○
委員長(
内村清次君) それでは
長官に
ちよつとお尋ねしますが、実は私もこの日産化学の、而も
鏡工場が
争議の一部門になりまして、そうして時期は五月の十五日或いは十三日、勿論当地は私の郷里でもありますが、田植の時期には勿論まだ少しは間隔はあるのですけれ
ども、併しまあ
肥料の問題と関連しております
争議ですからして、非常にまあ心配をいたしてお
つたわけです。円満に
一つ争議の
解決がなされて行くことを希望いたしてお
つたのであります。たまたま
現地のほうから写真を以て、これは私個人ではないのですけれ
ども、
報告があ
つた、そこでこれはまあ重大な問題である、勿論新聞には相当長期に亘
つて大きな関心を以てこの
争議の状況というものが逐次報道されてお
つて、恐らく当時のこれは
熊本日日新聞あたりも、これは地方紙でございますが、中心的な報道紙です。同時に又これには朝日、毎日とか西日本というような地方及び
中央との繋りのある地方版においでも相当報道されてお
つたからして、まあ県としては相当県民の関心が高い
争議の形態であ
つたと私は思う。而もこの
鏡工場はこれは
警察側からも申されましたように、或いは又は何と申しますか、販購連の側からも言われたように、鏡の地域は
熊本の城南地区にあ
つて、そうして田舎で、勿論八代とは接近しておりますが、
工場自体の組合も非常に穏健な組合である、当時県の総評にもかた
つておらなか
つた、そうしてこの直後に、
争議の
ちよつと前ご県の総評にかた
つたというような穏健だと言われた
工場の、而も長期化したところの
争議形態であ
つたということだけは、私たちはまあ情報で知
つてお
つたわけです。それがこうや
つて写真が来たんだが、実はこれは大変だということで、
国警長官のところに五月の二十二日ですか、参りまして、そのときに
国警長官のこの
事件に対する関与方と申しまするのが、私たちはこれは皆一様にその後どうも
報告が
余り的確にされていない、又
国警長官もまあ大体
解決したのだというような簡単な気持でおられはしないかというように、これは見に行
つたものは感じたわけです。ただ
長官が当時の写真を見られて、これは写真は大変だが、
一つ自分の手許にも一組くれんか、こういうような発言があ
つたようでした。そこで私たちが
考えましたのは、あの田舎と申されまするところの地域において、武装
警官が二百何本名も出たというようなことは、これはもう実際初めてです。それは
熊本市で五月一日だとかいうようなときに
警官の方々が出られる、或いは日共
関係のとき或いは又いろいろの選挙
関係のときに出られたことはありますけれ
ども、ああいう地域にこれだけの
警官が出られたことは前代未聞です。そうして
事件そのものというものが非常に何と申しまするか、町民の受くる感じというものは、これは決して私は
警察に有利には展開しておらないように私たちは風聞を……、それでこれは私は第三者的な公平な見地から聞きましてそういう空気です。だからして心配して理事の方々にも、
国警長官は
余り関心を持
つておられないようだ、だからして理事の方々にも相談して、こういうようなことが再三
現地において行われるということにな
つたならば、これはただ単に、
警察は勿論秩序を維持する
警察であるし、中立の
警察であるけれ
ども、残念にして又或る第三者的な動きに捲込まれるような状況であるというふうなことにな
つたならば、これは地方住民の信頼性をますます失墜することになりはせんだろうか、こういう点の心配がありまして、そうして理事や
委員の方々の御承認を得てこの問題が提起されたという事情です。
そこで私がお伺いしますことは、決して私は法律論を以て質問をしたいということは、これはもうすでに各
委員の方々がや
つておられますし、ただ現在の段階としまして、どうもまだ私は
国警長官その他政府側の方々も、やはりまだ卒直な御披露がどうもないような感じが私はしているわけです。それはやはりや
つたことは正当性があるんだ、
業務妨害を排除したんだ、こういうような一片のお
考えのようでありまして、この点は
一つ警察のほうにおきましても、今後よく
一つこの点は
考えて頂きたいと私は思うわけです。
それから第二の点は、当時の
警察官の方々が
負傷者に対するところの、その後
警察側の態度というものが、どうもまだ私は脇に落ちません。
警察法の第一条、第二条にも明確でありますように、どうしても基
本人権というものを、即ち人権、特に又
怪我をしたり死んだりした人の原因や、或いは又その状態に対する人身保護の面については、
警察官はこれはやはり大いに関心を持
つて行かなくちやならんのじやないか、勿論この問題には告訴がなされておりますから、その告訴が前提にな
つて、この
委員会でいろいろと発言されることはどうも差控えておられるような感じもします。同時に又私はすべて
警察官のほうを、やはりこれは
長官としては庇護されるような
立場にあるのですから、庇護されるような感じも私たちは受けておりますが、この
証人の齋藤君あたりの
証言を聞いてみても、
一つも
負傷者に対しての思いやりと申しますか、というようなことが、これは読み上げてもよろしうございますが、
一つもないのです。そうしてただ当時の第三者の新聞社だとか、その他の人、これはまあ誰だかわからない、その他の人たちが、あんな負傷があるべきものじやないとか何とかとい
つたことだけを、ここに陳情されてお
つて、少しも問題の点に対しての御感想がないばかりでなくして、その後の
負傷者に対するところの
警察側としての
措置が徹底しておらない。恐らくこれは当時におきましても診断書が出ております。診断書は、これは医師法によ
つて誤ま
つた策謀的な診断をしたならば、医師はこれは犯罪
行為が成立すると、法律上認めておるのです。そうい
つた医師は医師の
立場から診断書を
はつきり出しておる。その現実の事実を
考えたならば、何とかその事前においてこういう負傷が起るのは当然じやないかというような態度でなくして、何とかこの
事態を
警察は
警察の
立場からやはりお
調べになるというようなことが必要ではなか
つたろうかというようなことを
考えます。
それから第三の点は、これは極く最近ですが、而も又日にちを申してもよろしうございますが、二十二日に町村長会議がなされました。その後その町村長の方々がやはり或る政党の代議士の万々とお会いにな
つて、そのときの発言にいたしましても、とにかく
齋藤署長はどこかに栄転するだろう、こういうようなことを言
つておる。又これはもう私は第三者的な間接的な話ですから、言うた人はこれはもう
はつきりした人が言
つておりますが、どうもあれまで決意してや
つたということは、そういうことは事前約束のためにや
つたのである、こういう点が現実に噂されているというんです。私はこういうような人事の問題に対しましては、当
委員会といたしましては関与したくはない、関与したくはないのですけれ
どもが、そういうような噂があるのです。やはり出て行
つているところの根拠に対しましては、これは相当
長官としても慎重な
考え方をして頂かないといけないではないかという点が第三点。
それから第四点は、私がこの問題を
委員の方々の了承を得まして
委員会の議題になる過程におきまして、
委員長に対しまして強い圧力がかか
つて来ました。圧力がいろいろな点からかか
つて来た。同時に又私には相当な投書が来ております。そうしてこの間
小林国警隊長あたりがいわゆる
参考人として上京されて来る、その
小林隊長の動静に対しましてもいろいろと私たちには投書が来ておる。併し私は投書を見て信じたくはない、これは投書は
一つの投書でございます。併しながら又私に対しましても、これはいろいろな方面からも圧力がかか
つて来ました。どうも私はそういうような圧力に負けようとも思いはしません。やはりこれは公正な
委員の方々の
判断によ
つて、そうして
治安の状態が確立をして行く、同時に又これが一第三者的な
考え方によ
つて、大事な労働者の権利や、大事な農村の生活権というものが、これが歪められて行くというようなことに相成
つてはならない。この例示を申しますならば、やはり権力の強いほう、それから又群衆心理の強いほうに
警察が磨いて行くというようなことがあ
つてはならない、やはりこれは無抵抗であろうとも、力が弱くとも、権力がなくても、法の上において平等でありますから、法を守る観点において
警察は公正なこの人権を擁護をして、そうして秩序を守
つて頂きたい、こういう観点の上から、この点を明らかにするために、まあ今日まで来たわけですけれ
ども、こういうような
事態が相当、この間の事情にもあ
つたことを私は卒直に
長官に申上げまして、この四点に対しまする所感を一応お聞きしまして私は質問を打切りたいと思います。