、それをまあ調整しようというようなことが本旨でありまして、国庫の余裕金を民間の金融機関に指定預金をする、指定預託をするというようなことを今まで実施いたしておるわけでありますが、その指定預託の実施を拡張いたしまして、或る程度、御承知のように災害地等におきまする金融機関に対しましては、預託いたしましたものを、災害地でありますれば、期限を延長するとか或いは新規に預託をするとかいう措置を講じて、今の災害地の金融の疏通に資するというようなことで現下いたしておるわけであります。只今の預託関係はそういうふうな趣旨でやつておりますが、農林中央金庫或いはその系統機関にはいたしておらないわけでありますが、それは昨今の事情、先ほどお話がございましたように、本年は凶作その他いろいろの災害、その他いろいろ事情はございますが、併しやはり農林中央金庫といたしましては、これから資金が集まつて来るという時期でありまして、既往の政府の預託金も現在資金が過剰になりますので、これを返済して行くというような状態になつております。それでお尋ねの趣旨はそういうような意味でありますので、結局農林中央金庫の農業関係、殊に米の代金等も関連しまして、非常に資金的に年間通じますると大きな変動があるわけでありますが、その変動期におきまして、資金が又非常に枯渇するよろな時期に農林中央金庫に預託金を出しまして、その間の調整を図る。こういろような御趣旨であろうと思いますが、それにつきましては、やはり政府が引揚げました、全体の国内の金融市場から引揚げられまして、引揚過ぎになつたというような関係の資金を預託いたしまして、これを緩和する。こういうような関係と、農林中央金庫がそういうような独自の性格によりまして、季節的に出来秋には資金が増加いたしまして、その後だんだん資金が出て行くといつたような状態とうまくそういうふうな関係が調整されまして適切に参りますか、そういうふうなことをやることが、そういうような意味で政府資金の収支の関係による金融市場の調整という趣旨とうまく合致いたしますかどうか、いろいろその点にも問題があると存じますが、なお中央金庫の資金の運用と言いますか、中央金庫の運用方針の問題といたしましても、資金に非常に短い資金が殖えたり減つたりする、こういうものを土台にいたしまして、フルに資金の運用をいたす。それで減少いたしました際には政府の預託金に頼る、こういうような態勢になりますことも、或いは余り健全なやり方ではないのではないか、政府の預託金と言いますものの、やはりこれは政府の財政の状態或いは国庫収支、国際収支、いろいろな状態で出て来るのでありまして、現在はかなりの国庫余裕金もありますが、いつも必ずあるとは限らないのです。そういうものが必ずあるということを前提にして農林中央金庫のような、毎年必ず収支の資金の動きが非常に大きくありますものが運営の方針を立てて行く、こういうことも少し検討を要する問題ではないかというふうに考えるわけであります。まあいろいろ問題の点はありますが、併し御趣旨のような点も確かに研究を要する問題であろうと考えますので、まあ従来のような筋によります預託金のやり方は、これは今後も勿論継続いたして行きますもりでありますが、只今のお説のようなやり方、それから更にそういう方針を離れまして、農林中央金庫の今のような、非常に今頃あたりから資金が増加いたしまして、而もそれが短い資金でありまするためにその運用に苦慮する、こういつたような事態に対しまして根本的にどういうふうに考えて行つたらいいか。最後に、これは国庫資金のほうにも反映して来るわけでありますが、国庫の収支がいつも年度初めには引揚超過になりまして、第三四半期に、丁度今頃から米の代金等の関係で非常に支払いが超過になる。全体の金融市場よりも、そのために必要以上にいろいろとそういう影響を与えておる。こういうような関係もございますので、その辺はまあ一つ一括して根本的いろいろと対策を考える必要があろうというふうに考えておるわけであります。
  29. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 最後にくれぐれも一つお願い申上げますが、むしろ大臣よりも理財局長のほうが相当の何を持つておるわけでございまして、これは私が言うまでもなく本席からお願い申上げておきますが、以上いろいろ御質問や、私の意見やお願いを申上げたのでありますが、これにつきましては、できるだけ一つ局長におきまして、引続く災害に対しまする農村の窮状をよくお呑み込み下さいまして、これに対してはできるだけ一つ御便宜を図つて頂きたいことをお願い申上げまして私の質問を打切ります。
  30. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    午後三時二十五分速記中止    —————・—————    午後三時四十二分速記開始
  31. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
  32. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 冷害対策といたしましての関係とこの関係が準ずる場合があると思うのでありますが、要するに食う米がない農家に対しましては、これを一般消費者の配給よりも一合加配するという問題があるのであります。併しその内容を見ますというと、完全保有農家かこういうふうになつた場合におきましては、今のような一般消費者の配給に一合を加配する、これは普通の場合は二分の一になるわけで、十五日でありますから、一カ月にしましては半分ということであります。二合七勺に対しましてその半分は一・三五合であります。それに一合加配しましても二・三五という数字になるわけであります。これはまあ場合によつてはやむを得ないといたしましても、不完全保有農家に対しては、一般消費者の配給のみだということでありまするというと、農業者でありながら、災害をこうむりまして保有米がないという場合におきましては一・三五しかもらえない、一般消費者と同じである、即ち転落農家に対しましては一口に言へば麦を食えということに相成ると思う。この問題に対しまして、而も供出をたくさんやつております地方、即ち米場所である県等におきましては、二十日分を消費者といえども受けておる。その二十日間受けておるにもかかわらず、米の生産県の不完全保有農家は二十日分をもらえる、而してそうでない不完全保有農家と称する転落農家に対しまして、米がとれなかつた場合は一般消費者並であるということで行きますというと、これは非常に不均衡になるものでありまして、この点は代金を延納してもらうということは非常に有難いことでありますけれども、代金を延納するというようなことだけで、その有難さは私に言わせれば米を食えないで麦をよこすことになるわけでありますから、この問題に対しましては、完全保有農家の場合と不完全農家の場合に、不完全保有農家に対しましても一合加配をして頂くということでやつて頂くことが一つ、もう一つは、生産県でありまする今まで供出をたくさんやつておりました県におきまして二十日分をやるならば、そうでない県の農家に対しましても二十日分をよこして頂かなければならん、こう思うのであります。これを一つ、この点はあやふやにこうなつておるようでありますけれども、この点は是非つて頂きたい、こう思うのです。農林省は今日は来ておりませんから、この質問はちよつと空鉄砲になつてしまいましたが、これを一つ強く委員長からその旨をお伝え願いたい。
  33. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 承知いたしました。ちよつと速記を止めて下さい。    午後三時四十六分速記中止    —————・—————    午後四時五十七分速記開始
  34. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それでは先ず私から農林大臣に大体の委員会の意向を体しまして御質問なり、意見を申上げて御回答を願いたいと思います。  昨日の閣議で補正予算の輪郭も大体きまつたようであります。本年の冷害等による農家収入減は、これはまあいろいろな見方がありますが、都道府県側の推算によれば約一千三百億以上と言われおりますし、又我々が各地を見て参りました状況から見ても、やはり相当の農業収入の減を見ておるわけであります。これに対しまして冷害等の補正予算が概算七十億、そのうち救農土木が五十億程度、こういうわけでありまして、営農資金の融資なり、或いは農業共済金の支払等がありましても、到底この冬が越し得ないのではないかということが一般の御意見でございます。大臣も御承知のごとく、今回の冷害地帯がおおむね単作地帯でもありまするし、又冬には雪も降つて殆んど収入の途がないというような地帯でもありまするし、又米の大生産地帯でもありまするので、やはり特別の考慮をいま少し払つて頂かないと、この冬の生活にも困り、やがて来年の再生産にも非常な支障を来たすのではないかということを実は我々心配をいたしておるわけであります。そこでできれば予算の枠の拡大が望ましいわけでありますが、併し昨日きまつて、すぐさまそれも困難でありますし、或いはその点も第二次補正という問題で我々又研究をしなければならんかと思つておりまするが、差当りきまりました五百十億の枠内での操作で、いま少しく冷害対策のほうに廻せないかどうかということが我々の実は注文でございまして、一つの考えといたしましては、農業共済関係の支出が百三十億ということになつておるようでありまするが、このうち共済金の支払財源を融資に振替えて、その浮いた分を冷害等の対策費に振替えることができないかということが実は我々一般の希望でございまして、でき得れば今後第二次補正等で更に問題を解決すべき点があるかと思いまするが、一応きまりました枠の範囲内においても、今言つたような農業共済等の分は支払財源は一部融資に振替えて、これは勿論問題をあとに残すことにもなりまするが、そういうようなことでもして、差当り少しく何とかならんかということが実は我々の希望なり、意見でありまして、なお委員の皆さんからも御質問なり、御要望があろうかと思いまするが、一応私から冒頭に、大臣は特に今日又閣議があることと思いまするから、その辺をお含みになつての御答弁を願いたいと思います。
  35. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は時間が非常に迫られておりますので甚だ遺憾でございまするけれども、十分の時間を以て出席できませんことを今日のところはお許しを頂きたいと思うのであります。  只今委員長から御質問がございましたように、今年の我が国農村の不幸相次ぐ災害によりまする打撃は相当大きいものがあると思います。いろいろ推定はせられますが、委員長お話のような額も決して根拠なきものではないというように私どもつておるわけでございます。例えば農業共済の支払を要すると一応推定いたしておりますものを見ましても、春の麦以来今回の水稲に至ります大よその推定支払を要する額は三百四五十億に達するのではないか。これによりまして大よそ全体の影響は想像にかたくないのであります。問題の諸災害に対しまする対策の予算措置を講じまするために、今月末臨時国会をお願いいたすという方針の下に予算の組立を先般来協議をいたして参つたのでございます。お話のように特に今回の冷害地帯は昭和九年当時に比べましても、かなり地域が広範になつております。又その被害の程度もかなり深刻な様相を呈しておるわけであります。これは私も先般東北地方を廻りまして、そういう実感を抱いて帰つて来たわけでありますと従いまして感じました上に立つてどもとしては施策を講じて参りたいということでやつてつておりますが、かなり収穫皆無、若しくは収穫皆無と見られる地帯がかなり多い。折柄農家の飯米、保有米等も大部分枯渇しかかつて来ておる。一望青立ちの中に立つて飯米に事欠くというような状態、一刻も捨ておきがたいという地帯もないわけではないわけでございます。直ちにとにかく何を措いても、作物の品質のことは別といたしまして、食べられることに不安と心配をかけてはならんということで、只今私は無論これは村の中においても、その農家の家々によつて皆事情が違つておると思いますが、そういうふうな収穫皆無地帯と見られるような村でも、大体今月一ぱいくらいはいろいろのやり繰りをいたして、北海道あたりはこれは別といたしましても凌いで頂けるのではないか。そこで今月中に現実に食糧が現地に届くように積込まれるようにという手配をいたして、その分はもう手配をそれぞれいたしておるわけであります。決してそのために突嗟の不安を惹起すということのないように万全の措置をとつておるわけであります。これは先ず何を措きましても、食べものがとれなくなつたのでありますから、一番切実に要望されておるのは、何とか食べるということを確保するということが一番切実な要求になつて、これに十分答えて参るように私どもの行政措置におきましてもやつておるわけであります。併し又これは無論法的措置もお願いをいたしまして、これが収穫がそういう著しく減収を来たしたところ、従つて収入の途がございませんから、その収入がなくても米代なり、麦代なりに心配のないような措置はこれは立法措置を講じて頂かなければならんというふうに考えております。そとで第二は、そういう地帯にそれではそれだけで事が済むわけではない、何とか一年間の収入の途を、極端に申せば断たれた地帯でございますから、別途に収入の途を開くということに最大の努力を払わなければならん。いろいろ地帯がござましようし、平坦地帯あり、山間地帯あり、特に冷害でございますから、山間高冷の地帯はおおむね被害を受けておる。又そういう地帯国有林の近接地帯でもございますから、国有林をできるだけ、無論これは村によつて利用できないところもあるわけでございますけれども、利用できる村々等につきましては、県、村、営林局一体となつて、とにかく国有林を最大に活用して現金収入の途を開いて行く。そういうことのできないところは、いわゆる農業土木或いは一般公共土木を繰上げるとか、或いは新たに計画を立てまして、できるだけ速かに、而もそれも成るべく後年度に亙らないように、直ちにそれが被害農家の収入に変つて行くような措置をとることが大事であろうと、こういう考えで私どもも予算の一応の組立をいたしまして御相談を願つたわけでありまして、無論冷害でございますから、昭和九年の例をお考え頂きましても、今日相当緻密な計画を立てて、そして積み上げて行くということは、実際なかなかむずかしいのでございまして、それでもまあ事務当局の御勉強を願つて積み上げましたものは無論私どものほうとしてはあるのであります。ところが春の凍霜害以来、特に西日本の大水害以来、御承知のように相次いで災害が踵を接しており、その予算措置が講ぜられていないので、同時にこれらと共に講ずるという建前で、災害に集中して対策を講ずるという予算であります。私といたしましても、右様の、とにかく先ず食糧に不安を来たさざること、或る程度適地適応の現金収入の途を開くこと、次の再生産を確保すること、この三点を目標として予算におきましても主張いたして参つたのでありまするけれども、同時に又我が国財政経済の実情から言えば、かなりインフレ面に対して厳重な警戒を要するというような事情にも、私はこれはつまびらかにいたしませんけれども、事情にある。そこでそういう私どもが積み上げて、そうして幾らの所要が要るけれども、これはこのくらいにしてもらおうという、そういうやり方をしておつたのでは、とてもこのインフレを防止することは困難だというような考えも非常に強くございました。率直に申しますれば、積み上げざる、全く枠のほうから先にきめた予算ということになつておるわけであります。只今委員長お話になりました、例えばこの総枠の中において、農業保険を振替えてこれを冷害或いは災害のほうに廻すといつたようなことにつきましては、私も主張の限りを尽して主張をして来た点でありますが、御承知のような予算の枠になつておるわけであります。私どもとしましては、結局まあそういう主張をいたしまして、議まとまらずして総理大臣の裁定に委ねるという結果が、ああいう昨日のような一応の決定案になつたわけであります。そこでこの事務的に積み上げて、そうしてこれが幾ら、これが幾らといつて査定をしてでき上つた予算でございませんので、あの枠の中を先ず災害は三百億、冷害等は七十億ということで、さあきまつた、これで一つ査定をやろうというので、各費目について只今事務当局で折衝いたしているわけなんであります。非常に窮屈を感じております。窮屈を感じておりますけれども、この中におきまして、只今申上げたようなことをできるだけ合理的に能率的に生かすということにもう一段の努力を払うべきであろうかということで、只今努力を払つておるわけであります。事情はもう率直に申上げた次第であります。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 先般冷害対策の農林省が作つた要綱を頂いて、これでも大体現実の窮状を満足させるわけには行かないから、相当額を伸ばしてもらわなければならないと、こういう空気も相当出ておりますのに、これがまあいろいろの事情がありましようが、殊に新聞などを拝見しますと、農林大臣も大分頑張つて頂きましたが、七十億の枠で抑えられた。そうしますると、この要綱自身を見ますると、救農土木事業というような現金収入を与えまするような一つの項目をとつて見ましても、半額を国庫補助にして、既定事業及び新規事業等を繰上げて行くと、こういうことになつている。今営農資金もないというのに、半額国がくれる、半額持たして自己負担することができるかできないか、非常にこれは重大な疑問だと思う。そういうものでやつて行けと、而も大体最近のこういう事業は、こういう土地改良とか、或いは潅漑排水というような事業は、大体平場地方の実力のある方面に法規の関係等から多く施行しておりまして、本当に今凶作で困つている地方は、いわゆる収穫皆無地方にはやりたくてもやれないで、何らなしておらないのであります。だからこれ自身が出て参りましても、救農工事などが一番欲しいところへ廻らない。だから私どもとしましては、これではどうもいかんから、本当に働かなければ生きて行かれないという地区に一つ全額国庫負担で……、大正五、六年かと思いまするが、あの経済パニックのあとを引受けて、そうしてたくさんの女工さんや労働者農村へ帰農したために大恐慌を来たした際に、救農土木工事というものを起したのであります。そういうものを一つ起してでも救つてもらわなければ、この際本当に青立ちの凶作農村は救われないと、こう思つておりましたが、ところがこれを又七十億に減らしてしまつたというようなことになりますれば、実際問題として、一年延期か何かで米は貸してくれる。それだけのことであとはどうにもできない。だからみんな出稼ぎに出ようというので、この間も私ども視察して参りますと、いつでも静岡のみかんもぎに募集に来ると、募集人員を集めるのに非常に困難を感じた。ところが今年は千人も集まつて来た。千人も集まつて来たものだから、そのうち一割くらい行くかなと、こう思つておりましたところが、方々からやはり同じ申込があるために、職安のほうで以て割当を減らしてしまつて、千人の申込みに今年は二十七人しかとつてもらえない。こういうような状態のときに、ただ減らした、金がないからというようなことでは私は済まない問題だと思う。これはどういう割振りをして頂けるか知りませんが、この要綱の救済土木事業自身が、これはまだ実際青立ちの出ているという凶作地帯農民を救うことができない状態にある。そういう点に対して農林大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  37. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私もりましてそう思いますことは、とにかく現金収入の途と申しましても、できないものを画一的にやろうとしても駄目だ。それから又実際こういうふうな非常対策を講じて行く場合には、やはり激甚な被害を受けているところを重点的に、成るべく散逸しないように重点的に予算の執行をやつて行くためには私は特段の注意をしなければならん。そういうことをして、第一サークル、第二サークルというようにいたしまして、各町村の大体今度の冷害を、十月五日の調査によりましても、およそ各町村の窮状というものはそれぞれわかるわけでございますから、それの最もひどい地帯、第二番目にひどい地帯、まあ取りあえず第一番に向つて……。とにかく炭を焼けるところは炭を焼く、焼けないところは土木事業を起すというようなふうにして、第一段、第二段というように計画を考えて行く。そうして乏しい予算ではありますけれども、最大の効果を挙げるように、なお又今の飯米や営農資金につきましては、これはもう当然別途の面から措置を講じて行きたい、こういうふうに考えておるわけでございますから、できるだけやはり被害の度合の高いところに、今回の災害予算ができるだけ集中して行くような措置を講じて行くように国会側にもお願いをいたしたい、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  38. 松浦定義

    松浦定義君 時間がないようですから率直に質問いたしますが、大体まあ今農林大臣の御説明になりましたことは我々も臆測ながら承知いたしておることだ、こういうふうに申上げて差支えないと思います。そこで問題はもう今日明日に迫つた今の五百十億という振り合い、それでは了承ならないというので、すでに衆議院のほうでは、もう昨日結論を出して、そうしていろいろ政府側にも善処を要望されておる。従つてこの問題はひとり衆議院ばかりの問題ではありませんので、特に農業政策というものは超党派的に行くのが本質であるという立場から、実は本日衆参両院の各委員が話合をいたしまして、そうして両院の委員長がすでに申入れをされたというのは御承知だと思います。従つてそれに対する御回答が、或る程度我々が今お聞きするうちに誠意があつて然るべきであると思いますが、依然としてそういうことがないといたしますれば、もはや現政府案というものは動かしがたいものであるというふうにしか私どもには了承できないのです。従つて恐らくこの七十億というものでは、我々ですら了承できないので、今回の被害を受けた農村地帯では当然これはもう了承できない。従つて承知通りの今回の国会の開かれる性格上から行きまして、我々としてはもう最大限の努力をしなければならん。従つてまあ衆議院、参議院、両院から申入れましたその数字は、もう最低限のものでありまして、できればそれ以上の要求を、或いは国会が開会されたときにこれが問題になるかも知れませんが、少くともその数字だけは、今政府が直ちに応じられるべきだと私ども承知いたしておりますし、それに応じられることが、今回の国会が開かれる性格上から言つて、政府として私は当然措置さるべきだと思いまするが、今のお話でありますと、内容においては多少或いはできると言いましても、申入の要望に対しては当然了承されないような趣きでありますので、恐らくこの結果は、私はやはり両委員会が現在の立場において申入れいたしましても、これ以上どうにもならん。従つて開会と同時にこれは国会において修正しなきやならんというような結果になると思うのですが、その場合に少くともこれはもう衆参両院の委員会といたしましては、超党派的にこの線は出て来ると思いますので、この際更に、この点についてもう善処の余地がないというふうにお考えになりまするか、或いは又多少でも今明日のうちに努力するというようなお考えがあるかどうか、ちよつとこの点をお伺いしたいと思います。
  39. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) もう私はいい加減なことを申上げておつてもしようがないと思いますので、あるがままの気持を申上げたいと思いますが、大体御趣意のようなことを閣内において私は主張して参つたのであります。それが財政的な意見とは大変違う、やむを得ずまあ総理に裁定を一任をしたという、内閣の一員といたしまして、総理大臣の統括の下にあります私どもとして、総理の裁定を見ました以上は、これは一応服するのが当然だ。それで次善の努力を払つて行くべきだと思うのですけれども、利は現在でもその裁定案は一応裁定案といたしまして、努力はいたしております。又これからも努力をいたしますけれども、まあ不躾けに申しますれば、国会で御修正を頂かんような予算を持つて行きたいというのが私の悲願であつたわけでございまして、何とかそういう結果が生まれますかどうか、今日に至りますと非常に苦しくなつておりますけれども、もう事情のありのままを申上げます。
  40. 白井勇

    ○白井勇君 委員長から私たちの考え方をお伝え願つて大臣から率直な今お話があつたあつたわけですが、くどく申上げる必要もないと思いまするが、まあ五百億は別としまして、その枠内の操作の問題ですが、私たち途中で紙上を通じまして承知しておりましたときは、一応まあ農業共済関係は繭なり或いは麦というような最小限度の三十八億ぐらいだと記憶しておりますが、その見当のものを一応とりまして、あと米の問題はこれからどうなるかわからんから、それは二十九年度の予算でお考えになるというようなふうに私は紙上を通じまして承知しておつたのです。ところがつい最近になりまして百三十億というようなことになつた、これは委員長からお話もありました通りに、これは借入融資というようなことで措置のつく筋合のものですから、そういうものをとにかく百三十億も相当多額のものをあすこに織込んだということは、私はこれは臆測ですが、これはやはり相当政治的な含みを持つてああいうような数字が出ているのじやないか、こう私は推察をしておるわけであります。そこでその冷害関係は非常にまあああいうふうに少いわけでありまして、これは大臣、利も一緒にお供したと思うのですが、宮城から岩手、青森のあの冷害事情も御存じですし、今度又全国をお廻りになつたわけですから、冷害というものは、とにかくあとになりますればなりまするほど被害程度も深刻であるということはよく御承知だと思います。今後お考え願える面につきましては、これは是非一つ冷害関係につきまして特に更に御努力を願いまするように、私からも一つ御要望申上げて置きます。
  41. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 今のあの農業共済保険の百三十億の計上に政治的含みがありはしないかという御推察は御尤もだと思いますけれども、あの点は焦点として争つて来ておつたところでございまして、なかなかあすこにインフレ論が集中しておりまして、私の推察では財政当局はあそこには政治的含みは持たないというように私はとらざるを得ないように見ておる。これはお答えすべき限りじやないかと思いますが、そういうように考えております。
  42. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) ちよつと私から最後に……。三・四十億のものが財政支出が融資に振廻つて、それでインフレが急速度に進行するということは、これはちよつと理解に苦しむ。どうぞ一つ最後の御奮闘をお願いいたしたいと思います。
  43. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 極く簡単ですがね、救農土木事業、これの関係は土地改良或いは林業、こういう方面があるので、補助率を引上げるということはわかりますが、それから融資率も上げるということはわかつたんですが、大蔵当局との融資の枠、それから融資の措置というものは、こういうものは一つ済んでおりますか、どうですか。
  44. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そういう点は全然進んでおりません。というのは、只今いろいろ御議論がありましたように、私のほうの予算の枠の要求に対しまして余りにも小さいのであります、とても話にならない、率直に申上げまして……。それでとにかく少しでもいろいろ事務としても操作のできる程度までは、当初の計画まで行かなくても、増してくれなければ困るということで、まあやつておるようなわけなんでありまして、仮に五十三億出したとしても四十億に切りますれば、恐らく今の補助率を上げるとか、何とかしなければならないということは、相当むずかしくなつて来るんじやないかと思います。それから又一般のやつが十億になつておりますが、これは農林省の案では約四十七、八億になつておると思いますが、その中で十八億が公庫の出資金になつておるわけですから、誠に処置ないわけです。方々陳情に行つているということでございます。
  45. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今農林大臣が、共済金は三百四、五十億ぐらいになるということを言明されておりましたが、これについての資金繰りはどういうことになりますか。
  46. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 只今お尋ねの数字は大臣も先ほど申上げた数字でございますが、一応の数字でございます点は申すまでもございません。これで以て確定的なものであるという趣旨ではございません。大体の金繰り関係から共済金の支払いの問題をどうするかという問題でございますが、これにつきまして今のは共済金でございまするので、保険金にいたしますると三百億余りになります。更にこれが再保険の関係になりまするというと、二百四、五十億の額になる次第であります。そこから手持ちの保険料を差引きまして、特別会計の再保険といたしましては百八十億余の不足になるわけでございます。従いまして一般会計から特別会計に繰入れるものといたしましては、この百八十億というのが一応の目安になるのであります。先ほど申上げました通り百八十億が元の数字が確定的な数字でありませんから、これ自体も確定した数字ではございません。若干の上下があるだろう。恐らく大蔵省が百三十億といたしましたのは、若干下廻るであろうという期待と、それから特別会計における基金二十五億ございますから、それを差引いたものを百三十億ということで計上したんだろうというふうに思つております。なお連合会におきましては、約二十四億くらい融資を必要とするように考えております。私どもの予算の要求といたしましては二十四億の融資ということではなくて、農業共済基金が発足いたしました当時、連合会に対しまして必要とする不足金の融資二十八億ほどあつたのでありますが、それがその後の災害続きで、災害が連続して起つたものでありますから、保険料の前食いといつたような形で、連合会のやりくりに重圧を加えておるという観点から、この際二十八億分につきまして一般会計から基金に長期的な貸付をするという措置と、それから先ほど申上げました百八十億の中で、すでにほぼ確定をいたしております春蚕と麦につきましての四十億、合せて六十八億乃至九億近くのものを要求しておつたわけであります。これだけであります。
  47. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) この間官房長から六十九億というのを聞いたのはわかるのですが、これは形式なんですが、六十九億の要求に対して百三十億繭とか、麦とは別途に要求をした結果百三十億になつたのですか。
  48. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) いや、それは呑み込んで話しておりますが、あのときの要求では稲のやつが百十一億、それの利子補給分を含めて今の四十億と二十八億合せて六十八億程度要求しております。ですから私のほうは稲のほうの百十一億という数字はまだはつきり掴めていない、百十一億分の数字は固まらない、こういうことでございます。で、利子補給をくれ、こういう要求になりております。
  49. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) そこで農林省の補正予算の第一要求額六十九億という要求だけだとすると、結局閣議では百三十億ということは何か普通ならば要求額分よりは削減されてしまう。六十九億の補正予算の第一要求に対して、閣議決定が百三十億ということになつ手続上の問題ですがね。
  50. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) それは六十九億の予算の要求の基礎は、麦と春蚕の特別会計の四十億、これがあるわけです。そのほかに今官房長がちよつと申上げましたように、実際四十億では足りませんので、それで百三十億余になりますから、それをどうするかということにつきましては、それは四十億ばかり入れまして、足らん分は借入れる。その借入れについての分は利子補給をする、特別会計にそういう要求をしておつたわけであります。だから一般会計から多額のものを繰入れるということになれば、他の予算にも影響を与えるであろうということで、相当部分金融で行こう、こういう考え方の予算でございます。大蔵省はその金融で行こうという案に対して、それは財政の健全さを害する、こういうことで百三十億借入れろ、こういうことでございます。
  51. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) ですから我々の要求したと同じようなことをやつたところがインフレ論から融資を一般会計に振替えて、その結果全体の枠が壊れてしまう、こういうことなのですね。結構でございます。  もう御質問ございませんか……。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  52. 片柳眞吉

    委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  委員会はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会