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1953-07-29 第16回国会 参議院 通商産業委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十九日(水曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松本  昇君            加藤 正人君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            黒川 武雄君            西川彌平治君            酒井 利雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            武藤 常介君            白川 一雄君   政府委員    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○請願及び陳情に関する件 ○輸出取引法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○理事補欠選任の件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (通商貿易に関する件)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) これより通商産業委員会開会いたします。  先ず請願及び陳情の審査に入ります。速記をとめて。    午前十一時六分速記中止    ——————————    午後一時四分速記開始
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  これにて暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩    ——————————    午後二時四十八分開会
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは休憩前に引続き通商産業委員会を開きます。  先ず輸出取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際に申上げておきますが、本法律案は昨日衆議院会議を通過いたしました。原案に対する修正が加えられております。  お手許にプリントで差上げておりますが、念のために申上げますならば、第十九条の三の中に、「輸入組合設立輸入取引秩序確立に寄与する」を「当該貨物輸入取引秩序確立するためには輸入組合設立が必要やむを得ない。」と改められました。  それでは前回に引続き質疑をお願いします。
  5. 加藤正人

    加藤正人君 この修正点は、これは何ですか、委員会政府説明を求めても無駄だというわけですか。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 若しお求めになつても結構です。
  7. 加藤正人

    加藤正人君 そうすると政府はこの結果どういう現象が現われるかということについてのお考えを伺いたい。
  8. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この修正意味でございますが、正直なところ原案のほうは輸入取引秩序確立に寄与すると認められる、こういう書き方でありますし、それから今度の修正点のほうは、輸入取引秩序確立するためには輸入組合設立が必要止むを得ないと認められる貨物と、こうありまして、実質的にはそう違いはないのではないであろうかというふうに我々は解釈をいたしておりますが、ただこの原案では、確立に寄与するということで、割りに広く解釈をされるのではなかろうか、それを若干何と申しますか、しぼりたいというふうな気分から今度の修正のような、輸入組合設立が必要止むを得ないと認められる貨物というふうに修正をせられたように伺つたのであります。実際問題といたしましては殆んど気分的な違いではなかろうかというふうに我々は解釈をいたしております。従いまして実際の運用には、原案とこの修正案とでは殆んど差がないというふうに我々は了解をしておるわけです。
  9. 加藤正人

    加藤正人君 政府のほうでは実際にチエツクする場合においての影響は大したことはないというようなお考えでありましたが、衆議院においてこの修正案が出るときに、定めしこの修正案を主張した人々からこういうふうに修正することの必要性について述べられたと思うのでありますが、どういうことを主張されておられましたか。
  10. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この提案をされましたおかたの御意見といたしましては、輸入組合輸出組合違つて比較的国内に対する影響面が強いのではないか、そういう考え方からいたしまして、輸入組合設立というものは比較的制限的に考えなければならんというような御意見つたのであります。その点は我々原案におきましても輸出組合には何らこういう条件はつけてないわけでありますが、輸入組合につきましては特に第十九条の三に規定してありますように、輸入取引秩序確立に寄与すると認められる貨物であつて、なお且つこの政令で定むるものというふうな限定もいたしておりまして、大体そういう趣旨でこういう規定をいたさんとしておりますというようなことも申上げたのでありますが、なおそれでは不十分である、政令で定めるということになつて、結局何でもかでも定めてしまう虞れがあるというようなお話がありまして、政令ではなしに、法律で具体的に予定されるような品目を指定してはどうかというようなお話もあつたのであります。この先ほども申しておりますように、輸入組合は業界の意見もそうでございますし、我々もこの法案におきまして、できるだけ制限的な考え方をするためにこういう表現もいたしておるわけでありまするので、これで十分ではないでしようか。政府を信用願えればそれでいいのではなかろうかというようなことも申上げたのでありますが、一時非常に、政令でなしに品目法律で指定するというようなお話があり、それは実際問題といたしまして非常にむずかしいことでありまして、情勢も刻々に変る次第でありますし、又できるだけ輸入組合をしぼつて行くという精神から見まして、ここに三つ、五つの商品をここで規定するということも、却つてその商品については輸入組合法律で認めたというような恰好にもなつて非常に面白くないというような御意見を申上げた。その結果といたしまして少しそういう気分を現わすためにこういう輸入組合設立の必要止むを得ないと認められる貨物というふうな修正をせられたのではないかというふうに思います。
  11. 加藤正人

    加藤正人君 わかりました。次は第二十条関係でありますが、第二十条に私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律というふうに書いてありまして、ここでは事業者団体法除外を削除してありますが、若し仮に、この点は中小企業安定法の場合も同様でありますが、今参議院に提案されております独禁法改正予算案その他の問題とからんで万一審議未了にでもなりますような場合には事業者団体法は生きておるということになり、そういうことになりますと、輸出入取引法は骨抜きとなり、事業者団体法の制約の下に業者協定組合の動きがとれないということになるのでありますが、これは独禁法改正が間違いなしにできるという想定の下に考えておられますか。万一そういう場合が若しあつたらそういう場合にはどうするかというようなことまで予見されておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  12. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 御指摘の点は誠に御尤もなのでありますが、実はまだ今日の段階といたしましては、独禁法改正が通るものというふうにまあ信じておるわけであります。併しながら若し御指摘のように独禁法改正のほうが審議未了というようなことになりますと、実際問題としまして非常に工合が悪い恰好になるわけなのであります。まあその場合の措置については、これは早急研究をいたさなければならんと思いまするが、今のところ我々一案といたしましては事業者団体法の一部改正、と申しますのは、現在の事業者団体法の第七条に除外法律規定する条項があるのでございますが、このところに一部一項を起して頂いてやるような、即ち事業者団体法の一部改正案を至急して頂かんと工合が悪いのではないかというふうに考えるのでありますが、併しこの事業者団体法の一部改正のほうも簡単とは言いますものの若干時間もかかるということも予想しなければなりませんので、一案としてはそういうことも考えておりまするが、独禁法修正ができるものとまあ今のところ考えておるような次第であります。
  13. 加藤正人

    加藤正人君 我々も独禁法改正はできるものと思い、又できなければ困ると思つている一人でありますが、万一そういう場合に今事業者団体法のほうをいじるということになりますと、これ又相当な面倒があることは免れない。そこで先ほど来私どもちよつと話合つておるのですが、万一そういう場合には事業者団体法をいじらずに、第二十条の私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律並びに事業者団体法との規定はというふうに、それだけの文字を入れればそれでよろしいのじやないですか。
  14. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お話通り独禁法及び事業者団体法規定はというふうに、現在は実は、現行の第二十条がそうなつておるわけなのであります。従いまして、及び事業者団体法というふうにここに挿入をして御決定願つておくほうもいいかと思うのでありますが、これも実はここで御修正願いますと、衆議院のほうへも又廻るようなことにもなりますので、そこにそういう挿入をして衆議院のほうへ廻したほうがいいか、もう一両日独禁法改正案のほうの審議の状況を見て頂いたほうがいいか、ちよつと実は我々も判断に迷つておるところなのでありますが……。
  15. 加藤正人

    加藤正人君 その点は適切にお考えおきを願いたいと思います。
  16. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと加藤君に申上げますが、今の誠に御指摘御尤もと思うのでありますが、若しも当委員会で今言つたような修正をするといたしまするならば、参議院通産委員会はまあ独禁法が通らないと思うとか、或いは通さない意思表示をしているがごとく思われることにもなると思いまするので、まあ独禁法通るものと確信をして一応このままで行くよりしようがないのじやないかと思うのでございます。
  17. 加藤正人

    加藤正人君 いや、そのあとで慌てるということさえなければ結構なんです。
  18. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ほど輸入組合関係のことでありますが、今回衆議院修正輸入組合設立について一つの制限がついてしぼるだけはしぼろうというような行き方になつたということに関連しまして、輸出組合のほうはこれと対して見た場合にしぼらんということになるという点において、輸入組合国内関係があるからしぼつたほうがいいというような説明を聞いたんでありますが、今度は輸出組合のほうは海外から見るという関係が出て来ると思うのでありまして、輸入組合に比べて輸出組合のほうはどんどん作つて行くというような感じが両方の条文を彼此検討したときに出て来る。さなきだに輸出貿易関係についてはいろいろ政府が施策するということは海外を刺戟しがちなのでありますが、そういう面において条文輸入組合輸出組合関係はつきり違うという点から、海外から見た場合に思わしくない結果を誘致するのじやないかという感じがするのでありますが、その点についてはお考えはどうでありますか。
  19. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 確かに御指摘の点も御尤もなのでありますが、この輸出の場合は、現行輸出取引法を御覧願えばおわかり願えまするように、輸出の面につきましてはこの輸出取引公正化と申しますか、いわゆるこの不公正な輸出取引禁止ということをこの取引法一つの大きな目的にしておりまして、輸出組合業務といたしましてもこの不公正な輸出取引の防止ということを掲げておるわけであります。ところが輸入の場合におきましては、これいろいろ議論の存するところでありまするが、不公正な輸入取引禁止ということは現実問題としてなかなか指摘も困難であるというような観点からいたしまして、法律の体系といたしましてもこの規定をいたされなかつたわけであります。従つて輸入組合業務としても、そういうことが業務事項に実はなつておらんのであります。そういう点から見まして、この輸出の場合と輸入の場合とおのずから業務の範囲に差もありますし、飽くまで輸出組合のほうは堂々と海外に向つて不公正な輸出取引を防止して、輸出取引秩序確立するのだという積極的な意味合いから、この輸出組合の性格をまあ強調しておるわけでもありますので、仔細に御検討願えば、輸入組合はどつちかと言いますと、非常に消極的な考え方をいたしております。従いまして設立に当りまして輸入組合のほうが国内に対する影響が強いという観点のみから、この輸入組合設立について若干規定が加えられておるわけでありますが、今のような海外に対する響きは今も申しますように輸出組合と違う、そういう独特の使命を負わしておりまするので、まあ確かに御指摘のような嫌いなきにしもあらずかと思いまするが、まあ我々としてはさしたるそういう心配はないのではないかというふうに考えておるのであります。
  20. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 従来の案でも、そこに輸出輸入関係についてはニュアンスがあつたのでありまして、その程度のことはまあいいと思うのであります。前の輸入組合関係だと、その設立輸入取引秩序確立に寄与するというので、このしぼりつつも漠然としたそうどぎつい表現の仕方でなかつたが、私はこれは海外から仮に見た場合でもそう差支えないと思うのでありますが、今度のは輸入組合設立が必要止むを得ない、必要止むを得ないということは非常に強いのでありまして、これはまあ少し挙足取りみたいに言えば、じや輸出組合のほうは必要止むを得ない場合でなくてもどんどん作るのかというようなことにまでなるのでありまして、今回の修正は私はその表現としては非常にきつ過ぎると思うのであります。で、その気持は前のでも同じだこいうことならば、又運用上それで同じであるということならば、何も修正する必要はなかつたのじやないか、徒らに仮にこれを翻訳でもせられたときには海外を刺戟する種を作るだけだというふうになると私は思うのでありまして、どうも先ほど来いろいろ修正を妥当視しようというので、今となつて政府当局説明はしておられまするけれども、僕としてはどうも納得が行かんのであります。
  21. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先ほど来申しておりまするように、まあ我々の側からこれを御説明申上げていいのかちよつと……、実は我々先ほども申しておりまするように、飽くまで原案のほうがよろしかろうというふうには考えておるのでありますが、まあいろいろないきさつからこういうふうな修正なつたわけであります。まあ修正されましても、我々としてはそうまあ差もないことだからというふうな点を申上げたのであります。
  22. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは実質的にはそんなに違わないと思うのでありますが、表現の上では非常に違う。それだけに翻訳などの場合に問題になるだろうと思うのでありまして、政府のほうはまあ実質上そんなに差支えなければいいじやないかというようなふうでありますが、法律の文句もこれはやはり表現の如何によつては、大いに対外的の関係のものは考えるべきじやないかというふうに思うのでありまして、どうもお話を聞いておると、ますますかようにまで何故に修正せざるを得なかつたかということがはつきり納得ができないのです。
  23. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんが。……、御質疑ございませんか。
  24. 白川一雄

    白川一雄君 輸入組合のできた後のことでちよつとお尋ねしたいのですが、最近自動車の、外車が五十八種類つているのですね、日本に。で、イギリス自動車が、イギリス人は本国で買えないけれども日本へ来たら買えるというような実情になつておるそうなんですが、自動車輸入なんかについては、従来通産省はどういう方針でやつておられるのですか。
  25. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) まあ自動車輸入につきましては、今お話のありますように車種の問題、種類の問題と、それから量の問題と二つあるわけであります。この輸入量はまあ外貨資金との関係もありまして、国内需要或いは国内生産も両方勘案しまして、関係省でまあいろいろ議論の結果、毎期六カ月ごとに大体この程度輸入を必要とするということで来ておるわけであります。で、現在のところ、今年の四月から来年三月までの輸入量といたしまして、一応関係各省で話がついておりまするのが、まあ約一万台ということになつております。ところがその上半期の四月から九月までは、まあ機械的に申せば五千台の輸入をいたせばいいわけなのでありますが、国産のほうの生産がだんだんまあ生産が殖えて行くというふうな点から、輸入は上期において若干殖やして下期では減らそうと、国内生産のほうは下期において上期よりも非常に殖えるというふうな点もありまして、上期一応まあ六千台ということになつて先般輸入割当をいたしたのであります。で、従来はまあそういうふうにしつて入ります車の種類について、余り規制を加えないということで来たのでありますが、最近今御指摘のありましたような、余りアメリカの立派な車が入り過ぎるじやないかと、或いはヨーロツパの車でも今御指摘のありますように、数十種類車種のものがあつてまるで日本自動車展覧会場のような観を呈しておると、これではいろいろな点から見まして、特に部品等関係から見まして、不合理の面も非常に多いじやないかというふうな意見も非常にありまして、その結果先般四月—九月の輸入を許可いたしますときには、米車いわゆるドル車につきましては、一部の高級自動車はこの際輸入禁止をするということと、それからヨーロッパ車につきましては今後漸次車種を限定して行くという方針確立したような次第であります。これは勿論運輸省の協力を得てやつておることでありますが……。でその結果、最初の試みでもありますので、例えば従来の数十種類のものをここで二、三十種類にいきなり落してしまうというわけにも行きませんので、第一段階試みといたしましては、我がほうが希望しない車種については割当量を加減する、即ちかなり減らして行く。希望する車種については割当を殖やすというようなことで、第一回の試みとしていたしたのでございますが、十月以降の輸入割当につきましてはその方針を更に強化して参ろうというふうに運輸省とも意見は一致したわけであります。そういうふうにしましてできるだけ能率的な、合理的なことになるように実は車種を制限して参ろうという考え方をいたし進んでいるわけであります。
  26. 白川一雄

    白川一雄君 国産のを奨励するという事柄は、現在非常に仕事がなくて困つている下請工場中小工業なんかも助ける途でございますし、成るほど現在の段階では日本の車に乗るより、向うの車に乗つたほうが乗り心地は甚だよろしいですけれども、ここは我々はやはり暫らく辛抱しても、国産のものに当局のほうが製造の面も一つ力を入れて頂いて、現在の外車のように勤労というものが加わつていないものが非常に大きな利益をとるというような恰好に持つて行くということは、いろいろ誤解をされる面もあるし、我々現実に各業者の状態を見ても、このことについてはその理由が奈辺にあつてそうたくさん車を入れるかは、官庁に対する非常な疑念も起りつつあるという現状から見まして、通産省のほうは積極的に国産奨励の面に行つて頂いて、五十八車もの種類の車が入つているという、戦争に敗けた国としては逆にちよつと恥かしい姿ではないかと考えられるので、その辺は根本的に日本産業を育成するというプリンシプルの上に立つて輸入の御計画も立てて頂かんと、幾ら苦労しても浮ぶときの来ない日本になつてしまうのではないかということを特にお願いしたいのでお尋ねしたようなわけであります。
  27. 小松正雄

    小松正雄君 私も今白川委員の質問されましたのに関連いたしまして一、二お尋ねしたいと思うのですが、さつき御質問の中の御答弁に、外車を入れることはとめてあると、こういうことでありますが、先般新聞を見ましたときに、余りにも日本国内事情が豊かになつて来たのじやないかとか、或いは又豊かになつているのじやないかというふうに諸外国から見受けられるようなことになりはしないかという点から考えまして、而も想像に余りある高級車が三台とか東京都内に入つて来て、それがどうだというようなことが、新聞にもその自動車が載つてつたですね。自動車の姿が載せてあつた。そういうことを見まするときに、実際に通産省のほうでそういう高級車等輸入禁止して実際あるのかということをお尋ねしたい。
  28. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この自動車輸入の、何といいますか経緯について若干申上げますと、御存じのように若干細かい話になりますが、通産省のほうでは要するに自動車工業のほうという意味から、重工業局という局があつて、そこではどつちかというと外車輸入は絶対反対であります。ところが他方運輸省を中心とした方面からは、戦争前から非常に外車が入つておらん、従つて非常に老朽車が多い、従つてその老朽車を或る程度新車に代替をしなければならんというふうな御計画もありまして、その面から言いますと非常に多くの輸入を必要とするという意見が非常に強いわけです。御存じのように運輸委員会では我々はいつもどうしてそう輸入を締めるのかということでいつもやかましくお叱りを受けているわけであります。我々通商局の立場といたしましては外貨予算編成という関係からできるだけ外貨を或る程度節約したいというような点から、別段重工業局の肩を持つわけではございませんけれども、同じ省にあるというような関係から、通商協定で止むを得ないものは別といたしまして、比較的輸入にやや消極的な考え方予算編成に当つているわけであります。ところが他方今申しますように輸入を多くしろというような意見も非常に多くありまして、運輸省重工業局との中に立ちましていつも苦労をさせられるのであります。その結果先ほども申しましたように大体国産生産の伸びと需要との判断で大体一万台ということならば、そうむちやな輸入の仕方でもなし、又国産も最近御存じのように生産も殖えまして、決して輸入によつて国産が圧迫されているということは毫もありませんし、他方輸入業者から言うと、運輸省年間二万台とかというような大きな量を入れておりますが、それを調整しまして、先ほど申しましたような大体のめどとして、年間今年は一万台というふうにきめているということを申上げたのであります。これも十月以降の外貨予算編成でどうなりますか、もう少し節約をしろということになりますれば当然輸入の数量は減らさなければならなんのであります。今のつもりとしては大体そういうような考え方でいたしております。それから先ほどもお答えしておりましたように、じや何台入れるということになつて、その入れる入れ方の問題でありますが、これは御存じのように自動車もいろいろ種類がある、併しビユイツクとか、或いはリンカーンとか、或いはキヤデラツクとか、或いはパツカードというような、そういう大型車と申しますか、そういうものは何も必要ないのじやないか、シボレー、フォード級で数が多くあつたほうがいいというような議論もあるし、余り日本人として柄にないような立派な車はこの際遠慮したほうがいいのじやないかということで、先般の輸入許可に当りましては今申しました三種類の車は輸入禁止をいたしました。そのほかいろいろ種類がありますが、例えばクライスラー系の車でも一部は輸入禁止をした。その輸入条件としまして、たしか気筒容積四千五百CC以下、それからホイル・ベースが百二十インチ以下としまして、それ以上のものはこの際輸入禁止するという建前をとつて来ております。これはアメリカ車についてであります。ヨーロツパ車先ほど申しましたように車種を私ははつきり記憶しておりませんが、たしか二十種類くらいの車種に今後抑えて行きたいということで、その該当車種以外のものは割当を第一回の試みとして非常に削つて参つたということでありまして、今後ともこれはそういう方針で漸次希望車種に統一して行くというような考え方で進んでいる。第一回の試みでありますのでかなり抵抗もありまして、はつきり申しますと、ああいう自動車輸入と申しますのは、向う取引先とこつちの輸入商社との関係、エイジエント関係になつておりまして、誰でもそこへ行つてつて来るというような恰好になつておりません。従つて或る車種輸入禁止するということになると、その店は殆んど営業停止ということになるわけで、その面から見ますと抵抗が強いわけでありますが、或る程度そういう非難も押切りまして、今期においてはそういう措置を第一回の試みとしてとつたわけです。今後も大体そういうようなことで漸次御指摘の点、御趣旨の点は我々も同感なのでありますが、なかなかそうこれを一挙にやるのは摩擦が多いものなので、大体御気持の点は体してやつているつもりです。
  29. 小松正雄

    小松正雄君 大体御答弁で御了承もできると思いますが、希望的にここに申上げておきたいと思いますのは、今御説明のように国内において外貨の獲得ということは、これは申すまでもありませんし、又これにタッチいたします委員会は、本委員会が一番主であると考えます。なお進んでこれに対しまする、運輸省あたりから不便的、便的関係から外車輸入せよというようなことを通産省のほうに申出があるといたしましても、主管である通産省としては、国民の輿論から考えて見ても、余りにも高級な、先般さつき指摘して申しましたように、一億に近い自動車が三台も入つて来た、こういうようなことが載つておるということだけでも、国民はどういうふうに考えるか、又私どもは国民の一人として実際そんな高い車にどなたが乗るのか知らないけれども、やはり日本国民の者が乗ると思いますときに、そういうふうな贅沢以上を飛び越しておる。さすれば日本国内の事情は相当豊かになつておるのではないかというふうに諸外国は考える。例えば戦争に関する賠償金を取立てようとしておる国のかたがたでも、そういうことを考え合せるときは相当そういう外交方面にも弊害を来たすというようなことも考えられるのでありますし、なお又もう一つ国内産ででも何も間に合わないことはないじやないか。或る程度日本の国民として忍んで行きさえすれば、何も今日の段階においては、そう国内自動車としても乗りにくいというようなこともないのではないか、かようなことを考えて見まするときに、これが国内生産を相当数増加されるようになりますれば、これに匹敵して労務者も相当使用してもらえることにもなり、失業対策の一環にもなるということを考え合せますときに、通産省としては如何なる要求、如何なる圧迫を運輸省方面から受けるとも、これには一つ絶対反対をせられて、そうして只今御答弁になりましたような私たちと同じであるという御信念の下に、強くそういう気持で進めてもらいたいということを希望としてお願いを申上げておきます。
  30. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今のに関連してでありますが、私はこの特殊鋼方面に長年関係をしておりましたので、お伺いして見たいのでありますが、今日この自動車、これが或る部分改良されておる点、それは多量生産というので安く日本に入つて来るのでありましよう。今日までのあらゆる特殊鋼を使う工業を見ましても、日本でできないというものはありません。もうないと断言して憚からないのであります。ただ生産費が高くつく、なぜ生産費が高くつくかと申しますと、売れないから高くつくのでありまして、この際政府当局においては我が日本の工業、産業の発展という見地からいたしますと、外国品の輸入というものは、関税をうんと高くしてこれを阻止する方向へ持つて行こうというお考えであるか、或いは安ければどんどん外国から入れて、日本産業が潰れてもいいというふうにお考えになつておるのか、その辺の御決心のほどを承わりたいと思うのであります。
  31. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 国産で間に合うものまでも輸入するというつもりは勿論ありませんし、現在もやつておりません。輸入の状況を申上げますと、先ず六カ月ごとに輸入外貨予算というものを編成いたしまして、国産工合、或いは日本需要工合をそれぞれ判断して関係各省いろいろ協議をし、又関係業界の意見も聞きましていろいろやつておるわけでございます。ところが実際問題として今のお尋ねがありましたように、量的にもう間に合わんということであれば、これは輸入は止むを得ないのでありますが、品質、価格の点におきまして輸入品に非常に劣るというふうな商品につきまして、これを輸入すべきかどうかという点につきましては非常に我々本判断に苦しむのでありますが、それらにつきましてはそれぞれ需要原局の担当官と生産原局の担当官を以ちまして、それぞれ品目別に輸入審議会を作つております。そこでざつくばらんに申せば被告と原告とが一緒になつて会議をするというような恰好であります。そうしていろいろ議論した結果、成るほどこの程度のものは輸入をしなければならんということで、慎重に我々としては輸入の可否を決定しつつあるわけであります。ところが又実際問題といたしまして、日本のそれでは輸出品はどうかと申しますと、およそ日本輸出品は外国にとつて、見方の相違もありますが、どつちかというと不急不要品を主として輸出をしておるという恰好でありまして、従つて日本からそういうものを輸出するためには或る程度外国からも緊要度の低いものでも買わなければならんという面もあるわけであります。通商協定をいたします場合に、こちらの欲しいものだけ輸入するということになりますると、又向う向うの欲しいものだけを輸入するということになりまして、結局雑貨その他の、要するに軽工業品というものはおおむね輸出ができないというようなことになるわけです。それをいろいろ歩み寄つて、或る程度双方若干国産にも影響はあるであろうが、大したこともないというような場合は、これは妥協して行かないと通商協定の成立もできないわけです。今申されました国産との関係は、通商協定の締結、或いはいろいろ現実の許可に当つてむずかしい……、理窟では簡単に言えますが、実際問題ではなかなか取扱がむずかしいのでありますが、我々は今申しますように、これは慎重に慎重を期しまして、国産に与える影響を考慮しながら輸入の許可をいたしておるわけでありますが、併しもう国産があるから、品質が悪い、或いは価格が高くても国産があるから全然輸入をしないというわけにも実はいかんものも若干あるわけでありまして、或る程度合理化を促進するというような意味合からも、ものによりましては輸入をしたほうがいい、このほうが刺戟になるというものも多々あるわけであります。併しこれも輸入の量を考えなければいかんわけであります。そのように通商協定の面、或いは合理化上の収益というような点、かれこれいろいろ考えつつやつておるのでありまして、決してむやみに輸入を安ければ、或いは輸入したければ皆どんどん輸入するというのでは勿論ありません。外国事情も御存じのような状況でありまして、何でもかんでも買えるというふうな状況でありませんので、もうおつしやるまでもなく国産ということを第一に考えつつ第二次的に、併し国産だけでは余りにアウタルキー的なことになつて進歩がないという場合に輸入考えておる、こういうことであります。
  32. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  33. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  他に御発言もないようでありますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。
  35. 加藤正人

    加藤正人君 この改正法律案においては輸出業者協定輸出組合設立とを認める場合に、即ち輸出カルテルを認める場合に依然として種々の制約が設けてあるけれども、アメリカ等全然自由なものに対して考えるときには、今後大いに貿易の振興に依存して行かなければならんという国情としては、甚だ適切ではないと思われるのであります。なおカルテル行為を認める場合の四原則を法文の冒頭に掲げるごときは、独立国の法律の建前上甚だ不体裁でもあり、又不見識でもあると思われるのであります。  次に生産業者のうち紡織のごとき輸出入の意思と能力ある者に組合の結成並びに協定参加を運用上認める方針でありながら、この法律の目的と名称とが主として輸出入の取引、即ち貿易関係法律であるとの観点からその明文化を避けたごときは甚だ形式にこだわり、実際から遊離した感があるととは甚だ遺憾である。ついてはこの際念のために要望いたしておきたいことは、右のごとく法文に明記されなかつたことのために種々の障害が惹起した場合においては、政府は今後適当な機会にこれを明文化することに努められたいということである。この法律案には以上のごとき種々な不満の点もあるが、我が国現下の国情に鑑みてこの程度法律案でもこれを可決することが時宜に適しておると考えるのでここに賛成するものであります。
  36. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 本案には賛成いたしますが、本法は弊害の矯正に重点を置いておるのでありまして、積極的な貿易振興策というものはこれでは足らんと思うのであります。従つて今問題に一部なつておりまする輸出積立金制度でありまするが、或いは輸出の取得の一部に対しては減免税を行いまするとか、或いは特に日本のような金利の高いところにおいては輸出金利を引下げるというような積極的な貿易振興策を急速に本案と並び講ぜられるということを条件といたしまして賛成いたします。
  37. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決を行います。  輸出取引法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案を衆議院送付通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  39. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定をいたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告等事後の手続につきましては、例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それから本案を可とせられたかたの順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     松本  昇  加藤 正人     小松 正雄  黒川 武雄     西川彌平治  酒井 利雄     豊田 雅孝  海野 三朗     白川 一雄   —————————————
  41. 中川以良

    委員長中川以良君) それからこの際にお諮りをいたしまするが、先般藤田君が委員を辞任をされましたので理事が一名欠員になつておりますのでこの際理事の補欠を選任をいたしたいと存じまするが、選挙を省略いたしまして指名方御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それでは海野三朗君にお願いいたします。   —————————————
  43. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは引続きまして通商関係に関しまする質疑を行います。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今通産省としての御意見を承わりました。私もそれで大変結構だと思うのでありますが、一つも外国のものを買わないというようなことにもいかんし、それだからといつてそれをめちやくちやに入れられても困るし、要するに向うから入れるものはこちらのほうの参考になる、やはり外国のものをよく調査研究する必要がある見地からして、やはり多少の輸入は止むを得ないと思います。併しやはり特殊鋼、部分品、自動車、そういうものは相当専門に研究せられて、金属の研究におきましては我が国の研究の結果は世界に冠たるものがあるのでありまするが、これを実際面において利用する点において非常に欠けておるのであります。これを促進して行く意味におきましても、成るべく内地の自動車を督励して行く意味において事業を加減をして頂きたい。そして内地の産業の発展に一大生気を与えて頂きたいと思うのであります。そういう点につきましてはやはり通産省としてその鍵を握つておられるのでありますから、特にその点に御注意を願つておきたいと思います。これで私の自動車に対する質疑を打切ります。
  45. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ほどのいろいろ御質問がありました点に関連するわけなのでありますが、国内でできるものについて海外から輸入をしないようにする。これはできるだけそうあつていいわけなのでありまするけれども、国内で安く而もいいものができない場合に、これを海外から輸入することを阻止すると、殊にさような場合については多くの場合国内のいいものができないし、又生産費が高くつくようなものに対しましては補給金を出すとか、或いは利子補給をやるとかいうようなことになるのでありまして、多くの場合これは大企業、それから重点産業関係をして来るのであります。さようなことをやつておりますと、本当に国内で安く而もいい物ができるという産業が今度は反射的に悪い影響を受けるわけでありまして、丁度子供でもできの悪い者を強いて擁護しようということになりますると、できのいい子供のほうが十分に育たないというようなことになるわけでありまして、言うまでもなく日本の現状から言います。と、アウタルキーをやつて行くことは到底これはできないのでありまして、やはり国内でいい物が安くできるという産業をできるだけ育成し、又その方向へ持つて行くという見地からすべて関税定率法の問題にせよ、その他の問題にしても考えて行かなければならんと思うのでありまして、どちらかと言いますと、従来通産省の行き方は重点産業が高く生産せられ、又それほどいい物ができなくても強いてこれを育成しようとするがために却つて国内の健全に発達する産業を犠牲にしておるというような面があるわけでありまして、その面については政府のほうでもお考えにはなつておるようでありますが、どちらかというと通産省は重点産業育成の見地にとかく立ちやすいがために、我々から見るともつと考えてもらわなければならんという面があるわけでありまするので、この点を十分にこの上とも考えてもらいたいということを希望いたしておきます。
  46. 白川一雄

    白川一雄君 豊田委員のほうからお話がありましたが、現在日本自動車工業というのは、自動車製造工場と言うと如何にも大きうございますけれども、大部分が下請のものになつておりますので、ただ悲しいことには、現在の段階では技術的に非常に向うよりも見劣りがいたしますが、日本自動車工業というものは向うの製品に近付き得ないものじやない。近付きつつ現在相当あるので、これを言成して部品を、たくさんの部品が要るので、それを造る下請工場を使うということは、今日日本の人口問題を解決する一助になる大きな仕事だろうと、こういうように我々考えますので、ただ先ほどもありましたように、日本の現在の国際的地位から輸入税を高くかけるという事柄はいろいろな点で摩擦を生ずる面は多々あるだろうと思いまするが、これは輸入するときに税金をかければ目立ちますが、輸入をしなければそういう問題は少く済むわけなんで、我々としては役所が政策的に業者のほうの立場も考えて、業者政府とが一体となつて外国に対する一つの行き方というものをきめなければならないのじやないか、だから税金は余りに高くすると刺戟するならば、輸入するものを少くして、極力日本の製造数量を上げて行くというように持つて行けば一石二鳥の効果があるのじやないかと、これはほかの産業にも同じケースのものがたくさんあるだろうと思いますが、我々自動車工業の一端を知つておる者といたしましては、実際に自動車工業として大工場の形はとつておりまするけれども、造つておるものはそのうちの三割か四割ぐらいでございまして、丁度まあ話は違いますが、自転車と同じようであります。自転車が自転車メーカーと言つておりますけれども、自分のうちで造つておるのは二割ぐらいで八割ぐらいはもう小さいたくさんの工場の部品を集めてあれはでき上つておるので、少し程度が違いますけれども、自動車工業も大体そんなものなのでありまして、あれを盛んにすることはやはり従業員をたくさん働かせ得るという産業になるので、そこは非常に国際関係のデリケートな面がありますが、そこは民間と官庁とが組んで一体になつて海外に当るという線をとらなければいかんものだろうと私は常々そういうふうに観察いたしておるのであります。ですから、せいぜい一応国産品奨励の点に……、現在の技術の点では又理論的にも負けるとは思つておりません。ただ機械の設備その他から原価が高くつくというところが悩みであるように考えておるわけであります。奨励して頂ければ、事業者も多くなれば自然安くいいものを造るという趨勢が、速度が早くなるのじやないかと、こういうように観察いたしております。
  47. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 一言まあ我々の考え方を申上げさして頂きたいと思いますが、今諸先生方の言われること、御尤もなのであります。まあ実際問題といたしまして、今豊田先生の言われたごとく、通産省は何と申しましても通商産業省ではありますが、やはり生産が中心に実際なつておるのであります、これは。従いまして国産保護というか、日本産業保護育成という点はこれはもう強調なさらんでも、もう原局、まあ我々がそう言うと変な言い方になりますが、原局はそればかり申しておるわけであります。そういうことでは余りに固苦しくなつて、外国へは雑貨みたいな、まあ外国へは不急不要品を買えというような恰好をしておりながら、向うのものは何も買わんぞと、国内で間に合うものは何も買わんぞということになりますと国際貿易は成立たんのでありまして、国際貿易の理想的原則から言いますと、要するに輸出輸入とも自由と、為替事情さえ許せば輸出入とも自由ということが原則であるべきなのでありまして、実際問題といたしまして、その産業の発展段階が非常に違いまして、資源の多い少いの国があつてなかなかうまく行かんというのが現実でありますけれども、どつちかというと、少し輸入品を入れて刺戟をすると、冷すと、頭を冷すぐらいで行きましても、非常に大胆な言い方になりますが、それで丁度いい加減に私はなるのじやないかぐらいに考えております。通産省国産保護だと、大蔵省は外貨節約だということになると、これはますますアウタルキー的な固苦しいことになるわけでありまして、それで果してこの国民経済がうまく行き、貿易も伸びて行くということなら、これはもう何をか言わんやでありますが、我々としてやはりこの両面を、諸先生方でも若干この御議論見ますと、差があると同じように、我々も絶えず両方の意見を妥協しつつまあ進んでおるような段階であります。通産省としては輸入し過ぎて困るというようなことは実際はないわけであります。どつちかというと、渋つておるほうが多いのであります。どつちかというと、まあ需要者方面から言うともつと輸入したほうがいいという意見を多く聞かされておるやつを抑えておるのが実は実情でありまして、そういう人たちの両者の議論の間に入つて、まあ我々つくづくこういつも感じますことは、どうも今余り締め過ぎておるのじやないか、併しこれは外貨事情もあつて、或る程度止むを得んことではありますけれども、どつちかというと、国産保護に過ぎているのじやないかぐらいに我々感じておるわけであります。そうかといつて我々輸入しようというつもりはござついませんけれども、決して今諸先生方の御心配になるようなむちやくちやに国内産業にえらい影響を及ぼすような輸入考えておりはせんかということは全然考えておりませんから、その点は御安心願いたいと思いますが……。
  48. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと私からお伺いしたいのですが、朝鮮の休戦協定もまあいよいよできたわけでありまするが、こうなりますると、中共貿易とか、或いは対ソ貿易というようなものが従来よりは相当に緩和をされて参るかどうか、これらの見通し等についてはどういうふうにお考えでございましよう、それに関連をいたしまして……。
  49. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この対共産圏、特にこの対中共貿易でありますが、まあ常識的に考えますと、朝鮮の休戦協定の成立によつて若干この世界の風潮が従来のような厳格な輸出統制から少し緩和をするであろうと見るのが常識的な見方ではないかというように我々見ておりますが、併し最近御存じのようにヨーロッパでそういうことをしよつちゆう会議をしておりますココムの会議の状況を見ましても、それから最近のアメリカの与論を見ましても、期鮮の休戦協定ということによりましてまだ大きな動きは殆んど現われておらんわけでありまして、どつちかというと本当の休戦にまで行くのにはまだ時間がかかるので、今のところは差当りの停戦だ。従つてまだこれから先の問題のほうが多いのだから、今にわかにその問題について積極的な考え方をすることを戒しむべきであるという意見が、アメリカのみならずヨーロツパでもかなり強いわけであります。併しながら常識的に判断をしまして、情勢もこう変つて来れば中共が要するに戦争をしているというその前提に立つて、ああいう戦略物資の強力な統制をするということだつたのでありますが、相手が戦争をやめたということになれば、これは情勢が変化して、従つてそういうエンバーゴーを緩和するということはこれは当然な行き方であり、常識的な進み方であろうと思いますが、そして我々としましてはかねがねそういうふうな情勢に備えまして研究を進めております。実はこれは若干デリケートな話でございますのでどういうことでどういうことをやり、どういうことをあれしているかということをはつきり申上げにくいのでありますが、事務的にはかなり突き進んだいろいろのプランを実は持つて、外務省とも、勿論交渉は外務省がやることでございますが、外務省とも事務的には十分打合せをしているわけであります。
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) 今日は午前中に請願陳情審議をしたのでありますが、そのうちに取上げられました一、二の問題があるのですが、例えば木造船の問題、これを中共に是非出るようにしてくれという請願でありますが、政府側の説明を聞いたのですが、ソ連には許されているけれども、中共には許されていない。それからもう一つ自動車の部分品の問題ですが、こういうふうなものは中共のほうに輸出をしてもいいのじやないか、そういうような又請願もあるわけですが、これも戦略物資だから、どうも今のところは何ともいたし方がないというようなお話であつたのですが、そういつた問題はまあ緩和をしてもいいのじやないかと思われますし、又ソ連にはいいけれども中共にはいけないというようなものが相当あるでしよう、これは又どういう意味でそうなつているか、それらの点を御説明願いたいと思います。
  51. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) このいわゆる共産圏向けの輸出統制と、それから中共向けの輸出統制というものは根本的に違うわけであります。これは御存じのようにまあ冷戦と申しますか、コールド・ウォアという言葉ができた頃からこのいわゆる共産圏に対して或る程度そういう戦略物資の輸出統制をいたしたいということで、これは他方アメリカのバトル法との関係もあるわけでありますが、そういうことでかなり前からソ連圏、ソ連圏という、いわゆる共産圏でありますが、共産圏向けの輸出統制があつたわけであります。それは御存じのように、占領がありましたので殆んどアメリカに近いような統制をずつと日本はやつて来たわけであります。ところが中共との関係がああいう朝鮮の戦乱を契機として中共がそれに参加したということになりました結果、要するに現実に戦争をしている国ということで、中共が何といいますか、国連におきまして俗に言えば懲罰決議ということになるのでしよう、と思いますが、そういう経済報復措置をとるという決議が国連であつたわけでありますが、以後各国が思い思いに中共向けの統制を強くして来たのでありまして、現にアメリカ、カナダというものは全面的な輸出禁止であります。それから日本は占領時代から引続きましてかなり緩和はいたして参りましたが、かなりこれも強いほうに属する。日本にほぼ近いところでは、イギリスが現にそういう状況であります。それからフランス、ドイツというのが日本側よりも若干弱いということであります。そういうことで各国の足並みが非常に揃わないということは非常にまずいことであるということで、その足並みを合わそうということでいわゆるパリでココムという組織ができまして、そこで各国がいろいろと寄合つて相談するということでありまして、今のところはそこでいろいろと相談したのに基いて、各国が自発的にその趣旨を尊重をして戦略物資の統制をしているということになつているのであります。内容は要するに戦争をしてるか、戦争をしていないかという判断でありまして、戦争をしている中共に対しては、中共だけではございませんが、勿論北鮮も入つているわけでありますが、非常に強度の統制をやつているというふうなことになつているわけであります。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどのことでもう一言お伺いいたします。この自動車の部分品でありますが、そういうものについての研究、つまり科学技術の推進という点から通産省としてはどういう今日まで態度をとつていなさつたのでありましようか。それをちよつとお伺いいたしたい。
  53. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 実は私通商局でありますので余り生産の指導のほうは存じませんので、又重工業局長でも参りましたときに一つお聞きを願つたら幸いだと思いますが……。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうですか。その科学技術、そういう方面の研究の予算とか、そういうふうなものはやはり通産省のほうにおありになるのですか。
  55. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) これはかなりあると思います。これも実は我々のほうの所管ではございませんが、御存じのように工業技術院という部局もございまして、そこでかなりの補助金も実は現に出しているはずであります。
  56. 白川一雄

    白川一雄君 ついでに我々まあ噂だけで聞いて、具体的なことを知りませんのでお教え願いたいと思いますが、香港を通して各国が中共へ、禁ぜられている物資もどんどん入れている。又イギリスが香港上海バンクで特別に為替の取扱方法を最近緩和して、緩和というか便利な方法を講じて、イギリス商品が中共に入りやすいようにしたというような事柄を香港方面からの通信によつてかねがねから聞かされているのですが、その点については通産省のほうではどういうふうに御観察になつているのですか。
  57. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 最近香港が何かそういう新らしい措置をとつたということは私は存じませんが、御存じのようにああいう戦略物資の輸出統制の上から申しまして、いつも香港と、それからマカオというものが一つの盲点といいますか、になるわけであります。従いましてマカオ向けの輸出、或いは香港向けの輸出をどうするかということがこの戦略物資の輸出統制をやるときに併せて必ず技術的に一緒に問題になるわけであります。ところが今先ほども申しましたように、各国の足並みが非常に揃つておらなかつた。ところが最近は非常に歩調が合つて来たのであります。特にイギリス領でもありますし、イギリス関係を申しますと、最近の貿易統計を見ますと、非戦略物資の中共向けの輸出が、イギリス輸出が非常に殖えているというのでありますが、戦略物資の輸出統制は、特に香港を通しての統制は最近非常に厳重になつて来たというふうに聞かされているわけであります。イギリス側の説明も大体そういうことを申しているわけであります。御存じのように、ざつくばらんに申上げれば何と申しますか、香港におるアメリカ総領事館というものが実際一番の大目付役でありまして、これが始終そこで監視をいたしておるというのが実情なんであります。それらのいろいろな報道を聞きましても、最近特に弛んだということよりも、最近非常に厳重になつたというふうに聞かされております。特に香港からいろいろ参ります中国人がいろいろ情報を持つて来たり、或いは相談ごとによく参りますが、その意見を聞きましても、香港政庁のコントロールは最近は非常にきつい、従つて日本がそうあそこを通して中共側に流れるという心配を従来しておつたが、そういう心配はないということを言うておるぐらいでありまして、我々としては或いはヨーロツパ会議の模様から見て、或いはそのほうがたやすいのではないかと思つておりますが……。
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこの程度でよろしうございましようか。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会