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1953-10-20 第16回国会 参議院 農林委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十日(火曜日)    午前十一時十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員小林亦治君辞任につき、その 補欠として天田勝正君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            天田 勝正君            松浦 定義君            鈴木  一君            野本 品吉君   事務局側    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林大臣    官房長     渡部 伍良君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    林野庁長官   柴田  栄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告農林政策に関する調査の件  (冷害対策に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。  先ず先般来作況調査のため現地調査をお願いいたしましたので、各班から順次御報告を願いたいと思います。第一班白井委員からお願いいたします。
  3. 白井勇

    白井勇君 私と委員長北海道調査に参りまして、委員長から御報告をして頂きましたほうが実態に合うかと思いまするが、私から簡単に御報告を申上げまして、足りない点を又委員長から補足をして頂きたいと思います。  私たち二人は十二日から十八日までの七日間北海道実情調査いたしたのでありまするが、先ず最初北海道におきまする気象の概況を申上げますると、全国同じような状態でありまするが、先ず四月中旬以降継続いたしまして低温が続き、田畑の作物の発芽、生育が極端に阻害をされておりました。五月中、又その下旬におきましても強度の霜がおりまして、温冷床の苗など、或いは畑地にありますものが大被害をこうむつたわけであります。従いまして水稲等におきましては二番仕立、或いはそれも間に合わない。結局直播に転換せざるを得ない、畑作におきましても同様再三播き直しをするというようなことで、生育が非常に遅延を見たのであります。六月に入りましても、中旬以降更に低温冷雨によりまして生育が各作物とも非常に阻害をされて参つたのであります。大事な七月に入りましても、上旬から下旬に亘りまして、前後三回の大水害があつたわけであります。従いまして、それによつて農作物の冠水或いは流失をするというようなことで、水稲生育に非常なる障害を与えまして、腐敗或いは病害等が多く出ました結果、現在のように空穂になりましたりしましたものが非常に多いというような原因となつておるのであります。七月の中旬の低温は十度内外にも及んでおるのでありまして、幼穂形成期にありました早生穂の籾の分化発達というものを妨げまして、不稔実粒というものを多く出しました原因となつておるようであります。八月に入りましても更に低温が続ざまして、三、四、五と三日間、十三度以下の低温であります。従いまして当時幼穂の伸長を始めつつありました中生種或いは晩生種の進んだものの籾の分化を妨げまして、これが又稔実の妨げをいたしまして、不稔実粒を生ずるような原因に相成つたわけであります。更に八月の二十日頃から各作物とも気象関係からいたしまして、今申しましたような事情によつて、十日以上或いは大体まあ二週間と言つておりますが、そのくらいの生育阻害を来たしておりましたところに、下旬に亘りまして、殊に八月の二十二、二十三日あたりは十度内外にも温度低下をいたしまして、穂孕期にありました晩生種開花授精を妨げるような結果になりまして、これ又不稔実粒を生ずる原因なつたようであります。要しまするに北海道におきましては、日本全体に起きましたこの種の災害を連続いたしまして、一遍で受けたような結果になつておるわけでありまして、先ず最初に霜の害を受け、その次に水害を受けております。最後冷害によつて結論を出されたような結果になつておるのであります。私たち現地調査いたしたのでありまするが、これは有名な千歳郡の恵庭町の周辺、更に長沼町周辺、それから空知支庁に入りまして、これは最も米作量の多いところでありますが、岩見沢周辺、深川町周辺水田地帯、更に空知支庁の米の多産地であります上川支庁管内の美瑛町の小田地帯、又十勝支庁管内に入りまして清水町の周辺、御影町の山麓地帯、更に又網走支庁管内に入りまして置戸町の周辺、秋田村留辺蘂周辺相内支庁周辺、更に又北に入りまして北見市の周辺、その水田地帯、又後志支庁管内に入りまして倶知安町、喜茂別町、京極村というような地帯を時間のあるだけ駈けずり廻つたわけであります。その状況を見てみまするというと、どこに参りましても稲作青立をいたしておりまするし、黄色くなつていると言いましても、あたかも汚い麦の収穫期を見るような状態でありまして、殆んど実の入つていない或いは又稲熱病にかかつておるというような状態でありました。馬鈴薯におきましても、大きさも違つておりまするし、反収におきましても相当減収であるとさえ言われておるのであります。申上げるまでもなしに、こういう場合におきまして、比較的災害の少いのは馬鈴著とビートであるわけでありますが、それらにつきましても、やはり相当被害を受けでおるわけであります。更に北海道畑作の大宗でありまする雑穀類大豆菜豆その他におきましては、実の入つていないのも相当ありまするし、非常なるこれは災害状態であつたのであります。現地を歩いていまするというと、去年は反収六俵あつたけれども、今年は三俵もとれないというような地帯はまだよいほうでありまして、殆んど飯米すらもとり得ないいうような地帯が多いように私たちは見受けて参つたのであります。有名な千歳町の開拓者たちは、どうも農耕に従事いたしておりましても、どうにもならんということで、幸い近くに米軍の基地がありまするので、その僅かの現金収入によりまして凶作を補つておるというような悲惨な状態を見て参つた次第であります。殊に北海道供出の六割を占めるというこの空知支庁管内におきましては、先ほど申しましたように作が非常に遅れておりました上に、一縷の望みを持つておりました八月末から秋にかけましての天候低温であるというような結果によりまして、全く望み失つたというような、誠に憐れな農家の姿を見て参つたのであります。又十勝支庁管内清水町或いは御影の山麓地帯におきましては、御承知通りに風のために表土が吹き飛ばされて地方が弱つております上に、更に今回の冷害を非常に強く受けましたわけであります。大豆等におきましても、せいぜい四分作に行けばいいのだ、北海道におきましては今年は特に小豆が悪いようであります。こういうものも二分作か三分作であるというように言われておつたのであります。割合によいと言われておりました麦におきましても、やはりとつてみまするというと、半作から七作程度のものであるというようなふうに言われておつたのであります。従いまして開拓者の多いような地帯におきましては、明日の生活にも困るというような状態を訴えておりましたのであります。又網走支庁管内置戸町に参りましたときは、そこには国有林が非常に多いのであります。町におきましては、日頃町民が山火事の防止というような山の防護に非常な経費を使い、労力を使つているようでありますが、せめてこういう場合におきまして、国有林等を開放してもらいまして、或いは又それに関係のあります労働を与えて下さいまして、是非一つ救済してもらいたいというような誠に尤もな要望もありましたのであります。留辺蘂水田地帯を廻りましたときも農夫は去年は四俵とれましたが、今年は種籾もないというような状態を話しておりました。  次に、地元におきまする要望につきまして要項だけを申上げますというと、これは今回の風水害或いは冷害等の他の地方要望と大体似通つておりますが、先ず金融対策につきましては、第一に政府資金によりまする長期低利資金融通をしてもらいたい。第二に、農業手形貸付金の借替及び金利の負担の軽減をやつてもらいたい。第三は、農林漁業長期資金の融資の枠の拡大をしてもらいたい。第四に、肥料購入資金融通措置をやつてもらいたい。第五に、自作農創設維持資金拡大並びに償還期限を延長してもらいたいというようなこと、その次に第六といたしまして、農作物共済保険金概算払即時実施をしてもらいたいというようなのが資金対策につきましての要望であります。  次に、農家自家用飯米確保の件につきまして、又増産施策促進要望といたしまして、第一に、冷床苗代等奨励継続及びその補助額増額、これは御承知通りに本年度から折角よい施設が中止になりましたのであります。それによりまする非常な打撃を今回受けておりますので、是非これを復活いたしますと同時に、もつと積極的にやつてもらいたい、こういうような要望があつたわけであります。それから二番といたしまして、農薬及び防除諸経費に対する助成、これは御承知通り耕作反別が非常に広汎でもあるわけでありまして、是非一つこういう方面に対しまする国庫の助成というものを大幅にやつてもらいたい。それから取りあえず急いでおりまするこの種子確保の問題、これにつきまして、政府におきましては速かに積極的な御援助を願つてもらいませんというと、来年の増産には間に合わない、こういう状態にあるわけであります。殊に種子問題等につきましては、政府できめております籾の値段が少くも一俵三千円を割るようでは到底来年の田植に要します種子確保は道内におきましてこれはできない、こういうような強い要望があつたのであります。その次に、有畜農業促進も是非これは併せて考えてもらいたい、こういうような要望がありました。  救済事業実施につきましては、先ず土地改良事業継続、更に新規繰上げ施行をやつてもらいたい。こういうような要望がありました。第二番目としまして、道路河川改修事業実施、三に、国有林薪炭用原木の払下げ、第四に、造林事業の強化というようなことが救済事業といたしまして是非やつてもらいたいという要望であります。  更に、供出割当につきましては、その割当適正化を先ず期してもらいたい。二番といたしまして、政府に納めます場合の検査の規格を一つ緩和してもらいたい、こういうような要望がありましたのであります。更に又早場米につきましては作が非常に遅れておりますので、あの奨励金に伴いまする期間というものを少くとも十日以上延期をしてもらいたい、こういう要望が出されておりました。更に当面の問題といたしまして強く要求のありましたことは、先ほど申しましたように、種子の手当の問題は勿論ありますが、更に飯米確保の問題、営農資金確保の問題、殊に又いろいろなこの救済事業が行われましても、御承知通り北海道はもう十一月ともなりまするというと、もうその末からは殆んどいろいろな仕事ができないような地帯が多いような状態でありますので、やつてもらいます救農的のいろいろな土木工事或いは土地改良というような施策は、雪の降りまする前に何とか速かにやつてもらつて、そうして農家に幾分でも現金の入りますような途を与えてもらいたい、こういうことであります。更に先ほど申しましたように、従来やつておりました冷床苗代奨励補助増額というような問題が特に強く要望をされておりましたのであります。  要しまするに、私たちが見まして、特に感じましたことは、先ずこの今回の災害を受けましたのは、先ほど申しましたように、全国各地にありましたこの凍霜害から始まりまして、水害を受け、更に最後冷害を受けまして止めを刺されましたような結果に原因をいたしておるわけでありますが、やはり最近余り凶作がなかつたものでありまするからして、一方又政府の米の供出割当の問題もあり、農民といたしましては、できるだけやはり反収を上げまするような品種を選択をして、従いまして先ず早稲種よりも中稲、晩稲というように中晩生のものに作付を変えて来ておるというような結果からいたしまして、早稲種割合災害を受ける程度も他に比較いたしますれば軽く済んだのでありまするが、今申しまたように、晩生種に変りましたというような点が災害を更に深刻にいたしておるのであります。殊にこの北海道冬季作物でありまする畑作地帯雑穀類というようなものにおきましても、これは勿論北海道農業は御承知通りに投機的の農業の面が非常に濃いわけでありまするが、やはり手芒がいいということになりますと、手芒に飛びついて行くというようなふうに非常に投機的に作付を進めて行く、その間に何らの、何らというと語弊がございまするが、強い指導力がないものでありますから、打撃を受けたものが非常に深刻な打撃を受けたというような恰好になつておるようなことであります。こういう点はよく言われまする通りに、天災とは言いながらなお人災の面があるのだ、こういう一つの面であろうかと私たちも見て参つたのであります。  それから申上げるまでもないわけでありまするが、北海道農業は御承知通り畑作が非常に多いわけでありまして、私たち災害地を見て参りましても、米なり、麦の問題はしよつ中いろいろ対策を立てられるわけでありまして、麦が外れましてもやはり間接統制的の面があるわけでありますが、北海道の少くも雑穀につきましては、そういう政策というものはない。農作物価格安定法が制定をされまして、本席上におきまして、松浦先生初め北海道出身先生方からは大豆を入れるようにというお話があつたわけでありましたが、ああいうものまでも価格安定法の適用を受けてないというような関係にあり、その他菜豆類につきましては、今のところ何らのそういう保護助成がないわけでありますので、要しまするに、北海道畑作農業におきましては、申すまでもなく自由経済の真只中に放置をされておるというような現状であろうかと私たちは考えて参つたのであります。殊にこの開拓地になりますと、更に農業共済問題等におきましても、いろいろな恩典を浴し得ないというような点がございまして、先ずやはり我々といたしましては、少くも雑穀等におきましても、重要なものにつきましては、やはり米麦に準じました一つ保護助長政策というものをとる必要があるのじやなかろうかというような見方をして参つたのであります。  第三の点といたしましては、取りあえず先ほど申しましたように、飯米確保いたしますると同時に、現金収入の途を与えなければならんわけでありまするが、御承知のような天候関係にありまするので、一日も早く政策をきめまして、末端にそれを流してもらいませんというと、もう雪が降つてしまいまするというとどうにもならない。せいぜいバラスをとつて参りまするとか、或いはできる範囲の客土をやつて行くというような極く一部の救済事業しか残つていないというような実態にありますので、そういう点につきまして、政府といたしましても速かに特別の措置をとる必要があるじやなかろうかというような感じを持つてつたわけであります。  極く概要でありまするが、まあ私たちはその冷害のみならず、北海道を今回見せて頂きまして、認識を更に新たにいたしたわけでありまするが、申上げるまでもなく、戦争中からいたしまして、もつと前に遡りますれば、満洲の開拓以後というものは、あの大事な北海道に対しまする国の投資というものが殆んど非常に弱くなつておるわけでありまして、これからいろいろな面におきまして、あそこの開発というものに政府におきましても強力な手を打つように考えませんというと、これは災害対策のみならず、将来の食糧確保或いは日本人口培養意味から言いましても、いま少しく積極的な具体的な政策を以て北海道開発に当る必要があるじやなかろうかというような感じを持つて帰りました次第であります。非常に簡単でありまするが、一応御報告を申上げまして、足りない点は先ほど申上げましたように委員長から補足願いたいと思います。
  4. 北勝太郎

    北勝太郎君 関連して一言だけお伺いしたい。今白井委員から詳細な御報告がありましたが、北海道要望事項中に、保温折衷苗代というお言葉が出たのですが、実は北海道では保温折衷苗代成績が悪く、障子をかける陸苗仕立て要求、いわゆる冷床苗代補助継続、これでありますからどうぞ一つ……。
  5. 白井勇

    白井勇君 申訳ありません。これは速記をさようにお願いします。そういう意味で申しました。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは今の保温折衷苗代冷床苗代ということになりますからお願いいたします。  第二班につきまして松浦委員から…
  7. 松浦定義

    松浦定義君 それでは私から第二班の現地調査の御報告を申上げます。  第二班は北委員と更に安樂城専門員と私と三名でございました。第二班は岩手県及び青森県の両県に出向いたのでありまして、十月六日から十二日まででございました。私どもは先ず岩手県庁に参りまして、県当局より県下の総括的な事情を聴取いたしまして、続いて岩手郡雫石町、和賀郡沢内村、同湯田村、同藤根村、上閉伊郡遠野町、同青笹村、同上郷村、同鵜ノ住居村、同大槌町等について詳細なる現地調査をいたした次第であります。続いて青森県に行き、青森県庁において県下事情を聴取いたしまして、上北郡野辺地町、同天間林村、同大深内村、同七戸町、同三本木町、同藤坂村、三戸郡市川村、東津軽郡蟹田町、同後潟村等の実情を視察して、十一日に行程を終り、十二日に帰京いたしたのであります。  本年の冷害は一般的に低温寡照であつたことに由来することは勿論でありますが、特に作物生育上最も重要な時期、即ち稲作にあつて挿秋期幼穂形成期穂孕期出穂期開花期授精及び登熟期等において極端な低温が襲来したことが決定的な打撃を与えたものと思われます。右の事情農林省岩手統計調査事務所説明によつてみますと、稲の生育に大きく影響したものは異常気象であつて、大体三つの時期に分けられ、第一は挿秋期における低温であつて、これがため地方によつては活着不良で初期の発育に悪影響を及ぼし、第二は七月中旬における低温であつて、当時は最高分蘗期であり、又栄養成長から生殖成長に移行する時期であつたために、これが影響は相当大きいものがあつたと認められるのであります。第三は、八月中旬以降九月上旬に亘る低温寡照であつて、この時期は水稲出穂開花授精登熟等最も重要な時期に当りまして、特に中生種及び晩生種はあたかも出穂開花から登熟初期に入つた時期で、その打撃は深刻で、冷害凶作がはつきりと言われ出したのもこの時期以後であつたようであります。冷害に加うるに七月中旬以降稲熱病の発生が甚だしく、これは例年にその比を見ない程度激しいものがあつたようでありまして、不作を一層深刻にしたと述べられていたのであります。又これを青森県の農業試験場藤坂試験地説明によりますると、今年は春以来低温で、南部地方は分蘗が遅れ、草丈短かく、出穂又遅れて憂慮せられていたのでありまするが、八月二十日までに出穂が遅延しておりましただけに、八月中旬以降の低温が平年並になれば、平年に比して一、二割の減収で済むものと考えられたのでありまするが、ところが八月二十三日以降の記録的な低温によつて開花授精に甚だしい障害を与え、作況は急転して最悪の状態を示すに至つたと言われておつたのであります。かような状態の下におきまして、稲の作柄は悪化の一途を辿りまして、農林省統計調査部十月五日現在の調査によれば、作況指数は、水稲において、岩手県が七七%、青森県が七二%、又陸稲においては岩手県が七九%、青森県五七%であり、水陸稲合計試算収穫高は、岩手県が百四万七千五百石、青森県が百十一万三千七百石となつておるのであります。なお昭和九年の凶作における米の収穫高は、岩手県が五十一万四千八百五十石、青森県が五十九万八千四百十三石となつておるのであります。農林省統計調査部のこの調査成績にかかわらず、岩手県においては稔実著しく不良となりまして、青立現象の惨状を呈するもの莫大な面積に達しまして、畑作物においても同様冷害を受け、大豆、稗、小豆等の結実不能のものが相当面積に達しまして、昭和九年の冷害にも匹敵する大惨害を受けるに至つたのでありまして、九月十五日現在における水稲予想収穫に、平年作対指数が六七・四%、九十一万五千石、平年収穫高に比しまして四十四万二千石の減少となつております。これを地帯別に見ると、沿岸地帯が三八・七%、北上山麓地帯が五二・二%、北部平坦地帯が五四・一%、奥羽山麓地帯が五九・七%、中南部平坦地帯が七四・七%となつており、沿岸地帯被害が最も激甚であつたのであります。又陸稲雑穀についてもその被害は甚大であつて、平年作対指数陸稲一八%、雑穀が五七乃至七五%と言われておるのであります。又青森県においては、九月十日現在の作況は、平年作対指数が六二・五七%と言われておるのであります。而して農業技術が今日改善をみていなかつたならば、その被害は既往の凶作に勝るとも劣らないものがあつたであろうと言われておるのであります。なお、九月十五日以後の状態については、その後における比較的好天気に恵まれて幾分かちよつと持返したのだという説もあつたのでありますが、青森農業試験場藤坂試験地の説によりますると、九月二十五日以後温度が十七度以下に降下し、生理的変化はすべて停止して、勝負はこれできまつたものだと思うのだと述べられておつたのであります。更にここに留意しなければならないことは、米の品質の低下でありまして、青森農業試験場藤坂試験地において、私どもの視察に備えまして、その際圃場にある稲から脱俘調製した玄米の標本によりますと、米粒の大部分は未熟の青米でありまして、普通の飯用に供することが殆んど不可能なものと認められ、乾燥又極めて不良で貯蔵に堪えず、検査に合格の見込みは殆んどないものと見受けられたのであります。平年でありまするならば、すでに収穫を済まし、早場米供出もまさに終了いたさんとする時期であつたにかかわりませず、農家は今年は実らん稲穂に徒らな期待を寄せておりまして、未だ鎌入れをしないものが大部分であつたのであります。農業共済損害評価員は忙しく検見に努めておる状態でありまして、これはやがては麦作等の農作業に違算を来たすのではないかと、かように心配をしていた次第であります。  今年の冷害不作原因は、前にも申述べましたように、特に天候異変に基因するものがあることは誰しも否定することができないのでありまするが、併しながら又一方人為によつて不作を軽減することができるにかかわらず、その備えを欠いたもの、或いは又人為がむしろ不作促進したと認められるものがあることも、これを否定することができないと思われるのであります。岩手県下において指導的地位にある人の言つていた言葉によりますると、さようなことが私ども考えられたのであります。即ち本年の稲作冷害相は早、中、晩の品種の差、挿秧期、苗代の種類、施肥量等による栽培者個人的差異等が顕著に現われております。これらを通覧いたしますると、食糧増産の要請に答え、且つは近年暫らく続いた豊作型の作柄に馴れ、一般に増収本位品種栽培技術が取入れられている傾向にあつたりで、それらの点からも受ける打撃は一様でなかつたと思われ、一般的に品種といたしましては、早生系統に良好な作柄を示し、早生でも山間部は藤坂五号は全面的に良好で、栽培面積の主要部分を占めている陸羽一三二号は中南地方平坦部では比較的良好であるが、山間部においては極めて不良であり、又苗代の種類から見れば保温折衷苗代はどの地帯でも成績おおむね良好であつたようであります。これらの事情について岩手県から配付せられました資料は、本年の天候は年度当初から冷害型であることが予想せられたので、稲作については特に耐冷品種の導入、種子の消毒、保温折衷苗代の設置、早期挿秧、施肥改善、稲熱病の防除、その他肥培管理の改善に最善の努力を尽したと述べられておりますが、又一方車中において読まれました十月七日附毎日新聞の記事に、「県の耕種基準に農家が冷淡であつて」と掲げられているところは反省せらるべきであると考えます。  以上述べましたような実情に対処して、現地におきましては各方面から冷害対策について応急的且つ恒久的種々熱心な要望が行われたのでありまして、これらの要望は甚だ多岐に亘つておりまするが、それらの事項については陳情書等によつてすでにおわかりのことと存じますし、更に只今お手許に配付いたしました要望事項要領に示されておる通りであまするので省略いたしたいと思うのであります。  なおこの地方冷害は御承知のように常習的でありまして、東津軽郡後潟村長の述べられたところによつてみましても、本村は開村後今日まで約四百年、その間四、五年に一回は必ず冷害凶作に見舞われているとのことであります。現に近くは昭和九年或いは昭和十六年の凶作はなお記憶に新らしいところであります。かかる事態に備えて、曾つては備荒貯蓄等も行われていたのでありますが、食糧供出制度の実施以来、これらの凶作に対する備えも失われているところに問題が一つ残されておるのであります。かかる不作に対処してとらるべき政策は、一方においては被災者を救済すると共に、又一方においては国民食糧を確保しなければならないのでありまして、而して国民食糧を確保するためには先ず以て増産が強行せられなければならないのであります。併し増産が強行せられますれば、おのずから冷害に対しては不安定な農作が進められることとなりまして、而して安全農作が進められることとなれば、おのずから増産は抑制せられることとなりまして、ここにジレンマが感ぜられるのであります。而も古老の説によりましても、又農作業の遅延、種子品位の低下、病害の潜在等から推測いたしましても、来年の作柄は多分に危険を孕んでおると思われるのであります。かような事情において、来年稲作を初め麦類その他次期作物の安全多収のためには、即刻万全な措置がとられなければならないと考えられるのであります。  又被災者の窮状は思いやられ、これが救済は遷延することが許されないのでありまして、救農土木事業及び土地改良事業を起すにしましても、厳冬が目前に控えておりますので、一日も速かに着手しなければならないと考えるのであります。岩手県上郷村の村長は、農家はこの凶作を災難と諦めて、決してくじけることなぐ再起を期しておるので、その意気を汲んでもらいたいと述べておるのでありまするかかる事態に対処いたしまして速かに適切なる方針が決定せられ、一日も早く応急的且つ恒久的な対策が確立せられんことを切望いたしまして、私ども調査報告を終りたいと思います。
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に第三班の御報告を願います。
  9. 鈴木一

    ○鈴木一君 御報告いたします。去る十日八日から六日間に亘りまして、戸叶委員並びに竹中さんと三人で視察したのでありますが、新潟県におきましては地元の清澤委員、それから又小林議員も一緒に視察を願いましたし、又長野県におきましては、宮本委員からも一緒に視察を願つたのであります。  大まかに見て、本年のこの地方稲作が梅雨の期間が非常に長かつたために、軟弱徒長によつて葉「いもち」の大発生を来たしましたこと、殊に八月中旬以降の異常な低温寡照並びに多雨によつて平坦地帯では全般的な穂首「いもち」が蔓延し、山間高冷地では青立現象を呈したことは他の凶作地帯と大体同一の現象であります。特に山間高冷地におきましては、殆んど全面積冷害青立ちとなり、収穫皆無又は八、九割の減収という惨状を呈しておるのであります。我々が視察しました地帯は、新潟県におきましては、上越線湯沢、石打周辺、長岡市周辺、直江津町周辺並びに信越線に沿う長野県境の山間地帯であり、長野県におきましては長野市周辺、松本市周辺、諏訪市周辺、小諸市並びに軽井沢町周辺でありまして、これらを分類いたしますと、新潟県と長野県とでは地理的、気象的条件が相当つておるのでありますが、大別いたしまして、山間高冷地帯、山間部と平坦地の境に属すると見られる地帯並びに平坦地帯の三つに分け得るかと思われるのであります。而して第一の山間高地におきましては、冒頭にも述べましたごとく、殆んど低温障害のために青立ちとなつておるのでありまして、村の平均一、二分作にもなろうかという最も被害の激甚な地帯であります。又収穫皆無という地帯なのであります。このたび視察いたしました長野県境にある標高六百メートル以上の新潟県中頸城郡杉野沢村等数百町歩、九百メートル乃至千二百メートルに達する長野県諏訪郡泉野村、原村等二千五百町歩及び九百五十メートル程度の長野県北佐久郡軽井沢町、この二百五十町歩がこの地帯に該当いたしますが、全面積収穫皆無又はそれに近い状態でありまして、地元ではその被害の深刻さに呆然として、なす術を知らないといつた印象さえ受けた地帯であります。第二の山間部と平坦地との境に属する地帯におきましては、相当程度冷害と葉「いもち」に続く穂首「いもち」の両者が重なつて、村平均三分作乃至五分作程度と思われる地帯でありまして、我々が視察いたしました新潟県湯沢、石打周辺、長野県小諸町周辺等はこれに該当するのではないかと思われるのであります。第三の平坦地帯におきましては、穂首「いもち」によるものでありまして、前二者に比べれば被害はやや軽く、その程度もさまざまのようでありますが、これ又想像以上の被害でありまして、打続く降雨のために薬剤撒布の適期を逸し、或いは雨に流され、十分なる薬効も挙げ得なかつたことが被害を大きくしたものと思われるのであります。又本年の稲作は大体どの地帯にも共通でありますが、特に平坦地は一応穂が出揃つているために、農家自身が被害程度を楽観視し、又少しでも結実をよくしようとし、穂首「いもち」で穂が落ちるまで刈入を遅らせ、脱穀調製と最終段階に進むにつれてその甚大なる被害に驚くのが一般の傾向のようであります。特に新潟県におきましては、平坦地では八月まで一般に草丈、分葉もよく、粒が揃つており、或いは又葉「いもち」も出でず、その後の天候さえよければ豊作と見られていたわけでありますが、天候不順と、これに続く穂首「いもち」の被害のために、収穫期になつて初めてその被害の甚大なのに驚いたというような地帯が非常に多かつたわけであります。ちなみに穂首「いもち」の発生面積は、冷害を含めまして新潟県は全耕地の六割強、長野県は九割強というような激甚な被害であつたのであります。県の示したところによりますと、新潟県の作況指数は八三・八%、長野県は六〇%強であります、開花結実期の際に天候が回復しなかつたことを思い合せますと、今後は更にこれを下廻るのではないかということが容易に推測できをわけであります。その他本年の特徴を挙げますと、第一に、品種によつて被害程度が異なるわけであります。新潟県におきましては、農林四十一号、新七号、平和糯、農林四十三号、農林三十六号等、長野県におきましては陸羽百三十二号、信濃三号、農林十七号、農林十号等、一般に最もよく普及した品種被害が大で、在来からの品種は比較的軽いのであります。又冷害対策品種として試作した藤坂四号、五号、山陰四十三号は極めて良好でありまして、このことは、平年ならば多収穫をもたらすのが、一面天候不順に弱いという品種に傾き過ぎたきらいがあつたことを示すのであります。  第二に、作況相当個人差があり、精農ほど多収穫品種を栽培し、肥料をたくさんやつたわけでありますが、それために軟弱徒長を促し、却つて大きな被害を受けていることでありまして、このことが却つて農業改良普及上、農民の心理に与えた影響は甚だ大なるものがあります。特に本年は惰農が却つて成績がよかつた、或いは又お光様を信仰したものが非常に収穫がよかつたというような現象を来たしたのであります。  なお、主として冷害と「いもち」につきまして以上申上げましたが、水害相当つたほか、他の病虫害は両県といたしましても、平年並、又二化螟虫はパラチオン製剤の普及によりまして極めて軽微であつたのであります。又米作以外の農作物も、蔬菜の一部を除きましては殆んど不作であつたのであります。  以上極めて簡単に両県の概略を申上げたわけでありますが、我々としては長野県のほうが相当深刻であり、新潟はそれほど大したこともないというような感じを持つていたわけでありますが、実際に新潟県に入りまして、先ほど申上げまして地帯を見るに及びまして、新潟県、長野県は殆んど大差がない。むしろ地帯によつては新潟県のほうが却つて深刻であるというような印象も受けたわけであります。新潟県ではこの被害の深刻さの余り一家心中をしたもの、或いは又長野県におきましては松本市外の島内村では気の狂つた人が四人も出たということを聞き、今後の施策を誤まれば社会不安を醸成する可能性が非常に強いというような感じを強く受けたわけであります。  次に地元のかたがたの要望でありますが、これにつきましては、先ほど第一班のほうから同様のことが出ておりますので詳しく繰返しませんが、第一に、被害農家対策でありますが、被害農家のかたがたの気持といたしましては、昔は地主というふうなものがあつて、こういう凶作の際は地主みずからが救済の手を差延べた。併し現在はそういつた地主もないし、どこへこの解決を持つてつていいかわからない。結局価格も政府がきめる、又供出政府が義務的に課する現在におきましては、政府みずからが我々のこうした窮状を速かに救つてもらいたいというような声が非常に地元のほうから強かつたのであります。又何故にこのくらい我々が苦しんでいるのに国会も開かないのだというような声が非常に強かつたのでありますが、我々といたしましては、いろいろ予算の関係或いは又防衛問題等、さまざまなむずかしい問題のために、なかなか国会も開かれないというような話をしたわけでありますが、MSAの問題とか、防衛の問題というようなことも大事かも知れないけれども、我々の窮状を救えないというふうなことは我々としてはどうしても了解できない。至急これから国会を開いて我々の窮状を救つてもらいたいというような非常に強い要望を受けたのであります。  被害農家の個々の対策といたしましては、県収の実態に即した適正な供米割当実施されたい。又長期低利営農資金確保を講じてもらいたい。又農薬及び防除器具に対する助成を大幅に増額せられたい。又穂「もみ」の確保助成措置を講ぜられたい。又飯米の払下とその代金の延納を是非考慮してもらいたい。又いろいろ救農土木工事というような、そういつたような事業を起し、現金収入の方途を講ぜられたい。又農林漁業資金の枠の拡大と償還延期の措置を講ぜられたい。国有林の薪炭用木の無償払下を実施せられたい。伐採調整資金を大幅に増額せられたい。自作農創設資金を大幅に増額せられたい。農作物概算払実施と買上限度の実施については特別の措置を講ぜられたい。それから農手償還について特別の措置を講ぜられたい。特別融資による資金操作により農手貸付の年賦償還の貸付切替、且つ利子を減免する等の措置を講じ、農手問題についても特別の措置を講ぜられたいというような要望が、各農家並びに農業団体或いは又市町村長のほうから、そういう要望があつたわけであります。又被害地帯の農協対策といたしましては、現金収入を……、これらの地帯は大体単作地帯が多いわけでありますので、供米代金に依存する、組合の経営が米作に依存する程度が非常に多いために、こうした農協は必ずやそのために不振に陥る。従つてそのために特別の措置を講じてもらいたい。貸付金或いは運営資金の回収が不可能になり、農協の経営意識が極度に不足する事態を生ずるので、これに対する対策として農協経営維持のための低利資金融通を講ぜられたいという意味要望があつたわけであります。又被害市町村に対する対策といたしましては、平衡交付金の増額並びに助成金の増額というような要望が強くあつたわけであります。又折衷苗代の温床紙につきましては、本年度で打切るというような噂もあるけれども、これにつきましては全額国庫補助というような助成を講じてもらいたい。  現地における冷害対策としては、いろいろの積寒法とか、そういうふうなものがあるわけでありますけれども、これを受益する町村は冷害地においては非常に少いために、是非こういつた積寒法の現在の枠を、二十町歩というような単位をもつと下げて三町歩ぐらいにしてもらいたい。或いは又先ほど申上げましたような温床紙につきましても、全額国庫助成をしてもらいたいというような声があつたわけであります。  大体状況並びに対策に対する要望事項は以上の通りでありますが、我々の感じといたしましては、ともかく急を要する、時間を食つてつたのではこういう地帯はすぐ雪が降つて来る。従つて飯米対策におきましても、又営農資金或いは又生活資金におきましても、とにかく長期というふうな計画的なものよりも、先ずとにかくこの冬を越せるというような対策を講じなければ、この地帯の人たちは非常に困るのじやないかというような感じを強く受けたわけでありますので、我々の対策といたしましては、できるだけ計画性を持たせると、同時に、今すぐの暫定措置をどうするかということにつきまして、委員会において十分検討しなければならないのじやないかというような感じを深めて帰つたわけでありますが、以上を以ちまして、甚だ簡単でありますが、我々の報告に代える次第であります。
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 第四班の宮本委員にお願いいたします。
  11. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 第四班は、河野委員と私と三鍋衆議院議員でありましたが、主として台風十三号による被害状況を、十月の六日から九日まで、愛知県と静岡県の日程で視察して参りました。先ず静岡県と愛知県とは多少状況が違いますので、愛知県から御説明を申上げたいと思います。  愛知県では、六日に私ども名古屋の県庁に参りまして、災害対策本部で副知事、それから県の首脳部、農業団体の代表やその他県会議員等から、災害全般の概況や対策、陳情等を聞きまして、終つて直ちに被害地である知多半島へ県の係官或いは森参議院議員等の御案内で参りました。知多半島では上野、横須賀、八幡、半田市等を日没まで見て参りました。又その翌日は台風の通過いたしました中心地である碧海郡の依佐美、高浜、碧南、それから幡豆郡の平坂、一色、吉田、幡豆等の市町村を、それからその翌日の八日の午前中は豊橋市海岸地帯の干拓地の被害状況を視察して参つたのであります。愛知県の今回の被害というものは、これは九月二十五日の午後七時頃、丁度あの辺の真上を通りましたところの我が国を襲つた台風十三号の中心地帯に起つた災害でございまして、この台風は愛知県の知多半島の先をかすめまして、渥美湾の中央部である平坂町の真上に上陸したのであります。で、最大平均風速は二十三メートルにも及び、雨量は百九十五ミリ、それから最大の瞬間風速は四十五メートルというような強い風が吹いたのでありまして、折からの満潮時の高潮と一緒になりましたために潮位が非常に上昇いたしまして、四メートル二十八というような高い記録を出すに至つたのであります。従いまして海岸堤塘は荒れ狂うところの波浪によつて全く文字通り寸断せらまして、海水は決壊口から奔流いたしまして、耕地は勿論、もう市町村部落も瞬時に滄海となるというような惨害を惹起したのでありまして、災害救助法の発動を見るものが四市三十三カ町村に及んだのであります。被害を申しますというと、死者行方不明が共に九十五人、負傷者が千七百三十一人、建物の全壊、半壊、流失、これが八千八百十戸、浸水家屋が十万五千百三十二戸、農地の流失、埋没、冠水田が二万三千五百十七町歩、堤塘決壊の箇所が六百八十カ所、罹災者が四十一万七千八百五十九人に及んだのでありまして、被害額は農水産関係被害が七十八億九千万円、農地の被害が二十八億円、その他建物等を総合いたしまして、総額六百七億円に達するというような大被害であつたのであります。  私ども災害地各市町村の現場に参りまして、市町村並びに罹災者各位にお見舞を申上げますと共に、それらの方々の陳情をつぶさに聞き、又当農林委員会における対策或いは九州災害対策等をお伝え申上げまして、各位を激励して参つたのであります。今回の愛知県の災害の特徴或いは災害地実情等を見ますというと、今回の愛知県で受けましたところの災害地は、名古屋から豊橋市に至るところの海岸地帯でありまして、この地帯は中部日本で最も発達した農業地帯でありますし。例えば温室栽培が盛んに行われるとか、或いは促成作物が栽培されておる。又水田は二毛作又は三毛作をやつておるというような非常に進んだ農業地帯であります。而もこの地帯は早くから開発されました所であつて、そうして平坦であります。特に古くから干拓によつて開発された所でありまして、おおむね平坦な所であります。この平坦な所が過般起りましたところの東海地震によつて地盤沈下をした。この沈下の状況は二、三十センチから多い所は一メートルにも及ぶというような地盤沈下をした所でありますから、一たび海岸堤防が決壊いたしますというと、その被害は一層激甚になるのは、これは火を見るよりも明らかなことでございます。今回の海岸堤塘の決壊いたしましたこの惨害は、九州或いはよその水害地帯災害とは趣を著しく異にいたしておるのでございまして、私どもが視察いたしましたのは六日、七日、八日でございますが、台風が終りましてから半月になりましても、なお毎日決壊口から二回の高潮時には海水が洪水となつて耕地といわず、部落といずわ流入し、流出し、そうして毎日それを繰返しておるのでありまして、そのために決壊口は穿掘され、ますます口を大きく而も深くしておるのでありまして、豊橋市の神野新田の決壊口のごときは、すでに決壊箇所の水深が八メートルから九メートルに及んでおり、決壊口の幅は六十メートル、七十メートル、順に今日拡大しつつあつて、私どもが丁度参りましたときに潮が出ておる最中でございましたが、渦を巻いて、あたかも鳴門の渦を見るような感があつたのでございます。他の災害地におけるところの決壊口も大部分そのような状況をそのままにいたしておりまして、私どもとして、この罹災民各位が本気になつて働きつつあるにかかわらず、冬作地帯であるこの地帯の冬作の対策なんかもまだ考えるのに早いんじやないかというような感さえ受けたのでございます。又幡豆郡の一色町のごときは千数百町歩の耕地は未だに海面でありまして、八百数十戸に及ぶ部落は一日に二回床上の浸水を繰返しておるのでありまして、坂田というような部落は特に軒までその水が来ておるのであります。従つて入る水、出る水の流速がかなり強いのでありまして、農家の土台の脆弱な所をその水流によつて穿掘されまして、私どもの拝見いたしましたその時まだ倒壊するものが次々に起つておるというような惨状でございました。勿論部落民は、二階のある人は一軒の家の男一人留守番に残つて、あとの家族は皆高い所の学校とか、或いは寺院等に合宿収容いたしまして、ともかく応急の作業に全村民が本気になつておるというような状態でございました。又碧南市では工事の模様を聞きましたのですが、五百万出以上の応急復旧費はこれは県会の承認がなければできないのだということが県条例できまつておるので、まだ県会が始まらないから着工できないのだという、とんでもないことを言つておるような状況も実はあつたのでありまして、私ども官庁の応急の措置というような熱意に疑問をさえ差挟んだのでございます。丁度そこに面白い対蹠的なものを私見て参つたのでお話申上げたいと思うのですが、豊橋市の海岸地帯一つの干拓地帯がございますが、この干拓地は実は県工事ではないのでございまして、干拓民が自力で応急復旧をやるような場所になつておるのであります。この場所の締切につきまして、地元民は市長を通じてアメリカ車にあの決壊口をふさぐために一つブルトーザーを貸してくれないかと、こういうことを依頼いたしましたところが、米軍の将校が見に来て、ここはブルトーザーではちよつとむずかしいと言つてすげなく断わつたそうでございます。ところが地元では何としてもブルトーザーが利きそうだというので、農林省の直轄の豊橋開拓事業所があそこにございますが、事業所にブルトーザーがありますので、事業所長のところへ参りまして、一つ試みにやつてくれないかと言つてお願いしたところが、事業所長は、よし、それならおれが行つてつてやると言つて、その日のうちにブルトーザーを持つて来まして、決壊口を締切つてくれたそうであります。この応急臨機の措置は誠に私ども敬服するところでありまして、大害のような非常時にはこれぐらいな熱意と好意を各位に持つてもらつたらとうかというような感にさえ打たれたのでございます。私はここで一言附加えたいと思うことは、この技術のあり方、或いはそういつたごとく実際に仕事を生かして行かなければいけないのが私技術じやないかと思います。とかく官庁の規則等は、こいつた非常時の措置に欠くるところがあるのじやないかというような気がいたしましたわけでございます。又もう一つ、私はその官庁の弊と申しますか、セクシヨナリズムの弊と申しますか、そういうものを同じこの神野新田の決壊口で気が付いたのでございます。私が復旧事務所に参りましたときに、復旧事務所に某という技術官がおられました。私は多少ともそういう専門の知識を持つておりますから、実はこの大きな決壊口の締切りの順序を現地で以て聞いてみたのであります。ところがその技官は、初めは非常に何というか愉快そうな口ぶりで以て、これは非常に大決壊口であるからなかなか容易ならん工事である、中堤を締切つて、中堤は二万立米ぐらい、それから本堤の締切りは大体三万立米ぐらいな土砂が要るのだ、これを大体ニカ月乃至三カ月で以て締切る予定である。こういうような計画を説明してくれたのであります。私も実はそれはちよつとどうかなと、こう思いましたので、実は詳しく段取り或いは計画というようなことを突込んで聞いてみたのであります。ところが私が尋ねますというと、ついに何と言いますか、しどろもどろになりまして、いや、今の計画はやつてみてまずかつたら又考えることにしておるのであります。こういう返答があつたのであります。おかしいなと思つて私は再度尋ねて見ましたところが、県の担任官である課長が来て、今私が申しましたような計画でやれという命令であつたから、そういうことにいたすつもりでございますといつて、まだ実は着工もいたしておりませんでしたけれども、甚だその熱意といい、技術的な経験といい、どうも私疑問を挟みましたので、なおあなたは一体そつちのほうの専門の技術官ですかと、こういつて私が聞いてみたところ、実は私は港湾の技師で、ここに一カ月だけという出張命令で来ておるのであつて、もう一カ月の期間もすぐ来るのだから帰してもらいたいというような口振りでございました。これらの大工事を控えて、私は土木工事の中でも難事中の難事と言われておるところのこの干拓工事の締切に該当するような大工事を、そういつた間に合せというような技術者のかたがたにのみ任せておかれるということは甚だ私は遺憾に考えたわけでございまして、実は農林省には干拓という専門の技術部門がありまして専門の技術官がおられるのであります。こういつたときは、むしろ省の関係とか、或いはそういうことを超越して、私どもは技術の交流或いは応援というような形を相互に今後も官庁ではやつて行かなければいけないのではないかというようなふうに実は痛感して参つたのでございます。又今回の災害の直接原因を見ますというと、堤塘の決壊にあるわけでございますが、その決壊の原因は、風を伴うところの海水とその波浪というようなもので起つておるわけでございますけれども、例外なく見ましたところ、堤塘を温流いたしております場所で決壊をいたしておるのであります。又堤塘の上に松の木がたくさん生えておりましたが、松の木の倒れたところは必ずと言つていいくらい決潰いたしております。であそこの愛知県の海岸堤塘は県管理の堤塘になつておりまして、過般の東海地震のあとで大分県庁は補強をされました。けれども、この殆んど港湾あたりに見られるような立派な波返しを作るコンクリート工事をやりました補強工事も、やはり溢流という場合には脆くも殆んど何の効果をも示さないと言つていいくらい破壊されておるのでございまして、表側ばかり頑丈にいたしましても、裏側が脆弱であつたならば、干拓堤塘は何らの効果がないということをまざまざ見せられて帰つたのでございます。で、災害地のかたがたの話によりますというと、六十何年前かの  一日違いにこれと同じような実は大災害があつたということを言つておられました。干拓地の堤塘を私ども今後考えるときに大いに反省すべきことではないかと思つておるのであります。で、それにつけましても、日本の国には同様な干拓地が全国にたくさんあるわけでございまして、これらの干拓堤塘が多少の差こそあれ、今回のような潮位の高い高潮が参りますというと、恐らく又寸断されるのではないかというような恐ろしい肌寒さを感ずるような危惧を私は感ぜられたのでございまして、干拓堤塘の補強という問題は、これは破壊されてからやつても役に立ちませんから、今回の災害をいい警鐘といたしまして、至急この干拓堤塘の補強をいたすべきだと思うのでございます。なおそれにつけましても、干拓堤塘工法の研究というようなものは一層慎重に急速になす必要があるのではないかということをまざまざ考えさせられたわけでございます。ともかくもこれらの災害地における復旧工事は逐次進捗することと思われますが、冬作の播き付けば何としても罹災民にとつては最も緊要なことでございまして、長時日に亘るこの海水の排水は、同時にこれらの当地の塩分をどうするかという塩分除去、除塩作業というものも又この災害においては特に考えられなければならないことの一つだと思つておるのであります。淡水の豊富なる所はよろしいのでございますけれども、知多半島のように水に非常に不便を感ずるところでは、除塩を水によつてなすということも、そうそうできがたいのではないかというようなふうにさえ考えられました。地元民もその点について何とか中央で以て一つ解決の途を考えて欲しいという切なる要望があつたわけでございます。私どもが今回視察いたしましたこれらの災害地帯というのは、今申しましたように全部海水で以て今日なおたたえられておりますから、低い所の水田地帯稲作は完全に全滅状態でございます。又多少高い所の畑作も塩水のために殆んどが枯死いたしまして、私どもが見て参りました所では、僅か「ねぎ」の青い芽が幾らか下部のところから吹き出しており、ほかには何も青いものが見当らなんだというように塩害の被害は大きかつたのでございます。そういつた点についても今後畑地の除塩ということも又考えられなければならないし、この跡作に植えるところの作物は、塩に強い耐塩性のある作物というようなことも勿論考えられなければならないのじやないかと思つております。  これらの被害町村を廻りまして、私どもは具体的ないろいろな対策要望というようなものをまだ聞き得ませんでした。ということは、あまりに災害がひどくて、今日の問題に追われておつて凶作地帯対策要望というようなところまで地元はまだ落付いておられなんだつた状況を拝見いたしまして、ただ県当局或いは市町村当局は、九州災害によりまして第十六国会で制定されましたあの救助法を最小限度急速に適用してほしいということをくれぐれも我々にお願いするということを言つておられました。私どもは当然なことであり、同時に本地方において除塩という問題については、又別に立法或いは省令等で以て考えざるを得ないのじやないかということさえ感じて参つたのでございます。  続いて私どもは静岡県に参りまして、静岡県では片柳委員長も御参加頂きまして、そうして静岡県下の十三号台風による被害状況をつぶさに見て参つたのでございますが、ここで続いて申上げ事すけれども、浜名湖の沿岸は程度の差こそあれ、大体におきまして干拓地の被害が大部分でございました。従つてどもが見ましたところの伊佐見地区とか、或いは庄内又は和地村、こういつたところは殆んど愛知県下の干拓災害地と同じような状況でございます。多少浜名湖は湾である関係と台風の中心から少しく、ずれておりましたので、程度が軽微であつたという程度でございます。それから翌日は九日でございましたが、雨の降る中を私どもは大谷、豊田、大里というような静岡市南部の白穂の状況、志太郡相川村、静浜村吉田村等の潮風害の状況、それから川崎の塩害の状況、海岸砂防の状況等を見て参つたのでございます。静岡県の被害は台風十三号の被害ではございますけれども、これは今申しました浜名湖の塩害を除く他の地域は全く凶作地帯被害と同様でございまして、この被害原因は今回の十三号台風が雨が非常にあの地方は少のうございまして、三十五ミリ前後、そしてそこへ持つて参りまして塩を極度に含みましたところの風をこうむり、なお且つその直後異変現象と言われておるところの湿度が急に下り、そして熱風がその後にやつて来たというような、そういつた特異気象現象によりまして、開花稔実の期にありましたところのこの地方の主として晩稲が完全に白穂になつてしまつたという被害でございます。先ほども報告にありましたように、静岡県におきましても、近年供出その他の関係から農民ができるだけ多収穫品種を作る。で、晩稲が最も収量が多いのでございまして、その関係から最近、特に本年は晩稲が多くなつたのでございまして、この晩稲が例外なく海岸地帯は白穂の現象を呈したのでございます。で、静岡県のこれらの被害が百十三億と言われておるのでございまして、被害地域は海岸から数キロ、深いところでは十五キロにも及んでおるそうでございまして、水田五万六千町歩のうち二万六千町歩というものはこの白穂によつて被害を受けておるのでございます。私どもが参りました特に被害のひどい町村では、この秋の村祭も中止、学校の運動会も中止というように、非常に何と言いますか、地元自身も自粛自戒、この凶作対策に対する真剣な気構えを見せておつたような状況でございます。この静岡県には以前にもアイオン台風がありまして、これと同様な被害がございましたのでありますが、今後もなおかかる台風はしばしば参ることではないかと思うのでございまして、品種の選択とか、耕種技術或いは危険分散という経営改善の面もやはり農家としては相当慎重に考えなければならないし、同時に農林省としても、こういつた問題にもう少し真剣さを持つて指導を行わなければならないのではないかというふうに実は痛感して参つた次第でございます。  静岡県からのこの対策要望は、被害農家飯米確保一つお願いしたい、又再生産に要する営農資金の融資を是非してくれ、又昭和二十八年度産米供出割当量は一つ適正に考えてくれ、明年度の稲、蔬菜の種子確保、購入費の補助、それから被害作物に対する病虫害防除用農薬購入費の問題を特に強調しておられました。話によりますというと、一反歩千五百円ぐらい今日なお未決済のまま残つておる状況であるというような話を現地で聞いて参りました。又農業共済保険の早期概算払措置をお願いしたい、被害激甚町村に対しては全額国庫負担による救農土木事業を早急に実施して欲しい、それから被害農業協同組合の損害に対する助成及び経営に要する資金の低利融資を希望されておりました。冠水甘藷の早期加工処理に要する運賃その他の経費助成要望し、又被害農家に対する課税の減免措置等を、特に県当局又は被害農業団体代表のかたがたが強調いたしておりました。  以上を以ちまして簡単でございますが、私の今回の視察調査の御報告を終ります。
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 委員会はこれで休憩をいたしまして……。
  13. 白井勇

    白井勇君 私先ほど御報告を申上げました中で、一言落しましたので附加えておきます。  最後に思付きました二、三の点を申上げたわけでありますが、その一つといたしまして、私たち災害地に参りますというと、第一線におきましては、罹災者の大衆なり、或いは又「むしろ」旗を立てました農民に迎えられるというような現象を呈するわけでありますが、北海道に参りますというと、そういうような特に深刻な場面が一応薄いのであります。ところがこれをよく考えてみますというと、申上げるまでもなく経営の規模が非常に大きいわけでありまして、畑地におきましては、これは勿論もともと米が殆んどない。初めから飯米農家でありますからして、配給米に頼つておるというようなことで、取りあえずの飯米の問題も余り起きない。田圃、いわゆる水田地帯におきましては規模が非常に大きいわけでありまして、少くも米を作つておるとなりますれば、まあ一町歩くらいは小さいものでも作つておる。収穫皆無のものを除きますならば、まあ減作になりまして、反仮に一俵とりましても、まあ多少の飯米というものは、取りあえずはあるというような結果になつておるのでありまして、内地のように直ぐ明日から配給を受けなければならんというような深刻さが一面においてないということもあるのであります。又一方ああいう広い所でありまするので、農民の結集というようなものが単純に行かないというような面もありましようし、表面は非常にこう内地のように深刻に見えないようでありまするが、併しながら只今申しましたように経営の規模が非常に大きいわけでありまして、雑穀地帯におきましても雑穀が売れないということになりまするわけでありますので、又水田地帯におきましては供出するものもない、従いまして農手の借替の資金というものは非常に減額をされ、内地のように農家一戸当り農手七、八万であるものが、北海道では農家一戸当り十数万或いは二十万というような多額の農手金額になつており、その借替にも困る。更に又来年の営農資金というようなものも、今申上げましたように規模が大きいだけに多額のものが要るというような点がありまして、むしろ問題といたしましては、その対策がうまくとられない限りにおきましては、内地以上に深刻な面が出て来るのではないかというように考えました点であります。この点をちよつと附加えておきます。
  14. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 皆さんの御報告を伺いますというと、すべて地方要望或いは視察の現状を御覧になつた結果から見まして、先ず第一番に、この救済方法はいろいろありましようが、我が農林委員会といたしましては、資金を融資してもらうことを先にやつてもらわないというと、手取早く応急措置と申しますか、それができないのでありまするから、明日か、明後日の委員会に適当な時期でよろしうございますが、大蔵省の理財局長の阪田さんに一つおいで願いまして、私この問題につきまして御質問申上げたいと思いますが、いろいろ御意見もありましようから、そういつた方面のかたがたに一つ今度委員会に御出席を願えるような段取を一つ委員長からして頂きたいと思います。
  15. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 冷害対策の議事の進行につきましては午後御懇談いたしまして、今森田委員の御要求のように農林省以外の、例えば大蔵省或いは地方自治庁というようなところからもおいでを願う必要があると思いますから、これは午後の懇談会において御相談申上げたいと思います。
  16. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私先刻ちよつと落しましたから一言附加えさせて頂きたいと思います。  今回見て参りましたところの愛知県の海岸堤塘は建設省の所管になつておるのでありまして、中に二カ所だけ農林省所管のものが現在あるわけであります。そのニカ所だけが地元負担を必要とする工事になつており、建設省所管のものは受益者である地元の負担というものがないのでありまして、同じ工事を施行するに当つて、片方は、農林省で扱う場合には地元負担が必要となる、建設省で扱う場合には地元負担としての受益者負担かないというような、こういつた片ちんばな施策は、これは今後大いに考えなければならない措置だということを現地で見て参りました。これを御報告に附加えさして頂きたいと思います。
  17. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこれで休憩をいたしまして、午後二時から開会をいたします。    午後零時五十三分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  18. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これより委員会を開会いたします。  午前中は現地調査の御報告を願いましたが、これよりこれが対策につきまして御審議をお願いいたします。その前に先ず農林省その他の関係省から対策或いは実施状況について説明を求めたいと存じます。最初に農林省の総合的な冷害対策等につきまして、渡部官房長から説明を求めたいと思います。
  19. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それでは冷害等災害対策について御説明申上げます。お手許に冷害対策実施要領、こういうふうになつておりますが、これは冷害と「いもち」、それから十三号台風等に伴う潮風害等を含めましで冷害等対策実施要領、こういうふうに流す予定になつておりますので、そのつもりでお聞き願いたいと思います。水害は除く、水害は十三号台風まで、別途の従来の台風でありますから……。それから風害も今境目ですが、どちらに付くかということを検討しておりますので、いずれにしてもそれには触れます。  それから予算の関係でありますが、新聞で御承知のように、この要綱に基きまして、その後国会側の御意見或いはそのほうの調査に基きまして一応の予算をまとめました。昨日農林省としての最後案は大蔵省に提出しているのであります。そうして昨日の夜の閣僚懇談会、引続いて今夕の閣僚懇談会で冷害等災害対策或いは西日本以来の風水害対策その他を含めて補正予算をどういうふうにきめるかということを決定する予定になつております。決定になりますか、ならないかわかりませんが、今の段階では新聞で御承知のように、六百六十億の枠に中にはめるというので、それではとても入らないので、非常に難航している段階であります。予算の数字等につきましては、あとで御説明申上げます要綱に従つて説明申上げます。  先ず第一は、被害農家に対する金融措置であります。これは営農資金を従来の例によつて流そうというのであります。枠の中で御覧願います。利子は一般は六分五厘以内、開拓地は五分五厘、それも被害程度の多いところは三分五厘ということにしたいと思います。それは書いておりません。その三分五厘を適用する基準について、当初我々のほうでは七割以上の減収の町村を指定しよう、こういう案がありましで水害地の法律適用の基準がきまつたのであります。それは植付不能の面積と三割以上減収面積の合計が、一町村当り百町歩以上、又は一町村当りその全耕地面積の一割以上という基準がきまりましたので、冷害等対策もそれと同様にしなければならないのじやないか、こういうふうに考えております。従いまして利子補給は一般の場合は五分、開拓地に当つては六分、特別の被害のひどいところは八分ということになります。そうしてそれは国と地方公共団体で半々に持ち、地方公共団体の県と市町村との分担はそれぞれ県の事情によつて半々なり、或いは四分六なりにきめて行くことは県に任す、それから償還期限はこれは三年以内になつておりますが、高率適用の町村は五年以内、損失補償はこれも利子補給と同じように四割を国と公共団体で分け合う。資金は原則として農業協同組合の系統機関の資金、或いは政府資金の預託、或いは府県の指定銀行、貸付は系統機関を通じて流す、或いは府県指定銀行、貸付限度は一戸当り十五万円以内、こういうふうな考え方であります。これはこれを府県に流しまして、法律をこの府県については必要としますが、前に貸したのは法律施行と同時に遡つて適用するという従来の例を踏襲するから、どんどん県のほうでは営農資金を必要なときに貸してもらいたい、こういうことを言つております。念の入つた県では、例えば長野県等におきましては、県で繋ぎ資金を予算上計上しまして、これを必要なところに流し、この営農資金が、今の法による営農資金が出た場合にはそれに肩替りをする、そういうような手を講じております。そういうことを若し協同組合独自でできなければ県が援助して、できるだけ不作による次の仕込資金の不足資金、又精神的打撃の軽くなるようにということを県のほうに頼んでおります。それから農業手形の決済期は大体十二月でありますか、それまでに営農資金が出なければ手形の借替え資金等を出す、それはこの法律の出たときには営農資金のところに入れる。それから(3)は家畜を飼つている農家に対しては家畜を飼う資金としてプラスして、大体三万円程度一般より余計貸すことができるようにしよう、そういう考えでございます。それから農家の「わら」工品とか、その他の副業資金についても営農資金と同じようにして貸付けることにします。農協の事業資金とか、及び貯払資金については中金から援助する、こういうことであります。この所要資金が大体どのくらいになるかというと、大体二百億程度ということを予定しております。ここに書いてあります百五十億乃至二百億、これは昨日統計部長が発表しました収穫予想高のコンクリートになる前の推定でありますが、その推定予想高によりますと、二百億程度になるのではないかというふうに考えます。  それから農林漁業金融公庫のものについては、年賦償還金の支払猶予又は据置期間の延長或いは又土地改良事業及び簡易林道事業の自己負担分の八割まで貸付けることができるようになつておりますが、実際は四割とか、六割とか、それぞれの借入先の状況によつて低くしておりますが、災害地についてはそれを限度一ぱいまで貸すようにしたいということであります。それから又ここに書いてありませんが、伐採調整資金についても増額を図りたい。大体四億程度増額したいというので、予算に組むことにしております。  それから自作農創設維持資金、これは自体農創設資金の特別会計におきまして、国が自作農地を買上げ、すぐ売り戻しまして、それを年賦償還にしようというのであります。これは昨日の新聞等にもありましたが、改進党の農地担保金融制度等の関連があるのでありますが、もつと徹底して、独立の農地担保金融機関を作れという主張もありますが、現在のところは今の特別会計を利用して、零細な自作農に対して営農資金或いは又病気その他の生活資金確保のために売戻しの制度をとつて行こうとしております。大体これは今出しております補正予算では十億を出すことにしております。  それからその次には主食の対策でありますが、先ず保有米の問題であります。昨年は供出をしておりまして、保有米を全部持つてつた農家で、今年不作によつて転落した農家につきましては、二合七勺の、これは各県ごとの米食率によつて計算しまして、二合七勺の米と、更に一合を加配する。それから非供出農家に対しましては二合七勺だけを配給する、もともと昨年も非供出であつて、今年も非供出は勿論でありますが、非供出で保有米が不作によつてうんと減つた農家であります。この場合衆議院では第二の非供出農家の場合には農繁期の加配を付けろと、こういうお考えがございますので、それを研究しております。そうして保有米の残りは麦を出す。売渡価格は四頁の表を御覧になると、米穀及び玄麦については大体生産者価格で、即ち米について言いますれば、七千七百円に凶作加算の五百円足して八千二百円、精麦を売渡す場合には、二十キロ裸八百円で売渡す、こういうふうになつております。このことはもうすでに府県に通知いたしまして、いずれにしましても、この食糧飯米が殆んど収穫皆無に近いというような所ではもう切れている所もありますので、或いは又麦で少くなつた保有米を延ばすという必要もありますので、現地に、食糧事務所或いはその出張所を督励して相当麦を送り込んでおります。食糧不安が田舎で起らないようにと、こういうふうにやつております。  それから集荷対策でありますが、等外米を買入れることにいたします。その等外米には上下を作りまして、上は供出割当、義務供出割当数量には含まさないけれども、超過供租の数量の中には含めまして、超過供出奨励金を交付する、そうして総合配給用に売却する、等外下は供給数量の枠外にいたしたい。それから供出確保対策としましては、今年の米の品質が、冷害、病虫害等の関係相当従来と異つておりますから、特にそれを反映するような標準規格を作りました。即ち普通の年より相当下げたのであります。それから少しでも米を余計出してもらうためにも、保有米との交換で精麦を買つてもらうようにいたしております。それは先ほどの値段と同じように二十キロ八百円で出しているのであります。冷害は二、三年続くというので、来年は早生の品種相当確保しよう、こういうことで、このことは四の種籾確保対策等の関連においてもうすでに実施しております。即ち種籾確保対策につきましては、種籾の対玄米換算率を八〇%として、種籾の換算価格は一般級価格を一割七分引上げた三七・五キロ、裸千八百五十円とする。これを供出割当の中に入れまして、いろいろな奨励金は付けるのでございます。非供出農家から買上げる場合には交換配給ということにしております。なおこれで食糧庁が買入れました種籾につきましては、大体半額程度農家に売渡し、その助成金は米だけで申しますと、約三億七千万円余りを用意しております。  それから五は雑穀の購入であります。これにつきましても同様に半額の助成を考えまして、二億六千、種馬鈴薯一億八千という予算の要求をいたしております。なおこの種子確保につきましては、食糧庁の買上げまでは全部決定いたしまして、もうすでに府県に種を割当てまして、それを各圃場で検査をして頂きまして、優良な種子を食糧庁で買上げるということを続行しております。  それから六は農村の学童食生活改善対策としましては、被害地の学校給食、これをまあ「うどん」等で給食して、その「うどん」の小麦粉は半額程度でやりたい、こういうふうに考えております。  それから飼料対策としましては、飼料の手持が少いので非常に思い切つた手が打てませんが、供出農家の報奨用として三十キロ裸五百円という約百数十円安い値段で報奨用として出しております。  それから病虫害防除対策、これは先般の予備金で十一億五千万円、農薬上して十億、農機具として一億を予備金でとりまして、合計農薬代として十一億五千万円、農模具代として二億一千万円を決定して現在府県に配付手続中であります。今年の農薬は約六十数億使つただろうと推定されますが、これによりまして農薬代は約三分の一を国で負担し、三分の二は農家が負担する、こういう勘定になると思います。  次は緊急土木対策でありますが、これは特に積寒地帯等の災害地帯に対しまして、そこに積寒地帯とありますが、積寒地帯等の災害地帯、これは例えば関東平野と、積寒法の適用外である地域も当然冷害をこうむつておりますので、そういう地帯に対しましても土地改良法その他の事業をできるだけ拡げまして、且つ補助率を上げるとか、或いは対象面積をここに書いておりませんが、一団地五町歩程度まで引上げまして、一つは地元の賃金収入を増すと共に、一つ冷害対策としての効果を挙げたい。即ち殊に小規模土地改良につきましては、客土とか、或いは漏水防止施設とか、温水施設等に重点をおいてやりたい。こういうふうに考えております。土地改良関係で約三十一億、開拓で八億、合計三十九億の金を要求しております。  それから治山事業、林道事業につきましては、海岸砂地造林とか、海岸防風林、防潮林、それから小規模の林地荒廃復旧事業或いは林道については簡易林道の開設等を考えまして林業関係として約十億を要求しております。それから水産関係では、漁港の修築或いは災害復旧工事の繰上等を考えまして、これは約三億五千万円を要求しております。  それから林野事業につきましては、今度の災害が特に冷害として国有林所在地域に非常に多いという現実に鑑みまして、特に国有林事業を追加しまして、林道、造林或いは又薪炭林の払下を相当増す、既存計画の三割程度の薪炭林を増量いたしまして、この代金については延納及び利子免除を考えたい、こういうふうに考えております。国有林関係の事業としては約八億の特別計画で増を考えております。それから牧野改良事業等につきましても、これは公共事業ではありませんが、牧道の整備とか、障害物の除去等約八千五百万円を用意しております。それから炭がまの設置については、これは先ほどの国有林の薪炭林の払下とも関連いたしますが、特に山村の副業用としては、冬季間のいい副業がありませんから、炭がまを約三万六千基、これは大体築造費の三分の一を助成したい、こういうふうに考えております。その金として二億八千万円を要求しております。なお副業としてここに掲げてございませんが、副業の講習会とか、或いは「わら」工品をやるための稲「わら」の輸送費等について若干の要求をしております。  それから保温折衷苗代及び北海道の温床苗代については、これは二十九年度の予算でございますが、継続費として約五億円を要求したいと思います。  それから災害地の試験研究施設の整備であります。これらも国有の試験所、技術研究所或いは府県の委託試験所等について、ガラス室或いはその他の冷害研究施設を拡充したい、こういうふうに考えております。  それから農業共済金でありますが、これは早場地帯はできれば年内に払いたいということで、県にお願いしまして損害の報告を急いでおりますが、できなければ従来の例に従つて概算払い、又は仮払いをやりたいと、こう考えております。ここにちよつと書いておりますが、「現在までの資料により冷害地帯の支払共済金を推算すると次の通りである。共済金百五十億円程度」ということでございますが、これはもつと殖える見込みであります。そうしますと、冷害関係は、そのほかに細かい事業としていろいろありますが、保険の関係につきましては、冷害対策をして一緒に要求することにしております麦及び春繭の共済金が合計四十億であります。それから連合会の不足金の補填が約二十八億あります。それらを併せますと、同時に稲の不足金については、現在不足金約百十億程度、丁慶ここの数字と似ておりますが、百十億程度の不足になりますが、その分は来年度以降の予算で払うことにしております。今年の支払いとしては預金部或いは中金の金を借りて一時繋いでおけばいい。或いは一部再来年度に払うとなれば、来年の分も繋ぐ必要がある。そういう場合には利子補給をもらつておく必要がある、そう考えておりまして、私どものほうで冷害対策等として予算を要求しておりますのは、今の共済金関係で六十八億、それから種子代とか、試験所の整備とか、或いはそのほか耕種改善副業等を入れまして約四十七億、それから共済、公共事業として五十三億、合計百六十九億を要求しております。  ついでに申上げますが、今度の、仮に本日の閣議できまるといたしまして臨時国会が開かれる場合には、農林省も補正予算をどういうものを出すかということは、只今申上げました百六十九億のほかに、六、七月の冷害、これが例の臨時特別立法によりまして、公共事業の初年度分を三・五・二の三の比率と見ますと百六十五億が要るのであります。それからその後の八月、九月及び十三号台風までのやつを同様に勘定しますと、百十九億が要るのであります。六、七月のやつが百六十五億、その法律がそのまま八月以降の風水害に適用されるとすれば百十九億、それから今の冷害等関係で百六十九億、合計四百五十四億を要求しておるのであります。若し仮に水害委員会等でしばしば議論されておりましたが、当年度三割を二割にしますと、四百五十四億というのが三百六十三億になります。現在はこの二つの数字を以ちまして大蔵省と交渉をいたしておるのであります。概略災害対策について御説明申上げました。
  20. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこれより質問に入りますから、どうぞ……。
  21. 北勝太郎

    北勝太郎君 只今の御説明を承わりましたが、土地改良区、この歳入欠陥が相当見込まれるのでありますが、これに加わつておらんようでありますが、どういう方法でお救いになるか、先ほども説明がありましたが、北海道だけで土地改良区の歳入は六億に達する。そうすると半分入るとしても三億が足らん。それが来なければ来年の水は、電気料も払えない。電気料を払えなければ結局来年水をくれないということになる。そういうことを陳情しておりましたが、その対策……。
  22. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 土地改良区の賦課金のことだと思いますが、それは営農資金の勘定の中に当然入れておりますから、営農資金融通の中から必要があれば廻して頂く、こういうことになります。
  23. 関根久藏

    ○関根久藏君 今のお話の百六十九億というのは共済金の百五十億が入るのですか。再保険の百十億が入るのですか。どちらなんですか。
  24. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 百六十九億の中には麦と蚕繭の共済金の四十億と、それから連合会の不足金を補填するための約二十八億になります。その二つが入つておるのであります。稲の共済金の分はほかから借入れて賄つて、その利子補給の分だけ入つておるわけです。
  25. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 先ほどの利子補給の問題と利子の問題ですが、利子が六分五厘で、開拓地にあつては五分五厘とここに書いてありますが、先ほどの御説明だと、三分五厘の適用ということのお話があつたのです。この点はもう一度明確にして頂きたい。どういうときに三分五厘になるか。
  26. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それは先ほど申上げましたように、非常に収量の減じたところについて、より低利の金を貸したいという考え方からいろいろ検討しておるのでありますが、例の六、七月の大水害に伴う営農資金融通に関する法律というのによりますと、やはり同じように、ひどく被害を受けたところに三分五厘の金を貸すことになつておるのであります。その基準が、市町村ごとに植付不能である耕地面積と、三割以上の減収を来たした耕地面積の合計額が百町歩、又はその町村の全耕地面積の一割以上であるもの、そういうことになつております。従つてそれをそのまま適用せいという議論が非常に強く出ておりますが、若し仮にその通りやるとすれば、植付不能ということは冷害にありませんので、収穫が三割以上の減少を来たした面積が町村の中で百町歩か、或いは一割以上あれば三分五厘の利子で貸す、こういうことになるわけです。
  27. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 これで凶作災害対策の概貌はわかつたのですが、これの財源として既定経費の一部を節約するということ、これが条件となつて来るわけです。結局これを承わらないことには、今までの既定経費がみんなどつかへいつの間にか行つてしまつて、これだけが出て来たのではおかしなものじやないかと思うのです。その説明を概略でいいが聞きたいと思います。
  28. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 節約の問題は目下交渉中でありますが、大蔵省が出して来ておるのは公共事業費の一割、それから一般的補助金の何がしということでありまして、公共事業費の一割と申上げますと、農地関係で二十九億、それから林野関係で十億、それから漁港関係で二億、合計四十二億余りになるわけであります。
  29. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 その内訳は、あとででもいいですけれども、あとでわかりますか。
  30. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それは一律です。
  31. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 それから先ほど御説明にあつたのですが、この対策要領というのは、この間統計調査部長がお話になられた十月五日ですね、あれによつてお立てになつたのでございましようか。大体の推定と言いますか。
  32. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 数字は先ほど説明申上げましたように、ここに入つておる数字は、あの数字と九月十五日の中間の報告を聞きながら作つておるのであります。或る程度十月五日の数字に近付いたものになつております。従いまして、まだはつきりした数字が出ておりません。それから営農資金は百五十億から二百億の間、そういうことになつておりますが、予算を組んで、先ほど申上げましたのは、これは十月五日の資料に基きまして、先週の金曜日にそれが整いましたから、それに基いて今までやつていたものを全部整理して昨日の朝できたものです。
  33. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そうしますと、私別にいいとか、悪いとかという意味ではなくて、今後、私今度の凶作地を見て廻りまして、悪い地帯はむしろ尻下りに悪くなつている、いい方面は幾らかでも回復するのじやないか、そういうような場合に、これで一応お考えになると多少変るということはあり得ると思うのですね。そうすると、何と言いますか、ひどいところへ予定しておつたところは薄くなるというような関係が起つて来ると思うのです。まあどういふうにこれをおやりになる方針か、御方針だけで結構なんですが。
  34. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お話のように、これは大体郡別数字を基準にしてやつております。ところが郡の中でも被害程度が非常に違います。ですから、或る程度郡別の平均値というものでやつておりまして、これを実施する場合にはもつと細分して、大体昭和九年の冷害対策は五割以上の減収というものを標準にして補助その他の対策を講じておりましたが、大体その辺を睨み合せて、実際の予算を交付するときには具体的にきめて行くことになつております。従いまして一これは両説ありまして、若し五千四百万石を更に百万石とか、二百万石落ちるという、これは試験場とか、技術家のほうは非常に悲観的でありますが、そうしますと、今の十月五日で用いた郡別の基礎数字が変つて来ると思いますので、これは十月五日の実収高というのは、もう一遍やりますから、そうしますと、大体はつきりしたものが出ますから、予算を実施する場合にはそれに基いてやることになつております。それで若しも金が足りないということになりますれば、これは理窟になるか知れませんが、第二次補正で手直しをするということになります。
  35. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私ここで、昨日官房長お見えになつておらなかつたから、これはこの間私ども凶作地へ参りまして、よりより河野委員だとか、それから委員長なんかと話したことなんですが、どうも最近災害におんぶするというような傾向があるのですよ。これがやはり私は政治を悪くするのではないかと思う。従つてどもは今後悪いところはひどく悪くなるのではないか、いいところは幾らか回復するのではないかと思うので、そういうような実情をはつきりさせて、全く収穫皆無のところには思い切つてむしろやつてもいいのではないか。便乗型のところは整理するということは、昨日も河野委員が強く言つてつたのですが、僕はこの要綱は本日お示しになつたよりも変化があるのではないか。その場合に厳格にやはりとられるほうがいいのではないかと、これはまあ御注意までに申上げておきます。
  36. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 救農土木事業の件ですが、冷害被害の石数なんというものは、農林省のほうで統計調査部で作られましたものを基準にして救農土木事業をおやりになるのでしようが、基礎はやはり建設省のほうの土木と農林省のほうの関係と両方が一つの基礎で行くと、こういうことになるのだろうと思います。従つて大蔵省のほうでは、この事業分量をきめるのに、建設省の関係と農林省の関係とどういうふうに按配してこの金額を出されるのか、おわかりでございましたら伺いたい。
  37. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは結局土木事業の可能なところと冷害程度とは全然関係がないのであります。それぞれの立場から冷害被害程度によつて、郡別に図面を引いたところで需要がどれだけあるかということを推定して出しておるのでございます。従つて可能な事業をその地帯においてすると、こういう計算の仕方であります。あとで予算の枠がきまりますと、それをどういうふうに分けるかという問題かありますが、それを現在のところは精一ぱいくれというような要求になつておりますので……。
  38. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 そうすると、分けるときに両省で協議して……。
  39. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そんな細かいことにはならないと思います。農林省は農林省、建設省は建設省ということになると思います。
  40. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 集荷対象の各資料ですね。等外米は当該都道府県の義務供出割当の枠内に含ませないということなんですが、そうすると、これは各都道府県の供出数量の枠の外にあるわけですか。
  41. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 義務供出の枠の外においてあるのでございます。そうして義務供出が済んでから後に出して頂いた分は、これには超過供出奨励金を付ける。いわゆる確保数量の中には入れておるわけであります。これはなぜ義務供出に入れないかという意見が強いのでありますが、今年は、あとでありますように、標準規格を相当落しておりますので、等外米ということになりますと非常に落ちるわけなんであります。従いまして、できるだけ義務供出ではまあ問題なく配給ができる、五等以上のものを出してもらつて先ず一般配給の量を確保したいと、こういうことにしております。
  42. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そうすると、個人の供出割当の対象外になるわけなんですか、これは個人の供出の数量の枠外になりますか。
  43. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 義務供出ですから、個人に対する割当の外になるのではないかと思います。ただ個人に対しても確保数量のプラスになる分は県によつて違うそうでありまして、或る県では確保数量も個人に割当てるところもあるようであります。
  44. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 冷害のほうは別といたしまして、この災害総体に対して官房長に申上げたいと思います。この災害対策につきましては、何と申しましても営農資金を大いに出して頂くということ以外には私はないと思います。今日転落農家が各地に多く出ております状況から行きまして、今後そういつたものはますます多くなるという状況下におきましては、言うまでもなく資金の加減が必要である。私を以て言わしめれば、農村の金が引揚超過になつておりまして、それが商工業の方面に大いに使われておるというのが日本の現在の状況だと思うのです。その農村から引揚超過になりました分が、この災害を契機といたしまして、これを農村に還元するという政策が是非必要である。これは官房長に一通り聞いておいて頂きたいと思いますが、この問題は、私はこの際におきまして、この額の総額が今お話のように四百五十億ですか、或いは五百億になりますか、六百億になりますか、知りませんが、そのくらいの金額であつては、現在の我が国の農業災害を復旧するためには、復興するためには、救済するためには、これは十分だとは言えないと思うのであります。従いまして、今後政府といたしましては、このインフレを防止するために予算の膨脹を防いでおるという状態にございますけれども、それを殖やせという意味では決してありませんが、私は或る範囲におきまして、この際農林省はこの実情を或いは大蔵省に、或いは通産省に、その他の方面にこれを話して頂きまして、この窮状を打開するためには重点的に資金をこちらに使わして頂くような方法をとつて頂かなければならん。災害に関する限りは、少くとも、これは言うまでもなく不幸な目に会つている者を助けるのでありますからして、その意味におきまして十分なる処置をとつて頂きたい。例えば一つの例を申上げますれば、農業債券を一つ発行する場合におきましても、現在三百億の枠があるのでありますが、この枠内におきましても、農中を通して出しております部分、或いはまあ商中と申しましようか、或いは興銀その他幾多の金融機関によつて、四つですか、五つですか、出しておるわけなんですが、この数字を見ましても、これは非常に農中を通して出しておるところの集計が少いのであります。従いまして、それに対しまする枠も一つ殖して頂く必要があるんじやないか。そういうことによりまして、系統金融機関に対しましてこういう融資をさせるようなことをここに書いてありますけれども、従つてその融資も繋ぎ資金といい、何といい、そういうものが枠が殖えることによりまして、相当融資もできるような状態になるのではなかろうかと思います。これに対しまして極く漠としたことを申上げましたが、そういうものに対しまする、今官房長はこれに対してそういう方法もあれば教えて頂き、又そういうことに対してどういうお考えを持つておるか、その点を伺いたいと思います。
  45. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お話御尤もでありまして、まあ災害を契機としてという意味でなくして、農村の資金を農村に還元する、そうして農村の再生産を容易ならしめる、こういうことは当然のやるべきことであります。ところが必らずしもそういうふうになつていない。この災害ができるこの春までは、昨年までは中金の金も非常に窮屈だつたんですが、この一年来非常にゆつくりになつておりまして、それが農村に還元して行かないという、余裕金の運用に非常に困つておるという状況が出ておつたのであります。そこで一方では金がほしいと言いながら、そういう余裕金が運用ができないというのはおかしい、これは政策の貧困ではないか、なぜできないかと言えば、農協では現在の金利では高過ぎるということで、中金の採算の面から言えば当然でありますが、それならそれを補えばいいじやないかということが一点、それから又農家の経済が非常に零細でありますので、どういうふうにして……融資を付けようとしても金融である限り信用力に制限がありますから、流せない。それをどういうふうにしてカバーするか、こう二つの問題があるのであります。たまたまこの災害によりまして、どうしてもその問題を解決せなければならないということになつたのであります。それは利子補給と損失の補償ということで一応解決の方法はできておるのであります。併しそうかといつても、それは制度として理窟としてあるだけでありまして、なかなかうまく動かすのには、動かす組合当事者なり、或いは系統金融機関の当事者或いは又この災害に関連しましては市川村当局のほんとの親身な世話が要るのではないかと思います。金を借り、或いは助成金をとるにしても同じでありますが、一定の手続きがありますので、これを無用に複雑にすることは駄目でありますが、一定の少くとも手続は要るのであります。それからそれを親切に関係機関が指導してやることが必要ではないか。この夏、七月、八月頃の現象でありますが、西日本の二、三の県信用農業協同組合連合会では、風水害にもかかわらず、貯金がぐつと殖えて来たのであります。そういう現象はやはり更に考えるべきところがあるのじやないかと思います。それはやはり農家の階層分化相当あれして、一方では金が欲しいが、そこに使われない。ところが一方の或る程度以上の経営規模のものは多少の蓄積ができた、或いは風水害の関屡いろいろな農産物が値上りしたこともあります。或いは又家が流れてしまつて箪笥預金が出た、いろいろな原因が挙げられておりますが、いずれにしてもそういう結果が出ておりますので、今申上げましたような方法を制度化する必要があります。更に又今問題になつておりますのは、不動産担保金融をもう少し進めて行かなければならない。そういうことによりまして系統金融機関の金融だけじやなしに、銀行或いは郵便貯金等に流れている金も、もつと農村に還元できるような方向に持つて行きたい、こう考えております。
  46. 白井勇

    白井勇君 ここにあります種籾や雑穀なり、こういう種子対策をとります場合に、来年の植付けに支障のないようにというただ考え方で立てられているものか、或いは又(3)ですか、「早生品種種子確保に努め、」とありますが、これはやはり早生のものを、特に来年は食糧も困るだろうから、少しでも早くとらせるというような積極的な考えが入つているのですか、そういうような来年の一つの食物を増すというような面を積極的に取入れまして考えておられるのかどうかですね。
  47. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) その点は九月の初めに少し危険を感じたので照会を各県に出しております。それから九月の末に、回答はやはり各県も腹がきまらないので、東北八県だけ呼びまして、一日品種の打合せをやつたのです。その日もまだ腹がきまつてなかつたわけです。大体十月十日までに出せということで各品種を出しまして、今日打合せをやつているわけです。午前中の模様では、初め或いは二回目あたりに意見が出ていたときよりも、早生ものを大体やるという傾向が強くなつております。例えば青森藤坂五号、これは九月一ぱいで供出が出せる早生ものですが、これの面積青森では三万町歩、今一万七千町歩ですが、岩手が一万町歩、その他の各県を私は大体一万町歩余という見当です。初めは青森岩手を除いた東北で二、三千町歩くらいの希望であつた、ところがその後に会議すると一万町歩を超します。こういうふうな形で、やはり各県とも早中晩の組合せを適正にやるということは、なかなか前の冷害のときもむずかしかつたわけです。やはり今年は全国的な食糧不足ということがありますから、各県においても、飯米確保という点でも、一日でも早いものを作つておきたいという点もありますし、県内の操作、国全体の操作にも役に立つというわけですから、割合その点がありますから、ここ一カ月くらいの経過では、時間が経つに従つて早稲への重点が相当重くなりつつあるという状態にあります。水稲についてはそういう点で、対冷害、対「いもち」に対する抵抗性、豊収の点を考慮して、各県で品種名を全部出さして、それを斡旋して食管でやる、こういう状態になつております。
  48. 白井勇

    白井勇君 私は水稲は勿論そういうことだと思いますが、更にもつと広い範囲でですよ、例えてみますれば、「いも」類を捉えてみましても、北海道の種「いも」は今食糧や蔬菜に流れているが、ああいうものをもつと積極的に来年の増産のために種子として確保する措置をとるとか、ただ今年災害をこうむつたから、その種子がないから困るというような、単にそのための種子じやなしに、もつと積極的に来年の食糧を殖す、「じやがいも」の種子を殖すという考え方、これは麦を取上ザてないようですが、やはり東北なり、北陸なり、来年の麦の供給として間に合うだろう、だから例えば会津の麦種を全面的に買上げて、これを東北地方なりに安く種子で配給してやつて、東北にもつと麦を殖やしてやる。或いは又北海道雑穀についても今までのように放任しないで、最も高級な輸出向の菜豆類は余り輸出も出ないだろう。そこで取りあえず来年の役に立たんならば、食糧として役に立つ大豆を殖やすなり、何かそういうように少なくとも来年の役に立つような食糧をもつと殖やしてやるような考え方を以て災害対策に織込まれているかどうかということです。
  49. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 大体そういうものも織込んでおります。まあその他の作物につきましては、大体今日も打合せをやつておりますが、大体県内で自給できるというふうなものが大半でございます。馬鈴薯は勿論違いますが、そういうふうな部分については、各県においてまあできるだけ奨励したい、こういうような形で選んでやつているわけです。その点のことについては個々に農林省のほうにも、農林番号を打つて稲のようにかなり全国的に共通性を持つたものというふうな品種があるものとないものがありますが、あるものについて希望があれば他県のほうからやる。畑作については各県は県内で大体やれる。私はずつと青森から福島まで廻つて来ましたが、大体そういう状態であります。県内でのそういう品種改良というふうに任しておるわけであります。それから馬鈴薯等につきましては、おつしやるような意味においても勿論増産をやるべきであるという態勢をとつておるわけでございます。今大体百四十万俵程度のものが検査になるのですが、各県の要求は今のところは百二十万俵程度、二十万俵程度のものはまだ各県の希望がまとまれば押えられる、こういう状態になつております。調査を続けてできるだけ予算がきまれば押えて行く、こういうふうに考えております。各県のほうも大体予算の額がきまれば、できるだけ早くそれを見込んで県で手配をしたいという状態で非常に急いだ、こういう状態であります。麦につきましては、大体先般の災害関係の予算で約一億五千万円ばかり各県からの移動をやりまして、それによつてつて行く。大体趣旨は通して行くつもりであります。これは各県に配付済ですでに手を打つておりますが、まあ播き付けその他については東北、北陸等については時間的には一ぱいにやつております。まあ大体今後播き付けるようなところについては、直接的に有効適切という手はなかなかないわけでございますけれども、できるだけ奨励して行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。今考えておりますのは大体これからの、私どもとしましてはやはり病虫害の防除というふうなことと、それから或る程度やはり麦の増産のための運動を、競争というようなこと、できれば私考えておりますのは、部落団体同士の競争というふうな形をとりまして、そうして増産運動を推進して行くのがいいのじやないかというような考え方を持つているわけでありますけれども、まあもう数カ月前であれば相当組織的な手が打てたであろう。我々もそういう考え方を六月には持つてつたわけでありますが、追加予算では困難であつたために、まあそいつらが採用されないで、それでああいうふうになつてしまつて、あの当時から私が考えていたようなことができれば、あの当時水害があつたし、風水害もあつたわけであります。冷害とか、それから西の水害もあつたわけでありますから、あの当時から或る程度打てれば相当のことができた。今になつてみれば……。打たれる手はかなりあつたかと思います。それで麦の種子だけは或る程度つておると、こういう状態でありますから、今後打てるだけの手は打つて行きたいと、こういうふうに思つております。
  50. 白井勇

    白井勇君 私はよくお考えになつたようですから、くどく申上げませんけれども、やはり検査をやつて行くと同時に、来年の食糧対策そのことによつてプラスになるということを考えなければいかんのじやないかと思います。が、如何ですか。それから官房長にお尋ねしますが、一番最初は貸付限度の場合、これはつい最近北海道を見て来たから申上げますが、ああいうところでも歩当り十五万というふうに限定されるものか。規模が非常に大きくて問題だと思つておりますが、府県並でない特別の措置をとられるかどうかという問題です。それから冷害対策としまして、最近新聞によりますと、国では五十億という金が出ておりますが、あれは全然農林省の関係とは関係ないのでございますか。
  51. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 貸付限度の問題でありますが、これは衆議院のほうでも同様の意見が出ておりますので、今検討を加えております。殊に農手の或る部分相当経営規模が大きくてもできますが、北海道のように農手の利用できる作物以外の作物の多いところでは、これを考えなければいかんのじやないかというので、今検討中であります。なお今朝の新聞に出ておりました冷害等対策費五十億というのは、そんなにわからないのであります。これには労働省、建設省、厚生省、農林省のやつが入つているというのであります。その各省の要求冷害対策という……。
  52. 白井勇

    白井勇君 お考えの一割しか行かないと困ります。
  53. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そのほかに農林省の関係としては共済が百三十億あるわけであります。仮に全部行つても公共事業費を除いて百十六億要るわけですから、ちよつと足らないのです。
  54. 天田勝正

    天田勝正君 さつき官房長説明の中に、最初のほうの農林漁業金融公庫の貸付の項で、伐採調整金四億という説明があつたと思いますが、現金収入を殖やさせるために国有林野の払下等が農林委員会政府当局とに話合が任されておりますけれども、私はこれは勿論現金収入を得るためでありますから、この際必要ではありますけれども、今後冷害対策でそうした処置をとつたのが、翌年以後に山林が更に荒れることによつて水害が今度は出て来る。こういうことの意味になる危険もあるので、そこで同じ金を使うならば、むしろ国有林野事業についてという項にもありますけれども、造林等のこういう面に更にもつと力を注ぐ必要があるのではないか、私たちはこう考えるわけであります。それがさつきの説明でも極めてむしろ軽く扱われる、この項でも薪炭林の払下を行なつて、この代金については利子免除等とかいうことが言われております。多少若木をこの際山に植えるという方法を農林省としては一体どのようにお考えになつておられるか、これが第一点。第二点は、この伐採調整金でありますが、これの出し方によつては更に山が荒れるという結果になつて参りますけれども、一体どういう基準で貸出を行おうとされるのか、ちよつと伺いたいと思います。
  55. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 伐採調整資金というのは御承知だと存じまするが、森林計画に伴いまして幼齢林の伐採を抑える。伐採の申請がありました場合に、幼齢林なるが故に計画もなしで伐採をさせてはならないというので不許可にする。それがためにこの収入を以て生活資金等に充てられるという必要があるのを、伐採を不許可にするということのために資金を貸出す、こういうことになつておりますので、只今お話のように、実は幼齢林の伐採を抑えまして、将来の治山治水その他の資源の保持、培養のために備える、こういうことのための資金でございまするので、伐採調整資金を若し貸出さないということになりますれば、幼齢林をやむなく伐らせるか何かしなければならん。それは続いて後年度におきます治山治水に非常に大きな影響を及ぼすということで貸出をしておる次第でありますが、本年度伐採申請に対しまして不許可の処置をいたしましたものは千二百万石余あるわけでございますが、それに対しまして伐採調整資金は総額二十二億という枠で抑えられておりまして、全部についてこれを貸出すというわけには参つておらんのであります。勿論それを不許可にいたしましても、他に伐採可能の山をお持ちのかたには当然これは貸出さないことになつておりますが、出さないために、どうしてもお貸しできないというものが相当あるわけでございます。全額貸出さないでもいいというものを除きましても、約三十二億程度は必要でございまするが、二十二億しか現在枠がない。従いまして、まあ普通ならば御辛棒願うというところを、冷害のために一層冷害地区において生活困窮になつて資金もないという面に対しては、当然の国家の反対給付の責任として、冷害地区に対する分だけは資金の貸出しをしなければならんというものが約四億ということでお願いをいたしておる、こういう次第でございます。なお造林を促進すべきではないかというお説は誠に御尤もでございまして、勿論森林計画に基いて造林の予定もいたしておりまするので、これを遂行いたしますると同時に、根本的治山治水の対策といたしましては、将来と申しましても、二十九年度からもう引続いて出発するわけでございまするが、これによりまして、治山治水と、半面林産物の需給の調整を考えまして、相当大規模な計画的な造林を実施する、こういうことになつておりますが、時期的な関係で本年度において既定計画以上に殖やすということは相当困難になつておりまするので、冷害対策としては一応計画はいたしておらない、こういうことでございます。
  56. 天田勝正

    天田勝正君 つまり、趣旨は来年度においてはそういう計画があると承知していいのですね。
  57. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) さようでございます。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 官房長に……。今御説明を承わつた金額ですね、今計画中のものもあるらしいですし、大体予算の固まつたものもあると、こう思いますので、若し固まつたものがどのくらいで、今こういう構想で大体は見たが、又変つて行くような固まらないものがありましたら、その分を伺いたい。それから第二番目には、第九の緊急救農土木事業ですが、これは事業分量を中心として大体三十九億を見ておられるのか、それとも、この冷害によつて生活資金を与えなければならないという被害農家を基本にして三十九億を計算せられたのか、そのいずれであるかを一つお伺いしたい。それから今一つは、屑米の処理ですが、屑米をお買上げになることは誠に結構でありますが、その価格が一体どれくらいで買上げようとしておられるのか、その価格をわかりましたら一つお伺いしてみたい。それからその次には林野庁長官に、お伺いになるか、御相談になるか、ちよつとわかりませんが、林道事業についていろいろ御考慮を与つていることは有難いと思いますが、実は私どもが山間部を廻つてみますと、このたびの冷害が山間部に一番ひどいことは事実でありまして、而も収穫皆無であつて何ともできないというのが山間部の実情であるが、そこでたまたま営林署の事業所等をそういう最もひどい山奥に大体持つておられるので、始終そこには事業場に通う自動車等が出て、本道は壊されるだけ壊されておるが、本道等に対しては何ら補助金等がない、だからそれも、いろいろ山を切り開いて頂くことによつて、山自身は農道やいろいろで日常御厄介になつておるから、日常に対しては問題は起らないが、少くとも今日非常事態で村落が今潰れるか潰れないかというようなときは、その事業農道は当然村農道と一緒になつておるのであるから、それらのものは一つ林野庁で以て補助金を出すなり、何をするなりして、村道兼用のようなものにでもして、村と一緒にその工事を進めてもらえるならば非常に有難い、こういう要望がほうぼうにありますが、ところが実際としては法規上の何か食違いがあると思いますが、そういつた公共事業のものは、すぐそのわきの営林署のがたがた道を獲得して、それで村と一緒にそれを直そうということはできないということになつているので、果してこれはどつちから見ましても法外千万であるが、こういうものは、こういう際に一つの村も出す村も山を売つて出すが、営林署のほうでも、いわゆる林野庁のほうでもそれに金を出して至急農道を立てるような、村道を改修して行くというような方法を講じてもらえれば非常に救農上の利便がある、こういう要求がありますが、それらに対する御見解を伺いたい。
  59. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 先ず第一にこの要綱できまつている分でありますが、この主食の売渡対策、これは全部もう実施しております。それから三の集荷対策についてもやつております。四の種籾の確保対策についてもやつておりますが、四の次の五の購入助成は、これは予算措置は未定であります。それから七の飼料対策、これもやつております。それから八も、これは予備金で全部済ましております。なお営農資金の分でありますが、これは当初に申し上げましたように、殆んど中金その他系統機関の資金を使うのでありますから、遡つて法律を適用するから、最悪の場合でも六分五厘の金になるだから、どんどん流せということでやつております。それから屑米の価格でありますが、これはまだきまつていないと思います。昨日か確めたところではまだきまつておりません。それから救農土木の計算の仕方であります代どれだけの金が必要であるから、どれだけの事業をするという考え方でなければなりません。事業の可能地を拾つてつております。これは非常にむずかしい計算で、いろいろ計算しておりますが、ただ作物減収量によつて、民家の販売代金の収入減或いは又過般米麦減収によつて飯糧の購入費の増とか、そういうものを計算しておりますが、それは一応の試算でありまして、営農資金等を算出するときはそれも或る程度使つておりますが、具体的に事業を計算するときには、そういう予算の総額を割出す上にはあまり役に立ちませんので、事業別に可能なところを拾つてとるという考え方でおります。
  60. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 林道事業その他の公共事業の計画につきましては、官房長から申し上げたように、冷害地域につきまして今後可能な事業を拾いまして、極力これを進めて地元の賃金収入を得られるような仕事を計画いたしております。国有林の林道と町村道との連絡等の関係につきましては、すでに現在でも非常に林産物その他を一貫して利用する町村道につきましては、併用林道と称しておりますが、町村側と御相談いたしまして、国有林関係の林産物搬出に、国有林の林道と併せて、双方が利用すると、こういうお約束をいたしまして、その分につきましては補修費、改善費等を国有林と分担する、こういうことで実施いたしておりますが、只今先生のお話のような問題で、特に非常に国有林事業を実施するために村道を破壊してというようなことになりますれば、当然併用林道の実施で解決をさせて頂くことができると、かように考えております。なお今回の冷害対策といたしまして、国有林事業でも更に林道費か従来のものにプラスいたしまして、二億程度要求いたしておりますので、これらは更にさような点で検討いたしまして、有効に国有林野事業と並行して使用させて頂いてお役に立てると同時に、賃金の収入を得て頂くような措置をいたしたい、かように考えております。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 それらのものは間違いないだろう、収入の……。新潟県高田営林署関係ですが、田口の奥の杉野沢という部落、そこの作業場から杉野沢の村道を通つて、田口の集荷場までの村道ですね、これは村道でなく営林署の敷設道路らしいんです。そこで敷設道路であるが非常に便利だから村でも金を出すから、一つあなたのおつしやる併用道路にしてくれないかと、前から話があるけれども、絶対それは駄目だというの今まで経過しておる、こういう実情です。それで伺いたいんですが、この際そういうことをしてすぐこれを直さして頂くなら、自分らの山は約二千町歩ほどあるから、それを一部売つて、五億か、六億出るから、そういうものに至急したい、こういうような希望を述べて来ております。
  62. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 具体的な例を承わりましたので、早速調査いたしまして、双方の便宜なように御処置願うよう手配いたします。
  63. 松浦定義

    松浦定義君 この五の雑穀等種子の購入助成の問題ですが、これは雑穀の場合は、今度委員長北海道事情を見て頂いてわかると思いますが、馬鈴薯等についても相当の予算を見でおられることは御説明でわかつたんですが、そのほか特に大小豆、その他雑穀につきますと、相当の額が出て来ると思うのです。そこでもう御承知のように、雑穀は価格が自由販売なものでありますから、併えば雑穀種子の斡旋をすると、こういう場合に、米のあれとはちよつと違うと私は思うのです。それでその価格の点についてどういうような処置をとられるか、例えば農家が個々の取引をするが、その間において政府が何ぼか助成するというようなことでありますと、これは相当早く手を打つて頂かないと、今年種子になるようなものは、どうしてもそれだけ農家が困つておりますので早く出してしまう。従つてそういう場合になりますと、あとからやろうとしても、結果的には種子になるようなものはないという結果になつてしまうんで、その価格についてまあ抑え方、或いは又取引上における政府の考え方等はどういう形でこの斡旋をしようとされるのか、この点一つお伺いしたいと思います。
  64. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 採種圃等の制度のありますものにつきましては、これは補助をして採種をやつておりますので、各道県等は相当話合はできると、こう考えております。雑穀につきましては、やり方は大体各道県の団体を使つて、そういうふうな斡旋をやるか、それから道県の役人のほうが出向いて行つて斡旋をやるか、そこらの点は取得の難易、その他いろいろな条件もありましようし、品種もありましようしいたしますので、それらを見合せまして大体道府県に任せる、こういう考え方で、政府としては直接そのやり方を細かくきめる。こういうふうな考え方は今持つておらないわけでありますが、その斡旋等に活動するような費用につきましては、別にその種子補助金のほかに予算を組んで、道その他が活動しやすいように、又団体に活動してもらうならば、それは活動できるように、それに使つてもらいたいと思つて、そちらのほうも別に組んでおります。
  65. 松浦定義

    松浦定義君 それから七の飼料対策でありますが、これを見ますと、結局供出農家の報奨用ということになつているのですが、むしろ供出されるような農家では、こういうものは私は必要ないと思うのです。全然供出の対象にならないような農家が、こういうものを必要とすることになりますのと、それからこれで参りますと、米の生産者は非常に与りますが、例えば今申上げましたように、雑穀の生産者、こういうものに対しては全然これに該当しないというような結果になると思うのでありますが、特に私は現在の場合は供出農家の報奨用といつたような、こううようなことの仕方は、どうもそれでなくても、今日の午前の委員会でもいろいろ問題等がありましたし、昨日も委員長からのいろいろなお話の中にあつたと思うのですが、どうも供出農家ばかりを対象にするために、いろいろの弊害が起るというような施策の点もいろいろあるのでありますので、こういう点については、何とか雑穀生産者に対しても同様な措置をとられるようにならないのかどうか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  66. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 飼料の点はお話御尤もでありまして、私のほうもできればずつと拡げたい、こういうふうに考えているのでありますが、御承知のように「ふすま」の供給確保ができないのであります。これは今後麦をうんと食つて頂くことになつて小麦の使用量が殖えればいいのですが、今「ふすま」を輸入すると言つても、「ふすま」と豆とは昔は中共方面から相当来ましたが、それも来ないということで量がないのであります。従いまして飼料対策として掲げるのもおかしいのでありますが、やつていることを一応掲げて来たのでありまして、供出用に廻すだけしか量がないので、そこらのほうで遺憾ながらおかしいのでありますが、やつているということだけであります。
  67. 松浦定義

    松浦定義君 それは私はここでこの一番最初の第一項の(3)ですが、有畜農家が無畜農家に転落するのを防ぐ、こういうことになつて最初出ているのであります。これはやはり雑穀水田地帯においても、むしろこういうような「ふすま」を必要とするような農家は、或るいは酪農をやつておられるかたがたは非常に要求が多いと思うのであります。そういたしますと、やはりビートパルプといつたような、「ふすま」でなくても酪農としては、本当に必要なもの、こういうものはこの飼料対策の中で幾らでも入つて行くものはたくさんあると思いますので、特に無畜農家に転落を防ぐというようなことから考えても、この飼料対策というものは、これは全体に一つ適用させるべきであつて、「ふすま」だけに限定されて、これがないからただ掲げて置くというだけじやなくて、幾らでも私はあると思うのであります。従つてこういう問題をお考え頂くと同時に、広く雑穀生産者、即ちこれは有畜農家全体に対して、家畜農家全体に対してこれを適用させる。併しそれも限度があるから、どうしてもできないものはできないとしても、考え方だけはこういうふうにしないというと、一番最初冷害等対策というものにならない。こう思いますので、こういう点もう一回説明を願います。
  68. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは或る飼料を入れるのは今の営農資金のほうで、家畜を持つている人にはそういう飼料購入資金が枯渇しないようにというので、今のところ一頭当り三万円の増額借入を認めよう、こういうのであります。その金を以て今の飼料であるところのビート・パルプであるとか、いろいろなものをどんどん買つて頂きたいのであります。ただこの「ふすま」を五百円でやるというのは、例の飼料需給安定法に基きまして、政府の持つておるものを安く売ると、こういうのでありまして、一般的の飼料は不足しないようにということについてはいろいろ考えておるのであります。
  69. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) なおこれは所管局長に明日は出席を要求しておりますから……。
  70. 北勝太郎

    北勝太郎君 改良局長に伺いたいのでありますが、この間私は岩手青森両県を視察したのでありますが、非常に奇怪に感じたことは通し苗代が非常に多い。この貴重な所を通し苗代にして遊ばしておくということは、恐らくこれはああいう冷害地では肥料の分解が遅くて、そして稲の耕作をしても「いもち」にかかるというような耕作技術上の問題であろうと、こういう工合に考えるのでありますが、そこで私は実は是非これは冷床苗代ということ、それを奨励する方法がないものかどうか。或いはこつちのほうでは工合の悪いことがあるのかも知れませんが、私の見解では少くとも冷床苗代によつて、陸苗代で行きますと、第一に種が非常に少くて済む。耕作期間が少し長くかかりますが、早くからやりますから、そんな関係で一本植えでも十分、それから二本植えをやつても河も効果はない。種籾は恐らく三分の一乃至四分の一でしよう。今年のように種籾の非常に少い場合においては、一つ冷床苗代をやられたほうがいいのではないか。冷床苗代でやりますと、恐らく中生が早生になる。晩生が中生になるだけの、早いものができるという関係がありますので、こちらのほうでなぜそれをやらんのかというような考えでおるのでありますが、そういうようなことを一つおやりになる、冷床苗代の奨励をおやりになるお考えはないか、こいつを一つつて見たいと思います。それから今一つ官房長に伺いたいのですが、これは農林省関係でないかも知れませんが、過般岩手県に参りましたときに、土木事業で町村に割当ててやらせた分が、町村の負担金ができんために遂に取消しになつた。今年のような年に又町村でそんな仕事をしてもらいますと、労力、賃金を得ることができるのでよかろうと思いますが、併し町村が歳入欠陥で負担金ができないような場合もあり得よう。そういう今年は特例で負担金などを非常に軽減して、まあ貧弱な町村もそういうことができるようにしてもらう方法はないのか、この点をお伺いしたい。それから最後に私は林野庁長官に伺いたいのであります。それは過般岩手県と青森県で冷害地帯を見まして、実はどうもいわゆる農業経営の原則は適地適作でなければならんのに、あの辺ではむしろ不適地で稲作に偏重しているという傾きがある。成る町村長は曰く、四百年間ここでやつているが、必ず三、四年に一回ずつ冷害を受ける。東津軽のひどい場所もありました。こういうような所で稲作を転ずるわけには行きますまいが、一つ今までこの林業方面に相当力を入れていたと聞きますけれども、どうしても林業なり、酪農なり、いわゆる混同農業をやらせなければ、いつまでも安定した農家になれない。ところがあの周辺にはたくさん国有林があるのだそうでありまして、そこで国有林に対してはまあ要求したらいいのじやないかと思います。平常学校の建築或いは役場の建設等に材料をもらいに行くので、遠慮してそういうことが言えない。こういう工合に或る町村長が言つておりましたが、是非一つもつと積極的にこの林業を農業の中にとけ込ます、或いはその下草を利用するために畜産をやらすというようなほうに行かなければ、いつまで行つても、三、四年ごとに凶作というような問題が起る。勿論将来農業技術も進むでしよう。品種も改良されるでしようが、ああいう地帯は僕はいつまで行つても免れない。如何に技術が進んでも免れない、こういう工合に思われるのでありまして、一つこれは国家が経営しても、個人が経営しても、私は個人の農家に経営さしても同じだと思うのです。いわゆる百姓の、民のかまどは朕のかまどなりといつたような仁徳帝のように、何も国家がそんなことをやらなければいかん、国家が地主みたいなことをして利益を国家がとることを考えずに、国家は国家の力で奥地の農民の手の届かんような所をやるべきだ。手の届くような所は農民に開放すべきだ。ただ開放する場合において、先ほどもお話があつたように、伐採するだけが林業だと思うような間違いがあつちや困るのであります。いわゆる国家の立てた施業案に従つてやる、こういう必要がある。昔北海道では移住者に土地を貸付けする。それは貸付制度であつて、十カ年間に政府の規定通りのことをやれば、その土地は個人の所有にするというのであつたのでありますが、併し個人の所有にしなければならんことはない。貸付制度であつて、国家の施業案通りにやれば、それは一つ民間にやらせる。それをしなければ取上げるというような制度があれば、うまくやれるのじやなかろうか。併しああいうような常習冷害地に対しましては、そういう一つの新らしい農政が布かれなければいかん。私は今度の冷害で皆くやんでおるが、こういうことも珍らしいと思いますけれども、こういう冷害農家がしばしば困るということは、いわゆる適地適作の原則を離れておると私は考えます。こういう土地の少い所においては混同農業でやらせなければならん。その原則を離れておるから、これはこういうことになる。結局これは国家の罪である。私はあの附近を見たときに、こういうようなことをしてはかわいそうだ、多くは国家の罪だという工合に感じたのであります。同じ貧困地に行きましても、他の地方の貧困地とは違う。いろいろな経営の内容を聞きますと、実に憐れなものです。あんな農業をやらせるべきじやない。こういう工合に考えるのでありますが、何とかそういうような広い考えで、国がやらなくても国民にやらせればいいのだ。いわゆる片輪の農業を当り前の農業にさせようという親心があるべきだと思うのであります。林野庁長官の御所見を伺います。
  71. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 東北の通し苗代の問題は、保温折衷苗代の奨励によりまして逐次減少しつつあるわけでありますが、まだ相当つております。お話の冷床苗代というのは温冷床田代のことを言われるわけでありますか。
  72. 北勝太郎

    北勝太郎君 そうです。
  73. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 日本では大体内地のほうでは北海道のほうと緯度が違うので、気温の点も相当有利な条件にあるし、それから水のほうも、まあ北海道苗代時期はひどく冷えていないというような関係等がありまして、まあ大体北海道のほうにおいては温冷床苗代が適当だと思う、特別な気象の下においては……。併し東北、日本の内地の山間部では保温折衷苗代というような形が適当だと、こういう奨励方針をとつておるわけでございます。まあ単価のほうにつきましても、片方が七百円前後というのに対して、片方は三千五百円ぐらい、本田に対しましてそのくらいの差はあるわけなんです。値段のほうも安いというような点から、できるだけ保温折衷苗代を奨励したい、こう考えておるわけであります。なかなかここ数年間やつておるわけですけれども、徹底を十分にはしていないと、こういう状態にあるわけです。今年のような冷害の年はその効果が格段に出ておりますので、できればこの機会にそういうふうなことにできるだけ奨励に努めまして、それを保温折衷苗代によつて、土壊の改良も加わわらないと、なかなかやりにくい部分がございますが、通し苗代の改良に努めたい、こう考えておるわけであります。これが非常にいい機会だ、普通の例年ですと割合に差がありますけれども、大したことはない、今年になると徹底的に出る、これがチヤンスじやないか、こう考えております。大体保温折衷苗代のほうでやれるのではないかと考えております。
  74. 北勝太郎

    北勝太郎君 どうもそこに私は問題があると思うのであります。食わず嫌いをしておるのではなかろうか、これは恐らくその保温折衷苗代がいいというのは、これは技術上の問題で言つておられるのではなかろうか。いわゆる冷温床苗代でやる技術が非常にむずかしい、それで言つているのではなかろうか。先ほどの各地の状況を聞きますと、いわゆる緯度の高いところも勿論ですが、海抜何百尺というところ、地方によつては何百尺でありますが、私は頭の中で今想像ができる。その緯度と海抜幾らということを見れば、この稲はどんな稲だと想像して殆んど間違いがない、そういう工合に私は思うのでありますが、そこで一つそういうような地帯におきましては、北海道とあまり変らない、而も晩生が中生になり、中生が早生になるというのなら、日本増産上の重大問題である。それでいわゆるあつものに懲りてなますを吹くというのでは困るのでありまして、恐らく今年の冷害で早稲ばかり作つてしまつて来年は非常に収入が減つた。減ると農家承知しない。再来年のときは、今度はもつと中生を植えろ、そうして晩生を植える。ほかのうちではこうやつて金儲けしたのに、おれのところだけ貧乏する理由はないと言つて家族が承知しない、そういうような問題があつて、その増産は国家の利益になるわけであります。従つてどうしたならばこの冷害に堪え得るような行き方をするかと言えば、冷温床苗代によつて早く播き付けをして、そうしていわゆる稲は温度によつて収量がきまるようなわけでありまして、その意味で早く播き付けて、早くのうちに温度さとつたものは聞違いなしにとれる。そこで中生を早稲と同じようにやらすには、そういう方法によらなければいかん。而も通し苗代の心配がなくなるというのならば、勇敢に取入れるべきだ。取入れないというのは、要するに冷床苗代を作る技術上に心配があるからじやなかろうか、こういう工合に思う。稲の二毛作、三毛作というような話が出だしたのでありますが、将来いわゆる温床苗代等を利用し、或いは電気温床等を利用して、先ほどちよつと言い忘れておつたのですが、積算温度を利用した行き方で行くならば間違いなしに行けるのだ、こういう工合に考えるのでありまして、この点は一つ大いに研究してもらいたい。私は府県のほうは折衷苗代が一番いいので冷床苗代は悪いというようなはずは決してない。これは技術上の未熟から来ているのだという工合に考えるのでありまして、是非一つそういうことを早くに研究してもらつて、いいことならどんどんやつてもらいたい。ただ問題は保温折衷苗代に比べて材料代が全計要るという先ほどのお話でありますが、材料代が余計要るくらいは問題ないのでありまして、それは貧困な農家としては材料代の補助もしてやらなければならない。幾ら補助しても秋とれんよりも余ほどいい。そういうことを考えたら、小さい、そんなことで節約をしてけちなことをやらんでもいいんだ、こういう工合に思われるので、この間から私は疑問に堪えない、なぜ農林省はこれをやらんかという気持で見たのでありますが、是非後調査を願つて、私は未熟な、私は完全なことを申上げるのではないのでありますが、研究の資料には是非してもらいたい、こういう工合に考えております。
  75. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 大体おつしやるような北海道における温冷床苗代で挙げつつある成果と同じようなものを狙つておるのであります。種子のほうも数分の一まで減ります。一升播いているところならば、当初三合くらい、次いで二合、一合と、そこまで落ちる、播種量のほうは保温折衷苗代でも相当落ちるわけであります。内地のまあ今の気象では、大体各地とも保温折衷苗代でちやんとやつたところは、田植えの時期も繰上げておりますし、十分それで防げるという成果も出ておりますが、今のお話の点も十分技術者に伝えまして、研究をさせてもらいたいと思います。なお早中晩の配合の問題でありますが、ここ数年間肥料事情もいいし、供出関係もありましようけれども、まあ気象関係がよかつた関係からして、大体晩生が入り過ぎている、県の適正な奨励方針で行くべきで、例えば早稲が一五%あつて、そうして中生が六〇%あつて、あとが晩生というふうなところを、早稲が五%に減つておる、そうして晩生がとにかく五〇%に殖えておるというふうな形で、県の技術者も奨励上やりたいと思つておるのに、かなり無理して晩生を作つている傾向がある、これは明瞭にあるわけです。無理に早稲を作らせるというふうな形ではなくて、適正なものに戻すというふうなことをやるわけです。それだけ相当早稲種の増が起り得るという形であつて、勿論農家のほうもそういう点については早稲によつて収量減になる、安定をするけれども収量滅になるということに対しては、相当なマイナス面として考えているわけです。そんな無茶なことをやりつこありませんし、我々のほうとしてもそう無茶なことをやらせることはない、大体適正なところに持つて行くというふうなことでやつておりますので、先ほど白井委員から御質問がありました点についてのお答えについて、或いは誤解があると、ほかの点について悪い結果が出て来るものもありまして、御説明までに附加えておくわけであります。
  76. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 市町村の起債能力の不足によつて折角の補助金も浸透しないということでありますが、これはできるだけこの起債能力を付けるようにしなければならないのでありますが、私のほうの力ではいかないので、結局府県がその市町村の区域の問題なり、或いは合併の問題なり、或いはその土地のことについて、もう少し力を入れて頂かなければならないのであります。私のほうでできる例えば農林金融公庫等から出すものにつきましては、これ又むずかしい問題がありますが、担保をとるとか、何とかやつて、とにかく付けるだけは付けることしておりますが、自治庁に掛合いましても、具体的な問題は府県で親切に見て頂く以外にはないのじやないかと、こういうふうに思います。
  77. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 只今のお話の東北の農業経営に対しまして、稲作の変調ということに対しましては、私どもも非常に心配いたしておりまして、できる限り林野或いは更に短期現金収入の可能なような林業形態を加えて頂くというようなことで、特用樹種を導入するというような点も考え、或いは農業経営に関連いたしましても、落葉、落抜、採草等の面で特に御利用願いたいということで、国有林の制限林野以外につきましては、殆んど全部につきまして採草、落葉、落枝等は殆んど無償で御利用願うように共用林野に施設ができております。これは大分従来からも御利用願つております。更に畜産を併用して多角的な経営をして頂くということで、牧野等も実は私どもの目から見ますれば、必ずしも集約的に使われているとは言えない相当面積をお持ちになつておりますので、一面において牧野のもつと集約的利用を大いに願わなければならないと思つておりますが、更に林業と睨み合せて畜産ということで混牧林施業というものを私どもでも取入れておりまして、地元に勧奨いたしまして、林野と畜産と併せて御利用願うということにいたしておりまするが、実は今日まで、余り積極的に混牧林施業を計画的に編成するということに対して御希望がないというのが現状でございまするが、これは更に今回のような凶作を契機といたしまして一層勧奨を強くいたしたい、こう考えております。  又林業面を農家経営の面に取入れさせるために、もう少し開放したらどうだというお話も大変御尤もな点だと思つておりまするが、まあ一面におきまして、離して御利用願うということのほうが全般的に有利であるというような面は、国有林野の整備臨時措置法によつて御相談をいたしておりまするし、更に部分林の制度に関しましても、従来の考え方を更に前進させまして、計画的に自分の手で植えて頂くという方法と、これに対しまする、まあ従来といえども分収歩合は決して国が収益を挙げるためにやつているというほど強いものではございませんが、更にこれを再検討いたすと、結局計画を繋いでおいて頂いて、全般の林業計画に副つて仕事をして頂くためにどういう方法がいいか、若しこれを個々にお任せするということになりますと、一時植栽が進みましても、伐採がどうしても濫伐になるということは、治山治水の関係から将来又危険を招来するということも考えられますので、それらの点を現在検討いたしておりまするが、只今のお話もございましたので、これを考慮いたしまする際に今一歩突つ込んだ考え方も検討いたしたい、かように考えております。
  78. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は農業手形の問題についてお伺いしたいと思います。農業手形の返済をせねばならん時期になりまして、農家がやはり協同組合から借りている農業手形を返済する、そういうようなために農業協同組合に米を持つて来ると差引かれてしまう。現金収入が極めて少くなつた今日の凶作においては、到底自分の家の資金で賄えないというようなところから、闇に売ればより以上に米が高く売れる、それで売つて資金を得る、こういうようなことがかなり相当に行われておることは農林省では御存じであるかどうかわかりませんが、そういうところまで、本当に細かい点についてまで考えていないのじやないか、百姓が農業手形を差引かれてしまうから、現金収入がないから、闇に売れば高く売れるのだから、売つてしまおうというのがかなりありますことを十分御存じの上に、この農業手形を借替をしてやるとか、或いは何とかこれが方法を一年間延ばすとか、この凶作対策として一つやる方法がないものだろうかと考えますので、お伺いするわけであります。
  79. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 農業手形の問題でありますが、それだからこそ営農資金を急いで流しておるのであります。むしろこの営農資金のほうが、条件は農業手形よりいいのであります。従つて農業手形をこれで借替える、こういうことにして頂くことを願つておるわけであります。即ち十一月から十二月に農業手形の決済期が来ます。それまでにこの金が欲しければ、只今の要綱で流すことにして、利率は少くとも六分五厘までは農林省のほうで保証する、金は中金に少くとも今は、来年の端境期というか、四月以降の中金の金の切れるときはいざ知らず、今はとにかく中金もあるのですから、問題はないということは十分徹底しておるのであります。私も先般大臣にお伴して岩手青森を見たのでありますが、結局町村と單位組合がそのつもりで動いて頂かなければ、こちらが金を流すと言つても、じつと手を拱いておるような傾向がありましたので、県或いは少くとも私のほうの直接の傘下食糧事務所、営林署、営林局には、村町の御用を聞きに行くように協力してくれということを言うと同時に、農業協同組合等にもそういうことをお願いしております。又営農資金を借りて、例えば共済金の支払が遅れる、或いは米の供出が遅れる、従つて営農資金は先にほかの肥料代なら肥料代の購入に使つて農業手形の分は販売のときに落す。一つは共済の金、一つは売るものがあれば販売代金で落すのであるから、その落す時期まで待つことについては延納利子もとらないということで処理する。延滞利息の分は問題にしないというようなことを中金等でやつております。従いまして、只今お話のような非常に凶作で、早く金が欲しいというふうな点につきましては、先ほども申上げましたが、県のほうでも簡単にその金融機関、信連等が動かないのであれば、県金庫から必要があれば融通したい、先に必要な金を流すということをやつておる県もありますので、そういつたことを県から言つて来たときは、具体的の例を挙げて、或る県の例をならつてくれということでやつておるのであります。これは全くこういう際でありますので、各持場々々のかたの御協力を願う以外にはないのではないか、こういうふうに考えております。
  80. 川口爲之助

    川口爲之助君 伐採調整資金の貸出についてちよつとお伺いします。二十八年度の伐採調整資金は、先ほどお示しの通り二十二億、ここに掲げられました四億円はそれにプラスするものと思いまするが、伐採調整資金の貸出が金融実施の当初とは変りまして、利用伐期齢級に対する伐採の申請、その不許可林分に対して伐採奨励資金を貸すということに相成つておるわけであります。そうするというと、不許可の林分がまだ二十八年度分としてたくさん残つておるということなんですけれども、そのように考えられるわけでありまするが、その元来伐採調整資金の貸出の目的は森林資源の維持育成にあると思います。ところが成るべく伐らしたくないという理由で、伐期齢級のものをできるだけ伐採許可申請を出させて、その残つた分に対して調整資金を貸すというのでは、むしろ伐採を奨励するという、育ち盛りの木を伐らせるという点について、この森林法の目的とは矛盾をしておるのではないか。かように考えます。やはり森林法実施当初の方法に基きまして伐採調整資金というものを貸出してもらいたい。こう希望するわけであります。それから治山事業の中に主として海岸砂防ということが掲げられておりますが、海岸砂防の必要なることはもとよりこれを認めるものでありますけれども、山地砂防ということもなお一層必要ではないか。山地砂防が洪水被害を除く上において非常な効果を生ずるものであろうと思います。この点はどういうことに相成つておりまするか、ちよつとお伺いしたいと思います。更にこの間頂いた治山治水計画の中に土修羅を禁止するという項目があつたように記憶をいたしております。土修羅の禁止は至極尤もであると思います。併し士修羅を禁止いたしましても、それに代るべき運搬方法を考えなければならん。勿論それは鉄索によらなければならんのであります。この用意は案の中には盛られておるのであるか。今日土修羅を禁止しなければ、これから盛んに伐採が行われるであろう場合におきまして、洪水被害が更に一層大きくなる虞れがあるということがある。その点一つお伺いしたい。
  81. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 伐採調整資金によつて幼齢林の伐採を促進するという御心配のようでございますが、私どもは心配があるからこそ伐りたいというふうに、一応適正伐期齢級以外のものは許容限度を示して、その範囲内で抑えて頂きたいということで指定をいたしておりますので、それにもかかわらずやむを得ず伐りたいとおつしやつても、それは幼齢林を伐採するということでは将来の治山の面からも非常に困る。或いは森林計画の面からも計画を破壊するということによりまして、それは一つの禁止に対しまして補償する。こういう考えでおりますので、これは私どもは逆に考えておる次第でございまして、結論においては川口先生の御心配をなくしたいということで御利用願つていると、かように考えております。なおこの冷害対策に対しまする治山事業に一応海岸砂地地帯の造林或いは海岸防風林、防潮林等を挙げておりまするのは、東北地方の今後の仕事といたしましては、山地の砂防事業は当然継続のものを多少でも繰上げ得るものは繰上げるという計画はいたしておりまするが、かようなところは相当長い期間にできるということで事業の可能なものを計画しておる、一つの例として挙げておりまするが、山地の治山事業をも併せて計画いたしておりますことを御承知を願いたいと、こう思つております。それから問題は治山治水対策におきまする奥地の水源重要地域に対しまする土修羅搬出を禁止するという措置に対しましては、先生も相当の理由を御了承頂いていると思いますが、当然の結果といたしまして、他の方法で取材をいたすとすれば、非常に経費のかかり増しをする。従いましてこれに対応いたしまして、主として鉄索運搬になりまするが、これの設備を国で準備いたしまして、県でお持ちを願つて御利用願うという対策を、同時にあそこに計画いたしておりますことを御了承願いたいと思うのでございます。
  82. 川口爲之助

    川口爲之助君 この伐期齢級のものに対して、伐採調整資金を一ぱい貸す。貸した残りに対して伐採許可をしてやる。こういうものとは違うのですか。
  83. 柴田栄

    説明員(柴田栄君) 元来適正伐期齢級の中で山は自由にお伐りを頂いては際限がないということと、所有者自体にとりましても非常に不利な時期に伐採を願わなければならん。こういうことで計画に基いて伐つて頂くというので許容限度の範囲を設定しておるわけです。それ以上に更に所有者の所有権の行使として、幼齢林を更に拡張して伐りたいという申請に対しまして、計画に基いてそのお見込みについては現在の計画によつて伐られては困る。こういうものに対する資金が伐採調整資金として御利用願うと、こういうことになつておりますので、先生の御解釈は多少違うのではないかというふうに私は考えます。
  84. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私から官房長ですか、お伺いしたいと思います。これは先ほどの清澤委員の質問に関連するのですが、緊急救農土木事業、この金額のはじき方が、どういう目度からはじいたかという質問に対して、事業の可能地を拾うということであつて、ところが今度私も現地を見で、農家の所得、収入の非常な大収入減ですね。所得皆無の地帯もあるのですね。そうなつて来ると、来年の営農資金なり、或いは生産資材の手当も勿論必要なことですが、午前中の報告にもありましたように、この冬を如何にして越すかという、どうして食つて行くかという問題が、これが焦眉の問題である。そうなつて来れば、そういう現金収入をなし得る途は、土木事業なり、国有林からいろんな仕事を出すということですが、まあ北海道あたりを聞いてみますると、勿論農林省関係の仕事は雪が積つてもできます。こういうことは言つておりますが、併し何しろ冬雪が降れば或る程度制約を受けることはこれはやむを得ない。そこで丁度私が北海道開発局の次長等にあとで合つて聞いてみたのですが、農業土木以外に、これは建設省関係になろうと思うのですが、一般の道路の改修ですね。道路の改修もなかなかむずかしい、一番夏場に備える意味でいいのは河川の砂利をとつて、まあ集積しておいて、雪が解ければすぐそれを、或いは道路なり何かに使えるというところは、農家現金収入を得せしめるという考え方は、農林省関係の公共事業だけでは、先に言つた農業土木が三十九億、山林関係が十億、漁港が約三億五千万円、全体で五十二、三億で、とてもそれは問題にならんと思うのですね。北海道でも、例えば農業収入減が二百五十億、共済金が三、四十億入つても二百億以上の現金収入は入つて来ないのであつて、それは今日営農資金のほうの考えがありますから、来年のことは或いはいいかも知れませんが、差当りまして冬はどうして食つて行くかという問題になつて来ますから、これは或いは建設省からも、あとでこれはおいでを願うことになると思うのですが、救農事業については、農林、建設が総合して、大体どのくらい収入が落ちるかという総合的な考え方を私はとつて頂きたいと思うのですが、とても北海道だけでも問題にならん。四、五十億のものが、これが北海道、東北、関東、これは雀の涙にしかならない。これはもうあとで結構ですが、そういう考え方、事業の可能地を拾うということになると、これは非常に農家収入、生活資金の手当をしてやるという考え方は非常に考えが不親切だと思う。もう一つは、これは白井さんからもさつき質問なり、御意見がありましたが、営農資金は、特に私は北海道を見ても、北委員からの報告にもありましたように、農業規模が非常に大きいし、例えば農繁期においても相当、四、五百円の雇用労賃も大分支払つてもやつて行くので、四町歩、五町歩というような大農経営でやつて、これを十五万円というのは、これは余りひどいのじやないか。これはどうしても或る程度差等を付けてもらいたいということ、それから松浦委員からも言われた、北海道においては開拓地畑作地というものが、これは共済制度から外れている。これもやらなければ農業共済の僅かな金でももらえないが、どうしても北海道は、私は内地においても十五万円は少いかも知れませんが、少くとも内地が十五万円であるならば、北海道営農資金はこれに成る程度の開きがありませんと、農業経営が全く違うわけですから、衆議院でもそういうふうな御意見が出ておるようですが、私からも質問をかねて強く要望しておきたいと思います。殊に救農土木事業は建設省と一緒にして大体どれくらい落ちるかということを、これは一つ資料があればあとで結構ですが、お示しを願いたいことと、そういうお考えをとつておられるかどうか、この二点です。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつとそれに附帯して申上げますが、わしらの新潟県方面は雪が降る。従つて今言う、これから稼いでどうして飯米を買つて行くかという窮状に入つている。一村二十万円か、三十万円でもよろしうございますから、十二月の上旬か、十二月の下旬でよろしいのですが、農道なり何なりを村でやるようにやつてもらいたいという、こういう要求が非常に強い。そのほかに冬を越してやるのは、少しぐらい越えてもいいが、冬に入るまでの間の事業として、一つ大至急に、雪が降つてはもうどうにもできないから、雪の降るまでの間に二、三十万円でいいから、どうにかしてもらいたい。これは山間部の要求ですが。
  86. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 第一点の建設省の土木関係ですが、これは勿論建設省のほうに連絡して相当計上してくれ、こういうことでありますが、私今日その表をまだ入手しておりませんので、説明が落ちております。あとで申上げます。ただお話にいろいろありまするように、先ず食うこと、それから今度はその次に再生産に必要なものを確保する資金、こういう建前でありますので、食うものは次の出来秋まで農家に対しては貸付の恰好になると思います。府県に売渡して、それを府県から各農家にやつて、その代金を延納するのであります。それで先ず食うものを確保する。その次には営農資金でありますが、営農資金の額もそれぞれの信用というか、経営規模によつて当然違うことになります。なおその上に、例えば病人が出ておるとか、或いは負債が累積しておるということにつきましては、ちよつとさつき触れました自作農創設維持資金の利用等も考えなければいかんと思いますが、いろいろ何と言うか、系列的には一応全部拾つて来て相当程度まで賄えるように考えたつもりであります。併しながら具体的には場所によつて公共土木がすぐやれる所もあるし、林野関係の土木もすぐ手に入る所もあるし、反対の場合もある。こういうことでそれぞれの地方でそれぞれの特色があることをやらなければいけませんので、先ほど来いろいろ申上げておりますが、町村と単位農業協同組合のほうで本気になつてつて頂かなければ、折角我々のほうで用意しておつても、これは例えばオホーツク海では十勝沖震災等の資金についても利子補給等をやりましたが、恐らく半分も出ていないと思う。今度はそういうことであつては、この被害程度がひどいので、考え方を改めてくれということを繰返し繰返し申上げておるのであります。その点もなかなか末端に徹底しないので、陳情等に来られるかたに聞いてみますと、あとはラジオを通じて、パンフレツトを流して、そういう制度があるということを各農家に徹底して行くことが必要であるということを痛感しております。なお営農資金の貸付限度の引上については先ほど検討中だということを申上げましたが、だんだん承わりまして、これはどうしてもそうしなければいかん、あとは具体的に金額を何ぼにするかということになると思いますので、その趣旨によつてきめます。
  87. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 米は貸してくれても、米を貸してそれで一冬過すということはできない。どうしても生活費というものはこれは足りませんよ。米を貸してくれることは有難いが、米一本で生きてるわけではないし、学校の教育費も要るし、着物も要るし、これは生活資金という問題は、これは融資の問題ではない。どうしても働いて金を得るという考え方を特に十分とつてもらいたいということを重ねて要望しておきます。
  88. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今日は時間も大分たつたものですから質問はいたしません。この要綱を拝見しますと、まだ私ども考えなければならんような点があるのではないかと思うのです。それでがつちりこれが決定してしまつたからでは遅いので、委員長にお尋ねするのですが、もう一回ぐらいやりますか、今日で終りですか。
  89. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) いや、今日ではとてもこれは終り切らないので、今日林野庁のほうからの大体お話と質疑は尽きたと思うのです。食糧庁関係が今日はまだ長官が見えておりませんので、あすは差当り食糧庁に来て頂いて、その関係の御質疑を頂いて、それでこれは慎重審議もいいのですが、時機を失してしまうと、今農林省も予算の要求のようですから、或いは明日の又模様で、或いはこれに……。
  90. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 もう一回ぐらいやればいいのですか。
  91. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうだと思います。これはゆつくりはできないのですから、取りあえず明日これに関連しての質疑を食糧庁その他について、或いは畜産問題一それを続行してその上で又御相談いたしたいと思いますが、とにかく慎重審議はいいが、いわゆる乗り遅れてはこれは意味をなしませんから、その点はよく注意いたします。  本日はこれで散会いたします。    午後四時五十九分散会