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政府委員(鈴木一君) 入国管理局の鈴木でございます。入国管理局
関係の増員が主たるものでございますので、便宜私から一括しまして法務省の増減につきまして概括的な御
説明を申上げたいと存じます。
お手許に昭和二十八年度定員増減一覧表、法務省というのを差上げてございます。それを御覧頂きますればそれに
理由が書いてございますが、法務省におきましては、何と申しますか、二つの種類があるわけでございますが、
一つは増減、振替増、振替減ということでプラス・マイナス零というのと、それから純増、これだけは是非新たに定員をふやして頂きたい、これだけは減らす。この三つでございますが、順序といたしまして振替増減という点から御
説明を申上げたいと思います。それは、今お配りいたしました二ページ二枚目を御覧頂きますと、上のほうに監獄という欄にマイナス一八〇というのがございます。それから少年鑑別所八十七名増、保護鑑別所は九十三名とこの三つのことにつきまして、これはプラス・マイナス零になる。見合いにな
つております増から先ず御
説明を申上げます。少年鑑別所の八十七名の増につきましては、少年院法第二十一条第一項によります代用少年鑑別所が本年七月三十一日限り廃止されることになりまして、そのために、従来各家庭裁判所支部所在地の拘置監に収容されておりました少年が、代用でない少年鑑別所に収容されることになりますので、それだけ収容人員が増加をいたし、且つ今後は家庭裁判所の行います
調査及び審判の都度、その少年の
事件管轄の同裁判所支部に出廷のための護送がいたされなければならないということになるわけでございまして、要しまするに、右の代用鑑別所が廃止になりますために、収容人員の増加のために必要とする
職員三十六名、これは教官でございますが、それと護送のために必要とする
職員、これも教官二十七名の増員が必要である。それから、収容人員が多いために右のごとき護送を以てしては到底処理不能なところにつきましては、分所を設けまして、これに処する必要があるから小倉と平にその分所を設置いたします。この分所を設置いたしますために、小倉分所分として十八名、半分所分といたしまして六名、以上全部で合計いたしまして八十七名の
職員をふやして頂くということになるわけでございます。
その次の保護観察所の九十三名の増につきまして申上げますと、この増員は、成人に対しまする刑の執行猶予に伴う保護観察制度を
実施するために行われるものでございますが、本制度は短期自由刑の弊害を除去して、且つ刑の執行猶予の条件を緩和すると共に、これに対して保護観察を加えることによりまして
犯罪者の社会復帰を促進いたしまして、社会治安の確保をはかろうとするものでございますが、この制度を
実施する要否につきましては、昭和二十六年一月二十日法務総裁から法制審議会に対して諮問をいたしたのでありますが、その法制審議会におきまして昭和二十六年の五月九日成人に対する刑の執行猶予に伴う保護観察制度要綱というものを答申いたしたのでございます。これによりまして法務省では立案を急ぐ一方、昭和二十七年度
予算におきましてこれに要する経費を計上し大蔵省に要求をいたしたのでございますが、実現に至らず、更に昭和二十八年度本
予算においてもこれを要求いたしまして、初年度におきまして漸く九十三名の人員増加が認められたのでございます。この法制審議会の答申の
趣旨に鑑みますれば、平年度におきまして三百名程度の人員を要するのでございますが、今回は九十三名ということにな
つておるわけでございます。この制度の
実施時期につきまして刑法、
刑事訴訟法、
犯罪者予防更生法等の一部を
改正する必要がございまして、この国会に対しまして刑法等の一部を
改正する
法律案といたしまして
提案をいたしておるのでございます。一方、裁判所、
検察庁等との密接な
連絡を保ちまして
法律実施のために必要な諸法規の立案を進めておるわけでございまして、この制度も近く施行を見ることになることを
期待いたしておるわけでございます。
この八十七名、九十三名の増員の見合いといたしまして監獄の百八十名の減ということがこの次に現われるわけでございまするが、監獄におきましてのこの百八十名は、
只今申上げました少年鑑別所及び保護観察所の増員に当りまして増員を全体として抑制しようとする
予算上の建前から、新規増を避けましてここに振替えを認めて監獄の百八十名の減を以てこれに充てることに
なつたのでございます。
それから新規増の点につきまして申上げます。それは最初の頁を御覧頂きますと下のほうの欄に二百二十七名という数字がございます。入国者収容所二百二十七名、これが純増になるのでございます。この新規増につきまして、二百二十七名の内訳といたしまして
一般職員が四十六名、警備官百八十一名を予定いたしておりまするが、これは昨年の九月でございましたか、閣議決定を以ちまして新年度から大村の入国者収容所に附置されます第二収容所の管理並びに警備要員の
職員でございます。二十七年度の補正
予算におきまして、この警備官百八十一名のうちの百五十名はすでに常勤公務者として計上をみておる次第でございます。この新収容所は出入国管理令所定の送還該当者で差当
つて本国へ送還することのできない朝鮮人の収容に充当するものでございまして、
予算一億七千万円を投じまして収容能力一千名の収容所を新年度早々開所するという予定で現在に至
つておりますが、いろいろ台風その他の
関係で
工事が多少遅れまして今月中に竣工をみる予定でございますが、この百八十一名の警備官のほかに
一般職員として四十六名でございますが、これは千名の収容者を管理いたします上で給食であるとか医療というような面の管理要員でございます。あとの警備官はこの一千名の収容警備に当る人員でございます。これが二百二十七名の新規増の
理由でございます。
その次の頁に一番最後の欄に入国管理事務所三百名の新規増という数字が出ておりますが、これを御
説明申上げます。これは警備官三百名を増員いたすのでございまして、全国に十二ございます各入国管理事務所におきまする違反
調査の
強化に当る要員でございまして、違反
調査、仮放免者の動静
調査並びに各事務所に所属しております収容場の警備力を増強する。収容場と申しますのは、例えば密入国者を仙台でつかまえた場合、それを大村収容所に全部集めまして一括しまして朝鮮の釜山に毎月一回船を出して帰しておるわけでございますが、各十二の事務所に、ある所もない所もございますが、この収容場というものが附置されておりまして、そこに大村に行くまで僅かの期間滞在するという設備があるわけでございます。この収容場の警備力を増加いたしたい。それから第二番目には港におきまする、港と申しましても開港場もございまするが、羽田、岩国というような飛行機の発着しまする港もあるわけでございますが、そこの波止場におきまするパトロール・チェック・ポイントと申しまして、正式にパスポートを持
つて人づて参ります中に密入国を企てる者が最近相当ございますので、こういう人たちを取締るためのパトロール・チェック・ポイントの新設。それから港におきまして常時船から上
つて参りますが、その際に一々調べるのでございますが、そのために船に警備官を乗せて置くというようなことで、いわゆる乗船管理と申しますか、そういうような
仕事のためにこの三百名の定員を使いたいのでございます。御承知のように入国管理の
仕事はこの十月で満三年になるのでございまして、戦前におきましては内務省の警保局が指令を出しておられまして、水上警察署の力、並びにいわゆる外事警察というような面で取扱
つておられたのでありますが、占領軍当時におきまして、そういう制度はいけない、国際的な制度に改め、特に警察国家にならないように特別の教養を持
つた入国審査官、警備官というような者を配置しまして
外国へに対する管理を公正にせいという
趣旨で、再三再四
日本政府に命令をされたのでございますが、いろいろの事情で発足が遅れておりましたのが、漸く二十五年の十月に出入国管理庁としてこの
役所が発足いたしたのでございます。その当時は僅かに六、七百人の定員で全国の十何カ所の管理事務所を設けましてや
つておりましたのですが、なかなか
仕事が多いのでございまして、定員では到底賄い得ないという状態であ
つたのでございます。昨年も少し定員増をして頂きましたが、今回も五百二十七名でございますが、増員ということになるわけでございますが、これだけの増員を以ていたしましてもなお甚だ不足を
感じております。と申しますのは、最近の一例を申上げれば、我が国におきまして特に東京都下においていろいろ国際賭博場などが開設されておるというようなこともあるようでございますが、そこらに入
つて参ります
関係者はどういうふうな経路で入
つて来るかと申しますと、勿論正式のパスポートで入
つて来た者もございます。これは問題ないのでございますが、密航で入りますのに、朝鮮の人たちは朝鮮半島から対馬を経由しまして夜陰に乗じて船で二十人、三十人
団体を組んで入
つて来る。これが
一般の不法入国の方法でございますが、一番我々のほうで智能的に困りますのは、例えば香港であるとかそういう大陸から堂々と船に乗
つて参るのでございますが、その船に乗
つて参りまして勿論パスポートを持
つておりません。
従つて正式には上陸しないのでありまして、船が波止場にとま
つております際に船員に化けまして上陸をいたして来る例が非常に多いのであります。船員は
一般の乗客と違いまして、パスポートがなくても船員としての船員手帳というものがございますれば、船は早晩立つのでございますから港で気を抜くために一時上陸を許しておりますが、その船員に化けて上
つて来る、これが非常に多いのであります。ところが我々のほうにおります入国審査官、警備官というものが手薄のためにその船に対しまして一々船員が上るときにブリッジで首実検をするというところまで行き得ないのでございます。横浜のごときは毎日三十ぱいも船が入
つておる。そういうときに僅か警備官が数十名しかおらないということでございまして、やはり警備官も交代交代でや
つておりますので非常に手薄なんでございます。従いまして今回この三百人の増員を頂きますれば、この港に配置いたしまして、これらの堂々と不法入国をして参ります智能的の密入国者に対しまして先ず十分な管理ができることと
期待をいたしておるわけでございます。なお数字を申上げまして甚だ恐縮でございますが、この三百人は大体どういうふうに分配するかと申します
一つの試案を申上げますれば、東京の管理事務所に五十名、横浜の管理事務所に六十名、仙台には十五名、札幌には二十名、名古屋には十八名、神戸には五十名、下関には三十名、福岡には四十四名というようなことで一応計画を立てておるわけでございます。なおこの増員につきまして御
質問に応じてお答えを申上げたいと思います。
最後に定員減のことを申上げたいと思います。それは第一頁の真中辺に十名の減というのがございます。これは大臣官房におきまして十名の人員を減らすということでございますが、昭和二十七年八月に行われました
行政機構改革の際に廃止されました
長官総務室の人員六名、並びに外務省の外局から法務省の内部部局として移管されました入国管理局の人員のうち、管理事務担当者の一部十六名を官房に移し換えたのでございますが、二十八年度の
予算査定におきまして大蔵省から右の移し換えの人員のうち十名を削除するようにというふうに求められたのでございますが、この機構
改正に伴いまして改廃部局の人員の削減はひとり法務省だけの問題ではないので、
各省共通のものでございますので、法務省におきましても大蔵省の
意見にやむなく
同意をいたしたという事情に相成
つております。従いまして通算いたしまするに、少年鑑別所八十七名の増員、保護観察所の九十三名の増員は、監獄の百八十名の定員を減にいたしまして、これでプラス・マイナス・ゼロになる。入国収容所の二百二十七名の新らしく増員になりまして、これはすでに建物ができておる、このためこれだけの人が要るということでございます。結局入国管理事務所に警備官三百名を殖やすということは一番の眼目になろうかと存じます。そうして十名の減に合せまして法務省といたしまして五百十七名の新規増ということになる次第でございます。