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1953-06-19 第16回国会 参議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月十九日(金曜日)    午後一時三十四分開会   委員の異動 六月十八日委員江田三郎辞任につ き、その補欠として清澤俊英君を議長 において指名した。本日委員武藤常介 君及び小林亦治君辞任につき、その補 欠として、松浦定義君及び棚橋小虎君 を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            白井  勇君    委員            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   政府委員    農林政務次官  篠田 弘作君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林大臣官房会    計課長     増田  盛君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済    改良局長    塩見友之助君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済   局統計調査部長  安田善一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告農林政策に関する調査の件  (凍霜害対策に関する件)  (雨水害対策に関する件)  (農林省関係昭和二十八年度予算に  関する件)  (麦価に関する件)  (肥料に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。  先ず過般の凍霜害の件を議題に供しますが、最初に先般の議員派遣によりました凍霜害現地調査につきまして、各班から御報告を願いたいと思います。第一班の群馬県の分につきましては、北委員からお願いいたします。
  3. 北勝太郎

    北勝太郎君 過般本委員会の決定に基いて行いました凍霜害現地調査報告を申上げます。  第一班は群馬県下被害状況を視察することとしまして、これは河合戸叶、北の三人が予定されたのでありますが、特に委員長が参加され、これに宮出調査員農林省竹内技官が加わりまして、一行六名で視察したのであります。六月二日群馬県庁に参りまして、小舟経済部長富沢県議会議長から県下被害状況について説明を聞きました。群馬県では四月十四日以来、第二次、第三次と数回に亘る凍霜害を反覆してこうむりまして、被害が重復したこと、地域が広範囲に亘つておるということにおいて、明治二十六年以来の大被害と言われております。  被害は、この県が全国有数養蚕県でありますので、桑の被害が最も甚だしく、被害面積は一万八千町歩、全作付面積の六七%に及びました。損害額は十九億八千万円と見られております。又有数麦作県でありますが、この被害は次第にその全貌を判明しつつありまして、五月二十日現在で被害面積が三万六千町歩被害額は十一億三千万円と見積られております。その他菜種千五百万円、馬鈴薯四千六百万円、果樹一億一千万円、蚕種が八千万円、合計三十三億六千万円と言われております。従つて県では凍霜害対策協議会を設けて、蚕桑病虫害防除災害復旧資金融通等応急対策を講じておりますが、地方財政現状に鑑みまして、肥料購入費助成病虫害防除薬剤購入費助成、稚蚕児補給施設費助成蚕種代損失補償夏秋蚕種購入費助成技術指導強化費増額等のほか、麦類果樹農作物対策費助成共済金概算払早急実施経営資金貸出被害農家所得税の軽減、免除、特別平衡交付金増額等につきまして特別の御考慮を願いたいとする要望がありました。  続いて県下被害地を一巡したのでありますが、最初たちは、降霜から少くとも一、二カ月日が経つておりますので、実地視察しても被害状況がわかるかどうかを心配しておつたのでありますが、前橋市を出て群馬郡の中川村、滝川村、佐波郡の東村、赤堀村、勢多郡の荒砥村、木瀬村等を巡回して見まして、その被害の甚大なのに驚いた次第であります。この地帯は集団的な桑園地帯でありまして、伊勢崎市から太田市、桐生市に至る南群馬の平原は、一面に見渡す限り桑と麦で埋められています。併しその桑園は六月初めというのに、枝が白く見え、桑葉はまばらに枝の先端についている次第であります。一回の霜害を見てから、第二回目の芽がもう大きくなつて、少くとも桑園は青くなつているはずでありますが、数次の凍霜害を受けておるので、枝の下のほうは全然芽が出ないのであります。従つて春蚕諦らめて桑を切つてしまつたものがあります。県でもむしろ夏秋蚕に力を入れるように、被害桑園は切取つて夏秋蚕専用桑園に切換えるよう勧めておるようでありますが、多年春蚕を飼うところの習慣になつており、この地方養蚕農家は何とか遅れても若干は芽が出るだろうとなかなか思い切つて伐採しないようであります。村の人たち実情を聞いて見ますると、この土地養蚕担当者は主として婦人です。嬶天下として有名なところでありますから、婦人連の意見も聞いて掃立を遅らせ、或いは掃立量を半分にしても、桑を買つて春蚕は飼いたいという農家が多く、埼玉県下から桑を買つて蚕を飼つている者も多いとのことであります。従つてこの地方の村では上蔟が十日間遅れ、四〇%の残桑を予定しても産繭量は二〇%程度と見られています。併しその上この凍霜害夏秋蚕にも影響するものと見られています。農村では差当つて共済金の早急仮払の実施営農資金貸出特別平衡交付金早急交付等を強く要望しておりました。一方麦について見ますると、丁度幼穂形成期零下三度から五度というような寒気が来襲しましたので、子房、茎等凍害を受けまして、全く枯死の状態に陥つたものが大多数であります。従つて平年ならば無効分蘗に属するものが養分を吸つて成長し、今頃漸く穂が出ています。ですから一般麦畑を見ますと、皆青々として穂が出ていますが、よく見ると今頃花が咲いており、到底満足に結実しないものばかりであります。一応穂が出ていますから、農民余り気が付かなかつた様子でありますが、気が付いて大騒ぎをしているのが現状のようであります。従つて麦被害はだんだん大きくなつて行き、県下でも五月四日現在で四万四千町歩被害見積額は六億八千万円程度と発表していましたが、五月二十日現在では十一億と訂正しているほどであります。蚕のほうは夏秋蚕で埋合せもつきますが、麦のほうは一年一回限りですから、畑作地帯にとつてはより大きな被害を与えているようであります。即ち畑作地帯農家経済は麦と蚕で現金収入の大部分を賄つている実情にあるので、今回の凍霜害畑作地帯に致命的な打撃を与えたものと言えます。その他果樹菜種馬鈴薯等もそれぞれかなりの被害を受けています。特に果樹は柿、梨、葡萄等群馬県に漸く伸びて来たこれらの商品化作物に直接与えた被害は大きく、投下資本が大きいだけに気の毒であります。  第二日目は、山間部吾妻郡と利根郡に参りました。これらの地帯水田は少く、畑作が大部分を占めておりますので、麦の被害の比重の最も大きな地帯であります。この地方は桑の被害は少かつたようですが、麦の被害は最も大きく、農家農村も最も困つているようであります。先ず吾妻郡について被害状況を見ますと、この地方は四月以降降雨量が少く、一カ月僅か八・五ミリの降雨量に過ぎず、早魃が所々に見られたのであります。このような状態にあるところに、数次亘つて零下三度乃至五度という寒波が襲い、幼穂形成期抵抗力の最も弱い時期であつたので大凍害をこうむつたわけであります。従つて菜種馬鈴薯桑等被害はありましたが、麦を中心として被害面積一千百五十九町歩被害額は三千四百五十二万円に達している実情にあります。被害は四町十カ村に跨り、麦の減石は一万石と予想されています。特に本郡は昨年も大霜害を受けたので、その窮状は著るしく、凍霜害に対する恒久的、根本的対策を樹立する必要を痛感したのであります。中之条の地方事務所楼上で、最も被害の大であつた久田村長から陳情を聞いたのですが、この地方農家経営規模が小さく、一戸当り五反歩に過ぎず、主食は三分の二は麦を食つているようであります。従つて保有麦に事欠く心配があり、飯用麦確保のため、麦の現物低額払下げ、でき得れば現物支給、それが困難な場合は政府買上価格払下げてもないたいという切実な要望がありました。又このような被害状況にありますので、麦の品質は著しく低下しており、被害地の麦の政府買上については検査等級等についても特別考慮してもらいたいという要望がありました。なお郡下開拓地は特に麦の被害が大きく、飯用麦にも困る実情にありますが、開拓地は三カ年間は共済制度の恩典にあずかることができないこととなつており、一層困つております。従つて共済制度根本的な再検討が行われる場合には、被害収穫皆無の場合でも最高半額しか補償されない点と、開拓地では三カ年間共済組合に入れない点は特に御考慮願いたいと申しておりました。霜害に対する根本的対策と共に、是非御一考を煩わしたいと存じます。  次に中山峠を越えて利根郡に参りました。先ず地方事務所郡下被害状況を伺いました。郡下の大小麦作付面積は三千九百七十五町歩ですが、被害面積は三千七百四十町歩収穫は全体の七割に当る約二万石減と見込まれております。勿論桑も、馬鈴薯菜種果樹等被害を受けましたが、麦は一応出穂などが見られたため発見が遅れ、いわゆる凍霜害対策から取残された感があり、郡自体としてもいささかあわてているようであります。郡下の糸之瀬村を廻つて見ますと、この地帯は肥沃な黒ロームの畑地で、平年ならば麦八俵は収穫できる畑ばかりでありますが、凍霜害のため幼穂形成期被害を受け、殆んど出穂せず、その後出た無効分葉の芽が成長して漸く出穂しておる現状であります。この地方では三月中の分葉はみのりますが、五月に入つてからの分葉はみのらないと言つております。然るに今頃やつと穂が出ている状態でありまして、これがみのらんということになりますと、この肥沃な麦畑地帯被害は甚大であります。更に利南村水田地帯に参りますと、同様に被害麦が青々と青立ちになつており、ここでこの麦を早く刈つて植付の準備をしないと米の収穫が落ちるので、どうしても青刈りしなければならないと申しておりました。いずれにせよ、郡下の麦の被害は甚大で、今年は青刈りにして牛に食わせる以外に恐らく役に立たんであろうと言われております。従つて郡下でも凍霜害対策委員会を結成し、それぞれ応急対策に努めておりますが、前述の吾妻郡と同様、麦の保有確保のため、政府買上価格飯用麦払下げてもらいたい、営農資金手当をお願いしたい、種子用麦を無償で交付してもらいたい、今年の麦の肥料代助成してもらいたいと、被害地農民が率直な陳情をいたしておりました。先般予備費支出で五億八千万円の対策費支出が認められましたが、麦のその後に発表された被害については手当がないと思いますので、これらの実情を御考慮の上、被害地農民のため、今後とも一層御高配を賜わりたいと思います。  なお、県下実情を見ますと、この種の被害気象観測その他で若干予見、予知し得る面もあると思います。霜の被害は毎年きまつて被害をこうむる霜の道があることも明らかになつております。これらの予見、予知の方法予防対策をも含めて根本的な対策研究が必要と思われます。ノー・モア・ヒロシマではありませんが、科学の進歩した今日、これら群馬県下被害研究して、二度とこのような被害が起きないように根本対策研究が必要だと思います。  なお、ここに被害麦の見本と若干の写真を持つて参りましたから、後刻一つ御覧下さいますようにお願いいたします。これで第一班の報告を終ります。
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に第二班につきまして、白井委員から御報告を願います。
  5. 白井勇

    白井勇君 第二班の現地調査は、佐藤委員関根委員と私の三名で、埼玉県及び栃木県の凍霜害実情調査いたしました。六月の三日、四日の午前中は埼玉県下を、又四日の午後、五日に亘りまして栃木県下調査いたしました。  先ず県当局及び農林省統計調査事務所等から被害状況その他の対策につきまして説明を聴取いたしましたのち、現地へ参りまして被害状況調査及び被災農民との懇談等に時間の許す限り努めた次第であります。  最初に、埼玉県の状況を簡単に申上げますると、埼玉県におきましては、やはり桑園茶園を初めといたしまして、馬鈴薯果樹蔬菜麦等、全農産物に激甚な被害を及ぼしております。五月三十日現在の県の調査の数字によりまするというと、総作付面積十万八千四百余町歩のうち、三万三千五百余町歩被害をこうむつておりまして、最も被害の多かつた桑、茶というものの被害率に至りましては、四五%以上五〇%にも及んでおり、被害金額は総農産物におきまして二十三億五千余万円に上るものと見込まれておるのであります。特に桑の被害が最も大きいのでありまして、作付面積が一万五千三百余町歩のうち、一万一千余町歩に及びまして、被害率にいたしまして四五%余りであります。被害金額は実に十三億六千万円に達する状態であります。収穫皆無の面積も約三千四百町歩に亘つているという惨状であります。これに対しまして、県はいち早く知事を会長といたしまする臨時桑園農作物霜害対策協議会を設置いたしまして、応急対策を講じておつたのであります。主なるこの技術指導関係について申しますると、先ず県養蚕販売農業協同組合連合会をしまして、被害によります稚蚕用桑不足地帯の稚蚕児を無被害地帯委託飼育を行わしめたのであります。これに対しまして、予算的に二百五十万円の金を出しております。次は被害桑樹発芽促進並びに樹勢回復を図りまするために、応急的に速効性肥料の施用を奨励をいたしております。これに対しまして県費五百万円を投じておるのであります。第三番目は、被害茶園に対しましては、桑同様に速効性肥料施用或いは一番茶を摘みます上におきまするいろいろな注意でありますとか、或いは害虫予防徹底奨励をいたしておりました。又蔬菜重要部分を占めまする馬鈴薯につきましては、やはり速効肥料を施しまして、その回復指導をさしておつたような状態であります。又果樹につきましても、それぞれ病虫害予防等注意を与えております。そのほか蔬菜につきましても、それぞれその後の利用対策につきまして適切な指導をやつてつたのであります。  要しまするに、以上のような措置によりまして、県は一千万円の知事権限にありまするうちから、七百五十万円の予算を使いまして、只今申しましたような措置を講じておりまするし、私たち現地へ参りましても、各町村ともそれぞれ十万内外の村費を投じまして、大いにこの速効肥料を出しまして樹勢の挽回に当つているように見受けました。これは豊岡の県立茶業試験場へ参りまして私たち聞いたのでありまするが、被害をこうむりましてから、一週間後に反当り五貫の肥料をやりました所と、十貫の肥料をやりました所と、肥料をやらなかつた所とを比較機討いたして見まするというと、茶の場合におきましては、施肥をいたしましてから二十日後に茶を摘みまして、肥料をやらなかつた肥料の所を百%といたしますると、五貫やりました場合は一〇六%、十貫をやりました場合におきましては一四六%の茶の量がとれたそうでありまして、十貫をやりますというと、まあ四六%だけ回復が早いということが、茶の場合におきましては、はつきり実証されたという結果が出ておりまして、県といたしましては、十貫というような目標を出しておりましたが、そういう一つ裏付がされたわけであります。  次に現地状況を簡単にお話を申上げますというと、埼玉県下におきます桑園被害程度の特に激しい所は、比企郡、大里郡、児玉郡、これに次ぎまして入間郡でありました。その被害状況は、一カ月余りも経つておりましたが、私たち現地調査をいたしました当時におきましても、被害当時の惨状を思わしめますような惨憺たるものがなお残つておるのであります。私たちが参りました入間鶴ケ島村での被害農民お話の中に、自分は年間二十万円ぐらいの所得であるが、この凍霜害によりまして約八万円の減収を見たとその惨状を訴えておりました農民もあつたのであります。又比企郡の唐子村の桑図では、霜害に引続きます「ひめは」虫とか、或いは「ひめぞう」虫等害虫の発生によりまして、桑園地帯が殆んど見るかげもないような状態になつておる実態も確認をいたした次等であります。更に大里郡の藤沢村、児玉郡の東児玉村におきましても、新芽が漸く出ました桑園、又は発芽困難と思い伐採をされました桑園現状等を視察をし、激甚な被害を受けました深刻な農民の声を聞いて参りました。麦につきましては、入間郡の鶴ケ島村で六十八町歩ぐらい白い穂が出、その穂が又みのれない状態であるといつたような実情を拝見をいたしましたし、その損害は約四百二十八万円にも達すると、こう称しております。又藤沢村の小麦は、花粉が霜でやられましたために花が咲かず、その損害が五千万円に達する、こういうふうに称されておりました。お茶におきましては、有名なあの狭山茶産地調査いたしたのでありまするが、例年でありますれば殆んど寝ずにお茶を作りまするのに、本年は芽が伸びるのを待つて工場を何とか動かすことを考えるというような状態でありました。一見いたしましたところでは、一番茶が摘みとられたかのごとき状態新芽発芽状態が非常に遅れておりました。それに又赤「だに」が附いておりましたし、一番茶の生産は四割減というふうに言われておりました。埼玉県の茶の減収は、少くも金額にいたしまするというと一億六千万円に達するものと、こういうふうに称されておつた状態であります。  次は栃木県の状態であります。栃木県は埼玉県と同様に麦、桑等被害が最も大きいのであります。勿論その他の農作物におきましても少からん被害をこうむつております。五月十八日現在の県の調査によりまするというと、この被害をこうむりました総面積は、総作付面積六万三千六百余町歩のうち三万二千町歩に達しております。被害金額が八億六千七百万円余に上るものと見込まれております。栃木県におきましては、埼玉県と違いまするところは特に小麦被害が甚だしい、こういう点であります。総作付面積二万七千七百余町歩のうち被害面積が一万六千七百余町歩に達しまして、被害率にして六〇%余に上りまするわけであります。金額にいたしましても三億二千万円に達するという状態であります。次はやはり桑でありまして、桑の被害も二億八百万円に達するというふうに言われておりました。次は大麦でありまして、大麦金額にいたしまして一億七百万円の損害、こういう被害順序であります。こういうふうに麦の被害状態が甚だしいと申しますることは、御承知通りに、あの地帯におきましては、軽鬆土の地帯が非常に多いわけでありまして、栃木県におきましては、早春以来雨が少くて多少旱害の気味にありましたときにこの凍霜害被害を浴びましたので、惨状が殊のほか大きかつたものと思われるのであります。これは恐らく日がたつに連れまして、その被害状態が激しくなるものと私たちは見て参つたのであります。県におきましては、四月以降、それに対しまして凍霜害予防対策といたしまして、気象月報でありまするとか、或いは週間農業気象情報その他の通報によりまして、できるだけこの凍霜害被害最小限度にとどめるように気象通報の連絡を農村のほうに徹底をいたしておつたのであります。更に又凍霜害にかかりました後におきましては、埼玉県同様やはり各種の農作物に対しまする病虫害防除の問題或いは追肥の問題等につきまして、それぞれ適切な指導をやつてつたのであります。  ところが栃木におきましては、この凍霜害のほかに降雹の害がありましたのでありまして、これを併せまして御報告を申し上げておきたいと思います。五月二十六日に下都賀郡と安蘇郡、上都賀郡、河内郡の二十数カ町村及び那須郡の数カ町村鶏卵大或いは指頭大降雹がありまして、あの有名な皆川「むしろ」の産地であります皆川村その他の大麻全滅的被害をこうむつております。その他の農作物におきましても甚大な被害を受けております。この降雹被害は総作付面積三万八千五百余町歩のうち八千三百余町歩にも達しておりまして、被害率といたしましては二二%、金額一億六千七百余万円というように言われております。殊に本県の特産物であります大麻被害が最も甚しかつたわけであります。被害率にいたしますと四八%、金額六千三百四十万円余に上ります莫大な被害をこうむつておるわけであります。従いまして県におきましては、この大麻被害に対しましては代作の指導をやりますとか、種子の手配をいたしますとか、その他作物に対しましては病虫害予防方法等指導をやつてつたのであります。  次に現地に参りました状態を簡単にお話を申上げて見まするというと、私たち那須郡の金田村、河内郡の氏家町、芳賀郡の清原村、下都賀郡の南犬飼村等、丁度雨でありましたが、その中を時間の許す限り埼玉県同様綿密に調査をいたしたのであります。あの地帯は麦が主でありまして、根本から枯れ果てまして今後の発育は殆んど期待できず、花粉が霜に痛めつけられまして、みのらないものとか、或いは現在一応の花は付いておりますが、取入れはできがたい、こういうような被害の現実の状態というものをつまびらかに見て参りました。あの状態を見まするというと、今後日が経つに従いまして、被害状態というものは更に進んで参るものと見て参つたのであります。又桑につきましては足利郡の桑園を見て参りましたが、被害は受けておりまするが、私たちが見て参りました地帯は、割合早期に技術指導徹底をいたしました関係もあり、又土地柄として地力が割合肥えておりました関係からか、被害を或る程度に食い止め得たような面もあるように見て参つた次第であります。  次は先ほど申しました雹害状況につきまして附加えておきたいと思います。雹害につきましては、栃木特産物大麻被害状態下都賀皆川村、小野寺村について調査いたしましたのでありますが、この雹のため大麻は伐採され、或いはその伐採されました後に新らしく大麻種子を蒔きましたのが漸く芽を吸いておるというような状態を見て参つたのでありますが、現金収入の七割を大麻に依存をいたしておりまするこの地帯窮状がいたわしく感ぜられるような状態でありました。現地要望といたしましては、現在におきましては、大麻地帯に対しましては御承知通り農業災害補償法の適用もありませんので、是非一つ大麻も加えてもらいたいというような、たつて要望がありましたのであります。  以上申上げましたこの両県下被害の甚大でありましたのは、要しまするに、これはどこでも同じだと思いまするが、三月中に平年に比しまして高温多湿であります。桑、茶或いはその他一般農作物が四、五日程度成育が進んでおつたと思いますが、そういうあとを受けまして、七月に入りまして低温で而も寡雨であります。従つて農作物成育が或る程度抑えられ、一面から考えまするならば、むしろ早害の気味がありましたととろへ持つて参りまして、気温が上つたり下つたりして、その較差が非常に顕著でありましたので、ああいうひどい凍霜害を生じたものと私は見て参りました。而も当地の状態としましては、作物成育過程におきましては生理的敏感期にある大事なときでありますので、災害を一層拡大したものと私たちは見て参つたのであります。  一応被害の概要を申上げましたが、次に被害地要望事項なり、私たちが感じて参りました点を二、三附加えておきたいと思います。  先ず現地要望事項といたしましては、いろいろ要望書にも出ておりましたのではありまするが、先ず一つには、廃棄蚕種蚕児蚕種代助成をされたい。二番目は、夏秋蚕種の購入費を助成されたい。三は、防除薬剤を無償配付されたい。四としましては、長期低利資金貸出措置を購ぜられたい。五は、麦類、蚕繭共済保険金を速かに概算払をせられたい。六は、被害農家に対しまする種子の無償配付をしてもらいたい。七番目は、災害農家に対しまして食糧の補給をしてもらいたい。八番は、課税減免の措置を講ぜられたい。九は、被害県世びに被害町村に対しまして平衡交付金を増額してもらいたいというようなことが、主なる被害地におきまする要望事項のように拝承をして参りました。  次に私たちの感じて参りました点、先ず第一は地力の問題でありまするが、やはり開拓地でありまするとか、水利の便の悪いところ、或いは土壌の痩せておりまするような地帯が割合に被害が深刻でありまして、又いろいろな手を打ちましても回復が遅いというような点をはつきりと見て参りましたのでありました。やはり地力を増進をいたしておきますることが、被害最小限度に食止め得る一つの点ではなかろうかというように考えて参りました。  次は麦の被害の点でありまするが、これは申上げるまでもなしに、桑のようにはつきりと出て参りませんので、その点は私たち調査以後におきまして更に増大をいたしておると思うのでありまするが、そういう点につきまして、よく一つ被害の実態というものを見極めまして、凍霜害桑等に準じまするような措置を講ずる必要があろうというように考えて参りました点であります。現に私たち栃木県に参りまして、五月十八日現在の麦の被害を聞いたのでありますが、当時は十二万石で五億一千万円の損害であると、こういうふうに県が言つておりました。ところが最近頂きました五月二十五日現在の、つまり十日もたつておりません五月二十五日現在の調べ、これはやはり同じ県の調べでありまするが、それが正しいといたしまするというと、麦類が先ほど申しました十二万石に対しまして十九万七千石、金額にいたしまして、五月十八日は五億一千万円でありましたが、二十五日現在では八億六千万円にもうすでに増大をしておる、こういうような状態でありまして、その実態を見極めまして、桑同様に適切な措置を講じますることの必要さを痛感をいたして参りましたのであります。いま一つの点は、こういう災害がありまするというと、農業災害保険でありまするとか、その他の対策の講ぜられない面におきまして、いろいろやはり被害が大きいと思われまする点であります。農業災害保険の対象となりまするにも、やはり量の問題でありまして、残りました農作物がどういう質のものであるか、市場へ出しまして、平年ならば百のものが価値におきまして六十なり七十になりましても、それを補償される何ものもないというふうな状態のように見受けられまするし、又お茶もとれませんければ、従いまして農家副収入でありまする茶摘みの女の収入も減つて来る。又蚕が駄目になりますれば、皆川村のようにそのとれました大麻を糸といたしまして、有名な皆川「むしろ」を織つておりまするが、あの副産物となりまする皆川「むしろ」が全然とれないというような結果になりまして、現金収入が減つて来る。そういうふうに農家の収入が減つて参ります上に、更にいろいろな面におきまして、農作業的にいろいろな齟齬を来たしておるというような結果が出て参りまして、これが又今年の秋の米作にもいろいろな悪影響を及ぼすのではなかろうかというようなふうに、この被害の及ぼす影響或いはその深度なり、幅というようなものが非常に深いものであるということを痛感をいたして帰つてつた次第であります。  以上簡単に御報告申上げます。なお足りない点は、質疑がありますれば他の委員から補足願います。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 以上の報告につきまして、何か質疑がありますれば御発言を願います。
  7. 川口爲之助

    川口爲之助君 視察班から漏れました千葉県の麦の被害状況について一言申上げておきたいと存じますが、差支えありませんか。
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) どうぞ。
  9. 川口爲之助

    川口爲之助君 千葉県の麦の被害は、匝瑳、千葉、印旛、香取、市原の四部に亘りまして、凍霜の補償五億八千七百万円を頂戴いたしまして、当時の千葉における被害の申告は一千二百町歩であつたと記憶いたします。従いましてその割当は極めて少かつたのであります。殆んど百分の一にも充たない額を頂戴したということであります。然るにその後買取り処理が進むに従いまして非常に被害が甚大である。今日の状況を申上げますというと、約一万六千町歩被害面積が亘つておるということであります。果実、野菜等の被害の深刻なることは申上げるまでもないところでありまするけれども、対策委員会といたしまして、凍霜に対する処理をせられる場合におきましては、特に事情を勘案されまして処理して頂きたいということを申上げておきたいと思います。後刻又委員長の手許に詳細な調べは提出することにいたします。
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 何か政府に御質問ございませんか。
  11. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の視察報告の中にある数字というのは、それぞれの県の被害調査の数字ですか、それとも県の被害調査の数字と農林省の統計調査部の被害調査の数字と、この両方を勘案した数字ですか。それとも統計調査そのものの数字ですか、これを私は一つ伺いたいと思います。
  12. 北勝太郎

    北勝太郎君 大体両方打合わせておつたようです。大した差はないようであります、両者の調査は……。
  13. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういたしますと、ここに農林省の政務次官なり、統計調査部長が見えておりますが、今の委員のかたの調査報告に出て来た数字というものは、今後政府がこれを採用する数字と心得ていいですか。
  14. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 凍霜害対策農林省の統計調査を基準として行うことになつておりまして、他の調査の数字はこの基準にはなりません。
  15. 河野謙三

    ○河野謙三君 農林省の権威から言つて当然だと思いますが、今視察委員のかたのお話ですと、今の御発表の数字は当該県にありますところの農林省の出先機関である統計調査の数字と、県の数字と、それぞれ勘案して両者大体一致した、又それに近い数字だ、こういうお話ですが、そういたしますと、今の調査報告に出て来た数字というのは、今後我々が災害対策を審議する場合の基準とする数字だと承知してよろしいですか。
  16. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 只今申上げました通りの方針でありますが、最初は県の数字と農林省調査の数字とは大分開きがありましたが、その後だんだんと接近をいたしまして、そう大差のない数字になつて来たのでありまして、農林省としては、当然農林省の出先機関であるものの調査による数字によつてやることにしております。但し今農林省調査による数字と県の数字とを按配された調査班の数字というものは我々の手元にはありませんので、それはわかりませんです。
  17. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、今の栃木埼玉群馬、この三県だけでも被害調査の数字というものは、金額にして大体私概算して見ますと、四十億ほどになつております。そうすると、この間災害対策として政府措置せられました金額というものは余りに僅少であつて、当然今後の予算の上に、災害対策としての予算というものは追加されることと思いますが、この点を一つ。その準備をすでにされておるのかどうか。而も今の調査によりますと、我々もかねて承知はしておりましたが、順次被害金額というものは増大して来る。こういうことでありますが、一体その後の災害対策に対する政府の準備はどういうことになつておるか、それをお伺いいたしたい。
  18. 北勝太郎

    北勝太郎君 その前にちよつと関連して……。先ほど調査被害面積その他を申上げましたが、被害高につきましては、麦はやはりだんだんみのつて来るに従つて状況が進むに従つて被害高がもつと大きくなるだろう、こういう工合な想像をしておるのであります。政府のほうで調べられたのがあつたら、私どももう一遍伺つて見たいと思います。
  19. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 五月十五日に取りあえず緊急調査いたしました際、麦の被害は十二万町歩余と、私どものほうでつかんでおりましたが、六月一日の統計調査で予想収穫高をやります際に、当然に継続再調査をいたしておりますが、その際におきまして、すでに二万二千町歩出ております。凍霜害では特に二つの点で被害を麦が受けることに重点がございますが、幼穂の枯死という点と、受精又は胚の発育障害ということが非常に顕著であり、そのあとのほうの場合は、作物被害の性買上、相当時日が経過しなければ判明しない性質のものであります。このことでかなりの額、見積りの減収量といたしましても十四、五万石増加いたしております。なお引続いて調査中であります。
  20. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も当然そうであろうと思つておるが、そこで六月一日現在の被害調査もすでにまとまつておるようでありますが、この被害調査の数字が非常に大きくなつて来た。それに対して将来の予算の上にどういう準備をされておるか、災害対策の準備をどういうふうにされておるか、それを伺いたいと、こういうわけです。
  21. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 先日来申上げましたように、麦の被害というものがなかなかはつきりとつかめない。そこで麦の被害につきましては、今月末の月末の調査を以てやりたいというふうに考えております。それ以外のものは、五月十五日現在の被害によりまして、三億八千九百万円というものが出されております。そのほかに農林中金を中心として全信連、単協等から出す二十億、それから災害補償によるものが約三十億と記憶しておりますが、そういうようなもので……、三県だけについて三億だそうであります。訂正いたします。そういうところでほぼ間に合うものと考えておるわけであります。これは三割以上の被害を受けたものについて過去の現金支出を睨み合せまして、そういう対策を考えておるわけであります。
  22. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、麦について災害調査の最終の数字は今月末において更に集計する。そこで集計されたものによつて、今後予算の上に追加して災害対策費というものは政府は準備すると、こういうことですか。それともこの間の災害対策の費用だけで打切であるのか。こういうことでないと思いますけれども、この際念のため一つお伺いいたします。
  23. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 麦の場合は融資が主になりますから、その被害状況によりまして当然それは考慮されて行く、こういうことになると思います。
  24. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはおかしいのであつて、この間の災害対策には融資もあつたし、肥料の問題もあつたし、農薬の問題もあつた。この間の災害対策の要綱ですか、あれに盛られたすべてのものが、災害の数字が増すに従つてそれに比例して追加される、こういうことでなければおかしいと思うのですが、ただ今後数字が増した分については融資の面だけを政府は考えておる、こういうことであるとおかしいと思うのですが、それは何か間違いじやございませんか。
  25. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 肥料の問題は、この前は桑の場合は速効肥料をやりまして、すぐ夏秋蚕に対して、或いは春蚕に対しても芽の出る勢いのあるものに対してはどんどん刈取つて出させるという方針でありまして、そういう意味合で肥料の問題がありました。麦の問題は一応ここで刈入をする段取になつております。併したびたび言明いたしましたように、前の被害に準じて救済をするという建前でありますから、被害が現われた状況によりまして、その数字をまとめて、その点については研究したいと思います。
  26. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちよつとくどいようですけれども、今災害対策、災害対策といつて政府が金を出して、又金を融通して、それによつて農家がいろいろな災害対策の施策の手を打つのではなくて、すでに農家は災害があつた翌日から打つべき手は打つておる、買うものは買つておる、すべて農家自体はもうやつておる。災害対策というのは、たまたま数字の取りまとめが遅れたから、あとからやるということになるわけです。であるから、その点において誤解のないように……、くどく申しますが、農家はすべて災害対策は自分の手でやつているのですよ。金融問題その他については必ずしもそうでない問題もありますけれども、そういうわけでありますから、数字がコンクリートされてから一般の災害対策というものは、これはすべて総合的に今まで考えられた要綱に基いてやつて頂く、こういうことでないと非常に不公平が起りますので、ちよつと私はくどく申上げるわけであります。
  27. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 凍霜害対策につきましては、初から麦その他は別になりまして、先般の五億八千九百万円の中にも麦に対する肥料というものはなかつたはずであります。そこで桑の場合或いは茶の場合は、要するに樹勢回復という立場から早く葉を出したいという意味で、桑、茶に対しては肥料というものが出されたのでありまして、麦の場合は初からこの前の援助資金と申しますか、その中にも麦に対する肥料はなかつたのでありまして、その当時のいわゆる資金貸付とか、病虫害防除費とか、そういう問題については前と同様に五億八千九百万円出したときと同じような標準で今後麦の被害については臨む、こういうことになつておるわけであります。
  28. 上林忠次

    ○上林忠次君 先般の対策を出されましたときに蔬菜は入れないということで入れてなかつたはずですが、地方に通達した文書には蔬菜が入つている、どこでああいうふうに違つて来たのですか。
  29. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 蔬菜は入れないとおつしやつておりますが、種子とそれから補助金は入つておるそうであります。
  30. 上林忠次

    ○上林忠次君 そのときに蔬菜も入れないなら「たばこ」も入れない、「たばこ」も全反別としては小さかつたが、局部的には被害は相当ひどかつた、ところが蔬菜も入れないから、「たばこ」も反別として少いということで入れなかつたのでありますが、蔬菜だけを入れて「たばこ」は抜けておる、片手落になつておる。
  31. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 「たばこ」の問題は、これは大蔵省のほうでやるんで農林省のほうではやらないといつておりますが。
  32. 上林忠次

    ○上林忠次君 従来、これまでまあ督督官庁が大蔵省になつておりますために、同じ農作物でありながら「たばこ」は殆んど一般作物とは別な扱いをされておつた慣習になつておりますが、私先回にも何とかしてこれに一緒に補助を受けさそうと考えておつたのでありますが、蔬菜と共に落ちたようであります。その後になつて、どこでどういう工合に調整がついたのか、蔬菜だけが入つておるということで、「たばこ」産地はこの恩恵に浴さないということで不平が出ております。その点お知らせ申上げておきます。
  33. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 先ほど白井委員からも報告がありましたように、栃木県としては、特に大麻の作付が特殊地帯に二千二百町歩ぐらい耕作されております。全国では大体三千町歩ぐらいな耕作面積でありますが、栃木県が全国一の耕作面積を持つておるわけであります。その特殊作物を作つて、更に下駄の芯縄或いは「むしろ」等を製造して、それによつて生活しておるいわゆる農村の工業として行われているものが多数あるわけでありますが、今回の災害によりまして、畑作の収入が全く絶えてしまうというようなものでありますので、特別の措置として、大麻に対しましても麦同様に何らかの方策を政府として講ずべきであると考えるのでありますが、これにつきまして、先頃の農林省報告の欄にも一億六千万かの損害報告になつております。これは栃木、長野、広島の三県でございまするが、これに対する政府対策を承わりたいと思います。
  34. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 同じ雹害のうちでも、早く報告の来た京都の例えば茶というようなものは入れたそうであります。大麻報告が非常に遅れたために今改良局で研究中であるそうであります。
  35. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 本件につきましては、是非とも何らかの措置を講じて頂きたいことを要望いたしまして私は打切ります。
  36. 北勝太郎

    北勝太郎君 北海道の「りんご」は凍害にかかりまして、私この間実際に実地に見て来ましたけれども、実に四十年からの木が倒れてしまつておる。これは今度のいわゆる果樹被害のうちに含めてもらうことができるかどうか、その点一つつておきたい。
  37. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 北海道の「りんご」、の被害の問題につきましては、凍霜害で参つたということよりも、むしろ昨年十一月より十二月にかけての寒冷が非常にきびしくて根が腐つて来たというようなことでありまして、私も御存じの通り北海道を是非この中に入れてもらおうと一生懸命頑張つておりますが、そういうような関係がありまして、勿論被害でありますから当然救済しなければならないが、それがそういうときに凍霜害を受けたわけです。芽の出る頃に……。そういうような関係でこれを両方に跨がつた被害でありますから、中に入れようというので一生懸命に今研究しておるわけであります。それから数字は、まだ北海道から本当のコンクリートの数字は来ておりません。
  38. 上林忠次

    ○上林忠次君 それでは先ほど栃木県の話もありまして、私も先般栃木県へ行きまして、凍霜害状況を少し視察したのであります。その際に麻の問題が出ておりまして、相当被害が多いということを聞きました。その対策にこれも割り込む、又「たばこ」も割り込む、蔬菜と同様に新らしく検討してもらうということにいたしてもらいたいと思います。農林省の御意見を……。
  39. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 只今「たばこ」のお話のようでありますけれども、「たばこ」は作付をするときからすでに大蔵省が、何と申しますか、生産管理と申しますか、やつておるので、そういう意味合におきまして、これは農林省の枠の中に「たばこ」を入れるということは、これは御存じの通り非常に無理があつて、併し大蔵省の所管だから救済しないということは勿論これはないと思います。むしろ大蔵省のほうがやりやすいのではないかと思います。どうかそつちのほうを大いに御鞭撻願いたいと思います。
  40. 上林忠次

    ○上林忠次君 政府間で「たばこ」に対してはどうするかという問題をきめてもらつたらどうでしようか。これはどちらも手を付けないということになると、耕作者は大きな損害を受けるわけです。どちらかでやつてもらう、はつきりそれをさして頂くために、農林省、大蔵省両省間で区別をしてもらつたらどうですか。
  41. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 同じ政府の中でありますから、申入をするというような御希望であれば幾らでもやります。併し今言いましたように管轄が違いますから、そういう意味合におきまして、どうか一つ我々も申入をいたしますから、あなたのほうでも申入をして頂きたいと思います。
  42. 河野謙三

    ○河野謙三君 私この機会に直接凍霜害の問題と離れますけれども、関連して今の「たばこ」の問題で。…「たばこ」は同じ百姓が作つておるけれども、大蔵省だからおれは手が出せない。これは長年の問題であつて、「たばこ」といえども、農民が御承知のように耕作している以上は、生産段階は農林省の行政の下において、販売段階において初めて専売事業の関係上大蔵省へ移す。こういうことについての政務次官の政治的見解なり、又今後この問題を解決する熱意があるかどうか。実は「たばこ」の問題については、ここに上林君が一番詳しく知つておられますが、今は職場を離れておられますから、上林さんの御意見もおのずと違つておると思いますけれども、専売事業であつて、而もその作つたものは専売事業である関係上、大蔵省以外には売らないのです。而も一手買取をしておる大蔵省の出先機関である専売公社が、その鑑定員によつて格差を付けて値段をきめる。こういうことであつては「たばこ」の耕作農民というものは非常に常に大きい圧迫感を受けておる。この頃はやりの投書さえもできない。投書して若し見つかつたならば、えらい敵討をされるから投書もできない。私の田舎では鑑定員の御機嫌をとるためにかわいい娘を犠牲にしたというデマさえ飛んでおる。(笑声)これは笑いごとではない。これは少くとも農民の利益代表として、ということは甚だ語弊があるかも知れないけれども、「たばこ」の耕作農民の代表として大蔵省に対して農林省が利益代表として、これは当然発言権を持たなければならないと思うのです。こういうことで長々とこの機会に申上げることは御迷惑でありましようが、簡単に、政務次官はこの「たばこ」の扱いについて、耕作段階においては一般農産物と同じように農林省が行政を管轄すべきが当然である、こういう御意見を私は当然お持ちであると思うが、お持ちであるならば人一倍勇敢な政務次官において、在任中にこの問題を大蔵省とぶつかつて解決して下さる熱意があるかどうか、これを一つ伺いたいと思います。
  43. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 河野君は秦野「たばこ」の産地のかたでありますから、そういう御関心は特に深いと思いますが、これは農家としては当然農作物でありますから農林省の管轄に入ることを希望しておるかと思います。併し専売法がありまして、作つた葉を一枚なくしても届出をしなければならん。こういうような厳重な監督下にある「たばこ」でありますから、今直ちに私の個人的な勇敢さを以て、どうもそれを専売法を変えるところまで行くかどうか、それはちよつと私もここで言明申上げることはできない。恐らく私は何ぼ私が頑張つても、従来の長い間の関係はそう簡単に変えられないのではないか。専売法のほうを変えて頂けば勿論これは変えると思いますが、そうなりますと、機構の改革で検査員とか、いろいろ関係が又随分厳重でありますから、そういう機構改革もしなければならないし、容易なことではないということだけ申上げておいたらいいと思います。
  44. 河野謙三

    ○河野謙三君 容易なことではないので、久し振りで気の強い政務次官を迎えたから私はあなたにやつて頂きたい、こう思うので、今の専売事業であるから一枚の「たばこ」の葉も監督が云々というような、そういうことで私は今の「たばこ」の生産段階の行政が大蔵省へ行つておるのじやないと思うのです。これは併し先ほど申上げましたように、別の機会に又ゆつくりと御意見を伺いたいと思いますが、このほかに食肉衛生法の問題であるとか、問題の肥料の行政の二元化の問題とか、農林省として行政の一元化、又一元化させることが悪いために二元化させなければならないという懸案がたくさんある。ところが従来縄張りによつて一つも解決されていない。それがみんな農民なり国民が迷惑をしておる。こういうことがあるので、特にこれはほかのことは勿論ですが、この問題に対しては非常に政務次官に期待しております。十分この点について御研究を願いたいと思います。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連質問で、ちよつと別になりますけれども、先般西日本に起きました風水害の問題に対して、少し政府が持つておられる考え方を、水害等の資料も大体まとまつたのじやないかと思われますので、いろいろ要望しておる事項等の大きなものを挙げますれば、営農資金の補助並びに融資であるとか、農業共済金の逐次概算払、非共済の農作物の補償の問題とか、被害農家に対する飯用麦についてとか、或いは融資に対する償還期限の延長とか、農地及び農業用施設の応急工事費の補助並びに復旧等について、相当急を要する項目もたくさんあると思いますので、こういうような項目につきまして、政府が今持たれるお考えがまとまつておるならば、その概要をお伺いしておきたいと、こう思うのです。近くこの被害地に三班に分れて現状を視察にも参ります際に、まだ政府には何ら具体策もないのだということより、これくらいの構想を持つておるというようなことをみやげとして持つて参りますことも非常な効果的なことが考えられますので、大体の御構想がありましたならば、一つその点をお伺いしておきたいと思うのです。
  46. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) この風水害の被害はその後だんだん殖えておりまして、まだ本当の数字と言いますか、全面的に信頼し得る数字というものが出ておりませんが、この間の、一昨日でしたかの知事会議に現われた全国の集計は大体三百一億くらいになつております。農林省としましては、月末までに農林関係被害農林省が出しまして、それに対する対策をやるわけでありますが、現在までにきめられました対策は、菜種、麦、馬鈴薯その他農作物被害農家の再生産の確保に必要な金融措置、利子補給及び損失補償を含む、そういう措置を講ずること、それから漁船漁具及び養殖施設等の災害についても前項に準ずる措置を講ずる、それから麦については農業共済における共済金概算払を早急に行う、水稲については苗代の、何と言いますか、苗代を再蒔きをするための種子代、肥料代或いは農薬代、又は苗の購入或いはそれを運搬するための助成、運搬費の助成というものを行うこと、蔬菜については病虫害防除費、又は代作種子代の助成を行う、果樹については緑肥種子代及び病虫害防除費の助成を行う、大体以上の措置を講ずるために要する経費については災害対策予備費を使うこと、それから被害農家に対し政府所有の麦の貸付を行う、被害農家からの五等麦の買入を行う、施設の災害については、災害対策予備費の使用を考えると同時に、繋ぎ融資として資金運用部から資金の活用をする、こういう大体対策を今まできめております。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは凍霜害の場合にもいろいろあつたと思いますが、このたびもやはり出ておる問題は、災害をこうむつた麦とか、或いは菜種等の検査制度に対して相当の緩和並びに特別な措置を講じてもらいたいという要望が随分高く唱えられておると思いますが、只今の構想の中にも、それが抜けておるようでありますし、凍霜害対策にもこの問題が抜けておるようでありますが、かまわんというお考えですか、どうですか。
  48. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 答申案によりますと、米価審議会の答申案では五円ということになつておりましたが、現行二十円を大体十円に下げることが妥当であるというので、十円を基準として今研究いたしておる次第であります。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 その十円というのは検査料のことですか。
  50. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) そうです。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういうのじやないでしよう。大体の被害地要望は、麦などの検査規格等を引下げてくれとか、或いは規格外の麦を政府が買上げてくれとか、そういう特別の措置が望ましいというのが、凍霜害並びに水害等に対してそういうものができてしまつたのですから、そういうものに対する買上や或いは検査等のいろいろな方法一つ特別に考えてもらいたいというので、これは将来もありますし、過去にもあつたことだろうが、実際被害を受けたものは傷んでしまつたとか、傷んだ、それだけでは済まんから何とか特別な取扱いをしてくれというのです。手数料を十円に下げてくれとか、何とかいうのじやないと思うのですが。
  52. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 検査の規格を引下げるというようなことは、これは規格がきまつておりますから、一時の災害のために規格を緩めるということはできないのでありますけれども、その代り従来買上げなかつた五等麦を無制限に買入れる、或いは規格外の麦を買入れるというようなこと。それからその格差を縮めるというようなことで対策を練つておるわけであります。
  53. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今の「たばこ」の問題でありますが、これはこのたびの西日本の水害で大きな問題になつたと思うのです。農民は法律がどうあろうと、そんなことは承知しないのであります。結局災害農民を救済する農林省として、この解決を一つ急速にやつてもらいたいと思うのです。大蔵省の方面に、大蔵省として救済する意思があるかどうかということを農民を救済する農林省として一つ申入れてもらいたい。結果とすると、亜麻が救済の対象になる、或いは菜種が対象になるというようなことで、農民とすれば非常に奇異な感じを抱くのじやないか、私はそう考えるのであります。一つ水害の問題を早急に、これは大きな問題になつて来るので、農林省として交渉して頂きたい。
  54. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 先ほど申しました通り「たばこ」の問題につきましては、農林省から大蔵省に申入れたのであります。
  55. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちよつと関連して……。今度の災害対策政府は五等麦を今度買つてやるとか、等外品を買つてやるとか言つておるが、これは一体買うのが当り前であつて、今まで法律に書いてないことを勝手に買入要綱とか、何とかいう名を作つて五等麦を買わないとか、規格外品を買わないとか言つておるが、これは政府が勝手に法律を無視してやつたのだと思う。そんな法律はないと思う。五等麦であろうが、麦と名の付くものは政府が示す価格によつて全量農民の希望によつて買取るべき私は責任があると思う。それを如何にも恩恵のように言うのは、どういう一体法律の根拠があるのか、私はないと思う。そこで私は精神の上においては五等麦を買うとか、規格外品を買うとかいうのは、水害対策として幾らかそこに、厳格な農産物の検査法を左右するわけにはいかんけれども、運用の面において幾らか災害地の五等麦は多少規格外品に該当するようなものまでも五等麦として買つたらいいと思う。こういう運用如何の問題が残つておると思います。一昨日の委員会でしたか、どうも聞き捨てならん、如何にも情けで五等麦を買つてやるとか、規格外品を買つてやるとか、そんな法律があるのですか、あつたら聞かしてもらいたい。
  56. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと関連してですが、この前の委員会では五等麦は買うが、等外は食糧管理法では買えません。食糧にならないから買えませんという答弁があつたのですが、今日政務次官のお話ですというと、五等は勿論買う、等外についても考慮するというようなことですが、その辺をはつきり一つ……。
  57. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 私は等外品を買うと申上げたのではなく、規格品を買うと申上げたのでありますが、規格品と等外品とは違うのでありますから、そういう意味で御了承願いたいのが一つ。それから只今河野君のおつしやるように、情けで買つてやるというような印象を持たれたようでありますが、御承知通り国内産の麦は自由販売であります。従つて政府が買上げなくても、農民が若し市場価格が非常に高いということであつて、そこのほうに売るということになれば、これは農民の自由であります。ただ検査で通つたものを農民政府に買上げてくれという希望があつたときには、当然これは政府は買上げるという建前でありますから、従来五等麦は政府は買わないという方針であつたところが、今度の災害によりまして五等麦になるものが相当多いだろう、そこで市場にそれを持込んも、或いは売れるか、或いは叩かれるかというような虞れがあるので、農民の希望によつて五等麦を買上げる、規格外品も同様に希望があれば買上げる、勿論希望がなければ買上げない、こういうことであります。
  58. 河野謙三

    ○河野謙三君 勿論自由販売だから誰に売ろうと勝手でありますけれども、五等麦といえども、農民政府買つてくれと言うならば、政府があらかじめきめた価格によつて買う義務がある。それを誰に相談したか知らんけれども、五等麦は買わないということを農林省のほうで勝手に買入要綱なんか作つていることは私は越権だと思う。今までそういうことをやつたことが間違いです。今までそういう間違いをやつておいて、今度新らしく五等麦を買うのは、水害対策として、如何にも水害地の農民に恩恵のように言うのは間違いだと、こういうことです。誰に相談してそういうことをきめたのですか。
  59. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 五等麦を無制限に希望があれば買上げるということが非常に恩恵だというふうにとられるということでありますけれども、別に恩恵的にそれを買上げるというような意味じやありません。それは当然希望があれば買うという意味であります。ただそれが恩恵であるかないかということは印象の問題でありますが、河野君がどういうふうにお考えになつているか、我々は恩恵を売る意味は一つもありません。
  60. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は今度の水害地の問題だけじやない。今まで五等麦を、水害地だけでなく、全国の農民から五等麦を買つてくれと言えば買わなければならない義務があるのですから、今までそういうような食管のほうで誤まつた買入要綱を以て運用しておつたならば、それは二十八年産麦からそれは改めてもらいたい。それは如何に災害がないところの地域であろうが、農民が麦の名の付くものを買つてくれといつたら買う義務がある、私はそういうふうに考えますが、今までの買入要綱というか、何というか、今まで農林省が勝手に作つたところのものは、この際改めてもらいたいと思う。この点ははつきりお答え願いたい。
  61. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 従来とも五等麦を特に買つてくれという希望はそれほどなかつたようであります。それで、災害が起るというと五等麦の問題が起つて来るのでありまして、ふだんそういうものを買上げないという農林省の考え方は、要するに買上げた品物は国民の食糧として出すわけでありますから、食糧に余り向かないような、或いは食糧として喜ばれないようなものを農林省が特に買上げることは、それは控えたほうがいいだろう、こういうような考え方で買わなかつた。但し農民のほうもふだんは特にそういうものを買つてくれという希望は余りなくて、災害が起きるとそういう希望が出る。そこで農民の希望も、又実情を参酌をして無制限に買上げる、こういうことになつておるわけであります。
  62. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは食糧になるとか、ならないということは、これは農林省の権威ある検査官が等級をきめるので、それはまあそれでいいのですが、ただこの際はつきりしてもらいたいのは、今までの五等麦は買わないという要綱を改めるか、さもなければ、それをどうして従来通りの方針で強行して行くならば法律を変えるか、どちらかしてもらわなければならん。私は少くとも今の法律によつては、五等麦は従来食管がやつておりましたような、買わないというようなことは私は法律違反だと思う。ただ農民はそういうことを知らんから、政府買つてくれないから持つて行かないだけの話で、農民政府買つてもらう希望が少いとか、何とかということはない。それは要するに政府がそういうものを受付けてくれんから出さないだけなんです。特に本年のような、水害地に限らず、全国的に非常に災害が多い場合には五等麦の量というものは多いと思う。これは当然買うべきであると思うが、法律を改正するのか、それとも要綱を改めるのか、どつちか一つはつきりしてもらいたい。
  63. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 従来五等麦を買わないということは、別に法律で買つてはいけないといういうなことはないのです。又法律で買うということもないのです。そういうわけでありますから、農林省の方針として五等麦は買わないと、こういうことであつたのですが、災害のような場合には方針として買うということでありますから、これは別に法律を改める必要もないと思います。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今「たばこ」の問題が大分問題になつておるので、勿論皆さんの御主張は尤もで、農林省に斡旋してくれということもいいですけれども、現に今対策の問題が出ておる。これは専売公社でなければそれが解決せんということであれば、その問題は別に、又時間もも余りがありますので、係を至急に捜して、おりまするならば呼んで、一つけりを付けるということが妥当ではないかと思いますので、皆さんにお諮りをして頂いて、御賛成で7ありましたならば、一つその手配をして頂きたい、こう思うのであります。
  65. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 清澤委員の御意見ですか、動議……。(「結構です」と呼ぶものあり)それから今日は政務次官と議論するつもりはないのですが、先ほど等外及び規格外のものを買うと、こういうことで、私は同じことを言つておるのではないか、規格外、即ち五等ではないか、そこを今日は食糧庁の専門のかたはおりませんが、規格外が五等で、五等及び規格外を買うというのは結局同じものではないか、これは何か……。
  66. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 規格外が五等まであるという委員長お話はちよつと違つておるので、各等に、その規格に合わないものが規格外としてあるわけであります。そういう意味で、只今検査規絡というものがありまして、その一つにも当嵌まらない場合には各等に規格外がでるきわけであります。そういう意味合で、規格外が五等品だという意味ではありません。
  67. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは一つあとで……。それでは如何でしようか、ほかに問題がたくさんございますが、今大蔵省の来るまで別の問題に入つてよろしうございますか。
  68. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) これは検査の規格の中に農林省の何でありますが、こういうことがある一等、二等、三等、四等、五等、等外とありまして、規格外、これは「一等から等外までのそれぞれの品位に適合しない普通はだか麦であつて」……(「細かいことはいい」と呼ぶ者あり)ここに規則がありまして、この規則によりますと、一等から五等まで規格があるわけであります。
  69. 鈴木強平

    鈴木強平君 よくわかりました。了承しました。
  70. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは凍霜害の問題はまだ問題があると思いますが、なお引続いて検討することにいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  71. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは二十八年度の関係予算につきまして御相談いたします。  先ず農林省当局から二十八年度の農林関係予算につきまして説明を願います。
  72. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 私会計課長でありますが、二十八年度の農林関係予算の概要に関してお話申上げます。実はお手許にいろいろな資料が差上げてあるのでございますが、先ず二十八年度農林関係予算の概要というものが一つ差上げてありまして、これは今日事務次官が参りましてお話申上げるはずだつたのでありますが、只今大臣に呼ばれておりまして、まだ見えませんので、この点は省略いたしまして、省略と言いますか、本日は私から申上げませんが、実はお手許に差上げておる昭和二十八年度農林省所管予算案重要事項一覧表というのが差上げてあるのであります。
  73. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) あなたから先ず概要を説明してもらわんと、各論に入つても逆になるので、先ず概要を御説明願わんと……。
  74. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 私はどちらでもよろしいのですが……。それでは先ず概要を先に申上げまして、次にこの重要事項の一覧表、少し細かくなりますが、これに関しまして申上げます。更に前年度対比表というのが一枚刷で出ております。
  75. 河野謙三

    ○河野謙三君 内容の説明をやつてもらいたい。こんなもの一々読んだら大変だ。
  76. 増田盛

    政府委員(増田盛君) それでは先ず概要を御説明申上げます。  今回御審議をお願いします農林関係予算は、前国会に提出いたしました予算案とその内容において大差はないのでありますが、ただ前回の不成立予算におきまして、予算編成後新らしい立法ができましたものにつきましては、新規事業といたしまして、そういう点に関しまして新らしい経費を計上いたしました。なおその他に関しましても情勢が変りまして、内容に関しまして更に若干の所用の経費を計上したほうがいいと、こういうふうに大蔵省と協議した結果、新らしい経費を盛つたものもございます。なお最後に庁費、旅費に関しましては、御存じの通りの節減がございまして、そういう点に関しまして減額修正をしたと、こういう点で前国会に提出しました不成立予算と違つておるだけでございます。  大体今回提出いたしました予算案を二十七年度の予算と比較して申上げますと、総額におきまして千百九十七億でありますから、前年度二十七年度予算と比較いたしますと百六十一億の減となるわけでございます。ただこの際農林省所管として私厳密に申上げましたのでありますが、このほかに農林関係予算といたしましては、ほかに北海道開発庁所管といたしまして、北海道における農業関係の公共事業費、これが一つ、それから建設省に計上されております官庁営繕費、それから農林漁業金融公庫、これに対する政府出資、こういうものが実は農林省所管外に計上されておりますが、実質的には農林関係予算でございますので、こういうものを全部合せますと、二十八年度は千四百四十二億ということになりますので、前年度と比較いたしますと、三十四億の増になるのでございます。この農林関係予算を目的別に重要なものから申上げます。  先ず一般会計でございますが、最初に食糧増産関係の経費を申上げます。この食糧増産関係の経費は大体三つに分れておりまして、第一が、農地の拡張及び改良の経費、第二が、耕種改善の経費、第三が、畜産振興の経費でございます。実は食糧増産関係の経費を申上げます場合に、いろいろの数字がありまして、その点に関しまして混同を生じますので、お断わりいたしておきたいと思うのでございますが、厳密な意味におきまして、食糧需給計画乃至は食糧増産の十カ年計画から割出して参ります食糧増産経費は、これは増産石数を基礎にして弾いておりますので、直接的な生産に役立つ経費のみ計上いたしておるわけでございますが、ここで申上げます予算関係のものは、実は予算項目を集計して出て来ておるのでございまして、その点若干の行政上の事務的経費等も入つておりますので、食違いが出て参ります。それから更に大蔵省が大蔵省の独自の立場で食糧増産対策費というものをまとめておるのでございますが、これは農林省の考え方といろいろ違いまして、我々といたしましては、まるまる行政的な経費はこの中に入れておらないのでございますが、大蔵省のほうといたしましては、いろいろな経費をこの中に入れておる、こういう点で、この経費に関しましてはいろいろな数字が出て参るわけでございます。その点を先ずお断わりいたしたいと思います。  そこで先ず農地の拡張及び改良の経費でございますが、これは北海道関係まで全部含めまして、総額で四百二十三億でございます。二十七年度に比較いたしますと、八十一億の増加になつております。この内訳は土地改良事業といたしまして、国営灌漑排水事業土地改良事業の補助等にそれぞれ分れているわけでございますが、特に申上げたいと思いますのは、海岸砂地地帯の農業振興対策費、これはやはり新らしい立法措置に伴う経費でございますが、土地改良事業といたしまして七千万円が追加計上されております。この海岸砂地地帯の振興対策といたしましては、このほかに林野関係のほうに所要の経費が計上されております。  次に開拓事業でございますが、これは百十四億、更に仕訳いたしますと、開拓建設事業、干拓事業、それから開拓事業補助というふうにそれぞれ分れておりまして、前年度と比較しまして相当の増額が見られております。それから開拓事業の基礎をなす新規入植戸数が二十八年度は八千戸でございます。これは前年度は御承知通り七千戸でございますので、一千戸の増加を予定いたしております。更にこの際農林省のほうといたしましては、積極的な食糧増産経費としては取扱つていないのでありまして、減産防止として取扱つております。農業災害復旧事業に関してこの際申上げますと、この経費が千三百六十一億、前年度より相当程度増額計上いたされております。  次に耕種改善の経費を申上げます。いろいろな経費が入つておるのでございますが、先ず主要農作物種子対策費でございますが、この経費は、米麦、大豆等の原々種圃、原種圃、採種圃の設置補助、緑肥作物の原、採種圃の設置補助、寒冷地帯の健苗育成のための保温折衷苗代設置に対する補助等を内容とするものでありまして、八億三千六百万円を要求いたしております。次に耕士培養対策、それから特殊土壌対策、これは前年度の線を踏襲いたしまして、それぞれ増額計上をしております。更に北海道農業振興費に関しましても前年度の線を踏襲しまして更に増額いたしております。  次に西南暖地等水田生産力増強費というものがあるのでございますが、これは新規事業でございます。おおむね関東以西の暖地帯を目標にしまして、常習的な風水害地帯を対象にいたし、特殊早植栽培というような新らしい栽培方式を普及する、並びにこういう方法を更に積極的に試験を推進して行く、こういう経費で僅かでございますが、二千四百万円でございますが、将来相当注目すべきものといたして力を注いで行きたい、こう思つておる次第でございます。更に植物防疫関係の経費でございますが、これは御存じの通りでございまして、病虫害による農作物被害を防止するための経費でございますが、それぞれ前年度の線を踏襲いたしまして、更に若干の増額を要求いたしております。  第三の経費でございますが、畜産振興の経費でございます。先ず家畜の改良増殖に関しましては、これも前年度と特に変つた点はないのでございまして、若干の増額を見ておる程度でございます。次に、有畜営農の確立のための経費に関しましては、いろいろの議論もあつたのでございますが、一応予算の建前といたしましては、利子補給という二十六年度補正以来の線をそのまま引継ぎまして、利子補給の経費を要求いたしております。次に、草資源の造成改良、更に自給飼料の増産の経費でございますが、このうち草資源の造成改良、いわゆる牧野改良でございますが、これに関しましては畜産増殖政策の裏付けとしまして、二十八年度におきましては特に力を入れて参りたいということで一億二千万円の経費を要求しておるわけでございまして、前年度の倍額以上の経費でございます。自給飼料その他の経費に関しましても、それぞれ増額いたしておりますが、大体前年度の線を踏襲いたしております。次に、集約酪農地区設定でございますが、これは純新規でございます。すでに御存じの通り、現在日本におりますホルスタイン種に変えましてジヤージー種の乳牛を海外から輸入して参りまして、これを集約的に一定の地区を対象にしまして国有貸付を行いまして増殖をして行く、そしてそこに模範的な酪農地帯を設定する、こういう経費でございまして、二十八年度は取りあえず各地区に三百頭ずつ、計六百頭でありますが、これを二つの地区に導入する計画でありまして、この経費といたしまして八千七百万円を要求いたしております。  第二に、農業団体の再編成の問題でございます。これはすでに御存じの通りでございまして、いわゆる農業団体再編成に関する三原則が確立されておるわけでございまして、こういう政府の方針に基きまして農業委員会の経費を組み替えて参つたのでありますが、特に末端の市町村農業委員会に関しまする技術員を設置して参りまして、これは従来の全額補助より補助率の変更を見ました関係がありまして、総金額に関しましては前年度の三十三億より若干下廻りまして二十九億になつて参りました。なおこの団体再編成の一環といたしまして農業協同組合の関係があるのでございますが、特に申上げておきたいと思いますのは、全国農業協同組合中央会並びに府県の中央会、これに対する補助金が八千万円計上されておるわけでございます。  それから第三に農業改良普及のための経費でございます。これもいろいろな項目があるのでございますが、中心は依然といたしまして農業改良普及員並びに専門技術員の設置並びに活動関係の経費でございまして、大体前年度の線を踏襲いたしておりまして、特にこの職員の数の増設に対しましては非常に強い要望がありますが、やはり団体再編成等の帰趨等も見極めまして、これとの一環で特に市町村農業委員会技術員を設置するという新らしい事態が生じましたので、二十八年度におきましては、一応この技術普及の関係の全体の構想を見送りまして、二十九年度に再検討するということで前年度そのままの経費を計上いたしております。なお蚕糸関係の改良普及に関しましても若干の事務的の経費を増額いたした。そのほかにおきましては殆んど変化はございません。  第四に農産物の価格調整に関する点でございます。この点に関しましては、これも実は前年度の線の踏襲でございまして、即ち甜菜、澱粉、これが中心でございます。なおこれに関連しまして餌の価格安定について附言しますが、これは先きに飼料需給安定法の成立を見ておりますので、輸入の「ふすま」、マニトバ五号、「とうもろこし」等の買入をやるわけでございますが、大体こういうふうに、すでにきまつておる線だけで現在考えておるわけでございまして、前国会に提出いたしました農産物の価格安定法に関しましては、現在この点に関しましては検討中でございまして、食糧管理特別会計におきましても、一応新らしい新規の農産物に対する買入の経費は計上してないのであります。  第五といたしましては、農業災害補償のための経費でございます。これは農林省予算のうちでも相当大きなウエートを占めるわけでございまして、今回もこれに関する経費百八億、前年度より相当上廻つております。これに関しましては、水稲、麦或いは陸稲、こういうものに関しましては共済金額の上昇に伴いまして当然その掛金が殖えるわけでございますが、この際できるだけ農家負担を圧縮するため、いろいろ配慮いたしまして、料率改訂と同時に国庫並びに農家負担の割合に関します方針を変えたのでございます。なお蚕繭に関しましては、すでに蚕繭共済の改正の法律が通過いたしておりまして、これに関しましても、全面的な改正を行なつております。第六に養蚕振興対策でございますが、これも前年度の線を踏襲いたしておひまして、特に変つた点はございませんが、若干の経費の増額を見ております。  第七に農林漁業金融円滑化のための経費でございますが、この中心となりますのは、従来の農林漁業資金融通特別会計に代りまして農林漁業金融公庫が設立されたことであります。この公庫に対しまする貸出財源といたしましては、一般会計から百八十億、これは不成立予算におきましては大体百億であつたのでありますが、その後いろいろ預金部資金等の資金繰りの関係から百八十億に増額いたしました。更に凍霜害関係の九千三百万円をこれにプラスいたしまして、一般会計からの繰入れといたしたのであります。なお、そのほかに資金運用部等からの借入もございまして、全体といたしましては二百四十億九千三百万円を貸出財源といたしまして準備いたしておるわけであります。なお開拓者資金融通特別会計或いは又中小漁業融資保証保険特別会計等に関しましても、前年度の線を踏襲いたしております。  更にこの際一言いたしたいと思いますのは、例の農地担保金融と言いますか、農地金融と称せられるものであります。これは自作農創設特別会計の余裕金を利用してやつておるわけでございますが、二十八年度におきましても、前年度同様大体この余裕を八億五千万円と押えまして、これを活用いたしまして政府の買取り方針によりまして実質的な農地金融を行なつて参りたい、こう思つております。  更に第八に林業振興のための経費でございますが、先ず公共事業費に属します。山林事業費の関係でございます。この関係におきましても、一十六年度補正以来森林法の改正の線を更に強化して参りたい、こういう点でそれぞれ予算編成をいたしておりまして、治山、造林、林道、これに関しまして、前年度よりも相当程度の増額を計上いたしております。なお災害復旧費といたしましても、所要の経費を計上いたしておる次第であります。第二の民有林森林計画の樹立でございますが、これはやはり森林法改正の裏付をなすものでありまして、前年度の線を踏襲すると同時に、特に新規事業といたしまして、森林計画に対する森林組合の協力というものを強化して行くということで、この森林組合の技術員等が森林計画を実行して行くという経費一億余を計上いたしております。その他いろいろの経費があるのでございますが、この点に関しましては前年度を大体踏襲して変化はないのであります。  以上が一般会計でございますが、最後に特別会計に関しまして、特に重要な食管会計並びに農業共済再保険関係に関して申上げたいと思うのであります。お手許に差上げました印刷物の十五頁以下に書いてございますが、食管会計に関しましては先ほど大体申上げました点は省略いたしまして、食糧の買入数量は国内産米が二千八百二十五万石、麦が三百八十四万石、外国食糧は三百九万三千トン、こういう線で押えております。消費者価格に関しまして一応要求いたしました予算といたしましては、米につきましては現行通り十キロ当り六百八十円、こういうことで要求いたしております。なお早場米奨励金は八十一億、これも前年度と同額でございます。それから輸入食糧の価格補給金は御存じの通り三百億円、こういう方針の下に歳入蔵出共六千七十五億ということになります。  更に第二に農業共済再保険特別会計について申上げますが、これも先ほど申上げた点をもう一度繰返しますが、農業勘定の主要な点を申上げますと、生産物価格の上昇に伴いまして、水稲、陸稲、麦並びに蚕繭の共済金額をそれぞれ増額したこと。次に過去の保険事故の実績に鑑みまして、水稲、陸稲、それから麦の保険料率を高めたこと。それから水稲、陸稲、麦及び蚕繭の最低通常被害部分につきまして三分の一、これを新たに国庫負担をするわけでございます。従来は農家負担であつたのでありますが、それを三分の一だけ国庫負担をやりまして、それに基きまして共済掛金の農家負担の軽減を図つたのであります。蚕繭につきましては、春蚕夏秋蚕というふうに蚕期別に共済を行うことにいたしまして、従来春蚕夏秋蚕を通じまして共済金の計算並びに支払をしておりましたものを二つに分ける、こういう点が変更の主要な点でございます。なお家畜勘定に関しましては、かねて問題になりました家畜の最低共済金額の引上げということを今回実現いたしたのでございます。こういう点が原因となりまして、それぞれ国庫負担が殖えておりますので、従いまして農業共済の特別会計にそれぞれ殖えましたことに伴いまして、この農業共済保険に関します一般会計からの繰入れも殖えておるわけでございます。  更に特別会計に関しましては、漁船再保険特別会計、自作農創設特別会計その他全部で十あるわけでございまして、いろいろ詳細にお話申上げればいいのでございますが、大体一括して申上げますと、前年度の方針をそれぞれ引継ぎまして編成いたしておるわけでございまして、なお細部に関しましては、いろいろ変化もあるのでございますが、特に概要の点だけ申上げる関係もありますので、その他の特別会計に関しましては省略いたしたいと思います。  以上を以ちまして概要の御説明といたします。
  77. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 食糧増産の経費ですが、最近総理大臣から農林大臣、やや声を大きくして言われておるのですが、本年度予算もまあ多少殖えておる恰好になつておる。いずれ国の食糧増産基本計画に関連して計上したものと思うのですが、一つ基本計画を我々に御配付願いたいと思います。食糧増産基本計画……。
  78. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 只今の基本計画についてでございますが、農林省といたしましては、御存じの通り食糧増産十カ年計画があるわけでございます。併し農林省といたしまして、この十カ年計画を基礎にしまして、当初の予算要求の際は取りあえず五カ年計画を立てまして、これを当面の目標にしまして、二十八年度の予算要求をしたわけでございますが、これはやはり財政的に大蔵省との間に意見が一致しておりません。従いまして国自体といたしまして、実は農林省の立案しました五ヵ年計画なり、十カ年計画なりは国の基本計画という点までの取扱を受けていないのでございまして、従つてこの点は実は予算的に見まして農林省の案としてだけの効果しか只今ないわけでございます。従いまして今お尋ねの基本計画という点になつて参りますと、国といたしては提出するものがないわけでございます。
  79. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは全く情けない状況であると思うのでありますが、まあやむを得ん。農林省の計画でも一つお示しを願いたい。それからなお災害復旧の問題が非常にやかましくなつておるのでありまして、早期復旧ということが非常にやかましい問題になつております。今年度も多少これは殖えておりますが、大体何年度災害ぐらいまで片付く見込ですか、大体でいいですが。
  80. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 不正確になるといけませんので、後日調べましてからお答え申上げます。
  81. 河野謙三

    ○河野謙三君 実は今明日に決定されると思う重大な麦価の問題について伺いたいと思うのですが、政務次官がおられますけれども、更に食糧庁長官なり、当該の人がおられたほうが都合がいいと思います。そこであとに譲られる問題はあとに譲られて結構ですが、取りあえず伺いたいのは、政府は年来の主張であるところの米の自由販売というものは、これは将来実現するという熱意を以て食糧政策を変えることなく進んでおられるのか、又進まれるのか、これを一つ伺いたいと思います。
  82. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 米の自由販売の問題につきましては、自由販売にしたいという気持は十分あるわけであります。併し諸般の事情から検討いたしまして、今年度は、従前通り統制配給をやつて行くわけであります。
  83. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、米の自由販売に対する政策は依然として変らないけれども、時期的にその機が熟さないから、もう少し時期はずれるだろう方針そのものは変つてないと……。
  84. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) そういう意味でございます。
  85. 河野謙三

    ○河野謙三君 然らばその際において米と麦との価格比ですね、これは一体かねて政府が米の自由販売に備えて対米比価を今よりも更に下げる、即ち六 ○何%か私は覚えておりませんが、たしか六〇何%までに麦の価格を下げる、そういうことによつて初めて米の自由販売というものがだんだん軌道に乗つて来る、こういうような主張があつたと思うのですが、これは実は私は決して、政務次官と懇意の間で、政務次官に意地悪しておるわけじやありませんが、何でしたらあとでも結構ですが、若しおわかりでしら、現在の対米比価以下に麦の価格を下げて行くという方針は、米の自由販売の方針に裏付するものでありまして、これについては変りはないと思うが、これを伺いたい。
  86. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) の問題は実は私は、はつきり言うとよくわかりません。今食糧庁の関係者を呼んでおりますから、比率の問題その他につきましては、今専門のものが来てお話をするまでちよつと待つて頂きたいと思います。
  87. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今の米価等の問題につきまして、いろいろ関連がありますので、特に私はお願いしたいのでございます。それはいわゆる農家から買上げる価格と、それから消費者価格との間に相当の経費がかかつていると思いますが、公団で配給されるまでのいわゆる利子とか、或いは運賃とか、或いは諸般の手数料、倉庫料、あらゆる諸経費が詳細に私は農林省として計算されておるものと考えるのでありますが、これに、つきましてのいわゆる調査資料を詳細に、この次で結構でありますから、お示し願いたいと思います。
  88. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは米価審議会でも資料が出ておりますから当然出されると思います。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 この間もちよつと大臣から御意見がありましたが、この際米価審議会の答申はどこまでも尊重して行く、こういうことでありましたが、米価審議会の答申というものは尊重して、その全部ではないけれども、実現方について努力する、こういうことでありましたが、それについて、それは一昨日の話でありましたが、その後の政府内におけるところの閣議なり、その他のこの問題についての進行状況について一つ伺いたいと思います。
  90. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 米価審議会の答申を尊重するという方針につきましては、現在も変りはありません。ただ併し尊重するという方針ということは、必ずしも答申案そのままを丸呑みにするという意味では勿論ありません。そこで今朝の閣議におきまして、まだ意見が実はまとまらなかつたわけでありまして、遅くも明日までには各方面の意見をまとめまして発表し得る段階になると思います。
  91. 河野謙三

    ○河野謙三君 その際農林省は、閣議というか、大蔵省に向つて農林省としてはどういう案を以て臨んでおられるか、これを一つ伺えませんか。例えば、新聞に出ておりません、新聞というのは、この頃政府は嘘だと言つてみたり、新聞が又非常な証拠になつたりしますけれども、新聞に出ておりますのは、米価審議会の答申とは少しく違つたものを農林省が事務的に整理して、それによつて大臣は交渉しておるかのような新聞報道でありますが、例えば四%幾らの値上に対して、農林省としては三%七ですかの事務的な数字が出たということがありますが、すでに新聞にも出ておることでありまするから、そういうことについて農林省の案を教えて頂きたいと思います。
  92. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 率の問題、四%を三・七%にするというような問題については、そういうことは新聞でも私見ましたけれども、実際閣議がまだまとまつておらないのでありますから、今まとまつておらない数字をここで申上げるということは、ちよつと差控えたいというふうに考えております。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 他の委員のかたの御質問もあると思いますから、私は極くはしよつて申上げますが、具体的の問題として米価審議会の意見を尊重するという中には、加算額を、額の問題は別として認める、加算額の原則を認めて要するに閣議に臨んでおる、こういうことだと思いますが、そこでこの加算額の中には豊凶係数を織込むということでありますか。豊凶係数というのはまだ出ません、少しく先の問題になります。麦価はここで明日か少くとも明後日はきまるでしよう。その後において豊凶係数が出て来て価格を修正をする、豊凶係数が出て来れば当然それだけ価格は本年度においては上るわけです。その上つた場合に農民が処分したところの麦について追加払を当然されると思うが、この点念のため追加払をされるかどうか、追加払をする場合の具体的方法、例えば政府農民が売つた場合には追加払は可能でありますけれども、商人その他の市場に農民が出した場合に追加払はこれは不可能であると思う。そういうものは農民がそれだけ損をする、こういうことになるのですが、この点について御説明願いたいと思います。
  94. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 農林省といたしましては、加算額と申しますかの問題については、とにかくそれをやるという方針で大臣も閣議に臨んでおります。聞くところによると、本日の閣議ではそれに対する異論も閣議全体としてではなく、大蔵省の事務当局としてのと申しますか、それは大蔵大臣でありましようけれども、意見も相当あつたので、その点の調整をやるのに要するに一日延びております。そこで今あなたのおつしやつた通り農林省はそういう方針で進んでおるわけです。率の問題は別として、それは飽くまでも米価審議会の答申を尊重して、それだけはとにかくやるという今の考え方であります。この豊凶係数というのは、これはちよつと私も今なり立てでありまして、むずかしくてよくわからないのですが、食糧庁から来ますから、それに説明させたいと思います。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は今日は議論をするのではないのです。具体的にだけお伺いします。ただ私のここで非常に急いで伺いたいのは、農民が麦を早く売つた人が損をして遅く売つた人が得をする、こういうふうな不公平が起らんように、大体急いで売る人は貧農であります。富農はゆつくり売る。こういうふうな形になつると思うのですが、そういうふうな結果が出ないように政府は速かに価格を決定すると同時に、将来豊凶係数その他によつて価格を修正した場合に、その修正の結果によつて農民に幸、不幸が起きないような、あらかじめ考慮というものは当然あると思うのですが、そういうことについて具体的の考慮がなされておるかどうかということを私は聞くのです。それからついでに、時間の関係上もう一つ伺いたいのですが、検査手数料を今まで二十円というのを、米価審議会では五円という意見もあつたけれども、十円くらいのところで落着くだろう、これは具体的に政府のほうから大体の、先ほど御答弁があつたのですが、検査手数料を十円にした一体根拠はどこにあるのか、これを伺いたいのです。農民の側から見れば、先ほどお話がありましたように、菜種が五円であるのに、従価率からいつて麦が十円ということは私はおかしいと思う。この十円というのは検査員の独立採算という建前から、検査員の人件費というものと見合う意味合において十円というものを出したのか、それとも何かそのほかの根拠によつて十円というものを出したのか、ただ政治的な妥協案で、今までの二十円を一方で五円と来たから真中をとつて十円ということにしたのか、そういうでたらめなきめ方ではないと思いますが、十円にきめる根拠を一つ伺いたいと思います。
  96. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) まだ十円にきまつたわけではありません。勿論五円という要求があるのでありますが、従来の二十円が妥当であるという意見もあるわけであります。そこで何とかして検査費用を節約して、とにかくぎりぎり十円くらいまでなら行けるのではないか、だから一つこの際大いに奮発して、農民の期待に全面的に副い得ないまでも、少くとも誠意を以て近づくようにという考え方から十円という案が出ておるのであつて、今直ちに十円にするというのではなくして、十円にすべく努力しておるというふうにお考え願つたほうがいいのじやないかと思います。それから人件費の問題というお話でありましたが、人件費というものはその中には含まれておらないということを申上げておきたいと思います。
  97. 河野謙三

    ○河野謙三君 従来大蔵省が検査手数料について二十円とかいう主張をして、大蔵省の主張に負けて二十円にしたときは、たしか検査員の人件費その他検査に要する費用と見合うように、大体独立採算ということで二十円にしたと思う、ところがそれは私たちから見れば非常な間違いであつて、御承知のように地方の検査員というものは検査事務だけに専念しておるわけではありません。供出その他の配給事務まで一切検査員が殆んどやつておる。そういうことであるから、食管特別会計の中から本当に検査の独立性というものを目指して、経理も独立性を持たせるという建前から行くと、その面からいつても私は二十円というものはおかしいので、私はそれがずつと下つていいのじやないか、こういうふうに思います。それが検査そのものの独立採算というものから割出して一体検査手数料というものは幾らになるか、これは今日でなくていいから一つ教えて頂きたいと思います。それから検査手数料の問題に関連して、国営検査になつておりながら、麦の検査数量というものは非常に少い。無検査の麦というものが非常に出廻つておる。これについて何か対策があるかどうか、私はこの点につきましては、この無検査の品物というものは必ずしも農民を救つていないと思います。農民は二十円の検査料を払うのが嫌だから、それを免かれて闇に無検査のものを売を。こういうように農民は目先のことを考えておりますけれども、我々が第三者として農民のことを考えました場合に、無検査のものを持つてつて、そうして製粉や精麦工場へ行つて委託加工をする。その場合に、当然二等のものがそれらの委託業者から三等とか、四等とかいうものに一方的に値段をきめられて、そうしてそこに二十円の検査手数料惜しさにもつと農民は大きな損をしておると思う。でありますから、私は麦なり米の国営検査ということは非常にいいことであつて農民を救うために断固として厳格にしなければいかん。ところがその間において、国営検査という制度を置きながら、闇のいわゆる無検査の数量というものは非常に市場に横行しておるにかかわらず、政府はこれに対して何ら手を打つていない。これは少くとも従来の農産物検査法を改正する必要があるならば、この際速かに政府みずから農産物の検査法を私は改正すべきだと思う。例えば従来無検査のものを売つた農家は処罰される対象になつておりますけれども、無検査のものを買つたとこころの委託加工業者というものはこれは処罰の対象になつていない。こういう問題もあるわけであります。その他検査に当つて立入検査というものは現在のところできていない、こういう問題を改正するということについて、私は農林省に何かありましたら、農産物検査についての改正の御意思があるかないか、又改正される場合にはどういうふうに改正するか、そうして従来の無検査のものが非常に横行しておる、これに対しての対策を伺いたいと、こう思います。
  98. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 河野君の御質問は非常に専門的でありまして、率直に申しまして、ちよつと私は今それにお答えすることはできませんから、食糧庁の責任者を呼びまして、検査に対する問題はどういうふうになつているか、一つお聞きとり願いたいと思います。今呼んでおりますから……。
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこれはあとで伺いたいと思いますが、実は他の委員のかたも御了解を頂いたと思いますが、非常にこれは今日、明日の、農民には非常に利害関係を伴つた問題でありますから、特に私はお願いしておるわけであります。御承知のように現在すでに新麦の取引といののは始まつております。盛んに貨車に積まれて商人との取引が始まつております。大麦にすれば千七百五十円くらいで新麦の取引が始まつております。こういう際でありますから、政府は速かに価格を決定すると同時に、これに対してのすべての、諸般の私は具体的な準備をしなければいかん、こういうふうに思うのです。そこでそのほか検査以外にいろいろ伺いたいこともありますけれども、最後にもう一つ私は伺いたいのは、最近闇の米が非常に上つておりますが、一体現在、これは食糧庁でないとわからないかも知れませんが、外米の配給辞退というのは一体どのくらいありますか……。これもそれでは私は麦、米に対する質問は留保いたしまして、食糧庁のかたが見えましたら伺います。
  100. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 河野さんに申上げますが、農林経済局長肥料課長が見えております。
  101. 河野謙三

    ○河野謙三君 これも非常に緊急な問題でありますが、本日新聞を見ますと、肥料審議会で政府に答申案がまとまつた、こういうことでありますが、あの審議会の答申案というものを一体政府はそのまま採用する御意思なのかどうか、これを一つ伺いたいと思います。
  102. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 小委員会の案はここにできておりますけれども、まだ本委員会の決定を見ておらないのであります。でありますから、本委員会で決定された後においてそれを一つ答弁したいと、こう思います。
  103. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは御尤もなお話でありますけれども、従来小委員会なり、委員会には常に農林省は列席しておるはずです。その都度大臣なり政務次官にも報告があるわけです。今までのいろいろ審議会の答申案が、東畑案であるとか、やれ全購連案であるとか、いろいろ出ましたが、これらについても十分の検討が済んで、又今度の答申案も検討が済んでいるわけであるから、恐らくこれに対して農林省は賛意を表しておられるのじやないかと思いますが、この点は如何です。
  104. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 今申した通り、案はここにあるわけであります。これについてまだいろいろな意見がまとまつておらないという実情で、結局この通りに全面的に賛成できるかどうかということは非常に疑問があるわけであります。そういう意味合で本委員会を終つてお話したい、こういうことであります。
  105. 河野謙三

    ○河野謙三君 然らばその答申案というものを政府が採用して、その答申案に基いてすべての肥料行政というものが軌道に乗るまでには何カ月くらいかかりますか。例えば答申案の第一番は、一つ法律を作つて肥料工場の帳面を洗つて原価計算までする、そうしてその原価計算で出て来た肥料価格というものを中心にして先ずやるのだというようになつております。それから十万トンの硫安を買つて、これを恐らく全購連という意味でしよう、全購連に持たせる、そうして国内の需給調整をやる、輸出については、その審議会の答申案によつて肥料委員会ができた、その委員会によつて輸出数量その他はきめる、いろいろの問題がありますが、これにはおのずと相当の準備期間が要るとも思いますが、一体それを若し採用したといたしました場合、その間何カ月くらいそれが運用化されるまでにかかりますか、これを一つ説明願いたいと思います。
  106. 篠田弘作

    政府委員(篠田弘作君) 大体秋肥については行政措置でやる以外には方法はないだろう、これを決定するためには相当の日数を要する、こういうことであります。
  107. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も大体今年の秋には間に合わないと思う。そうすると、今年の秋には相変らず農民は今までのような高い肥料を買わされるのですか。秋までには価格が抑えがきかない。肥料メーカは輸出して赤字だ赤字だと言つても我々は納得できない。現に私は、今私は七百円内外でも硫安を輸出しても、この七百円内外でも引合つている工場があると思う。それは世間一般で赤字だ赤字だというので、それを政府がお調子に乗せられて、それに補給金を出すとか、その他の保護政策をしようとかいうことまで行きかかつておる。危険千万ですよ。少くともそれが軌道に乗ればいいでしようが、軌道に乗るまでの秋肥の期間は政府は一体どうされるか。行政措置としてどうされるか。行政措置の根拠はないじやありませんか。相変らず九百円の硫安を買うのですか。相変らず五百円の過燐酸を買うのですか。これについて経済局長の私見で結構ですが、一体秋肥をどうするか。現に今通産省にだまされて輸出をやり過ぎちやつて硫安はないじやないですか。肥料工場に一体今頃だんだん在庫の殖えるときに五万トンか、六万トンしか在庫がない、十日分の生産量さえないでしよう。そういうふうにして今なお輸出の枠というのは、輸出の許可を与える。そうすればメーカーがいつでも出せる枠が三万トンもあります。私はそういうふうに承知しております。そういうふうな、いつも国内肥料が逼迫した形において農林省に一体肥料行政をどうするつもりか。そうして今頃になつて、今年の秋には間に合わないが、答申案によつて来年の春肥は間に合うと言うが、こういうことでは農民はだまされませんよ。答申案については私は随分意見があります。そういうふうな案には賛成しません。これは意見でありますから、又別な機会に申上げますが、取りあえず今年の夏肥なり秋肥については一体農林省はどうされるか。今までの価格というものを是認されて、九百円の硫安なり五百数十円の過燐酸というものを、メーカーが言うところのコストというものをそのまま鵜呑みにしておるかどうか。これについて行政措置ならどういう行政措置をとられる用意があるか、これを伺いたい。
  108. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 秋肥につきましての硫安、過燐酸につきましてお尋ねでありますが、これはお話通り根本対策と申しますか、いずれ肥料対策委員会において決定がありましても、軌道に乗るまでには相当の日数を要すると思いますので、差当りの問題といたしましては、お話のような硫安乃至過燐酸の価格につきまして、農民に不満のないような措置を準備いたしたいと思つております。安定帯価格をどうするかという具体的な数字につきましては、まだ具体的に落着く先をきめておるわけではございませんけれども、農村要望に副うように安定帯価格というやり方を継続し、又価格自体の再検討をしたい、かように思つております。
  109. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから一つ伺いたいのですが、答申案にもあるようでありますけれども、答申案の如何にかかわらず、肥料行政の出発点は、日本の硫安が一体日本の工場で幾らできるかということが問題の急所だと思う。それにつきまして肥料原価を洗い、洗い出すための根拠法規というものを今国会に政府は提出されますか、これを一つ伺いたい。
  110. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは事務的に私どもからお答えするのは如何かと思いますけれども、大臣の御意向といたしましては、少くとも生産費を調査整理するという特別の権限を持つために必要な法律的手段を本国会に出したい、こういう御意向のように承わつております。
  111. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは委員長のお計らいによつて緊急に、今日と言いませんから、大臣からその点は一つはつきりしてもらいたい。それが今国会に出なければ、この答申案というものは私は賛成しませんけれども、答申案というものに仮に賛成して見たところで、その法律案が本国会に通つていなければ何にもできない。又来年の春も駄目ということになる。この点につきましては大事な問題でありますから、大臣から責任ある答弁を更に頂きたいと思います。要するに私は肥料問題につきましても、もう少しくその他の問題、大臣の出席を求めていろいろ答弁を求めることにしたいと、かように思います。で、この問題も改めて大臣が出て参りましたときに質問をするということを留保しておきます。甚だ私ばかりおつしやべりして相済みませんが、今食糧庁長官がお見えになりましたから、少しく細かいことを引続いてお尋ねすることをお許し願いたいと思います。  食糧庁長官に伺いますが、先ほど政務次官のお話で、政府としてはこれは当然なことでありますけれども、将来米の自由販売をやるつもりだ、ただ時期的にその機が熟さないから、これは今取りあえずここで、来年すぐに米の自由販売をやろうということにはなつていない。併し米の自由販売の方向そのものには変化がない、こういうことなんですが、然らばその方向で進むならば、対米比価というものは、一体自由販売に備えて従来同様にだんだん米と麦との価格の開きというものを拡げて行つて六〇何%まで持つて行く、この従来の方針は今食糧庁はとつておられるかどうか、これを伺いたいと思います。
  112. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 現在におきましては、只今河野委員からのお話通り、売渡価格につきましては法律の規定するところによりまして、対米比価によりまして、精麦価格から売渡原麦の価格を算定いたしております。買入価格につきましては法律の規定するところによりまして、二十五、六年のパリテイ価格、その他の豊凶係数とか、或いは経済事情を考えてきめることになつておりまして、買入価格につきまして、対米比価を以て麦価を決定するということには相成つておりません。
  113. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、対米比価の一番目指す最終の目標というものは、米に対して何%のところを考えておりますか。
  114. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今申上げましたように、売渡価格におきまして、は対米比価を以て売渡価格を定めて参つておりますが、この対米比価は実質におきましては消費者の嗜好、米及び麦の需給条件によつて、実績によつてきめることだと存ぜられますので、その実績によつて考えて参りたい、かように考えております。
  115. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、対米比価幾らという一つのコンクリートされた数字を持たずに、そのとき、そのときの市場の価格によつて操作して行く、こういうことでありますか。
  116. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 御承知のように、現在の政府の麦の売渡価格は間接統制の建前といたしまして、一定の範囲内におきまして、既定麦価の範囲内におきまして、対米比価より算定いたしました価格によつて売渡すことになつております。一方米価は、御承知のように、統制下におきまして米価がきまつております。麦価をきめまする場合におきましては、前年度におきまする対米比価の実績を以て麦価の売渡価格を決定いたしたい。
  117. 河野謙三

    ○河野謙三君 次に今回の米価審議会の答申案を仮にそのまま採用した場合に、政府の財政負担はどのくらい殖えますか。これは勿論買入数量等の関係がありますけれども、大体予算に盛られておる予定数量を買上げました場合に、財政負担はどれくらい負担が殖えるか、これを伺いたいと思います。
  118. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 買入価格につきましては、現在米価審会に諮問いたしました政府原案におきましては、約十一億くらいの赤字になろうかと算定いたしております。それで買入価格の引上の問題につきましては目下検討中でございまするが、仮にそのままの米価の特別加算額と同じ率ということになりますると、勿論これは買入数量の如何によりまして非常に違うと思います。若し仮に現在の政府の買入数量を予定いたしますれば、八億余り増加するだろうと思つております。
  119. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、もつ一つ伺いたいのは、現在政府予算に盛られておる外麦の輸入並びに内麦の買入数量、これを政府が売る、この間の食糧庁の中間経費ですね。麦の予算に盛られておる輸入麦若しくは内地麦の全数量の中間経費というものは一体どのくらいかかりますか。
  120. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 私まだちよつと細かい資料を手元に持つておりませんから、調べて後刻お答え申上げたいと思います。
  121. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これはさつき佐蔵委員からも要求がありましたので資料としてお出しを願いたいと思います。
  122. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはあとで伺いますが、ただちよつとこの機会にそれをお尋ねするのは、米価審議会の答申案そのままを採用することによつて起る負担増、若し中間経費が厖大であるならば、それを削減することによつて、全部とは言わんけれども、私は逆に相当量の金が食糧庁に出て来るのじやないか。こういうようなことを検討して見たいために伺つたのであります。それから先ほど長官のおられんときに、最近の外米の配給辞退量というものを教えて頂きたいというお尋ねをしたのですが、おわかりになりますか。
  123. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 昨年におきましては、政府が売却いたしまして、その後政府に返つて参りましたものは七万トン余でございます。本年の需給計画におきましても、ほぼ同様のものを需給計画の需要量より落して輸入計画その他を考えております。
  124. 河野謙三

    ○河野謙三君 これだけ闇の米が上つておる一方、麦類は特に粉のごときは非常に品質がよくなつて安い。然るに外米だけが配給辞退が依然として続く、こういうことについて何か根本的なお考えがありますか。
  125. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 外米につきましては、我々といたしましても、昨年度におきましては、相当一昨年の作柄が不良でございましたために、又政府の手に集まる米も少かつたために、配給量を維持するために相当の外米を輸入せざるを得なかつたわけでございますが、幸い昨年のお米は豊件でございましたし、又御承知のように、現在政府に売られておりまする米は相当の数量になつております。できる限り外米の買付につきましても良質廉価のものを買付けるように努力いたしております。
  126. 河野謙三

    ○河野謙三君 先ほどからいろいろお尋ねした検査手数料の問題であるとか、それから無検査のものに対する対策であるとか、農作物の検査法の改正とか、こういう問題は重複いたしますから、後ほど当時おられました他の委員のかたから聞いて頂いて改めて御答弁を頂きたいと、こう思うのであります。  最後に一言、最近麦の作付が減つておるように思うのですが、一体政府は麦に対しての増産計画、増産対策、こういうものについて何か持ち合せがあるか。又、それとも菜種に作付がどんどん変更される。これは自然の成り行にき任せる、こういうのか、それを何か価格政策その他によつて、その増産対策を何かお考えになそておるか、今までのところでは、この一年間においては少くとも麦の増産対策について、作付の増加について何ら私は考慮していないと思う。むしろ麦の減産対策を私はやつておられたようにさえ思うのですが、これについて何かお考えがあるかどうか伺いたいと思います。
  127. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 麦の増産につきましては、或いは私の所管外のことであるかとも思いますが、我々といたしましては、麦の間接統制と申しますか、政府買上当りましては、勿論法律の規定するところによりまして麦の再生産を確保するべく適正な価格をきめて参りたいと思つておりますし、又参つたつもりでございます。ただ御指摘のように、作柄の作付面積が最近におきまして減少傾向を辿つております。まだ昭和十五、六年の、戦前までには減少いたしておりませんが、作柄の作付面積の減少しておることは、これは事実でございます。我々としましても、これは価格政策の面のみならず、他におきまして勿論増産政策を遂行して行くということは勿論でございます。価格政策と同時に増産の他の土地改良その他の政策によつて、勿論主要食糧でございますから、これの増産には努めたいと思います。
  128. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一つだけお伺いしたいのですが、今年も引続いて間接統制によつて大麦、裸麦、小麦の最低価格をきめて、農民の希望によつて買応じるということになつておりますね。ところが過去一年の実績を見ますと、小麦は大体需給調整の実を挙げておると思います。ところが大麦、裸に至つては、政府がきめた最低価格よりも月々上つて、その上下の幅というものは一割五分くらい今年は幅が付いておる。こういうことは政府は一本どういうふうにお考えになつておるか。上るに任せておくのか。過去一年の一割五分の幅というものを考慮に入れて、これから迎える一年間においては政府が買上げる価格を基準にして、大体その最高は幾らくらいのところで一体政府は押えて行くつもりか、それに対して大体どういうふうな対策をお立てになるか、これを一つ私は伺いたいと思うのであります。私の意見を附加えますと、少くとも大麦、裸については、政府が初め考えましたような間接統制の実は挙つていない。これは逆に政府は上るがままにただ傍観しておる、こういうことだつたと思いますが、勿論政府の手持ちの大麦、裸というものは輸入量が少いのでありますから、これはまあ小麦のようにはいかんでありましようけれども、何らかの今から私は対策がなければいかんと思う。去年あらかじめ御注意したのですが、大麦についてはどうかと、こう言つたところが、大麦、裸が上つた場合には小麦を押麦にして払下げる、そうしてこの価格を抑える、こういうようなことを言われたのですが、そういうことをやつたということも聞かんし、やつたつて私はそんなものはきき目がないと思うのです。これからの一年間はどうするか、私はそういうことであるならば結論として、今後私は今までのような大麦小麦の価格については価格差というものは、今まで通りに置くならば、小麦のほうは依然として二千幾らに釘付けにして、大麦は上らんときの価格より一割か二割上ると思う。それならば初めから大麦は抑える力がないならば、大麦、裸は初めから買上価格を上げちやつたらいいじやないか、そういうことについて少し意見になりますけれども、一伺つて、いろいろ意見が残つておりますけれども他の委員のかたがありますから、御迷惑になるから私はこれで質疑を打切ります。
  129. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今の幅の問題でございますが、河野先生御承知のように間接統制でございますから、幅といたしましては買入価格と売渡価格との間にマージンがございますが、そのマージンの範囲内におきまして大体幅を考えておるわけであります。ただむしろ政府の買入価格につきましては、政府は一定の線によりまして、一定の価格によりまして、希望によりまして買入れるわけでございますが、むしろ先生のお話は売渡価格によつて現実の製品価格をどう抑えて行くか、こういうお話のことかと思われますが、売渡価格によりましてどの程度に今後製品の価格の高騰を防止し得るかということにつきましては、昨年度におきましては、御指摘のように従来からの統制時代におきまする外麦に対する消費者の嫌悪感もございますし、又外麦に対しまする精麦技術の拙劣ということもあつたわけでございまするが、だんだん精麦技術も向上いたしましたし、又製品の歩留りも政府が予定いたしましたものよりも相当向上いたしております。製品としてそういう点につきまして政府が考えた、現実に現われました市価と、それから政府の売渡価格との間には品質上の差もございまするが、今後といたしましては相当良質の外麦も入りましたし、昨年度約三十万トン余の六月初めの手持ちが、本年はほぼ倍増近く持つておりまするので、これを依託加工いたしまするとか、その他の方法によつて製品価格の高騰を抑えて参りたいと、だんだん我々もその点につきまして確信を、自信を持ち得るようになつたわけであります。
  130. 白井勇

    白井勇君 私一言河野委員の先ほどの麦の検査手数料の引下の点につきまして、次官なり長官にお願いを申上げます。河野委員は、引下の問題につきまして、検査というものは、これは農民の保護の建前から必要のものである。更に今の麦の検査手数料二十円というものを徴することによつて、末端の検査員というものは雑多の仕事をやつておるのであるから、農林省は余分に金をとつておるじやないか、こういう考えの下に御質問されておると私は解しております。それに対しまして、政務次官は、まあ勉強しますれば十円でやれるのじやないか、こういうふうにお答えのようでありましたが、私多少前に関係をいたしておりましたので、その当時の記憶を辿つて申しますというと、到底私今の状態で余るとは考えられません。むしろ今の経費で賄つて行くというような手数料をとるということになりますというと、これは決して足りる経費ではない。勿論これは検査手数料として安い検査手数料と私は考えておりません。将来は少くもそういうものにつきましては、できるだけ安い手数料或いは手数料というものを免除してやれるような国の財政状態となりましたならば、その線に持つて行かなければならんと思いまするが、今の段階としましては、とにかく農家保護の建前から適正な検査をして、何とかやつて行かなければならん状態であります。ところが検査の実施というものは御承知のように検査員というものは農村に散らばつて存在をしなきやならない。要しまするに人件費が大部分をとつておるわけでありまして、これをこの手数料で賄つて行けるということは、私はどう考えましても計算は立つて行かないと、こう考えます。むしろ私はよほど財政状態のよくなりました場合に考えるべき筋合のものであつて、むしろ農家保護の建前から見まするならば、先ほど河野委員のおつしやつたような検査法の不備な点を改正するなり、何かをいたしまして措置を講じ、できるだけ将来に禍根を残さないような方針の下によく一つ御検討を願つて、この引下の問題というものの措置をしてもらいたいと、こう特にお願いを申上げておきます。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは大事な問題だから……。白井さんのお話は何か検査手数料を下げることを余り積極的に賛成しないような印象を受けたのでありますが、これは私は飛んでもないことだと思います。これは経費の問題もこれは検討して見なければわかりませんけれども、要するに政府が不手際だから検査品が上つて来ないのですが、要するに無検査品が多いということですよ。だから数量を殖やすことによつて、例えば手際さえよければ今年上つて参りました検査品というものを倍にすることは、倍にはなならんけれども、一割、二割殖やすことは私は簡単だろうと思います。そういうことによつて積極的に経費を生み出す方法があるのであつて、今この菜種を五円でやつておるときに、小麦を二十円にするのはべら棒である、これは十円にしてもちよつと……。白井さんと討論するわけじやないが、政府に向つて衆参両院挙げて検査手数料の引下を非常に要求している際に、どうも白井さんのような専門家が、そんなに下げる必要はないというような印象を政府に与えることは、非常にこれは白井さん、考えてもらわなければいけないと思うので、こう思うので、私は一昨日も言いましたが、例えば農協で麦を扱つた場合に、農協の事務費その他一切含めたつて二十円ぐらいしかなりません。ところが白井さんがかねて部下に使つてつた検査員が、麦に刺しをちよつと刺して、これは僅かに十秒ぐらいしかかかつていない、それが二十円じやどう考えても理窟に合わない。だから政務次官、どうもこれは、先ほどの十円ということは最低線であつて、少くともこの実現は間違いなくやつてもらう、こういうことをお願いしておきます。白井さん、別に違わないでしよう。
  132. 白井勇

    白井勇君 政務次官、よくこれは一つ、一挙にそういうふうに安く下げることは決して農民のためじやないということを知つてもらいたい。これはむしろ加工業者なり、中間に入りますものは、そういう考え方でおるかも知れませんけれども、むしろこういうふうに生産者が強い場合におきましては、それをかぶるものは買手がかぶる、何も二十円のものが全部生産者の負担だと考えますのは私は間違いだと思う。むしろ加工業者に農民が乗せられておると思う。
  133. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  134. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。  先ほどの清澤委員の御要求で大蔵省のほうに要求いたしましたが、どうしても今日はほかの委員会のほうに出ておつて出席できないというのですが、併し非常に時期を急いでおりますので、先ほどの「たばこ」の問題は、政務次官のほうから大蔵省のほうに御意見を篤と一つお伝え願いたいと思います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  135. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。本日はこれで散会いたします。    午後四時三十八分散会