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1953-07-25 第16回国会 参議院 通商産業委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十五日(土曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 七月二十四日委員江田三郎君辞任につ き、その補欠として三輪貞治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長            中川 以良君    理事            加藤 正人君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            黒川 武雄君            小林 英三君            西川彌平治君            松平 勇雄君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            海野 三朗君            藤田  進君            武藤 常介君   委員外議員            入交 太藏君            中山 壽彦君   衆議院議員            小平 久雄君   政府委員    通商産業政務次    官       古池 信三君    中小企業庁長官 岡田 秀男君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省企業   局企業第一課長  出雲井正雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業金融公庫法案内閣提出、  衆議院送付) ○商工会議所法案衆議院提出)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。  最初にお諮りをいたしまするが、只今運輸委員長からお申入れがございまして、昨日当委員会にお出しになつ申入事項に更に追加をして申入をしたいと、そのために入交議員委員外発言をさせるので是非許してもらいたいというお話がございましたので、入交君を委員外議員として発言をして頂くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それでは最初に御発言お願いいたします。
  4. 入交太藏

    委員外議員入交太藏君) たびたびお邪魔に出まして誠に相済みませんが、作目運輸委員会から出て来まして、この中小企業金融公庫法案につきまして、何らかあの衆議院からの附帯決議におきまして、農林水産関係を除いたほかの……特に通産のほうにウエイトを置くというような文面がございます関係からいたしまして、何らか運輸関係を除いておるのじやないかというようなことを心配いたしまして、あの通りお願いしたわけでありまするが、私のほうから申入れました附帯決議はあのままお願いしなくてもいいのでございまするが、要するに農林水産関係以外のものみんな含むということにお願いをいたしまして、特に運輸関係を更に含むということにいたしましたようでございます。と申しますのは、昨日もお願いしましたように、相当運輸省関係におきましても中小企業に属しまする部類がたくさんございまして、この公庫金融を願わなければならんということが非常に多くなつて参りまするので、この点を特に運輸委員会からといたしましてお願いするわけでございます。  なお昨日は申し残しましたが、金融につきまして三百万円以内、こういうことになつておりまするけれども、特に三百万円では運輸関係その他につきましては到底金額が足りませんので、少くとも一千万円程度までのことに金融ができるように是非お願いしたい、こういうお願いを附加えまして本日はお願いをするわけでございまして、その意味を以ちましてよろしく御審議お願いいたしまして、そういうようなお取計らいに是非ともお願いしたいというわけで今日は重ねてお願いするわけであります。よろしくお願いいたします。
  5. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 前段の運輸関係中小企業通産関係所管事業と比べて偏頗な扱いをしないようにという御発言に対しましては、昨日も私原案関係といたしまして申上げたのであります。公庫におきましては業種別の枠を作りませんのであります。そういうような差別的な取扱はしようと思つてもできないということを申上げたのであります。  貸付金額の問題につきましては、衆議院のほうの附帯決議といたしましては、公庫資金操作をいたします金額が余り多くないという関係から、差当り三百万円で以てやつて行くと、併しながら特に必要があるときは一千万円まで貸付けてもよろしいことになつておりますので、この衆議院附帯決議を具体的に当てはめて参りますれば、今の御発言のような場合、特に一千万円が必要だというふうな事態には適当に操作ができるのじやないかと私どもとしては解釈いたしておるのでございます。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 入交君の御発言に対しましては、十分一つその御趣旨に副いまして本委員会審議をいたしますので御了承下さい。
  7. 入交太藏

    委員外議員入交太藏君) 有難うございました。よろしくお願いいたします。
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは昨日に引続いて御質疑お願いいたします。
  9. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 昨日基本的な問題につきましては質疑をいたし、それぞれ答弁を得たのでありますが、やや細かい問題につきまして三、四点伺いたいと思います。  先ず第一には、この中小企業金融公庫ができましたならば、その代理金融機関と緊密な連絡を図らなければならんと思うのでありますが、特に特殊金融機関でありまする商工中金との間においては、格別緊密なる関係をとつてつて行く必要があろうと思うのでありまして、この面において役員兼任等方法によつて事務の円滑を期しようというようなお考えがあるかどうか、この点について伺いたいと思います。
  10. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 当委員会におきましての御質疑等によりまして、公庫ができました上の運用商工中金と円滑な連絡、連携をとつてやらなければならんということにつきましては、すでにいろいろと御発言もあり、私どももお答えいたしたのでございますが、それを具体的に現わす方法として、役員兼任をやつたらどうかということでございます。私ども考えといたしましては、この公庫仕事というものは大切な仕事である。従いまして役員は専念この公庫業務に従事いたすべき筋合いのものであると考えておるのでございます。現に法案の第十四条におきましても兼職を禁止する規定が挿入されておるのであります。従いまして商工中金公庫役員を兼務さすということは、以上申上げました考え方から申しまして不適当であろうと私は考えるのでございまするが、一面におきまして、商工中金並びにその業務の基本でありますところの協同組合を極力育成して行くという考え方、これが公庫運用の上に十分反映するということは、これは願わしいことでございますので、公庫役員をきめます際に、若しも適当な人がございますれば商工中金から役員を迎える、つまり兼務ではございませんで、役員に来て公庫役員として公庫仕事に専念して頂く意味でございますから、協同組合に対する金融業務専門家役員の中に迎えるということは考え得べきことであろうと思うのであります。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 御趣旨はわかりましたが、それは中小企業金融公庫のほうへ行きつぱなしということでありましようか、或いはときによつて交流するという意味でありましようか。交流をやることによつて却つて両者事務緊密化が図れるというような面もあろうかと思いますが、その点について……。
  12. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 公庫役員は十二条によりまして任期は四年に相成つております。仮りに今想定をいたしまして、商工中金系統の適切な人が公庫役員になられたとして、四年たつて任期が切れるということがございますれば、更にそのかたが商工中金に帰られて別の人が出て来られるということも何ら差支えないことであろう、こう考えております。
  13. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次には第二十六条の関係でありまするが、中小企業金融公庫余裕金なり或いは普通の資金なり、これはその預託先が限定せられておるわけでありまして、国庫或いは資金運用部に限られておる。これは筋から言うと尤もな点があるわけなんでありますが、実際上は公庫が開設になつていよいよ事業が始まりますというと、非常に不便ではないか、やはり市中金融機関にも便宜余裕余等預託をすると、そうしていつでもこれを引揚げる、そうして適切な貸出をやるというような、弾力性のある行き方が必要じやないかというふうに考えるのでありますが、この点についての御意見はどうですか。
  14. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 現在政府関係機関余裕金というものは、この二十六条に書いてありますと同様に、国債の保有以外は全部資金運用部預託する建前になつておりまして、そういうふうな余裕金運用は、挙げて資金運用部に総括してやらすという建前をとつておるのであります。お説のように、公庫代理金融機関になりますと、その金融機関公庫代理業務を行う上に、資金を或る程度持つておらなければ都合が悪いというような点に関しましては、第二十七条によります資金の交付によりまして、一定の期間その代理金融機関貸出を予定しておるような金額を交付することによりまして、業務上の支障を取り除くことができると考えるのでありまして、余裕金運用資金運用部に総括的にやらせるのだという建前をこの際本公庫だけで例外を認めるということは、困難かと存じます。
  15. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは他の公庫もこうなつておりますから、それに準ぜられたのであろうと思いますが、他の公庫においても、資金運用上の不便を実際上感ぜられておると聞いておる。將来運用に当られた際に御研究願い、実情に会うようにやつて頂きたいということを、老婆心までに申上げておくわけであります。  次の問題は第七条で中小企業金融公庫という名称又はこれに類する名称を用いてはならないとありますが、公庫だけの名称を使用することは、抑える必要はないのでありましようか。
  16. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 御指摘のような点、現在私ども考えといたしましては、公庫だけを便うのは差支えないように思われまするが、なおその点は研究をいたしまして、後刻お答えいたしたいと思います。
  17. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 公庫名称を私は濫用せられるということは、非常に弊害があると思うのであります。これは中小企業金融公庫法だけではなく、他の法案にも伴う問題であると思います。この点は政府部内で御研究おきを願つておきたいと思います。  最後に、これは他の中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の際などに、お尋ねしておけばよろしかつたのでありますが、お尋ねする機会がなかつたから、この際お伺いいたしますが、医療法人を今回認められることになつている。この医療法人というのはどういうものか、この点をはつきりさして頂きたいと思います。
  18. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 医療法人と申しまするものは、医師が数人、複数の医師が集まりまして、一種の例を引きますれば、企業組合的な団体を作ります、そうしてそれが医療法に基きまして法人の結成をする、そうした場合にそれが団体医療事務を行います、それが医療法人でありまして、一種医療をやります企業組合みたいなものじやないかというふうに考えておるのでございます。
  19. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 現在あるわけなんですか。
  20. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 現在すでにございます。
  21. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そういう形で病院などをやつておるわけなんですか。
  22. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 医療法人を法文で読んで見ますと、「病院又は医師若しくは歯科医師が常時三人以上勤務する診療所を開設しようとする社団又は財団は、この法律規定により、これを法人とすることができる」。というのがありまして、「前項の規定による法人は、医療法人と称する」。これは医療法の中にあるのであります。
  23. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑はございませんか。
  24. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今金融公庫施行令案政令案を拝見したのでありまするが、この中には例えば旅館業といいますか、観光事業のようなことをやつている旅館のようなものが入つていないのでありまするが、こういうようなものに対してはどういうお考えを持つておられますか。
  25. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 実はその問題は昨日の当委員会におきまして、委員長からの御質問がございましたのでありますが、旅館業を広くこういう公庫の相手方の業種に挙げますことは、いささか疑義があるかと思うのでありまするが、特に観光上特別の必要だとか、或いは外貨獲得に必要だというような旅館業をどうするかという問題は、この公庫対象業種のうちに向けるべきか、向けざるべきかということの限界点になる業種であろうかと考えておるのでございまして、政令を制定いたしますまでに、その点をもう一度とくと研究をいたしたいということを申上げておるのでございまして、いろいろと御意見を拝聴いたしまして十分考究いたしたいと、かように考えております。
  26. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 観光事業は、今日本でも非常に外貨獲得その他の点で非常に奨励されておる国策的な一つの面を含んでおる事業でありまするから、そういう点に主力を注いでおるような旅館業その他等に対しては、当然いろいろな配慮をされているのじやないかと思うのでありますが、その点強く要望しておきます。  それからずつと今までもうすでに論議が繰返されたと思うのでありまするが、中小企業というものの中には役所の系統から言うと、通産省指導する系統のものもあり、それから農林省のものもあり、厚生省のものもあり、運輸省のものもあり、非常に種々雑多にずつと流れ込んでいるわけでありまするが、例えばこの法案とか衆議院論議されたいろいろの点から見ても、又特定中小企業のもう一つ出ております議員立法あたりを見ましても、どうも通産省系統政府主力を注がれておるような形がするのでありまするが、これはなかなか面倒な問題で、中小企業ということから指導奨励するという場合には、通産省所管になるかも知れませんが、ある業態指導とか、監督とか、そういうことになりますと、それぞれの大臣がいるわけで、そこらの調整は私は非常に面倒な点は多々あると思いますが、併し厳格に指導されるとか何とかいうのは、非常に指導を受ける、監督を受けるほうのものは非常に迷惑をする場合があるのでありまして、こういう問題についての全般的な考え方長官から一遍伺つておきたいと思います。
  27. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) お答え申上げます。中小企業庁設置法の中に、中小企業でございますれば如何なる業庫でございましようとも、中小企業庁が、その振興について指導をいだす権限があるようにされておるのでございます。一方縦割といたしまして、それぞれの業種についての所管各省によつて、又各省の中におきましても分課規程でそれぞれの局が定められておるのでありまして、縦と横の育成、指導行政が双方調和して、矛盾を来たさないように運用するというところに苦心もあり、又むずかしさもあろうと思うのでありまするが、現在までのところ中小企業庁といたしましては、中小企業であるが故に、大企業よりも不利な扱いを一般的に受ける、つまり各省或いは各省の中の各部局のそれぞれの所管業種に対しまするところの行政やり方が、大企業に対する関係において、中小企業なるが故に不利な扱いをするようなことがあつては相成らんという一種目付役を私どものほうで又やつておるというふうに解しますれば、その間の是正が大体できるのではなかろうか、こう考えております。例えばこの公庫の問題に関しましては、これは中小企業がどつちかと言いますれば、中小企業なるが故に金融上なかなか都合よく行かん。どつちかと言えば、不利なような扱いを受けやすい、それに対しまして金融を受け得る機会を作つてやろうという法案でございます。この公庫法運用に関しましては如何なる業種公庫対象にするかということにつきましては各省とも十分お話をいたしまして、製造業なら製造業というものにはどういうものが入るかというふうなことはとくとそれぞれ所管省とも相談いたすのでありまするが、それがきまりますれば別に各業種につきまして資金の枠をつけるわけでもございませんし、何ら各省に対する、各省当該業種に対する指導監督行政に抵触するものではなかろうと存じておるのでございます。  ちよつと別のことでございまするが、先ほどの豊田委員の御質問でございましたあの名称のことでございまするが、法制局と打合せましたところによりますると、例えば「中小公庫」であるとか何とかいうふうな言葉が出て来るといかんのでありまするが、ただ「公庫」を使う、例えば畜産公庫であるとか何とかいうふうなことは、この法律のあの条文には抵触しないという解釈のようでございます。
  28. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 まあ大体長官考え方はわかるのでありまするが、関連がありまするから私聞いておくのでありまするが、例えば特定中小企業の安定に関する臨時措置法案、このときにも小笠君に、例えばこの清涼飲料水の問題なんかについてはこの主務大臣農林大臣生産指導監督をやつておるのであるから、この法案の中でも農林大臣がいいのじやないかということをまあ我々は考えると、で、現在では清涼飲料だけが指定されておりまするけれども、更に、木材であるとか、油であるとか、養蚕関係水産のいろいろの加工、いろいろの面の問題が出て来るので、こういう問題について主務大臣としておくほうがいいのじないかという意見言つて小笠君は今日まで頑として自分の所信を曲げないつもりであるということを言つておるのでありますが、企業庁長官としてのこの問題に対する所見をこの際承わりたいと思います。
  29. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) なかなかこれはむずかしい問題でございまするが、我々が先ほど引用いたしました設置法等から考えて参りますれば、又一方行政運用が徒らに権限争い的な運用にならないように、どこか一つ元締めをきめておきまして、そこで総合的に運用しながら、而もそれぞれの専門部局意見も相互反映し得るように運営するというような意味から申しますれば、安定法運用につきましても、原案のように企業庁で一応元締めをやる、そしてその具体的な運用に当つては、例えば御指摘のような業種につきましては農林大臣の、まあ中小企業庁と申しますと語弊がございますが、通産大臣でございますが、通産大臣のところでまとめておきまして、その上に、そうして具体的な業種につきましてはそれぞれの主管大臣意見、御意向を十分そのやり方に反映さして行くというほうが行政運用上から言えば妙味があるのじやないかと私ども考えておるのでございます。いろいろと御意見があるところであろうかと存じますが、さような意味合いにおきまして私どもは現在の安定法原案を解釈いたしておるのであります。
  30. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ちよつと最後のお言葉がよくわからなかつたのでありますが、今の議員立法されておるあの原案のほうがいいと思つているという意味なんでございますか。
  31. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 原案が書かれておりまする趣旨は私が今御説明申上げたような趣旨で書かれておるのである、こう考えるのでありまして、さような意味であるといたしますならば、私どものほうは賛成いたしておるのであります。
  32. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この問題については僕は反対の所見を持つておるもので、まあ別に論じてもいいのでありまするが、それから、これも何回も論議されたことと思うのでありますが、衆議院でこれに附帯決議を附けておる、「通産省所管業種ウエイトを置き、」と、こういうことがあるから私はいろいろな論議が出ると思うです。全くこれは非常に不見識な附帯決議を附けたものである。これは通産省に限らず農林省なり、厚生省なり、運輸省なり、中小企業対象になつておる。いろいろな業態が非常に広汎に亘つておるのでありますが、それを中小企業庁通産省にあるからということだけでこういう書き方がされてあるということであれば、私は非常に問題であろうと思います。これも僕は、何回も議論されたことであれば別に答弁は要りませんが、そういう考え方がいかんと思うのです。
  33. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 確かに、お答え申上げますが、衆議院附帯決議の第一を見えますと、「通産省所管業種ウエイトを置き、」ということが書いてあります。これは農林委員会から相当な強硬な申入がありましたことに対する一種通産委員会の反撥みたようなことではないかと思うのでありまして、従来例えば商工中金運用上につきましても曽つて業種所管官署の如何によりまして運営上ウエイトをつけたというようなわけではないのでありますが、これを同じ附帯決議の第五の所を見ますと、「本公庫資金運用は、業種別地域別にできうる限り不公平のそしりなきよう普遍的に均てんし、広く零細企業に及ぼすこと」ということを書いておるのでありますが、これとこの点を見ますれば、「通産省所管業種ウエイトを置き、」ということはやはり後段で打消しておるようなことにも相成のであるのであります。そういう意味から申しまして、たとえ「一」にそういうことがありましても、実際の点において「通産省所管業種ウエイトを置き、」ということは考えてもできないことだと思うのであります。
  34. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつとお諮りいたしますが、只今中山壽彦君から委員外発言を求められておりまするので御審議都合もありますと思いますので、先に御発言を願つたほうがいいと思いますので、この御発言お許しを頂きますることに御異議ございませんか。
  35. 藤田進

    藤田進君 異議あります。今のは皆の質疑終つて時間があればお許しをして頂きたいと思います。
  36. 西田隆男

    西田隆男君 そう窮屈なことを言わないで……、そう時間をとらないのですから……。
  37. 中川以良

    委員長中川以良君) 藤田さん、あなたの御質疑が済んでからにしてもらいましようか。
  38. 藤田進

    藤田進君 まだ私一人だけでないし、次々にあるかも知れないということで……、大体他の委員会でもそういう扱いをしておるようですね。でありますから、他の委員から御質疑もあると思いますので、そのように取計らつてもらいたい。
  39. 松平勇雄

    松平勇雄君 今の藤田さんのお話はわかりますけれども、前に運輸委員入交君の例もあるのですから、余り時間がかからないのなら先に中山さんにやつてもらつたほうがいいと思いますが……。
  40. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  41. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  それでは中山壽彦君委員外発言お許しいたしますことに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定をいたします。
  43. 中山壽彦

    委員外議員中山壽彦君) 私は簡単に一つ政府当局にお尋ねいたしておきたいと思います。私は厚生委員をやつておりますが、今日まで我々医療関係者融資をしてもらいたいということを厚生当局数次折衝をいたしておつたわけであります。今年度に五億円、そのうち中小企業金融公庫に四億円、国民金融公庫に一億円、この五億円は、特に医療関係者融資の額としたい、こういうことを厚生当局から聞いておつたのでありますが、そういう事実を認めてよろしうございますか、一応お尋ねいたします。
  44. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 今年度の予算折衝のと遂に厚生省と大蔵省との間でさような意味合いの案と申しまするか、要するに医療専門とする金融公庫を作りたいというような意味折衝があつたということを随分後になつて拝承いたしたのでございまするが、この公庫の中に医療向けに或る特定の枠をつけるというふうなことは終始話合いはございませんでした。
  45. 中山壽彦

    委員外議員中山壽彦君) この医療に関して特別の金融公庫を作りたいのでありますけれども、二十八年度は総額が両者で五億円でありまして、この少額で特別の金融公庫を作りますということは、人件費その他において非常に費用がかかり、実際人が多いのに融資をする額は少いから本年に限つてはそういうふうにやりたいということを厚生当局からしばしば私ども聞いているのであります。この点は一つ十分御考慮を願つておきたいと思います。  いま一つは、若しそういう場合に医療機関に融資をいたしまする場合には各自適切な銀行その他の機関を利用されることと思いますけれども、我々医療者の間には信用組合というものが各所に設立をされて相当な成績を挙げているのでありまするから、こういう医療者の信用組合もその中の一つにお加え下さる御意思があるかどうかということをこの際伺つておきたいと思います。
  46. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 先ほどお答えいたしましたのは一つの繋りでございますが、厚生省からこの公庫の中へ医療向けの枠を作つてくれんかというようなお話予算折衝その他が全部済みました後であつたことは確かでございますが、先ほど申しましたように、この公庫の設立準備、予算折衝その他に関連いたしまして、或る特定業種に枠をつけるということは全然考えずに出発しておつたのでございますが、医療について枠をつけるということは絶対にできない。若し医療専門公庫を五億程度の金で作ることが経費、人件費その他の関係で不可能であれば仕事はして上げます。金を持つていらつしやいますれば業務委託には応じますということはお話したことはございますけれども、さような意味合いで申上げたのでございまして、決して医療であるから我々のほうで取扱上どうこうどういうことは全然ないのでありまして、その点は、公庫運用上は業種別資金の枠を作りませんのでありますから、医療関係にありましてもそれぞれの医療関係のかたの内容によりまして融資がそれぞれ行われることに相成ろうかと思うのであります。お話医療信用組合を利用したらどうかということであつたと思うのでありまするが、信用組合全般の内容を十分検討して行きませんと、公庫代理金融機関につきましても或る程度の金融機関として内容が充実していることが、やはり代理機関に選定する上に必要であろうかと思うのであります。それから又業種的な信用組合というようなものを代理機関に選定するということが果して公庫資金運用上妥当であるかどうかということも、これは相当考慮の余地があろうかと思うのであります。私ども考えでは特に医療組合というものを利用するかせんかという問題は今後研究するといたしましても、医療に対しましてはかなりいろいろの情報を総合して見ますと、金融機関の立場から言えば貸しやすい業種一つであるように我々は情報として聞いているのであります。御指摘の点はなお検討を加えて見たいと存じます。
  47. 中山壽彦

    委員外議員中山壽彦君) この医療に関じまして融資実績というものは今日まで各銀行等から見まして極めて全国的に見て少額であつたのであります。これは病院その他の施設の関係もありますので、非常に少いのでありますから、いろいろ社会の進歩に伴つて信用機関も充実して行かなければならん、施設を強化して行かなければならん、こういうような現況下であり、この点について今後十二分に御留意を願いたい。これで終ります。有難うございました。
  48. 藤田進

    藤田進君 いろいろこの運営についての質問があつてお答えがあつたわけですが、私はやはりその運営に関する問題について質問をしたいと思います。この法案の目的趣旨は提案の理由にも書かれている通り、当面の中小企業が行詰つている状態を打開し、日本の産業の発展のために何とか一つここで僅かではあるけれども、活を入れようということがやはり目的であるように聞いているわけです。そこで今年は百五十億と言われておるけれども、併し実際には百十億程度の資金計画しか立てられないように伝えられているわけであります。一方現在の設備だけでもそのコストを見ますと、優に六百万円或いは一千万円を超えるような一台の機械だけでも、そういう実態の企業もある。そのほかにも零細企業について数知れない。非常な、診断の結果みじめな状態が出て来ているということは、これは統計上も示していると思うのであります。そこでお答え願いたいのは、いろいろこの適用についての意見はあらゆる方面から出ると思います。例えば旅館にも適用してもらいたいとか、或いは旅館でもいろいろ最近はあつて待合或いは遊郭といろいろなのがあるでしよう。けれどもこの中小企業金融公庫法施行令案を本日配付されておりますが、これは本法の中にも特定企業として省令できめるということで、一つの案がここに提供されております。大体十五に分けてあると思うんですが、この十五、ここに掲げられている、これだけの中でも、第一番の製造業、物品販売、加工、修理業を含む、これだけを見ましても厖大なものであろうと思うんです。従いまして現実の問題として明年度からの資金計画なども、まだ昨日の答弁によると確定はしていないのでありますから、年度計画があるわけでも何でもないので、当面の百十億の運用だけを考えて見ても対象業種を逐次これを見ても、おのずから重要度の軽重があるであろうと思うんです。これを賄なうためにも大変なものであつて資金も不足ですしいたしますので、やはり問題はこの運用に当つて、その軽重を純粋なやはり立場から判断して行くのでなければ業種別に見ても広汎に潤おうようなことはないような気がいたします。従つて衆院議は附帯決議にもその点を一つ入れておるように思うんです。この点について非常に薄く広くやる方法もあるでしよう、それから比較的その苦しい度合に応じて、そうして日本の産業という見地からという運用もあるでしよう。この場合果していろいろな要望などもあるでしようが、非常に薄く広くというような総花的にやはり運用せられるのが大きな方針になるものか、或いは法案の説明にある通り、やはり日本の中小企業の実態、窮屈と困難とを重点に置かれるものか、その点についてお答え願いたいと思います。
  49. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 私ども考えといたしましては、どの業種に特に重点を置くかということを、公庫運用上きめて行くことは、非常に困難だと思いまするので、この公庫を作りまして中小企業に金を流す場合に、大体どの程度の業種に流すようにしたらよいかということを全体として眺めて頂きまして、それが政令で指定されますれば、その業種の中で、この公庫がきめておりまするような資金を必要とする向き、そうしてこの金融公庫といえども或る程度はやはり金融業務をやつているのだという見地から、選択される中小企業というものに資金が流れるという仕組に考えて行くより具体的な方法としてはやり方ないのじやないか、こう考えている次第であります。
  50. 藤田進

    藤田進君 細かく聞いて見ますが、例えば先ほど来質問にも出ておりましたように、サービス業、特にその業種を、ここでは旅館ども出ていたと思います。この政令案を見ると、そういうものがどこに入るか。先ほどの御答弁によると、それも入るやのごとき御答弁もあつたので、この政令案の関連において、これはどこに旅館などは入るか……。
  51. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) この案から申しますれば、旅館業は入つていないのであります。先ほど申しましたように、旅館業のうちの或る特定のものはこれは入れるか入れんかという限界線のところにあるのじやないかと考えられますので、その点については、この政令に載せるか載せんかという点について検討を加える必要があろうということを申上げたのであります。
  52. 藤田進

    藤田進君 問題は、やはり特定なものというところの運営というものがしばしば事故、問題を起しやすいし、そこに間隙があり、いろいろなやはり、何というか、力が加わるという余地が過去の金庫についても全く言えないと断言はできないと思うのですが、若し今の頭の中に想像し得る特定旅館については、やはり入れなければならんという、この政令を更に案を修正されるような場合にはどういうものがありましようか。
  53. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 今後検討を加えるということを申上げたのでございまして、今具体的にお答えいたしかねるのでありまするけれども、御質問として私どもにお尋ねになりましたのは、旅館業のうちで、例えば観光事業に特に必要なものはどうであろうか、或いは外貨獲得に必要な旅館業は本公庫対象にしてはどうかというふうな御質問があつたのでございまして、そういうものにつきましては、いわゆる一般旅館業という観念と切離しまして、この政令に載すか載さんかについて検討を加えて見たい、かように申しているわけであります。
  54. 藤田進

    藤田進君 次に問題を変えまして、この中には公益事業、いわゆる公益事業というものが入つていると思います。例えば運送業、通運事業或いは電気ガス事業ですね、これについての融資の問題がこういうふうになるわけですが、御承知のようにこの公益事業についてはそもそもその運賃或いは料金……ガス電気ですね、こういうものがやはり主務大臣の認可制になつていて、経営全体の中で特に電気などにおいては殆んど一〇〇%がその料金収入で賄つて経営しているわけですね。ガスについてはこれはコークスその他の副産物というものも若干あるでしよう。けれどもですね、この融資をする際に、政令案によるところの諸々の様子を眺めて見たときに、おのずから軽重があることはわかります。融資の順位、金額ですね。ところが実際に運用せられる場合に、そのうち政府が統制しているところの産業、料金、こういつたものについての融資という場合は、実際には殆んどないのではないだろうか。それは一時的な現象で石炭が非常に値上りしたとか……ガスについてですね、或いは非常な渇水であるとかいうような場合を考えて見ても、いやしくも電気供給事業と書いてあるわけですから、自家用の発電所でもないし、供給業としての今日の公共事業令、電気ガス臨時措置法ですか、これを見ますると、結局これに書いているけれども、さような事態はないであろう、それはやはりこんな融資ではなくつて、基本的な料金政策その他で検討さるべきものではないだろうかというふうに考えるわけですね。例えばここに指定されている以上・理由があると思うのです。1どういう場合を予想されているかお答え願いたい。
  55. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) ガス事業、電気事業と申しますると、大体普通大企業をすぐ連想いたしまして、中小企業には余りないじやないかということも考えられるのでございますけれども、電気の供給業に関しましても、例えば農業協同組合等が小型の発電所、自家用の発電所を造つてやるという場合も考えられましようし、ガスについては特に顕著でございます。東京、大阪、名古屋等、数個のガス会社を除きますれば、極めて小規模のガス会社が全国的には大多数でございます。これらのものが供給戸数が殖えて、例えばパイプを引きますとか、又更に若干のガス発生の設備を増設するとかいうふうなことがございますればこれはやはり自己資本増資等で賄う場合もございましようが、借入金で賄うという場合に、公庫の金を利用し得るということにいたしていることは意味があろうと私は考えているのでございます。
  56. 藤田進

    藤田進君 いわゆるそれは書いてあつて運用で使わなければいいというものですか、一応建前としましては、或いは電気事業、ガス事業というのでなしに、その供給事業というものは無論実定法のここにいわゆる電気供給、ガス供給事業とこれを引用されているので、全然新らしい供給というものじやない、公共事業令などに示しているこういつた供給事業というものを指していると私は解するわけですね。そこでですよ、すぐ大きなものを連想すると言われるが、今の制度におきましては仮に電気供給にしても、今の協同組合とか何とか言われるが、これはやはり殆んど現状もないし將来もあるかどうかについてはお伺いしたいと思うのですが、公共事業令にお遂ますと、二以上の公共事業は許されないのが明文であると思います。だからこそ独占事業だ。それからガスにいたしましても、供給ということが入つている以上、一般の用に供給されるということが大前提で、そこでですよ、ガスについてもすべて料金というものが政府の認可制になつているのですから、この余り資金もない百僅か当面十億というような、而も日本全国を傘下に持つ金庫が御厄介になるということを、このガス事業といつたものにまで普及することになりますと、これは根本的な重要問題であつて、一般の中小企業ではそれはできない。けれどもガス、電気或いは通運事業ですね、こういうことについては料金、運賃、というもので処置さるべきであつて、規模の大小にかかわらず現行制度の下においては、今言われるような大きい小さいにかかわらず、そういう制度が残つているわけですから、通運も、それからガス、電気についても、これは基本的なコストの問題として政府は検討さるべきであつて、こういう融資の問題というものは起り得ないのではないかと思うのです。
  57. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 電気並びにガス事業が一般的には公益事業法によつて規制されておりまして、いわゆる料金で経営の基幹を立てて行く、これは尤もでございまするが、料金収入によつてガス、電気の会社が業務を運営して行くということと、設備の拡張その他を必要とします場合に借入金を外部からいたしまして、そうして逐次料金からこれを償却して行くということとは両立するわけでございます。従いまして外部から金を借入れます場合に、公庫もその対象一つ公庫乃至公庫代理金融機関から公庫の金を借りるという途を開いておくことは、ガス事業等がコストの安い長期の金で、設備の拡張或いは供給のために必要な施設をする、そしてそれを料金によつて返して行くという建前に相成るのでございまするから、これが料金が政府の認可にかかつているとか、或いは各般の監督政府から受けておるということと、外部から金を、必要なる事業用の資金を調達するということとはこれは別途に考えて然るべきものだろうと私は考えます。
  58. 藤田進

    藤田進君 これは形を変えて申しますと自家用の電気或いはガスですね、それから通運にいたしましても、今荷主が直接通運事業を自分のところの荷物を中心にやつて行く、いわば自家用手ね、そういうのはいろいろあります。明確なのは電気、ガスについて自家用の場合は適用しないとも考えられるのですが、その点……。
  59. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 自家用のガス、自家用の電気と申しまするものは、例えば製造業を例にとつて見ますれば、或るものの製造をいたしておりまする産業が、電気が消えるときの用意のため、デイーゼル用の電気発電設備を持つている、これは自家用電気設備でございます。従いましてここに書いてございますところの電気供給業ではないのでございまして、製造業の中における一つの設備でございます。ここに書いてございまする電気供給業、ガス供給業は一般の外部に電気乃至ガスを供給する事業のことでございます。
  60. 藤田進

    藤田進君 よくわかりました。そこで固有の一般の用に供するガス、電気或いは通運、こういうものにも融資の途を開こうという趣旨はわかりましたのですが、そういたしますと、その融資の性格は設備或いは繋ぎ資金とかいろいろの場合があると思います。と思いますが、今の御答弁では設備ということで表現されていると思うのですね。併し電気、ガスの実態から言うと大体限度は一千万円ですか、こういうことでありますので、現在のおのおのの電気、ガスの設備資金の規程から言つて、これは二百億だの百億だのと言つているのですが、こういう事情で小さいのは殆んど成り立たない状況です。こういう事情から見て、実際にはこれが申請を出して見ても返つて来ないような気もいたします。併しそれはやつて見なければわかりませんが、私はやはり今日のこの法の目的、趣旨からいいますと、そういつたことよりももつと重点的には製造業その他行詰つているということであつて、成るほど葛飾ガスは三千万円の資本金だが、こういう資本の浅い産業に三千五百万円の穴をあけたり、いろいろな事情がある。これは無論対象外ですからいいですが、実際にはそういうものでない製造業その他、ここに書いてあります順位がありますようなところに行くのではないかと予想しておりますので、その点はやはりそのように零細な企業に対して重点的にやられるのだというふうに申上げておきたいと思います。
  61. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 実はここに書いてあります順序は融資の順序を示しているのではございませんので、ガス供給業なんかに例をとりますと、地方の小都市におきますところのガス会社の資本金は非常に小さいのでございます。そういうふうな極く小さなガス会社が、設備資金にいたしましても、長期運転資金にいたしましても、一千万円限度以内の金で或る程度役に立つという場合は私は多々あろうと思うのです。かような公共事業であり、成るべく安い料金で一般に供給する、そうしてガスなり電気なりを受けまする側において、中小業者も多数その利益と申しますか、便益を得ておる場合が想像され得るのでありますから、むしろかような問題は公庫として大いに貸して然るべきものじやないかと、私のほうは逆に考えている程度でございます。
  62. 藤田進

    藤田進君 それは決して反対いたしませんが、併し一定の限度の枠があるわけです。ですからそれを考えたときに、私は少くとも公益事業については今日開発会社を作つたり、尨大な政府資金を出しているわけですね。これも大企業、大資本等は非常にいいけれども、公益事業の中でも今言われたように零細事業では困つている。併し公益優先の立場をとるならば、確かにこれを融資されるに当つて論争したならば、公益事業が優先するに違いない。又武器を持つていると思います。設備がなくてその回収もできないとか……。ここに窓口があけてあるわけですから、これはおのずから公益事業についてはガス、電気のようなものについておのずから別個の措置がなされて従来来ておると思う。別個の融資というと、復金融資なり、いろいろなされて来ておるし、今日もそういう傾向にあると思うのです。ですから中小企業庁においては優先して貸すということは結構だと思いますけれども、それは一定の枠がある以上、問題があろうということを指摘したいと思うのです。
  63. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 御指摘のように電源開発等の大きなものにつきまして、別途開発銀行その他から大きな金が出ておることは御指摘の通りでございまするが、例えば先ほども引例をいたしたのでございますが、電気供給業を例にとつて見ましても、地方の電気のない地帯において、並びに電気の供給の不円滑な地帯において農業協同組合等が電気を作るというふうな例もあるのでございます。又ガス等におきましては特別に国家的な資金が小都市のガス会社に行つておるというようなことは余りないのでございまするし、通運関係につきまして特殊の金融の途が公にとられておるということも、余り聞かないのでございます。要はこの公庫の全体の資金量と睨み合せなければなりませんし、又比較的中小の中でも大口に偏るということは避けねばなりませんが、それらのことを勘案しながら、やはりこの電気やガス等につきましても、事情に応じまして適切な供給をやるということは建前としてとつて行きたいと、私はかように考えております。
  64. 西田隆男

    西田隆男君 私は昨日から第一条と第二十五条の関連について質問しておつたのでございますが、なおこの際長官の御答弁を願いたい。
  65. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 二十一条と二十五条との関係についてのことでございますが、二十五条の関係といたしましては本年度の公庫ができましたあとの今年度の関係といたしましては、すでに二十億という金が政府、具体的に申しますれば資金運用部からこの公庫に貸付けられることに相成つておるのでございます。その範囲におきまして第一条の「中小企業者の行う事業振興に必要な長期資金であつて、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」というところに結び付いて来るかと思うのであります。具体的に西のほうにおきまするところの水害の関係ここの公庫の金が活用されるべきではないかという点につきましては、昨日も申上げましたように、水害によりまして相当手痛い被害を受けておりますところの九州その他の方面におきまする中小企業振興というものは、これは災害の復旧ということと不可分な関係に相成つておりまする関係上、その復旧資金公庫の金が廻るということは、これは当然であろうと思うのであります。さような意味合いにおきまして、現在公庫はまだできておりませんけれども公庫ができますれば買取るということを条件といたしまして、開発銀行から合計十億五千万円の金を九州、山口方面の中小企業の災害復興用として出しておるのでございます。ただ開発銀行は現在のところその法律上の使命から設備資金だけしか出し得ないこにと相成つておりまする関係上、公庫と違いまして長期運転資金は出せないのでございまするが、ともかくも差当り炭鉱等も含めまして、中小企業の復興用といたしまして、二回に分けて十億五千万円の金を出しておるのでございます。今後の推移をよく眺めまして、必要がございますれば、更にこの金額を殖やすということも臨機の措置としてとつて行かねば相成るまいかと思うのでございます。又一方この公庫の金は、中小企業者が一日も早く自分らに流れて来ることを期待しておるものでございまして、全国一般の中小企業者の期待を裏切る程度にまで九州に流れるということも或いはどうかとも思うのでありまするが、結局において九州方面におきまする反響が十億五千万円に対してどの程度出るかということも睨み合せて今後適切なる措置を講じて参りたいという考えでおります。
  66. 西田隆男

    西田隆男君 大体の説明は今の御答弁でわかりまするが、今度の災害の西日本に関するだけでも、通産関係だけでも三百数十億の被害を受けておる。而も資金の需要量はその約半額近い需量が通産省自体で見込まれておる事態です。全国的な中小企業に対する一般的な金融機関としての中小企業金融公庫考え方長官の言われる通りだろうと思うのでありますが、そこで問題になるのは第二十五条の規定なんです。この二十五条の規定は、スムースに資金運用されておる場合の規定であるかも知れません。こういうふうに全然考えられていなかつたような資金の需要の増加がどうしても絶対的に必要だというような場合、公庫法律によつて限定された運用資金そのものだけ以外に政府公庫に貸付け得るというこの規定を活かして、一般の中小商工業者に迷惑をかけない限度内において特別な災害のあつた地方の資金需要が若し満たされれば、それに越したことはないと思いますが、それがなかつた場合には、開発銀行から十億五千万円の金を出して、これを買取つて公庫運用にするというような、そういう消極的な考え方でなくて、積極的にこの二十五条の条文を活かして、政府から金を借りて、そうして特別な事由による災害の復旧資金という意味ではありませんけれども、建設資金、或いは合理化資金、或いは長期運転資金という名目における資金需要を満たすことが、中小企業金融公庫の持つ大きな使命ではないかと思うのです。こういう災害のあつた場合に、他の銀行の貸付け得ないものに貸付をすると……。金融機関から金が借りられないということになれば、何にもこれは復旧ができないということになつてしまう。そういう意味から私は昨日から一条と二十五条との関係をお聞きしておるのです。もう少し積極性のある答弁をして下さい。
  67. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) お答えいたします。二十五条の関係におきまして、臨時の突発的な事柄が起きて、公庫のすでにきまつておりまするところの資金量では足らんような事柄が起きた場合に、この二十五条を一つ活用いたしまして、政府から公庫が金を借りてその用途に向けたらよいじやないかということでございますが、実はこの二十五条の関係は実際の運用といたしましては、予算事項と相成つておりまして、具体的には資金運用部資金運用計画によつて、一体政府公庫になんぼの金を貸付けるかということが具体的にきまつて参るのであります。本年度の資金運用部運用計画から申しますれば、大体これは二十億ということに一応きまりまして、そうしてそのものを繰入れました範囲において百五十億の資金運用を今年度やると、もとよりその資金の中にはすでに使つたようなものも多々ございまするが、さような関係に相成つておるのでございまして、随時に借入金が政府からできるということが実際上としては困難なことに相成つておるのでございます。そういう関係から、差当り開発銀行から十億五千万円の金を出さすと、まあ一般金融機関関係としましては二十五億の預託をするというふうなことで、いろいろとあの手この手で考えてはおるのでございまするが、この二十五条の活用という点につきましては大きな制約が実はあるということを申上げたいのでございまして、御趣旨の点につきましては、なお我々としても努力すべき点が多々あろうかと思いまするが、現状を御説明申上げますればさようなことに相成るのであります。
  68. 西田隆男

    西田隆男君 予算に計上するということは、何も不可能だというのではありません。結局金融公庫の現在の百五十億の資金で賄い得ない、併しながら金融公庫が当然金融をつけなければならないのが、今度の特別な災害によつて何十億かできた。従つて金融公庫の現在許されておる範囲内において資金量の中から必要資金を満たしてやる。そうすれば、結局年間の金融公庫の一般の中小商工業者に対する金融の財源に困るという場合には、これは或いは補正予算の場合に予算に計上することも可能だろうし、通常国会において計上することも可能だろうし、予算に計上しなければならんということは、何も資金として臨時的な便法として便宜的に使えないということはないので、中小企業庁長官がそういう肚をおきめになれば、或いは次の臨時国会でも、或いは通常国会において、当然金融公庫資金の賄い足りない部分は政府から借入金をして、貸付金によつて賄うということは可能だと思うのです。問題は、要するに中小企業金融公庫ができた場合の金融をどういふうな考え方をするかという基本的な中小企業庁長官考え方の如何によると私は思うのです。だから私は昨日からしつこく頼んでおるのです。その点もう一遍御答弁願いたいと思います。
  69. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 私が申上げましたのは、現状における事柄を申したのでありまして、もとより北九州方面におきまする資金需要が先ほど申しました十億五千万で足りないということがはつきり大体想像はできまするが、今後なお非常に強いということでありますれば、更に公庫からこれに追加するということも当然考えられることでございますが、根本問題といたしますれば、御指摘になりましたように、今度の災害、九州に加えまする和歌山の災害、これに対しまして政府として如何ような復興資金を投入するかという、災害資金政府が全体としてどう見るかという肚ずもりがきまりますれば、その中において公庫が如何なる役割を果すべきかということがきまろうと思うのであります。さような立場におきましては、公庫の持つておりまする特殊の資金の性質から見まして、災害資金計画の中には公庫としても当然入つて行き得るものと考えまするが、今きまつておる範囲においてはさような現状になつておるということを申したのでありまして、聞くところによりますれば、災害に関しましては何か特別の臨時議会が開かれるというような噂さもあるようでありまして、政府として何かこれに対する資金措置がありますれば、公庫としてもそれに介入参加いたすように我々としても十分注意もいたし、ぬかりなくやりたいというふうなことは勿論でございます。
  70. 西田隆男

    西田隆男君 大体了解しましたがね。なぜ私はしつこく申上げるかというと、昨日月別にした場合の資金繰りという資料の提出を見たときに、西日本にも水害があり、その他の地方にも水害があつて、莫大な中小商工業者の資金需要がわかつておるにもかかわらず八月、九月は五億円しか計上していない。これは詰らない問題のようですが、あの資料を見て私はびつくりした。少くとも如何に資金繰りが困難であろうとも、西日本の水害だけははつきりしておる。その時に八月、九月という一番資金の要る月に、ほかの月よりも少いような金額を計上して月割にすればこうだという考え方に私は非常な不安を感じた。長官の説明で大体わかりましたが、もう少し公庫ができましたら積極的に一般の中小商工業者の要望に応え得るような資金繰りと貸付方を是非お願いをいたしておきます。
  71. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 実はあの計画を作りまして、八月以降の月別の、月別に分ければこうなるという資料を差出しまして、もう九州の情勢が相当緊急を要するという意味合いにおきまして五億をあの計画以外に九州に出しておるのでありまして、あそこへは一応の月別の割算を差出してございますけれども、臨機に応じまして資金の措置をいたすということは、今申しましたあの表以外ができましたあとにおいて五億の金を九州に廻したということによりましても、我々は一応情勢の推移に即応する運用は心がけているということの一つの証左としてお考えおき願えますれば大体我々の考えのあるところも御了承願えるのではないかと思うのでございます。
  72. 西田隆男

    西田隆男君 よくわかりました。結局口ではやると言いましても駄目なんですから、実際公庫法が通るのですから、公庫ができて西日本の水害、その他の水害に公庫がどれほど資金需要の点を熱心に検討して貸したかということは数字で明らかになると思いますから、今おつしやつたことを十分是非忘れないように一つ御尽力を願います。
  73. 小松正雄

    ○小松正雄君 只今西田委員よりいろいろ御質問された中の答弁によつて大体は私も了承するものでありまするが、加えてお尋ねしておきたいことは、この法案が成立いたしましてこの百三十億、あの金融によつて只今申しまするように今水害によつてつておる九州、和歌山等の中で被害を受けておる企業に対して金融をしなくてはならない、こういうことに相成つたときにこの金で賄い得るかということをお問い申上げます。
  74. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 災害地に対しまする資金の供給といたしましてはこの公庫だけではございませんので、政府としてもいろいろ先ほども申しましたように預託金であるとか何とか、あの手この手で総合的な応援の手を延ばすべきものであろうと考えるのでございまして、公庫公庫としての建前からその一翼を担うという関係に相成ろうかと思うのであります。その点は先ほど来申上げたような工合に公庫としては臨機に資金運用をやつて行きたい、かように考えます。
  75. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこでそのことを重ねて聞くようでありますが、例えば百三十億で今年度このいろいろな災害等が起らずに、平常な場合はそれで長官としては賄い得るという考えであつたかと思いまするが、今日こういう災害が起りまし場合、たまたま幸いにこういう金融公庫が成立せられる場合においては、中小企業の者といたしましては、より以上どの方面にも金融がしてもらえるものであり、又こういうものができたために、特に金融はできるものなりと考えて行くものと思います。そうした場合にはこの百三十億だけで、平常な場合はやつて行けると長官考えておられるかも知れませんが、こういう非常な事態が起つたのでありまするので、先ほども長官のお言葉の中に、西田委員に対する答弁の中にもありましたように、政府がこれらに対しての方法、要するに措置をされるだろう、その処置によつて、或いは商工業者に十億五千万円出している、九州の水害の資金がまだ足らないとかという場合に、何とか自分のほうで工夫するとか、こういうようなあいまい的なようなお考えのように、要するに、決心が長官にはどこにあるかということを指摘された場合に、決心は政府においてなされることの中に、自分は加つて、そうして運営をまろしくして行きたいというような意味合いのお言葉があつたように思いますが、そこで私は強くお願い申上げたいことは、そういつた観点から業者といたしましては、この金融公庫が新たに一つここに生れる、要するに成立せられたという場合においては、より以上の金融ができるものなりと考える場合に、長官はその際に、例えば補正予算とかを臨時議会においてどうされるかといいますか、政府がこれに対する施策をされる中に長官としては当然この百三十億では足らないのじやないか。あの九州に持つて行けば、その他の、その中の中小企業者に対して、どこかに足らないところができるのだ、そういう意味合いから進んで積極的に金融の面に増加せられるように何とかしてこの枠をいま少し増加するという決心になられて、御奔走願いたいということをお顧い申上げます。
  76. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今お話になりました点は、誠にその通り御尤もでございまして、我々としましてはこの百三十億というものは、平常においても、率直に言つて、これで十分とは考えておらないのでありますが、種々なる関係で今年はそういうことにきまりましたけれども、特にああいう不測の災害も起りましたときでありまするので、今後この公庫はもとより、その他の公庫ともあらゆる方法を講じまして、只今お話のような御期待に副うべく十分に尽力いたしたいと思うものであります。
  77. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御発言もないようでございまするので、質疑は尽きたものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  ちよつと速記をとめて下さい。    午前十一時五十八分速記中止    —————・—————    午後零時十一分速記開始
  79. 中川以良

    委員長中川以良君) では速記を始めて下さい。  これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  80. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は本法案には全面的に賛成の意を表するものであります。ただ本委員会を通じまして、いろいろ意見政府当局と交換されました点につきましては、更に後刻討論されるかたもあると思いますけれども、我我の要望は十分尊重して趣旨に副うよう努力されたいと思うのであります。特に私は公庫資金運用につきまして業種別、地域的に、でき得る限り公平にやつて頂きたい。従来のこの資金の流れというものは、やや中央とか関西に偏しまして、東北その他の地帯に流れることが非常に薄いのであります。こういうことも公平にやつてもらいたいということと、それから業種別にも、中小企業関係のものは、通産省所管のものがあり、或いは農林、運輸、厚生、各般に亘つておりまするので、こういう点につきましても偏頗的措置のないように、普遍的に広く零細企業に及ぶように留意をしてもらいたい。それから又公庫運用につきましても、中小企業に理解ある者を以て当てることは勿論であります。各般に亘つて広く広汎なる知識を持つておる者、一方に偏しない人を成るべく入れて頂きまして、今後の運用に当りましても、先ほど申上げました地域的、業種別に不偏不党のいわば不公平のそしりのないような普遍的な運営ができます人がその衝に当りますことを希望いたしまして賛成いたします。
  81. 藤田進

    藤田進君 私は次の点を附しまして本法案に賛成するものであります。  その第一は、今日の金融諸制度を見まするときに、極めて数多き金融公庫その他が設立実施されている現状でありまするので、勢い他の業種それぞれにつきまして、農業或いは漁業その他の金融公庫、これらの運用について重複を来たす虞れもなしといたしませんので、十分この点について実施に当つては注意をして頂きたいと思います。第二の点は、金利についてでありますが、これは貸付金の金利年一割ということについては非常に高いのでありまして、速かなる機会に年七分五厘程度にまでは軽減いたしますように努力をして頂きたいと思います。第三に、受託機関の点でありますが、若干の例示をいたしますと、商工組合中央金庫、相互銀行、信用金庫、地方銀行及び日本興業銀行、農林中央金庫などにできるだけ受託機関を限定されるように運用に当つて留意して頂きたいのであります。第四の点は、極めて全体から見れば少額な資金でありまするので、現状から推しまして、零細なる企業の救済という点について、特に重点を置いて頂きたいと思いますので、少くとも三百万円程度を限度として、特に必要があると認められたものについてのみ一千万円までの貸付をするように、運用に当つては特段の留意をして頂きたいと思います。第五の点につきましては、これは別途附帯決議をして頂きたいと思いまするので、特にここで申上げませんが、場合によつては後刻申上げても結構です。第六の点でありまするが、受託手数料の点につきまして、年最高四分程度にして頂きまして、できれば段階制を設けて、少額貸付の場合を有利にするよう措置をされたいと思います。  以上の点を強く要望いたしまして本案に賛成するものであります。
  82. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、本案の成立に当りまして、中小企業組合等に重点を置いて貸出お願い申上げると共に、なお私が長官に御指摘いたしましてお願い申上げたように、風水害を受けて困つておる。諸々の業者のかたがたの要望に副うように特段の御留意をお願いいたしまして賛成するものであります。
  83. 武藤常介

    ○武藤常介君 私は本案に賛成いたすものであります。只今委員諸君から大分附帯決議に類するような討論がありまして、これらには私も皆賛成でございます。ただこの論議中に、今回の大水害に際してこの公庫の発動を十分にするようにどいうような各位からの要望がありましたが、それは私も極めて同感でございます。併しながら本案の出発というものは、多少の災害は見越して出たところの案でありましようが、かかる大災害を予想しないところの案ではないかと、こういうふうに考えるときに、この大災害にのみこの活動を向けますならば、本案の対象とするところの全国の業者は非常にこれに報いられないというような結果になるであろうと思います。でございますから、今後長官におきまして、この災害地には特段なる注意を払うと同時に、別途に又特別の注意を払われて、全国の業者にこの案の趣旨の徹底するように特に御配慮を願いたいと存じます。以上であります。
  84. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。
  86. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私は三つの条件を附けまして本案に賛成いたします。第一は、今回計上せられておりまする政府出資は本年度だけ運用資金に充当することにいたしまして、爾今相当年度に亘り毎年度少くともこの程度の政府出資を行う。第二は、現下の中小企業金融の逼迫並びに各種の深刻なる風水害の現況に鑑みまして、当公庫の発足当初において極力大幅の資金放出を断行する。第三、中小企業の合理化を図りますためには組合金融を育成強化することが最も必要であります。組合専門金融機関資金の重点的配分をすると共に、右金融機関貸出金利を極力引下げ得るよう万全の策を講ぜられたい。  以上三点を条件といたしまして本案に賛成いたします。
  87. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決をいたします。  中小企業金融公庫法案衆議院送付案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  89. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付案通り可決することに決定いたしました。
  90. 加藤正人

    ○加藤正人君 諸君の討議の内容に鑑みまして、当金庫の金融を将来相当年度に亘つて或る金額をこの金融方面に確保する意味において、附帯決議をいたしたいと思うのでございます。ここで決議案の内容を朗読いたします。   中小企業金融公庫に対し次今、相当年度に亘り、毎年最少限度百五十億円の政府出資を行うこと。  右のような附帯決議を附けたいと存じまするが、皆さん御賛成を……。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  91. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今加藤君より御提出の附帯決議を採決をいたします。  本案に加藤君提出の附帯決議を附することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  92. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて附帯決議を附することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告等事後の手続に対しましては、例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから本案を可とせられましたかたの順次御署名をお願いいたします。  多数意見者署名    石原幹市郎  松平 勇雄    小松 正雄  武藤 常介    西川彌平治  藤田  進    海野 三朗  西田 隆男    黒川 武雄  豊田 雅孝    加藤 正人  小林 英三
  94. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 本法案の御審議に際しまして、各委員からいろいろと御意見をお述べ頂いたのでございますが、これらの御意見並びに只今御採択になりました附帯決議趣旨、又九州方面を主としておりまする災害に際しましての公庫資金の適切なる運用、これらの点を十分斟酌いたしましてこの公庫法運用に当らして頂きたいと存じます。   —————————————
  95. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に商工会議所法案を議題といたします。  昨日に引続き御質疑お願いいたします。提案者小平衆議院議員は今参りまするが、只今企業局の企業第一課長出雲井君が見えておりますので、課長より御答弁をいたします。
  96. 小林英三

    ○小林英三君 この商工会議所法は、提案の理由の説明によりますると、総合経済団体としての特性を発揮するとか、或いは国際的視野の上に立つて健全化するとかいうようなことがありまするが、これは何ですか、この商工会議所法が法的根拠に立つということのみを以てそういうようなことになるということでありますか。
  97. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) お答え申上げます。御承知のように商工会議所は、明治初年に発足いたしまして以来おおむね現在のような考え方に立ちましてからでも六十年、やや古く遡りますと約八十年の歴史を持つておりまして、これは我が国でございまするが、そのほか国際的には英米各国古い歴史を持つておるわけでございます。そうして実際面の仕事につきましては、その土地々々で古い商工会議所もございますし、戦後できた新らしいものもございまするが、古い歴史を有します商工会議所におかれましては、最もはつきりいたしました地域団体的な性格を有しておりましたのが最後には昭和二年の旧商工会議所法に基いた時代だと思いますが、その後諸種の事情で、特に終戦後は現行法の特殊法人といたしませんで……。
  98. 小林英三

    ○小林英三君 簡単で結構です。私のポイントだけをおつしやつて下さい。例は聞いていない。
  99. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) ポイントだけを申上げますと、私どもは実態は、古い歴史を有します商工会議所におきましては実態は十分国際的視野におきましても国内的団体といたしましても備えておると思つております。併しながらその組織を、本改正法のような趣旨によりまして確固たる組織を与えますことによつて一層強固になると、こういうふうに考えております。
  100. 小林英三

    ○小林英三君 私のお聞きしているのは法的根拠によるから、こういうような提案理由の説明におつしやつたようなことになるのですかと私はお聞きしているのです。そういう点をお聞きしているのです。
  101. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 只今出雲井課長から御説明申上げました通りでありますが、従来におきましても無論御承知の通りに国際的な存在でありましたが、現下の情勢、或いは会議所自体を更に一層この本法を成立することによりまして、強化いたして、その使命を果させたいという考えであります。
  102. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると私が聞いた通りですか、質問いたしました通り法的根拠によつたが故にそういうふうに強化されて来るのだということですか。
  103. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 法的根拠によるが故にということでありますが、本法が成立することによつて会議所自体が強化される、従つてまあ三段論法のようなことになるかも知れませんが、本法を作ることによつてより強化されることは事実だと思います。
  104. 小林英三

    ○小林英三君 この本案の事業と申しまするか、これは今度は事業団体法を適用しないとありますが、従来の商工会議所においても大体似通つたような事業はしていると思います。そこで今度の新らしいこの法案におきまする事業の中で従来やれなかつたという事業はどんなものでしようか。
  105. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 従来はこの業者の業態の調査等はできなかつたわけでありますが、勿論今度の独禁法の改正によりまして事業団体法が廃止されることになりますればできるということにもなると思いますが、まだ独禁法が改正されない、従つて事業団体法が廃止されない段階において立案いたしましたのでこういう建前になつておりまして、団体法を排除することによつて調査もできる、新たにそういうこともできると、こういうことに相成るわけであります。
  106. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると今度の新らしい商工会議所の事業という問題につきましては、つまり会社に対するいろんな調査ができるかできないかということだけのことですか、新らしい商工会議所というものは……。そのことだけのことでしようか。
  107. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 事業の面から申しますと特に新たにできるというのはその点でありますが、会議所の内容組織自体が本法の規定によりまして強化をいたされますので、同じ事業をやるにいたしましてもより一層何といいますか、中身のある事業ができるというようにはなると思います。
  108. 小林英三

    ○小林英三君 いや答弁は私の聞いたことだけおつしやつて下さい。ほかのことは言わなくてよろしいから簡単に一つ答弁願いたい。  それから設立認可にはその経済的基礎というものと、それから施設ということと、それから役職員というもののこの三つを設立認可の条件にしているように提案理由でも書いてありますし、それから何にも書いてありますが、従来のものといえども施設も相当のものがありましようし、それから役職員も勿論あつたわけでありますが、この経済的基礎という問題については、よほど従来の商工会議所と新らしい法律による商工会議所というものはよほど違うところがありますか、あるところだけおつしやつて頂きたいと思います。
  109. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 私から……、只今の点は多少具体的の内容に亘りますのでお答えいたします。従来はこの認可の基準と申しますものは、民法三十四条の公益法人設立の際の認可の内規としておつたものを今度新らしい法律で抽象的に書いてございますが、一応役職員の人数、収支予算、それから事務所こういつたものにつきましてそれぞれ腹案を持つております。従来より格段の差を設けると、そういつた考えは持つておりません。
  110. 小林英三

    ○小林英三君 それからこの法律案には会員総会はなくて議員総会が最高決議機関になつております。そのほかに常議員会等があるのでありますが、そこで会員としての利益は大体商工会議所の行いまする事業を通してだけの利益でございましようか、会員の利益と申しますものは……。会員はつまり今度は会員だけの総会ではなくなつて、どうも議員総会があるから会員は総会には参列できない、列席できない。そこで会員の利益ということはつまりこの商工会議所が事業をやる上においての利益という意味ですか。
  111. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) そういうことになると思います。
  112. 小林英三

    ○小林英三君 それから罰則がたくさんございますね。この罰則はこの会員に対する罰則というものはないのですね。
  113. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 別段ございません。
  114. 小林英三

    ○小林英三君 それから二十二条ですね。私がちよつと聞きたいのは、会員の不都合な事実があるという法文がたくさんございますけれども、それを二十二条の議員総会の席上においてこれを除名するという項目、こういう項目に会員が触れた場合には議員総会の決議を以てこれを除名すると、こういうことになつておりますね。そうすると会員といたしましては議員総会という公式の、何百人いますか、百五十人もおりますか、とにかく五十人か百人という議員総会があるのですが、その総会の席上において、例えば分担金を納められなかつたという場合に公開の席上において除名されるということは如何にも残酷のような気がするのですが、そういう問題は議員総会ではなくて、まあ理事会とか、或いはそういうようなところの問題でできないものでしようか。迷惑しやしませんか、却つてそういうことをすると……。
  115. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 御配慮の点誠に御尤もだと思いますが、別に、この会員は加入自由といたしたのでありますから、こういつたような事態は成るべく起きないように運用されることが望ましいと思います。そのようなことは会頭以下役員のかたがたが、そういつた会員の名誉を傷つけるような運営をしないことを我々は勿論期待しているわけであります。
  116. 小林英三

    ○小林英三君 そういう弊害もあるような気がしますけれども、まあそれはよろしうございます。  それからこの法律案の中にも、会員の権利という問題がほうぼうに謳つてあるのですが、その会員の権利というのは一体どういうものなんですか、それを一つ……。
  117. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 一番大きなのは何と申しましても議員としての選挙権及び被選挙権だと思います。それから勿論施設を利用する権利、或いは書類等を閲覧する権利、これらが主な権利だと思います。
  118. 小林英三

    ○小林英三君 もう一つだけ聞きます。私はすべてこういうものはいわゆる会頭であるとか、或いは常議員であるとか、或いは副会頭であるとかいうような人によつて事業が決定して来ると思います。いい事業ができるとか、或いは何ら事業をせなかつたとかいうことになると思いますが、まあ従来の商工会議所よりも今度のほうが法的根拠を置いて強固なものであるということですから賛成はいたしますけれども、ただこういう法的根拠を置いたからよりよい事業ができるというわけではないと思うのですが、その点だけ伺つておきます。
  119. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) その点もお説の通りでありまして、役員にその人を得るか得ないかが会議所の運営がうまく行くか行かんかの重大なる少くともこれは要素であると思います。そこで今回の役員の選挙の方法等につきましても、議員の選挙からいたしまして、各方面の方法をとる、即ち、役員ならざる特定業者にも選挙権を与えるというような方法やら、部会からも議員を出すといつたような方法で、広い部面から議員が選ばれ、又その議員によつて会頭以下の役員も選ばれると、こういうことにいたしましたので、従来のようにややともすれば一部の片寄つた業者だけの会議所という姿は、或る程度と申しますか、相当払拭されるのではないかと我々は期待いたしております。
  120. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 数点お尋ねいたしたいと思います。第一は、今回の商工会議所法による設立認可は小都市についてまで認めることになるのか、その点一つ……。
  121. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 原則としましては市ということになつておりますが、必要なる場合には町村等におきましても認めると、こういう建前でありまして、小都市という御趣意でありまするが、まあ普通観念の小都市でも、その都市に必要であり、又法的ないろいろな要件が備わつておれば、これはできることになつております。
  122. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 現在の商工会議所には、大きいのがあり、小さいのがあり、その差が非常に甚だしいというので、運用上随分いろいろ問題があるようなのでお尋ねするわけですが、余りに小さなところまで大都市と同じような行き方で商工会議所を作らせるという行き方ではおかしいと思う。認可基準はどんなふうになるのか、そうい点どんな構想で立案せられておるのか、承わりたいと思います。
  123. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の御指摘の点は、事業活動から見まして、或る程度の経済的基礎といたしまして、予算の点ではやはり私どもの一応の腹案といたしましては百五十万円乃至二百万円といつたような、それから会員数といたしましても、先ず一番小さいのを申上げておるのでありまするが、三百名乃至四百名程度の会員、これは会員数でございます。大体今の基準から申しますと、特定商工業者の数はその二倍半から多いところで四倍ぐらいになると思いまするが、それぐらいのところを予想しております。少くとも会議室、事務室、こういつたものは固有のものを持つて頂きたい。これは借室でも結構ですから……。それから役職員、殊に専任職員につきましても、少くとも五名程度は要るのではないかと、こういう準で現在運営をいたしております。
  124. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そういつた行き方で現在の商工会議所というものが本法による商工会議所に全部乗り移るのか、それとも相当認可から漏れるものが出て来るのかどうか、その点……。
  125. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の点にお答え申上げます。私どもが本法で期待いたしておりまする点は、商工会議所のますます向上発展でございまして、土地の商工業の事情によりまして、只今一応申上げましたような基準を下るといつたような場合がございましても、できる限りその土地のかたがた府県庁、又私ども、或いは商工会議所相互の間でこれをできるだけ盛り上げるような方向に持つて行きまして、いろいろ事業活動を通じまして国が応援する面もございますし、できるだけ盛り上げてこの基準から新法に照らしまして落伍するようなことがないように、そういうような心がまえを持つております。
  126. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうすると現在ある小さな商工会議所でも、本法による商工会議所に全部なり代るものだというふうに考えていいのですか。
  127. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 規定から申しますと、組織変更の規定を置いておりまするが、組織変更もやはり認可が要りますので、現在すでに私ども一応認可いたしましたものでも、毎年心要によりましてはもつと頻繁に事業活動等をとりまして、極力指導いたしております。勿論現在必ずしも活溌に活動できておらない商工会議所が安易に組織変更されるとは私ども思つておりませんし、又そういうことを現地のかたがたにも申上げておりますが、できるだけ相携えて充実した商工会議所に発展願いたいと、こう思つております。
  128. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今度は法定台帳というのが新らしい制度になつておるのですが、この法定台帳というものを作ることを義務付けなければならないという理由はどういうところから来ておるのですか。又、外国の立法例はどういうことになつておるのか。
  129. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) このたび法定台帳を設けましたのは、先ず地域団体といたしまして従来の会員組織だけで有志の者が相集まるという形を改めまして、できれば商工業者全部と申上げたいところでございますが、事務的な点も考えまして、一定の所に規模を設けまして、或る範囲以上の商工業者はその実態を法定台帳を通じて把握して行こうと、又これを把握いたしましたならば、その管理運用面に当りましては、商工会議所の固有の目的でありまする国内からの紹介或いは海外からの紹介に応えて行くとか、或いは積極的に特産物等のあります所ではこれを大消費地に向つて売り込みに使つて行くとか、或いは特定の原材料の要る所ではその生産地に向いまして集団的に買いのつてを求めるとか、こういつた各般の運用面もあるわけであります。こういつた利点を考えまして、又一商工会議所のみならず、これが全国的にできました場合には、全国の商工業者相互間におきまする利益は非常に大なるものがあると、こういつた点を勘案いたしまして法定台帳を作成いたしました次第でございます。  なお立法例といたしましては、オランダの商工会議所に大体今度の法定台帳に盛りたいと思つておりますような内容を登録させる制度ができております。なお、ギリシヤにもございます。
  130. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この法定台帳作成には非常な手数もかかり、経費もかかると思うのでありますが、それほどまでにして効果のあるものかどうか、その点についてどういう確信を持つておられるか。
  131. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) お答えいたします。私ども法定台帳をかねがね別個に、政府といたしましてもかかる台帳が必要であるということは考えておりましたのですが、このたびこの法案を拝見いたしまして、従来の所信を一層強めた次第でございます。と申しますのは、先ず実態把握と、それから積極的な商工業の発展ということは、この台帳なくして行われませんし、その効果を達成するという自主的な商工業者が商工会議所を通じましての努力は、回を重ねました、昨年度各地に開催されました商工会議所の会議、或いは日商の会議等を通じまして、明瞭にその熱意が看取されたのでございます。従いまして、商工台帳作成の暁、所期の効果をもたらすというような運営をされるということは、私ども期待もし、又御助力申上げて行きたい、こう思つております。
  132. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 特定商工業者という、今度特別のこの制度と言うか、一つの行き方が作られたのですが、その内容なり、又その必要性ということについて説明してもらいたいのです。
  133. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 特定商工業者のこの範囲というのは、その地域地域によつて資格が異なつていると思いますが、それは別表に今調つてある通りであります。なぜこういう仕組を作りましたかと申しますと、先ほど来申しておりますように、商工会議所というものが地域的な商工団体だという建前からしまして、成るべくその土地土地の業界の広い意見というものを、或いは単に意見ばかりでなく、メンバーなり、或いは機構の中にとにかく取入れて行きたい。こういう建前からこういうような仕組を考えておるわけであります。
  134. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 一般商工業者のほかに、特定商工業者というものができることは、商工会議所の中に二派できるような感を与えて、全体のこの感情の融和とか、和衷協同の精神から言うと如何なものであろうかと思うのでありますが、これについてどういうお考えを持つておりますか。
  135. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 会議所の中にこの一派ができるというお話でありますが、会員は飽くまでも会員なんであります。ただ特定商工業者というものは、そのものについて法定台帳を作るということと、又少くともこの特定業者というものが、その土地々々の代表的な大体業者でありますので、特にその意見、その他の意見を反映をするという建前から、会員のこの選挙権を与える、こういことにいたしましたので、会議所の内部において二派ができるという憂いはないかと思います。勿論我々としましては、特定商工業者も、成るべく同時に会員であつて欲しいということは、勿論これは希望するところであります。
  136. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 特定商工業者について、この法定台帳を作るというふうになつておるのですが、そのできた法定台帳は、特定商工業者特定台帳とは言わないで、商工業者法定台帳というふうに言つておるのは、ちよつとおかしいように思うのですが、そこはどうなんでしようか。
  137. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の問題にお答えいたします。元来商工業者一般から、この台帳に記載する技術的な理由から、それを区別するために、特定という字を使いましたもので、併し法律的な用語として特定という字を使つただけでございまして、もう区別する以上、非常に熟さない言葉でございまするが、これを使いました次第で、台帳のときにはやはり商工業者台帳と、こういうふうなことになるわけであります。
  138. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ちよつと補充しますが、お尋ねが、この特定商工業者について登録するのに、単にこの商工業者台帳ですか、単にそう言うのはおかしいと、こういうふうな御趣旨のようでしたが、その点そのようにも実際とれるかとも思いますが、元来台帳はその土地々々の全商工業者について、この台帳というものを作ることが理想ではありまするし、又そうしたいのですが、先ず代表的なものから始めよう、一挙に参らんからそうしようという、又この特定商工業者でなくとも、この希望の向きは、これに登録ができる建前になつておりますから、そこで強いて特定という名前を冠しなかつたわけです。台帳のほうには……。
  139. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この秘密漏洩を阻止するという規定があるわけでありますが、その秘密というのは、特定商工業者の台帳であつても、その対象は、秘密を守らなければならん対象というのは、特定商工業者だけでなくて、広く一般商工業者にも及ぶでしようか。
  140. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) これはもう御説の通りであります。
  141. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それで特定商工業者の台帳であるにかかわらず、秘密漏洩については一般商工業者まで及ぶというところも、少しその制度自身から言つておかしいじやないかと思うのですが、更にもう一つこの会議所からの問合せに応ずる義務も、特定商工業者だけでなく、広く商工業者全般に及ぶようになつておるわけなんですが、その点もこの特定商工業者というものを特に作り、それを目当てにしての法定台帳であるにかかわらず、えらい広く行くのか、どういうものか。どういう説明をここでせられるというふうに考えられるのですか。この点はどうでしようか。
  142. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) お答えいたします。商工会議所の本来の使命が、単に会員のためだけに活動するということになつておりませんで、広くその地域々々の業者のためになるということが本来の建前でありますので、あえて会員だけ、或いは特定業者だけという、そういう制限は設けないと考えております。
  143. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それだと、特定商工業者というものを賦課金等の関係で認められるのは、これは止むを得ずいいのでありましようが、この法定台帳のほうは、特定商工業者に限るというふうにしているところに無理が出て来るわけで、これはやはり商工業者全体に及ぶのだという建前にしておいたほうがいいんじやないですか。
  144. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) その点は先ほども御説明申しました通り、一挙に全部は参りませんので、取りあえずこういつた条件のものについて、それを登録をいたして行くのであります。併しこの条件を備えない業者でありましても、希望の向きはどんどん登録をいたして行こう、こういう取りあえずの措置として、そういう建前をとつておるわけです。決して制限しようという建前ではございません。
  145. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 秘密漏洩の防止をするについては、今度の会議法案では、どういう制度なり、措置をお考えになつておりますか。
  146. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 今度新らしく調査権限を附しまして、各種の資料を得られるわけでありますが、この機密保持につきましては、法律の中で、商工会議所が、これらの営業上の機密の点について漏れました場合について、罰則を以て臨むことにいたしまして、なおこの形式的な扱いのほかに、私ども監督官庁といたしましても、書類の取扱規定、或いは職員の訓練等従来にも増した指導監督を行なつて行きたいと考えております。
  147. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今回は、この法定台帳制度ができれば、機密に触れる点が非常に多いだけに、その点は十分の対策をお考えになつておく必要があろうと思うのです。  次にもう一つは、負担金を特定商工業者にかけることになつておるのですが、これはどの程度の金額が平均のところになるのか。余り大きな負担になるということになりますと、会費のほかに又負担金があつて二重負担になる関係がありますから、この点について御意見を伺いたい。
  148. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 負担金は法案のうちに書いております通り、作成、管理、運用ですか、その実費ということが建前でありますので、全国平均いたしますと五、六百円程度に大体なるのじやないかという一応の当局の計算でございます。年額でございます。
  149. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この点はできるだけ負担金のほうは安くするということによのて運用せられるように、特に中小企業者の関係が深いものでありますから、その点希望をいたしておきます。  まだいろいろありますけれども、時間が大分……。
  150. 中川以良

    委員長中川以良君) 御通告順によりまして武藤君炉先にお申出がございますので、武藤君の御発言が先にお申出がございましたので……。
  151. 武藤常介

    ○武藤常介君 只今前の委員さんからお話がありましたのと大体重複するようですが、私もこの商工会議所の今日までの活動につきましてはいろいろと承知いたしております、今度の改正案によりまするというと、相当業者としては小さい業者まで加入するようなことになるようですし、殊に只今お話のありました特定商工業者の調査ですか、これをやるようになれば、なおこれに対する負担金の賦課があるようでありまするが、この調査の問題は只今業者の秘密に亙ること云々というお話もありましたが、これも全く同感でありまするが、同時に私はこの小さな商工業者はいずれも事務員が不足で非常にたださえ困難をいたしておるし、非常に種々な調査がありまして、今日では各種の方面から種々なる調査が参り、殊に税務署関係等で寸暇もないというような状態のところに、またこうした調査が参るということになるというと、相当利害があるものはそうでもありませんが、利害のない小さい商工業者は、何か恐れをなして、非常に彼らに不安を与えるようなことがありはしまいか、こういうことを私は心配するのであります。  なお併せていろいろ申上げて、あと所見をお伺いしたいのですが、それからなお負担金の問題ですが、負担金はどの程度まで賦課するのですか。これによりまするというと「所要の負担金」とこう書いてありまするが、ややもするとこの負担金によりまして商工会議所の運営の資金にしようとかなんとかいうようなことが往に々してあるのでありまするが、現在各種の業者の方面で、或いは土建業者であるとか、或いは木材業者であるとか、いずれもこれらの人は皆現在は登録制になつておりまして、登録に際して相当の手数をかけ、なお負担金も相当負担しておるような次第であります。これに又相当の負担金をかけるということになりますと、これ又容易でないと私は考えるのでありまするが、これに対しまして一つ意見を伺いたいと思います。
  152. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 先ず最初のこの調査事項が煩雑であつて、小さい業者が困るのじやないかというお話でございますが、この調査事項は取引の斡旋等に必要なる最小限度の登録をいたすものということでございますので、又特に勿論この負担金を頂戴する点などについては該当する特定業者の同意を要するわけでございます。そういう際において或いはこの商工会議所の設定自体に特定商工業者の半数以上の同意が要件になつておりますので、そういつたあらゆる機会に御説明ができると思います。調査事項自体が今申した通り極めて簡単なことでよろしいと思いますので、それほど手数を煩わすことはないものと我々は考えておるわけであります。この負担金の関係でありまするが、御承知の通り業者におきましても各方面の負担が非常に多いということも事実でございます。従いまして成るべく少額で済ましていたわけですが、この台帳の作成費、或いは管理費、運用費という限度におきましてその実費を頂戴いたしておる。勿論この場合でも会費のほうの集まりが非常によろしければ一部分はこの会費で負担するということもあり得るかと思いますが、限度としましては実費と、こういうことに考えておるわけであります。ただそれが実際の又額といたしまして、先ほど申上げましたが、全国平均で年額五、大百円程度と考えておりますので、それほど大きな負担でなくて済むものと考えておるわけであります。
  153. 武藤常介

    ○武藤常介君 只今の御答弁で大体わかりましたが、仮にこの負担金を課せられるということになりまして、万一この負担金を納めないという場合には何か商法の規定に反するようなことにでもなりますか、どうでしようか。
  154. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 負担金につきましても何ら強制徴収の規定はございません。従つてこれは専らもう会議所本来の性質にも鑑みまして御理解の上にどこまでも頂戴いたしたい、こういう建前でおります。併し強いてこれは又会議所側でとろうと申しますならばこれは裁判によつてとる以外には途はないのでありまして、僅かな額のことでありますからそこまでは恐らく実際問題としては行かないことと我々は考えております。
  155. 武藤常介

    ○武藤常介君 只今お話で、まあきまつたようなお話でございますが、実際今日までの状態から参りまするというと、やはりどこの県にもありますように議員の定数が非常に多うございまして、実際は余りその議員が出ない。それで或る特定のものが大体形式的に決定してしまつて、その負担金を各方面に強要ということでもありませんが、強いられて実は業者なども相当困つておると私は思うのであります。かような見地から私は法案には反対いたしません、法案には反対いたしませんが、主管庁でこれを十分に今後監督せられまして、真に業者のためになり、又業者の迷惑にならないようなふうに今後私は監督して頂きたい。こういうふうに考えるのですが、この監督権はどういうふうになるのでしよう。
  156. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 負担金を幾らとるかということにつきましては特定商工業者の過半数の同意を得ることと同時に主務大臣の認可を要する、こういうことになつておるのでありまして、むちやなとり方はできないという建前になつております。又只今お話の従来の会議所の運営ということがややともすれば一部のものの思うままにと申しますか、一部に偏つて運営をされておつたという点につきましては今後は法律によりまして十分排除して行くように一つ我々は期待いたしておるわけであります。
  157. 小松正雄

    ○小松正雄君 大体に他の委員から御質問せられたのに御答弁がありましたのでわかつたように考えまするが、二、三敷衍してお尋ねをいたしたいと思います。この古いものから新らしいものができたということから、組織を強化するためにこの法律を作るのだとおつしやられましたが、新らしいというのはどういうことなんですか。新らしい組合とか古い組合とかいうのはどういうことなんですか。
  158. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ちよつとお尋ねの点よく受取れなかつたのですが、古いと言いますと現存する民法の規定に従つてできておる社団法人という姿においてできておる会議所を我々は称しておるわけです。
  159. 小松正雄

    ○小松正雄君 新らしいというのは……。
  160. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) この法律に基いてできるものを考えております。
  161. 小松正雄

    ○小松正雄君 さつき負担金の問題が出ておりましたが、この負担金は一応五、六百円だろうということでありましたが、これは会員一人に対する一年間の割当ですか。
  162. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 元来今度の法律によりますと、会議所の収入の主だつたものとしましては、会費と今度はこの負担金ということになります。会費のほうは会員が納めております。負担金と本法に述べているものは、先ほど申上げました通り法定台帳を作る経費或いは管理し、運用する経費でございます。このほうは特定商工業者が納めるものです。
  163. 小松正雄

    ○小松正雄君 この特定商工業者という中に大資本家も入るのでありますか。
  164. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 大資本家というのはあれですが、この別表に掲げてある要件を備えているものは全部一応この特定商工業者、こういうことになるわけでございます。
  165. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで総括いたしました年間の経営経費が百万乃至百五十万円要るというようなことをおつしやつておりましたが、この経費をこの特定業者のみが持寄つてやるということでなくて、政府に対して補助方法をしてもらうというようなことはできんのでございますか。考えていないのですか。
  166. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 会議所の運営資金として政府のほうの補助金を受けるかどうかという問題でありますが、会議所が本来業者のやはり会議所でなければならないので、少くともこの経営費と言われるのは会費でどこまでも賄つて行くというやり方をとりたいのであります。ただ或る特殊な事業をやる、これが又政府当局の当然やらなければならない仕事であるというような場合、即ち逆に申しますと、政府がやるべきものを会議所に委託してやる、現に中小商工業者の相談所というようなことをやつておりますが、そういつた場合に、それに要する費用の全部か或いは一部なりを当局から補助を仰ぐということは今後ともこれは大いにやつて行きたいと考えております。
  167. 小松正雄

    ○小松正雄君 この経営費を一応業者によつて負担させるという基本的なものでやつて、それによつてこの運営がされて行くということでありますが、この費用が納まらないということについては何も別に罰則もなし、特定方法によつて徴収することでもないという御答弁でありましたが、そうすると、これは納めないというものが相当出て来ると思いますがね。そういつた場合には、運営に支障を来たすということになると、折角骨を折つて作つたこの商工会議所法案の実態から考えましても、運営ができないということになりますならば、何もならないということを考えますと遂に、でき得れば何かの機会に手当なりが、商工会議所として、この運営に関する経営費には、国家に或る程度奉仕的な役割をなし、或いは公共的な役割をなしているということから考え合せても、私の申すことは過言ではないと思います。そういう意味から申して、何も営利的なものではありませんから、そういう意味におきまして、所要経営費を国から出して頂いて、そうして中小商工業者に対しまする負担は軽減する、こういうことにし、又或いはそれによつて実際の運営ができるという方向に進んでもらいたいということをお願い申上げて質問を終ります。
  168. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 御説誠に御尤もなんでありますが、先ほど少くとも経営費は会費で賄つて行きたいということを申上げたのでありますが、それは一面におきましては、政府から金の補助を受けるのも結構でございますが、又そのことによつて逆に余り政府の御用団体化するということも考うべきでありますので、実際の仕事等によつて、どんどん会議所を利用して、金を流してもらいたいというように考えておるのであります。又実際といたしましては政府ではありませんが、地方の公共団体等において相当会議所の経費に補助を与えている向き等もあります。今後会議所が強化されて、その活動が活溌になればおのずからそういつた面の途も開かれて来ることを我々は大いに期待いたしているわけであります。
  169. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこでやはり私たちの商工会議所の、私のところは小さい町でありますけれども、町費の中から幾らかでも割いて出しているような情勢でありますので、少くともこの大きい地方においてのこの会議所の運営となるものは、国から何ももらえないということでなくて、もらえることにするのが本当じやないかということを申上げているのでありますから、お願い申上げます。
  170. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  171. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  別に御発言もありませんようですから、質疑は尽きたものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  173. 海野三朗

    ○海野三朗君 このたびのこの法案に対しましては、私は強く学識経験者の意見を聞くというようなほうへ努めて考慮を払つて頂きたいということ、この商工会議所の使命は申すまでもなく政治、経済、文化、大所高所から立つて、この方向を誤りのないように持つて行きますためには、どうしても地方の学識経験者の考えをその人たちが常に傾聴して行くという態勢であつて欲しいと思います。それから会費を皆から徴収するのでありますが、商工会議所の会員になつているという仕合せを各自が感ずるように、単なるボス的存在に流れないためにも、この学識経験者の意見を聴くという態勢にされんことを強く要望いたしまして、私はこの法案に賛成の意を表するものでございます。
  174. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決を行います。  商工会議所法案衆議院送付の通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付案通り可決することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告、事後の措置は前例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ズ者あり〕
  177. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  なお本法案を可とされましたかたは順次御署名を願います。  多数意見者署名    黒川 武雄  小林 英三    石原幹市郎  松平 勇雄    小松 正雄  武藤 常介    海野 三朗  藤田  進    加藤 正人  豊田 雅孝    西川彌平治
  178. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十分散会