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1953-09-29 第16回国会 参議院 農林委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月二十九日(火曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済   局統計調査部長  安田善一郎君    食糧庁長官   前谷 重夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (昭和二十八年産米価格に関する  件)  (昭和二十八年稲作等作況及び対  策に関する件)  (合成米に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開きます。  本日は昭和二十八年産米価格の件、昭和二十八年稲作等作況及びその対策の件並びに合成米の件を議題といたしまして、委員会散会議員食堂において合成米の試食を行い、続いて千葉市の合成米工場を視察いたす予定であります。  なお昨日の委員会におきまして、肥料の問題につきまして、河野委員から農林大臣に対する質問が保留せられておりますから、これも時間の余裕がありますれば追加する予定であります。非常に日程が詰つておりますし、又午後は一時半頃ここを出発する予定でありますから、そのお含みで一つ審議を願いたいと思います。  農林大臣閣議が終りますれば出席をいたすそうでありまするが、只今農林省統計調査部長が見えておりまするから、先ず本年産稲作作況につきまして説明を求めたいと思います。
  3. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 大変遅れまして恐縮であります。本年稲作の最近の状況でございますが、私どもにおきましては、九月十五日現在、言換えますと、台風第十三号を含めない調査を取りまとめ中でございまして、昼夜兼行、ここ数日、実は昨日、今朝も間に合いますようにと思つて勉強いたしましたが、まだ整理過程でございまして、特に御関心の深い冷害低温についての障害に関しまする極端な北海道東北その他の東山地方はともかくといたしまして、関東のように冷害とその他の被害が混在する場合、又九州のほうで、低温障害と言えば低温障害、併しまあ冷害というものではあるまい、或る種の被害が出ておるが、作の立直りで相殺されるような分などにつきまして、本年の調査は極めて困難でありまして、事務所報告に基きまして審議整理中でございますので、その過程のものを申上げることをお許し願いたいと思うのであります。まだ実は大臣にも申上げてございませんので、本来ならば小役人が申上げるのは如何かと存じますが、国権の最高機関の国会のお呼び出しでありますので、あえて事務的に、この範囲ではどうかという範囲を申上げたいと思つておる次第であります。八月十五日現在の調査につきましては、この委員会におきましては、過般私は私ども統計調査部及び事務所において調査をさせて頂いておりまする結果を御報告申上げます。一両日中に、法律によりますと、大体明日ということになつておりますが、取りまとめをすべきことになつておりますものは、九月十五日現在の中間的な予想収穫と申しますか、概況調査でございます。この場合の調査内容といたしましては、各事務所平均二百ありまする作況調査と、早場地帯においては一事務所当方平均千八百ばかりの標本並びに気象感応試験におきまする分葉、草丈、穂数出穂期、穂揃期、全粒数稔実の歩合、更に受精後の登熟状況などの収量構成をなしておりまする諸形質についての実測をしまして、これに併せてできる限り全面的に見廻つて調査いたしますが、一定被害尺度により測定するところの被害調査成績等を照合して作況の判定を行うのであります。更になお本年の水陸稲作付面積につきましては、八月一日現在、従つてその後の被害等を含みませんが、それについての標本実測調査により推計された面積の確定をすべき時期でございます。勿論作付面積におきましては、作物調査員調査によりまして、耕地の拡張、改廃、競合作物増減との照合をいたしまして決定をする段階になつているわけであります。ほかに政府側から御出席もございませんので、又委員の諸先生の中には、過日私が御説明を申上げました際に御出席にならなかつたかたも多々おありのようでございまするから、極く簡単に八月十五日までの経過だけを先ず申上げますると、水稲を八月十五日現在の作況について要約をいたしまするというと、苗代期及び本年初期長期に亙りまする雨の多いこと、日照りの少ないこと、多雨寡照と、全国的、特に関東以西に見られました田植の時期の遅延、その後の生育遅延、これによりまして軟弱な生育を示しておりまして、関東以西においての特徴といたしましては、北日本が比較的そうでないのに比しまして、分葉、茎の数が非常に少ない特徴がございます。なお北九州などを初めといたしまして、相当範囲各地水害がありまして、更に又過般その平年に対する、或いは前年に対する害率を申上げましたけれども、異例の「いもち」と二化螟虫発生が目立つておりました。他の被害は比較的少くありました。これらの悪条件にもかかわらず、東北地方におきましては保温折衷苗代の普及や早植努力或いは耕種改善、こういうような各種の農家或いは農業技術者の指導によりまして、又全国的に発生をいたしました「いもち」病に対してはセレサン石灰二化螟虫に対してはホリゾール等の使用など、かなり努力をされまして、病虫害防除相当程度効果を示したように思います。その総合作況指数は八月十五日現在、実際に申しますと、これを先立つ数日の間の調査でございますが、全国的には水稲平年比九五%、陸稲は一〇一%と見込みまして、この面積を、当時まだしつかりわかつておりませんでした作付概略面積について仮試算をいたしまするというと、水陸合計で平年ならば約六千玉百万石に対しまして、水稲六千三十四万二千石、陸稲百四十七万二千八百十石、計六千百八十一万四千八百十石と見込んでおりました。勿論生育が遅れまして、気象も悪く、病虫害も非常に発生して水害も多い時期でありまするので、当時の稲作作況として、石数として表現いたしまするのは非常に無理があることを附加えて申上げましたのがこの前の委員会でございます。  以下、本日九月十五日現在において把握いたしつつありまして、目下おおむね各県別に当りましたが、約十県に亙りまして近日のうちによく審査して確めてみたいと思つておりまする分がありますが、これについての整理過程のものを申上げます。先ず水稲について申上げますというと、八月十五日以降の経過のうち特徴と申上げまするのは、申すまでなく、皆さん方すでによく御諒察の北陸東北地方の一部に水害を見たほか、主な原因北日本、と申しまするのは東山地方東山地方と申しまするのは山梨長野岐阜を言つておりますが、それより東と申しますか、北と申しますか、それを北日本と一応概略いたしまするというと、北日本における低温影響北海道東北東山地方においての典型的な冷害影響穂首いもち」の被害による作況大変化でございます。これは極めて急激な変化だと技術者は申しております。北日本におきまする冷害について申上げまするというと、気象については非常に複雑な現象を呈しております。昭和九年或いは昭和十六年、こういう場合の冷害とはかなり気象関係或いはこれを受けまする作物の品種の変化気温ばかりでなしに日照などの変化、雨の多さ、こういうものにおいて非常に複雑多岐でございます。その複雑多岐なのを多少端折りまして簡明に特徴を分類して申上げますというと、生育初期から長期の梅雨と低温影響を受けておりましたけれども北日本におきまして、最低のほうの気温最高気温の場合とは違いまして、おおむね平年並又はやや低めという程度でございます。併しそのために全般的に出穂遅延がありましたが、北海道北見地方とその他の山間部、高冷地の一部を除けば冷害現象は当時認められませんでした。この点が昭和九年と十六年の冷害の年と比較しますと非常に違つております。本年は七月、八月半ばまで、九、十六年がその当時からすでに相当低温でありましたものと違いまして、その点については好条件でございます。然るに八月下旬以降の気温は急激に低下をいたしまして、昭和九年、いわんや十六年に比しまては遥かに下廻る、継続をする低温を示しておりました。日照も又非常に少くありましたが、稲は日照のそのエネルギーの二%ぐらいを吸収するもののようでございますけれども、一応影響ございますが、日照を御説明から省きたいと思うわけであります。  本年のこの気象低下は、北海道只今陳情もございましたが、八月中旬、半ばから始まりまして関東では八月二十二日の夜、二十三日から非常に低温になりまして、二十六日には九州にも波及をいたしました。稲の生育から見まするこの冷害特色は、最近全国的に収量との関係で中、晩稲をかなり各地において殖えておりますが、出穂開花期低温障害の場合、受精をした後、米の粒の登熟障害の場合、おのずから生育時期に応じまして、この二つが主体をなしておりまして、晩生種におきましては、出穂遅延に伴う登熟一期間の低温制約制約と申しますのは、今後成熟期に至るときに霜がいつ降りるかということによりまして、今後といえどもなお相当の懸念と不作の条件がございまするが、気象台その他によりましても、よくわかりませんので、それらの制約を省略いたしますが、粒の発育障害において特に顕著な特色が見られるのでございます。地方別に見ますると、北海道は御承知の稲の北限地でありまして、北の限界地でございまして、北見地方においては特に顕著でございます。平年を百とすれば二十二でございまして、或る地方においては、帯広管区においても八%というような、殆んどゼロというところもございます。北見に次いでは十勝、渡島等、これに次いで道内においては全面的に作が非常に不良でございますが、比較的に申上げますれば、上川、空知の地方においては被害が少いのでございます。東北地方においては太平洋岸のほうが日本海に比べて被害が大きいことはこの前も御説明申上げましたが、その後も継続をいたしております。又東北地方におきましては、晩生種出穂遅延受精登熟障害が目立つておりまして、山形、福島などにおいては穂首いもち被害がその後も非常に顕著でございます。この地方においては、あとで申します北陸地方と共に冷害というものと病害というものとが混在をいたしまして、調査或いはその結果により判定いたします場合の対策などにいささか迷うところがあるかと存ずるのであります。北陸地方におきましては、当然に山間地方晩稲の一部においては低温障害相当顕著にございますが、そこを除けば低温による直接の被害はやや軽い、比較的軽いと思います。むしろそれよりも八月中旬以前において相当或る程度作柄を示しておりました新潟、又その他の富山、石川などにおきましても穂首いもち」の急激な進行がありまして、作柄変化の又顕著な地方でございます。関東地方におきましては、北関東東北に繋がりまする山間高冷地でございまして、茨城栃木群馬等におきまして、山間高冷地においてはこれ又冷害と断定してもいいところがありまするが、南関東におきましては、東京神奈川等におきましても、例えば東京駅から約三、四十分東海道線にお乗り下つて附近水田を見て下さつてもおわかりのように、南関東におきましては特に海岸地方におきまして、神奈川から或いは静岡の一部からずつと北へ遡りまして、千葉栃木茨城まで相当範囲海岸地帯におきまして、八月下旬の冷温の下における潮風、強い風との両方の影響がありまして、どつちか一方であればそれほどの被害でなかつたと思われるものが、両方重なりましての当時出穂期にあつた農林二十九号などは黒変或いは褐色に変化をいたしました不稔の籾、実のならざる籾が多数発生いたしております。極く晩生種におきましては当然登熟障害予想されております。これは予想でございます。東山地方においては、先ほど申上げましたように、長野山梨岐阜地方でありますが、高冷地のせいとしまして、冷害を受け、中間地方においては冷害穂首いもち」を併発いたしまして、平坦部においては冷害がありませんけれども穂首いもち」の発生が著しくて、山梨長野など顕著なものがございます。東海道以西の各地方を一括して申上げますのも如何かと存じまするが、一応その地方について申上げますというと、八月下旬は関東東山以北異常冷温に対しまして、東海道近畿中国地方においては、気温が僅かに平年を下廻る程度でございます。四国九州においてはまあ平年を上廻りまして高温を示しまして、南九州四国の一部には旱害発生いたしておるほどでございます。併し稲作としては、かなりの好調を見ておるということが言えると思いますが、西へ行くに従いまして、気温低下は軽微で、天候もそのため良好でございまして、九州地方は漸次作況を回復し、その他の地方においては西に来るに従つてほぼ作が関東に近くなつて来る程度でございまして、一括して申上げますれば、八月十五日の作況を維持しておる状況でございます。陸稲について申上げまするというと、九月十五日現在において、陸稲は御承知通り関東南九州において大勢が決する主産地でございますが、関東におきましても、それ以前において一番陸稲の嫌いまする旱害がございませんでしたので、八月中旬までは一〇一%と申上げましたが、下旬以降の低温多雨によりまして、特に湿害も少し雨の関係で生じまして、陸稲はやはり当時よりも、八月十五日よりも相当低下をいたしております。南九州におきましては、只今説明申上げましたように良好でございまするが、旱害を一部受けまして、旱害影響は、陸稲においては大きな影響を与えまするので、好天にかかわらず作況低下をいたしております。相当著しく低下いたしております。そういう関係におきまして、繰返して二、三の言葉で以て要約いたしまするというと、水陸稲作況総合といたしましては、九月十五日現在においては、水稲においては、主として北日本における冷害と、北陸東山地方穂首いもち」或いはその併発、八月十五日現在の作況指数を大幅に下廻る結果となると思います。陸稲作況北日本において低温多雨影響と、南九州における旱害影響で、これも相当当時よりもこの前の調査よりも下廻ると思います。米価審議会におきまして農林大臣は、私ども調査に基きまして、又その当時は例年にない異常気象作柄変化に応じまして、定期調査のほかに九月上旬の概況調査を余分に調査させまして、調べました結果を申しまして、先刻八月十五日は九五%と申上げましたが、全国において水稲大約九〇%前後と大臣報告をされました。その後十五日までにおきましては若干これを下廻ると思うのであります。一両日中に整理して、大臣お許しを得ましたならば、御報告又は各委員にお届けをいたしたいと思つておりますので、御了承をお願いしたいと思いますが、例を特に顕著な北のほうからでも申上げますというと、北海道地区では、先月中旬より約一七%前後下廻り、東北では約一四%前後を下廻り、北陸では八%前後、東山では一〇%前後下廻るかと思います。その下廻る石数を新らしく最終決定を見つつある作付面積で申上げますと、三百数十万石の減少かと思います。その部分だけで……。東海道以西については全国概況で先ほど申上げたのでありますが、水稲作付面積は先日の十三号台風によるような収穫皆無、流失、埋没等を加えませんならば二百八十八万九千以上の町歩でありまして、前年に比しては約六千町歩弱減少でございます。陸稲におきましては、米価審議会において農林大臣はやはりその後の気象関係影響がありまして減少すると申しましたが、全国的に大約八月十五日よりは五%前後は下廻るかと思います。当然にこれも又北海道は八月中旬より約三〇%前後減少しまして、東北においても二五、六%、併し関東九州が大部分でございますが、九州でも一割以上減少するかと思います。ただ陸稲におきましては甘藷の転作が顕著でございまして、一万一千町歩以上の作付面積の増加が得られるように思います。遡りますが、水稲面積減少増減いろいろありますが、北海道地区転換畑減少東北通し苗代の顕著な減少近畿九州水害による減少が主な原因でございます。  以上縷々申上げましたので、お許しを願いたいと思うのであります。  なおもう一つ附加えますが、過般の台風十三号の被害状況でございますが、必ずしもまだしつかり掴んでおりませんが、愛知静岡、高知、徳島、滋賀、大阪、福井、埼玉、福島或いは岐阜、京都その他山陰地方などは相当被害を受けまして、一体に海岸地帯におきまする堤防決壊、特に愛知など堤防決壊、海水がまだ出入りしている、潮風害、そういうような影響が起きて、蔬菜などへの影響も非常に大きくございます。
  4. 川口爲之助

    川口爲之助君 畑地作付転換の模様を今少し詳しく承わりたいと思います。
  5. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 畑地につきましては、冬作以来総合作付の全農作物についてのいろいろの作付変化の利用の状況を調べておりますが、北海道等においては菜豆などが非常に殖えましたり、豆類が非常に殖えましたり、先ほど申しました甘藷各地において陸稲に変りましたり、或いは「いぐさ」等においての変化も、これは水田でございますが、ありましたが、これはもう少し、十月の五日前後に一つ報告をさせて頂きたいと思います。
  6. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 食糧の不足によつて悩んでおる日本が本年度のような非常な大災害で凶作状況を示しておることを甚だ残念に存ずるのでありますが、只今報告になりましたより以上に私たちは減収がされるのではないかと予想するわけであります。殊に最近における台風十三号の暴風通過後における稲作が、穂首いもち」等が非常な蔓延を来たして非常な減収の様相を示しておりますことを各地から我々情報によつてわかるわけでありますが、農林省としては、今直らにこれの的確な数字を示せと言われても無理であろうと考えますが、いずれにいたしましても、減収は最初の予想よりは第一次、第二次、第三次と集計することに非常な減収になるだろうと我々は想像をしておるわけでありますが、でき得る限りこれが的確な数字をつかんで、成るべく早く一般に公表して頂きたいと思います。それともう一つは、いつも百姓は、とれてもとれないと言う癖があるという考え方から、農家の各都道府県からの陳情や何かがむしろ甘く見ておるという嫌いがありますが、私は今年は逆に農林省の考えておる集計というものがむしろ甘過ぎるというように考えておるものでありますが、こういう点も十分に考慮に入れて対策を講じなければなるまいと考えますので、集計に当りましても十分実際に適合するような集計を切にお願いする次第であります。なお農林省としてどれくらいに今後の減収を見ておられるか、差支えなかつたら発表して頂きたいと思います。
  7. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 先ず第一に佐藤先生のおつしやいまする統計調査部事務所調査内容とやり方、或いは出た結果の数字の出方の問題でありますが、私どもは所定の調査時以後においても、気象観測或いは病虫害発生防除状況から見まして、或る程度予測をも加えて、経験と学問に徴しまして、予測をも加えて数字を出すことも一つかと思いますが、これは北の果ての北海道から九州まで、各地早中晩生種、いろいろございまして、同じ風が吹き同じ温度が来ましても、影響を受ける度合が非常に違うので、大胆に予測を加えることは技術者専門家も不可能と言つております。又かなりそれを見込みますと、各地に振れが非常にございまして、アンバランスがありまして、統計の、十分ではございませんが、今保持している程度の正確さに非常に疑問が附されることになるわけであります。そこで作のよいときは、よい年などは、あとへ出るほどよくなり、作の悪い年、悪条件が更に重なつている場合は、調査時ごとに作が悪くなることがございますが、やはり一定調査時においての現われた現象とその原因がほぼ掴み得る範囲においては、実測値を以て出すようにさせて頂きたいと思います。併し統計行政対策とはおのずからここに問題がございますので、北九州水害の際でも、統計調査部としては努力をいたしましたが、統計面で現われたものと対策面でこれを利用する場合には如何ようにこれを読んで利用すべきかということについては、でき得る限りの調査上の知識と農学上の知識を持ちまして、又地方のお声も率直に頂いて判断しまして、これに加味する、こういうふうにさせて頂きたいと思つておるのでございます。又第二の農業委員その他の地方のかたがたの御意見調査又は私ども調査に対することでありますが、本年度農作物調査についての御理解も深くなつているということもありまして、余り数字を下げよとか、お前の数字は多いと言われませんで、お前を信用するからよく調べてくれ、そういう声が非常に多いのであります。それで私ども被害事故などにおいて、職員、経費等が足りませんから十分でない分もありましようから、是非被害発生場所被害事故、ここは見たか見ないか、そうして又その見解を事務所に教えて下さるように、こういうことを事務所にも伝え、又農業委員その他のお方にもお願いをいたしまして、でき得る限りの努力をさせておる次第でございます。
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと申上げますが、食糧庁長官が見えましたので、時間が非常に切迫しておりますので、なお御質問があろうと思いますが、食糧庁長官から米価の問題につきまして極く簡潔にお話を頂いて、そうしてこの凶作対策米価問題全体として御質問なり御意見を頂きたいと思いますが、如何ですか……、それでは……。
  9. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 先般来から米価審議会におきまして、米価の問題につきまして御審議を願つたわけでございますが、本日の閣議において御審議を願つておるわけでありますが、その原案といたしましたものにつきまして御説明を申上げたいと思います。大体価格考え方につきましては、昨年度同様の考え方によりまして、パリテイ価格が本年五月が二四・八八ということになつておりますので、二十五、六年の基準平均価格パリテイを乗じまして、その価格は七千二百四十五円となるのでございます。なお昨年同様に資材投下量基準年次との変化及び都市と農村との生活水準の上昇のギヤツプ、こういうものから昨年度三百二十九円の特別加算額を加えたわけでありますが、本年は同様の方式によりまして、この特別加算額、昨年三百二十九円を四百三十円と算定いたしたわけでございます。従いまして両者の合計が七千六百七十五円に相成るわけでございますが、これを七千七百円といたしました。先ほど統計調査部長の今年の作柄状況につきましてのお話があつたかと思うのでありまするが、御承知減収加算額というものを五百円といたしまして、そうして八千二百円を支払うということにいたしておる次第でございます。なお等級外の格差につきましては、価格が上りますると、これはまあその価格に応じて割合で開くわけでございますが、本年度におきましては、これを全体額におきまして昨年度と同様にいたしたわけでございます。なお包装代につきましては、二重俵装、複式俵についてそれぞれ十円多く見積つたわけでございます。早期供出奨励金につきましては、御承知のように昨年第一期が一千円でございましたのを一千三百円といたします。又第二期が七百円でございましたのを九百円、第三期が五百円が六百五十円、第四期が三百円を四百円というふうにいたしたわけでございます。そのほかに超過供出奨励金を支払うことは申すまでもないことであります。なお超過供出奨励金につきましては、昨年度と同様農家に対する支払いは一万四百円、それに手数料が加わつて一万五百円を支払うことになるわけであります。なお超過供出の場合におきましても五百円の減収加算額を支払うということに考えておる次第でございます。
  10. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 先ほどの問題と関連しておりますが、台風十三号の被害状況の極く概略のお話がありましたが、これはもう相当経つておりますし、一応は報告はあつたと思いますが、その概況をもう少し、今までの状態だけで結構でございますが、お知らせを願いたい。もう一つ、この前食管長官のおいでの際に、この前の委員会におきまして甘藷作柄状況、最近におきまする米の不作の状態からいたしまして、甘藷並びにその他の雑穀の粒の状況はどうだということは、今日のような食糧不足の状態におきまする今年度の情勢からいたしまして、これを相当突つ込んだ御報告を願わないと、ただまずかつたという米の問題だけの報告でありまして、その他の食糧の問題が非常にはつきりしないのであります。その点を一つ。まあ重ねて申上げますが、甘藷の問題は至急に、米に忙殺されておるから甘藷のほうも近く発表しようということでありましたので、これを御報告を願いたい。甘藷と雑穀その二つ、これを一つ……。
  11. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) いずれも先ほど申上げましたような次第でございます。明日、明後日あたりまでは全く手一ぱい、特に食糧農産物に対しましては取りまとめまして、大臣の御決裁も頂いてからと存じますが、長引かせるつもりはございませんので、数日中にできるつもりでございます。台風第十三号につきましては、実は今朝私のところへ速報的に来ました。愛知県分が非常に多いのでございますが、被害面積等につきまして、速報といたしましては二十三、四万町歩になるかと思います。水稲の話でございます。併しその他にも「とうもろこし」とか、「りんご」、大豆、陸稲、蔬菜の被害、人家、耕地そのものの被害等相当ございますし、甘藷においても被害が多うございまして、関係県は青森、岩手、福島茨城栃木、群馬、埼玉、東京神奈川、石川、福井、岐阜静岡愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、鳥取、島根、岡山、徳島、愛媛、高知、佐賀、熊本、宮崎特に愛知は今朝の報告でありますが、被害の多い所で、和歌山などにおいては、まだその他今後の調査報告に待つものが多いと思いますが、殊に多いのは当然に水害でありまして、十五万町歩ぐらいになろう、冠水が六万町歩以上になろう、浸水が十万何千町歩になろうと思いますが、流失埋没においては一千町歩ぐらいかと思うのであります。台風状況を降雨量、風速等について申上げてもよろしいのでありますが、余り詳細過ぎますから如何かと思います。甘藷につきましては、先ほど陸稲について申上げましたが、まあ地上に穀粒が実るものと地下に根茎が実るものとの間に差がございますが、大別いたしまして、東半分は栄養が過少で、やはり初期生育が悪化して取戻せない、作が取戻せない。西半分は地力が少くて、水稲でもそうでありますが、地表との関係で以ちまして、地力が少くて地上部の生育はいいけれども、掘つて見れば、試し掘り、仮に掘つておりますが、余りよくない。瀬戸内海は割合いいのですが、九州は早魃傾向で悪いということでございます。そういたしまして、今年は大観しまして、前年に対しては九割弱、八八%ぐらいの作のように思います。平年に対しましても九四、五%だと思います。地上に実りを持つものよりも影響が少いけれども、作が悪いということだと思います。春植え馬鈴薯につきましても同様の調査をいたしておりますが、且つ又甘藷は先ほど申しましたように、作付面積の大幅な減少があるだろうから、その作況状況収量的な作況状況以上に減収があると思います。春植え馬鈴薯につきましても、かなり被害がひどくございますので、減収率、被害面積で申しますと、六割ぐらいの被害面積でありまして、地下に実るものでございますが、一〇%以上の減収率を持つておるように思います。各種の被害発生をいたしております。その他雑穀につきましては陸稲より強いものもございますが、一括しまして、雑穀については陸稲で申しましたこととほぼ同傾向と見て頂ければ如何かと思うのでありますが、大豆などにおいては主産地において半作くらいになつております。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 先ほど統計調査部長から中間の報告をもらつたのですが、私は不思議に思うのです。統計調査のほうでコンクリートされた数字はまだ発表する段階ではない、当然まだ時期的にはそうであります。然るに一方においては米の価格をどんどんきめておる。米の価格もきめなければなりませんから、暫定的にきめるのはいいのでありますけれども、特にその中で不思議に思いますのは、豊凶係数から出る五百円をきめた基礎はどこにありますか。これは統計調査部のほうの中間の作柄状況、不作の状況から弾き出した五百円ですか、先ほどお話のように実際と理論とはおのずから別でありますけれども、行政上、事務的に豊凶係数というものは出て来るのですが、それから弾き出したものは幾らですか、それが五百円ですか。
  13. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) お答えを申上げますが、御承知のように豊凶係数の場合は最終的には第一回の推定実収高によつてきまることは御承知通りであります。でございますが、本年度におきましては、只今統計調査部長からも御報告があつたかと思いますが、一応現在までに判明いたしましたものを基礎にいたしまして算定を考えておりまして、米価審議会にも大体概算五百円の加算を考えろ、こういうことの答申もございましたので五百円といたしたわけでございまして、今後実収高が判明いたしますると、更に正確な数字が出ることは勿論であります。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、係数に基くものではなくて、一方米価審議会からの答申もあつた。新聞によりますと、自由党からも五百円という要求があつた。どこまでも終始係数によらずして政治的に出したものですか、これを一応伺いたいと思います。
  15. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 勿論係数に基きまして基礎としては弾きましたが、多少そこに端数の関係がございますので、それは一応まとめたという形になつております。
  16. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、その弾き出した端数までを一つ発表して下さい、差支えなかつたら……。それからもう一つ、今回先ほど統計調査部長の御報告によりますと、漸次作柄の実態調査が進行するに従つて一層この凶作の度合は数字が多くなるだろう。これは当然だと思います。こういう年には……。そうすると、仮に五百円ときめたものを平均して作柄は九〇%ある。これが八五%になり八三%という最終の数字が出た場合には、バツク・ペイの形でこの五百円はプラスされて行くというふうに我々のほうは受取つていいかどうか、御答弁願いたいと思います。
  17. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) バツク・ペイにつきましては、そういう考え方で考えて参りたい、かように考えております。なお先ほどの問題につきましては、一応算定方式等にもいろいろ米価審議会におきましても御討議があつたわけでございまして、具体的な算定方式の最終的なものにつきましては、今後更に専門委員会等において御検討願わなければならないというふうに考えておりますが、現在におきましては一応の算定方式を使いまして、ほぼ五百円に近いところが出て参つたのであります。
  18. 河野謙三

    河野謙三君 それを四百何円か、五百何円か伺わなくて結構です。私は次に伺いたいのですが、今年の作柄から言つて、現に早場の供出はどんどん進行しておりますが、米の等級はどうでございますか、平年よりも四等とか、五等とか、こういうのが私は非常に質的に多くなつていると思いますが、そういう関係はどうなつておりますか。又今まで出ているものの数字、それから統計調査部として今後米の質の点から言つて、質がかなり低下するというお見通しですか、それとも減収であるけれども質においては大体変りないというのですか、これを一つ伺いたい。
  19. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 本月二十日までにおきましては、昨年度におきましての同日の検査成績を見ますと、大体二十万俵に対しまして、これは九月二十日現在でありますが、二十万俵に対しまして、本年度におきましては二十八万俵ということに検査はなつております。この理由は、昨年度におきましては九月中に出荷されまするものが、石川県の分が相当多いわけでございますが、昨年度と本年度との石川県におきまする状況が異なつておりますので、石川県におきましては昨年度よりも倍以上のものが九月二十日現在においては出ておると思います。これまでの統計状況から見ますと、詳しいデーターは持合せませんが、大体昨年度と同じになつております。これは九月二十日現在のものでありまして、今後どう変化するかということにつきましては、まだ事情がわかつておらないのであります。大体現在におきましては旬報で以てとつておるわけでございまして、この次のものは、九月末のものは又出て来ると思います。現在におきましては昨年と大差がないように思います。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 石川県は他県から比べて比較的作柄がいいように聞いておりますから、そういうふうになつているかも知れませんが、統計調査部長に伺いたいのですが、あなたのほうの御調査によりますと、決して昨年度同様な各等級間の比率で供出はあり得ないと思うのですが、特に凶作と言われる地帯、又不作の地帯、これに対しましては、どうしても量の低下と同時に質の低下というものは当然伴つて来ると思いますが、これらについての御調査なり、又お見込みを伺いたいと思います。
  21. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 河野先生の最初の御質問でございますが、病虫害一つ低温障害冷害関係もございますが、開花期或いは穂はらみ、出穂期、開花期、その後というような時期におきまして影響の度合が違いますと同時に、その前の生育状況から行きまして、全体の生育は遅れておりますが、例えて申しますと、北海道には稔実粒数が非常に減少しておつて登熟が悪いから、従つて水分を含んだ生穂重が軽いところの最近の調査の結果が出ておりますし、関東で申しますと、穂の付いた全体の粒数は豊作であつた前年と違いはないが、稔実が悪く出ております。北陸地方で言えば、稔実粒数は前年を上廻るくらいであつた、従つて八月十五日の作柄がかなり出ておりましたが、同時に又去年は北陸地方は非常に不作といつてもいいのでありますが、併しその後の稔実というものは低温影響で非常に悪く、この場合は特に「いもち」の害がひどい、従いましてそれぞれの生育状況被害原因によりまして内容に差があるわけでございます。これを県内の地帯別にも調べておりますが、東山地方で言いますれば全粒数も少くて、稔実も悪い、こういうわけで先ほど河野委員がお見えになりませんときに御説明を申上げました状況に応じまして、北関東では質的に低下して悪かろう、西日本のほうは最後のほうの霜がいつ降りて、そこで成熟が止まるというときの問題で、晩生のものは殆んど決定的にきまるから、これは今後の問題であるが、作況は取戻して平年作以上に出ておるところもある、こういうわけであります。第二の点につきましては、等級別の調査をするかとか、或いはしておるかとか、しておるかということよりは、今後するかということであろうと思いますが、今後は粒の数、稔実、不稔実の数、水分を含んだ穂の重さと粒の軍さ、やがて実収高においては脱穀調製、籾摺りしまして乾燥しました場合の整粒歩合と重さというものを中心にして調べますが、食糧検査は御承知のように多少ずつ毎年基準が一定をいたしておりません。と同時に、等級間に整粒の歩合と、一升重とでも言うべき容量に対する重量の関係を見るわけであります。四等、五等、六等或いは等外が一応検査に通るものとしておく年とおかない年があります。今年などは下等級を認める、或いは等外等も考慮するであろうと思いますが、私どもは等級の同一を図りますためには、重さと粒の形を以ちまして、七段の穴のあいたものでふるい分けまして、整理をして整粒歩合と言いますか、一応商品価値のある米かどうかということを食糧庁でまず調べます。それを調べまして、内容は実は重さでありますが、どれくらいの重さである、何万石という重さを出しまして、あとはその年の食糧検査上おきめになります標準で検査官に鑑別をして頂きまして、何等以上がどれくらいということを出すことになつております。今年もそれでいいのではないかと思つております。ただこのとき申上げたいのは、作物調査の米の重量内容、即ち何グラムのものを容量、即ち石で現わす石数統計数字をきめておりますが、これは何等以上のものというものがどれだけあるかということが主であります。等級別にどれだけずつあるかということが本旨ではありません。これは調整の工合、混ぜ工合でいろいろ違いますが、かようにいたしたいと思つております。
  22. 河野謙三

    河野謙三君 大体詳細に御説明を頂きましたが、結論としては昨年よりも質の低下はこれは必然的だ、こういうことに私はなると思います。そうなる場合には、統計調査部長も言われましたが、食糧庁の検査というものは、これは検査規格によつて厳然たるものでなければなりませんけれども、本年の年柄から言つて、昨年までの検査の基準を少し下げる、もつと具体的に平易に言うならば、昨年は三等であつたものが本年は二等でとつてやろう、昨年の四等のものは三等でとつてやろう、こういうような特別の検査上の手心と申しますか、こういう措置をお考えになつておりますか、これを伺いたい。
  23. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 河野委員も御承知のように、検査の問題は一つの仕事でありますが、検査規格につきましては、ここ数年同じものを採用いたしておるわけであります。ただお話のように、具体的にその検査規格を適用いたしまする検査標準米というものは、その年のものを以てこれに当てるということになりまするので、そのときの作況というものはおのずからそこの標準米には反映されるだろうと思います。特に規格の問題でありますとか、被害粒の問題、こういうふうな問題につきましては、十分我々も今年の作柄状況というものを考えて参りたい。かように考えております。
  24. 河野謙三

    河野謙三君 私はこの問題をなぜ伺うかというと、今年は私は多少の検査の手心をされましても、結局非常に四等が多いと思うのです。若しくはそれ以下が多いと思うのであります。従つて従来価格決定の場合に、あなたのほうもお買いになつてこれをお売りになる場合、この価格決定の場合三等を基準にしておきめになつているのでしよう。ところが本年のような作柄状況から行けば、非常に三等中心の価格政策が四等中心の価格決定ということにならないと、私は数字が合わないと思うのであります。どういうふうに合わないかというと、食糧庁のプラスになると思うのであります。何も食糧庁にプラスする必要はないと思う。そこのところに私はこの間米価審議会でいろいろ御議論もあつたと思いますけれども、買う値段と売る値段をきめられましたが、売る値段を考えて出す場合に、補給金の販売価格、この場合にそれじや農家から買つたところの米の平均は一体どこで押えているかというと、三等で押えているのです。三等で押えているのは不当だと思うのでありますが、三等は出ませんよ、四等が多いのです。この点について一体どうお考えになつているか。
  25. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 河野委員承知のように、価格の点につきましては、三等の価格からして各等級別の格差を開くわけでございます。従いまして三等を標準にいたしまして、そうして格差を開くわけでございますが、この格差は御承知のように、理論的に歩留りから参りますると相当開いて参つておるわけでございますが、これにつきましては昨年度と同様に絶対額を据置いている、こういうことになるわけでございます。その割合につきましては、大体本年度の実績はわかりませんから、昨年度の割合によつて消費者価格の算定の場合にそれを入れるわけでございまして、従来からもむしろ格差の点に行きますと、理論的に歩留り以下でありますために、むしろ配給の場合におきましてはウエート等の問題が逆にございまして、食糧庁がこれによつて利益を取得するという事実もございませんし、又我々もそういう考え方はいたしておらないのであります。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 その利益を得るたくらみを持つているとは私は言わない。結果的に今までだつて利益になつております。食糧庁が持つている三百数十億の積立金もどういうところから出たか、今日は時間がございませんから改めて聞こうと思うが、食糧庁の積立の要素になつていると思うのでありますが、細かく言えば、この前申上げましたけれども農家から古俵を二十六円で買つて、売る場合は新俵と同じ値段で売つている。私のところのような小さな神奈川県で、米が二十万俵のうちの十万俵が古俵で出ております。十万俵二十六円で売つて神奈川県だけで二百六十万円儲かつている。これはたくらみとは言いませんよ。たくらみとは言いませんけれども、本年のように四等が多いにきまつている、又五等も多いにきまつている。そういう際に昨年の平年作、若しくは豊作のときと同じように三等を基準にして、それに諸掛りを加えて配給価格決定するということであれば、私はたくらみじやないけれども、あらかじめ統計調査あたりの報告から言つて、予測されるところの数字というものは入れなければいかん。それは即ち私は、昨年度より三等を基準にして諸掛りを加えてこれを基準にしてやるということは、結果的に食糧庁のこれはプラスになる。私は食糧庁の不健全な財政を念願するのじやない、健全財政、結構でありますが、今非常に生産者価格、消費者価格がやかましいときでありますから、これは一つ十分御検討をお願いしたい、こう思う。私は最後に、ほかの委員のかたも質問があろうと思いますから、一つお聞きしたいのですが、この間米価審議会経過を新聞で拝見しますと、例の特別集荷について何か東畑次官などが、この制度は眠らせると言つております。あれはなかなか含蓄のある言葉であるが、この眠らせるという言葉はどういう意味か。特別集荷というものは非常に出たところを見ると、農家のほうから見れば非常にいい制度だと思う。ところが結果的に非常に悪いのは、あの食糧庁が特別集荷人の指定において非常に間違つておると思う。いわゆる初めから人格劣等な米屋なんかを指定するから、特別集荷分は農家には何もならんで、とんでもない闇になる。政府自体も特別集荷でしまつた米を出す。例えば半日でも一日分でも特別集荷のものを増配しなかつたか。その分は増配しないで、酒の造石のほうに二十万石も廻した。特別集荷で農家が協力する、これは何も酒屋さんに土もりするつもりでやつたのじやない。そういう意味で特別集荷が農家から見れば、決して悪いことじやなかつたが、政府が集荷人の指定を誤まつた。第二には集まつた米を酒屋あたりに廻した、こういうことだと思うのですが、こういう欠陥があるのだから、そういう点について或いは大いに反省しなければならんと思うのですが、そういうことについて従来の特別集荷の指定についてもつと再検討する、又集まつた米はこれからプラスされたものは、例えば〇・五日でもいい、〇・三日でもいい、とにかくそれを随時社会政策的に、労働階級その他民生委員の御厄介になつている人、こういうものに配給するということをすれば、私は特別集荷というものはいいと思うのですが、そういうことを何も考えないで、ただ眠らしちやうのですか。これを私はお伺いしたい。
  27. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 特別集荷の指定につきましては、御承知のように各県におきまする供出完了後におきまして、知事が指定した期日におきまして、知事の推薦に基きましてこれを食糧庁といたしましては認めておるわけであります。で、具体的な監督は府県の知事にお願いいたしておるわけでございまして、お話のように我々は十分その任に堪える者を府県から推薦があつたことと考えておるわけでございます。ただお話の酒の問題でございますが、御承知のように酒米につきましては、昨年度におきましても、年末において決定いたしたわけでございまして、その後におきまして特別集荷が実施されましたのは、多くの場合におきまして本年の二月以降になつておるのでありまして、この関係は全体の需給計画との関係でございまして、特別集荷によつたものを、これによつて酒米を殖やしたというこの関係には時期的に考えても当らないかと考えるのでございます。ただ御指摘のように、本年度におきまして特別集荷制度によりまして、農協を合せまして約百万石のものが増加いたしたわけでございますが、これにつきましては、御承知のように本年度の計画といたしましては、外米の輸入をそれだけまあ節約すると同時に、持越しも多少殖えたから、これが幸い本年度におきましては、持越しの増加につきましては作柄の状態に対しまして一つのプラスになつておると考えるのであります。外米につきましては、勿論本年度作柄に応じまして再検討いたさなければならないわけでございますが、当初におきましては九十六万トンを九十万トンという程度に一応計画を変更いたした次第でございます。なお特別集荷につきましては、いろいろその点につきまして御議論があるわけでございますが、本年度作況から申しますると、御承知のように、特別集荷は一つ農家の保有米と申しますか、余つておると申しますか、一つのまあ浮いておるものをどうして吸い上げるか、こういう考え方からして出て参つたわけでございますが、本年度作況からいたしますると、この特別集荷制度を活用する余地というものがどの程度にあるのかという点については相当問題があろうかと思いますけれども、まあ本年度作況からいたしまして、これを停止することが適当ではなかろうかと考えまして、今日におきましても、なお審議をやつておるわけであります。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 特別集荷は私は特別集荷をやれというのではない。今までのようなことをそのまま弊害を除去しないでやることは、これは非常に害があるのですから、それは今のような状態でやるならやめたほうがいい。ただ併し今酒米には特別集荷のものを廻したのではない。成るほど政府の手持がプラスになつたから酒米に廻したことは間違いない。それは私はいかんと思う。そういうことはやめます。やめますが、私は今度こそ最後に一つ政府に向つて十分私は御注意申上げたいのだが、要するにこの頃の食糧政策が非常に混乱するのは、政府自体がしつかりした数字を持たんということですよ。又政府が仮に農林省統計調査、ここに調査部長がおられるけれども統計調査部がおつて、このほうの数字が出ないうちにどんどん食糧庁のほうは話が進んで行つてしまう。私はこういうことだと思う。例えば毎日各県と供出の会議をやつておる。聞けば十県ほどきまつたそうですが、十県きまつたのはどういう調査によつて出て来たのか。これは全くおかしいと思う。もう少し政府が厳然たる態度で供出会議に臨み、食糧政策を立てて行くために、政府自体がもつと私はしかりした数字を持つて、確信を持つて各県に当る。こういうようなことでないといかんと思うのですが、それに対して私は非常に欠けておると思う。統計調査部長は非常に細かく調査されて報告されておりますけれども、どうも今のところでは農林省統計調査は……、これは作報と言つておる。作報なんかでたらめで信用はできませんよ。もう少し信用できるものでなければ、いつまでたつても駄目だ。常に食糧政策というものは褌が緩んでおるから褌を外れんようにしよう。或いは自由に外すのなら外す。外すか、締めるかわけがわからんでは食糧政策は確保しません。こういう問題は片付きません。褌を締め直すか、或いは現政府は褌を外すつもりであるか、締め直すつもりか、その境を教えてもらいたい。それでなければ片付きませんよ。
  29. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 作柄につきましては、勿論時々統計調査部報告を受けまして、我々としても実態をできるだけ把握するように努めて参つておるわけですが、実は河野委員お話のように、今年度におきましては、現在までにおきまして各県といろいろ協議をいたしておりまするが、大体決定して参りましたのが、意見の一致を見ましたのが、現在数県でございます。四県ございます。あとはまだ協議中であります。その点を御了承願いたいと思います。それから食糧政策に確固たる態度を持つて臨む。これはお説誠に御尤もでありまして、我々といたしましても、本年度作況につきましても非常に憂慮しておりますが、配給面におきましても、是非必要な数量を確保いたしたいということで考えておる次第でありまして、お説の点については十分我々としてもそういう考え方で以て進まなければならんということでやつております。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 締めるのですか、緩めるのですか。
  31. 松浦定義

    ○松浦定義君 時間がありませんから、簡単に一、二点だけ長官にお伺いしたいのですが、今丁度河野委員が最後に御指摘になつた、折角統計調査部で正確な数字全国を網羅して集めて来て、その根拠に基いて知事と話合をする重大な資料を与えんとしておるにかかわらず、そういうものを全然まだ、今の御報告は八月十五日現在のものを以てしか我々に指示されない、併し九月十五日現在のものはまだ農林大臣の承認を得ていないという名においてまだ決定されていないが、併しまあ府県の知事とはどんどんとこの数審おいて折衝されておると思うのですが、いずれにいたしましても、そういう結果でこの割当が継続されるということになりますと、恐らく今各地に行つておりまする、いろいろな実態から考えて当然適正な割当ということが、これは言えないと思うのです。従つて今後必ずこれを補正することの用意が政府にあらなければならんと思うのですが、こういうような政府自体に持つておる機関を十分動員されないで置いて決定を急ぐ、従つてその出て来たところに対しては政府は補正をするのかしないのかというふうな態度を今はつきりしておかないというと、やはり知事としても非常にまあ各府県の農業委員会の立場も考えておるでありましようから、これが適正な割当として一応町村まで下ろす段階には相当の時間を要する、まあそういう意味で私のお伺いしたいのは、こういう形でおいて、今やむを得ず割当をすることは、末端の実態によつてこれが数字が明白になつた場合には必ず減額の補正をする、そういう用意があるということをここで言明せられるかどうか、そういう点について一つお伺いいたしたいと思います。若しそのことによつて、必ず私は起りまするのは不当な割当ということを農家が受けなければならん、従つてそういう場合には、恐らく今日まで非常にまあ農民の恐ろしがつておつた、最後には強権を以てこの供出をさせるというような事態が必ず私は起るであろうということを考えておるのですが、そういう事態までは持つて行かない、飽くまで自主的にそういう点については十分農業委員会を中心にして十分なる調査の上においてこの供出の完遂を期したい、こういうふうな考えであつて、最後の強権発動といつたような農民の生産意欲を減退させるようなことは過去において非常に好ましくない実態であるから今後はやらない、こういうようなことまで一つお考えになつて今割当を知事との間において進められておるかどうかということで、この点を一つはつきりして頂きたい、かように申上げたいのであります。
  32. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 只今統計調査部長から御説明あつたかと思いますが、我々といたしましても、割当の各府県との交渉につきましては勿論全国的にやつておるのではございません。御承知のように現在におきましては、東北北陸の各県とお話合をしておるわけであります。我々といたしましては、統計調査部と折衝をいたします前までに、できるだけその県の作況というものを把握することに努めておるわけでございますが、各府県の作況に対する見通し等につきましても十分相互に議論をし合いまして、そうしてその下におきまして各府県の割当を決定いたしておるわけであります。減額補正につきましては、決定した状況につきましては我々は府県との間におきまして一致があつたと考えておりまするが、その後における災害等によりまして、そうして決定いたしました以後におきまする事情の変化というものの場合におきましては、勿論これはその状態をよく調べまして補正をいたして参るということは考えておるわけでございます。
  33. 松浦定義

    ○松浦定義君 最後に、若しそういうふうに補正をされても、なおこの実態が末端の生産者の意思に副わない場合には、やはり強権供出でもさせるというような事態が起るかも知れんということで、そういう点についての考え方はどうかということです。
  34. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 我々といたしましては、勿論各農家の御協力を得てこの供出を完遂いたしたいと考えておるのでございまして、それにつきまして、十分その内容につきましても各府県と御協議をいたしておる次第でございまするが、そういうことは万ないと考えております。
  35. 松浦定義

    ○松浦定義君 もう一点だけ……。そこでまあ米価の問題ですが、この米価の問題は恐らく今日決定になりました八千二百円というものは全国六百二十万の農民は誰一人これは賛成しない。従つてまあこれは大いに今後まだ政治的にもいろいろの面から努力されて最後的な決定はなされると思うのですが、そこで今年の実態から考えますと、恐らく今のような状態で、先ほど河野委員からも御指摘のありましたように、四等、五等を以てしてもなかなか割当の数字に達しない、従つてそれ以外の等外米というものは相当あるわけでありますが、そういう等外についての措置をどうするつもりであるか。特に後刻又御相談があると思うのですが、今政府は一生懸命に人造米の奨励をされておる、この人造米の原料は当然外米の粉で十分間に合う、外米の粉は日本の四等米よりかもずつと低廉のものであると考えておるので、恐らく米という名のつく稲の中から出て来たものは、少くとも農家の自家保有を割いた以外のものは全部これは政府がこの際買上げて、そうしてこれを人造米の原料にする、従つてこういう意味でまあ人造米のことはやはりこれは政府が一定の規格に基いて配給をする、従つてそういう意味から、これは必ず供出の数量に加えても当然でないかと、こう思うので、まあこの点についてはつきり一つして頂かないと、今供出の割当をして末端に下ろす場合にも一粒の「しいな」でも、やはりこれは貴重な食種として農家が供出をする、従つてこれによつて農家の責任は果し得たということになつて、食糧行政上から言つたら非常にいいのでありまして、更に人造米が今回保利農林大臣の大きなお力によつて相当これが普及されるような次第でありますから、一挙に外米の屑に依存することなく、日本の農民が生産した屑米或いは「しいな」米等を全部この原料にするということから、これらを供出の対象とするお考えが、この際こういう事態からして取られるべきであると思うが、そういう点についてのお考えはどうであるか、この点をお伺いいたしまして私の質問を終 たいと思います。
  36. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 五等米につきましては、本年度におきましては昨年度と変りまして、これにつきましては供出の枠内といたしまして、早場供出につきましても金額を支払いたい、かように考えております。等外につきましては、これは供出の枠外におきまして政府は買入をいたしておる、ただ只今お話の人造米にこの原料を使えるかどうかという問題につきましては、従来はこれにつきましては、その他の味噌用等の特殊の用途に使われておるわけでありまして、人造米に、これはまあ質の内容にもよろうかと思いますが、「しいな」等につきまして、果してそういうものに適するかどうかという点は相当研究を要するのじやないか、かように思つております。
  37. 松浦定義

    ○松浦定義君 一つだけ……。先ほど北海道のほうからちよつと陳情の中にもあつたのですが、今度の五百円の豊凶係数のものが全国一律ではどうも実態に副わないというような考え方陳情があつて、私どももこれは同感だと思います。従つてこういう点について何とかこれは考慮されるようなお考えがあるかどうか。例えば私が御指摘申上げますのは、あの終戦後の配給統制頃に衣料の配給で北海道も足袋一足、九州も足袋一足というようなことで非常に問題があつたので、こういう場合には、そういう点から考えてやはり地域的にこの点を十分お考えになることが本当のまあこの制度のあり方だと、こう思うので、こういう点についても全然もう考えがない、こういうふうに断言されるか、いろいろの実情等から考えて何とかその点考慮したいというようなお含みがあるか。折角のこの五百円の使途を有効適切なものに研究されることのほうが、今後の食糧行政上或いは又農民の生産意欲を向上する意味においても非常な親心である、こういうような気持を陳情の中に盛り込まれておるようでありますから、改めてこの点についてのお考えをお伺いいたします。
  38. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 御承知のように政府としましては、全国的な買入価格決定いたすわけでございます。その中におきまして、一定の方式に基きまして減収加算額を算定するわけでございまして、これを地域別に差等を設けるということは考えておりません。問題は凶作対策としてどういうふうにやるかという問題でございまして、米価としては一本の考え方をいたしております。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 前にどなたが質問せられたか、ちよつとはつきりわかりませんでしたが、八千二百円の米価の中に五百円の豊凶係数が入つておるということ、それは凶作をどれぐらいに見られて五百円と大体概算せられたか、審議会の答申によりますれば、概算払としておるので、従つて豊凶係数が高まつて参りますれば、これは当然改正せられるのであるかどうか。それを一つはつきりしておいてもらいたい、その点お聞きしておきたいと思う。それから統計調査部長さんにちよつとお伺いします。先ほど九月十五日現在が約一五%、全国的に見て……、こういう御説明があつて、個々の凶作の具体的な説明には、或いは一七%、一八%、八%、七%、三四%、何%という相当額の、個々の数が大分高まつたものがありますが、それとこれを対比しますと、八月の十五日から九月の十五日の一カ月間においてたつた〇・五%と豊凶係数の落ちて参りますることは、ちよつとそこに何か割切れないものがありますが、この一五%は間違いない  のですか、どうですか。それと同時に、個々の地区が一七%、一八%或いは八%、七%関東地方三四%、陸稲が三四%、大分高い係数がありますが、それとの関連を納得行くように知らせて頂きたい。
  40. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 先ほど御説明申上げました通りでございまして、作柄変化を、作の早い北日本の北寄りの地区について概略申し上げまして、あと米価審議会におきまして、農林大臣全国的な大約九〇%前後の概況より悪くてもよくはないようであると申上げたのであります。お言葉の中にありました〇・五%というのは、「〇・」というのがない、「五%」であります。
  41. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 作柄につきましては、米価審議会におきまして農林大臣が申上げたような状態を基礎にいたしまして豊凶係数を算定いたしたわけでございます。御承知のように、十二月末には大体の収穫実収推定額が出て参るわけでございますし、又算定方式につきましても、今後検討いたしまして最終的な決定をいたしたい、こう思います。
  42. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと申上げますが、午後の日程もありまするから一時頃に散会いたしたいと思いますが、特に農林大臣が御出席でございますので、大きな点につきまして質疑を大臣一つ願いたいと思います。
  43. 清澤俊英

    清澤俊英君 予算委員会等でも大分問題になつておりましたが、完納奨励金の八百円の問題がまだはつきりしないようでありますが、これは供米意欲に対して非常な結果的には重要な要素を持つと思いますので、もう大体どつちかこつちか片を付けて頂く時期ではないかと思う、従つてあの際のいきさつがありました通り、仮に完遂しない場合でも、供出米に対しては完遂奨励金として八百円を頂けるかどうか、これをはつきりすることは、これは米価対策上、供出という問題に対しましては非常な大影響を持つて来る、これはわけがわからんかつたならば、これこそ重要な結果をもたらすであろうと思いますので、一つちやんとしたところをお伺いしたいと思います。
  44. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 完遂奨励金の八百円の問題は、未完遂市町村の農家に対して、どういうふうに扱うかというのが残つておつたと言えば残つておつた問題でございます。いずれにいたしましても、供出に御協力を頂く農家に対しては、これはもう例外なく行き渡るようにしなければならんで、実際はまあこの供出がどういうふうに行われて行くかは、当該知事或いは農業委員のかたがたに非常な御苦心を願うわけでございますし、そこらに運用上、御趣意は、そういうふうに御趣意の通りに行かなければならんと思いますが、運用に当りましては、その直接責任を持たれる知事或いは農業委員のかたがたの御意見を尊重しまして、本来のこの完遂奨励金の趣意が完うせられるような運用をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 非常に何かこう……(笑声)口の中へ何か挟まつたような言い方であるが、そういうようなことでは私は本年は非常に無理が山間部などで出ると思う。ということは、米の足らんことはわかつておるから、山間部落等では、村落等では村全体からみれば一部は供出する能力を持つておるが、たくさんの転落農家と言いますか、飯米農家がおりまして、それらが殆んど飯米を失つておる場合は、村から供米を出すということを拒否する傾向を持ちます。すでに昨日の信州における凶作状態に対して、もう「じやがいも」を管理し、「さつまいも」を管理して食糧管理をする。そんなことで、供米を少し集まつたものをよそへ持つて行くといつたら、それこそ曾つての昭和七年の滑川の大米騒動のようにことを来たす問題も出て来ないとは限りません。そこで結局しますならば、そういつたような問題をびしびしと片付けて、そうして少しくらい足らなくても供米をした者には全部やるとか、何とかいうことをちやんとしてやらなかつたならば、村からそれだけ持ち出してもらつたら我々は食われない。政府が何か代償のものをちやんと持つて来れば別ですが、「うどん」ばかりでも生きておられんというので、これは相当な問題が出ると思いますので、私はこういうことをお伺いしておるのであります。いつもの年とは様子が違つておりますから、甘く考えられたら或いは滑川のような問題が出ないとは保証できない村落がたくさんある。非常な凶作状態を通して、そういうそこに幾らでも供米して全国的のこの食糧危機を乗り切るためには思い切つた飛躍が要ると思う。農林省としては、まだやはり農林大臣は九〇%というような甘い数字で現実をお考えになつておるのかどうか、二つ関連してお伺いします。
  46. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 九〇%は甘いか、辛いかは、私がこれは考えべき問題ではなくして、これはやはり合理的な調査の上に立つた純然たる数字集計によつてきまつて来る問題である。従つてこれはもう甘いとか、辛いとか、政治的な判断によつて幾らにするということのできる、そうすべき性質のものではないと思います。これは集計せられたあるがままの数字によつて考えて行くよりほかないだろうと思います。決して私は九〇%でそれが甘いか、辛いか、今日それが妥当であるかどうかということは申してないわけであります。それから完遂奨励金のほうは、何かこうもごもご言つているようでございますけれども、とにかく予算の、国会の意思というものは明らかでございますから、ただ今日この完遂奨励金というものは多分に今日所要供出量を確保するために、一つの奨励金として取上げられておることも、これは事実でございますし、従つて供出に、今清澤さん言われるような飯米にも事欠くようなところで、仮に割当が行つて、それでも幾らかでも供出をするのだというようなところに、若し完遂奨励金が漏れるようなことがあれば、それは本来の趣旨を没却することになりますから、さようなことは私は断じてないと思います。従いまして供出に御協力を頂く農家に対しては、漏れなくこれは行かなければならんものである。それは私は同感であります。ただそれの運用は県知事或いは農業委員会の苦心もあるところでございましようから、それらのかたがたの意見を十分伺つてやつて行きたい。根本趣旨はそういうわけです。
  47. 川口爲之助

    川口爲之助君 私は供米についての希望を一つ申上げておきたいと思います。今供出状況を見ますると、一方におきまして、闇買いの横暴を認容いたしておる。むしろこれを奨励をしておるような状態にある。他方において政府は価格重点主義によつて供出を強いておる。ここに大きな矛盾があるのではないかと思うのであります。生産者は幾分でも供出を少くする。そうして一升でも多くの闇米を売ろうとする心理が通つている面もあろうと存じます。そこで政府とこの闇買いとの競争が始まつている。そういう状態に置かれておる。供出の困難さはそこにあるのではないかと思うのであります。で、今この市中に横行いたしておりますところの闇米、これは七百万石と言い、或いは一千万石と申されております。これを先ず払拭するということに努めてもらわなければならんと思うのであります。先ほど河野委員さんから、食糧行政の強化引締めをしろということを仰せられたのであります。尤もの議論と存じます。でありまするからして、私どもは今ものの面においても、又気持の面においても耐乏生活を続けなければならん状態にあるんである。どうかこの闇米、特にこの買出しの方面を取締りを強化すると同時に、この消費者に対しての制限を、いわゆる食管法の励行によりまして、消費者の面を強く抑えて頂かなければならんと、こういう希望を一つ申上げておきます。
  48. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 川口委員お話のように、一体この主食の問題を余り窮屈に管理して行くということは、人間の本来から申しましても、決して好ましいことではないと存じますが、今年の作況の下におきましては、只今意見のように、好むと好まざるとにかかわらず管理の強化をやつて行く以外に私はない、そういう意味で闇流通の面につきましても、特に本来から言えば、この食糧事情を生産者、消費者共によく御認識を頂いて、自粛的にやつて頂くことが一番いいと思いますけれども、場合によれば適切な措置もとらなければならんか、十分研究をいたして……、これは研究では済まされない事態になつて来るだろうと考えております。
  49. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 全国的に冷害その他水害、凍霜害等ありまして、凶作がもう決定的になつたと思うのであります。そこでこれは救済対策につきまして、農林省ではすでにどういう案を持つておられるでありましようか、地方的に見ても極く極端のがありまして、皆無作或いは二分作、三分作、種子がとれないという地方もあるのであります。これらの対策は急いで頂きませんと、種子のごときはもう早場地帯から種子にしてもらわなければならん。それをどんどん粉にされましたのでは大変な問題になるのでありまして、来年の営農に支障を来す。そればかりでなく、もう皆無作地方におきましては、来年の値付ができないというので人心頗る不安になつているのでありまして、一日も早く一つ対策を立てて頂きたい。そういう対策が立案されたものがありましたら、この際この委員会を通じて国民に知らして頂きたい。こういうふうに思うわけです。
  50. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 先ほど御意見もございましたが、米価決定に当りまして、凶作減収加算額凶作地と非凶作地帯と同様に扱うということについては、これはお互いにその面から見れば、誠に不合理な面があると私も思うわけでございますけれども米価の問題は、これはやはり米価の問題として考えて行かなければなりませんし、従つて米価問題で凶作対策というわけには、これはもう参らん、凶作地帯の特に対策としては全然一致するものではございません。従つて冷害と申しますか、凶作対策につきましては、只今北さん御心配のように私どもも同様に心配いたしております。今日の閣議でも西日本水害対策中央本部等、内閣として取上げ、今日まで力を入れて来ておりますが、同様に冷害対策と申しますか、併せて今次の十三号台風による災害、この大きい二つの災害は、これはやはり政府全体として全面的に取上げなければいかんということで、今日の閣議でも臨時災害対策中央本部として再出発をする、それで主としては凶作の面につきましては農林省関係が非常に多うございますので、具体的に原局から案を出しまして、政府全体の施策として国会の御協力も頂いてやつて行きたい。具体的に言つて、昨日も省議をやつて、いろいろ今日まで取り来たりました災害対策及び今回の特殊な事情にも鑑みまして、具体的に省議としても協議を続けております。内閣の臨時対策本部にも持出すような具体案をきめておるような次第でありますが、政府全体の決定としましては、暫らく時日を藉して頂きたいと思います。十分一つ努力をいたす考えでおります。
  51. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 凶作地帯、殊に皆無作地帯におきましては、農家の動揺と同時に協同組合が非常に恐慌に陥り、憂えておるのであります。一日も早く預けた金を取らなければというようなことで取付け等のことも起りかねない状況でありまして、この協同組合の救済というような面につきましても、是非一つ御考慮を願いたい、こういう工合に考えるのであります。
  52. 河野謙三

    河野謙三君 私は昨日大臣お見えにならなかつた際に、肥料の問題、「わら」工品の問題、これをお尋ねしたのですが、結論的にどうしても大臣から御意見を伺わなければならんというので、保留しておきましたが、その前に私は米の問題をちよつと意見がましいことを申上げたい。この頃政府の出される原案があつちにぶつかり、こつちにぶつかり、結論が出るときにはだんだん改悪になつて来る。例えば今年の麦の価格決定の問題、一応農林省が出す場合には公平の見地に立つて、一応事務的に非常に整然としたものを出されるのですが、それがだんだん改悪され、先ほども申上げたのですが、行政と政治とは違いますから、行政的な面から見たものを政治的に直すということはあり得るのですが、特に私は最近の米の問題、私は率直に申上げますと、この間の米価審議会あたりで、政府があのように唯々諾々として妥協されることは非常にけしからんと思う。それは公平の見地に立つならば、米は基本価格一本でなければいけません。超過供出奨励金、早場米奨励金が汽車の物売りのように次から次へお負けを付けたりしては私はいけないと思う。普通に供出される人は九千円でしよう。ところが早場米一期の人は千三百円とか、第二期の人は九百円になる。恐らく食糧庁からお米の買取りのために支出される金の平均は一万円弱だと思う。こういうのは私は非常に不公平だと思う。だから私はここできまつたことをどうこうと言うのではありません。私がどうこうと言つたところで仕方がありませんが、今後農林大臣の気持において、こういうものをだんだん整理をして、食糧政策は、殊に米の政策は基本米価一本で持つて行くというお気持に立つておられるのか、農林省は……。政府も相変らず早場米を三割殖やすとか、超過供出をもう千円殖やすとか、そういうことをおやりになることが、米の政策上公平だとお考えになつているのか。私はそれは逆だと思う。ところが逆だと思つているにかかわらず、私の見方からすれば、だんだん一年ごとに逆になつて行く。政府の原案を見ると、原案はいいのだが、それがあつちにぶつかり、こつちにぶつかるとだんだん悪くなる。我々議会人も大いに反省しなければならんところがあると思うが、これについて根本的に今後どのような方向に持つて行くのか、伺いたい。肥料の問題は、実は去る十六国会に硫安需給安定法という法案が出ております。ところが今始まつたことではありませんが、この春以来今日までの経過を見ますと、硫安以上に農民は徒らに高いものを買つているのは、過燐酸とカリであります。カリのごときは、昨日も農林省説明によると、塩化カリの場合は当然一俵七百四十何円で地方の小売商に行くべきである、それが高い。佐賀県に行つて農林大臣の選挙区のかたに聞いてごらんなさい。九百円以上であります。過燐酸につきましても、政府が責任を以て業者と全購連との間にあつて安定帯価格決定した。ところが安定帯価格というのは、そんなものは吹つ飛んでしまつて、それよりも数十円上であります。これは臨時的な問題かというと、根本を探つて見れば臨時の問題ではなくて、今後相当この問題は続く問題であります。そこで私はこの際過燐酸も輸出しなければならない、輸出の問題もありますが、硫安と本質的に違わないのであります。硫安需給安定法の中に、最近の過去半年なり、一ヵ年の状況経過を見て、硫安需給安定法の中に、将来を見通し、過去一ヵ年の経過を見て過燐酸なり、カリを追加される御意思があるかないか、これを私は昨日伺つた。ところがこれは事務当局の答弁の範囲でありませんから、大臣に伺いたい、こういうことであります。それからもう一つは、あなたの選挙区に非常に御関係のある「わら」工品の問題、私は農民を取巻く経済の中で「わら」の経済は非常に重大だと思う。ところが、最近副業としての「わら」工品について政府が少しも政策的に「わら」の経済を考えてやつていない。一つの例が米の問題に出て来ておる。古い俵を政府で使わせるような米の政策を取らなければいかんと思う。ところが古俵と新俵と両方を、同じ米一俵でありながら、古俵も検査はちやんと通つている。現実に合格しているものを昨年は古俵を二十六円で買つている。それはどうして二十六円にしたかというと、古俵の市況を調べて、例えば東京、横浜、名古屋の古俵の市況は二十円である。それに運賃、諸掛りが加わる。だから農家の手に入るのは古俵は四十円である。だから四十円が古俵の原価である。国でそういうことをきめておる。これは理論上は農家の手取りから言えばそれで損はない。ないけれども、そういうことは、一ぱい一ぱいということは、面倒な古俵は使うなということになつて、そうして古俵を都会でいい加減に使われてしまう。地方では新俵を使わなければならんから、新俵を余計作るから「わら」が高くなる。副業としての「わら」工品、関東で言うならば栃木県、千葉県、茨城県、これらの「かます」を作つている人は皆「わら」を買つている。「わら」を安くしてやらなければ副業としては成立たない。又「わら」を安く得られることによつて初めて有畜農家でも何でも「わら」に関連を持つ農業経営というものは楽になる。そういう関係から行きまして、ただ米との関係においての古儀の扱いにおいても少しも政策的に扱つていない。農家も古俵を買うのは原価が四十円、従つて政府は二十六円で安く買つて売るときには高く売る。さつき食糧庁長官に伺つたのですが、食糧庁はたくらみによつて儲けた。もう新俵と古俵の開きが三十五円になつている。私は食糧庁が儲かることはいいけれども、いけないなどと、そんなけちくさいことは言わんけれども、「わら」の経済から言つて「わら」に対する政策が一つもない。現に農林大臣、あなたの選挙区に属する佐賀県は「わら」工品の産地で、「わら」の経済というものを農業経済局と食糧庁との間で総合的に研究されて、こういう問題をやらなければならんと思いますが、これらの問題について一つ意見を伺いたい。
  53. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 米価問題につきましては、結論を申上げますれば、もう全然私は同感であります。無論もろもろの奨励金が継ぎはぎだらけみたいな形になつて出ておるわけですけれども、これは供出の制度の沿革からくやはりこの供出を願つて行く上に、そのときどきの事情でくつついたり、或いはその上に又離れたりして、こういうふうな形になつて、もう端的なことが、例えば完遂奨励金の八百円のごとき、一体基本米価的な考え方もあるし、純然たる奨励金的な考え方もある。そこで米価の問題を御論議願うにいたしましても、誠に焦点のはつきりしない、割切れないものがたくさんあるわけです。こういうことは生産農家も、まあその都度、その都度には尤もだというところであつたと思いますけれども、今日におきましては、もう御意見のような気持だと思うのであります。私といたしましては、これはもう是非国会の御協力も頂いて、少くとも次の産米からはもつとすつきりした形で米価というものがきめられるようにしなければならんという考えを深く持つております。その方針のもとに検討をいたして参るつもりでおります。過燐酸の問題は地域的、私よく承知しませんが、承知しませんでは甚だ申訳ありませんけれども、勉強不足で、そつちのほうへ気をとられ過ぎておりまして、この需給状況からみまして、この秋肥の対策としましては、これで十分かどうか私もよく検討いたしておりませんからわかりませんけれども、大体まあ事務当局の話を聞きますれば、秋肥対策としては一応所要の措置をとつております。地域的なでこぼこもあつたようですけれども、これについても調整措置を講じておりますから、何とか秋肥の対策は整つて行くと思つております。これを過燐酸の重要性に鑑みて、硫安需給安定法の適用を持つようにいたしたらどうかということは、私も一つ十分考えてみたいと思います。皆さんにおかれても一つお考えを願いたいと思います。「わら」工品の問題は少し研究しまして、大変御尤もだと思いますけれども、余り原価計算をやかましくして、そして折角使える古俵を使わないで、骨を折つて新しいのに変えて行くということは、国家経済から言つても少し考えなければならんじやないかと思いますけれども、これは一つよく研究しまして、私も確かにそういう感じが、お話を伺つてしております。
  54. 河野謙三

    河野謙三君 一つだけ……。今の肥料の問題は、私も時間がありませんから、詳しく申上げませんが、実は農林大臣のほうに事務当局のほうからどういうふうな御報告なつておるか知らんけれども、とにかくここ一ヵ月の間には過燐酸の問題は片付きません。不足であつて高いのです。政府が責任を持つている安定帯価格というものは現に実行されていないし、私の見るところでは確信を持つて申上げますれば、ここ十日や一週間で政府の責任としている安定帯価格では当然安定しません。一月経てば秋肥は終つてしまつて、終つた頃になつて安くなつたのでは、商人が儲けるだけで、農家は入用のときに高いものを買う。来年の春は肥料価格は又高くなる。こういうことです。詳しくは私の意見は経済局長にも申上げておきますから、あとで十分お聞き取り願い、御検討願いたいのだが、食糧庁できめられた最終決定であるかどうか知りませんが、三十五円安で古俵に入つたものを買うのだ、これを農家の古俵を買うものから言えば、三十五円開きでも計算は合うのであります。それを二十円開きにして御覧なさい、古俵をもつとく使います。そうすることによつて地方に「わら」が浮いて来る。「わら」の値段が安くなつて来る。そうすれば「わら」工品が起つて来る。畜産関係農家も非常に助かつて来る。農家は「わら」の高いのは困るんです。それをもう少し政策的に考えてもらわないと困る。私は公平の見地と言つたけれども、こういうときにこそ事務的じやなく、私は政治的に物をきめなければならんと思う。御研究願いたいと思います。
  55. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 この際甚だ僣越でありますが、委員各位に御懇談申上げたいと思うのでありますが、先ほど来政府側のいろいろの御説明を聞きますと、本年の作況に対しましては、政府側はやや楽観的であるという工合に思われるのでありますが、委員各位のお話総合しますと、これは全国的に決定的の作物被害である、こういう工合に見ておられるのであります。そこで是非一つこの事態に即応して、政府は国民食糧の確保と、それからこの農家に対する救済、その冷害対策等につきまして万遺憾なきを期してもらいたい、こういう申入をすることが必要であろう、こう考えるのであります。そこで実は皆さんのお手許に案を差上げてあるのでありますが、これはほんの試案でありますから、御審議願いまして、適当な文句にして政府に申入をして頂きたい、こういう工合に考える次第であります。  次に、文案を一応朗読いたします。   凶作対策に関する申入(案)  晩春の凍霜害、数次に亙る稀有の風水害、激甚な病虫害或は不時の低温多雨等本年の農作は連続的な異常災害の累積によつてその作柄が極めて不良であつて凶作は殆んど決定的であるとして憂色濃く甚だ遺憾とするところである。  かかる情勢に当面して、政府は速かに事情を精査し、事態に即応して国民主食の確保、次期農作の遂行及び被災農家の救済等に関し米価及び凶作対策に万全の措置を講じ、以て自立経済の確立と民生の安全に苟しくも遺憾なきことを期せられたく、右当委員会の総意を以て申入する。   昭和二十八年九月二十九日        参議院農林委員会    内閣総理大臣 吉田  茂殿    農林大臣   保利  茂殿  以上であります。この点お願いを申上げる次第であります。
  56. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今委員から御動議の提出がありましたが、文案はお手許に配付をされておりますが、かような申入をいたすことにつきまして御異議ございませんか。
  57. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 この案に対しましては、私も趣旨は賛成ですが、もう少し具体的に、これじやただ抽象的な案であつて、もう少しこういうことをやつてもらいたいとかいうことをはつきり申入れたらどうかと思います。これだと何だか総論というか、前文句というか、そういうふうな意味の頗る抽象的なものであつて、農林委員会としてこれを出すならば、こういう問題に対してはこうしてもらいたい、通る、通らないは別として、意見として出すべきだ、私はこういうふうに考えるわけでありますが、皆さんよければ、決してこの文句に不賛成なわけじやないのでありまして、もう少し具体的にやつたらどうかというのが私の考え方なんであります。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 森田さんの御意見御尤もで、それじや具体的にどう直すかということは、時間がないから一応これで通して頂く、ということは、先ほどからの統計調査部長並びに農林大臣お話を伺つていると、まだ本当に凶作という考えが出ていないわけです。一応凶作というものを取上げて、取上げられる段階としてこれを出して、若しそれならば近い機会に集まつて、しつかりした具体的なものを出すというほうがいいと思う。具体的なものを出さんで、これを出さんということはちよつと今の場合あれはないと思う。
  59. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  60. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。先ほどの北委員の御動議につきまして懇談いたしましたが、差当りこの申入をいたしまして、更に具体的な要求の必要がありますれば、現地調査等の結果を待つて更に申入をいたすことにいたしまして、取りあえずこの申入をいたしたいと思います。なお宛先は総理大臣農林大臣に加えまして対策本部長を加えまして、この申入をいたすことにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、さように取計らいます。  なお農林委員会としての現地調査につきましては、その具体案の作成につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。それでは決定次第御連絡をいたします。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  63. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それでは先ほど現地調査の件は委員長に御一任ということに決定をいたしましたが、一任する前提として、各委員の御希望を後ほどお聞きいたしまして、その上で決定をいたしますから、そういう趣旨において御了解をお願いいたします。  なおいろいろ問題があると思いますが、午後の視察の日程がありまするから、委員会はこれで散会をいたします。    午後一時三十八分散会