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河野謙三君 私は昨日
大臣お見えにならなかつた際に、肥料の問題、「わら」工品の問題、これをお尋ねしたのですが、結論的にどうしても
大臣から御
意見を伺わなければならんというので、保留しておきましたが、その前に私は米の問題をちよつと
意見がましいことを申上げたい。この頃政府の出される原案があつちにぶつかり、こつちにぶつかり、結論が出るときにはだんだん改悪に
なつて来る。例えば今年の麦の
価格の
決定の問題、一応
農林省が出す場合には公平の見地に立つて、一応事務的に非常に整然としたものを出されるのですが、それがだんだん改悪され、先ほ
ども申上げたのですが、行政と政治とは違いますから、行政的な面から見たものを政治的に直すということはあり得るのですが、特に私は最近の米の問題、私は率直に申上げますと、この間の
米価審議会あたりで、政府があのように唯々諾々として妥協されることは非常にけしからんと思う。それは公平の見地に立つならば、米は基本
価格一本でなければいけません。超過供出奨励金、早場米奨励金が汽車の物売りのように次から次へお負けを付けたりしては私はいけないと思う。普通に供出される人は九千円でしよう。ところが早場米一期の人は千三百円とか、第二期の人は九百円になる。恐らく食糧庁からお米の買取りのために支出される金の平均は一万円弱だと思う。こういうのは私は非常に不公平だと思う。だから私はここできまつたことをどうこうと言うのではありません。私がどうこうと言つたところで仕方がありませんが、今後
農林大臣の気持において、こういうものをだんだん整理をして、食糧政策は、殊に米の政策は基本
米価一本で持つて行くというお気持に立つておられるのか、
農林省は……。政府も相変らず早場米を三割殖やすとか、超過供出をもう千円殖やすとか、そういうことをおやりになることが、米の政策上公平だとお考えに
なつているのか。私はそれは逆だと思う。ところが逆だと思つているにかかわらず、私の見方からすれば、だんだん一年ごとに逆に
なつて行く。政府の原案を見ると、原案はいいのだが、それがあつちにぶつかり、こつちにぶつかるとだんだん悪くなる。我々議会人も大いに反省しなければならんところがあると思うが、これについて根本的に今後どのような方向に持つて行くのか、伺いたい。肥料の問題は、実は去る十六国会に硫安需給安定法という法案が出ております。ところが今始まつたことではありませんが、この春以来今日までの
経過を見ますと、硫安以上に農民は徒らに高いものを買つているのは、過燐酸とカリであります。カリのごときは、昨日も
農林省の
説明によると、塩化カリの場合は当然一俵七百四十何円で
地方の小売商に行くべきである、それが高い。佐賀県に行つて
農林大臣の選挙区のかたに聞いてごらんなさい。九百円以上であります。過燐酸につきましても、政府が責任を以て業者と全購連との間にあつて安定帯
価格を
決定した。ところが安定帯
価格というのは、そんなものは吹つ飛んでしまつて、それよりも数十円上であります。これは臨時的な問題かというと、根本を探つて見れば臨時の問題ではなくて、今後
相当この問題は続く問題であります。そこで私はこの際過燐酸も輸出しなければならない、輸出の問題もありますが、硫安と本質的に違わないのであります。硫安需給安定法の中に、最近の過去半年なり、一ヵ年の
状況経過を見て、硫安需給安定法の中に、将来を見通し、過去一ヵ年の
経過を見て過燐酸なり、カリを追加される御意思があるかないか、これを私は昨日伺つた。ところがこれは事務当局の答弁の
範囲でありませんから、
大臣に伺いたい、こういうことであります。それからもう
一つは、あなたの選挙区に非常に御
関係のある「わら」工品の問題、私は農民を取巻く経済の中で「わら」の経済は非常に重大だと思う。ところが、最近副業としての「わら」工品について政府が少しも政策的に「わら」の経済を考えてやつていない。
一つの例が米の問題に出て来ておる。古い俵を政府で使わせるような米の政策を取らなければいかんと思う。ところが古俵と新俵と両方を、同じ米一俵でありながら、古俵も検査はちやんと通つている。現実に合格しているものを昨年は古俵を二十六円で買つている。それはどうして二十六円にしたかというと、古俵の市況を調べて、例えば
東京、横浜、名古屋の古俵の市況は二十円である。それに運賃、諸掛りが加わる。だから
農家の手に入るのは古俵は四十円である。だから四十円が古俵の原価である。国でそういうことをきめておる。これは理論上は
農家の手取りから言えばそれで損はない。ないけれ
ども、そういうことは、一ぱい一ぱいということは、面倒な古俵は使うなということに
なつて、そうして古俵を都会でいい加減に使われてしまう。
地方では新俵を使わなければならんから、新俵を余計作るから「わら」が高くなる。副業としての「わら」工品、
関東で言うならば
栃木県、
千葉県、
茨城県、これらの「かます」を作つている人は皆「わら」を買つている。「わら」を安くしてやらなければ副業としては成立たない。又「わら」を安く得られることによつて初めて有畜
農家でも何でも「わら」に関連を持つ農業経営というものは楽になる。そういう
関係から行きまして、ただ米との
関係においての古儀の扱いにおいても少しも政策的に扱つていない。
農家も古俵を買うのは原価が四十円、
従つて政府は二十六円で安く買つて売るときには高く売る。さつき
食糧庁長官に伺つたのですが、食糧庁はたくらみによつて儲けた。もう新俵と古俵の開きが三十五円に
なつている。私は食糧庁が儲かることはいいけれ
ども、いけないなどと、そんなけちくさいことは言わんけれ
ども、「わら」の経済から言つて「わら」に対する政策が
一つもない。現に
農林大臣、あなたの選挙区に属する佐賀県は「わら」工品の産地で、「わら」の経済というものを農業経済局と食糧庁との間で
総合的に研究されて、こういう問題をやらなければならんと思いますが、これらの問題について
一つ御
意見を伺いたい。