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1953-10-19 第16回国会 参議院 農林委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月十九日(月曜日)    午前十一時四十一分開会   —————————————   委員の異動 十月九日委員鈴木強平君辞任につき、 その補欠として野本品吉君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君            野本 品吉君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局統計調査部長 安田善一郎君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (種いもに関する件)  (昭和二十八年稲作等作況に関す  る件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開きます。  農業改良局長が見えておりますので、議題に追加をいたしまして、河野委員から、本年産の種馬鈴薯品質保持の点について質問を求められておりますので、先ずこの問題を議題とします。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 種馬鈴薯検査につきましては、農林省が私は最終まで責任を持つてくれると、又そうあるべきであると、こういうふうに私自身承知しておるのでありますけれども、併しこの種馬鈴薯によつて、年々相当病害虫のために農家被害を受けておりますが、これにつきまして政府は今までとるべき責任をとつていない、こういうふうに承知しておりますが、例えば昨年でしたか、東京都に非常な種馬鈴薯被害があつた、これに対しまして政府責任を明らかにしていない。結果は全販連等が幾ら見舞金程度で結末を付けた、こういうようなことでありますが、過去のことは別として、将来種馬鈴薯に対して、過去のいろいろ被害等に鑑みまして、根本的に如何なる方策を持つておられるか、これを改良局長に伺いたいと思います。
  4. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 種馬鈴薯検査は、病害虫関係のほうの植物防疫法に基く検査でございます。それで今やつておりますのは、人の数も非常に定員関係からして不足しておるのですけれども、やり方としましては、大体圃場のほうで検査をするという以上の人と経費を持つておらないので、圃場のほうで病気が出たか出ないかというふうな点を審査しまして、そうして圃場のものを、検査に通つたものを出荷させるというふうな形で、内地生産者のほうに迷惑がかからないようにというやり方を以てやつているわけでございますけれども、現実になりますというと、果してこつちの立会つたはつきりしか圃場検査を通つたところのものが出て来る、現実出荷される場合に……。そこらのところを現実きちつと押えるまでの人手経費とを持つておらないのです。それで出荷については一つ一つ検査をして確認して行くということは十分にできないわけであります。そういう点に欠陥がありまして、内地種馬鈴薯を買う農民人たちにときどき御迷惑をかけるというのは非常に遺憾に思うわけでありますが、それに対しましては国のほうで以て非常に定員を殖やして、出荷のほうまで果して圃場検査きちんと照合しておるかどうかというのを押えるということになりますと相当な定員を必要とします。まあ私のほうといたしましては、できるならばその点については出荷地のほうの団体のほうにやはり或る程度道義的な責任を持つてもらうということと、その点について或る場合には道のほうとしても内地買つてもらう必要がある種を作つておるのでありますから、相当援助をしてもらうという形態で、できるだけこちらの圃場検査というものと現実出荷というようなものがちぐはぐにならないようにというような形で現在進めるという方針をとつておるわけであります。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 人手が不足であるとか、或いはその他いろいろの事情は私承知しておりますが、そうだからと言つて、過去に繰返されたことを今後も繰返すということであつてはならないのであります。農林省はこれに対して根本的な対策を立てることが必要である、農民のほうにすれば、農林省が、政府検査したもの、これを買つて被害を受けたという場合には、これは尻の持つて行きどころは政府以外にありません。これに対して何か根本的な対策、例えば経費関係で言うならば、この検査した「いも」の扱い機関である金版連等に一手に引受けさせると同時に、全販連に或る程度検査手数料を認めてやつてやるとか、何か方法が私はあると思う。又そういう方法を立てなければいけませんよ、これは……。それからこれは検査した、検査したと言われますけれども、今も委員長北海道行つての報告を聞きますと、検査した「いも」が食糧に流れる傾向がある、又逆に食糧の「いも」が検査した恰好で証票を付けて出される。これらについては一切監督指導の手が打たれていないと思う、これは過去の経験に徴して本年はこうするというような何か方策をお持ちですか。
  6. 北勝太郎

    北勝太郎君 ちよつと関連して……。種馬鈴薯検査の問題については過般北海道でもそういう話を聞いたのですが、農産物検査所職員を利用すれば圃場検査ができる。ところがそうでなくて、ただ種馬鈴薯検査は別の機関でやつておるために、保証を付けたものができないのだ、決してでき上つた種を見ただけではわかるものじやない、こういう説をこの間聞いて来たのでありますが、そういう便法があるのじやないかと思います。ただこう、何と言いますか、自分らの縄張争いをしておるからそういうことが起るので、農産物検査員のごときは夏殆んど仕事がない。これらも遊んでおると言つては語弊がありますが、そういりような人たち圃場検査のほうにお廻しになれば、そういうことがなくて、而もそれと関連した種「いも検査との証明と一致すれば、そういう危険がないのじやないか、ただでき上つたいも」だけを検査しておるから、バイラスの付いたものをそのまま売ると、こいうふうに思うのであります。こういうようなことについての御見解もこの際併せて伺いたい。
  7. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 農産物検査所のほうの関係では、その片方のほうが、病害虫関係幾らか技術的に従来と違つておるものですから、やはり一定訓練をやつて、そういう専門的な知識を持たないと、馬鈴薯については不十分になる危険があると思いますが、おつしやるところは、その点は折角ほかの仕事をやるために、どうしてもそういつた職員の手が一時はあいておるというようなことがあれば、そのかたがたにも協力してもらうということは考えてもよいことだと、こう考えられますが、その点は研究をさして頂きたいと思います。技術的な点で少しやはり一定訓練をしなければならんので、その点に危険はあると思います。要点はやはりどうしても圃場検査は或る程度のことまではできるのですが、それと現実出荷されたものが、河野委員からお話があつたように、生食用のものが種に流れてしまうとか、或いは種であるべきものが生食のほうに代るとか、そのときどきの需給関係その他を見てばらばらになつておるというような点なんで、これは相当なやはり人手を食うわけであります。これはやはり官吏だけでやつて行くということになると相当厖大な職員が要ると思います。現在はやはり生産地のほうの団体のほうでしつかりやつてもらうというような形はとつているわけであります。その意味で道のほうでもいろいろとそれを円滑にするような意味援助はしておるという形態をとつておるわけでありますけれども、その点について国のほうのそういう面での援助は不十分であるかと考えられます。併し今のところはまだ道のほうのそういうふうな点の手の打ち方で極力やつてもらうという形になつておりますので、その点についてはなおこれで十分だということは勿論申上げられないわけでありますから、おつしやるような意味の点は十分検討して見て進めたいと、こう考えます。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 それに対する方途はまだ十分準備ができていないようですが、十分御研究を願いたいと思います。ただ現実に来年の春も又非常な馬鈴薯被害があつた種馬鈴薯買つてつたのだが被害が起つたという場合に、その責任政府はどこまで負われるのですか。
  9. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) その問題は法律的にはなかなかむずかしい問題になつて来ると思いますが、責任がその政府のほうの検査に明瞭にあると思われるような部分はどうしても国で負うべき筋であると、こう考えられますし、具体的な意味において出荷するほうの側に、故意であるか、過失であるか、とにかく誤まりがあるというようなことになれば、そこで負つてもらわなければならないというふうな形に法律的にはなると思うのですが、具体的に個々の事例で証明方法なんかかなりむずかしくなるかも知れませんが、法律的にはやはりどちらかで責任はとるべき筋合のものではないかと、こう考えられます。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、具体的の問題にならなければ勿論回答はないわけですが、仮に検査証票の付いた「いも」を買つて、そうしてそれを何ら過ちなく作付した。その結果非常に病虫害が出て全滅したという場合には、この耕作の過程において何ら農民のほうに種馬鈴薯を買入れてから以後何ら農民のほうに過失がなかつたという場合には、それは責任政府にある、こういうことですか。
  11. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) それはこちらのほうの検査した圃場のものということがはつきりしておりまして、それでそれが悪いものであつたならば、これはやはり国の責任である、こう考えられます。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 この機会に私は一つさつまいも」について伺いたいのですが、改良局長は非常に博学だから、食糧庁の場合のことも御存じだと思うが、最近「さつまいも」の販路というものは工業用食用とでは非常に比率が狂つて来ておると思う。食用が減り、工業用が殖えておると思う。今後ますますこの傾向は烈しくなると思うが、この傾向は私はいい傾向であると思う。それに備えてあなたのほうの改良局で「さつまいも」の品種改良につきまして、今まで食用としての「さつまいも」の品種改良、これが重点であつたと思う。これを工業用の「さつまいも」としての品種改良、この方向に当然あなたの監督の下にあるところの試験場方向転換すべきである、又転換しておられると思うのですが、仮にそういう転換をされた場合に、試験場等工業用の「いも」についての品種改良をやられた結果、何か一つ具体的な結論が出ておりますか。
  13. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) その点についてはまだ十分具体的にお答え申上げられるという段階には入つていないと思いますが、戦時中のはどもらかと言いますと、食糧ではあるけれども、目方のほうが中心になりまして、それで水分が多くても供出用として便利であればというので、沖縄百号であるとか、茨城一号であるとかいう澱粉比率の一五%以下の一三%とか、幾らとかいうふうな、かなり低いものが大きく進んで行つたわけですけれども、これにつきましては、工業用としても食糧用としてカロリーを考えた場合としても、水分の比較的少くて、澱粉価が高いというふうなものがいいわけでございますので、そういう方向は戦後の試験研究としてはとつてはおるわけです。一つの問題としては糖分が多いということになりますと、生食用としては割合甘くてうまいので売れ行きがいいのですけれども、糖分が多いとどうしても腐りやすいわけです。糖分が少くて澱粉価が高いもの、或いは甘い糖分の高いものというふうなものを、それぞれ産地々々の事情によりまして、生食用が主になるところはできるだけそういうものを奨励するとか、それから原料用主体になつて澱粉主体になるようなところでは澱粉価が高いものとかいうふうな形をとるわけですけれども、それは過去においても或る程度はやつておりますが、そうはつきりと、工業用中心になるから六体中心澱粉価において、糖分はむしろ少くて腐りにくいものがいいとかどうとかいうふうな形で、きちつとした体制ではまだ進んではおりません。大体のところは水分が少くてとにかく栄養価も高い、澱粉が大体中心になりましようから、そういうふうなものと、作りやすいものというふうないろいろな点を考慮しながら進めているわけでございますが、ただ幾ら大蔵省のほうにおいても「いも」のほうは過剰だというふうな関係からして、澱粉の買上なんかにいろいろ問題あるから、減反したらどうか、そちらのほうに出す金なら、もう少し増産したらいいもののほうへ出したらどうか、こういうふうな意見もありまして、十分の予算は実際は「いも」についてはとられておりません。我々のほうとしましては、これは何と申しましても、土地の条件によりましては、とにかく災害に対して非常に強いわけですから、旱魃にも強いし、風水害に対しても強い、そういうふうな意味農民からすればほかの作物に比べて非常に安定した作物ですから、ただそういうふうな過剰であるからというだけのことでこれを減らすとか、これの品種改良なり、増産なりをチェックして行くような、そうしてほかのほうに人や金を廻すということは建前としてはとるべきではないという建前折衝はしておるわけですけれども、「いも」についてはほかの作物に比べますと比較的私は力の入れ方が不足している、こう考えております。この点は大蔵省との折衝において十分打開して行きたい、こう考えておるような状態でございます。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 御承知のように「いも」の作付を簡単に他に転換できるものではないし、一方有畜農業との関連において「いも」の作付というものは減らしてはいけない。ところが御承知のように「さつまいも」は食糧としての魅力はないのです。私はそう断定できると思う。最近これほど米に困る、米の闇が三百円、それだからと言つてさつまいも」の価格にそう影響はないでしよう。食糧用としての「さつまいも」には魅力がない。そこで私は一方において作付を維持して行くためには思い切つた工業用原料としての「さつまいも」、こういう方法品種改良を積極的に農林省は各試験場指導すべきだと思う。それに対しての積極性がなくて、まだ食糧用工業用と両方にウエートを同じようにおいて研究しておるというようなことでは、なかなか「さつまいも」の今後の生産農家というものは食糧としての「さつまいも」を作つて行くのでは困難だと思う。そういう意味合で、改良局のほうで特に工業用の「いも」についての品種改良、これについての積極的な指導をして頂くということを私は特に要望したいのです。それで私は特にこれは改良局のほうの責任ではありませんけれども、統計調査部長が見えたから、統計調査のほうでわかれば……。最近この二、三年の食糧用の「いも」と工業用の「いも」との比率の変化、これを私は知らして頂きたい、こう思います。他に重要な問題がいろいろありますから、先ほどの種馬鈴薯対策、これについては後ほど又いろいろ御回答頂くことにして、この問題は一応保留しておきます。
  15. 白井勇

    白井勇君 今の種馬鈴薯の問題ですが、これは局長余り承知ないかも知れませんが、これは元々農作物検査をやつてつたわけです。今の食糧事務所でやつておりましたものが、農林系統に移つて来ておるというような問題とからみまして、やはり検査員のみでは農林関係はつきりしない。そこで防疫法というものを制定して、本当のそういう方面に詳しいものを置いて、それによつて検査をやつて行く、こういう考え方で或いはできる、それは誠にその筋としましては、尤もな話だと思いまするし、それがうまく行くものならば、私はそれも一つの行き方であろうと思うのでありますが、これは今局長お話のように本当のそういう現業に十分間に合うような、そういう専門家というものを農村の各圃場に十分配置するなんということは、今の日本経済状態でこれは考えらるべき筋合のものじやないでしようけれども、だから今のようにただ何名かの本当専門家でも置きまして、そうして実際やつておるものは誰がやつておるかと言いますと、結局農協の職員なり、そういうものを嘱託をしておる、こういうやり方であるわけですが、これはうまく行きつこはないのですよ。私たちはあれが出ました場合に、考え方としていいけれども、それは実際問題としてそういうことはできつこない。ですからやはり現業というものは従来手がけておりますものは、これは勿論技術的の面においては不十分なものがあつても、専門防疫官でも置いておきますれば、それが更にそれを訓育して行くというような方法をとつて、従来手がけております同じ農林省職員というものを使つて、そうしてやることが最もこれはうまく行くのじやないか、こういう話をしたわけでありまするが、やはり農林省内部の、今もお話ありました通り、私はこれは一つ縄張争いみたいなような点があるじやないかと思うのですが、そういうことで今のような結果になつておるわけです。これは圃場におきまして如何に厳密に検査をされましても、先ほど局長お話ありました通りに、そのものが果して種「いも」としまして消費者に渡るかどうかということは、これは検査をやりまする場合の問題からいたしまして保証はできないわけです。ですからやはり圃場から出荷までよくその辺の事情に精通をしておりまするものと言いますれば、やはり農林省機関としましては、これは改良局職員でないかも知れないけれども、食糧庁職員しかないのです。そういうことであるならば、やはり圃場で一応合格しましたものが更に現物としまして合格したものであるかどうかということを、これはやはり手がけておるわけでありますから、ほかのものがやります場合よりも、やはりそこにはなお確実性があるわけであります。ですからこれは去年も私大阪なり、東京なんかでいろいろ問題が出まして、この食糧庁責任を負うべきものであるというような、いわゆる消費者方面から非常なる要求が出て困つたわけであります。これは私たちはこの問題が出る前からそういうことを予想しておつた現実問題としてそういう実態がはつきり出ている。これは改良局長さんが広い観点に立つて、やはりこれは農業政策というものは幾ら頭で考えられて正しいというふうに、或いは法律から考えられたことであつても、末端に行きましてどういうふうに運行されるかということを考えて行かなければならんと思います。どうかこれは大きな観点に立つて先ほどお話のように是非一つ迷惑にならんような、本当の種子が出るように何とか手を打つてもらいたいと、私はこ考えます。やはり私は従来手がけております検査員というようなものを、先ほど北さんのお話のように、現状におきましてはこれは活用して行く、こういう方向が一番いいのじやないかと私は考えております。
  16. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) よく検討します。
  17. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私から種「いも」の問題で、北海道に視察に行つて特に感じた点でありますが、先ほど河野さんから言われたように、種「いも」が食糧用のほうにどんどん流れるという状況であります。そこで農林省で今年の凶作対策として、来年の麦なり、馬鈴薯を増産するというふうに当然なろうと思いますが、早く手を打たないと、折角の種「いも」が確保できないという事態を痛感して参りました。この辺につきまして、政府においては早急に今言つた根本的な問題はありまするが、種「いも」としてやはり相当量を確保することが必要ではないかと私どもは考えますが、特に政府に申上げておきます。    —————————————
  18. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今の問題はなお問題があろうかと思いまするが、時間の関係もございますので、本年の稲作作況につきまして御審議を願いたいと思います。農林省において、十月五日現在の臨時調査の成績が取りまとまつたようでありますので、只今から統計調査部長から説明を聞きまして質疑に入りたいと思います。
  19. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 委員長のお指図に従いまして、農林省におきましては、衆議院の農林委員会の要望に応じまして、特に十月五日現在でその結果をまとめて発表するような、臨時の全国一斉調査水陸稲について行いましたので、その結果を御報告申上げます。  先ず先に全国的な結果を申上げますと、御配付申上げましたような資料に即しながらお聞き願いますと幸いでありますが、今回は予想収量を先ず書きまして、それを仮にわかりやすく指数に現わして申上げますると、水稲におきまして、九月十五日現在の調査結果によりまして、八九%でありましたものが、申上げますまでもなく、本年における平年収穫量を一〇〇とした場合でありますが、八九でありましたものが六%下りまして、十月五日現在においては八三%と見込まれた次第であります。陸稲におきましても、十月五日現在におきまして、九六%がこれ又六%低下いたしまして、九〇%でございます。その主なる理由は、箱根あたりから東山地方、山梨、長野、岐阜乃至はその北の福井のようなラインから、東北におきまする冷害の顕著な植物、稲の植物の形に現われました冷害状況穂首いもち」の進行が非常に大きいのであります。これは高冷地においての冷害症状がありましたが、特に北のほうにおきましては、その平坦部においては穂首いもち」が相当出ておる。北陸地方などにおいては特にその傾向が顕著であります。千葉、埼玉、特に栃木、茨城等の北関東においてもその傾向が顕著でありますが、それらの特に著しい冷害地域の中で東北北陸以東のほうの平坦部でも穂首いもち」が出て、関東ではこれが低温障害乃至は潮風害というようなものと「いもち」とが混在して、そこへ東北その他で、かねて土地の軟弱でありました稲が倒れたものなどの混合併発被害によつて非常に減少したことになつております。又日本真ん中あたりにつきまして、東海地方中心にいたしました更に三十数県に稀にみる大台風が参りまして、御承知の第十三号台風でありますが、この高潮のときに海水が堰堤を切つて田畑を荒した。又その潮風は非常に広範囲、一律的に海岸から少くて一キロ半乃至三キロ、多いところは二十キロ程度にまで亙りまして潮風害がありまして、その被害状況は判断に苦しむほど異例な形をとつて進行をいたしております。それに風速その他が非常に異常でありましたので、塩水でない淡水流失埋没或いは単なる被害も加わつておりまして、日本中間部においては、そのほかにそういう十三号台風影響などがない地帯において穂首いもち」とか、「うんか」などが起きているところがあり、影響が非常に大きいと思います。この関係は四国、中国の真ん中あたりまで影響があります。小さい被害のものは全国的に亙ると言つてもいいと思います。九州に行きますと、比較的山陰地方と共に作を維持しておりますが、二化「めい」虫の非常な発生がございまして、宮崎県だつたと思いますが、この地方は普通には現われない二化「めい」虫の三化期というような被害が出ております。一部虫害などは暴風雨で吹き飛ばされて却つて害が少いことなどもありますが、総体といたしまして非常に被害がある。九州にはなお天候の回復という好条件があつたという半面には、早害という害が、水との関係で日照りが多かつたという害が起きたのであります。地区別に考えますと、九月十五日現在以前においては、当院の本委員会で御報告申上げましたが、かなり冷害症状も現われておりましたものが、更に出水をしたり穂が稔実いたしませんでしたり、青立その他になりました。風で穂ずれがしましたなど、進行しましたけれども、かねて冷害の見込みを立てていただけに、冷害がひどいけれども、総体として結果としてひどいけれども、九月十五日からの作況の低下というものはそれほどでない地区もあるわけであります。たとえば北海道では一%減、東北では四%減等もありますが、立地の関係からしまして、今から言うのもおかしいと思いますが、「なかて」、特に「おくて」が、必ずしも条件に合わないで殖えておりまする関東以西におきまして非常に低下の現象が起きて来た。関東では九%下つており、北陸は先ほどのような状況でございまして、七%下つておるわけであります。東山六%、東海八%、近畿九%、中国二%、四国三%、九州はまあ維持というわけであります。陸稲は冷害影響を受けまして北のほうが悪く、特に北関東においても影響があり、又九州は旱害であるわけでありますが、全国的に六%減が北海道は一%、東北では一七%、関東では七%以下、東海でマイナス八%、近畿で九%減、九州で三%減と見込んでおるのであります。これを県別に見ますと、前の調査時期より特にひどい変化を示しましたところは、二枚目に県別表を書きましたように、福島等農林十号その他晩稲の影業主常に多い福島等が一番ひどくなりまして、福島に匹敵するところは栃木等がございます。総じまして県別はその頁のように現われておるわけであります。それを八月一日現在において、作付面積を本年度について決定をいたしました水稲二百八十八万九千九百町歩、陸稲は十四万九千六百七十二町歩といたしまして、すでに稔実、充実して刈取も済んだ地方も一部ありましようが、大部分は立毛中でございますので、試算をいたしますと、水稲におきまして五千三百万八千八百石と見積られまして、陸稲におきましては四枚目でありますが、百四十万六千四百七十石と予想されるのであります。従いまして水陸合計におきましては五千四百四十一万五千二百七十石というわけであります。これを試みに本年の九月十五日或いは本年の平年作と見込んでおります場合の収穫量、昨年の想定実収高比と比較をいたしますというと、水稲におきましては、本年九月十五日現在において圃場において現われました状況を捉えまして見積りましたものよりは三百五十六万八千百石の減でございまして、本年度の平年収穫量として基準をおきましたものに比しましては、約千五十九万石減少でございまして、昨年の推定実収高に比較しましては、約千百五十万石の減少でございます。これは昭和元年以降におきましては統計面に現われましたものでは三番目でございますが、昭和二十年は終戦の年でございまして、統計調査も潰滅をして、世上も種々混乱いたしましたので、その後に、昨年末調査機関が新たな形で独立運営されるようになりましたが、そういうときを除きますというと、過去の最も大冷害の年と言われます昭和九年の五千七十八万一千八百石でありましたものに次ぎまして、第二回の冷害の相当ひどい冷害でありました年の昭和十六年の五千三百九十二万石よりも作柄が低下をすでにいたしておる状況でございます。陸稲は日本の最近の食糧事情において作付面積も殖え、又耕種改善も行われまして、且つ統計調査も進歩して把握力が強くなりましたので、これは昭和二十年を除けば二十番目になりますが、それは統計上の問題も多いと思います。陸稲につきましては、九月十五日現在比においては十万三千五百五十七石の減少、平年比にしましても約十六万八千石の減少、昨年の推定実収高に比しましては約二十四万石の減少でございます。水陸合計いたしますと、大勢は水稲で決するわけでありますが、九月十五日現在に比して、水陸稲では三百六十七万一千六百十石の減、平年に比しましては約一千七十六万石の減少、昨年の推定実収高に比しましては、水陸合計で約千百七十九万石の減少でございます。続いて少し詳細に亙りまして御説明をしてよろしければ御説明をしたいと思いますが、委員長如何ですか。
  20. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  21. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それでは今一応部長から説明がありましたが、御質疑があれば御質疑を願います。
  22. 白井勇

    白井勇君 これからの見通しといたしましては、結局推定実収高がわかりますので、その殖えるという見通しの条件があるのか、むしろこれよりは更に減るという条件があるか、こういう見通しはどうですか。それからもう一つは、ここに載つて参りますのは、大体今の検査機構で申しますと、四等以上のものがこの実収高に上がるようでありますが、それに当てはまりません下等米と言いますか、そういうようなもので今集計されましたものが若しありましたら、大体どのくらいのものになつているかというものがありましたらお願いいたします。
  23. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 白井委員は御専門であらせられますので、それも頭に置いてお答え申上げますが、今後の見通しは増か減かと言えば減のほうに傾くと思いますが、これを見積りますことは私見に亙り過ぎると思いますし、又困難だろうと思います。もう一つは、統計調査部の調査というものは、正確を期しますのと、各地アンバランスになつたり、人によつて調査の結果が推定を加えた場合非常に差が出て来る、これに伴なつてすでに現われている現象についても不確かさが多くなるということを考えまして、調査期日の際に現われた現象を実測して推計を使つて全体を推定するようにいたしておりますので、そこで作も悪い、気象条件も悪い、人力では防除できないような被害がありました場合には、調査時とにだんだん下つて来る傾向があります。これに反しまして、良作の時期にはだんだん作が上つて来るという状況があります。ただ承知のように、冷害に関しまする被害は約四百万石と見積つておりますが、第十三号台風では百九十一万石強と見積つているわけであります。冷害が特にひどかつたのは、福島等について見まするというと、気象条件が第一の原因でありますが、中晩稲が特に多いことによるわけであります。たまたま以て十月五日現在の調査は、九月十五日以降の気象変化、風害、風水害などの影響冷害と共に非常に顕著であるので、時期は無理であろうが一斉調査をやるようにという国会の御要望がありまして、特に本年の我が国の稲作について統計調査の数字を割合よくまとめるには適当な時期ではない。従つて十月十五日現在乃至はもう少し遅れたほうがいいのかも知れませんが、かねて十月十五日現在に定期的な一斉全国調査を予想収穫高調査としまして予定しておりまして、今後もやるつもりでありますが、それに遡る十日までを締切つて調べたものでありまして、従つて東北地方といえども十月の上旬以降に他の早い稲、特に成熟期がそういうふうなものについて比較的多くなつておりますが、それについてはかなり大胆に見積を作らざるを得なかつた。あとで明瞭な青立ちが出て来るということもあるかと思います。十三号台風につきましては、塩水による耕地の流失、埋没或いは冠水が三日以上、淡水でも一週間以上になるというようなもの、又只今でもそうでありますように、決壊場所から田畑へ海の水が一日の中でも満干潮に応じて出入りをしておる、そういうような被害の甚大なところの減収見積りにおいてはおおむね誤まりありませんが、やはりこの流失埋没のほか、浸水、而もそれも淡水の場合、塩水の場合もおのおの倒伏状況などいろいろ形態が違いますので、それぞれの程度に応じまして今後の被害はどうなるかと思つておりますが、なかんずく潮風害は非常に広区域でありまして、これは三日乃至一週間たちますと、被害程度が五割くらいにとどまつて一応の玄米になると考えられます。併し今後の推移によりましては下等米でありましようが、玄米になろうと目下思つているものが死米になつてしまいまして、全部全損という被害になる虞れもあるわけであります。長年の農林省各局各場所の持ちまする試験データーと戸刈教授その他の現在日本にいらつしやる学者を煩わしまして、急遽その見積り方なり今後の進行の形なりを研究し、現地調査もして頂きましたが、非常に困難なものでありまして、それらの学者の方もどう測定したらよいか、よう言わないということを言つていらつしやるわけであります。そういうことがありますので、私どもの現地組織による見積りをともかくいたしましたが、更に又それらの要素もありますほか、本質的に統計は、今後の見通しというものは統計としては現実に現われた現象をとらえる以外に今後の見込みを推測して数字にまとめることは原則としてやらないほうがいいという性質もあるということからいたしまして、両者即ち形式及び実質を以ちまして、将来の見通しは勿論現状の正確な把握もなかなかに困難である部分がございます。或いは又今後は殖える条件はないんじやないかと思われますが、若しあるとしましたら、早くから冷害の様相が濃かつた地方北海道の一部とか、青森その他の典型的な冷害地とか、又多少違いますが、秋田とか、山形或いは青森の津軽地方、そういうようなところ、即ち冷害を殆んど受けなかつたところの稲の稔実の状況がもう今すでに判明していますが、九月十五日現在よりはよくできております。これらの一部冷害県のもの、それから九州地方、特に南九州は勿論、福岡、佐賀でも比較的よく前よりできておると思いますが、そういうところの二化「めい」虫の防除の努力と、好天候による稲の粒の稔実の度合の好転というものからいたしまして、それが好条件になることだと思います。差引しましては、マイナスのほうが多いかと思います。第二の御質問の米の品質でありますが、北のほうの早場地帯におきましては、すでに刈取りまして、供出も進んでおる現況でありますので、調査におきましても坪刈りいたしまして、品質と重量、従つて反当収量と質というものも調べておるのでありますが、全国の大部分のところは次の定期調査の十月十五日現在におきまして、坪当りの稔実粒数、その実つた工合、先ず実つた粒の状況を調べております。又本年度は新らしいやり方としまして、電光を標本の生粒について通しまして、どんな実り方をしておるかの別個の調査をしておるのでありますが、これは標本数は少数でありますけれどもやつております。そのほかにおきましては、生粒のままそのままむきまして、水分がまだどれだけあるかをわからない生のままの玄米となりそうなものの重量歩合、それから検査が一応通るであろうと思われるような米、いわば簡単に言えば上米と屑米との割合や、その両方含んだすり落しの玄米の全粒重、それと玄米の一升当りにすれば、とにかく実つておる粒数がどれだけかということ等から見まして、反収石数を出さざるを得ない現段階にあるのでありますので、お話の点では全国的に達観しまして、被害地のひどい地方、北日本と、日本中間部、福井を中心の北陸、二化「めい」虫の九州の一部というところなどにおきましては、例年になく、かねて生育当初から低温多湿寡照でありました条件を加えまして、品質の低下はあると思うのです。それの中の屑米がどれだけになるとか、或いは四等であるか、五等であるか、等外であるかという、そういう点におきましては、目下その調査段階にないわけであります。これはいつもは推定実収高調査で坪刈りしまして、乾燥調製しましてこれを食糧検査員にも見てもらいまして、所定のふるいにかけて計つてみる、特に籾ずりして粉になるかどうかというような問題はまだ今後の調査によるわけであると思います。併し重要な点でございますので、標本が職員の数や予算のために少数ずつでありますが、成るべくその少数がよく統計の意味を現わすように標本実測調査、即ち推計すべき総数を標本調査によつて統計学を応用して推計する理窟の方法をとりまして、今回は一々籾の殻をこの時期においてむいてみまして、そうして青米であるか、茶米であるか、死米であるか、籾ずりにすれば粉になるだろうか、多分ならんだろう。半透明ならばいい玄米でありますが、そういうのを試みにやりまして全体を推定しておるのであります。完全な意味では決して十分なものではございません。なおこの点は重要だと思いまして、昨日も農林省の省議で、特に品質を現わす調査経費を急遽計上するように決定をしておりまして、補正予算の中で裏打ちしまして、実施はすでにこの指示を地方にしまして実際調査するようにしておるのであります。
  24. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 御配付願いました書類の中の「昭和二十八年産主要食糧農産物生産見込高」、かねて私からいろいろ各種農産物の食糧に関連のある農産物に対しての生産見込額を一時も早く知らして欲しいという私の希望したこの書類を出して頂いたことを感謝いたしまするが、この表で見ますると、今年の水稲、陸稲から大小麦を初めといたしまして、いわゆる雑穀に属する「なたね」に至るまで二十一ばかり羅列してあるわけでありまして、この表を見ますると殆んどが大麦と燕麦、「なたね」、この三つだけがとにかく増産になる、あとのものは全部マイナスということがこの表に現われておるのであります。減産であるということになつておるのであります。殊に先ほど来御質問のありましたように、この見込高がだんだん減つて来るという兆候にあるのではないかと我々は考えるのであります。殊に最も関連の深い、又今これからとれまする「いも」の問題でありまするが、甘藷の問題のごときはこれは相当潮害によりまするこの減収というものは、私が静岡県におきまして見た場合におきましては、相当こういう状態では減るのではなかろうかと考えられるのであります。この点も今の御質問に関連いたしまして、甘藷のこの見込額のときよりはまだずつと減るのではなかろうかと、こう思うのでありますが、今のところは各地の御報告を取りまとめたのでありまするから、それによつて出したものと思われるのでありますが、その状態はどうでありましようか、そのお見込みも一つ併せて御回答を願いたいと思うのであります。
  25. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 森田委員お話で私どもの無理に出しましたものを御了承願つておるようでございますので、感謝を申上げますが、こういうような調査を、これは食糧関係の農産物だけ一応全部拾いましたのですが、作物調査としては全部で九十種以上の調査をしているわけでありますが、調査方法もこの中では一番しつかりしていて、労力も殆んど全部それにかけましで、又臨時調査を、国会が遅れました関係で非常に仕事が錯綜いたしておる際でありましたが、食糧農産物ばかりでなしに、他の農産物も、ないよりは増しだという意味で大目に見積りまして、日本食糧農産物がどのくらい減るとか、農業の生産収入がどれくらい減るだろうかというような状況を見積ることは、行政庁としても、国会としても重要なことで、ラフであつて一つの目安になると思つて実はあえて出しました。衆議院では若干気が引けまして、御配付や説明をいたしませんでした。森田委員が特にこの前からお話がありましたので、参議院の農林委員会では一応出しまして御説明いたしたいと思つたのでございますが、このうち冬作につきましては、推定実収高で、少くとも今の統計機関統計調査としては最終のものを挙げました。夏作に至りましては、稲について先ほど御説明申上げましたような状況でありますが、それ以外の作物については、かなり大胆に、又調査期日も臨時調査の時期でない、臨時調査の十月五日は稲だけいたしました。そういうものを掲げておる概況調査の試みに算出した収穫高でございます。そこで甘藷に例をとつて只今お話にございましたが、塩冠水、又淡水でも、冠水、流出、埋没というあたりについては、これは腐敗をいたしたり、流れてしまつたりする場合で、影響が稲と同様程度あるわけでございますが、風害なども、潮風害でも甘藷は影響はありますけれども、相当大きくありますが、稲ほどではございません。特に晩稲ほどではございません。稲でも晩稲でないものは影響が少い状況であるわけであります。併し収穫、栽培及び収穫期が稲とほぼ同期間のものについては、稲の調査が新らしい調査であるのに反しまして、他は全部まだ古い調査でございますので、甘藷、馬鈴薯から雑穀十三種、「なたね」は冬作ですが、雑穀十三種について、そのようにこれを見て頂いて下されば非常に幸いと思います。生産見込高と言つてもまだこれはそのうちの大見込高、こういうふうであります。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと安田さんに伺いたいのですが、統計調査の数字と食糧庁の各県の供出割当とどういう関連があるのですか。
  27. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 最終的に大臣、次官が食糧庁長官と私と一緒にお答えしないといけないかと思いますが、部局は分れておりますけれども、同じ農林省ですから、私が考えて処理しておると、こう申上げます。農林省が今供出行政をやつておりますものは米である。農産物安定法、その他の法律によれば、間接統制をやつているものはたくさんありますが、通しというお話ですから、米で申上げますと、米の生産高の統計といたしましては、統計調査部の統計以外を採用いたしません。私のほうの調査を従つて利用する場合は、供出にもあり、食糧輸入にもあり、農業保険にも相当程度あり、農業改良事業にも、被害応急対策にもこれを基礎にいたしております。併し統計は稲作について申しますと、面積、収量、被害等調査によりますが、おのおの県と郡と市町村等に分けて申上げておるわけであります。そしてその内容も食糧庁によくお話をいたしまして、食糧庁は国の機関調査したもので、生産高としては、日本にあるうちではまあまあ一番総体的に正確だという考えを以ちまして、統計調査部の、いわゆる作報調査を先ず胸に入れてもらつております。それに食糧庁が別途食糧割当乃至配給行政上必要だと思いまする、どういうふうに供出、非供出或いは配給の農家があるかということから、どの程度米食率を供出割当上計算するかということとか、それを含めて全体の保有をどう考えるかということ、又供出制度の運用からいたしまして、県別にどれだけ割当てるとか、県に割当てる場合には義務供出を含めて、なお超過供出をも含めた目標の供出量をどう見るか、それから県内に割つて行くには農家まで下りるわけですが、非常にむずかしいことのようでありますので、県内割当事情などを見まして、これを如何に利用するかを食糧庁研究をいたします。私どもはその場合でも又そういうことを考えて、統計はどんなふうに読んで下さつていいかを説明したり、了解を願つたりいたしておるわけでありますが、併し何しろ農業調査であり、供出は行政でございますので、そのときの社会、経済条件と行政能力、こういうこともございますので、割当方法ということもございますので、別に整えなければいかんとは言つてありませんが、農業委員のお方の意見とか、見積りとか、県の見るところの生産なり、供出可能量とかをよくお聞きすることになつておりまして、これを私どもの生産高と多年のデーター及び経験からする供出可能量、供出義務量へ実現量、こういうものを見まして個々に話を聞きながら、話しながら、そして価格政策の奨励金とか、基本米価とか、義務とか、こういうものを見て、そういうふうにして話合できめることになつているのであります。県や農業委員の場合には一般的にむずかしいという運営論とか、被害だけの見積りを言われる場合と、およその生産や面積を言われる場合とか、台帳だけの面積を言われて最近の作付面積を言わない場合とか、一応農林省がお聞きするほうについては非常にばらばらのもののようでありますが、割当をいたします具体的な交渉行政の場合には統計調査部は関与はいたしません。そういうふうになつております。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 統計調査部長からそういうふうなお話を聞くのは非常に意外であつて統計調査がこれだけ厖大な組織で苦心惨胆して作つた数字が、食糧行政をやる場合に食糧庁で単に参考にしておる。平たく言えば単に参考にしておるという程度だと思う。一歩も前進していない。そういう場合に、本年のように凶作だ凶作だいつて各県で騒いでおるときに、一体私は収拾が付かないと思います。本年は農家から見れば農業政策食糧政策によつて蹂躪されるという年だ。食糧政策と農業政策と違うのですよ。そこで農家の経済に立つて農家の経済を守つてくれるのは……、何も私は甘くしてくれというのではないのですよ。毅然たる態度で統計調査事務所が私は職務に忠実であつて頂かなければいかんと思う。それを食糧庁食糧行政だけしか考えていない。食糧行政によつて農業政策というものが蹂躪される年が今年なんだ。私は先ほど統計調査部長から、白井さんの質問で、今後の見通しは減るか殖えるか、まあ減るほうでありましようというような……、私は安田さん自身はちやんと見通しを付けておると思う。ところがいろいろ食糧策のほうの観点から、農林大臣が今食糧政策だけを考えておるから、そういう観点から、あなたに何となしに私は圧力が加わつておるのじやないかと思う。だから発表する数字も成るべく遅らす。要求があるから仕方がないから出す。それも一遍に余り大きな減の数字を出しては非常に困るから、小出しに少しずつ出して行こうと、こういうことだろうと思う。これは私は結果的に見れば非常に食糧政策そのものが混乱する。初めのうちは外米十万トンも余計輸入すればいいだろうと言つたのが、この頃では五十万トン輸入しなければならん、人造米の話もこのころだんだん大げさになつて来た。初めのうちは来年の端境期までの国民の食糧政策の需給推算を出していたところが、昨日あたりの新聞を見ると、食糧長官あたりが、目先の食糧政策をやるほかには方法がない。需給推算は二、三カ月以内には出ない。このうちにはあなたのほウで十月十五日の数字を出されるとして、今度は二、三カ月その日暮しになつて来ると思う。そういう意味合から、もう食糧政策にあなたのほうの数字が利用ざれるのでなくて……、言い過ぎかも知れませんよ、言い過ぎかも知れませんけれども、食糧政策にあなたのほうの数字が利用されるのでなくて、食糧政策を統計調査の数字がリードするという形が私の統計調査に対する期待なんです。私は又そうでなければならんと思う。これは甚だ安田さんにきついことを言うようですが、私はもう少しあなたの性格上、はつきりときつく私はやつてもらいたいと思う。そうでないと農家が困りますよ。私は農家に甘くしてくれというのではないのですよ。農業政策食糧政策によつて蹂躪される年が今年だと、そういうことのないようにしてもらうのは、期待はかかつてあなたの肩にある。こういう点について率直な御意見を一つ伺いたい。
  29. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 誠に結構なお叱りと激励を頂きまして感謝いたします。(笑声)農林大臣が、こういうふうに政治や行政をいたしたいと思つておられることが多々あると思いますが、それについて私どもは事務的と一応申しますが、本当の私の腹は農林統計大臣のつもりでありますが、他に制肘されず客観の事実を掴む。それから調査方法としましては、幅の大きい予測を加えないで、数字を出す際には現われた現象を実測してやる。全部実測すると大変な人と経費がかかるから、標本方法をとる、又末端も行政政治機構と一緒にならないように圧迫を受けたり、性格上影響を受け過ぎるようでなく、成るべく独立した組織でやる、そうして現在まで三年半やつて参りました。今年の稲作について今日まで公表或いは又御報告申上げたうちで、農林大臣がこういう数字にしてくれとか、こういう傾向の数字にしてくれと言われたことは一つもございません。いつかの委員会でもお話申上げましたのも、単に自分の見たところとか、意見を申上げまして、どつかの地方で違つた自分の感想を言われたことはあつたようでありますが、そういうことはございません。同じ年の稲についても刻々状況が、数字が変つて参りますのは、その間に変化の現象が起きて、台風が来たり、病虫害が起きたりする故でありますが、冷害などは掴む時期を成るべく稲において現われた時期であるようにしてやつておるせいであります。併しそういうことだけをゆつくりと立派にでも仮に実施いたしましても、政治や行政は先を見て、落着く先にほぼ間違いがなければ反対の傾向にならんように、出直しは少しすればいいというのならば、先に行くようにというようにやるべきでありまして、これは私どもの側から申しますると、統計の利用の仕方、政治行政が利用する利用の仕方というふうに思つておりますが、その利用の仕方と共に利用の面があるわけであります。食糧供出は現実に今進んでいる具体的な行政で、補正予算、予備費等を出す場合の災害対策の事項は、これは焦眉でありながら、近くこれからやることであり、凍霜害にもすでにやつたことでありますが、その際に大蔵省等に要求する予算面についで、補助金、助成金の場合にはこのまま使つた場合がいいのか、一割を加えたり、二割を加えたりしてやつたほうがいい場合と、それぞれ所見を述べて各局長お話し、大蔵省にも話しております。食糧供出行政につきましては、調査一定時期に全国まとめる要もありますが、法定公表はその時期々々に一斉にやつておりますが、その間にも被害が起きたり、他の数字になるという場合には、食糧庁だけには特別個別折衝して、生産者側と言いますか、県庁を含めて全部生産者側と、一応大ざつぱに言いますると……。要するに現地の事情で私どもの思つておることを話しまして、それを利用して公表数字はずつとまああとでまとめてやるように骨を折つております。そうしていろいろこの統計調書において出した数字そのものを、何々共済保険とか、供出とか、何とかの行政にきちつとそのまま使つて、それで行政なり政治を押してしまえ、対策を押してしまえというようなふうに、先生はそうでないかも知れませんが、それに近く考えておいでと思いますが、その間には行政のやり方もあるのと、行政部局が分れまして、例えば割当を個別要請で話をきめる際には、農林省間では調査機関調査機関であるようにとして、或いは統計をとる組織なり、私自身にそのときの雰囲気が頭に入つて、知らずて統計がゆがまないようにという両方の意味がありましようが、慣例と農林省設置法の分掌規程と、そういう配慮とを加えまして、全然入れないのであります。併し両方が、例えば食糧庁などが統計知識が、数字は同じ数字を頭に入れましても、まだ弱い見通しをこのとき入れたらいいじやないかというときに、二十万減るか、十万減るか、恐らく私よりは勘がにぶいと思います。或いは作付面積でも台帳を基礎にして、土地台帳というのは非常に現実と違いますが、それを基礎にして出しておられる県庁とどうしても話が付かんという場合がありますが、そういうときには連絡がございますので、やはりその場では中に入りませんが、そのとき見解を述べまして、それで直してもらう。従つて食糧庁が統計を利用する上において、多少いろいろ年によつて統計を利用する度合が違いますけれども、利用する度合で最後の場合は必ず作報、いわゆる統計調査部の統計でやつております。それから折衝に困つて事態がわからなくなつたような場合、これは中へ入りまして、例えば今年で言えば石川県の割当をきめたすぐ直後に修正をいたしました。福井でも同様であります。宮城は事前の折衝中に、もうどだい話が違うやつを、そういうときにはすぐ利用の仕方まで話して新潟と共にこの間きめてもらいました、ただこの際今政府の供出制度運用上、食糧政策の集荷方法としましては、強権発動などできるときでもないから、義務割当というものと超過供出という価格制度なり、或いは集荷方式を加え、農民の協力を得た自由販売、自由集荷と申しますか、任意供出のものとの両面を持つておるわけであります。この場合は作報数字から販売可能量、供出可能量の限度をいろいろ考えますが、そういうものを見て弾きましたものの中で、県間にバランスがあるように食糧庁で義務と供出可能量とを見まして、そうして相手の言うこともよく聞いて、これは知事会の決議でもありますので、他の調査というものの意見を聞いて、そうしてそこの間で切るようになつておりますので、話を付けるようになつておりますので、一口に申しますと、おのおのの行政、政治措置対策によつて利用の仕方が違いますが、先生のおつしやるようでなしに、統計は統計として分れておりますが、非常に強力にやつておるつもりであります。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 強力にやつておられるとおつしやるけれども、結論的には私が本年の割当あたりを、この目で見たり耳で聞いております程度では、どうも食糧庁の供出割当が、あなたのほうの数字を余り重んじておらんなとう。あなたが期待されるほど、食糧庁はそれほどあなたの数字を私は重んじていないと思うのです。それが私は非常に危険だと思います。今年のような年に私は災害地はもう徹底的に救済してやる、便乗型は徹底的に排撃したらいい。非情に又この便乗型が多いのです。この便乗型を排撃するための手段というものは、あなたのほうの数字以外にはありませんよ。私は伺いたいのですが、一体あなたのほうで出しておられる数字というものは、各県のあなたのほうの出先から出ました何%々々、その数字そのままを集計して出しておられますか、それとも各県から出ましたものを、本省は別の機関調査されて、それを幾らか修正しておられますか、その点も伺いたいと思う。それからあと御質問があるようだから、一緒にまとめて御質問いたしますが、白井さんから品質の問題に触れられましたか、この品質の問題で、農民はすでに非常に被害を受けておりますよ。この間もこの委員会食糧庁の長官に言つたんだが、今年のような作柄なら品質は非常に低下することは二カ月も前かりわかつている。従つて食糧庁が米り販売価格をきめる場合には、昨年まで三等基準であつたものが、当然四等基準若しくは四等と五等の間に基準を持つて行くべきですよ。ところが依然として昨年と同様に三等米を基準として米の販売価格をきめている。然るに今集まつているものはどうか、平均して四等若しくは四等以下でしよう。そうすると、三等と四等と基準の置きどころが違つているわけです。その基準の置きどころが違つているというのは、それだけ食糧庁農民の犠牲において特別会計が儲けているということなんだ。これは私の言うところの一つの例でありますけれども、農業政策食糧政策の犠牲になつておる一つの現われなんです。こういう問題につきましてて、統計調査のほうでも品質の問題などとつくにわかつている。これを統計調査の数字を重んじているならば、食糧庁は三等米など従来と同様の価格の立て方はしないわけなんです。数字にいたしましても、この前九月の十五日、九〇%と発表されましたが、あなた自身もあの発表をしながら、この次の発表をするときには八〇何%という見通しはあつたと思う。我々は各県の田舎廻わりした模様で、各県も知つておりますが、少くともあの九〇%という数字を発表したときには、この次にがた落ちするぞということはそのときからわかつている。それを九〇%と発表して、九〇%を基準にして食糧政策を立てるから政府は泡を食う。先ほども冗談に言つたんだが、この頃の食糧政策は猫の睾丸と同じだ、後ろからばかり見える、もう少し先が見えなければ駄目なんだ、今頃麦に対して何ら対策を立ててない、そういうことですね、私はそれもこれも皆先の見通しを付けさせるのはあなたがやらなければならん、やらなければあなたがやらせなければならん、私はそれをあなたに期待しておる。こういう点について、甚だくどいようでありますけれども、どうもこれは統計調査自体の問題じやなくて、国の一カ年の食糧政策を過ちますよへあなたがもうちつと、毅然たる態度でやつてもらわんというと……。それをあなたに申上げておきたい。
  31. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) おおむね私がお叱りを受けることではないように思いますけれども……。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 そうそう。
  33. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 一応お答えを申上げますと、食糧行政、特に需給計画とか、需給推算とか、そのうちの国内問題の各県への供出割当とかいうものについて、統計調査を軽んじておるという点でありますが、実はこの公表いたしました……、よくわかるように例で申上げますが、一昨日でありましたか、午前三時に最後の集計を終りまして、主務大臣に報告を申上げ、そのとき御了承を得ました。皆職員がその前四日も徹夜しましたので、公表は二日ばかり遅らしてと言いましたが、食糧割当の何県心々以下数県が翌日になるから、どうしても口でいいから早く食糧庁は話してくれというので、引続いて全国関係県には特に詳しく話して、その翌日の供出割当戸別折衝をされたのであります。その利用の程度は必ずしも私は詳しく知りません。統計は外部から圧迫されることのないように最善を尽しておりますが、行政がなお圧迫されないことを期待しておるのであります。私は地方の方が見えましても、今年はお前の数字は高いじやないかとか、低いじやないかということは余り聞きません。本当にお前のところはよく調べてくれということが多くて、私のほうはこうだという数字が殆んど私のところに来たことはありません、農業委員からも知事からも……。そういう意味におきまして、食糧輸入或いは他の関係でも、気付きましたことは、御援助と同時にやつておりますが、それ以上に進んで統計調査部長なり、統計調査部というものが、金融とか、供出とか、被害対策とか、品種改良とか、その他の対策そのものをやれというふうにおつしやつて下さるなら、私を大臣か次官にして頂かなければできんと思います。若しそうなれば必ずやると思います。第二点の中央と地方の私のほうの数字は一致しておるか、地方報告を中央で変えるかと言いますと、結論で言いますと一致しておるとも言えますし、変ることもあると申上げたいと思います。併し一致しておるという意味は、地方の事務所と出張所とが実は分れておるものではありませんので、出張所は事務所調査を県区域で、調査単位は作付地では二町歩ごと、被害などは被害程度ごとの階層別、そういうものを基礎にしてやつておる現場の調査事務の溜りでありまして、事務所と出張所と独立した別のものというような差がないのでありますが、その調査事項は本省で要綱をきめた通り調査事項でやらしておりまして、例えて申しますと、先ほどのような坪当りの稔実数とか、玄米の量云々というような事項でありますが、その事項は実測としては出張所の職員の現場の者だけにやらせておるのであります。そのほかに作況試験とか、気象感応試験という、別のもつと広区域の試験場的な、私どもがミクロ的とか、分解的とか、むずかしいわからんことを言つておりますが、そういうものは本省でやつております。そこで出張所の実測値と本省と睨み合ぜまして、これでよろしいということになれば、勿論原則は出張所数字のままの推計である、如何にも冷害の見通し、気象条件が出ておるのに、現地の調査が早かつたから実測値に出ていないというところは気象感応試験などから見ましたものから、或いは被害調査のほうから見ましたものから合うようにして、そうして県単位に先ずまとめさせまして、これを本省に送りまして審査を慎重にして作況決定審議会の満場一致をみた場合の意見、一人の反対もないようにまでやりますが、その場合はそのまま行きます。従つて言換えますと、本省でも出張所の、千百五十ぐらいの出張所の実測値を又見るのであります。その場合にどうも実測値と他の調査数字が違う、試験結果と違うという場合は、審議会の判定がありました場合には現地から又人を呼んだり、間に合う限りその部分の再調査をさせまして、そうして中央地方と一致するようにしてからしか出しません。従つて十五日現在調査が月末発表になるように、ほかの農家、部落、町村、郡、県というふうに出れば、下のほうが出れば合計するだけのような統計調査法でありませんので、時間がかかるのでありまして、そういう意味におきましては、最初持つて来ました地方から変ることがあるが、地方がそうでないという場合には決して中央は変えません。その結果は、例えば四十九の私どもの事務所がありますが、十月十五日で言えば一つも変りませんし、東海地方で提出し直しと、説明のし直しがありましたので、一、二違う点もあると思いますが、最終はそのようにして一致したものであります。この際中央が地方を圧迫することはありません。それから小出しにするというのは、小出しにすることはありませんので、統計法で一年も前から、少くとも半年前から夏作、冬作別に分けまして、どういう事項を調べていつ現在の結果をまとめて、いつ公表するかを告示して張り出して前からきめておるのであります。米でも半年前からきめてあります。その通りつておりますが、庁費節減の折柄印刷等が間に合いませんで、一日遅れたことは二回あります。三十日とか、三十一日とか、一日の朝になつたということはありますが、それ以外はないつもりでおります。九%というものにつきましては、どのくらいになるだろうかという際に、大部分の事務所、言換えますと、県区域の事務所から集まつていましたが、風水害地区などは当然に調査も遅れまして、職員の罹災者もあり、調査に入れない土地もありまして、調査が遅れた事項もありましたので、仮にこれを本省で置いてみたら九十一前後じやないだろうか、九十一になるのじやないだろうかということを内部で作つてみたのでありますが、勿論これは公表いたしません。多少はどこかで聞きかじられたかたが外部に話された農林省外の人もあると思います。それが新聞に出たりなどして、然らば全部集まつたときはどうだつたかと言えば八九%であります。そのときに九十一だとか、何とか、かんとか言われておりましたし、八十九になる最終集計が出ておらない。夜中に、米価審議会の会場で寝た日でありましたので、大約九〇%前後と申上げましたので、九〇%と申上げたことはございません。農民の実害の、品質被害を受けておる点につきましては、私どもは非常にむずかしいことでありますが、困難な中を例年にやらない品質調査も加えてやつておりますが、白井委員にお答えしました通り状況でありまして、今後現わしたいと思つております。併し麦の場合におきましても、雨が多くて品質低下が多いじやないか、特に作物の生産調査としては適当でない。収納の調査でも江田委員からでありましたか、当委員会から御要求がありましたから、その後これを調べまして出しましたが、その後食糧庁食糧事務所検査受検成績を見ますと、私どもが当時この委員会でも非常にいろいろ意見が言われました数量上の問題と、品質上の問題におきまして、統計調査部の今年の麦のあの被害を受けた場合の収量と、品質上の問題、品質上の現わし方が決して十分でございませんが、なおもつと十分にやらしたいと思つておりますが、ほかの調査よりは、又当時のこの二、三の委員のお方の意見よりは、達観的な調査の結果によりまするものよりは、もつと正確だつたと思います。米価をきめる際に、従来の三等は、今年の四等にすべきじやないかということにつきましては、これは四等でよいかどうかもまだ問題があるかと思つておりますが、それは冒頭申上げましたように、他の事項と共にそれを立案し、或いは審議し、或いは決定する、それをなさるかたのほうに一つお願いをいたしておきます。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 もう一言だけ……。あなたの御苦心しておられることはわかるが、私が大臣にならない限りはできないというのは、それはわかりますよ。わかるけれども、あなたの主張される通りに、例えば我々でも大いにそれは協力いたしますよ。現に本年は今あなたのおつしやるように、例年と違つて統計調査事務所の所長さんのところに行つて、おれのほうは辛いから甘くしてくれとか、或いはその他いろいろそういつた陳情はない。それほど国会議員というものは、国の大局から見て食糧の問題を深刻に考えておるわけだ。従つて本年こそいろいろな政治的な動きをするよりも、純然たる事務的にあなたのほうで出されたものを最も大きく、高くこれを評価して、そうして食糧行政の基本にしなければいかん、これは一致した意見だと思う。ところがただたまたま、世間は一致しているのだけれども、農林省の内部において食糧庁のみがその考えと違うところに私は問題があると思う。それからさつきの小出しの問題ですが、私が小出しと言うのは、何も九月の十五日とか、十月の十五日とか言わないで、一遍に出せと言うのではないので、初めから八十なら八十という見通しが付いているものを、一遍に八十と言つたのでは天下が混乱するから、九十五から九十にして、それから八十五にして、八十二にすると、こういうような小出しの仕方はやめろと言うのです。却つてやはり八十なら八十のものを早く出すことによつて、混乱することにならずして、おのずから対策が立つわけなんです。私は何も九月の十五日の発表といつても、九月の十五日現在の作柄の発表ではなくて、九月十五日現在に調査したところ本年の収穫高は幾らと、こういう発表でしよう。だから目附そのものは、その日に若し稲を刈つたらというものではなくて、本年の作況というものは九月十五日の見通しではこうだと、見通しが入つていないからこういうことになる。なぜ見通しを入れないかというと、見通しを入れさせないような何か食糧政策上のあなたのほうの圧迫があるのではないか。これは邪推かも知れないが、例えば十月五日の分も、もう少し十月の十五日なり、十月の二十日になればもつと下るのであるから、その下るものを早くあなたのほうの見通しを出して、これから一つ食糧政策の基本にしたらいいじやないかと、こういうことなんですよ。要するに結論は、私は何もあなたに文句を言つているのではない。要するに本年くらい統計調査事務所がしつかりしてもらわなければならないときはない。私はこの間地方調査に参りまして、本年は非常に作況が悪くて農家は困つておるけれども、統計調査事務所自体とすれば、本年は忙しい代りには、本年くらい統計調査事務所が世間から認識を深められる年はないのだ、従つて統計調査事務所自体にすれば非常に本年は恵まれた年だと、こういう5冗談まで私は言つたのです。これは決して冗談ではなくて、統計調査事務所に対する期待が非常に大きいわけです。そこで私は、いわばあなたに激励をしておるわけです。激励する以上は私は十分協力すべきところは協力しますから、しつかりやつてもらいたいと、こういうことです。さつきの四等米の話も、これはあなたのほうで四等もどうかと思うという話は、もつと四等以下に米価の基準をきめなければいかんと、こういう意味じやないかと思うのですが、あなた自身がそういうような考えを持つておるにかかわらず、食糧庁は昨年と同様に三等米に基準をきめておる。この四等と三等との差額というものは完全に食糧庁は不当な利得ですよ。こういうことは一体統計調査事務所長としてどうですか。私は大体安田さんは食糧庁におられたから食糧庁のことに同情があり過ぎると思う、あなたは食糧庁のことを余り知り過ぎておるから……。同情はいいが、恋をしてはいけませんよ。私はその点についてあなたに幾度も申上げますが、大いに一つ本年は頑張つて食糧行政に過ちがないように、かたがた食糧行政が農政に大いに悪影響を及ぼさないように一つつてもらいたいと、これを私はお願いします。
  35. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) お答え申上げるまでもないことと思いますが、激励をして下ざいました点については、十分に私ばかりでなしに末端まで浸透しましてしつかりやらせますし、又安心できるように行政改革などの点についてもやりたいと思います。予算本局様であります。食糧庁につきましても、私は安本と食糧庁において短期間おりましただけで、余り詳しくありません。友情は持つておりますが、同情や愛情は持つておりません。特に現陣容については何も恋をいたしておりません。
  36. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 折角統計調査部長さんがおいでになつておるときでありますから、一言お尋ねしたいのでありますが、今回発表されました産米の指数が全国平均八三%ということでありますが、私の考えでは更にこれが減るのではないかと心配しているわけであります。それにつきまして、先ず作柄から見た指数であろうと考えます。実際に俵に入れます場合には更に非常な減収が予想されるわけでありますが、先ほどもも一坪のいわゆる坪刈りから来る粒数計算でも言われておりましたが、大体品種によりまして一升の粒数に相当の差があることは承知しております。平年作における粒数と今年のような凶作の場合における粒数とは莫大な相違があります。従つて例えば農林二十九号あたりの粒数は、豊作時における一升の粒数は五万九千粒くらいである。然るに本年のような場合には四、五千も一升の粒数が減つてしまう。そういうことになりますと、一坪におきまして坪刈りの粒数が相当数ありましても、例えば六万粒ありましても一升には満たないというようなことから、俵に入れる場合における減収というものが相当見込まれるだろうと考えます。そこで私は、主なる品種の一升の粒数と本年の粒数計算がされてありましたならば、本年の一升の粒数がどれくらいであるか。検査がまだいたしてありませんければいたし方ありませんが、ありましたならば、それを一つプリントにして配つて頂きたいと思います。以上であります。
  37. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 河野委員のおつしやつたことと只今の御意見と両方について申上げますと、余り数字まできちんと出した将来の予測をやるのは統計ではないと思います。大体そのときの事実の現象で統計を出して、こういうことがきちつと予測されるということは、数字にまで現わさんようにしておるのであります。冷害でも、その他でも、この御配付しました数字表の中には勿論入つていませんが、解説、説明の場合にはいつでもその問題を入れて書いてあるので、よく過去のやつをお読み下さればおわかり願えると思います。それから只今お話は、各地で早中晩生種、同じ晩生種と言いましても、品種が同じでも、早く植える県、遅く植える土地というので、晩生になり、中生になりしておりまして、県内地帯別に非常に差がありまして、そう簡単に……、全国なんというのでも平均すれば出ないことはありませんが、架空なものが出るわけでありますが、目下国会で御要望のこともたくさんやつております際、いささか提出は困ると思います。先ほど申しましたのは、稔実粒数のことを主としてやるべき時期が今の時期だと考えますので、一升粒の場合には玄米にしてやる場合でありまして、玄米でやる時期は推定実収高調査の時期がそうであります。そのように御了承願います。
  38. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そうすると、発表できないのですか。
  39. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 発表したら印刷でも一月もかかるような……、細かい品種別、地区別、その年に植えた別、それから過去のものも出さないというと意味をなさんと思うのです。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは九月十五日の大体の公表数字とみていますが、その後大分違つて来ていると思うのですが、その後の分は大体集めておられるのですか、どうですか。それから又聞きたい。
  41. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) この次は……、十月五日現在は衆議院の農林委員会の要望に従いまして、私どももその間に変化が余り大き過ぎるという実態が当然に認識されるので、労力経費なども考えていたしましたのですが、そういうことでなしに、十月十五日に調査をやることに初めからなつておりますので、十月十五日現在を月末に公表いたします。その次は又各地収穫期が違いますが、坪刈りを中心にして推定実収高調査をやります。又被害については目立つた被害の集団地域、主要被害の目立つた集団地域については、その被害が収まつて被害高がわかりそうな時期に、その都度土地、ことにやつて行く、これを如何にまとめて、いつ発表するかは、定期調査の時期の、この次で申しますと、十月十五日現在を月末に、その後は十二月に入りますが、そういうふうにいたすつもりであります。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体今年は異常天候で、稲は殆んど田圃にないのです。そういう実情で、そこで先般も府県の事務所長などから話を聞きますと、実際自分らは与えられた基準でやつて報告はしておるが、実際米を作つておるものを見ると、全く別な感じがしています、こういうことを言つておるのですが、全く別な感じがしている。併しそこまでの基準が与えられておらないので、まあ今までのやり方は粒数とか、茎数とか、結実の様相とか、或いは坪刈りの結果とかでやつておりますけれども、実際こしらえたものを見てみますと、自分らのやつておるものが全然間違つたとは言いませんが、予想外であつた、こういうことを発表しておるようなもので、実際は今与えられた調査基準と言いますか、基準と事実と大分違つたものが出ておる。こういうものが出ておりますから、従つて先ほど白井さんが言われたような、そういう報告がありますならば、大体あなた方の手で、自分の公表した報告よりもまだこれくらい減少するのであるとか、どうとかいうことが大体予想ぐらいは付くのじやないかと、こう私は思うのです。勿論そういう報告があるとするならば、至急今日聞かんでもよろしいですが、集計したもので、まだここへ与えられたこの資料ですね、この石数のはつきりとして出た資料です、九月の十五日の現在の減免石数、これからまだどのくらい落ちるのか。すでに十月五日の分がパーセンテージで出ておりまするから、この数字も大分違つて来ておりますから、それも違つて来るだろうと思いますが、現在の石数はまだこれには出ておらない。十月の五日の分には……。だからそれらの点を一つ至急に調べてもらいたいのです。
  43. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 便宜時間を省略するために指数で説明しましたが、そのあとのほうに、県単位の反当収量と収穫高の石数はそこに入つておりますから、見て頂きたいと思います。もう一つは災害対策を講ずる時期とか、審査が終つて必要な時期と、そういう場合には、定期調査外でもこれは出してもいいという、統計良心の許すようになりましたらいつでも出そうと思います。それから質の点につきましては、白井委員にもお答え申しました通りであります。事務所長の、或いは事務所の職員が、清澤委員に申上げましたことは、調査困難の実際の体験を漏らしたので、それを決定発表的にしたものじやないと思いますが、実態は同じかも知れませんが、この点は先ほどの河野委員及び森田委員の御質問に対して申上げましたように、例えて申しますと、私は例で申上げましたが、潮風害を受けたようなものにつきましては、その而も晩生の対象、大正赤穂とか、千本旭とか、そういうふう左品種を植えた時期、いつが開花授精か、相当稔実が過ぎたときかによつて違いますので、この数が六十年来とか、何年来の被害しかありませんので、データーが実はないのであります。今のところではジェーン台風の際に測量しましたのを尺度にするように言つておりますが、それでも実態に合いませんので、各地で考え考えやつておる苦衷を言つたのだと思います。それに応じましては、本年度からブロックごとに被害統計の被害調査指導官を十人ずつ置いてもらいまして、全国ブロックごとに十人、そうして目を揃え、考えを揃え、実験データーを持ち寄つて関係地域が県でばらばらにならないように、中央からは基準が下せない、データーがないものについては、その場でそのときに調査に当つて作るようにしておるわけでございます。全く十分とは私まだ申上げられないと思います。
  44. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) なお御質疑があると思いますが、この問題は明日以降にも続いて審議をいたしまするから、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会