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1953-07-20 第16回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十日(月曜日)    午後一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            上原 正吉君            竹下 豐次君    委員            白波瀬米吉君            松本治一郎君            松永 義雄君            松原 一彦君            野本 品吉君   政府委員    内閣官房長官 江口見登留君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    行政管理庁監察    部長      山中 徳二君    法務省入国管理    局長      鈴木  一君    外務大臣官房長 大江  晃君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件行政管理庁設置法の一部を改正する  法律案内閣送付) ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣送付)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) これより内閣委員会を開会いたします。  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 松永義雄

    松永義雄君 提案理由説明の中の第五、これは刑事問題と思われるようなときには検察庁意見を述べられるというふうに解釈していいですか。
  4. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) さようでございます。犯罪があると認められました場合には検察庁のほうへ連絡します。
  5. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると監察を行う行動は刑事訴訟法の捜査というような意味になりますか。
  6. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 私のほうのこの第五の綱紀問題の関係は、行政監察実施いたしました際に、綱紀問題に関連するようなことがあつたと思いましたときに、それぞれ相手方機関連絡をする、こういうことでありまして、そういう犯罪事件というようなものを対象におきまして監察実施するのでございませんので、行政運営の面から見まして、それぞれの施策がどういう点で改善をし是正をしなければならんかという点を見て行きます。この途上におきまして綱紀上の問題に触れましたときに、ここにございますような措置をとる、こういうことでございます。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 今の答弁はつきりしないのですが、それでは犯罪ありと認めたときは検察官のほうへは先ほど意見を述べると、こうおつしやつたのですが、そうしないということなんですか、その点は排除されるということになりますか。
  8. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 監察をいたしました際に、これはどうもはつきり犯罪があると思われました場合には、もうこちらの設置法規定の適用によりませんで、刑事訴訟法によりまして検察庁のほうへ連絡する、こういうことでございます。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと今の答弁は本当に法律的な答弁ですか。
  10. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) さようでございます。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると監察官刑事訴訟法によつて行う、こういうことになると、何か告訴とか告発とかなさる、こういうことですか。
  12. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 刑事訴訟法関係監察官に限りませずに、公務員といたしまして犯罪事実にぶつかりましたときには検察のほうへ通報するということになつておりますから……。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 よく相談して答えて下さい、答えられなければよく考えて相談してやつてから答えて下さい。
  14. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) どういう点ですか。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 監察官犯罪ありと認めたときはそれを告訴なり告発する場合はこの規定によつてやるのではないと、こういうわけなんですか。
  16. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) さようでございます。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 さつきの答弁食違いがありますから、どつちが正しいか、後者のほうが正しいということになるのですか。
  18. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 犯罪ありと認めました場合には、刑事訴訟法によりまして処置するのでございまして、この法案の第五の関係機関に対して綱紀を維持するために意見を述べる、この意見を述べます場合には、必ずしも犯罪ということでなくても、綱紀上如何かと思われます事態がありますれば、これを連絡するわけでございます。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 提案理由の第五の説明では、「それぞれ関係行政機関の長に連絡し」というのはこれはどういう意味ですか。
  20. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 綱紀問題を維持いたします場合には、人事権発動によりまして、事態によりまして或いは懲戒処分に持つて行く、或いは懲戒処分にならんでも人事処置するいろいろな問題があろうかと思います。従いましてその事案が起りました場合に、先ずその対象行政庁任命権者であるその機関の長に連絡いたしまして、その任命権者人事管理上の権限発動を待つ、こういう意味でございます。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると関係のない行政官庁には連絡しない、即ち例えばA省の内部で問題になつて、そうしてそれを監察の結果発見したものは、そのA省長官だけには連絡するけれどもそのほかには連絡しない、こういう意味ですか。
  22. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 差当り事態を速かに先ず任命権者連絡するわけでありますから、只今の場合でありますと、人事権を持つておりますA省の長に連絡するということにいたしたいと思います。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 只今答弁はつきりしないのですが、それだけか、そうでないかということを聞いておるのです。
  24. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 差当りはその機関の長だけでございます。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 差当りというと。
  26. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) その任命権者連絡をいたしまして、或いはその措置が十分でないとか何とかいう場合がございますれば、或いは人事院というようなものに連絡するということも又先の手としては考えられるわけであります。差当り関係行政機関の長に連絡する、こういうことに考えております。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると人事院だけに連絡なさるということになるんですか、ほかの省には連絡なさるということがあるんですか、ないんですか。
  28. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 綱紀問題の処分人事上の処置で足りると思いますので、その関係しております職員一つの省の職員でありますれば、その当該機関の長に連絡することで十分じやないかと思います。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 最後の答弁でわりかたはつきりしたのですけれども差当り任命権限のある長官連絡し、更に人事院まで行く、こういうふうに……。
  30. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 私どもといたしましては関係機関意見を述べまして処置をとつてもらうわけでありますので、関係機関の長で私どもの注意に対しまして適当な処置が講ぜられるものと期待しておるのであります。
  31. 松永義雄

    松永義雄君 この査察というのは職員のところへのみ、或いはその職員関係している場所だけの査察をなさるのですか。人民である第三者までもこれが査察を及ぼして行かれるのですか。
  32. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 監察をいたしますのは行政機関業務運営状況が直接の対象になるわけでありまして、これを監察いたします場合に、関係行政機関なり、従つてその職員につきましては、その仕事をやつて行きますに関連いたしました必要なことの調査対象としていろいろのことを、資料提供を求めましたり質問をしたりするわけでございますが、その仕事に関連いたしましてやはり人民と申しますか、一般関係者に対しまして資料提供等を頂いたほうが監察の結果を裏付けするのに適当であると思います場合には、関係機関以外の他の者に対しまして監察上の協力をして頂くということでございます。
  33. 松永義雄

    松永義雄君 提案理由説明にある、一般関係者に対する場合と同様、この一般関係者というのはどういう意味なのですか。
  34. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 一般関係者と書いてありますのは、現行法の四条の第三項に、「長官監察上の必要により、公私団体その他の関係者に対し、」ということを指したものでございまして、直接この監察対象になつております行政施策に参加しておりますもの、或いは補助業務を実行しておるというものと区別いたしまして、その他監察対象になつております行政施策関係のあるもの、こういう意味でございます。
  35. 松永義雄

    松永義雄君 具体的にお聞きしたいのですけれども、例えば公共事業の請負をやつておる人の工事場まで行つて、そういうところも実地調査するということがあり得るのですか。
  36. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) ちよつとはつきりしませんでしたが……。
  37. 松永義雄

    松永義雄君 例えば公共事業について、その事業を請負つておる者の仕事現場まで行つて調査するということが、そういうこともあり得るのですか。
  38. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 必要によりまして現場に参りまして調査をいたします。
  39. 松永義雄

    松永義雄君 そういうことになると、曾つて経済査察庁の時に査祭官が何か許可証みたいなものを持つて行かなければその工場に入れないとか、或いは現場で調べることができないということになつてつたのですが、今度は自由に入れるということになるのですか。
  40. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 監察をいたします場合には、特にそういう民間事業場等に参ります場合には協力を求めるわけでございますので、こういうところを監察いたしたいからということを連絡いたしまして、協力を得てその場に臨むわけでございます。
  41. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると同意又は協力がなければ中に入つて監察官調査することができない、こういうことになるのですか。
  42. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) ここにもございますように「公私団体その他の関係者」、一般の場合につきましては協力によりまして調査ができる、こういうことでございます。ですから監察をいたします場合、民間の会社或いは事業場等でどうしても協力を得られないという場合には強制的に調査するということはできないわけでございます。
  43. 松永義雄

    松永義雄君 それから先は意見の相違になるかと思いますが、それで調査が徹底できますかしら。自信がありますか。
  44. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 私ども監察主体行政機関でございますのと、これを実施いたしますことによりまして行政やり方がよくなるということで、それぞれ当該機関或いはそういう事業場等に直接監督権を持つております役所なりその他の仕振りを見て行くということでありますので、それらの関係機関協力を得て実施いたしますわけでありますので、私ども監察趣旨を十分に御了解願えますれば協力を願えるのではなかろうかと存じております。
  45. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると都合が悪いと思えば拒絶することができて、悪いところは隠してしまうということができると断定してよろしいでしようか。
  46. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 私ども協力に対しまする連絡なり趣旨了解を求めましても、どうしても願えないという場合には或いは抽出検査でありますので、他の類似の対象機関を選ぶとか、或いは直接その機関に対しまして業務上の監督権を持つておる機関から資料をとるというようなことにならざるを得ないかと思いますので、成るべくそういう支障のないように進めたいと思つております。
  47. 松永義雄

    松永義雄君 そうするとよその機関で、公共事業の場合に自由に立入ることのできる権限を与えられておる役所がある、こういうことになつておるのですか。
  48. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) この公共事業なり事業をやらしております契約の相手方になります役所というものは、当然その工事監督権検査というような点から、その事業に立入り事業実施状況監督し得る立場にある、こういうこともあり得ると思つております。
  49. 松永義雄

    松永義雄君 僕の聞いておるのは監察及び検査をすることのできるということを聞いておるのではなく、現場に立入ることができるかということを聞いておる。そういう権限が認められておる法文がありますか。
  50. 山中徳二

    府政委員山中徳二君) 只今申上げました公共事業実施させております事業主体というようなものは、当然実地に自分で監督ができることになつております。
  51. 松永義雄

    松永義雄君 事業主体という意味はお役所という意味ですか。
  52. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 役所の場合でございます。府県がやらしておりますときには、府県というものがやらしておる事業につきましては、府県実地調査ができるわけでございます。
  53. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると提案法律案の場合には、同意又は協力を求めなければならない、同意又は協力を求めれば、同意する、或いは協力する機関、お役所現場に立ち入つて検査なり、或いはその結果として監督することができるということになるのでしようか。その権限のあるお役所同意又は協力しなければ、結局この提案になつておる監察はそこで足ぶみしなければならないということになるのですか。
  54. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) これは国の機関が直接やつております国の行政機関業務につきましては、協力ということでなく、実地調査することができるわけでありますが、第二条の十二号に該当いたしております委任業務、或いは補助業務等につきましては、当該行政機関協力と申しますか、こういう監察をやるのだということの了解を求めるということで十分と思いますが、その協力を得て実施する、こういうことになつております。
  55. 松永義雄

    松永義雄君 僕の質問しているのは、当該事業主体同意又は協力しないときは、只今提案になつておる法律案監察は足ぶみすることになるのじやないか、イエスか、ノーかというのです。説明なんか要らない。
  56. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) どうしても国の行政機関じやない場合におきまして、公共企業体とかその他というふうな場合、お話のような場合には足ぶみせざるを得ない、こういうことになるわけであります。
  57. 松永義雄

    松永義雄君 それから先は意見になると思うのですが、それじや調査が徹底しないじやありませんか。格段の場合にも調査ができないことになるのじやないですか。
  58. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 私ども行政監察の目的が行政運営改善であり、これらの各行政機関もそれぞれ行政運営改善をするということの熱意においては、毫も変るところはないものと思います。私ども行政監察趣旨連絡し、その改むべき点を相協力して改めるということでありますので、私どもの従来のやり方経験から徴しましても先ず当該機関協力を得られるものと確信しておる次第であります。
  59. 松永義雄

    松永義雄君 何か只今答弁によると、道徳的な考え方が入つておるようでして、その主体事業自体改善熱意を持つているというなら、何もこんな法律を出す必要はないじやないかという結論になりますが、まあこれは言葉のやりとりで水かけ論になりますから答弁を願わなくてもいいのですが、法律というものはそういうものではないので、そういう必要があればこそこういう規定をおくのだ、併し足ぶみをするという或る限界があるのではないか。何も欠点もなければ、それに携わる人がいい人なら、何も好んでこんな屋上屋を架する必要はないじやないかという議論が出て来るのですが、大野木さんどうですか。
  60. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 御承知のように行政管理庁の主として対象といたしまするのは各行政機関でございますので、それらの行政機関に関しましては、勿論只今協力云々ということはなく徹底して監察ができるわけでございます。ただその行政機関監察をやりまするのにつきまして、裏付調査として公共企業体でありますとか、その他補助とか委任とかいうような関係にありますものの業務状況調査をするという場合に、只今おつしやつたようなことがあり得るわけであります。つまりそれらに対しては、その行政機関協力を得て調査をするということになつておりますので、法律的には只今おつしやいましたような歩留りがあり得るのでございまして、私どもといたしましては、只今部長が申しましたように全体として行政運営改善のためでありますから、行政機関がそれに対して協力をしないということはあり得ないという期待を持つているわけで」ざいます。
  61. 松永義雄

    松永義雄君 曾つて経済査察庁査察官かというものを設けたときに、これは相当問題になつたのですが、強力に行かなければ実効を奏しないという規定になつて、それで国会に審議されたから念のために私言うたのですけれども、まあその点は一つ水かけ論だから終りにして、もう一つ別な点をお尋ねしたいと思うのですが、監察の結果仕事の上に欠陥がある、或いは別に悪意でやつたことでない、善意ではやつておるがもう少し知恵を出したらいいのではないか、或いは意見も聞いてみたらどうかといつたような結果になる監察もあろうかと思うのですが、そうした結論を得られた場合には、これは勧告するとか、どういうことをなされるつもりですか。
  62. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) お尋ねの点につきましては、結論から申上げますと、同法の助言は勧告するわけでございますが、いろいろはつきりいたしております点もございまするし、或いは一つ仕事やり方については観点が幾つもありまして、一つ観点からはこうやつたほうがいいけれども、それでは他の観点からは又別のことがある。例えて申しますれば、郵便物の運送というような面につきまして、経済的にはこういうふうにやつたほうがいいということがありましても、或いは郵便物安全輸送という点からはそうばかりはいえないというような議論の点があろうかと思いますが、これらにつきましては、私どもやり方といたしましては、一応全国的ないろいろの資料に基いてそちらの意見を求めて、その結果中央におきまして更に最終的に相手方と討論をいたしまして、その結果相手方の納得いたします事項も出て参りますし、或いはどうしても意見が違うというような場合も出て来るかと思うのでありますがそういう手続を経まして最終的に改善対象といたしました事柄は、これを取りまとめまして相手方に勧告をする、こういうことになつておるのであります。
  63. 松永義雄

    松永義雄君 大野木さんにお話するとよくわかると思うのですが、例えば土木事業機械を輸入するという場合に、外国の優秀な機械を輸入して使つたら非常にそれが楽になつた、これは小河内のお話ですけれども、そのように現在技術導入だとか、いろいろ大切な外貨を使つて外国から技術を輸入しておるわけですが、この監察という言葉只今お話によると人そのものが悪くて、これをよくするというためにはそこに深い智能が必要になつて来るのではないかと思うのですが、一体監察庁といいますかそのお役所組織はどうなつているか知りませんが、そういうところまで行く自信を持つておられるのですか、どうでしよう。
  64. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) その点につきましては、監察に従事します職員の教養と申しますか、質と申しますか、そういう点が非常に大事なことは私どもも十分に考えております。長官も常に監察強化ということは法律的な権限強化もさることながら、監察実地に従事する者の能力を高めるということが最も大切であると言つておりますので、そういう点については今後とも研修その他いろいろ努力をいたしたいと思つておりますが、只今におきましては、一応のところ例えば機械でありますとか或いは又土木でありますとかいう方面の専門知識を持つている者もおりますので、大体監察部といたしましては監察部長の下に参事官が五人おりまして、それがそれぞれ従来の経験出身その他を勘案いたしまして、各省を分担いたしております。機械等に関しましては機械出身参事官が担当するという行き方をいたしております。
  65. 松永義雄

    松永義雄君 どうも只今答弁で、甚だ失礼ですけれどもどうも安心ができないのですが、監察というとこう何だか知らんが昔の監察官といつたような感じが出て来るのです。何かこう悪いところだけを探して歩くという感じが出て来るのですが、ところがお話を聞いていると一つ欠点或いはそれが欠点でなくても、もつといい考えがあればもつといい考えを注ぎ込んで行くのだ、そこまで進んで行くのだ、こういうお話であればその組織なり人的関係というものは相当広範にして深いのでなければならない。殊にこれはやはりペダンチックになるということもないと思うのですが、最近科学の進歩というものが非常に強調されておる、日本経済建直しのために科学が必要だと、こう言われておりますが、これだけの法案提案理由説明なりこれだけの人員で満足できるという自信がおありなんですか。それとも将来どんどんどんどん拡大して行つて、そういう研究をやつて具体的に指示して行くという熱意を持つて行かれるのか、その点をお聞きしたい。
  66. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 仰せのように今の監察でやつておりますのは、いわゆる非違の摘発という点に偏しないようにというふうに考えておりまして、むしろ各省協力して、いわゆる各省行政運営の補完をして行く、ともども研究をしたり第三者の眼から見て是正すべき点を是正するというようにして一緒になつて行政改善して、それによつて国費の節約も図つて行こうというような立場をとつております。又見方によりましては、そのやり方は非常になまぬるいという非難もあるのでありますけれども差当りの我々の建前といたしましては、只今申上げましたような行き方をしようと考えております。従つて只今お話にありますような知識とか技術とかいう面に関します指揮権その他非常に大事な問題でございますので、私どもといたしましては、只今も申上げましたようにできるだけ研讃をいたしまして、そういうような期待にそい得るように腕を高めて行きたい、こういうふうに考えております。
  67. 松永義雄

    松永義雄君 もうこれでおしまいにしたいと思うのですけれども、僕も或るかたから聞いたことなのですが、とにかく一般会計予算の中で研究費が非常に少額であります。科学技術審議会とか何とかいうお役所がありますね、お役所か、お役所みたいなものが。あれが非常に予算が少くて研究調査が徹底しない。まあそれがために、衆議院でも相当考慮されたかたがあるようなんですけれども、この提案理由を見ると何か悪いことをしておるやつを、それだけを指摘して行くというようなふうな感じが強く与えられるのです。実際そんなことでは日本の復興はできないので、積極的に新しいアイデアを副えるということをしなければならん、まあ一つそれだけの熱情と気魄を以てやつて頂きたいと思います。
  68. 竹下豐次

    竹下豐次君 ちよつとお尋ねいたしますが、この改正案の第四条第四項の場合と、五項の場合を比較いたしまして、これは松永さんの御質問の中に或いは包含しておつたかと思いますが、四項の場合には当該行政機関協力する必要がなく、調査したいと思えば実地監察部から行つて調査することができる、こういうことになつておりましたね、五の場合には行政機関協力してやらなければならないということになつておりますので、協力をしない、それをやめてもらいたいということを当該行政機関意思表示をした場合には、書面による調査実地による調査もできないというふうになるのじやないかと思いますが、そう解釈してよろしうございますか。
  69. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 非常に法律的に読みますればお説のようになるかと思います。
  70. 竹下豐次

    竹下豐次君 それから四の場合と五の場合、つまり行政機関業務について調査する場合と、第二条第十二号に規定するつまり公共企業体等監察する場合と、一方はその承諾を要するけれども一方は承諾を要しないというふうに別な取扱にされる理由はどうなんですか。
  71. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 第五項の実施しまする場合は、権限の範囲といたしまして現行法改正でも同様でございますが、第二条の第十二号という規定がございまして、これは現行機関調査いたします場合には、国の行政機関監察に関連をして実施をするためにその点の調査実施いたします場合に、私ども監察に臨みます趣旨が国の行政機関監察行政管理庁としては行うということになつております。従いまして、これらの機関につきまして、直接監察をいたしますことはやはり国の行政のならせ方といたしましては、或いは二重監督というようなことになります。それらの関係行政機関監督が適切に行つておりますれば、それで実は監督監察をしないでもいいということになるわけでございますので、筋道といたしましては、これらの行政機関監督振りなりが十分行つておるかどうかということを狙いますことが、監察実施いたしまして行く他面、行政運営の流れを乱さないということになるわけでございますが、併し又一面、何分にもこの十二号にございますような業務につきましては、いろいろ問題も多い対象だろうかと存じます。従いまして、この事項につきましては、特に普通の調査よりも相手方協力を得まして、書面又は実地について詳細に調査いたしまして、そうしてそれらの当該機関監督振り、指導振りが十分であるかどうかということの裏書きにいたしたいと、かような趣旨でございますので、やはり第四条の四項の行政機関の場合とは監察を行なつて行きます筋が違いますので、そのようにならせ方を変えました。
  72. 竹下豐次

    竹下豐次君 二重監督の点をお考えになつておるようで、それは一応御尤もだと思いますが、その議論行政機関の出先機関調査ということについても同じことじやないかと思つておりますが、この間私質問しましたときのお答えでは、そういう場合には、出先機関には直接監察部から行つて監察することができるのだという御説明がありましたが、ちよつと調子が合わないような気もします。
  73. 山中徳二

    政府委員山中徳二君) 私ども出先機関も勿論調査実施するわけでありますが、実施いたします場合には、やはりその中央の方針に基きまして一体として動いておると、その一体として動いておる出先機関が実は中央の方針なり施策なりにずれてやしないかというような観点から、地方の支分部局を見るということになりますので、かような場合におきましても、これは中央地方一体としての監察眼の下に実施するつもりであります。又実際の問題といたしましても、地方だけ切離すということでありませんで、地方を見ます場合に、地方がさような動きをしておりますことは、中央の出先として一体的に動いているかどうかということが、監察の何といいますか出発点になるわけでございます。その点は、地方と申しましても中央と一体としての地方という意味監察実施いたしておるつもりでございます。
  74. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほどお答えのうちにありましたが、この二条の十二号に該当するような団体等の場合においてはいろんな問題も多いのでということでありました。それだから私しつこく申上げるわけであります。それを逆にお考えになつているのじやないか。非常にやりにくい、むずかしい、うるさいところだからまあ問題の起らないようにやつて行こうというようなふうの心持が潜在しておるのではないかということを私は疑うのです。甚だ失礼ですけれども、それでは本当に私は監督はできない、監査はできないのではないか、こう心配するのです。この間私は今度の新らしい改正案においてどの点が強化されておるかということをお尋ねしましたが、各条項について大野木さんから御説明を承わりましたが、あの御説明を承わりましてもどうも私は余り強化されておるとは思えない、どの点も。第一、この第三項に書いてあるのは現行法の四項と同じことです。それから四項の「長官は、監察を行うため」云々、これも実際やつておられること。それから5がちよつと違つております。5は現行法の十二号、あそこのところに似寄つたことになりますが、「書面により」というところが違つておるというくらいで、これは「当該行政機関協力して、」そうして「調査することができる」、これも実際やつておられる。それから六項は現行法と同じこと。七項は新らしい規定でありますが、恐らく現在までも長官は問題をお調べになつたあとで勧告を当該行政機関にされる、その場合には「その勧告に基いて執つた措置について報告を求めることができる。」という、現行規定はないけれども恐らく相当の御返事があつておるはずだと思います。これをされずにおかれるはずのことではないと思う。相当大部分返事しておられるということになれば、この条項も今までやつておることをただ条文に表わしたということのほかに大した意味はない。ただ、今まで義務的に法律で受身の長官に、義務はなかつたけれどもそれを法律で負わせるということではつきりすることにはなりますけれども、今日まで相当にいい加減なこともせずに返事しておられたという実績があるならば、そう法律に書き改めた格段な強化というふうには受取れない。その次もやはり同じようなことで、「内閣総理大臣に対し、関係行政機関の長に所管事項の改善を指示するよう意見を具申することができる。」これも恐らく内閣総理大臣にはあなたのほうとしては相当の意見も具申しておられるだろうと思つておりますが、これは聞いて見なければわかりません。遠慮して或いはそこまでおやりになつていないかどうか。おやりになつておるとすれば、やはり第七項についてと全く同じ理由で、余り現在の状態がこの条項によつて強化されるとも思わない。それから9もやはり関係行政機関の長に対し、これに関し意見を述べることができる、これはお述べになつておるわけです。この規定つて強化規定ということでなくして、実際のことをそのままに条文にしかつめらしくお並べになつたということにしか過ぎないので大した意義はない。そうすると、何が一体どこに、強化するとおつしやるけれども、どこに強化されておりますか。残る問題は私は5の問題が主だと思う。これが直接あなたの方で強力に監察するはつきりした条文に変つて行かない限り、殆んどこの改正の必要はないじやないか。而も各行政機関に対する監察よりも一層遠慮して手を出ししぶつておられるのがこの五項の規定です。そう考えてみると一体何が強化だという気持がしてならないのですよ、私は。これを各行政機関協力するということは、政府内部の内輪の仕事としておやりになればいいことです。そんなことを何も法律に謳う必要はない。同じ総理大臣の下にあるのだから協力するということでできることじやないか。それは書いたつて邪魔にはならないようでありますが、解釈のしようによつては、これはもう協力するのはいやだ、君の方で手を出してくれるのはいやだからやめておけと言えば、どうにもならない。先ほどのお答えのように法律的にはそういうようになつておる。こういう条文をはつきりお書きになるがために、却つて監察部権限を弱める規定にこそなれ、強化する規定にはならないじやないか。協力しなければならないとか、求められたときには行政機関はそれに応じなければならないという規定があれば、これは意義がある。併しこれで見るとあなたのほうが働きかけ各行政庁は受身になつておりますが、受身のほうが強い関係になりはしないか。受身のほうの官庁の意思一つによつてきまるものであります。この間もちよつと申しましたが、この間名古屋に行きましたときに聞きました一つの例を申しましても、県庁がどうも乗つてくれないというような事例がある。これは行政管理庁は別ですけれども実際やはり同じようなことが起つて来るのじやないかと私は思うのであります。で何とかこれをそう遠慮なさらないで、もちつと力強い権限を持ち得るような条文にお改めになつたほうがいいのじやないかという意見を持つので、甚だ申上げるのにちよつと気が早いかも知れませんけれども、そういう気持がいたします。どれを見ましても強化されておりません。新聞には非常に大きく出ておりましたよ。まあ新聞の記事をどうというのじやありませんが、たびたび申しまするようにしつかりやつてもらいたいという気持があるからこういうことをくどくど申上げるのでありまするが、先ほど来、強行策に対する私の想像を交えたことを申しまして、意見がましくお尋ねいたしたのでありまするが、若し私の考えが違つておる点が実際ありましたらその点を又はつきりして頂いたら、私の考えも改めることができるかも知れんのです。どうぞ。
  75. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 只今お話がございましたように、まあ従来やつでおつたことを法律に書いてあるに過ぎないじやないかとおつしやいますと、そういう部面も相当あるのでございますけれども、併しやはり法律的に規定いたしますということは、それだけ権限としてはつきりいたしますので、それだけ強化されたと言い得るのではないかと考えておる次第であります。大体今度の改正考え方は、今まで事実上やつておりましたことを肯定いたしまして権限をはつきりするということ。それから例えば七項、八項のごときは、先ほどの協力云々お話と同じような工合で、法律的にはそれがけ強まる、法律規定をいたしますれば、まあ勧告の場合でも従来は必ずしもそれに対する回答の義務はなかつたのが、これで義務付けられるというようなことになりますので、従来よりは強まつたというふうに考えております。ただ監察の範囲につきましては、このたびは特に今までよりも広めるということをいたしておりませんので、ただその調査の方法等を法律ではつきりいたしたという程度でございまして、只今お話の五項関係につきましては従来よりも範囲としては出ていないわけでございます。これにつきましてはいろいろ意見もあつたのでございますけれども、御承知のようにこれらの対象となりますものは、政府関係機関であるとか或いは又地方公共団体であるとかいうようなものでございますので、それらの一方においては自立性を相当尊重しなけはばならないと考え、又一方においては例えば公共企業体なんかに対しまする大蔵大臣の従来ありました監督権限なんかも、一部においては外すというような状況もございますので、それらを勘案いたしまして、従来やつておりましたことを権限として規定するという程度にとめたわけでございます。
  76. 竹下豐次

    竹下豐次君 只今お話の七、八、九あたりに対しましても、ここにお書きになるのが悪いということを私は申上げるのではないのであります。それはおわかりだろうと思つております。幾らかはつきりしているという形になりますけれども、幾らかプラスになりますけれども、これは併し書かなければ書かなくたつて大したことはないのだと、こういう意味にお考えになるのほかないのじやないかという。  それからまあ自治体等なんかについて、いろいろ自治体の本質について考慮しなければならないということをこの前も伺いましたが、それは自治体その他の団体が正しく行動するということを前提にして考えなければならない考え方だろうと私は思うのです。この間も説明が会計検査院からあつたように、あんなにひどい手を抜いた工事などをして、この間も申しましたように、私から言えば犯罪を構成している例が相当多量にあるだろう、そういうふうなことをやつておる。この際にただ自治の理想的何とかいう抽象的なことばかし考えて遠慮し過ぎていたら、いつになつても悪いのを助長するようなことになつてしまう。むしろ我がまま放題にしておいて子供に教えてやらないのと同じことです。親が叱らないのと同じことで、だから好ましいことじやないけれども、私はやむをえない今日の情勢じやないかと思うのです。法律でそれができないかと言えば私はできると思う。現に会計検査院は法律に基いてぐんぐん突込んで検査しておる。会計検査院は政府部内の役所じやありません、申すまでもなく。併し法律規定して自治体の少くともこちらで補助しておる問題とか、或いは公共企業体の問題とか、政府と直接関係のある事柄について調査をするということを法律できめるということは、私は自治体の本来の性格を侵害する法律じやないと思います。これは学者の間に意見があるかも知れませんが、若しそうだとすれば、会計検査院もやつちやいけないということになる、会計検査院では昔からちやんとやつておる。法律に基いてやつておるのです。会計検査院でそういう法律を作つてその法律について自治体等の監査ができるというなら、行政管理庁でなぜできないか。できないという法律理論は私はないと思うのです。自治体々々々というのは近頃民主主義という言葉がはやり過ぎてちと中毒しておるのと似ている。その点はあなたたちのお立場としてよくお考えになつて、余計な遠慮はしてもらつては困ると思うのですがね。もう少し何とかはつきりして行く何かお考えありませんですが。
  77. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) その点確かに一つの御見識と拝聴いたすわけでありますが、私個人的な考えから申しますれば、この点につきましては、実は今御承知のように地方制度調査委員会議で、地方制度全般についていろいろ審議されておりますので、地方団体等の性格についても論議が行われておりますので、実はそれを待つて第二段に考えたらどうかというふうに考えておる次第でございます。
  78. 竹下豐次

    竹下豐次君 先にお考えになることはいけませんか。理窟は一本通りますからね、法律的に考えても又今日の社会の事情、実際の状態から見ても私は筋道の通つた議論だと思います。それで地方制度の会議あたりでどうきめるか知れませんけれども、そつちで又はかの理論が立つてそのほうが正しいということになれば、又そのときお考えになればいいわけで、この際あなた方の立場としてそう尻込みされるということは、どうしても私たちの気持として納得できない。
  79. 松永義雄

    松永義雄君 さつき大野木さんの答弁の中に重大な点があつたのですが、その勧告は義務を負うものですか。
  80. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 義務と申しましたのは、法律的に強制されたそれに対する義務というのではなくて、権限規定されますからそれの反応としての義務と、そういうような意味であります。
  81. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると勧告された相手方は聞かなくても聞いてもいいということになるのですか、法律的にはですよ。
  82. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 特にその罰則というような点まで行つておりませんので、どうしても聞かれなければ止むを得ないだろうと思います。併し御承知のように相手は普通の場合は一般の公務員でございますので、一般の公務員でありますれば法令に従わなければならんという義務がございますから、先ずこういうふうに規定されておりますれば罰則がなくてもそれに応じた行動はとらなければならないというふうに考えております。
  83. 松永義雄

    松永義雄君 なぜ私はそう言うかというと曾つて法務府に勧告権が総理大臣に対してあつた、それから人事院の勧告権があつた、今までそれが効果を生じたことがないのですから、従来の習わしにおいて勧告というものの扱い方が実際に実効を奏しておらない。それは竹下さんの御意見にも通ずるのですが、勧告と書いてあるから、書いてないよりか書いてある、書いてあれば一応勧告できるという権限があるのだから、だから勧告と書いた。こう申したのですが、併し画にかいた餅のようになつて何ら効果が生じないなら、これはあつたつてなくつたつて同じじやないか、こういうのですが、前例があるから、まあ意見ですから……。  じやもう一つお伺いしたい。この前大野木さんがいらつしやらないときに、財政投融資の監察権があつた、その範囲には及ばないのだ、こういう御答弁が他のかたからあつたのですが、それで只今答弁の中に大蔵省なら大蔵省の監察権、役目をする人がある、こういうことなんです。ところがここに復金の例を持つて来るまでもないのですが、復金が如何に日本経済に禍いしたかということは、これはもう誰でも知つておる。ところが一体復金に融通された人はどういう人かといつて大蔵委員会においてあらゆる委員からその表の請求があつたのに未だ曾つて出て来たことがない。これはお役所にも人情があるからなすつておるのだろうと、こういうことに思うのですが、今銀行検査官というものはあるかないか私は知らないけれども、昭和二、三年の金融恐慌のときに如何に大蔵省の銀行検査が無気力であつたかということの現われである。このために零細な預金者が非常に難渋して、そうしてその結果モラトリアム運動やらいろいろなものがあつて遂に二・二六事件まで発展したのです。まあそういうことは別にして、大蔵省の銀行検査官というものは果して忠実に検査をやつておるかどうか、過去の実例はそういうことを裏切ることが多々あるのであります。然るにこの法案を見るとそれだけは外してある。それこそ重大なんです。今年度の財政投融資は三千億円だといつて大蔵大臣は大見得を切つている。ところがその裏にはいろいろの噂、デマが飛んでその真偽のほどはわからないが、併し国民は非常な疑惑の目で見ておることは事実であります。ところが銀行検査官があるのだ、大蔵省にはそうした役目のものがあるのだから必要がないので、この際はこの程度の範囲にとどめて、交付金だとか補助金だとかいつた程度の監査にとどめておくのだということになつておるのですが、我々はどうしてもそれが腑に落ちない。外部からやるのだというならば、一視同仁にすべてのお役所に対してこれを監査するというのでなければ私は意味をなさないので、ただ法文上だけから採り上げてそれをうるさく言つて法律というやつは公平に行かない。法律の何というか信用力というか、法律を守るという立法精神が薄らいで来るのじやないかと思うのですが……。その最後の点だけを一つあなたの御意見ちよつと聞いておきたいのです。
  84. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 先般監察部長からも御説明申上げましたと思いますが、先ほど来竹下先生から公共企業体、地方公共団体等に対する監察につきましても御意見がございましたのでございますが、只今のところ私どもといたしましては行政機関行政監察ということを対象としておりますので、それに関しましても補助又は委任の場合に公共企業体その他の業務調査できるという程度にとどめておりまして、出資いたしておりますほうにつきましては、只今お話のように開発銀行でありますれば大蔵大臣が報告をさせたり、又事務所に立入つたり、その他業務状況、帳簿の検査等ができるような規定になつておりますし、又会計検査院も検査することができるというふうになつておりますので、それ以上更に行政官庁からも監察をするということは、屋上屋を架するようなことになりはしないかという、これらの団体の性格の点とも考え合せまして、又官庁の能力等を勘案いたしまして、現在のところは只今の範囲にとめておるわけでございます。
  85. 松永義雄

    松永義雄君 前から御説明があつたように、会計検査院は将来どうするかということの新らしい考えを作るために検査するのではない、過去の事実だけを検査するのだということになつてつて、今度のできる法案は、積極的な考え方も含んでおるのだ。然らばその会計検査院の足らざるところを補うという意味において、この法案の監査を行うことが必要であるのではないか、会計検査院の件について、今私が申上げました、わかりきつたことかも知れませんが、その点について御答弁願いたい。
  86. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 御承知のように会計検査院は決算が一番大事な仕事でございますけれども、なお先般の改正によりまして常時検査をやれるということになつておりますので、そういう点におきましては私どものほうの監査と重複するわけでございますが、たびたび申上げますように、会計検査院は第三者としての政府の外部からの検査でありますし、こちらは行政官庁といたしましては政府の内部におきまして各省仕事の負担をするという意味の監査でございますのでおのずからそこに違いがある、こういうふうに考えております。
  87. 松永義雄

    松永義雄君 先ほどお尋ねして大いに激励の言葉を申上げておいたのですが、監査というものは将来積極的に何をかなさんとするその考え方を生むためであるというのであつて、然らばその監査というものは非常な深いものであるし広いものであるということになる。そうすれば大蔵省が行う銀行検査官という役があるのかどうか知りませんが、一体そういうものの権限というものは調べておらないのですか。どうしたらこういうものが財政上よくなるかということを、その一端をとらえているのが今のこの出ている法案です。ところがそれ全部に及ばなかつた意味をなさないんじやないか。もつとこの監査は深くして広いものであるべきではないかということを申上げたわけなんです。ところが中途半端なんです。公共事業について例えば補助金とか委任事務だけを調べたらいい、それじやあ総理大臣の管轄下にあるものにしては余りに貧弱な感じがする。そういうものをそういうところに欠点があるから摘発して行くんだというなら、まあそれでもそういう理窟ならわかるけれども、積極的の考えも持つて行くのなら全般的に調べて行くということにしなければ意味をなさない。だからどこかに予算制定権を一カ所に集めて握らなきやならんというような議論も曾つてつたようなわけでございまして、遠い先のことを考えるともうそこへ繋がつて来る一つ考え方のようにも見える。どうもこの出ている法案の御説明を聞いていると、どこかから言つて来たからしようがないから、こういう法律でも作らなければしようがないじやないかという感じがする。竹下さんのものの言い方とはちよつと違うけれども、どうもそこに特にこの程度のものをこさえなきやならんという理窟が一体どこにあるかという疑問が出て来るのです。どうなんですかそれは。何度聞いても同じことでしようけれども、同じ感じが出て来るのです。
  88. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 従来の監理庁の監察権限並びにこのたびの改正で十分徹底しているとは言えないと思います。併し差当りは先ず第一段としてこの程度の改正にいたしまして更に将来を期したいという考えでございます。
  89. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をやめて下さい。    午後三時四分速記中止    —————・—————    午後三時二十四分速記開始
  90. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。それでは行政管理庁設置法の一部を改正する法律案につきましての質疑は次回に続行いたすことにいたしまして本日はこれにて打切りをいたします。   —————————————
  91. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。それでは前回要求をしておきました資料が出ておりますので、資料に基いて質疑をいたしたいと思います。総理府のほうから質疑をいたします。
  92. 竹下豐次

    竹下豐次君 総理府の調査室の定員が七名である、それが今度約三倍余りに定員が殖えるという岡部さんからの御説明でありましたので、私からその仕事が拡充されるのでありましようかということをお尋ねしたのです。ところがそれに対するお答えが私が満足するほど細かくありませんでしたので、係りのお方と御相談の上後日御説明を願いたいと、こう言つてお頼みしておいたのでありますが、現在の状況はどうなつておるか、今後の御計画はどうかということを御説明願いたいと思います。
  93. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 調査室ができました当時、定員の成立を見ないままで発足いたしたのであります。従いまして仕事の重要性から考えましてこれに関係のありまするような各庁の兼務者を以ちまして、兼任の常勤者のみでこの調査室の事務を始めたのであります。勿論各庁それぞれの本来の事務の必要から長く職員をこの調査室に派遣しておくことは困難になつて参りましたし、各省も非常に忙がしいのでありまして、できるだけ早く返してもらいたい、調査室固有の定員を是非とるようにして各庁から来ておる部分は返してもらいたいというような要望がだんだん強くなつて参りました。又調査室におきましては、当面の諸問題ととつ組むためには、やはり専任の職員がおりまして、じつくりと研究調査をして行くということのほうがよりよいことは勿論でございますので、その点も十分考慮いたしました結果、二十四名の配置替、配置増ということになつたのでありますが、これは仕事の性質から申しまして財務当局におきましても非常にこの仕事には協力的に理解して頂きまして、そのためにと申しますか直接の関連があると申していいかどうかは別問題といたしまして、各省庁にあります弘報関係の定員を各省から平均三割ずつ削りまして、そうしてその数字は三十二名という減になつておりますが、そういう点とも見合いにいたしまして、調査室に二十四人の増を財政的にも認めるということで、二十八年度の予算にその分が計上されておるわけでございます。
  94. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると仕事の拡充はないわけですね。
  95. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) いろいろ班に分れて仕事をしておりますが、その班をふやすとかいうことはございません。その班の中におきまする仕事の充実という点を主眼といたしております。
  96. 竹下豐次

    竹下豐次君 兼任の人が何人いますか。
  97. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 現在兼任でおりますものは二十九人でございます。従いましてその大部分を各省に返すという恰好になるわけでございます。
  98. 竹下豐次

    竹下豐次君 弘報関係のほうぼうでお繰合せになつておるということをちよつと私も承わりましたが、これは両方の関係のあることじやないかというような疑問も実は持つてつたのですが、政府全体としてのお考えは片一方を我慢して片一方に廻す、こういうふうに承わりましたがそれも一つの方法だと思います。これは恐らく調査室の仕事は外務省なり、或いは法務省なり、或いは国警なり、その他各方面の官庁で別々に仕事をやつておる、その連絡をおとりになるのが主たる仕事であると思いますが、そういうふうに理解してよろしうございますか。
  99. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) それが主たる仕事の任務である、かように解釈して頂いて結構だと存じます。
  100. 松永義雄

    松永義雄君 資料をお願いしたいのですが、総理府本府組織改正による総理府組織規程というものがあつて、その規程に調査室の目的というか、説明されておるようですが、その規程は相当長いものでしようか。短いものだつたら謄写に刷つて頂きたい。余り長いものならいいのですが。
  101. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 総理府設置規程を改正しましたのでありますが、極めて簡単な条文でございます。総理府本府組織令の第五条にこういうふうに規定されております。「調査室においては、政府の重要施策に関する情報の収集及び調査並びにこれらに関する各行政機関の事務についての連絡調整に関する事務をつかさどる。」こう第五条に規定されております。
  102. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 調査室の定員の関係での御質問はございませんか。
  103. 松原一彦

    ○松原一彦君 江口副長官に伺いますが、これも独立後の日本行政面、その他の現定情勢等に関する資料を集めてこれを分析し或いは総合して整備の参考にするということの必要なことは勿論私も認めますが、ここにも一つの重複がありはせんでしようか。例えば国警でもこういうことを必ず思想面その他においてはやつておられるに違いないし、その他の機関においてもいろいろこれと同じような資料を集めておるところがあるのじやないでしようか。よく私は知らんのですが、さつきの行政監察の方面においても各省内にもそれぞれある。この方面の末端の収集機関といいますか、それを集めて内閣でこれを集大成するといつたようなそういう高所から見たる機関があつたらお聞かせ願いたいのです。どういうふうになつておるのでしようか。
  104. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 只今のは各省間におけるこういう仕事が重複して行われる虞れはないかというお尋ねだと存じますが、その点は従来は多少あつたかとも存じます。併しそういうことがあつてはならないということが一つの狙いでありまして、昨年八月この調査室を設けるようになりましてから却つて国警或いは外務省或いはその他の方面におけるこういう調査というようなものが、調査室ができたためにむしろ重複しないようになつた、常時連絡打合会を開いておりますので、一方の足りないところを一方で補うというような連絡をこの調査室でとることによりまして、初めて従来ややともすれば重複しておつたのではないかと思われていた仕事が却つてすつきりして来たというふうに我々は考えておるのであります。
  105. 松永義雄

    松永義雄君 調査室の予算というものは二十八年度にはどれくらい出ておるか、お話を承わりたいと思います。
  106. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 調査室の二十八年度予算の総額は八千三百四十七万一千円、こうなつております。それで補正予算で今までの分を四、五、六を差引きますと今後八月以降の予算額は七千二十一万五千円、こういうふうになつております。
  107. 松永義雄

    松永義雄君 その中で人件費はどれくらいですか。
  108. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 先ほど申しました八千三百四十七万一千円のうちの人件費は一千十九万九千円になつております。
  109. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると人件費以外の金はどういうふうに使われるのですか。
  110. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 項目として最も大きいものは調査委託費でございます。これが四千二万七千円となつております。
  111. 松永義雄

    松永義雄君 その調査委託費四千万円というのは民間に出す金なんですか。それともお役所方面に出す金ですか。
  112. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 民間にあります各種調査所とか、研究所とかいうところに調査を委託するのが大部分でございます。
  113. 松永義雄

    松永義雄君 その実績があつたらその表を頂きたいのです。それから将来見込の、何というか、計画というものがありましたら、若し大部なものならばお気の毒ですけれども小さいものでしたら書面で頂ければ非常に結構と存じます。
  114. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 今までのものは勿論予算も僅少でございますので大したものはございませんが、どういうところにどういう調査をいたしたかという表を作つて最近に御提出いたしたいと思います。
  115. 松永義雄

    松永義雄君 なぜ私がそう言うかというと、御説明になりましたように、何か政府の仕事をやる上に必要な施策の基礎とすべき調査をし情報を集められた、こういうことになつておりますが、これは極めて抽象的であつて、具体的でないからわからないのですが、調査の内審如何によつては、或いは委託先の如何によつては、何だかこう昔の特高警察のような感じが出て来るかも知れん、こういう杞憂があるのですが、どうなんでしようか。
  116. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 特高警察的な調査というようなことは全然考えておりませんので、どこにどういう調査を願おうというような場合には、まあ内部手続としましても総理或いは副総理の決裁を経た上で、文化問題或いは経済問題、治安問題、それらの問題につきまして、それぞれの調査所或いは研究所に委託しておる。詳細は資料によつて了解頂きたいと思います。
  117. 松永義雄

    松永義雄君 そのお言葉の中に、経済の調査を委託するということは、重複になるかならないかという点から判断することは別にして、経済のこともやるということは一応それ自体として悪くないんだし、何か政治的な調査というふうな面がありはしないか。これは極めて抽象的な言葉ですね。経済に対応して政治的な調査をする、こういうものをおやりになることはないか。
  118. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) そういう意図を以て調査し、或いは委託したようなことは絶対にございません。
  119. 松永義雄

    松永義雄君 表を頂いて御案内頂きたい。
  120. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 総理府の本府の関係での御質問はほかにありませんか。ないようでしたら、次に法務府の関係に移りたいと思いますが、御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それではお手許に廻してあります法務省の表について説明を受けます。
  122. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 入国管理局の鈴木でございます。入国管理局関係の増員が主たるものでございますので、便宜私から一括しまして法務省の増減につきまして概括的な御説明を申上げたいと存じます。  お手許に昭和二十八年度定員増減一覧表、法務省というのを差上げてございます。それを御覧頂きますればそれに理由が書いてございますが、法務省におきましては、何と申しますか、二つの種類があるわけでございますが、一つは増減、振替増、振替減ということでプラス・マイナス零というのと、それから純増、これだけは是非新たに定員をふやして頂きたい、これだけは減らす。この三つでございますが、順序といたしまして振替増減という点から御説明を申上げたいと思います。それは、今お配りいたしました二ページ二枚目を御覧頂きますと、上のほうに監獄という欄にマイナス一八〇というのがございます。それから少年鑑別所八十七名増、保護鑑別所は九十三名とこの三つのことにつきまして、これはプラス・マイナス零になる。見合いになつております増から先ず御説明を申上げます。少年鑑別所の八十七名の増につきましては、少年院法第二十一条第一項によります代用少年鑑別所が本年七月三十一日限り廃止されることになりまして、そのために、従来各家庭裁判所支部所在地の拘置監に収容されておりました少年が、代用でない少年鑑別所に収容されることになりますので、それだけ収容人員が増加をいたし、且つ今後は家庭裁判所の行います調査及び審判の都度、その少年の事件管轄の同裁判所支部に出廷のための護送がいたされなければならないということになるわけでございまして、要しまするに、右の代用鑑別所が廃止になりますために、収容人員の増加のために必要とする職員三十六名、これは教官でございますが、それと護送のために必要とする職員、これも教官二十七名の増員が必要である。それから、収容人員が多いために右のごとき護送を以てしては到底処理不能なところにつきましては、分所を設けまして、これに処する必要があるから小倉と平にその分所を設置いたします。この分所を設置いたしますために、小倉分所分として十八名、半分所分といたしまして六名、以上全部で合計いたしまして八十七名の職員をふやして頂くということになるわけでございます。  その次の保護観察所の九十三名の増につきまして申上げますと、この増員は、成人に対しまする刑の執行猶予に伴う保護観察制度を実施するために行われるものでございますが、本制度は短期自由刑の弊害を除去して、且つ刑の執行猶予の条件を緩和すると共に、これに対して保護観察を加えることによりまして犯罪者の社会復帰を促進いたしまして、社会治安の確保をはかろうとするものでございますが、この制度を実施する要否につきましては、昭和二十六年一月二十日法務総裁から法制審議会に対して諮問をいたしたのでありますが、その法制審議会におきまして昭和二十六年の五月九日成人に対する刑の執行猶予に伴う保護観察制度要綱というものを答申いたしたのでございます。これによりまして法務省では立案を急ぐ一方、昭和二十七年度予算におきましてこれに要する経費を計上し大蔵省に要求をいたしたのでございますが、実現に至らず、更に昭和二十八年度本予算においてもこれを要求いたしまして、初年度におきまして漸く九十三名の人員増加が認められたのでございます。この法制審議会の答申の趣旨に鑑みますれば、平年度におきまして三百名程度の人員を要するのでございますが、今回は九十三名ということになつておるわけでございます。この制度の実施時期につきまして刑法、刑事訴訟法犯罪者予防更生法等の一部を改正する必要がございまして、この国会に対しまして刑法等の一部を改正する法律案といたしまして提案をいたしておるのでございます。一方、裁判所、検察庁等との密接な連絡を保ちまして法律実施のために必要な諸法規の立案を進めておるわけでございまして、この制度も近く施行を見ることになることを期待いたしておるわけでございます。  この八十七名、九十三名の増員の見合いといたしまして監獄の百八十名の減ということがこの次に現われるわけでございまするが、監獄におきましてのこの百八十名は、只今申上げました少年鑑別所及び保護観察所の増員に当りまして増員を全体として抑制しようとする予算上の建前から、新規増を避けましてここに振替えを認めて監獄の百八十名の減を以てこれに充てることになつたのでございます。  それから新規増の点につきまして申上げます。それは最初の頁を御覧頂きますと下のほうの欄に二百二十七名という数字がございます。入国者収容所二百二十七名、これが純増になるのでございます。この新規増につきまして、二百二十七名の内訳といたしまして一般職員が四十六名、警備官百八十一名を予定いたしておりまするが、これは昨年の九月でございましたか、閣議決定を以ちまして新年度から大村の入国者収容所に附置されます第二収容所の管理並びに警備要員の職員でございます。二十七年度の補正予算におきまして、この警備官百八十一名のうちの百五十名はすでに常勤公務者として計上をみておる次第でございます。この新収容所は出入国管理令所定の送還該当者で差当つて本国へ送還することのできない朝鮮人の収容に充当するものでございまして、予算一億七千万円を投じまして収容能力一千名の収容所を新年度早々開所するという予定で現在に至つておりますが、いろいろ台風その他の関係工事が多少遅れまして今月中に竣工をみる予定でございますが、この百八十一名の警備官のほかに一般職員として四十六名でございますが、これは千名の収容者を管理いたします上で給食であるとか医療というような面の管理要員でございます。あとの警備官はこの一千名の収容警備に当る人員でございます。これが二百二十七名の新規増の理由でございます。  その次の頁に一番最後の欄に入国管理事務所三百名の新規増という数字が出ておりますが、これを御説明申上げます。これは警備官三百名を増員いたすのでございまして、全国に十二ございます各入国管理事務所におきまする違反調査強化に当る要員でございまして、違反調査、仮放免者の動静調査並びに各事務所に所属しております収容場の警備力を増強する。収容場と申しますのは、例えば密入国者を仙台でつかまえた場合、それを大村収容所に全部集めまして一括しまして朝鮮の釜山に毎月一回船を出して帰しておるわけでございますが、各十二の事務所に、ある所もない所もございますが、この収容場というものが附置されておりまして、そこに大村に行くまで僅かの期間滞在するという設備があるわけでございます。この収容場の警備力を増加いたしたい。それから第二番目には港におきまする、港と申しましても開港場もございまするが、羽田、岩国というような飛行機の発着しまする港もあるわけでございますが、そこの波止場におきまするパトロール・チェック・ポイントと申しまして、正式にパスポートを持つて人づて参ります中に密入国を企てる者が最近相当ございますので、こういう人たちを取締るためのパトロール・チェック・ポイントの新設。それから港におきまして常時船から上つて参りますが、その際に一々調べるのでございますが、そのために船に警備官を乗せて置くというようなことで、いわゆる乗船管理と申しますか、そういうような仕事のためにこの三百名の定員を使いたいのでございます。御承知のように入国管理の仕事はこの十月で満三年になるのでございまして、戦前におきましては内務省の警保局が指令を出しておられまして、水上警察署の力、並びにいわゆる外事警察というような面で取扱つておられたのでありますが、占領軍当時におきまして、そういう制度はいけない、国際的な制度に改め、特に警察国家にならないように特別の教養を持つた入国審査官、警備官というような者を配置しまして外国へに対する管理を公正にせいという趣旨で、再三再四日本政府に命令をされたのでございますが、いろいろの事情で発足が遅れておりましたのが、漸く二十五年の十月に出入国管理庁としてこの役所が発足いたしたのでございます。その当時は僅かに六、七百人の定員で全国の十何カ所の管理事務所を設けましてやつておりましたのですが、なかなか仕事が多いのでございまして、定員では到底賄い得ないという状態であつたのでございます。昨年も少し定員増をして頂きましたが、今回も五百二十七名でございますが、増員ということになるわけでございますが、これだけの増員を以ていたしましてもなお甚だ不足を感じております。と申しますのは、最近の一例を申上げれば、我が国におきまして特に東京都下においていろいろ国際賭博場などが開設されておるというようなこともあるようでございますが、そこらに入つて参ります関係者はどういうふうな経路で入つて来るかと申しますと、勿論正式のパスポートで入つて来た者もございます。これは問題ないのでございますが、密航で入りますのに、朝鮮の人たちは朝鮮半島から対馬を経由しまして夜陰に乗じて船で二十人、三十人団体を組んで入つて来る。これが一般の不法入国の方法でございますが、一番我々のほうで智能的に困りますのは、例えば香港であるとかそういう大陸から堂々と船に乗つて参るのでございますが、その船に乗つて参りまして勿論パスポートを持つておりません。従つて正式には上陸しないのでありまして、船が波止場にとまつております際に船員に化けまして上陸をいたして来る例が非常に多いのであります。船員は一般の乗客と違いまして、パスポートがなくても船員としての船員手帳というものがございますれば、船は早晩立つのでございますから港で気を抜くために一時上陸を許しておりますが、その船員に化けて上つて来る、これが非常に多いのであります。ところが我々のほうにおります入国審査官、警備官というものが手薄のためにその船に対しまして一々船員が上るときにブリッジで首実検をするというところまで行き得ないのでございます。横浜のごときは毎日三十ぱいも船が入つておる。そういうときに僅か警備官が数十名しかおらないということでございまして、やはり警備官も交代交代でやつておりますので非常に手薄なんでございます。従いまして今回この三百人の増員を頂きますれば、この港に配置いたしまして、これらの堂々と不法入国をして参ります智能的の密入国者に対しまして先ず十分な管理ができることと期待をいたしておるわけでございます。なお数字を申上げまして甚だ恐縮でございますが、この三百人は大体どういうふうに分配するかと申します一つの試案を申上げますれば、東京の管理事務所に五十名、横浜の管理事務所に六十名、仙台には十五名、札幌には二十名、名古屋には十八名、神戸には五十名、下関には三十名、福岡には四十四名というようなことで一応計画を立てておるわけでございます。なおこの増員につきまして御質問に応じてお答えを申上げたいと思います。  最後に定員減のことを申上げたいと思います。それは第一頁の真中辺に十名の減というのがございます。これは大臣官房におきまして十名の人員を減らすということでございますが、昭和二十七年八月に行われました行政機構改革の際に廃止されました長官総務室の人員六名、並びに外務省の外局から法務省の内部部局として移管されました入国管理局の人員のうち、管理事務担当者の一部十六名を官房に移し換えたのでございますが、二十八年度の予算査定におきまして大蔵省から右の移し換えの人員のうち十名を削除するようにというふうに求められたのでございますが、この機構改正に伴いまして改廃部局の人員の削減はひとり法務省だけの問題ではないので、各省共通のものでございますので、法務省におきましても大蔵省の意見にやむなく同意をいたしたという事情に相成つております。従いまして通算いたしまするに、少年鑑別所八十七名の増員、保護観察所の九十三名の増員は、監獄の百八十名の定員を減にいたしまして、これでプラス・マイナス・ゼロになる。入国収容所の二百二十七名の新らしく増員になりまして、これはすでに建物ができておる、このためこれだけの人が要るということでございます。結局入国管理事務所に警備官三百名を殖やすということは一番の眼目になろうかと存じます。そうして十名の減に合せまして法務省といたしまして五百十七名の新規増ということになる次第でございます。
  123. 松原一彦

    ○松原一彦君 入国管理局の扱いましたものは、今日まで朝鮮へのみでございますか、なおその他の不法入国というものはあるのでございますか、伺います。
  124. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 入国管理局の対象といたしておりますのは外国人全部でございます。出入国管理令というのが、これは令とございますが法律になつておるわけでございます。この出入国管理令で外国人を対象といたしまして、その公正な取扱をするということになつております。朝鮮は平和条約発効と同時に外国人扱いをするという方針にきまつておりますので、これを外国へと扱つておりますが、大体の人数を申上げますと、現在日本に在留しております外国人の数は六十万、そのうち五十四万、九割が朝鮮でございます。ただの四万が支那、今の台湾並びに大陸の出身者でいわゆる支那人であります。一万程度がアメリカその他各国の者としてこちらにございますが、大体そういう振合になつております。  それから密入国がどれくらいあるかというお尋ねでございますが、密入国は先ほど申しましたように裏口から入つて参るという者が大半でございまして、やはり外国人の総人数に対する割合と同じくらいに殆んど朝鮮の人たちの数でございます。現在におきまして密入国者は毎年平均いたしまして三千人内外を捕えて調べてそうして帰しております。それが毎年三千人ぐらい、そのうち殆んど大部分の九割が朝鮮人でございます。あとの少しの部分は、曾つては沖縄から来る、或いは支那から渡つて来る、朝鮮以外のものでございます。もう一つの問題は、先ほど申しましたように港で船員に化けて入つて来るというのがあるわけです。これは支那が多いように思います。それからもう一つは、船員自体が船に乗り遅れまして、いわゆるミス・シップと申しまして、一晩どこかにしけこんでしまつて、船が出るのにかまわず残つておる。悪意で日本に残つておるというのもその中にあるわけでありますが、酔つぱらい過ぎて帰れなかつたというのもございます。これはなかなかばかになりませんので、毎日そういうのを横浜の収容所で収容いたしておりますが、その人数が多いときには七十名、平均いたしまして三、四十名あるわけです。それは同じ会社の船が来ました際に乗せて返してやりますので、数日間横浜の収容所に泊めておくということになつております。  先ほど収容所の説明を忘れましたのですが、入国者収容所と申しますのは、横浜が一つと、それから長崎県の大村に一つ、二カ所にあるわけでございます。横浜にあります収容所は、主として白人の船員、ミス・シップ、その他のために必要でございますので横浜に設けたのでございますが、長崎の大村にございますのは主として朝鮮の人たちのためにございます。現在収容所があるわけでございますが、これはやはり、この二百二十七名の定員を以ちまして今開設いたしております。それは収容力が最初は一千名と言つてつたのでありますが、それは子供やなんかを入れましての話でありまして大体七百人くらいしか入れない。そうして現在におきましては、そのうちの四百人というものは朝鮮の人たちでありまして、特に密入国でない人たちが四百人ばかりおるわけです。これはどういうことかと申しますと、昨年の五月十七日に大村から船を出しまして、朝鮮に密航者一同を送り返したのでありますが、その際に韓国側におきまして百二十五名だけ受取れないと言つて逆送還をして来たのであります。その受取れない範疇は如何なるものであるかというと、密入国者でなくて終戦前から日本におつた連中で、そうして外国人登録令違反というかどで返されたのでございます。例えば外国人は皆外国人登録者の証明書というカードを持つてつたのであります。日本におる間は登録をしなければならん。ところがその登録を偽造いたしましたり、或いは登録を金然しなかつた、潜つてつたという人たちが相当おつたのでありますが、それに加えまして併合罪で窃盗したり、横領したり、まあいろいろな犯罪があつたのでありますが、そういう犯罪を犯しまして併合罪で一年以上体刑を受けておるというものが前の外国人登録令で返す対象になつてつた。それをすでに前後七回に亘りまして、そういう人たちも入れて密入国者と一緒に登録令違反ということで返しておつたのでありますが、それが第八回目に、昨年五月十七日のときに、どつこい待つたということで、百二十五名だけ受取らないという事態が起きたのであります。これは平和条約発効後、日韓会談を今やつておるのであるから、日韓会談に関係のあるような、つまり終戦前から日本におつた人は受取らないという理由で受取らなかつたのでありますが、我が方といたしましては、十分な理由があるわけでございますが、そういういわゆる密航者でない、手続違反者の数が、百二十五名がだんだんふえまして今四百名になつた。従つてそういうような向うで受取らない、而も返さなければならんというような人たちも当分続くのではないかという見通しの下に、新しく収容所を設けなければならんというのが一つ理由になつておるわけであります。
  125. 松原一彦

    ○松原一彦君 その新収容所が新たに一千名を収容するという御計画ですか、従来の拡充としての一千名ですか。
  126. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 新らしく千名を更に収容したい。従つて大村収容所は第一収容所、第二収容所と並んでおりまして、第一のほうが七百人の収容力がある、今度千人の収容力を加えようということです。
  127. 松原一彦

    ○松原一彦君 実は私も大村を見て来たのですが、私の見た当時には木造の収容所で、それに暴動が起つて、大変こわした跡があつて、万止むを得ずそれの外側に鉄筋コンクリートの二重の塀を作つて上に監視を立てて、まあ刑務所よりももつと手きびしいくらいな大変きびしい、逃走を防ぐであろう装置を作つておられた。誠に痛ましい情景を見て参つたのですが、今度お作りになる新収容所も丁度ああいう形式のものでございますか。
  128. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 非常にいいところを見て頂きまして感謝に堪えないのでありまするが、今回の新しいものは外側の塀は大体今作つておりますのと同じ程度でございます。ただ塀を非常に広くとりまして、中に約六棟二階建でございまして、野球ができるくらいの運動場もできておるのであります。この塀の内部におきましては極めて自由に、一部屋、一部屋鍵をかけるということはなしに、これは刑務所と違いまして、船待ちという観念で外国人を扱つておるわけでございまするので、最も人道的な取扱をいたして明るい気持で船を待つておるという思想の下に新しく作つておりますが、今度のは非常に気分がよろしい建物であります。
  129. 松原一彦

    ○松原一彦君 それは結構です。私どもが行つたときに訴えられたのは、外にある洗面所に出すことをも許さない、数日間は太陽の光を受けていない。家の中だけに閉じ込めれらておるという訴をしきりに言つておりました。今度できますのが野球場までも有するほどの広さがあるというなら大変頼もしいのですが、従来あつた第一のほうは非常に窮屈ですが、あれもあのままお使いになるんでしようか、伺います。
  130. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 第一の収容所は恐らく昨年の十一月十一日の集団脱走が未遂に終りましたが、その直後においで頂きましたので非常に緊張して全部禁足したというような状態のところであつたと思いますが、現在ありますのを余り細かく今仕切つてございますが、ああいうことはしないで、あれを改造いたしまして、先ほど申しました新しい収容所の趣旨に副つたような使用をいたしたいと思います。
  131. 松原一彦

    ○松原一彦君 それは誠に結構ですが、見ると、家族の集団的な者が相当多い。親子、夫婦、子供連れというような者があるのですが、あれはやはりああいう姿を以て刑務所に男女を監房別にしてぶち込むといつたようなことなくおいでになるのでしようか。その辺の事情は如何でしようか。ついでに今日彼らに与えておる食費はどうなつておるのでしようか。その額もお聞きしたい。
  132. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 只今の取扱の問題でございますが、刑務所と違いまして船を待つという意味で収容しておるという狙いから、夫婦連れ或いは子供連れをそのまま収容いたすつもりでございますが、新らしい収容所におきましては、大体二十人くらい入れます部屋を幾つも作つておりまして、まあ満員になりますれば別でございますが、そうでない場合には、或る程度一家族ずつ入れるというようなことも可能であるように作つておるわけでございます。それから却つてこの親子、或いは夫婦なごやかにあの中に生活しておるということが彼らには非常にいい面が多いのじやないかというふうに観測いたしております。これを男と女と分けますと却つて荒々しくなりましたりするようなことがあるように思います。  それから食事の点は、これは一番気をつけておるのでございまして、普通のカロリーから申しましても十分なカロリーを与えております。それから副食その他につきましても、むしろ年寄りなどは食べ切れないという程度のものもやつております。特に調味関係におきまして、朝鮮漬であるとか、或いは辛いものにしてやるとか油を余計使うとかいうようなことで、食事の面におきましての不平は現在のところはないようでございます。
  133. 松原一彦

    ○松原一彦君 経理関係はどうですか。
  134. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 経理のほうは一食幾らということでございますね。
  135. 松原一彦

    ○松原一彦君 立替払いというような……、一体どこの経理でやつているのか。
  136. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 従来全部国費でやつておるのでございます。従いまして、先般この出入国管理令を御審議願います際にも、これは当然日本側の債権としてあちら側に要求すべきじやないかという御議論もあつたわけでございますが、将来これは問題になり得ると思いますが、現在のところでは全部国費で賄つておるわけでございます。従いまして、日本側で収容所に入れて食事を給し、船に乗せて釜山まで送る、その釜山まで行きます船賃もやはり国費で持つておるわけでございます。ただ、最近日韓会談がございまして、向う側の言分をちよつと御披露申上げますと、今釜山にまだ二、三百名日本人が、特に女子供でございますがおるわけでございますが、それはもう十数回に亘りまして向うから日本に返しておるわけでございます。これは向うの費用で返すというようなことを申しておりまして、恐らくこちらから申出ましても相殺というようなことだろうと思いますが、今の建前は一応国費で扱つております。これは国際慣例から申しますと、アメリカだけはああいう金持の国でございますので、送還をすべき人間の運賃、乗車賃というようなものをアメリカが持つのでございますが、普通その他の国の大体の通例は、お互いに持ちつこということになつております。
  137. 松原一彦

    ○松原一彦君 もう二点だけ伺います。随分長くおる者もあつて相当たいくつもしておつたようですが、もうぼつぼつあれが減つてつたでしようか、やはり増すばかりでしようか。それから今度の休戦が行われ、日韓会談の進捗によつては近い将来に解消するお見込があるのでしようか、どうでしようか。
  138. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) 先ほど申上げました昨年の五月十七日以来百二十五名の手続違反者がだんだん殖えまして、最近では四百名になつておるということを申上げたわけでございますが、こういう人たちは昨年の五月から入つておるわけでございまして、もう一年を越えるわけでございます。非常に帰りたがつておりますので我々も何とかして帰したいというので、機会あるごとに韓国側に申入いたしておるわけでございますが、韓国側も日韓会談がもう直き妥結するから待て、こういうことを言つておるわけでございますから、御承知のように、日韓会談も最近まで一応ずつとやつて参りまして最後の段階に行つておるように思いますので、早晩日韓会談が解決いたし、連中がめでたく帰る日がそう遠くはないであろうと考えております。
  139. 上原正吉

    ○上原正吉君 密入国者がたくさんあるようですが、我が国には実際にこういつた損害というようなものはどんなものがありますか。
  140. 鈴木一

    政府委員(鈴木一君) これはその算定といいますと、なかなかむずかしいのでございまして、例えば密貿易のためにどれだけの物資が向うに渡り、或いはこちらに入つて来るということで、海上保安庁なり税関なりが抑えたかという、或いは国警なんかで抑えたかという金額が一つの目安になりますが、これは思つたほど多くはない。ということは或いは捕まらないのがたくさんあるというのがあるかも知れませんが、現在の集計では数億円程度密貿のために捕まりました。、  ぞれから人が密入国をして来ましてどういう悪いことをしたか、その損害額というようなことは非常にむずかしい算定でございますが、やはり中共から入つて思想撹乱をするという人も相当あるようでございます。又それらの点につきましては、何名どういう人があつたということは今おぼえていませんが。
  141. 松原一彦

    ○松原一彦君 私は、実はあれは苦になつておるものの一つなんですから、希望を申述べておきたいと思いますが、我々に訴える人たちの娘や青年たちは、全く日本人と違わない立派な日本語を使つておる。そうして又このうちまで日本人であつた日本の国籍を持つてつた。やがて将来は最も親和した生活を持たねばならん関係にある人たちを、監獄のように高い塀を作つて上から銃を持つた者が見下して、朝から晩まで監視しておる。そして陽の目にも会わせないといつたようなことで置くことは、長い将来の上から見て非常に遺憾だと思うのです。今度中国から帰つて来る人たちは事情が違うけれどもが、あの人たちは非常に中国をほめる、激賞する者もおるし、陶酔しておる者もおる。又日本に帰れば日本に同感もするでしようが、あの人々が反日をあおるようなことのないようにやはり日本の襟度も示し、できる限りよき感情を持つてつて来るようなる取扱を切にお願いしたいということを私希望しておきます。
  142. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 法務の関係についてほかに御質問がございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ないようでしたら法務関係はこれで質疑を一応終了したことにいたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記を待つて下さい。    〔速記中止〕
  145. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  次に外務省関係資料がお手許にありますが、これに基いて一応説明を受けることにいたします。
  146. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 外務省の定員に関する御説明を申上げます。お手許に外務省定員説明資料という表をお配りしてございまするので、これを御覧お願いいたします。これに基いて御説明申上げます。  外務省の定員の増減の主なものは、この表の右の方に総括表と書いてございまするが、その総括表に示しておりまするように、内部部局と附属機関を含めました本省関係で二十五名の減員でございます。それから在外公館におきまして九十四名の増加を行なつております。従いまして外務省全体といたしまして六十九名の増加となつております。只今申上げましたこの増加の主な理由は在外公館の新設及び拡充のためでございまして、本年度におきまして、在外公館十館、一分室を新設いたしました。これは御承知のように昨年講和条約の成立によりまして在外公館を各地に出しましたが、とりあえずの措置としてどうしても必要な所に極く最小限度に派遣いたしたわけでありまするが更に、通商貿易その他の関係上これを整備拡充いたす必要がございまするので、慎重に研究いたしました結果、只今申した通り十館一分室三十一名の増員を行うわけでございまして、これは新設公館の分でございまして、そのほか既設の公館につきまして事務がいろいろ輻輳して参りまするので六十三名、合せて九十四名の増員を行いたい次第でございます、新設公館につきましては只今申上げた通りでございまして、本国会に在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案をすでに提出してございまして御審議を頂き七月七日衆議院の本会議を通過いたしております。又本日参議院の本会議で可決されております。  その他の増減の細部につきましては昨年の分といたしましては、この表の初めにございます電信事務の増加に伴う増の十二名、第二に海外移住局の設置に伴う増加の六名、神戸の移住斡旋所の開設に伴う増七名、それと只今申上げました在外公館の新設拡充に伴う九十四名、計百十九名。減員の分といたしまして内部管理事務の減少に伴うもの二十四名の減、外地の残務処理事務の減少に伴う減が一名、在外公館借入金整理事務の減少に伴う減が五名、外務省研修所の研修計画の縮少に伴う二十名の減、以上五十名の減となりまして差引増が六十九名、こういうふうになつておる次第でございます。  以上が外務省定員の大略の説明でございます。
  147. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今説明について御質疑ございますか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと一点だけお聞きしておきますが、この減員の五十名はどこか職場転換などで新らしく増員のため振向けるということになりますか、その点どうですか。
  149. 大江晃

    政府委員(大江晃君) 現実には出血は出ておりません。
  150. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは外務省関係は質疑はほかにないようでしたら、これで本日は質疑を打切ることにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に関する質疑は次回に続行することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会