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1953-07-22 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)    午後二時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            西郷吉之助君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            加瀬  完君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治庁行政部公    務員課長    山野 幸吉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○自治学校設置法案内閣提出)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  前回に引続きまして自治学校設置法案の質疑を行います。
  3. 秋山長造

    秋山長造君 実は昨日欠席しておりますので、昨日或いは御質問なさつたかたと重複する点があるかも知れませんけれども、二、三お伺いしたいと思います。  先ず第一条の自治大学設置の理由の説明が書いてあるんですが、それを少し小切れにして当局へ御質問をしてみたいと思うわけです。先ず初めに、「地方公務員資質を向上し、勤務能率発揮及び増連を図り」ということが書いてあるのでございますけれども、この資質を向上し勤務能率発揮、増進を図るという、これらはやはり現在の地方公務員資質は低いし、勤務能率も低いという前提に立つて、こういう文言を使つておられるのだろうと思うのですが、そう了承していいですか。
  4. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は「資質を向上し」というのは、必ずしも現在が低いから予想される線まで引上げるという意味ではなくて、仮に現在の水準相当のものであつても、それを更になお引上げて、理想に近いものにだんだん持つて行くという、こういう意味で、必ずしもこれは現在の地方公務員資質が低いのだということを大前提にしておるということではないのであります。ただ実際の問題といたしましては、地方公務員資質というものが、何かだんだん下つて来るのではないかと、これはひとり地方公務員に限らず、国家公務員についても同様かも知れませんが、だんだん公務員についての魅力が少くなつて行く、公務員というものの地位がだんだん社会的評価も変つて来るということ、だんだんいい人が集まらなくなるという、何か一つ考え方があるようでございますが、そういう点から申せば、そういう考え方が事実であるといたしますれば、地方公務員の質が、或いは若干低下しつつあるという見方も成立つと思うのであります。そういう前提に立ちますならば、低下しつつあるものを低下しないようにする。そうして更に理想に近いものに持つて行く、まあこういうようなことになるだろうと思います。
  5. 秋山長造

    秋山長造君 この地方公務員資質ということなんですがね。これはあとのほうに「高度の研修」ということが謳つてある。これから考えますと、やはり相当の高い専門知識と申しますか、そういうものを大体意味しておるんでございますか、それでよろしうございますか。
  6. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) やはり両面あると思うのでございまして、基礎的な教養と申しますか、およそ自治体に勤務いたします公務員として、地方自治基盤になつておりまするような各種の基礎的な学科についての、基礎的な教養というものは、やはり高度の研修としても必要ではないかと思うのでございます。勿論さよう基盤の上に立つて、それぞれの専門分野における各部行政についての専門的な知識というものを更に高めて行くということも勿論必要でありますから、自治大学教科科目といたしましては、さよう基礎的なものに加えまして、専門的な各部行政論というものに、いわば一番主力を注いでやつておるというような恰好であります。
  7. 秋山長造

    秋山長造君 私考えるんですが、地方公務員資格と言いますか、資質と言いますか、まあそれはむしろここへ謳つてあるような高度の専門知識というものも勿論必要かも知れませんですけれどもですね。それよりもむしろ今地方県庁職員だとか或いは市役所職員町村職員などに最も欠けておる点というのは、ややもすれば役所の中に閉じ籠ると言いますか、法律規則に立て籠つて、そうして世間を見る広い視野というものに非常に欠けているというようなことなんで、結局やつぱり地方公務員としての特殊なこの資格というようなことよりも、やはり地方公務員ができるだけこの常識を備えたよりよい社会人であれば、結局それが一番やつぱり地方公務員としては立派な資質ということになるのじやないか、更に又地方行政能率が挙らないとかいうような点はですね。むしろ専門知識があるとかないとかいうことよりも、やはりこの中央からずつと地方へかけて、依然として繁文縟礼の昔のいわゆる役所式な、形式主義が残つているとか、それから又責任感が非常に稀薄だとか、何かそういうようないわゆる公僕精神というものがまだ不十分であるというような点に、むしろあるのじやないかと思うので、まあそういう点を改めるためにはですね、特に中央に連れて来て、高度の研修というようなことで研修をやるよりも、今日地方で、まあ県庁あたりで随分講習会や何かやつておるし、それから又市町村主務者を集めて、主務者講習会なんかもやつておるようですが、そういうものに任せて、中央のほうは、むしろそれに講師を斡旋してやるとか、或いは補助金を出してやるとか、そういうことをしたほうがむしろ実情に即したやり方ではないか。高度の研修と言いますか、極く根本的な一般的な教養というようなものを与えるためには、余り自治大学というような狭いところへ又閉じ籠るのでなしに、やつぱり一般大学に、よくあちこちでやつている国内留学という形で、大学法学部にでも留学させてやるというようなことのほうが、却つていいんじやないかというような気がするのですが、次長のお考えは如何でしようか。
  8. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方公務員のまあ研修の上から言つて、どういう点に一番眼目を置かなければならないかということにつきまして、秋山委員お話は、まあやはり第一には、公僕精神というものが一番基本ではないかというお話でございますが、この点については勿論私ども全く同感でございます。で、そういうことをだんだんと深めて参る、そういう認識を徹底して行くというようなことは、必ずしも自治大学というよう施設によらずして、むしろそれぞれの任命権者、或いは上級の職員の部下に対するいろんな訓練の問題、或いは日常公務員としての、何と言いますか、しつけと申しますか、考え方というようなものが、要するに民主主義基本的な考え方にだんだん到達して来ればいいわけでありますから、これは研修なり、或いは普通の講習なり、或いは日常のいろんな行事等を通じて、だんだんと徹底して行き得ると思うのであります。その点からの自治大学校という要望には、直接連なるものはまあ比較的少いのではないかと思うのであります。そこでやはり自治大学校と申しますからには、この地方公務員で、例えば税なら税のことをまあやる。或いは選挙のことなら選挙のことをやるというような、非常に戦後仕事が複雑になり、専門化して参りましたために、非常に局部的な、一方的な事務に集中をして、地方公務員でありながら、地方自治体というもの全体についての、やはり考え方、或いは新らしい民主行政というものについての考え方が必ずしも十分でない、それが普通の公務員としてやつているのならば、それでもいいわけでございますが、やはり将来の府県庁における幹部職員になるというよう人たちについては、やはりもつと突込んだ基礎的な教養の上に立つた専門行政についてのエキスパートであるということが必要になつて来ると思うのであります。この点につきまして自治大学校というような、かよう方式がよろしいか、或いは一案としての御指摘ような、既存の各大学における国内留学ということがよろしいか、これは両案、二つ考え方があろうかと思うのでありますが、大学法学部とか或いは経済学部というようなところに、委託学生というようなことで、曽て陸海軍がやつておりましたような、ああいう方式考えられないこともないと思います。今現に京都あたりでは、たしか京都大学のほうに庁員を若干留学させているというような話も聞いておりますが、これも又それとしての一つ意味もあろうかと思いますが、やはり法学部委託学生になる、或いは経済学部委託学生になるということでありますれば、やはりおのずからその範囲に大体止まる、やはり今少し地方公務員としては実務がございますから、理論的な研究というよりも、今少し実際の実務に立つた専門学部行政研修を受けるということが必要ではないか、幅も法学部とか経済学部というような、その幅よりも、もつと広い幅において、基礎的な教養というものをやはり与える必要があるのではないかというふうに考えられるのであります。そういう意味から実務と、高度の専門行政、又は全体の基礎になる専門的な教養というようなものを与えようというのが、この自治大学校の狙いとするところでございます。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 それからその次に行きまして「地方公共団体行政の民主的且つ能率的な運営を期するため」ということが謳つてあるのですが、これは二つに分けて考えなければいかんと思うのです。大体地方自治育成強化して行くという目標である以上は、勿論地方公共団体内部行政民主化ということも必要でありますけれども、同時にやはり中央地方という関係で、中央に対する地方関係をもう少し民主化する必要がある。地方公共団体自主性をもう少し強化しなければ、ただ一方的に地方団体内部民主化だけ図ろうとしても、とてもそれは無理だろうと思う。今の実情を言いますと、申上げる必要もございませんが、地方自治とは殆んど名目だけで、一般行政事務の上でも、財政的に見ましても、地方団体というのは殆んど中央に依存、隷属しているよう関係で、而もその傾向が、ますますいろいろな面において強くなろうとしているようなときですから、この傾向を何らか根本的に改めてかからなければ、ただ現状のままでそういう傾向を放任しておいて、そうして自治庁のほうで、地方公務員研修権といいますか、研修をする権限を地方自治庁で握られただけでは、結局何にもならないのじやないか。むしろ財政面或いは一般行政面中央集権になつてしまつている、地方行政が、地方自治人事の面でも又中央集権になつてしまう虞れがあるのではないかというよう考えるのですが、自治庁のお考えを承わりたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方自治体だけで、かよう研修施設等によつて民主化をしようといつても、なかなかそれは国のほうとの関係において困難であるというお話でございますが、その点は誠にさようだと思うのであります。日本全体の今の民主化水準というものと無関係に、地方団体の民主的な行政運営ということもあり得ないわけでありますから、大きくは全体の体制が本当に民主化されなければ、地方自治民主化ということも徹底しないということは言い得ると思うのでございますけれども、併し地方公務員の、先ほど御指摘もございましたような、例えば根本においては公僕としての精神を十分に涵養して行くということ、或いは仮に税なら税の行政に携つておりましても、地方自治というものについての基礎的な教養と感覚を持つて行政に当る、いわんやその中堅幹部になるものについては、さようなことについて十分の素養を与える機会を持たせる、こういうことをやりますことによつて、やはり民主化成い能率化ということが或る程度期待できると思うのでありまして、そういう意味で特にこの地方公務員法におきましても研修ということを非常に重く見ているわけでございますから、そういう点について研修に期待するところがありますことは、これはやはり当然ではないかと思うのであります。中央研修をやるというようなことが、延いては地方公務員人事中央集権化になりはしないかという御懸念でございますが、これは中央集権という言葉で表現をいたしますと、何かいろいろ問題があるように確かに考えられますけれども、併しいろいろな行政を見ましても、例えば衛生行政にいたしましても農林行政にいたしましても土木行政にいたしましても、やはり個々の例えば府県府県だけの経験において優れた土木行政衛生行政専門家を得るということは、やはりなかなか困難であつて、いろいろな機会にいろいろな経験を積みまして、初めてそれらの道の専門行政家としての資格も得られることになると思うのであります。これはアメリカ辺りでも、例えば市の支配人制度ということは、やはりその市においてというよりもいろいろの市の経験等を繋ぎ合せて、市支配人がだんだんと自分が現在勤務している市の行政を向上して行くというところにいろいろ期待されるわけでございまして、やはりそういう意味では人事が或る程度交流されるということは、地方行政能率化という点から非常に大きな期待が持てると思うのであります。そういう人事交流につきまして或る程度の保障が行われるということは、やはり将来の地方公務員制度考えます場合におきましても、何らか検討をして行く必要があると思うのでありまして、地方制度調査会におきましても、この点については今研究をせられているようであります。そういうわけで自治大学校ができますれば、こういうよう機会にやはり全体の資質向上従つて地方公務員経験を殖やす機会が出て参り、それが又人事交流ということにも関連をし、人事交流によつて、更に又さよう専門行政官としてはいよいよ経験を積んで行くというようなことによつて、やはり地方行政全体の水準が上るということが期待できるのではないかというふうに考えるのであります。
  11. 秋山長造

    秋山長造君 おつしやるように、人事交流ということは、これは勿論結構なんで、一府県だけに閉じ籠つてつては結局睡り込んでしまうということはよくわかるのです。だから私の言うのは、そういう意味人事交流ということでなしに、丁度終戦前の高文制度があつた当時、同じ役人でも高文を通つた連中は、非常に特権意識といいますか、何かそういうものがついて廻つてつた。それでそれだけ高い資格を持つているのだから、それだけ高文を通つた連中が殖えれば、役所水準も上るという解釈もできただろうと思う。併しその反面、今結果的に考えますと、やはりあの高文制度というものが日本官僚政治を養つて来た、支えて来た一番大きな支柱となつてつた。そういう点では功罪半ばしておると思うのです。丁度それにも似たようなものの考え方というものが、又こういう自治大学という線を通じて復活して来る危険がありやしないか。現在でも、聞くところによると、同じ大学を出て役人になつても、自治庁採用で入つた人と、それからいきなり地方へ入つて自治庁なんかに廻つて来た人とは、非常に待遇その他において隔りがある。まあいわば差別待遇が行われておるというようなことを聞くのですが、やはりそういう最初の、この狙いはそういうことではない、むしろそれとは反対のところを狙つてつても、結局中央役所にしても、地方役所民主化されておらない以上に、中央役所民主化はまだまだされていないと思うのです。そういうところへいきなり地方連中を連れて来て、そうして無意識のうちに中央のそういうような空気を吸い込んで帰つた場合に、やはりものの考え方なり、何なりというものは、むしろ民主化の方向、或いは公僕精神ということのほうへ行かないで、むしろ逆のほうへ私は行く危険が非常にあると思うのですが、そういう点如何ですか。
  12. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) まあ昔の公務員制度については、お話のごとく功罪相半ばしておると、これはむしろ非常に同情的な御批判のようにも思われますが、そういう公務員制度というのは、これはいろいろそれ自体に存しまするものよりも、それ以外のやはり国全体の国家体制に結び付いておつて、あのようないろいろな今回非難されるような面も出て来たんじやないかと思うのであります。併し今日は国全体の、根本体制が、まだ民主化の点において不十分な点があろうとは申しましても、やはり基本が、地方自治住民であるという根本建前に立つておるわけでございまするから、かよう自治大学校で研修する、或いはここを卒業するその結果、それは住民自治の上にいわゆるあぐらをかいて坐る、そういう意味幹部を作る、こういうよう考え方は、勿論毛頭考えておりませんし、又さようなことでは根本の、御指摘よう公僕精神というものが、全く皆無であるどころか、逆の考え方に立つているわけでございますから、さようなことは先ず自治大学校のそもそもの使命から絶対に考えられない。御趣旨は、要するに自治大学校のいろいろの組織なり、運営なりにおいて、さよう心配のことがないようにせよ、こういうふうな御注意をまあ承わりますが、これは教科の選定、或いは講師の選択、或いは寄宿施設の問題、そういつたような点について十分御心配ようなことのないようにいたさなければならないというふうに考える次第であります。
  13. 秋山長造

    秋山長造君 只今の御答弁ですが、私は、やはり次長只今の御答弁にもかかわらず、非常に危険があるという感じを持つのです。で、現在この地方県庁なんかの実情考えますと、特に技術関係なんかの吏員というのは、やはりそれぞれ土木関係建設省の紐がつくというか、何かそういうものがある。それから農林関係は又農林省あたりで、何かこう技術的にずつと筋が一本通つておる。ところが自治庁の場合は、丁度県庁総合官庁であると同じように、自治庁も特殊な専門的な紐というようなものが、これはつきかねるのですが、ところがこういうものができて来ると、今度は土木関係役人建設省の紐がつくと同じように、今度はここで教育を受けて帰つた者は、あれは自治庁の筋だ、自治庁の線だというようなことになつて来て、それぞれ今後の昇進して行くコースも大体こうきまつて行くわけですね。特に今のよう町村合併が盛んに行われて、地方制度調査会なんかで一部に意見が出ておるように、府県知事あたりが又昔の官選知事というようなことに逆戻りをしておる。そうして県庁あたり自治庁の……、いつまでも自治庁という名前が続くのかどうか知りませんが、内務省なら内務省ということに或いはなるような場合に、そのときの、期せずして下準備になるのじやないかというような虞れさえ私はあると思うのです。余り思い過ぎかも知れませんけれども、そういうことにいや応なしになつて行く虞れはあると思う。併しそんなことばかり言つてつてもしようがないから、もう一つ次に進んで、次に地方公務員というのですか、地方公務員にも府県なり、又市町村といろいろ段階があつて、又それぞれ取扱う事務内容なんかも、相当程度の高いもの、低いものという段階があると思うのですが、ここで大体狙つておられる地方公務員というのは、どれを指すのですか。
  14. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ここでは大体府県単位におきまして、実務研修のまあ第一次的な研修が行われるという建前で、ここではやはり高度の研修を行うということでございますから、従つて課長補佐、或いは係長級というようなところが中心研修生になると考えます。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 ちよつとまあ根本の問題に遡つてお尋ねしたいのですが、この前鈴木次長は十五日の委員会つたと思いますが、町村合併促進法案の問題に関連しまして、あの自治法の第七条の問題に関連しましてですね、やはりこの地方自治重点と言いますか、主体というものは、飽くまで町村にあるのであつて府県はむしろ従的なもので、それはシヤウプ勧告においてもそういうことになつてつて、大体あのシヤウプ勧告考え方にも共鳴されておるような御発言があつたと思うのですが、そうなりますと、やはり自治大学校という以上は、地方自治育成強化ということを狙うわけなんですが、ところが実際そこに収容して訓練を受ける地方公務員というのは、自治庁において地方自治中心であり、主体であると考えておられる町村吏員ではなくして、むしろ第二義的な府県吏員に対して研修を施す、こういうことになるわけですか、これは……。
  16. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この研修の対象といたしましては、都道府県職員というものと、市町村職員、これは両方やはり考えて参りたいと思いますが、この都道府県及び市町村職員で、先ほど申上げましたよう課長補佐、或いは係長級の、いわゆる中堅幹部というものの研修をやる、その期間は先般申上げましたように、大体六カ月くらい、基礎的な学科専門行政学科というようなものを考えておるわけでございますが、そこで大体この六カ月ということで、而も現任の職員研修でございますから、やはり個々町村といたしましては、そういう基礎的な研修にすべての職員を参加せしめるということはなかなか困難であろうと思います。やはり勢い大きな団体が、どうしてもそういう点から申しまして、事実上の制約となつて、大きな団体でなければそういう公式の研修に参加させることはなかなかむずかしいのではないか。従つて都道府県とか、やはり大都市等中心になろうと考えます。併しそういうよう方式とは又別個に、例えば地方議会議長会あたりでは、たしか通信講座みたいなものを、こういうようなところでやれというよう要望もございますが、必ずしも最初に申上げましたよう基本的な研修方式に限らず、そのほかに短期講習と申しますか、そういうようなものを附帯的な施設として行いまして、そういうものには従つて市長村等の職員に関しましても相当入る機会を与えるよう方式考え、又通信講座というようなものも、将来だんだん基礎が固まりますれば、そういうこともできることと考えております。そういうようなことで、やはりすべての団体地方公務員に対しまして、研修機会を最も適当した方法で与えて行くというふうに考えたいと思つているのであります。
  17. 秋山長造

    秋山長造君 お話によりますと、結局実際問題としては、自治大学研修をする地方公務員というものは、府県職員ということになるようでありますが、そういたしますと先ほども言いましたように、自治庁のお考えとしては、一方においては地方自治重点町村にある、飽くまで市町村地方自治主体であるという考え方を持つておられるが、それと表面相反するようやり方を今度の自治大学においてはやられて、今度は逆に府県職員自治大学に収容して、そうして地方自治育成強化を図られるということになつて、そこに多少研修面と、それから実際の地方行政を扱つて行かれる場合との方針といいますが、考え方というものに多少食い違いがあるように思うのですけれども、如何ですか。
  18. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘よう市町村自治住民に直接した団体として一番基礎的なものであるという考え方につきましては、私どももさよう考えておるのであります。市町村職員に対して研修をするということを考えるべきで、府県のほうが中心になるというのはおかしいのじやないかというお尋ねでございますが、これは先般も申上げましたように、今年度は仮にこの法案並びに予算を御承認頂きまするならば、結局大体十月頃から発足するということになろうと思うのでございまして、本年度はやはり大学基礎を作るというようなことが、大体なし得る最大限度のことではないか、そういう意味でやはり一番手近な都道府県職員五大都市等職員を主として計画上考えておるわけでございますが、併し来年度以降におきましては、更に予算等におきまして十分考えてもらいまして、市町村職員につきましても、例えば何らか共同して、各府県町村或いは各府県の市というような単位ごとに適当な公務員を推薦をしてもらつて、そういう者に研修をする、市町村中心とする研修方式も、単に短期講習という意味でなく、基礎的なものにつきましての研修ということも、勿論考えて行かなければならんと考えております。今年度におきましては、先ほど申上げましたよう程度を出ないものでございますが、将来逐次その点は御趣旨に従うようなことで改善をして参るというふうにいたしたいと思つております。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 私の言うのは決して町村職員自治大学へ収容してもらいたいということを言うのではないのです。むしろ実情を言いますと、町村あたりの役場では、ただの一人でも半年もよそへ出すというようなことは、とても実情としてはできないと思います。定員の関係その他いろいろな面でできないと思います。それからもう一つは、又できるといたしましても、実際今の市に対しても、中くらいから下の市、それから又一般町村なんかの吏員に、そこまでここで言われておるような高度の研修というようなことがどうしても必要であるものかどうかということも疑問だと思うのです。むしろどちらかと言えば、今県庁あたり地方事務所なんかを通じまして、ときどき管内の町村主務者を集めて講習会なんかやつておるようですが、そういうことをもう少し定期的に励行することのほうが、むしろ地方町村にとつては非常にプラスになるのじやないか、いきなり山の中の町村の役場員が東京に出て来て、そして高度の専門知識を教えてもらつても、これは田舎に帰つてもすぐ別に役に立つというわけではないし、又結局そういう人たちは東京の大学の空気を吸つて、田舎の狭苦しい役場へ帰つて、そして果してそこで落ちついて本当に地方自治のためにプラスになつてくれるかどうか、もう何か中央へ出て来ているうらに、自治庁あたりに足がかりをつけて、何とかして自治庁あたりへもぐり込もうとして、田舎へ帰るという者は、恐らく私は帰つても落ちつかんだろうと思う。これは実際問題としては府県中堅職員研修ということに限られて来るだろうと思いますが、どうもそうなると、丁度最近伝えられておるよう府県知事の官選、或いは府県庁あたり自治庁の出先機関というようなものの下準備に自然なつて来るのじやないかというような感じを非常に持たざるを得ないのですが、どうもむしろやはり地方県庁中堅職員なんかにしても、どうせこの収容人員五十名程度ですから、各県へ割当てれば結局一県から一人という、ほんの僅かな限られた人しか連れて来られないわけなんで、丁度府県の中に今、年に一人か二人アメリカあたりへ三カ月とか二カ月とか出張をさしたり何かしておりますが、その程度のものであつて、別にそれで果して今の能率の低いこの地方自治団体行政というものが、どれだけプラスになつて行くかということは、非常に疑問だと思います。むしろやはり今日地方公務員が非常に能率が低いとか、資質が低いとかいうようなことは、いろいろ原因を考えてみますと、大学を出た相当高度の教養を身に付けた失業者がたくさん巷にあふれているわけなんで、そういう人たちを、優秀な連中地方府県庁なんかにどんどん吸収すればいいわけですけれども、やはり定員その他の関係で吸収ができないというようなこともあり、又一面には人材が集まりにくいというのは、地方公務員の勤務条件等において非常に劣悪なる点が少くないというようなこと、それから又その他いわゆる昔からの伝統的な官僚主義というようなものに禍いされておるというような点に、やはり主たる原因があるというよう考えるので、どうも特に今政府自身がこの行政整理だとか何とかいうようなことをやかましく言つておるときに、わざわざ自治大学というものを設けて、而もその内容たるや、常勤の職員というのは二人か三人で、あとは殆んど嘱託講師ような形でおやりになるようでありますが、そういう大学の実質も何も備えていないような、名前だけの大学を作られて、どれだけの効果があるのだろうかと思つて、実際不思議でかなわないのですが、むしろそういうことよりも、もう少し今の中央集権的な地方制度の改革のほうへ全力を注ぐとか、或いは地方団体の財政的な立直しに力を入れるとか、或いは地方自身のいろいろな研修に対して補助、助成をするとかいうことのほうが、この際我々としてはとるべき途じやないかというよう考えられてならない。まあこの程度です。
  20. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今秋山委員の御意見でございますが、町村については、一番最初お話町村については余り意味ないじやないかという点でございますが、これは勿論御指摘ように、個々町村が六カ月も現任の職員をやるということは全く考えられないことであります。まあ考えておりますのは、例えば現在或る町村職員をいたしておりますような者が、これが将来その県の町村会或いは町村議長会の事務職員として、県の町村全体のために働くと、こういうような適当な候補者がありました場合に、そういうような人について、府県の単位におきまする初度研修を経たような者に対して、中央で高度研修を行うというようなことが考えられるのではないか、そういうようなむしろ共同して或る一人の公務員中央に送ると、こういうような形でないと、実際問題としては考えられないと思うのであります。これは自治大学校の運営審議会というのが考えられておるわけでございますが、この運営審議会には各団体の会長が、知事会長、市町村会長という各会長が加わられるわけでございます。こういうようなところに諮つて、さような希望が出て参りますれば、各市町村職員等についても基礎的な研修ができるのではないかというふうに考えておるのであります。  それからこの自治大学校を作りまして、それによつて何か自治庁の出先のような形に府県をだんだん持つて行くのではないか、それと何か全体の国の最近の行き方と繋がりがあるのでないかというような御疑念でございますけれども、この点は私ども先ほど申上げておりまする通り、いろいろ議論はございまするけれども、この自治大学校の問題と、それらのいろいろな地方制度改革の問題とは全く別個のものとして、関連をつけるというようなことは、全然私どもは起案した過程におきましては、夢にも考えていないことであります。なぜかよう自治大学校というようなことを考え出したかということにつきましては、これは昨日の当委員会で申上げたわけでございますが、やはり各地方団体の代表者の方々、知事会、市町村会、それから各団体の議長会の代表のかたが、アメリカのフオード財団から、日本民主化のための本当の基盤地方自治であるから、その地方自治については、地方自治に携わる公務員資質の向上ということが一番基本であるから、そういう意味日本地方公務員研修ということのために、自治大学校というようなものを作り、それにアメリカから資金をもらい、又これに対して日本側も半額を出して、そうして何か共同で一つ自治大学校というようなものを作つてつたらどうか、いろいろなアメリカの占領時代の施策もあるけれども、若しもそういうようなものができるならば、これこそ一番日本民主化基盤になる施設ではないかというようなことから、当時の自治庁長官と各団体の会長の連名を以ちまして、司令部を通してアメリカ側の本国のほうにそのことを要望いたしたのであります。これは勿論当時の総司令部も非常に賛成で、熱心に唱道をしておりまして、一時フオード財団から金が来るのではないかというような話も出ておつたのでございますけれども、結局そのうちに占領が終るというようなことで、この問題は話が消えたのであります。併しさようないきさつで出発をいたしました考え方というものは、やはりあとに残りまして、何らか日本政府と地方団体との持寄りで一つ自治大学校を作ると、こういうようなことではどうかというような話がよりより出て参りまして、それでかような案ができたといういきさつでございます。率然としていろいろ最近の風潮に便乗して自治大学校を考えたというようなものでは全然ないのでございます。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 その点はよくわかつておるのです。だから私も自治庁が初めからそういう中央集権傾向に便乗して云々ということは言つていないので、ただ自治庁の立案なさつたかたは、ここに書いてある通りの極めて地方自治を思う一念から立案されたものと思います。思うのですけれども、併しそれは作つた人の主観的な意図がどうありましようとも、やはり今の社会全般の動き、又中央財政、地方公共団体とのいろいろな関係の動き等を総合的に考えた場合に、今のやはり骨抜にされた地方自治のあり方というものをそのままにしておいて、そうしてこういう自治大学というようなものを自治庁の附属機関として東京に設けて、そうして地方公務員を連れて来て教育をするというやり方が、主観的な意図がどこにあるというようなことはもう論外として、いや応なしにやはり今の中央集権的な傾向に巻き込まれて、引摺られて行く心配が非常にある。それから又心配があるだけでなしに、実際に考えた場合にも、我々が自治庁のほうで考えておられる地方自治というのは、飽くまで府県よりもむしろ市町村のほうへ重点を置いておられるにもかかわらず、この自治大学で教育をする相手というのは、むしろ地方自治においては第二義的な立場を認めておられるに過ぎない府県職員を収容して教育をするというようなことでは、なおさら自治大学というのがむしろいつの間にか官治大学に変質してしまう危険が非常にあるのじやないかということを心配してお尋ねしたわけなんですね。鈴木次長が初めから今の中央集権に便乗してと思つておるのじやない、ただそういう次長のお考えの如何にかかわらず、今のような状態の下にこういうものを置けば、結局いや応なしに今の中央集権のやはり渦に巻き込まれて、官治大学になつて行くのじやないかということを心配しておるのであります。
  22. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつとお知らせいたしますが、只今大蔵委員会が愛知政務次官の出席を得て地方起債の秘密会に入つて鈴木次長の出席を再度要求しておる、こういう状況でございます。そこで只今、文部省の大学学術局の稲田局長もすぐに来るように連絡をとつておりますし、勿論自治庁の公務員課長の山野幸吉君も来ておられますが、そこで皆さんがたにこの点をお知らせいたしまして、鈴木次長質問がありますならば、一つこの際に……。
  23. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 関連して、秋山君に関連して一つ伺いたいと思います。長く引留めませんから……。  これは秋山君が今心配された点は、私も非常に心配しておるのですよ。それで確かに次長としては初めからそういう計画の下に、出先機関を作る、そういうよう自治庁の何と言いますか、一つの機構と言いますか、或いは組織と言いますか、そういう地盤と言いますか、そういうものを作るためにやられたのじやないということはわかりますけれども、自然の結果として、そういうことになるのじやないかと私ども心配しております。というのは、特に自治庁直轄の学校ということになる点において、そういう点が考えられるのですね。それで、学校というようなものについては、これはあとで大学局長が来ましたら私も又聞きたいと思うのでありまするけれども、こういう性格の下に学校というものはあるのじやないのじやないかと思う。いわゆる政府の直轄の自治大学校というようなことはあり得ないのじやないか。こういうことを私は考える。いやしくも、学校ということになれば、そういうふうに直轄の学校ということになればなるほど、今の秋山君が心配された点は、私も自然の結果としてそういうことになるのじやないか。こういうふうに思うのですが、自治庁としてはその点は考えられませんか。
  24. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは、やはり高度の実務研修機関でございますから、例えば、警察大学校が、国家地方警察本部に附置されておるというのと同じよう考え方でございまして、さような特殊な実務行政と離れた本来の教育機関というものとは、やはりそこにおのずから違う面がある。従つて、まあかような形にいたしておるわけでございます。それが、直ちにそれでは中央集権化というようなことに連なつて非常に危険であるというような御心配でございますけれども、この点は、遺憾ながら私どもはさようなことはないというふうに考えておりまするのと、特に、先ほど来申上げておりまするように、第七条に自治大学運営審議会というものを置いて、この運営審議会には地方自治体の代表者が当然に加わる。そこで、都道府県市町村実情に合つた研修を行わしめるということになつておるのでございますから、そういうよう心配に対する配慮は、私どもといたしては、制度上一つの案として考えておるわけでございまして、先ず、さよう心配はないというふうに考える次第でございます。
  25. 加瀬完

    ○加瀬完君 私昨日欠席をいたしましたので、重複いたしましたら委員長のほうで御注意頂きたいと思います。五点について伺いたいのでありますが、主として第一条の内容でありますが、私はこういう立場をとりますことについて疑問があるのでございます。  その第一といたしましては、この第一条の中に、「勤務能率発揮及び増進」という言葉があるのでございますが、これらが阻まれておる事由は、研修不足よりは、もつとほかに理由があるのじやないか。例えば、待遇問題などは一応棚上げにいたしましても、都道府県人事交流が殆んど閉ざされておる。都道府県及び市町村人事交流はなお更のことである。事務配分が甚だ混沌としておる。賞罰制度が甚だ不明確である。有能者が場所をたやすく得られないので、やや人心が倦んでおる。こういうことのほうが遙かに勤務能率発揮ができない問題になつておるのじやないかと思われるのであります。  第二の点といたしましては、「民主的且つ能率的な運営」ということでございますが、民主的能率的ということを狙うならば、むしろ現場に奉仕させることを専一にして、この効果判定を明確にしてやつたほうが、遙かに能率的なことになるのじやないかと思われるのであります。秋山委員からも出されましたけれども、そうでなくても、今まで官界では学閥が云々されておりますときに、これが一つの新らしい学閥とならないということは断言できないじやないか。そういう心配があります。  第三といたしまして、「高度の研修」を行なうということでございますが、一体、国民は行政官に高度の研修を要求しておるのでございましようか。普通のサービスを現在求めておるのでありましようか。私は、求めておるのは、高度の研修ではなくて、普通のサービスを求めておるのではないか。もつと普通のサービスを向上させるというような方法をとることが先決ではないかと思う。  第四といたしましては、国家が設置をいたしますと、どうしても国家統一的な傾向が強くなりまして、又地方の独自の研修というものがだんだん阻まれて来る傾向になつて来るじやないか。例えば、自治大学校が、こういう内容であつて、こういう研修項目だから、地方自治講習所、或いは自治大学校に類するものも、こういうふうになつたほうがいいというような、中央に右へならえというふうな傾向を帯びて参りますと、地方独自の研修というものが、必要欠くべからざる研修というものが抜けられて来るという傾向すら生ずるのではないかと思う点であります。  第五は、教育内容の点でありまするが、今御説明を承わつたところ、実務養成をするということでございますが、実務ということでございますが、国家行政を、現在のまま委託事務地方におつかぶせて置きまして、これを実務考えておられては、地方は大迷惑だと思う。もつと、地方事務を今の煩瑣から簡単な方向に改革してもらつてこそ、実務が向上するのであつて、今の煩瑣事務をそのまま実習させられては困ると思うのであります。又行政経験という御説明もあつたのでありますが、この行政経験というものを、どうも学校教育といつたようなもので、或いは知識といつたようなもので、行政経験考えておるのではないか。もつと実務成績というものにウエイトを置くような方向に持つて行かなければならんじやないかというように思われるのでありますが、こういう点であります。又実務内容というものを考えて参りますると、行政訓練といつたようなことが主となりまするので、技術訓練が殆んど従になるのではないか。現在では、技術が勝れております傾向にありまするときに、これを更に助長するという結果を生むのじやないか。又秋山委員からも指摘されましたように、一年に五十人ぐらい各県から集めましたものを講習をしておりまして、これを一体何年経ちましたならば、地方全体のもつと能率が挙るような効果を期待することができるか、もつと別な方法というものが考えられるのではないかということを考えるのでありますが、こういう点、どういう御見解、この設置法の第一条の裏付としてどんな御見解をお考えになつておられるのでございますか。その点を承わりたい。
  26. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第一のお尋ねの点でございますが、勤務能率発揮及び増進をはかるということは、かよう研修よりも、いろいろ行政事務の配分でありますとか、或いは勤務条件の向上でありますとか、むしろその他の理由によつてこれをはからなければならない、そういう面のほうが多いのではないかというようなお尋ねでございます。これは、勿論地方公務員法全体の体制が、地方公務員法の第一条にございますように、行政の民主的且つ能率的な運営を保障するということが地方公務員法全体の精神でございまして、これは地方公務員法には、御指摘ような、各種の勤務条件でございますとか、その他給与の問題を初めといたしまして、いろいろ保障があり、それによつて全体の勤務能率が挙つて来る、こういう建前になつておるわけでございまして、研修は、勿論その中の一つの手段に過ぎないわけであります。ですから、これによつてすべてを解決するという意味ではございませんが、併し、これも又さよう能率発揮増進に資するものであるというまあ考え方でございます。  それから、かよう自治大学校の設置によつて、例えば、学閥というようなことができはしないかという御心配でございます。現場主義にむしろ徹したほうがよくはないかというお話でございますが、これも、先ほど申上げたことを繰返すようでございますけれども、運営審議会において、自治大学校の卒業生の将来のことにつきましても、いろいろ協議相談をいたして実施いたして行くことに相成ると思いまするので、さようなことは十分ないようにいたし得ると考えるのであります。  それから第三のやはり高度の研修というようなことよりも、むしろサービス主義を徹底せしめることのほうが緊要ではないかという点でございます。これは勿論地方公務員全体といたしましてサービス精神に徹するということは、先ほど秋山さんの仰せになりましたよう公僕精神というよう意味において、これはすべての地方公務員に通じて要求される基本条件でございますから、その点については正にそうでございますが、併し幹部職員といたしましては、やはりすべての地方公務員に対してさようなサービス精神に徹せしめるようなことを考えて行かなければならんわけでございまして、さよう意味の高度研修ということは、やはり幹部職員に対してはサービス精神と共に高度の研修をいたすことが必要ではないかと思うのであります。  それからその次の第四の、国がかよう地方自治大学校を設けるということになると、地方研修が独自性を失うことになりはしないかという御心配でございますが、これはやはり自治大学校といたしましては、全体としての自治に共通の基礎的な教養訓練を與えるということに相成りまするから、それ以上の、いわゆる地方性を付加した研修ということは、これは各地方団体におきましてやることでありまして、又それは地方団体全体としてということもございましようが、同時に地方公務員法建前としては、各任命権者がそれぞれの機関にふさわしい研修をやるということになつておるわけでございまして、さようなものがやはり当然相附帯して行われるということを前提考えておるわけであります。  それから次の実務養成という建前でこの学校考えられておるが、技術家の養成という点、或いは技術の尊重という点において欠けはしないかという御心配でございますが、これにつきましても必ずしも技術をうとんずるというよう考え方は勿論ございません。ただこの技術それ自体の研修につきましては、やはり土木或いは衛生或いは農林関係の各種の専門の部門というようなもので、大学等の学問と実務とか事務の場合よりももつと密接に連なつているということが言い得ると思うのでございまして、そういう意味ではどちらかと申しますと、かよう自治大学法というよう方式によりまするよりも、或いは先ほど来お話のございましたような、委託学生というようなことが或る程度実際に即するという場合もあろうかと考えられるのであります。  それから自治大学校で研修をいたしまする職員が一回五十人ということの仰せがございましたが、これは今の計画では一回百五十人でございます。年にこれを大体二回やり得るわけでございますから、そういたしますと三百人ということになるわけでありますが、現在都道府県だけを見て参りますると、課長補佐が約千五百三十三人でございます。従いまして一応これだけのものをやるとしますれば五年間で大体片付くということが言い得るわけでございます。
  27. 加瀬完

    ○加瀬完君 幹部職員の教育として当然必要だということでございますが、それで而も一年には三百人を養成することができるし、大体今の課長補佐クラスを入れても四、五年で一応訓練が終るということでございますが、そういう方法もありましようけれども、むしろそれよりも、例えば中央或いは大府県との人事交流というものをもつと活溌にすることによつて、現在の中央相当経験者というものを地方幹部職員として交流するということのほうが、遥かに私は行政能率を上げることになるのじやないかと思うのでございます。又こういうことも地方自治体を向上さして行く上においては必要だということでございますが、それは不必要だとは私も思いません。併しながらそれよりも現在のように停滞しておりますところの人事をあのままにいたしておきまして、こういうことを幾らやつたところで根本的な解決ができるかということを私は問題にしたいのであります。又次の問題といたしまして、実務養成の内容といたしまして、技術養成はここでやらなくても、委託学生というような方法でやれるということでございますが、そうであるならば、何か特殊なことで特殊な行政事務を必要とするならば、それは成るべく委託学生というふうな方法をとるということもできないことじやないのじやないか。又これは秋山委員からも指摘されたところでありますが、こういつた中央一つの機構を作りますることは、だんだん機構が膨張して行く傾向にあることも明らかであります。そういうことになりますると費用もかさんで参るわけでありますから、そういう費用を中央一つに集結することのほうが一体行政能率を高める現場教育ができるのか、或いはその経費というものを地方補助金なり何なりの形で与えまして、地方々々に同じ目的を達せさせるような方法をとらせることのほうが効果があるということは相当これは問題があるのじやないかと思うのです。なぜ一体こういう方法を特別とらなければならないかということは、只今の御説明ではまだ完全な回答のようには私には受取れないのでございます。併しまあ次長さんもよそから呼ばれておるようでございますから、私のお答えはお帰りになつてからで結構です。
  28. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 向うは非常に急いでおるようでございますから、ちよつと失礼さして頂きまして、又あとで直ぐ参ります。
  29. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大学の学術局長さんにちよつとお尋ねしたいと思うのでありますが、まあ先般来この自治大学校設置法というのが政府から提案されて、私らこれに対する審議をしておるのでありますけれども、この問題について二、三私は疑問とするところがありますのでお伺いいたしたいと考えるのであります。この自治大学校というふうなものは、現在の学校教育法におけるところの学校とみなされるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  30. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 只今のお尋ねの点でございますが、自治大学校は学校教育法に規定されてありまする学校でないと私ども解釈いたしております。大学という文字は使つておりますが、大学校としていわゆる学校教育法の学校でない例といたしますれば、御承知の警察大学校或いは保安大学校、これらがございますが、自治大学校もやはりこれらの系列の一つと私どもは考えております。    〔委員長退席、理事堀末治君着席〕
  31. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、学校体系というふうなものを全般的に考えて行つたときに、この自治大学校というふうなものはどういうところに位置するかということになつて来るのでありますが、この点についての見解はどうですか。
  32. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 本法の第一条を見ますと、これは単に再教育だけをやる機関のようでございます。兼ねていろいろ所掌事務として調査等をいたします。むしろこれは学校という機能とは全く違つたものじやないかと思います。御承知のよう学校は勿論学生の養成をいたします。同時に再教育もいたし得るのでございますけれども、かくのごとく学生の養成というようなことをいたしませんで、再教育のみから出発いたしまする機構は、これはいわゆる学校系列の外にあるものだと私どもは考えております。
  33. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、学校教育法に定めてあるところの学校というふうな場合には、いずれの場合においても設置基準というふうなものは私は考えられるだろうと思います。殊に大学と名のつく場合には相当やかましいいわゆる大学設置委員会というようなものがありまして、相当これは設置基準については手厳しいところの吟味がされるのであります。そういう際に大学校という名称を用いて設置されるというふうな場合には、これはやはりそういう設置基準に準じたようなものによつて一応吟味しなければならないと思う。学校と名のつく以上は、そういうふうなものは大した設置基準として備わつておらない場合に、学校という名称を用いることについてはどういうふうなことになるのですか。
  34. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) これが先般御指摘ように、若し大学でありますれば、大学基準によらなければならないと考えております。ただ私どもが解釈いたしますのは、これは学校教育を行うものでないので、学校教育法の全然適用外でございますから、学校教育法の予想いたしますその各種の学校の基準というものは、この場合考えの外に置かなければならないものと考えております。
  35. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういうふうな場合に、学校という名称を用いることについてはどうお考えになつておりますか。
  36. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 学校教育法第八十三条第二項には、「各種学校その他第一条に掲げるもの以外の教育施設は、第一条に掲げる学校の名称を用いてはならない」と、こうあります。これが学校教育であり、大学でありますれば、大学にあらずして大学ということはいけないのでございますけれども、大学校と言つておりまするし、その内容は第一条に明らかでありまして、この間混淆する憂いのないものでございますから、従いまして私どもはこの大学に関する名称の禁止は、この場合は当てはまらないものだと考えております。
  37. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 法的に考えて、そういうふうに大学校ということが差支えないということになりましても、世間の常識的に考えまして、一つ学校には、学校教育法の第一条からしてはつきりしておるのです。そういうふうなものと非常にまぎらわしいものになつて来るのではないか。その点については学校の体系上、文部省としてはこれは禁止するべきものではないけれども、こういうふうなものは成るべく使わないほうがいいだろうというお考えがあるのか、使つても一向差支えないというお考えなのか。
  38. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 若しこれが一般の学徒を収容いたしまして、教育を行うものでありますと、世人に対しまして非常に誤解を生じやすいので、そういう場合には私どもも十分警戒しなければならないと思つております。ただこの自治大学校は、ここに入つて参ります者は現職の地方公務員であつて地方団体或いは地方自治庁あたりで所管せられまして、一定の者が入つて参ります。従いまして一般の学生生徒が誤解を起して、ここに入り得るのだと思いましたり、或いはここを一般の学校教育を行うものだというような虞れがないものですから、法の第一条その他において、余りに一般の学校とは性質が違うことが明らかでありますから、私どもはこの際警戒しないでもよろしいのではないかと思つております。
  39. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 こういうふうな例は、警察大学校というようなもののほかにまだありましようか。
  40. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 現在ございますのは、警察大学校、保安大学校、海上保安大学校、この三種と考えております。
  41. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大学校についてはそれだけでありますけれども、大学の付かない学校というのは他にありましようか。
  42. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 運輸省所管でございまして、船員の再教育をいたしております海技専門学校という再教育のみをいたします施設があります。
  43. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 更にもう一点伺いたいのは、学校というふうな場合には、これは当てはまらんというようお話であるから、或いは私の問うことについては、そういう心配は要らんということになるかも知れませんけれども、大体我々の頭に考えられておる学校というふうなものになりますれば、学校の経営とか運営とかいうような場合には、学校自体に、或いは校長なり、或いは大学で言えば学長なり、そういうふうなものに自主的に運営して行く部面が考えられる。ところがこの自治大学校は、政府が直接にこれをいわゆる学長なども自治庁長官がいろいろ命じて、そして学校の校務などを処理させる。こういうふうな形は我々としては余り例を見ないように思うのでありますが、こういうふうな行き方については、文部省としてはどういうふうにお考えになりますか。
  44. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 学校教育につきましては、教育基本法の条章もございまして、教育の自主性というものが非常に尊ばれる性質のものであることは勿論でございます。ここに制定せられんとしております法案自治大学校は、先ほど来申上げておりますように、学校教育にあらずというよう考えに立ちました場合には、一般の学校に通じます性質というものはここには当てはまらないでもよろしいのじやないかと思います。
  45. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それでは最後に伺いたいのは、こういうふうな職員の組織から考えて、或いはその他の設備、こういう面から考えまして、どうも従来我々として考えられておるような、それは学校教育法にあろうがなかろうが、学校という観念からいたしますれば、全く体をなしておらないものに対しては、自治大学校という名称をかぶらせることについては、むしろ私は講習所とか、養成所という程度のものじやないかと思いますが、どうでしよう。そういう点から考えて、この名称についてのお考えを伺いたいと思います。
  46. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) それらの感じにつきましては、いろいろな御意見があろうかと思うのでありますが、我我といたしましては、大学校は大学にあらず、又学校にあらずという建前をとりまする以上、学校教育の規範を以てこれを考える必要もなかろうかと思うのであります。
  47. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 よくわかりましたのですが、文部省と自治庁は相談しておるのではなかろうかと思うのですが、ところが実際において、先ほど自治庁次長さんの御答弁の中にも、自治大学と言つたり、自治大学校と言つたり、いろいろ混ざつておるのです。そういうことが民間においても相当こんがらがる点があるのじやないかと、こういうことを心配するのです。
  48. 秋山長造

    秋山長造君 文部省のほうでは、現在ここで謳われておるような目的のために、地方県庁なり或いは市町村等から、国内留学というよう意味で、国立の大学、特に東京とか京都あたり大学委託学生を派遣したいというような希望が出た場合に、それをお受入れになる御意思があるかどうか。
  49. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 大学運営行政は法上、大学に任せております。大学自身が或いは余裕があり、それが適切だと考えまする場合には、受入れるだろうと思います。現に私ども承知いたしておりますのは、京都大学でございまして、あの附近の公共団体職員を入れております例がございます。そのほか私存じませんけれども、大学に余裕があり、準備がありますれば、勿論受入れるべきものだと思います。
  50. 秋山長造

    秋山長造君 ちよつと私続いてお尋ねしますが、そういう場合に、やはり委託学生として受入れる場合と、一般の学生が入学する場合との扱いは、やはり委託学生の場合は何か特別に大学のほうで便宜を図られるとか、或いは文部省として特別なる扱いをしたほうがいいだろうというような示唆を与えられるとか何とか、そういう考えがございますか。
  51. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) まあ関係行政庁から御依頼等がございました場合には、大学に対しまして、委託学生受入という点について、できるだけ便宜を図つてもらいたいということは、御依頼申上げることはございます。例えば警察関係その他においてもそういう例がございます。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治庁のかたによろしうございますか。……そういう委託制度というものを今現実に認められておるといたしますと、そういう制度を利用することを避けまして、今問題になりました大学校を設置いたしました理由は何でございますか。
  53. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) お答え申上げます。今の御質問の点は、昨日の御質疑の中にもございましたが、実はこの大学校設置法案を作ります場合にも、同様な意見が政府部内にございまして、私どもも大学委託学生でやるというような行き方も、これは十分研究に値いするのじやないかという工合に考えましたのでございますが、ところが先ほど来次長からいろいろ御説明もございましたように、地方公務員幹部職員としての研修ということになりますと、単に地方自治なり或いは地方制度に対する一般的な学問の純理論だけの教育では、これは困るのではなかろうか、又現に地方団体地方研修機関から要望しておりますところの、飽くまで地方行政実務と関連した実務研修をやつてくれと、こういう要望で、中央研修機関設置の要望があつたわけでございます。従いましてそういうような点からいろいろ考慮しまして、これはまあ一般の大学の委託よりか、実務研修機関としての大学校を作つてつたらどうだろうかということになつたわけでございます。まあ大学校という名称自体につきましても、同様法案を提出いたしますまでにはいろいろ経緯もございまして、いろいろ異論もありましたのですが、強いていろいろ申上げますれば、先ほど次長からもその経緯についてはお話がございましたが、この研修機関は、先ず府県に一般の初任者の研修機関としては、自治研修所とか自治講習所という研修機関がございまして、最近東北ブロツクあたりでもお考えになつておられて、ブロツクで各府県研修を始めようということで、より高度の研修をやつておるように聞いております。それから又ほかのブロツクでもそういうふうな研修機関、県で行う研修より少し高度のものをやつて行こう、こういう考え方があるのです。従いましてそういう研修機関の上に、これらと相協力して地方公務員研修効果を大いに挙げて行こうと、その府県研修機関、ブロツクの研修機関の上に立つ最高の、高度の研修機関として設置をしたい、そういう大体の段階的な構想もございまして、それで自治大学校というのが最もふさわしいのではあるまかと、こういう工合に考えておるのでございます。
  54. 加瀬完

    ○加瀬完君 あとはやはり内容の繰返しになりますから、次長が帰つて参りましてから伺います。
  55. 秋山長造

    秋山長造君 お伺いしますが、自治大学校の講師ですね。予定されておる講師の陣容というものは、この説明書を見ると、常勤講師二名くらいで、あとは全部嘱託講師ということでおやりになるようですが、その通りですか。
  56. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) この講師の問題は、非常にむずかしい問題がございますのですが、大体先ほど次長から御説明がありましたが、その科目といたしまして、大体基礎学的なものを一つ考える。
  57. 秋山長造

    秋山長造君 基礎学的なものというのは具体的にどういうことですか。
  58. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 具体的に申しますと、例えば憲法でございますとか、これは昨日詳細に申上げましたが、憲法とか、行政法とか、財政学とか或いは経済論とか、社会政策とか、政治学或いはまあ統計学とか社会学、そういつたよう学科、こういう学科につきましては、もつぱらその各大学の教授のお方々とか或いは民間の学識、御造詣のある人に依頼する部分が多いのではなかろうかと思います。次には地方行政の一般論と申しますか、これも昨日申上げましたがいろいろ地方税、財政制度であるとか、或いは選挙制度、或いは議会制度、或いは都市経営、農村経営、それから国土計画とか、地方計画、或いはその自治制度の全般の運営論、こういう学科につきましては、大体専任の講師がおりまして、その主要な部分をこの講師のかたにお願いしたい、こういう考えをしておるわけです。それから各部の教育行政とか商工、労働、各省庁のいわゆる各部行政につましては、これはまあ各省の責任者の方々に講座を担当して頂くのが最もふさわしいのではなかろうか、かよう考えております。それから次には一般のいわゆる管理論でございますが、例えば組織或いは人事管理、事務管理、財務管理、それから法制実務とか、公営企業、こういうよう学科につきましては、これはまあ相当専門的な科目でございますから、これはまあ専任の講師に主となつて教えて頂く、かよう考えております。勿論常時半年間研究をやります場合には、いろいろ時間の都合も、時間が空きましたりいろんな場合が想定されますので、その間彼比融通して行かなければならんことが多いかと思いますが、大体の考え方としてはそういうふうな考え方を持つております。従いましてそういう専任講師につきましては、単に学理、理論だけを専門になさつておる方々でも十分ではございませんので、更にできますなら地方行政についての経験を持つたおかたで、なお且つ或る程度そういう地方自治について理論的な御研究もなさつておる、こういうような線から人選を進めて行きたい、かよう考えておる次第でございます。    〔理事堀末治君退席、委員長着席〕
  59. 秋山長造

    秋山長造君 今大体の内容を伺つたのですが、そうしますと、これだけの各般に亘つた講義を半年間でおやりになる場合、大体講師の人員というのは何名くらいになるのですか。嘱託、専任両方合せて。
  60. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) お答え申上げます。大体基礎学的なものにつきましては、先ほど申上げました各学科別に御一人のかたにお願いするようになるのではないかと思います。それから各行政論でございますが、これも個々に挙げました七つの行政論を置いておりますが、まあ大体こういう数の責任者のかたにお願いしなければいかん。
  61. 秋山長造

    秋山長造君 これは専任ですね。
  62. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) はあ。それから地方行政一般論と、管理論専任の講師が二名おられるわけです。それから更に基礎学といたしまして、いろいろ先ほどお話も出ておりますように、一般的な教養なり常識を与えるように努力もして行かなければならないと思いますので、例えば自治の問題を捉えます諸講は、場合によりますれば、歴史、文学そういうようなものについても自由な講話の時間を置きたいと思いますので、これらの講師の方々も相当お願いしなければいかんのではないか、かよう考えております。
  63. 秋山長造

    秋山長造君 この中で内容的にも相当問題があると思うのですね。例えば基礎学として憲法あたりがありますが、憲法なんかにしても今の日本国憲法の解釈にしても、第九条の問題なんかは、ああいうような猫の目の変るように解釈が成り立つし立場々々によつて非常に勝手のいい解釈をこじ付ることがはやつている、まして自治庁長官が直接監督の下にやる憲法の講義なんというものは実に危険がある。それから特に政策的な面ですね、社会政策、農業政策、こういうような面になりますと、政策学なんかは、特に学者は一応政治的なものの束縛を受けない環境と立場でやらなかつたら、とにかく時の政府の都合のいい政策学ばかりやる。だから恐らく自治庁長官がこういうことを進んでやらせれば、恐らく気に入らん学問体系を持つた学者は喜びませんよ。政府の都合のいい学者ばかり呼んで御用的な政策学ばかり吹込む、これは火を見るよりも明らかです。それから各部行政に各省の役人を嘱託するとおつしやるが、結局こうなれば、国は何をしようとしているかと、地方団体は国の方針に如何に順応すべきかということばかり教育するのであつて地方自治体自身の自治の進展とか、向上とかいうことは二の次になると思うのです。とにかく中央に都合のいい工合に、中央のきめる順序に当てはめたよう地方行政のあり方ばかり教育して行くのじやないかということに堕する虞れが非常にあると思うのです。ですから、とにかく内容的にも私ら大いに疑問を持つている。
  64. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) お説のような虞れも必ずしもないとも言えないと思うのでございますが、(「大ありだよ」と呼ぶ者あり)ただこの自治大学校の運営につきまして、先ほど次長から御説明申上げましたように、例えば科目の構成にいたしましても、講師の人選にいたしましても、一応運営審議会にもお諮りしたり、その他我々も慎重に検討いたしまして、さような危険のないよう考えて行きたいと思つております。それから各部行政論につきましても、決してこれは中央の立場から説くというよりか、むしろ自治体を主とした各行政論を教えて頂くような行き方をとつて行きたい、例えば各省にもいろいろ各地方課という課があるようでございますが、いろいろ地方の立場に立つて行政事務の執行を見ておられる部分もございますので、成るべくその行き方としては地方自治体から見た各部行政はどうなつているかというような、全般の姿で是非これは教えて行かなければいかんのじやなかろうかと、かよう考えております。
  65. 秋山長造

    秋山長造君 これは水掛論になるのですが、次長帰られるまでの時間潰しに……。だけどこれは今おつしやるけれども、地方自治経験のない中央役人が、地方自治に向いたような教育ができますか。官治行政ばかりやつて来た者が地方行政ばかりやつて来た者に向つて地方行政に一番よく当てはまる教育ができるかどうか。やはり中央の官治行政の線にはまつて来るよう地方行政の教育をやるということに実際問題としてはなりはしませんか。
  66. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) ちよつとお断り申上げておきたいと思いますが、これは研修科目の内容は、只今私どもが検討いたしました、現段階に一応御参考に我々はここまで研究しておるという試案でございまして、将来なお更に研究して行きたいと思つております。それから各部行政は成るほど教えますけれども、主として私どもは地方行政一般論に重点を置いておりまして、ただ地方行政の一般論だけ教えたんでは十分でないから、一応幹部職員には各部行政に対する常識もなければいかんという意味から各部行政論を今考えておる次第でございまして、決してここに重点を置いておるわけではございません。
  67. 加瀬完

    ○加瀬完君 お話を承わつておりますと、どうも自治庁考え方は、国家行政の委託事務としての地方行政前提として考えておつて、そこから立論を進めておるようにしか受取れないのですよ。そうでないならば、むしろ今の行政法といつたようなものを考えましても、行政法というもので一体地方行政というものが本当に正しく取上げられ、正しく意味付けられておるだろうかということを考えると、非常に地方行政という面では、まだ未開拓の面が多いということを頷かざるを得ないと思う。そうすると、その未開拓の地方行政というものの問題を残しておる、行政組織なり行政法というものを自治庁というものだけで、地方行政官に訓練をして行こうという考え方というものに、先ず検討を加えなければならないじやないかという反省が、自治庁としては先ず第一に行われなければならないじやないか。そうではなく、一地方行政官そのものに大学なら大学に、或いは研究所なら研究所に飛び込ませて、地方行政の面から見たところの各いろいろの経済の面なり或いは財政学の面から、或いはそれぞれの法律の面なんというものを研究させるという制度を確立して、その補助を第一歩として出発させるということから考えたほうが、本当の自治の振興ということになるのじやないかと思われるのです。どうもそうでありませんと、六カ月の間になかなか四年の大学の課程でも問題があると批評されておる現在、たくさんの法律から経済までも含めて、或いは政治学といつたようなものまでも含めて押込められては思考力というのが全然なくなつちやうのじやないか、それから自由選択の研修なんかもできないのじやないか、そうしたら六カ月詰込まれたものを一番いいものを地方に持つてつて、それでやられちや、これは又泣くのは国民という虞れすらもあるのです。昔の陸軍大学校や海軍大学校と同じようなことが、今度は形を変えた自治大学校というようなことで、庶民の上に被つて来てはやりきれないという憂さえも私は感じるのですがね、どんなものですか。
  68. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) これはまあなかなかむずかしい問題でございまして、この科目の選定につきましてもなお十分検討して行く余地があると私ども考えておりますが、それから又教授の方々でございますが、これもまあ講師に一定の限界がございまするし、そしてどういうやり方で教えて行くかということになりますると、非常にまあむずかしい問題でございます。併しまあ最近の大体研修の方法は、一般的に申しまして、成るべく講義式ではなくて、ゼミナール式の研修になつておるようでありまするので、大体講義のやり方としてはゼミナールのよう方式で自由にデイスカツシヨンのできるよう方式でやつていきたいと考えております。それで勿論内容を見ますと、いろいろ各省庁の行政論を中心に教えるような体系になつておるというお話もございますが、これは私の説明もまずかつたと思いますが、決して各省庁の行政論を中心には置かない。成るべくこれはもう地方自治の諸制度運営、そういうものを中心にしてやつて行きたいと思つております。まあ全般的に大学校の教育を、この研修をどういうふうに構成して行くかという問題につきましては、私どもも非常にまあ苦心を現在しておりまして、更にまあ運営審議会でもできましたら、十分に御議論を願つて最も効果的な研修に我々持つて行きたいと、かよう考えております。
  69. 加瀬完

    ○加瀬完君 次長が参りませんから、さつき次長に伺つた内容に若干触れることでありますが、課長さんに伺いますが、自治庁説明は、さつき秋山委員指摘しておりました通り、地方自治主体と言いますか、中心市町村にあるということを力説されておるわけでありますけれども、この自治大学校で訓練されまするところの対象は主として都道府県職員ということになると思います。で、自治庁自治庁として考えて、地方自治の一番の中心であるという市町村吏員訓練都道府県任せにして、自分では特別にやらなくてもいい、自力でやれるよう都道府県のほうの公務員だけを特別にこういうものを作つてやるということは、やはり痛くもない腹を探られることにもなるのじやないかと思いますが、それは一応おきまして、一体なぜ自分たちが一番中心だと思う者の訓練を確実に取上げてやるように計画を進めなかつたか、この点。
  70. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) お説のよう自治大学校におきましては、先ず第一次の地方公共団体である市町村中心にすべきであると、こういう考えも確かに私は十分理由があると思うのでございます。併しながら先ほど秋山委員からのお言葉にもありましたのでございますが、個々町村がその職員を半年もそういう研修に出すにはいろいろ財政その他の都合がありまして、事実上困難じやなかろうか、それから又それほど高度の研修町村職員に必要であるかどうかということも、只今秋山委員お話にもあつたわけであります。従いまして私どもはまあ町村職員につきましては、先ず府県研修所を作つて頂いて、その手近かの府県研修機関で十分研修して頂くように、我々もこの自治大学校を通じまして、府県研修機関を指導して行きたい、そういう場合に町村職員研修は、こういう工合にやつたほうがよろしい、それから又その内容、科目等はこうあつたほうがいい、或いは場合によつては、講師府県に御斡旋してもいいと思つております。そうして第一次的に府県でやつて頂くということは、これは建前として現状に即しておるんじやなかろうか。それからいま一つ府県職員研修するということは、延いてその府県職員地方自治に対する認識を持ちまするから、従いまして市町村地方自治の伸張にも又役立つのではあるまいか、こういう工合にも考えております。それから又これは先ほど次長からのお話にもありましたが、例えば町村の議長会とか町村会とか、そういう県単位のもの或いは全国的な組織の代表者、そういう職員につきまして自治大学校で研修をして行つたらと、こういう工合に考えておりまして、決して市町村を論外に置くというよう考えは毛頭持つておらないわけでございます。
  71. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこに自治庁の随分矛盾があると思うのですよ。市町村地方自治体においては中心だとおつしやるのであるならば、市町村というものと国というものと県というものに段階はないはずです。若し段階を付けるならば、市町村にウエイトをおくべきである、ところが説明は一貫して国、県、市町村という曽つての官治統制時代の段階考えておるように思われるのです。思われるんじやなくて考えておるのです。そこで今のお言葉の中でも、市町村についてはそれほど高度の研修を必要としないというけれども、自治体の中心市町村で、市町村自治の振興ができなければ、自治体の振興がないというならば、もつと高度の研修というものを必要とするのはむしろ市町村でなければならない。自治庁ともあろうものが、それほど町村には高度の研修を必要としないというふうなことは甚だ私には肯けない言葉であるのです。市町村というのは一つの面なんで、面というものを放つておいて県のような点みたいなものを、点は絶対にそれ以外にはならない、そういう考え方というものは腑に落ちない。そこで予算の面とか或いは手近くやる方法とか、いろいろなことがあると思いますけれども、予算の面とか手近かにやるという方法は、これは仕事をして行く上には、目的のためには第二、第三の問題でありまして、一体地方公共団体というものを振興さして行くためには、どういう方法を第一義的にとらなければならんかということを考えてやつて頂かなければまずいと思うのです。
  72. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 先ほど町村職員にはさほど高度の研修は必要でない、こういうことを私が申上げたと、こういう工合にお聞取りになつたようですが、これは秋山委員のお言葉をお借りしたわけでございまして、私どもはまあ事実、場合によりましては府県職員と同じレベルで研修をやつて行くわけでございますから、従いましてそれがそのまま町村へ帰つて役に立つかという問題については、その実情に応じまして、そういう場合も、只今秋山委員のおつしやつたような場合もあり得ると思うのでございます。併しながら決してそういう高度の研修は不必要だということは私は申上げなかつたつもりであります。
  73. 加瀬完

    ○加瀬完君 どつちに中心をおくかということですよ。現在の地方団体を振興させるために、都道府県公務員を教育することが大切か、市町村吏員を教育することが大切かということなんです。私は市町村吏員こそ教育を必要とする多くの場面を持つているのじやないかと思うのです。又これを教育することによつて遙かに民衆に大きな幸福を与える場をも持つているのじやないかと思うのです。これを捨てておいて、市町村から比べれば点のような県の公務員だけを扱つておるというのは、どうも腑に落ちないというのですよ。
  74. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) この問題につきましては、先ほど鈴木次長からもお話がございましたが、決して町村職員は除外するんだという考えでも全然ございませんので、全く同じように入れて行きたい、併し差当つて今年度は予算その他の関係もございますので、差当つて都道府県、五大市の職員中心にならざるを得ないだろう、併し将来予算措置もできまして、相当充実できました場合には、市町村職員任命権者要望がございますれば、決してこれを拒むものではなくて、同時に入れて行きたい、それと同時に現在全国町村会或いは町村議長会等で講習をやつておりますが、最近も、自治大学校が若し将来できるようなら、こういう講習は自治大学校と一緒にやつてくれないかという要望もございますので、私どもはそういう要望も大いに賛成でございまして、そういう場合には全国町村会と共同でそういう研修自治大学校でやつて行きたいということも考えております。それから又先ほど次長お話にもございましたように、将来は通信教育その他もやつて行きたいと、かよう考えております。
  75. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治庁のお考えは、自治大学校というものができるとすればという前提によつて、今年は都道府県の者を入れるけれども、来年は幾らか隙間を作つて市町村をも入れないわけではないという御立論なんですが、僕らは立場が違う。市町村というものに主体を置くときに、自治大学校というものが必要であるかということが出て来るが、その検討をしたのかしないのかということを聞いている。次長さんが参りましたから、さつきの質問と若干重複するんですが、さつき秋山委員から指摘いたされましたように、自治庁の御説明を今まで承わつておりましたところでは、その御精神は、地方自治体中心は飽くまでも市町村であるから、市町村というものを育成して行かなければならないというお立場をとつてつたように私どもは聞いておつた。ところがこの自治大学校においては市町村というものは、そつちのほうへかたされてしまいまして、都道府県公務員というものを中心に大体計画が運ばれている。そこで自治庁の今までの考えとは若干齟齬する場面があるんじやないか、そこで市町村というものを今までのよう考えるならば、こういつた自治大学校という極く少数の者しか収容できないような制度というものを作つたところで、市町村公務員訓練には甚だ完璧を期することはできないだろう、それならば、ほかに方法があるんじやないかと我々は考えられるのだが、あえてこの方法をとつたのはどういうわけか、こういうことです。
  76. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この市町村府県関係についての考え方から問題が起つておるようでございますが、先般来申上げました市町村自治基本であるということは、地方自治というものを全体として考えまする場合に、シヤウプ勧告以来の一つ考え方として、我々も町村合併促進法を御制定になろうとしておられるこの参議院のほうの見解に、そういう意味では全く同じ考え方を持つておるわけでありまするが、併し現実の問題といたしましては、中央政府と市町村だけで事が運ぶわけでは勿論ないわけでございまして、やはりこの府県という中間の単位の段階の、地方団体のその間におきまする力というものは、これはもう極めて大きなものがあると思うのであります。勿論府県の性格でありますとか或いは府県の規模というようなことについては、いろいろ御議論が現在あることは事実でありますけれども、併し府県におきまする行政はその七、八割というものは、やはり国政事務に直接連なるもの或いはそれ自体国政事務であるというようなものが多いわけでありまして、この団体における行政が民主的且つ能率的に行われるかどうかということは、やはり一面国の立場からいたしまするならば、非常にこれは大きな関心を持たざるを得ないわけでございます。市町村におきましては、勿論自治基本的な単位といたしまして、これを最も重視いたさなきやならんわけでございまするけれども、重視するということは、中央が直ちに市町村それ自体の職員を取上げて直接研修をするということにはならんわけでございまして、やはりこれは市町村職員について、殊に町村職員につきまして、最も中心的な研修の職責を持つものは、これは市町村の連合会或いは府県であろうと思うのであります。今日の実際におきましては、府県研修機関を作つて市町村職員研修しておるというのが実情でございます。理論的には府県市町村は対等であることが、いろいろな御議論もございますが、実際においては府県のそういう役割を無視しては、今日の制度の下におきましては行政運営することは困難でございます。そういう意味におきまして、市町村職員研修主体は、今日ではやはり都道府県にこれを置く。第一次の研修機関としては府県中心考える。従つて勢い高度研修機関である自治大学校というものに対しては、市町村としてはどうしてもやはり第二義的になるほかはない。勿論今日でも全国町村会或いは全国町村会議長会或いは全国市長会、市議会議長会というようなところで、それぞれ夏季等におきまして、一週間程度の或いは五、六日程度短期講習をいたしております。これはやはり地方におきまして、現実に適切なる講師が得られないというところに根本の原因があるわけでございまして、そういう意味でやはり市町村職員につきましても、短期講習という面において、これは本来の高度研修という点から言うと、若干それるわけでございますが、やはりこういうよう講師施設を持ちまするならば、そういうものに対しても研修をするということが適当であろうと思うのであります。何故に然らばその自治大学校を作らなきやならんかという点を、特に加瀬先生お尋ねでございますが、私どもといたしましては、やはり今のよう考え方から国としては、この際府県職員、五大市の職員というものを第一義的に研修をいたす。それについてはやはり相当高度の研修というものを、国の必要からいたしても或る程度考えて行かなきやならんと同時に、それが又府県自治行政水準を高めるゆえんのものになる。要するに両方の目的がそこで達せられるというふうに考えるのであります。市町村職員に対する研修というものは、やはり府県庁職員が、実務研修等につきましては或る程度の力を持つておるわけでございまするので、そういうよう考え方で参りたいというふうに思つておるのであります。これは独り私どもがさよう考えるというだけでなくて、自治庁には御承知のよう自治庁参与というのがございまして、ここには全国の地方自治団体の六団体の代表者と四人の学識経験者が加わつておるわけでございますが、そこでこれらの問題につきましても、篤と論議いた上た末、かような案を国会に提出いたしたような次第でありまして、これらの団体におきましても、これをいずれも要請しておられるわけでございます。
  77. 加瀬完

    ○加瀬完君 暴言をお許し頂くならば、語るに落るということがございますが、次長は、結局国家行政の委託事務の担当しておる面が非常に都道府県は多いから、これらを国家行政能率化の上にも教育をして行かなければならないという意味のお言葉があつたのでございますが、結局自治大学校の設立の趣旨というものは恐らくそこらにあるのではないかと思う。そうであるならば、非常に自治大学校というものは、一体、地方自治の本質的な発展のためになるのか、国家事務能率化、下請け機関としての地方行政能率化させるために位置付けられたものかという、大きな疑問が又生れるわけであります。これは議論になりますから一応おくといたしましても、逆に私は伺いたいのであります。それならば、現在の市町村公務員都道府県任せの現在の研修状態において、自治庁は満足な状態であるというふうに考えるのか。それとも都道府県は現在研修機関を持つておりまするけれども、それと市町村職員研修状態と比べて、甚だ都道府県のほうが市町村公務員よりも研修状態が見劣りしておるという御認識でございますか、その点……。
  78. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 市町村職員に対しまする研修の現状は、必ずしも現状で満足な状態だとは申せないと思うのであります。これはやはり先ほども申上げましたように、現地に適当な講師がいない或いは教材等についても適当なものがないというような件が少くないわけでございまして、そういうようなところでは、この自治大学校の考え方といたしましては、やはり講師の斡旋をいたしましたり或いは各種の資料を交換し或いは提供するといつたような便宜を地方研修施設にも与えようという考え方を持つておるわけでございまして、そういうことによつて、今の市町村職員に対しまする研修ということもだんだんと引上げられるであろうというふうに考えるわけでございます。
  79. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういう点からいたしましても、それならば、地方研修施設の充実と自治大学校の設立とどつちが有意義だとお考えになりますか、もう一度申上げますと、現在ある地方研修機関の施設内容というものを充実させるような方法を講ずることと、そうでなくて、現在ある地方研修状態は現在のままにしておいて、中央自治大学校を置くということと、どちらが地方のためにおなりになるとお考えになりますか。
  80. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはいずれもゆるがせにいたしてはならんと考えます。中央におきまするかよう施設も、先刻来いろいろ申上げるように、私どもは今日の段階では新しい姿の自治体と中央との結付という点から考えましても、かよう地方公務員の養成と申しますか、資質の向上を中央地方が一緒になつてやるという一つ施設が必要であると考えまするし、又市町村につきましては、今の府県単位、要するに中間の単位におきましての研修というものを今後更に力を入れて行く、これは両々相待たなければならんと思う。一方だけやれば他方はやらんでもよろしいというものではないと思うのであります。
  81. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは勿論そうなのです。併し現実の地方自治体の状態におきまして、自治大学校というものを、先に国家予算のはつきりした裏付を以て御提案のような内容をお作りになることと、そうではなくて現在都道府県にありますところの地方研修施設というものを充実させて行くことと、二つのうち先後をつければ、どちらをおとりになつたほうが、特に市町村公務員研修或いは資質向上という面から有意義だとお考えになりますか。
  82. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) やはりこの地方研修として今一番欠陥と考えられまするのは、或いは将来困難と思つておりまするのは、やはり先ほど来申上げまするように、人的、物的なこの講師、教材の適切なものがないということだろうと思うのであります。勿論府県も楽ではございませんから、さよう研修をいたしますことについては、応分の負担が生ずるわけでございまして、それは苦しいと言えば苦しいわけでございますけれども、併し多くの府県におきまして、さよう研修を事実やつておるわけでございまして、さようなところからいつも出て参ります声は、今申上げましたよう講師の不足と、或いは教材の不足と、適切なものに欠けるということであります。そういうようなことにつきましては、やはり自治大学校におきまして、それぞれの実際の講師、その面もこれは便宜になると思うのでありますが、そういう講師地方に派遣をするという便益が得られまするし、又自治大学校の附帯的な研究施設における資料の収集、或いは便宜の交換というようなことで、やはりそれを地方研修機関に反映するというようなことによつて地方研修をよりやりやすくするということができると思うのであります。そういう意味で私どもはどちらが優先するか、どちらが重要であるかということになりますれば、先ほども申上げましたように、やはりこれは両々相待つて進んで行かなければならん、今までは中央におけるさような仕組が欠けておつた、これをやはり考えて行くということによつて、同時に府県単位における研修も向上して行くというふうに考えるものでございます。
  83. 加瀬完

    ○加瀬完君 参加しない府県もあると予想いたしまして、四十何都道府県がお説のように出したといたしましても、一年三百人が都道府県にばらまかれましても、これは町村までにはとても及ばないわけであります。仮にそうではなくて、現在の地方研修施設というものを三百人の半分にいたしたところで、数千人というものが市町村研修終了者として行けるわけになるわけです。こういう方法をとることのほうが、私は、議論になりまするけれども、遙かに市町村のためになると思うのです。で、予算は、自治大学校を作る予算があるのでありますから、市町村吏員を派遣いたします際の予算の裏付というものは、当然考え考えられないわけのものじやないと思うのです。根本考えは、国家の委託事務というものが都道府県には非常に多いから、これを能率的にさせようというよう考えがどうもあるように思われるのです。それでは今まで次長さんがたびたび御説明なさいましたような、自治体の振興は市隣村の振興を待たなければ駄目だ、地方自治体中心というものは市町村にあるのだという御議論とは、どうも裏腹になるように思われるのです。
  84. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の点でございますが、要するにこの自治という建前から申しまするならば、何が基本であるかと言えば、これは市町村基本であると私どもも深く考えておるのであります。併し国家全体の行政というものは、やはり中央政府と、その中間単位における地方団体と、それから市町村と、やはりこの三つの担い手がいつもよく動かなければ、国全体の行政というものは成り立たないわけであつて、これは中央がやりましても、府県がやりましても、市町村がやりましても、それは結局やはりそれを享受するものは国民であり、地方住民であるわけであります。ですからその市町村が重要だから市町村研修をやればいいのだ、それを第一義的にやるのだという考え方は、私は必ずしも適切ではないと思うのでありまして、これは府県市町村も共に、これを考えて行かなければならんと思うのであります。それから国家事務であるから、国家事務に従事する府県公務員研修するのだ、だからこれは何か中央集権的であるというような若し考え方でございますると、これは必ずしも当つていないと思うのでありまして、やはり府県におきまする事務は、その性格が国家事務といい、或いは府県自治事務といいましても、これは法律上の構成或いは予算上の建前において、さよう建前がとられているというだけで、それを実際に受ける地方住民の立場から申しますならば、これは国家事務という建前で処理されておりますものでありましようとも、或いは自治事務という建前で処理されておるものでありましようとも、やはり同じことだと思うのであります。そういう考え方国家事務をやるのだから、府県公務員研修するのだという考え方では勿論ないのであります。要するに国としてかような負担を出して、地方公務員研修施設をやるというその気持は、やはり予算的に或いは法律的に、府県等に七、八割もの多くの仕事を担当してもらつておる、だからその地方公務員研修府県だけに任しておかないで、国も応分の負担をして、人的にも物的にも協力をして地方公務員研修を行おう、こういうのが根本考え方であるのでございます。
  85. 加瀬完

    ○加瀬完君 一人で長くなりまして、これでやめますから。只今のお説のように国と都道府県市町村、三つが動かなければならないということは当然でございます。併しながらこの第一条にもありますように、「地方公務員資質を向上し、勤務能率発揮及び増進を図り」とあります裏には、現状の地方公務員資質においては、勤務能率が必ずしもフルに働いておらないという前提があるから、この条文が生れたと思うのです。そういたしますと、そういう設置の目的の一番重点に取上げられるべきものは、一体都道府県市町村と、このうちで一番動かないのは、能率の低いのはどれかということが前提として問題になつて来ると思うのです。そして一番能率の低いものの第一に、教育の対象が求められなければならないと思うのです。そうなつて参りまするときに、都道府県市町村と比べて、都道府県市町村よりも事務能率が遙かに低いということがどうして出て来るでございましようか。これだけ伺います。
  86. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 勤務能率が高い低いということは、やはりこれは相対的な問題であると思います。府県市町村職員勤務能率を比較して、府県のほうが低い、低いからここを第一義的に研修をするのだという考え方に立つものではないのであります。先ほど来申上げまするように、これは府県公務員資質を向上し、勤務能率発揮増進を図ると同時に、これは市町村についても同様のことが考えられなければならんわけでありまして、この府県職員勤務能率が今日低いと必ずしも、そういうまあ比較しての問題ですから、何に比較して低いかということでありますが、別に低いというわけではないので、少くとも今より上に上げるということが狙いでございます。府県についても、市町村についても、それは御指摘ようにいろいろ人事交流なり、勤務条件の改善なり、或いは事務の配分なり、或いは部課の組織なり、職員の配置なり、いろいろの条件が重なつておるわけでございますが、やはり基本的には研修ということを一つの要素として考えて行かなければならん、これは自治大学校についてはやはり府県市町村考えた場合には、都道府県職員中心になる、併し市町村職員についても勿論第二次的の問題として、又将来の計画として考える、市町村職員については、やはり府県単位のいわば高度研修に対する府県単位の第一次研修機関がこれを担当して行くべきであるというふうに考えておるのであります。
  87. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 鈴木さんにお伺いしますが、私午前からずつと欠席しておりまして重複したところがあるかもわかりませんが、第一にこういう制度を設けることは、結局国の方針によつて自治行政までを縛るのではないか、いわゆる官治的なものを中心として教育が行われるのではないかということを懸念いたしますが、この点についてはどういうお考え自治大学校というものを運営せられるかということが第一にお尋ねする点であります。
  88. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 自治大学校が官治的な運営の仕方になりはしないかという御心配でございます。これは七条でございますか、自治大学運営審議会というものを自治大学校に設けまして、自治大学校が真に地方団体の要求に即応いたしまするように、全国的な地方団体の連合会の会長等を以て組織する運営審議会の意見を聞いて、運営して行く、こういうことにいたしておるわけでございます。従つて講習のやり方講師教科の選定その他各般のことにつきまして、この運営審議会に校長が諮つていろいろ処理いたしたいということになるわけでございまして、御心配ようなことはないであろうというふうに、私どもは期待をいたしておるのであります。
  89. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 法律の条文を見ますと、校長が諮問した場合に、そういう運営審議会というものが開かれ、その諮問に対する答申を出すという形になつておるのでありまして、どこまでも運営大学校自体がこれをやつて行くということで、あとは政令で規定されるということになつておるのであります。我々はその政令案、そういうものを何にも存じておりませんので、どういう政令によつて、いわゆる民主的に、或いは地方自治の本旨に即するよう運営が行われるかということが明らかでないから、お尋ねしておるわけでありまして、成るほど組織としては運営審議会というものがあつて、民主的に運営せられるよう考えられますけれども、併し若し極端な場合を考えて、諮問の機会が極めて少いとか、或いは又は大綱だけ諮問して、あとの運営の実際は大学校自体において行うということになれば、折角運営審議会というものがあつても、実は民主的に行われないということになりはしないかということを考えるのであります。政令の案があればお示し頂いたら、多少その疑点が解消するかも知れないと思います。
  90. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 政令案は案の大体の内容を一応今用意いたしておりまするものを申上げたいと存じます。  自治大学運営審議会の組織といたしましては、委員十人以内でこれを組織する。委員は左に掲げるものについて、自治庁長官が任命する。 一 都道府県知事の全国的連合組織の代表者一人 二 都道府県議会の議長の全国的連合組織の代表者一人 三 市長の全国的連合組織の代表者一人 四 市議会の議長の全国的連合組織の代表者一人 五 町村長の全国的連合組織の代表者一人 六 町村議会の議長の全国的連合組織の代表者一人 七 学識経験者四人以内委員は非常勤とする。  それから審議会に会長を置き、会長は委員の互選によつてきめる。  会長は、審議会の会務を総理する。  審議会の会議は、必要のつど会長が招集する。  審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。  審議会の庶務は、自治大学校において処理する。  この政令に定めるもののほか、審議会の議事の手続その他その運営に関し必要な事項は、審議会が定める。  こういうふうにいたしまして、審議会が自主的に会長を選び、自主的に会長が招集をしてきめる、こういう建前にいたしておるわけであります。
  91. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 会長の発案があれば、校長は審議会を開かなければならないという建前らしいのでありますが、併し本法の関係は校長が諮問するということであつて、どこまでも学校自体が主体性を持つておるというふうに読めるのであります。この点は政令案というものと多少食い違いがあるように思われますが、そうではないのですか。
  92. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この運営審議会はやはり諮問機関という性格で考えておりまするので、やはり審議会といたしましては、それ自体が行政機関でございませんから、校長の諮問があつたときに動く、校長の諮問は会長によつて発せられますから、従つて諮問があれば会長が審議会を招集する、こういうよう考え方で今のところ政令案を用意いたしておるような次第でございます。
  93. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 校長が大綱だけ諮問して、あとのことは具体的には自治大学校自体がやるということになりましても、或いは頻繁に開かれないで、年に二回なり四回なりというものを開いても、法律の建前から行けば法律違反ということにならないよう考えられますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  94. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 法律の建前だけで申しますればお説のような結果になると思いますが、併し自治大学校の運営審議会を置こうとする趣旨は先ほど来申上げまするように、地方団体の実際の実情に即するということが狙いでございまするから、やはり校長といたしましても、この運営審議会と遊離しては実際講習を行うことは困難でございまするので、そのようないわゆるあつてもなくてもいい審議会、こういうような感覚で校長としてこれに対処するということはできないのではないか、やはり運営審議会というものが自治大学校の諮問機関ではあるけれども、実質的な運営はここできまつて行くとしうことになるのであります。それは単なる学識経験者だけの審議会ではなくて、それぞれ全国的な地方団体の連合組織の代表者が十人のうち六人、過半数を制しておるわけでございますから、さようなことに実際の運営はなるであろうというふうに期待いたしております。
  95. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それは大変結構なことでありますけれども、併し知事会の代表者といいましても、或いは都道府県の議会の議長の代表者と申しましても、常時東京に在住しておるわけでもありませんし、市長会、市議会議長或いは町村会長、或いは町村議会長というように過半数を占めておりましても、常時これらの人達が東京で顔合せができるというような状態に置かれてありませんから、結局過半数はそういう地方実情に即した意見を持つておりましても、現実の場合にはやはり東京の在住者という人の出席如何によつて、或いはそういう人たちの意見の如何によつて物事が決定されるのであつて、悪く言えば、これは看板だけそういう地方の代表の顔を連ねておいて、実際は、そういうふうに民主的に運営されないのだ、こういうことになる危険が非常に多いよう考えますが、そういうことはないでしようか。
  96. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 松澤委員のお考えになりますようなことは、通常の場合ならば確かにあり得ることでございまするが、自治庁に参与制がございまして、参与には、ここで先刻申上げました地方団体の連合の組織の代表者がいずれも加わつております。これは隔週、即ち月に二回定例の参与会を開くということにいたしておりますが、その参与会と構成が殆んど同じことになるわけでございまして、さような参与会の機会を、同時に自治大学運営審議会の機会にいたしたいと、そういうことが可能でございまするので、実際問題としては適切なる処置が可能であろうというふうに考えております。
  97. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それから学識経験者という方々は、例えばどういう人を心当りにしていらつしやいますか。
  98. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは自治庁長官が任命をせられるという建前で今考えておるわけでございまして、具体的にどういう人ということは、今はつきり申上げる用意はございませんが、やはり考え方といたしましては、自治に関して識見を有するような人で、学識経験の優れた人というようなことになるのではないかと考えます。
  99. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 学識経験者といえば、今申されたような定義になると思うのですが、それで非常な危険は、経験ある者は必ずしも民主的な人だというわけにはいかんと思う。それは地方制度調査会で余り府県知事の古手と言つちや悪いのですけれども、経験者が余り入り過ぎて、どうにも動けないというようなこともあつたということを聞いておりますし、ですから、こういうところは、よほど何と言いますか、色のない人を持つて来なければならんと思うのです。そこで、経験ばかりでも工合が悪いし、そうかといつて、実際に非常にかけ離れた人でも工合が悪いし、それで心当りはどの辺のところかということをお聞きしたわけです。
  100. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 一般的な条件としては、松澤先生のお考えに全く同感でございます。然らば、どういう人を持つて来るかという点につきましては、ちよつとなお今後の問題でございまするので、一つ御了承を願いたいと考えます。
  101. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 具体的にその名前を私は聞こうとは思つておりません。ところで、校長でありますけれども、校長はまあ次長がおなりになるのですか。
  102. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は、実は前国会に提案をいたしました案と、本国会に提案をいたしました案とは、若干法律の案文を変更いたしております。前国会の案には、次長が当然に校長になるというふうに法律上きめるという案であつたのでございまするが、この点につきましては、一つは定員上の制約がございまして、今年は第一回に発足する年であるし、又政府としては、できるだけ職員の増員ということは避けよう、こういう根本の方針でございまして、従つて自治庁の中から、何らか職員を割愛をせよということになりまして、結局今日の考え方といたしましては、自治庁から責任者の定員だけは一名割く、こういうことにいたしておるのであります。併し、校長に必ず自治庁職員を以て充てるという建前を法律上とつてしまうということについては如何であろうか、又将来定員を増すということも可能と考えまするので、従つて、さような拘束的な規定はこれをはずして置くというふうに考えたのでございます。従つて自治庁次長が当然に校長になるという法律上の考え方は捨てたわけであります。
  103. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、仮りに、まあおつしやつて頂けるならば、どういうかたが校長に予定されるか、或いはどの程度の人を校長に持つて来るかということですが、何かお考えございませんですか。
  104. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは、やはり相当、若しこの法案が成立いたしまするならば、非常に重要な人事の問題でございまするので、いろいろ上司のほうにおいてのお考があろうと存じまするが、やはり校長といたしましては、できるだけ将来専任の校長を得て、これには学識経験の非常に優れた、自治に識見のあるものを充てるようにすべきであろうというふうに考えておるのであります。具体的にどのような人ということにつきましては、ちよつと私もそこまで考を持つていない次第でございます。
  105. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 併し自治大学校というものをお作りになるのですから、その大学校長にどの程度の人を持つて行くかということはお考えになつていらつしやると思うのですが、只今お話を聞きますと、自治庁から誰か人をお出しになるというお話でありまして、自治大学校長として専任の人が自治庁から出て行くようお話になつたのでありますが、そうしますると、大体どのクラスの人ならば自治庁の校長に適当であるかどうかということはお考がきまつていなければならないと思うのですが、如何でございますか。
  106. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ちよつと私先ほど申上げました表現が適当でなかつたかと思いますが、責任者と申しますのは、やはり自治大学校の主幹と申しますか、そういう意味の人ということでございます。従つて、校長としてはどういう人を得るかということは、必ずしもそこから直ぐきまつて参らないわけでございます。
  107. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私先ほど申しましたことは、校長にどういう人を持つて来るかということの質問で、自治庁から人を出すというお話でありましたので、校長は自治庁から人をお出しになるのだと、こういうふうにとつたわけなんでありまして、校長は別である。主事と申しますか、或いは事務局長と申しますか、そういう人は自治庁から一人定員を出すのだというふうに了解してよろしいですか。
  108. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大体そういう考え方でございます。
  109. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 重ねて、それでは校長としてどういうようなクラスの人、どういうような階級の人を予定されておりますか。その点はどうですか。
  110. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) やはりこれは地方団体の側から考えまして、殊に運営審議会は、先ほど来申上げましたように、各全国的な連合組織の代表者を以て構成するわけでございますので、そういうようなものが校長の諮問機関になるという点から考えまするならば、やはり校長としては、相当の社会的な地位のあるようなかたが適当であろうと思いまするし、又単にそれだけでなく、自治についての識見なり、学識なり、或いは経験なりを持つて、人格においても皆の尊敬し得るような人であるということが必要であろうと思うのでありますが、まあさような抽象的な考え方を我々事務当局としては持つて立案をいたした次第でございます。
  111. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ここでお伺いいたしますが、予算が大体出ているようでありますけれども、どのくらいの給与の額を校長の給与としてお考えになつていらつしやいますか。
  112. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) お答え申上げます。実は予算の面ですが、専任講師とその他の講師というふうには振り分けがいたしてございまして、校長としての特別の今給与上の予算的措置はないのでございます。従つてこのような専任講師、或いは非常勤の講師の中から出すか、或いは他と兼任にするかというようなことを取りあえずの今年度の問題として考えなければならんのでございます。来年度以降におきましては、その点を更にはつきりと解決いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  113. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 予算の中で校長の給与というものが組んでないといたしますと、そうすると、今年はあれですか、校長代理とか或いは校長事務取扱ということで、自治庁の誰かが校長におなりになるということも考えられるわけでありますか。
  114. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 予算との関連においては、御指摘ような方法も一つの方法かと考えますが、或いは非常勤の講師、専任講師等を校長に充てるということも、ややこれは異例の措置ではございますが、さようなことも或いはできはしないかというふうに考えております。
  115. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これはこの前の国会からずつと続いていることで、多少内容は変つているかもわかりませんが、少くとも法案としてお出しになる以上は、何かもう少し具体的に、校長を本年は置かない、或いは置くとか、置くとしても、或いは例えば自治庁次長が兼務するのだとか何とか、その辺のところがはつきりしていそうなものですけれども、していてお話ができないのか、或いは全然そういう目安も何もないのかというところが、どうもはつきりしないのですが。
  116. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点はなおこの法案が若し成立いたしまするならば、その成立後の行政の執行の問題でございまするので、まだ政府としてそこまで的確な結論を下しておるわけではございません。今お話のございましたような兼任制で参りますか、それともやや異例な校長措置、こういうようなことで参りますか、いずれにいたしましても、そのいずれかの案をとるほかないというふうに考えております。
  117. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 勿論、これは法律が成立しなければ、そういうものを現実に任命できないということはよくわかるし、それは執行のことは任してくれと言われれば、それは任さないわけには行きませんけれども、併し少くとも看板は自治大学なんで、それに関する法律なんですが、予算の内容なり或いは又は校長にはどういうクラスの人を、どのくらいの給与を以て招聘するのだということはわかつていなくちやならないはずで、法律さえ通してくれればいいという、そういうわけにも行かないと思うのですが、どうですか。
  118. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大変どうもお叱りをこうむりましたが、そういう意味ではございませんので、先ほど来申上げまするように、予算的には、松澤先生のおつしやいましたような方法が、一番予算の現状とはマツチするわけでございます。或いは今年度はさよう方式で行くほかないのではないかと考えておりますけれども、併し若しも非常にこの適任者が得られまするならば、或いはさよう方式によらないで、むしろ非常勤でありましても、実質的に校長としてやつて頂くということができはしないかというふうに考えておるような次第であります。
  119. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 どうもいつまで聞いても、その辺がわからないのですが、若し自治庁次長が校長におなりということになつているならば、少し注文もあるしということで、全然私はならないのだということならば、あなたに注文付けても、まあ間接的には効果があるかも知れないが、もう少し注文を付けたいということも、付けられなくなることもあるわけなんでして、次長が校長にならないということがはつきりきまつているのか、或いはそうでもないのか、或いは兼務するということもあるのか、その辺のところは勿論これは法律案が成立しなければ、具体的には話にならないことではあるけれども、併し一応の恰好というものは腹案としてあるのじやないかと思うのですが、しつこいようですけれども。
  120. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) だんだんとお尋ねでございますが、何回も繰返すようでございますけれども、予算的関係もございまして、或いは自治庁職員事務取扱というような、或いは兼任と申しますか、そういうようなことが止むを得ない結果になりはしないかとも考えられますけれども、併しさように拘泥して考えないで、何らか予算的措置とは別個に、今少し適任者を得て、専任の校長を置くということが一刻も早くできることが望ましいと思いますので、そういうようなことができるようにいたしたいということを考えておるわけなんであります。
  121. 小林武治

    ○小林武治君 松澤さんのに関連して。今の関係はもう自治大学校設置というものは、定員法には全然関係ないですか。
  122. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今回の、政府が当初予算を作ります際には、新規増員は認めないということが非常にやかましい一つ根本方針として編成をいたしました。各省庁につきましては、欠員を、一定のパーセンテージを落すというようなことをいたしたのであります。併し自治庁はかよう自治大学校を設置するに伴つて、そこから若干職員の割愛をしてもらわなければならんから、減員は、行政整理の意味の減員はしない。現在の定員は維持する。その代り自治大学校に若干の定員を割くようにということで、先ほど申上げましたよう自治大学校の最小限度の問題として、主管と申しますか、自治大学校の事務管理の責任者だけは自治庁から定員を割いて行く、こういうようなことになつておるわけでございます。
  123. 小林武治

    ○小林武治君 これは一つの組織になるのですが、この組織には何も人はいないのですか。
  124. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) その自治大学校の定員の問題につきましては、いろいろ大蔵省、行政管理庁等と折衝して参りましたのでございますが、行政管理庁といたしましては、附属機関である以上は、その附属機関の管理の責任者だけは最小限度置かなければいかんじやないかということでございまして、従つて先ほど次長からお話がございましたように、管理の責任者としては主管を一名、定員法では自治庁職員、定員は変りませんが、定員規定において一名だけ自治大学校に自治庁のほうから減員して廻すということにしておるのであります。それからそのほかには一般の事務職員としましては、非常勤職員として八名の非常勤職員が置かれておるわけであります。それからそのほかに先ほど来お話の出ております非常勤の講師が二名含まれておるわけであります。
  125. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、今の校長というのは将来も、例えば総理府事務官が校長になるのですか。校長は職名でしようね、これは……。
  126. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはこの警察大学校の校長が警視庁ということで校長となつておるのと同じように、或る意味ではこれはやはり職名でございます。
  127. 小林武治

    ○小林武治君 それから先ほど松澤委員からお話のありました、運営審議会は勧告したり意見を述べたりすることはできないのですか。ただ諮問がなければ何も言えないのですか。
  128. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) まあこの点は、この案につきましては諮問に応ずるためということになつておりまするので、積極的に意見を運営審議会のほうから言うということは、現に規定の上では考えておりませんが、やはり実質的には先ほど来申上げましたよう関係で、一身同体という運営の仕方になるのじやないかと思つております。
  129. 小林武治

    ○小林武治君 松澤委員お話ように、この学校を民主的に運営するというのには、むしろやはりこの運営審議会に勧告とか意見が言えるようにされておくほうが適切じやないかというふうに思うのですが……。
  130. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は諮問に応ずるというこの第七条の書き方でございますが、「運営審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める」という言葉がございますが、校長から例えば一般的な方針で諮問をいたしまして、さような一般的な諮問をいたしますれば、運営審議会のほうとしては、自主的にその諮問に対して答申するという形で、お話ように積極的に意見を具申するということは実際の運営においては可能かと考えます。
  131. 小林武治

    ○小林武治君 でも併し今の政令の内容をお聞きすると、そういう職能は政令の中に何も書いてないのですね。
  132. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の点は御意見でございまするので、先ほど御披霊申上げましたような、今一応考えておりまする成案について、更に改善を加えるよう考えております。
  133. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 委員長もう少し……。まあこれは大学校の本質の問題なんですけれども、言つてみれば短期の講習会、或いは研修会という程度のものではないかと思うのですが、まあ強いて大学校と言わなければならないという点はどういうところにあるのですか。
  134. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはまあ沿革と申しますか、先ほどちよつと申上げましたような、自治大学校案なるものが生れるにつきましてのいろいろな沿革の問題が一つございまして、自治大学校を設置するということで、当時の総司令部を通じましてアメリカ側に要望いたしましたことが機縁になりまして、爾来地方団体側におきましても、自治大学校を作るということですべての話合いが進んで参りました。そういう関係で沿革的な理由として、この自治大学校ということを、さような名前をとつてあるのでございます。それから今一つ研修機関といたしまして、いわゆる高度の研修機関としては警察大学校というのがあるわけでございますが、自治体警察の職員が、言わば警察大学校の生徒学生の大半を占めておるわけであります。さような点から考えまして、やはり自治大学校というものを地方自治体職員につきまして設けるということは、それは他の権衡からも、実際の実情に応ずるのではないかというふうに考えたのであります。それとやはりまあ基礎的な理由といたしましては、府県単位におきまする地方公務員研修を第一次的な研修考えますれば、自治大学校はそれに対しての第二次的な、或いは高度の研修機関であるということでございまして、さよう研修機関として大学校という名前を設けることは、警察大学校の例等に鑑みて、実際上支障がないのではないかというふうに考えたわけであります。
  135. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういうようないきさつがあつたということはわかるわけですが、併しまあ現在に至るまで、そういう約束を守らなければならないという義務も別段ないように思うのです。
  136. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 勿論この義務とかいうようなことではございませんが、併しさようなことで地方団体並びに一般の公務員等におきましても、相当待望しておる向きがございまするので、やはりさような待望に応えて、一つの運動として固まつて来ました対象であるこの自治大学校という名前を、やはりそのままとつたほうがいいのではないかというふうに考える次第でございます。
  137. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 アメリカのほうで考えておりました大学校というのは、英語と申しますか、或いは向うの言葉でどういうことなんですか。
  138. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは当時岡野地方自治庁長官の時代でございましたが、総司令部のホイツトニー民政局長と話合いをいたし、これには自治課長その他各国体の代表者が一緒に行かれたのでありまして、その際日本地方自治基礎としては、やはり地方公務員研修ということを中心にした地方自治の総合的な大学校を作つて、それには図書館、研究所、場合によればその他の附属施設を作るということにしたらどうかというようなことで、これはアメリカ側が考えたというよりも、むしろ日本側の考え方でございまして、それを向うも結構だ、こういうことで採入れたのであります。従つて特にアメリカ側で自治大学校という名前について特別な名前をつけておつたことは今ちよつと記憶にございません。
  139. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まあ古いことですから、どうでもいいことなんですが、そういうことはあれですか、何かほかの機会、例えばこういう地方自治の問題に関連して、そういう話が出たとか、或いは自治大学校という問題を、その当時のことですから、設置のことについて承認を求めに行つて、そういう話が出たといういきさつなんですか、その辺のところを……。
  140. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはたしか岡野当時の地方自治庁長官が、日本民主化ということについて、アメリカはいろいろおやりになるけれども、やつぱりその根本地方自治の確立であろう。地方自治の確立には、やはり地方自治公務員研修、教育ということが一番基本ではないか、そういうことのためにむしろアメリカは金を出したらいいじやないか、こういう一般論の話をいたしましたところが、当時のホイツトニーさん並びにその下におりましたハウギー氏あたりが、やはり非常に同感であるということを言いまして、そういうことならば、若し日本側が半分出す、アメリカ側が又半分を出すというようなことでアメリカにはロツクフエラー財団とかフオード財団がある。フオード財団は、今、来年度の投資計画を考えておりますから、その中にこれを盛込んでもらうようにしたらどうか、そこで至急に書面に書いて出したらどうか、こういうふうにむしろ向うからの勧奨がございまして、その後その趣旨に従いまして、たしか関係地方団体の長、自治庁長官がサインをいたしまして、アメリカ側の司令部を通じてフオード財団に資料を提出したということがございます。
  141. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ところがアメリカから財政的な援助は何にもなくて、大学校だけは設置するということになつたのですか。
  142. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それがだんだん延び延びになりまして、なかなか返事がございませんで、この自治大学法案というようなものは前国会に提案をいたしたわけでございまして、案としてはいろいろございましたけれども、占領が解除せられまするまでの段階におきましては、専ら向うの返事を待つということで、何ら具体的に案として進行するに至らなかつたのであります。
  143. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 結局そうすると、財政的な援助ということは何も解決していないで、そのときの話があつた自治大学校だけは、この法律によつて設立されるというわけなんでございますか。
  144. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) そういうことでございます。
  145. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その当時のことを根堀り葉堀り聞いても始まらないのですが、その話の内容というものが、大学教育を地方公務員に授けることが適当であるという話であつたのか、或いは自治大学校というものを作ることが必要であるという話であつたのか、或いは又は地方公務員に対して大学の講義を聞かせることが適当であるという話であつたのか、その辺のところは御存じないですか。
  146. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはやはに一つ施設を作りまして、そこで地方公務員のための研修をいたす。又先ほども申上げましたような図書館とか研究所というよう施設を同時に持つた総合的な、何と申しますか、地方自治一つのセンターみたいな形にいたしまして、これは要するにアメリカと日本政府と日本地方団体との記念事業みたいな形のものに大体考えておつたのであります。ただ具体的に突つ込んで、ここはああせよ、ここはこうせよというような、そこまでの段階にまだ至つていなかつたわけであります。
  147. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、結局金をもらわずに自治大学校だけ作るということになつたわけなんでありますが、成るほどその必要性というものは、自治行政民主化であるとか能率化であるということからいつて、極めて適切なものであるということはよくわかるわけなんですよ。併しまあアメリカ的な考え方からいえば、必ずしも自治大学校という一つ研修機関を作るということがいいか悪いか、そのときのまあアメリカ側の人がそういうことを考えていたかも知れないけれども、併しまあ現実の問題として、こういう定員も限定せられていて、大多数は非常勤の講師である、校長自体も自治庁職員が兼任するかどうかわからない。将来は独自の大学校もできるかも知れないけれども、そういうところで大学教育を受けるよりは、むしろ自治庁としては適当な国立或いは私立の大学に委託して、むしろ自治コースとか或いは自治講座とかいうような短期の講座を設けて、本格的な教育を受けさすということも、一つの方法だと思うのでありますが、この得失はどういうことでございますか。
  148. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘ように、大学に特殊な講座と申しますか、そういうものを作つて、そこで研究をさせるということも一つの方法とは存じますけれども、やはり実務講習と申しますか、実務研修と申しますか、そういう実務からやはり離れないで、さような立場に立つた高度の研修ということをやはり主体として考えますというと、やはり理論的な基礎的な講座というようなものとは若干違つて来るかと思うのであります。勿論お話ような、そういう要求に応ずる自治講座というようなものも必要かと存じますけれども、やはり現任の地方公務員に対する実務研修というものといたしましては、やはりそれが現任であるというところに重点を置きまして研修をするということが必要ではないかと考えられるのでありまして、その故を以てかような構想を考えた次第であります。
  149. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は国立或いは私立の大学自治講座というものを設けましても、やはり現任は現任で通学できる、或いは勉強できるという方向は開かれるのじやないかと思います。特に短期の講座でありますならば、その可能性はあると思うのであります。むしろ自治庁として特定の大学に対して、講座を設けてくれとか或いは通学の便宜を図つてくれとかいうことを申出られることのほうが適切であろうと、こういうふうに考えておるのでありますが、何か他の大学に対してそういうお話合をなすつたことはございませんか。
  150. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは、地方自治に関する講座は、国立大学等におきましてはまあ恐らくないということは、確かに淋しいと申しますか、非常に遺憾なことでございますから、私どももさよう自治に関する講座ができますことを非常に待望いたしております。シヤウプ博士が参りました結果として、税に関する特別の講座が東京大学にできたというようなことがございますけれども、それをもつと発展をいたしました自治全体についてのやはりコースができることが望ましいと思つております。これは私どもさような希望はかねて抱いておりますけれども、まだ具体的にこの問題を持ち出すといつた段階にまでは至つておりませんが、今後文部省の関係等とも一つ連絡をいたして善処して参りたいと思つております。
  151. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この自治大学設置法というものを、まあ特別の法律でありますが、いわば親法律と申しますか、本法と申しますものは地方自治法でありましようか、地方公務員法でありましようか。
  152. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公務員法であります。
  153. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、地方公務員法研修という規定によつて、これが作られておると解釈してよろしゆございますか。
  154. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公務員法研修の趣旨に則るものでございます。
  155. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これを拝見いたしますと、別段中央研修所或いは研修機関を設けるということはないようでありますから、どうもこの地方公務員法研修の規定から自治大学校を設けなければならないということが、法律的に出て来るものでしようか。
  156. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方公務員法の規定におきましては、任命権者研修を行なうというのが建前でございます。併し地方団体任命権者と申しますれば、知事、市町村長、市議会の議長とか各行政委員会、皆それぞれ任命権者でございまして、その任命権者がそれぞれその事項の所管をする行政の遂行に必要な研修をやるという建前でございますが、併しそれは非常に何といいますか、不経済で非能率でございますから、従つて例えば市町村職員研修につきましては、県単位に自治講習所或いは自治研修所というものを設けてやつておるわけでございますが、これは結局この地方公務員法との関連におきましては、任命権者の委託を受けて、これを行なうという考え方に立つものと考えております。今回の自治大学法案も、地方公務員法との関連におきましては、さような法的な考え方に立つことに相成るだろうと思います。
  157. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 若しそうだとしますと、地方公務員法の中において、或いは任命権者は委託をして高度の研修機関にその職員を送ることができるとか何とかいう規定があつてよかりそうだと思うのですが、そういうことではなくして、いわゆるそれぞれ内部において研修機関を設けて研修をさせなければならないということはわかるのです。それから上級の研修機関というものに対しては少しも言及しておらない、義務としては自分の職員を自分が研修するということが建前である、それを上のほうから、今度こういう恰好で作つたから、お前のほうは委託をしろという恰好になつて来るのじやないか、こう考えられますけれども、そうではございませんか。
  158. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公務員法第三十九条の考え方市町村長と例えば府県単位自治研修所との間におきましては、上級と申しますか、府県がそういう目的のために特に作つた施設があるわけでございますから、それに対して三十九条の委託をするということになると思うのでありますが、その委託の根拠を強いて求めまするならば、やはりこれは地方自治法の、先般挿入をいたしました事務委託という、事務を共同処理する方式がございますが、その方式に根拠を求めることになろうかと考えます。この自治大学校法との関係におきまして、法制上の議論といたしましては第二条第一号におきまして、「地方公務員でその任命権者の推薦に係るものに対し、高度の研修を行うこと」というところに、やはりこの規定の根拠といたしまして、三十九条との繋りが現われておるわけでございまして、任命権者が行う事務で、「任命権者の推薦に係るものに対し、高度の研修を行うこと」という、ここにやはり委託という考え方基礎に立つて考えられるのではないかと思うのであります。
  159. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  160. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  161. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 次長さんにちよつとお伺いしますが、昨日も質問し、それから又今日の午後の初めにも問題が御討議の中にあつたわけです。それはアメリカとの関係です。これについて地方団体とか或いは地方自治庁で話合を進めて、向うでも半分ぐらい財政的に援助してもいいのだ、ロツクフエラー財団あたりから出さしてもいいのだから、こういうふうな御答弁があつたのでありますけれども、一体日本の場合において、向うの方面に、地方公務員研修に際して向うから金を出してもらつて、向うの援助を受けてやるということを、地方自治庁長官が申出るということは、これは政府が申出ることであるが、これは一体どういうふうなお考えの下に行なつたのでありますか。
  162. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは地方自治庁長官と、それから知事会、市長会、町村長会、それからそれぞれの町村会の代被の連名を以て、そういう要望をいたしたわけであります。これは将来それが正式の手続になりまして、さようなことのためにフオード財団等で金か出すという見通しがつきますれば、これは政府として明確な手続によつて、これを処理することになつたであろうかと思いますけれども、いわばその予備的折衝という段階として、便宜さような措置が講ぜられたわけでございます。
  163. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういうふうな見解を、或いは要望日本の国内において持つということについては、私はこれは非常におかしな話ではないかと思う。幸いにしてこの問題は不発に終つたようなものですからいいようなものですが、今後やはり向うから、内容を見るに、さつぱり自治大学校の設備も何も揃つておらない、それから又職員の組織もさつぱり駄目だ、そういうことで向うが同情して、俺のほうで援助しようということがあつたら、それを受入れるお考えであるかどうか、或いは又そういうことを今後要望するお考であるかどうか伺いたい。
  164. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今自治大学校設置法を提案いたしまするまでの、今日の政府の考え方といたしましては、御指摘の点は何ら考えておりません。将来さような御指摘ような事実が発生いたしました場合におきましては、政府としては更にその問題について如何に対処するかということを考えなければならないと思います。
  165. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 如何に対処するかということは残された問題のように思うのですけれども、現に自治庁として受入れるところのお考えがあるかどうか。
  166. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私どもはすでにこの問題につきましては、占領の解除と共に、話は総司令部を仲介としての話でございますから、もうすでに解消したというふうに考えております。従つて今後の問題として御指摘よう要望がございましたならば、これはいろいろの考え方が成立つと思いますけれども、政府としてそれに対する如何なる態度をとるかということは、その事態が起つたときに考えるのほかないと思つておりますが、ただ我我事務当局の立場といたしましては、過去において最前申上げましたような経緯があつたものでございまするし、又その寄附をするということでございますならば、その寄附の条件にして、若しも日本地方自治に対しに財政干渉という懸念が全くない、純粋の申出でございますならば、それについては、むしろこれは積極的に考えて、かよう施設の充実向上に充てるということは、むしろ結構なことであろう、こう思うのでありますが、併しそれは飽くまでも私個人としての意見を申上げたのでございます。将来さようなことか若しも具体化いたすということがありますならば、それはそのときの問題として諸般の事情を考慮して、政府としては決定しなければならないと考えます。
  167. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それはアメリカ政府というふうな場合の考え方ではなくして、ロツクフエラーならロツクフエラーの財団という個人的な財団のことをあなたはお考えですか。
  168. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りでございます。アメリカ政府からかような金をもらうという考え方は今まで全然持つておりません。
  169. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 アメリカ政府から斡旋があつた場合には、どういうふうにお考えになりますか。
  170. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 斡旋ということが、何かそこに義務を伴う或いは特別の条件を伴うということになりますると、或いは少し問題があろうかと思いますけれども、フオード財団なり或いはロツクフエラー財団というのは独り日本だけではなく、各国にもすでに文化施設教養施設についての投資援助をされておるところもあるわけでございますから、又日本におきましても、さような財団から、例えば東京大学の図書館というようなものももらつておるように聞いておりますが、かような教育施設について財団が出すということは、これはむしろ積極的に受入れて一向おかしくない、かよう考えるのであります。
  171. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 或いは参ります前に御質問等があつたのかと思うのでありますが、今回の自治大学校の設置でございまして、これは直接我々町村なり或いは府県の新らしい民主政治の第一線としての自治体の育成に当つてみますると、最も痛感いたしますのは、やはり従来の官公行政に慣れているためか、町村なり府県なりでこれを運営するところの公務員というものが、官治組織の機構の公務員と比較いたしまして、事務なり或いは又新らしい事態に応ずる点において非常に欠けておる点がなしとしないのであります。従つてこういう点につきまして今回自治大学校ができまして、これらを研修し、又育成せられるということは非常に結構だと思うのですが、併しながら中央自治大学校ができただけでこの任務は果されない、而して又大学校に収容するところの人は極めて少いと思うのです。従つて中央においてこういう自治大学校ができる半面、各府県或いは少くとも各ブロツクごとに、この自治大学校の下級機関として或いは下部機関として、言い換えるならば、高等学校とか或いは中等学校にも相当すべき、そういうよう研修所というものができなければならんと思うのでありますが、将来こういう点につきまして、自治庁としてのお考えを承わりたいと思うのであります。
  172. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今のお尋ねの点でございますが、中央のかよう自治大学校のほかに、ブロツク単位或いは府県単位の、今のお話では下級の研修機関をもつと整備する考えはないかということでございますが、私どももその点はこの問題と並行をして考え、同様の重要性を持つた問題だと思うのであります。ただ本年度におきましては、予算的にそこまでの措置ができませんでしたので、将来はできるだけさような点についても、現在府県が主としてその役割を演じているのでございますが、これに関しましても政府としてでき得まするならば援助をして、府県単位或いはブロツク単位の研修施設の整備も併せて充実するように努力いたしたいというふうに考えます。
  173. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一点お聞きしたいのですが、どうも今年度の自治大学校に対する予算が極めて少いので、これでは本当に名ばかりだという感じがするのであります。従つて先ほどから各委員から御質問のありましたように、私はやつぱり大学校といたしまして独自の校長さんも置き職員も置いて、そうして専心その研修に当る、又当るに必要な予算を確保しなくちやならないと思うのですが、同時に自治大学校はそういう公務員研修ということも極めて必要でありますが、半面において、現在の特に町村におきましては、その財政計画を立て或いは町村運営の計画を立てるというような、各般のいろいろな町村が民主政治の第一線に立つて、特にいろいろとやらなければならないような問題につきましても、独自の機関なり或いは独力を以てその調査機関を整備するということは不可能なのでありまして、そういう意味から申しまするならば、これら自治体の常に調査機関として或いは相談機関として、相当調査研究の機構を整備し、そうして場合によつて町村に出かけて行つて或いはその財政診断をするとか、或いは行政運営の相談に応ずるとか、或いは又それらの総合的な総合開発計画を立ててやるとか、いろいろな相談相手若しくはそういう調査機関としての機能を発揮しなければならんと思うのでありますが、そういう点において将来どう考えておるか、而も来年度の予算等におきまして、そういう点に思いをいたされて、予算計上について万全を期しておられるか、その辺の自治庁の御意見を聴取いたしたいのであります。
  174. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この自治大学校としては、本来の高度研修の仕事のほかに、基本的な調査研究、資料の収集、編さん、保存というようなことを考えておるわけでございまして、一方又各地方団体からいろいろの資料の提供を受けるほか、外国のかような機関との間の資料の交換等も考えておるわけでございまして、さような調査研究、資料の交換等によりまして、将来逐次調査研究或いは資料の整備というような方面の機能を充実して参りまするならば、只今指摘のございましたよう地方に対する一つ自治指導といいますか、或いは自治診断に基く適切な処方箋の付与といつたようなことが、やはりかようなところからもだんだん発展をして生まれて来ることが期待できるのであります。ただ何分にも本年度は後半において、若し御承認頂けまするならば発足するということでございまするので、直ちになかなかさような点までの活動を期待することは困難と思いまするけれども、将来はやはりさような点にまでも発展をして行くことが望ましいのではないかというふうに考えております。
  175. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 最後に、自治大学校は先ほど沿革やいろいろの点がお話にございましたが、これは終戦後各町村が新らしい自治体として発足し、或いは府県が新らしい自治体として発足してから、一日も早くこれらの達成を熱望したわけなんです。ようやく陽の目を見るようになつたのでありますが、従つて速かにこれの機能運営なり或いは発足なりを望んでおるのですが、大体いつからこれは御発足になる御予定ですか、これを伺いたい。
  176. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 予想といたしましては、八月から一部発足をいたし、九月から大体全体の経費を計上いたしておるわけでございますが、どうも実際問題といたしましては、いろいろ準備等がございまするので、九月一日からの発足が或いは若干遅れはしないか、併しできるだけ九月一日から発足するようにいたしたいと考えておりますが、併しおそくも十月一日には間違いなく発足するように、若し御承認頂きまするならば、さような段取りで進んで行きたいというふうに考えております。
  177. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 数点簡単に伺つておきますが、他の委員会関係で他の委員の質疑応答を聞きませんので、或いは重複するかもしれませんが、この大学校はここに書いてある通り高度の研修を受けるというのですが、これを終つたときは、卒業と言うか卒業と言わんのか私わかりませんが、或いは国の機関に対して或いは地方の機関に対して何か資格とか或いは恩典といいますか、特典、そういうふうなものがあるのかどうか、その点を伺つておきたい。
  178. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは特別な特典といいますか、資格というものが当然には付随して参りません。ただ地方でそれぞれの任命権者がその地方公務員に対して将来昇任をするといつたような場合に、選考の際において一つの条件を充たすというようなことになろうかと考えております。
  179. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点簡単なところを伺いますが、警察大学校がこれと同じ大学校という名前だそうですが、従来国家行政組織法によりますと、いろいろの名称を今日までかなり一律に形式を整えて来たと思うのですが、一般の官公私立大学であれば大学というのですが、大学校といつてほかに警察大学校以外はないと思うのですが、特にそのほかの大学と名称を変えて、大学校と、大学で私はいいと思いますが、そういう点は何か特別の理由があつておつけになつたのですか。
  180. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は、学校教育法に基きますものは大学というふうに名称がはつきりきまつているわけでございますが、この自治大学校と、特に校の字をつけましたゆえんは、やはり高度の実務研修機関ということでございまして、これは文部省の所管でございますから、大学学術局長からお聴取りを願いたいと思いますが、私ども承わつておりますところでは、やはり大学大学校というのは、さような成規の各系統を経て入りまする六・三・三・四の大学と、かよう実務研究のための施設とが校の字があるかないかでやはり違つて来るのではないかと思うのでありまして、警察大学校とその点については全く同じ考え方に立つものでございます。
  181. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 鈴木次長にちよつと二、三お伺いいたしますが、第二条の第三項ですが、自治大学校は、地方公共団体行政に密接な関係がある職務に従事する国家公務員に対し研修を行うことができる。と、こうあるのでありますが、具体的に言うとどういう人たちを対象にしているのですか。
  182. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは特に国家公務員任命権者から依頼があつた場合に依頼に応じてやるわけでございますが、例えば府県等には地方事務官という形の国家公務員がございます。或いは東京都事務官、北海道事務官というのがございますが、これらの府県勤務の国家公務員につきまして、やはり将来その者が府県庁の一般の地方公務員として勤務するというような希望がありまする場合に、その者の依頼に応じてやるということがあろうかと考えまするし、又中央のその他各省の機関、例えば自治庁の中の職員につきましても、場合によりますれば、そのようなところで勉強をさせるということも考えられるわけでございます。そういう意味でかよう一つの便宜的な規定を置くほうが実際の事情に合うであろうという考え方でございます。
  183. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 第一条では地方公務員ということを言つておられます。それから第二条の第三項では国家公務員という言葉を使つております。場合によつてはこの二つのものが並列的に考えられるようにも思えるのですが、並列的になつているとは御説明にならないと思いますから、これは重大問題ではないかと思うのです。ということは人事院というものが国家公務員に対して研修であるとか或いは任用であるとか或いは試験であるというようなことを規定し、身分は人事院において総括的に取扱つているということでありますが、それをこの法律で自治庁自治大学校において研修をする。勿論それは依頼があつた場合に限られるわけでありますけれども、研修するということになると、国家公務員研修という問題が、つまり一方においてはこの法律による研修、一方では人事院というものによる研修なり、或いは身分関係なりというものが出て来るわけでありまして、こういう点は国家公務員法なり、或いはその他の法律とどういう関係になるのですか。
  184. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 国家公務員法におきましても、やはり研修任命権者ということが建前であろうと存じますが、御指摘ように、これは任命権者から依頼があつた場合に始めて行うことでありまして、例えば国の統計局が国家統計をいろいろ作成をするわけでございますが、他の民間会社等から依頼を受けて統計の仕事を委託を受けてやるというようなことがあるわけでございます。それと同じよう意味におきまして、地方公務員研修機関が勿論本体であるけれども、併し特に任命権者から希望があつたという場合においては、そういうようなものにも研修の途を開いておくということは差支ないのではないか、又そのほうが実際の実情に合うのではないかという考え方で、かような規定を考えた次第でございます。
  185. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただ疑問に思いますことは、人事院は国家公務員に対する一貫した一つの取扱をしている。それが法律の恰好からいえばこういう余り大きくない特殊の法律によつて人事院の持つている権限を何か侵害するようなふうに読める、こういう規定を設けておくということは、人事院の所管に対してはどうであろうかという心配をするわけなんですが、こういう点については人事院と十分の打合せができているかどうか。
  186. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は人事院にも一応話はいたしております。併しながら人事院の本来的な権限を侵すというようなものでは全然ないわけでございまして、さよう人事院の本来的な研修、或いは国家公務員任命権者研修というものと何ら背馳するものではないと考えるのでございます。と申しますのは、やはり任命権者研修をやるということが建前でございまして、その任命権者の依頼によるわけでありますから、依頼の条件に基いてここで研修をいたしましても、それは即ち任命権者の要求する研修であり、従つてこれは又人事院が全体について統轄する国家公務員としての適当なる研修であるということになると思われるのでございまして、決して両者は相背馳するものではないというふうに考えるのでございます。
  187. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 文部省のほうにちよつとお伺いいたしたいと思いますが、今までの質疑応答で、大学校という名前のものは警察大学校以外にはないように思われるわけでありますが、こういう大学校という取扱いは、文部省としてやむを得ないことではあろうと思いますが、学校教育法その他の関係から申しまして、こういう大学校というものが将来電気通信の大学校であるとか、或いは又は郵政の大学校であるとか、或いはその他国有鉄道の大学校であるとかいうようなものができる場合は、文部省としてお困りになりますか、或いはそういうことは放つておいても構わないとお考えになりますか。
  188. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 只今御審議になつておりますこの自治大学校とか、或いは保安大学校、海上保安大学校乃至は警察大学校というような種類のものがあるのでございますけれども、これらすべては或る特殊な職種につきますものを、すでに身分が国なり或いは地方自治体に属しておる人々に限つて、養成なり再教育をやる施設でございます。一般の大学が高等学校の卒業生に機会均等に入学せしめるというのとは本質的に違いますものですから、その間紛淆もないことだと考えまして、我々としてはこういう内容の教育養成施設乃至は再教育施設でありますれば差支えないと考えております。
  189. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 現在の段階におきましては数校で、而も国なり或いは国の機関というものが関係している大学校でありますけれども、併し若し申請があれば、例えば三菱なら三菱で徒弟養成のために新三菱大学校というものを申請した場合にでも許可は与えなければならないものでしようか。
  190. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) それがつまり学校教育であるかどうかというのが一つの判定だろうと思います。学校教育法第八十三条に、学校教育法第一条に掲げます小学校から大学までの学校以外のまあ各種学校というものを予定しておる。まあ学校でありますれば、只今指摘のその三菱で作りますものが学校でありますれば、学校教育法第一条の学校であろうと、その他の学校教育を行う教育施設であろうと、これはやはり文部省の所管といたしまして、学校教育に関しまする各法規、教育基本法の適用というものを考えなければならんと思います。ただここに御審議願つておりますように、一定の身分と資格を持つているものの単なる再教育だけであるのだというような教育施設、或いはすでに警察官としてなつておる、身分を持つている人をまあ養成する施設であるというような非常に特殊なものは、これは学校教育とは別のものだと考えております。
  191. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 お話によりますと、そうするとまあ新三菱なり、そういう川崎なりという大きな工場なり或いは造船所なりというものでも、一旦そこの職員として身分を持つており、段階的に言いますならばまあ徒弟制度の学校それから中堅幹部の養成とか或いは又上級幹部研修とかというような目的を持つているものであれば当然許されるわけですか。
  192. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) その門戸を開放いたしませんで、特定の身分を持つているものを、その使用者或いは任命権者が教育するという施設でありますれば、これは一般に言います学校の範囲外だと考えております。
  193. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういう場合には大学という言葉は使わないけれども、大学校なら差支えはないということでございますか。
  194. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) さようでございます。
  195. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、法律的に申しますと、自治大学校なり或いは保安大学校、警察大学校ということは、まあ学校教育法から言えば、各種学校一つであつて、それ以上の何ものでもないというふうに了解してよろしうございますか。
  196. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 我々は各種学校ではないと考えております。各種学校はこれは学校でございまして学校教育を行う。この保安大学校なり自治大学校は、学校教育を行う施設じやない、単なる研修、再教育の施設だと解釈しております。
  197. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、大学校という名前を付けられて御迷惑にお考えになることはございませんか。
  198. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) この法案の第一条に、その内容が非常に明らかでございまして、決してこれは門戸を開放して高等学校の卒業生あたりが入れるのかといつて迷うようなことはないと思いますので、その点別に迷惑がかかるというようなことはないだろうと思います。
  199. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 どうも迷惑でなければ、これからまあいろいろな大学校ができるわけでありまして、日本にまあ十数校或いは数十校の大学校ができた場合には、これは文部省としても何かの措置を講じなければならないということになりはしないかと思う。まあ現状としては御迷惑にならんかも知れないけれども、将来の方針としては、雨後の筍のようにこの大学校というものができるということになると問題じやないかと思うのですが、どうでしようか。
  200. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) それは具体的の内容の問題だと思つておりますが。まあこういうよう地方公務員任命権者或いは任命権者の要請によつて地方自治庁がお世話されることになつて初めて入学し得ると、こういう点が非常にはつきりしている性質のものであれば差支えない。まあその他どういうものが出て来るかわかりませんけれども、場合によつては将来差支えるものが出て来やしないかということが考えられます。
  201. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、内容だけの問題であつて、結局数十校というものができても、その点では差支えないというわけですか。
  202. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) まあ文部省で所管いたしておりますのは、一般門戸開放の学校教育施設でございますから、学校教育施設でありますれば、似寄りのものが法をくぐつてできて来ますし、そうすると差支えますので、我我としても注意しければなりません。ただ学校教育でないものでありますれば、これは文部省としては別段関知しない問題だろうと思います。
  203. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 見方によれば、こういう大学校ということは、いわゆる学校教育法の抜け途を行くものであるというようなことを言われるのですが、文部当局としてはどんなふうにお考えになりますか。
  204. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 大学には大学の基準がございますし、又卒業生には卒業生の各種の特典がございます。若しそういう各種の特典を与えるようなものを大学基準によらずして出しますれば、それは文部省は大いに関心を持ち、又抗議をしなければならんと思つております。ただこの場合の自治大学校は別に大学卒業の資格を与えるものでもなく、又内容が学校教育でもない点で、我々といたしましては差支えないと考えております。
  205. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大変寛大なお考えようで、又今後私も大学校を作るというようなときには、一つ御便宜を与えて頂きたいと思います。それは冗談といたしまして、ただもう一つ問題は、これはまじめな問題で、大学なり、或いは国立大学なり私立大学なりで、例えば地方自治講座といつたようなものを設けて欲しいというようなことでありますならば、そういう特定な講座を設けること、或いはその可能性の問題ですね、そういう問題については現状としてどんなふうでございますか。
  206. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 新らしい大学一つの念願といたしましては、公開講座を設けるなり或いは社会の要請に即した各種の特殊講義を置くという点を考えております。財政上非常にその点伸び悩む点もございますけれども、法学部或いは法学の課程を持つております文理学部あたりにおきましては、お話ような講座等も今後できて来ることと考えております。
  207. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その困難な点は、今の職員組織の問題でありましようか、或いは専ら財政上の問題でございましようか。
  208. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 両方でございますが、とにかく普通の大学は、基礎研究或いは基礎がかつた応用研究でございますので、非常に応用的な実際的な面につきましては、自然外部からその講師を仰がなければならん。大学の準備いたしております教授力では間に合わない点があります。それが一つには人材を得がたい点であり又経済上問題となる点でございます。
  209. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、外部から、財団その他の団体で必要な経費を負担し得るというような状態があれば、問題の解決は非常に楽だというわけになりますか。
  210. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) さようでございます。財政的な問題は、それが充足されれば問題ないのでございます。又公開講座の期間或いはその運営の問題で、どのくらい講座を用意するかというような点、そうした点が現場から適切な先生が得られるかというような、人材を得られるか得られないかという点が、主たる問題になろうと思つております。
  211. 石村幸作

    ○石村幸作君 質疑も大分終つたようですから、この辺で質疑打切りの動議を提出いたします。
  212. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今石村君から質疑打切りの動議が出ましたが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
  214. 秋山長造

    秋山長造君 私は社会党第四控室を代表いたしまして簡単に意見を申上げます。  先ず第一に、現在のこの地方公務員資質能率が伝えられるごとく極めて不十分なりといたしますならば、その主たる原因はむしろ地方公務員待遇その他の勤務条件が非常に劣悪である、又旧態依然たる官僚主義が存続しておること等にあるのであつて、必ずしもこの法案に謳つてあるように高度の専門知識が欠如しておるということにあるのではないと思います。で、事務上の必要知識のごときはむしろ地方に一任すべきであつて、又基礎的一般的な教養のごときはむしろこの際一般の大学に任せるということのほうがいいんじやないか。  それから第二に、地方自治行政民主化能率化を期するというけれども、そのためには地方自治体自体の民主化も必要でありますが、これと並んで中央地方関係民主化中央に対する地方自主性の確立ということが絶対に必要であります。然るに、今日のごとく地方行政面でも、財政面でも、一から十まで中央依存、中央に隷属をせざるを得ないよう実情をそのままにいたしまして、単なる研修によつて地方行政民主化し、又地方自治を確立しようといたしましても、これはいわば木によつて魚を求めるというようなことになると思うのであります。現状のままで政府が地方公務員研修権まで握るということになりますというと、逆に人事の面でも中央集権に一層拍車を掛けるような結果に陥いる危険性が大いにあるのではないか。  又第三に、政府は従来常に市町村こそ地自方治の基本である、こう言つて来ておりながら、自治大学校に関する限りは、そこにおける研修の対象は都道府県職員であつて、政府の地方自治に対する根本方針というものが果していずれにあるのか了解しがたい。むしろ自治大学校は巷間伝えられるような官治行政復治への伏線になるのではないかというような疑問と、そして心配さえ抱かざるを得ない。  第四に、この法案に謳つてありますところの高度の研修ということの内容が極めて不明確であるということであります。むしろ先ほども意見が出ておりましたように、今日地方住民公務員に対しまして、高度の研修ということよりも、むしろ親切なサービスを非常に熱望しておるということであります。  それから第五に、この法案に謳われておるところから見ますというと、自治大学校というものが大学校としての内容、条件が極めて貧弱であつて大学校という名のみで実質が殆んど伴われていないのではないか。  更に最後に第六といたしまして、このような事情からして、むしろ諸般の行政簡素化の叫ばれておる今日、特にこのよう大学校を新たに設けることを避けまして、むしろ現在地方で行なつておる研修或いは講習会等に補助金を出すなり、又講師や資料を斡旋してやるなり、又一般大学に委託留学させるなりのやり方のほうが実情に即しているのじやないか。  大体以上のような理由によりまして、自治大学校を特にこの際新設すべき緊急の必要を認めがたいので反対いたします。
  215. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は社会党の第二控室を代表いたしまして、議題となつております自治学校設置法案に対しまして反対をいたしたいと存じます。  只今お話がありましたように、一番我々の心配いたしますことは、結局地方自治能率化なり、或いは又は促進なりということが謳われておりますけれども、併し要するに天降り的な官治的な自治行政を作り出すという危険が非常にありまして、折角市町村自治基本的な組織として認められつつある今日、特に中央自治大学校のようなものを作つて、天降り的、画一的に研修を与えるということは、進行しつつある地方行政民主化に対してむしろ逆行するものでないかということを心配するのであります。これが第一の理由であります。  第二の理由は、自治大学校は民主的に運営されるということになつておりますけれども、質疑応答の際に明らかにされましたように、機構は成るほど民主的に運営されるようになつておりますけれども、併し運営審議会というものが一方的に大学校側の諮問に応えるということになつておりまして、実際においてこの運営が民主的に行われるかどうかということは非常に疑問であるということであります。これが反対の第二点であります。  それから第三点といたしましては、名前は大学校でありますけれども、その内容は大よそ各種学校にも匹敵する程度の内容のものでありまして、むしろこれは中央研修所というくらいのもので私は事が済むのであつて、徒らに大学校という名前によつて地方からの研修希望者を募るという危険も考えられます。これが第三点であります。  第四点といたしましては、学校教育法というものが折角終戦後できまして、学校教育全般について民主的な基本的なものができたのでありますが、徒らに大学校という名前によつて、たとえそれが限られた希望者に対してのみ専門的、技術的な教育を与えるということにもせよ、学校教育というものの基本的なものが、こういういわゆる専門的な技術的な教育によつて非常に乱される危険がありはしないか。むしろそれよりは、学校教育法の基本的な基礎によつて設置せられている大学に対して委託による教育を実施してもらうということのほうが、学校教育法の関係から言つても適当であると考えるのであります。  それから最後には、地方職員能率的でない、或いは合理的でないということは、これは知識や熟練の欠乏によるのではなく、やはり生活の安定、或いは又はそれ自身の生活を十分に楽しむことができないということから起つて来るものでありまして、或いは昼間は市町村の役場に働らきに行き、夜はそのほかの仕事をしなければならないという実情もあるのでありまして、我々としましては、むしろそういうことよりは、生活に安んぜしめて、そして事務能率発揮させるということを考えることが適当であると思うのであります。国家公務員がベース・アツプをされましても、末端の市町村に行けば、必らずしも国家公務員に準じた取扱いを受けていないのでありまして、現に昨年の暮の〇・二五の問題は、十分な財政的な基礎をつけておらなかつたために、まだ実施されていない市町村もあるということでは、これは地方自治に精励せよと言つても、恐らくは困難なことであろうと考えます。知識的に、或いは事務的に、自治大学校で研修されましても、やはり働くものの気持が真に安んじて、自分は市町村のために、命を犠牲にしてでもやりたいという気持が出て来なければ、地方自治民主化ということも徹底もできないと考えます。むしろなすべきことは、そういう点にかかつて、ただ自治大学校の設置によつて、なにもかも能率的合理的になるということは期待できないと考えます。  以上のような理由から、私は議題となつております自治学校設置法案に対しましては、反対の意思表示をいたします。
  216. 館哲二

    ○館哲二君 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。  その賛成の第一点は、要するに民主政治の基本は、直接国民に接するところの地方自治体が、その基底であることはこれは申すに及ばないと思うのであります。ところが直接国民に接するところの自治体が、それが国民に直接であるだけに、その運営の如何というこには非常に影響するところでございまするが、結局これは結局自治体に職を奉じているところの地方公務員というものの素質如何にかかわつておることと思うのであります。ところが従来日本行政は、官治行政が中枢でありまして、とかく地方自治体というものがおろそかにせられ、従つてこの公務員の素質につきましても、十分でないところがあるのであります。加えるに終戦後いわゆる民主政治の徹底ということから、地方自治に課せられた各般の職能というものは、極めて多いのでありまして、従つてこれを十分消化し、そして民主政治の徹底を期せんというためには、どうしてもこれが地方公務員研修及び素質の向上ということは必要であるということは申すに及ばないと思うのであります。迂遠なことでございますが、要するに百年の計は人を植えるにあり、真に自治体が自治体の使命を達成するためには、これに従事するところの地方公務員というものの素質向上というものは、極めて緊要のことと思うのであります。勿論半面、現在地方公務員待遇から考えますれば、その待遇等におきまして、改善の余地あることは、これは勿論であります。併しながら、一方におきましては、同時に公務員待遇を改善するとともに、公務員研修及びこれが研鑚ということは、没却することのできないことでございます。従つてこういうような事実から見まして、各地方地方に一日も早く地方公務員研修機関を設けられることも必要でございますが、同時にそういうものの中核体として、中央に今回のごとき自治大学校を設けまして、常に中央にあつて諸般の国際情勢なり、或いは諸般の最近における時流の動き、その他各般の情勢から、常に公務員研修機関の中核体として、かくのごとき自治大学校があるということは、どうしても必要であると考えるものであります。  なお、又最近におきまする地方自治体の健全なる発達のためには、調査研究機関としても、こういう自治大学校がありまして、そして常に地方自治体が、その調査、若しくは研究課題として課せられる財政的な、或いは行政的な各般に亘つて、常によき相談相手とし、よき調査機関としてのかくのごとき機関設定がどうしても必要と考えますので、私は本案に賛成するものであります。  ただ最後に本案が通過いたされました暁におきましては、今回設置の趣旨に鑑みまして、一つにはその地方公務員研修に当つては、府県職員と、町村職員とに何らの差別なく、地方府県職員を偏重するなどのごとき研修でなく、町村公務員につきましても十分に重点を置いて運営さるべきであり、且つ又現在の予算というものは極めて僅少でございますので、速やかに増額いたしまして、そうしてこの大学校が独立の機関としてその本来の趣旨に合うように、本来の職員を持ち、本来の校長を置きまして、十分設置せられたところの趣旨に合致するように、これが運用を期待するものであります。且つ又地方におきましても、速やかに地方公務員府県、若しくはブロツクにおきまする研修、ということは、これ又この大学校と一体となつて必要な事項でございますので、これが育成につきましても、予算その他の措置といたしまして、十分考えられんことを希望するものであります。  なお又最後に、本案の予算項目を見ますると、本機関の一つの重要項目である調査研究につきましての予算が、極めて少いのでございまして、これら調査研究費につきましても、速やかに充実せられ、一方本大学校が中央にありますと同時に、絶えず地方に巡回指導し、或いは地方に出られまして、常に地方自治体の研究調査機関としての責任も果させることが必要であると考えるものであります。  こういうよう意味の諸点から、私は本案に全幅の賛意を表するものであります。
  217. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は無所属クラブを代表いたしまして、本案に反対をいたします。  理由といたしまして、一つ国家の統制的、便宜的傾向が強い。二つ、最も地方自治体中心である市町村が軽視されている。三つ、行政能率の最も低い市町村公務員研究対象になつておらないのは、第一条の目的に違反している。四つ、学校内容は行政吏員が優先されて、技術吏員が冷遇されている。五つ、組織として、研修機関としての形態をなしていない。五つの点を検討いたしますと、地方自治法の精神とは甚だ齟齬するものが認められますので、私は本案に賛成することができません。
  218. 小林武治

    ○小林武治君 私は本案に辛うじて賛成いたします。(笑声)というのは、この自治大学校なるものは、いわば羊頭狗肉である、即ち最も魅力になるのは大学校の名前だけではないか、こういうふうに考えるのでありまするが、併しかよう施設をすることは、私は地方公務員のために必要であると思うのであります。即ち地方公務員がその視野を広め、又他の府県とのいろいろの連繋、或いはこれらとの刺戟によりまして、各般の事務能率更新、その他得るところが多いと思うのであります。従いまして要はこの大学校が建物ばかりで中味が空つぽのような状態を速かに是正いたしまして、真にその目的を達成し得るように希望いたすものであります。  なお、自治大学校の運営につきましては、質問の際にお話がありましたように、できるだけ地方要望を入れるような民主的な運営のできまするように、この運営審議会等におきましても、ただ受身の立場にあらしめず、進んで学校の経営に対しまして意見或いは勧告等まなし得るような道を開く必要があるかと考えるのでありまして、それらの点に留意された運営を希望する。  以上をもちまして私は重ねて本案に辛うじ賛成するものであります。
  219. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御発言はございませんか……。  他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。自治学校設置法案につきまして採決いたします。自治学校設置法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  221. 内村清次

    委員長内村清次君) 多数でございます。  よつて自治学校設置法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりまするから、本法案を可とせられたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     石村 幸作  堀  末治     西郷吉之助  小林 武治     高橋進太郎
  223. 内村清次

    委員長内村清次君) 御署名漏れはございませんか。  御署名漏れはないと認めます。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  224. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて委員会を閉じます。    午後六時二十五分散会