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1953-07-08 第16回国会 参議院 電気通信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月八日(水曜日)    午後二時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君            島津 忠彦君            久保  等君    委員            津島 壽一君            新谷寅三郎君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    郵政省電波監理    局長      長谷 愼一君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電波行政に関する調査の件  (放送関係に関する件)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。  先ず最初電波行政に関する調査を議題といたします。  山田委員より放送関係について質問の通告がありますから、質問許可いたします。
  3. 山田節男

    山田節男君 今日わざわざ郵政大臣並びに電波監理局長の御出席願つて質問申上げたいことは、これは放送法の一部改正については、明後日ですか、委員会提案理由の説明があり又その質疑が行われるそうでありますから、直接放送については御質問申上げませんが、大体電波行政を今後どういうふうにやるのだという政府政策と申しますか、こういう点について大臣にお聞きし、又技術的の部面長谷監理局長にお聞きしたいと思います。  先ず第一に、去る五月ですか周波数の再編成がありまして、大体その割当がきまつたわけであります。なお今後放送局の開設の申請が出ておる。そうすれば大体全国に三十以上のラジオ放送局ができるわけです。従つて民間放送が今後どんどん殖えるわけでありますが、日本の社会、経済方面からみまして一県に一放送局というようなことになりますと、一面においては放送局、これは株式会社になつておりますから、そういつたようなものがいわゆる自然競争をする。それから放送するサービスエリアが重複している面が一ある。これは業者にとつても非常に不利益だ。それからスポンサー、いわゆる広告主から申しましても実は放送の回数の煩に堪えない。それから広告放送でありますから、広告放送がいよいよ盛んになるということになれば、一面商品というものに対して放送料というものが転嫁されるという虞れがある。従つてこれは消費者にとつて有利でないというような部面も或いは政府ら将来、現在免許申請をしているものに対して全部御許可になるのかどうか。そうしてその上今私が申上げたようなことについて何か政府でお考えになつていることがあるかどうか、これを極く抽象的でもいいんですが、承わりたいと思うのです。
  4. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはまあ極めて抽象的なものの考え方でありますが、今御指摘になりましたように、一県に一つずつ許すという考え方を必ずしもとつていいか悪いかということは私も非常に考えておりますが、殊に日本の現在の府県制というもの自体が府県単位にものを非常に考えがちでありますために、大きな府県も小さな府県も、皆一律に府県であれば一人前という考え方になつておる。電波のようなものは行政的な区域に捉われずに動くものでありますから、これを府県単位許可をして、御指摘のような相互の間に混乱を起すというようなことになればその面から来るマイナスもかなり考えられますので、今まで許しておるのは一応止むを得ないにしましても、今後新らしく許すものについては、そういう面について十分に検討しなければならないと、こういうふうに考えておるのであります。ただこういうことは、いつも申上げたように全く素人でありますから、事務当局とそれから審議会に十分御相談をして意見を聞いた上でそういうものを十分善処したいと、こういうふうに考えておるわけであります。ただ今審議会は御承知のように五名定員のところ二人の欠員が出ておりますので、早急にこれの補充から始めなければならないということで、先般何人かの候補を挙げて、それぞれの筋と今折衝中でございまして、もう近くきまるのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  5. 山田節男

    山田節男君 それは技術的な方面については、これは別に又電波監理局長に御質問申上げたいと思いますが、大臣だけの御質問としてもう一つ、この方針は今おつしやつたことは、これは電波管理審議会なり、或いは電波技術審議会もあるそうでありますから、電波監理局主体となつてこれは将来電波行政の何と申しますか、各国で非常に困つているお互いにインターフアイアをなすもの、役に立たないというもの、これは今のうちに私は予防的措置を至急に立ててもらいたい、かように考をておりますから。今大臣のおつしやつたことは、それぞれのほうに至急そういつたよう方針政府としてお立てになるが私は結構じやないか。それからその次に、やはりラジオ放送に関してでありますが、今申上げたような相当な日本の長い島で地域の狭い所で、ラジオ放送局というものの数が私は飽和点とは申しせんけれども技術的な改善によつた飽和点とは申しませんが、併し例えば飽和点でなくとも、先ほど申上げたような経済的な社会的な情勢からみて、必ずしもこれが有利ではないという疑問を抱かれるのであります。御承知のように東京では、大臣に宛てて東京都内にもう三ケか四ケ所かラジオ放送局を開設したいという申請が出ておるやに聞及びます。又そうい申請をしておる人から、我々もいろいろの陳情等も受けておるわけでありますが、今日公共放送が一ヶ所、それからラジオ東京、それから民間放送であろうと思いますが更にこれに三局乃至四局加るるということは、先ほど私が質問申上げましたような趣旨からいつてもこれは妥当であるかどうか、こういうものに対して政府はどういうようにこれをお取扱になるのか、その方針がきまつておれば承わりたい。
  6. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 東京のこれから先の見通しは、御指摘のように今四つ民間放送局からは申請が出ておるのであります。そのほかに短波のものが幾つか出ておるのでありますが、併し周波数関係でもう許しても一局しか許せない、こういう状態であります。一局は許せるしこれは四つ競願が出ておりますのでありますから、十分選択をして、どれかに一つは許さなければならんのではないかと、こういうふうに考えております。それとは別に短波のものは、これも技術的な観点を十分考慮いたしまして、許せるだけは許したいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  7. 山田節男

    山田節男君 これは大臣から御返答が願えなければ長谷局長からでもよろしうございますが、ラジオ放送局としては成るべくパワーの強いものが欲しいい、これは民間放送においては当然の要求であろうと思う。それも数の少いうちならばよろしうございますけれども、北は北海道から南は九州、それから中部、京阪、東京というように、五十キロ乃至百キロというような大きな出力がどんどんできる。将来これは政府にいたしましても、或いは民間会社とすれば、ラジオで電報とか電話を扱うラジオ通信、或いは緊急な、遭難の船に対して信号を送るとか、こういう場合には勿論強力なものが公共的な理由から必要だと思うのでありますが、そういたしますと、やはり電波の干渉と申しますか、インターフイアランスというものによつて無線通信というものの効力が非常に下つて来る。これも現にアメリカも非常に困つております。いろいろな策を講じているわけですが少くとも今電波法にはそういうことが書いてありませんが、将来の日本電波行政とすれば、やはりそういつたよう公共的なラジオ通信或いは救難に使う、これは協力しなくちやいかんがその他のものについても成るべく弱いパワーでやる、これはアメリカ通信法にも一つ原則として掲げてある。然るに今までは数が少なかつたのですが、今度民間並びに政府も、公共機関でそういうものを非常に使うようになりますと、私はもう今日電波行政上、そういう原則を法律上措置しておく必要がああるのじやないかと思うのですが、この点どういうふうにお考えですか。
  8. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) お答え申上げます。只今お話の点は、私ども御趣意御尤もだと存じております。この電波を利用するのには一般的に申上げまして、お話もござましたように、必要最小限度電力使つて、他に妨害を及ぼさないように心掛けなければならないことは、御案内のごとく国際電気通信条約の中にも謳われておることでございますし、又電波法におきましてもその精神をくみまして、そういう条文もあるわけでございます。放送局の場合にも同じような考え方で行くのが当然だと存じますが、又一方この放送の場合には御案内のように、国際間にいろいろ長いこと検討の末に、各国電波割当がきめられて、電波割当をきめるときには電力も一緒に考えて、どの電波をどれだけの電力で、その国のどこの都市から放送を行うかというところまで細かくきめているのでございます。言葉を換えますと、放送に使います電波は、その国の大きな無形の資源ともなるわけでございますので、非常に利害関係も多いのでございます。長い間のいろいろの会議検討の末にきめられたわけでございますが、そういう観点から技術上、或いは国際条約上支障のない範囲では、放送には相当の電力のものを活用してもよろしいのではなかろうかと思つているわけであります。勿論その放送の使命なり、放送をいたそうと思います地域の、広さの意味地域なり、そういう点もいろいろ勘案の上で、どの放送局にどれだけの電力のものということを具体的にきめて行かなければならないと存ずるのでございます。過般いろいろ公聴会その他も開きまして検討をいたした結果、決定を見ました放送用周波数の再編成も、その点に十分意を用いて決定いたしたいと存じている次第でございます。
  9. 山田節男

    山田節男君 長谷局長にお伺いしますが、今回の周波数割当編成公聴会等で考慮した、こういうのでありますが、現在までのこのチャンネル割当がそういうことになれば、今日までは何と申しても余裕があるからまだよかつたと思うのであります。ところが先ほど申上げましたように、これは将来もう無限に需要が殖える、従つていろいろな放送が殖えるのじやないかと思う。そういたしますとやはり政府一つ周波数を成るべくセーブして、そうして多方面に使わせる、きまつたチャンネルの幅というものに対して、できるだけ多数なものを有効に使わせるということになれば、やはり成るべく弱い電力を以て間に合わせる、こういう根本方針というものは、これは電波行政のいわゆる根本じやないかと思う。殊に国際も然りでありますが、国内電波行政としても、私は国際的にもつと重要じやないかと思うわけです。そういう意味で今日までそういう弱電力主義に基いて電波周波数なんかの割当を規制するというようなことが多少疎かであつたのじやないか。と申しますのは、例えば盛んに、今できました民間放送といたしましては、成るほど五百ワットもありますけれども、一キロ、三キロ、五キロ、十キロ、こういうような割合に強いものを使つておる。これは商業放送として強いパワーを持つのは当然でありますけれども、そこに私は一般公共利害ということから考えて、相当政府が強く規制する必要があるのじやないか。いわゆる弱いパワーで以て成るべく多方面に有効に使うというような主義が私に確立されることが政策として非常に重要じやないかと、かように私は考えるから質問申上げたのですが、今日まで政府がやられたことは、必ずしもそういう主義に基いておやりになつていないと、かように私は感ずるのでありますが、将来はやはりそういう成るべく弱い。パワーで以てやるという御方針はあると確認してよろしいかどうか。この点一つ伺いたい。
  10. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) お答え申上げます。お話通り放送におきましても必要最小限度電力で行うのは当然だと存じております。国際間の取極では、例えて申上げますと東京では百五十キロまで現在NHKが行なつている電波では放送をやり得る協定が結ばれております。又札幌とか福岡でも同じように百キロまで増力することを国際間では協定ができておるのでございますが、現在日本としてそこまで増力する必要は認められておりませんので大体五十キロ或いは特殊の場合だけ百キロということが行われておるわけでございます。民間の場合も同様の考え方で、必要最小限度電力で行くようにすべきが当然だと存じておりますが、又一方御案内のように、日本国内受信機割合にいろいろ関係者の御努力によつて改善されては来ておりますけれども、まだ大部分が並四球とか或いは高周波一段付の比較的程度の低いものでございまして、やはり諸外国の例に比べまして、出す電波のほうを強力にしてやつて、比較低廉な受信機で聞けるようにというような方向で以て従来来ておりますものですから、どちらかと申しますと、欧米に比較いたしますならば、放送局のほうの電力をやや高めに従来して来ておつたと言わざるを得ないと思います。今後は受信機の改善或いは優秀な受信機普及ということも睨み合せまして、放送局電力そのものとの関連考えて行かなければならんと考えますが、当分はやはり現状の受信機分布状態等からいたしまして、従来と同じような行き方で行かざるを得ないのではないかと存じております。又今後相当強力な電力放送局を免許するような場合には、勿論技術的にも或いは経営的にも既存のものとの関連その他を十分考えて行かねばならないことはお話通りだと存じております。
  11. 山田節男

    山田節男君 今日は時間が制約されておるのでありますから、その他の問題については又他の機会に御質問申上げたいと思いますが、もう一つこの電波行政に関して、このテレビジヨンがもうすでに去る二月一日から、極めて限られた地域ではありまするが、併し大阪ですでに正式放送が始められておる、東京都内におきましては、これはもう正式放送になつて来て、すでに半歳を過ぎておるのでありますが、このテレビジヨン放送開始の当時予想したよりも、どうもこのテレビジヨン普及が行詰つておるんじやないか、頭打になつておるような状況にあります。現に日本放送協会等を見ましても大体予定視聴者の数というものは、二カ月間のズレができておる、今日約三千しかない。こういうようなことになれば、公共放送の立場におきましても、月額二百円の視聴料しか取つてないわけで、優秀なプログラムというものが経済的に作り得ない。従つて視聴者も興味がない。こういう私は一つの悪循環がすでに起きておるんじやないかということを我々は認めなくちやならんと思う。これは殊にこの参議院の電気通信委員会としましては、このテレビジヨンの標準方式問題或いは正式放送開始の時期の問題等に、いろいろ慎重に審議がされまして、全体の空気としてはこれはもう実験放送を向うと同じように二年、三年やつて、而も公共放送からこれを出発すべきだというようなまあ意見が強かつたように記憶いたします。然るにまあ吉田内閣の下における電波監理委員会がああいつたような極めて不合理な結論を出しまして、民間テレビジヨン放送最初にして、そうしてその次に公共放送を始めた。現在すでに東京に二カ所、一個の民間テレビジヨン放送公共放送とまあ二つあるわけなんです。而も商業放送テレビジヨンも八月一日からもうすでに出発するという予定準備をいたしておる。然るにこのテレビジヨンというものがさつぱり普及しない。この頭打になつておるという理由にはいろいろなこれはファクターがあると存じます。これは単に郵政大臣にのみ御質問申上げて解決すだきものじやないと思いますけれども、併し電波監理局を置いておられる郵政省として、これは国民テレビジヨンの何と申しますか、利益を、完璧にこれを受けるべく普及せしめるというためには、何かこれに対する政府施策を必要としておるんじやないか、まあ私はかように考えておるのでありますが、少くとも郵政省に関する限りにおいて、今日のこれは我々委員が予想したような結果になつておるテレビジヨン普及頭打に対して、何かこの具体的な解決策というものをお持ちになつておるかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  12. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) お答え申上げます。只今指摘になりましたように、確かにテレビジヨン受像機普及状況は、最初NHK当局が予想いたしておりましたものよりは下廻つております。これには御指摘になりましたように、いろんな原因があるように存じておるのであります。例えば未だ日本製造工業界準備態勢が十分整つておりませんために、テレビジヨンNHKが始めました当初、国産品受像機が市場に出廻つておらなかつた。或いは或る程度輸入品はございましたけれども一般購買力に比較いたしまして相当高価なものであつて、一部分の方面の方にしかそういうものを消化するなにがなかつたというようなこと、或いは又今御指摘になりましたように、NHKが長い間技術的にも或いは番組の面でも研究や準備をやつて参りましたけれども、何と申しましても番組の面におきまして新らしい分野でございますので、まだ十分なところには行つていない、こういうような点、確かに御指摘になつたよう一つ原因でもあるのではなかろうかと存じておるのでございます。いずれにいたしましてもこれは受像機が優秀なものが安価にできまして広く普及することによつて放送をいたすほうも、或いは又たくさんはけることによりましてだんだん受像機値段が低下し行くというように相共に助け合つて普及するとになるわけでございますので、何その方面に対して促進策を持つべきということで実は通産省当局ともいろいろ相談の上で工業会に対する融資斡旋とか、或いはいろいろな助成とか、そういうことにつきましてもいろいろ相談の上で施策をともどもにやつておる状態でございますが、郵政省としましてはそういうことを直接実施す帰る関係にございませんので、今申上げましたように郵政省、或いは場合によりましては大蔵省等と話合いまして、今御指摘になりましたようないろいろな点を打開すべく努力いたしておるつもりでございます。御案内のようにこのテレビジヨンは例えば日本と同じような比較的似通つた形態をとつておるイギリスにおきましても、或る時期までは急激な普及のスピードを持つてつていなかつたようでございまして、或る段階を過ぎまするならば相当普及度を以て発達して行くのではなかろうかと存じておるのでございます。製造界等の問題におきまして時期的にそういう点に至つていない点がややあつたために、御指摘になりましたように一カ月或いは二カ月間のズレが現在生じておると思つておりますが、価格も割合に私ども予定しておつたよりは比較的早くだんだん低下して行つているような経過にございますので、早晩御心配にあずかつたような点の解決も順調な歩みをとつて行くのではなかろうかと期待しておる次第でございます。
  13. 山田節男

    山田節男君 今長谷局長が言われたように、要するに視聴機普及しない、値段が高い、多くの庶民にとつてはこれは高嶺の花だというだけで、自分の手許に置くということはなかなかむずかしい。これは経済的理由が勿論私は第一だろうと思う。それから第二に同じように重要なことは、やはりそのプログラムというものが貧弱だからどうも魅力がない、長績きしない、それからもう一つは、これは私どもこの委員会で、特に当時の電波監理局の総局長である長谷長官なり電波監理委員会委員の諸君に申上げておく。日本国情として日本経済力の貧弱な生活程度の低い所で、こういうテレビジヨンをしよつぱなから二つも許すなんてそんなべら棒なことはあり得ないと思うのです。これは吉田総理大臣テレビジヨンは時期尚早であるということを予算委員会で私の質問に対してはつきり言われたにかかわらず、極めて不明朗なる暗躍の結果、こういうていたらくになつた。併しもうやつた以上は何とか収拾しなくちやいけない。それで私いろいろ考えてみるのに、商業放送日本テレビジヨンなんかももうすでに放送開始を間近に控えておる。スポンサーが付かないということは、視聴者が少いからスポンサーも効果がない、こういう一つの矛盾に到達しておる。一方公共放送実験放送から本放送に入り始めて、NHKがこれは一つの公な社団法人のように私記憶しますが、公共放送をやつておりまして、予算はやはりラジオと別個の会計を持たすという制約を受けて、おつてそうして実際僅か三千の有料視聴者を持つて、三千と言えば月に六十万円しかない。その金で毎日四時間としまして月に百時間、月間のプログラプを如何に安直な方法でしましても、ろくなものができるわけがない。ですから、今のジレンマは視聴者をどうして殖やすか、これは通産大臣関係大蔵大臣関所管事項も混つておりますけれども、やはりこれは郵政省主体になつて、こんな貧弱な日本テレビジヨンを始めたからには、これはやはりBBCが長い間実験放送をやり、その間においてはBBCラジオ放送のほうの金を使つたと言いますが、国家も政府もこれに対して相当な援助を与えておると思う。そういうことになればまるで早生児のような、早く月足らずで生れたような、こういうテレビジヨンというものを、政府がこれをこのままに放つておいたらこれはプログラムは妙なものになるのじやないか、かように我々は憂える。ですから、政府としてNHKにも財政的な援助を与えるということはこれはできもしないし、する必要はありませんが、併し一方はメーカー方面におきましてやるとか、販売面におきまして月賦をやるとか、これは政府が干渉しなくてもメーカーに自信があればやるだろうと思いますけれども、併しこれはテンポというものには或る程度限度があると思う、ですから何か政府一つ郵政局中心になつて大蔵省とか、或いは通産省と一体になつていろいろテレビの普及ということに対してお考えになる必要があるのじやないか。殊にこれはフランスのようなまだイギリスよりも生活程度の低い国におきましては、これは最初から自分の国柄をちやんと知つておりますから、そういう個人的な家庭において一つずつ置いて楽しむという建前でなくて、或るべく大勢でこれを見るというような視聴方式を作つておるわけです。併し日本はもうこういう事情で以つてアメリカのようにはできない。今フランス式になかなか各自一台ずつ買うわけにいかんから集団的に見せる。それについては視聴料を安くする、こういう政策をとつておる。併し日本では勿論アメリカ式になつておるのであります。そこを日本国情の実際を見て何か政府が二つカバーしてやつてテレビジヨン普及方法考えてやる必要があるのじやないかと思います。若し今長谷局長言われた程度施策しかないといたしますれば、これは私はやはりこのテレビジヨン普及というものは、なかなか普及の速度が遅いと思います。郵政省中心になられて、やはり普及しない現実のいろいろなフアクターを捉えられて、国民テレビジヨンをエンジヨイする、これを普及化するということについてはもつと積極的な一つ手段をおとりにならないと、これは徒らに極く一部の人の楽しみになるだけで、我々が初めから予期した社会的、経済的、文化的な意義というものが失われるということになる。この点一つ郵政大臣に特にお願い申上げて、郵政大臣がイニシアチブをとられて一つ対策を緊急にお立てになるようにお願い申上げましてこれ以上の質問はもういたしません。
  14. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 他の委員会から督促があるようですし、速記の都合もございますので……。
  15. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君)  只今山田委員よりいろいろ懇切なる放送事業の将来についての御意見を伺いました。私としましても極力その方向に努力いたしたいと考えております。
  16. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記とめて。    〔速記中止
  17. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこの程度にて散会いたします。    午後三時一分散会