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1953-06-30 第16回国会 参議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月三十日(火曜日)    午後二時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            戸叶  武君            鈴木 強平君   委員外議員            島村 軍次君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    日本専売公社生    産部長     西山 祥二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○政府に対する申入れに関する件 ○農業委員会法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○農業協同組合法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○昭和二十八年四月及び五月における  凍霜害被害農家に対する資金の融  通に関する特別措置法案内閣送  付) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○農業災害補償法に基く家畜共済の臨  時特例に関する法律案内閣送付) ○農林漁業組合連合会整備促進法案  (内閣送付) ○開拓融資保証法案内閣提出) ○農林政策に関する調査の件  (麦価に関する件)  (煙草の生産に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。  第一に、昨日の上林委員動議にかかつておりまする昭和二十八年五月下旬から六月上旬に亙る西日本における雨水害対策に関する申入の件を議題に供します。  昨日の上林委員動議について御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。動議は成立いたしました。従いまして、この決議を早急に政府申入をいたします。   —————————————
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に去る六月二十二日、内閣から予備審査のため提出されました農業委員会法の一部を改正する法律案、これにつきまして政府から提案理由説明を求めます。
  5. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今本委員会に付託となりました農業委員会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げたいと存じます。  農業委員会法制定せられましてから二年有余市町村農業委員会及び都道府県農業委員会が発足しましてから二年になんなんとしておりますが、その間農業委員会は、農地等利用関係の調整、自作農の創設維持農地等交換分合、又農業綜合計画の樹立及び実施についての建議、諮問答申等農民代表機関としての職責の完遂に努めて参つたのであります。併しながら経済情勢の変遷に即応してその使命を達成いたしますためには、おのずからその所掌事務の重点が変化しなければならず、又その事務を完遂するに最も適した構成が考えられなければならないことは申上げるまでもないことであります。  このような意味におきまして、農業委員会制度に関しまして、次のような方針で改正を加えることにいたしたいのであります。即ち第一に、生産技術指導については、現行農業改良普及制度と相待つて生産技術指導徹底を図るために、市町村農業委員会の書記の一部を技術員に切替えまして、農業委員会技術に従事せしめると同時に、改良普及員事業協同組合の行う生産技術指導に協力せしめることといたし、これと共に委員会組織などにつきまして多少の改正を加えました。第二に、農業委員会制度につきましては、それが真に農民農業代表機関として自主的にも活動し得るように、都道府県農業委員会法人としての都道府県農業委員会議とし、これと同時に、第三に全国的組織を結成し得る道を開くこととしました。  以上の考え方に基きまして、本法律案提案いたす次第であります。  以下本法律案主要内容について概略説明申上げます。第一は、市町村農業委員会についての改正であります。改正の第一点は、その所掌事務についてでありますが、新たに技術員が設置されますので、その技術員をして協同組合事業農業改良普及員事業等について協力する点を明確にしたことであります。なお米穀生産者別政府買数量決定について、従来市町村長は個々の委員意見を聞くこととなつておりました点は、委員会そのもの意見を聞くように改めることといたしました。第二点は、選挙による委員の定数につき、現行の十五人を十人から十五人までの間で市町村条例で定めることといたしますと同時に、選挙方法を簡素化したことであります。第三点は、選任による委員を必置の委員といたしまして、農業協同組合及び農業共済組合の推薦した理事二人以内、市町村議会の推薦した学識経験者三人以内を市町村長委員として選任しなければならないことといたしたのであります。又委員の任期を現行の二年から三年に改めることといたしたのであります。第二は、都道府県農業委員会議についての規定追加であります。現在都道府県にはその附属機関として都道府県農業委員会が置かれていますが、農業及び農民一般的利益代表機能を果すには行政機関とは別個の人格を持たせる必要がありますので、これに代り、法人たる都道府県農業委員会議設立することにいたしたのであります。都道府県農業委員会議は、郡市単位の代表者会議において農業委員会委員及び農業協同組合等理事のうちから互選された者と、農業協同組合中央会農業共済組合連合会及び農業協同組合連合会代表者等を以て構成するものとし、その業務は、従来都道府県農業委員会が所掌していた事務のほか、米穀生産者別政府買数量決定その他農業及び農民に関し、意見を公表し、行政庁に建議し、その諮問に答申すること及び農業及び農民に関する啓蒙宣伝調査研究を行うこと等であります。国が毎年度予算範囲内において都道府県農業委員会議に要する経費負担乃至補助することといたし、なお法人税所得税事業税等各種の税の免除を考え、その健全な発展、公正な活動を期待しておる次第であります。第三は、全国農業委員会議所に関する規定追加であります。全国農業委員会議所は、都道府県農業委員会議全国農業協同組合中央会全国農業組合連合会その他農業改良発達を図ることを目的とする法人学識経験者等を以て構成される社団法人でありまして、農業及び農民に関し、意見を公表し、行政庁に建議し、その諮問に答申し、又啓蒙宣伝及び調査研究並びにこれらの業務についての都道府県農業委員会議指導連絡を行うことを主たる目的としているのであります。全国農業委員会議所は、設立解散加入脱退の自由な法人でありまして、全国を通じて一個とし、これに対しましては、免税措置のほかに、国庫補助をなし得ることといたしまして、全農業、全農民一般的利益代表団体たるにふさわしい公正にして活溌な運営を期待しておる次第であります。一以上が本法律案概略でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速かに御賛同を得られますように切望する次第であります。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法律案審議は後日に譲ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  7. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、同じく予備審査のため提出せられた農業協同組合法の一部を改正する法律案、これにつきまして政府から提案理由説明を願います。
  8. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  農業協同組合法制定されましてから今日まで五年有余を経過いたしましたが、この間、農業協同組合は諸種の悪条件と闘いながら、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上を図り、併せて国民経済発展に寄与するために努力して参つたのであります。併しながら、激しい経済的、社会的変動とその間に処する主体的条件の不十分のため、経営不振の状態に陥つた組合も少くなく、そのままに放置しがたい事態に遭遇いたしましたので、適宜必要な指導を行うことにより、組織整備事業振興及び経営健全化を図つて参りましたが、特に財務処理基準令制定行政庁による常例検査実施及び農林漁業組合再建整備法制定等によりまして、今日まで相当の成果を挙げて参つたのであります。それにもかかわらず、今日の組合組織事業及び経営状況検討いたしますとき、教育全国的規模において、統一的且つ効果的に行い、以て組合の健全な発達を図るため、農業協同組合中央会を設置いたすことにした次第であります。  都道府県中央会につきましては、会員加入脱退を自由といたしましたが、統一ある全国的組織確立するため、全国中央会につきましては、都道府県中央会及びその正会員たる農業協同組合及び同連合会は、これに当然に加入させますと共に、全国中央会は、都道府県中央会に対して指導連絡を行い、又そのために必要がある場合には、都道府県中央会に対して必要な指示等をなすことができることといたしまして、その全国的統一活動を可能ならしめているのであります。而して、政府はこのような中央会活動をより活溌且つ効果的にするため、全国中央会及び都道府県中央会事業に要する経費の一部を、毎年度予算範囲内において補助することができることとしたのであります。なお、中央会の設置に関連いたしまして、指導農業協同組合連合会の処置についてでありますが、現にあるものの存続は当分の間これを認めることとし、今後新らしいものの設立は認めないことといたしたのであります。  第二は、組合に関する規定整備したことであります。その一は、組合事業に関してなお整備強化を必要とする部面は少くないのでありまして、今後一般情勢の推移に即応する発展を期するためには、先ず組合指導体制確立いたしますと共に、現行組合制度に若干の修正を加える必要があるのであります。  これが、この法律案を提出いたします理由でありますが、以下その主要な内容につきまして、その概略を御説明申上げます。第一は、組合総合指導組織確立であります。今回新たに組合総合指導組織として農業協同組合中央会全国及び都道府県区域に設置することにいたしました。現在組合指導組織といたしましては、全国及び都道府県区域指導農業協同組合連合会等がありまして、主として会員たる組合のために指導教育事業行なつているのでありますが、その法制上の性格から見ましても、又その組織事業及び財務状況から見ましても、指導機関として十分なものでなく、このため農業協同組合系統組織全国的な組織活動に必要な統一性機動性を確保し、十分に組合事業振興経営の刷新及び安定を図り得るような指導教育を行うことが困難な状況にあるのであります。このような指導機関の弱点を克服し、会員たる組合のみならず、広く全組合に対する指導でありますが、信用事業を行う組合は、新たに定期積金受入をも行うことができることとするほか、組合員と同一の世帯に属する者及び営利を目的としない法人の貯金又は定期積金受入につきましては、員外利用の制限を適用しないこととして、農村の実情に即応すると共に、組合事業分量の拡大を図ろうといたしたのであります。その二は、組合の管理に関してでありますが、その主なものは、役員責任明確化であります。従来役員責任に関する規定が不明確でありまして、組合運営上における責任体制確立において欠けるところがありましたので、役員組合に対する忠実義務を明文化し、且つ組合に対する任務を怠つた場合における組合及び第三者に対する連帯損害賠償責任に関する規定を設け、その責任の所在を明瞭にしたのであります。以上の事項のほか、組合運営等に関する諸規定のうち必要なものについて部分的修正を加え、その合理化簡略化図つた次第であります。  第三は、行政庁監督権を若干強化したことであります。行政庁監督権は、本来でき得る限り小範囲にとどめることが望ましいのでありますが、組合の実状は、徒らに形式的な自主性のみを尊重することを許さないものがありますので、必要最小限度において監督権整備強化いたしまして、組合健全化に資しようとしたのであります。即ち、組合法令等に違反した場合において、行政庁が必要な措置をとるべき旨の命令をしたのにもかかわらず、これに従わなかつたときは、行政庁はその組合業務の停止又は役員の改選を命ずることができることといたしますと共に、組合事業外事業行なつたとき等の特定の場合には、行政庁がその解散を命ずることができることといたしたの者あります。  以上がこの法律案の主要な内容でありまして、すべての組合の現状から真にやむを得ないものでありますので、何とぞ慎重御審議上速かに御協賛あらんことを切に希望する次第であります。
  9. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法律案審査は後日に譲ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に六月二十三日、同じく予備審査のため提出せられた昭和二十八年四月及び五月における凍霜害被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案議題に供します。先ず政府から提案理由説明を願います。
  11. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今提案になりました昭和二十八年四月及び五月における凍霜害被害農家に対する営農資金融通に関する特別措置法提案理由を御説明いたします。  今次の四月から五月の間における凍霜害はその規模極めて大であり、被害をこうむつ農家損失も又極めて大きいものであることは各位の御承知通りであります。政府はこの事態に対処して先に被害農家の購入する肥料蚕種等の代金の一部を助成し、或は被害農家に対する技術指導費の一部を助成する等の措置を講じたのでありますが、更に被害農家が今後その農業経営を維持するのに必要とする営農資金が円滑に且つ低利融通せられるための措置を講じ、以て被害農家経営の安定を図る目的を以てこの法案提案したのであります。  次に本法案内容概略を御説明申上げます。先ず第一は、農林中央金庫都道府県信連農業協同組合その他の金融機関被害農家に対して営農資金融通する場合に、その金融機関に対して都道府県市町村等利子補給及び損失補償を行う経費の一部を国庫から助成する措置であります。即ち今次の凍霜害により平年作に比し三割以上の被害をこうむつ農家に対し金融機関が期限二ヵ年以内、年利六分五厘以内の金利で営農資金貸付け、その金融機関に対し都道府県又は市町村が年五分以内の利子補給及び融通額に対し三割以内の損失補償行なつた場合に、国が融資総額二十億円の範囲内において、当該利子補給金又は損失補償額の二分の一を都道府県に対して補助しようとするものであります。  第二は農林漁業金融公庫の行う肥料蚕種等購入資金低利融資であります。被害農家に対する桑、茶、果樹の樹勢回復用肥料、晩々秋蚕増産用蚕種及び代作用蔬菜種子購入資金についてはその三分の一を国が補助し、三分の一を都道府県等補助に期待しているのでありますが、残り部分についても低利資金融通するため、その半額農林漁業金融公庫が融資し、残り半額農林中金等金融機関から融資せしめることとしそのため農林漁業金融公庫の本来の業務のほかに公庫業務特例を設けようとするのであります。  以上がこの法案提出理由並びに内容概略であります。何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法律案審議は後日に譲ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  13. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) その次に同じく予備審査のため提出された農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、これにつきまして政府から提案理由説明をお願いいたします。
  14. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今提案せられました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  農業、林業、漁業生産力を維持増進するために必要な長期且つ低利資金融通する機関としての農林漁業金融公庫は去る四月一日に発足して以来、直ちに長期資金貸付を開始し、すでに土地改良事業を初め各業種に対し相当貸付成績を挙げている次第であります。本年度における同公庫貸付計画としては、別に予算案に計上いたしました通り長期資金として二百四十億円、更に今次四月五月の間における凍霜害被害農家に対する樹勢回復用肥料、晩々秋蚕増産用蚕種並びに代作用蔬菜種子購入資金として九千三百万円、総計二百四十億九千三百万円に上つているのでありますが、この貸付に充てる資金源といたしましては、一般会計よりの出資百八十億九千三百万円、資金運用部よりの借入五十億円、既貸付金の回収十億円と計画しているのであります。このため現行法においては昭和二十八年度一般会計よりの出資金百億円となつておりますが、これを改めて百八十億九千三百万円に増加し、以て農林漁業生産力の増強に必要な長期低利資金融通機関として重要な任務を持つ同公庫基礎を堅実にし、将来に亙りその積極的な事業運営に万全を期せしめると共に、併せて今次凍霜害による被害農家に対する低利資金融通措置にも遺憾無きを期するためこの法案を提出した次第であります。  以上がこの法案を提出した理由であります。何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  15. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法律案審査は後日に譲ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  16. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、去る六月二十四日、内閣から予備審査のため提出せられた農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案議題に供します。  先ず提案理由説明を願います。
  17. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  農業災害補償法におきましては、家畜共済死亡廃用共済疾病傷害共済及び生産共済の三つに分れておりまして、疾病傷害共済加入いたしますには死亡廃用共済加入していなければなりませんが、死亡廃用共済加入いたしますには、必ずしも疾病傷害共済加入することを必要としない建前になつております。併しながら、第一には畜産振興上、疾病傷害共済普及徹底とこれによりまする家畜診療普遍化が必要であるという点から見ましても、又第二には、疾病傷害事故についての診療が行き亙るに従つて死亡廃用事故率が低下し、従つて全般的に農家掛金負担を軽減できるという点から見ましても、この二つの共済を一元化いたしますことが家畜共済事業の充実、農業災害補償制度目的達成を図ります上において必要であると考えるわけであります。  この法律案は、この点に鑑みまして、農業共済組合の中から、一部の農業共済組合をその同意を得て指定し、死亡廃用共済疾病傷害共済とを総合した死廃病傷共済を一定期間試験的に実施させ一元化された場合の共済掛金率等、各般に亙る基礎資料を得ると同時に家畜共済制度運営上の諸問題についても検討を加えて参りたいと考えておるのであります。  以下試験的に実施しようとする死廃病傷共済内容について御説明いたしますと、第一に共済掛金でございますが、共済掛金率は、実験段階でありますので、一応従来の死亡廃用共済掛金率疾病傷害共済掛金率とによつて算定せざるを得ないのでありますが、一元化いたすことによりまして、危険率が低下することが十分予期せられますので収支のバランスの面から見ますと若干の余剰が出ると考えられます。そのうち再保険特別会計余剰分を見合とし、実験を奨励するという意味を含めまして、補助金の形で農家負担する共済掛金の一部を割戻すことといたしました。第二に、支払共済金でございますか、従来、疾病又は傷害事故に上り一年間に農家に支払う共済金には支払限度を設けておりましたが、この法案では一事故に対する支払額には限度を設けますが、年間の総支払額には限度を設けないことにいたしました。これは農家診療を容易に利用し得るようにいたしまして、病傷早期発見早期診療徹底を期するためであります。  以上が、この法律案目的及び内容の概要でございます。慎重御審議の上御可決あらんことをお願いする次第であります。
  18. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法律案審議も後日に譲ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  19. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次いで、日程に追加いたしまして、農林漁業組合連合会整備促進法案議題に供します。本法律案は昨二十九日内閣から予備審査のため送付せられ、当委員会に付託せられたのであります。先ず政府から提案理由の御説明を求めます。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今上程せられました農林漁業組合連合会整備促進法案提案理由を御説明申上げます。  我が国の農林漁業振興し、以て自立経済の基盤を確立するためには、農林漁業組合整備強化を図る必要があることは申すまでもないところであります。この目的のために、政府事業不振組合再建整備を図ることにいたしまして、昭和二十六年度から農林漁業組合再建整備法によつて、これに着手いたし、爾来二年間の経過において相当実績を挙げて来ていることは各位の御承知通りであります。併しながら、特に農林漁業組合連合会再建整備実績を更に仔細に分析し、その実情につき検討を加えて見まするとき、現在の再建整備法による方式のみを以てしましては、真に農林漁業組合連合会の健全な発達を期するには、なお足らないところのあることを認めざるを得ないのであります。即ち農林漁業組合連合会再建整備目標としての増資は、おおむね順調に進捗しているのでありますが、いずれも多額の欠損金を有しておりますために、今後の増資には相当の困難が予想されるのみならず、増資が所期の目標に達した場合におきましても、短期間に欠損金を補填し、且つ固定化した債務を償還するに足る事業利益を上げることは困難な実情にあるのであります。ここにおいて政府は、従来の再建整備方式を確実に実行せしめると共に、更に農林中央金庫その他農林漁業系統金融機関が、経済事業を行う農林漁業組合連合会に対し、その固定した債権の利子を軽減する等積極的な援助を行うことを期待し、その援助を行う系統金融機関に対して助成する措置を講じ、以て農林漁業組合連合会整備促進と、その健全な発達を期したいと考え、この法案を提出した次第であります。  次に本法案内容概略を御説明いたします。この法律により整備を行おうとする農林漁業組合連合会は、系統金融機関と協議し、その援助を受けて整備計画を樹立するのであります。この整備計画におきましては、今後十ヵ年間に固定した債務の全部の整理と欠損金の全部の補填を目標といたしており、政府はこの整備計画を新たに設置いたしまする農林漁業組合連合会整備促進審議会の議を経まして、その適否を決定し、その整備計画によつて援助を行う金融機関に対し、毎年補助金を交付しようとするものであります。このほか法人税法上の特例を設けまして、その整備計画が適当である旨の認定を受けている農林漁業組合連合会については、所得の計算上、整備期間欠損金の繰越を認めることとし、農林漁業組合連合会税負担を軽減し、目標を達成しやすくいたしたのであります。  以上かこの法案提出理由並びに内容概略であります。何とぞ慎重御審議上速かに可決あらんことをお願いする次第であります。
  21. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法律案審議も後日に譲ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  22. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に開拓融資保証法案議題に供します。本法律案は六月二十五日内閣から参議院先議を以て提出され、本委員会に付託せられたものであります。先ず政府から提案理由説明を願います。なお提案理由説明に続きまして、農林大臣から過般の麦の価格決定につきまして御報告があるそうでありますから、併せて御了承願います。
  23. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 開拓融資保証法案提案理由を御説明いたします。  我が国食糧自給促進の重要な一環としまして、全国十五万戸の開拓者は、日夜その農業経営確立に鋭意努力をしているのであります。政府はこれらの開拓者に対し農具、家畜等営農の基本的手段については開拓者資金融通法を以ちまして長期低利資金を直接融通しているのでありますが、更に昭和二十五年度より開拓者、都道府県及び政府が一定の金額を醵出して借入の担保とする開拓信用基金制度を創設し、これによつて開拓者は農林中央金庫から肥料資金その他の短期営農資金融通を受けているのであります。  この法律は、開拓者の団体を構成員とする開拓融資保証協会を中央及び各都道府県設立し、保証財源の管理運営を明確適切にすると共に併せて政府及び都道府県出資によるこの制度への助成の方途を明らかにするよう現行の開拓信用基金制度を法制的に整備確立しようとするものであります。  以上、本法案提案理由について御説明いたしました。何とぞ慎重御審議上速かに御可決下さるようお願いいたします。  次に、委員長のお許しを頂きまして、去る二十六日に決定いたしました二十八年産麦価の決定に至りまする経緯につきまして御説明を申上げたいと存じます。  御承知のように麦類は昨年六月以降統制を廃止いたし、自由販売といたしたのでございますが、今日未だ米の統制を必要といたしまする現在におきましては、麦類も主要食糧でありますから、一面麦の再生産の確保を図る意味におきまして、農家の希望に応じて無制限買入を行いますと共に、他面消費者家計において米価とバランスのとれました安定した価格水準を実現いたし、家計の安定を図ることといたしたのでございます。本年度も管理制度につきましては、基本的には昨年度と同様の考え方に基いて数量及び価格の調整をいたすこととし、この管理を厳格に行いますために、価格に所要の改訂をいたすことといたしたのでございます。麦の価格につきましては、食糧管理法に定められ、買入価格はパリテイ価格を基準とし、これに生産事情その他の経済事情を参酌して定めることとし、売渡価格は家計麦価の範囲内におきまして、対米比価によつて定めることとなつております。従いまして、政府といたしましては、消費面の負担力等を考慮いたしまして、当初前年通りの考えによりまして既定の算式通り決定いたし、買入価格につきましてはパリテイ価格を基準といたし、これに統制廃止後の産麦の需給条件の変化を織込んで産麦間の価格比がバランスするように調整して決定いたし、米価審議会に諮問いたしたのでございます。これに対しまして米価審議会は、買入価格については米価における特別加算額相当の加算措置を講じ、売渡価格については昨年度の売渡価格以下とする旨の答申をいたしたのでございます。特別加算額につきましては、当初政府といたしましては米麦の価格決定の基本的考え方は同じでありますが、米価のほうは統制による最高販売価格であるのに対しまして、麦価のほうは自由販売でありますから、おのずから米と異なり、農家の希望に応じて政府り買入れる価格であるという事情にありますので、麦につきまして加算額を付けなかつたのでありますが、政府はこの点につきまして慎重検討をいたしました結果、米価審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、本年度の災害等、特殊事情をもこれに考慮を加えまして加算額を附加することといたし、結局包装込み俵当り標準銘柄等級の価格について、小麦は二千十三円を二千五十二円、大麦は千六百四十七円を千七百十七円、裸麦は二千百七十九円を二千二百七十三円に修正し、決定いたした次第であります。次に売渡価格につきましては昨年度より若干引上げ、小麦につきましては現行価格を据えおいて俵当り二千百円とし、大麦は千七百四十一円、裸麦は二千二百九十四円にいたしたのであります。政府といたしましては審議会の答申をも十分検討いたしたのでございますが、この程度の引上は家計の実質的負担の増大をもたらすことにはならないと存じ、諮問案によることといたしたのでございます。右の、事情と考えに基きまして二十八年産麦価を決定をいたした次第でございます。
  24. 河野謙三

    ○河野謙三君 大臣はなかなかこれから出る機会も少いと思いますから、この機会に伺つておきたいと思います。米価審議会の答申を尊重されたというところまでは非常に我々も賛成でありますけれども、その後政府におきまして、大麦、裸と小麦との間に引上率につきまして特に差を付けられたのは、どういう事情からそういう結果になつたか。大麦、裸は四%の引上をして、小麦を二%にしたというその経緯を、今御説明の中になかつたから伺いたい。
  25. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 食糧庁長官から御説明をお許し頂きます。(「自由党が決定したんだから、長官に説明させるのはかわいそうだよ」と呼ぶ者あり)
  26. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 加算額につきましては、米と同様に算出いたしまして、生活費のギヤツプ三・七%、又投下資材料の変化が三・三%でございまして、それから算出した価格を参考にいたしましたし、又本年裸、大麦の生産事情、特に災害等の関係を考慮いたしまして、又消費者におきまする粒食傾向という点、又昨年度農家において実現されました小麦の価格、時価と申しますか等も勘案いたしまして、総合勘案いたしまして、四・五、四・五と二と、こういうふうにやつたわけであります。
  27. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそれを聞いておるのじやないのです。要するに大麦、裸と小麦とが、米価審議会の答申なり、その後に出ました農林省原案と今度政府が最終決定したものとは違う。特に小麦を二%にして、その他のものを四%ですか、こういうふうにしたその間に差を付けたのはどういうわけか。このいきさつを説明してもらいたい。
  28. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 先ほども申上げましたように、一応米価と同じ考え方によりまして加算額を算定いたしまして、それに本年度におきまする大麦、裸の生産事情、つまり減産を考慮いたしまして、出廻りが当然減少するだろう、従つてその間におきまする出廻りの減少の関係、同時に粒食傾向が非常に殖えておりまするから、需要が増加する、つまり需給が本年度におきましては、生産消費の事情からいたしまして、昨年度よりも逼迫するだろうというふうに考えまして、そのため小麦につきましては、昨年度実現されました時価、つまり小麦につきまして或る程度現在の価格の性質が一面におきまして支持価格的な性質を持つておりますので、その時価等も考えまして、同時に小麦におきます需給状況というものは昨年と変りがないというふうな状態を考えまして、両者の間に差を付けたわけでございます。
  29. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の食糧庁長官説明は、当初あなたの手許で作られた案の説明なら私は了承するのです。ここで今大臣のお示しになりましたのは、その説明では満たされていないと思う。当初農林省が出した案を今大臣が説明された案に変えられた、小麦の値段をどういうふうに変えたかということを私は聞いている。それがただ粒食が非常に売行がいい、従つて高く買つて高く売れるだろうということでやられたのですが、そうすると、米麦の生産費を決定する場合のパリテイ及び豊凶係数、その他経済事情というようなものと、それの枠以外に今度は単なる需給関係から来て、高く買つて高く売れるだろうということを今度は取入れたということでしようか。
  30. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 三麦平均といたしましては、麦につきまして計算いたした価格を基準といたしまして、今申上げましたそれぞれの事情の差がございまするので、三麦間においてその差を付けまして、全体といたしまして、麦といたしましては計算いたしました加算額程度を考えたのでございます。
  31. 河野謙三

    ○河野謙三君 その事情の差というその事情を聞いているのです。私は別に意地悪言うわけじやないのです。新聞等によりますと、これは聞違いないと思いますが、小麦は国際価格が下つたから、国際価格に鞘寄せする意味合もフアクターに入れて小麦は特別扱いをした、こういう意味ですか。
  32. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 小麦につきましては、昨年度農家の販売価格におきまして、その販売価格に実現されました価格を標準といたしたわけでございます。御承知のように米と麦との統制方式が異なつておりまするので、麦につきましては、一面におきまして、やはり支持価格的な性質もございまするので、昨年度に実現されました時価を考えたのでございます。大麦、裸につきましては、先ほど申上げましたように、生産需給の状況が異なつておりますので、その点につきまして災害事情等も考えて、その両者の間に差を設けたのでございます。
  33. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は食糧庁長官にいろいろ答弁を求めているのは私自身非常に苦しい。これはむしろ大臣から一つ答弁してもらいたいのだが、今度の小麦の価格を、特に当初の政府原案を自由党で直して、そうして現在お示しになつたようにしたのは、小麦の国際価格との関連においてこういうふうな考慮を払われた、こういうふうに承知しておりますが、やはりそういうことですか。
  34. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 食糧庁長官から申上げました通りでございますが、只今の点につきましては、小麦の市場価格も大体安定をいたしておるというようなこと、並びに大麦、裸に対しては、先ほど申しまするように粒食傾向等も勘案し、且つ又今年度の麦、災害等の事情を考慮いたしまして、小麦より裸、大麦のほうを優遇することが妥当であろうと判断をしてこういう決定をいたしたわけでございます。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 どうも私だけでほかのかたも御質問があるのに時間がかかつて相済みませんけれども、私の伺つていることに御答弁がないのですが、市場価格が安定したと言われますけれども小麦こそ私の承知している範囲では市場価格が安定していないのですよ。例えば本年度の予算において、政府は小麦を、食管の予算では九十ドルと見ているのです。ところが現在は国際価格は八十五ドルと私は承知しておる。まだ下る傾向なんです。小麦の市場価格こそ安定していないのですよ。だからその安定していないままに国際価格に追随して、小麦の価格を今度やつて行くのかどうかということを聞いている。今度の予算の編成について、と申しますか、今度ここにお示しになりました小麦の価格の決定につきましては、国際価格に追随して国内の小麦の価格を政府は考慮するのだということが現われておる心配があるから私は聞いておるのです。その点はどうかということです。小麦の市場価格こそ安定しておりませんよ。
  36. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 河野先生御承知のように、輸入価格につきましては、現在漸落の傾向にございます。併し現在の食糧管理法の建前といたしまして、輸入価格につきましては、国内価格と遮断いたしまして、国内価格の売渡価格から逆算いたしました輸入価格で以て食糧庁はやつて行けるということで、この点は国内価格と輸入価格において制度上分離された形になつております。
  37. 河野謙三

    ○河野謙三君 それではその問題は少しも私の疑問が解けませんけれども、次に移ります。一応私の解釈では、政府の答弁ではこれは国際価格の如何にかかわらず、国内の農民生産費を基準にして今日の政府は農作物、特に米麦の値段をきめている、これは法律にあるのですから自由々々と言われるが、大麦は自由になつた覚えはない。そういうふうに私は承知しております。然らば一体今国内において小麦の作付を幾らにして、小麦を国内において幾ら作つて行こうという、食糧生産計画の中に幾ら織込んでおるのですか、今この数年間を見ますと、小麦の作付が一番減つておるじやありませんか。作付を殖やそうと思えば、裏において価格政策によつて、大麦、裸、その他「なたね」を作るよりも小麦を作るほうが有利になるという形にならなければいけない。価格政策において作付をリードするよりほかない。ところが政府の価格政策が悪いために今までは小麦の作付は非常に減つておる。その減つておる上に持つて来て、大麦、裸と差別して小麦を特に価格の上において低位に置いたことについて私は非常な矛盾があると思う。その点について、一体政府は食糧増産計画の中に小麦を国内において作付の統制はしておりませんけれども、価格政策の上において小麦の作付を幾らくらいを理想とし、幾らくらい国内において小麦を生産するということを政府の方針として望んでおられるか、これを伺いたい。
  38. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これは今日は作付統制は行なつていないと存じますから、幾らということはできませんけれども、できるだけ主食の自給度全体を引上げて行くという上から行けば、小麦にかかわらず、麦全体が更に増産ぜられて行くことが私は大事であろうと考えております。それ以上はどうでございましようか。
  39. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはお気持だけであつて、それに答えて作付をするのは農民です。だから今農民には、「なたね」を作るほうが得だ、同じ麦でも小麦より裸、大麦を作るほうが得だ、その他の作物を作るほうが得だと言つて、価格政策によつて作付をリードするほか仕方がない。ところが大臣は小麦を作つてもらうという気持だけであつて、農作物の価格政策はちつとも考えていない。特に小麦の価格政策は逆になつておる。現にお示しになりました小麦政策はそれなんです。だから更に今年度は小麦の作付は減ると思う。一方において畜産十ヵ年計画、五ヵ年計画、食生活改善をやるのだ、畜産の十ヵ年計画の裏付は一方においては当然粉食奨励ということになる、こういうことで少しも政策が一致していないのですよ。そこで私はこの小麦の今回の価格決定につきまして政府のやつておることに疑問を持つておる。これを一つはつきりと御返答を頂きたい。若し自由にするなら自由にすると、はつきりと私は言われたらいいと思う。何でもかんでも自由というならば自由ではつきりやると。ところが都合のいいときには自由であつて、都合の悪いときには統制、こういうことではわからない。このことを一つはつきりしてもらいたい。
  40. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は価格政策だけで農家の耕作を指導して行くということには、まだちよつとそう言い切れない要素があるのじやないかと思います。その点は留保いたしますが、例えば「なたね」がちよつといいと言えばすぐ「なたね」にさつと流れるというようなことはどういうものか、そこでそういう指導は行政措置において、農家がみんなそれじや「なたね」に変つたなら「なたね」は暴落する、農家は大損失を受けるというようなことが今日まで往々あり勝ちだと、私は小さい見聞でございますけれども見ておりますから、そういうことは一つ行政指導で、やはりこの米麦を中心として農家の経済が安定して参るように、中心は無論価格政策は必要でございますけれども、そういうことで指導して参りたいと思つております。なおこの小麦のこういう価格では、更に著しい減反、減収が考えられるということにはならないように、そういう考えは毛頭ないわけでございますから、より増産をせられなければならんというような事情にもなつておりますから、そういうふうにはならないように指導して参りたい。又そういう意図でもないということを申上げておきます。
  41. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は日頃から大臣の人格は尊重しておるから、大臣の気持はよくわかる。併し先ほど申上げたように、気持々々とおつしやるが、現実に小麦の作付が減つているじやないか。減つているでしよう。而も今年の秋の小麦の作付が減らないと断言ができますか。私は価格政策が全部とは言いません。併し価格政策以外には何をお持ち合せですか。ただ、そういうものがなくて、今のような大臣のお気持ならば、それでは小麦は減るのです。小麦の作付、大麦の作付は減つておる。こういう傾向はとめどがないと思う。これを一方において増産計画を立てておりながら、一方においてそういう放任政治の態度をとつておられることはどういうわけかと、こういうのです。どうも議論になつては恐縮ですから、もう一つこれに関連してお伺いしたいのですが、政府は農産物価格安定法を提案されますが、これを一つ私伺つておきたい。これを提案されるならば……、予定で結構です、提案されるつもりか、提案されないのか、お伺いしておきたい。
  42. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私の又気持を申上げても、これはいけないかと思いますけれども、農家に食糧の増産を要請する。食糧増産の要請は国民的要請である。そして農家の努力によつて増産を期待する、農家の側から言えば、増産だ増産だということで掛け声をかけて、増産のあげくに農産物の低落を来たすというようなことになつたら、誰が一体責任を負うかというような素朴な感情が強いと思います。私は又農家経済を安定充実して参ります上から行けば、どうしても食糧の増産が第一義であり、その増産せられた農産物の価格が安定していなければならない、そういう考え方に私は全く同感でございます。従つてそういう法的措置を講じて参るという趣意には私はもう全然所見を同じうしておりますから、只今事務当局を督励しまして関係当局との折衝に当らしておるところでございます。この国会に、それじやすぐ出せるか出せんかというところであろうと思いますが、今日はこの国会に出し得るということは、まだそこまで用意が進んでいないのでございます。率直に申上げます。
  43. 河野謙三

    ○河野謙三君 大臣は所管の大臣として、農産物安定法は自分は趣旨には賛成である、時期は言明できないけれども賛成である、そうすると、そこに又問題が起る。澱粉を買つて「いも」の生産費を補償しよう、「なたね」の作付を補償しようということになつて来ると、そうすると、澱粉なり、「なたね」と、今度は麦なり米との価格の関係がどうなつて来るかという問題、どうしてもこれはもう統制せざるを得ない。特に私はここで非常に問題が起る。現に政府は「いも」の価格の支持のために澱粉の買上をやつておられますけれども、最近のように「とうもろこし」の国際価格が暴落して、「とうもろこし」澱粉価格からの圧迫というものは当然起つて来ます。そうすると、これと国際価格と全く比例して、今後の「いも」の値段を昨年同様に二十七年なり、八年の「いも」の価格を支持して行こう、それがために澱粉の価格を幾らにして行くかということになつて来ると、私は今のようなことだと政府は全く処置がなくなると思う。そういうことで私はこの際これは単なる「いも」や「なたね」の問題じやなくて、政府は今後農民に対して、増産の裏付として経済の裏付と即ちこれは農産物価格の安定であるとか、今の米麦の最低価格の保障であるとか、こういうことをはつきりしておかなければ増産計画に附いて行けませんよ。大体今までの政府の増産計画で財布が膨れたためしがないということが農民の定評です。常に経済的の裏付というものが付かなければ計画というものは立たない。ところがもうその安定法を出そうという矢先に、小麦粉を大臣はいろいろ何とかかんとか言つて、日本の小麦の価格は国際価格の下落に関係ないのだと、こう言われるけれども、これは誰だつて国民全部知つておりますよ。小麦の価格が八十五ドルになつたから、そこで大麦、裸麦に比べて小麦だけ少し安く買つてやろう、そういうことはあんまりである。そういうふうに農家に影響を与えておるときに、新任の農林大臣としては、農産物の価格については常に政府の最低価格を保障する、こういう方針で行くのだと、それがために必要な統制なら統制をやるんだ、私は何も直接統制を望んでおるのではない、間接統制な二間瀞統制でいい。とにかく政府のやることで農産物の価格を支持して来て、この農産物の価格に対する保障を政府はするのだ。こういうことでなければ意味合いはないと思います。そういうことで私はさつきから小麦の価格の問題で聞いておる。同時に伺いたいのは、食糧庁の件については、あとでゆつくり伺いますが、今度の予算で、特別会計で小麦のたしか補給金が十五ドルかあると思います。ところがそれは九十ドルを基準にして補給金十五ドルということになつておると思います。ところが現在のところは八十五ドル前後まで下つておるのは事実です。なお今後下落の傾向にあるのは事実です。英国がすでにこの下落の傾向を察知して、国際小麦協定に加入しないということすら現にある。そういう場合に現に八十五ドルで買い得るとすれば、小麦の会計においては逆に三十億ぐらい儲かる結果になると思います。これは如何です。なお私は質問の時間を短縮する意味で伺いますが、今度の買入、売渡の措置による中間業者の加工賃は膨らましておられます。これは今までの製粉、精麦のものは、加工賃が辛かつたから膨らしてやるのか、或いは巷間に伝えられるところの、自由党の内部に製粉会社の社長がいるからだということを聞きますが、これはデマでありましよう。とにかく加工賃が膨らんで売値と買値との開きが出ている。これはどういう理由によつて膨らませたか、これを伺いたいと思います。
  44. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 小麦の国際価格でございますが、現在は二ドル三十一セント、原価でございますが、予算の面におきましては今お話のように九十ドルで考えております。これはIWAの関係のもの、アメリカ、カナダ、濠州のもの、アルゼンチンのものそれぞれ違つて参ります。従いまして一応の見通しといたしまして、九十ドルということで以て算定をいたしておりますが、補給金の支出は、現実に船が着きまして、現実の価格がきまりました場合に、それぞれについて具体的に決算的に支出されることになつております。なお加工賃につきましては、我々加工賃の調査をいろいろいたしておりますが、大きな考え方といたしましては、加工賃につきましては、政府が現在実施いたしておりまする委託加工賃をとつております。それから販売その他の商品につきましては、従来統制時代におきましては、政府の委託加工でございましたから、金利等が全然必要がなかつたわけでありますが、買取販売であります関係上、金利その他のものが殖えておる、こういう事実がございます。それからなお卸、小売の関係におきましては、現在米についてとつておりまする卸、小売のマージンの率をとつておるわけであります。従いまして昨年度と比較いたしますると、小麦につきましては従来、そしてなお副産物の「ふすま」につきましては五百九十円でございましたが、今回は市価等を見まして五百五十円ということになつて下げて考えております。その副産物収入と歩留り関係を考慮いたしまして、昨年度現行におきまして、小麦におきましては輸入加工経費が四千二百六十一円でございましたが、改訂後におきましては約六百円上りまして四千九百八十八円となつております。大麦、裸につきましては、特に歩留り関係が非常に下りましたので、その関係での工場加工の能率低下という点がございまするので、これは小麦よりも加工賃或いは販売経費その他の点で値上りが昨年度と比較いたしましては高くなつております。五千四百円に対しまして、大麦におきましては七千七百円になります。裸麦におきましては五千八百円に対して八千円、これは主として大麦、裸におきまして歩留り低下が非常に激しいという点が大きな原因でございます。
  45. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそこまで細かく御説明頂けると思わなかつたのですが、要するに製粉精麦業者の加工段階の経費と言いますか、利益が多くなつたのですね、今までよりは……。それは今いろいろお話になられた、特に私は歩留りをうんと下げているということでございますが、今までの例えば七十五を基準にした本のを七十にするとか、六十幾つにするとかということだと思いますが、これは更にそういう歩留りを下げてまでも、そうしてその間の中間経費を殖やしてまでも、政府は今後そういうふうな各段階において、いわゆる贅沢品を作つてまでも差支えない、こういうふうに指導しておられるのですか。私はそれは今のような国際貸借の上から、一番大きな財政負担なつているこの食糧の輸入をもつと減らして行かなければならんという議論があるときに、如何に自由販売といえども、そういうふうな、例えば英国でさえもやつていないような、そういうふうな極端な製粉精麦の歩留りを下げて、加工段階の経費をうんと余計見て、それを政府が而も黙認するどころか、それを指導しているということだつたら私は恐ろしい指導だと思う。これは一体歩留りについてどういう政府指導をしておられるか、これを私は伺いたいと思う。それからもう一つ、今「ふすま」の話が出ましたから、ついでに申上げますが、私はこの間聞いたのですが、餌の需給安定法という法律ができて、その安定委員会というものは一遍も開かない。開かない間にすでに食糧庁は餌の払下を二回も三回もやつている。「とうもろこし」のごときは国際価格がどんどん下つているにもかかわらず、勝手に食糧庁が自分で値をきめて餌の払下をやつて儲けておる。だからよく陰口を聞くのですが、これは需給安定法でなくて餌の高値支持安定法だというような悪口まで言つております。一体これは食糧庁はどういうお考えですか。この場合に畜産局とよく相談して、内地の有畜農家の経済なり、畜産物との兼合いにおいて餌を払下げるというこの法律の趣旨を黙殺して今までやつて来た理由はどういう理由か。安定委員会委員の選任が遅ければ、それぞれのそれに選任されるであろうという斯界の権威者というものがあるのだから、私的に意見を伺つてでも差支えないと思う。それもやらずに、省内において食糧庁が畜産局の意思を無視して、一方的にこの法律とは全く逆な効果を発揮して、安く売れるものを高く売つて儲けるということは何事だと思う。私はそれについても伺いたいと思う。
  46. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 御承知のように歩留りにつきましては、政府は原麦を払下げておりまするので、現実に実現されました歩留り、これがやはり消費者の嗜好というふうな面との関連でございまして、この現実に現われました歩留りを見ておるわけでございますが、政府といたしましては、最終の製品の小麦粉或いは精麦につきましては、対米比価との関係におきまして、この関係で政府の売渡価格を考えておるわけです。従いまして、この最終製品の価格を政府といたしましては安定させたい。それにはどの程度の政府の売渡価格を考えるべきかということを考えまして、これは現実に統制いたしておりませんので、勿論現実そのままをとつたわけではございませんが、或る程度の現実を考慮いたしませんと、その結果として最終価格が上るということになつては相済まんわけでございますから、そういう事情を考えまして売渡価格を考えたのでございまして、具体的に加工賃なり、その他の点についての統制ということはまあ考えておらないわけでございます。今河野先生のお話になつた歩留りにつきましては、現実の消費者の嗜好とも関連いたしまして、現実の歩留りにつきしては指導をいたしておるわけでございます。なお餌料の払下につきましては、食糧庁におきまして、この餌料の払下によつて利益を得ているということは、これは絶対にございません。餌料の払下価格につきましては、勿論我々といたしましては畜産局と十分なる連絡の下に、予定価格を作りまして競争入札によつてつておるわけでございます。
  47. 河野謙三

    ○河野謙三君 食糧庁は餌の払下で利益をむさぼつておらないと言われる。断じてむさぼつております。それはあなたは買つた値で売つておるから利益をむさぼつてはおらないというような理窟なんだと思うが、それじや理窟になりません。安く買つて高く売りましたのは事実でしよう。私は「とうもろこし」を輸入した輸入価格よりも国際価格がずつと下つているにもかかわらず、そういうものは全然考慮に入れないで、あなたのほうの帳面ずらで、それの諸経費を加えて売るということは、それは国際価格を無視したこれは暴利ですよ。不正所得ですよ。私はそういう見解です。それならば若しあなたがそういうことを言われるならば、あなたの議論が正しいとすれば、将来安いものを買つて、その後において国際価格なり市場の価格が上つたときに、やはり帳面ずらで安いなら安いで売るというなら、それで趣旨は一貫しておるが、食糧庁がやるなら別であるが、そういうことはできません。そういうことは許されません。そういう意味において、私は非常にもう大臣と同様に尊重する長官であるけれども、今の長官のそういう御見解は非常に間違つておると思います。それから今の加工段階の問題は、私はもう今日はほかの委員のかたに御迷惑をかけますから、あとで又ゆつくりお伺いいたしますが、要するに私の伺つているのは、製表加工業者が今までよりも、今度の価格改正によつて儲けが膨れたということは事実でございます。このことは加工業者が言つておる。今度の政府のきめ方によつて、おかげで加工段階が儲けが殖えましたと言つておる。この加工段階における経費を膨らまして精麦業者に儲けを殖やしてやつたということの根拠は一体どうか。今までが赤字でかわいそうであるから殖やしてやつたというのか、それとも、そのほかのいろいろな政治的な考慮が払われたのか、これを私は伺つておるのでありますけれども、これは私は答弁を求めようとは思いませんが、これは現実の問題として、改めての機会で、政府政府として御検討の結果を御答弁を願いたいと思う。
  48. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 一つ議事を整理して頂いて、議題々々をきめて質疑応答に入つて頂きたいと思う。先ほど大分あなたが議題を読上げたのだが、どれにかかつているのか、全般的質問であるかどうか。それでは余り広汎でやりにくいと思いますから、一つ一つ議案を出してやつてもらいたい。
  49. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 開拓融資保証法案はまだ提案理由説明だけでありまして、その後に移りました麦価の問題で御質問を願つていることと思うのであります。
  50. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 全部整理して下さい。
  51. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ですから、麦の価格問題について御質疑があれば御発言を願いたい。私からちよつと二、三点質問をいたしたいのでありますが、これは、予算の審議を今やつておるわけですが、今度の政府原案を多少生産者価格は上げていますが、どのくらい国庫負担が殖えて参るか、その負担の殖えた分は予算の組替えをしないで収まるかどうか。極めて事務的な問題でありまするが。
  52. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 一応現在予算におきまして予定いたしておりまする買入数量を前提といたしますると、本年度におきまする麦によりまする赤字が約十六億になると思います。従前よりも、従前考えておりましたのが十一億でありまするから、約五億程度殖えるという予定になつておりまするが、御承知のように買入数量につきましては、これは農家の希望による、申込による売渡でございまするので、数量的には確定いたしておりません。ただ、糧券等の面におきまする買入費の問題といたしましては、御承知のように、食糧買入費が一本になつておりまするし、又予備金等もございまするので、予算の修正なくして十分に講じ得ると考えております。最後の赤字につきましては、数量が確定いたしまして最終的に赤字になりました場合におきまして、その処置を考えて参りたいということでございます。
  53. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) まあ、これはちよつと細かいのですが、単価が上つて予算の組替えがないということが、論理的には多少説明が納得できないところがあるのですが、そこはどうなんですかね。
  54. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 御承知のように、数量と単価に予定しました買入費が一本でございます。そのために、従来とても同様に、予算がきまりましてから後に麦価が決定されるというのが従来の例でございましたし、予備費がここに、そういうものとしての予備費でございまするので、従来ともに数量その他の関係におきまして、当初予定いたしましたものと変りました場合におきましても、予備費の振替使用等によりましてやつてつたのが、従来までのやり方でございます。
  55. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それから先ほど河野委員が、私は非常に重大な御質問をされたと思うのでございまして、私からも一つ重ねて農林大臣の御所見を伺いたいと思いますが、小麦については国際価格が国内価格よりも下廻つて来ていると、これは事実でございます。そこで新聞の報道でありますから、或いはこれを御否定になるかも知れませんが、今度の米価審議会の決定後の政府の最後決定までの間において、自由党の政調会の意見として、国際価格が下つて来ておるときに、小麦を上げる手はないということが新聞では報道されておるのであつて、これは私は極めて重大な問題であつて、当然これは日本農業が外国農業と競争できないことは、これは明瞭であると思うのです。従つて国際価格が下つて来たときこそ、いよいよ生産費を見てやるというような政府の方針が私はなければならんと思うのであつて、又現行法もその趣旨で私はできておると思うのであつて、どうもその政調会あたりの意見としては、国際価格が下つて来るときに値上をするのは言語道断だというような、こういう見解を実は私は新聞で承知しておりまして、これは非常に重大な御意見として、そうでないということを私は希望するわけでありますが、先ほど河野委員からも御質問がありましたが、重ねて農林大臣の御所見を一つはつきり聞かして頂きたいと思うのであります。
  56. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 御懸念は誠に御尤もだと存じますが、この米麦価格の決定は十分御承知のように食管法によつて所定の規定があるわけでございますから、その趣旨に基きましてこれを決定いたして参るべきものである、今日の建前では公定如何にかかわらず、国際価格と国内価格とは分離をして、そうして御趣意のような線において価格を決定して参るという線にあると、その線は私は今日変更する考えは毛頭ございませんということを申上げます。
  57. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 島村委員から委員外の発言を求めておりますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では……。
  59. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 大臣折角お出でですから、麦価の問題に関連して二、三お伺いいたしますが、第一は、今度の災害につきまして、買上価格や検査の等級を拡大して五等の甲、乙ということをお作りになる予定だと、更に等外までも食糧になるものは買上げようという御予定があるということでございますが、その点に関してはつきりしたお話を願うと同時に、これらの価格は大体規格の上でどういう価格を建前にお考えになつておりますか。
  60. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 便宜食糧庁長官から……。
  61. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。現在におきましては、今各災害府県に調査員を出しまして標準麦を集めておりますが、現在の一等以下五等までのほか、災害地に適用する特別規格を作りたいということで以て今標準品その他を集めて準備いたしておりますが、御承知のように検査法によりますと、規格の発表は三十日前ということになつておりますので、この改正案が後日提案される、議員提案によつて行われることと承知いたしておりますので、その実施を待ちまして、それまでの間に規格その他について十分検討いたしたい、かように考えております。
  62. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) 然らばその議員提案によることを前提として、規格の決定はその発案を待つて近く決定する、その場合においては五等の乙以外に更に災害地についての規格が別途に定められるかということを念のためにもう一つ。それからその点が一点と、もう一つ、かねて農林委員会において希望いたしておりまする現在の飼料安定法では不可能でありまするけれども、この飼料になるものが相当多量の数に出て来ると思う。その場合に現在の飼料安定法以外に或いは特別立法或いは飼料安定法の特例でも設けて、飼料としての買上を現在の食管特別会計でやつてもらいたいというのが希望なんであります。大臣はお耳に入つておるかどうか知りませんが、この点を事務的でなくして、大臣は政治的にこの問題について篤と御検討を願つて速かなる解決を一つお願いいたしたい。それに対する大臣の率直な御所見を承わつておきたい。それからもう一つは、今回の災害につきまして、九州の災害が併せて起つた。そこで麦の被害を主体にしたいわゆる西日本の被害は、九州地方はプラスになつておりますが、然らざる地方はいわゆる長雨の結果による被害が大部分である。その場合にはこれらの措置は現在農林省でお考えになつております数字を早く持つて大蔵省との間に速かに解決して頂きたいということを希望いたしますが、結論は切離してやるかどうか、或いは一緒にやるのかどうか、こういう問題について一つ大臣の御所見を承わりたい。
  63. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 食糧に適せざる、併しながら飼料としては十分用をなす被災麦の買入は、私は関係地方のかたがたから直接そういう取扱をすべきであるという強いお話を伺つております。併し一方におきますと、又食管法の建前からいたしますと、それはまあそこでは動かせないという実情なつておるようでございますから、これは十分検討さして頂いて、できるだけの措置は講じたいと私は思つておりますけれども、今研究を願つておるところでございます。
  64. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 先ほど検査の問題について御質問がございましたが、我々としましては、現在の規格はそのままにいたしておきまして、災害地に適用する特別の規格、まあ等外、等内の間と申しますか、特別の規格を別途に作りたい、かように考えております、
  65. 島村軍次

    委員外議員(島村軍次君) それに関連して、大臣の御答弁はそれでわかりましたが、食管の会計では、これは食糧管理法では困難だということはわかりますが、飼料需給安定法というのは輸入食糧ということになつておる。それを暫定的に本年に限りというような規定を安定法の中に一部でも設けられることは、これはなし得る方法であると同時に、又これらの問題が議員提案で或いは出るということも考えられると思うのでありますが、それらの問題の措置を農林省としても真剣に一つ是非取上げて頂きたいということを併せて希望いたしておきます。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の餌の買上の問題ですね、財源の問題を非常に御心配になつておるということは、私はさつき申上げたように、今の予算を組替をすれば別ですが、小麦の補給金でも十五億組んである。ところがそれが買入の単価が、今国際価格が八十五ドルくらいに下つて、逆に私の計算では二十五、六億乃至三十億は逆に今度は浮いて来ると思う。それをマイナスの部分十五億が浮いて、更に逆に食糧庁が三十億も儲かるなら両方合せると四十五億くらい、そこで、予算の組替えをすれば別ですよ、今の予算の組替をしないで、今の予算のままで行けば小麦の分だけでも四十億か、四十五億浮いて来る。これは間違いない。これはよくあとで信用されないなら、帰つてよく食糧庁と相談されたらいい、そうして若し私の言うことに間違いがなければ、そこにもうすでにそれだけの予算が出て来るのであるから、それで私はこの罹災地の対策としてできるだけのものを講じられたらいいだろう、ほかの罹災地以外の国民が決して文句を言うわけないと思う。私は大臣は選挙区は罹災地であるから、そういうことで成績を上げられると、私はこう思うのです。
  67. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 十分一つ研究させて頂きます。
  68. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  69. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
  70. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) さつきの島村さんのお答えを落しておりましたが、今回の、只今つておりますあの水害とは全然切離して措置を講ずるようにという方針を以て折衝をいたしております。
  71. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 大臣にお尋ねいたしますが、昨日ですか、二十五日附書面で農林省から十九億九千四百十三万というような、これを大蔵省に要求しておるということを聞いておりまするが、これを六党会議においては、その十九億九千万のうち災害施設の十四億三千万を減らしたものについて二十八億三千万を要求しておる、六党会議において……。現地の九州関係におきましては四十五億を請求しております。ですから六党会議から見ますと、農林省の要求案は僅かに五億なんです。そうしますと、二十八億三千万と五億とでは莫大な差があると思うのです。従いまして今度の水害対策についてのこうした開きについて大臣はどうお考えになつておりますか。
  72. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) この集計、或いは災害の集計、或いは補助率の違い、そういうものからそういう大きな違いが出て来ていると思いますが、農林省といたしまして折衝いたしておりますのは、大体従来の例並びに凍霜害にとりました線に沿いましてバランスを、公平を期したものとしてやつております。
  73. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 重ねてお尋ねいたしますが、只今の大臣のお考えであると、農林水産施設災害復旧費の十四億三千万を引かせますと五億円そこそこです。我々は災害地に派遣されて、いろいろ六月十五日附の農林省の案を説明して参りましたが、然るに農林水産施設災害復旧費を除いた僅かの五億円くらいで、大蔵省に話合をしている、六党会議においても二十八億三千万を要求している。而も今日現地側と会合をやつておりまして、非常な差異が出て来るのじやないかと思う。この農林委員会においても、農林省の十九億、言換えれば施設費を除いた五億何がしのもので了承したのでは、あとで我々は動けなくなると思うのです。そこで大臣のお考え方を変えて水害対策の会に出て頂きたいと思います。重ねて大臣のお考えを伺いたいと思います。
  74. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 御尤もでございますが、何さま農林省で把握いたしておりますところの集計も的確妥当だということも完全には言えないだろう。併し一応まあこの程度が妥当じやないかという精算の上に立つて折衝いたしているわけでございますが、まあこれは凍霜害等の見合からいたしましても、これは妥当なところできめざるを得ないと思うわけでございます。
  75. 上林忠次

    上林忠次君 先ほどお話のありました等外麦の中から買上規格を作ること或いは飼料として買上げるような災害対策措置を考えているという話でありますが、このような措置を早く発表して頂く、そうしないと今調製している最中に買われるものか、買つてもらえないものかをはつきりさせることが、これに対する商人の買叩きを防止することになりますし、又乾燥の処理をして、少しでも飼料なり食糧にこれを利用する。損害を少くして行く、国家としての食糧の損害を少くするという点から、早くこの程度は買うぞということを知らせて頂くということが一番大事じやないかと思うのでありまして、この規格外の特別措置、飼料措置を緊急に一般に周知せしめるというように措置をとつて頂きたいと考えるのであります。政府におかれましてもさよう処置して頂きますように、緊急措置をして頂くということをお願いいたします。
  76. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 麦の価格問題もあると思いますが、大臣も退席されましたので、なおこれは後日に譲ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  77. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 先ほど提案理由説明がありました開拓融資保証法案審議もあとに廻しまして、先日から御希望のありました「たばこ」の関係で、専売公社の今泉監理官が見えておりますから、上林委員から御発言を願います。
  78. 上林忠次

    上林忠次君 本年三月以来、数回に亙り晩霜の害、又その後に続きます雹害、又五月末から六月の中旬に亙ります風水害、最近又その後の大きな九州の災害がありますが、この農作物災害に対しましては、一般農作物は政府においてすでに対策を講じられつつありますが、「たばこ」におきましては、この委員会としましては、これは大蔵省の所管だということで、大蔵省にお尋ねするわけでありますが、この「たばこ」の災害に対しましては、どういうふうな対策を講じておられるか。その点お聞きしたいと思います。
  79. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 九州の今度の水害につきましては、現地に関係官も派遣いたしまして、鋭意その調査をいたしておりますが、まだ的確なる損害の結果が出ておりませんが、これに先立つ凍霜害関係は、一応の各局からの概略の報告はございまするが、これ又実際に政府がこれに対して補助今なり、或いは罹災補償なりをする関係の基礎的資料としてはまだ的確な資料が出ておりませんので、正確にどのぐらいの、政府は金額でどの程度の補助をやるか、或いは罹災補償をやるかという点までまだ正確なプランは立つておりませんけれども、まあ従来この罹災補償の面でできる限りのことはこれをやりたいと思つていますし、それから罹災補償にかからない点につきまして郷組合に対する交付金という予算も組んでございまするので、その交付金関係でできるだけ見て参りたい。又損害が判明いたしまして、それとても又到底賄いがつかない、或いは又性質上それによりがたいものにつきましては農林省のほうと十分連絡をとりまして、又できるだけの別個の措置をとりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  80. 上林忠次

    上林忠次君 現在まで政府で考えておられまする対策中には、「たばこ」は考えてないんでありまこれにつきましては、大蔵省としては一般農業災害と別に考えて頂きたい。又この対策の資金は、今監理官から話がありましたような組合交付金のうちから出すのではなくて、組合交付金は、組合に専売公社の仕事を委託している。その仕事のために交付金が出されるのでありまして、災害のためにこれは資金じやないのであります。現在すでに組合交付金は微々たるものでありまして、別途の予備金から出して頂くということにお願いいたしたいと思いますが、その点はどういう工合になりますか。
  81. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) まだ全体といたしまして、罹災補償なり、或いは組合交付金を賄いをつけるかどうかという問題は、各局の正確なる損害資料の提出を待つ決定すべき問題であると思いますので、仮に先ほど申上げましたごとく、今言つた罹災補償金なり、交付金で賄いつけないものにつきましては、或いは予備金の使用なり、その他の的確なる方策を講じたいと考えておる次第でございます。
  82. 上林忠次

    上林忠次君 先ほどの御説明では、今回の九州の風水害というようなお話がありましたが、「たばこ」の損害は、一般農作物の中の凍霜害、前回に政府で対策を立てました凍霜害対策、これについてもやつて頂きたい。この凍霜害に対する「たばこ」の被害、これについてもやつてもらいたいし、それに続く雹害、又中国、四国、九州の前回の風水害、今回の九州の被害、全部併せてやつて頂きたいのですが、それに対する御意向はどうですか。
  83. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 只今お尋ねの点でありますが、只今理官から説明がありましたごとく、後者の災害救済につきましては、根本的な考え方といたしましては、罹災補償制度によつているのであります。なお個々の事情によつて、例えば今回のごとき異常災害に対しましては、組合交付金等によつて一面これをカバーする措置をいたしております。なお只今お話の凍霜害の救済との関連につきましても、聞くところによりますれば、農林省の告示を以ちまして、地方財政法に基く特別の補助金交付の支給規則によつてこれが支弁される動きでありますが、専売法におきましては、これを現行法規に基きまして同様な措置をすることには若干の疑義もございますので、差当りはでき得る限り組合交付金の予算を拡充いたしまして、財政に支障を来たさないように善処いたしたいと考えております。なお前回までの、今回の水害以前の災害につきましても、予算の許す限り、でき得る限り同様な措置を図りたいと考えております。
  84. 河野謙三

    ○河野謙三君 この機会に伺いたいのですが、専売公社は「たばこ」の耕作連合の監督に責任を持つていることは当然だと思うが、同時に大蔵省もそういう意味合からやはり「たばこ」の耕作連合の決算等については責任をおとりになつておられるのですか。
  85. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 只今お尋ねの交付金の問題でありますが、組合は「たばこ」の生産につきましては公社と表裏の関係にありまして、これが発展を策しているのであります。従つて組合予算につきましても勿論監督と申しますか、その内容について日頃実体を調査いたしておりますが、法規の上から申しますと、組合交付金の使途につきましてのみ専売公社はこれを調査監理をする建前になつております。
  86. 河野謙三

    ○河野謙三君 大蔵省はどうなつていますか。
  87. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 大蔵省は専売公社に対しましては、もう全面的にこれを監理監督する責任を持つていることと存じますから、従つて専売公社が更にこういつた組合等にいろいろな交付金その他を出すことにつきましては、間接的ではございますが、やはり最終的に決算その他の関係においては大蔵省も責任を持つ、こういうことに相成ろうかと思います。
  88. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、監督の責任は、言葉はとにかくとして監督の責任はある。然らばその監督はどういう形でしておられるか。私は少くとも決算書というものは総会の都度専売公社は手許にこれを取寄せて、これによつて監査する、こういうこともおやりになつていると思うのですが、それともそういう決算書等は一切御覧になつていないのですか。
  89. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 組合の決算の監査につきましては、地方局長に委任いたしておりますので、本社においては直接これを徴しておらないのであります。
  90. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は非常にこれは意外だと思うのだが、無論そういう慣習なら慣習を将来改めて行けばいいが、本社がそういう重大なことを半年経つても一年経つても見ていないということは非常に怠慢だと思う。そこで地方局でも何でもいいが、おとりになつているわけですね。私はこれは実は改めてこの機会にお尋ねしたいのですが、一ヵ月前に文書を似て専売公社或いは大蔵省に、全国の各府県の煙草耕作連合会の予算決算書を参考に見たいから出してもらいたい、こういうことを頼んでいるのですが、もう一ヵ月経ちます。未だに提出がない、あつたのは一、二県であります。而もそのあつた中に大事な決算書を出さないで予算書を出している、これは私は今伺うのは、そういうふうに常にあなたのほうの手許になければならんところの決算書が何で一ヵ月も遅れるか、こういうところに疑問が起つたから私はお伺いしたのです。これは速かに、これから一週間ならば一週間の間に至急全国各府県の煙草耕作連合会の予算と決算、これを一つ御提示願いたいと思います。これをお願いしておきます。若しそれが不可能であるならば不可能である理由を示して頂きたい。その予算、決算を見た上で私は改めて又お目にかかつて、いろいろこれに対しての私の観察した結果を御質問したいと思います。
  91. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 御意見は拝聴いたしましたが、大変遅れまして恐縮でありますが、決算書の一部につきましては最近お手許に差出したそうであります。なお残余につきましても、できる限り速かにお届けいたすようにいたしたいと思います。
  92. 上林忠次

    上林忠次君 災害関係のことでお聞きしたいと思います。この大きな災害の対策として運転資金相当要るのでありますが、まあ罹災補償金の概算払というようなことを考えておられるかどうか。又耕作のための収納代金の前渡金というのを専売公社で耕作者に出しておられますが、今年はどの程度出されるか、一反当りどの程度出されるか、そういうような点についてお聞きしたいと思います。
  93. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 罹災補償につきましては、全滅等の被害につきましては、至急でき得る限り速かにこれを支払できるように只今措置をいたしております。併しながら一部の災害につきましては、御承知のごとく収納の結果によつて初めて算出の根拠ができるわけでございますので、現在これを仮払するということは困難だろうと考えます。なお罹災補償金、収納代金の概算払は、すでに肥料代の手当といたしましてその一部を支出いたしておりますので、災害について重ねて収納代金の概算払或いは罹災補償金の概算払ということは不可能であります。
  94. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 今お尋ねの収納代金、従来あつた制度に加えて、あれではちよつと少ないからもつと増してもらいたいという御要望がありまして、政府はそれに対して最近対策を練つたその結果についてのお尋ねだと思いますので私からお答え申上げておきたいと思いますが、今までは大体肥料代金の昨年度から前払制度ができたわけでございますが、従来は肥料代金の前渡しという意味において過去三年の収納金額を平均した金額の大体一五%、これを標準として最低四千円に達していないものは四千円、最高は八千円で切る、こういう省令の規定がありまして、今まで実施して参りましたのでございますが、今回御承知通りこれを増してもらえんかという強い御希望もありまして、大蔵省といたしまして最近検討いたしました結果、一五%という率を二〇%にいたし、それから最低の四千円を六千円に引上げ、最高の八千円を一万円に引上げるという線で大体方針がきまりまして、二、三日うちにそれに所要の手続きがとられまして、省令の公布が相成るのではないか、こう考えております。
  95. 上林忠次

    上林忠次君 「たばこ」の生産費は一般農作物と同様に相当本年は向上しておりまするが、本年産の「たばこ」につきましては、どの程度の値上をせられるか、その見込を一つお聞きしたいと思います。
  96. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 本年度買上をいたします収納価格につきましては、従来の建前といたしまして、生産費とパリテイを基準といたしまして決定をいたすのでありますが、現在諸種の資料を取揃えましてなお検討中であります。殊に最近麦の価格の政府買上価格が決定発表になりましたので、これら等を勘案いたしまして、なお本年度より新たに総裁の諮問機関として設置せられました収納価格審議会の意見等も尊重いたしまして、できる限り速かに決定をいたしたいと思いますが、その見通しにつきましては、この席で申上げる段階に至つておりません。
  97. 上林忠次

    上林忠次君 「たばこ」の輸出の問題でありますが、現在日本の原料葉「たばこ」の需給状態は相当窮屈な状態になつて来て、これを輸出することはできないというようなストツク状態であろうと思います。「たばこ」ほど一反当り収益の多い作物はないのでありまして、日本のような狭い地域と、又余剰の労力を持つておりますこの農業状態から考えまして、何とか「たばこ」のような、こういうような反収の多いものを少しでも輸出して行く、これが日本の農村の経済復興のためにも、又外貨獲得のためにも有効な措置であろうと思うのでありますが、これに対しまして専売公社はどういうようなお考えを持つておられますか、それをお聞きしたいと思います。
  98. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 最近の国内の「たばこ」の販売高というものは異常な躍進をいたしておりまして、これに要する国内の葉の需要もとみに旺盛であります。従つてそういう国内の需給関係だけから申せば、国内の出て来た葉を外国に輸出するその必要性と言いますか、ということはまあ考えられない、と申したのでは語弊があるかも知れませんが、その必要は余りないわけでございまするが、今も御指摘の通り非常に生産力の高いこの葉「たばこ」、今後国内の需要が長い目で見た際にどうなりますか、そういつた点も勘案して、国内の需要だけに限るということも将来の問題として一考を要すべき問題であろうと思いますし、今御指摘のように外貨獲得という面から見て、今からそういつた海外における販路を確保しておくという必要もあろうかと存じます。現在葉「たばこ」の生産価格は必ずしも国内価格は国際価格に対して低くない状況でございまして、輸出につきましては、そういつた面から見て必ずしも有利な状況ではございませんが、そういつた海外の市場を今から確保しておくという面、それから金額は少くてもやはり外貨をこの際獲得することが重要だと、こういう面から見まして、国内需要に向けるほうに数量的から言うと必ずしも余つているとは言えない現状でございますが、まあ大蔵省といたしましても、できるだけ今後そういつた面で国内の関係は多少節約いたしまして輸出には力を注いで参りたい、こういう方針でおります。
  99. 上林忠次

    上林忠次君 先ほども申しますように、ストツクが枯渇しているというような状態でありまして、何とかこれを輸出に振り向けて行かなくてはならない。日本の現在の農業問題として一番大きな問題は食糧の増産でありますが、増産をしますにつきましても、先ず開墾、開墾地をうまく経営して行くというのには「たばこ」を開墾地に導入する、この大きな換金作物である「たばこ」を入れるということは、開墾を成功させる上に大きな役割を演ずるのであります。こういうような点から考えましても、相当な増反が必要じやないか、一方輸出を開拓すると共に、反別の増反が必要だ、大きな増反が必要だと思うのでありますが、果して来年どの程度増反されるつもりか、又この数年のうちにどの程度増反されるか、そういうような計画につきましてお話願いたいと思います。
  100. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 只今将来の生産見通しについての御発言でありましたが、製品「たばこ」の売行も昨年度我々が予想いたしました以上に売行が極めて好調でありますので、又一面においては原料葉「たばこ」のストツクをでき得る限り余裕あるようにいたしまして、製品の品質の向上を図りますために極力原料生産の増産を図る必要に迫られております。従いまして昨年度生産計画におきましては、二十八年産において八千二百町歩の増反を予定いたし、現にこれを実行いたしておるのでありますが、更に二十九年度以降において約四千五百町歩の増反を予定いたしておりました。然るに只今申上げましたごとく、「たばこ」の売行が非常な増進を見ておりますので、更に五ヵ年計画の再検討を現在継続中でありまして、今後どれほどの反別を確保いたすかは未だ明確に申上げる段階にございませんが相当反別、従来の計画を上廻るところの大幅な増反をいたすということに御了承を願いたいと思います。
  101. 上林忠次

    上林忠次君 まあ専売のこれまでのやり方を見ておりますと、どうも日本の国内だけの「たばこ」の需給を主として考えておる、財政収入の元としての「たばこ」を考えておるというわけでありますが、大きな一つの輸出作物、貿易作物としての「たばこ」にまで日本の「たばこ」を発展させて頂きたい。それがためには品質の改良も必要でありましようし、輸出先の開拓も必要であろうと思いますが、日本の農村の大きな経済作物として、この「たばこ」をうんと発展させて頂きたい。そういう工合に大蔵省におきましても、専売公社におきましても方向を変えて、世界市場に日本の「たばこ」を輸出するという方面に努力をお願いしたいという希望を申上げまして、私の質問をやめます
  102. 河合義一

    ○河合義一君 この際聞いておきたいと思うのでありますが、「たばこ」の栽培にどれほどの耕地を今お持ちでありますか、その畑地と水田の比率、その二点をお伺いしたい。
  103. 西山祥二

    説明員(西山祥二君) 只今お尋ねのございました現在の全国「たばこ」耕作反別に六万三千町歩でありまして、水田と畑の割合は、水田が三割、畑が七割の程度であります。
  104. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他の議題は後日に廻しまして、本日はこれで散会いたします。次回の委員会は明日午後一時から開会をいたします。散会いたします。    午後四時二十一分散会