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1953-07-30 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十日(木曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            長谷山行毅君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            加瀬  完君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁財政部長 武岡 憲一君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君    常任委員会専門    員       福永與一郎君   参考人    奈良県知事   奧田 良三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○道路交通取締法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和二十七年度における期末手当  に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  先ず道路交通取締法の一部を改正する法律案を議題に供します。質疑はございませんか……別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、討論中にお述べを願います。
  4. 秋山長造

    秋山長造君 私は社会党を代表いたしまして、本改正法律案賛成するものであります。提案者の御説明にもありましたように、この改正案は従来警察が一方的に運転免許の取消し或いは停止というような重大な処置をやることがしばしば行き過ぎになりまして、そのために運転免許をとられる側から考えます場合には、相当重大な基本人権の侵害というようなことになりかねなかつた弊害を救済するための処置でございまして、妥当な改正案だと思います。  ただ併し、この際改正案賛成するにつきまして、併せて警察側に対しまして強い希望を一つ申上げたいと思いますのは、今日命令の定めるところによりまして、運転免許証有効期間が僅か二年ということになつているのであります。これは元来有効期間五年であつたものが、占領下にあつた当時の特殊事情からいたしまして、占領軍の強い要求によりまして、いきなり五年から二年ということに短縮をされたわけでありますが、今日すでに占領下から脱却いたしまして、独立した日本の現状において、特に又運転免許を所有するものの住所も安定し、その他短縮した当時のいろいろな内外事情というものが相当変化して来ておりますので、この際、やはりこの改正案に盛られたと同じ運転免許者の権利をできるだけ擁護しようという同じ趣旨におきまして、この運転免許有効期間二年をもう少し今日の実情に即するごとく三年乃至四年程度に少くとも延ばすべき処置を至急におとりになるのが妥当ではないかと考えますので、国警当局におかれまして、速やかに実情調査研究の上、何分の妥当な処置をとられますように、特に併せて希望を付けまして、この改正法律案賛成をいたすものであります。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御発言はございませんか……他に御意見もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。道路交通取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。道路交通取締法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) 全会一致でございます。よつて道路交通取締法の一部を改正する法律案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますので、これは委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書について多数意見者署名を付することになつておりますから、本法案を可とせられるかたには、順次御署名願います。   多数意見者署名     石村 平作  堀  末治     館  哲二  長谷山行毅     小林 武治  秋山 長造     若木 勝藏  加瀬  完
  9. 内村清次

    委員長内村清次君) 御署名漏れはございませんか、署名漏れはないと認めます。  ちよつと速記をとめて。    午前十一時九分速記中止    ——————————    午前十一時二十三分速記開始
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは先般の委員会におきまして若木委員から昭和二十七年度期末手当に関して参議院予算委員会におきまして決議がなされました事項に対する奈良県の措置について、奈良県知事参考人として出席を求めて問い質したいという要請がありました。今日奈良県知事奥田良三君が見えられました。参考人として御出席がありましたから、この問題を取上げまして、奈良県知事奥田良三君から参考人としての陳述を聞きたいと存じます。  このたびは昭和二十七年の期末手当について、奈良県知事奧田良三君に、御多忙中ではございましたが、参考人として御出席をお願いいたしたのでございます。聞きますると、奈良県に対しましては今回の水害のために非常な御多忙の点があつたと存じますが、御出席を願えましたことにつきましては、委員一同に代りまして委員長から厚くお礼を申上げます。奧田奈良県知事から事情説明を頂きまして、それから委員方々から質疑をして頂くことといたしたいと思います。では、参考人奈良県知事奥田長三君から御陳述をお願いしたい。
  11. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 私は只今委員長から御紹介を頂きました奈良県知事奧田でございます。  私は当地方行政委員会平素地方行政のことにつきましていろいろ好意的に御配慮頂いていることにつきまして、地方自治担当者の一人として、当委員会に対しまして厚く御礼申上げます。  なお、去る二十八日でございましたか、出頭するようにとの御通知でございましたが、只今委員長からお話のありましたように、私の県としては未曽有水害でございまして、災害救助法を初めて奈良県としては適用した、こういうふうな次第でございまして、これが対策に日夜忙殺されて、先日来、水害地の山奥深く入つておりましたので、二十八日には出頭しかねると思いまして、残念ながら本日漸く出て来たような次第であります。御了承願いたいと思います。  なお、この席上甚だ失礼でございますが、私の県としては今申したような未曽有水害でございまするので、参議院としても、又地方行政委員会として今後いろいろ御配慮頂きまするようにお願い申上げておきます。  只今委員長からお話のございました昭和二十七年末の手当の問題でございますが、実は只今申上げますように、水害対策に忙殺されておりまするし、大分前の話でもございまするので、或いは事実等に前後するようなことはあるかも知れませんが、一応私の記憶しておるところ、順を追うて一応私の考えを申上げておきたいと思います。  結論を先に申上げましたら、奈良県としても何とかよその県並みに、或いは簡単に申せば、人並みの手当を出したいというふうな考えであつたのでございましたが、金のやり繰りがどうしてもつかんために、結局出せなかつたというのが、まあ簡単に申せば結論でございます。  丁度年末でございましたが、差迫りまして、自治庁から通牒がございました。そのときに只今委員長お話の〇・二五の問題につきまして、政府現行法令又は予算範囲内で出すんだから、地方において、これに準じてやる場合には、今後地方財政状況推移をも睨み合せて、財源について後日考慮したい、こういう意味政府意思表示衆議院地方行政委員会でなされておるという意味通牒があつたわけであります。私の県といたしましては、年末は一応よその県並みにいわゆる月額の十割の手当を先ず出しました。丁度十二月には県議会を開いたのでありましたが、そこで十一月ベースアップいたしました俸給等補正予算を提案いたしたのであります。その十一月ベースアップ金額は私どものような貧乏県としては、まあ予想外の大きな金額でありましたが、これが財源は他に求むるところがないので、止むを得す殆どその全額を地方財政平衡交付金にこれを求めて、収支のバランスを一応合わしたような次第であります。従つてどもとしては、十二月の、今申上げました補正予算を組みますときにも、簡単に申せば、まあ赤字覚悟で一応そういう予算を組んだのでありましたが、これは法律上の義務でもある上、当然に組んで行くものとして組んだわけであります。尤もそういうふうな窮迫した財政状況が或る程度予見されましたので、私の県といたしましては、十月頃から財政当局において、財政節約緊粛を図ることにいたしました。或いは旅費を何割天引するとか、物件費を何割抑えるとか、或いは特別に急を要しない事業執行しないようにするとか、いろいろの手を講じて、十月頃からぼつぼつ経費の節約緊粛図つておつたような次第であります。そういうふうな事態のところへ加えまして、只今申上げましたように、年末に十割に加えて、更に二割五分の支出について自治庁のほうから電報を頂いたわけでございまして、尤も私はよくわからんのでありましたが、当時政府はその二割五分を超勤繰上支給なんかの方法でおやりになるような話でもありました。超勤繰上支給という方法につきましては、いろいろ問題もあるという意味からもございまして、結局年末にはそれを支給しないで、翌年に繰越したような次第でありまして、そのうち本県の財政地方財政平衡交付金が決定するに伴つて、ますます悪化いたしました。それで十五億余り予算を、平衡交付金をみたのでありましたが、十三億二、三千万円か四、五千万円頂いたのであります。即ち予算に対しまして約一億五、六千万円、一割前後の平衡交付金におきまして辻褄が合わんということに相成つたわけであります。従つて私のほうとしては、先ほど申上げましたような節約緊粛方針を更に強化したということに相成つた次第でありまして、そういう関係から昭和二十八年度予算審議いたしまするいわゆる二月県議会におきましては、私の県としては、知事がそんなに節約緊粛を図り、いわゆる実行予算のようなものを執行して行くならば、減額補正予算を提出すべきであろという意見が出ました。どちらかと申せば、二十八年度の当初予算審議いたしまする二月県議会は、三十八年度予算審議よりも二十七年度予算執行方についてどうするかということが終始県議会におきましては実は問題になつたような次第でありまして、私は政府つなぎ融資をお願いするとか、いろいろの方法でできるだけその予算に副うような執行をいたしたいという考えであるから、減額補正予算は組まないのだというような考えの下に説明いたしまして、県議会を終つたような次第であります。  まあそういうふうな事情からいたしまして、年度末が迫りましても、私のほうの財政状況は明らかに悪くなつておるのでありまして、ただ知事としては、私はそういう赤字を出してでも、なお二割五分とか何らかの年末手当式のものを出すということは、これは差控えるべきであるという考え方から、当時三月でございましたか、当国会におきましていろいろその二割五分の材源問題につきまして御考慮を頂き、又御審議願つておることを新聞等で見ておりましたけれども、私のほうの財政事情から止むを得ずこれを支出し得ないで過したような次第であります。  只今委員長からお話ございました私の県の事情は今大略申上げた通りであります。
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) 有難うございました。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 奧田さんにちよつとお伺いいたします。この年末手当の〇・二五というものにつきましては、これはあなたも御存じ通り国会でも相当これは問題になつて来た問題でございます。というのは、非常に公務員生活が、ベースアップ思ように行かないために、赤字生活か続いておる。政府としてもこれをまあ年末あたりにおいて何とか一時的な手当によつてカバーしてやろうというふうな親心は確かにあると思う。それから国会においては政府以上に公務員生活事情というものはよくわかつておりますので、これは衆議院においても、参議院においても、この点に対しては各議員とも非常な熱意を示して来た。それが結局衆議院予算の二十七年度補正予算審議の際に、御承知のような附帯決議が行われたわけであります。これはただ単に公務員の待遇問題ばかりでなしに、全般に亙りますけれども、ここにそれを含めた一つの決議が、附帯決議が行われた。この決議を以て、いわゆるこの補正予算が通つておるわけでありますが、これは衆議院事情であります。これに対して向井大蔵大臣はこう答えておる。政府只今附帯決議につきましては、今後予算運用等によりできるだけの趣旨に副うよう適切なる措置を講じて行く考えでございますと、こう答えておる。ですから、衆議院におけるところの国会並びに政府考え方というものは、これは年末だけこれを支給してやろうという気運が見えるようになつておる、私はそう考えます。ところが参議院におけるところのこの衆議院通過後の予算審議に当りましては、やはりこの十二月の二十四日の審議の際に、衆議院附帯決議を中心にいたしまして、更にここに決議をしたのでございまして、これはあなたは御存じかどうか知りませんけれども衆議院附帯決議とは違いまして、明らかに公務員等給与改善に関する決議案、こういうふうなことで以て決議されておるのでございまして、これはもう私の考えでは衆議院決議ではまだなまぬるい、もつとはつきりしなければならない。そういうふうにこの公務員の逼迫したところの生活状態考えて、こういう決議が行われておる。これは四項目に分れて決議案内容ができておるのでございますが、先ず重要な点を申上げますと、「一般公務員教職員を含む)については、本年末において概ね月給与の〇・二五分を目途として、実質上の増額支給をなすよう措置すると共に今後一層公務員給与改善につき人事院勧告趣旨を尊重し、之が実現を図るよう措置すること」これを第一項に謳つておるのであります。それから第二項におきましては、公共企業体職員等に対する問題を同様の意味決議しておる。第三項では、「地方公務員教職員を含む)本年末給与については、一般公務員に準ずる措置を講ずること」、第一項に対応してこういうようにできておる。第四項は、「前項に関連して予算措置を伴う短期融資の途を講ずること」具体的な措置まで謳つておるのであります。ここまで考えてみますと、何とかこれはもう政府に対して適切な具体的な措置をとつてもらいたい、こういう決議でございます。これは非常に重要な決議だと考えるのでございまするが、これに対してその後どういうふうな経過なつておるか。三月五日の参議院予算委員会において、これがとり上げられて、政府措置がどういうふうになつておるかということの質問があつたのです。現に今委員長をされているところの内村その当時の予算委員からもこの質疑が出ておるのであります。そのほか二、三のかたからの質疑も出ております。そこで私はそのうちの重要な事項を申上げたいと思うのでございまするが、これは内村委員質問に対して、その当時の大蔵大臣であるところの向井さんから、こういうふうに答弁があつた。「御決議に対しましては、予算範囲内及び法律範囲内で以つて国家公務員並びに地方のほうは国家公務員に準じた給与を与えると、そういうことをいたしたのでございます。只今お話地方自治体との間の話につきましては、只今本多自治庁長官と十分に話合いをいたしておりますところでございます」、自治庁長官とも今相談中、こう答えておる。ところが重ねての内村委員質問に対しまして、今度はその当時の自治庁長官であるところの本多さんから、こういうふうに答えがあるのでございます。それは「年末手当に対しまして、地方が国の措置に準じてやりました財政措置は、これは政府の責任でございますので、先日御決議に対しましてお答えいたしました通り政府地方財政状況推移とも睨み合せてできるだけ速かに善処いたしたいということを申上げたのでございますが、すでに年度末も近まりまして地方財政推移状況も大体の把握ができたのでございますから、この財政措置を講じたいと考えまして、只今資金運用部関係、更に又地方団体が如何に運営し得るかというような関係等も検討中でございます。その中に公募債を含むか否かという問題がございますが、公募債もやはり地方財政計画の中に従来もとり入れて運営されて来ているのでありますから、公募債を或る程度含んでもその公募債消化が確実なものであれば、これは財政計画の中に入れてもよろしいとも見ております。従つて今の段階ではこの財政措置起債の許可という方法によつて措置をいたしたいと考えておりますが、その起債内容預金部資金において幾ばく、更に公募債において幾ばくになるかということが運営計画の点からと、公募債消化の点からと睨み合せて地方に不便を与えない処置をしなければならないと考えまして、今研究いたしているところでございます。これは年度末も近まりますので、急速を要することでございますので、急速に決定いたしたいと考えまして大蔵省とも打合せ中でございます」、こういうふうにだんだん具体的な措置がこれによつて現われて来ておるのでありまするが、その後三月二十日の緊急集会予算委員会で、これは衆議院がもうすでに解散になつていますので、参議院だけの緊急集会でございますが、このときに荒木委員並びに森崎委員から参議院において質問が出ておる。荒木委員質問要点は、まだこれに対して措置をしておらないところの県があるようであるが、これらに対して自治庁としてはどういうふうに考えておるのか、こういうふうな趣旨質問でございます。  それに対して本多自治庁長官はこう答えておる。「昨年年末手当に関しまして、国の措置に準ずる地方措置に対する財政措置の問題につきましては、地方一般会計に五十億の起債を認めることにいたしまして、そのうち三十億が預金部資金で、二十億が公募ということになつております。この府県に対する割当はすでに終つているのでございます」府県に対する割当はすでに終つておる。「その府県割当があつたにかかわらず、府県において年末手当措置がまだ未済になつておるところがあるのではないかというような意味合の御質問であつたと思うのでございますが、その点につきましては御承知通り全く地方自主的負担でございますので、私のほうから指図はできないわけでございます」こうなつております。ところがこれに対しまして、関連の質問森崎委員から申されておるのであります。これは森崎委員質問要点は、こういうふうなことなんです。荒木委員質問に対するこの国務大臣答弁では不満足である。そこでこれに対して「地方が〇・二五出す出さんは勝手だということは、本多国務大臣はこれに対して私は相当の指導をして行かなければならんと思う。特に地方公務員給与につきましては、国家公務員給与に準ずるということははつきり法律で定められておる。この点を考えて、指導をうんとしてもらわなければならん。地方がやるやらないは勝手だということは、ここで大臣に言つてもらわれては困る。この点についてもう少し所信をはつきりしてもらいたい」こういうふうな質問が出ている。これに対する本多国務大臣答弁は「御尤な御質問と存ずるのでございますが、今回の五十億の起債による財政措置一般会計全体に対するものでございまして、これが年末手当措置に対する財政措置も含めて講じたわけでございます。この額をきめるにつきましては、地方財政状況等も勘案いたしまして、この枠をきめたのでございますけれども一般会計に繰入れますものは、平衡交付金にしても、この起債にいたしましても全く地方自主的財源になるのでございまして、政府といたしましては年末手当に対する措置に対応する財政措置は、これは講じなければなりませんけれども、その一般会計の中で幾ばく、それからいつの時期に払われなければならんという指図は、一般会計の性質上できないことになつております。併しお話の問題につきましては、誠に御尤もと存じますから、できるだけのそれは了解を得るようにいたしたいと存じます」。こういうふうに出ておる。そこでこの意図法律上についてはこういうふうに指図はできない。だけれどもこれは了解の下に何とかそういうような方面にそれを振り向けるという意思は十分あるということが考えられる。これが三月二十日までの経過なのであります。そこでこの問題はその後政府においてどういうふうに措置されたか、こういうことになるのでございますが、これはこの点につきましては三月十四日の衆議院における地方行政委員会理事会相当政府としては話合が出たときに、政府はつきりしたことが言われておるやに私は聞いておる。そこで私は政府側に対して資料を求めたのでございまするが、その資料によりますと、ここにはつきり出ておる。これは各委員方々のお手許に出ておるのでございますが、いわゆる五十億に対する起債を特にそのために措置したということがここに明らかになつておるのでございます。別紙のほうの昭和二十七年度追加地方債措置要領、この中の第三番目の各団体別の配分、ここに1として道府県分及び五大市分道府県分及び五大市分については、各団体給与費はつきり謳つてある、給与費ということが……。並びに投資的補助事業規模等を考慮して配分したということが措置としてはつきり資料に出ておる。この中で私は重要な問題は、ここに給与費見合にして出しておるということでございます。先ほど来、本多大臣答弁はそういうふうに法律上なかなかむずかしい点があるけれども、というようなところから出ておりましたが、措置といたしましては、どうしてもやらなければ、公務員は困るというふうな意図がここに現われている。そうしてはつきり給与費として謳つてある。市町村分に対しても同様に給与費のことを謳つて見合にしてこれは措置しておるのでございます。そこでそれが一体どの府県に配分されておるかということを、やはり自治庁資料によつて求めますと、都道府県全部に亙つておる。奈良県にいたしましても、そういう意図の下に、都道府県に対しては四千五百万円、市町村分に対しては千三百万円、こういうふうなのがはつきり数字が出ておるのでございます。そこでこれだけ国会並びに政府意図があの際にはつきりして、而も各都道府県においては、その趣旨従つて〇・二五の、或いは〇・二五を出したところもあるだろうし或いは〇・二程度出したところもあるだろうが、とにかく私の実態の調査によりますというと、殆んど漏れなく〇・二五の年末手当が出されておるにかかわらず、今奈良県が非常な財政の窮迫であるというふうな建前から出し得なかつたということについては、私はその事情をもう少し、どうしてもそうならなければならなかつたという理由については、他のほうも財政の苦しいことはこれは私もわかつておる。北海道なども非常な赤字で苦しんでおる。各都道府県平衡交付金額の少いために非常に財政が逼迫しておるということは奈良県ばかりじやないと思う。ところがそれにもかかわらず、他は出しておるのに、奈良県のほうだけが出せないということについては、余ほどの私は事情がなければならんと思うのでございますが、先ほど来の御説明では私は十分納得行かないところがありますので、その点重ねて伺いたいと存ずる次第でございます。
  14. 奧田良三

    参考人奧田良三君) いろいろ御好意ある御心配を頂きまして有難うございます。只今お話いたしましたように、衆議院地方行政委員会或いは参議院地方行政委員会共に御好意を頂き、両院におきましてそれぞれ附帯決議がされたということであります。又大蔵大臣なり自治庁長官財源措置につきましていろいろ御心配を頂いたそうであります。或いは議会における質疑応答といいますかの内容等は私どもは知悉しないのでありますが、ただ新聞等によりましてその一半を承わり、又正式には自治庁からの御通知等によりまして存じておる次第であります。只今も御心配なり御好意を頂きましたが、私も先ほど申上げましたように、私としても県庁職員は直接知事の部下である。或いは教職員は直接ではありませんが、私がその俸給の責任を持つておるという意味におきまして、私もよそ並みと申しますか、人並みの手当は出したいことはやぶさかではないのであります。殊に私はいろいろの機会に職員の優遇を実は主張いたしておるのであります。言葉が適当であるかどうかわかりませんが、少数精鋭主義という言い方をいたしておるのであります。できるだけ優遇して、いい職員をとつて、その代りに成るべく数を少くしてよく働いてもらおう。こういう考えでずつと県の仕事をいたしておるのであります。そういう建前からも私は職員に対してできるだけ優遇する。その意味におきまして、年末手当も人並に出したいという気持は十分持つておつたのであります。ただ先ほど申上げましたように、私のほうの財政状況は極度に悪く、自治庁関係課長さんも、平衡交付金の配分について奈良県は一番損であるということを言つておつてくれるのであります。面積が全国で二、三番目に小さい。人口も又その通りであるという状態から、非常に平衡交付金の配分を受ける場合に、簡単に申せば損をしておると私は考えておるのであります。そういう意味におきまして、私のほうの財政状況は恐らく窮迫しておることにおいては全国屈指であることは、残念ながら間違いないと私は思つております。そういう状態である上におきまして、二十七年度奈良県におきましては小中学校の生徒が合せて五千人ほど前年度より減りました。五千人減りましたら平衡交付金が相当減るのだそうであります。然るに県の教職員は五千人減つたからその割合で減らすわけに行きません。或る程度減らしましたが、計算でそろばんで割出すようには減らすわけに行かんのであります。そういう事情も手伝いまして、ベースアップ等がありましたために、二十七年度は非常に実は困難な経理であります。そこで私としては県で赤字を出してでも〇・二五の手当を出すか出さんかという状態になつたのであります。只今お話ございましたが、全国的にも数県は赤字を出しておりながらも、それらの手当は普通に出しておられるところもあるようであります。併し私は県知事として赤字を出してまで県庁職員、或いは教職員に対して手当を出すか出さんかという問題になりましたら、私は出すことには躊躇せざるを得ないのであります。私どものほうの二十七年度予算の経理は、先日一応見当つけたところによりますと、三十万円程度の黒字になるだろうかという出納長の計算であります。これは先ほど申上げましたように、あらゆる経費を節約し、緊縮し、事業を繰延べし抑えて、税の徴収は極度に苛斂誅求という言葉もあるようでありますが、徴収をして、そうして漸く赤字を食いとめ得るかというのが私のほうの財政状態であります。そういうときに知事が年末手当のその分を出すか出さんかということになりますと、私としても考えざるを得ません。殊に漸く黒字になりましたのは、なるかならんかというところになりましたのは、只今御指摘ありましたような四千五百万のつなぎ融資を頂いて漸くそういう状態になつたのであります。そこで先ほど申上げるような経理の都合もありますし、又私は根本的にはそういう手当を出すのに、つなぎ融資とか借金をして出すということは、地方財政経理の上から私は不適当と、又適当でないと私は考えております。むしろ或いは平衡交付金とか或いは一般税の増収であるとか、そういうもので出すならば、これはもとより私も非常に好ましいのであります。つなぎ融資をそういう機会に手当てに向けるとうことは、私は知事としては適当であるとは言い得ないと思うのであります。而もこれは年末の政府の取扱いにつきまして、私は、本当は、実はまだ現在も疑問を持つておるのであります。先ほど申上げましたように、年末に俸給の月額の二割五分程度の超勤手当を繰上げ支給したのが政府の扱いでないかと思います。そういう繰上げ支給したならば、そのあとは超勤というものをどうしたものか、県庁は政府と違いまして、それぞれ分に応じた超勤予算を組んでおります。必要に応じて超勤手当を出しておるのであります。そういう点から超勤手当で、その年末手当のような考え方をする、而もそれを繰上げ支給をするというふうな行き方には、私はまだ実は釈然としないものがあるのであります。殊に御存じ通り、県などは教職員には超勤というものを出しておりません。日直或いは宿直の手当等があるだけであります。そういうものに二割五分というものをどうして公平に、適法に措置をするかということはなかなかむずかしいのじやないかと私は考えておるのであります。まあそれらは併し一応の疑問に過ぎないのであります。又私のほうの根本的な状態は、先ほど申上げたような知事としては借金を殖やして且つ赤字を出してまで、その分を出すことはどうかと考えまして、実は支出しなかつたような次第でございます。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 今知事さんの御説明を聞いて、成るほど知事さんの建前というものがはつきりわかりました。そこでそういうふうなことも政府としては、私は相当考えた、併し特にこの五十億というふうなものは、特段のそういうふうな方面への給与待遇ということを考慮して、特にこの点を政府が講じた。而も何カ月もその聞苦しんで、親心を以て処置を講じたというところを知事さんはどういうふうにお考えになるか。この点なんです。そこで先ず私は政府のその意図についてその当時の自治庁さんもおいでになるし、先ず私は塚田国務大臣のお考えを伺いたい。あの五十億を出したということに対する政府意図を伺いたい。
  16. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはあの当時五十億の措置をいたしましたのは、先ほど若木委員がお読みになりました、あの本多国務大臣答弁趣旨で尽きておるのじやないかと思います。私も実はそういうように承知をしておるわけであります。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、特に重要な点は今の知事さんのお話合いとの対応になつて来るのでありまするが、特に各団体給与費というふうなことを見合いに、政府は十分その点を考えて出してあるということについては、その通りで差支えないわけですか。
  18. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の点に、当時のいきさつもございますので、大臣に代つて答弁します。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 次長が立つのでしたら、重ねて閣議におけるところのこの措置を決定する場合の事情ですね。あなたは閣議で説明されたということを私聞いておりますが、それも併せて一つ……。
  20. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の点にお答え申上げます。  この五十億の、二十七年度末の地方債の配分並びにかような措置をいたしましたその趣旨は、先ほど縷々若木委員が、速記録等によりまして、お話のございました、あのような、当時の大蔵大臣或いは自治庁長官国会の御要望に対しまする応答の趣旨に従いまして、後日、年末の地方公務員に対する国家公務員給与の改善措置に準じた措置をするために必要なる財源措置を講ずる、こういうことに対応して、まあとられた措置でございます。ただそれを配分をいたしまする際に、この地方債の配分措置要領にもございますように、給与費と、それから投資的補助事業の規模というようなものを考慮して、配分の基礎に使つたわけでございます。これを配分の基礎に使いましたゆえんは、やはり国会におきまするいろいろの、政府国会議員の方々との応答の際の趣旨に応じまして、かような給与費というものを配分のめどに使つたわけであります。で、このことは、閣議の点が、私ども出席をするものでございませんので、どのようなことでございましたか、承知いたしておりませんが、併しこれは当時の自治庁長官でありました本多国務大臣が、その趣旨におきまして、閣議でも御了承を得られたことであろうとも考えております。
  21. 若木勝藏

    若木勝藏君 重ねて大臣にでも、或いは次長にでもよろしうございますが、お伺いしたいと思いますが、そうしますというと、五十億というふうなものは、普通のときであれば、これは政府としては見なかつた額なんだけれども、特にあの際、給与費或いは公務員の待遇ということを考えた結果、この五十億というふうなものを許した。こういうふうに解して差支えありませんか。
  22. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の点でございますが、これは年末の給与改善についての、国家公務員に準ずる措置しまして、本来ならば、一般財源として平衡交付金というようなもので措置ができ得ますならば、これは一番理想的でございましたが、併し当時の国家財政の建前から申して、われわれそういう余裕がないということで、結局三十億の政府資金と、二十億の公募債を以て地方財源を緩和いたして、それによつて浮いて参りましたもので、給与の改善措置というようなことも行なえるではないか。まあこういうような考え方であつたわけであります。いわば間接的な財源措置というような恰好になつたわけであります。その点、県によりましては、起債の配分をいたしましてそれに対応する新らしい事業をするというようなことを考えるかも知れない。そういうことになりますと、財政需要の新らたな増加になりまして何ら負担の緩和にならんものですから、新らしい事業に対してこの起債を充当することは一切認めない、既存の財源がないために、やるべき補助事業に対する地方債が足らない、地方負担の埋めようがないというような場合に、これを充当するようにしなければいけない。こういうことでそういう趣旨起債の許可をしたわけであります。従つて若しその起債の許可がなければ、一般財源等で支弁しなければならなかつたが、この起債の許可が行つたために、それだけに政府の交付金で充当される額が減つて来て、その額を当面の給与等の問題に使えば使うことができる、こういう状態を生ぜしめることを狙つたわけであります。そこでそういう措置によりまして、然らば各地方団体としてどういう措置を講ずるかということになりますと、先ほど来、いろいろと奈良県の知事さんからも御陳述がございましたが、奈良県としては先ほど来のお話のようなことをされた、こういうふうに了解をしているわけでございます。
  23. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、私は知事さんにお伺いしたいと思いますが、あなたのほうで教職員並びに一般地方公務員、県職員、これに対する〇・二五というものを支給するとすれば、どれだけの金額が出るのですか。
  24. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 約三千万円であります。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、今自治庁のほうからの御答弁はあなたも伺つているように、結局これは平年度に比してこの〇・二五を出すということに重点を置いてやつているということが今の御答弁で明らかになつた。それに対して四千五百万円をあなたのほうに配分しているということは、三千万円は明らかに給与方面に廻し、他は新規事業でない方面に千五百万円は見積つている、私はそういうふうにとれるのです。あなたのほうでは四千五百万円というのはどういう方面にお使いになつておられるか、この点を伺いたい。
  26. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 先ほども申上げましたような私のほうの財政状況でありますので、すでに決議をいたしまして、県議会決議をして財源起債に求めている事業で、政府の都合で起債の許可のなかつたもの、枠がありますので、政府の枠よりはみ出たものに、これを充当したということになつているのであります。失業対策事業、災害土木復旧事業、山地災害復旧事業、土地改良、農道設備事業、直轄大河川改修事業分担金、これは府県の分担金です。それらの費用にこの経費を当てている次第であります。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで私はこの問題は県の議会の方面でも、相当この問題は中央の事情も新聞など出ているし、又公務員実情もよくわかつているし、そういう方面から相当公務員の〇・二五に対しては質問とか或いは論議がされたと思うのです。そういう際にあなたとしてはどういうふうにお答えになつておられるか。
  28. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 先ほども申上げましたように、昭和二十八年度当初予算審議いたしまするいわゆる二月県議会は、昭和二十七年度予算の経理に論議が集中され、その論議の中心は知事がせつかく議会の決議を経ている予算を、言葉がどうかと思いますが、勝手に節約し、緊縮し、実行を中止し、抑えている、そういう工合に実行をするならば、新らしくその二月県議会減額補正予算を出すべきである。それを出さなければ二十八年予算審議はできないというのが実は議論の中心でございました。大部分それに終始しておりました。さような私のほうの昭和二十七年度予算執行経理につきましてはまあ苦心をし、或る程度無理をしてやつて来たような状態であります。従つて職員の給与につきましても一、二度質疑があつたようであります。私はどういう質疑があつてどういう答弁をしたか、ちよつと今詳わしく記憶しておりませんが、あつたようでありますが、私の只今の記憶を以ていたしましても、殆んど今申上げたところに終始しておつたというほど県議会でやかましかつたのであります。それでありますから、政府が四千五百万円のつなぎ融資を認めてくれたら、それはまあ教職員の或いは県庁職員の年末手当に使うのもいいだろうけれども、より以上に知事執行を中止している各種の事業を積極的にやるべきだということが県議会の論議の中心でありまして、私のほうといたしましては、先ほど申上げるように、できるだけこの予算をきめられたように執行して、而も赤字はなんとかして出したくない、実質的な赤字は実はあります。恐らく相当多額の実質的な赤字を持つていると思いますが、少なくとも形式的には赤字を出さないで行きたい。こういうために実はいろいろ、と苦心いたしました。只今御指摘の問題もそういうところから実は来ていると思うのであります。私もたびたび申上げますように、人並の手当を出したいという気持は人後に落ちんつもりであります。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 今私の聞いている範囲では、あなたも非常に苦労されており、併しまあ県議員の質問に対しても、政府のほうで何分の財政的な措置をしてくれるのであれば、なんとかその線に副いたいということを言われたということを聞いているんですが、あなたの気持と今のどうしても赤字財政にしたくないというこの矛盾ですね。これは私はわかりますわ、よく。だが公務員赤字のほうも一つ考えてもらわなければならん、私はそう考えるのです。そこで本当に教職員にしても、あなたの直接の部下である県職員にしても、これはあなたの行政に携るところの人は、その方面の赤字は第二にして、なんとか辻棲を合わせたい、県の財政赤字を出さないというようなことになると、余りに一方にあなたは固い信念を持たれているというふうに思うのですが、この点どうでしようか。今の自治庁側のほうも、いろいろあの場合に支出しているのは、相当公務員赤字のほうを考慮したものであつたので、その点今だんだんあなたもここにお出でになつて、あの当時の事情或いは政府の気持がよくおわかりになつただろうと思います。この点からもう一度私はあなたに今後の措置に対しても御意見を伺いたいと思います。
  30. 奧田良三

    参考人奧田良三君) いろいろ好意的に御覧になりましてありがとうございます。ただ私も先ほど申上げたように、職員に対して手当を出したいのでありますが、勿論知事としては県政全般を考えなくちやならん、多数の遺家族がまだ生活に窮しながら汲々としている、又多数の未亡人がその日暮しに困つている、或いは県政を振興せしめるために土木事業なり、或いは社会事業とか、各種の産業振興策をとらなくちやいけない、それらの各種の事業と言いますか、事柄を全体を睨合せて、どうしたら一番県政の運営にいいかということに、実は私どもは苦心をいたすわけで、単に県の財政赤字がなければいいというのでなくて、県の全体を考えなくちやならん。従つて、これは変な申上げ方で失礼ではありまするが、今私にそれならば一つ又二千万円だけ余計金を交付しようというような話があつた場合に、それをどう使うかという話になりましたら、只今では私は奈良県の水害の復旧に使いたい。これが先ず第一である。又水害が若し起つておらなくても、或いは今申上げた未亡人の救済に或いは戦争遺家族の援護に或いは産業の振興に、それから教職員初め県庁職員の給与に、それらのものを睨合せて、如何に措置することが奈良県として一番いいかということを、私は考えなくちやならんと、まあそう考えております。そういう状態でありまするので、今度私どもとして地方の行政をやるにつきましても、一面職員の待遇、もとより考慮しなくちやいけませんが、他の各種の事業をも考えなくちやならん。殊に幸い自治庁長官もおいででございますからお願いしておきたいのですが、私の県は、先ほど申上げたように、地方財政平衡交付金の交付基準等において、どうやら一番不利な立場にあるらしい。そういう意味から非常に予算の経理に苦労いたしております。尤も昭和二十七年度奈良県としましては、税は約六億でございました。殆んど百パーセント徴収いたしております。財政平衡交付金は十三億数千万円頂いておりまして、税の二倍以上の交付金を頂いておるにかかわらず、今申上げましたような状態でございます。是非一つこういう貧乏県もあることに御同情を頂きまして、私が今申上げたような不十分な措置をしなくてもいいように、一つ何とか御配慮を願いたいと思うのであります。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 あなたの今のお話では、どこまでもとにかく奈良県の財政状態から、ここに更に交付金が二千万円でもあれば、これは今度の水害の方面にでも向けたい。この水害のことにつきましては、今、国会においても対策特別委員会というものが設けられて、そして特別立法をやられておるような場合でございますから、その点はこれに絡めて御心配にならなくともいいのではないかと思うのでございます。そこで、あなたのように非常にやはり各府県でも財政の苦しいことはわかつている。併しほかのほうでは皆出しておる。今度はこの夏の夏季手当法律で以て〇・二五十出ことになつておる。そうすると、法律で以て出されれば出すけれども法律的な措置がなければ、先ずそこに手心を下して、というふうなことは、ちよつとそこに考え方は開きがあるのでないか。法律の精神というものは、法律があつてもなくても同じものなんです。予算措置でも、やはり精神は同じだと思うのです。あなたは今度は〇・二五という法律が出た以上はどうしても支給しなければならない。これは国家公務員に準じて出さなければならんということが明らかになつておるのです。ですから、前の場合において、法律でなかつたから、まあ財政も苦しいし、他府県とは異なつたところの御措置をとられたということに対しては、いろいろの御事情もあつたけれども、もう少し私は公務員生活に対する政府の親心をあなたのほうも十分お汲取りを願いたかつた、こういうふうに考えるのでございますが、それで、まあこれは年度が変つてしまつておりますわ、前年度においての問題でございますから。併し今度は〇・二五というふうなものが支給されるというふうな場合に当つて、従来の昭和二十七年度の分も相当そこに何か考慮を払うというふうな、こういうふうなお考えはありませんか。
  32. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 只今お話でありますが、私のほうの只今の見通しでは、昭和二十八年度昭和二十七年度に劣らん懐ろ工合が窮屈になるのじやないかと思つて、実は心配いたしておるような状態でございます。従つて今のところ二十七年度分に出さなかつたものを、二十八年度にどうこうするとかいうことまでに、考えは到底まあ及ばないと申しますか、至らんような状態であります。何と申しますか、たとえ僅かでもできる可能性があり、又できるようなものでありましたら、その考え方に則つてやりたいということを申上げますけれども、今のところは、そういうことを申上げても、実際問題として実行できるような状態ではないことも、はつきり私はしておると思いますので、差控えておきたいと思つております。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 なかなかあなたは堅いな、そういう点は。(笑声)余り窮屈に県の財政をまあ大臣がおられるので守り過ぎるのではないですか。大臣、どうですか、今の問題ですね、これは気分から言つても、奈良県の公務員としてはおもしろくないところは、私はわかるですよ。各県皆出しておるのに、財政も非常に苦上くて赤字で困つておる所でさえ出しておる。それが非常に堅い信念を持たれて県財政一本を守つて行くという立場から、これは私は地方行政官になつたこともないが、もう少しその辺に行政上融通というものがあるのでないかと思うのですがな。どうですか大臣、この知事さんはそういう点を非常に堅く考えられておるですが、今度の二十八年度の場合に何とか色をつけるというような方法はありませんかな。
  34. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは今度の場合に、奈良県知事財源に二十八年度は誠にゆとりがないからとても見通しはつかないとおつしやつておるからといつて、それでは国からそこまで面倒を見てやつて昨年の分の尻を何とかざれたらというふうには国の策としてはなかなか行きかねる次第でございます。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 自治庁の方に伺いたいのですけれども、先ほど若木委員からの質問にもありましたように、国会でいろいろ決議がなされましたし、それに対する政府答弁もありまして、それらの責任から起債の五十億分が増加されたと解釈してよろしいのですね。
  36. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) さようであります。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 その内容としては給与費並びに投資的補助事業の規模に応ずるということでございますが、この給与費ということは、あの当時のベースアップ分も含んでおるのでございますか。今あなた方の御説明によりますると〇・二五分のみのように聞こえておつたのですけれども、その通りに解釈してよろしゆうございますか。
  38. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 昨年度末の五十億の起債は、先ほど来申上げますような、年末給与改善ということから起つて来たわけでございますが、財源措置起債でございますから、端的に平衡交付金の増額と違いまして、やはり起債でありまする以上は、何らかの事業に対する起債でございまして、それが直ちに給与に右から左に廻るというものではないわけであります。そこでやはり奈良県の知事さんとしては必ずしもそういうふうに考えられず、又非常にやりくりすることがむずかしいという問題が起つて来るわけでございまして、これはまあ財源措置として最も適切な方法とは言いかねたと思うのでありますけれども、まあ政府としてはやむを得ない第二次的な改善の措置として五十億の起債の増加ということを考えた次第であります。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 そういたしますと、給与費並びに投資的補助事業ということになりまするが実際においては給与費起債をすることができないということになりますると、各都道府県状況によつては、給与費というものは国会の議決並びに政府答弁内容を盛込むということの目的が達し得られないようなことになるのじやないですか。
  40. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この年末給与の改善につきましては、いろいろいきさつがございまして、その結果といたしまして、公募債というよなことも初めありましたのですが、とにかく五十億のうち、三十億の政府資金を含めまして、残り二十億を公募債にして配分をいたしたわけであります。これがその場の給与のための起債ということは、これは財政法上できませんので、又それほど端的に給与費をそのまま配分するということは、これはまあ一般の地方財政全体としてもそういう建前のことはないわけであります。要するに一般会計に対する財政窮迫の緩和の考え方から、五十億の起債を注ぎ込んで、それによつて窮屈な府県市町村の財政を若干でも緩和いたし、それによつて何らか給与改善措置がやれないだろうか、こういうことがその狙いであるわけであります。
  41. 加瀬完

    加瀬完君  だんだんおかしくなつて来たように私には解釈されるのでありますがね。というのは、国会決議されまして、政府答弁をした限りにおいては、国家公務員と同様に地方公務員も〇・二五の処置考えてやらなくちやならない、それについての財政措置を講ずるんだという建前で出発したはずであります。ところが、実際都道府県は相当な事業費による起債の未承認その他の赤字で苦しんでおりますし、その要求も相当あつたわけなんです。そこで今次長さんのお話のように、給与費という枠をはつきりつけないで、或いはこれだけの起債をやるから、給与費のこれだけのものを府県で先ず生み出せというふうな条件をつけないで、ただ起債の枠を拡げるということは、給与費のほうにはそのまま行かないという結論になるわけであります。そうすると、この五十億の起債というものを枠を拡げたところで、それが〇・二五の各都道府県における処置ということにはすぐさまはならない。それは全部その起債というのは、奈良県の知事の御説明のように、そちらのほうに流れて行くのは、これは府県状況から自然だということになりますと、国会における大臣答弁というものの責任はこの起債の五十億の増加分ということでは果しておらないということになりまするけれども、その点どうなんでしよう。
  42. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その点はこのように御了解頂いたらいいのではないかと思うのであります。御承知のように、あのときの国の措置は、〇・二五は予算も殖やさない、ただ超金の繰上支給という形でやるということでスタートしまして、現実においては限られた当初予算の枠の中から他から流用してそれを出して来た、こういう形になつておる。従つて国がそういうやり方をした以上、地方もそれに倣うという考え方で行くわけでありますから、その考え方で行く以上は、国から地方財源措置をしてやる必要というものは一応出て来ないわけなんです。ところが、国の場合には大きな世帯の中でやり繰りをして、ほかから流用できるのですから、それはできた。さて今度は同じ問題を地方財源措置をしないでできるかといつたら、それはできないということになると、地方の困難な財源というものを幾らか緩めてやる必要がある。そこで緩めて知る措置として五十億というものがでてきて来た。こういうように御了解下さると、話の筋がずうつと通つて来るのじやないかと考えます。ですからして、五十億というものは勿論実質は給与なんでありますが、それは苦しい地方財政の状態を五十億だけ緩めて差上げる、その中から国と同じように給与の分を何とか出せるものは出してやつて頂きたいという考え方にスタートしておるわけであります。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど若木委員質問に対しまして政府側答弁速記録をいろいろ読み上げてその当時の大臣の言葉からいたしまして若木委員質問をいたしましたに対して、その通りである、そこで国家公務員に準じて期末平當の増加分を支給するために、地方財政考えてやる意味で五十億の起債の枠を拡げてやつたんだという御答弁が、はつきり政府側からあつたわけであります。そういたしますと、その五十億というものは飽くまでも〇・二五分紐付、紐付という言葉は語弊がありますけれども、若干紐付の性格をもつて五十億の枠というのは地方に響いて行かなければ、政府答弁意味をなさないわけであります。そういうことであるならば、奈良県の場合のような処置というものも、自治庁としてはこれは十二分に考えなければならないという問題も起つて来ると思うのです。今の御説明ですと、ただ政府は超金の繰上支給という形でやつたんだ、併しながら地方はその通り予算の中でやればいいのだけれども予算が苦しくてそうも行くまいから、地方財政を五十億分緩めてやる措置考えたんだということでありますが、一体そうすると、五十億分緩めたということは、五十億分緩めたから、その緩めた範囲内において〇・二五支給できるなら支給しろということなのか、〇・二五を支給するために、これを緩めたのだということなのか、どちらなんですか。
  44. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その点は、地方財政というものの考え方が自主的に運営をして頂きたいということになつておるのでありますからして、どういうようになさるかは、これは府県の場合には知事がお考えになる考え方従つて行かれる以外に方法はないのであります。ただ国といたしましては、国がやつて地方が同じように大体やられるのは当り前だし、又やつてもらいたいと考えるときに、財源措置がついていないで、そのためにできないということでは困るからして、国は財源措置の面まではして差上ける、そうして又財源措置をいたしましたから、おそらく皆困難はざれたであろうけれども、大部分の所はその通りに支給をして頂いた、ところがまあ奈良県その他一、二の府県において、その通りに行かなかつた、こういうことになつておるのですから、その辺のところは、もうこれは地方財政地方の自治団体理事者の独自の裁量に委してあるのだという今日の建前上、国としてはどうにも措置のしようがない点なんであります。それで先ほどからいろいろと奈良県の事情をお伺いしておりましたが、知事のものの考え方を抜きにして、客観的にものを見ておれば、赤字を出したくない、これは理事者としては当然の考え方であり、私も又理事者として立派な考え方であると思いますが、併し赤字を出しながら仕事をして赤字の決算をしておる所もたくさんあるのでありますから、客観的に見ておれば、全然これは給与を出せないという状態であつたとは私は思えない。併し赤字を出すということが、他の考え方からして適当でないというお考えでお出しにならなかつたということになると思う。ですから国の考え方はどこまでも筋はずつと通して、それに応じてやれるだけのことはやつておる、併しそれに対して理事者がそういう国の考え方それからそれに伴う措置というものを頭におきながらも、なお自分の許される範囲の独自の裁量に従つて措置された結果がこのようになつたのだ、こういうように申上げざるを得ないわけであります。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 それは何と申しましようか、筋途だけから考えれば、理論的にはそういうことになると思います。併しこの五十億の起債というものの成立した経過考えまするときに、国会で問題になりましたので、国家公務員並に地方公務員も待遇してやらなければならないというので、〇・二五の問題から五十億の起債という措置がとられたわけであります。そうしますと、国会で問題になつたこと或いは政府自体がその当時考えたことは、あくまでもこれは年末手当給与費としての操作の上から便宜に供しようという五十億でなければならないはずなんです。その政府考え通りの使い方を地方団体がしておらないときにまで、自由裁量だから自主的運営として当然であろうということになつて参りましたならば、一体国会決議で出された予算なり或いは政府意図というものが、自由に地方で変更されていいということになりましたならば、今後の地方行政というものの上にどういうことになるものでございましようか。
  46. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) それは今の自治団体というものを国がどういう工合に扱つておるか、従つてどういう考え方で扱つておるかということ、従つてその考え方に基いて、自治関係についてはそれぞれの面においてどういう工合に法的措置が規制がされているかということが、おのずから問題を解決するのでありまして今のものの考え方としては、財政措置の面を当該首長が自由になさる、それに対して国がするべき面は法律の規定しておる通り平衡交付金で見るべきものは平衡交付金で見る。平衡交付金で見ましても、平衡交付金で例えば教員給というものを算出して出しましても、それが現実の支給がその通りに行つておらないでも、そこまでは国と地方との関係では、指図をしてその通りにさせるという関係にまではなつていないことは御承知通りだと思います。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 私の言うのはそういうことじやないんです。その結果が結局政府なり国として甲乙なく或る程度地方公務員の待遇の裏付けというものをしてやつても、その都道府県独自の考え赤字財政なら赤字財政という名の下に、地方公務員に待遇上非常に甲乙ができるということでありますると、その地方公務員の待遇の云々ということは能率の云々ということにもなるわけでありますし、地方行政の運営上地方自治庁としては当然考えなければならない問題が生じて来るんじやないか。で、一応国で或る裏付けを考えて考慮するということも、この都道府県独自の考えで勝手に変更されるということであるならば、国会決議というものも何にも意味をなさないことになりまして、これによつて地方行政も非常に混乱するという、大げさに言えば、結論も予想されることになりますし、そういう問題に対して自治庁としては何ら考慮ざれなくてよろしいのかということでご参ざいます。
  48. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはまあほんの政治的にものを考えておりまする場合に、それから法的にいろいろ考えます場合と、幾らか違うと思うのであります。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 法的にはわかります。
  50. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私どもも政治的にものを考えます場合には、そういう意味合において予算措置をいたしました場合には、そのように行われるであろうということを期待はして行つているわけです。併しその期待に基いてやられるかどうかということは、御承知のように給与の問題は、自治団体の場合には自主的に条例をお作りになつておやりになる、勿論自主的に条例をお作りになると言いましても、その条例の作り方は地方公務員法でおのずからな規制はされておりますが、併しそういう規制の下に地方が自主的にやるようになつておりますから、その通りに行われないという場合には、これは期待はするという以上には、どうにも措置をするわけには行かない、こういうように考えております。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 知事さんにお伺いをいたしたいのでありますが、奥田さんは、あれでございましようか。奈良県として、給与の前に、いろいろ当然量に奉仕をしなければならない仕事が残つておつたので、この場合は給与に廻わす余裕がないので、こちらのほうに廻わしたのであつて、もつと財政的に余裕があるならば、当然他府県並に奈良県としても当然考えるというお考えでございましようか。それとも赤字財政の立場からは、現在他府県並の給与奈良県においては考えられないというお考えなんでございましようか。
  52. 奧田良三

    参考人奧田良三君) その点は先ほど当初申上げましたように、私は努めて関係職員の待遇を改善向上したいという根本的な考えを持つております、従いまして私も政府並といいますか、他府県並には是非やりたいという考えを持つておりますので、ただ昨年末の処置は先ほど縷々申上げましたような事情のためにこれはできなかつた次第であります。
  53. 加瀬完

    加瀬完君 自治庁知事と両方に又お伺いしたいのでありますが、そうすると、この五十億の枠の中で配分された奈良県の分というものは、給与には廻わらないようなものなんですか、知事さんに伺います。  それから自治庁としては、そういう奈良県の貧弱財政という特殊事情考えて、而も他府県並の〇・二五というものも、この程度なら考慮できるという配慮の下に、奈良県分を配当したのでございましようか。
  54. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私のほうの配分は、そのような特殊の措置をしているというわけではなくて、給与に当然行くだろうから、金額の決定は先ほども申上げましたように、給与費も算出基準の一つに入れて計算をしただけで、それ以上は特に奈良県の特殊の財政事情というものを考慮いたして、これだけやれば必ず〇・二五が出るというようなところまでは考えて配分をしておらないわけであります。
  55. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 私のほうの立場としては、先ほどこれは申上げましたように、二割五分の給与費が約三千万円でございました。それから今回いわゆるつなぎ融資として融通受けましたものが、四千五百万円ございました。ただそれをそのままにしておきますならば、奈良県としては二億近くの赤字が出る虞れがあつたような次第であります。そこで先ほど申上げましたように、何とかして少くとも帳尻だけでも赤字を出さんようにいたしたいというので、いろいろ苦心いたしまして、各費目を節約をいたしました。そうして現在計上している予算執行までも、極度に執行停止をし、繰延し、中止しているようなときでありますので、二割五分の分は残念ながら出せなかつたような次第であります。
  56. 加瀬完

    加瀬完君 最後に自治庁に一つ。結局ですね、この奈良県の例というものを許容するということになりますると、奈良県同様若しくは以上に、地方都道府県というものは赤字財政に苦しんでいるようなわけでありますが、それを理由に公務員給与に対して圧迫が加わるということは、これは明らかだと思う。そうなりますと、地方公務員の資質の低下ということは、これ又明らかなことである。そういう点から考えますときに、自治庁としては地方財政赤字というものを根本的に何か考えてやる方法というものを講じなければ、この問題の解決がつかないということにもなるわけであります。こういう点と、先に申しました現在の奈良県のような事情がたくさん出て参るということになりますれば、非常に地方公務員は身分上不安定だし、又資質の低下も来たすということにもなるわけでありますから、そのほうと睨合せた場合の地方財政に対する自治庁考え方というものを、結論的にお聞かせ願いたい。
  57. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私も先ほどから奈良県知事のいろいろな御答弁を伺つており、殊に今の平衡交付金の配付のやり方が奈良県のような面積の小さい府県に非常に不利になつているということも、或いはあるかと思うのであります。従つて奈良県のような、つまり特殊の県が、特殊な財政事情によつて困難だということと、それからして地方財政が全般で財政事情が困難だということは、すべて私は承認していい状態じやないかと思うのであります。そうしてそういう状態になつておりますために、地方財政というものを不健全にお考えになる首長がおありになるという、こういう問題が起きることも、あながち私どもとしては当該首長だけを責めてはならないという考え方も確かに持つている。従つて地方財政の窮乏をどう打開して行くかという問題は、真剣にこれは根本的に解決をいたしたい、こういうふうに思つております。
  58. 加瀬完

    加瀬完君 まあ現在の地方財政が非常に困つているということはよくわかるわけです。又今の自治庁長官お話も、奈良県知事お話も、一々御尤なんでありますけれども、併しそういう問題は又もう一つ大きな立場で別な機会において、我々としても真剣にこれは取決めなければならん問題だと思うのです。ただ今問題になつておる五十億という問題は、やはり当時国会における情勢、又自治庁が五十億を出された事情というものを考えれば、仮に自治庁のぼうで、これを給与費に必ず使わなければいかんというような指令が出せる出せない、或いはそういうことで府県を縛る縛らないということにかかわらず、これは出すほうも又受取るほうも、実質的にはこの主たる目的が給与費の引当てだということは、これは当時の社会通念と申しますか、これは当然だと思うのです。だからやはりお話があつたように実質的に一種の紐付的なものであつたということには間違いないと思うのですが、そういうものを府県のほうへ渡した場合に、府県のほうがやはり地方自治だからということで、あくまで自治を主張して、全然それも二・五を全部引当てないで、〇・二五のうち〇・一五とか、或いは〇・二とかという程度出して、あとはよそへ使つたという程度ならば、まだ話がわかるのですけれども、全然それをもう一%も使わずに、全然よそのほうへ使つてしまつて、そうして地方財政のやり繰りは地方の自主性においてやるのだから、自治庁意思に反したところで、自治庁の期待に副わないところで仕方がないじやないかということで、出したほうも出しつぱなし、それからもらうほうももらい得だということで済んでしまつたのでは、やはり我々は地方自治の自主性を主張するという点においては人後に落ちないわけですけれども、どうもそれでは、我々も国会において折角一生懸命論議をしてその結果、政府のほうで少い財布の中からはたき出されたものを、全然我々の趣旨と食い違つた別のほうへ使われて、そのままになつてしまうということでは、いささかどうも納得ができない、そういう点は自治庁のほうの何らか地方自治を余り束縛するというやりかたでなしに、もう少し妥当な指導方法があるのではないか。又受取る自治の側でも、そういう点はもう少し地方の自主性ということだけでなしに、又財政赤字ということだけでなしに、やはりおのずからそこらは、実質的にその目的なり内容というものを汲んで頂かないと困ると思いますのは、例えば今のような論法でやつておりますと、学校教員の給与の問題なんかでも、中央では実支給額の半額を負担するということになつておりますが、やはりこれなんかも、今の地方自治制において、どうしようと勝手だという考え方から行けば、中央は現員現給ということで、半額負担をしても、地方のほうは今度はもうそれはほかのほうへ金が要るのだということで、定員定額で、実支給額と定員定額との差額は頭を削つてしまつて、よそのほうへ使つてしまつて、そうして実際地方の教員は義務教育費半額国庫負担法の趣旨に反して、非常に低い給与で甘んじなければいかんというようなことも、そうい場合はなかなか許されないことでありましようけれども、理窟から言えば、あり得ることなんで、やはりこれは自治庁のほうで十分考えて頂かないといかんし、それから又県側にいたしましても、他の赤字の問題は赤字の問題として全然切離すというわけにはいかないにしても、問題として全面的に中央の趣旨にそのまま副うということは万一できないにしても、何ぼか副うだけの誠意はみせてもらわないと、やはり我々としても、今後いろいろなこういう問題を扱つて行く場合に、ただここだけの議論になつてしまつて、末端へ行つたらどうなるやらこうなるやら、何にもわからない、又それを我々として確かめる術がないというようなことになつてしまうのじやないかと思うので、その点は自治庁長官にも更にお願いしておきたいと同時に、奈良県知事のほうでも一つ今後の問題は十分に考えて頂きたい。  それからもう一つ序でにお尋ねしたいのは、去年の問題で、年度を越しているので、まあ出さなければ出さないなりに済んでしまつたのだから、こういうことになつているわけですが、併し奈良県と同じような経済状態、財政状態の県もないことはないので、やはり奈良県と同じくらいの、同じ条件の県は随分あると思うのです。そういう県が全部、大体政府の方針に副うて出しているのに、奈良県は全然一文も出しておられないということになつておるのですが、その場合にやはり県政の責任者の知事とされまして、別に出さなかつたから知事の借りになつているといいますか、債務になつているということもないけれども、少くとも精神的には或る一種の債務のような考えで、あの考え方ができると思うのですが、今後できるだけ早い機会になし崩しにして、それの補いをつけようというようなお考えがあるかどうか、又全然債務的な考え方も何もないで出さん得で、言葉は悪いですけれども、出さん得で、済んだことは済んだことだということでおやりになるのか。
  59. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 只今いろいろお述べになりましたので、これは先ほど大臣からもお答え頂いたようであります。四十六府県のうち二、三の県を除いてあと四十三県ぐらいが政府に準じてやつたということは、各府県とも財政困難の折柄、特に九〇%までやつたということは、やはりこれはいろいろな御指導の結果であろうと思うのであります。私どももその結果にかかわらず、私どもの県としては残念ながら出せなかつたというふうな実情でございます。そこで私どもとしては、先ほど申上げましたように、これは大臣もおいででございますから、是非そういうあらゆる節約をして、そうして赤字を出さないように四苦八苦している、或いは平気で赤字を出している、そうしていろいろの施設或いは待遇もしているという府県もあるという、各県の知事がいろいろの立場において、あらゆる努力していることを一つ御了承を頂きたい。又私の県としては只今御指摘のありましたような、よそ並みにやるやらんにかかわらず、御存知のような大阪に近い私どものほうの教員は待遇は少い、相当奈良のほうからすぐ大阪のほうへ出て行く、県内のちよつとした田舎に勤務するよりか、大阪へ出るほうが近いというようなところも多いのであります。そういう意味で、私どもは大阪、京都或いは兵庫県のような裕福と申しますか、大府県を近くに控えて、その面からも職員の待遇ということにつきましては、いろいろ苦心をいたしておるのであります。併し今回は、到底二割五分の分が出せませんので、出さなかつたような次第であります。尤も私が職員の待遇についていろいろ苦心をし且つ努力しているということは、ここに県のほうから教職員の組合の太田委員長がおられますから、太田委員長のおられる席上で、私が苦心をし且つ努力しているということを申上げて差支えないと思つております。それほどの苦心もし、且つ努力もいたしているつもりであります。
  60. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の借金と考えているかということ……。
  61. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 先ほど申上げましたように、本年度も私どもの懐ろは、二十七年度と同じような窮屈な状態でないかと思いますので、只今の分を、借金であるとかないとかということを、ちよつと考えるような余地はございません。
  62. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) どうも今度のこの今問題になつておりますものは、私は一つはやはり政府財源措置の仕方が結局完全でなかつたということにあると思う。これは平衡交付金で出せればよほど問題ははつきりと片附いたと思う。併し平衡交付金で出しましても、今の法の建前から行けば、出したものをその通りにお使いにならないでも、これはどうにもならないような形になつておるので、その関係から行けば、非常に欠陥でありますが、そういう工合になつておることは、地方実情もあるので、このようになつておると思う。先ほど御指摘になりました義務教育費の場合には、私はあの義務教育費が平衡交付金の中からあれだけ分けて、あれだけ国庫負担という形で行つてこのままで行つたときには、これは受け取つた地方団体がその目的に使う以外に、他に流用できないということになつておりますし、又それが目的で、本来から行けば、効率的な財源の使用という意味から行けば、平衡交付金一本で出して行くべきものを、義務教育費だけは、特に教育が重要だという建前で、私はあれだけ分けられたものである、こういうふうに了解しております。
  63. 若木勝藏

    若木勝藏君 私一つ伺つておきたいことは、これは自治庁からの指令でこういうような措置をしたということになつていますが、その場合に、県のほうでも呼んでこの措置をやつたものか、それから何か文書をつけてやつたものか、その点ちよつと財政部長さんにでもお伺いしたい。
  64. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) この二十七年度末の只今問題になつております起債の追加配分の問題につきましては、特にそのために会合を開いたということはございません。資料として提出いたしました措置要領を添付いたしまして、各地方団体に通達をいだしたものであります。
  65. 若木勝藏

    若木勝藏君 知事さんにちよつと伺いますが、あなたは出さないということを決定する場合に、一応自治庁のほうに来て了解を求めましたか。全然それなしに、もうおれのほうでは出せないと、こう独断でおきめになつたかこの点を伺いたい。
  66. 奧田良三

    参考人奧田良三君) 別に了解を求めには参りませんでした。
  67. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで、この問題は、一応私は知事さんの立場であつたら、こういうふうな意図で以て出したいということは明らかなんだから、それを廻わせなかつたら廻わせない事情を述べて、自治庁へ一応了解を求めるのは、これは県政に当つておるあなたの立場ではないかと思う。それから自治庁としては、一片の通牒にこれを添付してやるというのではなしに……。従来はこの財源措置についてやれない場合、自治庁に要求してもなかなか始末のつかないような問題です。今回はそうでなくて、自治庁のほうがぱあんと措置をとつている。それを奈良県において実行されないというのは非常に遺憾に思う。これは自治庁としても当然奈良のほうに、或いは各府県に対して、十分納得の上にこれを配分すべきではないか、こういうところに私は非常に欠点があると思う。今後の地方行政の円滑な運営上、今後においてはそういうことを十分一つ御了承の上考えてもらいたい。
  68. 堀末治

    ○堀末治君 この問題は、大分各委員から論議をされましたし、又聞いておりますると、奈良県知事考え方が堅過ぎるように私は拝承いたしました。特にわざわざ国会でも、大分苦しんで政府と折衝して、折角それだけの財源を工夫してやつたことですから、何とか処置をすべきだと私も思う。併し奈良県の実情を承わつてみれば、知事としてもいたし方なかつたであろうと思われます。併しそこで最後の問題、負債と考えるか、負債と考えないかという問題は、私も途中から聞いておつて、これは一種の債務的な考えを持つのが本当だと思う。だから私はどうか、委員を代表してはと言うと甚だ失礼ですけれども、余り堅くおつしやらずに、何とか都合をして、今直ぐとは申さないけれども、都合をしてどうしても処置をつけなければならないものだ、こういうお考えで進むことを強く希望いたしまして、この問題を打切つて頂きたいと思います。今の希望に対する御意見は求めません。
  69. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは、今日参考人といたしまして奈良県知事奧田良三君、遠路御出席を願いまして、只今又いろいろ県内のことにつきまして率直に御答弁頂きまして感謝に堪えません。地方公務員の問題、或いは教職員の問題につきましても、これら生活権の問題につきまして、相当知事の職責といたしましては、これは重要な問題であろうと存じます。今後におきましても、この給与の待遇に関しても十分と御考慮を頂きまするようにお願いをいたしておきます。自治庁関係のことにつきましても、県財政の窮乏に対しましては、十分調査をして今後見て頂きますようにお願い申上げます。  それではこれで休憩をいたします。    午後一時六分休憩    ——————————    午後二時三十分開会
  70. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。速記をとめて下さい。    午後二時三十一分速記中止    ——————————    午後四時六分速記開始
  71. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて下さい。  本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会