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説明員(
中島征帆君) 現在
進行中の
火力借款の問題でございますが、これにつきましては当初三社、中部、関西、
九州、この三社が
アメリカの輸出入銀行から借りるということで話が相当進んでお
つたのでありますが、三月の終り頃になりまして結局世界銀行がこれを引受けるということで、世界銀行のほうに話が移りまして、そこで又或る
程度振出しに戻
つたような恰好で非常に又
調査も行い、折衝が行われておるのであります。で、世界銀行といたしましては、貸付先の信用をどう見るかということについて非常に慎重にや
つたわけでございますが、当初は
電力会社が直接借りるというふうなことであ
つたわけでありますけれども、
政府交渉その他の
関係からいたしまして、その間に
開発銀行が入ることになりまして、
開発銀行が借受けまして、それを
電力会社三社に又貸しすると、こういうふうな構想に変
つたわけであります。併しながら世界銀行といたしましては、開銀はまあ一応手段として開銀に貸すのであるけれども、実態は
電気事業者たる三社に貸すのであるというわけで、
電気事業者に対しまして相当細かい
調査もし、又繋りを持ちたいということを言
つております。そういう
関係からいたしまして、形式的には開銀が借り、その開銀の債務に対しましては
政府が保証するということに
なつておりますけれども、実態的には契約が三本できることに
なつておりまして、
開発銀行に対する貸付契約と、それから
政府と世界銀行との保証契約、そのほかに世界銀行と
電力三社との
一つの協定があるわけであります。で、その第三のものは、各
電気事業者が開銀から借りた金の返済に支障のないようにすべて業務を確実に実行すると、こういうことが主なる狙いで、ございましてそのためにいろいろ詳細に制約を受けるわけでございますが、例えば五カ年
計画等も向うに提出いたしまして
説明いたしておりますが、五カ年
計画というものが今後
電気事業の公益性と健全な発達のために必要だという
説明をいたしましたために、それでは五カ年
計画が十分実行できるようにこの
工事資金等については開銀並びに
政府において責任を持て、又
電力会社がこの
計画を変更写る場合にはあらかじめ世界銀行の承認を受けてもらいたい、又
政府は
電気事業者が健全な経営ができ、そうしてすべて世界銀行に対する債務を完済できるようにするために
資金を調達し且つ増資等が行われるように十分料金制度の面でも合理的にや
つてもらいたいというふうな細かい取極めがなされたわけであります。で、これに関しまして我々のほうの側といたしまして一番心配いたしましたのは、そういうふうな詳細な制約を受けますというと、又占領時代のように非常に世界銀行の意見を聞かなければ何事もできないということに
なつたら甚だ困る。日本の産業政策がそのために掣肘をされては困るということを心配いたしたのであります。
従つてその契約にありますようなことを文字
通り厳格に実行されますというと、支障が起きる虞れもありましたので、そういう点をできるだけ避けるように、文句その他につきましても或る
程度変更して参
つたわけであります。併し現在におきましても文面ではかなりシリアスな規定がありますが、だんだん交渉
経過等の情報を見ますというと、世界銀行といたしましても債権者としての立場から、これは各国に対しても同様であるけれども、大体一応こういうふうな措置はとらざるを得ない。併しそれをどの
程度までやるかということについては世界銀行の良識に期待して頂きたい、こういうふうなことを言
つておりますので、そうむちやくちやなことをやることは万々あるまいという
見通しから、大体まあこの段階にまで来れば或る
程度の契約面での条件等も止むを得んだろうというふうな気持で、現在大使館に対して回電を打
つているわけであります。
従つて恐らくはここもう数日のうちに
最終決定を見、中旬或いは下旬には調印のできるような運びになるのではないかと思
つております。新聞等でいろいろ報道がありますけれども、新聞の報道は必ずしも正確でございませんことを申添えておきます。
それから
水力と申しますか、
残りの
部分でございますが、この交渉の過程におきまして大体世界銀行は日本に対して一億ドル見当は貸す用意があるというふうな空気があ
つたわけであります。そういたしますというと、この
火力借款が四千万ドル
決定いたしますと、まだ六千万ドルは望みがあるということになるわけであります。それをどれを対象にして借りるかというわけでありますが、現在まではこれを全部
水力といたしまして、その
水力も電源
開発会社の
計画に対して立てるということで進んでおります。で、それが先ほどの初めの、
外資導入の
関係の初めの下の表にございますように、佐久間、御母衣、上椎葉、この三
カ地点に対しまして一億二千万ドルという線を出したわけでありますが、これをその後変更いたしまして、ここでは
九州の上椎葉まで入
つておりますけれども、
九州電力の上椎葉は、来年これはもう完成する
予定でございますが、これに対して
借款するということは余り意味をなさない。御母衣
地点は、これは或いは補償問題、
ダムサイドの問題につきまして問題がございまして、まだ現在まで予期
通り進行してない。それから半面におきまして今年の先月、八月に、懸案の
只見川問題が解決いたしまして、本
年度から
只見川の両
地点及び黒又を
開発するということになりましたので、
水力融資の対象
地点を
只見川の奥
只見川と田子倉、それに現在
着工しております佐久間と、その三
地点に改めております。この三
地点に対しまして、
残りの六千万ドルを借りたい。こういう
予定でございますが、どうもこの
外資導入の裏付けになる
設備機械等の輸入をしなければ、単なるいわゆるインパクト・ローンというものは非常にむずかしいという情勢でございまして、インパクト・ローン一点張りで行きますと、果して成立するかどうかが非常に懸念されるわけであります。そこで若しインパクト・ローンが困難であれば、
発電用機械等を入れるということは、これはまあこの次といたしまして、いずれにいたしましても、これだけの
開発をするためには、鉄が要る、電線が要るということになるわけでありますが、鉄、或いは銅につきましては、その原料の一部はどうしても輸入しなければならないということに
なつておりますので、
電源開発用の資材の輸入というものと裏腹にして、借りる話を進めて見たらどうかというふうな意見もたしか出ていまして、そういうふうな
資料も一応作
つてあります。併しこれは結局間接の結び付きになりますので、果してそういうふうな話が受入れられるかどうか疑問でございますが、一応鉄と銅というような輸入を要する資材、これだけを、
電源開発五カ年
計画を対象といたしまして全
工事用の資材を洗いますと、大体五千九百万ドルぐらいになります。でそれだけの資材を
電源開発用として輸入するから、この裏付けになるインパクト・ローンをすると、こういうふうな話を持出して見てはどうかという段階でございまして、これはまだ明確にはつきりそこまで提出いたしておりません。
それからそれが困難であ
つた場合には、それでは
設備を入れるかということになるわけでございますが、機械を輸入するということは、現在も
火力の問題につきましては別でありますが、
水力用の
発電機その他は、現在日本でも十分優秀なものができるわけであります。
設備も余
つておる状態でございますから、これを
外資を導入するために、わざわざ日本でできるものまで買う必要はなかろうという意見であります。
それでは
火力はどうかということになりますが、
火力もこの今度入れますこれは、高温高圧の優秀なるものでございますが、これにつきましては、これを輸入することにつきましては、日本の機械メーカーと、
アメリカのメーカーとの技術提携が成立いたしておりまして、もうすでに早速これと同様の
程度のものを試作すると……、試作と申しましても、実際に東京
電力で使うわけでございますが、そういうようなこともすでに進んでおりますので、更に又これと同じような機械を外国から入れる必要が技術的に言
つてはないと、こういうことであります。それから、これよりか更にもう少し優秀な機械が
アメリカにあるわけでありますが、これを今すぐ入れる必要があるかどうかということにつきましては、まだ疑問がございます。日本といたしましては、
火力、
水力含めまして現在の
計画以上に機械を入れるということは必要はないのではないかというのが、
通産省あたりの意見であります。
従つて設備機械を入れなければ
借款が成立する見込がないということになりますると、
水力借款、或いは今後の
火力借款というものも非常にむずかしくなるのじやないかというふうな
見通しをつけておりますので、これにつきましては大蔵大臣が今行かれておりますし、池田政調会長もおいでになりますので、今後どういうふうになりますか、期待しておるわけでありますが、現在までの情報から判断いたしますと、なかなか容易ではないというふうに聞くわけでございます。