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1953-06-23 第16回国会 参議院 地方行政委員会町村合併促進に関する小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年六月二十三日(火曜日) 午前十時四十七分開会
—————————————
昭和
二十八年六月二十二日
地方行政委
員長
において小
委員
を左の
通り
指名し た。
石村
幸作
君 堀
末治
君 館
哲二
君
秋山
長造
君
松澤
兼人
君
苫米地義三
君
加瀬
完君
—————————————
出席者
は左の
通り
委員長
石村
幸作
君
委員
堀
末治
君 館
哲二
君
秋山
長造
君
松澤
兼人
君
加瀬
完君
委員外議員
八木 幸吉君
事務局側
常任委員会専門
員
福永與一郎
君
常任委員会調査
員
法貴
三郎君
法制局側
参 事 (
法制局
第一部 第二課長)
杉山惠一郎
君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○小
委員長
の
互選
○
町村合併促進法案
に関する件
—————————————
〔
年長者館哲二
君仮
委員長
となる。〕
館哲二
1
○仮
委員長
(
館哲二
君)
只今
から
地方行政委員会町村合併促進
に関する小
委員会
を開会いたします。 本日は小
委員長
を
互選
することでありますが、私が
年長者
の故を以ちまして、
選挙管理者
として
座長
を勤めさして頂きます。小
委員長
の
互選
の
方法
は如何いたしたらよろしうございましようか。
松澤兼人
2
○
松澤兼人
君 小
委員長
の
互選
は従来の慣例もありますので、
座長
から御指名をして頂いたらよかろうと思います。
館哲二
3
○仮
委員長
(
館哲二
君) それでは今
松澤委員
から御発言のように決定いたして差支えございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
館哲二
4
○仮
委員長
(
館哲二
君) 御
異議
ないようでありますから、
座長
から指名申上げることにいたします。
地方行政委員会町村合併促進
に関する小
委員長
に
石村幸作
君を指名申上げます。 〔仮
委員長館哲二
君退席、
石村幸作
君
委員長席
に着く〕
石村幸作
5
○
委員長
(
石村幸作
君) 一言御挨拶いたします。
只今地方行政委員会
の
町村合併促進
に関する小
委員会
の小
委員長
に不肖私を御指名頂きまして、感激してお受けすることにいたします。この件につきましては、私も重大な
関心
を持
つて
、又興味を持
つて
というとおかしいが、
関心
を持
つて
今日まで参りました。
従つて
一生懸命勉強してこの小
委員長
の重職を守
つて
行きたいと思います。どうか
皆さん
の御
協力
をお願いいたします。 お諮りいたしますが、この小
委員会
の
議事
の進め方をどういうふうにいたしましようか。ちよつと
速記
をやめて。 〔
速記中止
〕
石村幸作
6
○
委員長
(
石村幸作
君)
議事
の
進行
の
方法
といたしまして、
差当り
今までの概要、それから
法案
の
内容等
を
概略
御
説明
をして、それからこのお
手許
に出してあります
試案
を逐条的にでも
審議
して進めて行く、こういうことにいたしてよろしうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
石村幸作
7
○
委員長
(
石村幸作
君) それからお話のいろいろの資料、これも成るべく取揃えて配付することにいたします。 大体昨日も
委員会
で御
説明
申上げましたが、なお重ねて申上げることにいたしますが、
町村合併
が今日必要であることは
皆さん
すでに御承知のことと存じますが、特に
地方財政
が非常に困窮、逼迫しておる。なかんずく
町村
においては特に甚しいのでありまして、そのいろいろな癌を取り除かなければならない。第一にこの貧弱な
町村
を、数を減らして
合併
させる、こういうことは特に
町村長自体
も認識しておるのでありますけれども、そこにいろいろな支障があ
つて
、どうも
実現
いたさないという
現状
であります。私
ども地方行政委員会
に席を置くものといたしましては、これについて何らかの
特例措置
を設くべきことを指摘して、
政府側
にもたびたび注意を喚起して参
つたの
であります。特に
平衡交付金
の
制度
の
実施
によりまして、その
計算方法
の
関係
から、
合併
した
町村
に対する
普通交付金
の額は、
合併
しなか
つた
ものとして計算した場合よりも、遙かに下廻るという
矛盾等
がありまして、
地方自治
の確立について国の
基本方針
に副うこの
町村
のほうが、
却つて不利益
な地位に立たされるということになる事実、これに対して
町村側
としても非常な
不満等
を持
つて
おります。
従つて
そういうふうないろいろの
事情
のために
町村合併
が
実現
し得なか
つた
現状
であります。そこで
全国町村会
におきましても非常にこれに
関心
を持
つて
、又
自治庁
においてもこれを何とか
実現
しなきやならんというような気持を持
つて
おりますので、
町村会
に対して非常な
援助
をし、殆んど共同してと
言つて
もいいような立場から、
町村合併促進法案
なるこの特別な
法律案
の制定について
研究
に着手いたしてお
つたの
でありまして、前
国会
中、三月初めと思いますが、この
試案
の
提出等
がこの
委員会
に出されまして、そして
議員立法
としてこれを成立してくれということを、たびたび要望して参
つたの
であります。そこで
議員立法
にする理由ということを一応考えてみたのでありますが、この
法律
の性質上、
各省
の
所管事項
について多くの
特例
を
規定
することにもなり、又国がこの
促進
のために或る程度の助成の
措置
を必要とするような
特異性
に鑑みまして、これはやはり
議員立法
がいいのだろうというように思われるのであります。そこで私ども前
国会
からの
関係
上、これには大きな
関心
を持
つて
おりまして、
館委員
らとともに、これが
調査研究
を進めて参
つたの
でありまして、
調査室
にも
検討
をさせ、又
法制局
にも依頼して、法理的、技術的の
問題点
を詳細に
検討
してもら
つて
参
つたの
でありますが、漸くここに一応の結論を出すまでに漕ぎつけましたのであります。 本日
概略
の
内容等
も御
説明
申上げますが、これは昨日も申上げました
通り
、ただ
試案
でありまして、
皆さん
の十分な御意見を拝聴し、又
研究
して頂いてこれに取入れ、各派の
共同一致
の提案の形で立法する運びにいたしたいと、こう考えて参
つた
次第であります。 そこでこの
法案試案
の
内容
を
概略
申上げますと、総則と、他の
法律
の
特例
、
町村合併
の
建設計画
の
実施
、
雑則
と、大体こんなふうに分けてあります。 そこで第一番にこの
目的
でありますが、これはお
手許
にさしあげてありますこの
要綱
を
御覧願つて
、次に示してあります
通り
「
町村合併
によりその組織及び運営を合理的且つ能率的にするように
規模
の
適正化
を図ることを積極的に
促進
し、も
つて
町村
における
地方自治
の本旨の充分な
実現
に資することを
目的
とする」というのでありまして、次がこの定義として、「
町村合併
」「
合併町村
」「
合併関係町村
」これの
用語等
を
説明
しております。 次が
町村合併
の
規模
についてでありますが、ここではおおむね
人口
八千を最低の基準として、
地勢
、
人口密度
、その他の
事情
に照らして、
行政
の
能率化
を根本において、
合併
すべきことを明らかにする。この八千でありますが、これも相当
皆さん
の御
検討
を願いたいのでありますが、一応の線でありまして、ここには
町村吏員
の一人
あたり
に対する
住民
の数とか、
住民
一人
あたり
の
役場費
、
町村税
に対する
役場費
の割合、まあいろいろ数的にも
研究
してみたのでありますが、
神戸委員会
の
神戸報告
にも示されております
通り
、やはり七、八千を以て適正であると、こんなふうにみたのであります。実はこの
面積
についても一応
検討
してみたのでありまして、三十キロ平方という線も出たのでありますが、特に
東北地方等
の実情を調査してみましたが、三十キロを標準といたしますと、むしろこの
合併
を阻害する結果となりやしないかというようなこともありますので、この
面積
というのは、具体的に現わすことをやめまして、
地勢
、
人口密度
という
説明
的な文句を使いまして、
人口
の八千というだけで、この
規模
の線を引いたのであります。 次は
町村合併促進審議会
というのを県に作り、
町村
には
町村合併促進協議会
というのを作ることにいたしました。これは
二つ
とも
地方自治法
の中にも、すでに
規定
されておるのであります。 次が新
町村
の
建設計画
の策定でありまして、従来その
合併
に際しましては、その
関係町村ごと
にいろいろ
協議
をして、ただ
契約
を結ぶと、こういうふうな恰好で進んでお
つた
。
従つて
この
合併
した後で、その
契約
が履行できたとか、できないとかいう紛争も相当あるようであります。そこでここに新
町村建設計画
というものをはつきり法的に
謳つて
、そこで将来の
合併
後の
町村
の
建設
の
計画
、
内容
を明記するということにいたしたのであります。 次に他の
法律
に対する
特例
であります。 先ず第一番にこの
議員
の問題でありますが、従来この
合併
を阻んでいた
一つ
の癌と言いますか、これは感情的の問題でありますが、
合併
が
実現
すると、今までの
議員
の職を失う、こういうことが非常に
現職
の
議員連中
の感情を刺激していたというような
関係
で、どうも癌にな
つて
いた事実があるのでありまして、そこででき得れば、
議員
の職をそのまれ継続在任せしめる。これがまあ一番いいんじやないか。又その
議員
の在任中、こういう大きな問題を解決するという
一つ
のプライドと言いますか、そういうものを持
つて
おりますが、ひとたび
合併
すると、先ほど申上げました
通り
、
合併
の
建設計画等
も自分の手でこれが行えない、こういう
一つ
の悲哀がある。そこで特にこの
建設計画
の
変更等
を要するような場合に、
合併
が
実現
したのちに変更する場合には
町村
の
議会
の議決を要する。その場合に、
合併
をするまでに骨を
折つた議員議
君が、そのまま残
つて
いれば忠実にその
計画協議等
を議しますが、この代がかわると、自然、勢力というか、分野、これも変りますので、いろいろな問題が起
つて
来る。最初、
合併
当時にきめたものの予測しない結果も来たす虞れがあるという、いろいろな点から見まして、でき得れば
議員
をそのまま残してやりたい、こんなふうに考えられるのであります。そこでこの
議員
の
定数
及び
選挙
の
特例
をここに考えたのでありまして、
議員
に関しての
特例
を設けること、この
特例
としては
二つ
の型を認め、
協議
による
規約
による選択に任せる。勿論
規約
を定めないで
自治法
の
原則
によることはもとより自由であります。この
特例
の
一つ
の形としては、
町村合併
の際、現に在任する
議員
は
協議
による
規約
の定めるところによ
つて
、
新設合併町村
については
町村合併
後二年以内の間、
編入合併町村
については、
編入
する
町村
の
議会
の
議員
の
残任期間
引続き
合併町村
の
議会
の
議員
として在任するものとする。
つまり選挙
をしないでそのまま継続在任する形であります。第二の
特例
の形としては、
新設合併町村
については、
設置選挙
の場合に限り、
地方自治法
の
原則
による
定数
の二倍と、
合併関係町村
の
定数
の
合計
とのうち、小さいほうの数を超えない
範囲
で、
規約
によ
つて定数
を増加することができる。そうして
選挙
をする。こういう形であります。又
編入合併町村
については、
現職議員
の
残任期間
に限り前と同様の
範囲
で、
規約
により
定数
を増加することができると、まあこういう
二つ
の形であります。そこで今の
議員
の問題ですが、なおこの問題については、
憲法
の九十三条の二項ですか、「
地方公共団体
の長、その
議会
の
議員
及び
法律
の定めるその他の
吏員
は、その
地方公共団体
の
住民
が、直接これを
選挙
する。」という
憲法
の
規定
があります。そこでこの
憲法
に抵触しやしないかということも相当考慮して
研究
して見たのでありますが、この
範囲
内で以上のごとく
規定
することも差支えないと、こう考えられたのであります。これは
一つ
又後刻十分
研究
して頂きたいと思います。 次が
市町村
の
境界変更
に関する
特例
でありまして、
町村合併
に際して、
合併関係町村
の一部の
区域
が、他の
市町村
への
編入
を希望する場合は、それが
地方自治法
に定めてある
知事
の
勧告
の中に採用されているという場合に限り、その
区域
の
住民投票
により他の
市町村
に
編入
することができるものとすると、こういうことで、その手続きを
規定
しております。 次が
地方財政法
の
特例
でありまして、これは
地方債
を起す場合に、
財源
とする場合には、
地方財政法
によ
つて
その
制限
がされておりますが、この場合はその
規定
に、第五条第一項の
規定
にかかわらず、
地方債
を以てその
財源
とすることができる。即ち新
町村建設計画
に掲げてある
合併町村
の
永久
の
利益
のために
地方債
を
財源
とすることができると、こういう
緩和規定
であります。 次が
地方税法
の
特例
でありまして、
合併町村
は、
合併関係町村
の間において、
地方税
の賦課に関し著しい不
均衡
があ
つた
場合は、而もこれは止むを得ないと認められる場合には、三カ年度間は、不均一の課税をすることができるとしたのであります。 次が
地方財政平衡交付金法
の
特例
でありまして、
合併町村
に対する
地方財政平衡交付金
については、五カ年度間は政令の定めるところによ
つて
、
合併
が行われなか
つた
場合に各
合併関係町村
に交付さるべきであ
つた金額
の
合計額
が交付されるべきものとする。即ち
合併
いたしまして数
ヵ町村
が一ツになりますと、どうしてもこれはその額が相当下廻るのであります。そこでこれを
合併
以前の形において
関係町村
を一ツーツに計算し、そしてそれを全部
合計
したものを交付するという
特例
であります。 次が
国有財産特別措置法
の
特例
でありまして、
国有財産特別措置法
上の
普通財産
は、同法の第三条第一項各号の場合以外に、新
町村建設計画
の
実施
について、
永久
の
利益
となるべき施設の用に供する場合には、
合併町村
に譲り渡し、貸付ができるものとする、こういう
特例
であります。 次が
国有林野整備臨時措置法
の
特例
でありまして、
合併町村
の
区域
にかかる
国有林野
は、
国土
の
保安
上及び
国有林野
の
経営
上欠くことのできないものを除くほか、
合併町村
の
基本財産
の造成上必要ありと認められる場合は、
合併
後五ヵ年間に限り、
国有林野整備臨時措置法
の例により、
合併町村
に売払い、又は交換することができるものとすること、この代金の
支払方法
としては五年間据置き、十五ヵ年
間年賦
とすること等でありまして、
国有林野整備臨時措置法
は来年、
つまり
二十九年度でお
終い
になります。そこでこれを延長した形というよりも、この
臨時措置法
の例によ
つて
五ヵ年間この払下げができるということで、而も同
措置法
に載
つて
おる
林野
だけでなく、先ほど申上げました
国土保安
上、及び
国有林野
の
経営
上欠くことのできないものを除くのほか——これは売れないんで、そのほかに、
臨時措置法
に載
つて
いない
林野
でも、これは同法の例によ
つて売渡し
ができる、こういう
範囲
が、この
臨時措置法
よりも相当拡大されておるのでありまして、
林野庁方面
でも、これについては相当の異論があ
つたの
でありますが、大分緩和されつつあります。而もこの問題は
本法立法
の、これは大きな問題でありまして、どうしてもこの条項だけは、このまま一ツ生きるように是非したい、こう熱望しておるものであります。 次が
国民健康保険
の
特例
でありまして、
合併関係町村
のうち
国民健康保険
を行な
つて
いるものがある場合において、
町村合併
によりその
保険
が行えなくなることのないようにするため、
合併
後五年以内の
期間
に
限り国民健康保険
の
特例
を認める、
つまり
二つ
以上の
つまり国民保険
を
行つて
おる
町村
と
行つて
いない
町村
とが一緒に
なつ
た場合は、これは
原則
から言うと
国民健康保険
が行われないことになるのであります。それを
特例
を以て一部の
区域
だけでも行えるということにしたわけであります。同時に
国民健康保険組合
、これは
国民健康保険
を行な
つて
おる
町村
では、この
組合
の
仕事
はできないのでありますが、これを
特例
を以て
組合
の
仕事
も行えるとしたのであります。 次が、
水産業協同組合法
の
特例
でありますが、
二つ
以上の
町村
をその
地域
とすることにより、その
組合員資格
を特定の
漁業従事者等
に
制限
することを認められていた
漁業協同組合
について、
町村合併
によりその
地域
が同一の
町村
の
区域
に包含されることと
なつ
た場合においても、従来の
資格制限
を在置することができるものとするという
特例
であります。即ち例えば品種を
限つたまぐろ
の
協同組合
というような場合ですと、
一つ
の
町村
内ではできないことにな
つて
おりますが、この場合、
合併
した場合に、
二つ三つ
のものが
一つ
に
なつ
た、
従つて
できなくなるということを緩和したものであります。 次が
農地法
の
特例
でありまして、
町村合併
に伴う
町村
の
区域
の変動により、
小作地等
がその
所有者
の住所のある
町村
のほかにあることと
なつ
た場合においても、
農地法
の
規定
にかかわらず、その
所有
する
小作地等
の
所有
を認める
特例
であります。 次が第三章として、
町村合併
及び新
町村建設計画
の
実施
であります。
町村合併
に対する
協力
といたしまして、
町村合併
について、
町村
は
知事等
より技術的な
助言
、
勧告
、
援助
を求めることをすること、
町村
の
関係機関
及び
公共的団体等
の
協力
についていろいろ定めたのであります。又これは
一つ
の
訓示規定
のようなものであります。 次がこの
事務
の処理でありまして、
合併関係町村
は、
合併
に際し、誠実に
事務
を処理すること、即ち
税金滞納等
がある場合は、これをよく処理する、又
支払未済
のようなものはよくこれを整理して支払い、又整理して新しい
合併町村
に引継ぎの準備をよくして置く、こういうことであります。 次が
財産
及び
営造物
の
管理引継
でありまして、
合併関係町村
は
合併
に際して、
基本財産等
を誠実に管理し、
合併町村
の
維持発展
に資すべきこと、その他
財産
及び
営造物
の
継続引継処分
について必要な
規定
を設けたのであります。 次が
公共的団体等
の
統合整備
でありまして、
合併町村
内の公共的諸
団体等
は、
合併町村
の
一体性
を確立して
協力
するために、
統合整備
に努めなければならないということであります。 次が新
町村建設計画
の
実施
でありまして、
合併町村
の一本化を
促進
するための
町村関係機関
及び
住民
の心構えを
規定
したのであります。 第四章といたしまして、
町村合併
及び新
町村建設計画
の
実施
の
促進
を次に掲げてあります。 先ず、
町村合併促進
のための
補助金
、これは国は
町村合併
の
実施
を
促進
するため、予算の
範囲
内において、
補助金
を交付することができる、ということを
規定
しております。 次が新
町村建設計画
の
実施
に関するあつせん、新
町村建設計画
の
提出
があ
つた
場合には、
内閣総理大臣
は
関係各省大臣
に通知し、且つ
町村
と
各省
間、
町村相互
の間のあつせんをすることができるものとすることであります。 次が新
町村建設計画
の
実施
の
促進
のため国の行う
措置
でありまして、国は新
町村建設計画
の
実施
を
促進
するため、
財政
上の
補助
及び国の事業の
実施
について
優先措置
を講ずる、又
行政
上の
処分
について特に配慮することであります。 次が
都道府県
の行う
措置
でありまして、
町村合併
及び新
町村建設計画
の
実施
について、
都道府県
も又国の行う
措置
になら
つて
、いろいろの
措置
を講じなければならんと、こういうことであります。 次が国の
公共企業体
の
協力
、国の
公共企業体
、即ち国鉄とか電々
公社等
の
企業体
は、
管轄区域
の
変更等町村合併
の
目的実現
のため必要な
措置
を講ずべきであるということであります。 次が
内閣総理大臣
の
助言
、
勧告
その他の
措置
でありまして、この
法律
の
目的実現
のために、
内閣総理大臣
の
助言
、
勧告
その他の
措置
について定めたのであります。 次が第五章として、
雑則
を
謳つて
ありますが、この
法律施行
前の
申請
にかかる
町村合併
についての
適用関係
でありまして、
つまり
この
法律施行
以前に
申請
をしてお
つた町村
が、
合併
がこの
法律
の
施行
後に
実現
したというものに対しては、この
法律
を
準用
するということであります。 次が
合併町村等
が市と
なつ
た場合の
適用関係
でありまして、
合併町村
及びこの前条の
町村
となる
規定
の
適用
を受け得べき
町村
が市と
なつ
た場合にも、当該市は市とならなか
つた
場合と同じく、
本法
の
適用
を受けることを明らかにしたのであります。 次が市の
区域
を含む場合についての
準用
であります。本来の
町村合併
に市が
関係者
として加わる場合にも
本法
を
準用
するものとするということであります。 次が市が設置され又は市に
編入
する場合についての
準用
であります。
つまり
二つ
以上の
町村
の
区域
の全部又は一部を以て市を説置する場合及び
町村
の全部又は一部を
人口
五万未満の市に
編入
する場合においては、
議員
の
定数
及び
選挙
に関する
特例
を除き、
本法
を
準用
するということであります。 ここで問題は、この
人口
五万という市に線を引いたことでありまして、これは
現実
の問題として、例えば六万、七万の
都市
で
面積
も狭い、而も周辺の
町村
が
合併
すれば非常にいい、又
町村
でも
合併
してもらいたいというような熱望を持
つて
おる、こういう場合が相当事実あるのでありまして、そういう所からは、五万では困るから六万にしてくれとか、いろいろの
陳情等
もあるようであります。 大体今
概略
を御
説明
申上げましたが、以上の
要綱
に基く、タイプライターで叩いたプリントがお
手許
に配付してありますが、
町村合併促進法案
として
試案
が出ておりますが、これによ
つて
逐次
一つ
御
審議
を願いたいと存じます。
加瀬完
8
○
加瀬完
君
進行
について。
逐条審議
なり、
法案審議
に入る前に、大体
委員長
のほうから述べられました、こういうものができるまでの経過と申しましようか、或いは
町村合併
の構想と言ましようか、そういうものについての総括的な質問を許して頂きたいと思います。
石村幸作
9
○
委員長
(
石村幸作
君)
逐条審議
に入る前に、総括的な質疑をということでありますが、
皆さん
それでよろしゆうでございますか。どうぞお願いいたします。
加瀬完
10
○
加瀬完
君 御
説明
の中にもありましたように、
地方財政
の
打開策
というふうなことが、
促進法案
の生まれる一番大きき根拠のように考えられるのでありますが、そうしますと、どうしても
基点
が
行政
的な
措置
というふうに傾きまして、例えば
都市
と
農村
との調整の問題でありますとか或いは
地方財政
の不合理というものを
現状
のまま認めて、
促進法案
というものを考えて
行つて
いいのかとい
つた
ような二、三の疑いを持つものでございますが、それらについて。
石村幸作
11
○
委員長
(
石村幸作
君) 勿論
財政面
から見まして、現在のままでは
弱小町村
ではや
つて
行けない。これはもう勿論のことでありまして、今後、例えばこの
地方財政
を、規在
制度調査会等
も作られて
研究
しておりますが、根本的に
地方制度
の
改革
をし、
従つて財政
の
建直し
もしなきやならん、こういうことにな
つて
おりますが、これは
原則
として小さい二千とか三千とかの
町村
が散在していたんでは、如何に
制度
を直し
財政
を
改革
しても、やはりその困難は続くんだ、こういうふうに見られるわけであります。例えば
財政
の
改革
として税制の改正をするといたしましても、この
地方税
、
県税市町村税
を一律に変えても、どうしてもこの
町村
は
農村
が多いのでして、そこに不
均衡
になる。他の
市町村
、大きい
町村
とどうも不
均衡
になる。これは否めないわけでありまして、特に小さいと、
役場費
についても、その他の経費の面についても、どうしても
負担
が過重になる。
人口
一人
当り
の税の高についても或る程度調べて見ましたが、小さいほど税の、
住民
一人
当り
の
負担割
も非常に多いわけであります。そういう点から見て、やはりこれは将来
地方制度
が
改革
されるとしても、先ず一番にこの
町村
の
合併整理
が必要じやないか、こう思われます。
加瀬完
12
○
加瀬完
君
原則
としては勿論
異議
をさしはさむものじやないのですが、併し
町村合併
という
二つ
のものを進めるにいたしましても、
現実
の
地方財政
の不合理なものをそのまま認めて、それを解消するために、ただAの
町村
とBの
町村
を
合併
して行くというような考えを持つか、そうでなくて、もつと産業とか経済とか
住民
の
生活自体
というものを
基点
におきまして、例えば小
町村
が非常に
役場費
が仮に嵩むというならば、
事務
再配分の面において
政府
としてもつと考える面があるのじやなかろうかと、い
つた
ような点を当然考慮されなければならないと思うのです。この全体の案というものが率直に
言つて
、
農村
が
都市
に吸収されるというような
一つ
の傾向というものを、どうして防ぐかということが私にはよくわからんと思う。それから
税源
の不
均衡
というものを、
税源
の偏在というものをどういうふうに調整して行くかということも、明瞭じやないという疑点も持つのです。
石村幸作
13
○
委員長
(
石村幸作
君) 今のお言葉の中に、この
地方制度
というものを現在のままに見て……。
加瀬完
14
○
加瀬完
君
地方制度
じやなくて、地方の何と言いますか、税法と言うよりは……。
石村幸作
15
○
委員長
(
石村幸作
君)
財政
ですか。決してそういうのでなくて、勿論
地方制度
と
従つて
地方財政
、そういうふうな面を根本的に改正する機運に向
つて
、事実調査も
政府
で進めておる。これに並行してこの
町村合併
をやる、こういうものでありまして、実はその程度の根本
改革
が進んだ後にこれを、
町村合併
を
促進
すればいいのかもわかりませんが、私はそれを待
つて
おられない。
つまり
並行して行くというけれども、むしろ先にこれをや
つて
しまおう、こんなように思
つて
おります。 それから今の
都市
に集中云々とおつしやいましたが、それは決してこれに
都市
集中政策等を盛り込んでいないつもりです。
従つて
先にもちよつと申上げました市に偏入する場合のごときも、実は或る向きは八万と言い、十万と言い、そうしてこの周辺のものが皆
都市
に集中したいという希望も相当あるらしいが、それではどうかと思うので
差当り
五万という線を一応引いたわけなんで、これは実情がその市に
編入
するのが最も適正であり、市も又その周辺の
住民
もそのほうが幸福である、こういうふうに特に見られた分を考えて、五万と小さくしたわけであります。
秋山長造
16
○
秋山
長造
君
町村合併
の場合に、
地域
給なんかの
関係
はどうなんですか。例えば
地域
給のついている
町村
とついてない
町村
かあるという場合に。
石村幸作
17
○
委員長
(
石村幸作
君) これはお説御尤もでありまして、
一つ
の
合併
した
町村
の中に異
なつ
た等級がつくわけです。これはそのままにして置いても、現に、現在におきましても、
一つ
の町の中に二種類の
地域
給のある所もあります。併しこれは
合併
ができたあとでよく調査をし、又その
住民
の要望によ
つて
、人事院がこれを適当にきめることとなります。
秋山長造
18
○
秋山
長造
君 その場合に、この立案の過程において、その
地域
給なんかの問題について人事院のほうと話合いにな
つて
おられるのですか。
石村幸作
19
○
委員長
(
石村幸作
君) これは具体的に話合しておりません。具体的というとおかしいが、一応の話合は個人的にもしております。併しそれはあとで直せばいいじやないかというような……。
秋山長造
20
○
秋山
長造
君 まあ
町村合併
を行う場合には、県にしても国にしても、いろいろな機関が極力これに便宜を与え、
協力
をしなければいかんということは抽象的に
謳つて
あるのでありますけれども、その場合に人事院
あたり
じやなかなか
地域
給を上げてくれとか付けてくれとか
言つて
も、これは捗らないのでありますが、ところがやはりこういう問題が小さい問題のようで、我々
町村合併
なんかの場合に、大きなやはり問題の
一つ
になるわけなんでありますが、まあ大きい市なんかにしても、中心部とそれから郊外のほうとではおのずから等級が違
つて
いるというようなこともありますけれども、併しまあ田園同志で、
地域
級の一級地くらいなところと、それから級値のついてないところと、まあ余り大した違いはないところ、ほんの小川
一つ
、道
一つ
で繋が
つて
るようなところが
合併
するのですから、そういう場合に、やはり
合併
したあとも、依然として付いておるところと、付いてないところとが一緒にや
つて
行く、付いていないところはやいやい
言つて
も暫く待
つて
おれ、何か人事院がや
つて
くれんのだからしようがないじやないかということで、抑えて行くということは、どういうのでしようかね。そういう点はやはり人事院なんかと事前に話合
つて
おかなければいかんと思う。
松澤兼人
21
○
松澤兼人
君 その問題について私も大分
地域
給の問題については衆議院で人事
委員
をや
つて
お
つたの
で経験があるのですが、
合併
をしたからとい
つて
、
地域
給が下るということは全然ないのですから……。
秋山長造
22
○
秋山
長造
君 下るのでなくて、片一方を上げる……。
松澤兼人
23
○
松澤兼人
君
つまり
段があるわけです。段があるということは、
町村
が
合併
して市にな
つて
も、
なつ
たことによ
つて
地域
給が直ちに上るというふうには人事院としては考えていないわけでありますし。併し市になれば
なつ
ただけ平均化しなければならんという考えは、人事院としては持
つて
おると思うのであります。平均化するということは、下げるということはありませんから、どうした
つて
高いほうにならして行くという結果になるのでありますから、
町村合併
をやれば、や
つた
だけ高いほうにならして行くという傾向は、確かにあると思うし、それは又
促進
しなければならんと思います。国の機関として、人事院としても、それに対して
協力
と言いますか、或いは努力しなければならんことにな
つて
おりますけれども、
なつ
たからとい
つて
、直ちにこういうわけには行かんけれども、いい方向に行くということは確かに考えられると思います。
秋山長造
24
○
秋山
長造
君 今
松澤
さんのおつしや
つた
意味で私は言
つたの
で、一緒に
なつ
たために下るというのでなしに、付いてないところと付いているところと一緒に
なつ
た場合に、やはり
一つ
にな
つて
も、そのまま行くのでは、付いてないほうが非常に不公平な感じを持つから、高いほうへ極力早い機会にならすように、人事院へこういう問題についてはあらかじめよく駄目を押しておかないといかんということを申上げたのであります。
石村幸作
25
○
委員長
(
石村幸作
君) わかりました。それにつきましては二十七条に国の
行政
措置
、これにも誰
つて
ある
通り
でありますが、実は人事院とも非公式に話はしてあるわけであります。そこで二十七条の精神の
適用
でこれが行くと、まあこういうふうに思
つて
いるわけであります。 そこで如何でしよう、いろいろの御意見があろうと思いますから、
一つ
第一章総則、第一条から八条までが総則にな
つて
おりますが、この中で
一つ
範囲
をきめて、そして御
研究
願う、こういうふうにしたいと思います。そこで第一条、これは
目的
でありますが、「この
法律
は、
町村
が
町村合併
によりその組織及び運営を合理的且つ能率的にするように
規模
の
適正化
を図ることを積極的に
促進
し、も
つて
町村
における
地方自治
の本旨の充分な
実現
に資することを
目的
とする」……。
加瀬完
26
○
加瀬完
君 第一条のこの「
規模
の
適正化
」という問題なんですが、御
説明
だけ承わ
つて
おりますると、
規模
の
適正化
というのは、
行政
の便宜的な処置としか受取れないのです。例えば
地方自治
の本旨というのであれば、
住民
の幸福のための産業とか、経済とか、或いは
住民
の生活などの観点というものが、
規模
の
適正化
というものの中にどれだけ基準として入
つて
おるかという点で、入
つて
おらないように思われるのですが、どうですか。
石村幸作
27
○
委員長
(
石村幸作
君) これは先ず
地域
を拡大して決定する、そうすれば、
従つて
そこに経済的の
措置
も、まあ自主的というか、又それに加えて国なりの
措置
も講じられる、第二段階として。そこでこの
建設計画
というのは、次にいろいろ列記してありますが、こういう、
つまり
公共的な立場を主に考えております。
従つて
そこにその土地の特異な経済的面も、その公共的施設等に現われて来るのじやないかと、こう考えております。
加瀬完
28
○
加瀬完
君 この
合併
の具体面に入りますと、
規模
の
適正化
というものを或る程度明確にしておきませんと、無理な、ただAとBの
合併
というものが進められまして、あとで問題が起ることが多い。そこで
規模
の適正というものの中には、産業なり経済なり
住民
の生活なりについての、或る程度の標準というものが記されて、こういう条件で
合併
が進められるべきだというふうなものがないと、まずいように思われるのです。
石村幸作
29
○
委員長
(
石村幸作
君) 第三条にこの
町村
の
規模
について
謳つて
ありますが、ここで
人口
のほかに
説明
的な「
地勢
、
人口密度
その他の
事情
に照らし」と、実はここに産業、経済というような文句も初めは入れて見たのでありますが、その他の
事情
というのは、
つまり
御趣旨の意味はここに盛
つて
あるわけであります。
加瀬完
30
○
加瀬完
君 私三条を見て今の質問をしたのですよ。と申しますのは、「
行政
能率を最も高くするように」と書いてある。「
行政
能率を最も高くするように」ということは必ずしも……、こう申しましようか。「
行政
能率を最も高くするように」ということは、その
住民
の利便をそのまま進めるということとは同じことにならないと思う。で、特に「
規模
をできる限り増大」するということは、或る場合
住民
の不便を助長する場合すらも出て来ると思う。そういう点がどうもその
行政
能率ということばかり先に考えて、
住民
の
利益
ということが、どうも蔭にかくれておるように思われますので、
規模
の
適正化
ということを明確にしなければならん、こういうふうに考えるわけであります。
石村幸作
31
○
委員長
(
石村幸作
君) そこで大体
加瀬
さんの質問の気持もわか
つたの
ですが、私の申上げる
内容
もおわかりと思
つて
おりますが、質問と同時に
一つ
何かいい御意見があ
つた
ら、どんどん
言つて
頂くといいと思います。それでこれは原案を出してこの
内容
を質疑応答するのでなくして、その原案を
一つ
研究
して頂いて、
皆さん
の御意見を十分にこれに採入れるつもりでありますから、これはこういうふうな何を含ましたらどうかというような御意見が必ずおありと思いますが……。
加瀬完
32
○
加瀬完
君 私は反対をしているのじやございません。
石村幸作
33
○
委員長
(
石村幸作
君) それはわか
つて
おります。
加瀬完
34
○
加瀬完
君 実際
町村合併
を進めて参りますと、いろいろな無理な、
合併
ということに急にしていろいろな無理が生ずるのです。そのために取返しの付かないような失敗というものも又生ずるわけであります。そういうことがないためには、或る程度
促進
法というものの
内容
に明確なものを盛らなくつちやまずいじやないかというので、遅ればせに参加いたしましたから、この前の
委員会
あたり
でいろいろこんな問題で何かお話が出ましたら承わりたいと思
つて
質問いたしたわけであります。
石村幸作
35
○
委員長
(
石村幸作
君) そこまで
行つて
おりません。
速記
をちよつと止めて下さい。 〔
速記中止
〕
石村幸作
36
○
委員長
(
石村幸作
君)
速記
を始めて……。
加瀬完
37
○
加瀬完
君 結局そこがどこヘウェイトを置くかということの問題だと思うのです。
合併
促進
法というものが一度出れば、誰もこれが過渡的な、便宜的なものだとは考えないわけですからね。
一つ
の理想案として言
つたの
ですから。こういうものを出すならば、AとBとのただ
合併
ということに主点が置かれることのように解せられるものではなくして、それならば一部
編入
とか、或いは現在の
町村
というものを、又或る観点から再分割、再統合するというふうな強い線というものを打出すということも又考えられない二とでもない。そういうような問題がこの前の話合や或いはこの案の
審議
の過程に何か出なか
つた
でしようかどうか。
法貴三郎
38
○調査員(
法貴
三郎君) 勿論そういう場合も予想いたしまして、そういうお考えで
町村合併
をお進めになることについても障害のないような
法律
の
内容
というふうに考えてあるわけでございます。
松澤兼人
39
○
松澤兼人
君 大体
規模
の
適正化
ということはこの三条がそれを受けておるわけですね。
石村幸作
40
○
委員長
(
石村幸作
君) そうです。
松澤兼人
41
○
松澤兼人
君 そのほかに
規模
の
適正化
ということは
謳つて
ないのでしよう。
石村幸作
42
○
委員長
(
石村幸作
君) そうですね、先ず第三条ですね。
松澤兼人
43
○
松澤兼人
君 ああそうですか。それで結局、まあ今
加瀬
君もそう
言つて
おりますけれども、
住民
の利便ということと、
行政
が非常に
能率化
して行くということは、まあ一方から言えば、大変結構なんだけれども、一方から
言つて
、却
つて
その
住民
が不
利益
を、不利便といいますかね、不便を感ずるということがあるのじやないか、これは平行して考えなければならない。そこでただ
行政
の能率というだけ、
つまり
言つて
みると、役場側だけの理由で
住民
の利便ということが従として考えられるということになると、
住民
が何のために
合併
したのだということになりはしないかと思うのですが、その噛合せの問題だろうと思うのです。
石村幸作
44
○
委員長
(
石村幸作
君) 今のお説御尤もでして、勿論これは役場側のとか、理事者といいますか、そういうふうなものの利便に基いてやるべきものじやなくて、
住民
の福祉のためを主にしなければならん問題です。そこで例えば今の
人口
八千という問題も、特にこの最低基準を
合併
するのだから、成るべく大きくしたらいいだろうというのに走らずに、おおむね八千として、実はこの
面積
においても、三十キロとこのうちに
謳つて
あ
つたの
ですが、これには削除しました。それも中心地点から、各すみずみから一里くらいの
面積
がいいだろう。こんなふうにも考えたくらいでありまして、この八千というのでやれば、おおむね八千とするならば、この地方の
住民
の利便という点から見ても、先ず適正じやないか、こんなふうに考えております。勿論この
規模
の点において八千というようなはつきりした尺度というものはないわけです。まあおおむねでありますが……。
松澤兼人
45
○
松澤兼人
君 その点はいいですけれどもね。それでもう
一つ
は自治の本旨ということが、
住民
の利便を図るということにあることは勿論だろうと思うのですが、若しできれば
行政
能率を最高度にするということと同時に、併行して或いは
住民
の利便をよくするとい
つた
ようなことをどつかで謳えば、その問題は妥協的な
一つ
の解釈がつくと思うのです。 それからもう
一つ
の問題は、
町村
というものは一定の
目的
だけで以て作るものでなくして、やはり地縁的な
関係
でできているものなんで、それが不合理であるとか或いは非能率であるとかいうふうな面からばかり割切
つて
も考えられないところがあると思うのですよ。同一経済面とか或いは又地縁的な水利
関係
だとか何だとかいうことで、非常に土地に密着しているという、それが
農村
というか
町村
の
一つ
の特質であ
つて
、都会がそれに反して非常に
利益
社会的な性格を持
つて
いる。
農村
のほうでは反対に郷土社会的な性格を持
つて
いるということで、単にこれは強制法ではありませんけれども、そういうただ一方の
能率化
ということだけで、
法律
ができたんだから、
合併
しなきやならないとい
つた
ような、何か圧迫を受けるような感じを与えちやいけない、こういうように思うのです。
石村幸作
46
○
委員長
(
石村幸作
君) よくわかりました。これは
加瀬
君の御意見もそこにあ
つた
ろうと思うのだが、この
行政
能率の増進のみではないのですけれども、そういうように見られる嫌いがある。そこで
住民
の
利益
、福祉、こういうふうな意味をここへ取込むように
一つ
研究
することにいたします。
秋山長造
47
○
秋山
長造
君 私も同じような感じを持つのですが、ただ併し、
住民
の利便ということも、
現実
の問題になると又いろいろあるので、例えば私らが
農村
に住んでいてよく体験しているのですが、
住民
の目先の利便から言えば、役場ができるだけ自分の部落にあるようなあり方が一番便利がいい。できれば各部落別に全部役場を置いてもらえば一番便利がいい。役場へ行くにも自転車に乗
つて
行く必要もないし、ちよつとそこらへ行けば間に合うということになる。併し、だからとい
つて
いつまでも小さい
町村
で学校もお粗末だ、いろいろな公共施設もお粗末だということでなくて、少々遠くても立派な学校が建てば子供のためにもいいと言えるわけですから、そこらはこの集中と分散とのバランスをどこまでと
つて
行くかということをよく考えて行けば、大体
住民
の利便は
合併
によ
つて
却
つて
害われるということがなしに済むのじやないかと思うのですが、ここに書いている「
地方自治
の本旨」ということは
憲法
にも書いているのですしいろんな文章にも
地方自治
の本旨に則りというようなことが書いてあるのですが、ここに書いてある「
地方自治
の本旨」ということは一体どういうことを考えているのですか。これはまあ
委員長
にお尋ねするのもどうかと思うのですけれども、どなたでも結構です。「
地方自治
の本旨」ということをよく私ら自身も使うのですけれども、この
内容
はどういうことを意味しているのでしようか。
石村幸作
48
○
委員長
(
石村幸作
君) これは御尤もなことで茫漠たるなにで、枕言葉のようにな
つて
いるので、(笑声)何ごとにもそうな
つて
いるのです。併しこれは、この場合には
憲法
の九十二条に「
地方公共団体
の組織及び運営に関する事項は、
地方自治
の本旨に基いて」とこうな
つて
いるので(笑声)まあこれに則る、こういうことです。
秋山長造
49
○
秋山
長造
君 やはりこれはなんでしようか、ただ自治
行政
というようなことでなしに、地方
住民
の利便とか幸福とかいうようなことも含まれて「本旨」という言葉を使
つて
いるのでしようか、どういう意味でしようか。
石村幸作
50
○
委員長
(
石村幸作
君) まあそういう意味でしようね。そこでこの場合にも新
町村建設計画
の策定というのが第六条にありますけれども、これが相当ものを言うんじやないか。
つまり
住民
の利便、福祉というか、その希望を、この条項、
建設計画
の策定に際して遺憾なくこれに発揮するとすればいいんじやないかと、こう考えております。
秋山長造
51
○
秋山
長造
君 先ほどお二人からおつしや
つた
ように、この「
地方自治
の本旨」ということだけではどうもわか
つた
ようでわからないような漠然とした言葉なんですが、それをそのまま残して、それと並べて何かもう少し具体的に地方
住民
の福祉の向上とか利便の向上とかいうような言葉を並べるか取替えるか何かして、やはり入れておいたほうがいいんじやないかと思いますのは、私も地元が岡山県なんですが、岡山県は御承知のように
町村合併
を猛烈な勢いでや
つて
いて、二年間に百ぐらいの
町村
を減らしておる。三百六十あ
つたの
を今二百七十ぐらいにしていますが、中には間々行過ぎがありまして、
町村
議員
だけがどんどん
町村合併
を村民の知らぬ間に決議をや
つて
しま
つて
、村民がびつくりして立上
つた
時には、もう決議は済んだんだから、今更
言つて
も遅いというようなことが間々あるのですよ。そういうことになりますと、やはりこれは
住民
の福利を護るべき
議員
の行動としては、いささか軽率のそしりを免れんと思うので、そういう余り軽はずみな行過ぎを或る程度抑えて、やはり一応
住民
の気持を聞きつつ極力
合併
に持
つて
行くという態度をとらせるために、
住民
の福祉とか
住民
の利便とか何とかそういうことを、ここでなくてもいいのですが、どこかへはつきり文言を書いておいたほうがいいんじやないかと思いますが……。
石村幸作
52
○
委員長
(
石村幸作
君) どこかでなく、やはり「(
目的
)」の所
あたり
へ
一つ
特筆大書するように
研究
いたします。
秋山長造
53
○
秋山
長造
君 そういう項目を
一つ
入れたいと思います。
石村幸作
54
○
委員長
(
石村幸作
君) 今の言葉の中の、
議員
等が勝手にきめて
住民
はびつくりしたということ、御尤もでありますが、そういうことのないように
町村
協議
会を作
つて
、その
協議
会のメンバーは、まあ先の話ですが、その他の職員とか書いてありますが、これも広
範囲
に解釈して、例えど文教に関することだ
つた
ら教育
委員
というようにあらゆる面を網羅してその
協議
会を作る、こんなふうに取入れてあるわけであります。
八木幸吉
55
○
委員外議員
(八木幸吉君) 今の
目的
のところに
住民
の福祉とその
負担
軽減という字を入れたほうがいいのではないかと思います。
地方財政
の最初の提案の際にもお話がございましたが、福祉の裏といいますか、
負担
軽減というものを
目的
の中にお入れに
なつ
たらいいじやないかと思います。
石村幸作
56
○
委員長
(
石村幸作
君) これは大きく言うと、さつきい
つた
地方自治
の本旨に入
つて
おることでもあるし、又今の
住民
の……そういう意味を何か考えさせて頂きます。たとえば
利益
、利便それから福祉の中にそれも入
つて
おるわけですけれども、そういうような文句を
一つ
考えさせて頂きます。
加瀬完
57
○
加瀬完
君 今
委員長
のお話の第五条の2ですが、教育
委員
なり農業
委員
などは職員と解釈できるかという問題ですが……。
石村幸作
58
○
委員長
(
石村幸作
君) これはいろいろ解釈して見たのですが、いわゆる公選の
委員
は、これは皆入ると思います
加瀬完
59
○
加瀬完
君 そこで教育
委員会
というものが正式の機関であ
つて
、個人の教育
委員
というのは、これは教育
委員会
の何ものをも代表するわけでない。農業
委員
もやはり同様のものではないでしようか。そこで教育
委員
なり農業
委員
の個人を入れても、教育
委員会
の意見を聞いたことにもならないし、農業
委員会
の意見を聞いたことにもならないのではないか。併し
町村合併
の時には、小作地の問題も耕作地の問題もありますから、農業
委員会
は相当重要な諮問としての役割をしなければなりませんし、学校問題も大きな問題でありますから、教育
委員会
の役割も大きい。それらについて教育
委員会
として農業
委員会
として、
促進
協議
会に発言できないということは、不合理じやないかと思うのですけれども……。
石村幸作
60
○
委員長
(
石村幸作
君) 発言できないというのは……。
加瀬完
61
○
加瀬完
君 教育
委員会
として或いは農業
委員会
の正式機関が
協議
会の中には参画できないわけでございましよう、これで参りますと、そうすると、教育
委員会
の意見、農業
委員会
の意見というものはどこで聞くのか。
石村幸作
62
○
委員長
(
石村幸作
君) そこで御指摘の第五条に「その他の職員」としてありますが、そうすると、
つまり
農業
委員会
を正式に代表して入れない。ですけれども直接これは
委員長
を入れるとか、教育
委員会
の
委員長
を入れるとかいうことに事実なると思いますが……。
加瀬完
63
○
加瀬完
君 なりますけれども、個人として入りました教育
委員
、個人として入りました農業
委員
は、農業
委員会
の代表でもなければ教育
委員会
を代表しているわけでもないと解釈するのが当然だと思うのです。そうしますと、一番大きな問題を含む教育問題とか農地問題とかいうものの意見はどこで聞くのか、
協議
会において……。
石村幸作
64
○
委員長
(
石村幸作
君) まあ一応の御理論ですけれども、そういう場合に例えば教育
委員長
、農業
委員長
、農業会の会長ですか、が入れば、その人はその団体の意思を代表してやはり
協議
するでしようね、事実問題としてこれは……。
加瀬完
65
○
加瀬完
君 事実問題としてそういうことは不可能だと思う。この条文には
二つ
の疑義がある。そういう各種
委員
を職員と解釈していいかということが一点。それから今言
つた
ように教育
委員
の個人、農業
委員
の個人に意見を聞くことは、教育
委員会
の意見、農業
委員会
の意見として受取
つて
正しいかということ、これは
委員長
よりも専門員のかたで答えても結構です。
法貴三郎
66
○調査員(
法貴
三郎君)
只今
の御質問で二点あると思いますが、職員の文字が公選職の執行機関の長或いは
委員
を含むかということでございます。これは現在の
自治法
上のやり方で、教育
委員
或いは公安
委員
というようなものを職員の中に含めて用いておるという場合もあることと思います。それでここではその用法によ
つた
わけであります。 それから第二には、こういう場合に、その
協議
会の中に入りました
委員
は全体の
委員
の代表となり得るかどうかという点だと思います。
委員会
の代表となり得るかどうかという点だと思いますが、大体
町村
の
行政
というものが、全体の話合いで事を進めるというような形が多いのでございますから、こういう
規約
によりまして
協議
会の権成を定めます場合において、それは教育
委員
を入れるか入れないか、或いは入れれば誰を入れるかというふうなことは、事前にその実情に合せてきめて、そして任命するということになりますから、
町村
長が自分の都合のいい
委員
をこの
協議
会の
委員
に任命するというようなことは大体はあり得ないというふうに考えるわけでございます。それからなお附け加えて申しますれば、
合併
問題というものが……。
加瀬完
67
○
加瀬完
君 ちよつとお話中ですが、私の質問しておることは、
協議
会に参加したところの教育
委員
個人、農業
委員
個人が、教育
委員会
の代表と認められ、農業
委員会
の代表と認められるかという法的な解釈です。
法貴三郎
68
○調査員(
法貴
三郎君) その点については、これは
法律
上から厳密に申しますると、相当疑問がある場合があるかと思います。併しその教育
委員
の中で事実上の話合いによりまして、大体の代表ということで入れば、それは事実上差支えないということでございまして、それでよろしいのではないかというふうに考えております。
石村幸作
69
○
委員長
(
石村幸作
君) 杉山
法制局
第二課長どうですか。
杉山惠一郎
70
○
法制局
参事(
杉山惠一郎
君) この
協議
会はおのおのの村が代表を出し合
つて
話をするという形にな
つて
おるわけですが、教育
委員会
とか公安
委員会
、農地
委員会
とかいうものは、この村の中のいろいろな意見の調整をやる、勿論
委員会
として意見の調整をやるだろうし、そういう意見の調整したものを持
つて
行つて
、他の村との話合いをする場合に、どういうものをやるかということが、ここに書いてあるわけで、この
協議
会の構成
委員
として、
自治法
の中にある
協議
会の構成
委員
として掲げてあるものと
内容
は同じつもりで書いてあるわけで、別にここで新らしいものを附加しておるとは考えていないのですが、ただここで
委員
その他を出して来たのは、執行機関でないのでちよつと呼びにくいこともあるからというので、念のための
規定
としてあるわけですから、別にこの
協議
会でその村の教育
委員
を代表して出て行く、或いは農地
委員
を代表して出て行くということは考えてない、こういうふうに考えております。
加瀬完
71
○
加瀬完
君 そこで私は形式的に解釈をすればそういう理窟も成り立ちますよ。併しこの法の精神というものは、
町村合併
を推進して行くということが法の性格なのですね。
町村合併
を強力に推進して行く上に一番問題になるのは教育の問題と農地の問題なのです。そうすると教育の問題の正当な機関である教育
委員会
に
町村合併
についてのことをどこで諮るか、農地問題の正式機関である農業
委員会
に
町村合併
についての農地の問題をどこで諮るかということになると諮るところがない。一番大きな問題を孕む
二つ
の問題を
二つ
の
委員会
に諮らないで、一体
町村合併
を進めて
行つて
支障が起らないかという、この法全体の
一つ
の欠点と申しましようか、私は疑義をそこに持つのであります。それらを全部含めてお答えを頂きたい。
松澤兼人
72
○
松澤兼人
君 これは土地の変更とか不在地主とかそういうことでないと思う。若し変更する必要があれば、農地
委員会
に諮らざるを得ない
法律
的根拠があるのでしよう、別な
法律
で……。そうじやないのですか。だから意向を聞かないで変更はできないし、意向を聞くとすれば、正式機関としての農業
委員会
なり教育
委員会
に諮る必要があるのじやないかと思います。
加瀬完
73
○
加瀬完
君 私は具体的の問題として一番支障が起き、問題になるものは学校問題であり農地問題と思うのです。ですから
合併
を推進して行く上に、それらの問題の当面の責任者に
合併
についての話合いを一度も持ち掛けるような
規定
がないということはまずいじやないかと考えます。
松澤兼人
74
○
松澤兼人
君 別の
法律
で当然義務付けられておるのではないでしようか。
法貴三郎
75
○調査員(
法貴
三郎君)
加瀬
委員
の御質問にちよつとお答え申上げます。
法律
上の問題は
法制局
の杉山二課長から申上げた
通り
でございます。ただ私どもが職員としておいてよろしいというふうに考えたものは、若し学校の設置というようなことについて非常に問題になるというときは、これは或る場合は調整の中心問題ということでございまして、その場合は
町村
長というものは自分の町の一部の機関である教育
委員会
の意思を無視して、勝手に
合併
計画
或いは
町村
の学校の
計画
を作るはずもなく、あらかじめ
協議
して適当に調整を図り、その意見を以て町の
合併
に対する
基本方針
とするであろうということを前提として、この
規定
をおいたわけでございます。そうしてその実情によりまして、その調整において、
合併
についてはやはり教育
委員
を是非
協議
会の
委員
中に入れなければならんという場合には、この
規定
によりまして職員ということで、教育
委員
を出すということになると思います。それで実際をいうと、何らこの
規定
の書き方で不備はないと思います。 それから我々が
検討
中に考えましたことは、たとえば
町村
の機関というものはいろいろありまして、教育
委員会
のほかに農業
委員会
或いは公安
委員会
の場合もございます。そういうものをすべて網羅的にするか或いは実情に合うように適当に現地で
委員
の構成を定めるか、いずれがよろしいかというので、この案に落ちついたわけでございます。
加瀬完
76
○
加瀬完
君 その他の質問に進んでよろしいですか。
石村幸作
77
○
委員長
(
石村幸作
君) どうぞ。
加瀬完
78
○
加瀬完
君 第七条の条文ですけれども、「
合併町村
の
建設
に
協力
する基本の態勢を整えるように配慮しなければならない」という条文があるのでございますが、先ほど
秋山
さんからお話が出ましたが、今の
町村合併
というものは、どうも一部の者によ
つて
合併
計画
が取運ばれておるという傾向が非常に強い。こういうような傾向に対する調整というものはどういうふうに考えるか。 それから次の第二項の問題で「相互の間に
均衡
を失するものがある場合においては、すみやかに是正するように定めなければならない」とありますが、どこでこの是正をするのかという問題、それから不
均衡
か否かということは、非常に主観的の問題にな
つて
来る。そうすると少数
地域
の人たちが不
均衡
だと考えておりましても、これは大多数の
地域
のものは、これは不
均衡
でないという、大多数の
地域
のものの主観の下にはねのけられる危険がある。そうすると、少数のものが不
利益
に甘んじなければならんという問題が起るのですが、これらに対してどういうふうな処理をするのか。
石村幸作
79
○
委員長
(
石村幸作
君) 是正をどこでするかという、
つまり
従来のこの
均衡
を失するものがある、これは今まで
均衡
を失しておるわけです。これを是正をするというのは、
つまり
そこの
合併
をしようという
関係町村
で、初め
議会
でも
研究
されるでしよう。それからそれがいよいよ
協議
会の問題にな
つて
、そこでいろいろ
協議
、是正するべく
協議
する機会があるし、いよいよこれが決定してしま
つた
としても、
知事
又は総理大臣においても、これを変更させる必要がある場合には、変更させるというような条文もどこかにあ
つた
ようでして、いろいろの段階があると思います。
加瀬完
80
○
加瀬完
君 今
委員長
が、
知事
或いは総理大臣で変更させるという条文があ
つた
と言いますけれども、どこでしようか。そういう条文は、私は見当らないのですが。
法貴三郎
81
○調査員(
法貴
三郎君) これは府県
知事
に
提出
してその斡旋、或いは
内閣総理大臣
の斡旋というような条文もございますので。
加瀬完
82
○
加瀬完
君 あ
つて
もそれはどれだけ拘束力があるのですか。
法貴三郎
83
○調査員(
法貴
三郎君) これは変更につきましては、新たにできました
町村
議会
の議決ということになりますから、拘束力はないと思います。
加瀬完
84
○
加瀬完
君 そうな
つて
来ますと、少数
地域
のものは若干不
利益
をこうむ
つて
も泣寝入りをしなければならんということになるのじやないか。それを防いでいるところの条文であるけれども、実際的な問題となりますので、その処理ができないということになると思いますが、どうですか。
法貴三郎
85
○調査員(
法貴
三郎君) 新
町村建設計画
というものがあらかじめ定められておりまして、
合併
前の各
町村
ごとに
住民
の意向を酌みまして、
議会
が慎重に考えました
内容
を盛り込んでおりますから、大体そういうことはあるまいと考えるのであります それから第二には、今回の
法案
によりますと、
議会
の
議員
というものは、従来の
議員
がそのまま
合併
継続する、或いは
自治法
の
原則
の定員の二倍までは一回限り認めるということがありますから、
人口
集中
地域
の
議員
だけではなくて、周辺
地域
の
議員
も相当出るということで、その周りのほうの
利益
も擁護できると考えます。
加瀬完
86
○
加瀬完
君 それは法制定の
一つ
の矛盾だと思うのですよ。そういうことがあるまいと思うならば、こういう
規定
を何も作ることはない。不
均衡
が当然生ずると思うから、こういう
規定
ができておる。こういう
規定
を書てておいて、
町村
計画
でやるのだから、そういう不
均衡
ができないと思うということは、大きな矛盾だと思います。できた場合はどうするかということを聞いておる。
法貴三郎
87
○調査員(
法貴
三郎君) 実はこの
規定
の根本の考え方は、従来
合併
前の各
町村
におきまして、その施設の
内容
に非常に不
均衡
がある場合がございます。
つまり
財政
上の理由によりまして、或る
町村
は公民館が相当普及し、或る
町村
は全然ないという場合がございますが、そういう
町村
が
合併
した場合におきまして、
合併
後の
町村
においてはそういう施設が甚だ不
均衡
であるということになります。そういうものについては、新らしくでき上りました
町村
においては、新
町村建設計画
において、その是正を意図し、且つ
合併
後においても、その
計画
の
内容
に
従つて
漸次
均衡
を得るように
行政
を行うのがよろしいということでございます。
加瀬完
88
○
加瀬完
君 それはよくわかるのですよ。併し
合併
というのは、大体同じようなものが
合併
するばかりでなく、大きなものが小さいものを吸収するような
合併
、そうすると、今までの
合併
を見ておると、小
地域
のものがいつも
均衡
を失するので、それに対する不満から問題が起
つて
来る。これだというと、こういう問題が当然解決されるというように、条文の上からは解釈できるけれども、具体的な問題にな
つて
の処理というものは、今言
つた
ような場合、大きな
地域
の主観的な条件に押されて、小
地域
の
利益
がふみにじられるというような傾きが起
つた
場合に、どうこれを処理するかということを聞いている。
法貴三郎
89
○調査員(
法貴
三郎君) 勿論お話のような場合もございますが、それをこの
法律
によりましてどういう
方法
によ
つて
保障するかということが問題であろうと思います。そしてこのように強制的な権力に基かずして、勧奨的な
措置
によりまして
合併
を
促進
しようといたします場合においては、この程度の保障で一応差支えないのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
加瀬完
90
○
加瀬完
君 この程度と
言つて
も、何もや
つて
いない。今の
説明
では、何もできないということにな
つて
おる。是正するように定められなければならないということにな
つて
おるだけで、具体的に是正する、どういう
方法
を以て是正をして行くのかということは、
説明
がないわけであります。
法貴三郎
91
○調査員(
法貴
三郎君) そういうわけでございませんで、この新
町村建設計画
の中には、そのような具体的の
計画
をすべて盛り込むわけでありますから、
合併
を
進行
する途上において、周辺
地域
もやはりその
町村
において吸収
合併
したほうがよろしいという場合においては、周辺
地域
の希望というものを盛り入れた新
町村建設計画
ができるわけであります。例えば新
町村建設計画
の中には、役所、役場、或いは小学校の配置をどうするか、或いは文化施設をどうするかということが書いてある。
合併
後の
町村
において行うのは、
議会
の議決に基く
行政
ということでございますから、それはむしろ
法律
上の問題でなくて、政治上の信義の問題になると考えます。
加瀬完
92
○
加瀬完
君 それを政治上の信義の問題にしてしま
つて
、
法律
的に
一つ
も保護しなければ、
町村合併
というものは、小
地域
のものはいつも泣寝入りしてしまわなければならないという
現実
の問題が処理できない。私はこれを処理する
方法
があると考えて、どういう
方法
だということを聞いておるが、結局ないということになるのですね。
石村幸作
93
○
委員長
(
石村幸作
君) 速かに是正するように定めなければならないのだから、新
町村建設計画
を定める場合に、こういうふうにしなければならない、ここはこういう意味だと思います。
建設計画
を定めるときに、この不
均衡
がないように、
住民
が福祉を増進するように、
負担
を分任させるように、あとでこういういざこざが起きないように、
町村建設計画
を定めるに際して、こういうことを是正しなければならん、こういう意味……。
加瀬完
94
○
加瀬完
君 それでいいのですけれども、それにしたところで、小
地域
のものは大多数のものに圧倒されるという結果が生ずるのじやありませんか。
石村幸作
95
○
委員長
(
石村幸作
君) それはお説の
通り
と思います。例えば現在
関係町村
内においても、恐らくそういう部落部落について
均衡
を失するようなことが事実あると思います。
従つて
それが又
関係町村
が
合併
するとなると、自然そういうような問題が又起きて来ると思います。そこでこの
建設計画
を定めるに際して、各
関係町村
から
協議
会の
委員
が出て、これを
協議
するわけで、そこでその
協議
に際して不
均衡
なことを是正することができないようだ
つた
ら、自然の
合併
促進
実現
ということが不可能にな
つて
来るわけでして、そこでそれを今までのように、よくありました、例えば市に
合併
する、大きな町に
合併
するというような場合には、よく例があ
つたの
で、いろいろ条件が出て相談する、市長さんと村長さんが
契約
をする、それにはおのおの
議会
の決議によ
つて
まあ
契約
するとしても、あとでそれが履行されなか
つた
ということが事実あるのであります。そこでこの
建設計画
の策定ということは、それ以上にもつと法的であろうと、こう思われるのでして、この
建設計画
を策定する場合に、慎重に、各
関係町村
の人たちが圧迫をされるとか、そういう意味がなく、公正な
措置
によ
つて
この
建設計画
が進められる、そこでこの是正ということを如実に示さなければならんと、こう考えております。
加瀬完
96
○
加瀬完
君 ひとりでばかり質問して申訳ないと思うけれども、そういうことにな
つて
参りますと、お答えのない初めのほうの質問に帰
つて
来るわけでありますが、第七条の問題でありますが、相互の
協力
というものがなくて、さつき
秋山
さんがお話に
なつ
たように、一部のもののみにて
合併
計画
が強引に進められました場合に、一般のものたちがよくわからないうちに
合併
計画
が進められるというふうな傾きがありましたときに、この傾向に対してどういうように調整をし、或いはブレーキをかけるかということの問題ですね。
石村幸作
97
○
委員長
(
石村幸作
君) それは最初
関係町村
でおのおのその議が進められるでしようが、それは主として
議会
で進められるのが
原則
でしようが、
議会
の
議員
のやることが
住民
の福祉を無視してやるかというようなことは、これは事実上考えられないことなのだけれども、そういう事実の問題がある。とすると、そこでこれをもつと本当の民主的の根本に入るとしたならば、これは
住民投票
でやるという以外にないと思います。ここでは
住民投票
というのは、特に一部
編入
……そこの二十条に、さつきの
住民投票
というのは、一部
編入
の場合の
知事
の
勧告
、あの場合でして、ここに第二十条には、
町村合併
に対する
協力
と
謳つて
、「
町村
は、
町村合併
を適正且つ円骨に行うために、
都道府県
知事
、
都道府県
の
議会
、
都道府県
の
区域
内の
町村
の
議会
又は長の連合組織その他の
関係
のある機関及び学識経験を有する者等に対し、技術的な
助言
、
勧告
その他の必要な
援助
を求めることができる」こういうふうにな
つて
、二項が「
町村合併
が行われようとするときは、
関係町村
の
関係機関
は、
町村合併
を適正且つ円骨に行うために、その意義及び
目的
を
住民
に周知させるように努めるとともに、当該
町村
の
区域
内の
公共的団体等
に対し
協力
を求めるようにしなければならない。」3「
関係町村
の
区域
内の
公共的団体等
は、前項の
協力
を求められたときは、誠実にこれを対処しなければならない」ここで第一は
都道府県
、それから第二は
町村
内のことでありますが、こうして
町村
民に周知徹底させるという機会をここに与えなければならんということを書いてある。そうして又審
議会
ですか、
町村合併
審
議会
、それが
都道府県
にもありまして、
都道府県
の高いところから、というとおかしいが、
都道府県
も
町村
の
合併
を見ておるし、又報告を必ずしなければならないので、その報告に基いて
都道府県
の審
議会
も慎重にこれを
検討
して行くいろいろな機会があるわけで、ただ一部のものによ
つて
これが横暴というか、強行されることを避けるべく、そういうことを排除するいろいろな機会はあることはあるのです。これらによ
つて
自主的に、強制的でなく自主的に
合併
が進められる。それについては
住民
も又その
地域
内のあらゆる団体、公共的団体も皆公正な気持でこれに対して
協力
をする、又対拠する、こうしなければならないというようなことにな
つて
おるのであります。
加瀬完
98
○
加瀬完
君
町村
の有識者が自主的な立場で当然取進められるべき問題でありますので、全部が殆んど
訓示規定
でありまして、別に罰則
規定
というものは殆んどないのであります。でありますので、そういうふうに当然のように進められて行く場合は問題がありませんけれども、仮に今言
つた
ような手続上の順序を踏まないで、
町村合併
が
知事
なら
知事
に意見を求むるというような形になりました場合は、
知事
はその立場において手続上の不備がありまするときには、これを却下すると言いますか、もう一度再考させるというような
措置
はできるのですか。
石村幸作
99
○
委員長
(
石村幸作
君) これは県の機関として
自治法
にも定められておりますさつきの審
議会
、あれはこれだけの
法律
でなくて、
自治法
にも定められておる審
議会
、そういうような機関でこれを
検討
させ、そうして
知事
が適当な処置がとれる、こう思
つて
おります。
松澤兼人
100
○
松澤兼人
君 そういう
関係
はそれでいいですか。
法貴三郎
101
○調査員(
法貴
三郎君)
只今
委員長
から大体御
説明
がありました
通り
でございますが、
自治法
の
原則
によ
つて
処理されることになります。この
法律
の手続によりまして行われることになりますが、その後併しその
議会
の議決による
合併
の議決が手続上どうなるかということは、
自治法
の
原則
によることになります。
松澤兼人
102
○
松澤兼人
君 七条か何かのあれですか、
地方自治法
七条の……。
法貴三郎
103
○調査員(
法貴
三郎君) さようでございます。
松澤兼人
104
○
松澤兼人
君
関係町村
の
議会
の議決を経た
申請
に基いて、
都道府県
知事
が府県
議会
の議決を経て定めるというようなことになるのですか。
法貴三郎
105
○調査員(
法貴
三郎君) さようでございます。
松澤兼人
106
○
松澤兼人
君 いけないという場合にはそれを……。
法貴三郎
107
○調査員(
法貴
三郎君)
知事
が適当と思う場合は、
都道府県
の
議会
にかけまして、
議会
の議決を経て、そのように決定するわけでございます。
松澤兼人
108
○
松澤兼人
君 いけないというときには、いけないという意見を附してあるのですか。
法貴三郎
109
○調査員(
法貴
三郎君) そのような場合もあるのではないかと思います。
知事
は、
説明
は自由でございますが、この第七条の
規定
では、
申請
に基きとございますから、市
町村側
の
議会
の議決による
申請
がありました場合には、適当であると思えば直ちにその府県の
議会
にかけて議決を経て、
合併
を決定するということになると思います。
松澤兼人
110
○
松澤兼人
君 府県
知事
が自分の意向で
申請
を却下するとか何とかいうことはできないのですか。意見を附して却下するということは……。
杉山惠一郎
111
○
法制局
参事(
杉山惠一郎
君) や
つて
おります。
知事
がその
合併
が適当でないというふうに認めたときには、
議会
に付さないでそのまま取捨ててしま
つて
いるという例があります。
石村幸作
112
○
委員長
(
石村幸作
君) 今の問題については、丁度大阪にそういう例がございますね。
加瀬完
113
○
加瀬完
君 わかりました。
石村幸作
114
○
委員長
(
石村幸作
君) 如何でございましよう……。では今日はこれで閉じることにいたします。 午後零時四十一分散会