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加瀬完君 まあ現在の
地方財政が非常に困つているということはよくわかるわけです。又今の
自治庁長官の
お話も、
奈良県知事の
お話も、一々御尤なんでありますけれ
ども、併しそういう問題は又もう一つ大きな立場で別な機会において、我々としても真剣にこれは取決めなければならん問題だと思うのです。ただ今問題に
なつておる五十億という問題は、やはり当時
国会における情勢、又
自治庁が五十億を出された
事情というものを
考えれば、仮に
自治庁のぼうで、これを
給与費に必ず使わなければいかんというような指令が出せる出せない、或いはそういうことで
府県を縛る縛らないということにかかわらず、これは出すほうも又受取るほうも、実質的にはこの主たる目的が
給与費の引当てだということは、これは当時の社会通念と申しますか、これは当然だと思うのです。だからやはり
お話があつたように実質的に一種の紐付的なものであつたということには間違いないと思うのですが、そういうものを
府県のほうへ渡した場合に、
府県のほうがやはり
地方自治だからということで、あくまで自治を主張して、全然それも二・五を全部引当てないで、〇・二五のうち〇・一五とか、或いは〇・二とかという程度出して、あとはよそへ使つたという程度ならば、まだ話がわかるのですけれ
ども、全然それをもう一%も使わずに、全然よそのほうへ使つてしまつて、そうして
地方財政のやり繰りは
地方の自主性においてやるのだから、
自治庁の
意思に反したところで、
自治庁の期待に副わないところで仕方がないじやないかということで、出したほうも出しつぱなし、それからもらうほうももらい得だということで済んでしまつたのでは、やはり我々は
地方自治の自主性を主張するという点においては人後に落ちないわけですけれ
ども、どうもそれでは、我々も
国会において折角一生懸命論議をしてその結果、
政府のほうで少い財布の中からはたき出されたものを、全然我々の
趣旨と食い違つた別のほうへ使われて、そのままに
なつてしまうということでは、いささかどうも納得ができない、そういう点は
自治庁のほうの何らか
地方自治を余り束縛するというやりかたでなしに、もう少し妥当な
指導方法があるのではないか。又受取る自治の側でも、そういう点はもう少し
地方の自主性ということだけでなしに、又
財政の
赤字ということだけでなしに、やはりおのずからそこらは、実質的にその目的なり
内容というものを汲んで頂かないと困ると思いますのは、例えば今のような論法でやつておりますと、学校教員の
給与の問題なんかでも、中央では実支給額の半額を負担するということに
なつておりますが、やはりこれなんかも、今の
地方自治制において、どうしようと勝手だという
考え方から行けば、中央は現員現給ということで、半額負担をしても、
地方のほうは今度はもうそれはほかのほうへ金が要るのだということで、定員定額で、実支給額と定員定額との差額は頭を削つてしまつて、よそのほうへ使つてしまつて、そうして実際
地方の教員は義務教育費半額国庫負担法の
趣旨に反して、非常に低い
給与で甘んじなければいかんというようなことも、そうい場合はなかなか許されないことでありましようけれ
ども、理窟から言えば、あり得ることなんで、やはりこれは
自治庁のほうで十分
考えて頂かないといかんし、それから又県側にいたしましても、他の
赤字の問題は
赤字の問題として全然切離すというわけにはいかないにしても、問題として全面的に中央の
趣旨にそのまま副うということは万一できないにしても、何ぼか副うだけの誠意はみせてもらわないと、やはり我々としても、今後いろいろなこういう問題を扱つて行く場合に、ただここだけの議論に
なつてしまつて、末端へ行つたらどうなるやらこうなるやら、何にもわからない、又それを我々として確かめる術がないというようなことに
なつてしまうのじやないかと思うので、その点は
自治庁長官にも更にお願いしておきたいと同時に、
奈良県知事のほうでも一つ今後の問題は十分に
考えて頂きたい。
それからもう一つ序でにお尋ねしたいのは、去年の問題で、
年度を越しているので、まあ出さなければ出さないなりに済んでしまつたのだから、こういうことに
なつているわけですが、併し
奈良県と同じような経済状態、
財政状態の県もないことはないので、やはり
奈良県と同じくらいの、同じ条件の県は随分あると思うのです。そういう県が全部、大体
政府の方針に副うて出しているのに、
奈良県は全然一文も出しておられないということに
なつておるのですが、その場合にやはり県政の責任者の
知事とされまして、別に出さなかつたから
知事の借りに
なつているといいますか、債務に
なつているということもないけれ
ども、少くとも精神的には或る一種の債務のような
考えで、あの
考え方ができると思うのですが、今後できるだけ早い機会になし崩しにして、それの補いをつけようというようなお
考えがあるかどうか、又全然債務的な
考え方も何もないで出さん得で、言葉は悪いですけれ
ども、出さん得で、済んだことは済んだことだということでおやりになるのか。