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1953-06-23 第16回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十三日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            上原 正吉君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            井上 知治君            白波瀬米吉君            矢嶋 三義君            松原 一彦君            野本 品吉君   政府委員    内閣官房長官  福永 健司君    外務大臣官房長 大江  晃君    外務省参事官    (外務大臣官房    審議室付)   広瀬 節男君    厚生政務次官  中山 マサ君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○青少年問題協議会設置法案(内閣送  付) ○厚生省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。  先ず外務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。政府側からは外務大臣官房長大江晃君、同じく官房広瀬参事官が出席しておられます。先ず提案理由説明を願います。
  3. 大江晃

    政府委員大江晃君) 只今から外務省設置法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容を御説明いたします。  移民問題に関する行政事務は、外務省所管事項として外務省設置法昭和二十六年法律第二百八十三号)に明記しているところであります。  移民送出は今次大戦の勃発とともに中断されましたが、戦後昭和二十二年に至りましてアルゼンチンの在留邦人による近親者呼寄許可されましたほか引続いてブラジル呼寄移民が極めて限られた範囲で許可されました。然るに、平和条約発効後の昭和二十七年八月にブラジル移植民審議会は先に許可をされました上塚司計画アマゾン移民五千家族を確認いたしましたほか、松原安太郎計画中部ブラジル移民四千家族許可いたしましたし、昭和二十八年度はそのうちアマゾン三百七十家族中部ブラジル二百家族の入国を許可いたしました。更にパラグアイも百二十家族許可いたしましたので、本年度分許可数は合計六百九十家族なつております。最近現地に派遣した調査団報告に基きまして、現地受入体制とも睨み合せ、このうち取りあえず二百五十家族(千二百五十名)をブラジルに送出する予定なつております。そのほか呼寄移民は年間二千人を送出する見込でございまして、来年度以降は現地受入体制の整備に伴いまして、計画移民は累増する予定であります。従つて、近い将来の移民送出は確実であり且つ大幅に増大するものと思われます。  然るに、現在のところ、移民保護助成事務欧米局第二課の移民班で処理いたしておりまして、戦前の外務省及び拓務省拓務局)の関係行政組織に比較いたしますると極めて貧弱でありまして、今後増加すべき移民事務を能率的に処理するためには不十分な状態にあります。  右の事情に鑑みまして、移民業務を円滑且つ一元的に遂行するため、外務省海外移住局を設置することといたしました。  海外移住局組織は最も簡素なものとし、人員の増加最少限にとどめ、主として外務省内における所管事務の移管と統一化によりまして所期の目的を達成せんとするものであります。  右の方針によりまして、海外移住局を設置いたしますため、外務省設置法昭和二十六年法律第二百八十三号)の一部を改正する必要が生じたわけでありますが、本改正法案におきましては、外務省内部部局として海外移住局を新設追加いたし、これに伴いまして、現行設置法の第五条中六局を七局に改め、第九条第四号に定められております欧米局所管事務一つであります海外渡航移住及び旅券関係事務を削り、第十四条として海外移住局所管事務を新たに定め、同局において、海外渡航及び移住に関する事務並びに旅券の発給及び査証に関する事務を統一的につかさどらせる次第であります。  右の改正に伴いまして現行設置法の目次以下、章条名について従来未整理のものをも含みまして、所要の改正を加えるわけであります。  以上が外務省設置法の一部を改正する法律案提案する理由及びその内容説明であります。  何とぞ慎重御審議上速かに御採択あらんことをお願いいたします。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今説明のありました外務省設置法の一部を改正する法律案について、御質疑のおありの方は御質疑を願います。  専門員のほうから補足して説明をする問題があるそうですから。
  5. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) ちよつと、前国会においてこれと同一法律案提案せられまして、この委員会でどう取扱つたかということを御報告しておこうと思うのでございまするが、前国会でこの法律案がこの委員会付託になりまして、委員会は一回開いて提案理由説明を聞いたのであります。丁度まだ衆議院でこの法律案が上らないうちに解散がございましたために、この法律案は流れてしまつたというような関係なつておる次第でございます。  この海外移住局外務省に設置するという問題は、海外移住が将来発展するがための必要な中央機構ではありますが、この内閣委員会におきましては十五国会の初めにおきまして、やはり外務省設置法の一部を改正する法律案が成立いたしまして、それで海外移住する者の斡旋などをつかさどるところの出先機関として、神戸に移住斡旋所というものを設けることになつたのであります。それは昭和二十七年の法律第三百三十一号で成立しております。海外移住の問題に関して出先のほうは先にでき上つたのでありますが、これに相呼応して中央海外移住に関する機構を整備しようというのがこの法律の眼目でございます。一応御参考のために御報告申上げておきます。
  6. 竹下豐次

    竹下豐次君 この問題につきましては前の国会におきまして一応御説明を伺い、今又重ねて伺つたのであります。私といたしましては移民の問題は積極的にできるだけ大きく取計らわなければならない問題だと思つております。そういう意味におきまして前国会におきましては大体政府提案を了承しなければならない、かようなつもりでおつたのでありまするが、その後何新聞であつたかちよつと気が付いたのでありますが、向うに送られた者の成績が必ずしもこちらで希望しておつた通りには行かない、大変向うで苦しくて、そうしてまあ喜んで行つてみたところが、案外そうでないというようなことで、帰りたいというような希望を持つている者があるというようなことを何新聞でありましたかちよつと忘れましたが、あつたということであります。そういうことは甚だ困るというような感じがいたしたのであります。そういうことがありましたかどうか、その点も御説明を願いたいと思います。  もう一つお尋ねいたしたいのは、移民計画といたしましては、そう永いあと見通しを付けるということもほかとの関係もあることでございますから、こつちで勝手にきめることもできないのでよほど困難なことと思いますが、数年間の見通しというものはやはり政府としてはお立てになつて行かなければならないことじやないか。ここ一年とか二年とかいうことでは余り刹那主義のような気もいたします。一年に千家族というようなことでは日本人口問題を解決するとかいうようなことには大した効果は上らない。而もそういう僅かばかりの人を送るために政府として莫大な費用を計上しなければならないというようなことになるならば、これは余ほど考えなければならない問題で、一人当り向うに対する輸送の費用なりその他どのくらいの費用政府でおかけになつておるのか、そういう点も承りたいと思います。費用の点につきましては役人の人件費等もすつかり含めまして、一人当りどのくらいの費用をお使いになるのかという問題と、さつき申しましたようにここ数年間のあと見通しもどういうふうにしておられますか、御説明願いたいと思います。
  7. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  8. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。只今竹下委員から質疑がございましたが、懇談中に竹下委員からその答弁は今直ちになされなくても結構だという御発言がございましたので、公報に載つておる他の法律案についての提案理由を述べるべく政府委員もお見えになつていますので、一応他の法律案についての提案理由を承わつて、然るのちに質問に移つたらどうかと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  10. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今矢嶋君から質疑は次の機会にして他の法律案説明を受けたらどうかという御意見がありますが、そのような取計らいにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは質疑は次の機会に譲ります。   —————————————
  12. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次の青少年問題協議会設置法案についての提案理由説明を受けます。福永官房長官から。
  13. 福永健司

    政府委員福永健司君) 只今議題となりました青少年問題協議会設置法案につきまして、その提案理由並びに内容概略を御説明申上げます。  現在の中央及び地方青少年問題協議会は、御承知のように第五回国会における衆議院青少年犯罪防止に関する決議及び参議院の青少年不良化防止に関する決議に即応し、青少年問題に関する総合的施策を樹立し、その適正な実施を図るための機関として設けられたものでありまして、中央青少年問題協議会総理府設置法に基き総理府附属機関として設置されており、地方青少年問題協議会は、中央に準じ全都道府県及び多数の市町村が自主的に設置したものであります。  この中央及び地方青少年問題協議会は、関係機関との緊密な連繋の下に、毎年春秋二回に行う青少年保護育成運動を中心として、青少年問題に関し各種の対策を推進して参つた次第であります。  併ながら、青少年問題の複雑性困難性に鑑み、その施策の一層の効果をあげるためには、総合連絡機関としての青少年問題協議会強化が痛感されるに至つた次第であります。  特に、地方青少年問題協議会に関しましては、その法制化並びに国からの財政援助方について全国的に強い要望があり、一方昭和二十七年七月の衆議院行政監察特別委員会報告のうちにも協議会強化を要望せられておりますのに鑑みまして、政府といたしましては、この際地方協議会に対して明確な法的根拠を与えようとするものであります。  次に、本法律案内容を簡単に御説明申し上げます。  第一に、青少年の指導、育成保護及びきよう正に関する総合的施策の樹立及びその施策の適正な実施に関し、関係行政機関相互連絡調整を図るため、国に総理府附属機関として中央青少年問題協議会を置くこととし、都道府県及び市町村にその附属機関として、それぞれ都道府県青少年問題協議会及び市町村青少年問題協議会を置くことができることにいたしました。  次に、青少年問題が国政及び地方行政の基本的な問題の一つである点に鑑み、中央協議会委員には国会議員を、地方協議会委員には地方公共団体の議会の議員の参加を願うことにいたしました。  最後に、この重要な青少年の問題を扱う地方協議会のよりよき運営を期待し、取りあえず都道府県協議会運営に要する経費の一部を国において補助することができることといたした次第であります。  以上が本法律案提案理由並びに内容概略であります。何とぞ速かに御審議の上御賛成あらんことをお願い申上げます。
  14. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは専門員からこの法律案に対する従来の経過について説明をして頂きます。
  15. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) この青少年問題協議会設置法案は前国会におきまして提案になりまして、この委員会付託になりこの委員会では法務委員会連合委員会を一回開きまして、相当詳細に質疑が行われたのでございます。その質疑におきまして御参考になるような点を一応御報告しておこうと思います。  この青少年問題協議会は、従来も中央には中央青少年問題協議会は設置せられておつたのでございます。その青少年問題協議会運営などに関する事柄は従来は政令に譲られておつたのでございまするが、これを強化しまして法律で詳細規定することになつたのであります。  この法律案の順を追うて主なる点を御説明申しておきますと、この青少年問題協議会においていわゆる青少年というのはどれくらいの年令を指すかと申しますると、それは二十三才未満の者を指すということになつております。それからこの法律案と前の国会提案せられました法律案と違う点は、第三条に一カ所あるのであります。第三条は中央協議会委員の構成に関することを規定しておりまするが、前の法案におきましては第二項の第三号におきまして「内閣官房長官その他関係行政機関の職員」というのを前は十名でありましたが、この案では十一名一名殖えているのであります。他方におきまして第五号の「学識経験がある者」というのが、前の案では九名になつておりましたのが、一名減つております。それが異なつている点であります。なお現在置かれておりまする中央協議会におきましては、衆参両院議員が一名も加わつていないのでありますが、この案におきましては衆参両院議員委員として指名せられることになつている点、それが現在の委員組織と違つている点でございます。  それからこの法律案におきましては、地方協議会を置くということになつているのでありますが、地方協議会委員は何名であるか、第七条には「委員若干人」とございまするが、この委員は各府県で適当に知事がその数をきめるということにする了解で、知事に一任することにするという考え方のようでございます。  それから第八条で、中央協議会地方協議会との関係を規定しておりますが、この中央協議会地方協議会とは上下の関係というものは全然ないのでございまして、中央地方協議会に命令をするとか、監督するとかいう事柄は毫末もないのでございます。  第九条におきましては、この地方協議会に対して国が経費の一部を補助することができることが規定してありますが、その補助額は二十八年度の予算では大体都道府県に対して二千万円の補助をするという含みで、結局一府県あたり平均四十三万円程度ということでございます。  大体概略前回委員会質疑応答で明らかになつ要点ちよつと御報告いたして御参考に供したいと思います。
  16. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは青少年問題協議会設置法に関する件の質疑あとに譲ります。   —————————————
  17. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 厚生省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案について厚生政務次官から提案理由説明いたします。
  18. 中山マサ

    政府委員中山マサ君) 只今議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明をいたします。  今回の改正は、人口問題に関する重要事項調査審議させるため、厚生省附属機関として人口問題審議会を設置しようとするものであります。  申すまでもなく、自立日本の当面している最大の問題の一つ人口問題の解決にあることは、国民のひとしく認めるところでありまして、この問題は近年国会におきましてもしばしば論議されて来たところでありますが、これに対する総合的な人口政策は今日までのところ未だ樹立されていない状況であります、併しながら我が国は狭い国土において年々約百三十万人の人口自然増加を持ち、且つ年々約九十万人の生産年齢人口増加を持つわけでありまして、このことから生ずる諸問題について確固とした人口政策を持つことは国民経済の目標を決定するためにも又これを順調に進行させるためにも絶対に必要なことであります。従つて、この際人口問題に関係のある各界の学識経験者を集めて人口問題の基本的方策を樹立するために、人口問題審議会を設置することとした次第であります。  以上提案理由につきまして御説明申しましたが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことを切望する次第であります。
  19. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 本件につきましても、専門員室で従来この問題に対する調査審議過程等についての経過補足説明をいたす件がありますので、杉田専門員から説明してもらいます。
  20. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) この厚生省設置法の一部を改正する法律案も前国会に当委員会付託になりまして、当委員会は二回委員会を開きまして最後討論採決が行われまして、全会一致で可決せられたのであります。まさにその本会議に上程せられようとする前に衆議院解散がありましたので、遂にこの法律案は前国会においては流れてしまつたというような関係でございます。前の国会において当委員会において相当詳しく質疑が行われまして、政府側からこの問題につきまして答弁があつたのでありますが、その質疑応答で明らかになつた主な点を一応御参考のために御紹介しておこうと思います。  この人口問題審議会は、以前閣議決定によつて同じような名称の人口問題審議会というものが設置せられておつたのでございまして、昭和二十四年の十一月に政府にすでに建議をしておつたのであります。ところがその建議人口問題の二つの部門、即ち人口調整人口収容の問題、そのうちの主として人口調整に関する問題に関する建議でありまして、政府はこの建議に基きまして施策実施しつつある状態でありまするが、他方人口収容に関する問題、移民であるとかそういつたような問題に関する基本的の政策がまだ立つていないのが現状でありまするので、ここにこの人口問題審議会強化して、将来この大きな問題即ち人口問題の他方人口収容に関する問題を審議していこうというのがその狙いでございます。即ちこの審議会人口問題の施策を樹立するということが狙いであるのであります。他方におきまして人口問題の研究につきましては、人口問題研究所というものがございまして、この審議会で立てられました施策に基きまして研究をする機関なつておりまして、本年度調査経費として一千八百万円の経費が計上せられておるということでございます。この人口問題審議会に要する費用としては八十一万七千円というような費用でございます。  なお人口問題に関する実施関係官庁といたしましてはどういう官庁があるかと申しまするに、厚生省以外に農林省、通産省、外務省というような官庁がこの入口問題の実施に深い関係を持つ官庁でございます。  以上大体当委員会における審議要点を御報告申上げておきます。   —————————————
  21. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは一応本日の議題提案説明を終りましたので、最初外務省設置法の一部を改正する法律案に戻つて質疑を続けたいと思います。先ほどの竹下委員からの質問に対して先ず政府側答弁
  22. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 先ほど質問の第一問でございますけれども、只今のおつしやいましたアマゾン移民は、第一回の十七家族五十四名、これは本年の二月十一日にリオデジヤネイロ、三月十一日にアマゾン河口ベレムに到着いたしまして十九日全員をアマゾナス州及びパラ州に収容を完了いたしました。このうち熊本県出身木村一則引受の同県人永村及び硴久の二家族六名が三月二十八日耕地から退去いたしました。四月三日アマゾン河口ベレムに到着いたしました。アマゾンに四月二十七日に高知県の出身尾崎貞吉引受の兵庫県出身福田ベレムへ退去いたしました。永村及び硴久は退耕の理由としまして増水害が甚だしく、ジユートの畑が胸まで冠水しているので泳げずに作業ができない、前途の見込が立たないからということと、引受人の人物が信頼できないというようなことを理由にいたしまして退耕しております。両家族は目下ベレム郊外野菜栽培邦人成功者が臨時に身許を引受けておりますが、ジユート栽培地には絶対に帰らないと言つているそうでございます。  これは一つ理由としましては、この最初上陸しましたベレム郊外の安易な生活を見ましたために、この新来の労働力を欲する同地の農家の人たちの甘言に乗ぜられまして開拓の決意を鈍らしたというのが主因でございます。で結局ベレム附近に定着するよりほかないということになりました。それから一方福田一家は退耕後ベレムに帰らずに途中のアマゾナス州のウリクルワーバ及びバリンチンの邦人のもとに落着いております。結局三家族が退耕したわけであります。その理由としましては第一回の計画移民でございまして非常に募集期間が短かかつたのでございます。二週間、これは農林省募集を頼みましたところが、非常に期間が短かかつたせいもございまして応募者も少なく、又各県でも適格者を厳選する余地も甚だ少なかつたわけでございますが、ブラジル側許可もあり約束もございますので、早急に出したという点に一つのこういう退耕の原因がございます。それと今年のアマゾン増水というのは三十年振りの増水で、而も予定よりも二ヵ月早く増水があつた、こういうふうなために河口ベレム近くまでの市街が増水したというのでありますから、ジユート地帯増水したのは勿論でありまして、ジユート栽培者は皆川岸でございますから胸まで浸つたというところが多数ございます。殊にこういう最初に行きました、こういう作業に未経験な者にとりましては非常に困難であつたということは十分察せられます。併し現地からのたよりでは他の連中は非常に成功もございます。アマゾン生活できないなんて日本で言つているのはうそであるから、日本に帰られたら是非この実情説明してくれというような手紙をよこす人もありますし、非常に着いて気候がよくてすがすがとして今後大いに張切つてやりますというような、非常な勇ましい手紙をよこす者もありますし、現に調査員が参りまして現地にその人々配耕を終りました人々生活状態を見て参りました写真を持つて参りまして非常に元気でやつております。何分にもこれは最初アマゾン移民でございまして、三家族が逃げましたということは甚だ残念でございますが、こういう未知の異郷に出かける場合、こういうこともまあ絶対絶無を期するということはできない次第でございまして、そこまで慎重に一人の落伍者も絶対ないように確保しなければならないということになりますと、又移民事業というものは頓坐するようなことがございますので、今後は極力そういう点なきを期しますが、アマゾンに関する限り実情はそういう次第でございます。  それから先ほど今後の見通しを立てないで一、二年だけのやりくりをしておつたのでは駄目ではないかというお話でございますが、先ほど提案理由の中に申上げましたように、許可地移民許可数が九千家族でございます。これは人間にいたしますと四万五千人、これの運搬といたしましては、従来はオランダ船を使つておりましたが、オランダ船の定員は極く僅かなものでございますし、こちらから渡航費にかけた金が全部外国に落ちるということを防ぎますために、先般閣議了解を得まして大阪商船の二はいを改造させまして、それは約五百人以上を乗せられます、これで今までのところ二隻でございますが、これが二往復いたしまして、片道が五十日でございますから一年で二十人の家族が送れますのがせいぜいでございます。それでございますから許可数四万五千を若しこのまま送るといたしますれば十二年かかるわけでございまして、決して一、二年でとだえるわけではございませんし、渡航費といたしまして、オランダ船に払つておりましたときには一人前十四万三千百三十六円の貸付をいたしておりました。今度の大阪商船になりますと、べレムまでが十一万円、リオまでが十一万三千円、これは二年据置十年五分五厘の利子で返付させることになつております。これに当ります我々役所の人件費といたしましては、これはたつた六人でやつておりまして極く少額で、殆んど渡航費見込むべき金とはなりません。大体御説明申上げました。
  23. 竹下豐次

    竹下豐次君 この前移民の旅費のことを新聞で見ましたのでちよつと気になりましてお尋ねしたわけでありますが、古い話になりますけれども満洲移民募集した当時、私はその当局じやなかつたのでありますが、満洲におりましたのでその募集の状況をよく承知いたしておつたのであります。その当時の募集の状況を端的に申しますならば、向う移民をいたしましていいことだけは話して聞かせますけれども、悪い方面のことはひた隠しに隠して、ほかの言葉で言えばまあだまされて満洲まで連れて行かれたというのが非常に多かつた。当局に私はそのことを申しまして、本当のことをよく話してそうして希望のある者だけを連れて行つたらどうか。国防のために必要があるから犠牲になつてでも来なければならないという青年はそれは別だけれども、そうでない者は本当に納得をして、余り生活は楽ではないけれども犠牲的に行くというような者は又別だというようなことにして、正直に説明したらどうかということを申しましたけれども、そんなことを言つていたら行く人はないからなあとつておつたようであります。アマゾンなら遠方でありますから、政府としても余り細かいところまで実情を御調査されるのは不便なところもあるだろうと思つております。それだけ又特別な御注意をなさらなければ、又満洲の二の舞を繰返すようなことになりましては、甚だ募集されて渡航いたしました者は迷惑をいたすことになろうと思います。国としても又考えなければならないというように考えますので、新聞記事を見て心配いたしましたので実はお尋ねいたした次第でありますが、今の御答弁によりまして、御注意になつておるようで、ありますけれども、なお一層の御注意を煩わすようにしたいと思います。
  24. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 今の竹下議員の御注意は有難く拝承いたします。私たちも只今おつしやいましたような今度の南米移民は、満洲移民と違いまして現在非常に希望者が多いのでございます。それで我々といたしましては、極力現地の事情はこの通りだとあからさまに申しまして、これでも一つつてやろうと本当に精神的にしつかりした者を、而も体力も壮健であるという者を厳選するという方針でやつております。只今六月から出発いたしております移民は、我々の手でその厳選をやつております。絶無を期するということは私たちとして自信はございません。そういう固い決意で厳選の上で送出いたしておりますので、何とぞ御了承を願いたいと思います。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 南米移民の希望者は大変多数にのぼるという点ですが、どのくらい希望者はおられますか。
  26. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 現在何人ということは私いま的確な数は申上げられませんが、全国各県に殆んど今正式にできておりますのは十一県に移住協会ができておりますし、更にもうあと十県近く移住協会を作ろうとしておりますし、和歌山県のごときは県に移民課を作つておるわけで、非常に熱心でございます。的確な数を申せないのは遺憾でございますが、俗に言う多数の希望者がいるということでございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 調査してみたことございませんか。
  28. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) まあ申しますと、大体こちらが募集します人員の、少いところで二三倍というのが数でございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 移住計画は何ですか、先ず何家族入れるということをきめてかかるのですか、それとも希望者によつて計画を立てて行つておるんですか、その計画の概要を一つ説明願いたいと思います。
  30. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) これは現地で受入れる大使館と相談いたしまして、的確にこれだけの場所にこれだけ入れるという報道をこちらで受けまして、それによりましてこちらの送出人数をきめるわけでございます。こちらで一方的に何人送るというわけではございません。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどの九千家族というのはこの四・五年間の計画ですか。
  32. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) これは五年間に九千家族の人と思います。但しこれを受入れますのに只今申上げましたように船舶の関係がございますから、今のままで行きますれば、日本の船ばかり使えますれば十二年かかると申上げます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすれば結局ここ数ヵ年間は九千家族を対象に事務をやりたい、こういうふうに了承してよろしいですね。
  34. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 九千家族ばかりではございません。これ以外に今各地を廻つて参りました調査官が帰つて参りまして、その他にもいわゆるここに申しました計画移民、上塚さんの計画移民松原さんの計画移民以外にも、先方においては相当計画を立てまして希望もあります。そういう希望を総合いたしまして今後とも増加させて、そのためには船舶の改造補助、或いは建造補助というような点も取上げてお願いしたい。こう考えております。  さつき提案説明の中に官房長官からパラグアイの許可数を申しましたが、パラグアイは調査の結果本年はこの際送出しないことになりました。それというのは現地の事情がちよつとよくありませんので、もう少し調査を確実にいたしましてからやりたいと思つております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと関連があるからお伺いしますが、移民関係の予算というものはどのくらい組んでありますか。
  36. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 不成立に終りました予算といたしましては、渡航費の貸付費、それから神戸移住斡旋所事務処理に必要な経費を含めまして三億一千八百七十二万五千円を計上いたしました。これは解散のため不成立に終りました。この六月の暫定予算では移民事務委託費が三百二十五万円、移民渡航費貸付金七千八百九十六万九千円、恐らくこれは百三十家族六百五十人分でございます。その他二百八十九万八千円、合せまして六月分暫定予算は八千五百十一万七千円。七月以降の本予算に組みましたのが移民事務委託費が二百六十七万円、移民渡航費貸付金が六千九百三十一万円、その他五百三十八万七千円、計七千七百三十六万七千円。六月暫定予算と七月以降を合せまして計一億六千二百四十八万四千円でございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に言つて渡航費は一人について国費はどのくらいかかるのですか。
  38. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 只今申しましたように、オランダ船の場合には渡航費は一人貸付金十四万三千。大阪商船の場合にはベレムまでは十一万円。リオまで行きますと……。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一人渡航させるに必要な……。
  40. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) これは渡航費だけの貸付であります。その他につきましては政府は全然支出しておりません。事務委託費だけ。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、先ほど竹下委員質問に対して答えられた三家族の脱落。これは当時の新聞によると、その脱落した御本人の選考というのは立派に行われて適格者であることには間違いないというような立場において、新聞に記事を書かれておつた人もあるようですが、外務省としては何ですか、やはり募集期間が短かかつたから適当な人を得なかつた、こういうふうに結論付けておられるように先ほど承わつたのですがそうですが。
  42. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 新聞に出ておりましたのはどの点を指しておりますか、現地からの高良書記官か、或いは毎日新聞の記事かちよつと私存じませんが。要するに私たちとしましては、第一回の分は二週間という非常に限られた短期間募集、選考いたしましたために今申したような落度がございまして非適格者があつた、こういうことなのでございます。その後はこれにこりまして今度は外務省で直接募集いたしましたけれども、先ほど竹下議員殿にお答えいたしましたように、現地の事情を包み隠さず説明いたしまして、これでも行つてやろうという、本当に精神力を持つた、強健なる身体を持つたという者を、而も若い者を厳選することになりまして、今後は殊にアマゾン移民のごときは選考ばかりではございません、先ほど申しましたように三十年来の大洪水、而も二ヵ月も早く洪水が来た。こういうような特殊の事情がございましたので、今後は十分に選考の厳を期するつもりでおります。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この提案理由の二ページの終り頃に、「主として外務省内における所管事務の移管と統一化によりまして」云々とそして「人員の増加最少限にとどめ」と書いてありますが、どの程度の人員を必要とするのですか。
  44. 大江晃

    政府委員大江晃君) 三月に出しました予算におきましては、行政の簡素化という建前から大蔵省との折衝におきまして、移住局設置に伴いまする新らしい定員というものはとらなかつたわけでございまして、現在やつておりまする欧米局移民班というものがこれに当るということで提案いたした次第でございます。その後、先ほどから申上げました通り相当多数の移民の送出が始まりまして、どうしてもそういう人数ではやれないということになりまして、今度の本予算を組むときに大蔵省と折衝いたしまして十九名の定員の要求をいたしたのでございまするけれども、削減を受けまして、局長以下六名というものを新たに移住局につけるということになつた次第でございます。従いまして現在の移民班と更にこの六名の新しい定員、これを以て海外移住局移民の仕事をする。そのほかに移住局といたしましては旅券、渡航の関係をやつておりますので、これは現在ございまする外務省の渡航課の人員をそのまま移してやる、こういうことでございます。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは六人新たに増員になるということなんですね。
  46. 大江晃

    政府委員大江晃君) そういうことでございます。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府は昨年行政機構の簡素化という立場から局、部、それから委員会、こういうのを大幅整理案を国会提案して参つたわけですが、今承わつた範囲内では、新たに局を設けなければ仕事ができないというようにはどうも了承しかねる点があるのですが、このいつも新らしい局とか部を作る場合は、提案理由には人員の増加最少限、予算は増さない、こういう提案理由を述べるが、次の議会に予算を組む場合は必ず大幅に人員が増加して行くのが、いつも機構をいじるときの常套手段です。そういう立場から考えたときに、この局長以下六人の増員というものは、先ほど説明されたものを数ヵ年間の事業量あたりから考えて、更に増員するようなことはないということはここに誓えるかどうかということ、そういう点を承わりたいと思います。私はくどいようですけれども、いつも提案する場合は、そういうふうに言つて一応のど元を通しておいて、次の機会に予算化する場合にはこれを大幅にふくらませて行くというのがいつも常套手段になつて、国会議員は健忘症なんだから、それにひつかかつて機構がぐんぐんとふくれて行く傾向を過去においてたどつて来ているのです。これは政府が昨年ああいう行政機構の簡素化というようなやや無謀に近いような案まで吉田総理のお考えによつて出されて、その同じ吉田内閣の下にこういうものが出て来る点に私は納得しかねる点があるから念のために伺つておきたい。
  48. 大江晃

    政府委員大江晃君) 人員の点につきまして、この移民関係は従来欧米局の第二株の移民班でやつておつたわけでございますが、昨年の終りから実際に計画移民が出るということになりまして、事務的に見まして移民班の人数だけでは到底仕事を十分遂行できないということを痛感いたしまして、実は先ほど申上げたこの海外移住局のできる前の事務的の意図といたしましては、これを移民課にいたしまして約二十名近くの人員を以て充てたいと思つておつたわけです。その後政府部内にそういう課のような小規模のものではいけない、やはり局にして将来の移民の仕事を促進させるというために局にする方がいいということに決定いたしまして、局になつたわけでございまするが、当時の情勢といたしまして新たに定員をとることがどうしても不可能だつた次第でございます。従いまして、今回更に大蔵省に約十九名の人員を要求いたしたわけでございますが、それが六名になつたわけでございまして、事務当局といたしましてはこれは今の人数ではやはりやれないのでございまして、来年度におきましても約二十名近くの定員にはいたしたいと、こういう希望を持つております。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはあなたに質問するのは少し無理かと思うのですけれども一応伺いたいのですが、海外移住局事務として第十四条に「旅券の発給及び査証に関すること」ということが規定されていますが、どうも旅券なんというのは簡単に出さないのですね。ああいうものを簡単に出せば私は職員も少くてすむのじやないかと思うのですが、むやみやたらにこじらせて殆んどそれは政治的に扱われているようですが、そのためにだけでも私は職員が余計いるのではないか、どうですか。今後旅券はもう少しこう世界各国に簡単に出すようになりませんか。やはり従来のようにああいうふうに始終問題を起さなければ旅券というものが出ない、このことについてはここに勤めていらつしやる方はずい分時間も空費するし、それだけでも相当の職員が必要なんじやないかと思うのですがね。そういう点について伺いたい。
  50. 大江晃

    政府委員大江晃君) 旅券事務で非常に人間を多く喰うというお話でございますが、これは御承知のように海外渡航の外貨の割当がきまつておりまして、その枠内で許可をしなければならんという現実の情勢でございまして、従いまして渡航審議会にかけましていろいろ審査をいたすわけであります。そのために人数を喰つているということは、これは事実だろうと思うのであります。この外貨の割当が制限がなくなるということになり、或いはこの巾を拡げるということになれば非常に楽になると思うのでありますが、只今現行の査証等においてはやはり相当のいろいろな審査の必要上多少の人間が要るのじやないか。そのほかにまあ渡航関係におきましては、どこの国に行くのはいかん、こういう問題がございますが、これは政治的ないろいろな問題がからんでおると思いまするが、実際の事務上は外貨の割当に関する枠があるために非常に審議がやかましいということで、これは今のところはなかなかこの枠が外れないのじやないか、こう考えております。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つそれに関連してお聞きしておきますが、勿論外貨の問題がありますけれども、外貨の問題は解決しても、政治的に旅券法の第一条ですか何条だつたか存じませんが、旅券法を非常に何といいますかね、こじつけて、旅券を自由に出さないという点ですね。非常に私ども不満でもあるし、むしろ不思議に思つているんですが、これは確かに政治的に取扱つてつて外務大臣にお伺いするところでしようけれども、もう少しあれは簡単にできんものでしようかね。外務省の内部ではどういう反省を持たれているんですか。
  52. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは御承知のように、現在の冷たい戦争と言いまするか、いろいろやかましい問題があるわけでございまして、そのために外務大臣といたしましては慎重にやつておるわけでございまするけれども、やはりこれは国際情勢の推移というものを考えて行くべきだということも、外務当局といたしても考えておる次第でございまして、例えば先般のデンマークのコペンハーゲンで行われました民主婦人団体の世界婦人大会には、当初いろいろ問題がございましたが結局渡航を認めたというようなことでございまして、今後情勢の推移に応じて十分考えて行くべきたと考えております。
  53. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほどから伺つた話によりますと当分一年に二千人くらいが送られる、こういうことに了承しているのですが、二往復で。
  54. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) それは只今申上げました大阪商船の二はいを使つた場合、二往復で定員約五百人としまして五十日でありますからそれならば二千人、こう申上げたのでございます。そのほかにもまたオランダ船もございますが。
  55. 竹下豐次

    竹下豐次君 一年に幾らぐらい、オランダ船がそのほかに。
  56. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) オランダ船は月に一ぱいくらい出ますが、これは先ほど申上げましたように、日本船よりも単価が高うございますし、それだけ払う金が外国に落ちるわけで……。
  57. 竹下豐次

    竹下豐次君 結局みんなで一年に何人送る、それが又実行ができるということになつておるのですか。
  58. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) まあオランダ船を使いまして、さんとす丸もございますが、それを使いますと四、五千人までは出せる予定でおります。それ以外に今申上げました計画移民のほかに呼び寄せ移民が出ております。ちよつと訂正いたします。呼び寄せを含めまして年に四、五千人が現在のところせいぜいでございます。
  59. 竹下豐次

    竹下豐次君 だんだんふえて行くことが望ましいことでございますが、急にそうたくさんふえそうにも思えません。それから渡航する者の身元調査とかいうような関係の仕事などは相当に複雑でもあるし手もいることだろうと思つております。が、この局長のお仕事としてそういう雑務でないお仕事というのはどういうことがあるのでしようか。もうブラジル関係については一応話合がついているじやないかと思いまするし、そうするとこの後折衝される局長という高い地位の人が折衝されることは割合に少いじやないかと想像されまするが、ブラジル以外に又送り出す計画がこの際どのくらいありますのか、船の都合から考えますとそう大きな計画も立て得られないじやないか。かように想像されるのでありますがその点如何でしようか。私のお尋ねした意味はおわかりですか。
  60. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 私がなるというわけでお答えするわけじやありませんが、今後ILO、世界労働会議、そういうものに基きまして、日本移民のさばけ先、そういうものを国際的に援助してもらうというためにILO関係の仕事もございますし、それから各国との間に移民協定を作らなければなりません。それから移民先といたしましても、目下はブラジルでございますけれども、アルゼンチンなんかも非常に好意を持つてくれておりますので、アルゼンチン等も引続いて出したい予定でおりますし、その他コロンビヤ、ペルー、ボリビヤ、そういう方面へも今後公館の設置或いは調査の完了と同時に計画を立てたい、こういうように考えております。局長の仕事といたしまして移民全般の計画とか、日本人口問題の全般的の解決とまで行かないまでも、現地に発展したる日本移民の経済力を利用しまして日本の経済力に寄与させる、その他いろいろな施策計画も行わねばならん、そういう意味で局長が置かれるべきものと思つております。
  61. 竹下豐次

    竹下豐次君 ブラジル了解を得ておられる、移民を充実するにもまた急にはできないという状態、先ほどからも承わつておるのでございますが、そのほかにアルゼンチンその他数カ国に又御交渉になり、送り込むということにつきましては、ブラジルとの話合い、何と言いますか向うは心待ちに待つているのでありましようし、その充実もできないのに又方々に分けて行く。国もたいへんだというような心配も起つて来ると思います。その点如何ですか。
  62. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 現在日本船舶に頼つた場合を申し上げましたので、この船舶も先般の改造費貸付というふうな手段によりまして船舶の改造、或いは適正な我々としては船舶建造補助費というようなものをも出しまして、少くとももう三隻ぐらいの船舶は増して五隻は確保してこれが所定の人間を送り込みたい、こういうように考えておる次第でございまして、アルゼンチンその他を考えての計画は更に三隻くらいの船舶改造乃至建造というような構想を持つているわけでございます。
  63. 竹下豐次

    竹下豐次君 ブラジル以外のアルゼンチンその他の数カ国に対してもうすでにお話が始まつているのでありましようか。ただそういう希望を今持つておられるという程度でありますか。
  64. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) まだ現地との話合いが完全についているわけじやございませんが、つき得るという見通しを持つているわけでございます、アルゼンチンの場合は。
  65. 竹下豐次

    竹下豐次君 もう交渉をお始めになつているのでありますか。その点伺いたい。
  66. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 只今調査を済んだところでございます。交渉はまだしておりませんが調査が済んだところでございます。但し現地の非常にアルゼンチン政府の感情も非常によいというところから、これが計画実施し得る見込を持つているわけでございます。
  67. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほどのお尋ねに重複するようでありますが、ブラジルとお話合いは何年間にどのくらい送る、それはまあはつきりした約束はできるわけでもないが、どういう程度の了解なつているのでありましようか。というお尋ねをいたしますのは、相当はつきりしているならばその約束を履行しなければならない。国の予算の関係等からそう船を増すこともできないかも知れない、予算が許さない。従つてアルゼンチンその他の国と約束してもそつちへ廻そうとするとブラジル方面の約束が履行できないということは、これはブラジルに済まないのじやないかというような懸念が起つて来るわけなんですが、その点は如何でしようか。御説明願いたい。
  68. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 勿論ブラジルとの約束は履行いたしますが、これは第一歩でございます。それに併せましてでき得る限り出したいというのが希望でございまして、今のところではただ船舶が二隻では何分申しましたようにせいぜい年に四五千、人の送出でございますから、これにはもうちよつと船舶というものを殖やしてもらわなければならん。或いはオランダ船を使うとか、そういう手段を以てブラジルとの約束に関する限りは必ず履行する、まずこれが第一前提でございます。
  69. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほどの御説明によりますと、ここ一、二年の計画ではなくして、実際には数十年も現在の状態で行けばかかるということでありまするし、今の御説明によりますとその数字に更に相当な数字が加わつて行くということに結論がなつて行くわけでありまするが、どうも先のお話によりますと相当にまだあと長くかかるのだ、何も二、三年の間のことだけ計画をしておるのじやないということと今の御説明とは少し食い違いがあるのじやないかと思います。
  70. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 先のことも考えないかという御質問つたのでして、現在きまつブラジルたけの問題ではなく、アルゼンチンその他今後ボリビアとかペルーとかそういう方面への計画もいたしたい、そういうことを申上げたのでありまして、このブラジルだけで一、二年で話が済むということはない、送り出すだけでも今だけの計画で行きますれば十二年かかるのだと、こう申上げたのであります。一、二年たけで片がつくという問題ではございません。
  71. 竹下豐次

    竹下豐次君 先のお話によりますと、何も先のことを言葉尻をつかまえて申すわけではございませんが、どうも先の御説明によるとそのくらいかかるのだということを一応予想されて十数年の御説明のように私は承わつたのであります。それが二、三年のうちにできるのだということだつたらば僅か二、三年の間の御計画をお立てになつておつたと、こう言わなきやならない。そうでなく長い計画をしておるのだ、あと見通しもしておるのだということで、十数年という言葉で御説明になりましたところからみれば、やはりそれが本当のお気持であつて、アルゼンチンその他の分は又それに或るものが加わつて、よほど無理をしなければそれは実行できないのだということになるのじやないかと思いますが、そうじやないのですか。
  72. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 無理をすると申しましても何分にもこの現在立てておりますこのブラジルだけの計画を完全に遂行いたしますのもなかなか大変でございますが、はつきりと許可を受けましたのは九千家族でございます。これを送ることが先決問題でございます。これは先ず確定したものでございますから、これの送出は第一前提として送りますが、今年すでに六月十五日に二十七家族、この二十五日にこれがあめりか丸で八十家族、七月二十七日にあふりか丸で七十四家族、こういうことになつております。これは入植の時期の関係もございますので大体七、八月頃までに送り込まなければならないので送つております。その他来年に至りますと、さんとす丸も加えたりしまして、今年度よりは余計出るわけでございます。その他長期の計画と申しましたのは、我々の理想としてブラジルに限らずでき得る所と話合いをつけて送り出し得るような方向に持つて行きたい、それがためには船舶の増強も要求しなければならん、そういう我々の計画を申し上げたのであります。計画もなしにただこの一、二年だけの実務だけで済まそうというものではないということを申上げたのでございます。
  73. 竹下豐次

    竹下豐次君 このブラジルとの何と言いますか、いろいろ交渉がありましたでしようがその経過は別といたしまして、最後日本との了解がどういうことになつておるのか、ただ九千家族を送るということだけじやなかろうと思つておりますが、それは如何でしようか、或いは何年間にそれを達成するのか、或いはそれが済んだら又あとをどうするのかというような了解があるのでございましようか、もう少し詳しくでき得るならば向うとの取り交しの文書でもありますならそれを頂きたいと思います。
  74. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) さつき申上げました家族は五年から八年間にブラジル政府の直轄州に入れるわけでございます。現在日本人の多数おりますサンパウロというところではございません。サンパウロの北のほうのマツトグロツソ、或いはリオより西北に当ります地方とか、大体連邦直轄州でございます。そこで我々としてはブラジル側に、要するにブラジルの開拓を助けるのであるから輸送費も持つてくれという交渉をしたのでございますが、どうしてもブラジル側として輸送費の負担はできない、但し到着港から先の輸送費、それから衛生施設、教育施設そういうものはブラジル側で保障する、こういう取極めなのであります。
  75. 竹下豐次

    竹下豐次君 それだけでございますか。今すぐでなくてよろしうございますが、書いたものを頂けたら結構だと思います。
  76. 広瀬節男

    政府委員広瀬節男君) 承知いたしました。
  77. 竹下豐次

    竹下豐次君 あとで結構でございます。
  78. 松原一彦

    松原一彦君 今日は偶然にも厚生省人口問題に関する法案が出ており、それを見ますと年々百三十万人の人口自然増加があるという。これに対する対策が日本になくてはならないのでいろいろこれから工夫せらるるようですが、その一つがやはり移民でなくちやならないのに、今お聞きすると誠に微々たる移民であつて、焼石に水という感じしか私にはないのであります。日本移民の持つて行き場が特に地球の向う側のブラジルでは、アマゾン方面への移住にしましても金もかかれば船もたくさん要る、非常に手数のかかる移民ですが、これは効果がなかなか挙らないということは、まあ従来言われておるのでありますが、そのために将来日本は大きな計画を持たにやならんのだろうと思う。外交面においてもこれは重大な問題だろうと思うのですが、そういう意味で日本政府海外移民に対する何か大きな一つ計画か予想かをお持ちになるのじやないか。例えば近い所で高良さんが始終言つておられるがインド方面にはネール首相との間にいろいろ話もあつて、指導的な農業移民も数多く入る余地があるようにも聞いておるし、どこかそういう意味においても移民の今後の問題についての大計画が予想せらるるのじやないかと私は思うのです。今日はまあすぐにお答えを求めませんが、今竹下氏の要求と同様に、この次の時間には一つもつと大規模な、夢でもいいから描かれたものがあるならばお聞きいたしたい。そうしなければ私は僅か二十人や二十五人で以て局なんか作る必要はないと思うのです。どうも日本では局を作りたがつてしようがない、局長となる、自動車も要る、何かかんかで大変機構だけがえらくなるんですが、先日も、これは余計なことですが、農林系統のほうを地方に見に行くと僅か十六人で以て局長がおつて課長が二人おるのです。十六人の世帯に局長がおつて課長が二人おるなんというのはどうも私はおかしいと思う。名前は大きくなるとつい費用がかかるのですが、移民を消化する問題として、外国に処理してもらう問題として局を置かるることに異議はないのです。私はちつとも異議はないが、もつともつと大きな計画の下にこれが発展するものであるならば、私は今後の日本の政治の方向をきめる問題からも望みを嘱したいと思う。そういう意味でこの次の機会一つ特にお聞かせを願いたい。今日は偶然にも三つの案が関連しておる。青少年の不良化を防ぐこの問題も、結局人間が多いからこれをどこかに消化してもらわなきやならん。又一方に厚生省人口問題を苦にしておられるのもこのところから来ていると思う。日本のこの苦悶が現在ちようど偶然にも三つここに法案が集中いたしており、関連しておりまするので、各省とも一つお考えを願いたいが、殊に外務省のこの移民問題に対しては、この次のときにゆつくり聞かして頂きたいという希望だけを申上げておきます。
  79. 野本品吉

    ○野本品吉君 ちよつとお伺いいたします。只今松原委員からお話がございましたが、この外務省設置法の一部を改正する法律案を私どもが考える場合に、この法案は何だか今までのお話を聞きますと、ブラジルやその他主として南米方面への移民事務が輻湊して来たからということだけのように承われるのですが、今もお話のありましたように、将来の移民国策への抱負、それから具体的な考え方等をもこの中に含まれているというふうに考えていいのかちよつとわからんのですが、どうなんでしようか。
  80. 大江晃

    政府委員大江晃君) 外務省の今度設置いたしまする海外移民局は勿論南米のみではないのでございまして、只今お話がございました通り、将来アジア諸国例えばインド或いは南方の地域にも移民を送るということを考えるわけでございまするが、現実に実際の情勢はまだいわゆる東南アジア地区に対しまする移民の問題を取上げまするのは非常にデリケートな情勢でございまして、直ちに着手できないという懸念があるわけでございます。従いまして目下最も可能性が多い南米というものに重点をおいてやつているわけでありますが、ゆくゆくはアジア諸国或いは更に若しアメリカなり或いはカナダなり濠州或いはほかの地域におきましても、日本移民が行けるように、又そういう方向に努力をして参りまして、若し時期が参りますればこの移住局においてこれを考えて処理して行くというふうに考えております。
  81. 野本品吉

    ○野本品吉君 あとは具体的な問題についてですが、これは先ほど来竹下さんや何かからも御意見があつたこととつながりがあるようでございますが、これはやはりこの問題を真剣に考える上からいつて、次のような事柄についてはつきり知りたいと思うのです。項目を申してみます。どういうような方法で移民募集に当つているか。もう一つはどういう条件で採用しているか。もう一つは採用された者の渡航前の教養訓練はどういうところに主力を注いでやられているか。それから移住地に定着安定するまでの保証助成はどういう程度に賄われておるか。それから現地にある移民の問題についてどういう機関があり、又現地の受入態勢がどうなつておるかというようなこと。もう一つはここに掲げてあります上塚さんや松原さんの移民計画内容というものがどういうものであるか。それらのことについてこの案を審議する上において知らして頂きたいと思うのです。若しそんなようなことを理解する上に適当な資料でもあるならば頂きたいと思う。
  82. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  83. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この外務省設置法の第五条のアジア局以下の各局の昭和二十八年度の定員を一つお知らせ下さい。
  85. 大江晃

    政府委員大江晃君) お答えいたします。現行の局の定員はアジア局が百八名、欧米局が百二十四名、経済局が百八十八名、条約局九十名、国際協力局九十名、情報文化局七十名、大臣官房五百六十三名。
  86. 矢嶋三義

  87. 大江晃

    政府委員大江晃君) これは現行のであります。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 で法律が通つたならば、昭和二十八年度の定員。私はこの法律案が通つた後のことを聞いているので、移民班のは移さなければいけませんわね。移した結果に基いて定員を一つ
  89. 大江晃

    政府委員大江晃君) 海外移住局の定員は欧米局より六名、これは現在の移民班、それに渡航課から二十七名、これは現在の渡航課の人員全部でございます、合計三十四名。それに先ほど申しました新たに六名増員いたしまして局長以下四十名、こういうことになつております。
  90. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは本日議案といたしました三件については、各委員におかれましても質疑がおありになることと思いますが、本日はこの程度で委員会を散会いたしたらどうかと思いますが如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないようでございますので本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会