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国務大臣(
岡野清豪君) お答え申上げます。
武器の
製造許可制につきましては、これは今まで禁止をしておつたわけで、そしてそれに対して若し必要があれば
許可をするというふうにな
つておつたのでございまして、それが昨年の十月二十四日にそういう法令が解消されまして以後は、いわゆる自由競争そのままの形で仕事がされておるのでございますが、併しこの
武器などの
製造につきまして、ただ自由競争であるからとい
つて、
濫立をさせ、又自由自在にやらせるということになりますと、
二つの観点から、社会的に見ましてよくないと
考えますこと、即ち
一つは経済上の観念でございますが、余りたくさんの、引続いた恒久的の
注文があるかないかにかかわらず、その場当りの仕事をして行きますために、非常に工場とか、生
産業者が
濫立しまして、そうして結局競争の、悪競争の結果非常な出血受注もしなきやならんということになりますし、又出血受注でなくなりましても、そのために誠に不健全な経営をして競争をや
つて行かなきやならんというようなことになりまして、非常な
濫立の弊というものが財界に起りますので、これを防がなきやならんというのが経済上の
一つの点。それからもう
一つは少くともこれが
爆発するとか何とかいうこと、若しくは
武器が外へ盗まれるということになりますというと、公安上、又は社会の平和な生活上、危険が勃発せんとも限りませんので、そういう
意味におきまして、社会公安上、やはり或る
程度の
規制をしなきやならん。こういう
二つの
意味におきまして
規制をしたわけであります。そのほか輸出に対しましていろいろの制度をするとか、若しくは財界の混乱が起きることが自然に予見されるとかいうような場合に、若し
日本の経済の基盤というものが非常に確固として、少々の波では財界は何らの危険もない。こういうようなしつかりした財界の基礎が立
つておりますれば、もうこれは自由自在に自由競争に任していいのでございますけれども、併し
只今のところでは、
日本の現状は、悲しいかな、僅かな波にでも業界の破綻を来たし、延いては財界全体に非常な混乱を及ぼすというような危険が想見されんとも限りませんので、そういう
意味におきまして、不況カルテルとか、合理化カルテルとかいうようなものも作りましたし、又輸出取引法なんかにつきましても、今の世界の貿易というものは、これはイギリスが盛んであ
つて、そして自由貿易を世界に押し付けて、そうして自由自在に輸出入貿易が行われておつた時代とは全くかけ離れまして、どこの国も非常な制限貿易をや
つております。こういう
建前におりますので、
日本だけが自由自在の、即ち
業者の無軌道な競争に任しておいて、そして国の利益を失うというようなことにさせて行くことは、
日本の国全体の利益でもございませんので、相手方が若しそういうふうにしておるならば、やはりそれに対抗して輸出貿易を振興して行くためには、或る
程度の
規制をして行くということが出て来たわけでございまして、無論自由主義自由主義と申しましても、国際情勢から申しまして、手放しの自由主義では今日は貿易ができない。こういう情勢にな
つておりますので、世界の情勢に対応するだけの
日本の業界の態勢を整える、こういう
意味でいろいろな方策を講じたわけでございまして、いわゆる統制を撤廃して、何もかも無軌道に自由競争をして行くという、今まで殊に若し我々の
考え方が誤解されておりますならば、それは私は
只今訂正いたしておきたいと思います。とにかく内外の情勢上、必要な
限度の国民の活動を保護するという
意味におきまして、対外貿易に当
つて行きたい、こういう判断でございます。