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1953-07-21 第16回国会 参議院 通商産業・経済安定連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十一日(火曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。   通商産業委員    委員長     中川 以良君    理事            松本  昇君            藤田  進君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            小林 英三君            西川彌平治君            松平 勇雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            海野 三朗君            山口 重彦君            武藤 常介君            白川 一雄君   経済安定委員    委員長     早川 愼一君    理事            高橋  衛君            八木 幸吉君    委員            奥 むめお君            鮎川 義介君   委員外議員            河野 謙三君            宮本 邦彦君   衆議院議員            小笠 公韶君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    公正取引委員会    委員      湯地謹爾郎君    公正取引委員会    事務局経済部長 坂根 哲夫君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君    通商産業省企業    局長      中野 哲夫君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衞君   参考人    日本鉄鋼輸出組    合理事長    稻山 嘉寛君    東京雑貨輸出組    合理事     齋藤 晴弘君    倉敷紡績株式会    社常務取締役  桑田 義良君    野崎産業株式会    社会長     野崎 一郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○輸出取引法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○特定中小企業の安定に関する臨時措  置法の一部を改正する法律案(衆議  院提出)   ―――――――――――――
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会経済安定委員会連合委員会を開会いたします。  本日は輸出取引法の一部を改正する法律案並び特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  先ず最初輸出取引法の一部を改正する法律案につきまして、昨日お取極めを願いました参考人意見を聴取することにいたします。参考人かたは日本鉄鋼輸出組合理事長総山君、東京雑貨輸出組合理事齋藤君、倉敷紡績株式会社常務取締役桑田並び野崎産業株式会社会長野崎君、以上四名でございます。参考人のおかたに申上げます。本日はお暑い中御多用のところわざわざ御出席を賜わりまして誠に有難く存じます。御承知通り只今輸出取引法の一部を改正する法律案が本委員会に付託されておりまして、審議いたしておりまする次第でございます。同法案が今回改正をせられまする主要な点は、御承知通りに、先ず輸入組合を新たに設けますること、それから大臣の命令によりましてアウト・サイダーをも規制することができるということが出ております。それから輸出組合事業活動の範囲の拡大、これらの点がその改正の重要なる点と存ずるのでございます。なお本日御開陳を頂きまする御意見につきましては、特に次のような点につきまして御意見をお述べ頂きたいと存じます。先ず貿易拡大振興輸出入組合は如何なる寄与をし得るかという点、それから過去の輸出組合ではどういう点で不便であつたか、それで今回改正によりまして、どういうふうに是正をされたか、この改正で十分であるかどうかという点、それから生産者輸出業者輸入業者といたしまして、今回の改正によつて如何なる影響を受けられたか、更に国内への影響等どういうものがあるか、なおその他御希望の点、お気付き点等腹蔵なく御開陳を頂きたいと存じます。時間が余りございませんので、恐縮でございまするが、お一人十五分間宛御公述を願いたいと存ずるのでございます。なお本日は四人のかたに御公述を承わりまして、その後一括して御質疑をお願いしたいと存じまするから、委員諸君はさように御了承頂きたいと存じます。大変暑うございますので、どうぞ委員かた参考人かたも上衣を一つお取り頂きましてお願いいたします。それでは最初日本鉄鋼輸出組合理事長稻山君お願いいたします。
  3. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) 御指名にあずかりました鉄鋼組合理事長をやつております稻山でございます。今いろいろな点につきまして意見を述べろということでございますが、結局全部関連している事項だと思いますので、極く簡単に私ども考えております意見だけを述べさして頂きたいと思います。今回御提案になりました輸出組合法改正の全体を拝見いたしまして、ただ我我が考えますことは、非常に法文か難解である、非常に判断に苦しむ、読んでわからないという点があると思います。従いましてこの点が将来いろいろ運用して行きますうちに解釈で疑義が起きて、思わぬことが起きるんじやないかというように思う点でございます。  第二の点は、運用の点で実際上まだまだ不便な点がたくさんございます。例えば輸出価格とか、数量とかというものは相手の出ようによつて刻々変化して行きますものでありますために、手続が非常に簡単でないと相手国競争に対応して行くことは困難な状態であるわけでありまするが、これらの点も一々総会を経て、所定の手続を経なければならんようになつておりますことが、今後の運用上非常に支障を来たすのではないかというような点につきまして大体論としてもう少し徹底した改正案を私どもとしては希望する次第でございます。併しながら今回まあともかく従来の法規ではできませんでありました輸入協定なり、輸入組合ができるということ、それから又国内に関連いたしました事項は一切いけなかつたのでありますが、これらの点についても相当拡大した考え方で御処置願つている点、それからいろんな事業の点についても若干の拡大を認めて頂いた点、その他を総合いたしまして、まあ現在のいろんな情勢から見ますと、これ以上の改正はなかなか困難のように私ども考えておりますので、まあ最小限の要求としまして政府案是非お通し願いたいと、かように考えております。特に今後の法の運用につきましては、是非輸出第一主義という考え方からいたしましても、又世界各国輸出に対して非常な強力な手を打つておりまする関係から申しましても、是非運用をうまくやつて頂きまして、実際輸出効果が挙がるような取運びをお願いいたしたい、かように考えているわけでございます。簡単に輸出の状況を申上げましても、鉄だけに見ましても、アルゼンチン、それからパキスタン等で現にぶつかつておりますのでありますが、非常に競争が激甚でございます。これが外国との競争激湛であるならば私どもちつとも支障ないのでありまして、これに対しては飽くまで闘う以外にないのでありますが、国内かたがた競争が非常に激しいのであります。これは今後我々として折角輸出組合法をこしらえて頂いたのでありますが、その点がまだ我々の足りない点でございますので、これらの点も大いに実効を挙げて行かなければならないのでありますが、アルゼンチンの僅かの引合いをめぐりまして、向うへ、我々鉄鋼組合と何ら関係のない商社かたがたが勝手にオツフアーを出して向うと折衝している。そうして或るホテルのごときは日本商社で埋め尽している。それらの人々は結局商売できないのであります。ただ無用に費用を払つている実情でございます。そうしてその競争をしている実情のために、アルゼンチン政府筋で買おうとしてもだんだん安い引合いを出すものでありますから、ちつともまとまらないというような意味合いにおきまして、誠に無用な競争をいたしているような実情でございます。又輸入にいたしましてもアメリカ側からスクラツプが入りそうだというにもかかわらず、みんなが押し寄せましてアメリカからスクラツプを買おうといたします。そういたしますとアメリカ国内スクラツプまで上つてしまう。そうしますとアメリカ製鋼業者は高いスクラツプを買わなければならない結果になるものでありますから、政府お願いをして、日本へは屑鉄は輸出しないでくれという陳情が出ておりまして、そのために日本スクラツプが手に入らないのだという実情のように承わつております。いずれにいたしましても、輸出輸入の面で競争がどれだけ弊害になつておりますかということは、これはもう皆様御存じのことと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、この際一致結束いたしまして輸出振興を図つて行きたい、かように熱望いたすものでございます。  そういう意味合いにおきまして、今度の改正法案是非とも至急御通過さして頂きたい、かように考えておるものでございます。簡単に趣旨を申上げました。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは次に東京雑貨輸出組合齋藤理事お願いをいたします。
  5. 齋藤晴弘

    参考人齋藤晴弘君) 東京雑貨輸出組合齋藤でございます。今日は東京における雑貨の面で、玩具、ライター、喫煙具、それから造花、三つの大きな輸出をしております業者がこの組合におりますので、特にこの人たちに御一緒に来て頂いたのであります。  先ず今回の改正案は従来より一大進歩したものと思つております。輸出組合強化については未だ是らざるところがあります。強化の面において何らか具体的なことを織込んで頂きたいという注文がございます。時間が限られておりますので、先ほど委員長さんのおつしやいましたその他ということについて希望条件を申上げたいと思います。  私ども雑貨輸出関係では、一番悩んでおりますのは、輸出をしておりますうちに、取引価格の低下をして行きますので、作るほうも輸出の業務をいたしますほうも、自然にマージンが減つて来る、そのために品質が落ちる、競争して値段を下げて行くため、にそういう結果になる。これは一体何がそういう原因であるかといいますと、国内同士模造品を作り合う、この模造品を作るためにオリジナルを作られたおかたよりも、模造品を作られたかた価格を下げる、そうして注文を取る、更にそれを模造した人が値段を下げるということで、品質も低下する、従つて製造家業者マージンを下げる、まあいわば国家的に収入が減るわけでありますが、なぜそういう結果になるかといいますと、これはまあいろいろな理由もありますけれども国内においていわゆる特許庁事務が非常に予算関係もあるのでしようが遅い。只今実用新案出願をいたしまして、審査の期間が大体二月か三月、それからこれをいよいよ公報に載せまして、そうして一般に配付をしまして異議の申立をとるわけでありますが、この印刷をするだけで約半年かかる。これはまあ特許庁実情を聞いて見ますと、機械が全部運転をいたさないとか、或いは人手が足らないとか、印刷技術がまだそうよく行つていないとか、いろいろなこともあるようですが、要するにそうしたことでさえもそんなに時間がかかつているというようなわけであります。まあ最近では活字の鋳造機をお買いになつた、予算をもらつてやるようになつたというのですが、まだまだこれの効用をいたしますまでには相当日時を要する。まあこんなようなわけで、私の第一番に申上げたいというのは、特許の事務内容といいますか、これの拡充を一つ是非願いたい。丁度特許庁に自分の考案を出願をいたしまして、外国からこれによりましてたくさんの注文を取つて、これで一つ商売しようと思つているとさらに、もうすで」に、二月か三月たたないうちに模造品が出てこれを壊して行く、このような状態輸出を妨げているような状態であります。  それからもう一つは、私は最近欧米を廻つて帰つて参りましたのですが、アメリカ只今まあLCを発行されまして、それによつて商売をしておりますが、ヨーロツパに参りますとあちらへはなかなか荷物日本から出ましても向うに到着いたしますまで相当日数を要しまずのと、あちらのヨーロツパ内においての取引が非常に近くもあるし、スムースに参つておりますので、日本から買う品物信用状を送るのが誠に辛い。どうか昔のDP或いはDAで送つてもらいたい。これは御承知のようにDPDA商売ができれば輸入業者のほうとしては誠に都合がよいことでありまして、是非そうしてもらいたい。これはヨーロツパ同士取引でありますと誠にそれがたやすくもできまするし、日限も早くなる、こんなような状態であります。これは私どもは恐らく日本雑貨業者というものはアメリカにも競争者がある代りにヨーロツパにも競争者があります。その競争者商売するには何としても向う輸入業者都合に応じてやらなければ’ならんということになりますので、どうしても将来そういうふうなことをして行かなければならないだろうと考えるのであります。こういうときに今我我組合員人たちが一体自己資本で間に合つて行けるかどうか。只今では信用状が参りますまでに荷物を出さないでもオーダーを見せましてこれによつて殆んど金額の融資を受けてこれで賄つて、そうして品物を作らして出すということができるのでありますが、DADPでやると荷物を出すと同時に船荷証券を出さなければ買つてもらうことができない。只今では商社にもよりますが、資本金の何借、何十倍の取引をしております。今の現状から考えて見るとどうしても輸出業者には資本の蓄積を与えなければいけないと思います。これによりまして只今では利益の或る一部の免税とか、それから或る輸出契約金額に対する。パーセンテージをおきめになつてこれによつて免税をお考えになつて頂いておりますが、そのほかに最近出ております、企業合理化促進法というのが昭和二十七年三月三十一日第六十一号で改正になつておりますが、この企業合理化促進法によつて、この雑貨輸出業者に対して或いは輸出雑貨製作者に対してこれを適用して頂たいのであります。おあとのかたの時間もあろうと思いますので、以上を以ちまして終ります。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは次に倉敷紡績株式会社桑田常務取締役お願いいたします。
  7. 桑田義良

    参考人桑田義良君) 桑田でございます。私ども紡績事業に従事しております君は、輸出におきましても輸入におきましてもウエイトの最も大きな商品に関係を持つておるのでありまして、この面から従来のこれらの貿易関係を見まして、世界各国におきます貿易管理或いは為替管理、これらを根幹といたしまして、いろいろな抽象的な通商協定なり或いはライセンスの発行につきまして国家的ないろいろな政策を織込まされておるのでありまして、一方我々の国内の側から見ますれば、これは非常に自由奔放なままで放置されておるのでありまして、現にこのヴオリユームが戦前の半分にも達せないにもかかわりませず、これらの関係業者といたしましては、戦前の三倍或いは四倍にもなんなんとする非常な激烈な競争状態なのであります。又国際間の競争にいたしましても、過般イギリスにおきます世界綿業会談におきましても各国とも異常な厖大輸出目標を掲げまして、ここに華々しい国際的な綿製品の売込み競争を始めたのであります。このときにあたりまして、我々がかねがね念願いたしておりました日本製品を最も有利に而も最も多く売り得るのはやはりどうしてもここに一つ関係業者の一体となつ行動が必要である、こういうことも痛感しておりましたが、今回の輸出取引法改正によりまして、私どもはその一端が実現されるのじやないかということを感じておりまして、この点私どもは非常にこの改正を歓迎いたすものでございます。尤も只今のところは綿業界といたしましては、従来のままやはりだらしのない競争をやつておる状態でありまして、常々こういつたふうな一つ共同行為の必要を感じながらも現在に立至つておるのが現状でありますが、これが法のバツク・アツプを得られまして強力に推進し得られることが近からんことを我々は望んでおる次第であります。私は現在考えられております改正内容で先ず結構だと存じます。これはまあやつて見なければなかなかいろいろな欠陥がわからんのでありますからして、先ずこの程度にやつて頂きまして、又不都合がありますれば将来改正をして頂く。こういうふうに願うのでありますが、ただ私ども綿糸紡績に従事しております者の特にお願いいたしたいのは、この法につきましては、この法の制定或いはその実施につきましては、特に綿業界実情に即した方法をとつて頂きたい。この点をお願いいたしたいのであります。と申しまするのは、この綿製品国際的な競争或いは輸出の増進ということは、大体におきまして輸出生産品品質価格、これらの生産能率上の国際競争力、これとそれから商社商業機能の渾然として合体したものがつまり輸出促進、或いは輸出振興の基になるものであります。で我々は戦後日本紡績拡大のために少からん犠牲を払つて、現在まで商社維持育成強化を図つて来たものであります。特に御承知のように昭和二十六年朝鮮事変の反動を受けまして、商社はいわゆる新三品の暴落によりまして、莫大なる損失を負いました。その当時綿花厖大なる先約定をいたしておりましたが、引取る時期になりまして、買付価格の三分の一に低下いたしましたが、紡績業者としては、一俵も漏れなく、各約定値段でとつて商社が新三品からこうむつた痛手、或いはそれに引続きまする海外輸出契約品大量キヤンセル、これらの損失は、紡績も大きく見ないでもらつて、今日の商社の温存、並び強化を念願してやつて来たのであります。こういう意味におきまして、私ども輸出組合というものにつきまして法案を見ますというと、単に輸出入業者、現に輸出入に従事している人だけがこの組合に加入できるというふうな文言を拝見いたしまして、非常に失望し、これでは我が国の少くとも綿製品輸出につきましては、効果が挙がらないだろうと私は断言するものであります。と申しますのは、現在の輸出品輸出状態を申しますれば、この輸出を左右するもの、或いは輸出により重大なる関心を有しておるものは、我々紡績業者でございます。と申しますのは、我々厖大生産設備を持つておる、或いは非常に多数の雇用者を擁しておる。又現在輸出リンク制度の下におきまして輸出をやらなければ、業者としての存立を許さないというふうな、厳しい制度の下に我々はやつて来ておるのでありまして、輸出の商状というものは、我々紡績業者の生命を扼する問題でありまして、商社以上に我々は重大なる関心を持つておるのであります。こういう意味合いにおきまして、勿論商社商業的機能というものは大切でありますけれども、より信用力あり、資本力あり、国際相場の激しい変動に堪えて行くだけの実力を持つております者を入れなければ、輸出組合が有効なる決議をなし、有望なる実行力を発揮するということは、私はできないと思う。特にこの綿花輸入につきまして、今回輸入組合法も附加えられたのでありますが、綿花輸入というものの実態を一応御存じおき願いたいと思います。  綿花戦前におきましても、一応商社危険負担においてやつておりましたが、形式的には紡績会社委託買付でありました。戦後におきましては一時A・A・Sというものがございまして、ドル地域の綿を除きましては、一応誰でも買える。商社自己負担において買えたのでありますが、併しながらこれには非常な大きな相場騰落の危険と厖大なる資金が要るのであります。でこの場合におきましても、金融機関といたしましては、商社に対してはこの輸入金融はいたしませんでございます。これは必ず紡績業者紐付をする。実需である紡績業者紐付をしなければ銀行として輸入承認手続をしない。これが従来A・A・Sのなかつた時代のことでありますし、現在におきましては、御承知のごとく綿花買付外貨全部直接紡績割当になつておるのでございます。でこの場合におきまして、輸入商社とは何をするものであるか、これは外国の荷の積出し、外国綿花商日本紡績との間におきまして、いろいろ、非常にいやな言葉を使いますが、ブローカー的な存在であります。そうして向うの積着け、或いはこちらの積下しといいます一つ輸出技術的な代行機関に過ぎないのでありまして、実質は相場騰落、或いは全部の金融、これらは紡績負担しておるのであります。特にこの輸入承認を得るにいたしましても、LCを開設いたしますにしましても、全部紡績会社保証が入つております。それから輸入綿花が到養いたしまして、これを引取る際にも、必ず紡績会社保証をしなければ税関から出せない。こういつたふうな実情なんでありまして、綿花の本当の輸入の主体となるものは紡績業者でございます。この際におきまして、この輸入組合なるものが、紡績会社を除外いたしまして、如何ようなる決議をし、如何ようなる行動に出でましようとも、ここにやはり紡績業者組合員として入つて一つ決定をいたしまする場合と比較いたしますれば、そこに実行上の効果が雲泥の相違があると私は信ずるのであります。  以上のごとく、私どもは今回の輸出入組合法につきましては、その組合員については資格を明記して頂きたい。これが特に立法技術上、生産者組合員に足る資格を有するということが書きにくいのであれば、前議会にとられた解釈のごとく、輸出の意思と能力ある者を加えるというふうに書いて頂きまして、そして十分我々は実際の実情に副い得るように、メーカーがあの中に入つて行くようにして頂きたい。若しメーカーを入れなくて、輸出組合一つ輸出協定、或いは輸出すべき事項をきめまして、これによつて紡績業者と団体協定いたします。この場合に、この間におきまして、その意見の調整、或いは対立というものを来たしますならば、荏苒日を空しゆういたしまして、一瞬を争う国際貿易におきましては、非常な損失を来たすと私は考えるのでありまして、外にあつて協力するというよりは、むしろ飛び込んで、実力のある者を入れて決定をする。特に輸出組合におきましては将来有力なる海外商社がどんどん入つて来ると思うのであります。これらにつきましてこれらの跳梁跋扈を抑える上におきましても、力のある人間を組合員に入れておくということが、日本貿易のために緊急な、必須なことじやないかと私は考えるのであります。こういう意味合いにおきまして誠に輸出入組合のほうの改正は結構でございますが、特にこの点は私ども平素痛感いたしております事項につきまして御考慮を願いたいと存じます。
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  最後に野崎産業株式会社野崎会長お願いいいたします。
  9. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) 御紹介にあずかりました野崎一郎でございます。輸出組合のお話の前に、一応貿易現状を、皆さんすでに十分御存じでいらつやいましようが、非常に差迫つております現状を一言申述べたいと思うのであります。  世界貿易は、世界ドル不足から深刻なる競争を辿つて参りまして、現在は食うか食われるかの状態になつております。各国はいずれも通貨の価値を引上げまして、それで物価を引下げまして、貿易カルテルを組織し、特需の奨励金を出したり、或いは振興方策を以て、或いは国によりましては輸出特殊機関を作りまして、或いは貿易協定によりまして、先方の輸入の見返りをしまして割高のものを押付けて買わせる等の、或いは貿易管理為替管理によりまして、極度の輸入制限をしまして、ときには差別待遇の、差別的の軍関税をかけまして苦しめる等、誠に百鬼夜行の状態でございます。然るに日本人は人口の多い結果でもございましようが、外交……、外商とは喧嘩しないで、日本人同士が衝突して喧嘩するというような状態になつております。戦前には外商と競争しまして、衝突しても闘い勝つたということもございます。その当時は日本の銀行はすでに海外に出ておりました。船会社も出ておりました。保険会社も出ておりました。同時に我々貿易商社もそれぞれ各地に支店を設け、或いは出張所を設けまして、実力を持つておりましたからこの芸当ができた次第でございまするが、戦後にはそれらはすべて失いましたし、それに独禁法が施行されますし、輸出組合のようなものは全部厳禁されました。而も敗戦によつて苦い経験を経ましたので、外商と事をかまえるような気分がなくなつてしまつたのが以上のくだらない状態なつた次第だと思うのであります。こういう傾向でございますと相手方のお客さんに非常に不安を与えましてあと入つて来るものが安いものですから、勢い損をします。損をしますから一層値切つてつて参りまして勢い自衛をするというような結果でありますので、この結果が勢いますます日本人同士の喧嘩を強くさせるという結果になつたものであります。輸出は儲からない。而もむしろ人件費を見ると損をするというようなことで勢いそれがために実力がないものでありますからますますそこに商売が投機的になつて投機的で埋合せをする、これが今の実際の非常なむずかしい理由になつておるわけであります。日本品は安くて品物が良いけれども、危険だから取扱うのはいやだと言いまして、勢い輸出組合を作らなければならんということを叫び出しましたのが、講和前の問題であります。御承知通り戦後の日本は占領行政の然らしめるところでありましようが、非常に厳しい独禁法が施行されまして輸出貿易にさえ除外例を設けなかつたというのは世界日本だけだつたのであります。然るに米国には。ウエグホメリン法という除外例がございましたもので、それを楯にとりまして我々はスキャツプに随分やかましく申上げまして、それにさからつても折衝いたしましたのが講和以前のことであります。朝鮮事変世界日本の物価体系全部を破壊いたしまして、その上へ持つて来まして特需が出ましたためにこれが日本の経済を世界の経済からおいてけぼりを食らわしたというような事情なんであります。そこで輸出組合もできましたけれども、やはり元の実体のないスキヤツプの影におびえておりまして、公取に気兼ねして作りましたのが第一回の輸出取引法の実体であります。ここでどうしても改正されますことは誠に時宜を得たことでありまして、むしろ遅過ぎるようなわけでございますけれども、何しろ世界は先ほど申上げました通り百鬼夜行の状態でございますので、ここで何とか改正しなければならんということに対しては誠に時宜を得た方法であると存じます。  世界ドル不足は肝心の米国がどうしても考え直してくれません限りはますます深刻になつて参りましようし、殊に米国の軍拡のスロー・ダウンによつていよいよ峠を越して参りましたということを承知しておりますし、米国の景気も頂上に達しておりますので、これが下つて参りますれば、この結果はスターリング地域の商売に対して約八倍にこれが響く。それから日本商売に対しては十三倍に響くというのは過去の統計に現われておる状態であります。殊に特需は今頼りになりません。今のような輸出取引法のような状態でおりますれば、ますます行詰つて参りますので、殊に今の日本輸出物価は非常に高いために引合つておりませんで、ますます行詰つておる次第でございます。ここに改正せられますれば、非常に我々としては力強いのでありますけれども、それが果してこの改正になりましたところで手の裏を返すように輸出貿易がよくなるとは常識的には考えられませんけれども、併し少くとも政府輸出第一主義ということを考えられますれば、これを以て第一段の手としてこれから続いて我々は次の大きな手を打つて頂けると思いまして、特にこれに対して大いに期待をする次第でございます。今回の改正につきましては、大体第一回の輸出組合の設立の趣意でありますところの組合員の加入脱退の自由であること、それから一切の監督権を通産大臣が持つておられるということ、それから変つた事項が起りますれば、通産大臣の許可を仰ぐということによりまして大体抑えられるというのが精神だと存じますけれども、従つてそういう点で多少アウト・サイダーの抑えに対しては隔靴掻痒の感がありまして非常に物足りないような抑え切れないような点があるのじやないかということを心配いたしますことと、それから対外に対する競争の対抗上の措置に対しはやはり通産大臣の許可による、措置によるというのが改正の精神だと存じます。この点が時に応じて間に合わない点があるのではないかということを心配いたします。大体輸出入組合の真の大事な点ということは組合員がその組合に入会したことによつて何かの恩恵が得られましてよかつたという感じを与えることが先ず第一じやないかと思うのであります。あべこべに組合員は金がかかる、組合員ばかり取締が厳重でむしろアウト・サイダーのほうが楽だというような感を抱かせるようになりましては、その組合はないほうがいいのではないかというふうに申上げます。これは無論組合幹部の精神によると存じますけれども、根本原則はこの点を十分お取りくみ願いまして輸出取引法改正をして頂くことが非常に大事だと思うのであります。この点で本改正案を拝見いたしますとかなり細かいところに注意をしておいて頂ぎまして、この点に対しは誠に敬服する次第であります。組合員にどうも特恵がないということと、それから先ほども稻山さんからお話がございましたが、どうも法文が廻りくどくて素人にどうもわかりにくいという点がございますので、この点は誰でも組合員が読んでわかるように一つして頂けるようにして頂けないものかと存ずる次第であります。それで先ほどもアウト・サイダーの抑えが足りないと申上げましたが、どうも外商に対して妙に気兼ねをしていらつしやるのではないかということが我々としては残念に思うのであります。外商がもともと日本に来て商売する場合、どうして輸出組合に入らないのか。アウト・サイダーに残つて駄々をこねるのはけしからん、これを抑えることができないということは非常に残念でありまして、どうも属領気分が抜けないという悪口を言われるゆえんでありまして、どうか独立しました日本貿易の独立独歩の点につきまして、もう少し気兼ねのないところの大道濶歩してこの窮迫せる貿易事情を救つて頂く強力な手を考えて頂かなければならんのではないかと思うのであります。  この法案もやはり行過ぎがありましても困るのでありますけれども、余り中途半端になつても困るのであります。この点が誠にむずかしい点であることはよくわかるのでありますが、十分にその点を御考慮頂きたい。殊に相手が違つた政策をとり、又同時に競争国が違つて輸出政策をとつて参りますごとでありますので、どうしても当方が一本で行かなければならん場合もございます。この点もやはり十分織込んで頂いておりますので、誠にその点は結構だと存じます。  なお内地メーカーとの協定の途を開いて頂きましたことは、やはり実現を期する点において万全の策として誠に結構だと思います。が併しメーカーが不況カルテルに進むようなことの虞れがなきにしもあらずでございますので、この点もやはり相当に注意して書いて頂きましたということは我々も感謝いたしておりますので、どうか杞憂にならないようなことにして頂きたいと存じます。輸出組合が初めて組織されましたときに、濫立してただでさえ存立が非常にむずかしくなり非常に貿易商社に対してこの負担が全部かかつて参りますことになりますので、容易でないものですから、どうか一つ組合の数は成るたけ減らして頂きたいということを言つておりましたが、これが四十組合以下できめられましたことに対しては、これならば何とかやつて参れましようと思いますが、この点は今までの御尽力に対して深く感謝いたします。併し輸入組合はこの上り負担になりますので、輸出組合の組織以上に組合の数を減らして頂きたい。それで同時に止むを得なく作つた場合においてはその必要がなくなつたときにはどうか許可を取消して頂くというような方法をとつて頂くということが必要じやないかと存じます。それからもう一つ、地域別、非常に最近御承知のように地域別に商売が、ブロック経済のような傾向になつて参りますので、地域別輸出組合がどうしても出て来やすいものであります。これを下部組合のように一つつて頂きたい。現在の案にもそういう方法に組んでおられますが、なかなかこの点がむずかしいと思いますので、十分今から御研究おき頂きたいと思います。それから下部組合という意味とは違うのでありますが、各組合に、御承知のように部会がございます。その部会の数は先ほども申しました通り、どうしても組合は減らして頂きたいという関係上、成るたけ部会の中に一緒に包含して頂くという方法をとつて頂かなければなりませんので、そうしませんと、中には独立してやつて参りますには取扱い金額が少いので、それで組合の成立ができませんから、みんな部会として組合へ加入するという方法をとつておりますのですが、やはりこの部会が各種みんな取扱い業種が違つておりますし、連絡がございませんし、それを一本にして行きますということが、これが非常に困難なのであります。それが先ほどちよつと稻山さんからお話がございましたその部会は、全部やはり総会の決議によるということになつております。部会を以て総会の決議に代えることができないということになつておりますので、やはり総会の決議によつてつて行かなければなりません。その点におきまして、私農産物輸出組合理事長をいたしておりますが、例えば農産物で申上げます。と球根類を、例えば百合根のチエツク・プライスを変更するのに、日本の全部の農産物であるところの雑穀、青果物、蔬菜、はつか、除虫菊、木蝋、澱粉のようなものの業者を全国的に招集して総会を開かなければならない。これではとても相場の変動の激しい現状において、チエツク・プライス一つ変えるのもできないというような状況では困りますので、これらに対してはむしろ最後は理事会の決議できめて頂くというようにして頂きたい。今回総代会の制度を考えられておりますようでありますけれども、今度は理事会と総代会との間の関係が非常に運営上複雑になつて参りまして、それでこれが屋上屋を作るような結果になつては実は困るのでありまして、この点はむしろ先ほど申しました通り理事会を以て最後の決定権といたすようにして頂きたいと思うのであります。それでこれはこの法案にのみ関係したことではございませんけれども、この法案施行に対してガツトの加入等、或いはIMF等に対するような支障を恐れまして、外商又は他の国の思惑を考えてとかく遠慮勝ちであるようなことでありますけれども、戦後のドイツのごときは思い切つた貿易政策を大胆に施行しておりまして、今の繁栄を来たしておるような次第でありますので、これらを十分御考慮頂きまして時期を失せずどしどし実行してやる。いわゆるタイミングを考えて頂きたいと存じます。例えば通産省が主張されておりましても大蔵省が反対する、或いは大蔵省内において為替局が賛成して主税局が賛成されても主計局が反対されるというようなことで支障が余りに多い次第でございますので、この実現に半年や一年かかるというようなことになりましたら初めからこれはできない相談なのでありまして、いつもこれで時期を失しておるような次第でございます。今回のドイツ式の輸出奨励免税制度を計画されておられますが、これもドイツがすでに実行して、十分実効を果してそれでもう廃止してもよいというようなときになつて、これから日本が始めるというようなことでは実際困るのじやないかと思うのですが、こういうふうなことでありましてはとても日本貿易振興には間に合いませんで、やはり落伍国になつてしまうのではないかと思うのでありますので、どうか行政の簡素化と共に慎重なる検討は結構でありますけれども、時期を失しないように時宜に適したところの力強い貿易政策を実行して、確立して頂きたいということを最後に附言いたしまして御説明に代えたいと存じます。  要するところ今回の改正については始終私たちの希望は申述べておりますが、今の時期としては、この改正は誠に最小限度の止むを得ない必要な点のみを盛つてございますので、一刻も早く御審議の上御通過のほどお願いいたしたいということを申上げておきます。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。それでは参考人かたがたに対しまする御質疑をお願いいたします。
  11. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 参考人かたがたからは大体原案が満足だというような御意見でありまして、運用よろしきを得るならば、これで大体対外貿易上差支えはないというような御意見であります。その点において念を押すというと甚だ何でありますが、伺つておきたいのでありますが、これで日本現状から見まして対外貿易上の欠陥は一応押え得るというふうにお考えになつておるか、特にこの点について四氏のかたからそれぞれのお立場から御意見を伺つておきたいと思うのであります。
  12. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) 先ほども申上げたようにこれで十分だという考えはまだ持つおりません。いろいろ解釈上で非常に疑義が起りますということについて、もつと活機に我々にやらして頂きたいと思つております。併し時間を争うのでありまして、今国会でこれが通りませんと、更に悪いことが起りますから、是非これだけは通して頂きたい、最小限度のお願いでございます。
  13. 齋藤晴弘

    参考人齋藤晴弘君) 先ほど申し上げました以外のことは大体同感です。
  14. 桑田義良

    参考人桑田義良君) 大体私ども念願いたしておりまするバーター的な貿易が非常にこれから多くなつて参りますが、今度のパキスタンとの通商協定を見ましても非常に従来大市場であつたところが向う輸入態度が変りまして、非常に少量な協定ができました。これに対して従来ともパキスタンを目がけて商社が蝟集している。或いは紡績も従来パキスタン向けの製品、これは見込生産も相当ございますが、これらも相当やつておりましたのでございますが、併し今度の貿易協定のような場合に際会いたしますれば、ここで僅かな品物輸入国に対してあらゆるメーカーなり商社が殺到いたしますということはもうその当初から我々予想されたのであります。幸いに綿布のほうはまだ向うのライセンスが下りませんので音はありませんが、若し向うがライセンスをいよいよ発給したとなると、ここに我々は従来杞憂しておつたようなことが起る懸念が多分にあるのでございますね。こういう場合に、我我は何とかここで業者一体となつて共同的に日本の限られた数量のものを有効に売りたい。これについては何らかの一つのアクシヨンをとらなければいけないということは痛感しておるのでございますが、今のところ現行の輸出法でできんことはないのであろうと思いますけれども、まあ改正されましたらこういう点も大つぴらに私ども研究でき、或いは必要に応じて実行できると、こういうふうな点で私どもは非常に歓迎しておるのでありまして、いろいろ法文に盛られておるところを見ますと、我々が現在大ざつばに見て、いろいろの日本の対外貿易の障害を或る程度除去する、必要に応じて除去できるという建前ができておるように思いますので、この程度で結構だと思います。
  15. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) 法文におきましてはこれより仕方がないと思うのでございますが、成るべく一つ施行法に対して十分に時機を失しないような施行をして頂きたいということをお願い  いたしたいと思います。
  16. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 四氏のかたがたの御意見を伺いまして、了承いたしたのでありますが、私は特に伺いたいと思いますのは、対外貿易上、今回の輸出取引法案の改正で先ず以て十分だということになりますと、独禁法の緩和が対外貿易の面においてはもはや意味がなくなつているのじやないかという点に大きな疑問を持つわけでありまして、私はこの輸出取引法改正案を調べて見ると、調べれば調べるほど、独禁法よりもなかなか強くできていると、独禁法の緩和案よりも強くできていると思うのでありまして、そういう面におきまして、今回の輸出取引法改正案が通るならば、独禁法緩和案は、対外貿易の面においてはもはやナンセンスと言つてもいいのじやないかというふうな疑問を持つているが故に、只今の御質問をいたしたわけなんでありまして、この点について各業界からお揃いでありますから、御意見を率直に伺つておきたいと思うのであります。
  17. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) 私どもはこういう主張を率直に述べますと、或いは非常な誤解を受ける虞れもあるのじやないかと思うのであります。又いろいろ、社会のことでございますから、いいろのお立場のかたがたがあられるので、いろいろな御覧も出ると思うので、できるだけ差控えておつたのでありますが、お尋ねがありましたので考えを簡単に申述べさして頂きます。  私は実際は独禁法というものは日本にまだ不向きなんじやないかと考えておるのであります。と申しますのは、独禁法自体、日本はまだ産業がそんなに高度に発展していないので、むしろ独禁法を作ることが産業の発展を阻害しているのじやないかと考えるものでございます。殊に終戦戦後の状況、又軍拡のテンポが今日緩みまして、とにかく産業を育て上げなければならないことが痛切に考えられておりまする今日におきましては、むしろ産業人の自由な意思によつて若し仮にいろいろ創意工夫をするならば、その創意工夫に任せておいたほうが却つていいのじやないか、かように考えておるものでございます。殊に先進諸国の状況を見ましても、皆カルテルによつて産業の発展を図つておるのが実情だと私ども承知しております。殊に私考えておりますのは、これは非常に浅はかな考え方かも知れませんが、私どものほうといたしましては、過去の経験からしまして日本ではまだカルテルの弊害というようなものが果してあつたのだろうかどうだろうか、むしろ、カルテルの弊害よりは、お互いが競争をしておる、つまり無用な競争、つまり共食いとか或いはいろいろな殴り合いというような状況のために、却つて産業の発展を阻害した面が多かつたんじやないかと、かように考えておるわけであります。殊に、価格を吊り上げやしないかという点が一番の問題だと思うのでありますが、この点につきまして私どもその半面においては仮に物が足りないときに価格を吊り上げる危険というものを考えて見た場合に、カルテルがあつたほうが却つてそういう吊り上げを牽制できるのじやないかと、かように考えておるわけであります。その状況は例えば物が高くなつた、そのときにそれを安くする方法が一体どこにあるのだろうか。或いは一々我々が物を買います場合に、一人々々安く売つてくれと言つたつてなかなか売つてくれないのであります。その場合に、或るここに団体があつて、それが価格を仮にきめておるといたじますならば、そこへ行つて、なぜこれをこんなに高くするのだということを言うこともできますし、国家としてもこれはこれを管理することができるのじやないか、かように考えておるわけであります。ですから、むしろその吊り上げるという半面を考えると同時に、価格が暴騰した場合の抑制策をどうやつて考えるかということも併せて考えなければならん。そういうことから見まするならば、むしろ団体があつたほうがいいのじやないか、かように考えております。殊に鉄につきまして、これは私どもの浅い経験でありますが、昭和十二年に鉄鋼連合会というものを作つたのでありますが、そのときに、満州事変を背景としまして鉄が暴騰いたしまして、我々が幾ら安くしたつて、アウト・サイダーがたくさんできまして、そのアウト・サイダーというものがたくさんできて、これは儲ければいいので市場はどんどん上つて来る。そこ政府からお叱りを受けまして、何とかお前たち措置せよということだつたのであります。それに対しまして、私ども数人大きなメーカーが寄りまして、何とかこれを救わないというとあとで非常な非難を基礎産業として受けやしないかということで、価格抑制カルテルを作つたのが日本鉄鋼連合会の発端でございます。それがあとになつて、鉄鋼統制会に発展したのでありますが、そういうような意味合いから見まして私どもとしては価格を吊り上げるというよりは、そうではなくて、価格を安定させる方法をどうしてもこれは講じなくてはならない。これは産業によつて違うと思うのでありますが、私ども基礎産業として自覚しております鉄鋼、石炭そういうものにつきましてはほかの産業と或いは違うかも知れませんが、価格を安定させて関連産業に常に同じ価格でできるだけ、勿論安いことは当然でありますが、供給して差上げるということが我々の使命ではないか、そういうことによつて関連産業が却つて発展して行くのじやないか、かように考える意味合いから私ども独禁法というものはまだ日本に少くとも向かないのではないかというような考え方をしておるのであります。現に仮にこれを許したと仮に仮定した場合に、どれだけの組合ができるか、カルテルができるかということを想像して見る場合に、御存じのように今では造船でも輸出組合法ができてカルテルを作つていいのでありますが、作つておらないと思います。それから機械のほうも皆作つておるのでありますが、価格は決して協定はなさつておらないと思う。つまりそういうことができないのが日本実情でございまして、許しただけで、仮にカルテルを作るような産業であれば、やはり基礎産業、むしろ自覚をした産業ができ上るのではないか、かように我田引水かも知れませんが、考えております。そういう意味合いにおきますれば輸出についてはなお更のことでございまして、全部放つて自由にさせて見たらもつともつといいものだけができ上るのではないか、かように考えておるわけであります。併しこれはただ望むだけでございますので、ただ意見を言えとおつしやいましたので述べさせて頂きました。
  18. 齋藤晴弘

    参考人齋藤晴弘君) 私どものほうでも対外貿易の面においては、私ども雑貨面においては、現在必要はないと思います。  それから先ほど特許庁のことを申上げたのですが、特許庁においては一生懸命やつておられますが、私の申上げたいことは特許庁に対して予算の拡張をして頂きたい。かように申上げる意味でございますから、特許庁のほうを悪く申しておるのではありませんから……。
  19. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御意見ありませんか。
  20. 桑田義良

    参考人桑田義良君) 現在考えられております中小企業安定法によりますいろいろな不況対策カルテルと申しますか、こういうふうなものと、現在基礎産業でありまする事業の独禁法によります不況カルテルの緩和というラインを考えて見ますと、非常に厚薄があるようでございまして、むしろカルテルを以て物の需給を安定せしめるということは私どもは基礎産業においてそのものの需給の本もとにおいて調整するのが本当じやないかと思われるのでありまして、末端をいろいろやつて見ましてもこれは大もとのほうで需給のアンバランスのようなことをやつておつたんでは私は効果は挙がらないと思います。こういう意味で少くとも合理化カルテルについては大企業に中小企業とも或る程度歩調を揃えた緩和の方向へ持つてつてもらいたいと思います。非常に逕庭があるように思います。
  21. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) 大体皆さんからお話のございました独禁法につきましては、少し日本現状はやはりアメリカに押されて行き過ぎであつたということは、これは事実なのであります。やはり日本現状日本現状に合うようにやはり合せて直して頂く必要があると思うのです。まあ西欧のようなカルテルも無論是非日本としては必要なのでありまして、少くとも希望しまするところはやはりカルテルそれ自身が動いておつて、それでそれを公取があとから調べてそれに違反する場合にはこれを制御するということくらいの程度にして頂きたいと思います。一々公取に許可を得てやるようなカルテルは非常に実は迷惑だろうと思います。そういう点におきまするカルテルの緩和方法を、独禁法の緩和方法を考えて頂きたい。かといつて不況カルテルも極端なことをやつて参りますと、これは日本の物価はいつまでたつても下りつこないのですから、この不況カルテルを余り濫発されては困るのです。この点も一つ、これも程度問題でございますが、これもやはり貿易組合と同じわけでして、極端に行きますれば統制になりまするし、かといつてこのまま放つて置くわけにも行きませんし、ですから程度問題であります点を一つお含み頂きまして全幅的に全部不況カルテル承認ということには私どもとしては不賛成でございます。
  22. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私の質問がはつきりしなかつたかも知れないのでありますが、私の質問の本旨は、輸出取引法というものが今回の改正によつて輸出入カルテル法というようなものになつて来ると思うのですね。そういう面において独禁法を一面緩和しつつあるが、対外貿易関係においては輸出入カルテル法というようなものにこれがなるとするならばもはや対外的な関係においては、対外貿易関係においては独禁法の緩和というものの必要性がなくなるんじやないか。そういう点について御見解はどうであるかということを伺つておるのです。国内関係はこれは又別でございます。
  23. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) これは輸出のほうにつきましては、これは世界日本と同じような程度において、独禁法の程度において実行されるならば、これは今のままでも結構なんですけれども、よそがでたらめなことをやりまして、独禁法をやつておるのは日本だけだということになると、殆んど日本だけだといたしますとやはりこれに対抗する方法をとつて行かなければできないわけです。貿易に関する限りは殆んど独禁法に対しては除外例を以てこの輸出カルテル法を、貿易カルテル法をやつて頂くということを一つつて頂くのが本筋じやないかと存じます。その点を一つ条件におきまして独禁法と離れてこれを無論やつて頂かなければならんと思うのであります。
  24. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 まだはつきりしないのですけれども輸出取引法改正が原案通り行くならば対外貿易においては先ず以て満足できるということになりますと、独禁法の緩和は対外貿易関係においては必要なのか、必要でないのか、その点を業界はどういうふうに考えておるかという点を伺いたいのでありまして、この点についても稻山さんからも一つ伺いたいと思います。
  25. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) 只今の御質問でよくわかりましたのでありますが、確かに輸出組合法がこれでよろしい、これで通して頂きたいということになりますれば、輸出入関係につきましては独禁法の緩和とかいう問題でなくなつてしまうんじやないか、こういう御疑問でございますが、確かにそうだと思いますが、ただ問題は非常にきわどいところがあるわけであります。輸出組合法実行いたします場合に、輸出だけということはこれはなかなか困難なのであります。例えばこういうことだと思うのであります。仮に今ここで以て鉄が五百万トン造つておりますが、それを百五十万トン仮に輸出して、それで三百五十万トンはどうしても国内で使うんだ、そこで我々は百五十万トンをどうしても如何なる方法を講じても輸出したい、かように考えておるわけでありますが、不幸にして仮に輸出はどんどん値が安くなる、片方で国内価格が高くなる、相場がよくなるという事情が仮に起きた場合には誰も輸出するのはいやなのでありますから、これを百五十万トン是が非でも輸出して下さいということを皆に仮に実行させようと努力する立場に立つたといたします、その場合に百五十万トンをどういう各社の分け方で輸出をするか、こういうことに関連して参ります。そうするというと、例えば八幡製鉄は幾ら輸出せよ、大きいんだから幾ら輸出せよ、片方は何トン輸出せよと、各社をずつと別々にやつて行かなければ強制力はないわけでございます。そのときにそれではその全体の生産を幾らにして、輸出をあなたは何トンあなたは何トンということでやらないというとはつきりして来ないわけであります。義務がはつきりして来ない。その場合にそれでは国内は何トン造るということを仮に相談することが独禁法でいけないということになると、その面で相談していることは輸出組合法では適法でございますが、国内の問題に触れた範囲においては独禁法の干渉を受けるのではないかと思いますが、そういう意味におきまして輸出を本当に励行し、本当に促進して行く意味において独禁法の改正もそれに合うようにして頂ければ少くとも活発に動き得るという点は多々あると思うのであります。
  26. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 国内的な関係におきましては、私も必要は関連的に当然出て来ると思うのでありますが、輸出面において輸出の問題だけつかまえて見た場合には、輸出取引法が少くとも強化されるようになるならば独禁法の緩和というものは意味がなくなるのではないか、その点を確かめたいと思うのです。その点について御意見を伺います。
  27. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) その点については確かにそうだろうと思つております。
  28. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 齋藤さん、桑田さん、それから野崎さん御意見は如何ですか。
  29. 桑田義良

    参考人桑田義良君) 私は今御質問中、御主張になつた点を取違えておるかも知れませんが、只今おつしやつたように鉄にいたしましても、我々の綿製品にいたしましても内外需共通のものが非常に多い。この場合にまあ最近起つておるように輸出品と内地品の価格の二重価格というようなものが知らず知らずできておるが、これが大もとにおいて一つの需給調整がよくできておらない。内地、輸出ともまあ例えば供給がオーバーしたような場合に勢い幾ら輸出組合におきまして対外売相場をチエツクいたしましても、内地が惨落いたしました場合には、やはり海外の指値の特に三品とか、日本の内地におきまする輸出品或いは内需品の相場というものを非常に感受しているのであります。ですからやはりここに内外需の非常に大きな二重価格ということは私どもは非常にまずいことだと思つております。こういう意味合いにおきまして、輸出需要及び内地需要を一括して睨み合せまして、適当な行動のとれるような、いわゆる大きなカルテルというものが必要であると思うので、単に出口の部門だけを抑えてもそれは私は的確な効果は現わさんのじやないかと思つております。
  30. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうしますと、そういう考え方で行けば独禁法の緩和によつて輸出及び内需関係一つにしてカルテルを作つて行つたほうがよくて、輸出の面については今回輸出入取引法が強化されてもこの法案による輸出カルテルというものは作らんほうがいい、こういう意味ですか。
  31. 桑田義良

    参考人桑田義良君) そういう意味じやございません。そういう意味じやございませんが、商品の根本の需給を図らないと、いろいろ申合せができましてもそこに違反者が起りやすい。例えば内地と外地が非常に相場が違う、我々としましては、できるだけこれだけの数量は輸出しなければ日本の経済上いかん、こう言いましても内外需非常に大きな相場の違いがありました場合に、背に腹はかえられない。内地に売る。海外に売らなくても内地に売つたほうが利益があるのじやないか。こういうようなことが起り勝ちなんでございますね。そういう面において、綿糸紡績輸出リンク制を布いてこれを防止しているのであります。これも程度問題でございますが、やはり綿花輸出したものに優先的に補給するようになつておりますが、而も国内におきましては、やはり綿花の自由市場というものがございます。それが国際相場より非常に高いものでも内地相場がどんどん下ればこれを買つて来て内地に流す、こういうふうなことがよくあるのでございますからして、やはり輸出を健全にするがためには輸出、内需ども全般的に需給の均衡がとれなければ私はいけない。門を縛つただけで、内に溢れるものを門を縛つたのでは効果は現われない、私はそう思つております。
  32. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 その点において、先ほどから私は国内関係は別に考えるということで、輸出の面において輸出カルテルというものを輸出入取引法のほうによつてやるということになるならば、その面においては独禁法によるカルテルというものを作らなくてもいいことになるんじやないか、その点をお尋ねしているんです。
  33. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) 独禁法によるカルテルを作るというのは、どういう意味ですか。
  34. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今回の輸出取引法改正せられて、協定はできるし、それから更にメーカーとの協定もできる、団体協約もできる、これはやはりカルテルなんですね。独禁法の期待しているカルテルよりももつと強いカルテルとも言える。アウト・サイダーまで場合によつたら省令で抑えることができるんですから、そういう面においては対外的に輸出の面において輸出入取引法によつて期待するほうが私は大きいと思うんです。そういう面において輸出カルテルというものを作る場合に独禁法によるか、輸出入取引法のその法律によるか、いずれを期待せられているのかということを伺つているわけであります。
  35. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) その点につきまして、まあこの輸出取引法は現在のどうしても止むを得ない、世界の経済が日本状態と全然違つているところにあるのでございますから、この点を含んで、独禁法に離れまして、除外例のものといたしましてこれを作りたいのでございますから、これに基いて輸出の面に対処して行く、貿易の面に対処して頂くということにおいて、この組合法をお認め下すつたならば独禁法に離れないでやつて頂くということになると思いますので、それで結構だと思うのでございますがね。
  36. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 わかりました。桑田さんの御意見をはつきりさして頂きたい。
  37. 桑田義良

    参考人桑田義良君) どうも私の観念がはつきりしませんですが、片方に輸出カルテルだけで行つて、我々はメーカーの立場からものを考えやすいのでございますが、片方に何らかの根本的な輸出、内需を含めた大もとの需給バランスのとれるような方法が開けておらないと、幾らカルテルが作れる、或いはカルテルを作つて見たところで、これを侵犯されやすい、実情に即さない、それの実効を期し得ないということが想像されるのでございます。どうも御質問の意味がよくわからんのでございますが……。
  38. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは輸出入取引法というものが成立した場合に、それに基く輸出カルテルというものを繊維関係でも作られている、それが又国内関係においては国内カルテル、独禁法が緩和されればそれに基いて作られる双方の連繋を密にやるということが一つ考えられるわけですね。そういう場合には、こういう輸出の面においては独禁法のカルテルというものを期待する必要がないんじやないか。輸出入取引法によるカルテルさえあれば輸出の面はいいんじやないか。若しそれがいかんということになりますと、これは輸出と内需と一緒に見た一つのカルテルでなければならんというふうに言われるならば、繊維界、紡績関係においては、輸出入取引法による輸出カルテルというものはそれは必要がないというふうにお考えになるか、そのいずれだろうかということをお尋ねしたいんです。
  39. 桑田義良

    参考人桑田義良君) これは只今おつしやいましたように、内外需ともそれぞれ連繋を保つたカルテルが欲しいのでございますが、現在といたしましては、とにかくできるものからやつてもらう。特にまあ我々としては独禁法の一つの緩和の、特に我々の要求に基いた特別法ができているのでありますからして、これによつて、とにかく輸出部門におきましてですね、取りあえずこれからでも日本経済に若干でも寄与するものができれば結構だ。後できれば国内物につきましても一つ輸出との関連におきましてそういうものができればいいのでございますけれども、それが遅れれば取りあえずこういうものでも早く作つて頂くことが望ましい、こういうふうに考えております。根本におきましては、やはり両方とも全体の商品の需給関係というものを考慮しなければいかん、そういうふうな考えでございます。
  40. 白川一雄

    ○白川一雄君 稻山理事長にお尋ねしたいんですが、最近インドのほうが鉄を非常に生産を始めたそうですが、丁度日本の綿布が非常に輸出の大事な相手国であつたのに、現在は競争国に変つているというような現象が間もなく起つて来るのじやないだろうか。そういう意味から将来目印製鉄というのができるということもかねがね聞いておりますが、これがどういう事情になつているのか、インドの製鉄が盛んになるということが日本の製鉄にどういう、ふうに影響を与えるのか、まあこれに対して日本の製鉄業界といたしましてはどういうようなコースで進むべきであろうかというようなことについて御意見を承わらして頂きたいと思います。
  41. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) これは非常にいろいろなデリケートな問題がございまして、恐らく我々が余りしやべつて叱られるのじやないかと思うのでありますが……。
  42. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を何ならつけなければ……。
  43. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) いや、叱られても構いませんが、率直に私個人のお話を申上げますと、やはりインドも強敵になつて来ているわけでございまして、現に日本からインドは今まで鋼材を買つておつたのが、殆んど買わなくなりまして、最近では極く厚板とか、薄板とかというようなものの一部分しか殆んど買つておりませんです。これがだんだん将来あれいたしますと、輸出市場へ出て来て、今では国内に足りないようでございますが、将来輸出市場に出て来るのじやないかと、かように考えるわけであります。ただ併し若し仮に目印会社というものを仮に作つた場合に、作らなくてもやはりどつかの国と組んで熔鉱炉が仮にできるものとするならば、何も日本が組んだから競争がインドが強くなつたということには結果においてはならないのじやないかと思うのでございます。ただそれによつて日本が利益を何も得ないのに金を出す必要がないんじやないかということは、これは言えると思うんです。そういう意味におきましても、私どもとしてはインドに金を出すだけの余裕が日本にはないのじやないかということを考えているのでありますが、それには副産物がございまして、インドの安い鉄鉱石をそのために持つて来てくれるということが仮にありますれば、インドの鉱石は非常に品質がいいわけであります。これは欲しいわけであります。ただ問題は、何といつても遠隔の土地でございますので、インドがよほど安く売つてくれなければ船賃を加えますというと、品物はようございますけれども、結局は高くつくということになつて、今は暫定的でありますので、インドからも大分随分多く百万トン近くまで買いたいということでやつておりますのであります。併しこれも貿易が平常になりまして朝鮮とか、或いは支那とかいうところから来ることになりますれば、それと比較すれば、やはり結局高いものについてしまうのじやないか。そうすると、ここ二、三年インドの鉱石はいいんですが、三年たつたらば駄目になるかも知れませんわけでございます。そういうものを仮に金を使つて取るほうが得か、或いは向うの商業ベースで日本がインドの高い鉱石でも買い得る状況の間買つておくのが得か、そこらはそろばん関係になると思います。そういうことを中心にしてインドが幾らで売つてくれるのかということを今盛んに交渉しております。思いがけなく安く売つてくれるということであればいいわけでありますが、今のところ国際価格で売りたいということを言つているようでございます。そういうことでございますれば大した利益にはならないんじやないか。つまりそうでなくても百万トンくらいのものは今現に買えているのでありますから、何も金を出してそれ以上確保する必要はないことになるわけであります。そこらの採算について今向うと非公式ながら折衝は続けているようでございます。
  44. 白川一雄

    ○白川一雄君 私どもの聞いている範囲におきまして、目印製鉄というのは、あれができることによつて銑鉄が安く入り、又鉄鉱石を有利に入れる前提の下に作られるように承わつているのでありますが、今おつしやつたように、全然国際価格のベースで来るのだということになると、そういう大きな金を投資する必要はないんじやないかという結論も出て来るのでありますが、若しインドの鉄と日本の鉄とが原価において非常に違うとするならば、日本の労働者の首切りをして失業させないような程度において、日本の産業を破壊しないような程度において、向うの銑鉄が安く入るならば入れて、一日本の高い鉄とプールして市場に出せば、現在より或る程度鉄鋼が安くなることができるんじやないかということも考え得られると思うんです。あの目印製鉄の性格というものについては我々非常に注意深く見ているのでございまして、全然国際価格で来るとすると、そういう必要がないのでございますが、あれをやることについて何年間か人間を向うへやるということもできると思いますが、全然鉄鉱石とか或いは銑鉄というものが、参加することによつて安く来るという気配の点は現在生じていないわけですか。
  45. 稻山嘉寛

    参考人稻山嘉寛君) 生じておりません。
  46. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 桑田さんにお伺いしたいと思いますが、豊田さんの先ほどの御質問でお答えのあつた点ですが、先ほど御説明、御希望なり伺つておりますと、例えば綿花輸入にすれば、綿花輸入商は紡績業者技術的の代行機関のような実態を備えている。従つて輸出入取引法の輸入組合の一員として、生産業者としての紡績も入つたほうがいい、そのほうがより効果的であるというふうに御意見を伺つたのでありますが、その点を駄目を押しておきたいのが一つと、それからもう一つ輸出組合においてもなお紡績業者が入るほうが貿易上に便利であるかどうかという点を率直に伺つて見たいと思います。この二点を確かめておきたいのです。
  47. 桑田義良

    参考人桑田義良君) それは先ほど大体申述べておきましたように、我々は輸出組合或いは輸入組合に入らない場合を仮定いたしまして、これが一つの協定を作るといつた場合に我々と個別折衝があるわけなんですが、そういつた場合に一番どういいますか、利害関係の深いものを度外視して、ここに一つ決定をなされる船輸出輸入にしましても目的としましては大体変りはないと思いますから、非常に線の外れた大目標は出ないとは思いますけれども、これも技術的に見ますといろいろそこに意見の対立が必ず私は生ずるだろうと思います。こういう場合に輸出組合が一旦決議いたしましてそうして政府の許可を得て、いわゆる国内取引として我々に望んで参りました場合に、例えば需要者のほうで非常に異論がある、極端に言いましたならばそつぽを向いた場合にどうするか、こういつた場合にはむしろ輸出組合の中に我々が飛込んで行つて、その輸出組合一つの申合せ、決定をなす場合に、それに初めから参画しておくということが成立したものが実際に即する、それから実行しやすい。こういうふうな点を私は考えているのでございますが、これは輸出の部面におきましても大体、現在をしましてはやはり商社海外からのオツフアーを我々のところへ持つて来るのでありますが、その価格たるや非常に業者の、紡績業者の犠牲を要する点が多々ある。そういつた場合に我々は余りに犠牲が多いときにはそれは必ず逃げる、どうにかこうにか我々がそろばんを弾いて、これくらいな犠牲であればやろうという場合にはそれに応ずるといつたような、個々の商取引になつているわけでありますが、この場合にも一つの地域、或いは一つ貿易協定を遂行する上においてかくなければならんということが、やはりこの商社紡績と懇談的によく話して、それならこうしようということを両者の間で取りきめれば私は実行しやすい。大体商社としましては、相場が高かろうが安かろうが、そこに一つマージンがあればいいのであります。メーカーのほうはそうは行きません。メーカーのほうは痛烈に企業の損益に応えて来る。その相場の動きによつてそういう事態が起つて来ますからして、おのずから同じ輸出のラインと申しましてもそこに考え方のニユアンスが私はあると思います。ですからしてこのニユアンスの違いが個々別々に動いておつたんでは後の調整が非常にむずかしい。ですから単刀直入に初めから現在の商取引をやつておりますような方法で我々が、いわゆる閣内にあつて協力したほうが実行が確実性があるという観点から私は申上げているのであります。
  48. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと申上げますが、只今東京雑貨輸出組合齋藤理事が所用ができて御退席になりましたから、その代理として、それと同じく理事の海老原君が御出席になつておりますので念のために申上げておきます。
  49. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の桑田さんのお話を伺つておりますと、結局本法の輸入組合紡績業者組合員として入ることも希望するが、輸出組合員としても生産業者が入るほうが貿易上便利である、かように了解していいのですか。
  50. 桑田義良

    参考人桑田義良君) そうでございます。
  51. 中川以良

    委員長中川以良君) 他にございませんか。  それでは本日は参考人の皆様方には長時間に亘つて熱心なる御意見の御開陳を賜わりまして誠に有難う存じました。私ども法案を審議いたしまする上に誠に尊い御示唆をお与え賜わりましたことをここに厚く御礼申上げます。  なおこれより政府側に対する質疑をいたしますので、お時間がお許しになればどうぞそのまま御傍聴頂きたいと思います。
  52. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) ちよつと一つお願いとして申上げたいのです。部会に対して我々……。私は先ほど申上げたのでありますけれども、全面的に現在の制度をそのままと申上げたのでありますが、部会につきましては何とかもう少しお考え頂いて、理事会の最後の決議くらいで一つ決定頂きませんと、総代制を設けられますと、先ほど申上げました通りどうにもならんのでありますので、その点を一つついでにお願いしておきます。
  53. 中川以良

    委員長中川以良君) 承知いたしました。  それではこれから政府側に対する御質疑をお願いいたします。政府側よりは古池政務次官、松尾通商局次長、公取委員会の坂根経済部長出席をしておられます。質疑の通告でございます。早川経済安定委員長。
  54. 早川愼一

    ○早川愼一君 大体輸出取引法が独禁法の、国際貿易振興のために実際除外的な法文の建前になつております。殊に独禁法では国際経済と余り関係なく、国民経済の民主的な且つ健全な発達を庶幾するということがその目的というふうに我々了解しておるのでありますが、そういたしまして、なお各主務大臣の認可は必ず公取の同意を要するということについての政府の御見解を聞きたいのでございます。例えば二十  一条なんかの条文でございますが、同意はどうしても要るという御見解の点を明らかにして頂きたいと思います。
  55. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) 只今の御質問は、輸出取引法で独禁法の適用除外をしておる。そうして通産大臣の認可に公取の同意を要するのはどうか、という御質疑でありますが、これは我々といたしましては独占禁止法の適用除外をいたします建前、そして問題はこの適用除外をそのまま放つて置きますと、これが今回の独禁法改正において問題になつておりまするように、不況カルテルその他独禁法の公益から見て問題となるカルテルが結成される虞れがあるという点におきまして通産大臣の認可に対しまして同意したい、こういう見地に立つております。
  56. 早川愼一

    ○早川愼一君 そうしますと、先ほど豊田委員からの御発言がありましたが、輸出取引法があれば十分だというような御意見の御質問がありましたが、やはりこれは輸出取引法と独禁法とは今度の改正では相関連しているものと我々は承知してよろしいのですか。
  57. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) 関連はしておりますけれども輸出取引法のほうは輸出振興という目的で、そうしてこの法律の範囲内における事業活動共同行為を認めようというのでありまして、性格は異なつておる、こう解釈しております。
  58. 早川愼一

    ○早川愼一君 性格は異なつておりますけれども、例えば独禁法の改正が、このままで改正しないでいい、現行法通りで、輸出取引法だけ改正されたと想定いたしますと、どういう結果になりますか。
  59. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) その場合は、輸出取引法の場合は、御承知のように輸出商社を中心とする結成でございまして、外国に対する商品の流れをどうきめるかという問題でありまして、我々の独禁法を改正しないという建前では、これは飽くまで国内の事業者活動の共同行為を抑えるという点で相違していると解釈いたします。
  60. 早川愼一

    ○早川愼一君 それではそれにまあ関連があるのですが、生産業者というか、メーカーは必要によつて輸出業者組合に入るとか、或いは協定に入るということはできますが、生産業者だけが輸出取引に関して組合を作るということはなぜいけないのでしようか、その点を一つ……。
  61. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) 生産業者だけが協定を結ぶというのですか。
  62. 早川愼一

    ○早川愼一君 輸出取引法に関連して生産業者だけが協定とか或いは組合を作る……。
  63. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) それは生産業者だけということになりますと、国内共同行為を結成するということの可能性が非常に大きくなるということにおいて問題にしたわけであります。
  64. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 関連質問……、只今お尋ねの趣旨とこれは一致するかと思いますが、メーカーであつて輸出の見地においてメーカー輸出取引法によつてカルテルを結成するということは可能なんでありますか。
  65. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) メーカーだけの協定は認めてはおりません。
  66. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 併しそれが直接輸出をやる業者であつた場合はどうなんですか。いわゆる直輸出をやる業者であつたならばどうするのですか。
  67. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) それは私のほうで輸出業者たる資格において認める、こういうことであります。
  68. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 可能なんですね。
  69. 坂根哲夫

    政府委員(坂根哲夫君) ええ。
  70. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そういうような解釈で行きますと、私は先ほどから質問しておりますように事輸出貿易に関する面においては独禁法によつてカルテルを結成するということはナンセンスだと思う。先ほど桑田さんが随分渋られた末のお答えになつたように拝聴したのですが、メーカーはやはり輸出貿易に関連する場合には輸出組合なり、輸入組合なりに入つてもよろしい、そのほうがよいというふうに八木委員から御質問になつた場合に答えられた。そうなれば輸出に関連しておる場合においても事輸出に関する限り独禁法によるカルテルはもはや必要でない。輸出取引法による強力なるカルテルによつて行く。そうするとアウト・サイダーも抑えられるというので、そのほうがベターだということになるのじやないか、この点政府側の御意見を伺いたい。
  71. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今のお話如何にも御尤ものようにも存じますが、併し大きく輸出振興という眼目に照して考えますならば、勿論輸出業者或いは生産業者にしましても輸出を業とするような企業を持つておられる場合に輸出組合によつて輸出の推進をするということは当然大切なことでありますが、併し現在の日本の状況から申しますと、輸出品を生産しておる業者がやはり輸出振興の目的を以て例えば合理化のためにカルテルを作るというようなことは成るほど一応それは国内の対策ではないかという御意見もありましようけれども、事輸出振興というものと密接不可分の関係にありますが故に輸出組合だけでそれで十分であるということも言い得ないのじやないかと、かように考えます。
  72. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 十分であるか十分でないかはこれは大いに私自身も研究をしておるわけなんです。従つて国内関係は別なんです。対外貿易関係において今回の輸出取引法改正案が実現するならばそれを以つて足るのじやないかと思う。その点を端的に聞いておるわけなんでして、そこを率直に答えて頂ければいいんです。
  73. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今お答え申上げましたように、輸出、或いは輸入という面だけを考えてみますならば、この輸出取引法改正によることで目的は十分達し得られると思います。
  74. 早川愼一

    ○早川愼一君 それではそのことに関連しますが、十九条の七にですね。通商産業大臣が輸出業者の協定、若しくは組合の実効が挙がらないときには、通商産業大臣がそれを命令するというような規定がありましたが、この命令は単に輸出業者だけでいいのか、或いは更に関連の生産業者に対する命令も必要とするように考えられますが、その点はどういう御見解ですか。
  75. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 第十九条の七の場合の、この通産大臣の命令は、輸出業者の遵守すべき事項を定めるということでありまして、輸出業者のこういう価格品質その他の取引条件又は数量についての勧告命令を出すということ、第三項では又同様の内容の事柄につきまして、承認を受けさせることができる、こういう恰好であります。
  76. 早川愼一

    ○早川愼一君 ちよつとおしまいのところがわからないので……。
  77. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ちよつと若干申し力が、不正確だつたかも知れませんけれども、第十九条の七の第二項におきましては、この承認を受けさせることができるということになつておるのです。これもその承認を受けさせる対象は、要するに輸出業者であります。その内容は輸出取引における価格又は数量について承認を受ける、こういう考え方です。
  78. 早川愼一

    ○早川愼一君 その場合に関連産業に対する場合と同様に扱われる必要があるのじやないかということです。
  79. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) これは法律の体系が、御承知のように、輸出入取引の規制を前提にいたしております関係上、従いまして、そのいろいろ命令する内容、それから承認を受けさせる内容も、これ又輸出入取引に関連することだけを一応対象に考えておるわけでございます。従いまして生産者にどういう勧告をするかということになりますと、具体的な拘束をすべき対象がなかなかむずかしいのであります。勿論密接に関連をする場合は勿論あるわけでありますが、直接この勧告命令、或いは承認を受けさせるというようなことになりますと、現実にその拘束を受ける直接の業者としては、やはり輸出業者に相成らざるを得ないのじやないか。その反射的な効果として、勿論その生産業者のほうに影響なり、効果の多いことは、これはまあ当然なんです。
  80. 早川愼一

    ○早川愼一君 その場合に輸出業者に対して命令なり、或いは認可なりがあつたとしました場合に、関連産業のほうでは、別個にそれを命令と判じて、それには服しないということは、どういうふうにお考えになるのですか、そういう場合のことは……。
  81. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今御指摘のような場合は起らんではないかというふうに考えます。といいますのは、生産業者が独自でこの輸出価格、或いは輸出数量等の、この輸出取引上の協定をしたり、或いは団体を結成することは、独禁法では認められていないわけでございます。今後の改正におきましても認められないわけでございます。従いましてそういうことを仮にやるということになれば、これは違法のことでありまして、これは公取のほうからも御意見があるかも知れませんが、そういうことは、我々は起り得ないというふうに考えるものであります。
  82. 早川愼一

    ○早川愼一君 この五条の認可の問題ですが、貿易に関する協定において、国内取引に関する事項については主務大臣の認可を得る、こういうことになつていますが、これを仮に……、これはどういう必要があるか。逆に考えますと、こういう制度があるために却つて国際的には公認をしたというようなことになつて不利ではないかというような考え方がありますが、それらに関する政府意見を伺いたい。
  83. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現在では三原則ということでしておりますし、それから今度の場合におきましては四原則に相成るわけでありますが、この場合四原則に該当する場合、業者が協定をいたしました場合、通産大臣の認可を受けることになつております。これは今御指摘のように海外に対する影響は、我々はこのほうが……、要するに日本としては慎重を期しておるのだということになりまして、ただ業者がこの事項に該当する場合に協定ができるということよりも、実際四つのこの場合該当するかどうかということの実際問題といたしましては、解釈上いろいろ疑義を生ずる場合もあるわけでありまして、まあ国際慣行から行きますと、できるだけこういうカルテル的なことを好まないというのが一般の感情でございますので、できるだけそういう慎重を期する意味におきまして、国務大臣がその事項をいろいろ認定をする、認可を受けるというほうが、却つて海外に対する配慮からいいますと、慎重を期したという意味におきまして、適切ではなかろうかという判断で、こういう意味になるということにしてあるわけでございます。
  84. 早川愼一

    ○早川愼一君 これは認可制に関する両方の見解があるのですから、止むを得ないと思います。総じてこの届出取扱について、そしてそれから弊害を除表する、或いはそれを取消すというようなやり方と、あらかじめ認可をしてやるというのは、これは両方おのおの見解が違うのですから、併しとにかくこの認可が非常に遅れたり何かしますと、実際問題としては非常に緊急の問題に応ずるようなことができないというような虞れがあるから、届出制にして、そして、その弊害を除去するという考え方と、二つここに両立するわけですから、これ以上は申しません。
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつとお諮りいたしますが、もう時間も大分過ぎておりますので、暫時休憩をいたしまして、午後は一時半から再開することで如何でございましようか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは午後一時半まで休憩をいたします。    午後零時二十九分休憩    ―――――・―――――    午後二時十一分開会
  87. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは休憩前に引続いてこれより再開いたします。  午前中の質疑の続行をいたします。
  88. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 政府かたにお尋ねをいたしたいと思いますが、今回の輸出取引法改正について、先ほど公述人のいろいろの御意見を伺つたわけでありますが、綿業界の倉敷紡績桑田氏のお話によりますと、現在綿花商等は、むしろ技術的の代行機関のようになつておるのであるから、その本体である、メーカーである紡績業者組合員の中に入れて置いたほうが貿易取引の上においてすべて効果的である。こういう御意見開陳があつたわけでありますが、これを入れて何か非常な差支えがあるかどうかという点についての政府御当局の御見解を承わりたいと思います。
  89. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この本法律におきまして、輸入業者、それから輸出業者もそうでありますが、それぞれこの輸出輸入の意思と能力のある者を適業者と考えるというふうにかなり広い解釈をとつております。十三国会で輸出取引法を御審議願いましたときにも、輸出業者解釈としまして、輸出の意思と能力ある者が輸出業者だというふうに申上げたのでありますが、今回の改正案におきまして、輸入業者の協定、或いは輸入組合の設立が認められることになるわけでありますが、その場合の輸入業者は、この輸出業者解釈の場合と同様に、輸入の意思と能力あるものを輸入業者とみなすという解釈をいたしております。従いまして、今御指摘のありました紡績業者等は、今の輸入外貨の割当にいたしましても、紡績業者に割当をいたしておるような関係もありまして、お話のありまするように、輸入業者はいわば紡績業者の代行業者のような恰好で輸出の実務もやつておるというのが実態でもありますので、さような場合におきましては、勿論紡績業者輸入業者としての資格において、協定なり、組合なりが結成し得るというふうに解釈をいたしております。
  90. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今お話を伺いますと、解釈として、輸入の意思と能力のある者は輸入業者の中に包含するというような御見解を承わつたのでありますが、法文の解釈とせずして、法文の中にその問題を明確に書き入れるというほうが疑義がなくていいように考えられるのですが、この点に関する御見解を重ねて承わりたい。
  91. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) これは輸出業者の定義の場合におきましても、同様のお尋ねが前にもあつたのでありますが、実は、この取引法の体系としまして、輸出取引を目的にこういう特別立法をいたそうといたしております関係上、正直なところ、書き方といたしまして、どういう書き方をいたせば、その辺のところはうまく表現されるか、実は非常に苦しんだ点でありまして、法の体系といたしますれば、やはり輸出業者輸入業者というふうな書き方にして置いて、解釈で以て、今申しましたような、そういう意思と能力のある者はそれぞれ輸出入業者と見るという解釈をいたしたほうが適当でぱなかろうかと、法体系の一環といたしまして、この協定をし得る内容、或いは組合がいろいろ統制をする仕事の内容も、いずれも輸出入取引に関しておるわけであります。従いまして、この輸出入という字句をはずしまして表現をするということになりますと、これは又非常に広汎な書き方になる嫌いもありまするので、この法理の体系から申しまして、やはり、この輸入の場合におきましても、輸入業者というほうが適当ではないかというふうに、みんな各省でもいろいろ議論をいたしたときにそういう結論になつたわけであります。
  92. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法体系のことはよく私存じませんが、例えば十二条の組合員資格のところに、輸出業者輸出組合、その他輸出の意思と能力ある者というような一項を加えればその問題は簡単に済むように一応私たちは考えるのでありますが、法制局等の御意見を若しこの場合聞くことができたら承わつて見たいと思います。
  93. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先ほど申しました通りなんでありまするが、どうもやはり輸出入取引法としては、輸入業者とか、或いは輸出業者というふうな書き方をしたほうが望ましいと、結局法制局等との審議においてもそうなつたわけであります。従いまして、解釈上我々は比較的広い考え方を持ちたいということで、今申しました意思と能力ということで、生産業者もそういう意思と能力のある限りは輸出入業者として参加願うという解釈をいたしたのであります。この法文の書き方として、そういうふうにはつきり意思と能力ある者というふうな書き方にするほうが望ましいか否か、我々も研究をしたいと思いますが、実は審議の過程におきましては、そういうこともいろいろ議論をした結果、このほうが法体系としては望ましいのではないかという結論から、こういうふうな表現になつたわけであります。
  94. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 なお当方でも研究をいたしますが、政府御当局におかれましても、その意味は、運営上において疑義を生じないように、どういう方法をとれば一番いいかということの御研究をお願いしておきまして、私の質問を打切ります。
  95. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
  96. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この輸出取引法、今度は大分強化されたのでありますが、然らばこの輸出振興のために直接国家がどういう助成をするかというような色彩のものはないように思うのでありますが、西ドイツでいろいろやつおります、例えば輸出積立金制度、ああいうようなものについて、政府のほうではどういう考えを持つておられますか。更に又将来貿易法というような行き方に改めて、さような輸出振興の積極的な要素を法律の中に織込もうという御意思があるかないか、その点伺いたいと思います。
  97. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この輸出振興のためにする税制上の改正でございますが、現在国会に提案されておりますのは、輸出キャンセル準備金を新設するということと、それから海外支店を設置した場合に、この在外支店の資産の特別償却を認めるという、この二点が現在提案をされておるわけであります。それから、目下衆議院におきまする予算の修正の中には、輸出業者又は輸出品の生産業者の、それぞれ輸出取扱額の一%又は三%と、それぞれの業者輸出所得の五〇%、このいずれか低いほうにつきまして免税措置がとられるということになつたわけでありまして、いずれその改正法案も提出せられると思うのでありますが、更に、今御指摘のありました輸出振興積立金のごとき制度、西独で現在実施しております制度につきましても、我々事務当局としましては、できれば次の国会あたりにおいて、何とかでき上るように研究をしたいと思つております。ドイツにおきましては、この積立金と免税措置とは裏腹になつて実施されておりますような関係で、ございまして、今回は免税措置のほうだけが実施されるようであります。次回には、我我といたしましては、積立金制度も実施されるように御配慮願いたいと、できるだけ我々も大蔵省当局に折衝いたそうと思つております。
  98. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは細かい問題ですが、出資の口数制限ということは、今回の改正法律案にはないのでしようか。
  99. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 十九条で、中小企業等協同組合法の準用の規定によりまして、持株の制限は全口数の最高十分の一というふうに制限をされております。
  100. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 表決権の制限も当然あるのでしよう。
  101. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 表決権は口数によりまして制限を付けておりませんので、平等ということになつております。
  102. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、口数の多少にかかわらず表決権の多少が生ずるというのじやなくて、如何に多く持つてつても表決権というものは平等なんですか。
  103. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) その通りでございます。
  104. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、表決権は大きな制限を受けておることになるのですね。
  105. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) まあできるだけこの組合を民主的な組合にするというような必要から、そういう組合員は平等の表決権を持つというふうにされておるわけであります。
  106. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私はそれでいいと思うのですが、次には輸入組合のほうには出資制度というものはないのですか。
  107. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 輸入組合の場合も出資ができることになつております。
  108. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 準用条文があるのですか。
  109. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 第十九条の六で輸出組合の規定が輸入組合に準用するごとになつております。
  110. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。  それではお諮りいたします。本法案に対する本日の質疑は一応この程度に打切りまして、次回にいたしますることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさよう決定をいたします。   ―――――――――――――
  112. 中川以良

    委員長中川以良君) 引続き特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について質疑を行います。  その前に私から一応御報告を申上げますが、本日当院の農林委員会より通産委員会委員長宛申入がございましたが、それは、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の修正に関する件でございます。書面を以て来ておりまするが、その主なる点を申上げまするならば、現行のこの臨時措置法については、指定業種の中には農林企業が含まれていないから通商産業大臣の所管としても差支えはないが、本改正法律案においては、指定業種に農林企業即ち清涼飲料水製造・業が指定されており、更にそのほかの農林企業といたしまして、現在問題となつておりますが、玉糸製造業、油脂製造業、合板製造業、農水畜産罐詰並びに瓶詰製造業等をも政令で指定業者に指定し得る規定になつているので、これを現在のまま放置して、その所管を通商産業大臣とすることは妥当でないということでございます。そこで、農林企業については、農林大臣の所管とするのが至当であるという申入であります。更に本法の所管に関しましては、通商産業大臣を主務大臣として改めてもらいたい、指定農林企業にあつては、主務大臣を農林大臣とすることについては、第十三国会において参議院通商産業委員会における法案審議の際提案者及び政府委員の答弁によつてもこの点は確約をされておるところである。これは当時こういう応答があつて、速記録にも実は載つておるものがあるのであります。この際右の答弁の趣旨に副うて法律を改正をすべきところ、今回の改正法律案においては、この点に改正が及んでいないのは参議院の審議を無視したものだというのであつて、国会の権威を保持するため、看過することのできない問題である。よつて従来の経緯に鑑みて、本修正案の通り修正をしてもらいたいというような趣旨の申入でございます。で本申入につきまして農林委員であるところの河野委員及び宮本委員より、委員外の発言を本日求められております。この委員外の発言を許すことに差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それでは河野君の発言を求めることにいたします。なおこの点は厚生委員のほうからも厚生省の所管であるところの脱脂綿、ガーゼ等がございまするので、これらに関しても同様の申入が口頭を以て私のところに来ております。なお、じやこの点につきまして河野君が参りますまでに、提案者であるところの小笠衆議院議員より一つ今回改正案を出された経緯につきまして、この点とどういう関連があるかの一つ御説明を願いたいと思います。
  114. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 簡単に私の所見を申上げたいと思います。御承知通りに中小企業の対策というものを考えまするときには、これを総合的に、全体的な視野の下にこれをつかまえて参らなければならんと思うのであります。従いまして総合的な立場から考えまするとき、その行政を主管する国務大臣というものは一人のほうが適当であると私は考えるのであります。  第二の点といたしまして、各省設置法の関係から見まするときに、戦時中の各省分課所掌事務の変更に伴いまして、同じく工業部面、インダストリーにしましても、これを消費の面その他等から考えて、各省に分属されたのであります。而うしてその以前におきましては、商工業というものが当時の商工省に一体に把握され、助成指導行政が行われておつたと私は思うのであります。日本の今日の現状から考えまするとき、行政組織というものは、できるだけ簡素化に、そして機動的な動きがとれることが望ましいということは、恐らく多くの人々の御同意を得るところだと思うのであります。特に今日の各省所管を、産業を縦割にする各省設置法の例外をなしておりまするものは、中小企業庁設置法であると思うのであります。中小企業庁設置法は横から中小企業という大きな概念でこれをつかんで、設置法というものが制定されておるのであります。そういうふうな観点から考え、私の一つの理想というような点から考えまするとき、前国会におきまする参議院の御意見もあることではありまするが、できるだけ主務大臣というものを統一して行く、簡素化して行くということが私は適当であろう、こういうふうな考え方の下に原案を作成いたしたのであります。今日の日本の行政内部におきまする権限、その他に関するいろいろないざこざが、大きな国の政治の推進的な措置を誤まる一つの原因にもなつておるということは、私が申上げるまでもないのであります。又実態的にそれぞれの産業をよくその必要なる施策を得せしめるためには、行政内部はそれぞれのつかさかさはあるにいたしましても、一体的に相談をして参れば、私はその目的を達し得るのではないか、こういうふうな考え方の下に原案を作成いたしたというのが私の偽らざる心境であります。簡単に発言さして頂きます。
  115. 中川以良

    委員長中川以良君) 河野君に申上げますが、昨日農林委員会から頂きましたお申入につきまして、各委員に大体その概要を今私から御報告をしたのでありまするが、これについて一つあなたから詳細に亘り御発言を願いたいと思います。
  116. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 先ず提案者に伺いたいのですが、こういう法案を提案されました動機なり経過を伺いたいと思います。
  117. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 只今問題になりました所管行政庁の問題は第二といたしまして、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する必要性ということにつきましては、先般の御審議のときに提案理由と併せてその内容を御説明申上げたときに詳しく申述べて御了承を得ておることだろうと私は思うのであります。でありまするが、繰返して申上げますと、今日の日本の中小企業の実態というものを考えて見まするときに、どういたしましても、ここに一つの欠点といたしまして、中小企業が非常にたくさんある。そして少し不況でも参りますれば、自己崩壊もあえてするほどの競争をして、共倒れの形を生じやすいということが私は言い得るのではないかと思うのであります。そこでそういうような弊害を避けて、経営の安定を或る程度図らして行くために、若しも大きな企業ならば内部的の充実によつて可能でありまするが、多数の而も地域的に広く亘つておる中小企業の一つの経常基盤をまとめて行こうというには、どうしても他律的な一つの順序が要るのではないかと私は考えるのであります。そういうような意味からいたしまして、第十四国会におきまして、現行法が制定されたのでありまするが、現行法によりますると、中小企業が今言つたような不況の事態を切抜けて行くために、調整組合を作つて、いろいろ働いて行く上において不便な点があるのであります。この不便な点を補強して行くという必要があると考えるのであります。その意味におきまして、その不便なところは何であるかと申しますと、この法律の狙つておりまする調整組合を作つて調整事業を行い得る前提として、不況が来てまさに倒壊せんとした場合、現実の事態が起つて来たときのみならず、かなりその虞れがある場合をも含めて行くということが中小企業の維持という見地から必要であると私は思うのであります。  第二の問題といたしまして、事業調整組合事業活動が現在生産制限、出荷制限及び生産設備の制限の三点に限られておるのでありまするが、これが不十分なのであります。率直に申しますれば、中小企業の実態にはそれぞれいろいろな種類があるのであります。大企業の下につらなる系列中小企業もありましよう、又それ自体が中小企業経営として存在しておるものもあると思うのであります。試みに系列産業下にある中小企業をとつて考えまするときに、これは大企業との関連においてよく言われるしわ寄せその他の問題が起るのであります。ここに若しも現実の経済主義というものをとつて参りまするとき、この方面からの圧力といいますか、これをできるだけ防いで行くという意味におきまして、必要な措置は中小企業の行い得る、共同動作としてとり得る範囲を相当拡めて参らなければならんと私は思うのであります。でそういうような趣旨から、今回この調整組合事業について拡大を図つたということが必要の第二点であります。  改正の第三点といたしましては、本法施行後約半年でありまするが、その間におきまする調整組合の活動状況を考えて見まするとき、現行法におきましては、言葉は強いかとも思うのでありまするが、不必要なものに行政官庁の認可が多過ぎる、いわゆる調整事業の実態を把握しておればいい、その他のところは届出、或いは省略してもいいというところまでも、行政官庁の手を潜らなければならんというところが若干あるのでありまして、中小企業のこの不況時に際して調整事業をやる、適宜な、機宜な措置を行わしめるためにはできるだけ機敏な行動をとり得る態勢を整えてやるという必要があると思うのでありまして、この面におきまして現行法のいろいろ心配し書いたところを実施の経験から見ましてできるだけ簡略にしたということが、又簡略にすることが本法の目的により副い得るというような趣旨からやつたことが第三点であります。  第四点といたしましては、御承知通り第十四国会の衆議院の附帯決議におきまして、生産設備の制限に対しまして現行法第二十九条の命令が出ておりまするときには、新規に設備を増設することに対する抑制措置を考慮せよという決議があるということが一つ、いま一つは中小企業の今日におきまして、資金の問題、金融問題が大きな難点になつておりますことは御承知通りであります。この点に関連いたしまして衆議院の附帯決議予算の範囲内において調整組合が借入れた調整資金に対して、年五分以内において利子補給の途を講ぜよという決議があるのでありまして、この決議を尊重して実は入れたわけであります。  第五点といたしまして新らしく変つておりまする点は、現行法におきましては有効期間二年という時限立法であります。御承知通りに今日私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案の一部を改正する法律案が国会に提案されておりまして、これにカルテル活動を許容する調整活動を中心とした内容が出ておるのであります。いわゆる中小企業安定法にいうところの調整活動、いわゆる共同行為を認める内容を持つた改正に相成つておることは御承知通りであります。それとか、若し国会の協賛を得られることになりますれば、それとの釣合いから見て時限立法を恒久立法に直して行く必要を、一方のほうが恒久方法でありますが故にこちらも恒久立法にする必要を感じましてその改正をいたしたということと、もう一つは名前が長過ぎる。恒久法に変えまするに伴いまして中小企業安定法ということにいたしたわけであります。  以上申述べました点が中小企業安定法を改正するに至らしめたというか、改正を必要とした理由の主なるもの所あるわけであります。で河野委員からのお話の行政官庁の所管権限の問題につきまして……。
  118. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 私はそんなことは言つておりません。あらかじめお断りしておきますが、私口が悪いので思わざる誤解を受けますから、その点は私の性格でありまするから、若し口が悪い点がありましたら御了解願います。  この立法に当り、又は現在の段階までこれらの業界から相当数の反対の陳情があると思いますが、提案者にはそれらのことは耳に入つておりませんか。
  119. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 一部反対の声も耳にいたしておりますが、同時に多数の要望も耳にいたしております。
  120. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 立場の違いもありましようが、私のところへは非常な数の反対があるのです。それはこれらの人の反対につきまして具体的に一々申上げることは、時間を省略しますが、反対の中に通つておる一つ考え方は、これは、要するに官僚と統制時代の、資材の配給を受けたり、又は公団若しくは役所の特約店となつて権力を背景にした曾つての統制時代の業者が、自由経済になつたために、それらの権力を背景にした曾つて業者以外の、本当に一家眷属寝る目も寝ないで業態の改善に励んで来たこれらの連中に、いわゆる裸になつて、素つ裸になつてこの業界に飛込んで来た連中に太刀打ちができない。そこで考え出したのは、曾つて権力を背景にして、権力の上にあぐらをかいて、安穏のうちに資産を積上げた曾つて業者が一方において何か手許から権力を取上げられて淋しがつておるところの通産官僚なり、農林官僚、これらと気合いが合つて、ここにおいてでき上つたものがこれである。従つて私のところにも一つ来ておりますけれども、ここに私一つつておりますけれども、こういうものをやらないでも十分やつて行ける。特に一番ひどいのは度量衡の中で、現在業者は数十倍に殖えておる。極端に殖えておる。然るにこの度量衡の有力なる業界からこのまま放つて置いてもらつて、我々の企業許可によつて十分やつて行ける、徒らにこういうことをやつていてはコストを上げるだけだ、こういう陳情書が来ております。こういうことについて一体どういうふうにお考えになるか。私は今申上げますように、全体の意見とは申上げませんけれども、確かにこれは今度規定されざる業種以外におきましても大企業、中小企業を問わず、全般的に日本の経済界の中にある一つの空気として、今申上げますように、曾つての夢を捨て切らないところの官僚と、曾つての統制時代の甘い汁を吸つたところの、権力を背景にして営業を行なつた連中、これらの連中と気合いが合つて、これらが一つの現象となつて現われておる、こういうふうに私は訴えられる。私も一〇〇%これを受入れるものでありますが、提案者はそういうことは感知されませんか。
  121. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私はそういうふうな考え方を実はいたしておらんのであります。中小企業、例えば今御指摘になりましたような業種、又、例えば例をとつて見ますると、日本の陶磁器工業というものをとりましても、戦前の工場数よりも相当多数殖えておるものがございます。これは戦争の結果、日本の今日の国情からそういうふうなことになつておるのであります。ここに一方におきまして市場は狭隘に相成つておることは御承知通りであります。輸出も今日十一億数千万ドルというような状況に相成つておる。国内におきまする国民の購買力は皆様御承知通りであります。これらの点から考えて見ますると、今日非常に業界の業者の数は殖えて参つたが、一方において市場は非常に狭隘になつて来ておるのであります。こういう事実から、これを自然のままに、公正なる自由競争のままに任しておつたほうがいいのじやないかという考え方は、一つ考え方として私はあり得ると思うのであります。併しながら今日の日本の経済のように、底の浅い、アメリカの景気の一つによりまして大きくゆさぶられる日本の経済の実態を考えて見まするときに、そういう自然の波に一任せておくということになりますと、日本の中小企業というものの存在がいつも動揺するのではないかと心配するのであります。そこでこの与えられた条件の下において、できるだけ日本の中小企業の経営の基盤を安定させる糸口でも見つけてやるということが、今日日本の経済の再建の上において必要だ、こういうふうな私は考え方を実は  いたしておるのであります。これが昔の統制経済の夢に眠つた人々の考え方かどうか私はその点は存じませんが、全体的な立場において今日日本の経済の再建上、特に多数で、中小企業の実態は先ほど申上げましたように、一つの経営は飽くまで合理主義でなければならんと私は思うのであります。併しながら合理主義を飽くまで追及して一定の限界で踏みとどまるというような自主性が少ないところに、日本の中小企業の悲しむべき点があると私は考えますので、そういうような事情からこういうふうな考え方も止むを得ないと考えておるのであります。
  122. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 私は何も手放しの自由経済でどんなに困つても放つて置けとこういうことは毛頭考えておりません。私はあなたのほうからそういう一つの御意見が出たことは非常に進歩だと思う。ただこういう手段は必要でありましようけれども時期、方法というものは非常に慎重を期することは、提案者も御存じの通りだと思う。若しこれを慎重を期することにおいて誤まるならば、一方において非常に一部の業者の保護であつて、消費者大衆に非常に迷惑をかけるようなことになるし、これは当然慎重を期しておられると思いますが、そこで私は今の議論はやめまして、この法案は現に今衆議院で論議されております独禁法の一部改正法律案と全く性質は同じものであると思いますけれども、その点については提案者はどのようにお考えになりますか。
  123. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私から申上げるまでもなく、衆議院において論議されておりまする私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部改正の内容は三つの内容を持つておること御承知通りでございます。一つは不況カルテルと第二は合理化カルテルを認めて行こうということであります。第三は小売商におきまするいわゆる定価売制度のように、いわゆる再販売価格維持契約の容認の問題が第三点。それから第四点といたしましては、株式の保有或いは重役の兼任の制限限度を引上げようとすることが中心になつていることは御承知通りであります。この株式或いは重役の兼任限度の問題は別にいたしまして、不況カルテル或いは合理化カルテル、こういうふうな点においては共通の考え方、同じような考え方の下に進んでおると、私は河野委員と同じような考え方を実はいたしております。
  124. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) そこで一方において独占禁止法の一部改正につきましては、特にその認定、業態の認定について非常に困難性のあることを考え、又その認定の公正を期する意味合いにおきまして、主管大臣以外に特に公正取引委員会の同意を求める、こういうことになつておりますね。而も新聞紙上によりますと、その場合においても衆議院においては主管大臣がこれにタツチすることは、公正を欠く憾みがあるということで、何か主管大臣を抜いて公正取引委員会一本でこのすべての認定はすべきである、こういう議論さえも私も非常に起つておるように聞いております。いずれにしましても今あなたがおつしやるように価格カルテルにしろその他これは共通のものである。而も私から言えば大企業よりも非常に対象の数の多い、而も経営内容の非常に複雑した、自己能力を以て殆んど経営に当つておるこういうような中小企業におきましては、実態の把握というものは、むしろ私は大企業より進呈が困難であると思う。こういうようなより以上困難であると思われるようなものをより以上楽だと認定されるような独占禁止法においては、慎重を期して、公取委員会の認可を得る、同意を得るというようなことになつておるにかかわらず、これが単なる一方的な主管大臣だけでこれを済ましておられることについて私は非常に疑問があると思いますが、この点についてどうしてこういう差別をされましたか御意見を伺いたい。
  125. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 衆議院の経済安定委員会におきまする独占禁止法審議の過程におきまして、改正法第二十四条の第二乃至三におきまする認可及び認定の権限問題につきましては、論争になつておること御指摘の通りであります。この認可、認定というダブル・システムがいいかどうかということになりますと、御意見があるところだと私も思います。併しながら今日の独占禁止法などの過去の運用の経過などを顧みますると、あの厳重な独占禁止法の審決に廻され、公取の手に廻つたものが今日まで二百八十何件のうち、中小企業問題がその手にかかつたものが約百三十件です。この事実は逆から見ますれば、大企業における秘密的なカルテル化というものが却つて少数企業であるが故に捕えにくいということ、又これが日本経済全体に及ぼす影響というものが相当広汎であるということも、私は言い得ると思う。中小企業は私から申上げるまでもなく現状から見れば数が多い、そういうような事情からなかなか共同歩調がとりにくい。共同歩調をとるとすぐばれてしまう。従つて散髪屋の値段の協定をやろうとしてもつかまつてしまうというような事実が過去において起つていることは御承知通りです。併し一方におきまして中小企業の経営の維持、不況時に際して経営を維持さして行くという上におきましては、できるだけ簡単な制度においてこれを指導して行くという必要が私はあると思います。中小企業の税務問題の、横道に入りますれば、あの簡単な青色申告ですらなかなか今日普及しがたいという状況にあるのであります。特にこれは手離しで認めておるわけではなく、一定の条件の下に消費者或いは関連産業に不当な影響を与えないというふうな制約の下に、中小企業不況の切抜けの一助として考えて行こう、こういうような点でありますので、私は独占禁止法の改正案よりも簡便にして行くととうほうがより効果を挙げるのに近いのじやないかというふうな考え方をいたしておるのであります。もとより先ほど本法案改正案の提案の理由を申上げましたように、骨子はもうすでに第十四国会において尽されておるのであります。それに先ほど申しましたように、必要なところを追加しようというよう考え方で、基本的な骨子はすでに十四国会において決定されておるのでありまして、それを根本的に直すという考え方をとらずに、必要な面を補強して行ごうという考え方にいたしたわけであります。
  126. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 提案者は先ほど独禁法の一部改正も、これと相通ずるところがある、これはお認めになつた。然らば独禁法の改正案と同様にこの法律の中で特に公取委員会の同意を求めるというふうに修正される御意思はありませんか。勿論私は現在の公取委員会の陣容、即ち私が聞くところでは二百七十名くらいと聞いております。こういうふうな陣容でこれだけ複雑なものがやれるとは思いません。思いませんが、その問題はその問題として、そうであるから公取委員会が駄目だということにはならんと思う。これについて一つ意見を伺いたい。
  127. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は今河野委員のお話のように公取の権限の関係というものを必要な限度において織込んでおるつもりであります。従いましてこれ以上公取の権限を入れる必要はないものと提案者としては考えております。
  128. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 提案者も御存じでしようが、私が一番恐れるのは、私は提案者が非常に早呑みこみをしておる。私は何も農林省の権限を拡張しよう、そんなけち臭いことを言つているのじやない。そんなけち臭く考えているのじやない。主管大臣というものは大体、例えば農林省の場合に余りに農民の利益に走り過ぎる、通産大臣は通産業者のために余りその利益の代弁者になり過ぎる。この事実は否定できない。ここにおいでの諸告は皆承知だと思う。現に私が一つの例を言うならば、通産大臣は今まで肥料の原価計算が非常にやかましいときに、非公式ではありますけれども、硫安一俵通産大臣は幾らに考える、こう言つたところが、九百三十何円だ、業者と全く同じ価格です。農林省は一体幾らか、農林省は八百円だと言う。私は農林省か正しいとは言いませんが、硫安一俵でも実に百数十円の両者の間に食い違いがある。これは極端に言えば、自分の背後にあるところの農民なり中小企業の代弁する以外に、官庁として役人としての良心が一つもないということです。そこに私はあえて公取委員会というものを今の制度があるならそれを引合いに出さなければならん。こういうようなその主管大臣というものは、その自分の主管するところの中小企業なり又は大企業なり又は農林省の場合は農民の利益のみに私は追随し過ぎるという、この重大な行政官庁の欠陥をお認めになりますか。
  129. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は全部がそういう欠陥があるとは実は考えませんが、物事を処理するに当りましては、やはり国家の立場、全体の立場から公正なる処置をするという必要があると私は考えております。
  130. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 勿論提案者としてやはり議員提案である以上政治家として公正な立場で通産省の代弁でもなければ農林省の代弁でもないことを私は信ずる。併し今一部でも、今までの行政官庁が、例えば通産省が商工業者のために余りに利益の代弁をし過ぎるということは、それほどじやないけれども、とにかく或る程度の利益の代弁をしていると、あなたも一部でも認められる。その欠陥を認めてこの法案を出される以上は、この欠陥を如何にして是正するかということは、それは私お考え願わなければならんと思う。ところがこの法案によりますと、通産大臣が一切を主管するということであつて、その欠陥をあなたが一部といえども是正するものは何もないのではないか、その点一つ伺いたい。
  131. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は河野議員は公取委員会というものを頭に置いてのお話であるかどうか知りませんが、通産省或いは農林省或いは各省というものと公取というものは行政官庁といたしましては同一の立場にあり、同一の考え方で進めておると考えておるのであります。又進めるべきものと考えておる次第であります。
  132. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 提案者としてはその程度の御意見しか私は伺えないと思いますからこれ以上追及いたしません。やはり同じ議員の立場において私はこれ以上追及はいたしません。  次に私は伺いたいのは、この法案はいわゆる中小業者の保護ですね。これは保護は結構なんで、私は保護に反対じやない。ところがこの保護が行過ぎると、中小業者と利害対立するところのこの消費者のほうに非常な影響を及ぼす。この問題について私は一応伺いたい。これは農林物資の関係でありますけれども、例えば玉繭の問題もありますけれども、この繭の問題については、去る国会で政府提案で繭糸価安定法案というのが出ております。これは何も製糸業者を保護する法案ではありません。初め糸価安定法案として提案されたものを狙いはこれは養蚕農家を保護する法案だということで、特に糸価安定法というのを繭糸価安定法として今運用されております。この繭糸価安定法、養蚕農民を保護するこの法案と、玉糸の業者これとの間に利害対立があることは、あなたも御存じのことだと思う。これを一体どうされますか。又最近農産物価格安定法というのが、これは与党、野党問わずに各派共同提案として今衆議院に提案されております。不日参議院にも廻つて来るでしよう。この中には菜種の買上げ、菜種価格の安定というものがある。それと菜種の油の搾油業者との関係はこれは一体どうなりますか。一々矛盾する。そこを調整することを私は考えなければ法案を提出するときには無責任だと思う。こういう問題が農林関係でもたくさんあります。私は何も先ほど申し上げましたように農林省がどうのこうのということはない。農林省の人が私のところに来て説明しました。私はそんなことを言つたことはない。私は役人の飯を食つたわけではないのだから私は役人にそんな義理はない。そういうような具体的に今お尋ねした二つにつきましても、これらのすでに成立した繭糸価安定法、これから当然通過するでありましよう農産物価格安定法、これと非常に接触が多いのです。これについてお考えになつたことがありますか。
  133. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 繭糸価安定法のことにつきましては詳しくは存じません。又只今衆議院で審議中の農産物価格安定法案につきましても、私は詳しくは存じません。ただ御指摘のように一つの中小企業、或いは大企業、農業或いは商業これらのグループがあるわけでありまするが、それらの調整をうまくとつて行くということは日本の経済の循環を円滑にするという上において私は必要だと実は考えております。ただ立法といたしまして考えまするとき、特定の分野に対する一つの施策を法律案として考える、例えば農産物価格なら農産物価格だけを取上げて行く、そうして消費者との間の関係は、運用なり何なりの面において調整はとつて行くということになり勝ちであります。私はこの中小企業安定法におきましても御趣旨の点はわかるのでありますが、立法論といたしましては中小企業を正面の対象として取上げて行く以外に仕方がないではないか。すでに行われておる現行法がそういう形で進んでおるのであります。あとは御指摘のような点は運用の問題、全体の調和点をとつて行く、動かして行くということになるのではないかと実は考えます。
  134. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) あなたもおつしやるように調整が必要なんです。ところがこれじや調整はとれませんよ。結果において私は農林省のことを言うことになるかも知れませんけれども、今の繭糸価安定法なり農産物価格安定法、これとこの法案との接触面を調整する、通産大臣には調整できませんよ。そこで私は何も農林省がやれとは言わんけれども、これについて何か調整する方法があつたら、この法案と同時に如何なる問題を如何にして調整するか、その調整の場所、方法というものを私は併せて御説明ならなければいかんと思う。そういうものがない。あなたばかりじやありません。通産大臣は繭糸価安定法というのはどういうふうに運用されているか知らんでしよう。今度の農産物価格安定法、澱粉が幾らするか、菜種が幾らか、その菜種はどうするか知らんでしよう。その調整する場所なり方法というものをどういうふうに提案者はこの中に織込んでおられるかということを私は伺いたい。
  135. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 先ほど申し上げましたように、立法の建前でなしに、行政権内部の連絡、協調というものをよくやることによつて私は可能と考えるのでございます。
  136. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 細かいことは聞きませんけれども、あなたの気持はわかりますが、この気持を具体化した場合にどうなるか、そこに私は問題があると思う。これ以上私は申し上げません。  最後にもう一度伺うのは、これによると生産制限の問題が出て参りますが、生産制限の場合に、現在指定生産資材というものは非常に少くなりまして、稀少物資くらいになつた。ところがこれは一応自主的に生産制限をやることになつておりますけれども、私は提案者の狙われる本当の生産制限の実を挙げるためには、生産資材の問題まで私は役所の権限が行くことはいけないと思いますが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  137. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 本法を考えました背後は物資が過少だという前提に立つているのでなしに、物資の供給が過剰だというところに重点を置いて法案ができておる、こういうふうに私は考えるのであります。従いまして資材の配給の問題は金がそれほど重要ではなくなつておる、今日の経済界の実情というものが、売行きが悪いというところに元があるのだ、併し売行きがうまくいかん、そこに価格の変動が起る、いろいろ滞貨金華の他の問題が起つているのだ、こう考えておりますので、資材の配給の制度ということを実は頭に置かずに考えております。
  138. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 勿論私は今言う生産制限というのは、要するに資材が不足しているからという意味じやない。その生産制限をする場合に一方において資材が非常に豊富な中にあつて、而も生産制限の実を挙げるためには、これらの生産資材についての何らかの法的措置というものがなければ、本当の意味の実は挙がらんじやないか。ただ業界の自主的の申合せということによつて私は挙がるとは思わない。その点について一体あなたの御見解はどうかというのです。
  139. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) これは私から申上げるまでもなく、中小企業は業界、業態が非常に多いのであります。従いまして河野議員の言われるような資材の面からチェックしたら非常に実が挙がるという業態はあるだろうと思います。併し全体的に考えまするとき、今日の生産数量の面、或いは生産設備の制限という面からいつて、相当な効果を期待し得ると私は考えておるのであります。    〔委員長退席、通商産業委員会理事松本昇君着席〕
  140. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 結構です。
  141. 松本昇

    委員長代理(松本昇君) ほかの委員かた御質疑ございませんか。
  142. 岸良一

    ○岸良一君 今河野さんのお尋ねになつた点は、私も同感な点があります。農林物資におきますと、今実際官制上から言えば、農林物資のうちで、飲料水なりその他の食品なりを所管しておりますが、これらを考えて見れば皆中小企業です。その中小企業を育成して行くのには非常な細かい配慮をしておるわけなんです。すべて物の出て来た面を抑えて、その流通過程をつかまえて、そして考えれば、中小企業をその面で一つ統制した形でやるということは簡単に考えられますけれども、そういう繋がりを考えるとなかなか私はどうも簡単に行かないと思います。今度の御指定になつた物品の中で清涼飲料のような問題でございますが、これらもサイダー、ラムネといつたようなことだけを考えればこれは何ですが、その中に若し果実のジュース、オレンジ・ジュースのようなものを考えますと、これはなかなかむずかしくなる。で若しそれが中小企業の安定法で一緒のカテゴリーに入つておるということになりますれば、これはラムネ、サイダー等の市況によつてオレンジ・ジュース等が非常に盛んに出て来るということになりますと、或いは値が下つて来る、そうして困つて来る、これを抑えようじやないかといつたような考えが出る。私どもは農業の方面では、こういうものを相当にたくさんに作つて、そうしてこれを安く供給してやろうと骨を折つても、却つてそれが食いとめられてしまうといつたようなことにもなるのであります。こういうような点で、その内容如何によつては非常に影響するところが大きいのではないかと思いますので、これらを監督するということについては、これは行政の制度を簡素化するといつたような見地からも考えられますが、やはり実態を手の中に収めて、そうして実情に即するようにするということが大切なる行政上の着眼ではないか、従つてその着眼をたやすくやれるように配慮をしてやるということが必要じやないか、こう考えるのです。それらの点について小笠さんの御意見を伺いたい。
  143. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 只今のお話の点でありますが、冒頭に私の基本的な考え方を申上げたつもりでありますが、この法律の現行法の中には審議会というものがありまして、この審議会の中で調整の範囲、調整計画その他調整の重要事項を審議して、この調整事業を経済全般と見てひどい影響を与えない、中小企業の維持との調和点をとつて行くというために置かれておるのであります。従いまして、そこで大きく日本の経済或いは消費者の立場というものに対する影響その他を勘案してやりますると、今お話のような点は御心配の点が少くなるのではないかと私は思うのであります。いろいろな考え方の相違はあると思いまするが、この際として大局的に日本の中小企業の維持の立場、これが維持のためにこういう法律の運用をやる、それが消費者或いは関連産業に及ぼす影響というものをこの審議会で個々のケース、ケースについて審議判断をして参りますると大過がないであろうというのが私の考え方であります。
  144. 岸良一

    ○岸良一君 その点も一応考えられますけれども、個々の小さなケースについてそういうことをやつているということは、物資々々によりましては却つてあとに非常な問題を残すということが考えられます。これは審議会においては非常に大きな方針をきめられるのであります。或いは農林物資を取上げるときにそれについて十分に研究したいということはいいだろうと思いますが、その他それと非常に関係があるような問題についてこれを実行に当るということになりますと、私はやはりそれを専管してやるような責任者に責任を持たせるのがいいのじやないか。通産の物資でも私ども関係したもののうちで、そういうような非常な苦しみをなめた経験もございます。若しこれを簡単にそれができておつたならば、私はもつとよく進行することができただろうと思うのでありますが、その点私は審議会の活用等について十分そういう御配慮を願うということは必要でありますが、今の農林物資等の、生産から加工、加工から販売に出る過程のことを考えますと、私はその初めにいざこざのないような措置を考えることが必要ではないかと考えるわけであります。これについて一つ意見を承わりたいと思います。
  145. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 先ほど申上げましたようなことを繰返すことになつて恐縮でありますが、現在本法施行後約一年でございます。この間に各省所管産業からいいますと、ガーゼ及び糊帯製造というものが入つておることを御承知願いたいと思います。ガーゼ及び繃帯製造業におきまするその後の調整組合の運行状況というものを考えますると、そういう非常に困るというふうなことは余り出ていないようでございます。これは私は余り理想かも知れませんが、日本のこれからの行政というものをできるだけ簡素化して行くという趣旨から、そして力強い行政をする、こういうような趣旨から見て窓口を一つにして、できるだけ相談をして仲よく連絡をとりつつやつて行くというふうに仕向けて行くことが必要ではないかと実は思つておるのであります。これは私の理想かも知れませんが、ただ岸さんのような現実の問題として非常に困るかどうか、こういう問題になりますと、ガーゼの今までの経験というところから見ますと、それほど御心配な点はないようなことになつておると私は思うのであります。
  146. 岸良一

    ○岸良一君 今の小笠さんの御理想は私も賛成でございます。行政を簡素化して、そうして物事の運びを迅速にやるということについては、これは異存がないのでありますが、実際の問題を動かすという場合にはそのきめ方が実情に即したように動かないと、実際にやつておるものは誠に困るというので私はこの考えをしたわけでありますが、少し話は飛びますけれども、例えば調整組合で調整をして、そうして必要に応じて員外の者に対しても指図をし得るような態勢をとるということになつて参りますると、同じようなものを持つておるものが農村の協同組合等において生産されたといつたようなものについてどういうふうにお取扱いになるのですか。
  147. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 現行法第二十九条を御覧になりますと、現行法は同一資格を持つておる者に対して、通産省令を以て勧告内容と同じ内容の制限に服させるということに相成つておるようであります。今回の改正法案におきましても、趣旨は同じことに実はなつておるのであります。現行法の二十九条におきまして非常に頭でしぼつてありまして、二つの事態が出て来て「且つ、かような事態を放置しては当該業種に係る産業及びその関連産業の存立に及ぼす重大な悪影響を除去することができない」ような場合に限つて通産省令を以て命令を出て得るということに実はいたしておるのであります。その二つの状態とは、「当該業種に属する事業者で当該総合調整計画又は調整規程の適用を受けないものの事・業活動が当該業種に係る製品の需給調整を阻害しているとき。」調整の目的を達し得ないときというのが第一。第二は「当該連合会又は調整組合の自主的活動をもつてしては当該業種に係る製品の需給調整の目的を達成することができないとき。」この二つの事態が生じて今後当該産業及び関連産業の存立に及ぼす重大な影響があつた場合に限つていわゆるアウト・サイダーに命令が出し得る、こういうことになつておる、而も政府命令で出すということになつております。
  148. 岸良一

    ○岸良一君 そこで先ほど私のお尋ねした清涼飲料水の内容が、若し只今生産して年々増加しつつあるところのオレンジ・ジュース、これは恐らく或いは普通のものは原料を買つて作る場合もあると思いますが、協同組合におきまして非常に大規模に作り出して来るということになりますれば、或いは協同組合のものが圧倒するような数量になつて来る、それによつて片一方は非常に影響を受ける、従つてこれは何とか調整をしなければならんというような考え方からしますると、或いはそれに対して命令で生産制限をするといつた、ようなことが起きはしないかと思いますが、それはどうなんですか。
  149. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) これは岸さん、現行法をお読みになると頭は、特定中小企業者が業者の総数の二分の一以上であり、且つ、その総組合員の三分の二以上が中小企業者であるというふうな、組合員がそれぐらいの立場を持つておられなければ調整組合は認めないということで、殆んど過半数というか、生産数量において、或いは員数において、企業者の数において過半数を占めるという頭を作つておるわけであります。従いまして設例のような場合におきましては、協同組合の生産が非常に多くなつてつておるというような場合は、協同組合を対象にしてこういう調整組合を作るかどうかという問題か先ず解決されて来なければいかんと私は思うのであります。
  150. 岸良一

    ○岸良一君 そうすると私は今おつしやつた組合の内容についても知つておりますが、それの中で現在やるようなものがあつた場合を考えて、片一方で後進的に協同組合のほうが進んで来たときに、どういうふうになるかということを考えて行かなければならん。そういうような協同組合等の生産の面は除外をするといつたような考え方に見てよろしうございますか。
  151. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) これは非常にむずかしい問題でありますが、昔から産業組合法の問題と、商業組合或いは工業組合とのいわゆる非常な争いのあつたことである。例えば対米輸出みかんのような場合で御承知だと思うのであります。いわゆる「業とするもの」をどう考えるか、単に継続的行為をしておるものと解釈するというようなことにするか、或いは営むという意味において、いわゆる営利を中心としてやつておるというふうな解釈をとるか、そこは問題が実はあると思うのでありますが、最近の解釈は多くの立法例においても、こういう継続的に当該行為をする場合を考えておる場合が多いようでありますが、そうなりますれば、協同組合の当該事業というものが一つの適用の対象になつて来ると思うのであります。ただ事実関係を十分に明瞭に認定して参りませんと、例えば協同組合が、私どもの農村でも臨時に罐詰だけを作る、みかんが余つた、それを作つて出しておるというようなものを業者と認めることはこれは不適当だと私は思うのであります。だから実際問題としての内容を実態把握によつて私はきめて行くよりしようがないのじやないかと考えております。
  152. 岸良一

    ○岸良一君 私は今小笠さんのお話を伺いまして非常によく考えられておるとは思いますが、そういうふうな実態を常に押え、そして生産面の増産基調というふうなものを維持し、そして全体に優良なものを低廉にやるというような関連を考えますと、これらの取扱をするものにおいて提案者のお考えになつたような基本の考え方については、私が申上げなくともそこに実行のでき得るような取扱を考えて頂くということが、やはり必要じやないか、こう考えるわけであります。
  153. 松本昇

    委員長代理(松本昇君) 皆さんにお諮りいたしますが、只今横田公取委員長から本案に関しましての発言を求められておりますが、許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 松本昇

    委員長代理(松本昇君) それでは横田公取委員長
  155. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 先般今回の改正案につきまして公正取引委員会として何か別段の意見があるのかという御質問がございましたので、    〔委員長代理松本昇君退席、委員長着席〕 一応のお答えをいたしたのでありますが、その際詳細の資料を持つておりませんので、本日前回のお答えを補充させて頂きたいと存じます。  この改正案につきましては提案者であらせられます小笠氏から特にいろいろ御連絡がございまして、私のほうとして申上げることはいろいろ細い点もございましたが、率直に申上げまして相当部分この法案の中に我々の意見も取入れて頂いておるのでございます。ただ二、三点、私どもとしましてはこういうふうにして頂いたほうがいいのではないかという問題が残りましたので、その二、三点を申上げたと思います。  第一点は、これはこの法律が昨年できますときからの問題でございますが、こういう中小企業が重要な地位を占めておりまする業種につきましては、特にこれは現行法の建前でありますが、或いは今度の改正法の建前で申しますと政令でいろいろ業種を指定しなくても、この第二条にございますような特別な事態が生じました場合に調整組合を作れるというふうにして一向差支えないのではないか、この点は今回の独占禁止法の改正によりまして、不況カルテルを極めて厳格な条件の下ではございまするが、許すことにいたしましたが、この生産業者の不況カルテルにつきましては別段業種を限定しておりません。それと同じくやはり中小企業のこういう性格の業種につきましては、特に政令を以ちまして指定しなくても、こういう非常な事態が生じた場合には調整組合が作れる、作つて調整規程を作れる、こういうふうにして一向差支えないのではないか、つまり政令を以て特にこまごまと指定する必要はないのではないかということが第一点であります。  それから第二点といたしましては、連合会の会員の議決権及び選挙権につきましては、現行法におきましては会員たる調整組合組合員の員数に応ずるということになつておりますが、これではやはり窮屈ではないか、例えば各会員について議決権及び選挙権を各一個にするという考え方もあるわけでございまして、こういう考え方は前からいろいろ議論されておりました。従いまして、現行法の規定にそういうような調整を加えることは私どもも一向異議はないのでございますが、併し今回の改正案を拝見いたしますと、この連合会の議決に関する規定が全然削除になつておりますので、そうなりますと、例え施設に応じていろいろ議決権を制限する、或いは選挙権を制限するというような、いわば非民主的な形の議決の方法というようなことも許されるようなふうに見えるのでございまして、この点はやはり法律の規定を以ちまして一応会員たる調整組合員の数によるが、併し定款を以て組合各一票というふうにも定められるということをやはり法律の中に明らかに規定すべきではないかというのが第二点でございます。  それから第三点は、第三十二条によりまして、これは、この法律の狙いでございますが、通産大臣の認可を得ましていろいろ調整規程等がきまりました場合に、それを独占禁止法の適用除外にするという規定は三十二条でございます。この三十二条と同様の規定は、輸出組合法、今度輸出入組合法になりますが、或いは今回御提案申上げております独占禁止法の改正におきまする不況カルテル、或いは合理化カルテルの場合にも適用除外の規定はございますが、それには型のごとく但書が付いております。不公正な競争方法、今度独禁法のほうで申しますと不公正な取引方法を用いる場合はこの限りでない。それからもう一つはもうそういう調整規程の必要がないではないかという場合に、公正取引委員会から通産大臣のほうへその取消を請求できることになつておりますが、この場合に通産大臣が応じませんでも一カ月たちますと独占禁止法の適用除外の恩典がなくなるというふうにして頂きたい、これはやはり輸出取引法におきましても今回の独占禁止法の改正の際におきましてもそういうふうになつておるわけでございまして、この二つの面から独占禁止法の適用除外を更に多少絞つた形にして頂いたほうがよいのではないか。殊に不公正な取引方法を用いる場合はいけないということにいたしまする趣旨は、大体これは中小企業だけの団体でございますが、併しやはりそこには大企業が入り得るような点もございますので、この点はやはり余り無理な形でそういう調整規程ができるということを防止する必要からいたしまして、今の但書が付いたほうがよいのではないかというふうに考えます。  大体三つの点を申上げましたが、これは今回の改正案に盛つて頂けなかつたのでございます。まだ細かな点が少しはございますが、大体大きな問題はその三点でございます。
  156. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちよつとお伺いをいたしますが、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、つまり品物が非常に氾濫して来た、そうして業者が支え切れなくなつた、そういう場合に在来の業者を救うという法案になつておるのでありますか。同じ業者がたくさん出て来て、そうして品物値段がだんだん下つて来て、それでつまり共倒れになる、そういうふうになつては困るからそのときにはここに制限を設けて余り業者を殖やさないようにするということになつておるのでありますか。
  157. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 最近の経済の実態は供給過剰というふうな形から御指摘のような場合が多いと思うのであります。要綱にも説明しておきましたように、コスト割れがして非常に損失が各企業者に起る、起つておる、さすれば共倒れになつて来る虞れがありますので、その場合に他律的に外部から共同行為を認めてその危機の乗切りをやらして行こう、こういう考え方であるのであります。そこで新らしい業者の出て来るのは禁止するということには触れておらんのであります。
  158. 海野三朗

    ○海野三朗君 併し仕事をやるときにはやはり主務大臣の認可が要るのでございましよう。
  159. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 特定業種の調整組合が調整事業をやるというときには、主務大臣の認可が要るということに、いわゆる組合のやらんとする事業の内容について主務大臣の認可を受けるということになつております。  先ほど横田公取委員長からの御発言に関連して一言私の意見を申述べておきたいと思います。横田政府委員からお話の第一点の、適用業種の指定を野放しにしたらどうだろうか、いわゆる不況の事態が来てコスト割れによつて損失が非常に出て来ておる、又その虞れのある場合は、何業種といえどもやり得るようにしたほうがいいのではないかどいう御意見であります。これは考え方といたしまして一つ考え方、即ち今回の独占禁止法の改正と同じ考え方をとるとすれば、そういうことになると思うのであります。中小企業の不況克服のための調整事業は、先ほども河野さんの御質問の中でお答えしましたように、非常に多数の、而も業種が非常に多いのでありまして、先ずそれらの業種が勝手にやつて行くということでは現在の行政能力としてもなかなか手が廻りかねると私は思うのです。特に御指摘のように、調整事業運用如何によりましては、消費者或いは関連産業への影響も予想しなければなりませんので、日本の中小企業の基本的なものというものから順次取上げて行つたほうがいいのではないか、こういうふうな考え方から、法定から政令へと譲つて、いわゆる不況時に際しまして機動的な対応策がとれるようにして参つたというのが私の考え方であります。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用の面というものは、一応はすべての産業に関して適用し得るということには相成つておりますが、多くの場合、実際の適用は、大きな資本、大きな工場を持つておるような面に適用が先ず起るものと私は想像するのであります。そこが中小企業の場合と実態的に違つておる。従いまして若干差当りの状況から見ますると、政令で指定して行くという体制のほうが適当ではないかというふうな考え方が特に政令によつて指定することにいたした考え方であります。  第二の連合会の議決権及び選挙権に関する規定がないのはおかしいじやないかという議論であります。現行法におきましては一定の順序はあるのでありますが、或いは組合の数により、或いは又組合の生産数量の比例によつてきめると、いろいろなきめ方が私はあると考えるのであります。そのいろいろの場合をきめるといたしますれば、法文に書かなくとも同じことに私はたると思うのです。従つてこれを調整組合の定款に譲るということも一つの立法論ではないかと私は考えて法案から削除いたしたのであります。これは立法論として両方の説が私はあり得る、その事態に応じて定款できめさして行くというのが一つの手ではないかと思うのです。  第三点のお話の点は、いわゆる三十二条によつて調整組合の調整規程が認可になつたとき、独占禁止法の適用を排除することに相成つておるのでありまするが、そのうちに但書で、不公正な取引を用いた場合はこの限りにあらず、ということを附則に置けというのが横田政府委員一つの説であります。現行法に同じ規定がありまして、実はここに入つておらんのでありまして、私は現行法をそのまま踏襲したというのが第三点に対する私の結論であります。  更に私的独占禁止法の第二条でありますが、改正法案の第二条におきまする不公正な取引方法の内容は、独占禁止法自体において相当不明確であるということは、私が委員会においてしばしば指摘しているところであります。何が不公正であり、何が不当であるかというふうな問題等の疑義も残し得るのであります。そういうふうな点から考えまして、今日の現行体系で行つて、いわゆる経済の民主化に本制度運用によつて大きな影響をもたらすというふうな心配は、私はさほどないものという考え方を実はいたしておるのであります。そういう意味から現行法の条章にないのを、そのままにできるだけ踏襲して参りたいという考え方であります。特に若しも調整規程の認可を経て、調整事業に行つて半年たつてこれが公正取引であつた場合には、これを取消すといつた場合、取消の措置が一体どうなるか、私はそこらの点は、いわゆる相手が中小企業であるが故に、できるだけ大きな弊害のない限りにおきましては、簡便な形で行つたほうが適当ではないかというのが、私の考え方として、横田政府委員からの御要請はありましたが、現行法を踏襲したというのが私の考え方であります。
  160. 宮本邦彦

    委員外議員(宮本邦彦君) 私は河野委員の質問に対しての提案者のお答えをここで拝聴さして頂きました。又今の御説明も拝聴したわけなんですが、この調整組合は、調整組合に該当する資格を持つたものが申請すれば、それは機械的にというか、事務的に成立し得るものだと、できるものだというふうに解釈してよろしうございますか。
  161. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 実は要件を備えて、調整規程の認可申請をした場合、いわゆる法規裁量的にやるか、そこに自由裁量の余地が残るかということになりますと、法律ではつきりいたしておりませんが、要件を十分に満たしておれば、そこに自由裁量の余地のないように運用さして行くというのが、私は適当だと、こう考えております。
  162. 宮本邦彦

    委員外議員(宮本邦彦君) 先ほども、そういうような形で以て調整組合ができて来るということに相成るわけですが、従つてこの中小企業の問題は元来対策なしとまで言われたくらいむずかしい問題だと私は思つております。これはなぜかと言うと、調整組合ができて、そうしてこれが中小企業者のために働くということになり、おのずから価格の制限だとかそういうようなことが一般消費階級に必ず影響して来る問題なんです。従つて調整組合ができたというときには、もうそれ自体において私は消費者としては大きな打撃をこうむるのじやないか、だからよほど内容といいますか、調整組合品の組合活動に単なる機械的な問題だけでなく、内容の指導が相当重要ではないかというふうに私は内容といいますか、調整組合の指導面が相当重要視されなければならないと考えるものですが、如何でしようか。
  163. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は先ほど申上げたように、法律の上において要件を充足しておる場合においては、できるだけ自由裁量の余地なしに認可したほうがいいのじやないかというふうに申上げたのでありますが、条件の充足ということについて一つの問題は、これは産業政策的な見地が一つあるのであります。操短をするのに二割が適当か、例えば三割が適当かという問題につきましては、直接当該事業影響があるばかりではなしに、消費者にすぐ影響が私はあると思う、御指摘の通りだと思うのであります。そこでその点は産業政策全体と消費者の立場というものを両方睨んできめて行かなければならん、調整組合の内容よりも、運用の実質のところに私は非常に問題が実はあると思うので、運用上慎重を期さなければいかんと考えております。
  164. 宮本邦彦

    委員外議員(宮本邦彦君) よくわかりましたのですが、そういたしますと、私は今は消費者ということを申上げたのですが、先ほど河野委員から、又岸委員から御質問になつた農林物資を対象とする調整組合ができたと仮定した場合に、この場合には私は原材料の供給者としての農民は、農民以外の例えば外国から輸入して来る原材料なんかとはよほど趣きが違つて来るのじやないか、先ほど提案者が言われたように、関連産業との関係は十分考えるとおつしやつておられたのですが、この関連産業で原材料を供給するものは最も大事な関連産業ではないかと私は思うのです。そういつた場合に現在の農村の実情からして、例えば菜種生産農家というようなものはこれは完全な零細な農家なんです。こういつた産業に対して農林省は増産計画の大きな指導政策を持つておる。指導技術を持つておる。なお且つ長い間の一つの農政活動をそこに持つておる。これは相当私は複雑したものだと思うのです。殊に対象が個々の農家というような非常に広汎なものであります。そういつた場合に、先ほど提案者は、何か非常に関連産業ということに対しては重視しなきやならんというお言葉があり、同時に窓口は一つにするというようなことによつてこれを簡素化するというようなととも言われたんですが、私は逆に、例えばまあ気違いに刃物と言つてはこれは失礼な言葉になりますけれども、何も知らない人が末端だけの数字に現われたものだけの結果を扱つて、そして調整組合の内容指導をおやりになるということは、日本全体の基本産業である農業の問題から見るというと非常に私は危惧の念が起るのが当り前だと思うのです。だからむしろ窓口が一つなら結構です。私は大賛成です。私は今日行政機構を簡素化するということに対しては、提案者とちつともその趣旨においては効果さえ挙がればそれに対しては不賛成を唱えるものではありません。けれどもそういうことによつて、形式的な窓口一つということによつて農林省は、農林省の責任において農林行政をやつておる、その分野が連絡調整その他一切のことで齟齬を来たし混乱を起すということになつたら、これは重大なことだと私は思う。窓口一つなんて飛んでもないことなんです。私はそういうように考えるのですが、そういう御懸念は毛頭おありにならないと提案者はお考えになるのでございますか。
  165. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 運用を誤まつて関連産業に重大なる影響を及ぼすことがあつてはならないということは御尤もだと私も思うのであります。行政官庁を一つにすることによつてそれができないんだ、こういうことになるかどうかの問題でありますが、私はいろいろの見地から考えますと、差当りの問題としてはそれぞれの司さの意見を中心にして考えて行けば、内部的な連絡というもので私は相当効果を挙げ得るのではないかと実は考えておるのであります。そこは私どものような立場でなしに行政権に携わる職員の考え方にもよると思いますが、できるだけ大きな目的というふうな点から考えたらそうしなければならん、できるだけまとめて行つて効果が挙がるようにしなければならんと実は私は思うのであります。衆議院で問題になつておりますこんにやく問答は御承知通りであります。輸入国内生産とのああいうふうな厄介な問題も実はあるのでありまするが、できるだけ大局的に私はものをきめて行くように行政権に関係する職員がすればできやせんか。併しそう必ずできるんだということを私ははつきりここで、まあやつてみなきやわかりませんから言い切ることはできませんが、そういうふうなつもりでおります。
  166. 宮本邦彦

    委員外議員(宮本邦彦君) 実は私のところへも農民団体からとうからこれは困るということを実は言つて来ておるのです。困るいろいろな問題は、この委員会では時間が惜しゆうございましようから私申上げません。できれば私はそういつた長い間の体験を持ついろいろな理由からして、これは提案者に後刻必要だとおつしやれば私のほうからその理由を御説明してもよろしうございますが、提案者として今お答えの様子では、そういうような事情があれば考えてもいいというようなお気持がおありのように私は拝承したのですが、私は行政機構の窓口は幾つあろうとちつとも構わない。それよりも日本国内の再建産業が最も合理的に能率を上げて日本の国の経済復興をやつて行くことが最も大事だと考えておりますから、そういう面で以て考えられた結論がそういうところに及べば、提案者も恐らく窓口は一つでなきやならんというような固い信念というか固執はおやりにならんだろうと思うのですが、重ねて承わつておきます。
  167. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) お話の方面からの理由というものは後刻拝承させて頂きたいと思いますが、私の刻下の心境といたしましては前言来繰返し申上げた通りであります。
  168. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 横田さんがお見えになつておるから一つ伺いたいのですが、あなたのほうでは今度独禁法の改正について主管大臣の問題では当初あなたのほうの主張は現在衆議院に提案されておるような通商省と公取との会議というか、あなたのほうの同意を求める、こういう姿ではなくして、当切はあなたのほうが一本で主管する、こういう主張をされたように聞いております。併しその後閣議等のいろいろな経緯がありまして今のような姿になつた。ところで同じ種類のこの今議題になつております法案につきまして、これに関しては公取は形の上ではノータツチでいいというようなことは、この法案と独禁法の改正についてあなたのほうではどういうふうな差異を感じておられるか、それを一つ伺いたいのであります。
  169. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 実はこの法案輸出取引法、この二つが昨年の国会に出たわけでございます。この二つの法案におきましては認可は主務大臣、そして公正取引委員会の認可をしまするについて同意が要るという形で実質的に今回独占禁止法改正案を出しましたものと実際の運用はほぼ同一のものであると私は解しております。つまり公正取引委員会のほうでこの要件が備わつて、そういうカルテルを認めることが差支えないということがなければ、通産大臣なり主務大臣はカルテルの認可をすることができないことになりますので、実際問題としましては私はほぼ同一だと思うのでありますが、ただ気分的と申しますか、輸出の問題と、それからそういう中小企業の問題につきましてはやや通産大臣の産業行政上の立場をやや重く見るというような気持がございまして、それがやはり認定、認可というようなやや対等の形でなく、通産大臣の認可、こちらの同意とやや一歩下つたような形になつておるのだと思いますが、なおこの輸出取引法、この中小企業安定法につきましては、御承知のように単に独占禁止法をはずすというよりも、一歩進みましていわば産業行政上の統制の問題が入つております。先ほどもお話が出ましたような主務大臣の命令によりましてアウト・サイダーまでも規制して行こうというような点がこの法案にもございますし、輸出取引法にも、これは改正案に入つておるわけでございまして、そういうような点からいたしましてこの法案全体の建前がやや主務大臣に重きを、産業行政の立場から主務大臣に重きを置くということになつておりますので、少し形が違つておりますが、併し私は実質的には同意も認定も大体その運用の面におきましては、ほぼ同じものだというふうに考えております。
  170. 河野謙三

    委員外議員(河野謙三君) 今の私がお尋ねしたのに対してむしろ御説明を承わるという感じですが、そうじやなくて、横田さんの意見を聞きたい。何故同じ形にしなかつたか。同じものなら何故同じ形にしなかつたか。これをあなたの主観を一つ伺いたたい、こういうわけです。
  171. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 私は輸出と大体この特定中小企業の問題につきましては、成るほどもう少し違つた考え方もあり得ると思いますけれども、主としまして強制命令というような統制的な色彩がやはりその背後に潜んでおりますので、やはりこの現行法の形でいいというふうに私は考えております。
  172. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと御注意を申上げます。提案者は所用のため四時半には退席するそうでございます。そこで経済安定委員長から質疑のお申出がございますので、経済安定委員長の御発言を先ずお願いいたします。
  173. 早川愼一

    ○早川愼一君 中小企業安定法の改正案が現行は二年間の臨時立法になつておりますのを、恒久法になさつた。これがどういう理由で臨時立法になつておつたものを恒久法にしなければならんか、その点はつきり承わりたいと思うのであります。  なお今回の独禁法の改正なり或いはその他の改正立法におきまして、おおむね改正の意図されておることは独禁法の改正によれば、例えば不況カルテル或いは合理化カルテルというものは、業種の如何にかかわらず広範囲に認められておるのでありますが、ひとり中小企業のその改正案では業種について法定ではないのでありますが、政令できめるというようなことがしてありますが、この点がどういうわけでこういうふうになるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。  それからなお例えばこの一番重要な調整事業のことでありますが、これは現在でも中小企業等協同組合法等によりまして調整事業が必要の場合には認められておるのでありますが、これが特別にこの改正法にこれを盛らなければならんか、つまり協同組合法に所要の改正をすればそれで差支えないというように考えられるのでありますが、御所見を伺いたい、かように考えております。
  174. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 時限立法を恒久法にいたしましたのは、前にも申上げました通りいわゆる独占禁止法におきまして広くカルテルを認めて行こう。広くというよりも特定の諸条件のもとに認めて行こうということになつておりますので、中小企業安定法におきましても二年という必要はなく、恒久法にしたほうが適当じやないか、こういう考え方であります。逆に申しますと、特定中小企業の安定に関する臨時措置法が、今回の独禁法にカルテルを認める先駆者となつて来ておるわけであります。そういうふうな事情等を考えまして、恒久法に直したということであります。  それから業種指定を政令に譲つたということは、先ほどちよつとお答えしたのでございますが、中小企業の現状から見ますと、業種が非常に多いのであります。工業関係におきましても、メーカー関係でも三百万の企業があると言われております現状であります。そういうふうな状況から見まして、成るべくこういうふうな事業は中小企業の中でも相当重要なものから順次取上げて行くということが適当ではないかというふうに考えたのであります。純粋に理論的に申しますと、独禁法におきまして何の指定もないのだから中小企業におきましても同断でいいじやないか。私はそれはその通りだと思うのですが、中小企業の実態から考えて、重要な中小企業から順次やつて行くというほうが、却つてこの調整事業を円滑に且つ公正に運用さして行く上に適当ではないかというふうに実は考えたのであります。それから中小企業安定法と言いながら実は調整組合法ではないか。調整組合法なら現在の中小企業等協同組合法の事業を活用してやつて行けばいいじやないか、こういう御議論でありましたが、現在の中小企業等協同組合法におきまする事業のやり得る範囲というものが、主として経済事業に限られておること御承知通りであります。価格協定を一例にとりましても、独占禁止法二十四条でしたか十九条か何か条文忘れましたが、価格協定も相当の制限の下になつておる、そういうふうな事情でありますので、将来は協同組合とこの調整組合を合体した一つ組合法に編成替えするのが私は筋だと思う。併しながら今日の事態において協同組合法の改正と両方を一挙にやるということは、なかなか時間的にもむずかしいというふうなことを考えまして、取りあえず施行されておる現行法に必要な改正を加えて行くというふうな考え方をいたしたのであります。近いうちどうせこれも一本に直して行くという必要が私はあると存じておるのであります。
  175. 早川愼一

    ○早川愼一君 今の御説明でますます中小企業の改正というのは余り意味はない、極端なことを申しますと独禁法が改正になれば当然それに法益を受ける。又価格カルテルの問題でありますが、これも組合事業の内容をそこまで拡大されれば、当然独禁法で認められておるのでありますから、これはもう不必要なような感じがいたします。さような点について特にこの独禁法が通らない場合を予定されて、こういう法律を制定される御意思であるかどうか御説明願いたい。
  176. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は実は衆議院の経済安定委員会の自由党の理事をやつておりまして、独禁法と取組んでおるわけでありますが、独禁法は是非通したい。御協賛を得たいという気持で実はおるわけであります。従いまして御指摘のような気持を持つてつておるというわけではございません。ただ独禁法において認められるカルテルの事業の範囲と、中小企業の安定法による調整組合事業範囲がこちらのほうに広く実は認めておるのであります。そこが多数の中小企業の活動をよりよくするために必要だ、こういうふうに考えて、いわゆる調整組合の同じカルテルであつてもカルテルの内容が、業務内容が違うというところに実はあるのであります。特に価格協定につきましては、独禁法と同じような条件の下に同じ規定に実はなつておりまするが、その他の面におきましては、若干幅が広い大きな先ほども申上げましたような企業からの影響に対するできるだけ自由な活動、防衛的な姿勢がとれるような意味において事業範囲を拡大しておる、ここが違つておる点であります。
  177. 奥むめお

    ○奥むめお君 私ちよつと提案者にお伺いしたいのですが、まあこれは大体私ども見ておりますと、独禁法の緩和と表裏一体をなすもの、二者一体という感じを受けますが、殊に消費者の立場を、非常に安く買えるはずのものも安くならないという点で苦しくさせる点では二者一体、余計痛切にそう思つております。只今、こういう法律というものは、産業政策の面と民生安定の面と両方から考えなければならないと、私もおつしやつた言葉は非常に同感に堪えないのでございますけれども、この調整組合というものは大体、たくさんあります中小企業の何割くらいをこれで救つて行こうというお見通しでいらつしやるのかということをお聞きしたい。それからこの調整組合の育成によつてこの法案の中から、私たち消費者の立場をどういうふうに民生安定の立場で守るというあなたのお気持が、ここに盛られているかどうかということを教えてもらえばいいのです。
  178. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 先ず本法によつて多数の中小企業の何割くらいが救われるかということになりますと、これは別表二十四、五業種がついておりますが、差当りこの二十四、五の業種においてやつて参りたい。これが日本の全中小企業の中に占める地位というものになりますと、非常に低いものだと私は実は思います。今日綿スフ、綿織物の関係を考えましても、日本全体に六千工場と称せられております。その他のことを考えましても、総体の数から言うと比較的少いと実は考えておるのであります。立法の目的としてどれくらいをこれにやつて行こうかということにつきましては、実は未だ考えておらんのでありまして、不況の事態が生じて必要が起つたときに、この適用を認めて行くようにしたい、こういう政令の中に業種指定をして認めて行くということにいたしたいと考えておるのであります。改正法案の中で消費者の利益をどう考えて行くかということにつきましては、法文のうちで何条でありまするか、特に第十五条でありますか、十五条がこの調整組合事業を書いてあるのでありますが、その中で検査制度を、従来は四号としてちよつとしか入つていなかつたのを、はつきり検査制度を打出したということは、例えば生産数量の制限をすれば、織物になりますと目方或いは糸数を減らすというふうなことにして、悪いことではありまするが、いわゆる品質の低下というものが起りやすい。これはどうしても品質の確保というものを検査によつて確保して参りたい。これは一面において消費者の利益を守るという意味のほかに、調整事業の実施を容易にして行くといいますか、そういうような二つの狙いで、検査制度を現行法よりもはつきり出して参つたのは、そういうような理由であります。更に第十六条の中に新らしく、消費者及び関連事業者の利益を不当に害しないようにというふうな言葉を新らしく、現行法にないのを加えて、消費者及び関連事業者の利益との調整を考えて参るというので、一項特に附加した、一応法文の上に現われました点は、以上二カ点だと思うのでありますが、できるだけそういう趣旨で運用して参りたいと考えておるのであります。
  179. 奥むめお

    ○奥むめお君 法案の中の、不当に害しないというのは、どういうふうに解釈されますか。
  180. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 消費者の利益をできるだけ何と申しますか、不正当なというか、不当なというような、消費者の正しい利益というものを頭に置いて、それをひどく害するというようなことのないようにして行こう、消費者の立場を特に強めて行く、強めて行くという趣旨で不当に害することのないように、こういう趣旨で入れたのであります。
  181. 奥むめお

    ○奥むめお君 非常にお苦しい御説明だと思うのですけれども、私はこの法案を読みましたときに、一番引つかかつたのはその言葉でございました。こういう言葉をお使いになるような精神で、この調整組合法ができておると思つて私は拝見いたしました。で今の中小企業の一〇〇%と言わなくても、せめて半分が救われるような何かの手当があるか、中小企業といいましても、もともとこれは零細な消費者でございますから、この日本の全体の消費者の苦しい生活、経済困窮というものは、これは大きな政治問題として、私は又別途の対策を立てなければならない問題でございます点は、実は提案者も十分御理解頂いておるところと思うのでありますけれども、そういう消費者の経済安定を図つて行くというふうな気持で御説明がありながら、そういう精神から言えば、この消費者の立場が何ら守られない。もつと安く生活が安定できるようなほかの政治的な制度、例えていいますと、日常生活必需物資だけは安く買える或いは困つたときの社会保障がある、とかいうような社会でございましたら、それは別の問題になりますけれども、私どもはこういうような不当なる損を与えないように、そういう言葉で考えられておるような、この問題は先ずその文句を是非改めて、同時に提案者の精神も私は改めて頂くことを要求したいのであります。
  182. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は国民生活の確保という見地から、国民生活ができるだけ安定して行くということが、政治の最終目的であると実は考えでおるのであります。国民生活の安定維持ということは、日本の与えられた条件の下におきましては、何と申しましても、産業活動が相当円滑に動かなければならんと考えるのであります。物が安ければいい、安いほどいいという心理は単に、勿論そういう場合がありましようが、物が一時に安くても、企業が潰れて来る、そういうことによつて日本の就労の率が減つて来るというようなことになつても困るのであります。どうしても企業が安定して、生産なり取引をやつて行くということで、そこに安定点を見付けることが、国民生活の安定の大きな基盤だと私は考えるのであります。中小企業が安定し維持されることによつて、それらに働いておる人々は勿論のことでありますが、全体の価格の安定等から見て、生活の維持安定への基盤が私は培養されると考えるのであります。そういうような趣旨から、中小企業の維持というものを図つて行く上の一つの手段として、この法律が必要だと私は考えておるのであります。
  183. 海野三朗

    ○海野三朗君 お伺いをいたしますが、今の中小企業、つまり個々の市場に売られておる如何なる品物でも、正当なる価格で、余り利益をとつていなくて、そうして作り出されておるという御仮定の下にこれが成り立つておるのですね、本法案は……。
  184. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 通常正常経済の運行をいたしておりまするときには、それぞれ相当な利潤というものは考えられるわけであります。本法の発動の要件といたしまして、特に需給が著しく均衡を失してこれが放置をして置くと非常な当該企業に損失が生ずる、従つて販売もしなければならんというふうな事態において本法の適用を考えておる、こういうことになりまして、非常に困難なときの切抜けの策としてこれを考えておるわけであります。
  185. 海野三朗

    ○海野三朗君 消費者側はよく気を付けておりますから、やはりいいもので安いものを買います。日進月歩の今日科学が日に日に進みつつあるのでありますから、その製品でも今までの製品よりも安くていいものがどしどし出て来ているような場合は如何ようにお考えでありましようか。
  186. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 新らしい品物が、よい品物が安くというのは経済活動の目標であります。いい品物がコスト割れせずに普通の利潤を得ながら運行されて行くという事態をもたらすということが必要なのであります。お話のような場合私はいい品物を割安に、而も正常な経営の下に売出して行かれるという場合には本法の適用というか、本法を使う必要のない場合と私は考えます。
  187. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと、この法案をずつと読んで見ますると、在来の仕事で儲けておつた或る少数のものをやはり温存的に救わんとする法案と考えられるのであります。如何なものでございましようか。
  188. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 過去の相当な蓄積を持つておる特定の小部分の人々の勢力温存という考え方は毛頭ございません。現行法をお読み願えればわかりますように当該業種に属する中小企業界の全体的な大量観察によつて必要な場合にこれをやろうという一つの条件が付いておるのであります。従いまして特定のものの勢力温存というふうな考え方は毛頭持つておりません。
  189. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういうお考えでないかも知れませんけれども、全体がそういうことになつておると考えられるのです。例えば針にいたしましても、もつと簡単に安くいい針をどしどし作られる、そうすると在来のようなまずい方法で悪い針を高く売付けておつた業者は自然競争の結果敗れて行くのであります。この敗れて行く人たちを救わんとする法案を全体の結果から見て考えられます。そういうことになつておると私は考えられるのですが、如何なものでございましようか。
  190. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私はこの法案運用に当りましては、当該業界全体の立場から考えるべきものだと考えておるのであります。当該業界が非常な破綻の状態に入るというのを防ぐために本法を認めて行こう、これは今回の独禁法の改正におきまして、止むを得ず企業の自己崩壊を防止して行くという意味において不況カルテルを認めておるのと同様でありまして、今日のような自由競争の経済の原則、これを中心に置いております日本におきまして、いわゆる能力のないもの、不当な行動をするものが潰れて行くということは経済の常だと私は考えております。
  191. 海野三朗

    ○海野三朗君 自然淘汰の原則によりましてやはり同じ目的を達する品物でありましても、少しでも安くて、そうしていい物というものがずんずん売れて行くのでありまして、そこに取残されておるものは過表において幾ら儲けたか知らんけれども、そういうものはやはり赤字出血、つまり潰れて行くのでありまして、これは自然淘汰の法則を何ともしようがないのじやありませんか。
  192. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は先ほど河野委員のお問いに対しましてお答えいたしましたように、日本の今日の経済を進めて行く上におきまして、自由な競争に任しておく、共倒れも結構だという考え方一つあると思うのであります。そうすれば最も強いものだけが残るということもありましよう。併しながら最もいいものだけが生き残るとは保証できないのであります。悪いものが残つていいものが潰れるという事態も当然予想されるのであります。特に今日の日本の経済のような底の浅い経済、いわゆる世界景気の波動を受けるとすぐ物価が二割、三割上つたり下つたりするというような今日の状況下において、日本の中小企業というものを一面から見れば純経済的のみでなくて、社会政策的な見地においてもこれを維持して行くという必要が私はあると思う。その意味におきまして、そういうふうな事態において本法案によつて難局を切抜けさして行くということが必要だという趣旨で私は考えたものであります。
  193. 海野三朗

    ○海野三朗君 これはどうも自然の水の流れに反抗した或る一小部分の業者を救つて行くということに、つまり全体の結論がそういうことになつておりはしませんか。自然の淘汰にはどうしても抗し得ない、私もそう思うのです。製造業者に行つて見ましても、実は鎬を削つて血みどろの戦いを続けて研究をしております。一銭でも安くしよう、一円でも安くしていい品物を出そうといつて血みどろの戦いを続けておるのであります。一時出血するものもございましようが、やはり競争に負ければ自然淘汰されて行くのであつて、私は人為的にこの法案で以て押えようとすることは不自然のように考えられるのでありますが、如何なものでございましようか。
  194. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 海野委員のお考え方は放任的自由主義競争に任しておけば自然に歩留りのあるものは歩留りがあるというお話のようであります。私はそういう考え方もあるということを申上げておるのであります。併しながら今日の日本現状から見てそういう形において日本の中小企業の安定、日本の中産階級の維持ができるかということを考えておるものであります。そこに成る程度の不況、難局に処して若干ほかからつつかえ棒をかけてやる、而も他の方面に影響するところ少くしてつつかえ棒をかけてやるということが必要だと思うのであります。特に日本の置かれておる地位という点から見て私はそう考えます。若しお説のようなことが日本の経済の全体の力では、もう少し自力があり、耐久力がある場合は私はそれでいいと思う。私は現在の日本の経済力においてこういう制度が必要であると考えております。
  195. 海野三朗

    ○海野三朗君 つまり科学の力によつて技術者が研究して一歩でも前進して行く、その前進して進んだものが勝を占めるというところの途を塞ぐ法案になつておるのでございましよう。在来の幾%かの業者も救うという法案になつておりはしませんか。幾%くらいはそれで救われるのでありましようか、日本の中小工業者は何割くらいこれで救われるのでございましようか。
  196. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 先ほど申上げましたように、奥委員からの御質問に対しまして答えましたように、これで日本の中小企業の何割を救済して行こうということを考えておるわけではございません。私は理想を言えばこういう法律の発動する条件、不況事態が生じてコスト割れが出て来て経営の維持すら困難な事態が来ないことを望むのであります。そういうふうな事態が来たとき必要な業界に対して本法の適用を図つて行こう、如何に不景気が参りましても、すべての産業に不景気が来るものとは思いません。これは御承知通りであります。いわゆる景気は比較的日本現状が跛行的に来ておることは御承知通りであります。その破行的に来た日本の産業に対して、一時の切抜け策としてこれを適用して行こう。従いまして、私は何割がどうこう、例えば金を渡す、中小企業金融の問題として、金をここに千億なら千億をどの面へ流して行く、これは現在中小企業が要求しておる長期資金の推定額の何割だという数字のときにははつきりわかりまするが、本法は、これによつて救わんとする対象が大よそどれくらいの見当とかいう御質問が私にはむずかしくてわかりかねておる、こういう趣旨であります。
  197. 海野三朗

    ○海野三朗君 今日赤字と言うて、つまり危殆に瀕しておる工業があまたありますが、その中でもやはり黒字でやつておるものが相当ございます。これをよく観察して見まするというと、あらゆる点に改良を加え、進歩し、そうして努力しておるのでございます。そういうものは、今日のこの不況のときに当つても常に黒字でやつておるのが現実の姿でございます。この法案は、要するに、そういうふうな凄いやつが出て来ると困るから、今までぼんやりして儲けておつたところのものを助けようというところの法案にしかならない。これは如何に弁護なさつても、それよりほかに私はならないと思うのでございますが、如何でございましようか。
  198. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私の考え方は、繰返して申上げたので、再び言葉を返す必要はないと思うのであります。あなたは特定の企業の御指摘のような事例を挙げておられますが、特定の企業について、そういう事態のあることも私は認めます。あなたも御承知通り、先般来大企業が不渡手形を濫発した、これによつて影響をこうむつたものは誰でありましようか、一つの大企業が不渡手形を出すことによつて影響をこうむるのは中小企業であります。中小企業というものは、自己の経営の能否のほかに、そういう問題が多多あるということを私は考えなければいかん。そういう事態に対して、我々が中産階級維持の立場から申しましても、何らかのそういう事態に手を打つというのがこれが筋だと私は考えるのであります。
  199. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちよつと、今不渡りということですから申上げますが、不渡りになつたと今申されますけれども、不渡りになるような商売をやる人その人自体が不健全な商売じやないのでしようか。私はそれを言いたいのです。例えば軍需工場で以て、大工場で以て不渡りを出した。それには、その下請工場をしておる者のあまたの者が皆困つておる。ところが、その大きい工場自体が不安なるところの仕事を引受けておるわけです。儲からない仕事を引受けておるわけです。これは、私は企業に対する根本の考えが違つておるからそういうことになつておると思います。損をする仕事を引受けて、借金で首が廻らない。現金さえ入ればいいから、とにかく引受ける、そうすれ、ばどうにかなるだろうというような、いろいろ腸チブスの熱の高い病人のやるあわてた企業をやつておるからそうでありまして、心を落ちつけて、果してマージンがあるか、相手方が経済的に間違いがないか、それをはつきり見抜いて業者がやるべき筋合いでありまして、そういう人は不渡りに引つかかつていないのでございますが、これは如何なものでございましようか。
  200. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 中小企業の実態は、それほどの余裕のないところに中小企業の実態があると私は思うのであります。大企業のところへ行つて百二十日の手形をもらわなければならんと、それでも仕事を得なければならんというところに今日の中小企業の実態があるのです。その実態を眺めて見て、我々は中小企業の維持をする場合に、若干の外からのつつかい棒をしてやらなければならん。若し、お説のように、大企業の下の系列企業が、若し大企業の内容が早くはつきりわかつてやるのなら、危なければ仕事をもらわない。ほかから仕事をとるということならば、私は中小企業問題というのは大きな問題にならんと思う。大きな問題になつておるという理由は、そういう百二十日、百五十日の手形をもらつて、なお危険を踏んで仕事をしなければならんということが、今日の中小企業の実態だと、そういうような意味において、一つ中小企業の実態をとくと御研究願いたいと私は思う。
  201. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと海野君に御注意申上げますが、提案者は、先ほど申上げましたように、四時半には退席しなければならんということを通告されておりますので、そのおつもりで、時間もございませんので御質疑を願います。
  202. 海野三朗

    ○海野三朗君 この中小企業の、こまいところの中小商工業者が困つておるのはよくわかります。私はその根本を言つておるのです。こういう中小企業の下請をやらなければならない、その親玉である大企業自体が根本方針が違つておるから、そういうことになつて来る。私はそこを申すのでありまして、それを大きな工場自体が不注意である、不用意であるから、そういうことになつたのではないか。従つて、中小企業が、こまいものが皆泣かされておるのではないか、こういうことを伺うのであります。
  203. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 御設例の場合に、下請の中小企業に落度がない、過失がないということはお認めのようでありますね。あなたは。下請の中小企業に過失なり何なりがないということは、お認めのようですね。お認めになりますと、大企業、親企業がそういう事態になつておるという場合に、これは別の線から直して行かなければならんと考えます。大企業を認める以上は、別の線から、もう少し健全な形で直して行くという問題があると思います。御指摘の通り。併しながら、一方において、中小企業が、そういう事態から受ける影響に対して、親が悪いから子はどうでもいいんだと、放つて置けという議論には私はならんと思う。子供でも人間であります。人間がどうにか維持できるような形に持つて行かなければ、そういう要請がここに生まれておるというのがこの法案なんであります。その点一つ御了承を願いたいと思います。
  204. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は、今お説のように、そう中小工業が皆いいんだというわけで申したのではありません。今あなたのおつしやるのは、大工業の下請をしておる中小工業が皆泣いておるじやないかと、こういうふうなお話でありましたが、その不渡りの手形ができるような場合の、引受けるところのその大工業がいけないのだ、中小工業にいたしましても、儲からないやつを、現金が入つて来るからいいということで受ける、そういうこと自体が私は間違つておるのじやないかと、こういうことを申したのであります。
  205. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 海野委員のお話はよくわかりましたが、これ以上発言いたしましても平行線を走るようでありますから、このところで御高説はとくと研究いたしたいと思います。
  206. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 改正案は、現行法に非常に手続が簡素化されておるようでありますが、先ほどのお話を伺いますと、条件が合えば機械的に認可する、こういうお話でありますので、更に一歩を進めて、事前の届出制度をなぜお取りにならなかつたかということを御説明頂きたい。
  207. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 私は、現在の日本の民主化の態勢というものは、独占禁止法との釣合いの問題もあるのでありまして、独占禁止法の改正でカルテルの届出主義もあることもあなたは御承知通りであります。いわんや、中小企業の場合はそれでいいじやないかという議論もあることも承知いたしておるのでありますが、独占禁止法がああいう相当な条件の下に認可制度になつておる。又一方から申しますと、皆様から御指摘もありました通り運用如何によりましては、消費者及び関連産業に対して影響を及ぼすということも私は考えなければいかん。そこに公正に行政権が基本的な点において見て行くということが、現下の日本の経済民主化の過程において適当だと、こういう考え方でありまして、漸次御指摘の方向には向くと思いますが、現段階においては、この程度が適当ではないかと、こう考えております。
  208. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 事前届出、若し公共の利益に反する場合には、それを停止若しくは禁止するということも、結果は同じで、且つ経済界の実情に即するのじやないかと、こういうように思うのですが、もう一遍……。
  209. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 経済民主化の行き方、特に独占禁止法という基本法制の立て方として一応全部カルテルその他共同行為は禁止していて、必要止むを得ないものを許可して、認可して行く、いわゆる穴をあけて行くという行き方と、これを自由に放つて置いて、いわゆる公共の利益或いは消費者の利益に対して、或いは関連産業に対して大きな影響を与えるときはそれはいかん。その弊害の面から取締つて行くという建て方は二つあると思うのであります。併しながら日本の現在の独占禁止法は前者に属するのでありますから、その前者の一つに併せてこれは考えて行く。特にこれは改正案でありまして、もともときめられた衣裳の上に化粧をするだけでありますので、そこまで行けなかつたという事情であります。
  210. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りをいたしますが、本日はこの程度で以て一応質疑は打切ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさよう決定いたします。速記をとめて。    〔速記中止〕
  212. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会