○
政府委員(増田盛君) それでは先ず概要を御
説明申上げます。
今回御審議をお願いします農林
関係の
予算は、前国会に提出いたしました
予算案とその内容において大差はないのでありますが、ただ前回の不成立
予算におきまして、
予算編成後新らしい立法ができましたものにつきましては、新規事業といたしまして、そういう点に関しまして新らしい経費を計上いたしました。なおその他に関しましても情勢が変りまして、内容に関しまして更に若干の所用の経費を計上したほうがいいと、こういうふうに大蔵省と協議した結果、新らしい経費を盛
つたものもございます。なお最後に庁費、旅費に関しましては、御存じの
通りの節減がございまして、そういう点に関しまして減額修正をしたと、こういう点で前国会に提出しました不成立
予算と違
つておるだけでございます。
大体今回提出いたしました
予算案を二十七年度の
予算と比較して申上げますと、総額におきまして千百九十七億でありますから、前年度二十七年度
予算と比較いたしますと百六十一億の減となるわけでございます。ただこの際
農林省所管として私厳密に申上げましたのでありますが、このほかに農林
関係予算といたしましては、ほかに北海道開発庁所管といたしまして、北海道における農業
関係の公共事業費、これが
一つ、それから建設省に計上されております官庁営繕費、それから農林漁業金融公庫、これに対する
政府出資、こういうものが実は
農林省所管外に計上されておりますが、実質的には農林
関係の
予算でございますので、こういうものを全部合せますと、二十八年度は千四百四十二億ということになりますので、前年度と比較いたしますと、三十四億の増になるのでございます。この農林
関係の
予算を目的別に重要なものから申上げます。
先ず
一般会計でございますが、
最初に食糧増産
関係の経費を申上げます。この食糧増産
関係の経費は大体三つに分れておりまして、第一が、農地の拡張及び改良の経費、第二が、耕種改善の経費、第三が、畜産振興の経費でございます。実は食糧増産
関係の経費を申上げます場合に、いろいろの数字がありまして、その点に関しまして混同を生じますので、お断わりいたしておきたいと思うのでございますが、厳密な意味におきまして、食糧需給計画乃至は食糧増産の十カ年計画から割出して参ります食糧増産経費は、これは増産石数を基礎にして弾いておりますので、直接的な生産に役立つ経費のみ計上いたしておるわけでございますが、ここで申上げます
予算関係のものは、実は
予算項目を集計して出て来ておるのでございまして、その点若干の行政上の事務的経費等も入
つておりますので、食違いが出て参ります。それから更に大蔵省が大蔵省の独自の立場で食糧増産
対策費というものをまとめておるのでございますが、これは
農林省の考え方といろいろ違いまして、我々といたしましては、まるまる行政的な経費はこの中に入れておらないのでございますが、大蔵省のほうといたしましては、いろいろな経費をこの中に入れておる、こういう点で、この経費に関しましてはいろいろな数字が出て参るわけでございます。その点を先ずお断わりいたしたいと思います。
そこで先ず農地の拡張及び改良の経費でございますが、これは北海道
関係まで全部含めまして、総額で四百二十三億でございます。二十七年度に比較いたしますと、八十一億の増加にな
つております。この内訳は
土地改良事業といたしまして、国営灌漑排水事業
土地改良事業の補助等にそれぞれ分れているわけでございますが、特に申上げたいと思いますのは、海岸砂地
地帯の農業振興
対策費、これはやはり新らしい立法
措置に伴う経費でございますが、
土地改良事業といたしまして七千万円が追加計上されております。この海岸砂地
地帯の振興
対策といたしましては、このほかに林野
関係のほうに所要の経費が計上されております。
次に開拓事業でございますが、これは百十四億、更に仕訳いたしますと、開拓建設事業、干拓事業、それから開拓事業補助というふうにそれぞれ分れておりまして、前年度と比較しまして相当の増額が見られております。それから開拓事業の基礎をなす新規入植戸数が二十八年度は八千戸でございます。これは前年度は御
承知の
通り七千戸でございますので、一千戸の増加を予定いたしております。更にこの際
農林省のほうといたしましては、積極的な食糧増産経費としては取扱
つていないのでありまして、減産防止として取扱
つております。農業災害復旧事業に関してこの際申上げますと、この経費が千三百六十一億、前年度より相当
程度増額計上いたされております。
次に耕種改善の経費を申上げます。いろいろな経費が入
つておるのでございますが、先ず主要
農作物種子対策費でございますが、この経費は、米麦、大豆等の原々種圃、原種圃、採種圃の設置補助、緑肥
作物の原、採種圃の設置補助、寒冷
地帯の健苗育成のための保温折衷苗代設置に対する補助等を内容とするものでありまして、八億三千六百万円を要求いたしております。次に耕士培養
対策、それから特殊土壌
対策、これは前年度の線を踏襲いたしまして、それぞれ増額計上をしております。更に北海道農業振興費に関しましても前年度の線を踏襲しまして更に増額いたしております。
次に西南暖地等
水田生産力増強費というものがあるのでございますが、これは新規事業でございます。おおむね関東以西の暖
地帯を目標にしまして、常習的な風水害
地帯を対象にいたし、特殊早植栽培というような新らしい栽培方式を普及する、並びにこういう
方法を更に積極的に試験を推進して行く、こういう経費で僅かでございますが、二千四百万円でございますが、将来相当注目すべきものといたして力を注いで行きたい、こう思
つておる次第でございます。更に植物防疫
関係の経費でございますが、これは御存じの
通りでございまして、
病虫害による
農作物の
被害を防止するための経費でございますが、それぞれ前年度の線を踏襲いたしまして、更に若干の増額を要求いたしております。
第三の経費でございますが、畜産振興の経費でございます。先ず家畜の改良増殖に関しましては、これも前年度と特に変
つた点はないのでございまして、若干の増額を見ておる
程度でございます。次に、有畜営農の確立のための経費に関しましては、いろいろの議論もあ
つたのでございますが、一応
予算の建前といたしましては、利子補給という二十六年度補正以来の線をそのまま引継ぎまして、利子補給の経費を要求いたしております。次に、草資源の造成改良、更に自給飼料の増産の経費でございますが、このうち草資源の造成改良、いわゆる牧野改良でございますが、これに関しましては畜産増殖政策の
裏付けとしまして、二十八年度におきましては特に力を入れて参りたいということで一億二千万円の経費を要求しておるわけでございまして、前年度の倍額以上の経費でございます。自給飼料その他の経費に関しましても、それぞれ増額いたしておりますが、大体前年度の線を踏襲いたしております。次に、集約酪農地区設定でございますが、これは純新規でございます。すでに御存じの
通り、現在日本におりますホルスタイン種に変えましてジヤージー種の乳牛を海外から輸入して参りまして、これを集約的に一定の地区を対象にしまして国有貸付を行いまして増殖をして行く、そしてそこに模範的な酪農
地帯を設定する、こういう経費でございまして、二十八年度は取りあえず各地区に三百頭ずつ、計六百頭でありますが、これを二つの地区に導入する計画でありまして、この経費といたしまして八千七百万円を要求いたしております。
第二に、農業団体の再編成の問題でございます。これはすでに御存じの
通りでございまして、いわゆる農業団体再編成に関する三原則が確立されておるわけでございまして、こういう
政府の方針に基きまして農業
委員会の経費を組み替えて参
つたのでありますが、特に末端の市
町村農業
委員会に関しまする
技術員を設置して参りまして、これは従来の全額補助より補助率の変更を見ました
関係がありまして、総
金額に関しましては前年度の三十三億より若干下廻りまして二十九億にな
つて参りました。なおこの団体再編成の一環といたしまして農業協同組合の
関係があるのでございますが、特に申上げておきたいと思いますのは、全国農業協同組合中央会並びに府県の中央会、これに対する補助金が八千万円計上されておるわけでございます。
それから第三に農業改良普及のための経費でございます。これもいろいろな項目があるのでございますが、中心は依然といたしまして農業改良普及員並びに専門
技術員の設置並びに活動
関係の経費でございまして、大体前年度の線を踏襲いたしておりまして、特にこの職員の数の増設に対しましては非常に強い
要望がありますが、やはり団体再編成等の帰趨等も見極めまして、これとの一環で特に市
町村農業
委員会に
技術員を設置するという新らしい事態が生じましたので、二十八年度におきましては、一応この
技術普及の
関係の全体の構想を見送りまして、二十九年度に再検討するということで前年度そのままの経費を計上いたしております。なお蚕糸
関係の改良普及に関しましても若干の事務的の経費を増額いたした。そのほかにおきましては殆んど変化はございません。
第四に
農産物の価格調整に関する点でございます。この点に関しましては、これも実は前年度の線の踏襲でございまして、即ち甜菜、澱粉、これが中心でございます。なおこれに関連しまして餌の価格安定について附言しますが、これは先きに飼料需給安定法の成立を見ておりますので、輸入の「ふすま」、マニトバ五号、「とうもろこし」等の買入をやるわけでございますが、大体こういうふうに、すでにきま
つておる線だけで現在考えておるわけでございまして、前国会に提出いたしました
農産物の価格安定法に関しましては、現在この点に関しましては検討中でございまして、食糧管理特別会計におきましても、一応新らしい新規の
農産物に対する買入の経費は計上してないのであります。
第五といたしましては、農業災害補償のための経費でございます。これは
農林省予算のうちでも相当大きなウエートを占めるわけでございまして、今回もこれに関する経費百八億、前年度より相当上廻
つております。これに関しましては、水稲、麦或いは陸稲、こういうものに関しましては
共済金額の上昇に伴いまして当然その掛金が殖えるわけでございますが、この際できるだけ
農家負担を圧縮するため、いろいろ配慮いたしまして、料率改訂と同時に国庫並びに
農家負担の割合に関します方針を変えたのでございます。なお蚕繭に関しましては、すでに蚕繭共済の改正の法律が通過いたしておりまして、これに関しましても、全面的な改正を行な
つております。第六に
養蚕振興
対策でございますが、これも前年度の線を踏襲いたしておひまして、特に変
つた点はございませんが、若干の経費の増額を見ております。
第七に農林漁業金融円滑化のための経費でございますが、この中心となりますのは、従来の農林漁業資金融通特別会計に代りまして農林漁業金融公庫が設立されたことであります。この公庫に対しまする
貸出財源といたしましては、
一般会計から百八十億、これは不成立
予算におきましては大体百億であ
つたのでありますが、その後いろいろ預金部資金等の資金繰りの
関係から百八十億に増額いたしました。更に凍
霜害関係の九千三百万円をこれにプラスいたしまして、
一般会計からの繰入れといたしたのであります。なお、そのほかに資金運用部等からの借入もございまして、全体といたしましては二百四十億九千三百万円を
貸出財源といたしまして準備いたしておるわけであります。なお開拓者資金融通特別会計或いは又中小漁業融資保証保険特別会計等に関しましても、前年度の線を踏襲いたしております。
更にこの際一言いたしたいと思いますのは、例の農地担保金融と言いますか、農地金融と称せられるものであります。これは自作農創設特別会計の余裕金を利用してや
つておるわけでございますが、二十八年度におきましても、前年度同様大体この余裕を八億五千万円と押えまして、これを活用いたしまして
政府の買取り方針によりまして実質的な農地金融を行な
つて参りたい、こう思
つております。
更に第八に林業振興のための経費でございますが、先ず公共事業費に属します。山林事業費の
関係でございます。この
関係におきましても、一十六年度補正以来森林法の改正の線を更に強化して参りたい、こういう点でそれぞれ
予算編成をいたしておりまして、治山、造林、林道、これに関しまして、前年度よりも相当
程度の増額を計上いたしております。なお災害復旧費といたしましても、所要の経費を計上いたしておる次第であります。第二の民有林森林計画の樹立でございますが、これはやはり森林法改正の
裏付をなすものでありまして、前年度の線を踏襲すると同時に、特に新規事業といたしまして、森林計画に対する森林組合の協力というものを強化して行くということで、この森林組合の
技術員等が森林計画を実行して行くという経費一億余を計上いたしております。その他いろいろの経費があるのでございますが、この点に関しましては前年度を大体踏襲して変化はないのであります。
以上が
一般会計でございますが、最後に特別会計に関しまして、特に重要な食管会計並びに農業共済再保険
関係に関して申上げたいと思うのであります。お手許に差上げました印刷物の十五頁以下に書いてございますが、食管会計に関しましては先ほど大体申上げました点は省略いたしまして、食糧の買入数量は国内産米が二千八百二十五万石、麦が三百八十四万石、外国食糧は三百九万三千トン、こういう線で押えております。消費者価格に関しまして一応要求いたしました
予算といたしましては、米につきましては現行
通り十キロ
当り六百八十円、こういうことで要求いたしております。なお早場米
奨励金は八十一億、これも前年度と同額でございます。それから輸入食糧の価格補給金は御存じの
通り三百億円、こういう方針の下に歳入蔵出共六千七十五億ということになります。
更に第二に農業共済再保険特別会計について申上げますが、これも先ほど申上げた点をもう一度繰返しますが、農業勘定の主要な点を申上げますと、生産物価格の上昇に伴いまして、水稲、陸稲、麦並びに蚕繭の
共済金額をそれぞれ増額したこと。次に過去の保険事故の実績に鑑みまして、水稲、陸稲、それから麦の保険料率を高めたこと。それから水稲、陸稲、麦及び蚕繭の最低通常
被害部分につきまして三分の一、これを新たに国庫負担をするわけでございます。従来は
農家負担であ
つたのでありますが、それを三分の一だけ国庫負担をやりまして、それに基きまして共済掛金の
農家負担の軽減を図
つたのであります。蚕繭につきましては、
春蚕、
夏秋蚕というふうに蚕期別に共済を行うことにいたしまして、従来
春蚕、
夏秋蚕を通じまして
共済金の計算並びに支払をしておりましたものを二つに分ける、こういう点が変更の主要な点でございます。なお家畜勘定に関しましては、かねて問題になりました家畜の最低
共済金額の引上げということを今回実現いたしたのでございます。こういう点が原因となりまして、それぞれ国庫負担が殖えておりますので、従いまして農業共済の特別会計にそれぞれ殖えましたことに伴いまして、この農業共済保険に関します
一般会計からの繰入れも殖えておるわけでございます。
更に特別会計に関しましては、漁船再保険特別会計、自作農創設特別会計その他全部で十あるわけでございまして、いろいろ詳細に
お話申上げればいいのでございますが、大体一括して申上げますと、前年度の方針をそれぞれ引継ぎまして編成いたしておるわけでございまして、なお細部に関しましては、いろいろ変化もあるのでございますが、特に概要の点だけ申上げる
関係もありますので、その他の特別会計に関しましては省略いたしたいと思います。
以上を以ちまして概要の御
説明といたします。