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1953-07-09 第16回国会 参議院 電気通信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    公聴会   ━━━━━━━━━━━━━ 昭和二十八年七月九日(木曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            島津 忠彦君            久保  等君    委員            津島 壽一君            新谷寅三郎君            小林 孝平君            山田 節男君   政府委員    郵政省電気通信    監理官     庄司 新治君    郵政省電気通信    監理官     金光  昭君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   公述人    一橋大学教授  古川 榮一君    元逓信省電務局    長       進藤 誠一君    読売新聞論説委    員       梅田  博君    日綿実業株式会    社常務取締役  石橋 鎮雄君    東京商工会議所    議員      能勢 昌雄君    全国電気通信労    働組合中央執行    副委員長    石川 辰正君    関西電話工事協    会会長     斎藤新三郎君    平野製油株式会    社社長     島圖 博次君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公衆電気通信法案内閣送付) ○有線電気通信法案内閣送付) ○有線電気通信法及び公衆電気通信法  施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今から公衆電気通信法案有線電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対する電気通信委員会公聴会を開きます。  委員会を代表いたしまして一言公述人各位に御挨拶を申上げます。  只今委員会では政府提出の右三法案審議中でありますが、右のうち先ず公衆電気通信法案は、日本電信電話公社及び国際電信電話会社が提供する電信電話サービスに関する基本的事項規定するものでありますと同時に、来たる八月一日から電信電話料金について約二五%の増収を図るため所要の料金値上げを行わんとする内容を持つているのであります。又有線電気通信法案は、有線電気通信設備規律監督に関する基本規定でありまして、有線電気通信設備の設置及び使用については、従来と違つてできる限り自由にすることを建前といたしております。又向法の施行法案は、これらの二つ法律を施行するに必要な経過規定の制定ての他関係法律改正を行うためのもりでありますが、この三法案は明治三十三年に制定せられました電信法に代つて、今後我が国の電気通信に関する根本たらんとするものでありますし、又料金引上げを含んでおります重要事項でありますので、当委員会におきましては極めて慎重に審議をいたしているのでありますが、ここに国会法規定に基きまして、利害関係者及び学識経験者方々から御意見を拝聴いたしまして審議の一助にいたしたいという趣旨でこの会を開いたのでございます。公述人方々におかれましては、公私御多忙のところおいで頂きまして誠に有難うございました。厚くお礼を申上げます。  これより御意見を伺いたいと思いますが、発言順序委員会において適当にいたしましたので御了承を願います。御意見賛成、不賛成を明らかにされまして、且つその理由をお述べ願いたいと思います。なお御発言の時間は大体二十分程度にお願いいたしたいと思います。  それから委員各位に申上げますが、公述人方々に対する質問は、午前中の分は午前中の公述人終つたあとで、又午後の分は午後の公述人終つたあとで一括してお願いしたいと存じます。  それではこれより御意見の御発表をお願いいたします。御発言の際は御氏名と職業とをお述べ願いたいと存じます。それでは一橋大学教授古川榮一さんにお願いいたします。
  3. 古川榮一

    公述人古川榮一君) 私は一橋大学教授古川榮一でございます。只今委員長お話にもありました三つ法案につきまして、簡単な意見を述べさして頂きたいと思います。只今委員長からお話がありましたように、今度の法案は、いずれも我々一般関係の深い電気通信に関する諸制度を整備いたされまして、且つ公衆電気通信並びに国際関係を含めまして電気通信事業合理化をお図りになると同時に、この料金を改訂なさいまして広く設備拡充等に御利用なさろうというのでありまして、この御趣旨に対しましては私原則として賛成でございます。ただ電気通信関係は広く公衆利害関係が密接でございますので、若干次の点につきまして希望を申述べまして、そういう条件付賛成の意を表したいと思うのであります。  今度の三法案電気通信に関する広い問題に関係しておるのでありますか、提案理由にもありましたように、又委員長の御説明にもありましたように、その中心は、特に我々に関係深いこころは、従来の施設に対しまして減価償却を十分にし、新らしい設備拡充するために料金改訂という問題が大きな問題になつているようでありまして、従いまして、個々の施設民主化とか利用合理化ということに対しましては、私余りよく技術的な問題を承知しておりませんので、そういう一般大衆利便をこうむるような余りむずかしくない簡易化をお図り頂くこと、又その趣旨のように承知するのでありますがこの料金決定に関しましては、なお考えるべき問題が残されているように思いますので、そこに私自分意見の問題を集中いたしまして申上げることをお許し願いたいと思うのであります。なお、それにつきまして私が考えております問題は、この電気通信というものの特異性の問題が先ず第一であります。特に電話というものが非常な他の事業と比べまして特徴を持つているということが第一の問題でありますし、第二の問題は、そういう電気通信を従来の公営事業からいたしまして昨年の八月から電電公社という公共企業体経営の組織をお改めになりまして、そういう点からこの事業合理化なり、或いは経済的な能率を高めようというお考え、そういう意味におきましてこの公共企業体というものが前面に出て来ておるということが第二の問題、第三の問題は、この電気通信事業公共企業体関係が勿論あるわけでございますが、而も独占事業であるということでございまして、こういう三つの点を頭に置きまして今度の改正に関する意見を述べさしてもらいたいと思うのであります。  日本にはいろいろな事業がございますが、電気、特に電話事業ほど奇妙な事業はないと言われているのであります。それは、需用者も非常にたくさんございまして、希望はもう押すな押すすなという状況で、詳しい数字などは頂いた資料にございますし、又一方それではその施設ができるためのいろいろの条件が備わつておらないのであるかといいますと、日本の戦後の殊に電気器具関係につきましては非常な勢いで以て復興しておりまして、器具を作る会社も又供給の点からいいますならば決して不足はないと思うのでありまして、つまり設備を作る能力の点から申しましても十分あり余つておりますし、又それに対しましてこれを利用したいといういわゆる加入者といいますか、需用者の方面からいいましても非常に希望が多いのであります。にもかかわらず電話設備ができないのは誠にこれは奇妙な事業一つだと思われるのでありまして、それを解決する一つの方策として、公共企業体という企業性を取入れました形態になつて、それは一方における需用と、それからその生産の能力とを調整しようというところに私は狙いがあるのじやないかと思うのでありますが、それには先立つものは何といつても金という問題になると思うのでありまして、資金の面がこれを制約しておつたことはこれは万人周知の問題でありまして、この問題が今日の法案をお作りになる一つの重要なポイントであると同時に、料金改訂の問題にからんで来ると思うのであります。ところで、そういう資金調達いたす途は、大きく分けて私は二つしかないと思うのでありまして、一つは、公共企業体が資本をよそから持つて来るという問題と、もう一つは、自分で働き出すという二つの面だと思うのであります。主として自分で働き出す、自己資金と我々は言つているのでありますが、自己資金調達という形で外から金を持つて来ないで自分で働き出すというのが今度の狙いと思つているのでありますが、この場合電気通信事業のような厖大設備と而も資金をたくさん要します場合におきましては、急に働き出すという途は無理も生ずる虞れもございますので、外部から金を持つて来るというのは大きな一つの近道だと思うのであります。それで国家自分で金を出すか、公債で求めるか、或いは資金運用部資金利用するか、外資を導入するか、それとも新しく新増設をします加入者に全部負担させるか、この途しかないと思うのでありますけれども、それぞれこの方法の若干ずつは今度も採用なさつておるようでありますが、それにいたしましても、よそから持つて来た場合には、自己資金でない限りは、これは返さなければなりませんし、借金である限りは利子を支払わなきやならんのでありますが、それにはいわゆる適正料金決定、フエア・リターンという問題が大きく浮び上つて来ると思うのでありますが、電気通信事業特異性は何といいましても設備が非常に厖大であつて、それに対しまして十分の償却が行われておるかどうか、こういう問題に帰着すると思うのでありますけれども、従来の公営事業公共企業体になる前におきましては、頂いている数字のうちにも二百三十六億という償却不足があるし、それを取入れまして今度は償却なさろうとしておるのでありますが、こういう設備償却は金額を合わすというだけでなく、これは実質をやはり新らしく利用に便利なように古い機械即時なり準即時のようなものに切換えて行くような近代化した、つまり設備近代化という問題を考慮しました意味償却でなければ、一般大衆サービス十分満足にならんと思うのでありますが時間がでございませんから簡単に申上げるのでありますけれども、最近全産業につきましていろいろのところで経営の分析をやつておるようでありますが、今度のこの料金値上げの基礎になります一つの問題としまして償却は、大体承知しておるところでは五・七%のようでありまして、前の償却不足の分を加えても六・五八%の償却のようになつております。又大雑把にいつて十五年償却程度だと思うのでありますが、これを日本の通商産業省で調べました昭和二十七年下期の経営比較によりますと、日本の全産業償却は八・四一%になつております。これは全産業でございます。それ、比べましても、こういう電気通信事業のような近代化しなければならん設備の点から言いまして少し償却不足ではないか。なお交通事業及び化学工業一〇%、こういう点からいいましても、適正償却の域まで達しているとは必ずしも言い切れないようであります。他方利率の点でございますけれども、今度の公社の二割五分引上げの結果からいいますと、昭和二十八年度は、大体収支比率から申上げますと、収入と支出を比べますと、収入に対しましての残りは七十六億で約八%、これが五カ年計画に従いまして大体一割か一割二分になつております。この点で今の通産省の調べでは、全産業収支比率は、収入に対する利益割合は四・一八%でございますし、交通業が三・二%であり、機械工業が多くて一一・八%でございますから、この点から言うとやや比率程度は高いように思うのであります。つまり利益が余計出ております。併し、これは果して適正償却が行われておるかどうか、この点についての再検討を要すると思うのでありまして、若しできますならば、こういう一般に対する利害関係を待つておるのでございますから、利息の支払なり、それから元本償却なり、並びに今の適正償却を当然した上で儲けを取つて行くのが自己金融でございまして、これによつて働き出さなければならんのでありますから、急激に働き出すか、それとも何ヵ年か長期亘つて働き出すか、これがさつき申しましたように、非常に一般の需要が要求しておるわけでありますから、つまり速度の問題がありますので、私ども数字をよく知らないのでありますが、私ども数字をよく知らができないか。国家がいろいろの投資をする場合には、他産業との関連がございましようから、そうたくさん頂けないとすれば、或いは外資導入なり、或いは若し若干の公債発行なりができますならば、それからその利子支払並びに償却を加えまして、若しこの速度が若干縮まりますならば、料率も若干縮まる可能性があると思うのでありますけれども、この点に対して私よくわかりませんが、この速度を早くするか、それとも自分儲け、つまり自己金融によつて早くこれを増設するか、どちらかの噛み合せが十分に考えらるべき問題だと思うのでありますが、同時に今言つた適正償却が不十分であるように思うのであります。この点はなお検討を要するのではないかと思います。  ところで重要な問題は、二割五分値上げが今申上げましたようにスピードの問題とからみ合いまして、厖大設備でございますから、若し外部から金を持つて来れますならば、その利子支払元本支払を含めました料金決定の上で、もつと長期亘つて現在のような希望をする百何十万かの加入を増加されるということをお考えになるということも、一つ問題点になるように思うのであります。仮に料金決定を二割五分といたしまして拝見いたしますと、これは勿論電報は一三%でございますが、その他電話についてはもつと料率は多いようであります。特に問題になりますのは、公衆電話なりの度数制が一〇〇%値上げになる、こういう問題のようでありますけれども、私はこの問題につきましては、料金決定は、今申上げましたスピードの点が問題になりますけれども、原則としましては適正料金であるという前提の下に、できるだけ料金制度簡易化を図る必要があるのではないかと思います。いろいろ電報その他つきましては、法を拝見しますと、成るべく簡易化されておるようでありますけれども、料金も又その一面があるように私は承知するのでありますけれども、その点から申しますと、五円が十円になるということは一〇〇%値上げでございますけれども、まあ公衆電話のほうは、パーセンテージは多うございますけれども、絶対数字は一番低いようでございますし、都電が十円の場合は、私は度数なり一般公衆電話は大体都電と同じ程度でよろしいのではないかと思つております。そういう点から、この点は私十円になることは賛成であります。なお、量が増した場合に非常に厖大になるというふうに考えられるのでございますけれども、一般事業がたくさんお使いになるということは、それだけお使いになるためには、費用だけではなく、他方その電話使用によつて得られる収益の問題がございますから、私は逓減的に考える必要はないと考えております。むしろ、設備拡充いたしますならば、従来の至急、特急というようなものがだんだん減つて参るのでありましようから、その点からいたしまして、全体としましてこの数字に現われておるほど。パーセンテージが上るかどうか、相当疑問のように思うのであります。なお、電話特異性からいたしまして、そう料金を上げないで、新設備の者だけに負担させたらよろしいではないか、こういうことが一応考えられるのでございますが、これは外部資金調達と同じ意味でございますが、或いはそれは返さないということも考えられる。若干返さんように現在なつておるようでありますけれども、電話事業特異性からいたしますと、新設備の者だけが利益を得られるとは私には思われないのでありまして、この点は鉄道等と若干性質を異にするのではないか患います。新設がどんどん拡充されることによつて、旧設備者も非常にその範囲が拡大いたすのでありますから、この点につきましては、新設の者にだけ設備料を負担させまして、旧設備者には負担させないということは、これは電話事業特異性からいたしまして、やはり賛成いたしかねるところでございまして、新設備が増加いたしますれば、旧設備者利用できるという点からしまして、料金を上げまして利益を得まして、自己金融によりまして新設拡充に当てるということには私は賛成なのであります。なお、自己金融でありますために、今頂いております資料では、五カ年計画になつて、大体百五、六十億の毎年収入増になるようでありますが、これはさつき申上げましたように、他人から借金しないで、自分から稼ぎ出すところから行きますと、自己金融永久に続くのでありますから、借金の場合は利子を払うと同時に元本を返済するという義務を負担しますが、今度の場合の自己資金で賄うという場合には、自己金融永久に増大しますから、直線に上つて行きますから、五ヵ年計画後は、今の通りに行きますならば金が相当余つて来るのじやないか。従いまして、自己金融でありますが故に、特に独占事業でありますが故に、自己金融は、一つ減価償却の適否の問題と、もう一つ営業費利子を差引いた残りでございます、特に営業費が非常に問題になるわけでありしまて、営業費自己金融、つまり儲けとは紙一重でございますから、減価償却は飽くまでも設備近代化を図る必要があるのでありまして、これは又加入者にとつても非常な利便でもありますから、これは積極的にやつて頂きたいと希望するのでありますが、同時に自己金融前提になります大きな問題は営業費問題であります。営業費がこういう料金でずつと行きますと、儲けがずつと続きますから、而も独占事業でございますから、電電公社方々はその点を大いに反省されまして、まあ金が余るから多少無駄があるというような、気が弛まないように、一つは将来の料金をできるだけ値下げするという方向と、だんだん金が余つて行きますから、勿論設備をどんどん拡張するということは必要でございましようけれども、営業費につきましては、飽くまでも厳重な監督反省が必要だと思うのでありまして、これにつきましては、公共企業体独立採算でやるということが建前意味からいたしまして、自己金融でやるということは賛成なのでありますが、それだけに独立採算であるということは、自分責任を持つわけでありますから、営業費節約に対しましては、常に企業体としての側面からしまして、どこに無駄があるかということについて、いわば、例えば内部監査のようなものを強化するとか、形態として、今までの政府資金だけに頼るというのではなくて、自分で稼ぎ出すという点から行きますと、これは料金を納める公衆に対していわゆる社会的責任が存するわけでありますから、公共企業体といたしましては、毎日、いつまでも、自己反省といいますか、経営合理化といいますか、経常的側面について真剣な御研究を願いたいと思うのであります。  なお電報電信電話はいろいろ問題があるようでありますけれども、電報大衆性を持つておりますけれども、電話のほうは非常に大きな意味がございますけれども、いわば特別の一部分の人でもありますから、従いまして将来自己金融が十分になりました場合は、電報料金のほうはできるだけ値下げをされるように、そうしてひいては電話料金値下げができるような形で現在の自己金融を考える。結論から申上げますと、公共企業体はこれは独立採算でございますから、自分で金を稼ぐのは当然のことであります。その点から考えて適正な料金によつて借金でなく、或いは赤字を国家に尻拭いしてもらうのじやなくて、自分で一人立ちに立つてもらうことを希望すると同時に、今申上げましたこの建前スピードの問題は私は今は正確に申上げられませんけれども、兼合いの問題を考える必要があるのじやないか。つまり外部から持つて来る問題と稼いだ割合の問題、それが自己金融永久に儲かつて行くのでありますからして、これに対する将来の五カ年計画だけでなく十ヵ年、或いはその以後につきまして目的を達した場合におきましてどういうふうに……、この儲けはこれは配当する必要はないのでありますからして、できるだけ一般大衆利益になるように、同時に独占企業という立場から無駄のないように飽くまでも営業費節約経営合理化を図るような態勢を整えて頂きたい、こういう希望条件を付して、この案には私は賛成いたします。
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。
  5. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に元逓信省電務局長進藤誠一さんにお願いいたします。
  6. 進藤誠一

    公述人進藤誠一君) 私は電信電話官営時代逓信省電務局長をいたしておりましたが、その後終戦までは満洲電信電話株式会社経営に携わつておりました。終戦後は全然職を退きまして、只今では国民の一人として、同時に電話加入者ではありますが、そういう立場におきまして私の意見を申上げたいと思います。  この三つ法案趣旨は、一言で申しますれば電気通信民主化でありまして、従来国家の管理になつておりました電気通信一般に開放して、又公衆通信事業に対しましても、今まで公法的のいろいろの特権を定めてあつたのでありますが、これを廃止いたしまして一般の民法の契約関係とし、そうして通信利用者なり一般国民の権利、利便を増進するということにあると存じます。元来この三つ法案は、昨年の八月に電信電話公社、それから国際電気通信株式会社というものが設立される法案が通つたときに同時に、或いはむしろそれより前に決定され公布さるべきものであつたと私は考えるのであります。いろいろな事情において今日まで遅れておるのでありますが、この三法案の成立によりまして一般民衆利便公共の福利が増進されて来るわけでありますから、私は一日も早くこの法案国会を通過することを望む次第でございます。この内容につきましては、すでに一年余り世間にも周知されておるのでありまして、大体了解されておるところと存じますから、一々私から内容意見を申上げることを省略いたしまして、全面的に私はこれに賛成するものであります。  ただ一つ問題は、今回別表として出て来たところの電信電話料金、これが従来の料金よりも値上げになつておる、この点に問題があると思います。この点につきましては私は相当の意見もございますから述べて、そうしてこれについては全面的に申上げませんが、結論においてまあ賛成のほうの立場に立つておる次第であります。それでこの料金の問題は、公社事業計画又予算、これらに関連を持つておるのでありまして、問題は次の三点だろうと思います。第一は、この公社計画いたしておりまするところの電信電話建設計画只今国民生活に必要欠くべからざるものであるかどうか、この点でありまして、それが料金値上げをもたらした原因でありまするから、先ずその点の検討が必要であります。次に第二の点は、計画が必要欠くべからざるものであるとなりました場合に、その財源を料金値上げに持つて来るか、或いは他に求めるか、いずれが適当であるか、この点であろうと思います。第三に、料金値上げをすることが適当となつた場合におきまして、各種の料金がいわゆる合理的であるかどうか。この三つの点の検討が必要であると考えます。  それで時間がございませんから簡単に以上の点に触れて申上げたいと思いますが、この料金引上げをするという問題が起りましたのは、元来が社債の利払い、公社設備減価償却という必要から大体平均一割ぐらいの値上げが必要であるということで始つたのであります。それは前国会にかけられまして丁度国鉄料金の一割値上げと並んで国会に出たのでありまするが、国鉄の一割値上げはすでに実現して実施されておるのでありますが、電電のほうは国会解散のために今日まで一割値上げが遅れておる、こういう事情にあります。そこへ持つて来て今度の案は前案を改めて新たに一割五分というものを加えて二割五分の値上げとこういうことになつたいきさつを持つております。そこでその値上げ原因なつ事業計画でございまするが、これは公社の五ヵ年計画というものがこれにございまするが、結論といたしまして私はこの五ヵ年計画の実行は是非やらなきやならん、又それが加入者及び国民の切なる要望である、こういうことを考えておるのでございます。電話不足であることはこれは今に始まつたことではなくて、もう電話ができて以来常にそういう状況であつたのでありまするが、殊にそれよりも終戦後におきまして問題は、現在ある電話サービスが非常に低下して悪くなつて、そうして殆んど電話は話中であつたり、繋がらなかつた、市外通話のごときは全く目的の用をなさない、こういうのが世間の声でありました。それを直すのにはどうしてもこれは設備の改善以外にない。サービスと言いますると、普通の事業におきましては従業員が丁寧親切にするとか、或いは能率を上げ、訓練をして、そうしてサービスは満足を与えることができるのでありまするが、この電話事業につきましては、それは全然他の事業と違う特異性があるのでありまして、サービスは人の面においでは殆んど余地はないのでありまして、サービスと言えば、電話におきましてはサービス即ち機械設備でありまして、従いましてサービスの改善は機械設備、線路の増設、これ以外にないのであります。この点を私は電話管理者及びこれを審議するかたに先ず御認識を頂きたいと思うのでありまして、極論いたしますれば、私は電話におきましてはサービス・イコール建設であると、かように申したいのであります。どういうことかと申しますると、例えば電話におきましても、従来の交換手で動かしておる手動の交換におきましては交換手が親切に取扱をするとか、或いは能率を挙げればサービスは増進するのであります。併しながら技術の改良の結果、この自動交換にするというのが要望でありまして、自動交換になりました場合は、もはや機械が交換手の仕事一切のことをするのでありまして、従来その代り交換手の定員或いは交換手に要した費用というものは、いわゆる損益勘定の業務のサービスの費用からは要らなくなるのであります。そうしてそれは建設費に廻る、そういう性質のものであります。従いましてサービスの改善というのは、電話事業のほうにおきましては損益勘定でなくこれを繰入れて建設をやる、その如何にかかつておると、こういうのが現状であります。そうして今度の計画内容を見まするというと、この今日サービスの悪い点を根本的に改善するというのが要素になつております。この点電話の今度の計画を見ますると、電話加入者の数を増すということも含まれておりますが、やはり今度の計画の重点は、加入者を増すことよりも市内及び市外の線を増すということに最も重点をおかれておるのでありまして、この計画が完成いたしますれば、大都市附近はもとよりすぐ繋がるのでありますが、名古屋、大阪などの市外通話が全然市内と同じようにダイヤルを廻せば即時出る、こういうふうになるのであります。そのほか地方におきましても地方都市相互間は三十分以内で出る、こういうのがこの計画であります。これは全く今日の電話加入者及びその他の民衆の熾烈な要望でありまして、それを実現させるのがこの案であります。これは私は一日も早くやるべきものである、公社ができたのもこういうことを促進するためにできたのでありまするから、この計画を延ばすとか、五ヵ年計画を七年にするとかいうような説があるということを聞いておりますが、これは誠に国民の要望に副わない、問題外のことであると考えます。この計画をやるのに毎年約五百億ぐらいの金が要る。問題はその調達方法にあるのでありまして、公社の五ヵ年計画を見ますると、私は数字よりもパーセンティジで申しますと社債一六%、加入者から取る負担金、これは加入者公債をも便宜含みました一五%、それから損益勘定の利益から二五%、それから減価償却の引当金を使うというのが四二%でありまして、この減価償却利益とを加えた六七%とがいわゆる自己資本であります。この比例におきまして如何にも外部資金が非常に少くて内部の資金を入れる、こういうことが言われるのでありますが、これは終戦後専ら見返資金とか資金運用部の金を以て拡張改良をいたしました数年間に比べますと非常な変化であるというふうに認められるのでありますが、逓信省の官営時代の資金調達方法はどうかと御参考に申上げますると、大体年によつて違いますが、平均は当時は社債が二〇%でございます。拡張財源の加入者の負担が二五%、それから内部からの利益、つまり損益勘定の繰入が五〇%、それと減価償却は当時はいたしませんが、取替費というのが五%、それを流用したのでのります。こういう状況でありまし  そのときにおけるいわゆる自己資本は五五%、あとが公債加入者負出金であります。この官営時代の資金調達計画と、今日とを比べまして著しい違いは、減価償却をいたしてこれから四二%を流用するという点が違うだけでありまして、他の点はほぼ同一な傾向を持つておるのであります。官営の電話関係した私から見ますると、これは今度の計画は、官営時代の計画と傾向において大差のないものである、かように認められるのであります。それはどういうわけかと言いますると、只今古川さんの経営論からのお話がありましたが、私はそれよりも、もう一つ、これはやはり電話事業の本質から来るのです。損益勘定の金を極力余計廻わして改良に使うということは電話事業の本質から来る、かように申すのであります。それは損益勘定に利益が上つたならば、それを拡張のほうに廻わす、こういう消極的なことでなく、私は進んで業務費を節約し、業務のほうのサービス費どんどんやめてそれを以て設備の改良のほうに持つて行くということが電話サービス改善であつて、先ほど申しましたことなんであります。これが適当である。従いましてこの損益勘定からの繰入が拡張改良の大部分を占めるということは、これは電話事業にありましては正しいことであると考えます。  ここに問題は、ただ現在の料金を上げてまでその繰入を多くしてそれを持つて行かなければならんかどうか、この点にあるのでありまして、原則については変りはないと考えております。この問題に関係いたしますると、公社設立の経緯なり、又は公社側の計画の原案なんかを見ましても、これはもともと料金値上げは極力抑え、そうして国家資金及び公債を大量獲得してそうしてどんどん国民の要望に副うような拡張改良をやる。これが公社を設置せしめたところの趣旨であると私はかように考えます。然るにこの公社の原案がここに提案される場合には非常に変つて、こういうふうな料金値上げ法案をおきめになつたかと申しますと、これは今日の公社の予算なり計画の根本になるのでありますが、それはどういうことかと言いますと、公社ができましたとき、損益勘定、いわゆる業務のほうの予算計画につきましては、完全に先ず公社の独立制を認めたのであります。従いまして大蔵大臣の予算査定権というものは大体なくなつて公社の思うようにどしどし能率的な運営ができるようになつたのでありまするが、一方資金計画の面におきましては法律におきましても公社は自主権がないのであります。大蔵大臣の金融統制下におかれておるのであります。そこでここに出ておりまする案は、公社希望する案であるかどうか知りませんが、そうではなく、当時の原案よりもここに変つたということは、これは国家が金融国策の面からみてかようなことが適当である、こういうために変更されたことと断じなければならんと思います。その点はどこであるかといいますると、前の計画におきまして資金運用部の資金を四十億充当する、社債を百億充当するというのを、今度の案では資金運用部の利用は零になります。社債の百億は七十五億に削減されました。そしてここに両方合せて六十五億という資金の欠陥が生じたために、その代りに料金値上げをして利益金から七十五億円を廻してこれに充てた、これが事実であります。この点につきまして私はどうしても料金値上げの可否を御判定願う上においてもう少し進んで調べなくちやならんと思います。それはこの四十億資金運用部資金が持つて行かれ、それから社債が減額されたということは、これは大蔵大臣の金融統制計画趣旨がどこにあつたか私は存じません。併しながらその行方を探してみますると、この前の解散前の資金計画と今回出ておる資金計画とを見ますると、資金運用部の資金が増されてあるのは、国鉄、開発銀行、地方債等であります。その他多額の企業資金が廻つておるのは電源開発又帝都高速度というようなものでありまして、減つたものには電電とそれから住宅建設であります。この意味を推測いたしまするに、これは私の想像でしかありませんが、これは国家資金といつても限りがあります。そこでこれは国として最も重要な所へ廻すべきである。そこで電気とか鉄道とかガス、水道といつたような公共事業、それらにつきましては今日もはや事業の情況からみて安いコストの国家資金を出してやらなければ経営が或り立たん。料金の負担面におきましても、利用者の負担の能力が限度にきておる。従いましてこういう方面ヘコストの安い国家資金を廻す。住宅の建設のごとき最も必要と認められているものさえも削つてつたのでありまするから、電電公社のを削つたということもそれと併せて考えられるのであります。この資金計画は結局料金値上げ前提としたものであると考えます。というのは、若し政府におきまして電気通信料金を上げるのが適当でない。又加入者の負担能力がないと考えまするならば、他の交通機関や一般公共事業のごとく安い国家資金をうんと出して、これに代えて料金を上げることを認めないはずであります。併しながら結果はそうなつていることから私がかような推定をするのは誤りではないと考えます。この点につきましていずれが可であるかということにつきましては、更に料金の問題に触れたあとで私の意見は申上げたいと思います。  次に、料金の問題を先に検討いたしたいと思いまするが、電信電話料金と申しましても、これは公共企業である以上は、私は電気通信立場からして又私の従来の経験又主張から申して値上げはよろしくない。これはもう間違いないのであります。併しながらもう一つ上の国家の現状から考えて、この値上げはどうであるかと考えますならば、この値上げ理由がないということはないのであります。又次に利用者がこの値上げを負担する力がないかと言いますと、それもないこともない。この点が電話電気、ガス、水道等と大いに違うと思う。それゆえに電話料金値上げが妥当であるということが許されるのではないかと思います。ただその場合におきまして、問題は程度の問題であります。値上げがいいからといつて、これを無限に上げてもいいというわけではないのでありますから、要するに程度の問題であります。そこでこの値上げの案の内容について検討をいたしてみますれば、平均は二割五分と思いますが、内容を見ますと、著しい差があります。これは私は必ずしもすべてのものに平均二割を持つて行くのが正しいとは申しません。従来の料金がおのおの皆バランスがとれ、正当なものならば同一の率を持つて来ればよいのでありますが、従来からいろいろな点においてでこぼこがあるのでありますから、それを是正し、法律にありますように合理的な料金というものを作るならば、今回の値上げは率において変つてもそれは許されることは差支えないと、さような見地から内容を見ますと、これは一々検討いたしますと、今日は時間がございませんが、大体におきましてこういうことが言えると思う。田舎とか、市外電報を入れて、要するに市外の遠距離通信におきましては値上げは大体において平均程度であります。この点からは割合問題が少いと思います。問題は市内の電話料、殊に地方はそれほどではありませんが、都市の電話料金が非常に高い率で上つておる、この点の一点に問題は帰すると考えます。この場合におきまして、私は理由は実は聞きませんが、私の考えからなぜこういうふうにしたかという理由につきまして考えますのに、従来日本では市内電話料金が少い、安過ぎる。市外電話のほうが高過ぎる。こういう傾向があるのであります。それは今日電話収入のうちで半分以上は市外電話から上つておるのです。市内の収入というものは少いのであります。それに対して設備に要るお金のほうはどうかと言いますと、市外のほうの線路建設においては、技術の進歩改良の結果金がだんだんかからなくなる、安くてやれる。ところが市内のほうは、御承知のように、どんどん新しい方式で、又市内の、大都市におきましてはどんどん地域が拡張されて、どしどし新らしい改良をやらなければなりませんから、そのために非常に経費は嵩んでおります。従来都市の電話は儲かるものだというのが一般の民間の方々のお見込でありますし、我々といたしましても、役所におる当時、電話はかけさえすれば儲かる、大体我々の計算からも、二割や三割五分は電話はかけさえすれば利益があるという、こういう頭でありましたが、今日聞いてみると、市内の電話一つかければ赤字である。それはどういうことかと言いますと、今の料金が安いからであります。それでは市内の電話の拡張改良は今後できないのであります。これをやつていく上においてどうしても市内の料金を上げるということが必要であると、こういうことがあるのだろうと私は考えます。そういう意味におきまして、市外の料金よりも市内は上る率が多いということは、これは私は正当であると、かように思います。  それから市内の料金の一番主なものを占める度数料でありますが、これは度数料の場合、公衆電話も同じでありますが、十円、これを一つ検討してみたい。この公衆電話料金の五円を十円にしようということでありますが、これは料金の沿革を見ますると非常に面白いのでありまして、郵便料金が明治から昭和の四初めまで三銭でありました。度数料も同様にずつと長い間三銭でございました。それがその後インフレで、三銭が五銭、十銭、二十銭、一円、五円というふうになつて来たのでありますが、その経路を見ますると、今郵便は十円になつて電話は五円になつておりますが、これはこういう関係があるのであります。まあ前のことはおきまして、昭和二十四年の五月に、郵便は五円を八円に上げたのであります。そのときに電話は前の二円をそのままにして、一回値上げを見送つておるのであります。このとき、たしか鉄道やその他は上つたと思いますが、一回二十四年というものを電話料金は据置き、その据置は而も二円の据置でありまして、そういう事実がありまして、従つてその次の二十六年の値上りのときに初めて五円になつた。そのときは郵便は十円になつた。鉄道は最低が十円になつた。そういうので二十六年のときに、大体今まで類似のものは十円になつておるのであります。従いまして私は、この料金値上げの沿革から見ますと、この公衆電話料金度数料は、昭和二十四年に二円から五円にすべきであつた、その据置したのをそして二十六年のときに八円とか十円とかにすることになれば、今日すでに十円になつておるのであります。従いまして今の市内電話公社経営として赤字になつておるということは、今まで値上げすべきものを二、三年放置したということに原因があるのでありますからして、この点から申しまして、今回の値上げが一〇〇%であるということは、前に一回値上げを休み、その次にも値上げを極く少く定めておるという点から来るのでありまして、今日におきまして、冷静に考えて、郵便が十円である、それから国電、都電等が十円である場合に、電話だけが五円であるというのは、これは料金の権衡上からも不合理でありまして、今までの昔の沿革から見ても、当然十円であるべきである。これは私がこの沿革で申上げるまでもなく、公衆がすでにそう言つておりまして、国電が十円になるとき、電話の五円は安過ぎるね。ということを聞かされておりまして、その後、どこでも電話を借りたときには五円置いて行く人はない、どこでも十円置いて行く、又十円とるのであります。今度も十円に上つたからといつて、実際において公衆は、今までも借りるのに十円払つてつた、今後もやつぱり十円ということに変りはない、かように考えておりまして、そこで当然、公衆電話料につきましては、私は問題なく十円を正しいと思いますが、又それを実行すべきだと思いますが、ただ度数料につきましては、違うのは基本料というものがこれに加わつておるということが違うのでありまして、その基本料の改正と今度の改正とを同じような率で上げるならば、そういう料金構成もできたのでありますから、今度の改正の非常に複雑になつたのは、基本料金制というものを持つて来て、二回までかける者は定額の九百円ということにして、それ以上は十円にしました結果、二回ぐらいまでしか使わない者は今までよりも、七%ぐらいしか値上げにならん、殆んど値上げということは問題にならない。それが大体八、九回が東京の平均でありますが、それくらい使う者は五割、更に二十回使つたものは七割何ぼということになつておりまして、余計使う者ほど値上りが多いという、こういうことは、料金が合理的かどうかという点において私は考慮されるべきことであると思う。ただこの値上率の十割になつた場合でも、それはコストからいつても、又今日他の交通、通信料金からいつても不当なものではない。従つて加入者として文句を言うべきものではない。又我慢できないものではない、こういうことは言えると思いますが、ただ一気に、今まで値上げを休んだというようなことが原因であつても、これを一気に値上げするということは、これは感情の上においても、或いは又政治的にも問題になるということは考慮すべきものであると思います。時間が延びましたので、あとは省略いたしますが、それで、要するに私の意見は、この案が今の電話事業立場から言えば、料金はかように上げずに、前回くらいに減価償却を十分にした程度値上げにして、その他の財源、つまり政府の資金運用部資金をもう一回持つて来るということによつてやれるならば、こんなら概して上乗の策である。併しながらそれはできない。やはりそれは他の交通、通信料金値上げをするということが、今日の感情等から悪いということのために、電信電話だけは値上げする。他にこの値上げの影響を及ぼさないということがはつきりいたしておるならば、私は電話事業としてはこの案で行くのが公共の、国民感情からいつても今日の管理者の立場からいつてもとるべき途ではないかと考えます。いろいろ反対陳情が出ておりますが、消費者の立場の人の意見を聞きましたならば、電話は上つてもこれは大して差支えないものだと、ただこれを上げられるとその際に電気も上り、ガスも上り、電車も上り、国電も上り、おのおの上つて来るにきまつておる、それでは困るので電話のほうも反対せざるを得ない、こう言つておりましたが、それでは電話だけ上つて、ほかは絶対上げんということならばどうか、それならいいと、こういうのであります。私はこれは国民の本当の声であるというふうに考えます。私も電話の管理者でありましたが、上らんほうがいいのでありますけれども、電話が少々上るよりも、電気や他の水道やガスや何かが上ることは私は反対であります。電話につきましては、消費者の立場からしても、以上のような国策的の理由があれば上ることに賛成します。言い換えれば、電話の特殊な理由から値上げを承認するのでありまして、他の公益料金をこれに倣つて上げるという理由にはしないということを条件といたしたいと思います。
  7. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。   —————————————
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に読売新聞論説委員梅田博さんにお願いいたします。
  9. 梅田博

    公述人(梅田博君) 読売新聞論説委員梅田であります。本日の公述は、有線電気通信法及び公衆電気通信法及びそれの施行法に関するものでありますが、世間ではこれらの法案電話料金値上法案、こう呼んでおりますので、又世間の論議の焦点も恐らくその電話料金値上げにあるのではないかと思いますので、問題をこれに限局して論じたいと思うのであります。結論から申しますれば、私は大体にこの法案に反対でありまして、その第一は、五ヵ年計画案が出ておりますが、この五カ年計画なるものがいささか杜撰ではないかと、このように思うのであります。つまりサービスの向上といつたような五ヵ年計画というものをだしにしまして、電話料金値上げを五ヵ年計画というオブラートで包んだのではないか、このように考えるのであります  第二点は、建設資金、その建設資金の大部分というものを自己資金で賄う、こういうことは非常に一方的であり且つ穏当でない、非常に官僚的な考え方である、このように思うのであります。  第三点は、電話料金値上げの率というものが、国民経済、国民感情というものを一切無視した、いわゆる電話度数料のごときは一〇〇%の値上げをするということは、第二の官僚的な本質があるものと、このように考えるのであります。  ところでこの杜撰であるということは、本当は詳細な計画ができておるのかも知れませんが、これをみまするに、例えば電信電話拡充五ヵ年計画というものが出ております。全部で十五頁のパンフレットでありますが、資金計画の欄はたつた二頁しかない。別に資金計画のものが出ておりまするけれども、こちらのほうには二頁しかない。それには単に資金調達方法というものが載つかつておるに過ぎないのでございます。例えばこういつたような五ヵ年計画をするという場合には、局を幾つ立てるに幾らの金が要る、この線を架設するのに幾ら金が要る、すべての詳細な資材並びに科目別に所要資金というものを書いて頂かないで単にこれだけ押付けられても、これがいいとか悪いとかいう判断が我々にはできないのであります。すべての、政府の予算というものには相当に細かい建設資金のことが書いてあるのに、これには単に所要資金二十八年度四百六十一億、二十九年度六百十億、これだけ読んで、何に要るんだということが科目別に書いてない。これでいい悪いということがどうして判断が下せるか。我々の考えるものは正しい、だから国民は信用しろというのが今までの大体の官僚的なしきたりでありますが、こうしたものではいい悪いといつたような判断の基礎に苦しむのでありまして、殊に昨年の十二月には梶井電電公社総裁が年間八百億くらい要るということを言つておられる。それが急遽今度は五百乃至六百数十億に変つておるのでありますが、これからみましても、これは単なる一つ料金値上げのための口実、こう申上げては大変にひねくれた考え方かも知れませんが、口実のようにしかみえない。本当に一夜作りで作られた案ではなかろうか、このように思うのであります。若しお出しになるのでありましたならば、もつと詳細な計画を見せて、それはどうだと、その場合には我々も原価計算のしようもある。この意味におきまして私はこの五ヵ年計画というものは非常に杜撰であるとあえて言わざるを得ないのであります。前の国会におきまして一割五分の値上法案を出された、それが一割に削られた、ここで五ヵ年計画というものを出して、三割五分、恐らく三割五、六分になると思います。全体として二割五分でありますが、恐らく三割五分、三割五分くらいの要求をすれば恐らく今度は二割くらいは認められるんじやないか、非常にさばがよんである。瀧を得て蜀を望むと申しますが、こういつたような考え方に対しましては、私は非常な軽蔑を感じております。  第二点は、建設資金自己資金、大部分を自己資金で賄うといつたような考え方であります。昨年これは東洋経済で梶井総裁が言つておるのでありますが、資金はどうして調達する計画ですかとこう尋ねた。こう尋ねているときに梶井さんは、この計画に要する毎年の経費は七、八百億になりますが、その資金調達国家資金つまり資金運用部から借りる、それから電信電話債券の発行、設備負担金、減価償却をして行く金を皆繰入れて建設改良にもつて行く、それでも足りないときには外資を導入してこれをやる、こう言つておられる。これができなければ責任問題なんです。これができないで、責任問題ということをおろそかにして、すぐに料金値上げに持つて行くということがあつては、これは本人が果して責任を感じておるものか、感じていないものかということに対しては我々は深く問わざるを得ないものがある。これが本筋なんです。この外部から入れてやるというのが本筋でありまして、我々が例えば民間の企業体でありましたならば、設備の増設というものは多くは増資乃至社債で調達いたしまして、足りない部分は調達いたしまして、その償却利益金で或る程度つて行く、これが本筋であるのにかかわらず、この加入者という非常に弱い立場料金を払わないといつた場合には翌日からとめるといつて電話通告一つやればそれで商売できなくなる。そういつたような弱い立場のもの、一番取りいい所から取る、こういつたものの考え方というものは、実に我々として了解できないのみならず、この電気通信関係法令集にある日本電信電話公社法の六十一条に「公社は、毎事業年度、経営利益を生じた場合において、事業年度から繰り越した損失の補填に充て、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。」と書いてある。利益があつた場合にはこれは損失を補填するんだ、補填したあとでまだ残りがあつたならばこれは積立金として置け。積立金として置けというのがあるのにかかわらず、今から利益を予想してそれで設備拡充をやつて行くということになれば、この法規というものはなくてもいい法規になつてしまう。恐らくこれは手落だろうと思うのでありますが、法制局もいろいろ法規のことも専門でやつておられるから滅多に間違いはないと思うのでありますけれども、積立金が相当にできて、それを後に設備拡充に廻すならばこれは許さるべきだと思う。初めから利益というものを予想してそれを損失に充て、それから積立金としろというものを、予想を以て利益金を建設資金に流すということは、この意味において極端な言い方かも知れませんけれども、法律違反の疑いがあるものと思うのであります。で、このような資金というものを、自分責任と解しないで一概に加入者に転嫁しようというところの考え方というものに対して、私は第二に賛成できない一つであります。  第三には、電話料金値上げの率の問題であります。電電公社の発表によりますると、今までの度数制は百六十六倍しか上つていない。ほかのものはもつと上つている。例えば小売物価は二百九十九倍、新聞の料金は二百九十五倍、然るに度数料は百六十六倍、基本料金は百四十四倍、上げ方が足りないのだ。だから上げてもいいじやないかと言わんばかりでありますが、それでは値段を上げるのが筋なのか、建設が筋なのか、どつちが本筋だかわからない。そこで問題にいたしたいのは、今度この度数料が倍になつた場合には、三百三十二倍になる。三百三十二倍と言いましたらば小売物価の二百九十九倍というものを遥かに突破する。殊にこの電話料金というものは取り外れのない商売でありまして、而も持参するものなんです。新聞代金のごときは個々に廻つてつて、それですらなお取り外れがあります。大新聞のごときは恐らく数億円といつたような取り外れがある。この数億円といつたところの未回収を抱えておる新聞が二百九十五倍だからといつて自分のところが百六十六倍だといつて、これを比較されるということは、いささか筋が違つているのじやなかろうかと思うのであります。殊に同じ官業であるところの国鉄、専売公社、こういつたようなものは、或るときには景気によつて変動され又多額の宣伝費を費消しておる。ところがこの電話に関する限りは、そういつたような宣伝費用も一文も要らない。而も金は電話一つ掛ければ持つて来る。その上に取り外れがない。こうしたような独占企業がこのたびのように大幅に値上げされるということにつきましては、これは実に電電公社のためにも成績に甚だまずかろうと、まあこのように考えるのであります。これは先ほどの公述人も申されましたが、或いは電話料金がインフレの因とならんとは限らない。これを読みますると百四十万人、電電公社のは故意か偶然か知りままんが、十四万とあります。百四十万の加入者が、たとえ電話料金が上つたところでインフレになる虞れはないといつておられるのでありまするけれども、電話が上る。今度はほかのものが上る。電気通信界でほかのものを上げてはいけないぞと注文するほうが無理なんであります。電気通信委員会では、電話料金は上げてくれるな、こういう注文をすべきところでこれを上げる。今度はこつちが上る。一貫したところの物価政策が立たない。安いものから次々に上げて行くということよりも、むしろ現在はこのインフレの助長ということ、インフレの高まる原因というのを極力抑えて行く。電電公社が現在のままでやつて行けないというのでありますれば、実情をよく調査いたしまして、或いは多少の値上げも止むを得ないかも知れない。止むを得ないかも知れませんけれども、現在、前の国会に一割が認められ、このたびは恐らく三割五分、三割五分を一挙に高めようというような考え方、こうしたようなことは国民経済の実情を無視したもので、電話をたくさん使えば儲かるじやないかというようなお話があるかも知れませんけれども、多くの商業というものは殆んど電話一本を頼りにしてやつておりますので、生活に電話を使つたり、若しくは非常に大きな工場か何かでありまして電話料金というものは殆んど問題にならんという所ではいいかも知れませんが、商業、なかんずく我々のような新聞、又証券業者、多くのブローカー、こういつたような人はこの電話料金というものの高騰というものに対しては非常なる脅威を抱いておる。これは上つてもいいと言つておる人は私の聞いてる範囲ではないのであります。どうかこのたびの案につきましては、どうしても止むを得ないものであつたならば、これはせいぜい一割五分、社会党左派が出しております一割五分くらいの案で収めたい。これが我々といたしまして電電公社と最後の妥協の線であります。  これを以ちまして公述人の陳述を終ります。
  10. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。   —————————————
  11. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に口綿実業株式会社常務取締役石橋鎮雄さんにお願いいたします。
  12. 石橋鎮雄

    公述人(石橋鎮雄君) 私、只今御紹介にあずかりました口綿実業株式会社の石橋でございます。私は過去三十数年貿易に従事しておる者でありまして貿易商社の立場より今回の御提案の法案に対し意見を述べさして頂きたいと思います。  現在我が国の電話施設状況を見ますと、誠に寒心に堪えないものがございまして、諸外国に比して著しく低下しておりまして、この公社の御発表の通りにアメリカにおいては百人当り電話の数が二九・三あります。西ドイツさえも百人当り五・六、ところが日本は百人当り僅かに二・四しかない。これはチリーとか或いはイスラエル、ああいう国と同等な数しか持つていないのであります。かように貧弱な状態でございます。そういうふうに数が少いので、その電話を使用する度数も非常に多く、即ちどこに電話しても話中話中という話、或いは話中にその機械が悪いので故障してぶつんと切れる、そういうことがあります。又電話線とか或いは機械が古いのでこの間のちよつとの雨天が続きますとすく機械が故障する。それで話ができなくなるようになる。殊に市外通話になりますと、申込んでから相当時間話しするまで時間がかかります。又ときとしては半日以上もかかるというような非常に哀れなる状態でございまして、こういうときに我が国産業の開発と文化の向上の目的として電話設備を拡張し、又改良して社会諸産業の活動を最も能率的に且つ又経済的に流して諸生産のコストを引下げ、国民利益増進を図るということについては異論はございませんが、今回の提案のごとく、電話設備増設のための資金調達するために電話料を値上げし、而もその値上料率が非常に多い、非常に過大であり不当であるという点につきまして以下申述べたいと思う次第でございます。  御承知の通り我が国において生産されるところのこの産物としては、貿易上から見まして僅かに生糸とかお茶、罐詰類その他農水産物の少量を産出するのみでありまして、肝心の食糧さえも自給ができませんで、年々三百万トンの食糧を海外より輸入せねばならん現状でございまして、今後我が国が生きて行くためには海外より原料を輸入し、国内において加工し、そのできた製品を輸出する、即ち貿易立国を国是として進むよりほかに生きる途はございません。で、政府としてもこの頃は貿易商社の強化策に非常なる関心を持つておられるようでございまして、我が国経済の復興、我が国力の回復にはこの貿易を振興するよりほかに途はなく、そのためには貿易商社を強化し、貿易商社の実力を養成することが急務中の急務であると思います。我々貿易商社は製造工業家と違いまして、機械もなく設備もなく、ただ人間と通信機関が資本でございます。経費の大部分は人件費と通信費でございます。貿易商社としては国内電信電話は国際電信電話と表裏一体をなすものでございまして、国内の電信電話利用も又極めて頻繁でございまして、今回の値上げの結果、一般経費中にこの通信費によつて占められる割合は非常に甚大なるものがございます。その一、二の貿易商社の実例を申上げますと、従業員が二百人、これは少い商人ですけれども、二百人程度の貿易商社の例を申しますと、これは人件費が一人一万六千円として二百人で三百二十万円、ところがこの会社通信費、電信電話料金が従来百万円を要しておる状態でございまして、今回のこの料金の値上率二割五分としましても約三九%の増加率となりますし、東京のごとく二級局ではこれは五二%の負担増加となつておるのであります。その料金でしますと、百五十二万円の通信費となつて人件費三百二十万円に比べて四六%も通信費を要するということになります。又或る会社は、これは従業員が三百二十名くらいの貿易商社でございますが、そこの人件費は、一人平均の給料が一万八千五百円でございまして、五百九十二万円の人件費でございます。これに対して通信費が一ヵ月従来百六十万円を要しておりまして、これをまあこの提案の二五%値上げで換算しても三六%の増加率となりまして、若しこれを五二%に換算すれば約四〇%の増加率となるわけでございます。以上は或る一、二の商社でございますけれども、全般的に貿易商社はかように人件費及び通信費が我々経費の大部分を占めておりまして、その通信費が非常に今度増加して我々貿易商社としては経営がだんだん困難になる現状になつております。これに反しまして、最近政府が貿易商社の強化案として実施中のものは、振興外貨制度の設定或いは輸出前貸金の制度或いは別口外貨制度というふうないろいろのこと実施されております。又計画中のものでは、一昨年からよくありましたコントラクト・キャンセル(約定の取消ですね)の準備金アカウントを設定して無税にするとか、海外支店準備特別償却金アカウントを無税にするとか、そういうふうないろいろの計画をなさつております。又通信関係といたしましては、最近エアー・メイル、飛行郵便料でございますが、この引下げを見ました。従来エアーメイルは重さ十グラムのものは、これは一番軽いものでございますが、十グラムで八十円でございましたものが最近それが七十円となつて、約一割二分五厘の値下げとなりました。又海外向けの電信料も引下げられたところもございまして、かくのごとく挙国一致、貿易の振興拡大に官民ともに熱中しております矢先に、この国内電信電話料だけかくのごとく高率の引上げをなされることは、我が国産業の発展を阻むこととなり、現に昨今我が国でできますところの商品の物価は、輸出商品でございますが、商品価格は如何なる商品でも国際価格を遥かに上廻つて、国際市場において外国商品と太刀打ちできず、だんだん我々の貿易が尻細になつて不振がちとなつておる情勢におきまして、この際今回の値上げはこれに更に一層の拍車をかけることになるものでございまして、極言すれは貿易不振は更に深刻になり、公社を救うために日本国そのものが犠牲となるというふうなことも言えるかと思います。  次に、電話の増設改良が如何に緊急要件であるかということには私も異存はございませんが、今日電話や電信が事業経営の上に又個人生活の上にどれだけ重要な役割を占めておるかということも承知しておりますが、その重要性につけ込んで料金引上げで増設資金まで調達しようというのは、利用者立場を考えない余りにも安易なやり方じやないかと思う次第でございます。なお、今日の我が国経済界は極度の不況に坤吟し、不渡手形が各地で濫発されておる次第でございます。殊に公共事業は自粛しておるこの際電信電話料だけ値上げするごときは、ほかの一般物価のコスト高となり、ますます我が国製品の売行は不振となり、外貨は枯渇し、海外よりの輸入資金も欠乏し、諸産業の壊滅、我が国経済界の崩壊を見る虞れなきにしもあらずと案ぜられる次第でございます。而もその値上料率につきまして申上げたいが、公社の統計表を見ますと、現在の電話料は一般物価及び他の公共事業料金に比較して低位にある、従つて現在なお引上げても不当な料金とはならないというふうなお考えのようでございますが、今度の引上案は、引上率が非常に大幅であり、即ち二割五分乃相五割二分と一気に大幅に値上げせずに徐々に値上げせば財界に及ぼす悪影響も少いかと思います。現に昭和二十六年度の収支成績を見ますと、十四億五千万円の利益となつておるような次第で、あのときは丁度二十六年の十一月から電話料が上つておりますので、二十六年の四月から十月までは前の二円の収入でやつてつて、而も十四億五千万円の利益となつておるというふうな次第で、今度もかくのごとき大幅な値上げはせんでもいいじやないかと思う次第でございます。  次に、然らば何故にかくのごとく大幅値上げを必要とするか、何故に現在の料金で賄われないかということでございますが、我々民間企業では、経営の成立せないときは、その企業経営合理化を図つて、ペア・ライン、利益が出るまでその企業経営を持つて行く方法をとる次第でございますが、公社は自己の内部改革には何らメスを入れず、全部を利用者の一方的負担において採算せんとしておられるように見受けられる。公社にも経営合理化の必要があることと思います。それにはどうすればいいか。第一に組織の簡素化、適材を適所に配置し、各自の能力を十分に発揮せしめ、或いは現に今の組織を見ますと、本社があつてその下に通信局があり、それから管理部があり、その下に地方電話局があり、又その下に分局があるというふうになつて、この組織は誠に煩雑に過ぎる次第で、地方組織は管理部或いは地区電話局いずれか一つにてよろしかるべく、これを直接本社に直結すべきであります。次には事務の簡捷の徹底を図つてもらいたいこと。今までは規則ずくめでございまして、一つ電話をかけるにも三十くらいの判が要るというふうなことで、非常に長い間一つ電話をかけるのに時間を要し、各職責に応じてその自由の裁量で成るべく早く裁決してもらうというふうなことを希望する次第であります。それからこれに関連しまして今回提案中の電話機械の一加入当り建設費が二十五万円という見積りになつておりますが、これもその予算、計画、規格につき一層の検討と考究を重ね、資材の購入或いは入札などに工夫をなすときは、相当安く建設もできることかと思いまして、二十五万円は二十万円でもできるだろうと思う次第でございます。  次に、電話設備の拡張改良資金のことについて一言申上げたいと思いますが、公社資金計画を見まするに、昭和二十八年度の所要資金が四百六十一億となつておりますが、このうち一般の公募社債は僅かに七十五億円だけとなつております。が、これは郵政大臣所管下には郵便貯金とか或いは郵便振替貯金或いは簡易生命保険或いは郵便年金など数百億円の資金がありますので、それを大蔵当局と折衝獲得することに一段の努力をなさつたならば、即ち増設資金公社公社債の発行その他政府資金で賄うべきで、増設資金を丸々料金にかぶせるということは理窟に合わんじやないかと、こう思う次第でございます。その料金は経常費、経常的の費用とそれから償却だけに充てるべきものと思う次第でございます。重ねて申しますが、増設資金は絶対に政府資金によつて実行して頂きたいと思います。  次に、公社は一昨年即ち昭和二十六年の十一月電話料金を、時の二円の料金を五円に値上されましたときは、そのときのお話では、サービスをこれからよく改善し、設備もよく改良すると頻りに宣伝されておりましたけれども、本日までの経験から見まして、何ら改善された事実を認めない。料金を上げてしまえばサービスのほうは頬かむりであるというふうな現状で、万一今度の法案が通過しまして幾分でも料金が上つたようなときは、今度こそは十二分にサービスを改善されんことを切望する次第でございます。  最後に一言貿易商社として希望いたしたいのは、只今まで申述べました通り国民利益増進を図るために電話設備の拡張、改良は当然のことと思いますが、そのため幾分でも料金値上げせねばならんとなれま、高度の利用者の負担を是非逓減されて頂きたい。今度の提案は六十回以上利用する者にはその負担が非常に重くなつておるので、米国のごとき経済力の強い国においても三百回以上は逓減の方法をとつているのでございまして、我が国のごとく、而も弱体なる貿易商社には是非逓減の方式をとつて頂きたい次第でございます。仮に今度の法案がこのまま通過したと、多分通過せんと思うけれども、(笑声)通過したとすれば、二百回までは十円としてこれは仕方がない、二百回以上は八円、四百回以上は七円、六百回以上ずうつと千回も千五百回もこれは全部六円というような率で料金決定してもらえば、我々貿易商社もこれから一生懸命国家再興のためにやりたいと思いますので、この点を是非お含みの上で、今後議会におきまして御検討して頂きたいと思う次第でございます。
  13. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。   —————————————
  14. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 午前の御公述はこれまでにいたしまして、あとは午後に譲りたいと思いますが、今までの公述人方々に対し御質疑のございますかたは順次お願いいたします。
  15. 山田節男

    ○山田節男君 古川さんにお聞きしますが、古川教授の言われた中に、こういう公共企業体施設の改善、拡張に要する資金調達についてでありますが、こういつたような商業資本とは違つて、固定資本になりますと非常に厖大なものでありまして、こういう場合には、経営学から言えば、資本の回転率ということは、まあこれはないことはないけれども、さつき先生のおつしやつた自己資金調達という面から見て、スピードを早めることが非常にいいんじやないかと、こうおつしやつたのですが、このスピードを高めるということは、今割合に低いと言われる減価償却率を高めて、そうしてそれを自己資金調達するという意味でおつしやつたのですか。そのスピードという意味をちよつとお伺いしたいのです。特にこういう公共企業体の場合に、資金調達の面についてスピードを早めるということについて、もう少し伺いたいと思います。
  16. 古川榮一

    公述人古川榮一君) 只今の御質問に対しましてお答えいたします。先ほどスピードと申しましたのは、むしろ公共企業体自体という立場よりも、私は電気通信特異性からいたしまして、一番最初申上げましたように、いわゆる買手と申しますか、需要者の需要に応じ、それから今日電気通信事業の生産業者の能力も十分あるのに、これが十分行われておらない。而も日本の現状からいたしまして、電話の増設のスピードが非常に必要なんですね。このスピードを高めるためには、よそからそつくり金を、つまり外部調達で以て来るのが一番早い手だと思うのです。併しこれはいろいろの事情がありますならば、その外部調達で余計ごつそり持つて来れないとすれば、自分公共企業体として稼ぎ出すより以外にございませんから、その稼ぎ出す率というものが、外部資金を持つて来るのとからみ合せまして、どれだけの膨脹率を考えなければならんか、その辺のスピードでございまして、もう一つ一番のポイントになりますのは、自己資金で以て稼ぎ出す、自己金融でやるという場合には、過去の取替を考えなければなりませんが、数字で拝見したところでは、日本電話設備は約三分の二が旧設備だというふうに聞いておるのでありますが、そういうものを早く減価償却をして新設備に取替えるという意味自己金融はやはり当然考えて行かなければならんのではないか、そういう意味でございまして、スピードという意味は早く増設するという意味スピードでございます。
  17. 山田節男

    ○山田節男君 今電電公社が政府から受継いだ資産が大体三千億ということになつておるわけです。そうしてこれは政府の国有を公社の所有にしたのですが、而もその大部分が老朽になり、或いは陳腐になつて来ておるわけです。これは経営の形状から考えまして、こういつたように今日まですでに三千億という投資をしておる施設です。今度公社にした場合に、この公社法を作りますときに、いわゆる狭義の資本説をとりまして、もうネットを公社に振替えたわけです。ですから経営的に言えば、これはもう非常に恵まれた資本といいますか、施設を持つておるわけです。併し、一面これは償却をいたしておりません。従つて老朽施設が殆んど三分の二であるという状態です。而もこういう通信施設はアメリカその他の国に比べまして非常に遅れてしまつて、能率、サービスの改善もそういう点からできないということになつておる。ですから、今のこれはちよつと今日の公述をお願いした範囲外かも知れませんが、こういつたような国有の資本を狭義資本でネットでもらつて、そうして今度独立採算性をとる。そうして将来自己資本といいますか、利益金或いは、減価償却資金を使つてやればこれは非常にいいのでございますけれども、我々がいろいろ調査した結果によると、もうそれがにつちもさつちも行かないという現状になつておるわけです。そうすると、結局自己調達ということは料金値上げしかないわけでございます。これは私昨年アメリカに参りましたときにも、電話サービスの改善ということは、結局電話料金を上げるのが一番いい、健全な企業形態から言えば料金を上げる以外にないのだと、結局今言つたようなジレンマに陥つて、自己資本というのが非常にむずかしいと、政府資本或いは資金運用部の金を借りましても、利子を払う。公債を発行するならばなお更利子を払う。而も少くとも五百億の資金を要するのでありますから、たとえ三分の二利子を払うにいたしましても莫大な金なんです。そこで私はこれは私見ですが、今までの国有であつた時代、而もこれは加入者資金でずつとやつて来た。国庫にもすでに昔の金で十二億円の納付金をしておるわけです。これは日本の今の金で言えば二千億以上の金ではないかと思う。そうするとこの経営が、電信電話事業に限つてこの歴史を見ますというと、全くこれは何といいますか。電話公社の収奪経営でありまして、取上げてしまつて、吸い上げてしまつて、その利益を国庫納付金に出してしまつておる。その津を公社にやる。狭義資本でなかなかいい恩典をこうむつておるようであるけれども、何もかも古くさい、老朽のものになつてしまつておる。ですから、この三千億という資産を頂いて公社にはなつておりますけれども、これは非常に気の毒だというと余り恩情的かも知れませんが、合理的な経営から言えば矛盾しているのじやないか。そこでそういつたような国家的なサービス業であり、経済、文化、政治から言つて非常に必要なものであり、一番遅れた施設であるとすれば、私はやはりこの公社公共企業体経営といたしましても、自己資本調達ができないと、非常にむずかしいという場合には、やはり利子のつかない、殊にこういう点から見れば国家が相当助成してやらなければならない。加入者の犠牲において今日まで国家が金を儲けておるのです。これは今日の通念から言い得るのじやないかと思う。これが経営上健全であるかどうかということは、これは又別の問題になりますけれども、先生がそういうことをお調べになつて経営の本筋ではないけれども、こういつたような性格のこういう本質の事業で、こういう歴史的な過程を踏んだものについては、自己資本がなければ、政府の利子のつかない、又つくにしても非常に軽微な利子で、そうしてサービスを改善する。そういうことについて、公共企業体として特にそういう例がある、或いは又経営学理論等からいつて、そういう公共企業体は極めて不健全であると思う。その点の御意見がおありならば、イエスかノーかでいいんですが……。
  18. 古川榮一

    公述人古川榮一君) 只今山田委員から御質問があつたのですが、公共企業体というのはやはり独立採算自分で  一人立ちをするのが建前だと思いますが、今の日本公共企業体は、各国によつていろいろと事情を異にいたしますから一概には申上げられませんが、従来の公企業から変つて来た公共企業体でございますから、そうでない私企業から変つて来たというものもイギリスにはございますが、日本の場合は逆に公企業が初めて公共企業体に変つて来ましたところに無理があるので、従来の歪んでおりました形を取り戻して行く、そういう意味におきまして、国家がうんと金を出して一時凌ぎをやつてくれれば、一段とスピードも早まると思うのであります。併しこれは健全な姿とは言えませんので、一時の過渡的な形態としては、他の電源開発その他公共企業的な性格のものがありまするから、そういうものと睨み合せまして廻せるだけ国家資金を廻すというのが、これはスピード関係でございますが、相互関係調整の問題がございますから、できるだけ出して頂きたいが、公共企業体としての性格から言えば自己金融でやつて行く。更に配当をしないのでありますから、さつき申上げたように、営業費に無駄があるという心配がございますが、これは十分自粛してもらう。儲けたものは施設に廻しまして、配当いたしませんから、資本に対する分け前をいたしませんから、殆んど施設拡充になりますから、そういう意味では、自己金融で以つて儲けさして頂くという性格を強めることが、私は日本の場合性格から申しまして必要だと思います。外国の例では、私企業から公共企業体に変つた場合、自己蓄積を持つておりますけれども、日本の場合は逆でありまして、従来の散漫なと申しましては甚だ失礼でございますが、経営というものではございませんで、国家事業として独立採算もやつておりませんし、減価償却もやつておりませんし、いわゆる企業的な性格を持つておりませんものが公共企業体に変つて来たものでありますから、そういう意味から、イギリスの場合とは性質が逆なのでありまして、原価計算なり減価償却をはつきりやつて行きまして、自己金融の姿に立ち返つて行くのが健全な姿ではないかと私は思つております。
  19. 山田節男

    ○山田節男君 古川教授は度数料金の逓減制については反対だということをおつしやつておりますが、交通機関の電車、汽車、ハスもそうではないかと思いますが、交通機関は大体定期、回数券、それから距離によつて逓減的措置をとつておる。併し通信については、さつき石橋公述人が言われましたが、アメリカではやつぱり三百回なら三百回以上は逓減制をとつておる。併し古川教授は、この電話に限つて度数料金の逓減制には反対だと、こういうふうにおつしやいましたが、これは何か根拠があるのですか。
  20. 古川榮一

    公述人古川榮一君) これはまあいろいろ事業の特殊性によつて御同情申上げるのでございますが、電話は又事業体から見ますと、経費なのでございますが、これが急激に上るということは大きな影響だと思いますが、経費というのはやつぱり事業といたしましては収益によつて賄われて行くべきものであつて、それが非常に多いということは、それだけ収入が多いと考えてよろしいのじやないかと、そういう意味でございます。それからもう一つ、さつき申上げましたように、少しこれで以て合理化されたようではありますけれども、成るべく公平ということは十分考えなければいけませんが、料金の簡素化という問題が非常に大事なので、公共企業体になつていろいろ仕事のほうも随分苦心なさつておるようでございますが、余りむずかしい複雑な料金制度ではなく、簡単な料金制度を採用して頂きたいと、そういう理由が大きな根拠でございます。
  21. 山田節男

    ○山田節男君 それから進藤公述人にちよつとお伺いしたいのですが、先ほどいろいろお述べになつたことは、曾つて逓信省にお勤めになつ関係上非常に実際的な示唆があつたわけでございますが、PBXの問題ですが、PBXが今度は従来のような、曾つて逓信省、電通省或いは電電公社になつて、今度は一般民間事業もこれを作り得ると、我々の憂える点は、PBXが、こういう極めて自由競争でやる建前は非常に民主的に見えますけれども、実際電信、電話というような、一つ施設が悪いと全般的に非常に影響する。これには相当技術的な水準といいますか、施設の均一化といいますか、程度の高いということが要求される。そういう点から、むしろこれはこの法案によつておるような建前でなくて、電電公社がやはり自己の責任において技術的の水準を、レベルを飽くまでも高く堅持するという上においては、私はそのほうがいいのではないかと思いますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  22. 進藤誠一

    公述人進藤誠一君) この案は、公社がやつてもいいと、それから民間がやつてもいいという二本建なんですね。民間に任してしまうのじやないのです。その点で私は、今度ここに競争の結果コストも安くなり、質もよくなるのではないかと思うのです。それで元来私の考えは、今度の法律そのものが民主化なんです。公社が独占するということは、独占の理由のありますものはやりますが、理由のないものは成るべく一般に任すのが今度の法案建前でありますし、それから実際におきましてサービス公社独占がいいのですけれども、建設的なものはこれは民営のほうが安くもできるので、それを公社が独占しなければならないという理由はないので、それで民衆の希望で、公社がよいというならば公社に任せる、それよりも民営のほうの希望者にやらせたいというならやらせたらいいのではないか、こういうのが私の考えであります。
  23. 山田節男

    ○山田節男君 それは今進藤さんがおつしやるように、公社がやり得るし、又一般民間もやり得ると、表面的には非常に民主的なんです。併し私はこの責任ということから考えまして、電話の一カ所悪ければ全般的に響くという意味からも、そういう意味の独占は民主的とか民主的でないとかいう観点から論ずべきものではないので、公社が全責任を持つという意味から、むしろ責任者を単一にしておいたほうがいいのではないか。それは公社がいろいろ監査、監督等によつて高度な技術水準、施設を高度に能率的に保ち得るということも言えるかも知れませんが、私はその意味で、公社もやり得るし、ほかのものもやり得るということが民主化だというようなことでは、私はどうも安心できないのじやないか。そういう意味から行きますと、進藤公述人は過去の御経験から御覧になつても、実際法案がああいうふうになつておりまして、事実上は今度九五%なり九六%は公社でやる結果になるだろう、こういうお見通しがつきますか。
  24. 進藤誠一

    公述人進藤誠一君) 見通しについては、私実際業界の現状をよく存じませんけれども、これは過去いろいろやつたことがあるので、民間の事業経営にした場合もあり、それを統一して独占的な会社を作つてやらせたこともあり、その後終戦後は国営にしたこともあるので、いろいろやりましたが、どちらも利害があります。今度の民間開放も無論弊害もあり得ると思いますが、その点は、使用する機械、材料とか、規格とか、統一の趣旨から、その検査とか技術的な基準というようなものは公社が与えてやるのでその監督指導さえよくやれば、その点で弊害は除けるのではないかとこう思うのでございます。
  25. 山田節男

    ○山田節男君 それからもう一つ、これはあなた官営であつた場合の役人としておやりになつたのですが、これは特に公社なつた場合には、少くとも電話をよく利用する人、たくさん利用する人は、いわゆるお得意である、こういうふうに見なくちやならない。そういう意味からすると、これは古川教授の御意見もありますが、これは利用度の高い加入者に対しては、やはりこの逓減制をとるほうが正当ではないか。これはアメリカで通信料金で一番やかましく言うのはジャストアンドリーズナブル、これがすべての料金の根本になつておる。そういう観念から行きましても、公衆電話利用者、これは全部顧客であるという見地に立たなければ前垂れになつたことにならない。そういう建前から申しますと、私は古川公述人の御意見にもかかわらず、むしろ私は度数料金の逓減制はそういう立場から正しいのではないか。それによつてむしろ収入結論的には多くなるのではないかと、かように思のうですが、あなたは過去の経験者としてこの逓減制についてはどういうふうにお考えになりますか。
  26. 進藤誠一

    公述人進藤誠一君) その点につきましては、私は大口の逓減は理由付ける理由はないと思います。というのは、長距離逓減というようなことはこれは汽車でもやつております。何でもやつておりますが、電話の場合は度数のほうは使えば使うほど手数がかかり、たくさん使うから手数が省けるとかいうものじやなく、むしろ機械はどんどんいたむのですから、大口を特に安くという理由は出て来ないのです。ただ今おつしやる通り商売であればこれはやるでしよう。これが電電公社会社つたらこれは必ずやります。これはおつしやる通りです。商売から言えばお得意様を大事にして安くするということはそれは私は商売としてはやると思いますが、公共事業としはやる場合は理由がないと考えております。
  27. 山田節男

    ○山田節男君 逓減制には反対ですか。
  28. 進藤誠一

    公述人進藤誠一君) 反対です。但しこういうことはあります。今日の電話の状況におきまして大体八度ぐらいが平均なんであつて、二十度ぐらい使うのは、これは公社でもこれは必ず一個じや足らんのだから二個にする、増設をやらなければならん。ところがそれがなかなか増設の予算がないものですから二十度以上はたくさんある。あるということは、むしろ変態なんです。アメリカのごとき非常にたくさんな業者の場合は安くしておりますが、そんなのは日本にはないのです。向うは言えばすぐ作るのですから。ですから日本のごとき今の状態におきましては、一時的にこれは私は商売と言わず、政治的にこの際取上げる理由はないのじやないか。そこでこの際大幅に上げる場合の緩和策として、又民間がどうしても民間経済から言つて一時に非常に負担がかかるということはこれは忍びないことと思いますから、一応それを逓減して、そうして将来今の一つのプランとして増設をしてずつと利用度を減して行くというようにして行くべきものである。そういう一時の策としては私はまあやつても差支えないかと思いますが、理由はない、こういう考えであります。
  29. 小林孝平

    ○小林孝平君 進藤さんにちよつとお伺いいたしますけれども、先ほどのお話に五ヵ年計画を六ヵ年なり七ヵ年計画にするというような考え方はまあ許されないというような非常に強く言い切られておつたように思いますが、私は料金が非常にいろいろ問題になつておるときであるから、もう少し料金を下げて期間を延ばしてこの計画を達成するというような考え方もあながち悪くないことと思います。先はどのお話では非常に強く言い切られたのですが、特にそういう理由はございますか。
  30. 進藤誠一

    公述人進藤誠一君) その点は私はやはりその通りであります。というのは、五ヵ年計画内容を見ますと、一体公社はもつと大きな計画でもつとスピードを早く改善する、そうしなければ今の国民の要望には副えないのであります。そういう案があつたのでだんだんいろいろな点から計画が小さくなつてやつと今日の、最小限度に縮小されたのがこの案であります。この案を御覧になつてもおわかりになりますが、現在東京都内におかれている荻窪とか荏原とかいうのは全然新たにつかない。つくのはいつになるかというと、三年か四年先でなければつかない現状であります。これにつきましては非常な陳情がありますが、それでさえも五年目の最後に、三十二年目の最後にやつと顔を出しているというような、こんなことで、こういう現状から見て駄目じやないか。そこでこれを早くすることこそ必要で、五年を六年、七年にしたらばこれはとても駄目じやないか。そういう意味内容を見たからこれは延ばすことは適当でない。同時にもう一つ申上げなければならんのは、この案は公社とすればだんだん縮小した最後の線であるということと、この計画については金融統制をしている大蔵大臣、政府もこれをさせることは認めた。但しそれを遂行する上においての財源として、国家資金でやつて行くのをやめて値上げでやれというのが、その資金調達計画において政府の拘束を受けたけれども、計画を減すということは政府もしていない。今後減すということが問題になると、これはどうかと思いますので、減らさないでむしろ料金が幾らか上るということなら、そのものには最初の計画のごとき国家資金を持つて来るということで、この遂行をば阻止せんようにしたはうがよい、かように考えます。
  31. 久保等

    ○久保等君 余り時間がないようですから、石橋さんに一つだけ御質問申上げたいと思いますが、非常に貿易商社の立場等に立つて考えた場合には、いわば営業費の中で占める通信費の率というものは極めて高率であるし、非常に料金値上げということによつてもたらされる影響というものは特別に甚大であるから、そういう観点で料金値上げの問題について御反対のような御意見つたのですが、結論的に全面的に御反対とも実は受取れたのですけれども、特に通信に対する重要度というものは、先ほどいろいろ貴重な御意見を承わつたわけで、日本の今後の貿易立国というような立場から考えた場合には、特に通信というものに対しては非常に国家的な立場から政府自体が積極的な施策を実施すべきじやないかというような御意見つたのです。従つて建設等の工事については、政府資金によつて賄うのが至当じやないかという御意見もあつたのですが、併しながら従来円滑になかなか日本通信というものがうまく行つておらないという点で、非常に熾烈な御意見もお持ちになつておるかと思うのですが、特に昨年国際電信電話株式会社の発足に当つて、できるだけ今日の電気通信事業を何とか円滑に切換えるという意味で、この際思い切つて政府事業を株式会社にしたほうがいいのじやないかという御意見もお持ちになつてつたと承わるのですが、そういう観点からいたしますと、通信のような今日のような非常に話中が多い、或いは又なかなかどうも時間がかかつて通話できないというような実情等が、特に貿易なんかの場合には時期を失するということになりますと、むしろ金に代えられない非常に莫大な損失を受けると思う。そういう面に対しての非常に通信に対する今日の不自由な実情について日頃いろいろ痛感しおられる思うのですが、そういう立場から考えて、なおかつ料金値上げという問題についてはむしろ全面的に反対だという形で、できることならば政府資金という御意見つたのですが、仮に政府資金というようなこともこれは結論的に無理だということになつた場合には、これはなおかつそういう実情にあつて料金値上げ一つ遠慮してもらいたい。かく論ずるならば、今日のような実情に若干甘んじても或いは止むを得ないというようにまでお考えなのか。それとも料金値上げ、先ほど梅田さんのほうでは一五%くらいというような妥協のような御意見も出ておりましたが、石橋さんはそのあたり結論的に言つて政府資金というようなことが非常に困難だというような状態に立至つた場合に、一体それでも料金値上げは全面的に反対なりというお気持なのかどうなのか、ちよつと一言結論的に御意見をお聞かせ願いたい。
  32. 石橋鎮雄

    公述人(石橋鎮雄君) お答えいたします。現在の電話の状態が非常に貧弱で、貿易商社のみならず国民全体が今非常に不自由を感じているということは私も同感でありますが、それだから電話施設を拡張し改良するということは全面的に私は賛成します。併し拡張資金をこの料金値上げの金額で設備を建設するということについて、私たち非常に異議を持つておる次第でございまして、それで値上げそのものについては反対をいたしませんけれども、値上げの分はどうしても国家資金利用してやつてもらいたいという私の考えでございます。それには、我々みたいに月に九百回から一千回とかける貿易商社は、料率を是非逓減してもらわんと、今のこの貿易の競争の激甚なるときには、とても外国の商社とタイアップできませんので、改良はしなければならんけれども、余り料金値上げしてもらつてはちよつと私たちやつて行けませんから、そこだけそれは政府におきまして、政府資金を是非大蔵省と折衝して、それで公社のかたの御負担でやつてもらいたいと思います。もう少し努力してもらつたら、郵政省にはたくさん金がございますが、その金を一つ公社のほうへ廻す熱意が、私は公社のかたと郵政省にまだ足らんじやないかと思いますですが、その点どうでしよう。
  33. 久保等

    ○久保等君 重ねてもう一遍ちよつとお尋ねいたしたいんですが、確かに私どもも料金値上げという問題については、非常に以てのほかだと実は私個人的な考え方を持つているんですが、この経営という問題については私ども以上に、特に石橋さん等におかれても、事業の性格は別としても、経営という問題については非常に御造詣深いと思うのですが、この問題はそういう形で本筋を追つて、いろいろ資金面の調達について努力をする、併し利用者立場でそれなら飽くまでそういう形でやつてもらいたいという気持はあるでしようが、併し若しそのことがうまく行かないとした場合に、なお且つ現状の不便不自由さを忍ぶその打撃という問題は、これは特に日常直接通信の恩恵といいますか、通信利用なされておられる立場というものは堪えがたい今日の非常な不便さ不自由さというものがあると私は考える。特に商売といいますか、外国相手の通信というようなことになつて参りますと、それによる料金の問題とか、或いは若干逓減するという問題以上に商機を失するという問題か、貿易ということの立場からすれば非常に重大な致命的な問題じやないかと思うのであります。昨年国際電信電話株式会社法案国会でいろいろ論議されましたときに、そういつた問題が、非常に瞬時を争う通信という致命的な立場からいろいろ御意見を承わつたこともあるのでありますが、それはひとり国際通信に限らず、国内通信においてもそうだと思うのであります。併し国内通信以上に各般の劣悪なる状態の下に置かれている今日の貿易の振興からして、そういう場合に通信の生命は、実はそういつた非常に瞬時を争う、敏速を要するという問題が、まあこういう表現をすると問題かと思いますが、料金以上の非常に重要性があるわけじやないかというように考えるわけです。そういう立場に立つて考えた場合に、現状をどうして打開するかという場合に、まあ最悪の場合、やはり資金調達がうまく行かないならば、まあまあ現在のところ一つ抑えてやつてもらいたいということでもよろしいのかということを、私ども直接通信というものについての御理解が特におありになる立場だと考えますので、その点ちよつと肚をお聞きいたしたいという意味で、実は御質問申上げているわけなんですがね。
  34. 石橋鎮雄

    公述人(石橋鎮雄君) 只今の現状から見まして、とても電話が不便であるということは再々申しました通りでありますけれども、ここに何とかしてあなたのお力で政府の資金を取つて、これは料金値上げして建設するということ自体がどうも私はいかん。これは一つ久保委員のお力によつてこの料金を二割五分とおつしやいましたが、それを半分ぐらい値上げして、あとの半分は政府資金を大蔵省より取つて、そうして建設資金のほうに持つて行くというふうに是非お願いいたしたいと思うのであります。
  35. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) これにて午前は休憩をいたしまして、午後一時半から引続いて開会いたしたいと思います    午後零時四十五分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  36. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 午前に引続き公聴会を続行いたします。  それでは東京商工会議所議員能勢昌雄さんにお願いいたします。
  37. 能勢昌雄

    公述人(能勢昌雄君) 本日電信電話三つ法律関連して、お呼出を受けて参つたわけでありますが、そのうちに含まれております主として電信電話料金の問題について所感を申上げたいと思います。私事でございますけれども、昨日旅行から帰りましたので、十分な資料を整えておりませんので、甚だ申訳ございませんが、お許しを願います。旅行中に頂戴しましたいろいろの資料をずつと読んでみまして、電電公社の、何故に料金を上げなければならないかと、この法律の中に含まれております料金値上げの問題につきましての説明、又その値上げをした料金の用途というようなものにつきましてずつと拝読をいたしましたのですが、私も遺憾ながら専門的知識を持ちませんが、その一応の御説明は、よく納得が行くように感じられたのであります。ただ問題は幾つか残されておりますので、その点につきまして所感を申上げたいと存じます。多少順序は不同いたしますが、お許しを願います。  第一に、こういう公益事業料金というようなものは、できるだけ上げないのがよいということはもう問題のないことであります。併しながら、電信電話、特に電話の現在の需給或いはサービス等の状況からして、最も早い時期にこれをよく改良したいということが主なる目的で、その資金加入者料金引上げに求められているわけであります。先ほど申しましたように、その目的はよくわかりますが、私どもの遺憾としますところは、実に料金値上げのみに主たる財源を求めるというところにあるのでございまして、これは先ほど午前の公聴会のおしまいにちよつとお笑声の中に承わりました妥協的な案と申しますか、そういうようなお話がありましたが、私はこういう問題は、殊に電電公社というような会社組織のものができてやつている以上は、その会社の努力、そうして特別な公共事業である性質上、政府のやはり協力、助力といいますか支援、そうして一般加入者、それは既設加入者並びに新らしい加入者を含めての加入者の負担によつてやるのが一番いいのじやないかと思うのであります。ところが原案を見てみますと、殊に今回提出されます法律内容を見ますと、政府資金はこの前の不成立の予算にあつたものも今回はなくなつたように拝見するのであります。又電電公社自体の発足以来の各方面に対する御努力は伺つておりますし、又この書類を見ましても、ほかの公益事業に比べてベースの低つた従業員の手当についても、殆んどそれに同等な程度まで改善した。又私は直接存じませんが、伺うところによると、その従業員に対する厚生施設のごときもなかなか行届いた、他の官庁にも見られないほど立派なものがあるやに承わつております。又電話サービス、その他につきましても、恐らく非常な御努力の結果、伺うところによると只今では経理上も収支相償つている状態であることは、その御努力も認められるのでありますが、今回新らしく五ヵ年計画を御立案になりまして、新らしい架設の増加、又そのほかサービスの改善のみならず、従来独立会計自体に、国家にその利益を吸収されていたために不完全であつた資産に対する償却の補い、又もう一つ、将来の政府借入金或いは一般の社債等の返却というそれに対する基金、その積立というところまで、すべての行届いた案をお立てになつて、そうして先ほど申しましたように、それを加入者、殊に利用度の高い加入者の最高の負担によつてつて行こうという案につきましては、その資金調達の方法並びに値上げの手段その他につきまして、我々は一応危惧を持つ、不満を感ずる次第でございます。一般普通の事業界におきましても同じでありますが、こういう大きな事業計画は、やはり五年とか十年とか長期計画を立ててやつて行かなければいけないのであるという御説もよくわかるのでありますけれども、我々の法人といたしましても、一どきに建物を立てましてやつたほうが経済的であるということがはつきりわかりましても、やはりない袖は振れないというわけで、適当な、自分の力に応じた程度にとどめて、遺憾ながら不経済でもその次に次の計画を立てて行かなければならぬというのが実情であるように感ずるのであります。殊に昨今一般経済情勢は我々のほうの商業者というほうからとりましても、すでに行詰りの状態で、近く不振の徴候が明らかに出ておる際、更に又一般中小業者におきましてはいろいろ御経営の苦しいということを耳にしております。折柄、先ほどもお話がありました国の政策としての貿易の伸展というような問題から考えましても、非常に値上げをして加入者に負担をさせるのには時期が悪いのではないかという感じがいたします。で、いろいろの書類を読んで見ますと、一般物価の値上りに比べて電話料金は非常に低いということでありますが、今度予定されておりますように値上げがなると、相当ランキングは上のほうに、一般公益事業のうちでもなるわけであります。それと、低いものは上げたらいいということになりますと、又一般の水準が上るというわけになりまして、非常にほかに影響するところが多いのではないか、こう感ずる次第でありますし、又電話料金というものは、我々がそう大して過重な負担を感じずに払えるものだというようなお説もございます。私の関係いたしております百貨店業界におきましても、成るほど全体の営業費の中で占めます電話料金割合というものはさほど高いものではないようであります。併しながら我が国全体の電話料金改正されるということになると、今日憂えられておりますインフレ的な物価高に影響がないとは決して申せないのであります。非常に電話料金というものがポピュラーなものでありますだけに、電話賃まで倍になりましたからということで、相当いろいろなものの値上りに影響することは否定できないのではないか。その電話料そのものはすぐに物価高に割込んで、その他の値が上がるということは或る業態においてはありますし、或る業態においてはないかも知れませんが、併し一つの物価高になる口切りをするということは一応考えてもいいのではないかと思うのであります。又先ほどその計画の中で申しました将来の公債の返済でありますとか、或いは従来の不十分であつた償却をこの際に或る程度カバーして行くということは、もとよりそれは結構なことでありますけれども、これ又やはりこういう時期、又非常に一般経済から見ましてやりにくいときに、そこまで十分に考えるということも無理があるのではないか。例えば或る会社で、従業員がベース・アップをしてもらいたいというときに、今は独身ですが来年は家内をもらいます、その翌年は子供ができます、間もなく学校へ行きますから、その基金を溜めるために今からベース・アップをしてもらいたいと言つても、なかなか応じられ得るものではないと思います。つまりそれを言い換えますと、今日の我が国の経済では、なかなか長期長期と言つても、五ヵ年でもかなり長期でありますが、一年先の計画も立てにくい時期でありますので、私は五カ年の計画を、而も相当理想的な計画を、電電公社のほうに申させれば決して理想的でないということが書いてありますが、まあ一応理想的な案をお立てになつて、それを利用度の高い加入者の負担のみによつてつて行くということでなく、当初申しましたように国家投資も最も困難なときではありますけれども、或る程度お気張りを願うし、又電電公社内容も我々ははつきり存じませんが、先ほど申しましたような、着々として順調な足取りを辿つておいでになるのを、更に掘下げて始末すべきところは始末する、或いは繰延べられる事業は繰延べるというようなことにして、業者も或る程度の負担は止むを得ないというようにして計画をもう一遍立案されて、そうして堪え得るようにして、そうして世の中に影響が少いようにして値段を上げることがどうかと思います。成るほど外国に比べて低いと申しましても、電話の数そのほか利用度等において外国と遜色があると申しましても、電話だけが完全になりましても、立派な洋服を来てぼろの靴を履いているのと同じでありますから、やはり国民全体の経済力にバランスした程度電信電話もよくなつて行くということが我々としては辛抱をしなければならん陳じやないか、こう考える次第でございます。社債の点についても、非常に今は募集しにくい時期だということも何かパンフレットにありましたようですが、そのことは何を物語るかというと、やはり高い料金を払いにくいときだということと同じだろうと思います。やはり経済状態がなかなか資材を集めにくいということと同じで、やはり我が国の経済の現状が必ずしも順調でないということが期せずして書いてあるのだと思うのでございます。そういう意味におきまして私は重ねて申しますが、やはり政府の助力出資、そうして電電公社の更に掘下げた合理化と申しますか、それと加入者、新加入者との負担というものを併せて、そうして全体の枠は今日の経済状態を考えて或る程度引下げて行く、そうして一歩々々と言うては消極的でありますけれども、それで行ける最大限度、ほかとのバランスのとれる最大限度の改良をして頂くということが最も穏当ではないかと考える次第であります。  一言所感を述べた次第であります。
  38. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。   —————————————
  39. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に全国電気通信労働組合中央執行委員長石川反正さんにお願いいたします。
  40. 石川辰正

    公述人(石川辰正君) 私は只今御紹介を受けました全国電気通信労働組合の副執行委員長石川辰正でございます。議題となつておりまする三法案について意見を述べたいと思いますが、時間の関係もございますので、私どもの最も関心を持つておりまする公衆電気通信法第百五条の構内交換設備、いわゆるPBXの問題と料金問題に絞つて申述べたいと存じます。先ず百五条のPBXにつきましては、いわゆる自営もできるようになつていますが、すでに第十三国会、第十五国会でも大いに問題となり、慎重審議が行われまして、法案は両国会において成立しなかつたわけでございますが、このような専門的な問題について国会において慎重審議されましたことに深甚の敬意を表すると共に、三度私どもは電信電話事業に直接携わつておる従業員といたしまして、特に純技術的な立場から反対をいたす次第でございます。純技術的な立場から反対するということは、ただ単にPBXが民間に取られるといつた官僚的な繩張根生やイデオロギー的にこうしたものに反対する、そういう観点からでなくて、電話は神経系統と言われますように、電気、ガス、鉄道と一見似ているようでございますが、機械の設置、保守、運営、これを統一して行わないと神経全体が統一して働かない、従つてサービスも悪くなるので、どうしたらサービスをよくすることができるかと、こういつた技術的な見地から申上げるわけでございます。御承知の通りPBXは戦前全国で三百余りの団体において小企業形態の工事業者の方々が工事並びに保守に当つてつたのでありましたが、昭和十八年の十二月に全国の業者を統合して資材、計画等の一元化を図る目的で日本電話設備会社が創立され、逓信省監督の下にPBXの工事運営を行なつて参りました。併し統一された設備会社ができましても、実際との当時の実情を見ますると、依然として完全な一元化はできず、いろいろな問題があつたのではないかというふうに存じております。昭和二十三年三月にGHQの覚書によりまして、この設備会社逓信省へ接収することが指示され、二年後の二十五年五月電通省に移管され、電話事業の一元化の見地から直営でやつて参りました。昨年八月電通省が電電公社となりましてからも、ずつとこの方針で今日に至つておるわけでございます。GHQがこのような指示を出しました理由独占企業の禁止という当時の占領政策の一環からというよりも、この際にはアメリカの電信電話関係の専門家、民間人でございますが、民間人の専門家が参りまして、日本のPBXの現状を把握して、その上に立つて、第一には、日本では機械、機器の標準化、統一制がとれていないのでサービスも悪い、電話事業は局内の機械、線路、中継線、PBX、端末電話等が一体として経営され、扱われなければならんという、こういう理由が大きな理由であるというように承知いたしております。これは甚だ抽象的でわかりにくいかと存じますが、一例を挙げますると、当時構内交換機の型が全く多種多様で、全国で一台しかない、乃至は三台、数台しかないという型もありました。又端末の電話機、いわゆる普通の受話機でございますが、規格品が十七種、規格外が百五種もあつて、更に交換機の部品等を調べて見ますると、継電機というものだけとりましても千百七十一品種というように非常にばらばらであつたという実情であつたというので、このような実情では日本のPBXは発展し得ないという技術的な立場が大きな理由であつたというふうに承知をいたしております。第二の理由といたしましては、民営の場合には工事に重点が置かれて日常の保守が完全に行われない。従つてPBXの故障の率が非常に多くなる。第三番目には、個々の業者のかたに民営として行わしめると、先ほど申しましたように標準の維持もできない。若しこれを監督するということになりますれば電通省なり、電電公社監督範囲が広くなり、監督費も高くなるから経営上無駄である、このような技術的な、経営的な面からGHQの措置がとられたのであります。私どもアメリカ人の行なつたことは何でもいいとか、或いは何でも悪いというのでなく、更に又占領措置であつたからこの際これを元へ戻さなければならん、いや戻さなくてもいい、こういう議論をやめまして、電話事業の技術的な特質からこの問題を検討して行かなければならんと考える次第でございます。  そこでいま少し詳しく私どもの主張でありまする公社で一元的に運営したほうがよいという理由を技術的に申述べますと、公社が一元的に運営いたしますれば、交換機の規格も統一されて参ります。よく検査を経た機械を用いますし、又工事も一元化されました標準工事法で工事いたしますので、且つ又その工事をやる従業員、これを保守する従業員は公社の教育機関である学園なり現場訓練等でよく教育をしております。設備会社から受入れました従業員の諸君は千五、六百人おるというふうに考えますが、このうち半分はすでに一ヵ月ぐらいの訓練を経て年々刻々と進歩する技術に対応し得るように訓練をしておるわけですが、この従業員が工事をする。而も工事をするときから、いずれ自分たちでこれを保守して行かなけりやならん、将来の長い間の保守、更に交換機の価格のことまで考えてやりますので、電話加入者のかたに対するサービスはこれに優る方法はないと考えるわけであります。電話は電燈と異なりましてちよつと引込線を引いて来れば話ができるというような簡単なものでなくて、交換機、線路、端末の電話機の全部が全部良好な状態に置かれなければ話がうまく通じない。若し一つのビルディングなり、一つのホテルのPBXが調子が悪いということになれば、そこへかける相手方の加入者のかたも電池の事情一つによりましても或いは一つの部分品がうまく行かなくても微妙な弱電流でございますので、話がうまく通じない、相手方にも迷惑をかける、加入者全般に迷惑をかけるというような点からいたしまして、どうしても一元的にこれを運営しなければならんと考えるわけでございます。これが証拠といたしまして、故障の率は直営は自営の度合に比較しまして約三分の一に済んでおるというような点がよく明瞭にこの根拠を物語つておるのではないかというふうに考えます。尤も私どもの主張に対しましていろいろな御意見も問いおります。或いは加入者がPBXを申込みましてもなかなか開通しなかつた公社は予算の枠があるから自分資金でどんどんPBXを付けたらいいじやないかと、こういう議論もあるかと思いますが、併し今までPBXが、工事が遅れたという主な原因は、むしろPBXそのものにあつたのでなくて、肝心のもとになります基本設備でありまする電話局が足らない、電話局の交換機やケーブル線が不足であつた、こういうところからして主な原因があつたのではないかというふうに考えます。現に、設備会社を受入れました当時には、公社の直営によりますのは千三百九十件でありました。受託をされましたのが七千二百四十一件、一六%に八四%という比率でございましたが、二十七年の三月に至りましては、公社の直営が四千四百四十六件、委託を受けてやつておるのが五千六百五十五件、四五%に五五%、二十八年の三月には更に公社直営は五千件を突破いたしまして、ほぼ同じような。パ一セントになつて来るというふうに考えるわけでございます。その上、受け継いだものの中には、先ほど申しましたような規格品がばらばらとか、非常に傷んだ機械も老朽な機械もある。これらの取替に鋭意終戦以来当つて来たというような点から工事もうまく行かなかつたというふうに考えるわけであります。勿論電通省当時、官僚的な手続等もあつたことは否めないと思いますが、その公社となりまして手続の簡素化、資材の配備或いはサービス・カー等を設けまして、故障にもすぐ器具を積んで、そのままサービス・カーが走つて行けば故障も直し得るというような、こうしたサービスの点も改善されつありますので、こうした御意見に対しましては、逐次急速な要望に副い得るというふうに考えます。従つて先ほど申しましたように、電燈線のような調子には行かない。或いはラジオのセットを買つて来てソケツトを電燈線に突込めばすぐラジオが聞えるという簡単なものではないので、どうしても先ほど言つたような一元化が必要である。仮に自営ができる、自分でPBXを付けたい場合に自分で付けるというようになつた場合、成るほどPBXだけは、構内交換機だけはできましてもとのほうの電話局なり、電話局の交換機或いはケーブル線がないということになれば、PBXは付けたが電話局に通じない、話ができないというようなこういう現象が起きて、加入者のかたは早く何とかしたいというのでPBXだけを付けて、それからあとは困るというような現象が起きて来るのでは、却つて加入者のかたにサービスが悪くなるのではないかという点が心配されるのでございます。それよりも、成るほど一定の枠はございますが、建設資金計画を立てまして、これだけは電話局の基本設備に使う、これだけはPBXといつた工合に、計画的に資金を運用して逐次発展さしたほうが非常にうまく行くというふうに考えます。二十七年度の公社の建設資金も約四百億円近くの中でPBXの建設資金は十二億七千万、これでいわゆる甲種増設が三万三千個、乙種増設が四万四千個できておりますが、このような建設資金のバランスになつておりますので、仮に十二億まるまる基本設備に廻しましても全体から見れば極めて僅かな。パーセントでございますので、それよりもむしろ計画的に、先ほど申しましたように基本設備とPBXとバランスのとれた総合された建設をやつたほうが電話の発展のためには非常にいいのではないかというふうに信じております。或いは御意見の中に公社と民間に競争をさしたほうがよいだろうという意見もあると思いますが、物品製造や商業面では成るほどよいかも知れませんが、先ほど申しました通り、たとえ一定の技術水準を設けましても、やはり或る程度の設計基準なり或る程度の工程基準か抽象的な条文でしかできないというようなことも考えますれば、やはり規格が崩れて標準化が乱れて来るのが必至ではないか。これは民間のかたを信用しないというわけではございませんが、将来の長い間の保守交換のことを考えまして、同じ経営体で同じ公社の職員が工事をする場合と、そうでない場合といたしましては、おのずから人情といたしまして境が生じて来るのではないかというふうに考えるわけであります。なお現に先ほど申しました通り電話設備会社から電通省へ引継がれた従業員の諸君が約千五、六百名公社におりますが、この受入の際にはいろいろ不利な受入条件、労働条件等がありまして、相当問題があつて引継がれたのでございますが、公社自身もPBX事業をみずから担当いたしまして、電話を愛する技術者といたしまして真剣に考えまして一致して一元化に賛成し、今度の法案に反対しておるということを申添えておきたいと存じます。なお電気器具関係電気関係、電線関係の労働組合の諸君とも私ども密接な連絡をとつておりますが、私が先ほど申しましたように、計画的な発展というものがメーカー側の労働者の諸君から考えた場合でもいいというような御意見も受け、全面的な賛意を受けておる点も申添えておきたいと存じます。  更に、いろいろな御意見の中で、加入者設備費を負担するわけでございますが、この所有権が公社に移つてしまう、これを譲り渡すなり、売買をしたいという際にもできないという意見もございますが、この点につきましては、施行法三十条に、社債の引受が相当大幅に認められるようになつておりますので、かなりこれは緩和されて来るというふうに考えておるわけであります。而も成るほど所有権は譲れなくても、将来一度PBXの加入者に相成りますれば、その機械が古くなり或いは故障になるという場合にも、これを取替えるなり公社の手で保守を無料でいたしますので、あながちこういう意見も当らないのではないかというふうに考えます。又自営を許すということになりますると、勢い監督もしなければならない。併し監督するには結局公社の職員がやることになつて来ると思いますが、昭和二十四年当時、丁度先ほど申しましたGHQの指示が出まして、その後いろいろやられました際にも、アメリカの専門家の意見によりますれば、昭和二十四年当時でも監督費が五億円は必要である、こう言つております。現在の価格に直しますれば、恐らく十億円を突破するのではないかと思いますが、そういたしますと、昨年のPBXの建設資金は十二億七千万円ございますので、監督費だけでほぼ一年間の建設資金が出て参りますので、むしろそういう監督費なり監督する人というものは事業の拡張のほうへ廻し、それだけの金があるならば建設資金のほうへ廻すべきであるというように考えまして、これは後ほどの料金問題にも関係いたしますが、十億円の監督費が必要であるということになれば、これが公社の支出になつて参りますので、料金にも影響が来るというような点からいたしましても、この点は考えなければならんのではないかというふうに考えております。  いろいろ申述べましたが、世界各国を見ましても、官営或いは民営で電話をやつておりますが、民営でやつておる所にいたしましても、或いは官営でやつておる所にいたしましても、いずれにいたしましても、PBXを二元的に経営している例はございません。その経営主体が一元的に経営しておるのでありまして、世界各国を眺めましてもこういう例はないのでございます。而も電電公社が出来ました理由は、電信電話事業を、公共性を保ちつつ企業的能率的に経営することが眠目でありまして、PBXの一元的に経営されるようになつたの昭和二十五年五月で、僅か三年を経たばかりでございます。公社になつてからもまだ一年になつておらないという、こうした事情からいたしまして、折角企業的能率的な経営を行おうという建前公社、而も又努力をいたしておりまする公社並びにその従業員の熱意をくんで、私どもは無論この百五条には真向から反対いたしますが、少くとも今暫らくPBXを一元的に経営せしめて、なおその上でも悪いというようなときには、その際いろんな御非難なり、違つた方法があればこれは我々としても何とも言いようのない話でございますので、折角公社なつた際でございますので、少くとも今暫らくの間は現在の経営方式をとるということが、電話をスムースに運営し、電話の発展の上に必要ではないかと存じますので、この点を申し添えておきたいと存じます。  次に、電信電話料金改訂の問題でございますが、これは本質的には政府の通信政策の問題であると存じます。いろいろ今出ておりまする数字等もございますが、この通信政策を衝いて、この政策がいいか悪いか、単なる現象面でなくて、通信政策を見なければ私はこの料金問題の本質を衝いた議論にならないというふうに考えます。今日特に電話が引けない、かからないという非難或いは輿論があるのは、先ほどからも申されまして周知の事実でございます。私どもも約二、三年前から、建設的な電信電話再建運動を展開いたしております。昭和十六年に百六万個の電話加入者がありましたが、戦災等のために昭和二十年には約半分となり、爾来逐次復興いたしまして、現在では百五十五万個となつて参りまして、昭和十六年に較比いたしまして約一五〇%と増加をして参りました。併し、なお電話を引きたいという需要者が八十六万人と言われ、潜在需要を合せれば恐らく二百万程度になるのではないかというように私どもでは計算をいたしております。この電話が引けないという非難が、結局実際仕事をやつておりまする電話局の窓口の加入係の諸君、或いは交換手の諸君が受けておりますので、私どもも何とかこれはいたさなければならないと考えているわけでございますが、何といたしましても労働組合でございまして、経営権がない。経営権の問題にもタッチができないというわけで甚だ遺憾に存じておりますが、問題は、只今も申上げましたような通信政策の問題であるというふうに考えます。御承知の通り昭和九年から十九年にかけまして一般会計並びに臨時軍事費へ十二億三千万円、現在の貨幣価値にいたしますれば約二千五百億円ぐらいになるかと思いますが、これが繰入で一般会計の戦争遂行の犠牲になつて参りました。而もその上に戦災で先ほど申しましたように電話がだんだんやられて、或いは又戦時中にとにかく資材がない時代であるから間に合せでやつて行けということになりまして、ケーブル線を引かなければならんところをコム線でやる、銅線でやらなければならんところを鉄線でやる。ケーブルにいたしましても或いは鉛がないからお粗末なケーブルでやつて行くというようなことからいたしまして、今日障害が頻りに起る不良施設が非常に多い。これがそのまま残つておる。こういうものを取替えなければならんというので特別償却として今年度だけでも二十七億円計上されておるわけですが、普通償却以外にこれをやらなければならんというのはそういうところにも原因がある。一方電話に対する先ほど申上げました不満の声を解消するには、何とかしなければならんというので、公社経営者といたしましては五カ年計画を立てていますが、最初は五カ年で加入電話百万個、それに応ずる中継線を殖やすというのが資金面でいういろいろ行詰りまして、当初七百億という計画であつたの資金面のためにだんだん縮小されまして、ここに出ております五カ年計画は、五年間で七十万個の加入電話を作るというような事情になつて来ております。私どもこの電話の需要が多いがなかなか引けないというこの声を解消するのには、どうしても只今のような縮小された計画でなくして、もつと少くとも最初の計画ぐらいなければなかなか解消ができないというふうに全面的に考えております。この出ました五カ年計画を六カ年なり七ヵ年に延ばしれらというような御意見もあろうかと思います。例えば五カ年七十万個を、七年にすれば毎年十万個ずつでいいじやないか。五カ年七十万個だと毎年十四万個でありますが、七年ならば十万個でいいじやないか、こういう算術的な計算はちよつとできかねる問題でありまして、どうしてもいろいろな施設が古くなつて来る、拡張もしなければならない、ところが今電話が一本も引けないという電話局が全国にたくさんあるのでございます。この計画が縮められ、予算が縮められては、勢い新らしい電話局を共電式を自動式にするということにも行かないので継ぎ足しの工事をやつて行く、或いは最初からこの地方にはどれだけの加入者が三年後にはあるから、五年後にはあるからこの際百対のケーブルを引きたいというところだが五十対で我慢しよう、それからもう二、三年たつてから五十対補充するという、そういう無駄が生じますので、そういうふうなことは算術的な計算ではできないわけであります。このような事情に合わせまして昭和二十六年度には運用部資金から百六十億、昭和二十七年度には百三十五億入つたのであります。且つ又不成立予算では四十億円の運用部資金が計上されておつたのが、今回出された案ではゼロになつて来ているというところに問題があるのではないか。公社になりまして社債が発行できるということは有利な点でございまするが、社債には一定の限度がございます。而も利子が高くなり、利子の支払額も殖えて来る。今年度予算でも利子は債券取扱費を含めまして四十一億となつておりますし、社債の場合は元金の償還も考えなければならない。どうしても私どもといたしましては、本来ならば利子のない資金を持つて来て頂くのが妥当かと思いますが、そういうわけにも行かなければ、少くとも低利長期の運用部資金を政府が考えて然るべきではないかというように考えます。そういう点が政策のほうで行われないので勢い料金値上げということになつて来て、公社経営者といたしましては、極めて安易な途と言うと語弊がありましようが、政府の政策上止むを得ずそういうような案を出して来たのじやないかと推察するわけでございます。電話施設の拡張改良をしようとする熱意は私ども全く同感でございますが、私どもといたしましては、こうした政府のやり方の政策というものについては納得ができないところであります。  更に電信電話事業も、先ほどから出ておりますように完全な独立採算制が布かれております。これは成るほど尤もな点でございますが、併し仔細に調べましたならば、勿論私どもも原則としては独立採算制は妥当だというふうに考えますが、仔細にいろいろ検討してみれば、やはり問題があるのじやないか。電報においては昭和二十六年度において五十六億の赤字が生じております。併し電報はその性質上世界各国どこでも殆ど赤字であるのが通例でございます。特に日本の場合はどんな山間僻地でも電報の届かない所はなく極めて公共性を発揮しているわけでございます。郵政省の特定郵便局、主といたしまして地方の町村でございますが、この特定郵便局で取扱う電報電話は郵政省と電電公社との間の協定によりまして電信電話料金は特定局で何と申しますか得ました、もつと平たく言えば、特定局で得ました、公衆から取りました、利用者からもらいました料金は、そのまま公社に入つて参りますが、今度公社から取扱費を郵政省のほうに支出をいたしております。昭和二十六年度の決算においても、電信三十億、これは先ほど申しました五十六億円の中に含まれておりますが、電信三十億、電話十五億円の赤字を出しておりますし、昭和二十七年度の決算はまだできておらないと思いますが、四十五億を突破して参ると思います。このような地方の電話或いは電信というものは極めて公共性がございますので、私ども事業の本質から当然取扱うべきであり、サービスをよくするのが当り前だというふうに考えます。そのほか電信電話事業には、これは額は大したことはございませんが、船舶通信の海岸局の通信といつたようなものも極めて公共性を発揮しておるわけでございますが、こういつたものにつきまして、勿論通信は連関性がございますが、地方の通信につきましても、都会と地方という、こういつた関係もございますので、これをまるまるというようなことはちよつと無理であると思いますが、こうした公共性のある面については一般会計から補填ということも必要ではないかというふうに存じております。或いは又今回の九州地方に大水害が起きまして電信電話関係の被害は相当厖大なものがあるわけでございまして、いずれ補正予算等が組まれるかと思いますが、結局公社自体の自前でやるということになります。道路などとは性質上ちよつとこれは比較しかねる問題でございますが、道路その他の被害のように国家の災害復旧費で復旧乃至は補助があるということになれば、これは他の一般電信電話利用者に負担をかけさせなくても済むのではないかというふうに考えるわけでございます。更に最近電信電話事業に特徴的に現われて参りましたことは、本年の四月一日から国際電信電話株式会社が発足いたしました。私ども第十三国会で、日本電信電話公社法、国際電信電話株式会社法が審議をされました際に、電信電話は国際、国内を切離せるものではなくて、一元的に運営すべきものであるという技術的な、経営的な建前から反対運動をいたして参りましたが遺憾ながら会社は発足いたしたわけでございます。当時国際電信電話事業で年間十数億円から二十億円利益があることは、審議の過程でも明瞭であつたというように承知をいたしておりますが、このように儲かる面が株式会社として切離され、いわゆる資本主義的な観点から儲かる面が株式会社になる。これによりまして、一部の資本家のかたがたは利益になつて来ると思いますが、こうした年二十億からのものが取られれば、それだけそのしわ寄せというものが今年度の予算案に現われて、これが料金の問題にも波及して来る。こういうような点からいたしまして、公共性のある事業が無視をされておる。その他請負工事を大幅にやらせますとか、或いは又電信電話事業の収益を上げている場面を一つ一つ切離す、先ほど申しましたような、PBXのようなものが切離されて行くという傾向は、一貫した通信政策がない。而も矛盾を生じておる問題でありますので、これは一般方々料金へもしわ寄せが来る。私はこういうことを御強調申上げたいと存じます。要するに、政府には公共性のある電信電話事業に対しまして一貫した政策がない。もつと絞つて電話の復興に対する熱意があるかどうかを疑うものでございます。  更に今申しましたように、公共性ある事業に資本主義的な態度で臨んでおるために、その矛盾が料金値上げとなつて来ておるわけでございますので、料金問題は、この政府の政策に私はメスを突つ込み私はこの政府の政策に反対をいたすものでございます。最近国会でも電通事業に対しましていろいろ御尽力を頂いておることを厚く感謝いたすものでございますが、例えば建設資金の面にいたしましても、政府資金による建設資金の増額が要望或いは決議がしばしばなされて参りました。最近では過ぐる第十五回国会において電話設備費の負担臨時措置法成立の際にも、この参議院の電通委員会で決議を頂いておるわけでございますが、それが一つも政府によつて実行されていない。従いまして建設資金を運用部資金なり国家資金で持つて来るということは甚だ言いやすく、言葉で言えば簡単でございますが、そうした政府の態度乃至は大蔵当局の態度からいたしますれば、甚だ言い過ぎであり、僭越であるかと存じますが、どうか具体的にどれだけ建設資金を持つて来る、そうして料金をどうするというような点まで国会の各位にこの点をお願いをいたしておきたいと存じます。これらの通信政策を改めまして、然る上に立つて料金原則の上に立つて適正な料金が打出されるというのであるならば、料金問題に対しても我々もイエスかノーかをはつきり言い得るわけでございますが、こうした政策そのものに我々は反対であり、そこに料金問題というものが露呈されて来る問題でありまするから、この政府の政策というものに反対し、これを改めて頂くことを結論といたしまして私の意見といたしたいと存じます。
  41. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。   —————————————
  42. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次には関西電話工事協会会長斎藤新三郎さんにお願いいたします。
  43. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今御紹介を得ました私は関西電話工事協会の斎藤でございます。前に私どももやはり逓信省の禄を食みまして奉職しておりました。その後民間に下りまして現在に至つておるわけでございます。本日通信に関する画期的な重要法案公聴会に参加することを得ましたのは、誠に私としましては光栄の至りでございまして、衷心から厚く御礼を申上げる次第でございます。  今回上程御審議中の三法案は、明治三十三年の電信法が未だに現行法となつておるのを時代に適合した法律案にしたということや、両通信法とも新憲法にふさわしく民主的になつたというようなことや、監督法と営業法とを分離して体系の整つた基本法ができたというようなことから考えまして、我々日常その業務に携わる者としましては、完璧ではありませんけれども、誠に立派な法律案ができましたということに対しまして賛意と喜びを持つものでございます。この三法案は総計百七十七条に亘つておる条文でございますので、これに関する意見は当然多種多様でございますが、他の専門のお方々がいろいろ御意見も述べられたことでもございますし、かたがた私に課せられました、求められましたと推定する問題は、料金とPBXの問題ではないかと考えますので、私は主としてこの二問題につきまして申上げるつもりでございます。料金について申上げます。現在電話の需要が非常に多い、市外通話が早くかからない、市内電話の話中率が多い、これを何とかしろという国民の声は、これは申すまでもなく非常に強いものでございますが、一方公社の現状では、設備償却、負債の返済や或いは建設改良資金の捻出、こういうようなことができずに、一面外部借入も困難だ、こういうような現状であるそうでございますが、これらの諸情勢から見まして、当然料金値上げする案が提出されたことだと考えまして、現状では誠に止むを得んことだと私ども考えております。ただ我々は最小限の値上げにとどめてもらいたい。又その後における建設やサービスを予定計画通り実現して頂きたい。或いは負担の公平を期してもらいたい。例えば負担の公平と申しますと、電信の赤字を電話利用者にかけている。或いは利用度の多い加入者に負担が偏在している。これも一面逓減制度の方法で何とか御検討願いたいと考える次第でございます。又一面地方地元民としましては、東京より大阪、神戸の復旧率が落ちているという声が相当強いのでございます。これらの点も御研究願いたいと私どもはお願いする次第でございます。  次に、今回の公衆通信法の第百五条、第百六条に織込まれましたPBXの問題について申上げたいと思います。只今石川さんから種々お話がございまして、その直後に私が述べますのは如何にも対蹠的でございますが、私どもの多年考えておりまするところを率直に申上げたいと存じます。このPBXを民間でやらせるという案は、これは多年利用者が非常に待望しておつたことでございまして、漸く今回法律案が上程せられまして、ここに御審議中でございますが、只今述べますようなよい特徴、よい点を持つているのでございます。第一は、公社加入者自営との二本建でありますから、需要家は公社と自営との自由選択が当然できまして発注ができるわけでございます。これは在来の独占の弊害が改善できまして、勢いサービスの向上や価格の勉強、こういうことが当然期せられるわけでございます。第二は、民間資本を利用できる結果、自然公社は公費を専らその基幹設備に充当できますから、電話復興が促進されると思います。第三は、現在は画一的の機械を使うような画一式でやつておられますが、これが法律通り実施されるときは、需要家の要求に応ずる機能のものを設備できますから、機械設備は当然改善進歩いたします。又需要家に勧めもしますし、納期にも早く行きますからこれも当然普及増加いたします。第四は、民間技術が活用されて電話復興に協力することになりますから、電話技術者の平和的総動員の体制がとられることになると思います。従つてこれに携わる全国何百という中小企業者や、何万という勤労者が浮び上りまして、慣れた昔の業務に携わることができる喜びを迎えることができるのであります。即ちこれら国民に所を得せしめる政治が布かれることになると思います。以上のようにPBXの民間開放ということは、利用者も民間技術者も最も望んでいることでございますが、只今意見もございましたように、とかくの風説を私どもも耳にいたすわけでございますが、例えば公社収入が減ずるではないか、こういうようなお説も聞きます。これは民間で勧めまして、増加するPBXに対するところの附加使用料というものを取りますが、その増加でも年額これは相当に増収になりますから、決して収入減と考える必要はないのじやないかと思います。或いは又民間にやらせると機械の悪いものを使つたり、工事が悪いじやないか、下手じやないか、こういうならば、これは第百五条の技術基準で詳しく規定されております。勿論機械公社の指定メーカーで、公社の指定の仕様書によつて作りました標準の規格品の検査済というものを使用することに当然なります。而もその設備の検査も、公社がやつて初めて開通ができるものでございますから、この心配は私はないと思います。又保存も一定の保守レベル標準いうものが当然考えられることと存じますので、何らこの点も心配ないと思います。それからよく分断されてばらばらになるじやないか、こういうのもございますが、これにつきましては、通信が有機的機能の必要であることや、或いは電燈やラジオと違つているということは、厳選されました電話技術者である以上皆承知済みでございますから、この懸念は毛頭ないものと思います。又公社の厳重な監督下で行われるので、公社はいつでもPBX設備につきましては臨検できるのでございますから、その心配はないと思います。又民間技術者も殆んど大部分が電通出身なのでございます。  次に、このPBX業務というものを一応お考え願いたいと思うわけでございますが、元来このPBX業務の性格上、これは民間でやりますれば極めてうまく行く適当な業務と私どもは考えております。これは過去四十五年間の民間でやりました実績が歴然として証明しておりますが、例えばテーブルの下にもぐつたり、天井裏にもぐつて配線をしなければならない仕事でございますので、或いは土曜日や日曜日に工事を開通させて月曜日の朝に間に合せる。夜でも昼でも故障が起きますと馳せつけて修理をさせるということになりますと、民間がやりますと勢い需要家の満足が得られるのではないかと我々は信じている次第ございます。  さて、法案実施に当りまして、私どもが希望しているところを諸先生にお願いしたい点がございます。第一は、八月一日にいよいよ実施になりますにつきましては、公衆通信法の第百五条に規定されております担任者の認定でございますが、この認定につきましては、前歴者はすべて認めて頂きたいとお願いする次第でございます。前歴者というのは、PBX下請業の電通大臣認定の担任者従事者と、昭和十八年十二月までやつて参りました逓信局長認定の技術者と、更に現在までやつておりまする通信局長認定の自営技術者を申上げる次第でございます。そうすれば八月一日実施によりましても実施の空白がなくて済むわけでございます。第二は、公衆通信法の第三十六条に書いてありまする転換器による電話機増設、即ち俗に乙増と言つておりますが、これは公社のみでやるような規定でございますが、どうぞ今後昔のように加入者にやらしてもらうように御配慮願いたいのでございます。それから第三に、PBX関係の民間の権威者を資格審査の委員や、審査員に御任命下すつて、或いは技術基準制定の委員に任命して頂いて、民間事情をくんでその意見を容れて頂き、無理のない、実情に即した実施をしてもらいたいことでございます。これは公認会計士協会でもこういうことを一面やつているそうでございます。それから第四は、ビルの配線は、建造物の一部でございますので、需要家に任せてもらつて、工費を他の有効な設備の面に使つて頂きたいことでございます。最後に、このPBX民間開放というか、復元というか、これは需用家も我々も熾烈な実は待望のことでございまするのと同時に、電話技術に生きる我々としましては、官民一体となつて電話復興をやりたいという念願なのでございます。  表現のいろいろまずい点もございましようが、どうぞ速かにこの法案を御可決下すつて、早く実施されるように切にお願い申上げまして私の公述を終ります。有難うございました。
  44. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。   —————————————
  45. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 最後に、平野製油株式会社社長島図博次さんにお願いいたします。
  46. 島圖博次

    公述人島圖博次君) 只今御紹介頂きました平野製油株式会社の島図博次でございます。平野製油と言いますのは、いわゆる大阪の中小企業で油を搾つている会社でございます。植物性の油をやつております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。  さて、今回の日本電信電話公社電報電話料金の改訂につきまして、次の条件並びに趣旨におきまして賛成いたします。その理由を述べさして頂きます。  電報電話事業は、昨年の八月以降経済の民主化の要請と、企業の能率化の要求によつて公社経営なつたわけでありますが、公社経営としまして二つの目的を持つておるものと思います。先ず第一には、公益に十分役立つべき独占企業として、あまたの公企業と同様に一般電話加入者通信の需要と便宜に対して能率的、そうして又十分なサービスを尽した経営でなければならないと思います。第二には、独立会計によつて運営される企業である以上は、民間の一般企業とは異なる要素はあるといたしましても、その企業経営が健全であり、且つ発展性を持つ収支のバランスを持たねばならないと思います。大阪の経済界におけるいわゆる中小企業者の一人といたしまして、右の観点から私の考えを述べますと、第一に、電話事業公社によつて十分能率的且つ未端に至るまで十分サービス的であるかと申しますと、その現状は遺憾ながら及第とは申しにくいどころか、落第に近いと思います。すでに皆様がた何度も申されましたごとく、市内通話におきましても中ば以上は話中で、ダイヤルを何回も何回も廻さなければかからないことが多々あります。まして市外通話におきましては、至急通報或いは特急の申込にいたしませんことには、数時間待つてもなお通じないことがしばしばあります。なお一話局によつて差異があると思いますが、電話交換手の中には、電話事業が公的サービス事業であるとの意識が十分でないと思われるものもあることは誰しも御経験のあることと存じます。その一例を私の経験から申しますと、大阪におきまして、夜も十時過ぎになりますと市外通話を幾度呼んでも出ません。完全に向うへは通じている信号になつております。この間私が一度時計を計つてやりましたときには二十五分待ちましたが、遂に市外通話の係は出て来ませんから、それで止むを得ずあきらめたような次第でありますが、電話というものは、或いはそのときに親子兄弟が危篤状態にあつて電話しているときもあるでございましようし、又その電話一本によつて数千万円の取引が成立するかしないかという大事なことも非常にたくさんあるのではないかと思われます。こういう点から見まして、たとえ設備が十分でなくても、出て来る交換手のかたに何とかサービスを一生懸命にやつてもらえば、或る程度加入者の気持もなごやかに救われることがあるのではないかと思います。次に、電話架設需要は年々増加しつつありまして、公社の諸資料によりましても昭和二十七年末現在においても加入申込積滞数四十二万六千もあり、その結果電話の市価が我が大阪におきましては二十万円から二十五万円にも達しているところがあります。こういうことはいわゆる中小企業者にとりましては電話架設を得ることが事実上不可能に近く、且つ電話は不適当な時価を呈する結果、企業の財産構成上下自然に高価であります。このような電話数の不足は、一方において、さきに述べた通話上の不能率を来たすと共に、他方又自然電話売買の不必要の投機を来たす虞があると思われます。なお大阪地方は、東京初めその他の地方と比較いたしまして戦災による被災、戦後の復興、大阪地方の経済力とのバランスにおきまして、電話架設数が非常に低位であり、速かな架設数の増加が大企業、中小企業を問わず経済界を初め一般の要望であります。第二の公社独立採算を行う公企業として健全且つ発展的な経営を行わねばならないということにつきましては、私どもは官庁の諸統計並びに日本電信電話公社の諸資料を信ずるほかはありませんが、それによりますと、二十七年八月の借入金六百二十八億、二十八年以降の政府借入金百四十億、加入者引受及び受益者負担公債二百五十一億、公募公債八百六十億という借入金と相成り、これに対する元利返済が必要であるということになります。そうしてこれらの元利返済が可能であるためには今後十カ年間に電話加入数を現在の百五十万加入を三百万加入に増加するための所要資金を五千億として計算した場合に、今回の本案に示されておる平均二割七分の電話料金値上げによつて賄われる以外には、独立会計の公社としては、ほかに可能且つ健全な方法がないと言われております。  以上の諸点を考慮いたしまして電話加入者としての考えを申述べますと、加入者にとりましては当然電話料金値上げはできるだけ回避して欲しいわけでありますが、今回の値上率が第一に他の官公営事業の値上率との比較において高くないこと、諸外国特に我が国と経済事情のよく似ております西ドイツやイタリアなどの電話使用率と比較して高くないことが要請されますが、本案によりますと、その点は首肯されるものがあるかと思われます。現在例えば地方自治団体の各種の使用料、都電、市電乗車賃の値上げが行われておるようでありますが、そのような一般大衆に直接影響を与える諸官公営事業値上げに対しまして、電話は比較的純粋経済的な観点において考慮されるものであります故、本案の場合は進んで値上げそのものよりも次の点の判断が重点かと思われます。即ちすでに申しましたように、本案が実施されました場合、公社電信電話拡充五カ年計画がその公約の通り実施せられ、従つて独立企業としての企業の経営が真に健全且つ発展的となりますと共に、何よりも電話加入潜在需用を含めて八十六万に及ぶ加入希望が満足されることがデスク・プランとしてではなく実現せられ、特に大阪地方におきます経済の復興にマッチしておらない現在の加入数が速かに増加せられ、加入者の経済的並びに経営的不便が解消されることが望まれる次第であります。更に今回の値上げが真に公社企業の健全化と、設備及び日常のサービスの増大のために不可欠のものといたしますならば、値上げによる使用料収入の増加は専らその目的に良心的に使用され、以て電話架設の増加と電話の通話の待時間の減少、特に至急、特急等の市外通話の常態化の現状の改善が望まれる次第であります。  以上述べましたような趣旨条件の下におきまして今回本案に示されております電信及び電話料金、特に電話料金値上げについて止むを得ないと思いますが、併し二割七分以下になればなるほど我々加入者としては結構なことであります。その故におきまして慎重御審議頂きまして成るべく値上げが安く済むようにお願いしたいと思います。  一応一言私見を述べさして頂きました。
  47. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。
  48. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 公述人のかたに対して何か御質疑はございませんか。
  49. 山田節男

    ○山田節男君 斎藤公述人にちよつとお聞きするのですが、あなた関西電話工事協会の会長ですが、これは関東にもやはりそういう名称の会があるのですか。
  50. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 関東にも同様な、ただ一番上の名称をとりまして電話工事協会というのがございます。
  51. 山田節男

    ○山田節男君 その日本全国であなたがおわかりになつている範囲でいいのですが、大体公社がオーソライズドさして、責任を持つてPBXを作り、又保守し得るメーカー、或いは業者が何名ぐらいいるか。その配置が、例えば六大都市に限られて、例えば北海道の札幌とか、或いは九州の鹿児島とか、そういうような所にもやはりオーソライスドし得るPBXを作り、或いは保守し得る会社があるのですか。その配置関係はどうなつておるかおわかりになつておる点だけでもいいから伺いたいと思います。
  52. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今の御質問でございますが、詳しい統計的なことが戦後なくなりましたので的確なる御返事はちよつと困難かと思いますが、大体のところでは全国で少くとも県庁所在地ぐらいの都市にはすべて民間電話技術者が今なお存在しておりますでございます。それからこの電話関係で細々ながら立つておる会社は全国で数百に上つておると考えております。
  53. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると昭和二十二年、二十三年にGHQの指令でPBXはもう全部公社でやれ、そして今日までもうすでに六年間やつて来ました。この六年間においてはこのPBXについては全然タッチしないと言いますか、できないのであるからこれは他の業種を主として今経営しておられるわけですね、この業種は。それからもう一つ、大体県庁所在地ぐらいの都会にはPBXのメーカーなり、或いは保守する人がいるというのですが、これらの人が、まあお話によると大体前電通省或いは逓信省に勤めておつた者だ、経験者だということをおつしやつたのですが、大体何パーセント、百パーセントなのか、少くとも業者は殆んどこれは前の逓信省、電通省に勤めておつた人か、そうでなくて全然関係のない人が、この比率はどのくらいのものでしようか。
  54. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 最初のお言葉がちよつとわかりにくかつたのですが、この自営がなくなりました現在までどういうような業務をやつてつたかと、こういうような意味でございましようかしら。
  55. 山田節男

    ○山田節男君 この二十三年にGHQがPBXはもう全部電通省でやれ、こういうことになつたでしよう、指令。ですからそういうPBXをこれまでやつていたメーカーであるとか、保守をやつていた者はそういう業種がなくなつたわけでしよう。ですから転換してもうPBXプロパーの仕事ができないもので電話工事をしておつたのか、業者は簡単に言えば電話関係関係なしにほかの業種に転換しておる者が大部分じやないかということをお聞きしておるのです。
  56. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今の第一の御質問でございますが、GHQの二十三年の覚書の後に、二十五年五月電話設備会社というものが官に移管されまして、吸収されました。我々官に吸収されずに無論おりました民間の技術者というものは、当時の逓信省或いは電通省、現在の公社のPBX工事の下請業に従事し、認定をもらいまして、そうしてPBXの下請をやつていた会社が全国に約百五十社現存しております。その後もこれは当然殖えましたから、相当の数になつておるだろうと思います。その他の会社も、これは現在までついておりまする技術者を抱えて今自営の正式許可を受けました大きな会社だとか、或いは銀行、官庁、こういう自営設備の工事が発注されますのでございますから、そういう工事にも当然携わつてつて来ておるわけであります。その地中には或いはラジオの方面に走つたり、違つた方面に向いておる技術者もあります。かなりの人は細々ながら電話技術に生きて参つておると私は見ております。それともう一つの御質問は、逓信省又は電気通信省出身の者の比率でございますが、この比率は私どもも完全な統計がございませんのでありますが、大体八、九割はそうでないかしらと想像いたしております。今のPBX工事の担当者、従事者の資格認定も、大体そういうようなかたが認定されておりましたし、PBX下請業の資格認定の担当者、従事者という者も、大体電通出身の人が割合と認定されておりましたわけでありますから、その点から考えまして非常な高い率の出身だと考えております。
  57. 山田節男

    ○山田節男君 これはPBXのメーカーと保守を業とする人は、大体中小工業者じやないかと思うのですが、中には、私全然そういうことを知らないからお聞きするのですが、前の局長とか、部長とか、そういう高度な役職に立つた者が、会社企業としてやつておるところも相当あるのですか。
  58. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 高度のといいますと。
  59. 山田節男

    ○山田節男君 大資本といいますか、大きな株式会社とか。
  60. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) このPBX業務をやつておりますのは、一番大きな業務をやつておる資本金額からいいますと日立さんでございます、四十四億、その次が日本電気さんじやないかと思います。五億、その次が沖電気さん、三億六千万円、富士通信機さん、三億、これらの大資本業者がおるわけであります。それとずつと落ちまして、無論我々のような小さい業者もたくさんおるわけであります。
  61. 山田節男

    ○山田節男君 これは極めて大胆な質問のように見えますが、こうしてPBXが民間に開放されまして、あなたの御証言によると民間技術がこれに導入される、そうすると資本が、電電公社が年々投下する資本を建設のほうに廻すほうが非常にいい、こういうふうにおつしやつておりますが、こういうふうに公社と民間の両建になりますと、公社と民間と競争することになりましよう、そういつたような場合に極く当て推量になりますが、一体金額にしてどのくらい民間に潤うといいますか、公社の独占の場合よりも民間に潤う、これはそういう何か細かな金額というものはわからないのですか。
  62. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今の御質問でございますが、ちよつと私どもも数字的には推定しておりません。過去の統計くらいでお答えしてもまずいと思いますので、ちよつと御容赦願えればと思いますのでございます。併し一応これが公社と民間と二本建でやらして頂くということになりますれば、これはそれに携わる勤労者なり中小企業者が、どのくらい明るい業務をやり、潤うかということは、相当皆日常を明るく送ることになるだろうと思います。それから又競争の只今の点がございましたが、最近私どもは現実問題としまして、公社サービスが非常によくなつております。加入者にかなりこれは喜ばれていることでございますが、私どももこういうことは大変結構なことじやないか、さて二本建になつてどうなるかというときには、当然私どもも公社サービスにも負けないようにやる、公社も又私どものサービスを御覧下さつて、それに負けないようにやる、そういうふうな双方ともがいい意味の競争をやつて行くのが私どもの念願なわけでございます。そうすれば勢い社会的の批判がそこに生まれるだろうと、実は考えている次第であります。
  63. 久保等

    ○久保等君 ちよつと斎藤さんに、今の山田委員からの御質問に関連するのですけれども、何か先ほどの御質問に対する御答弁で、ちよつと私はつきり聞き取れない点があつたものですからお聞きしたいと思うのですが、PBX関係の業者のかたが統計して百五十社程度、或いはそれ以上じやないかというお話ですが、大きなのは日立云々というお話があつたのですけれども、これは勿論PBX関係をやられるかたもおられると思うのですが、御質問の趣旨は、PBXだけをやるのを目的とした会社というような意味での質問だつたのですが、私その点をお伺いしたいと思うのですが、それで一番大きなPBXだけを専門にやられる会社の規模が、大体大きい場合にどのくらい従業員がいるか、小さい場合に、これは二、三人という場合もあるかも知れません、そういつた内容をもう少し。それからこれによつて非常にそうした中小企業的なPBXの会社なり、勤労者が潤うというのですが、総体の人員が大体どのくらいおられるのか、ちよつとお聞きしたいと思います。
  64. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今の御質問についてお答えいたしますが、百五十社と申上げましたのは、大臣認定の公社の下請事業会社を申上げましたわけでございます。それ以外の電話の工事、保守をやつている向きの会社も、当然これ以外にあるわけでございます。これは本当の大臣認定社だけでございます。それから今の大きな会社でなく、PBXを専門にやつている会社の規模がどのくらい、或いは人員がどのくらいかというようなお尋ねのように伺いましたですが、この点は先ず何百万という資本から、下は五十万、百万という資本という中小企業でございます。それから人数は恐らくこれも私どももきちんとした統計をとつてお答えするというわけに参りませんでございますが、当然数千人の人間は現在も携わつておりましようし、又先ほども申上げましたように、或いはこれが自営が許されませんでしたもので、ラジオの方面に走つたり、その他の方面に走つておる技術者を入れますれば、数万人になりはせんか、こう思つておる次第であります。十分な統計でお答えすればいいのでありますが三…。
  65. 山田節男

    ○山田節男君 斎藤公述人にお聞きするのでありますが、昭和二十一二年にGHQの覚書でPBXを電通省のほうに独占さしたという理由は、やはりこの技術的な意味から来ておるのじやないですか。これは内容をよく知らんからお聞きするのですが、技術的の卓越性とかそういう施設の品質の均一性がない、どうも技術の問題から民間PBXが禁止されたのではないですか。
  66. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今の御質問についてお答えいたしますが、GHQの覚書による一元化成果如何、こういう問題につきましては、実際は只今石川さんも述べられました点もございましようが、私も石川さんの述べた点ばかりでないということも聞いておりますが、当時GHQに私どもが直接参りましていろいろ話をしましたり、或いは当書の逓信省に向いまして話したわけでないものですから、聞いておる話は私らもいろいろありますけれども、確信を持つてお答することがちよつと困難だと申上げたいのでございます。併しGHQの覚書、当時は残念ながら昭和十八年十二月に日本電話設備会社ができまして、そうして二十二、三年頃の終戦直後、戦争中、この当時は最も日本のPBXが質の低下を来たした時代でございます。戦争による資材、人が少うございまして、今申上げましたような日本電気、沖電気、富士通信機、日立、東芝、岩崎、こういうふうな専門大メーカーがありましたのですが、これらも軍需品に全部転換されておりましたので、PBXのいろいろな部品その他を供給することが当時できない国内事情にあつたわけでございます。これらその当時の一番質の悪い状態でありましたので、一面は技術の悪い点もございましたでしようが、その悪いさなかをとつてのみの理由で私ないと思うのであります。
  67. 山田節男

    ○山田節男君 今日本は非常に経済力は貧弱であります。電話にしても鉄道にしてもこういつたような公共サービス業というものは、国営で始めたという特殊の事情を持つておるのは、やはりこの技術からいつても或いは資力からいつても、民間資本じや不十分だ、早い話が同じ道具にしても、施設にしても戦前は軍だとか政府がやつて非常にがつちりして、正確で長持ちがする、民間のほうは安かろう悪かろう、とかく信頼できないものが多いのです。で、PBXの民間開放について、あなたもそのお一人じやないかと思うのですが、相当民間開放については暗躍、行動が我々議員に対しても行われた事実があるのです。それほどな運動をされてPBXの民間開放というものを相当運動された。これは先ほどのあなたの御証言で頷ける点もありますが、これはどうですか、あなた関西電話工事の会長として電電公社の極めて厳重な検査監督というものによれば、従来使われておつた官製と民間で造つたものとでは非常に質の点、耐久力、性能において差があつたということはこれは事実なんです。そういう点はこの法案の中でPBXのあなたはこの点を憂えておる。あなたは業者の団体の責任者として、少くとも今日日本においては、公社施設するPBXと何ら劣らないのみならず、よりよいものが又新らしい技術を以てやるということをおつしやいましたが、このことはここで御証言なさつたことは、これは確信を持つておつしやつたんだろうと思いますが、この点はまあ私素人でございますので、良心的に民間業者がやればその点については何ら心配はない、こういうふうに私たちは確認してよろしうございますか。
  68. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今のお尋ねにつきましてお答えいたします。只今機械が大分公社と民間とで質が落ちやしないか、設備のやり方も差が当然起るじやないかという御懸念もおありのようでございますが、大体その使用機器である交換機、電話機、こういうものは先ほど申上げました日本電気、沖電気、富士通信機、日立、東芝、岩崎、こういう六大指定メーカーで造つたもの以外はこれは使いませんです。私どももそういう規格が技術基準として指定されることを当然考えております。公社も恐らくそうなさるだろうと思います。その規格品は、公社の仕様書に基きまして常々そういう指定メーカーが造つておりますものの検査済のものを我々が買いまして、そして公社に御覧に入れて、そして更に設備や工事の検査を受けるわけでございます。その設備や工事につきましては、現在私どもがPBXの下請工事を公社にやらされておりますが、これは工事の方法に標準施工法というのがございます。この標準施工法によりましてやつて訓練されておりますから、工事方法につきましても公社のやり方そのものを今まで習い覚えて来ておるわけですから、御心配先ずないと私は確信を持つておるわけであります。
  69. 久保等

    ○久保等君 斎藤さんにもう一つ重ねて御質問したいと思いますが、先ほど現在の公社あたりの工事能力なり、それから資本といいますか、資金といいますか、そういうものもPBXを民間に開放することによつて、PBXの力をむしろ強力にさせることができるじやないかという御意見があつたのですが、従つてできればこれをよい意味で競争にすることによつて、よりよい通信サービスの提供に役立つのではないかという御意見があつたのですが、電気通信の場合にはこれはどこを、どの部分を誰がやつても、通信そのものは全国一つの有機的な形で運営されて行かなければならんというのが、一般の企業と違つて極めて電気通信事業の有機的なる、而も生命的な重要さだと思う。そういう点から参りますと必ずしも競争という問題は若干違つた形にならざるを得ないと思うのです。ところで戦時中昭和十六年でしたか、PBXを作る、民間に開放しておくことによつていろいろな弊害もあつたということから、特にこれを一元化して民間で一本にした電話設備会社という形に統合した経過があるわけですが、今おつしやつておられる趣旨は、恐らく自由競争というか、競争という形にすることがよりよいサービスを提供するということになるから、民間に開放しろという御趣旨から行くと、そういつた民間における一元化されたPBXの開放という形には勿論賛成はできないという御趣旨なのか、その点も一つ伺いたいと思うのですが。
  70. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今の運営の面において、成るほど技術者の協力ということはできるかも知らん、競争はできるかも知らんが、運営の面において一元化しなければ、これは通信事業の本質に違うじやないかという第一にお尋ねがあつたように思いますが、その点につきましてお答えいたしますが、PBXは御存じの通り、トラフィック標準というのがございまして、局の線が一本に対して内線電話機が五個というのが大体のトラフィック標準の基準でございます。でございますから、PBXだけが殖えたら、切換設備ができなくて、それによつて通話に影響があるではないかという御懸念も、これはないわけなんでございます。必ずそれに伴う設備でなければ局が許しませんから大丈夫です。それからもう一つ、運営の面でございますが、成るほど設置と保存は民間でもやりますが、運営は一に公社でおやりでございますから、これは一元化されているものじやないかと承知いたします。それからもう一つは、局の線とPBXの交換台とはおのずからそこにはつきり技術的に分離されておりますのでございます。でございますから、内線の故障によつて局線の加入電話回線に故障の影響を来たさないのでございます。で、加入電話回線の故障により運営上に及ぼすことは、局の機械と線路とPBXの交換台に収容している部分だけでございます。でございますから私は運営は公社が完全に一元化しておやりになつている。僅かにその端末設備の設置と保存だけやつておりまして、而も設置と保存はトラフィック標準によつてやる。而も局線というものは内線電話機とは全然分離されておる。そういう技術的のはつきりした見地から、これは決してそういうような御不安はないものだと考えております。交換手も御存じの通り民間でおやりになりまして公社の人でない。殊に機械公社の指定メーカーで作つておる。僅かにその端末の工事だけが今度開放されるかされないかという法律案なんでございますから、全部公社で交換手もメーカーも一元化されている通信事業でないものでございますから、そういう点は私は決して、過去でもありましたが、御懸念ないのじやないか。殊に現在ではすべてが戦前と違つて、例えば四号電話機のごとく、四十号の交換機のごとく、規格が統一されている現在でございます。昔とまるで、これは機械においても違いますのでございます。
  71. 久保等

    ○久保等君 ちよつと私の質問の仕方がまずかつたと思うのですが、私の申している点は、先ず御質問申上げたい点は、要するにPBXを民間に開放して民間でやる場合に、あなたの考えておられるのはいわば全国に、まあ何といいますか、免許を持つた事業者のほうがそれぞれ思い思いに、思い思いと言うと語弊がありますが、何らの組織的な全国的な一つの業者という形じやなくてやつて行くのが望ましいというふうに考えておられるのか、それとも全国一本にして、例えば戦時中やつてつたような電話設備会社というような形でやるのが好ましいのか、その点をどういうようなふうにお考えになつているかという点をお聞きしておるわけなんですがね。
  72. 斎藤新三郎

    公述人斎藤新三郎君) 只今の全国の統一した一つ会社的のやり方がいいか、民間の会社が各地各分離してやることがいいか、この点でございますが、電話設備会社が戦争中にできましてやりましたが、ああいう全国統一した会社がやるのは、これは理論的には非常にようございます。私も電話設備会社に当然入りましてやりましたのでございますが、なかなか理論と実際と一致いたしませんのでございます。それからもう一つ、PBXの所在地は散在して当然起るわけでございますから、全国散在して工事要員、保守要員が必要とされると思います。先ず今のところではむしろ私は全国統一した会社でやるよりも、各地にありまする会社でやつたほうが却つて実際に即応した、能率のいい、需要家に満足を与える、公社の信用を博する方法だと考えております。但し全国の業者がまちまちの動きではまずいのでございます。これには公社も大いに監督も必要でしようし、制限も必要でしようし、我々又内部的に業者自体の自粛する統制団体も必要でございます。その辺の統制団体のことも、只今私どもとしましてはいろいろ斟酌しましてやつておりますが、自粛統制も当然これは技術の面においても、営業の面においてもやつて行きたいと考えておる次第でございます。
  73. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 他に御質疑もないようでございますから、これを以て本日の公聴会を閉会いたしたいと思います。  公述人方々一言御挨拶を申上げます。  炎暑のみぎり御多忙のところを曲げて当委員会においで頂きまして、有益な御意見を拝聴することができまして、誠に有難うございました。厚くお礼を申上げます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時三十七分散会