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1953-07-13 第16回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十三日(月曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君    委員            西郷吉之助君            高橋進太郎君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            加瀬  完君   政府委員    国家消防本部長 瀧野 好曉君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    法務政務次官  三浦寅之助君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会調査    員       法貴 三郎君   法制局側    参     事    (第一部第二課    長)      杉山惠一郎君   説明員    自治庁行政課長 長野 士郎君    自治庁財政課長 奧野 誠亮君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○消防施設強化促進法案内閣提出、  衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (町村合併促進に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開きます。  公報にお示ししておりますように、消防施設強化促進法案を議題に供します。委員の方々の御質疑があります。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第七条の最後なんですが、部下の職員をして当該消防施評実地検査を行わしめることができる。ただ単に実地検査ができるということで、それで或いは適当でないと思つたようなときにはどういう措置をするのですか。
  4. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 第六条にございますように、実際購入したとか或いは設置したとかいうような報告がありまして、実際見ました場合に、まだ買つてなかつた、或いは完成してないとかいう事実を発見すれば、第六条に書いておりますようないろいろな措置ができるわけです。いろいろ第六条の第二号にもありますような目的外に使つておるというようなことがございますれば又そのような措置をいたす。そのほか実際について政府補助金の行方を明らかにするという方法として実地検査を行うと、そういうことでございまして目的はこれによつて相当達せられるものじやないかと思つております。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますと、適当であるかないかということを常時注意していなければならんわけであります。そうしますと、国家消防本部自治庁との間には普通はどういうような関連をつけるわけですか。
  6. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) これは消防組織法にもございますように都道府県の職責として、消防組織法のたしか第十八条の二と存じますが、都道府県消防事務に関しまする一応職権、職能が明らかになつておりますので、実際問題といたしましては、中央におきまして組織の余り大きくない国家消防本部というようなものが、ことごとくの全市町村消防施設に関しまする補助を受けました措置につきましての、公正なる措置をトレイスといいますか、追及するわけに参りませんので、実際問題といたしましては都道府県消防組織法で許します範囲内の業務といたしまして、実情調査して御連絡願うということが甚だ多かろうと存じます。併しながら一応法規の建前といたしましては国の補助金でございますので国の官吏が実地検査をするということを明らかにいたしておるわけでございます。
  7. 秋山長造

    秋山長造君 先ず第一にお伺いしたいのは、三条関係ですが、まあさつきお配りになつ政令案を見ますと、三条にいう消防施設内容消防ポンプ通信施設及び水利施設ということになつておりまして、水利施設とは防火水槽ということのようでありますけれども、更にこのほかに例えば火の見櫓であるとか或いは又狭い意味消防施設とは言えないかも知れませんけれども、やはり消防の完璧を期する上から言いますと、密集地帯道路の問題或いは又上水道ですか、水道の問題というようなものも、この消防施設強化促進ということから行きますと相当重要な要素なつて来ると思うのでありますが、そういう点につきましては、国の財政建前上、道路の問題は建設関係に入つておるし、水道も又建設或いは厚生というような面に入つておるのでありますが、そういう点につきまして、消防本部の立場からどのようにお考えなつておるのかどうかということ、それから第二は、この消防施設内容から見ますと、当然この消防施設強化促進法というものは都市に重点をおいて立案されおるような印象を受けるのでありますが地方実情を申上げますと、大体都市の方は常備消防を備えておりまして、又財政的にも消防予算というものはかなり支出されておりまして割合整つておる。それが町村になりますと、特に弱小町村になりますと、常備消防のないのは勿論でありますが、自由消防を維持して行くだけでもかなり骨が折れておる。で、消防組織法によりますと、八条ですか、町村消防の費用は町村負担ということになつておりますが、その実際を見ますると、恐らく消防関係経費の半分以上は、これは寄附だとか何だとか、言葉は悪いけれども、強制寄附のような形で各戸に割当ててやつておるというのが、恐らく全国の殆んどの事情じやないかと思うのです。こういう場合に消防寄附なんかをくねくね言つてしぶつておると、あいつは協力せんから、火事が起つたときには消してやらんというような暗黙の比力が加わるのでまあ少々過重な寄附なんかも否応なしに出しておるというのが実情だと思うのであります。そういう状態をこのまま放置して、而も消防施設強化促進を図るという建前はいいんですけれども、その内容たる都会地中心に流れるというようなことで、弱小町地消防施設強化ということが、大体現状のままで放つておかれるというようなことになりますと、それでなくても町村はいろいろな面で財政負担に非常に苦しんでおるのに、一層今後消防負担に苦しんで、実際には都市消防ばかりが立派になつて、町村消防というものは掛け声だけで依然として貧弱なもので残つて行くんじやないかというような気がいたすのでありますが、そういう町村消防強化という点に、消防本部のぼうでどういう手をお打ちになるのか、又どういう方針でおやりになつておるのか、又今後どう持つて行こうとなさつておるか、そういう点につきまして、少し詳しく消防本部のお考えをお聞かせ願いたい。
  8. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 只今秋山委員の御発言の最初の点でございます、お配りいたしましたこの政令案、これはまだこれからよく検討いたさなければなりませんが、一応の案といたしましてお配りさせて頂いたわけでありますが、こういうものからして、或いは日本の消防現状から恐らく直感されることになりますと、都市中心だというようなお考えも相当あるかと存じます。先ずこの内容につきまして申上げますというと、消防の必要といたしまするこの設備施設機械等は非常に広汎に亘りまして、お話のありましたごとく、水利と申しましても、水道施設というものに依存する度合いが非常に大きいのでございます。又道路なども勿論よくないというと、消防の機能は発揮できないというわけでございます。併しながらこの道路、或いは水道ということになりますというと、甚だ大きな計画と厖大な予算が要るのでありまして、この点は都市計画事業とか或いは公共事業による整備事業というふうなものに期待しなきやならないのであります。従来やつておりますことにつきまして申上げますというと、水道などにつきましては、消防がこの消防整備としての水道に依存する度合が非常に高いのでございまして、町や都市等におきまする水道の非常に圧力のないところなどにおきまして、或いは水道を今後施設しようとするところに対しましては、建設省当局にも厳重に私の方からも申入れいたしまして、この水管などの大きさを極力消防用にも使えるような、水利が得られるよう要望いたして来ておるような次第でございます。まあ現在消防といたしまして、水利の点に力を入れておりますのは防火水槽でございまして、御承知かと思いますけれども、一昨年から公共事業費の中の都市計画費の中に防火貯水槽補助金一億円を計上いたしまして補助いたして参つておるわけでありますが、これも都市計画事業施行地域に一応限られておりますので、今回この消防施設強化促進法案によつて裏付けられるところの二億五千万円の補助金の中から、一部従来の公共事業費の中で賄つておりまする防火貯水槽対象とならない、いわゆる施行地以外の町村対象として是非この町村方面整備不足を補いたいと考えておるのでありまして、将来は公共事業費の中に組まれております一億円の予算も今後これも拡大して消防のために予算を大きくしなくちやならぬと思つておりますが、これもこの消防施設強化促進法に基くところの補助金の中に入れまして、消防施設強化のための予算補助を一本化いたしまして、更に市町村の合理的な消防力の育成に努めたいと存じております。それからこの火の見でございますが、望楼と申しておりますが、望楼関係にも補助はいたしたいのでありますけれども、何と申しましても補助金の額が、現在のところ予定しておりますものが非常に少いのでありまして行く行くは考えたいのでございますが、この望楼もさることながら、まだ町村方面で、公設報知器などとても設けられない町村方面の、消防機関要望いたしておりますのは、望楼もそうでありますけれども、更に消防専用電話、例えば消防団本部から各分団に専用電話でもつて非常召集電話をかけるというような消防専用電話というものを非常に要望しておりますので、ここには通信施設の中に明らかにいたしておりませんけれども、消防専用電話というものを考えてみたい。甚だお配りしたものを若干補正いたして相すみませんけれども、通信施設の中に消防専用電話というものを是非考えて行きたい。御注意がありましたが、望楼火災を発見するときもそうでございますけれども、火災を知りながらも分散しておる消防力を一点に集中せしめるための連絡方法として、非常に要望されておりますところの消防専用電話というものを考えて行きたいと思つております。  第二点の都会中心になりがちだという御説も傾聴いたしたのでございますが、今回の消防施設強化の一部をやつておりますものも、都市とか町村とかに限りませんで、町村消防力の最も劣弱なところのポイントを抑えましてそれぞれふさわしい消防施設設備を早急に設けて頂いて、全体としての消防力がバランスを取れるようなふうにしたいという意図でございまして、むしろ都市もさることながら、町村方面火災に対しまする非常な危機を、劣弱なる点を早急に規整して頂きたい意図でございますので御了承を頂きたいと思います。消防ポンプ自動車とございますが、これとても大小いろいろございまして、都市町村向きのものそれぞれ考えておるのでございます。又ここに可搬動力ポンプというのがございますが、交通事情必らずしも良くない町村方面におきまして、最近非常に有効な消防ポンプといたしまして普及いたしておるところの小型の可搬動力ポンプというものを是非町村方面に普及いたしたい。これによりまして従来人力のみに頼つていた腕用ポンプというものを逐次排除して、機動力ある又動力による能率的な小型動力ポンプというものによつて、比較的ポンプ自動車等に比べまして安くて購入のできるそういつた種類ポンプを普及して町村のほうに備えたい。そういう意図でございまして、その点は今後も御注意の点を十分考えて行きたいと思います。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 更にお伺いしますが、大体この消防施設強化促進ということは、結局はまあ財政的な裏付けがあるかどうかということにかかつていると思いますが、大体今度の予算に組まれておるこの関係経費というものは二億五千万円程度のもののようでありますが、更にそれに起債が去年は七十五億要求があつて、三億三千万円程度しか認められておらないのでありますが、今年は六十億の申請で幾ら認められるのか、その点もお伺いしたいと思うのですけれども、どうせ殖えたところでそう十億も二十億もということは恐らくはないのだろうと思います。そういたしますと、ここに消防本部のほうで御提出なつておる消防施設五ヶ年計画ですね、この計画とこの法案との関係ですが、この消防施設整備の五ヵ年計画によりますと、二十八年度、初年度計画として、大体消防ポンプ並びに通信施設両方で四十四億円、それから水利施設三億円、大体四十七億円ばかり御計画のようですが、ところがそれを果してやれるかどうかということになると、非常にこれは夢のような計画だと思います。さつき申しましたように、具体的な財源として考えられておるのは、二億五千万円ですが、これが三分の一の補助に当るのですから、実際には七億五千万円ということになるのです。それから更に起債が十億なら十億認められところで、十七億五千万円ばかりのものでしよう。それに更に防水用水槽として一億円とおつしやるのですから、それに多くしてプラスしてみましても、これはもう全然消防本部で作つておられる二十八年度の計画と、それから実際に組んでおられるところの予算措置というものとは、てんで問題にならんのですが、こういうことで果してこの計画意味があるかどうかということを疑わざるを得ないのですけれども、そういう点について、一つ考えを聞いてみたいと思います。
  10. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 秋山委員が仰せられた今お配りしておりますところの五ヵ年計画というものを一応御説明申上げねばなりませんがこれはここにもありますように、基準台数と申しますのは、私のほうで、大体この程度ならば一応市町村火災に対して満足できる防衛力があるという数字を出しておる。常設町村消防力基準は大体人口を二万六千以上の都市考えております。それから消防団設備及び運営基準と申しますのは大体それ以下の規模町村に対しましての基準、この二つ基準によつてポンプというものが一応水準までほしいという基準によつて弾きましたものが、種類別にしてこんな数字になるわけでございます。それに対しまして昭和二十七年の四月一日現在で一応調査の終つておりますところの現有台数四万六千九百七十二台というふうな数字が出ておりますが、これとの比較におきまして、その不足部分を今後五ヵ年で補うといたしましたらば、こうなると、そうして昭和二十八年度から昭和三十二年度まで五ヵ年間での平均を考えましたところ、一応数字的に四十四億四千四百万円もかかるというふうに計数が出ておるのでございます。又これに対しますところの実際の市町村事業消防力強化のための事業費として期待できるものは遥かに低いわけでございます。もう少し現実性のある計画を、実現性のある計画を立てたいのでございますが、一応理論上私のほうで消防力に期待するところのものを出しますれば、かようなものになるというものを出してみたのでございまして、もつと少いもので実行可能なものの計画を出せば出せぬこともございませんけれども、一応これは大蔵省などと予算折衝を重ねて参つております筋合いにおきまして、これだけのものが要るのであるということの資料でございます。その点は現実から眺めますと、非常に申訳ないような事態になつております。何しろ今年この法案に裏付けられるところの二億五千万円も多年要望されて来たものが、漸く頭を出して来たという初年度でございますのでのでその点も御了承頂きまして、今後に期待して頂きたいということをお願いしておきます。
  11. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この消防本部でお作りになつた五ヵ年計画というのは大蔵省予算折衝をするための資料という程度であつて、今回御提案になつております消防施設強化促進法案の具体的なこの筋書きというわけじやないんですね。
  12. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) この計画がなくては実際どうにもならんじやないかということになつておりますので、我々のほうでかような計画の下に今日まで予算の獲得にも努めて参りましたいろいろな法案の用意もいたしまして、その意味におきましての皆様方の、将来どれだけ要るのだという参考にもと思つてお配りいたしたのでありますが、この法案を御審議頂くのに、これによつて資料というよりも、消防の現情から今後計画すればどうなるのだという意味におきましてお配りした資料でございます。
  13. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、いずれにいたしましても、二億五千万円と、それから防火用水槽の一億円を併せまして三億五千万円程度ではとても消防本部でお考えなつておるこの画期的な防消施設整備強化ということにはほど遠いことになりますので、どうしてもそのあと、我々の一縷の望みをかけるのは起債の枠を極力拡げるということ以外にないと思うのです。その起債の点につきましては、もう大体見当がついておるのじやないかと思いますけれども、大体見通しはどの程度なつておるのか。  それからもう一つ附加えてお伺いしたいのですが、今全国地方公共団体の正式に予算で組まれておる消防費査定というようなものが資料としてありますかどうかちよつとお伺いしたい。
  14. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 消防に関しまする一般単独市町村起債要望は年々非常に多額に上つておるわけでありますが、従来の実績が必ずしも十分認められておりませんのでありまして、本年度漸く、最近自治庁当局査定を一応終つておるようなわけでありまして、大体消防の認められる内定の枠が五億程度に相成るのじやないかと思われます。これは昭和一十七年度でございますが、市町村消防費として計上された当初予算は百四十億九百十一万余円でございます。それに対しまして当該市町村の総予算は三千二百十三万二千百九十七万余田が当初予算なつておりますので、それに対しまする当初それぞれの比率は四三%程度でございます。二十七年度で……。これは甚だ率からして我々が期待しておるものから見ますれば、低いのでございまして、先ほどのお話がございましたように、これ以外に市町村経費が実際上寄附形等で部分的には相当あると存じます。それにいたしましても、この基準財政需要額消防基準財政需要等々といろいろ比べますというと、十分でないというように思います。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 どうもそういうこの地方財政実情考え、又国の計画している予算額考え、而も一面におきまして、消防重要性考えますときに、どうもこのいささか雀の涙というか、二階から目薬程度の感じしか受けないので余りこれによつて消防施設が、今年は法律を作つて画期的に強化されるのだというような、こうぴつたりした気持になれないのですが、この点につきましては大体政府自体は従来消防重要性を認識しておるのか、或いは認識していても、そのあとの処置に対しまして不熱心であつたのか、大体この消防本部そのものの存在さえもなかなかそう世間へ徹底していないような、極めて遺憾な実情じやないかと思うのです。早い話が予算の組み方なんかにしましても、消防施設強化促進ということで法律まで、この際特別立法までやつて本格的に乗り出そうという気構えのときであるにもかかわらず、この僅か一億円ばかりの防火用水なんかの予算は全然消防本部管轄外なつているわけでありますし、又自治庁のかたが見えておるかどうか知りませんが、水道なんかの起債の枠をとるのでも、実に無理をして、四苦八苦して陳情をするばつかりに、東京通いをしてほんの少ししか枠がとれないので、三年計画のものが五年も六年も引延ばされるようなのが地方の、特に中小都市水道工事なんかの実情だと思うのです。そういう場合に自治庁なんかで、果してこの消防なんかの必要性というようなことを、水道起債なんかの場合に、どの程度に考慮しておられるのか、というようなことも改めて疑問とせざるを得ないような状態なんですが、それらの点につきまして、もう少し地方の特例ということで、消防施設強化をやらせるのもいいのですけれども、政府自体におきましても、もう少し予算或いは財政面等を一本の形にまとめるとか、法律まで出してやるならもう少し熱をもつて、二万五千円だとか起債にしても五万円だとかいうようなことでは、とても問題にならないと思うのですけれども、そういう点についてもう少し消防本部自体でも一つ元気を出してやつてもらいたいと思うのです。
  16. 若木勝藏

    若木勝藏君 極く簡単に二、三の点を質問したいと思いますが、秋山君からも御質問があるのですがこれに関連して参りますので、市町村で、どういうふうな基準とか規模によつて消防施設をやつているか、その点について……。
  17. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 先ほど申しました五ヶ年計画のところでお答え申上げましたように……。
  18. 若木勝藏

    若木勝藏君 いや現状はどういうことになつているのですか。
  19. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 基港でございますか。基準は大体二つ基準を持つておりまして、先ほどちよつと触れましたように人口二万六千人以上の大体市街地的な都市ですかういうところに対しましても、消防力基準というものが出ております。これに人口を基礎にいたしまして、実際に必要な、一つ火災が起りました場合に最小限度のものがこれになるという数字から、人口に比例いたしまして段階を分けまして、必要なポンプ台数を出しております。それに必要な職員等も出るわけであります。それからそれ以下の、二万六千以下の大体消防団自由消防を以て守らているところの町村に対しましては、この人口と、それから人口を構成いたしますところの所在部落規模、そういつたものの何と言いますか、位置、それからそれに従いましてこの機動力を勘案いたしまして、必要な消防ポンプ数字から割出しまして出しておるわけであります。従いましてそれに必要とする水利というものの要素を決めまして、一応の基準を出して非常に複雑になつておりますけれども、この二つ基準で以て、町村に具体的に当てはめてもらうて、最小限度消防力というものを確保して頂くというふうに実際指導しているわけです。
  20. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういう基準従つて消防力を確保するということになつておりますが、現在では市町村においてその基準通りに行つておりますか。どういうふうになつておりますか。
  21. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 基準通り行つているところは殆んどないというぐらい、いろいろ段階がございまして一都市方面におきましては、この常設消防力基準から弾き出しまして、一級から十級までの都市を分けておりますけれども、大体三級というのは最高でございます。そういうふうに都市消防力を物差しによつて弾き出しまして、いわゆる都市等級化をいたしましてそれを簡単に一つ何級という結論が出るだけでなくて、結論を出すためのいろいろな要素のものを全部虱潰しに調べた上で、一つ都市に対しまする診断書と申しますか火災に対する防火措置上の消防力というものの診断書が作られるわけでありまして、それによつて都市に対しましていろいろ改善策を立てるようにいろいろしておるわけであります。町村、主として消防団で守られているところの町村に対しましては、昨年から先ほど申しましたような消防団設備及び運営基準というものによつて指導いたしておりますが、御質問のそういう基準に達しておる市町村はそうたくさんない、遥かに劣弱でございます。
  22. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで私この資料を見まして、今もお話がありましたが、そういうことで以て市町村では消防力強化するために、起債などを要望していると思うのですが、四・四%というのは二十七年ですか、そういうふうな状態なつておるのですが、これに対して一体消防本部といたしましては従来どういうふうな手を打たれて来たかということです。御努力なさつたかということについてお尋ねしたいと思います。資料にありましたですね。
  23. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 起債の状況でございますか。
  24. 若木勝藏

    若木勝藏君 二十七年度においては四・四%ですか私は今度の二十八年度は何%になるか知らんけれども、そんな要望に対して、そういうふうな許可額が示されているということになれば、これは全く何らの強化にならないんじやないか、従つて国としても、市町村としても莫大な私は起債を持つておつたのじやないかと思うのです。特に起債の件数などが出ておるのですから、これは一体どうしてこういうふうな四%とか五%程度なのか、わからないんですが……。
  25. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 御承知のようにこの市町村消防のための起債は、地方財政法の附則三十三条を根拠として賄つておるわけであります。で、勿論これは市町村の単独起債でございますが、単独起債の枠が例年余り大きくないのであります。起債として町市村から要求されるものはいろいろたくさんございますようで、その中につきまして消防起債につきましては、勿論許可権のある、権限のある自治庁に処理が来るわけでありますが、同時に消防の主務課、都道府県消防の主務課からも要望されておる書類は私のほうに通達を願いまして、私のほうといたしましては消防の具体的な起債の許可ができまするように自治庁にもしばしば実情を訴えて各市町村消防機関の責任者も、いろいろ資料等を持つて参りまして、自治庁に対しまして、十分説明をいたし、事情を訴えておるような次第であります。しかしながら実際の起債を操作される自治庁当局におかれても同情はしてもらえますけれども、なかなか全体の枠の点からいたしました結果として従来の実績はかようなふうになつておるのでありますが、私のほうとしては決して怠つておるわけではないのでありまして、血の出るような叫びをいつも自治庁には申上げ、又具体的に市町村要望も個々にお願い申上げて、できるだけの消防起債が許されるよう協力しておるのでありますが、今年はもう少し実はよくなるだろうと思いますが、今後もできるだけそういつた関係方面の御理解も得て、消防のための起債がもう少し殖えますようにいたしたいと思います。
  26. 若木勝藏

    若木勝藏君 財政部長さんに一つ。今消防本部のほうに私質問しておつたのでありますが、これは国庫補助まで出してこういう法律まで作つて、そして消防施設強化するということは大変いいことだと思います。ところが在来、如何にも市町村消防力を放つておいたかということは、起債の申請の政府許可の資料を見れば、明らかなんです。それで今まで質問しておつたのでありますが、二十七年度においても、申請額が七十五億円だ。それに対して四・四%しか出しておりません。二十八年度は何ぼになるかわかりませんけれども、どうして一体こういうふうに、まあ起債で以て何とかして消防力強化しなければならんと、市町村考えておつたんだろうと思うのです。在来こういうふうな形で来た。どういう理由でこういうふうな僅かしか当らないのか、自治庁はこれに対して、どういうふうなお考えでやつて来られたか、大蔵当局と折衝されたか。二十八年度は一体どのくらいのパーセントになるのか、その点を一つ
  27. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 起債消防に関します承認額についてでございますが、従来から各団体のほうで、御要望になられまするものに対しまして、充当率が非常に低いということで、いろいろ御意見を伺つておるのでございますが、私どもといたしましても、決して消防関係のものだけ特別にどうこうするというような考えは、別に持つておるわけじやありません。御承知のように地方財政全体といたしまして、特に起債関係、なかんずく単独事業におさましては相対的にほかの事業も充当率が、なかなか思うように少くとも地方団体のほうで御要望になられますようなことの承認ができなかつたということは、私どもの与えられております起債の総額の関係等もございまして、誠に私ども自身も遺憾に存じておるのでございます。ただ今回特にこの消防に関する施設整備促進を図るという意味で、そのための法律も制定になられるというようなことでございましてそのための国の補助金等も支出せられる関係でございます。今後の起債の充当に当りましてはできるだけ一つ御趣旨に副うように進めて参りたいと考えております。ただ地方団体のほうといたしましては、勿論消防に関する事業だけでございませんで、いろいろ関連した単独事業或いは又公共事業を持つておりまして、結局全体の地方債の枠をどこへはめるかという問題になるわけでございまして全体のこれまでは単独事業と見て参つておつたわけでございますが、そのうちで消防関係の点に充当さるべき起債の枠というものを相当増して行くということになれば、必然的に半面道路でありますとか、或いは農業道路関係でございますとか、その他のものがどうしても減つて来るというようなことでお互いにこれは見合いの関係になるのだと思います。特に私たちどれを重点というふうにここで申上げるわけじやございませんが、与えられました範囲内におきましては、できるだけ一つ要望に副うように今後も進めて参りたいと思います。
  28. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこでこの法律ができて消防の用に供する施設に投入する。或いは支出しようとすとるころの市町村に対しましても、一部を国が補助する。而もその基準及び補助率としては、基準額の三分一以内の補助を受ければ、そこで施設ができるわけであります。ところがそういうふうなことがどれだけの一体この法律によつて市町村がこの財政のあなたも御存じの通り逼迫しておるときに、こういう施設をやり得るかという点については、実情をどうお見通しになつておられますか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  29. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) これはここにどのように補助金が配分されますか、消防に関しまして起債の配分を受けました団体の財政状況にもよることと存じます。その他の消防以外の各種の補助事業につきましても、御承知の通り二十七年度の例で申上げますと、大体補助事業地方負担分に対しまする起債の充当率というものは、大体五〇%前後というような状況でございます。消防関係のものにつきましても大体まあ私たちの考えといたしましては、できるだけそういうようなほかの各種の補助事業関係等とも睨合せまして、適当な充当率を考えて参りたいと存じておりますが、今回提出いたしておりまする予算に伴います地方財政計画におきましては、起債の全体的な、殊に補助事業に対しまする充当率は大体従前通りにみております。補助事業起債の充当のやり方は、これも御承知かと思いますが、特にまあ財政調整的な見方をしておりまして、各団体の持つておりまする補助事業に対する地方負担分の額がどのくらいあるかという問題と、その団体の標準税収入というものがどのくらいあるか、更に又平衡交付金の中に算定されました投資的経費の割合というものがどのくらいあるかこういうような要素を取上げまして、大体その団体の財政状態に適合いたしまして、又与えられました範囲においては、先ず適当と考えられるような充当率も、各団体毎に算定をいたして配分をいたしておるわけでございます。消防に関するものにつきましても、いずれ法律が制定になり、又これに伴います予算が成立いたしました暁におきましては、これらの他の補助事業と同じように、併せましてこれに対する起債の充当を考えて参りたいと、こういうふうに考えております。
  30. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこでそういうふうな財政計画で以つて平衡交付金とか或いは自己資金とか補助とかいうことで、市町村では消防力強化をやつて行くだろうと思うのです。ところが私の見通しでは、こういう法律が折角出ても十分な市町村計画というものが今の財政状態では進み得ないだろうと思います。ですからそれと睨み合せて、二十八年の起債の方面を、その精神を以て、相当私は市町村としても大蔵省と折衝して、そうして申請額のパーセントを上げて行くのが本当ではないか。この点について特段の自治庁側の御努力を願いたいと思います。これは消防本部のかたに伺つたらいいかどうか。まあ恐らくこの点に関係して考えたので、私は衆議院でもこの修正案を出したのであろうと思うのであります。一体消防施設を購入するというような場合には、どんなふうにして行われておるでしようか。現在市町村において消防施設を購入するというような場合ですな。
  31. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 御質問の御趣旨は、若し私、取りようが聞違つておりましたら、又御説明申上げたいのですが、現在までにその市町村消防機関の持ちます消防ポンプを買いまする方法は、ポンプのメーカーに大体注文いたしまして、いろいろそれぞれむきむきの規格のものを要求して買つておるような実情であります。尚附加えまするけども、それのポンプの中で、御承知かと思いますが、私のほうに所属いたしておりまする消防研究所のほうにおきまして消防ポンプ機械器具の検定作業を、国家検定を実施いたしております。その国家検定におきましては、一つの標準規格を定めまして、その規格に合致しておるものでなければ検定の合格証をやらない。その検定に合格しておれば、先ず国家の専門的な技術を扱います消防研究所のほうで、専門の技官が長い間かかつて作つた基準によつて検定をいたすのでありますので、一応信用ができると、こう思われますが、これは任意検定でございますので、受けようが受けまいが業者のほうでは勝手でございますけれども、むしろ市町村という需要者の側の啓蒙といたしまして、検定合格のものを購入するように指導して今日まで参つております。併しながら全国にメーカーもたくさんございますので、必ずしも検定を全部受けておる業者とは限りませんでありますが、今後はできるだけ、そういつた信用のあるポンプ機械を購入して頂くように指導したいと、こう思つております。
  32. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで私の伺つておる点は、そうしますと、あなたの御答弁によりますと、購入することは市町村自体がやるわけなんですね。国で以てまとめて市町村に配付するというようなことじやないのですね。
  33. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) その通りです。
  34. 若木勝藏

    若木勝藏君 その通り。そうすれば第七条で国が補助をするというようなために、わざわざ購入について総理大臣がこれに指示を与えるということは、私はどうも考えてもおかしいと思う。国庫補助金消防ばかりでなくほかのものにもたくさん出ておる。そのときに一々その補助金を使つてものを購入する場合に、内閣総理大臣の指示を受けておるわけではないと、そういうふうに考えるのですが、特にここで内閣総理大臣が指示を与えるというのは修正案も出ているけれども、私としてはその点を聞きたい。
  35. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) これは衆議院のほうでの修正にかかる部分でございますが、当時の原案として出しました理由を申上げますというと、これは他の方面におきます補助の例にも全く例がないわけでございませんわけでありますが、購入というふうなものにつきましての指示というような例はないのでございますが、施設整備のためにするこの一定の所管大臣の指示というような例は立法例はあるわけでございます。考えました理由は、四条に御指摘の規格の問題でございますが、一定の規格のものを一定の基準額でもつて買う場合に補助をいたすのでありますから、この規格を一応確保するためには、何らかの方法によつてその規格に合致しているかどうかということを一応確認する必要があるのではないか。その場合におきましては、国なり或いはその都道府県というふうなものに、そういつた消防機械器具の検定乃至精能試験をいたす権能がありますので国又は都道府県消防関係機関がこの規格に合致しているかどうかを一応検定或いは試験をして見る。その試験したものについて購入さしたらいいではないかというような考えからいたしまして、こういう補助条件を充たすための過程におきまする一定の指示をいたしたいという程度意味であつたのでありますが、これがなくても、先ほど西郷委員からも当初御質問がございましたように、実施検査をさせる。或いは報告を求めるという方法によりまして、必ずしも指示をしなくても適正な施設購入或いは設置の目的は達せられようかと存じます。
  36. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで先ほどあなたの御説明の中で、そういう規格に合うとか或いは基準に合うところのポンプであるかどうかということについては、消防研究所でも十分に調べて、こういう規格に合つたものを買つたほうがいいだろう、こういうようなことを市町村のほうに指示というか或いは助言というような形でやつておるのですから、わざわざここに総理大臣の指示というようなことは要らんじやないかと考えます。その点わかりました。
  37. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それでは一点私、今若木君の言つた点についてお伺いしたいのですが、大分、条文を見ますと、第五条でも第六条でも第七条でも、総理大臣が、消防施設につきまして統括的な権限を以てやる補助について、いろいろ指示をなさつておるようですが、実際の取扱いはどうせられるのか。それを聞きますと、人員は、従来各省で見られるのですが、非常に補助金が少いにかかわらず、町村がその補助をもらうために書類を整備する場合、東京へ出て来なくちやならんというようなことで、仮りに百万円の補助金をもらうのに、むしろ同等の補助金程度のものを旅費なり或いは書類を整備するために使うという例はままあるです。従つてこれもこれだけの相当の大きな金額でもあれば別ですけれども、消防ポンプにしても消防施設にしても、個々的に見ればそう大した金額じやないか思うんです。それを総理大臣或いは消防本部長が一定に統轄してそうして各町村が東京に来なければ、補助金が貰えない、それに伴う起債がどうということになりますというと、非常に費用がかかるので、これは一定の枠を設けて府県にお任せになるのか、そこいらのお取り扱いの点を一つ補助金が少いだけに、十分おき聞したいと思うわけです。
  38. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 只今の高橋委員の御心配の点は当然でありまして、僅か二億五千万百の金を市町村に振りまくのに非常に陳述団の上京だのというようなことでは誠に困りますので、幸いこの消防組織法にも都道府県市町村消防のためのいろいろな行政事務を行うことになつておりますが、私の考えといたしましては、非常にたくさんに上ります市町村から欲しいものは、皆書類を出すというようなことにいたされませんで、大体あらかじめ、要望書というふうなものによつて、大体の概括的な都道府県内におきまする概括的な御要望を、極く簡単なものによつて大体市町村の意思はわかる、そういたしますというと、従来の市町村財政或いは消防力、そのほか地域的条件、そのほか全般を見ておるわけでありますので、その資料に基きまして大体順位を付けて頂きまして、補助金が差上げられるというふうな町村は、大体あらかじめ事前の審査におきましてよく調べた上で、大体見込みのある町村は一応申請書だの、事業計画書だの、いろいろ必要なたくさんの書類が必要なんで、補助金がもらえるかもらえないか、当てもないのに、べらぼうな厖大な地図まで付けて出すような、複雑な書類を出すことをできるだけ避けまして、そういう予備操作によつて、大体補助金が行くような町村にのみ、正式な書類としては町村におきましては御申請を頂きまして、その間におきましては、都道府県が十分あらかじめ調査をやつて頂きまして、中央に僅かばかりの補助金をもらうのに御上京にならないように、私のほうも努めたいと思います。
  39. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 念のために、今の本部長のお話を聞いて、大体わかつたのですけれども、それでもなおやはり本部のほうで御統括になるようですが、私としてはできるだけ県に大体の補助の枠なり何なりお渡しになつて、大体は都道府県内で済むような具合に行くというようにお取扱い願いたいと希望しまして、私の質問を終ります。
  40. 秋山長造

    秋山長造君 只今の御質問に関連いたしましてお尋ねいたしますが、今度の補助金の配分につきましては、先ほど施設整備計画というものを手許にもらつているのですが、このうち整備計画なり、補助金の配分の場合、全国的な地域的なと言いますか、釣合いと言いますか、地域的な補助金の配分計画というようなものは何かお持ちですか。例えばただ申請書を出させて、それを書類審査するというので、恐らく財政力の多難な都市方面は、我勝ちに、早いもの勝ちに殺到するであろと思う。それに対して赤字で非常に困つている弱小町村なんかは、実際には消防施設が非常に不完全なために、のどから手が出るくらい補助金は欲しいけれども、なかなかあとの三分の二の裏付けというものの見通しがつかないために、ぐずぐずして申請が立ち遅れるのではないか。そうして、結局出した時分には、早くもう先から先から書類の審査が終つて、そうしてもう二億五千万円が済んでしまつて、あとは何もない、ゼロだつた、何ももらえないというようなことになつて、そうでなくても、大体内容からして都市中心に流れる虞れが多分にあるのが、補助金の配分のやりかたなんで、一層都市中心に流れて、地方最小限度消防設備整備ということだけすらできないような弱小な町村には殆んど均霑しないというようなことになる心配が非常に大きいと思うのです。そういう点どうでしようか。
  41. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 只今ここで直ちに都市は何%だ、町村は何%だというふうな工合に数字は持つておりません。心組みといたしましては、本年度で自治庁の手許でやる単独起債で、消防起債を認めて頂くことも、もう近く明らかになりますので、その具体的なものを見ませんというと、大体どの方面に消防のための起債が流れて行くか見当がつきませんので、それをにらみ合せましたり、それから都市財政というふうなものも十分考えなければなりませんので、必ずしも負担能力のあるところにのみやるというふうにしないで、財政は非常に窮乏するが、何としても発足いたして、消防力の劣弱な現状から見て放つておけないというようなところでは、要求さえあれば、成るべく少しでも出すというふうにいたしまして、心組みといたしましては、都市なら都市町村なら町村というふうなものに、非常な極端なアンバランスが出て来ないように、全体の配分を操作して行きたいと思つております。ただ今ここで何%が都市で、何%が町村だと、こういうことはまだこの段階でははつきりしたことは申上げられませんけれども、実際の市町村を選んで参ります操作の過程におきましては、何らさような都市あたりとの全体のバランスを考えて行きたいと思います。
  42. 秋山長造

    秋山長造君 さつきから繰返すのですけれども、法律も作つているのに、どうも二億五千万円で全国消防施設を促進強化しようというのは実に心細いので、まあ二億五千万円で消防施設強化しようと思つたら、それこそ火事が笑うと思うのです。武岡財政部長にお尋ねするのですけれども、これは今我々の手許に消防本部でお作りになつ消防施設整備五ヵ年計画という相当厖大な計画があるのです。大体二十八年度、初年度存でもいろいろな施設、合計して五十億くらいになるのですが、そういう整備計画を作られ、更にに又この促進法案にいたしましても、すでに年度変り、年度当初からもう御計画なつておつたことだろうと思うのです。従いまして今度の起債計画なんか立てられる場合にも、当然こういう消防本部計画自治庁の手許へ届いたことだと思うし、それから又いろいろ御相談もあつたこと奪うと思うのですが、にもかかわらず、僅かにさつきの話では大体今年の起債が五億くらいだろうというお話なんですが、そういうことになるといたしますと事前に、消防施設整備計画というものについて、消防本部自治庁財政当局との間でどの程度お話合があつたのだろうかと疑わざるを得ないのですけれども、その点は如何でしようか。
  43. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 先ほども申上げましたように、消防に関しまする起債の御要望に対しまして、実除に充当し得た額が非常に低率でございまして、各地方団体のほうの御満足を頂けませんことは、私も本当に遺憾に存じております。本年度の計画につきましても、いろいろ消防庁のほうでお持ちになつておられます計画につきましては伺つておるのでございますが、何分にもきめられました枠の中で、消防整備計画もございまするし、又老朽危険校舎につきましても、五百億近いようなものを何年間でどうするかというような問題もございますし、そのほか土木関係につきましても、或いは産業経済、原生施設等々、いずれもそれぞれの整備計画、又整備して行かなければならない具体的な計画を各省、各方面においてはお持ちでございますけれども、なかなか全部これをとり揃えまして、みんな満足の行くような起債の配分ができませんことに、誠に残念でございます。ただ消防につきましては、先ほど申上げましたのでありますが、今度こういうことで特にこの整備を促進して行かなければならんというような、一つの政策が打ち立てられるわけでございますので、今度これらの起債等につきましても、できる限りその精神に則りまして善処して参りたいと、かような心組みは持つております。
  44. 秋山長造

    秋山長造君 只今の御答弁至極要領いいのですけれども、実際自治庁消防の拡充ということに対して、誠意を以ておやりになる御方針なんですか。
  45. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 今後のこれは地方財政全体の問題になつて来ると思います。具体的に申しましても、起債の額自身をどうするかというような問題に触れて参るわけでございまするので、そういうものとにらみ合せて参らなければならんと思います。又市町村財政の問題といたしましても、特に申上げるまでもなく、広く教育なり、経済なり土木なり、各方面に亘つてなおこれからやつて参らなければならない大きな事業を持つておりますので、それらをにらみ合せますると、具体的なことは消防のことだけでは申しかねますが、ただ気持といたしましては申上げますようにその重要なことは特に言うまでもないことと思いますので、でき得る限りのことはいたしたいという程度にしか、只今のところお答えのしようがないのじないかと思います。
  46. 秋山長造

    秋山長造君 消防施設整備強化ということに対しましては、自治庁におかれましても本当に真剣に今後御尽力を願いたいと思うのです。それから消防本部の長官に一つお尋ねしたいのですが、この配布されております二十七年度の火災年報の中の統計を見ますというと、いろいろな火災の原因の中で、たばこの吸いがらというのが圧倒的に多いわけです。政府のほうはたばこの収入、年恐らく千五百億以上だと思うのですが、それだけ政府が儲けておつて全国の火事の殆んど一番大きな原因はたばこの火なんですが、政府の責任とも言えんけれどもとにかく政府は千五百億儲けておるのです。だから儲けた中から僅か二億五千万円しか火事を消すのに出さんということは実にけしからんと思うのです。これは十億出しても二十億出しても、ちつとも多過ぎることはないと思います。そういう点に対して消防本部のほうで政府に対して、大蔵省なんかに対してもう少し強く折衝して欲しいと思うのですけれども。それから更に又火災原因の二番目に漏電ということが出ておりますが、地方なんかの実情を見ますと、もう大正時代か明治時代に天井裏に引いたような電線が古い家なんかそのままになつておるところが非常に多いのです。もう裸になつたら、なつたままで放つてあるようなところが非常に多い。そういうことにもかかわらず、電力会社が知つていて知らん顔をしておる。そのために漏電による火災というのが非常に最近は殖えつつあるということがあるのは御承知の通りなんですが、そういうことに対して、電力会社あたりは、金儲けばかりをせずに、もう少し良心的に古い電線なんかを早く更新するように、何か規定であるだろうと思いますけれども、そういう点について電力会社に注意をなさるなり、連絡をなさるなりしておられるのか、その一点をお尋ねいたします。
  47. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 専売公社のほうにおきまして、今のたばこの収入が非常に莫大なものを得ておるのに、たばこの不始末で火災が非常に多い、御尤もでございまして、この点も、従来私としましては、微力ながらも予算折衝におきましても努力いたしておるのでありますが、今後政府の、殊に大蔵方面の財政当局の十分なる理解を得るように努めたいと思つております。漏電という原因が相当部分を占めておりますが、この点、現在電気工事、電気工作物の監督検査等がまだ完備いたしていない現状なんでありまして、これは主として都市方面消防機関におきましては、予防業務といたしまして、常に電力会社等にいろいろ注文をつけまして、或いは新たに家を建てます場合、建築に対しましていろいろ消防も関与いたす面もあるのでございますから、その面におきましても配線或いは電気工作物の設置等につきましては、いろいろ注文をつけて不完全なものをしないように、実際の作業におきましてやつておるわけです。なお今後も十分この方面の査察を、現在消防機関による査察が消防法上査察が十分できませんので、消防機関によるそういつた電気施設の検査を厳重にやらせるよう、なお中央におきましても地方に対しまして強く指導して参りたいと存じております。
  48. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 消防本部に伺いますが、消防本部は国家公安委員会の指揮監督を受けるというふうに、警察と同じようになつております。警察の場合は、法案提出の際でも、国家公安委員が相当国会にも陳情し、いろいろやるけれども、どうも国家消防本部は国警と違つて、部隊を持たない関係から、国家公安委員会が、そこに監督することになつているけれども、一向に努力しておられるような様子を見たことがない。これでは、消防本部に伺うのも変なんだけれども、今日、貧弱なこういう現状であるが、併し国家公安委員会とはどういうような連絡があるのですか。
  49. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 御指摘のように、国家消防本部は国家公安委員会の下に所属いたしておるのでありまして、国家公安委員会は、定時の公安委員会は毎週一度開いております。その機会にいろいろ決裁を頂くものは決裁を貰い、又報告すべき事項は報告して、十分緊密な連絡をいたして、又お指図を頂くものにつきましては、いろいろ指図を頂いておるわけでありますが、従来の例からいたしまして、国会の方面に公安委員会の委員又は委員長が出席してお尋ね等にお答えした例もあることはあるのでありますが、実際上の行政事務を政府がやつておりますのは、消防本部において本部長が責任を持つてつておりますので、そういう方面はお任せ頂いていることが多いので、誠に恐縮に存じておりますが、実際の業務の運営につきましては、公安委員会に十分所管事項につきましては御連絡申上げ、平素の業務に十分御理解を頂いておるつもりであります。
  50. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  51. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をつけて。
  52. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどからいろいろな御説明で消防本部の本部長のほうでも予算の獲得のために非常に努力をなさつたにもかかわらず、武岡財政部長の御答弁にもありましたように、いろいろ今の財政実情では制約を受けまして本当に雀の涙ぐらいな経費しかはじき出せないという遺憾な状態なつておりますのでありますが、併し我々が又翻つてもう少し広く考えました時に、これは衆議院の地方行政委員会でも相当論議になつたのじやないかと思いますが、民間の保険会社の問題なんです。保険会社は御承知のように、今恐らく全国各地で、新築をやつておるといつたら、大概金融機関、その中でも一番多くて、一番立派なのが保険会社の支店や出張所なんです。だから恐らく保険会社、火災保険なんかはずい分儲けておるだろうと思うのですが、今度のこの厖大な消防施設強化の五ヵ年計画を立案されるに当りまして、この一番恩恵を受けるであろうところの保険会社等に対して、相当の株を持たしてもいいと私は思うのですけれども、そういうような点について何か御公表になつておるかどうか。それから又起債なんかにつきましても、自治庁のほうではいろんな関係から五億円程度のものしか恐らく認められないというような状態でありますが、例えばその儲けておる保険会社なんかから、低利で少し大幅な融資というようなことをさすべきじやないかというようなことも考えます。更に又これはどなたか大蔵省のかたにでもお尋ねしなければいかんのですが、この保険料金なんかもそれにつれて大幅に引下げて行く必要があるのではないか。又そうすべきじやないかというようにも考えるのですが、そういう点につきまして、今までもしばしば問題になつたことではあろうと思いますが、重要な問題でありますかと確固たる当局の御方針をお伺いしたい。
  53. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 保険と消防お話が出たわけでありますが、これは御指摘のように、衆議院でも相当活溌な御議論があつたのでございますが、こういうようにだんだん起債により、或いは補助政策によつて地方の団体の消防機関強化され、消防力強化されるということに相成りますれば、一般国民は勿論利益を受けておるわけでありますが、保険会社等は非常に利益を受けておるわけでありまして、消防に対しまして直接の利害関係の深い保険会社が、相当の実績を挙げておるにかかわらず、まだ消防に対する協力が浅いということはみな疑問のないところであります。実は、一方一つの問題といたしましては一般国民が加入する保険料率を消防力強化に即応して下げるようにたびたび私たちこの保険団体である損害保険協会の首脳部と合いまして、いろいろ申入れいたして参つておるのであります、又個々につきましても、先ほどお話のでました都市等級等によりまして、この級の消防力の診断の結果、非常に飛躍的に消防力強化されたようなところにおきましては、速やかに保険料率の引下げをして貰うようにいろいろ折衝もして参りましたが、全般的には一般の住宅につきまして御承知かと思いますが、本年五月二割がたの保険料の引下げを、その結果ではございませんが、とにかく消防との関連も理由の一つでありますが、下げて参つたような実情であります。又もう一つの点は直接消防力強化のために保険が協力すべきだと、この点もまあ数年来、消防関係団体或いは消防庁の会議等におきまして、しばしば論議が出ておるのでありますが、その点に鑑みましても、少しばかりの誠意ではありますが、保険団体が昨年あたりから若干め消防のためにする特別基金を創成いたしまして、年々納ります保険料の何パーセントかを一応用意いたしまして、それを消防のために直接振向けたいというような一つの構想が昨年からぼつぼつ、それも全体の保険金或いは保険料との損害料率等から見ますれば、損害率等による保険会社の利益から見ますれば、あまり問題になる金じやないのでありますが、少くとも一つのフアウンドを設けまして、消防のためにいろんな協力的な施策を行いたいという、僅かばかりの誠意が見えて来ているのであります。尚その基金の使い方等につきましても、我々いろいろ今後そういつた保険会社のほうに対しまして、強い一つ要望をいたさんといたしております。それからまだ実現はいたしておりませんが、今後御指摘のような保険会社が相当の基金を持つておるわけでありまするから、そういつた方面で、市町村消防力強化のためにする基金の貸付けを断行するように、これは大蔵省が監督官庁でありますので、大蔵省の銀行局の方面にも再三私たちのほうで要望いたしておりますが、保険会社の団体のほうも最近はそれを真面目に考えて行きたいというふうな態度を示して来ておりますので、今後はそれに相当期待していいんじやないかという面があるのでございます。まあ御指摘の保険と消防との関係につきましては、今後そういう分野につきまして、いささか努力して行きたいと、かように存じております。
  54. 秋山長造

    秋山長造君 消防施設整備強化に対して、保険会社が融資をした例は今までないのですか。
  55. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) 融資はございません。
  56. 秋山長造

    秋山長造君 何か、それはできないというような障害でもあるのですか。
  57. 瀧野好曉

    政府委員瀧野好曉君) できないという事情、難点よりも、むしろ大蔵省の当局で見ておりますいろんな基金のことは余り詳しいことは分りませんけれども、まあ株券の取得とか或いはいろいろ一定の社債を購入するとか、或いは現金で、預金の形で、相当持つてはいかんとか、そういうふうにいろいろ制限があるようでございますが、私達の市町村のほうで消防のために借りたいという金は相当の、或る程度貸付期間が長くなくちやいかんのと、それから金利が相当安くなくちやいけないのでありまして、保険会社といたしましては、有利なほうへ廻したい、確実にして有利なほうへ、という意味もありますので、従来は、この要望にかかわららず、まだやらなかつたのでありますが、国会方面その他一般の消防に対する協力の面が、非常に強く最近叫ばれておりますのに鑑みまして、この方面の融資をやりたいというので、検討いたしておるような次第であります。
  58. 秋山長造

    秋山長造君 これは消防本部なり或いは大蔵省なり政府全体としても、何とか強力な手を打つて頂いて、例えばこの保険会社の資金の何割方を消防関係に必ず融資するというように義務づけるような特別な措置でもやるとか何かして、政府も勿論大いに奮発して貰うようにしなければならんけれども、政府もなかなか従来から費用のかかることにばかり追われるのでありますから、保険会社なんか、大いにこの際、国家権力を以てでも、或る程度消防施設整備強化ということに対する協力を義務づけるような手を打つべきだと思うのですが、そういう点について是非とも御努力を願います。
  59. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  60. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは速記を始めて。  それではこの議題は今日はこの程度にいたしまして更に審議を続行することにいたします。   —————————————
  61. 内村清次

    委員長内村清次君) 次の議題は町村合併法案につきましての調査を議題に供したいと思います。前回の委員会で小委員長から町村合併法案の報告がなされております。これを委員会におきまして成案化するということになつておるのでありますが、その上に立ちまして、一つ皆さん方の御意見を発表していただきたいと思います。法案を成案する上についての質問なり或いは又修正意見なりをお出し願います。
  62. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 実は甚だ申訳ないのですが、この前小委員長の報告のときにおらなかつたので、或いは報告があつたと思うのですが、この前衆院との合同のときに問題になりました。市に合併せられる町村、言い換えますればまあ十万以上の市に合併せられる場合には、これは恩典に浴しないが、それに対して一体どうするのかという話とそれからもう一つは合併に当つての執行者に対する、即ち村長なり町長なり、合併せられるところの或いは吸収合併せられるところの町村長なり或いは執行者に対する取扱いを何らか規定しなければ、町村合併の促進という意味で不十分じやないかという点ですが、これについてはどういうふうなお取扱いになつておるのでしようか、その点一つ
  63. 石村幸作

    ○石村幸作君 今高橋委員のお尋ねの町村長の身分の問題、これは小委員会でも、衆議院の意見がありましたのでいろいろ検討して見たのです、ところが町村長の場合はやはり現行法のまま、つまり町村がなくなれば自然に町村長の地位もなくなる、この現行法通りで行つたほうがいいだろうという結論だつたのです。それについては、例えば三人の町村長が止める場合に、一人は町村に残つておる、又二人は助役というような、これは協議のときの取引、協議事項になるだろう、どうしてもこれを法律に現わすということは不適当であり、又現わしようがない、困難である。それであのときに衆議院のほうのお話の、当選できまつた村長をうやむやにやめさせるのは、憲法違反だというようなお話があつたんだが、これは危険な御意見だということになりまして、この町村長の問題に特に触れずに報告いたしました。それから市の問題ですが十万、五万以上これもいろいろ検討してみましたが、やはり最初は五万未満の市ということであつたのを、いろいろ町長議員の諸君が研究に研究を重ねました結果、五万から十万までというゆとりを、緩和策を取入れたということでありまして、やはりこれが最も適当だろうということで結論を得て、御報告をいたしました。もう一つはなんですか。
  64. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いやそれだけです。ちよつと自治庁のかたにお聞きしたいのですが、今の一番あとの私の問題にしているのは修正案にある五万以上十万未満の都市に合併するということになるが、実際問題としては、例えば十一万の市にその近郊の町村が合併したい、或いは町村の一部が合併したいというときに、恩典を与えないということになると何か町村が継子扱いになるような気がするのですが、自治庁の御趣旨なり、その辺はどうお考えなつておりますか、お伺いしたいと思います。言い換えれば、どうも小委員会なんかの議論は五万以上十万未満の市を中心にしての考え方になるのです。私はそう小さな問題ではなくして、その近郊の貧弱町村と言いますか、市の十万以上のまあ仮に十一万なら十一万の都市の近郊の貧弱町村で、どうしても十一万の市に合併する方が或いは合併される方が適当と考えられるような町村にも、この恩典を浴させたらいいのじやないか。そうすることが町村合併の目的に合致するのでないかと思うのです。その辺を一つ考えをお聞きしたいと思います。
  65. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 確かにそのお話のありました、高橋先生のような御意見があると思いますが、実はこの法案は、弱小町村を解消することが一つ考え方になつておりますが、更にまあ弱小町村として一つなつて行く、これを一つ最大の狙いとしておる、こう考えられるわけであります。それから同様に弱小町村自体の立場から見た場合でも、大都市にしか編入ができないというような場合に、この法案のような意味で適用がなければ困りはしないか、不公平ではないか、こういう御議論だと思いますが、その点につきまして一通り今までの御議論を伺つておりますと、確かにそういう場合もあるかと思いますが、従来までは合併につきまして殊更に促進をするための手段を講じてなかつたわけでございますが、明治からこの方、大都市の発展というものはそういう手段を講じてなくても、次第に発展をして来たという点で、こういう考え方が出されて来たのじやないかという感じがいたします。ただそれにいたしましても、片方で、町村のほうも講じてなかつた、都市は講じてなかつたが、都市は発展した。そこで町村については、その際、促進をすることが必要だということになりますが、町村を促進する措置をとつて、十万以上の都市について考えないとなれば、今度は逆な形が現われはしないかという御意見ではないかと思いますけれども、今までの考えから言いますと、やはり町村を主体にして考えて行くという、この法案の立場を貫かれるということと、もう一つ都市につきまして十万未満というのは、今の都市の標準ということから考えます際に、これは一応の標準というふうにお考えなつたんじやないかと思うわけなんです。十万以上の都市町村を入れるということの障碍になりはしないかということでありますが、確かにそういう点も起きないとは絶対に申上げられないと思いますけれども、今の必要はむしろ町村自体を大きくして行くということに一番必要がありはしないか、こういうふうに考えております。
  66. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 立案をせられた趣旨が、都市なら都市というものが余りにも大きくなると、いわば都市過大の弊害を抑えるという意味ならば、これは別問題なんですが、要するに町村が、非常に規模が小さくて、到底行政単位として不適当だと、それを若し含むということが本法案目的であるならば、二なり三なりの町村が合併して定の行政区画になる場合もあるだろうし、或いは又大きいところへひつついて、そうしてそれが一つの行政単位としてやり得るという場合もあるんだろうし、従つて本来の狙いが、言い換えれば、一方においては仮に都市が大きくなることを防ぎ、そして適正なる町村というものを並立的に置くんだという考えにあるのか、或いはそうじやない、むしろ貧弱町村というものを行政単位にまで置くんだという意味ならば、あえてそれが二つなり三つなり合併する場合もあるだろうし、大きいものにひつついても構わないのじやないか、従つてどちらも同じような特典を与えて合併を促進するというほうが、本法案の私は立法の趣旨に合致するものだと思うのですが、その立案基礎をちよつと私はお聞きしたいのですが。そういう面で……。
  67. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 立案の基礎とおつしやいますと、どうも何でございますけれども、私どもの考えておりますところでは、確かに今の高橋先生のおつしやいましたように、行政を合理化する、或いは能率化するという意味だけから考えますと、どのような都市町村が入つてもいいじやないかと、こういう議論は勿論確かにあると思います。そこでそれだけぎりぎりの点を考えました場合に、どこがいかんかということになりますと、いわゆる過大都市と言われるものはともかくとして、そうでないものはいいじやないか、そういうふうにおつしやいますと、確かに十万未満ということは不適当じやないかという議論も成立つだろうと思います。そういう意味で、町村の数を全体としてまあ減らして行くということだけ考え、まあそういうふうに言つちや失言かも知れませんが、そういう考え方からすれば、殆んどすべての市に適用して差支えないという御意見も十分成立ち得るとは考えております。ただ今までの都市町村が編入されました場合を見て参りますと、相当農村部というものを相当にたくさん入れておる都市が、全部そうだとは申しませんが、多いように見受けられるのでありまして、そういう場合に、どの程度でこれを考えるかという問題になるんじやないかと思います。
  68. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、政府考え方の基礎の上には、こう了解していいですか、要するに余りに都市集中というものを、一方においては抑えるというか、そういう基礎の上に立つてつて仮に町村だけが合併して適正なる行政単位になることが望ましいと、こういうので立案をしたと、こう了承していいですか。
  69. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) この町村合併促進法案からは、決してそういうことだけ考えておるんだということは勿論言い得ないと思います。ただこの町村の合併を促進するという考えの基礎には、市を全然考えないのだというよりは、むしろ市の再配分でありますとか、自治確立という点から考えまして、一番弱いネツクになつておるのが町村だ、そこで町村について、どのようにして行くかということを、単純に考えておるのでありまして、この法によつて過大都市を抑制するというところまで考えておるとは思えないわけであります。
  70. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それじやもう一点お聞きしたいと思うのですが、どういうふうに町村が合併して来ると、合併された町村と市の限界、いわゆる三万五千か何かの限界というものと殆んど区別がなくなると思うのですが、市についても、もつと例えば二十万以上とか或いはこれなら十万以上とか、何かそういう……、而も一方においては、こう格上げと言いますか、人口のあれをする意思はないのですか、その点。
  71. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 高橋先生の今のお話でございますが、現在市になりますための要件は、人口で申しますと、御承知のように三万でございます。人口三万というのはこれはどうも余りにも劣弱であるということが常に言われておりまして、神戸委員会の勧告などにおきましても人口三万というのは、これは人口五万までに、むしろ最小限度に引上げるべきだという意見があつたように思います。ただこの合併促進法案によりまして、町村が合併いたしました場合に、然らば今の三万程度の市と同じような形にまでなるかどうかという問題でございますが、それほど大きな単位がとれれば、これは非常に結構だと思いますけれども、何さま現在の町村は、人口五千未満の町村は、町村の半数以上でありますので、殆んどそこまでどうも行きがたいのじやないか、こう考えております。
  72. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 では、もう一つ促進法案ですから、同時に先ほどの消防法案じやないのですが、何か現在の予算面でやり繰りするだけの点なんですが何か合併すれば、合併した当座は、何と申しますか、丁度家を新しくすれば、当座はいろいろな費用が要るといつたような具合に、助成金か何か与えて促進するというようなことは考えなかつたのですか、言い換えれば、もう少し現実的な運転があつていいような気がするのですが、どうもこう全体でみると、例えば国有林野についても、くれるんだかくれないんだか、わからないような規定である、又平衡交付金でも、只今まで貰つておるというような工合で、何ら現在の範囲を出ていないような気がするのですけれども、ところが実際において合併して、先ほどの町村長さんが、合併されればやめられる町村長もあり、又役職員もあるということになれば、それに対する退職金とかいろいろなこともあるだろうと思うのです。そうすると、そういつたものを賄うためにも何か金一封といいますか、合併奨励金というようなものが出て然るべきだと思います。そういう点についての御配慮がなかつたのですかどうでしようか。
  73. 石村幸作

    ○石村幸作君 高橋さんの自治庁に対する質問自治庁もちよつと議員立法であるのでむずむずして躊躇しておられるようでありますが、今高橋議員の質問の点は、二十五条に「国は町村合併の実施を促進するため、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、町村及び都道府県に対して補助金を交付することができる」と、こう規定してあるのでありますが、これは過去の実態を聞いてみますと、この合併一町村に対して約五十万円くらいの特別平衝交付金を交付したということであります。そこでもう一つこの法案が立案中だというので、大蔵省でも最近に自治庁に対して、二十九年度の予算編成上この補助金をどのくらいの程度に組んだらいいか、それの基礎を照会して来たということを聞きました。そこで自治庁でもこれに対しては、一関係町村に対して例えば過去の例にならつて五十万円から百万円くらいのものを交付するのか、この法律ができあがつたものとしていろいろ研究しておることと存じます。以上御承知の通りでございます。
  74. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、現在の予算にはあれなんですね。予算としては予算措置がないけれども、二十九年度には予算措置があると見ていいわけですな。
  75. 石村幸作

    ○石村幸作君 そう見ていいと私は思います。
  76. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと高橋君に、自治庁財政課長の奥野君が来ておられますから、この問題で又質問されるならば……。
  77. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 従つて、私は今までに特別平衡交付金から五十万円程度といつたようなことは、当時特別平衡交付金の枠というものが小さいものだし、それから他の町村にも、まだ合併しない町村にそれだけ減ることになるから、特別平衡交付金から出すということは、私は不適当だと思うんです。これはどうしても相当の金額を、五十万と言わずに、やはり相当の奨励金を、まあ餌と言つちや失礼ですけれども、やはり奨励金を予算に計上して、この法案の裏打ちとしなければ、この法案の進行ができないと思いますので、その点は一つ議員立法でもありますから、十分一つその点の裏打ちをお願いしたいとこう思うんです。
  78. 石村幸作

    ○石村幸作君 関連して。それについて高橋君の御意見御尤も。そこで特別平衡交付金等で助成をするのでは、一定の枠の中からであるから、他町村の分まで、都道府県の分が減ると、御尤もであります。そこでこの立案した場合には、補助金をこうやりました。そこで今の予算措置の問題ですが、勿論実はこれと並行して予算措置ができれば、これに越したことはないけれども、これは到底技術上又事実上及ばないことで、そこでこの補助金だけでなく、国が優先的にいろいろな援助をする、その他例えばこの建設計画に対する地方債の問題、いろいろな問題がございます。それでこの法律が成立した場合には、当然政府はこの法律を尊重して、二十九年度の予算に盛込んで貰わなければならない。それで間に合うのではないかと思われます。
  79. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それで私のお願いしたいのは、過失の例で五十万程度というものを、どうしても合併町村予算総額の二割程度が、大体少くとも一町村三百万円から五百万円程度のものは、是非必要だと思うので、そういう点においてこの法案ができるならば、通るまでに十分一つ、幸い議員立法でもあるのですから、提案者のほうから、是非政府と緊密なる連絡をとつて、二十九年度にその予算の裏打ちがあるように、そのことが同時にこの法案が促進法案なつて実施されることの内容を決定するゆえんだと思うのです。で、その点について一つ
  80. 石村幸作

    ○石村幸作君 只今の御希望御意見御尤もでして、すでに自治庁に対しても、この法律が成立するものとして、その準備を依頼してあるのです。計数等又いろいろな資料を集めて、一つ計画を立ててもらうように依頼をしてあります。
  81. 若木勝藏

    若木勝藏君 只今のに関連あるような、ないようなことなんであります。私は小委員会で数回に亘つて、非常に皆さん御苦労なすつたものに対して敬意を表するのでありますが、私今疑問に思つている点は第二十七条なんです。町村の合併につきまして、合併する場合に、費用とか、そういうようなものが、特別かかることは考えられるのでありますけれども、その点については、今お話がありました通り、第二十五条において補助金のほうについても随分心配する、そういうふうな条項があるのでありますが、二十七条はこれは私小委員長のほうに伺いますが、若し法理的にどうこうということになりましたら、自治庁側の方に説明なり御意見を伺いたいと思うのですが、二十七条或いはその次の二十八条、まあ二十七条ですね。これで合併のために、この条文で言いますというと、「新町村建設計画に掲げる左の事項に係る財政上の援助について、事情の許す限り、合併町村のために優先的な取扱いをする」と、ここが私は少し問題じやないかと思うのです。若し合併しないところの他の町村というものを、これによつてこつちのほうに合併を促進するために、俗に言つたら、余り餌をやるというような立場から、他のものを継子扱いにすることになるのじやないかと、こういうふうな苦情が出ないとも限らない。そこでこういう場合にこの他の町村に優先的な取扱いをするということは法理上からこれは如何なものか。この点について一つ
  82. 石村幸作

    ○石村幸作君 これは御尤もで、その合併町村の餌のために、他の関係のない町村が非常な迷惑をこうむるようなことがあつてはならない、御尤もなことであります。そこで優先的というような言葉が使つてありますが、その次の項にもほうぼうに使つてありますが、この場合は、二つ並べて両方とも必要な場合には、その合併町村のほうを優先にと、こういう気持でありまして、それでそこで他の関係のない町村に、そうするとやはり迷惑を及ぼすということになりますが、この法案を練る過程としまして、これが成立しますと、恐らくこの五年中には、半分、差当り三千は減るだろう、それから五ヵ年には半分になるだろうと、こういう予想であります。これは自治庁あたりの見るところも、その通りであります。そりいたしますと、ほかの町村がこれに関係する町村が多いと、こういうことになると思うのです。勿論それにしましても、関係のない、つまり迷惑をこうむるのじやないかという対象町村も出て来ると思いますが、そこは今後自治庁から、財務当局等でそういうことのないように、これはやつて貰わなきやならない。
  83. 若木勝藏

    若木勝藏君 御趣旨はよくわかりましたのですれども、この間も衆議院との懇談のときにも、ああいう問題が出ておりますので、町村の合併というようなものは、その町村の何と言いますか、行政上止むに止まれぬ、つまり自然発生的に来るのが、私は自然だと思うのです。ところが私はその規模を定めて、そして国という立場から、これを合併さして、そしてその行政区画をきめてやるということが強く出て来れば、従つてこういうことをしてやる、ああいうことをしてやる、というような餌が多くなつて来るのです。前の二十五条までならば、私は問題はないと思うのです。補助金をやるというようなことについては問題はないと思う。そしてこういうところの町村でやつていることに対して、特にこれを優先的にやるから、お前らは合併せいというようなことが条文から窺えるのです。これは自治庁にも伺いますが、地行自治法とか何とかいうような方面から言つて差支えありませんか。行政のほうに伺いますが、そういうことは優先的にこれだけやるというようなことを、一般町村と異なつてやるということは……。
  84. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 今お話のように、一般町村を全然無視してやるというようなことになれば、地方団体によつて取扱いをするようになるという意味で問題にすべき点があると思いますが、ただこの法案で伺いますと、法令及び予算の範囲内において事情の許す限りというふうになつておりますので、この事情が許さない、即ちそれは合併しない町村のほうに出す必要があるという場合には、この条項といえども適用がない、こう考えられるわけであります。そういう意味で、行政上の絶対の必要まで、全部曲げて合併町村だけを見ているのだというふうにも考えられませんので、合併を促進するという意味では、その程度の規定は差支えないのじやないかと、かように考えております。
  85. 若木勝藏

    若木勝藏君 まあ一応それは表面は、そうとるかも知れませんけれども、実際に行われる場合には、幾多のこれは問題を私は醸すだろうと思うのです。で、優先的という言葉が強過ぎるのじやないか、又これに何か特別の事情の許す限り何とか特別の考慮をするとか何とかということならば、あれなんですけれども、他と比べて優先的にこつちを先にやるということになると、問題が起つて来るように思います。
  86. 法貴三郎

    調査員(法貴三郎君) 只今の石村委員長の御説明を補足的にちよつと申上げます。最初の試案の中に入つておりました優先的にという言葉の取扱い方が、要するにあらゆる場合に合併町村を優先的に先ず考えるというようなことになるから困るということでございまして、建設省或いは国家消防本部というような方面から申込みがあつたのでございます。それでいろいろ注文を検討いたしまして、要するに合併町村と合併せざりし町村との内容考えまして、それが同時順位の場合には、合併町村のほうを先ず優先的に考えるという法文の形式にしようということになりまして、この形に落ちついたわけでございます。でありますから、先ほどの長野行政課長からも御説明がありましたように、言い方が違いますが、合併町村だけを先ず考えるということではございません。同じ条件の町村が、合併した町村と合併せざりし町村とある場合には、合併したものを先ず考えるということでございますから、何ら御心配の弊害はないというふうに考えております。
  87. 若木勝藏

    若木勝藏君 まあそれが、恐らく理窟の上じやなしに、感情上の問題でも私は必ず起つて来ると思います。なぜ同じ条件のときにそれを合併のほうだけやるんですか。国のほうへそういうふうな餌をどんどんやつて地方自治の確立ということを、自然発生の状態からぶち壊わして、国の枠にはめて中央集権的にぐんぐん地方行政というものを圧迫して行く、こういうふうな議論が起つて来るのじやないかと思います。だからこの字句について、もう少し適切なものがあればいいじやないか。私はそういうふうな疑問を起しましたから、その点を意見として申上げます。
  88. 石村幸作

    ○石村幸作君 そこで若木委員の言われた頭から優先的でなく、何か事情の許す限りと、特におつしやつたように思いますがちようどここには、事情の許す限りと、これだけ入れてあるわけです。これでその優先的というやつを緩和するというか、抑えるとかいうふうに取扱つたわけなんです。何かここにいい文案でもありましたら、又御研究を願つて
  89. 若木勝藏

    若木勝藏君 いろいろ前のほうの特例がありました。地方財政法上の特例とか国有林何々方面という特例とかいうお話がありましたが、ここに関係するかどうか知りませんけれども、私は地域給のついておるところと、おらないところと合併した場合には、その地域給はどういうふうに処置されるのか、そういう点はどこへ法文の中に含ませるのかどうか、その点を疑問に思うのであります。
  90. 石村幸作

    ○石村幸作君 地域給の問題は結局現状のままと思います。例えば現在におきましても、一町村の中に二つの種類があるので、このままのやつもある。統一されずに、市においては勿論でありまして、町村においても、地域給を含む等の場合もあるわけでありまして、自然この問題はこの特例を含むことはちよつと困難と思います。
  91. 若木勝藏

    若木勝藏君 私の知つておる限りでは、同一町村においてそういうふうな区別が私ないと思います。そこで今仮にあつたとしても、今の地域給の面で、人事院でもそういうところがあれば、不均衡を是正するという形に進んでおる、それを法案が出る場合に、現状通りで、合併したけれども、こつちだ、こつちだと、こういうことになると、私は問題が起ると思います。そういう点をどういうふうに取扱うかということについて、又御意向をお願いしたいと思います。
  92. 石村幸作

    ○石村幸作君 この間も一応考えたのでありますが、これは人事院等で自然これを改訂しなきやならん場合があるだろうし、又その市町村内の住民のうちからも、地域給の差をなくなす必要があるならば、なくなすように、これは人事院でしたか、人事院のほうへ頼むであろうし、又人事院も当然それを調査して勧告を国会のほうへ出す、こういうことになるんじやないかと思います。
  93. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは人事院のそういうふうなものを待つているということができないのです。それは合併するときの条件の有力な問題になります。有力な条件になるのですから、この法案を作る人はあらかじめこれに対して、どういうふうに処置するということをきめてかからなければならない。そこで今後これは提出するまでに、人事院あたりのほうで調査して、そういうところについているほうに引上げて合併するとかいうようにしなければ、私はなかなか不可能になると思います。
  94. 秋山長造

    秋山長造君 今の若木さんの問題は、実は私も最初委員長にお尋ねしたことがあつたのですが、そのときに人事院のほうへも非公式に話はしてあるというようなお言葉だつたので、一応了承したのですけれども、やはりこの問題は合併のときの重要な条件になるであろうということも考えられるし、又合併した後のその条文で謳つてある一体性の速やかになる確立に、努めなければいけないという、やはり一体性ということのやはり一つ要素にもなると思うので、どうでしようか、次の委員会あたりに、人事院の責任者を一応呼んで、そしてこの委員会でこの問題について、このように心配もあり又論議が行われているということを、よく直接聞いて貰つて、そうして人事院のほうへも、委員会として特別にこの問題について協力して貰うように話を固めておく必要があるのじやないかと思います。
  95. 法貴三郎

    調査員(法貴三郎君) 只今の問題につきまして、石村小委員長の御説明に若干補足的に付け加えますが、要するに地域給の問題というものは、これは法律でその町村との何級地というふうに決まておるわけでございます。それから合せまし、その法律の中には、町村或いは市町村を含めての行政区画の変更によつて、その級地の指定によつては変更がないということになるわけでございます。でございますから、問題は町村が数個合併いたしました場合に、その間に級地に上下の差があります場合にどうするか、自動的にこの特例法で全部高いほうに統一するように変えるかどうかと、こういうような問題であろうと思うのです。併しこれは若し都市に対して町村が合併したというような場合には、割合に結論は出し易いのでございます。併し町村自身の合併というものは、これは若干例が違いますが、例えば魚津市のごときは二ヵ町村が合併しまして二百数キロの面積があるのでございます。これはこの法律が当然適用になるわけでございます。そしてその場合に、魚津市の場合は繁華街というものは海岸寄りの一部でありまして、あとは山の中ということになるわけでございます。でございますから、そういう場合に、この法律の中に特例といたしまして、一つの合併の関係町村の中の一つの最も高い級地に統一するというような規定を入れますと、必要のない山岳部のほうにまで級地が自動的に上るというわけになるわけでございます。かたがた合せまして、この法律というものは議員立法でありまして、先ほどの人事院の級地の指定というものは立法事項であるということを考えます場合に、議員立法でこの町村合併促進法が出ているのでございますから、国会におきましては、そういう問題が具体的に不都合であるという場合には、先ず改めて頂けるもの、こういうふうに考えて、この法律を作つておるわけでございますのでございますから、私のほうで技術的にこの法案を検討いたしました場合には、この法案の中には、やはりその点については触れないで、実情に合せて適当に解決するということでよろしいのではないかという結論なつたわけでございます。
  96. 石村幸作

    ○石村幸作君 今これは相当住民の福祉云々ということに大きな影響があることですから、次回に委員長にお願いして、人事院の責任者に出席をしてもらつて頂き、意見を聞いてみる、そういうことに何かいたしたいと思います。
  97. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今のに関連して、法貴さんの説明なんですが、これはこの法令にちようど先ほどの二十七条或いは十六条なりにたくさん書いてあるので、言換えれば、国有財産の特例みたいなことをたくさん書いてあるのだから、だからこれは人事院の規則の特例になるわけですね、又要するにこの法律によつて合併したところの町村については、その中の地域給が一つになるなら高いほうにやろうというふうに書いちや工合が悪いわけですか。
  98. 法貴三郎

    調査員(法貴三郎君) 只今の答弁はいずれ人事院当局もお呼びになるそうでございますから、そこではつきり結論は出ると思いますが、私どもの検討の内容というものは、要するに現在の級地別の給与額というものにしろ、根本的な問題があり、各町村合併というものには、その間の級地の移動或いは級地に差をつけるということについて、非常に甚だしい違いがある場合もあるのだ、これはまあ結論としては、殆んどあるまいという結論なつたわけであります。
  99. 若木勝藏

    若木勝藏君 一応人事院と十分打合せて、結局促進案がうまく行けばいいのですから、そういうようなことを責任者のほうで考えて頂きたい。
  100. 内村清次

    委員長内村清次君) その点は、次回の委員会のときに、人事院の総裁又は責任者を呼びまして、十分その差の内容は勿論こちらから徹底させますが、席上ではつきりさせるということにいたしいと思います。速記を止めて。    〔速記中止〕
  101. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  102. 石村幸作

    ○石村幸作君 これは町村長の身分の問題は、先ほどの高橋委員からの発言でここにお伺いいたしましたが、その中にこういう問題のあつたことは、小委員のほうでも出なかつたし、この試案を作るのにも、私も気がつかなかつたのでありますが、ここ一両日のうち気がついたので、ちよつと委員にお諮りしたいと思うのですが、その問題は、自治庁もそれから法制局の関係のかたも来ているから、ここでちよつと話してもらつて、又皆さんの御意見を聞いてみたい。それは普通町村長の場合は先ほど申上げた通りでありますが、ここに役場組合、全部又一部組合ですか、これは全部組合というのですか、組合役場でやつている場合に、その組合の関係の構成町村のみが合併する場合に、又町村長というのでなくて組合長、その組合長の地位はどうするか、これは当然新らしくなつたのだから、選挙すれば問題はないわけです。そこで併し、この組合長というのは各町村長の場合と違つて、合併するその町村の、憲法九十三条にあるいわゆる直接選挙するとか、その区域の住民が、というその通りなんですか。つまりその関係町村から選挙なれたその組合長ですから、それがそのまま居坐つてもいいんじやないかという見方もできる。これについて一応法制局その他自治庁で、そういう場合の意見をちよつと聞かして頂きたい。
  103. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 只今組合のお話がございましたが、組合に全部事務組合、役場事務組合、一部事務組合と三通りあるわけでありまして、現在の法律建前から申しますと、全部事務組合というのは大体町村と同じように取扱う。殆んど町村の規定が準用されてしまいますので、これは一応法律的には問題はないのじやないかという感じがいたします。役場事務組合の場合は、個々の町村には議会がある、それからもう一つ組合に議会があるわけです。そういう構成をとつております。即ち役場事務についてだけ一つなつておりまして、議会の問題は別々になつております。従いまして議会の関係からいいますと、丁度他の一部事務組合と同じような関係なつております。その場合一部事務組合の立場として申しますと、」部事務組合の場合には、先ず実態から申しますと、法律的には直接選挙をするような感じが出ておりますが、実際の一部事務組合というものは、直接に選挙して組合から議員を選ぶのじやございませんで、例外なくといつてよいほど、関係町村の議会の議員及び町村長の互選によつて組合管理者とか、或いは組合外の議員を選ぶことになつているのが実際の例でございます。従いましてこれを特に規定する必要は実際問題としては、殆んど生じないのではないかという点が一つ、更にもう一つは組合の関係町村がその区域で全部合併をしてくれました場合には、これはもう組というものが殆んど存在がなくなる、必要がなくなるわけでありますが、必ずしも組合の区域と合併いたします区域とが合致しないものが往々にしてございます。その場合には県の地方自治庁におきましても非常に厄介になつておりますが、組合の構成が変ります場合には、関係町村のすべて同意なり承認がありませんと、組合の規約の変更ができないということになつております。これはまあ非常に窮屈と言えば窮屈でございますけれども、一面合併によりまして当然はずれて行くということになりますと、組合を経営して参ります基礎が非常に不確実になります。組合そのものの存立を危くすることになるわけであります。従いまして現在の法律はそのような規制をしておりますが、そこでそういう組合関係町村の中で合併をする場合には、実際の取扱いとしてはどのようなことをしておるかと申しますと、合併をいたします前に、組合関係町村にも協議をいたしまして、そうしてその構成なり、規約の変更なり、或いは組合の分布金の負担割合の変更なり、一切話がつきまして初めて、組合の構成も変更されますし、又町村の合併もそれで実現される、こういう恰好にまあなつておるわけであります。以上申上げましたようなところから考えますと、組合について特に御配慮頂くことは適当の場合もあるかと思いますが、どうも少し場合が多過ぎましてちよつと厄介ではないか、こういう感じがするのであります。
  104. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の行政課長の話のうち、私が発言したのは主としてこの役場組合の場合です。その場合でして、今課長のお話のうちに、組合長があつて、その構成している町村町村長があると、その協議によつて組合長ができてもおるというような話でしたが、事実は町村長はないのですね。そうして組合長を直接選挙、選挙と言うか、こしらえてやつているのです。そういう場合ですと、つまり合併するということは今までの、何と言うか、組合そのものがただ合併の手続によつて合併されたというような観念なんです。そこで組合長はそのまま町村長になつてもいいじやないかというような意見が、そういう組合町村では多いと、こう思つておる。而も、全国的にそういう役場組合は、そういうふうなのはほんの僅かだと思つております。まだ数字はよくわかつておりませんが、そういう場合にどうかと、こう思われるのです。
  105. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 今の石村先生のお話でよくわかりましたが、役場事務組合を構成しております町村で、その町村全部が一つ町村として合併をいたします場合に、その組合長でありました町村長をそのまま認めて行くと、こういことでありますと、これはお話通り殆んど弊害はなく、むしろそのような御配慮を願うことも適当じやないかと思います。御参考までに申上げますと、現在役場事務組合は全国に十七ございます。
  106. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと委員長から……、その役場事務組合ですか、その組合は法的根拠は何かあるのですか。
  107. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 役場事務組合につきましては、地方自治法に組合というところの規定がございまして、その中の二百八十四条の第三項というところに、町村にのみ認められる組合として規定がございます。
  108. 石村幸作

    ○石村幸作君 速記をとめて下さい。
  109. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  110. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  111. 石村幸作

    ○石村幸作君 それではこの役場組合又は一部事務組合のような場合の構成町村のみが合併する場合、そういう場合にはやはりこの試案の原則通り憲法九十三条の住民選挙ということでやればいいと、こういうことに解釈することにいたしましよう。
  112. 内村清次

    委員長内村清次君) それから地方財政平衡交付金法の特例という、これは第十四条に該当する条文でございますが、これにつきまして今自治庁の奥野財政課長が説明をしたいと申しておりますから、説明を聞くことにいたします。
  113. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 原案に書いてあります趣旨に従つて、その原案に書いてありますような手続でやろうとしますと、非常に困難を伴います。今手許にお配りしておりますような字句の修正をお願いしたい、こういうことであります。大変技術的なことでありまして恐縮でございますが、第一点は、その手続を総理府令の定むるところによりと書いてあるのであります。今まで「政令の定めるところにより」と書いてあつたのを、そう直して頂いておるようであります。併しできますならば、段階補正等のいろいろな計数まで、二十九年度からは法律で定める、こういうような規定を地方財政平衝交付金法のなかに入れておるものですから、「地方財政平衝付金法及びそれに基く政令の定めるところにより」として頂たほうがいいのではないかというように考えております。  第二点は、合併町村がそれぞれ合併前の区域を以て存続したものとみなして算定するというような規定が入つておるわけであります。そうしますと、個々の町村毎に一応計算いたしまして、あとで合算するということになるわけであります。併し合併されましたのちに計算が不利になりまするのは、例えば人口を以て計算する、或いは産業従業者を以て計算する、そういう場合には、規模が大きくなつて参りますと、人口一人当り、従業員一人当り経費が割安になつて行くということになるわけであります。それを段階補正と呼んでおります。項目というものは、三十何項目にわけております。その項目のうちの十内外であります〇十内外の問題を解決するために、全部町村毎に計算するということは非常に煩瑣でありますので、なるべくこれは避けたいということが一つであります。それと更に、例えば道路費は道路の面積を以てこう計算する、高等学校は高等学校の生徒数を以て計算する、それじや道路の面積が殖えた、或いは高等学校が新しく建設された、一体これをどの町村数字として計算して行くかという問題が起つて来るのであります。或いは又新しく工場が分工場を作つて事業経営の収入が殖えてきた、これを一体どこの収入として計算して行くかという問題が起きてくるわけであります。而して又合併前の町村毎にいろいろ個々に区分をしていつてくれるなら別でありますけれども、そういうことになつておりませんと、殊更に煩雑な区分の規定もおかなければならといわけであります。更に又例えば現在いろいろ市町村の態容を区分しておるわけであります。そういうような態容の区分の仕方も、今後更に研究が進みました場合には、今のやりかたが更に改善されて行くだろうと思うのです。そういう場合に、過去に遡つて態容の差をつけたらいいじやないかというようなことについて、なかなか見当がつかないのであります。そうしますと、やはり今後なおこういう計算方式を、研究を続けて行かなければならないと思うのでありますけれども、個々の合併前の区域を以て存続した場合に、算定された合算額を下らないように算定するものと精神を謳つておいて、これに従つて我々がいろいろ技術的な工夫改善を加えて行きたい、かようなことをお願いいたしておきたいのであります。
  114. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の財政課長が、ここにプリントを廻して、そういう第十四条をこういうふうに改案して欲しいということでありますが、これは先般小委員会の結論を出して、閉じる直前に、そういう話がありまして、財政課長に来て頂いて一つ意見を述べてもらいたかつたが、どうも時間かなくてそのままになつたので、本委員会に来られてこういうプリントを廻して、意見を発表されたと同時に、要望されたことと存じます。そこでこの第十四条の原案は、我々はこれを又研究する過程において、自治庁とも相当懇談をして、内容等も運営に遺憾のないようにと思つて一応作つたのであります。併しなお地方財政当局として、これよりも今述べられた案のほうが運営上いい、こういう意見でありまして、その理由を、今述べられた点は尤もなように伺われるのです。併し我々としてはこの目的が達せられればいいのであります。そこでこの奥野財政課長が述べられた、説明された点が、果して実行者の気持が通るか、目的が達せられるかどうか、なお研究を要すると思うのでありますが、これについては委員諸君の一つの意見を聞きたいと思います。
  115. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今委員長のほうから言われましたように、各委員の方々の修正案に対する意見ですね、これを一つ
  116. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これは私もやはり奥野君から渡されたあとのほうの書き方が本当だと思います。前の書き方だと、町村合併前の区域を以て存続し云々といつて、その区域を以て存続した、存続の間における、何といいますか、それがどういうような形式で、その後人口の増減があつたり学校の配分が変つても、これで計算しなければならんのであります。これで見ますると、存続した場合において集計されたる額のといううとでございますから、私はやはりこの十四条の書き方は、こういうものの地方財政平衡交付金法の精神から言えば、こういうふうなほうが適当じやないかと、こう思つております。
  117. 法貴三郎

    調査員(法貴三郎君) 只今の問題に対しまして、ここで事務的にどういうふうに検討いたしましたかの経過を、ちよつと石村先生の説明に補促さして頂きます。要するにこれは平衡交付金をどのようにやるかということでございますが、自治序が合併町村に対しまして平衡交付金を交付する場合に、昭和二十六年度におきましては、合併のなかりしものとして、個々の町村につきまして予算した額の合計額と、それから合併後の町村につきまして計算いたしました額との差額を交付し、更に別に町村あたり五十万円の特別平衡交付金を交付したわけでございます。併しこれは計算が手数が掛かるというようなこともございまして、昭和二十七年度以降は態容補正のとり方を変えまして、新らしくできました町村について態容補正を変えますと、大体におきまして合併なかりしものとして、個々の町村に交付せざるべかりし額を合計した額と、それから新たにできました町村について計算いたしました交付金の額の高いほうがいいということになるわけであります。このようなことでございまするので、私どもとしては大体において自治庁の善意というものは疑わないのであります。併し議員立法でございますから、法律の上におきまして、合併後の町村に行くべき額というものが、はつきりきまつていたほうがよろしいのでございます。でございますから、私どもの考え方といたしましては、昭和二十六年度に自治庁がいたしましたようなやり方を原則とする、これは地方団体、合併町村の一致した希望でもあつたわけでございます。そうすると、只今自治庁の理由は、要するとそのようにいたしますると、合併の直後の年度においては、一応そのような計算方法はできるかも知れないが、或いは二年、三年と経ちますと、合併町村内容というものは変つて参ります。道路の延長が、学校の内容が変るのでございます。でございますから合併なかりしものとして個々の町村について計算するということはできないことをいうふうに申されるわけでございますが、私どものほうといたしましては、そのために、「総理府令の定めるところにより」ということを入れてあるわけでございます。これは要するに合併なかりしものとして、個々の町村について税収をどうするかということは、それはできない相談であるということでございますが、実は新たにでき上りました町につきましての全体の税収額を、合併なかりし当時の各町村毎の税収額の比に按分いたしまして分けるとか、或いは学校を統合した場合には、その分け方をどうするかというようなことを、森く簡単なことを総理府令できめまして、そして自動的にその差額を町村自体が計算し得るというふうに配分を考えたわけでございます。私どものほうといたしましては、何もそのように書きましたからと言つて自治庁が態容補正によりまして、一度の計算で交付金の額をきめるということを拒否するものではございませんので、一応自治庁の計算方法によりまして、普通交付金の額をこのようにするが、併しその個々の町村につき、総理府令の定めるところによりまして計算した場合に出て来る額よりも低かつた場合には、特別交付金で補正をするというような規定を総理府令の中に入れれば、それは問題はさして複雑なものではない。簡単に解決できるのではないかというふうに考えたわけでございます。
  118. 石村幸作

    ○石村幸作君 この原案、と言うとおかしいが、試案とそれから自治庁の修正案とを比べて見ますと、先ほど言つた通り、この原案も十分自治庁と連絡をとつて練り上げたのでありますが、なお自治庁がより以上に研究して、こういう修正案の意見を出したと、こう考えます。これと二つを比べて見ますと、修正案のほうが一口に言えばすつきりして、結論が早わかりするように見える点は結構と思います。但しこの結果ですね。事業の算定の場合にどういうふうになるか、自治庁の係官の頭、それから考え方、筆の先でこれが不利益になるようなことがあると、疑うわけではありませんが、そういう点は如何ですか。
  119. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) これはここに算定された場合の額の合算額を下らないように算定するものとすると、公務員が算定する条件を法律的にきめているわけであります。従つて法律をきめても役人が守らないというふうに御心配になれば、これは又何をかいわんやでありますけれども、ちやんとここに法律で計算の最低限度というものを示しておるわけでありますから、これは明らかに保証されておるものと考えるわけであります。
  120. 秋山長造

    秋山長造君 これはなんですか。奥野さん原文のままにしておいてですね、それで運用に当つての実質的な取扱いを修正案のほうにやらせるということは如何ですか。
  121. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) これはやはりここに「算定する」と、原案に書いてあるわけですから、それを如何にどんな整理をいたしましても、その大原則だけはそのままで崩すわけには行かんだろうと思います。
  122. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の問題は提案者である石村委員長がわかりいいのがいいのだからというような意見もありますから、こういうことは、率直に成るべく条文を読んでわかりいいというのだから、そういうふうに率直に、参議院のほうから衆議院に廻らなくちやなりませんから、向うで又手を入れられたりしないような、できるだけいいほうに率直に受け入れてやるのがこれはいいと思います。
  123. 内村清次

    委員長内村清次君) どうですか、大分意見もありましたが……。    〔「賛成」と呼び者あり〕
  124. 石村幸作

    ○石村幸作君 大体自治庁の気持もわかつたし、各位の気持もわかつたから、これで今日はこの分はこのままにしておいて、それでどういう形式でこれを直すか。どうせいろいろな問題でありますから、次回に一緒にこれを決定したいと思います。
  125. 内村清次

    委員長内村清次君) では一応今日は、それはこの条文も総合的にまとめなくちやなりませんから、その際に総合した意見で決定意見を出して行くということでよろしうございますか。
  126. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ほかに質問がなければ、私ちよつともう少し聞きたいのですが、第二十二条の合併町村なんですね、二十二条の三項で「旧来の慣行により合併関係町村の住民中特に財産又は営造物を使用する権利を有する者がある場合においては、町村合併により当該財産又は営造物を取得する合併町村は、その旧慣を尊重しなければならない」と書いているのですね、そうすると一応はやはり財産又は営造物を従来一部のいわゆる部落有の、そういう権利はなくなるわけですか、なくなるけれども、そういう権利については旧慣を尊重しなければならんと、こういうのですか。こういうのは現実に私のほうであるんです。一部の村の中で、一部の町村だけが森林を持つてつて、そうしてそれが部落有になつているわけなんですが、そういう権利のあるものも今度は権利としてはなくなるということになるのですか。
  127. 石村幸作

    ○石村幸作君 特に今の問題はこれはちよつと説明して頂いて……、
  128. 杉山惠一郎

    ○法制局参事(杉山惠一郎君) 只今の旧来の慣行により市町村の住民中特に財産又は営造物を使用する、旧慣というのは地方自治法の二百九条の第一項にもそういうものは旧慣を尊重しなけがばならないという規定がございます。それでそれをこのまま受けているわけですが、ただその規定の後段に「その旧慣を変更し又は廃止しようとするときは、市町村の議会の議決を経なけがばならない」というので、市町村の議会の議決があれば、旧慣を変更できるということになつておりますが、合併によつて議会の構成なんかが変つて来た場合でも、前の旧慣をそのまま尊重して行くようにしなさいという二百九条の精神をより強めているというふうに御了解願いたいと思うのです。
  129. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、これはやはり旧来の慣行によりこれこれする権利を有するものは、その旧慣を尊重するということは、やはり従前通り権利を有すると、こう見ていいのですか。
  130. 杉山惠一郎

    ○法制局参事(杉山惠一郎君) さようでございます。
  131. 石村幸作

    ○石村幸作君 小委員会の最後の日に、公有林の、町村有林の件について行政課長に一言お話しましたが、つまり合併しようとする関係町村が促進法が出ることを耳にして、どうせ合併するならば、合併前に自分の村の共有林を始末して、そうして分け取りしようじやないかというような問題があるということを耳にした。私はそういう事実はないと思いますが、そういうことを耳にした。そうすると、そういう事実があるとするならば、又そういう考えを持つているとするならば、この法律の制定によつて、合併町村に国有林野まで基本財産として与えようというこの法律に逆行するものである。親心子知らずに類するものである。これを阻止するために、自治庁はときを移さず、即刻何かの措置を講ずる必要を認めないかということをお話しました。そうすると、課長は上司と相談をして、月曜日の委員会に話をしますと言つて帰られた。一つその点について自治庁としての意見を聞かして頂きたい。
  132. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 只今の石町先生のお話は、この前もお伺いいたしまして、誠にそういう例は少いと思いますが、必ずしもなきにしも実際はあらずでありまして、間々ありまするので、特に現在合併の話が、この法案の成立を待つてすぐ合併をしようとする準備段階にある町村が相当ございますので、そういう関係の向きにつきましては、念のために注意を喚起したいと思いまして、準備中でございます。
  133. 石村幸作

    ○石村幸作君 準備中という話ですが、これは急がないといけないので、やればこの法律が出る前にそういうことをやられちまうので、ですから何か速急に、都道府県知事宛ての通牒ですか、通達ですか、そういうふうなものか何か、適当な措置を至急講じて頂きたい、こう希望いたします。
  134. 内村清次

    委員長内村清次君) 長野課長よろしうございますね。その点は重要ですから、確認しておきます。
  135. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 承知いたしました。
  136. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一つ私がお聞きしたいのは、二十一条の規定で最後の問題なんですが、「未払の債務を弁済し、その他誠実に事務を処理して置かなければならない」というのですが、ところが現実に合併せられる或る一町村のみ固有の債務があつて、そういう債務が合併までに整理できないというときには、その町村に限り清算事務か何かになつて、それはどういうふうな負担関係になるのですか。
  137. 石村幸作

    ○石村幸作君 これはここには「未払の債務を弁済し」としてありますが、弁済できればいいのです。できなかつたような場合のお話と思います。そういう場合には、関係町村の協議によつてこういうことは勿論財産の処分、移管問題とかいうものにからんで、当然こういうふうなものは協議して、一つの取引できめられることと存じます。つまり建設計画のうちにも五ヵ年計画財政計画を立てるというので、その中にも丁度同条のうちにある町村税の滞納を処分する、併し処分しても整理しても、全部徴収ができないものが必ずある。併し決してこれは打切るのではなくして、これは一つ関係町村の、一つのこれは財産である。この未払分は一つの負債である。こういうふうなものは当然残つて、整理されて引継ぎとなると、こう考えます。それは関係町村の協議の場合の取引きに……。
  138. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それでそれだと、二十一条の規定が何か、例えば弁済し、何々でなければならないというと、如何にも債務の弁済や何かが合併の条件になつているようなんで、何か言葉が強過ぎはしないかと思うのですが、恐らく今のようなお話で、協議によつてあれだとなりば、少しこれの時き方が、やはりそれに副うようにすべきじやないかと思います。  それからもう一つお聞きしたいのですが、条文が飛んで甚だ恐縮ですが、第九条で、町村合併の行われた日から起算して二年を起えない範囲で残存期間が議員として残るということの規定がございますが、一方町村合併というものは、五年間で完成するということになつて、五はいろいろな恩典を受けられるのですが、どうしてこれは二年という制度を置かれたのですか。これは残存期間一ぱいでも、長いやつだつて四年きりないわけですが、残存期間一ぱいでもいいのじやないかと思いますが、この点をお聞きしたい。
  139. 杉山惠一郎

    ○法制局参事(杉山惠一郎君) 第二十一条のほうの規定、これは合併するに当つての各関係町村の心構えというような規定で、一つの順示的な規定です。合併をする場合に、一部が合併され、一部が残るというような場合には、小委員長からお話がありましたように、協議で話がきまつて、或るものは残つて行くというようことになるかとも思いますが、全部が残つて行くということになれば、これは事務の引継ぎで、合併町村に入つて行くということになります。その場合に、できるだけの前の事務関係は整理しておきなさい、できるだけきれいな形で合併して行くようにという心構えを規定したものでございます。  そのから九条の関係は、只今お話では九条一項だと思いますが、九条一項の第一号の、二ヶ年を超えない範囲内で当該市町村で定める期間と申しますのは、これは新たに設置される場合に、関係町村の議員が身分を保続し得る期間でありまして、これは本来ならば前の合併関係町村の時分から身分は繋つておるわけでありますので、或る人によつては、この二ヶ年以前に身分が終るかも知れない。或いは場合によつては三年、或いは合併直前に選挙があつた場合には、四年といことがあり得るかも知れないけれどもいろいろな状況がありますので、二ヶ年の範囲内で、協議で定める期間はいいのだ、こういうふうにきめたわけでございます。編入合併の場合ですと、これは編入をする議員の身分がございますので、その残任期間ということにしたわけでございます。一つ言い忘れましたが、第一号の場合に残任期間ということにいたしますと、関係町村の議員は各町村によつて選挙の期日が違い得るわけです。従つて各議員毎に任期が違つて来るということでは甚だ困りますので、一応各関係町村等の議員の身分の最終日にかかわらず、ここで以て身分の終る目を一応一律にきめるという意味で、協議で定める期間までということにしておいたわけです。
  140. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それで二年という意味は要するにその二年を超えないという、その二年という根拠はどこにあるのですか。
  141. 杉山惠一郎

    ○法制局参事(杉山惠一郎君) これは何年がいいかということは、いろいろ問題があると思いますが、編入合併の場合に、一応編入をする議員の残任期間というふうに抑えましたので、まるまるこつちも四年間というのもどうかということで、一応まあ二年という、特に合併前からの議員が引継ぐわけでございますので、これを非常に長くしますと、新町村に来てからを加えますと、非常に長い期間在任するということになり得る。成るべく短くして、短くというか、適当な期間にしたほうがまあ至当ではなかろうかということでございます。
  142. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ちよつと私は政府に、自治庁にお聞きしたいのですが、その点でどうなんです。若干合併について障害を生ずるという虞れはないのですか。
  143. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 只今お話通り、二年でございますが、先ほど法制局のほうからお答えがございましたように、長くいたしますと、丁度四年近くなりまして、それでまあ合併する、そして又一任期間というようなことになりますと、そういう町村におきましては議員が八年近く在任することになります。だからここでそれをどの程度考えて行くかという問題で、今の二年以内にいたしましても、一番長い場合は六年近くになり得るわけでありますが、そうなりますと、考え方といたしましては、その二年というのは、実は理窟があるようで、ない。丁度真中あたりをとつたということになるかと思います。というのは非常にこれをつめて考えますと、もうあと二年しか任期がないというときにやつてくれるか、それとも四年近くなつたときにやつてくれるか、結局、任期終了近くなれば少し任期が殖える関係から、やるようになりまして、そこで改選した途端には二年たたなければやらないというような傾向が出て来やしないかということを、まあ詮索いたしますと、そういう感じもないわけではございません。それをそれではやめようとすれば、一番長い議員の、合併関係町村の一番長い議員の残任期間に合せるのが一番合理的だというような考え方も一つ実は出て参りますが、併しそれにいたしましても、大体二年という期間があれば、今までの状態から考えまして、大いに緩和されまして、すぐ改選になるわけでないから、まあそれで房ほどほどのところじやないかという感じもいたしております。
  144. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それからもう一点お聞きしたいのですが、第六条に、町村合併に当つてですね。例えば総理大臣に、都道府県知事は、新町村建設計画を受理したときには直ちに意見を付して総理大臣に提出しなければならんというような規定や、その他大体のコンストラクシヨンから言うと、合併のやはり責任者と申しますか、或いは促進の中心というものが、この法律ではやはり自治庁長官がやるということになるのでしようか、或いは、そうじやない、もつと都道府県知事が中心になりてやるという考えで行つていられるのか、そこいらをちよつとお伺いしたい。
  145. 石村幸作

    ○石村幸作君 それはここに条文のうちに、「総理大臣」云々とありますが、これは決して総理大臣に権力を持たせるというような意味ではなくして、むしろ逆に、総理大臣にこれが配慮斡旋、そういうふうなことを、させるというとおかしいが、そういう義務をむしろ総理大臣のほうに持つてもらうと、こういう意味であります。そこでお尋ねの、主になるものは誰か、それは町がこの責任者であるとこう考えます。そこで町村の協議会が問題で、もう一つ都道府県の場合は都道府県審議会、合併促進審議会、これが知事の諮問機関として本当にまじめに民主的にこれが促進を推進してもらわなければならん、こう考えておりますが、どこまでもその主体は町村自体であると、こう考えております。
  146. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いや、私のお聞きするのは、例えば十条の規定やその他で、表面見るというと、都道府県知事が関係町村に対して合併の告示をしたり、或いは審議会をして中心になるような規定は、要するに誰か。決するのは町村だから、これは問題はない。それはただそれだけだけれども、仲人役は、仲人役として主としてやるのは、一体都道府県知事なのか或いは中央でおやりになるのか、そこいらの責任者というか、それが立法の趣旨じや散漫に書かれているのですが、そういう意味においての中心はどうかということをお聞きしているのです。
  147. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の例を出された第十条の場合の都道府県知事が告示する、公表する云々と書いてありますが、これは町村の一部の編入、境界の変更と、こういうことでありまして、すでにこれはここにも書いてある通り地方自治法の第八条の二、つまり知事の勧告のような規定がありまして、それを最も民主的にやるというので特にここに現わしたのであります。そこで、これをやるのは一体どこか、どこが責任の立場に立つか。これは疑問を持たれるのは御尤もと存じますが、私はどこまでも勿論自治庁あたりが、これが促進を慫慂する、宣伝するというとおかしいが、普及徹底を図る、これは自治庁のあたりでやる自発的にやる仕事かもわかりませんが、合併そのものはどうしても、これはこの町村自体の自主的な立場から、これはできなければならないと思います。そしてやはり、これは一番町村実情を知つている知事あたりが、これの合併が適当と思えば、促進できるように慫慂、斡旋等も、当然これはすべきものでありますが、根本としてはやはり関係町村自体と、こう考えております。
  148. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いや、私のお聞きしておるのは、それは一緒になるのだから、一緒になる当事者が、自主的にやるということはわかつておるが、ただ第四条の規定で都道府県知事が審議会を設けて、こうしてやるというのだというので、その促進のその推進力になるものが一体知事にあるのか、或いは、又一方において総理大臣の規定が相当あるから、そういう内閣みずからがやるのか、そこらの重点の置き方をお聞きしておるのです。
  149. 法貴三郎

    調査員(法貴三郎君) ちよつと申上げますが、只今お話はよくわかることであります。そして先ほどから石村小委員長が言われました通りでございますが、町村の自主的にやるということを中心にして、各種の勧奨的措置を講じまして、合併が自動的に行われるということを期待しておるものでありますが、併し勧奨の措置というものは、要するに府県もそれにならつていろいろ措置するということでございまして、そういう事務的な関係から、やはり総理大臣が或いは府県知事というものは、内容を知つていなければならないということになるわけであります。それからこの促進審議会という規定についてでございますが、これは自治法の八条の二に規定がありまして、知事が市町村の適正規模について計画を立てて勧告をすることができるということになつているわけでございます。そしてその考え方の根本は、要するに町村合併につきましても、その合併の事務は最終的には国の事務で府県知事がその委任によつて取扱うという現在の自治法上の原則から出ているわけであります。この規定が或いは目障りかも知れませんが、要するにそういういろいろの現行法その他との関係があり、自治庁との関係を睨み合せまして、こういう形式になつたわけでございます。
  150. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そう四角張らないで答えて頂きたいと思うのですが、要するに問題は、何と申しますか、町村町村で独立したような形であり府県は府県で独立したような形だけれども、この法案の運営上、大分府県によつては、自分が責任を以て一つこの合併促進の運動の中心になつてやるという考え方もしておるが、この法案の中心的な狙いは、そういう工合に第一線の府県を活用して促進運動をやるのか、或いは町村に直結して、そうして国自体がやるように配慮せられるのか、そこらの行政の重点の置き方を聞いておるわけですよ。
  151. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。   〔速記中止〕
  152. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは町村合併促進法案の取扱につきましての御意見はこのくらいにいたしまして、これで今日の地方行政委員会を閉じます。    午後五時十七分散会