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1953-07-16 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十六日(木曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            館  哲二君    委員            高橋進太郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            若木 勝藏君            松澤 兼人君   政府委員    林野庁長官   柴田  栄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (町村合併促進に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは只今から地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査中、町村合併促進に関する件を議題に供します。先委員会におきまして町村合併法案條文の中に、林野庁関係特例の点がありまして、今日は林野庁からは柴田長官が出席されております。委員の方々の御質疑をお願いします。
  3. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 昨日の委員会で問題になりました町村合併法案の中に国有林野払下に関する点があるのですが、これにつきましての林野庁長官の御所見なり或いは又修正意見なり、その辺のところをお聞かせ頂くことにお願いいたしたいと思います。
  4. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 町村合併促進法案の進行を見ておりますることは、私どもといたしましても非常に適切なことであると存じまして、全面的にこれが促進のためにお役に立つようにしなければならないというふうに考えている次第でありますが、この十七條に国有林野整備臨時措置法特例等ということで案をお持ちになつている点につきましては、林野行政の面から私どもとして非常に考えなければならない問題がございまするので、私どもの立場において相当問題になりまする点を申上げて、特に御考慮をお願い申上げたい、かように存じておりまするが、御承知の通り国有林の政策といたしましては、国有林売払或い交換等の処分は、国土保全或いは森林資源培養保持、更には山村経済振興等基本方針として行なつている次第でございまして、これを町村合併促進のために利用するということは、この根本方針を阻害するという場合が出て来るということを考えまするので、この点は特にお考えを願いたい、かように考えている次第であります。  更に国有林野合併町村基本財産として優先的に払下げるという案になつているようでありまするが、現在の我が国の公有林実情は、森林の状態から申しますると、国有林或いは私有林と比較いたしまして最も管理が悪く、荒廃の事情が一番強いというのが現状なのでありまして、現在の公有林を如何にして合理化し強化するとかいうことが、林政上の大きな問題になつている。かような過去の実情を全然無視いたしまして、基本財産造成するために、国有林を更に基本財産造成の目的で払下げるという結果を想像いたしますると、非常に危険であり、不安なものがあるということを、林野行政の面から強く心配されるのであります。更に合併町村なるが故に、国有林払下を受けることができる、而も国有林の所在する町村についてのみ特典を認めるということになりますと、国有林の存在しない町村合併の場合と著しい不均衡が出て来る。この問題に関しまして実は私どもへも、山村地帯地方から、かような不均衡な不合理な案は絶対反対であるという強い声が出ているのでありまして、当然国策として私どももお考えを頂く際に、かような不均衡な措置がとられるということは相当の問題ではないか、かように考える次第であります。  なお現在私ども国有林野法或いは国有林野整備臨時措置法によりまして、国有林野法におきましては地元財産造成或いは生業資材確保等のために国有地をお貸しいたしまして、民間——勿論公共団体等を含んでありまするが、部分林という制度がありまして、みずから植えて頂きまして、御利用願つて、収獲時における分収をする制度があるのでありまして、これは現在私どもの行き方としては、積極的にこの制度の御活用の徹底を図つている次第であります。基本財産造成等のためには、最も適切な御利用願える施策であるとかように考えて、本法案の御準備を願う際にも、実は入つておらなかつた問題を特に入れて御活用願いたいということも申上げている次第でございます。  更に地方生業或いは民生上必要な資材計画的に国有林から供給するための共有林制度国有林野法規定しまして、地元林産物自給、主として林産物自給の面から、この制度経営案に織込みまして、安定して生業或いは生活の資財に不安なくお使い願うという制度ができている次第でございます。  更に経営案におきましては、民有林国有林を総合いたしまして、不時の備荒等のための払下可能な山を国有林において作つて行くという計画を入れてやつている次第でございますので、これらを御活用願うということによつて計画は十分に参ると、かように考えておりますので、特に基本財産造成のために国有林町村合併促進規定せられるということは、各種の面において、林野行政の見地からいたしますると、非常に不都合が多い。この際、何とぞこの点は十分に御考慮を頂きまして、実のある方法でこれは御規定を願いたいと、こういうふうに考えていることを申上げさして頂きます。
  5. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今の長官お話を聞きますと、要するに規定の如何にかかわらず、町村合併というようなものに、国有林野を何か餌か何かのように提供されるということが思想的にもまずい、こういうようなお話のように承わり、且つ又現在の町村有森林というものが一番経営がまずい実態にも鑑みて不適当だと、こういうふうにお聞きしているのですが、従つてそれに代るものとするならば、むしろ最近の部分林のような制度があるから、そういうもので一つ基本財産造成とか何かは考えて行けばいいのではないかと、こういうのですが、そうすると結論的に言うならば、あれでしようか、林野行政の面からやはり今までの実績から言うと、町村有或いは町村基本財産としての森林経営といつたようなものが、極めて経営がまずいというのは、どういうところに原因しているのか、その点のところを一つお聞かせ願いたい。
  6. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 一部においては、公有林においても相当合理的な経営を見ているところもありまするが、最近のように町村財政が非常に窮迫いたして参りますと、特に最近起りました問題で、公有林野が非常に異動もし、或いは荒廃もいたしましたのは、例の学制改革に伴いまする六・三制による校舎の不足、その他の関係で、直ちに財源を山に求められるということで、勿論御利用を願える森林なつておりまする場合には当然でありまするが、それをしもまだ伐採の年齢に達しないような山を土地ぐるみ手放してしまわれるので、今日において町村が非常に不利を見ておられるという例がたくさんございます。財産を全部確保しておられるということになりますると、非常に安易に、而も伐採期に達しない十五年、極端なのは十五年或いは二十年ぐらいで、ここ十年乃至二十年御辛棒を願えれば立派な収獲もあがるような山も、完全所有をしておられるために簡単にこれを売払つて財源に使われる、そのために所有個人に移る、或いは他町村に移るというようなこと、或いは買つた人たち森林法の適用は受けまするが、適正伐期齢級に達しない先に切払つてしまつて、跡を放置されるというような結果、町村は水害その他に忽ち影響を及ぼすというような例が顕著に現われて参つておりまして、数から言いましても、相当減少いたしておりますし、実は極度に低下いたしておるという現状にありまするので、この際いろいろと御規定願つて計画通り或いは国の許可を受けなければというようなことも規定せられているのでありまするが、実際に実行してしまつてから御相談を頂くということになりましては、実は取返しはつかないのであります。  ここで更にくどいようでありまするが、附加えて説明させて頂きたいのであります。部分林制度によりますと、樹種、伐期齢を指定いたしまして、国と分収の契約をして造林をして頂きまするので、ただ単に町村だけの意思によつてこれを売払い、或いは伐採することができない。最も経済的な、有利な時期に御活用を願えるということになりまするので、基本財産造成というような面から考えましても、最も適切な方法であると考えまして、この際土地ぐるみ売払うという面は、非常にその面でも危険がある。国有林自体が冒頭申上げましたように、国土保全資源培養、更には地元産業経済助長という考え方を以て経営案経営しておる点等考えますと、国有林野整備臨時措置法規定いたしまする範囲を越えて、この際町村合併のために国有林を売払うということは、私どもとしては非常にマイナスが多いということを特に考えておる次第でございます。
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかに御質疑はございませんか。
  8. 石村幸作

    石村幸作君 長官ちよつとお伺いしますが、今の国有林野整備臨時措置漢が施行せられて、今日までのこの法律の対象物を売払つたり譲渡した、それはどのくらいのことになつておりますか。同時にそれがその結果どんなふうですか、勿論これは地方公共団体だけでなく、個人とか又はほかの団体にも行われたでありましようが、特に町村地方公共団体に対して行われた程度、それからその結果を現在どんなふうに御覧になりますか。一つ
  9. 柴田栄

    政府委員柴田栄君) 国有林野整備臨時措置法の一応の目標といたしましては、独立の団地或いは境界の錯雑地或いは地元と従来密接な利用縁故関係のありましたところで、国有林野から手放しても十分に経営をお願いできるという見通しところ等を入れまして、約二十三万町歩という目標を立てた次第でございまするが、実際に私どものほうで調査をいたして見ますると、林野整備の趣旨に従つて売払い可能であるという見通しは、現在のところ約十五万町歩でございます。二十七年度までに実施いたしましたのは、実は今ちよつと細い数字を持つておりませんが、二十六年度には、認定調査を主体といたしました結果、三百四十町歩しか実施いたしておりません。二十七年度には約三万五千町歩実施いたしまして、二十八年度は着々進行いたしておりまするが、約十一万二、三千町歩ということになりまするが、これで大体お話合いがつけば、二十八年度中に完了の見込みでありまするが、一部交換等関係がありまするので、二十九年度、これは有効期間は六月末まででございまするので、二百四十八町歩程度が二十九年度にまたがるというふうに考えております。売払いました対象は殆んど町村対象でございます。而も売払いまする際には、必ず一時に伐らない、治山、治水その他の面から、是非とも計画的に実施しなければならないということで計画をお出しを願つて計画通り実施するというお約束をいたしまして売払つておりまするが、現状におきましては、極端に半分以上も伐採されたり、或いは売払われてしまつておるというような事実を見ておりまするので、今後これが進捗に当りましては、この点も更に十分御相談をして、伐採後のマイナス町村に負担して頂かなくてもいいような方法を十分に相談しなければ、相当危険なところがあるというふうにさえ考えているのであります。
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは各委員のかたにお諮りいたします。これで委員会を閉じてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは地方行政委員会を閉じます。    午後一時五十四分散会