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1953-09-02 第16回国会 参議院 農林委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月二日(水曜日)    午後二時十七分開会   —————————————   委員の異動 八月十一日委員江田三郎君辞任につ き、その補欠として、清澤俊英君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            河野 謙三君            河合 義一君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済   局統計調査部長  安田善一郎君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    食糧庁総務部長 新沢  寧君   —————————————   本日の会議に付した件 ○農林政策に関する調査件  (昭和二十八年産米の況等に関する  件)   —————————————
  2. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 今から委員会を開きます。  先ず昭和二十八年産米作況等に関する件を議題といたします。本年産業の作況は大いに憂慮せられているところであつて、昨日八月十五日現在の作況発表なつたようであるが、本日は最近の作況を聞き、これを中心食糧の自給及び米価等の問題について審議いたしたいと思います。先ず政府側からこれらの問題に関する説明を聞くことにいたします。統計調査部長安円善一郎君。
  3. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 昨日農林省統計調査部といたしましては、本年の八月十五日現在の水陸稲作況指数を決定発表した次第でございますので、只今委員長の仰せに従いまして簡単な御報告を申上げます。相当詳細なものを印刷いたしましてお手許に御配付を申上げましたので、これについての補足的説明として申上げたいと思う次第であります。  只今と申しますのは八月十五日現在でございますが、これの水陸稲全国的な作況把握は、全国的に関しまする限りは草丈、茎数病虫害水害その他の被害などを中心にいたしました生育状況に応じました把握でございますので、一応過去からの慣例に従いまして指数を出しでおるのでありますが、指数に基きまして予想収穫概略把握も申上げて見たいと思うのであります。先ず結果を先に申上げますと、表には書いてありますように、水稲では平年を一〇〇としましたものとしまして全国的に九五彩と見積つております。陸稲におきましては一〇一%、特に水稲におきましては、北海道の作が悪くありまして、東山、北関東東北太平洋岸、又近畿、中国、なかんずく九州宮崎鹿児島を除きました各県、言換えますれば相当水害を受けました地域などが作が悪くありまして、この指数の一〇〇と申しておりますのは、昭和元年から二十七年までの特殊の豊凶を示しました年を除きました趨勢値でありまして、その除きました年は、この表のあとのほうに書いてございますが、五枚目でございますが、五枚目の参考というところに書いてございますが、昭和六年、八年、九年、十六年、二十四年の五カ年を除きました二十二カ年の趨勢値でございまして、これによりますると、全国の平年反収は本年につきましては二石二斗と予定をいたしております。世上よく使われまする最近五カ年の平均などよりは私どものほうが高い平年反収を考えておるのであります。陸稲全国及び地区別に申上げますと、その表にありますように平年並み程度全国指数を示しております。一〇一%、併し北海道四国等は必ずしも、四国東山地方等は必ずしもよくございません。併し水稲に比べますと、陸稲は大体平年並み程度ではないかと考えておるのであります。それを各県について示しますというと、次の表のようでございまして、前表及びこの第二表と共に括弧書き指数が出してありますが、括弧書指数を書きました意味は、括弧のないほうにつきまして概略作付面積を予定して、括弧のあるほうについては、水害地等中心にしまして収穫皆無或いは流失埋没などの作付ができなかつた地域面積を除いたものに対しての作況指数を挙げておるのでありまして、従いまして、その指数全国計では若干下るだけで、九五という数字については変りませんが、近畿九州等においては或る程度の差を示し、特に九州では相当減収を示すような作の悪いのが出て来る状況でございます。と申しまするのは、大体私どもでやつておりまする作付面積調査把握は目下調査中でありまして、九月の十日過ぎに固まりまして、月末頃に決定することになつておるのでありまして、収量とその概略作付面積をウエートを付けまして現わしました作況指数としましては、その意味概況のわけでございます。この総括的な概況指数について、できるだけ簡単に生育初期から最近に至りますまでの被害を含めまして御説明を申上げます。  水稲につきましては、生育経過概況を申上げますと、苗代田植の時期に、特に苗代期間東北北陸北海道におきましては、四月、五月が低温でありまして、関東以西地方におきましては、五月下旬以降におきましては雨が多く、日照りが少くありまして、このために北日本におきましては、苗の伸張が遅れまして、田植は併しおおむね平年を確保した状況にあります。関東以西におきましては、前作の麦が御承知のように収穫相当長雨その他の関係で遅延をいたしまして、全般的に遅れまして、苗のできは非常に軟弱であつて本田初期育成には悪影響を与えたと思われます。一口に申しますと、低温寡照に伴いまする苗の遅れたこと、軟弱なこと、前作影響を受けまして遅れたこと、これがあと病虫害その他にも相当影響を及ぼしていると思います。本田初期になりますと、梅雨が早く参りまして、又五月下旬以降には雨が多く、ひでりも少くて、なかんずく西日本各地は豪雨に襲われまして、初期生育は非常に遅れて、特徴といたしましては分葉が少くて軟弱でございました。関東以西におきましては、苗の不良であつたことと、田植の遅れたことが特に目立つております。北海道東北北陸におきましては、低温障害が当時から非常に懸念をいたされましたが、本年は長期不良天候にもかかわらず、最高気温はございませんけれども最低気温かなりのところにとまりまして、そこで本田初期生育といたしましては、ひどい低温障害北海道東北の一部にだけ認められまして、その他におきましては一般懸念をいたしましたほどの低温障害は来たさず、おおむね平年並みと測定をいたしております。ところが最低気温は維持しましんが、最高気温及び平均気温が低いということに従いまして、なお苗代生育不良等から来まして、苗代から持込んだ葉「いもち」の発生が非常に広汎でございました。あとで簡単に申上げますが、非常に広汎でございました。又関東以西に目だつて化娯虫、特に初期でございますので一化期発生が多くありました。それらの経過を辿りまして、八月十五日現在におきましては、つゆ明け天候としまして一時高温多照の夏型を示してくれました。併し関東以北では八月上旬半ばから曇天による寡照になりまして、東海より西のほうは七月下旬以降八月中旬にかけましては好天候に恵まれて参りました。この関係西日本水稲作につきましては好影響を与えたということでありますが、特に水害地稲作従つて回復をいたしましたけれども、七月下旬以降については天候回復却つて葉「いもも」を進行させたような状況が認められました。一時天候回復をいたしましたが、初期からの低温寡照最高気温がなくて、あとで一時回復したこと、両面を以ちまして葉「いもち」と、これに続く穂首いもち」の懸念、或いはすでに発生をいたしました螟虫化期と、これに続く穂首いもち」の懸念、こういうような部分の心配が相当濃いのでございます。八月十五日以降につきましては、本調査は示しておりません。目下組織を動員いたしまして調べておりますが、この表にも従つて出ておりませんが、今後これを成るべく早く示したいと思つておるのであります。  八月十五日以降の推移は、北海道におきましては気温は八月十五日頃から低下をいたしまして、だんだん西へ移つて来ました。関東においては十五日以降二十二日頃まで異常の高温が続いた直後には逆転いたしまして、異常の低温多雨で、それが漸次南下いたしまして、二十五日には東海、二十六日には北九州四国に及びました。この頃になりますと、稲作に危険な温度は、最低気温といたしまして二十度以下に下がる場合危いのであります。二十度前後ならばよいのでありますが、十五、六度前後になりますと、比較的短い時間でも危いのでありますが、札幌、北海道、青森、盛岡などにおいては、四、五日間続いて十五度以下になりましたことがあります。関東北陸東山に亙りますと、十五度以下を示したときは比較的少いのでありますが、併し二十度以下につきましては七日間、五日間、場合によりましては十日以上も続いたこともございますので、十五日以降の問題としましては、長野から東北北海道に亙りましてはかなり影響があつたのではないかと思いますが、この低温関係につきましては、その程度と持続時間と穂の育成の時期などとの関係によりまして、或いは出穂、或いは開花、或いは受精障害等懸念をされ、北日本では又実の程度、稔実に悪影響を与えるかと思いますが、二週間くらいたもませんと、その影響を判定することが困難でございますので、只今報告を申上げることができないのであります。  病虫害としましては、先ほど御説明を申上げましたように、葉「いもち」の広汎なる発生がありまして、八月中旬の高温によつて一時停止をしましたが、最近の不良天候から見まして穂首いもち」の発生懸念されます。二化螟虫につきましても、二化期被害懸念をされまして、一化期は例年にない広範囲な被害を来たしております。之の指数石数で一応現わして見まするというと、陸水稲合計では六千百八十一万石でございまして、この表にも書いたと思いますが、先ほどの五枚目の参考の所に書いてあります。先ず水稲の平年反収量、それと全国平均収穫量の仮算を出して見ました。平年収穫量といたしましては六千三百四十四万九千石でありますが、この見通しによりましては、水稲はその平年収穫量に対しまして、この指数では六千三十四万二千石と見積つております。陸稲の平年収穫量につきましては、先ほどの参考表のBといううしろのもう一枚めくつて頂いた所で現わしております、百四十五万九千五百石を平年収穫高思つておりますが、これに対しまして一〇一%、百四十七万二千八百十石でございまして、その水陸合計は六千百八十一万四千八百十石となるわけでございます。昨年の推定実収高水陸合計で六千六百十五万二千八十石でございますので、その前年度の差、食糧需給等の開く元の生産量の差は四百三十三万七千二百七十石ぐらいの差になると一応今のところ仮算をいたしております。御説明申上げましたように面積確定をいたしておりませんので、今後も動くかと思うのであります。  被害状況といたしましては、御説明申しましたように、特に本年は初期の候から水害雨害が非常にひどくございまして、仮に昨年の同期と比較いたしますと、水害の昨年の同期の面積等見積りましたものは二十一万八千町歩でありましたが、本年の八月十五日までで三十六万六千町歩を示しまして、減収量もこれに応じまして、或いはそれ以上に二倍強を示しております。病害につきましては、特に「いもち」が先ほど申しましたようにすでに多いわけでありますが、昨年十八万一千町歩を示しましたが、十五日現在でも六十万六千町歩ほどになりまして、病害全体といたしまして、そのうちの「いもち」は五十六万町歩も示しておりますが、この分の減収量も八月十五日現在では昨年同期比において三倍強を示しております。虫の害につきましてもかなり多いのでありますが、ほぼ昨年同期、四十三万町歩くらいでありましたが、本年はすでに六十六万町歩ぐらい出ておりまして、その大部分はやはり二化瞑虫であることが特徴でありまして、六十六万町歩中、約五十五万町歩は二化娯虫思つてれりますが、減収量もやはり昨年よりはこの被害に関しまするものは約倍であると思います。そのほかに水害地、特に北九州につきまして田植が遅れ、水害が起きて又田植をし、老衰苗を植えたりいたしました関係からしまして、普通の状態でも秋の低温が早く参りますと、この分の障害がどうなるかということについて簡単に申しますと、青米などが多くはなかろうかということについて今後の問題があると存じておる次第であります。  極く簡単でございますが、以上御説明申し上げました。
  4. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 何か御質問ありますか。
  5. 白井勇

    白井勇君 詳細お話があつたわけでありますが、ちよつとお尋ねいたしたいと思います。先ほどのお話低温障害地帯というものが北海道のほか大体どういうところがありますかということがおわかりでありましたら伺いたい。それから只今お話病害なり、虫害のこの面積地帯というものが、仮に全国平均が平年の場合二石二斗であるとしますと、これが反収におきましてどのくらい減るというような、従来の何か数字によつて計算が立つものがあるのかどうかという問題、それから三点は、九州のようにはつきりと、何と申しますか、水害地帯埋没なり流出なりがしまして植付けをし得なかつたという理由による減収というものはどのくらいになつておりますか。それからもう一つは、あの地帯植付けが可能であつたが、私たちが参りましたときは、九州では、まあ専門家の話では大体二割減にとどまるだろうという話でありましたし、地場一般の人の話では三割減、こういう話でありましたが、今の状態では大体どういう程度のお見込であるか。それからもう一つの点は、若しおわかりになつたらですが、これから収穫までの天候長期予報というものは一応おわかりになつておりますか。
  6. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 低温障害というものはなかなか今年はむずかしいのでありますが、普通に言う冷害と私が御説明を申上げました低温障害と、やはり一応概念的に分けるほうが適当ではないかというような気がいたしておるのであります。その冷害というのにおきましては、やはり全般的に見まして都道府県内の地域によつても多少違いますが、北海道東北、特に太平洋岸の一部でございまして、いわゆる山手には各県に亙りましてもあるかと思うのであります。併し後の場合の低温障害と申しますと、これは本年は或いは全国的にあるかとも思うのであります。併し改良局長もいらつしやいますが、保温折衷苗代の普及或いは農家が予期をいたされまして健苗育成、早植えにかなり努力されまして、今年は田植初期育成も遅れましたけれども、それでも苗代等を作る際にかなりの努力をされたところの効果がかなわ甚大であることが調査上出ております。それらの詳細が若し必要でございましたら、口頭説明も時間がかかつて如何がかと思いますので、別途印刷にして御配付申上げても結構と思つております。第二番目の病虫害減収傷合につきましては、これは長年やつて参りました調査成績被害調査圃被害試験成績などを以ちまして、品種、地域、時期、温度等によりまして誰を付けながら、生育状況或いは被害を受けた形態の状況がどんなふうの様相を示したか、例えば渇水ならば三日以内であつたらどう、一週間以内であつたらどう、地上或いは水のうちの状態、根の状態から見まして、非常に細かく一冊の本になるほどの尺度がありまして、その尺度を当てはめながら見ておるのであります。何県についてどうだ、何割ぐらいだ、減収率を見て被害面積割合はどのくらいだという御質問がありましたら、その県ごと只今申上げていいかと思います。第四点の収穫までの天気予報につきましては、気象台から毎日聞いておりますが、九月以降一月の予報しか持合せない、又わからないと言つております。この八月二十五日について、それ以降一カ月の予報によりますると、そのまま読上げますと、九月の天候は上旬末に低温に向い、中旬は全般に低く、一時かなり低温が現われ、下旬は変動がやや多く、西日本を除き、旬の初めと旬の終りに低温が現われる、こういう予報になつております。これを私どもの部内の専門家によりますと、やはり中晩稲は特に西日本においては、若し予報通りであるならば、出穂開花受精障害懸念ないとは言えない。北日本ではこれはもう少し進んでおりますから、結実に悪影響を与える虞れがあるということであります。出穂見込状況、時期、すでに示しました温度の場合とか等は各府県別にやつております。気象関係試験府県別に表にしました地図も持参をいたしておりますので、御必要ならば御紹介をいたしてもいいと思います。
  7. 白井勇

    白井勇君 もう二点あるのですが、一つは、九州植替えをいたしまして、あの当時一応地場では二割減だということを、これは専門家の意見ですが、それから一般には三割減と言つておりました。実際今の状態ではどのくらい減に見ておられますか。それから水害関係で全然植付ができなくて結局米のとれないという地帯があるわけですね。それでどのくらいの減収があるかということなんです。
  8. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 九州におきましても、先ほど申上げましたように風水害等の話もございましたが、宮崎鹿児島は平年以上かと思います。ひどいのは福岡佐賀長崎熊本大分でございまして、その点について見まするというと、被害面積福岡では各種の被害が、例えば風水害、一部の早害、「いもち」、螟虫その他がございますが、延面積で申しますと福岡は一二〇%被害面積率がございます。その被害率は一七・五%を今のところ見積つております。八月十五日でありますが……。そのうちの一部が風水害でございますが、風水害では被害面積約四万町歩減収量では二十六万五千石ということになつております。佐賀におきましては総被害面積が七万一千町歩でありまして、面積率は一三六%総減収率一九・六でありますから、約二割であります。そのうちの風水害は三万四千町歩余でありまして、減収量見積りまして十八万五千石。長崎におきましては被害面積率が九五%くらいになりますが、減収量といたしましては一二%くらい。風水害はそのうち八千二百六十町歩、四万石余であります。熊本相当被害が多うございまして、被害面積率が一〇四・六%、一六%、風水害が三万四千四百町歩でございまして、石数にお寺まして二十万石余であります。大分被害面積率が二〇〇%もありまして、これは風水害が殆んどでございますが、延面積では二〇〇%にもなりまして、減収率は一七・六%と見積つております。風水害は二万四千町歩、十一万七千石くらいと見積つております。
  9. 白井勇

    白井勇君 順調に水害を受けないで行つた地帯と、その後植替えたところと、例えば二割減なり三割減収になるというようなお調べはできていないですか、あつたらお聞かせ願いたい。それから全然植付もしなかつたし、「いもち」等にもならなかつたという場合の減収というものは、そういうものの調べは別にないわけですか。
  10. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 御質問の点は非常に詳細に作つてございまして、先ず第一は流失埋没をいたしまして、その後水稲植付けられなかつた場合は収穫皆無でございますので、その面積見積りまして、これは零であります。被害は一〇〇%でありますが、土砂流入がありましても、他から苗を移しまして植えた場合或いは直播きをいたしました場合などにおきましては、薄植状況或いは植えた時期の生育状況から見まして、それぞれに減収の場合を見積つておるわけであります。その間におきましては、浸水冠水があるわけでありますが、浸水冠水或いは生育時期によりますが、本年はいろいろな関係田植も遅れたわけでありますが、それらもおのおの被害原因別面積見積りまして、浸冠水の日数を三日以内、五日以内、七日以内、十日以内、十日以上と、こうやりまして、例を申しますと、十日以上のところは腐敗をいたしてしまいますので殆んど収穫が皆無、その他はそれぞれ先ほど申しました減収尺度に応じまして、九割の場合、九割以上の場合、七割以上の場合、五割以上の場合、三割以上の場合、こういうふうに見積つておるわけであります。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 統計調査部長ちよつとお伺いしたいのですが、八月十五日までの生育状況、又その間における支障はよくわかつたのですが、八月十五日前の、七月末か七月の下旬に、何か推計収穫高調査がありましたが、そのときのトータルと、現在ここに示されたものとの数字的な比較は何かございますか。
  12. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 結論から先に申上げますと、一月前に出しましたのは、石数で現すというような時期ではございませんが、長年の作物調査組織の経験から見まして、大胆に、お許し願つて現わすならばというようなもので、平年を先ほど申しましたように、水陸稲合計して六千四百九十万石、約六千五百万石と見ますと、陸稲は普通と見まして百五十万石、水稲水害、「いもち」等を見まして不良に近い、やや不良と見まして、これは指数の上に現わしませんで、良、普通、やや不良、不良というような大ざつぱな分け方を見ました結果、平年作を下廻ること四百万石、従つてあのときには、農林大臣にもお許しを得まして大約六千百万石と存じておつたわけであります。水陸稲合計でございます。その後天候回復等西日本地方にもございまして、葉「いもち」の停止等もありましたが、逆に又災害相当ございまして、葉「いもち」の停止以後穂首いもち」の形跡もあり、特に二化螟虫の一化期が非常に広範囲になつたこともありまして、差引き増減がありまして、いい所において少し立直つた、逆に災害も殖えたというので、只今申上げましたように八十万石ばかりの増にしかなつておらないわけであります。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、議会が終つて間もなく、農林大臣九州行つて何か新聞発表された数字は、昨年の収穫よりも上廻るような結果を発表されましたね。供出目標が二千五百万石でめつたか、二千七百万石か、あれは政治的な発表ですか。それとも統計調査による食糧庁事務関係との連絡の上の発表ですか、あれはどういうのですか、一体……。
  14. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 私農林大臣のことを全部よく知りませんが、お出かけの前に詳しく実は生育状況被害状況、特に九州被害状況も申上げましたので、昨年を下廻るということはおつしやつていないかと思います。何故かと申しますと、昨年は必ずしも悪くない、水陸合計して六千六百万石を超える作であつたのでありまして、終戦後では二十六年に六千数十万石の年があつただけでございますので、平年作を下廻ると申されたか、六千万石を或いは上廻ると申されたのじやないかと思います。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 それは私もこういうことを何故聞くかというと、あの大臣出張先九州での新聞発表というものは、今年の供出に非常に大きな支障を来たす根本原因になつているのです。この間の発表は二千五百万石か、二千七百万石かという飛んでもない数字発表しましたよ。去年は大体二千二百万石ですよ、超過供出とか、何とか入れて……。それで超過供出も含めて相当成績になりましたが、私はあの発表されましたときに、私は出発前に統計調査あたりで八月十五日はこうであつたけれども、七月の中旬から下旬においては相当本年の作柄というものをよく見た数字統計局出発のとき持つて出られたのじやないかと思うので聞いたのだが、これは最近、又昨日か今日、今年の端境期の問題で、勿論大臣が今年の端境期は困るとか、食糧問題は危機に瀕したというようなことを言つたのでは政治にもならんから、これは或る程度の国民に安心を与えるような発表はいいけれども、さればといつて供出を控えてあまり大したことはないというようなことを言われることは非常にこれは問題が今後大きくなると思う。我々の問題上りもそれはむしろ政府の問題になるのだが、そこで私は聞いていることと、大臣の言つていることと非常に食い違いがあるから、大臣食糧庁なり、統計調査なりの事務当局の調査と無関係に言つておられるのか、私は当然関係があると思つていたのだが、食糧庁あたりから出たのですか、統計調査から出たのでなければ、あの大臣発表の源は……。
  16. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 私は大臣食糧庁長官のことは詳しく知りませんが、作物調査見積数量につきましては、今食糧庁調査をしておるようなものもありますけれども、省内で使つておりますものは、改良局でも、食糧庁でも、経済局でも統計調査部以外の数字は使つておりません。従いまして大臣に申上げましたときは、八月十五日現在で、今日御配付し、御説明申上げましたよりやや下目の数字を御説明申上げまして頭の中に入れて行かれましたので、何かの報道の間違いではないかと思います。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 実はその問題は又大臣なり政務次官が見えたときに、いずれ供出についての御相談があると思いますから、そのときに申上げたいと思います。あと病害虫の問題については改良局長から改めて報告がありますか。若しなければついでに私伺つておきますが、先ほど統計調査部長報告によりますと、病害虫とも大体昨年の三倍ぐらいの被害数字が出ておりますが、これは不可抗力的の問題ですか、それとも各府県のこれらの担当者の怠慢の問題ですか、それとも農薬等が不足したための問題ですか。どうも我々は僅かな予算であるが、毎年病害虫の防除によつてこれだけ増収するのだということを、一遍に片附かんまでも、年々病害虫によるところの被害というものが多少でも減るような私は予算を組み、そういうような傾向を来たしておる、ところが如何に天候異変とは言え、病害のごときは昨年の三倍強である、虫害に至つてもやはり三倍である。こういうことは一体原因はどこにあつたのか、それをお聞きしたい。
  18. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 只今の御質問に、そのままではございませんが、一応今年の今までわかつております病害虫の発生状況等について一応の御説明をして、その問題に移りたいと思います。第一の「いもち」病におきましては、本年は五月下旬と六月上旬、六月下旬、七月中旬と、その後も七月の下旬、八月の上旬、しばしば未曾有の豪雨が襲来いたしまして、これは高気圧の配置の関係が主でございます。低温寡照と同様に、それらの地方苗代又は本田長期に亙つて相当面積が浸冠水をしております。これらの地帯の稲の中で生残つたものは浸冠水程度によつて違うのでありますが、各種の病害虫に対する抵抗力が著しく弱くなつたばかりではなく、浸冠水によりまして、被害激甚のため、或いは再植をやるとか、或いは種を蒔き直すとかいうふうなことをやりまして、その場合の稲は勿論、又苗不足のために他地方から移送しました苗も、特に各種の病害に対する抵抗力は著しく減退するのであります。従つてこれらのいろいろな理由から水害跡地の稲は「いもち」病の激発が必至でございますので、これが防除につきましては、当局において強力に指導をしておるような状態でございます。又一方本年のつゆは著しく不順でございまして、例年に比べますると、相当長期に亙つて低温寡照の悪天候経過いたしました。そのために稲の生育は軟弱で且つ非常に遅れ気味であつたので、そのために「いもち」病はすでに苗代時期から発生しまして、その発生の型も最も憂慮すべきととろの激発型であつたわけであります。殊に関東北陸以西地帯では発生面積が著しく広汎に亙りまして、局部的には相当の激甚の所もありまして、罹病苗をそのまま本田に持込んで、本田においてずり込み状態を呈した本田相当つたわけであります。従つて相当広汎に葉「いもち」病の発生を見まして、八月十五日現在の県の報告発生面積は百十八万町歩に達するという状態でございます。次に二化瞑虫について申上げますと、前述いたしましたような悪天候のために、発生一般に遅れまして、六月下旬、地方によりましては七月上旬にかかつたところもありまして、即ちだらだらと例年に比べますと長い期間に亙つて発生しておる、こういう状態で、而も後期のつゆが比較的多くありましたわけです。従つて化期発生面積程度においても、例年の数倍に達したところもあつたわけでございます。更に七月上旬の低温寡照は娯虫の生育に非常に好条件を与えたので、一化期における被害、即ち稲の生育時期における被害は極めて多く、今後八月中下旬から九月の上旬に亙りますところの二化期における瞑虫の発生相当に多いと予想されるわけです。現在も発生をしておる報告がどんどん来ておりますが、そこで二化期における防除については万全の対策を講じつつあるような状態で、八月十五日現在の県の報告発生面積は八十九万町歩というふうになつております。そのほかの病害虫におきましても、今年の悪天候に乗じまして、広面積に異常発生した病害虫の主なものを申上げますと、北陸、中国地方の一部及び四国地方の一部に稲の「くろかめ」虫、それから北陸地方に「つまぐろよこばい」、中国地方の一部に「いねどろおい」虫、各地の水害跡地に白葉枯病がありましたわけでございます。このような近年稀に見る悪天候に伴いまして異常発生した主要病害虫防除につきましては、「いもち」病等の病害に水銀粉剤即ちセレサソ石灰でございます。そういうようなものとか、二化螟虫の害虫に対するところのパラチオン剤というような新農薬の有効なものの出現があつたわけで、これによりますれば防除は十分に行い得るような農薬が出現しておるわけでありますが、非常に突発的な異常な発生であつたために、一時これらの農薬の全国的な需給の不均衡によりまして、比較的に時期的に農薬の不足を招来したという状態でございますが、現在は大体において県のほうにおいても農薬のできるだけの確保に努めまして、穂首いもち」及び二化瞑虫の防除に努力しておる、こういうような状態になつております。大体八月十五日までの状態を申しますと、「いもち」病につきましては、この赤の区域のほうがまあ大体ひどい地帯でございます。県の報告によりますと、四五%以上の地帯でございます。青が三〇%から四五%までであります。北のほうに参りますと、その白いところが三〇%、併しながらこれは穂首いもち」を含んでおらないのでございますから、今後穂首いもち」が出やすい地帯において、どれくらい出るかということははつきりいたしておりません。二化瞑虫につきましても同様に西南部においては今年度においてはずつとひどく出ております。これも青い線と、それから白いところが北に従つて少くなつておりますが、これもなお二化瞑虫のほうはこのうちには入つておらないのであります。これは八月十五日現在の状態でございます。それで発生面積につきまして申上げますと、大体二十四年から五カ年間を申上げます。大体「いもち」病につきましては二十四年が七十五万四千町歩、それから二十五年が七十九万九千町歩、二十六年が六十一万二千町歩、二十七年が五十五万一千町歩、それから二十久年、本年でございまするが、八月十五日現在でまだ穂首いもち」が出ておらない時期でございまするが、その時期においてすでに百十八万町歩という報告になつております。それから二化瞑虫につきましては、二十四年が四十六万九千町歩、二十五年が八十七万四千町歩、二十六年が八十七万八千町歩、二十七年が九十二万三千町歩、それから二十八年は二化期の瞑虫はまだ入つておりませんが、それですでに八十九万三千町歩というような数字になつておるわけでございます。で、本年大体小笠原の高気圧の発達が遅れ、而も北のほうに相当強い高気圧が早くから出現して、それで長い間の低温寡照水害を起すような多雨をずつと継続して、八月の上旬にまで梅雨型の気象を続けたというふうな、こういう異状な気象のために稲が非常に軟弱にでき上りまして、それで害虫に対しても非常に湿度が高くていい条件を呈したというふうな関係からして、今年の病害虫は近年稀に見る異常な発生でございます。で、財政的な措置を大体申上げますと、農薬費のほうは、大体全体を通じまして二十五年度が約二億二千万円程度のものを財政的に出しております。それから二十六年度は三億三千三百万円程度、それから二十七年が八億四百万円、それから二十八年度は十三億四百万円というふうに逐次増加しておるわけでございます。今御質問にありましたように、そういうふうに病虫害の防除については相当の予算を組み、努力が払われておるわけでございます。それで本年の被害が大きくなつたのは如何なる理由かというふうな点の御質問と思いまするが、稲につきまして申上げますると、大体二十六年が一億四千万円、それから二十七年が四億四千万円、本年は二号台風ですでに配付しました予算を含めまして八億五千万円というふうに逐年非常に多くの予算を補助しておると、こういう状態にあるわけでございます。で、それらの関係から見まして、何故に被害が多く出たかというふうなことを御質問なさつたと思いまするが、大体その傾向といたしまして、我々が見ておりまするのは、本年度は先ほど申上げましたように特にその気象配置その他から見まして、異常な発生を来たしたということが数字的にもはつきりと出て来るわけでございます。それと農薬のほうにおいて、相当時期的、地方的に見まして、その農薬入手において不足状態があつたというふうなことも申せるわけでございます。八月十三日現在で、県の報告によりまするところの農薬の大体の使用数量等から推定いたしますると、これは今後使用する分も或る程度含んでおると思いまするが、大体全面積といたしまして、「いもち」病については先ほどの百十八万町歩に対しまして百四十二万町歩分を防除できるだけの農薬が大体手に入つているのでございます。それから二化瞑虫につきましては大体八十九万二千町歩、このほかに二化期の瞑虫が勿論加わるわけですけれども、百二十三万七千町歩を大体防除できるだけの農薬が手配されておる、こういう状態でございまして、大体において農薬の手配のほうは数字的には、その発生状態から見ますると、何とか足りるという状態になつておるように考えられるわけでございまするが、この中で最近出現しましたところの水銀粉剤、セレサソ石灰のようなものでございます。これが「いもち」病全体の面積の中で以て大体二十七万九千町歩というものだけが、水銀粉剤によつて確保されておる、こういう状態でございまして、その水銀粉剤のほうを昨年県の試験場等で以て試験をし、その成果が非常に高いというふうな関係で、それを特に欲しいという地帯相当大きくありまして、それでその合成剤ならば初めのうちは要らん、どうしてもセレサソ石灰が欲しいというふうな関係で、セレサソ石灰に殺到して来たというふうな状態でございまして、この水銀粉剤につきましては、政府の備蓄も十分になかつたために、それについては不足を生じましたが、又地帯的に見まして、それから時期的に見まして、適期に流れなかつたとか、或る所は少したつぷり目に持ち過ぎて、或る所が不足していたとか、そういう需給の調整というものにつきましては、これは極力政府のほうでもメーカーのほうに話をいたしまして、大体時期的に早いような県のほうに早く流すようにというふうな調整をいたしまして、これは時々打合会を持ちまして、それでそういうふうな指導をやつたわけでございまするが、そういうふうな部分において十分に参らなかつたというふうな所もございます。それから又農機具もなお進んだところは共同防除が非常に徹底して、動力噴霧器或いは撒粉器というようなものを以ちまして、それで急速に適期に防除をするというふうな進んだところもございますし、又個人の手動式農機具でも主体にして非常に共同防除の進んでいないようなところもありますしいたしますので、そういう関係からして適期を外したというような部分もございます。それで私らのほうといたしましては、本年度の災害等の予算に絡みまして、大体農機具の整備ということが農薬以上に又緊急である、こういう見解を以ちまして、それで大蔵省に対しまして五カ年計画で五千台動力機を整備するというのを、今年が三年目に当つておるわけですから、三、四、五年の全部を一つ今年一年で出す、それでも足りないから、更に一千台出して四年分を一遍に出してくれ、こういうことを要求いたしまして、大体それに近い数字を農機具としては廻し得る、こう思つておりまするし、来年度におきましては、更に私のほうの計算では、大体その県をして非常に山になつた村の防除については、県の持つている防除機具で以て防除をさせるというふうな仕組を考えまして、更に県に持たせる台数というものを約二万台近く確保できれば、これで大体において適期を外さないで防除ができるのじやないかというふうな数字を弾きまして、来年度予算としましては、数年の計画に亙りましてそれを是非整備させたいというふうに考えておるような状態でございます。まだ病虫害の防除は、殊に今年のような甚だしい異常の発生に対応して、十分な組織と施設ができておるとは申上げられませんような状態で、それで或る程度被害が増大した、その発生の大きさに伴つて被害が増大しておる、これは防除をすればできるものでございますから、これにつきましては今年度のそういろ経験に鑑みまして、是非今年の経過を十分反省した上で、雨降つて地固まるというふうな形で是非その制度を完備してもらいたい、農薬のほうもさることながら、農機具の整備と、それから共同防除思想の徹底というふうなことが特に大事ではないか、ころ考えられるわけでございます。大体一つの傾向といたしましては、ここ数年間の傾向でございまするが、肥料の統制が撤廃されまして、肥料が割合に容易に入手できるというふうな状態、やはり産米確保については国としても非常な関心があるし、農家においても相当な努力をするというふうな関係からして、一般に窒素肥料を相当余計に施用するというふうな傾向が強くなつております。それからそれと関連しまして、土地改良の関係影響相当しておるわけであります。それを有効に利用しようというふうな関係から見まして、東北地方においては穂数型の収量の幾らか少いような稲が多収型のものに転化しつつある、こういうふうな傾向をもある、とにかく農薬防除が或る程度できるという自信が高まるに従つて、少し危険があつても多収を目的として肥料を余計使い、多収品種を使つて、それで出た場合にはそれを防除によつて救おう、こういうふうな傾向が強くなつて来るような形でございまして、それに対応してどうしても政府の方面におきましても、ただ病虫害の防除をやるということだけでなしに、やはり適当な品種、適当な殊に窒素肥料の施用、両方を奨励する、殊に病虫害に対しては問題の大きい加里肥料の施用等が不足の地帯もございますので、そういうところに対する適正な肥料の施用というふうなことも奨励すべきものと考えられるわけでありまして、それらの点についてはまだ不十分なところもあるわけでございまするが、病虫害被害相当多くなつたというようなことについては、或る程度そういう特殊な天候のために発生が異常であつたということと、それに伴つただけの大体制度と対策というふうなものを打つだけのまだ機構にはなつておらない、その点については十分なお整備充実に努めなければならん点が大いにあるというような状態にあるわけであります。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 私は去年に比較して三倍に被害なつた。これは怪しからんじやないかということじやなくて、要するに誰がこうしたかということを今にして十分検討して、そうして今予算の編成中でもありましようから、来年の予算にも備えなければならんということで御質問申上げておるのですが、今伺つておりますと、大体農薬の不足というものは地区的には一部認められたけれども、大局的に農薬が不足ではなかつた、要するに本年の天候の配置からいつて異常な病害発生であつて、不可抗力であつたということと、それから一方噴霧器その他の農機具において非常に不足を来たしておつた、ここらのところに一番大きな原因があるのですか。
  20. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 大体その通りでございます。こういうふうな異常の発生というものはそうたびたびは来まいと思います。こういう気象も珍らしい気象であります。併しそれに対応してもできるという制度が望ましいわけだと思いますので、そういう点で不十分な点は確かにあるので、ただ天候だけに責任を転嫁できないだろうと、こう考えます。一つはやはり時期的或いは地域的に偏在があつたり、間に合わなかつたりというふうな点についても、政府の備蓄を更に、殊に水銀粉剤のような農民の希望する新農薬でございますけれども、これが大体こんなに大きく農民の要望が強くあるというふうには考えておらなかつたわけなんで、かなりその他のものを備蓄しておりましたが、水銀粉剤については相当量の備蓄を殖やす必要があるのじやないかというふうに考えまするし、それから県等においても今年の春から見ましても、やはり政府に多く頼るというのでなくて、県も県として或る程度の備蓄が必要だというふうな感じを持つておりまするわけで、これはできるだけ奨励をして参りたい、こう思いまするので、その時期的、地域的な不足というふうなものに対応する備蓄の制度というようなものに対しても、なお検討する必要があろうかと考えておるわけであります。殊に農機具のほうの充実ということは、これは適期ということと、共同防除というふうな点から考えまして非常に大事であると、こう考えます。農民の希望も、どうしてもそれはそれだけの農薬ができれば危険でもやはり肥料を余計やつて、多収をやれる品種を迎えたい、こういう希望は尤もです。又それは大体成し遂げるというふうに私のほうとしてはすべきではないか。ただそれが余りに科学的に見ても無理なような肥料の施用量だけはやめさせるようなことも必要ではないか、こういうふうに感じたのであります。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 農薬の備蓄の問題で伺いたいのですが、あなたのほうで予算をとつて備蓄をやつておられますが、この備蓄は例えば「いもち」にしろ二化螟虫にしろ、大体今の過去五年間の統計を見ると、「いもち」の場合には五十五万町歩から最高八十万町歩くらいの平均です。今年は別ですが、二化螟虫の場合にも八、九十万町歩である。これは例年当然起る被害でありますから、これに対しては一般の市場で賄えるわけですね。当然農薬会社がその程度のことはやつておるわけです。それに本年のような場合に二十万町歩、三十万町歩プラスざれるかも知れない、こういうものに備えての備蓄でしよう、そうではないのですか。
  22. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 大体主としてそれもございます。それから或る程度まあ時期的な季節的な備蓄というふうなものもございます。これによつて充実してやる、こういうふうなことが必要だと思われるわけです。それから今年度におきましては、やはり大体異常発生を、殊に「いもち」についてはするだろうというふうなことは、大体六月の末には順次明るくはなつて来たわけでありまして、それだから大急ぎで農薬会社のほうには急速に農薬をどんどん作れというふうな指導はやつたわけでございますが、その場合にやはり暫定予算が続いておりましたために、県のほうもやはり思い切つた注文ができないというふうな関係からして、具体的な注文が使用者の側から、県の側から十分出て来ないために、農薬会社のほうも生産のほうをいきなり思い切つてやるというふうなところまでなかなか行き得ないというふうな関係で、予算がやはり大体において見通しが付いてから、それならば十分代金を支払えるから、そう金融に事欠くこともなかろうというふうなことから、ぐつと伸びて参つたというふうな状態でございまして、幾らかそういう農薬会社の二十時間運転ということを七月になつてから強行にやつたわけですが、それで幾らかスピードが増した、それによつて異常発生というふうな見通しができれば、ぐんぐんあと生産を続けさしてやつて行くというふうな形でやるわけでありまして、この備蓄のほうは、主としておつしやるようなところに充てたいわけでございますが、一部はメーカーのほうのそういう前以ての予測からしての、メーカーに対する指導ということで或る程度解決もさして行きたいわけですが、これはやはり余りますると、ものにもよりまするが、大体翌年まで持越されると、或る程度変質をして、それで相当値引きをしなければならんというふうなものも起るというふうな関係もございまするので、メーカーのほうとしましても、異常発生に対するそういう増産というものに対しては、相当警戒をしながらやらなければならんという状態にあるわけであります。それについては政府のほうの備蓄の部分が多ければいいわけでありますから、これも現在のところ金利、倉敷の補助が半額になつておりまして、全購連のほうとしましては、翌年まで持越すという危険のものは赤字になりますので、そう思い切つた備蓄はやりにくいというふうな状態にもなつております。それらの点についても我々のほうとして十分検討して、翌年度持越しというふうなものについて解決をして参りたい、こう考えております。
  23. 河野謙三

    河野謙三君 私は今の農薬の備蓄ということ、これは必要であることはわかるのだけれども、実施の面を見ますと、農薬会社の救済に少し走り過ぎていると思う。それは今伺つたように七十万町歩なり八十万町歩、過去五年なり十年なりの被害面積平均出ているのなら、これは商業資本において当然これは賄えるのです。又この事業会社が当然これは金の回転が期待されるものです。それ以上に本年のような場合に備えて要するに備蓄するのであつて、それを被害が平年は六十万町歩出るにもかかわらず、あなたのほうで四十万町歩なり三十五万町歩と見て、それ以上のものは金融をして、そうして備蓄をしてやる、こういうことでは私は備蓄の趣旨に反すると思う。そういう点も私は今まであると思う。それからもう一つ、この備蓄の法案が通つたとき、私は記憶がありますが、これは初めて政府が金融して、全購連なりその他に買上げさして、そうして買上げた以後の金利、倉敷というものは、その買上げさせた機関が負担してやつた、それは私は余計なことだと思う。そのときに私は御注意申上げて、たしか農林省のほうでもそういうふうに善処しましようというお約束があつた、速記を見ればわかりますけれども、どういうことかというと、金を貸してやれば、あと農薬会社がそんなスペースをとるものでないのだから、農薬会社の負担において倉庫料は出したらいいじやないか、なお製品に限らず、半製品の備蓄でも可能な場合もある、原料の備蓄で可能な場合があるのだし、そういうふうなことで、金融することはいいけれども、持つたものを保存し、倉敷をかけて、金利、それらのものも政府が負担するというそういうばかばかしいことはない、現に少し事情は違いますけれども、曾つて備蓄をさせる適当な機関がないので経済局で肥料公団ができた頃、肥料公団に農薬の備蓄をさせたことがある。ところがたまたまその当時病虫害発生がなくて、一年も一年半も倉庫に入れ放しであつた、当然これは効力を失う。そこでこれを捨てなければならんという問題が起つた。こういう問題からも農薬会社に金融する、そうして農薬会社に持たしておけば農薬会社がこれは営業は継続しているのだから、政府から命ぜられた備蓄品を順次入れ換えて行けばよい。そういうことによつて、新らしいものに差し換えて行くことによつて品物が古いことによつて起る犠牲というものがなくなるので、そういうようにしたらよい、こういうことを言つたことがある。ところが最近伺つておりますと、やはりこれは政府が農薬会社から買上げてしまつて、そうして全購連かその他に持たして、そうして金利、倉敷擬果負担している。たまたま本年のような、こういうように非常な災害が幸か不幸か起つて、農薬が足らないほどはける場合はいい。若し幸いに病虫害が起らなかつた、備蓄したものが、それが倉庫の中に二年間か、三年間放つておかなければならんという場合が起つたときはどうなるか、そういう点について、どうも今の備蓄の趣旨はいいけれども、余りに農薬会社に親切が私は届き過ぎていると思うのですが、そういう点は改良局長お気付になつておりませんか。
  24. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 面積ちよつと申しますと、「いもち」では大体五万町歩、二化瞑虫では三万町歩になつているわけです。先ほど申上げましたように、或る程度翌年に持ち越すというと相当危険もあるわけでございまして、数字としてはそう虎穴なものはちよつと持ちにくい、こういう状態にあるわけです。それから確かに農薬につきましては、殊に水銀粉剤なんかにつきまして考えました場合、今年あたりセレサンで持つて曲れば、そう危険でないわけで、必ずしも製品に限らない、半製品でもこれを殖やすということならば、そういう形で持つべきことは考えるべきじやないか、こう考えております。その他実行の仕方につきましては、いろいろ問題もあると思います。十分検討して、その来年度の実際の備蓄のやり方については、今検討中でございますから……。
  25. 河野謙三

    河野謙三君 もう一つ備蓄の問題で、備蓄の場所ですが、大体今我々のほうで農業共済の調査をやつておるのですが、これは災害というのは非常に地域性が強いわけです。この地域性が強いというのは、ここに丁度おいでになる統計調査のほうの数字にも出ておるし、これは農業共済自体でも災害地域性が強いということは数字が出ております。こういうものと今のあなたの備蓄ということとは、これは関連させて、そうして僕は備蓄していいと思う。ところがどうも今の備蓄は農林省が全購連に任せ、全購連で任されてどことどことどこへどういうふうに置くというようなことについては、必ずしもそういうふうな災害地域性というようなものをそう深く考えないで、ただ運送関係がどうとかいうようなことでやつておるのじやないかと思うのですが、私はもう少し災害地域性というものを、これは農林省機関の横の連絡をすることによつてやれば、もつと私は農薬の不足というものは、絶対量が不足ではなくて地域的に不足なんだから、そこに私は欠陥があるのじやないかと思う。こういうふうに私は痛感するのですよ。先ほど地域的に一部農薬の不足があつて、それによつてつた被害もあつたと言われましたが、これは私は各地からあの当時農薬が不足して困るということで、県はどうしているのだ、農林省はどうしているのだということを私は相当広範囲に聞いておる。農薬の不足ということは、それは先ほどお話の絶対量は不足してないけれども地域的に不足した。その地域が面もほんの一部じやなくて、相当全国的に各地にそういう不足があつたということはへ備蓄の場所についても、もう少し今年の経験に徴して当然お考えになつておるであろうけれども、更に私は科学的な考察をして、備蓄というものをやられたい、こう思うのです。
  26. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 病虫害防除施策について統計調査部長が申上げることは筋が違いますが、調査結果に現われましたことについてちよつと御参考に申上げます。改良局長が申されましたこと、すべて本年の統計調査事務所の病虫害発生については、その通りでございます。又防除の努力は非常にされております。第一に目立もましたことは、苗代期間にもつと農薬を施用して消毒その他本徹底してやれば、これほど起らなかつたようにも思われる。それから発生予察が遅過ぎて、農薬の手配とも関連するわけですけれども、農薬を旅用したときはすでに遅かつた。そういうことが非常に多いのですから、改良局長が今後の御計画で申されましたように、早く、又末端で貯蔵する要もあろうと思います。又先ほど被害面積で申されました県庁の数字は、私は被害面積と見ないで、これは必要な防除面積としてそれを見なければならない。農薬貯備においても私ども被害面積の何分の一かを、経営的な半分くらいをとらないで、農薬計画には防除すべき面積をとる。それからその際に常習被害地、例えば山沿いによく起る農地が今年は平坦部に起きておる特徴が異常的にありますが、広汎に起きておる特徴がありますが、常習被害地について末端的に貯蔵することも改良局長のおつしやるように必要だろうと思う。河野先生のおつしやることとも同じことになると思います。そういうことが特に今年の統計事務所の被害調査上に明瞭に現われております。
  27. 河野謙三

    河野謙三君 もう一つ、きつき貯蔵するものが五万町歩とおつしやいましたが、私がさつき申上げましたように、製造会社に貯蔵を命ずれば、十万町歩にも、十五万町歩にも同じ予算で私はできると思う。というのは、さつき申し上げたように、製造会社の倉庫に置けば、製造会社が若し古くなればそれを出して又新らしいものと差換えて行けばよい。そうして同じ倉庫の中でぐるぐる回転して行くわけです。それを農林省が命じて或る機関に買取らしてしまつて、全然別の倉庫に置くなら、ば、それはもう時期が来たら効果がなくなるから、一遍戻して、又新らしいのに差換えるということはできません。そういう意味合から言つても、私は予算の節約にもなるし、非常に効果的じやないか。そういうことによつて今の五万町歩というのは、来年は五万町歩じやないでしようけれども、これは予算の要求としては少いと思う。六十万町歩、七十万町歩というむのが平年出ておるのを、それの一割にも満たないというものを非常に備えて備蓄するということは、それは量的に私は足りないと思うのですが、そこらのところも一つ御研究願つて、折角新薬ができて、薬さえ撒けば必ず効果一〇〇パーセントだというのに、農薬のほうは進歩しておるけれども、ただ旅用の方法なり、備蓄の方法がいけないためにこういうような莫大な被害に達しておるということは、これは当然予算も要求しなければならんと同時に、もう少し実行方法を講ずる余地が私はあると思うのです。
  28. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ今度の御報告を見ますと、相当心配をしなければならんような情勢だと思いますが、特に災害等による被害は、これは或る程度不可抗力なものでありますし、更にこれらの処置に対しては、必ずしも農林省だけの責任ではない、或いは建設省等の問題も相当ありますので、これらは今後あらゆる面で統一的な施策が必要だと思うのですが、なお北海道その他東北等がかかつた今年度の冷害、これをまあ毎年とは言わないですけれども、例えば十年のうち何年かは当然これは予想されるので、それらに対してもそれぞれの対策は講じられていいと思います。なお今問題になつております病虫害被害というものは、これはもう殆んど毎年起る問題で、特に本年等はそれらの三つから来る大きな原因が総対的な減収となつて、いろいろ問題になると思うのですが、そこで今お話病虫害防除に対しましては、相当予算等も要求して、農機具等も急速に入れてこれらの実施に当りたい、こういう御意見でありますので、非常に賛成なんですが、そうしたことは毎年繰返しておりますけれども、なかなか実効が上らないという半面には、例えば噴霧器とか、或いは撒粉器等を使いましてやる場合には、個々の農家が自分の稲がそういう被害を受けるというような事態に来なければ、なかなかそれを実施しない。従つて例えば一村に百町歩ある場合には、点々としてそういうことは実施されておるけれども、全体的に行かない。従つてそれがまあ非常に大きな結果を及ぼすことになりますので、先ほど改良局長も言われたように、共同防除というようなことの趣旨徹底も、これは当然その点から出て来なければならんと思うのですが、その場合でも、なお私は今起つて来る被害に対応しての対策としては、なかなか予算等の関係からこれは面倒だと思いますけれども、かと言つて、これをゆるがせにすることはできませんので「私は実は先月の初めだと思うのですが、北海道で飛行機ですか、集団的な防除の試験的な実施をされたと、こういうことをちよつと聞いたのですが、事実現地へ私は行つて参りませんけれども相当農民としても関心を持つて、数百人も寄り、関係者も相当寄られて、大体これは成功したと、従つてそういうことでありますと、それをどの程度今後農林省として普及徹底するようなお考えを持つておられるか、私はほかの、例えば畑地或いは水田にしましても、農耕等に使う農機具でありますと、なかなか本州附近の農家にはこれを十分徹底することができないし、殊に畑地と違つて水田はそう大幅にそれらを実施するということは不可能だけれども、この水稲に対する防除に対しましては、むしろ北海道のようなところよりも、本州附近のような、例えば人口が非常に密集しておつて、水田が一定のところにあるというようなところでありますと、実施には北海道よりもむしろ内地のほうが実施しやすいという面から、こういうことこそ私は何とか全国的にこうした面を徹底したがいいではないかと、こう思うのですが、北海道において実施されたそれらの内容或いは又それに対する今後の普及徹底方、その他に対する予算等についてのまとまつたものがありましたら、一つお聞かせ願いたいと思います。
  29. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 飛行機によりまするのは現在試験的にやつて見たわけでございますが、問題はやはり低く飛びませんと適切なところに撒きにくいというふうな関係がございまして、電線その他そういうものが相当張りめぐらされておるところでは、ちよつとやつかいな点もあるわけです。一回に飛ぶ飛行機にどれだけ積めるかというようなことによつて町歩当りのコストも相当上り下りがありまして、相当重くたくさん積むというようなことになりますると、低いところを飛びにくいというふうな、そういう制約もありまして、そこらは経済的に採算を十分とりました上で、果してどの程度のもので実際にできるだろうかというふうな点を今後とも検討して参りたい。それで非常に普通に撒くよりも安いというぐらいな数字が出ますれば、又それほど高くなくて、異常の場合には急速にやつたほうがいいと、そのぐらいの程度の値段の高さならばというふうな点も、それらを検討した上で結論は出したいと思つて、現在は試験的にやつて見ておると、こういうふうな状態であるわけであります。
  30. 上林忠次

    ○上林忠次君 今年の病害発生がひどいと、去年に比べて二倍或いは三倍になつておるというふうな病虫害がありますが、この被害程度というのは、これは今の作柄予想にはどういう工合に計算されておるのか、病虫害おのおの別々に、これで何十万石、これで何万石というような工合に計算されておりますか、そうでないのか。又この二倍、三倍の去年に比べて大きな病虫害発生したけれども、それは発生した数量であつて、これも最近はいい薬もできておるし、相当防除は徹底しておるということになりますと、その二倍、三倍は恐るるに足らずということになろうと思います。そこらが今の予想収穫高にどういう工合に組込まれておるのか。又先ほどもちよちよい話が出ておりますが、日本の農業で遅れておるのは病虫害の防除、これが遅れておる、発生するまでは知らん顔をしておる、最近は予察ということも行われておりますが、案外出てみないとこれを使わない。出て来るとなかなか防除はできない。特に病害のほうは薬もいい薬がないのでございます。農林省におきましては、もつと徹底的に出る前にこれを予防する、特に発生予察の付いたようなところは強制的にやらす、又やらないならば被害があつても農業災害補償を発動しないというようなところまで指導して行かないといけないのではないか。一番遅れておるのはこの防除でございまして、これで相当な増産ができるのではないかと私考えておるのであります。恐らく今年の収穫予想の中に、おのおのそういうような病虫害の種類別の減収というようなものは含まれておらんのではないか、漠とした数字ではないかと思うのですが、そういうような点をお問いしたいのですが。
  31. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 上林委員の御質問にお答えを申上げますが、今回り予想見積りには、被害面積としまして百七十五万六千四百六十町歩見込み、その減収量としましては四百三十九万七千石を見込みまして、別途御配付いたしました印刷物の中には、作柄のほう、取入れのほうの調査方法と被害見積ります場合の調査方法との、生育状態に応じました八月十五日現在のやり方が実は書いてございますが、その収量のほうと睨み合せて、被害面積減収量も差引いてあるのであります。その被害見積ります場合には、白井委員の御質問にもお答え申上げましたように、被害面積作付面積の、大分では二倍になつておる、福岡では二割五分増しになつておる、佐賀では三割六分増しになつておるというふうなことでもおわかりになりますように、風水害、早害、「いもち」、二化瞑虫、黒椿象、「つと」虫というようなふうに、被害原因別にそれぞれ調べまして、その重複部分減収量で重複しないようにしておるわけであります。又実はその表に書いてございますが、二種類の調査方法を使いまして、集団発生地域と散発する地域を以ちまして、集団地域については別に単に見廻るばかりでなしに、実測的な措置を講じておるわけであります。この実測する場合につきましても、白井委員にお答え申上げましたように、どういう形態の状況を呈しました場合には何割り被害かを程度別に当てはめまして、そうしてやつておるわけであります。
  32. 上林忠次

    ○上林忠次君 それで末段のもう一つの、農林省はもつと病虫害防除、薬剤の施用の指導ではこれを徹底してもらわなければいかん。先ほど申しますように、それをしないときは適当な時期に、こつちが命ずる時期にやつてないならば、大きな被害があつて災害補償を停止するというようなところまで行かないと、この薬剤の効果というものは出て来ないんじやないか、その辺に対する農林省の改良局の御意見は如何ですか。
  33. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 薬剤の防除につきましては、当初に平常防除というふうなもので、一定面積のものは府県のほうから市町村のほうへ割当ててあります。その分につきましては、府県のほうの補助金が付いておるわけであります。それで防除地帯に対してそれでやるようにという指導勧奨は十分できるわけです。法規的には防除命令が出せるというようなところまで行つておるわけですが、その面積は非常に少いわけでございまして、やはり主体になるのは異常発生というふうなことになると思います。で、異常発生につきましては、一部予備金的な補助費は持つておるのでありますが、到底それでは賄えないような発生が方々に起るわけであります。それを水害等の予算とからめて取つておる、こういう状態になつておる。その場合にも次に問題になりますのは、県のほうでは時期が適期なんだ、それでやらせたいけれども、片一方農民のほうから言うと、補助金は幾らくれるのかというようなことがきまらないと、農民のほうではなかなか本当に病虫害に対する観念が徹底していないために自主的に動こうとなかなかしない。どうしても当分の間は県が指導的な立場を取らざるを得ない。その補助金を農林省のほうへ要求されて来ましても、これは大蔵省との話がきまらない限り勿論その内示も何もできないようなわけでして、大体自分らの農林省の要求としては、この程度のものを大蔵省に要求するつもりだ、そうすれば君の所へはこのくらい行くだろうと、そのくらいの腹組みで、とにかく腹をきめて、若し査定を受けて足らなくなつた場合には県が背負うくらいのつもりでやつてくれというような形で今無理をして進めている、こういうふうな状態にあるわけでありまして、そういうふうな異常の発生に必要なそういう農薬の防除費というものが、もつと敏活に大体見当を付けて配付できるというような機構になつておりますれば、もう少し適期に予察を利用して、指導奨励によつても撒かせることができるのじやないか、こう考えます。最後的に防除の命令を出しまして、それで強制するような形は、できるだけ現在の共同防除の組織、器具等が十分に完備されておらないわけなので、そういうふうな意味からも、できるだけ指導勧奨によつて行くことが今の状態からいうと望ましいのではないか、こういうふうに考えておりますわけであります。それについてもやり方は、まだ防除組織がもつと整備されれば能率を上げることは十分にできるのではないか、こうまあ考えている状態であります。やはり現在は農薬の問題もさることながら、共同防除に必要な動力微粉器及び噴霧器というふうなものの整備が先ず第一に必要な状態になつている。それからセレサン石灰は今年から非常に使用せられておる。ホリドールについても去年幾らか出だしまして、今年大きく出だしたというふうな形で、農民のほうもこれに関する関心が逐次高まつておりまして、非常な変動期にあるわけで、それについては、できるだけ早く新農薬に応じたその効果をフルに発揮できるような組織に持つて行きたいと考えているわけであります。もう一つ、それと農業保険との関係につきましては、農薬がそういう状態になつて、農民のほうも大体増収を考えまして、幾らか危険があつてもそれだけの農薬ができたなら、これは少し「いもち」に対して危険な施肥量になつても、増収が大きければ敢行したいという空気が強まつているわけでありますから、それに対応したようなことは考えなければならないわけです。又それにこの保険の関係も十分関係は深いわけでございまして、それらの結び付きにつきましては、再検討をいたす必要はあろう、こう考えて、これは農業経済局長のほうと今検討中でございます。何らかの関係を、ここまで防除というふうなものが有効になつて来ますれば、何かの形で付ける必要はあろう、こういうふうに考えているわけであります。
  34. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 私は一番最初に、一体この新農薬を使うことにおきまして、防除或いは予防というふうなことで、やかましく食糧増産を言つておりますが、一体この農薬を使うことによりまして、農民の死亡した人がどのくらいありますか。或る程度まで年度別に一つ発表を願いたいと思う。この農薬を、まあこれは大臣にもあとで聞きたいと思いますが、農薬というものが進歩いたしましたときに、又一面において毒薬であるということから行きまして、これは非常に危険性のあるものでありまするから、この施用に対しましては最も指導が必要であると思うのであります。今までは農業倉庫の燻蒸等を行いまして、このホリドールにおきましても初めのうちには死んだ人もあるのであります。こういう問題は、これからの時代におきましては、農薬を使つて、使つたほうが悪いのだというような考え方では、これはいかんと思うのでありまして、この農薬に対しまして、私は先ほど来いろいろ御質問もあつたようでありまするが、中座いたしましたので或いは重複するかも知れませんが、共同防除ということ、或いは動力によりまして大きな噴霧器、撒粉器を使うということで、いわゆる共同的な、又或る一面から行きますれば、病虫害の駆除から行きますれば、一斉駆除ということをやかましく言わなければならんと思うのであります。この一斉駆除をするためには、零細農が個々に噴霧器を使つて、或いは部落によつて部落別にやると申しますけれども、耕地というものは必ずしも部落別にできているとは言えないのであります。交換分合もまだでき上らない今日におきましては、必ずしも農耕地が一定の場所に、部落の人がお互にやるとは申しながら、そうはいかんのであります。従いまして総体的の耕地、その地域の耕地を一斉に防除することによりまして、病虫害発生相当未然に防ぐことができると思うのでありますから、これを一斉防除をするためには、ただ部落団体や協同組合あたりの、普通のものを使いましては、ときに誤まりを生ずることもあり、その責任が明らかにならん。従いまして国といたしまして、そういう動力的なものを使い、一斉に駆除し防除するというような場合が今後はたくさん起ると思うのでありまするから、こういう点につきましては、その薬から、防除するのに使用する機械から、すべて国や県がこの機械を以ちまして一斉にやるということで、そういう技術者こそ今日の農村において一番重要だとも考えられるのであります。ただ防除技術員だけでなく、ほかの技術と併せまして、作物の栽培と併せまして、栽培上防除が必要であつて、防除の頭を持たせなければ技術指導ができんということまで今日地方では考えておるのでありまして、従いまして、そういう点に対しまして国がむしろ国の一つの仕事として、仕事としてというのはおかしいのですが、国の仕事としまして、これを一斉的にやつて頂くように、又国或いは県といつた官庁方面におきまして、これをやつて頂くようにする御意思があるかどうか。又そうすることが手取早くて無駄もなし、又一斉的な食糧増産の上から行きまして大きなプラスになる。無駄がないということになる。これを古い薬を使つてみたり、薬屋にごまかされることがあつてみたり、或いは無駄をしてあとに残してしまう場合があるのでございますから、一斉防除によりまして、それを一つやるような御計画がないかどうか。例えば季節的に、人間で言えば予防注射をするように一斉的にやつて行く。而もできたときに一斉にやればいいのであつて、或いは予防の場合には前にやればいいのですから、そういう御計画がないか。それには相当の人間がいなければいけないと思う。これは或る程度自動車で持つてつたりして、すつとやればそんなに人は要らないはずです。そして農民にもその知識を与え、部落的にやる場合もあるでしようが、最初は少くともそういう方法で指導しなければ、これは徹底せんじやないかと思われるのであります。又一斉駆除とか、防除とか言いましても、真にくまなく防除ができるとは言えないのであります。この点に対するお考えをお伺いしたいと思います。
  35. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 主に先ほどの農薬施用によつての死者の問題でありますが、これは最近出て来ましたところの有機燐剤即ちパラチオン剤につきましてのお話と思いますが、昨年の報告によりますれば、作業中の死者はないということになつております。本年は数県からその話がありましたので、いろいろ私のほうも聞いております。それから厚生省のほうとも連絡をとつて、そちらのほうも報告がどうなつているかというようなことを確かめておるけれども、まだ最後的なあれは出て来ておりません。私のほうも県の報告がまだ出て来ておらないので、口頭での報告ぐらいにしておりますが、大体多くのものは誤用によつて障害を生じておるという場合もございまするし、場合によると猫いらずと同様に自殺用に使つたという数字相当に入つて来ております。原因その他のほうも相当はつきりと、現場で医者その他のほうの意見も聞いて認定しませんと、はつきりしない部面も相当あるのでございますが、この程度障害が起つているということは事実でございますし、初年度に比べまして幾らか二年度は安心して使うという関係から、幾らかそれも減じておるというふうに現在推察しております。それらの被害というものは、只今お話のありましたように、共同防除をやつた場合には非常に被害は少いわけです、動力機を使つた場合。個人が手動式等を使つた場合に、かなりそういう障害は生じやすいという今までの傾向はございます。できるだけ今のお話通りに共同防除というものを徹底して行くというふうなことは、その面から見ても、それから病虫害防除の直接の目的からする点から見ても非常に大事なことであります。こう考えておるわけでございます。ただ併しながら国で全体をやるということについては現在のところは考えておりませんし、予算の措置もやつておりません。その県のほうでやるということもまだそこまでは考えておらないわけでございます。大体済んだところでは、かなりやはり村その他の単位で以て共同防除の進んだところでは、それで十分目的が達成されているような事態も相当出現しておるわけでございまして、現在の全体の制度がまだ十分に完備してないために、いろいろ不十分の点が多いために、只今お話のような徹底した考え方で一つやれというような考え方も出るのだと思うのでありますが、私どもの見方としましては、やはり農耕をやつておりますところの町村単位ぐらいでこの組織が整備されれば、県のほうでそれに対する十分必要な防除器具も予備的に備えるし、農薬のほうも準備できる。又県単位で或る程度十分調節が仕切れない分は国がその分を補助をするということも、制度が整いますれば、やはり町村単位でそういう仕事をやつて行くというやり方で十分効果は期待できるのではないかと、こういう考えの下に現在は予算を組んでおります。こういうふうな状態にあります。又そういうやり方であると幾らか整備が、おつしやるようなやり方と比べて整備が遅れるかも知れませんが、やはり或る程度人の補導に入つてやる。県や何かが勝手に主になつてやるということも、なかなか現実の問題としてはやりにくい点が多うございますけれども、職員としては改良普及員が防除の指導については非常に努力はいたしておるわけでありますが、それが直接すべての防除をやるという段階まではまだ入つておらないような状態で、今の建前といたしましては、やはり町村が主体になつてやる。県としましては普及員をしてこれの指導をやるべきで、徹底してやらせる。それから発生予察の機構を以て十分適期防除ができるような、そういうふうな指導をやるというようなことと、農機具、農薬等につきまして、或る程度村の者に対して十分な援護のできるような措置を講ずる。又いろいろそういう形において村を主体にしてやつて行けば成果が出るではないか。或る程度防除の思想が徹底したような地帯行つて見ますと、やはり農民等の要望としましても、大体村主体で、あと或る程度県、国のバツクがあれば、これは十分できるというところにも参つておりますので、まあ一応予算その他の建前といたしましては、共同防除は最も徹底してやらなければならんと思う。その主体といたしましては、やはり町村ぐらいのものを大体単位にしての考えで何とかやつて行ける。今言つたように急速にやるためには徹底的にしなければならんという御意見も出ると思いますので、私どものほうも、町村単位でもできるだけ制度を急速にできるように整備して参りたいと、こう考えております。
  36. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 私は決して農薬の費用まで国が持てという意味で話したのではありません。防除のことだけは少くとも国や県並びに村が提携いたしまして、それはただやるのは村或いは県でやるのでありますが、改良普及員の、お話にありましたようなそういう技術員こそこれは徹底せしめまして、それが村を廻つて歩かなければ、この病気の発生その他のことはわからんのであります。一番早く見付けるような人でなければならん。測候所のような人でなければならん。測候所というとおかしいが、そういつたものについては一番そういう技術がなければならん。こういう人が早期発見と言いますか、或いはそういうふうな意味におきまして、これを速かにやる場合におきましては、国が責任を持ちまして請負つてやる、早く言うならば、農民のほうは農薬の代金を最も安く仕上げて頂くようにお願いを申上げまして、共済事業と同じように、農薬を安く、要するに国が一定の期間にやりまして、その割当は一人幾らということでやるべきではないかというのが私の考え方であります。何だか農薬まで国のほうで持てというような話に、質問の仕方が悪くて聞えたかも知れませんが、これは農民に対して最も安く、最も有効にこの防除や予防をしてやることが、又そういうように指導することが、これが最も今重要ではなかろうか、そういう意味におきまして、これから改良普及技術員や何か大いに使いまして、そういう方面にこそ使いまして、有効に有益にやつて頂きたいというのが私の希望でありまして、これはできないことではないと私は思うのでありまして、村単位を以てやるといたしましても、こういうふうな方法でやりますれば、心ずやうまい方法ができるんじやないか、それによつて動力的な噴霧器や撒粉器も使うことができるようになり、それに対して補助も国のほうとしても十分できるでありましようし、その使つた農薬に対しても確実な補助ができ、無駄をしないでいいことになるわけです。大きく言えば国の財政の上から最も有効なる補助ができるということが一番いい、こう考えしまして、そういう考え方を徹底して頂きたいことと、もう一つ重ねて申上げますが、改良普及技術員に対しまして、こういうことをやる御意思があるかどうか一つ……。
  37. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 只今のは御尤もな御意見でございますので、国なり或いは県が補助をし、指導して、県なりが早期発見をやり、防除適期をきめて、それで十分な指導の下に計画的にやつて行くというふうな形に参るのが理想でございます。できるだけそのやり方としましては、そういう方向で歩むべきで、それによつて農民の負担も軽くし、被害も軽減するというふうなことは相当可能性はあるわけでございます。現在の機構としましては、発生予察の箇所が全国で以て五百数十カ所ありまして、予察員がおるわけでございますが、現実の今年あたりの状態を見ましても、やはりその発生予察の仕事自体と、それから防除の各種の計画を立てるような仕事と、その負担の割合を見ますと、大体最盛期になりますと、むしろ発生予察の仕事は二、三割になつてしまつて、却つてそういう防除の各種の計画を立て、農薬を計算し、又各種の指導をやつて行くというふうな仕事に相当な負担がかかつておりまして、予察自体が幾らか手遅れになるという傾向もございます。で、予察箇所も五百数十カ所ございまするが、場所によりましては平坦部と山間部、その他二ヵ所ぐらいの観察地点を持たなければならないというふうな場合等もございまして、そういうふうな点については、どうしても改良普及員にそこまでの技術を与えて、それで少くも予察員程度ではなくても、それの補助者として十分活動ができるというところまで技術レベルを上げて行くというふうな形を作つて参りたい、こう考えるわけでございます。防除の指導についても勿論、もつと高度な指導ができるように進めて参りたい、こう考えておるわけでございますが、その点についてはまだ十分なところまでは行つておりません。来年度においては、そういうふうな点について、是非予察員が予察以外の事業的な業務のほうに煩わされないでやれるようなところまでは、少くとも人の点について充実し又予察の職員或いは防除所の人たちともう少し、県々によつて連絡の密度は違いますが、一般の普及員との関係について、一般の普及員が早期発見或いは予察に対する助力という点についても、又防除の指導というような点についても、もう少し密接な関係をつけてやりますれば、おつしやるような点がもつと能率よく動き得るというように私も観察しております。そこらで防除所と改良普及員との関係がうまく行つているところもあるし、十分でないところもあるし、それから予察の職員が予察だけでなくて、ほかの業務に相当煩わされるというふうなことは全国一般的な形になつているのであります。予察員のレベルにつきましても、なお向上させなければならない部分相当あるようでございますので考慮をいたしたいと思います。そこらの制度はどうしても国として県と協力して、農民が最も能率よくできるようなところへできるだけ早く進めて行くというようなことが、ここにきく農薬ができて来まして、病虫害の防除の思想のほうも逐次徹底しておるような状態でございまするので、急速に非常に充実して参り、来年度の予算においても十分その点は考えてやつて参りたいと、こう考えている次第であります。
  38. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私の県では今年の春の苗代の虫害防除のためにBHCの三%のやつとホリドール等を配給して態勢を整えておつたのでありますが、ところがホリドールに対する恐怖観念も相当つて、ホリドールは使わないでBHCの三%のやつを使つた郡がかなり多いのであります。又ホリドールをそのまま保存しておいたという実例もあるのであります。二化瞑虫に対して、或いは「うんか」、或いは「いなご」の幼虫等に対しては、これはもうホリドールのほうが遥かにきくということは我々も十分承知しておるのですが、危険である。聞くところによると厚生省ではかなり強く、これを一般大衆が使うということは危険であるというので、厚生省と農林省ではかなり意見の開きがあるということも聞いておるのですが、この点をどういうふうに取扱つて将来指導されるか、この点についての御意見、それからもう一つは、この薬品に対しまして、相当今年の病虫害発生の現況から、農民は是非ともこれを防除したいというので、莫大な費用を各町村ともやつております。又農家個人でも非常に金を使つておる。これは政府予算の何倍になりますか、到底想像も付かんほど使つていることを私らは承知しているのであります。そういうふうな現況でありまするがために、本年のセレサンの製造が間に合わない、そうして特殊農薬会社でありますから、セレサン製造のところには踵を接して三日も四日も泊り込みで、或いは又予約を十日も二十日も前に予約しておいても配給が受けられないというような非常に忙がしいような、各方面とも大早に雲霞を望むほどに薬品を入手することに専念しておつた実情であります。これはよく改良局長さんも御承知のことと思いますが、こういうふうな情勢から、来年度においては、本年のような気候不順であるかないかはわかりませんが、いずれにいたしましても、農民が農薬を或る程度準備して、そうしてやろうという気心になつておりますことは隠れもない事実であります。こういう意味において十分にこれらを、セレサンや或いはホリドールについては、これらの危険なものをどういう施用方法をするか、そうして又危険をできる限り排除するような方法、それから又農民にこれらの十分な知識を与えて行くというようなことは大切な指導であると考えます。従いまして、これらに対して十分な御指導、準備をせられんことを切にお願いすると共に、もう一つは有効成分が、非常に忙しい製薬会社でありまするから、有効成分の含有量がどうかすると落ちるのではないかという私らは心配があるわけです。とても製造が間に合いませんから、いろいろな混ぜ物をして、そうしてセレサンにいたしましても、或いはBHCにしましても、相当の混ぜ物をして漸く有効成分の含有量を保つておるような実情でありまするから、若しこれが非常に間に合わん、需要を充たすことができないというような場合には、結局私は有効成分が漸次含有量が少くなつてしまうのじやないかというような心配をしておるものであります。こういう点からも農林省としては十分なる監督をして、安心して農民が使い得るような方法をとつてもらいたいと思います。私は粉薬については、撒粉器の補助は栃木県ではやつておらないのでありますが、どうもDDTにしても、或いはBHCにしても、とかくきかなかつたこれは進駐軍が初めて持つて来ましたDDTは非常にきいたのですが、その後殆んどきかなかつた、それで私は撒粉の農薬に対しては、粉薬については絶対にどうも信頼できないから、撒粉機の補助は栃木県ではやつてはならんというほどに私は主張して参りましたが、最近は粉薬にいたしましても相当有効なものが出て参りましたから、この点は解除いたすように話は進めておりまするが、いずれにいたしましても、有効成分の含有量が我々素人には、農民には殆んど全部わからない。従つて人間が飲む薬でさえも薬九層倍と言つて人をごまかしてどんどん金をとつておる現状であります。いわんや農作物に対しては、きくか、きかんかわからないというのが今日の現状でありますから、農薬会社に対する有効成分の含有量が果して適正であるかどうかというような検査を十分に厳重にやるような機構も私は大切だと考えます。どうか改良局長さんにおかれましては、この点について十分一つ御考慮願われんことを私は要求いたしまして質疑を終ります。
  39. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 只今のその有機燐剤の施用についての問題は、これは今年やはり二年目なので相当危険がなくなるのじやないかと思つて安心しておりましたが、こういう点も考えましたところが、やはり前年に比べましてそういう傾向が強いようでございますので、先ほども森田さんの御質問にお答えしたような状態でございますけれども、まだ県及び厚生省等のそういうような調査が口頭その他では時々来るのですけれども、正確なものが出て来ておらない、こういう状態なのであります。これはそれを十分に吟味した上で、厚生省ともそれらの指導のやり方につきまして十分再検討をして遺漏のないような形に持つて行きたい、こう思つておりますから、我々のほうとしましては、これはどうしてもその施用については改良普及員等の指導があれば、それはできるという形でないと、実際農家でこれだけ有効なものが施用できないということは農家にとつても有難くないことでございます、ので、そういう線で、それで面も被害のないような形で、どうやればできるかという線で話合を進めてみたい、こう考えておる次第でございます。それらの施用の仕方につきましては、かなりパンフレットその他県の試験場というようなところで注意事項等も十分書いたものがあるのでありますから、大抵が失敗しておるのは、その注意のいずれかに該当しない、誤用しておる、不注意であるというものばかりで、それをはつきり証明されるものばかりでございますので、先ほども森田さんからお話がありましたように、共同でなくて個人でやつているというのにそういうような障害相当出ておるというような状態でございますので、共同防除を徹底すればそういうような危険は相当軽減できると思いますので、又個人の場合でも、十分注意して使わせるような指導の徹底が望ましいので、これについては十分考えて参りたい、こう思います。又セレサン石灰につきましては、これは薬害等は西日本の各県等で以て試験をやりました、昨年の試験でございますので、結果は、大体現在六倍乃至十一倍のものを奨励しておるわけです。セレサン石灰の倍率、それらのものは六倍のものでも十一倍のものでも、従来のホリドール液その他に比べますれば薬害はずつと落ちますし、大体において人体に対する障害はないというような、人体に対する障害は勿論ないというような、こういうようなことでございまして、各県々によりましてセレサン石灰の試験が十分進んでおる、或いは試験が行われたけれども、割合に成果が従来のものに比べて大きく出なかつたというような所においては、まだセレサン石灰を大きく奨励をしない所もこぎいますが、やはり西日本中心といたしました各県では、もうセレサン石灰でなければならないというような工合に農民のほうでも考えておるような状態でございますので、今年はそういうようなことでセレサン石灰が大きく使われたという形なのであります。これは来年度においては、殊にセレサン石灰、これらは生産の形態において備蓄を殖やして、そうして農民の要望に十分に応えられるような処置をとりたい、こう考えております。それから又農薬の検査の問題につきましては、登録の場合に勿論厳密な検査をいたしますが、そのほか市中にありますもの、メーカーの所にあるものについては随時抜取検査をやりまして、それで果して登録通りのものであるかどうかというような点は農林省のほうでもやつておるわけでございますので、今年度やりました成果では、これらのものにつきましては今のところ登録したものと別な内容になつておるというようなことはまだ発見されておりませんので、それは農民のほうも一番心配するところでございましようから、殊に最盛特等で、それで農薬がどんどん出て来るような場合、得てしてそういう農薬が確保しがたいような危険のある場合には、特に私どものほうも督励して、量においても、やり方についても注意深くそういうような検査は実行して参りまして、御希望に副いたいと考えております。制度的には一応今のやり方で徹底してやればできることになつております。こういう状態でございます。
  40. 河合義一

    ○河合義一君 ホリドールのことにつきまして、私は過ぐる、いつであつたか、委員会でこれは植物防疫課長であつたか、間違つておるかも知れませんが、お尋ねしたのであります。それは昨年度よりも今年度はホリドールを十四倍使うということを会計課長から私予算についての説明のときに聞きましたので、昨年でも相当被害者がありましたのに、十四倍も使うということになりますと、又被害者が殖えるので十分注意をせねばならないということを私は申上げたのであります。ところが今申上げました防疫課長ですか、よく覚えておりませんが、極くたやすい答弁がございまして、そう注意する必要はないというような意味の答弁でありまして、私はその答弁を聞いて実は憤慨したのであります。そうしてもう質問を打切りました。只今改良局長からいろいろ聞きますと、それに対して非常に丁寧な御答弁がありまして私は心中喜んでおつたわけです。私は兵庫県でありますが、昨年も死人があり、本年もあつたように聞いております。新聞の記事があつたのですが、それを私切抜いて持つて来ようと思つたが、それを忘れてしまいましたが、多分これは事実だろろと思う。全国的にこれは御調査を願いまして、今まででも十分手配なさつておるのでありますが、それ以上に一つつてもらいたいということを私は希望いたす次第であります。今までの答弁を聞きますと、私は実は腹が立つてつた。だから速記を見てもらうとわかりますが、一度改良局長に見て頂いて、今後は十分周到なる注意をして頂く。このことをお願いいたします。
  41. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 事は人命に関することでございますので、これはもう一人、二人といつても、これは非常に尊いあれでありますので、私のほうはそういう点については特に注意深くやらなければならんと、それでまあ農民の要望も強いので、一応普及員の指導によつてやりたいという線は崩したくないのですが、それを如何にしで被害を食いとめるかというふうなことについては、特に注意深く厚生省とも打合せて参りたい。御希望に副うようにやりたい。こう考えます。
  42. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 本日の委員会はこれで散会いたします。    午後四時三十二分散会