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1953-05-28 第16回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年五月二十八日(木曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            上原 正吉君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            田中 啓一君            矢嶋 三義君            天田 勝正君            松原 一彦君            堀  眞琴君            野本 品吉君   政府委員    総理府恩給局長 三橋 則雄君    厚生政務次官  中山 マサ君    引揚援護庁長官 木村忠二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○恩給法特例に関する件の措置に関  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○厚生省設置法の一部を改正する法律  等の一部を改正する法律案内閣提  出・衆議院送付) ○調査承認要求の件 ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より委員会を開会いたします。  本委員会に付託になりました恩給法特例に関する件の措置に関する法律の一部を改正する法律案議題に供します。本法律案に対する政府の説明は前回終つておりますので、専門員より本案について調査いたしたき事項がありましたら御報告をお願いいたします。
  3. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) この法律案につきましては、前に参議院の緊急集会に同じ趣旨延期法律案が出ましたので、今回の法律案は大体同じ趣旨に基きましてこの月の末日まで一応延期なつておりましたものを二月延ばしまして七月三十一日まで延期しようというのがこの法律案の大体の趣旨でございます。  御承知のごとく、この恩給法特例に関する件というのは、ポツダム勅令でできておりまして、ポツダム勅令講和発効の日から半年、百八十日で失効するという建前になつておるのでありまするが、ただ特別の規定がある場合においてはそれを延ばし得るというので、それに基いてこの恩給法特例に関する件というポツダム勅令法律としての効力が延ばされておつたのであります。政府においては今新らしく軍人恩給に関する措置を講ずる新らしい改正法律案を準備しつつありまするので、それまでの間恩給法特例に関する件というポツダム勅令法律としての効力を二月延ばして行こうというのがこの法律案要点でございます。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 本法案に対して御質疑がありましたら御質疑をお願いします。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 愚問ですが念のためにお伺いいたしますが、これを若し二ヵ月延ばさなかつたならばどういう事態が起るか、要点をまとめて。
  6. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) 或いは恩給当局のほうが何でしようが、私一応便宜お答え申上げますが、この恩給法特例に関する件というポツダム勅令で、先ず第一には、軍人恩給はこれを停止するということになつておるのと、この恩給法特例に関する件というポツダム勅令傷痍疾病増加恩給に当る者については増加恩給を支給するということになつております。若しこの恩給法特例に関する件というものが今日仮に失効するとしたならば、その増加恩給をもらい得る人ももらうことができないという結果になるわけであります。それでとにかくこの恩給法特例に関する件に基いて増加恩給をもらい得る人はそのまま七月三十一日までもらい得るようにして、その間に軍人恩給に関する問題を解決する新らしい法律案が出た場合においては、それらの増加恩給に関する問題も新らしい恩給法改正法律案の中に盛込んで行くということになるわけだと思います。
  7. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) なお本日は中山厚生政務次官と三橋総理府恩給局長とが政府側から出ておられますから、質疑がありましたら政府側に対して御質疑を願います。……ほかに御質疑がないようでしたら、本法案に対する質疑は終つたものといたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) では質疑は終了いたしたものと認めます。  つきましては討論に入りますが、御意見のおありの方は一つ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  9. 野本品吉

    野本品吉君 昨日松原委員から御意見がございましたですが、私は四月に遡及して軍人恩給を支給するように措置するという当局の御方針を、ここで再確認いたしまして賛成いたします。
  10. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御意見ございませんか。……ないようでしたら討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。恩給法特例に関する件の措置に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  12. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 有難うございました。全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決するべきものと決定をいたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者承認を得なければならないこととなつておりますが、これは委員長において本案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願いたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     上原 正吉  長島 銀藏     竹下 豐次  田中 啓一     矢嶋 三義  天田 勝正     松原 一彦  野本 品吉   —————————————
  14. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 続いて厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。本件について専門員のほうで何か御意見がありましたら……。それでは質疑のおありの方は質疑をお願いします。
  15. 野本品吉

    野本品吉君 これは案の内容に直接関係するかどうかは疑問でありますが、この法案を提出しました主な理由が、帰還者援護並びに未帰還者消息究明等について云々とありますが、ここでお聞きしたいことは、巷間伝えられるところによりますと、中共地区からの引揚作業が円滑に進まないかのようなことを耳にしているのでありますが、この作業の経過、どういう状態において進行しているかということについてお聞きしたいと思います。
  16. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 中国本土からの未帰還者引揚状況でございますが、これは昭和二十三年以来一応停止いたしておつたのでございますが、昨年の十二月一日に北京政府の意向というものの放送がございました。これによりまして御承知通り今年の三月からこの引揚を開始いたしております。北京政府放送内容というものから見ますると、大体三万人の日本人居留民がいる。この三万人の居留民のうちで日本帰りたいという希望者は全部帰すということになつているのであります。そうしてその後のこちらから参りました民間団体向うの紅十字会との折衝におきましても、この点は明かになつているのでありまして、三月から現在まで三回船団が往復いたしております。各船団に大体五千名ずつ乗つてつて来ております。従いまして現在までに帰りました者は約一万五千名、一万四千余者が帰つて来ているのであります。第四次の船団向うへ参りまする期日につきましては先方からまだその期日の指定が参つておりません。これにつきましては、先方から参つておりまする電報によりますると、日本におりまする華僑の中で向う帰りたいという希望の者がおるが、これを向うに帰すということについてお願いをしてあるがこれがどうなつておるか、その御返事を待つてそれを御指示申上げたいということを向うから言つて来ているようであります。従いましてこちらといたしましては、日本赤十字社等におきましてその経緯について向う報告いたさなければならんということになつているようであります。従つてこの在日華僑向うに帰す点が問題なんでありまするが、我々といたしましては、向う帰りたい希望の者が先方帰りますことにつきましては、これは人道上の問題といたしましても当然そうしなきやならん。又従来よりこれを帰すことについて異議があるものではないのであります。これを集団的に向うに帰国させるという方法につきましては、結局こちらから向うへ参りまする船が安全に向うへ参らなければならんのでありまして、これの安全輸送につきまして目下国民政府と交渉中のようでございます。その間の状況につきましては外交の機微に属することでありまして、私どもよく詳しいことは存じないのでありまして、責任のない私の方から申上げるのはどうかと思いまするが、これについては外務省当局におきましても相当熱心にやつているのでありまして近く解決するのではないかというふうに期待いたしております。我々としましては、この問題と向うから帰ります問題とは直接関係がある問題とは思つておりません。併しこちらから向うに帰すということにつきましては、日本赤十字社において向うにできるだけ努力するということを約束いたしておるようでありまするが、先ほど申上げましたように、日本政府といたしましては、向うに帰すことにつきまして何ら異議があるものでありませんし、できるだけ便宜を図りたいと思つております。この問題につきましては近く解決いたしまして第四次の配船ができることと考えております。現在のところではそのような事情で第四次配船時日がきまらないという点があるのでありますが、この問題は今後の引揚が不円滑になるというような問題ではないのであります。向う情勢を見ましても大体帰すつもりで準備をいたしておるのでありますから、やはりこの問題がはつきりいたしましたならばすぐに第四次船団配船時日等を指定して参るというように考えております。
  17. 野本品吉

    野本品吉君 なお帰還した者の援護の問題ですが、この援護の対策は大体において予定通り進められておるのでありますか。
  18. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 今回の帰国者援護につきましては、この前の国会の際におきましてもいろいろ御説明申上げたのでありまするが、従来のソ連或いは南方方面から帰つて参りました引揚者よりは極めて手厚い援護をいたすようになつております。これはやはり国内情勢が相当変つて来ておりますること、及び引揚げて来まする人々先方におきまする生活状態というものが違つておるというような点、そういういろいろな情勢考えまして、従来の引揚者よりは極めて手厚い援護をいたすようになつております。なおその後の情勢によりまして更にこれを強化する必要があると認められたものも若干その後改善いたしております。例えば帰りました人々に対しまする帰還手当が従来全然なかつたものを、今回初めて大人一万円、子供五千円というものを出すことにいたしたのでありますが、これを第一次配船までは持帰り金と合せまして二万円以上になりまするものは二万円までに押えるということにいたしておつたのでありまするが、帰りました状況等から考えまして、我々としましては最初から希望いたしておりました通りに、一律に一万五千円というものをこれは出すということに変更いたしました。又帰りました人々の中で病気になつておりまする人々治療につきましては、政府におきましては大体十日間の治療をする、あとはそれぞれの状況に応じまして一般国民と同じような扱いをするようにいたしておつたのでありますけれども、その後情勢によりまして相当病人が多いというような関係からいたしまして、これにつきましては二十五日間、大体国に帰りますまでの期間を合せますると約一ヵ月間ということになるのでありまするが、その期間治療を国でみる、その間にその後の治療についての方針を立てるということに変更いたしたのでございます。又船の中におきまするところの医者、看護婦等配置につきましても、第一次船団状況によりまして第二次船団以後は非常にその数を増しまして、その点に遺憾のないようにいたしましたし、又援護局職員等につきましても、例えば子供に対しまする保護等をこれに加えますとかいうふうに、援護内容を強化いたしております。  援護実施状況でございまするが、これは大体円滑に行つているようでございます。主として問題となりまするものは定著地におきまする就職の問題と住宅の問題でございますが、就職並びに住宅の問題につきましては従来と違いまして非常な力を入れておるのであります。労働省におきましては、この就職問題について特別なる就職斡旋措置を講ずることになつておりまして、現在までのところ大体就職希望者の三割以上が就職いたしておる。大体一ヵ月ばかりの期間でございまするが、その間に就職希望者の三割以上の者が就職いたしておるというような状況でございまして、一般就職者が大体一割見当しか求職申込者に対して斡旋ができないにもかかわらずこれは非常によく行つておるようであります。勿論まだ三割以上と申しましても半分にも達しないという状況でございまするからして、なおこれにつきましては努力しなければならんと思いまするが、まあ我々予想いたしておりましたよりはよく行つておる。今後におきましても一層この点は努力いたしたいと考えておるのであります。  住宅の問題につきましては、予定の通り三千五百戸ばかり今度帰りました人々のために建てることになつております。成るべくならば現在の住宅事情でございますからして、辛抱のできるだけは辛抱願いたいと思つておるのでありますが、どうしても縁故のない者、或いは縁故があつてもそこに落着けない人、これらにつきましては特別な住宅を建てるということにいたしたいと考えておるのであります。これにつきましてはすでに最初建てました四百数十戸のものはこれはもうすでに建つておりますし、次の一千戸もぽつぽつ建ちかけておるのであります。なおこの問題につきましてはあらかじめ建てておきまして、これに受入れるというわけには行かないのでありまして、皆さんがお帰りになりまして落着いた先がきまつた上でないと家は建てられないのであります。あらかじめ建てておきましてそれが空家になつていてほかに利用されるということになりましては適当でないと考えましたので、大体帰られました落着状況を見て逐次建てて参りたい、かように考えております。現在のところこの方面も建築につきましては不円滑になつておるというふうには考えておりません。ただ土地問題等におきまして若干問題がありますので、これらについてはできるだけ打開いたしたいと思いまして、先般来いろいろ手を打つておるような状況であります。
  19. 野本品吉

    野本品吉君 消息究明ということですが、これはどんな方法でおやりですか。
  20. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 御承知通りソ連中共地区におります邦人、これがどういうふうになつておるか、我が方の調査によりますと大体十数万の人間がまだ向うにおる、而も生きておる。つまり死んでおるとは認められないというものがあるわけであります。そのうちでソ連地区が二万数千でありますから、約八万ばかり中共地区においてまだ死んだという証拠のない者がおるわけであります。従いまして今回三万返すといたしましてもまだ相当多数の者が消息不明になつておるのでありまして、これらの者につきまして従来やつておりますのは、一般邦人については外務省において、それから軍人については援護庁においてその消息究明をいたしております。援護庁の末端でありますところの各府県の世話課でこれをやつておるのでありますが、そういう調査をいたしますのは大体向うから参りました通信及び帰りました人々の持つておる資料、その人のいろいろな聞込み、目撃した状況等を聞きまして、その状況を明かにするわけであります。確かに或る人々が或る場所において死亡したということを確認するだけの心証が得られるような資料を持つておる人でありますれば、その人は別なのであります。又どこそこにおつたということを数人の人が目撃しておる。それが確かであるということがわかれば生きておるということは確かであります。それらにつきまして先方どの人が生きておる、どの人が亡くなつたかということを明かにすることは、こちらに残つております家族にとりましては非常に重大な問題でありますから、これらの問題につきましてはそういうような資料について調査をいたしておるのでありますが、これは非常に困難でありまして、どういう人から資料をとれば一番はつきりした明確なものが簡単に得られるかということを系統的に調べて参りまして、それらにつきましては帰られた方々がどこにおつたか、何をしておられたかということを明かにして、そうしてそれらによりましてこちらが持つておる資料と照し合せて、その人はどうしておつたかということを多数の人について照会する。或いはそういうような資料を持つておる人に集まつて頂きまして、それによつて記憶を喚び起してやるというようなことによりましてやるわけであります。そういうような調査は非常な手数がかかるのでありますが、併しそれによりまして相当多数の死亡者も確認しておるし、生存者の確認もいたしておるのであります。今度又新らしく三万人の方々向うから帰られますので、新らしい資料や手がかりが得られることと思います。又現在お持ち返りになつたものでこちらに提供したものもございます。だんだんそれらの事情がわかるようになりますれば留守家族方々及び国民方々の御期待に副い得るようになるのじやないかと思つております。
  21. 野本品吉

    野本品吉君 このあれによりますと、本年度一杯というふうに時期を画されておるのですが、大体この期間で今お考えなつておられますような仕事が終るというお見込なんですか。
  22. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この引揚援護庁機構というものは要らなくなれば成るべく早く縮小した方がよいのじやないかと考えております。ただどうして来年三月三十一日までということにしたかということでありますが、一応一番今多数残つておると認められる中国本土からこちらに希望者は全部帰すというふうに先方が言明いたしましてこちらに帰つて来るわけでありますので、一応これが終りましたならば、大きな集団引揚というものは今後一応ないということにならざるを得ないわけであります。ただ問題はその際にいろいろ調査いたしました結果、まだ向うに残つておる者があり、而もそれがまだこちらに帰りたいという希望を強く持つておるということでありますれば、今後も集団引揚ということはあり得ることになるわけでありまして、その場合に来年の三月三十一日で切つていいかという問題は又問題になろうかと思います。ただ現在のところでは先方がそういうふうに申しておりまするし、調査いたしましたならば、或いは今後の集団引揚というものはもうないのであつて、今後は個別引揚ということになるということになりますれば、こういう現在と同じような機構を以て参らなければならんということにはならんのじやないかと考えます。それやこれやを考えまして最小限どこまで延したらいいかということを考えますと、来年の三月三十一日が大体いいのじやないか。そこまで行きますれば大きな見通しはつくというふうに考えられます。  それからもう一つは、それからあと縮小いたしましても全部なくなるというわけではないのでありまして、厚生省内局としてこの仕事は残すということになりまするので、そういう外局から内局に移す手数については、現在引揚をやつておりまする時期を避けて、年度末という時期をとるのがいいのじやないか、まあこういうようないろいろなことを考え併せました結果、一応来年の三月三十一日までということにいたしたらよかろう、まあ大体これで行けるだろうという事務的な考え方で、こういう日を括つたのであります。
  23. 天田勝正

    天田勝正君 この引揚援護庁は初から臨時的な機構として作られたのであつて、早い機会にこれが廃止されるという運命で発足したのです。これに携わる職員の諸君はそうしたやがてはだんだんに整理されて行くということを知りつつ、曽つてもこうした引揚業務に携わつてつた方が中心でありまするが故に、極めて熱心にこの仕事をやつて来られたわけであります。ところが臨時的とは言いながらまだ三十万四十万という多数の人が外地に残つておるという状況のときは、かなりまだ先に行つてもこの仕事に携わつておるという自信があるわけでありますけれども、すでに今長官が説明されたようにあと今明らかになつておる点では一万五千ぐらいしか残留者がない。而もいろいろこれに支障があるにしても大した支障なしに引揚が運ぶであろう、こういう状況なつて参りますると、お言葉の通りならばそう来年の三月を待たなくてもこの業務が完了する、こういうことになるのです。そういうことになりますと、むしろ私はこうして延して行くよりも早い機会にこうした機構はやめて、そうして今まで熱心に携わつて来られた方たちはどういう方法かで職場転換、こういうことを早く考えなければならないのじやないかと、こういうふうにまあ考えるわけです。で、こういう職場転換等について当局はこれらの人たちにどういう考え方を持つて臨まれておられるか、お考えがありましたらお知らせ願いたいと思います。
  24. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 非常に御同情ある御質問でございまして、引揚援護庁が最初できましてから現在までの間、そういう問題を絶えず背負つておるのでございます。当初七百万以上の海外におりまする方々をこちらに迎えるというので、昭和二十二年に発足いたしまして引揚援護仕事が始まつたのでございますが、そうして十数カ所の地方援護局を持ちまして一つ援護局に数千の職員を擁しまして引揚業務をやつてつたのでありますが、現在これが一援護局になりましてそうして舞鶴だけの地方援護局を持つておるという状況なつておるのであります。ここに至りまするまでにはそういう問題は絶えず持つて逐次縮小しながら最近に至つております。従いまして今のような問題は我々も非常に苦慮いたしておるわけでありまして、従来からその問題につきましては援護庁の本庁におきまする非常に大きな一番重大な問題であつたわけであります。今後におきましてもこれらにつきまして各方面の御協力を願わなければならんと考えておりますが、併しながらとにかくまだ一万五千人の引揚向うから来ることは確実でありまする現在におきましては、この仕事に熱心に携わらなければなりません。これは現在では僅か数百名の人間舞鶴におきましてこの仕事に当つておるわけであります。従いまして従来数千人を擁しましてやつておりましたことを現在は数百人でやつておりますので、現在のところはこの間にあらゆる雑務をなくするようにしてその仕事に専心して行くことが必要ではないか。このためにはやはり引揚がはつきり完了するという時期までは、これに動揺を与えないようにするためにはやはり期間として相当延長することが必要ではないか。先ほども申上げましたようにあと調査事務につきましての大体の見通しをつけなければなりませんので、我々といたしましては一応最小限来年の三月三十一日までは延ばさなければならんだらうと考えております。今働いております人々あとのことを考えずに皆熱心にやつております。これらの方々のその後の配置転換等の問題につきましては、我々といたしましては今後十分に努力しなければならんと考えておりますし、又各方面の御協力を願いたいと思つております。
  25. 天田勝正

    天田勝正君 これはいつも今までの縮小でもそういうことだというお話ですが、仮に個別帰還ということになつてもまあ内局を置かなければならん。併し内局なつたとしても同じ厖大な機構をそのまま持込むということは当然できないので、特に大量な馘首ということが起ることがどうしても想像されるということであるから、これは今御説明のように携わつておる方たちが、先のことは考えずにということでなしに、政府側でどう考えておるかということなんです。これは一つ中山厚生政務次官にお伺いしておきたいと思います。
  26. 中山マサ

    政府委員中山マサ君) お説の通り私が曽つて舞鶴に参りましたときにもあそこの援護庁のお方々に対しまして、この業務が終つたならばどうなるかという御心配は始終お持ちになつておつたように私も拝察しておるのでございます。何とかして行政整理をしなければならないという建前を党の建前として持つてつておりまして、政府もその面で御案内の通り税との兼ね合いもございまして、国民生活の点もいろいろ考えまして、いつまででも若し引揚が相当の時期に終りますものならばという考えを始終持つておりました。併しこのお方々の行手のことも私どもは又考えなければならないのでございまするが、まあ先一年ございますので、何とかしてこのお方々の相当なる処遇について政府も必ず考えることであろうと思うのでございます。御案内の通り地方に御出張になりますると、皆様方もこういうまだここに二百世帯というようないろいろな戦傷病者或いはその遺族の問題につきましても、まだなかなか貰うべきものが来ないというような不平を始終聞いておりまするので、そういう問題が立派に解消になりまするまではまあひとしきり一年間ということになつておりまするけれども、政治は生きものでございまするから又それまでに如何なる事態が来るか、三万だけが帰つてそれで終りとは、先生も長らく引揚問題で御心配頂いておる方でありますから御了承頂けると思いますが、まだまだなかなか問題が残るのではないかということを考えておりますので、このお方々のお仕事も又違つた場面においてお働き願えると、私はこう考えております。一年の間に何とかこの問題を解決すると同時に、必ずや残る問題のためにこういうお方々のお働き願える場所が作られるのではないか。こういうことも今私は考えております。着任早々でまだ十分のこともわかりませんが併しただ私の考えを申上げておきたいと思います。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本法律案の提案理由の説明は了承いたしますが、まあ、これはさつき二委員から質問があつて、審議に入つたわけですがね。私は、半数改選後の本委員会における審議は本日が初めてでありますが、これに疑義があると思うのです。疑義があるというよりか、政府委員は怠慢だと思うのですね。これは提案理由にもありますように、厚生省内局が縮小改変する予定であつたけれども、中共地域からの引揚が開始されたので帰還者の受入援護に万全を期するために云々と、こういう提案理由が説明されたのでありますが、この点私先ほど申上げました通り、了承するわけでありますが、さつきの質問を待つまでもなく、こういう法律案を提案する以上は、政府委員は現在におけるところの、先ほど質問されたすべてとは言いませんが、大要というものは当然資料として我々に出して、然る後に法律案を審議しなければならんと思うのです。で私はほかの委員のほうは頂いておるかも知れませんが、私がもらつた資料には全然そういうことはない。従つて後ほど、さつき一万五千人お帰りなつたというがそういう一万五千人のお帰りなつた数とか、あと見通しとか、或いは就職は三割、そういう点とか或いは住宅の問題とか、或いは引揚げて来たところの生徒児童の受入対策はどうなつておるか、そういうような要点だけは、勿論この内容のつつこんだところは特別委員会でやるわけでありますが、併しながらこの設置法において来年の三月三十一日まで延期する以上は、こういう審議をする場合はそういう資料を出すべきだと思いますが、のちほど出して頂きたい。それだけ委員長を通じて要望しておきます。
  28. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御発言がないようでしたら、質疑はこれで終了したものといたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないようですから質疑は終了いたします。  次に討論に入ります。御意見のおありの方はどうか賛否を明かにして御発言をお願いいたします。
  30. 長島銀藏

    長島銀藏君 討論を省略いたしまして直ちに採決に入られたいと存じますので、動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  31. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 討論省略の動議がありました。討論を省略することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) では討論は省略いたします。直ちに採決に入ります。厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、原案通り可決することに御賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  33. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 有難うございました。全会一致でございます。従つて本案は原案通り可決するべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告は、前例によつてこれをいたすことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは異議ないと認めます。  次に本院規則第七十二条によつて委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願うことになつておりますから、御賛成の方の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     上原 正吉  長島 銀藏     竹下 豐次  田中 啓一     矢嶋 三義  天田 勝正     松原 一彦  堀  眞琴     野本 品吉   —————————————
  35. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に調査承認要求に関する件を議題といたします。本院規則第三十四条によりまして、委員会は付託事件のほか、議長の承認した事件について調査をすることができるのでありますが、本委員会もその問題が極めて重要でありますので、従来行政機構の整備に関する調査を行なつて来たのであります。  この際お諮りいたします。今期国会もこの問題につき議長の承認を得て種々調査を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議がないようでございますから、行政機構の整備に関する件につきまして、本院規則第三十四条第二項により、調査承認要求書を提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。  なお提出すべき文書には、その調査いたしますいろいろな事件の名称及び調査の目的、利益、方法期間及び費用を明かにすることになつておりますから、一応委員長において前回にならつて案文を作つておきましたから朗読をいたします。    行政機構の整備に関する調査承認要求書  一、事件の名称 行政機構の整備に関する調査  一、調査の目的 行政事務の簡素化及び能率を図るため行政機構を整備する  一、利益 行政機関について明確な範囲の所掌事務と権限を定め、全体として系統的に構成し且つ相互の連絡を図り、一体として行政機能を発揮し得るよう今後の立案審査に資する  一、方法 関係方面から説明並びに意見を聴取、資料の要求、実地調査等  一、期間 今期国会開会中  以上でございます。これを提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それではさよう決定いたします。  それでは以上の調査について議長の承認が得られました後には、各委員の御都合をお伺いして、議員派遣をすることにいたしたいと思いますが、これの御都合は専門員室からお打合せをして、そうして具体的にこれの承認を得るということにいたしたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)それの手続は委員長にお任せ願つてよろしうございますか。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  39. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十一分散会