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1953-07-13 第16回国会 参議院 電気通信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十三日(月曜日)    午後一時十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            久保  等君    委員            津島 壽一君            新谷寅三郎君            小林 孝平君            山田 節男君            三浦 義男君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   参考人    日本放送協会経   営委員会委員長  矢野 一郎君    日本放送協会会    長       古垣 鉄郎君    無線通信機械工    業会専務理事  楠瀬 熊彦君    日本民間放送連    盟理事     金子 秀三君    日本放送労働組    合執行委員長  中塚 昌胤君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○放送法の一部を改正する法律案(内  閣送付)   ―――――――――――――
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。  放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法律案はまだ予備審査でございますが、本日は放送界権威者方々から御意見を拝聴いたしまして、委員会として本法律案審査に資したいと存じます。参考人方々には御多忙の中を御出席頂きまして有難くお礼を申上げます。これより放送法の一部を改正する法律案につきまして御意見をお述べ頂きたいと存じます。先ず日本放送協会経営委員会委員長矢野一郎君にお願いをいたします。
  3. 矢野一郎

    参考人矢野一郎君) 只今委員長の御折名によりまして参考人として、今回の放送法の一部改正法律案に対する私の意見を申述べさせて頂きたいと存じます。  今回の改正法律案は、御提案趣旨によりますると、当面必要な改正だけにとどめるということでございます。この点に関しましては、放送法について全般的な改正を行うべきであるかというような点にはいろいろ議論もあると存じます。又私自身といたしましても、お前は放送協会経営委員長をした経験から何か放送法改正意見があろうというようなこともしばしば問われるのでございますが、総括的に申しまして、この日本放送協会という大きな世帯が新らしい組織として発足をいたしまして、また漸く三年の経験を持ちますだけでございます。もう少し時間を経過いたしませんと、放送協会運営についての具体的の意見というものもまだ私個人としても申上げるだけの段階に達しておりません。又その間商業放送もその後御発足になりました結果、これ又二年ほどのまだ年月を経ましたのみで、目下どんどんと進展中でございます。そごへ又テレビジヨンという新らしい問題も最近に実現をみまして、これ又今後如何なる経過をとつて発展して行くかということは、やはり今暫らく時日をかしてこれをみる必要があると存じます。それらをまとめました上で、やはりその際に広く国民の総意を問うて放送法の適正な、根本的な改正をするのが順序である。今日の段階においてはまだその時機でないというふうに考えますので、政府提案のこの際の改正案が全く当面必要とする問題だけに限る一部の改正であるという点は誠に妥当と考える次第でございます。  それから一部改正案内容は、御提案理由説明資料を拝見いたしますると、大体四つの点ということであります。第一点は、協会理事監事の増員、第二点は、協会業務内容の拡充という点でございます。第三点は、郵政大臣がある程度の監督命令権を持つように規定しようということ、第四点は、役員任命方法改正役員と申しましても経営委員会委員任命方法改正ということでございます。この順序に従いまして極く簡単に私の所信を述べさして頂きたいと存じます。  第一点の協会理事五名、監事二名の現状を、理事三人以上七人以下、監事現在二名を五名以下に改めるという御提案であります。これは実際上NHK経営に参与いたして日常その実態をみております私といたしましては、誠に妥当な改正であると存じます。何分にも厖大な組織であります上に、いろいろな多岐多産旦仕事が毎日のように行われるのでございます。又地域的にも全国仕事を持つておりまする関係上、企業体として考えましても、会長、副会長以外に理事三名では少し手が廻りかねる現情でございます。さりとて、こういう経営委員会役員が余り多くなるということは私決して賛成をしないのでございますが、理事七名以下、監事三人以下というような御改正であれば、これは全面的に賛成をいたしたいと存じます。  第二点として挙げられておりまするのは、協会業務内容、これは放送法に厳重に規定されておりまするが、その規定に束縛されて多少窮屈な点がある。それを例えば具体的に申しますれば、放送進歩発達に必要な研究を外の機関に委託する、或いは又進歩発達に寄与する研究その他の業務を助成するということができるようにしようという提案のように解釈いたしておりますが、本来の自分業務以外に、それに関連した研究の委託、若しくはその事業に関係した研究その他の業務の助成ということは、これは公共団体に限りません、あらゆる経営体企業体において少し大きなものには多種多様の面においてこういうことが必要なことは申上げるまでもないことでございまして、全然これができんということになりますると、意外な支障を生ずるものでございます。この点は、今回の改正案によつてこれを法律的に認められるということは誠に妥当と存じます。さりとて、これが本来の業務を逸脱してごの方面に非常な脱線をするというようなことになつては勿論いかんことと存じまするが、この点は経営委員八名、それから経営委員が信頼いたしまする会長の下に理事会が形成されております。これらの人々の良識によつて決して、そういうことの紛更はないようにいたすことは当然のことでございますので、その点は、何とかこれは絶対的に信頼を以てお任せ願つてよろしいと私は申上げたいと存じます。  第三点の郵政大臣協会監督者であることを明らかにし、協会に対して監督上必要な命令をし、又その業務に対する報告を徴することができるようにするということであります。これは現在におきましても電波法によりまして、郵政大臣からは史実いろいろの御監督、御命令を受けております。又法律のあるなしにかかわらず、緊密な連絡もとつてつておる次第でございますので、私自身考えといたしましては、特にこういうことを規定する必要があるようにも考えないのでございます。恐くはこれは多分法律的な見地からいろいろの議論生む問題だと存じまするが、不幸にして私は法律知識は非常に薄いのでございます。ただ極めて常識的に私が経営委員立場として考えますることは、今まで私ども放送法の精神によつて経営委員会を仰せつかつておるその私ども所信というものは、この日本放送協会というものは全く、独立した経営体である。政府機関でもなければ、国家機関でもない。又政府、政党その他の団体干渉を受けないような、不偏不党の団体である。そのために経営委員というものを特に選んで経営を委任されておるというふうに考えておりますので、その考え方からいたしますると、何も郵政大臣命令監督権を御規定になる必要もないので、又これを御規定になることによつて、或いはその性格が多少違つて来たように解釈されるこいう見方をされて、却つて御迷惑になるのではないかというふうにも考えております。併し実際上。運営につきましては、何らこれがあるから、ないからといつてども経営のやり方を少しでも変えるというような必要はないことでございますので、経営委員心境といたしましては、この法律、又は立法上の問題だけであつて、これが規定されたからといつて直ちに、経営に違つたことが行われるとも存じませんし、又政府が直ちにこれによつていろいろの命令を出されるということも感じないわけでございますが、ただ漠然と感じますことは、この放送協会性格に対して、二つ考え方がある。一つは、国営的な政府機関的なものとして運用する方法一つは、そういう勢力から全然離して運用するという二つのイデオロギーの違い、これは考え方によつてどちらの運営も可能でありますが、この間にどちらかにはつきりと徹底して規定されて行くへき運命にあるように考えております際に、いささか何かこう矛盾を感じるということが私の偽らざる心境でございます。只今のことをちよつと、補足いたしますると、特に政府から命令監督をされる、殊に条文改正案をみますると、「郵政大臣は、公共福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、協会に対し監督上必要の命令をすることができる。」ということでございます。公共福祉を増進するためということは、最もこの協会本来の責務でございまして、私どもが日夜最も大事な信条としてやつておることでございまするから、この点については、政府がお考えになることも協会責任者考えますことも同じと考えますので、これが食い違うことは殆んどないと存じますから、私の心境としては、これも又我々が気が付かぬ点、政府に御意見があれば、お話合いで、又、御示唆を受けるなりして、十二分にこれは解決されて行くと存じます。ただ法律津反の場合に限るというようなことであれば、或いは又立法上こういうことが必要かとも存じますが、さような感じを持つておる次第でございます。  それから第四点の役員任命方法改正、これは、従来の放送法によりましては、経営委員任命方法は、法律によりまして、全国を八地区に分けまして、その各地区から一名ずつ任命されるという方法をとられております。従いまして、形においては、地域的な選出方法であります。而もその八人の委員が余り片寄つた色彩にならないように、職能的な面からみても、あらゆるものを成るべく公平に、持つように選べということが規定されてございます。これを今般この地域的な根拠を全然削除するという御提案でございます。この点は総括的に申上げまして私賛成でございます。と申しますのは、従来の経営委員といえども、選挙の方法としては、地域から一人任命されておりますが、決してその職責は地域代表ではないのでございます。むしろ地域代表として経営委員に参加されては困るのであります。さような点から申しましても、従来の委員といえども、これは決して利益代表とは考えておりません。地域代表でもなければ、職能代表でもないのであります。従いましてそれが撤回されたからといつて経営委員実態に対して非常な大きな変革が来るとは私ども考えないのでございます。併しながらこの一地域から一人という法律規定の結果、従来経営委員選出の際に、多少窮窟であつたことはこれは否まれない事実でございます。そういう経験からして、今回の改正が御提案なつたと存じますが、これはこの制限の撤廃によりまして、更に経営委員の人選について自由に、適正なかたが選ばれる途が開かれたという点におきましては、これは至極賛成でございます。従つてこの改正によつて放送協会に対しては大いにプラスになることと存じます。ただこの改正によつてプラスになる面はあることは十分に認めますが、これを省くことによつてマイナスになる面がないかということは、一応考えて見る必要があることでございます。この点は先般の経営委員会におきましても、各委員が全員揃いまして皆意見を闘かわしました結果、皆さんこの改正が大いにプラスになる改正であるということを認めますと同時に、従来のものがマイナスになる点という点は、従来の選出方法によつて地域的に選ばれていた結果、決して従来の委員といえども地域代表ではないが、実際上の運行においては各地域に関する知識が漏れなくこの委員会に持込まれることによりまして、放送協会仕事でございまする全国に漏れなく放送の第一、第二放送を徹底させるという仕事運営上は非常に役に立つたのであります、言い換えますれば、非常に地方的な問題、又地方的な利益の尊重というような点においては、たまたま従来の選出方法が大いに役に立つて、決して都市偏重に陥るとか、或いは片手落ちな成る区域だけに、非常に利益になるというようなことはなく行われるという利点があつたのでございます、従いまして、各委員の希望も、この点だけは今回の改正によつてこれが薄れることのないように運営上これを希望するということが全員の意見でございました。殊に最近は商業放送等も各都市にどんどん発達て参ります結果、ますます日本放送協会放送というものは、地方に対する放送を閑却しないということが非常に協会の性質上大事な点でありますので、私自身といたしましても、今回の選出方法の、任命方法改正は極めて大きなプラスになると同時に、この運営については、是非地方性というものを閑却しないような委員の御選出ということを政府で心がけられることによつて、その点はカバーできるのではないかと考えておるのでございます。或いは議論の途中には放送協会経営というものは、やはり地域的な代表も必要である。職能的な代表もなければいかんというような御議論方々にあるのでございますが、今回の地域制を廃するということも、決してそれだから今度は職能制代表になるということではないと私は考えております。殊に職能制代表とか、地域制代表とかいう利益代表が今日の協会経営委員になるということは、放送協会経営委員経営責任者であるという点において、私は不適格と存じます。若しこの経営委員会諮問委員会であり、或いは研究機関であり、調査的な仕事をするということであれば、地域代表職域代表というようなものをできるだけ完全に網羅して各方面意見を織込むということは誠に必要かも知れませんが、そうなるとどうしても大変な人数にならざるを得ないと考えるのであります。むしろ経宮責任者であるという点からは、特別た利益代表でない性格の、而も少数委員がこれを運営することが、私ども経験上も又この企業体に限らず、一般の事業経営ということから見ましても、責任の所在並びにその経営者考え方という点から考えて、特に特殊な利益代表という札をつけないかたになつて頂くほうがいいのではないかと存える次第でございます。従つてこれを裏から申せば、経営委員は現在八名である。従来八地区から選んでおるので八名である。これ以上経営委員を殖やすということは私は不賛成であります。むしろ将来機会があれば、経営委員はこれより少数であるほうがいいのではないかとさえ考えておる次第であはます。従つて今度の新改正案が若し入施されました場合、内閣が御任命になるについては、当然これは広く学識枇験を豊富にお持ちのかた、あらゆる叫の常識を多分に消化されておるかた、そして経営の才に富んでおられるかたを数名選んで御任命になるその方方の知識の中には、多分に先ほど申上げました地方的な利益ということを尊重されるような知識の持主が任命されることによつて、従来同様今度の改正によつて地方性も失われることなく運営できることだろうと存じまするので、さような意味において今回の改正を私は賛成いたすものでございます。  それからその他の改正点といたしまして、放送法に基いて郵政大臣の処分に不服のあるすべての者に対して異議の印面の途を聞くことがてきるようになつたということ、従来は電波法に基く異議の申立だけであつたと伺つております。これも異議がございません。結構なことと存じます。又細かいことでございまするが、協会がいたしました研究公開義務付けるというような点も含まれておるようでございます。この点につきましては、私はこれを明確に公開義務を負うというような規定まで進むことは、少し弊害があるのではないかと考えるものでございます。と申しますのは、従来といえども、できるだけここで協会研究をいたしましたことは、世間のお役に立つようにこれを公開したいということは心掛けておるわけでございますので、若し法文に盛られる場合にも、これを原則として公開するという、原則的なものをお認め願う程度にとどめて頂きたい。これを明文を以てすべて公開義務を負わされるということは、或る場合には協会若しくは、殊に協会よりは研究者にとつて非常に困る問題が実際上は起りはしないか。研究なるものが完成した場合であれば或いは公開もよろしいのでありますが、その研究の途中にあるような研究というようなものが、公開義務を負わされるということは、非常に学者たちも困る問題があるのではないかと考えますので、協会といたしましては、原則としてここでできるだけ差支えないものは公開をするということにはあえて反対はいたしません。これをすべて公開義務を負うような法文にはして頂きたくないということを感ずる次第でございます  甚だまとまりません極めて雑駁な意見と存じまするので、私経営委員長といたしましての自分体験等を、又自分考え等もとにいたしました今回の放送法に対する個人的な意見を申上げました次第であります。
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。矢野参考人は時間の御都合がおありのようでありますので、この機会矢野参考人に対し質疑がございましたら御発言願います。  それでは次に日本放送協会垣鉄郎君にお願いいたします。
  5. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 本日は、放送法改正案の御審議に当りまして、只今放送協会経営委員長等に次ぎまして会長としての古垣に当協会の見解を陳述する機会をお与え下さいましたことを厚く御礼申上げます。  すでに御承知のように当協会昭和二十五年六月、従来の社団法人日本放送協会を新たに放送法による特殊法人として改組いたしまして、国民基盤とした国民のための自由な言論報道機関としてスタートいたしたのでございます。即ち日本放送協会はこの言論機関たる性格に鑑みまして、現行放送法日本放送協会政府から独立した機関として設置し、政府干渉しないという建前で立法され、政府干渉し得る事項は、すべて現行法各条に定められているのであります。従いましてこれを只今改正いたしまして監督命令規定を入れますことは、郵政大臣包括的監督命令協会に対して認めることにもなり、これは協会政府機関と化してしまう危険がありはしないか。若しそうだといたしますと、これは本来の立法趣旨にも全く反するものではないかということを恐れる次第でごさ、ます、  さて、放送協会は爾来三年、この放送法ができましてから三年、全国民要望に副い、我が国の文化水準を高めるような番組全国にあまねく放送しなければならないという大きな責任を負いまして参つておるのであります。この間放送協会は真に国民的な、公共的な放送企業体として運営されることを念願し、そのために私どもは日夜最大の努力を払つてつて来ておるのであります。協会特殊法人として非営利的に、公共福祉のために運営されるという点では専売公社国鉄或いは日本電信電話公社等のいわゆる公共企業体、パブリック・コーポレーシヨンに類似するものでありますが、これらの公共企業体日本放送協会と根本的に異なります点は、先ず第一に、その成立の経緯であり、第二には、協会国民基盤とする言論報道機関であるというこの点にあると言えるかと思います。電電公社国鉄等はいずれも国家資本を導入いたしまして、国家の意思というものと密接に関連して運営されるものであり、いわば国家政策代行的機関であると申してもよいかと思います。これに反しまして日本放送協会国家資本を一切受入れることなく、受信料基礎とし自由且つ独立言論機関として国民大衆要望に応えて最も公共福祉に寄与するように運営されるものであり、全国受信者にその責木的基礎を置き、政府から干渉されることなく大きな自由と独立を享有して国民のために放送を行い運営されるところの企業体であります。この点が私どもの今申上げました公共企業体と本質的な差異のある点であると存じます。  第二の、協会言論報道機関であるという点でありますが、御承知のように、言論の自由は憲法第二十一条の保障するところであり、協会言論機関であると申しますことは、その番組運営政府によつて決して干渉されることがあつてはならないということであると存じます。言葉を換えて申しますと、協会番組編集は、国民の世論、要望に副つて編集されている限り何人からも干渉されたり、規律されることがあつてはならないのであります。又番組の自由な編集を妨げるような政府干渉があつてはならないということであると考えます。協会はこの自由と独立立場から、自主的に全力を挙げて、国会承認を得ましたところの国の政策に対してはこれを国民に徹底し、普及することに最善の努力を傾けることをその方針として参つておるのであります。即ちこれを法律の上で見ますと、公共企業体として、特に言論機関として自主的な経営を可能にし、一方公共福祉を図るために放送全国普及義務を定めると共に広告放送を行うことを禁止し、半面受信料収入によつて、営利を目的とする商業放送としては、どうしても普及し得ないような山間僻地や津々浦々まで放送文化の恩恵に浴することができるように、受信料徴収規定を設けられ、国民すべてのための言論報道機関として、自主的に国家政策に協力し、国民のよりどころを明らかにいたしまして、国民日常生活に切り離せないものとなつておる次第であります。又経営の面では、全国地区地域から、他方教育文化、経済などの各分野から選考されまして、国会の御同意を得て内閣総理大臣によつて任命されました経営委員が、全責任を持つて協会事業運営基本方針を決定し、又協会事業計画収支予算などにつきましては、これ又国会の御審議と御承認をその都度頂いておりますことは御承知通りでございます。  協会に対する監督につきましては、すでに放送法に制限的に列記されておりますので、若し今回概括的、包括的な郵政大臣規定が入り、現在各条文に定める以外のすべてに及ぶということになりますると、これは前にも申上げました通り放送法の根本的な改正にも等しいのでありまして、本来の放送法と別個の新らしい放送法が、ここに生れることになるのではないかと考えられます。特に放送法第三条は、法律に定める権限に基く場合でなければ、番組に何人も干渉し、規律してはならないということを規定しております。これこそ言論機関としての日本放送協会自主性を保障するものであると考えます。然るに今回新らしく放送法の中に、包括的な監督命令規定を入れることになりますと、法律によつて監督番組についても及ぼし得ることとなり、これは言論報道の自由に対する非常な危険性を持つものではないかと考えるのであります。この意味におきまして、政府監督命令規定電電公社国鉄などのような公共企業体にとりましては非常に尤もでありながら、日本放送協会のような言論機関に対しましては最も避けて頂きたい規定であると考える次第でございます。なお、監督上必要な命令は、それが公共福祉を増進するため必要なという条件が改正案にございますが、これこそ先ほども矢野委員長が申述べましたように、放送法第七条に規定されました日本放送協会事業目的の全部なのでありますから、結局郵政大臣協会事業全体に対して監督命令をなし得ることを恐れるのであります。のみならず一体何が公共福祉であるかという判定は非常にむずかしいと考えます。公共福祉に名を借りまして、自分都合のまにまに種々の圧力を意のごとく加えるというようなことは従来も数多く見られた事例でありまして、将来非常な危惧の念を持たざるを得ないのであります。従いまして私ども日本放送協会放送に関する限り、この公共福祉という判定国民自身がなすべきであり、全国聴取者自身が日々放送を聞きつつ行うべきであると考えます。放送法が定期的且つ科学的な世論調査を行なつて国民の声を聞き、或いは国会の御同意を得て、内閣総理大臣任命いたしました経営委員が、日本放送協会運営の全責任を持つておりますことも、すべてこの趣旨にほかならないと考えるものであります。すでに申上げましたように、放送法の建前は、国民のために、国民によつて自主的に運営され、政府の行政監督を最小限度にとどめることによりまして、国民と共にある言論機関としての役割を果し得ることを保障しておるのでございます。そしてそのためには政府による監督命令はできるだけ、これを控えて頂いて、自由な言論干渉を受けない真実の報道、そして自由で独立せる放送を確保することに努めるべきであると考えております。  なお、今回の改正案は、経営委員任命に当りまして住所主義の枠を外ずしておられますが、協会全国あまねく放送が聞けるよう全国的な組織を持ち、全国の聴取者にサービスを行うことを以てその目的といたしておるのでありますから、聴取者を代表し、全国の聴取者の利益を守つて、その運営の不在を保証するというような責任を持つておりますところの経営委員は、住所主義の如何を問うことなく、是非とも地方的な考慮を十分いたされるように工夫されて、中央集権的でなく、全国的な視野から選ばれるべきであると考えております。  以上述べましたように、協会公共企業体として本質的に商業放送とその性格を異にいたしております。他方同じ公共企業体でありながら、電電公社国鉄等とも、それが本来国家機関でないという点、又放送協会がなかんずく言論報道機関であるという点におきまして根本的に異なるものでございますから、これらの点を特に皆さまの御考慮をお願いしたいと存ずる次第であります。従いまして放送法改正に当りましても、これに対しては政府監督は必要の最小限度にとどめて頂いて、その自主的運営を保障するようにお図り願いたいと考えます。特に番組編集の自由は協会の生命とも申すべきものであります。これに制肘が加えられます場合は、その放送いたしますところの番組、特にその放送いたしますところの報道の真実性は損われ、信用を失い、ひいては死命を制せられるにも至る点を指摘させて頂きまして、各委員の皆さまがたの慎重な、そして御理解ある御考慮をお願いしたいと存ずる次第であります。
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。
  7. 山田節男

    ○山田節男君 お急ぎのようですから、今NHK関係の参考人への質問だけを聞いてよろしうございますか、お急ぎだつたら。
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは只今お二人の御意見を伺いましたので、これにつきまして委員方々の御質疑を願いたいと思います。
  9. 山田節男

    ○山田節男君 この放送法の一部改正法案が出まして、大臣の提案理由の説明を聞きまして、まだ所管大臣への質疑を始める前に関係の当事者の今御意見を伺つておりまして、むしろ異例でありますが、併しこれは公聴会と同じような価値を持つて一応今御意見を承わつておるわけでありますが、今大体NHKの経営委員長並びに会長の御意見並びに御希望等で全貌はわかつたわけでありますが、なお今回政府がどういう理由でこういう法案を出したかと、過日の塚田郵政大臣の説明につきまして、政府の意向を確かめなければわかりませんが、取りあえずNHKの最高責任者に対して御質問申上げたいと存じます。  この二月一日からテレビジヨンの本放送が始まつて、勿論NHKとしましていろいろ機構上の整備或いは増設を要するということは、これは勿論必要なことだと思います。併し他面これは御承知のようにNHKは聴取料に依存しておる財政でありまして、放送の建前から言いましても、即ち国民の全部のこれは財産とも見ていいと思います。而も税金的な聴取料に依存して経営しなくちやならないということになりますと、殊に民間放送ができまして以来、NHKはそういう特殊法人で聴取料金という極めて画一な財政に依存して経営するからして、とかく経営が、何と申しますか、散漫とは申しませんけれども、民間放送等の経営方法を見ておりまするというと、NHKとしては相当これは経営者においても考えなくちやならない点があるんじやないか。これは予算決算の本委員会における審議におきましても、このことはいま一度審議すべきことであります。今回の改正法案を見まするというと、この理事者並びに監事を増員すると、従来の三人を七名以下、監事は三人以下、四名乃至一名の理事乃至監事を増加することになつておるのでありまするが、これは他の公社の場合においてもそうでありましたが、現在テレビジヨンの本放送による業務拡張による機構の改革、理事七名以下、監事五名以下という説明に対しまして、実際NHKとして理事七名、監事五名ということになれば五名でもいいと、こういう点なんかは不安があり、又決定しておられるならば、この点をちよつとお聞きしておきたいと思います。
  10. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 只今の御質問にお答えいたします。御指摘の通り最近NHKの業務は非常に拡大されて参りました。而も全国に亘る業務運営いたします上に、現在の会長一名、副会長一名、理事三名では十分にその責任をとつて働くのに欠けるところがあるということは、経営委員会におきましてもそういう御意見が出、我々業務執行の上からもそういうことを痛感いたしておりました。従いまて数名程度の理事者を増加するという必要を感じ填いたところでございます。但し業務運営責任をとつて執行する理事でありますから、徒らに多くては又いけないので、七名以内ということであれば非常に適当ではないかと考えます。監事についても同じことです。
  11. 山田節男

    ○山田節男君 実際今回の機構の改革によつて理事者は七名の最大限度の人数の理事を、或いは幹事を置かれると言いますが……。
  12. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 私どもこの政府改正案を拝見させられたのでありまして、別に七名まですぐ殖やさなければならないというふうにも考えませんが、実際問題として六、七名になろうかと存じます。
  13. 山田節男

    ○山田節男君 それから今回のこの改正案による経営委員選出方法であります。先ほど矢野経営委員長並びに古垣会長の御意見を聞くと、この改正案には原則として賛成である。但し、この地区別の住所主義の選任方法も併せてやつてもらいたい、こういう御意見のように私拝聴したのですが、昭和二十五年の放送法の制定当時の衆参両院の国会におけるこの問題に関する政府委員並びに委員等の意見を聞いて見ますというと、放送法に基く放送といいますか、全国的なものとローカルなものとを調合して、第二放送がありましてもやはりこのプログラム、番組編成という問題については、地方性というものを十分考慮しなくちやならん。これがやはり放送の民主主義の重要な一環てあるということを論議されて、政府もそういうことを言つておるわけであります。今の御意見によりますと、改正案通りに住所主義によらない。そのほうが地方から、現在で言いますと八つの地域川巽君するよりも、原則としては今のような改正案通りにしたほうがいいと、どつちのウエイトにより重きを置かれるのか。この点を一つ過去の御経験から、もう一遍確めておきたい。
  14. 矢野一郎

    参考人矢野一郎君) 只今の御質問にお答えいたします。先ほど私が述べし宜した意見の、運用上やはり地域的な住所主義を併用して頂きたいという意見ではなかつたのでございます。住所には私こだわる必要はないと考えております。ただその選出される委員知識並びに意見地方性を十分に理解し、そして尊重する人を選んで下されば、それは東京にいらつしやるかたであろうと、どこにいるかたであろうとよろしいと思います。
  15. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと、現在の各地域のいわゆる地域代表的な選任よりも、何と申しますか、住居にこだわらないで、経営上、いわゆる職能代表も反対だとおつしやるのですから、而もその少数精鋭主義で行きますと必ずしも八名でなくてもいいという御意見ですが、そういたしますと、今矢野委員長の声われることは、住所主義にこだわらないで、要するにラジオ放送事業に関する理解、公正な意見というものはむしろ地域でなくてもいいという意味ですか。
  16. 矢野一郎

    参考人矢野一郎君) 地域ということにごだわる必要はないと思います。ただ、申すまでもなくごの放送事業の性貧、殊にNHKの性格から言えば、地方のことを十分に尊重することは当然でありますが、併し例として東京から選ばれるにし、全然そういうことの知識のないかた、又非常にそういう知識の豊富なかたとございます時には、そういうかたをお選び頂くということもいいのではないか。
  17. 山田節男

    ○山田節男君 ということは、現在の八名の各地域から選出されて、国会承認している委員よりも、そのほうがよりいい経営委員選出されるという御意見だろうと思いますが、これは経験からいつて、やはり経営委員長が言われるように改正案通りにしたほうがより適正な経営委員を得られる。反対に言えば、現存の経営委員はそういう意味から来ると、現在の制度は欠陥があるという意味ですか。
  18. 矢野一郎

    参考人矢野一郎君) 一例を申上げますと、例えば現在は一地区一人という結果、東京は私一人しか出ておらない。その結果、いつも委員長は東京から出るのが必然にならざるを得ないというようなことから、私自分としても決して私が最適任と考えておりません。現在の委員中においては東京は私一人である以上、私が委員長である。これが仮にそういう地域制にこだわらなければ、或いは東京におられるかたか二人なり、一人なりおられれは、委員長の交称制も実現するでありましようし、又救急いろいろの委員会を召集する事態に至りましても、すぐ即日なり、翌日なり集まることもできると思う。そあ他現在地域制ということだけに制限されております結果、或いはその放送の技術的な面その他の学者或いはそういう知識のかたを得るということも、地方では或る場合には困唯な場合もあるというようなことは従来の経験の一部でございます。さようなことから言えば、こういうふうな制限を撤廃して下さればその面は非常にプラスこなると考えておりますが、一田そしでは、これを外ずした場合に、極端な場合として全部東京から選んで、しまう。それは全部東京人で東京のことは詳しいが、地方のことは余…誰も知らないといような選び方をされては、これは従夫に比較して非常に欠陥がてきる。その点が心配であるということが、現在の委員の大体の意見であります。その点さえそ、れは心配はないという人選をして下されば、必ずしもそのかたの住居がそちらにあるということでなく、どこにいられても、或いは地方官をされたかたなどは却つて広くそういう知識もお持ちのかたもございましようし、そういう人選はこれは運用としてできるのではないかというように考えております。
  19. 山田節男

    ○山田節男君 それから次は、この郵政大臣業務命令改正案についてでありますが、これは経営委員長並びに会長とも絶対反対というふうに了承するわけでありますが、昭和二十五年に放送法ができまして、日本放送協会特殊法人として再出発して以来、放送法の第四条に基く訂正放送のケースが今日まで何回あつたということが、只今数学的にでもおよし願えますか、若しあればお本しを願いたい。
  20. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 私その問題を今手許に正確に調べた資料を持つておりませんが、只今私の記憶だけで申上げますと、この第四条にいり訂正放送、それの要求されて来たということはないと思いすり併し放送協会は、毎日このいろいろの放送をしております際に、いろいろな間違いを放送する場合がございます。そのときは部内で反省し、或いば部外から親切に示足交して頂いて、即刻訂正してそし迷惑のないように、又間違いを訂正することによつて真実を報道し、伝える背任を果すようにいたして参つております。
  21. 山田節男

    ○山田節男君 私のお聞きするのは、今の第四に基く訂正放送のケースが、昭和二十五年の少くとも五月以来あつたかどうかという問題を聞いておりますが、あつたでしようか。
  22. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 私の記憶ではないと思います。
  23. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど経営委員、長並びに会長からの証言、最中に触れでおられたのですが、現在の放送法の第四十四条のいわゆるラジオ・コードでありますが、特に第三項のこのラジオ・コードというものはこういつたような抽象的な、箇条書だけでいいか。或いはもつとこれは詳細に書く必要があるか。と申しますのは、これは日本放送協会に対する法律でありますが、今日は民間放送が相当数殖えております。今の郵政大臣業務命令に関連して、ラジオコード問題に関する経営者としての御意見を承わつておきたいと思います。
  24. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 只今の御質問でありますが、私どもこの三年間の経験によりますと、ラジオ・コード、殊に放送番組編集についての規定が四点挙げてあります。これは同時に民間放送も遵法しなければならないことになつて、おるかと思いますが、NHKの場合は、特に公共企業体であり、その性格に釧み、これを、厳守しまして、直ちに別に自律的に、みずからを律する意味で詳細なラジオ・コードという営委員会において十分審議いたしました末にラジオ・コードというものを作り上げまして、それを政府にもお届けする、それを日々、守つてつてつております。従いまて填ごの法律の上で更にこれを細かく書いて頂く必要はべいかと思います。
  25. 山田節男

    ○山田節男君 私から見ますと、今回のこの放送法の一部改正法案の中で、郵政大臣業務、いわゆる四十九条の三として出しておる法案は、これは先ほど経営委員長なり快調の御証言を聞国会における論議、政府委員意見等を聞きましても、非常に逆コースだというように思われるのでありますか、例えば日本放送協会の「日曜娯楽版」というものかありまして、相当に政治、社会、経済に対するユーモアに富んだといいますか、相当比喩に冨んだ放送をやつておられるのでありますが、これが廃止されたわけでありますが、当時この自由党吉田政府のやつておる政治、経済というものが非常に辛辣に批判されるので、あれをよしてもらいたこと。」という事柄が追加されたのでありますが、通信機業界といたしましては、このことは誠に結構なことと存じまして衷心より賛意を表する次第でございます。ただこれにつきまして更に第六項、第七項に新らしく改正が追加されまして、協会は、放送進歩発達に必要な研究の成果を公表しなければならない。」という事柄がございますが、これにつきまして、多少無線通信機業会といたしまして意見なり疑問なりを持つておるわけでございます。と申しますのは、勿論協会放送進歩発達のために業会に向つてこれこれの事項について研究をしてみろと御委託になることは、私ども誠に嬉しいのでありますが、仮に甲なら甲という会社が委託を受けると、御承知のように通信機業界におきましても、相当の会社がそれ自身研究所を持つておりまして、独自に従来から研究をいたしております。従いましてその会社固有の独創なり、或いは発明なりもあろうかと思うのでありますが、この御委託の研究に特定の会社の発明なり、独創の部分が加わつたという場合がありましたときに、果してその結果がどうなるか。言葉を換えて申上げれば、この研究の成果というものが協会に全部帰属するのかどうか。工業所有権と申しますか、そういうものが全部協会の所有権になつてしまうのか、帰属してしまうのかどうか。そうなりますと、御委託を受けた会社といたしましてもそこに問題が起つて来はしないか。そこをどういうふうに調整して行くかということが通信機業界といたしまして只今疑問に思つておる点でございます。私自身も不勉強でございまして、これ以上立ち入つて詳しく申上げかねるんでございますが、抽象的に申上げましてそういう問題かあるということを申上げたいと思うのでございます。  それから次に参りまして、研究の委託、或いは、研究その他の業務を助成するという問題につきまして、協会郵政大臣の認可を受けなければならないということになつておるのでありますが、私法律に暗いので、甚だ愚問を申上げて恐縮でございますが、只今矢野さん、古垣さんからお話があつたかと思うのでありますが、四十九条の三で「郵政大臣は、公共福祉を増進するため特に、必要があると認められるときは、協会に対し監督上必要な命令を出すことができる。」、こういうふうになつておりますが、私この条文を拝見いたしまして、この条文の存廃の議論は別といたしまして、この立法の精神は、郵政大臣とされまして、この放送事業公共福祉を増進するため特に必要があると認めたときに限つて監督上必要な命令を出すことができるのであつて、言葉を裏返しにして考えますと、できれば、放送事業というもの、その日本放送協会放送事業は自由闊達に放送協会をして、やらしめるということの建前に取り得るのではなかろうか、私の考えが聞違つておるかも知れませんが、そういうふうにも取り得るのではなかろうか、そういたしますと、ここで申しまする第七項にかえりまして、必要な研究の委託とか、次にその研究又は業務の助成という問題でありますか、業界といたしましては、当然これは研究に附随して、金が要るであろう、従つて金を出して頂きたいという問題が具体的になることと思いますし、又場合によつては、施設を拝借するという問題も起つて来るかと思うのでありますが、いずれにいたしましても中心は、研究の委託ということになるのでありますが、放送進歩発達に関する必要な研究を委託すること自体は、当面の問題としてそのことは必ずしも公共福祉云々の観念には入らないと、むしろその御念の外にあるもつと遠いものと考えられる。従いましてこの研究を委託すること、その他につきましては、できれば放送協会自体が独自の立場、フェァーな立場でいろいろ協会の事情も調査し、技能でございますとか、施設の有無、良否その他を勘案されて、協会自体が独自の立場研究の委託をなすつて頂いていいのではなかろうか。むしろこういう事柄は郵政大臣としては、協会をして自由闊達におやらしになつても必ずしも四十九条の公共福祉という大きな問題を漏らさないで、御心配になるような問題は起らないのではなかろうか。まあ勝手な考え方かも知れませんが、そう考えておつたわけでございまして、従いましてこの七項は、煩瑣を避ける意味におきまして、一応協会が独自の立場で委託をするということに改めて頂ければどうかと思つております。なお、この認可事項がどうしても必要だという御議論もあろうかと思うのでありますが、その場合には私どもこういうような疑念が湧いて来るのでありますが、認可を得る場合には、恐らく協会とされまして、認可を受けるべき業種、研究の種目、それに要する資金、施設、そういうことを一括して郵政大臣の認可を受けられると思うのでありますが、その場合に認可事項の内容といたしまして、それではその事柄をどこそこの会社に命じて委託して研究させるかということまで認可の内容にされるのかどうかという事柄に疑念を持つております。この法文からは、直接それがお窺いすることができませんので、私何とも申上げかねるのでありますが、ただ無線通信機業界といたしましては、でき得べくんば、こういつた認可事項はむしろ廃止して頂いて、協会自体でやつて頂きたいのでありますが、仮に何らかの理由において、これをやはり実行に移されるという場合には、せめて会社の規定等につきましては、むしろ外ずして頂いたほうがよくはないかと思います。これは要するに程度問題でございまして、その辺のことにつきまして私どもといたしましては、成るべく煩瑣を避けたいと、協会とされましても常時無線通信機工業界の各会社の実態、或いは機能その他につきましては御承知のはずと思いますので、そこまで入れられるかどうかわかりませんが、入れられるとすれば、むしろそういう点は外ずして頂いていいのではなかろうか、こういう疑念を持つております。  大体通信機業界といたしまして、改正内容につきまして直接関係ある事項といたしましては以上申上げた点でございまして、なおこれにつきましては、私どももいま少し、研究さして頂いて、更に具体的な議論として申上げる機会を与えて頂ければ結構だと思うのでありますが、本日は甚だかいつまんで、むしろ意見を申上げるということよりも、疑念やら或いは疑問、法文の解釈に対する私どものわかりません点を一応申上げて、むしろそういう事柄に対する御説明の機会を得た上で、更に意見を開陳する機会をお与え下されば結構だと存じまして申上げる次第でございます。
  26. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。次に、日本民間放送連盟理事金子秀三君にお願いいたします。
  27. 金子秀三

    参考人(金子秀三君) 日本民間放送連盟の理事の金子でございます。このたび政府の提出されました議案として放送法中の一部改正案が出ました点につきまして、民間放送側に意見を求められましたことを誠に感謝に堪えんといたしまして御礼申上げる次第であります。  併しこの改正案内容は、主として日本放送協会の内部のことに属するものが多いのでございまして、実際上NHK業務内容に直接触れておるわけでございませんから、非常にその点では的確な意見を申上げることはむずかしいかと存じますが、総括的に申しますならば、今回政府が提出されておりますところの政正の要点は、民間放送連盟といたしましては、おおむね賛成でございます。但し、その内部におきましては若干の意見がないではないのであります。即ち、先ず経営委員の問題でございますが、経営委員の場合、今日までの地域別の住所主義をとられないようになさろうとすることにつきましては異議はございません。併しながら更に一歩進んで、真に何と申しますか、経営委員がこの日本放送協会運営について、もつと積極的に強烈な意欲を以ておやりになるようなあり方に是非ともして頂きたい。そうして経営委員意見内容には、本当に国民の声、民間放送の業者をも含めました国民の声が常に耳に入つておるようなふうにあつて頂きたい。  それからその次の理事及び監事の増員の点は、先ほど古垣さんがおつしやいました通り、これだけの厖大な機構を御運営になりますにつきましては、現在よりは増員されましても適宜なる措置が果断にとられますことは、執行者としては当然だと思いますので、これもそうであろうという意味におきまして賛成でございます。  又業務活動の適正を図るために、協会では外部に対して適当な範囲において研究の委託をされる。これも結崎でございます。又協会は外部に対して面正な範囲において助成をされる。これも大変結構でございます。ただこの際私も民間放送理事といたしましてお願いをしておきたいことは、助成は飽くまで助成でありまして、助成されましたものは必ずこれはNHKの専属であつて、他のものが一切これを使うことができないようなあり方につきましては、これは是非とも考え直しを願いたいのであります。その点をよくするというための助成でありまして、助成されたものは、その持つておる芸術なら芸術をどこででも編成し得る自由があるように御改正ありたいと思います。  それから研究の成果を応用されますことも誠に結構でありまして、この点等につきましてもなおあとでちよつと時間を拝借して申上げたい私どもの希望もございますが、概して賛成でございます。  ただ、先ほど来からも若干問題になつております郵政大臣がこの法律の定めるとるによつて監督をするという四十九条の二及び郵政大臣公共福祉を増進するために特に必要であると認めたときは、協会に対して監督上必要な命令をすることができる。又郵政大臣がその法律を施行するため必要な限度において、協会からその業務に関する報告を徴することができるというごの規定につきましては、原則的には古墳会長が先ほど申述べられました通り、私どももやはり民間放送公共放送であると深く信じております関係から、単にこういうことにつきましては、これはNHKのことだから賛成だとい、うことでなくてひとしく憂いを同じくいたします関係上、てき得べくんば、原則的にはこういうものはない方がいいのではなかと存ずるのであります。併しながら又一面、私ども民間放送業者といたしましては、NHKは御承知のごとく幾多の特権を持つておられるのであります。又特権を持つておられるだけに義務も持つておられることは当然でございますが、そのようにいろいろの特権を持つておいでになりますので、それに従つて政府経営委員の見るところと又違うところの監督を強化されようとする点につきましては、我々民間放送とは同列でないと存じております。従つてある程度の監督が行われるということは止むを得ないのではないかと、かようにも考えておるのであります。併しながら日常番組その他において、時の政府がいろいろNHKで放送するということは、同じ放送業者といたしましては好ましくないことだ。飽くまでもこれはやはり国民の声に従つて良心的な番組を作ることが放送業者の当然の義務である、このように考えておるのであります。併しながらこの四十九条の三のほうにございますところの「必要な限度において、協会からその業務に関する報告を徴することができる。」等の監督業務は是非ともしつかりやつて頂きたいと存じます。この点につきましては、国民の声と申しましては何でありますが、もう少し日本放送協会業務内容について国民が詳しく知り得るようにやつて頂叩きたいし、又そういうものを文書その他によつていつでも見られるようにして頂きたいものと存ずるわけであります。  なお、私ども日本民間放送連盟といたしましては、この放送法改正は、日本放送協会の一部の改正でございまして、その点につきましてはごの程度の意見でございますけれども、是非ともこの機会にこの放送法そのものにつきまして根本的な改正をお願いをいたしたい。申さば今回の放送法中の改正案は、極めて末梢的な改正であつて、我々はもつと根本的な改正を是非ともこの機会にお願いをしたいと、こういうふうに存ずるわけでございまして、ちよつと時間を拝借してその理由を述べさして頂きます。  この現在の放送法が制定されました当時は、民間放送の急速な発達は想像することもできません。従つて民間放送の今日のこの盛況を御覧になりますとぎにおきましては、甚だしく現在の放送法は現実にそぐわない多くの矛盾と紛争の原因を持つておると、このように私ども考えるのであります。私ども国家全体の立場からみまして、又聴取者の立場からみまして、又放送事業者の立場からみまして、放送法は今日早急に根本的に改正する段階に到達したのではないか、このように信じておるわけでございます。現在の放送法昭和二十二年から二十五年にかけていわゆる終戦直後の政治、経済、社会の不安定の時期に、連合軍占領下という特殊の事情の下に立案制定されたものでございまして、同法は当時の事情からいたしまして、日本放送協会を私法人から公法人に改組して、その公共性格を明確にいたしますと共に、日本放送協会業務を通じて放送文化の全旧的普及向上、公共の希望、要求の充足、即ち公共福祉の増進をはかることを主眼として、民間放送につきましては、経済事情と周波数の割当が若しで、きるならば許してやろうという門戸の開放かあつた程度てこさします従つて日本放送協会は民間放送事業のあるなし、或いはその発達ができるかできないか、でぎても採算が合わなくなつてすぐ潰れてしまうというようなことに関係なく、日本放送協会のみで独自で完成した放送業務を行うように義務付けられており、又そのためにいろいろな保護をされておるのであります。民間放送は、日本放送協会のこの巨大な自己完成の体系のかたわらに置かれました何と申しますか、非常に日蔭の花のような位置しか法律上は与えられていなかつたのであります。放送法が民間放送発足前に制定されました法律でありますから、これは仕方なかつたと言えばその通りでございますが、現在におきましては、先般来問題になりました周波数の割当その他におきまして、依然としてNHK使先の建前があるということは、どうしても私どもは不服なのでございまして、どうして可源に湖りまして放送法改正をお願いをいたしたい、かように存ずるわけであります。放送法は当時三年ぐらいの時限法にすべきだという説があつたのは、このよりに民間放送がどうなるものかわからないから、一応ごうしておいてそうして改めようという説が当時すでにあつたということを以ても、私どものお願いする趣旨はおわかり下さるかと思うのであります。現在は我々民間放送業務は、現在放送中のものは二十二局ございます。又申請中のものは四十二局に達しております。その電力におきましても、番組内容におきましても、日本放送協会放送局と大して遜色があるとは存じておりません。則に公衆の聴取状況を見ますならば、日本放送協会の第一放送と全く接近する実績を示しておるのでございます。又第二放送の聴取に至りましては、殆んど民間放送のリストを数えますならば、問題にならないほど低いという」とは統計が示しているのでございます。このように民間放送は短期間に公衆に親しまれて参つております。この総合的なアハレイジは全国聴取者の七五%以上に達しております。而もその中に日本の重要都市が殆んど包含されておるということは、今や民間放送は改めて法律上からも御認識されて然るべき時期ではないか、このように考えるわけであります。現在申請中の民間放送局が免許されますならば、更に更にこの比重が植えて行く。このように考えるのであります。  放送法によりまして、我が国の放送事業のあり方といたしましては、公共企業体日本放送協会と民間放送としての一般放送との二本建が、原則は確立はされてはおるのでありますけれども、その点につきまして、法律上におきまして名実共にこれは平等にして頂きたいのでありますが、現在では両者の相違は、私どもはただ経営上のそれの違いがあるだけである、このように考えております。放送公共性等に関しましても私どもは何ら差異はないと存じております。私は仕事は九州の放送局をやつておりますが、今回の九州の未曾有の水害に当りまして、九州の民間放送局が果しました公共的な役割は、政府が速かに設けられましたところの災害対策本部で十二分に御承知でございます。そのために絶えず、先ず各大臣が福岡においでになりますと、民間放送ラジオ九州においでになりまして、そうして録音放送をして避難民に呼びかけをされる。又その他のことをなされております。NHKは機構が何と申しますか、中央集権のためでございましようか、ローカルにおきまして機敏なる活動をするのに、取材の困難であるとか或いは電波上、技術上の問題であるとか、そういうようないろんな制約のために、機宜に適した敏活なそういう災害放送はできにくかつたのでありますが、こういう点では何ら拘束されておりません民間放送は、どんどん思うことを実行できるのでありまして、甚だしいときには、一日に七十回のニュース放送をいたしております。このような意味で一般の躍災民、ラジオ聴取者に、民間放送というものは決して宣伝業務の営利機関ではなくして、公共的に如何に必要なものであるか。地方に今後災害が起つたときには欠くべからざるものである。と申しますのは、新聞が数日問配達不能に陥りまして、ラジオ以外に聞くものはなかつたというような事態でございましたから、なお更そういうようなことが感を深めた。この点につきましても私は公共性につきましては本質的に何ら差異はないと、このように考えております。そして我々は民間放送日本放送協会もひとしく公共に奉仕するものであるということを明確にいたしまして、その両者の経営上の性格から生まれた特徴に従いまして、それぞれの主として受持つへき分野を定めて、両者の業務に適当なバランスを持たせ、民間放送日本放送協会放送を総合した結果において公共福祉を最大限に増進することが一番いいのではないかと、かように考えておる次第であります。若し放送政策におきましてNHK依存の行き方が修正されましたならば、日本の放送文化というものは更に急速に向上するということは、私ども一年半の経験によりましても深く確信するところでございます。放送業務研究基礎的資料を作り、技術研究、社会調査その他の放送文化向上に必要な調査研究につきましても、現在の日本放送協会の技術研究所、放送文化研究所を協会から独立させて広く放送一般のための調査研究機関とされ、放送事業の総合的な発達基礎とし調査研究に当らせられるようになされたならば、更に我々は仕合せだと存じております。実はこういう点につきまして、根本的な放送法改正ということをお願いを申上げたい。それにつきまして私どもはそのいろいろの問題の所在につきまして、現在理事会におきまして研究中でございます。今日薩だ残念ながらそれの具体的な方法につきましては、まだ結論を得ておりませんがために、具体的な改正を、この点をこのようにという点には達しておりませんのでございますけれども、いろいろの点で我々は是非ともこの機会放送法の根本的な改正をして頂きたいと、かように存ずるわけであります。  ただ然らば問題の所在はどこにあるかということを申上げますならば、第一は、日本放送協会の設立の目的というところにおいてやはり我々は多少変えて頂きたい。又NHKの義務放送の第一、第二のその放送のあり方というものにつきましても、これを明確にして頂きたい。先ほど申しました経営委員会理事会の構成につきましても、先ほども申しましたように本当にしつかりしたものにして頂きたい。こういうふうにNHKに対しまするところのいろいろの機構その他につきましてのいろいろな希望もござい与し、又先ほどと重複しますが、技術研究所や放送文化研究所の独立というようなことも私どもは希望しておるのでございます。更に問題によくなるのでありますが、民間放送は広告収入を以て経営をいたしております。私どもはNHKの徴収しております聴取料を我々のほうに廻してもらいたいという考えは打つておりません。併しながら民間放送ができましてラジオの聴取者が非常に殖えたということだけは事実でございます。その殖えた聴取料というものが全部NHKに行くということが合理的であるとは併し考えておりません。この点でこれをどうすべきかということにつきまして、まだ意見を申上げます段階に到達しておらないのでありますけれども、1こういう点につきましても聴取者が納得をしてそういうわけかといつて喜んで払うよな合理的な改正がどうしても必要なんではないか。その他まだ細かいことで、二、三具体的な問題もございますが、時間の関係で省略させて頂、きますが、私が申上げたいことは、今回の改正は、原則として先ほど申しました二、三の点を除けば賛成でございますが、これは飽くまで一つこの際根本的な改正というものを是非して頂きたい、かように考えまして申上げる次第でございます。  大体私はこれで終ります。
  28. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うござました。次に日本放送労働組合執行委員長中塚昌胤君にお願いいたします。
  29. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 本日当委員会におきまして放送法の一部を改正する法律案につきまして、我々日本放送労働組合にその意見を発表する機会を、えて頂きましたことを厚く御礼申上げます。私は日本放送労働組合の組合員を代表いたしましてこの改正案についての意見を申上げたいと思います。  我々日本放送労働組合といたしましても、昭和二十五年に現在の放送法が制定されまして以来三年、今日に至りまするまで日本放送協会の負わされました使命を達成するために全力を注いで来たわけでございます。で、現在の放送法が制定されますに当りまして、その制定の理由として考えられましたのは、申すまでもたく放送というものは国民文化の向上に極めて大きな影響があるというので、放送というものは、如何なる政党や或いは政府その他の団体や個人からも支配されない、自由にして独立なものにするということは、この制定の根本理念であつたかと思います。従いまして当時におきましても、国会において政府からの説明によりますと、新らしい懸法によつて国民主権に基く行政を確立するには、従来ございましたいわゆる無線電信法というものによつて電波行政を行うという場合には、行政官庁に対する授権の範囲が広過ぎる、従つて国民の権利及び自由を十分に保障することはできない、こういう説明かなされたと記憶しております。そういう理由によりまして、現在の放送法が制定された、そして現在の放送法に基きまして日本放送協会というものは、いわゆる公共企業体という観点において規律されているわけでございますが、協会というものは、いわゆる公、共的な性格を持つもので、全国民国会を通じてその業務運営或いは財務等について必要な監督を行うという精神であるということも、やはりこれ又当時の国会におきまして政府委員から説明されたと記憶しております。そしてやはり当時におきまして、協会運営目的に副つて行われるのを確保するために国として最小限必要な監督を、而も一部機関の独善にならんよう考慮してきめたということは、やはり当時の政府の説明であつたと記憶しております。このように考えますときに、今回政府から提出されました改正案を見まするに、この中で付点か改正点があるわけでございますが、我々として一番関心を持ち、仕つ重要視いたしておりますのはいわゆる四十九条の二並びに四十九条の三でございます。殊に四十九条の三によりまして郵政大臣は、公共福祉を増進するために特に必要な場合は、協会に対して監督上の命令をなすことがでですが、私は委員会では、この方針は非常にNHKの将来にとつても本来の使命から外れて行くような結果になりはしないか、ローカル放送をすることが、NHKの使命から言つておかしいというのではありませんが、勢いそういう結果になりはしないかということを私申上げて御注意を申上げたことを記憶しておるのでありますが、今度郵政省も認め、NHKもやろうということになりますと、従来は第一放送、第二放送の聞えないという所には、これは当然何か小電力の局でも置いてやらないと何にも放送が聞えないという地域が残るのでありますから、自然に小さな局が殖えて行つたんだろうと思うのですが、今度は第一、第二が聞えてもなおローカル放送をやる必要がありまして、ここに小さな局を残して行くという方針をとつておられるようであります。そうなりますと、今後NHKとしては郵政省がそれを許可するかしないかは、これは別問題として、NHKの局を設置する方針としては、やはりローカル放送を非常にやつて欲しいと、又相当ローカル放送がたくさんあるだろうと思われるような場所には、ローカル放送を主としてやるような局を全国的に設置をして行かれる御方針だと考えるのですが、その点はそう考えて間違いないでしようか。これが一つ。  それから金子さんと古垣さんの両方にお尋ねしたいと思いますのは、広告ということに関する事柄ですが、今まで耳で聞いておりましたラジオだけで参りますと、例えば或る種の会社の具体的な名前が出ました場合には、これを某会社と言つておけば広告にならないという点もありましよう。今度はテレビジヨンになりますと、実景を写す場合が多いんですね。例えば銀座の街頭を写すというふうな場合に、どうしても各店の看板が実況放送の中に出て来るのですね。私は非常に不愉快に思つたのは、NHKのテレビジヨンで相撲の中継をやつておられましたが、そのときに何かこの懸賞金がかけられていると見えまして、どこかの会社が懸賞金なんか出して、それを幟のように上に立てて出される。そのときにはわざとその風景を写さないようにして一般の観客席のようなところを長いこと見せているというような非常に苦労をした編集をやつておられる。或る会社の広告になるようなことをしちやいけないということは放送法規定してありますが、ただその実景を写しておつて、そこにどこかの会社の名前が出て来たりすることは、それが放送法にいわゆる広告のための放送だということは言えるのかどうか。これは一体どこで誰がおきめになつたのか。NHK自体がそう思つておられるのか。或いは民間放送のほうでそれはいかんと言つておられるのか。一体広告というものの限界は非常にむずかしうございまして、今後テレビジヨンの放送が普及して参りますと、特にこの問題が多くなつて来ると思うのです。丁度いい機会ですから、二人お揃いのところで両方から御意見を頂きたいと思うのです。
  30. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 初めに、最初のローカル放送のことを申上げます。だんだんこの民主主義いうものを地方に普及させ、そうして中央集権的でない、地方民が地方の自治体の中に生きるというような希望、要望が殖えて参りましたので、それでNHKといたしましても、できるだけ地域生活に合致するような放送をしなけれ、はならない。理想としては自県放送という言葉を使つておりますけれども、必ずしも全般の関係と県の行政とが一致しませんから、そうなりませんが、併し県別放送的な、県民が県民としての生活が可能になるように、その県民としての生活を助長することに役立つように努めたいというのが方針でございます。技術上いろいろの困難な事情もありますから、その点は先般この委員会において新谷委員が御注意になつたことも、よく記憶しておりますので、そういうような行過ぎや、支障が起らないように考えて参りたいと思つております。  それから次に広告の問題でございます。これは中波放送の場合にも、広告とは何ぞやという議論が出て、私ども自分でまあいろいろ検討しまして、学者の御意見を聞いて見ましたけれども放送の場合それを如何に捌くかということは非常にむずかしい問題で、先ほどもちよつと出ましたラジオコード等についても、この行なつてはならない広告というようなことについて細心の注意をいたしております。細心の注意をいたして「おるために、或る場合には放送意欲というものか挫かれて、そして先ほどテレビジヨンについておつしやつたような行過ぎもラジオの面においてもあるかと思いますが、結局私ども考えておりますところは、その時代、その場所における良識というので行くより仕方がない。これは放送そのものが一つ方法でありまして、特殊の広告であります。例えばAの人が放送すればそれは明らかにAの人の広告になるということは否定できないので、この広告というような、広告をしてはいけないということを余りに何といいますか、学問的に考えて行くと実際にそぐわなくなつて放送することができなくなつて放送さえしなければ心配ないというような極端な間違つたところにも走りやすいので、放送事業をやつておる職員に対しては、そういう意欲をそぐようなことなく、而も常識を以て絶えず判断して行く。一つのドラマや何かの場合に、或る名前が出て来る、或る人が出て来て、それがそのドラマの性格上必要がある場合が非常に多いのでございます。例えば非常に高級な香水というような、或いは外国のたばことかいろいろなことが必要になつて来る。そうすると名前一つ言えば、それが、高級な香水ということを示唆するといつたようなこともありますので、その時代、場所における良識によつて判断するより仕方がない。そうして注意はするけれども、この放送意欲をそいじやいけないというようなふうにいたしております。なお、テレビジヨンが始まりましてテレビジヨンにおける広告禁止の箇条、規定を如何に設定するか、これはなお細心の必要がありまして、まだ今年の二月から始めたばかりでございますから、いろいろ残された研究課題がございまして、今後とも一層そういう点も研究して大きな間違いをしないようにして行きたいと思つております。
  31. 金子秀三

    参考人(金子秀三君) 広告の問題につきまして只今お尋ねがございましたが、民間放送の方からNHKに向いましてこういう放送は困る、ああいう放送は広告ではないかといつたようなことを箇条書に申入をして、その実行をお願いしたことはございません。併しながら我々が見まして、やはりNHKとしては行過ぎではないかと思われる純然たる商業番組、いわゆるスポンサーというものか意識されるような問題がございますときには、個々の場合につきましてお話合いをしてそういうことをやめて頂くようにいたしたことがございます。まあ一例を挙げますと、飛行機会社が無料で芸能人を乗せまして、そして飛行機の中で芸能岨係の放送があつたわけであります。これは明らかに無料で乗つて芸能関係の放送を飛行機の中でしたということが、その放送の大きなテーマであります。こういうのがやはり我々としては民間放送のスポンサーのプログラムに属するべきものであるというので、NHKとしては好ましくないと思います。こういうような個々の例につきましては、二、三申したことはございますが、併し古墳会長がおつしやいましたように、非常にこの問題はデリケートでございまして、たまたま個人の名前が目に見え、或いは耳に聞え、街頭録音の時に「資生堂の前」と言われたことくらいで一々目に角を立てて、全部これは広告だという考えはいやしくも我々放送を実施いたしております者が、そういうことに捉われておれはうまく行かないことはよくわかつておりまして、その意図、我々の商業放送と解釈しておりますものでない限りにおきましては、古垣さんのおつしやる通りでよろしいと思つております。これはちよつと御質問から逸脱するのでありますけ力者によつてそういう解釈が曲げられるという可能性は、そういう危険性は十分あるのではないか。やはりこれは一つの伝家の宝刀というふうに考えざるを得ない。従いましてやはり番組編集の自由というものは、間接的に侵されるというふうに考えられます。そして又只今委員長のほうから第九条の各項についての命令だというふうに言われたと思いますが、その第九条の各項の違反につきましては、第四章で罰則がございます。こういう罰則があるのになお且つそういうそれに違反した場合の命令を出すと、そしてその命令に違反した場合には又罰則をつけるということはどういうことか。私その立法のやり方というものについてもいささか疑問の点があるわけでございます。全体的に申しまして、いわゆる協会というものが言論機関である、それに対して政府というものが監督なり命令をするということは、これは、間接的にやはり言論機関に対する一つの統制である。やはり言論機関というものは、そういう政府なり或いは政党なりから独立したものにして置くべきであるということによりまして、反対でございます。
  32. 山田節男

    ○山田節男君 今の委員長の御質問の点ですが、これは私政府委員に対して質問をして究明したいと思いますが、これは今委員長が確認しろということをおつしやつても、これは私から言えば、編成番組権の問題でなくて、放送法が制定される当時のいわゆる放送の自由、表現の自由、これはまあ一つ放送に関する憲法を修正するという大きな改正案であるから、私は異例にも委員長にお願いして、審議に先立つて関係参考人の証言を求めたわけです。従つてこういう放送の憲法の修正に政府案が、何ら関係方面に相談なくしてやつたということが確認された以上は、この審議の過程におきましては、勿論本日証言になつたような団体代表者を参考人として十分一つ究明して行つたほうが、今委員長のおつしやつた趣旨もより責任を持つて究明されるだろうし、又より明白に我々がそういう方々の御意見を参考にできると思います。先ほどいろいろ申上げたように、今後審議を重ねるに当りまして各委員から要求がありました場合には、今日お見えになつたような参考人に再び御出席願えるということを補足して頂いて、私は質問を打切つたわけでありますから、さように一つ御了承を願いたいと思います。
  33. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 承知いたしました。  本日は参考人のかたは公私共に御繁忙の中にかかわらず、而も長時間に亘りまして、私どもが本法案を審議いたしますのに非常に参考になります有益な御意見をお聞かせ頂きまして誠に有難うございました。厚く御礼申上げます。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十分散会