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1953-07-17 第16回国会 参議院 電気通信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十七日(金曜日)    午前十時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            久保  等君    委員            津島 壽一君            新谷寅三郎君            小林 孝平君            山田 節男君            三浦 義男君   政府委員    郵政政務次官  飯塚 定輔君    郵政省電気通信    監理官     庄司 新治君    郵政省電気通信    監理官     金光  昭君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君    日本電信電話公    社経理局長   秋草 篤二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公衆電気通信法案内閣送付) ○有線電気通信法案内閣送付) ○有線電気通信法及び公衆電気通信法  施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) これより委員会を開会いたします。  公衆電気通信法案有線電気通信法案有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(以上いずれも予備審査)を一括議題といたします。  前回の委員会決定に基きまして、電話電報料金に関する問題につきましては、本法律案が本審査に入りましてから質疑を行うことにいたし、本日は主として料金問題以外の部分について質疑を行いたいと存じます。御質疑のある方は御発言を願います。
  3. 久保等

    久保等君 ちよつと変つた質問なんですけれども、昔明治二十三年にできております例の電信線電話線建設条例という非常に古い条例でありますが、お聞きしたいのは、特に電柱等を立てた場合の敷地に対する手当の問題についてのことなんですけれども、このいわゆる建設条例に基いて、非常に古い法律ですけれども、第六条のところに、「日本電信電話公社ニ於テ民有地ニ電信線電話線柱木建設シタルトキハ一本毎二一箇年四銭ノ手当金ヲ給与ス但所有者ハ其他権利者ニ於テ手当金望マサルトキハ此限ニアラス」ということで、まあ建設条例ができているわけですが、更に昭和二十年にこれに対する何といひますか、その後の経済情勢等変化伴つて改正をするということで閣令が出ているようでありますが、それによりますと、多少この手当金を増額しているわけなんですが、併しこれとても果して今日の経済情勢から行く相当いろいろ、まあ経済に民間で問題もあるようでございますが、田にあるもの、或いは畑にあるもの、或いは塩田にあるもの、宅地にあるもの、それから山林にあるものというふうに区分をして、それぞれ四十円九十大銭とか、或いは二十三円九十六銭とかいう形で、先ほど申上げた四銭とプラスされたものが結局手当金として、まあ補償金という意味で今度は昭和二十年の九月二十六日に閣令第三十九号で電柱敷地手当金等支給規則というものが出ているわけなんですが、この金額の査定といいますか、決定に当つては、いろいろ当時の経済状況等を勘案して作られたものだろうと思うのですが、今日まあ現行は、支給規則に基く給与額補償金として支給しているのだろうと思うのですが、一体年間どの程度支給額になつているか。それから更に現行のこの補償金に対する実情について果してどんなふうに考えておられるのか。その点の現況を一つ説明頂きたいと思います。極めて概略で結構ですが。
  4. 庄司新治

    政府委員庄司新治君) 実は今ここに資料を持ち合せておりませんので少し不正確になるかも知れませんが、記憶を辿つて申上げますと、明治二十三年に電信線電話線建設条例によつて電柱一本立てた場合には年額四銭を支給するということに、これは法律なんでございますが、法律できまつておりまして、この金額の四銭というのはこれは終戦まで続いたと私は記憶しております。それで終戦後物価が相当騰貴しまして、四銭ではどうにもならないということになりまして、この四銭を直さなければならんだろうということになつたのでありますが、法律そのものをさわるという議論もあつたと記憶しておりますが、いずれにしましても実質的に金額を上げればいいじやないかということで、先ほど久保委員のお読みになりました規則という形で、四銭を、田圃に対しては十六銭附加しまして二十銭にしたと記憶しておりますが、四銭が二十銭になり、それからもう一回上りましてそれが二十七円ですな、ですから二十六円九十六銭附加える。その間にもう一回あつたかどうか、私南方へ行つておりましてちよつと知らないのですが、ないと思つております。それからこの四月に、二十七円という線も少し資料が古くなつたというので、四月から更にそれを四十一円に改正した、そうして結局規則としては四十円九十六銭附加するという形になつていると私は考えております。それでこれの実情は、実情といいますか、支給はどうなつているかということでありますが、この支給は、毎年田圃に対しましては全国指導農業協同組合連合会ですか、これを通じまして各田圃所有者支給するという形にしているのであります。それから金額は一体どのくらいであつたかというお話でございますが、金額を、少しあいまいなんですが、一億幾ら、一億と二億の間であつたと記憶しているのでございますが、その程度で……。詳しい資料ができましたら又詳しく申上げることができると思います。
  5. 靱勉

    説明員靱勉君) 只今管理管からお答え申上げた通りでございまして、この四月から大体田畑につきましては五〇%の値上げをいたしております。その他塩田宅地山林等につきましては一七五%から二四〇%くらい値上げしている。例えば山林等におきましては五円を十七円にするというような改訂をいたしまして、本年四月一日から実施いたしているわけでありますが、総額としましては、二十八年度の予算としまして一億七千六百四十万円程度見込んでおります。前年度は大体一億程度でございましたが、なおこの問題につきましては全国農村電柱補償料対策協議会、或いは全国指導農業協同組合連合会及び全国農民連盟、こういうような方面共同研究をいたしておりまして、なお今後につきましても正確なデータに基きまして適正な補償料を定めるように目下共同作業をするということにいたしているような次第であります。
  6. 久保等

    久保等君 それで現行支給規則によりますと、まあ先ほどもちよつと申上げたように、田にあるもの四十一円、畑にあるもの四十四円、塩田が十一円、宅地にあるものが二十八円、山林にあるものが十七円、その中にも十七円と十三円とありますが、その他の土地にあるもの一本について一円というふうに、相当細かい数字の上に出された一応支給額というような形で出ているようですから、いろいろ経済的な或いは又細かい計算等をやられて出したものと思うのですが、そういつたような点から考えますと、経済情勢変化等についても相当細かく分析をして出されているのじやないかと思うのですが、特に最近の情勢として、今言つた何か対策協議会というようなものと十分連絡をとりながら、公社としても状況に副つたような適正な補償金というものの支給について努力をしておられるというようなお話ですが、大分いろいろそういつた方面からの要望も出ているのじやないかと思うのですが、差当つて当面ですね、この問題について副総裁からのお話では、まあ努力しているのだということで、相当検討を加えているような御発言もありましたけれども、具体的に而も相当明確な何か当面これに対する検討を加えておられるかどうか。それから又現にこういつたものについては或る程度検討を加えなければならんというふうな結論が出ているのかどうか、もう一度はつきりお答えを願いたいと思うのですが。
  7. 靱勉

    説明員靱勉君) 昨年三月末に郵政省令を出します過程におきましては、大体その改訂が適正であるというふうに両者におきましては話合いがついたわけなんであります。併しながらなお相当具体的に候補地等を選びまして検討をしたいということで、勿論当初の、只今申しましたような団体の御要求はもう少し高いところに参つてつたわけであります。折衝した結果、一応この程度なら納得できるという線で話合いがついたわけでございます。従いましてこれで以て最後ということではないのであります。そこで只今申上げたように、今後相互に協力して一つ適正な価額を更に検討しようじやないかというような話合いになつておりまして、これの実見調査のだめにも、すでに候補地を選びましてやつて行こうという話合いになつておりますから、その結果を待つて更に先般協定しました線が非常に内容的に問題があれば検討し直そうということになるわけでございます。そういう努力は今後いたして行く考えであります。
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今料金問題について、鉄道或いは電力会社等との比率とかの関係はどうなつておりますか。その方面とのバランスなどを研究なすつたことがありますか。
  9. 靱勉

    説明員靱勉君) この点は特に電力会社等関係もありまして、勿論関係方面からはそれらの点のバランスの点につきして随分いろいろと要求が出たわけであります。正確に只今記憶いたしておりませんですが、場所的にはこらちのほうが今度よくなつたところもあります。まあ電力会社と、場所によりましては、それぞれその場の打合せで以て或る程度よくなつているところもあるわけであります。国鉄は大体まあ鉄道用地に立てておりますから余り問題はないのでありますから、私どものほうと電力会社とが一番対象になるわけであります。そこらのバランス考えつつ、先ほど申上げたような結論に達しているわけでございまして、今回なお調査しようというのは、例えばそこにおきまする地代の問題とか、或いはそれによつて来る収入の問題、生産力問題等考えまして、電力会社とのバランスというより、むしろそういうようなところをもう少し合理的に説明が立つような形に持つて行きたいというのが共同調査の目的でありまして、著しくアンバランスになつているとは考えていないのであります。なお若し御必要であれば、その資料も御提出申上げてもいいのでありますが、只今ここに正確な対照表は持ち合せておりませんので、御了解願いたいと思います。
  10. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 一本々々にしますと極めて僅かな金額になるのですが、それが個々所有者のところへ折角の御苦心の手当金が行き渡つているかどうか。途中で、少額のものでございますから、ほかのところへ消えていやしないか、そういうことについても何か十分にお見通しはついておりますか。
  11. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) お答えします。この問題につきましては、昭和二十六年に非常に古い、先ほど久保委員から御質問があつたように非常に低額な料金であつたのが、農林委員会を中心としたところからいろいろ勧告を受けまして、二十六年度からやや大幅な改正をしたのであります。多分先ほど申上げました二十七円となつたのはそのときでありますが、今度又それを四十一円に改正するわけでありますが、そのときに支払方法についても今後持参債務として当時電通省、今の電電公社地主さんに対して持つてつて支払つてやるというのを建前にするということになつたわけであります。ところがその金の受取り方、支払方につましては、現在百五十八万人の地主と私今記憶しているのですが、その方々に金を払うには非常に大きな手数がかかるわけでございまして、それで農業協同組合連合会としましては、これを個々農民地主さんにお配りするということは、一本について四十一円とか、或いは二本で八十二円と、せいぜい五本とか六本、低いときは一本といような電柱手当を受けるのに対しまして、百円とか二百円程度の金を個個に農民に配る場合には、却つてそれが資金的に無駄な浪費になつてしまう。農業協同組合としますと、これを全国的に一本にまとめて、まとめた資金を当時の本省全国連合会で一本で取引したいという強い要請があつたわけであります。当時佐藤大臣でありましたが、佐藤大臣連合会会長との間に調印が行われまして、本省連合会との間に全額を受渡す、その処理については各府県の県指連と申しますが、県の指導連合会、こういうところに、その金の取立て方を私どもの当時の管理所との間に取交しまして金を集める。そうして金を一本に中央部に集める。そうして大きくその資金運用を、農林中央金庫その他に預けて農民全体の利益を図るほうが利益だというようなお説であつたものですから、それに私ども調印して金を個々にばらばらに払わないような方策をとつたわけであります。現在今日どういうふうな方法でやろうかということについて、二ヶ年の経験からもう少し地元の地方県指連に対して多少の励みを持たしたいというので、或る程度の金を地方にそのまま還元して、或る部分全国連合会でこれを活用するというようなやり方にしたいというのが現在の全国連合会の意向であります。それについてはまだそういう話合いが、申入があるだけでありまして、今度そういつた手続等改正も多少しなくちやなりませんし、会長さんも変つているので、こちらの名義も電通省でなくなつたので、協定書改正もしなければならない、この機会にそういう点ももう少し検討して改正してみたい、こういうふうになつております。
  12. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 二つ、三つお聞きしたいのですが、この前の解散国会のときにもお聞きしたのですが、余り明瞭なお答えを得られなかつたのです。電電公社の方にお聞きしたいのですが、電話ですね、電話にやはり依然として特急制度が残つておりますね。これは戦争中非常に電話が混んで使えなかつたことから起つた制度なんですけれども、依然として今度もこの法律案には特急制度を残しておられる。実際に加入者の側から見ますと、特急でしか通話できないような設備にしておいて、そうして三倍の料金を取つておる。結局三倍の料金というものは、話をしようと思えばその料金を払わなければ通話ができないというような場所相当にあるわけであります。今急にそれを改善しようと思つてもこれはなかなかできないでしよう。全国的にまあむずかしいことだと思いますが、今度のこの五カ年計画を仮に遂行できたとして、その場合にはもう特急でなくても、特に急ぐ場合は特急でもいいでしようが、そうでない場合は普通の通話か、少くとも急報程度全国的に通話ができるようになるのですかどうですか。その点を明らかにして頂きたいと思うのです。私がそういうことを申上げるのは、成るべく早く特急制度をやめたいのです。こういう戦争中の異例な料金制度というものは早くやめたほうがいいということから申上げているのです。五カ年計画ができれば全国的に特急でなくても通話ができるようになるのかどうか。大ざつぱな見通しで結構ですから御説明頂きたい。
  13. 靱勉

    説明員靱勉君) 誠に御尤もな御意見で、私どもも早く戦時中に行いましたこういう特急制度廃止いたしたいという考えを持つている次第でございますが、現状におきましては、只今御同情ある御意見がありましたようになかなか解決がつかん。と申しますのは、主要区間におきましてやはり特急通話が半分程度或いはそれ以上になつている、至急通話も一〇%から二〇%である、こういう状況でございまして、特急廃止しますと、至急の中で非常に混乱状態が起るということが、どうしても私どもとしまして特急制度廃止できない大きな理由でございます。そこで今回設定しました五カ年計画におきましては、市外回線は現在の倍以上に達するという形になつておりますので、全国主要区間は大体三十分で繋がるようにいたしたい、こういうような形にいたしております。ただ若干この中において特急的な区間が残るのではないかと、こういう点を御説明も申上げておつた次第でございますが、制度としましては、五カ年計画が遂行できますれば、これはもう当然廃止すべきだという考えでありますし、大体のサービスは、全国主要都市間を大体三十分と、中には特急でなければ三十分では通じないというような点が計算的には残るわけでございますけれども制度的にはもう廃止できるような状態にするということを目標といたしております。
  14. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体結構だと思うのですが、そこまで行きますと、もう五年先になつたらば特急制度廃止するということをおつしやつてもいい段階じやないかと思うのですがね。まあ市外通話で、これは早ければ早いほどいいのですが、三十分で通話ができなかつたから、これはどうも市外通話としては非常に待合の時間が長いのだということは、どうも今の日本電話現状から見ると、ちよつとこれは早過ぎる。ですから三十分を仮にこれは一時間でもいいのです、一時間のうちには急報でも通話できるということになれば、こういう特急制度なんかは早くおやめになつたほうがいい。そうしませんと、これはいつまでも料金制度として一つの基本的な方針として残るということになると、これは国民の側にとつても、普通料金幾らですとおつしやつても、実際は特急料金を払つて行かなければならんということになるのだし、それからそういう特急制度を残して置くことによつて、これはあなたがたそういうことはないでしようが、公社のほうでも努力が鈍るということもこれはあり得ると思うのです。特急でお申込になれば必ずその日のうちにはやれるのです、二時間たつたら出るのです、一時間たつたら出るのです、こういうことをきつとおつしやる思うのです。私は曽つてこの関係の仕事をしておりましたときに、終戦直後でしたが、東京の都内で電報を足で配達をしておつたのですね。足で配達というのは当該の局に、電報を持つて局の人が局から局へ省線電車に乗つて使いをして中継をしておつた。これを一挙にやめなさいというので或る日を限つて寄送にしたのです。これは非常に当時はむずかしかつたのです。でもやつてみれればそれもやることができたわけです。それから今日ずつとよくなつて来ているわけであります。だからこういう特急制度なんかの廃止をしようという境目になつて来ると、非常にむずかしい問題がありますけれども、そこまで来れば特急制度はやめるのだという決心をされたほうが、早く本来の料金制度を確立し得るのじやないかと考えるのです。そういう意味では副総裁はこの予定通りに五カ年計剛が遂行されれば、その場合には特急制度廃止を十分考慮するということが言えるかどうか、もう一遍御答弁願いたい。
  15. 靱勉

    説明員靱勉君) できれば今回料金改訂の際にも特急制度はやめたかつたわけであります。何としましても混乱が起ると却つて利用者の方に御不便をかけるというようなことを心配しまして、遂にこれは割切れないでおつたわけであります。五カ年計画遂行途上におきまして、私ども成るべく早い機会にこれはもうやめるというようなことを公社自体としては考えております。ただここで責任を持つて何年後にやめるかとおつしやられると、まあ本年はどうにもならん、来年は……。まあ本年におきましても東京、名古屋、大阪は即時にいたしたい。更に来年度は神戸まで持つて行きたい、更に九州方面福岡までも五カ年間には即時にしてしまいたい、こういうようなことを考えておりますので主要区間につきましては、まあ特急というものは殆んど事実上なくなつてしまう。ですから或る間におきまして設備の都合その他で或る程度残りましても、これはもう全体的には制度としては廃止するというようなことは当然だと思います。できますれば三年ぐらいたつたらやめたいと思う。できれば満二年ぐらいでやめたいというような欲望も持つているわけであります。五カ年間待つて初めてやめるというようなことは考えない。もつと五年の期間内にやめたいという考えでいる次第であります。
  16. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 非常に御誠意のある御答弁ですから、今の御答弁通りに実行されることを期待しております。  それからついでに伺いたいのですができれば、大臣がおられなかつた政務次官でも御出席願つたらなお結構ですが、質問を続けますからその間に呼びに行つて頂きたい。  有線通信法の八条に「本邦内の場所本邦外場所との間の有線電気通信設備は、公社又は会社でなければ、設置してはならない。但し、特別の事由がある場合において、郵政大臣許可を受けたときは、この限りでない。」という規定がございます。これは恐らく国際間の海底ケーブル日本で言えば海底ケーブルというようなものを考えておられるのだろうと思うのですが、この第八条で特にそれが専用であろうと専用でなかろうと区別なく、つまり公衆通信であつて専用であつてもかまわずに郵政大臣許可にかけられたのはどういう理由でございますか。もう少し申上げますと、国内通信に関しては専用通信は一切許可にかけていない。届出だけで結構であります。たとえ外国人であろうと外国商社であろうと、外国公館であろうと、これはもう自由自在にやつてよろしい。ただ事後の届出だけでよろしいのだ、こういう建前ですね。国際間にはやはり大臣許可を受けなければならないと書いてありますが、この特に国際的なものについては、たとえそれが専用通信であつて許可を受けなければならんというふうに書いておられるのはどういう理由でございますかということをお聞きしているのです。
  17. 金光昭

    政府委員金光昭君) 只今お尋ね有線法の第八条は、今御指摘のように本邦本邦外と、日本外国との間の有線電気通信設備は、公衆電気通信設備であろうと、或いは有線の私設の専用設備であろうと、すべてをここで規律しているわけであります。こういつた国際国通信というものにつきましては、いろいろな面からやはりこれを自由に許すということについては、例えば機密の問題とか、或いはその他の政治的な問題等において相当の問題がありはしないか。この点は単に国内における専用通信設備というものとやはり相当考えを変えて考える必要がある、そういつた面でこの第八条におきましては公衆設備たると或いは専用設備たるとを問わず、一応全部を郵政大臣許可にかけるということにいたしたわけであります。
  18. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 国内専用通信設備はですね、今度は届出にして許可主義をとらなかつた。従来は政府これを管掌すとあつてすべて一応許可をすることになつてつたわけですが、今度は建前を全く変えられた。その趣旨は恐らく、例えばそういう設備をすることによつて他通信に妨害を与えたりいろいろのむしろ技術的な事務的な理由によつてそういうことがなければそれでよろしいから開放するのだ、こういう御趣旨だと思うのですが、今国際間の有線電気通信設備について、第八条の立法理由を御説明になつたところを聞きますと、機密保持とか或いは政治的な配慮というようなことで郵政大臣許可にかけたというお話でございますが、国内についてはそういうことはお考えにならなくてもよろしいという御趣旨でございますか。例えば外国公館の間の相互専用線日本国内にある外国公館相互間の有線電気通信設備、こういつたものはもう届出だけでよろしい、自由自在にやつてよろしいのだ。外国商社の間でも同様であります。更に日本只今現状から見ますると、非常にまだ渾沌たる情勢でありまして、こういうことは好みませんけれども、極右乃至極左というようないろいろな団体の政治的な活動があることは御承知の通りですが、そういう団体自分専用線だ、自分たちの本部と支部とを繋ぐ設備だからそれは勝手にやつてよろしいのだというので、自由自在に専用通信設備が持てるというようなことを考えると、今外国との間において御心配になつたようなことが、やはり国内においても考慮されなければならないのじやないかという気がするのですが、その点はどういうふうにお考えになつたのでしようか。
  19. 金光昭

    説明員金光昭君) 只今お尋ねの点でございますが、今回の有線電気通信法を制定しますに当りまして、従来の電信法におきましては、只今指摘のありましたように、電信電話につきましては政府が専掌する、で、電線電話事業は国ですべてこれを行いまして、私設の設備につきましては、極く小範囲に利用を限定して来たわけでございます。ところが飜つて考えますと、こういつたように私設の設備というものの設置範囲を非常に限定しておりますために、事業を遂行する上から当然この有線設備を持たなければその事業遂行に支障を来たす、或いは農山漁村等の辺鄙な地域におきましては、公衆通信機関の恩恵に浴し得ない、国営のままにおきましては遺憾ながらそういつたような地域についてまでの施設がなかなか手が届きかねる。さればといつてそういつたような地域においての私設を認めるかといいますと、それは罷りならんというような面で、現在までの電信法の下におきましては、そういつたような電気通信の利用の面におきまして相当の制約があつたというふうに考えているわけでございます。そこで今回の有線通信法を制定立案するに当りまして、一体有線電気通信設備というものにつきまして、私の設備を一体どういうふうな範囲で認めたらいいかということをいろいろと検討してみますると、先ず設備の技術的な面から申しまして、他の有線電気通信設備に妨害を与えないということが先ず第一点ではないか。それから又その設備自体が人体に危害を及ぼすとか、或いは物件に損傷を与えるというような面は、これは当然規律しなければならない、こういうような技術的な点と、もう一つは、一方におきまして公衆通信というものは、これはやはり独占事業として考えなくちやいけない。そこで私設の設備であつて公衆通信に類似する行為をなすといつたようなものについては、当然これはやはり取締らなければいけない、こういつた只今申上げました三つの点をポイントとして考えれば、特に従来電信法でとつてつたような非常に狭い範囲に限定する、而もこれを許可にかけておくという必要はないのではないか。で、只今申しました技術的の点につきましては、技術基準といつたようなものを定めて、その設備を私設する人が、当然今言いましたような混信等の通信妨害や、或いは他の人体、物件等に危害を及ぼすといつたようなことを起すことのないような設備を作るその技術基準に合致しておれば、そういつたような虞れがないということであれば、別に支障がないのではないか。それから公衆通信の独占を侵害するという面につきましては、一人の専用に供するために、その人が単独で作る設備についてはそういつたような虞れがない。だからこれについては別に許可等にかけなくても届出等で、その設備自体の存在を明らかにすればいいのではないかということが考えられるわけであります。そこでこういう見地から電電公社及び国際電電会社設備というものは、当然これは公衆通信事業を経営しておりますので、この点についてはそういつた届出も要らないのじやないか。これはもうそのまま事業経営者に任せておけばいいじやないか。それから同一構内の設備につきましては、旧来の電信法におきましても、これは届出を不要にしております。これも勿論そういつた公衆通信に妨害を与える類似の行為というものが考えられないのでいいのじやないか。それから警察だとか消防だとか、或いはその他の海上保安だとか、気象等の国家的な業務、或いは鉄道軌道事業だとか、電気事業、鉱業、マイニングでございますが、鉱業等の仕事につきましても、その業務遂行上電気通信を必要とするものがあるわけでございます。これらのものにつきましては、現在においても相当大規模な設備を持つている向きもあります。而もそれらのところにおきましては相当数の技術者も持つております。そこでそういつたような技術基準に合致しないといつたようなことは、先ずその心配はない。又これらの純粋の業務遂行のために使われます通信というものは、専用通信としてやはり私設の設備を認めていいのじやないかということで、これらのものは自由に設置することができる。それ以外の設備についても、一人が専用に供するものであれば事前の届出にする。それによりまして若し仮に技術的に指導を要するものがあれば、その指導をする。技術上の指導によつてできるだけそれを作つた後において技術基準に合致しないことがないようにする。それから二人以上の共同設置とか、或いは設備相互間の接続というようなことになりますと、公衆通信に類似の行為というものが起り得る可能性がありますので、これらのものにつきましては事前の許可にかける、こういつたようなことを今回の有線通信法におきまする根本的の方針といたしたわけであります。  ここで翻つて考えますると、これに類似しております同じ電気通信設備におきまして、無線設備については電波法で免許の主義をとつているわけであります。そこで只今の新谷委員のお説のように、こちらの有線については、全く事前の届出というようなことで行つておりますし、電波法で行きますと、免許主義ということで、その間に相当の逕庭があるように思われるわけでありますが、電波につきましては、御承知のごとく電波を無制限に利用させるということになりますと、空間を共通に利用いたしております電波におきましては、相互に混信その他の妨害が起るということになりますし、又電波自体については、すでに国際的な割当が行われているわけでございまして、これを全部一国で利用するということもできませんし、そういうことでこの限られた電波というものを公平且つ能率的に利用させるということにいたしますには、どうしてもこれを事前の免許ということにせざるを得ないわけでございます。そのために二の電波法におきましては、こういつたような趣旨をとつたわけでございます。これに反しまして有線のほうにおきましては、そういつたような電波の公平な利用といつたようなことと同一のことはあり得ないわけでございましたので、全面的な許可主義というものをとらないで、只今申上げましたような一部につきましての許可主義をとつたわけでございます。  そこでお尋ねの、それじや一体外国人等についても、これで行きますと事前届出でそういつたような外国人が自由に国内においての設備ができるではないかということになるわけでございますが、そこでこの外国人について、只今申上げました電波ではどういう態度をとつているかと申しますと、御案内のごとく電波法におきましては、外国人には無制限の免許を与えないということにいたしているわけでございます。これは当時の法制定等の経緯を見ますと、電波につきましては、只今説明申上げましたように国際的にすでに周波数というものがきまつてつて、一国に割当てられた周波数というものはこれは限度がある、一定の数によつて限られておりますので、その数を割当てます際には、やはり自国の国民の利益擁護という見地から、先ず自国にそれを配分するという建前になるのが当然だと思うわけでございます。これらの点から先ず日本の周波数等の割当の現状から見まして、到底日本国内におきましての要望さえも十分満たし得ない。まして況んや外国人にまでそれを割当てるというようなことは到底できないというような見地から、電波法におきましては、外国人にはその免許を与えないという方針をとつたのでありまして、諸外国におきましても同様の方針をとつているわけでございます。ところがこの有線電気通信設備につきましては、この電波のような制約というものはないわけでございますので、特に外国人なるが故にこれを排除するといつたようなことは、これはその理由がないのではないかということで、結果的に見ますと、これを外国人も自由に設置し得るということになるわけでございます。ただ実際問題といたしますと、外国人が設置するにいたしましても、有線の電気通信設備というものは、遠距離の区間に設置するということになれば莫大な経費を要するというようなことでなかなか事実上これらの設置というものができないのじやないか。又一方設置するにつきましては、まあ附帯的な条件といたしまして、当然道路だとか、田畑等を使用するということになりますが、田畑等の使用につきましては、公社に認められておりますような土地の使用等についての特権が有線の私設設備については認められておりません。又道路の使用につきましては、道路法の面からいつてこれは許可を要するというようなことになつておりますので、そういつたような側面的な面から申しましても、実際問題として外国人設備をするというようなことは非常に困難が伴うのではないかというふうに考えるわけでございまして、只今の新谷委員お尋ねのように、法律の表面から申しますと、一応外国人といえどもこれを設置し得るという建前には相成つておりますが、事実上そういつたようなものは先ず考えられないので、そういつたような実害に乏しいのじやないかというように考えるわけでございます。  又一方におきまして公衆通信につきましても、現在の公衆法の建前から申しますと、新憲法下におきまして検閲等は禁止しているわけでございますので、公衆通信を使用する場合といえども国内におきまする外国人か例えば大公使館と領事館の間、或いは外国商社相互間の通話通信等につきまして、これは秘密は保持されるという建前になつているわけでございまして、特に有線設備につきましてのみ、そういつたようなものを厳格にするということを行うということも、この公衆通信との関連から申しましても如何かというので、この有線私設設備については、事前届出ということで日本人たると外国人たるとを問わず同一の歩調をとるようにいたした次第でございます。
  20. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 御説明趣旨は、これはその通りでよくわかるのですがね。私お尋ねしている趣旨は、無線と有線との違いとか何とかいうことでなくて、今御説明になつたように、日本外国との間については、これは機密保持とか、或いは政治的ないろいろの問題を考慮してこれは許可主義にかけておかないといけないというお考えで第八条を設けられたと同じような趣旨からいつて、今後それをどういうふうにその条文を運用するかは別として、建前上やはり今申上げたように外国人相互外国公館相互間、或いは国内においてもこれは破防法等がありますけれども、極右乃至極左の諸団体国内において自分通信設備を持つて、経費さえかければどんな通信でも自由自在にできるのだというような建前をおとりになることが如何かということを申上げているのです。ですから今の御説明は承わつておきますけれども、私の聞いているところには十分な御答弁を得ていないのです。  併し、これは私も今研究過程にありまして、結論をまだ出すところまでは行つておりませんから、私自身ももう一遍研究いたしますが、郵政省においても十分にその点を御検討になりませんと、ただ今承わつた警察とか、消防とか、その他いろいろな多くのたくさん専用通信設備を持つているところがあるのでありますし、それに対して一々許可を与えておつては、もうとても煩雑に堪えないというような事務的な理由からだけならば、或いはそういつた国内の正当に有効に通信設備を活用される人たちに対しては、これはもう許可主義をとるけれども、閣議の決定をしておいて、こういつたものは申請と同時に、その日のうちに許可してやるということにしておけば何ら支障はない。あなたがたが許可主義をとると如何にも一々ひねくり廻さんと承知しないという恰好をされるから事務が煩雑になるのです。これは許可制度の運用如何です。何も許可主義をとつたからといつて、煩雑な手続を強要される必要はない。併し今申上げたようなものが出て来ました場合には、これは十分に審議をされる必要があつて来る。大体そういうものは非常に少いだろう。又許可主義をとる必要がないものは非常に多いだろうということで、將来に対して、外国人に対しては非常な既得権に私はなると思うのですが、そこまで開放してしまつて、この神経系統だと言われるような通信設備を自由自在にさせるということが、果して将来の日本通信制度全体から見てよろしいかどうかということを御研究になる必要があると思うのです。これは只今結論的な答弁を今日は求めませんが、いずれ本審査になりました場合には大臣にもお聞きしたいと思いますから、この点は十分御研究おき願つて、ただ法律案を出したから、何とか理窟をつけて原案通り通してしまうのだという簡単なことでなしに、将来の日本というものを十分考えられて間違いのない方法をとることがいいと思いますから、その点特に希望しておきます。
  21. 津島壽一

    ○津島壽一君 通信機密保持ということでどういうような実際の措置をされているかちよつとお伺いしておきたいのは、私の知つた実例で、或る人から打つた電報がそのまま或る新聞に載つけられて非常に迷惑した。電文そのものが載つたわけです。そういう事実があつたわけです。そのために非常な迷惑をこうむつた人があるのです。これはなかなか実行は困難だろうと思うのですが、多数の実際を担当している職員が十分その点についての考慮を払つていると思うのですが、これは非常に大事な憲法上の保障であるのですが、現実にはどういう方法でそういう機密保持の措置をされているのでありますか、ちよつと伺つておきたいのです。
  22. 靱勉

    説明員靱勉君) 通信の秘密確保は通信従業員といたしましては最も根本的な且つ生命と申しましてもいいくらい重要な問題でございます。過去におきましても通信機密の確保ということにつきましては、職員のすべてがこれにつきまして非常に、先ず通信人としての資格としましてこれを徹底させまして、各人もその点につきましては極めて厳格な態度を持つていたわけでございますが、終戦後の混乱時代におきまして若干この点について緩んだのではないかという点を私ども非常に心配しまして、これは法律的に申しますれば、今回の新立法におきましても、勿論これに対して刑罰を以て臨んでいる。殊に通信従業員につきましては、刑罰が加重されているということにつきまして、昔と今と変りないのでありますが、結局幾ら罰を重くいたしましても、各職員の心持がそこにないとなかなか違反というものが防止できない。そこで私ども終戦後いろいろ職員の訓練、教育ということにつきましても重点を置いてやつておりますが、これだけは是非過去の逓信省、或いは戦前におきまするように通信従業員の通信機密の確保に関する一つの使命というものを本当に自覚するような措置を常に講じて参つている次第でありますが、具体的に申しますれば、結局これは非常に取扱上におきまして、この機密が漏れ得る状態には勿論あるのでございまして、単にオペレーターだけの問題ではございません。通信技術者におきましても調整等の場合におきましても、十分通信機密が知り得る状態にあるわけであります。私どもこの点につきまして、根本的に申しますれば各職員の通信従業員としての第一要件であるということを徹底させるということと、監督者がそういうような疑いがある場合におきましては、相当極秘にその情勢を探察するというような措置を講ずるというようなことでありまして、設備状況等につきましても、そういう疑いある場合におきましては、これを点検するというような措置もとつたこともある次第でありまして、今例としてお挙げになつた事例は私ども承知いたしておりませんが、一方におきまして相当破壊的な行動に出る方面におきまして、一時そういう点が随分指摘された時代もあつたわけでございますが、なかなか具体的事実をつかみ得なかつた。殊にそれは或いは他のほうにおいて取られたのではないかと、むしろ通信従業員自体ではなかつたというような点も或る程度明らかにされたようなことがありまして、先ずまず私どもとしましては通信機密確保につきましては、特殊の傾向のあるところにつきましては、特に注意をいたさなければなりませんが、全般的職員としましては、極めて機密は厳正に維持されているというふうに現在考えているような次第であります。
  23. 津島壽一

    ○津島壽一君 そういつた場合には、この機密を漏洩した者に対する罰則はあるのですが、その被害を受けた者に対する損害の補償とか、そういつたようなことについては、従来何らかの規定なり、きまつたものがあるのですか。ちよつとそれをお伺いしたいのです。
  24. 金光昭

    政府委員金光昭君) 只今の点は秘密侵害についての罰則は只今申述べたようにございますが、その秘密侵害によつて損害をこうむつたという者につきましては、この公衆通信法等にはその規定はないわけでございまして、一般法規によつて律せられるというふうに考えております。
  25. 久保等

    久保等君 ちよつと総裁がお見えになつておりますので、緊急な問題でちよつとお聞きしておきたいのですが、例の電電公社の職員に対する給与ベースの勧告は一昨日出たという話を聞いているわけですが、この問題については、昨年の第一回調停委員会からの調停案に対する実施状況をその後見ておりますると、昨年の調停案につきましても十分にこれが尊重されて実施せられたとは遺憾ながら実は受取れないので、昨年からの調停案の問題についても問題がなお今日に残つているというふうに考えるのですが、更に引続き今度二回目の調停案が一万五千円ベースというような形で提示せられたように聞いているわけですが、なお一般の国家公務員についても、近日人事院勧告が出されるというような情勢、更に又他の公社等についても調停案が引続いて出されるというような状態にあるように聞いているわけですが、差当つて電電公社に対して具体的に調停案が出されて参つたわけでありますが、これについては当然電電公社の職員に対する給与ベースが従来非常に他方面と比較しても劣位に置かれておつたというような状態からいつて、このことがいろいろな意味においてやはり事業再建の上に重要な影響をもたらしているということは申上げるまでもないわけですが、電電公社が昨年発足して、非常にあらゆる意味で新らしい抱負と決意の下に事業の運営に当つておられると思うのですが、そういう段階において出されました調停案の問題については、公社当局としても勿論異常な決意を以てこれに対する実施を努力されて行かなければならんと考えるわけなんですが、本委員会としても、これらの問題については今後十分重大な関心を払い、且つ又いろいろ努力を重ねて行かなければならないと実は私考えているのですが、一応出たばかりで公社当局としても十分な具体策ということについての提示は或いは御無理かと思いますが、併し出されました調停案に対する一応概括的な態度、考え方というようなものをお聞きいたしておきたいと思いますが、御説明願いたいと思うのですが。
  26. 靱勉

    説明員靱勉君) お答え申上げますが、只今の前段におきまして、昨年の調停案につきまして必ずしも十分に実施してないというような御意見が述べられたのでございますが、公社といたしましては、すでに組合とも協定を結びまして、極めて誠実に協定通り実施いたしております。この点は一つ御了解を願いたいと存じます。  次に、一昨日中央労働調停委員会から調停案が示されたのでございまして、只今申上げているように、基準外賃金と申しますか、一万五千円、現在の一万三千数百円に対しまして一割以上の引上率ということに相なるわけでございますが、この調停委員会の御努力に対しましては、公社といたしましても敬意を表し、且つ感謝いたした次第でありますけれども、何と申しましてもこれだけの額になりますと、殊に七月一日から二十八年度分として実施するような形になつておりますので、そういうことになりますと、調停案だけを実施いたすといたしましても約四十四億程度の年間に人件費、給与総額を残して行かなければならない。更に又人事院の勧告等から、或いは期末手当の増額等が出て参りますと、仮に〇・五が更に追加されるということになりますれば、それに対して十二億程度の新ベースに対しまして増加ということにもなるわけでありまして、非常に大きな給与総額の改訂ということにならざるを得ないので、只今予算につきましては国会において審議中でございまして、その予算の内容から見ますれば、資金上、予算上これを直ちに受諾するということはこの面からは困難であるということは相当明瞭な事実でありますけれども、ただ或いは総裁から業務全般について御説明申上げておきました通り、今後料金改訂によりましてサービスの改善、施設の整備拡充を図りますと共に、企業としましては徹底的な合理化を行い、又職員の給与につきましても常に改善いたして行きたいという基本的方針を持つておりますので、一昨日示された調停案に対しましても、公社としましては真剣にこれを検討いたして、職員の適正なる給与というものにつきましては何とか私どもも実現いたしたい、そういう意図は今持つている次第でございますが、予算上の実態といたしましては、只今申したような次第でありますので、今後の取扱方につきまして、或いは監督官庁と共に十分協議いたしまして適切なる措置をとりたい、こういう段階にある次第であります。
  27. 久保等

    久保等君 昨年の調停案については、極めて誠意を持つて一応解決したとまあ御説明があつたわけですが、その努力なり誠意という問題は別問題にして、少くとも調停案そのものが完全に実施せられたという結果にはなつておらないわけでありますし、先般の経理局長の説明によりましても、昭和二十八年度の本予算での予算単価、これは少くとも昨年の調停案の提示の金額にはやはり開きが相当あるわけでして、少くとも昨年の調停案そのものも実施せられておらないという、そういう問題が昭和二十八年度の予算の中にも実は未解決のままになつていると思うのですが、更に今般出ました調停案に対しては、今後のいろいろな折衝なり、努力に残されていると思いますし、少くとも調停案については完全に実施するという意欲の下に是非公社当局としては万全の努力を傾けて行つて頂きたいと考えるわけであります。併し同時に我々電通委員会としても、これらの問題については、公社が発足早早でもありますし、又公社の通常がスムースに本来の公社法制定の精神に則つてできるかどうかということについても非常に大きな問題が関連して来ると思いますし、そういう点で異常な御尽力を願いたいと思つております。なお又今後のこの問題については、推移の経過と発展に従つてどもも逐次公社当局と或いは郵政大臣のこれらに対する処理の模様等について御報告を承わつて、これの実施方について一つ促進をして参りたい、かように考えておりますので、本日のところ一応出されました直後でもありますので、調停直後における一応御説明を願つたわけですが、更にこの問題についての逐次質問なり或いは意見等についての発表は今後に保留しておきたいと思いますが、一応本日のところ御質問程度にとどめておきたいと存じます。
  28. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会