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1953-05-29 第16回国会 参議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年五月二十九日(金曜日)    午前十一時二十三分開会   —————————————   委員異動 五月二十七日委員長谷山行毅君辞任に つき、その補欠として森田豊壽君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            白井  勇君            小林 亦治君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            戸叶  武君            鈴木  一君            鈴木 強平君   衆議院議員            金子與重郎君            足鹿  覺君   国務大臣    農 林 大 臣 内田 信也君   政府委員    農林政務次官  篠田 弘作君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済   局統計調査部長  安田善一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○農業災害補償法臨時特例に関する  法律案衆議院提出) ○理事補欠選任の件   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開きます。  理事補欠互選の件はあとに廻しまして、去る二十六日予備審査のため内閣から送付され、当委員会に付託せられました農業災害補償法の一部を改正する法律案議題に供します。  先ず政府から提案理由説明をいたします。
  3. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  農業災害補償制度につきましては、本制度実施五年の経験に徴しまして、更に、農家負担軽減蚕繭共済制度改善共済団体性格に即した監督の適正化等必要な改善を行い、制度の円滑な運営を期するため、この法律案を提案する次第であります。  以下この法律案主要内容について御説明いたします。第一は、共済掛金農家負担軽減及び災害危険度に応じた共済金額個別化であります。農作物共済共済掛金負担につきましては、従来通常共済掛金標準率全国を通じて最低となる県の通常共済掛金標準率部分全国共通全額農家負担としておりましたが、全般的に農家負担軽減するために、通常共済掛金標準率のうち安全割増率を差引いた率のうち全国を通じて最低のものの三分の一の部分を新たに国庫負担とすることといたしました。なお、その結果従来の方法によりますと、被害程度の低い地域国庫負担割合が少かつたのでありますが、これらの地域についても国庫負担割合合理化が期せられることになりました。又蚕繭共済共済掛金負担につきましては、国庫農家との負担を合理的にするために、農作物共済負担方法改善と並行して、これと同様の負担方法とすることといたしました。更に共済金額個別化につきましては、被害危険階級ごとに或る程度の幅を設けてその範囲内で共済金額を選び得るように改正をいたしました。  第二は、蚕繭共済制度改善であります。蚕繭共済におきましては、現行法によりますと、共済事故による減収組合員の平年収繭量の四割以上の場合に共済金支払うこととしておるのでありますが、農業災害補償法目的を十分に達成するために三割乃至四割の減収の場合にも共済金支払うことといたしました。又蚕繭共済は、現行法では全蚕期を通じた保険建前となつております関係上、共済掛金率は、春蚕繭夏秋蚕繭同率で、このため春蚕繭については掛金が割高、夏秋蚕繭については割安という不合理があり、又最終蚕期収繭が完了いたしませんと再保険金の額が決定しないため、共済金支払が遅れるという支障がありましたので、これを蚕期別保険建前に改め、春蚕繭夏秋蚕繭被害実態に応じて掛金率個別化いたしますとともに、再保険金の額を蚕期別に決定することにより共済金支払の円滑を図ることといたしました。なお、これらは従来から検討を進めて参つた問題でありますが、蚕繭共済料率改訂期となつております本年からこれを実施し、本年の春蚕繭に遡つてこれを適用することといたしたのであります。  第三に、共済団体運営につきまして、農業災害補償制度一環としての特殊な性格に鑑みまして、公益的見地からの適正な監督を行い得ることとし、又役員の責任を明確ならしめることといたしました。  以上がこの法律案大要でございます。なお、今年産水稲及び陸稲につきましては、その引受の時期が迫り、これが遅滞いたしますことは今後の制度運営に悪影響を残すこととなりますし、蚕繭及び麦につきましては、特に今年四月から五月にかけての凍霜害対策の重要な一環として改正された制度により算出される再保険金概算払が強く要望され、政府といたしましても数字がまとまり次第速かにこれを実施したいと考えておりますので、本法案を緊急に提案した次第でありますから、何とぞ慎重御審議上速かに可決あらんことをお願いする次第であります。   —————————————
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法律案審議は後日に譲りまして、次に一昨二十七日衆議院から提出せられ、本委員会に付託せられました農業災害補償法臨時特例に関する法律案議題に供します。  先ず提案者金子與重郎君から提案理由説明をお願いいたします。
  5. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今議題と相成りました農業災害補償法臨時特例に関する法律案につきましてその提案理由を御説明申上げます。  農業災害補償制度につきましては、昨年第十三国会以来その根本的改正が論議されて来たのでありますが、前国会において同法の一部改正法案審議未了となりましたため、制度空白が生じましたところ、今回の凍霜害を見るに至つたのであります。そこでこの制度根本的改革に関する検討とは一応切り離して、今回の凍霜害対策一環として、直接関係ある昭和二十八年度産の蚕繭と麦につきまして、臨時特例を設けて一刻も早く制度上の空白をうめ、対策の完璧を期そうとし、この法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案主要内容について御説明いたします。第一は、昭和二十八年産の蚕繭について、蚕期別保険実施及び対象とする損害範囲の拡張であります。蚕繭共済におきましては、現行法によりますと、共済事故による減収組合員の平年収繭量の四割以上の場合に共済金支払うこととしてあるのでありますが、農業災害補償法目的を十分に達成するために三割乃至四割の減収の場合にも共済金支払うことといたしました。又蚕繭共済は、現行法では全蚕期を通じた保険建前となつております関係上、共済掛金率春蚕繭夏秋蚕繭同率で、このため春蚕繭については掛金が割高で、夏秋蚕繭については割安という不合理があり、又最終蚕期収繭が完了いたしませんと再保険金の額が決定しないため、共済金支払が遅れるという支障がありましたので、これを蚕期別保険建前に改め、春蚕繭夏秋蚕繭被害実態に応じて掛金率個別化いたしますとともに、再保険金の額を蚕期別に決定することにより共済金支払の円滑を図ることにいたしました。  第二は、蚕繭共済共済掛金農家負担軽減及び災害危険度に応じた共済金額個別化であります。蚕繭共済共済掛金負担につきましては、従来通常共済掛金標準率全国を通じて最低となる県の通常共済掛金標準部分全国共通全額農家負担としておりましたが、それを通常共済掛金標準率を定めるため基礎とした平均被害率全国を通じて最低となる都道府県のその平均被害率部分の三分の一を全国を通じて新たに国庫負担とすることとし、又従来は超異常という部分は事実上はなかつたのでありますが、新料率においてこの部分が出て来ましたので、この部分全額国庫負担となり、異常部分を二分の一国庫負担に改め、通常、異常、超異常の合計において農家負担軽減を図ることとしたのであります。更に共済金額個別化につきましては、被害危険階級ごとに或る程度の幅を設けて、その範囲内で共済金額を選び得ることとすることができるようにいたしました。  第三は、昭和二十八年度産麦の掛金農家負担軽減の問題であります。これは通常共済掛金標準率を定めるため基礎とした平均被害率全国を通じて最低となる都道府県のその平均被害と、当該都道府県通常共済掛金標準率との差に相当する部分は、従来全国を通じて共通全額農家負担でありましたものを、この部分の二分の一は新たに国庫負担とすることとしたのであります。  以上がこの法律案大要でありまして、今回の凍霜害対策としては不可欠緊急のものでありますから、慎重御審議の上、速かに可決あらんことをお願いする次第であります。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から質疑に入ります。
  7. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) お許しを得まして、これに附随して一言御報告申上げたいことがあるのでございます。以上申上げましたような理由によつて衆議院といたしまして議員立法で取りあえず農業災害に関する臨時措置として取上げたのでございますが、その後この際凍霜害対策につきまして、衆議院におきましては各党を超越いたしまして、各党の凍霜害対策委員会合同委員会を提唱いたしまして、幸いにして各党とも意見の一致を見て、その後応急対策といたしまして、予備金の中からどれだけ金を出すかということと、それからもう一つには、この立法をいたしますことと、この二つの問題をきめまして、そして政府折衝に当つたのでありますが、只今三十分ほど前に臨時措置といたしまして予備金の中から五億八千万円の支出をしようということを政府も了承しまして、早速衆議院各会派のいわゆる与野党の凍霜害対策委員合同会議を開きまして、その結果を御報告をいたしたようなわけでございます。これはこの法案と直接関係のありますることなので一応御報告申上げます。
  8. 北勝太郎

    北勝太郎君 五億八千万円ですか。
  9. 金子與重郎

    衆議陣議員金子與重郎君) 数字の問題は作業の結果、若干異動があるかも知れません。
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこれから質疑に入ります。
  11. 河野謙三

    河野議員君 過日の委員の打合会ちよつと私遅刻いたしましたので、統計調査部報告等を詳細伺わなかつたのですが、今回のこの被害調査基礎数字農林省統計調査数字共済自体調査数字とどちらをとられたのですか。
  12. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) これは取りあえずの数字統計調査基礎になつておると思います。そして今の御質問の要旨であります共済数字と、それから又外廓団体農業委員会との数字が又別々にあるのですが、取りあえず予算折衝基礎を立てるのには中間の立場にあります統計のものを中心にしてまとめないと、大蔵省との予算折衝が付かないということで一応操作してあります。従つて今五億八千万というものを仮に大蔵省が呑んだといたしましても、これはこの基準を呑んだということなんでありまして、後に実数が出て参りますと、それによつて総額異動があると思います。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 そこで私農林省に伺いたいのですが、取りあえず急を要するので統計調査数字を便宜とつたということなのか、将来とも従来の農業共済被害調査の非常な弊害に鑑みて、今後とも被害調査についての数字は今回同様に統計調査部数字基礎にして運用して行くのか、これを一つお伺いいたします。
  14. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今河野委員から御質問がございましたが、これは今回の霜害対策融資だとか、助成金の分配におきまして、主として統計調査部数字基礎にしたという御趣旨だというように拝聴いたしたのであります。この補助対策基礎となりました数字は、さような工合で統計調査部数字でございますが、農業保険、特に蚕繭につきましては、直接統計調査部数字を主要とするわけではございません。なぜかと申しますると、産繭共済農家負担になつておるのです。一枚々々の畑の桑がどうであるかということは、農家春蚕なら春蚕被害基礎にはなつておりますが、農家全体としての春蚕被害ということが保険の問題になるものでございますから、そこに直接に結び付けるということはなかなかむずかしい状態です。勿論或る程度の推定ですが、大まかな批判の材料にはなりますけれども、根本的な、それを主として基礎にするわけには参らんのであります。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 これは今回提案された臨時措置について私は異論はないのですが、この機会にちよつと私は申上げておきたいのですが、農業共済のいろいろ問題は、結局この被害調査が適正であるか否かというところに私はすべて出発していると思う。これは被害調査が適正でないんですよ。又適正を期する何ら手段が講じてないわけです。そこで、せめて私は農林省自体が持つておる農業統計調査部の組織を動員して、これから得た数字というものが、せめて今の場合には一番私は適正であると思うのです。私はあえて農業共済調査そのものを否定するわけじやありませんけれども、例えば各町村被害調査の何か委員が委嘱してありますが、これらに対して一体実情はどうかということは御承知だと思いますが、これだけ面倒な被害調査を依頼して置く委員手当そのものさえも殆んど出していない。従つて末端のほうの調査員は年に一回くらい全部飯でも食わせろ、その予算がない。要するに保険金を膨らまして、領収書だけ書かして、それだけ五万なり、十万なりの金を浮かして、年に一遍なり、二回なり飯を食う、こういう程度のことでやつております。これは御承知のことと思います。そこらに問題が出発しているのであります。でありますから、これだけ莫大な国費を出して、如何に農民立場に立つてもただ補助金を余計もらえばいいという、そんなことでは農民承知しないと思います。だから私は少くとも信頼性の持てる統計調査部数字そのものが即農業共済被害調査数字だということが現在の段階において一番正しいと思います。これに対して小倉さんはどういうふうな見解を持つておられますか。今の末端被害調査は全くでたらめです。私はよく言いますけれども天然被害じやない、人造被害です。これは現に刑事問題等全国的に起つておる。農業共済としては具体的に私は例を申上げてもいいのです。今度は又臨時措置によつて補助金を更に殖してもらう、これは農民のために有難いのだが、それならそれだけに補助金を余計出してもらうだけに、やつぱり良心的な運営を期さなければいけないと思います。こういうことは統計調査じやない。小倉さんの耳に入つていないかしら。私はそれを伺いたいと思います。
  16. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) もう一つ霜害評価の適正を期さなければならん問題があるということは全く同感でございまして、そのために私どものほうではいろいろ苦心いたしておるのであります。御趣旨全く同感でございまして、現在そういうことでやつております。一つの実は制度があるのでありまして、一つは、農民一つくらいの組合を選びまして、霜害評価をいわば模範的にやらす。それに県の指導連合会指導を集中いたしまして、これを模範としてその他の町村に及ぼすといつたような恰好で霜害評価基準組合というものを置いて、若干の助成をいたしまして、実施をすでにいたしております。昨年から実施をいたしておるのであります。勿論一つ組合で以て万般を推し測るわけではありませんが、これはどうしても或る程度損害のバランスという問題がありまして、一つ組合について適正に行えれば、これは連合会乃至県庁あたりが査定をいたします場合に、或いは指導をいたしまする場合にもおのずから一つ基準になると、こういうことを考えておるわけであります。もう一つは、この統計調査部被害調査との関係でございます。確かに今我々が入手し得るデーターといたしましては、一番信頼するに足るものではないかというように考えております。そこでいろいろ工夫をいたしておるのでありますが、只今までのできますところは、県段階におきましての損害につきまして或る程度被害調査が参照でき得る一つの有力な資料になり得ると、こういうふうな考えでおるのであります。収量調査においても、なかなか制度ということはむずかしいのでありますが、ましてこの被害につきましても、保険の場合で言いますと、何割以上の被害ということが重要な問題になりまして、被害の多寡によつて共済金が違うのであります。こういう精密な被害調査を必要とするのであります。そういう精密な被害調査について十分答え得るだけの態勢になつておらないのであります。そこで私ども統計調査部と話をいたしまして、一つ目標として現在考えておりますのは、現在県の段階でいたしておりますものを郡の段階に下ろし、統計調査における被害調査を郡の段階で或る程度信頼し得るものにしてもらつて、それを郡の段階における共済のほうの霜害評価と或る程度マツチさせるという工夫はないものかということで、いろいろ研究をし、本年度の予算にもそういう意味で統計調査部被害調査を充実する予算を要求した一のでありますが、残念ながらこの間流産いたしました予算にはまだ計上されておりませんでしたけれども目標といたしましては、そういうことで努力して参つておるのであります。霜害評価を適正にしたいと、かように考えております。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 まあこれだけの莫大な補助金を出して、而も被害調査そのものが極めて自信が持てないということは農林省自体も認めておられると思いますが、こういうふうな薄弱な基礎の上にこういう莫大な補助金を出しておるというような、こういう補助金というものはほかにないと思うのであります。それは議論になりますから別にいたしまして、農業共済対象作物以外の果樹園芸についての被害はどこから出た数字基礎にして今度は見舞金を計算されるか、それを一つ伺いたいと思います。
  18. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 果樹蔬菜等につきまして統計調査部調査したのがございます。これは勿論絶対正確であるというものでは恐らくないと存じますけれども、一応の予算要求基礎は、米麦、お茶とともに果樹蔬菜につきましても統計調査部の一応の資料が出て参つておりますから、それによつて計算いたしておるのであります。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、果樹園芸のほうの、即ち共済対象にならん作物は止むを得ないから統計調査調査数字そのものによつてつて行くより仕方がない。これが最終のものでしよう。ところが共済対象作物統計調査数字に更にもう一つ共済自体調査数字というものを加味して勘案して、そうしてこれをやる。そうすると両方基礎数字が違つて来るわけです。条件が違うのです。こういうことでいいんですか。私はそれを伺いたい。両方とも一本でなければいかん。それを一つ質問いたします。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) それはその調査内容によるわけでございますが、只今までの農業保険、特に米麦等につきましての損害というものは、御承知通り引受一筆単位一筆単位で積み上げた被害ということになるわけであります。そういう趣旨被害調査というものは統計調査部でも最近になりまして始めたわけでありまして、十分これは確信ある数字ではないわけでありますから、そこで私どもといたしましては農家別被害も必要でございまするので、どうしても霜害評価による下から積み上げた数字というものを一応の基礎といたしまして、一応統計調査部から出ますところのマイナスだけの被害というものを減らしまして、県により、郡により、おかしいところがないか、こういうことを見付け出しまして、見付け出しますと、今度は逆に保険のほうが下に下りまして、組合霜害評価やり方についてもいろいろ資料がございますから、その資料をあらつて是正をさせる。こういうやり方をいたしておるわけであります。お話のように統計調査資料が一元的に、或いは一次的にこれを使おうという建前にできますれば、そういう方法に切替えるということも勿論十分考慮されるべきでありますし、そういう方法は最も有力な方法じやないかと思いますけれども只今のところ制度が必ずしも統計調査資料だけによつてよろしいという自信が実はないということと、もう一つは、調査建前農家単位の、或いは一筆単位という建前と必ずしもしつくりと合わないわけであります。どこかずれてしまうわけであります。県の範囲ではやるけれども、郡の範囲になると統計調査ではわからない、郡でわかつたものは村でわからない、村でわかつたものでも農家ではどうかということはわからないというふうになりまして、どこかに食い違いが出て来るのでありますけれども、それをなるべく元のほうに戻して、下のほうに下げて適正な評価を期したい、こういうのが只今の方針であります。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 私の伺つているのは、要するに被害調査がその農業共済対象作物と、それ以外の作物と別々のところから出た数字では私はいけないと、こういうのです。どつちか、例えば統計調査部数字によつて一般作物もやるし、共済のほうのあれもやる、こういうことならいいのですがね。先ほど申上げたように、農業共済対象作物は、統計調査部数字農業共済数字、これを両方加味してやる。一般作物のほうは農業共済のほうはもう関係ないのですから、統計調査部数字一本で行く、こういうことになりますと、結果は違つて来ますが、もつと露骨に具体的に言えば、統計調査部数字は辛いのです。農業共済数字は甘いのです。ですから、この両方を勘案するということは統計調査数字より幾らか膨らますということです。ところが農業共済対象作物以外のほうは、統計調査そのもの数字以外にはないのだから、これだけで行くということになると、一般作物のほうが辛いことになる。そこで甘い、辛いの差別が出て来るということは私は不公平じやないかと思います。その他の点を農業共済対象作物以外のものと公平な措置をとることについて何か御考慮があるかどうか。
  22. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 御質問趣旨がよくわからないのですが、このたびの霜害対策として考えておりまする肥料助成でありますとか、或いは入手でありますとか、或いは病害虫の防除といつたような面につきましては、これは作物の如何にかかわらず、統計調査部資料を元にして予算をやつておるわけであります。そこで作物によつて食い違いはないのです。それから蚕繭にいたしましても、蚕繭に対する霜害対策といたしましては、共済保険と別にいたしますれば蚕繭に対する肥料代なり、或いはその他の融資の面も同じ基礎の上に立つて同じ統計調査部のそうした資料で作成をいたしておるわけです。併しこの共済の面になりますると、これは蚕繭と麦だけでございまするが、共済になりますると、先ほど申上げましたような事情で、統計調査部資料一点張りではできない事情があるということを申上げた次第でございます。
  23. 河野謙三

    河野謙三君 大体わかつておるのですが、統計調査部数字一本やりで私は何故いけないか、こう思うのです。それを一本でやり切れないところに、結果において不公正な問題が起つて来ると思います。それをあなたのほうの機関自体統計調査についてはもう信頼が持てない。これよりも共済数字のほうが信頼が持てるという御自信があるならば、それでもいいのです。今の段階ではあなたの口から言うのは手前味噌に聞かれるから遠慮をされるようになるかも知れませんが、今の段階では統計調査部数字が一番信頼性が持てると思います。これも絶対のものじやありません。絶対のものじやありませんけれども、とにかくこれは信頼が持てる数字だと思います。それならすべての場合にこの数字を引用して行つたらいいんじやないかと、こう思うのですが、それを私はあなたからはつきり聞きたいのですけれども、やはりどうも農業共済数字だと多少その他のものを勘案しなければならないというようなことも言える。それでは少し不公平な問題が起きるじやないかということを申上げておるのです。併し今大体わかりましたから、ほかのかたの質問もあるでしようから、この程度にとめさせて頂きます。  最後に、先ほど申上げました被害調査について、調査員に対しての手当に対してもう少し、例えば農業共済の莫大な事務費の中から削つて調査員の手当その他をもう少し殖して、そうして年に一遍とか、二度とか、飲むとか、旅行するとかいうことをさせないで、堂々と手当を出して、調査員調査員らしくやれるようなことをお考えになつているかどうか。今殆んど出していないのです。これを一つつておきたいと思います。
  24. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今では国庫の補助といたしましては、調査手当というものはございません。ここでお話のような無理なことをやつておる向きもありはしないかと実は心配しておりますが、そういうことになりませんように、調査員の手当を出します場合にも、農家負担してもらおう、或いは農家負担に限度がございますれば、勿論国の補助ということに持つて行きたいというふうに私は考えておりまして、今年の予算でも成立はまだしておりませんが、多少のところは考えたいと思つておりましたのですが、手当といつたことについては実はやつておりません。百円、千円といつた金でも相当の金額になるのです。統計調査員といつたものと同じような関係にあります者を入れますと、なかなかむずかしいわけであります。ですけれども、御趣旨のようなこともございますので、今後調査員の手当につきましては努力したいと思つております。
  25. 北勝太郎

    北勝太郎君 この問題につきましては、私のところにもこの間からそういうことを言つて来ておるのであります。一年に数十日費やす。然るにただ一年の末に、任期の終りにですか、記念品というようなものを、ほんの些細な物を贈つてつておる。これは余りにも人間扱いしておらんじやないか。是非一つ適当な報酬を出して、そして確実な仕事ができるようにさしてもらいたい。人間並に扱つてもらいたいと言うのであります。統計調査員だけこういう扱いという法はないだろうと、こういうことを言つて来ておるのでありますが。
  26. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 今年は手当というほどのものは大蔵省予算の際に実は認めなかつたのですが、折角調査のために廻つて頂くのでありますから、やめられるときに何か記念品とか、そういう程度のことはできるようにしたいと思いますから、そういう程度のものは今度の本予算には上りはしないかと思つております。
  27. 北勝太郎

    北勝太郎君 その統計調査員は単に隠居さんがやるというのじやなくて、一番大事な一家の主人を動員しておるらしい。そこで自分が仕事ができないから日傭いなどを雇つてやらなければならん。全くその犠牲になつてしまつておる。それで今何とかして一つ、そういう余裕のある者だけがやるのじやなくて、実際の仕事に自分の家の仕事を投げうつてやるのだから、それに対する相当の報酬をもらいたいと、こう言うのは正当なことだと思うのですが、一つ考え方を根本から変えて、人を使つたならば使つたに値するだけのものは一つ何とかして支払うようにしてやつてもらいたい、こういうわけであります。
  28. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今統計調査関係報告をして頂くかたがたにつきましては、二十八年度の予算で従来の手当を相当増額するはずだと思つております。数字の点は忘れましたが、そういうことにたしか大蔵省も了解してくれたのです。こういうように多年努力して来たのであります。今回は多少増額になると思つております。
  29. 北勝太郎

    北勝太郎君 法案そのものについては別に質疑はありませんが、私はこの際霜害対策について農林当局から伺つて見たいと思うことがあるのであります。先日の御説明によりますと、ほぼ同じような時期に福島県で晩霜の大きな被害があつたということであつたのでありますが、本年も又同じ地方において同じような被害を繰返したかどうかということ、この点をお調べになつたら一つ伺いたい。
  30. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) お答えいたします。昨年ありましたのは主として東北の南の地方でございます。今年もそこもやられておりますが、今年の被害はそれよりもつと南のほうの群馬、埼玉、茨城、東海方面というような一帯であります。これは今年のほうが霜が降りましたのが少し早いようでございまして、むしろ南のほうの早く芽の出る地帯におきまして霜が降つたために……。
  31. 北勝太郎

    北勝太郎君 その方面がやはりあるわけですね。続いてお伺いいたしますが、霜害はこの間も御説明がありましたようにあらかじめ予知ができる。そしてこれに対する予防の方法も当然できて来るはずなのであります。福島県或いはその方面の駐在員のかたがたが、或いは指導員というのですか、僕は名前をしつかり知らんのですが、そういうふうな人たちが、普及員と言いますか、普及員ともう一つ上にあるのは何と言いますか。
  32. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 大体郡単位に産業技術指導所というものがございまして、その下に技術普及員というものがございます。そして今の霜害の場合のお話でございますが、大体今夜あたりは霜が降るぞという測候所の予報が指導所まで参るのです。従いまして普及員も大体わかるのです。これに対する措置が現在のところないのであります。これは技術的に申上げますると、試験場の検査等では成功いたしております。例えば霜の降るような晩に焚き火をいたしまして煙を出すとか、或いは覆いをかぶせるというような小範囲のことはわかつておりますが、これを実際に大面積の農園でやるということが不可能でありますから、今夜は霜が降るぞといつても、この予防の措置がないような実情であります。
  33. 北勝太郎

    北勝太郎君 そこがその意見が、見解が違うのです。大規模のものでも十分できるんだ、これは一村、一郡全部共同して、そうして火を焚く、煙を出すというこの方法でやれるのです。私は北海道の寒いところにおりますから、しばしばこの体験があるのですがね。ところが今度の霜害のことを聞いて、そういう予防があるにもかかわらず、一向やつた形跡がないとするならば、これはどうもその一つの職務の怠慢か何かのように私どもは思われてならん。北海道のような耕作面積の広いところでさえ実は予報がありますと必ず全村こぞつて、或いは全郡こぞつて、そして夜寝ずに付番をしておつて、焚き火をするときの合図をして焚き火をする。これが非常に効果があるのですね。そこで大規模だからできないということはない。殊に北海道のような大面積でさえできるのですから、本土の地では非常に耕作面積が狭いんだから、もつともつと稠密に焚き火をする場所をたくさんこしらえることができるのだ。そうすればこんな被害がないのであるがと、こういう工合に思われるのでありますが、一向そういうことをやらずにおいて、そうしていわゆる人事を尽さずに、こういうような災害を起したということは、私はこれはどこに責任があるのかと言いたいくらいな気持なんです。現にまあ一小部分ですけれども、この間の御説では、平塚ではあれは試作場ですか、試験地か何かで「わら」の焚き火をして、一部分でさえ災害を逃れておるというのだから、全部でやりさえすればできるのです。ただ暖かい地方でやるのと、いま一つは余りにも時期はずれであつたためにこれができなかつたのであります。注意が欠けたのじやないか。殊に私はこの頃北海道の新聞を見てびつくりしておるのですが、北海道の温床苗代、あれが被害をこうむつておる。非常に大きな被害をこうむつたということを書いておる。あれは障子を取つてそこに置いてあるのです。そういうような予報があり、注意がありさえすれば、それはすぐかければいいんです。決して被害なんか起るはずがない。そういう予防を怠るとか、或いは指導を怠るというようなことが大きな原因じやないか、こういう工合に思うので、これもやつぱり私は政府の責任じやないかと、こう思うのです。どういうお考えでありますか、伺つておきたい。
  34. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 只今のお話誠に御尤もでありますが、そういうような予報がありまして、そういう焚き火をするとかいう措置をとつたところもあるのであります。ただ措置を一般的にやらないのは経済的な問題でありまするが、これについては人手の関係とか、いろいろなものがございますので、この前の打合会でもお話がございましたように、今回の霜害対策につきまして、そういう実際に措置をとつたようなところの実態調査しておりまして、どの程度にやればいいかということを調べまして、それがわかりましたら、今度お知らせいたします。
  35. 北勝太郎

    北勝太郎君 その点については、ほかでも随分やつていて、もう成績がすつかりわかつているはずです。それを今頃から、試験、研究の新らしい方法を生み出すということは別ですが、随時あなたのところではその点はやる。或る時間が来て、そうして又火を焚くというときから燻煙をやる、これで効果を挙げておる。そこでこういうことは今更僕は試験研究の新らしい問題は別として、通常に我々がやつておる手段が使われていない。甚だこれは残念に思つております。やつたところの成績は果してどうなんですか。若しやつたところがあるとするならば、平塚の……。
  36. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 試験場で検査した結果の話でございますか。
  37. 北勝太郎

    北勝太郎君 現にやつたところがあると言います。
  38. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) それは細かい報告が届いておりません。只今資料を持合せておりませんので……。
  39. 北勝太郎

    北勝太郎君 今年は新聞で私ども半信半疑に聞いておりますが、何か冷害の年であろうというような予告ではないけれども、報道がされておつたのです。そこでこの晩霜についてもこういうことがあつたのだが、こういう年には、この秋の早い霜についてもこういうことが起るんじやないかという心配さえ、杞憂かも知らんが持つておる。そこでそれに対してどういう対策を立てるのか、それを一つつておきたいと思います。
  40. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 晩霜が早く来るかどうかということについては……。
  41. 北勝太郎

    北勝太郎君 晩霜はもう来ないと思いますが、秋の早霜です。
  42. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 秋の早霜が来るかどうかの……。
  43. 北勝太郎

    北勝太郎君 来るかどうかでもなく、来るかも知らんという、あれは杞憂かも知らんが持つている。
  44. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 或いはそういう御趣旨のことがあるかも知れません。それに対しましては只今申上げましたように、只今のところは大面積ではどういう措置をせいと確信を以て指導するだけの、私は率直に申上げますと、指導力を持つていないわけであります。先ほど申上げましたような予算がとれますれば、それによつて至急早霜の対策を考えたいと思つております。
  45. 北勝太郎

    北勝太郎君 そこで僕は不思議でしようがない。北海道ではもうすでに何回もこちらへ報告が来ておると思うのです。寒いところですから、年々そういうような心配があつて、よくやつておる。これは本当に成績を挙げておる。そういうことを一つ今から試験研究するのではなくて、通常用いておるところだけは、少くともこの秋の問題についてもそういう指導をして頂かなきやいかん。こんなに多く損害が出たから補償せよというような問題は、これは不誠意だと思います。霜が予報されるのでありますから、そこで予報されるということの前提のもとにやつてもらわんと、農林省では予報ができんものだという前提をおかんで、現に平塚でやられた試験研究、そこではほんの僅かのところではあるけれども、もう実際成績が挙つておるというのでありますから、そこで全村或いは全郡こぞつてやれば必ず成績が上るはずです。本当に煙幕を張られまして、輻射熱で防ぐことをやつておる。どうか一つ被害があつてからの問題でなくて、被害のないうちに速かにそういうような指導をして頂くことが必要でないかと、こう思うのです。
  46. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 審議の途中でありますが、農林大臣がお見えになりましたので、御挨拶をお願いいたします。
  47. 内田信也

    ○国務大臣(内田信也君) 簡単に御挨拶を申上げます。  私は曾つて農商大臣を務めましたけれども、当時は御承知通り戦争中でありまして、敵機がまさに東都に侵入せんとする際でありましたからして、いわゆる火事場のようというけれども、本当に戦場の騒ぎでございましたので、長い先々のことを考えるよりかも、目先、今日、明日の食糧をどうするかということに苦心いたしましたので、いわば頓服を飲むというようなわけで、その頓服を工夫する次第でありましたが、今日は漸く国内が平静になり、国家永遠の策を講ずる時に相成りまして、殊になお食糧が二千万石も不足して、これを海外に仰いでいる。海外において若しも日本へ米を出さんというようなことがあつたならば、その日から干乾しになるというような不安の状態にいつまでも置くわけには参りませんからして、農林行政というものが最も重要なる部門と私は痛感しておる次第でございますが、図らずもその重要なるポストに私が就任いたしまして、みずから顧みて、私の前の経験はいわゆる非常時の経験であつて、平時の経験ではないのだから、思いを新たにして皆様の御協力によつて国家百年の大計を立てなければならんと痛感しておる次第でございます。皆様の今後各党各派相寄つて、御鞭撻、御指導あらんことを願つて、御挨拶に代える次第でございます。お邪魔いたしました。
  48. 鈴木強平

    鈴木強平君 只今会議におきまして凍霜害に対する緊急質問に対して農林大臣からお答えがあつたように聞いております。委員会が続行しておつたので本会議の模様がわかりませんので、この際大臣から、その質問にお答えした内容をここで繰返して頂きたい。
  49. 内田信也

    ○国務大臣(内田信也君) 実は率直に、私は一体どうも世間から明けつ放し、明けつ放しと言われるくらい少し明けつ放し過ぎるのでございますが、その中において、今朝ほど話がありまして、小笠原大蔵大臣と私の間で話のやり取りが、数字についてのやり取りがあつたのでありますが、結論にはまだ達しなかつたのでございます。それと申しますのが、ただ数字だけでは困る、項目については私はやはり農林省の側でございますから、項目に重きを置く、片つ方はただ金額でつかんで来ると、こういうので少しやり取りがあつた。まだきまらないままに私はこの議場に臨んだのでございます。そこで緊急質問がございましたから、見通しを言えというお話でございましたが、もう近々、本当の近々、私の言うのは今日という今日の晩までにはきまると、こういう考えであつたものでございますから、本当の近々にきまるのであつたからして、何も今見通しを言えといつて、そしてごたごたを起して、折角きまるものをきまらぬようにしては却つて農民諸君に相済まんからして、今日只今見通しを言う必要はないが、近々に決定いたしますからということを申上げたのでございます。ところが、愛知大蔵次官が、私のあとを次いで登壇いたしまして、それは金額五億八千万円で、農林省と各派、大蔵省の間に漸く今妥結したところだという話でございました。私はそれは仕方がないのでございます。私が本議場に入つている間に折衝した結果でございますから、ただ五億八千万円に妥結したというだけのことでございまして、むしろ政務次官のほうが詳しいことと存ずる次第でございます。ただその説明だけでございまして、私はその中に幾ら出資額が入つているのか、幾ら補給と補助が入つているかということを、その辺は私は少しでも出資のほうを減らして補給、補助のほうをよくしようという農民側の立場に立つて私はやるものですから、無理やりに数字だけにとらわれないところを、片方は数字だけで来るというところで私が非常にリミツトの答弁をして何も申上げなかつたわけでございますが、すでに五億八千万円というところで以て妥結したというのでございますから、農林省としても相当の合理的の立場に立つて妥協したものと思います。五億八千万円が妥結線で昨晩からやつておつたような次第でございます。以上御報告申上げます。
  50. 鈴木強平

    鈴木強平君 先ほど本案提出者の金子代議士から、さように五億八千万円については内定したようなお話を委員会にお漏らしがあつたと思うのですが、さようなことが本会議において大臣の答弁が十分でなかつたために、大臣がその立場において困つたと思うのですが、農林当局においてはさような折衝はどなたがやつておられるのですか、大臣にお尋ねしたいと思うのですが。
  51. 内田信也

    ○国務大臣(内田信也君) 只今報告に接しましたが、私も只今申上げた通り、大蔵大臣と多少閣議において意見を異にして、一つなお考え直してくれというのでわかれましたところが、私は参議院の本議場に入つている間に各党代表と小笠原大蔵大臣と話した結果、やはり五億八千万円の六派の主張を小笠原大蔵大臣も承認したそうでございます。右報告がありましたからお伝えいたします。ちよつと私急ぎますので、御了承頂きます。
  52. 鈴木強平

    鈴木強平君 本案についての見通しですが、どのくらい質疑しまして、どのくらいに上げるようなお考えでございますか。
  53. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これはまだ実は理事会を開いておりませんが、衆議院のほうの御意向を聞きましても、今回の休会に入る前に通して頂きたいという希望でありまして、参議院の本会議が明日ありまするか、或いは明後日になりまするか、まだきまつておらんようでありますが、これはあとで理事会を開きまして御相談をいたしたいと思つておりまするが、一応明日本会議があるものと前提して審議をやつて行きたいと私は思つておりますが、更にこれは理事会で御相談をいたしたいと思います。
  54. 鈴木強平

    鈴木強平君 大体今日中に上げるわけですね。
  55. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) できればと私は考えております。
  56. 鈴木強平

    鈴木強平君 そうですか。委員長から皆さんに相談して下さい。
  57. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今の点はなお理事会を開きまして御相談をいたしたいと思つておりますが、質疑はなおあると思いますが、午後に譲りまして、この際お諮りをいたしたいのは、一昨日の打合会で今回の凍霜害対策につきましていろいろ御意見が出たわけでありまするが、そこで参議院の農林委員会といたしまして、文書を以て政府に申入をするかどうかの問題を御相談をして頂きたいと思います。実は今の大臣の報告では大体問題が片付いてしまつておるようなもので、証文の出し遅れの感がありますが、如何いたしましようか。
  58. 河野謙三

    河野謙三君 それはいいのですが、五億八千万円の内容一つ午後の委員会説明してもらいたいと思います。
  59. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) これは数字じやありませんけれども、便宜上の話でありますが、私が衆議院の各会派の対策委員の合同でこの問題を進めることを提唱いたしまして、その方針によりまして今日まで参つていたのでありますが、これから出すことはどうかと思いますが、ここに持つておりますから、一部置いて参りますから御検討願いたいと思います。
  60. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  61. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。それでは休憩をいたしまして、午後一時半から再開いたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後二時五分開会
  62. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を再開いたします。質疑に入ります前にお諮りいたしたいのでありますが、理事の長谷山行毅君が委員を辞任せられ、理事が一名欠員になつております。その補欠互選の件でありまするが、前回の例もありまするので、成規の手続を省略いたしまして、委員長から御指名いたしたいと思いまするが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  63. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして指名をいたします。森田豊壽君に理事をお願いいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  64. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 続きまして農業災害補償法臨時特例に関する法律案につきまして質疑を続行いたします。私から政府の側にお願いをいたしまするが、政府提案の農業災害補償法の一部を改正する法律案と、只今質疑中の農業災害補償法臨時特例に関する法律案内容の相違と言いまするか、繭と麦が臨時特例法律案でありまするが、内容は大体同じであるかどうか、それを一つ説明を願いたいと思います。もう一つは、この法案実施に関しての予算関係がどうなつておりまするか、併せて御説明を願いたいと思います。
  65. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 政府提案の農業災害補償法の一部を改正する法律案と、衆議院のほうから提案せられました農業災害補償法臨時特例に関する法律案との違いの点でございまするが、字句の点を申上げますと、第一点は、この臨時特例の第二条第一号の点でございますが、これに相当するものが政府案におきましては一頁の中ほどに一と書いてございまするが、そのうち文句の違つておる点がございます。読みあげて見ますと、臨時特例におきましては、「当該共済目的に係る農業災害補償法第百七条第四項第一号の通常共済掛金標準率を定めるため基礎とした平均被害率が全都道府県を通じて最低となる都道府県のその平均被害率」、括弧略しまして、「の三分の一」、こういうふうになつております。政府提案におきましては、この点が多少表現が違つておりまして、違つている分だけを申上げますると、「同号の規定により加えられた安全割増率に相当する部分を除いて得た率が全都道府県を通じて最低となる都道府県のその除いて得た率」、括弧略しまして、「の三分の一、これは表現がちよつと違つておるのでありますが、意味が全く同一であると理解をいたしております。なぜ議員提案のほうでお変えになつたかを申上げますると、推測いたしまするに、政府提案におきます安全割増率とあります言葉が熟していないと申しまするか、法案に現われておりませんので、この法律に関する限り余り現われておりませんので、それを省略いたしまするために、政府提案におきましては安全割増という言葉を使わないで表現するということであります。そこでこの通常共済掛金標準率でございまするが、これはその府県の被害率に安全割増を加えたものであります。ところが安全割増の部分につきましては、それは二分の一が農家負担、二分の一は国庫負担と、こういうふうにいたしたわけでありますので、それを除く必要があるのであります。この表現の仕方が議員提案におきましては、この「標準率を定めるため基礎とした平均被害率」、こういう言葉で、この平均被害率にはまだ安全割増分は加わつておりませんので、意味が全く同一意味に存じておるのであります。  第二点は、政府案の四頁の三行目に「第百七条第三項中「都道府県知事が、」の下に「主務大臣の承認を受けて、」、こういうふうに「承認を受けて」という言葉がございます。この点につきましては、議員提案のほうには「主務大臣の承認を受けて」ということがないのであります。議員提案の法案におきましては、百七条の改正の規定がございませんので、この点はないのでありますが、なお「主務大臣の承認を受けて、」ということは、この場合特に霜害対策というふうに考えますと関係がございませんので、この点は落しておるのであります。法文で違つておるのはかような点でありまして、もつと根本的に違つております点は、政府案におきましては、これは恒久制度、恒久制度というと語弊がありますが、臨時立法でなくできておりまして、従つて水稲、陸稲が入つてつたのでありますが、議員提案のほうでは水稲、陸稲を除き、而も一年と申しますか、一年限りの臨時立法ということになつておるのであります。  予算関係につきましては、政府提案の趣旨に即応するような予算措置を講じております。議員提案のほうは政府提案の中の一部でございますから、法律が議員提案のように変りましても予算上の措置には齟齬を来たさないつもりでございます。
  66. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 予算関係でありますが、それはどういうふうに、例えば今度の六月の暫定予算とか、恐らく七月、八月本暫定予算になろうと思うのですが、どういう関係に入つておりますか、その点を……。
  67. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 特にこの今回の霜害対策関係でございまするので、六月の暫定予算におきまして、特別会計のほうに概算払支障のないように措置をいたしております。
  68. 河野謙三

    河野謙三君 先ほど政府から五億八千万円の金額がきまつたと、こういうことでしたが、これは被害調査最終的の被害調査数字がまとまつて、そうしてその結果政府との折衝の結果五億八千万円ということに落着いたのか。先ず取りあえず手許に集まつた被害調査によつて要求した額に対して五億八千万円、伴つてその場合には六月の暫定予算にも追加されるのですか。又七月に追加されると、こういうことがあり得るのですか。それともそれは最終的の被害調査折衝に基いて最終の五億八千万円、従つて五億八千万円というのは最終的のものですか。
  69. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 霜害対策予算関係でございまするが、私直接担当しておる責任者でございませんので、ちよつとそこ微妙でございまするので、政務次官乃至官房長から一つ答弁するほうが適切だと思います。
  70. 河野謙三

    河野謙三君 このことだけはお答えできると思うのですが、被害調査最終的な数字がもう集まつたのですか。それともまだ被害調査の途中であつて、取りあえず手許に集まつた数字によつて折衝されたと、こういうことですか。
  71. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) このたびの霜害につきまする政府の施策の基礎になりましたのは五月上旬までの、五月上旬と具体的に申しますと、五月三日と思いまするが、それまでの被害を集計したものであります。勿論急いでやつたものですから、絶対正確とは主張しがたいと思いまするが、一応それまでに判明した被害は網羅している。こういうふうに考えております。
  72. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、その言葉の裏を推測するに、被害調査はまだ十分最終的なものまで集まつていない、従つてもつと数字は膨らんで来る、そうであれば、同時に六月の暫定予算においても更に追加して予算をもらわなければいかんと、こういうことになるのですか。
  73. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 五月三日現在までの被害について一応把握したものが、その後精密な調査によりまして相当開きがある。従いまして今回このたび支出予定になりました予算額では考えられないといつた事態になります。御説のような措置を恐らくとらなければならんように存じます。ただその多少のことでありますれば予算範囲内でやりくりは付くものと思いまするが、その点は従いまして、その後の被害調査に、これまで基礎にしました被害調査、どの程度つて来るかということにかかわるのではないかと思います。
  74. 河野謙三

    河野謙三君 私は今農林省の手許に集まつた数字以上に被害の実績というものは大きなものが出て来ると思います。従つて六月にも当然追加して私は予算はもらわなければいかんと思う。それらについては、この際局長のほうで、大臣なり、政務次官のほうの意見を聞いてくれということですが、私はその問題は今日少くともこの席で、六月には一回追加されるのか、されないのかということをはつきりこの問題をきめておかなければ、この審議を続けることはできないと思うのですが、ただ五億八千万円ですべて解決されたと、こういうものではないと思います。でありますから、この際一つ大臣なり、政務次官に御出席願つて、六月に一体引続いて政府はこれから膨らんで来る被害について一体どういう措置をとるのか。これは農林大臣なり、政務次官から一つ私は言明を頂きたいと、こう思うのですがね。
  75. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 至急やらせます。
  76. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 最終段階被害調査ができておるようでありますが、これはできないのが当り前で、殊に麦のようなものにつきましては、時を経るに従つてその損害がかなり大きくなりつつあるということを我々現認せざるを得ない。そういうような点から見ましても、衆議院農林委員会で決定を見たあの損害高だけでは到底賄い切れないと私は考えるのでありまするから、農林省におきましても、是非ともその実際被害の実情を速かに把握して、そうして六月分におきましても、かような同じ要領によつて農家損害助成をしてやるという方法をとつて頂きたいと思います。
  77. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今政務次官と官房長に連絡しておりますから間もなく見えます。
  78. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 特にこの際私は申上げたいのは、この統計事務所が調査した資料は元来が抽出調査であつて、而も或る程度の意欲を持つて調査しておることは隠れもない事実であります。こういうようなデーターにのみ依存して、いわゆる農家損害助成するということは農民の希望に副わない点が多分にあるわけであります。いわゆる共済組合損害評価員というものはこれは一筆調査をしておるのです。そうして又そこにいわゆる統計事務所の調査調査方法が違つておりまするから、若干の相違を来たすことはいたし方ありませんが、とかく政府の意図を受けて、できる限り金を出すまいというような意欲に基いたところの調査資料は私は非農民的であると、こう考えるわけでありまするから、十分に農民の意図に基いたところの調査資料によつて政府助成して頂きたいと考えます。
  79. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    午後二時二十四分速記中止    —————・—————    午後二時三十六分速記開始
  80. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  官房長が見えましたから……。重ねて御質問ございますか。
  81. 河野謙三

    河野謙三君 いいえ。
  82. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では官房長。
  83. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 遅れて恐縮でありますが、御質問趣旨は、五月三日以後に凍霜害が起つたものに対してどういう措置を講ずるかと、こういう趣旨承知しますが、それでよろしうございますか。
  84. 河野謙三

    河野謙三君 五月三日以後の被害は勿論ですが、五月三日までの被害でも完全な被害調査が届かないんですよ、お手許に……。その後追加されて来る分も私はあると思うのです。それらもくるめて、この五億八千万円というのは最終的な被害調査に基いた五億八千万円でなければ、当然六月の暫定予算にもこれは追加さるべきである。又七月に追加さるべきである。こう思うのですが、そこらはどうかと……。
  85. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 当然被害は更に精査して、そして現在の予算で足りなければあとは追加しなきやいかんと、こういう筋になります。
  86. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、当然引続き農林省としては六月以後、追加をすべく今折衝中と、こういうことに解釈していいですか。
  87. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 只今のところ最終的な調査というのでありませんで、これは予算の技術上いろいろな含みの数字も出て来るのです。今度交付のときまでには全部きれいに精査しますから、そこで足りないような場合はその不足分に対して措置すると、こういうふうに考えております。
  88. 河野謙三

    河野謙三君 それじや、まあざつくばらんに言います。今度の五億八千万円というのは、たまたま政府の懐ろを覗いたら、四月、五月に予備費として七億ぐらいのものがある。だからそれに見合うような一つ数字をぶつつけて見た。その結果が五億八千万円だと、こういうことじやないかと、私はそれを心配しております。そうすると、これは最終的なものになつてしまつて、六月以後は仮に被害調査の実績が追加されて来ても、これは大蔵省折衝するに困難を来たすのじやないかと、こういうように考えるので、我々はそうあつちや困るのです。当然被害調査数字というものは殖えて来るのですから、そこで六月に紐が付いていなければいかん。そこらのことを聞きたかつたんです。ざつくばらんに一つお願いします。
  89. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) まあざつくばらんに申上げますと、これは予算要求ではずすみたいになりますけれども、まあちよつと差障りがあるかも知れませんけれども、とにかく相当安全性を見た数字でやつておりますから、毎年の予算折衝で御承知のように、予算の要求がそのまま通らない場合を予想して或る程度の含みを持たしておりますから、今までの統計調査部等の調査で随時県と折衝して再調するものはするということでやつて来ておりますので、現在の数字はもう絶対に動かせない、こういうことは勿論言えない。そうかと言つて、これを動かす数字がそう大きいものが出るとも予想されない。一番大きいフアクターは麦のフアクターです。麦のものはこれは病虫害の防除費等で別途本予算のほうにありますから、これはそのほうでは相当動いても心配ない。こういうふうに考えておるのであります。そのほかの費目について大きい数字の変化はないものと承知しております。
  90. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、大体思つたより農林省の見解では余計もらつたから多少の数字が殖えても何とかこれで賄つて行けるだろう。従つてまあ六月のことまで心配しなくてもいいだろう。こういうことのように聞いたのですが、そこでちよつと手許に頂きました予備費の使用の要求書を見ますと、これに漏れているものが大分あります。例えば蔬菜類が漏れております。全然煙草が漏れております。こういう蔬菜のごとき、例えば「きゆうり」のようなものは地域的には非常な被害を受けております。こういうふうなものが全然これに載つておりませんが、こういうものはどのようなふうになつておるか。これらのものもこの中に含めて対策が打てるのですか。それをちよつと伺いたいのですが。
  91. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 蔬菜の問題でありますが、実はこの表は五派の会談でこれを計算しろと、こういうふうなわけで早々のときやつたので、蔬菜のやつは一般営農資金ですね。農林省補給金、この中には当然入ると思いますが、最初に農林省が種子代の補助として要求しておつたのが落ちておるのであります。これは今の営農資金で行きますか。この表の一番先にあります農林金融公庫への出資、それによる低利資金の融通をするというふうに言いますけれども、とにかくどこかへ入れてくれということで、今大蔵省に話しておるのであります。まだ結論は出ておりません。
  92. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、蔬菜の分は融資の面だけに限られて、いわゆるこの補助金とか、助成とかいう面は蔬菜のほうは今のところ考えておらんですか。
  93. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) この案では落ちておるわけです。
  94. 河野謙三

    河野謙三君 この案には落ちておるけれども実施する場合にはそれも含めて何か考えると、こういうことですか。
  95. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 補助金としては今のところ落ちておるのです。
  96. 河野謙三

    河野謙三君 それは非常に不公平なことであつて、これは早速私はもう一遍蔬菜栽培者なり、煙草の栽培者なり、こういう現実に非常に被害を受けておる人については公平なる措置をとる意味において再検討をお願いしなければいかんと思いますから、特に一つ希望として述べておきます。私ばかり発言しておるようですが、金子提案者もなかなか見えないようでありますから、恐らく提案者の意向というものは、出席されておる官房長なり、経済局長なり、今又篠田政務次官がお見えになりましたから御存じと思いますが、一体政府提案が議員提案にすり替えられたいきさつはどういうことなのですか。私は内容において大して違わんところもあるけれども、根本的に思想に大きな違いがあるように思いますが、政府提案が議員提案にすり替えられたいきさつを一つ、まだ提案者の気持を聞きたいと思つておるのでありますが、政務次官一つお願いいたします。
  97. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) すり替えられた気持というのは、これはすり替えたほうの人に聞かないとよくわからないと思います。我々の解釈では、我々のほうはこの際この間の災害に対する補償、麦、桑に対する補償を成るべく早くすると同時に、水稲或いは陸稲の引受の時期も迫つておるので、それを一緒にやりたいという、できるだけ農民のために利益を図りたいという考えであつた。ところが主として共同提案にはなつておりますけれども、すり替えようという主張をしたほうはむしろ与党側でなくて野党側であつた。そういう事実から見て野党側は現在の緊急対策だけを先にやろうじやないか、あとの問題はよく研究してやつたらいいじやないかということは、勿論よく解釈すれば政府の出しておるものよりももつとよい方法が何かありやしないかということで、私は審議を延ばしてすり替えたものと、こういうふうに解釈しております。
  98. 河野謙三

    河野謙三君 提案者がおられませんから、これは政務次官に余り突込んだことを聞いてもちよつと無理かと思いますが、私はこのすり替えられた大きな狙いは、政府提案で無期限の改正になつておるものを特に一年の特例にしたということは、農業共済そのものに対して提案者の見解が政府と違うのじやないか、こういうふうに思うのです。農業共済について根本的に今までの弊害を是正しなければいかん。場合によつて農業共済をつぶさなければいかん、こういうふうな前提に立つて政府の原案に反対をして、取りあえずそういうふうな農業共済そのものの根本問題を論議していても目先の災害に対する対策がそれでは遅れるから、取りあえず不十分ながら農業共済の機関を通じて今臨時的な措置で一年間やつておる。併しこれは農業共済そのものについては今後十分考えなければいかんということで、政府提案と議員提案とそこにすり替えが起つた。そこでその提案者がおられれば農業共済に対する提案者の見解をこの際伺つておきたい、こういうふうに私は思つておるのであります。
  99. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 河野君の言われるような、そういう考えを持つておられるかたも中にはあると思います。併し全部がそうかというと、必ずしもそうではなくて、いろいろの考え方があるのではないかと思いますが、私の聞いたところによると、すり替えるという説明の中に野党の諸君と懇談をしたときの話合いでは、陸稲或いは水稲についてはもう少し考えようじやないかということは、もつといい方法を考えようじやないか、こういうことであつて、そこであなたのようなお考えの人も勿論あるであろうし、やがてそういう問題は当然起つて来ると思いますけれども、今申しましたように、私の聞いた範囲はそうであります。提案者も一人ではありませんから、考え方が必ずしもまとまつておるとも私は思わない、こういうふうに思つております。
  100. 河野謙三

    河野謙三君 私の見解ではなくて、提案者の見解を聞きたいと、こういうことなのであつて、私自身のは意見をまだ述べてもおらんし、それは又別なんであります。でありますから、この問題は私は提案者の金子議員が見えるまで質問は留保しておきます。
  101. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今政務次官からお答えがございましたので、私から蛇足を加える必要はないのでございまするが、政府提案をああいう形で出しました趣旨につきまして、もう少し補足させて頂きたいと思います。御趣旨通り今回至急に提案されることになりましたのは、これは蚕繭と麦の被害一つの契機になつておることは、これは申すまでもないのであります。ただ私どもが心配いたしまするのは、保険金制度は一時的なものでございませんし、又被害というものもいつ起るかわからんものでございまするので、いつ如何なる被害が起きても、それはこういう制度で以て、こういうふうに対処するのだということが明らかになつていなければ私実は困ると思うのです。これは政府ばかりではなくて、その仕事をやつている共済団体、それから又個々の農家につきましても、これは同じだと思うのであります。先ほど政務次官が言われましたように、麦、それから蚕繭はすでに始まつておりまするので、水稲、陸稲等についても間もなく引受を始めなきやいかん。その場合に、どういう方針で行くのか、今丁度過渡期になつておりますので、と申しまするのは、政府で以て制度の一部を改正しようと、こういう企てをしておりますので、それが成案を得るか得ないかということが、成るたけ早く御決定頂くということが非常に重要ではないか、そういうふうに考えて、水稲、陸稲につきましても御審議をお願いしたのであります。それから暫定的なこの法案として議員提案されました点につきましては、我々格別趣旨を弁明をするわけには参りませんのでありまするが、ただ私どもの感想を申しまするというと、農作物災害でありまするし、まあ災害一般がそうでありまするが、特に農作物災害につきましては、長期の危険の分散ということが当然前提になつておるわけでありまして、一年限りこうやるという制度は、実は本来非常におかしなことじやないか、私は今回の霜害対策で、これはやむを得ず一年におやりになつたものと思いまするけれども、これは当然この趣旨がやはり或る程度長期的に織込めるという前提でなければ、一年限りこうするが、二年目は又変えるということでは、これは保険制度が成り立たんという心配があるのでございまするので、今回の特例法が成立しまして、その後の御審議は十分そういう点も織込んで御審議して頂きたい、かように希望を持つておるわけであります。
  102. 鈴木強平

    鈴木強平君 官房長にお尋ねしますが、先ほどの河野委員からの御質疑に対してお話がございましたが、今度の農林省大蔵省折衝しました額ですね、その額の総額と、それをどういうふうに折衝せられたか、それはいつの統計基礎にせられたか、地方におきまする被害はどの程度であるか、これを明らかにして頂きたい。
  103. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 大蔵省との折衝の経過でありますが、大蔵省との事務的な折衝の結果は、五月二十日の統計調査部調査に基きまして、基礎のデーターを整えまして、農林省の最初の原案としましては三億六千万円を出しておつたのであります。その後被害数字の訂正等もありましたが、なおその上に国会におきまする各党の共同の御意見としまして、一応五億六千余りの数字が出て来たので、それ以後はその数字従つて私のほうでは大蔵省折衝し、各党の間でも大蔵省にそれを持つてつておつたようであります。その後の経過は事務的にいろいろやつておりましたけれども、事務的の折衝では埒があきませんので、結局しばしば五派の会談が催されまして、その後資金の出し方或いは今まで果樹等については対象にするような意見もありましたが、そういうものも入れるし、或いは蚕種に対する資金融通、夏秋蚕の増産用の蚕種に対する資金融通等も考えまして、本日の五派と関係大臣、大蔵大臣との間の政治的折衝で五億八千九百万円ときまつたのであります。なおその内訳等につきましては、先ほど河野委員からお話がありましたように、種子代をどうするかとか、或いは肥料代の三分の一は国で持ち、三分の一は府県で持ち、残りの三分の一は農家で持つが、その農家で持つ分についての資金は、購入資金は一般の営農資金の流し方とは別に、その半額を政府から農林漁業金融公庫に出資して、これを中金に流し、中金の自己資金と合せまして農家に融通すると、そういうふうな考え方になつております。そういつた資金をどれだけにするか、肥料代のみならず、ほかの費目にもそういう資金として流すかどうか、そういう点を今大蔵省と細かく打合せをやつております。きまりましたのは総額五億八千九百七十四万円です。それがきまつた、こういうふうになつております。
  104. 鈴木強平

    鈴木強平君 そうすると、五月二十日の統計調査報告とおつしやいましたが、実際の報告の日はいつを限度としておりますか。五月三日とか、五月七日とか、いつを限度としての統計で五月二十日になつておりますか。
  105. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 五月十五日現在の調査でありまして、その後北海道の霜害等も出ておりますので、そういうものは随時訂正を加えてやつております。
  106. 鈴木強平

    鈴木強平君 それからなおお尋ねしますが、この五億八千九百万というのは農林省折衝方法でなくて、衆議院におきまする各党委員による折衝なんですか。農林省折衝した金額なんですか、これは将来の予算関係或いはこれから増額を要求するに当つて考え方があるからお尋ねしたいと思いますが、農林省折衝した額であるのか、各党の議員団が大蔵省折衝したのであるか。
  107. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 農林省折衝した額は、先ほど官房長から申上げました三億何千万円……。
  108. 鈴木強平

    鈴木強平君 いや五億六千万円。
  109. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 五億六千万円、その後この問題は五派で以ていろいろ会談をしておりまして、どうしても事務的折衝ではうまく行かない面もありますので、与党の災害対策委員会というものがありまして、一応それに五派会談で以てお任せを願つた。それによりまして委員長或いは被害各府県の代表者というようなもので五億八千九百万円という数字を出しまして、そうして大蔵省折衝、大蔵大臣と折衝いたしたのでありますから、これはまあ原案と言いますか、五派会談によつて任された原案、各派が了承した原案、こういうふうに解釈しておるわけです。
  110. 鈴木強平

    鈴木強平君 従つて農林省が要求した額より五派会談のほうが減つているわけですね。
  111. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 殖えておるわけです。
  112. 鈴木強平

    鈴木強平君 いや減つておるのでしよう。
  113. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 二千九百万円殖えた。
  114. 鈴木強平

    鈴木強平君 併しそれは出資であつて農林省が当時折衝した額は補助金であるから二千九百万円は出資なんです。国庫へ出資だから結局減つておるわけでしよう。
  115. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) そういう解釈もある。
  116. 鈴木強平

    鈴木強平君 減つておるということであれば、河野委員のように、これから折衝する余地もあるんじやないか、残された問題については……。減つてるんですか、殖えたんですか。どつちですか。
  117. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 補助の仕方の問題でありますが、直接金を農家に補助として与えるか或いは間接的に農家を援助するかと、こういう援助の技術的な問題でありまして、考え方によりますれば、当初の案につきましても、五億六千万円を出したときには補助だけでなしに、そういつたものがありましたので、考え方によればその額面は殖えて実質は多少減つたと、こういうことも直接的にその農家の懐ろから言えば、そういうことも言えると思いますが、まあ今度の何と申しますか、災害対策、営農継続の点から言えば、まあいろいろ議論があるところでありますが、長期資金の融通で賄つたほうがより合理的ではないかというようなものは、成るべくそつちのほうにやつたらいいのじやないかと、そういうふうに考えます。
  118. 鈴木強平

    鈴木強平君 しつこく聞くようですが、今までは要求が三貫目であつた肥料を今度は七貫五百にした。従つて前の調査は杜撰であつて、かような被害に対しては、一反七貫五百かかるということは、この際農林省ははつきりと確認したわけですな。今後の問題に残りますので、はつきりしないとうまくないと思いますが。
  119. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 肥料代を増額したことになつておりますが、被害の度合によつて今後の問題がきまるのじやないかと思いますが、今度の被害の度合はまあ非常に大きいということで、当初からまあいろいろ……。
  120. 鈴木強平

    鈴木強平君 農民は実際は七貫も八貫もかかるのを、どうせ政府はくれないだろうと思うから三貫目出したと思う。飽くまでもこの七貫五百は、今後も災害もあると思いますので、農林当局はこの数字を頭において頂きたいと思います。  続いて一つお尋ねしたいんですが、先ほど大臣に御質問申上げましたが、どういうわけか途中でお帰りになつたので、政務次官も見えておりますのでお尋ねします。午前中に参議院では本会議におきまして凍霜害に対します緊急質問がございました。その緊急質問に対しまして大臣のお答えは、目下折衝中であるということであつて、而も委員会へ入つて行きますれば、金子代議士から、すでに内定しておつたということであつて非常に大臣は立場を失つておつたと思います。従つて多くの野次も出ておりました。仮に五派及び政府当局とも、農林、大蔵で決定したことを大臣が知らないでおるということを不思議に思うのですが、どうした手違いであるのか。殊にこの問題は重大であるため緊急質問も本会議に出ておると思うのです。これについて官房長としてはどのようにお諮りになつたのか、今度又さように大臣と事務当局は離れた折衝をしておられるのか、どうかはつきり御意見を伺いたい。
  121. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) お話の通りでありまして、実は昨日からいろいろ大臣、政務次官、事務、それから関係各省の間で話が進んでおつたのであります。今朝の閣議では先ほど大臣が申上げましたように、大蔵省から五億五百万円という案が出ておつたのであります。そこでまあ閣議のことを大臣から伺つたのを喋ることは少し出過ぎかも知れませんが、先ほど大臣がお話がありましたから申上げますが、そのときには、こんなものじや駄目だということで、農林大臣は賛成されなかつたのであります。そこで大蔵大臣等とも御相談なさつて、十一時半から各派と大蔵省との話が進められまして、そこで結局政治的にこの五億八千九百万円を決定したと、こういうふうになつたのであります。丁度大臣は、緊急質問のために出ておりますし、大蔵政務次官がその会議の席上から来て、すぐ農林大臣に結果を御報告いたされないで、喋べられたのが真相でありまして、事務的に早々の際でありましたので、大臣が知らぬうちに大蔵省のほうからああいう発表をされて弱つたのであります。事務の手違は私どもの責任でありますが、結果的に見まして、一応改正した当初の要求案がそのままありますので、結果的には御勘弁願えるのじやないかと、こういうふうに考えます。
  122. 鈴木強平

    鈴木強平君 どうも大蔵政務次官が農林大臣に話をして本会議で答えるというのは筋違いじやないかと思います。そして本会議におきまする議員は農林大臣の言うことを皆信用してわかれております。かような事態を起して、官房長がただ事務的な過ちでは済まないと私は思うのですが、こういう重大な凍霜害の緊急質問に対して大臣がその真偽を知らずに答えをしておる。而も新任して今日新任の挨拶をここでするような大臣に、かような事務の連絡がないのは私は不思議に思うのです。これについてもう少しあなたの心境を承わつておきたいと思います。
  123. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) いろいろ手違いがあつたようで誠に申訳ございませんが、この際私からお詫びいたしておきます。今官房長の説明通り、閣議では決定をしないで交渉し続けるという段階で参議院の本会議に農林大臣が出たあとできまつて、そのあとの連絡発表の方法が非常にまずかつたということは当然これは認めなきやなりません。そこでこの点は大臣にも私から十分に今後注意をするようにお話すると同時に、私から皆様方にお詫びいたしておきますから、どうかその程度で御勘弁願いたいと思います。
  124. 鈴木強平

    鈴木強平君 了承しました。
  125. 戸叶武

    戸叶武君 私が本会議において緊急質問いたしましたときにも、結局予算の面における大蔵省との折衝が重要な問題であるから、それに対する大体の見通しを示してもらいたいと言つて、又農林大臣の答えというものが非常に曖昧模糊たるものであつて、再質問をやつて、そのとき尋ねたのですが、とにかく一両日待つてくれという形で答弁がなされず、質問が終つてもうすでにこの委員会が開かれておつたので、この委員会へ来ましたところが、この委員会ではすでに大蔵大臣から発表になつたというような形で、今後もあることでありましようが、農林大臣と大蔵大臣の折衝の結果において最終的な結論が出たんでなくて、大蔵大臣の一方的な見解においてその発表がなされたと認められますが、それでよろしいのでしようか。
  126. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 先ほど申上げましたように、午前の閣議で大臣は大蔵省の要求案を原案に復活せいと、こういう申入であつたのであります。そこで大蔵省のほうとしましては、これは私の忖度でありますが、農林大臣の要求通り呑んだのだからいいんじやないかと、こういうふうなつもりで、戸叶先生その他議場の空気から見て大蔵省は早く発表したほうがいいということで発表したのじやないかと思いますが、農林省側といたしましては、大蔵省の言分がありますけれども農林省側の要求しておつたのがその通りになつておりますので、結局農林大臣が苦しい立場に立たれたことは手違いで、甚だ残念でありますが、今後は十分気を付けて行きたいと、こう思います。
  127. 戸叶武

    戸叶武君 形式的に主管大臣の責任をどうこうといつて私たちは追及しようとするのではありませんけれども、やはり参議院の本会議に対する、質問に対する農林大臣の今日の態度というものは、御病気上りということだから御遠慮申上げましたが、非常に不まじめだと思います。而も昨日は非公式な形ではありますけれども、農林大臣の関係から質問内容まで大体尋ねて来られたので、あらかじめそれに対するお話も私は病気上りということでしておつたのでありますが、それに対してああいう、どの問題に対してもともかく不誠意というか、答弁になつておらん。これは戦前のいわゆる政治家においてはそういうことも許されるのでありましようが、今日における議会というものは、もつと実際的に問題が論議され、一つ性格を持つて来たと思います。私はこれは農林大臣だけの責任でなくて、農林大臣を補佐するところのほかの人々が一体農林大臣に何故あのような古い政治家のやり方の答弁をあえてさせて、大臣を侮辱させておくようなことをするか。こういうことは私今後農林大臣に対して質問ができなくなると思います。而もこの問題に対してあえて私はやはり追及をいたそうと思うのですけれども、そういうふざけた態度である。ほかから少くともばかにされるような形においてするならば、結局本会議における答弁においてでも、農林大臣の答弁よりは大蔵次官の答弁のほうが少くとももつとまともな答弁であつたり、而もこの大切な、重点が六億円を廻る問題に対して注目が注がれているときに、農林大臣はぽかんとしておつて大蔵大臣から発表される。一体これは農林大臣と農林省の当局の皆様方との協力関係がどの程度までできておるのか疑いたくなります。その点を一つあとの参考にもなりますから御説明願います。
  128. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 戸叶委員の御質問でありますが、戸叶委員は農林大臣の答弁が不まじめである、何かこうふざけたように受取られたようであります。私は現場におりませんでしたから、どの程度の態度であつたかということはわかりませんけれども、農林大臣の性格から来たものであつて、必ずしも不まじめな態度でやつておられたのではないというふうに解釈するのであります。これは農林大臣によく聞いて見まして、若し多少でも不謹慎なような態度があつたとしますれば、又改めて農林大臣から委員会なりに出てもらいまして釈明をさせてもいいと思いますが、私は必ずしも不まじめな態度で農林大臣が話したのではない。これは農林大臣の持つ一つの持味と申しますか、一つ性格の現われであるというふうに考えております。
  129. 戸叶武

    戸叶武君 篠田君はあのときに議場におらなかつたので誤解しているようでありますが、私は不まじめであるというのは形式的な態度や何じやないのです。答弁の内容がなつておらんということを意味するのです。あんな空漠な答弁は小学校における討論会だつてなされません。少くとも国会における権威を傷付けないというのには、態度が不まじめでなくて、まじめに政府なり野党なりがお互いに論議を重ねなければならないときにおいて、今後大臣たるものが、速記録を見ればわかりますが、あのような空漠たる答弁で以て相勤まるというのならば大臣は無用だと思うのです。これを誰か強力な人々が輔佐しなければ大臣として私たちはお相手できないと思うのです。
  130. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 内容が非常に杜撰であつて戸叶君の御期待に副い得なかつたということは、先ほど来丁度時間的にズレがあつた。片一方はまだ閣議で以て決定線まで行かないうちに参議院の本会議に行つてしまつた。その後の交渉において大蔵次官の発表した案がまとまつた、そういう時間的なズレに主としてよるものであろうと思います。それは私も先ほど来その問題は認めまして、すでにもう陳謝してあるわけであります。今後農林大臣に対して信頼できるかできないかという問題につきましては、これは我々が如何に陳弁をいたしましても、これはむしろあなたがたのお考えによるものであろうと思いますから、私は陳弁はいたしません。そういう意味合におきまして、先ほども鈴木委員に対して私から申上げた通り、時間的ズレというものに原因が一つある。この救済の問題については御承知通り五派が一致いたしまして、農林大臣も真剣になつてやつた問題でありますから、五派の考え方を農林大臣が実現するために一生懸命にやつておつたという誠意をお汲取り下さいまして、発表の手違いについては先ほど申したように一応御勘弁を願いたい。これだけを申上げて戸叶君の御了解を得ておきたいと思います。
  131. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) どうですか、提案者が見えておりますから……。
  132. 河野謙三

    河野謙三君 先ほどの質問を繰返しますが、政府提案を特に議員提案にすり替えて臨時措置として一年限りの改正案を出された。これにつきましてのすり替えて議員提案とされた提案者一つの考え方と申しますか、このいきさつ、これらを一つ説明願いたいと思います。
  133. 足鹿覺

    衆議院議員足鹿覺君) 衆議院農林委員会足鹿であります。中途からで余りよくわかりませんが、農業災害に対する臨時特例の議員提案の件についての我々の気持を話せということでありますので一応お話申上げたいと存じます。初め政府の気持といたしましては、四項から成る災害補償法の改正案を第十五国会当時出されたものをそのまま御提案になろうといたしました。衆議院の農林常任委員会といたしましては、いろいろと理事会を開催願いまして、この農業災害補償法の一部改正は、災害補償法が持つておるいろいろな不備な点或いは欠陥、又補償法の運営上から来る幾多の遺憾なる事実、こういうような点から考えて必ずしもこの問題をこの法案だけでは妥当と認めがたい、従つてこの一部改正法案を強いて政府が御提案になろうとするならば、衆議院の農林常任委員会としては基本的な農業災害補償法に対する検討を開始しなければならん。若しそういう事態になるならば、改正の第三項にありました桑の被害に対し、或いはあとで追加いたしましたが、麦の問題に対しましても凍霜害対策一環として緊急に処理し、概算払を促進しなければならないのに、これが遅延をすると、その農家に及ぼす迷惑は極めて大きいのであるから、これのみを政府提案として他の事項とは切離して御提案になるように政府に勧告をいたしたのであります。ところが技術的に見ましても、なかなか政府としては困難が伴う。又若干政府提案としては御自身の点についても欠くる点があつたやに私どもは推察いたしました。従つて委員会において、理事会におきまして、私どもとしましては、そういう事情であるならば、凍霜害対策は一刻もゆるがせにいたしかねるのであるから、各党派の了解を得て、而も先週の金曜日、土曜日、五党会談を行なつた際の附帯の申合せに基きまして、この第三項のみを他の条項とは切離して臨時特例として議員立法をやつたらどうかということを私提案をいたしましたところが、他の理事諸公におかれましても御同意を頂き、又全員の御同意を頂き、各党派とも御了解が付きましたので、全員の提出によりましてあの臨時特例を提出する、そして直ちに昨日の委員会でこれを可決いたしまして、衆議院の本会議においても同日議決を見ておるような次第であります。そういういきさつであります。
  134. 河野謙三

    河野謙三君 いきさつはよくわかりましたが、そうしますと、衆議院農林委員会としては、更に引続き現在あります農業共済制度そのものに対する根本的な改正意見と申しますか、根本的な違つた考え方をお持ちになつてこれに対する処置は引続きおとりになると、こういうふうな考えであつて、取りあえず急ぐからまあ枝葉の問題であるけれども、今の農業共済そのものを利用してやつて行くよりしようがないというので、この措置をとられた、こういうふうに解釈するのですが。
  135. 足鹿覺

    衆議院議員足鹿覺君) 大体そういう気持のようであります。で、大体昨日の委員会の散会後に各党の人たちとも打合せをいたしましたところによれば、他の残された条項等についての、政府が一部改正法律案を御提案になるならば、慎重審議、根本的な検討をやろう。これには時間を惜しまずに十分検討を加えようではないか。一部においては抜本的な改正を試みるべきという意見もありますし、これは別に公式の会談ではございませんが、非公式の個人の意見等を見ましても、別個な災害補償法というものは実態に十分マツチしないから、別個な災害の国家補償というような方向をとるべきではないかというような御意向の向きもあるようであります。併しいずれにいたしましても、ただ単にこれを災害補償法をやめて他に別な対策を持たないで行くというわけにもなりますまいし、これは重大な問題でありますので、河野さんも前の前には私どもと一緒に衆議院の農林常任委員会でこの問題を御検討願つたわけでありますが、我々の気持といたしましては、抜本的な改正で行くか、この法案を全廃して別途の措置を講ずるかというようなまだはつきりとした方向は出しておりませんが、いずれにせよ、この問題については根本的な検討を試みなければならんというふうに大体皆さんがお考えになつておるようでございます。
  136. 河野謙三

    河野謙三君 くどいようですが、従つてその抜本的な問題になるか、それとももつと大きな改正になるか、これは今国会中にやろうというようなことが提案者各位の一致した御意見である、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  137. 足鹿覺

    衆議院議員足鹿覺君) そうでございます。若し私の答弁で誤まりがあつたり、又足りない点がありましたら、他の衆議院の常任委員委員長がお見えになつておりますし、又答弁があろうと思います。どうします。
  138. 河野謙三

    河野謙三君 これは衆議院の農林委員長なり、この法案提案者に聞くべき筋ではないかと思いますけれども、折角出席になつたから併せて一つ伺いたいと思うのですが、今度のこの被害調査は、先ほどこの本委員会でもいろいろ論議したのですが、時間的に被害調査というのは非常に無理があるわけです。従つて被害調査最終数字というのは出ていないと思います。今後実際の被害調査数字というものは追加されて来ると思います。ところがここで五億八千何がしのものがきまつた。ところがその後追加されて来るという場合には、六月の暫定予算に当然やはり予算というものを追加要求すべき事態が起つて来ると思います。これらに対しまして衆議院のほうではどういうふうな御論議がありましたか、伺いたいと思います。
  139. 足鹿覺

    衆議院議員足鹿覺君) 衆議院の農林常任委員会は昨日、今河野委員が御指摘になつたような点も触れまして、篠田さんがお出でになりまして、いろいろと私どもお尋ねを申上げたのです。今日五億八千万ときまつたそうでありますが、昨日のところでは五億六千万だつた。それは飽くまでも四月、五月の予備金から出して行くということでございますが、併し被害範囲は必ずしも現状にとどまらない。だんだん拡大し且つ深刻になつて行く。そうした場合には当然六月以降の、六月の暫定予算又は七月以降の総合予算のほうに国家の助成に伴う財政措置が講じられなければならないことは特に政務次官にもお尋ねを申上げて、これについては若しそういうような事態が出て来るならば、政府としては別途に考えなければならないであろうという意味の御答弁も私承わつております。
  140. 河野謙三

    河野謙三君 それは出て来ればというのじやなくて、現に出て来ているのじやないですか。私はそう思いますが、そこのところはちよつと政務次官から……。
  141. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 只今河野君のすでに出て来ておるというお話でありますが、作物の種類によつてはまだ出ないものがあるわけです。例えば桑とか、茶はすぐ出て来ますけれども、麦のようなものはその結果が徐々に出て来る、こういう関係上、今すぐ出ない、或いは刈入をしてみないとわからないというような場合もあり得るわけです。そういう意味合において出て来ればという言葉を使つたわけでございます。それから被害調査は、大体これは被害でありますから、被害者のほうが非常に深刻に感じておるわけです。そこで町村にいたしましても、府県にいたしましても、或いは農業協同組合にいたしましても、私埼玉県被害地を視察に行きましたが、もう各個人、農家が何十年来という被害に驚きまして、自分の畑や何かをずつと廻つて、比較的早く被害者のほうで被害調査をしたわけです。但しこの被害調査の何と言いますか、被害といつて数字に出て来る被害ではありませんから、感じ方であります。その程度の差というものは後ほど数字は出て来るかも知れませんが、少くとも自分の畑や作物被害というものについては耕作者が一番真剣にこれを研究して、その被害を集めたものが府県なり、或いは又農林省統計になつて現われて来ておるわけであります。私が今申しました麦のような、そういう被害の現われ方が徐々に現われて来るもの以外は、少くとも完全とは行かないまでも、大体耕作者そのものからの報告によつて出ておる、こういうふうに解釈したわけです。そこで作物の種類によつて徐々に出て来るようなものが又のちに現われた場合には、当然これに準じて処置すべきものである、こういうように考えます。
  142. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。
  143. 鈴木強平

    鈴木強平君 この養蚕の収入が農家の収入の中で何%占めておるか、恐らく養蚕家も大小ございますが、その占める率ですね。今回四割を三割に減らした、一割しか減らしてないのですが、養蚕も専門でやつている養蚕家と、副業の小さい養蚕家とありますが、その差はどんなことになつておりますか。
  144. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) ちよつと手許に正確な資料を持合せて参りませんので、養蚕の収入は地区と規模、或いは農家の養蚕の規模によつて違いますから、全農家についての全農業収入中の全養蚕収入は五%前後かと思います。御必要ならばあとで又資料を提出いたします。
  145. 鈴木強平

    鈴木強平君 平均して五%というのですか。
  146. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 全農家の全農業収入の中の全養蚕収入の割合がございますが、それが春蚕と夏秋蚕と晩秋蚕と分れますから、春蚕はその養蚕の半分以下だと思います。
  147. 鈴木強平

    鈴木強平君 私の尋ねているのは農家収入のうちの養蚕業が如何なる部分を占めておるか。恐らく大なるものは五〇%以上を占めておる、小なるものは五%ぐらいであろう。全国平均の話ではこれは今度の共済関係では問題にならないと思うのです。農家の全収入の五%であつて、その五%の春蚕だけの今度のは被害だということになれば、これは共済金掛金というような立場から見たら大したことじやないと思う。併しながら私の言うのは大中小と差があり、大きいのは五〇%乃至七〇%あるのではないか。そうしますと、五〇%にいたしますれば、その三割として十何%ということになる。その十何%の三割は僅か三%にしか過ぎない。従つてこの補償問題に当つて今度の金額は四割を三割に下げたのは非常に結構だと思いますが、その間の調整、言い換えますなら副業のうちの副業としての養蚕家の三割と、少くとも主事業ぐらいに考えておる、言い換えれば群馬県或いは長野県、こういうような養蚕家の所では三割では非常にお気の毒だと思う。従つてそうした主事業にしておる養蚕家と副業との間の差が余りにあり過ぎる。その間の調整はどのようにやつておられますか。今度の特例について……。
  148. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 養蚕の規模によりまして共済金額を変えるということは実はいたしておりませんで、グラム当りの共済金額をきめてございますので、その点は一率になつております。
  149. 鈴木強平

    鈴木強平君 そうしますと、主農家である例えば群馬県のように、平均しますと群馬県では養蚕収入は全農家収入の三六%である、こういう場合の三割ではなかなか苦しい。併しながら僅か平均して五%ぐらいの養蚕家ならさほど苦にすることはない。従つてその補償の仕方ですが、三割ということで抑えるのはどうかと思う。いわゆる農家の収入の何%に当るかで抑えなければ補償の意味をなさない、こういうことになるんですが、それについては議員提出だから、あなたのほうはお答えする必要がないと言えばないのですが、併しながら災害補償法は政府提案にもあるわけですから、これはどういうふうに調整をとりますか、或いは調整はかまわないと言えばそれまでですが。
  150. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 先ほど私が五%と申上げましたのに関連して誤解を生じたかと思いますので訂正いたします。養蚕農家は六百万戸のうち七十万戸ぐらいと思いますが、養蚕農家だけについて見ますると、特に今度被害のありましたようなところでは養蚕収入が全農業経営収入の四割乃至六割を占めておるところもあります。それが現金収入として約半分ぐらいを占めておるのであります。
  151. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 只今鈴木委員のお話でありますが、何か三割だけ補償するというふうに聞えるのですが、三割以上補償するのですから、被害が多ければ多いだけ、それだけ補償が行くわけですからいいじやないかと思います。
  152. 鈴木強平

    鈴木強平君 こちらの質問はそうじやないのです。三割で切つたから三割で切るというのでなく、農家収入のせめて一割、二割になつた場合、それ以上に補償するというのでないと、三割で切つたのでは副業の副業としておるところなら困らないが、主たる事業として養蚕をやつておるところでは非常に困難を生ずるから、その調整をどうするのか、かまわず三割以上ということにしておるのかというのです。
  153. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) そういう調整は実はいたしておりません。おりませんが、御趣旨の点はわかるのでございまして、要するに共済制度の根本を考えれば農家所得を或る程度保証するということになれば、これは或る程度趣旨のような議論が出て来るわけです。併し現在の制度はいわゆる蚕繭米麦といつたような工合に作物別になつておりますので、そういう作物がどの程度農家の所得にウエートを置いておるかということについては、お話のような調整は実はしておらないわけであります。行く行くは先ほども御議論が出ましたように、補償制度の根本的な改革といつたような場合には、或いは農作別ということをやめて、農家の所得全体をつかまえて、それをどうするといつたような問題も御議論としては出て来ると思います。現在の制度ではそこまで行つておりません。
  154. 鈴木強平

    鈴木強平君 わかりました。
  155. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質疑ございませんか……。それでは質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでありまするので討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。農業災害補償法臨時特例に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  158. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告内容等事後の手続きは慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。  次に本案を可とせられましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     宮本 邦彦  白井  勇     小林 亦治  雨森 常夫     佐藤清一郎  関根 久藏     横川 信夫  上林 忠次     北 勝太郎  河野 謙三     河合 義一  戸叶  武     鈴木  一  鈴木 強平
  160. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会    —————・—————