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1953-05-30 第16回国会 参議院 中共地域からの帰還者援護に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年五月三十日(土曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     常岡 一郎君    理事            西岡 ハル君            飯島連次郎君            三橋八次郎君            山下 義信君            千田  正君    委員            大谷 瑩潤君            榊原  亨君            林   了君            竹中 勝男君            紅露 みつ君            白川 一雄君   委員外議員            須藤 五郎君   政府委員    引揚援護庁長官 木村忠二郎君   説明員    文部省初等中等    教育局中等教育    課長      大田 周夫君    農林省農地局入    植課長     和栗  博君    労働省職業安定   局雇用安定課長  富山 次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件参考人出頭に関する件 ○議員派遣要求の件 ○中共地域からの帰還者生活援護情  況調査に関する件   —————————————
  2. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 只今から委員会を開会いたします。  本日の議事に入ります前に、御報告を申上げまして御同意を得たいことがございます。次回の委員会は、午前の委員長及び理事打合会決定に基きまして、六月二日の午前十時に開会いたしたいと存じます。案件は帰還輸送につきましてでございますが、具体的に申上げますと、第三次帰還船白竜丸で問題を起しておりますいわゆるスパイ事件でございますが、この事件在日華僑中共地区送還の問題を調査することに委員長及び理事打合会決定いたしました次第でございます。スパイ事件につきまして関係政府当局から説明を求め、華僑問題につきましては、日赤社長の島津忠承君、日赤外事部長工藤忠夫君及び東京華僑総会陳隅旺君参考人として委員会出頭を求めたいと存じますが、さよう決定いたしますことに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。   —————————————
  4. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) なおもう一つお諮り申上げたいのでございます。それは自然休会中に第四次の帰還輸送が実現されるかもわかりせんので、そのときは舞鶴議員を派遣いたしまして、帰還事務及び帰還者実情調査を行いたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  なお派遣期間派遣議員選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますので、御希望のおかたは早速御申出下さいますようお願い申上げます。若し自然休会中に帰還輸送がない場合は東京都内の一時収容所、或いは引揚者住宅を簡単に視察したいと存じますので、さようお含みおき頂きたいと存じます。それでは次回の委員会は六月二日の午前十時でありますから、よろしくお願い申上げます。
  6. 千田正

    千田正君 只今議員派遣の件でありまするが、自然休会中の議員派遣は一応やはり議院運営委員会に諮り、本会議の承認を得る必要があると思いますので、これは委員長から自然休会以前の開かれておる日というのは今日一日しかないと思いますので、至急お申出願いたいと思います。
  7. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) さよう取計います。   —————————————
  8. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) それでは中共地域からの帰還者生活援護情況調査に関する件を議題といたします。昨日の委員会決定に基きまして、本日は労働省農林省及び文部省当局からそれぞれ帰還者援護対策予算措置等につきまして説明を聴取することにいたします。先ず労働省当局から帰還者就職対策予算及び就職実情につきまして御説明を求めます。労働省雇用安定課長富山次郎君。
  9. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 今回の引揚が実現されますことにつきまして、労働省職業安定局といたしまして、とりました措置その他実況等を御報告申上げます。  今年の一月二十九日に先ず全国職業安定機関に対しまして、これが取扱についての基本的な業務上の視察をいたしております。その後随時必要に応じましてそれぞれの指示をいたしておりますが、先ず労働省自身といたしまして、とりました措置でございますが、舞鶴引揚港の現地に臨時の職業相談所を開きまして、毎回引揚げて参りました第一次、第二次、第三次船まででございますが、その人々の中の就職希望するかたがたに対しまして、職業相談を実施しておるのでございます。本省からは毎回係官を二名、及び舞鶴労働部職業安定課職員を二名、及び舞鶴職業安定所職員二名、都合六名で編成いたしまして、援護局内に特別な相談所を設置したのであります。  第二に、三回分までで相談をいたしました人々の数は千百十三名でありまして、この中には各府県が設置いたしました郷士室に派遣されておりまする県の職業安定課相談を受けた人数も若干含まれております。その際の相談の現況でありますが、各都道府県から最近の安定所の窓口に現われました求人状況であるとか、それらの産業別であるとか、職業別であるとか、そういう資料を収集いたしまして、その引揚者のかたが自分落着先に帰られてからの相談をするための準備的な相談をいたしたわけであります。無論職業紹介と申しますのは、紹介される本人を雇用主かたがたが直接にやはり見ておりませんと、なかなかその就職斡旋が困難でありまするので、その舞鶴相談所におきましての相談は、飽くまでも安定所を利用するについての予備知識であるとか、或いは現在日本の産業労働事情であるとか、そういうふうな意味合いの相談に終始したわけでございます、そのほか求職希望する際の調べといいますか、就職希望表と申しておりますが、そういう印刷物を引揚者全員に漏れなく配りまして、それをお持ち帰り願いまして、安定所を利用する場合にはそれに書込んで安定所のほうに持つておいでになるか、さもなければ市町村役場安定所に対する一つ取次機関でございますので、それを利用するか、さもなければ郵送してもらつても結構であるというふうに申して、そういうふうな希望する際の一つの様式的な書面を渡してございます。そのようなことをいたしております。  さて、その就職状況でございますが、すでに御配付申上げておりますけれども、実は詳しく申上げますと、五月十六日に各府県が調べましたものでございますが、その五月十六日現在におきまする求職申込みをされました総数は三千二百三十三人でございます。これは大体日にちの工合から見まして、第一次及び第二次船で帰られた人々が大多数を含んでおるものと思われます。と申しますのは、第三次船は上陸が五月八日乃至十五日の間でございますので、その上陸地に大体三日おりますから、自分帰り先に帰りました日は大体五月の十二、三日から十九日、二十日であろうと思われます。従いまして、この調査は十六日でございますので、第一次、第二次で帰られたかたがたが大部分を占めておるものと思われます。その三千二百三十三人の求職申込者は第一次、第二次船で帰られました全体の数、即ち九千八百四十三人に比べますと、大体三二%八に当ります。併しながら帰還者は御存知の通り家族連れが多うございまして、主として成年男子、即ち十八才以上の男子のかただけをとつてみますというと、その申込み男子は六六%に当りますので、私の考えを申上げますと、この安定所を利用して就職いたしたいと考えておられますかたがたが割り方多いのじやなかろうか、こんなふうに考えております。その求職申込みに対しましての斡旋状況でございますが、その十六日までに斡旋に成功いたしまして就職いたしました者の数は千五十八人でございます。なお、職業補導所のほうに入所いたしました者は二十九人でございますので、合せて一千八十七人でありまして、求職者総数に対しましては、三三%六に当ります。大体安定所のほうで斡旋いたしております一般普通の就職率は二四、五%というところでございますけれども、それに比べますれば、引揚者に対する斡旋の割合と申しますか、そういうものはかなり順調に進んでおるような気がいたすのであります。なお、安定所申込みましてのちにおきまして、自分の力で就職いたしました者は百八十入、それから安定所申込みませんで、自分の親戚或いは知人、友人等お世話によりまして、就職いたしました者は、判明いたしております者は二百五十七人であります。なお、これ以上に自分の力で就職した者もあろうと思われますが、とにかく判明いたしました分としては二百五十七人であります。その他就職申込みを取消しましたり、或いは病気等のために保留しております者もありまして、目下斡旋いたしております数は一千七百七十七人であります。この人々に対しまして、全国安定所がそれぞれ活動しておるわけであります。幸いにいたしまして、雇用主側の御協力を得まして、この中共引揚始つてからの最初にきまりました就職者は、三月二十三日引揚げて、その直後の三月二十七日に一番初めに就職されたかたがたでありまして、各職業安定機関におきましても、何とか努力を重ねて就職を結び付けさせたいというわけで、非常な御努力を払つておるような次第であります。  なお、予算の面でございますが、四、五、六月分の暫定分でございますが、本省におきましては、舞鶴出張費、若干の出張費二十九万円でございまして、地方のほうには、求人開拓費等におきまして八十九万円でございます。そのような予算になつております。
  10. 千田正

    千田正君 我々が一番心配するのは、できるだけ早くこの人たち就職、就労させたいというまあ希望なのでありますが、この予算の四、五、六月分で二十九万円の舞鶴出張旅費、或いは八十九万円の地方求人開拓予算というものは随分少いように思われるのであります。これぐらいのあれでできると思いますか。
  11. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 斡旋の仕方でございますが、先ずこんなふうに考えております。先ず求職の受付をいたしますと、そのかたが向うに行かれる前にどこに勤めておられましたかを聞きまして、これは併し十年も十五年もたつておる人もございますけれども、大体元の職場に帰ることができないかどうか、一応先ず御相談申上げます。それから安定所には現在とにかく人を欲しい、自分のところで雇いたいというわけで、中共から引揚げられましたことを別に選定いたしませんで、そういうことの条件なしに、とにかく人を欲しいということで申込まれております者の数は相当あるのであります。でありますから、そういう求人申込みの口といいますか、求人カードをいろいろ調べ上げまして、そのうちで適切な求人口を選定し、それに対する斡旋をいたすわけでございます。それから無論中共引揚者を是非とりたいというものもございますが、それには斡旋いたしますが、それでもなお且つ適当な所がないという場合に求人開拓をいたすのであります。それから求人開拓引揚者のためのみならず、普通にも求人開拓旅費は相当数持つておりまして、そのほうと合せまして、要するに一般人のための求人開拓費もございますから、それとこれとをいろいろ合せまして求人開拓努力しておるわけでありまして、何とかやつて行けると、こう思つております。
  12. 千田正

    千田正君 この四、五、六の三カ月間の二十九万円とは、あなたのほうとしては特別に舞鶴に派遣するとしても、何人派遣するのですか。
  13. 富山次郎

    説明員富山次郎君) これは二人の人間を、二人の労働事務官でございますが、それの引揚船が到着いたしまして、引揚列車が発するまででございます。
  14. 千田正

    千田正君 この地方求人開拓の八十九万というのは、これは又どういうふうな割当なんですか。
  15. 富山次郎

    説明員富山次郎君) これは職業安定所でございます。職業安定所が使う求人開拓旅費でございます。
  16. 千田正

    千田正君 何カ所ですか。
  17. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 安定所の数は四百八十幾らです。
  18. 千田正

    千田正君 四百八十何カ所に八十九万円というのはどういうわけですか。
  19. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 引揚げて来られました員数に対してどれくらい求職申込みがあるかを算定いたしまして、それによつて按分をしてやることになります。
  20. 千田正

    千田正君 四百八十何カ所に八十九万円というのは、一カ所当りどれだけに当りますか。
  21. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 大した数にはならないと思います。
  22. 千田正

    千田正君 我々の聞こうとするのは、このたびの帰還者というものに対して、労働省は特に意を用いてこうした人たち希望を満してやるための特別の予算を組んであるかどうか、この点を私は聞きたいのであつて、それに対してはあなたの御説明によるというと、四、五、六の三カ月に二人の人間舞鶴に派遣して、上陸してそれから故郷に帰るまでの間にいろいろの事情を聞くための費用として二十九万円、地方のほうに対してはやはり求人開拓する意味において八十九万円、四百何カ所という地方安定所に八十九万円ということは、すずめの涙よりも少い、これではあなたがたが真に帰還者のために労働省自体が真剣になつてこの帰還者人たちお世話をするという予算としては我々見受けられないのです。現在千七百七十八人という人たち希望しておるけれど、まだできない。これだけのいわゆる求人開拓費というものでは我々十分にあなたがたが意図するような目標には達せられないと思います。我々もこれは不足だと思うし、それに対してあなたがたは次の予算なり何なりに増額するという意思があるかどうか、その点をお伺いいたします。
  23. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 求人開拓費を潤沢に欲しいことは私も同感であります。求人開拓費安定所一般予算といたしまして相当な額を実は頂いておるのであります。それに附加うるに中共引揚のための予算ということで、それだけ一応お願いいたしたわけでありまして、無論潤沢ではございませんけれども、国の財政上のこともありますので、それで一つ力を入れてみようと、こういうように考えておる次第であります。
  24. 千田正

    千田正君 これは我々どうしても腑に落ちない、不賛成です。あなたがたは真剣に一般労働者と同時に又引揚げて来た人たちのことを考える。それで四百何カ所の地方安定所予算に対して僅かに八十九万円で何ができるか、できるはずがないじやないですか。これでは少くとも特別にこういう人たちのために考えるというならば、一カ所どんなに少くても五万円や十万円の費用考えて上げなければならない。仮に五万円としましても、約二千万円以上のものを用意しなければならないと思うのですが、こういう問題を疎かにするというのは、恐らく労働省のあなたがたは真剣にこの引揚げの問題に対して、政府の意図するところにいわゆる副う意思があるかどうかという点を私は疑わざるを得ない。これはむしろこれからでも決して遅くはないのでありますから、要求して頂きたいと私は思います。
  25. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 職業安定機関の我々のほうの課の職員でございますが、これが引揚者に対する職業問題について熱心にやつておりますことは、私が実は申上げるのはおかしいことでございますけれども、大変に真剣に実はやつております。どこの安定所でも、自分安定所こそ全国で一番の就職者を出したい、そういう考えで非常な力を入れておるのでございます。でこれは仮に求人開拓費が少いと申しましても、求人開拓だけにのみ安定所の仕事があるわけではございません。これは飽くまでもそれ以外の方法による周知宣伝方法もございます。又職業安定所が年間四百万からの求人口を扱つております、その中にも中共引揚者をとりたいと申しまする求人者もあるわけでございまして、自分たちの手許にある求人カードを十分に操作することによりましても、引揚者に対する職場口は探すこともできるのであります。でございまして、あえて求人開元費が少いとおつしやいますことは同感でございますけれども、併しそれがために、何とかして我々のほうで安定所に申込まれる求職者のために適切な職場を探したい、こういうような十分な考えを以てやつておるのでございまして、その点御了解頂きたいと思います。
  26. 千田正

    千田正君 あなたの説明はよくわかるのですが、これは一般求人と別に順位を定めるわけじやない、普通に取扱つておりますか。帰還者に対しては特別にあなたがたは何らかの優先的な処置をとるというようなことを、あなたがたは指令を出しておられるわけですか、その点はどうですか。
  27. 富山次郎

    説明員富山次郎君) これは我々のほうの取扱といたしましては、安定所に求めて参りますれば、必ず所長乃至は職業課長と申しておりますが、職業課長なり業務課長なりがお会いする、そうして十分に相談をいたしましてその適職についての相談を綿密丁寧にやつております。安定法上優先ということはございませんけれども、併しそういう心持で手厚い取扱をいたしておる次第でございます。
  28. 千田正

    千田正君 現在斡旋中の千七百七十八人にいうものに対しては、それならばあなたがたはあとどれくらいで片付くと思いますか。
  29. 富山次郎

    説明員富山次郎君) はつきりどのくらいということを申上げられませんが、先ほど申上げました就職者の中で、千九十名は三週間以内に安定所の力によつて斡旋ができたものでございます。その後若干の週間当り数字はいささか落ちておりますけれども、相当に早い機会斡旋をさせるように努力をいたしております。
  30. 千田正

    千田正君 でありますから私の言うのは、一般人たち求職に対して熱心にやつておることはよくわかります。併し特別にこういう人たちが追加したことによつて安定所のほうにおいても人間不足であるし、時間的にも容易でないだろうと思うから、予算をもつと殖やしてあなたがたの十分に活動できるような、或いは国民なり或いは帰還者人たちの期待に背かないような働きかけをするためには八十九万円では足りないじやないか。これを私は言うのであります。私はもつと殖やしてもいいと思う。そういう熱心さを以て大蔵省と交渉して下さい、我々も応援しますよ。それでなければ迅速にこういう問題は解決できないと私は考える。特にその点を私は要望いたします。
  31. 紅露みつ

    紅露みつ君 千田委員からの予算の面での要望、これは御尤もだと思います。とかくお役所は何か遠慮がちであるように見えるのですが、一つこの際頑張つてつて頂きたいと思います。  婦人のことでございますが、今回の引揚家族連れが多いので、その上からやはり婦人女子としての就職ですね、これは男子に比べて大変少いのですが、これはそういうような特殊な関係があるからだろうとは思いますけれども、どういう方面女子就職しておりますか。どうも近頃の女子の動きというものが悪い方面に流れるというような点で私どもは注意しているのでございますが、その大体の流れる方向がおわかりでございましようか。どういう方面就職斡旋していて下さるでしようか。
  32. 富山次郎

    説明員富山次郎君) そこに掲げてございます数字の全体のいきさつ、実は資料を持つておりませんからわかりませんが、その婦人のかたの御希望を先ず一応聞きまして、どういうふうな職場希望するか、その希望と我々のほうの求人状況とを見比べ合せまして適職をきめる、それから御斡旋申上げる、こういうことでございまして、大体事務系統であれば事務系統のほうに斡旋するとか、看護婦さんであるなら看護婦さんのほうに斡旋するというようにしております。
  33. 紅露みつ

    紅露みつ君 それは当然なんですけれども、大体どういう方向に流れて行くという傾向がございますでしようか、数字の細かいことは伺えないとしましても……。
  34. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 併しどうもまだ産業別とか、職業別はつきりつておりません。ただ就職いたしましても、何人という非常に早い統計をとつておりますので、もう少したちませんと全般的な調査はできないと思つております。
  35. 紅露みつ

    紅露みつ君 ただ、非常にこの問題は女子の場合は気を付けて頂かなければならないと思うのでございますから、この内訳も近い機会一つ出して頂きたいと思います。
  36. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今千田委員も申されました、就職についての労働省側の今までなされた努力に対しては私は感謝をしておる一人であります。併し今回の引揚者に関しては、国で払つておる極めて大きな関心とその対策措置等については皆さんも御承知のことでありますが、さつきのお話で、三割三分程度の就職を見ておるということは、一般就職率の二割四分に比べれば約一割近く多いということでありますけれども、併し、今回引揚げて来た人たちは外地でそれぞれ二定の職場にあり、或いは働き先きを持つてつた人たちであつたので、従つて、こういう人達が就職が非常に遷延をするとか、或いは就職が非常に困難であるとかいう状況考えると、それの及ぼす影響というものは、これは決して単なるその人個人の問題のみならず、その及ぼす影響が極めて大きいということを我々は実は考えておるわけであります。従つて只今お話のあつた極めて微少な予算では、なかなかこれから又第四次、第五次の船団を編成して引揚げて来るという近い将来のことを考えますと、先に来た人が未だに停滞をしておるということは、次に来るべき人たちに対して一つの不安と危惧を与えることにもなりますし、何とかこの機会に、折角予算は新らしく通常予算が編成をされようとしておる極めていい機会でありますので、この二十九万と八十九万という少い予算に満足する必要はないと思うので、私はこの際もつと積極的な予算要求もされて、そうして残つておる約二千名足らずの人たちに対してももう一層積極的な就職についての努力希望したいと考えるわけでありますが、只今お話の、大体このくらい一般休人開拓費も使えるのだから、改めて予算の増額は必ずしも必要でないかのごとく聞き取つたのですが、予算要求するに当つて何か工合の悪い理由、若しくは要求しても通らないというふうなはつきりした見通しでもあつてのことですか。この点を一つ伺いたい。
  37. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 別にそういうことはございません。
  38. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 若しそういうことがないとすれば、何ら躊躇逡巡をする必要はないと思いますので、これは今までの成績をむしろ基礎にされて、而も国会あたりでも極めて活発な意見があつたということを一つの又後楯にして、もつと積極的にこれを要求されて然るべきだと考えるので、私もこの点を強く要望しておきたいと思います。
  39. 榊原亨

    榊原亨君 ちよつとお尋ねしますが、この求人開拓費求人一人当り幾らくらいですか。
  40. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 実は私詳しい数字は持つてつておりませんのですが、一人当り幾らになつておりますか、ちよつとわかりかねております。と申しますのは、予算基礎を作りますのは無論私のほうでやるわけでございますが、幾らあつたらいいというふうな基礎がないのであります。求人開拓、無論今失業者のほうが多く、求人数のほうが少いわけでございまするけれども、その人を斡旋するために必ず求人開拓をしなければならんというものでも実にないのでありまして、又求人開拓をして参りますと、その求人に対しても斡旋することが不可能なものもあります。と申しますのは、なかなか求人求職との条件が一致しませんので、その一致することに努力を払うわけでございまするが、そういうわけでどのくらいの一人についての求人開拓費が必要だというようなしつかりした、科学的と申しますか、そういうふうな基礎と言いますか、そういうものがなかなか作りかねおる、こういうような状態であります。
  41. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますと、この引揚者に対しまして、求人開拓をするという場合の予算を御要求になる場合も、何も基礎なしに、ただ、漠と御要求になるということですか。
  42. 富山次郎

    説明員富山次郎君) それは我々のほうでも予算というものは成るべくたくさん欲しいのは事実でございます。併しながら、一般的に例の不成立予算と申しますか、あの予算でも求人開拓費は相当入つておりますので、その割合によつて要求をする、こういうふうに考えております。
  43. 榊原亨

    榊原亨君 只今の御説明では私よくわからないのですが、やはり予算を御要求になる場合には、何が基礎がなければできないことだと思いまするし、その基礎に基いて正当な御要求をなさつたときに、若し予算が通らないという場合には、相当の理由を以て強硬に要求できると私は思う。ところがさつぱりわからん、漠としたことで何もわからん、こういうことでありますならば、甚だこれは予算の御要求もむつかしいのでないかと思います。先ほどからお話になりました予算のことにつきましても、根拠がなくなつてしまうのではないかと思うのでありますが、そういう点において今後お考えになる御意思がございますか。
  44. 富山次郎

    説明員富山次郎君) こういうことでございます。例えばここに一千人の求職者がある、それに対して何人求人開拓をしなければならんかという見当をつけるのがむつかしいということでございます。それが一つの何の基礎によりましてきまりますれば、それに対する一人当りの開拓の旅費でございますから、それはもう旅費としては一定の限度がございますから、それによつて算出できる、こういうわけでございます。一概に仮に何万人来るからそれが全部求人開拓をしなければならんものだ、こういうのでなくて、その中の何人を求人開拓をしなければならんという見当をつけますことが、これはなかなかむつかしい、こういうことでございます。
  45. 榊原亨

    榊原亨君 それは今までの御経験ではわかりませんか。
  46. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 大体見当はつくのでございますが、精密にはなかなかつかない、こういうことでございます。
  47. 榊原亨

    榊原亨君 それでは大体見当がついたという、その見当をお知らせ願いたい。
  48. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 数字を実は持つておりませので、のちほど……。
  49. 榊原亨

    榊原亨君 それでは先ほど御答弁になりました、見当がつかないということと、大体見当がついたということは、話の筋道が違つておるように思いますが、これはこの次までによくお調べを下さいまして、お知らせを願いたいと思います。
  50. 白川一雄

    ○白川一雄君 御斡旋になりましたかたの行先が、重工業方面と中小工業方面とどういう傾向に多く行つておられるかをお聞きいたしたいと思います。
  51. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 県の人々の話をよく聞きますと、大体中小企業のほうが多いようなのが傾向だと思います。
  52. 白川一雄

    ○白川一雄君 大企業の方面に或る程度集団的に就職の世話をするというような事柄はできないのですか。例えば製鉄会社であるとか、或いは肥料化学工業の方面だとかという方面に行きませんと、なかなか千人、二千人という人を一人々々中小工業に当つておりましたのでは、しまい頃になる人は相当先になつてしまいます。これは重工業、大工業方面の理解を求めて、集団的に或る程度片をつけるようにしませんと、なかなか容易でないのじやないか、又次に引揚げて帰つて来るというふうに重なり重なつて来て、これは単に先ほどお話のありましたように、就職ができないという事柄だけにとどまらない影響が非常にあると思うのです。私自身も二度も引揚げた経験を持つておるのでございますが、船の中の食事とか、或いは着いてからのお世話だとかいうことは勿論有難かつたとは思いますけれども、一般の傾向を見てみますと、そんなものは考えようによつては、その場喜ばせだという感じさえするくらいに、あとの事柄というものが本人たちにとつては最も切実なことではないか。又長く向うにおりますと、日本の実相というものがかなり認識を違えて帰つて来るのが一般の傾向でありますから、そこに早く生活の安定を与えないと、非常にいろいろな違つた傾向になるということは、私身近かにいろいろ経験を持つておりますので、特に大工業のほうに積極的に行けば、百人や二百人の人はかなり順調に片がつくのではないかというように思いますので、その点大工業に対する労働省の現在とつておられる処置なり、交渉の要領というものの点をお聞かせ願いたいと思います。
  53. 富山次郎

    説明員富山次郎君) お話の点考えなければならん点があると思いますが、帰つて来られましたかたは未経験者と申しますよりは比較的経験の多いかた、それからいろいろな職種に分れておるようでございます。それで無論大工場にも各現地々々では管内のそういう所に働きかけておりますが、やはりまとまつて百人、二百人とやるときにはそれぞれの希望条件を場合によれば変えなければならんかも知れない、そういうこともありまして、そう一概にはうまくいかんのじやなかろうかと思います。やはり個人々々の職業相談を綿密にいたしまして、それに対応する成るたけその人の希望を活かしてやりたい、そういうようなところに斡旋することを私どもとしてはやつております。お話の点のそういうふうな大工場等で非常に協力して頂くところが我々の微力によつて発見できますれば、そういうことにいたして行きたいと思つております。
  54. 白川一雄

    ○白川一雄君 一つの大工場で百人、二百人というわけじやございませんけれども、一人々々でなく、一所で十人でも五人でもまとまつてという意味でございます。これは各地方々々でやられるよりは大企業というのはとかくまあ気位も高いところだから、地方々々が交渉したくらいではなかなか影響力が少いのじやないか、やはり中央、労働省の積極的な御交渉が力添えになつて初めて実現するものだろう、こういうように考えますので、そういう点を積極的にやつて頂ければまあ非常によく行くんじやないかと、こういうように考えるのであります。その点十分一つお骨折りを願いたいと思います。
  55. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 こちらから二人舞鶴に行つて、下船して汽車に乗られる間職業の斡旋に関してのどういうことをされているのですか。数千人或いは千数百人の人を数日間にどういう点を調べられましたかということを一つお伺いしたいのです。  それからもう一つは、中共で資格を、医者とか看護婦とかの資格を取つた人があるということでありますが、今日本へ帰つてすぐ医者になれない、看護婦になれないということが、これは私の属しておる厚生部会でちよつと問題になりましたが、これに対して何か労働省として考えておられるか、職業安定課としてお考えになつておられることがありましようか。
  56. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 舞鶴に参りまして、引揚げたかたの全部に対して一々御相談するというのでは実はないのでありまして、無論帰られたかたの中には御自分の家業につくかたもありましようし、或いは親威やら或いは交兄、友人、知人の世話で行くことも考えておる人もあろうと思います。ただそういうかたがたはそれでも非常に結構でございますが、それ以外に別にそういう知己も何もないというかたがたで、そうして御相談をしたい、こういうかたがたに対してお出でを願つておるような次第でございます。で、そこでやりますことは、その場ですぐこの職業につきなさいということを申上げるのじやなくて、今日本のまあ産業といいますか、職業といいますか、そういう事情はこのようなことであるというようなことを、そのかたが帰ります府県職業安定所の窓口から見たところをお話いたしまして、そうして、若し帰られて職業安定所を御利用なさるならば、こういうふうにして一つ利用して下さいというふうな斡旋を申上げる、そういうようなことを主として行なつておるのでございます。  それから、今お話の医師、看護婦等の免許の問題でございますが、確かに御指摘のような点がございます。それで同時に医師又は歯科医師、看護婦等におきましても、事が医療に関する、まあ言わば人の病気に関することでありますから、それが国家試験なり、検定なりというものを受けなければならんものであるならば、これはやはり受けなければならんことだと思います。但し私どもの希望しておりますのは、そういう人々に対してまあできるだけ早い機会にそういう試験やら国家試験、或いは検定やらの受けられるような処置ができなかろうかということで、厚生当局に対しましてもいろいろお話を実は進めておるような次第でございます。
  57. 山下義信

    ○山下義信君 一つだけ伺つておきたいと思いますが、あとから参りましたので質疑が重複いたしておりましたらばおつしやつて頂きたい。  帰国者の就職斡旋労働省で心配して頂いておるのですが、帰国者の援護という上からその就職斡旋の上にどのような特別な考慮、若しくは配慮がされてあるかという点を一つおつしやつて頂きたい。
  58. 富山次郎

    説明員富山次郎君) まあ職業安定機関全体が自分たちの力の総力を振つてできるだけ手厚い取扱いをし、成るべくその人の職業に適した職業を斡旋したい、こういうことを念願しながら実は行なつておる次第でございます。
  59. 山下義信

    ○山下義信君 それは職業安定の、職業紹介の仕事としては当然のことであつて一般求職者に対してもその通りしなくちやならん。今私の質問しておるのは、その帰国者の就職ということについて、援護という建前から何か特別の考慮を払つておるかどうかということなんです。
  60. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 御質問の趣旨がちよつと……、具体的に何かございましたらお話願いたいと思います。
  61. 山下義信

    ○山下義信君 それは言うまでもないことでありまして、帰国者に対しましてはあらゆる意味において、その受入態勢という上において手厚い援護をして、そうして内地へ帰つて一日も速かに生活が安定するように政府当局努力をして行かなければならんのでありまして、厚生省のほうでは引揚援護庁もそれをいろいろやつておる。或いはあとで問題になるのでしようが、子供の教育では文部省が心配しておるでしようが、その就職等については労働省がこれを受持つて十分に心配してもらうというので、その帰国者の人たちに対して特にその長い抑留の外地から、中共から引揚げて帰つて来たという特殊の事情に対して、特別の何か計らいというものがなくつちやならん、こう思うのです。今までのことを聞いておると、内地の一般の人に対する職業紹介の当然あり来たりのことを、ただ所定の手続でやつておるというだけで、別に何のこともしていないということになると、援護という建前の上からは何もしておらんということになるように思うのですが、何かしておるかということを聞いておるのです。
  62. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 無論普通一般のかたに対しましても、安定所は飽くまでもその人の適職斡旋すること、これがまあ使命でございますが、それにもまして今回の引揚者についてはそれ以上の手厚い取扱いをしております。
  63. 山下義信

    ○山下義信君 しておるというのですか、していないのですか。
  64. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 手厚い取扱いをしております。
  65. 山下義信

    ○山下義信君 その手厚いというのはどういう扱いですか。
  66. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 安定所長及び業務課長みずからこれに対して職業相談をいたし、みずから必要があれば求人開拓をする、そうして適所に対する斡旋努力しておる次第であります。
  67. 山下義信

    ○山下義信君 ちよつと納得しがたいのですが、その程度が手厚いのであることになると、普通の国民には手薄いことをしておるということになつて来る。それは当り前のことなんですね。私が聞くのはそういう抽象的な気持とか心持でなしに、具体的な措置の上に何かしているかということなんです。していなければならないはずです。していなけければ甚だ怪しからことなんです。それでそういう帰国者に対しての後護の対策については、所管庁があり、主務官庁があつても、やはり関係の各省の皆さんがたが打合せを十分にして、当然それは援護という面からいろいろなことが考えられ棄有ればならんと思う。それじや私は聞きますが、この人たちの特殊の事情に鑑みてですよ、言い換えたら長い間の外地の抑留生活から帰つて来た、先ほど同僚諸君の御質疑の中にあつたように、内地の事情に疎いとか、生活の基礎が書ていないとか、いろいろの特殊の事情のあるこれらの対象者に対する職業斡旋就職問題については、その所管の労働省が当然これは一工夫しなくちやならんと思う、そのことで何か工夫なさつたことがあるか、例えば就職について何らかの保障を与えるとか、先ほどかから御議論になつておりました職場の開拓に特別の考慮を払つたとか、或いは就職までの間その人たちのことについて一つの保誓いろいろ生活の上についても援護庁方面と連絡して考慮するとか、何かそこに工夫をこらしたかということを聞くのです。若しそれが何にもないというならば極めて冷淡だ、労働省はこの面に関する限り……。先ほど予算のときにも指摘しておつたが、何らの工夫をしないというのじや内地の就職斡旋と同じことになる。型のごとく職業安定所のただ普通の一つのあり方だけで、特別の工夫も考慮も加えないというならば、極めて冷淡だと言わなけばならない。なぜ特別の考慮をしないのか、工夫をしないのかということの労労働省の気持がわからん、なぜしないのか。
  68. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 今お話を伺いまして、意味は実はわかつたのでお答えします。特別の措置、特別の取扱いをしていないかということでございますが、舞鶴にわざわざ臨時相談所を設けて、ラジオ放送もいたし、希望者の就職に対する相談をいたしたい人には一人当り三十分や一時間もかけまして、相談を実はいたしております。これも一つの特別の措置であると思います。そこで私どものほうでどうしてもそれらに対しては前以て事前に紹介しておかなければならんというときには、その場からすぐ地方の安定課及び安定所のほうに出します。これも一つの特別の取扱いであろうと思います。  それからその人々に対しましては就職希望票と申しまして、先ほどちよつと触れましたが、そういうものを一人残らず実は配付いたしてございまして、若し舞鶴引揚所におきましては、いろいろ援護事務が輻湊いたしおりますから、十分自分考えをまとめるわけには行かんでありましよう。併し汽車に乗つて郷里に着くまでの間にはいろいろ考えも出て来ると思います。そういうものを一つ希望票にお書きになつて、いつでもいいですから安定所のほうにお持ちになるか、さもなければ御郵送願つてもいい、さもなければその土地の市町村長宛に希望票を出してもらえば、それを市町村長のほうでは安定所に取次いでくれることになつておりますということを全部実は知らしておるのであります。それから地方職業安定課及び安定所でございますが、これらのところにおきましても、現地に職員を派遣するか、さもなければ東京都におきましては静岡から帰還列車に乗込みまして、車中で一人々たの希望職業相談をいたしておりますし、北海道におきましても、青森まで出迎えに参りまして、そうして連絡船の中で一つ一つ相談を実はいたしているのであります。このようなやり方をとつております県は大多数がそうでございますし、中には私のほうでも要望いたしておりますのは、大きな需要を控えている府県は、必ず現地に出向いて協同一致で一つ我々と一緒にやつてもらいたい、そういうふうな措置を実は講じておるのであります。併し彼らが職業につくまでの生活援護の問題等におきましては、これは労働省といたしましては実はできませんので、厚生省のほうに実はお願いをいたしているような次第でありますし、各省それぞれ所管事務に従いましての努力をいたしている次第でございますから、労働省が冷淡であるというふうなことは私はない、こういうふうに実に考えております。
  69. 山下義信

    ○山下義信君 だんだん聞いて見るというと、サービスについてはいろいろ御尽力、御努力なさつている点は非常に有難いと思います。けれどもサービスだけじやいかんのでして、結局目的は、要するところ就職させなければいかん、就職ができるということでなくちやいかん、途中どのようにサービスしても、就職できなかつたらこのサービスは無駄なんであります。就職ということが先決なんであります。私どもは何か援護という建前から伺つてみても、一般の職業安定という事務のとり方というものを聞いておるのじやない。ですから就職という面で援護をやることになると、就職ということについて責任を持つて引受けてもらわなければならん、よし引受けた、帰つて来た人の就職を引受けた、労働省は責任を持つて一〇〇パーセント何というか、完全就職というか、努力しようということがあつて私は援護になるのだと思います。で、まあ求人とうまく繰り合せて行けば、それでもうできた人にはそれでいい、できん人はもうしようがないというのだつたら援護にならん、求職する人の全部の人に職業を与えるという一つの意気込みがあるなら、私も抽象的に聞きましよう。それだけの意気込みがあるかどうか、熱意があるかどうかということなんです。労働省にその熱意があるかどうか、帰国者全部の者を就職させる熱意があるかどうか、それができて援護である、それをうつちやらかしておくなら援護にならん、その熱意があるかどうか。
  70. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 無論安定所に対して求職申込みをした者に対しては、私どもは全部職業の斡旋をいたしたいと考えております。
  71. 山下義信

    ○山下義信君 有難いと思う、そうであろうと思う、私はその答弁を聞きたかつた、私はその答弁で満足する。そういう熱意があるならばどういう工夫をしておいでになるか、全部を就職させるためには放つて置いたらできません。三三%ですか、ここの資料に出るように、当り前の職業安定の求人求職をただ引会わせるということではいけない、一〇〇パーセント就職させるということには工夫が生れて来なければならん、熱意だけではいけないが、その熱意に基いてどういう工夫をしてやるかということを聞いておる。先ほどからそれが余りないということでありまして、それでは折角の熱意も水泡に帰する、これは一つつてもらわなければならん、全部の就職を引受ける就職保障というものをやつてもらわければならん。それでその就職、未就職の人の生活の問題は、これは厚生省のことだといつて撥ねてもらつては困る、そのほうは労働省には関係はないとは私は言わさん、やはり言い換えたらば、就職ができない人は失業者である。こういう解釈、これはすぐ内地の失業者というわけにはいかんが、向うで職業を持つてつて、帰つて来てこつちで就職ができない失業者に対する就職保障は労働省が持つておる、そういう意味で何かあなた方のほうでそういう人たちの完全就職をするまでの措置というものは、労働省労働行政の上から、隅から隅まで探して見て何か工夫するものはないでしようか。
  72. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 職業につけない者、そのために生活が困難に陥るということにつきましては、これは厚生省のほうで面倒を見なければならんことでございます。
  73. 山下義信

    ○山下義信君 この就職までのいろいろな生活面の援護については、例えば職業補導をしておる人たちに対しては、この間のまあ手当を出すやり方もあつたり、今いつたような、昔は失業手当というものがあつたが、今はなくて、失業者には失業保険を払つたりして、やはり未就職の人については労働省でいろいろ工夫しているのですが、何か工夫はありませんかね。この職業につくまでの人に対してできるだけいろいろな労働省関係で援護をして上げるというような面はありませんか。
  74. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 先生のほうに若しお知恵がございましたらお知らせ願いたいと思つております。
  75. 山下義信

    ○山下義信君 それから、いま一つ承わりたいのは、この引揚者を雇うことについて、これは私率直に言うんですが、今度引揚げる者はどつちかと言えばもう赤くなつた、而も赤くなつた者は筋金が通つた赤い闘士だというようなことが一般に噂に伝わるんですね。それで雇おうという人の、いわゆる求人のほうにいわばそういうことを嫌う傾向が率直に言つてありますか。そうして又そういうことによつてあなたがのほうの就職斡旋に非常にそれが阻害されて、支障になつておるという事実があるかどうかということを一つ聞いておきたい。
  76. 富山次郎

    説明員富山次郎君) そういうことのために支障になつたということは実はまだ聞いておりません。
  77. 山下義信

    ○山下義信君 ない……。私の質問はこの程度にしておきます。
  78. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 質疑はありませんか。
  79. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 山下先生の質問とちよつと逆になるかも知れませんけれども、熱心の余り、或る安定所が自由労働者の手帳を引揚者に渡したという所があることを聞いているのですが、そのために自由労働者が非常に憤慨して、ちよつと騒ぎを起した安定所があるのですが、これは私は熱心の余りの行過ぎじやないか。日本の産業社会というものが実は失業者の包容力がないので、これは非常に熱心で、求人を開拓するということについて熱心というものはなくてはならないと思いますけれども、日本の全体ということからも、よほどやはり考える必要があると私は思うのですが、殊に自由労働者を圧迫するような結果が出て来ることは私は危険だと思います。そういう事実があるものですから、これは別に質問というか、私の希望です。それは引揚の事務は二人行つて舞鶴におられるという間に、もう少し何と言いますか、各府県安定所に十分連絡をとるとか、そういう点がもう少し精密に行つたらよほど違うんじやないかと思います。
  80. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 安定所間の連絡はこれはなかなかむずかしい問題でございますけれども、これに実はやかましく申しております。それで各府県から郷土室へ出ております職業安定関係職員がいます。そのほうで相談いたしましたものはそれは随時通報するか、或いはほとんど一緒に持つて帰るようになります。それから我々のほうで相談をいたしましたもので非常にケースがむずかしいと思われますものにつきましてもこれは特別に我々のほうの手紙を以ちまして当該者のほうですぐ連絡する、そのほうでもう一回お会いしてお話合いをする、そういうようなことを実はやつておるのであります。それが一つ安定所職員に対する熱心さをかき立てるようなことにもなりますと、大変効果的なことじやないかと思つております。
  81. 千田正

    千田正君 富山課長にお願いするのは、この委員会は国会中ずつと継続してやつておりますので、それで就労した資料を一応揃えて委員長の手許まで一つ御報告願いたいと思います。
  82. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 先ほどの山下先生の質問に対して、そういうことはないんだろうが、産業別に、いわゆる思想問題で企業受入の雇用主が相当やはり何か警戒するようなところが絶無だとは言えないと思いますが、それでどういう所に就職したか、中小企業が主にそうだろうと思うんですけれども、それから婦人就職先、これもやはり綿密に先ほど紅露委員からお尋ねのあつたように、これは十分注意する必要があると思います。そういう意味で就職の種別の御報告をできるだけして頂きたいと思います。
  83. 富山次郎

    説明員富山次郎君) 承知しました。
  84. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今資料の問題が出ておりますが、一つ私からもお願いしたいのですが、就職希望した、どういう職種にどのくらいの人数が希望したかということを、就職した結果もそうでございますけれども、船から上つた場合に何名がどういう職業を希望したかということを一つわかれば資料をお願いしたいと思います。
  85. 千田正

    千田正君 できるならばこの委員の数が十六名、そのほかに事務局等もありますので、この援護庁でよこしておるような資料は各員に配付するように繊料をまとめてお願いしたいと思います。
  86. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 御質疑ございませんか……。  それでは労働省関係のほうはこれで終りまして、次に文部省の当局から帰還者及びその子弟に対する予算措置並びに実情につきまして説明を求めたいと思います。中等教育課長大田周夫君。
  87. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 帰国児童生徒の転入学についての御説明をいたしたいと思います。  先ず最初に三月十三日附で転学要綱というものを都道府県の教育委員会と知事宛に送付いたしました。その主な内容は、小中学校では児童生徒の年齢相当の学年に転入をして頂くようにするということ、それから向うの高等学校の課程に相当しました学校に在学しておる者につきましては、それぞれ相当学年に転学の資格を認めて頂くように、特に公立の高等学校におきましては、転学を希望する生徒については時期と定員にかかわらず転学を認めて頂きたい、こういう通達を三月十三日に出しました。大学につきましては、本人の学歴に応じまして入学編入の取扱いをして頂きたい。入学編入の時期につきましてはおおむね四月と十月の二回にする。それから入学、編入学の選考につきましては、大学におきまして適当と定めた方法によつてやるということ、大学の第一年次に入学を志願する者で、大学の入学資格であります十二年の学校教育を終えていない者、日本の大学では高等学校まで第十二学年を終えた者が入学の資格があるわけでございまするが、そういう者でないものにつきまして大学入学を希望する者は、その大学で入学資格検定試験をして入学資格を認めてから選考して頂きたい、こういうような通達をそれぞれ出したのでございます。  次に、引揚が始りましてからは舞鶴引揚援護局に文部省派遣員事務所を設けまして、六名の職員を派遣いたしております。その事務所で転入学の教育相談に応じております。それから相談に来られましたかたがたの名簿を作りまして、それぞれ引揚げてお帰りになる関係の教育委員会にその名簿を送りまして、受入れの準備ができるような措置を講じております。  次に向うの卒業証明書であるとか、在学証明書又は成績証明書などを持つてつておられない児童生徒もありますので、そういう方々につきましては、相談に応じましていろいろ事情を聞きまして、大体日本の学校のどのくらいのところに相当する学校に在学しておられたものだ、こういうような証明書を作りまして、これを差上げております。その他舞鶴に帰えられますと、「新しい教育のしるべ」というハンフレットと「故国の姿」という印刷物を差上げまして、日本の教育事情についての御理解をして頂くように努力いたしております。なお現在使つております教科書できるとか、それから子供の絵本、写真、図表、学校の児童生従の作りました作文であるとか、図画、そう  いうものを展示室に展示いたしまして、引揚の皆様がたに日本の教育事情を御理解して頂くお役に立てております。それからなお科学映画であるとか、文化晩画であるとか、娯楽映画等を映写いたしております。それから舞鶴の地元の学校の児童生徒さんの協力を得まして、学校を一日開放いたしまして、引揚の児童生徒さんと舞鶴の児童生徒さんとの交歓会を催して、長年の引揚に対する御苦労をねぎらつておるのでございます。  帰国後のこれらの児童生徒の就学状況につきましては、全国的にまだ調査いたしておりませんので、はつきりいたしません。舞鶴の文部省派遣事務所で相談を受けました生徒児童の総数は千八百十八名でございます。私のほうの相談所においでにならなかつた方もありますので、実際の数はこれよりはうんと上廻つておるのではないかということを想像いたしております。この相談を受けましたかたがたを年齢別に大体どういう学校に何名ぐらいかということを推定いたしてみますと、小学校に該当いたします者が千五十二名、中学校に該当いたします者が四百十四名、高等学校に該当します者が二百八十六名、高等学校母上の者が六十六名でございます。先ほども申上げましたように、それぞれ定着されまして以後の就学状況調査はできておりませんので、その後のことははつきりまだわからないのでございます。
  88. 千田正

    千田正君 文部省としましては、このたびの帰国に対しての文教の面における対策としての予算幾ら組んでおるか、又その予算の内容としては何を対象にして組んでおられるかということを承わりたいと思います。先ずその点を承わりたい。
  89. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 文部省といたしましては特別に予算は盛つておりません。
  90. 千田正

    千田正君 そうしますると、仮にあなたがた舞鶴に派遣して転入学の相談等を受けた千八百十八名、中にはこの義務教育の面は仮に国庫で一部負担或いは地方自治団体で負担するとしましても、それ以上の学校に入学する、或いは学費が十分じやないという予想もつくのでありますが、帰つても定着先において十分な生活ができなくて、恐らくどうにもならない、進学の希望は非常に切なるものがある、こういうような文教面に対する施策を文部省はどういうふうに考えられておりますか。
  91. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 高等学校以上のかたがた相談につきましては、高等学校については御承知の定時制課程というものがございます。こういう制度がありますから、お帰りになつて職を求めて働きながら勉強する方法もございます。又通信教育という制度もございますので、そういう制度があることをお話いたしまして、就職ができればそういう方法を選んで是非高等学校以上の勉強をして頂きたい、こういうことを御説明いたしております。
  92. 千田正

    千田正君 文部省は全然こういう面において予算を組んでいないというのは我々は腑に落ちないのでありますが、そうするというと、今までのいわゆる新学年度におけるところの全国の児童プラス帰国者の児童或いは生徒というものに対しては、予算を従来の予算通りでもかまわないから、一切のものは国でみてやるという方針の下にやつておるのでありますか。もう一度言いますと、予算はあなたのほうでは帰国の生徒や児童に対しての予算は組んでいないと、仮にこれだけの相談を受けた場合でも、千八百十八名、小学校が千五十二名ですか、中学校が四百十四名、こういう人たちに対して教科書とか或いは進学上の費用というものは文部省では予算は組まなくても、当然地方自治団体なり何なりにおいて当然みるべきものとして、これはかまわない、そのまま定着地に送り込めばそれでいいのだという、そういう考えの下に何ら組まなかつたという理由でありますか。
  93. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 私ども二、三学校を調べたところでは、帰国者を受入れました地元の教育委員会で教科書なり学用品を差上げておるようでございます。
  94. 千田正

    千田正君 それでは全然昭和二十八年度の予算においては、文部省としてはこの帰国者に対する特別の考慮の下の予算は全然組んでいない、かように承知してよろしうございますか。
  95. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) さようでございます。
  96. 千田正

    千田正君 そうするというと、恐らくいわゆる終戦後の日本の憲法に基くところの一切の日本の文化の中心であるべきところの文部省としましては、この世紀の悲劇であつたところの終戦と同時に海外に抑留されたり、或いは仮に抑留されなくても今まで海外におつた者が日本に帰つて来て、そうして日本の生徒として、或いは学生として進学に燃えておる者に対しては何ら考慮しておらない、それを以て日本の文化国家の建設の中心であるところの文部省としては、それで結構である、これで行けるのだというそういう考えの下にあなたがた予算を組まなかつたのでありますか、なぜ予算を組まないのかということをはつきり聞きたい。帰国者に対しては何ら考えておらんというので予算を組まなかつたのかという点を私は伺いたい。
  97. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 従来から児童生徒の援護につきましては、生活保護法の教育扶助によりまして援護しておりましたので、そういうものによればよいという考え方で予算措置が講じてないと存じます。
  98. 千田正

    千田正君 私はそういうところに今の文部省のあり方というものを反省してもらいたいと思う。ということは、現在引揚げて来られた人たち、前に引揚げて来られた人たち、或いは引揚者ばかりでなく、一般の貧困なるところの子弟がアルバイトじやなく、本当に生きて行く、自分らの家庭の中で苦んでおるところの親や兄弟を見るに見かねて自分が朝から新聞配達をしたり、夜過激な労働をしながら勉学を続けて来ておる、それが当り前であるかのごとくに考えられているのは、私は実に不親切だと思う。そういう者たちを一人でもなくするように文部省は考えなければならないと私は思うのであります。でありますから、私は文部省の予算の中に仮にそうした等しからざるところの状態に置かれているところの日本の児童があるならば、国の力を以てこれを十分に平等な貧富の差のないような教育をさすべきところの力をあなたがたは持たなければならない。それに何らの予算を組んでおらないということは、私はあなたがたの良心は一体どこにあるかということを承わりたい。この点について私はこの苦しみつつあるような人たちに対して貧富の差のないような教育をさして頂きたい。そういうための予算を組んでもらいたいと私は思います。
  99. 須藤五郎

    委員外議員(須藤五郎君) 私は委員外でありますがこれに関連いたしまして、今日私が聞いたことをちよつと述べてみたいと思いますが、お許し願えますか。児童のことに関しまして簡単に一分間ぐらい……。
  100. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 今委員外議員のかたから発言がありますが、許可してよろしゆうございますか。
  101. 山下義信

    ○山下義信君 委員の質疑が済んであとならばともかくも、今委員の質疑中ですからあとにしてもらつたらどうですか。私どもも関連しての質問を持つております。委員の質問が済んでからしてもらいたい。
  102. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) では済んでから……。
  103. 山下義信

    ○山下義信君 今の政府説明しました相談を受けました児童一千八百十八名のかたがたの中で今千田君が問題にされたのですが、これに関連して聞きたいのですが、進学、入学ですね、又進学するその学費に対して非常に不自由しているが、何とかならんかという相談がありましたか。そういうケースがありましたでしようか、どうでしようか。
  104. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 私直接参つておりませんが、向うに行きました係員の話を聞いてみますと、非常に小さい児童生徒でもお父さんが就職しなければ学校へ行けないだろうということを非常に心配しておる。私はそういういじらしい児童生徒のことを聞きまして、誠にお気の毒だと考えております。
  105. 山下義信

    ○山下義信君 この児童並びに生徒、学生は今説明のありましたように、小中学校があり、高等学校があり、大学程度と思われる人たちがある、それで入学するについての相談があつたでしよう。それから同時にあなたのおつしやるように、親が就職するまでは行けないとか、それは小さい子供でしよう。それから大きな人たちになると、高等学校、大学へ行きたいけれども、学費について何か政府で便法を講じてくれれば……何か援護をしてくれるかというような相談があつたのじやないかと想像されるのですが、それはあつたでしようか、そういうのは全然なかつたでしようかということを聞いているのです。学費についての補助とか何とかということの相談があつたかどうか。
  106. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 中共では学校で必要な教科書、学用品全部無料であつたが、日本ではどれくらいかかるだろうか、こういう質問はたびたび受けておるようでございますが、今山下委員のお尋ねになりました援護を得られるかどうかという質問はなかつたようでございます。
  107. 山下義信

    ○山下義信君 質問がなかつたということになると、そういうような希望者もなかつたということになりますか、どうでしようか。高等学校に行きたいが、大学に行きたいが、学資がない、学資の出場はないでしようかという質問はなかつたのですか。なければいいのですが、そういうことに困らなければいいのですが。
  108. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 高等学校程度の年令の生徒はどこか働いて学校に行くようなところはないかという質問がかなりあつたようでございます。
  109. 山下義信

    ○山下義信君 結局私の受取つた印象では、高等学校或いはそれ以上の学校に行くべき人たちが、この学費に困つておるというような状況は、少くとも文部省の手元にある報告によればないというような印象を受けた、それがなければいいのですが、若しあればどの程度あつたか、あとで調べて見て、高等学校、大学、中学校でもいいのですが、学費について何か補助をしてもらうような方法はないかという相談があつたかどうか、そういうような人たち相談があつたかどうか、あつたならあつたように、これも先ほどのような資料一つ何件ぐらいあつたか、小学校或いは中学校或いは高等学校、或いはそれ以上の程度というように、資料として至急に一つ御報告して頂きたい。  それに関連して伺いますが、今予算の話が出たのでありますが、四月、五月、六月と暫定予算ですが、この予算の中に育英資金の関係の費目はありますか、ありませんか。
  110. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 私は直接担当ではございませんが、確かにあると思います。
  111. 山下義信

    ○山下義信君 私もあると思います。なければ大変ですから。四、五、六月の間いわゆる育英資金の補助を受けておる学生があるのですから、私もあると思いますが、この育英資金が帰国者に対しての学資の問題が起つたらこれが出せるのじやないか、文部省は一向にこういうことに対しては予算を持つておりません、一銭一厘予算を持つておりませんと言つて予算のないことを誠に自慢のようにおつしやつたが育英資金関係予算は四、五、六月の暫定予算の中に盛つておられると思うのですが、どうでしようか。
  112. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 私は何もないことを自慢にしたわけではございませんので、どうぞ悪しからず御了承をお願いしたいと思います。高等学校生徒に対する育英会の資金は一カ月五百円でございます。
  113. 山下義信

    ○山下義信君 予算はありますね。今あなたは千田委員の質問にお答えになつたときに、学資に困つたような人たちに対しては、生活保護法の教育扶助があるからそれによる。従つて文部省は今予算を持つていないということをおつしやつたのですが、そういうことも言えるでしようが、生活保護法の教育扶助は御存じのごとくこれは今小学校と中学校だけです。義務教育費の扶助だけなんです。ですからあれだけで皆片がつくというわけではないのですね。育英資金の予算を文部省はどしどし出してもらいたい。やはり帰国者の中では子弟の教育の上において、教育関係のつまり学費についてはその要望もあるのじやないかと思うのですが、あれば育英資金いわゆる貸費の予算もあると思うのですから出してもらいたい。それでそれを特別に計らつてもらいたいと思うのです。一つの基準がある、それを特別に計らつてもらいたいと思います。計らつて下さいますか。
  114. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) それは大学局で扱つておりますので、帰りまして大学局の所管の課とよく相談いたしまして、御要望に副うように努力いたしたいと思います。
  115. 山下義信

    ○山下義信君 大変御親切に有難い、是非そういうふうに運んで頂きたい。文部省は当然すべきなんです。我々が頼まなくてもすべきなんです。それで私の記憶するところによりますと、育英資金の貸費は四月に申込を締切つちやうのですね、四月には申込を締切つてしまうのであつて、若しその次ということになれば恐らく九月、十月に申込を改めて受けるのじやないかと記憶しておるのです、私の記憶に聞違いなければ。その規則通りやられると、五月に帰国した今の人たちには申込がもう締切りは済んでいますから、というようなことを言われると、適用ができないということになりますから、随時適用ができるように申込をさせてもらいたいということが第一点。それから育英資金の貸費については厳重な枠がある。学校における成績についての条件とかいろいろある。そういうことを向うの学校の条件とかいうようなことを言つておつたのでは援護になりませんから、そういう育英資金を出すについての条件がある、その条件についての特別の計らいをして頂きたい。いろいろそれはありましようけれども、一つこれは是非やつて頂きたい。所管の文部省のほうで御相談下すつて、帰つて相談下さるというのは少し手ぬるいのですが、お係りが違えば仕方がありませんけれども、ここですぐ御返答を承ることができればいいのですが、今の御答弁で大分責任を以てそういうふうにしようということでありますから信頼しておきます。どうぞ一つ十分その点をやつて頂きたいと思います。どうでしようか。
  116. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 山下委員の御要望に副うように極力努力いたしたいと思います。
  117. 山下義信

    ○山下義信君 期待しております。
  118. 紅露みつ

    紅露みつ君 高等学校、大学につきましては、育英資金の問題が山下委員から熱心に御発言になりまして、まあ御努力になるということ、御連絡をよくとつて頂くことでございますが、係りが中等教育の係りでいらつしやるのですが、先ほど伺いました小学校千何ぼ、中学校四百十四名と、こういつた人たちは、これは義務教育を受ける過程にある人たちでありますだけに、非常に重大だと思うのです。県の教育委員会でこれに対処しろということで、それぞれの定着地に送られたわけですが、どういうふうにそれがなつておりますか、御報告を受けておられますか。
  119. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 先ほど申上げましたようにまだ報告は参つておりません。至急各教育委員会に報告を求めるようにいたしたいと思います。
  120. 紅露みつ

    紅露みつ君 それは今御要望がありました資料と共に、この小さい人たちがどういうふうに就学できたか、どんな状態にあるかということを詳細に一つ資料を御一緒に御提出願いたいと思います。
  121. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 大学に進学希望者が六十数人あるということですが、なかなか大学という所は正規の高等学校を出ていないと入学資格の問題で引つかかる。各大学にはやはり文部省から通達しておかないと、これは大学は特に入学資格、受験資格とか、そういうことは恐らく具備することが必要だと思いますから、これはやはり六十人でもあれば進学の途を開いてやるということが、これは大学局の所管でしようけれども、それに連絡して各大学に通達して頂きたいと思います。
  122. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 大学の入学、編入につきましては、先ほど御説明申上げましたように、三月二十日附で大学局長通達で通知してございますから、十分受入れしてくれると思います。
  123. 榊原亨

    榊原亨君 只今の大学のことでございますが、特定の大学だけに希望する者が多数ありました場合に、どんなふうに処置をなさるおつもりでありますか。又どんなふうな御通達がございますか。
  124. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) 大学局長通達では、大学では本人の学歴に応じて入学又は編入学の取扱をして差支えない。入学及び編入学の時期は四月及び十月の二期とする。入学及び編入学の選考は、大学において適当と定めた方法による。大学の第一年次に入学を志望するもので大学の入学資格である十二年の学校教育を終了していない者については、当該大学の入学資格検定試験を経て入学資格を認めてから選考するようにして欲しいと、こういう局長通達を出しております。
  125. 榊原亨

    榊原亨君 只今のような御趣旨だけでございますと、或いは一人も大学に入り得ることができないということになるかも知れません。そのことについては如何でございますか。
  126. 大田周夫

    説明員(大田周夫君) この前の朝鮮、台湾から引揚げて参りましたときも、これと同じ取扱をいたしましたが、そのときは希望者の大多数はそれぞれ大学に入学いたしておりますので、今回も各大学にそれぞれ該当の学年に編入してくれるものであると私どもは考えております。
  127. 榊原亨

    榊原亨君 過去はそうだつたか知れませんが、今度の場合は必ずしもそうだとは限りませんから、特にその面におきましては、先ほどから各委員がおつしやいましたように、できるだけ好意的に、そして全員が殆んど希望する通りにはいかないかも知れませんが、大学に入ることができるように特別なお計らいをお願いしたいと思います。
  128. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 文部当局に対するお尋ねはありませんか……。それでは文部当局に対する質問はこれで終ります。  次に農林当局から、帰還者の入植対策予算及び実情につきまして説明を求めます。入植課長和栗博君にお願いいたします。
  129. 和栗博

    説明員(和栗博君) 農林省引揚者に対する入植関係の問題につきまして御説明申上げます。今度引揚が始まりますときに農林省といたしましては、前に満洲に開拓民或いは青年義勇隊のかたがたを送り出した関係もございますので、当然今度の引揚者の中にもそういつたかたがたが帰つて来られるであろうというふうに想像もいたしましたし、又そうでなくても、又帰つて来られたかたぞれの中に、内地へ帰つて来て開拓地へ入りたいという御希望のかたがあろうというふうに考えましたので、これをどういうふうに受入れたらいいかということにつきまして研究をいたしました。簡単に申しますと、私どもの考えは、引揚げて来られたかたがたに対して、とにかく温かい気持で接するということが一番大切だという考え方でございます。方法といたしまして私どもが考えました方法は、只今申しました引揚げて来られるかたがたの中で、曾つて満州に開拓民なり青少年義勇隊として送り出したかたがたがお帰りになりました場合は、すでに今までにたくさん満州の開拓なり義勇隊のかたがたでも帰つて来られまして、内地の各地で開拓地に入られまして、もう組合を結成して大分開拓が進んでおるというような所がたくさんございます。成績も国内の開拓の各地区に比較いたしまして、非常に成績がいいのであります。そういうようないい所へ、満州で一緒に生活をしておつた人が先に内地へ帰にて来て、そういう開拓地を建設しておる所にあとから帰つて来た人が入つて行きますと、これからあとの生活の安住なり、営農の確立ということが非常に楽だと思います。それから内地のもうすでに帰つて来ております満州の引揚の開拓者のかたがたにもこの話をいたしましたが、皆喜んで、満州で苦労したかたが帰るのだから、自分たちは喜んで迎えるというので、皆手を拡げて待つておるというようなのが現状でございます。そこで私どもは、まあそのほうが一番いいだろう、それで成るべく満州で一緒に開拓に従事しておつたかたがたが入つておる所へ、できるだけ今度帰つたかたも入つてもらうようにしたらいいという考え方でおりますが、そのときにまあ土地に余裕があつて、どんどんそれじやそういう所に入れますと、非常にうまく行くわけでありますが、万一土地がなかつた場合には、その附近に開拓適地がございますれば、追加買収をいたしましてでも、成るべくその附近に入れて行くという考え方を先ず第一に立てます。第二の考え方といたしましては、必ずしもそういう追加買収も、或いは満員であり用地も追加買収できなくて、どうしてもその附近に土地が得られないというような場合、それから満洲開拓の関係のかたでないかたで、引揚げて来られてから国内の開拓に従事したいという考えのかたに対しましては、やはりできることならば自分の、そのかたの出身県内の開拓地であつて余裕のある所へ入られたほうが、今後の営農の進度なり安定という面で立直りが非常に早いわけでございますので、成るべく出身県内の開拓地へ入る、まあ簡単な言葉で申しますれば、自分の出身した町村の附近にある開拓地へ向つてつて行くことが、やはり親類縁者なり或いは同郷のかたがたの援助ということも考えられますので、非常にやりいいのだというふうに考えまして、そういう方策を第二段に考えます。それでも、その一、二の方法をとりましても、なおどうしても入る場所がないというかたがたにつきましては、現在中央指定地区と申しまして、甲なら甲という県の人が自分の県内に入る所がない場合に、乙なら乙という県内に土地があつた場合に、甲の県の人が固まつて乙の県に入つておるということがございます。よく分村とかいうような形で甲県の人が乙原に入つておるという所がございます。そういうところであれば仕方がないから第三段目の手として、引揚者のかたが甲県のかたであつた場合には、そういう所を県のほうで世話をするということがまあ第三段目としていい方法だろう。その三つの方法考えてもどうしても入る所がないのだという場合は、これは帰つて来られたかたには大変お気の毒ではございますが、新規の地区に入つて頂くより仕方がないという結果になるのでございます。新規の地区は、御承知のごとく開拓と申しますものは、とにかく原野を拓きまして、家を建てたり、畠を作つたり、一つの村作りをこれから何にもない所にやつて行くわけでございますので、新らしい地区へ入つてこれから開拓をやるということは、これは並大抵の努力ではできないわけでございます。又土地がございましても、その土地へ行くのにまだ道路がついていないとかいうようなこともございますし、とにかく新らしい所へ入りますと、初めは労力的に申しましても非常な苦労がございます。資金的にも非常に苦しいわけでございます。そこで成るべく只今申上げましたように或る程度できておる開拓地であつて、そういうような所へ入りますと、いろいろな道路の問題であるとか、或いは共同の加工施設であるとか、或いは電気の施設であるとか、いろいろなものも或る程度もうできております、そういうような所へ入るほうが、帰つて来られたかたがたとしては非常に今後の安定なり、営農の確立という面から見ました場合にはいい、そういう考えで入植されるかたがたの今後の問題を中心にいたしまして、そういうような方針を打ち立てまして、県のほうにその準備をするように通牒をいたした次第でございます。なおその場合に入植者といたしましては、適格者を開拓地に入れるという制度になつておりますが、その適格者を選定いたします場合も、引揚者かたがたの場合は或る程度やはり特別な考慮を加えるということも附加えました。それから開拓者としての助成の場合も、現在の開拓のやり方は、或る程度住宅の予算であるとか、或いは開墾作業の補助金であるとか、或いは営農資金の貸付であるとかいうような制度がございます。その場合に引揚者のかたで入植の適格者であるというふうにきまりまして、開拓地に受入れられました場合には、先ず優先的にそういうような助成なり、融資の制度をそのかたがたに先ず先に廻すというふうにするようにという通牒を流して準備をいたした次第でございます。  その後いよいよ引揚が始まりまして、私のほうからも人を舞鶴のほうに出しまして、相談室のほうへ詰めておるわけでありますが、その場合もさつき申しましたように、先に満州の開拓で渡られたかたで同じ所におつた人がそれじや内地で今どういう所に入つておるかというようについて全部調べました帳簿も全部舞鶴へ持つて行きまして、その相談室に入られたかたがたには御覧に入れまして、あなたがたと一緒にやつておつた人々はどこどこにおつて、今どういうふうになつておるというような説明を今いたしておる次第でございます。  そこで舞鶴で調べました状況を申上げますと、その相談室のほうに開拓の希望かたがた、或いは希望でなくても満州開拓民として渡られたかた、或いは青年義勇隊として向うへ渡られたかたがたも見えております。大体四百人足らずのかたが相談室においでになりまして、いろいろ状況を開いてお帰りになつております。その状況を概括的に申上げますと、参つた者の話を結論的に総合いたしますと、満州の開拓民なり或いは義勇隊で行かれた人が引揚げて来た場合に、義勇隊というのは、これは私ども専門的にそんなことを申しますが、大人の移民と青少年の移民というふうにお考え願つたほうがいいと思いますが、若いぼうの移民のかたがたは現在は大人に成長されているわけでございますが、そのかたがたの大体の考え方なんかは、うちへとにかく僕は帰るという考えの人、それから向うにおる間に或る程度自分は腕に技術をおぼえたから、その技術を活かしてやつて行きたいので、内地へ帰つて開拓を必ずしもやるという考えもないというような話もございます。とにかく必ずしも若い、いわゆる青年義勇隊の出身のかたがたは、私どもの見ておりますところでは、余り内地の開拓については現在のところそう大勢の人が入植したいというふうに考えておられるようには見受けられないのでございます。それから大人のほうの一般の満州開拓民として渡られて帰つて来られたかたがたとの話合の状況の結論を申上げますと、いろいろ日本の国内の状況なり、さつき申上げましたようなリストの状況を申上げますと、まあそれじや一遍自分の郷里へ帰つて状況をよく見た上で自分たちの態度を決しようということで、郷里にお帰りになつておるかたが大部分でございます。そこで各府県から今度の引揚者の中で開拓地に入る希望があるという数字農林省のほうに報告がございましたのは、五月中旬までで三十六世帯しかございません。尤もこの帰国者の入植世話人会のお調べでは百三十四世帯あるというお話でございますが、各都道府県からの農林省への報告は三十六世帯しかないという状況でございます。併しこの数字只今説明を申上げますように、大人の開拓民のかたがたは一遍郷里に帰つてから内地の諸情勢を十分に検討した上で自分の態度を決したいというお考えでございますので、今後は或る程度希望者が出て参るように考えられる次第でございます。その只今までの報告によりますと、各府県から速報を私のほうにはとるようにいたしてあるのでございますが、この三十六世帯のうちもう開拓所に入つておりますのは、五世帯は入つております。なおあと大世帯ばかりはもう入る見通しがついておるということになつておりますが、東京都に二十五世帯ばかり現在かたまつておられるようなことになつております。そういう現在の状況でございますが、帰つて来られたかたがたと三回ばかりお会いいたしまして、いろいろ代表のかたがたともお話合いをいたしておりますが、私どもは当初受入れる場合にはそういうような受入方を考えておつたのでございますが、帰つて来られたかたがたお話では、特に東京におられるかたがその代表になつておいでになるわけでございますが、お話をいたしますと、自分たちはできれば一緒の船に乗つてつて来たような関係もあるから、できるだけ集団入植をしたい、今の農林省の話のように、三戸なり五戸なりに分れて入つて行つたほうが、将来のためには楽かもわからないけれども、まあ一緒に帰つた人たちは、できれば苦労でも新らしい土地へ集団的に入りたいのだという御希望もございます。いろいろ集団で新らしい土地へ、新らしいと言いましても、集団と言いましても大きさにはぴんから切りまでございますが、余り大きな地区ということになりますと、北海道のほうでも探しませんとないわけでございますが、内地の府県ではそう大きなたくさんの戸数を受入れるような、一遍に同じ所に受入れる所はそうはないのでございますが、内地のまあ開拓地の実情等をお話を申上げて、なるべく農林省考えておる線のほうが、入られるかたがたのことを考えると、そのほうがいいからということをしばしば申上げておるのでございますが、やはり中には、いやそういうこともいいけれども、又一緒に帰つて来た連中が一緒に入りたいから何とか集団で、二十戸程度でいいからとにかく固まつて入るような所を考えて欲しいというような、たつての御希望があるわけなんでございます。従いまして、この新規の地区につきましては、大体内地の現在の開拓地の状況から申しますると、新らしい地区がこれから開拓地になります場合は、大抵その附近の農家の二、三男のかたが相当に二、三年前からそこの開拓について計画を立てておられますので、そう簡単には参りませんけれども、引揚者かたがたがそういうような御希望もございますので、只今農林省で空きのあるような地区を探しまして、県に照会をいたしておる状況でございます。  次に、委員長のほうから御質問ございましたが、特別に何か予算措置をとつておるかということがございましたが、私どものほうといたしましては、別に現在のところ特別な予算措置はとつておらないのでございます。その理由というようなものを申上げることになるわけでございますが、大体予算は流産はいたしましたが、二十八年度の当初予算のときに、二十八年度の入植戸数として大蔵省の予算案に計上されました戸数は八千戸でございます。従いまして、この八千戸の予算でとにかくその中共引揚者の中の開拓地へ入る御希望のかたは、できるだけ優先的にこの予算を廻して行くというふうなな考え方でございます。できますことならば、それは引揚者のかたで開拓地へ入る御希望の数が、先に御説明を申上げましたように、非常に小さい数字でございますので、これが相当の数が出て参りますれば、これは補正予算なり別途予算の追加の措置を講じてもらわなければならんということは、私も大蔵省へ申入れはいたしてありますが、只今のような数字状況では、この八千戸を更に上廻つて追加的な予算を出すのもちよつとむずかしいように考えられますので、引揚者の中の入植の御希望があつて、適格者ときまつた場合には、この予算は優先的にそちらのほうへ先ず廻して、あとはどうしても地元の二、三男のほうになりますから、多少遅れてもそのほうはやりくりはつきますので、その状況を見まして補正予算なりその他の予算措置を講じて参りたいというように考えております。一応簡単に一通りの御説明を申上げました。
  130. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今の御説明を伺いますると極めてスムースに、順調に行くように聞えますけれども、事実は三十六世帯のうちで、まだ五、六世帯より入植しておらんというようなことでありますると、今の御説明で聞いたようにスムースにはなかなか行つおらんと思うのでございます。又向うから帰つて来た人でありましても、実際農業をやりたくても農業のほうの援護が十分でないために労働者を希望する、こういうふうな向きもたくさんあると思うのでございます。又古い開拓地に曾つて満洲で同じところであつたからというので押込むというような場合におきましても、これは情においては然るべきものがあると思うのでございますけれども、実際古い入植者の人もそういう人が入つて来た場合におきましては、耕地面積或いは農業経営の上におきまして非常に不便があると思うのでございますが、その場合におきまして古い開拓地に今帰還者が入植する場合に、特別な何か援護の方法とか、特別違つた助成とか補助とかいうものがあるのでございますか、どうでございましようか。
  131. 和栗博

    説明員(和栗博君) お答え申上げます。特別な助成というものは制度の上では考えておりませんが、古い所へ入るといいましても、これは新規の、新らしく入つた開拓者というふうに考えまして、現在入植をやります場合に住宅であるとか開墾であるとかの補助金であるとか、或いは営農の融資金であるとかいうものが普通は制度上ございます。ところがそういう予算はやはり毎年財政面から見まして必ずしも必要とする入植者全戸に行き亘るようにはなつてないのでございます。簡単な例を申上げますと、ここに入植者が十戸ございます。予算としてはそれに必要な住宅とか営農資金ともいうようなものでも、それの七戸分であるとか、命いは五戸分しか……財政の面で或る程度制限を受けて、計画的にこなして止つておるのでございますが、そういうふうな七〇%なり八〇%というようなことしかございません。併しその場合にその融資金なり補助金を廻します場合に、当然これはやはり引揚者を優先的に考えて、入つて来られたかたがたに対してとにかくできるだけ出し得る最大限度を至急に出して行く。そういうような考え方にいたしておるわけ下ございます。
  132. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そうしましたら普通の内地の開拓と同じだということに解釈してよろしうございますか。
  133. 和栗博

    説明員(和栗博君) 制度上は同じでございますが、取扱の場合にできるだけ最大の便宜を図つて行くという形になります。
  134. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次は新たに集団入植の場合でございますが、これは恐らく曾つて戦争前におきまして、家も家財道具も全部売払つて一家を挙げまして満州あたりに入植開拓をしそ、そうしてたつた一人になりましてこちらへ帰つて来る、これは世帯から言いますると一入になりまして帰つて来る、その場合にこちらで農業をやりたいけれども土地もない、こういうふうな状態で帰つて来まして、内地で新たに集団入植をしたい、こういう場合におきましての特別な援護というものはないのでございますか。それとも普通内地の入植者が入植すると同じようなことで入植するのでございましようか、どうでございましようか。
  135. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今の御質問の中心がちよつとわかりかねたのでございますが。
  136. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 先ほどお聞きしましたのは、古いもうすでに開拓地のできている場合、個人的の場合の話を伺いましたが、あとからの入植者はこれは集団的に入植したい、而もそういう人は開拓移民として満洲で非常に苦しい生活を誉めて帰つて来た者に対しても、集団入植する場合でもやはり内地の開拓民と同じようなふうに取扱うのかどうかということです。
  137. 和栗博

    説明員(和栗博君) 制度上は一応同じことになりますが、できるだけの便宜は図ります。
  138. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 併しこれは義勇隊の場合におきましてはまだ年の若い、而もこちらに帰つて来ても家族のある人はかなりたくさんあると思いますけれども、開拓移民といたしまして一家を挙げて満洲に行つて、而も今帰還者として帰つて来るというような者におきましては、そういう繋りも何にもない人がたくさんあると思います。その場合におきまして、内地の開拓者と同じような制度の上に立ちまして、入植をさせるというようなことにつきましては、恐らくこれは農業経営上、しつかり定着はしにくいと思うのでございまして、内地の開拓者であつてでもなかなか開拓地に入つて、今の制度で定住するということは非常にむずかしいのでございますが、それよりも一層まだ裸の程度のひどい者が入つて来た場合において同じように取扱つて定着するというようなことは、これはちよつと農業のほうから考えますと、これはできないことではなかろうかと思うのでございますが、その点如何でございますか。
  139. 和栗博

    説明員(和栗博君) 満洲の開拓者であつて、それがお引揚げなつた御例示のような場合で、自分たちが一緒におつた所へは行かないのだ、それでとにかくまあ満洲開拓地をやつたかたが一緒になつて、或いは又向うに一緒におつたかたが固つてつて来る場合も考えられると思いますが、そういう場合は制度上どうということはできないと思いますけれども、例えて言いますと、営農資金の融資をいたしますような場合、そういうような開拓団に対しましては特別なその各個人に全額、出し得る限りの最高限度のものをすぐ融資するとか、特別の処置を考えて行きたいというふうに考えております。
  140. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 どうぞ一つこの援護という意味をもつと深くとりまして、殊に内地に帰りましてなお開拓をやつて、食糧増産に寄与すると、こういう覚悟で帰つて来た人たちに対しましては、今より予算の範囲内でどうこうということでなくて、世帯が多かろうが少かろうが特別の予算を取つて頂きまして、そうして十分援護をし、定着させるということは必要ではなかろうかと思うのでございますが、その特別な予算を取るかどうかという、お考えがあるかどうかそれをお伺いしておきます。
  141. 和栗博

    説明員(和栗博君) 特別の予算を取ると申しますか、今の制度で私はできるだけ我々が温い気持で受入れて便宜を図れば、私はそういう一般の開拓者とは違う、補助率の高いものを出すとか何か特別なことをしなくてもやれると思います。もうそういうかたがたに対しては私どもはそれは責任を持つて何とか成り立つようにお世話を申上げたい、かように考えております。
  142. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 温い気持でやつて頂くということは非常に結構でございますが、その温い気持の現われといたしまして、補助率を高めて頂くとかいうようなことが現実に現われませんと、どこに温い気持があるかということがこれがわかりにくかろうと私は思うのでございます。こういう意味におきまして、とにかく入植者に対しましての補助金、或いは融資、或いは予算面におきましても十分御考慮をお願いしたいと思うのでございます。
  143. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私も三橋委員と大体考えを同じくするわけでありますが、今度引揚げて帰つて来た、特に開拓の経験のある人たちは、先ほどの課長お話によつて自分たちと同じ人たちがすでに内地でそれぞれ入植をして村作りの過程にある、その途中に分散入植をするということは、いろいろな意味での便宜は与えられると思うけれども、すでにもう五年乃至それ以上の年限を経過しておるわけですから、そこへ今度は新らしい入植者として入つてつてかなりの経済上その他の立遅れをこれは余儀なくされておるわけであります。従つて、既存の制度を最大限に活用したとしてもなかなかこれに追いつくということはちよつと短日月、一、二年を以てしては困難だと考えられるので、今日こういう状態で引揚げて来なくちやならない理由を考えると、これは何らかの特別措置がなければ、今後に問題が残されるのじやないかと考えます。従つて制度を最大限に活用して行くということは、これはまあ当然のことだと思いますが、そのほかに、何か別途の措置が講ぜられて然るべきだと考えるわけであります。これは制度的に或いは法規の改廃、改正等によつて、そういう特殊の便宜を与えるような余地というか可能性というか、そういうものはありませんか。
  144. 和栗博

    説明員(和栗博君) 先に帰つた満州から引揚者かたがたは、今御質問がございましたが、みんなあとから帰つて来る者は喜んで引受ける、まあ自分の団が満員の場合はとにかく、自分の附近の所へでも来てもらつて自分たちもその営農その他について手伝つてでもやつてやろうというので、かなりみな受入れについては相当好意的に考えておるようでございます。  なお、お示しのあつたような点につきましては、ちよつと私も特別に何かしなければならんかどうかという点につきましては、研究不十分かもわかりませんが、大体そういうような所へ入つた場合はうまく、特別に何かしなくてもいわゆるできるだけの便宜を我々関係者が図るということによつて、私は行けるというふうに考えておるのでございます。
  145. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 特別に便宜をということは、具体的にどういうことですか。
  146. 和栗博

    説明員(和栗博君) それはですね、まあ一言で申しますと、現在制度上許されておるあらゆる面をフルに活用いたしまして、そこへ注ぎ込むことによりまして行けるじやないかというふうに考えます。
  147. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それは抽象的な説明で、一般にはわかりにくいのですが、例えば営農関係の融資を、具体的にはこういうふうに縮めて出す、或いは現物融資をこういうふうにやるのだとか、そういう具体的な話し方を一つ願いたい。
  148. 和栗博

    説明員(和栗博君) 大体営農資金の面から申しますと、そういうような恰好で、できるだけやりいいように持つて行くことになるわけでございます。そういうことをやつて行くことによりまして、私は何とか行けんじやないかというふうに考えます。なお十分に関係方とも連絡をとりまして、よく研究して見たいと思います。
  149. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 何とか行けるという見通しのようですから、躊躇しないで、例えば住宅はどうするのだとか、営農はかくのごとくにするとか、そういうことによつてこれは新しい予算的な特別措置をしなくてもいいんだという、我々が納得の行けるような説明を願いたい。ただできるだけの便宜、できるだけの便宜と言つたんでは、我々には何としても納得できないのです。こういうふうにやつて行くんだから予算的に特別措置を必要としないで、古い宿舎に、例えば何年たてばこういうふうに追いつけるという説明を願いたい。その説明が我々を納得せしめないということであれば、これはやはり別途措置を講じなければならないという、そういう判断と結論に到達するのではないか、その判断の根拠を説明頂きたい。
  150. 紅露みつ

    紅露みつ君 関連して。だんだん御質問になつていらつしやるんで御尤もだと思います。同じ満洲におりましても大分日がたつておりますので、そこに入りましても、これは立遅れは否定できないと思うのです。併し私どもがあの終戦直後に、二十二、三年頃に農林省は大変な開拓団をとにかく組織した経験が十分におありだと思うのです。私は今日も各省から出られましたけれども、一番農林省に信頼を置いておるんです。追いつめられていらつしやるようでございますが、どうも具体的に例が挙げられないということでございますが、許される範囲で最大限に対策をお立てになつて、そうして近い機会に具体的な例を持つておいでになつたら如何かと思うのですが。
  151. 和栗博

    説明員(和栗博君) 余り詳細なところまで具体的に衝かれますとなかなか実はお答えしについのでございますが、もう少し簡単に申上げますと、その考えておりますことは例えて言いますと、項目別に言いますと、住宅の補助金なんかは、入ります場合にはすぐ出す。開墾の補助金にいたしまして竜、それはできるだけいい単価のものをできる限りにおいて出すということ、或いは建設工事の問題につきましても、そういう地区については優先的に考えて行く、一番御指摘の点の融通性のある点は、これは営農資金なんであります。営農資金の面につきましても、これは私も非常に抽象的にできるだけの便宜ということで申上げましたわけでございますが、これはちよつと営農課は私の課でないものでございますから、私だけでははつきりしたことは申上げられませんが、どうせ三年間なら三年間に十万なら十万という融資資金が今制度で認められております場合に、それの出し方というような面につきまして、勿論現在出せるという限りにおいては入つた即日すぐこれは融資はしますが、一応今三年間に割つて出しておるものを、更にどういうふうに出して行くかというようなことを、もう少し具体的にしてから、これは御説明を申上げなければ御納得行かないと思いますが、私が非常に抽象的に申上げましたのは、そういうようなものを総括いたしまして、とにかく少しでも喜んで頂けるように、何とか成立つて行けるようにという考え方で、行政の運用の妙を発揮してやつて行きたい、そういうことなんであります。
  152. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の御説明で私も幾らか間中に希望を見出したような感がいたしますが、今のお考えは新規地区に集団入植を希望する場合に対しても同様ですか。
  153. 和栗博

    説明員(和栗博君) 同様でございます。
  154. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは一応私の質問を打切ります。
  155. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) 農林関係に対しましての質疑は、これでよろしうございますか。これで終つたといたしまして、只今木村引揚援護庁長官がおいでになりましたので、何か御質疑のあるかたお願いいたします。
  156. 千田正

    千田正君 先ほどから援護庁以外の、この帰国者に関係する各主務官庁の課長さんがたに一応のお尋ねをしたのでありますが、文部省も労働省農林省も、この帰国者に対するところの自分らの関係がある部門に対しての特別の予算というものは殆ど組んでおらない、言い換えればこのたびの三万名の中共から帰国するであろうという、この国民的に非常に長い間の期待がかけられておつて、漸くその解決の曙光が見えて来た今日において、国内態勢において何らの一体受入態勢もできておらんということは、甚だ我々としては国民の代表として遺憾と思うのであります。  そこで、木村長官にお伺いするのでありますが、これは従来何回となく政府に要望して、政府内部における或いは民間の各種団体と協力して、この戦争の犠牲者である人たちに対するところの援護対策に対しての会議をすべきであるという主張が、本院においてもしばく要望事項として政府に通達されて、而も政府は昨年次官或いは局長級の諸君を集めて、内閣の中にこうした援護対策の審議会を設置したと私は承知しております。そういう席上において、かような重大な問題を審議されなかつたとするならば、これは誠に現在の政府が誠意がないと言わざるを得ない。そこで私は改めて木村長官にお願いするのは、援護庁の予算につきましては、昨日以来詳細に亘つて説明を承わりましたが、関係各省に対して、この問題につきまして十分に協力して解決に当られるよう、特に長官から各省に対してこの協力方に対する申入れをなさつて頂きたいということを私は要望いたします。この点につきましては長官は如何なお考えであるか、一応お答を願いたいと思います。
  157. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この引揚の問題につきまして、特に国内における援護の問題ではそれぞれ所管の担当官庁におきまして、これに対しまする対策を十全にやつて頂くということが当然必要であるというように考えておるわけであります。只今千田委員の御指摘になりました通りでありまして、我々も是非そうしなければならんというふうに考えておるわけであります。今回の引揚につきまして、予算の面におきまして、各省において特別のものを持つておらないようでございまするが、これらにつきましても、事前にいろいろと連絡はいたしておつたのでありまして、大体今回の引揚総数が全部で、一応中共側で申しておるのが三万、こういう状況でございますので、数におきまして従来の引揚に比べまして、極めて数において軽微であるといつたところから、大体現在各省で持つておりまする予算で以て、これを上手に使えば一応できるという見通しがあつたようであります。引揚援護庁といたしましては、援護庁自身が従来所管いたしておりまするものといたしては、これも引揚の応急援護につきまして、これはどうしても新予算がなければできないことであります。この予算につきましては極力関係方面当りまして、これを取るように努力いたしたわけであります。各省のほうにおきましては、大体今の予算で以て何とか聞に合せるということであつたようであります。なおこの引揚問題の始まりました際には、御承知の通り引揚対策審議会も開いたのでございます。これにつきまして、いろいろと御検討を願つたわけであります。なお第三次までの引揚状況に鑑みまして、更に第四次を迎える前に、前に、もう一度この審議会を開かなければならんと考えております。近くこれを開催いたすように予定いたしたいと思つております。今御指摘の点非常に結構な御注意でございまして、十分服膺いたしまして、今後の対策に遺憾なきように処置いたしたいと存じます。
  158. 千田正

    千田正君 時間も本会議が開かれるようで切迫いたしておりますので、私からもう一つ木村長官に簡単に所信を聞きたいのは、このたび濠洲のマヌス島から、新聞紙上によると二十二名の戦犯のかれぞれが漸く故国に帰られるというニュースを聞いて、長い間の我々の国民としての念願が、又留守家族の人たちの念願が達成された、一つの窓が開いたという感じでありますが、この人たちが故国に帰つて来て、その故郷に帰られるまでの旅費の支給とか、そういうのは、このたびの中共からの帰国者と同じようにお取扱い願えるかどうかという点であります。ということは、マヌス島にしろ或いは比島にしろ、そういう所に繋がれて苦労しておる人たちが、必ずしも我々から見た場合においては、戦犯と言えない人たが多い。いわめる無実の罪の人たちが多いのであります。そうして今日日本に帰つて来て、当時の戦争のさなかに戦つて来た人たちにおいて、戦犯を免れるものが何人あるかということは、私は殆んど戦犯であつていいというぐらいの人たが多いにもかかわらず、数年の間獄窓に繋がれたこの人たちが帰つて来て祖国の士を踏んだが、自分の故郷に帰る旅費が十分支給されないということであつては誠に我々は遺憾極まりないと思いますが、こういう人たちに対するところの処遇に対してはどういうふうに考えられておりますが、一応承わつておきたいと思います。
  159. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 海外から引揚げて参ります戦犯の釈放されたかたがたの処遇つきましては、従来これについては一般引揚者と同様に扱つておるわけであります。特にマヌス島から帰つて来まする戦犯の輸送につきましては、これは従来からも戦犯の内地還送につきましては、我々これを拘禁いたしておりました国におぎまして、その経費を負担してこちらに送り還しておつたのであります。最近になりまして、濠洲政府が還します場合には、この経費の負担を向うがしないばかりでなく、向うでその船すらも出さないで、日本政府で船を出すように要請して参つております。大体日本からそちらに参りまする特別なる船はないのでありまするけれども、商船会社の好意によりましてそちらに近い航路にありまするものを回航いたしまして、これの輸送に当るようにいたしております。この前帰りました四人のかたがおられるのでありまするが、そのかたにつきましてもやはり個別船運賃を負担するという趣旨を以ちまして、大体一艘回航いたしますると百五十万円ばかりかかるのでありますが、この経費を出しまして、そうして四人のかたがたをこちらにお迎えするようにいたしました。今回二十数名のおかたがお帰りになるにつきましても、やはり同様に同じ商船を以ちまして廻りましてこれをお迎えするようにいたしておるわけであります。従いまして、これにつきましては、従来個別運賃を負担いたしましてこちらにお迎えいたしましたのと同じように、これらに対してのお世話をいたすというつもりでおります。中共地域からの帰られまするかたがたに対しましても、従来の引揚と違いまして、特別なる措置を講じております。これを同じようにこれにやるかどうかということにつきましては、私たちはそういうふうにいたしたいと考えております。今その点で財政当局と折衝いたしておる最中でございます。
  160. 千田正

    千田正君 どうかこの戦争の犠牲者というものに対しての考え方について、私は非常にこの点は国民として何とかして終戦後の日本が過去の戦争の刺戟を忘れ去つて、新らしい国家の建設に向つておる今日でありますから、どうか当局としましても十分そういう人たちの気持を汲んでやりまして、できるだけの処置をして頂くことを要望いたします。
  161. 紅露みつ

    紅露みつ君 時間がございませんので、関連して簡単に伺つておきたいと思うのでございますが、今のお話でマヌス島からの釈放されたかたがたが、今回中共からの引揚かたがたと同じ待遇を受けられるということは、これは是非そういうふうにして頂かなければならない当然のことであると存じますが、そういたしますと、今巣鴨におられるかたがたもまだこれは家に帰つておられないかたがたでございますので、やはりそうした精神でこのかたがたにも今後これと同じような待遇をして頂きたいと存じます。それは同じ特別未帰還者という法律によつて今まで処遇されております立場から当然のことだとは存じまするけれども、如何でございましよう。私はそう考えられるのでございますが、長官はどういうふうにお考えでございましようか。
  162. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 現在巣鴨におられるかたがたにつきましては、これは特別未帰還者といたしまして同様に扱つておるわけでございます。これを今度マヌスから帰りましたかたがたと同じように扱うかどうかということにつきまして、これはまだ財政当局のほうとの話が十分ついておりませんので、何ともはつきりしたことは申上げられませんが、これにつきましても我々としましてはできるだけ一般引揚と同じように処遇するように努力いたしたいと考えております。
  163. 紅露みつ

    紅露みつ君 はつきりしていないとおつしやるのは、今度のマヌス島の釈放されたかたがたと同じようね程度にはつきりしておられないだろうと承知してよろしゆうございますね。  それではどうぞ一つ最大の御努力を払いまして、こうした長い間御苦労されましたかたがたでございますので、どうか一つ中共帰還者と同じように待遇して頂きたいということを強く要望しておきます。
  164. 常岡一郎

    委員長(常岡一郎君) それでは本会議も始まつたようでありますから、今日はこれで散会いたします。  次回は六月二日午前十時であります。    午後四時九分散会