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1953-06-23 第16回国会 参議院 地方行政委員会町村合併促進に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十三日(火曜日)    午前十時四十七分開会   ————————————— 昭和二十八年六月二十二日地方行政委 員長において小委員を左の通り指名し た。            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君            秋山 長造君            松澤 兼人君            苫米地義三君            加瀬  完君   —————————————  出席者は左の通り    委員長     石村 幸作君    委員            堀  末治君            館  哲二君            秋山 長造君            松澤 兼人君            加瀬  完君   委員外議員            八木 幸吉君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会調査    員       法貴 三郎君   法制局側    参     事    (法制局第一部    第二課長)   杉山惠一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長互選町村合併促進法案に関する件   —————————————    〔年長者館哲二君仮委員長となる。〕
  2. 館哲二

    ○仮委員長館哲二君) 只今から地方行政委員会町村合併促進に関する小委員会を開会いたします。  本日は小委員長互選することでありますが、私が年長者の故を以ちまして、選挙管理者として座長を勤めさして頂きます。小委員長互選方法は如何いたしたらよろしうございましようか。
  3. 松澤兼人

    松澤兼人君 小委員長互選は従来の慣例もありますので、座長から御指名をして頂いたらよかろうと思います。
  4. 館哲二

    ○仮委員長館哲二君) それでは今松澤委員から御発言のように決定いたして差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 館哲二

    ○仮委員長館哲二君) 御異議ないようでありますから、座長から指名申上げることにいたします。  地方行政委員会町村合併促進に関する小委員長石村幸作君を指名申上げます。    〔仮委員長館哲二君退席、石村幸作委員長席に着く〕
  6. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 一言御挨拶いたします。只今地方行政委員会町村合併促進に関する小委員会の小委員長に不肖私を御指名頂きまして、感激してお受けすることにいたします。この件につきましては、私も重大な関心を持つて、又興味を持つてというとおかしいが、関心を持つて今日まで参りました。従つて一生懸命勉強してこの小委員長の重職を守つて行きたいと思います。どうか皆さんの御協力をお願いいたします。  お諮りいたしますが、この小委員会議事の進め方をどういうふうにいたしましようか。ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  7. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 議事進行方法といたしまして、差当り今までの概要、それから法案内容等概略説明をして、それからこのお手許に出してあります試案を逐条的にでも審議して進めて行く、こういうことにいたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 石村幸作

    委員長石村幸作君) それからお話のいろいろの資料、これも成るべく取揃えて配付することにいたします。  大体昨日も委員会で御説明申上げましたが、なお重ねて申上げることにいたしますが、町村合併が今日必要であることは皆さんすでに御承知のことと存じますが、特に地方財政が非常に困窮、逼迫しておる。なかんずく町村においては特に甚しいのでありまして、そのいろいろな癌を取り除かなければならない。第一にこの貧弱な町村を、数を減らして合併させる、こういうことは特に町村長自体も認識しておるのでありますけれども、そこにいろいろな支障があつて、どうも実現いたさないという現状であります。私ども地方行政委員会に席を置くものといたしましては、これについて何らかの特例措置を設くべきことを指摘して、政府側にもたびたび注意を喚起して参つたのであります。特に平衡交付金制度実施によりまして、その計算方法関係から、合併した町村に対する普通交付金の額は、合併しなかつたものとして計算した場合よりも、遙かに下廻るという矛盾等がありまして、地方自治の確立について国の基本方針に副うこの町村のほうが、却つて不利益な地位に立たされるということになる事実、これに対して町村側としても非常な不満等を持つております。従つてそういうふうないろいろの事情のために町村合併実現し得なかつた現状であります。そこで全国町村会におきましても非常にこれに関心を持つて、又自治庁においてもこれを何とか実現しなきやならんというような気持を持つておりますので、町村会に対して非常な援助をし、殆んど共同してと言つてもいいような立場から、町村合併促進法案なるこの特別な法律案の制定について研究に着手いたしておつたのでありまして、前国会中、三月初めと思いますが、この試案提出等がこの委員会に出されまして、そして議員立法としてこれを成立してくれということを、たびたび要望して参つたのであります。そこで議員立法にする理由ということを一応考えてみたのでありますが、この法律の性質上、各省所管事項について多くの特例規定することにもなり、又国がこの促進のために或る程度の助成の措置を必要とするような特異性に鑑みまして、これはやはり議員立法がいいのだろうというように思われるのであります。そこで私ども前国会からの関係上、これには大きな関心を持つておりまして、館委員らとともに、これが調査研究を進めて参つたのでありまして、調査室にも検討をさせ、又法制局にも依頼して、法理的、技術的の問題点を詳細に検討してもらつてつたのでありますが、漸くここに一応の結論を出すまでに漕ぎつけましたのであります。  本日概略内容等も御説明申上げますが、これは昨日も申上げました通り、ただ試案でありまして、皆さんの十分な御意見を拝聴し、又研究して頂いてこれに取入れ、各派の共同一致の提案の形で立法する運びにいたしたいと、こう考えて参つた次第であります。  そこでこの法案試案内容概略申上げますと、総則と、他の法律特例町村合併建設計画実施雑則と、大体こんなふうに分けてあります。  そこで第一番にこの目的でありますが、これはお手許にさしあげてありますこの要綱御覧願つて、次に示してあります通り町村合併によりその組織及び運営を合理的且つ能率的にするように規模適正化を図ることを積極的に促進し、もつて町村における地方自治の本旨の充分な実現に資することを目的とする」というのでありまして、次がこの定義として、「町村合併」「合併町村」「合併関係町村」これの用語等説明しております。  次が町村合併規模についてでありますが、ここではおおむね人口八千を最低の基準として、地勢人口密度、その他の事情に照らして、行政能率化を根本において、合併すべきことを明らかにする。この八千でありますが、これも相当皆さんの御検討を願いたいのでありますが、一応の線でありまして、ここには町村吏員の一人あたりに対する住民の数とか、住民一人あたり役場費町村税に対する役場費の割合、まあいろいろ数的にも研究してみたのでありますが、神戸委員会神戸報告にも示されております通り、やはり七、八千を以て適正であると、こんなふうにみたのであります。実はこの面積についても一応検討してみたのでありまして、三十キロ平方という線も出たのでありますが、特に東北地方等の実情を調査してみましたが、三十キロを標準といたしますと、むしろこの合併を阻害する結果となりやしないかというようなこともありますので、この面積というのは、具体的に現わすことをやめまして、地勢人口密度という説明的な文句を使いまして、人口の八千というだけで、この規模の線を引いたのであります。  次は町村合併促進審議会というのを県に作り、町村には町村合併促進協議会というのを作ることにいたしました。これは二つとも地方自治法の中にも、すでに規定されておるのであります。  次が新町村建設計画の策定でありまして、従来その合併に際しましては、その関係町村ごとにいろいろ協議をして、ただ契約を結ぶと、こういうふうな恰好で進んでおつた従つてこの合併した後で、その契約が履行できたとか、できないとかいう紛争も相当あるようであります。そこでここに新町村建設計画というものをはつきり法的に謳つて、そこで将来の合併後の町村建設計画内容を明記するということにいたしたのであります。  次に他の法律に対する特例であります。  先ず第一番にこの議員の問題でありますが、従来この合併を阻んでいた一つの癌と言いますか、これは感情的の問題でありますが、合併実現すると、今までの議員の職を失う、こういうことが非常に現職議員連中の感情を刺激していたというような関係で、どうも癌になつていた事実があるのでありまして、そこででき得れば、議員の職をそのまれ継続在任せしめる。これがまあ一番いいんじやないか。又その議員の在任中、こういう大きな問題を解決するという一つのプライドと言いますか、そういうものを持つておりますが、ひとたび合併すると、先ほど申上げました通り合併建設計画等も自分の手でこれが行えない、こういう一つの悲哀がある。そこで特にこの建設計画変更等を要するような場合に、合併実現したのちに変更する場合には町村議会の議決を要する。その場合に、合併をするまでに骨を折つた議員議君が、そのまま残つていれば忠実にその計画協議等を議しますが、この代がかわると、自然、勢力というか、分野、これも変りますので、いろいろな問題が起つて来る。最初、合併当時にきめたものの予測しない結果も来たす虞れがあるという、いろいろな点から見まして、でき得れば議員をそのまま残してやりたい、こんなふうに考えられるのであります。そこでこの議員定数及び選挙特例をここに考えたのでありまして、議員に関しての特例を設けること、この特例としては二つの型を認め、協議による規約による選択に任せる。勿論規約を定めないで自治法原則によることはもとより自由であります。この特例一つの形としては、町村合併の際、現に在任する議員協議による規約の定めるところによつて新設合併町村については町村合併後二年以内の間、編入合併町村については、編入する町村議会議員残任期間引続き合併町村議会議員として在任するものとする。つまり選挙をしないでそのまま継続在任する形であります。第二の特例の形としては、新設合併町村については、設置選挙の場合に限り、地方自治法原則による定数の二倍と、合併関係町村定数合計とのうち、小さいほうの数を超えない範囲で、規約によつて定数を増加することができる。そうして選挙をする。こういう形であります。又編入合併町村については、現職議員残任期間に限り前と同様の範囲で、規約により定数を増加することができると、まあこういう二つの形であります。そこで今の議員の問題ですが、なおこの問題については、憲法の九十三条の二項ですか、「地方公共団体の長、その議会議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体住民が、直接これを選挙する。」という憲法規定があります。そこでこの憲法に抵触しやしないかということも相当考慮して研究して見たのでありますが、この範囲内で以上のごとく規定することも差支えないと、こう考えられたのであります。これは一つ又後刻十分研究して頂きたいと思います。  次が市町村境界変更に関する特例でありまして、町村合併に際して、合併関係町村の一部の区域が、他の市町村への編入を希望する場合は、それが地方自治法に定めてある知事勧告の中に採用されているという場合に限り、その区域住民投票により他の市町村編入することができるものとすると、こういうことで、その手続きを規定しております。  次が地方財政法特例でありまして、これは地方債を起す場合に、財源とする場合には、地方財政法によつてその制限がされておりますが、この場合はその規定に、第五条第一項の規定にかかわらず、地方債を以てその財源とすることができる。即ち新町村建設計画に掲げてある合併町村永久利益のために地方債財源とすることができると、こういう緩和規定であります。  次が地方税法特例でありまして、合併町村は、合併関係町村の間において、地方税の賦課に関し著しい不均衡があつた場合は、而もこれは止むを得ないと認められる場合には、三カ年度間は、不均一の課税をすることができるとしたのであります。  次が地方財政平衡交付金法特例でありまして、合併町村に対する地方財政平衡交付金については、五カ年度間は政令の定めるところによつて合併が行われなかつた場合に各合併関係町村に交付さるべきであつた金額合計額が交付されるべきものとする。即ち合併いたしまして数ヵ町村が一ツになりますと、どうしてもこれはその額が相当下廻るのであります。そこでこれを合併以前の形において関係町村を一ツーツに計算し、そしてそれを全部合計したものを交付するという特例であります。  次が国有財産特別措置法特例でありまして、国有財産特別措置法上の普通財産は、同法の第三条第一項各号の場合以外に、新町村建設計画実施について、永久利益となるべき施設の用に供する場合には、合併町村に譲り渡し、貸付ができるものとする、こういう特例であります。  次が国有林野整備臨時措置法特例でありまして、合併町村区域にかかる国有林野は、国土保安上及び国有林野経営上欠くことのできないものを除くほか、合併町村基本財産の造成上必要ありと認められる場合は、合併後五ヵ年間に限り、国有林野整備臨時措置法の例により、合併町村に売払い、又は交換することができるものとすること、この代金の支払方法としては五年間据置き、十五ヵ年間年賦とすること等でありまして、国有林野整備臨時措置法は来年、つまり二十九年度でお終いになります。そこでこれを延長した形というよりも、この臨時措置法の例によつて五ヵ年間この払下げができるということで、而も同措置法に載つておる林野だけでなく、先ほど申上げました国土保安上、及び国有林野経営上欠くことのできないものを除くのほか——これは売れないんで、そのほかに、臨時措置法に載つていない林野でも、これは同法の例によつて売渡しができる、こういう範囲が、この臨時措置法よりも相当拡大されておるのでありまして、林野庁方面でも、これについては相当の異論があつたのでありますが、大分緩和されつつあります。而もこの問題は本法立法の、これは大きな問題でありまして、どうしてもこの条項だけは、このまま一ツ生きるように是非したい、こう熱望しておるものであります。  次が国民健康保険特例でありまして、合併関係町村のうち国民健康保険を行なつているものがある場合において、町村合併によりその保険が行えなくなることのないようにするため、合併後五年以内の期間限り国民健康保険特例を認める、つまり二つ以上のつまり国民保険行つておる町村行つていない町村とが一緒になつた場合は、これは原則から言うと国民健康保険が行われないことになるのであります。それを特例を以て一部の区域だけでも行えるということにしたわけであります。同時に国民健康保険組合、これは国民健康保険を行なつておる町村では、この組合仕事はできないのでありますが、これを特例を以て組合仕事も行えるとしたのであります。  次が、水産業協同組合法特例でありますが、二つ以上の町村をその地域とすることにより、その組合員資格を特定の漁業従事者等制限することを認められていた漁業協同組合について、町村合併によりその地域が同一の町村区域に包含されることとなつた場合においても、従来の資格制限を在置することができるものとするという特例であります。即ち例えば品種を限つたまぐろ協同組合というような場合ですと、一つ町村内ではできないことになつておりますが、この場合、合併した場合に、二つ三つのものが一つなつた、従つてできなくなるということを緩和したものであります。  次が農地法特例でありまして、町村合併に伴う町村区域の変動により、小作地等がその所有者の住所のある町村のほかにあることとなつた場合においても、農地法規定にかかわらず、その所有する小作地等所有を認める特例であります。  次が第三章として、町村合併及び新町村建設計画実施であります。  町村合併に対する協力といたしまして、町村合併について、町村知事等より技術的な助言勧告援助を求めることをすること、町村関係機関及び公共的団体等協力についていろいろ定めたのであります。又これは一つ訓示規定のようなものであります。  次がこの事務の処理でありまして、合併関係町村は、合併に際し、誠実に事務を処理すること、即ち税金滞納等がある場合は、これをよく処理する、又支払未済のようなものはよくこれを整理して支払い、又整理して新しい合併町村に引継ぎの準備をよくして置く、こういうことであります。  次が財産及び営造物管理引継でありまして、合併関係町村合併に際して、基本財産等を誠実に管理し、合併町村維持発展に資すべきこと、その他財産及び営造物継続引継処分について必要な規定を設けたのであります。  次が公共的団体等統合整備でありまして、合併町村内の公共的諸団体等は、合併町村一体性を確立して協力するために、統合整備に努めなければならないということであります。  次が新町村建設計画実施でありまして、合併町村の一本化を促進するための町村関係機関及び住民の心構えを規定したのであります。  第四章といたしまして、町村合併及び新町村建設計画実施促進を次に掲げてあります。  先ず、町村合併促進のための補助金、これは国は町村合併実施促進するため、予算の範囲内において、補助金を交付することができる、ということを規定しております。  次が新町村建設計画実施に関するあつせん、新町村建設計画提出があつた場合には、内閣総理大臣関係各省大臣に通知し、且つ町村各省間、町村相互の間のあつせんをすることができるものとすることであります。  次が新町村建設計画実施促進のため国の行う措置でありまして、国は新町村建設計画実施促進するため、財政上の補助及び国の事業の実施について優先措置を講ずる、又行政上の処分について特に配慮することであります。  次が都道府県の行う措置でありまして、町村合併及び新町村建設計画実施について、都道府県も又国の行う措置にならつて、いろいろの措置を講じなければならんと、こういうことであります。  次が国の公共企業体協力、国の公共企業体、即ち国鉄とか電々公社等企業体は、管轄区域変更等町村合併目的実現のため必要な措置を講ずべきであるということであります。  次が内閣総理大臣助言勧告その他の措置でありまして、この法律目的実現のために、内閣総理大臣助言勧告その他の措置について定めたのであります。  次が第五章として、雑則謳つてありますが、この法律施行前の申請にかかる町村合併についての適用関係でありまして、つまりこの法律施行以前に申請をしておつた町村が、合併がこの法律施行後に実現したというものに対しては、この法律準用するということであります。  次が合併町村等が市となつた場合の適用関係でありまして、合併町村及びこの前条の町村となる規定適用を受け得べき町村が市となつた場合にも、当該市は市とならなかつた場合と同じく、本法適用を受けることを明らかにしたのであります。  次が市の区域を含む場合についての準用であります。本来の町村合併に市が関係者として加わる場合にも本法準用するものとするということであります。  次が市が設置され又は市に編入する場合についての準用であります。つまり二つ以上の町村区域の全部又は一部を以て市を説置する場合及び町村の全部又は一部を人口五万未満の市に編入する場合においては、議員定数及び選挙に関する特例を除き、本法準用するということであります。  ここで問題は、この人口五万という市に線を引いたことでありまして、これは現実の問題として、例えば六万、七万の都市面積も狭い、而も周辺の町村合併すれば非常にいい、又町村でも合併してもらいたいというような熱望を持つておる、こういう場合が相当事実あるのでありまして、そういう所からは、五万では困るから六万にしてくれとか、いろいろの陳情等もあるようであります。  大体今概略を御説明申上げましたが、以上の要綱に基く、タイプライターで叩いたプリントがお手許に配付してありますが、町村合併促進法案として試案が出ておりますが、これによつて逐次一つ審議を願いたいと存じます。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 進行について。逐条審議なり、法案審議に入る前に、大体委員長のほうから述べられました、こういうものができるまでの経過と申しましようか、或いは町村合併の構想と言ましようか、そういうものについての総括的な質問を許して頂きたいと思います。
  10. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 逐条審議に入る前に、総括的な質疑をということでありますが、皆さんそれでよろしゆうでございますか。どうぞお願いいたします。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 御説明の中にもありましたように、地方財政打開策というふうなことが、促進法案の生まれる一番大きき根拠のように考えられるのでありますが、そうしますと、どうしても基点行政的な措置というふうに傾きまして、例えば都市農村との調整の問題でありますとか或いは地方財政の不合理というものを現状のまま認めて、促進法案というものを考えて行つていいのかといつたような二、三の疑いを持つものでございますが、それらについて。
  12. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 勿論財政面から見まして、現在のままでは弱小町村ではやつて行けない。これはもう勿論のことでありまして、今後、例えばこの地方財政を、規在制度調査会等も作られて研究しておりますが、根本的に地方制度改革をし、従つて財政建直しもしなきやならん、こういうことになつておりますが、これは原則として小さい二千とか三千とかの町村が散在していたんでは、如何に制度を直し財政改革しても、やはりその困難は続くんだ、こういうふうに見られるわけであります。例えば財政改革として税制の改正をするといたしましても、この地方税県税市町村税を一律に変えても、どうしてもこの町村農村が多いのでして、そこに不均衡になる。他の市町村、大きい町村とどうも不均衡になる。これは否めないわけでありまして、特に小さいと、役場費についても、その他の経費の面についても、どうしても負担が過重になる。人口一人当りの税の高についても或る程度調べて見ましたが、小さいほど税の、住民一人当り負担割も非常に多いわけであります。そういう点から見て、やはりこれは将来地方制度改革されるとしても、先ず一番にこの町村合併整理が必要じやないか、こう思われます。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 原則としては勿論異議をさしはさむものじやないのですが、併し町村合併という二つのものを進めるにいたしましても、現実地方財政の不合理なものをそのまま認めて、それを解消するために、ただAの町村とBの町村合併して行くというような考えを持つか、そうでなくて、もつと産業とか経済とか住民生活自体というものを基点におきまして、例えば小町村が非常に役場費が仮に嵩むというならば、事務再配分の面において政府としてもつと考える面があるのじやなかろうかと、いつたような点を当然考慮されなければならないと思うのです。この全体の案というものが率直に言つて農村都市に吸収されるというような一つの傾向というものを、どうして防ぐかということが私にはよくわからんと思う。それから税源の不均衡というものを、税源の偏在というものをどういうふうに調整して行くかということも、明瞭じやないという疑点も持つのです。
  14. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 今のお言葉の中に、この地方制度というものを現在のままに見て……。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 地方制度じやなくて、地方の何と言いますか、税法と言うよりは……。
  16. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 財政ですか。決してそういうのでなくて、勿論地方制度従つて地方財政、そういうふうな面を根本的に改正する機運に向つて、事実調査も政府で進めておる。これに並行してこの町村合併をやる、こういうものでありまして、実はその程度の根本改革が進んだ後にこれを、町村合併促進すればいいのかもわかりませんが、私はそれを待つておられない。つまり並行して行くというけれども、むしろ先にこれをやつてしまおう、こんなように思つております。  それから今の都市に集中云々とおつしやいましたが、それは決してこれに都市集中政策等を盛り込んでいないつもりです。従つて先にもちよつと申上げました市に偏入する場合のごときも、実は或る向きは八万と言い、十万と言い、そうしてこの周辺のものが皆都市に集中したいという希望も相当あるらしいが、それではどうかと思うので差当り五万という線を一応引いたわけなんで、これは実情がその市に編入するのが最も適正であり、市も又その周辺の住民もそのほうが幸福である、こういうふうに特に見られた分を考えて、五万と小さくしたわけであります。
  17. 秋山長造

    秋山長造君 町村合併の場合に、地域給なんかの関係はどうなんですか。例えば地域給のついている町村とついてない町村かあるという場合に。
  18. 石村幸作

    委員長石村幸作君) これはお説御尤もでありまして、一つ合併した町村の中に異なつた等級がつくわけです。これはそのままにして置いても、現に、現在におきましても、一つの町の中に二種類の地域給のある所もあります。併しこれは合併ができたあとでよく調査をし、又その住民の要望によつて、人事院がこれを適当にきめることとなります。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 その場合に、この立案の過程において、その地域給なんかの問題について人事院のほうと話合いになつておられるのですか。
  20. 石村幸作

    委員長石村幸作君) これは具体的に話合しておりません。具体的というとおかしいが、一応の話合は個人的にもしております。併しそれはあとで直せばいいじやないかというような……。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 まあ町村合併を行う場合には、県にしても国にしても、いろいろな機関が極力これに便宜を与え、協力をしなければいかんということは抽象的に謳つてあるのでありますけれども、その場合に人事院あたりじやなかなか地域給を上げてくれとか付けてくれとか言つても、これは捗らないのでありますが、ところがやはりこういう問題が小さい問題のようで、我々町村合併なんかの場合に、大きなやはり問題の一つになるわけなんでありますが、まあ大きい市なんかにしても、中心部とそれから郊外のほうとではおのずから等級が違つているというようなこともありますけれども、併しまあ田園同志で、地域級の一級地くらいなところと、それから級値のついてないところと、まあ余り大した違いはないところ、ほんの小川一つ、道一つで繋がつてるようなところが合併するのですから、そういう場合に、やはり合併したあとも、依然として付いておるところと、付いてないところとが一緒にやつて行く、付いていないところはやいやい言つても暫く待つておれ、何か人事院がやつてくれんのだからしようがないじやないかということで、抑えて行くということは、どういうのでしようかね。そういう点はやはり人事院なんかと事前に話合つておかなければいかんと思う。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 その問題について私も大分地域給の問題については衆議院で人事委員をやつてつたので経験があるのですが、合併をしたからといつて地域給が下るということは全然ないのですから……。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 下るのでなくて、片一方を上げる……。
  24. 松澤兼人

    松澤兼人君 つまり段があるわけです。段があるということは、町村合併して市になつても、なつたことによつて地域給が直ちに上るというふうには人事院としては考えていないわけでありますし。併し市になればなつただけ平均化しなければならんという考えは、人事院としては持つておると思うのであります。平均化するということは、下げるということはありませんから、どうしたつて高いほうにならして行くという結果になるのでありますから、町村合併をやれば、やつただけ高いほうにならして行くという傾向は、確かにあると思うし、それは又促進しなければならんと思います。国の機関として、人事院としても、それに対して協力と言いますか、或いは努力しなければならんことになつておりますけれども、なつたからといつて、直ちにこういうわけには行かんけれども、いい方向に行くということは確かに考えられると思います。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 今松澤さんのおつしやつた意味で私は言つたので、一緒になつたために下るというのでなしに、付いてないところと付いているところと一緒になつた場合に、やはり一つになつても、そのまま行くのでは、付いてないほうが非常に不公平な感じを持つから、高いほうへ極力早い機会にならすように、人事院へこういう問題についてはあらかじめよく駄目を押しておかないといかんということを申上げたのであります。
  26. 石村幸作

    委員長石村幸作君) わかりました。それにつきましては二十七条に国の行政措置、これにも誰つてある通りでありますが、実は人事院とも非公式に話はしてあるわけであります。そこで二十七条の精神の適用でこれが行くと、まあこういうふうに思つているわけであります。  そこで如何でしよう、いろいろの御意見があろうと思いますから、一つ第一章総則、第一条から八条までが総則になつておりますが、この中で一つ範囲をきめて、そして御研究願う、こういうふうにしたいと思います。そこで第一条、これは目的でありますが、「この法律は、町村町村合併によりその組織及び運営を合理的且つ能率的にするように規模適正化を図ることを積極的に促進し、もつて町村における地方自治の本旨の充分な実現に資することを目的とする」……。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 第一条のこの「規模適正化」という問題なんですが、御説明だけ承わつておりますると、規模適正化というのは、行政の便宜的な処置としか受取れないのです。例えば地方自治の本旨というのであれば、住民の幸福のための産業とか、経済とか、或いは住民の生活などの観点というものが、規模適正化というものの中にどれだけ基準として入つておるかという点で、入つておらないように思われるのですが、どうですか。
  28. 石村幸作

    委員長石村幸作君) これは先ず地域を拡大して決定する、そうすれば、従つてそこに経済的の措置も、まあ自主的というか、又それに加えて国なりの措置も講じられる、第二段階として。そこでこの建設計画というのは、次にいろいろ列記してありますが、こういう、つまり公共的な立場を主に考えております。従つてそこにその土地の特異な経済的面も、その公共的施設等に現われて来るのじやないかと、こう考えております。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 この合併の具体面に入りますと、規模適正化というものを或る程度明確にしておきませんと、無理な、ただAとBの合併というものが進められまして、あとで問題が起ることが多い。そこで規模の適正というものの中には、産業なり経済なり住民の生活なりについての、或る程度の標準というものが記されて、こういう条件で合併が進められるべきだというふうなものがないと、まずいように思われるのです。
  30. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 第三条にこの町村規模について謳つてありますが、ここで人口のほかに説明的な「地勢人口密度その他の事情に照らし」と、実はここに産業、経済というような文句も初めは入れて見たのでありますが、その他の事情というのは、つまり御趣旨の意味はここに盛つてあるわけであります。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 私三条を見て今の質問をしたのですよ。と申しますのは、「行政能率を最も高くするように」と書いてある。「行政能率を最も高くするように」ということは必ずしも……、こう申しましようか。「行政能率を最も高くするように」ということは、その住民の利便をそのまま進めるということとは同じことにならないと思う。で、特に「規模をできる限り増大」するということは、或る場合住民の不便を助長する場合すらも出て来ると思う。そういう点がどうもその行政能率ということばかり先に考えて、住民利益ということが、どうも蔭にかくれておるように思われますので、規模適正化ということを明確にしなければならん、こういうふうに考えるわけであります。
  32. 石村幸作

    委員長石村幸作君) そこで大体加瀬さんの質問の気持もわかつたのですが、私の申上げる内容もおわかりと思つておりますが、質問と同時に一つ何かいい御意見があつたら、どんどん言つて頂くといいと思います。それでこれは原案を出してこの内容を質疑応答するのでなくして、その原案を一つ研究して頂いて、皆さんの御意見を十分にこれに採入れるつもりでありますから、これはこういうふうな何を含ましたらどうかというような御意見が必ずおありと思いますが……。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 私は反対をしているのじやございません。
  34. 石村幸作

    委員長石村幸作君) それはわかつております。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 実際町村合併を進めて参りますと、いろいろな無理な、合併ということに急にしていろいろな無理が生ずるのです。そのために取返しの付かないような失敗というものも又生ずるわけであります。そういうことがないためには、或る程度促進法というものの内容に明確なものを盛らなくつちやまずいじやないかというので、遅ればせに参加いたしましたから、この前の委員会あたりでいろいろこんな問題で何かお話が出ましたら承わりたいと思つて質問いたしたわけであります。
  36. 石村幸作

    委員長石村幸作君) そこまで行つておりません。速記をちよつと止めて下さい。    〔速記中止
  37. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 速記を始めて……。
  38. 加瀬完

    加瀬完君 結局そこがどこヘウェイトを置くかということの問題だと思うのです。合併促進法というものが一度出れば、誰もこれが過渡的な、便宜的なものだとは考えないわけですからね。一つの理想案として言つたのですから。こういうものを出すならば、AとBとのただ合併ということに主点が置かれることのように解せられるものではなくして、それならば一部編入とか、或いは現在の町村というものを、又或る観点から再分割、再統合するというふうな強い線というものを打出すということも又考えられない二とでもない。そういうような問題がこの前の話合や或いはこの案の審議の過程に何か出なかつたでしようかどうか。
  39. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 勿論そういう場合も予想いたしまして、そういうお考えで町村合併をお進めになることについても障害のないような法律内容というふうに考えてあるわけでございます。
  40. 松澤兼人

    松澤兼人君 大体規模適正化ということはこの三条がそれを受けておるわけですね。
  41. 石村幸作

    委員長石村幸作君) そうです。
  42. 松澤兼人

    松澤兼人君 そのほかに規模適正化ということは謳つてないのでしよう。
  43. 石村幸作

    委員長石村幸作君) そうですね、先ず第三条ですね。
  44. 松澤兼人

    松澤兼人君 ああそうですか。それで結局、まあ今加瀬君もそう言つておりますけれども、住民の利便ということと、行政が非常に能率化して行くということは、まあ一方から言えば、大変結構なんだけれども、一方から言つて、却つてその住民が不利益を、不利便といいますかね、不便を感ずるということがあるのじやないか、これは平行して考えなければならない。そこでただ行政の能率というだけ、つまり言つてみると、役場側だけの理由で住民の利便ということが従として考えられるということになると、住民が何のために合併したのだということになりはしないかと思うのですが、その噛合せの問題だろうと思うのです。
  45. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 今のお説御尤もでして、勿論これは役場側のとか、理事者といいますか、そういうふうなものの利便に基いてやるべきものじやなくて、住民の福祉のためを主にしなければならん問題です。そこで例えば今の人口八千という問題も、特にこの最低基準を合併するのだから、成るべく大きくしたらいいだろうというのに走らずに、おおむね八千として、実はこの面積においても、三十キロとこのうちに謳つてつたのですが、これには削除しました。それも中心地点から、各すみずみから一里くらいの面積がいいだろう。こんなふうにも考えたくらいでありまして、この八千というのでやれば、おおむね八千とするならば、この地方の住民の利便という点から見ても、先ず適正じやないか、こんなふうに考えております。勿論この規模の点において八千というようなはつきりした尺度というものはないわけです。まあおおむねでありますが……。
  46. 松澤兼人

    松澤兼人君 その点はいいですけれどもね。それでもう一つは自治の本旨ということが、住民の利便を図るということにあることは勿論だろうと思うのですが、若しできれば行政能率を最高度にするということと同時に、併行して或いは住民の利便をよくするといつたようなことをどつかで謳えば、その問題は妥協的な一つの解釈がつくと思うのです。  それからもう一つの問題は、町村というものは一定の目的だけで以て作るものでなくして、やはり地縁的な関係でできているものなんで、それが不合理であるとか或いは非能率であるとかいうふうな面からばかり割切つても考えられないところがあると思うのですよ。同一経済面とか或いは又地縁的な水利関係だとか何だとかいうことで、非常に土地に密着しているという、それが農村というか町村一つの特質であつて、都会がそれに反して非常に利益社会的な性格を持つている。農村のほうでは反対に郷土社会的な性格を持つているということで、単にこれは強制法ではありませんけれども、そういうただ一方の能率化ということだけで、法律ができたんだから、合併しなきやならないといつたような、何か圧迫を受けるような感じを与えちやいけない、こういうように思うのです。
  47. 石村幸作

    委員長石村幸作君) よくわかりました。これは加瀬君の御意見もそこにあつたろうと思うのだが、この行政能率の増進のみではないのですけれども、そういうように見られる嫌いがある。そこで住民利益、福祉、こういうふうな意味をここへ取込むように一つ研究することにいたします。
  48. 秋山長造

    秋山長造君 私も同じような感じを持つのですが、ただ併し、住民の利便ということも、現実の問題になると又いろいろあるので、例えば私らが農村に住んでいてよく体験しているのですが、住民の目先の利便から言えば、役場ができるだけ自分の部落にあるようなあり方が一番便利がいい。できれば各部落別に全部役場を置いてもらえば一番便利がいい。役場へ行くにも自転車に乗つて行く必要もないし、ちよつとそこらへ行けば間に合うということになる。併し、だからといつていつまでも小さい町村で学校もお粗末だ、いろいろな公共施設もお粗末だということでなくて、少々遠くても立派な学校が建てば子供のためにもいいと言えるわけですから、そこらはこの集中と分散とのバランスをどこまでとつて行くかということをよく考えて行けば、大体住民の利便は合併によつてつて害われるということがなしに済むのじやないかと思うのですが、ここに書いている「地方自治の本旨」ということは憲法にも書いているのですしいろんな文章にも地方自治の本旨に則りというようなことが書いてあるのですが、ここに書いてある「地方自治の本旨」ということは一体どういうことを考えているのですか。これはまあ委員長にお尋ねするのもどうかと思うのですけれども、どなたでも結構です。「地方自治の本旨」ということをよく私ら自身も使うのですけれども、この内容はどういうことを意味しているのでしようか。
  49. 石村幸作

    委員長石村幸作君) これは御尤もなことで茫漠たるなにで、枕言葉のようになつているので、(笑声)何ごとにもそうなつているのです。併しこれは、この場合には憲法の九十二条に「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて」とこうなつているので(笑声)まあこれに則る、こういうことです。
  50. 秋山長造

    秋山長造君 やはりこれはなんでしようか、ただ自治行政というようなことでなしに、地方住民の利便とか幸福とかいうようなことも含まれて「本旨」という言葉を使つているのでしようか、どういう意味でしようか。
  51. 石村幸作

    委員長石村幸作君) まあそういう意味でしようね。そこでこの場合にも新町村建設計画の策定というのが第六条にありますけれども、これが相当ものを言うんじやないか。つまり住民の利便、福祉というか、その希望を、この条項、建設計画の策定に際して遺憾なくこれに発揮するとすればいいんじやないかと、こう考えております。
  52. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどお二人からおつしやつたように、この「地方自治の本旨」ということだけではどうもわかつたようでわからないような漠然とした言葉なんですが、それをそのまま残して、それと並べて何かもう少し具体的に地方住民の福祉の向上とか利便の向上とかいうような言葉を並べるか取替えるか何かして、やはり入れておいたほうがいいんじやないかと思いますのは、私も地元が岡山県なんですが、岡山県は御承知のように町村合併を猛烈な勢いでやつていて、二年間に百ぐらいの町村を減らしておる。三百六十あつたのを今二百七十ぐらいにしていますが、中には間々行過ぎがありまして、町村議員だけがどんどん町村合併を村民の知らぬ間に決議をやつてしまつて、村民がびつくりして立上つた時には、もう決議は済んだんだから、今更言つても遅いというようなことが間々あるのですよ。そういうことになりますと、やはりこれは住民の福利を護るべき議員の行動としては、いささか軽率のそしりを免れんと思うので、そういう余り軽はずみな行過ぎを或る程度抑えて、やはり一応住民の気持を聞きつつ極力合併に持つて行くという態度をとらせるために、住民の福祉とか住民の利便とか何とかそういうことを、ここでなくてもいいのですが、どこかへはつきり文言を書いておいたほうがいいんじやないかと思いますが……。
  53. 石村幸作

    委員長石村幸作君) どこかでなく、やはり「(目的)」の所あたり一つ特筆大書するように研究いたします。
  54. 秋山長造

    秋山長造君 そういう項目を一つ入れたいと思います。
  55. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 今の言葉の中の、議員等が勝手にきめて住民はびつくりしたということ、御尤もでありますが、そういうことのないように町村協議会を作つて、その協議会のメンバーは、まあ先の話ですが、その他の職員とか書いてありますが、これも広範囲に解釈して、例えど文教に関することだつたら教育委員というようにあらゆる面を網羅してその協議会を作る、こんなふうに取入れてあるわけであります。
  56. 八木幸吉

    委員外議員(八木幸吉君) 今の目的のところに住民の福祉とその負担軽減という字を入れたほうがいいのではないかと思います。地方財政の最初の提案の際にもお話がございましたが、福祉の裏といいますか、負担軽減というものを目的の中にお入れになつたらいいじやないかと思います。
  57. 石村幸作

    委員長石村幸作君) これは大きく言うと、さつきいつた地方自治の本旨に入つておることでもあるし、又今の住民の……そういう意味を何か考えさせて頂きます。たとえば利益、利便それから福祉の中にそれも入つておるわけですけれども、そういうような文句を一つ考えさせて頂きます。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 今委員長のお話の第五条の2ですが、教育委員なり農業委員などは職員と解釈できるかという問題ですが……。
  59. 石村幸作

    委員長石村幸作君) これはいろいろ解釈して見たのですが、いわゆる公選の委員は、これは皆入ると思います
  60. 加瀬完

    加瀬完君 そこで教育委員会というものが正式の機関であつて、個人の教育委員というのは、これは教育委員会の何ものをも代表するわけでない。農業委員もやはり同様のものではないでしようか。そこで教育委員なり農業委員の個人を入れても、教育委員会の意見を聞いたことにもならないし、農業委員会の意見を聞いたことにもならないのではないか。併し町村合併の時には、小作地の問題も耕作地の問題もありますから、農業委員会は相当重要な諮問としての役割をしなければなりませんし、学校問題も大きな問題でありますから、教育委員会の役割も大きい。それらについて教育委員会として農業委員会として、促進協議会に発言できないということは、不合理じやないかと思うのですけれども……。
  61. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 発言できないというのは……。
  62. 加瀬完

    加瀬完君 教育委員会として或いは農業委員会の正式機関が協議会の中には参画できないわけでございましよう、これで参りますと、そうすると、教育委員会の意見、農業委員会の意見というものはどこで聞くのか。
  63. 石村幸作

    委員長石村幸作君) そこで御指摘の第五条に「その他の職員」としてありますが、そうすると、つまり農業委員会を正式に代表して入れない。ですけれども直接これは委員長を入れるとか、教育委員会委員長を入れるとかいうことに事実なると思いますが……。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 なりますけれども、個人として入りました教育委員、個人として入りました農業委員は、農業委員会の代表でもなければ教育委員会を代表しているわけでもないと解釈するのが当然だと思うのです。そうしますと、一番大きな問題を含む教育問題とか農地問題とかいうものの意見はどこで聞くのか、協議会において……。
  65. 石村幸作

    委員長石村幸作君) まあ一応の御理論ですけれども、そういう場合に例えば教育委員長、農業委員長、農業会の会長ですか、が入れば、その人はその団体の意思を代表してやはり協議するでしようね、事実問題としてこれは……。
  66. 加瀬完

    加瀬完君 事実問題としてそういうことは不可能だと思う。この条文には二つの疑義がある。そういう各種委員を職員と解釈していいかということが一点。それから今言つたように教育委員の個人、農業委員の個人に意見を聞くことは、教育委員会の意見、農業委員会の意見として受取つて正しいかということ、これは委員長よりも専門員のかたで答えても結構です。
  67. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 只今の御質問で二点あると思いますが、職員の文字が公選職の執行機関の長或いは委員を含むかということでございます。これは現在の自治法上のやり方で、教育委員或いは公安委員というようなものを職員の中に含めて用いておるという場合もあることと思います。それでここではその用法によつたわけであります。  それから第二には、こういう場合に、その協議会の中に入りました委員は全体の委員の代表となり得るかどうかという点だと思います。委員会の代表となり得るかどうかという点だと思いますが、大体町村行政というものが、全体の話合いで事を進めるというような形が多いのでございますから、こういう規約によりまして協議会の権成を定めます場合において、それは教育委員を入れるか入れないか、或いは入れれば誰を入れるかというふうなことは、事前にその実情に合せてきめて、そして任命するということになりますから、町村長が自分の都合のいい委員をこの協議会の委員に任命するというようなことは大体はあり得ないというふうに考えるわけでございます。それからなお附け加えて申しますれば、合併問題というものが……。
  68. 加瀬完

    加瀬完君 ちよつとお話中ですが、私の質問しておることは、協議会に参加したところの教育委員個人、農業委員個人が、教育委員会の代表と認められ、農業委員会の代表と認められるかという法的な解釈です。
  69. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) その点については、これは法律上から厳密に申しますると、相当疑問がある場合があるかと思います。併しその教育委員の中で事実上の話合いによりまして、大体の代表ということで入れば、それは事実上差支えないということでございまして、それでよろしいのではないかというふうに考えております。
  70. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 杉山法制局第二課長どうですか。
  71. 杉山惠一郎

    法制局参事(杉山惠一郎君) この協議会はおのおのの村が代表を出し合つて話をするという形になつておるわけですが、教育委員会とか公安委員会、農地委員会とかいうものは、この村の中のいろいろな意見の調整をやる、勿論委員会として意見の調整をやるだろうし、そういう意見の調整したものを持つて行つて、他の村との話合いをする場合に、どういうものをやるかということが、ここに書いてあるわけで、この協議会の構成委員として、自治法の中にある協議会の構成委員として掲げてあるものと内容は同じつもりで書いてあるわけで、別にここで新らしいものを附加しておるとは考えていないのですが、ただここで委員その他を出して来たのは、執行機関でないのでちよつと呼びにくいこともあるからというので、念のための規定としてあるわけですから、別にこの協議会でその村の教育委員を代表して出て行く、或いは農地委員を代表して出て行くということは考えてない、こういうふうに考えております。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 そこで私は形式的に解釈をすればそういう理窟も成り立ちますよ。併しこの法の精神というものは、町村合併を推進して行くということが法の性格なのですね。町村合併を強力に推進して行く上に一番問題になるのは教育の問題と農地の問題なのです。そうすると教育の問題の正当な機関である教育委員会町村合併についてのことをどこで諮るか、農地問題の正式機関である農業委員会町村合併についての農地の問題をどこで諮るかということになると諮るところがない。一番大きな問題を孕む二つの問題を二つ委員会に諮らないで、一体町村合併を進めて行つて支障が起らないかという、この法全体の一つの欠点と申しましようか、私は疑義をそこに持つのであります。それらを全部含めてお答えを頂きたい。
  73. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは土地の変更とか不在地主とかそういうことでないと思う。若し変更する必要があれば、農地委員会に諮らざるを得ない法律的根拠があるのでしよう、別な法律で……。そうじやないのですか。だから意向を聞かないで変更はできないし、意向を聞くとすれば、正式機関としての農業委員会なり教育委員会に諮る必要があるのじやないかと思います。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 私は具体的の問題として一番支障が起き、問題になるものは学校問題であり農地問題と思うのです。ですから合併を推進して行く上に、それらの問題の当面の責任者に合併についての話合いを一度も持ち掛けるような規定がないということはまずいじやないかと考えます。
  75. 松澤兼人

    松澤兼人君 別の法律で当然義務付けられておるのではないでしようか。
  76. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 加瀬委員の御質問にちよつとお答え申上げます。法律上の問題は法制局の杉山二課長から申上げた通りでございます。ただ私どもが職員としておいてよろしいというふうに考えたものは、若し学校の設置というようなことについて非常に問題になるというときは、これは或る場合は調整の中心問題ということでございまして、その場合は町村長というものは自分の町の一部の機関である教育委員会の意思を無視して、勝手に合併計画或いは町村の学校の計画を作るはずもなく、あらかじめ協議して適当に調整を図り、その意見を以て町の合併に対する基本方針とするであろうということを前提として、この規定をおいたわけでございます。そうしてその実情によりまして、その調整において、合併についてはやはり教育委員を是非協議会の委員中に入れなければならんという場合には、この規定によりまして職員ということで、教育委員を出すということになると思います。それで実際をいうと、何らこの規定の書き方で不備はないと思います。  それから我々が検討中に考えましたことは、たとえば町村の機関というものはいろいろありまして、教育委員会のほかに農業委員会或いは公安委員会の場合もございます。そういうものをすべて網羅的にするか或いは実情に合うように適当に現地で委員の構成を定めるか、いずれがよろしいかというので、この案に落ちついたわけでございます。
  77. 加瀬完

    加瀬完君 その他の質問に進んでよろしいですか。
  78. 石村幸作

    委員長石村幸作君) どうぞ。
  79. 加瀬完

    加瀬完君 第七条の条文ですけれども、「合併町村建設協力する基本の態勢を整えるように配慮しなければならない」という条文があるのでございますが、先ほど秋山さんからお話が出ましたが、今の町村合併というものは、どうも一部の者によつて合併計画が取運ばれておるという傾向が非常に強い。こういうような傾向に対する調整というものはどういうふうに考えるか。  それから次の第二項の問題で「相互の間に均衡を失するものがある場合においては、すみやかに是正するように定めなければならない」とありますが、どこでこの是正をするのかという問題、それから不均衡か否かということは、非常に主観的の問題になつて来る。そうすると少数地域の人たちが不均衡だと考えておりましても、これは大多数の地域のものは、これは不均衡でないという、大多数の地域のものの主観の下にはねのけられる危険がある。そうすると、少数のものが不利益に甘んじなければならんという問題が起るのですが、これらに対してどういうふうな処理をするのか。
  80. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 是正をどこでするかという、つまり従来のこの均衡を失するものがある、これは今まで均衡を失しておるわけです。これを是正をするというのは、つまりそこの合併をしようという関係町村で、初め議会でも研究されるでしよう。それからそれがいよいよ協議会の問題になつて、そこでいろいろ協議、是正するべく協議する機会があるし、いよいよこれが決定してしまつたとしても、知事又は総理大臣においても、これを変更させる必要がある場合には、変更させるというような条文もどこかにあつたようでして、いろいろの段階があると思います。
  81. 加瀬完

    加瀬完君 今委員長が、知事或いは総理大臣で変更させるという条文があつたと言いますけれども、どこでしようか。そういう条文は、私は見当らないのですが。
  82. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) これは府県知事提出してその斡旋、或いは内閣総理大臣の斡旋というような条文もございますので。
  83. 加瀬完

    加瀬完君 あつてもそれはどれだけ拘束力があるのですか。
  84. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) これは変更につきましては、新たにできました町村議会の議決ということになりますから、拘束力はないと思います。
  85. 加瀬完

    加瀬完君 そうなつて来ますと、少数地域のものは若干不利益をこうむつても泣寝入りをしなければならんということになるのじやないか。それを防いでいるところの条文であるけれども、実際的な問題となりますので、その処理ができないということになると思いますが、どうですか。
  86. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 新町村建設計画というものがあらかじめ定められておりまして、合併前の各町村ごとに住民の意向を酌みまして、議会が慎重に考えました内容を盛り込んでおりますから、大体そういうことはあるまいと考えるのであります  それから第二には、今回の法案によりますと、議会議員というものは、従来の議員がそのまま合併継続する、或いは自治法原則の定員の二倍までは一回限り認めるということがありますから、人口集中地域議員だけではなくて、周辺地域議員も相当出るということで、その周りのほうの利益も擁護できると考えます。
  87. 加瀬完

    加瀬完君 それは法制定の一つの矛盾だと思うのですよ。そういうことがあるまいと思うならば、こういう規定を何も作ることはない。不均衡が当然生ずると思うから、こういう規定ができておる。こういう規定を書てておいて、町村計画でやるのだから、そういう不均衡ができないと思うということは、大きな矛盾だと思います。できた場合はどうするかということを聞いておる。
  88. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 実はこの規定の根本の考え方は、従来合併前の各町村におきまして、その施設の内容に非常に不均衡がある場合がございます。  つまり財政上の理由によりまして、或る町村は公民館が相当普及し、或る町村は全然ないという場合がございますが、そういう町村合併した場合におきまして、合併後の町村においてはそういう施設が甚だ不均衡であるということになります。そういうものについては、新らしくでき上りました町村においては、新町村建設計画において、その是正を意図し、且つ合併後においても、その計画内容従つて漸次均衡を得るように行政を行うのがよろしいということでございます。
  89. 加瀬完

    加瀬完君 それはよくわかるのですよ。併し合併というのは、大体同じようなものが合併するばかりでなく、大きなものが小さいものを吸収するような合併、そうすると、今までの合併を見ておると、小地域のものがいつも均衡を失するので、それに対する不満から問題が起つて来る。これだというと、こういう問題が当然解決されるというように、条文の上からは解釈できるけれども、具体的な問題になつての処理というものは、今言つたような場合、大きな地域の主観的な条件に押されて、小地域利益がふみにじられるというような傾きが起つた場合に、どうこれを処理するかということを聞いている。
  90. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 勿論お話のような場合もございますが、それをこの法律によりましてどういう方法によつて保障するかということが問題であろうと思います。そしてこのように強制的な権力に基かずして、勧奨的な措置によりまして合併促進しようといたします場合においては、この程度の保障で一応差支えないのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
  91. 加瀬完

    加瀬完君 この程度と言つても、何もやつていない。今の説明では、何もできないということになつておる。是正するように定められなければならないということになつておるだけで、具体的に是正する、どういう方法を以て是正をして行くのかということは、説明がないわけであります。
  92. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) そういうわけでございませんで、この新町村建設計画の中には、そのような具体的の計画をすべて盛り込むわけでありますから、合併進行する途上において、周辺地域もやはりその町村において吸収合併したほうがよろしいという場合においては、周辺地域の希望というものを盛り入れた新町村建設計画ができるわけであります。例えば新町村建設計画の中には、役所、役場、或いは小学校の配置をどうするか、或いは文化施設をどうするかということが書いてある。合併後の町村において行うのは、議会の議決に基く行政ということでございますから、それはむしろ法律上の問題でなくて、政治上の信義の問題になると考えます。
  93. 加瀬完

    加瀬完君 それを政治上の信義の問題にしてしまつて法律的に一つも保護しなければ、町村合併というものは、小地域のものはいつも泣寝入りしてしまわなければならないという現実の問題が処理できない。私はこれを処理する方法があると考えて、どういう方法だということを聞いておるが、結局ないということになるのですね。
  94. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 速かに是正するように定めなければならないのだから、新町村建設計画を定める場合に、こういうふうにしなければならない、ここはこういう意味だと思います。建設計画を定めるときに、この不均衡がないように、住民が福祉を増進するように、負担を分任させるように、あとでこういういざこざが起きないように、町村建設計画を定めるに際して、こういうことを是正しなければならん、こういう意味……。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 それでいいのですけれども、それにしたところで、小地域のものは大多数のものに圧倒されるという結果が生ずるのじやありませんか。
  96. 石村幸作

    委員長石村幸作君) それはお説の通りと思います。例えば現在関係町村内においても、恐らくそういう部落部落について均衡を失するようなことが事実あると思います。従つてそれが又関係町村合併するとなると、自然そういうような問題が又起きて来ると思います。そこでこの建設計画を定めるに際して、各関係町村から協議会の委員が出て、これを協議するわけで、そこでその協議に際して不均衡なことを是正することができないようだつたら、自然の合併促進実現ということが不可能になつて来るわけでして、そこでそれを今までのように、よくありました、例えば市に合併する、大きな町に合併するというような場合には、よく例があつたので、いろいろ条件が出て相談する、市長さんと村長さんが契約をする、それにはおのおの議会の決議によつてまあ契約するとしても、あとでそれが履行されなかつたということが事実あるのであります。そこでこの建設計画の策定ということは、それ以上にもつと法的であろうと、こう思われるのでして、この建設計画を策定する場合に、慎重に、各関係町村の人たちが圧迫をされるとか、そういう意味がなく、公正な措置によつてこの建設計画が進められる、そこでこの是正ということを如実に示さなければならんと、こう考えております。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 ひとりでばかり質問して申訳ないと思うけれども、そういうことになつて参りますと、お答えのない初めのほうの質問に帰つて来るわけでありますが、第七条の問題でありますが、相互の協力というものがなくて、さつき秋山さんがお話になつたように、一部のもののみにて合併計画が強引に進められました場合に、一般のものたちがよくわからないうちに合併計画が進められるというふうな傾きがありましたときに、この傾向に対してどういうように調整をし、或いはブレーキをかけるかということの問題ですね。
  98. 石村幸作

    委員長石村幸作君) それは最初関係町村でおのおのその議が進められるでしようが、それは主として議会で進められるのが原則でしようが、議会議員のやることが住民の福祉を無視してやるかというようなことは、これは事実上考えられないことなのだけれども、そういう事実の問題がある。とすると、そこでこれをもつと本当の民主的の根本に入るとしたならば、これは住民投票でやるという以外にないと思います。ここでは住民投票というのは、特に一部編入……そこの二十条に、さつきの住民投票というのは、一部編入の場合の知事勧告、あの場合でして、ここに第二十条には、町村合併に対する協力謳つて、「町村は、町村合併を適正且つ円骨に行うために、都道府県知事都道府県議会都道府県区域内の町村議会又は長の連合組織その他の関係のある機関及び学識経験を有する者等に対し、技術的な助言勧告その他の必要な援助を求めることができる」こういうふうになつて、二項が「町村合併が行われようとするときは、関係町村関係機関は、町村合併を適正且つ円骨に行うために、その意義及び目的住民に周知させるように努めるとともに、当該町村区域内の公共的団体等に対し協力を求めるようにしなければならない。」3「関係町村区域内の公共的団体等は、前項の協力を求められたときは、誠実にこれを対処しなければならない」ここで第一は都道府県、それから第二は町村内のことでありますが、こうして町村民に周知徹底させるという機会をここに与えなければならんということを書いてある。そうして又審議会ですか、町村合併議会、それが都道府県にもありまして、都道府県の高いところから、というとおかしいが、都道府県町村合併を見ておるし、又報告を必ずしなければならないので、その報告に基いて都道府県の審議会も慎重にこれを検討して行くいろいろな機会があるわけで、ただ一部のものによつてこれが横暴というか、強行されることを避けるべく、そういうことを排除するいろいろな機会はあることはあるのです。これらによつて自主的に、強制的でなく自主的に合併が進められる。それについては住民も又その地域内のあらゆる団体、公共的団体も皆公正な気持でこれに対して協力をする、又対拠する、こうしなければならないというようなことになつておるのであります。
  99. 加瀬完

    加瀬完君 町村の有識者が自主的な立場で当然取進められるべき問題でありますので、全部が殆んど訓示規定でありまして、別に罰則規定というものは殆んどないのであります。でありますので、そういうふうに当然のように進められて行く場合は問題がありませんけれども、仮に今言つたような手続上の順序を踏まないで、町村合併知事なら知事に意見を求むるというような形になりました場合は、知事はその立場において手続上の不備がありまするときには、これを却下すると言いますか、もう一度再考させるというような措置はできるのですか。
  100. 石村幸作

    委員長石村幸作君) これは県の機関として自治法にも定められておりますさつきの審議会、あれはこれだけの法律でなくて、自治法にも定められておる審議会、そういうような機関でこれを検討させ、そうして知事が適当な処置がとれる、こう思つております。
  101. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういう関係はそれでいいですか。
  102. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 只今委員長から大体御説明がありました通りでございますが、自治法原則によつて処理されることになります。この法律の手続によりまして行われることになりますが、その後併しその議会の議決による合併の議決が手続上どうなるかということは、自治法原則によることになります。
  103. 松澤兼人

    松澤兼人君 七条か何かのあれですか、地方自治法七条の……。
  104. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) さようでございます。
  105. 松澤兼人

    松澤兼人君 関係町村議会の議決を経た申請に基いて、都道府県知事が府県議会の議決を経て定めるというようなことになるのですか。
  106. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) さようでございます。
  107. 松澤兼人

    松澤兼人君 いけないという場合にはそれを……。
  108. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 知事が適当と思う場合は、都道府県議会にかけまして、議会の議決を経て、そのように決定するわけでございます。
  109. 松澤兼人

    松澤兼人君 いけないというときには、いけないという意見を附してあるのですか。
  110. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) そのような場合もあるのではないかと思います。知事は、説明は自由でございますが、この第七条の規定では、申請に基きとございますから、市町村側議会の議決による申請がありました場合には、適当であると思えば直ちにその府県の議会にかけて議決を経て、合併を決定するということになると思います。
  111. 松澤兼人

    松澤兼人君 府県知事が自分の意向で申請を却下するとか何とかいうことはできないのですか。意見を附して却下するということは……。
  112. 杉山惠一郎

    法制局参事(杉山惠一郎君) やつております。知事がその合併が適当でないというふうに認めたときには、議会に付さないでそのまま取捨ててしまつているという例があります。
  113. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 今の問題については、丁度大阪にそういう例がございますね。
  114. 加瀬完

    加瀬完君 わかりました。
  115. 石村幸作

    委員長石村幸作君) 如何でございましよう……。では今日はこれで閉じることにいたします。    午後零時四十一分散会