○
政府委員(
木村忠二郎君) 七月の五日に
舞鶴に参りまして、七月九日まで
舞鶴にお
つたのですが、その間の
事情並びにそこに到りました
事情につきまして、若干御説明申上げます。
第四次の
引揚船の
配船につきましては、通常、
引揚船がその前の回に帰
つて参りますまでに、次の
引揚船の
配船通告が、
中国側から三
団体のほうにあるのが従来の例であ
つたのでありますが、第三次の
引揚船が全部こちらに帰りましても、先方からこれに対しまする
配船の通知が全然なか
つたのであります。我々のほうといたしましては、この間の
事情につきまして、なんとも想像ができなか
つたのでありまするが、何か先方におきまする集結の都合かなにかで遅れておるのではなかろうかというふうに考えて、これにつきまして問合せをしなければなるまいというふうに考えてお
つたのであります。ところが五月の十九日に
中国紅十字会から
電報がこちらに参りまして、
在日華僑の
中国に
帰国するについての
配船並びにその
帰国の
援護がどういうふうにな
つておるか、それから
帰国を希望する
華僑はいつ
帰国できるか、それについてなんらの通知がないことは誠に遺憾である、それから
華僑で
中国に帰りたい者が何人おるか、それが第四次船に
乗船できるかどうかを知らせてもらいたい、これについての返事があ
つた上で、第四次の
帰国の、
日本人のための
乗船日時と、到着港を通知するという
電報が向うから参りましたというので、これにつきまして、
華僑の
帰国についての
手続を進めるように御依頼があ
つたのです。で、これによりまして、
政府といたしましては、これは担当をいたしておりまする外務省におきまして、いろいろとその
問題等を検討いたしました結果、その後第四次船には、なかなか乗せるとしますれば非常に時間がかかりまして、無理だろうというので、第四次船を先ず出して、そのあとの船で帰すというようなこと等もあ
つたのでございました。併し、とにかくこちらとしましては、できるだけ早くその点を明らかにしなければならんというので、
華僑を向うに帰すことにつきましての諸般の相談をいたしたのであります。かようにいたしまして、こちらから六月の七日になりまして、当方で以て大体話がまとまりましたので、六月七日に第四次船の四船のうち、できるだけ早くやりました場合に、天津向けの興安丸で、日赤が運航する赤十字船として、これは
在日華僑を三百乃至五百乗せて
帰国させる。それから
在日華僑の
帰国準備の都合があるからというので、第四次船の四船の
中国到着日時は六月二十三日から二十八日までということで、こちちで希望するその二十八日に行くのに、興安丸を使いたい。これは
華僑の
帰国は、全然それまでに
準備をしてございませんから、それから
手続いたしまして、それに対しまする
帰国を優先的に行うといたしますれば、これだけの期間が必要であるということで、この
帰国の日程を延ばしまして、こういうような日程をきめたのでございまして、これに対する返事を待
つたのであります。で、これに対する返事がその後全然ございませんので、
華僑に対しまして
帰国の
手続ができるということを通知いたしまするにいたしましても、それが大体きまりませんと、その仕事を進めることができないので、大変心配いたしておりました。ところが、六月の十四日になりまして、先方からそれで以てよろしい、それから出航前に
華僑の確実な人数を通知してほしいという通知が向うから参りました。実はこの六月十四日という日は、我々としましては、この日の午前中に、若しも
電報が来ませんと、その後に先の日程でよろしいと申されましても、その日程では向うに送り返すことができないというぎりぎりの日でございます。そのぎりぎりの日に漸く向うから
電報が参りました。これに対しましては我々といたしましては、その以前におきまして、六月の七日の
電報を向うに打ちましてから、これの回答が通常の状態で来ると考えられる期間内にこちらに来なか
つた場合に、その催促をしてもらうようにたびたび御依頼をいたしたのでありますけれども、その催促はついに三
団体においてはいたしてくれなか
つたのであります。かようにいたしまして、そのぎりぎりの日になりまして漸く向うから回答の
電報が参りました。そこでそれから日赤並びに
華僑総会と連絡をとりまして、その
華僑の送出の
手続を始めたのであります。従いましてこの
手続は非常に短かい期間におきまして急速に行わなければならんというような状態になりましたので、この間におきまして、
華僑総会等におきまして、十分に
華僑のほうにその趣旨、
手続等についての徹底を欠き、従
つて第四次船ではそのときまでに大体はつきりしている者、
華僑総会で把握しておる者だけを帰すというような考えだ
つたのであります。併しまあ希望する者はできるだけ間に合わせるように努力しようということで以て、十九日に東京を出し、それから関西方面は二十日に出すということで以て、その
手続を進めたわけでございます。ところがその後になりまして、
華僑の遺骨を向うに送り還すという問題が突然、これは前から問題があ
つたんでありますが、これを第四次船で還さなければならんという問題がその前後に起
つて参りましてやはりこれで以てごたごたをいたしたのでありますけれども、結局いろいろな話で以て、これは最終船に廻したらどうかということで、一応落ちつきかけたのであります。ところがどういうわけでありまするか、これにつきましては突然その前後になりまして、又ごたごたが激しくなりまして、その結果、二
団体の
乗船代表は、これが解決するまでは
乗船しないということになりました。そのために六月二十三日から二十八日までに先方に着くということにな
つておりましたこちらの
引揚船四船は、こちらを出航することができないということになりました。その関係でこちらの出航が最初の
高砂丸につきましては数日遅れました。
白山、白龍は大体予定の日に出航することができるようにはな
つたのであります。興安はその後の
華僑の送還につきましてのいろいろの問題がありまして、
華僑の
乗船拒否等がございました。その関係で数日これが又遅れて出帆することに相成
つたのでございます。かようにいたしまして、先方に参りました船がこちらにはなかなか帰
つて参りません。特に高砂、
白山、白龍等は早く出かけたのでありまするからして、六月の末或いは七月の初めには帰
つて来なければならんはずでありますが、これが全然帰
つて来ません。どうしたことかと心配いたしておりましたところが、向うからいろいろな
電報が参
つておるのであります。結局三船が、全部の船が揃わなければ帰さないというような話があ
つたようなことも聞いておるのであります。かようにいたしまして、七月の六日に
白山丸、
白龍丸が先ず
舞鶴に帰り、それから八日に高砂が帰るというような
電報が向うから参りました。我々といたしましては向うにその
出迎えのために出かけているわけでございます。七月六日には
只今委員長から御
報告がありましたように
白山丸、
白龍丸、この二船が帰わました。午前に
白山丸、午後に
白龍丸、両方合せまして一千七名の人が
上陸をいたしたのであります。で、この日に
帰国者全体会議がありまして、そうして十三
項目の
要求が夜中に決議されたようでございます。これを説明して、これに対する見解を聞きたいということで以て、七月七日の午前十時に、
帰国者の第一
代表、引揚者の
代表に私が次長の応接室で以て次長と共に
面会しました。そのときには衆参両院の
方々の御同意を得まして御出席を願いまして、ここでいろいろと説明につきまして承わりました。午前十時から午後三時半まで、その
要求事項につきまして、こちらの見解を説明いたしました。大体の見解といたしましては、先ほど
千田さんがお話になりましたと同じような内容でありまして、
帰国者の
方々がこちらにお帰りにはりまして、非常に生活の不安があるという点につきましては、我々といたしまして十分に認めているところであります。そのために各般の
援護措置を講ずることにいたしているのでございますこの援助措置につきましては、前から御説明申上げました
通りに、今回の中共からの引揚者の先方におきまする生活の状況並びに国内におきます社会
事情の変化とい
つたようなものに濫みまして、従来の引揚げて参りました
方々に比較いたしますると、相当の待遇を改善するということにいたしたのでございます。これは昨年の十二月の初めに中共地区からの
日本への引揚を集団的に行われる可能性が強くなり、三万人の先方に住んでいると称せられる
方々の中で、
帰国を希望されるかたについては全部これを
帰国させるという先方の談話からいたしまして、今回帰られるという
方々が三万人に近い数であるというふうに我々としては考えまして、これに対しまする
準備をすぐ始めたのでありますが、その際に、我々考えましたことは、従来帰られました
方々と比較いたしましてやはり国内
事情が相当好転している今日、又先方におきまして普通以上の生活をしておられる
方々が多い、つまりソ連等に抑留されておりました場合とも違いまするし、又戦争直後の状態とも違うとい
つたようなことを考えまして、こちらの受入についでは、どういうふうにしたらいいかということについては、いろいろと検討いたしまして、
国会におかれましても、この問題についてはいろいろと御討議があ
つたのであります。これについてその際にいろいろと御説明申上げたのでありますが、
政府といたしましては、これに対する方針といたしましては、従来よりも船内の待遇を非常に向上させる、それからそれに伴いまして局内に生きましてもその処遇をよくすることと、それから
帰国上の
手続につきましても、従来よりはできるだけ簡素化いたします、こういうようなことを考えまして、それを改善することといたしました。又これらの
受入態勢といたしましての就職の問題或いは住宅の問題、これにつきましても、従来は就職につきましていろいろと努力いたしたのでありますが、従来よりも更に就職の問題は困難があろうからということで以て、特別な措置を講ずることを労働省と話合をいたしました。労働省におきまして、その特別措置を決定するというようなことであります。住宅につきましても、従来と違いまして、割合にこちらの縁故の薄い人
がたくさん帰
つて来られるという点から考えまして、住宅建設の割合、つまり
帰還者に対しまする住宅建設の割合を大きくする、極力大きくすることにいたしまして、財政当局との話合をいたしたのであります。そういうふうにいたしますほか、新たに
帰還者に対しましては、従来全然いたしたことのない
帰還手当という制度を設けまして、この
帰還手当によりまして、帰りましてから当座の間に生活の不安が薄らぐように、又これらの
方々が就職いたしまするについての諸種の経費も必要であろうというようなことから、そういう
帰還手当というものの制度を考えました。又厚生資金につきましても、従来よりも金額を引上げるとか或いは利子を下げるとふいうような手段を講じまして、相当これに対しましては、現在財政上いろいろ問題があります中に、その内容の改善が行われたのでございます。次にそういうような点につきまして、
皆さん方にも非常に御不満を持
つておられるし、又今回のその応答につきましては不満を持
つておられる、こういうような状況でございましたので、詳細に御説明を申上げました。
で、先ほどお話がありましたように、
帰還手当を三万円にするということは相当困難である、皆様方の御希望は十分聞いた上で、これは十分検討して、よく善処すべきものがありましたならば善処するように努力したい。それから全国パスにつきましては、その必要というものについての説明が我々としましては必ずしも十分に納得が行きません。これにつきましても詳細にお話合いたしたのであります。全国パスにつきましては、特殊な人について、特殊な事例があ
つた場合、或いはそういうようなことでなしに、鉄道の無賃輸送をする必要の場合があり得るということは考えられるのですけれども、帰りました
全員にこの全国的な交通機関のパスを出さなければならんという必要は、それはあればこれに越したことはありませんけれども、なかなか実現困難であると考えまして、その趣旨を御説明いたしましたところ、最後の皆様方のお考えといたしましては、こういうどうしても就職のために長距離を移動しなければならないとい
つたような事例がある、或いは身分的な問題で長距離を動かなければならんという問題がある、そういうような場合に、鉄道の運賃を無賃で以てや
つてもらいたいというようなお話があ
つたのであります。そういうような
要求事項と全然違
つたことにつきましてお話合も最後にありましたので、これにつきましては、帰りまして十分にそのほうの関係方面と話合いたしてみたいというふうに申上けたのであります。
それから住宅と就職の問題につきましては、先ほど
千田委員からお話がございました
通りでありまして、住宅問題につきましては、現在我々がと
つておりまする住宅対策というものが、現在の
日本の住宅
事情から申しますれば、これが相当なものというふうに私は考えておりますので、その点を申上げたのであります。全然無為曲策ではないということについて御説明申上げました。それから就職問題につきましては、我々としましては、労働省と共に、この問題につきまして特殊扱いをする、特別にこれを扱うということで以て、現在まで就職をいたしております者が四五%という、これは六月十三日現在でございまするが、そういう成績をおさめているし、今後も努力したい、これで以て十分とは言えないけれども、
日本のような職業関係にある国におきましては、強制雇用ということができませんので、大体こういうようなことでやる以外にはないのじやないかと思う。そのためにはやはり
帰国者の
方々も十分自重して頂きたいということを申上げたのでございます。
それから免税問題につきましては、これは私のほうの所管でございませんので、その関係のほうにお伝えいたしましようということを申上げました。
それから開拓団の問題につきましては、先ほど
千田委員のお話のありましたようなことを私のほうからもお話したのであります。それから入植という問題も同様であります。それから
復員手当の問題につきましては、私どもはつきりその御説明が呑み込めないのでありますけれども、
復員手当は、これは恐らく未
復員者給与法によりますところの未払い給与の問題であろうというふうに考えまして、そのことは、どれを出す場合に、或る
調査に応じた場合に出す、
調査に応じない場合は出さないというような誤解を生じてお
つたようであります。我々としましては、帰られました
方々は未復員かどうかということを明らかにいたしますための
調査はいたしますけれども、或いは残留者の状況を明らかにいたしますために、或いは又未
帰還者の状況を明らかにいたしますために
調査はいたしますけれども、これと今の給与との関係は全然関係がない。未
復員者給与法によります給与は、これは未
復員者給与法という法律に従
つて出すべきものは出し、出すべからざるものは出さないということになるという点につきまして、詳細に御説明をいたしたのであります。これにつきましては、何らか強いられたる情報によりまして非常な不安を持
つておられるように承わ
つたのであります。さようなことは絶対にないということを確言いたしたのであります。
それから
国立病院の
面会の自由制限の問題につきましても、これも先ほど
千田委員のお話のありました
通り、我我としましては、
国立病院でさようなことはしていないはずであるから、具体的な事実があれば知らしてもらいたいということでお語いたしましたが、これにつきましては、何ら具体的な御説明はございませんでこれは単なる風聞のようでございます。この風聞も極めて不確実のもののように承わ
つたのであります。
それから
華僑の問題につきましても、これは
千田委員のお話の
通りでありまして、これにつきましては、我々といたしましては、
華僑を先方に送還するにあたりまして、これが帰られるについての
援護という問題につきましては、
日本政府の従来の立場から申しますれば、
華僑の
帰国は従来から自由でございます。
華僑が帰られますることについては自由でございまして、その自由意思によりまする
帰国というものは既に相当以前にこれは終
つておるが、その場合におきまして、帰りたい人に対しましては、これは全部帰ることについて制限をいたしておらないのであります。つまり
中国からこちらに
帰還いたして来る今回の
帰還と、
華僑の今回の向うへ送り帰すことにつきましては、その
事情が全然違
つておる、併しながら
日本政府といたしましては、今回向うからこちらに
日本人が帰
つて参りまする場合に、丁度それと入れ違いに帰
つて行かれますかたも、これが集団的に送られるということでありますに基きまして、又こちらから向うに帰られる
華僑の
方々の現在の
日本における生活状態が余りいいかたでないかたが帰られるという
事情につきましても、その説明を受けておりますので、人道的の見地から、その帰られる人の
援護につきましてはできるだけのことをしなければならんということを考えまして、これにつきましては我々が、在華同胞がこちらに帰られます際に、一般的に受けられました処遇と同一の処遇をできるだけいたしたい。かように考えまして、これらにつきまして我々の持
つておる情報を基礎にいたしまして、その情報に基きまして、それに相当することをいたしたのであります。従いまして、我々といたしましては
日本政府におきまして、
華僑が向うへ帰られますにつきましていたしました処遇は、向うから帰られましたかたよりも、こちらから向うに帰られた
方々を、こちらから向うに船でお送りするだけ余分のことをいたしておるというふうに考えまして我々といたしましては、こちらの処遇は悪か
つたとは思いません。ただ設備等につきましては、こちらに帰られました
日本人の方方を受入れますと同じ設備を
使つてや
つておるのでありますが、これが向うで以てホテルを
使つておられるという場合とは、これは違うということはあり得る、これは止むを得ないというふうに考えまして、そういうことを申上げまして、我々といたしてはできるだけの努力をいたしたということを御説明を申上げ、これにつきましても大した意見はなか
つたのであります。
それから向うから帰られます
日本人と同伴される家族たる華人の
方々の処遇の問題でございますが、これにつきましては、全般的にはこの処遇について何等の差別もいたしておらないのであります。だが入国につきましては、無論入国管理令によりまして管理官が置かれまして、入国の
手続が若干違うことは当然のことで、外国籍の人が入られるのでありますから、当然違うのでありますが、それ以外におきましてこちらは何等
差別待遇をしない。特に
援護につきましては一般の待遇をいたしておるのでありますが、
帰還手当の問題だけは、これは
帰還手当というものを作りました趣旨が、長年向うに滞在せられた
方々、即ち
日本人で長年向うにおられたかたの御苦労ということを考えまして、それを基礎にいたしまして、こちらに帰られましての就職の問題も考えるということで、当初この
帰還手当というものを発案いたしまして、そうして財政的な措置を策そうといたしたのでありますので、そういう趣旨からいたしますと、これが必ずしもそれに当てはまらないということになりますので、これを出すことはちよつと現在では困難であろう。併しこの帰りました
方々の
事情につきましては、十分同情すべきことがございますので、これにつきましては今後検討いたしてみたい、これにつきましては今まで申上げたことと違いまして、十分研究してみたいということを考えましてその旨を申上げました。
それから最後に、
民主団体の局内出入の自由を認めるとか、三
団体の
事務所を設ける問題、それから入局の問題、それから第五次の
乗船代表の入局の問題、これにつきましては、これは帰られました
方々の
援護に直接関係する問題ではございませんし、
援護局内のそういう
援護とも関係のない問題でございますので、これにつきましては別の理由で以てこれらの
団体と話合いをいたしておる問題であります。そうして話合いの上で、そういう方針をきめたので、局内の秩序を維持いたします上におきまして現在の方針を変える意思はないことを明らかにいたしたのであります。特に
団体の入局の問題でございますが、局内におきましては御承知の
通りに、船から上
つて参りまして、汽車に乗せましてお帰しするまでの諸業務及びその諸業務に関連いたしました
援護をいたすことにいたしておるのでありまして、従いましてその
援護の業務に関係のない
人々の出入りが多いということは、その業務を行う上におきまして支障が多い。従
つてこれについては制限をいたしませんが、自由に局内への出入りはこれは我々のほうといたしましては、局内の秩序を守る上において非常に困りますので、全面的に局内への出入りは制限をいたしておるのであります。特に
民主団体だけを制限するとか、或いは同様
団体だけを制限するということはいたしませんで、全面的に局内におきましては、現在局員も非常に少いことでありますから、局内の秩序を維持するために、できるだけ外部の
方々がお入りにならないことが望ましいので、ただ従来引上げ
援護に関係を持
つておられる
方々、それから帰られるかた
がたの留守家族、それから今度の引揚につきまして、いろいろと
中国側と折衝された
団体の
方々、こういう
方々につきましては、これは出入りを認めないわけには行きませんので、これにつきましては一定の制限を設けまして、この出入りを認めることにいたしました。これにつきましては、その後の状況によ
つていろいろ検討いたしておりますけれども、出入りは禁止をいたしておるわけではないのであります。又帰られました
方々の局外に出ますることにつきましては、これはその業務を受入れる上におきまして、支障のない限りは何らの制限をいたしておりません。あそこで外に出ますことにつきましては、理由がありますればどんどん出しております。ただ局内は業務を行うところでありますから、その業務を行うことと支障があ
つては困りますので、その点につきましては御注意いたしますけれども、この局内の出入につきましては、帰られました
方々については制限はいたしておらないのであります。そういうようなことにつきましては、十分御説明を申上げたのでございます。
それから三
団体の
事務所の問題につきましては、これは三
団体と申しましても実は二
団体でございます。二
団体から申入れがございました。日赤のほうは強い御
要求はないようであります。他の二
団体とはいろいろと話合をいたしたのでありますけれども、どうも局内に事務室を作りまして、あそこで事務をとらなければならないという必要は認められません。今後は船から降りて帰られました
乗船代表の
方々との連絡の問題であるとか、或いは今後の引揚の問題に関連いたしまして、或いは局での話合をする必要があるということでございますので、その話合がつきましてそれらの
方々が局内に入りました場合に坐るところもないということでは困るということでございますから、いろいろな公式の出迎者、或いは各種
団体の出迎者、こうい
つた方々の控室を作りました。そこでそういうようなことができるような措置をいたしましてこれは解決をいたしておるこいうことをよく申上げたのであります。
それから
小松勝子の事件につきましては、
小松勝子と阿部行蔵を中心といたしました一つの事件がございました、この事件は我々といたしましては、甚だ非常識な行為であると認定いたしましたので、あとから帰られます
方々が、そうい
つたようなものと同じような事件を起すというようなことがありますとよろしくありませんし、今後の問題もございますので、この御両者の
方々に対しましては入局をお断わりいたしましたのであります。こういう点につきましては所属
団体を通じて御通告をいたしてあります。局内の秩序維持の問題でございますので、一我々といたしましてはこれを変える意思はないということを申上げたのであります。
それから次回の
乗船代表の入局の問題でございますが、これは三
団体のほうに連絡をいたしまして、次回の
乗船代表の
方々が局内の
援護の業務の内容を知りますために局に来られる必要があるという点につきましては、我々もそれを認めますので、それがおいでになります場合におきましては、誰がいつどのくらいの期間おいでになるかということを連絡してもらう。それによりまして、我々としましては御入局をするように取運びまして、但しその期間は一日、丁度一月一ばい使いますれば、局内の業務がわかりますので、その期間に限りたいということにつきましては御連絡はいたしてあるのであります。今回問題にな
つておりますの一は、そういう
手続を全然せずにおいでになりました
方々の問題なんであります。三
団体の中央のほうに連絡を十分いたしてありますから、その
手続をせずしておいでになりました
方々につきましては、我々がお断わりをいたしたということは当然であります。ただその場合に
乗船代表であるというふうに言われますと、これに対しては入局を一応お認めしたのでありまするけれども、その制限内で入局を認めたわけであります。然るにその場合、御
要求が現地でありましたものにつきましてはお断りいたしたのであります。その件につきましてもお話申上げたわけであります。
大体以上のようなわけでございまして、我々といたしましては相当懇切丁寧に、五時間半に亘りまして御説明申上げまして、それでその日のお帰りにな
つたようなわけでございます。翌日又もう一度
面会に参りました。私としましては昨日十分お話がしてあるから、もう一辺お月にかか
つてお話をしても、結果は同じであると思いましたけれども、併した
つての御
要望でございましたので、お月にかかりまして、もう一度お話申上げました。更にその際に業務を拒否しておられましたので、我々といたしましては自発的に自由な意思でこちちにお帰りにな
つた方々が、あそこで
要求が容れられないからとい
つて業務を拒否されるということは、これは穏当ではないということを申上げたのであります。この問題につきましては、そういうふうに申したことが、
帰国者の帰られることを我々がいやが
つているというふうにおとりにな
つたようでありますけれども、私はそういう言辞は弄したことはないのでありまして、これにつきましては私はただ、自由な意思で帰られた
方々が、
要求が受入れられないということによ
つて、あそこで業務を拒否するということは適当でないということを申しただけでございます。そこで七月の七日、八日に亘りまして私はそういうふうにお話いたしました。その後これに対しまする
面会はいたしておりません。八日の日に高砂が千八百十九名、興安が千九百十名これが午前午後に分れまして
上陸いたしました。高砂、興安がこちらに入港して
上陸された際におきまして、棧橋の上に帰られました
方々が赤旗を持ちまして、相当数のかたが
出迎えに出られました。赤旗を振り歌を歌い、歓声を上げて
出迎えをされたようであります。従来局内におきしては、引揚者の名前を書きました幟と、それからこれを
出迎える県の名前を書いた幟と日の丸の国旗、これ以外の赤旗、幟、プラカード等は局内に持込むことは禁止しているのでございます。我々といたしましては余り制限したくないという気持で、これにつきましては一応お断りしたのでありますけれども、た
つてお入りになりましたので、これについて、は何らの措置に出なか
つたということでございます。我々としましては、ああいうふうにやられるごとにつきましては、余まり結構なことじやないのじやないかというふうに考えております。併し秩序が乱れるというところまで行
つておりませんので、我々としましてはこれに対して特別の措置は講じませんでした。
白山、
白龍丸につきましては、第二日の八日の日に業務をされたのでありますが、第三日目に至りまして先ほど申上げましたような
事情で、全面的に業務拒否をされました。そうして郷里にお帰りになる意思を
帰国者に望むことができないような状態にな
つたのであります。駐在員や留守家族のかたによりましていろいろ御説得があ
つたようであります。我々としましては、我々の局内の
職員からその業務を受けられるように、いろいろ御説得いたしたのでありますけれども、これにつきましては全然容れられませんでした。それから明くる日の七月九日に興安、高砂に対しまする業務を開始いたしたのでありますけれども、この業務措置をいたしましたけれども、これをお聞きな
つたところとお聞きにならんところとあ
つたようであります。これにつきましては全然業務に入らない、興安丸のほうは業務に入るようなお話だ
つたのでありますけれども、結局後に合流されまして興安も高砂も業務に入らないということでありまして、そこでこういう状態で以て便々と長くな
つておりますることは、
援護局としましては帰られました
方々が一日も早く業務を終りまして、待
つておられる留守家族のところへお帰りになれないので、
援護局としましては、従来集団的にお帰しします
方法を固持いたしておりますると、お帰りになりたいかたがお帰りになれないということになりますので、そこで一つの便法を講ずることといたしまして、業務を単独で希望されます
方々につきましては、その業務を開始することにいたしまして、その業務をいたしまして、それで本人の御希望で以て帰
つて頂くことにいたしたわけでございます。そういうふうにいたしまして逐次そういうような単独の業務が始まりまして、逐次帰られるように相成
つたようでございます。その数字は大体七月の十二日の午前中までに千五十五人、その後午後までに帰られます予定が四百三十六人、これはまだ詳細の
報告が来ておりませんからどうな
つたかわかりませんが、大体千五百名ばかり、四千七百名ばかりのうちで千五百名くらいのかたが一応昨日の夕方までに、晩までにお帰りにな
つたように私のほうでは聞いております。
大体以上のような状況でありまして、我々といたしましては一日も早く
皆さんがたが業務を行われまして、あそこからお帰りになるということを希望いたしております。又そういうふうな措置を逐次いたしたようなわけでございます。なお、その後の情報によりますると、昨日からその業務を再び開始することになりまして、その業務を開始いたしましたので、いずれ本日及び明日の二日間で以て最初の予定の列車のダイヤ
通りに十三日の日、つまり本日は
白山、白龍、高砂、それから十四日に興安が引揚特別列車によりましてお帰りになるように相成
つておるのでございます。
大体以上のような状況でありまして、私が先般参りましていろいろと折衝いたしました結果につきましては、そういうようなことで以ていろいろ問題もございましたけれども、二日間ばかり予定よりも遅れまして、引揚者の
方々もそれぞれ郷里へお帰りになることができるように相成
つたわけでございます。その後無断で以て
援護局から脱出されましてそして東京に
陳情に来られたかたが若干あるように聞いております。それらの
方々につきましては、
援護庁といたしましては、
援護局を無断で飛び出した
人々に対しましてこちらも折衝するということはできませんので、これにつきましてはお目にかからないようにいたしております。それからなお、二
団体の
代表の
方々が
援護局に参りまして、田辺次長といろいろ御折衝があ
つたようでございます。これにつきましては、やはり御説明申上げることは、私が当初申上げました
通りに、
援護庁といたしましては現在の段階におきましては、そういうふうにお
答えする以外はないのであります。又なお改善すべき問題があるかどうかという点につきましては、十分検討した上で
皆さんにお諮りいたしまして、厚生省といたしましては考えておる次第でございます。要するに我々といたしては、
引揚援護庁といたしましては帰られまする
方々、これが帰られまして、できるだけ不安のない生活を営みますることができまするようにいたすのが、我々といたしましてその本分であるというふうに考乏まするので、ただ
日本におきまする現在の各種の社会制度に従いまして、それとの釣合いもと
つたものを考えなければならんという二とは当然のことであろうというふうに考えております。そういうことによりましての制約がございますので、十分
皆さんが満足が行くということはとても行きかねると思います。併し御満足が行かないにいたしまして、も、生活ができないことのないように、各般の
手続ができまするように、今後とも努力いたして参りたいという考えでございます。