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1953-09-12 第16回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年九月十二日(土曜日)    午前十時四十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            海野 三朗君    委員            西川彌平治君            酒井 利雄君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            小松 正雄君            武藤 常介君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (電源開発計画に関する件)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。  本日は電源開発関係調査をいたすことに相成つております。これが終りましてから、昨日来の電力問題一般につきましての質疑を続行いたしまする予定でございます。  先ず電源開発関係でありまするが、開発計画及び資金計画につきまして政府側から説明を求めます。御承知のごとく電源開発関係主管官庁通産省でございまするが、総合調整関係から、最終決定電源開発調整審議会において行われることと相成つております。二十八年度計画最終決定を見ない今日といたしましては、通産省経済審議庁の双方からの資料が提出されておりまして、両者の間には多少の差異があるようであります。今のところは提出資料に従いまして、経済審議庁からは今年度計画見通しにつきまして又通産省側からは電力五カ年計画から見た二十八年度計画必要性につきまして説明を聞きたいと存じます。それでは佐々木計画部長
  3. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 只今委員長からお話がありましたように、二十八年度電源開発に関する全般的な計画に関しましては、本来の建前から参りますと、年度の初めにこれを決定いたしまして、そうして建設に入るのが当然の筋かと存じますが、御承知のように予算暫定予算暫らくの間続きました関係上、どうしても暫定予算の間は、新規事業は全部一応やらないという建前で、継続分にのみ資金をつけました関係上、正式の二十八年度決定というものは、予算がきまりましてから審議会ではつきりきめたいというので、その後延び延びになつておつた次第であります。今月の中旬になりましたのですが、二十日くらいを大体目途にいたしまして、各省寄り合いまして目下最後的な仕上げに取りかかつております。二十八日くらいには大体審議会を聞きまして、本年度の正式な決定をいたしたい。こういうふうに存じておりますので、まだ形式的な報告しかいたしかねるのは非常に残念でございますが、今日のところはそういう次第でございますので、経過として御聴取のほどをお願いいたしたいと思います。お手許昭和二十七年度電源開発設備資金調達実績並びに二十八年度調達見込という資料がございまするが、これから御説明申上げたいと思います。  二十八年度資金見通しに関しましては、この表の第一表目にございまするように、千六百三十二億という予定でございます。初めは大体年間千六百億、後ほど五カ年計画の際に御説明があろうかと思いますが、大体のめどといたしましては、毎年千六百億という見当で五年間資金を調達いたしまして、そうして五百五十万キロ・ワット出力増を図りたいという気持で、千六百億と見通しておりましたのですが、その後御承知のように外資の問題が起りましてれその分だけ今年度計画にプラスになつ関係上、予定よりも若干オーバーいたしまして、言い換えますと、計画がそれだけ早く完成するような仕組になつてございます。二十七年度実績は千二百十三億でございましてその内訳といたしましては、電力会社が九百九十億、電源会社が五十八億、自家発電が百八億、公営と申しますのは主として県営でございますか、県営が五十七億、合せまして千二百十三億、その中で政府資金、主として、政府から出る資金五百十九億、その也民間資金或いは自己調達で調弁する分が六百九十四億、こういうふうな内訳なつてございます。二十八年度でございますが、何と申しましてもやはり九つの電力会社建設中心であることは当然でございまして、それぞれの各担当者の中には任務がございまするが、今のところは電力会社は従来の継続分、或いは新規の分といたしましても、調査その他万般の手配もできておりまするので、中心なつてございます。千二百二十九億の予定を以て今年度計画を実施したい、その中で政村資金は四百億ございまして、これは見返資金から出る分でございます。それから、その他といたしまして七百七十五億を予定してございまするが、その内訳は、主として民間が自己資金というもので賄う予定なつてございます。最後に五十四億の外資という点がございます。外資の分に関しましては、皆様も御承知のように、このたび三カ地点に関しまして火力発電借款は殆んど成立の運びになつておりますので、大体予定通り調印の運びに至るのじやなかろうかという予想の下に今年度予定は組んでございます。次の電源会社でございますが、本年度政府資金といたしましては二百億を組んでおりまして、その内訳は、百五十億は投資特別会計から政府が直接出資を下る、五十億は資金運用部から融資を下るという建前なつておりまして、政府資金としては二百億組んでございます。それから外資の十八億と申しますのは、これは佐久間の発電所建設する際に、主たる資材の中で、特にアメリカ側から導入したほうがあらゆる点から見てよかろうというので、技術の進歩と申しますか、或いは工事進捗等も兼ね合いまして、器材代金といたしましてアメリカ市中銀行から借りました三カ年の借款でございまするが、短期借款で借りました分の二十八年度に該当するものを掲げておつた次第でございます。その分が丁度本年度は大体十八億殖えるのじやなかろうかというふうな計算で、合せまして二百十八億というので本年度予算を組んでございます。それから自家用に関しましては、漸次自家用のほうは、従来の傾向からと申しますか、一時ほど、それほど自家用要望が強くなくなりまして、開発自体電源開発なり或いは九電力なり県営のほうに主力が向きまして、自家発のほうは相願わくばほかのほうへ、完成した電力自分のところへ融通してもらうというような本来の建前になりつつあるような傾向もございまして、二十八年度は意識的に削つたわけじやございませんのでありまして、大体まあ要望の主たるものを掲げましてやりますと、そのくらいの資金で賄えるのじやなかろうかという計算なつてございます。この政府資金の三十億と申しますのは、開発銀行回収金を大体当て込むような計画なつてございます。それから次の公営でございまするが、これが非常に今きまつておらない一番大きい問題でありまして、県営発電は、皆様も御承知のように、主として多目的ダムというものを主体にいたしまして、治山治水或いは利水というふうな面が主体なつております関係上、建設の資力は先ず初めに公共事業費一般会計公共事業費のほうから出まして、そうしてそのダムに要する費用の負担と申しますか、振分けを如何にするか、言い換えますと農業部門幾ら、或いは治水部門幾ら電気部門幾らというふうに資金振分けができまして、そうしてそれぞれ資金の割当に従いまして爾後金を出し合うというふうな建前なつてございます。そうした関係上、公共事業費のほうで資金がつきますと工事ダムの完成が次第に近付きまして参りました際には、それに附加いたしまして電気設備もつけるのでございますが、その資金が毎年非常に多くなつてございます。二十六年度はたしか二十七億というふうに記憶してございますが、この表で見まするように、次の年の二十七年度には五十七億、今年度は九十五億というふうに出ております。そこで成るべくは従来の継続事業のほうを早く完成する。電気は御承知のように、商品でございまするから道路とか或いは堤防とかいうものと若干趣きを異にいたしまして、できたものはそのまま売らなければいかんという建前なつております関係上、どうしても予定工事期間をそのまま延ばさないで早く完成して安い電気を起すというのが非常に大きく要望された事項の一つでございまするから、成るべくは県営事業に関しましては一旦着手したからには予定期間中に是が非でも完成させるというふうな建前で行くのが一番妥当かと思いまして、できるだけ継続の分に重点を置きまして予算をつけつつあつたのでございますが、公共事業費その他の金の付け合いといたしましてどうしても初年度、二年度というのは割合に金を食わないで、工事最盛期になりますと大きく金が必要だという恰好になりまするので、先ほど申上げましたように二十七年度割合少い金でございましたのですが、二十七年度、二十八年度となるに従いまして非常に厖大な資金になるという恰好になつてございます。この八十億は預金部資金から地方起債分として出すわけでございますが、その他十五億とございまするのは、これは地方の、主として県が自分で公募をするという分に当て込んでございます。そういたしまして総計政府資金が七百十億、それから外資が七十二億、その他自己調達分が八百五十億、計千六百三十二億で以て今年度予定事業を完遂したいというので予算を組んでございます。その内訳は二番目の裏の表にございましてその資金がどういうふうに使われるであろうかというのが次の表でございます。次の表で見て頂きますとおわかりになりますように、電力会社のほうは主として従来の継続工事をそのまま早く完成したいというので、千二百二十九億の中で大半でありまする七百八十六億を継続分に組みましてその他一般改良工事百四十一億と組んでございますが、これは申すまでもなくロス軽減等が主たる目的になるわけでございますが、従来の設備を改善して成るべくロスを軽減する。言い換えますれば消極的な出力増加を図る、開発を図るというのがこの目的でございまするので、これは大分改善されまして、二、三年前までは三〇%くらいのロスが現在では二五・五%というくらいまで、ほぼ平常の状態に達するくらいまでロス軽減を図られた次第でございますから非常に結構かと思いますが、この点をもう少し進めたいというのでこの点に重点を置きまして、従いまして新規分として二百四十八億円、その中で水力が十五件、火力が五件、大体これは予定でございまするが、そういうふうに組みまして九電力予算ができてございます。  それから公営事業でございますが、これは先ほど申しましたように主として継続分重点に旅行いたしまして新規の分はやらない、やらないというのは語弊がありますが、新規分に関しましては成るべく事情の許す限り継続のほうに重点を置きまして新規の分は止むを得ないものに限るというふうな建前をとつております。この中で二十八年度新規着工十二件とありますが、これは実は誤解を招く数字でございまして、この十二件の中で八件は先ほど申上げましたように公共事業費は早や二十七年度についておりまして、工事としては着手しておるのでございます。ただ一般会計のほうの資金はついておるのでございますが、預金部のほうからつきまする地方起債分、言い換えますと電気関係の分は去年はつかなかつた、そして今年度からこれを抱き合せないと一本の工事として完成しないという、両方出しつて工事でございまして、今申しました八つというのは去年もう公共事業費がついておりまして、それに今年度から預金部資金をつけるというだけでございます。残り四つはこれは今年度新規に着手する地点といたしまして考慮しておるのでございますが、その四ヵ地点でも一番電力事情の逼迫している地域、特に言い換えますと九州でございまするが、九州で二ヵ地点、それからあとの二カ地点は風土の総会員開発、或いは電力料金方面等から見まして合理的だ、各省ともこれに異存はないという最大公約数を取りまして諸般の事情を考えながら四つ地点を選んだのでございますが、それが純粋の新規でございます。でございますから、この表で新規が十二というのは実はそういう内訳なつておりますので御了承頂きたいと思います。それから次の自家用でございますが、これはこの表で見ますように、殆んど大部分継続でございまして新規のものは余り、ございません。それから最後開発会社分でございますが、これに関しましては新規を三十億というふうに見込んでございますが、これは大部分が今度の只見川の問題が解決いたしましたのでそのほうに注ぎ込んで、一部余裕があればほかの地区も組みたいというのでこの三十億を組んでございます。大体二十八年度資金計画並びに事業内容概要を申上げますと以上の通りでございます。  そこでその資金の中でそれでは新規地点として具体的にはどういう地点なのかという問題でございますが、それに関しましては別の表がございまして電源開発新規候補地点一覧表というのがお手許に配付してあると存じあげますが、これは先ほどからも申上げましたように、それぞれの開発担当者がこういうものを今年度やりたいという希望地点でございまして、この中から大体資金の粋に合い得るように目下地点を選定中でございまして、まだ最終の段階にはなつておりませんが、大体きまりつつございます。御参考までに御覧を願えば結構かと思います。  本年度の、二十八年度計画概要は以上の通りでございまするが、当委員会のほうから御要求がございまして、次のもう一つの表といたしまして電源開発株式会社調査河川追加指定についてという表がございまして、これは何のために出したかと申しますと、西日本電力を今後どうするかという問題にからみまして調査地点を前々の、第八回か第九回と記憶してございますが、その調整審議会調査河川指定したのでございますが、その内容或いは趣旨等を当委員会説明して頂きたいという話がございましたものですから、その際に決定と申しますか、指定いたしました案文をそのまま、審議会できめました案文をそのまま持つて参りまして御説明に代えたいと思つて出したのでございますが、この趣旨はこの表を御覧なつて下さいますとおわかりでございまするが、今まで開発会社といたしましては只見川、熊野、琵琶湖、吉野、球磨川という全国で大体五ヵ川を調査河川指定しておりまして、そうしてその調査の済み次第、言い換えますと開発計画のきまり次第、或いは資金等との見合いについて開発会社でできますればその地点開発したい、又調査の結果開発会社がやるべき地点じやないというふうに仮に審議会できまつた際には、これはもう当然それぞれの実力のあると申しますか、開発の性格に見合うところにやらすべきだとは思つておりますが、この五ヵ地点調査河川指定いたしまして調査を進めつつございます。幸い只見川に関しましては一番早く調査結果が出ましたので、御承知のように今年の七月の末奥只見、田子倉、黒又川第一という三ヵ地点だけを奥只見開発に関連いたしまして開発会社開発地点として決定したのでございますが、それと相関連いたしまして西日本の問題はどうかと申しますと、御承知のように西日本のほうは電力事情非常日に逼迫しているというばかりじやなくて、非常に電力料金が他地区に比較してアンバランスだという関係がございまして、何とかしてあの地区は早急に開発し、同時に又安い電気開発したいというのが一つの狙いかと思います。ところが非常に、天は二物を与えないと申しますか、工業百が発達しているにもかかわらず河川割合に優秀な河川がない。主として火力に頼つているという関係なつておりまして、どうしても従来の石炭中心発電形態なつておりまするが、できれば併せて水力開発もしながら早く安い電力をあの地区に供給したいという要望は、これは客観的に見ましても当然でございまして、そうい点をいろいろ考慮しました結果中国の江川、それから四国の四万十川、これは渡川となつておりますが、奈半利川という、この三ヵ地点調査河川指定いたしまして、そうしてできれば四国が一番今その三地域水力として残された大きい地区でありますので、九州中国の従来の開発継続事業は早く完成するのは勿論でございますが、今後大きい構想といたしましては中国の江川なり、或いは九州球磨川というものを開発しながら、同時に四国を応急開発して、そうして四国が拠点になつて、中国九州電力事情を緩和してやりたいというふうな趣旨で以て、そういう頭で調査を進めて行きたいというので、その趣旨を織込みましてこの三河川調査地点指定したわけでございます。  経過を申上げますと以上の通りでございまして、目下この指定に基きまして開発会社といたしまして調査を進めつつございます。今年度資金計画並びに事業概要と申しますか、或いは調査河川追加指定等にからみましての問題点を申上げますと以上の通りでございます。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) それじや続いて公益事業局長から御説明を願います。
  5. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 電力五ヵ年計画と題しました表が御配付いたしてありますが、これにつきましてこの内容の要点だけを御説明申上げます。  本来であればこれは長期計画でありますから審議庁のほうで御説明願うほうが適当かと思いますが、資料のほうを私どものほうで作りましたので便宜簡単に御説明いたします。  これは第一頁が五ヵ年計画の全貌でございまして、増加出力の一番下の欄に、第一頁に全体の総括表が載つておりますが、合計増加出力五百四十六万一千七百六十キロ・ワット、これは五カ年計画の全体の出力合計であります。これは五カ年計画と称しておりますが、二十七年度着工したものも含まれておりますので正確に五ヵ年ということにはなりませんけれども、二十七年にこの計画を作りましたときには現在進行中のものも含めて総計五百四十六万キロ三十二年度にはなる、こういう計画であります。この計画の中で各社別に載つておりますが、電力会社が二百八十万キロ、公営が少上ございますが、開発会社が百二十三万キロ、こういう計画なつております。この五番目の欄に二十九年度以降着工電源として六十四万三千キロ・ワットとございますが、その分がまだはつきりどこの社でどの地点をやるということがきまつていない分でございまして、今後これは決定されるわけであります。従つてそれを除きました四百七、八十万キロというものがこれはもうすでに現在この五ヵ年計画の中で着手されて進行中のものというふうに御了承頂きたいと思います。それから右のほうはその年度別資金需要でございますが、二十八年度としましては全部合計いたしまして千五百六十億、こういうことになつております。その中で電力会社分が千百七十五億、開発会社が二百億、こういう予定でございまして、来年度におきましてこれはまだ決定いたしておりませんけれども、電力今若関係で千百二十億、それから開発会社には三百三十億となつておるのでありますが、現在のところ開発会社関係では約四百億くらいの計画でやりたいというふうな希望を持つておりまして、我々のほうもその計画で現在折衝いたしております。  それからこの次に資金の表がございますが、もう一枚めくつて頂きまして三頁に水火力別数字が出ております。これは水力で全部合計で三百四十七万キロ・ワット火力が百三十四万キロ・ワットなつておりまして残りの六十四万三千キロ二十九年度以降着工の分につきましてはまだ水火力の区別がここに出ておりません。併し大体におきまして水力が四百万キロ弱、それから火力が百五十万キロというふうに予定しておりますので、この六十四万三千キロ・ワットの中で大体まああと火力が十五万キロくらい、残りが大体水力、こういうふうに大体計画上はなるわけであります。この二十九年度以降新らしく着工する分につきましてはこの表にございます通りに、総額が六十四万キロでございますので、来年度新規分に対する資金需要額というものも比較的小さくなつておりまして、今後需要される電力開発用資金というものはおおむね現在までに着工しております継続工事を完遂するために要する資金が相当大きい。従つて開発資金確保ということは継続工事を順調に進めさせるためにどうしても必要な分である。新らしいものが多ければ新規着工を延ばして資金が苦しくなれば繰延べるということも可能でございますけれども、こういうふうな観点から現在すでに着工いたしておるものをできるだけ早く且つ安く上げるためにはどうしても予定された資金確保ということが必要だということになるわけであります。この表にあります通りに昨日私御説明いたしましたように、二十八年度以降、総計欄御覧になりますると、この二十八年度におきましては百二十五万八千キロと、こういう数字が出ておりますが、これだけが増加出力で追加されるものであります。二十九年度は百万キロ、三十年度も百万、三十一年も約百万、こういう程度のものがこれから本年度以降毎年附加されるということになるわけでございます。  それから二枚ほどめくつて頂きまして、六頁に年度別需用想定というのがございます。これで発電端換算といたしまして昭和三十二年度には六百七十億キロ・ワットアワー要ると、こういうことになるわけであります。二十八年度の欄で需用量といたしましては、一番下の枠になりますが、四百三十八億キロ・ワットアワー、これは発電端換算では五百六十億要ると、こういうことになるわけでありますが、昨日御説明いたしました二十八年度需給計画におきましては、電力会社だけの分でございますが、三百三十億ということで計画をしております。それとこれとを比較いたしますと、この表では丁度二十八年度の中ほどにございますが、電気事業者需用量といたしまして三百六十八億となつております。従つてこれだけの需用に対しまして、三百三十億で計画をするということが、つまり一割程度需給アンバランスがある、こういう結果になつて現われて来るわけです。これが三十二年度総額発電端において六百七十億、需用端で五百三十億、この数字が丁度バランスがとれるという表がその次にあるわけでありますが、七頁の表で、これは三十二年度電力バランスを表わしておるわけであります。これによりますと、供給のほうが、事業自家用含めまして、需用端で、これは左の表でございますけれども、下から三分の一程度のところに五百三十三億九千五百キロ・ワットアワー、これがこれだけ供給できるという数字であります。  それで今度は需用のほうの右のほうの表で、一番下に全部合計いたしまして五百三十三億九千五百、丁度この数字が三十二年度におきましては量的にバランスがとれる、こういう計画なつております。  それから二枚ほど先に縦になつた表がございますが、電力会社開発資金二十七年度二十八年度対比表、これは電気事業者だけの分でございますが、工事費といたしまして二十八年度千百七十五億という計画、これがこの表では下の資金使用額の一番上、総工事資金千百七十五億という工合になつておるわけであります。全体の資金調達額が二十八年度におきましては、合計いたしまして千四百四十億ということになります。その中で開銀期待分が四百億と、こういうことになつておるわけであります。  この表でちよつと誤記がございますから訂正さして頂きますが、二十七年度実績欄の上から七、八行目に自己調達資金の枠で増資というところがございますが、この括弧の二百七十七億というのは、これは二百五億、二〇五〇〇の誤りでございます。これだけの増資をいたしまして、その結果二百七十七億に現在なつております。その点これはミスでありますから訂正いたします。  それからその次の表も、これも縦の表でございますが、施設別内訳表がございます。これで一つの特徴が現われておるわけでございますが、二十七年度までは水火力いずれも電源に相当力を入れております。二十七年度新規という真中の欄で御覧になりますと、水力二百六十億、火力七十億、これがまあ非常な大きなウエイトを占めておりまして、これで送電、変電、配電というものは五十億、二十億というふうに割合小さくなつております。ところがその次の二十八年度の分におきましては、電源もこれは継続はやるわけでありますが、電源に比較いたしましていささか立遅れの感になつておりました送、変電、配電関係を強化するという趣旨におきまして、二十八年度では送電、変電、配電に相当つけております。この表では水火力の電源関係が四十億、二十億でありまして、送電がそれに対し五十八億、受電が四十九億、配電が六十五億、こういうふうに送電、配電のほうにかなり今年は力を入れる、こういうことになるわけであります。  それからその下に小さな欄で借入金の残高表がございます。これはまあ簡単でございますので説明を要しませんが、この借入金の金利の総平均が八分七厘九毛ということになつております。この点申添えておきます。  それからその次は電源開発会社資金計画であります。これによりますと、二十八年度が二百三十億、それから二十九年、これは下から二番目の欄を御覧なつて頂きます、二十九年度が三百九十八億、二十八年度は大体この計画で現在進行中でございますが、二十九年度の三百九十八億というのが、先ほど申しましたように大体四百億ということで申上げましたが、この数伊で今年の計画を立てたいということで、現在この数字を各方面に固めつつあるのでございます。この中で政府出資をどの程度見込めるか、借入金をどの程度にするかということをまだ決定いたしておりませんが、我々の心組といたしましては一応昨年度まで、昨年度と申しますか、二十八年度までの実績の比率によつて一応按分してございます。そういたしますと、この三百九十八億の中で政府出資に三百二十八億を期待する、残りを借入れてやる、こういうふうな心組でございます。この振分け等につきましてはなお大蔵省その他の折衝が残されております。  それからおしまいから三番目に「電気事業外資導入について」という表が二つほどございますが、これは現在火力借款につきましてはほぼ決定に近付きつつありますが、当初電力借款といたしまして、今年の二月でありましたか、総計一億二千万ドルの借入を世界銀行に要望しております。で、そのときの考え方は、全体の産業資金のやりくりから言いまして一億二千万ドルに相当する分だけ円資金が足りない、その分を借款で補いたい、こういうふうな考え方で行つております。その借入の対象を電気事業にとり、その地点、この一番初めの表にございます通り、佐久間、御母衣、上椎葉、こういう地点開発に注ぎたい、こういうことで話が進んだわけであります。ところがこれは世界銀行としてははつぎわその話を受取つておりませんので、先ず火力借款のほうから具体化しつつあるわけでありますが、仮に一億二千万ドルの金が必要だということになりますと、そのうちで四千万ドルだけ現在進行中の火力借款が成立いたしますれば残り八千万というものがなお不足だという説明になるわけでありますが、その点はどういうふうに今後進行するか、今のところ見当つきませんけれども、水力借款はなかなか困難のように聞いております。この上の表が初めに出しましたこれは全体で四億ドルというふうな勘定でございましたが、これは問題になりませんので、その下の本年三月、先ほど二月と申しましたが、三月ですが、三月に提出いたしましたこの下のところの表で御覧になりますように全体で一億二千万ドルというものを一応政府ではつきり出したわけであります。それからその後これは火力と違いましてまだ十分具体化いたしておりませんが、別に水力借款がその当時から並行して進行いたしました。それから先に別途開発銀行を通じて佐久間の開発に関しまして向うの技術導入をする、それに併せて機械等も入れるという関係から、アメリカ銀行に七百万ドルの借入契約が成立いたしております。その内容が次の頁の上のほうに「借入金七〇〇万弗の使途」として出してあります。これは電源開発会社の三年を期限といたします短期の借款でございます。  それから現在通行中の火力借款内容につきましてはその下の表で御覧になりますように全体で約四千万ドル、この内訳はこういうことになつておる、こういうわけであります。  それから一番最後の表は電気事業者の増加の姿でございまして、全部で二十八年度から三十年度までに、一番下に五百十二万三千と言つておりますが、これだけが出る。全体の出力が現在の既設のも一のも含めまして千六百三十八万キロ・ワットになる、こういうふうなあれでございます。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) なお今日は岡野通産大臣の出席を求めまして只今ちよつと局長の触れられました米国に対する外資導入の問題について火力外資、それから更に水力の今後の交渉等の経緯について説明を求める予定でございましたが、丁度今日は労働委員会に出席をしておりますので、或いはこの委員会の時間には間に合わないかも知れませんが、できたらこれを聞きたいと思つております。なお局長今お触れになつたのですが、更に局長においてそれらの経緯について詳細に御説明できるなら御説明願います。
  7. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 現在進行中の火力借款の問題でございますが、これにつきましては当初三社、中部、関西、九州、この三社がアメリカの輸出入銀行から借りるということで話が相当進んでおつたのでありますが、三月の終り頃になりまして結局世界銀行がこれを引受けるということで、世界銀行のほうに話が移りまして、そこで又或る程度振出しに戻つたような恰好で非常に又調査も行い、折衝が行われておるのであります。で、世界銀行といたしましては、貸付先の信用をどう見るかということについて非常に慎重にやつたわけでございますが、当初は電力会社が直接借りるというふうなことであつたわけでありますけれども、政府交渉その他の関係からいたしまして、その間に開発銀行が入ることになりまして、開発銀行が借受けまして、それを電力会社三社に又貸しすると、こういうふうな構想に変つたわけであります。併しながら世界銀行といたしましては、開銀はまあ一応手段として開銀に貸すのであるけれども、実態は電気事業者たる三社に貸すのであるというわけで、電気事業者に対しまして相当細かい調査もし、又繋りを持ちたいということを言つております。そういう関係からいたしまして、形式的には開銀が借り、その開銀の債務に対しましては政府が保証するということになつておりますけれども、実態的には契約が三本できることになつておりまして、開発銀行に対する貸付契約と、それから政府と世界銀行との保証契約、そのほかに世界銀行と電力三社との一つの協定があるわけであります。で、その第三のものは、各電気事業者が開銀から借りた金の返済に支障のないようにすべて業務を確実に実行すると、こういうことが主なる狙いで、ございましてそのためにいろいろ詳細に制約を受けるわけでございますが、例えば五カ年計画等も向うに提出いたしまして説明いたしておりますが、五カ年計画というものが今後電気事業の公益性と健全な発達のために必要だという説明をいたしましたために、それでは五カ年計画が十分実行できるようにこの工事資金等については開銀並びに政府において責任を持て、又電力会社がこの計画を変更写る場合にはあらかじめ世界銀行の承認を受けてもらいたい、又政府電気事業者が健全な経営ができ、そうしてすべて世界銀行に対する債務を完済できるようにするために資金を調達し且つ増資等が行われるように十分料金制度の面でも合理的にやつてもらいたいというふうな細かい取極めがなされたわけであります。で、これに関しまして我々のほうの側といたしまして一番心配いたしましたのは、そういうふうな詳細な制約を受けますというと、又占領時代のように非常に世界銀行の意見を聞かなければ何事もできないということになつたら甚だ困る。日本の産業政策がそのために掣肘をされては困るということを心配いたしたのであります。従つてその契約にありますようなことを文字通り厳格に実行されますというと、支障が起きる虞れもありましたので、そういう点をできるだけ避けるように、文句その他につきましても或る程度変更して参つたわけであります。併し現在におきましても文面ではかなりシリアスな規定がありますが、だんだん交渉経過等の情報を見ますというと、世界銀行といたしましても債権者としての立場から、これは各国に対しても同様であるけれども、大体一応こういうふうな措置はとらざるを得ない。併しそれをどの程度までやるかということについては世界銀行の良識に期待して頂きたい、こういうふうなことを言つておりますので、そうむちやくちやなことをやることは万々あるまいという見通しから、大体まあこの段階にまで来れば或る程度の契約面での条件等も止むを得んだろうというふうな気持で、現在大使館に対して回電を打つているわけであります。従つて恐らくはここもう数日のうちに最終決定を見、中旬或いは下旬には調印のできるような運びになるのではないかと思つております。新聞等でいろいろ報道がありますけれども、新聞の報道は必ずしも正確でございませんことを申添えておきます。  それから水力と申しますか、残り部分でございますが、この交渉の過程におきまして大体世界銀行は日本に対して一億ドル見当は貸す用意があるというふうな空気があつたわけであります。そういたしますというと、この火力借款が四千万ドル決定いたしますと、まだ六千万ドルは望みがあるということになるわけであります。それをどれを対象にして借りるかというわけでありますが、現在まではこれを全部水力といたしまして、その水力も電源開発会社計画に対して立てるということで進んでおります。で、それが先ほどの初めの、外資導入の関係の初めの下の表にございますように、佐久間、御母衣、上椎葉、この三カ地点に対しまして一億二千万ドルという線を出したわけでありますが、これをその後変更いたしまして、ここでは九州の上椎葉まで入つておりますけれども、九州電力の上椎葉は、来年これはもう完成する予定でございますが、これに対して借款するということは余り意味をなさない。御母衣地点は、これは或いは補償問題、ダムサイドの問題につきまして問題がございまして、まだ現在まで予期通り進行してない。それから半面におきまして今年の先月、八月に、懸案の只見川問題が解決いたしまして、本年度から只見川の両地点及び黒又を開発するということになりましたので、水力融資の対象地点只見川の奥只見川と田子倉、それに現在着工しております佐久間と、その三地点に改めております。この三地点に対しまして、残りの六千万ドルを借りたい。こういう予定でございますが、どうもこの外資導入の裏付けになる設備機械等の輸入をしなければ、単なるいわゆるインパクト・ローンというものは非常にむずかしいという情勢でございまして、インパクト・ローン一点張りで行きますと、果して成立するかどうかが非常に懸念されるわけであります。そこで若しインパクト・ローンが困難であれば、発電用機械等を入れるということは、これはまあこの次といたしまして、いずれにいたしましても、これだけの開発をするためには、鉄が要る、電線が要るということになるわけでありますが、鉄、或いは銅につきましては、その原料の一部はどうしても輸入しなければならないということになつておりますので、電源開発用の資材の輸入というものと裏腹にして、借りる話を進めて見たらどうかというふうな意見もたしか出ていまして、そういうふうな資料も一応作つてあります。併しこれは結局間接の結び付きになりますので、果してそういうふうな話が受入れられるかどうか疑問でございますが、一応鉄と銅というような輸入を要する資材、これだけを、電源開発五カ年計画を対象といたしまして全工事用の資材を洗いますと、大体五千九百万ドルぐらいになります。でそれだけの資材を電源開発用として輸入するから、この裏付けになるインパクト・ローンをすると、こういうふうな話を持出して見てはどうかという段階でございまして、これはまだ明確にはつきりそこまで提出いたしておりません。  それからそれが困難であつた場合には、それでは設備を入れるかということになるわけでございますが、機械を輸入するということは、現在も火力の問題につきましては別でありますが、水力用の発電機その他は、現在日本でも十分優秀なものができるわけであります。設備も余つておる状態でございますから、これを外資を導入するために、わざわざ日本でできるものまで買う必要はなかろうという意見であります。  それでは火力はどうかということになりますが、火力もこの今度入れますこれは、高温高圧の優秀なるものでございますが、これにつきましては、これを輸入することにつきましては、日本の機械メーカーと、アメリカのメーカーとの技術提携が成立いたしておりまして、もうすでに早速これと同様の程度のものを試作すると……、試作と申しましても、実際に東京電力で使うわけでございますが、そういうようなこともすでに進んでおりますので、更に又これと同じような機械を外国から入れる必要が技術的に言つてはないと、こういうことであります。それから、これよりか更にもう少し優秀な機械がアメリカにあるわけでありますが、これを今すぐ入れる必要があるかどうかということにつきましては、まだ疑問がございます。日本といたしましては、火力水力含めまして現在の計画以上に機械を入れるということは必要はないのではないかというのが、通産省あたりの意見であります。従つて設備機械を入れなければ借款が成立する見込がないということになりますると、水力借款、或いは今後の火力借款というものも非常にむずかしくなるのじやないかというふうな見通しをつけておりますので、これにつきましては大蔵大臣が今行かれておりますし、池田政調会長もおいでになりますので、今後どういうふうになりますか、期待しておるわけでありますが、現在までの情報から判断いたしますと、なかなか容易ではないというふうに聞くわけでございます。
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは昨日来の説明に対しまする御質疑を願います。
  9. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 電源開発計画について、先ほどいろいろ御説明があつたわけでありますが、従来電源の開発は、東日本に非常に偏重しておつたのでありまして、その点非常に遺憾に思つておるのでありますが、先ほどの説明によりますと、中国四国九州、その地区電源開発の急務であることは認められて、大いにこれを推進しようというふうになつたということは結構だと思うのでありますが、渡川にしても奈半利川にしても、漸く調査河川に追加されたという程度でありまして、一体今の状態で行くと、いつこれが着手せられるのか、甚だ遅延状態にあるのじやないかと思うのでありますが、開発着手の時期、或いはこれが担当者をどういうふうにするのかという点について、率直なる見通しを伺いたいということが第一点であります。  それからもう一点は、電源開発をやりますると、設備のコスト等の関係から、電力コストが却つて高くなつて、電気料金を上げなければならんような情勢にあるようでありますので、国民全体から見ると、これは如何なるものについても同様でありますけれども、増産せられればコストは下つて来るというふうに思うのが普通でありまして、恐らく電源開発さえすれば、電力も豊富になるが、電気料金も下るのじやないかというふうに考えておるだろうと思うのです。然るに電気料金の引上げはもう必至である、而もそれは大幅の引上げが必至だというふうなことであつては、相当問題だと思うのですが、そういう点についてどういう対策を講じておられるか、そういう点を具体的にお伺いしたい。
  10. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 私前段のほうの御質問だけお答えいたしたいと思いますが、西日本電力開発問題につきましては、お説のように別にそういうように意図したわけじやなかつたのでありますが、結果におきまして東日本のほうが、準備その他の都合で早く着手の段階になつ関係上、東日本偏重という結果になつたことは非常に残念だと思いますけれども、引続きまして西日本開発も、先ほど申しましたように、中国九州四国、その三者を合せまして、大きい構想で至急開発に移りたいと考えておるわけでありますが、何せ問題は調査の進捗状況が第一と、もう一つ資金見通しの問題、この二つの問題が大きいフアクターになるだろうと思いますが、調査の問題は、ところによりましては大分進んでおるところもあろうと思いますが、まだまだすぐ決心をして着手するという段階までどの川もそれぞれ完成していない、調査的には最終的な段階まで行つていないのじやないかというふうな考えを持つております。従いまして成るべくは開発会社に早くそういう大きい観点から、従来の資料を収集するなり、或いはみずから至急調査に着手いたしまして、そうして早く出してもらいたいと、こういうふうにお願いして、調査河川指定したわけでございますが、着手の時期といたしましては、一つ調査の成果によるのが一つであること勿論でございまするが、同時に資金の面も兼ね合いまして、先ほど中島君からお話がありましたように、この電力開発資金の問題に関しましては、日本の円資金のみならず、できますれば外国の資金も合して大きく開発したいという政府の念願でございまするので、そういう外資との進捗状況等も兼ね合せまして、そうして時期等をはつきりきめたいと思つております。従いまして或いは西日本の現在開発会社予定しております地点に関しましては、どこか一地点きめて、例えば九州球磨川等は、或いは法案にもはつきり謳つてございまする関係もございまして、早く着手いたして、調査も大分進捗しておるようでございますので、或いは一番早く着手の段階になろうかと思いまするが、先ほど申しました調査河川の五つの地点がそれぞれいつ如何なる時期にという時になりますと、まだはつきり遺憾ながら申上げる段階に達しておりません。  それから担当者の問題は、恐らく四国の四万十なり、奈半利なり、吉野と言いますところが一番問題になろうかと思いますが、この点に関しましても、先ほど説明申上げました決定事項の、何と申しますか、本文と申しますか……の中にもはつきり認つてございますように、今回開発会社調査するのは、主として時期と申しますか、どういう方法でやるべきかということ、乃至は本流、分流案という体系があれば、本流にすべきか、分流にすべきかといつたような、そういう問題が調査の主眼でございまして、担当者までも、開発会社独自ではきめないという建前にしてございます。そして担当者西日本開発を全部合せまして、例えば四国だけで使う電力であれば、当然それは四国担当者が、或いは担当してもよかろうじやないかという結論にもなりましようし、その電気中国なり、九州なりに及ぶべきだということになりますれば、或いは四国だけの担当者では不十分だという結論にもなりましようし、そういう点もございますので、もう少し大きい目からの調査が進んだ上で、担当者決定したい、こういう考慮から、今のところ誰が担当するかという点も明確にきめないで、そうして調査の済み次第、至急担当者をきめて工事の着手に移りたい、こういうふうな手順にしたのでございます。
  11. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 電源開発電力のコストの関係でございますが、甚だ遺憾でございますけれども、建設費が非常に高くなつておりますので、現在の五カ年計画進行いたしますと、コストが相当上るということは避けられないものがありまして、これはすでに二十八年度、本年度におきましても、当初のこの需給計画を作るときに推定いたしますと、百八億の赤字が出るというふうなことになりましたので、結局大部分の原因が、新親電源がここで追加されるから、それだけコストが上るということに基くわけであります。  それでは結局において五カ年計画完成後にどの程度上るかという予想をいたしますというと、これにはいろいろな前提があるわけでございますが、第三次評価をいたしまして、それから大体ほかの関係は現状並みと、こういう想定をいたしますというと、二割五分五厘くらい現在よりもコストが上る、こういうことであります。ところが現在の資本構成は非常に合理的でないという憾みがありますので、これはもう少し合理的に自己資本を殖やすということにいたしまして、そういう仕方を予想するといたしますというと、そのために更に又上りまして、約三割くらいのコストの値上りになるわけであります。で、これは三十二年度におきましてその程度になる、こういうことになるわけでありますが、これを引下げるためにはどういう手段をとればいいかということについて、いろいろ研究をいたしておるのでありますが、結局このコストの中で一番大きいのは、資本負担、或いは端的に申しますと金利だと、こういうことになります。水力発電費の九割が、資本力の九割以上が資本的な経費でありまして、そのうち全体の六割見当が金利の費用と、こういうことになつております。従つて電力原価を下げるには、やはり金利を下げることが一番先決であるということであります。それから火力の面におきましては、これは勿論石炭費が約六割を占めておりますので、石炭費が下るということが大きく響くわけであります。それを考えますと、先ず水力発電の資本負担を切下げるためにできるだけ金利を下げる。現在開発銀行の借入金利も七分五厘でございますが、これは五分利程度まで下げてもらいたいという希望を持つております。その他市中も下げる。それから更に法人税、事業税、配当準備金と、こういつたものがいろいろかかつて来るわけであります。そういう租税公課というものもできるだけ下げるという、こういうことにいたして見ますというと、大体仮にそういうような我々の希望が全部実現したといたしまして大体三割値上りがその半分程度で収まる、一割五分くらいで収まる。併しゼロにはならないということになつて参ります。それから、従つて今度はこの金利、或いは税金等の引下げも限度がございますので、別の面からいたしまして、石炭をできるだけ下げて頂く、これは石炭のほうの合理化によつて炭価を下げるということにいたしまして、できるだけ努力をするということをいたさなければならない。大体そういうような方向で、将来の電力原価の増騰をできるだけ食い止めるために、最近いろいろ案を立てまして、電気事業者も動いておりますが、私どもも関係の方面といろいろ折衝をいたしております。で、今我々の希望いたしておりますいろいろな点が、全部がすぐに実現できるというふうにはなかなか参らないと思いますが、まだ相当先の問題にもなりますし、主務局といたしましても、いつまでもこれは諦めないで、努力は最後まで続けたい。従つて或る程度実現できることは、例えば開銀の金利等は現在七分五厘程度のものが一分ぐらいは引下げられるという意向があるようでございますが、それを更に又できればもう少し下げてもらうという努力も、一応下げるだけ下げまして更にそれから又続けるというふうに、将来全部が希望通りになるように長く私どもといたしましても努力をいたしたい、ねばりたいと、こういうふうに考えております。それから石炭のほうは現在すでにかなり下つておりましてこれが将来更に二割三割というふうに、合理化その他によつて値下りになれば、これは非常に大きく響くわけでありまして、火力発電のこの設備的な関係からするコストの引下げというものと、それから石炭自体からの値下りというものをからみ合せますと、火力発電費が将来一層安くなるという見込はかなりあるわけで、現在大体一キロ・ワットアワー当りの発電費が七円くらいになつておりますが、最新の輸入設備によりますと五円五十銭くらい……、これは稼働率その他によつて違いますけれども、大体その程度の開きがあるわけであります。これは大体現在の炭価によつておりますから、その炭価の問題、或いは稼働率等の変化がございますと、更にもう少し安くなるという見通しがございます。又古い設備を、できるだけ今後の資金の余裕のある限りは、そういつた高能率のものに置き替えまして火力発電によりたい、こういうことも将来考えなければならないこういうことをいろいろな面からやりまして、できるだけこの値上げを食い止めたいと思いますが、来年になりまして、果して現在の電気料金そのままで行けるかどうかということが危ぶまれておりますので、その点につきましても、すでに足元からこの年度の始めの予想では相当の赤字が出るという現実の事態が迫つておりますので、絶対に料金を如何なる方法を講じても上げないということは、なかなか我々としてもはつきり言い切れないと思います。
  12. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 さつきの西日本電源開発の問題でありますが、先ほど御説明にもあつたかと思いますけれども、あの地方は非常に電気需用が他の地方より高い。特に四国地区においてはそういう状態でありまして、而も四国地区には電源開発に適当なる場所が相当あるのでありますから、これを開発することは四国中国九州に非常に好影響を与えて行くわけなんでありますし、あの地区電源開発はこの際積極的にやるということを今以上にはつきりさせる、もつと推進してもらうというふうにしてもらいたいと思うのであります。同時に担当者の問題についてはああいう公益事業関係は公益的な色彩のあるものにやらし、そうして急速に推進して行くということが必要だと思うのでありまして、そういう点を十分に配慮してもらいたいと思うのであります。なお電源開発に伴う負担の問題でありますが、これはお話のように一番資本が重きをなすし、特に金利負担ということになるのでありますが、この点については先般造船資金などは市中金利一割一分を五分に下げるように利子補給をやる。或いは開発銀行、従来でも七分五厘で貸しておつたものを更に三分五厘にまで引下げるというようなああいう行き方をしたのでありまして、電気関係については、造船も勿論コストの引下げは必要でありますけれども、それ以上に全般に国民の関係のあるものでありますので、これについてはただ金利を一つできるだけ下げるようにするというような行き方でなく、大きな手を打つて行くということでないと、私は電気料金の引上げの問題は将来必ず大きな問題になつて来ると思うのでありまして、その点において先般の造船資金の対策などから見ると非常に電源開発資金の手の打ち方というものが不徹底のように思うのでありますが、その点について利子補給などをやろうという肚があるのかどうか、その点又伺つておきたいと思います。
  13. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 造船の例を見まして、電気に対してもああいうふうなことをやる必要があるだろうということは我々も一応考えて見たのでございますが、まだその点につきまして十分の結論が出ておりませんけれども、一つの考え方といたしましては造船と比べますと電気事業の場合はまだまだ料金の公定制度がございまして、造船ほど経理内容が苦しくないということになつておるのが一つと、それから九分割以来一応九会社が自主的に経営をする、こういう建前なつたのであります。それをこの際仮に造船と同じように利子補給をいたしますというと、そういつたような自主性が失われる。それからそれだけの援助をするからにはかなり国としても電気事業の経営に対しまして相当もう少し強い干渉をしなければならん。そういうことをして、果していいかどうかということにつきましていろいろ議論が、ございまして、そこまで思い切つた手を打つかどうかということにつきましては実はまだ部内で意見がきまつていないのであります。できればそういうことをいたしましてもう少し金利を下げるということにいたしたいのでありますが、いろいろ半面そういつたような問題もございますので、いま少しこの点につきまして考えて行きたいと思います。
  14. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今のお話でありますと、経理内容が造船事業などに比べて電気事業のほうが楽だという話なんでありますが、そういう事実がありとすれば、電気料金の引上げの問題は私は起らない。又極力抑えて行くべきだ。電気料金さえ引上げが大幅になつて行かなければ、利子補給をしないに越したことはありませんが、併し電気料金をどうしても引上げなければならんということなら何とかここで徹底した対策を講じてでも電気料金の引上げは極力しないようにするという方向で進んで行かれないと、私は先ほど申しますように相当大きな問題になつて来るだろう、こう思うのであります。その点を重ねて申しておきまして今後の御研究をお願いしたいと思います。
  15. 中川以良

    委員長中川以良君) 私からちよつと伺いたいのですが、西日本のほうは先ほど御説明なつ通り電源開発が非常に遅れているので、ますますこれは地域差というものがひどくなつて来ると思うのであります。この点は非常に西日本側といたしましては遺憾の極みと存じます。そこで四国の奈半利、吉野その他の開発を是非進めなければなりませんが、これを開発した結果、この電力中国に瀬戸内海を渡つてつて来るということを言われておりますので、これは私どもといたしましても是非実現をされたいものと思つておりますが、技術的に検討をいたしまして十分これは可能性があるかどうか、どの程度に当局として研究をされているか、この点の一つ経緯をお伺いしたいと思います。
  16. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) この点に関しましては実はほぼ一年半、二年くらい前から現地の広島通産局、それから四国の通産局並びに九州の通産局、三者が完全に合体いたしまして、そうして向うの各電力会社その他関係官庁機関の協力を得まして、実に詳細の調査を遂げたのがございます。その結論によりますと、十分送電線を引きまして、中国九州まで送つてもペイするというような結論になつておりますが、ただ送る量が問題でありまして、僅かの量でありますと、これはペイしない。多く向うの地区電気を送らないとペイしないというユニツトを計算してございます。そういう点からいたしますと、四国開発に関しましては先ほどから縷々申上げましたように、四国で使う電気なのか、あれを或いは大きく開発して大きいユニツトで中国九州に送るべき電気なのか、今後の研究課題といたしまして基本的な問題になりますので、そういう点を併せて目下通産省等と力を合せて研究中でございます。
  17. 中川以良

    委員長中川以良君) 四国開発案は私どもといたしましては四国だけを対象にしないで、やはり西日本地区電力が不足しておりますので、中国九州を含めてそれの電源開発をするというふうに是非一つ指導して頂きたいと思うのです。そこでもう一点伺いたいのは、奈半利川の問題がいろいろ四国電力と住友との関係でむずかしい問題があるようでございまするが、この問題につきましてはどんなふうになつておるのか、又どういうふうな御見解を以て対処しておられるのか、これを一つ承わりたいと思います。
  18. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 或いは直接の問題に在りますので、通産省のほうからお答え願うのが至当かと思いますが、私から便宜代つて申上げますと、奈半利の問題に関しましては御承知のように住友共電と中国電力のほうでは調査しまして、開発会社でこれを開発してもらいたいという申出があるようでございます。それでいずれにこれをやらすべきかという問題に関して今官庁側といたしましてこれはかくすべきという決定までは先ほどから申上げましたようにきまつておりません。四国には電力が余つていると申しましても、今残された地点といたしましては吉野或いは四万十、奈半利、この三カ地点最後でございまして、それ以外の大きな地点といたしましては今徳島県営でやつております那賀川ぐらいでございますから、どうしてもこの三カ所を或いは一つのものとして考えて中国なり、九州をどうすべきかということまで考えませんと、一つ一つ切離して決定して参りますと、大きい構想が崩れますので、もう少し問題をつめまして、日本全体の電力行政、電力需給或いは料金制度というような建前から結論を出した上でこれをきめたいというので慎重に考慮中でございます。
  19. 藤田進

    ○藤田進君 電力問題をいろいろ現行の機構の下に検討を進めて行きますと、非常に行詰つて、今の西日本の問題、或いは地域差料金の問題、開発の問題、それに関連して水火調整金の問題、こういつたことを検討して見て、是正しようといつても、私は実際はこれは無理だと思つております。併しやらなければ問題にならないので、やはりこれは無論超党派的な立場でやつて行かなければならんが、然らばといつて公益事業局なり通産省自身がどうにもならん。電力事業に関する限り、このような五カ年計画の構想があり、これを而も実施しようという熱意がある限り、少くとも今では遅きに失するけれども、まだ時期的には放棄すべきときではないので、電気事業の根本の問題を検討し、而もこれは極めて政治で言えば超党派的な立場からやつて行かないと、抜きさしならんのじやないだろうか。例えば今問題になつておるのは、五十、六十サイクルの一元化の問題であつて、これは将来完全に不可能になつて来ると思う。これは鉄道で言えば広軌と狭軌が連絡して断層になつておるのと同じような状態で、ここまでやれば完全ですけれども、そこまでやらないにしても、ここらあたりでもつと基本的な問題として、これは電力行政を考えなければならないのではないだろうかというふうに私は結論は持つておるのです。それだけに従来多年、少くとも八カ年間電力行政についてメスを入れ、企業の形態なり、そういつた運営の問題にもメスを入れて来た私としては、極めて派生的な末梢的な問題に取組んでおるようで、実は見通しが非常に暗いのですけれども、これからお伺いして見たいのは、そういうことについて政府としてはただ現状を前提にして、五カ年計画を立てておると言われておりますけれども、これは当然行詰つてしまうような気がします。例えば占領中における行過ぎとしては電力問題については再編成ですね。これは如何ともしがたい状態が逐次明確化しつつあるし、そこでこういつた根本問題について、どう考えるだろうかという点が第一点です。それから若干説明しますと、今四国開発によつて中国四国電力事情を緩和するといつても、技術的に可能だといつても、これはやはり限界があると思うし、それから資本的に見てコストの面等から問題があるという点、それから六十サイクル系統でも、北陸その他いわゆる中央部と称している府県の開発と、四国との関連がどうかという点、それから今言われたように水火調整金制度、こういう制度を当分の間、二、三年ということで残すとしても、このコストというものは資本的な部分が大きいと言われているが、その通りで、西日本電源開発については非常な問題が残されていて、水力地点が無論いいものがないということが大きなウエイトでしようし、まあ開発コストが非常に高いという点でしようね、そういうもろもろのものを上げて来ますと、非常にネツクがある。それから開発だけ考えて見ても、今日機械化されて、アメリカから技術導入をする、その他殆んど設備、報酬、いろいろなことに使わなければならんが、私ども細かい問題に入つて見ますれば、やはりかなりのロスをやつておると思う。設備そのもの、或いは器材、こういつたものじやなくて、自由にならない大きな機械を導入したりしても、これが十分稼働されないというようなところまで入つて行けば、これは根本的に電力行政というものをやり替えなければならない。私はいつも素人の人にわかりやすく言つておるのは、例えば今国鉄を分断して四国四国、少くとも九分断、国鉄をやつたと同じような、これよりももつとひどいような状態にあるわけで、これが実際問題として解決されなければならないのじやないだろうかという点が、私の最も憂えている点です。従いましてこういう点について、もう五カ年計画を立てる前に現状を前提としてやつたならば、これはもう到底西日本は浮び上らないと私は思つております。こういう点からどうお考えだろうかと思うのです。
  20. 中島征帆

    説明員中島征帆君) いろいろ電気に関しまして根本的に問題があるわけでございますが、そういう問題を一応考える時期というものは、現在一つの時期だと思います。と申しますのは、電気事業法等を新らしく制定しようという準備を進めて、審議会も作るということになつております。この時期にそういつたような制度的な、或いは全体の根本問題につきまして、十分検討するということも必要なわけでございますが、この審議会におきましても昨日御説明いたしました通り、そういつたような根本問題には一応は触れてございますけれども、それほどつきつめていないで、大体現状維持という考え方でやつているわけであります。これに対しまして私どもの考えは、今五年計画電源開発というものを、非常に強く推進しておりますが、九分割の可否は別といたしましても、ともかくも現状の姿で、できるだけ早く需給バランスをとり戻すということが先決問題でありまして、それに先ず全力を注いで、いろいろな組織面の問題、或いは制度の問題ということにつきましては、その電力需給バランスのとれた暁において考えるのが適当ではないか。現在これをやりますというと、開発する以上に、開発と並行していろいろな混乱を起すということが、電力の不足である現在といたしましては、非常に困ることになるのじやないか、こういうような懸念からいたしまして、一応今日の姿にきまりました。経緯は別といたしましても、これを基礎としてともかくも電源開発を推進して、需給の調整を図りたいということでやつているわけであります。併し只今お話にありましたようないろいろな根本問題につきましては、これはもう当然研究といたしましては十分今日からやらなければならんことで、電力会社の形態その他の問題もございますけれども、更に将来の問題といたしましては、日本で今まで水力開発に最も力を入れてやつておりますけれども、水力電源の今後の開発の余地というものも、そうむやみに多くは残されておらんわけであります。二千億或いは二千二百億といつておりますが、今後多少調査の結果殖えたといたしましても、すでに今日では五カ年計画ができておりますが、この水力開発されますというと千四五百万キロ・ワットになりますが、それ以上果してどの程度まで実際に着手できるか、開発できるかどうか、補償問題等もこれからますますやかましくなりますから、いろいろ困難なことが起きるかと思いますが、そうやたらに今後水力発電も伸びるということもないかも知れませんので、そうした場合に火力にもう少し力を入れて、コストを下げるように努力するかどうかという点にもなりますが、火力に関しましても、石炭が相当生産されているとは言え、そうやたらに発電用に石炭を無制限に掘るということも、これは石炭経済の面から言つても一応考えなければならん、そうすれば別の電源というものを少し研究する必要があり、又余地があるのじやないかというふうに思うわけでありますが、今考えられておりますのは、原子力発電ができるかどうかわかりませんけれども、大体可能だというような今日の段階でやつております渓流発電、潮流発電というようなものがもう少し進行いたしまして十分成功するということになりますというと、非常に割合に安い電気が得られるそうであります。そういうふうな発展が今後期待されますならば、それを合せた電力政策というものも又今までとは違つた姿になることにも考えられますので、やはり現在といたしましては当面の電源開発の上に力を注ぎまして、それと並行してだんだん需給の緩和した頃に、電源自体の、只見のような問題と合せまして全体の電力の姿というものを更に検討いたしたい、こういうふうにしたほうがいいと思います。これは私の意見でございますけれども、そういうふうに思います。
  21. 藤田進

    ○藤田進君 まあ現職におられる局長としてはそれは止むを得ないと思うのですが、先になつたらと言われるけれども、これは今の方針を踏襲して行つたならば、さなきだに電気事業くらい政治勢力というか、時の勢力に非常に支配されて技術的な問題というよりも無理やり政治の力によつて引下げられてしまつておるというのが現状なんですよ。今電気の経験者、技術者についで、日本の電力をどうするかという問題を諮問したならば、現状でいいという人はない。将来の開発を含めて、ただ政治的にいろいろやられてしまつて、政治力の強いところに最もいいような恰好に、電源開発つてそうだが、企業形態そのものも置かれてしまつたわけであります。国鉄だつて東京周辺だけを別の企業体に直してしまえば料金なんて非常に安く上るんですからね。これと全く同じ状態なんで、将来に成るほどこれは無論むずかしいと私は思つておるんですが、その一例として、先ほど豊円委員の質問に対して答えられた将来のこの五カ年計画の進捗に伴つて電気料金が漸増する、コスト高になつて行くということで全国平均二割五分乃至三割と言われたと思うのですね、これは特定のところだけとつても無理だが、併し東北あたりのコスト高と、それから中国或いは九州ですね、こういつたところとの関係も、若し数字が出ていれば……殊に水火調整金が非常にもう風前の燈の状態にある。これは将来これ又政治の力でとにかく多数決できめてしまえばいいのだから、法律を作つても私は負けてしまうと思う。現在の日本なんて……これは又無理でも無理押しがなされる可能性が非常に強いのですね。水火調整金は石炭の値段が下つて来るということを期待されておるというが、これは私は一つの波で、そう底なしに下るものでもないと思うのです。水火調整金も廃止されたというような条件を加味したここに電力コストを考えると大変なものだと思つているんですがね、その差というものが、私詳しい計算をまだしておりませんけれども若し数字があれば発表願いたいと思うのです。東北或いは中国あたりの数字を……、なければいいです。
  22. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 開発に伴うコスト値上りの計算は全体を一括してやつておりますのでございますけれども、これは推算をすれば出すことはできると思います。で大体まあおつしやる通り地区別に又かなり開きが出て来るというふうには考えております。
  23. 酒井利雄

    ○酒井利雄君 資金面についてちよつとお伺いしたいのですが、建設費が八千六百何十億というところへ外資を百四十何億、大半は国体資金によらなければならないと思うが、この資金見通しはついているのでございましようか。最近或る会社に聞くと資金開発会社のほうに重点を置かれて、地方電力会社のほうが資金の割当が少いと、それで着工も思うようにできかねるというようなことを聞いておるのでありますが、その見通しはどういうふうになつておりますか。
  24. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 資金の将来、殊に来年以降の見通しは必ずしも容易ではないのであります。我々もこれは果して現在着手しております継続工事が順調に続けられるかどうかということにつきましては、或る程度心配をしておるわけでございますけれども、これは何としても確保したいというつもりでおります。ただ開発会社とそれから電気事業者とはこの資金はソースが違つておる。電源開発会社のほうは政府出資が大部分で、残りの一部を預金部から貸されておる。それから電気事業者のほうは自己調達のほかに市中借入等がございますが、開発銀行から今度は四百億借りる、従つてこれは間接に或る程度関連はあると思いますけれども、直接電源開発会社のほうの計画がふくれたために電気事業者のほうがひつこむと、こういうような関係にはございません。大体電気事業者のほうの開発計画も当初の計画に応じまして、大体予定通り進んでいるということは申上げて差支えないと思います。ただ来年度のこの資金全体の問題につきましては、これは予算とも関係いたすことでございますので、かなり懸念されておりまして、我々といたしましては最小限度はどうしても確保しなければならないというつもりで努力はいたしております。
  25. 小松正雄

    ○小松正雄君 さつきからの御説明によりまして私ども九州のほうの球磨川電源開発の点については相当しておるということにつきましては、私は喜びに堪えない次第でございます。これに必要である資金の問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、さつきこの説明の中では外資導入によらなくては到底自己資金ではできないだろうと、こういうことからいたしまして、外資導入の借入方法は開銀のほうに一応移つて、開銀からこの電気事業者に貸付けられる、こういうことでありましたが、そうですが。
  26. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そうでございます。
  27. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしまするならば、この球磨川等の電源開発に関して、この外資導入が借入れられる態勢になつておりますか、どうですか。
  28. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 電源開発会社のほうはこれは促進法によりまして直接借入れられます。又借入れた場合に政府は保証することができることになつております。従つて電源開発会社が借入れる場合には開銀を通さないで直接借りる話が成立し得ると思いますが、ただ、現在停止しておりますような水力電源に対しまする借款は果して成立するかどうかということにつきましては、先ほど申上げました通り、現在までの情勢判断では非常に困難な状態にございます。従つて火力の、現在進行中の火力の話が成立いたしまして本式に水力に関しまして交渉を始めなければよほどはつきりした見通しはつきませんけれども、現在のところはなかなか容易でないという印象を以て臨んでおるわけでございます。
  29. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、それと同時に又電気料金のコストの関係で、例えば球磨川以外の電源開発のところではコスト的に安く上る、球磨川に限つてはでき上つた場合には今度は高くなる、こういう観点から球磨川のほうは高くなるために取除こうと、こういうことになるようなことはないのですか。
  30. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 球磨川も、開発計画の作り方によつては必ずしもそう高くならないというなにもあるのでございますが、併しいずれにいたしましても地域々々の電気需給を緩和するためにはやはり或る程度高い電気になりましてもこれは止むを得んこともございますので、球磨川につきましてはそういう関係から先に延ばすというようなことは今のところいたすつもりはございません。
  31. 小松正雄

    ○小松正雄君 それからもう一つお尋ねしたいと思いますが、現在中部或いは関西とか、こういつた電力会社がありますが、これらの地域、これらの会社から出ておりまする電気需用家に関して料金の差があるのか、大体国内全体的に一律になつておりますか、それを一つ……。
  32. 中島征帆

    説明員中島征帆君) 会社別の料金の差があるかどうかということは、これは恐らく地域差の問題と思いますが、これは昨日説明いたしました表の表紙のないほうの資料でございますが、そこの七頁に載つております。その表で御覧になります通りに、地域差調整をいたしまして、全体平均を一〇 ○といたしました場合は、最高は中国の一四一、最低が北陸の四九・七、こういうふうな差があるわけであります。現実にはこれは総平均でありますから、電燈、電力電力におきましても大口、小口それぞれ段階的に違つておりまして、その差は又いろいろ違つておりますが、一例で申上げますと、電燈料金は従量電燈で標準が北海道が六円十銭、東北が二円二十銭、東京が三円五十五銭、中部も同様であります。北陸は三円二十銭、関西六円、中国七円十銭、四国六円四十銭、九州七円三十五銭、こういうふうに電燈料金のほうは比較的幅が狭い。それから電力料金は大口の電力で標準料金北海道二円七十銭、東北一円八銭、東京一円十銭、中部一円二十五銭、北陸一円五銭、関西一円九十七銭、中国二円九十銭、四国二円六十銭、九州三円三十銭、これはいろいろ段階がありまして違つておりますが、その一つの例ではこういうふうになつております。北陸の一円五銭に対してこの場合は九州が一番高くて三円三十銭というふうにつております。
  33. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで一番高いという九州関係でありますが、この地域関係から見ましてもそういう差額が出ておりますのと、なお電力料金の高いということは供給量が足りないということでありまして九州にも相当今後国内産業の発展する方面もあると思いましても、電力の割当等がないためにその事業も促進されていない、こういうことが相当あるわけでありまするが、例えば小さい炭鉱をやつておる私どもでも、新たに開坑いたしたい、開坑すればコストも安く出るというところを持つておりながらも電力の割当等がない、そこで自分の坑内に引いておりまする線から二次線を引いてそこに開坑しようとしますれば、割当よりも増量になる。増量になつた分は三倍にも四倍にも料金を取られるようなことになりますので、そういつたことに着手ができないというような状況にあることから推しましても、速かにこれの緩和のためにこの球磨川開発に対してはとくと政府におかれましてもそういうことと関連いたしまして促進されるよう要望いたしておきます。
  34. 藤田進

    ○藤田進君 細かい問題ですが、最近各地ともそうなんだが、従量電燈にしたい、計量器を付けたい、という需要家が非常に殖えておるんですよ。殖えておるのだが、これを付けると料金収入が少いのですね。やはり従量でないほうがよい、定額のほうがよいという政策があつて付かんのです。これはなかなか付かないというところにいろいろな利権が伴う。細かいものは細かいだけにいろいろな弊害が出ておりますのですが、これはどう思いますか。
  35. 中島征帆

    説明員中島征帆君) そういう傾向もなきにしもあらずのようでございますが、定額制を従量制に切替えるということは相当進行はいたしております。又一つの問題は、メーター検定があるのでありますが、検定は試験場或いはその他でやつておりますが、検定の能力というものが現在では手一ぱいになつておりまして、その関係からメーターができてもなかなか実際に使えないというような実情に縛られて、そういう点が従量化の障害にならないように、そちらのほうで検定のほうをもつと拡充するということを別途進めております。
  36. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りいたしますが、本日はこの程度にいたしまして、一応あとは次回にいたしまして御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会