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1953-07-25 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十五日(土曜日)    午前十一時三十分開会   —————————————   委員の異動 七月二十四日委員小林武治君辞任につ き、その補欠として石黒忠篤君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            西郷吉之助君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            秋山 長造君            若木 勝藏君            加瀬  完君   政府委員    自治政務次官  青木  正君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    自治庁税務部長 後藤  博君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○法務委員会に対する申入れの件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○地方財政法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  昨日法務地方行政連合委員会で、刑事訴訟法の一部を改正する法律案を審査いたしましたが、その結果当委員会といたしまして、同法案に対する取扱い方は如何することにいたしましようか。実は昨日連合委員会後に、地方行政委員方々にお寄りして頂きまして、大体の意見を取まとめたわけでございますが、先ず申入書を案としてここにできましたが、これを一つ専門員のほうから、先ず読上げさせることにいたします。
  3. 福永与一郎

    専門員福永与一郎君) 案文を朗読いたします。    申入書   人権の尊重と捜査の適正化を図るために、検察と警察は互いに独立の立場を認め合いながら而も相協力するとともに相牽制する建て前が大切である。この意味において、当委員会においては今次の刑事訴訟法の一部を改正する法律案中、第百九十三条及び第百九十九条に関する部分について少からざる疑問と危惧の念を抱いたのであるが、七月二十四日貴委員会との連合委員会における政府側特に、犬養法務大臣との質疑応答によつて大体政府の真意を了解することができた。ついては、この際、当日の犬養大臣答弁の趣旨を法文化して同法案に適当な修正を加えられるように貴委員会において配慮せられたい。   右当委員会全会一致以つて強く要望する。    昭和二十八年七月二十五日      参議院地方行政委員会        委員長内村清次   法務委員長    郡  砧一殿
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) 何か御意見がございますならば……。なければ法務委員会委員長のほうには委員長をかしてこの取扱いをいたしたいと思いますが、そうしてよろしうございますか。
  5. 秋山長造

    秋山長造君 これは結構なんですが、これを法務委員会べ出されて、そのあと扱いはどういうことになるのですか。法務委員会のほうで、又何かこちらへ返事を寄こすということになるのですか。
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) これは従来といたしましては、やはり主管の委員会が合同しました、例えば地方行政委員会決議を尊重いたしまして、これを法案の中にどう入れるかということを委員会自主性によつて決定をして行く、こういう段階になるだろうと存じます。正式な向うからこう取扱われたんだというような報告は、当委員会には大体来ないようでございます。その点は私たちのほうで適宜委員長と連絡をとりまして、委員会決議がどう尊重されたかということは、まあ私たちの責任において知るというようなことでございます。
  7. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、こちらの申入書には全会一致を以て強く要望するという非常に強い申入れをするわけなんですけれども衆議院のほうの状況はああいうことですし、法務委員会のほうで地方行政委員会のほうの希望希望として、この際適当にやつておこうじやないかということで握り潰されれば、もうそのままになるわけですか。
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) 大体そういうことですが、併しこれはもう昨日の合同審査の場合にも大臣答弁によりましても明らかにされましたが、その後衆議院修正を見ましても、一部は、例えば百九十九条の問題は解決しておるようですが、百九十三条がなお附帯決議というようなことになつておるようでございますからして、その点が今後法文化されるように強く一つこの決議によつて要望して行く、こういうことになります。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、百九十三条の問題については、今のところ参議院法務委員会のほうでは何ら結論らしいものは出てないということですか。
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) その通りです。参議院法務委員会は、又独自な見地で修正には努力しつつあるのでございます。
  11. 秋山長造

    秋山長造君 修正しようというやはり大体意向が強いのですか。
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) そういう空気があるようです。速記をやめて。    〔速記中止
  13. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  大体以上のようでございますからして、各委員方々の御意見を又附加えまして法務委員会のほうに委員長から申入れをやるということに取扱いたいと思います。
  14. 若木勝藏

    若木勝藏君 私この際に、一つ提案したいと思うのでございますが、それはこの年末における地方公務員に対する期末手当と言いますか、それが〇・二五出るというふうなことになつたわけであります。相当これは予算委員会でも、衆参の地方行政委員会でも問題になりまして、まあ結局出すことになつたわけでありますが、ところがそういうふうにきまつて、更に自治庁の方面でも、地方財源措置についていろいろ考えた、そういう経過になつておるにかかわらず、奈良県においては、地方公務員に支給されておらないという事実があるのであります。そこでこの事情をいろいろ平衡交付金の一部改正法律案も出ておりますから、その審議に絡みまして、そうして知事証人として来て頂いて、その事情を私は明らかにする必要があると思うのでございます。私はこの際、適当の時期に奈良県の知事に来て頂くように取計らつてもらいたいということを提案するわけであります。
  15. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今若木君から、奈良県知事期末手当に対する取扱いについて、政府が声明をいたし或いは又その後の取扱いと異なつ取扱いがなされておるということに対して、証人として喚問したい、こういうような御意見ですがどうですか。
  16. 秋山長造

    秋山長造君 その問題については、当時政府のほうでも四十億か五十億の平衡交付金も出ておるようなことを聞いておるので、まあそういう政府が特定の目的のために平衡交付金を出しておるにもかかわらず、それを県によつては勝手にほかのほうに使つてしまうというようなことが、若しそのまま放任されるというようなことになりますと、これは行政監察なんかの面から考えても、由々しい問題だと思うのです。又我々の扱つておる平衡交付金なんかの扱い方についても問題を残すので、極めて問題は簡単な問題ですから、そう時間もとらないと思うので、是非一つ今の若木さんの御提案のように、早い機会一つ奈良県知事を呼んで事情を明らかにしておいて頂いたほうがいいのではないかと思いますので、賛成いたします。
  17. 館哲二

    館哲二君 今のは去年と言いますか、二十七年度の分ですね。
  18. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうです。
  19. 内村清次

    委員長内村清次君) 丁度地方財政平衡交付金法の一部改正案法律案として出ておりますし、これとの関連もありますことですから、只今若木君の動議を取上げてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 内村清次

    委員長内村清次君) それ石はそのように決定をいたします。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 今申落したのですが、この問題は確かなことはわからないのですけれども、私なんかの聞いておる範囲では、奈良県だけでなしに、他にも和歌山県ともう一県ぐらい、何でも三県ぐらい同じケースがあるように聞いておりますが、何かどなたか教えてもらえませんか。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 今の若木さんの出した問題と外れるかも知れませんが、支給しないんじやなくて、支給しても、事実において平衡交付金や何かで面倒を見てくれておらない。このために非常に困つている府県は別の問題として相当あるんじやないかと思います。私はこれは平衡交付金の問題のときに質問しようと思つたのですが、今丁度その問題が出ましたので、併せて自治庁にその点はつきりしてもらいたいと思います。〇・二五の追加分は、地方財源についても賄うように話を聞いておつたのであるけれども、事実においてはその分としてはつきり賄われておらない。このために支出はしたけれども、その穴埋めに都道府県では非常に困つているのがある。
  23. 内村清次

    委員長内村清次君) この点はどうでしようか、差当つて奈良県知事を呼びましてその事情を聞いて、その間に又平衡交付金法の一部改正法案も出ておりますから、政府のほうにもそういう点を調べて頂きまして、そうしてこれは又一括してそのときに一緒に一つ報告して頂く、こういうようなことで審議をして行きたいと思います。そのように決定いたします。それから今日は前委員会で各委員希望もございまして、地方税法の一部改正法案、これを議題に供して、それと関連のありまする地方財政法の一部改正法律案、これの審議を続行する、こういうような議題のとり方をして参りたいと思いますが、それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそういうふうにいたします。
  25. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは先ず地方税法の一部改正法案議題に供しまして、政府から補足説明を求めます。
  26. 後藤博

    政府委員後藤博君) この前大臣から御説明がありました点を補足いたしまして簡単に御説明を申上げます。  現行地方税制度の根本的な検討につきましては、これは現在地方制度審議会でいろいろ検討中でありまするので、それを基礎にいたしたいと考えまして、今回は現在の地方税制運営の実情に鑑みまして、差当つて必要な最小限度改正案だけを提出したわけであります。  内容の第一点は、事業税及び特別所得税に関するものでありまして、その一つ個人事業税及び特別所得税基礎控除引上げであります。これは昨年から基礎控除制度を設けまして、その基礎控除の額は所得税の一昨年の額、三万八千円にいたしたのであります。これは前年の所得課税標準にいたしておりますので、所得税の前年の基礎控除額基礎控除額にいたしておつたのであります。で、本年になりまして本年の基礎接除額は、従つて従来の考え方から申しますると、昨年の所得税基礎控除に直さなければならないということになりまするので、三万八千円を五万円に引上げたい、かように考えておる次第でございます。大体これによりまして二十四億円くらいの減収になります。  第二は、青色申告法人につきまして損金算入を認め、繰越欠損金範囲を拡大いたした点であります。これは青色申告法人に対して特典的に法人税法におきましても損金繰越を認めておりまするので、事業税が一カ年延びましたために、一年やはり損金繰越を引延ばそうということであります。これは税額そのものには関係ございません。従つて三年に延期されるわけであります。  その三は、課税標準の算定から除外いたしておりますところの国民健康保険法等の各種の保険法に基く療養給付につきましての支払いを受ける金額範囲に関するものであります。これは昨年の国会における修正によりまして、国民健康保険及び健康保険法に基くところの療養給付につきまする所得課税標準から落すことに相成つたのであります。ところがその際に国民健康保険健康保険だけが入つておりまして、一般公務員、船員その他これに類似するような保険制度療養給付に類似するようなものが外れておりまして、その問いろいろ非常に不均衡がございまするので、その範囲を拡大いたしたい、この拡大をいたしますと同時に、家族療養費につきましても、やはり現行法には矛盾がございまするので、又現行法では家族療養費は認めることができないことになつておりまするので、家族療養費を含むことにいたしたのであります。税務行政運営上の疑義をこれによつてなくしたい、同時にこの制度の合理的な運営に資したい、かように考えて範囲を明確にし、拡張いたした次第であります。  それから、それが事業税及び特別所得税に関するものでありますが、改正の第二は、定額税税額調整に関するものであります。現行自動車税及び入湯税昭和二十三年乃至二十四年の物価基礎にして定められております。定額税は大体物価変動によつて、その定額そのものを変更しなければならないものでありまするが、その後物価が非常に高騰いたし、又いろいろな手数料も非常に上つておりまするのに、定額税として長く据置いておりますので、物価変動に即応し、又地方のいろいろな使用料手数料等引上げに即応いたしまして、若干の調整をいたしたいと考えまして、自動車税につきましては五割の引上げをいたし、又入湯税につきましては現在一律一人十円を二十円にいたしたいとかように考えまして、その改正をいたしたいと考えておる次第でございます。  第三の改正の点は、鉱区税に関するものであります。鉱区税につきましては、従来徴収が非常に困難であります。これも定額税でありまするが、試堀権に関するところの鉱区税が非常に徴収が困難でございます。これの引上げをいたしまするか、徴収強化方法を講じまするか、その点につきましているく検討いたしました結果、先ず徴収強化を図りたい。徴収強化方法といたしまして、現在の鉱業法の一部改正を我々はお願いいたしまして、通産省と協議いたしまして、大体通産省と話がまとまりましたので、この附則で以て鉱業法の一部改正をいたしたいと考えておるのであります。その内容は、滞納者に対しては、試掘権の期間の延長を認めない。それから試掘権から採掘権に移ります場合の転願を許可しない、こういうような条文を入れて行きたいと思つておる次第であります。それによりまして現在問題になつておりますところの滞納になつて非常に困つておりますところの滞納整理をいたしたいと考えておる次第であります。  第四の点は、市町村民税課税が法に関するものであります。御承知のように市町村民税課税方法というのは三つございまして、第一の方式所得税課税標準にするものであります。第二の方式所得税の元でありますところの課税所得金額課税する方法であります。第三の方法はいわゆる税引所得と申しておりますが、所得から所得税を引いた残りを課税標準とする三つ方式があります。その三つ方式どれを採用するかということは、各市町村の任意に任されておるのであります。ところが最近の傾向を見ますと、第一の方式、つまり所得税課税標準といたしますものが漸次減少して参りまして、第二の方式が漸次殖えて参つております。第一の方式は、二十七年度におきましては、全体の市町村の約一二%、所得税課税標準とするものが全体の一二%になつております。これは町村と市と見ますると、市は大体半分くらいはまだ第一方式をとつております。併し町村におきましては、第一方式は一〇%くらいしかございません。第二方式、つまり課税所得金額をとる乃至はその課税所得金額から基礎控除だけをしたもの、その方式をやつておるものが非常に多くございます。これが大体二十七年度は八四%になつております。市は大体半分くらいでありますが、町村はこの方式をとつておるものが八六%くらいになつております。それから第三方式はこれは大体四%ぐらい、三%ちよつと、そういうことになつておりまして、毎年この第一方式から第二方式に移つて参るのであります。従いまして第一方式には二〇%という制限税率が定められておりまするが、この制限税率意味をなさなくなつておるのであります。漸次第一方式制限税率に一杯になつて参りますると、第二方式移つて税収額を上げて参つております。従つて第一方式制限税率が無意味になつて第二方式が非常に増加しておる。市町村要求は、第一方式をやめてもらいたいというものが大多数であります。市になりますと、第一方式も置いておいてもらいたいというのが幾分かございます。併し大勢は第二方式中心にしてもらいたいという要求であります。併し第一方式というのは御承知通り所得税にのつかつておりますので、非常に徴収が簡単であります。それから税率が一目瞭然でありまして、非常に税務行政も簡単にできるわけであります。非常に長所があるのでありまして、第一方式は中都市乃至大都市には非常に向いたものがあるのでありまして、私どもは一概にこの第一方式を捨てるということはできないのじやないか、かように現在考えております。併し第一方式から第二方式に移つている現在の状況をそのまま認めておりますと、第一方式が非常に減つて参る可能性がありますので、第一方式でもつて第二方式と同じくらいの税収を上げるために、第一方式制限税率を第二方式制限税率に合せる必要がある、かように考えまして、さような意味改正をいたしたいと考えておるのであります。非常に条文がむずかしいそうでありまして、おわかりにくいかと思いますが、そういう意味制限税率の第二方式と合せるというふうな改正案をいたしたいと考えております。  それから改正の第五は、昭和二十五年度以前の法へ事業税に関する問題であります。昭和二十五年以前の法人事業税というのは、申告納税になりまする前の法人事業税でございまして各府県が附加しておりました附加課税法人事業税でございます。で、その法人事業税のうちで二つ以上の都道府県にまたがるものにつきまして、その当時調査が非常に不十分でございましたために、分割の錯誤が相当あるのであります。或る県で取り過ぎておる。例えば東京埼玉に分けなければならん場合に、埼玉にやるべき分を東京でたくさん取つておる、こういうふうな例がたくさんございます。それを一々納税義務者に返しまして、そして還付して、加算金をつけて返して、そうしてもう一遍加算金をつけて取上げるというような煩雑なことをいたさないで、府県同士で何とか相殺方法を講じられないものか、かように考えまして、納税義務者には迷惑をかけないで徴収する、地方団体間の相殺をいたしたい、かように考えまして、附則条文を入れまして、都道府県相互間における誤謬訂正による差額決済方法を規定いたしました。それによつて、簡便な方法によつてこの問題を解決したい、かように考えておるのであります。  その他細かい条文の、例えば法人税法及び所得税法の規定に合せまする改正でございますが、大体大きな問題は以上であります。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は地方税法の一部改正一般について質問する機会あとに留保いたしまして、今日は大分時間も過ぎておりますし、今審議しておるところの地方税法の一部改正関連を持つところの項目だけ質問してみたいと思います。それはこの地方税法改正法案のうちの十一頁にある今御説明のありました第三百十三条第一項を改める点でございます。この点につきまして私は少し伺いたいと思うのでありまするが、これは先日も実は財政部長さんにちよつと伺つた点でありますけれども、もつと私は具体的に伺いたい。この法文を見ますというと、うしろのほうに「当該所得割の額を当該課税所得金額の百分の十の額としなければならない」と、こういう場合に、こういうふうにしなければならないというのですね。そうすると、今のお話を聞いておりますと、この百分の十のほうに合せるようにしたい、第一方式を第二方式のほうに——こういう説明であつたかと思います。そうすると所得税額の百分の十八を標準にして行つた場合に、このあとの第二方式のほうよりも低くなつてつたのを、これを引上げて行くというように考えられるのですが、その点如何ですか。ちよつと私の聞いておるところがはつきりしませんか。では、初めから言いますが、これで見ますと、「所得税額課税標準として市町村民税を課する場合において」これは第一、方式のほうでしよう。「当該市町村税率によつて算定した所得割の額が、第二百九十二条第四号本文に規定する課税所得金額の百分の十をこえることとなるときは」これは第二方式でしよう。「当該所得割の額を当該課税所得金額の百分の十の額としなければならない」と、いうのだから、第二方式までこれを合せることになると思います。そうすると、越えたものはこれに引下げて行つて合せるということに、この法文では考えられる。それでは非常に低いものはどうするかということが、この法文にはつきりしない。その点をどうするかということです。
  28. 後藤博

    政府委員後藤博君) お答えいたします。  例えばこの第一方式は御承知通り比例税率でありまして、一八%とか一九%とか二〇%とるわけであります。で、或る一定所得段階に参しりますと、所得税累進しておりますので、ずつと累進について行かなければならんわけであります。ところが第二方式はそれを一〇%で抑えておるわけであります。従つて或る一定所得段階まで行きますと、その段階の人だけを一〇%に抑える、こういうことであります。もつと具体的に申しますと、例えば何百万円か、これは市によつて非常に違います。非常に高額の所得者がおる場合に、現在の税率では所得税超過累進の上のほうが五十五になつております。五十五に対して例えば二〇%の場合は、一〇%以上になるわけであります。一一%になるわけであります。それにすぐ二〇%をかけますると、一一%になるわけですね。その場合にそういう人が一〇%しかとれないということは、第二方式ではそうなつておるわけでございます。そういう意味をここで出しておるわけであります。第二方式というのは、この比例税率があり、単純累進税があり、超過累進税、いろいろなものがあるのであります。超過累進税あたりでは税率が一〇%でありますから、非常に早く詰まつて行くわけであります。単純累進ではなかなか詰まらない。比例税率というのは、これは殆んどありませんけれどもやり方によつては非常に早く詰まる方式が考えられるのでございます。その場合には或る一定段階所得の人に対しては、一〇%以上を越えてはいけない、こういうふうにしおるわけであります。それとこの第一方式を合せようと、そういう意味であります。従つて今の下のほうは比例税率でそのままであります。或る一定段階以上の所得者だけが下げられると、こういう意味でございます。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、先ず第一方式のほうは、これは一つ課税標準として、各市町村では取らなくてもいいことになりますね。こういうふうに改正すれば自由になるということになりませんか。市町村区民税課税標準というものはさまつておるでしよう。それが自由になつて来るということになりませんか。
  30. 後藤博

    政府委員後藤博君) 実は先ほど申上げましたように、第一方式をとろうが、第二方式をとろうが、第三方式をとろうが、自由なんであります。第二方式は又いろいろのやり方があるのであります。第一方式比例税率であります。それをどれをとるかということは、各市町村の自由なんであります。ですから私どもとしては、第一方式から第二方式に移る傾向が非常に強いものですから、できるだけ第一方式のほうに引戻そうという意味であります。この改正は……。第一方式のほうは比例税率で、例えば十九でありますとか、二十でありますとか、非常に明確であります。税率市町村民にはつきりわかります。ところが第二方式になりますと、超過累進とか何とかがありまして、一体今までよりどのくらい税額が殖えたかということは、個々に課税してもらわなければわからない。だからそういうことよりも、はつきりした第一方式をとることによつて市町村民によくわかる。それから税をかけるほうの場合にも、所得税というのははつきりしておりますから、それに対して比例税率で行きますから、はつきり簡単に出て来る、徴税のほうも簡単であります。第一方式の長所を成るたけ残して活かして行こう、こういう意味改正であります。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、この三百十三条をこういうふうに改正した場合と改正しない場合と、その税収の額はどちらが一体多くなつて来るということですか。
  32. 後藤博

    政府委員後藤博君) 税収にはこれは関係ございません。現在の税収のほうの、収入のほうの私ども見方は、これは今年からではございません。二、三年前から税の半分はオプシヨンする、つまり第一方式をとつておる、半分の税が第二方式をとつておるという計算方式で財政計画を立てております。ですからその収入を見ております。従つてこれを改正することによつて、特別にこの税が増収になるということは私ども考えておりません。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは各市町村においてそういうふうになりますか。
  34. 後藤博

    政府委員後藤博君) 具体的に申しますと、各市町村におきましては特別な財政需要がありまして、そうして第一方式から第二方式に移りたい、こういう場合には、それは自然増収にはなります。併し一概に全部増収になるとは言えないのであります。これは第二方式の中で課税所得金額をとつておる、例えば立川のような例がありますが、立川は第二方式の半分のものは総所得金額課税標準としてとつております。課税所得金額をそのまま使いますと、これは所得税を使つたのと同じ効果があるわけであります。ただ違いますところは或る一定所得段階、たしか五、六十万円だと思いますが、そこら辺へ行きますと、そこらから上の人は一〇%で頭を切られるわけであります。少くなるわけであります。第一方式をやりますと、そうはならないわけであります。もつと先のほうで頭をちよん切られますから、五十万円頃から百万円くらいのところは依然として比例税率がかかつて行くのであります。もつとあとになつて何百万円の段階になつて頭を抑えられる、従つて増収にはなります。そういう意味で非常に合理的じやないかと私ども考えておるのであります。
  35. 若木勝藏

    若木勝藏君 この間、財政部長さんもそこにおいでになるが、個々の人についてはとにかく減るへもあるけれども、その村なら村、或いは市なら市、町なら町においては、この改正によつて百分の十のほうに進んで行くというと、これは高くなつて来る、増徴になるというふうな御答弁があつたように存じますが、それとは違うのですか。
  36. 後藤博

    政府委員後藤博君) お答えいたします。今でも増収を図ろうとすれば第二方式をとれば増収を図れるのであります、現在ですね。ですから第一方式をこういう改正をしなくても、増収を図ろうと思えば第二方式をとれば増収は図れるのであります。ですからどちらが増収になるかということは、ちよつと比較にならんのではないかと私は思うのですが、第一方式を今の現行法に置いておきましても、市町村が財政需要があつて増収を図ろうと思えば、第二方式をとれば、而も但書の適用の方式をとれば増収になるのであります。そういうその第二方式のような非常にむずかしい、細かく調査しなければならないようなことをやめて、第一方式で同じくらいの税収を上げるような方式をとれる道を開こうというのがこの改正であります。
  37. 若木勝藏

    若木勝藏君 とり得るような道を開くのでなしに、全部第一方式にしてしまうというふうなお考えはございませんか。
  38. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは私はできないと思うのであります。というのは、所得税が非常に税率が下つて参ります。そうすると、市町村所得税納税義務者が非常に減つて参ります。一割以下の市町村が、全体の戸数の一割以下の納税義務者しかない市町村が、だんだん殖えて参る、そういうところでは第一方式はとれないのであります。従つてまあ大まかに申しまして、町村では第一方式がだんだん困難になつております。第一方式がやはりいいのは都市です。都市でも小都市ではやはり負担の均衡上から申しまして、又市町村民税の本質から申しまして、できるだけ広い人に負担してもらおうということになりますと、第二方式とつたほうがいいということになります。併し中都市以上になりますと、所得税納税義務者が非常に多くなりますので、第一方式を残してもいい、こういうことになります。従つてまあお話のようなことは私どもはないと考えております。
  39. 堀末治

    ○堀末治君 ちよつとお尋ねしますが、やはり第二方式がだんだんこうして多くなつて行つたというのは、収入が多くなつて行つたという結果になるのですね。
  40. 後藤博

    政府委員後藤博君) そればかりではありません。第二方式が非常に多くなつて参りましたということは、一つ所得税が逓減されまして、所得税納税義務者がなくなつて来たということです。農村に。所得税納税義務者が小さい町村に行きますと、十人もいないところができて来るのであります。そうすると、第一方式をとると十人ぐらいが市町村民税所得割を納める、こういうことになりますが、それでは市町村民税の性格に合わなくなつて来るというので、第二方式をとるということに、こういうことになつております。
  41. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、今のあなたの説明によりますと、高額所得者のほうが、これがまあこういう部門を抑えて来る、そういうことになつたら、当然これは一般の方面に、しわ寄せが中流以下の方面に行くということになりませんか。
  42. 後藤博

    政府委員後藤博君) 理窟から申しますと、そういうことになります。併し私は市町村民税というのは、市町村の中の負担の均衡というのが一番問題でありますし、市町村議会でもやはりその問題が大きな問題になります。従いまして頭をちよん切る、つまり一〇%で切られる人が多くなるような税率を私は作り得ないはずはないのじやないかというふうに考えております。又中都市では相当上げなければ実際そういうちよん切られる人はないのじやないか、かように考えております。大都市に参りますと、一〇%で頭をちよん切られる人が多少はいると思いますが、中都市におきましては、何百万円という所得者というのはありましても、極く稀であるし、その人たちとの均衡の問題は市町村ではつきりわかつておりますから、そこら辺で適当にまあ税率を下げるとか何とかしまして、比例税率の妙味を活かして行くということを考えてくれるといいと思います。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 今の点私もちよつとよく呑み込めないが、やはり今若木さんのおつしやつたように、大体第一方式を使うというのは、大都市が多いのであります。ですから大都市には高額所得者が多いわけなんですけれども、その高額所得者がこの条文改正によつて相当有利になるわけですね、高額所得者には。そうなるとやはり中から以下の所得者のほうえ不利になつて来ることになるのじやないかと思うのですが、理窟だけでなしに、実際問題として。
  44. 後藤博

    政府委員後藤博君) 理窟の上ではそういうことになるのですが、大都市におきましては、その一%、今一八%でやつておりますが一八%を一九%にすること自体、今できるかどうか問題があります。それから大都市は第一方式をそういう税率引上げることよりも、むしろ現在は第二方式をやりたい、こういう希望があります。第二方式をやりますともつと早く頭打ちするのであります。第一方式の一〇%よりも、もつと早く頭打ちすることが、超過累進なんかやりますと早く頭打ちするということになりまして、却つて私は第二方式を使うほうが不合理になる、こういうふうに考えております。ですから、第二方式に移らして行つたほうがいいか、第二方式改正いたしまして、多少頭打ちの問題がありますが、やつたほうがいいか、これは比較の問題でありまして、第一方式の現在の方式と第二のこの改正法案の比較よりも、この第二方式とごの改正案との比較のほうが私は重要じやないか、かように考えております。
  45. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、こういうことが起りませんか。高額所得者に対して百分の十で以て抑える。これを越えないように抑えて来る。そのために中以下のものの所得、十八割、十九割とかいうふうに実際において理事者が上げて来るということがあり得るのじやないですか。例えば所得税額の十八割なら十八割と、こうやるでしよう。それでもとにかく高額所得者がこつちの第二方式の需要を越える、それから十九割にしても越える。それは十九割にしても越えないように片方で抑えてしまう。そうすると一般のほうにしわ寄せするために、十八割を十九割に高めて行くということが理事者において行われないか。
  46. 後藤博

    政府委員後藤博君) よく私にはわかりませんけれども
  47. 若木勝藏

    若木勝藏君 わかりませんか。例えばここに、もう一遍言いますが、所得税額の百分の十八としておつても、その都市なら都市において、この高額所得者は第二方式のほうで抑えなければならない。多くなるために、越えるために、そういうことはあり得るでしよう。越えてはならないというのだから……。
  48. 後藤博

    政府委員後藤博君) この改正ですか、はあ。
  49. 若木勝藏

    若木勝藏君 この改正の場合そうなるでしよう。それならば十九割に引上げても、やはり高額所得者は百分の十を越えないように抑えるけれども、ほかのほうは十八割が十九割に中産階級が引上げられても、これは頭を越えることがないでしよう。そういうことをやつて行くことがあり得ると……、
  50. 後藤博

    政府委員後藤博君) そういうことはあり得ると思いますが、併し最初申上げましたように、第二方式にみんな移りたいのであります。大都市も第二方式に移りますると、その頭打ちするのが早く頭打ちいたします。これは超過累進税を取らざるを得ませんから、超過累進税になりますと、税率は一〇%を越えてはいけないというので早く頭打ちになります。それから第二方式になりますと、所得税のかかつていない人まで対象にできるわけで、ところが第一方式所得税のかかつていないへは対象にならないわけです。その代り頭の上のほうは頭打ちする、こういうことになるわけであります。ですから第二方式とこういうふうな改正案とをどつちがいいかという比較をして頂かんと比較にならんのであります。どれに行こうが自由なのでありますから、第一方式を我々強制することはできないのであります。従つて、第一方式と現在の新らしい改正案との比較よりも、第二方式とこの改正案との比較をして頂いて、第二方式よりも第一方式をかように改正することによつたほうが、より下のほうの負担は、下層所得者に有利であると、こういうことを私も考えておるわけであります。
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 ちよつと今のところ、どうしたほうが下層のほうが有利なんですか。
  52. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは第一方式を残しておきまして、これを利用するほうが少額所得者には有利なのであります。これは所得税がかからない人は第一方式では市町村民税はかからないのであります。第二方式に参りますと、多くの市町村でやつている第二方式の但書と申しますか、それでやりますと、所得税のかからない人までかかつておるのであります。先ほどもお話がありましたが、所得税が、農村のほうにおきましては所得税を納める八が非常に少くなつております。少くなつておりますと、そういう人にかけるには第二方式の但書でやつて、そういう人も納めて頂く。これによつて所得税かかつていない人まで抑えなければならない。ところが第一方式では所得税を取つているへしか取れないわけであります。そうすると第一方式は下層の所得者からは取れないのであります。第二方式は下層の所得者からも取つて行く。非常に幅広く取つていますから、その場合上をちよん切ります。勿論どちらも長短それ、それございますが。
  53. 若木勝藏

    若木勝藏君 あなたはどつちがいいと思いますか。
  54. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私はこういう改正をすることによつて、中都市以上は第一方式をとるべきであると、かように思つております。
  55. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点何だかわかつたようなわからないような又妙なものがあるのだけれども、まあ今の税収にも関係がありますので、財政法のこれにも関係がありますので、ちよつと平衡交付金のことで伺いたいのですが差支えありませんか。
  56. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは議題を変えましよう、それでいいでしよう、続くことにいたしまして。そうして後藤税務部長、二の次の徴収法の資料として、第一、第二方式それを一つすつかりわかるように出して下さい。
  57. 後藤博

    政府委員後藤博君) 具体的な、衆議院のほうで要求されて出したのがあります。それは具体的な都市のやつを、第一方式改正することによつてどれだけ有利になるかというのを作つております。
  58. 若木勝藏

    若木勝藏君 もう少し私はこれについて研究してみたいと思う。
  59. 内村清次

    委員長内村清次君) それを出して頂きます。   —————————————
  60. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは地方財政法の一部を改正する法律案議題といたします。
  61. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは今の私の質問した点は、これはその町村税収を基本にした財政に相当関係して来るのでありまして、これと相関連するので私質問したいと思う。  それは先般衆議院のほうにおいて改進党からああいう修正案が出まして、そうしてあの予算が衆議院を通過して、衆議院の送付案としてこつちへかかつて審議中である。これについては修正予算、修正の部分についても政府としては説明もするし、又これに対する執行の責任を負うということがこちらのほうのあの委員会ではつきりしたように私は考えています。そういう点から伺いたいのでございますが、そこでこの速記録を見ますと、改進党の修正した部分に、いろいろありますけれども、特に私は平衡交付金のところでちよつと政府に伺いたいのでございますが、それはあの予算委員会において先ず三浦一雄委員説明に当つています。そこで地方財政平衡交付金を増額しようとすることに対して五十億を認めた、この五十億は三浦さんの説明では、この中に公立高等学校教員給与是正のための経費約三億六千万円が抱括されておる、こういう説明があるのであります。それからそれの補足説明として出されたところのこの河本委員説明によりますと、この五十億の増額についてこういうふうな説明があるのでございます。それは「以上のような文教対策と並行いたしまして、金額は僅かでありまするが、教員給与準則改訂に要する経費を若干計上いたしております。これは現行教員給与体制の欠陥を是正いたしまして、大学教員、高等学校教員、小中学校教員の三本建とし、その実施期日を二十九年一月以降とするために要する経費であります。なおこれに伴い、公立の高等学校に要する経費は、別途計上しておる平衡交付金の増五十億の中に含まれ、計上しておるのであります」こういうふうに答弁があるのであります。それから、最後のほうにこういうことが更に附加えられておる。「この際早急に、地方制度並びに地方財政制度を解決しなければならぬことは当然でございます。しかしながら、何分にも地方の財政窮乏ははなはだしいものがありますので、とりあえず五十億円の平衡交付金を計上いたしまして、給与の改訂に伴う不足額百四十二億の一部に充当せんとするものであります」こういうふうに説明をしておるのでございます。そうしますと、この百四十二億の赤字の克服のための一部として五十億を考えるということと、それから三本建のために要するところの三億六千万円を考えるというふうなことになるわけです、五十億の中に。そういうふうに私は考えるのでございますが、その改進党の修正案に対しては当然これは政府としても同様な考えになるというふうなことになると思うのでございますが、その点についてお伺いいたします。政府委員に……。
  62. 青木正

    政府委員(青木正君) お答え申上げます。御承知のごとくあの修正案が改進党並びに自由党両派によつて提案されましたので、それによつて衆議院を通過いたしましたので、私どもも、政府といたしましても、修正提案者の意向に即して事務的にも検討して参りたいと、かように思つております。而してその考え方は、御指摘のごとく五十億のうちには三本建に要する三億六千万の経費と、それから百四十二億と言われておる給与関係の赤字の一部に充当すると、かような考えの下に、事務的にもそうした考えの下に案をとりつつあるわけであります。
  63. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、政府も同様にそういうふうに考えるということですか。
  64. 青木正

    政府委員(青木正君) さようでございます。
  65. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではその内容についてちよつと伺いたいのでございますが、これは、財政部長さんもここにおいでになるので……。これはこの五十億はどういうふうないわゆる内容が含まれておるのか、百四十二億の赤字のうちの一部の五十億だということになれば、この五十億は、どういう内容を以て五十億となつたか、これを伺いたい。
  66. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 交付金としての五十億円につきましては、特段そのうちの幾らが何に充当されるというような内訳が個々的にあるわけではございませんので、只今若木さんのほうでお話がございました通り、又政務次官からお答えいたしました通りに、私ども解釈いたしておるのでございますが、要するに地方財政が総体的に窮乏いたしておる、まあその一つの大きな要因としては、給与に関する経費の地方財政計画の見積額が非常に足りない。そこでそれの一部を補填するのに充てるということと、それから今一つは、その五十億円の増額を以て教職員給与のいわゆるまあ三本建が実現いたしました場合の、地方の所要財源の補充に充てる、この程度に私ども了承いたしておるのでございます。
  67. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は今三本建のほうは問題にしません。それはもう我々も反対なんです。ですけれども、この給与の改訂に伴う不足額の百四十二億の一部に充当するということになれば、差当つてどういうふうな内容のものに対してこれを充当するかということが考えられなければならん。私はこの問題は、こう解釈してようございますか。昨年来、地方公務員が三百五十円ばかり国家公務員より高い、これは現在では相当又殖えておるだろうと思う。そのために非常に苦しくなつて来た。そうですな。ところが、これが既定の事実としてもう実施されておる、各府県においてそれを認めた上のいわゆる百四十二億の下足であるかどうか、この点を伺います。
  68. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 御質問の趣旨がわかりました。それは給与関係の経費の、地方財政計画の上に見込んでおりますのについて、いわゆるまあ実態から見て、算入不足であると、需要額の見方が非常に足りないということがいろいろ皆さんがたから御指摘を頂いておるのでございますが、その内容はいろいろおるわけなのでございます。一つ只今お示しになりましたように、いわゆる給与単価の調整をしておる、従つて、財政計画に用いております給与の単価と、現実に各地方団体が公務員に支給をいたしております給与の単価というものの間に若干のまあ開きがあるというのが一つでございますし、なおそのほかに厳密に申しまするならば、例えば財政計画の算定をいたします際に、見込みます昇給率の問題なんかもあるわけでございます。これも前の財政計画のときに御説明申上げたかと思いますが、本年度は例えば大体これは一・五%というような前提で計算をいたしておりますが、果して地方における昇給率というものがその程度のものであるのか、或いはそれ以上のものになつておるのか、この点もまあいろいろ問題があるわけなのでございます。更にまあ細かく申して参りますならば、勤務地手当の算定に用いております比率等につきましても、現実に比べて或いは低過ぎるのじやないかというような御意見も伺つておるわけであります。いろいろこの給与の算定につきましても、そういつたような問題があるわけでございます。で、今度の予算の修正提案者の御説明によりますと、要するにこの給与の関係の経費が非常に足りないために、それを然るべく補填するのだという御意向のように伺つておるのでありますが、そのうちの一体どれかということは、具体的なお示しがないわけでありますが、まあ要するに、それは内容的にはいずれのものにしろ、とにかく給与をこの際ごういつた財源によつて改善すべきであるという御趣旨に拝聴いたしておりますので、細目としてそれをどこのどういう点に当てるかということにつきましては、只今大蔵省と私のほうと、まあ関係者の間でいろいろ検討いたしておる過程でございます。
  69. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは義務教育費半額国庫負担法の場合においては、実績に応じて半額を出す。そうすると実績はすでにもう三百五十円高いとか低いとかいう問題でなしに、これは現実に支給されておる。その実績の半額ということになりますと、その面から考えても、私は百四十二億というものの中には、これは国家公務員より高いとか低いとかいう問題はすでにもう消されておると、こう考えておるのでございますが、それでようございますか。
  70. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 義務教育に関する国庫負担金の算定の関係においてはおつしやる通りだと思うのです。いわゆる現実に支出をした額の二分の一を負担するというのでございますから、これはもう文字通り、その通りども考えておりますし、政府としてはさような措置をとつておるわけであります。
  71. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、半額負担法のほうは、負担分はそう考えておつて平衡交付金のほうはそう考えないということはあり得ないですね。
  72. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) その点はちよつと私ども見解が異なるのでございます。と申しますのは、実支出額の二分の一と申しますのは、国が負担する負担額の限度を算定する基準として用いておるわけなんでありまして、そのことが当然にあとのいわゆる実支出の残りの半分について、国がそれだけの財源をまあいわば紐付きのように地方団体に保証するという制度にはなつておらんのであります。従いまして、あとの半分のものについてはこれは各地方団体が自分の一般財源でこれを充当して行くということになるわけでございます。その一般財源を地方に付与する形式といたしましては、御承知通り、今日地方税による収入と、それからその他の一般平衡交付金ということになつておるわけであります。そこで一般平衡交付金の財源付与の性質は、これも皆さん御承知通り、各地方団体が行政をやつて参りますのについて、必要なこの実額を、国が財源を以て補填するという建前じやございませんで、要するに各団体が一定の、何と申しますか、いわゆる法律の言葉によれば、合理的妥当な水準において行政をやる、その水準を維持するということが一つと、それから各地方団体の住民負担の均衡化を図る、こういう目的で以て財源付与の形式がきまつておるわけでございます。従つて例えば土木費にいたしましても、或いは産業経済費にいたしましても、或る団体が仮に土木のために一億の金を使つたから、その一億のものを平均として財源補填するという建前じやございませんので、これは基準を以て、いわゆる合理的妥当な水準における行政をやるためには幾ら要るはずだと、要るべきだと、こういうことで基準計算で出すことになつておるわけなんであります。その点は今の義務教育費に関する経費についての地方一般財源を以て充当する部分についても、我々同様だと考えておるのでございましてその意味において、地方財政計画の上に、又平衡交付金の算定の際に、計上いたしますところの地方の負担額というものは、地方が負担すべき額というものは、やはりこれは平衡交付金方式に従いまして、基準財政需要額を以て算定すべきである、かような考えを持つておるわけでございます。
  73. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうなりますと、私は少しわからなくなる。平衡交付金の算定の場合においては、基準財政需要・額と、基準財政収入額との差額を見て不足分を平衡交付金で渡すと、こういうふうに法文に明らかになつております。今あなたの御説明を聞きますと、必ずしもそうでないようにも受取れるのですが、その点は如何ですか。
  74. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 私はそういうふうに申上げておるのでございまして、いわゆるもつと具体的に申しますと、基準財政需要額を算定する際に、これは各土木費でありますとか、経済費とか、各行政項目によつて財政需要額が幾らと計算するわけでございます。その場合に教育費として計算をいたします義務教育職員の給与というものは、半額算入しなければならんわけでございます。その半額算入は私が先ほど申しました意味の基準を以て、つまり単位費用に数値をかけるという方法によつて計算をするのであつてそこに各団体が実際にその給与費として仮に一億出しておるから、五千万を基準財政需要額として見ると、こういう考え方でなしに、これは法律に定められておるところの給与費の単価にその団体の測定単位の数値をかけて算出をし、それによつて基準財政需要額を出して収入額との差額を交付基準額とする、かように計算すべきものだということを申上げております。
  75. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、そういうふうにあなたのほうで見て行く場合に、給与単価というふうなものですね、現実のままに認めるか、或いはこれを国家公務員と調整した額に認めて行くか、この点伺いたい。
  76. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) それは現在の地方財政計画においては、御承知のように、いわゆる調整した単価を用いておるのでございますから、いわゆる調整単価で計算することになるわけでございます。これはいずれ法案のときに又詳しく御説明申上げる機会があろうかと思います炉、単位費用を算定いたします際に、その基礎として一つ標準予算というものを前提にしておるわけでございます。この場合には、例えば一つの施設の中に一つ標準的な、団体の中で土木に関する事業なら土木に関する事業を行います場合に、この職務を行うために、仮に十人なら十人の職員が要る。その十への職員の構成は十級職のかたが一人とか、八級の者が三人とかこういうような構成にする。そうされる場合に、十級職の仮に五号俸のものであれば、その者の級号というものは、級号俸によつてきまつておるわけでございますから、仮に十級職の三号の者が一万五千円であれば、一万五千円と、こういうように予算を作るわけでございますから、いわゆる現実に各地方団体が払つておるという額と、いわゆるそれを調整した額との関係というものは、単位費用の鎌定においては直接には現われて来ないわけであります。ただ問題は財政計画上さような調整をいたしておりますので、全体として財源が足りないのではないかというのが問題になつておるわけで、その足りなくなつた部分というものが単位費用の計算上からいえば給与費にかかつておるのか、或いはその他の消費的な経費にかかつておるのかという点は一律には一言えないわけでございます。その単位費用の計算の中で一体給与費の見方が足りないのか、その他の物件費が足りないのか、こういう見方になつて来ると思うのであります。そこで今お尋ねのような問題は、基準財政需要額の算定については、私は問題はないと思うのでございます。ただ一つだけ強いて申上げますれば、問題は教職員の場合だけは、これは平均単価を用いておるわけなんでございますから、これは現実の平均単価と、それからいわゆる調整したものとの平均単価というものとの間の違いが出て参ります。これは今回の御提案を申上げております地方財政平衡交付金法改正案におきます単位費用の算定におきましては、今度の義務教育費の半額国庫負担法が実施されるのに伴いまして、あとの少くとも半分の負担分をできるだけ厚く各地方団体に財源保証したいという考え方から、従来見ておりましたものよりも、比率を上げて高く、その財政需要額の比率を高く見ておるわけなんでございます。従来から、基準財政需要額というものは、実際の各団体の需要額と申しますよりは、厳密に申しますると、地方財政計画上の数字の一〇〇%の財政需要額というものは見ておりません。これはつまり税収の三〇%の分と、それから特別交付金の分というものは別でございますから、その分を抑えてみるわけなんであります。大体平均しますと恐らく八〇%前後ということになりましようが、これは費目によつて厚簿をつけております。義務教育の経費というものは、いずれも義務的な経費で非常に一重要でございますので、従来からも財政需要額の見方というものは、ほかの経費よりも厚くしておりますが、大体この二十七年度ですと、八八%ぐらい見ておつた。それを今度は一〇〇%近くまで見たい。一〇〇%まで見ることによりまして、各団体にいわゆる半額負担をいたしますとこるの財源とい、りものを厚く負担することができる、こういう結果になるものでございますから、その関係で財政需要額の引上げを行なつております。その前提といたしまして、従つてこの算定の基礎に用いますところの単位費用におきましても、単価は従来よりは若干引上げて使つておる、そういうような状況でございます。
  77. 若木勝藏

    若木勝藏君 それであなたの今の御説明で、算定とかそういうことはよくわかりましたが、私の現実に考える問題は、そういうふうな自治庁で以て調整した単価を以て財政計画というもの、或いは平衡交付金というものを考えて行くときに、現実はそれよりも高いところの支給が行われている。その場合に当然これが赤字が出て来る。今度の改進党の修正の五十億というものは、その点を考えて、百四十二億というものがそういうことによつてつて来るためにこれを考えて、一先ず五十億を廻した、私はこう解釈するわけなんであります。そうするとあなたの現実の問題はどういうふうになりますか。結局その内容については、あなたは詳しくわからないというふうな、さつきの御答弁でありましたが、この点がはつきりしなければ、この百四十二億というふうなものの赤字というものは、どう処理されて行くかという問題が残る。だから今日でなくてもようございますから、その点をはつきりしてもらいたいと思う。  そこで百四十二億のうち、その五十億を以て一先ずこれを解決しておく、残りの九十二億ですか、これは一体何によつて今度の予算においては処理して行くという見通しが立つておりますか。改進党の修正案を政府が認めるということになつたわけでありますが、この点を伺いたい。
  78. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) この給与費の算定において百四十二億が足りないというお話でございますが、これは、その足りるか足りないかというのは、財政計画の実は立て方の問題なんでございます。そこで従来、従来と申しましても、結局まあこれは昭和二十六年度の補正予算からであることは若木先生御承知通りですが、いわゆる給与単価の調整をいたしまして以来、給与の単価というものをそれだけ落しておりますので、落しているという状態を落さなかつた前に比べれば、これは勿論足りなくなつておるわけです。ですからその調整しなかつた以前のものに比べて、今日の財政計画ではこれだけ、つまり財源と申しますか、歳出の見方が足りない、かような意味合いにおいては、つまりそれだけが歳入不足だということは御指摘の通りなんです。ただ百四十二億という数字が出ておりますが、これは今まで出ております調整額を廃止したときのそのままの数字正じやございませんので、調整をしたときと、それから調整をしないときの差額ということになりますと、これは大体百五十億くらいになります。百四十二億と申しますのは、実はこれは中間的な、私のほうで一応まあ計算、数字を出してみたわけなんですが、つまりこれは国の公務員と地方の公務員との給与の関係を考えます場合に、今御指摘のようないろいろな問題が従来からございましたので、その一つの解決の方法といたしまして、国の職員について国の予算が見ておりますところの予算の平均単価並みに、仮りに地方の公務員に必要な給与単価というものを合せて見て行くとすればどれくらいになるか、この差額を計算しますと、大体只今申上げた百四十二億くらい足りない、こういう数字が出る、現実に財政計画に比べてですね。併しその問題は別といたしまして、百四十二億、それだけがつまり今日の給与の計算の上で、現実に比べてそのまま赤字になつておるのだという数字には、私たち考えておりませんので、これは或いはほかの関係で、なお例えばいろいろな補助事業等について、補助基本額の見方が足りないというようなことのために、財政計画の数字が少いというような御指摘もございますが、或いはそういうことによつて、もつとほかに財政計画上も赤字になるような原因があるかも知れません。併し赤字がどこから出るというような問題は別といたしましても、その百四十二億という数字だけをこの際財源で補填をして、給与に関して絶対に赤字が出ないということに我々考えておりませんので、給与の、財政計画に持つて行く給与の単価というものを、一体どうい一、ふうに考えるかということが、最も基本的な問題である、今日までのところ、政府といたしましては、やわゆる調整をいたしました単価と申しますか、国家公務員の例の規定に従つておるので、単価というものが、財政計画というような一つの基準の財源を算定する基礎として適当じやないかと思つて、我々用いて参つておるのですが、それはどうも現実に照して余り少な過ぎるという御意見が出る。そこはまあいろいろ御意見が出るところと思いますが、従つて今回五十億だけの措置をしたために百四十二億に比べてあと九十億足りないものをどうするかという御質問につきましては、まあこれは別に政府の提案についているく御批評を受けた問題でございますから、これはこれ以上足りるとか足りないということは、私から申上げかねると思いますし、又どういう措置をするかということについても、私たちの申上げる筋合じやないと思いますが、問題はさようなことではなくして、仮りにまあ百四十二億、この際歳出にまるく加えてみましても、今日実際に現われておるような赤字の状態というものが、それで全部解決するという筋の問題でもないというふうに考えるわけであります。
  79. 若木勝藏

    若木勝藏君 この問題は今更に私質問をすることなく、保留しますが、ぞの点をもう少し政府側としても資料を一つはつきりしておいてくれませんか。私はその点がはつきりしないというと、平衡交付金は殆んど不足になつて、そうして結局税収でやれとか、或いは起債でやれとかいう問題が地方財政にしわ寄せになつて来る。そこで私は関連してこれを聞くのですが、今日のあれではまだ私ははつきりしません。それでこの次に平衡交付金のときに又続けてやります。
  80. 堀末治

    ○堀末治君 只今議題となつております地方財政法の一部を改正する法律案、大分質疑も尽きたようでございますから、この辺で質疑を打切つて、直ちは討論採決に入ることの動議を提出いたします。
  81. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは私は異議はないのですけれどもちよつとその前にここで休憩さしてくれませんか。長い時間要しません。ちよつと休憩して下さいる
  82. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時五十六分休憩    午後一時四分開会
  83. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは休憩別に引続いて委員会を再開いたします。  先ほど堀委員から質疑打ち切りの動議が出ておりますが、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 内村清次

    委員長内村清次君) 異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。……意見もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。地方財政法の一部を改正する法律案について採決いたします。地方財政法の一部を改正する法律案を原案通り可決するごとに賛成のお方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  86. 内村清次

    委員長内村清次君) 全会一致と認めます。よつて地方財政法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして多数意見者の署名を付することになつておりますから、本法案を可とせられるかたは順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     石村 幸作  堀  末治     館  哲二  高橋進太郎     西郷吉之助  長谷山行毅     秋山 長造  若木 勝藏     加瀬  完
  88. 内村清次

    委員長内村清次君) 御署名漏れはございませんか。御署名漏れはないものと認めます。  それでは本日は委員会をこれにて閉じます。    午後一時九分散会