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1953-07-23 第16回国会 参議院 電気通信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十三日(木曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            島津 忠彦君            久保  等君    委員            津島 壽一君            新谷寅三郎君            小林 孝平君            山田 節男君            三浦 義男君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省理財局長 石田  正君    郵政政務次官  飯塚 定輔君    郵政省電気通信    監理官     金光  昭君    郵政省電気通信    監理官     庄司 新治君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君    日本電信電話公    社営業局長   吉沢 武雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公衆電気通信法案内閣提出衆議  院送付) ○有線電気通信法案内閣提出衆議  院送付) ○有線電気通信法及び公衆電気通信法  施行法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。  公衆電気通信法案有線電気通信法案有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案一括議題といたします。  前回に引続き質疑を行いたいと存じます。間もなく大蔵当局も参るようでございます。
  3. 久保等

    久保等君 郵政大臣がお見えになつておりますので、郵政大臣に一点お伺いいたしたいと思うのですが、それは昨年の八月一日から公社になりまして以来、その以前におきましては、いわゆる特定局電信電話業務というものは、これは電通省郵政省委託をいたしておつたのですが、昨年の八月一日以降は、監督大臣はこれは郵政大臣、その下に電電公社電信電話事業運営に当つておるわけなんですが、機構改革をたまたま機を一にして考えました関係から、監督官庁郵政省になり、而も電信電話電電公社が経営をするということになりました関係から、以前に郵政省でやつておりました特定局関係電信電話業務は、引続いてやはり郵政大臣電電公社委託をしてやつてもらうということにまあ建前はなつておるわけです。今度の電気通信法案の中にも、そういつたような点が福われておるわけです。特に第七条あたりがそうなつておると思うのですか、このことは少くとも一般の、常識的に考えてみました場合には一つ矛盾だと思うのですが、監督官庁が被監督者の依頼によつてその業務を実は運営するということは、確かにこれは一つの変則だと思うのです。非常に特定局の問題については、電信電話事業についていろいろ今後研究しなければならない問題も残されておると思うのですが、こういう変態的なものは、少くともいずれできるだけ早い機会政府当局としてももう少し何かすつきりしたような形にすべきじやないかというふうに考えるわけです。というのは、やはりどうしても運営の面において監督官庁それから電電公社という関係の間で監督官庁委託するというようなことが、勿論発足当初は、これはお互いに、それぞれ幹部間にいたしましても、同じいわば長い間同一事業に携わつておるというような関係で、非常に円滑に行つておると思うのですが、必ずしも永遠に将来非常にスムースに行くとも考えられない面が、この組織の上からいつても確かにあると思うのです。そういう矛盾したような過渡的な段階として、こういう状態が今日あるわけなんですが、そういう点については、やはり一番根本的な原因は、政府機構改革という問題が、非常に、いわばできるだけ簡素化するのだという建前から、多少実態というものを抜きにした無理押しをして非常におかしな形に実はなつておると思うのですが、そういう点で機構改革の問題とも関連をするわけなんですが、この点については、将来政府当局として十分に何とか考えて行かなければならないのじやないかというふうにお考えなのか、現在のままでこれは実際問題としても何らおかしくないのだというふうにお考えなのか、そのあたり大臣のお考えを承わつておきたいと思うわけなんですが。
  4. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは考え方としましては、御指摘のように多少おかしな点は私もあると思います。併し、私は大体郵政省というもの自体が、よく考えてみると電電公社と同じように郵政事業そのものをやつておる現業官庁としての部分と、そうして又郵政電通を通じて監督をしておる監督官庁という部分と二つが一本になつている。従つてここに「委託することができる。」とは書いてありますけれども委託されておるのは、今の現業官庁としての郵政大臣部分委託がされておるので、監督官庁としての郵政大臣委託を受けておるという形では必ずしもないのではないかと思います。併しそれじや監督官庁としての郵政大臣と、現業官庁としての郵政大臣とを、どこにどうけじめを付けるのだとおつしやられると、やはり理窟の上では若干矛盾はどうしても拭い切れないと思うのです。今私も行政機構改革の下ではいろいろ考えておるのですが、考え方だけからすれば、郵政事業公社みたいな形にしてしまえば、今の現業部分が完全に離れてしまつて監督部分だけが独立して郵政電通も同じ立場になる。そうすれば同じ公社というような立場にあるもの同志の上に委託されるということなら、これはそういう矛盾もなくなるということも考えられるわけであります。併し、別に郵政を今すぐに公社にするというほど割切つて行けるかどうかということは、他の面からいろいろ考えなければならんので、まだ結論は得ておりませんけれども、まあすつきりできるものならすつきりしたいとは思うのでありますが、併し余りすつきりしたいということに急なために、そこに不経済を起してはならんから、今の段階では一応ここでいいのではないか、こう考えておるわけであります。
  5. 久保等

    久保等君 この問題は、勿論今後の研究問題でもあると思うのですが、いずれにしましても、要するに私の申上げたい点は、事業実情という面よりも、当時といいますか、その時における一つ政府行政簡素化なら行政簡素化というような問題から、とかく機構改革を画一的に取上げることが、つい、そういつたような非常に矛盾した、或いは又非常に無理をとかく冒しがちになつておるということを申上げたいと思いますし、その点から十分に、必ずしも画一的に官庁なら官庁の数さえ形式的に減らすことが、事業実態に果して副つておるかどうかという問題になると、これは相当疑問があろうと思いますし、そういう点から今後十分に御考慮を実は願いたいという意味で、只今の御質問を実は申上げたのですが、私自体として、特別にここで具体的にどうすべきだという結論を持つて実は御質問をいたしておるわけではありませんけれども、いずれにしても非常に、ちよつと常識的に考えても又事実問題としても、将来現在の形のままがいいとは言い切れないのじやないかというふうにも考えておりますので、その点大臣の御所見を承わつたわけですから、別にこれ以上この問題につきましては、続けて質問する考えではおりませんが、今後の問題としては、その点も十分にお考えを願いたいという程度でとどめたいと思います。
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 大蔵政務次官は他の委員会からも非常に呼ばれておられるようでございますので、この機会大蔵当局に対する御質疑を主としてお願いしたいと思います。
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 愛知大蔵政務次官にお伺いしたいのですが、昨日郵政大臣から、今度の衆議院修正せられました予算案と、それからこの委員会にかかつておりまする電気通信関係の三法律案との関係について御答弁がありましたが、要点は、政府は勿論予算の執行については責任を負うので、今の予算通り決定をしてもらいたい、ただ衆議院法律案修正の結果、相当本年度以降において、本年度においても歳入欠陥を生ずるであろうから、それは来たるべき国会において予算補正をするつもりである、こういう趣旨の御答弁がありました。これについては、事郵政大蔵当局お話合いの結果御答弁なすつたようでありますが、これは実は非常に重大な問題でありまして、私ども電話料金値上げということは必ずしも賛成しがたいのでありますけれども、日本の電信電話実情を見まして、これは何としてもここで相当大幅な拡張計画を立てて行かないことには、国民に対して非常な迷惑をかける、電話の用をなさないという点から、この料金値上げにつきましても、趣旨においては賛成をしておるのであります。従つて一案でありますが、公社の提出しておりまする電信電話拡張の五カ年計画というものを一応の基礎資料としていろいろ審議を続けておるのでありまして、この五カ年計画が崩れるということになりますると、実は我々が今まで審議して参りました対象が崩れてしまうことになるので、この点については非常に私は重大視しておるのであります。この五カ年計画を遂行する上に必要な所要資金は、法律案修正によつて、二十八年度は確保できないような見通しになつて来たのでありますが、これについて大蔵当局として、必ず来たるべき国会において予算補正をして五カ年計画の遂行に差支えのないような措置をとるというお考えでありますかどうかを、もう一度はつきりお答えを願いたいと思います。
  8. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今新谷委員からのお尋ねは、誠に御尤もなことだと思うのであります。私どもは数日前に衆議院電通委員会におきまして、衆議院において加えられました修正の問題が討議されておりまするその段階から以降におきまして、私どもとしても、実は財政当局としては原案のほうがよろしいと思いまして、原案をずつと考えておつたのでありますが、衆議院の御意図によつて修正を加えられるということになりました以上は、やはりこれは五カ年計画なり、更にその底にある十カ年計画なりという電電公社の御計画というものを基礎にして、それが今度の修正法律に加えられても実施ができまするように、我我としても責任をとらなければならないと、こういうことを申上げて参つたわけでございまして、そのことは、只今も明確に申上げるところでございます。私どもといたしましては、非常に困難なことではございまするが、追つて予算補正という段階にこれを何とか実施するようにしなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 津島壽一

    津島壽一君 ちよつと愛知政府委員にお伺いしたいのですが、いずれこの歳入欠陥については、予算措置で補充をするというお話ですが、これは会計法規定についての解釈だけを承わつて、それが可能であるということをはつきり伺つておけばいいと思います。この日本電信電話公社法の五十一条だと思うのですが、この文句は「予算成立後に生じた事由に基いて既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、予算修正し、」と、そこに文章として、まだ予算参議院審議中である、そうして衆議院歳入欠陥が生ずるような値上げの削減をした、まだ予算成事立後に生じた事由ではないわけですね。仮に参議院でこの法律が先に通過して予算が遅れた場合に、仮に現実の問題として歳入欠陥が起るような法律が先に通過して、そして予算あとから国会通過したという場合に、五十一条の文句は、予算成立後に生じたのではなく、予算成立前において法律通過とて欠陥を生じた時分に、この規定で、果して予算修正する待機の補正予算か何かの措置がこの規定字句考えてできるかどうか、こういう問題があると思うのですが、そこを大蔵省解釈はこれができるのだと、こう言えば、この審議は割合に安心して、安心という意味は、いわゆる拡張五カ年計画というものは、飽くまでも政府が実行するのだとはつきりした御表明があつて、ただ電話料金値上げを多少抑えて歳入が合わない部分は、早く予算的の措置をする、というのは五十一条でやる、その成立前に生じた事実について予算修正する案が五十一条でできるかという点ですね。これは今から伺つておかんと、あとでこれはできなかつたのだと言つて、それはできないのだと、こういうことになつても甚だ委員会としてはまずいことになると思いますが、どんなものでございましようか。
  10. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) この五十一条の問題につきましては、衆議院における審議のときにも大分問題になりまして、この規定は、見ようによつてはいささか不備ではなかろうかというような議論も出たような次第でございます。純粋に法律論として解釈いたしますれば、今津島委員の御指摘のごとく、私は疑義があり得ると思います。併し最近におきまする法律予算関係は、申すまでもございませんが、予算案内閣提出権を持つておる、法律案については議員の立法ということが認められておるという関係から、再再に亘りまして予算法律とが齟齬する場合が実はございますので、これは根本問題としてどういうふうに調整しようかという問題が別個にあるわけでございますが、この場合におきましては、私は公社法の第五十一条から言えば、必ずしも疑義のないことはないと思いますけれども、併し条理上から申しまして、すでに衆議院という一院が法律案修正ということによつてその意思決定されております。又これからは仮定の問題でございますが、参議院におかれましてもその衆議院修正を是認されるということで意思決定されますならば、その国会意思というものは、条理上当然こ尊重されなければならないものでございますから、先ほど申しましたように、必ず予算上の措置を然るべき機会にしなければならないという義務を政府側が負うものであると、こういう解釈の下に、特に本件につきましては、政府といたしまして補正予算というような具体的な表現まで用いまして、何とかこの歳入欠陥を補おうということをお約束をするという態度を明白にしておるつもりでございます。
  11. 津島壽一

    津島壽一君 この五十一条があつても、補正予算というか、歳入補填措置が可能である、こういうように大蔵省でお考えになつておる、障害がない、こういうわけでございますね。
  12. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) その障害がないと考えまする以上に、本件につきましては、必ずやるというお約束を申上げる、こういうことでございます。
  13. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私からも補足的に。実は最も困難な問題の御追及を受けておるので……。実は衆議院でこの点の追及を受けましたときに、この公社予算は、郵政大臣のほうが調整をして大蔵大臣のほうに相談をするということになつておりますので、その辺の責任郵政大臣のほうにあるわけなんでございます。併し、何にいたしましても、あのときは、衆議院予算は通つてしまう、法律案は今通るか通るまいかという段階になつておるので、正確には五十一条を文字通り解釈しますならば、参議院予算法律がどういう工合になるかという時期に来てからでなければ議論ができない問題でありますということで、衆議院のほうは一応これで通つたわけなんであります。併しこちらへ参りまして、法律案が先に来、予算あとになるということになると、この文字を、これを文字通り解釈すると非常に困難な事態が出て来ると私どもには思えまするが、ただそれには、今の段階予算衆議院を通つてしまつて参議院で御審議を願つておる。そうしてそのあと法律案がああいう形で国会が又別に意思を御決定なつたというときに、それでは新らしい意思従つて予算政府修正できるような時期におるかどうかというと、それは政府の手にはかけられない段階になつておると解釈せざるを得ない。従つて参議院において、新らしい衆議院法律修正従つて予算修正を下さるというのであれば別でありますけれども政府としては、これはどうにもならない段階である。今五十一条は、文字通り解釈いたしますれば、参議院予算が最終的に意思がきまつたとき、まあ成立のときということになるのでありますが、私は五十一条のこの法の気持というものは、政府予算を出すものではあるが、政府予算が自分の手でどうこうまだできる段階において直さなければならない事由が生じたならば直せ、そうでなかつたならばあと補正でやれと、こういうように私は規定をしておるのじやないかと、そういうように解釈いたしまして、参議院において予算修正をされずに行つてしまい、法律があのままで参議院を通るということであれば、五十一条の趣旨からして、政府予算補正するということは差支えないのじやないかと、こういうように私としては考えておるわけなんです。
  14. 津島壽一

    津島壽一君 それですつきりとした形だと、この衆議院修正案と相待つて附則にでも、こういつた法案というか、法律に基いて生ずる実行上の不足は、五十一条に準じて予算修正することができるとかいう経過的規定でも設ければ、そういつた疑義がないと思う。これは何というか、法律的に言うと、切りつ放しにして、予算は、歳出はそのまま通して、そうしてあと補正いたしますと、こういう言明をすると、何によつてやるのかと、こういうことになる。政治的にやりますということは、これは政治上の問題であつて、昨日も発議者説明を聞くというと、三派合同ですから必ず通るのですというふうに言う。それは政治上の問題であつて、必ずしも会計法規というか、国家の予算法規というものが、そういう力をそのまま信頼していいかどうかということに多少の疑義を持ちますから、これは、この予算郵政大臣提案者となり大蔵省と協議してきめるという特殊の形でありまするから、協議を受ける大蔵省においては、法規的の故障なしということを言明して頂けば、これは安んじて審議ができると、こう思つたから質問したのですが、やつぱりその通りつて、これを、附則をつけるという御意思は、若し仮にそういつた案があれば、そういつたようなことはどうもできない、こういうようなあれでしようか。
  15. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点、私も津島委員只今お話になつたよう附則にでも措置をしておつたらというようなことは全然考えておらなかつたのでありますが、そういうようにして、少くともこの問題については、この五条の特例と同じような規定財政法にもあるわけなんでありますが、特例をきめておければ、そういう法律問題も生じないで非常にすつきりするということにもなると思いますのでありますが、なお十分検討してみたいと思います。
  16. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 ちよつと今のに関連して、いろいろ五十一条、これは公社法案審議をするときにも多少問題にしたことを記憶しておりますが、例えば今度の九州災害のような大きな災害が今日どこかで起つたといたしますね、そうするとこれは調査もまだできない。そして被害額もわからないから、復旧をしなければならんのだけれども、勿論誰も予算も何も組めないという状態だと思うのですが、ここで五十一条を言葉だけで考えて行くと、これはどうしても予算決定される前に、それは予算を直しておかないと、予算成立前に起つた事柄については、予算成立後にはもう見得ないのだというように考えて行くことは、これは法律も予想しなかつたことだろうと私は思うのです。そういう意味で、多少の私は疑義がありますけれども政府の当時提案された五十一条の解釈というものは、相当そういつたものに対して何といいますか、いわばゆとりのある、幅のある解釈をしておられたのじやないかというふうに思うのですが、その点はどうなんでしようか。例えば今日えらい大きな災害が起つてしまつて、これは予算成立前の事故だ、これに対する補正予算というものは、予算成立してしまつてからではこれはどうも提出しにくいのだということになると、実際これは動かない。今度の現実問題でも、西日本、それから九州方面災害による被害が、公社でも相当私は大きいと思うのです。これなんかは今まだ恐らく調査中であつて被害状況も恐らく和歌山、奈良等については判明しないだろうと思います。こういう問題について処理される場合に、今の条文をどういうふうに考えて行くかということも併せてこれは考えられないと、單に字句だけの解釈でおきめになりますと、あとで動きがつかないようなことになると思います。
  17. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) どうもそういう点が、非常に私が衆議院規定が少し不備じやないかと言つて叱られた点でありますが、ただ只今新谷委員が御指摘になつたよう事態の場合には、これは五十条のほうに措置はできるようになつております。その追加をする場合は、「予算作成後」という時が時期になつておると思います。ところが修正の場合は「成立後」というところで打切つであるのです。それで新谷委員が御指摘になつたような場合には、作成後の事態であるからしてこれは追加ができる、措置はつくのでございますけれども、それじや追加修正とこうして五十条と五十一条に分けて、修正の場合は、成立後でなければできないとした事情がその辺はつきりしないのでございます。そうしてこういう問題が起きるということは想像もつかなかつたものですから、こういう規定になつてつたと思うのですが、現実に起きてみると実に当惑をしてしまう。而ももうこの段階においては、政府は幾ら直せとおつしやつても直す法的な権限もなし、又直しておる事実上のゆとりもないということになつておるものですから、まあそれでこういう場合が今後ちよちよこ出て来るならば、何かやはり法律面に若干の考慮を加えてその辺を直しておかないとまずい。ただ今申上げましたように、法律がこうなつており、而も事実上の必要がはつきり起きておるのでありますから、この「成立」という字を、必ずしも参議院予算通過をしたときという既定の段階でなしに、これは政府予算に手をつけられなくなつてからという意味解釈して頂けば、その矛盾は若干補つて行けると、こういうように考えておるわけでございます。
  18. 津島壽一

    津島壽一君 只今新谷委員の御質問の点は、私も今の郵政大臣の御答弁でいいと思います。予算審議中であり、避くべからざる事由があつて、例えば災害等があつて、その予算追加するというためには、追加予算程度でやつて行く。これは予算というものを作成した後に起つた避くべからざる事由であつたというのでいいと思います。今回の場合は、歳出予算をとつておるので、避くべからざる事由というものは、これでたくさんだというのに財源が足りなかつた、そのまま予算成立してしまつたというような場合に、その追加予算という形式でも行かないものがあるのではないかと思います。尤もこの会期中期間があれば恐らく歳入側の何か、いわゆる追加予算でありますか、何かの手ができるだろうと思う。追加予算を必要とする事由は、いずれの場合にも利子並びに債券取扱手数料が増額が来るわけですね、七十五億を百億の公募社債を出そうと、こう言えば当然に事後に起り得るものもあると思うのですがね。私が潔癖論をすれば、そういつた変態で予算修正できないが、あと修正し得るような途を開くためには、こういつたいわゆる料金値上げ修正といつたよう法律をここに出そうという機会に、この法律上の疑点臨時変則としてちやんと用意しておけば、あと法律上の疑義が起つた時分に、これはこういつた法律規定によつて特殊の修正予算を出すのであるということを言えると思う。そうでなければ、仮にあとから修正する、同月、いつやるかは別として。これは何の規定で出したかと言われれば、委員会から言われて責任をとつたからだというだけの政治上の問題になるという危険があるので、この機会にその疑点はつきりして責任をおとりになるということで私自身はそれで結構と思います。その意味つたのでございますが、さよう承知して結構でございます。
  19. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 承知しました。
  20. 津島壽一

    津島壽一君 これは郵政大臣に昨日ちよつとお伺いしておいた点でありますが、特に大蔵省側に最も関係があると思う問題で、もう一度繰返すような恰好になりまするが、衆議院のこの法律修正に伴つて歳入欠陥というものは、社債、主として公募社債によるということで、こういうことで郵政大臣がそれに同意したのだといつたようお話があつたわけであります。それで今の予算の、この政府の特別機関、電電公社予算で、これは初めて見るのですから間違つたら……、第二十一条に、公募により発行するものの限度額を七十五億円と、こういうことの限度額が書いであるのですね。そこで次に修正されて補正予算という名前であるかどうか知れませんが、この七十五億円というのを、公募社債を、二十五億歳入の補填のために公募の社債を発行するとすれば、この七十五億と書いである数字と同じになる、こういうことになるのでしようか、現実に百億発行する場合に。その点をちよつと伺つておきたいと思うのですが、この条項が修正になるということが、あとから出る修正予算一つの項目である、こう承知してよろしいでしようか。
  21. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) さように考えております。
  22. 津島壽一

    津島壽一君 そこで事実上の問題ですが、政府機関の全体の予算、これは予算委員会の問題かもわかりませんが、むしろ金融の問題でありまするから、この五カ年拡充計画が果して実行できるかどうかという問題の実質という意味で、予算委員会よりもこの委員会はつきりしたほうがいいと思うのですが、大体專売公社政府機関でも全然そういつた問題のないところですが、国鉄と電電の関係でございます。この修正前の予算審議中の今の予算によると、大体国有鉄道のほうでは、その所要の資金を公募社債が八十五億円、二十八年度予算で。それから借入金、預金部というか、運用部の資金による借入百四十五億円ということになつておるわけであります。これに対して電電のほうは二割五分値上げによつて歳入が賄えるという意味で公募を七十五億円、こんなふうにやる。運用部のほうは借入なし。こういうことになつておる。公募は百億に増加する。こういうような結果になると思うのですが、そこで両機関の資金調達の均衡をうまく得ておるかという問題が当然に起ると思うのです。原案は、政府案は極めて合理的で公正な全体の調和がとれておるものだと私は拝見しておつたのでありまするが、値上げ修正によつて、その結果が著しく偏頗と言つちや言い過ぎるかもわかりませんが、やや均整を得ていないものになるのじやないかというように感じるので、即ち公募社債が国有鉄道は八十五億、電電公社の債券は公募百億になろう、こういうような結果になつて来るわけです。これが総括的に可能であつたとしても、社債市場において……。全体の資産なり運営の收支から見て、いろんなケースを見ましても国鉄の收支は大体電電の三倍になつておる。あらゆるケースを大体見て……。電電のほうが三分の一というか、三対一といつたようなものが、百億の社債公募をすると、国鉄は八十五億だということがどうも起債市場に受ける感じがどういうものであるかということを我我は心配するのです。八月以降ということになると、大体八ヵ月しか残つていないというところへ、電電社債を月に平均十二億五千万円も出して行こうというような恰好になる。そこでどうしても運用部資金というものが、一体現実にこの一部を賄うという余地が絶対にないか。今はそうであるけれども、将来の修正予算を出されるまでの状況においてその余裕があればこの二十五億の欠陥を補うのに公募の額を減ずる余地があるという含みを残されるのであるのか。もうこの機会に全部二十五億が公募です、この意思を変えんのだということまでもはつきりここできめておく必要があるのかどうか。衆議院発議者の意見を聞くと、そうなつたのだとおつしやつたけれども、それは衆議院参議院とは別として、全体の釣合いから見て国鉄が昨年は百三十五億運用部資金をまあ資金に充てた。今年は十億増して百四十五億、電電は三十五億の運用部資金を二十七年度で借入れるというような方法であつたのが今回は零にした。それは理由があると思う。それは二割五分の増收を見込んだからこれは削つておこうというのは、極めて妥当な措置つたと思いますが、併し政府がこの修正案に同意されて大きなそういつた歳入欠陥を作つて、これからどうして補正しようかということを考えるには、今はつきりと全部公募だと、こういうことは結局ゆとりのないことになるのじやないかということを心配する。これは起債市場の状況もいろいろ考えなければならん。殊に電電の社債というものがどれだけ民間一般の応募というか、金融機関が鉄道以上に毎月出すことを受入れるかという問題も考えなくちやならん。それを考慮するゆえんは、この二割値上げによるというと、来年度電電公社は二百五億の借入金又は社債発行でなければ五カ年計画が実行できない。五カ年計画は必ず実行するのだ、そうして来年は二百五億、今年非常に重い社債を出すと、来年公募公債というものが電電公社のほうは嫌がつて来ると、さあこういう部面から五カ年計画の実行という面に破綻を来たす虞れがあるのじやないかということを心配する。二十九年度予算はどうなるかはどうも予期することはできませんけれども、先ずはつきり言えることは、借入金、社債の発行二百五億ですか、二百六億円、こうなる。そこへ今毎月十二億五千万円平均の公募社債を持つてつて、来年もうこれは金融機関としては御免だと、こういうようなことになると非常に予算の実行に支障を生ずるという慮れがあるので、まあ言い換えれば、この修正は電電の資金調達に非常にむずかしい問題を起すし、殊に国鉄、電電のよくとれたバランス、これはよくとれているということは、私は合理的にできでいるという意味ですが、それが破壊されたから一遍御破算にして、全体を総合的に考えられて、今後の予算をきめて行くというようなことが考えられぬものであるか。これは衆議院で御声明になつたところと少し違うかもわからんから念のためにお伺いしておきたい。こういうようなわけでございます。如何でしようか、この点は。
  23. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今お話でございますが、実はこれは郵政大臣が昨日御答弁申上げましたことと或いは言い廻しが多少違うかも知れませんが、その点はあらかじめ御了承願います。衆議院修正に関連して大蔵当局の意見を求められました場合には、先ほども申しました通り、私どもはやはり原案がいいのだ、できればそうして頂きたいのだが、どうしても値上げの率が多過ぎるということでお下げになるということであつたわけでありますが、そうするとどうしても歳入欠陥は補わなければならない。この点については、補正の際に責任を以てそういう欠陥が起らないようにいたしますということを申上げたのでございまして、具体的に二十五億円が全部公募の社債でやるというところまでは私のほうとしてはまだ研究を積んでおりません。何分にもかなり急激に起りましたお話でございますから、十分に御指摘通りで、二十九年度以降の問題は勿論でございますが、差当り二十八年度予算案がここまで遅れて参つて来ておりますので、当初私ども考えました不成立予算のときの考え方や、或いは今回御審議を願つております予算案に関連しての資金計画関係から申しましても、全く只今指摘通りでありまして、果して本月中の予算を通して頂けるとして、八月以降の金融市場の状況を見て、原案でさえもなかなか市場の消化が困難であろうと考えておるところへ、更にこういう新らしい問題を頂いたわけでありまするから、我々としては非常に苦しいわけでございまして、いろいろの手を併せ用いなければなるまいと思つておるわけであります。なおこれは余計なことかも知れませんが、このほかにも予算案修正に伴いまして、例えば地方債の起債の増額ということも又政治的にきまつておるわけでありまして、これ又できれば資金運用部で保有してくれ、いやそれはできないから公募債だというような議論がまだ続いておるわけでございます。そういうような情勢から申しますると、只今指摘を頂きましたが、二十五億は丸々公募だということには私どもは必ずしも考えておりませんで、この点は至急に且つ具体的に検討させて頂きたいと思うのであります。現に具体的な消化の問題につきましても、大蔵省としては非常な責任がございますので、御承知のように鉄道、電電両債券については、これも只今法律案の御審議を別途ほかの委員会でお願いしておりますが、政府の保証をつけましてそのほかにその利率、条件等につきましても、現在シンジケート方面とも内々の交渉をやつておるのでありますが、それはすべて原案のつもりでやつてつたのでありまして、この話も全部覆つて来るわけであります、率直に申上げまして。そういうような状況でございますので、大きな政治責任を負うてこの難局を打開しなければなりませんものでありますから、この具体的の方法につきましては、いま暫らく慎重に政府側の案がまとまり且つ消化ができまするような見込のつく計画が成案を得まするまで、はつきりしたことは私としては申上げられない立場にあるようなわけでございまして、その点御了承を願いたいと思います。
  24. 津島壽一

    津島壽一君 郵政大臣の今の点に関連しての御意見をお伺いしておきたいと思います。
  25. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 只今大蔵政務次官からお話がありましたのでありますが、私が昨日来いろいろな議会にいろいろな形で申上げました気持と、結果においては同じことなんでありまして、私も根本に心配をし、これだけはどうしても守らなければならないと考えておりますのは、この五カ年計画の、尤も二十八年度は四百六十一億の建設資金を確保するということであると、こういうふうに考えておるわけなんでありまして、従つて今のこの法律案修正になりまして以後の私の考えといたしましては、一応はやはりあの新らしい料金の下でできるだけ收入を挙げて、そこでやつて行けるならば一番無理なくやれるのだ、これは收入を挙げる途はそこに企業努力をして見積りよりも余計收入を挙げて行くという途がもう一つあります。それからして同じくこの社債の枠にいたしましても、一般に公募をいたしますもののほかに、もう一つ加入者などに持つてもらいまする枠がもう一つありますので、これは計画の上で四十八億となつておりますが、予算総則の上では八十五億という枠になつて出ております。ここに三十七億のゆとりがありますので、この面からの資金も努力して余計出すという方法もあるわけであります。それと今この二十五億を七十五億の上に加えて百億にするという途が三つあるわけであります。それでどれにやるのだということでいろいろ問い詰められて、一番確かな方法を約束してくれなければ困るという御意見でありましたので、それでここのところ百億にする。併し百億にいたしましても、これは限度額をきめるだけのことでありまして、百億になつたから必ず百億を出すという考え方では勿論ないのでありまして、他にどうしても方法がないときには、ここのところで百億まで出せるように措置をいたしますと、こういう考え方なんでありますから、とにかく結論としては、どれかの方法で財源だけは必ず確保するように努力いたしますと、こういうようにお答え申上げた気持は、まさに只今政務次官のお答えと同じ、こういうことになつておるわけであります。
  26. 津島壽一

    津島壽一君 そこでこの機会に一言、何というか、状況を承わつておきたいのですが、丁度理財局長がおられますから、資金運用部の資金の最近の状況を、まあできれば見通しを伺いたい。今度の予算を拝見すると、財政投資の計画としては、資金運用部では千五百八十億円というものを各種の政府機関その他地方債等に融資或いは投資しよう、こういうことになつておる。前年度は千七百七十七億円。こういうケースでありまするから、二百億円近く減少の傾向を辿つておるというようにこれは見られるのですが、今後の見通し並びに昨年度に比べてかくのごとく二百億円も資金の額が減つて来ておるという事情、それを概略お話を願いたい。
  27. 石田正

    政府委員(石田正君) この資金運用部の資金につきましては、いろいろと御説明申上げますれば複雑なことがあるのでございますが、先ず第一に、津島委員お話になりました運用計画におきまして約二百億円ほどの減少を来たしておりますが、その一つの大きな原因といたしまして、御承知のように郵政省のほうでやつておられまするところの簡易保険及び郵便年金につきましては一二十七年度中に生じました剰余金の半分を簡保年金の特別会計において單独運用をするということに相成りまして、それが本年度から始められるわけでございます。その額が大体地方債の引受に主として充てられるわけでございまするが、大体充てられるわけでございますが、それが百九十億円でございます。そういう関係がございますことを先ず申上げておきたいと思うのでございます。  それからその次に、資金運用部の最近の状況といたしまして、大体終戰後におきまして何と申しますか、よく言われることでございますが、資金運用部におきましては資金を溜め込むといいますか、そのような現象が行われておつたわけであります。それが二十七年度からはいわゆる過去の蓄積資金を放出するというような方向に転じたことは御承知だろうと思うのでございます。で、二十七年度におきまして、二十七年度の当初におきまして資金運用部といたしましては、大体余裕金が五百四十億ぐらいあつたわけでございます。それが二十七年度末におきましては百九十九億に減つたのでございます。ということは、その差額でありまするところの三百四十一億というものがいわば過去の蓄積資金を食つたという形に相成るわけでございます。それから昭和二十八年度におきましてはどうするかと申しますると、その百九十九億が二十八年度末におきまして百二十六億円に減る。従いまして七十三億円食うということに相成るわけであります。そのほかに所有しておりまするところの国債も百八十一億売却いたしまするので、この七十三億と合せますれば、二百五十四億というものを過去の蓄積資金を食う、かようなことに相成るわけでございます。かようなことをいたしておりますのでありまするが、二十九年度以降におきましては蓄積資金の、その他国債を持つておるというようなものを資金調達の特別な身代りとして参りますものが、殆んど起債するものがなくなつてしまう、こういう状況でございまして、まあ郵便貯金なり或いは厚生保険等におきまするところの、いわゆる我々が原資と呼んでおりますものが二十八年度と同じように二十九年度が過ぎるといたしまするならば、又そこで今申しました二百五十四億というものだけ少い運用しかできない、かような状況に相成るわけでございまして、我々といたしましては、他方におきましていろいろと資金の需要が殖える。他方におきまして資金運用部に関する限り資金が減つて参るということによりまして、二十九年度以降、この両者の調整をどういうふうにして図つて行くかということにつきまして非常に心配をいたしておるという事情でございます。率直にそういう事情を申上げておきたいと思います。
  28. 津島壽一

    津島壽一君 そうすると今の見通しから言うと、二十七年度末における余裕金が非常に減つておる。従つて又今度は二十八年度末においてもこの余裕金は増加の見通しがなくだんだん蓄積資金は皆投げ出して換価した。であるから将来の見通しとしては、現在よりはよくなる見込が、ほかの手段は別でありますが、特殊な手段を講ずれば別であるが、見通しとしてはだんだん資金が窮屈になる、こういうような意味でございますか。
  29. 石田正

    政府委員(石田正君) お説の通りでございます。なお先ほどお話がございましたが、国鉄と電電との均衡問題等もございますが、私たちこの資金運用部の資金の実情をそういうふうに見ておりまして心配いたしておるものから申しますると、いわゆる收入面を殖やすと申しますか、経営の……、それから公社債を出して一般金融市場から資金を調達するという方法によつて事業が支障なく運行できるという態勢をとつて行くことが、むしろそういう事業をおやりになる方面におきましては先行きよろしいのではないだろうかという感じを実は持つているのでございます。勿論資金運用部の資金の配分をどうするかという問題とは必ずしも結び付く問題ではございませんけれども、大勢的に申しまして、そういうふうに思いまするので、これは二五%の値上案にいたしましても、そういう方向で進みまするならば、我々としての見地から申しましても、いい方向に進んでおるのではないかと、かように考えておつた次第でございます。
  30. 津島壽一

    津島壽一君 それで一言希望だけを申上げておきたいのですが、そういつた意味において政府の資金運用部の資金が余り将来増加する見通しがなかなかないという情勢を仮に是認すると、この資金は非常に貴重なものになつて来る。であるから各会計機関その他のつまり放出先のその状態と資金の分量とをよく見合わして、一方に偏することなく最も能率的というか、そういうことでやらないと、金が余つてどちらへ出しても皆満足だという場合においては特にそういつたことを最も注意してやる必要があるのじやないかということを痛切に感ずる。これは二十九年度並びに、或いは歳入補填関係においても相当大局から考慮して行かなければならない。今の理財局長のおつしやつたこういういわば独立採算的な事業が、金融市場の許す範囲において公募の社債でやるというようなことである。或いは値上げによつて自己資金でやるという方針はいいとしても、必ずや資金運用部の資金というものはその間に入つて来ると思うのですから、その場合の分配を適当にするということでないと、なかなか各機関々々の均衡が得られなくなるというふうに私は感じるのですが、その点を十分御考慮を願いたい、こう思う次第でございます。
  31. 山田節男

    ○山田節男君 これはまあ大臣、それから愛知政務次官、それから電電公社の最高幹部が来ておられますからちよつと確めておきたいのですが、最初政府が出しました二割五分値上案によつての資金計画、收支見積りを作つておるわけです。それで初年度におきまして七十五億というものを公募公債にするか、或いは政府からの借入金としまして七十五億円見積つておるわけです。先ほど津島委員からの大臣に対する質問、それから今石田理財局長のお話を聞きますと、結局郵政大臣としては、この二割五分電話料金値上げすればもう政府の借入金の必要はない、七十五億というものはこれは案としては政府の借入金乃至公募債券ということを言つておるが、この七十五億というものはもう全部公募公債による、こういう了解でお話になつたのですか。又そうして同時にこれは愛知次官にも関係があることですが、電電公社としては、政府の借入金を要求したことは一つもないのですか。その経過を一つお聞きしたいと思います。電電公社から政府借入金、例えば資金運用部の資金をお借りしたいという申出はなかつたわけですか。
  32. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは当初の計画の一割値上げのときには四十億ということになつておりましたのを、この二割五分値上げのときは、昨日もちよつと申上げましたように、預金部資金は全部なくする。その代り国際電電の株の二十億だけを繰入れる、讓渡金の二十億を繰入れるというのを全部処分して三十二億まで今年繰入れよう。そこで十二億カバーをしているわけですが、それだけしてもらえば、あとは預金部資金の面倒を見てもらわないでもいい。ということは、七十五億くらいならば八月から予算実施に入つても、金融市場やそういうものの見通しをつけて、電電公社当局といたしましても十分これは消化してもらえる見通しがあるということで、当初の原案では七十五億であるならば借入金、外部からの借入が七十五億であれば、それは全部公募社債でいいということは公社側も当初からそのような意見でありましたので、別にその段階におきましては、この七十五億のうち何がしかを更に預金部資金でという申出は私も全然受けておりませんし、従つて私も初めから七十五億である限りは公募社債で十分やれるのだ、こういうはつきりした見通しの下に折衝をしておつたわけであります。
  33. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと、さつき津島委員指摘されましたが、今回の二割値上げによりますと、今年度において百億の公募公債をやらなくちやならん、来年度は二百億円、そうして五カ年計画の最終年度の三十二年度におきまして政府が出した案では三十五億で済ませるというつもりでおつたのが、この衆議院修正案によると百二十四億、そうしますと、この修正案によりまする五カ年計画を見るというと、まあ政府借入及び公募社債としておりますが、全部社債ということになると合計七百四十三億というものを社債で賄わなくちやならん。そうすると原案よりか、原案は四百四十九億、約四百五十億としましても三百億の開きが出ている。すでに今日は六百八十何億の二十七年度末の借金を持つている。これを二十年間年賦払いにするにしても、今年度から始めても、年間三十二億の利子が要る、こういう計算を出している。こういたしますと、さつきの愛知次官のお話から見ても、来年度は更に二倍以上の社債を募集して、政府は何らちつとも出さん、こういうことになると、常識的に考えて見ても、この公社の経営というものは非常な不健全なものになる、これは火を見るよりも明らかであります。そこでお尋ね申上げたいことは、さつき津島委員も言われたが、国有鉄道、これは運賃は電信電話料金の率に比べますと遥かに高い、数回の値上げをしている。然るにそれに対しては今度の二十八年度の資金運用部資金の運用としましては百四十五億、而も公募債というものは八十五億しか……資本から比較しましてそれはやはり電電公社の約三倍といたしまして八十五億円、社債で百四十五億円の政府資金の融資を受けている。このバランスというものがどうみても私はまつとうでないと思う。然るに民間といいますか、国会でも成るべく公社には政府の紐を付けないようにする、ということは、近き将来電電公社を民営に移すという下心があるのだ、こういうデマがすでに飛んでいるわけです。それはさておきましても、長い今までの国営としての電信電話事業から見ましても、又従来の大蔵省立場から見ても、こういうように日本国有鉄道と日本電電公社との資金の運用する部面において、これはどう見ても不公平にしか見えない。今郵政大臣の言葉によると、電電公社から政府に対して借入金の申入をやつておらん。二割五分引上げをやればあとは社債で賄うということをおつしやいましたが、私は国策的から見ると、やはりそこに何らか割切れないものがある。そこに今の、これは将来電電公社を民営にする建前をとらんがために、紐を切るのだ、こういう実はデマが飛ぶわけです。そこで私は今年度は百%社債による、こういうことになさいますと、これは郵政大臣にお聞きするのですが、現在におきましても、二十七年度におきましても電電公社としては、建設資金がなかなか足りない。そこで私たち地方から出ている議員として困りますことは、中小都市の電話局の統合です。これは同じ市内にあつて市外電話になつている、これを何とかしてもらいたいというのが各中小都市のすべての熱烈な要求です。ところが電電公社に金がない。そこで電電公社としましては、地元に債券の引受をやらせる、現に私の地元の呉であるとか尾道であるとか、そういう方面に莫大な金を、債券を引受けてくれということを言われて、実に何といいますか、地方財政の逼迫の折から加入者、それから市の自治体というものは困つている。併し電話の統合をどうしてもやつてもらわなければならんということになれば、泣く泣くでも電電公社の要求する社債を引受けなければならん。こういう一つの搾取的な社債を募集しなければならんということは、電電公社としては止むを得ないやり方だ、何かしようかと言えば、今言つた政府の本元は、大蔵省は、大蔵省として国鉄に対しては百四十五億の融資をしているけれども電電公社に対して一文もやらない、あとは社債でやる、こういうようなことをなさるが故に、一方においては一種のそういう加入者並びに地方自治体を搾取するような、今まで政府か收奪されておつた電通省における電信電話事業が、今度は電電公社が民間を搾取しなければ資金的にやつて行けん。これは非常に不健全な状態ではないか。現実に現われて来ているかような事態が今後このままで行きますと、これは電電公社としては止むを得ないです。外資はもう望みなし、社債の募集、公募ということもこれは幾ら大蔵省郵政大臣が斡旋されてももう飽和点に達しておつてどうにもならんということになつて来る。勢い私はやはり涙を呑んでもそういう地方自治団体なり或いは加入者を全く收奪するような社債の発行をしなければ生きて行けんということになりはしないか。そこが私は今回のこの計画並びに政府がとつている態度について、将来非常に憂うるものなんです。そういつた方法、收奪的な社債を募集して、資金を何とかしなければならんということまで電電公社にさせるということは、果していいかどうか。こういう点から勘案しまして、私は如何に資金運用部資金の原資の額に対しまして澗渇しているからといつても、今我々の手許に配られている今年度の資金運用部資金の運用計画なんか見ましても、私はこの中に電電公社に三十億や五十億の金を出してもいい、これは我々国会としましても、すでに数回に亘つて電話サービスを改善しろということを決議いたしております。これは衆参両院とも。そういうことに対する私はどうもこれは政府郵政大臣も含めてでありますが、大蔵省がこういう点において僕はややどうも何といいますか、冷いと言つては語弊がありますが、我々電電公社法を作つた者として、そこに非常に飽き足らない点があるのです。従つて先ほど申上げましたように、これはもう政府からの紐を断つて民営にする第一歩を築いているんだと、こういうような根拠がないようなデマも飛ぶということになりますのです。で、私はこれはまあ意見のようになりますが、質問として申上げれば、もう今年度の百億はこれは何とかなさるでしよう。大臣大蔵政務次官があれほど言われておりますから、何とかなるでしよう。併しこれはもう五カ年計画の一環としての第一年度ですから、第二年度はどうするんだという一つの目安を立てなければ、私は電電公社の経営者としても自信が持てんのじやないかと思うのです。これは私は電電公社の最高責任者にも聞きますが、一体この案で以てこの五カ年計画が、少くとも借入資金の部面においてやつて行くという自信を大臣としてお持ちなのかどうか。こういうわけが、私は御意見でもいいからお聞きしておきたいと思います。
  34. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはもう昨日も申上げました通り、御指摘のような懸念が私どもにもありましたので、成るべく料金値上げをできるだけ大幅に認めて頂いて計画をやつて行きたいと、こういう考え方をしておつたわけであります。併しその当時の考え方で、全然これは政府が面倒を見ないという考え方では勿論ないのでありまして、政府も勿論面倒を見る。ただ今年の面倒の見方は、運用部資金によらずに、当初二十億であつた国際電電の株の純売却代を三十二億に殖やすという形で今年は面倒を見る、そうすればあとはまあ何とか七十億くらいはやつて行けるだろうということで、他の事業や何かの状態とそれからして原資の状態を総合勘案をしてまあ七十五億というものを全部公募社債の枠で以て入れると、こういうようにまあやつたわけであります。一番心配されますのは来年の問題なのでありますが、来年が第二年度で一番大きな金額になつておりますので、困難が相当増して来ておるということは、私もよく承知をしておりますけれども、これはどんなに困難があつても、大蔵当局の御協力も得、又公社の努力にもよつて是非やらなきやならんし、又やつて行けるのじやないかという一応の確信は持つておるわけであります。第二年度の二百六億は、当初の計画でございますと、百六十億ということになつてつたので、まあ約四十六億ばかりの増加になつておるのでありますが、当初の計画によりましても第二年度はかなり大きなものであつたのでありまして、第二年度になれば、もうはや今年三十二億の繰入というような形のものが何もありませんから、これを全部公募で持つて行くということは到底これはできない。或る程度は必ず運用部資金によつて裏付けをしてもらう以外には方法はないということに考えておつたのであり、その額がこの修正された計画では多少殖えざるを得ないのじやないか。又そういうように大蔵当局にお願いをして御協力を願うように努力しなければならないと、こういうように私は考えておるわけであります。従つて決して国がもう面倒を見ないというような考え方はいたしておらないわけであります。なお又この加入者負担の部分でありますが、これは私どもも加入者に非常に無理な御負担を強いるというようなことになつてはならないというので、ただ併し実際にやつて見ないとどれくらいに御協力願えるかわからないから、一応枠では八十五億という枠は取つておくけれども、併しそんなには無理であろうというので、予算の收入の面では第一年度四十八億、第二年度四十五億というように、できるだけまあ小さくしてやつておるわけであります。これもまあ加入者に御負担をかけないで済めばそれに越したことはないのでありますが、御承知のように今のこの拡充整備は、大体厳格な意味に原価計算をいたしてみまするならば、幾ら加入者から設備負担金や債券などで持つて頂きましても、それ以上にかかる部分が遥かに多いことは、山田委員も御承知の通りなんでありまして、東京あたりでも、繁華の所では一つの加入者のために、新らしく電話を加入いたしますならば、大体二十五万円くらいはかかるだろうというのに、まあせいぜい十万円くらいしか負担金と債券で持つて頂いておらんのでありますが、まあこの程度はそれによつて利益を受けられるお立場であるのだから止むを得ないのじやないかと、こういうふうに考えて、成るべく最小限度の線で御協力願うという考え方にいたしておるわけでございます。
  35. 山田節男

    ○山田節男君 愛知政務次官にお聞きしますがね、この運用部の資金の運用計画ですが、これは勿論大蔵当局が全責任を持つてきめられるんだと思いますが、これに一つの何といいますか、優先権といいますか、プライオリテイーですね、そういつたようなものはどういう基準でお作りになるのかということと、それから国有鉄道が今年度において百四十五億の運用資金を得ておりますが、これは申込といいますか、国鉄としては幾ら申込んで百四十五億になつたのか。この点はおわかりになればちよつと知りたいのですが……。
  36. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) どうもこの資金運用部の問題について、たまたま不成立予算のときに四十億計上してあつて、それが政府提案のものでは資金運用部がゼロになつておるということの関係から、私から申しますならば、非常にこれが予期しないような御疑惑を招いたと思いますので、その点は私も非常に遺憾に思うのであります。で、私どもは先ほど津島委員から御指摘もございましたように、総合的な金融財政全般を通じた立場から、而も資金運用部の融資先として法律上許されておりまするところの資金の需給関係事業関係考えて総合的にきめるというのが、もう基本的方針でございまして、決して電電公社を継子扱いにしたとか、或いは未来永劫資金運用部資金でお世話をしないというようなことは我々としては断じて考えておりません。それだからこそ、先ほどの二十五億円の問題にいたしましても、私としては必ずしも公募社債ということでお引受しているわけではございませんというところも、そことの関係があるというふうにおくみ取下すつても私は結構だと思いますが、飽くまで総合的に一つ対策を考えさして頂きたいと思います。たまたま鉄道の場合は、現在以上に値上げをするというようなことはちよつと考えられない。電話料金の問題にしては、これは議論になりますから差控えますが、私はやはり二割五分程度値上げということは、現在の経済政策として私は差支えないのみならず、電電公社の将来の建設の計画からいつても私はこれは当然の措置じやなかろうか、今でも私は個人的の意見としてはそういうふうに思つております。と申しますのは、そもそもが三割値上げで以て、そしてこの値上げの問題或いは資金運用部の資金計画との関係は、丁度私が申上げたいところを小田さんがおつしやつて下さつているのですが、二十八年度や二十九年度だけの問題じやないのでありまして、あとへ五年目のところを考えてみれば、非常に末広がりの問題になるわけで、それだからこそ、私は値上げの問題というものは総合的な立場で慎重に考えてきめて頂きたいというふうに考えるわけでありますが、それはまあ議論になりますからよしますが、鉄道のほうでは値上げもできない。それに反して電電のほうでは、公社側でもできれば外部負債をできるだけ少くし、そして公社としての自立的の立場ででき得るところをやつてつて五カ年間の建設計画を立てたい、こういう御熱意に対して私どもは御協力を申上げたのであつて、例えば料金値上げのほかに、郵政大臣が言われました国際電気通信の株の問題もございますし、いろいろのところを総合的に考えてこういう案がよろしいと私は考えたわけであります。なおくどいようでありますが、二十九年度以降においても資金運用部の資金計画の全体から見て妥当だと思いますところに電電公社にも御協力申上げることは私は当然だと思います。  なお、鉄道のほうから資金運用部の資金を幾ら要求したかというお話でございましたが、これは一般会計や特別会計の経費の要求と違いまするから、はつきりした数字は私も記憶いたしませんし、又そういう段階があつたかどうかもわかりませんが、併しこれは鉄道全体の計画をよく検討した上で、而も資金運用部のほうの状況も検討した上で、諸般の情勢を勘考してこの程度が適当であろうということで、政府部内の意見をまとめたわけでございます。
  37. 山田節男

    ○山田節男君 もう一つ大蔵省の意見を伺いたいのですが、前の国会に出された場合は、電信電話料はもう一割以上げちやいかん。ところが今回は二割五分で妥当だと思うと、まあこういうことになつて二割五分の値上案が出たんですが、前国会に出された一割値上案のときの場合には、政府が融資するとか、政府が債券を引受けるとか、或いは資金運用部の資金を融通するとか、そういうように心境が、一割値上げの場合には公社にできるだけしてやろうと思つたが、今度二割五分になつた場合は、もう政府は一文も出せないと、まあこういうように私は取らざるを得ないのですが、なぜその一割値上げの場合と今度それが二割五分上げるのが妥当だという心境の変化といいますか、大蔵省としてなぜそういう態度が変つたのか、その理由を一つ……。
  38. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 私は、私の承知しております限りにおきまして、いわゆる不成立予算の際に一割以上値上げをすることは困る、一割でストツクしてもらいたいということは、財政当局として申しました覚えはないのでございます。それでこれは率直に申しますが、その後いよいよ新らしく予算案を組替えなければならなくなりました段階におきまして、電電公社側から三割の値上げの御相談がございました。私どもはまあ三割はともかくといたしまして、一割以上にかなり大幅に上げるということについては、財政当局としては賛成もしました。むしろ五カ年間の建設計画を拝見して、この際二割五分以上、三割内外の値上げをなさるということが電電公社の将来の堅実な経営の上からいつて妥当であろうということで私どもは賛意を表したわけでございます。
  39. 山田節男

    ○山田節男君 そういたしますと、前国会に出された一割値上案というものは、これは大蔵省が査定したものじやなくて、電電公社が自発的に一割値上げということを申して、ただそれを認めたに過ぎないんだと、こういう意味ですか。
  40. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) その点は、私だけで正確なことはわからんかも知れませんから、実際公社の係のほうの方と応接をした人から御答弁申上げたほうが正確だと思いますが、先ほど申しましたように、私に関しまする限りは、一割以上の値上げは困るということを大蔵省の方針として申した覚えはないのであります。その当時としては、やはり公社側がお考えになり、或いは郵政省がお考えになりました線で話が落着いたものだと私は考えております。
  41. 山田節男

    ○山田節男君 郵政大臣はこれは今度御就任なさつたのですが、事務引継に何かそういうことをお聞きになつておりませんか。
  42. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その話は事務引継では何も話は受けておりませんのですが、ただ漠然と前にはこれ以上はかなり無理な事情があつたので一割になつておる。まあ今度は事情も違うようだからというように話は聞いておつたので、私もそのように了解しておつたのでありますが、多少私の了解に話の食い違いがあるかも知れません。確かな話として聞いておつたわけでは勿論ないのであります。私はまあ当初から三割案というものを素直に考えて、自分の判断で以て、まあできるならば原案であるが、二割五分程度で是非ということで当初から希望し、そして大蔵当局に見て頂いたわけであります。
  43. 山田節男

    ○山田節男君 これは大蔵当局に聞きますが、大体二十八年度予算の性格から見ましても、相当後半期以後はインフレーシヨンになるのじやないか、インフレーシヨンの傾向が強くなるのじやないかということを非常に憂えているのですが、若し仮にインフレーシヨンが運悪くも現実として出て来た場合、政府の金融政策という面から、これは金融財政から相当まあお考えにならなくちやならんであろうと思うのですが、これはまあ仮定で申上げるのですが、若し仮にインフレーシヨンが相当加速度的にこの年末にかけて起きて来ると、こういうような場合に、電電公社のやる資材或いは人件費におきましても勢いインフレーシヨンの巻添いを喰つて来る。そこに相当昨年までとは違いまして非常な困難が伴うのではないか、かような私はまあ一つ不安を持つているわけです。そういつたようなことになつた場合には、これはやはり電電公社としても、今ここに立てておる五カ年計画というものが、物価高によりまして、相当建設の実績の上において、まあスピードが弱ると申しますか、思うようにできない。併し今国民の需要から来れば、どうしても実質的な五カ年計画というものは敢行させなくちやいけない。これは私は郵政大臣としても責任があると思うのです。そういつたような場合に、若し電電公社当局がにつちもさつちもこれは行きませんと、こういつたような場合に、やはり金融財政的な処置を公社であるが故に、又国民の要請が痛烈であるがために、何とかしなくちやならんという一つのこれは国家的な必要が起きて来るのじやないか。若し不幸にしてそういつた事態が起きた場合には、大蔵省、殊に主管大臣郵政大臣としては、それに対しての善処するだけの、まあ大臣としては勿論熱意をお持ちになるのは当然だが、大蔵省としてもそういつたような経過で五カ年計画が着手実施の緒に入る以上は、大蔵省としてもやはり先ほどの修正案によつて生じました二十五億円の社債券の問題について示されたと同じような気持が、そういう事態が起きた場合においても大蔵省としてもお引受になれるかどうか、この点を一つ聞いておきたいと思います。
  44. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 私はその前提になつておりますインフレになるかどうかということにつきましては、いささか所見を異にいたしまするし、むしろその反対の虞れすら現在あるのではないかと思うのでありますが、併し先ほど冒頭にも申しましたように、我々の基本的の態度としては、電電公社の五カ年計画というものを尊重し、且つこれの実現に御協力を申上げたいと考えておるわけでございます。ただ非常に予測せざるような事態が起りました場合に、電電の五カ年計画だけを他の如何なる国家的の事業よりも優先して考えるかどうかということにつきましては、又おのずから別だと思いますが、この五カ年計画というものは尊重して参りたいと思います。
  45. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはまあお尋ねも仮定の上に立つておられますので、私も仮定の上に立つてお答えする以外に方法がないのでありますが、ただまあ非常にそういう工合にインフレの形が出て参りまして、従つて物価が変動して参るということになりますと、そのときには恐らく金融情勢などもころつと変つて参りますのでありましようからして、恐らくこの計画自体の再検討をしなければならなくなると思うのであります。再検討いたしますときには、勿論電電の計画だけを考えるわけには行かないでありましよう。国全体の他のいろいろの事業計画と睨み合して計画の再検討をしなければならんと思うのでありますけれども、併しそういう再検討をいたします場合にも、私が電信電話公社をお預りしておる郵政大臣立場としては、この五カ年計画の既定のプランというもの、コースというものだけは成るべく実現できるような考え方に立つて検討し直してこれを実現したい、こういう考えでおるわけであります。
  46. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは他の委員会でもいろいろ問題になつていると思うのですけれども只今の五カ年計画の問題ですが、これは一体政府部内ではどういうように扱つておられるのですか。これは五カ年計画の大綱でも閣議で申合せたとか、きめたとかいうような事実があるのでしようか、ただ郵政大臣公社から提出されて、郵政大臣としては適当だと思つているという程度のものに過ぎないのか。丁度今大蔵省当局もおられますので、この電信電話の建設に関しては、今日まあ資材の問題も殆んど難関がないようでありますし、生産能力の問題も殆んど問題はない、とすれば結局建設資金が確保されればこの五カ年計画は遂行できるのじやないかというふうに我々考えるのですが、そうすれば両大臣がここで大体肚をきめれば、でき上る問題だと思いますけれども政府部内として何かこれを閣議にでも出して報告をし、了解を求められたというようなことがあるのですかないのですか。その辺のことを伺いたいと思います。
  47. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは最終決定をいたしまする径路から申上げまするとよくおわかりになると思うのですが、勿論公社が起案をされ、郵政省がいろいろ検討いたしまして、そして大蔵省の事務当局その他資材の面で関係があればそれぞれ通産省その他の事務当局と折衝いたしまして、そうして話がまとまつたところで一応閣議に持つて行ける案というものができますわけです。閣議に持つて出ますときには、勿論表面には料金は何割値上げをするという案で持つて出ますのでありますが、そのときの附属書類といたしましては、こういう五カ年計画というような附属書類その他相当大部のものが皆付いて勿論出ますわけでありまして、そして疑問があると思えばお尋ねもありますし、又大事な点はお尋ねがなくとも当該主管の大臣から説明をいたしまして、そうして閣議の了解ということになつて決定をしておるわけであります。従つてこのようにきまりましたときには、その裏付けになつている基本の骨子というものは全閣僚も御承知になり、殊に関係の深い各所管の大臣は勿論それぞれの事務当局からもお聞きになつていると思うのでありますが、閣議においても御了解になつてきまつておると、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  48. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうしますと、これは附属書類か何かで五カ年計画は出ておると、閣議ではこの五カ年計画そのものを決定したわけではないけれども、どういう形でありますか別として、とにかく閣議でもこの内容については、基本方針として了承しておると、こういうふうに了解してよろしうございますか。
  49. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) そのように御了解願つていいと思うのであります。どういう工合に大体一般の閣僚は御了解になつておるかと申しますと、今の電信電話状態では放つておいてはならない。そこで今考えておりますのは、五カ年間にこれくらいの仕事をしたいという計画であります、それには二千七百億程度の資金が要るのである、それを全部借入で賄うわけには行かないから、この程度値上げをして、そしてあとこの程度は外部から借りる形でこの計画はしたいんだと、少くともこの程度には皆了解をしておられるんだと思います。
  50. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 委員長から一つ念を押しておきたいと思いますが、昨日郵政大臣は八十五億についても、できるだけ公募だけでなしに政府の資金を取るようにしたいと、特に自分の所管である郵便貯金その他の伸びで努力して、その埋合せでもないのですが、原資に余裕ができればできるだけ政府資金を入れてもらいたい、こういうお話があつたのでございますが、その点を大蔵省も御協力、今政務次官のお話にも二十五億全部公募と必ずしも言わない、相当含みを持つたお話でありますので、その点については、本年度についても十分に御協力を頂けるかどうか。なお明年は四十六億もこの修正で殖えて参りますので、二百六億という非常ないろいろ各委員が心配されたような問題がございますので、鉄道その他とも睨み合せまして、この五カ年計画の重要性を大蔵省が非常に御認識を頂いておるようでありますから、この点についてはもうすでに、普通でございますれば、もう明年度予算の今編成期なんでありますので、いろいろ私心づもりがあると思うのでありますが、その点についても、本年以上に十分な一つ御理解といいますか、好意を持つて努力せられる御意思があるかどうか。この二つの点をお伺いしたいと思います。
  51. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今委員長の御発言でありますが、先ず今年度におきましても、これはたまたま郵政大臣の御所管でもありますが、例えば郵便貯金などの増加がこの年度の後半において相当伸びることも期待できるかと思うのであります。そういうこととも関連いたしまして、先ほど申しましたように、大至急に且つ慎重に検討いたしまして、御趣旨に副うようにいたしたいと思います。  それから明年度以降につきましては、これも先ほど申上げましたごとく、全部を総合的に計画をする、その範囲内におきまして、電電公社に対する政府資金の援助ということを勿論考慮いたすつもりでございます。
  52. 久保等

    久保等君 一つだけ郵政大臣結論的に、先ほど来からのいろいろ御答弁を総合して、最後に御質問をして念を押しておきたいと思うのですが、大蔵当局の五カ年計画に対する一応お考えも、先ほど来の答弁で了承できるわけなんですが、愛知大蔵政務次官言つておられるように、御協力したいというお話なんで、郵政大臣として当然この法案の上程をされておる責任者という立場、更に電気通信事業予算に対するいわば調整権を持たれ、更に閣議に御提案になられるという郵政大臣の指導的立場の上に立つて、この五カ年計画については、当初二五%の料金値上げと同じような決意と確信を以て、この修正された場合においても、二〇%という形に修正されても、やはり五カ年計画というものを遂行して行くのだという、こういう点で前の二五%当時と同じような決意と熱意と、更に見通しについても同じような考え方で本委員会に提案申上げるのだという点を確認申上げてよろしいのかどうか。その点一つ簡単で結構です、お伺いしておきたいと思います。
  53. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは先ほど来しばしば申上げますように、非常にまあ値上率が低くなつたために困難になつたのでありますので、私といたしましてはむしろ、久保委員が同じように決意と努力をするかとおつしやつたのでありますが、私がお答えする気持は、それ以上困難になつただけを、その熱意と努力を以て補つてこの計画を完遂して行きたいということをお答え申上げておきます。
  54. 久保等

    久保等君 言葉の表現がただ違う程度だと思うのであります、責任を以てこの五カ年計画というものは遂行して参りたいというふうに了解してよろしうございますか。
  55. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その通り御理解願つて結構であります。
  56. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) これにて暫時休憩いたします。一時半から再開いたします。    午後零時二十六分休憩    —————・—————    午後二時三分開会
  57. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 委員会を開会いたします。  午前に引続きまして公衆電気通信法案ほか二法案につきまして質疑を続行いたします。
  58. 久保等

    久保等君 それでは先ず有線電気通信法案の内容について二、三お尋ねしたいと思います。最初に第三条のところに有線電気通信設備の設置或いは又変更した場合において、郵政大臣に届け出なければならないというような条文になつているのですが、併しながらその第三項のところには、特別の場合についてはその届出そのものも必要でないということで五項目ばかり挙げております。その中で最後の第五号になりますか、「前各号に掲げるものの外、郵政省令で定めるもの」についてもやはり郵政大臣に届け出なくてもいいんだというふうになつておるのですが、具体的にそういつた郵政大臣に届け出ることすら必要でないものを、郵政省令で定める内容について、どういうものを一応考えておるのか、或いは全部例示できなくても、例えばどういつたものか、まあそういつた点について第五項目の点を御説明願いたいと思います。
  59. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今お尋ねのありました第三条第三項第五号の「郵政省令で定めるもの」とは一体どういうものを予想しておるかというお話でございますが、これにつきましては、我々のほうといたしまして一応予想しておりますのは、極く臨時的なもの、そういつたようなものは、特にそう一般的な届出等の対象にして技術基準に合致しておるかどうかというようなことをしかく厳格に審査するという必要もないのではないか、そういつたような臨時的な設備、極く短期間の臨時的な設備等を郵政省令の中で定めて除外しようかというふうに考えておる次第であります。
  60. 久保等

    久保等君 まあそれは臨時的なものでやかましく届け出るとかいうような必要もないんじやないかという御説明ですが、更にこの第三条の三項でございます。三項にはこの条文によりますると届出も必要ないという項目を挙げておりまして、日本電信電話公社或いは国際電信電話株式会社というようなものについても第一号に挙げておるわけですが、まあこれは当然それぞれ日本電信電話公社法或いは又国際電信電話株式会社法等でそれぞれ郵政大臣監督を受けるというふうになつておるのですから、この場合は当然そういう必要はないのは理解できるわけですが、二号以下の点ですが、これについては郵政大臣には届出も必要でないということなんですけれども、併し少くとも有線電気通信設備というものがどういう設備が一体設置せられておるのかというようなことについて何らタツチしないというような形で、果して日本の電気通信というもの自体の円満な運営、そういつたようなものができるかどうかという点が若干疑念が持たれるわけです。と申しまするのは、特にこの技術基準の問題で、他人に特別に危害をうえるとか或いは又物件に損傷を与えるとかいうような場合については、これはもう当然有線電気通信法から言つても許されないわけですが、それ以外については何でもいわばやれるということになると思うのですが、そうなつて来ると、国内における有線電気通信設備を、一朝非常の場合に有効適切に、而も相互に十分に睨み合せながらこれを活用して行くというような場合に、一体そういつたことについての総合判断なり、或いは総合的に把握するものが国内にどこにも所属しないし、どこでもこれが掌握し得ないというような実情であるわけでして、いわば野放し状態に置かれておるような状態では、有線電気通信設備そのものの総括的な活用、そういつたようなことが期待できないじやないかというふうに思うわけです。そこで何らかの、監督というようなことは勿論必要はないにいたしましても、少くとも届出等によるところの或る程度のこういつた国内有線電気通信設備の実情というものを掌握しておく必要があるのじやないかというふうに考えるのですが、そういつた点について何らそういつたようなものの必要性がないというふうに考えておられるのかどうか、御質問をしたいと思います。
  61. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今のお尋ねは御尤もな点でございまして、一応第三条の第三項の一号、二号、三号と各号てございますが、このうちで一号は只今指摘通りに、公社又は会社でございまして、これの設備というものは当然はつきりとわかつておるわけでございます。二号は、これは一構内の設備でございまして、これにつきましては、現在の電信法におきましても届出を免除しておるわけでございまして、今回もこの点については変りはないわけでございます。第三号は、現在におきましてもこれらの大半のものは電信法によります私設の有線設備を持ち得ることに相成つておる設備でございまして、範囲も相当限定されておりますし、これらの点につきましては、大体においてどの施設者が持つているというようなことは或る程度予知できますものが多いわけでございます。ただ法律の上におきましては、この第三条では、三項に書いてありますような設備については届出を除外しておりますので、届出によつてそれを知るということはできないわけでございますが、別途第十二条の規定によりまして、有線電気通信設備の設置者から設備に関し報告を徴することができることに相成つておるわけでございまして、この報告の聴取によりまして、只今久保委員のおつしやつたような有線電気通信施設というものの概要は当然監督官庁として收集し、その概略の施設というようなものについての現状は把握するようにいたしたいと存じておるわけであります。
  62. 久保等

    久保等君 十二条で報告を徴することはできることにはなつておるのですが、併し報告を徴するのには、その前提となる当然そういつた有線電気通信設備があるということが認知されなければでき得ないことですから、実はそういう状態が把握できれば、もうそれで或る程度事足りると思うのですが、その報告を聴取する実は前提になる、そういう状態があるということ自体を何らかの形で以て掌握しておく必要があるのじやないかということを申上げておるし、お聞きしたいと思つておるのでして、郵政大臣が積極的に報告を徴すということは勿論十二条によつて許されておると思うのですけれども、積極的に郵政大臣が報告を徴さなくても、有線電気通信設備の設置者が報告をしなければならないというふうに、積極的に設置者のほうからのそういう届出の義務をむしろ規定する必要があるのじやないかということをお尋ねしているのですが、その点如何なものでしようか。
  63. 金光昭

    政府委員(金光昭君) この点につきましては、一応御趣旨の点も御尤もだと存じ、我々としましても立案の際にいろいろと検討いたした次第でございますが、全般的にこの設備の届出を必要とするということによりまして、その設備についてのいろいろな概要を知るということは、それほどのことをしなくても、この十二条にあります報告の聴取の点で、大体におきまして監督官庁として知つておかなければならないような設備の概要等については十分それを承知し得るという点で、かたがたできるだけ一般の設置者に対しますいろいろな手続等を簡素化するという意味から、この三条におきます全般的な設備についての届出制をとらなかつたわけでございまして、一応只今申しました十二条の報告聴取でそれらの点は十分達成し得るというふうに考えた次第でございます。
  64. 久保等

    久保等君 その点懸念されることは、例えば十五条の「非常事態における通信の確保」というところに「郵政大臣は、天災、事変その他の非常事態が発生し、又は発生するおそれがあるときは、有線電気通信設備を設置した者に対し、災害の予防若しくは救援、交通、通信若しくは電力の供給の確保若しくは秩序の維持のために必要な通信を行い、又はこれらの通信を行うためその有線電気通信設備を他の者に使用させ、若しくはこれを他の有線電気通信設備に接続すべきことを命ずることができる。」という条文があるわけなんですが、少くとも郵政大臣が有線電気通信設備というものの国内における分布状況なり或いは又設置状況というものを十分に把握しておらない限りにおいては、実はそういう非常事態が起きた場合にそういう設備があるのかないのかも知らなかつたというようなことでは、その活用のよろしきを得ることができないのじやないかという点が、この非常事態における一例をとつて考えても十分予想できるのではないかというように思うわけです。まあそういう点から、只今の問題になつておりまする点も、特別に郵政大臣が報告を求めたいと思えば求めることはできるけれども、その具体的なものが把握できなければ、報告をただ何といいますか抽象的に天下に公告をして、有線電気通信設備の報告をしてもらいたいというような、そういう形で報告を徴するわけじやないのでして、飽くまでも第十二条に言うのは、有線電気通信設備の設置者に具体的な項目を示して、どういう点について報告をしろということで、飽くまでも具体的なものに対する報告を徴すということになつておるわけですから、そういうことでは十分に有線電気通信設備のすべてについてこれの報告を求め得るという法的な根拠もなければ、又報告を徴する途も実はないのじやないかというふうに考えるわけです。そういう点でたまたま一、二の具体的なところから報告を徴する場合においては、十二条によつて徴することができるでしようけれども、いろいろ途中で有線電気通信設備の変更があつたとか、或いは又付けたとか、或いは又途中でなくなつてしまつたとか、そういうような現在状況というものを実は掌握できないのじやないかという点で疑問を持つわけなんですが、非常事態等の場合を考えた場合に、その感をひとしお深くするわけなんですが、それでも事足りるというわけなんですか。
  65. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今お尋ねのありました非常事態等の場合に通信を確保するために利用されると予想されます有線電気通信設備は、相当規模として大きなものでございまして、大体において十五条の場合の役に立つと思われないわけでございますが、それらの相当施設として大きいものと申しますのは、三条の三項三号にありますような警察事務、消防事務、水防事務以下鉄道事業、電気事業等、これらの事業の専用に使われておるものが大体において非常事態におきます通信確保に利用され得る設備だと存ずるわけでございまして、これらの点につきましては、これの施設者というものを限定されておるわけでございますので、只今の十二条との関連におきまして、それらの設備につきましては常に監督官庁といたしましても、設備の概要は或る程度判明するようにいたしておきますれば、只今のような御懸念の点は先ずあるまい、十分それによつて非常事態におきます通信の確保に支障を来たさないというふうに考え、おる次第であります。
  66. 久保等

    久保等君 まあそうすると、警察事務或いは消防事務等々そこに謳われております第三条の第三項の第三号に規定しております内容については、何らかの形で一応掌握といいますか、実情を握つておく方針だということなんですか。
  67. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 我々といたしましては、単に只今の御指摘の三条三項三号にありますものばかりでなしに、一般的な届出によるものは勿論のこと、その他の郵政省令で定めるものといつたようなものまで含めまして、できれば全般的な、設備の概要等もできるだけ承知したいというふうに考えておるわけでございますが、そのうちで一番問題となりますのはこの三号の問題でございまして、一号は先ほど申しましたように公社又は会社の設備でございますので、これは公社なり会社に命じますれば直ちにその設備というものはわかるわけでございますしいたしますので、主として問題になるのは三号でございます。三号の点につきましてはできるだけ、先ほど申しましたような報告聴取権というものと併せまして、そういつた設備の概要を十分はつきりさしたいというふうに考えておる次第であります。
  68. 久保等

    久保等君 まあ方針は一応わかるわけですし、まあそういう程度のことは必要だと思うのですが、ただ明確な法的な根拠という点で、実はその点が明確に謳われておらないので問題があるのじやないかというふうに考えるわけなんですが、まあちよつと、多小これらの問題とも関連するのでお伺いしたいのですが、次は第十二条の先ほど言われた問題なんですが、これは設備の検査ができるというのですが、併しこの設備の検査が行えるのもそこの第三項のところで制限せられておりますように当然犯罪捜査のために実は検査というようなことは許されないのだということでまあ限定されておるわけです。それならば犯罪捜査を除いた以外のあらゆる点で検査ができるかということになると、これも恐らくそういう広範囲な設備の検査ができるという意味ではなくして、第十一条の技術基準の上から考えて必要な設備の検査というふうにまあ理解されるのですが、それでよろしいのかどうか。即ち第十二条では「郵政大臣は、この法律の施行に必要な限度において、」事務所だとか営業所だとか或いは工場、事業場に立入つて設備若しくは帳簿類の検査をすることができるということになつておるのですけれども、この法律の施行に必要な限度といつてみても、タツチできるのは少くとも技術基準の点で他人の電気通信設備に妨害を与えるようなことがないようにするとか、或いは又人体に危害を及ぼしたり物件に損傷を与えないようにする、そういつた必要上から来るまあ設備の検査の程度なのか。それとももう少し広範な検査をするだけの権限を持つておるのかどうか。十二条における設備の検査の権限といいますか、検査の範囲、その点をはつきり一つお伺いいたしたいと思うのです。
  69. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 十二条におきます検査の範囲でございますが、これにつきましては、只今指摘になりましたような十一条によります技術基準に合致しているかどうか、これが主たる目的に相成ることは当然でございますが、それ以外に、この法律で或る程度の制限を付けております。例えば共同設置という場合におきますこの共同設置の四条の四号と五号等は、二人以上共同して行う業務に必要な通信を行うため郵政大臣の許可を受けて設置したといつたようなものでございます。又五号に相互に緊密な関係を有する業務に必要な通信、こういつたようなこの法律によりまして共同設置が許可によつて認められているもの、或いはその他九条で設備の接続というものがやはり認められております。そういつたもの、そういうものにつきましてやはり一応この法律によつて許可された範囲にとどまつているかどうか、その範囲を逸脱したようなことをやつていないかということも、この検査の対象と相成るわけであります。
  70. 久保等

    久保等君 それではその設備の検査の範囲については、一応まあ明確になつたと思いますので、次の質問をいたしたいと思うのですが、それは二十一条以下にまあ罰則規定がたくさん今度はできておるわけなんですが、従来電信法に基いて、この有線電気通信設備については別に罰則規定が従来はなかつたんじやないかというふうに考えるのですが、その点は如何ですか。
  71. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 従来の電信法につきましては、これはいろいろと解釈に疑問の点もあるわけでございますが、一応の法的解釈といたしましては、従来の電信電話というものは、原則としてこれは公衆通信を指すんだというような解釈のほうが多数説のように相成つております。
  72. 久保等

    久保等君 具体的に例えば通信の秘密保護の規定ですが、これは従来まあ電信法の第三十一条に、公社或いは例の国際電信電話株式会社の取扱中に係る通信の秘密を侵した者はというふうになつておるのでありまして、有線電信設備についての通信の秘密保持の規定はなかつたよう考えるのですが、その点は如何でしようか。
  73. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 秘密の保持につきまして、現行の電信法は明らかにこれは公衆通信のみについての秘密侵害を規定しておるわけでございます。ところが新憲法におきまして通信の秘密を侵してはならないということを原則に掲げました次第は、必ずしもこれは公衆通信設備に限定すべきものではない、やはりその他の有線通信設備につきましても全部同じ状態にあるものということが考えられるわけでございますので、この新憲法の精神に基きまして、今回の三法立案に当りましては、その範囲を従来よりも拡げまして、有線電気通信全般につきましての秘密侵害を取締るようにしたわけでございます。
  74. 久保等

    久保等君 まあ次の公衆電気通信法の罰則のところでも、後ほどお聞きしたいと思うのですが、ここの有線電気通信法における罰則の中で、只今の通信のまあ秘密保護の規定ですが、これについては従来通信の秘密を侵害した場合について罰則はありましたが、併しその通信の秘密侵害の罪というものも、いわば告訴を待つて論ずるということで親告罪になつてつたと思うのです。ところが今度は親告罪という規定はないし、むしろ第二十四条のところでは、未遂罪の場合についてもこれを罰するというふうに非常に強くなつておるわけなんです。このことは実は現行刑法の関係とも関連すると思うのですが現行刑法では、やはりまあ通信の秘密といつても、特に郵便物の通信の場合を規定してありまするが、ここはもう相変らずやはり親告罪になつておるわけです。そういうものと関連して電気通信によるまあ通信ではあつても、通信という性格から言うと別に本質的にそう違つた性格のものではないと思うのです。新憲法の精神という御説明がありましたけれども、新憲法下における現在の刑法との関連から、或いは刑法との均衡という問題から考えて、有線電気通信法というものが、先ほどもちよつと質問申上げたように、いわば野放しに勝手に有線電気通信設備が設置できる、而もその行われる通信の秘密というものについては、従来全然実は保護規定がなかつたのに、今度は厳重に通信の秘密というのは保護して行くという非常に思いやりがある規定になつておるのですけれども、この有線通信の秘密を侵した場合の罰則は、親告罪でもなく、これはもう親告があろうがなかろうが、とにかくこの規定に触れる場合には非常に重い実は刑罰が科せられることになつておるわけですが、そういつたようなものが殊更に必要だというふうに、どういうところに根拠を置いてお考えになつておるのか。特にまあ刑法の罰則との均衡の問題とも関連してわかりやすく一つ説明を願いたいと思います。
  75. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 通信の秘密侵害につきましては、現行の電信法におきましては、只今指摘のようにこれは親告罪になつております。それから今回の有線電気通信の秘密侵害に対して、未遂罪も罰しておるじやないかというお話でございましたが、この未遂罪につきましては、現在の電信法によりましても、四十一条で、現在この秘密侵害の条項であります三十一条をやはり未遂罪として罰しておるわけでございまして、この点につきましては、方針に変更がないわけでございます。ただ親告罪になぜしなかつたかというお話でございましたが、これにつきましてはいろいろと法務省方面とも協議いたしました結果、新憲法で、先ほど申しましたような通信の秘密確保ということを新憲法に一つの大きな方針として明示しましたのと合せまして、これを親告罪にとどめるということは却つて妥当ではないのじやないかというようなことで、今回はこれを削除いたしたような次第でございます。  なお先ほどの御質問のうちで、有線電気通信の設備の面については非常に自由な立場をとつたにかかわらず、罰則においては却つて厳重な方針をとつているじやないかというお話がございましたが、これにつきましては、設備自体につきましては別途御説明申上げましたような見地から、それほど厳格に従来のような許可主義をとるという必要がないというようなことで、これについては方針を変更いたしたのでございますが、この通信の秘密侵害というのは何もそれを許可にかけるとか届出にするということは別個でございまして、有線電気通信設備というものの設備自体は、誰でもやはりそれはそこに存在するということはわかるわけでございまして、それらの設備によります秘密侵害という点については、この設備のほうの方針変更とどうも平仄が合つていないじやないかという点はないのではないか。これは又別個の見地からこういつたよう立場をとつたというふうに御了解願いたいと思います。
  76. 久保等

    久保等君 まあそれではその通信の秘密を確保するということについて、有線電気通信設備の設備による通信の秘密の侵された場合、それから公衆電気通信法に基く通信の秘密が侵された場合、その両者におけるまあ法益のウエイトというか、その比較はどちらが甲乙ともつけられない、どちらの通信についても同じようにこれを保護して行かなければならないのだ、全く同じように保護して行かなければならないのだというふうにお考えになつておるのかどうかですね。少くとも従来の電信法の建前から行けば、先ほどちよつと御質問を申上げて、それに対するお答えがあつたように、少くとも公衆電気通信というものについては、これはまあ非常にこれの通信の秘密というようなことを保護して行くという建前を明確にとつてつたわけですが、有線電気通信設備による通信については、まあ実はそこまで保護する必要がないのじやないかということで、これに対する罰則規定もなかつたわけなんですが、今度はまあ新憲法ということをその理由にして言われておるわけですけれども、而もその保護せんとする法益については、少くとも一体どちらが重くどちらが軽いかという問題は、新憲法であろうとなかろうと、法益そのもののウエイトというものはむしろ本質的な問題ですから、従来の電信法下における法益という問題については、非常に大きくウエイトに差があつたけれども、新憲法下においてはそのウエイトが同じなのだというお考えなのかどうか、その点を一つ念のためにお聞きしたいと思うのですが……。
  77. 金光昭

    政府委員(金光昭君) その点につきましては、勿論今回の法案におきましても、公衆通信のほうにウエイトを置いておるわけでございます。そこで公衆通信法案の百十二条とそれから有線電気通信法案の二十三条とを比較して御覧になりますとおわかりだと存じますが、公衆通信のほうにつきましては百十二条で「公社又は会社の取扱中に係る通信の秘密を侵した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金」ということに相成つております。で、有線電気通信法のほうでは「有線電気通信の秘密を侵した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金」といことで、勿論この懲役のほうにつきましては区別を付けておりませんが、罰金のほうにつきまして明らかに差を付けておるわけでございます。同じ趣旨によりまして、第二項におきましても、この業務に従事する者に対します罰則といたしましては、公衆通信のほうでは、二年以下の懲役と十万円以下の罰金、それから有線電気通信の関係におきましては、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金というふうに、やはり刑罰の量定につきましての最高限度についての差を明らかにこれに付けておる次第でございます。
  78. 久保等

    久保等君 なおはつきりお答えがまあなかつたのですが、刑法で定められておる秘密を侵す罪ということで百三十三条にまあこれは信書の秘密ですが、信書の秘密に対する罰則規定があります。それから又信書を隠匿した場合の罪も二百六十三条ですかに刑法に規定があるわけなんですが、この場合については先ほども申上げたように、この場合やはりそれぞれ親告罪になつております。ところがこの有線電気通信設備による通信の秘密については、まあ親告罪に実はならないことに……、前の電信法では公衆電気通信の場合についてもまあ親告罪になつてつたと思いまするが、とにかく今度の場合には、全然親告罪を認めておらないというふうな点で、まあいずれにしても刑法の保護せんとしているところの通信の秘密、これはまあ文書の、信書の秘密ですけれども、電気通信による通信の秘密と扱い方について大分違つておるのです。この点との権衡についてどのようにお考えになつておるのか、お伺いしたいと思いますが。
  79. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今のお尋ねの刑法百三十三条の信書開披の罪につきましては、確かに御指摘のように百三十五条によりまして、これは親告罪にいたしておるわけでございます。で、我々といたしましては、併しこの信書の秘密というものと電気通信の秘密というものにつきましては、やはり電気通信の特殊性からいたしまして、秘密侵害に対する程度というものに多少差があるのではないか、やはり電気通信のほうの秘密侵害ということに重きを置くべきではないかというような見地から、今回の有線電気通信法におきましては、特にこの刑法とその方針を異にいたしまして、親告罪にいたさなかつた次第でございます。
  80. 久保等

    久保等君 まあ私は刑法との均衡の問題は、一概に公衆電気通信の場合とそれから有線電気通信法によるまあ通信の場合とを一緒に考えようとは実は考えておらないのです。で、公衆電気通信法に基く通信の場合は、これは或る程度今言われるような説明もわかるわけですが、有線電気通信法に基く通信は、今監理官の御説明でも、公衆電気通信法に基く通信よりはまあ若干ウエイトは有線電気通信法に基く通信の場合には軽く見ているのです。それは今言つた罰則規定からいつても金額が、罰金刑が若干実は有線電気通信法に基く通信の場合には軽くしているというような点でも窺えるのではないかというような御答弁があつたのですが、まあそうなつて来れば、少くとも私は有線電気通信法に基く通信の場合については、せめて刑法における信書の秘密に対する罪、それらとの均衡ぐらいはむしろとれるのじやないだろうかというように考えるのですが、ところが相当刑法における信書の秘密侵害の罪よりもまあ重くなつておるということに、若干実は疑義を持つわけなんですが、それはまあ飽くまでも有線電気通信法に基く通信であつても、むしろ一般の信書の秘密よりは遥かに重くすべきだというように考えられたのか、どうでしようか。
  81. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今の点は、公衆通信につきましては勿論のこと、有線電気通信につきましてもやはり信書の秘密というものと趣きを異にするという見解の下に、これにつきましては、法務省とも十分この罰則につきましては打合せの上、かような方針に決定いたした次第でございます。
  82. 久保等

    久保等君 それではついでですから、やはり公衆電気通信法案の中における罰則についても若干御質問を続けていたしたいのですが、公衆電気通信法の罰則規定の第百十条のところですが、第百十条には「公衆電気通信役務の取扱をせず、又は不当な取扱をしたときは、これを三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」というふうになつておるわけです。これは従来の電信法で言えば、三十六条に大体該当するんじやないかと思うのです。ところが従来の電信法の第三十六条によりますると、この罰は一年以下の懲役、それから二百円以下の罰金というふうになつてつたのですが、金のほうはこれは別にいたしまして、少くとも体刑の一年以下であつたものを今度は三年以下というふうに大幅に引上つてつておるわけなんですが、これは一体どういう理由で特別に従来の刑罰よりも実は重くしたのか、その理由を一つお伺いいたしたいと思うのですが。
  83. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 百十条につきましては、只今指摘のように従来の電信法の三十六条に比べますと確かに懲役のほうにつきましても、従来の一年が三年というふうに相成つておるわけでございますが、この刑の量定につきましては、他のいろいろな刑罰法規との兼ね合いといいますか、権衡というようなものがありまして、法務省当局といろいろとお打合せいたしまして、こういうふうに決定したわけでございまして、特にこれがどうして三年にしたかということにつきましては、他の刑罰法規との関連において、この程度を妥当としたというふうなこと以外には御説明いたしかねるわけでございます。
  84. 久保等

    久保等君 この第百十条の実は刑罰を非常に重くしたという点は、ほかにも余り実は見られないほど相当思い切つて実は上げておりますので、今他の刑罰法規との均衡を考えて引上げたと言われるのですが、何かそのほかの刑罰の均衡を考えたと言われたその具体的な、例えばほかの何か刑罰が従来一年であつたのが三年になつた、そういうような点とも睨み合せてこちらのほうも権衡をとる意味で実は三年に引上げたのだという、ほかの何か具体的な例がおありなんでしようか。ただそういつた意味の抽象的な話合いで均衡を考えて三年程度は必要じやないかというので引上げたのですか。
  85. 金光昭

    政府委員(金光昭君) ここに今丁度これと同じような例ということで、前一年で今度三年になつたという例は実は持合しておらないのでございまして、全般的に刑の量定につきましての権衡という点で、こういうふうに決定した次第でございます。
  86. 久保等

    久保等君 この点は多少意見にもなるわけですけれども、従来の罰則以上に特別に引上げなければならないという理由は、金額なんかの金の問題の場合には、現在の大体時価、時価ということはないでしようが、大体現在の貨幣価値ということとも睨み合せて金額の面で調整するという必要はあると思うのです。併し少くとも体刑の問題に関しての懲役という問題になつて参りますと、一年を三年に引上げなければならないという理由は、少くとも提案の御説明だけではちよつと納得しかねるわけです。そういう点で従来通りでも間に合うじやないかというふうに考えるわけですが、その点は意見になりますので差控えておきますが、次の質問としましては、只今申上げたようなことは、これは電気通信業務に従事する者に対する刑罰で、極めて従来以上に引上げておるわけなのですが、ところが一方に電信電話の施設、これは飽くまでも非常に重要な公共事業でありますし、非常に重要な施設であるから、確保しておかなければならんというのが、罰則規定の建前だと思うのですが、ところが電信電話の施設を損壊したり、或いはこれに対する通信の妨害をした場合に対しては、一体この罰則規定がないように考えられるのですが、その点は一体どういう意味なのでしようか。特に前の規定で申しますると、電信法の第三十七条になりますか、第三十七条には「電信若ハ電話二依ル通信ヲ障碍シ又ハ之ヲ障碍スヘキ行為ヲ為シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス」、これは相当重い実は規定になつておるわけですが、それに該当するような実は規定が今度のこの第八章の罰則の中には見当らないような気がいたすのですが、御説明を願いたいと思います。
  87. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今のお尋ね御尤もでございます。公衆電気通信法の中には、それの該当条文は今度は置いてないのでございまして、実は有線電気通信法の罰則の二十一条に、公衆電気通信設備とその他の有線の施設設備とを合せまして、有線電気通信設備一本といたしまして、只今のこの設備の損壊、或いは物品接触等の設備損壊の罪を規律したわけでございまして、今回は二十一条で五年以下の懲役、五十万円以下の罰金というふうに、この有線電気通信法の二十一条で公衆通信の設備も合せて規定したわけでございます。
  88. 久保等

    久保等君 その点は有線電気通信設備の機能ということになつておるが、それは公衆電気通信の場合もこれに含めるということなんですか。
  89. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 有線電気通信法の建前といたしましては、有線電気通信設備と言いました場合には、有線電気通信の施設設備、公衆電気通信施設のすべてを包含した定義と相成つておるわけでございまして、これを以て、全部の設備についての刑罰をこの二十一条で規定いたしたわけでございます。
  90. 久保等

    久保等君 それではその点は一応はつきりいたしたと思うのですが、なお例えば通信を悪用といいますか、電信あたりを非常に悪用いたしまして、為替電報というような制度もありますのですが、そういつたものを途中で、何か特別な操作をして送金を途中で非常に金額等に対して虚偽通信をするというような問題が従来も考えられて、そのことがやはり相当厳重に取締つて、罰則規定もあつたと思うのですが、それが今度は虚偽通信と申しまするか、そういつたようなことに対する罰則がなくなつたようでございまするが、そうなんでしようか。電信法の三十三条、従来の規定は第三十三条になりますか……。
  91. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 従来の電信法によりましては、三十三条で虚偽通信の罪を規定いたしておつたのでございますが、今回はこれは特にこの通信法規としてそれを規定するというほどの必要はないので、一般刑法によつて規律するのがいいのではないかという方針の下に、これは一般刑法に譲つた次第でございます。
  92. 久保等

    久保等君 具体的には、まあそういう犯罪もこれは事実従来も或る程度つたのではないかと思うのです。それでそういつたことがあつたかなかつたかということもお伺いいたしたいと思うのですが、同時にまあ刑法で、刑法の罰則規定によつてそれを処理して行くのだと言いますけれども、適当にというか、的確に只今のような事例についての刑罰規定は何によつてどのように処理して行かれる所存なのか、その点をお伺いしたいと思うのですが。
  93. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 従来こういつたような例があつたかどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては、どうも私もその点十分調査いたしておりませんので、果してそういう事例があつたかどうか存じておりません。それから一般刑法を以て律するといつた場合に、それが何になるかというお話でございますが、これはいろいろな点で問題があるかと思いますが、通常の場合におきましては、一応詐欺罪ということを構成するということになりますか、或いは窃盗罪を構成するということになりますか、それぞれの場合におきまして、それぞれの趣きを異にするのではないかというふうに存じております。
  94. 津島壽一

    津島壽一君 手続の問題ですが、この法律通過し、又このように通つて末端の方面ですね、そういうところまで通知するのに、それは相当日にちが要るのですか。或いは比較的簡単にそういうことができるというお見通しなんですか。この改正ですね、特に料金……。
  95. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 只今津島委員の御質問にお答えします。大体手続上は約十日間の準備期間が予定されております。併し今回法案審議が今日まで及んでおりますので、私どもとしましては、あらかじめ法案通過するものと、承認を得られるものとの予想の下に、或る程度の準備はすでに始めております、従つて法事が承認されました暁において、この金額の問題だけが変るものといたしまして、その後において金額の問題を通知したいと考えております。
  96. 津島壽一

    津島壽一君 この法文自体の、施行期日の問題ですが、これはどういう工合になつておるのでしようか。
  97. 金光昭

    政府委員(金光昭君) この法案の施行期日はどういうふうになつておるかというお尋ねでございますが、これにつきましては、有線通信法と公衆通信法と両法の施行は昭和二十八年八月一日。それからこの施行法自体の施行期日につきましては、施行法の附則にやはり八月一日となつております。
  98. 津島壽一

    津島壽一君 それでこの法律国会通過がまあ何日かかかる。それから十日を必要とするというような意味のことですが、それはもう準備ができておるので、八月一日に全部が施行になつても支障が起らない、こういうお見込ですか。さつき十日の準備が要るというお話ですが……。
  99. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) あらかじめ、私たちは法案通過いたしまして、承認を得ましてから、そうして初めて事務的措置をとるということで約十日間ということでやるのですが、今日になりますとだんだん押詰まつて参りましたので、従つて事務的な準備措置はそれぞれやつております。ただ料金等はまだ確定しませんので、確定しましたらその表だけは……。
  100. 久保等

    久保等君 施行法のところでちよつとお伺いしたいと思うのですが、施行法の第五条ですが、まあこれは、有線電気通信設備を設置している者或いは旧無線電信法によつて公衆通信の用に供せられている無線局を開設している者に対しては、公衆法の施行の日から三カ月間は、まあ従来と同じようなことで、やはりその通信を従来通り、まあ委託しているようなものとして扱つて行くというふうになつているんですが、三カ月だけというふうに限定せられたのは、どういう御趣旨なのか、お伺いしたいと思います。
  101. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 施行法の第五条で言つておりますのは、久保委員も御承知のことと存じますが、例えば国鉄の駅におきまして、電報の取扱をしている。或いは漁業無線局で公衆電報を扱つておる、そういつたようなものにつきましては、十分この電信法では、私施設の設備を公衆通信に供用する、その供用命令によつたという形に相成つているわけでございます。ところが現実には、図鉄との間におきましても、或いは漁業無線局との間におきましても、大体において、これは相談ずくでいわゆる契約でやつているわけでございます。今回の公衆通信法の八条一号というものは、明らかにそういう委託ということで、委託契約を結んで、そういつたような通信を取扱わせるということになるわけでございますので、施行法の五条では、従前のそういつたような形としては、施設の供用でやつている者につきまして、直ちにこの法律施行と同時に新らしい形に変えるということにはそのひまがない、余裕がない、そこで三カ月間だけは、従前と同様の形においての取扱をする。その三カ月間において、できるだけ速かに、やはり今回のこの公衆通信法の八条一号に基くような契約に切替えると、まあ大体三カ月間もあれば十分ではなかろうかという意味で、経過的の期間を定めたわけでございます。
  102. 久保等

    久保等君 その点はよろしいですが、次にやはり施行法ですが、施行法の三十二条であります。この三十二条によりますると、「公社は、公衆法の施行の日における構内交換電話の加入者又は専用者であつて、左の各号の一に該当するものに対しては、その請求により、債券を交付し、又はそれぞれ各号に規定する支払に係る設備を無償で譲渡しなければならない。」というふうにまあ規定されているわけですが、更に第二項になりますが、「公衆法の施行の日から六月を経過した日に前項の規定による債券の交付の請求をしたものとみなす。」、これは何らの請求がなかつた場合には、債券のほうの請求があつたものとみなして、債券の交付をするということになるわけでして、今度の公衆法が施行されることによつて、相当な債券の発行或いは又そうでなければ、この構内交換電話の場合においては、その設備を無償で譲渡するということになつているわけですが、相当財産の上での変動が予想されるわけですが、どの程度の財産になるのか、債券等に見積つた場合にどの程度の金額になりますのか、一つわかつておれば御説明を願いたいと思います。
  103. 吉沢武雄

    説明員(吉沢武雄君) お答えをいたします。只今負担金を取つていますPBXの額が大体三十五億程度になつております。その中で果してこの法律が施行された場合、無償譲渡を請求するものがどのくらいあるか、或いは債券の交付だけでいいものがどれくらいあるかということの的確な見通しは困難であります。大体私ども想像いたしまして二割程度、或いはせいぜい三割程度のものが自営に変更するのではないか。従つて自営の方につきましては、その無償譲渡ということになりますし、そうでないものについてはこの債券の交付というようなことになりまして、その額につきましては、今回の予算におきまして八十五億という受益者引受の債券という弾力性を持たした中において賄い得る、こういうふうに考えております。即ち加入者の新設によつて引受けますところの額は、資金調達の額によつておわかりの通り、四十八億でありますから、それが大体三十七億という余裕を持つておりますゆえんのものは、それに備えての措置であります。
  104. 久保等

    久保等君 なお質問を先に進めますが、第八十条になりますが、公衆電気通信役務の料金の支払義務が規定されております。而もその支払義務の存続期間が、料金を支払うべき日から六カ月以内に若し支払の請求がない場合には消滅するということで、この料金支払義務の存続期間が六カ月なんですが、これは、当然非常に経済活動の敏活を尊ぶ電気通信事業の場合における料金問題は、できるだけ短期間に打切られるというか、決済をしてしまうことが好ましいということで、こういう六カ月ということになつたのでしようが、これも一般の債権債務関係なんかの場合と比較いたしますると、相当期間が短くなつておるわけです。民法上に言う債権なんかの場合は、十年でしたか、更に一般商行為等による債権の場合は五年というふうなことになつていると思うのですが、そういう点から見ると、非常に六カ月ということになりますと、半年で以て料金支払の義務も実はなくなつてしまう、うつかりしていると半年くらい過ぎてしまうというふうなことになりがちの場合も考えられるのじやないかと思うのですが、従来料金の支払が、特にこの場合恐らく払わなければならない義務者の何といいますか、請求を受けたときからということですから、その以前に当然この料金の支払請求をする期間が、その支払義務者の所まで届くまでの期間があると思うのですが、その途中等で事故等でもあつて半年たてば料金の支払義務がなくなつてしまうという結果になろうかと思うのでありますが、そういつたような点から考えますと、六カ月というのは外少短か過ぎるのではないかというふうに考えますが、従来の経験から行きますと、六カ月もあれば料金の支払が未決済で終るというようなことは全然なかつたというふうな経験を持つておられるのかどうか。これは事新らしく今度六カ月ということに特別に制定されたことではないと思うのですが、実際の運営上やつて来て、その点で何らの支障がなかつたのかどうか、その点一つ念のためにお伺いいたしたいと思います。
  105. 吉沢武雄

    説明員(吉沢武雄君) 御趣旨のごとく、権利を成るべく保護するという立場から考えますと、この請求期間というのは非常に長いほうがいいと存じております。又更に民法の一般の時効と違いまして、除斥期間というような性格を持たせるということにつきましては、商法或いは私法的には相当きつい規定であろうというようなことも考えるのでありますが、従来このような大規模な而も全国的な仕事でありますし、又非常に取扱の数も多いというようなことを考えますと、一定の期限をきめますというと、更に全般的な業務の運行というようなことを考えますと、一定の除斥期間、或いはその期間が只今申上げた運用上も至当である、且つ又利用者に対しても甚だしく不当でないというようなところから考えて六カ月にしたわけでありますが、現行の規定より電信におきましては、たしかニカ月と今の電信法ではなつておりますが、それを電信については六カ月ということにした点は、相当利用者の立場考慮した意味でございます。なおこれによりまして相当証拠書類に当ります例えば発信原書或いは交換証というものを六カ月間は必ず保存しなければならないということになりますと、実はたださえ狭い電報局或いは電話局に倉庫的なものが相当増すことも実は考えなければいかんのじやないかと思います。以上のような諸般の情勢を考えまして、できるだけということで、このような規定を設けたのであります。勿論ただ如何なる事情も嵐配せずに、この規定のまま行くということは、法の運用の上から余地のあることでありまして、従来におきましても格別の場合におきましては、大臣なり或いは本省の承認によりまして斟酌し得る余地までやつたこともあります。そのようなわけで運用につきましては十分考慮することは勿論と考えております。
  106. 久保等

    久保等君 それから只今の問題とも関連があるのですが、従来通信料金の未納の場合について、なかなか納めないという場合については、強権を発動した形で国税滞納処分の例によつて、何か徴収しておつたようですが、今度そういつたことは、できるだけ新憲法下における一つサービスを飽くまでも提供するんだということで、従来の考え方というものを相当大きく切替えてやつて行こうという考え方から、これも実は廃止を今度の規定の中ではしておるようでありまするが、一般まあ民法上の債権債務という関係になつてつて、飽くまでも対等の立場で料金の支払請求をするし、又一方は支払つて行くというようなことになつておるので、まあその点では非常に結構なことだと思うのですが、ただ併し実際問題としまして、国税徴収処分によつて徴収をしたというような例が、相当頻繁にあつたのか。それともまあ殆んど有名無実で、そういうような強権を発動しなくても料金というものは指定された期日までには入つておる。従つて途中で先ほど御質問申上げたように、恐らくまあ六カ月しかその支払義務がないというような、比較的短い期間であるけれども、その短い期間で全部決済できてしまうというようなことで、従来実際やつてつたのか。実績の上から、これも又そういうものは全然必要ないとお考えになつて、いわゆる国税徴収処分によつて最悪なときには徴収をする必要はないとお考えになつたのかどうか、そのところをお聞かせ願いたいと思います。
  107. 吉沢武雄

    説明員(吉沢武雄君) 従来国税滞納処分による強制徴収ということはあつたのでございますが、成るべくこれを発動することがないように実は事実上心がけておりました。従つてこれによります事例というものは、よほど悪質なといいますか、破産を受けておりそうな、或いはもうそういう徴収し得る余地がないので、普通の納得ずく、話ずくでは行かないというものに限りまして、現場の局長或いは通信局長の認定で大体やつておりますが、その数はそうないものと思つております。従つて今回のそれを排除いたしまして、一般の私法の規定によるというのは只今久保委員のおつしやつたこの精神から出ておるわけでありまして、これを国税徴収処分によらなくても、従来のごとく徴収ができないだろうという懸念もないものと思いますし、勿論この料金の徴収に当りまして実際に只今つていますのは通話停止というようなこともございまして、電話を利用している大部分の方は通話停止ということは、通話の利用をとめられる経済的損害よりも他に及ぼす非常な不名誉、殊に営業をやつている商人にはそういう影響がございますので、大体督促を十分懇切丁寧にすれば、普通の方においては納め得る、こういうふうに私ども考えております。現在の料金の収納率は相当向上しておりまして、大体全国の平均で申しますれば九八%、九%と言つても差支えないのであります。大体その間従業員の努力もございますが、一般に料金を払うという趣旨が徹底して参つたのであります。ただ今後経済上の不況とかそういう場合を考えますと、にわかに楽観なり又安心はできませんが、大体今までやつておる方法においていいものと、こういうふうに考えて、こういう法律案にしたわけであります。
  108. 久保等

    久保等君 料金問題の、公衆電気通信法案の最後の別表のところで、これは条文的な質問になるのですけれども、一番最後の九十六頁になりますが、最後の第六といたしまして「専用設備たる回線の専用(市外設備に係るものであつて、専用契約の期間が一年以上のものに限る。)の料金」というふうになつております。その下が(月額)、「第四の一の料金額の欄の上段に掲げる額の六千倍以内において公社郵政大臣の認可を受けて定める額」、この「第四の一の料金額」ということになりますと、これは市外電話の場合だけを実は指しておるのじやないかと思うのですが、市外電話だけとなると、ここのところに規定しておりますのは専用電信、そういつたようなものについては含まれておらないのじやないかと思うのですが、一体電信の専用料等はどういうふうにして料金の表のところで定めておられるのか、その点見当らないので御説明ちよつとお願いしたいと思うのです。
  109. 金光昭

    政府委員(金光昭君) この料金別表の第六にあります専用設備たる回線の専用料金というものには、今御指摘のようにいろいろなものが入るわけでございます。「市外設備に係るものであつて」ということでありますので、一応市外回線に限られるわけでございます。ただ市外設備というものの中には、今御指摘のように電信も実は一応入ることになつておりますが、ただ月額の料金のほうで六千倍ということになります。これは最高限度を抑えているわけでございまして、電信の場合にはそれ以上に出でることがない、その範囲内に納まるという意味で最高額として市外の専用回線の最高限度で抑えた次第でございます。
  110. 久保等

    久保等君 そうすると電信の専用料もこの中に入つておるということですか。
  111. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今お尋ねの点は、市外設備の中には一応電信も含めた意味で、電信の専用線も含めた意味規定しておるわけでございます。
  112. 久保等

    久保等君 その下のところの(月額)として「第四の一の料金額の」というところなんですが、これは市外電話だけだというふうに理解されるのですが、それで電信の専用料も含めておるというふうにお考えなんですか。
  113. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 一応月額の点では、市外通話の料金を基礎にいたしまして、その六千倍以内ということになつております。これはそれぞれの区間についての最高限度を定めておりますので、その範囲内に納まるということで、こういうふうにいたしたいと存じておりますが、その点更にもう一回よく詳細に調査いたします。多分それで間違いないと存じますが、別途又調査の上、若しくも間違つておりましたら、訂正いたします。
  114. 久保等

    久保等君 ただ言葉の表わし方がこれで電信の場合も含めているのだと理解されるかどうかが問題だと思いますが、御趣旨なり意味するところの気持は、今の説明でそういうことだというならそれでわかるのですが、表現されている言葉の表現は、そういうふうには理解されないので、電信が含まれないのじやないかというふうに実は私もちよつと読んだ字句の上だけでは理解いたしたので御質問したのですが、言葉の表現がそうなるとすると的確じやないのじやないかというふうに考えられるのですが、これも一つちよつと申上げて直ちに御説明ということも、或いはいろいろ関連がありますから御無理ならば、後ほどでも一つ答弁頂ければ結構だと思います。
  115. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 審議を急いでおりますので、今の点は明日までにはつきりして下さい。
  116. 久保等

    久保等君 それから電話の加入料ですね、それから附加使用料、装置料、こういつたようなものも実は従来はこの電信電話料金の料金法の中に相当詳細に亘つて規定されておつたから問題はないのですが、今度は別表に極めて主なもの、提案趣旨説明によると、国民経済、或いは国民生活に重要な関係のあるものだけを公衆電気通信法案の末尾の別表の中で麺うということで、それ以外の点については、郵政大臣の認可を経て別途省令とか政令とか、それ以外の方法によつてきめるという御説明のわけですが、ところがこの電話の加入料、附加使用料、装置料というふうなものについては、この別表にも勿論出ておらないし、どういう扱いをされるのか、極めて不分明で理解できないのですが、この点只今申上げた加入料、それから附加使用料、それから装置料の問題をどんなふうに扱われるお考えであるか承わりたいと思います。
  117. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 今回の公衆電気通信法におきましては料金につきましては、一般的な非常に広範囲の利用に亘るような料金につきましては法律で定める。その他の料金につきましては、これを公社で定めまして郵政大臣の認可を受けるという、いわゆる認可料金の建前に変更いたしたわけでございます。そこで只今指摘のうちの加入料、附加使用料は、これは一応認可料金ということにいたしているのでございまして、装置料は今お挙げになりましたようですが、装置料は別表の第三の中にこれは法定してございます。だから今御指摘のうちの加入料と附加使用料、これは認可料金によつて定めるということに相成るわけでございます。
  118. 久保等

    久保等君 装置料のほうはわかりました。ところで電話加入料或いは附加使用料、こういつたようなものが、いわばこの公衆電気通信法案の別表の中からは一応取除いて、いわゆる郵政大臣の承認を得てやり得るというような形に軽易に扱つておるのですけれども、そこらはなぜこの別表に謳われておる一般の料金表と只今の附加使用料なり、或いは電話加入料というものを切離したか、そのあたりちよつと解せないのですが、まあそのほかにもいろいろ新聞専用だとか云々、いろいろたくさんありますが、そういつたようなものもすべて別表の中に語われなかつたのですけれども、この分離したという考え方自体に相当問題があると思うのです。相当無理をして何か料金表そのものを二つに区分けして、一つ公衆電気通信法案の中に謳つたが、一方は郵政大臣の認可でやり得るというような形にしたのですが、而も郵政大臣の認可に任した分野も決して少くはないのでして、極めて軽微と思われる少範囲に限つてそういう措置に出て、殆んど大多数は別表に謳うのだということには、この建前から行くと実はなつておらないわけです。そこでこの法律案の出し方とも関連いたしますけれども公衆電気通信法案の中にやはり料金表の別表を最後の末尾にくつつけたという法案作成技術の問題にもなりましようけれども、非常に申訳的に最後の別表をくつつけたような……、電信電話料金というものは非常に重大な問題であるし、又は精細に規定されなければならないし、又そのことが一般直接大衆にも影響がある問題だと思います。ところが、それにもかかわらず、殊更にこれを分離して、大体あらましの極めて小範囲の部分だけが別表で挙げられておつて、相当の部分がこの別表には載つておらないという形になつているのですが、この点むしろやはり従来あつたよう電信電話料金法というような形で、一本の料金というようなものを存続すべきではなかつたかどうか、これはまあ法作成の技術の問題なんですけれども、一本の単独法として料金問題はむしろ扱つたほうが実際問題としても便宜なんじやないかというふうにも考えるわけです。その辺について、どんなふうなお考えで、こういつたむしろ大部分というよりも、極めて範囲を限定して別表に挙げて、重要な料金を郵政大臣の認可事項にするというようなことは、相当いろいろ問題があろうかと思うのですが、なぜ無理をしてこういう公衆電気通信法案の末尾に附加的な形で料金法の別表を付けたかということについて、一つ質問をいたしたいと思います。
  119. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今の御質問は二つの部分にわかれておりますが、第一点は、要するに料金というものを公衆通信法の中に入れないで、別途の、例えば料金法といつたようなものにしたらどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては、一応お説のような御意見も御尤もかと存ずるのでございますが、又麟つて考えてみますと、今回のこの公衆電気通信法というものを制定いたしました趣旨というものは、公衆電気通信サービスというものの基本的な事項というものをこの法律の中に盛りまして、そうして通信の利用者というものが基本的なサービスとして重要なものというものは、一種の利用約款的な性格の中でも、特に多数利用者、独占事業として多数の利用に供せられる電気通信事業におきましては、やはりこれを一般の利用者の利益擁護の意味から申しまして法定するということが正しい行き方かと存ずるわけでございますが、そういつたサービス法規的な性格の下におきまして、そのサービスのうちみやはり重要な部分というものは、これは料金だと存ずるわけでございます。そこでこの料金につきましてのいろんな基本的な規定をいたしますと同時に、その料金額自体もやはり公衆電気通信法の中に規定するということがむしろ正しいのではないかという考え方からしまして、この公衆電気通信法の中に料金を先ず定めた次第でございます。  次に、第二のお尋ねの点でございますが、料金を法定する場合に、やはりもつと重要な料金があるのだから、そういうものも法定すべきではないかという御意見だつたと存じますが、この点につきましては、別途電気通信事業の経営形態が従来の国営から公社に移行した、できるだけ公社の自主的な経営を認めるという建前から申しまして、本当に一般国民の利用に供するというようなものにつきましては、これは飽くまでも法定すべきでございますが、その他の附加的な料金まですべてこれは法律を以て定めるということは如何かと存ずる次第でございまして、これにつきましては、まあ比較をいたしますと、類似の公益事業であります鉄道の運賃につきましても、やはり法律で定めておりますのは極く基本的な運賃の基準運賃でございまして、国鉄におきましては、その他の料金につきましては、そのうちで更に比較的重要なものにつきましては運輸大臣の認可料金、極く軽微のものにつきましてはこれを国鉄自体で定めるという三本建をとつておる次第でございますが、電信電話の料金につきましては、先ほど申上げましたように、極く一般的な非常に利用の範囲が広汎に亘る基本的なサービスに亘ります料金はこれを法律で定める、併し只今指摘のような附加使用料等につきましては、必ずしも全部の利用者にこの料金を課するわけでもございませんので、いわゆるそれほど全般的な利用というものに亘らないという点から、これは認可料金というふうにした次第でございまして、この法定料金と認可料金とどういう枠で定めたかと申しますと、やはり只今申上げましたように、抽象的な表現で申しますれば、国民経済に非常に大きな影響を及ぼすようなもので、而もこの国民大衆が頻繁に利用する、而も收入の大宗をなすというような基本的なサービスに対する料金を法定いたし、その他の料金は認可料金にしたという次第でございます。
  120. 久保等

    久保等君 それから第七十条、更に七十一条、七十二条、これは料金の減免を規定いたしておるのですが、これはすべてやはり郵政大臣の認可を受けて定める基準に従つて公社が料金を減免することができるというふうになつておるのですが、これはやはり早速八月一日からでも、このものについてはやはり直ちにそういう措置がとられるはずだと思うのですが、そういうようなことについて七十条、七十一条、七十二条の場合について、どういう基準で郵政大臣の認可を受けるつもりでおられるのか、何か説明を、この三カ条について具体的にどういう基準で一体減免をやられる予定なのか、何ら基準が示されておらないので、減免することができるのだということになつておるのですが、内容はいろいろな場合がここに規定されておるわけでして、新聞関係の報道等についても出ておりますし、それから特殊な災害その他の場合の非常事態における料金の減免等も規定されておるのですが、これについて一応考えておられる考え方をこの三カ条について説明的な一つお話を伺いたいと思いますが。
  121. 吉沢武雄

    説明員(吉沢武雄君) その前に、先ほどの認可料金の点について、公社から郵政大臣に認可料金を申請すべきことになつておりまして、従つてもうすでに八月一日を目前に控えておりますものですから、私どもとしまして、案を只今作成いたしまして、八月一日には直ちに実行できるというような事務的手続を踏んでおるわけでございます。大体どんなふうに考えておるかということですから監理官の御説明に附加しまして申上げます。電報につきましては、実はこの基本のものは共通しておりますが、それ以外にも非常に種類がたくさんございまして、例えば無線電報とか新聞電報、新聞無線電報、その他写真電報、いろいろございますが、これらは大体市外電報の平均一割三分に当る、こういう基準に従いまして端数整理し、且つ又歩調を大体揃えまして、料金体系上合理的なものというような具体的な料金をきめて行くつもりであります。それから市内の電話につきましても、共同電話につきましては、その属する局の単独電話の値上率というものを基準にいたしまして、これは又単独電話に対しまして、共同電話というものは今後成るべく共同の電話を利用してもらいたいという勧奨の意味もありまして、政策上大体単独電話の六割若しくは七割という見当で具体的な料金を考えて行きたい、こういうふうに考えております。  それから只今の御質問でございまして、この公衆法七十条及び七十一条の減免についてはどういうふうに考えるかということでございますが、これはすでに電報規則及び電話規則におきまして、これらの事実はすでに実行しているところでございます。それを今回法的に、料金については減免ということは自由にできないというような法的規律のために、このように法文化しておるのでありまして、内容につきましては、従来と同じ精神を以てやつて行くつもりであります。一例を挙げますれば、七十条において船舶、航空機というような、生命財産の緊急電報というものは従来も無料であります。例えばSOSというようなものについての料金というものがそれであります、又警察について、犯罪の通報と、今大体東京では御存じのごとく百十番、局番なしでやれば直ちに急報できる。或いは消防機関の出火の報知は百十九番、こういうようなものが今でも無料サービスになつております。そういうようなものを七十条では規定しておりまして、それ以外にも現在の情勢からみまして、特に必要と認めるものを多少附加しておりますが、大きな基本線は変りないというふうに御了承願いたいと思います。  それから七十一条の問題でございますが、これにつきましても、新聞、通信社には減免するということになつております。今回は今までやつていないのは放送事業です。NHK及び民間放送というものを、ニユースを内容にするものについては、同じように予約通話といたしまして、この料金を軽減するということになつております、この軽減率も大体現在の率と同じように考えて行くつもりであります。警察や消防機関というものにつきましても、大体現状と同じ考えで進んで行くというふうに考えております。  なお新聞、通信社に対します専用料金の倍率というようなものも認可事項になつております。これも現状のまま倍率は変えない、こういう気持で、この法の運用におきましての認可或いは料金の決定をいたしたいというふうに考えております。
  122. 久保等

    久保等君 その低減率なんか、むしろはつきり法制化しておいたほうが公社当局あたりではやりやすいのじやないか。というのは、低減率は、極端なことを言えばどの程度の低減をするかということは公社の判断、郵政大臣の認可で勝手にやれると言えば言えるのです。そうなつて来ると、いろいろむしろこの公衆電気通信法案の最後に謳われておる別表の料金の問題とは或る程度切離されて別個に考えて行く危険性というか、そういう場合が予想されると思うのです。そうするとそれで却つてこういつた利用者面からのいろいろな動きによつて、必ずしも適正でない料金がそのときどきの情勢によつて心ならずも決定せられて行く危険性というか、可能性があると思う。ですからむしろそれよりも法律で、一般の国民生活、国民経済に非常に重大な影響があると思われる面については、法律で明確に調うのだから、そういつた低減率はむしろこの法文の中に明確に謳つたほうが、実際その衝に当る公社にしても非常に気が楽と言つては語弊があるけれどもはつきりと法律によつてきめた方がむしろいろいろ判断をするのについて、いろいろの動きによつて煩わされるというようなことをしなくても済むのじやないかというような考えですが、その点は如何でしようか。
  123. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今の御意見も一応そういつたような報道電報、或いはその他の警察等の料金につきましても法定したほうが却つてそのほうが楽じやないかというような御意見でございましたが、そういう点も一応御尤もなことと存じます。併し別途考えますと、先ほど申しましたように、料金の基本原則の面から申しまして、報道電報にいたしましてもその他の警察等の専用通信にいたしましても、やはり利用の相手というものは極く特定されたものでございますので、やはりこの公衆電気通信法の建前から申しますれば、七十一条で規定いたしますように、それぞれを一般的に低く定める、低額に定め得るという基本方針を掲げまして、それの低減率につきましてはやはり郵政大臣の認可ということで定めるということで十分ではないかという考え方で、かような規定にいたした次第でございます。
  124. 久保等

    久保等君 それから今度は質問の内容をちよつと変更いたしまして、PBXの問題でなお、先般御質問いたしましたのに引続いて御質問をしたいと実は思うのですが、今度のこの公衆電気通信法、或いは有線電気通信法が施行せられるということになりますると、当然PBX等の問題につきましての当面する問題として技術基準の問題、或いは工事担任者の資格認定の問題、こういつたような問題を早速まあ基準をきめておいて、資格試験なり或いは技術基準というものによつてそれの良否を認定して行くということをやらなければならんと思うのですが、そういう方面についての一応資料的なものをお出しを願つたのですが、やはり私先般ちよつと指摘しておきましたように、工事担任者の定義といいますか、どういつたものを工事担任者とするのかということについての質問に対しまして、従来は工事担任者と、それから工事従事者という言葉を使つておりますが、まあこれらはやはりこの法文に言つておる工事担任者の中に入るというふうな御趣旨答弁であつた思つたんですが、従来の工事従事者は、ここに言う工事担任者として扱つて行くということなんですか。
  125. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 只今の御質問にお答えする前に、先ほどちよつと留保いたしました点を追加補足いたしまして申上げておきますが、先ほど久保委員指摘されました料金別表の最後の第六でございますが、これはやはり電信の専用料もこの中に含むわけでございます。と申しますのは、この括弧の中に「市外設備」という言葉がございます。この市外設備の定義は、公衆通信法の七十一条の三項に出ておるわけでございます。四十七頁でございますが、非常にこれは難解な表現でございますが、四十七頁のうしろから五行目の一番下のほうに「市外設備」という言葉が出ておりまして、それからずつと括弧をしまして、「専用設備のうち」云々とずつと書いてございますが、これで言つておりますのは、単に電話ばかりでなしに、電信においてもこれは包含して、市外設備という定義をここにいたしまして、以下同じということで、その後この市外設備という言葉については単に電話専用線だけでなしに、電信の専用線も含まるということをこれで規定いたしておるわけでございまして、先ほど私が申上げました通り、第六で申します「専用設備たる回線の専用」の中には、市外電話回線及び専用電信の双方を含む、ただ電信の専用線につきましては、これは金額は勿論市外専用回線に比べて低額でございますので、この六千倍以内、こういうものの範囲に納まるということで、最高限を電話のほうをとりましてリミツトを付けたというわけでございます。  それから只今のお尋ねの点でございますが、このPBXにつきましては、今度の工事担任者というものと、戦前の工事の従業者というものとがどういう関係になるかというお話でございますが、今回のこの工事担任者というものは、先般の委員会においてもお答え申上げましたように、大体電気通信機器の工事に一人立ちで従事し得る、独立して従事し得るという者を対象にいたしたわけでございますので、本当の補助的の作業に従事するという者はこれは別でございますが、その他の面につきましては、当然独立して工事に従事するという者を対象にいたしておりますので、従前の担任者及び従事者の双方を含むというふうに解釈しておるわけでございます。
  126. 久保等

    久保等君 それで懸念せられることは、先般もちよつと質問いたしたのですが、有資格者の工事担任者、それから従来の工事従事者も今度の制度ではそれも担任者に入れるという考え方ですから、いずれにいたしましても、新らしいその工事担任者になる人が、誰か一名或る工事を民間でやることによつて、この工事担任者が引受けるということになつた場合に、実際の仕事が、全従事者がこの工事担任者であれば勿論問題ないけれども、ほんの一名だけが工事担任者で、その一人の人間が請負うというような形で実際は工事がなされて行く場合が多いと思うわけです。そういつた場合に対する、十分に通信の開始後における運営を遺憾なからしめるという立場から行きますると、いわば素人をかき集めて来て、一名の工事担任者が仕事をやるということでは非常に問題があろうかと思うのですが、そういう方面に対する取締と言つては語弊があるのですけれども、そういつた方面に対して十分にあとに問題を起さないように検査を、検査といいますか、仕事をやらせるといつた方法としてどういうようなことを考えておられるのか、具体的に一つ説明を願いたいと思います。
  127. 庄司新治

    政府委員(庄司新治君) お答え申上げたいと思いますが、工事担任者というものの解釈が必ずしもはつきりつかめないときには、いろいろな疑問が湧いて来ると思うのですが、工事担任者の解釈をもう少し具体的に申上げて見たいと思います。今金光監理官の御説明の中の工事担任者と本当の補助的な仕事をする人というふうな御説明がございましたが、少くともPBXの設備を修繕したり建設したり、そういう電気通信設備をさわる人は、これは工事担任者でなければならないというふうに私たちは解釈しておるのでございます。従つて或るPBXの現場へ行きまして、そこで仕事をしておる人はどういう人でなければならんか、どこか或る一カ所へ行つて見たときに、そこにはいわゆる工事担任者がいて、試験或いは設備にさわつておるというのならこれはよろしい。併しそこには工事担任者は誰もいないで、そうして本当の補助的な人だけが機械をさわつておるということは、これは我々は考えておらないのでございます。或る現場へ行つて、工事担任者がおつて、その担任者が手足のごとくに、まあハンダを持つて来いとか、補助的な役目をする人を使つておるということは、これは我々はそう考えておるわけであります。従つて久保委員の御質疑のありましたように、工事担任者が一人だけ資格を持つてつて、そうして資格のない人を多数かき集めて、そうしてその資格のない人を双方の現場へ派遣して工事をやる、或いは保守をやるということは考えておらないのでございます。そういう事態があれば、我々はこれを取締るつもりでおります。工事担任者でなければ従事することはできないという条項で、これを取締るつもりでございます。
  128. 久保等

    久保等君 それはもう少し具体的に、それならばPBXを自営したいという場合の申請があつた場合に、どういう一体基準でその申請を許可して行く方針か。只今のいわば工事担任者の数の問題にもなつて来ると思うのですが、例えば工事幅によつて、その程度の工事幅のある工事付けならば五名の担任者が従事しなければならんとか、或いは十名でなければならんとか、二十名でなければならんというような、いろいろやはり幅というものを考えながら工事担任者の数ということも、具体的な申請のあつた場合にその都度実は判断をして認可するかしないかを決定するというふうに考えておるのかどうか。そういつた点を具体的に御説明を願わないと、ただ条文で工事担任者でなければ従事してはならないんだということになつておるんだから、当然そういうふうになるんだということだけでは、具体的に処理し切れないと思うのです。具体的にどういう一本方針で申請のあつた場合に許可する、或いは許可しないという態度をとるのか、そこらの方針を一つ御明示願いたいと思います。
  129. 庄司新治

    政府委員(庄司新治君) 一応原則としましては、工事担任者でなければ従事できないということに大原則を立てております。そうして或る工事をやる場合に、それでは何人くらい要るだろうかということは、その原則と照らして具体的な問題としてはそういうことが生まれて来るだろうと存じます。但しこういうような場合を考えますと、例えばこの回線の交換機、或いは専用線の交換機を付けるというような場合には、十人でかかれば非常に早く工事が終るし、三人くらいであれば非常に長く工事がかかるということでありまして、建設工事のときには、何人でなければならんというようなことも必ずしもはつきりきめにくいと思うのでございます。それから保守の場合でございますが、保守の場合には、設備が或る程度大きければ大体一人常駐しておらなければならないということも出て来るでしようし、又小さな交換機で、例えば十回線とか二十回線というような交換機で、殆んど故障も起きないというような交換機の保守をやるような場合には、この近くに、或いは保守者を呼ぶときにはいつでも来れるというような状態にあれば、必ずしもその二十回線の交換機のそばに工事担任者が一人付きつきりでおらなければならないということも言えないだろうと思うのでございます。それで実際問題としては、或る程度人数というものが実行上はきまつて来るかも知れませんが、それをはつきりきめて、これ以上の人数でなければならんというふうにはきめられないのではないかと、こう思います。ただこういうことが考えられるのですが、それでは最初久保委員の御心配になりました、一人の人が小さい交換機だからといつて二十も三十も受持つということになれば、これは非常に無理があるだろうというので、一人の人の持ち得る範囲というものは或る程度、五件とか十件とか、十件というとちよつと多いですか、五件とか三件というふうに制約されるということは言えると思います。
  130. 久保等

    久保等君 どうもはつきりしないのですがね。だから工事の申請があつた際にどういう場合に一体許可をし、どういう場合に許可しないか。勿論許可する申請者が有資格者であることは勿論です。有資格者でなければこれは全然問題にならんと思うのですが、それがAならAという有資格者が申請された場合に、或る場合にはこれはよろしい、或る場合にはいけないというその判断を一体どういう基準によつて判断するのか。有資格者が少くとも申請されたことについては、お前は資格がないからということはこれは言えないと思うのです。ただ問題は果してその仕事がその人間一人でやれるか、或いは二人でやれるか、三人でやれるかということを具体的に判断しなければならんと思うのです。やつぱりそうでないと、これはもう、一人の有資格者でも申請があれば、その人間がやる資格というか能力、能力というか、技術的な能力はあるわけなんですから問題はないと思うのですが、ただ問題は果して良心的にその技術基準に合致するように、而も又開通後における通信というものを遺憾なからしめるような良心的な一体工事をやるかどうかということを非常にこれは検討しなければならないと思うのです。その場合に今言われる趣旨では、私が先般引用したような、これは極めて露骨な非常にむしろあり得べからざることを極端な例を以て実は申上げたのですけれども、それほどまでは行かないにしても、これは相当無理だなと思うことでも、はつきりした基準がないとなれば、その人その人の、受付けた人の判断によつてやるということになると、これはますます怪しいことになつて行くと思うのです。それについてやはりもう少し具体的な案をお持ちでなければ、先般営業局長あたりの御説明では非常に厳重というか、厳格にその点は技術基準というものは飽くまでも実施して行くのだということを言われておりましたけれども、具体的な実施面において残念ながら何ら実は基準が御説明としてなされないので、どうも判断ができないわけなんですけれども、別にそういつたことについて具体的な方針というものは持つておられないということなんですか。
  131. 庄司新治

    政府委員(庄司新治君) まだ質疑と応答の間に距離が少しあるようでございますが、建設工事をやる場合いわゆるPBXを取付ける場合、この場合にはこういう人が工事をやるんだ、その人が工事担任者としての資格があるんだということであれば、それが何んでなければならないということはやはり言えないだろうと思うのでございます。たつた一人でも或る程度工事はやれるだろう、或いは十人なければやられんだろう、それは結論としては工期、工事をやる期間の長い短いということにかかるのでありまして、大きな工事だから何人以上でなければならんということはやはりどうしても言えないというふうに私たちは考えるのでございます。
  132. 久保等

    久保等君 当然工事をやる工程といいますか、時間も問題になるでしようし、それから期間が問題になるのだから、長い間かかつてやるならば人は比較的少くて済むし、突貫工事的にやるとすれば大勢の人でなければならんということは、これはわかると思うのです。併しいずれにしても、例えば一人なら一人が十日間にやる仕事の能力というものは、これはもう大体或る程度幅がきまつて来ると思うのですよ。従つて例えば交換機なら交換機を一台付ける場合に、これを予定としては五日なら五日にやるんだとか、或いは十日なら十日にやるんだとかいう工程というものは、申請する場合にこれは申請事項としてもはつきり当然謳われるべき性格のものだと思うのです。或いはまあその点謳わないとすると、一体どういうふうな基準でこの者に能力があるかないか、実際やれるかどうかということを厳正に判断をして的確な認可を与えて行くということになるのか。その点を明確にしないと、交換機一台付けるから何人だろうというわけには行かん。確かに監理官の言われるように、それだけでは何とも判断ができないだろうと思うのです。当然その工事期間というものが問題になつて来るだろうと思うのです。工事期間或いは稼働人員というようなものを睨み合して、大体どの程度の人員が要るというようなことはおのずから出て来ると思うし、又そういうものの或る程度の基準を持たれなければ、工事担任者一人で以て申請した場合には、やはりそれをはねつけるわけには行かないだろうという只今の御答弁だとすると、恐らく実施せられた将来の見通しというものは、私が申上げた、極めてこれは露骨なというか、極端な場合を例に引いて申上げたから、そんなばかなことはあり得ないと言われるけれども、併しあれほどまでにひどいことはないにしても、やはり似たり寄つたりのことが現実に行われて来る危険性が多分にあるのじやないか。極論すれば、有資格者の人たちがブローカー的の形で実はどんどんPBXを申請し、更に又自営で以てどんどんやつて行くというような結果になつて来る危険性が非常に実は濃いのじやないかというふうに考えちれるのです。それあたりは私相当重要な、いざ実施するとなると問題だと思うのです。そういうことをお尋ねしておるので、当然長い期間でやれば人数が少くて済む、短い期間でやれば人数が多くかかるということは、これはもう常識的に当然だと思うのです。そういうことは抜きにして、工事に対する大体の一人の担任者の幅というものは何か定めておかなければ、人の能力によつても相当差はあると思います。差はあると思いますが、併し大体の基準というものがなければ、認可するしないの基準そのものも定まつて来ないのじやないかというふうに考えるのですがね。
  133. 庄司新治

    政府委員(庄司新治君) どこを言つておられるか大分わかつて来ましたが、一つのPBXの設備だけをとつて考えましたときには、私の申上げたようなことが言えるわけでございます。久保委員の話しておられるのは、一人の工事担任者がそれではどれだけ持てるかということを聞いておられるようでございまして、これは確かに久保委員のおつしやるように、一人の工事担任者が非常にたくさんの工事をやるということは、裏をひつくり返せば必ずしもその人が従事しないということも考えられるのでありまして、そういう点では一人の人が建設を受持つ数とか或いは保守を受持つ数というものは或る程度の制限を付けなければならないというふうに考えております。
  134. 久保等

    久保等君 だからその制限をしなければならないと思われる基準になるものを具体的に御説明願えないでしようか。
  135. 庄司新治

    政府委員(庄司新治君) その点は只今公社と検討中でありまして、一応の公社としての成案は得てございますが、郵政省として必ずしもはつきりこうだという数は最終的にはまだきめてはおりませんです。
  136. 久保等

    久保等君 まあ今のところだから、直ちにどうこう言つてもまだ完全な成案を得るところまでに至つておらないという御説明は了承するわけですが、更に只今の問題とも関係するわけなんですが、この技術基準に合致しておるかどうかということについて、公社が検査をするということに法文の建前からもなつておるわけです。そうなりますと、相当の検査要員も当然必要でしようし、それから今言われたようなことをどういう基準を出されるかによつて、検査要員というような問題も相当又違つて来るのじやないかと思うのです。いずれにしましても私の懸念するところは、今の監理官の御説明では、全然実は解消しておらないわけでして、むしろ非常に危惧を深くするわけなんですがね。そうなつて来ると、今度は検査要員の方面で相当考慮して参らなければならんということにもなつて来ると思うのですが、全国的にPBXを民間に開放した場合に、どの程度検査要員が必要だというふうに現在お考えになつておるのか。更に又その検査要員を設けることによつて、この検査要員に必要とする経費予算といつたまうなものが大体どの程度のものであるかのめどを持つておるのか、一つお聞きいたしたいと思うのですが。
  137. 靱勉

    説明員(靱勉君) 先ほどから久保委員からPBXの工事担任者の問題等について御質問がありましたが、御心配の点は御尤もかと存じますが、一方におきましてはこれは一つの商売でありまして、又施設されるかたも相当大きな財産ということになるわけでありますから、私は自然の原則としまして、注文されるかたは、やはり十分この工事がいつまでにできると、又この法律によつて、工事担任の資格のない者が従事するというような、不自然的にそういうことをやつておるのではないので、やはり技術があり、それに対する知識のある人が認定を受けて従事されるのでありますから、実際上の御心配は余りないと、こういうふうに考えております。  それから、そうなると随分検査要員が要るだろうと、こういう御意見でありますが、民間におきましてもかなり優秀な技術があると、現在電電公社におきましても、工事の建設請負等におきましてかなり民間にも技術力があると、こういう点も考えておるのでありまして、私ども現在におきましてPBXを担当いたしておりますので、その中から特に検査監督に適任者を特定いたしておきまして、そういう者に検査させるということで、新たにそのために増員するとか何とかいう措置は現在考えていないのであります。併し、実際上PBXが非常に自営に移りました場合に、全国的にはそういう検査に従事する人は或は千名くらいになるかと思いますけれども、それは常時検査ばかりしておるのではないので、やはりみずから公社としてPBXの建設保存をするものについての一番指導的な技術の優秀な人が、それに当るということで、特別の経費等も現在においては考えていない。で、電電公社におきましては、現在でも勿論PBXを全面的に実施して参ると、又今後におきましても大いにサービスを改善して行きたい。自然にそういう範囲が殖えて参りますれば、来年度予算において又考えると、二十八年度予算におきましては、特別にそういう考慮を別枠として考える必要はないというふうに私どもとして承知いたしておる次第であります。
  138. 久保等

    久保等君 まあ非常にPBXがうまく民間でやつた場合に行くということを前提にしてお考えになつておるようですし、是非そうなければならぬと思うわけなんですが、併し少くとも民間に開放する態勢というものは、十分に遺憾のないように当然考えるべきだと思うのですが、今の人員の面では千名くらいというお話つたようですが、まあ経費も別枠で特別にどうこうという措置考えておられんけれども、まあ何らかの経費が勿論必要だと思うのですが、千名ということになつて参りますると、これは相当なやはり経費が年間を通じては必要になつて来るだろうと思うのです。それで極めて大ざつぱな話程度にしかならんと思いますけれども、どの程度、これは当然人件費等も含めての話、給与の問題等も含めての話ですが、そういう点も含めて、更に出張その他の経費、これは必要だと思うのですが、そういうものを含めてどの程度の見当になりますか。
  139. 靱勉

    説明員(靱勉君) 只今申上げた千名と申しますのは、千名がそれに専属になるというわけではありませんで、大体PBXが自営になるような見込の局所を算定してみますと、或いはそのぐらいの人が検査に従事するであろうということでありまして、それは年間常にそれのみやつておるのではないのでありまして、みずからやるのと併せてやるわけでございまして、別段経費等を別枠に考えておりません。
  140. 久保等

    久保等君 運営はそういうことでやつて行くのでしようけれども、併しPBXの検査を実施するに当つて、ひまなときにはほかの業務も当然やるのでしようけれども、検査をやるためにだけその人員を整理して考えた場合には、そのうちフルに検査に当る従事員は、仮に有資格者を千名作つておいても、実際に検査をやる人はそのうちの延人員にしても大体五百名あれば足りるのではないか、或いは六百名あれば足りるのではないかというような数字は、これは当然出て来るのではないかと思うのです。それでAならAという具体的な人間そのものが全面的にPBXの検査に当らないにしても、半分しか当らない場合は半分を計算して経費というものはおのずからはじき出せると思うのですが、その目の子算用程度のものでも結構ですが、どのぐらいの経費になるか、もう少し具体的な御説明を承わりたいと思うのです。
  141. 靱勉

    説明員(靱勉君) 今その人がフルにそれのみに従事したらどんな見当だろうというお話でございますが、そうなりますと、まあ千名のうち一割に当りますか、そうなりますと百名でありますが、或いはそれ以内で済むか、結局どの程度自営に移るかということはまだはつきり我々としてもわかつておらないのでありますから、そこでみずから今までやつて来て、かなり二十七年度におきましても今度自営を認める範囲の量というものは相当数多くなつてつておりますので、そういう人たちを今何も別段整理しておるわけでも何でもないわけでありまして、公社自身としても積極的に出ますし、自営のほうも出て来るという場合におきまして、検査だけの考えで言いますれば、余り予算的な措置考えないでよいということで、区分けして考えておりませんが、全く専属というのは、私どもの見当と申しましては、相当の量が出るといたしましても一割以内の問題ではないかと、こういうふうに考えております。
  142. 久保等

    久保等君 全くやつてみなければわからないということも或る程度了承できるのですけれども、併し少くともPBXを民間に開放するという建前は、公社がやり得るものは当然公社がやるんだと、併しどうしても公社がやるとすれば、日にちの点からいつても無理があるし、或いは又資材入手その他で非常に無理があつて、いわば手の届かないところを実は民間にやるのだという少くとも考え方だと思うのです。まあ勿論それは、そのPBXの施設者が自営を希望せられる特殊の場合は別ですが、併し一般に工事がどうも従来から行きますと遅いから、できれば民間でやれるようになつておれば非常に好都合だのに、公社が一手販売でやつておるのでは不便だからというのが、今度のPBXの民間に開放される大きな理由になつておるように私ども承わつておるわけです。そうなつて参りますと、公社の従来からの経験に基いてどの程度の工事幅が、民間の建設の場合においてはどの程度自営で以てやつて行くようになるだろうか、或いは又保守の場合についてもどの程度自営で保守されて行くかということについては、相当今までの実績から考えて参りますれば、私は或る程度の見通しは立つと思うのです。そうなつて参ると、人員の問題については一応数字的な点も言われておりますが、経費の点については別枠は考えていないと言つておられますが、予算的な措置については別枠な考えておられないとしましても、何らかの形で出さざるを得ないと思うのです。それから又普通の従業員が検査要員となつて検査をするのだから、検査要員というような形で給与というふうなことも考える必要もないといえば、まさにその通りだと思う。だけれども、経費の出どころは別としましても、少くとも検査をやつた従業員の給与と、それから検査旅費というようなものは、出る枠は別としましても、PBXのために支出した経費というものは、はじぎ出してみれば一応の見通しは立つと思うのです。そこを私は御質問いたしておるわけです。だから、検査のために特別な費目というようなところから出なければ、これは検査のために使つた経費ではないのだというふうに、そういうふうな厳格な意味考えておるのではなくて、飽くまでも実質的にどの程度までの従業員が充実するかということになつて来れば、おのずから経費の点も出て来るのではないかと思うのです。ですから、その点を御質問をしておるわけですから、形式的な点を御質問しておるわけではないのです。
  143. 靱勉

    説明員(靱勉君) 現在におきまして、自営の面は一割強くらいございます。これがまあどのくらい殖えるかという点は、結局公社に頼つて来ることを希望するか、民営のほうがいいんだということになりますかのあれでございますが、今度の予算におきましては、確かに前年度より公定の幅を一応予算的には縮めてございます。併しながらこれは弾力条項がございまして、社債等が引受けられる場合におきましてはそれが殖やされるという形になつております。やはり現在一割強のものが半分程度自営のほうに行くものかどうかという点につきましては、私ども的確な判断はできないのです。今公社に頼むのを若干控えておるというようなのは数件ございますけれども、全面的に自営になれば、公社のほうは一切頼まないという空気はないように私どもは観測いたしておるのでございます。そこで予算的に申しますと、私ども現在相当の幅をみずから直営としてやつておりますので、検査というものの程度というものは、必ずしもみずからやるほどの勿論何分の一かの時間なり労力の問題でございますので、人件費について今後我々の幅がむしろ縮まらないで殖えて行くということになれば、今後新たな増員等も考えて行かなければならんかとも思いますけれども、現在の情勢におきましては、前年度やりました幅におきまして検査の経費というものは必ずしもそうかからんというような見当で、そのところは詳しく区分けして仮に五〇%行けばどれだけの経費がかかるというような計算をいたしてない次第でございます。殊に専属ということを考えておりませんので、直営の工事と並行いたしまして、特に検査に適当なる資格を持つた人を以て検査をするというような態勢にいたしておる次第であります。
  144. 久保等

    久保等君 余り的確な御答弁もないし、よくわからないんですが、まあそれ以上お尋ねしてもはつきりした御答弁もないと思いますから一応そのあたりでその問題については打切りますが、仮にこういう場合を考えてみた場合に、公社として一体どういうふうに考えられるか、ちよつとお尋ねをしてみたいんですが、それは民間で今度やるということになつて、その工事担任者が担当してやつた、ところが非常にどうも成績が芳ばしくないというような事態が起きて参つて従つて公衆通信にも非常に悪影響を及ぼしておる、そういう事態が起きました場合に、工事担任者に対する措置というものは特別に何らこの法案の内容には盛られておらないわけです。勿論そういつた工事を停止させるとか何とかいうことは、これはできるだろうと思うのですが、工事担任者が何かいわば不良工事をやつて、不良工事ばかりをしよつちゆうやつているというような場合についても、特別に何か措置を講ずるというようなことがないようでありまするが、そういつたような場合についてどうするおつもりなのか。一つ特に事は公衆電気通信に直接影響のある問題でございますし、非常に迷惑するわけですが、そういう場合に何らかの措置考える必要があるんじやないかと思いますが、どうでしようか。
  145. 靱勉

    説明員(靱勉君) この点につきましては、すでにいわゆる昔そういう工事を担当された方々におきましては相当自主的な非常にい、工事をやるということで、自主的な機関を作ろうというような空気もあるやに私ども聞いております。併しながら非常に悪い工事をやるという場合に、態勢といたしましては、私ども公衆通信を接続するかしないかという問題になるわけです。公社側としましてはそれでいいわけですけれども、依頼されるかたとしては、非常な財産設備を非常に変なものを作られてあとで取返しがつかん、それらについてどういう保護をすべきかという問題があるわけです。まあ新憲法下におきまして、余りいろいろな制限をすることもどうかという点もありますし、又公社の認定というわけにも参らんかと思いますが、或いはおのずからそこに一つの優良なる事業者というものが利用者から、そういう自営をされるかたから見てもわかるような態勢になつて来るんではないかというふうに考えるわけでありまして、只今のところ、飽くまでそういう業者を取締るというような態勢にはこの法律にもなつておりませんし、又そういうことを法律に基かずして勝手にやるというわけに参らん、これは飽くまで商売でありますし、商売というものは信用が第一、すべて悪いものだということでありますれば法律を要するか知りませんが、そのあたりは何でもやはり実績を見て、なお又考えるべきものは、法律的手段を必要とするならば、これはやはり国会の問題になるわけです。施設される法人なり個人なりが、要請される場合におきまして、私どもできるだけそういう人が騙されないようにと言つちや語弊がありますが、そういうようなところは、実際上話合いがつくのじやないかと考えます。そうかと言つて或る特別の者ばかり推薦して行くということは、これ又非常に変なものになる、そういう資格を持つた人から見れば、公社が或る者を推薦し、或る者を推薦しないということに如何なる権利ありや、又どういう判定をしたかというような問題もあるわけです。なかなかむずかしい問題ですが、私は事態は、大部分におきましては、おのずから自分の信用を得るということが大事なんで、そうでなければ商売繁盛しつこないのです。そういうところは自主的な規律というものがあるだろうと私ども考えております。
  146. 久保等

    久保等君 非常に何というか、超然として割切つたような話をされるのですが、問題はその工事担任者の商売がはやる、はやらんは、これはまさに電気通信事業の面から見れば、関知したことではないのです。従つて余りいい工事をやらなければだんだん淘汰をせられて、一般のお得意さんはなくなつて行くだろうから、自然淘汰の結果、自然衰滅をして行くだろうという歴史家的な判断なり、ものの考え方では、実は電気通信事業をできる限りとにかく公社が一元的にやつてつた場合と変らないような実は態勢を、公社としては電気通信事業の飽くまでも運営或いは経営という面から、これは任せ切れない、又責任を回避することもできない、公社の私は責任だと思う。そういう立場から考えた場合に、やはり工事担任者というものの善意に期待することだけでは問題が解決しないのじやなかろうか、おのずからそこらに対する何らかの措置、対策というものも考えておかなければならないのじやないか、又別に規定を作る、法律を作つたから、それについてただ単に取締つて行くのだという意味ではなくて、やはり最悪の場合というか、非常に工事担任者の非良心的なものが出た場合に対して、やはり万一の対策なり方法というものは考えておかなければならないのじやないかというふうに私考えるわけでありますが、ところが只今の御答弁だと、全く手放しの極めて楽観論をしておられるわけだし、そういう業者は恐らく長続きしないだろうというようなことで解決されようとしているわけですが、非常にその点に何らの対策がないというか、極めて私の質問していることに対する御答弁は、実は当てはまつておらないわけでして、非常に残念でございまするが、併しこれも又先ほどの御質問と同じように、幾ら御説明を求めましても、それ以上具体的に私は考えておられないということであるとするならば、これも止むを得ないと思うのですが、まあそういうことで、更に次の質問をいたしたいと思うのですが、それは今のような場合に、今度は仕事を実は民間のPBXの施設者が、どうもあの業者にやらしておつたのじやこれは大変なことだというので、途中で非常にもうどうにもならなくなつたような施設を、今度は一つ是非公社にやつてもらいたいということで、途中から非常にむずかしくなつた工事を公社に実は頼まれて来た、申請されて来たという場合には、当然これは公社としては引受けざるを得ないと思うのですが、その場合にこれをお断りするというわけには参らないと思うのですが、如何でしよう。
  147. 靱勉

    説明員(靱勉君) 途中でどうも自営はむずかしいという場合に、新たに公社に申請されました場合の措置につきましては、勿論PBXの発達するということにつきましては、公社としても大いに期待するところでございますので、それをむげに断るということでなく、その際におきまして善処できるものと考えております。
  148. 久保等

    久保等君 まあそういうことになれば、公社としては当然やるということになるわけですから、而も大局的に考えれば非常にまあ無駄といいますか、無駄だけでなくて非常に通信事業そのものにも重大な支障を及ぼした結果になると思うのですが、その場合にも、結局所詮電電公社がそういつた場合にもこれを引受けて収拾をするという責任があると思うわけであります。そういうようなことまでして民間にPBXを開放しなければならんかどうかということになつて来ると、私はまあ非常に疑問を持つわけです。併し先ほど来お尋ねしておりますることについては、非常に手放しの楽観論で実は対処されているだけに、今後の行末について非常に大きな疑念を持たざるを得ないわけです。又技術基準の問題にいたしましても、或いは又資格検定の問題につきましても、極めてうまく行つた場合をすべて前提にしていろいろ、いろいろというよりはこの法案を出されて来ておるわけでして、余り又いろいろ具体的には考えておられないとしか実は受取れないわけですが、そういつたようなことで、而も八月の一日からこの法案が実施せられれば、当然PBXの民間開放ということも申請があればこれをどんどん許可して行くということになると思うのですが、併し相当やはり更に研究せられる御予定なのかどうか。要するに具体的に実際実施せられる基準については、更に研究せられる予定なのかどうか。法律は八月一日という予定になつてつても、その問いろいろ準備期間が必要だというふうに考えておられるのか。八月一日から直ちにそれでもなお且つやり得るという確信を持つておられるのか。先ほど来の御答弁の上からは残念ながらどう考えても確信が出て来ないと考えておるのですが、そのあたりどう考えておりますか。
  149. 金光昭

    政府委員(金光昭君) 先ほど来いろいろとお話が進んで参つたわけでございますが、技術基準の問題にいたしましても、或いは資格者の認定にいたしましても、郵政省令で定めますものにつきましては、当然八月一日以前におきまして準備をいたし、八月一日より直ちに省令の施行を見るように準備いたします。又更に公社で作つて郵政大臣の認可を受けて行きます技術基準等につきましては、やはりこれも八月一日までに完全に間に合うようにということで準備を進めているつもりでおります。
  150. 久保等

    久保等君 更に先般もちよつとお伺いしてそれに対する御答弁もあつたわけですが、公共的な立場から考えた場合に、PBXを自営にすることがいいかどうかという問題で、不経済な悪い面を一例に挙げ先般も御質問をいたしたのでありますが、例えばPBXの電力の問題ですが、これらの共有の問題にいたしましてもむしろ直営でやつておるならば非常に経済的に、多数の加入者のPBXについて、電源を共有して参るというような経済的な運営ができるけれども、併し自営でやつて参ります場合には、そういつた面についても非常に不経済な施設をやるというような場合が十分あり得るわけです。これは東京都内でも相当具体的な鉄鋼ビル等については、そういう事例が現にあるようでありますが、そういつたことから考えましても、やはりPBXの自営という問題について、幾多考えるべき問題があろうかと思う。この点について言えば、確かにそういつた経済的に見て、大乗的な立場から考えて、不経済な面も確かにあるだろうと、いわゆる御答弁があつたわけですが、そういうことも考え、先ほど御質問いたしているような趣旨から考えましても、私は少くともこのPBXの自営という問題については、十分に再検討される余地があるのではないかというふうに考え、同時に又先般もちよつと御質問いたしましたが、このPBXの自営の問題は、昨年の六月から公衆電気通信法案国会にかかつて以来、今日まで不変の態度で四回に亘る国会に同じ問題が法案として出されているわけですが、一番最初に出された当時は、まだ電気通信省という時代でありましたし、日本電信電話公社法案、或いは国際電信電話株式会社法案という法案が、審議せられておる国会にこの問題も同じように実は出されて参つたわけです。従つてあの当時、提案をせられた当時の状況と今日の状況ではこの提案をせられておる時期の問題からいつても、相当事情の変更といいますか、情勢の変化があるわけであります。又少くともあの公社法を実施して、やつと日本電信電話公社法が実施せられて発足したばかりのときの段階においては、公社考え方或いは郵政省考え方としては、少くとも電気通信事業というものは従来の政府事業でやつてつた当時とは非常に違つた、企業の自主性といいますか、公共事業として従来政府のやつてつた面で幾多の批判される面は、是非公共企業体になつたこの際には一つ払拭をしてやつて参りたいというような考え方を持つておられると思う。従つてPBXが、いろいろ政府事業当時に批判を受けておつた批判は、相当今度のこの公社法が実施せられた今日の公社としては、いろいろ善処したいということで対策も先般出して頂いた資料の中ではいろいろ見受けられるわけです。そういう状態の中にあつて頑として、公社法国会にかかつてつたと同じ気持で今回も御提案になつてつておる。頑として実は同じ方針で堅持されているということについては、公社そのものの、私は全般的な電気通信事業に対する公社の真意のほども若干私は窺われるわけです。というのは、政府事業でやつてつた当時と同じような考え方で、将来PBX以外についても、やはり今後運営して行くのではないだろうかということを、この一つの問題から実は推測することも、あながち私はそううがち過ぎる推測ではないと思うのです。そういう点から申しましても、いずれにしても、何か非常にこだわつて、一度国会に出したものはその後公社の経営形態が変つて行こうがどうしようが、とにかく飽くまでも方針としてやつて行くのだという考え方については、私はいささか余りにも固執し過ぎるのではないかという考えをするのです。飽くまでも私はこの問題を非常にやかましく喋々いたしましたのは、電気通信事業の本質的な性格、それから電気通信事業の使命、そういつたようなものから、実は力説をいたしておるわけでありまして、これが予算に見た場合には、電気通信事業の何十分の一だとか、何百分の一という問題によつて問題を解決すべきではなくて、飽くまでも神経系統である電気通信事業というものは、北海道の果から九州の果までどこまで行つて責任体制が明確であるとか、電気通信事業というものの統一性というものか確保されて行かなければ、電気通信事業の円滑な運営と迅速という電気通信事業の使命は私は達せられないと思う。それはその一部はAというところでこれをやつており、或るところはBというものがやつておるという形で、責任体制が確立しないのではないか。更に又今度のPBXを考えましても、昨年来の経過をじつと眺めておりますと、その間非常に、公社そのもの、それから通信事業そのものに携わつておる者の経験に基く確信の上に立つた提案というよりは、何かしらそれ以外の方面からの動きによつて情勢を作り出されて来て、法案国会に上提せられて来るというような経過については、飽くまでも私自体といたしましては納得できないわけですし、このことは直接通信事業に携つておられる従業員の立場においても全く同じだと思うのです。又そのことが少くとも私は公共性のある電気通信事業としては当然じやないかというふうに考えるわけです。従つて少くとも原則としての方針を或る程度例外的に変えるというからには、相当な確信を持つて、而も又万端の準備をはつきり整えた上に立つて私は変則的な措置をとるということもこれ又止むを得ないと思うのです。ところが先ほど来の御答弁によつてはつきりいたして参つておりまするように、そういつた方面については何らの対策がないと言つてもいいほど、極めてその具体策を持たないままに、ただ資格試験だけはやるのだ、又技術基準を設置して技術基準によつて検査もやつて行くのだという程度の準備だけでは、残念ながら電気通信という非常に高度な技術と、それから非常にデリケートな通信という特殊なものを扱う事業の場合においては非常に心配されるわけでして、私はそういう点から御質問をいたしておるわけですけれども、残念ながらどうも明確な御答弁がないので、このPBXの自営の問題につきましては、もう少し検討を私自体も内容の点について更にもう少し明確にしない限りにおいては、残念ながらどうも納得するわけにも行かないのでありますが、仮に八月一日から実施されるということになりますと、あと数日しかないというような状態にもなつておるわけです。それで監理官の御説明では、八月一日から実施するので、当然それまでに準備を整えるのだと言われるのは、これは法案の建前からそうならざるを得ないだろうと思うのです。御答弁もそうならざるを得ないだろうと思います。飽くまでもそういう問題にとらわれるのではなくて、実際問題として、果して一体どうなんだという率直な御答弁は残念ながら先ほどの御答弁ではなされておらないというふうに実は考えるわけです。なおもう少し突つ込んだ率直な御意見もお聞かせ願いたいと思います。そういう点で本日のところどうも私一人の質問で独占してしまつたきらいがありますが、一応本日のところ私それ以上突つ込んだ御質問をいたしましてもどうかと考えますので、このあたりで打切りたいと思いますが、なお私若干の質問ございますが、この点は保留をいたしておきたいと思います。
  151. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日はこれにて散会をいたします。    午後四時三十四分散会